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1996-03-25 第136回国会 衆議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月二十五日(月曜日)     午前十時開議  出席委員   委員長 平林 鴻三君    理事 虎島 和夫君 理事 穂積 良行君    理事 持永 和見君 理事 粟屋 敏信君    理事 富田 茂之君 理事 山崎広太郎君    理事 畠山健治郎君 理事 田中  甲君       石橋 一弥君    栗原 裕康君      田野瀬良太郎君    谷  洋一君       中馬 弘毅君    西田  司君       村田敬次郎君    山本 公一君       新井 将敬君    貝沼 次郎君       川端 達夫君    永井 英慈君       福留 泰蔵君    山名 靖英君       吉田 公一君    米田 建三君       加藤 万吉君    山口 鶴男君       山下八洲夫君    穀田 恵二君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     倉田 寛之君  出席政府委員         警察庁長官   國松 孝次君         警察庁長官官房         長       菅沼 清高君         警察庁長官官房         総務審議官   山本 博一君         警察庁刑事局長 野田  健君         自治政務次官  山本 有二君         自治大臣官房長 二橋 正弘君         自治大臣官房総         務審議官    湊  和夫君         自治省行政局長 松本 英昭君         自治省財政局長 遠藤 安彦君         自治省税務局長 佐野 徹治君         消防庁長官   秋本 敏文君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      三國谷勝範君         大蔵省主税局税         制第三課長   伏見 泰治君         地方行政委員会         調査室長    黒沢  宥君     ————————————— 委員の異動 三月十五日  辞任         補欠選任   栗原 裕康君     塩川正十郎君  田野瀬良太郎君     浜野  剛君 同日  辞任         補欠選任   塩川正十郎君     栗原 裕康君   浜野  剛君    田野瀬良太郎君     ————————————— 三月二十二日  地方税法等の一部を改正する法律案内閣提出  第一三号)  警察官職務に協力援助した者の災害給付に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  二六号)(参議院送付)  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第四一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方税法等の一部を改正する法律案内閣提出  第二二号)  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第四一号)  警察官職務に協力援助した者の災害給付に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  二六号)(参議院送付)  地方財政に関する件(平成年度地方財政計画  )  地方財政拡充強化に関する件      ————◇—————
  2. 平林鴻三

    平林委員長 これより会議を開きます。  地方財政に関する件について調査を進めます。  この際、平成年度地方財政計画について説明を聴取いたします。倉田自治大臣
  3. 倉田寛之

    倉田国務大臣 平成年度地方財政計画概要について御説明申し上げます。  平成年度地方財政につきましては、現下の厳しい経済地方財政状況を踏まえ、おおむね国と同一の基調により、歳入面においては、地方税負担公平適正化推進及び地方交付税所要額確保を図り、歳出面においては、経費全般について徹底した節減合理化を図るとともに、住民に身近な社会資本整備災害に強い安全な町づくり、総合的な地域福祉施策充実、自主的・主体的な活力ある地域づくりなどを積極的に推進するため必要な事業費確保に配意する等限られた財源重点的配分経費支出効率化に徹し、節度ある行財政運営を行うことを基本としております。  以下、平成年度地方財政計画策定方針について御説明申し上げます。  第一に、地方税については、最近の社会経済情勢に対応して、平成年度分個人住民税特別減税実施宅地等に係る不動産取得税課税標準特例措置実施平成年度分固定資産税等負担調整率変更個人住民税均等割税率見直し等を行うこととしております。  第二に、地方財政運営支障が生じることのないようにするため、所得税及び住民税減税に伴う影響額について地方交付税増額及び減税補てん債発行により補てんするとともに、所得税及び住民税減税以外の地方財源不足見込み額についても、地方交付税増額及び建設地方債発行により補てんすることとしております。  第三に、地域経済振興や雇用の安定を図りつつ、自主的・主体的な活力ある地域づくり住民に身近な社会資本整備災害に強い安全な町づくり、総合的な地域福祉施策充実農山漁村地域活性化等を図るため、地方単独事業費確保等所要措置を講じることとしております。  第四に、地方行財政運営合理化財政秩序の確立を図るため、定員管理合理化及び一般行政経費等の抑制を行うとともに、国庫補助負担金について補助負担基準改善を進めることとしております。  以上の方針のもとに、平成年度地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出規模は八十五兆二千八百四十八億円となり、前年度に比べ二兆七千七百五十五億円、三・四%の増加となっております。  以上が、平成年度地方財政計画概要であります。
  4. 平林鴻三

    平林委員長 以上で説明は終わりました。      ————◇—————
  5. 平林鴻三

    平林委員長 次に、内閣提出地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題とし、順次趣旨説明を聴取いたします。倉田自治大臣。     —————————————  地方税法等の一部を改正する法律案  地方交付税法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  6. 倉田寛之

    倉田国務大臣 ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案提案理由とその 要旨につきまして御説明申し上げます。  最近における社会経済情勢等にかんがみ、住民負担の軽減及び合理化等を図るため、平成年度分個人住民税に係る定率による特別減税実施長期譲渡所得に係る個人住民税税率見直し宅地等に係る不動産取得税課税標準特例措置実施並びに平成年度分固定資産税及び都市計画税負担調整率変更を行うとともに、個人住民税均等割税率見直し非課税等特別措置整理合理化等を行うこととし、あわせて個人住民税に係る特別減税による減収額を埋めるため、地方債特例措置を講じる必要があります。  以上が、この法律案を提案いたします理由であります。  次に、この法律案要旨につきまして御説明申し上げます。  第一は、地方税法改正に関する事項であります。  その一は、道府県民税及び市町村民税についての改正であります。  個人道府県民税及び市町村民税につきましては、当面の景気に特に配慮するため、平成年度分所得割額の一五%相当額を軽減する特別減税を、二万円を限度として行うこととするとともに、個人土地等譲渡に係る長期譲渡所得について、特別控除後の譲渡益四千万円以下の部分及び四千万円を超え八千万円以下の部分に係る税率引き下げ等を行うことといたしております。  また、昭和六十年度以来据え置かれてきた個人均等割税率について、その後の国民所得推移等を勘案し、その見直しを行うことといたしております。  その二は、不動産取得税についての改正であります。  不動産取得税につきましては、宅地及び宅地比土地について、平成八年一月一日から同年十二月三十一日までの間に取得した場合に限り、課税標準を価格の二分の一の額とする等の措置を講じることといたしております。  その三は、固定資産税及び都市計画税についての改正であります。  固定資産税及び都市計画税につきましては、平成年度税負担を緩和するため、平成年度分宅地等に係る負担調整率変更することといたしております。  また、新築住宅に係る固定資産税減額措置適用期限を延長するとともに、公害防止用設備に係る非課税措置見直しを行う等の措置を講じることといたしております。  その四は、特別土地保有税についての改正であります。  特別土地保有税につきましては、輸入の促進及び対内投資事業円滑化に関する臨時措置法に規定する特定集積地区における一定の施設等の用に供する土地またはその取得について非課税とする等の措置を講じることといたしております。  第二は、地方財政法改正に関する事項であります。  地方財政に関する事項につきましては、個人道府県民税または市町村民税に係る特別減税による減収額を埋めるため、地方債特例措置を講じることといたしております。  以上が、地方税法等の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  続きまして、ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  地方財政の収支が引き続き著しく不均衡な状況にあること等にかんがみ、地方交付税総額確保に資するため、平成年度分地方交付税総額について特例措置を講ずるとともに、平成年度から平成十八年度までの各年度における一般会計から交付税特別会計への繰り入れに関する特例を設けるほか、各種の制度改正に伴って必要となる経費及び地方団体行政水準の向上のため必要となる経費財源措置するため、地方交付税単位費用改正し、あわせて、新産業都市建設首都圏近郊整備地帯整備等に係る財政上の特別措置を引き続き講ずることとする等の必要があります。  以上が、この法律案提出いたしました理由であります。  次に、この法律案の内容について御説明申し上げます。  第一は、地方交付税法の一部改正に関する事項であります。  まず、平成年度分地方交付税総額につきましては、地方交付税法第六条第二項の額に、平成年度における法定加算額四千百三十八億円、臨時特例加算額四千二百五十三億円、交付税特別会計借入金三兆六千八百九十七億円及び同特別会計における剰余金三百億円を加算した額から、同特別会計借入金利子支払い額四千八百三十億円を控除した額とすることとしております。  また、平成年度交付税特別会計において借り入れた借入金のうち一兆二百二十五億五千万円については、その償還金に相当する額を、平成年度から平成十八年度までの各年度分地方交付税総額に加算することとし、当該加算額一般会計から同特別会計に繰り入れることとしております。  さらに、平成十四年度から平成二十三年度までの地方交付税総額につきましては、八千三百十三億円を加算することとしております。  次に、平成年度分普通交付税算定につきましては、自主的・主体的な地域づくり推進等地域振興に要する経費災害に強い安全な町づくり震災対策推進等に要する経費、総合的な地域福祉施策充実に要する経費、道路・街路・公園・下水道・社会福祉施設清掃施設等住民の生活に直結する公共施設整備及び維持管理に要する経費教職員定数改善義務教育施設整備私学助成充実・生涯学習の推進等教育施策に要する経費農山漁村地域活性化農山漁村対策・森林・山村対策に要する経費自然環境の保全・廃棄物の減量化等快適な環境づくりに要する経費地域社会における国際化情報化への対応及び文化・スポーツの振興に要する経費消防救急業務充実等に要する経費並びに国民健康保険財政についてその安定化のための措置等に要する経費財源等措置することとしております。  また、阪神‘淡路大震災復興基金の創設及び雲仙岳災害対策基金の延長に伴い、当該基金に係る地方債利子支払いに要する経費措置することとしております。  さらに、基準財政収入額算定方法について、平成年度における道府県民税及び市町村民税減税による減収額を加算することとする特例を設けることとしております。  第二は、新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部改正についてであります。都道府県分利子補給措置について新規発行を許可される地方債利子補給下限の率及び利子補給幅改定を行うとともに、市町村分国庫補助負担率かさ上げ措置について財政力による調整割合を高めることとした上、同法の適用期間を五年間延長することとしております。  第三は、首都圏近畿圏及び中部圏近郊整備地帯等整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部改正についてであります。都府県分利子補給措置について新規発行を許可される地方債利子補給下限の率及び利子補給幅改定を行うとともに、市町村分国庫補助負担率かさ上げ措置について財政力による調整割合を高めることとした上、同法の適用期間を五年間延長することとしております。  以上が、地方交付税法等の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  7. 平林鴻三

    平林委員長 これにて両案についての趣旨説明は終わりました。     —————————————
  8. 平林鴻三

    平林委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。栗原裕康君。
  9. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 おはようございます。自由民主党の栗原でございます。  ただいま提案されました法律案について質問に入ります前に、一言申し上げたいと思うわけでございますが、きょうは新進党議員皆様方もおそろいでこのように委員会が開けるというのは大変ありがたいことでございまして、きっと新進党議員さんたちも、床に座っておるよりもいすに座った方が座り心地がいいというふうにお思いだと思います。今後の正常化を期待をさせていただきながら質問に入りたい、こういうふうに思うわけでございます。  まず、地方財政全般についてお尋ねをしたいと思います。  これは当委員会でも多くの委員皆様方から、あるいは私自身もたびたび質問をさせていただいていることでございますけれども、税収の伸び悩み等、ここのところの不景気景気低迷でずっと長いこと続いておりますし、また一方、地方地方でいろいろな財政需要にきめ細かに配慮していかなければいけないということで、一言で言えばお金がかかるわけでございます。そういった意味で、地方自治体財政状況というのが大変悪化をしておるというふうに私どもはとらえておるわけでございますけれども地方財政現状というのをどうとらえていらっしゃるか、改めて御説明をいただきたいと思います。
  10. 遠藤安彦

    遠藤(安)政府委員 お答えを申し上げます。  地方財政現状をどうとらえているかという御質問であります。  一口に言って、御指摘のとおり大変厳しいものだというように思っています。特に平成年度地方財政につきましては、地方税がほとんど前年度と横ばいの見込みであるというようなこと、それから地方交付税は、これはかえって前年度よりも法定分が落ち込んでくるというようなことに加えまして、所得税住民税減税が引き続き実施されるというような状況があるわけでありまして、引き続き大幅な財源不足額、八兆六千億に及ぶ財源不足額が見込まれるという、単年度で見ましても大変厳しい状況であります。  しかも、これまでの借入金を考えてみますと、交付税の借り入れあるいは地方債の残高といったようなものを累積いたしますと、平成年度末では地方全体で百三十六兆円を超える多額の借入金を抱える見込みとなっている。地方財政をマクロで見ますれば、そういう厳しい状況になっておるわけであります。  一方、ミクロの面で申し上げますと、個別の地方団体の近年の財政事情でありますが、やはり公債費負担比率がだんだんと上がってまいりまして、私ども公債費負担比率一五%以上の団体黄信号団体であるというように申し上げておりますけれども、これが三千三百の団体のうち四割に達する。これは平成年度決算でありますから、その後、現在進行中の七年度決算も考慮すれば、これをもやや上回るものではないかというような見込みも立つわけでありまして、個別の団体財政事情というものも大変硬直化が懸念されるということでございます。  それで、財政的な数値から申し上げますとそういうような厳しい状況でありますが、一方におきまして、今後地方分権というものが進められていくべきでありますし、現実に地方分権推進委員会でいろいろ議論をしていただいておりますし、分権が進んでいく。そういった中で、地方団体のやるべき仕事あるいは役割というものがこれまで以上に大きなものになっていくというように思っています。住民に身近な社会資本整備でありますとか、総合的な地域福祉施策充実だとか、そういったきめの細かい仕事がますます地方団体に要求をされてくるというように思うわけでございます。そういうことになりますと、地方団体仕事がふえるということでございますので、財政的にはやはり必要な財源というものがまだまだ多く要るというように認識をいたしております。  そういった意味において、数字の面あるいは今後の地方団体役割といったものを考えますと、地方財政というのは大変厳しい状況に置かれているという認識であります。私ども今後とも、地方団体がそういった仕事をしていく上で財政運営支障が生じないように、毎年度地方財政計画を策定するわけでありますが、そういったものを通じて必要な地方一般財源確保していくということなどに努力をして、適切に対処していきたいという気持ちでおります。
  11. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 今、公債費負担比率の一五%以上が黄色信号で、平成年度で約四割、こういうお話がございました。国も財政硬直化大変心配をされているわけでございますけれども地方も、仕事がふえていく割には借金体質がかさんじゃって財政硬直化していく、こういう大変憂うべき現状なのですね。そういう御説明でございました。  これはたまたま、資料によりますと、昭和四十九年度公債費負担比率一五%以上の団体というのは五十団体しかないですね。これは全団体に占める割合が一・五%、一けたですね。要するに、平成年度ではもう四十倍になっている、こういうことですね。今の景気低迷、それから地方仕事がどんどんふえる、こういうことを考えますと、今御答弁にありましたように、平成年度はひょっとしたらこの数字が悪くなっているかもしれぬ、平成年度はさらに悪くなるだろう、こういうような本当に危機的な状況だと思うわけでございます。  それで、全国で三千三百地方自治体があるわけでございますが、特に特徴的な、なかなか具体的な名前は挙げられないと思うわけでございますが、例えばこういった地域とかあるいはこういった人口規模とか、全体としてもちろん憂うべき状況なんでございますけれども、特に憂うべきというようなものがもしありましたら、そういったものも御答弁いただきたいと思います。また、どうやってそういうところに対して対策を講じているかということについてもお伺いをしたいと思います。いかがでございましょうか。
  12. 遠藤安彦

    遠藤(安)政府委員 御指摘のとおり、公債費負担比率につきましては、六年度決算におきますと全団体の四割程度が公債費負担比率一五%以上の団体ということであります。  若干年度的に申し上げますと、昭和五十年代の終わりから六十年、六十一年ぐらいにかけましてやはり大変財政的に厳しい時期がございまして、この当時の公債費負担比率一五%以上の団体は、三千三百の団体のうち五割を超える団体が一五%以上になったという過去の歴史があるわけであります。  その後経済が、バブルと申しましょうか、好転をしたというようなこともありますし、また地方税地方交付税財源が伸びるという中で、私どもも積極的に、やや余裕のある部分については過去の借金を繰り上げて償還をする、あるいは地方団体にたまっております地方債を実質的に償却処分するというような意味で、財源対策債償還基金を設けるなどしたわけであります。そういったことで、ここの数年公債費負担比率はかなり下がってまいりまして、実は五割を超えておった団体数が三割まで落ちてきたというのが実態であります。  しかしながら、ここ二、三年のいわゆる財源不足対策あるいは景気対策といったようなことによりまして、どうしても借入金に頼らざるを得ないというような状況の中で地方債増発等がなされたわけでありまして、また公債費負担比率一五%以上の団体数がふえてきたという結果になっております。  地域別というよりは団体別に申し上げてみますと、公債費負担比率はやはり弱小の団体ほど一般的に言って比率が高いという傾向があるわけでありまして、私どもも、そういった数字を見ながら経済対策あるいは財政運営基本というものを考 えていかなければならないのではないかと思っています。  借金体質に現在なっているのではないかという御指摘で、そのとおりなのでありますが、地方財政健全性から申し上げますと、これはやはり徐々に直していかなければならない。一遍に直すというのもなかなか難しいわけでありますが、そういう気持ちで取り組んでいかなければならないと思っておりますが、やはり基本になるのは経済でありまして、国税、地方税を通じまして、経済状況を反映してある程度見込み得る税が入っていくということを私どもは願っている次第でございます。  いずれにしましても、この借入金等は、大事なことは、一つは計画的に償還すべきものは償還を計画的にしていく。これは償還財源というものをきちっと地方財政計画の中に組んで、そして地方団体が計画的に償還をしていく。それから、こういう財政の苦しいときですから、国、地方を通じてということになろうかと思いますけれども行政改革というものを推進していく、そういった中で必要なところに財源を回すようにする。あるいは、私ども、全体として地方税財源充実を図っていくというようなことを考えて、いずれにしましても、地方財政運営支障がないように、あるいは御指摘のありましたように健全性確保していくように努めてまいりたいというように思っております。
  13. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 今の御答弁、いろいろおっしゃいましたけれども、やはり一番大きなのは、とにかくひたすら景気対策に留意をして、景気回復してくれば、そういうような御趣旨だったと思うわけでございます。  ことしも特別減税というのをやっております。土地等税制の緩和というのは私ども大変歓迎をしますし、個人住民税特別減税というのもそれはそれなりに効果があるのかもしれませんけれども、先ほどから議論がございますように、非常に借金体質がかさんで大変なときにあえて特別減税実施したということなんでございますが、これは景気対策として効果があると当然思ってやっていらっしゃると思うのです。確認をさせていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  14. 佐野徹治

    佐野政府委員 八年度税制改正でございますけれども、何と申しましても非常に厳しい経済情勢のもとでございますので、景気回復を確実にする、これが平成年度税制改正の最重要課題でございました。そういう観点に立ちまして、所得課税資産課税流通課税、それぞれの税制につきまして網羅的にと申しますか、あらゆる角度から、いかにして景気回復を確実なものにするか、税制面からどういった点で支えることができるかという検討をいたしたものでございます。  今お話のございました特別減税の継続でございますけれども、これも今申し上げました全体の景気回復を確実なものとするための措置の一つとして位置づけられておりまして、平成年度に引き続きまして、当面の景気に配慮いたしまして平成年度特別減税実施するということで今御審議をいただいているものでございます。  若干数字を申し上げますと、個人住民税におきましては六千三百億円程度の減税となります。所得税と合わせますと二兆円程度の特別減税実施することとなるわけでございます。減税平成年度から実施をいたしておりますので、所得税住民税、両方合わせますと平成年度、七年度、八年度総額十六兆円を超える規模に達しておりまして、私どもといたしましては、この減税というのは経済に対しまして好影響を与えるのではないか、このように考えておりますので、御理解いただければと思います。
  15. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 特別減税を三年間、相当な規模でやっているので景気には大変資している、こういう御答弁でございます。これはこれ以上議論をさせていただいてもなかなか見方が分かれるところでございますので申しませんが、いずれにしましても、本格的な景気回復を我々は待ち望んでおりますし、そのためにいろんなことをしているわけでございます。  しかし、大変悲観的な見方もあるわけでございまして、例えば今大変話題になっております住専に象徴される不良債権問題、この後ノンバンクとかいろんな不良債権が出てくるだろう、これがきちっと整理をされないと本格的な景気回復は望めないんだというようなエコノミストも相当な数いるわけですね。ましてや、今度この住専の処理をめぐって国会が非常に不正常な状況で、平成年度の予算の成立もおくれておる、こういうことでございます。  私どもは、景気に対する懸念というものを本当に真剣に考えているわけでございます。きのう行われました岐阜の参議院選挙で、国民の世論が八割、あるいは九割という方もいますけれども、住専の処理に税金を投入するのは反対と言っていた割には、選挙結果がああいうふうになったわけでございますが、やはりその裏には国民の皆様方が、とにかく早く景気をよくしてほしい、そういう切実な要望があるというふうに私は感じているわけでございます。  そこで、悲観論ばかりで話を進めてもしようがないのかもしれませんけれども、いずれにしましても、地方自治、地方団体借金体質といいますか、財政の健全化に資するためには、景気の本格的な回復と、それともう一つは、やはり財政支出を切り詰めていく、要するにこれは必要なものはどんどんやらなければいけないわけでございます。もう先ほどから答弁がございますように、地方のやる仕事というのはますますふえておる。しかし一方、それはどんどん湯水のごとく使って、それに伴うものもどんどん使うのだということになるとこれは大変なことでございますので、いわゆる財政支出を切り詰めていくという、言ってみれば地方行革というのはどういうふうに進んでおるのか、そのことについてお尋ねをしたい、こう思うわけでございます。
  16. 松本英昭

    ○松本政府委員 お答え申し上げます。  委員指摘のように、大変厳しい行財政環境のもとにおきまして、一方では高齢化対策等、社会経済の変化に伴います新たな行政需要にも対応しつつ、その役割と責任を地方公共団体が果たしていくことが求められているわけでございます。そのために自治省では、地方公共団体が簡素で効率的な行政の確立に向けまして自主的、積極的に行政改革を進めていただく、これを求めているところでございます。  平成六年十月、おととしてございますが、地方公共団体における行政改革推進のための指針を策定し、地方公共団体に対して通知を申し上げたところでございますが、この指針を踏まえまして、各地方公共団体におかれましては、都道府県、指定都市においては本年度中にはすべての団体が新たな行政改革大綱を策定するなど、住民の理解と協力を得ながら自主的、計画的な行政改革推進に積極的に取り組んでいただいているところでございます。各地方公共団体におきましては、この新たな行政改革大綱に基づきまして、行政需要の変化や住民ニーズに的確に対応できるための事務事業の見直しとか、組織、機構の再編、あるいはスクラップ・アンド・ビルド、そういうものを徹底していただきまして、定員管理の適正化とか住民サービスの向上に向けた事務処理の改善等に取り組んでいくこととしていただいております。  ただ、一方では、御指摘のように高齢化社会等に伴います職員のどうしても避けられない増加とか、あるいは組織、機構、施設等の増加等もございますので、そういうことも十分御理解を得ながら、地方公共団体においてはさらに簡素で効率的な行政の確立に向けて努力を続けていただくよう私どもも求めているところでございます。
  17. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 行政改革大綱に基づいて自主的に積極的に地方自治体にやっていただく、こういうことの答弁でございますけれども、大変ざっくばらんな言い方で恐縮でございますが、地方自治体の中には、どうも金のかかる面倒なことばかり地方に押しつけられて、行革をやれと言ったって そう簡単にはいかないぜ。もっと露骨に言えば、首長さんたちも選挙で選ばれるわけでございますので、むしろ余り大なたを振るうと反感があって、何となく当選していくためにはなるべく事なかれでいった方がいいという、そんなことも現実にあるわけでございますね。そういったことを考えてまいりますと、結局、親方日の丸だから何とかやっていけるんだよ、いざとなったら国が面倒を見てくれるんだといったような甘えがやはり僕はあるような気がするのですね。これはもうざっくばらんな話で大変恐縮でございますが。  そんな中で、先ほどから議論がございますように、地方には地方分権ということで、ある意味ではこれから仕事がいっぱい移っていく、しかし景気低迷等ございましてなかなかできない。ですから、もうこれは行革をどんどんやっていかなければいかぬ、こういうことだと思うのです。その行革の中のやはり一番大きな手段は、これはもう私前々から何回も当委員会で言っているわけでございますけれども、先ほどの公債費負担比率も弱小の地方団体の方が高いということでございますから、そういう弱小の団体がまとまって広域行政、できれば合併、こういった方法が、これはもう地方行革の唯一の、唯一と言うと大変言い過ぎかもしれませんけれども、やはりこれが決定的な手段だろうと私は思っております。  昨年、住民発議制、こういうことで、有権者の五十分の一が発議をして、隣の町に合併協議会を求めるとか、そういう住民発議制という大変すばらしい法律も通ったわけでございます。この前の委員会でも質問させていただきましたが、どうもPRがいま一つ不足しているということで、一年たったわけでございますが、残念ながら今のところ目に見えた改正案の効果がなかなか上がってない。ですから、これはやはりもう一段何か踏み込んだことをする必要があるのではないかというふうにも思うわけでございます。  大臣にお伺いをさせていただきたいと思いますが、この地方行革に絡みまして、いわゆる弱小の団体を中心に合併をしていく、広域行政をやっていく、まあ言葉がいいかどうかわかりませんけれども、行政のリストラをやっていく、こういうことについての大臣の御所見をお伺いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  18. 倉田寛之

    倉田国務大臣 栗原委員の御指摘でございますが、自治省といたしましては、市町村の合併につきましては、市町村の行政財政基盤の強化を図ってまいります上にも有効適切な方策であるというふうに考えておりまして、今回の改正に伴いまして、自主的な市町村の合併を推進する観点からも、昨年、住民発議制度の創設、あるいは合併市町村の町づくりを支援していくための財政措置の強化、あるいは相当の行財政措置の拡充を図らせていただいてきたところでございます。  委員御案内かと存じますが、具体的には、合併市町村に対しまする、合併によりまして地方交付税の額の減少が生じないようにするための特例措置であるとか、また合併に伴いまして過疎地域の指定から外れる場合におきましては経過措置といたしまして過疎債の発行を認めるなど、具体的な所要の対応をさせていただいてきたところでもございます。  御指摘にございました、合併特例法の改正におきまして創設をされました住民発議制度の活用状況は、現在全国で六件ほどございます。各地におきましてもこの住民発議制度に対する関心が年々高まっているものというふうに考えておるところでございますが、自治省といたしましても、この制度が有効に活用でき得ますように、今年度は、都道府県や市町村に対しましてシンポジウムの開催とか講師派遣を通じまして合併特例法の改正趣旨等の周知を図りますとともに、一般の方々にもわかりやすいパンフレットなどを配布いたしまして、合併に関しまする情報の提供を積極的に行わせていただきたいと考えているところでございます。  今後、改正をしていただきましたこの合併特例法を十分運用いたしまして、自主的な市町村の合併の推進のためには積極的に取り組みを行ってまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  19. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 私が申し上げたいのは、ぜひもうちょっと一段と踏み込んだことをしていただければどうかなというふうに申し上げて、自治省、自治大臣としてもこの市町村合併が進みますように格段の御配慮をお願いしたい、こういうふうに思います。  次に、地方税について、特に固定資産税等について御質問をしたいと思うわけでございます。  御案内のように、土地の公示価格が五年連続下落ということでございます。これは今後どうなるかということはなかなか予想がつきにくいと思いますけれども、今議論がございます住専や、あるいはノンバンクや銀行が抱えている不良債権、こういったものを処理していくということを通じて、例えば不良債権の回収を政府の案ですと十五年、新進党の案ですと五年ということでございますけれども、いずれにしても相当土地の投げ売り等も出てくるのかな、そういう懸念もございます。土地の値段が下がるというのは、これは歓迎すべきことなのかもしれませんけれども、この前のいわゆる総量規制の反省から、余り急激なことをやってはまずいな、こういうふうにも思っておりますし、いろいろな意味でこの土地の動向というものが今後の経済状況を大変大きく左右するのだろう、こういうふうに思っております。  そこで、ことしは固定資産税負担調整率変更をしておりますし、また、来年は三年に一度の土地の評価がえの年でございます。この平成年度の、三年に一度の土地の評価がえについての基本的な考え方というものをこの際お伺いをしておきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  20. 佐野徹治

    佐野政府委員 今お話ございましたように、固定資産税につきましては三年に一度評価がえを行っておりまして、評価の均衡化、適正化を進めているところでございます。前回の評価がえが平成年度でございましたので、次回は平成年度に評価がえを行うということで現在作業をいたしておるところでございます。  平成年度の評価がえの基本方針につきましては、自治大臣の諮問機関に中央固定資産評価審議会という諮問機関がございますけれども、この審議会におきまして、一昨年、平成六年の十一月十四日に平成年度の評価がえの基本方針につきまして了承をいただいて、私どもの方から都道府県あてに通知もいたしておるところでございます。  その内容でございますけれども土地の評価につきましては、評価がえの作業の関係等を踏まえまして調査基準日というのを設定をいたしております。これを平成八年の一月一日を調査基準日にするということと、平成年度にも地価公示価格の七割程度を目標として評価を行うということでやっておりますけれども平成年度におきましてもこの平成年度の考え方を踏襲したいというように考えている次第でございます。  そういうことになりますと、今お話ございましたように、地価公示価格等で地価が下落をいたしておりますので、平成年度におきますそれぞれの土地の評価額はここ数年の地価の下落というのが的確に反映されるということになるのではないかというようにも考えておる次第でございます。  それからまた、納税者の方々の固定資産税に対する御理解を深めていただく必要もございますので、評価の基礎となります路線価等の公開を積極的に推進してまいりたいと思っておりますし、また、納税者の方々に課税明細書の送付をするということで、これも従前からやっておりますけれども、こういうことにつきましても引き続いて推進してまいりたいと考えておる次第でございます。
  21. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 時間がだんだんなくなってまいりましたので、通告した質問を多少省かせていただきますけれども、いずれにしましても、固定資産税等につきましては、戦後ずっと土地の値段というのは毎年毎年幾らかずつでも上がってきた。それで土地神話が生まれたわけでございます。し かし、ここ五年間ずっと下がっている。場合によってはこれからも下がっていくだろう。そうすると、今まで固定資産税を納めていた人たちは、まあいずれ土地は上がるんだから少し高くても我慢しようや、こう思っていたのですけれども、これは下がってくるとなると、冗談じゃないぞ、こういうことになるわけでございまして、固定資産税のあり方についてはやはりこれからいろいろとお考えをいただきたい。できれば大臣に御答弁いただきたかったわけでございますが、時間がございませんので、大変恐縮でございますが次の質問に移らせていただきます。  最後に、防災関係についてお尋ねをしたいと思うわけでございます。  阪神大震災が起きてから一年余たうわけでございます。改めて犠牲者の皆様方の御冥福と被災者の皆様方へのお見舞いを申し上げたいと思うわけでございますが、震災が起きた当初は、いろいろ混乱がございましたし、マスコミ報道あるいは政党の中にも、とにかく震災が起きて後の処理が悪い。新進党さんのごときは、まるで村山総理がいるから震災が起きたみたいな言い方も、私どもも聞こえるような言い方までして、相当大きな議論になったわけでございますが、こうやって一年たってみて、やはりここで冷静に考える必要があるというふうに思っているわけでございます。  その中で、例えば、神戸市、西宮市、芦屋市、これが大震災によって一時的に人口が減っているのです。例えば、芦屋市などは平成二年に比べて一四・三%のマイナス、西宮市が八・六%の人口が減っている、こういうことでございます。  この前、新進党皆様方が欠席なさったときに、社民党の山口委員から、いわゆる地方交付税の算出基準をもっと簡明化すべきだ、しかし、財政需要はいろいろ、仕事が多いのでそんなに簡単にできない、そういう議論が、私ども聞いておって大変勉強になったわけでございます。新進党さんはあのとき欠席だったものですから大変残念だったのですけれども、そういうことも踏まえて、人口が減少するということになりますと、当然地方交付税は減るのです。しかし、これは震災によって一時的に減っているというふうに見た方がいいと思うわけでございまして、復興してくれば当然帰ってくる。帰ってくれば、ではふやせばいいじゃないか、こういう考え方もあるかもしれませんけれども、やはりここは震災対策という面で、人口が減少したということに対して特別な何か特例措置を講ずる必要があるのではないかと思うわけでございますが、その点はいかがでございましょうか。
  22. 遠藤安彦

    遠藤(安)政府委員 震災を受けた団体につきましては、平成年度の国勢調査の結果、平成二年の国勢調査の人口をかなりの団体が下回っているという、御指摘のとおりであります。  平成年度普通交付税算定は、現在御審議いただいております改正法案が国会を通りますれば直ちに算定作業に入りたいと思っているわけでありますが、基本的にはやはり新しい国調の人口を使って計算をいたしたいと思っております。  ただ、人口が急激に減少するという団体が、震災だけではありませんで、最近では炭鉱の閉山とかそういった事情に基づいて急激に人口が減少をするというようなことがありますので、一般的な人口の減少については人口急減補正というものを適用しておるわけでありますが、こういう急に人口が減ったという団体については短期急減補正という新しい補正をつくっておりまして、私ども基本的にはこれによる緩和措置というのは適用されるのではないかなというように思っております。  ただ、地方団体の実態等もよく調べてみまして、そういった上で現在の短期急減補正で対応できるのかどうか、そういった点も新たに判断をしながら、この八年度算定に向けて検討していきたいというように思っている次第でございます。
  23. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 いずれにしましても、震災で大変な被害を受けているわけでございますので、このほかにもいろいろと地方団体に対しての、特に震災で大変厳しい被害を受けられた市町村に対しては、自治省としてもできるだけのことをしていただいているということはよくわかりますので、格段の御配慮をお願いをしたいと思います。  ちょうど質問時間が切れましたので、これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  24. 平林鴻三

    平林委員長 山名靖英君。
  25. 山名靖英

    ○山名委員 新進党の山名靖英でございます。  本日は、いわば久方ぶりに委員会に出席をさせていただいたわけでございますが、今回の国会の状況の中で、私たちは議論を否定しておるわけではありませんで、むしろまともないわゆる議論をしよう、審議要求をしておるわけでございますが、残念ながら、それを打ち切り、採決を強行しようとしたところに今回の事態の原因があったことを申し上げなければなりません。ともかく、国民生活に影響があり、そして日切れあるいはその扱い等の問題で私たちは今回の審議に応じたわけでございますし、この上は、速やかに採決の後、本会議で採決をされることを望むところでございます。  さて、質問に入らせていただきたいと思いますが、最初に、地方財政問題全般について、若干の御質問をさせていただきたいと思います。  平成年度の国の一般会計予算を見てみますと、一般歳出は前年度の二・四%増、四十三兆一千四百億円余りでございます。財政投融資計画も、前年度の一・九%増の四十九兆一千二百億円余り、要するに、極めて抑制型、こういうことになっておるわけでございます。我が地方財政におきましても、平成年度においては巨額の借入金借金を抱えた上に、いわば過去最大の収支不足というものが見込まれるわけでございまして、先ほど来のお話のとおりであり、危機的な状況ではないかと言えます。  そこで、質問の第一点ですが、こういった財政環境の厳しい中で、この平成年度における地方財政にどのように対処をされてきたのか、加えて近年の財政状況の変化を踏まえて、まずお伺いをしたいと思います。
  26. 遠藤安彦

    遠藤(安)政府委員 お答えを申し上げます。  平成年度地方財政でございますが、まず歳入面から申し上げますと、所得税住民税減税実施されることに加えまして、地方税自体も前年度とほぼ横並びということでございます。また、地方交付税法定分につきましては、これは前年度より下回るというようなことでございまして、一般財源の大宗であります地方税地方交付税が伸びない、あるいは落ち込むというような状況であります。  財政が厳しい状況でございますので、私どもも、これまで大変伸ばしてまいりました歳出面での地方単独事業、こういったものも対前年度三・一%というように抑制型にしたわけでありますが、歳出面では、やはりこれまでの多額の借入金といったようなものを背景に公債費がかなりの程度増加するというようなことがございまして、平成年度、七年度に引き続きまして大幅な財源不足、しかも通常収支では、五兆七千五百億というように御質問にありましたが、過去最大の収支不足ということになったわけであります。  一方では、この平成年度末で百二十四兆円を見込まれる多額の借入金を抱えているというような状況の中で、この地方財政対策を講じたわけでございます。地方財政全体の財源不足は約八兆六千億ほどございましたが、所得税住民税減税約二兆九千億弱につきましては、これは平成年度、七年度で既に例がございますので、所得税減税に伴う地方交付税への影響については交付税特別会計借入金で処理し、それから住民税減税については減税補てん債発行するという過去のルールに乗ったわけであります。  問題は、通常収支の不足の約五兆七千五百億であったわけでありますけれども、これにつきましては、国庫当局とかなり厳しい折衝をしたわけでありますけれども、御案内のとおり、地方交付税法の六条の三第二項という規定に該当する年とな るわけでございまして、従来のように財源不足分を一括借り入れをして後年度返していくということではなくて、何らかの制度改正あるいは交付税率の改正といったようなものが法律上規定されておるわけでありますので、大変厳しい折衝ではありましたけれども、最終的には、財源対策債で二兆三百億円、そして地方交付税増額で三兆七千二百三十三億円を措置するということにいたしたわけであります。  この三兆七千二百三十三億のうち、国と地方は折半と申しますか、国の方に最終的には二分の一責任を持っていただくということにいたしたわけでございまして、法定加算で既に決められております額ではありますけれども、四千百三十八億円を全額ことしは入れていただく。それから、過去、地方が貸しておった残額が一兆円ほどあるわけでありますが、その中から四千二百五十三億円は繰り上げて償還をしていただく。臨時特例加算という名称を用いておりますけれども、少なくとも、一般会計から直接に交付税特別会計に入ってくるお金が八千四百億ほどふえたという措置、国の方も極めて厳しい財政事情の中で、こういう措置をとっていただいたわけであります。残りの一兆二百二十五億五千万円につきましては交付税特別会計で借り入れますけれども、これは国が元利を支払っていただくということでございます。そして、地方の持ち分であります一兆八千六百十六億五千万円につきましては、これは交付税特別会計で借り入れをして補てんをするということで、全体的には地方財政運営支障がないように地方財政計画を組んだ次第でございます。
  27. 山名靖英

    ○山名委員 要するに、極めて厳しい地方財政の環境の中で、地方財政計画策定に当たってはいろいろと御苦労をされたわけでございます。ただ、結果的には、今もお話がありましたように、借入金がふえ続け、今の話では、平成年度で百二十四兆、平成年度末では百三十六兆、こういう借入金の残高になるわけでございます。百三十六兆、これは国民一人当たり百八万円である、標準世帯では四百三十万円、こういう膨大な借金を抱えることになったわけでございまして、こんな借金財政をいつまでも地方財政の中で抱え込んでいたのでは、とても地方活性化も福祉の推進もできないわけでございます。早くこういう状態を脱皮しなければならないのは当然でありますが、なぜこのような形で借入金が増大をし続けたのか、その原因はどこにあるのか、この辺についての分析を簡明にお願いをしたいと思います。
  28. 遠藤安彦

    遠藤(安)政府委員 御指摘のように、地方借入金の残高が平成年度末で百三十六兆円を超えるものと見込まれております。これまで借入金につきましては、昭和六十二年ぐらいからバブル等の影響で地方税地方交付税の収入が順調であったわけでありますので、交付税特別会計借入金は当時六兆円ほどあったものが、平成年度にはその一割、約七千億弱というところまで繰り上げて償還をしてまいりましたし、五十年代に十兆円ぐらい出しました財源対策債につきましても、そのほとんどを地方団体財源対策債償還基金というものを設置いたしまして実質上償却をするというような措置を講じてきたわけでありますが、その後急激にまたふえてきたわけでございます。  一つは、景気の後退に伴います地方税収の落ち込み、あるいは、所得税住民税減税に伴う減収額を補てんするための地方債発行をしたこと、あるいは、交付税特別会計における借り入れを行ったということがあります。起債の種類で申し上げますと、財源対策債あるいは減税補てん債、それから単年度における予定の税収が入らなかったということに伴う減収補てん債といったようなものも発行をしてきたということが一つはございます。  それからもう一つの要因としては、景気低迷が続く中で、平成年度、五年度、それから今年度、七年度におきましても、経済対策のために公共事業あるいは地方単独事業の追加を措置をいたしてございます。これらにつきましての地方負担あるいは単独事業の増加分につきましては、税収がふえたというわけでありませんので、財源としては地方債に頼らざるを得ないということで地方債を増発をしたわけでありまして、こういった要因が重なりまして地方借入金残高が急増をしたということであり、私ども、ある意味ではやむを得なかった借り入れ措置であったというように認識をいたしております。
  29. 山名靖英

    ○山名委員 わかりました。今お答えいただきましたように、総じて言えば、地方借金をここまで増大ぜしめた大きな原因の一つは、景気の後退、そしてその景気を一日も早く浮上させなければならないという経済対策景気対策に、借金をしてまでも地方単独事業等にお金をつぎ込んでいった、こういうことでございます。そういう意味では、地方はこの景気対策に今日まで全力で取り組んできたのだ、この認識をやはり国としても大蔵としても持ってもらわなければいけないのではないか。勝手に地方がそれぞれ好きなことをやるために借金をしたのではなくて、本来国が責任を持って対処すべき景気対策経済対策地方は大きく乗り出して、その結果としての大きな借入金を抱えた、こういう認識を、きょうは大蔵省から来ていただいておりますので、この際ぜひとも持ってもらいたいと私は念願をするところでございます。  国の台所が厳しいことは当然よく承知をしております。しかし、いわゆる国内総支出、GDEの二割を占める公的部門、その四分の三は地方の支出である、こういう認識もやはり同時に持っていかなければならない。それだけ経済対策の中で地方が果たす役割というものが、今そういった数字で示されているように重要になっておるわけでございます。そういう意味では、景気対策一つを進めるについても地方を度外視して景気対策はあり得ない、景気対策のみならず、国のあらゆる施策というものはそういう意味地方を抜きにしては推進はできない、こういうこともあわせて大蔵省にも認識を持っていただきたいと思う次第でございます。  そこで、きょうは大蔵省に来ていただいておりますのでお伺いをしたいと思いますが、こういった国、地方を問わず大変財政環境が厳しい中で今年度地方財政対策が決定をいたしました。過去の地方財政対策において大蔵省、自治省の間で覚書が交わされまして今年度加算することとされている八千三百十三億円、これが実際加算されていないわけでございます。住専ではないけれども、大蔵省は覚書が大変お好きな省のようでございますが、実際加算すべきこの八千三百十三億円が後年度に先送りをされている。これは一体どういう理由からそういうふうになったのか、お伺いをしたいと思います。
  30. 三國谷勝範

    ○三國谷説明員 先生御指摘のとおり、現在、地方財政状況も厳しい状況にございますが、一方、国の財政状況も、当初予算ベースで税収が前年度を二兆円以上も下回るというまことに厳しい状況下にございまして、八年度予算はこのような状態のもとでの編成だったわけでございます。  このような状況のもとで、国の八年度予算でございますが、二十兆円を超える公債依存によらざるを得ませんで、また、そのうち償還財源の手当てのない特例公債につきましても十兆円を上回るというまことに厳しい状況でございます。特例公債につきましては七年ぶりという深刻な状況でもございます。  このような状況のもとにあって、今年度地方財政対策におきましては、法定加算四千百三十八億円のほか、過去の特例減額に係る返済につきまして一部四千二百五十三億円を繰り上げて加算するという措置を講じさせていただいたわけでございます。  こういった措置は、現下のまことに厳しい財政事情のもとで、私どもとしてもとり得る可能な限りの措置を講じたわけでございまして、覚書加算につきましては、その加算を行うことはできませんでしたが、これにつきましては後年度の法定加算にすることとしているところでございます。御理解賜りたいと思います。
  31. 山名靖英

    ○山名委員 大体予想された答弁でございますが、国の財政事情の厳しいことは、先ほど申しましたように認識しておるわけですよ。例えば四千百三十八億円という法定加算、今回されておりますけれども、こんなものはそもそも法律に、平成年度に加算します、こういうふうに明記されておるわけです。ですから、そんなに胸を張って言ってもらうほどのことをやっておられるわけじゃなくて、法律で明記されたことを当然のようにされただけのことであって、むしろ、過去において必ずしもこのような法定どおりに加算されていない、いわば法律違反、これが問題であるわけです。今回、法律に定められた加算額をきちんと加算された、それそのものは評価はいたしますけれども、言ってみれば当たり前のことをされただけ、こういうことでございます。  問題は、先ほど言いました八千三百十三億円、これは過去の交付税特別会計借入金の利子で国が負担するとされていたものと平成年度分の合計がそういう額になるわけですが、毎年度地方財政対策等の結果として、大蔵、自治両省の覚書によりまして交付税総額に加算するということを国が地方に約束をされているわけです。これは公に約束をされているわけです。この八千三百億余りがちゃんと加算されておったならば、今年度償還予定の交付税特会の借入金の元金償還分四千二百六十五億円を繰り延べすることなく国にも返済できたはずであります。今年度行った臨時特例加算、先ほど御説明いただいたわけですが、これは加算といっても過去に交付税特会が国に貸したお金を繰り上げて返してもらうだけのことでありまして、改めて国から新しいお金を新しい制度のもとでいただいたという性格のものではないはずであります。その特例加算措置四千二百五十三億円も当然、八千三百十三億円という加算がされておれば、そういった措置を行う必要もなかったのではないか。ちょうどこの二つを足しますと八千五百億、当初の八千三百十三億に見合うわけでございますが、要は、国が決められた加算をきちんとしていただいているのならば、交付税特会が返すべき借金の元金を繰り延べたり、あるいは逆に過去に貸したものを繰り上げて償還する、こういった苦しいやりくりをしなくても済んだのじゃないか。何か切り張りのようなこういった処理の仕方に私は甚だ不満を感じるところでございます。  ともかく、約束をされたわけですから、決められた約束どおりそれをやってもらわなければいけない、それでなければ国と地方の信頼関係にも大きな影響を及ぼすわけでございます。国家の姿勢としてこれは極めて問題ではないか、このように思っておりますが、改めて大蔵省の御見解を承りたいと思います。     〔委員長退席、穂積委員長代理着席〕
  32. 三國谷勝範

    ○三國谷説明員 国と地方は公経済を支える車の両輪でございまして、両者がバランスのとれた財政運営を行っていくことが必要と考えております。繰り返しになりまして恐縮かもしれませんが、八年度の公経済の税収は、国税が大幅減収、地方税も横ばいというまことに厳しい状況下でございました。こういった中で、国及び地方ともに経費節減合理化に努めるとともに、足らざる部分につきましては公債の増発等によって対処せざるを得なかったところでございます。  本年度予算におきます一般会計からの加算は、こういった国の方も特例公債に依存しているという厳しい財政事情のもとではございますが、特例公債に依存しながら、いわばキャッシュで一般会計法定加算を超えている繰り入れを行っているということを御理解賜りたいと思います。  今後とも国及び地方ともに厳しい財政事情が続くと思われます。今後とも国及び地方とも財政資金の効率的活用を図りながら、また経費節減合理化に努めていきながら今後の財政運営をしていかなくてはいけないと考えておりますが、その上で、各年度地方財政対策につきましては、両者が公経済を支える車の両輪であるという基本的な考え方に立って、その時々の国及び地方財政状況を十分踏まえながら、地方財政運営支障が生じないよう適切に対処してまいりたいと考えております。
  33. 山名靖英

    ○山名委員 車の両輪であっても人格ある車ですから、その辺の対応については今後ともしっかりお願いをしたい。国としても、地方財政が円滑に機能し、その財政運営支障が生じないようなそういう責任を持った対応、そして国と地方財政関係が良好に運営されるように要望しておきます。やむを得ない措置であった、ぎりぎりの措置であった、今回は何かぎりぎりという言葉がはやっておりますけれども、そういうことで葬り去るということのないように、ひとつ今後の対応を大蔵省としてぜひお願いをしたい。帰って、大臣に言ってくださいよ。  次に、自治省にお伺いしたいと思います。  今年度平成年度地方財政の大幅な収支不足に対しまして、今回、単年度限りの特例措置が講じられたわけでありますけれども、このような厳しい財政状況に対して、単年度限りの措置ではなくて、もはや恒久的な措置を講じるべきではないかと私は基本的に思います。平成六年、七年、八年、三年連続で収支不足が明らかになり、また予測をされるわけでありますが、先ほども財政局長おっしゃいました地方交付税法の第六条の三の第二項ですか、これに基づいた地方財政制度の改正あるいは交付税率の引き上げ、こういった措置をやはり考えていかなければいけないんじゃないか、もうその場限りの、単年度限りの特例措置ばかり講じているようでは抜本的な解決にならない、こういうふうに私は思いますが、これは大臣、いかがですか。
  34. 遠藤安彦

    遠藤(安)政府委員 ちょっと法律の解釈の問題もありますので、恐縮ですが、私から答弁させていただきたいと思います。  御指摘のように、この交付税法の六条の三第二項の規定は、二年以上大幅な財源不足が生じ、見込み得る三年目も大幅な財源不足だというようなときには、地方財政制度の改正交付税率の引き上げを行うということになっております。私どもも、この規定があることを念頭に置いて地方財政対策に臨んだわけであります。最終的には、先ほど御答弁を申し上げましたような形で地方財政対策を決定をいたしたわけであります。  単年度限りの措置ということではありますけれども、この地方財政制度の改正という中には単年度措置も入るという前例もあるわけであります。やはり望ましいのは、長期的に見てこういう財源不足の状況が恒常的であるというような見込みが立ったときには、恒久的な措置を講ずるのは当然であります。  しかしながら、平成年度を見てみた場合に、やっとこれまでの経済対策効果というものが出てきて景気が上向いてきているという状況がございますので、その状況を見きわめ、税収、特に地方税収入、国税収入、こういったものがどうなるのか見きわめる必要があったこと。それからもう一つは、平成年度地方消費税の創設を控えているわけでありますが、平成年度中に税制改革の議論が、これは法律に書いてあるわけでありますので当然予定をされている。この税制改革の結果がどうなるかということを見きわめる必要があるのではないかというようなことから、恒久的な制度改正は必ずしも適当でない、こういった状況というのを見定める必要があるということで、その六条の三第二項の規定に基づく平成年度限りの特例措置ではございますけれども、通常収支不足にかかわる地方交付税増額による対応について、国と地方とが折半をしてそれぞれ補てん措置を講ずるということでございまして、今回関連の交付税法等の改正案を御審議いただいているところでございますので、この点よろしく御理解を賜りたいというように思っております。
  35. 山名靖英

    ○山名委員 要するに、今後の経済状況等も見ながらということでありますが、確かに景気の動向、若干明るさが見えつつあるような感じでもございます。しかし、完全失業率という面からいっても、まだ昨年の十二月で三・四%ですか、二カ月連続で過去最悪の状態、あわせてアメリカ、 ヨーロッパ等の景気先行きが不透明、輸出部門についてもその伸び傾向というものは非常に懸念されている、本格的に景気回復される道はまだ遠いのではないか、こういう思いがあります。  今もお答えいただいたんですが、例えば平成年度において完全に景気回復し、財政環境が好転をするということならばまだしも、まだそこに至ってもそういう状況が見えない厳しい状況が続く、こういった場合、さらに大幅な収支不足が生じるということならば、やはり私は、思い切ってそのときこそ、先ほど言いました地方交付税第六条の三の第二項に基づく恒久的な制度改正及び交付税率の引き上げを断行すべきである、このように申し上げたいと思いますが、総まとめで大臣の方から、その辺の取り組みについて、地方財政の再建に向けての決意も含めて御見解を承りたいと思います。     〔穂積委員長代理退席、委員長着席〕
  36. 倉田寛之

    倉田国務大臣 山名委員からいろいろ御指摘がございましたが、平成年度におきまする地方財政対策につきましては、経済の動向であるとか国及び地方財政状況などを現時点で見通すことは困難でございますので、何とも申し上げることはできませんが、中長期的に見まして、国、地方財政事情がまことに厳しい状況にあることは言うまでもございません。このような状況を十分踏まえてまいりますとともに、その時点におきまする地方財政収支の状況等に基づきまして、御指摘のような点もよく考えまして適切に対処をしてまいりたい、こういうふうに考えておるところでござ  います。
  37. 山名靖英

    ○山名委員 このことばかりやっているわけにいきませんので、次の質問に移りたいと思いますが、地方税の関連で何点かお伺いしたいと思います。  今回の改正案を見ますと、特別減税あるいは固定資産税負担調整率変更という減税項目がほとんどでございます。もう九割以上。ところが、個人住民税均等割につきましては、年額で八百円という引き上げを行う、こういうことでございます。今回の地方税改正趣旨というのは、当然経済状況を勘案して住民負担の軽減、合理化を図る、こういうのがねらいであるはずでございまして、そういった意味では、一方で減税しておきながら、個人住民税均等割については十年ぶりとはいえ引き上げを行う、これは逆行しているのではないかと率直に私は思います。むしろ、景気が好転するまでこういった均等割の引き上げについてはもう少し据え置き、見合わせをすべきではないか、このように思いますが、あえて引き上げをされる理由についてお伺いをいたします。
  38. 佐野徹治

    佐野政府委員 平成年度税制改正につきましては、先ほどお話ございましたように、当面の景気に配慮をしまして、例えば個人住民税特別減税を行うだとか、その他各種の措置を講じておるところでございます。  今お話ございました個人住民税均等割の問題でございますけれども、これは昭和六十年度改正をされましてから平成年度で十一年間据え置かれるということになりまして、これはやはり随時社会情勢に対応して定額課税を見直す必要があるわけでございますけれども、十一年間据え置かれていたその間の国民所得等の推移、それから均等割の性格から申し上げますと、やはり地域社会の費用につきましては住民の方々等しく分担をお願いをする、こういった均等割の性格、こういうようなことも考慮いたしまして今回お願いしようというものでございます。  したがいまして、この均等割、今回お願いしておりますのは、例えば所得割の特別減税とは異なる観点から行われているものでございまして、定額課税につきましては一定の時間が経過した後にこのような見直し措置を講ずる、先ほど来申し上げておりますように十一年間据え置かれておる、こういうようなことも勘案して今回見直しをお願いをしておるものでございまして、御理解いただければありがたいと思っております。
  39. 山名靖英

    ○山名委員 性格が違うとはいえ、ちょっとちぐはぐな感じもいたします。こういった思いを持って、地域住民の皆さんの負担増につながるようなこういう事態はやはり私は避けなければならない、こういうふうに思う次第でございます。検討できるならぜひお願いをしたいと思うのです。  一方で、今後地方分権推進をしていかなければならない、こういう時期にもございます。そういう意味では、地方税充実強化というのが大きな課題でもございます。今後の税制改革によって安定的な地方税体系というものが構築をされる、地方税源の拡充がやはり望まれていくのではないか、こういうふうに思っております。  とともに、法人課税の問題について若干お伺いしたいと思うのですが、我が国は主要な諸外国と比べて法人に対する実効税率が高い、こういう議論が久しいわけでございます。自治省といたしまして、地方税における法人所得課税のあり方についてはどのような見解をお持ちで、どういった検討をされているのかお聞かせをいただきたいと思います。
  40. 佐野徹治

    佐野政府委員 法人課税、地方法人課税の問題でございますけれども、国税、地方税を合わせまして、我が国の法人課税の実効税率を外国と比較をいたしますと、ドイツを除きますと、例えばアメリカやフランスなどに比べて高いということが言われているわけでございます。政府の税制調査会におきまして、こういった点も踏まえまして、また我が国の産業の国際競争力が維持されて企業活力が十分に発揮できるように、法人課税のあり方につきまして本格的な見直しをするということで、昨年の秋に政府税制調査会の中に法人課税小委員会というものを設置をいたしまして、それぞれ専門的な立場から今議論がなされているところでございます。  この法人課税の検討の方向につきましては、従前から政府税制調査会で累次にわたる答申がございまして、この中では、法人課税が財源だとか税体系に占める重要性、こういうことにも留意しつつ、税率それから課税ベース、この両面にわたって包括的な検討をする、こういうようにされているわけでございます。  地方法人課税におきましても、同様の観点から検討を行う必要があると考えておりますけれども、ただその場合におきましても、それぞれいろいろな国と比較をいたしまして、地方自治制度なり地方税制度なり全体の税制度なり、そういう点はそれぞれ違うわけでございますし、また我が国におきます法人所得課税の地位、それから今議論になっております地方分権推進状況、こういったもろもろの観点も踏まえました総合的な検討が必要ではないかと考えておる次第でございます。
  41. 山名靖英

    ○山名委員 その際に、特に法人事業税につきまして一言申し上げたいのですが、従来から課題となっておりますいわゆる外形標準課税方式、今までは所得課税方式なんですけれども、その外形標準課税方式の導入によって安定的な税体系の構築をすべきではないか、このように考えるわけでございます。  私は、高齢社会にふさわしい地方税体系を構築していくといういわば中長期的な視点からこの地方税制改革を考えるときに、この法人事業税の外形標準課税というものへの移行というのは今後の税制改革の中心議題中心課題でなければならない、このように常々思っておりますが、これについての御見解を、簡単で結構でございますから、お伺いしたいと思います。
  42. 佐野徹治

    佐野政府委員 今御指摘の法人事業税の外形標準課税の問題でございますけれども、法人事業税につきましては、これは応益課税と言われておりますが、そういった税の性格、それから今御指摘のございました地方税源の安定的な確保、また赤字法人に対する課税の適正化の観点、こういったもろもろの観点から外形基準を導入することが望ましいのではないか、こういう議論が従来からなされていることにつきましては私どもも承知をいたしておるところでございます。  また、平成年度税制改正に関します政府の税制調査会の答申におきましても、事業に対する 応益課税としての事業税の性格だとか、また都道府県の税収の安定的な確保だとか、赤字法人に対する課税の適正化等の観点から、引き続いて検討していく必要がある、こういった答申もなされているところでございまして、今後、先ほど申し上げました法人課税のあり方全体の検討の中でこの問題につきましても検討されるものであるというふうに考えておる次第でございます。
  43. 山名靖英

    ○山名委員 ぜひ今後の検討をお願いをしたいと思います。  次に移りたいと思いますが、地方分権に関連いたしまして御質問をしたいと思います。  この地方分権をめぐる議論というのは本当に相当前から行われてまいりまして、地方制度調査会が第一次答申を出したのは四十数年前ということでございます。その後、この地方分権に対しての議論がだんだんと沸騰してまいりまして、自治省としても中核都市構想や。パイロット自治体構想、こういった事業をやりながら地方分権の具体策を進めていったわけでございます。  昨年十二月に地方分権推進委員会がまとめた検討試案というのがございまして、これは地方分権を今後推進するための第一歩として私は評価をしておるところでございます。この検討試案は、いわゆる機関委任事務を原則廃止する、あるいは必要な事務については自治事務で行う、こういった内容のものでございますが、この検討試案に対して、各省庁は一斉に全国的な統一性、公平性あるいは共同作業等の観点から反発をされているやに聞いております。  確かに、全国的な規模や視点に立って行わなければならない事務等は国の役割であります。これは分権推進法にもうたわれているとおりであります。しかし、各省庁はここのみを強調いたしまして、住人の身近な行政は住民の一番身近な地方団体でこれを処理するという観点が薄れているのではないか、基本認識が非常に欠けているのではないか、私はこのように思います。こんな論法なら、今後地方分権は進みません。何一つ前進はしない。地方団体もこういった各省庁の反発に対して異論も唱えているところでございます。  ともかく、この地方分権推進委員会のいわゆるくらしづくり部会だ、とか地域づくり部会等では、福祉、教育あるいは町づくりについて国の権限を大幅に縮小するというまとめをしております。今月末にその中間報告が出されるようでございますけれども、これまでの経過を踏まえまして、国と地方役割分担、特に機関委任事務のあり方について今度どのようにされていくのか、お考えをお伺いしたいと思います。
  44. 松本英昭

    ○松本政府委員 お答え申し上げます。  地方分権推進に当たりましては、地方分権推進法第四条に明示されておりますように、国と地方公共団体との役割分担を明確にするとともに、それに即して、機関委任事務制度の抜本的な見直しを初め地方公共団体への権限移譲、それから国と地方との関係の調整、国の関与や必置規制等のあり方でございますが、そういうものの緩和、廃止、補助金等の整理合理化等措置を講じ、地方公共団体の自主性・主体性を高めていくことが重要だと考えているところでございます。  委員今御指摘になりました機関委任事務制度につきましては、昨年の十二月に地方分権推進委員会がこの機関委任事務制度に係る検討試案につきましてお示しになり、機関委任事務制度そのものを廃止した場合におきます新たな地方公共団体の事務のあり方にまで踏み込んで御提言をなさったということで、私どもとしても評価をいたしているところでございます。  機関委任事務制度につきましては、地方制度調査会の答申等で指摘いたしておりますとおり、地方自治の本旨との関係とか地方団体の自主性・自立性の確保、あるいは事務処理責任の所在の明確化あるいは事務処理の効率化、そういうような観点から制度自体を見直していく必要があると私どもも考えているところでございます。  それに対しまして、御指摘にもありましたように、この地方分権推進委員会の意見聴取の場におきまして、関係省庁等から全国統一性の確保や広域的な調整等の理由を挙げまして機関委任事務制度の見直しについて慎重な姿勢も示されていると伝えられているところでございますが、一方、地方団体側からは機関委任事務制度の廃止に向けての強い改革の意見表明もなされているところでございます。  いずれにいたしましても、地方分権推進委員会におかれましては、国と地方公共団体との役割分担の明確化、その基本的な考え方とか機関委任事務制度のあり方、あるいは国と地方公共団体との調整の問題などにつきまして、さきに行われました両部会の報告もあわせて御審議され、地方分権推進委員会としての中間報告を取りまとめて、年末にも予定されております具体的な指針の勧告に向けてさらに熱心な議論が重ねられ、実りある成果が得られますよう期待をいたしているところでございます。
  45. 山名靖英

    ○山名委員 地方分権を進める上で大事な観点、問題は財政的な裏づけであります。地方が権限の移譲あるいは機関委任事務の廃止等によっていわゆる自主的に行う事務事業、この財源地方みずからの判断と責任で確保するのは当然でございます。その分権を支える財源基本的には地方税を中心にすべきでありますけれども、現在の地方税というのは偏在による財源不均衡というものがありまして、それを是正するために地方交付税充実が欠かせないわけでございます。さらに、地方への権限移譲に伴う事務事業についての財源というのは、基本的には国税から地方税そして地方交付税、こういう振りかえによって得るべきものではないか、こういうように思う次第でございます。  さきの分権推進委員会で、現在四兆円あるところの奨励的補助金を半分の二兆円を廃止いたしまして、それに相当する財源について、一兆円を地方税、残りの一兆円は地方交付税に振りかえるべきである、こういう提言を行っております。こういう提言を踏まえまして、今後地方分権を進める上での税財源のあり方についてどのようにお考えなのか、簡単明瞭にお答えください。
  46. 倉田寛之

    倉田国務大臣 委員指摘のように、地方分権推進につきましては自治省にとりまして最重要課題の一つでございますし、地方団体が実情に即して事務事業を自主的・自立的に執行して、住民の皆様の福祉を高めることができるように、事務配分に応じました地方の税財源を安定的に確保していくという財政基盤を確立することは最も必要なことでございます。  先般の税制改革におきまして地方消費税を導入することにしたところでございますが、地方分権推進に当たりましては、国と地方役割分担に応じました地方税財源充実強化は不可欠でございますので、御指摘のように地方税充実強化を基本としながら地方交付税充実強化を図ってまいりますとともに、権限の移譲であるとか国庫補助負担金の整理合理化にあわせまして、国から地方への税財源の移譲を図る必要があろうと考えております。  なお、地方団体から御指摘のような御提言が行われたということは聞いておるところでございますが、何よりも重要なことは、補助金の整理によりまして行政事務の整理合理化が行われることが必要であろうかと思います。その後に地方に必要な事務事業が残る場合には、地方への税源移譲などによりまして地方財源への振りかえを行うことが必要でございます。  自治省といたしましては、今後、地方分権推進委員会におきまする御審議であるとか税制調査会の論議を踏まえまして、国と地方役割分担に応じました地方税財源充実強化を初め、地方分権推進には強い決意で対応し、努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  47. 山名靖英

    ○山名委員 規制緩和もそうでありますけれども、この地方分権についても、どうしても総論賛成、各論反対、こういったものになりがちでございます。この地方分権推進法が成立をいたしまして、今後地方分権推進していかなければならな い。この地方分権は、もう後戻りできないわけでございます。大臣も所信表明の中で、もはや実行の段階に来ておる、こういうふうに明言をされておりますし、当然、この地方分権推進に当たっては何よりも強いリーダーシップが必要ではないか、このように思います。自治大臣の出番でもありますから、そういう意味でぜひとも強いリーダーシップを発揮していただいて、確固たるこの推進をお図りいただきたい、このように、これは要望をさせていただきます。  もう時間もないわけでございますが、最後に、警察庁にちょっとお伺いをしておきたいと思います。  今回、住専の処理問題が論議をされておりまして、警察庁としては、本年、金融・不良債権関連事犯対策室、こういったものを設置をいたしまして、本腰を入れてその捜査に当たるというようにしております。国税庁も税務調査等を本格的に行う方針を明らかにしておりまして、これまでに調査の上で問題になるケースの把握をしたというふうに伝えられておるところでございます。  ところで、警察庁が今回の住専に絡んでのいわゆる刑事問題、背任や横領あるいは民事問題等の暴力団絡みのそういった問題について本腰を入れて捜査をする、こういうことでの対策室を設けたわけでございますし、国家公安委員長としての大臣のこの捜査への決意のほど、さらにはこの対策室の体制、あるいは当然対策室だけでは何もできないわけであります。各都道府県警察との連携も大事でありますし、加えて国税庁や検察庁、こういったところとの連携も重要であると思います。どのような協議を進められているのか、そして、今日までの調査の実態について御報告をいただきたいと思います。
  48. 野田健

    ○野田(健)政府委員 住専問題につきましては、現下の喫緊の課題であると認識しておりまして、警察といたしましては、住専問題の処理の過程で刑罰法令に触れる行為を認めれば、貸し手、借り手を問わず厳正に対処する所存でございます。  このため、警察庁においては、一月九日付で刑事局内に御指摘の金融・不良債権関連事犯対策室を設置いたしましたが、その後二月八日、警察庁次長を長とする対策室に拡大強化するとともに、その日、全国の都道府県警察に対し情報収集、事件検挙及び体制の整備に積極的に取り組むよう指示し、違法事案を認めた場合において的確な対応をとるよう努めているところであります。国レベルといたしまして、この対策室を中心に、国税あるいは法務・検察当局と連携をとっておるところでございます。  また、関係都道府県警察においても、例えば警視庁においては、捜査第二課、捜査第四課、生活経済課、合わせて約七十名の専従捜査体制、大阪府警察において、捜査第二課、捜査第四課、生活経済課、合わせて約百名の専従体制を確保するなど、所要の専従捜査体制を整備したところであり、その後、警視庁では約二百名体制に増強し、大阪府警察においても春の異動により約二百五十名体制とすることとして、今後とも必要に応じて増強することとしております。  なお、現在までの検挙状況でございますけれども対策室を設置した以降の検挙状況は、金融・不良債権関連事犯ということで全体で二十件でありまして、過去三年間の平均が約三十件余でございますので、今年に入りましての検挙は著しく増加しているという状況にあります。  このうち、融資過程におけるものが平成八年以降六件、債権回収過程におけるもの五件、その他金融機関の役職員により行われたものが九件でございまして、今後とも、暴力団を含めまして、貸し手、借り手を問わず、刑罰法令に触れる行為を認めた場合には厳正に対処してまいりたいと考えております。
  49. 山名靖英

    ○山名委員 検挙件数等を客観的に見てこんなものかなとは思うのですが、実際、住専側が債権の取り立てを真剣にやっていないのではないか、そういうことでは届け出なり被害届等、こういったものが出されていないケースが多いのではないか、こういう思いをいたします。  ともかく、借り手、貸し手等の違法行為については、当然これは違法行為でありますから、しっかりと捜査をしていただき、それなりの結果をぜひお出しをいただきたい。刑法違反のみならず、当然民事事犯として、不当な債務の免除要求だとか、あるいは競売等を妨害する、そういう行為等もあるやに聞いておりまして、こういった刑事事犯のみならず民事等の問題についても、そういう情報等をしっかりと得ながら、ひとつ確固たる対応をぜひともお願いをしたい、このように要望いたしまして、時間が参りましたので私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  50. 平林鴻三

    平林委員長 吉田公一君。
  51. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 最近、地方公共団体借金がだんだんふえてまいりまして、ついこの間まで百二十兆円と伺っておりましたが、自治省に伺いましたら百三十六兆円になっていたわけであります。これを放置しておくということはまことに重大なことでございまして、借りた以上は借金は返済するというのが当たり前の話ですから、今後の償還対策といいますか、償還方法というのは一体どういうふうにしていくか、それをまずお尋ねしたい。
  52. 遠藤安彦

    遠藤(安)政府委員 お答えを申し上げます。  御指摘のように、現在の地方財政は、平成年度末で借入金が百三十六兆円に達するという見込みでございます。この理由としましては、やはりこれまでの経済の停滞といいますか、後退といいますか、そういったことで地方税地方交付税が落ち込んでくる、あるいは減税実施する、それから経済対策のために地方債を増発するといったようなことで、急激に膨らんできたものでございます。  問題は、御質問にありましたように、これをどうやって償還をしていくかということでありますが、一つは、やはり基本は、地方財政計画公債費あるいは交付税の借り入れの償還といったようなものについて的確にその中で見込んでいって、そして計画的に償還をしていくということに尽きるのではないかというように思っております。地方財政計画公債費を計上をするということが第一義的には重要でありますが、やはりそれとあわせて、国、地方を通ずる行政改革推進、あるいは分権等も関連すると思いますけれども地方税財源充実確保といったようなことが必要だというように思われます。私ども、やはり地方団体財政運営支障を生じないように、借入金償還財源もきちっと確保をしていくということが必要ではないかと思います。  今の経済状況では必ずしも望めないかもしれませんけれども、ある程度地方財源に余裕が出てくる、平成元年前後のような状況が生じた場合には、やはり当時とりましたように、借入金の繰り上げ償還でありますとか、それから実質的に地方地方債を償却する措置、当時は財源対策債償還基金などを設けたわけでありますけれども、そういったような措置も頭の中に置きながら、財政事情経済状況等を見ながら対処をしていく必要があるというように思っております。
  53. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 まさに方法としてはそのとおりでありますが、その方法どおりいかないであろう。計画償還ができればいいし、財政確保ができていれば、それはそれで大変結構なことでありますが、よく公債費率ということが言われておりまして、各公共団体で、公債費率が首長によって判断が違っているのですね。一五%ならいいとか、いや一二%ならいい。その地方公共団体財政事情によって違うのでしょうけれども、一応、健全な公債費率というのはどのくらいのことを言うのですか。
  54. 遠藤安彦

    遠藤(安)政府委員 私ども地方団体財政の硬直度合いをあらわす指標として、幾つかの公債費に関する指標を持っておるわけでありますが、一般的には公債費負担比率という比率がございまして、これは一五%を超えますと財政的には黄信号である。それから、この公債費負担比率が二 〇%を超えますと赤信号であるということで申し上げております。  現在、地方団体全体でいきますと、平成年度決算では、公債費負担比率が一五%以上の団体が全団体の四〇%に達するということで、ある意味では相当深刻な、ミクロの地方団体における財政硬直化が進んでいるというように判断をいたしておるわけであります。  それから、もう一つ重要な要素といたしましては起債制限比率という比率がありまして、この公債費負担比率との差はどこにあるかといいますと、公債費負担比率の分子、分母から、交付税にダイレクトに算入されております当該団体の基準財政需要部分を控除した数字であります。この起債制限比率は、本当の意味といいますか、実体的な意味地方団体の起債の償還能力というものが問われる数字でありまして、私どもは、起債の許可をするときに、この起債制限比率が二〇%を超えますと、そういうような団体には一定の起債の許可はしないという比率で使っているわけであります。  よく地方団体の首長さんから、どちらを使えばいいのかということが尋ねられるわけでありますが、最近私が申し上げておりますのは、やはり以前と違いまして、単独事業においても、地方債のうち交付税の基準財政需要額に算入されているものが相当あるわけでありますので、そういった意味からいうと、当該団体の本当の意味財政硬直化、起債の能力を判断するときには起債制限比率で見てもらうのが正確ではないかなということを申し上げている次第であります。
  55. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 平成年度予算を編成するに当たりまして、交付税特別会計の借り入れで一時的にしのいだわけでありますが、ついでに足りない分は地方公共団体借金しろということであります。したがって、国は公債をできるだけ比率を低くして健全財政をやると言っていながら、足りない分については地方借金しろということであります。  もう一つは、今年度はいいとして、今の状態が変わらないと、来年度も再来年度もまた借入金をしなきゃならない。その借入金をした分はまた国民が返していかなきゃならない。つまり、借り入れるのも何をするのにも全部借金でやっている。特別な税源があるわけじゃない。全部借金で賄っている。したがって、地方公共団体財政を援助してやるにしても、これも借金。国が大体二百四十一兆円の借金だから、これもまたどこかから借りてきて埋め合わせをやっている。まさに、国も地方公共団体借金漬けでして、平成年度と十年度とにまた借り入れをするのじゃないか。一時しのぎじゃないか、計画がないのだから。そう思っておりますが、その点来年度は大丈夫ですか。
  56. 遠藤安彦

    遠藤(安)政府委員 御指摘のように、交付税特別会計における借入金あるいは財源対策のための地方債の増発といったようなことに安易に頼るということが好ましくないことは申すまでもないわけであります。ただ、これまで借り入れた借入金につきましては、いずれもやむを得ない臨時緊急の事態に対処するためのものであります。  そういった意味で、大変片方で、経済状況から税収が伸びない、あるいは経済対策を行わなければならないというようなことで、やむを得ない措置を講じてきたわけでありますが、先ほど御答弁申し上げましたように、やはり今後その償還について毎年度地方財政対策等で適切に対処していく必要があるわけであります。  ただ、来年度以降はどのような見通しを持っているのだということでございますけれども、九年度以降、経済情勢がどうなるのか、それによって国、地方の税収がどのように回復してくるのか、そういった点について現段階で確たる見通しを申し上げるという状況にないわけであります。ただ、中長期的に見れば、これだけの借入金を抱えて、その償還をしていかなければならないわけでありますから、国、地方ともに財政事情というものはまことに厳しい状況にあることは言うまでもないというように思っております。  いずれにいたしましても、こういう状況を十分に踏まえて、地方団体が当面している諸課題に適切に対応できるように、交付税地方税等の一般財源充実確保基本としつつも、必要な対策を講じてまいりたいと考えておりますので、ぜひとも御理解を賜りたいと存じます。
  57. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 いや、御理解するのはいいのだけれども、私が理解したってしょうがないのだよね。ぜひひとつ来年度からよろしくお願いしますよ。  それから、かねてから不交付団体に対しては起債の自由化ということを言われて、東京都なんかでは一度美濃部都政のときに、地方分権の一つ大きな柱であります財政の確立ということから、裁判を起こそうじゃないか、とう言って、実際は起こさなかったのですけれども、そういうことも考えたようであります。  これは一体、地方分権と山名委員からもお話がありましたが、起債の自由化というのは、むしろ地方自治体に責任を持たせる。地方には御承知のとおりちゃんと予算担当がいて、その地方財政については責任を持つ。そこには議会もある、首長もいるということですから、必ずしも自治省の認可を受けなければその団体の起債が自由にいかないということにはならない。今みたいに、国も借金で人のことを言えた義理はないので、国自体が二百四十一兆円の赤字なんだから。だから、地方公共団体に赤字だ、赤字だなんて言えた義理はない。  だから東京都なんかは、税務局長は東京都の主計部長をやったことあるんでしょう。そのとき、どうですか、財政の調子は。その感想も含めて、東京都は一体、一々自治省に起債の認可を求めなければやっていけないものかどうか、ぜひお願いします。当分の間というのは大体どのぐらい、常識で当分の間と言うのか。当分の間の年数もついでに教えてくださいよ。
  58. 遠藤安彦

    遠藤(安)政府委員 不交付団体に対する起債の自由化といいますか、そういう御質問かと思いますが、私は、地方債の許可制度というのは、今の地方財政の中で独立をした地方財政制度であるというよりも、むしろ、地方財政全体の中で地方財源を保障をするという機能の中で一つ重要な役割を果たしているのではないかというように思っております。  やはりこの地方財源というものを保障をするという立場から、地方財政計画を毎年度つくっておりまして、現在、国会に御提出をして御審議をお願いをしておるわけでありますけれども、やはりこの地方財政計画の中で、この地方債の額、これは地方債計画をつくっておるわけでありますけれども、ビルトインをされているわけでありまして、そういう地方の全体の財源対策というものが必要であるのかどうかということが一番重要な要素ではないかと思います。  今、地方団体は、確かに富裕な団体もありますけれども、これは団体数にして五%未満というようなことでありまして、大多数は財源的には非常に貧しいところが多い、乏しいところが多いわけでありまして、地方税よりも地方交付税の方が多い団体は、全体三千三百の地方団体のうち実に七割あるわけであります。そういった中で地方債の許可制度というものを考えてみた場合に、許可という単なる行為だけではなくて、その許可を通じまして地方債への信用の付与機能などがあるわけでありまして、縁故の地方債を民間の金融機関から借りるときに、個別の地方団体の一々の財政内容などは問われないわけであります。  それから、政府資金につきましては、非常に重要な資金でありますけれども、これを一元的に管理をいたして弱小の団体に政府資金を優先的に配分するなど、そういった要素がいろいろあるわけであります。  最終的には、許可をした地方債については、後年度財政計画におきまして公債費として掲げまして、その償還財源確保し、償還が滞ることがないように地方財政計画で保障をしているわけで あります。そういった観点から地方債の許可制度というものを考えていただきたいというように思うわけであります。  確かに、不交付団体財源の保障がないからいいではないかという御議論もあろうかと思います。ただ、不交付団体というのは、一つの年度を区切ってみたときに、地方税収と基準財政需要額とどちらが大きいかということをするわけでありまして、恒常的な不交付団体でありました都道府県で申し上げますと、大阪、愛知、神奈川というビッグスリーが今は交付団体に、私ども転落をしていると言いますが、そういう例もありますし、企業城下町で財政力指数が二に近かったような団体が命やその企業が市外に移転をしたために交付税の交付団体に転落をしたというようなこともあるわけでございますので、財政力とこの地方債の許可制度とを直に結びつけるというのはなかなか難しいことではないかというように思っております。  いずれにいたしましても、地方分権大綱方針の中では、地方債の許可制度につきまして、その弾力化、簡素化を図っていくということを基本としております。自治省としてもその方向で検討を進めているところでありますが、なお、地方分権推進委員会の御議論など、多数の各方面の御意見を伺いながら、幅広く検討をしてまいりたいというように思っております。
  59. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 長い答弁だったけれども、ちっとも意味がわからないよ。要するに、当分の間というのはどういうことです。法律で決めたじゃないか、当分の間はやると。
  60. 遠藤安彦

    遠藤(安)政府委員 答弁漏れがありまして、申しわけございません。  当分の間というのは終期を定めない規定でありまして、これは私ども、例として、明治時代の法律で当分の間で現在なお生きている法律もあるというように思って聞いているところでございます。したがって、まあ常識的には当分の間ということは永久ではないわけでありますから、そういう意味でこの規定というものが、当分の間ということで、終期を設定するわけでありませんけれども、幾らでも長くてもいいというわけでもないということにはなると思っております。
  61. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 ますますわからなくなっちゃった、何か禅問答をやっているみたいで。要するに、当分の間というのは、五十年を当分の間と考える人はいないんだよ。法事だって五十年たてばそれでおしまいだよ。後は土に返るといってやらなくていいんだ。そのぐらい長いんだよ、五十年というのは。だって、やっている人が十三回忌迎えちゃうんだから。五十年というのはいかに長いかというんだ。当分の間というのは、幾ら説明しても当分の間にはならないんだな。だから、その当分の間のいろいろな説明をしているけれども、もうこの辺でちゃんとした方がいいと思うんだよ。だから、さっき言ったように、法事だって五十年やればもうやらなくたっていいんだから。そのぐらい長いんだよ、五十年というのは。これは禅問答やってもしようがないので、何しろ質問時間よりか答弁の方が三倍も長いから、時間がなくなっちゃうよ。  平成年度所得税住民税減税を行うわけですね。それによる減税の穴埋めとして、これまた借金するわけだ。交付税特別会計の借り入れでやる。つまり、地方債発行したり特別会計の借り入れをしたりしてこの住民税の穴埋めをやるということは、当分の間、国民一人頭二万円やるよ、だけれども、最後、あなた、月賦で返してくれという話と同じなので、これは本来の意味からいくと、所得税減税住民税減税減税じゃないんですよ。つまり、一時的に二万円と五万円はやるよ、三年間。だけれども、悪いけれども後で月賦で返してくれよ、こういう話と同じなのだ。だから、減税にはなっていないのだ。消費税を五%に値上げする口実にしかすぎないと私は思っている。そういう意味では、減税じゃないと私は思っているのですが、やはり減税なのですか。
  62. 遠藤安彦

    遠藤(安)政府委員 簡潔に御答弁させていただきたいと思いますが、この先行減税につきましての財源につきましては、先般の税制改革の財源フレームの中で先行減税償還財源分として毎年度二千六百億円が措置されているところでございますので、地方消費税の創設あるいは消費税に係る地方交付税税率の引き上げ、これは二九・五%になるわけでありますが、そういった中で確保されているというように思っております。  なお、平成年度特別減税の分についてはこの中には入っていないわけでありますが、三十年で計算をいたしますと、単年度四百億弱ぐらいのことかと思います。これにつきましては今後のいろいろな機会において適切に対処してまいりたいというように思っております。
  63. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 要するに、最終的には国も地方公共団体もリストラ、行革をやらない限りは予算なんというのは年々ふえてくるわけです。しかも、片方で税収が減ってくる。差がだんだんついてくるのは当然なのです。それを穴埋めしょうと思えば借金しかないわけだから、だから行革を推進しなければいけないのですね。  そこで、大臣にお伺いしたいのですが、大臣も地方自治の御経験があるようでございます。地方の行革をもっと積極的に推進していかないと、いつまでたってもこれは赤字がふえるだけ。もう結論はわかっているのですよ、行革を推進するしかないのだ。国もそうですよ。国だって行財政改革をやらないで同じことをやっているのだから当然借金になってしまう。大臣、その地方行革について、いかがでございますか。
  64. 倉田寛之

    倉田国務大臣 吉田委員指摘地方の行革につきまして所見を申し上げたいと存じますが、現下、地方分権推進というのは時代の流れであることは御案内のとおりだと思います。地方公共団体が果たすべき役割というものもすそ野が大変広くなってまいりました。しかし、一方では地方の行財政というのは極めて厳しい状況下にあることも現実でございます。  したがいまして、地方公共団体がこういった状況を踏まえまして、それぞれが責任を自覚し、簡素で効率的な行政の確立に向けて自主的、積極的に行政改革を一層推進をして、住民の皆様の福祉の向上に努めていく必要はあるというふうに考えております。  地方公共団体におきましては、新たな行政改革大綱を策定をするなどいたしまして、住民の理解を得ながら、行政需要の変化、住民ニーズに的確に対応していくために、事務事業の見直し、組織機構の再編、スクラップ・アンド・ビルドの徹底によります定員管理の適正化、住民サービス向上に向けた事務処理の改善などに取り組んでいるものと承知をいたしております。  自治省といたしましては、今後地方公共団体行政改革が積極的、計画的に推進をしていけますように、必要な助言と指導を行ってまいる考え方でございます。
  65. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 次に、地方分権推進していく上で、地方事務官制度というのがあります。特に厚生省と労働省関係に多い。私の経験では、東京都にも厚生、労働省関係が多いのだけれども、これをもう完全な地方事務として、国家公務員の身分ということではなくて、必要ならばその地方の身分、地方公務員の身分にすべきなのです。そして、国家公務員の地方事務官の人というのは厚生省と労働省の方ばかり目が向いているのだ。東京都の方へ目が向いていないのだ。県の方へ目が向いていないのだ。そういう点では、非常にマイナスなのだ。  だから、その地方事務官制度というものをまず廃止をしなければだめだ。何とか専門官だとか何とか統制官だとか、そういうためったやたらにいろいろな名前がついているのだ。東京都や地方公共団体の方はそんな何とか官なんて全然ついていないのに、片方の方だけ何とか官、職業訓練専門官だとか職業訓練官だとか。専門官と訓練官とどう違うのだか知らないけれども、とにかくめったやたらにいろいろな名前をくっつけている。そういうこと自体がおかしいのだ。地方公共団体にそ んな官をくっつけたようなのが出てくるなんということ自体がおかしい。そういうものをまず廃止すること。  それと、今度、警察官職務に協力援助した者の災害給付に関する法律の一部を改正する法律案というのがございますが、警察官と一緒に犯人を逮捕すればいいのですけれども、そうではなくて、警察官が全然いないところで犯人を追跡していった。そのときにけがをしたとか自動車にはねられた。そういうときには本人の申告で災害給付が受けられるのか。  もう一つは、追っかけていった者が、たまたま子供が出てきてその子供を突き飛ばしてしまった。そうすると、その子供は災害給付が受けられるのかどうかということなのですが、その二つ。
  66. 松本英昭

    ○松本政府委員 地方事務官制度についてお答え申し上げます。  地方事務官制度につきましては、委員も御承知のように、これまでいろいろと経緯がございましたが、これを廃止すべきとする地方制度調査会の答申あるいは臨調の答申等種々の議論があるところでございます。  地方事務官制度は、機関委任事務のあり方や国と地方役割分担のあり方とも関連する事柄でございまして、地方分権推進委員会においても今後議論がさらに深められていくものと承知をいたしておりますが、その議論も踏まえ、当該事務の帰属あるいは職員の身分問題等について十分検討していくべきものと考えているところでございます。
  67. 菅沼清高

    ○菅沼政府委員 お答えいたします。  今御審議いただいております法律、私ども協力援助法と称しておりますけれども、この法律の二条におきまして、警察官がいない現場における犯人の逮捕云々ということも明記をしておりますし、そのほかに水難とか山岳遭難あるいは交通事故の現場で人命救助に当たって負傷等をした場合も対象になる、このように規定いたしておりますので、私どもは積極的にそうした場合にも適用いたしております。目撃者の証言でありますとか現場の状況あるいは協力援助者自身の証言等によりまして、該当すると認定されれば積極的に運用いたしておりまして、前年度三十二件適用しておりますけれども、そのうちの二十八件は警察官が現場にいない場合のものでございますので、法の趣旨に従って積極的に運用してまいりたいと思っております。  それから、お尋ねの二件目でございますが、この法律はどこまでも警察官職務に積極的に協力援助をした場合でございますので、先ほどおっしゃった子供の場合は該当しないというように考えております。
  68. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 終わります。
  69. 平林鴻三

    平林委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十八分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  70. 平林鴻三

    平林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。加藤万吉君。
  71. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 地方行政委員会質問に立ちますのは何年かぶりでございまして、ここ二、三回地方行政委員会でともに勉強させていただく中で、きょうもそうですが、感じたことをそのまま大臣並びに自治省の皆さんに申し上げておきたいと思います。  ちょうどタイムカプセルに私は入ったようなものでして、今から十年近く前は今の財政状況と全く同じような状況でございました。したがいまして、交付税法六条の三の二項なんという話はしょっちゅうございました。これは、私はいい意味で与野党の緊張関係をつくったと実は思っているのであります。なぜ六条の三の二項、いわゆる地方団体における財源不足がこうして起きたのか、しかもこの財源不足をそのまま放置をするということがどれほど地方団体にとって苦痛であり、また当時起きておりました新たな分権の行政、そういうものの執行に支障があるか、こういう観点から与野党通しまして財源不足、六条の三の二項という問題は大変大きな議論になったのであります。私、ここに出ておりまして、六条の三の二項の問題が皆さんの質問あるいは相互のやりとりとして非常に出たのは、きょうのこの会合とこの前の委員会のときに感じまして、なぜ日常的にこの問題が出なかったのだろうかというのが一つの感想でございました。  二つ目の感想は、これほどの大変な財源不足一これは国、地方もそうでありますが、これに対して私どもはまだ少しく楽観的な目で物を見ているという嫌いがあるのではなかろうか。と申しますのは、やはりバブル経済時代における税収というもの、あるいはその間に、先ほど財政局長からも御答弁がありましたが、財源対策債償還をするとか、あるいは各地方団体でいえば積立金制度で、それぞれ予想以上に税収が多かったものですからそれで乗り切るとか、さまざまな手段、いい意味でいえばそれが自信となって今それぞれの行政の中にある、この自信が逆な意味で過剰にならなければ、こういう気がいたします。これだけ借金しておるけれども、やがて景気回復が行われ、バブルという状況は起きないにしても、税収を基礎づける景気動向というものが生まれれば、それなりに財源の不足ないしは起債の発行、国債の発行などの処理もできる、こんな感がもし少しでもあるとするならば、これは極めて危険な要素として見ていかなければならないのではないでしょうか。  私どもは、ちょうど一サイクル前に財源不足が生じたときには、まさかそういう状況が現実に起きるとは思いませんでしたから、大変シビアに物をとらえたものであります。例えば、財政状況がよくなってまいりまして、各地方団体建設、箱物と言われる事業が起きました。そのときに当委員会での一番の焦点は何があったかというと、もちろん箱物そのものに対するさまざまな指摘もございましたけれども、これを維持管理をするのにどういう将来の財源の保障ができるのだろうか。例えば下水道事業もそうですが、下水道事業そのものは伸ばせ、野党も、私ども野党でありましたけれども、伸ばしなさい、しかし同時に、下水道を常時管理をするためにはどういう人とどういう機能が必要になってくるのか、そこに財源がどのように必要になってくるのかということも並行的に議論がされたものであります。  すなわち、私は今の財源不足という問題が、先ほどから今日でいえば野党側の御意見も拝聴いたしましてなるほどと思う視点がありましたけれども、今言ったようなことが、タイムカプセルから出てきました私が感じたことがこれからの議論としていわば与野党通して国、地方財政の健全化という方向に向かえば、極めて私なりの所感を述べた意義がある、そんな感じがいたします。  これは大臣並びに自治省の皆さん方にも、今はたからこの財源不足という問題を含めて見られているという、そういう中に置かれているということを十分配慮して、これからのさまざまな国、地方の関係を含めての指導といいましょうか、あるいは国の政治のあり方というものをぜひ考えていただきたい、かように思います。  そこで第一の質問ですが、地方交付税財源不足の問題について、六条の三の二項をもって平成年度、それぞれ不足額を国、地方で折半をする、こういうことをお決めになり、今日提案をされております。  昭和五十九年のときですが、私はこの問題を当時の田川自治大臣とやりとりをいたしました。国の側、大蔵省の側からいうと、当時、制度の改正という形で新しく交付税法附則三条が用意をされまして、委員会で論議がされました。私はそのときに、これは制度改正ですか、それとも今までのありようを一つ変えただけですか、手直しですか、こう言いましたら、当時の自治大臣の田川さんは、これは手直しです、こうおっしゃいました。大蔵大臣の竹下さんは、これは制度の改正で ございます、こう述べました。らちが明きませんから、私は予算委員会で当時の中曽根総理に、一体どちらなんですか、こう聞きましたら、それは富士山を駿河湾から見たのと相模湾から見たのとの違いでしょう、こういう答弁がございまして、そんないわゆる冗談みたいな答弁では困ります。  例えば、今日地方分権の問題で機関委任事務等が非常に論議をされていますけれども、今機関委任事務と団体委任事務というものを区分けをして議論されている人があるでしょうか。これも当時としては極めて重要な議論になったのであります。機関委任事務という問題と団体として国が地方に委任する事務とは違う。中曽根さんは、富士山を駿河湾から見るのと相模湾から見るのとの違いだ、こうおつしゃったけれども、それはお答えにならぬのじゃないですか、団体委任事務、機関委任事務を一つとってもそうですよ、こんなやりとりをしたことを今思い出すのであります。  事ほどさように、今度の交付税で六条の三の二項によって、双方で折半をして特会から借り入れをする、こういうことですが、当時のこと、これは財政局長が一番御存じかもしれませんが、このやりとりのときに附則三条ができたのは一体どういう経過、どういう背景があったのでしょうか。それと、今回この措置をとられた関係はどういうふうに位置づけられますか。
  72. 遠藤安彦

    遠藤(安)政府委員 お答えを申し上げます。  地方財政の長い歴史の中で、本委員会にずっと所属しておられた加藤先生から御指摘でございますが、私の記憶では、やはり国、地方財政環境が非常に悪化をいたしましたのは昭和五十年からでございまして、五十年、五十一年と非常に大きな赤字が出た。五十二年に単年度措置を講じ、それから、五十三年以降、恒久的な制度改正をする必要があるということで、交付税特別会計借入金の二分の一については国が交付金で繰り入れていくという制度にしたと思うのであります。  この地方交付税特別会計借入金が非常に大きくなりまして、昭和五十九年当時にはこれが総額で十一兆五千億ほどになった。当時の交付税総額からすれば非常に大きな額であったわけであります。この二分の一の五兆八千億ほどは国が負担をしてもらうということであったわけでありますが、非常に交付税特別会計での借り入れということが多くなったというようなことを背景として、もうこれ以上ふやすべきではないということの中から五十九年度制度改正というものが出てきたというように記憶をいたしております。  したがって、そのときは従来の交付税特別会計での借り入れの二分の一を国が負担するという方式を改めて、先ほど御質問にありました交付税法の附則三条を導入したわけでありまして、そこで、これからの国、地方財政関係というのは特例的な加減算というものを基本として、これについては個別に各年度法律で書いて、国会の御審議を経て了承を得る、そういうふうな形にしようということになったわけであります。  国の方からの特例加算というのも、金額は小そうございますが、あった歴史もあります。しかし実際に動きましたのは平成年度から平成年度まででありまして、この期間に地方財政から国の財政にいわゆる特例減額、これは附則の三条を適用して国に貸したというような形になったわけでありますが、いざその期間が過ぎて地方の方が財源不足が大きく生じるというような状態になったときに、この附則三条の規定が働かなくなってきた。これは、余りにも国の方の財政状況が悪化したために特例加算を国から地方にするという財政環境でなくなってきたということであります。  当初は、補正の段階で交付税が減額になるときに、本来附則三条が働くべきところを臨時異例の対策として交付税特別会計で借り入れるということになったわけでありますが、平成六年からは当初段階において大きな財源不足が生じ、事実上毎年度法律をお願いいたしまして特例をつくっているわけでありますけれども、この附則三条が働いていないという状況になって、しかも平成年度は御指摘のように交付税法六条の三第二項の規定の適用が生じてくるということになったわけでありまして、単年度措置でありますけれども、国の一般会計からの繰り入れ分も含めまして、財源不足のうち、交付税増額分の二分の一は国に責任を持っていただくということで、三条との関係でいえば、三条の特例として八年度だけ制度的な手当てをさせていただく、そのことについて法案を今お出しいたしまして御審議をお願いしているという状況かと存じます。
  73. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 今御答弁がありましたような経過承知をいたしています。そして、その結果として交付税法附則四条三項の加算額が、表に出ていますが、こういう形で今出ているわけですね。  そこで、時間がありませんが、二つ続けて質問します。  一体この加算額とはどこに帰属をするお金ですか。私は、これも大きな議論をしたところですが、交付税はいわゆる地方の自主財源か、国のコントロールすべきそういう財源要素を持っているかという議論が当時ありました。交付税法附則四条三項に記載をされているそれぞれの加算額、これは本来地方団体が受けるべきお金であります、先ほども議論がありました。だとするならば、これを今度の交付税の中で、一兆八千億の中で国のこの交付税の補てん措置として記載をされるにはいささか問題があったのではなかろうか。中にあります法定加算額の四千百三十八億円並びに繰り上げ償還の四千二百五十三億円というのは、いわば通常収支の不足額から本来補てんをされるべきものを差し引いたものが地方と国の交付税特会からの借入金になる、これが本当の形ではないでしょうか。私はそう思うのです。  それからいま一つ、単年度とされたことはどうも私は気に入りませんね。やはり今の経済状況から見れば、平成年度、十年度、先ほども議論があったところですが、もしバブルということを期待するようなことが頭の隅にちょっとどこかでもあって、いや単年度で何とかというようなことがあるとするならば大変問題でありますので、この二つの点について御答弁をいただきたい。
  74. 遠藤安彦

    遠藤(安)政府委員 御質問が三点に及んだかと思いますが、第一点の法律に書いてあります加算額の性格論でありますが、基本的には、この加算額は交付税法の本則で書いてあります国税五税の一定割合、これは私ども地方共有の固有財源だというように思っておりますけれども、それとは若干性格を異にしているのではないかと思います。今までの覚書その他のことをベースにいたしまして国から地方に本来の本則の額に加算をする額として法律に明定をされている額でありますから、基本的には若干性格が違うのではないかと思われます。  ただ、現在の加算額の中には、平成年度から平成年度まで交付税の本来分のうち一兆七千億を国に貸した、その返してもらう部分がこの中に、まだ平成九年から一兆円ほど、そのうちの四千二百五十三億は今度返していただくわけでありますが、残りの部分は入っておりますので、加算額の全部が本来分ではないというのはちょっと言い過ぎかと思います。したがって、本来分の一部も入っておりますけれども基本的にはやはり別の性格のものではないかというように思っております。  それから、いわゆる法定加算の四千百三十八億と臨時特例加算の四千二百五十三億が国の二分の一の負担の中に入っておるわけでありますけれども、これは当然地方の側からいえば権利であるということから、二分の一の中に含めるのはおかしいのではないか、むしろこの部分を除外して、残りの二分の一という物の考え方もあるのではないかという御指摘かと思います。これはそういう御指摘もあろうかと思います。  ただ、私どもは、今回のこの六条の三第二項の規定に該当する年度となった地方財政対策において、やはり交付税で負担する部分の二分の一は国に責任を持ってもらうということを強調をしたがったわけであります。しかも、その二分の一に ついてはできるだけ一般会計からの現金による直入の額を多くする。借入金は、やはり形の上では将来国に持ってもらいますけれども地方交付税特別会計で借り入れるわけでありますので、地方借金が膨らんだ形に見えるわけでありますから、できるだけ現金が要るということで、国と厳しい折衝の末これだけを確保できたということであります。  この四千百三十八億は、御指摘のとおり法定加算でありますから、そり分だけ当該年度交付税に上乗せする額でありますが、これまでの例でございますと、この四千億何がしのうち、平成年度から平成年度までの地方から国への貸し付けの返還部分だけで、残りの部分については後年度に先送りをしてきたわけでありまして、全額が実現したということは今までなかったわけであります。今度の場合は、その全額を約束どおり国から地方に入れていただいたということは、ことしについても大きいし、来年以降についても私は意義があることではないかというように実は思った次第であります。  それからもう一つは、臨時特例加算の四千二百五十三億でありますけれども、これにつきましては、もともとは地方のお金でございますので、この貸した額については、附則三条の規定にありますように、後年度交付税の安定的な確保のために特例減額をしたということからいって、この貸したお金を繰り上げて返していただきたいということを強く主張したわけであります。  国の方も相当厳しい、大変厳しい財政環境の中で、この二つが実現をされたということは、そういう意味意味があるというように私どもは思っている次第でございます。  それから、どうして単年度措置かということでございますが、これにつきましては、やはりやっと景気の方も経済的に回復をしてきたという状況でございますので、来年以降の税収状況を見定めたいということと、もう一つは、税制改革のお話が当然来年度は検討されるわけでございますので、この辺も見定めた上でないとさらなる対策というものは踏み出しにくいのかな、そういうような状況で単年度にさせていただいた次第でございます。
  75. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 経過はそれなりに了承ができます。  そのほか、今度のこの交付税会計では、地方が借り入れる金、利子の負担を地方団体がするというのはおかしいじゃないかという意見も私は持っておりますが、しかしこれは国の財政事情がこういうときでもありますから、それはそれなりに了承しておきましょう。  さて、これやっていたら切りがありませんから、私の持ち時間はもうあとわずかであります。  大臣、今各地方団体で、住専の問題に絡んで各地方団体の税収入、地方税収入が落ち込むんじゃないかという議論が相当あるんです。神奈川県なんかは四十八億円減額する。東京都なんかの場合には、全体を通して千八百億ぐらい減収になるだろう。さまざま試算が出ておるようです。  そこで、大蔵省にお聞きしますが、住専による三兆五千億、一兆七千億ですか、それぞれの償却がありますね、今度のスキームに基づく。それによって起きる税収の、国の場合には法人税、それに伴って交付税が、三二%はどうなるかという問題が今度は地方にあります。地方でいけば事業税それから県民税、これらを含めてどういう見通しをお持ちですか。  それから、今問題になっております無税か有税かという問題もありますが、これはどちらかを選択した方が地方団体、国としての税収が強くなりますか。今多くを述べることはできませんから言いませんが、有税でやるところは相当赤字決算をこの三月期にしてしまわないと、こういって新聞なんかに載っていますよね。そうなってくると、当然これは法人税が減収になりますし、結果的に交付税が減っていくわけですね。この辺の見通しないしは観測をどうお持ちなのか。  それから、これは大臣、東京が千六百億とか千八百億とか言っていますが、例えば今住専の処理を、母体銀行、一般銀行で負担をする分を全額償却した、仮にそれが経常経費に出ないで、全額償却をして損金で落としたといった場合に、仮に実効税率の一六・六ですか八ですか、これを掛けると五千億か六千億ぐらい計算上はいわゆる減収になっていくわけですね。  となると、私は、地方財政の上からも、この住専問題は今の国会で相当早く決着をつけないことには相当混乱が起きるのではないか。特に、地方団体地方議会をやっていまして、質問があって困っているわけですね。そういう面で、政府側のスタンスといいましょうか、あるいはきちんとした基本的な態度を、この際地方団体に向かっても物を言うつもりで、大臣の見解をお聞きしておきたい、こう思います。
  76. 伏見泰治

    ○伏見説明員 法人税収の関係でございますが、今後個別の金融機関がどういう処理をするかということによりまして変わってまいりますが、税収の見込みという観点から申し上げますと、実は最近金融機関、都銀等でございますが、そこから入ってまいります法人税収というのは、非常に残念ながら、一時と比べますと非常に割合、ウエートは小さくなってきているわけでございます。  当面、住専の処理に絡みましてどういう決算になるか、まだ個別のことはよくわかりませんが、私どもといたしましては、まことに残念なことでございますが、住専以外にも実は不良債権を金融機関はいろいろ抱えてございます。したがいまして、全体として、個々の金融機関が今期にどういう不良債権の償却をするかということで恐らく最終的な決算の判断がなされるであろう。そういたしますと、税収として見ると、昨年、一昨年と同様に余り大きな期待ができない状況にあるのかな。  そういう意味では、逆に申し上げますと、現在見積もっております法人税収、これは実績がまだ半分にも満ちておりませんで、全体の姿が最終的にどうなるかわかりませんが、当面の住専処理との関係では現段階で大きな変動があるということでもないのかな。そういう意味でも地方財政に与える影響というのはまだちょっと何とも申し上げられる状況ではないのかなというふうに思っているところでございます。
  77. 倉田寛之

    倉田国務大臣 加藤委員からいろいろな角度で御指摘をいただきましたが、私も橋本内閣の閣僚の一人といたしまして、橋本内閣に課せられました使命、また寄せられました期待というものは、何といいましても景気回復ではないかというふうに考えております。この点からいいますと、委員指摘のように、早期にこの住専処理策を確定することが金融を安定をさせ、景気への悪影響を排除することにつながるというふうに考えております。また、今回の住専処理策は、現段階でとり得る対策としては適切なものというふうに考えておるところでもございます。  いずれにいたしましても、先ほど来委員が御指摘になられましたように、自治省の立場で申し上げますと、地方財源の固有なものとして確保しなければなりません地方交付税につきましても、国税五税の増収ということがその基数になってまいりまするし、地方税においてもしかりでございますので、景気対策というものは極めて重要なものであるというふうに存じているところでもございます。  したがいまして、今回の住専処理策を含みます平成年度の政府予算案を御議論の末、一刻も早く成立をさせていただきまして、切れ目のない対策を講じてまいりまして、景気回復をより確かなものにしてまいりますことが、今我が国にとりまして最も重要なことであろうと思います。私も橋本内閣の閣僚の一人といたしまして、最大限の努力をしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  78. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 ありがとうございました。
  79. 平林鴻三

    平林委員長 田中甲君。
  80. 田中甲

    ○田中(甲)委員 さきがけの田中でございます。  地方分権推進していくことは、まさに時代の 要請となっているところであります。特に、高齢化社会の進展に伴う地域福祉の充実や生活関連の社会資本の計画的整備、この必要性を考えますと、地域の福祉の担い手である地方団体において地方税源の充実確保が不可欠である。しかしながら、現実を見てまいりますと、歳出において国と地方比率が一対二であるのに対して、租税総額においては国と地方比率は逆に二対一になっているというものであります。地方分権推進するためにはこの乖離をぜひとも埋めていかなければならない。現在、地方分権推進委員会でも,二十九日ということも聞いておりますが、いずれにいたしましても、今年度中に中間報告を出すべく検討を精力的に続けている、最終段階の調整に入っている、そんな時期でもあります。  そこで、地方分権推進法の趣旨を踏まえて、今後、地方の税財源充実確保にどのように取り組むお考えをお持ちになられているか、大臣の御所見を伺いたいと存じます。
  81. 倉田寛之

    倉田国務大臣 地方分権推進につきましては、自治省にとりまして最も重要な課題の一つでございます。これが実現をしていきますためには、地方団体がそれぞれの地域の実情に即しながら事務事業を自主的・自立的に執行して住民の福祉を高めることができますように、事務配分に応じました地方税財源を安定的に確保して、その財政基盤を確立するということは極めて必要なことでございます。  地方分権推進法の趣旨を踏まえまして、国と地方との役割分担に応じました地方税財源充実強化を図ってまいりますことは必要でございますので、地方税の拡充を基本としながら、あわせまして地方交付税充実強化を図ってまいりたいと考えておるところでございます。  今後、地方分権推進委員会におきます中間報告を踏まえ、また今後の審議をさらにお進めをいただく中で、加えまして税制調査会等におきまする議論も踏まえながら、地方税財源の一層の充実強化には努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  82. 田中甲

    ○田中(甲)委員 冒頭、倉田自治大臣から力強い御答弁、御意見をいただきまして大変にうれしく思っております。  重ねて、地方分権推進に伴って、まず地方税充実強化が基本になろうと私も考えております。地方の税財源充実の方策の一つとして、国税から地方税へ税源を移譲すること、これをまず最初に検討する必要があろうかと思うのですが、御意見をいただきたいと思います。
  83. 佐野徹治

    佐野政府委員 地方分権推進法に規定がございますように、国と地方公共団体役割分担に応じて地方税財源充実確保を図るということは地方分権を図る上で避けて通れない重要な課題であるというように考えております。  この地方税源の充実の具体的な方策につきましては、お話がございました国税から地方税への移譲の前提となります例えば補助金の整理合理化等の内容だとか額、これがどのようなものとなるかということはまだ明らかではございませんし、また、その団体の区分、補助金なりなんなりが都道府県なり市町村なりにどういった影響が出てくるのか、そういうこともまだ明らかになっておりませんので、現段階におきましては具体的にいろいろ申し上げる段階ではございませんけれども、今後、地方分権推進委員会におきます御審議ども踏まえつつ、地方税財源充実確保を積極的に検討してまいりたいと考えておる次第でございます。
  84. 田中甲

    ○田中(甲)委員 ぜひとも地方税財源充実確保に一層傾注して、力強く進めていただきたいと思うところであります。  そんな地方分権の流れの中で、地方税財源充実をしていくことは必要だと考えるものの、日本の経済構造が、東京の一極集中に典型的にあらわれているように、地域間での大きな格差があるということは否定できないところだと思います。この税源のいわゆる偏在、すなわち地方税収の地域間格差の問題について、どのようにこれから対処されていくお考えか、自治省の現段階のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  85. 佐野徹治

    佐野政府委員  今御指摘のございましたように、地方税の場合にも、国税ほどではございませんけれども、やはり地域間に経済力の格差がある現状におきましては、どうしてもある程度の偏在は避けられないものでございます。今後、地方分権の流れに応じて、地域経済活性化して地方税源の充実を図っていくに当たりましても、こうした現状というのはやはり念頭に置いていかないといけないのではないかと思っております。  また、現行の地方税制は、いわゆる所得、消費、資産、こういう面から見ますと、所得課税に若干偏っているわけでございまして、この所得課税というのは、税収におきまして伸長性には富んでおりますけれども、一方で地域的な税収の偏在、こういう面があるわけでございます。  先般の税制改革におきまして地方消費税の創設が図られまして、比較的地域的な普遍性に富むこの消費課税のウエートがこれから高くなっていくというように考えているところでございますけれども、今後とも、地方税におきましては、安定的でかつ伸長性のある税体系の確立を目指すということをよく留意をいたしまして税目なり税制の仕組みなりを工夫することによりまして、税収の偏在が大きくならない税体系を構築していく必要がある、こういうふうに考えておるところでございます。
  86. 田中甲

    ○田中(甲)委員  ありがとうございます。  もう一点、気になっていることがあります。  地方分権推進に関連して、地方税の分野では課税自主権の論議がなされているところであります。現行の法律上も、地方団体の課税自主権を尊重する見地から、標準税率を超えて課税する超過課税や法定外普通税の制度などがあります。現在これがどのような現状になっているか、お聞かせいただきたいと思います。
  87. 佐野徹治

    佐野政府委員 平成年度数字で申し上げますと、平成年度の超過課税の実施団体の数は延べで二千五百六十七団体でございます。このうちの都道府県は延べで五十三団体、市町村が延べで二千五百十四団体でございます。平成年度決算見込みにおきます超過課税額は、全体で四千七百五十一億円、このうち都道府県は一千八百七十八億円、市町村は二千八百七十三億円でございます。  また、法定外普通税の関係でございますけれども平成年度における実施団体の数といたしましては、全体で二十一団体、そのうち都道府県が十四団体、市町村は七団体でございまして、税収見込み額は、全体が二百二十三億円、そのうち都道府県が二百十七億円、市町村が六億円、こういう状況でございます。
  88. 田中甲

    ○田中(甲)委員 私は、今現状の御説明をいただきましたけれども、超過課税というものと法定外普通税というものを、これから地方分権を進めていくに当たっては積極的に自治省は進めていかなければならない、このように考えているものでありますけれども、自治省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  89. 佐野徹治

    佐野政府委員 今お話がございましたように、超過課税なり法定外普通税の制度というのは、これは地方団体の課税に関する自主性を尊重する立場から設けられているものでございまして、法律上の要件を備えておりますれば、地方団体はその実情に応じて実施できるものでございます。  ただ一方で、超過課税にいたしましても法定外普通税にいたしましても、通常の税負担以上の納税者の方々への負担を求める、こういうものでもございますので、そこにはいろいろな角度からのある程度の制約というのもあるのではないかというようにも考えられるわけでございます。現行の制度におきまして、相当程度地方団体の自主性に配慮したものとなっているというふうに私ども考えておりますけれども、今後地方分権推進の流れの中で、この自主的な対応のためにどういうことが可能か、こういうことにつきましてもそのあり方につきまして検討してまいりたいと考えてお る次第でございます。
  90. 田中甲

    ○田中(甲)委員 ありがとうございます。  もしかすると、景気が悪くて税収の見込みが極めて厳しいこの時代に地方分権を進めていかなければいけないというのは、ある面ではいいことなのかもしれない、そんなことをふときょうの質疑を考えながら思いました。厳しい中で地方分権を進めていく、そこがスタートになって新しい時代を築いていくことができれば、そんな思いも持ったりもいたしました。  いずれにしても、この税財源ということが地方分権を確立することができるかどうかの大きなポイントになってくると思いますので、今後とも自治省には御努力をいただきたいとお願いを申し上げる次第であります。  また、地価を上げずに、正常な市場経済価格に地価を戻しつつ景気回復を図っていかなければならないという極めて厳しい状況に置かれている現在の我が国の状況でありますが、そんな中で、産業の空洞化が進んでおります。今に言われたわけではありませんが、地域レベルでもそういう面での産業おこしに向けた新たな、積極的な取り組みが必要だと思うのですが、自治大臣、御所見をいただければありがたいと思います。
  91. 倉田寛之

    倉田国務大臣 田中委員指摘になられました産業の空洞化が進む中におきまして、地方におきましては、地域内発型の産業構造の高度化を図るために、地域レベルでの研究開発を充実するとか人材を育成をして多様な企業を起こしていくことがますます重要となってまいっていると存じます。  こういうようなことの状況を踏まえまして、自治省といたしましても、地方公共団体が取り組みます地域産業創造対策のために必要な財源措置平成年度から新たに講じることによりまして積極的に支援をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  92. 田中甲

    ○田中(甲)委員 大臣から御答弁をいただきましたので、もうくどくどと申し上げる必要はないと思われますが、地方レベルで新たな産業おこしを進めていく中で、あえてこの点で指摘をさせていただくとするならば、この中身というのですか、これまでのような低廉で箱貸しのようなものではなくて、市場や顧客に対する情報や人的交流の機会を提供するという総合的な支援を行う必要が、そういう観点からやはり自治省も後押しをしていくという、例えば公設の試験場、研究機関、公立の大学など人的、物的資源の有効活用を図るとともに、今インキュベーターの関連施設などを設備する際にもそういう点での配慮ということを図っていかなければならないと私は思うのですが、御意見がありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
  93. 湊和夫

    ○湊政府委員 大臣から先ほど御答弁申し上げましたように、新しい形での産業創造ということが大きな課題になっておりますし、そのためには研究開発から企業化に至りますまで、いろいろな段階に応じた適切な支援にこれから努めていく必要があるというふうに考えております。  既に地方公共団体におきまして、特に都道府県を中心に、公設の試験研究機関の活性化の取り組みに加えまして、例えば理工系大学の設立てありますとかあるいは誘致を図ったりとか、あるいは産学官交流のための科学技術会議を設置するとか、あるいは財団等を設立いたしまして研究開発や企業化への支援を行うとかいった幅広い取り組みが見られるようになってまいってきております。  こういった都道府県、自治体の取り組みを踏まえながら、私どもといたしましても、平成年度に向けまして、ただいま大臣から御答弁申し上げましたが、地域産業創造対策経費という形で、いわゆるソフト対策経費でございますけれども、研究開発や人材育成等のために、交付税によりまして百五十億円の財政措置を新たに講ずることとさせていただいております。  また、これにあわせまして、御指摘にもございましたように、会議とか交流などの機能をあわせ持ちますインキュベーター施設の充実でございますとか、ベンチャー企業に対します株式、社債の引き受けを通じました資金面での支援に対していずれも有利な地方債措置を講ずることといたしておりまして、御指摘の点、大変大事な点だと考えております。今後とも引き続き施策の充実に努めてまいりたいと考えております。
  94. 田中甲

    ○田中(甲)委員 ありがとうございました。  まだまだ質問したい項目もあるのですが、いずれにいたしましても、厳しい経済状況の中で、地方分権推進という重大なテーマを抱える中で、その双方の課題を抱える中で、平成年度地方財政計画に当たり最大限の御努力をされた関係当局に心から感謝を申し上げ、私の質疑を終わります。
  95. 平林鴻三

    平林委員長 穀田恵二君。
  96. 穀田恵二

    ○穀田委員 日本共産党の穀田です。  今回の地方税法改正の柱である、まず第一に、個人住民税特別減税、二つ目に、九六年中の宅地評価土地不動産取得税課税標準を価格の二分の一にする、三つ目に、負担調整率を引き下げる、こういったことであります。これは、今日の不況の名のもとで国民が要求する減税措置となるものですから、私どもも当然賛成するものです。  しかし、その一方、先ほども議論ございましたが、個人均等割税率を、標準税率では今回の改正で道府県税そして市町村税合わせて年八百円の引き上げとなっています。均等割だけの納税者は、九四年度ですが、約二百六十三万人と言われています。均等割だけの納税者の層の人々は今回の措置で、先ほど述べたような減税措置における恩恵は受けることになりますか。
  97. 佐野徹治

    佐野政府委員 今回の特別減税個人住民税につきましては、これは所得割を納める方々が対象になりますので、均等割のみを納めておられる納税者の方々は特別減税の対象にはならないわけでございます。
  98. 穀田恵二

    ○穀田委員 今ありましたように、対象にならない。つまり、恩恵を受けないということになりますね。  そこで、計算をしてみますと、均等割による税収は約三百十二億円だと思うのです。それは後で確かめておきたいのですが、そうだと思うのです。先ほど言いましたように、額でいいますと特別減税は六千億円以上ありますし、それから不動産取得の課税の問題に関して言えば、約七百億円でしたか、さらに、負担調整の率の引き下げで一千億円、これだけするのは私は当然だと思うのですね。多くの層が減税を受ける。  ところが、本来減税の恩恵を真っ先に受けなければならない低所得者層に対しては恩恵なしで、増税だけが押しつけられる、こういう結果になるのではないか。そのことについてはどう思われますか。
  99. 佐野徹治

    佐野政府委員 まず、この均等割税率の引き上げに伴います増収の関係でございますけれども、今先生お話がございましたのは初年度でございまして、平年度は三百六十八億円の増収の見込みでございます。  個人住民税均等割税率の問題につきましては、これは例えば特別減税とは異なった観点から見直しをさせていただいているわけでございまして、午前中にも若干御説明をさせていただきましたけれども、前回均等割見直しいたしましたのは昭和六十年度でございます。十一年間据え置かれているわけでございまして、その間の国民所得等の推移、それからまた、均等割というものは、やはりそこに住んでおられる方々に等しく負担をお願いする、そういう性格のものでもございますので、今回、十一年間据え置かれておりましたその後のいろいろな情勢等も勘案いたしましてお願いをいたしておるものでございますので、御了解いただければありがたいと思います。
  100. 穀田恵二

    ○穀田委員 了解はしませんので、私は修正案を提起する次第なわけです。  ですから、先ほど御議論もありましたように、やはり低所得者層に一番打撃を与えるということは、これはだれもが認めているわけです。ですか ら、先ほどの質問も出たわけでして、私は、さらにそういう点を具体的に実行すべきだという立場から、その案を提案したいと思っています。  ただ、先ほど税務局長からありましたように、私はどうも、負担してこそ自治という考え方は違うのではないかということだけ、これは議論をしたいのですけれども、そんなに時間がありませんので、先ほど考えが違うとありましたけれども、等しく負担とありましたけれども、その考え方自身が私は違うのではないかと思っていることだけきょうは言っておきたいと思います。  次に、地方債の借りかえ問題についても若干お聞きしたいと思います。  既に御案内のように、地方借金というのは九六年度末で百三十六兆円ということになります。その中でも、地方も非常に御努力なすりていまして、起債の借りかえを行うなどの独自の努力をしています。来年度地方債計画では、借換債は百六十億円、昨年よりも三十億円アップです。これは結構なことだと私は思っています。しかし、公営企業債についても聞きますと、その残高の中で、利率が七・五%という高率のもの、七・五%を超えるものは私の計算では約一兆三千億円程度だと思うのですが、そのことを実際に補てんしていくという意味合いでいいますともう少しふやすべきではないのかということを思うのですが、いかがでしょうか。
  101. 遠藤安彦

    遠藤(安)政府委員 平成年度地方債計画における公営企業の借換債、御質問にありましたように百六十億円に増額をしまして、公営企業の経営の健全化と住民サービスの安定的な供給に資することとしているわけでありまして、これをもっとふやすべきではないかという御質問であります。金融情勢あるいは公営企業の経営の状況、それから一つには、これは公営企業金融公庫の部分でございますが、これの財務状況など多角的に検討をして、毎年度の借換債の額については適切に対応してまいりたいというように思っている次第であります。
  102. 穀田恵二

    ○穀田委員 どうもいつも、適切なという話で余り適切な処理をされたことがないのがあれだと思うのですが、それはさておいて、今までの経過を見ていますと、八八年度には、当時、前年度五十億円から一挙に二百九十九億円にふやした例もあるわけですね。したがって、金利が今低い。本当に低いわけですから、そういう中にあって、手だてを打つべき時期に今ちょうどあるのではないか。ですから、ふやす必要があるということを繰り返し私は言っているわけですね。ですから、過去の例にもならって、今こそそういうことをすべきではないのかと思うのですが、いかがでしょうか。
  103. 遠藤安彦

    遠藤(安)政府委員 確かに昭和六十三年におきましては、当時上水道事業の高料金対策が特に必要であったとか、あるいは下水道の資本費あるいは処理原価が著しく高額になっていたといったような背景がありまして、思い切った臨時の措置として、借換債を大幅に増額したところであります。その後は御案内のとおり、百億円程度の額でずっと推移してきて、最近、平成年度には百三十億円、平成年度は百六十億円というように増額をして、努力をしてきているということでございますので、適切に対応してまいりたいという言葉の裏には、そういう努力をこれからもしていきたいという意味を含めまして、御理解をいただきたいと思います。
  104. 穀田恵二

    ○穀田委員 これも議論をする時間がないわけですが、かつての八八年度とある意味では同じような、そういう時期に来ているのではないか、これ以上地方における借金がふえるというのは大変な事態になっているという、これは共通の認識になっているわけですね。しかも、それを打開する上で、重要な方策としてあるという意味からいって、私はこれを述べているわけです。  あわせて、この際に、縁故債につきましても、こういう借りかえについても政府として、地方自治体が行うものではありますけれども、後押しすべき問題ではないかというふうに私は思うのですが、これは大臣にちょっとお聞きしておきたいのです。
  105. 遠藤安彦

    遠藤(安)政府委員 ちょっと技術的な問題も含まれていますので、私からの御答弁をお許しいただきたいと思います。  民間等の縁故資金の借りかえでありますが、今縁故債の大体四分の三は証券発行形式による地方債でありまして、市場公募債を考えてみていただいてもいいわけでありますが、その流通性を確保される必要があるわけでありまして、既発債の期中での償還を伴う借りかえというのは市場における投資家の信頼を損なうというようなことから、今後の資金調達に大きな影響を与えるおそれもあるわけでありまして、むしろ慎重に対応すべきではないかというように考えております。  それから、証書方式の場合には、基本的にはこの引受機関との交渉によるべき事項でありますが、償還期限が到来しない時点における借りかえは、引受金融機関側にその資金コスト、あるいは将来金利が高水準になった場合における借りかえ問題といったような経営上の問題にもつながることがありますので、基本的に両当事者で慎重に協議を行うという必要があるわけでありまして、実際問題としてはなかなか容易なことではないというように思っております。  ただ、いずれにいたしましても、財政計画の上では、発行時点における標準的な金利、償還期間に基づいて元利償還金公債費に適切に算入していくというようなことで、基本的には地方財政運営支障がないように所要の措置を講じてまいってきている次第であります。
  106. 穀田恵二

    ○穀田委員 慎重にということですけれども、私は、今、地方自治体が銀行との力関係でそういう話し合いをしてやっていただくということが本来の筋だと思うのですね。  ただ、今お話がありましたように、七・五%を超える高利率の地方債借入金総額は、公営企業債に限って見ますと大体六千二百億円ぐらいなのですね。調べてみるとそんなものです。ですから、仮に一%下がりましても、それ自身でいえば六十二億円程度の利益が減るということであって、別になくなってしまうわけではないわけですから、そういう意味でいいますと、今日の地方財政の深刻な実態の中で、それはやはり積極的に推進してもらうという立場に本来自治省が立つべき筋だと私は思っています。  そこで、これはもう議論する時間がないわけなので、最後にこの問題に関連して、縁故債の話を私は今言いましたけれども、政府資金についてもこれは同様なんですね。ですから、じゃここは政府資金についても借りかえをするつもりがないかどうか。これは大臣、どうでしょうか。
  107. 倉田寛之

    倉田国務大臣 政府資金につきましては、民間金融機関からでは調達のできない長期資金を公的資金として提供いたしているものでございます。これに一般的に借りかえを認めることとした場合には、政府資金の運営に大きな影響を与えまして、また今後の長期で安定した資金を地方団体へ供給するという機能を損ないかねないこともございまして、慎重な検討が必要であろうというふうに考えております。個々の団体によります繰り上げ償還の必要性が極めて高い事情がある場合には、その事情に応じまして国庫当局とも協議をいたしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。  なお、地方財政計画におきまして、政府資金の元利償還金を実際の元利償還に応じて公債費に算入をするなど、高金利の地方債の元利償還により地方財政運営支障が生じることがないように、所要の措置は講じているところでございます。
  108. 穀田恵二

    ○穀田委員 先ほども言いましたように、供給するのに損なわれるような事態が生ずるほど、そんな影響はないと私は思っています。つまり、高利率の分についてはどうなんだ、こういうことで、全部あれしろと言っているわけじゃないのですね。さほど影響がないというのが私の見解です。ですから、これは見解を異にしますが、これから もまた議論をしていきたいと思っています。  最後に、固定資産評価審査委員会の中立性の問題についてだけお聞きしたいと思います。  二年前、土地、家屋にかかる固定資産税の評価がえが実施され、固定資産評価額が大幅にアップしました。これで、地価が下落する一方で、他方で税額が上昇したために、全国で約一万九千でしたか、それを上回る不服審査の申し出がありました。この件については、私一度お聞きしたことがあります。その上で、やはりこれほど多くの不服申請が上がることからしましても、固定資産評価審査委員会役割は極めて重大だと考えるところです。  ところが、納税者救済機関でありながら行政側の代弁者として振る舞うケースが多い、こういう批判が寄せられることがあります。なお、さらに一方では審査委員会の形骸化が指摘されている、こんなこともございます。したがって、この審査委員会の制度の趣旨からいっても、今抜本的な是正が必要と考えるわけですが、その点についての見解をお尋ねしたいと思います。
  109. 佐野徹治

    佐野政府委員 固定資産の価格につきましては、これは、市町村に設置されます固定資産評価員が評価をいたしまして、市町村長によって決定されるわけでございますが、固定資産課税台帳に登録されて一定期間関係者の縦覧に供されて確定する、こういう手続を踏んでおるわけでございます。  それで、固定資産課税台帳に登録された事項につきましての納税義務者の不服につきましては、固定資産の評価等、固定資産税運営のより一層の適正公平を期する、こういった趣旨から、これを市町村長において処理させることとはいたさないで、独立した中立的な機関によって審査、決定をさせる、こういうものといたしておりまして、市町村に固定資産評価審査委員会を設置する、これが制度の趣旨でございます。  審査委員会の審査の手続、記録の保存その他審査に関し必要な事項はそれぞれの市町村の条例で定める、こういうようにされておりまして、それぞれの市町村におかれましては、審査委員会の適正な運営を図るための努力を行っている、こういうように考えておるところでございます。  ただ、審査委員会の事務局が課税担当部局と同一である市町村が多く、中立性確保の観点から問題ではないか、こういった指摘も一部に見られるところでございまして、今後、自治省といたしましても、審査委員会の運用の実態の把握に努めますとともに、その運用が適切に行われるよう、必要に応じて検討してまいりたいと考えているところでございます。
  110. 穀田恵二

    ○穀田委員 今の点はぜひよろしくお願いしたいのです。  今ありましたように、資産の評価審査委員会のメンバーを、例えば政令指定都市をずっと調べてみましても、役所のOBというのが結構多いのですよ。役所というのは市役所という意味ですけれども、OBが多いのですね。しかも、これは税理士の代表それから建築関係の代表、こうなっているのですけれども、よくよく調べてみると、例えば都市計画の局長がそのまま上がったり、それから税の関係の役所の方が上がったりして、よくよく調べてみないとOBが混在しているというのがわからない実態がよくあるのですね。  ですから、それをよく調べていただいて、今お話があったように、独立の機関としての中立性という問題と、それから事務局があのように、実際に課税する方の人が、一説によりますと被告が裁判官を兼ねているようなものだというような意見まで出るぐらいひどいことがあるわけですから、その辺はぜひとも直していただきたいのですが、それは本当によろしいですか。
  111. 佐野徹治

    佐野政府委員 今お答え申し上げましたように、私どもといたしましても、審査委員会の運用の実態の把握に鋭意努めるように努力をいたしますとともに、その運用が適切に行われますように必要に応じて検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  112. 穀田恵二

    ○穀田委員 今述べましたように、委員の役職というのは当然各議会で承認されるものですから、その経歴などもぜひ調べていただいて、OBの役職者なんかも多いという実態に対しても警告を発していただきたいと思っています。  最後に一つだけ。今途中でお話ありましたように、固定資産税の値上がりは、実は借地人、借家人に非常に重大な値上がりをもたらしました。借地・借家人を利害関係人として認めて、固定資産税の台帳の縦覧、閲覧を実施すべきではないか、こういう声が高まっていると私は思います。このことについての見解だけ最後に求めておきたいと思います。
  113. 佐野徹治

    佐野政府委員 今、固定資産課税台帳には個々の固定資産につきまして評価額が示されております。地方税法では、固定資産課税台帳の縦覧につきましては関係者に縦覧させる、こういうふうに規定されておりまして、これは、私どもの方の解釈といたしましては、納税者だとかその代理人というふうに解釈をいたしております。これは、それ以外の者に対して縦覧をさせる、こういうことになりますと、納税者の意思に反しましてその財産上の秘密が漏れるおそれがある、こういうような趣旨から、今申しましたような考え方に立っておるわけでございます。  ただ、路線価の公開の問題につきまして、これはやはり納税者の方々の固定資産税につきましての御理解をできるだけいただく、こういった趣旨から、平成年度から路線価の公開を実施をいたしております。  今度の平成年度の評価がえにおきましては、市街地宅地評価法の適用地域につきましては、すべての路線価を公開するように市町村を指導しておるところでございまして、路線価等の公開、こういった措置を講ずることによりまして、納税者の方々の固定資産税に対します理解の促進にも資することになるのではないかと考えておるところでございます。
  114. 穀田恵二

    ○穀田委員 今もありました関係人ということですけれども、横浜市の公文書公開審査会の答申では、借地人というのは、実質的に税を負担する点で、やはりそういう納税義務者に準ずるのじゃないかということまで既に答申として出ています。しかも、さらに、今言いましたプライバシーに関する問題なんかもいろいろあるという意見に対しては、土地の問題として、特定個人の属性に関する情報ではないということまで既に言われているわけですね。ですから、そういう実態があるということもぜひ知っていただいて、私は、そういうものを閲覧をすべきだし、縦覧をすべき時期に来ている、また、かつてはそうあったわけですから、そうしていただきたいということを要望して、終わります。
  115. 平林鴻三

    平林委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  116. 平林鴻三

    平林委員長 この際、地方税法等の一部を改正する法律案について議事を進めます。  本案に対し、穀田恵二君より、日本共産党提案に係る修正案が提出されております。  修正案の提出者から趣旨説明を聴取いたします。穀田恵二君。     ————————————— 地方税法等の一部を改正する法律案に対する修正案    〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  117. 穀田恵二

    ○穀田委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨について御説明いたします。  我が党は、かねてから、国民の懐を直接温めて消費拡大を促す減税こそが不況克服の道であることを主張してきましたが、この立場から、住民税特別減税を評価するものであります。  しかしながら、この特別減税の恩恵は所得割納税者に限られ、均等割だけの納税者にはありません。また、これら均等割のみの納税者のほとんど は、固定資産税不動産取得税減税の恩恵をも受けられない人たちであります。政府案の住民税均等割の引き上げは、こうした低所得層が減税の恩恵を受けられないばかりか、新たな増税ともなるものであります。  修正案は、全体が減税の恩恵を受ける中で均等割だけの納税者が増税になるという事態だけはせめて回避しようというもので、住民税均等割を現行のまま据え置くことにいたしております。  何とぞ、慎重審議の上、御賛同いただきますようにお願いを申し上げて、説明を終わります。
  118. 平林鴻三

    平林委員長 以上で修正案についての趣旨説明は終わりました。     —————————————
  119. 平林鴻三

    平林委員長 これより原案及びこれに対する修正案について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  地方税法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、穀田恵二君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  120. 平林鴻三

    平林委員長 起立少数。よって、穀田恵二君提出の修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  121. 平林鴻三

    平林委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  122. 平林鴻三

    平林委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、穂積良行君外三名から、四派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨説明を求めます。富田茂之君。
  123. 富田茂之

    ○富田委員  私は、この際、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合及び新党さきがけの四会派を代表いたしまして、地方税法等の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により趣旨説明にかえさせていただきます。     地方税法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、地方団体の行政需要の増大、引き続く厳しい地方財政状況等にかんがみ、左の点についてその実現に努めるべきである。  一 今回の平成年度分固定資産税及び都市計画税の負担調整措置変更について、納税者に十分周知徹底を図ること。  二 地方税地方団体の重要な自主財源であることにかんがみ、地方団体地方分権推進等に伴って増大する行政需要に的確に対処し、地域の実情に即した自主的・主体的な行財政運営を行えるよう、地方税源の充実強化に引き続き格段の努力を行うこと。  三 固定資産税は、わが国の土地保有課税の根幹であり、自主財源としての市町村税の基幹税目であることを踏まえて制度の整備充実を図ることを基本とすること。また、平成年度土地の評価替えに当たっては、評価の均衡化・適正化を推進するとともに、最近における地価の変動をより的確に評価額に反映させるよう努めること。  四 税制の簡素化・税負担の公正化を図るため、非課税等特別措置については、引き続き見直しを行い、一層の整理合理化等推進すること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたしたいと思います。
  124. 平林鴻三

    平林委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  125. 平林鴻三

    平林委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、倉田自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。倉田自治大臣
  126. 倉田寛之

    倉田国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重し、善処してまいりたいと存じます。     —————————————
  127. 平林鴻三

    平林委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 平林鴻三

    平林委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  129. 平林鴻三

    平林委員長 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について議事を進めます。  これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。穀田恵二君。
  130. 穀田恵二

    ○穀田委員 私は、日本共産党を代表して、地方交付税法等の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。  反対理由の第一は、地方財政財源保障に対する国の責任を果たしてないからです。  八兆六千二百七十八億円という過去最大の財源不足に対して、国は一兆二百二十五億五千万円の借入金など財源不足額の一割強を負担するにすぎまぜん。一方、特別減税に伴う地方税の減収や交付税の減額の二兆八千七百四十五億円を初め、財源不足の七三・五%が地方の新たな借金で補てんすることになっています。しかも、国の負担の一兆二百二十五億五千万円の借入金も、本当に国が返済するという保証がありません。ことしの地方財政対策でも、繰り入れが決まっていた四千亘二十八億円が国の負担分に充当されたり、同じく八千三百十三億円が先送りされるなど、国の負担を大きく見せるためのさまざまな操作がされています。今後の地方財政対策の中で、形式的には国の返済という形をとりながらも、実態は何ら国の負担にならないという処理の可能性が極めて強いのです。そうでないというなら、少なくとも一兆二百二十五億五千万円は、国と地方の責任を明確にするとの理由でとられた現行制度のように、交付税特別会計を経由するのではなく、国が直接返済する方法にするべきです。  反対の第二は、今回の制度の改正交付税法第六条の三第二項の趣旨に反するばかりか、地方財政の悪化を一層促進するものとなっているからです。  地方財政は巨額の財源不足が生じ、九六年度普通交付税総額が需要額の六割に満たないという深刻な事態であります。今回の制度改正は、交付税法第六条の三第二項に基づくものとされていますが、九六年度限りの単年度措置であり、なおかつ政府自身が八四年度以降は行わないとした制度改正と同じもので、およそ法の求めている、構造的に生じている地方財源の過不足を解消するものとはほど遠い内容のものです。  交付税率引き上げではなくこうした制度改正を選択したことが地方財政の悪化を一層促進させることになったことを指摘しなければなりません。七八年度に始まり、今回で三回目となる制度改正は、財源不足額の七、八割を地方債の増発で補てんするなど、財源不足の補てんの大半を地方に押しつけてきたのが特徴です。その結果、交付税特別会計借入金地方債残高が急増、地方借金はこの五年間で倍増、九六年度末には百三十六兆円を超すことが見込まれています。この事実をしても、制度改正が、構造的に生じている地方財源の過不足を解消するものでなかったことは明白です。  反対理由の第三は、新産・工特財特法の延長 は、地方財政のむだ遣いを続けるものだからです。  新産・工特による立地政策の破綻は、今やだれの目にも明らかであり、事業計画の根本的見直しが求められています。対象を限定するとはいえ、財特法の延長は計画推進財政支援であり、地方財政が巨額の借金を抱え、その健全化、安定化が求められている中で、こうした浪費は直ちにやめるべきであることを強く求めて、討論とします。
  131. 平林鴻三

    平林委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  132. 平林鴻三

    平林委員長 これより採決に入ります。  地方交付税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  133. 平林鴻三

    平林委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 平林鴻三

    平林委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。     ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  135. 平林鴻三

    平林委員長 次に、地方財政に関する件について調査を進めます。  この際、虎島和夫君外三名から、四派共同提案に係る地方財政拡充強化に関する件について決議されたいとの動議が提出されております。  提出者より趣旨説明を求めます。山崎広太郎君。
  136. 山崎広太郎

    ○山崎(広)委員 この際、地方財政拡充強化に関する件につきまして、決議をいたしたいと存じます。  本件につきましては、理事会等におきまして、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合及び新党さきがけの四会派間で協議が調い、お手元に配付いたしてあります案文がまとまりました。  案文の朗読により趣旨説明にかえさせていただきます。     地方財政拡充強化に関する件(案)   地方分権の積極的な推進を図るとともに、現下の厳しい地方財政状況等にかんがみ、地方財政の中長期的な安定と発展を図り、地方団体が諸施策を着実に推進できるよう、政府は、次の事項について措置すべきである。  一 累増する巨額の借入金が将来の地方財政を圧迫するおそれがあることにかんがみ、地方税地方交付税等の一般財源充実強化により、その健全化を図ること。  二 地方交付税制度が地方団体財政需要に的確に応え、その機能の向上が図られるよう地方交付税総額の長期的な安定確保に努めるとともに、財政調整機能の充実を図ること。    また、地方交付税を国の一般会計を通すことなく、国税収納金整理資金から直接交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れる制度を検討すること。  三 地方分権を積極的に推進するため、地方団体への権限委譲、国の関与・必置規制の緩和や廃止、機関委任事務制度の抜本的見直し国庫補助負担金整理合理化等を図るとともに、国と地方役割分担に応じた地方税財源充実確保を図るほか、主体的に地方行政体制の整備・確立を図ること。  四 地方団体が個性豊かな活力ある地域づくりを自主的かつ主体的に推進するとともに、地域の実情に応じた生活環境及び住民生活に密着した社会資本整備推進することができるよう、引き続き地方単独事業の充実を図ること。  五 高齢化の進展等に伴う地域福祉の充実等の要請に適切に対応するため、引き続き地方団体が単独で行う社会福祉経費の一層の充実を図ること。  六 阪神・淡路大震災を踏まえ、地域の安全性を高めるための基盤整備、消防施設・設備の充実等推進するとともに、消防団についてより一層の活性化を図るよう努めること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたしたいと思います。
  137. 平林鴻三

    平林委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  これより本動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  138. 平林鴻三

    平林委員長 起立多数。よって、地方財政拡充強化に関する件を委員会の決議とするに決しました。  この際、倉田自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。倉田自治大臣
  139. 倉田寛之

    倉田国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を尊重し、善処してまいりたいと存じます。
  140. 平林鴻三

    平林委員長 お諮りいたします。  ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 平林鴻三

    平林委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  142. 平林鴻三

    平林委員長 次に、内閣提出参議院送付警察官職務に協力援助した者の災害給付に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  これより趣旨説明を聴取いたします。倉田国務大臣。     ————————————— 警察官職務に協力援助した者の災害給付に関する法律の一部を改正する法律案    〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  143. 倉田寛之

    倉田国務大臣 ただいま議題となりました警察官職務に協力援助した者の災害給付に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  国家公務員等について介護補償の制度が設けられること及び警察官職務に協力援助して災害を受け重度の障害のため介護を受けている者の実情にかんがみ、協力援助者災害給付制度に介護給付を創設して介護を必要とする協力援助者に対する給付の充実を図ろうとするものであります。  次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。  その改正内容は、警察官職務に協力援助した者に対する災害給付に、協力援助者が傷病給付または障害給付の給付の事由となった障害により必要な介護を受けている場合における給付として介護給付を新たに設けることとするものであります。  なお、以上の改正は、本年四月一日から実施することとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いいたします。
  144. 平林鴻三

    平林委員長 以上で趣旨説明は終わりました。     —————————————
  145. 平林鴻三

    平林委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。富田茂之君。
  146. 富田茂之

    ○富田委員 新進党の富田茂之でございます。  ただいま大臣の方から提案理由の御説明がございましたが、協力援助者に対する給付の充実を図 るということで、この趣旨にはだれも賛成なのですが、提案理由の中に「警察官職務に協力援助して災害を受け重度の障害のため介護を受けている者の実情にかんがみ、」という表現がございます。まだこの改正法ができていない段階で、これまでいわゆる協力援助法の対象者となっていて介護の対象にもなっているという方がおられるということだと思うのですが、今回この法改正がなされることによって介護給付の対象となる方がどのくらいいらっしゃるのか、またその方々がどのような協力援助を行ってどんな障害を負ってしまったのか、個人のプライバシーとかあると思いますので、差し支えのない範囲で御説明いただければと思います。
  147. 菅沼清高

    ○菅沼政府委員 お答えいたします。  今御質問のございました、現在介護を受けている者で今回の改正によりまして介護給付の対象になると考えられます者は全国で二名おられます。一人は新潟県の女性でございまして、これはがけ下に転落した車両の運転手を救助しようといたしましてみずからもがけから転落をして災害に遭ったわけでございまして、四肢が不自由で家族による常時介護を受けている方であります。もう一名は奈良県の男性でございまして、これは身元不明死体の遺留品の捜索に協力をした帰り道に車両から転落をして被災したという方でございまして、四肢が不自由で家族による常時介護を受けている。この二名と把握をいたしております。
  148. 富田茂之

    ○富田委員 この法改正により支給される介護費用の、金額的な補償になると思うのですが、支給額がどのように決定されるのか、今回の法案だけでは明らかでありません。いろんな資料をいただいたのですが、協力援助法の中に、給付の範囲や金額あるいは支給方法等というのを第六条で決定するというふうにされているようであります。国が行う場合には国家公務員災害補償法の規定を参酌して政令で定める、都道府県が行う給付については今の政令の規定に準じて条例で定めるというふうになっているようであります。この規定に基づきますと今回も政令等で定めていくというふうになると思うのですが、実際にはどのくらいの金額が予定されているか、そのあたりがもしあるようでしたら教えていただきたいと思います。
  149. 菅沼清高

    ○菅沼政府委員 お答えをいたします。  介護を受けている方についてどれくらいの額を支給するかということでございますが、国家公務員の災害補償法の規定に準じて定めているわけでございますが、各都道府県の条例ではおおむね国の定める政令によるとしているのが大部分でございまして、政令で定める額がそのまま条例上も適用される額になるだろうというように考えております。  人事院規則によりましてこの金額を定めることになろうかと思いますが、現在予定をしております額は、まず常時介護か随時介護か、常時といいますのは、基本的な動きがすべて他人の手助けが必要であるという場合でございます。それから随時といいますのは、多少は自力でできますけれども人の助けが必要となる場合が多くあるという状態でございます。この常時介護か随時介護か、さらに常時の場合でも民間の介護事業者に委託をしているか家族でやっているか、随時の場合もその二通りがあるわけでございますが、現在予定されております限度額は、常時介護であって民間の事業者に費用を支出して介護を受けている場合の限度額が十万五千八十円、それから、その間二つの段階がありますが、一番少ない段階、これは随時でありまして、かつ家族によって行っている場合、この限度額が二万八千五百三十円というように承知をいたしております。  また、それぞれの金額の定める根拠でございますけれども、人事院の方で検討している積算の過程といたしましては、民間の介護事業者に介護を依頼した場合の平均的な賃金とそれから介護日数等を勘案をして積算をした金額であるというように聞いております。
  150. 富田茂之

    ○富田委員 今、常時介護で民間に委託しているような場合でも最大限度が十万五千八十円ということですけれども、これは一般の介護に関する費用の常識からいいますととても月額に当たらない。厚生関係の問題で付添看護が今回廃止されますけれども、付添看護をしていただくにも今一日一万五千円から二万円ぐらい当たり前のように取られます。しかもそれは、常時介護の場合ですとその金額でやってくれないことが多い。そういうことを考えたとき、月額で十万五千八十円というのはいかにも少ないのではないかな。先ほど官房長の説明ですと、実際に新潟県と奈良県の男性と女性ですか、家族の介護を受けられているということで、この家族の皆さんの負担は大変だと思うのですけれども、家族にかわって民間の方に介護を委託した場合に十万円で実際できるのか、そのあたりの調査等はされたのでしょうか。
  151. 菅沼清高

    ○菅沼政府委員 警察で現在予定をしております二名の方につきましては、これは家族において今介護をしておられますので、どのくらいの経費がかかるのかということにつきましては具体的に調査をいたしておりませんけれども、公務員の災害補償法の規定に従ってそれに準じた形になっておりますので、人事院において検討された過程では、現実の介護費用などを勘案をして先ほど言いましたような積算によって定められたものであるというように承知しております。
  152. 富田茂之

    ○富田委員 人事院の積算の根拠についてもかなり疑問だと思いますし、特に本件については民間の方が警察行政に協力してくれて災害に遭われたというような、そういう方たちに対する介護給付を加えていこうというわけです。法の規定が国家公務員災害補償法に準ずるというような規定になっているので今の法律上はしょうがないと思うのですけれども、本来の公務員ではない、民間の方が協力して公務員と同じような障害を負った場合にそれを補償しようというのですから、できれば、準ずるではなくて、本当に民間の方が協力してくれてたまたまこういう障害を負ってしまった、そういう場合にはできる限りの補償をしていくのだというような視点から、法改正も含めてそのあたりもできれば検討していただきたいな。今回この介護給付が加わるということで一歩前進だと思いますのでこれは賛成いたしますが、そういう点も現実の介護の現場をきちんと掌握していただいて、介護給付が加わればいいんだよというようなことではなくて、もう一歩先に行くような制度の改正に向けて警察庁の方でも頑張っていただきたいなと思います。  次に、協力援助法ということで協力者に関する法案でしたが、これに関しまして、警察庁の方で犯罪被害者対策について基本方針をまとめたというふうに伺っております。ちょっとこの法案の関連ということでお聞きしたいのですが、報道によりますと、警察庁内に設置されておりました警察行政総合検討委員会が犯罪の被害に遭われた方、犯罪被害者の対策ということについて基本方針をまとめたということで、いろいろな新聞に報道がされておりました。  一番詳しいのを見ますと、例えば「性犯罪を受けた女性に対して婦人警察官による事情聴取を増やし、適正な捜査を進めるための性犯罪捜査指導官を置く」とか、あるいは「担当捜査員が被害者に捜査状況を知らせているかどうかを把握する一方、被害者からの問い合わせに応じる被害者連絡担当係を置く」、また、刑事手続きの流れや警察からの連絡事項、相談窓口などを書いた「被害者の手引き」といったものを作成して被害者に配付する、そのほか「必要に応じて、被害者のカウンセリングを行う民間団体を紹介する」、そういう意味では、今までどちらかというと捜査一辺倒だった警察行政で被害者の方にも先を当てようというような動きで、これは大変重要ではないかと思うのです。  今ちょっと新聞の報道を紹介させていただいたのですが、この報道によりますと七項目ぐらい大きな柱を決めたということなのです。今四つほど載っておったのですが、このほかにどんな具体策があるのでしょうか。
  153. 菅沼清高

    ○菅沼政府委員 お答えをいたします。  今回の被害者対策を重要な警察の方針、施策の中に取り込みました背景につきましては、今委員の方からお話がありましたとおりでございまして、犯罪の被害者が単に直接的な犯罪被害を受けただけではなくて、それに伴って精神的あるいは経済的な被害を受け続ける、そういう実情がございますので、そうしたことに対しまして、被害者の身近で一番密接なかかわりを持っている警察機関として必要な配慮をしていこうという観点から、警察行政総合検討委員会というものを設けまして、その答申に基づきまして具体的な施策を打ち出してきているわけでございます。  七項目につきまして項目的に御説明をいたしますと、一つは「被害者の手引き」、これは仮称でございますけれども、これを作成、配布する。内容につきましては、どういうようなサービスが受けられるのか、あるいは手続的にどういう手続が必要であるのかといった、被害者にとって参考になるようなことを項目として整理したものでございます。  それから、被害者連絡担当係の設置。これは被害者がその後被害者として引き続き受けるような恐怖感でありますとか、そういったものについて相談をする窓口をきちんと定めておくことによりまして、警察との連絡がしやすいような形をとっていこうというものでございます。  それから三つ目は、性犯罪捜査における婦人警察官による事情聴取の拡大と性犯罪捜査指導官の設置でございます。性犯罪特有の差恥心等もございますので、できるだけ被害者の立場に配慮した事情聴取、また専門的な知識を持っている捜査員による捜査をさせようということで、その中で婦人警察官を積極的に活用していこうというものでございます。  四つ目は、被害少年への支援体制の確立てございまして、従来、被害者が少年であったという形で処理をしていましたものを、少年が被害者であるということによって起こってくる特異な問題、そういったことを配慮して、少年に対する支援を積極的にやっていこうというものでございます。  それから五つ目は、被害者カウンセリング連絡体制等の整備、これは具体的に今後検討してまいりたいと思っておりますけれども、被害者が通常受けるような問題についてカウンセリングができるような体制をきめ細かく設けていこうというものでございます。  六番目は、捜査における被害者への対応に関する規範の整備やマニュアルの作成でございまして、これは警察において捜査の過程で被害者に配慮すべき事項等についてマニュアルを整備をして、警察官の日常的な活動の中に取り込んでいこうというものでございます。  それから七番目は、警察の被害者対策推進体制等の整備でございまして、例えば暴力的犯罪の被害者になった場合に後々までいろいろな恐怖感を持つ、あるいは警察へ協力したことによって受ける加害者側からの畏怖、そういったものについても十分な支援をすることによって、今後とも積極的な捜査への協力、また被害者の安全の確保といったものを進めてまいりたいというようなことでございます。  以上七つが、現在考えております柱でございます。
  154. 富田茂之

    ○富田委員 かなり数多く質問通告しておいたのですが、時間がありませんのでまとめてちょっと質問させてもらいたいのですが、今の御説明ですと、この七項目の基本的な柱というのは、被害者に対するある意味で各種の情報提供が一つ。もう一つは、これまでの警察の被害者に対する対応を改善していこうという観点からの施策というのが含まれていると思うのですが、特に被害者に対する警察の現場での対応という点で今一番注目を集めているのは、先ほど説明ありましたように、性犯罪の被害者に対する取り調べをどうやってやっていこうかということだと思うのですね。  一つは性犯罪捜査指揮官ですか、こういうものを設けるということと婦警さんによる取り調べをふやすということですが、ちょっと資料を見ますと、婦警さんは全国で六千五百人ぐらいしかいない。刑事捜査のできる婦警さんは五百人ぐらいだということになると、実際に性犯罪の被害に遭われた方の事情聴取ができる婦警さんというのは今そんなにいないと思うのですね。そういう婦警さんをどうやって数をふやすというのと、またどういうふうに訓練していくのか、そのあたりについてどういう考えがあるのか、これが一つ。  あと、性犯罪捜査指揮官というのは一体どんな役割を果たさせようとしているのか、これが二つ。  それから捜査の現場のマニュアル、被害者に対するマニュアルをつくるということでしたけれども、実際に被害者になって警察に行きますと、まるで犯人じゃないかみたいな扱われ方をするということが多いのです。私は議員になる前に弁護士をやっておりましたので、弁護士としても刑事事件を多く扱っていましたから警察へ行きますと、弁護士も犯罪者扱いされるようなことがよくありまして、国会の方に来て警察の幹部の皆さんとお会いして、どうも捜査の現場の一線の皆さんと違うな、実に皆さん紳士だし、きちんと対応してくださるのですが、これが弁護士とか被害者、あるいは犯人はもう当然ですけれども、そういう形で警察の現場へ行きますと非常に冷たい。実際、事情聴取されるような場所も、一般人から見ると何でこんなところでと思うようなところでの取り調べもありますし、現場の警察官の一言一言がかなり心の傷になるというようなこともあります。  そういう面も含めて、本当にこういう基本方針をまとめていただいたのは結構だと思いますので、現場の警察官の皆さんにどういうふうに被害者の立場に立って考えていくんだということを指導していくのか、そういう観点を持たれているのかどうか、まずその三つについて端的にお答えください。
  155. 野田健

    ○野田(健)政府委員 お尋ねの性犯罪の問題でありますけれども、性犯罪の捜査をいたします場合に我々としても非常に気を使っておりますのは、被害者の尊厳を傷つけることになりはしないか。被害者にさらに事情聴取をせざるを得ないわけでありますけれども、その過程で精神的な被害といいますか、負担をかけてしまう。そういったことのないようにしながら捜査をしてまいりませんと、一つは性犯罪というのは非常に潜在性が高いと言われます。その理由の一つとして、犯人に対する厳しい訴追意識の欠如ということではなくて、むしろこの事件が捜査をされ、そして裁判に出るということが非常に負担になるということが現にあるように思いますので、せめて捜査当局としては捜査過程においてそういった負担をかけないようにしていかなければならないというふうに考えているわけでございます。  そして、婦人警察官はまだ現在非常に数が少ないわけでありますけれども、性犯罪の被害者が警察の事情聴取により受ける精神的被害を緩和する上では、被害者が希望する場合には同性による事情聴取が望ましいというふうに思います。被害者の中には同性でない方がいいとおっしゃる方もありますので一概には言えないのですけれども、多くの場合には同性による事情聴取が望ましいと思いますので、捜査能力を有する婦人警察官を調達することが急務であるというふうに考えております。  このためには、既設の刑事登用の場合の、刑事任用の学校教養の充実であるとか、あるいは後ほど御説明したいと思いますが、性犯罪捜査指導官等の捜査幹部による指導、あるいは、現在やっております男子警察官が事情聴取を行う場合に、補助者として活用することによってその能力を高めるというような実務を通じた訓練をやっていきたいというふうに考えております。  性犯罪捜査指導官の方は、都道府県のこの事件を担当いたしますのは通常捜査第一課でありますけれども、捜査第一課に指導官の立場で置きまして、性犯罪の潜在化の防止あるいは被害者の精神的負担の軽減を図るなど、性犯罪捜査を適切かつ強力に推進するために性犯罪捜査全般の指導等を 行うことをその役割とさせたいというふうに考えているところでございます。  それから、犯罪被害に遭った人に対するマニュアルの関係でありますけれども、従来警察施設といいますのは何にでも使えるような施設ということでありますから、下手をいたしますと、取り調べをすることを最後の場としております鉄格子の入った取り調べ室で被害者の方にも来ていただいて被害の事情聴取をするというような施設の状況になっておりますので、こういった点につきましても、被害者意識ということを考えますと場所としても適当でない。今後は、プライバシーが十分に守られて、なおかつ、そういった犯人扱いをされていないということが明白な施設をつくるということも大事だというふうに考えております。  御指摘のように、犯罪の取り扱いによって、被害者であるべき人が被害者としての尊厳を傷つけられるというようなことのないように、十分配慮してまいりたいと考えております。
  156. 富田茂之

    ○富田委員 時間が来てしまいましたので、最後に、この件に関して私の意見をちょっと言わせていただきたいのです。  「被害者の手引き」の作成等についても、それは警察庁の内部で専門家の方が集まってつくられると思うのですが、実際に犯罪の被害者として警察で事情聴取を受けてこういうような思いをしたのだとか、そういう民間の方たちの協力も得て、今後、「被害者の手引き」をつくられるときにやられていったらどうかなというふうに一つ思います。  あと、今回の基本方針によって、これまで警察というのは事件解決優先だったと思うのですが、第一線の警察官の皆さんの意識が被害者のことも考えていくのだというふうに変わるかどうかが本当にこの基本方針のポイントだと思います。新聞報道には、マスコミを含めた民間が被害者の心の傷にどう対処するかが問われるというような署名記事もありました。本当にこのとおりだと思います。全国の警察では毎日毎日起こる事件をマスコミに発表すると思うのですが、その際にも、被害者の立場に立った記者レクとか、そういう配慮も本当に、ぜひ行ってもらいたいと思います。  以上で終わります。
  157. 平林鴻三

    平林委員長 穀田恵二君。
  158. 穀田恵二

    ○穀田委員 協力援助法の改正の問題の前に、坂本弁護士一家殺人事件に関連して一点だけお聞きしたいと思います。  報道によりますと、國松警察庁長官、あなたはこの事件に関連して、昨年の九月七日に記者会見で、「神奈川県警は必死の捜査を続けてきたが実を結ばなかった。捜査が終了した段階で誠実に反省、検討していきたい」、こう述べておられます。また一同じく「「初動捜査のミスがあったとの指摘があるが、警察庁として検討を加え、反省、教訓として他府県警に披歴したい」と締めくくった。」このように記事がございまして、記者会見の模様が報ぜられています。  きのうも、坂本さん御一家の納骨式があったりなどして、そういう意味でいいますと、多くの方々の関心をさらに集めて、今度の事件が、やはり捜査の問題についてどうだったのかということが、多くの方々の御意見が出ているところです。しかも、冒頭陳述などで見ますと、血痕だとかプルシャの問題が明らかになっています。したがいまして、一貫してオウムの犯罪を追及してきたジャーナリストの江川紹子さんなども、「犯行現場には明らかに犯罪の痕跡が残っており、初動捜査の遅れが残念だ」、こういうふうに述べられておりますし、同僚の弁護士の方々も異口同音に初動捜査のおくれと捜査のあり方に疑問を投げかけておられます。ですから、同じくこの記事で「もっと早く解決していれば、その後の事件はなかったと言われればその通りだ」、こういうふうに当時長官はお述べになっておられますが、今、国民の前にそれらの問題について改めて明らかにすべき時期が来ているのじゃないでしょうか。いかがですか。
  159. 國松孝次

    國松政府委員 私の新聞記事に関しましては、おおむねそのようなことを申したのは間違いがございません。  坂本事件につきましては、神奈川県警が必死の努力をいたしまして、昨年被疑者の検挙にこぎつけたわけでございます。もちろん、一般的に申しまして、一連のオウム真理教関係事件と申しますものは、日本の犯罪史上まれに見る大規模かつ困難な事件でございます。それだけの事件でございますだけに、一つ一つの事件、捜査の現場はそのときそのときの状況におきましてベストを尽くしておるわけでございますけれども、後になって考えれば、いろいろと反省をし、あるいは教訓とすべき事項が多々あるということもまた事実であろうと思います。そういったものにつきましては、我々捜査の実務にある者は、その時期が参りましたときに謙虚に反省をいたしまして、今後の捜査に生かすということが当然あるべきだろうと思っておりまして、そのことについては、坂本事件を含めまして、一連のオウム事件につきまして何も変わるところはございまぜん。  ただ、現在の時点につきましては、この一連のオウム真理教事件に関します特別に重要な被疑者として全国警察が追っかけております被疑者がまだ七名もおります。あるいは犯罪の被害に遭ったのではないのかなと思われる、元信者の方で行方のわからない方というものも多数おられるわけでございます。オウムの事件と申しますものは、昨年の上九一色村の教団施設に対する一斉捜索以来一年もたっておるわけでございますが、まだまだ捜査はこれからもやらなければならないという状況でございますので、現在の時点におきましては今申しましたような事項につきましての捜査を目下鋭意進めるべき問題であろうと思いますが、そういった事件が一段落いたしました段階では、やはりこの事件、我々として一種の総括をすべきであるということは間違いのないことであろうと思います。
  160. 穀田恵二

    ○穀田委員 今後ろの方からもございましたけれども、そういう意味でいいますと、これからも続ける、そういう事実認識についてはそのとおりだと思うのです。ただ、一段落したものですから、反省、教訓として、そういう意見が広範な国民の中にあるということもぜひ認識していただいて、処理していただきたいと私どもは思います。そのことだけは、ぜひお願いしておきたいと思います。ありがとうございます。  次に、協力援助法に関連して、一、二点だけお聞きしたいと思います。  私、この問題で聞きたいことの中心は、先ほどもございましたように、警察官職務に協力援助した方でそういう事故に遭われた方、被害者になった方が一定の給付をされるものとされているのだけれども、すべて認定されるのかということがどうしてもよくわからないのですね。だから、先ほどあったように、申請を受けて、法に基づいて認定されれば認定する、こういうやり方なんですね。結果として、そういう方で認定されなかった方は今までないのですか。どうしても気になっているものですから、そこをちょっと。
  161. 菅沼清高

    ○菅沼政府委員 お答えをいたします。  過去五年ほどの例から見ますと、協力援助法の適用になる方、つまり、警察官の要請によってあるいは要請によらないであるいは警察官のいないところで人命救助等の活動によってけがをしたりあるいは亡くなったりという方でありますが、亡くなる方が年間十人ほど、これはほとんどが水難救助等が中心でございます。それから、けがをされる方が二十三、四名というのが平均でございます。もちろん、警察に協力していただく方はたくさんおられるのですけれども、そのうちで亡くなったりけがをしたりという方が対象になりますので、数としてはこういう数でございます。  これにつきましては、今御指摘がございましたけれども、要請をした場合には、警察官が当然現場にいるわけです。それから、要請によらないでやった場合におきましても、事柄の性質上何らかの形でその事案を警察官が認知をするのが通常でございます。したがいまして、こうした亡くなっ たりあるいは障害を受けるというようなケースの場合には、ほぼ一〇〇%、我々は認知でき得るというように考えております。  先ほど言いましたような形で、過去年間三十数件、前年度の六年度におきましては三十二件を認知いたしておりますけれども、こうした例につきまして、過去も認知されなかったことについての不満でありますとかあるいはトラブルとか、そういったものは一件も私ども承知いたしておりません。
  162. 穀田恵二

    ○穀田委員 なぜこういうことをしつこく聞いているかといいますと、私は、議事録を調べてみたのですが、これは昭和五十七年に改正されていまして、そのときの議論の中でも、政府側はこんなふうに答弁しています。  まず、現場に何も残っていない場合には、結果的に認定が困難という場合もあり得る、こう言っているのですね。さらに、災害発生報告書を受けた警察本部長が法に該当するかどうか検討して認定すると。さらに、協力援助するのが相当だと判断されれば適用と答弁しており、つまり、その方が、相当だと判断されないのだけれども協力したという場合も当然あるわけですよね。そういうことは当然、こういうことを認めないのじゃないかということを暗に答弁しておられるから私はわざわざ聞いているのですよ。  しかも、もう一つ、質問の側の方でも、委員の方々から出ているのですね。その内容は、こう言っているのですね。「給付の請求が行われて、この資料を見ましても、認定されない事案もあるようです」、こう述べておられるのです。さらに、「被害に遭ってみなされなかった者の救済措置はどうなるのか。」こう質問もしているわけです。  つまり、そういうことを想定されているということを、それぞれの、質問の側からもそれから答弁する側からも同じことがやはり想定されているということがうかがえるから聞いているのです。それは大丈夫ですか。
  163. 菅沼清高

    ○菅沼政府委員 お答えいたします。  今御指摘にございましたやりとりは、当時、金澤政府委員の方から答弁をした関係のことであろうというように思います。そのときもこれは観念的な問題としていろいろ議論はしたようでございますが、要するに、全く何の痕跡もないというのは、その協力援助をした人が生きておれば、これは当然痕跡があって、申し立てがあるわけでございますね。亡くなった場合で、相手もいないというケースだけが考えられるのですけれども、観念的には考えられますけれども、それはやはり事件という形で警察が認知し得るのが通常ではないかというように考えておりますので、まず、実態としてはほとんどそういうことは起こり得ない、観念的にはともかくとして、実態としては起こり得ないのではないかと思います。  それから、もし不満等があった場合には、これは当時も答えておりますけれども、異議の申し立てあるいは不服審査ということで対応できる仕組みになっております。
  164. 穀田恵二

    ○穀田委員 それで、さらにまた、しつこいのですけれども、これは被害者の方の救済にかかわる問題で、一言だけ私の意見を言いますと、つまり、犯罪被害者等に対する救援活動ということで、例の通り魔殺人だとか爆弾事件等の故意の犯罪行為によって不慮の死を遂げた被害者に対する救済措置がありますね。それなんかを見ますと、当時、六十三年版の警察白書には件数も全部出ているのですよ、その後ずっと消えているのですがね。それを見ますと、不支給者が八十五件ばかりあるのですよ。  だから、私は、そういう問題について裁定を、判断し決める場合、それを単に警察が全部するのではなくて、これでいいますとやはり国家公安委員会、県の公安委員会なんかがやっているのですね。ですから、そういう意味でいいますと、救済されるような、また客観的な制度的保障というのはある意味でつくる必要があるのではないかということが私の意見です。そういうことをぜひ踏まえていただいて処理していただきたいと思います。
  165. 菅沼清高

    ○菅沼政府委員 お答えいたします。  今御質問のございました犯罪被害給付制度の関係につきましては、過去、これは昭和五十六年からの施行でございますけれども、裁決、支給裁定された者が三千四百九十五人に対しまして、現在まで、先ほどは六十三年の統計だと思いますが、現在までに不支給の裁定を受けた者が確かに百六十五人おります。ただ、これは制度上、犯罪であること、それから故意であることが前提でございます。  それから、支給申請がございましても支給がされない場合の大部分のものが、ほかに公的補償を受けている場合。例えば、新幹線の中で薬物中毒者に刺し殺された事件がございました。あれは労災の認定と同時に申請をしておりまして、労災認定がされますと、その方がずっと手厚いものでございますから、その場合には、いわゆる一種の社会的お見舞金制度でございます犯罪被害給付金は支給されません。この不支給者のうちの大部分は、ほかに公的な給付を労災とか公務災害で受けている場合か、あるいは損害賠償を加害者から受けている場合でございまして、これは制度上そういう形になってくるわけでございまして、判定が恣意的とかあるいは不十分だということではないというように思っております。
  166. 平林鴻三

    平林委員長 これにて質疑は終局いたしました。     —————————————
  167. 平林鴻三

    平林委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  警察官職務に協力援助した者の災害給付に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  168. 平林鴻三

    平林委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  169. 平林鴻三

    平林委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  170. 平林鴻三

    平林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時六分散会      ————◇—————