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1996-03-27 第136回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月二十七日(水曜日)     午後三時十三分開議 出席委員   委員長 北村 直人君    理事 金子原二郎君 理事 金田 英行君    理事 古賀  誠君 理事 古賀 一成君    理事 東  順治君 理事 山本 幸三君    理事 細谷 治通君 理事 鳩山由紀夫君       麻生 太郎君    稲葉 大和君       衛藤 晟一君    自見庄三郎君       細田 博之君    村上誠一郎君       横内 正明君    渡辺 省一君       愛知 和男君    愛野興一郎君       高木 義明君    野田  毅君       弘友 和夫君    岩田 順介君       緒方 克陽君    古堅 実吉君  出席国務大臣         通商産業大臣  塚原 俊平君  出席政府委員         通商産業大臣官         房長      中川 勝弘君         資源エネルギー         庁長官     江崎  格君         資源エネルギー         庁石炭部長   佐瀬 正敬君         労働政務次官  坂井 隆憲君         労働省職業安定         局高齢障害者         対策部長    坂本 哲也君  委員外出席者         運輸省航空局飛         行場部計画課長 坂井 利充君         商工委員会調査         室長      石黒 正大君     ――――――――――――― 委員の異動 三月二十七日  辞任         補欠選任   山崎  拓君     稲葉 大和君 同日  辞任         補欠選任   稲葉 大和君     山崎  拓君     ――――――――――――― 三月二十六日  石炭鉱害賠償等臨時措置法の一部を改正する法  律案内閣提出第一六号) 同月十三日  鉱害復旧促進実施に関する請願岩田順介君  紹介)(第三七三号)  同(岩田順介紹介)(第四四二号) 同月十九日  鉱害復旧促進実施に関する請願北橋健治君  紹介)(第五四四号)  同(東順治紹介)(第五四五号)  同(古堅実吉紹介)(第五九二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  石炭鉱害賠償等臨時措置法の一部を改正する法  律案内閣提出第一六号)      ――――◇―――――
  2. 北村直人

    北村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出石炭鉱害賠償等臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。塚原通商産業大臣。     ―――――――――――――石炭鉱害賠償等臨時措置法の一部を改正する法  律案    〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 塚原俊平

    塚原国務大臣 石炭鉱害賠償等臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  行政の減量化を図り、鉱害復旧事業法期限である平成十三年度末までに終結させる体制を強化するとの観点から、石炭鉱害事業団と新エネルギー産業技術総合開発機構統合するため、今回、石炭鉱害賠償等臨時措置法の一部を改正する法律案提案した次第であります。  次に、この法律案要旨について御説明いたします。  第一に、石炭鉱害事業団を新エネルギー産業技術総合開発機構統合することとし、従来石炭鉱害事業団が行っていた鉱害賠償等の円滑な実施及び鉱害計画的な復旧のための業務を新エネルギー産業技術総合開発機構に総合的に行わせるとともに、石炭鉱害事業団を解散することといたしております。  第二に、機構の組織の変更等につきまして、機構に置く役員数等を改正するとともに、特殊法人財務内容の公開の観点から、財務諸表等を新エネルギー産業技術総合開発機構の各事務所に備えつける等の所要改正を行うことといたしております。  以上が、この法律案提案理由及び要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 北村直人

    北村委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 北村直人

    北村委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩田順介君。
  6. 岩田順介

    岩田委員 社民党の岩田であります。  稼働する石炭事業がさんざんになってまいりました。しかし、重要な課題でありますし、石炭政策並びに旧産炭地地域振興も含めまして、大臣には御努力いただいている点をまず感謝申し上げたいと存じます。  早速、提案をされました法案について幾つ質問をしたいと存じます。  まず第一点は、今回の賠償臨時措置法改正案でございますが、この改正によって、石炭鉱害事業団を解散させる関連する法律もあわせもって行おうとしているわけであります。つまりこれは、今お話にもございましたが、平成十三年度までに累積鉱害の終結を国としてはさせるということであります。  事業団NEDO合併一元化をするわけでありますが、だとすれば、平成十四年度以降にはこの事業団職員雇用問題というのを一体どういうふうに通産省としては考えておられるのか。今回の場合はいろいろ背景がございまして一元化をするわけでありますが、一般的に企業の場合でも対等合併だとか吸収合併だとかいろいろありまして、きちんとしておかないと、合併のときの諸要件の具備がなされていないためにさまざまな問題が起こったことが過去にもございます。  まずこの点について、平成十四年度以降どうなさるというお考えがあるのか、通産省のお考えをお聞きしておきたいと思います。
  7. 塚原俊平

    塚原国務大臣 平成十三年度末以降の雇用に対します心配、不安があるということは認識をいたしております。  今回の統合によりまして、石炭鉱害事業団職員がすべてNEDO雇用されることとなるわけでございますが、平成十三年度末の石炭鉱害復旧事業完了後の職員雇用のあり方については、まずその時点で、NEDO業務状況等にもよることから、その状況を踏まえて対処すべきものと考えております。  現在の石炭鉱害事業団職員の将来の雇用については、直接の雇用者としてのNEDOはもちろん、通産省としても誠心誠意対処してまいる所存でございます。
  8. 岩田順介

    岩田委員 大臣も御承知と思いますが、これまで事業団職員は長きにわたって鉱害復旧に携わってまいりました。鉱害復旧歴史が相当長くなっておりまして、単に長いだけではなくてさまざまな曲折がございました。大変苦労してきているわけであります。十三年度末に至って再度皆さんの胸中に不安が起こらないように、ぜひとも通産省としての適切な対応といいますか、万全な対応をお願いしておきたいと存じます。  二点目の問題は、平成十三年度までに累積鉱害処理を終結させるということになるわけでありますけれども所要人員の確保は当然必要であります。今回の統合時において、石炭鉱害事業団職員その他臨時職員もございます。当然のこととは思いますが、確認のためにお伺いをしておきます。彼らを解雇したり退職させるということがあってはならないと思うのは当然でありますけれども、この点についての御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  9. 佐瀬正敬

    佐瀬政府委員 御答弁申し上げます。  統合時の職員の大事につきましては、第一義的には当然のことながら鉱害事業団及び新しく引き継がれますNEDOが決定する事項ではございますが、統合時の職員の解雇は一切行わない方針であると承知をいたしております。
  10. 岩田順介

    岩田委員 ありがとうございました。ぜひともそのような方向で御努力をいただきたいと存じます。  次に、同種の問題でありますが、改正法案の附則第二条第一項におきまして、その一切の権利及び義務は、そのときにおいてNEDOが承継する、こういうふうに記載をされておるわけであります。  石炭鉱害事業団労働組合事業団労働協約などについて締結をされておると思いますが、ここにも書いておりますように、NEDOが承継するというふうになっております。当然そういうふうになるものだと私は考えておりますけれども、この点についての御見解を賜っておきたいと存じます。
  11. 江崎格

    江崎政府委員 お答えいたします。  今の先生の御指摘は、両法人職員待遇の問題かと思いますが、まず現行待遇に比べて不利益にならないようにするということを基本方針にしたいと思っております。これから両法人間におきまして、例えば給与表をどうするかとかあるいは諸手当の扱いをどうするかというような細かい調整が行われると思っておりますが、先ほども申し上げましたように、現行より不利益にならないということを基本方針にして調整するというふうに承知しております。
  12. 岩田順介

    岩田委員 二〇〇一年までの鉱害復旧処理完了に向けた業務処理体制の整備を図る、重複する業務部門の整理による減量化を目指すということにもなっておりますが、鉱害処理を効率的に進める、これが大きな目的であることは言うまでもありませんね。大臣を初めお答えをいただきました。だとすると、いわゆる一元化するとなりますと、そこにやはり労働条件その他の条件がいささかでも食い違っていると、これは効率的に進めるというどころか、かなり非効率な面が起こる可能性もありますし、極めて重要な点だろうというふうに思いますので、今御回答いただきましたけれども、再度心して進めていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  そこでこの際、幾つ鉱害問題についてお尋ねをしておきたいと思いますが、あと五年、六年を切りましたね。果たしてこの累積鉱害残存鉱害量がどれくらいあって、どういう進捗状況なのかということを伺いたいと思います。  まず、農地の場合などは、復旧をした後三年間、復旧効果というか確認をするために三年間、これは早めておかなければならないというふうに定めてございまして、そうするとあと幾ばくもないわけであります。農地、宅地、その他公共物件というふうにあると思いますが、大まかで結構ですが、進捗状況についてお伺いをしたいと存じます。  それから、私は福岡の出身で、大変鉱害が集中をしておるところでありますが、福岡だけじゃなくて山口熊本佐賀長崎というふうに残っている鉱害県がございますけれども、そういう各県の状況についてもひとつ触れていただきたいと存じます。
  13. 佐瀬正敬

    佐瀬政府委員 御答弁申し上げます。  まず全体の話でございますが、鉱害法に基づきまして処理すべき鉱害の量でございますが、これは先生よく御存じのとおり、平成四年十二月に定めました鉱害復旧長期計画、三千九百億円ということに見込まれておる次第でございます。その後、年々復旧実績が上がってきておりまして、平成四年度から六年度まで三年間で、トータルで千二百億円程度復旧をいたしております。一応着実な進展を見ているというふうに私ども評価をいたしているところでございます。  続きまして、工種別進捗状況でございます。復旧実績平成四年度から六年度までの三年間でございますが、農地につきましては約四百七十億円、公共施設につきましては八十億円、家屋につきましては六百四十億円、先ほど申し上げました計一千二百億円ということになるわけでございます。  御指摘のとおり、平成四年度まで農地鉱害復旧が若干低迷をしていた嫌いがあるわけでございますけれども平成六年度には二百二億円まで、ほかの工種に大体並ぶところまで進捗をしております。  また、先生指摘のように、農地につきましては三年間程度様子を見る必要があるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、平成十年度までに農地については累積鉱害の一掃を図るという方向でやらせていただいている次第でございます。  また、最後に各県別状況につきまして御指摘がございました。  簡単に申し上げさせていただきますと、平成七年度までに岩手県、宮城県、山形県、福島県、茨城県、愛知県及び岐阜県の七県につきまして、累積鉱害が既に解消した、いわゆる終了宣言を行っております。また、実は三月二十八日、明日でございますけれども熊本県につきまして終了宣言の公示をする、こういうような状況に相なっております。  残る四県でございますが、山口県につきまして、現在最後案件に取り組んでおりまして、平成八年度の早い段階累積鉱害の解消を図るという方向でございます。佐賀長崎両県につきましては、平成八年度中を目途にただいま最後の追い込みをしているところでございます。  御指摘福岡県でございます。これが累積鉱害相当量を抱えているわけでございますので、計画期間の後半、あと五年有余ということでございますが、同県の鉱害復旧に集中できる体制をつくっていきたい、大体概要はこんなような状況に相なっております。
  14. 岩田順介

    岩田委員 相当部分福岡で残るわけですが、家屋農地のバランスというか状況というのはどうなっていますか。
  15. 佐瀬正敬

    佐瀬政府委員 全体の数字から申し上げたいと思います。  先ほど三千九百億と申し上げましたが、その内訳でございますが、農地が千九百億、公共施設が三百億、家屋等が千七百億ということでございまして、大体この工種別内訳は、そのパーセントはどこの地域でも似たような形でございます。
  16. 岩田順介

    岩田委員 今御回答いただいたのは、進展状況はまあまあということでありますが、もう一つの側面において、有資力石炭鉱害復旧はどうなっているかという問題がございますね。純粋な有資力、その他の有資力ございますけれども、純粋な有資力、これはどういう社が残っていて、進捗状況についてはいかがでしょう。
  17. 江崎格

    江崎政府委員 お答えいたします。  有資力関係の主なものは、三井古河関係だというふうに思っております。この案件は確かにかつてはややおくれぎみという感じもございましたけれども平成四年度以降、復旧費実績は年々増加基調にあるというふうに私ども見ておりまして、着実に進捗しているというふうに評価しております。  この両社の場合、特に彦山川右岸左岸に大型の農地案件を抱えておるわけでございますが、これにつきましても、ほぼ被害者同意を最近に至りまして取りつけたという状況でございますので、今後こうした農地鉱害復旧も急速に進むというふうに私ども見込んでおります。
  18. 岩田順介

    岩田委員 基本的には十三年度中にすべてを終了させるという理解でスタートした改正法だったですね。  それで、今御説明をいただきましたのは、順調だというのは十三年度に終わるという見通しをおっしゃったと思いますが、私が聞き及びますところによると、三井古河というのは双方二百億程度事業が残っているというふうに聞いておりますけれども、そういう理解でいいのか。十三年度中に一緒にフィニッシュすることが非常に望ましいし、そうでなきゃならぬと思いますが、そこをちょっと御説明いただきたいと思います。
  19. 佐瀬正敬

    佐瀬政府委員 御答弁申し上げます。  三井古河の件でございますけれども、現在残存しておりますのは、先生指摘のとおり、ラウンドで申し上げまして両社とも大体二百億前後ということでございます。
  20. 岩田順介

    岩田委員 関連してちょっとお聞きをしておきたいと思います。  三井三池鉱業所が閉山するのではないかというのが昨年の暮れから何度かマスコミに登場いたしますね。石炭部長にもその際にお会いをいたしましたが、そういうことはないという御返答でありまして、我々はそれを信じているわけであります。しかし、現地は相当危機感を抱いておりまして、御承知のように、市長初め要請行動展開をされたわけであります。  これはこれとして石炭を守っていただかなきやなりませんけれども、きょうは鉱害問題ですから鉱害に関連をして言いますと、今石炭を掘っているからいいですよね。石炭が出ているわけですよ。ところが、石炭が終わってしまいますと、終わることを願っているわけじゃないですよ、もちろん継続していただきたいのでありますが、もし近年中にこの石炭が終了する、採掘をやめるとなりますと、鉱害問題にも多少ならず影響が出てくるのではないかというのが常識的な考えだと思いますね。そういう状況にならないように我々は希望いたしますし、また要請もしておきたいと思いますが、この点について何か御見解ありますか。
  21. 江崎格

    江崎政府委員 私どもとしましては、現段階三井三池の閉山の問題につきまして全く何も聞いておりませんけれども、この鉱害処理の問題について申し上げますならば、いかなる事態になろうとも鉱害処理について支障がないように全力を尽くしたい、このように考えております。
  22. 岩田順介

    岩田委員 ぜひ地元の熱い要望をひとつお酌み取りをいただきたいと存じます。  次に、先ほど長官の方からございました、つまり彦山川右岸左岸ということも含まれると思いますが、さきの法律改正で、鉱害復旧促進連絡協議会という新しい鉱害復旧のためのスキームができましたね。これはかなり議論になったわけですね。彦山川のことは若干お聞きをいたしておりますが、二年有半になりますけれども、どういうふうに連絡協議会がいわゆる作動といいますか動いているか、実際どういう効果があったのか、ちょっとお聞きをしておきたいと思います。
  23. 佐瀬正敬

    佐瀬政府委員 御答弁申し上げます。  平成四年の臨時石炭鉱害復旧法改正によりまして、復旧法第五十六条の二という規定ができております。これは従来、計画進捗できない、個別の被害者等同意がとれないような場合に、五十六条の二に基づきまして、関係者意見をお聞きした上で復旧対象から除外することができるような規定が新設されたわけでございます。  新設当時、いろいろ御議論はあったということも承知をいたしておるわけでございますが、この制度を円滑に運営をいたしますために、今先生から御指摘ございました鉱害復旧促進連絡協議会という場を新たに設けまして、関係事業団施行者、通産局、農政局、それから地元の自治体、そういうような方々の意見を、共通認識をつくり上げるというような制度をつくっているわけでございます。  この結果といたしまして、ほとんどの耕作者復旧を望んでいるにもかかわらず一部の方が不同意でどうしても復旧が困難である地域について、その部分を別の賠償制度にして、それ以外の部分について復旧をするといったような方法をとれるようにしたわけでございますが、私ども、この制度運用自身は非常に慎重にいたしているわけでございますけれども、今先生から御指摘ございましたように、平成六年度には彦山川右岸農地につきまして、七年度には同左岸農地につきまして五十六条の二を適用し、その前には鉱害復旧促進連絡協議会の検討を踏まえて基本計画職権修正をいたしまして、基本計画同意が得られないものを除いた部分についての復旧に着手をする、こういったような手段を講じておる次第でございます。
  24. 岩田順介

    岩田委員 同意、不同意という問題になるわけでありますが、鉱害問題ではさまざま歴史の変遷がございまして、その中でごね得を許しちゃならぬというのはこれは鉄則なんです。それから、もう一方では泣き寝入りを見過ごしてもならぬことははっきりしているわけですね。  今連絡会議のことをお聞きをいたしましたが、こういう体制をとって進めなければ点も面も進まないという議論の上でこういう体制をとっていったのでありますが、いわゆるNEDO事業団統合をして促進をするという前提があるならば、やはりフィニッシュをする十三年度末には、泣き寝入りがない、完全にきれいに終わったということが望ましいわけでありまして、またそうでなければならないわけでありまして、体制の強化ということを考えれば、ぜひ一層の御尽力と御努力をお願いをしなければならぬ、こういうふうに思っております。  それから、これは要請でありますが、産炭地域の現状が一体どうなっているかということにつきましては、この法律改正のとき以来、産炭地域振興のための実施計画、具体的なあの計画というものを通産大臣のもとに策定をいたしまして、六条地域を中心に今現地では展開をしているわけであります。  展開をしている内容を中間的なものを見ますと、何百とあるわけですね。何百とあるわけでありますが、進んでいるものは一〇〇%を超えて完成をしているものもあります。あと一息頑張れば一〇〇%にいくという八〇%台も相当ありますね。さまざまでありますけれども、この計画自体を総合的に統計的に見ますと、これは成功する可能性を非常に今持っていると思います。  ところが、残念なのは、心配なのは、筑豊にそういう計画が進行していますけれども雇用の面を見るとこれが進まないのです。むしろ横ばいか、職業安定所別に見ますと若干の差異はありますが、全国的にも九州圏内を見ても非常に低位にあることは言うまでもないわけです。これが倍も三倍もとは言いませんけれども、漸次上がっていく、いわゆる計画が進行する過程で上がっていくということを期待して各般の計画をつくってきたわけですね。これがそうなっていないではないか、平成十三年度末にやはり状況は変わらなかった、とりわけ雇用が低下しておったということを心配するわけですね。  通産大臣には、中間的な見直しというか総括をするお気持ちでぜひ一度進捗状況を検証いただいて、なお一層産炭地振興が所期の目的どおり進みますように、私から期待というか要請をいたしまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  25. 北村直人

  26. 古賀一成

    古賀(一)委員 新進党の古賀一成でございます。私は、今稼行炭鉱として残っております大牟田、これは最大の稼行炭鉱でございますが、ここを地元とする国会議員としまして、今回の法改正につきまして質問をさせていただきたいと思います。  まず第一点目でございますが、今予算が審議されております平成八年度、これが終わりますと、いわゆるポスト八次策あるいは新しい石炭対策というものはちょうど折り返し点、五年間を経過するわけでございますが、この中にあって一つのキーワードといいますか、新しい石炭対策の柱でもございましたいわゆる新分野開拓あるいは経営多角化という問題につきまして、特に焦点を絞って聞きたいと思うのです。  今岩田議員の方から、もう一つの柱でございます残存鉱害復旧という問題の御指摘がございましたけれども、私は、経営多角化新分野開拓という問題について聞きたいわけでございます。  今申し上げましたように、これは新しい石炭対策の大きな理念でもあり、戦略でもあり、柱でもあると思うのでありますが、この四年余の経過の中でどれだけ経営多角化あるいは新分野開拓というものが進んできたのか、またそれをどう評価しておられるのか、まず政府の方にお聞きをいたしたいと思います。  それに関連しまして、これはぜひ通産大臣にお聞きしたいわけでございますが、経営多角化というのは、石炭産業というか企業多角化をしていけ、あるいは新分野を開拓しろ、基本的にはそういうことで構成されると思うのでありますけれども、何せ経営がうまくいかないという中で企業にそういうものを求めるというか、あるいはあちらからの申請ベースでそれにこたえてやりましょうという程度だけでは、恐らくこれは絵にかいたもちに終わるのではないかという危惧も私は大変持っわけでございます。  今後、残り五年余あるわけでございますが、やはりこれだけ国策に寄与してきた産業、しかもかなり広がりを持つ産業でございまして、これが今こういう状況になっておるということから見て、むしろ政府企業のみならず地域に対してももっと積極的に新分野開拓あるいは経営多角化に関与をしていく、こういう基本的な理念というものがなければ、これは実は平成十三年を迎えたときに、いや残念ながらなかなかうまくいかなかったということに終わるのではないか、そういう危惧を私は強く強く持つわけでございます。  この点につきまして、大臣の御所見をお伺いをいたしたいと思います。
  27. 塚原俊平

    塚原国務大臣 私は、常磐炭鉱地域で今のお話をずっと実践をいたしてまいりました。非常にうまくいった地域だというふうに思っておりますが、現実に、そのときは結構高度経済成長の時期でございまして、それぞれの炭鉱あるいは炭鉱に関連する方々も非常に活動しやすいような状況の中にございました。そういった中では、現在は全体的に時代的には厳しい時代ではないのかなというような気がいたします。  昨年、一昨年、愛野先生等が中心になりまして、閉山対策などもかなり苦労をされて立派なものをつくり上げられたというようなことも伺っております。ただいま古賀先生の方から私にあえて御指摘がございましたのは、そういう厳しい時代であるからこそこれはおまえに聞いたのだというようなお話になってくると思いますので、御質問趣旨を十分に体しまして、私どもさらに努力をいたしてまいりたいと思います。  具体的なことにつきましては、政府委員の方から答弁をいたしたいと思います。
  28. 佐瀬正敬

    佐瀬政府委員 御答弁申し上げます。  先生指摘のように、ポスト八次の新しい石炭政策の目玉でございます新分野開拓あるいは経営多角化進捗状況でございますけれども新分野開拓事業につきましては、平成四年度以降、三井、太平洋、松島、住友及び北炭の五つの石炭会社グループ合計五十六社、七十五件の計画大臣承認をいたしております。平成四年度から六年度までの三カ年度におきまして、五十五事業につきまして総額二百五十七億円の投資が既に行われているところでございます。  これらの事業による雇用創出効果は、計算の仕方がいろいろあるわけでございますけれども、数百人規模以上の雇用の創出効果があったというふうに計算をいたしております。もちろん、事業ごとに収益、雇用の吸収力についてばらつきが見られるのは事実でございますけれども、これまでのところ、立ち上がり三年といたしましてはおおむね順調に開拓が図られていると認識をいたしております。
  29. 古賀一成

    古賀(一)委員 私は地域差が確かにあるのではないかと思いますが、今申し上げました私の地元の大牟田で申し上げますと、三月五日にも大市民大会がございました。存続を求める決議あるいはいわゆる産炭地振興対策を求める決議というものがございまして、十万人を超える署名もあったやに聞いております。  今順調に推移しているというお話もございましたけれども、私の地元での実感といいますか、こういうものを見る限り、新分野開拓は、石炭産業はなかなかうまくいかない面もあるけれども、次なる何かが生まれてきたぞという感覚にほど遠い感じを私は持ちますし、市民の皆さんあるいは地域そのものもそういう感じを持っていると思うのですね。これは、単に石炭対策あるいは産炭地あるいは稼行炭鉱地域だけの問題じゃないと私は思うのですね。  今塚原通産大臣からお話がございましたように、日本経済そのものが今まさに過渡期ではないか。峠を越えて縮小といいますか、どうなっていくのだろうという心配が満ち満ち始めたころでありますし、現に雇用そのものも、日本全体でとってもままならない、こういう状況の中でのこういう問題でございまして、今回法律が出ております石炭鉱害賠償等臨時措置法改正、つまりNEDOへの統合というもの、こういう一種の次の時代へ向けて縮小をしていく準備といいますか、そういうものと、新しい分野への対応新分野開拓あるいは経営多角化とは裏腹の関係だと私は思うのですね。ところが、実感としては、どっちが表でどっちが裏かわかりませんけれども、何か縮小していく部分は着々と進んでいく、堀は埋められていくけれども、新しい分野はまだ着実な歩みが見えないという心配を私は強く持っております。  私は、この際、ちょうど間もなく半期を迎えるわけでございますが、これを機に政府が日本経済そのものが抱える問題のいわば右代表だという気持ちでリーダーシップをぜひ発揮してもらいたい、かように思うわけでございます。先ほど大臣の答弁で、常磐地域の経験を踏まえましての大臣のお気持ちの表明がございましたので、それはそれで本当によろしくお願いをいたしたい、こう申し上げたいと思います。  次でございますが、もう一つの今度の新しい石炭対策のキーワードの一つでもございますいわゆる国民経済的役割と負担の均衡点、こういう言葉がございまして、この十年を最後にその均衡点を見出すということに相なっておるわけであります。  このポスト八次策が審議されましたときは平成三年度であったわけでございまして、今の日本経済の状況とは全く違う状況の中で我々もこの対策に臨んだわけでございますが、今にして思えば、これだけ日本の経済がどうなるのだろうという状況の中で、もう一回均衡点とは何ぞやというものをそろそろ明らかにすべき時期じゃないだろうか、私はかように思うわけでございます。  いわゆる均衡点で日本の出炭といいますか、石炭産業の水準を決めるといいますか均衡させる、こういうことでございまして、その概念は国民経済的役割と負担の均衡点ということでございますが、これは具体的にどういう様相を考慮して決められていくのか、そろそろ私はその基準を通産省の方からお聞きしたいと思います。この点いかがでございましょうか。
  30. 佐瀬正敬

    佐瀬政府委員 御答弁申し上げます。  やはりこれも、ポスト八次策の非常に大きな課題の一つでございます国内炭生産の役割と国民経済との調整をどうするかという問題でございますけれども、国内炭のエネルギー政策上の役割、これは先生指摘のとおりでございまして、第八次の石炭政策当時と比べれば縮小しているということは残念ながら事実ではございますけれども、また逆に、今後我が国において、石炭需要とこれに対応した安定供給の確保の必要性というものも非常に大きいわけでございます。そういう意味では、国内炭に積極的に評価すべき分野が存在するというふうにも私ども認識をしておりまして、この点につきましては、先生のお考えと同じであると理解をしているところでございます。  他方、国内の石炭鉱業、これも御案内のとおりでございますが、円滑な構造調整を実現するために諸般の財政的な支援を行っているわけでございます。一方、いろいろ円高でございますとか内外炭価格差が拡大していく、そういうような中において、各石炭鉱業におかれては懸命な構造調整努力が続けられているということでございます。反面、その構造調整努力を前提としつつも、それを支える国民経済的な負担というのは依然として大きいというのも、これもまた事実として認識せざるを得ないと理解をしている次第でございます。  こういうようなことで、国内炭維持の均衡点をどこに求めるかということでございます。これは最終的な石炭鉱業の姿がどうなるのかということでございますけれども、いわばエネルギー政策上の石炭の位置づけを、国内石炭鉱業の構造調整の進展でございますとかあるいは諸般の石炭鉱業を取り巻く状況を総合的に勘案しつつ、さらに検討していくべき課題ではないかと思う次第でございます。
  31. 古賀一成

    古賀(一)委員 私が質問したことと、答えがちょっと期待したものと違うわけでございますが、積極的な役割もある、それを評価しつつ今後総合的に検討していくのだということでございます。  先ほども申し上げましたように、このポスト八次の中で、空知炭鉱が閉山する、NEDO石炭鉱害事業団統合されていく、そういうものが着々と進んでいくわけですね。それで、あと五年余あるいは六年たって終わったときに、実際はもう命が尽きてしまって、実際に見てみたら均衡点は、そろそろ均衡点を決めようと思ったけれども実際はなくなっているじゃないか、そういう話になるのではないかというのを私は大変恐れるわけです。  ドイツはまだ今でも億トンの単位で石炭安全保障といいますかエネルギー安全保障の見地から掘っておるわけですね。それで使っているわけです。  私は、これはもう質疑をしても時間がございませんので質疑になりませんけれども、申し上げたいのは、やはり長期的な視点ですね、長期的な視点で考えてほしい。それでエネルギー安全保障というのもしっかり入れてほしい。  それは、稼行炭鉱地域を救うとかどうのこうのじゃなしに、日本のエネルギー政策として通産省は毅然と、電力会社が内外価格差が三倍あるじゃないか、二・五倍あるじゃないかという論議だけじゃなくて、長期的な視点あるいはエネルギー安全保障の視点、技術保全の視点、そういうものを本当に真剣に考えていただいて、これを推移に任せて、結果として均衡点はこのぐらいでしたということじゃなくて、もうそろそろ私は通産省として検討をして出すべき時期じゃないかと思います。  大体日本というのは、これまで、バブルもそうでございますが、短期的な利益追求主義ばかりやったことは全部失敗しているわけです。アメリカのビルを買った話もそうです。不動産投資もそうです。ことごとくそういうふうに、この十年、十五年、短期的な利益追求主義でやったことは後で全部失敗していると見るべきだと私は思うのです。  そうしますと、このエネルギー、これは大変重要なことでございまして、単なる内外価格差云々ということじゃなしに、総合的な視野から、日本経済の一つの基幹でございますから、基幹というのは根本ですね、エネルギーというものは根本ですね、ぜひともそういう視点からお考えを願いたい。  昭和五十四年の第二次オイルショックのとき、私も役人をやっておりましたけれども、あのときはエネ庁を中心に、代替エネルギー開発、もう次の世紀の日本のエネルギーが危ないということで、あれだけの情熱を持って通産行政は国民に訴えたわけでありまして、私は、そういう気迫というか気概を持って訴えてほしい、検討してほしい、かように要望を申し上げます。  それで、もう時間がなくなってまいりましたけれども、次の質問でございます。  今度、NEDO石炭鉱害事業団合併といいますか、合併じゃなくてこれは吸収ですね。そういうことで、実際工事業団がなくなる、解散をするということになったわけでございますが、NEDOはどちらかといえば新エネルギーあるいは新技術開発、こういうことでスタートした。事業団はどちらかといえば過去の鉱害に対する復旧を担う、こういうことで来たわけでございます。  私は行政改革のニーズもわかりますからとやかく申し上げませんが、こういうふうになった。それはそれでいいわけでありますが、私はこの際、いわゆる産炭地域というものを舞台に、NEDOが持つ新しい技術、新しい産業開発という次の時代へ向けた対応を今後展開していくということをぜひ今度の統合を機に考えるべきじゃないだろうか。鉱害復旧はこっちのセクション、技術開発はこっちのセクション、それは生い立ちも違うし、たまたま一緒になったという発想ではなくて、私はこの際、NEDOというものを何でもかんでも行政改革の受け皿にするということでもいけないわけでございますし、ドイツ語で言えばアウフヘーベンと言うのでしょうか、このNEDO事業団統合を機に、産炭地域を中心に新しい日本産業起こしといいますか、そういうものに挑戦していただきたいと思うのです。  ちょっと具体的に申し上げますと、我々こっちの理事三人で議論したことに、今後、例えばNEDOが行っておる廃棄物の処理エネルギーに転換していくという話もございます。こういったものもぜひ産炭地域あるいは稼行炭鉱地域に、NEDO事業としてやっておるわけで、そこに事業団も今度一緒になったわけでありますから、積極的にそういうものを持ってくる、こういう発想をぜひとっていただきたいと思うのです。  こういうふうな私の基本的な方向といいますか、そういうものについて、御所見をお伺いいたしたいと思います。
  32. 江崎格

    江崎政府委員 NEDOの行っております新エネルギーの開発の導入ですとかあるいは福祉機器などの開発の新産業技術の研究開発の問題でございますけれども、最近、NEDOのこうした業務地域との関係を持ちながら展開しているという傾向でございまして、今後とも私どもこうした傾向をこうした流れに沿って考えていく必要があると思っております。  今回の統合に際しましても、こうした新エネルギー技術の開発などの業務を強化したいと思っておりまして、NEDOの九州支部の中に開発業務部というのを新たに設けたいというふうに思っております。従来、こうした業務は九州支部で一課の体制でやっておりましたけれども、今度、部を新設しまして、その中に二つの課を設けるということで体制を強化いたしまして、その中でこうした新エネルギーの開発ですとか、あるいは新しい産業技術の開発といったようなことを進めてまいりたい、このように思っております。
  33. 古賀一成

    古賀(一)委員 時間も来ましたので終わりますが、たった二十分でありましたけれども、私が申し上げたかったことは、やはり行政というものは、えてしてセクショナリズムといいますか、もっときつい言葉で言えば、おらが担当のところというふうにどうしてもタコつぼ化するんですよ。ところが、日本経済の今の実態を見ますと、各省庁の縦割りだけで解決しようと思っても解決できない。国民的なニーズの高い、とりわけ新分野開拓とか新しい分野ほど省庁を超えた、いわば融合ですね、このNEDO事業の中にも政策融合という分野があるわけでありますけれども、私はそういうことが一番求められていると思うのですね。したがいまして、私は、産炭地域を舞台にこういう発想で事業展開していただきたい。  もう一点、実は、その具体例として、九州有明空港というものをその政策融合の一環としてという質問もしたがったわけでございますが、これは次の機会に譲ってぜひ質問させていただきたいと思いますので、ここで終わりたいと思います。  以上、ありがとうございました。
  34. 北村直人

    北村委員長 山本幸三君。
  35. 山本幸三

    ○山本(幸)委員 新進党の山本幸三です。  まず最初に、このたび石炭鉱害事業団NEDOに吸収されることになったわけですが、そこで産炭地現地では、一番心配していることは、そのことによって、まさに鉱害復旧事業がしっかり行われることが心配ないようにできるだろうかということだろうと思います。この点について、NEDOという大きな組織に吸収されたがために今後の鉱害復旧事業が阻害されることがないようにしてもらわなければなりません。  そしてまた、この鉱害復旧事業というのは、実際のケースは非常に個別的なケースになるわけですけれども、そこで問題になるのは、その地域あるいは集落等では、どうしてあの人のところはできて私のところはできないのだろうかというような話がかなり出てきて、そのことがまたその集落あるいは地域の中の社会問題になりかねない。そういう意味で、こういう復旧事業をやるときは公平感を損なわないようにするということが非常に大事なことだろうと思うのです。  そこで、NEDOに吸収されるとしても、今後とも復旧事業は積極的に行っていただく、そしてまた、その際には公平を期すということを非常に重視してやっていただきたいというふうに思いますが、その点についての所感をぜひお伺いさせていただきたいと思います。
  36. 佐瀬正敬

    佐瀬政府委員 御答弁申し上げます。  石炭鉱害復旧事業につきまして、公平感というのは非常に重要だという御指摘でございますが、そのとおりであるという認識でございます。石炭鉱害事業団も、またNEDOの方におきましても、そういう御指摘を踏まえまして、今後とも一層公平感のある、これが一番大事なことでございますので、復旧事業を懸命にやっていくということになってまいると思います。  鉱害事業団NEDO、二つの事業、それぞれ鉱害処理業務実施をいたしております。今回の統合に当たりまして、鉱害本部をNEDOに設置をいたしまして、今まで両法人に若干分かれておったような部分があるわけでございますが、その辺の業務を一体的に実施するということにしておりますので、これによって、一般の被害者の方から見た鉱害処理の円滑化、迅速化というのが一層達成されるのではないかというふうに理解をいたしております。
  37. 山本幸三

    ○山本(幸)委員 積極的な御答弁をいただきまして、ぜひそのようにやっていただけるものと大いに期待いたしております。  次に、その産炭地の就労対策について、ぜひ坂井政務次官の御所見を賜りたいのですが、この産炭地、そして鉱害のあるような地域というのは、なかなか新しい産業が来にくいわけですね。そのために鉱害対策をしっかりやる、そして新しい事業をつくっていくということが目的になるわけですけれども、しかし、現実はそう簡単には進みません。その結果、いろいろな制度事業が行われて、何とか社会不安が起こらないように就労対策をしているわけであります。本来ならば、新しい産業が起こって、そちらで吸収されれば一番望ましいわけですけれども、なかなかそうはいかない。  そこで、いろいろな制度事業が行われてまいりましたが、今年度で一般失対事業といわゆる緊就事業というのが終了いたします。このことは、現地にとっては非常に大きな影響を与えます。事実上、その事業を使ってしか就労できなかった人もいますし、あるいは、そうした事業をもとに地域の中小企業が、土木、建築が中心ですけれども、何とか生き残っているという現実もあります。  そこで、そういう一般失対、緊就事業が終了するというときには、やはり現実を考えて激変緩和措置というのを十分にとってもらわなければなりません。その際、現地ではもう一つの開就事業、この点についてはすぐに手をつけるということはないんじゃないかという期待を持っていたようでありますが、しかし、今年度からも年齢線引きということが少し始まるということで、相当動揺しております。  したがって、この点は十分に地域の実情を踏まえ、そして、本当にそういう就労者に不安感がないように、できるだけ激変しないようにやっていただきたい。これはまさに財政、予算とも絡みますし、そしてまた、そういう地域の実情をよく理解していただいてやってもらわなければなりません。  坂井政務次官は、剛腕をもって、いざとなれば大蔵省から予算をもぎ取ってくることも大いに期待されますし、また、産炭地のことについてはよく理解しておられて、大変そういう方々に対する愛情も深いと理解しておりますが、ぜひ前向きの御答弁をよろしくお願いします。
  38. 坂井隆憲

    坂井政府委員 ただいま、昔から私も御指導いただいている山本先生からの御質問でありますが、経済にもお詳しいし、海外にもお詳しい先生地域のことを非常に憂えた感じで御指摘がありました。  今御指摘のように、緊急失業対策法を廃止するということで、それに伴いまして失業対策事業も今年度末で終息するわけであります。失業対策事業というのは、もう御案内のように、我々が大学を卒業した年に新規流入を停止したという我々にとっても、私たちの世代にとっても非常に思い出深い事業でございますが、これに伴い、予算措置で行っていた炭鉱離職者緊急就労対策事業、これについても今年度末で終息することになっているわけであります。  これらの事業の終息に当たっては、就労者や事業主体、施工業者等の地元関係者の意向を十分に勘案するということはもう当然のことだと思っておりますし、そのために平成八年度から五年間、暫定的な就労機会を提供する暫定就労事業実施、並びに、就労者の生活激変緩和を図るための一時金である特例給付金の充実などのいわゆる激変緩和措置を実施することとしている次第であります。  また、産炭地の開発就労事業、これは先生地元である福岡県や長崎県等、私の地元である佐賀県でもやっている事業でありますが、この産炭地域開発就労事業の見直しについても、昨年の夏以降、地元関係者意見も十分聞いて、地域の実情等を十分勘案して、平成八年度より紹介対象事業の年齢引き下げ等の見直しを実施していくこととしているわけであります。  今後とも、労働省としても、失業対策関連事業の運営については地域経済の実情に配慮するということは当然でありますし、また地元事業主体、就労者団体、施工業者等の関係者意見も十分踏まえながら行ってまいりたいと思っている次第でございます。  ぜひ先生も、予算確保について労働省の応援もよろしくお願いいたしたいと思います。
  39. 山本幸三

    ○山本(幸)委員 坂井政務次官から大変心強い御答弁をいただきまして、大いに期待されますので、今後、残された開就事業、そして激変緩和措置について万遺漏なきを尽くしていただきたいというふうに思います。  そして、今後はそういう制度事業だけではなくて、本当は新しい産業をつくっていくという観点がなければいけないと思います。その意味で、先般の古賀一成先生観点産炭地に新しい産業を逆に育てていくんだ、そしてそのときには労働省も通産省も結束して前向きの形で考えていっていただきたい、そのことを強くお願い申し上げまして私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  40. 北村直人

  41. 東順治

    ○東(順)委員 東順治でございます。どうぞよろしくお願いします。  まず最初に、平成十三年度に予定されておりますこの鉱害復旧事業完了ということに伴います地域経済に与える重大な影響というものが考えられるわけでございますけれども、これにどう対処されるのかという観点からお伺いしたいと思います。  この復旧すべき鉱害量ということで、先ほど石炭部長から御説明がございましたが、平成十三年までに全国で三千九百億、福岡県で三千三百億という大変大きなお金でございます。この平成八年度の予算を見ましても五百四十九億円という大きなお金でございます。  これは、公共事業という観点から見たときに、十三年度でもってこういうものが切れるということになってきますと、これはやはり多大な影響というものを与えるのだろうというふうに考えられます。まず、この辺の対処につきましてお伺いしたいと思います。
  42. 佐瀬正敬

    佐瀬政府委員 東先生の御指摘は、福岡県においてはとりわけ鉱害復旧事業というのが公共事業観点から非常に大きな位置を占めている、しかるにそれが事業完了によって地域経済に非常に大きな影響があるのではないかというふうに理解をさせていただいておりますけれども、御指摘のとおりでございまして、私ども認識といたしましても、福岡県におきます鉱害復旧事業、これはかなり筑豊地域に集中しておりますけれども、当該地域は炭鉱閉山の影響がなお著しく残存しておる地域でございます。  私ども産炭地域振興対策の観点からも重点対象地域ということに位置づけておりまして、工業団地の造成、あるいは地域公団による企業誘致といったようなことを重点的に対応しているところでございます。また、自治体における産業生活基盤の整備といったような自治体を通ずる財政支援等の対策もやっておるわけでございます。  平成十三年度以降のこういう炭鉱の閉山によって非常に大きな影響を与えられている地域状況につきましては、私ども基本的には、やはり諸般の対策をそれまでに先行的に進めることによりまして自立的な地域経済の基盤の達成を果たしていくということが一番重要ではないかと思っております。そういう意味では、これから数年がまさに正念場であるというような認識をしておるところでございます。
  43. 東順治

    ○東(順)委員 私も、ただいま御説明いただきました大変御努力をいただいているところに対して敬意を表するわけでございますけれども、今石炭部長から自立的な地域経済の確立ということが大変大事だというお話がございまして、そのとおりだろうというふうに思います。したがって、十三年度が終わって極端な落差が生じるということが一番怖いわけでございます。  例えば、該当する自治体、特に筑豊地域の、あるいは福岡市に近い、そういう自治体の皆さんなんかが今大変努力していることに、JR九州の篠栗線あるいは筑豊本線の電化・複線化という一つの運動があるわけでございまして、これはやはり地域経済を浮揚させるという点から見たら、電化・複線化ということが現実に図られることによってそこに生ずる経済の浮揚というものは大変大きなものがあろうと私は思います。  そういうことで、実際に今懸命になってこの運動を進めておるわけでございます。いわば筑豊あるいは篠栗線の沿線の自治体にとって地域浮揚の最大の目玉というような位置づけがなされているような運動でございますけれども平成十三年でポスト八次策が終わるわけでございますので、通産当局としてこれに対しましてどのような支援というものができるのかということが今後非常に大きな焦点になってくるのだろうというふうに私は思います。  確かに、ただいま工業団地の造成だとか企業誘致だとかいろいろな努力もありますけれども、同時に、今度は地元が念願としているそういう電化・複線化というようなことが実現されるということが相まってきますと、これは非常に大きな効果でもあるし、落差を生じさせない、地域経済というのを落とし込まない、むしろ逆に浮揚させていく一つの出発点にもなるのではなかろうかというふうに思っている次第でございます。  ところが、この問題がなかなか難しい。最初は第三セクター方式でいこうかという話でずっと出発したのですけれども、やはり金銭的な面なんかで大変難しい状況が判明してきて、今、やはりJR九州というのが事業主体になって、そこに自治体あるいは県そしてまた国とどう応援できるかというようなことになってきている状況でございます。  ひとつこの問題につきまして、通産当局としてこの支援の措置、具体的にどういう措置が講じられるか、ちょっとこの辺の御答弁もいただきたいと思います。
  44. 佐瀬正敬

    佐瀬政府委員 御答弁申し上げます。  篠栗線の電化・複線化への対応ということでございます。同線の電化・複線化事業につきましては産炭地域振興実施計画にも掲げられておりまして、私どもは筑豊地域の振興にとって大変重要なプロジェクトであるという認識を持っております。  先生からも御指摘がございましたようにいろいろ紆余曲折があったことも事実でございますが、当初事業を行うことを目的とする福岡筑豊都市鉄道開発株式会社、第三セクターでございますけれども、私ども平成六年に三億円の出資も行っているところでございます。その後、ただいま先生からお話ございましたように、JR九州を事業主体とする方向での調整が行われていると聞いております。  まずは地元の問題でもございます。そういう協議の結果を待って、また、私ども通産省といたしましても、県、地元市町村にどういう御協力ができるのか、その可能性を検討してまいりたいと思っております。
  45. 東順治

    ○東(順)委員 例えば、ただいま三億円というお話がございましたが、これは三セクということを前提にしてのことでございましたね。ところが、これは三セクでは無理だ、JRがやはり事業主体にならざるを得ないというようなことで、今はJRの試算で、百七十億かかるというふうな試算が出ておるわけですね。これに対して、自治体が負担できるのが八十五億程度だろう、そしてまたJR九州が二十九億から三十億。そうすると、残りの五十五億から五十六億、これが調整を要する額だという形で出ておるわけでございまして、この旧産炭地の景気浮揚それから安定というところがポスト八次策の大変大きなねらいでもあるわけでございますので、これまでの経緯にとらわれることなく、どうか前向きに、通産当局として、ぜひともこの篠栗線、筑豊本線の電化・複線化というものが実現できますように特段のお力添えといいますか、支援策をぜひ講じていただきたい。これはまたこれからの議論にもなろうかと思いますが、その辺の認識をどうぞひとつよろしくお願いをしたいと思います。  それから次に、法期限が到来した後の鉱害処理のための指定法人の、特に具体的に資金だとかあるいは職員の数だとか、そういうもろもろを含めて、この指定法人の設立に向けての検討というものが今なされていると思いますけれども、その状況について伺いたいと思います。
  46. 佐瀬正敬

    佐瀬政府委員 臨時石炭鉱害復旧法に基づきますいわゆる指定法人でございます。これは、累積鉱害解消の公示を行った県につきまして、つまり鉱害が終了した終了宣言を行った県につきまして指定を行うというような法律上の制度になってございます。  現在まで、先ほど申し上げましたように、数県で鉱害解消の公示が行われておりますけれども、この指定法人につきましては、現在までのところは指定の実績はございません。現在、そういう鉱害解消宣言を行った県との間で、設立に向けて指定すべき法人あるいは基金の規模等に関しましていろいろな準備、調整を進めているところでございます。  それから、例えば福岡県はそうでございますが、まだ鉱害解消の公示を行っていない鉱害復旧途上の県につきましても、鉱害復旧進捗状況を踏まえつつ、将来の指定法人の設立の可能性について検討を進めている、こういうような状況でございます。
  47. 東順治

    ○東(順)委員 先ほどのお話の中で、岩手、愛知、岐阜等々、七県がこの累積鉱害解消の公示、つまり終了宣言を出したというお話がございましたけれども福岡県というのは、これは規模が全然違うわけでございまして、果たしてあと六年足らずで、実際問題としてこの累積鉱害の解消ということが可能かどうか、終了宣言というものを出せるかどうかというのは、際どいといいますか、大変困難な要素を含んでいるのだろうというふうに私は思います。しかも、仮にそうやって終了宣言を出したとしても、浅所陥没みたいなものがいつどこで起こってくるかわからない、こういう要素も多分に含んでいるわけでございますので、やはり指定法人のありようというものを今から具体的に検討して対処方を練っておかないと、私は大変な状況になるのだろうというふうに思うわけでございます。  先ほど残存鉱害の数字を挙げられました。特に農地先ほどもお話がございましたけれども農地鉱害復旧というものの後、三年間の効用回復確認期間というものを設けなければいけない。つまり、復旧が達成されているか否かを検査する期間を三年持たなければいけない。そうなってくると、平成十三年ではなくて、平成十年度末に農地鉱害復旧というものがなされたという確認がなされなければいけないということで、つまり二年後ということになるわけでございます。  そのことからしますと、例えば農地は、残存鉱害平成四年度初で一千九百億だった、これが平成六年度までで四百七十三億までできた、こうお話がございました。残りが一千四百二十七億ですね。つまり、二四・九%の進捗率ということなるわけでございます。この進捗率で果たして平成十年度末までに終了というところまで着地できるかどうかというようなことを考えますと、大変難しいんだろうなというふうに思います。  あるいはまた、公共施設家屋、それらもそれぞれ、公共施設で現在まで二七・三%、家屋が三七・四%、全体で三五・六%の進捗率で、残りがお金にすれば二千七百十億の残存鉱害量が残っている。しかも、これから残っていくものというのはますます、いわゆるその判定が難しいとか、いろいろ処理困難なものが残ってくるわけでございますので、これまで進めてきた進捗率みたいなもので、そのままこれから先を推しはかるというのはまた難しいんだろうというふうに思います。  そういうことから考えたときに、それらを含めての今後の見通しとその対処の仕方、対応、これについて伺っておきたいと思います。
  48. 佐瀬正敬

    佐瀬政府委員 御答弁申し上げます。  先生指摘のとおり、農地復旧につきましては効用回復確認期間が三年間ございます。いわば鉱害が本当に終了したかどうかを確認をするための期間でございます。私どもも同じ認識でございまして、したがいまして、平成十年度末までには基本的には農地復旧についてはすべて果たしていくという決意、覚悟で現在やっております。  先生から、なかなか難しいんではないかというお話がございましたが、一言だけお答えさせていただきますと、農地につきましては、一、二の復旧困難地域をクリアいたしますと、連携した非常に広い地域を全部処理ができるというようなものもございます。先ほど来、若干触れさせていただきましたが、有資力の大型案件等につきまして、本年度あるいは来年度におきましてかなり大幅な進捗が期待できるというようなこともございまして、私どもといたしましては、何とか平成十年度末までに農地部分についてもかなり大きな進捗を見て、ほとんどの鉱害について処理が可能であるというふうに考えております。  それから、その後の問題でございますけれども公共施設家屋につきまして、確かにこれも難しい案件がふえてまいってきていることも事実でございますが、反面、自治体あるいは被害者の方々、あるいは事業団そのものにおきましても、ここでやはり鉱害を、一つのチャンスとして全部終了するんだという機運が醸成されていることもまた事実でございます。こういう機運も順風にさせていただきながら、期限内での鉱害処理というものに万全を図ってまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  49. 東順治

    ○東(順)委員 万全を図られますように、引き続き全力の御努力をお願いしたいと思います。  最後に、塚原大臣にお伺いさせていただきたいと思いますが、ただいまのやりとりを聞いていただきまして、平成十三年度までに法期限が来る、そういう中で例えば、先ほどちょっと例を出させてもらいましたけれども、筑豊だとかあるいは福岡近郊を走る篠栗線あるいは筑豊本線という一本の鉄道がある。これが電化をする、複線化をする、そうすると福岡に対する通勤圏がぐっと時間的にも縮まるし、大勢の人たちが移り住んでくるということで財政力も上がる、景気浮揚にもつながるということもございます。  したがって、十三年度で終わるということなんで、ぜひともその十三年度までのポスト八次策の中で、通産当局として篠栗線あるいは筑豊本線の電化・複線化ということに対して、どうか思い切った支援措置を講じていただいて、そして、これでもって地域振興がきちっと成るというようなところまでぜひ持っていっていただきたい、このように念願するわけでございますが、そういうことに対する御所見をぜひ最後にお願いしたいと思います。
  50. 塚原俊平

    塚原国務大臣 当委員会は、大変に石炭エネルギーとしての重要性を御認識をされまして、また、石炭の国家における重要な、数多くの、雇用も含めた役割というものも今日まで長い間しっかりとした審議をされてこられました。当委員会所属の先生方は、大変に石炭に思い入れが強いし、大変正しい認識を持っていらっしゃるというふうに私は理解をいたしております。  大臣に就任をいたしまして、今回、NEDO鉱害事業団統合法案が出るというふうに伺いましたときに、当特別委員会におきましてもいろいろと、そういう状況の中から御意見、御指導、御審議を賜れるものというふうに思っておりました。そして、ただいままでの、まだ質問の方は残っているわけでございますが、大変に皆様方から、今後の石炭並びに石炭関係する地域についての御心配の声が寄せられたわけでございます。  まさに、石炭部長がお答えをいたしておりましたが、現在正念場であるわけでございまして、何とか平成十三年度を目指しまして、しっかりとした御指摘の点の対応をしていくというのがまず第一点でございますし、通産省といたしましても、石炭地域に対しまして、よりこの地域がこれから厳しい環境にならないように、いろいろな形で施策を講じていかなければいけない。それは、我が省だけでできるものもございますし、ただいま御指摘いただきました、我が省だけでは当然できないもの、あるいは我が省がどこまで発言ができるかというようなことで、少し自信のないものもございますけれども、やはりこれは石炭を担当する役所といたしましての責任として、これからいろいろな形で発言をさせていただきたいというふうに思っております。  エネルギー庁には、石油部と全く並行して石炭部があるわけでございまして、今後ともしっかりした行政対策をいたしてまいりたいと考えております。
  51. 東順治

    ○東(順)委員 ありがとうございました。
  52. 北村直人

  53. 古堅実吉

    古堅委員 日本共産党の古堅実吉でございます。  議題となっております法律案については我が党も賛成であります。そこで、日本の石炭の今後の問題についてお伺いいたします。  昨年四月の本委員会での私の質問に対して、政府は、石炭鉱業の維持について、国内炭の役割と国民経済負担のあり方との均衡点を探っていく過程の中で今後検討していかなければならないとの御答弁がありました。  石炭鉱業を取り巻く環境は厳しさを増しています。我が国が、現在埋蔵しているエネルギーを有効に活用し、エネルギー確保の自給率を維持していくためには、少なくとも現在稼行中の炭鉱、すなわち太平洋炭鉱、三池炭鉱、池島炭鉱を閉山させてはならないと考えるものであります。そのためには政府としてもあらゆる努力を払うべきだと考えますが、いかがでしょうか。塚原大臣の御決意を伺いたいと思います。
  54. 塚原俊平

    塚原国務大臣 現在稼働中の石炭各会社がしっかりとこれから頑張っていけるように支援をしていくことが大切であるという認識をいたしておりますが、細かくは、必要でございましたら政府委員の方から答弁させたいと思います。
  55. 佐瀬正敬

    佐瀬政府委員 御答弁申し上げます。  政府といたしましては、稼行している石炭会社の経営の安定あるいは生産の合理化、保安の確保あるいは経営多角化等のために、各般の政策融資制度、補助金、税制等により、さまざまな支援を行っているところでございます。  ただいま大臣からも御答弁申し上げましたように、今後これらの制度を最大限に活用して、経営の安定、生産の合理化、保安の確保あるいは経営多角化に取り組んでいく各社を支援してまいりたいと存じます。
  56. 古堅実吉

    古堅委員 現在稼行中の炭鉱の存続を考える場合、企業の社会的責任をきちっと果たさせることが極めて重要だと考えます。企業の一方的な都合で閉山するなどということが仮にも許されてはならない、こう考えています。  しかし、現実には一九九二年からスタートした、九〇年代を石炭鉱業の最終段階と位置づけるという政府の新石炭政策によって、石炭鉱業関係地域の住民に大きな不安を募らせています。  去る三月五日には、三池炭鉱がある大牟田地域で、周辺地域の市町民総決起大会が開催されております。そこで、三池炭鉱の維持存続と産炭地振興を求める決議が採択されました。この集会には、三井石炭鉱業も三井鉱山も共催団体に入っております。三池炭鉱がもし閉山にでもなれば七千八百人の人口減少になるとも言われております。まさに深刻と申さねばなりません。  石炭会社と親会社、あるいはグループ企業が一体となって、炭鉱の維持存続を初め、地域雇用対策や地域振興対策に取り組んでいく、これは求められる社会的な責任として当然のことではないか、このように考えますが、大臣、いかなる御所信をお持ちでしょうか、伺います。
  57. 佐瀬正敬

    佐瀬政府委員 御答弁申し上げます。  三井三池鉱業所につきましての御指摘でございますけれども、同炭鉱は、現在労使一体となって経営努力をされておられるところでございますので、それ以上の軽々のコメントはここでは差し控えをさせていただきたいと思っております。  一般論でございますが、石炭会社の経営者は、経営判断に基づいて労使の交渉を行いまして、その経営方向性をお決めになるというふうに理解しておりますが、そういう判断の背景には、地域に対する役割というものも十分に認識をされておられるものと理解をしているところでございます。
  58. 古堅実吉

    古堅委員 最後にもう一点お伺いします。  日本の石炭会社は、戦後の石炭事業の中で大もうけをし、その利益を炭鉱以外の部門に移して、赤字は石炭部門に押しつけてきた経緯があります。三池炭鉱でも、親会社である三井鉱山は、経営の困難な部門は三井石炭鉱業にしわ寄せしながら、みずからは政府の補助を得て外国炭の開発や石油の輸入などで大もうけを続けています。炭鉱の存続、さらには地域の活性化の上で、親企業はもちろん、関連企業の社会的責任をあいまいにすることはできません。  そこでお伺いしますが、閉山問題など深刻な状況の中で、親企業の責任問題についての政府見解と、それへのいかなる対処策を持っておられるか、伺わせていただきます。
  59. 佐瀬正敬

    佐瀬政府委員 御答弁申し上げます。  一般的に、石炭稼行炭鉱部門につきましては子会社化をして運営をしておるということが多いということは事実でございます。鉱害責任その他の企業の諸般の責任につきましては、鉱害責任は、鉱業法に基づきまして、稼行しておりました親会社の稼行時代の鉱害責任については親会社が負担することになっておりますし、資金対策その他についても、私ども、親会社、子会社一体とした判断をさせていただいております。
  60. 古堅実吉

    古堅委員 時間が参りましたので締めていきたいと思いますけれども、我が国のエネルギー問題をどう進めていくかという極めて重要な根本にかかわる問題です。その点については、親会社を初めとする関連企業の社会的な責任も求めながら、残された三つの稼行炭鉱について、閉山に追い込んでいくようなことにならないように、政府があらゆる面で必要な最善の対策を強めていかれるよう強く要望して、終わらせていただきます。
  61. 北村直人

    北村委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  62. 北村直人

    北村委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  石炭鉱害賠償等臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  63. 北村直人

    北村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  64. 北村直人

    北村委員長 この際、本案に対し、古賀誠君外四名から、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけ、日本共産党共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。細谷治通君。
  65. 細谷治通

    ○細谷委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     石炭鉱害賠償等臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 累積鉱害法期限内の復旧完了に向けて、引き続き復旧事業を強力に推進するとともに、復旧支障事案の処理に積極的に取り組むこと。    また、鉱害関係諸法の法期限到来後の鉱害処理について、浅所陥没等の鉱害復旧が適切になされるよう、指定法人による処理体制等について先行的に検討を進めること。  二 新エネルギー産業技術総合開発機構に移行する職員の移行の際及び移行後の処遇については、不利益になるようなことがないよう十分配慮するとともに、鉱害業務の推移等を勘案しつつ人員の有効適切な活用等に努めること。 以上であります。  附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  66. 北村直人

    北村委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  67. 北村直人

    北村委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。塚原通商産業大臣
  68. 塚原俊平

    塚原国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重いたしまして、今後とも鉱害復旧事業の推進等に全力を尽くしてまいる所存であります。     ―――――――――――――
  69. 北村直人

    北村委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 北村直人

    北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ―――――――――――――〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  71. 北村直人

    北村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十四分散会      ――――◇―――――