○山口(鶴)
委員 地方行政委員会で質問に立ちますのは四年ぶりでございまして、大変懐かしく存じます。ただ、今、国会が大変異常であることを私残念に思います。
私も長い間議運の
理事として、あるいは国会
対策委員長として、書記長として国会運営に携わってまいりました。何か、昨日イギリスの下院議員が国会にお見えでございまして、第一
委員会室前でのこの座り込みの
状況を見まして、我が国の国会ではこのような
事態はない、こういうお話をされたということを本日の新聞で拝見いたしました。
実は、古い話でございますが、かつて我が国のあの憲政記念館でイギリスの議会史展を行ったことがございました。そのときに、極めて異例なことだそうですが、開会中にもかかわらずイギリスの下院議長のロイドさんが日本においでになりまして、議会史展のテープカットをいたしたのであります。そのときは中村梅吉議長でございました。ところが、その後、野党をだました云々というような発言が問題になって議長をおやめになり、そしてその後、前尾繁三郎先生が議長に就任をいたしました。前尾先生は、みずからの信念として党籍離脱を行って、いわば無所属の議長として円満な議会運営に非常な貢献をされたことは皆さんも御
案内だろうと思います。ただ、そのときにイギリスのロイド議長が、私は何という幸せ者か、わずか一週間の短い滞在中、二人の日本の衆議院議長閣下にお目にかかることができた、こういう話をされたのであります。
私は、当時、議運の
理事として、何たる皮肉であるか、我が国の国会はもっと国会の権威を高めなければならぬ、そのためには、イギリスのように議長の権威を高めることが重要であるというふうに思いました。以来、私は、議運の
理事として、先ほど申し上げた党の役職の一人として、この議長の権威を守る、国会の権威を守るということに微力を尽くしたつもりであります。
そうして、かつてロッキード問題で四十五日間国会がとまったことがございました。しかし、そのとき、前尾議長が議長裁定をお出しになりました。その裁定に対して、与党も野党も大多数の党がそれで了解をいたしたのであります。議会制民主
政治を守ろうとする政党であるならば、議長が下した裁定、あっせんあるいは見解、
要請というものに対してイエスと言うのが、私はこの議会制民主
政治を守るべき政党の任務である、かような信念を持っております。私は、そういう
意味で、議会制民主
政治を標榜する政党であるならば、一日も早くこの国会の正常化に前向きに対処いただくことを心から期待をいたす次第であります。
我が党は、かつてさまざまな国会戦術をとったことがありましたが、議長さんの今のような
要請に対しては一度も拒否したことはなかったということを、私はこの際、申し上げておきたいと思う次第であります。
さて、
地方の
時代と言われて久しいわけであります。私も、総務庁長官
時代、ここにおいでの先生方の御協力をいただいて
地方分権推進法の
成立を見ることができたことを、
政治家として本当に幸せであったと心から感激をいたした次第でございました。
そこで、これからは、権限も問題でしょうけれ
ども、私は、
財源がやはり重要ではないかと思います。
かつて私、
地方行政の
理事をいたしておりましたとき、もう古い話でありますが、一九六九年、
地方行政委員会に、当時の福田大蔵
大臣に
出席をいただきました。
地方交付税とは一体いかなる性格のものであるかという論戦をいたしたのであります。そのときに福田大蔵
大臣は極めて明快な答弁をなされました。この
交付税が、国税三税を対象にし、その三二%ということになっておる、これは法律で決まっております。これはどうしても
地方に行かなければならないお金であります。そういう
意味において、このお金は
地方自治団体の権利のあるお金であり、そういう
意味において、固有の
財源であり、また、自主
財源である、かように言い切ったのであります。大蔵
大臣としてこのように言い切ったのは、福田大蔵
大臣が初めてでございました。
以来、そういうことで確定をいたしておったと思うのですが、私はたまたま四年前に
地方行政委員会に来ておりまして論議を聞いておりました。我が党の中沢
委員がこの問題を繰り返して論議をいたしました。当時の塩川
自治大臣はさすがに見事な答弁をいたしました。「国が
地方にかわって徴収する税である、私はそう認識しておりまして、これはあくまでも
地方の固有の
財源である、こういう認識であります。」こう明確に言い切ったのであります。
ところが、そのとき同時に
出席しておりました羽田大蔵
大臣は、大蔵省の役人に遠慮したのかどうか、大蔵省の役人を抑える力がなかったのかどうかわかりませんが、極めてあいまいな答弁に実は終始をいたしたのであります。私は極めて残念でございました。
地方自治確立に極めて強い熱意を持っておられる
倉田自治大臣の見解をまず伺いたいと思います。