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1996-06-11 第136回国会 衆議院 地方行政委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年六月十一日(火曜日)     午後五時五十二分開議  出席委員   委員長 平林 鴻三君    理事 虎島 和夫君 理事 穂積 良行君    理事 持永 和見君 理事 粟屋 敏信君    理事 富田 茂之君 理事 山崎広太郎君    理事 畠山健治郎君 理事 田中  甲君       石橋 一弥君    稲葉 大和君       栗原 裕康君    谷  洋一君       中馬 弘毅君    西田  司君       村田敬次郎君    山本 公一君       貝沼 次郎君    武山百合子君       樽床 伸二君    福留 泰蔵君       宮本 一三君    山名 靖英君       米田 建三君    加藤 万吉君       山口 鶴男君    山下八洲夫君       穀田 恵二君  出席国務大臣         自 治 大 臣 倉田 寛之君  出席政府委員         警察庁交通局長 田中 節夫君         自治政務次官  山本 有二君         自治大臣官房長 二橋 正弘君         自治省行政局公         務員部長   鈴木 正明君         消防庁長官   秋本 敏文君  委員外出席者         文部省教育助成         局地方課長   清水  潔君         厚生省保険局国         民健康保険課長 小島比登志君         建設省都市局公         園緑地課長   伊藤 英昌君         地方行政委員会         調査室長    黒沢  宥君     ――――――――――――― 委員の異動 五月二十四日  辞任         補欠選任   吉田 公一君     宮本 一三君   穀田 恵二君     吉井 英勝君 同日  辞任         補欠選任   宮本 一三君     吉田 公一君   吉井 英勝君     穀田 恵二君 六月十一日 辞任          補欠選任   永井 英慈君     樽床 伸二君   吉田 公一君     宮本 一三君 同日  辞任         補欠選任   樽床 伸二君     永井 英慈君   宮本 一三君     吉田 公一君     ――――――――――――― 五月三十日  消防団員等公務災害補償等共済基金法の一部を  改正する法律案内閣提出第八三号)(参議院  送付) 六月六日  地方税法の一部を改正する法律案上田清司君  外五名提出衆法第八号) 五月二十八日  地方消費税の中止に関する請願(穀田恵二君紹  介)(第二五八四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 六月四日  自治体病院財政安定のための抜本的対策の早期  実現に関する陳情書  (第二六四号)  政府資金による高金利の地方債の借りかえ及び  繰り上げ償還に関する陳情書  (第二六五号)  国庫補助負担金等に係る超過負担の解消に関す  る陳情書  (第二六六号)  特別地方消費税の存続に関する陳情書  (第二六  七号)  地方議員年金廃止等に関する陳情書  (第二六八号)  中核指定促進に関する陳情書  (第二  六九号) 同月十日  銃器犯罪の根絶に関する陳情書  (第  三五四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  消防団員等公務災害補償等共済基金法の一部を  改正する法律案内閣提出第八三号)(参議院  送付)      ――――◇―――――
  2. 平林鴻三

    平林委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付消防団員等公務災害補償等共済基金法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより趣旨説明を聴取いたします。倉田自治大臣。     —————————————  消防団員等公務災害補償等共済基金法の一部を   改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 倉田寛之

    倉田国務大臣 ただいま議題となりました消防団員等公務災害補償等共済基金法の一部を改正する法律案提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  この法律案は、消防団員等公務災害補償等共済基金を、消防団員等公務災害補償等共済制度の公正かつ確実な実施確保しつつ、民間法人化し、その経営活性化及び効率化に資するため、役員選任財務等についての政府関与を縮小する等の所要改正を行うものであります。  以上が、この法律案を提案いたしました理由であります。  次に、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、消防団員等公務災害補償等共済基金に関する事項についてであります。  まず、役員選任について、自治大臣による任命制を廃止し、基金における選任に対し自治大臣が認可すること、財産目録及び事業状況報告書等に係る自治大臣の承認に関する制度を廃止し、自治大臣への提出のみとすること等、国の関与の縮小を図ることといたしております。  また、基金目的及び業務について所要規定整備を行うこととしております。  第二に、指定法人制度導入に関する事項であります。  基金のほか、自治大臣指定する者は、消防団員等公務災害補償責任共済事業及び消防団員退職報償金支給責任共済事業並びに消防団員等福祉事業業務を行うことができるものとし、その指定の手続、要件等を定めることといたしております。  第三に、消防団員等公務災害補償等責任共済について、消防団員等公務災害補償等責任共済契約の締結、市町村等に対する経費の支払い等に関し所要規定整備を行うとともに、消防団員等福祉事業内容に、消防団員等公務上の災害を防止するために必要な事業を加えることといたしております。  そのほか、この法律の題名を消防団員等公務災害補償等責任共済等に関する法律に改めるとともに、罰則その他について所要規定整備を図ることといたしております。  なお、この法律は、一部の経過措置を除き、平成九年四月一日から施行することといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  4. 平林鴻三

    平林委員長 以上で趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 平林鴻三

    平林委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武山百合子君。
  6. 武山百合子

    武山委員 こんばんは。私が武山百合子でございます。新進党を代表いたしまして質問させていただきます。  先ほど提案理由説明がありました消防団員等公務災害補償等共済基金法の一部を改正する法律案について質問させていただきたいと思います。  まず初めに、消防基金現状をお伺いしたいと思います。消防基金加盟状況、年間の掛金額及び消防団員等公務災害補償及び消防団員退職報償金支給総額についてお聞かせください。
  7. 秋本敏文

    秋本政府委員 市町村は、消防基金との間に消防団員等公務災害補償責任共済契約などを締結するものとされているわけでございますが、平成六年度における契約状況を申し上げますと、公務災害補償につきましては約九割、退職報償金につきましてはほぼ全部の市町村契約を結んでおります。  また、市町村等掛金総額支払い総額でございますけれども、平成六年度で申し上げますと、公務災害補償につきましては、掛金総額は二十一億四千七百万円余、損害補償費福祉事業費消防基金からの支払い総額は二十一億三千百万円余、また、退職報償金につきましては、掛金総額は百五十一億百万円余、支払い総額は百五十一億二千万円余となっております。
  8. 武山百合子

    武山委員 ありがとうございました。  それでは、次に移らせていただきます。  今回の改正案によりますと、消防団員等公務災害補償等共済基金民間法人化し、指定法人制度導入するとされていますが、そのねらいはどこにあるのでしょうかということが一つです。何ゆえに民間法人化が必要であったのか、お聞かせください。  また、指定法人制度でなく他の方法がなかったのか。例えば、同種の目的を業とする銀行や損害保険会社等に委譲するなどの考えはなかったのか、あわせてお聞きしたいと思います。
  9. 秋本敏文

    秋本政府委員 今回の改正案におきましては、行政改革の一環として特殊法人見直しを行うこととされましたことに対応して、自治省所管特殊法人について、その法人のあり方あるいは事業について真剣な検討を重ねてまいりました結果、消防基金につきまして民間法人化を図るということにいたしたものでございます。  今回の改正によって導入されます指定法人制度は、消防基金以外の自治大臣指定する法人消防団員等公務災害補償等共済事業実施することができるようにするというものでございまして、これまで消防基金が独占的に行うこととされておりましたこの公務災害補償等共済事業につきまして指定法人が参入できる、そういう道が開かれるということになってまいります。  したがいまして、市町村等は、消防基金または指定法人のいずれかと任意に契約を締結できるということになってまいります。これによりまして、消防基金及び指定法人経営努力が促されまして、経営活性化効率化促進されるものと考えております。  また、先ほど来お答えをいたしましたように、市町村との契約によりまして、市町村からの掛金によってこの事業を賄っておるという非常に公共的、公益上の性格の強いものでございますので、そういったことを勘案しながら、今申しましたような改正にしているわけでございます。
  10. 武山百合子

    武山委員 どうもありがとうございました。  それでは、次に移らせていただきます。  改正目的は、民間法人化し、経営活性化及び効率化を図るとしております。確かに、改正民間法人化に向けた内容に変更されております。しかし、基金は別として、既存民法三十四条に基づいて設立された法人指定を受けようとしても、法人目的事業体制資金等の問題から、その指定条件に照らし指定法人として許可されない可能性が大きいのではないかと思います。これでは実際上、民営化とはほど遠いものになってしまうのではないかと思いますが、指定法人とはどのような法人を想定されているのか、ひとつお聞きしたいと思います。  また、当面どのくらいの数の既存法人あるいは新規の法人指定申請してくると予測しているのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  11. 秋本敏文

    秋本政府委員 今回の改正は、ただいま申し上げましたように、消防基金以外の自治大臣指定する法人にも消防団員等公務災害補償等共済事業を行うことができるようにということにしたものでございますが、事業性格を踏まえまして、この指定法人指定につきましては幾つかの要件を定めております。  まず、共済事業を的確に実施するに足りる財産的基礎を有するものであること、また、業務実施方法が適切でありまして、その共済事業業務全国に及ぶこと、また、民法三十四条の公益法人であることなどを要件といたしております。  現在のところ、具体的に特定の法人を想定しているものでもございませんし、また、現時点でどの程度の申請があるかについての具体的な見通しを持っているものではございません。
  12. 武山百合子

    武山委員 私は、一般公益法人に関して問題になっているように、この法律を満たすように設立された法人は、消防庁主導でつくられたいわゆる官製の公益法人に近いものしか認められず、決して行政改革ないし規制緩和の成果とは言えないのではないかと思っております。さらに、天下りや補助金の循環という旧態依然とした形がそこに生まれるのではないかと心配しております。そのような形にならないように、しっかり監督していただきたいと思います。  次に、消防行政一般について何点か質問いたします。  まず、消防団一般について、阪神淡路大震災での消防団員活躍記憶に新しいところです。地域防災を担う消防団役割は極めて重要ですが、近年、団員サラリーマン化等団員確保が難しくなっております。消防団現状がどのようになっているのか、また、消防庁として消防団充実強化をどう図っているのか、お聞きしたいと思います。
  13. 倉田寛之

    倉田国務大臣 消防団は、武山委員がただいま御指摘になられましたように、地域社会におきまする消防防災中核といたしまして、火災等災害時はもとより、地域に密着したぎめ細かい予防活動であるとか啓蒙活動であるとか、いろいろな分野活躍をしておるところでございます。その重要性につきましては、今回の阪神淡路大震災におきましても改めて認識をされたところでございます。  平成七年度現在、全国で三千六百三十七の消防団がございます。消防団員数につきましては、平成元年度に百万二千三百七十一人でございましたが、年々減少いたしまして、平成七年度には九十七万五千五百十二人となっております。  消防団の課題につきましては、都市化によります住民連帯意識希薄化傾向であるとか、過疎地域における若年層減少であるとか、さらには、国民の就業形態変化など近年の社会経済情勢変化の影響を受けまして、団員数減少団員高齢化、あるいはサラリーマン化等の問題が御指摘のように生じていることは現実でございます。  このような問題に対処してまいりますために、また、消防団充実強化を図るために、一つには、消防団の施設、装備等充実という問題がございます。一つには、消防団処遇改善という問題がございます。一つには、青年層女性層に対しまする消防団への参加の呼びかけなどに努めていくという問題もございます。  こういった問題につきまして、今後とも、消防団重要性に力点を置いて、その充実強化にさらに努めてまいる所存でございますので、御理解を賜りたいと存ずる次第でございます。
  14. 武山百合子

    武山委員 ありがとうございました。  それでは、女性の立場から、女性消防団員現状がどうなっているのか、お聞きしたいと思います。  また、一般消防団員を含めて、処遇改善はどうなっているのか、お聞きしたいと思います。
  15. 秋本敏文

    秋本政府委員 女性消防団員についてでございますが、社会の各分野女性の進出が進んでいるわけですけれども、消防団におきましても、特に近年の増加傾向は著しくなっております。平成七年四月一日現在で申し上げますと、女性消防団員全国で五千九百人余ございます。これは、五年前の約三倍の数字でございます。  最近のように、消防団員サラリーマン化が進んで、日中は男性不在であるというようなことになってまいりますと、女性消防団員の果たす役割も大きくなってくるということもございます。また、あるいは防火についてそれぞれの家庭を訪問して御指導を申し上げるとか、そういったようなことにつきましては、女性消防団員活躍が期待されるという面もございます。  消防庁といたしましては、今後さらに女性消防団員がその能力を発揮することがでぎますように、環境の整備を図り、その加入促進に努めてまいりたいと考えております。  それから、消防団員処遇改善でございますが、消防団員処遇につきましては、地方交付税における団員報酬あるいは出動手当等算入額引き上げ公務災害補償補償基礎額退職報償金基準引き上げを行うなど、逐年その改善に努めております。また、今年度から、公務災害により介護が必要な状況となりました方に対して新たに介護補償を支給するというような制度の拡充も行ったところでございます。  消防庁といたしましては、消防団員の労苦に報いますとともに、団員確保を図って、そして我が国の消防体制を強固にするためにも、消防団員処遇改善につきましては今後とも努力してまいりたいと考えております。
  16. 武山百合子

    武山委員 ありがとうございました。  今のお話の中で、もうちょっと突っ込んでお聞きしたいのですけれども、女性消防団員仕事内容を、男性と同じようなことをしているのでしょうか、説明していただけますでしょうか。
  17. 秋本敏文

    秋本政府委員 女性消防団員仕事の具体的な中身でございますが、大変大ざっぱな分け方で二つに分けて申し上げますと、例えば離島とか過疎地域とか、男性が常時不在であるといったような地域での女性消防団員は、男性と同様にポンプを使って消火作業なども行っている。あるいはまた都市部などで、先ほど申し上げましたようなサラリーマン化が進んでくる中で最近ふえてきているような地域での女性消防団員の場合は、先ほど申し上げましたような防火についての指導でありますとか、あるいは消防活動についてのPRでありますとか、そういったところのウエートがかなり高いといったような傾向が見られるのではないかと思いますけれども、その地域状況、そしてまた女性の特性、それぞれ発揮するようにしてきているというように思います。
  18. 武山百合子

    武山委員 どうもありがとうございます。  それでは、消防体制広域化組織化について質問をしたいと思います。  消防市町村がその責任を担っておりますが、災害多様化広域化のため、消防体制見直しが必要となってきております。大規模災害等に十分対応できるような消防体制広域化組織化がどの程度進んでいるのか、それらについてどのように取り組んでいるのか、その辺を詳しくお聞きしたいと思います。
  19. 秋本敏文

    秋本政府委員 災害に備えまして、それぞれの地域行政住民とが一体となって地域防災体制を強固にしておくことが重要であることはもちろんでございますけれども、同時にまた、大規模災害発生した場合には、地域を超えた応援が必要になってまいります。  阪神淡路大震災においてもそのようなことがあったわけでございますけれども、その教訓を踏まえながら、国内で発生した地震等の大規模災害発生時には、全国消防機関が相互に応援することによって人命救助等をより効果的に行うことができますように、昨年、緊急消防援助隊編成いたしました。そうして、必要なときには全国から集中的に応援出動ができる、そういう体制を整えたわけでございます。  この緊急消防援助隊は、交代要員を含めまして全国で約一万七千人規模というようなものでございます。その編成につきましては、救助救急消火といったような活動を行います部隊のほかに、特に阪神経験を踏まえまして、指揮支援部隊あるいは後方支援部隊というようなものを編成に加えております。  また、緊急消防援助隊の効果的な運用を図りますために、災害発生区域に応じた緊急消防援助隊出動計画策定や、あるいは関係機関との協力体制の確立に努めておりまして、昨年十一月末の全国合同訓練を初めとしまして各種の訓練を推進しているところでございまして、今後とも、その災害応急能力の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。
  20. 武山百合子

    武山委員 ありがとうございました。  それでは、もうちょっと突っ込んでお聞きしたいのですけれども、去年の阪神大震災の後、今御説明いただきましたような広域化組織化が行われたということですけれども、それ以前と変わりました大きなポイントというのはどこでしょうか。
  21. 秋本敏文

    秋本政府委員 阪神淡路大震災以前におきましても、消防の広域的な応援についての制度はあったわけでございます。それに基づきまして、阪神の際も、全国消防本部の約半数からの部隊応援に駆けつけるということがございました。  ただ、被害の状況をもっと早く把握することができなかったのかとか、あるいは、応援に駆けつけた部隊がもっと的確に行動するために、情報とかあるいは後方支援の機能とか、そういったことをもっと充実させておいた方がよかったのではないかとか、そういうもろもろの教訓がございました。  それらを踏まえまして、先ほど申しましたように、全国的な組織として緊急消防援助隊というものを編成したわけでございまして、特にその編成中身につきましても、今申しましたような教訓を踏まえたものにいたしているわけでございます。  同時にまた、昨年秋の消防組織法改正におきまして、有事の際の応援出動につきまして、原則的には、それぞれの被災地の知事から消防庁長官に対して応援を求めるという要請があって、それを受けて消防庁長官の方から各県に対して応援出動を求める、こういう仕組みがあるわけですけれども、大きな災害で現地が大混乱している、明らかに応援出動が必要なんだけれども応援要請をすることもできないでいる、そういうような状態のときには、応援要請を待つまでもなく、消防庁の方から各県に対して応援に行ってほしいということを要請することができるというような仕組みにもいたしております。  そういうようなことを、阪神経験を踏まえましてやってきているところでございます。
  22. 武山百合子

    武山委員 どうもありがとうございました。ぜひ絵にかいたもちに終わらないように、即臨戦態勢というか、そういう方向で動いていただきたいと思います。  それでは、消防防災ヘリコプターについてお聞きいたします。  本年一月の岡山県倉敷市、そして笠岡市小飛島で発生した山火事、さらには二月の広島三原市で発生したような山火事のように、災害広域化しております。この中でも、広島三原市のケースでは、神戸市消防局ヘリニ機が出動し、海水と消火剤を散布して消火に当たったことは記憶に新しいところです。  このように、機動的かつ広域的活動能力のある消防防災ヘリコプターは、今や広域火災や大規模災害には欠かせないものになっております。この消防防災ヘリコプター配備状況と今後の配備計画をお聞かせください。
  23. 秋本敏文

    秋本政府委員 消防防災ヘリコプターは、さきの阪神淡路大震災におきましても、負傷者搬送あるいは必要物資の輸送などの業務を行いまして、その機動的かつ広域的な活動能力が改めて認識をされたわけでございまして、各地方公共団体においてもその導入が積極的に進められております。  このため、消防庁におきましても、平成七年度には二度にわたる増額の補正予算措置の中で、当初予算は五機でございましたが、一次補正で三機、二次補正で四機、合計十二機の予算措置を講じまして、これを含めますと全国に五十機が配置されるというような状況にまでなっております。また、平成八年度予算におきましても九機分の補助金確保をしているところでございまして、今後とも全国都道府県における消防防災ヘリコプターの配置を積極的に進めてまいりたいと思っております。  このようにして増強をいたします消防ヘリコプターをより効果的に活用するためには、いろいろ工夫をしなければならないと思っておりますが、先般、都道府県及び政令指定都市などによりまして、全国航空消防防災協議会が設立をされております。消防庁におきましても、この協議会と連携をして、大規模災害時におけるヘリコプター運用マニュアル策定するとか、あるいは訓練などにつきましてもさらに協力をしていくとかというようなことで、ヘリコプターによる消防防災体制強化をさらに進めてまいりたいと思っております。  また、従来から、離島等を抱える地域を中心にしましてヘリコプターを利用した傷病者救急搬送実施をされておりますけれども、救命効果の一層の向上を図りますために、救急自動車による救急体制一体となった消防防災ヘリコプターによる救急システムをさらに整備をする必要があるだろうと考えております。消防庁におきましては、ヘリコプターによる救急システム検討委員会というものを設置をしまして、必要な基準策定など実施体制整備を進めていきたいと思っております。  また、林野火災につきまして具体的に御指摘ございましたが、ことしは特に林野火災が多うございます。今も御指摘ございましたように、林野火災がありましたときには、ほとんど必ずと言っていいほど近隣の地域ヘリコプター応援に駆けつけております。これらにつきましても、より有効な活用がされますように、さらに私どもも努力してまいりたいと思っております。
  24. 武山百合子

    武山委員 ありがとうございました。  それでは、御説明された配備ヘリコプター消防機能をきちっと有しているのでしょうか。それからまた、都道府県にまたがる広域組織ないし協力体制はきちっと図られているのでしょうか。その辺をお聞かせください。
  25. 秋本敏文

    秋本政府委員 ヘリコプターの機能につきましては、ただいま申し上げましたように阪神のときにも、そしてまた最近の各所の火災等におきましても、それぞれ機能を発揮するように装備を整え、また訓練等も行っているところでございますが、なお有効な活用を図っていくために、先ほど申し上げましたように全国協議会組織を設けましたり、私どももいろいろな方の御意見を伺いながら検討したりして、さらに有効な活用を図るように努力をしてまいりたいと思っております。
  26. 武山百合子

    武山委員 ありがとうございます。ぜひ有効に使っていただきたいと思います。  それでは、次に移ります。安全対策についてお聞きいたします。  救急活動に際しましては、救急隊員等の安全確保の観点から、感染症対策はどのように講じられているのでしょうか。  特に、救急救命士は患者や負傷者に接触する機会が多く、血液感染等が心配されますが、この安全対策がどのように講じられているのか、お聞きしたいと思います。
  27. 秋本敏文

    秋本政府委員 救急業務実施に当たりまして、エイズとかB型肝炎など各種感染症からの適切な防止対策を確立しますことは、救急隊員にとってのみならず、傷病者の安全を確保する上からも極めて重要な課題であると思っております。  このため、消防庁におきましては、従来から、消防機関に対し、救急自動車及び積載資機材の消毒の実施などについて指導をいたしますとともに、昭和六十一年十月以降、数次にわたりまして、エイズ、B型肝炎等に対する感染防止対策を示し、感染防止用のビニール手袋の装着などの救急活動上の留意事項の周知徹底、各種感染症に対する基礎知識の普及啓発、B型肝炎ワクチン接種の促進、感染防止に必要な救急用資機材、消毒用資機材の整備の推進などについて指導してまいりました。  また、昭和六十二年度からは、B型肝炎に関する抗原抗体検査に要する経費について交付税措置を講じますとともに、昭和六十三年からは、感染防止に必要な、有効な消毒用資機材やB型肝炎のワクチン接種に要する経費についても交付税による財政支援措置を講じているところでございます。  今後とも、救急業務実施における感染防止対策につきまして、万全の措置を講ずるよう積極的に指導してまいる所存でございます。
  28. 武山百合子

    武山委員 どうもありがとうございました。  それでは次に、地方財政についてお聞きしたいと思います。  現実の地方自治体の財政は大変厳しく、地方財政再建の必要を迫られている状況です。そこで、財政に絡めて、国民健康保険をめぐる論議についてお伺いいたします。  国民健康保険制度に関しまして、国民健康保険の財政状況は厳しく、市町村一般会計から繰り入れして国保の赤字を補てんしています。全国市町村中、赤字に転じている市町村はどのくらいあるのか、そして、各市町村は実際にどのくらいの金額、割合を赤字補てんしているのか、実態をお示しください。
  29. 小島比登志

    ○小島説明員 お答えいたします。  市町村国保の平成六年度の単年度経常収支は千三百七十億円の赤字となっておりまして、この赤字額は平成五年度に比べまして約五百億円増加しております。  赤字保険者の状況でございますが、平成六年度におきましては、全国三千二百五十一の保険者のうち二千百五十七保険者、六六・三%が赤字ということになっておりまして、この赤字保険者数も近年増加の傾向にございます。  また、一般会計からの繰入金、赤字補てん等に充てられます法定外の繰入金でございますが、その繰入金の総額は、平成六年度には約二千五百八十五億円となっておりまして、対前年度約一〇%増加している状況でございます。
  30. 武山百合子

    武山委員 ありがとうございます。  それでは、地域間で保険料負担に大きな格差がありますが、市町村間の格差の実態についてお伺いいたします。  医療保険審議会の中間報告の中で、都道府県単位、広域行政単位での保険料負担の検討が提案されておりますが、この点どうお考えでしょうか。
  31. 小島比登志

    ○小島説明員 地域間での保険料格差でございますが、平成六年度全国平均の一人当たり保険料は六万五千五百九十一円ということでございますが、全国三千二百市町村の最高、最低は相当開きがございまして、最高が十万四千八百四十八円、最低が一万四千八百三十二円ということで、約七・一倍の開きがございます。また、都道府県別では、最高の富山県と最低の沖縄県で約二倍の開きがございます。  保険料の格差にはさまざまな要因があるわけでございますが、医療費の高い地域におきましては一般的に保険料水準も高くなる傾向がございまして、北海道、北陸、中・四国、九州の北部、こういった比較的医療費の高い地域が保険料水準も高くなっているという状況でございます。これらの保険料水準の平準化というのは大きな課題でございまして、私どもも努力をいたしております。  保険者の広域化ということも議論になっているわけでございますが、保険料の平準化をするための広域化というのはなかなか難しい面もあるわけでございますけれども、一方で、被保険者三千人未満の小規模保険者が最近大変ふえておりまして、四〇%近くになろうとしています。こうした小規模保険者の運営の安定のためにも、保険者の広域化というのは国民健康保険の重要な課題だと考えておりまして、私どもも、医療保険審議会の審議を踏まえまして、市町村国保の運営の安定化のために努力をしてまいるつもりでございます。  以上でございます。
  32. 武山百合子

    武山委員 国民健康保険制度の保険負担のあり方を考える一方、診療報酬の支払い基準等、支出面からの見直しも必要ではないかと考えておりますが、抜本的な検討をお願いしたいと思います。  次に、行政改革及び地方分権に関連してお聞きしたいと思います。  地方自治体の職員採用における国籍条項撤廃についてお聞きいたします。  最近、川崎市を初め幾つかの地方自治体では国籍条項撤廃を決めておりますが、その内容は、管理職等職種によって任用制限を設けており、問題を指摘する向きがあります。  国際社会の動向を見ますと、アメリカでは、公務員の外国人雇用については原則的に決められておりません。EUでは、原則的に地方公務員にも採用する方向で整備が進んでおります。イギリスでは、例外を除けば国籍規定はないというのが現状です。この問題は、国際的信用問題にもなりかねない問題であります。  六月四日の朝日新聞の報道によれば、公式文書で指導せずとしながら、広報誌で非公式に指導した形になっています。したがって、私は、各地方自治体ごとにまちまちな動きをするのではなく、政府が明快な見解を出し、指導する必要があると考えております。これにつき自治省の見解をお聞きしたいと思います。
  33. 鈴木正明

    ○鈴木(正)政府委員 外国人の地方公務員への任用についてでございますが、政府は、従来から、内閣法制局見解に示されているとおり、公務員に関する当然の法理といたしまして、公権力の行使または公の意思の形成への参画に携わる公務員となるためには日本国籍を必要とする、それ以外の公務員となるためには必ずしも日本国籍を必要としない、このことは、国家公務員だけでなくて地方公務員の場合も同様である、このように解しております。  この考え方を踏まえまして、一般事務職など、将来公権力の行使または公の意思の形成への参画に携わる職につくことが予想される職員の採用試験におきまして、日本国籍を有しない者に受験資格を認めることは適当でない、こういうふうにしております。しかし、例えば保健婦あるいは看護婦など、専門的、技術的な職種については国籍要件は必要ないと考えております。  自治省としては、外国人の地方公務員の任用につきましては、このような考え方に基づいて行われるように地方団体に対しましてお話をしてまいってきたところでございます。  今お話ございましたが、最近に至りまして、川崎市人事委員会が、公権力の行使等につけないという条件を付して、一般事務職等の採用試験における受験資格から国籍要件を外す決定をしたところでありますが、これは、将来にわたる適切な人事管理という点、あるいは将来における公務員に関する当然の法理に基づいた任用を確保するという点から見て問題があり、適当でないと考えております。  今後とも、こういった考え方につきまして地方団体に引き続き理解をしていただくとともに、公務員に関する当然の法理に抵触しない職種につきましては、外国人の採用機会の拡大を図るよう指導してまいる所存でございます。
  34. 武山百合子

    武山委員 ありがとうございます。それでは、教職員採用について質問させていただきます。  現在、教職員採用は各都道府県ごとに一括して行われておりますが、各市町村の教育需要や地域的背景に照らし、実態に合わせた採用をする方が教育内容充実に即するのではないかと私は考えております。教育は地方分権になじまないという意見がありますが、むしろ教育は地域に密着して行うべきだと考えております。教職員の採用を各市町村へ移管する考えはないのか、お伺いしたいと思います。
  35. 清水潔

    ○清水説明員 お答え申し上げます。  委員御案内のように、市町村立の小中学校の教職員については、その身分は市町村に属しますが、給与は都道府県が負担し、採用、転任などその人事は都道府県の教育委員会が行うという仕組みがとられているわけでございます。これは、教職員の人事交流の円滑化を図り、その適正な配置を行うこと、あるいは義務教育の一定の水準を確保すること、あわせて、給与負担と任命権の行使との調整を図る必要があること等の理由によってこのような仕組みがとられているところでございます。  少しく御説明させていただきますれば、このような仕組みではなくて市町村が採用ということになりますれば、例えば市町村におきましては、社会的、文化的あるいは教育的な環境でありますとか利便性でありますとか、そういう諸条件がございます。違いがございます。そういう意味で、教員志望者が少なく、必要な教員を確保することが困難となるところもあるわけでございます。  また、他方では、全体として今、児童生徒数は各年度でいきますと約三十万人の規模減少しております。そういう中で、地域によってその減少状況等はばらつきがございますので、各市町村が独自に教員採用を行うということにすれば、学校における教員の年齢構成でございますとかあるいは教科の構成に偏りが生ずるということも考えられ、それにより一定の水準を維持することが困難となるというふうなこともあるわけでございます。  したがって、私どもとしては、教員の採用、転任等の大事について市町村に行わせるということについては適当ではないというふうに考えております。
  36. 武山百合子

    武山委員 その辺は、私は大変異論があるのですけれども、また別の場でいろいろ私の考えを述べたいと思います。  それでは、最後になりますけれども、最近、携帯電話使用中の自動車事故の多発が報告されております。警察庁では、これを踏まえて何らかの法的規制をお考えでしょうか。警察庁の見解をお伺いいたします。
  37. 田中節夫

    田中(節)政府委員 携帯電話使用中の交通事故の状況でございますが、平成七年中に全国で携帯電話の使用に関連いたします死亡事故は七件発生しております。また、最近、自動車の運転中に携帯電話を使用していて交通事故を起こすケースが多いという報告を都道府県警察から受けております。携帯電話の急速な普及が予想されますし、また今後、携帯電話使用中の事故の増加が懸念されますことから、何らかの対策が必要というふうに感じております。  私どもといたしましては、現在、携帯電話使用にかかわります事故につきまして全国的な調査を行っております。その調査結果等を踏まえまして、どのような対策が講じ得るかということにつきまして真剣に検討してまいる所存でございます。
  38. 武山百合子

    武山委員 どうもありがとうございました。  これにて私の質問を終わりにいたします。ありがとうございました。
  39. 平林鴻三

  40. 穀田恵二

    穀田委員 消防基金民間法人化に当たりまして、国庫補助が廃止になります。消防基金の創設に当たって、事務費に対して国庫補助の規定を設け、そして導入した趣旨一体何だったのかということをまず最初にお聞きしたいと思います。
  41. 秋本敏文

    秋本政府委員 現行の基金法におきましては「補助することができる。」という規定が設けられているわけでございますけれども、この規定は法の制定当初から設けられております。  その趣旨は、条文に書かれているとおりでございますけれども、当時、初めて全国市町村の、しかも当時は、穀田委員も御案内のとおり、昭和三十年代の初めでございますので極めて財政の厳しい市町村が多かった、いわゆる財政再建団体が多数あるという状況で、市町村掛金を原資として消防団員等公務災害補償についての共済事業を行うということでございますので、国としましても、「消防団員等公務災害補償の的確な実施を図るため必要があると認めるときは、」「基金に対して、その業務に要する経費の一部を補助することができる。」ということとして、必要な支援を行うこととしたものでございます。
  42. 穀田恵二

    穀田委員 ですから、発足当初というのは、そういう意味でいいますと自治体もばらばらで大変だったということから始まっているわけですよ。  同時に、そこで私は聞きたいのですけれども、今度の御説明の中に、「国の関与の縮小」という名目で実際上は補助金をなくすわけですけれども、それでは当初の目的というものは達成されたというふうにお考えですか。
  43. 秋本敏文

    秋本政府委員 消防基金につきましては、その運営状況を見ますと、かつては不足金が毎年生ずるといったように大変厳しい収支の状況にございましたけれども、公務災害補償業務につきましては昭和四十七年度以降、そしてまた退職報償業務につきましては昭和四十五年度以降、収支は順調に推移いたしておりまして、現在は安定した経営状況にございます。  このような中で、今回民間法人化しようとしておるわけでございますけれども、民間法人化された特殊法人の例に倣いまして、こういう経営状況も踏まえながら、国庫補助の規定につきまして今回削除することとしたところでございます。
  44. 穀田恵二

    穀田委員 経営状況は安定したと言いますけれども、同時に、大事なのは共済給付の水準、それとまた今お話ありました退職報償金の水準についていうならば、極めて不十分であるし向上させるべきものだと私は考えます。昭和三十一年の今のお話、一番最初にありました中身でいいますと、市町村が行う補償の内容を向上させるということ、またこれ自身が目的だったわけですね。ですから、経営状況が安定しただけではなくて、そこの肝心かなめの補償の水準が上がったかどうかということもしっかり見ておく必要があるのではないかと私は思っているのですね。  消防基金というのは、消防白書にもありますように、もともと「契約市町村からの掛金退職報償金支払業務に要する経費に対する国庫補助金とによりその業務を運営している。」と書いていますように、その二つです。そこで、調べてみますと、消防基金の損益計算書などを見ますと、掛金は明らかに減収傾向にある、そして準備金も割合が落ちているなどの結果が出ています。御承知のとおり、消防団員は漸減傾向を示していますし、この傾向はますます強くなる可能性があると私は見ています。そうしますと、将来的にいいますと、掛金だけでは基金制度そのものが成り立っていかないのではないか、そういうおそれもあります。  そういう中での国庫補助金の廃止であって、一年で約六千万円ですから、十年間でいうならば六億円にもなる額です。私は、市町村の負担増や給付水準の切り下げなどを危惧しているわけですが、そうならないという保証があるのでしょうか。
  45. 秋本敏文

    秋本政府委員 この消防基金の発足に当たりましては、今も御指摘ございましたけれども、消防団員に対する公務災害補償等につきまして、それぞれの市町村の水準がばらばら、こういうことではだめだということでつくった。この趣旨は、この消防基金のその後の経営推移の中で果たしてきておるというように思います。  今回、民間法人化に当たりまして、経常的事業運営経費に対する国庫補助は廃止の方向で見直すということにいたしておりますけれども、これによる影響につきましては、事務の合理化や効率化など、消防基金の内部努力によって対応することにしたいというように考えております。したがいまして、今回の民間法人化に伴う市町村等掛金引き上げやあるいは給付水準の引き下げは考えておりません。  消防庁といたしましては、今後とも適正な掛金のもとで消防団員等公務災害補償あるいは消防団員退職報償金の支給の的確な実施が図られますように努めてまいりたいと考えております。
  46. 穀田恵二

    穀田委員 水準の後退にはならぬ、こう言うわけなんだけれども、他の基金、例えば農業者年金基金それから石炭鉱業基金には補助金を出しているでしょう。だから、国が責任を持っている、こういう点では当然だと思うのですね、そういうことは言えると思うのです。私は、公務災害を補償する基金についてはやはり国がきちんと責任を持つということ、そのことが必要ではないかと思うのですね。だから、そこをどうもいつもはぐらかせて、大丈夫ですというふうに言うのだけれども、ほかの基金だってきちんと補助しているわけだから、そういうことをきちんとしてはどうかと改めて思うのですが、いかがですか。
  47. 秋本敏文

    秋本政府委員 穀田委員が御承知のとおりでございますけれども、消防団市町村が条例で定めて設置をする、消防団員は当該市町村の特別職の地方公務員である、したがって、消防団員公務災害補償退職報償金の支給につきましても市町村がその条例で定めるとおりに支給しなければならない、こういうことになるわけでございますが、国におきましても、公務災害補償退職報償金の支給が円滑に行われますように、消防団員等公務災害補償等共済基金等による共済制度法律によって定め、そしてその適切な運営を確保する、そしてまた同時に、これに伴います市町村掛金負担につきましては地方交付税の算定において所要の措置を講ずる、こういうような形で国としての対応をしているわけでございます。
  48. 穀田恵二

    穀田委員 先ほどの質疑の中でも長官からお話がありましたように、この基金とか補償というのは、公益性、公共性が高いものだ、これを一貫して参議院からも含めて言っておられますね。だからこそ国が責任を持つべきものだというのが私の考え方なのです。だから、大体、先ほど述べた二つの基金でも特殊法人だし、公務災害に国は責任を持つから特殊法人として残しているわけであって、どうも結局のところ、初めに特殊法人の民間化ありき、要するに、行政改革という名前で一つ出せということをやって、後でいろいろつけ加えているという話が私としては見てとれるのです。  ちなみに言っておきますと、自治大臣経験なすっているある方の本によりますと「自治省はふたつしか特殊法人を持っていなかった。」ということで「「まずは隗より始めよ」ということで」「自治省も血を流さなあかん」ということを決意してやり始めた。とにかくどうもここに出発点があって、活性化するとかなんとかというのは後からつけ加えたというのは見え見えだというのはお互いわかっているわけですね。みんな笑っているわけですからね、これは。そこが肝心だと私は言うのですよ。しかも、これは参入の見込みもないわけですしね。やはりきちんと私は責任を持つべきだというふうに思っています。そこは改めて言っておきたいと思うのです。  そこで、一番最初に戻りたいのですけれども、補償は十分に内容として向上させる必要がある、ここが私は大事だと思うのです。どう向上させることができるのか。だから、そういうものをしっかり踏まえてやってほしい、そこが肝心だということを言っておきたいと思うし、その上で、消防団員処遇改善についても若干の点だけ質問したいと思います。  昭和六十年七月の「消防団活性化対策に関する報告書」によりますと、消防団員の出動手当についてこう述べています。「昭和五十九年度の地方交付税においては、一人一回当たり四千三百円が措置されていたが、実支給額の平均は、約一千七百円といたって低い状況にあるので、この支給実態を速やかに改善すべきである。」こう述べています。  ところが、その後十年以上もたつけれども、昨九六年度は、交付税措置額は六千円に対して、実支給額は二千三百四十一円なんですね。これを割合に直しますと、つまり交付税とそれから実態との比率を出しますと、昭和五十九年度は三九・五%なんですよ。九六年度はどうかというと、三九・〇%なんですね。全く上がっていないのですよ。変わっていないところか、下がっているというようなもので、白書にはどう書いているかというと、「消防団員処遇改善」という項の中に「支給状況は逐次改善されてきている。」こう書いているのですね。これは改善か。皆さんわかるように、パーセンテージでいったら何も改善されていないことはおわかりでしょう。だから、どういう指導をしてきて、今後どういうふうにするのかということについて、処遇改善というにふさわしく具体的指導をしてほしい。この点いかがですか。
  49. 秋本敏文

    秋本政府委員 消防団員の出動手当につきましては、地方交付税において所要の額を措置いたしております。  御指摘のように、地方交付税算入額と実支給額とに乖離のある市町村も見受けられます。これは、穀田委員御承知のとおりでございますが、地方交付税がもとより一般財源であるということ、その使途はそれぞれの地方団体の自主的な判断により決定されるということ、また消防団員に対する処遇方法についても、それぞれの団体の考え方がございます。したがいまして、これを一律に論ずることが非常に難しい面もございますけれども、消防庁としましては、出動手当につきまして地方交付税算入額を踏まえた適切な額とすることが望ましいと考えまして、従来からそのように指導いたしております。  実支給額、これは数字のとり方が難しい面がございますが、単純な平均額ということでとってまいりますと、算入額に比べて相当な開きがあるということは否めませんけれども、この実支給額の単純平均額は上がっているということはございます。  そういうような中で、それぞれの団体のそれぞれの考え方の中で、交付税の算入額を勘案しながら措置をしてきているものだろうと思っておりますけれども、先ほど申し上げましたように、私どもとしては、地方交付税算入額を踏まえた適切な額にすることが望ましいと基本的には考えておりますので、今後ともそのように指導してまいりたいと思っております。
  50. 穀田恵二

    穀田委員 違うのですよ。「支給状況は逐次改善されてきている。」と書いているのだから、そういう実態になっていないよと言ったのですよ。それと、皆さん方のところでいうならば、「この支給実態を速やかに改善すべきである。」と昭和六十年にもう言っているのだから、そういう内容に基づいてきちっとしなさいと言っているのですよ、事実は変わっていないわけだから。  それは額も、当時交付税額において四千三百円が措置されていたのが六千円に上がっているわけだから、当然上がっていくわけです。それを言っているのじゃないのですよ。そういう支給実態の実情は変わっていませんよ。おたくがわざわざこういうことを議論して「速やかに改善すべきである。」と言っているのだから、最後まで責任を持ってやってくださいと言っているのですよ。そんな、そういうときだけ各自治体のどうやこうやなんという話をしていてはだめですよ、昔から言っているのだから。しかも、そういう内容に基づいて改善されていると言っているのだから。きちんとしなさいと、それはきちんと聞いてくださいよ、そのぐらいのことは。頼みますわ。時間がないですから。しかし、事実はそういうことだと。  それから次に、消防団員の死亡やけがのことについてもお聞きしたいのです。  消防団員は、出動した場合に、やはりある程度のけがということはやむを得ないわけだし、避けられません。不幸にして亡くなる方もおられる。しかし、それにしても少し多いのじゃないかと私は思うのですね。消防白書を見てみますと、平成元年からの消防団員の死亡者数は五十八人にも上っております。同時期の消防職員の死亡者が四十一人です。ですから、それよりも多いわけで、どうしてこういう結果になるのかなと思っています。危険度といえば、当然消防職員の方がはるかに危険の多い作業をするわけですから、それよりも死者が多いというのはなぜかということをひとつお聞きしたい。  それと、調べてみると、演習訓練時における死亡が十二人と特に目立っている。そういうものについてどういうふうに分析し、対処しておられるのか、お聞きしたいと思います。
  51. 秋本敏文

    秋本政府委員 消防団員公務中の災害状況を見ますと、御指摘のようにかなりの数ございます。これまでの数年間にわたりまして公務災害による死亡の原因というのを見てみますと、脳疾患あるいは心臓疾患によって亡くなっている方が三〇%程度ということで、これが高い割合になっております。こういったようなことを考えますと、消防団員公務災害を防止をするためには、団員の方々の日常の健康管理が極めて重要であろうと思われます。  消防庁におきましては、地方交付税において団員の健康診断に要する経費を算入して、その実施促進を図りますとともに、平成六年六月に、都道府県を通じまして各市町村及び消防団に対し、団員の健康管理の充実強化を積極的に推進するように改めて指導いたしております。  また、消防基金におきましても、検討委員会を設けまして、消防団員の健康増進施策推進方策の取りまとめを行っております。健康管理についての啓発も実施をいたしております。  さらに、今回の法改正におきまして、公務災害防止事業消防基金業務として位置づけることにいたしておりまして、今後とも消防団員公務災害防止対策につきましていろいろな面から努力をしてまいりたい、そして消防団員の福祉の一層の向上に努めてまいる、同時に、消防力の強化にも資していきたいと思っております。
  52. 穀田恵二

    穀田委員 その点で、最後の方、新しい体制でやるのだという話なのですけれども、そういう具体化もしておる、そういうことなのでしょうが、この衆議院地方行政委員会調査室の今回の法律案についての調査室資料によりましても、その十八ページです。「なお、地方公務災害補償制度では、この公務災害防止事業は、平成七年の改正により、同年八月一日から施行され、具体的には、公務災害防止対策の調査研究、公務災害防止対策の普及推進等の事業等が行われている。」と書いているのですね。ですから、特殊法人でもできるということは明らかですし、余りそういうことにはならぬのじゃないかと私は思います。ですから、それはそれとしてきちんと体制は組んで、消防団員災害が起こらないような研究をもっときちんとしていただきたいと思うのです。  心臓疾患、脳疾患という話がありましたけれども、そういう意味でももう少し検討が、研究が不足しているのじゃないかと率直に私は思います。それは、脳疾患や心臓疾患があるということ、それぐらいは多くのところで既に言われていることであって、なぜこれだけ多いのかという問題はもう少し検討の余地があると思う。  時間がありません、最後に一つだけ、建設省に来ていただいておりますので、私はそこだけちょっと質問させていただきたいと思うのです。  防災都市公園における耐震性貯水槽や防火用地下水槽に附帯する可搬式動力ポンプ等の設置は認められるのか。阪神大震災教訓から、コミュニティー防災、初期消火の必要性からも設置された地下にある貯水槽だけでは機能しないわけであって、地上に肝心のすくうものがないとだめなわけですから、当然必要だと思うのですね。ですから、地上にある備蓄倉庫などにあって当然と思うのですけれども、その辺いかがでしょうか。
  53. 伊藤英昌

    ○伊藤説明員 お答えさせていただきます。  さきの阪神淡路大震災におきましても、公園は避難地ですとか火災の延焼防止帯として大変大きな役割を果たしたところでございます。特に、消防活動やボランティア活動の拠点などとしてその多様な役割を果たしまして、その重要性が再認識されております。  この教訓を生かしまして、安全な町づくりを進めるために、災害時に避難地となります防災公園につきましては、今お尋ねの耐震性の貯水槽ですとか備蓄倉庫ですとかそういうものを、災害応急対策施設と言っておりますが、これを平成六年度の二次補正予算で補助対象に追加し、さらに防災公園の対象として、従来は十ヘクタール以上の公園だったわけでございますが、これを一ヘクタール以上まで下げて整備を推進しておるところでございます。  今お尋ねの耐震性貯水槽等に必要なポンプ等の附帯施設でございますが、これは貯水槽と一体となって機能を発揮するものであれば当然認められます。なお、その規模とか内容などにつきましては、個々の具体的事例を見まして公園の管理者でございます地方公共団体が判断することになる、そういうことでございますので、よろしくお願い申し上げます。
  54. 穀田恵二

    穀田委員 ただ、今現場で判断すると言っているのですが、最後に消防庁にだけついでに聞いておきますけれども、器具庫は公園内にはだめだとか、学校の敷地内の器具庫については六十六平米以下だとかという実態があるのですね。ところが、文部省に聞きますと、学校教育に支障のない限りということで、当然だと認める考え方をしているのです。地域として防災対策だとか計画が実際に具体化や遂行する上でその障害となっている問題について、消防庁はやはり直接調整したり指導したりしていただいて、全体として地域防災がうまくいくような形だけはしていただきたい。その決意だけちょっと。
  55. 秋本敏文

    秋本政府委員 建設省の方の考えなどもよく聞いてみたいと思います。
  56. 平林鴻三

    平林委員長 これにて質疑は終局いたしました。     —————————————
  57. 平林鴻三

    平林委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。穀田恵二君。
  58. 穀田恵二

    穀田委員 私は、日本共産党を代表して、消防団員等公務災害補償等共済基金法の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。  法案は、政府特殊法人の整理合理化の一環として、消防団員等公務災害補償等共済基金民間法人化し、その活性化効率化を期するとしていますが、基金のライバルになる指定法人の見込みが全くないなど、当初から活性化効率化が危ぶまれています。  一方、民間法人化に伴い、事務運営費に対する国庫補助金が廃止されますが、もともと国庫補助制度導入は、全国ばらばらであった補償金の支払いについて国が責任を持って是正する目的導入されたものであります。支給額が統一されたとはいえ、その水準はまだ十分なものとは言えず、補償金の支払い等業務とする他の基金制度への国庫補助制度が維持されている中で、消防団員等に係る基金の国庫補助金だけが廃止されることは納得できません。また、消防団員の絶対数が減少する中では、基金の将来的な財政運営は決して明るいものではありません。  基金制度を確固なものにするためにも、依然として国の果たすべき責任は大きなものがあることを指摘して、討論を終わります。
  59. 平林鴻三

    平林委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  60. 平林鴻三

    平林委員長 これより採決に入ります。  消防団員等公務災害補償等共済基金法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  61. 平林鴻三

    平林委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 平林鴻三

    平林委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。     ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  63. 平林鴻三

    平林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時散会      ————◇—————