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1996-03-14 第136回国会 衆議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月十四日(木曜日)     午前十時三分開議  出席委員   委員長 平林 鴻三君    理事 虎島 和夫君 理事 穂積 良行君    理事 畠山健治郎君 理事 田中  甲君       石橋 一弥君    稲葉 大和君       栗原 裕康君   田野瀬良太郎君       中馬 弘毅君    西田  司君       村田敬次郎君    山本 公一君       緒方 克陽君    輿石  東君       山口 鶴男君    山下洲夫君       穀田 恵二君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会 倉田 寛之君         委員長  出席政府委員         警察庁長官官房         総務審議官   山本 博一君         警察庁刑事局長 野田  健君         警察庁警備局長 杉田 和博君         自治大臣官房長 二橋 正弘君         自治大臣官房総         務審議官    湊  和夫君         自治省行政局長 松本 英昭君         自治省行政局選         挙部長     谷合 靖夫君         自治省財政局長 遠藤 安彦君         自治省税務局長 佐野 徹治君         消防庁長官   秋本 敏文君  委員外出席者         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課長   三本木 徹君         地方行政委員会         調査室長    黒沢  宥君     ————————————— 委員の異動 二月二十九日  辞任         補欠選任   貝沼 次郎君     川島  實君   永井 英慈君     笹川  堯君   福留 泰蔵君     安倍 基雄君   山名 靖英君     愛野興一郎君   米田 建三君     伊藤 達也君 同日  辞任         補欠選任   安倍 基雄君     福留 泰蔵君   愛野興一郎君     山名 靖英君   伊藤 達也君     米田 建三君   川島  實君     貝沼 次郎君   笹川  堯君     永井 英慈君 三月十四日  辞任         補欠選任   谷  洋一君     稲葉 大和君   加藤 万吉君     緒方 克陽君   山下洲夫君     輿石  東君 同日  辞任         補欠選任   稲葉 大和君     谷  洋一君   緒方 克陽君     加藤 万吉君   輿石  東君     山下洲夫君     ————————————— 三月十三日  固定資産評価替えに関する請願岩佐恵美君紹  介)(第三四八号)  同(佐々木陸海紹介)(第三四九号)  同(中島武敏紹介)(第三五〇号)  同(東中光雄紹介)(第三五一号)  同(不破哲三紹介)(第三五二号)  同(藤田スミ紹介)(第三五三号)  同(矢島恒夫紹介)(第三五四号)  固定資産評価替え反対等に関する請願穀田恵  二君紹介)(第三五五号)  同(寺前巖紹介)(第三五六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ————◇—————
  2. 平林鴻三

    平林委員長 これより会議を開きます。  開会に先立ち、事務局をして新進党所属委員に対し出席要請をいたさせましたが、御出席いただけません。  再度理事をして出席要請をいたさせますので、しばらくお待ち願います。  新進党所属委員出席要請いたしましたが、いまだ御出席いただけません。やむを得ず議事を進めます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。穂積良行君。
  3. 穂積良行

    穂積委員 御承知のとおり、平成年度予算審議は、新進党の理不尽かつ不法な委員会占拠という事態によってストップしております。この平成年度予算は、現在の景気回復という重大な政治課題に深くかかわっている問題でありますから、これをできるだけ早期に成立させなければ大変なことになりかねない。そういうような状況の中で、新進党の態度はまことに遺憾であります。本来ならば、この委員会でも、新進党の諸君が出席されるならば、後ろを向いてその辺をきっちりとお話ししたいところでありますが、まずそういう所感を申し述べます。  その国の予算でありますが、平成年度国債残高が二百四十一兆円になろうということであります。国の財政も大変ですし、地方公共団体借入金も、おいおいこれは質疑をいたしますが、地方債企業債、また交付税特別会計借入金などを含めて、平成年度末には総額百三十六兆円になろうという状況であります。叫ばれている地方時代地方分権ということも、地方財政基盤がしっかりしていないのでは、地方の自立ということもこれはどうかということになると思います。そういう意味では、地方財政の現状それから先行きについて、このような年度末百三十六兆円になろうという借入金見通しなどを私どもは深刻に受けとめなければならないと思うわけであります。そのようなことで、今後、地方財政健全化をいかに進めるかということを基本の問題として、当局の所信を問いただしたいと思っております。  そこで、平成年度地方財政計画をつくるについてもいろいろと工夫をし、苦心したのではないかと思いますが、その辺について、まず事務当局から御説明をしていただきたいと思います。
  4. 遠藤安彦

    遠藤(安)政府委員 お答えを申し上げます。  平成年度地方財政対策は、財源不足が全体で八兆六千億ほどあるということでありまして、大変深刻な事態であったわけであります。この対策については、柱が二つあるわけであります。  第一の柱は、減税に伴う地方財政への影響であります。すなわち、所得税住民税先行減税を引き続き実施するということでございますので、この減税に伴う減収をどう補てんをするかということでありますが、これは、御案内のように、平成年度、七年度、既に同様の措置を講じておりますので、これまでの措置に準じて、減税補てん債の発行あるいは交付税特別会計借り入れといったようなことによって減税補てん措置を講じることとさせていただきました。  もう一つの柱が、地方財政通常収支についての財源不足であります。地方税はほとんど伸びが見込めない、地方交付税も同様、むしろ一般会計からの繰り入れでは前年度を下回るというような状況の中で、平成年度平成年度に引き続きまして約五兆七千五百億の大幅な財源不足が生じる見通しになりました。  これについては、やはり地方団体財政運営支障を生じさせないということを第一に考えなければならないということであります。ただ、ことしの場合は、大幅な財源不足が三年目になるというようなこともございまして、地方行財政制度改正というようなことも視野に入れてこの対策を講じなければならないということになったわけであります。  最終的には、国の一般会計から法定加算あるいは臨時の特例加算、両方合わせて約八千数百億になるわけでありますが、そういったものを行うほか、借入金償還財源について国が将来負担をしていくということも明らかにするというような措置、それから、地方独自の交付税特別会計における借り入れというようなことによってこの通常収支不足について財源補てんをする。それから、建設地方債、これは財源対策債でありますけれども、これにつきましてもできる限りの措置をしていくというようなことによって五兆七千五百億の通常収支不足補てんをしていく。借り入れ部分も多いわけでありますけれども地方団体が望んでおりました地方交付税総額もある程度確保できたというようなことになったことでございます。
  5. 穂積良行

    穂積委員 借入金残高一つをとっても、これまでの地方財政というものの推移を見ていますと、これはもうとにかくふえにふえ続けているという状況ですね。ここに表がありますが、これは十年前の昭和六十一年度では六十兆円、さらにその約十年前の昭和五十年には十四兆円という額だったですね。バブルと言われる現象は昭和六十年から六十三、四年にかけての時期でありますが、それを間に挟んで、バブル崩壊が顕著になった平成三、四年、特に四年度以降、この借入金が累増する状況になったわけであります。  私は、自治政務次官平成三年ごろに務めさせていただきましたが、そのころはバブル推移の中で、国も地方予定以上に各種税が入りまして、予定外税収というものを使って、一部はそれまでの累積する地方債の繰り上げ償還等に使い、また一部は地方公共団体要請に応じていろいろと、先ほど言いました地方時代をしっかりとするための積極的な予算を編成させた、こういう経過があります。バブルの時期には随分、そういう意味では、財政面では当局も、まあ表現は問題かもしれませんが、いい思いをしたような感じがいたします。  ところが、こうしたことが長続きするわけがない、バブル崩壊だ、税収が減に転ずる、予定税収が実現できない。税収減は補正で始末するみたいなこともありましたが、そうした経過を見ておりまして、これについても実情をここで一度おさらいした方がいいんじゃないかと思います。  そこで、バブルの膨らむ時期、それからこれが崩壊し、しぼんでしまう過程において、地方税また地方交付税状況推移というものを明らかにした方がいいと思います。まず、当局から、地方税の主要な税目、例えば地方法人事業税あるいは住民税などの税収変遷など、今御質問した趣旨に沿った説明をしていただきたいと思います。
  6. 佐野徹治

    佐野政府委員 いわゆるバブルのころから現在におきます各年度地方税収増減状況、これは地方財政計画のベースの決算額地方財政計画額比較をすることによりまして、一定の傾向を見ることができるのではないかと思います。もちろん、この差というのがバブル影響によるものであるかどうか、ここははっきりしたことは申し上げられないということにつきましては、あらかじめ御理解をいただきたいと思っております。  それで、昭和六十二年度、このころからの決算額とそれから地方財政計画額比較をいたしますと、昭和六十二年度から平成年度まで、今穂積先生からお話ございましたように、このころは決算額地方財政計画額を上回っております。それで、この昭和六十二年度、六十三年度平成年度、それから二年度、三年度、この五年度合計で申しますと、決算額地方財政計画額の差というのは約十兆五千億円ございます。このうち大きなものといたしまして、これは割合で申しますと、法人住民税それから法人事業税、いわゆる法人関係税でございますけれども、先ほどの十兆五千億円のうちの三八・五%を法人関係税が占めておる。それからまた、個人住民税が三六・七%。この二つが、先ほどの決算額地方財政計画額の差の大きなウエートを占めているということが言えるのではないかと思います。  また、平成年度から六年度まで、決算平成年度まで出ておりますので、この三年度の数字を見ますと、決算額地方財政計画額を下回っております。この合計が約二兆一千億円でございますけれども、この減となった要因は、法人住民税それから法人事業税といった法人関係税が大幅に落ち込んだということによるものでございます。
  7. 穂積良行

    穂積委員 今お答えがありましたように、バブル過程で十数兆円の税収増といいますか、それで地方財政の編成には本当に楽な感じだったということがありますね。それで、バブル崩壊に伴って、今のところは二兆円前後予定税収を下回るという状況ということでありますが、国はもちろん、これはしっかりとあのバブルの最中から終わるころにかけて税収増を実現した。地方財政でもそうです。固定資産税などはタイムラグがありますから、あのバブルの時期に地価が上昇して、それを評価がえして、それがいずれ固定資産税税収増につながっていくということがありますが、それはグラフとしてはタイムラグで出てくる話でしょうが、それにしても、バブルでこれはこういうことだったということですね。  それで、国税はその数倍の規模でバブルの恩恵をといいますか、これは言葉としては語弊がありますよ、税収増があったということからすれば、このバブル崩壊に伴って、まことに遺憾なことであるが、日本経済危機に瀕し、その危機を未然に防止するために、金融秩序を立て直すために、銀行筋やあるいは農協系統など関係筋に、何とかしろ、話し合いできちっと始末をつけろということは当然でありますが、話をつけさせるために、国の立場において、きちんとこういう方向で話をつけろという、まあ仲介的な役割を担わざるを得なかったのが住専問題の経過であります。  そこで、私は、地元などには言うんですが、この住専問題の始末のために政府が口を出す、出さざるを得ない状況だったという中で、口だけでなしに金も出さざるを得なかった、それが六千八百五十億ということですね。バブルの時期に地方レベルで十数兆円、国を合わせると数十兆円税収増があったということからすれば、国が一兆円弱の六千八百五十億円の口出し料といいますか問題解決費として出しても罰は当たらない、こういう状況じゃないか、それが国全体のそれこそ経済を円滑たらしめるための必要なる措置であった、こういうふうに思っておるわけです。  そんなことを考えておるんですが、これについて、地方税の先ほど御説明のあったような事情を踏まえて、国務大臣として自治大臣からもこの住専問題についての考え方を、地方税財政を預かる立場からもそういうことではないかというふうに私は思いますが、その辺についてのお考えをお伺いしたいと思います。
  8. 倉田寛之

    倉田国務大臣 今回の住専処理策につきましては、閣僚の一人といたしまして、現時点でとり得る対応策として適切なものであるというふうに考えております。なおまた、国民の皆様の御理解をいただくように引き続き努力をする必要があろうというふうに考えておるところでもございます。  なおまた、国家公安委員長という立場で申し上げるならば、不良債権の取り立てであるとか処理を行う過程における刑罰法令に触れる行為が認め 場合におきましては、警察としては、貸し手借り手を問わず厳正に対処をしていくものというふうに承知をいたしているところでございます。
  9. 穂積良行

    穂積委員 住専問題の処理に当たって警察組織にどのような役割を担っていただくかについては、後ほどまた質問させていただきたいと思っています。  まず、地方財政問題ですが、このような百三十六兆円の借入金残高を抱えるに至っているこの問題を今後本当にどのような方向処理していくかといいますか、地方財政健全化をどう目算を立てて実行していくかということが今後の重大課題、言うまでもないことだと思います。  そこで、これはいろいろ経済変遷の中でどうなるかという不可知部分がありますから、難しいということは承知しております。ただ、経済成長が緩やかな形で続くとした場合、これは緩やかな経済成長では容易ならざる額ですね。片や、不幸にして例えば経済がたがたになったりしたら、これはもうどうしようもない状況になる。がたがたのありようも、例えばインフレの状況や何やらで名目的な税収や何やら上がるような状況になった場合ということも、将来あるかどうかはわかりません。しかし、余り想定してはいけない経済の混乱というようなことなしの地方財政健全化方策としては今後こうしたいというようなことを、やはりこれは筋立てよく考えておく必要があるのじゃないかと思いますが、この辺について事務当局はどんなことを頭に置いているか、御説明いただきたいと思います。
  10. 遠藤安彦

    遠藤(安)政府委員 御指摘のとおり、平成年度末で百三十六兆円という多額借入金を抱える見込みとなっているわけでありまして、私ども地方財政は大変厳しい状況に置かれていると思います。  ただ、委員指摘がありましたように、これから地方時代あるいは地方分権時代というようなことで、やはり住民に身近な地方団体住民に身近な行政というものを充実していかなければならない、そういう大事な役目地方団体にはあると思いますので、これからも地方団体のそういう役目が果たせるような財源というものを確保していかなければならない、その中でこういう多額借入金をどうするかということであります。  御指摘がありましたように、やはり私どもは、経済対策のために地方団体も協力をして借入金がふえたという面もありますので、第一義的には、委員指摘のような適切な経済成長というものがあって、それが地方税交付税にはね返っていくということが大変重要だろうと思います。  したがって、新たなこういう借入金をできるだけふやしていかないような、そういう施策というものを考えていかなければならないし、それから、既に借り入れたものについては、これは償還計画がありますから、この償還地方財政計画の策定を通じてきちんと償還をして、借入金を身軽にしていくということも大変重要であるというように思っております。それから、もうバブルのときのようなことはないかもしれませんけれども財源的に余裕があるときには、借入金の繰り上げ償還であるとか事実上の償却措置といったようなものをとるというようなことをこれからも考えていって、地方団体財政運営支障が生じることのないような財政健全性に努めてまいりたいというように思っております。
  11. 穂積良行

    穂積委員 そこまででは実はまずいのだろうと思うのです。私からの意見を申しますが、結局これは地方公共団体の各段階でのリストラが最大の課題になっていく、こういうことになろうかと思います。  大臣案内のとおり、この住専問題の処理に関連して、新たな措置として、銀行筋は七年間一兆五千億のリストラをやりますという話を公表していますね。農協系統は三〇%の人件費カット、言うなれば三十数万人のうち十数万人の農協系統の職員をリストラで要員削減するというようなことまで公表されているわけであります。それらに対するわけでもありませんが、地方公共団体段階、機構、組織というものを改めて見直しをし、リストラを図る、その前に、このところは議論が下火で続いております地方公共団体の、特に市町村の合併をさらに新たな観点から推進するという議論が、こうした今後の地方財政の深刻な状況を踏まえてその議論が起こらなければならないのじゃないかと思います。  これは、きょうは私の方からそういう意見を申し上げ、もしこれについて今お答えがあるならそれを伺ってもよろしいですが、いかがでしょうか。
  12. 遠藤安彦

    遠藤(安)政府委員 御指摘のとおりでありまして、やはり地方団体役割は大変重いものでありますけれども、御指摘のありましたようなリストラ、私どもの方では行財政改革推進ということで各地方団体にお願いをいたしておりますけれども、国・地方を通じて行財政改革推進していくことが大変重要なことであります。私どもとしては、そういった中で地方税財源充実するという努力もしていかなくてはならないというように思っております。  また、御指摘のありました合併につきましても、昨年合併法の御審議をいただいたわけでありますけれども、自主的な合併推進していくということがこれからの新しい時代に大変必要なことである。そのために、合併がしやすいような税財政のシステムというものを私ども地方団体に提供したところでもありますし、そういったものを大いに活用していただいて合併の機運というものが高まっていくことが必要ではないかというように思っております。
  13. 穂積良行

    穂積委員 これは地方自治の根本にかかわる話ですから、継続御相談ということにいたします。  次は、とにかく不要不急なことはやめろ、必要なことはやれというのは当たり前の話ですが、その必要な問題として、阪神淡路大震災で非常に厳しい経験をした私どもとして、国民の生命、財産を守るということは何にも増して政治上重点を置かなければならないし、行政もこれに積極的に取り組まなければならないのは明らかであります。  そこで、防災という観点から地方公共団体にもこの点はしっかりと取り組んでもらわなければならないと思います。例えば地方公共施設などの防災機能強化というようなことなど、ハード面あるいはソフト面にわたる地方取り組みに対してどのような地方財政支援をしようとしているのか、平成年度にも若干そういうところは酌み取れますが、その辺の御説明を願いたいと思います。
  14. 秋本敏文

    秋本政府委員 御指摘がございましたように、阪神淡路大震災の教訓、経験を踏まえまして、防災対策全般強化を図って、そして、災害に強い安全な町づくりを進めていくということは現下の最重要課題一つであろうと考えております。平成年度におきましても、そのための地方団体取り組みに対しまして積極的な支援を行うということにいたしております。  ハード面について申し上げますと、消防補助金につきましては、対前年度比一四・九%の伸びというものを確保いたしまして、各般の施設整備に対して助成をいたしておりますし、また、地方財政対策におきましても、公共施設等耐震改修あるいは情報通信施設防災拠点整備など、防災機能を高める社会資本整備を積極的に推進するということで、平成年度に創設をいたしました緊急防災基盤整備事業につきまして平成年度は三千億円を確保するというようにいたしております。  また、御指摘のございましたソフト面につきましても、地域防災基本となります地域防災計画を抜本的に見直して、地域自主防災組織やボランティアの活動の活性化、非常用物資充実耐震点検推進、こういったことを進めてまいりますために、地方財政計画の中に防災対策強化経費といたしまして二百億円を計上するというように、ハードソフト両面にわたって財政支援措置充実をしているところでございます。今後とも、それぞれの地方公共団体におきまして、このような支援措置を活用していただいて、そして、災害に強い安全な町づくりが積極的に推進されますように、私どもとしても努力をしてまいりたいと思っております。
  15. 穂積良行

    穂積委員 この点はしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  ところで、本予算が御承知のようなことなんですが、地方の問題としても、これは一日も早く本予算成立をさせないといろいろと支障が来るのは明らかであります。それに関連して、当委員会の問題としては、この地方交付税法改正法案がまだおりてきてないのですね。しかし、これがおりてきたらできるだけ早く、年度内にも成立しないと、いろいろ不都合が出てくるのではないですか。どんなことで支障があるか、まず事務当局から説明してください。
  16. 遠藤安彦

    遠藤(安)政府委員 地方交付税でございますけれども地方団体の、三千三百ありますけれども、その七割が地方税よりも地方交付税の方が多いということでありまして、地方団体にとりましては、この地方一般財源である地方交付税というのが大変重要な意義を持っておるものであります。それとともに、御審議をいただきます法案には単位費用改正ども含まれておるわけでありまして、これは地方団体財政運営の目安になるわけでありますし、積算基礎となっております各省の施策地方負担分あるいは単独施策の内容といったようなものも含まれておるわけでありまして、こういったものを速やかに確定して地方団体に示すことが地方団体の計画的な財政運営に大変資するものであるというように私ども思っております。  地方交付税法改正案でございますけれども、御案内のとおり、平成年度以降、国会の大変な御理解をいただきまして年度内成立を見ておるわけであります。従来、交付税法成立から本格的な普通交付税算定作業に入りますので、大体、法律の期限である八月末に普通交付税の決定が行われておったわけでありますけれども平成年度以降は、一カ月早い七月中には交付税の決定が可能となっている現状があります。そのことによりまして、各地方団体では財源見通しをつけた上で九月の補正予算の編成に取り組む、これは景気対策にも一定の効果があるというように考えておりますし、地方団体も引き続き積極的に景気対策にも取り組むためには、改正法案を早期に成立させていただくことがぜひとも必要であると考えておりますし、地方団体の方からの強い要請もあるわけであります。それから、具体的には、普通交付税の概算交付が年四回ありますけれども、四月にその第一回分があるわけでありまして、改正法案成立予算成立が前提条件になりますけれども改正法案成立いたしませんと概算交付の額が減少をすることになる。ことし、平成年度のように交付税法の中で借入金をふやすというようなことがありますので、そういった点から、改正法案がおくれますと概算交付の額が減少をするということが考えられます。そうなりますと、地方団体の資金繰りにも支障を来してくる、一時借入金の利子負担もふえてくるというようなことが懸念されるわけでありますので、ぜひ法案の早期成立をお願いをしたいということでございますので、絶大な御理解を賜りたいというように思っております。
  17. 穂積良行

    穂積委員 そういうような事情ならば、当委員会としても、これは参議院もあることですし、法案がおりた段階でそれこそ可及的速やかに審議を進めたいものだと私も思います。  それでは次に、国家公安委員会警察庁関係に移ります。  警察組織の皆さんには、オウム真理教関係の事件で随分と昨年来御苦労をいただきました。皆さんの御苦労の上に事件の概要が随分と明らかにされ、そして裁判に至り、いよいよ皆様も御承知のとおりのすさまじい悪行の数々が明らかになっているわけであります。ただ、このオウム真理教関係の話が終わったかというと、まだそうではない。  そこで、二、三お伺いしますが、オウム真理教関係の指名手配の被疑者で、まだ逃げて捕まっていない重要犯人がいるということです。しかもそのような中で、オウム真理教関係の被疑者がタイに逃げて山の方に行ってどうのこうのというような雑誌の記事なども出たりしているわけであります。こうしたことからすると、指名手配被疑者を含めましての国内の捜査状況、それから信者の海外への渡航など、これは犯罪に関係しなければそれは許されることであろうと思いますが、被疑者に関してはどうなっているかということもありまして、その辺の事情をまず事務当局から御説明をいただきたいと思います。
  18. 野田健

    ○野田(健)政府委員 オウム真理教に関係する事件といたしまして、昨年三月二十二日の一斉捜索に着手して以来、所要の捜査を推進してきたところでございます。これまでに、いわゆる地下鉄サリン事件、松本サリン事件あるいは坂本弁護士一家殺人事件、その他約三十件の主要事件を検挙し、これらの主要事件を含む逮捕者数は約四百二十人になっております。  指名手配被疑者の追跡捜査につきましては、現在まで百六名を指名手配いたしまして、このうち特に凶悪な事件を犯した者については、警察庁において特別手配被疑者としてこれまで十九名を指定しております。現在までに特別手配十九名中十二名を検挙し、七名について現在追跡捜査中という状況にございます。一般手配の方は八十七名中八十六名を検挙いたしておりまして、総計になりますと九十八名を検挙しているという状況にございます。  このオウム真理教関係の一連の事件を全面的に解明するためには、現在手配をしておりますこれらの被疑者を早期に発見、検挙することが大変重要だと考えておりまして、現在全国警察を挙げて、七名の特別手配被疑者を含む八名に対する追跡捜査を全力を挙げて推進しているという状況にございます。
  19. 穂積良行

    穂積委員 これに関連して、オウム真理教が海外にも支部をつくって、特にロシアとかドイツとかそれからそのほかにもあったと思いますが、こうした外国での活動をした実績があるわけです。これに関連して、例えば国内にロシアの武器を持ち込んでどうしたとかなんとかという疑いもあるわけですが、諸外国の警察機関などと連係プレーの上に、きちんと捜査上明らかにするべきことは明らかにしていかなきゃならないと思うんですが、その辺についてはどうなっているか、簡単に御説明願います。
  20. 杉田和博

    ○杉田政府委員 オウム真理教の海外の支部は、モスクワ、ボン、ニューヨーク、スリランカの四カ所ございましたけれども、現時点では、モスクワの支部については閉鎖、その他の支部についても活動を停止しておるという状況にございます。  いずれにいたしましても、オウム真理教の海外の活動の実態というものを把握するために、これまでにも捜査官を各国に派遣したりして情報交換等いたしておりますけれども、今御指摘ございましたとおり、やはり一部オウム真理教の信者が海外へ渡航しておるという状況もございますので、引き続きこうした関係国との連携というものを強めてまいりたい。  なお、一部特別指名手配被疑者がタイに逃亡云々という記事がございましたけれども、そういった指名手配被疑者が海外に出ておるという事実については、現時点把握をいたしておりません。
  21. 穂積良行

    穂積委員 海外との関係を気にするのは、実は、これからちょっと質問することに関連するんです。  皆さんの指揮をとっておられた警察庁長官が狙撃されてもう間もなく一年になりますね。これが、だれがどういう目的でこうした犯行に及んだかということもまだつまびらかになっていない。それで、警察組織の頂点にある者が狙撃されたということで、警察組織の威信をかけて、犯人を逮捕するまで手を緩めずに努力いただきたいというのが私どもの気持ちなんですが、何か最近一部では、狙撃に使われた弾丸がプラスチックコーティングのロシアでつくられたものじゃないかなんという週刊誌の記事などを見ると、その辺、警察は一生懸命やっているんだろうけれども、どうなっているのかなということを気にするわけです。犯人解明、事件解明のために徹底した努力をさらにしてほしいという気持ちも込めて、この辺についての状況を御説明いただきたい。
  22. 杉田和博

    ○杉田政府委員 長官狙撃事件につきましては、発生直後から、犯行現場さらにまた逃走方向を中心といたしまして、鋭意捜査を進めてまいりました。その結果、犯人の人相、着衣でありますとか逃走手段さらにまた現場周辺における不審者、こういったところの数多くの情報を得ておりまして、現在そういった情報の裏づけを一つ一つ進めておるところでありますけれども、残念ながら現時点で犯人を特定するには至っておらないというのが現状でございます。  なお、ただいま御指摘のございました銃及び弾の件でありますけれども、これについては、現時点では三十八口径の回転式のけん銃であろうという推定はされておりますけれども、種類またはどこ社製のものであるとか、そういうものの特定には至っていないわけであります。なお、一部にプラスチック弾ではないかというような記事もございましたけれども、少なくともプラスチック弾であるというようなことを思わせるものは全くございません。違った種類のものであるというふうに判断をいたしておるところでございます。  いずれにいたしましても、社会的に大変大きな衝撃を与えた重大事件であります。何としてでも検挙すべく、警視庁を中心といたしまして、全国警察の総力を挙げて検挙に努めてまいりたい、かように考えております。
  23. 穂積良行

    穂積委員 今の長官狙撃事件に関連して、要するにプロのヒットマンがやったんじゃないかという感じもしますね。プロのヒットマンということは、これからお聞きすることに関連するんです。  住友銀行の名古屋支店長が射殺されましたね。これもまだ犯人逮捕に至っていない。それから阪和銀行副頭取の射殺事件もまだ解明に至っていない。こういう企業の重要人物をねらった犯罪がありましたが、これらはねらいが何か。恐らく、これをヒットすることによってその関係者を震え上がらせ、威圧するというようなことをねらった複雑なる事件ではないかという気が素人にもするわけです。そういう点で、この今挙げた二つの事件などについて、捜査は何をねらいにどう進めているかということが気になるわけです。  なぜこんなことを聞くかというと、先回りして申しますが、ここ数年の企業の重要人物に対する襲撃がこうして起こるということが、今重要な課題になっている住専問題の処理に関連して、不良債権があれほど膨大に出てしまっている。しかし、取り立てられる債権はきちっと保全し取り立てるということによって、ひいては国民負担をできるだけ減らすというようなことまでこれはやっていかなきゃならない。その間において、あの辺を一つ例としてヒットすれば、あるいは痛めつければ、震えて、厳しい取り立ての手も緩むんじゃないかなんということになってはゆゆしきことであるということは皆さんもおわかりだと思います。  そういうことからして、こうした犯罪事案については、警察組織の御努力もこれはしっかりといただかなければならないと思うわけであります。そういう見地から、住友銀行それから阪和銀行の申し上げた事案についての捜査状況などをまずは御説明いただきたいと思います。
  24. 野田健

    ○野田(健)政府委員 住友銀行名古屋支店長射殺事件につきましては、平成六年九月十四日、同支店長が名古屋市内の自宅マンション玄関先通路において、何者かに頭部をけん銃で撃たれ殺害されたものであります。愛知県警察においては、即日捜査本部を設置して捜査中でありますが、本件に使用したけん銃につきましては、その後、住友銀行本店、大阪に所在しておりますけれども、住友銀行本店に融資を申し込みに来た男が所持していたということで、同人を逮捕するとともにこれを押収しておりますが、肝心の射殺事件につきましては残念ながらまだ未解明でありまして、関係府県とも連携をとりながら、現在も鋭意捜査を進めているところでございます。  また、阪和銀行副頭取射殺事件につきましては、平成五年八月五日、同副頭取が和歌山市内の自宅前路上において、出勤のため出迎えの自動車に乗車しようとしたところ、何者かに胸部等をけん銃で撃たれ殺害されたものであります。これにつきましても、所轄の和歌山県警察において捜査本部を設置し、関係府県とも連携をとりながら現在も捜査継続中でございます。  両事件につきまして、一部に暴力団と関係しているというような報道がなされていることは承知しておりますけれども、事件の背景等につきましては現在も捜査中でありまして、答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。  いずれにいたしましても、事件をめぐるさまざまな状況を広く視野に入れて、捜査に今後も全力を挙げていきたいと考えております。
  25. 穂積良行

    穂積委員 名古屋事件の使われたピストルは暴力団関係者が持っていたものだというところまではわかっているのでしょう。そうだとすれば、犯行に使われたそのピストルをだれが使ったかということですね。どのようにか糸を手繰って調べるというようなことを当然おやりになっているのだろうと思うのですが、常識的に、私ら素人が考えても、だれかに狙撃させて、ぱっとそいつは逃げてしまう、これにやらせた黒幕というか人間はどこかでのうのうとしている、こういうようなことを許していいのかという話だと思うのですよ。  よく聞きますけれども、車中ですりが目ぼしい人間を取り囲んで、する人間と、すったものを渡して、それからさらに渡してさっと逃げて、盗まれたものがもうあっという間にどこか何人かの先に渡ってしまって、みんな逃げてしまうみたいな話はよくあるでしょう。それに似たような話がこのようなことにもあるのじゃないかと思っているわけです。そこは警察、皆さんプロですから、今後しっかりやっていただきたいと思うのです。  特に、繰り返しですけれども、今後住専絡みでこんなふうな暴力手段に訴えて、きちんとやるべき責務を負った人間をおびえさせて、やることをやらないようにさせるみたいなこと、特に暴力団が絡んでそんなことをやるようなことは絶対抑止しなければならない。犯罪予防的な見地からもいろいろ工夫もしていいのじゃないかと思うのですが、その辺はよく考えて職務に精励いただきたい、こういうことを要望しておきます。よろしいですか。  そこで、暴力団が債権取り立てや何やでいろいろ関与して犯罪に至ったというような事件というのは、最近は特に何かお話を伺うようなことはありますか。私の今までの話に対して、もし状況をお話しされることがあったらお聞きしたいのですが。
  26. 野田健

    ○野田(健)政府委員 企業の幹部等がけん銃で射殺される、あるいは写真フィルムの会社の専務が刺殺されるとか、そういう事件がありまして、これらの事件は、暴力団であるとか総会屋というものは、そういうことがあるぞということを一つの脅迫の手段に使うということが日常的にも行われているところでありますので、警察としては全力を挙げて検挙に努めたいというふうに考えております。  ただいま御指摘の債権回収の過程で暴力団員等が関与、介入した事例ということでございますけれども、こういったもので検挙した者は、平成四年から昨日までの間に四十五事件を把握しております。平成四年には六件でありまして、平成五年、六年が八件でございました。昨年、平成七年には十八件でございまして、本年に入ってから既に五件を検挙しているということで、累増しているという状況にございます。  こういったものが、現在喫緊の課題であります住専の債権回収に当たりまして、もし妨害するということであればこれを何としても防いでいかなければならないと考えておりまして、全国の警察組織を挙げて強力にそういった面での取り締まりをしてまいりたいというふうに考えております。
  27. 穂積良行

    穂積委員 住専とは別なのですが、きのう、きょうの報道で、木津信用組合、それからその関連で末野興産関係で捜査が入ったという報道がなされていますね。今後の住専絡みの話を多少予見できるような動きと思って注目しているのですが、これについて今ここで御説明いただけるならば伺っておきたいのですが。
  28. 野田健

    ○野田(健)政府委員 木津信用組合関連の不正事件についての捜査状況でございますけれども、大阪府警察におきまして、木津信抵当証券株式会社に係る抵当証券販売名下の詐欺容疑の告訴を受理して捜査中のところ、三月十三日、同容疑により関係場所の捜索を実施したところであります。  また、同じ日に木津信用組合から、前理事長らに係る背任容疑の告訴を受理しておりまして、今後これらをあわせて鋭意捜査を進め、事案の全容解明に努めてまいりたいと考えております。  なお、本日、大阪府警察において、木津信抵当証券株式会社に係る抵当証券販売名下の詐欺告訴事件の関連場所ということで、末野興産グループ関係場所数十カ所に対する捜索を実施しているところであります。今後、これらの事件の捜査がどのように推移するかということにつきましては答弁を差し控えさせていただきますが、いろいろな問題が今周辺にいろいろと言われているところでありますので、視野を広げまして、鋭意捜査をしてまいりたいと考えております。
  29. 穂積良行

    穂積委員 警察組織については、平成年度予算編成に当たって要員増や何や、これは警察がこの国の安全を守るかなめの組織だということで私ども努力もさせていただきました。  そうしたことを踏まえまして、これは国家公安委員長としての大臣警察組織の統括者として所信のほどをお伺いして、私の質問は終わらせていただきたいと思います。
  30. 倉田寛之

    倉田国務大臣 穂積委員指摘の、オウム真理教関係特別手配被疑者等の検挙、警察庁長官狙撃事件の解明、住専問題に絡む金融不良債権関連事犯の検挙等につきましては、いずれも現下の重要な課題というふうに認識をいたしております。  これらの課題につきましては、現在警察が総力を挙げて取り組んでいるものと承知をいたしております。国家公安委員長といたしまして、これらの重要課題には真摯に取り組み、引き続き御指摘のように我が国が誇る財産ともいうべき良好な治安を維持するために全力を尽くしてまいる所存でございます。
  31. 穂積良行

    穂積委員 終わります。
  32. 平林鴻三

    平林委員長 次は、新進党所属委員質疑に入ることとしておりましたが、御出席いただけませんので、やむを得ず次の質疑者に質疑を行っていただきます。  山口鶴男君。
  33. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 地方行政委員会で質問に立ちますのは四年ぶりでございまして、大変懐かしく存じます。ただ、今、国会が大変異常であることを私残念に思います。  私も長い間議運の理事として、あるいは国会対策委員長として、書記長として国会運営に携わってまいりました。何か、昨日イギリスの下院議員が国会にお見えでございまして、第一委員会室前でのこの座り込みの状況を見まして、我が国の国会ではこのような事態はない、こういうお話をされたということを本日の新聞で拝見いたしました。  実は、古い話でございますが、かつて我が国のあの憲政記念館でイギリスの議会史展を行ったことがございました。そのときに、極めて異例なことだそうですが、開会中にもかかわらずイギリスの下院議長のロイドさんが日本においでになりまして、議会史展のテープカットをいたしたのであります。そのときは中村梅吉議長でございました。ところが、その後、野党をだました云々というような発言が問題になって議長をおやめになり、そしてその後、前尾繁三郎先生が議長に就任をいたしました。前尾先生は、みずからの信念として党籍離脱を行って、いわば無所属の議長として円満な議会運営に非常な貢献をされたことは皆さんも御案内だろうと思います。ただ、そのときにイギリスのロイド議長が、私は何という幸せ者か、わずか一週間の短い滞在中、二人の日本の衆議院議長閣下にお目にかかることができた、こういう話をされたのであります。  私は、当時、議運の理事として、何たる皮肉であるか、我が国の国会はもっと国会の権威を高めなければならぬ、そのためには、イギリスのように議長の権威を高めることが重要であるというふうに思いました。以来、私は、議運の理事として、先ほど申し上げた党の役職の一人として、この議長の権威を守る、国会の権威を守るということに微力を尽くしたつもりであります。  そうして、かつてロッキード問題で四十五日間国会がとまったことがございました。しかし、そのとき、前尾議長が議長裁定をお出しになりました。その裁定に対して、与党も野党も大多数の党がそれで了解をいたしたのであります。議会制民主政治を守ろうとする政党であるならば、議長が下した裁定、あっせんあるいは見解、要請というものに対してイエスと言うのが、私はこの議会制民主政治を守るべき政党の任務である、かような信念を持っております。私は、そういう意味で、議会制民主政治を標榜する政党であるならば、一日も早くこの国会の正常化に前向きに対処いただくことを心から期待をいたす次第であります。  我が党は、かつてさまざまな国会戦術をとったことがありましたが、議長さんの今のような要請に対しては一度も拒否したことはなかったということを、私はこの際、申し上げておきたいと思う次第であります。  さて、地方時代と言われて久しいわけであります。私も、総務庁長官時代、ここにおいでの先生方の御協力をいただいて地方分権推進法の成立を見ることができたことを、政治家として本当に幸せであったと心から感激をいたした次第でございました。  そこで、これからは、権限も問題でしょうけれども、私は、財源がやはり重要ではないかと思います。  かつて私、地方行政理事をいたしておりましたとき、もう古い話でありますが、一九六九年、地方行政委員会に、当時の福田大蔵大臣出席をいただきました。地方交付税とは一体いかなる性格のものであるかという論戦をいたしたのであります。そのときに福田大蔵大臣は極めて明快な答弁をなされました。この交付税が、国税三税を対象にし、その三二%ということになっておる、これは法律で決まっております。これはどうしても地方に行かなければならないお金であります。そういう意味において、このお金は地方自治団体の権利のあるお金であり、そういう意味において、固有の財源であり、また、自主財源である、かように言い切ったのであります。大蔵大臣としてこのように言い切ったのは、福田大蔵大臣が初めてでございました。  以来、そういうことで確定をいたしておったと思うのですが、私はたまたま四年前に地方行政委員会に来ておりまして論議を聞いておりました。我が党の中沢委員がこの問題を繰り返して論議をいたしました。当時の塩川自治大臣はさすがに見事な答弁をいたしました。「国が地方にかわって徴収する税である、私はそう認識しておりまして、これはあくまでも地方の固有の財源である、こういう認識であります。」こう明確に言い切ったのであります。  ところが、そのとき同時に出席しておりました羽田大蔵大臣は、大蔵省の役人に遠慮したのかどうか、大蔵省の役人を抑える力がなかったのかどうかわかりませんが、極めてあいまいな答弁に実は終始をいたしたのであります。私は極めて残念でございました。  地方自治確立に極めて強い熱意を持っておられる倉田自治大臣の見解をまず伺いたいと思います。
  34. 倉田寛之

    倉田国務大臣 経験を織りまぜて山口委員から御指摘をいただきました地方交付税の性格でございますが、私が申し上げるまでもなく、地方交付税制度は、地方団体の自主性、独立性を確保しながら、その財源の均衡化を図りますとともに、地方行政の計画的な運営を保障する目的を持っております。毎年度、国税五税の一定の割合が当然かつ自動的に地方交付税となるものとされております。  地方交付税は、本来、地方団体税収入とすべきものでございますが、地方団体間の財源の不均衡を調整し、すべての地方団体が一定の行政水準を維持しようとする財源を保障するという見地から、国税として国がかわって徴収しているものでございまして、いわば国が地方にかわって徴収する地方税であるという性格を持っているというふうに認識をいたしております。これはあくまでも地方固有の財源である、こういう認識を私はいたしております。
  35. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 極めて明快な結構な御答弁だと敬意を持って拝聴いたしておりました。  そこで問題は、倉田自治大臣はそのような明確な答弁をされても、大蔵大臣が羽田元大蔵大臣のような中途半端な答弁をしたのではこれは話にならないのであります。  そこで、私は提案を申し上げたい。  たしか、私が福田大蔵大臣地方行政委員会においでいただいて以来、この地方交付税の論議に当たっては必ず大蔵大臣地方行政委員会出席をするという例ができておると思います。したがって、久保大蔵大臣には、ぜひ理事の皆さんと御相談の上で、しかるべきときに御出席をいただきたいと思いますが、いかがですか。
  36. 平林鴻三

    平林委員長 ただいま山口委員からお話のありました、当委員会に大蔵大臣出席を求めることにつきましては、後刻理事会で協議をさせていただきます。
  37. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 協議の上、必ず実行いただきたいと思います。  そこで、倉田自治大臣にお願いがあるのですが、同じ橋本内閣の一員として、大臣としては同格だろうと思いますが、やはりかつて福田大蔵大臣のような見事な見解というものがあったわけでございまして、それが長い間堅持をされてきた。といたしまするならば、今度、久保大蔵大臣が当委員会出席をいたしました場合に、福田大蔵大臣と同じ明確な答弁をしていただくのが私は当然ではないかと思うのであります。  私も、久保大蔵大臣とは長い間の友人であります。したがって、久保大蔵大臣に対してはその経過を私も説明して、あなたは官僚に負けてはいけませんよ、明確な答弁をしなさいという助言はいたしたいと思っているのでございますが、ぜひ倉田自治大臣も、地方自治を守るという観点、しかも地方時代を迎えておる今日、大蔵大臣をしてそのような答弁を明確にしていただくように御協力を賜りたいと思いますが、お考えはいかがですか。
  38. 倉田寛之

    倉田国務大臣 ただいまお答えを申し上げましたように、地方交付税はいわば国が地方にかわって徴収する地方税であるという性格を持っておりまして、地方の固有財源であるということを認識いたしておるところでございます。地方交付税地方団体にとりまして重要な固有財源でありますので、大蔵大臣にもその性格を十分御理解いただいているものと考えてはおりますが、御質問の趣旨は極めて重要でもございますので、今後機会をとらえて努力をいたしたいと思いますが、御発言にもありましたように、山口委員にもひとつ御協力のほどをお願い申し上げたい、こういうふうに思う次第でございます。
  39. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 わかりました。努力をいたします。  そこで、同じく交付税についてお尋ねしたいと思うのですが、やはり交付税は、自治体に対する重要な財源であり、しかも財政の格差を均等化する、そういう意味では財源調整の極めて重要な役割を持った財源だと思います。  ただ、この交付税制度というのが、かつて細郷財政局長、その後事務次官をされましたが、その方が、我が国の交付税制度は世界に冠たる巧緻な仕組みである、巧緻、精緻な制度である、こういうことをおっしゃったのですけれども、巧緻、精緻であることは結構だと思うのですが、例えば市町村で市会議員さんが、あるいは村会議員さんが、我が市、我が村には一体幾ら交付税が来るんだろうか、我が方の基準財政需要額は一体幾らなのだろうかということがわからぬようでは、私は困ると思うのですね。  ところが、今の制度を見ますと、その単位費用に測定単位を掛ければすぐ出るというようなものじゃなくて、大変複雑な補正係数を掛けないとどうにもならぬ、こういう仕組みになっておるようであります。問題は、都道府県の標準団体が百七十万人、市町村の標準団体は人口十万人、この二つしか物差しがないのですね。今や三百万を超える大政令都市あり、片や千をもって数える小さな町村あり、こういうときに標準団体が二つだというようなことは私はいかがかと思いますし、自治省の役人の皆さん方はそれこそ大蔵省以上の立派な頭脳を持った方がおいでだろうと思うのでありますが、今コンピューターの時代でもあります。もっと一般の市民が、また市町村の議員の皆さん方が、ああ、私のところはそれぞれの仕事に対してこれだけの基準財政需要が認められているのだ、したがって基準財政収入がこうだから、幾ら我が市町村には交付税が来るのだというくらいのことがある程度正確に計算できるように、知ることができるように制度の仕組みを変えていただくことが、私は地方時代としての自治省の役割ではないかと思うのであります。細かい答弁は結構です。大臣、そういう方向努力をいただけませんか。
  40. 遠藤安彦

    遠藤(安)政府委員 交付税の制度的なことでございますので、私から御答弁をさせていただくことをお許しいただきたいと思います。  御指摘のとおり、交付税制度はかなり難しい制度であってわかりにくいという御批判がありますし、私どももそれに対しては、簡素化をし、できるだけわかりやすいものにしていくべき必要があるというように認識はいたしております。  御質問にありましたように、例えば標準団体が二つだけではやはりわかりにくいのではないかというようなお話もあります。実は、標準団体が県も市町村も一つであるというのは作業的な時間の問題がございまして、地方財政対策が決まり地方財政計画が決まってから法案を提出するまで極めて時間が少ないわけでありまして、これを交付税課の現在十六人の職員で夜を徹してこのたった二つの標準団体の単位費用をつくるためにやっておるようなわけでありまして、これが一つ物理的な制約があろうかと思いますので、この点は御理解をいただきたいというように思います。  いずれにしても、先ほど申し上げましたように、交付税制度自体地方団体にとって非常に重要な財源でありますので、地方団体財政担当者はこの交付税の算定方法については大変な関心を持っているわけでありますし、私どももできるだけそういう地方団体の要望というものを入れた形にして交付税を算定することが、地方団体の共有の固有財源でありますから、そういった意味で望ましいということであります。  そのようにいたしますと、毎年度、机の上に地方団体からの算定の改正の要望書というのが一メートルぐらいになるぐらい来るわけであります。これらはいずれももっと地方団体行政の実態に合うように算定方法を変えてくれという話でありまして、そういったことを入れていきますと、ますますこの補正係数をたくさんつくっていって複雑になっていってしまう。片ややはり国民にわかりやすい、御指摘のような簡素化された制度というのが望ましいし、片や各地方団体ではもっと実態に合ったものにしてくれ、そういう要望の中で私ども交付税制度というものをこれまで考えてきたわけであります。  そういう、ある意味では難解な二元一次方程式を解いていかなければならないということがあるわけでありますが、今後とも、そういった地方団体の要望にもこたえつつ、やはり算定方法を簡素化していくという努力をしてまいりたいというように思っております。
  41. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 片や我が自治体に適合したような算定をしてほしいという要望あり、片やわかりやすい制度にしてほしいという相矛盾する要請があるということは、私もよくわかります。それだけに難しい課題であることは承知をいたしております。  しかし同時に、これから地方時代、やはり財源配分も行いまして、そうして地方財源をもっとふやす、地方消費税もいよいよ実施されるときでもございますし、さらにまた地方財源充実するということが必要でありましょう。地方税財源がふえていけば交付税の額は少なくなっていくわけでありますから、そうなればわかりやすさを追求するのにもしやすくなってくる要素もあるのではないか、かようにも思います。どうかひとつ、これは検討課題として自治省全体として真剣に御検討いただくことを強くお願いを申し上げておきます。  次にお尋ねするのは、地方債の問題であります。  このところ、地方分権推進委員の皆さん方が非常な御苦労をいただいて、各省庁から、機関委任事務廃止をして自治事務、法定受託事務それから国の事務というふうに分けた場合に一体どうかというようなことをヒアリングしているようでございますが、どうも各省庁いろいろなことを言って、いや、この仕事はどうしても我々が関与していかなければならぬというようなことで抵抗していることが非常に多いようなお話も聞こえてこないでもございません。そのとき、ひそかなつぶやきで何か自治省だけが焼け太りをするのではないか、おれたちの省庁は権限が小さくなって補助金も減る、ところが自治省さんの方は反対に権限がふえるし、いいのじゃないか、しかも地方債を許可するという権限は依然として自治省さんはかたく握っていて離さない、こういうようなつぶやきが私のところに聞こえてこないでもないのであります。  しかし、地方債を考えますと、これを全部自由化した場合、財政力のある大きな団体はどんどん政府債も借りるし、縁故債もどんどん借りる、財政力のないところは地方債も回ってこない、縁故債を借りるのにも大変だというような事態が起きないとも限らぬ。したがって、ある程度の調整機能が必要だということは私も理解しないではないのです。  ただ、そこで私が懸念しているケースは、かつて美濃部さんが知事のときに財政が非常に不如意になりまして、ベースアップ財源を起債として申請をいたしました。自治省は許可しませんでした。それから、今日のようなバブル崩壊と同じような経済状況がございまして、国税も減収になる、それから東京都の重要な財源である法人事業税も激減する、財源がなくて火の車だ、したがって減収補てん債をと、こうお願いしたのですが、どうも美濃部さんのときにはこれが許可にならなかった。そうして鈴木さんが知事になったらさっと許可になった。こういうこともないわけではありません。何も自治省さんは鈴木さんが知事になるための露払いの仕事を一生懸命やった、そういうようなことをする自治省では断じてない、かように私は信じております。  そこで、私はお願いしたいのは、地方債の問題、さまざまな工夫はいただきたいと思うのですが、これから地方時代地方の自主性を尊重するという時代です。どうもあの知事は気に食わないから地方債は許可しないとかするとか、こういったことだけは、地方時代を迎える輝かしき自治省として断じてそういうことはないということはひとつお約束をいただきたい、私はかように思います。
  42. 遠藤安彦

    遠藤(安)政府委員 お答えを申し上げます。  地方分権推進に関しましては、山口長官に担当大臣として法案成立させていただきまして、私ども自治の関係者としては大変感謝を申し上げておるわけであります。地方債の許可制度についていろいろお話がございました。私どもも当然分権の中でやるべきことはやっていかなければならないというように思っている次第であります。  特に、地方債の許可制度につきまして、自治体をコントロールするというようなお話がありましたけれども、これまで地方債の許可というものを通じて地方団体に関与をするという性格というものを極力縮小していこう、地方債の発行といいますか、地方債について許可を弾力化、簡素化の方向でやっていこうということで、御存じのように、昔は一件査定というものが随分あったわけでありますけれども、今は平成四年からはすべて枠配分というようなことで、このことも地方団体に対する地方債の許可を通じての関与というものを大変少なく、必要最小限のものにしているというように思っております。  ただ、許可制度自体は、これは今地方財政全体が財政計画をつくって地方財源を保障をしていくということの中に、この地方債についても地方債計画をこの財政計画の中でつくっていって、そして地方団体が発行した地方債の元利償還については財源を保障をして返せるようにしていくという重要な役目一つあって、やはりこのことが根本になって、ただ権限あるいは関与として許可をしているというだけではなくて、例えば許可を通じて信用その他入ってくるし、政府資金も、地方団体ができるだけ各省庁に一々行かなくても済むように、そこで総合的な調整と配分をしていくというようなことになっていくわけなので、そういった機能というものは、弱小な地方団体が多いだけに、これから分権の時代になってもそういう機能というものをなくすわけにはいかないだろう。それは今山口委員がいろいろな工夫をしてというのは、そういうものを残してという趣旨だと私は理解をさせていただきましたが、そういうことを考えながら分権推進委員会でこれからも御議論があるだろうと思います。  分権大綱方針の中では、許可制度について弾力化、簡素化を図っていくことを基本とすると書いておりますが、そういった方向の中で幅広く検討いたしていきたいというように思っております。
  43. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 いろいろお話しいただいたことはよくわかっております。確かに元利償還について基準財政需要の中に算入もいただいている、そういうことからいってということは、それは私もわからぬではありません。  ただ、問題は、これは自治法二百五十条ですか、「当分の間、」たしかこうなったと思うのです。「当分の間、」と言えば、例の自治法附則の地方事務官制度も「当分の間、」ということですが、さっぱりこれは「当分の間、」になっていない。今度の地方分権推進委員会では当然この地方事務官制度も廃止するという方向になると思うのですが、私は、そういう点もやはり「当分の間、」ということですから、考えをいただきたい。  それから、私が例に挙げた東京都の場合は、これは元利償還に対して基準財政需要で見てもらう団体ではないのですから、不交付団体なのですから、それだけに東京都のような不交付団体に対して差別をするということは私はやるべきことではないということを、この際、強調しておきたいと思います。大臣の御見解があればいただきたいと思います。  時間もありませんので、ついでに申し上げておきますが、今国政で機関委任事務のことが大変問題になっているのですね。二つの信用組合もそうだ。それから、宗教法人の問題もそうでしょう。それから、今沖縄の軍用地の問題がございます。  私が書記長当時、かつて地方自治法百四十六条というのがありまして、機関委任事務に対して都道府県知事が従わなかった場合は内閣総理大臣が罷免権を持っている、こういうまさに地方自治体を無視する制度があったことを私は大変遺憾に思いまして、当時地方行政委員の皆さん方が与野党で御論議をいただき、そうして平成三年だったと思いますが、議員修正で、百四十六条を削除する、そのかわり今問題になっている自治法百五十一条の二をつくりまして、そして今沖縄でさまざまな高裁に対する訴訟があり、その場合代理署名ができるというような仕組みができていることは御案内のとおりだと思います。  今地方時代を迎えて、この機関委任事務を私は制度の改変も含めて検討いただきたいと当時大臣としてお答えをいたしました。その趣旨で今進んでいただいておることは非常に結構だと思うのでありますが、同時に、これはかつての戦前の官選知事時代のしっぽですね。民選の知事になって、国の機関として知事を使う、市町村長を使うというのはやはりおかしい。したがって、今沖縄で問題になっているあのような問題はまさに国の事務じゃないでしょうか、軍用地の収用というのは。したがって、こういうのは国の事務とする。そしてまた、もっと民選の知事さん、市町村長さんを信用して、そして国と地方自治体とが対等の立場で、相協力をしていくという立場で、地方自治法百五十一条の二についても再検討いただきたいな、私はこう思いますが、いかがでございますか。
  44. 倉田寛之

    倉田国務大臣 幾つが御指摘があったわけでございます。  地方債の許可制度につきましては、もう委員すべて御承知のことだろうと思いますが、地方財政計画地方債計画の一体化という意味からいいますと、先刻財政局長が御答弁申し上げましたようにいろいろございますけれども、最も大切なのは、地方債への信用の付与機能という点ではなかろうかというふうに思います。  こういう重要な役割を果たしておりますので、自治省といたしましては、そういった機能は地方分権推進するためにも必要であるというふうに考えておるところでございますが、一件審査方式から枠配分方式に移行を進めるなど、地方債許可制度の弾力化、簡素化を図ってきたところでございますし、また地方分権大綱方針の中でも、これの弾力化、簡素化を図っていくということを基本として打ち出しておりますので、地方分権推進委員会の御議論、その検討を見守りながら、幅広く検討をいたしてまいりたいというふうに思っている次第でございます。  同時に、東京都の例をお引きになられまして御指摘がございましたが、私の承知をいたしておりますところによりますと、東京都の知事部局におきまして検討をされまして、都の内部段階で議会の同意案件が否決をされたという経緯がございます。このことは都の内部段階でとどまっているものであろうというふうに承知をいたしているところでございまして、その後東京都からはこれについての動きはなかったという報告を承っておるところでございます。  機関委任事務につきましては、御案内のように、昨年の十二月に地方分権推進委員会から廃止という考え方が打ち出されておりますので、今、精力的に中間報告に向けて議論が尽くされておるところでございますので、これらを踏まえて、十分今後対応してまいりたいというふうに思っているところでございます。
  45. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 お願いした検討課題はよろしく検討いただきたいと思います。
  46. 平林鴻三

    平林委員長 田中甲君。
  47. 田中甲

    ○田中(甲)委員 さきがけの田中です。  前回私が質問させていただきましたのは二月二士百でありました。その際に、阪神・淡路の被災者の方々に対して、ぜひことしも復興宝くじを行うことができないかというお願いをいたしました。早速自治大臣に対応していただいた、そのことをまずはお礼を申し上げたいと思います。また、この席に農林省の出席をお願いいたしまして、復興競馬もぜひ同時に行ってもらいたいということをこの委員会室でお願いをしたのですが、それもすぐに対応をしていただけたという、本当にありがたい限りであります。  その後、三月六日でありましたが、消防功労者表彰式に私も委員長とともにお招きをいただきまして出席をいたしましたけれども倉田自治大臣が、消防において功績のあった皆さん方にその労をねぎらうごあいさつ、消防史に残るすばらしいごあいさつをされましたそのお姿を拝見し、さすがに千葉県において若きころ日本のケネディと言われていた自治大臣のそのゆえんというものを感じさせていただいた次第でございました。  さて、自治大臣、冒頭に、このような不正常な住専国会の嘆かわしい姿を大臣はどのように御認識なさっているか、お聞かせをいただきたいと思うのであります。
  48. 倉田寛之

    倉田国務大臣 国会の状況につきまして閣僚がコメントを申し上げるというのはいかがかというふうにまず存じます。  しかし、あえて国会議員の一人として申し上げさせていただくならば、やはり国会は国民の皆様の負託を受けて議論を闘わす場であろうと存じます。言いかえれば言論の府であるということでございます。審議を通じまして、言論によってそれぞれの立場や考え方というものを明らかにし、示し合い、一定の結論を求めていくということが重要であろうというふうに考えておるところでございます。
  49. 田中甲

    ○田中(甲)委員 ありがとうございます。  私も、国民から選ばれた一人の政治家として、国民から永田町がますます離れていってしまっているということを思わざるを得ない、そんな思いが日々強くなってきているのであります。  一人の政治家として、私は、三月六日でありましたからちょうど消防功労者表彰式の日でありますが、「衆議院議長 土井たか子殿」という封筒をその日より胸にしたためております。あえてここであけさせていただきますが、私は、こういう文面を常に自分の気持ちの中に言い聞かせて政治活動を連日行っておるところであります。ぜひ自治大臣にもお聞きいただければという思いで封を切りました。   衆議院議長 土井たか子殿   我国の経済政策の過ちを反省し、国民とともに痛みをわかちあう為に、第四十回選挙における当選期間の残期分歳費受取を辞退させていただきます。という、これは私の政治家としての、また住専処理を行わなければならない経済政策の過ちを行ってきた我が国日本の政治一つの責任のとり方ではなかろうかと思う中で、このようなものを常に持っておりました。  私の政党においても、個人でそのような行動をするのではなく、議員歳費の二割か三割を削減することが行動としてとれないだろうかということも現在考えられておりますが、実は、改めて法律を読み返していく中で、それはなかなか難しいという壁にぶつかりました。公職選挙法上、これは違法行為として判断をされるということなのであります。議員が歳費などの全部または一部の受領を辞退することは、当該辞退した額に相当する金額を国に寄附したことになるというものでありまして、国も本条に規定する「当該選挙区内にある者」に含まれるということにおいて、議員が歳費を一部カットあるいは返納するということは法的にできないというものでありました。私の勉強不足であったと反省しているところであります。  その中で、大臣、いかがでしょうか。特別職の職員の給与に関する法律の中において、「当分の間、内閣総理大臣又は国務大臣がこの法律の規定に基づいて支給された給与の一部に相当する額を国庫に返納する場合には、当該返納による国庫への寄附については、公職選挙法第百九十九条の二の規定は、適用しない。」という文面がつくられておりました。もし、自治大臣あるいは皆さん方の総意の中で、総理大臣国務大臣が、国民とともに痛みを分かち合ってこの厳しい経済情勢を乗り切るんだという気持ちを、行政庁から支給されている額を返納する場合にはこの公職選挙法百九十九条の二に抵触しないということで認められるという中、国民とともに政治がこの局面を乗り切っていくという姿をぜひお示しいただければすばらしいのではないか、そんな思いを正直に持たせていただいております。  もし大臣に御所見をお伺いできれば、ありがたいと思います。
  50. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 公職選挙法の規定を引用して御質疑ございましたけれども、恐縮でございますが、選挙法の所管の政府委員が参っておりませんので、また参りました機会に答弁をさせていただきたいと思います。
  51. 倉田寛之

    倉田国務大臣 田中委員からの御指摘の点につきましては、いささか精査をしませんと、御答弁申し上げるのに正確を期したいと存じますので、精査をさせていただきたいというふうに思います。
  52. 田中甲

    ○田中(甲)委員 こういう国会の情勢でありますし、抱えている住専問題、それはまた氷山の一角であり、これから国民とともに日本の国の新たな立て直しということを行っていかなければならない。そんな中で、私の発言は大臣に対して非常に失礼があったかもしれませんが、そういう政治家と国民の一体感というものが生まれてこない限り、どんなに高度な政治判断の上でスキームというものをつくり、住専処理ということを説明しても、国民の皆さん方には現状のように理解していただけないというものが続いてしまうのではないか、そのように思っております。そんな中で申し上げましたが、お許しをいただき、精査をしてみたいという大臣の発言に心から感謝を申し上げる次第であります。  さて、余り時間もありませんので、私はきょう、昨年の六月に容器包装リサイクル法が成立して、この容器包装リサイクル法と地方行政の関係ということをあるべき形にしておかないと、後になって大変に悔いを残すといいますか、ある面ではなぜこのような法律をつくったままにしておいたのかということになりかねないという危惧をしておりまして、厚生省の担当の方にもお越しをいただいて、この場で少しお尋ねをしてみたいと思うのであります。  容器包装リサイクル法が成立し、そこに、消費者は分別排出をする、市町村は分別収集を行う、そして分別収集された容器包装廃棄物の事業者によるリサイクル、いわゆる再商品化を行っていく、この三つに分けられるわけでありますが、この法律を読み返して、地方行政に対してどのような課題を課しているかということを調べてまいりますと、地方行政はとりあえず分別してごみを集めろということをうたっている、そのようにまず認識をするのですが、その点、簡潔に、そのとおりであるとか、この点は違うとか、御所見をいただきたいと思います。
  53. 三本木徹

    ○三本木説明員 先生御指摘なされましたとおり、この法律での役割分担は、消費者は分別排出を、市町村はそれを分別して集める、そして事業者に対する責任としては、集めた容器包装ごみを引き取ってリサイクルをする、そういう義務を課している法律でございます。
  54. 田中甲

    ○田中(甲)委員 ありがとうございます。  そこで、実は、この特定事業者というのは、私が認識しているのでは、容器を使う人、容器をつくる人、そして包装を使う人、特定事業者、その数は十九万社に上り、その十九万社の特定事業者が指定法人なるものを設置して、そこに委託をするということになるわけですが、その点についての御認識といいますか、この私の把握でよろしいでしょうか。
  55. 三本木徹

    ○三本木説明員 この法律におきましては、法律上は、義務のかかる事業者は自分で行ってもよろしいし、またその義務を指定法人に対して委託といいましょうか、義務のお願いをして、お金を払ってお願いをするという、大きくはこの二つに分かれておりますが、一般的には、この指定法人に頼んで自分の義務を履行していくという形態が極めて多くなるだろうというふうに予想しております。
  56. 田中甲

    ○田中(甲)委員 指定法人なるものが少しぼやけて、見えてきません。指定法人は、現在どういう段階で、どのような話し合いのもとでつくられていくのか、指定法人の設立に向けての動きというものを御説明いただきたいと思います。
  57. 三本木徹

    ○三本木説明員 この指定法人は、御指摘のとおり、特定事業者の義務履行のいわば代行機関ということでありますので、民間事業者などの発意で設立、運営されていくということが基本であろうというふうに考えております。  したがいまして、その具体的な準備は、現在民間事業者を中心にして行われておりますが、関係業界等により本年の一月から検討が開始されておりまして、来年の四月からこの法律が本格施行になりますものですので、この夏ごろの設立を目指して現在検討が進められているという状況でございます。
  58. 田中甲

    ○田中(甲)委員 もう一度整理してみます。  十九万社に上る特定事業者、つまり容器を使う人、つくる人、PETボトルをつくっているメーカーですとか、あるいはその容器を使う飲料メーカー、あるいは包装を使う人たちがお金を出し合って指定法人というものをつくっていく、委託をする、そしてその指定法人がさらに再商品化事業者に委託をしていく。私が申し上げたいのは、このシステムはそれでよろしいと思います。  しかし、最初に申し上げた、地方行政にごみを分別して集めろ、そのシステムをつくることを、六月をめど、遅くとも秋までにはその計画書を出しなさいと言っている。ところが、住民地方行政には分別排出をして収集をしなさいということを言っておいて、そこで今の指定法人と再商品化事業とは全く一線が引かれてしまっているという、お金の面での動きというものはここでぴたりととまっている。これから地域の皆さん方が自主的に、ごみではなく資源として自分が責任を持って排出をしていくという姿、そして市町村が資源としてそれを回収していく姿というものが、私はここでは生まれてきてないというふうに思うのですが、その点ではいかがでしょうか。
  59. 三本木徹

    ○三本木説明員 この法律に基づく、あるいは基づかないでも、今まで各市町村が資源ごみのいわゆる回収ということを努力をしてきております。現在の状況を申し上げますと、六十数%までの数の市町村が何らかの資源ごみの回収事業をやっておりまして、また、この法律の施行を目指して現在準備をしている市町村があります。そういうのを合わせますと、およそれ割の市町村は取り組む姿勢を見せておる、あるいは取り組んでいる、こういう状況でございますので、収集の部分についての定着状況というのは、私どもとしてはかなり進展しているのかなというふうに考えております。  それからもう一つ、先生御指摘負担議論でございますけれども、この法律を制定した背景には、市町村が集めたごみを有価物として回し切れない、すなわち市町村は財源として入ってこないという、簡単に申し上げますとそういうことでございます。むしろお金を出さないと引き取ってくれないという事態がございました。そういったいわゆる逆有償を解消していくという、市町村の負担を少なくしていく、そういう考え方で行っておりますけれども、いずれにいたしましても、地域住民理解を得てこれを進めていかなければならないということは基本にございますので、私どもとしましては、市町村にも地域住民との理解、協力を得ながらやっていただく。その具体の方法については、個々の市町村が大変努力をして、現在、その地域に最も適した方法は何かということも考えながら実施しているという状況でございます。
  60. 田中甲

    ○田中(甲)委員 持ち時間も私は少ないものですから、ずばりと申し上げます。  再商品化事業者という部分にやはり地方行政というものが第三セクターとして組み込まれてくる。つまり、特定事業者から委託を受ける指定法人、その指定法人から再商品化事業者というものが委託をされるわけですけれども、この部分に四十七都道府県がそれぞれ、第三セクターという形になるかもしれませんが、ここに行政というものをしっかりとかみ合わせていくシステムということをぜひとも考えていただきたい。‘つまり、地域完結型のリサイクルということを完成させるためには、今のシステムですとお金にかかわる部分というものが別個のラインとしてあって、住民はごみを分別してただ集めてこい、再商品化事業に委託され、そこに払われてくるいわゆる特定事業者の資金というものが地方団体の方には流れない、互い違いにそのラインというものができている、こういう問題点を指摘しておきたいと思います。  そしてそのために、今まだでき上がっていないという段階である指定法人の協議を行う場面に地方行政の関係者をしっかりと参加をさせていく、声を吸い上げるという形をとっていただきたいというお願いでありますが、御答弁をいただきたいと思います。
  61. 三本木徹

    ○三本木説明員 再商品化事業者としての第三セクターの活用ということも考えてはどうかということでございまして、基本は、先ほど申し上げましたように、再商品化事業自体は民間の責任のもとで、民間の資金のもとで行っていくという原則でございまして、ただ、第三セクターがある場合には、そうしたものの利用ということも私どもは想定をしているところでございます。いずれにいたしましても、ここの部分は個々の地方団体の皆様方がどう取り組んでいくかということに、やはりその考えを優先させるべきではないかと思っておりますが、幅広な対応ができるようにということで対応しているわけでございます。  それからもう一点、地方団体のこの指定法人への関与をもう少しというお話でございますが、そういう意見が数多く出ておりますし、またこの法案を国会で御審議いただく際にも先生御指摘のようなお話もございました。したがいまして、それについては、私ども、前向きにといいましょうか、積極的に対応していくつもりで現在やってございます。
  62. 田中甲

    ○田中(甲)委員 わかりました。ぜひその方向でお願いをしたいと思います。  その中で気になるのが、PETボトル協議会というところでありまして、PETボトル協議会が二〇〇五年までに全国に八カ所の再商品化工場を建設するなど対応をまとめてきているというものが新聞紙面にも出ましたが、どうもここには限られた特定の業者がその利権に集まるという構図が私には見えてなりません。こういうことがないようにぜひ、余り官主導があってはならない、官僚の主導があってはならないというのは、それはもう常々言われていることでありますが、指定法人から財源が流れる部分に関してそれを断つというのは、逆に官僚の主導があってはならないということを理由にその構図から地方行政を外しているというように私は思えるのであります。  大臣、大きな声で勝手なことばかり申し上げましたが、どうぞ自治大臣からも厚生省とのつながりを密に持っていただきまして、住民が本当に自発的に集めていくことのできる、第三セクターという表現をいたしましたが将来的にはNPOにこれは切りかわっていくものだと私は推測をいたします。市民が自主的に行政に頼らずごみを分別収集をしていく、そういう時代をつくらなければいけないと思いますし、そういうことのまず布石ということを、ぜひここで厳しく大臣の目で見詰めておいて御指導いただきたいと思うのであります。もし御所見がありましたらいただきます。
  63. 湊和夫

    ○湊政府委員 地方団体の現場では、いずれにしてもごみ処理の問題は大変重要な問題でございますし、この法律前でも、先ほどの答弁にもありましたように、いろいろな角度から市民も参加を得て分別収集あるいはリサイクルの問題にも取り組んでまいっておりました。そうした地方団体側の強い要請も受けまして、今回容器包装についてのリサイクル法ができたわけでございます。  これによりまして、私ども地方における最終処分場の逼迫の問題でございますとか環境問題の深刻化の問題に資することになると考えておりますが、これはもちろんごみ処理問題のまだ一部であると思っておりますし、市民挙げてあるいは消費者挙げてやはり自主的な、ごみを出さない、出せばごみ、分ければ資源と言いますけれども、そういった取り組みはこれに並行してさらに一層取り組んでいく必要があると私ども思っております。  また、処理のいろいろなシステムにおける地方団体の関与の問題についても私どもも十分関心を持って取り組んでまいりたいと考えておりますので、どうぞ御理解を賜りたいと存じます。
  64. 田中甲

    ○田中(甲)委員 私の質問は以上で終わります。ありがとうございました。
  65. 平林鴻三

  66. 穀田恵二

    穀田委員 今まで各委員から今国会の運営に関して御意見がございましたから、私もまず最初に一言申し述べたいと思います。  私は、理事懇談会並びに理事会できょうの委員会の開催には反対であることを明らかにしてまいりました。それは、理由の一つは、予算委員会の不正常な状況を全体として包囲するためだなどという発言もございまして、私は、その道具に使うべきではないということを主張しましたし、九六年度予算の大もとを議論する予算委員会の再開にこそ努力を傾注すべきであるという見解を表明してまいったところです。  そして同時に、この審議の再開に向けて与党と日本共産党の幹事長・書記局長会談も開催され、採決を前提とした日程を白紙に戻す、それから母体行の追加負担問題や真相解明と対策について徹底審議を行う、三つ目は与党は今後採決の日程を強引に決めることはしない、こういう三点の合意がありました。さらに、先ほど委員からも議長の権威を高めるというお話もございましたが、昨日は議長も交えた合意が図られて一定の正常化に向かいつつあるときに、全会派の合意をつくる上で私はマイナスの効果をもたらすものだということで反対してきたことも明らかにしておきたいと思います。  しかし、一たん理事会その他で委員会の開催が決定されたからには、私は出席して質疑を行いたいと思っているところです。したがいまして、まず大臣一つ質問をしていきたいと思います。  兵庫県で七日に行われた参議院災害対策特別委員会に対する地元要望会の席上、貝原知事がこう言っています。「被災者の間ではやはり公的救済をしてほしい、住専問題に対する資金があるなら被災者の生活支援を優先すべきではないかという気持ちがある。これをエゴだと言い切るわけにはいかない。政治としてこたえなければならないのではないか」と発言をされたと報道されています。さらに、同席した笹山神戸市長は、「住専につぎ込む金を被災地に回せと言っているのではない。ただ、そんな余裕があるのなら、被災者の生活再建を支援する復興基金の拡充や創設などにも国は尽力してほしい」と述べておられます。  私はもっともな御意見だと拝聴しているわけですが、きょうは自治大臣、わざわざ防災のための会議の中で兵庫県にも行ってこられたこともありますし、それを踏まえてちょっと率直な感想をお聞きしたいと思います。
  67. 倉田寛之

    倉田国務大臣 過日の穀田委員の御質問の際にも申し上げましたが、自治大臣に就任をいたしました早々、阪神淡路大震災の被災地を視察をさせていただきまして、本格的な復興の取り組みに対しまして政府一体としてなお一層の支援が必要であると痛感をいたしました。過日、こう私申し上げたと思います。  自治省といたしましては、これまで、復興事業が円滑に実施されますように、土地区画整理事業につきまして特別の地方財政措置を講ずることとしたところでもありまして、また平成年度の特別交付税におきましても、阪神淡路大震災災害対策費に係る経費といたしまして、被災団体に対して平成年度を上回る五百一億円を配分いたしました。さらに、平成年度に引き続きまして、平成年度におきましても阪神淡路大震災復興協賛宝くじを発売することとなっております。初の五百円くじ、一等賞金一億円という内容でございます。  今後とも、政府一体となって、各分野において阪神淡路大震災の被災地域の復興が円滑に進みますように適切な支援措置を講じていく必要がありますので、私も閣僚の一人として努力をしてまいりたい、こういう所存でございます。
  68. 穀田恵二

    穀田委員 一つは住専との比較の問題が出されているのがそれぞれの自治体の特徴でしたが、それは余り御意見ございませんでしたので、それをあえて言おうとは思わないのですが、お話があったように、復興の力強い足取りを進める上では、生活再建、とりわけて住宅に対する援助が必要だと私は思っています。そんな中で、被災の地方自治体はそれぞれ大変な御苦労をなすっていまして、こんなさまざまな被災者救援の財政措置を講じています。  例えば、西宮市では家屋についての一九九六年度以降の固定資産税、都市計画税を減額する、さらには西宮、神戸、芦屋の各市では土地に係る両税の震災特例減免を継続するというようなことも行われています。さらに、津名町では被災者のための公営住宅についての家賃の全額助成ということまで行われています。こういうふうに、地方自治体も財政が厳しい中でも被災者に何とか立ち上がっていただくための努力を行っているわけです。その津名町では、お聞きすると、助成額は二年間で約一億六千万円の支出になる、そのうち六千万円は特別養護老人ホームヘの助成を二年間先延べすることで捻出をする、残りについては町長は国に支援を求めていきたいと話しておられます。こういう問題が多々あると私は思うのですね。  したがって、地方自治体のそういう声を少なくともさらに一層国の全体の施策に反映させる上での自治大臣の御意見なり決意のほどを改めてお伺いしておきたいと思います。
  69. 遠藤安彦

    遠藤(安)政府委員 阪神淡路大震災のこれからの復興の問題とそれから被災住民の方たちの問題があるわけでありまして、先般も総理から御指示がありまして、今現在国土庁の復興対策本部を中心にして仮設住宅の住民の方々の住居問題といったようなものもやっている段階でございます。私どもも、地方団体のいろいろな問題があることをよく受けとめて検討をしていきたいというように思っております。
  70. 穀田恵二

    穀田委員 地方自治体のそういう実態をよく知っていただいて、さらに援助を強めていただきたいと思います。  次に、東大阪の市長選挙をめぐる問題について、警察庁の関係に質問したいと思います。  昨年の三月二十二日、市民から告発があったと私は聞いています。告発の内容はどういったものか承知しておられますか。
  71. 野田健

    ○野田(健)政府委員 東大阪市長選挙に絡みまして、平成七年三月二十二日あるいは二十三日、八月二十五日にそれぞれ現東大阪市長らを被告発人として、公職選挙法違反、政治資金規正法違反で三件の告発を受理し、現在大阪府警察において捜査中でございます。
  72. 穀田恵二

    穀田委員 内容をもう少し言っていただけませんか。それ以上言えませんか、わかりやすく。
  73. 野田健

    ○野田(健)政府委員 告発の内容ということでございますけれども、挙げておられます関係は、公職選挙法第百八十六条に規定しております明細書の提出違反、あるいは公職選挙法第二百条に規定をしております特定人に対する寄附の勧誘、要求等の禁止違反、公職選挙法第二百二十一条に規定しております買収及び利害誘導罪、政治資金規正法第二十五条に規定しております政治資金収支報告書の虚偽記入罪等に関するものでございます。
  74. 穀田恵二

    穀田委員 当然、厳正な捜査が求められるわけですけれども、現時点ではどういう対応をされていますか。
  75. 野田健

    ○野田(健)政府委員 大阪府警察におきましては、関係者の事情聴取など所要の捜査を鋭意実施しているところでございます。  なお、捜査の進展状況については答弁を差し控えさせていただきますが、警察におきまして必要な捜査を尽くし、事案の内容に即して適正に対処してまいりたいと考えております。
  76. 穀田恵二

    穀田委員 今、三月二十二日並びに二十三日、八月二十五日という話がありましたが、その後、市長の後援会の会計責任者などが逮捕され、捜査段階で市役所ぐるみの選挙の実態等が判明しているわけですが、こうした点を考慮した捜査を行っているのかということについて若干質問したいと私は思うのです。  この政治団体やみ献金事件に絡んで、新聞でも報道されましたけれども、事件の裁判確定記録によるところの証拠採用された検察側調書では、次のようなことが供述されています。  まず第一番目は、市役所の機構を使った選挙活動の問題です。役所ぐるみの支援組織を、筆頭助役を頂点に助役、収入役、市長公室長、庁内各部長、主要労組を並列に配置した庁内の市長支援体制表が添付されています。もう一方、後援会グループでは、会計担当の実務は市の秘書課長と秘書課員四人が担当している。その秘書課長代理の調書では、公務員として政治活動にかかわったり選挙活動をしたことは事実であり、弁解の余地なく、反省しています、推薦はがき一万枚、二万枚などのあて名書きを七人の部下職員に割り振り、私が取りまとめて郵送した、秘書課近くの応接室を物品置き場のようにして取りまとめて置いたなどと書かれています。  さらに二つ目の問題は、現金による市会工作の問題です。それは、先ほどありました買収、利益の問題に絡んでいるわけですが、この後援会組織である未来にはばたく会の会長は、公室長から、予想以上に寄附が集まっており、市会対策に使いたいという意味のことを聞いており、実際の収入と選管への届けの差額三千万円については、市会対策のための出費など表に出せない支出に使うか使ったのだろうと思いました。今でもそのように思っていますとこの会長は供述しているのですね。  さらに公室長などは、十二月中旬ごろ、私は市長から呼び出しを受け、市長室に行った。市長は、公室長、各党とも選挙で金がかかっているやろう、精算してもらいやと言った。私は与党控室に行き、選挙でかかった経費を会の方に請求してくださいよ、会の方で払いますからと説明。三幹事長はわかりましたと答えた。こんなふうな実態があります。  さらに、お金を渡す際も、非常にリアルでして、先生、これ市長から預かってきました、選挙の精算金ですと渡した。A議員は、ああそうとすぐに受け取った、金の確認をすることもなかった。もう一つの方では、これ、市長から預かってきました、選挙の精算金ですと渡した。二人は一万円札を数えていた。こういうふうにリアルに出ているわけですね。  また、会計責任者の方の供述では、前回の市長選挙の際、市会十九人に一人三十万ずつ配っております。こういうふうに、まさにこれの選挙でいいますと、前回という話ですから、常態化している事態まであるわけです。  こういう実態は、本来公職選挙法にかかわる問題として極めて重要な違反の事項ではないかと思うのですが、その辺の見解を述べていただきたいと思っています。
  77. 谷合靖夫

    ○谷合政府委員 お尋ねの事案につきまして、自治省といたしましては事実関係を承知をいたしておりませんし、そうした事実関係に基づいて断定的な判断を下す立場でもございませんので、お答えを差し控えたいと存じますが、一般的に申し上げれば、いわゆる公職選挙法の例えば百三十六条の二第一項では、公務員がその地位を利用して選挙運動を行うことは禁止をされておるという規定がございます。それからもちろん、買収ということが禁止されていることは当然でございます。  ただ、具体的な行為がそれらの規定に違反するかどうかというのは、あくまでも個々の具体的な行為の実態に即して個々それぞれに判断をされるべき問題である、かように考えております。
  78. 穀田恵二

    穀田委員 私はこういう場合、役所ぐるみとかそういう問題の中心は、今お話のあった地位利用にかかわる問題だと思うのですね。つまり、個別の事案でそれぞれ明らかにしろといってもなかなか大変でしょうけれども、実際は今お話ししたようなことがやられているとすれば、役所ぐるみというのは結局、上司が部下に対してそういうことを頼んだとすると、自分らのいわば出世といいますか、昇格人事だとかその他を初めとした一番大事な点を握られているわけですから、そういうものが陰に陽に利用されるからこれは出てくると私は思うのですね。そこをぜひ見ていただきたいと私は思っています。  そこで、さらにこういうこともあるのですね。市と請負契約関係にある企業から市長の後援会組織の口座に現金が振り込まれている。これは公職選挙法百九十九条違反に該当する疑いがあると思うのですが、この点はどうかということをお聞きしたいと思うのです。  具体的にちょっと言いますと、資金集めの問題で、次のように供述しているのです。会計責任者が、市長と私に向かって、はばたく会では五千万円を目標にしています、そのうち二千万円を市の方で持ってもらえないかという話をしてきたのです。市長が、どうや、やれるかという言い方をして尋ねてきました。ここからですよ。私は、市長から直接選挙資金を集め取りまとめてくれないかという頼みを依頼されたものと受けとめ、市長から直接言われたこともあって、できませんとは言えず、わかりましたと答えました、市サイドで寄附金を集めるという意味は、市と契約関係にある主要な業者や団体に声をかけて、選挙協力を依頼し、寄附を募るということです、こういうふうに供述しているのですね。  まさにあるまじきことだけれども、極めて、地位利用といいますか、そういうことも含めて、役所ぐるみの実態がどれほどひどいかということが一つの事象でおわかりいただけると思うのですね。そして事実、丁工務店やS工業、W建設など十四社が、はばたく会会長が指定した振り込み先の口座へ振り込んでいるわけです。  ですから、こういう内容が百九十九条違反に該当する疑いがあると思うのですが、その辺はどうでしょう。
  79. 谷合靖夫

    ○谷合政府委員 この御指摘の事案につきましてもまた自治省としては具体的な事実関係を承知をいたしておらないわけでございます。  ただ、一般的に申し上げますと、公職選挙法の第百九十九条第一項では、地方選挙に関して「当該地方公共団体と、請負その他特別の利益を伴う契約の当事者である者は、当該選挙に関し、寄附をしてはならない。」というふうに規定をされておりますし、また、このような特定の者からの寄附を勧誘したり要求したりすることあるいは受領することも同じく法律の二百条で禁止をされておる、こういうことになっておるわけでございます。  ただ、御指摘の具体の事案がこれらの規定に該当するかどうかというのは、あくまでもそのようないわゆる請負その他特別の利益を伴う契約の当事者が寄附をしているのか、あるいは当該選挙に関して寄附をされているのか、そうした具体の、あくまでも個別の事案に即して個々に判断をされるべき問題であるというふうに考えております。
  80. 穀田恵二

    穀田委員 ですから、その場合、百九十九条の一項の厳正な適用に基づいて、当該選挙なのか、それからいわば大きな利益を得るのかどうかという問題を初めとした判断が必要ですよね。それはわかりました。  そこで、最後に一つだけ。今ありました公職選挙法二百条という問題と二百四十九条、つまり特定人に対する寄附の勧誘だとか要求の禁止というのが当然あるわけですけれども、それにもそういう問題の一つとしても該当すると私は思っているのです。  ですから、払った業者たちは、新聞社の取材に対してこう言っています。献金はみかじめ料みたいなものだ、市が指名権を持っているので、断ると締めつけられ、指名されない怖さがあって応じたと証言しているわけですね。ですから、企業からの献金というのはまさにこうした中で行われたものであって、公正であるべき選挙を汚すということになっているわけですね。  ですから、この問題は、具体的事案を承知していないと言われましたけれども、ぜひお調べいただきたいのと、役所ぐるみの実態、それからそういう献金がどれほどひどいかという問題も含めて私は調査していただきたいし、特に警察庁に対しては、このやみ献金事件の真相を究明し、改めて厳正な対処を求めたいということを述べたいと思うのです。その点だけ最後にもう一度御答弁をお願いして、私の質問とします。
  81. 野田健

    ○野田(健)政府委員 お尋ねの行為が法に違反するかしないかは、収集した証拠に基づく具体的な事実関係に即して判断すべきものでありますので、この場での答弁は差し控えさせていただきますけれども、告発を受けていることでもあり、鋭意捜査しておりますので、明らかになった犯罪事実等についてはそれに基づいて厳正に対処してまいりたいと考えております。
  82. 穀田恵二

    穀田委員 終わります。
  83. 平林鴻三

    平林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十八分散会