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1996-02-27 第136回国会 衆議院 大蔵委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年二月二十七日(火曜日)     午後五時五十三分開議 出席委員   委員長 久間 章生君    理事 石原 伸晃君 理事 大島 理森君    理事 金子 一義君 理事 青木 宏之君    理事 北側 一雄君 理事 村井  仁君    理事 永井 哲男君       柿澤 弘治君    岸田 文雄君       熊代 昭彦君    栗本慎一郎君       小泉純一郎君    鈴木 俊一君       中村正三郎君    中山 利生君       堀之内久男君    村田 吉隆君       茂木 敏充君    山中 貞則君       井奥 貞雄君    上田 清司君       太田 昭宏君    谷口 隆義君       中田  宏君    中村 時広君       藤井 裕久君    宮地 正介君       吉田 公一君    網岡  雄君       中村 正男君    早川  勝君       細谷 治通君    田中  甲君       佐々木陸海君    小森 龍邦君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 久保  亘君  出席政府委員         大蔵政務次官  鉢呂 吉雄君         大蔵省主計局次         長       伏屋 和彦君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君         国税庁次長   若林 勝三君  委員外出席者         大蔵委員会調査         室長      藤井 保憲君     ————————————— 委員の異動 二月二十七日 辞任       補欠選任   衛藤征士郎君     鈴木 俊一君 同日 辞任       補欠選任   鈴木 俊一君     衛藤征士郎君     ————————————— 二月二十七日  共済年金制度改革に関する請願丹羽雄哉  君紹介)(第九号)  同(保利耕輔君紹介)(第八九号)  同(山下徳夫紹介)(第一一七号)  住宅金融専門会社不良債権処理方策の撤回に  関する請願福留泰蔵紹介)(第二八号)  同(宮地正介紹介)(第二九号)  同(福留泰蔵紹介)(第五〇号)  同(福留泰蔵紹介)(第五五号)  同(山田英介紹介)(第五六号)  同(若松謙維君紹介)(第六八号)  同(若松謙維君紹介)(第九〇号)  同(石田祝稔紹介)(第一一八号)  同(若松謙維君紹介)(第一一九号)  日本鉄道共済年金格差是正に関する請願(中  島衛紹介(第七二号)  同(若林正俊紹介)(第七三号)  同(小川元紹介)(第九一号)  同(堀込征雄紹介)(第九二号)  同(宮下創平紹介)(第九三号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一二一〇号)  同(小坂憲次紹介)(第一二一号)  住宅金融専門会社への公的資金導入反対に関す  る請願山名靖英君外一名紹介)(第一四三号  )  住専の不良債権実態解明等に関する請願(青  山二三君紹介)(第一五一号)  同(大野由利子紹介)(第一五二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成八年分所得税特別減税のための臨時措置  法案内閣提出第六号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第七号)      ————◇—————
  2. 久間章生

    久間委員長 これより会議を開きます。  内閣提出平成八年分所得税特別減税のための臨時措置法案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村井仁君。
  3. 村井仁

    村井委員 平成八年分所得税特別減税のための臨時措置法案とそれから租特の一部改正法案と、二つを一括してきょうから審議に入る、こういうわけでございますが、この租特の中で、消費税につきましても、来年の四月からの引き上げと申しましょうか、それに関連しての環境整備ということを前提にしまして、今回の法律案でも若干触れてございますので、私は少し消費税の基本的な問題につきまして大臣にお伺いをさせていただきたいと思っております。  久保大臣は、これまで御本人の意見として、あるいは社会党意見をお立場から代弁なさいまして、国会でたびたび消費税につきまして御発言でいらっしゃいます。一方、村山総理につきまして私もちょっと調べてみたのでございますが、この問題について、総理におなりになりましてから、常に内閣の一員としてというような御発言、あるいは総理大臣としての御発言、そういう形でお答えになっていらっしゃる。つまり、この問題について議員としての御発言というのは、村山総理の場合、余り多くないのでございますね。  それで、私ちょっと皮肉っぼく申し上げれば、内閣を出てしまったら、一体村山総理の御発言というのは、果たしてそのようにずっとお考えになっているのかどうかよくわからないな、こういう思いが実は正直言ってございました。この機会に、社会民主党出身大蔵大臣にお伺いできるということで、大変私はありがたい機会だと思っているわけでございます。  そういう意味で、大蔵大臣としての公式の御発言というのは、それはまたそれで大変大切でございますけれども、もう一つ、私たちも、それから国民もみなぜひ知りたいと思っておりますのは、社会民主党は今消費税について一体本当にどういうふうに考えていらっしゃるのだろうかという問題であります。きょうは、社会民主党領袖としての久保先生に率直なお考えをお聞かせいただきたいと存じます。  申し上げるまでもないことでございますけれども党内民主主義というものは、それはどの党にもやはりあるわけでございまして、党の中で、社会民主党の中でもいろいろな考え方がおありになる方がそれぞれにいらっしゃるであろう。そのことは私はよくわかります。よくわかりますけれども、いわば社会民主党の、あるいは社会党といいましょうか社会民主党といいましょうか、その御意見を、外野でなくて院内で速記に残る形できちんと考え方示していただく、私は、このことは大変意味があることだと思っているわけであります。  なぜかというと、どうもいろいろな意味消費税に関する御見解というのがぶれるのですね。それで、そのぶれが大きいわけでありまして、政権 の中にあってしかるべき立場におありになる方が官僚作文をお読みになって、私ども、それがお考えかなと思って聞いておりますと、外ではまた全然別のことをおっしゃるということが間々ある。そして、よく伺ってみると、どうもそれが本音らしいなという感じでありまして、久保大臣、この間は予算委員会で私の質問にお答えになりまして、役人の作文なんか読んじゃいない、読んだことはない、このようにおっしゃいました。私、まことにその言やよし、こういう思いでございまして、ぜひ久保大臣自身のお考え、そしてまたこの重要な問題についての御決意をお聞かせいただきたい、こんなふうに思うわけでございます。  以上、ちょっと前置きを申し上げました上で、初めに財政現状につきまして、大臣、どんなふうに御認識か。昨年村山内閣財政危機宣言というものを出したほどで、これは私は大変な事態だと思っているわけでございますが、大臣の基本的な御認識をまずお伺いしたいと存じます。
  4. 久保亘

    久保国務大臣 本委員会におきましても、また衆議院の本会議でも財政現状に関して私の考えを申し上げたつもりでございますが、既に今、村井さんがお話しになりましたように、昨年の十一月に、財政危機宣言と世上言われております今日の厳しい財政事情について、私の前任者でございます武村前大蔵大臣国民皆さんに発表をしたところでございます。  その財政事情は、既にもう皆様方が御承知のように、平成八年度末には二百四十一兆を超える累積公債残高が発生をするわけでございまして、八年度の予算では、歳入の不足を補うために公債発行高は二十一兆を超えたのであります。しかも、そのうち十兆余りがいわゆる特例公債となっております。  また、八年度の予算の中で、歳出の面でも国債費が十六兆を超えておりまして、一般歳出の二割を超えるものが国債の利息の支払いを中心国債費として計上をされることになりまして、政策的経費を著しく圧迫する状況となっております。しかも、経済回復がようやく足踏み状態を脱する状況になってまいりましたとはいえ、連続して前年度当初の税収見込みを下回るというような状況にございます。  このような危機的な状況を早期に克服しなければならない厳しい財政事情のもとで、今政府は、財政再建方途を講ずることを重要な課題として担うに至ったのであります。財政制度審議会検討国会における皆様方の御審議の結果にも注目をしながら、速やかに財政歳出においての大胆な見直しを進め、その役割守備範囲を見直してまいりますと同時に、歳入確保についても、経済回復の動向も見ながら今積極的な取り組みを求められている状況にあると考えております。
  5. 村井仁

    村井委員 ちょっと引用をさせていただきます。  赤字国債に依存する今日の財政状況をどうし  て健全化していくかという問題は極めて重要な  問題でございます。私どもも、赤字国債に依存  する財政というものは考えるべきでないと思っ  ておりまして、建設公債も含めて発行を減額し  ていくよう努力していきたいと考えておりま  す。今日、国債残高は百六十兆円を超えており  まして、隠れ赤字というものも合わせますと百  九十兆に近いのでございます。なおそのほかに  地方における債券残高も六十数兆に達してお  るという状況もございます。したがって、私ど  もは、この赤字債券を解消していくための努力  は決して避けてはならないと思っているのでご  ざいます。   しかし、この問題を直ちに消費税に結びつけ  るということは間違いであろうと考えておりま  す。もし消費税をもってこれらの財政赤字の累  積を解消するということを考えてまいりますな  らば、一体、消費税はどのようなスピードでど  こまで税率を上げなければならないとお考えに  なっているのか、私どもも大変疑問の残るとこ  ろでございます。これは、平成元年消費税廃止法案というのが出ましたときに、発議者のお一方でございます久保先生が、当時の参議院税制特別委員会で御発言になったものでございます。  基本的にはこのお考えというのは変わりはない、このように理解してよろしゅうございますか。
  6. 久保亘

    久保国務大臣 平成元年に、たしか臨時国会消費税廃止法案提出いたしましたとき、私が参議院における提案者代表でございましたので、今お読みになったようなことを申し上げたと思います。当時、消費税を認めないという立場にございました私の発言は、そのとおりだと考えております。  今、そのことにつきまして、今日の状況の中で私ども消費税税制全体の中でどう見るかという問題は、時間的な経過それから状況の変化の中で、必ずしも全くそのとおりということではないだろうと思いますが、今でも私は、所得消費、資産の分野のバランスのとれた税制というものの中で消費税制というものはいかにあるべきかということについては、多くの検討を今後も続けていかなければならない問題だと思っております。  今日、既に法律によって定められた税制がございますものについて、これを現職の大蔵大臣として否定するような立場には立ち得ないと考えております。
  7. 村井仁

    村井委員 その辺のところはだんだんお伺いすることにさせていただきます。微妙にその辺が変わってきたという感じがいたしますけれども。  久保先生平成元年にこのような御議論をなさいましたとき、このときから百六十兆という国債残高がさらに八十兆上積みされた。非常に深刻な、より深刻な状態になっている。それから隠れ借金というのは、これはなかなか定義の仕方、正確にどういうふうに見るのかというのは難しい問題でございますけれども、いずれにしても減ってはいない。それから地方財政の方も、六十数兆と言っていましたのが百二十数兆というオーダーまで上がってきた。事態は非常に深刻になっている。そういう意味で、私ども、この状態を本当に深刻に受けとめなければならない。  そういう意味で、もちろんだれだって消費税だけで片づけようなんて、当時の与党といいますか、当時の自民党も考えていなかっただろうし、それから現在でも、与野党含めてそういうことを考えている者はないと思うのでございます。  しかし、そのときに何らかの形で国民に税の御負担をお願いしなければならないのではなかろうかというような感じが、私は今の大臣のお言葉からちょっと感じ取るわけでございますが、それはちょっとさておきまして。  そこで、もう一度財政の問題に戻りまして、どうやったらこの財政危機を改善していけるのか。今大臣は、歳出削減、あるいは景気回復による歳入確保、こういうことをおっしゃいましたけれども、私まじめに考えまして、例えば行政改革財源を出せ、それによって歳出を削れという議論はありますけれども、実際問題として、どれほど本当にそれで出せるのだろうか、非常に私自身も悩んでいるわけでございます、どうやったらいいかなと。  と申しますのは、国の歳出のほとんどの部分が移転的な経費でございまして、例えば福祉に充当する、あるいは地方のさまざまの事業の補助に充当するというようなことでありまして、必ずしも国自体が費消する、使ってしまう、そういう金ではない、御高承のとおりでございます。そういう意味歳出削減というのは、一般的に行政改革で非常に金が出るというものじゃないし、歳出削減というのも今申し上げたような意味で難しい。それから、景気回復したら本当に自然増収が期待できるのだろうか、このあたりもどうももう一つ自信が出てこないような感じがする。  さすが大蔵省も、これは先週議論を終えた問題でございますが、平成八年度の財源法案で、小細工と言っては失礼でございますけれども、あるいはことしの予算でと言ったらいいかもしれませんが、いろいろな形で工夫をして金をひねり出すの をやめまして思い切って赤字国債を出すという選択をした。私は、これは透明度を増すという意味でかえっていい選択だったと思うのでございますが、同時にこれは、官僚が私たち政治家に解決をゆだねている、そのゆだねるメッセージをよこしたのだ、こういうふうにも私は感じるわけでございます。  そういう意味で、大臣、本当にこの財政危機をどのようにしたら解決できるとお考えになっておられるのか、大筋で結構でございますから大臣のお考えをお聞かせいただけませんか。
  8. 久保亘

    久保国務大臣 先ほど、一般的に考えられる財政再建方途といいますか、財政再建のために考えなければならない基本的なことについてお話を申し上げました。  私が今、村井さんのお尋ねに、こうすれば再建できますということを申し上げることができるようでしたら、非常に財政再建の道を論議することがしやすいと思うのですが、今この厳しい状況が、先ほど引用されました平成元年のときよりもはるかに厳しい状況になっております。しかも、平成元年のころは、まだその前年までは当初予算に比べますと税収自然増というのがかなり見られた時代でございます。もう今はそういう意味でも非常に厳しい状況になっているのでございまして、大蔵省といたしましては、中期展望という形でいわゆる試算をお示しをいたしております。  これからどういうことができるのか、何をやらなければならないのかということを検討してまいらなければならぬと思っておりますが、平成六年の十一月に、減税との見合い消費税の来年四月一日からの二%アップを決めました、あの税制の抜本的な改革をやりましたときに、検討条項ということで大体四つの視点を挙げております。それらの問題も念頭に置きながら、財政再建については、歳出の面で厳しく見直すことがどの分野でできるのか、そういうことについて積極的に考えていかなければならないと思いますが、しかし、財政を縮めることだけを、歳出を縮めることだけを考えて、そのことによって景気の足を引っ張るということになれば、またここに矛盾が起きてくるわけであります。  それらの要因をいろいろと検討しながら、ぜひ大蔵委員会皆様方にも、私どもが差し上げてございます試算をごらんいただきながら、財政再建方途について積極的な御意見を賜りますようお願いを申し上げる次第でございます。
  9. 村井仁

    村井委員 またそのあたりにちょっと戻らせていただくかもしれませんが、大臣から消費税についての御認識をお伺いしたいと思うのです。  社会党は、昔、先ほど大臣お触れになりましたように消費税廃止を御主張になりました。久保先生自身その中心においでになられたわけでございますが、現在、消費税をどういうふうに評価していらっしゃるか。昔は、だめなものはだめというのは実にこれはわかりやすい。私も余り懐かしいものですからここに持ってきたのですけれども、こういう本などをおつくりになりまして、これ読んでみますとおもしろいのですね、いろいろ書いてありまして。まあしかし、こういうものをおつくりになって大変なブームを巻き起こした。  ところが、平成六年の十一月の九日、今、四%あるいは五%、四%というのは国税で、地方消費税まで含めれば五%までへの消費税引き上げ強行採決でお決めになったわけでございますが、来年四月、五%に引き上げるとお決めになったわけでございますが、その間、消費税認識につきまして、そう明確な、このように自分たち消費税認識、評価というのは変わった、違ったのだという説明というのはどうもなかったというように思うのですね。  そこで、大臣からぜひ明快に、今消費税をどのように社会民主党は御認識になっておられるか、それをお聞かせいただきたいと思います。
  10. 久保亘

    久保国務大臣 社会民主党という立場でここで申し上げることがちょっと適当かどうかわかりませんけれども、私は、世界的に付加価値税一つの潮流となってきたことはもう間違いのない事実だと考えております。  それから、消費税という、日本でつくられました、付加価値税の一種になるのかもしれませんが、この消費税というのは欠陥を含む税制であったことも事実であると思っております。それは、益税という言葉がこの税制から生まれてきました。それぐらい消費税には制度上の欠陥がございました。  また、税制のあり方は、よく水平的公平と垂直的公平という言葉が使われますけれども税制そのものからいいますと、消費税に力点を置き過ぎる税制逆進性を高める、これもまたこの消費税の持つ一つ欠陥といいましょうか弱点だと私は思っております。  そういうものについて、絶えずこの税制は、他の税制もそうでありますが、完璧なる税制というものは存在しないと思うのです。検討が加えられ、改革が求められていく中でこれらの税制国民的な合意の中に定着していくものだと考えております。そういう中で、この消費税が生まれましてからまだ十年を経過しないわけでありまして、いろいろと税制改革の段階では検討が行われるものと思っております。  連立政権になりましてからも、例えば細川政権のときに国民福祉税として七%に引き上げるということが議論されまして、当時、私は社会党立場でこのことに反対をいたしました。そしてこの国民福祉税構想は撤回されるのであります。  その後、今度は景気が低迷をいたします中で、所得税等の大幅な軽減措置を講じて消費を伸ばすというような立場からの税制改革が行われ、その見合い財源をどうするかということで消費税を五%に引き上げるという議論になりましたときには、福祉政策その他にもいろいろと検討を加えながら、当時村山政権のもとで、私どもはこれに賛成の立場をとったのであります。  また、消費税につきましては、考えてみますと、平成二年の総選挙に当たりましては、消費税制度つくりますときに中心的な役割を果たされた、当時先生も御所属でございました自由民主党も、軽減税制複数税率をとることを法案として選挙のときにお示しになって戦われたこともございます。  いろいろと、これらの税制というのはそういう検討が加えられながら定着しつつ、次第に国民的合意を得られる方向に向かうのか、あるいはそのような合意を得られずこの税制が破綻を来すのか、これは長い税の歴史の中で決まっていくものだと思っております。  今は私は、来年四月一日から、減税との見合いで決まりました消費税率五%を法定の消費税率として実施する立場にございます。
  11. 村井仁

    村井委員 社会民主党領袖としての久保大蔵大臣にお伺いをしておりますので、そのあたりひとつ御理解をいただきながらお答えをいただければありがたいと思います。  今益税の問題についてお触れになりましたが、これはまた後で申し上げるとして、その消費税につきましての批判、これはいろいろ久保先生のお言葉で、かつてもいろいろと仰せになっておられるわけでございますけれども、その中で私は非常に重要な要素だと思っております一つが、国民合意の問題というのがあると思うのです。  ちょっと引用させていただきますと、   私ども消費税法廃止を求める税の理念と申  しますのは、あくまでも税制というのは国民の  信頼と合意に基づかなければならない。その信  頼と合意に基づいてつくられてまいります税の  制度というのは、税を納める側の立場が十分に  理解をされて、公平公正であり、そして税の本  来の使命ともいうべき所得と富の社会的再配分  の目的に沿うものでなければならない、こうい  う立場で私どもは我々の持つ税の理念、哲学の  上から消費税をどうしても認めることはできな  い。こういう立場に立って廃止法提出してい  るこれは、同じく久保先生廃止法をお出しになったときの御説明であり、それから、私ども消費 税の廃止のために努力をしてまいらなければならない、出発点はあくまでも昭和六十一年同日選挙における選挙公約でなければならない、こういうような御発言をしておられまして、さらにはその再構築の必要ということをおっしゃって、  国民の求めている消費税廃止前提にして、  そして不公平税制を是正し、今の税制の中にあ  るいわゆる不均衡国民的な立場から見ました  場合の税制の不均衡というものを手直しをして  いく、そのことに、私たち皆さんと御一緒に  もう一遍消費税をもとへ戻して、そこから取り  組んでいこうではないか、こういうことを申し  上げておるのでありまして、ということで、廃止ということをこれはもういろいろな機会におっしゃっておられるわけでございますけれども、そのような延長線上にこの「新税制改革への挑戦」という土井提言につながってくるのだ、こういうようなお話があるわけであります。  私がお尋ねしたいと思いますのは、さような意味で、一体どういう形で国民合意形成国民理解というものを、社会党あるいは社会民主党はそのための御努力をおやりになったのか。手続上どのようにしたからよくなったとお考えになっておられるのか。今私がちょっと引用させていただきましたような久保先生の御発言を満たすようなことがその後どのような形で起こったのか。これをひとつ御教授をいただきたい。
  12. 久保亘

    久保国務大臣 平成元年参議院通常選挙では、一番わかりやすい例では、政治的な風土から申しますと圧倒的に保守勢力の強いと見られた一名区二十六のうち、二十三選挙区において消費税反対をする立場の人が当選をいたしました。そしてその後、このことを背景にしながら、参議院において廃止法が提案され、たしか平成元年の十二月十一日に百三十八対百十一をもって廃止法参議院を可決して、衆議院に送付されたのであります。そういうことを考えましても、当時この消費税に対する国民皆様方のいろいろな御意見というのはやはり廃止法を支持するという立場であったと思っております。それから、平成二年の二月の総選挙の結果も受けて、衆議院でも廃止法審議されましたけれども、これは衆議院においては可決されませんでした。否決されたと思います。  そういうことを経過する中で、両院を通じてこの消費税問題、税制改革のための協議会がつくられまして、この協議会においてお互いに選挙のときに公約してきたことを背景にしながら意見を出し合って、かなり長期間にわたって議論をいたしました。私もそのメンバーの一人でございました。そして、たしか平成二年の秋、もう年末に近いころに、これは一つの取りまとめを行って合意をいたすのであります。その段階で、それぞれの党が主張いたしましたことを合意に取りまとめて、合意された分を消費税改革として国会で議決されたと思っております。  そういうような経過を経ながら消費税は次第に改革を加えられつつ、消費税の、いわゆる間接税の税制としての消費税のあり方が是正をされてきたというのが今日の状況だと思っております。  したがいまして、私は、消費税歳入を安易に頼るやり方はいかがなものかということは、慎重な検討を要すると思っておりますが、既に法定されております消費税税率は来年の四月一日からそのとおり実施しなければならないということを申し上げているのでございます。これは歳入歳出見合いの中で、特に減税との関係で財源として決められたものでありまして、そういう立場を了としながら、税制のよりよいバランスのとれたあり方というものは絶えず追求されていかなければならないことだと考えております。
  13. 村井仁

    村井委員 これまでの経過を踏まえての御発言でございますけれども、しかしやはり私はどうもすっきりしないなと思いますのは、例えば、これは久保先生が引用なすったくだりの一つでございますが、消費税については「現実には一度たりとも国民の信を問うたことのない内閣がこのような重大な政策を暴力的強行採決によって決めてしまったところに問題のルーツがある、」というある人の発言を引用して、要するに国民に信を問うてないというところが非常に問題だという御発言をなさり、あるいは、一遍つくったんだ、そして時間がたったんだ、ここまで来たんだからこれはもう変えられない、こういうことじゃだめなんだ、そういうことでは消費税が定着しているとは言えないんだということを非常に強調しておっしゃっておられるわけですね。  私は、今のお話を伺っておりまして、やはりハウスの中だけで、党と党との間で若干のやりとりはいろいろあったかもしれないけれども、しかし、国民に対して積極的に、こういうことなんだから消費税納得してくださいよという作業には、大変申しわけないが、社会党さんあるいは社会民主党さん、積極的にはおやりにならなかったという印象を禁じ得ない。つい最近まで、日本社会党の玄関には、消費税引き上げ反対という看板が立てかけてあった。いつの間にか消えたようでございます。  そういうようなことで、要するに外側で何となく決まってしまったから、おれたちはしようがない、受けるんだ。まして、今久保先生の場合は大蔵大臣という立場にあるから、平成六年に決めた話はそのとおり整々粛々と執行するんだ、こういうことしかおっしゃっておられない。私はそういうものじゃないんじゃないかと思うのですね。もうちょっと明快な認識を示され、そして、はっきりとこれにどういうふうに取り組むんだということをおっしゃるべきじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。−いや、局長ちょっと待ってください。あくまで私が申し上げるのは、この問題については久保大臣の御見解を伺いたいのです。
  14. 久保亘

    久保国務大臣 連立政権というのは、村井さんもよく御承知のことだと思うのであります。かつて私どもと連立を組んでいた時代もございます。それで、連立政権というのは、政策や理念が違う政党が政権を共有することができるかどうか、それで協議をして、そして政権を共有するに足る政策の合意ができれば連立政権が可能となるわけであります。その場合には、それぞれの党が持ちます主張というものをやはり連立政権としての政策にまとめていく、民主的な、公開性の強い努力というものが絶えず必要になってくると思います。私は、そういう努力を通して、六年十一月の税制改正は与党三党の合意となって決定されたものと思っております。  したがいまして、私はあの税制改正の法案には賛成の立場をとったのでありまして、したがって、みずから国民の代表として、今日この政権の任務としてこのことを決めなければならないという全体の税制改正の中でこれに同意して決めたものについては、私が大蔵大臣であるということだけではなく、責任を有しているものだと考えております。  なお、この税制そのもののことについては、政府委員の方で今の御質問にかかわって御説明申し上げたいということでございますから、少しだけ時間をいただきたいと思います。
  15. 薄井信明

    ○薄井政府委員 お許しいただいて、補足といいますか、感じたことを申し上げさせていただきます。  私、たまたまその間主税局におりまして、今の村井先生の御指摘を伺いながら国民税制の関係について考えてみたわけですけれども日本では、御存じのように物品税という税金をずっとやってきておりました。したがいまして、多段階の、前段階税額控除という付加価値税について観念的に御説明しても、私ども説明も下手だったと思いますが、なかなか国民皆さんはわからなかったと思います。そういう意味で、この七年間実施したことによって、消費者も事業者も、ああこういうものなのかなということがおわかりいただけてきている部分がかなり多いのではないかと思います。  したがいまして、私、先生大臣とのお話の間 に入るわけではございませんが、国民も、この七年間の経験が、消費税に対する理解といいますか、そういうものだなということを深めていることは忘れてはいけないかなと思っております。
  16. 村井仁

    村井委員 今の大臣の御発言、私は非常に重く受けとめさせていただきます。全く立派な御答弁をいただいたと思っております。ありがとうございます。  そこで、私、国民合意というものにつきまして中心的にお伺いしたわけでございますけれども、要するに、連立の中で責任を持ってきちんとそういう決断をした、したがって、大蔵大臣という職にあるからそう言っているということではないというお話、私はそうあるべきだと思いますし、またそれを、基本的にほかの社会民主党の議員の皆さんと共有していただきたいものだと痛感するものでございます。  そこで、消費税の問題点として、過去いろいろな議論がございましたけれども、その中で最も大きな問題は、いわゆる所得に対する逆進性の問題でございます。  このことにつきまして、申しわけございませんが、せっかく勉強しましたので、またちょっと引用させていただきます。  久保先生の御発言で、「消費税の内容につきましても、消費税が本質的に克服することのできない逆進性が全く解消されていない。」それに加えて、「制度上また消費税に不合理や矛盾をつけ加えてこれが強行された」というような御発言。それから、「消費税の持つ構造的な欠陥国民生活の上に非常に強く影響してきているということ、それから、この構造的欠陥を持つ税制に対して国民皆さんの間に非常に大きな不信がある、こういうことが実施後時間を経るに従ってますます国民皆さんの間には強くなってきているのではないだろうか、こう感じております。この逆進性の問題は、本当に所得の低い人ほど痛切にその影響をお受けになっているわけでございまして、」というようなことをおっしゃっていらっしゃいます。いずれにしましても、この逆進性の問題というのを非常に重く受けとめられております。  それからもう一つ、これは久保先生の非常に強いお言葉ですが、平成二年五月の予算委員会でございますけれども消費税というのは「本来課税してはならないものに課税し、そして逆進性を高めることによって社会的弱者に非常に負担を重くした。」というような御発言がございます。  そういう意味で、逆進性の問題というのを、久保大臣どういうふうにお考えになっておられますか。
  17. 久保亘

    久保国務大臣 先ほど申し上げました、平成二年の総選挙のときに自由民主党がお出しになりました飲食料品の消費税の軽減の法案、これはやはり消費税逆進性に着目したものだと私は考えております。  私どもも同じような考え方を持っておりまして、人間として生きる最低の必要なものに対して、所得の大きい者も小さい者も、それだけのどうしても必要なものに対して同じような課税がされるということは、やはり逆進性につながるおそれのあるものだと考えております。  したがって、諸外国の例を見ましても、この複数税率をとっているところもあります。いろいろとそういう点について工夫を凝らす、凝らさねばならないということは、やはり消費税というものが税の哲学に照らして完璧な税制ではない、そこにあります欠陥はどこだといえば、逆進性を内包するということが一番の問題であろうと思っております。
  18. 村井仁

    村井委員 税制について、どんな税金を取られたって完璧な税金なんというものはないんですよ。どっちにしてもみんな欠点があるんです。私は、いろいろな欠点のある税制を組み合わせて、それでできるだけたくさんの人が公平だと思うような仕組みをどうやってつくっていくかということが我々に課せられた課題じゃないかといつも思っているんですけれども、そういう意味で、私は消費税逆進性の問題というのは余りにも誇大に言われ過ぎた問題なのではないかというふうな印象を持っているんです。  もうちょっと言いますと、大体三%くらいのところで、逆進的だ逆進的だと言って大騒ぎする話じゃなかったんじゃないかと率直に言って思うんですよ。それから、五%に上げるというお話のときも、これは、私は何度か当時の村山総理予算委員会でも確認したりいろいろしておりますけれども、五%に上げるまでのところは、今複数税率の問題についてお触れになりましたから確認させていただきますが、複数税率考えない、このように平成六年十月の予算委員会では村山総理は明確にお答えになっている、このことは大臣よろしゅうございますね、そういうことで。ちょっと確認してください。
  19. 久保亘

    久保国務大臣 当時、私、社会党の書記長としてこの決定にかかわってまいりました。そういう中で、税率をどうするという議論もございまして、最小限にとどめたいということで五%にいたしました。そのときに、複数税率の問題も議論いたしましたが、複数税率をとれば、これは基本税率をさらに上げなければならない。そういうことで、減税との関係においてここに二%の税率アップを図るのであるから、この所得税の減税余り恩恵を得られない人たちに対して、政策的な福祉関係の予算をどうつけるかという問題等々もあわせて検討いたしまして、そのときは単一税率でやむを得ない、こういうことにしたのでございます。
  20. 村井仁

    村井委員 結構でございます。結構でございますが、問題は、御党のメンバーの中で、それは言論は自由でございましょうけれども、やはり食料品に課税するのはおかしい、生活必需品に課税するのはおかしいという御議論を依然としておやりになる方が多いんですね。ここでともかく免罪符を得ようとなさる。例えば、今官房副長官でいらっしゃる方なども執拗にこの辺の議論をおやりになりまして、それで、ことしの九月までに行われるはずの見直しでその食料品の非課税あるいは軽減税率の適用が入るんだねということを確認した、こういうふうに御本人は認識しているというような事態もあるんですね。  これもまた場外でいろいろ、場外でといいますか、ハウスの外へ行かれると、いや、もう九月の末までには軽減税率やるんだ、それをやるんだから、だから逆進性の問題は社会民主党、その当時は社会党と言っていたんでしょうか、社会党としては解決するんだ、こんなようなことをおっしゃる。国民は混乱しますよ。私は、やはりこういうことは本当にはっきりした話なんですから、きちんとしてもらわなければいかぬ問題だと思うんですね。  それについては、私は、よく、複数税率の問題あるいは生活必需品に軽減税率を適用する、複数税率の国はほかにもあるんだからというようなことを、不断に検討しなければならない課題だというような言い方をされることで、一種の混乱を招いているように思うんですよ。そこは明確に、ともかくこれから五%までのところはやらないんだということははっきり今お答えいただきましたけれども、一般論として申しまして、私よその国の例を見ていますと、大体十数%、二十数%というような付加価値税の世界になるとそこで軽減税率が出てくるのです。少なくとも二けたにならないと軽減税率の話というのは出てこないというのが一般的だと思うんですよ。その辺の感覚というのは、大臣どんなふうにお考えになりますか。それはもう大臣の感覚で結構です。データの話になるとすぐ薄井人権威が出てきますから、これはもうちょっと待っていただいて、大臣の御感触を伺いたい。
  21. 久保亘

    久保国務大臣 先ほど申し上げましたように、この税制改革によります消費税率の五%へのアップは、今の連立政権、同じ枠組みで村山内閣のときに決定をいたしたものでございまして、私は、その総理大臣・与党の書記長でございました。したがって、この決定には責任を持つべきものと考えております。  なお、今、村井さんおっしゃいましたように、消費税というものを複数税率にした場合に逆進性がどういうふうに緩和できるかとかいったような問題について、税制について非常に関心を持ち、熱心に議論されている方がそれぞれの分野に、党にもいらっしゃると思います。私どものところにもおりますし、私も党の責任者でなかったら、いろいろそういう問題を検討したりしていたのかなと思ったりすることもございます。  それから、今お話ございましたように、将来、私どもは間接税を否定したことはないのでありまして、そういう消費にかかわる税制というもののあるべき姿というものをどうするかというのは、現にもう十年に近い歴史を持つようになりました消費税中心にしていろいろと検討しなければならない問題であろう、こう思っております。
  22. 村井仁

    村井委員 今、間接税を否定したことはない、こうおっしゃいましたけれども、どうも間接税を否定したわけではないとおっしゃると、個別物品税あるいはぜいたく品課税というような世界を考えていらっしゃるんじゃないかとつい思っちゃうんです。  また古証文を持ち出して申しわけないけれども、昭和三十六年十二月の税制調査会の答申というのがあります。これをその当時の尾崎主税局長に説明させた後で、久保先生が、負担の公平というような立場からすると、個別物品税の方がより望ましいという立場を以前はとっていたんだ、政府税調はと、こういうような非常に鋭い御指摘をしておられる議事録もあるわけであります。  私は、しかし、率直に申しまして、今これだけ消費が多様化し、人々の嗜好も非常に多様化している中で、この商品はぜいたく品です、この商品は生活必需品ですというふうに切り分けるというのは大変難しい。それを税で決めるということは、いわば国家権力が決めるということなんですね。  私いつも思うんですけれども、例えば若いお嬢さんが、二十の若い美しさをすばらしい振り袖に飾りたい、こう思って、そしてほかの、例えば食あるいは住というものをある程度犠牲にして、そしてすばらしい振りそでの衣装、これは確かにぜいたく品でしょう、それにつぎ込むというのも私は個人の一つ選択の自由だと思うのですね。そういうものを許容するのがある意味では消費税の世界なんだと思うのですよ。  私は、個別物品税あるいはぜいたく品には課税するんだ、ダイヤモンドと大根がどうして同じ税金でいいんだというのはもう捨てていい議論だろうという気がするのですがね。大臣はそのあたりどんなふうにお考えになりますか。——いや、ちょっと、これはもう大臣の感覚の問題をお聞きしたいのですから。薄井さんの話はもういいですよ、もう十分勉強させていただいているから。大臣お願いしますよ。大臣、申しわけない、個別物品税をかけるような環境じゃないでしようということを私は申し上げているのです。それをちょっと大臣の見解聞かせてください。大臣の見解を聞かせてくださいよ。
  23. 久保亘

    久保国務大臣 人生観や生活観というものは人それぞれに違いがあると思います。そういう意味では、今、村井さんがおっしゃったような見方も確かに考えられることだなと思います。  しかし、個別物品税でやります場合には、やはり高級品、ぜいたく品というものにできるだけ税を賦課するというようなことが一般的にはやられてきたことだと思います。しかし、そういう税制そのものにもやはり考えなければならないことは当然にあると思います。ある時期、それは非常に高価なもので特別な人しか手に入らないものだと思っていたものが、十年後にはごく一般的なものになっているという場合もございますから、やはり絶えずそういうものは見直しが必要になってくるのだろうなとは思います。  ただ、そういう個別物品税と消費税とどちらをとるかという選択の仕方は、私ども消費税の導入に反対しますときには選択議論をいたしました。しかし、今日のような状況の中では、これを選択肢として議論することは余り妥当ではないのではないかなという感じを持っております。
  24. 村井仁

    村井委員 大変結構だと思います。個別物品税の世界が崩壊するのは、OA機器課税に失敗する、あそこからなんですね。やはり社会の変化というものに個別物品税というのがついていけなくなってしまって、さらには経済のサービス化というのが非常に進んでくる。そういった環境の中で、どうも物品にだけ課税していくということで本当にいいのだろうかという問題ができてきたというところが消費税という、端的に言ってこれはいわゆる付加価値税ですよね、そういう世界へ入ってきたきっかけだと私は思うのですが、それを肯定されれば基本的に結構だと私は思っております。ぜひそのスタンスを動かさないでいただきたいと思います。  もうここまで伺うとある意味では十分なような気もするのですけれども、やはりある程度念には念を入れてということもございますので、もう少しお教えをいただきたいのでございますけれども、税の理念の問題として、久保先生は以前こういうことを言っておられるのです。  「本来、税における公平というのは、消費税のような税制によって公平が期せられるのではなく」「入り口における応能負担主義の原則というものを重視」しないで、「入り口における」というのはこれは多分収入を見て、こういう意味ではないかと私は思うのでございますが、「出口における生活、人間が生きるために必要なものにばさっと課税をするということによって、」公平を図るということは問題だ。  本来、同じ所得や資産のある者が同じ税金を負  担するということに対する水平的公平が期せら  れていないということに対する国民の不満を逆  用して、それを支出における公平な負担という  ことに置きかえることによって消費税税制に  おける公平を根本から崩したと私は思っており  ます。久保先生は思っております、こうおっしゃって、  特に今日のように所得や資産の格差が拡大をし  ていく情勢の中で、所得税のフラット化とリン  クさせながら消費税を導入しておいて、一方で  は所得や資産のフラット化については何の政策  もとられていない。こういうことによってどう  して国民消費税を公平な税制として受けとめ  ることができるでしょうか。こんな議論をしておられるわけです。  ここで私が申し上げたいのは、要するに所得や資産のフラット化の政策というのが非常に重要な条件だという御認識を税の理念として持っていらっしゃる。それから、もう一つつけ加えますと、要するに所得や資産の格差の拡大を防ぐ、所得や資産のフラット化をするということが税の非常に重要な機能なんだというようなことも先生また別のところで言っていらっしゃるところがあるのです。  私はそういう意味で、税の機能というものに所得の再配分というような機能があることは、それは確かにそのとおりだと思います。ですからこそ、いわゆる所得税の累進税率というようなものが適用されていたりするわけでありますが、しかしそれと消費税というものは、所得税のそういう所得の再配分という機能とそれから消費税というものは機能は違うのじゃないか。  つまり、金はなくては使えない。しかし、あるのに実際は所得税をきちんと納めていないというようなケースもある。そういうところを押さえるのにも消費税というのは役に立つという面もありますし、そういう意味では消費税所得税を補完する非常に重要な意義がある、私はこんなふうに思っているのでございますが、そのあたりの税の理念の問題というのは、久保大臣どんなふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  25. 久保亘

    久保国務大臣 お金があるのに税を納めていないということの場合は所得と資産との問題だろうと思います。だから、結局資産にかかってくる税が納められていないとするなら、これは制度上の問題もありますでしょうし、そのことを消費税で 調整するというのはちょっと私にはよく理解できないことであります。  私は、今、村井さんおっしゃいましたように、そもそも税というのは社会的な負担のために所得の再配分を行うということだと思っておりまして、あくまでもその能力に応じて、能力は所得消費、資産、その三分野に大きく分けられると思うのでありますが、その能力に応じて負担する、そしてできるだけ総合課税主義によって公正に負担するということが税のあり方としてはよいのではないかなと考えております。  要するに、税というのは、納める側が税を納めることに関して、非常に喜んでということは非常に難しい問題だと思いますが、公正さが保たれているということで納得して税を負担するというものでなければいけないと思っております。日本では、納税の時期になりますと、税を取られるという考え方が非常に多いのでございますが、税は取られるということを納税者が思うのでなく、税を納めるという立場考える、そういう税制でなければいけないと思っております。
  26. 村井仁

    村井委員 いずれにいたしましても、今までのやりとりを通じまして、大臣大蔵大臣というお立場だけではなくて、消費税というものにつきましてそれなりの意味をきちんとお認めになり、それをこれからもきちんと生かしていくというようなお考えであるということは十分に拝察できるというふうに私は受けとめます。  そこで、財政の今の状況にかんがみまして、ある時期に——今度上げます消費税引き上げというのは、これは過去やりました所得減税の穴埋めなのですね。そういう意味ではプラマイゼロの世界なんです。財政に対しては、これでやっといわばもとへ戻しただけの話なんです。これから景気状態がどうなるかということでまたいろいろ議論はあると思うのでございますけれども財政の今の状況、非常に危機的な状況だというお話冒頭にありましたね。  そうしますと、これを何とかしていくためには、まず法人税、これは率直に言ってこれ以上上げられる環境ではないでしょう。所得税、これも世界でも大変高い方ですよね。それでお金持ちほど外国に逃げていきやすい、そういうこれだけグローバル化した世の中ですよね。そしてそういう例もあります、出ていってしまったケースも。それから、資産に対する課税といいますけれども、これもいろんな形でやっていまして、そこそこに押さえていますね。諸外国に比べて明らかに比較的低い負担を課しているのが消費の課税でしょう。そういう意味で、このあたりをまじめに考えなければならない時期に来ているのではないですか。  そのあたり大臣どうお考えになりますか。
  27. 久保亘

    久保国務大臣 今のお話が、財政再建立場からも考えなければならない最も重要な問題ではなかろうかと思っております。  ただ、一つどもは、長く続きました景気の低迷というのが税収を年々引き下げてきて、税収が最も高かった時期に比べますと今では十兆円も少なくなっている、こういう状況がございます。したがって、景気回復によって税収が伸びるということを基本に置きながら、しかし制度そのものによって歳入歳出のバランスがとれるようにすることもまた考えなければならないほど厳しくなったなということもありますが、しかし、財政再建の道は、これから税制の問題も含めて早急に検討をし結論を出さなければならない問題であろうと思っておりまして、大変申しわけありませんが、今私が、この税制をこうしなければならないとか、消費税をさらに税率アップをしなければならないとかいうようなことを申し上げるのは大変難しい問題だと思っております。
  28. 村井仁

    村井委員 それは、難しいことはよくわかりますけれども、しかし、景気に非常に感応するのは法人税なり所得税なのですよ。消費税というのは、景気に対して余り敏感に反応しない、そういう基本的な性格があるわけでありまして、そういう意味では、消去法で考えていきますと、そういう選択肢にだんだん追い込まれていくのではないですか。  消費税というのをある意味ではタブー視して、ともかく消費税はいかぬのだ、そのほかの税でやるのだ。総合課税化ということをさっき大臣おっしゃいましたけれども、総合課税化やるといったって、これは非常にリードタイムがかかるのですね。そう急速にできる話ではないのですよ。しかし一方で、財政の再建の問題というのは待ったなしなんですね。本当にどんどん追い詰められていくのですよ。私はそういう意味で、今の大臣の御答弁、まだまだ御認識甘いなという感じがいたしまして、またいずれ機会がありましたら、そのあたり少し議論をさせていただきたいと思うのです。  大臣にぜひお願いを申し上げておきたいと思いますのは、これで選挙が近づきますと、また消費税の問題というのは必ず熱い問題になるのですよ。そして、必ずこの問題につきまして逃げ出すのですよ、みんな怖いから。とりわけて、私もいろいろ今までしっかりやられましたものですから申し上げておきたいのですけれども、せっかく政権与党として御経験をお積みになっているわけでありますから、国の財政のこれからのあり方ということを真剣に社会民主党先生方にお考えをいただいて、私たち議員というのは、基本的には国民皆様方からお預かりした税金を国民の皆様のためにどういうふうに使うか、これを議論するために国会へ送られているのだ、私はそう思っているのですよ。  そういう意味で、税金の問題というのはあだやおろそかに議論する話ではないと思っております。そういう意味で、逃げる議論をされないようにぜひお願いをしたい。私は、ここでまたうそをつきますと、政治不信というものがますます深まると思うのですよ。私はもう大臣のお気持ちはよくわかりますから、これ以上御答弁を求めませんが、ぜひお願いを申し上げておきたいと思います。  時間がちょっと予定をしましたより超過しましたので、もう一つ国税庁次長お見えになっていらっしゃいます。大分お待たせをいたしましたが、申しわけございません。全然別の問題でちょっとお尋ねをしたいのでございます。  国税の徴収の世界といいますか執行の場、今ちょうど確定申告で、私も地元の税務署へお伺いいたしまして、職員の皆さんが大変お忙しくやっていらっしゃる、アルバイトの方々もたくさんお手伝いにおいでになり、あるいは地元の税理士会あるいは青色申告会の皆さんもお手伝いでおいでになって、そしてたくさんの方々がおいでになっていらっしゃる場をつい最近も見てまいりましたけれども、その国税の職場の仕事というものは、社会の変化に応じまして、例えば取引はいよいよ国際化される、あるいは複雑化する、あるいは機械化が進行するということで、大変複雑困難な状況になっているということを私もいろいろな場面で実感をいたしております。  そういう意味で、国税の徴収事務に当たられる職員の能力あるいは専門知識一これは非常に高度なものを求められるようにだんだんなってきているように思います。ある意味では当然のことだと思いますが。さらに、現在の税務の職場というのは、適正公平な課税を実現するという観点から、職員の皆さんの意欲あるいは正義感、こういうものが非常に大事だというふうに思うのですね。そういう意味で私は、とりわけてこれはどの階層、どの年齢層はということは言えませんが、特に中高年齢層の職員、ベテランの皆さんですね、ベテランの皆さんの知識経験あるいは高い技能、あるいは何よりも非常に旺盛な仕事への意欲、責任感、こういったものが今の職場を支えていると思うのですね、非常に過酷な条件の中で。  しかしながら、聞くところによりますと、国税局あるいは税務署に勤務されている職員の年齢構成、これが非常に大変な状態で、中高年齢層の職員が職場の中で急激に増加するような人員構成になっているように漏れ聞くわけでございます、余 り詳しいことは私も存じませんけれども。  それで、現在の税務署の級別定数で、七級以下のところに張りつけられております上席と呼ばれる職員、上席調査官というのでございましょうか、あるいはそのほかの職名もあるわけでございますが、この方々の層というのがここ数年の間に急激に増加しそうである。しかし一方、八級以上の職員のポストというのが非常に限定されていて、現在その数が八千何ぼというような数に限定されている。いずれも横並びを見てみますと、いわゆる管理職群のような感じ、あるいは特別の専門職というような感じになっていて、なかなかふやしがたい。そうすると、ここは頭がつかえてしまうということになりかねない。  私もちょっと調べてみましたけれども、七級ですと、最高まで行きましても、上へ行きますと昇給がだんだんスローダウンしてきますよね、それで、最高でも四十六万九千二百円ですか三百円ですか、というような給与体系に現在の税務職の俸給表ではなっている。そこで頭打ちになってしまう、そこで非常にたくさんの人が定年まで過ごさなければならないというような状態になっているというふうに聞くわけでございます。  そういう意味で私は、これを放置すると職場の士気を非常に低めることになるのじゃないかという懸念を感じるわけでございまして、そもそも税務職の俸給表というのは、ほかの職種、一般職に比べましたら少し高い俸給表を適用をするということになっていますけれども、それが適用されるのは実際は比較的低い方だけで、八級から上あたり、七、八級、六級かな、六級から上あたりになりますと、一般職よりもちろんちょっと高いですけれども、基本的には余り変わりのない俸給表になっているように思うのでございます。特別な俸給表になっていないという感じがあるのでございます。  そういう意味で、次長にちょっとお伺いしたいのでありますけれども、このあたりをどんなふうに御認識になっているか、またどういうふうに対策をお考えになっているか、まずお聞かせいただけますか。
  29. 若林勝三

    若林政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘いただきました種々の問題、まさに国税庁として非常に重要な問題としてこれから真剣に取り組むべき事柄であるわけでございます。特に、御指摘いただきました国税職員の職員構成につきましては、今後かなりの勢いで中高年層職員のウエートが高まっていく、こういう中にあって、一方税務行政を取り巻く環境というのは非常に複雑かつ高度化していく、そしてかつそういう職員層がふえてくる、そういう職員に対して士気を維持しつつ適正な税務行政を推進していくということは、非常に大切なことであるわけでございます。  そんな中で、これまでも私ども、職員の処遇改善という面におきましては、給与面では上位級の確保でございますとか、またさらに、真に必要なポストにつきましてはこれを確保するというようなことで努力してまいりました。それなりに各方面の御理解を得てきたなという感じはいたしておるわけでございます。  しかし、今後とも、まさにおっしゃったようないろいろな問題、そういうものを十分踏まえまして、かつ税務における困難性とか重要性、いろいろな問題がございます、そういう問題を踏まえまして、給与面における上位級の確保とか必要なポストの確保といったことにさらに今後努めてまいろうと思っております。
  30. 村井仁

    村井委員 もうちょっと次長教えていただきたいのですが、例えば特別国税徴収官とか特別国税調査官というのが九級、八級のポストとしてございますね。あるいは統括官というのが八級のポストとして位置づけられているように理解しておりますが、あるいは専門職というのはこれは八級、七級のポストとして張りつけられているような感じでございますけれども、この中でどのあたりがふやしやすいといいましょうか、今の問題解決のための手がかりになりそうな感じでありますか。そのあたりちょっと教えていただけますか。
  31. 若林勝三

    若林政府委員 今御指摘ございました統括官でございますとか特官と言われる職種につきましては、確かに八級以上に格付をされておるわけでございます。  そこで、職員の処遇改善という意味におきまして、こういうポストの数をふやしていくということは確かに一つの方策であろうかと思うわけでございます。ただ、我々といたしましては、あくまで税務行政を推進する上でどういう組織、機構が必要なのかということをまず十分考えていく必要があろうかと思うわけでございます。かたがた、これから税務行政を取り巻く環境というのは非常に複雑になってくるということは先ほど御指摘いただいたとおりでございます。  そういう実態を踏まえまして、それに対応するためにどういう職種なりポストが必要か、そういった観点から我々取り組んで、必要なポストの増設について関係方面の理解をさらに得ていきたい、こういうふうに考えております。
  32. 村井仁

    村井委員 ひとつそのような事情を踏まえて、ぜひこういうニーズにこたえるように御努力をいただきたいと存じます。私どもも精いっぱいお手伝いをしたいと思う次第でございます。  終わります。ありがとうございました。
  33. 久間章生

    久間委員長 次に、関連して井奥貞雄君。
  34. 井奥貞雄

    ○井奥委員 村井先生が大変専門的、高度な質問をされました。私は、本当に身近な問題を何点かお伺いをさせていただきたいというふうに思っております。  我が国経済が、長期にわたる、もう五年を超えているわけでありますが、現在なおこの不況から抜け出せないという大きな要因というのは、たくさんあるわけでありますけれども政府が、現在の不況が従来の不況と大変質が異なっている、これはかつてのように減税をして公共投資をやれば何とかなるんだ、そういうふうな時代ではなくて、産業とかあるいは経済構造というものが大変速いスピードで変化をしている、こういう中で、この質が大変異なっているということの十分な御認識がなくて、特に土地の流動化に対する抜本的な政策が打ち出されていない点に私は一つはあるのではないかなというふうに思うわけであります。  現行の土地税制というのは、平成元年に成立をいたしました土地基本法の考え方を踏まえまして、平成三年度の税制改革においてできたものでございますけれども、土地をめぐる状況は当時と比較いたしましても大変激変をいたしているわけでございます。  御高承のように、地価というのは平成四年の地価公示以来、商業地を見ても大幅な下落を続けておりまして、三大都市を見てみましても、平成七年の三月から九月末までに、東京は約三十五都市で七・七%下がっているわけでありまして、大阪が六・七%、名古屋が四・七%でありまして、これは三大都市を平均いたしましても、七年の三月から九月までだけでも六・九%、こういった形での大きな下落を続けております。  こういった国土庁等々の指標を見ましても、この地価下落の勢いというものは、これは勢いというよりも衰えというのでしょうかね、これは見られないというふうに思いますし、また、当時問題になりました土地の投機、バブルでございますが、この話も今では全く皆無と言ってもいいわけでございまして、住専の問題についても明らかにされたわけでありますけれども政府経済政策とか土地の対策、こういうものは地価上昇においても後手後手に実は回っているというふうに私は認識をいたしております。そして、今回の土地税制の見直しが中途半端と言ったらいかがかと思いますけれども、私はそう思っております。  それに象徴されるように、バブルからの脱却のための対応も全く遅きに失している。こういった問題からこの住専の問題の根っこがあるというふうに私は思っておりますが、現在必要とされている施策というのは、まず、正常な土地のマーケットを回復をして、地価というものに対して、もう これは神話ということは私は恐らくないというふうに思っておりますが、安心感とかあるいは安定感を与えるということが今一番大切であろうというふうに思っているわけであります。  私ども新進党は、このような観点から、単なる土地の売り手対策とかあるいはまた買い手対策といった細切れの施策ではなくて、この夏でございました、それからまた百三十四国会だったでしょうか、秋の国会に私どもはこの考え方を明示をいたしましたけれども、これはもう全く玄関払いでございまして、それからまた審議も未了だ、こういった形でございました。  その一つは、土地の需要促進として地価税の凍結を、こういった時代に三年間の凍結をしたらどうか、こういったことを提案をさせていただきました。  二点目には、土地の売り手対策として譲渡益課税の軽減、これもバブルの前に戻したらどうなんだ、これは私ども、中小企業それからまた不動産関連も本当に今もう声も出ないぐらい憔悴をし切っているというのが実態でありまして、こういう民の声を聞かない政策、税というのは、私はこれからより疲弊をさせていくというふうに思っております。  それからもう一点でありますが、土地の買い手対策として、登免税、登録免許税等の軽減、こういった問題についても、これを含めて土地税制の全面的な見直しを平成八年度の税制改革に対する最重点要求として、私ども新進党は提言をさせていただいたわけであります。  そこで、これらに対しまして、今回の政府提出租税特別措置法案は、現在の土地市場の実態に対する認識や将来に対するビジョンを欠いたものではないかな。今回の土地税制改正の基本的な考えはどういうふうな考えをお持ちなのか。そして、今回の土地の税制改正は、哲学がないと言ったら失礼になりますけれども、単なる三党の妥協の産物ではないかな、こういうふうに私は考えているわけでございますけれども、このお考え方をひとつお聞きをしたいというふうに思っています。
  35. 薄井信明

    ○薄井政府委員 土地税制につきましては、御指摘のように、平成二年秋の議論で、いわゆるバブルの中で、税制で何ができるかということで今日の土地税制の全体ができ上がりました。  当時、例えば評価の問題を一つ挙げましても、税制がすべての原因とはだれもおっしゃいませんでしたけれども、やはり土地税制の中の評価の問題がバブルをつくり上げた一つの要因であったかもしれないという御指摘もいただきました。  そういった中で、今御指摘の、当時言われた土地神話、この土地神話といいますのは、土地を持っていた方が得だ、ほかの資産よりも土地を持っていた方が得だという意味で私ども理解しておりまして、地価が上がっているということを土地神話と思っておりませんが、そういう土地神話が日本の土地の地価の水準を高め過ぎている。この反省に立って、対症療法ではなく、中長期的な構造的対策として平成三年の土地税制改革が行われたと考えております。  ただ、これも先生今御指摘のように、そのときの土地をめぐる状況と今日の状況は明らかにこれはまた変わっております。したがって、あのような状況の中で恒久的なものとしてつくったものであっても、それぞれの税金の負担関係も変わってきております。一例を挙げれば、保有課税につきましては、固定資産税が上がってきていることは事実でございます、地価税はむしろ下がってきているわけですけれども。そういう相対的な関係からすると、今回見直しが必要と考えたわけです。  結論を申し上げますと、哲学がないという厳しい御指摘ですが、私ども一つは土地基本法に規定されました土地の公共性というものを基礎とします現行土地税制の基本的枠組みは維持しながら、その後の土地をめぐる状況の変化あるいは現下の経済情勢等を踏まえまして、その両方をどうバランスをとったらいいかということで、今回のお出ししている改正案に結びつけたということでございます。
  36. 井奥貞雄

    ○井奥委員 それぞれ私ども選挙区に帰りますと物すごく陳情を受けるわけであります。しかし、これは最終的には主税局の責任というよりも政治の責任で、政治的なパワーでやはりこれはある程度やっていかなければいかぬわけでありますが、今も村井先生が御質問をなさいましたけれども、私は、財政改革ということをきちっとやっていかなければならない。そういう中でも、歳入というものは非常にこれは厳しい状況ですね。ことしも赤字公債を含めて二十一兆円というものを建設公債と一緒に出しているわけでありますから、これでなおかつ、土地に対する税金というものに対しては、低くすればそれだけ土地の譲渡益課税を含めて低くなるわけでありますけれども、これは一つは私は政治論だと思いますけれども、こういった問題について、やはり大蔵省というのは現実の問題を、主税局はしっかりと私は認識をしておいてもらわなければいけないと思うのですが、いかがですか。
  37. 薄井信明

    ○薄井政府委員 御指摘のような現状把握は私どももいたしておりまして、先ほど来御指摘のように、土地の取得、保有、譲渡、その三つの局面につきまして、現在の土地税制で適当かどうかということを、去年の秋から冬にかけて議論をさせていただきました。  まず、その保有に関しては、国としましては地価税という税金を持っております。平成四年に発足いたしまして、地価の〇・三%ということで、地価が御指摘のようにどんどん下がっていきますので税金自体は小さくなっておりますが、一方で保有課税のもう一つ大きな固定資産税というものがございます。この固定資産税が状況が変わってきて実質的に負担増になってきている状況の中で、地価税は、存在については私ども絶対必要なものと思っておりますが、現在の水準でいいかどうか考え抜いた結果、今日出しているような姿にさせていただきました。  また、土地の譲渡所得課税につきましては、いろいろな考え方はあろうかと思いますが、余り複雑でない方がいいという考え方もあろうかと思いますけれども、実情に合った税体系、またそう複雑過ぎない計算方式ができるならば、現在提案していますような形の軽減の仕方もあるのではないか刀そのことが、一方で三九%を残すことによる哲学を残し、あわせて今日の世の中の求めているものにこたえていくことができるという答えではないかなと思って今回の改正案を出させていただいております。  また、最後に登録免許税でございます。これは課税標準が固定資産税でやっておりますものですから、この固定資産税の評価が上がっていった過程で調整措置を講じてまいりました。ただ、八年につきましてはさらに上がるということになっておりましたので、これも据え置きにさせていただくということで今日の実情を反映したものにしたつもりでございます。
  38. 井奥貞雄

    ○井奥委員 主税局の立場としてはそのようにお話をされなければ仕方がないというふうに思っておりますが、やはり、今景気回復させて、それぞれの業界、業態が活力を持ってくるというのは、元気の出る税制にするというのは身近なことをやってやらなきゃいかぬというふうに私は思うのです。  不動産業界の方々の声だけを私は申し上げているのではありません。大事なことは、その不動産業界の方々ではなくて、例えば相続税が発生をしますね。おじいちゃんなりおばあちゃんなりが亡くなられた、お父さんお母さんが亡くなられたという不幸なことがありますが、そのときにやはり相続税が、払うときにはかっては路線価で見ていく、あるいはそういうことで、路線価で買えば安く買ったねと言った時代がバブルの時代でありますが、そうではなくて、今売るに売れないということです。  売れないのには二つあるのですね。一つは、やはり路線価が高過ぎるということがあるのです。毎年毎年、一月の一日になれば路線価が下がって いるというのは 土地を持っている人、おじいさんおばあさんとか、あるいはひょっとしたら不幸があるのではないかなといった人は気が気じゃないわけですよ。こういった問題で、そういった不幸なことが起こったときに土地を売って相続税を払う。しかし、その相続税を払うといっても、これは買い手がないわけです。  しかし、物納をしてしまえばこれはちゃんとその路線価でとってもらえる、そして譲渡益課税とかそういったものを支払わなくてもいいんだ、こういうふうな形でありますから、こういった形で物納が非常にふえているというのは、関東財務局にいたしましても、私は千葉におりますが、千葉の財務事務所の方々にしても、これは、チェックをしそれを吸収をしていく、それから管理をするというのは大変なことなんですね。  ですから、私はここにそういった形で全部が吸収できないということと、もう一つは、やはりふだんであればそういう業界の方々がお世話をしてやっていくということでありますけれども、それはもうほとんどが物納になってしまう。かなりそれは時間がかかるわけですよ。時間がかかりますけれども、そういうことなんですね。  ですから私は、土地の下げどまりがどの辺が、これは住専の問題にもひっかかってくるわけでございますけれども、二次損失がどうの、また三次が出るんじゃないかと言っているのは、今よりもまだもっともっと下がっていくのではないかなということでありますが、こういったところをどのように見ておられるのか、お考えをちょっとお聞かせをいただきたい。
  39. 薄井信明

    ○薄井政府委員 大蔵省として、地価の動向といいますか今後の方向について占うということはできないわけなんですが、ここのところのいろいろなデータを見ておりますと、まだ下がっていると思います。特に商業地においては下がっている。また都会地ほど下がっていると思います。一時ほどではありませんが、下がっている傾向にあると思っております。これは、バブルのときに余りに異常に上がってしまったその結果といいますか、ある意味では自然な姿で下がりつつあるのかなと思っております。  この点につきましては、地価の水準が高い方がいいのか低い方がいいのか、いろいろな考え方があると思いますが、少なくとも諸外国と比べると、東京周辺の地価というのはやはりまだ高いのかなと思います。ただし、それを税制で何かしようということではなしに、土地政策全体の中でこれを考えていくべきだと思っております。  そういう意味で、先ほど相続税のお話が出ました、あるいは物納のお話も出ましたが、一方で税金は、当然のことですけれども、額に汗して稼いだそういう収入にも税金はかかるわけですから、単に土地を持っていたということだけで多額の譲渡益が上がる方々について、どれだけの課税、税負担をいただくかというのは限度があるわけでございます。そういう意味で今回、譲渡所得課税につきまして、五年以上お持ちの方は四千万以下であれば二六%、国は二〇%ということです。今所得税は最高税率五〇%ですから、そこのバランスというのはこれでとれたのではないかなと思っております。
  40. 井奥貞雄

    ○井奥委員 大蔵大臣、これは最後は政治論なんですね。税は、やはり半分は理論がきちっとしていなければ、ただいま大蔵大臣も御答弁をされておられましたけれども国民は納得しません。公平、公正で簡素である、そういう長い歴史の中で税体系というのは認められてきたわけであります。しかし、半分はえいやっという政治の力というのがなければいけないというふうに私は思うのでありますが、これだけ土地の流動化というのは、銀行に担保を差し入れているから買いたくても買えないし、売りたくても売れないという状況であります。  私は、これは住専の問題等々でそれぞれまた御質問をさせていただくときがあるというふうに思っておりますけれども、こういった税体系をバブルの前に戻す、二〇%と六%、すべてこれに戻してしまう、こういったことに対してはどういうふうなお考えをお持ちでございますか。——いや、大臣に聞いているのです。
  41. 薄井信明

    ○薄井政府委員 先に御説明させていただきます。  今、譲渡所得についての御質問でございました。平成二年までの譲渡所得課税では、四千万円以下について今回提案しましたような形になっておりますし、また四千万から八千万までは今回提案したようになっております。(井奥委員「八千万以上」と呼ぶ)八千万以上について、おっしゃるように残っておるわけですが、これは先ほど申し上げたように、平成二年に考えました、土地税制はどうあるべきか、土地税制が土地基本法の制定された中でどうあるべきかという中で考えられた哲学でございまして、これは維持していくことが私は適当だと思っております。一井奥委員大臣のお考え方。そんな下請させちゃしょうがないでしょう。私は聞いているのですから答えてくださいよ」と呼ぶ)
  42. 久保亘

    久保国務大臣 今政府委員からお答えいたしましたが、政治の判断、当然、税は法律によって決まるのでありますから、政治の判断が重要であり、そしてそのことに対して政治は責任を負わなければならぬと思っております。
  43. 井奥貞雄

    ○井奥委員 全く理解ができませんね。  まあそんなことで、私も最初連立を組んだときには大変苦労をしたわけでございますから、その件はこれ以上は申し上げませんけれども、主税局長からもちょっとお話がございましたが、地価税につきましては、やはりバブル期においてはこれは何か歯どめをつくっておきたいということでありまして、平成二年ぐらいからこれは議論がぼつぼつ上がってまいりまして、三年にこの税が確定をしていったわけでございます。  しかし、その当時は私ども与党であったわけでありますから、これは〇・二%、〇・五%、いろいろな議論がありました。しかし、私どもはそれを〇・二%にして〇・三%にするとか、そのときは、今はなき社会党と言ったら言葉が過ぎますが、社民党さんは一%にすべきだ、こういったことでのいろいろな御議論をちょうだいをしたという認識が私はあるわけでありますけれども、ここまで地価が動かないし、バブルの再開というのはないというふうに、私はないということは断言はできませんけれどももう皆無に等しいというふうに認識をいたしておりますけれども、この地価税は、私ども新進党が提示したものは三年間は凍結する、このことで何とかひとつ皆さんと一緒にやっていけないかということを御提案させていただいたわけであります。  ちなみに、平成四年度というのは地価税が五千二百一億円、平成五年度は六千五十三億円、六年度が四千八百七十億円、七年度が四千百五十億円、八年度は千七百四十億円という見積もりを、これは八年度でございますから、歳入として見ておられるわけであります。  こういった問題も含めて、〇・三から〇・一五になったというのは、何か足して二で割ったような感じで、これぐらいのことであれば、都市部のデパートを初め、ホテルだとか不動産関係のいろいろな業界、業態の方々というのは、千七百四十億円というのは歳入にとっては大変な問題でありますけれども、それを凍結することによってもっと相乗効果が上がるのではないかな、私はこういうふうに思うのですが、いかがですか。
  44. 薄井信明

    ○薄井政府委員 平成三年の税制改正の際に地価税を御審議いただきまして、平成四年の一月から実施しているわけでございます。その際にも、地価税の負担はどうあるべきかということが大変な議論になりました。御指摘のようないろいろな議論もありました。その中で、やはり保有課税である固定資産税との関係をどう考えるべきかということが一つのポイントでございました。そういうこともありまして、たしか附則だったと思いますが、少なくとも五年以内に地価税については見直しなさいという規定をいただいております。これに沿いまして昨年議論を重ねてまいりました。  一方で、御指摘のように、経済状況がよくないという問題もございました。そういった中で、私ども今回の水準が、地価税を持つことの意義と、それから固定資産税が成長してきているといいますか変わってきている中で、ちょうどバランスのとれるところではないかという考え方をとつたわけでございます。  御指摘のように一来年度、平成八年度は〇.一五にすることによって、たしか税収は千七百何十億ということになるわけで、かってに比べれば極めて低くなっているわけですが、その存在はやはり必要であると私ども考えております。
  45. 井奥貞雄

    ○井奥委員 これはやはり最後は政治判断というのが大変大きいわけでありますから、ぜひともこういった問題につきましては、これは私どもは同じことを繰り返し申し上げていきたいというふうに思っております。  それから、平成三年度の土地税制改革においても、土地の譲渡益課税の強化というのは、冒頭に主税局長が言われましたように、これは平成二年だったでしょうか、土地の公共性の問題ということで、土地が商品として売買をされるというのではなくて、土地は公共のものなんだという土地基本法というものができ上がって、これに着目をして、土地については他の資産や所得に比べて重い負担を求めてしかるべきだというような、これはバブルのころでありましたが、土地神話というのは崩壊されて、この有利性というものがすごく低くなってきたわけであります。  こういったことの、哲学といえば難しくなるのですが、この考え方に沿って、バブル、右肩上がりの時代、景気のいいときというのは、土地が極めて有利な、投機と言っては語弊がありますが、その対象であった時代というのは、土地税制考え方というのは私はわかるわけでありますけれども、このようにバブルが崩壊をしていった中で下落が続いていって、土地税制改革当時の哲学をいつまでも、これは前の質問をぶり返すようでありますけれども、その考え方を引きずっていかれるというのは非常に問題だろうと私は思っておりますから、それだけにこだわらないで、もう少し景気全体を元気よくしていくためにはどうしていったらいいのか。  こういうことも、今までこうやっていてこれだけの税収があったのだから絶対にくわえて離さないというのではなくて、今はこのものを外せばこれだけ減るけれども、このことをやることによってもっとこういうふうに浮揚していくのだという考え方を、主税局のそれぞれの御担当が認識を新たにしてもらわなければいかぬのではないか。もう本当に今までのものを絶対に守っていくんだという、こういう考え方だけでこれからも続いていくというのは、これからの景気対策にいたしましても、経済あるいはまた社会構造というものについて大変問題ではなかろうかと私は思うのでありますが、いかがですか。
  46. 薄井信明

    ○薄井政府委員 今御指摘いただいたような考え方を私どももとった結果として、今回のような土地の取得、譲渡、保有に関してかなり広範にわたる税制改正案を提出させていただいているという認識でおります。  先ほどもちょっと申し上げましたが、やはり税でございます。この税であるということは、ほかの所得ということもあるわけでございますので、そのバランスということも考えながらいかなければならない面はどうしても抜け切れないわけでございまして、そういったことも含めて今回の提案をさせていただいているということでございます。
  47. 井奥貞雄

    ○井奥委員 では、こういった問題、最後に登録免許税。  不動産が、いろいろなものを買いたい、売りたいということがあっても、買ったら登録免許税というのが、これはもう大変なもので約九千億円。八年度は負担軽減率というのは七年度と同じようにという御配慮をいただいたわけでありますけれども、こういうものがかかる。それから取得税がかかる。こういうことで、やはりこれは大変重い税金なのですね。  国にしても約一兆円近い税というのは、すぐにこれを半分にしろとかあるいはこれをなくしてしまえというのは全く暴論でありますけれども、土地が動き、そこに安価に土地が供給されて、五年間の所得で自分の持ち家が持てる、こういうことが、時の海部内閣のときにその公約も一つあったわけですよ。やはり国民皆さんは、土地を持っておられる人というのは、土地が下がっていくというのは楽しいわけはないわけでありますけれども、これから土地を取得して御自分のうちを建てていこうという人は、やはり安いことに悪いことはないわけであります。  こういった問題について、登免税というものは据え置いてはいただきましたけれども、これだけでは不十分だというふうに私は思うのでありますが、このお考え方をちょっと聞かせていただければありがたい。
  48. 薄井信明

    ○薄井政府委員 今御指摘の税収すべてが土地の部分ではないかなとは思うのですけれども、確かに土地の登記に係る登録免許税で税収をちょうだいいたしております。  今回の改正によりまして、公示価格の大体七割と言われております固定資産税の評価に対して、本来ですと五%の登録免許税がかかるところを軽減いたしまして、六割軽減させていただいているわけでございます。その結果、事実上公示価格の一・四%の税負担というふうに計算できます。それで、公示価格自体下がっておりまして、そのことと税負担とは直接結びつかないかとは思いますけれども、住宅の取得につきましては、かなり一時に比べて余裕が出てきている中で、一方、登録免許税だけが上がっていくのはいかがかということで今回手当てをさせていただいているということを御理解を賜りたいと思います。
  49. 井奥貞雄

    ○井奥委員 最後にと申し上げましたけれども、土地のことばかりでこれは終わってしまいそうになるわけでありますから、法人税の問題も。  日本の国というのはやはり、今まで重厚長大という、そういう産業から軽薄短小に移っていったけれども、貿易によって、貿易立国によって日本の国というのは成り立っていっているというのは、これは現実の問題でありますけれども、これは円高だとか、それから法人税とか個人の所得税とか、こういった問題がそれぞれ日本の国以外の国の税制というものが大変安いわけでありますし、ましてや、今中進国とかそれぞれのそういった途上国は良質な労働力がある、加えて税も安い。  こういうことでありますから、ほとんどの大きな日本の産業の中核をなしていた家電だとかそういった問題、それから半導体までが今度はまたアメリカに移っていくということでありますけれども、逆に私は、税というものについては、アメリカの場合は法人税が四一・〇五%、イギリスは三三%、日本は四九・九八%、これは実効税率でありますけれども、こういった問題。それから個人の所得税については、これはアメリカが三九・六%、これは最高でございまして、最低が一五%ということであります。そしてイギリスは四〇%、これは三段階でありますが、最低が二〇%。そして日本が六五%、こういうことでありまして、五〇、一五と、一五%というのは地方税があるわけでありますが、こういった形で、直間比率というものをやはりしっかり見直していきながら、産業も日本の国の中でしっかりと考えて物をつくって、そこで利益を上げたものはそれなりに企業に残るようなことを考えていかないと、全部外国に出ていってしまうということになるわけです。  ですから、貿易収支というのが約千三百億ドル、千四百億ドル、五百億ドルと言われていたものが、今度は千億ドルぐらいのものを切るか切らないかになってきている。こういったことを見ても、貿易収支だけで我々は食っていけるのかどうかということであって、これからもっと広く考えれば、これは金融収支でもやはりこの国が生きていかなければならない。  そこにやはり私は 銀行局長もいらっしゃいますけれども、そういった意味でトータル的にもう一度税というものは、土地税制だけではなくてすべての税というものが、こういった経済構造が変わってきた、産業構造が変わっている、そしてまた社会構造やすべての構造が変わってきたときに、税だけが固定されていくということであれば非常に問題だ、私はこのように思っておりますので、そういったお考えをちょっと聞かせていただければと思います。
  50. 薄井信明

    ○薄井政府委員 おっしゃるように、税制が、一度決まったものをさわらないということではいけないと私どもも思っております。幸い税金につきましては折々に改正をさせてきていただいておりまして、今御指摘の法人税につきましても、ほんの数年前には四三%、四三・三でしたか、そこまで高い税率でございました。現在は三七・五%になっております。そういう意味で、今後とも経済状況日本の置かれている位置づけを考えて対応していかなければいけないと思います。  ただ、その際に考えていかなければいけないもう一つの点は、日本の租税負担率がそれでは高いかということでございます。相対的には日本の租税負担率は、幸いまだ高齢化がそれほど、ヨーロッパほど進んでないということで低いわけでございます。そういった中で、どの税目にどれだけ負担をお願いするかという直間比率の問題ですか、そういうこともあわせて考えないといけない、減税だけでは成り立たないと思っております。  なお、法人税につきましては、平成六年十一月に成立いたしました法律では、所得税と消費税について抜本的に直させていただいております。法人税につきましては平成元年前後の改正でやっておりますが、やや時間がたっております。御指摘のように、少なくとも税率だけを比較しますと相対的に高いということは否めないと思います。その内訳として地方税が含まれているとかいろいろありますけれども、それをトータルで考えたときに税率をどう考えるかというのは今後の検討課題と思っております。  ただし、そのときには課税ベースも一緒に議論しないといけない。課税ベースの勉強をしながら税率は引き下げの方向で今後考えていくというのが政府税調からいただいている方向でございます。
  51. 井奥貞雄

    ○井奥委員 最後に、大蔵大臣、全く別の視点でございますが、京都の選挙結果、どなたがということは申し上げませんけれども、どういうふうにお考えかな。国民が一番怒っているというのは、それは結果を見ずして、六千八百五十億円の税を投入する、このことに尽きると私は思うのです。それから、あくまでも私企業でありますからこれはやはり法的な処置をしながら、母体行の責任だというふうに私は考えているのです。  そして、今も申し上げましたけれども、法的な処置「これもとても大事なことであって、これは自由社会の原則でありますから、この問題について、この京都の結果を見られて大蔵大臣はどのように見ておられ、お考えでございますか。
  52. 久間章生

    久間委員長 大蔵大臣、時間が来ておりますから、簡明にお願いします。
  53. 久保亘

    久保国務大臣 京都の選挙の結果は、それぞれ政党や政治家がこの結果をどのようにお受けとめになるかはその方のお立場によるのだと思っております。ただ、結果としては、私どもが支持いたしました候補者が勝利をしたという結果が残っているのだと思っております。  それから、住専の問題につきましては、法的処理という御意見予算委員会において何人かの方からございました。母体行責任で片をつけるべきだという御意見もございました。しかし、いろいろな御意見は、御発言になりました方々、政党としてまとまった御意見もあったと思いますけれども、それぞれのお立場からの意見の表明であったと思っております。  この段階で先送りを許さず、早期に決着をつけなければならないという立場に立って、大局的な立場からの国家の利益、国民の利益を守るという立場では、政府が提案をいたしましたことをお認めいただく以外にないのではないか。このことについて政府といたしましては、税金を投入することに国民皆さんに対して重い責任を感じながら、その任務を、お約束をいたします任務をきちっと果たすことが重要であると考えております。
  54. 井奥貞雄

    ○井奥委員 国民の怒りというものはそんなに易しいものではないということを申し上げて、質問を終わります。
  55. 久間章生

    久間委員長 次回は、明二十八日水曜日午後六時二十分理事会、午後六時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時五十八分散会