○加藤(万)
委員 地方行政委員会で
質問に立ちますのは何年かぶりでございまして、ここ二、三回
地方行政委員会でともに勉強させていただく中で、きょうもそうですが、感じたことをそのまま大臣並びに自治省の皆さんに申し上げておきたいと思います。
ちょうどタイムカプセルに私は入ったようなものでして、今から十年近く前は今の
財政状況と全く同じような
状況でございました。したがいまして、
交付税法六条の三の二項なんという話はしょっちゅうございました。これは、私はいい
意味で与野党の緊張関係をつくったと実は思っているのであります。なぜ六条の三の二項、いわゆる
地方団体における
財源不足がこうして起きたのか、しかもこの
財源不足をそのまま放置をするということがどれほど
地方団体にとって苦痛であり、また当時起きておりました新たな
分権の行政、そういうものの執行に
支障があるか、こういう観点から与野党通しまして
財源不足、六条の三の二項という問題は大変大きな
議論になったのであります。私、ここに出ておりまして、六条の三の二項の問題が皆さんの
質問あるいは相互のやりとりとして非常に出たのは、きょうのこの会合とこの前の
委員会のときに感じまして、なぜ日常的にこの問題が出なかったのだろうかというのが一つの感想でございました。
二つ目の感想は、これほどの大変な
財源不足一これは国、
地方もそうでありますが、これに対して私
どもはまだ少しく楽観的な目で物を見ているという嫌いがあるのではなかろうか。と申しますのは、やはりバブル
経済時代における税収というもの、あるいはその間に、先ほど
財政局長からも御
答弁がありましたが、
財源対策債の
償還をするとか、あるいは各
地方団体でいえば積立金制度で、それぞれ予想以上に税収が多かったものですからそれで乗り切るとか、さまざまな手段、いい
意味でいえばそれが自信となって今それぞれの行政の中にある、この自信が逆な
意味で過剰にならなければ、こういう気がいたします。これだけ
借金しておるけれ
ども、やがて
景気の
回復が行われ、バブルという
状況は起きないにしても、税収を基礎づける
景気動向というものが生まれれば、それなりに
財源の不足ないしは起債の
発行、国債の
発行などの処理もできる、こんな感がもし少しでもあるとするならば、これは極めて危険な要素として見ていかなければならないのではないでしょうか。
私
どもは、ちょうど一サイクル前に
財源不足が生じたときには、まさかそういう
状況が現実に起きるとは思いませんでしたから、大変シビアに物をとらえたものであります。例えば、
財政状況がよくなってまいりまして、各
地方団体で
建設、箱物と言われる事業が起きました。そのときに当
委員会での一番の焦点は何があったかというと、もちろん箱物そのものに対するさまざまな
指摘もございましたけれ
ども、これを
維持管理をするのにどういう将来の
財源の保障ができるのだろうか。例えば下水道事業もそうですが、下水道事業そのものは伸ばせ、野党も、私
ども野党でありましたけれ
ども、伸ばしなさい、しかし同時に、下水道を常時管理をするためにはどういう人とどういう機能が必要になってくるのか、そこに
財源がどのように必要になってくるのかということも並行的に
議論がされたものであります。
すなわち、私は今の
財源不足という問題が、先ほどから今日でいえば野党側の御意見も拝聴いたしましてなるほどと思う視点がありましたけれ
ども、今言ったようなことが、タイムカプセルから出てきました私が感じたことがこれからの
議論としていわば与野党通して国、
地方財政の健全化という方向に向かえば、極めて私なりの所感を述べた意義がある、そんな感じがいたします。
これは大臣並びに自治省の皆さん方にも、今はたからこの
財源不足という問題を含めて見られているという、そういう中に置かれているということを十分配慮して、これからのさまざまな国、
地方の関係を含めての指導といいましょうか、あるいは国の政治のあり方というものをぜひ考えていただきたい、かように思います。
そこで第一の
質問ですが、
地方交付税の
財源不足の問題について、六条の三の二項をもって
平成八
年度、それぞれ不足額を国、
地方で折半をする、こういうことをお決めになり、今日提案をされております。
昭和五十九年のときですが、私はこの問題を当時の田川自治大臣とやりとりをいたしました。国の側、大蔵省の側からいうと、当時、制度の
改正という形で新しく
交付税法附則三条が用意をされまして、
委員会で論議がされました。私はそのときに、これは
制度改正ですか、それとも今までのありようを一つ変えただけですか、手直しですか、こう言いましたら、当時の自治大臣の田川さんは、これは手直しです、こうおっしゃいました。大蔵大臣の竹下さんは、これは制度の
改正で
ございます、こう述べました。らちが明きませんから、私は予算
委員会で当時の中曽根総理に、一体どちらなんですか、こう聞きましたら、それは富士山を駿河湾から見たのと相模湾から見たのとの違いでしょう、こういう
答弁がございまして、そんないわゆる冗談みたいな
答弁では困ります。
例えば、今日
地方分権の問題で機関委任事務等が非常に論議をされていますけれ
ども、今機関委任事務と
団体委任事務というものを区分けをして
議論されている人があるでしょうか。これも当時としては極めて重要な
議論になったのであります。機関委任事務という問題と
団体として国が
地方に委任する事務とは違う。中曽根さんは、富士山を駿河湾から見るのと相模湾から見るのとの違いだ、こうおつしゃったけれ
ども、それはお答えにならぬのじゃないですか、
団体委任事務、機関委任事務を一つとってもそうですよ、こんなやりとりをしたことを今思い出すのであります。
事ほどさように、今度の
交付税で六条の三の二項によって、双方で折半をして特会から借り入れをする、こういうことですが、当時のこと、これは
財政局長が一番御存じかもしれませんが、このやりとりのときに附則三条ができたのは一体どういう経過、どういう背景があったのでしょうか。それと、今回この
措置をとられた関係はどういうふうに位置づけられますか。