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中村(時)
委員 新進党の
中村でございます。大変夜遅い時間でもありますし、また長時間にわたって皆さんお疲れとは思いますが、持ち時間一時間半、しっかりと質問させていただきたいと思いますので、御了承をいただきたいと思います。
住専問題でございますけれ
ども、この問題は、予算
委員会を中心にいたしまして今日まで議論が重ねられてきております。しかしながら、その議論が重ねられればられるほど、あるいはまた
政府の
答弁を聞けば聞くほど疑問というものが、解けるどころか何か拡大していっているんじゃないか、そんな思いの
国民というのは大変多いと思います。そして私は、個人的にではありますけれ
ども、大変基本的なことなんですが、この議論を聞いておりまして、およそ近代
法治国家における議論なのかな、そんなところまで疑問を感じざるを得ない。なぜならば、近代
法治国家においては、適法性と透明性というものは絶対条件であるはずであります。その二つの尺度も非常に疑問を感じる。
また、入り口の段階でも大変おかしなことが起こっている。予算、支出を先に決めて、後から法案、要綱が出てくるという奇妙な形になっておりますし、また、これは幾度となく
指摘はされておりますが、
政策決定にかかわった
責任者、その方が本来だったら最後まで陣頭指揮をとって国会
答弁にも
責任を持つということが当然だと私は思っておりました。昨年暮れ、武村さんも、
大臣を全うして
住専の課題に取り組むことが
責任だと大見えを切っていたわけでありますから、本来このお部屋には武村さんがいてしかるべきだと思うんだけれ
ども、その方もお見えにならない。入り口の段階からこんなことが起こっているわけであります。
そしてまた、内容に至っては、いまだに、何のために、どのような根拠でという最も基本的なことがまだまだ明確になっていないというふうにも思います。
そこで最初に、この最も基本的なことを確認させていただきたいのです。
手法といたしましては、まず法的な尺度をベースに置かせていただきまして、それから、幾度か、今日のスキームに至るまでには随分変遷がございます。その過程というものを追いかけていきまして、それぞれのステップでだれが得をしたのか、すなわちどこに配慮されてきたのかをだれでもが公平に
判断できる
数字というものを追いかけることによって浮き彫りにしていくのが最も手っ取り早いだろうというふうな観点でお伺いをしていきたいと思います。
そこで、まず最初の尺度をどこに置くのかということでございますが、これはやはり、昨年暮れの、十一月二十一日、
政府・
与党調停案、これはプレスにも出ておりますし、修正
母体行主義というものが初めて出てきたわけでありますけれ
ども、これが起点になるのかなというふうに思います。ただ、ちょっと最初に確認させていただきたいのですけれ
ども、修正
母体行主義というのは全く問題がないのかどうか、それをちょっと確認した後で使うか使わないかを決めさせていただきたいと思います。
我が国の
民事法体系のもとでは、
担保権それからまた特別な先取特権を持つ者以外の
債権者というのは基本的に平等である、こういう原則がございますよね。この原則を厳密に適用した場合、例えばある会社を
債務超過で清算する場合は、まず株主というものが
出資額を限度として
責任を負う、こういうことになるわけであります。株主は、それ以上の
負担をする法的な根拠は、この原則を厳格に適用すればないわけであります。
そこで、
一つ目の疑問なのですが、
母体行、この場合、
住専の株主であります。要は、
債権放棄など
出資以上の
負担を負って会社に
損害を与えたときは、これは下手すると株主代表訴訟にもなるのではないだろうか。すなわち、会社の財産というのは株主に帰属をいたしますので、それをゆえなく正当な保障なくして奪っていくということになりますから、財産権の侵害に当たるということも言えるのかなというふうな思いがする。こういったことは許されないという
立場に立つならば、取締役に
債権放棄の裁量権が本当にあるのかどうか、私は素人ですからちょっとその辺がわからないわけであります。百歩譲ってあるとするならば、大体
三つぐらいの根拠があるのかなと思います。
その
一つは、先週の
参考人招致のときに農中の
理事長さんがおっしゃっておりましたけれ
ども、たとえ整理をしたとしても、
経営に参画をしていた
母体行の持っている
債権はその他の
一般債権と比べると劣後
債権だ、だから全額放棄というのは問題ない、こういうことをおっしゃっていましたけれ
ども、ちょっとそれは無理があるような気もする。
あるいはもう
一つ、法律の世界に子会社の法人格の否認の法理というのがありますけれ
ども、これを適用して、子会社と親会社は一体だ、全
責任を負え、こういうやり方もあるのかなと思いますが、この場合、
住専は一〇〇%子会社ではありませんから、これもちょっと無理があるのかな。
そうすると、単に
経営者が全額
債権放棄というものを
決定すれば、株主代表訴訟の問題はこれは彼らの話でありますから別でありますが、それでこの全額放棄というのは可能なんだということになるのかなと、
三つぐらいなのかなと思うのですが、その点に関して、ちょっと法務省、見解をお伺いしたいと思います。