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1996-02-22 第136回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年二月二十二日(木曜日)     午前九時開議 出席委員   委員長 平林 鴻三君    理事 虎島 和夫君 理事 穂積 良行君    理事 持永 和見君 理事 粟屋 敏信君    理事 富田 茂之君 理事 山崎広太郎君    理事 畠山健治郎君 理事 田中  甲君       石橋 一弥君    栗原 裕康君      田野瀬良太郎君    谷  洋一君       西田  司君    村田敬次郎君       山本 公一君    貝沼 次郎君       笹木 竜三君    永井 英慈君       福留 泰蔵君    山名 靖英君       吉田 公一君    米田 建三君       加藤 万吉君    山口 鶴男君       穀田 恵二君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会 倉田 寛之君         委員長  出席政府委員         警察庁長官官房         総務審議官   山本 博一君         警察庁刑事局長 野田  健君         警察庁警備局長 杉田 和博君         自治大臣官房長 二橋 正弘君         自治大臣官房総         務審議官    湊  和夫君         自治省行政局長 松本 英昭君         自治省財政局長 遠藤 安彦君         消防庁長官   秋本 敏文君  委員外出席者         農林水産省畜産         局競馬監督課長 瀧倉  昭君         運輸省自動車交         通局旅客課長  藤井 章治君         地方行政委員会         調査室長    黒沢  宥君     ――――――――――――― 委員の異動 二月十五日  辞任         補欠選任   福留 泰蔵君     河合 正智君 同日  辞任         補欠選任   河合 正智君     福留 泰蔵君 同月十九日  辞任         補欠選任   川端 達夫君     愛野興一郎君 同日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君     川端 達夫君 同月二十二日  辞任         補欠選任   川端 達夫君     笹木 竜三君 同日  辞任         補欠選任   笹木 竜三君     川端 達夫君     ――――――――――――― 二月二十二日  警察官の増員に関する陳情書  (第七号)  官官接待等不正行為の根絶、議会機能の発揮に  関する陳情書外一件  (第八号)  地方公務員法を改正し人事委員公平委員につ  いての除斥・忌避・回避の制度新設に関する陳  情書  (第九号)  地方財源確保に関する陳情書外二件  (第一〇号)  不動産取得税に関する陳情書  (第一一号)  暴行事件に対する高松南警察署の厳正な捜査と  処置に関する陳情書  (第一二号)  議会機能等拡充強化に関する陳情書  (第一三号)  町村財政確立強化に関する陳情書  (第一四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ――――◇―――――
  2. 平林鴻三

    平林委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本公一君。
  3. 山本公一

    山本(公)委員 おはようございます。自由民主党山本でございます。  過日の大臣所信の御表明を伺いまして、広範な地方行政業務のあまたある中から、本日は、消防行政について若干の御質問をさせていただきたいと思います。  もう既にさまざまな機関で報道または検討がされているところでございますけれども、あの甚大な被害をもたらしました神戸大震災から一年余が経過をいたしました。多くのとうとい犠牲を支払った災害でございましたが、また反面、防災という面で数多くの教訓を残してくれたというふうに感じております。  そうした中で、消防のありようについて教訓を多く残してくれたわけでございますが、あの神戸大震災の折に、いろいろな欠点もまた明らかになってまいりました。恐らく消防庁はそれ以降、そういった欠点有事の際に是正をしておきたいという思いで、さまざまな検討を加えてきておられるところだろうというふうに考えるわけでございますが、私は、過日ある報道番組で驚くべき事実というか実態を耳にすることがありました。  といいますのが、あの神戸大震災以降、随分と消防の見直しと言われておりました中で、広域応援体制ということがございました。そうした広域応援体制というのは、一つ市町村に限らず、近隣の町村有事の際には、それぞれが持ち味を出して応援に行こうというようなお話だろうと思ったわけでございますが、当然あるべき将来の消防の姿だと理解をいたしております。  しかしながら、その報道番組の中で、驚いたことに、各市町村で使っている消防機材消防器具がまちまちであるということが報道をされておりました。例に挙げておりましたのが神戸市と三田市、これはまさに隣の自治体でございますけれども、まずはホースはめ込み式ねじ込み式で全然違う。それからもう一つ、これは消防基本的なことでございますけれども消火栓の栓の径が全く違うということでございまして、三田市の消火栓キーでは神戸市のキーがあかないというようなことが報道をされておりました。  私は、これは広域応援体制といいながら、もう消防の本当の基本である水をあける道具基本的に違うということに素人ながら全く驚いたわけでございますが、この辺につきまして、消防庁、そういった実態というのは把握をされておられたのかどうかについてまずお伺いを申し上げたいと思います。
  4. 秋本敏文

    秋本政府委員 具体的にお尋ねのございました消火栓バルブ、いわゆるキャップの形状について申し上げますと、昨年金国消防長会調査をしていただいておりますが、それによりますと、地下式消火栓におきましては約九八%が四角形形状ということになっております。ただ、この寸法につきましては、約六割が一辺三十二ミリのものでございますけれども、残りの四割は少しずつ異なった寸法というようになっているというのが実態でございます。
  5. 山本公一

    山本(公)委員 今も長官おっしゃいましたように、四角形であるということは、おおよそれ八%という数字でありますから、おおよそ同一だろうと思いますけれども、その径は全然違う径を使用している、四割がそれぞれのを使用しているということでございます。これが例えば北海道と九州の自治体が全く違う径を使っているというのなら、これはわかるわけでございますけれども、隣の町が全く違う径を使っているということ。  水道管の設計、埋設は、これは自治体が独自に水道行政で行われるんだろうと思いますけれども、そういう水道管を埋設し、そしてまたそこに消火栓をつくろうというときに、一体消防署というのはその過程においてどのように関与をされていらっしゃるのか、まずその点もお聞きを申し上げたいと思います。
  6. 秋本敏文

    秋本政府委員 消火栓は、今御指摘もございましたように、水道事業者において設置、管理をするというようなことになっているわけでございますが、それについての消防の方とのかかわりの具体的なあり方というのは、一々の詳細な調査はいたしておりませんけれども、それぞれさまざまであろうと思います。  ただ、今も御指摘の中にいろいろございましたけれども、それぞれの消防なり水道事業なりが市町村単位で行われている、そして阪神大震災のような広域的な全国的な応援体制を組むというようなことは今まで余り、まずなかったと言ってもいいようなことでございますので、このことが改めて関係者の間で問題にされるということになってきたというふうには思います。  ただ、例えば具体的に御指摘のございましたような消火栓についてもう少し申し上げますと、これは応援を円滑に行っていくという上からいたしますと、できる限り統一されているということが望ましい、これは当然そうだろうと思います。そういったような方向にこれからどう考えていくかということで考えてみますと、消火栓全国におよそ百二十万基ございます。先ほど申し上げましたように、四角形のものでしかも大きさが違っているものが約四割あるということは、数にしますと大変な数でございまして、これを短期間の間に統一するということは現実には難しいと言わざるを得ないだろうと思います。  ただ、こういう前提のもとにどうやって消防活動を行っていくかということで申し上げますと、消火栓バルブを開閉する器具、これは比較的簡単なものでございますから、今現在取り組んでおりますのは、当面は、それぞれ応援を受ける側の市町村で、その消火栓バルブを開閉するために必要な器具は相当数必要なものを用意しておく、応援に来ていただいたときには、地元消防の職員も一緒に加わっていきながら、その開閉の道具を使って消火活動支障のないようにしていくというような方向でやってきているわけでございます。
  7. 山本公一

    山本(公)委員 今長官が言われました。まあ対策まで踏み込んでいただいたわけでございますけれども、それぞれの市町村応援に来ていただいたときに用意をしておきますからと。ただ、確かに今現在とりあえずという姿だろうと解釈いたします。実際問題、神戸のあのときのことを考えましても、そんな余裕がとてもあるとは思えませんし、例えば神戸市が三田消防署に、これで皆さん消火栓あけてくださいよといってキーを手渡すというか、恐らく緊急時にそんな余裕はなかなかないものだろうと思います。  本来、こういった消防基本にかかわる部分というのは、私は基本的には全国統一規格というのがあってしかるべしだと思うのです。いろいろと日本水道行政の成り立ち、また消防行政の成り立ち等々を考えますと、おいそれとあす改善するというわけにはいかぬだろうと思います。今おっしゃったように、全国で百二十万も消火栓というのは存在するわけでございますから、一気に変えようというのはなかなか難しいだろうということは十二分に理解できるわけでございますけれども、少なくとも、今消防というのは、広域事務組合をつくって一つ圏域ではそれぞれの市町村一つ消防という体制をつくり上げております。ただし、水道行政というのはまたそれぞれの市町村がやっていらっしゃいます。  そうした中で、現在消防庁があの神戸教訓から学んで、今後いかにあるべしやということを考えるときには、全国で、少なくともそういった消防事務組合というものを設立しているような圏内においては規格統一してはいかがでございますかというような、一つの指導といいますか通達といいますか、そういったものをお出しになって、有事の際に備えるということもまた必要ではないかというふうに今回報道を見ながら考えたわけでございます。  なかなか、今言われたように百二十万という数でございますから、膨大な費用もかかりましょうし時間もかかるだろうと思います。しかしながら、おかしいと思うようなこと、また有事の際にこれはまた支障を来すだろうというようなものに関しましては、少しずつ改善していくというようなことを検討なさるということも必要じゃないかというふうに考えるわけでございますが、その点、どのようにお考えでございましょうか。
  8. 秋本敏文

    秋本政府委員 御指摘ございましたように、そしてまた私も先ほど申し上げましたように、応援を円滑に行うという上からいたしますと、できる限り統一が図られていることが望ましいと思います。  それで、こういった問題点につきましては、全国消防長会というような消防の実務を行っている皆さん方どもこれまでも御議論になっておりま二すけれども、私どもとしても、できる限りそういう方向で、具体的にどういうことができるのか、さらに重ねて相談をしてまいりたいと思います。  ただ、先ほど消火栓バルブのことについて申し上げましたが、例えば消火用ホースにつきまして、差し込み式ねじ込み式との違いということがございました。このこともございますが、ただそういったことにつきましては、実は接続金具というのが別にございまして、いわゆる媒介金具といったようなものがございまして、それぞれ違っておるものをつなぎ合わせるという媒介金具がございます。それは、私どもの方でも消防補助金の対象としてそれを認めておりまして、できる限りそういうものを持って行って、そしてたとえねじ込み式のものあるいは差し込み式と違うものがありましても、接続がその媒介金具を使うことによって円滑にできるようにしていこうというようなことでやっております。  全国的にはいろいろありますけれども、これから時間をかけてでもやることと、そしてまた当面消火活動支障を来さないようにやるということと、それらを十分見きわめながら適切な対応をしていきたいと思っております。
  9. 山本公一

    山本(公)委員 いずれにいたしましても、先ほど来申し上げますように、国民財産生命を守る大切な消防行政でございますので、不安のないように、これから諸般の改善を積極的にお進めを願いたいと思います。  冒頭例に取り上げました神戸市と三田市なんというのは本当に隣でございまして、全くの隣の自治体がそれぞれ今申し上げた違う機材消防で使っているというような実態報道されて、私のみならず、恐らくテレビを見ていた多くの視聴者はかえって不思議に思ったと思うのです。  消防というのは恐らくみんな全国統一規格だろうというふうに考えておるのが普通の国民で、それで安心して消防というものにお任せできるというような気持ちがあったのだろうと思います。ところが、全くまちまちのものを隣の町が使っているというような実態が明らかになりました。驚くと同時に不思議な思いがいたしたわけでございますから、これから何年かかりましょうとも、一歩ずつ改善を進めていっていただきたい、強く要望をしておきたいと思います。  次に、先般の大臣所信表明の中に、消防行政というのはこれから積極的に見直していきたい、進めてまいりたいというようなことがございました。毎年当委員会で繰り返し質問をされるわけでございますけれども、それは各地の消防団員確保処遇についての質問であります。これはそれぞれの、我々の立場で、地元に帰りまして消防団員とつき合いをする中で、消防団員活躍度合いに比べていささかその処遇が劣っておるのではないかということを実感として感じておる、そういうことから恐らく毎年質問が出てくるのだろうと思います。  北淡町のあの消防団員活躍のさまを見るまでもなく、私ども地元消防団友達等を見ておりますと、単に防災活動だけではなくて、山で変事が起きますと、それは火事に限らず自殺等のいろいろなことがありますと、消防団員がすぐ集められまして山に入って捜索をいたします。そして、警察ともどもその遺体の捜索等に当たりまして、また最後までその処理を彼らがやっております。そういった姿から、君ら一体消防署からどういう待遇を受けているんだと話を聞きますと、まあ早い話がこれは一種ボランティアみたいなものですわなというような答えが返ってまいります。いかにも活躍度合いに比して処遇が低いような気がいたすわけでございます。  私どものような田舎におりますと、消防団によってその町、村、市が、非常に和気あいあいとした一つ共同体の意識を形成することができておるような気がいたしております。まさに世界に冠たる消防団組織だと私どもは胸を張っておるわけでございますが、今回予算の中でも何らかの措置をしていただいておるのか、また次回にはされようとしているのか、その辺について若干お尋ねを申し上げたいと思います。
  10. 秋本敏文

    秋本政府委員 消防団地域において果たしている役割、今御指摘もございましたように単に消火活動といったものだけではなくて、いろいろな面で重要な役割を果たしているということ、御指摘のとおりだと思いまして、私どももそういうような観点に立ちながら消防団というものを見ていっているわけでございます。  ただ、今の御質問の中にもございましたけれども、その地域自分たちで守っていくということでもともと発足しておるものでございますので、報酬といったようなことで申し上げますと、例えばこれを職業として生活するというようなものとは全く性質が違うというようなことから、金額として見ると一般給与水準との比較では低いものにならざるを得ないという面はございます。  ただ、そういう中におきまして、消防団員処遇につきましては、報酬の問題、あるいは公務災害といったようなことがありましたときの補償措置の問題、そういったものとあわせて総合的にできるだけの配慮をしていくということで従来からやってきているわけでございまして、例えば、地方交付税における団員報酬等算入額についての引き上げ、あるいは公務災害補償基礎額退職報償金の基準の引き上げなどを従来から行ってきております。  平成八年度におきましても、消防団員皆さんの労苦に報い、そしてまた団員確保を図るという観点から、消防団員の方々の処遇改善につきまして、団員報酬等引き上げを予定をしているところでございます。
  11. 山本公一

    山本(公)委員 もしよろしければ、どの程度引き上げをお考えなのか、ちょっとお聞かせを願いたいと思います。
  12. 秋本敏文

    秋本政府委員 例えば消防団員報酬について申し上げますと、団長につきましては平成七年度七万四千円という額を算入いたしておりますが、平成八年度七万五千円ということに引き上げる。また、一般団員について申し上げますと、七年度二万七千五百円という数字でございますが、これを二万八千五百円というように千円引き上げるというようなことを考えております。
  13. 山本公一

    山本(公)委員 ありがとうございました。  今、千円程度報酬のアップだそうでございますけれども、千円の額の多寡ではなくて、こういうふうに消防庁または国が消防団処遇について常に前向きに考えているのだということをお示しをいただきまして、士気の高揚のためには極めてありがたいことだと感謝を申し上げたいと思います。ぜひ今後とも、そういった面におきまして消防団実情団員実情等々を十二分に把握をいただきまして、消防団員の、また消防団の今後の十二分な活躍ができるような御配慮を賜りたい、心からお願いを申し上げたいと存じます。  最後に、倉田大臣に御質問申し上げたいと思います。  今ほど申し上げましたように、消防行政というのは国民が極めて安心して信頼をしている分野だ、かように考えております。神戸事件の折に、ややもすれば日本防災体制というのが国民の目から見たら不安に覚えざるを得ないようなことに相なりました。我々はやはり、国民生命財産を守るために、消防団というのは、また消防というものはいつもその向上を前向きに考えて施策を展開しているのだということを国民にわからしめることが非常に大切なことだろうと思います。そうすることがかつての日本安全神話の復活につながる一助になるのではないか、かように考えておりますけれども大臣消防行政一般に関します御決意のほどを最後にお伺い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。お願いします。
  14. 倉田寛之

    倉田国務大臣 山本委員から、消防行政充実強化に対します貴重な御指摘をいただきました。私事にわたりますが、私も千葉県の消防協会の会長を長年にわたって務めてまいりましたので、委員の御指摘につきましてはいたく感じるところがございます。したがいまして、御指摘の点は十二分に関係者と協議をして検討を進め、対応を図ってまいりたいというふうに思う次第でございます。  阪神・淡路の大震災は、消防にとりましては数多くの教訓を残しました。これらの貴重な教訓を踏まえまして、情報通信体制整備を進めますとともに、消防団を初めといたします地域自主防災体制充実緊急消防援助隊の創設などによります広域応援体制整備などを進めております。  そのため、現在審議中でお願いをいたしておるところでございますが、平成八年度予算案におきましては、消防水利多様化消防資機材整備災害情報収集伝達システム整備広域応援のための資機材整備などを中心といたしまして、前年度当初比一四・九%増の二百一億円の消防防災施設等整備費補助金を計上いたしているところでございます。  また、地域実情に応じました避難地避難路確保防災拠点整備公共施設耐震化などの事業を推進いたすために、防災まちづくり事業及び緊急防災基盤整備事業によりまして、三千億円を超える規模地方単独事業を実施いたしまして、災害に強い安全な町づくりを推進していくことといたしておるところでございます。  今後とも、大規模災害対応でき得るように、消防力充実強化に向けまして全力を挙げてまいりたいと考えておりまするので、引き続き御支援のほどをお願い申し上げる次第でございます。
  15. 山本公一

    山本(公)委員 どうもありがとうございました。
  16. 平林鴻三

  17. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 自由民主党栗原でございます。  きょうは、今世間で大騒ぎをしております住専問題について、警察行政という立場で御質問させていただきたいと思うわけでございます。  この住専問題、本当に報道過多と思えるぐらいいろいろなニュースが飛び交っております。日本のマスコミというのは大変おもしろくて、去年はとにかくオウム一辺倒でございましたし、その前は政治改革一辺倒、ほかのニュースはなきがごとく、毎日のようにこれでもかこれでもかと報道するのですね。その中には興味本位のものもありますので、どうしても国民誤解を与えてしまう、そういったものもあるわけでございます。  それで、私ども地元を回っておりまして、どうもこれは誤解をしていらっしゃるのじゃないかなというふうに思う中に、住専から借金をして、それを踏み倒して涼しい顔をしている連中がいっぱいいる、その連中を助けるために我々の税金を使っているんだ、こういうふうに誤解をしている人がいるのですね。これは全く変な話でございます。  そこで、大臣所信表明の中にこういう文章がございます。「いわゆる「住専問題」につきましては、その処理過程刑罰法令に触れる行為が認められれば、警察としては、貸し手借り手を問わず、厳正に対処してまいる所存であります。」こうございます。これは具体的にどのようになさるのか、御説明を願いたいと思います。
  18. 野田健

    野田(健)政府委員 警察といたしましては、住専問題の処理過程刑罰法令に触れる行為を認めれば、貸し手借り手を問わず、厳正に対処する所存であります。  このため、警察庁においては、一月九日付で刑事局内に設置いたしました金融不良債権関連事犯対策室を、二月八日、次長を長とする室に拡大強化いたしまして、新たに暴力団対策第一課長及び生活環境課長室員として加えたところであります。そして同日、全国都道府県警察に対し、情報収集事件検挙及び体制整備に積極的に取り組むよう指示し、今後違法事案を認めた場合において的確な対応をとり得るよう努めているところであります。  また、関係都道府県においても、例えば警視庁においては、捜査第二課、捜査第四課、生活経済課合わせて約七十名の専従捜査体制大阪府警察において、捜査第二課、捜査第四課、生活経済課合わせて約百名の専従捜査体制確保するなど、所要の体制整備したところであり、今後とも必要に応じて増強することとしているところでございます。
  19. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 金融不良債権関連事犯対策室というのをつくって、各都道府県にも働きかけて強力にやっていく、こういうことでございます。  それで、大蔵省のぺーパーの中に、強力な債権回収体制というのがございまして、これはまだ案でございますけれども、住専処理機構の中に回収困難事案対策室というのがあって、その中に警察からも出向する、こういうふうに出ております。これと今の金融不良債権関連事犯対策室はどういう関係になるのでしょうか。
  20. 野田健

    野田(健)政府委員 警察庁では、平成五年以降において、金融・不良債権関連事犯については五十件の検挙事例の報告を受け、把握しているところでございます。  いわゆる住専処理機構を含む不良債権の回収体制については、現在、関係省庁においてその確立に向け鋭意作業中であります。  それで、不良債権の回収体制において、今後債権回収を行う過程において刑罰法令に触れる行為を認め、捜査機関に通報する必要が生じることも想定されるところでありますが、警察としては、警察OBの住専処理機構への参加等の人的協力につきましては、ノウハウを有しているわけではない債権回収業務そのものに従事するのではなくて、告発に関する助言あるいは捜査機関との連絡といった専門的知識や経験を活用する形で、強力な債権回収に資する活動を行うことができるものというふうに考えております。  警察庁に置かれております金融不良債権関連事犯対策室といたしましても、刑罰法令に触れる行為に対して的確に対処できるよう、関係都道府県警察とともに、住専処理機構とも緊密な連携を図ってまいりたいと考えております。
  21. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 わかりました。  それで、先ほどの金融不良債権関連事犯対策室、この中に暴力団対策第一課長暴力団対策第二課長が重要なスタッフとして入っていらっしゃるわけですけれども、これはどういうねらいなんでしょうか。
  22. 野田健

    野田(健)政府委員 警察は、平成五年以降、現在までに、住専を含む金融機関の融資あるいは債権回収の過程において暴力団等が関与した事例を三十八件検挙しております。このうち、住専に絡む事件は四件であります。こうした暴力団等の関与する事件の検挙状況等にかんがみ、暴力団対策第一課長暴力団対策第二課長等、警察の関係部門をメンバーとする対策室を設置したということでございます。
  23. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 要するに、これから、住専から借りておって借金を踏み倒して涼しい顔をしている連中を摘発していく中で、暴力団が絡んでくるかもしれぬ、今までの事例を見るとそういうことなので、暴力団対策第一課長、第二課長を入れて、暴力団が出てきても絶対に負けないぞ、こういうことをやるということで理解をさせていただきます。  そこで、これは報道でございますが、住友銀行名古屋支店長が自宅を出たときに何者かに殺傷されたという事件がございました。我が党の加藤幹事長が、朝日新聞の「論壇」の中にもこのことを住専問題に絡めてちょっと触れておりますけれども、この事件はその後どうなったんでしょうか。
  24. 野田健

    野田(健)政府委員 お尋ね事件は、平成六年九月十四日、住友銀行の名古屋支店長が名古屋市内の自宅マンション玄関先通路において何者かに頭部をけん銃で撃たれ殺害された事件でございます。  愛知県警察においては、即日、所轄の千種警察署に捜査本部を設置して捜査中のところ、本件に使用したけん銃につきましては、その後、大阪にございます住友銀行本店に融資を申し込みに来た男がこのけん銃を所持していたということで、同人を逮捕するとともに、これを押収しております。残念ながら、本件の殺人事件の方につきましてはまだ未解明でありますので、関係府県とも連携をとりながら、現在も鋭意捜査を進めているというところでございます。  本件が暴力団と関係しているというような一部報道がなされていることは承知しておりますけれども事件の背景等につきましては、現在捜査中の事件でありまして、まだ解明されていないということで、その内容については差し控えさせていただきたいと思います。  いずれにいたしましても、事件をめぐるさまざまな状況を広く視野に入れて捜査に取り組んでいるということで、御承知おきいただきたいと思います。
  25. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 暴力団が関与しているという確かな証拠がない、こういうことで今現在の時点では答弁を差し控える、こういうことでございます。これはよくわかります。よくわかりますが、どう考えても、これはテレビとか映画でよく出てきますが、いわゆる黒幕がいて、要するにヒットマンですよ。ただ単に、これは何年か臭い飯を食ってこいと言われて言ってきたというふうに私どもは理解をするのですね。しかも、大阪で金融機関の役員の自宅にやはりけん銃の弾が撃ち込まれたり、こういうのがあるのですね。ですから、こういうことが多分これからも恐らく私は起こってくるのであろうというふうに、大変嫌なことでございますが、想像せざるを得ない。  そこで、改めて伺いたいのでございますけれども、暴力団の実態というのは、これはどうなっているのでしょうか。  それから、暴力団が、暴対法ができまして、いわゆるシノギといいますか稼ぎが相当少なくなってきている。こういうことの中で、暴力団の稼ぎというものの推移というのかな、そういうものをある程度調べていくと、大体これからどういうところに暴力団が出てくるかというのがわかると思うのですけれども、その辺はどうなっていますでしょうか。
  26. 野田健

    野田(健)政府委員 平成七年末現在の暴力団勢力は約七万九千三百人で、そのうちいわゆる暴力団構成員、暴力団組員は約四万六千六百人であります。暴力団勢力は暴力団対策法制定時の平成三年末、約九万一千人、構成員は平成二年末の約六万八千八百人をピークに、それぞれ減少はしております。  暴力団は、違法にあるいは合法を装うなどして、さまざまな資金獲得活動を行っております。例えば、伝統的には覚せい剤の密売、賭博、のみ行為等により資金を獲得しているところでありまして、これらが暴力団の収入の半分近くを占めているものと推定しております。また最近は、債権の取り立て、交通事故等への示談介入、いわゆる民事に介入して不当な金品獲得もするというようになってきているように把握しております。また、最近の暴力団の中には、合法的な企業活動を装って経済活動に介入して、その過程において活動資金を獲得しているものもあるというふうに認識しております。  暴力団の取り締まりに当たりましては、暴力団の資金源を枯渇させる、そしてその活動を封圧するということが不可欠と考えておりまして、刑罰法令の適用はもちろんのこと、暴力団対策法に基づく中止命令等の行政処分も活用し、厳正に対処してまいりたいと考えております。
  27. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 今のお話でございますと、暴力団は、伝統的な覚せい剤とか、伝統的というのも随分変な言い方ですけれども、いわゆる賭博とかそういったものが約半分、それから民事介入とか合法的な企業活動を通じて資金を得ている。とにかく資金のもとを断つんだ、こういう決意のほどを聞かせていただいたわけでございます。  いわゆる暴力団が民事に介入してくることを阻止するために暴対法ができたというふうに承知しておりますし、この「暴力団対策法第九条で禁止されている行為」というのをいただいておりますけれども、これを読みますと、ぜひこういうことをやってほしいということがいっぱい書いてあるのですね。  ちょっと読みますけれども、第一号の「人の弱みをネタに口止め料を要求する行為」、これは大変イラストがおもしろいのですね。これはホテルらしいところから出てくる男女を写真でぱっと撮っているのですね。これは大変わかりやすくていいのですけれども。それとか、第七号では、暴力団が「借金の免除や借金返済の猶予を要求する行為」、あるいは第八号では「不当な貸付けや手形の割引きを要求する行為」、あるいは十一号では「不当な地上げをする行為」、あるいは十二号では「土地、建物を占拠するなどして不当に明渡し料を要求する行為」、こう書いてあるのです。  これから予想されるような、多分住専絡みで暴力団が出てきてこういうことをするなということをあらかじめ予想しているみたいにきちっと書いてあるのですね。これをどんどん適用していただいて資金源を断っていただきたい。しかし、やはり暴力団というのは暴力団ですから、これはいよいよ食えなくなったらば最後は暴力に訴える、こういうところです。ですから、例えば住専処理機構の方たちとか、現場で債権を回収する人たちというのは相当これは、まあ「ミンボーの女」というのが映画でございましたですけれども、あのときはホテルマンが暴力団に対して最初は物すごく怖がってどうにもならなくなって、暴力団の要求に屈しちゃうのですね。それを「ミンボーの女」という弁護士が出てきて、暴力団に対する対策を教えてやるんですけれども、やはり私どもこれは相当なバックアップが必要だと思います。そういう意味での対策もぜひお願いをしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  28. 野田健

    野田(健)政府委員 警察といたしましては、暴力団等の関与する違法行為に対しましては、従来から厳正かつ積極的に対応してきたと自負しております。  いわゆる住専問題に関しまして、債権の回収過程において、例えば不当な債務免除等の要求を行うとか、あるいは競売等を妨害するということが予想されるところでありますが、これらについて、必ずしも犯罪に問擬できない場合であっても暴力団対策法上の中止命令の対象にはなるというものもございますので、今後とも刑罰法令とともに暴力団対策法の適用も考えて厳正に対処してまいりたいというふうに考えているところであります。  また、債権の回収に当たる関係者等に対して暴力団等が危害を加えるというようなことがないよう、また情勢に応じた的確な措置を講じてまいりたいと考えております。
  29. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 ぜひしっかりとお願いをしたいと思います。  去年のオウムのときもそうでございますけれども、オウムが大変大きな社会問題になりまして、警察は大変捜査がやりにくかったと思いますけれども、逮捕するときに、ああ、こんな刑罰もあるんだなと思うような刑罰でどんどん引っ張りましたね。あれをまた今回もぜひやっていただきたいと思います。  それから次に、暴力団と右翼というのがあるわけでございますけれども、よくつながっている、こういうふうに言われておるのですが、それは実態はどうなっていますでしょうか、暴力団と右翼の関係。
  30. 野田健

    野田(健)政府委員 暴力団の事件を検挙した場合に、暴力団の一部が、いわゆる右翼的主張に基づく政治活動の名のもとに資金獲得活動を行っているという事例が見られるところであります。ボーダーレス化などということが言われますけれども、暴力団あるいは右翼そして総会屋というようなものについて、同じ人物が三つの仮面をかぶっているというような事例も見られるわけであります。  いずれにいたしましても、暴力団、あるいはそれが右翼という名を名乗ろうとも、刑罰法令に触れる行為に対しては厳正に対処してまいりたいと考えております。
  31. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 暴力団が右翼とつながっている部分もあるという御答弁でございますけれども大臣所信表明の中に、「右翼については、住専問題等内外の諸問題に敏感に反応してテロ等の凶悪事件を引き起こすおそれがあり、」こうあります。これに対する対策というのは、具体的にどういうふうに考えていらっしゃるのでしょうか。
  32. 杉田和博

    ○杉田政府委員 現在、比較的活発に活動をしております右翼というのは、全国で約八百団体、一万六千人ほど把握をいたしております。このうちの約三分の一、これは暴力団と深いつながりを持つか、あるいはただいま刑事局長が答弁申し上げたように、暴力団が右翼を標榜しておるというものでございます。したがいまして、右翼の活動、さらにまた資金源、こういうものを把握する場合には、当然のことながら暴力団とのかかわり、さらにまた総会屋、その周辺のそういう動きというものをしっかりととらまえていかなければならないということで、現在刑事部門とも情報をいろいろと交換をいたしまして対処いたしておるところであります。  一月の下旬に中部以西の右翼が大挙して上京いたしまして、霞が関周辺におきまして、住専問題について執拗かつ悪質な音によるところの、いわゆる街宣でがなり立てた事案がございますけれども、こういう事案については現行犯逮捕を含めまして厳しく規制をいたすとともに、こうした右翼の背景と申しますか、そういうものにつきましても現在鋭意情報収集をしておるところでございます。
  33. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 わかりました。  それから、今度の国会で警察法の一部改正という法律が、これはまだ審議をされてはおりませんけれども、伺いますと、各都道府県警察官の調整というものをもっと連携をとってやる、警察庁が中に入ってきちっとやる、こういうことでございます。  この暴力団の問題も、これは広域暴力団、特に日本の場合には山口組等、相当大きな勢力の暴力団があるわけでございまして、それらは神戸とか東京とかあるいは北海道とか、あちこち飛ぶわけでございますので、この警察法の一部改正が成立いたしますと、暴力団対策というのはやはりやりやすくなるのでしょうか、ちょっとその辺もあわせてお聞きしたいと思います。
  34. 野田健

    野田(健)政府委員 このたびの警察法の一部改正案は、全国の広範な区域において個人の生命、身体及び財産並びに公共の安全等秩序を害し、または害するおそれのある広域組織犯罪等に迅速かつ的確に対処することができるようにするため、必要な限度において、都道府県警察の管轄区域外においても権限を行使することができるよう規定の整備を行いたいと考えているものであります。  この改正案は、直接的にはオウム真理教関連事件の経緯にかんがみ立案したものでありますけれども、広域組織犯罪として想定される事案には、委員指摘のとおり、広域暴力団相互の対立抗争事件等が発生した場合のことを考えますと、この規定は十分に使えるのではないかと考えておりまして、暴力団対策上も極めて有効な内容を含んでいるものと考えております。
  35. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 最後に、大臣に御決意のほどをお聞きいたしたいと思います。  冒頭申しましたように、国民の皆様方の中には、この住専の報道を聞いておって非常にやるせない、要するに悪いことをしたのが、まあ悪いことしたというふうに、それはまだ刑罰がはっきりしませんからわかりませんけれども報道によると、とにかく借金を踏み倒して、豪邸に住んで、すごいいい車に乗って、国会に出てきて言いたいことを言って、みんなおれが悪いんじゃない、他人が悪いんだ、こう言って平気な顔をしている人たち、自分たちの税金がその人たちを救うために使われるんだという誤解をしている人がいるのですね。  ですから、そうじゃないんだということを私どもも一生懸命言っておりますけれども、とにかく住専に絡んでいわゆる刑罰に触れるものがあれば、貸し手借り手を問わず厳正に対処していく、こういうふうにおっしゃっているのですから、ぜひ国家公安委員長として、警察等を督励していただきまして、強力に国民の期待に沿うように進めていただきたいと思います。  最後に、大臣の御決意を重ねてお尋ねしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  36. 倉田寛之

    倉田国務大臣 いわゆる住専問題は喫緊の課題であると存じます。栗原委員のお話にもございましたように、警察といたしましては、貸し手借り手を問わず、刑罰法令に触れると認められるものにつきましては厳正に対処をしていくもの、こういうふうに認識をいたしているところでございます。  また、暴力団等につきましての御指摘がございましたが、暴力団等の関与する違法行為に対しましては、従来から厳正かつ積極的に対応してきたものと認識をいたしております。  住専の不良債権問題と暴力団等との関係について種々取りざたをされていることは私も承知をいたしております。  警察といたしましては、この問題につきましては国民の皆様の関心も高いという状況を十分認識をしながら、その重要性にもかんがみて、総合力を発揮し得る所要の体制をもって取り組んでいるところでもございますので、今後とも、刑罰法令に触れる行為に対しましては、厳正に対処してまいるものと確信をいたしているところでございます。
  37. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 ありがとうございました。ぜひ、御健闘をお祈りをいたします。
  38. 平林鴻三

    平林委員長 貝沼次郎君。
  39. 貝沼次郎

    貝沼委員 初めての質問でありますのでいろいろなことをお尋ねしようかなと初め考えましたが、大臣所信について、大臣のお考えになっていることを端的にお伺いした方がむしろ大事なのではないかなという感じがいたしましたので、そういうふうに一応考えました。  初めに、この大臣所信をずっと読んでみましたら、大変立派なことが書かれてありまして、今消防行政もありましたし、今度は、二番目は地方分権、それからいろいろ順番がありますが、私は、どちらかといえばこの地方分権を、特に地方分権は別の委員会でやっておりますから、ここの所属の者として聞こうとすればこういうチャンスかな、こう思ってお尋ねしたいと思っています。  ところが、地方公共団体の姿というものを、自主性・自立性、自主的・主体的という言葉が五カ所ぐらい出てくるんですが、この自主性、自立性、主体性を持ったものというのはどういうふうなものを理想としておられるのかということがまず問題になると思うんですね。  そこで、大臣の地方公共団体の理想像、目指すもの、これはどういうものであるかということをまずお尋ねしておきたいと存じます。
  40. 倉田寛之

    倉田国務大臣 貝沼委員が御指摘をされました地方公共団体の自主性・自立性とは具体的にどう認識をしているかという点についてお答えを申し上げます。  地方分権の推進につきましては、まず、地方がその実情に沿った個性あふれる行政を積極的に展開をしていただくように地方公共団体の自主性・自立性というものを高めていくことが必要であります。実はこう冒頭申し上げておるわけでございますが、現行の行政システムでは、町づくりや住民の暮らしづくりというものが国からの縦割りの画一的な施策によって区分をされております。地方公共団体が、地域の総合的な行政主体として、住民の皆様のニーズや地域実情対応した事業を実施することは困難になりがちでございます。  また、地方公共団体から地域の課題をみずからの創意と工夫で解決をしようとする積極性であるとか創造性であるとかというものを失わせている面があるとの指摘も、地方分権推進委員会からなされているところでもございます。  したがいまして、御指摘の地方公共団体の自主性・自立性を高めるということは、このような現行の行政システムの改革をいたしまして、地方公共団体が地域に関する行政につきまして企画、立案、調整、実施というものを一貫して処理のでき得るシステムを基本的に目指すものでございます。そのためには、権限移譲や国の関与等の廃止、緩和、機関委任事務の抜本的な見直し、地方税財源の充実強化など、改革を積極的に進めることであろう、こういうふうに認識をいたしているところでございます。
  41. 貝沼次郎

    貝沼委員 大変立派な御答弁であると思います。  はっきり言って、中央の方は、変な例えですが、全部専門店になっております。各省庁は全部専門店です。それで、地方自治体に行きますと、ざあっとそれが全部集まりまして、よろず屋みたいになってしまう、そうなんですね。それで、おのおのの指示がばんばん来る。ところが、例えば、さあ一つのものをつくろうとしても、土地の買収から何からみんなやらなくちゃいけない。その場合に、いわゆる縦割りの関係ですから、おのおのの省庁の権限に沿ってやらなくてはいけない。非常にむだが多いし、また面倒くさい。それで進まない。  その決定自体も、自治体の自己決定というんですか、これから何かをやるという意思決定、行動決定、すべて、これも果たして自分たちができるのかできないのか。できる部分というのはごく少なくて、もう下請をやっているようなことがたくさんある。大臣は一番よく御存じですから、そういうところから、これじゃだめだという話になっているわけですね。  したがって、この地方自治体が自己決定してきちんとできる体制、そのためには、邪魔するものはぶった切っていかなければならないし、何かしなければならないというのが基本考え方なんだろうと思いますが、もちろんその裏には財政的裏づけがなければならないし、補助金の弊害が出てきますね。  したがって、こういうことで、今大臣の御答弁を聞きまして、私は、そうだな、こういうふうに納得はしております。納得はしておりますが、ならば、できるのかというところがポイントになってまいります。  そこで大臣、今度大臣になられてから、地方自治のいろいろな御経験を踏まえているわけでありますから、この際、とりあえず今年度これだけはやるというものが恐らくあると思いますので、それをお示し願いたいと思います。
  42. 倉田寛之

    倉田国務大臣 貝沼委員の御指摘でございますが、今の段階におきまして具体的な内容などを申し上げることはいかがかというふうに実は感じております。  それぞれの項目につきましては、御案内のように、現在、地方分権推進委員会におきまして大変精力的に御審議をいただいておりまして、当面三月末に中間報告が取りまとめられまして、年内には地方分権推進計画の作成のための具体的な指針の勧告を目指すということになっておるのでございまして、そういう意味でいかがかというふうに申し上げた次第でございます。  しかし、再度のお尋ねでございますので、例えば、高齢化社会に的確に対応していくための保健、医療、福祉などに関するきめ細かなサービスというものが各地において総合的に提供できる、そういった権限の移譲であるとか、国の関与の緩和であるとか廃止などを図っていくことが必要ではないかというふうに考えているところでございます。
  43. 貝沼次郎

    貝沼委員 大臣ですから、全部言わなければならない立場でございましょうが、その上でも特にこういうところというお話をいただいたということは大変ありがたいと思っております。もちろん、それ以外やらないとは私も考えておりません。  そこで、これはここの中にもありますが、「平成六年十月、地方公共団体の自主的・主体的な行政改革の一層の推進に資するため、「地方公共団体における行政改革の推進のための指針」を策定し、通知したところでありますが、」云々、こういうふうにありますね。通知が出ております。この通知の内容、これは大臣というわけにはいきませんが、大体どういうことをやれということを通知しているのか、事務局の方からちょっと御説明を願いたいと思います。
  44. 松本英昭

    ○松本政府委員 お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、平成六年十月に地方公共団体における行政改革の推進のための指針を策定することを通知をいたしたところでございます。この行政改革推進のための指針の策定につきましては、社会経済情勢の変化に対応した来るべき地方分権の時代にふさわしい簡素で効率的な行政システムを確立するために、地方公共団体がみずから自主的・主体的に行政運営全般にわたって総点検を行う、そして明確な方針を示していただいて、それに沿って地方行政の抜本的な改革を進めていっていただきたいということを最初に述べております。  そして、この自主的・計画的な行政改革の推進についての取り組みでございますけれども、その取り組みにつきましては、全庁的な取り組みの姿勢を示す、すなわち全庁的に行政改革推進本部というものを設置するということを一つ掲げてございます。  それから次に、これは、住民とともにある地方行革と言ってもいいかと思いますが、行政内部の検討にとどまらないで、住民の代表者等から成ります行政改革推進委員会等を設置いたしまして、当該委員会審議や意見等を踏まえることとするとともに、住民の意識調査などを通じまして住民の意見を反映するように配慮することを求めているところでございます。  それからまた、この行政改革大綱は、おおむね一年以内を目途にしていただきたい、こういうことを言っております。  それから、行政改革の進行管理も怠らないようにしていただきたいということと、その際のいろいろな留意点についてお示しをいたしておるところでございます。  そして、大きな柱の二つ目といたしましては、重点事項というものを示しておりますが、その中にいわゆる事務事業の見直しということにつきましても、新しい時代にふさわしいような行政責任領域というものをはっきりさせなさい、していただきたい。そして、行政の効率、効果等を十分吟味していただきたいというようなこととか、あるいは行政運営の効率化、住民サービスの向上というような点を特に留意してもらいたいとか、それから行政の公正、透明という点を留意していただきたいというようなことを言っておるところでございます。  さらに、時代に即応いたしました組織・機構の見直し等につきましては、単に行政の中身だけでなくて、その周辺部分、公社等を含めた行政改革等を行ってもらいたいというようなことも言っております。  それから、最も重要なことの一つでございますが、やはりこれからは地方公共団体の政策形成能力というものを高めていただかなければならない。そのための必要な措置についても今回の地方行革には触れていただきたい、こういうことを求めているものでございます。
  45. 貝沼次郎

    貝沼委員 そして、これは各都道府県に通達を出して、その県下の地方自治体にもこれをちゃんとやらせなさい、こういうふうについていますね。さあ、これができるのですかね。私はこれを読みまして、これは本当は国がやることじゃないかと思ったのですね。  今幾つかお話がありましたが、例えば事務手続の簡素、効率化を進めなければならないと書いてありますが、これで今困っているのは、国の方に対するもので困っているのですよ、こっちの方は。あるいは、行政効率、効果等を十分吟味して、そして事業の整理合理化という、これもこっちの方ですよ、むしろ。地方自治体は金ありませんから、効率的にやっているのです。それからさらに、許認可の事務手続自体について洗い直しを行い、また手続の簡素化、処理日数短縮、こういうこともありますね。  いろいろ難しいことばかりで、とても自治省さんは気楽なものだ、立派なことをおっしゃるけれども、国の方はやれないのに、何で我々にやれと言うのかなという感じが大分あったようでありますが、これは一年以内と期限を切ってありましたが、それまでの策定状況といいますか、これはどうだったのでしょうか。
  46. 松本英昭

    ○松本政府委員 お答え申し上げます。  まず、最後の策定状況の方から申し上げますけれども、先ほど申し上げましたように、それぞれの地方行革大綱は、おおむね一年を目途としてお願いをいたしているところでございます。  そこで、現在の策定状況でございますけれども、大体都道府県と指定都市につきましては、七年度内に全団体が策定を終えるという予定になっております。それから、市町村の方は八割程度が本年度内に新たな行革大綱をつくっていただくということになっているところでございます。
  47. 貝沼次郎

    貝沼委員 今の答弁はちょっとすりかえているのですよ。それは、なる状況になっておるという話であって、正確に、「行政改革大綱は、概ね一年内を目途に」、もうはっきり言っているのですよ。それで、その一年でどれだけ策定できましたか、こう尋ねたのですが、あなたは今のところというふうに、違うのです、ここは。一年内のところ、つまり十月ですね、十月のところでは半分にも満たなかったと思うのですよ、自治体。いや、そうなんですよ。だから新聞に、全然進んでいない、このままほっておいたら財政圧迫をして大変になるよという記事が出ておったわけですから。違いますか、じゃもう一度、違うなら違うと言ってください。
  48. 松本英昭

    ○松本政府委員 お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、一年内を目途に策定をするということにいたして私どもの方ではお願いをいたしたところでございます。  それで、現在でございますけれども、策定済みの団体、これは昨年の十月段階でのという数字でございました。ちょっと持っております数字が、現在までの策定済みということで申し上げさせていただきたいと思いますが、都道府県で二十九団体、六二%、それから指定都市で十団体、八三%ということでございます。その余の調査をいたしましたところ、先ほども申し上げましたように、七年度内には都道府県、指定都市は全部策定をするという予定になっているということでございます。  なお、市町村分でございますけれども、現在のところの策定済みは三百六十団体、一一%ということでございまして、七年度内の予定にいたしておりますのが六八%ということで、合わせまして約八割、こういうことで御答弁をさせていただいた次第でございます。
  49. 貝沼次郎

    貝沼委員 そういうことなんですよ。ですから、一年たって、そして見たらできていなかった。それ大変だ。新聞には書かれ、それでわっと拍車をかけたら、とにかくやりますというので数字が出てきたというのがこの数字なんですよ。これもできるかできないかわからないし、中身もまた違います。町村においては、もうこれは大変なことですよ。そういうふうに実際難しいのです、言っていることは立派なことなんだけれども。なぜそう難しいのか、その状況といいますか理由といいますか、そういうものは、これは事務次官通達ですから、自治省としてはお尋ねになった、調査されたのですか、いかがですか。
  50. 松本英昭

    ○松本政府委員 すべてにわたって網羅的に調査したわけではございませんけれども、私どもがおくれておりますところの事情をお伺いいたしましたところ、一つは、住民の意見を踏まえまして策定をしていただきたいということでございますので、それぞれ住民の意見の反映という方法、例えば審議会であるとかアンケート調査であるとかその他の公聴会等を含めた住民の意見の集約、この段階でかなり予定よりも時間をとっているものが一つあるようでございます。  それから、いま一つは、これはまあ外からの事情でございますけれども、昨年四月の統一地方選挙で市長さんが御交代なさったようなところもあるようでございまして、そういうところで新しい構成のもとで検討を再度進められた。そのために追加されるようなこともあって、当初の予定より審議に時間を要しているというようなこと等もあるようでございます。
  51. 貝沼次郎

    貝沼委員 そういうことだけではないのですよ。真っ先に申し上げましたように、縦割り行政がありまして、これはむだだと思っても、自治省に言われたからといってさっと削るようなことはなかなかできないのです、そうするとこっちの方から怒られますから。ですから、それは市長選挙があったとかそんなことだけじゃないのですよ。  そこで、私ども、今公明ですが、公明の団体として調査をいたしました。その結果、いろいろなことが言われておりますが、幾つか申し上げたいと思います。  例えば、分権等に関する部分を見ましても、とにかくこれじゃ困る、何とかしてくれという項目、これで一番多いのが都市計画関係のことなんです。大変だ、だれも面倒を見てくれない。二番目が農地転用の関係なんですね。あるいは、三番目が保安林の指定・解除、それから四番目が医療保健・福祉、それから五番目が土地利用関係、それから六番目が下水道事業関係、こういうのが県知事さん、市長さんの問題提起です。何とかこの部分だけでも解決してくれるなら、相当進むということだと思います。  そこで、例えば、都市計画関係、これについては、個性的な町づくりと言うけれども、制約がある。それで、「地域の顔である、まちづくりという最も住民に身近な行政であるにもかかわらず、建設大臣の認可があまりにも多すぎて、地域の個性が生かせない」そう言っています。  読売新聞ですか、あれらにも出ておりましたが、計画作成するため数省庁に延べ六十人で五十一日間出張するようなこともある。あるいは地方農政局関係でも、高さ一メートルといったら、これぐらいでしょうね、約一万枚に及ぶ資料の提出がなされなければならないので、巨大なロスがあると言っております。これが一つの例ですね。ですから、こういうのを解決してやらないとできないのですよ、こういうのを具体的に解決してやらなければ。  それから、農地転用関係についてでございますが、農地転用の実質的な審査は県が行っておるにもかかわらず、許可までに多くの時間と協議がかかり過ぎるというのが非常に多いですね。これは確かにそうだ。それで、時間がかかり過ぎますとどういうことになるかというと、ある県では、農地を工業団地に転用して地域活性化を図ろうとしたが、余りにも時間がかかり過ぎたために、肝心の企業を誘致したところが、もうこんなに長くかかるのでは仕事にならぬ、やめたと言って帰ってしまった。もう地方自治体の努力が報われないのですね、これは。こういうのはたくさんあると思いますよ。  それで、先ほどの都市計画関係でありますと、この通達に例えばこう書いてあるのですよ。「許認可等の事務手続自体について洗い直しを行い、手続の簡略化や処理日数の短縮化等についても」ちゃんとやれ。これは、実際は地元はやりたいのですよ。だけれどもできないのですよ。それを策定して計画つくれと言う方が、正しいのだけれども、無理なのか無理でないのか、実態に合わないのか、その辺をよく解いてやらないとできないということを今、僕はいいとか悪いとか言っている話ではない、実態がそうだということ。  それからもう一つは、農地転用の問題にいたしましても、これは時間がかかり過ぎるというのは、「行政効率、効果等を十分吟味して、事務事業の整理合理化を図る」とあって、重点項目の真っ先の方に書いてある。それらが、困っていることをただ書いてあるみたいな話なんですね。  それから、「「保安林の指定・解除」への要望」というのがありまして、これは現場周辺の保安林を熟知している自治体の意見を尊重すべきだ。だから、尊重されていないということであります。それから、現行では保安林の指定・解除については農林水産大臣の許可が必要である。しかし、県の方がその内容を十分習熟しているのが実態だ。「形式的な手続きに過ぎないにもかかわらず、許可するまでに多大な労力と時間を要しているので早急に知事に権限を移譲すべきである」ということが言われております。これもこの中にあるのですね。先ほどのと同じようにちゃんとやれと言っているのですけれども、こちら側の方でリンクしているものですから、外せないのですよ。それをちゃんとしてやらないと。  それから、たくさんありますけれども、幾つか申し上げますが、土地利用関係についてのことがありまして、土地利用基本計画の総理大臣の承認というのが必要なんですね。総理大臣の承認というのはどういうものかと思いますが、例えば計画策定において、市町村長への意見照会、これをやりますね。それで、国土庁など国の関係省庁との協議を経て、まず国土庁長官のオーケーをとる必要があるのです。その上にさらに内閣総理大臣の承認を必要とする。もう屋上屋もいいところですね。何で国土庁長官がやったのをわざわざ総理大臣まで出てこなければならぬ。それなりの理由はあったと思うけれども、これはちょっと屋上屋の感じがする。「協議を経たうえでの改めての承認は実質的な意義はなく、形式的なものとなっている」、これが実態でありますから、この辺も外してやらなければなりません。  それから、下水道関係がありますね。これは幾つかありますが、例えば「公共下水道は建設省、農業集落排水は農林水産省、合併処理浄化槽は厚生省と類似の事業を複数官庁が別個に所管」しておる。これは事実まだやっております。昔、複合建築というものがございまして、これは私も決算委員会で取り上げたりしましたが、当時、たしか後藤田長官だったと思いますが、そんなべらぼうなものは許せないといって、ぱっとやめたことがありますが、そういう、個別に所管しており、それぞれ完結した施設として整備しなければならないようになっておる。  それで、例えば厚生省の補助でつくった合併処理浄化槽の処理済み排水を、処理済みですよ、排水を道路の側溝に流すことができない。「したがって、排水処理事業として一体的に整備できるよう地方への権限移譲が求められている。」つまり、側溝は側溝、それから厚生省関係のものは別にまたつくらなければならない、こうなっているのですよ。  まあ、たくさんあるからやっていても何ですが、これぐらいにしておきますが、そういう要望を、どうなんでしょうか、自治省がこの通達を出しておるのですが、どうも、圧力をかけたら数字は出てくるが、本当は余り進んでいないのじゃないか。じゃ、どうなっているのかな、どこに問題があるのかな、こういう調査をするかと思ったら、いや、市長選挙があったからおくれたとか、そういうことなのですが、そうじやなしに、もうちょっと親切に、丁寧に調査する、意見を聞く、要望を聞く、こういう必要があるのじゃないでしょうか。いかがですか。
  52. 松本英昭

    ○松本政府委員 お答え申し上げます。  委員指摘になりましたいろいろな問題につきましては、私どもも地方公共団体の方からおおむねそういう事情をお聞きをいたしているところでございます。  委員が御指摘になりましたものを一々申し上げるつもりはございませんけれども、大体それを大きく分けますと、いわゆる法令、通達、そちらの系統からいろいろと縛りが非常に強いというようなことが一つと、それから補助金の支出に関しまして、補助要綱、それに伴って縛りがあるもの、この二重の縛りが実はあるわけでございまして、そういう点について、私どもも地方公共団体の方からいろいろと御意見を連日のように実は聞いておるわけでございます。  それで、地方公共団体も、六団体によります地方分権推進本部というものをおつくりになっておりまして、そこでそういう問題等についていろいろと集約をされており、そしてそれを今の地方分権推進委員会の方に意見としてお出しをいただいております。今御指摘になりましたような点も、おおむね地方分権推進委員会の方に既に意見として陳述をなさっている内容であろうかと思っております。私どもも、その地方六団体の地方分権推進本部のいろいろな活動と密接に連携をとっておりまして、そういう点について、御事情等も私どもも十分伺っているところでございます。  先ほども、地方行革大綱の進まない理由の一つとして、委員が、国におけるいろいろな縛り、いわゆる関与とか必置規制とかというようなものがあるということを御指摘いただきました点は、私どももその点を深く意識をいたしておりまして、そういう関与とか必置規制等、あるいは補助金交付に伴います要綱に伴う縛り、そういうものをできるだけ今後見直していただくというような方向で、既に私どもも意見を申し上げたところでございます。
  53. 貝沼次郎

    貝沼委員 そういう実情を知っているのなら知っているで、自治省は、ただこういう声がありますよだけではいけないのですね。地方分権推進本部がやっているから、そういう声はちゃんと伝えてあります、何とかするでしょう、そういうことじゃないのですよ。やれと言って通達を出しているのは自治省なのですよ。ところが、できないんですよ、これじゃ。自己決定ができません、地方自治体が。やりたくても、もっと立派な大綱を策定したくても、できないんですよ。できないことを、もう理由もわかっておりながら、やれと言うのは酷ですよ、それは。  したがって、この部分は今度いついつまでに解決するからそれはちょっと待てとか、そのかわりこの分野はちゃんとやれとか、自治体に指示するならするで、頼むなら頼むで、もっと細かく。あるいは、もう自治体は独立させますよ、そんなものみんなぶった切りますよ、そして各省庁との関係は自治省がちゃんと引き受けますから何でもいらっしゃいとか。ただ、自治省は自治省の専門店ですから、ほかのことはあっち行ってくださいということでは、いつになったってこれは解決をいたしません。しかも、ここに選挙法の改正がありまして、そして、選挙はもうその裏に補助金の話がどんどん出てくるわけですから、なおさらこれは難しいですよ。  そういう点を考えたら、もっと地方自治体に対する自治省の姿勢というものが、ただとからばんと見たり押しつけたりしているのじゃなしに、そこに入り込んで、一緒になって解決をするという、そういう姿勢があっていいんじゃないかと私は考えます。  そこで、ここは大臣に、本当に地方公共団体が自分たちのやりたいこと、あるいはその地域の方々の要望がそのまま反映されて、そして今度はそこの県知事さんなりあるいは市長さんが、それはよくわかる、自分が選ばれたところだからよく意見はわかるが、しかしながら、今度各省庁からの通達による縛りもあるわけでありまして、選んでくれた人の言い分を聞くのか、通達によってやるのが正しいのかというので、困るわけでしょう。その辺のところもよくほぐしてあげないと、これは自治体、気の毒です、一生懸命やっているのに。したがって、この点について、どういうふうに対処されようと考えておるか、大臣にお伺いしたいと思います。
  54. 倉田寛之

    倉田国務大臣 貝沼委員から具体的に、御調査をされた御経験を踏まえて、地方分権の推進にかかわる問題点指摘をいただきました。  平成六年の九月の地方六団体からの意見書を初めといたしまして、各地方公共団体からもさまざまな提言がなされておるところでございます。これらを踏まえまして、昨年の十月以降、地方分権推進委員会の意見聴取の場におきまして、地方団体から具体的な改革意見や要望が表明をされているところでもございます。地方分権の担い手でございます地方団体の御意見は、住民に直接接する立場から、現実の地方行政の経験に基づいて提出されたものでございますので、重く受けとめるべきものというふうに私は考えております。  地方分権推進委員会に対しましても、機関委任事務制度の廃止、地方公共団体への権限の移譲、国の関与や必置規制の緩和、廃止、補助金等の整理合理化、地方税財源の充実強化、各般にわたります課題につきまして積極的に検討を深めて、十分な御審議をいただき得ますよう、引き続き、地方団体の立場に立ちまして、国と地方の新たな関係の構築に向けての自治省の考え方は積極的にお伝えをしてまいりたいというふうに考えております。  貝沼委員御案内のように、地方分権の推進につきましては、地方分権推進法に基づきまして、政府を挙げて取り組むべき課題でございまして、地方分権推進委員会から具体的な指針の勧告をいただきまして、地方分権推進計画を速やかに策定をして、着実に実施をしてまいる所存でございますし、私といたしましても、まさに時代の流れでございますので、実りある成果ができ得ますように、強い決意で臨んでまいりたいと考えているところでございます。
  55. 貝沼次郎

    貝沼委員 時間が参りましたので終わりますが、大臣も実行の段階だとおっしゃっておられますので、ぜひとも実りある実行になりますようにお願いをいたします。  ありがとうございました。
  56. 平林鴻三

  57. 福留泰蔵

    福留委員 新進党の福留泰蔵でございます。本委員会で初めて質問をさせていただきます。よろしくお願いします。  本日は、大臣所信に関しての質疑の機会を与えていただきましたので、何点かの課題について質疑をさせていただきたいと思います。  まず、地方財政に関する問題でございます。  地方財政の現状と今後の見通しについてまずお尋ねしたいと思うわけでございますが、自治省は去る二月二十日に一九九四年度の市町村普通会計決算を発表されておられます。それによりますと、歳入総額は五十兆五千七百五十二億円ということで、前年度比〇・二%増ということであります。また、歳出総額は四十九兆一千八百七十六億円ということで、これも〇・二%増ということであります。歳入のうちの地方税は、前年度比四・四%減少いたしまして、十七兆一千八百六十六億円ということで、これは長引く景気の低迷、それから特別減税の先行実施等の影響を受けたということでありますが、市町村の徴収した地方税が前年度を下回ったということは戦後初めてということを聞いております。  このたびの平成八年度の地方財政は、予算におきましても巨額の財源不足が生じたために、多額の地方債の発行と交付税特別会計における借入金によってこれを補てんすることとなっております。平成八年度末では百三十六兆円を超える借入金残高を抱える見込みとなっているようであります。これは国民の借金がますますふえていくということでございまして、早期に地方財政の健全化を図っていかなければならないと考えるわけでございますが、大臣として、地方財政の現状と今後の見通しに対する認識をまずお伺いしたいと思います。
  58. 遠藤安彦

    ○遠藤(安)政府委員 私から地方財政の現状について御答弁をさせていただきたいと思います。  今御質問にありましたとおり、平成七年度末で地方団体の借入金が大体百二十四兆円ぐらい、八年度末では百三十六兆円を超えるものというように私ども今見込んでいるわけであります。平成八年度の地方財政計画の規模が八十五兆円でありますから、財政規模の大体一・五倍以上の借入金を抱えているというような状況になっておりまして、大変厳しい状況であるという認識をいたしております。  こんなに借入金がふえたのはなぜかという原因でございますけれども一つには、やはりここのところ地方の財源不足が著しくなってきたということであります。  これはもちろん経済状況を反映した問題でありますが、景気の後退によりまして地方税収が伸び悩む、あるいは落ち込む。また、地方にとっては一般財源の大宗を占めております地方交付税の原資であります国税五税がこれまた落ち込む、あるいは伸び悩むというようなこと。一方で、歳出規模を歳入に合わせて落とすことができるかというと、これがなかなかできないというようなことで、財源不足の幅が広がってきているということが一つであります。  それからもう一つは、御指摘がありましたように、減税をしているわけでありますので、この先行減税による減収の補てんというのをやっているということであります。  それからもう一つは、経済がこれだけ不振でありますと、やはり経済対策をやる。数次にわたってやってきたわけでありますけれども、現状においては、国の公共事業の裏負担を賄う税収の増がないために補正の地方債を発行する。あるいは、このところ地方財政も経済に対する寄与度が大きくなってきているわけでありますので、単独事業で経済対策の一翼を担ってくれというような要望もありまして、そういったことから地方債を増発して借入金が増加してくるというような状況になっておるわけであります。  これにつきまして、今後どうするのかという問題があるわけでありますが、一つは、やはりこういった借入金について計画的に返していこうということで計画を立てているわけでありますので、毎年度の地方財政計画におきまして、そういった公債費あるいは交付税特別会計における借入金の償還計画、こういったものをきちんと行えるように地方財政計画を立てていく。それから一方では、これは国・地方を通ずる話でありますが、やはり行政改革を推進するということが必要であろうと思います。  それと合わせて、やはり私ども地方税財源の充実確保を図っていくということを基本として、最終的に地方団体の財政運営に支障がないようにその健全性に努めていくということが第一義的には考えられる、考えていかなければならないというように思っております。
  59. 福留泰蔵

    福留委員 百二十六兆を超える借金を地方が、まあそれは国民が抱えているということで、やはり国民が納得する形でそれが健全化されていくということを示していくことが必要なのではないかなと思います。  そのためにはさまざまな努力が必要だろうと思いますし、今御説明がありましたとおり、地方公共団体が必要とする事業、歳出は削れない、収入は減っていく、その差額を借金で穴埋めしていくということは理解できないわけではないわけでございますが、やはり早期に健全な地方財政というものを確立していかなければならないと思うわけでございます。  それに関連しまして、実は平成六年に特別減税の先行実施を含む税制改革が実施されたわけでございまして、この税制改革が地方財政に大きな影響を与えているようでございます。  自治省は、この税制改革に伴う地方税財政措置として、減収額二兆五千四百億円を確保するために、消費譲与税から地方消費税への増加分一兆二百億円とそれから一兆五千二百億円の地方交付税措置するスキームをつくられました。さらに、この地方交付税の取り扱いに当たっては、基準財政需要額と基準財政収入額の特例措置を講じておられます。  この措置により、地方交付税の交付を受けられる交付団体である地方自治体においては特別減税による財政上の措置はされるとある程度理解できるわけでございますが、問題となるのは、不交付団体である地方自治体ではないかと思います。地方交付税の取り扱いで特例措置が講じられたとしても、依然として不交付団体であれば地方交付税での補てんはなされないと理解されるわけです。  例えば、私の地元でもございます浦和市は不交付団体でございます。埼玉県下にはこのような市が十二あります。浦和市は一般会計で一千二百億円の規模の市でございますが、この市の場合は、平成六年度から八年度までの三年間で、利息分まで含めると約二百億円の減税補てん債の債務を抱えることになっております。それを十年間で償還していくことになるわけでございますが、地方交付税での補てんがございませんので、実は頭を抱えていると話を聞いたことがあります。  もちろん、そのような不交付団体は地方消費税の税収が大きいということが期待されるわけでございますので、そこで十分補てんされるというふうなことを考えていらっしゃるかもしれませんけれども、当該の地方公共団体におきましてはそのような理解が十分なされてない部分もあるかと思うわけでございます。こういった件につきまして、自治省の見解をお伺いしたいと思います。
  60. 遠藤安彦

    ○遠藤(安)政府委員 住民税の減税につきまして、その補てん対策として減税補てん債を充てました。これは御質問の中にあったとおりでありますが、その償還財源について、特に不交付団体が不安を感じているのではないかという御質問であろうと存じます。  御質問の中にありましたけれども、確かに、税制改革におきまして、地方消費税を新たに設け、そしてもう一つは、地方交付税の消費税に対する税率を二四%から二九・五%までアップしたということによりまして、二兆五千四百億の減収額あるいは歳出増加に見合う財源を確保したわけでありますが、実はこの二兆五千四百億の中に、先行減税の償還財源として二千六百億どいうものをカウントしておるわけであります。  この二千六百億というのは、住民税の減税を行う部分、及び、一部は所得税で交付税に振りかえられる部分もあるわけでありますけれども、先行減税の償還財源として毎年二千六百億が交付税の増と地方消費税の増の中にカウントされているということになるわけでございますので、各団体が先行減税をし、それに対して発行をいたしました減税補てん債については、三十年という長い償却期間になりますけれども、二兆五千四百億の財政措置の中でカウントをされているというように考えております。  問題は、それじゃ不交付団体についてこれが機能するのかということであろうかと思いますが、御存じのとおり地方消費税が新たに設置されますので、増加分として一兆二百億がカウントされておるわけでありますけれども、この地方消費税は、御質問にもありましたが、まあ不交付団体にも地方消費税が、市町村の場合は交付金という形になりますけれども、入るわけでありまして、すべての財源措置地方交付税でありますれば御質問のように不交付団体には不利ではないかということがありますけれども、地方消費税があることによって不交付団体においても先行減税の起債の償還財源は確保されているというように私ども考えている次第でございます。
  61. 福留泰蔵

    福留委員 不交付団体への補てんについては、今御答弁ありましたとおり、地方消費税分で補てんをされると、大枠、国全体として見ればそのような計算がなされると思いますけれども、個々の不交付団体にわたって調べていくと必ずしもそうでもない地方公共団体はあろうかと思いますので、個別の地方公共団体についての自治省としての補てん策なり支援策なりをぜひともまた御検討いただきたいということを申し上げておきたいと思います。  地方消費税の話をしましたので、もう一点だけこれに関してこの際質問させていただきたいと思いますが、この税制改革は本年の「九月三十日までに所要の措置を講ずる」という形になっておるわけでございます。「地方消費税の税率については、社会福祉等に要する費用の財源を確保する観点、地方の行財政改革の推進状況、非課税等特別措置等」及び「地方財政の状況等を総合的に勘案して検討を加え、必要があると認めるときは、」先ほど申し上げた「所要の措置を講ずる」ということでございます。  先ほど貝沼委員質問でもございましたけれども、地方の行財政改革の推進状況もなかなかはかどってないという状況であるようでございます。そうすると、この税率についても当初想定した税率で済むのだろうかというふうなことも懸念があるわけでございます。この税率次第ではまた地方公共団体に与える影響というものは多大なものがあるわけでございますので、この際、「九月三十日までに所要の措置を講ずる」となっておりますが、先ほど申し上げた観点から、今、自治省はこの点についてどのように考えていらっしゃるか、この際お伺いしておきたいと思います。
  62. 遠藤安彦

    ○遠藤(安)政府委員 消費税の見直し規定につきましては、御質問のとおり既に各税法の中に書いてありますので、これから私どももその見直しに向けて作業を進めていかなければならないという時期になっておるわけであります。ただ、ただいまのところまだ具体的にどうこうするという段階に至っていないわけでありまして、基本的には、私どものところの税務局で具体的な作業に入って結論を出していかなければならないわけでありますが、そういう問題点を認識しつつ、今、諸準備を進めているという状況でございます。
  63. 福留泰蔵

    福留委員 次に、地域産業創造対策についてお伺いしたいと思います。  近年、我が国の経済は、国際的な分業体制の進展等もあり、またこの進展等に伴いまして産業空洞化の懸念が非常に高まっているわけでございまして、構造的な問題というものに直面しているわけでございます。特に、地域社会におきましては、急激な円高の進展等により企業の海外移転が活発化するなど、国際的な競争に直接さらされるようになってきております。地域経済は一段と厳しい状況に直面することが懸念されるところであります。  これまでも国、地方による地域産業振興策が講じられているところでありますけれども、工業団地の造成といったものや、また企業誘致に頼ってばかりはおれなくなってきているところでございます。今後ますます厳しくなるこのような国際的な競争の中で地域経済が生き延びていくためには、研究開発に重点を置いた、地域に根差した内発型の産業おこしが必要であろうと考えます。そして、そのためには、地方が新たな産業の創造に向けて今後思い切った地域の産業政策を展開する平成八年二月二十二日ことが必要であろうと考えるわけでございます。自治省におきましても、地方における新たな地域産業の創造に向けた取り組みを積極的に支援していくべきと考えますけれども、自治大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  64. 倉田寛之

    倉田国務大臣 委員指摘のように、地域経済におきます産業の空洞化であるとか、国際的な競争の激化など、こういう厳しい状況に対応してまいりますとともに、地域内発型の産業構造の高度化を図るために、地域レベルで研究開発を充実をして、人材を育成して、多様な企業を起こしていくことがますます重要になっているものと考えております。このような状況を踏まえまして、自治省といたしましては、地方公共団体が取り組みます地域産業創造対策のために必要な財源措置を来年度から新たに講じることによりまして積極的に支援をしてまいりたい、かように考えているところでございます。
  65. 福留泰蔵

    福留委員 今、大臣の方から、地域産業創造対策平成八年度から新たに創設をされ、積極的に支援していくという御答弁があったわけでありますけれども、その中身について、具体的にもう少し御答弁いただきたいと思います。
  66. 湊和夫

    ○湊政府委員 今、基本的な姿勢につきまして大臣から御答弁申し上げたところでございますので、来年度取り組みを予定しております施策につきまして、私の方から御説明を申し上げたいと思います。  大きく三つの施策を来年度から講じたいというふうに考えておりますが、まず一つ目には、都道府県または政令指定都市が行います地域産業創造に向けましての取り組み、いわゆる研究開発支援、人材育成支援、こういった活動を支援するために百五十億円程度地方交付税措置を講じてまいりたいと考えております。  それから二番目には、地方公共団体が、新産業の創出でございますとか地域産業の高度化あるいは地域に根差した技術の活用、こういった新しい創造に取り組みますに当たりましての、いわゆるハード面の施策といたしまして、現在リーディングプロジェクトという制度を自治省で行っておりますけれども、この特定政策課題の中に地域産業創造対策という課題を設けまして、研究開発支援会議あるいは交流といったような機能を持ちます施設の整備を支援してまいりたいというふうに考えております。  それから三点目といたしましては、都道府県または政令指定都市が起業化支援のために行います第三セクター等への出資あるいは貸し付けに対しまして地方債措置を講じますとともに、この地方債の利子につきまして所要の地方交付税措置を講じてまいりたいというふうに考えるところでございます。
  67. 福留泰蔵

    福留委員 今、大臣並びに湊政府委員の方から御答弁あった地域産業創造対策についての方針並びに中身について、私も前向きに評価したいと思います。  今御説明がありました、特にリーディングプロジェクトの特定政策課題に地域産業創造対策を追加されたということを御答弁されたわけでございます。これは、今もお話ありましたけれども、二十一世紀へ向けての重要な地域政策課題として、健やかな地域社会づくり、また、地域の環境と調和した魅力ある町づくり地域情報化対策地域間交流の五点の課題をこれまでこのリーディングプロジェクトの特定政策課題に掲げておりまして、これらにかかわる市町村の先導的取り組みを支援するプロジェクトでございました。これに新たに地域産業創造対策というものを追加されたものでありまして、時宜にかなったものであろうかと思います。  私の地元であります埼玉県は、中小企業が大変多い県でございます。いわゆる国内産業の空洞化の影響を強く受けております。中でも、かつて鋳物産業の町として栄えました川口市におきましては、産業構造の変化の影響を強く受けておりまして、今、産業の高度化や新たな産業の創造が求められております。そのために、現在、県内中小企業の振興と次世代産業の導入、集積といった二つの基本方針を掲げた新産業拠点整備、仮称でありますけれども、さいたまインダストリアル・ビジネスパーク、SIBPを川口市に整備する構想を取りまとめ中であります。この基本計画検討委員会の最終報告が来る二月二十七日に県知事あてになされると伺っているところでございます。  その報告の中で、この新産業拠点の機能及びそのための施設として、行政施設が受け持つ機能及び施設といたしましては、試験研究機能としての仮称工業技術センター、産業振興機能としての仮称産業振興センター、展示集客機能としての仮称サイエンスワールド、消費生活支援機能としての仮称生活科学センターの四つの機能と施設が考えられているようでございます。  このうちの、仮称工業技術センターと仮称産業振興センターは、中小企業の技術基盤強化と創造的技術開発の支援を総合的に行うことを目的にしておりまして、特に産業振興センターは、企業経営者、研究者が一堂に集まる産業拠点を創設することによりまして、人的交流、研究交流の活発化を図り、中小企業の総合的な技術支援を行うねらいを持っています。先ほどお話ありました、リーディングプロジェクトに追加されました地域産業創造対策にこれは適合していくものではないかと思うわけでございます。これから最終報告書が県に提出され、県からその要望が出されるかと思いますけれども、その際は、ぜひとも自治省としてもこの事業への支援を行うべきものと考えますけれども、見解をお伺いしたいと思います。
  68. 湊和夫

    ○湊政府委員 このリーディングプロジェクトへの特定政策課題の追加は平成八年度からということで予定させていただいておりますが、所定の事務手続は今後実施することにいたしておりまして、要綱の改正をまず新年度早々に実施したいというふうに考えております。その上で指定手続に入るということになるわけでございますけれども、既に数県からこのプロジェクト追加に関しての希望が寄せられておりまして、埼玉県からも強い御希望があることは既に承知をいたしております。所要の手続を踏みました指定要望が提出されました段階で、適切に対応してまいりたいと考えております。
  69. 福留泰蔵

    福留委員 ぜひ御支援のほどをよろしくお願いしたいと思います。  続きまして、地方分権につきましてお尋ねしたいと思います。  先ほども地方分権の話、貝沼委員の方から質疑が行われたところでございます。地方分権の必要性というものはもう申し上げるまでもないわけでございますが、先ほど来も議論ありましたとおり、地方分権推進委員会におきまして三月末の中間報告の取りまとめに向けて一段と熱のこもった議論が今展開されているということでございますけれども、再度、地方分権を強力に推進していく立場でございます自治大臣として、その実現に向けてどのように取り組んでいかれるのか、決意をお伺いしたいと思います。
  70. 倉田寛之

    倉田国務大臣 地方分権の推進につきましては、全国的な統一性や公平性を重視いたします現行の画一と集権の行政システムを、住民の皆様や地域の視点に立った多様と分権の行政システムに改めるということであろうと思います。  地方分権推進委員会におきましては、去る十月十九日には「地方分権推進に当たっての基本考え方」及び「行政分野別課題審議に当たって留意すべき事項」を示すとともに、二つの部会を設置いたしまして、地方団体や関係省庁、有識者から意見を聴取しながら、地方分権を具体的に推進するに当たりましての改革課題につきまして精力的に審議を行っているところでございまして、去る十二月二十二日には、委員会検討試案といたしまして、「機関委任事務制度を廃止した場合の従前の機関委任事務の取扱いについて」を発表いたしたところでもございます。  本年に入りましてからは、週二、三回の頻度で委員会と部会を別個に開催をいたしまして、さらに掘り下げた審議を行っていただいておりまして、三月を目途に委員会で中間の報告を取りまとめる予定でございますし、本年中に勧告を行えるよう審議を進めていただいているものと承知をいたしております。  地方分権を推進してまいりますことは、まさに集中から分散、集権から分権、今や時代の大きな流れであるというふうに認識をいたしておりまして、私といたしましても、実りある成果を上げることができ得ますように強い決意で臨んでまいりたいと考えているところでございます。
  71. 福留泰蔵

    福留委員 地方分権について、強い決意で今後臨まれるということでございますけれども、推進委員会の報告を受けて実行される段階になろうかと思います。  それで、地方分権を推進していくために、国の権限の移譲や国庫補助負担金の整理合理化等にあわせまして、その基盤となる地方税財源の充実強化が必要であると考えます。  先ほど貝沼委員の方からも紹介がありましたけれども、昨年、政党であります公明が、全国四十七都道府県を対象といたしまして、地方分権、規制緩和に関する重点項目に関するアンケート調査を行いました。その調査結果が本年一月十九日に発表されているわけでございますが、先ほど貝沼委員からも紹介がありましたけれども、別の角度から紹介させていただきます。  知事が要望している項目として、地方財源の強化という点もかなり強い要望が来ております。地方の自立性・自主性に基づいた施策を実現するためにはまず財源措置が必要である、また、地方分権の推進を図るためには地方の一般財源化が不可欠といった声があります。これは、いずれも国庫補助金一般財源化するなど、地方財源充実強化を求めているわけでございます。ある都道府県は、地方の歳入総額と歳出総額の乖離を指摘しまして、税源のあり方を抜本的に変えるべきであるといった声も寄せられております。  地方債についても、個別事業についての国の関与があるために自治体の自主性を損なうとか、また、地方債に係る調書の作成についてもその負担が大きいといった、地方債における国の関与の是正と事務負担の軽減を求める声も上がっております。  そこで、許認可権等の整理合理化と並行しまして、国庫補助金等の整理合理化を行うべきと考えます。また、国庫補助金については、当面、統合メニュー化された一括補助金とし、将来的には一般財源化を目指すべきと考えるわけでございますが、自治大臣として、地方分権を推進するために必要な地方税財源の充実強化をどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
  72. 遠藤安彦

    ○遠藤(安)政府委員 御指摘のとおりでありまして、やはり地方分権を推進いたしますためには、財政的な基盤であります地方税財源が充実され、安定的に確保されることが必要であろうというように私ども考えております。  先ほどの御質問にもありましたが、先般の税制改革において地方消費税を導入するということも一つこれまでの成果があったわけでありますけれども、今後も、税制改革等に当たっては、地方税の充実強化を進めていかなければならないというように思っております。  御指摘のとおり、地方公共団体の方からもお話がありますが、地方団体の実際の事務量に対して税が少ない、乖離の問題というのは私ども指摘をされておりますし、十分認識をしているところであります。  地方税財源の充実については、地方税をふやすということも当然必要でありますし、重点的に考えなければなりませんけれども、やはり現状では、地方団体の七〇%が税よりも交付税の方が多いという団体が多いわけでありまして、地方税の充実と交付税財源の充実ということもあわせて、税財源というものを並行的に充実していかなければならないだろうと考えているところであります。  いずれにいたしましても、今、分権推進委員会で具体的な指針づくりが行われているところでありますので、その審議結果、あるいはこれから税制調査会の御審議ということも出てまいると思いますので、そういった御論議も踏まえまして、国と地方の役割分担に応じた地方税財源の充実強化を図っていきたいというように思っているところでございます。
  73. 福留泰蔵

    福留委員 地方が自主・自立の行政運営ができるような税財源の充実強化をぜひとも強く要望しておきたいと思います。  時間も少なくなってきましたので、次に、最後質問になるかもしれませんけれども防災対策についてお伺いしておきたいと思います。  阪神・淡路大震災から一年が過ぎましたけれども、まだ多くの方々が生活再建途上の不自由な生活を送っておられ、改めてお見舞いを申し上げるところでございます。  阪神・淡路大震災のあの惨状を思い起こしますれば、防災対策の強化というものは最も重要な課題の一つでございます。首都圏の密集地に私も暮らしておりますけれども、とりわけ大きな関心を抱かずにはおられません。  大臣は、今後の消防行政に関する課題を「災害に強い安全な町づくり」と表現されております。私も、行政としての消防防災体制をより強化することはもちろん、都市整備や住民の防災活動まで幅広く消防防災をとらえて、防災対策充実を推進することは非常に重要であると思います。そこで、まず大臣に、災害に強い安全な町づくりを推進していくために具体的にはどのようなことを考えていらっしゃるか、そのための支援措置も含めて御答弁いただきたいと思います。  そしてさらに、あの阪神・淡路大震災での教訓では、災害対策を確立するということが非常に困難であるということを我々は感じているわけでございます。大規模災害時におきましては、全国から消防応援部隊が迅速に被災地に駆けつけ、消火や人命救助活動等に従事することが必要となるわけでございます。しかし、そのような応援部隊は、いわば混成部隊でございまして、的確な指揮命令が難しいといったようなことで、効果的な活動ができないのではないかといったおそれが指摘されております。  また、災害によりまして通常の交通手段がいわば麻痺しているような状況におきましては、負傷者搬送や物資輸送といった手段といたしましては、ヘリコプターの有する能力に大いに期待がかかるのであります。しかし、平素から十分に使いこなしておかなければ、災害時に有効に機能しないおそれもあります。  そこで、阪神・淡路大震災から一年を経た今、その教訓を踏まえ、消防災害応急対策としてどのような工夫がなされているのか。  以上二点についてまとめてお伺いし、私の質問を終わりたいと思います。
  74. 倉田寛之

    倉田国務大臣 阪神・淡路大震災教訓を踏まえまして、災害に強い安全な町づくりを進めてまいりますことは最重点課題というふうに考えておるところでございます。  福留委員お尋ねの、具体的には次のようなことがございます。  一つは、大規模災害に備え、消防団や自主防災組織など、地域防災力の向上を行っていくこと、ボランティア活動の環境の整備を行うこと。二つ目は、緊急消防援助隊充実、緊急物資の広域備蓄など、全国的な支援体制整備。三つ目は、公共施設耐震化防災拠点整備など、防災機能を有する社会資本の整備。四つ目は、その他災害対策のかなめとなる防災情報通信体制など、消防防災体制整備。以上の点を重点といたしまして、地域防災計画の見直しを進めて、積極的に事業の推進を図ることが必要であるというふうに考えております。  このために、消防防災関係事業の促進につきましては、平成七年度の補正措置に引き続きまして、平成八年度におきましても、消防補助金は一四・九%高い伸びを示しますとともに、地方財政対策におきましても、緊急防災基盤整備事業で三千億、ソフト事業の強化対策として二百億円を確保するなどいたしまして、ハード、ソフトにわたる財政支援措置を大幅に拡充いたしているところでございます。住民の皆様の安全が確保されますよう、災害に強い安全な町づくりを強力に推進してまいる所存でございます。  次に、災害時における消防の応急対策についていかんというお尋ねでございました。  大災害発生に際しましては、迅速かつ円滑な応急対策を講じなければなりません。そのためには、災害情報収集・伝達が重要となります。このために、ヘリコプターや高所監視カメラによる画像情報の収集など、情報把握方法の多様化を図ってまいりますとともに、地域衛星通信ネットワークの整備など、通信ルートの多重化を進めているところでございます。  さらに、阪神・淡路大震災のような大規模災害が発生をした場合には、全国からの応援が必要となります。このために、消防の各種部隊が全国から集中的に応援出動し、人命救助活動等を効果的に行えますように、緊急消防援助隊を編成いたしたところでございます。  この緊急消防援助隊は、消火、救助及び救急部隊のほかに、阪神・淡路大震災教訓を生かしまして、被災地の消防本部の指揮活動の支援を行う指揮支援部隊や、補給業務を行う後方支援部隊を編成に加えまして、応援活動の円滑な実施に配慮いたしておるところでございまして、交代要員を含めまして約一万七千人の規模となっております。  また、ヘリコプターにつきましても、負傷者の救急搬送や、部隊、必要物資の輸送などの業務を行うに当たりまして、その機動的かつ広域的な活動能力が改めて認識をされました。このため、消防防災ヘリコプターの全国的配備を積極的に進めるとともに、災害時に有効に活用する体制整備いたしますとともに、平常時におきます救急搬送等への積極的な活用を図るために、臨時離着陸場の整備などの条件整備を進めているところでございます。  消防災害応急能力を一層充実させるために、努めさせていただきたいと考えております。
  75. 福留泰蔵

    福留委員 ありがとうございました。
  76. 平林鴻三

  77. 畠山健治郎

    ○畠山委員 質問に入る前に、ともに政治に携わる者の一人として、昨今の政治に対する国民の不信についてお尋ねをいたしたいと思っております。  住専問題、大蔵省の一部官僚の行動など、国民の政治、行政に対する批判は極めて厳しいものがございます。また、中央官僚に対する自治体の官官接待問題は、我が国行政が、制度的にも精神的にも依然中央優位の構造にあることを示しておるのではないだろうかと思っております。これをどのように改め、国民の信頼を回復するのか。一にも二にも、すべて政治の問題であろうかと思っております。  国民の不信がある意味では最高潮に達していると言ってよいこの時期に、大臣となられた今、昨今言われる自己責任原則こそ、政治に真っ先に求められるのではないだろうかと考えます。大臣の所見をまずお伺いさせていただきます。
  78. 倉田寛之

    倉田国務大臣 畠山委員の御指摘は、同感でございます。分権推進の理念におきましても、自己が決定したものは自己が責任を持つ、これは当然のことだというふうに考えておるところでございます。  私も、地方議会をスタートにいたしまして、長年政治に携わってまいりましたが、国民の皆様の間における政治や行政に対する不信というものにつきましては、今大臣として、行政の責任の一端を担う者として、まことに残念に思います。国民の皆様の政治や行政に対します不信を払拭していくためには、政治は政治として、また行政は行政として、それぞれの分野について責任を持って国民の皆様の負託にこたえていくことがまず肝要であると考えております。私も政治家の一人といたしまして、自覚と責任を持って、国民の皆様の負託にこたえるようにさらに努力を傾注してまいりたいと思っている次第でございます。  また、自治大臣・国家公安委員長といたしましては、地方分権の推進、災害に強い安全な町づくり、良好な治安の維持など、諸課題に全力で取り組ませていただきまして、政治や行政に対します信頼を回復する一助となるべく、最善を尽くしたいと考えているところでございます。
  79. 畠山健治郎

    ○畠山委員 次に、機関委任事務制度についてお伺いをいたしたいと思います。  昨年五月、地方分権推進法が制定されまして、同法に基づき設置されました地方分権推進委員会は、本年三月の中間報告並びに秋以降の指針勧告に向けて鋭意検討されておるというふうに承ってございます。この検討過程において、推進委員会は、機関委任事務制度の廃止にかわる概念として、新たに自治事務、法定受託事務の考え方を提起してございます。この考え方は十分説得力があるものだというふうに考えますが、大臣の所見をお伺いいたしたいと存じます。
  80. 倉田寛之

    倉田国務大臣 委員指摘のように、機関委任事務制度につきましては、地方六団体を初めといたしまして、地方制度調査会等におきましても、地方自治の本旨との関係、地方公共団体の自主性・自立性の確保、事務処理責任の所在の明確化などの観点から、制度自体を見直していく必要がある旨の指摘が行われてきたところでございます。  御指摘の地方分権推進委員会におきましては、昨年の十二月二十二日に発表されました機関委任事務制度に係る検討試案は、地方団体等からの機関委任事務制度の廃止に向けての強い改革の意見表明に沿ったものであると存じます。この検討試案の考え方は、現在の機関委任事務制度を廃止した場合に、まず事務自体を廃止いたしますものは別といたしまして、原則的に地方公共団体の事務とするよう図り、これが自治事務であろうかと思います。引き続き国の事務として残さざるを得ないものについては、法律により地方公共団体への委託事務とするなどの新たな事務処理方法を設けてはどうか、これが法定受託事務ではないかと思います。機関委任事務制度を廃止した場合におきます新たな地方公共団体の事務のあり方につきまして、踏み込んだものと評価をいたしているところでございます。  いずれにいたしましても、地方分権の推進は、国と地方の新たな関係の構築を目指すものでありまして、私といたしましても、地方分権推進法に則して実りある成果を上げてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  81. 畠山健治郎

    ○畠山委員 次に、地方財政対策の性格についてお尋ねをいたしたいと存じます。  今回の地方財政対策基本性格については、通常収支において、来年度は地方交付税法六条の三第二項に該当する財源不足となっておりますが、問題は、補てん措置とこの法律の規定との関係でございます。  景気が回復基調に乗ったとはいえ、依然そのテンポは遅く、九七年度に目覚ましく拡大することは望みがたい状況ではないかと考え、このため、九七年度以降の地方財政地方交付税法の規定に抵触する事態が十分予想されると考えます。そうしますと、なぜ今回の補てん措置は単年度限りとされたのか。地方財政に対する政府の責任を明らかにする点からも、また地方交付税法の規定をより忠実に実行する点からも、来年度以降も適用される補てん措置とする必要があったのではないかと考えますが、この点をお伺いいたします。
  82. 倉田寛之

    倉田国務大臣 平成八年度の地方財政は、平成六年度及び平成七年度に引き続きまして大幅な財源不足が生じることとなりまして、同項の規定に該当することとなりましたので、平成八年度の地方財政対策において、交付税率の引き上げを含め、この補てん措置検討したところでございます。  しかしながら、交付税率の引き上げ等の本年度以降も適用される恒久的な制度改正につきましては、景気の推移を見きわめる必要があること、平成九年度の地方消費税の創設を控えまして、平成八年度は税制改革の議論が予定をされていること、このようなことから適当でないという判断をいたしまして、地方交付税法第六条の三第二項の規定に基づきます平成八年度限りの特例措置として補てん措置を講じたところでございます。すなわち、通常収支不足に係ります地方交付税の増額による対応について、国と地方が折半をしてそれぞれ補てん措置を講ずることとしたところであり、これに関連する地方交付税法等の改正法案を今国会に提出をしているところでございますので、御理解を賜りたいと存じます。
  83. 畠山健治郎

    ○畠山委員 もう一点、財源対策の性格についてお伺いをしたいと思います。  一九七五年度以降の財源対策と今回のそれとでは、基本的な環境が大きく変わっておると言ってよろしいかと思います。それは、地方分権が時代の潮流となっておるという点があろうかと思っております。そうしますと、財源対策においてもこの潮流に沿う必要があるのではないでしょうか。財源不足を地方交付税の増額と地方債で補てんするだけではなく、多少とも税源移譲を図ることで財源対策の面からも地方分権に接近することも必要と考えます。地方分権推進委員会の指針勧告と推進計画の策定までの具体的改革をモラトリアムするのではなく、一つ一つの課題から地方分権に接近する必要があると考えますが、その点の所見をお伺いいたしたいと存じます。
  84. 遠藤安彦

    ○遠藤(安)政府委員 お答えを申し上げます。  御質問の中にありましたように、やはり地方税財源を充実する、その場合に税源の移譲を図るということは大変大事なことであろうと存じております。ただ、今国・地方を通じまして財政状況は大変厳しい中で、なかなか国税の一部を移譲するというところまではいかなかったわけであります。  私どもも、地方分権の推進という観点からは、税財源の充実、地方税の充実、国税から地方税への移譲、あるいは交付税の充実といったようなものを考えていかなければならないというように考えているところであります。  先般の税制改革においては、地方分権の推進あるいは地方税源の充実を図るということで地方消費税の導入、大変困難であったわけでありますが、幸いに導入することができたわけであります。今後とも税制改革などに当たっては、地方税財源の充実強化に努めていく必要があるというように思っております。
  85. 畠山健治郎

    ○畠山委員 自治体単独事業についてお伺いをいたしたいと思います。  景気対策自治体の単独事業の関連についてはいつも論じられているところでございます。国の公共事業費の伸び率が若干伸びておるにとどまっておる中で、自治体の単独事業は計画ベースでは三・一%増とされております。公共投資計画達成の面からこれだけの伸びが必要となることはよく理解できますが、問題は個々の自治体が果たしてこのとおり計上、執行することができるのかどうか、かなり厳しいものがあるのではないだろうかと考えます。  と申しますのも、今年度の単独事業において、計画額十九兆五千億の消化は難しく、来年度計画を達成するためには、実際一〇%以上伸ばさなければならないからであります。単独事業達成のかぎは、マクロでは大府県、大都市の財政状況にあり、この点どのように見込んでおられるのか、お伺いをいたしたいと存じます。
  86. 遠藤安彦

    ○遠藤(安)政府委員 単独事業の伸びを平成八年度の地方財政計画において三・一%としたわけであります。昨年度といいますか、平成七年度は五%の伸び、その前の数年間は一〇%を超える伸びということであったわけでありますが、来年度の単独事業の額を決めるに当たりまして、やはり財政状況等も重要な要素になりまして、三・一%としたわけであります。  ただ、御質問にありましたように、平成七年度、十九兆五千億の単独事業を財政計画に組みました。しかしながら、六月及び九月の補正後の地方団体の予算の計上状況を見てみますと、御指摘のとおり、若干はかばかしくない面もあるわけでありまして、必ずしもこの十九兆五千億というものが達成されるというような数字が出ていないわけであります。したがって、私ども昨年八月の総務部長会議、その後、ことし一月の総務部長会議等あらゆる機会をとらえまして、地方団体に対しまして地方単独事業の推進を要請してきたところであります。  特に、この一月の総務部長会議において、私からは、昨年補正後の、六月補正後の予算計上状況からいいますと、平成八年度の当初の予算計上に当たっては、財政計画上三・一%ということでありますけれども、一〇%を目途に予算計上を積極的にしていただきたいということを会議お願いを申し上げたところであります。  ただ、実際の予算状況を見てみますと、従来の大都府県あるいは指定都市等の大都市等がやはり税収等の見込みが十分でないということで、やや伸びも小さくなっているようなことがあります。  しかしながら、長い目で見て、やはり地方単独事業地方財政計画における額を確保するということは、地方団体全体にとっても、地方の自主性・自立性ということを確保する上にとっても大変重要なことであろうと思いますので、ぜひ平成八年度におきましても、最終的にはこの、二十兆一千億でありますけれども、こういった地方財政計画に計上された額が達成されるように、私どももその予算計上について積極的に要請をしてまいりたいというように思っている次第であります。
  87. 畠山健治郎

    ○畠山委員 次に、自治体の行政改革についてお伺いをいたしたいと思います。  一点は、先ほどの貝沼議員と重複しておりますので、この点は省略をさせていただきます。  ただ、自治体の大綱を見てみますと、策定手法や内容において、従来のものとは異なる特徴がうかがわれます。この点、全体から見て、どのような策定手法、内容上の特徴があるのか、この点について承りたいと存じます。
  88. 松本英昭

    ○松本政府委員 お答え申し上げます。  今回の地方行革大綱の策定の特徴ということでございますが、まず第一に、手続の面におきましては、先ほどもちょっと御説明申し上げましたが、全庁的な推進体制としての行革推進本部を設けていただくとともに、住民との共同作業と申しますか、そういうような意味も込めまして、行政改革推進委員会等を設けて、そして委員の人選に当たりまして委員を公募したり、それから行政改革大綱の策定過程において、さまざまなアンケート調査とか公聴会とか、そのほか住民の意見をこの行政改革に反映させるべく、いろいろな知恵を絞って地方公共団体が対応していただいている、これが一つの策定手続に関する今回の特徴であろうかと思っております。  それから次に、この中身の問題でございますが、やはり第一に、新しい行政ニーズ、例えば福祉等の面、環境等の面、こういう新しい行政ニーズにいかに対応していくかというようなことを中心に考えていただいている。それから、やはり政策形成能力を向上させる方途というものにかなり重点を置いていただいているということ。それから、地域全体のシステムとしての行政改革、こういうことに力を入れていただいているように感じております。  つい最近できました神奈川県の行革計画も、これは本当に最近できたものでございますが、名前も行政システム改善計画というようなお名前をつけておられまして、ただいま申し上げましたような視点というものを大変重視をしていただいているのではないかというように思っているところでございます。
  89. 畠山健治郎

    ○畠山委員 ただいまの報告にありますように、大綱の主要内容として、行政需要の変化や多様化に、住民ニーズに対応できるための事務事業、組織機構の見直し、再編が掲げられておることはわかりました。一般論としてはそのとおりであろうかと思いますが、問題は、行政需要の変化や多様なニーズが個々の自治体やそれを取り巻く地域の状況によって異なることであります。  一例を挙げますと、森林とか資源エネルギーにかかわる部や課が廃止されるなど、地域特徴に逆行するリストラの事例もございます。これは組織機構の見直し、再編が一律的縮減に陥っている例ではないかと思います。他方では、必置規制等によって、部課の統合等を図りたくともできない事例があります。例えば、福祉事務所長の専念義務はその一例であろうかと思います。  こうして見ますと、行き過ぎた事例も見られますが、自治体に自主的・主体的行政改革を要請する以上、政府は統制を廃止ないし緩和する必要があるのではないかと考えますが、所見をお伺いいたしたいと思います。
  90. 倉田寛之

    倉田国務大臣 畠山委員の御意見には同感でございます。御指摘にございましたように、国の法令等による組織や職員に関する必置規制等が、地方公共団体における自主的・主体的な組織機構の見直しや定員管理の適正化、民間委託の推進等の行政改革推進の阻害要因となっているところでございます。したがいまして、地方公共団体が自主性・自立性を発揮いたしまして、行政体制整備を図っていくためにも、国の関与や必置規制の見直しなど、地方分権を推進していくことが必要である、このように考えております。
  91. 畠山健治郎

    ○畠山委員 次に、地方分権という観点から、地域の公共交通問題、特に地方バス路線維持問題についてお伺いをいたしたいと思います。  地域経済の面でも、また住民の移動する権利保障の面でも、公共交通の確保は重要であり、高齢化社会を考えれば、この比重はますます大きくなってくるものと考えます。  そこで、まず運輸省にお伺いをいたします。現在、住民の足確保策として、生活路線に係るバス事業に対し、どのような対策を講ぜられておるのか、制度、内容、対象事業について説明いただきたいと思います。
  92. 藤井章治

    ○藤井説明員 お答えを申し上げます。  近年の過疎地域におきます人口の流出、あるいはモータリゼーションの進展ということもございまして、地域の方々の足を確保するということは極めて重要な政策となっておるわけでございます。このような中で一私どもといたしまして、従来より地方公共団体が指定いたしました生活路線、これに対しまして、地方公共団体がその維持を図るための経費を事業者等に補助を行った場合に国がその地方公共団体に対して補助を行う、いわゆる地方バス路線維持費補助制度を設けておるところでございます。  具体的に申し上げますと、第二種生活路線、これは乗車密度が五人から十五人のバス路線でございますが、これにつきましては、都道府県が指定した場合に、その運行費あるいはバスを購入する経費、これを補助しておるわけでございます。さらに、乗車密度のさらに低い五人未満といった第三種生活路線、こういういわばバス事業としては限界を超えたような路線でございますが、これにつきましては、三年間に限りまして、いずれいわゆる代替バスといったようなことの移行を前提といたしまして、これらに対する運行費を補助いたしておるところでございまして、例えば、八年度の予算の計上額は、これらについて国費ベースで約九十八億円程度の額になっておるところでございます。  なお、廃止路線代替バス、これは第三種路線からバス路線が廃止されて、地域が主体となってバスを運行する、こういった場合に対する助成措置がかつてあったわけでございますが、七年度からこれを一般財源化ということで、地方公共団体の主体性をより一層活用されるような形で、自治省とも調整をさせていただきまして、そのような財源の転換を図ったところでございます。
  93. 畠山健治郎

    ○畠山委員 時間がおくれておるようですから、御協力を申し上げるという意味で、最後質問にさせていただきたいと思います。  現在、バス路線がないために公的、社会的サービスを十分受けられない例は少なくございません。一例を挙げますと、西日本のある都市では、市の出張所の五分の二にバス路線がないという事例があります。公営交通がありながらの話なのだそうでございます。また、過疎地域では、自治体病院や、民間病院もそうでありますけれども、自前のバスを持たなければ経営が成り立たない、こういう事例さえございます。  こういう実態に対して、地域交通確保のため、自治体が積極的に責任を担うことは望ましいことであろうかと思います。その点、地域交通に至るまですべて運輸省が許可権を持っている現状は早急に直すべきではないだろうかというふうに考えます。この点、廃止路線代替バス補助の一般財源化は、地域交通に対する権限移譲とワンセットに考える必要があったのではないかと考えますが、この点について自治大臣の所見をお伺いしたいと思います。  また、二種、三種路線の廃止による市町村の代替バスがふえている傾向の中では、住民の足確保に果たす運輸省の役割はますます小さくなっておるのが現実でございます。この実態を直視するならば、地域交通権限の自治体移譲を行うべきではないかと考えますが、運輸省の見解をお伺いいたしたいと思います。
  94. 遠藤安彦

    ○遠藤(安)政府委員 第一点の御質問について、私からお答えを申し上げます。  廃止路線代替バスにつきましては、これは制度発足からもう二十年もたっているというようなこともありまして、地方公共団体の事務として、言ってみれば同化定着しているのだろうというようなことから一般財源化をしたわけであります。この際に、運輸省とも十分協議をいたしまして、運行についての許可手続について簡素化を図る、あるいは運行、運送の内容等について、できるだけ地方団体の意向を反映するということの制度改正をした上で一般財源化をしたということでございますので、御質問の趣旨には合っているかなというように感じている次第でございます。
  95. 藤井章治

    ○藤井説明員 ただいまの先生の御指摘のような中で、地域交通に関する権限を地方公共団体に移譲すべきではないかということでございますけれども、私ども、先ほど申し上げましたように、全国のネットワークの観点から、こうした交通行政については国が一体的に所掌することが望ましいとの考え方のもとに立ってやっておるわけでございます。  いずれにいたしましても、交通の問題は地域の振興とも深くかかわることでございまして、この問題につきましては、現在、地方分権推進委員会において機関委任事務の問題等、幅広く御議論がなされておるものと承知しております。そういう動向を踏まえまして、運輸省といたしましても、分権の理念を十分尊重しながら、各方面の御意見を賜って適切に対応してまいりたい、このように考えております。
  96. 畠山健治郎

    ○畠山委員 終わります。ありがとうございました。
  97. 平林鴻三

    平林委員長 田中甲君。
  98. 田中甲

    ○田中(甲)委員 さきがけの田中です。  地方自治に精通されておられた歴代の自治大臣の中におかれても、倉田自治大臣消防行政に極めて認識の高い、そして日本消防協会では代議員をお務めになられ、地元千葉県消防協会では会長をお務めになられている。この所信表明の中におかれましても、地域の安全性を守るために、「その役割の大きさが改めて認識された消防団の活性化と自主防災体制整備に努めてまいりたいと考えております。」このように書かれてございます。  そこで、消防団団員数は年々減少し、高齢化も進んでおり、また社会経済情勢の変化を踏まえた上で、消防団員確保と活性化を進めていくべきであると考えますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。   、  あわせて、法案の提出が予定されております消防団員公務災害補償等共済基金について、いわゆる消防団基金の民営化に当たって、消防団員のためになる事業が自主的、積極的に展開できるように改革すべきであると考えますが、大臣の御所見を承りたく存じます。
  99. 秋本敏文

    秋本政府委員 では、私の方からやや事務的なことの御説明をさせていただきたいと思います。  今御指摘のございました消防団員の平均年齢あるいは団員数の問題でございますが、平成七年四月一日現在で、平均年齢は三十五・九歳ということになっておりまして、十年前に比較しますと一・四歳高くなっているという状態でございます。また、団員数につきましては、平成七年は九十七万五千人余でございますが、平成元年におきましては、百万をやや超えているという状態、だんだん減ってきているというような状況でございます。  そういうことでございますので、消防庁におきましては、従来から消防団の活性化を図りますためのいろいろな施策を進めてまいっております。消防団拠点施設等整備事業あるいは消防団活性化総合整備事業といったような名称の事業によりまして、消防団の施設・装備の充実を図っていくとか、あるいはまた、地方交付税の基準財政需要額算入におきまして報酬あるいは出動手当などの算入額改善を図ってまいりますとか、さらに青年層、女性層に対する消防団への参加の呼びかけなどに努めているところでございます。これからも消防団の重要性は申し上げるまでもございません。私どもとしましても、これは精いっぱい努力をしていかなければならない分野だと思っておりますので、今後とも努力をしてまいりたいと思っております。  また、消防団員公務災害補償等共済基金法の改正問題についてでございますが、今御指摘ございましたように、この基金を民間法人化するということが閣議決定で定められておりますので、現在この関係法案の今国会提出に向けて作業を進めているところでございます。消防団員皆さんに対する公務災害補償の問題は極めて重要な問題でございます。この基金を民間法人化するということで、消防団員皆さんが、公務災害補償の問題についていささかでも不安をお感じになるということがあってはなりませんので、決してそのようなことがない、安んじて消防団活動に従事することができるように配慮することが必要だろうと思っております。  また同時に、こういった機会に、消防団基金が消防団員皆さん公務災害の防止事業などにつきまして自主的、積極的に取り組めるようにすることなどを通じまして、と申しましても、現実にはいろいろな制約もございますが、そういったようなことなどを通じまして、消防団の活性化に資することができるように措置してまいりたいと考えております。
  100. 田中甲

    ○田中(甲)委員 ありがとうございます。消防団充実、活性化のためにさらに御努力をいただきたいとお願いを申し上げます。  阪神・淡路復興委員会が二月の十四日で存続期限が到来して、この点について、地元皆さん方は中央から忘れられてしまうのではないかという不安を持たれている様子がうかがえました。そこで総理は、その地元の空気というものを察してか、二月の十八日、被災地を訪れて、被災地の状況をつぶさに見られ、恒久的な住宅への移行が一刻も早くできるようにということで、二月二十日の閣議で自治大臣に直接、昨年同様復興宝くじを実施したい、地元のためにも平成八年度もぜひ発行するように検討をしてもらいたいということをお伝えになられたようでありますが、これに対しまして、大臣はどのように検討され、取り組んでいかれるお考えか、御所見、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  101. 倉田寛之

    倉田国務大臣 田中委員から冒頭、消防団の活性化について御激励がございました。  地方公共団体にあって、各消防団関係者消防団の活性化のために何をすべきかということを数年来協議を重ねてきておることを承知いたしておりますので、先刻消防庁長官から御答弁をいたしましたように、これら対策は引き続き対応させていただきたいと考えております。  復興宝くじにつきましては、平成七年度は、四月に阪神・淡路大震災復興宝くじとして特別に二百十六億円発売をされまして、収益約百億円が阪神・淡路大震災対策に充てられたのでありますが、平成八年度におきましては、宝くじの発売計画は既に定められておりまして、発売団体におきまして特に発売は予定していなかったところでございます。しかしながら、今回総理から特に検討するよう御指示があったことでもございますので、平成八年度の復興に協賛した宝くじの発売につきましては、事務当局に内容の検討を指示いたしたところでございます。  今後、発売団体でございます都道府県、指定都市の全国協議会とも協議を行いまして、前向きに対処してまいりたいと考えているところでございます。
  102. 田中甲

    ○田中(甲)委員 予定が決まっているということでありますが、ぜひ発行していただきたい。地元皆さん方の救済のための基金というものを少しでも多く配慮をして、集めてあげたいという気持ちをだれしもが持っておりますから、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  そこで、実は私、ことしの一月十七日、阪神・淡路に行ってまいりました。今までは仮設の住宅あるいは仮設の店舗で、物が売れさえずればいいというような状況でありましたが、これからは本当に復興をしていくために資金をどうすればいいのか、行き詰まった状況であることを肌で感じてまいりました。そのときに、宝くじはことしはどうするのだろうかということを思ったのでありますが、同時に、中央競馬の協力というのはことしはどうなっているのだということで、中央競馬がやはり復興レースと申しますか復興競馬というものを行うべきではないかという思いで帰ってまいりました。御答弁をいただければありがたいと思います。
  103. 瀧倉昭

    瀧倉説明員 お答えいたします。  阪神・淡路大震災に対します競馬関係の支援につきましては、平成七年度、中央競馬関係で三十一億円、地方競馬関係で三億円弱ということで支援をしてまいりました。  ただいま御指摘の、平成八年度の対策につきましては、先般橋本総理からの指示もいただきまして、現在復興のための追加的な支援措置検討しているところでございます。
  104. 田中甲

    ○田中(甲)委員 ぜひ行っていただきたいと思います。  そして、義援金の額をもう少し検討して上げてもらいたいと思うのですが、それは私だけの考えでしょうか。宝くじの年間の売り上げが八千億であります。中央競馬会の年間の売り上げが三兆八千億でありますから、先ほど宝くじの方で百億円の金額が寄附されたという報告でありますが、中央競馬会の方は今三十五億円という金額でしたか、後で確認をいたしますが、どうも額が少ない、農協系が額が少ない、そういう思いが——失礼しました。間違えました。中央競馬会もぜひ積極的に協力をしていただきたいと心からお願いを申し上げる次第であります。答弁は結構です。  さて、私はここで御要望を二点申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。  ことしの一月十七日に阪神・淡路に参りまして、ある方と出会いました。兵庫区区民まちづくり協議会の役員でもあり、松本地区まちづくり協議会の会長をしていらっしゃる中島さんという方であります。よく考えていただきたい、今回の阪神・淡路大震災の被害想定額は約九兆円です、この金額に見合う復興ができるだけの金額的な国の助成体制というものが今できているでしょうかということを切々と訴えられて、帰ってきました。  県や市が出資いたしまして基金を六千億円という形でつくり上げて、その年利四・五%という運用益二百七十億円を各分野に分けて活用していくという体制であります。  さらに、義援金は一千七百三十三億円という、多くの国民皆さん方から心を寄せられて、多額な金額が集まっているところでありますが、世帯数に配分してまいりますと約三十万円にしかならない。もうとてもではないけれども復興ということはできない。また、違う都市にいつ災害が起きるやもしれぬ状況の中で、体制というものをもっと真剣に考えてもらいたいんだと。  その中島さんが考えている、これは一つの参考にしていただきたいと思いまして御報告をいたしますが、(仮称)激甚災害復興基金というものを考えていらっしゃいました。  どういうものかといいますと、国民と保険という概念から、現行の保険制度に、激甚災害の発生により生じた被害額を補てんすべく算定した共済金を追加することによって、私財や経済界などの復興に十分なる資金をすべて民間より調達するというものであります。資料をぜひ自治大臣にお届けをさせていただきますので、検討をしていただけないだろうかという私のお願いであります。  御本人は、神戸市、そして兵庫県から、衆議院、参議院に、要望という形で上げたい、そういう下からのボトムアップで声を上に伝えていきたいと申しますが、資料の中にも「関係各機関の幅広い論議を期待」しているという文面も入っておりますので、私からもきょう大臣にお伝えさせていただいた次第であります。  約九兆円と言われていますが、これを生保、損保などの全国の年間二十七億五千万件の保険契約を使って集めるといたしますと、一契約当たり三千二百七十円となり、これを五年間で集めますと、一契約当たり六百五十四円となるというものであります。詳しくこの場では御説明できませんが、大規模なスキームというものがまさに阪神・淡路の復興のためには必要であるということをお話をさせていただきました。どうぞ御検討のほどよろしくお願い申し上げます。  もう一点の御要望は、国家公安委員長であります倉田大臣に、昨年、我が国の治安というものがもう音を立てて崩れ落ちていった、そんな状況の中で、私は、警察庁長官の狙撃事件、この被疑者が挙げられていないということは大変な問題であると認識を持っております。どうか、安心して住める、治安のよい国日本、その信頼というものを取り戻していくために、警察庁に対して、一日も早く被疑者の検挙というものを行うよう最大努力するようにと、ぜひ大臣からも指示、示唆をしていただきたい、お願いでございます。  以上、二点の御要望を申し上げまして、私は、時間の関係もございますので、答弁は結構であります。これで終わらせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
  105. 平林鴻三

    平林委員長 穀田恵二君。
  106. 穀田恵二

    ○穀田委員 私は、きょうは、消防職員委員会の問題についてまず質問をしたいと思います。  昨年の百三十四国会で消防組織法が改正されて、その中で、「消防職員委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、消防庁の定める基準に従い、市町村の規則で定める。」となっています。昨年の消防組織法改正の議論の際には、この基準の問題で、特に地方分権との関係が質疑がされました。それは御承知のとおりだと思うのです。さらに、「消防職員委員会の組織及び運営に関する基準については、市町村消防の原則を踏まえつつ、」とわざわざ附帯決議が付されたところであります。そういう問題については検討中とお聞きしているわけですが、国会での議論との関係、また附帯決議との関係を踏まえて、どのようにそれらが生かされているのか、どういう内容になっているのか、概略をお示しください。
  107. 秋本敏文

    秋本政府委員 昨年成立をしていただきました消防組織法の改正によりまして、消防職員委員会制度を発足させるということになりました。その際に、今お話がございましたようないろいろな御論議を踏まえながら、私どもとして、この消防職員委員会という制度が円滑に動いていくようにするためにどういうふうにして進めていくかということをいろいろ検討してまいりましたが、先般、この消防職員委員会の運営に関するいろいろ基本的な事項につきまして、私どもとして今こういうことで検討しておりますということを、全国消防主管課長皆さん、またその消防主管課を通じましてそれぞれの市町村消防本部にお示しをして、そして、御質問を受けたり、御意見をいただいたり、今やっている最中でございます。  そういう中におきまして、今も御指摘がございましたが、この消防職員委員会の運営のあり方について、私どもがいろいろな物事を決めていくに当たりまして、この職員委員会という制度が全く新しい仕組みとしてスタートいたしますので、それぞれ基本的な部分についてはやはり全国統一した形である方が円滑に運営されるだろうというふうに思いながら、また一方、それぞれの現場で、状況に応じた自主的な判断、運営がなされるようにもしなければいけない、それらを両方にらみながら、今申しましたような検討中の案というようなものをお示しをしているわけでございます。
  108. 穀田恵二

    ○穀田委員 昨年の質疑の際には、消防職員の意見を消防事務に反映しやすくする、こういう点が答弁されましたし、さらに、職員から提案されました意見につきましても審議をする、こういうふうにして、自由に、できればそういう形で職場の中からいろいろな意見が出るようにということをいろいろ答弁されていました。  私は、審議する案件、つまり消防職員委員会で議論する内容というのは、本来、消防職員だれもが自由に提案できるものであって、しかも提案しやすいようにする、それから、それらの問題について、手続については簡素にする、そういう原則が当然必要かと思うのですね。それらは、改めて確認しておきたいのですが、そういった点を配慮されているのかどうかというのが一つです。  それから二つ目は、検討中の「消防職員委員会に関する基本的事項案」、それによりますと、こう書いていますね。第四の「委員会の議事等」という項では、「委員会の開催は、年に一回を常例とするものとする。」こうあるんですが、これは間違いありませんね。しかも、あわせて、「常例」の意味するものは何か、そして、これは消防庁の意向かどうか、この点を含めてちょっとお答えいただきたい。
  109. 秋本敏文

    秋本政府委員 消防職員の皆さんが意見をお出しになって、それについて職員委員会審議をする、その場合に、どういうような事項について意見を出すかということについては、もう御存じのように法律で定めておりますので、それによってやる。その具体的なやり方につきまして、検討中の案というような形でお示しをしておりますが、これが職員の皆さんにとって提案しにくいよというようなことにはなっていないだろうと私ども思っております。  それから、「年に一回を常例とする」ということを言っております。常の例というふうに書いておりますけれども、いわゆる通常の例、大変、言葉の言いかえのように聞こえるかもしれませんが、常の例、これは通常の例であるというように思っております。  それで、「年に一回を常例とする」。これは、年一回の開催が通常の例である、こういうことでございますが、申し上げるまでもございませんけれども、特段の事由がありますときに、一回ではなくて複数回、二回以上開催するということは、これは当然あり得ることであろう。  ただ、消防職員の皆さんから意見が出た、それを委員会として審議をして何らかの結論が出た、消防長としてそれを受けながら努力をしていこうというようなことになった、その場合の具体的な場面としては、例えば予算編成時期あるいは年度がわりの時期といったときに検討するというのが通常の例だろうと思います。  したがいまして、「年に一回を常例とする」ということで、通常年一回ということにいたしましても、これによって職員の皆さんの意見の反映に支障を生ずるということは普通はないだろうと思います。そして、今申しましたように、特別な事情がありますときには二回以上開催するということ、これを否定しているわけではございませんので、これによって消防職員委員会制度の趣旨が生かされないなどということはないだろうと私は思います。  ただ、もう一つお尋ねがございました、これは検討中の案ということだけれども消防庁の意向かどうかということでございますが、先ほど来申し上げておりますように、何しろこの消防職員委員会という全く初めての制度をスタートさせる。しかも、消防本部、全国九百三十一ございますけれども実態はさまざまでございます。そういう中で、この制度を円滑に運営していくためには、私どもとしてはこういうことを考えておるんですということをお示しして、そして十分御理解をいただきながら、また御意見があれば私どもも承るというようなことをしながらやることが適当であろうと思いまして、やや異例ですけれどもこういうようなことをやっておりまして、その意味では、私どもとしてはこういうことを考えておるということでお示ししているわけでございます。
  110. 穀田恵二

    ○穀田委員 なぜ私がこういうふうに言うかといいますと、今言いましたように、「常例」というのは、通常の例である。それは通常の例ということなわけだけれども。この前の、昨年の審議の中で、この中では当時の自治大臣もそれから消防庁長官も再三にわたりまして、特に意思の疎通が大事だ、それから消防職員委員会の貴重な意見を反映しやすくすることが大事だ、それから三つ目に、そのことによって消防事務の円滑な運営を図ることができる、そして士気が高揚する、こういうふうに言っているのですね。そうしますと、年一回でそんな四つの今言った話が本当に満足できるのかということを私は言いたいわけですよ。  大事なのは、自由な意見が次々と出てくる、それが大事なことであって、私、今消防庁長官のお話がありましたように、込みで、一つの案として提起をして、全国から意見を聞くということをおっしゃっていましたから、そういう趣旨からすれば、私どもが言っていますのは、通常一回というのじゃなくて、本来——当時こういうふうにもおっしゃっているんですね。例えば与党からも、最小限のことを定めるべきじゃないかという御意見ございました。それに答えて、そういう内容に、趣旨に、一応分権との関係もあってそうしたいという旨を大体おっしゃっていました。私はそういうことが大事だと思うのですね。だから、大枠だけ決めて、内容は極めて自主的にと。しかも、お話があったように、基本ということと自主的判断と両々相まっということが必要ですね。そういうことをおっしゃっていました。  だから私は、「年に一回を常例とする」じゃなくて、最低そういうふうに定めるべきだというのが本来あるべき姿じゃないかということを申したいわけです。その辺について御意見がどうかということと、もう一つ、今ありましたように、全国にそういう例を示している。同時に、それは意見を聞くということですから、そういう意見がどんどん出れば、当然、それは私らの意見も踏まえていって、変更もあり得るということですね。
  111. 秋本敏文

    秋本政府委員 先ほど来申し上げておりますように、消防職員委員会の運営につきましては、全国的にやはり統一をしていく必要のある部分もあるし、しかしまた一方、それぞれの地域実情に応じ、またそのときの状況に応じて自主的な運営ができるようにする必要のある部分もあるし、その辺を全体としてどういうふうに調整していくかという、その辺はいろいろ難しい点もあろうかと思います。  何しろ九百三十一の消防本部というのは、大きなところは一万八千人規模もございますし、それから数十人規模というところもたくさんございます。そういう中で、どういうふうにして運営していくかということからいたしますと、ある程度はこういうような基本的な考え方でいきましょうということをお示しする方がうまくいくというふうにも思われます。そんなことをいろいろ考えました上で、その開催回数につきましては「年に一回を常例とする」と。  これは、先ほど来申し上げておりますように、年一回以上開いてはいけませんよ、こういうふうなことを言っているわけではございませんで、ただ、その職員の皆さんからの御意見をどういうふうにして反映していくかというのが、通常の場合は予算編成だとか年度がわりだとかということになってくることが多いと思われますので、そういうような意味で「常例」ということにいたしております。  これは、たびたび申し上げておりますように、事情があります場合に複数回開催することはもちろんできるわけでありまして、この委員会の開催をどうするかということにつきましても、私どもの今の検討中の案の中におきましては、「委員長が招集する」ということにいたしております。したがって、その消防長が招集するというようなことではなくて、それぞれ委員会委員長の判断で、必要があるときはあるということは当然あるわけであります。  それから、今検討中の案、こういったものをお示しするというのは異例に属すると思いますけれども、先ほど来申し上げましたようなことでやっております。  ただ、その結果、いろいろな御意見、御質問等があって、そういう中で変更することが必要なものがあればどうかということは、それは、そのことについて今どうするということを申し上げることができる段階ではございませんけれども、私ども、今検討中のこの案を、それぞれの県におきましてそれぞれ消防の方にも集まっていただきながら逐一御説明をし、そして御意見を聞くようなことをやっております。これは相当、今までの通常のやり方からしますと、そこまでやるのかというぐらいに実はやっておるわけですけれども、何しろ初めての仕組みなものですから、皆さんにきちんと理解していただかなければならない。その今やっておりますことでいいますと、基本的な部分について、今のところで変更しなければいかぬかなというような部分は、今のところは私どもの感じではないというような感じでおります。
  112. 穀田恵二

    ○穀田委員 いろいろありましたけれども、その結論は結局なかなかあれですけれども……。  私、今長官がおっしゃった年度がわりだとか、そういったことというのは、それは確かにあると思うのですね。だけれども、この消防組織法というものの第十四条の加えられた五というのは、「消防職員から提出された意見を審議させ、」と。その中で、単に年度の問題じゃないのがたくさんあるのですね。例えば三つあるわけでしょう。一つは「消防職員の給与、勤務時間その他の勤務条件及び厚生福利に関すること。」それから「消防職員の職務遂行上必要な被服及び装備品に関すること。」まあ御承知のとおりですけれども、わかりやすく皆さんのためにも……。「消防の用に供する設備、機械器具その他の施設に関すること。」まさに多岐多様なんですよ。  それが、士気を高めるためにも、円滑に運用するためにもそれらをやろうと思います、いつでも開いてもいいですよぐらいの話が今必要じゃないかと私は言っているのですよ。ただ一回。そう言いますと、どうも皆さんはすぐ——今回の場合は「常例とする」というふうに書いているのだけれども、それは、多くの方々は、地方の方々は、これ以上開いてはいけないとは言わぬけれども、それをもっと開きなさいよ、自由にやってくださいというのが趣旨なんだということで理解していいわけですね。
  113. 秋本敏文

    秋本政府委員 先ほど来申し上げているとおりでございまして、年一回を常例とするという、通常の例としてはそうだと。ただ、特別な必要がありますときに二回以上開催されるというのは、それぞれの地域の、まあ具体的に言うと、私ども考え方でいいましたら委員長の判断ということになろうかと思いますが、そういうようなことをいろいろ地域の状況に応じながら円滑に運営していって、そして、御指摘もございましたけれども、せっかくスタートすることになりました消防職員委員会というのが、本当に職員の皆さんのその意思の反映がなされて、そしてそのことによってより円滑な消防活動が行われるように私どもとしてもいろいろな指導をしていきたいと思っております。
  114. 穀田恵二

    ○穀田委員 なぜこんなふうにこだわっているかといいますと、前回の議論の際に地方分権との関係が随分出たのですよね。それは御承知のとおりです。そのときに長官はこうお話しされているのですね。「最小限度の事項について定める」、「市町村の自主性につきましては、十分配慮してまいる所存だ」、こういう答弁をしているのです。さらに、「地方分権といったことの趣旨につきましては十分配意」、こういうふうに言っています。  ですから私は、最初にスタートする時期だからこそ——最低一回はやらなくちゃならぬ、それは当たり前の話じゃありませんか。問題は、こういう内容が多岐にわたっていることでもあり、積極的に開いていただいて、なおかつそれによって士気を鼓舞し、そしてさらに一層の改善をする。そういう意味でいうと、スタートの時期だからこそそういうことをもっとやるべきじゃないかと私は思うのですね。  しかも、これは調べてみえなくても当然わかるわけですけれども、これは団結権との関係で一つの議論になったわけですね。団結権が認められている組合のある職場、こういったところでも、労働安全衛生規則によりますとこう書いてあるわけですね。「事業者は、安全委員会、衛生委員会又は安全衛生委員会を毎月一回以上開催するようにしなければならない。」こうしてあるわけですね。労働現場における衛生の問題や安全の問題を含めたって、事業者はそういうことを義務づけられているわけなんですよね。  ですから、命にかかわる問題を預かっている部隊が、しかもさっき言いましたように日常の福利厚生や勤務や給与や、そういうものを話をする場を一つやっと設けたというところからしますと、多岐にわたる議論をするわけだからこそ、これをさらに実効あるものとするためには、十分議論を保障するような立場でもっと推進していく必要があるんじゃないかというふうに思っているのですよ。大臣、その辺はどうです。
  115. 倉田寛之

    倉田国務大臣 先刻来秋本消防庁長官からお答えを申し上げましたので、ごく簡単に申し上げますが、消防職員委員会の運用に当たりましては、各市町村ができるだけ自主的な判断により、それぞれの実情に即した運用が可能となるよう配慮をしてまいりたいと考えております。
  116. 穀田恵二

    ○穀田委員 自主的にやっていただいてよろしいということでお話があったので、それでいいかと思います。  私は、最後一つだけ要望しておきたいと思うのです。  先ほど消防庁長官からありました「消防職員委員会に関する基本的事項案」、これによりますと、先ほどもお話ありましたように、例えば委員会の招集、それら自身も、これは第四の「委員会の議事等」という中にありまして、先ほどお話あったように「委員長が招集するものとする。」とあるのですね。こういう問題だとか、さらには、ここにありますように、「指名手続」、これは、「職員による委員の推薦は、各組織区分に所属する職員の話し合いにより行うものとする。」こういうものもあるのですね。  私は、こういった問題では少し違うのではないかという考え方なのですね。つまり、基準については、委員長の招集に限定されている問題は、やはり委員から要望があった場合については開くというような趣旨が今の段階では必要なのではないか。そういうことが大事だ。しかも、今言いましたように、委員の選出が職場ごとに、まあ普通で言いますと選挙するとかいうことなんかが本来望ましいのではないか。こういういろいろな問題点があります。  ですから、職員の意見が反映され、本当に実効あるものとするためにも、自由裁量の部分をもっと多くして、それらを含めて今お話あった検討中の案に対する御意見をよくお聞きいただいて、それぞれ出た場合につきましては全体として要望に沿った形で直していただくというか、こだわらずにやっていただきたいということを希望しておきたいと思います。  以上で終わります。
  117. 平林鴻三

    平林委員長 次回は、公報をもってお知らせす ることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時二十三分散会