運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1996-04-26 第136回国会 衆議院 大蔵委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月二十六日(金曜日)     午前八時五十分開議  出席委員   委員長 久間 章生君    理事 石原 伸晃君 理事 大島 理森君    理事 金子 一義君 理事 青木 宏之君    理事 北側 一雄君 理事 村井  仁君    理事 永井 哲男君 理事 錦織  淳君       衛藤征士郎君    柿澤 弘治君       岸田 文雄君    熊代 昭彦君       栗本慎一郎君    小泉純一郎君       佐田玄一郎君    中村正三郎君       中山 利生君    福永 信彦君       堀之内久男君    村田 吉隆君       茂木 敏充君    山中 貞則君       井奥 貞雄君    上田 清司君       太田 昭宏君    竹内  譲君       谷口 隆義君    中田  宏君       中村 時広君    藤井 裕久君       宮地 正介君    吉田 公一君       網岡  雄君    輿石  東君       中村 正男君    早川  勝君       細谷 治通君    田中  甲君       佐々木陸海君    小森 龍邦君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 久保  亘君  出席政府委員         大蔵政務次官  鉢呂 吉雄君         大蔵省主計局次         長       伏屋 和彦君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省理財局長 田波 耕治君         大蔵省理財局た         ばこ塩事業審議         官       宝賀 寿男君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君  委員外出席者         林野庁管理部管         理課長     星野  明君         運輸省鉄道局国         有鉄道清算業務         指導課長    金澤  悟君         参  考  人         (日本たばこ産         業株式会社代表         取締役社長) 田村 哲朗君         参  考  人         (日本国有鉄道         清算事業団理事         長)      西村 康雄君         大蔵委員会調査         室長      藤井 保憲君     ――――――――――――― 委員の異動 四月十七日  辞任        補欠選任   網岡  雄君     田邊  誠君 同日  辞任         補欠選任   田邊  誠君     網岡  雄君 同月二十五日  辞任         補欠選任   細谷 治通君     秋葉 忠利君 同日  辞任         補欠選任   秋葉 忠利君     細谷 治通君 同月二十六日  辞任         補欠選任   衛藤征士郎君     福永 信彦君   関山 信之君     輿石  東君 同日  辞任         補欠選任   福永 信彦君     衛藤征士郎君   輿石  東君     関山 信之君     ――――――――――――― 四月十八日  塩事業法案内閣提出第七九号)(参議院送付  ) 同月十二日  共済年金制度改革に関する請願荒井広幸  君紹介)(第一六五一号)  同(加藤万吉紹介)(第一六五二号)  同(金子徳之介紹介)(第一六五三号)  同(穂積良行紹介)(第一六五四号)  同(渡部恒三紹介)(第一六五五号)  同(渡部恒三紹介)(第一七七九号)  住専処理への税金投入反対真相徹底究明に  関する請願中島武敏紹介)(第一六五六号  )  住専への税金導入反対に関する請願永井英慈  君紹介)(第一六五七号) 同月十六日  共済年金制度改革に関する請願増子輝彦  君紹介)(第一八五八号)  同(渡部恒三紹介)(第一八五九号)  同(松永光紹介)(第一九二〇号)  同(渡部恒三紹介)(第一九二一号)  消費税率引き上げ中止に関する請願穀田恵  二君紹介)(第一九二二号)  消費税増税中止廃止に関する請願松本善  明君紹介)(第一九二三号)  住専処理に対する母体行等責任追及に関する  請願正森成二君紹介)(第一九九〇号)  消費税増税中止消費税廃止に関する請願  (松本善明紹介)(第一九九一号) 同月二十五日  共済年金制度改革に関する請願河合正智  君紹介)(第二〇八八号)  同(近藤鉄雄紹介)(第二〇八九号)  同(石井智紹介)(第二一二六号)  同(松田岩夫紹介)(第二一二七号)  同(虎島和夫紹介)(第二一五六号)  同(加藤卓二紹介)(第二二〇一号)  同(粕谷茂紹介)(第二二〇二号)  同(近岡理一郎紹介)(第二二〇三号)  消費税率引き上げ中止に関する請願岡崎宏  美君紹介)(第二一二八号)  消費税増税中止消費税廃止に関する請願  (佐々木陸海紹介)(第二一七五号)  インドネシアヘの原発輸出に対する日本輸出入  銀行融資反対等に関する請願金田誠一君紹  介)(第二二〇五号) は本委員会に付託された。 四月十九日  住宅金融専門会社不良債権処理方策の撤回に  関する請願福留泰蔵紹介)(第二八号)  同(宮地正介紹介)(第二九号)  同(福留泰蔵紹介)(第五〇号)  同(福留泰蔵紹介)(第五五号)  同(山田英介紹介)(第五六号)  同(若松謙維君紹介)(第六八号)  同(若松謙維君紹介)(第九〇号)  同(石田祝稔紹介)(第一一八号)  同(若松謙維君紹介)(第一一九号)  同(若松謙維君紹介)(第一六七号)  同(若松謙維君紹介)(第一七三号)  同(石田勝之紹介)(第一八六号)  同(宮地正介紹介)(第一八七号)  同(福留泰蔵紹介)(第二一三号)  同(若松謙維君紹介)(第二一四号)  同(河上覃雄君紹介)(第二三五号)  同(山田英介紹介)(第二三六号)  同(福留泰蔵紹介)(第二八五号)  同(大口善徳紹介)(第三二一号)  同(福留泰蔵紹介)(第三二二号)  同(福留泰蔵紹介)(第三五七号)  同(福留泰蔵紹介)(第四〇六号)  同(伊藤英成紹介)(第五四九号)  同(遠藤乙彦紹介)(第五五〇号)  同(川端達夫紹介)(第五五一号)  同(神田厚紹介)(第五五二号)  同(古賀正浩紹介)(第五五三号)  同(笹木竜三紹介)(第五五四号)  同(笹山登生紹介)(第五五五号)  同(高木義明君紹介)(第五五六号)  同(塚田延充紹介)(第五五七号)  同(中野寛成紹介)(第五五八号)  同(中村時広紹介)(第五五九号)  同(仲村正治紹介)(第五六〇号)  同(畑英次郎紹介)(第五六一号)  同(平田米男紹介)(第五六二号)  同(星野行男紹介)(第五六三号)  同(矢上雅義紹介)(第五六四号)  同(柳田稔紹介)(第五六五号)  同(米沢隆紹介)(第五六六号)  同(遠藤和良紹介)(第八七一号)  同(石田勝之紹介)(第九七七号)  住宅金融専門会社への公的資金導入反対に関す  る請願山名靖英君外一名紹介)(第一四三号  )  同(冬柴鐵三君紹介)(第一七四号)  同(石田幸四郎紹介)(第三五八号)  同(森本晃司紹介)(第五二一号)  同(長内順一紹介)(第五六七号)  同(初村謙一郎紹介)(第五九五号)  同(冬柴鐵三君紹介)(第五九六号)  同(青山二三紹介)(第八七三号)  同(近江巳記夫紹介)(第一〇八七号)  同(福島豊紹介)(第一〇八八号)  同(田端正広紹介)(第一一二八号)  同(谷口隆義紹介)(第一一二九号)  同外三件(神崎武法紹介)(第一一七七号)  同(北側一雄紹介)(第一一七八号)  同外二件(倉田栄喜紹介)(第一一七九号)  同外一件(権藤恒夫紹介)(第一一八〇号)  同(佐藤茂樹紹介)(第一一八一号)  同外二件(東順治紹介)(第一一八二号)  同(弘友和夫君紹介)(第一二二三号)  同(神崎武法紹介)(第一二三六号)  同外一件(倉田栄喜紹介)(第一二三七号)  同(権藤恒夫紹介)(第一二三八号)  同(佐藤茂樹紹介)(第一二三九号)  同(東順治紹介)(第一二四〇号)  同(弘友和夫君紹介)(第一二四一号)  同(佐藤茂樹紹介)(第一二九四号)  同(佐藤茂樹紹介)(第一三四五号)  同(佐藤茂樹紹介)(第一三八五号)  同(佐藤茂樹紹介)(第一四三六号)  住専不良債権実態解明等に関する請願(青  山二三君紹介)(第一五一号)  同(大野由利子紹介)(第一五二号)  同(穀田恵二紹介)(第一九四号)  同(藤田スミ紹介)(第一九五号)  同(不破哲三紹介)(第五二二号)  同(中井洽紹介)(第五九七号)  同(千葉国男紹介)(第一一八三号)  住専処理に対する母体行等責任追求に関する  請願佐々木陸海紹介)(第三一六号)  同(不破哲三紹介)(第三一七号)  同(矢島恒夫紹介)(第三一八号)  同(矢島恒夫紹介)(第四七二号)  同(岩佐恵美紹介)(第一五三二号)  同(穀田恵二紹介)(第一五三三号)  同(佐々木陸海紹介)(第一五三四号)  同(志位和夫紹介)(第一五三五号)  同(寺前巖紹介)(第一五三六号)  同(中島武敏紹介)(第一五三七号)  同(東中光雄紹介)(第一五三八号)  同(不破哲三紹介)(第一五三九号)  同(藤田スミ紹介)(第一五四〇号)  同(古堅実吉紹介)(第一五四一号)  同(正森成二君紹介)(第一五四二号)  同(松本善明紹介)(第一五四三号)  同(矢島恒夫紹介)(第一五四四号)  同(山原健二郎紹介)(第一五四五号)  同(吉井英勝紹介)(第一五四六号)  同(正森成二君紹介)(第一九九〇号)  住専処理への税金投入反対真相徹底究明に  関する請願志位和夫紹介)(第三一九号)  同(志位和夫紹介)(第五二三号)  同(岡崎宏美紹介)(第一四三七号)  同(海江田万里紹介)(第一四九〇号)  同(柴野たいぞう紹介)(第一五九二号)  同(中島武敏紹介)(第一六五六号)  住専不良債権処理反対に関する請願小森龍  邦君紹介)(第四六七号)  同(小森龍邦紹介)(第五六八号)  住専への税金導入反対に関する請願江田五月  君紹介)(第四六八号)  同(江田五月紹介)(第五二四号)  同(江田五月紹介)(第一〇四〇号)  同(永井英慈君紹介)(第一六五七号)  住専処理策反対に関する請願岡崎宏美紹介  )(第四六九号)  同(小森龍邦紹介)(第四七〇号)  公的資金導入による住専処理反対に関する請願  (海江田万里紹介)(第五一二号)  同(後藤茂紹介)(第五一三号)  同(嶋崎譲紹介)(第五一四号)  同(土肥隆一紹介)(第五一五号)  同(楢崎弥之助紹介)(第五一六号)  同(牧野聖修紹介)(第五一七号)  同(山花貞夫紹介)(第五一八号)  同(吉岡賢治紹介)(第五一九号)  住専不良債権処理に対する母体銀行責任の  明確化に関する請願穀田恵二紹介)(第五  二〇号)  住専処理に関する情報の公開と徹底究明に関す  る請願桜井新紹介)(第一一二二号) は金融問題等に関する特別委員会に付託替えされ た。     ――――――――――――― 四月十二日  住専問題の早期解決徹底究明に関する陳情書  外九十一件  (第一八  三号)  新たな保険・共済制度創設に関する陳情書外四  件  (第一八四号)  消費税率引き上げ反対等に関する陳情書  (第一八五号) 同月二十六日  鉄道共済年金の改善に関する陳情書  (第  二三七号) は本委員会に参考送付された。 四月十九日  金融システム安定化等に関する陳情書外一件  (第三六号)  住宅金融専門会社への公的資金導入等反対に  関する陳情書外百六十一件  (第一三一号)  住宅金融専門会社不良債権処理問題等に関す  る陳情書外百八件  (第一五八号)  住専問題の徹底究明等に関する陳情書外四十一  件  (第一五九号)  住専問題の早期解決徹底究明に関する陳情書  外九十一件  (第一八  三号) は金融問題等に関する特別委員会に送付替えされ た。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  塩事業法案内閣提出第七九号)(参議院送付  )      ――――◇―――――
  2. 久間章生

    久間委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付塩事業法案議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。久保大蔵大臣。     —————————————  塩事業法案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 久保亘

    久保国務大臣 ただいま議題となりました塩事業法案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  塩専売制度は、明治三十八年に制度が設けられて以来、塩の需給及び価格の安定に寄与してまいりましたが、時代の変遷、環境の変化等を背景として、その見直しの必要性指摘されてきたところであります。  このような状況のもとで、塩事業関係者等意見を踏まえつつ昨年十一月に提出されたたばこ事業等審議会の答申に沿い、今般、塩専売制度廃止するとともに、良質な塩の安定的な供給の確保と我が国塩産業の健全な発展を図るため、ここに本法律案を提出することとした次第であります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、大蔵大臣は、毎年度、塩需給見通しを策定し、これを公表することとしております。  第二に、塩の製造、輸入販売及び卸売に関して、現在は指定等とされているのを改め、登録または届け出によることとしております。  第三に、大蔵大臣は、公益法人の一つを塩事業センターとして指定し、これに、生活用の塩の供給や塩の備蓄、緊急時の供給等業務を行わせることとしております。  第四に、塩産業自立化達成の観点から、経過期間終了時点まで、所要措置を講ずることとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 久間章生

    久間委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 久間章生

    久間委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本たばこ産業株式会社代表取締役社長田村哲朗君及び日本国有鉄道清算事業団理事長西村康雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 久間章生

    久間委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     —————————————
  7. 久間章生

    久間委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村井仁君。
  8. 村井仁

    村井委員 私は実は、海のない長野県の出身でございまして、その昔、戦国時代でございますが、上杉、武田の戦いの戦場になった場所でございます。そのときに、塩がなくなったわけでございまして、上杉謙信から塩を送られたわけで、それで何とか命をつないだというのが私どもの先祖でございます。  私どもの地元には、塩が運ばれた最後のポイントという意味で塩尻という地名がございましたり、あるいは上杉謙信から塩を送られたこと、それで助けられたということを感謝する意味で、昔は塩市と言ったのでございますけれども、一月の初めに大きな市が開催されるというのが長い伝統になっておりまして、これは明治時代になってからでございますが、あめ市という、塩があめに化けたのでございますけれども、非常に長い伝統のある市が立つ、こんなようなことでございまして、私どもにとりまして塩というのがどんなに大切なものかということをいろいろなことで体験させられている、こういう立場でございます。  また、大変個人的なことになりますが、私自身、昔豪州に在勤しましたときに、あの地の巨大な天日製塩の塩田も現実に見たことがございまして、そういう意味で、日本製塩の仕方と、それに比較しての諸外国における製塩規模競争力、この格差というものが非常に大きいということも実感したことがございます。  こうして、明治三十八年に始まった塩の専売が、この今御提案のございました法律案の成立によりまして終わるということは、たばこ専売あるいはアルコール専売というようなものが既に廃止された今、国による物資専売がついにこれで終わるのかなということで、大変ある種の感慨を覚えるわけでございますが、この塩事業法案につきましては、参議院で既に相当詳細な審議が行われておりますので、私は、それも踏まえながら、若干補足的にお伺いをさせていただきたいと思います。  まず、一番基本的な問題でございますけれども、現在の塩専売法でございますが、塩専売法の附則二条におきまして、「政府は、国内塩産業自立化の目途が得られた段階で、この法律について検討を加え、必要に応じ所要措置を講ずるものとする。」このように記されておりまして、これを踏まえて今度の法律案が提示されているということは、国内産業自立化のめどが得られた、こういうふうに認識しておられる、このように考えてよろしいか。まず、基本的な問題でございますから、その点からお願いします。
  9. 宝賀寿男

    宝賀政府委員 我が国国内塩産業につきましては、御承知のように海水からつくる方法でございますが、先生指摘のように、オーストラリアやメキシコといった天日で生産する状況に比べまして、工場で電力を使って生産していくという過程がございまして一そういう意味では、競争の面で大変厳しいものもございますが、現在までに、国内製塩企業におきましては、鋭意コスト削減に努め、輸入塩との価格差を極力解消していくように努めてきたところでございます。また、元売企業におきましても、再編あるいは整備、さらに事務関係効率化というものを通じまして、経営の規模拡大効率化に努めてきているところでございます。  そういった状況を踏まえますと、平成十三年度末までには、所要経過措置及び塩事業センターによります助成措置を講ずることによりまして、この期間内におきまして自立化達成を展望できる段階に来ているのではないかというふうに考えているところでございます。
  10. 村井仁

    村井委員 塩の専売というのは、塩という私たち生活に欠かせないものを、いかなる山間僻地であれ、あるいは離島であれ、同一品質のものを同一価格で提供するというサービスを実現してきた、私はこの功績というのは非常に大きいと思っているのですね。しかも、価格水準を見ますと、ほかの物資あるいは食品、特に食品の中で比較的低廉に推移してきた。  その意味で、主として生活用塩でございますけれども、これにつきまして、全国くまなく一定の価格供給するということにつきまして、今後とも国民が不安を持つことなくやってもらえるんだろうかどうなんだろうか。それはまた、具体的にどんなふうにおやりになるのか。今までは非常にきちんとしたシステムでそれが保証されていたと思うのですね。今度ここにマーケットメカニズムが入ってくるわけでありますから、やはりどうしてもコストの余計かかるところには負担が増嵩するということになるのではないかという懸念がある。この点について、ひとつ御説明いただけますか。
  11. 宝賀寿男

    宝賀政府委員 私ども生活用塩供給というのは大変重要な仕事でございますし、これまで九十年続けられてまいりました専売制度におきまして、低廉で良質な塩を安定的に全国各地供給してまいったというのが専売制度の大きなメリットというふうに考えておるところでございます。  制度を改定するに当たりましては、そういった点に鋭意注意を払いまして、生活用塩供給する塩事業センターというものを設けまして、最小限の公的な関与ではございますが、良質な、安定的な塩の供給、特に生活用塩供給というものに意 を払ってまいりたいと思って、その辺については適切な制度を設置しているというふうに考えております。
  12. 村井仁

    村井委員 今のところをもうちょっと教えていただきたいのですが、例えば、輸送コストが当然違いますよね。そこはどんなふうにして調整することを考えているのですか。
  13. 宝賀寿男

    宝賀政府委員 塩につきましては、先生指摘のように、輸送コストがかなりかかっているというのも事実でございますが、一方で、専売制度のもとで全国一律の価格で提供してまいったというのも大きく評価されているところでございまして、特に今回、塩事業センター供給を予定しております生活用塩につきましては、小売店におきまして全国一律の標準販売価格とするように予定しているところでございます。  そのための具体的な仕組みにつきましては現在検討中でございますが、地域によりまして運送費の実費を勘案してセンターからの売り渡し価格を設定するといったようなことなどの措置を講じまして、消費段階全国一律の標準販売価格が可能となるように検討を続けてまいりたいと思っております。
  14. 村井仁

    村井委員 ありがとうございました。  塩のいわゆる業界でございますが、いろいろなかかわりがあるわけです。いろいろな関係者があるわけでございますが、その中で元売、これをちょっと見てみますと、平成五年に八十二社、平成六年に八十一社あったのが、平成七年に七十六社ということで、五社どんと減っている。しかし、それでも千三百人からの方がここで働いておられるわけで、この専売制度廃止によりまして既存の元売に非常に大きな激変が生ずるということになりますと、これはやはりいかがなものかということを非常に感じるわけでございますけれども、この元売対策というのは具体的にどんなことをお考えになっておられるか。
  15. 宝賀寿男

    宝賀政府委員 塩の元売企業につきましては、これまでに、状況を勘案しながら適宜整理合理化あるいは統合化という動きがございますし、一方で協業化という動きもございまして、全国で九つほどの地区に分けまして協業を進めて、さらに事務効率化を進めていくというような動きが具体的に出てきております。  そういった意味で、事務コストの低減あるいは競争関係も含めて適切な対応がやっていけるのではないかというふうに思っておりますが、一方で五年間の経過期間の中で幾つかの助成措置を講じてやってまいりたいというふうに考えておりまして、その中で元売企業もさらに自立化の道を進んでいけるのではないかというふうに考えているところでございます。
  16. 村井仁

    村井委員 それから小売ですね。これは全国で十一万、このように言われて、店の数は十二万でございますか、大変な数であります。それで、実際の売り上げの額、それからそのもうけというのを見ますと、売り上げが年間で一店舗当たり三十万円くらいですか、それからもうけで六万円くらい。確かに微々たる、大きな額ではないけれども、しかし国の専売品を扱っているんだという誇り、あの「塩」という青い看板ですね、あれに象徴される、その看板誇りにして一生懸命にこの制度を支えてこられた、これが私は小売人たちの本当に大変な貢献だったと思うのですけれども、今度の制度改変によって小売人たちが悪影響を受けないようにする必要がどうしてもあるのではないかと私は思うのです。  それから、今までは、これはやはり国の専売制度を支えるからということだったろうと思うのですけれども、いろいろな意味での社会的な顕彰の道、例えば褒章ですとか勲章ですとか、業務量励による褒章ですとか、そんなようなことでもいろいろな配慮がされてきた。これは一つの事実でございますね。しかし、今度は、全く普通の商売ということになってしまいますと、そのような道がなくなるのではないか、そのような配慮がされなくなるのではないかというような問題もある。この辺どんなふうに考えておられるか、御方針をお聞かせいただけませんか。
  17. 宝賀寿男

    宝賀政府委員 塩の小売業者につきましては、これまで九十年にわたる専売制度のもとで大変な貢献をしていただいているというふうに承知しております。  個々的に見ると確かに売り上げ等は小さいという形になりますが、全国にくまなく良質で低廉な塩を供給してきたという役割は私ども十分評価しているところであり、今後の生活用塩供給におきましても、そうした役割をきっちり担うことによって国民の皆様に良質で低廉な塩を供給していけるのではないかというふうに承知しているところでございます。さらに今後とも生活用塩供給のために適切な協力をしていただくために、塩小売人の地位に配慮した措置を講ずるということを考えております。  具体的には、塩事業センターにおきまして、今後とも契約を希望する小売人の方につきましては、塩事業センターの方の契約締結義務、あるいは販売店契約者であることの、先ほど先生おっしゃいました店の表示というものを、ちょっと形は変わりますが、やはり同様な形で、生活用塩供給いたしますという標識の掲示というものをやっていただきまして^適切に、小売人の方が今後ともプライドを持って塩の供給をしていただけるように、また消費者の方々については、今後とも塩はあの店へ行ったらきっちり買えるんだというような形の表示というものをすることによりまして塩の安定供給に努めてまいりたいというふうに考えております。  小売業者の方々には、先生指摘のように、褒章という形の対応もあったわけですが、私どもといたしましては、まずこれまでの功績に対しまして感謝状を出すことを考えておりますし、褒章等の関係につきましては、その関係のしかるべき方面に対応をお願いしたいというふうに考えているところでございますので、よろしくお願いいたしたいと存じます。
  18. 村井仁

    村井委員 ちょっとまた角度が変わりますけれども、今度このようにいわゆる専売制をやめるということになりますと、ある意味では、消費者ニーズに対応して多様な塩の供給が可能になる。  少し具体的に申しますと、例えば、これは好みの問題ですけれども、現在日本供給されている塩は非常に純度の高い塩であるということですね。そうしますと、一方で、完全な天日製塩をした塩というのを自然食愛好家が好むというような現実がありますね。たしか私の記憶では、これを何か専売の外でということで、販売ではないんだ、同好会で同好者がつくったものを分けるんだとかなんとかいうような仕組みでやっているような事実もありますね。  それから、これは全く私もどのくらい正確な話か知りませんけれども、フランス料理の本当の味というのは、あれは岩塩を生で使わないと本当の味は出ないのだとかとポール・ボキューズかだれかが言ったという話を聞いたことがありますけれども、そういうことにこだわる人もいる。  そういうような意味で、今まで供給の弾力性がいささか欠けるという側面もなきにしもあらずだったと思うんですが、このあたりは、今度の専売制の廃止ということによりましてどういうことになりますか。
  19. 宝賀寿男

    宝賀政府委員 現在、塩の専売制度のもとで供給しております塩は、先生指摘のように大変純度の高い、しかも良質で清潔な塩ということが主でございますが、一部グルタミン酸ソーダといったようなものをまぜたような塩も、別途、別のルートでありますが供給されているところでもございます。  ただ、実際上、いろいろ経費等の観点から、イオン交換膜法でつくられた塩が大半であるということでございますが、今度の制度改正によりまして、特殊製法塩という形で届け出のみで、塩田によってつくられたいわゆる自然塩的なものを売り出すことも可能になるわけでございます。制度改定の大きなメリットの一つとしまして、消費者ニーズにこたえた形でさまざまな形の塩が供給さ れるということになるんではないかというふうに私どもも期待しているところでございますので、その辺は制度の改定に応じた推移を見てまいりたいと思っております。
  20. 村井仁

    村井委員 以上、大まかなポイントをちょっと確認的にお伺いさせていただきましたが、きょう、日本たばこ産業の田村社長においでいただいております。  この提案されています法律案の附則第二条によりまして追加される塩専売法第三十五条というのが、特定法人の設立に際して財産の拠出というのを決めておりまして、いわゆる現在のJTの海水総合研究所でございますか、これが今度の新法で非常に重要な役割を果たすことになる塩事業センターのいわば母体になるような印象を受けるわけでございますが、このあたり、具体的にどんなふうにお進めになるおつもりか、ちょっと御説明を伺わせていただけますか。
  21. 田村哲朗

    田村参考人 ただいま御質問の件でございますが、御存じのように、私ども日本たばこでございますが、日本たばこ産業株式会社法によりましてたばこ事業を行う会社として設立をされておりますが、塩専売法によりまして塩専売事業も当分の間行うようにというふうになってございます。  今般、塩専売法廃止ということになりますと、私どもの会社から塩専売事業が離れるということになってまいりまして、ただいま先生指摘のように、私どもで持っております海水総合研究所、これは、塩に関します、特に製塩技術の開発研究等々塩に関する研究をやっておりますが、この研究所が我が社としては不要になるということになってまいるわけでございます。  しかしながら、当研究所でやっておりました今までの研究成果、それから、それに伴います資産あるいはノウハウ等々でございますが、これは今後の塩産業の健全な発展という観点から考えますと大変必要なものではなかろうかというふうに考えておりますし、また、関係する業界からも、何とか研究開発というものを存続さしてほしいという強い要望もございます。  したがいまして、私どもの当社といたしましては、平成八年度に財団を設立いたしまして、これはいわゆる先生指摘の研究所を母体とした財団の設立てございまして、その中で研究開発というものを継続してやっていくということを検討しているところでございます。  また、この財団は、いわゆる塩事業センターとしての指定を受け得るような要件を私どもの方は備えているんではないかというふうに考えておりまして、政府からいずれかの時点で指定されるということを期待もいたしております。  以上でございます。
  22. 村井仁

    村井委員 新しいシステムの中核的な組織になることでもございますので、ひとつ特段の御配慮をお願いをしたいと思います。  一点だけ、今度はまた審議官にお伺いしたいんですが、政府塩事業センターを民法法人にしていまして特殊法人にしてないですよね。特殊法人にしなかった理由、あるいは民法法人で十分やれるという理由といいますか説明、その辺はどんなふうにお考えになっているんですか。
  23. 宝賀寿男

    宝賀政府委員 現在、塩の専売事業は、特殊法人でございます日本たばこ産業株式会社の中の塩専売事業本部が行っているところでございますが、これは、専売制度のもとにおきましては、塩の製造、輸入、流通のすべてにわたって管理していることに加えまして、塩の製造者あるいは元売業者といったものの指定という形で行政処分も行っているということで特殊法人に委託しているものでございます。  一方、提案を申し上げています法案におきましては、塩専売制度廃止しまして原則自由の市場構造に転換するということで、一方で、国民生活に使用される良質な塩の安定的な供給の確保を図っていくということで、塩事業センターを指定しまして、生活用塩供給、塩の備蓄、あるいは緊急時の供給等業務を行わせることとしております。  塩事業センターは行政処分等を行わないという形で違いがございますし、シビルミニマム確保のために塩の供給の一部を担うということにすぎないということで、全面的に管理している専売制度とは異なるということでございますので、そういう意味で特殊法人という形にしなくて、塩の需給及び価格の安定、あるいは全国各地への安定供給といった点で設立目的を果たすことができるというふうに考えております。  ただ、専売制度廃止したからといって完全に自由になるというよりは、大蔵省としても責任を持って良質な塩の安定供給というものを常に見てまいるということでございますので、その辺、御理解をお願いいたしたいと存じます。
  24. 村井仁

    村井委員 細かいことになりますけれども法律の附則の三十九条で、「外国為替相場の変動その他の塩製造業者の努力の限界を超えると認められる経済情勢の変化があった場合には、五年間の経過措置ということになっていますけれどもこれも含めて検討する、こういう経過措置検討条項が入っていまして、その検討を加えて、必要があれば所要措置をとるということになっておりますね。  それで、為替変動以外の、為替変動によりまして確かに過去外国塩との価格差が非常に広がったり、今まで苦労してきた国内塩が一層合理化を迫られたりした事実がありますから、為替変動というのは確かに大きな要素だと思いますけれども、そのほかにどんな要因を考えておられるかということが一つ。それから、期間を再検討するという以外にほかに何か方法があるのか。この二点、ちょっと聞かせてください。
  25. 宝賀寿男

    宝賀政府委員 国内の塩生産業者におきましては、これまでにさまざまなコスト低減を進めてまいりましたが、その中でやはり為替変動の要因というのが大変大きなことでございまして、そのために代表的な例として為替変動というのを取り上げているわけでございますが、そのほかの事情として、例えばエネルギー価格が大幅に急騰するとかそういったようなものも含めて、今後の経済情勢の中で事業者の自助努力の及ばぬ経済情勢というのがあり得るのではないかということで、今後とも安定的に国内製塩した塩を供給していくという中にありまして、そういった情勢の急変というものに対応したことを考えていく必要があるということでこの条文ができているわけでございます。  なお、そのときの措置としてどういう形の措置があり得るかというのはなかなか現状では申し上げにくい部分もございますが、期間延長というのは一つの例としてあり得るということでございますが、経過措置期間におきましては一元輸入という措置がございますし、その後も関税割り当て制度等適切な関税制度等の利用によりまして、国内の適切な塩の供給というのを考えてまいりたいと思いますので、状況に応じて適宜適切な措置がとれるように考えてまいりたいと存じます。
  26. 村井仁

    村井委員 もう一点、三十一条の緊急時対策、これはどんな状況を想定しているのか、それから政令の内容をごくかいつまんで御説明いただけますか。
  27. 宝賀寿男

    宝賀政府委員 国内でいろいろ製塩をやっている過程で塩が安定的に供給できなくならないように、私ども、備蓄という制度を通じまして安定的に供給ができるように対応はしておりますが、それでもなおかついろいろな形で安定的な供給を妨げる要因として考えられるものがございます。  一つは、製塩過程におきまして、赤潮の発生とかそういった形で、海の事情とか、あるいは工場自体の予期せぬ支障があって、それによって供給がうまくいかないということもあろうかと思いますし、あるいは、海外から工業用塩を主として輸入しておりますが、その過程において適切な輸送体制がとれないで日本に到着がおくれるというようなことも一つの例として考えられるのではないかということで、そういった安定供給を妨げる要因について、適切な措置として今申し上げましたように備蓄というのを考えておりますが、それも 含めて、全体におきます塩の状況、流通状況を把握いたしまして、適切な措置をとれるように考えてまいりたいと存じます。
  28. 村井仁

    村井委員 申しわけございませんが、最後になりましたが、大臣に一つだけ。  塩の専売制度、九十一年でございますか続いたわけでございますが、これを振り返って、総括してどんなふうに御認識になっておられるか。また、御提案になりましたこの法律案を通じて、今後、将来の日本塩産業、塩流通、これをどのように進めておいでになるお考えか、お考えを端的にお伺いさせていただきたいと存じます。
  29. 久保亘

    久保国務大臣 私は、村井さんとは逆に、塩田のありました町に生まれまして、今、塩の専売制度廃止提案をいたしますことに私なりに一つの感慨がございます。塩は国民生活にとって不可欠なものでございますけれども、一方また、塩という物質の特性から言いまして、その消費にもいろいろ限界のあるものでもございます。  振り返ってみますと、明治三十八年に財政専売として発足をいたしましてから、大正八年に公益専売に目的を転じ、今日まで約九十年の専売制度が続いてまいったわけでありますが、先ほど審議官が御説明申し上げましたように、専売制度が製造、輸入、流通各面にわたって包括的に管理するシステムでありますことから、これは非常に塩産業の構造改善に市場原理を働かせないという意味では制約をしてくるに至りました。  そういう中で、この塩産業の構造改善を進めることによって、より良質な塩を安定的に供給をすることが必要な時代になったのではないかと思っておりますが、最初に申し上げましたように、国民生活に不可欠な塩でありますだけに、今後も、事業センター等を通じ、また大蔵大臣のいろいろな新しい法人とのかかわりなども念頭にしっかり置きながら、国民生活に高い寄与のできる新しい制度を進めていかなければならないと考えております。
  30. 村井仁

    村井委員 どうぞよろしくお願いを申し上げます。  終わります。ありがとうございました。
  31. 久間章生

    久間委員長 次に、中田宏君。
  32. 中田宏

    ○中田委員 新進党の中田宏でございます。  村井先生の後に引き続きまして質問をさせていただきたいと思います。  私がいただいている時間が三十分でありまして、この塩の事業法案についても多々お聞きをしたいのですが、ちょっと別のこともお聞きをしたいもので、この件に関しては一つだけ注文をつけておきたいというふうに思います。  それは、JTが発足した昭和六十年にこの塩の事業を開始したときに、この専売事業の事業運営の基本金と塩専売価格安定準備金という形で専売公社から三百七十億円を引き継いだわけですね。これにその後塩の事業の収益とその積立金の運用利益が加わって、現在の資産は約九百七十億円、約一千億円になっているということであります。  日本たばこ産業株式会社の塩に関する研究所を母体とする財団法人の設立費用としてこのうち三百二十億、それから二つ目に、塩事業の自立化のための合理化推進、転廃業に助成するために塩事業センターに助成業務特別勘定を設け、これに三百億、それから、生活用塩の安定供給事業のために、倉庫や在庫を含め、三百七十億を使う。  この一千億近い金額、これはいわば専売公社時代から引き継いだ国民の税金に等しいわけでありまして、この支出、三点が大まかにあったわけでありますけれども、財団法人のあり方なども、今やはり国に問われているのは行政改革という大きなテーマがあるわけでありまして、非効率になったり、あるいは結果として税金が流れ流れておかしな形になるということにならないように、これはひとつますますの皆さんの適正なる運用をお願いをしたいというふうに一つだけ注文をつけまして、答弁は特段結構でございます。  私は、きょう、塩のこれと身近な意味において非常に関係深いテーマのことをちょっとお聞きをしたいと思うのです。  塩も家庭の台所にあるわけでありますけれども、もう一つ、家庭の冷蔵庫、身近なところにあるものにビールとかお酒類があります。住専問題、ずっとこの大蔵委員の我々も非常に関心を深くこれまで携わってきたわけでありますし、予算委員会等で今まで衆議院の中でも意見が分かれて時間を経過をしてしまいました。そんな中にあって、先般、衆議院の本会議では三月二十六日、参議院の本会議では三月二十九日に租税特別措置法の一部を改正する法律案が成立をして、この大蔵委員会の中でももちろんその前に採決を経て租特が上がったわけであります。  その中の一つに、発泡酒の税率が上がるという件がございました。当時、今申し上げましたように住専の問題等がやはりメーンの問題でありまして、なかなかその質疑等が十分にできなかったわけでありますけれども、私、この件についてちょっと、大蔵省の大臣を初めとした皆さんの御見解をぜひお伺いをしたいというふうに思うのです。  今、日本において、ビールは麦芽の使用率が六七%以上。六七%未満で二五%以上というのは発泡酒のまず第一番目の分類といいますか、発泡酒のカテゴリーワンになるわけですね。それから二五%未満、これが同じく発泡酒だけれども二つ目のカテゴリーになる。  これは税金が三つに区分をされているわけであります。ビールはリッター当たり二百二十二円、それから六七%未満の発泡酒は百五十二円、そして二五%未満の発泡酒は八十三円だというふうになっている。私たちが通常飲む三百五十ミリリットル缶、缶ビールですね。あの缶でいきますと、この税率もそれぞれ今申し上げたように、大まかに言うと、ビールが一〇〇だとすると、発泡酒の一番目が三分の二、それから発泡酒のさらにその下が三分の一という分け方になって、小売価格でもかなり差が出てくるわけであります。  今、具体的な銘柄を申し上げると、サントリーのホップス、それからサッポロのドラフティー、この二つが非常にポピュラーな発泡酒として世に出ているわけであります。これは消費者の嗜好に合った発泡酒であります。言葉の悪い人は、節税ビール、こういう言い方をする人もいますけれども、広告を見ても、缶に書いてある表示自体も、発泡酒ときちっとはっきりと明示をされてあるわけで、ある意味においては、これは発泡酒というハンディを乗り越えて開発をした製品であります。発泡酒、そう書いてあるだけで、何かビールと違うのかな、まずいのかな、そういう印象がないと言ったらうそになる人が多いと思います。そういう中にあって、消費者の嗜好に合わせて技術開発をして発泡酒というものを分野として成り立たせた。  実は、一九八〇年代にも発泡酒というのは出ているけれども、消費者のニーズに合わないで、その後製造中止に追い込まれている経緯もあります。その中にあって、今こういう経済の低迷の状態の中において、消費者のニーズに合わせる、なるべく低価格でいいものを飲んでもらいたい、今度はそういうメーカーの側の、供給側の研究がある。一方で、消費者のニーズはそこにまさにマッチをしたわけでありまして、その発泡酒に関して、今回、簡単に言うならばビール並みの税率になったということであります。  私はこれについて十分な質疑をする時間がなかった。大変残念で、今税率が既に事実としては上がってしまったことによって、国民の多くの皆さんに非常に失望を与えてしまっているというふうに思うわけでありますけれども、税率がなぜ上がることになったのか、その理由をお聞きをしたいと思うのです。
  33. 薄井信明

    ○薄井政府委員 御指摘のように、麦芽を原料の一部といたしました発泡酒というものがかつてもございました。ただし、最初のころは、ビールに果汁を加えまして香りだとか味をつけた、香味をつけました商品、フルーツビールといったようなものが中心でございまして、質的には違うものでしたけれども、余り大きく発展したとは言えない状況でございました。  ところが一昨年以降、品質的にはビールに近く、またビールと同様にあるいはその代替品として飲まれている商品、テレビの広告等の表現の仕方も含めまして急激に増大してまいったわけでございます。その結果、ビールとの税負担の不公平が顕在化してきたと私ども認めたわけでございます。  今回改正させていただきましたが、このような最近における発泡酒の生産あるいは消費の状況に顧みまして、ビールと同じあるいはビールと同様に消費されているということであるならば、公平確保の観点から、発泡酒全体の課税制度についても見直しを行うべきだと考えたわけでございます。先生指摘のように三段階ありました。これを今回体系的に見直させていただいたということでございます。  ビールと同じ税率にしたという御指摘でございますが、二五%未満の麦芽比率のものにつきましては一リットル当たり百五円ということですので、ビールの半分以下の税負担になっているということでございます。
  34. 中田宏

    ○中田委員 今、体系的に見直しをさせていただいたという表現がありました。この点については後ほど最後の方でお聞きをしたいと思います。  そうすると、ビール的な発泡酒が出るということは大蔵省は想定されていなかった、そしてビールと同じようなものが出たから課税をする、こういうことでありますか。
  35. 薄井信明

    ○薄井政府委員 少なくとも、発泡酒の税負担をかって決めた際には、ビールとの対比で、ビールと同じように六七%以上のものにつきましてはビールと同じ税負担を求めたわけでございます。それから、六七から二五の間に関しましては、さっき御指摘のように一リットル当たり百五十二円という税率を付したわけでございますが、生産の実態あるいは商品の実態あるいは消費の実態、こういったものから考えて、ビールとまがうようなものが当時なかったという実態の中で、ビールの税率、それから発泡酒の税率が存在し得たと考えております。  ところが近年、ビールにまがうものが出てきた。そういった中で、税負担の公平ということを考えた場合に問題が多いということで発泡酒の税の構造について見直しをさせていただいたということでございます。
  36. 中田宏

    ○中田委員 そうしますと、今おっしゃっていただいたのは、生産の実態であったり、流通、味の実態であったりがビールに近い、だからそれに合わせたんだということになりますと、お聞きをしたいのは、じゃ、この国のビールの税率の根拠は一体何なんだということなんですね。  私が見るところ、これはもう、ビールに似たものができて、そして技術開発がどうのこうのなんというのは一切抜きにして、逆に言ったら、ビールというものが、これまでも取りやすいところから税金を取っているというふうに批判をされているケースは多々あったわけでありますが、これもそれと同様に、売れる、取れる、だから税金を取るというふうにしか見えないわけであります。  ビールの税率、これについてはどういう根拠でなっているのか、ちょっとお聞きをしたいと思うのです。
  37. 薄井信明

    ○薄井政府委員 お酒につきましては、たばこと同じように、嗜好品といいますか、そういうことで特別に税負担を求めているのがどこの国の例にも見られるわけでございまして、その際にどの種類のお酒にどれだけの税負担を求めたらいいかということが今の御指摘だと思います。その中で、日本におけるお酒の税金、その中でのビールの税負担ということが適切かどうかという御指摘かと思います。  致酔性を有する特殊な嗜好品でありますから、これに特別の財政物資としての負担を求めていくことについては国民の皆様の御了解を得ているかと思いますが、その中の、酒の種類の中で何にどれだけ負担を求めるかということは、やはりその国のお酒の実情、これも先ほど申し上げましたような歴史的なものもあろうかと思いますし、それから日本の国民の特殊性みたいなものもあろうかと思いますが、どのようなお酒をどのようなときにどうやって飲んでいるか、かつそういったものがどういう生産態様で行われているかといったことを総合的に反映したものが現在の税体系になっているかと思います。  一つ一つの税金について、それでなければいけないという説明は確かにできないかと思いますが、長いお酒の税金の制度の中で、消費態様なり生産態様が変わっていくにつれて、相互のバランス感覚を反映して現在の税負担水準ができているということでございます。ビールの税負担もその中の一つであるということかと思います。
  38. 中田宏

    ○中田委員 まず、国民の了解を得ているということに関しては、これはだれでも比喩として聞いたことがある話だと思いますが、ビールを飲んでいる最中に、ビールというのは税金を飲んでいるようなものだ、そういう言い方をして、恐らく多くの国民の皆さんも、また大蔵省の方々だって飲んでいるんじゃないのかなと私は思いますね。  そういう中にあって、歴史的な流れとおっしゃいましたけれども、これは調べてみましたら、日露戦争のときの戦費調達、こういうところから酒税の今の体系ができてきて、それをそのまま引きずってしまっているのですね。国民の合意だ、それが歴史的流れだ、本当にそうなのか。  諸外国でビールの税金、税率というのはどうなっているのか。日本は今、一般に流通されている大瓶、六百三十三ミリリットル、これだったら税額は百五十円、税負担率は四五・五%になっているのですが、アメリカで二十八円、イギリスで五十八円、ドイツで十九円、フランスで三十七円、一番税負担率が日本に近いイギリスでも三九・七。それで、やはり諸外国のこういう税金のかけ方とはかなりかけ離れてきているな。  それは大蔵省も含めて、よく間接税の問題なり、あるいは住専に対する支出の金額なり、こういうときには諸外国の例を引っ張ってきてほかの外国ではと言うのですが、ビールの税率なんというのは全然外国と違うわけですよ。今おっしゃられたような、国民の了解なり歴史的流れというものを単に引きずっているようにしか思えないというふうに私は思うわけであります。  先ほどの発泡酒の話にちょっと話を戻しますけれども、発泡酒というのは、私も実はこの件に関して、自分自身も一消費者としてこの発泡酒というものを飲んできました。それは、なるほどこれならば私たち飲めるな、十分に味としても、発泡酒と思って最初はちょっと違うのかなと思って飲んだところが、飲めるなと思って愛飲をしてきたわけです。  それで、これは先ほどの二つの大手会社の双方にちょっと問い合わせをしてみたら、研究開発にかかっている、広告費にかかっているお金というのは約十億なんですよ。十億円かけて企業が今のニーズに合うものをつくって、大蔵省の皆さんはそんなにこれは大それた問題だとは思っていないのかもしれない、簡単に税率というものを上げているのかもしれないけれども、十億円かけてつくって、それで簡単に税率が上がってしまって商品価値がすとんとなくなっちゃうわけです。  企業の技術開発なり、これから先この国においてどんどんと新しい分野、これは地場産業、地場ビールともかなり深い関係があります。そういうマインドに水を差す、こういった今後の企業のマインドに私は水を差すと思いますが、この点についての御見解、水を差さないと思いますか、どうですか。
  39. 薄井信明

    ○薄井政府委員 企業の技術開発あるいは市場開拓等の企業努力というものにつきまして私どもは敬意を表さなければならないということは先生と同じ考え方でございます。  ただ、一方におきまして、税制、特に個別の物品に対します消費課税につきましては、消費者に負担を求めるわけでございますので、同種同様の品質のものには同じ負担を求めていくということが、税制の基本から見ますと大切なことかと思っております。そのため、これまでも、発泡酒の話とはちょっと飛びますけれども、新商品とか代替品などが出てまいりましたときには税負担の公平ということから調整をしてきた歴史があります。税制として、国民全体の理解を得るためにそういう ことが必要かと思っております。  ところで、今回の改正といいますのは、こういった税負担の公平確保の観点からビールとの格差を縮小するものでございますが、さっき申し上げましたように、全体としての現行の発泡酒の税体系を維持しつつその範囲内で最小限の負担調整をさせていただいたということと、それから実施時期につきましても、この夏にはまたビールなり発泡酒が売れる時期だと思いますので、そのことに配慮をいたしまして、本年十月一日から実施するというような対応をいたし、商品の開発努力に配慮しているわけでございます。  あわせて、他国のビールの定義、いろいろありますけれども、例えば六〇%台の麦芽使用率であればそれ自体ビールという定義をしている国もあります。日本の場合は先ほど御指摘のように六七%にしておりますが、そういう意味では、御指摘の技術開発という点からいうと、六七に近いところにつきましてそう大きな技術開発があったと言えるのかどうか、広告費の話はちょっと別かと思いますけれども、そのような感じを持っておる次第でございます。
  40. 中田宏

    ○中田委員 恐らくメーカーの人が聞いたらこれは怒りますよ。二五%のサッポロ・ドラフティーというのは、正確には二四%ですね、それでやはり同じような品質を出そうと思って努力をしたのですからね。それは私は怒ると思いますね。  そういう努力というものを、私も言うつもりはなかったけれども、きのうも別の企業の人と話をしていて、それは自動車工場の人だったけれども、こんなことを言っていると時間がなくなっちゃうのだけれども、部品をとる、その間を何センチ埋めるかによって日に車一台が何台できるか変わってくる、工場の。そのぐらいの努力を企業側はやっているんだ、そこら辺のところを役人はわかってないのじゃないかと、きのう私は言われた。そういう部分に対する、私は今非常にやはり企業の努力に対して軽率な発言だなと思います。  話をもとに戻しますけれども、同種のものには同じ税率とおっしゃいましたね。ビールの税率というのは、これは委員先生方も恐らく皆さん余り御承知ないかもしれませんけれども、六七%以上はビールと決まっているのは日本だけなんですよ。ほかの国は全然そんなの決まっていないわけです。別に三〇%の麦芽でつくろうが二〇%でつくろうが、それはビールとして飲まれている。だから、はっきり言って、アメリカから、あるいはヨ一ロッパからどんどんビールが入ってきても、それは日本ではビールと言われて、じゃ発泡酒とどうやって区別しているのですか、大蔵省は。
  41. 薄井信明

    ○薄井政府委員 ビールの定義につきましては、私の知識であるいは誤っているかもしれませんが、例えばドイツですと、国産のビールに関しましては麦芽を一〇〇%使っていないとビールではないと決まっているわけでございます。ですから、どこの国でも何もないということではなくて、アメリカにおいて御指摘のような面があるりかと思います。輸入に際しては申告していただいておりますし、実情に合わなければそれは対応していることと思います。
  42. 中田宏

    ○中田委員 それはドイツに関してだけが特例でありまして、ドイツというのはビールに対して物すごく誇りを持っているわけですよ。いわば日本人が日本酒は米で一〇〇%つくれというのと同じなんです、ドイツは。ですから、今のは、もちろん日本以外の国は全く定めていないという言い方はおかしいかもしれないけれども、ドイツはそういう意味において特例だということはもちろん御承知だと思います。  それで、私がお聞きをしたいのは、これから先、本当にもう一回経済を活力を持ってこの国が営んでいくためには、企業がどんどん技術開発をして新分野をどんどん育成をしていくということは我々に欠かせない視点なわけですね。そのときに、今回残念ながら税率が変わってしまったんだけれども、しかしこれを戻したいぐらいの気持ちなんですが、三分類は今でも続いています。そして、その三分類が続いて、今は、局長おっしゃられたように麦芽に関して五〇%以下の分と二五%以下の分で税率がそれぞれ変わっているわけですが、企業のマインドとしたら、もうこれは信用できないという話になってしまうわけですね。  節税ビールじゃないのですよ。法律を守ってつくったのですよ。法律を守ってつくったものが、変わってしまって、後から売れてまた税金がかかった。じゃ今度は、五〇%だろうが一〇%だろうが、そういうものをつくって、同じ味だったらまた変更するのですか。企業は何を信じればいいのですか。法治国家ですか、この国はという話になっちゃうのです。
  43. 薄井信明

    ○薄井政府委員 先ほど企業努力を全く評価していないというおしかりをいただきましたが、二五%未満につきましては、先ほど来申し上げておりますように、一リットル当たり百五円ということにとどめているわけでございまして、対応をさせていただいていると考えております。  それから、今の御指摘は、今度五〇と二五ができた、じゃ四八でつくったらまた追っかけるのかという御指摘なのかと思います。この点につきましては、私ども、六七と六五の関係とは大分事情が違ってくると思っております。世界各国見た場合のビールの生産に用いている麦芽の比率等々から考えても、五〇%がいい線だと思っておりますので、今後この線を変えていくということを今考えているわけではございません。
  44. 中田宏

    ○中田委員 与党の皆様にも応援をしていただいていますので、私はきょう三十分しかありませんので、またこれはぜひ皆さんのお知恵もおかりしてやらないと、こういうことが日本企業をだめにする、日本の活力を失わせているのだということをよくよく私たちは考えなければいけないと私は思うのです。  もう一つだけ申し上げておきます、もう時間もあれですから。  今回の税率改正というのは租特でやっているわけです。租税特別措置法の中でやっていて、先ほど局長がおっしゃられた、全体の発泡酒としての体系を維持しつつ見直しを行ったとおっしゃっていますが、それは逆に言うと、複雑でわかりにくいものをまたつくってしまったということなんですよ。発泡酒というのは、今まで六七%未満が発泡酒であり、それは税率とともに分類されていたのです。ところが、ここから先は、改正された租特によって税率だけが改正されたことによって、六七%未満から五〇%以上のものに関しては発泡酒だけれども税率はビールと同じ、こういうどんどん複雑でわかりにくい税体系をつくりてしまっているのは絶対に事実なわけであります。  これをやるのなら、租特じゃない、酒税法でやるべきですよ。そして、ビールの税率がなぜこう決まっているのか、あるいはWTOに今日本が問題提起をされかかっているように、全体の酒税の見直しの中でやらなければいけない話です。世界から、日本の酒税に対してもう既にクレームがついている。そして、さらに日本国内においても、こういった企業の努力を無にしてしまう。またこれは、企業努力を無にする、その技術開発費云々だけじゃなくて、輸入ビールがどんどんと入ってきて、しかもその麦芽使用率なんというのは調べようがないわけですよ。それがどんどん日本に入ってくることに対して今まである意味ではストップもかけられていたのです、この発泡酒は。その我々消費者のマインドというものも無にしてしまう。  今度これは酒税法の中で、ぜひ与党の先生方にも大いに見識を持った議論をまたお願いしたいと私は思うのでありますけれども、こういうことをやっていたらこの国は活力がなくなる、だめになる。身近だけれども大変に大きな例であるというふうに私は思って、強く今後の議論というものを喚起してまいりたいと思いますので、与党の先生方皆さんの御支援もお願いしたいと思います。  私の質問を終わります。
  45. 久間章生

    久間委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前九時五十二分休憩      ————◇—————     午後一時十三分開議
  46. 久間章生

    久間委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。谷口隆義君。
  47. 谷口隆義

    谷口委員 新進党の谷口でございます。  本日、初めは、我が国の財政の危機と申しますか、財政問題についてお話をお聞きいたしたいというように思っております。  御存じのとおり、昨年の十一月の十四日に財政危機宣言が当時の武村大蔵大臣のときに発せられたわけでございまして、そういう意味で極めて緊迫した厳しい状況であるというように大蔵省当局も認識されておられますし、私もそのように考えておるところでございます。  平成八年度予算におきましては、歳入不足ということで、十二兆円余りの赤字国債の発行ということに追い込まれたわけでございます。建設国債を含めまして、過去最高の二十一兆円の国債の発行、こういうようになっておるわけでございまして、八年度末には国債発行残高が二百四十一兆円、このような状況になると予想されております。このままいきますと二十一世紀初頭には四百兆円を超えるのではないか、このような見方をするところもあるわけでございます。  社会保障関係費、国鉄清算事業団の巨額債務の返済の問題であるとか、また今審議をやっております住専の問題にかかわる金融機関救済に伴う財政資金の支出の問題であるとか、このような大きく財政支出を伴うようなことが軒並み現在待っておるといいますか、あるわけでございます。  八〇年度以降に国債の大量発行が行われて、一般会計がかなり厳しくなりました。これを取り繕うために、財政、また特別会計、また地方財政、また財投ですね、財政投融資との一体運営の傾向が強められておるわけでございまして、とりわけ財投につきましては、打ち出の小づちと申しますか、そのようなことで今まで行ってこられたわけでありますが、財投が一般会計を支えるのは今後難しいであろう、このように言われておるわけでございます。  これは、一つは、新規資金の流入が鈍化するような傾向にある。郵貯におきましても、金利の自由化等で従来のように資金が集まらないのではないか、こういうようなこと。また、年金資金の問題も、従来のように集まらないのじゃないか、このようなことが言われておるわけであります。また、運用面におきましても、資金の固定化が進んでおる、このように言われております。  先ほど私が申し上げました、これまた後で聞く予定にしておりますが、国鉄清算事業団の問題、また国有林野事業の特別会計でございますね、このようなところで赤字体質のために財政機関の資金運用がふえておって、回収が進んでおらないというような状況にもあるわけでございます。財投の新規資金の流入がどんどん細ってくるということになってきますと、追加融資ができなくなって、最終的には税金で穴埋めをしなければいけないというような事態も考えられるわけでございます。  そこで、大蔵大臣にお聞きいたしたいわけでございますが、まずは、この大きな問題でございますが、このような財政再建につきまして大蔵当局としてどのようにお考えなのか、また、先ほども申し上げましたこの財投の見直しという論議が今よく言われておるわけでございますが、このような財投の見直し論議につきまして、御見解、御所見をお聞きいたしたいと思います。
  48. 久保亘

    久保国務大臣 今谷口さんがお話しになりましたように、財政は非常に危機的な状況にございます。  昨年十一月十四日に前大蔵大臣が、容易ならざる事態ということで我が国の財政事情について発表をされておるのでありますが、その容易ならざる事態を受ける中で、平成八年度の予算は今御指摘のような一層財政危機を強める方向で組まざるを得ない状況がございました。  精いっぱいの財政支出の削減等の努力を行った結果でもそうなのでありまして、今再建に取り組む決意やその方針を示すようにということでございましたが、そういう状況を受けて、国会に中期的に計数上の状況はどうなるかということについてお示しをいたしておりますが、これから財政審の審議の模様も、また国会での御審議の模様も受けまして、私どもといたしましては、目標を定めるとともに、そこへ向けて財政の果たす役割や守備範囲についても大胆な見直しを図りながら財政再建の方途を講じなければならないと思っております。  ただ、今は財政が景気回復の下支えをやってきたということがございまして、景気回復と財政再建の問題とは、目標は日本経済を支えるという点で同じでありましても、この財政再建と景気回復の問題が相互に矛盾するという面もございまして、大変厳しい状況の中での対応でございますが、今大蔵省内部におきましても、財政再建のために講ずべき目標と方策について大胆な検討を行うよう私の方からもお願いをいたしまして、作業を進めてもらっているところでございます。  財投の問題につきましては、理財局長からお答えいたします。
  49. 田波耕治

    ○田波政府委員 財政投融資の問題について、補足して御説明を申し上げたいと思います。  財政投融資は、委員御承知のように、国の制度や信用に基づいて集められました郵便貯金だとかあるいは年金等の公的な資金を一元的に管理運用するということでございまして、そういう資金を、国全体の立場に立った政策判断に基づいて効率的、重点的に配分するシステムでございます。  委員おっしゃいますように、近い将来において郵便貯金、年金が急激に落ち込んでいくということはないにしても、将来の高齢化社会というようなことを考えますと、貯蓄率も落ちてくる、あるいは年金の支払いも多くなるということで、原資面についても私どもは重大な関心を持つ必要があるというふうに考えております。  原資面のみならず、一方で、社会経済情勢であるとか、あるいは国民の側から見たニーズの変化ということは時々刻々起きるわけでございますので、私どもといたしましては、対象とする機関であるとか、あるいは分野だとか事業につきまして、極めて慎重に、しかも重点的、効率的な配分に努めていかなければいけないというふうに考えておるところでございます。
  50. 谷口隆義

    谷口委員 先日もある大学の先生とお話をいたしておりまして、今の国家財政、このままいくと早晩破綻が起こるなというように私はお話をさせていただいたのですが、そのときにその先生が、いや、もう今既に国家財政は破綻しておりますよ、このようなお答えが返ってまいりまして、私はある意味でショックを受けたわけでございますが、極めて今の財政状況が悪いということであります。  御存じのとおり、国債への依存度で見ますと、九六年度は我が国は二八%になっておるわけでございまして、五年前の九・五%から見ますとかなりの急カーブを描いて上昇いたしております。欧米の状況を比較してまいりますと、イギリスが一七・九%、フランスが一七・八%、ドイツが一三・三%、アメリカが一〇・三%、このような国債依存度に対しまして、我が国は二八%であります。このような非常に厳しい状況になっております。  また、今欧州におきましてはマーストリヒト条約による通貨統合の参加条件がございまして、これを先日、本で見ておりますと、これは国及び地方のフローの財政赤字の対GDP比率が三%以下、また、ストックにおきます累積債務残高の対GDP比率、これが六〇%以下、このような参加条件のようでございますが、これに対しまして我が国は、財政赤字が三%に対して八・二%、また累積債務残高六〇%以下ということになっておりますが、我が国は九〇・一%であります。このように、主要国の中でも最低と言われるような厳しい財政状況に今あるわけでございます。  このような状況の中で、財政が厳しい、厳しいから今度はそれをどうすればいいか。これは三つの方法しかないのだろうと思うのですね。増税をするのか、歳出を削減するのか、これを両方やるのか、こういうようなことになるのだろうと思い ます。  このような状況の中で、財政構造が極めて悪い、だから増税をするのだというような考え方は、これは極めて短絡的な考え方だろうと思いますね。やはりその前提として、歳出削減を厳しく不断の努力で行っていかなければいけない、このように考えるわけであります。  このような歳出構造をやはり見直していかなければいけないというように思うわけでございますが、これは一つは、現在いわゆる高度成長から低成長時代に入っております。このような低成長時代の高齢社会、こういう現状の中での財政運営のあり方の中での歳出構造の見直し、このようになるのだろうと思います。  この中には、例えば社会保障分野で公的部門がどの程度関与していくのかとか、また、医療、年金制度の財政構造の仕組みをどうしていけばいいのかというような極めて総合的なトータルの考え方が今必要なわけでございます。また、もう一つお聞きしたいのですが、このような、先ほど私が申し上げました財政構造の見直しでございますね、これに対して大蔵大臣の御所見をお聞きいたしたいと思います。
  51. 伏屋和彦

    ○伏屋政府委員 お答え申し上げます。  今委員が御指摘になられましたように、まさに我が国の財政は、諸外国に比べまして最悪と言ってもいいような厳しい水準にあるわけでございます。そういう中にありまして、先般お出しいたしました「財政改革を進めるに当たっての基本的考え方」という中でも述べられておりますが、やはり歳出全般につきまして、今先生が御指摘されましたが、目前に迫りました本格的な高齢化社会への対応とか社会資本の整備とか、財政に期待される役割が一方で増大しているわけでございますが、現在の財政構造のままでは、財政が本来果たすべき機能を発揮することは困難な状況に陥っていくものと思われるわけでございます。  歳出全般につきまして、支出が本当に効率的に行われているのかどうか、真に国民生活の向上に役に立っているかなど見直しを行いまして、その縮減合理化に努めていかなければならないわけでございます。平常であれば優先すべき分野につきましても、その歳出水準を見直さざるを得ない場合もあり得るところでございます。  今までは財政支出が適当であるとされてきた施策につきましても、今日の情勢のもとでなお財政が関与すべき分野か否かという行財政の守備範囲の見直しの観点に立ちまして、聖域を設けることなく、制度の根本にさかのぼって歳出の洗い直しを行っていくことが重要な課題であると認識しております。
  52. 谷口隆義

    谷口委員 先ほど申し上げましたように、極めて深刻な状況になっておるということでございます。  これは大蔵省のデータを見ますと、二〇〇〇年に赤字国債発行をゼロとし、それに向かって赤字国債を毎年均等に減額、その間に建設国債の発行を横ばいとする前提で計算すると、これは名目成長率が三・五%、税収弾性値が一・一と仮定されている場合でございますが、一般歳出を毎年五%ずつ削減する必要がある、このようなデータが出ております。また、「中期的な財政事情に関する仮定計算例」が出ておりまして、これを見ますと、歳入と歳出のギャップを今後すべて国債で賄う、このようにすると国債発行残高は十年後には五百兆円に達する、このようなデータがあるわけでございます。  先ほど冒頭申し上げましたように、今の国債の発行残高が八年度末で二百四十一兆円、地方債の発行残高が百六兆円でございますか、それ以外に、先ほどお話をさせていただきました国鉄清算事業団がございます、その他いわゆる隠れ借金というものがございまして、全体を合計しますと三百八十兆強、四百兆弱、このような状況になっておるわけでございます。  これは、今までの普通のやり方では到底このような財政構造を変えることはできないであろう。先ほどの話に戻りますが、大学の先生とお話をしておりまして、ある意味ではやはり革命的な改革をやるというぐらいでないと我が国の財政構造は改善できないであろうというようなお話を伺ったわけでございます。  そのような状況の中で、先ほども申しましたように、それを短絡的に増税論議に結びつけるのではなくて、やはりきちっと歳出構造の見直しをやらなければいかぬ、その後やはり税制体系全体の見直しもやっていかなければいかぬのだろうと思います。  そういう意味におきまして、ひとつお聞きいたしたいわけでございますが、財政状況が極めて逼迫している状況の中でのあるべき税制体系の姿、これについてごく簡略に教えていただきたいと思います。
  53. 薄井信明

    ○薄井政府委員 御指摘のように、税制は歳出を裏づけるものでございます。その歳出につきまして、先ほど次長が説明しましたようにきちっとした見直しが行われた上で、必要な部分は税で賄わなければならないということになろうと思います。ただし、これは、経済が負担し得る限度といいますか、経済活動に支障があってもいけません。そういう意味で、租税負担率というような面も含めて、量的な上限のことも考えながら、今ある余地をどうやって広げていくかということかと思います。  あわせて、同じ税収をいただくにつきましては、どういう税でいただいたらいいかという税体系論に次はなってくるかと思います。そういう意味では、現状を国際的に見ますとまだ消費課税部分が割に低いという状況にありますので、直接税部分を減らし間接税部分で賄っていくという方向かと承知しております。
  54. 谷口隆義

    谷口委員 今、主税局長がおっしゃいましたように、直接税主体の税構造、税体系を間接税にシフトしていく、こういうようなお話をおっしゃったわけでございますが、今般、政府の方では、来年の四月一日に消費税が五%というようなことで進んでおられるようでございます。現下の財政状況の中で、当然歳出構造の見直し、削減をやっていかなければいけません。一方で、税体系全体の見直しもこれは当然必要なことであります。  今後、今のような財政状況の中で、税制全般、とりわけ消費税ですね、消費税においてどのようなことをお考えになっておられるのか、これは大蔵大臣にお聞きいたしたいと思います。
  55. 久保亘

    久保国務大臣 六年十一月の税制改正におきまして、消費税については、減税を先行させる中で九年四月一日から五%に引き上げることを既に法定してございます。なお、この実施前に検討すべきこととして、法律の中に検討事項を明文化いたしております。  これらの問題の中で、社会保障の問題については今介護問題などを含めてなお検討中でございます。行政改革、財政問題、それから税制そのものに関する問題など検討がなお続けられておりまして、政府税調におきましても、今後この五%の率を来年四月一日の実施に当たって動かすかどうかということについてはさまざまの御議論があるように承知をいたしております。  私どもといたしましては、この法律に定めます検討条項は九月三十日までに法律を変えることを前提にして検討をここへ記述いたしているわけでございまして、この九月三十日までに消費税の税率を変更することについての結論に至るというのは非常に困難な状況になってきていると思っておりますので、来年四月一日は消費税率五%でスタートさせる、改定を行うということになろうかと思っております。  なお、検討条項については、それぞれの分野において検討されていますので、今最終的な結論を申し上げることは困難であると思っております。
  56. 谷口隆義

    谷口委員 いずれにしましても、財政構造というか財政状況が極めて今悪いわけでございまして、これは放置するとどんどん悪化してくるというのが現状だと思います。ぜひ早急にと申しますか一刻も早く、我が国の財政が破綻することのないようにやっていただきたいというように考えて おります。  それに関連しまして、先ほど私申しましたが、財投資金もこちらに行っておるわけでございますが、国鉄清算事業団の長期累積債務についてお聞きいたしたいと思います。  御存じのとおり、本年の四月一日現在の残高が、先日発表ございました二十七兆五千八百億円となっております。これは前年対比で六千六百億円増加しているということであります。今、土地やJR各社の株式の売却を予定されておられて、現状をお聞きしておりますと、そのような土地また株を売却した結果まだ二十兆が残るのではないか、このように言われております。また、この債務、現在の残高も、九年前に清算事業団が引き継いだ債務が二十五兆五千億ございます。この間に返済をずっと続けておったわけでありますが、残高は減るどころか、御存じのとおり二十五兆五千億から二十七兆五千八百億に膨らんでおるわけであります。  今現在、土地、株を売却した残高が二十兆余り残るであろう、このように言われておるわけでありますが、これにつきまして、閣議決定でも既に残った残高につきましては国民負担にするというようなごとになっておるようであります。これは極めて大きな金額でありまして、国民一人当たりにしますと十六万円強というような莫大な金額になっておるわけであります。  まず初めに、きょうは運輸省の方、来ていただいておると思いますので運輸省にお尋ねしますが、国民負担を減らすべく今までどのような努力をされておったのか、お聞きいたしたいと思います。
  57. 金澤悟

    ○金澤説明員 御説明申し上げます。  今委員指摘のとおり、国鉄改革当時、すなわち昭和六十二年四月一日におきます清算事業団の債務は約二十五兆五千億でございました。そして、つい先般、すなわち本年度首におきます債務の状況は、今委員指摘のとおり約二十七兆六千億になっております。  こういう債務の状況につきましては、従来、私どもその債務の増加の理由といたしましては、地価高騰問題に対処するための地価の対策を実施したり、あるいはその後地価が下落傾向にありますときには、土地の需要が低迷したために清算事業団の土地の売却が進んでいないという状況が一つございます。あるいは株の方にいたしましても、私ども、JR各社の民営化後できるだけ速やかにこれらの上場を図って努力してまいりましたが、株式市況が低迷していること、あるいは先般の阪神・淡路大震災の影響等もございまして、株式売却の方も予定どおり進んでいないという状況があるわけでございまして、私ども、こうした状況にはございますが、今委員指摘のとおり、債務が増加しておるという状況がございますので、今後、株、土地の売却に一層力を入れまして国民負担の減少に努めてまいりたい、このように考えております。
  58. 谷口隆義

    谷口委員 もう一つ、運輸省にお聞きいたしたいわけでありますが、九七年度予算の概算要求におきまして、返済期限の来る一般会計からの事業団向け無利子融資が五兆四千億あるわけでありますが、この取り扱いをどうするかということでございます。一つは返済を開始する、一つはまた再び繰り延べをする、もう一つは棚上げする、このような選択肢があるのだろうと思いますが、この無利子融資につきましてはどのようにお考えでございましょうか。
  59. 金澤悟

    ○金澤説明員 御説明申し上げます。  清算事業団が一般会計から無利子で借り入れております先生指摘の特定無利子貸付金でございますが、これは五兆五百九十九億円でございます。これにつきましては、平成二年度の、ちょっと長い法律でございますが、日本国有鉄道清算事業団の債務の負担の軽減を図るために平成二年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律という法律に基づきまして、当時平成四年度とされておりました償還据置期限を五年間延長していただきまして、平成九年度より償還が開始されることになっております。  この借入金の今後の取り扱いでございますが、これにつきましては、先ほど申しました土地あるいは株、こういったものの資産処分の動向を踏まえつつ、財政当局とも御相談しながら検討していきたい、このように考えております。
  60. 谷口隆義

    谷口委員 要するに、どのようにされるかまだ考えておらない、決定しておらないということですか。  清算事業団の方もきょう来ていただいておるのですが、借り入れの金利でございますね、清算事業団が借り入れておる金利の実質金利と申しますか、この無利子融資五兆数千億を除いた有利子負債と申しますか、この金利は今ならしてどのくらいになっておるのでしょうか。
  61. 西村康雄

    西村参考人 清算事業団の債務は、先ほど申し上げましたように二十七兆余ございますが、そのうち将来費用という共済年金等の将来の負担、これが三兆八千億入っております。これを除きますと、実際の長期債務残高二十三兆七千六百億、これが平成八年度の期首の残高でございます。このうち一般会計からの無利子借入金が五兆三千四百億円ございます。そこで、有利子の債務残高は十八兆四千億円ということになります。その平均の利率は四・九五%になっております。
  62. 谷口隆義

    谷口委員 まだかなり高い金利をお支払いになっておる、こういうことでございますね。  今度は大蔵省にお聞きいたしたいわけでございますが、先ほど申し上げました二十兆円、これは国民負担になる、こういうようなことでございますが、この二十兆円を事業団から分離して、前倒しで九七年度中に一般会計に移して何年かかけて処理しようという案もあるというようにお聞きしておるわけでございますが、これにつきましてどのようにお考えでございましょうか。
  63. 伏屋和彦

    ○伏屋政府委員 お答え申し上げます。  先ほど来委員が御指摘になられておりますが、また運輸省の方からも答弁がありますように、近年の土地、株式の状況から平成八年度首には二十七兆六千億、国鉄清算事業団の長期債務等がそういう額になる見込みでございますが、これにつきましては、昭和六十三年の閣議決定におきまして、「土地処分収入等の自主財源を充ててもなお残る事業団の債務等については最終的には国において処理するもの」とされているところでございます。  したがいまして、この国鉄長期債務等のこれからの順調な償還と、これによる最終的な国民負担の軽減が極めて重要な課題であるわけでございます。清算事業団といたしましては、まだ未処分の土地、株式が残っておるところでございますので、今後これらの資産のできる限り早期かつ効果的な処分を進めて長期債務等をできる限り減少させることがまず重要な課題であると考えております。
  64. 谷口隆義

    谷口委員 だから、その後のことを私は申し上げておったのですが、もう具体的な検討をやらないと時間的余裕はないと思うのですね。財政全般に非常に厳しい状況に今なっておるわけでございますので、やはりこのあたりの議論を、私また質問する機会がございましたら継続してやりたいと思います。  あともう一つお聞きしたいのは、これは今ちょうど法案がかかっておる、審議をしている途中だと思いますが、JR共済の厚生年金への統合がございますね。この統合に伴って一兆円を持っていく、八千億を国鉄清算事業団、また二千億をJR七社が負担する、持っていく、こういうようなお話でございます。  それで、お聞きしたいのは、当初から二十兆円はほとんど賄い切れないので国民の負担になる、こういうことはほぼ明らかな状況でございます。にもかかわらず、ここにまた八千億上乗せしてやる。当然これは清算事業団が払い切れない。いずれにしても国民の負担になるということですね。これを清算事業団に負担させるというのは極めておかしなやり方ではないのかというように感じておるわけでございますが、これについて御答弁を お願いいたしたいと思います。
  65. 伏屋和彦

    ○伏屋政府委員 お答え申し上げます。  今委員の御指摘の、鉄道共済の厚生年金への統合に伴いまして、統合前の期間に係る給付費のうちの、いわば制度が独立していた時代の運営していた期間に、その間に給付が既に確定した部分につきまして、所要の積立金を移換することとされているわけでございます。  この現有の積立金からの不足額につきましては、これはあくまで事業主に負担していただくということになっているわけでございまして、そうなりますと、鉄道共済の場合は、事業主が昭和六十二年四月の国鉄民営化の前後で旧国鉄の事業主としての地位を引き継ぎました清算事業団とJR各社に分かれておりまして、その結果、先ほど委員が言われましたような振り分けということになっているわけでございます。  この旧国鉄の分の清算事業団が引き受けた分につきまして、これは年金全体のことでございますが、どの年金制度もこれからの高齢化、成熟化が進展する中で、その財政安定のために自助努力を行っているわけでございます。全国民共通の基礎年金に集中して国庫負担を行っている状況の中で、鉄道共済の受給者だけをダイレクトに国庫というわけには、これは公平性の観点から見て適当ではないわけでございまして、やはりまずはあくまで事業主の負担ということで、国鉄清算事業団にお願いすべきものと考えております。
  66. 谷口隆義

    谷口委員 それでは国鉄清算事業団にお聞きしたいのですが、この八千億の資金はどこから調達をされる予定でございますか。
  67. 西村康雄

    西村参考人 この資金につきましては、従前の資金の調達と同様に、政府の予算において事業団が認可を受けます。これは、資金運用部等いろいろな借入金、債券の発行等で賄っていく予定でございます。
  68. 谷口隆義

    谷口委員 要するに、私申し上げましたように、いずれにしても国民の負担になる、こういうことになるのだろうと思いますね、今のままでいきますと。これは極めて重要な問題でございますので、また質問する機会がございましたら、この質問もまたやってまいりたいと思います。  その次に、やはりこれも同じような財政の問題にかかわるわけでございますが、国有林野特別会計の累積債務についてお聞きいたしたいと思います。  この累積債務が増大いたしておりまして、本年三月末現在で累積債務は三兆三千億、前年対比で一千八百億増加して三兆三千億、このようになっておるわけでございます。国有林野事業は、国土面積の二割、全森林面積の三割を占める広大な山林で行われておるわけでございますが、状況を聞いておりますと、借金がどんどん雪だるま式にふえておるというのが現状である。  九四年の決算におきましては、五千六百十九億円の収入のうち、林産物販売または林野、土地の売却による自己収入はその収入のうち三四%、一千九百十五億円ということで、人件費が二千二百億ということでございますので、人件費も賄い切れないような状況になっておる。  また、支出の方は五千九百三十億円の支出でございまして、累積債務に対する利子償還金額がこのうち四五%を占めておる、二千六百六十億円がそのような累積債務に対する利子償還金である。不足の方は、財投からの長期借入金三千百三十六億円と、一般会計からの繰り入れ五百六十八億円で頼っておる、このような現状のようでございます。  まず初めにお聞きいたしたいのですが、林野庁、きょう来ていただいておりますが、今までいろいろ御苦労なさったのでしょうが、どのような経営改善策をなさってこられたのでしょうか。
  69. 星野明

    星野説明員 お答えいたします。  先ほどの谷口委員の御質問の、これまで林野庁がどのような努力をしてきたかということでございます。  国有林野事業につきましては、国土の保全、水資源の酒養、木材の供給、また森林資源を通じました地域経済の振興といったさまざまな役割があるわけでございますけれども、先ほど委員指摘のような財務状況になっておりまして、こうした状況を踏まえまして、現在、林野庁といたしましては、国有林野事業の改善に関する計画に基づきまして、事業部門を、経常事業部門について平成十二年度までに、それから累積債務部門につきまして平成二十二年度までに収支均衡ということを目標にいたしまして経営改善を推進しているところでございます。  こうした二つの部門に分けまして経営改善を鋭意進めているわけでございますが、このうち経常事業部門につきましては、組織、要員につきまして、簡素化、合理化、営林署の数で申しますと、平成三年度には三百十六ございましたが六年度末には二百六十四、さらに減らすということを考えておりますし、要員規模につきましても、三万一千人から平成七年度末一万七千人ということで削減を行っておりまして、さらにこれも削減をするということで考えております。  他方、収入の増大策という観点でございますけれども、一般材につきまして安定供給システムというものを設けまして、製材工場等に対しまして計画的な木材の販売を行う、それから環境緑化木等の積極的な販売を推進するということなどによりまして自己収入の確保に努めているところでございます。  また、治山事業というものも国有林の中で行っておるわけでございますけれども、これにつきましては、公益的な観点から一般会計で御負担をお願いしているわけでございます。造林、林道整備等の基盤整備、また保安林等の保全管理に要する経費につきましても、公益的な観点から一般会計からの繰り入れの充実を図っているところでございます。  さらに、今国会におきまして林野三法というものを御提案申し上げておりまして、川上の林業から川下の木材産業に至りますまで一体的な森林・林産業関係の振興を図っていくということで林産業の経営基盤を強化する。国有林材につきましても、その安定的な販路の確保を期待いたします一方、近い将来には、戦後植林いたしました人工林が収穫期に達する、伐採量の増加が見込まれるというふうに考えておりまして、経常事業部門については、このような努力をさらに推進したいと考えておるわけでございます。  一方、累積債務部門でございますけれども、林野、土地等の売り払いを推進いたしますとともに、一般会計からの繰り入れにつきましても大幅に増額をさせていただきまして、こういったような形で累積債務部門についても収支の改善を図っているところでございます。
  70. 谷口隆義

    谷口委員 お聞きしたのですが、要するに、高度成長期に伐採したところに植林して、大体二〇一〇年ぐらいにそれがまた、植林したものが伐採できるような状況になる、そういうところで穴埋めができるのじゃないか、こういうようなお話を今なさったようでございます。だけれども、どんどん累積債務がたまっていく。それに対して具体的な対応をもっとより早くやっていかなきゃいかぬと私は思うわけでございます。  聞くところによりますと、この国有林野の資産価値は、簿価で約六兆五千億、これは九四年三月末現在。時価に引き直しますと、大体十兆円を超えるような金額がある、このように言われておるようでございますが、この一部売却によって穴埋めをするつもりがないのかどうか。  また、分割・民営化したらどうかというような考え方もあるようでございますが、今、特別会計ということで独立採算でやっておられるわけでございますが、このような考え方についてどう思われるか。  また、経団連が昨年九月に、事業の民間委託を徹底し、国有林野特別会計の廃止ども含めて抜本的な見直しの提言をされておるようでございますが、先ほどの二点については林野庁、国有林野特別会計の廃止については大蔵省にお聞きいたしたいと思います。
  71. 久間章生

    久間委員長 林野庁管理課長。時間が来ていますので、簡明にやってください。
  72. 星野明

    星野説明員 二点の質問にお答え申し上げます。  まず第一点の、資産を売却して債務を解消してはどうかというお尋ねでございます。  国有林野事業の関係での資産につきまして、新聞報道等にありますように、簿価につきまして六兆何千億という形の資産があるわけでございます。実際に時価では倍ぐらいのものに少なくともなるというふうに考えておりますが、木材あるいは土地資産につきまして、現行の改善計画の中で林野、土地等の売り払いを行って債務の処理を行うということにいたしております。  それから、森林、林木につきましては、これは切って植えていくというリサイクルの中で森林を育成していく、これが非常に大事でございまして、一気に切るわけにはいかないのが国有林なり林業の特徴でございます。  それから、第二点の分割・民営化論でございますけれども、分割・民営化論につきましては、国有林と申しましたその主体が、森林の大部分が、非常に大事な国土保全の機能とか水源酒養あるいは自然環境の保全といった公益的な役割を持っておりまして、民有林以上にその要請が強いわけでございます。こうしたさまざまな機能のあるものにつきまして、これを分割して民営化するということは、技術的にもまた実際的でもないというふうに考えているわけでございます。
  73. 久間章生

    久間委員長 大蔵省伏屋主計局次長。簡明にお願いします。
  74. 伏屋和彦

    ○伏屋政府委員 国有林野事業は、国営企業として企業特別会計のもとに現在運営されているわけでございます。この国有林野事業につきましては、先ほどの委員の御指摘でございますが、やはり林業経営活動を通じまして、林業収益をリサイクルさせることにより計画的な国有林経営を行うことが適切であるということと、それから、企業的な経営の中で能率的、効率的な運営に努めることが必要と思われるわけでございます。これらの点から、やはり企業特別会計の基本は依然として重要な意義を有しているものと考えているわけでございます。  なお、先ほど林野庁からもお話ありましたが、国有林の果たします公益的機能に照らしまして一般会計から毎年度所要の繰り入れを行っているところでございまして、今後とも、国有林野事業の経営改善の努力を適切に支援してまいりたいと考えておるわけでございます。
  75. 谷口隆義

    谷口委員 もう時間が参りましたのでこれで終わりますが、冒頭お話ししましたように、今極めて財政状況が悪化いたしております。その中でも、国鉄清算事業団、また国有林野特別会計のことも申し上げたわけでございますが、これはまた極めて大きな問題で、放置しておくとどんどん赤字がたまる体質でございます。ぜひ早くこのあたりのところにきちっとメスを入れてやっていくべきである、このように申し上げまして終わらせていただきます。ありがとうございました。
  76. 久間章生

    久間委員長 次に、佐々木陸海君。
  77. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 塩事業法案について質問をいたします。  言うまでもなく、塩というのは、アルコールやたばことも異なりまして、生活に必要なだけでなく、人間の生存そのものに不可欠の物資であります。したがって、その供給価格の安定というのは何よりも重要であります。それから、専売から自由競争への移行に関連して起こる関係業者や労働者の生活の安定という問題もあろうかと思います。参議院でも審議されてきましたからあらかたわかっているわけですけれども、なお確認のために幾つかの質問をさせていただきたいと思います。簡潔な答弁をよろしくお願いをいたします。  一つは供給の点でございますが、自由競争が始まるということになりますと、現在七社ある製造メーカーがどうなると考えているのか、七社がそのまま残るとは限らないという意見もありますが、国内生産の安定化の展望、供給の展望について、簡潔に説明を願いたいと思います。
  78. 宝賀寿男

    宝賀政府委員 塩専売事業が廃止されますと、原則自由の市場構造になるわけでございます。その際、大蔵大臣塩需給見通しを策定、公表することによって、塩の需給安定、ひいては価格の安定に資するようにしたいと思いますが、具体的に生産事業者がどういう形の推移を遂げるかということについては、まだ見通しが立っておりません。  ただ、国内塩で現在供給されている程度の塩は安定的に供給できるようにという形で経過措置及びその後の制度を組んでおりますので、そのような形で推移すると思いますし、これからは、合理化努力を通じて各塩事業者が生き残りを図っていっていただけるのではないかというふうに考えております。
  79. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 生活用塩生活用の塩の販売価格全国統一した安定した価格になる見通しであるということも語られておりますが、そのメカニズム、その展望について、簡潔に説明してください。
  80. 宝賀寿男

    宝賀政府委員 生活用塩につきましては、私ども制度廃止後も適切に運用できるようにということを大変留意しておりますが、塩事業センターが良質の塩を安定的に供給していくという形で必要な手当てをやってまいりたいと思いますし、現在ありますように、全国各地に一律の価格で提供しているというシステムは今後とも追求してまいりたいというふうに考えております。また、これの措置が的確に図られるように、基金の手当てというものも考えているところでございます。
  81. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 塩の卸売業者の転廃業が進行しているということも聞いております。場合によると半減するということも聞いておりますが、これはどこかが調整をしているのでしょうか。経過期間が終了するまでの五年間にどんな姿になっていくのか、その辺の展望についてもお願いします。
  82. 宝賀寿男

    宝賀政府委員 塩の卸売業者につきましては、最近の状況を踏まえますと、再編及び整備が地域的な規模で進んできていまして、その中で経営の合理化、規模拡大というのを進めてきておりますが、現在の中におきましては、協業組合等の措置を通じて各地域で適切な合理化努力がされているということが第一に挙げられると思いますし、経過期間中におきましては、この卸売業者に対しての助成措置、具体的には事務合理化のための助成あるいは配送等拠点整備のための助成というものを考えておりますので、そういった内容を通じて、各卸売企業が適切に合理化を進めてさらに具体的に成長していっていただけるのではないかというふうに希望しております。
  83. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 その助成措置内容は、結局、だれがこれから定めていくことになるのでしょうか。
  84. 宝賀寿男

    宝賀政府委員 この助成措置につきましては、私どもが予定しております塩事業センターが行うということでございますが、その塩事業センターの助成内容につきましては、大蔵省が適宜状況をチェックして、その大蔵大臣の認可した事業方法によりまして助成措置を行うていくということでございますので、大蔵省としては、経過期間を通じて的確な助成が行われるように見てまいりたいと思います。
  85. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 わかりました。  現在日本たばこの塩事業本部の業務に携わっている人たちの中から塩事業センターに移る人たちが出てくるわけですけれども、この人たちの身分、その将来の保障というような点についてはどんなことを考えておられるのでしょうか。
  86. 宝賀寿男

    宝賀政府委員 塩専売制度廃止されますと、それに伴いまして、日本たばこ産業株式会社におきます塩専売事業本部も廃止されることになりまして、現在この塩専売事業に従事している職員、約五百名でございますが、この雇用につきましては、会社全体の中で受けとめて、会社において適切に対処していただけるように聞いておりますし、私どもも、この過程を通じまして適宜しっかりと雇用の確保を見てまいりたいと存じます。
  87. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 時間も限られておりますから、塩事業法について以上の点を確認をしておきたいと思います。  次に、ちょっと話が変わりますが、この四月一日に東京三菱銀行が誕生をいたしました。その誕生に際して、同行の本店前で、変額保険被害者の会の人々が喪章をつけて抗議行動をしたということが報道をされ、さきの参議院大蔵委員会でも我が党の吉岡委員紹介をいたしました。  なぜ三菱銀行かといいますと、現在変額保険をめぐって銀行と生命保険会社を相手に約五百件の裁判が起こされておりますけれども銀行関係を見ますと、三菱銀行がずば抜けて多いわけであります。そして、その三菱銀行と子会社のダイヤモンド保証が、ことし二月、裁判中であるにもかかわらず、一部の原告の自宅、土地の競売の申し立てをする、そういう行為を行ってまいりました。  競売の申し立てをされた一人である田崎アイ子さんに私どもはお話を伺っておりますが、相続税対策になると勧誘されて、一九九〇年三月に大同生命の変額保険に入った。夫婦で計一億円の保険料であります。三菱銀行溜池支店が五年の利息を含めて一億六千万円を融資した。三菱銀行は、契約のときには、夫が亡くなったときに清算すればいいと言っていたのだけれども、昨年の春になって態度を一変して返済を迫り始めた。一時はこの田崎さんも自殺を考えたそうですけれども、被害者の会というものも知ったりなんかして、銀行は不当だ、生命保険会社は不当だということで提訴をいたしまして、昨年十一月に東京地裁で公判が始まったばかりであります。ところが、三菱銀行は債権を子会社のダイヤモンド信用保証に移して、ダイヤモンド信用保証が競売手続をとったということが起こっているわけであります。  田崎さんは、「二月二十八日、突然、執行官が二人来まして胸がどきどきして心臓がとまる思いでした。家の中に上がり込みいろいろ調べた上、写真を撮って帰っていきました。何でこんなことをされるのか理解ができませんでした。」「よくよく弁護士さんやいろんな方に伺いますと、法的にみずからの意思に反してあらゆる財産を差し押ざえられる、取り上げられる、という行為をされるのだということが、やっとわかってきました。」「現在裁判中であります。裁判するということは白黒つけることです。」「こんなことが許されることでしょうか。」というふうに訴えておられます。  大蔵大臣にお伺いしますが、ここに見られるような銀行側の対応、つまり裁判中の案件に対して競売の申し立てをしてくるというこの対応、やはり銀行法の精神に照らしても到底好ましいとは言えないのじゃないかと思うのですが、大臣いかがでしょうか。
  88. 久保亘

    久保国務大臣 もともと、融資と担保をめぐってそのような争いが起こりますことは非常に好ましいことではないのでありますが、残念ながら、これは私的な契約に基づく問題でございますから、今私どもはそのことに直接どうすべきかを申し上げる立場にございません。  ただ、銀行という公共性の高い企業が、自分たちの方の持っている玄人の知識を駆使して、そして、素人の、債務者となる側の十分な知識のないところにつけ込んで、今お話しのようなことを起こすというようなことは、これはもう極めて望ましくないことだと思っております。銀行の融資に当たっての国民に対する態度や融資のあり方、それらの問題について、私どもの方から指導すべき点については、今のお話も伺いながら考えてまいりたいと思っております。
  89. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 大臣、さきの参議院の大蔵委員会でも、金融機関や銀行等、特に銀行などはプロである、それがアマチュアである借り手に対していろいろなことをやってきている。それが裁判で争われているときに、その裁判のどちらが正しいかということを、もちろん大臣として判断を下すようなことはできないことは言うまでもありません。今の問題でも、裁判になっているその判断を大蔵大臣に求めているわけではないわけでありまして、法的に可能なら何でもやっていいという態度は、免許業種である銀行にとってふさわしくないやり方だ、裁判で争われているときに、一方的にこういう競売の申し立てなどをするのはよろしくないというふうに私は申し上げている。  大臣もその点をお認めになったと思いますけれども、雑誌などの報道するところによりますと、裁判中のものを、三菱銀行は、現状ではこういう競売をするのはごくまれなケースであるということもはっきり認めているのです。異例の対応であることを認めつつ、しかしこの競売を撤回する方向にはないということを言っているわけであります。  先ほど申し上げましたように、裁判になっているのは五百件余りあるということでありますし、三菱銀行が直接かかわっているのは、私が知っている限りでは三件、競売をもう既に申し立ててきているということがあるわけでありまして、こういうことがどんどん広がっているということは大変望ましくないことだと思うのです。裁判の決着ほどうであるにせよ、やはり裁判をやっている最中にこういうことをしかけていくのはよろしくない。こういうことが広がらないように、やはり何らかの検討が必要ではなかろうかということを大臣に要請をしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  90. 久保亘

    久保国務大臣 銀行の融資に関しましては、今関西の方で、抵当証券にかかわる問題や、裁判になっております問題がたくさんございます。  今佐々木さんがお取り上げになりました問題も、事情をよくまたお聞きした上で考えたいと思っております。
  91. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 もう質問することではありませんが、私どもの調べたところでは、三菱銀行というのは、ダイヤモンド信用保証という子会社を使って、ここで代位弁済を受けるというやり方をかなり広範にとっておりまして、不良債権をそういう形で隠しながら、この子会社に競売申し立て等々のダーティーな仕事をやらせるというような形のことをかなり悪らつにやっているということを私どもはいろいろ見聞しておりますので、大蔵省としてもこういう点について厳しい監視をしていっていただきたいということを最後に要望しまして、時間が参りましたので質問を終わります。
  92. 久間章生

    久間委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  93. 久間章生

    久間委員長 これより討論に入るのでありますが、申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  塩事業法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  94. 久間章生

    久間委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  95. 久間章生

    久間委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、石原伸晃君外五名から、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけ、日本共産党及び新社会党・平和連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。永井哲男君。
  96. 永井哲男

    永井(哲)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、提案趣旨を御説明申し上げます。  この附帯決議案は、政府に特段の配慮を求めるものであり、個々の趣旨につきましては、案文の朗読により趣旨説明といたします。     塩事業法案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。  一 塩が国民生活に不可欠な代替性のない物資であることを踏まえ、緊急時に際しても十分対応が可能となるよう所要の塩の備蓄に努めるとともに、良質な塩の安定供給の確保に努めること。その際、特に、離島・過疎地等において、塩の供給及び価格の安定が維持されるよう努めること。  一 国内塩が輸入塩価格面で適切に競争できるよう関税割当制度の導入等について検討を行うとともに、これまでと同様、経済合理性の下で食料用の需要量程度の塩が国内生産により確保されるよう努めること。  一 今回の制度改革趣旨を踏まえ、消費者ニーズに対応した多様な塩が供給されるよう努めること。  一 塩の製造業及び流通業について、その実態に即しつつ、業界の一層の構造改善を推進し、これにより国内塩産業自立化の促進が図られるよう努めること。  一 日本たばこ産業株式会社の塩専売事業本部の廃止並びに塩製造業者・塩卸売業者の合理化及び転廃業に際しては、塩産業従事者の雇用面の不安を生じることがないよう努めること。 以上であります。  何とぞ御賛成賜りますようお願い申し上げます。
  97. 久間章生

    久間委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  98. 久間章生

    久間委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。久保大蔵大臣
  99. 久保亘

    久保国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。     —————————————
  100. 久間章生

    久間委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 久間章生

    久間委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  102. 久間章生

    久間委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時二十一分散会      ————◇—————