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1996-05-30 第136回国会 衆議院 消費者問題等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月三十日(木曜日)     午前九時開議 出席委員   委員長 新井 将敬君    理事 小野 晋也君 理事 岸田 文雄君    理事 佐藤 剛男君 理事 実川 幸夫君    理事 岡崎トミ子君 理事 金田 誠一君       石原 伸晃君    小此木八郎君       佐藤 信二君    穂積 良行君       村田 吉隆君    渡瀬 憲明君       上田 晃弘君    大口 善徳君       笹川  堯君    鮫島 宗明君       高橋 一郎君    山本 幸三君       竹内  猛君    矢島 恒夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      田中 秀征君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     小粥 正巳君         公正取引委員会         事務局経済部長 塩田 薫範君         公正取引委員会         事務局取引部長 大熊まさよ君         公正取引委員会         事務局審査部長 矢部丈太郎君         経済企画庁長官         官房長     竹島 一彦君         経済企画庁調整         局長      糠谷 真平君         経済企画庁国民         生活局長    坂本 導聰君         経済企画庁物価         局長      大来 洋一君         経済企画庁総合         計画局長    土志田征一君         経済企画庁調査         局長      中名生 隆君  委員外出席者         環境庁企画調整         局企画調整課調         査官      石野 耕也君         大蔵大臣官房企         画官      若狭 正幸君         大蔵省主計局主         計官      谷口 博文君         大蔵省主税局税         制第二課長   森信 茂樹君         大蔵省証券局証         券市場課長   後藤 敬三君         農林水産省構造         改善局計画部地         域計画課長   小松 兼一君         通商産業省産業         政策局総務課産         業組織政策室長 古賀 茂明君         資源エネルギー         庁公益事業部業         務課長     市川 祐三君         資源エネルギー         庁公益事業部ガ         ス事業課長   寺坂 信昭君         中小企業庁計画         部計画課長   松島  茂君         中小企業庁小規         模企業部小売商         業課長     近藤 賢二君         運輸省航空局監         理部航空事業課         長       丸山  博君         特別委員会第二         調査室長    田中 宗孝君     ————————————— 委員の異動 五月三十日  辞任         補欠選任   豊田潤多郎君     山本 幸三君 同日  辞任         補欠選任   山本 幸三君     豊田潤多郎君 同日  理事豊田潤多郎君同日委員辞任につき、その補  欠として豊田潤多郎君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  物価問題等国民消費生活に関する件      ————◇—————
  2. 新井将敬

    新井委員長 これより会議を開きます。  物価問題等国民消費生活に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小此木八郎君。
  3. 小此木八郎

    小此木委員 おはようございます。  自由民主党の小此木八郎でございます。質問をさせていただきますが、よろしくお願いをいたします。  私どもは、国会議論をしておりまして、週末には地元に帰っていろいろと町を歩き、いろいろな皆さんの声を聞いているわけでありますけれども国会では住専の問題、いわゆる金融問題をどうしようかということを真剣に議論をしているところでありますけれども、そういったことよりは、私は、人に会えば、景気はどうなるかということをよく言われまして、本当に皆さんと話す機会が多いわけであります。  今の景気というのは戦後最悪とも言われておりまして、これに対して、現在に至るまで、所得税減税補正予算経済対策、いろいろと財政を積極的に出動させて対策を講じられてきたというふうに思います。そして、数字の上では、だんだんに明るい兆しが見えてきたというようなことが発表されていると思いますけれども、先ほど言いましたように、町を歩いて人にいろいろなことを聞けば、なかなか景気がよくならない、皆さんには実感が伝わっていないということもよく言われるし、私たちもそういう話を聞いているということであります。  きょうの朝日新聞でありますけれども、「経企庁 景気対策転換模索」というようなことも出ておりました。長官も、まだまだ自律回復への力強さは見られないという談話が載っておりました。その中で、公共投資と言われるものもありますけれども、この公共投資波及効果は、六〇年代の高度成長期には投資額の二倍以上あったけれども、最近は一・三倍に低下をしたというふうにここには載っております。  ですから、こういったようなことをあわせて、先ほど言いましたような対策が今の景気に対してどのような影響を与えてきたと経企庁では評価をされておられるのか、また、そういったものを受けて、今後どのような見通しを持って経済運営を行っていくおつもりなのか、まずお聞かせをいただきたいと思います。
  4. 田中秀征

    田中国務大臣 きょうは半日、企画庁に対してさまざまな御質問をいただくことになりまして、細かいところは政府委員からお話をする、そういうこともあろうかと思いますので、お許しをいただきたいというふうに思います。  小此木委員の御質問でありますけれども、私は、現在の景気状態、明るい兆しが出ている、そして、今のところ順調に前を向いて進んでいる、そういう状態でありますが、いつも思い出すのは、細川内閣のときであります。後になれば、九三年の十月が景気の底であったというふうになっているわけでありますけれども、あの当時、八月の株の暴落、それから一段の円高、加えて大変な農業不作というのが重なりまして、私も、官邸で総理のそばにおりまして、奈落のふちに落ちていくのじゃないか、そんな感じを実は持っていました。そのときがちょうど、後で言われる景気の底であったわけであります。日本経済は一体どうなるんだ、そんな感じでありました。  一方で、政治の場ではどちらかというと政治改革の方に目がいっていた。国民の目もかなりそこにいっていたし、期待感もあったわけですが、その後、それぞれの内閣によって精いっぱいの対策がとられてきました。しかしながら、これに対しては、なかなかうまいぐあいに本格的な回復軌道に乗らないということであったわけです。  この理由をいろいろ考えてみますと、一つには、資産価格の大幅で急激な変動というものが経済にどの程度の影響を与えるのか、それに対しての洞察というものが確かでなかった、そんな感じもありますが、それと同時に、波状的に襲う急激な円高というものがありました。また加えて、昨年の一月のような大震災というものも突発した。いずれにしても、なかなかうまくいかなかったわけですが、昨年の年央から、だんだんに景気の足取りが前を向いてくるようになった。  今委員、どうしてこういう形で景気に明るさが見えてきたのか、そういう御質問の趣旨と私は受けとめるのですけれども、それを今検討してみますと、一つには、やはり金融緩和の基調というものがあったと思います。それから、円高是正というものが進展した。それで、為替相場が安定的に推移しているということも言えると思います。  これは政府円高是正に対する政策努力というものもあったわけですが、さらにアメリカの景気の一時的減速というのがありましたから、そういう海外景気の動向というものも環境条件としてある。そういう環境の中で、昨年九月、総事業費十四・二兆円というかつてない大型の経済対策を打ち出した。これが相まって、秋、年末以降、景気に明るさが見えてきた、そんなふうに私は思いますし、十月から十二月のQEを見てもそういう感じがうかがわれるわけであります。  したがって、昨年の秋以降の経済政策というものが、環境をよく生かして、功を奏してきた。手前みそみたいになりますが、私が長官当時の原因でありませんので、今までの経済に対する対策が生きてきたという感じで受けとめております。
  5. 小此木八郎

    小此木委員 確かに、景気に明るい兆しが見えてきたというふうにも申し上げたのですけれども、私は、ただ、まだ実感がわかない、逆に言うとそういうこともあるのですよ、私たちが歩いていて皆さんの話を聞いて、そういう苦しさはまだまだ残っているということを申し上げたいのです。  ちょっと時間がありませんので、用意したすべての質問ができないかもしれません。  もう一つここで、景気対策転換を模索されているという経企庁お話であります。要するに、「景気対策による財政赤字は、景気回復後の税収増で埋め合わせればよい、とする伝統的な政策を見直す。」というようなこともこの新聞に出ているのですが、我々が町に出て、やはり政治家というのは、町の皆さんにわかりやすく説明をしなければいけないわけであります。私も経済専門家ではありませんからなかなかそういう経済の話をするのは難しいのですけれども長官が、国民皆さんに接する中でわかりやすく説明するにはどうしたらいいかというような意味合いを込めて、ここのところをもうちょっと説明をしていただきたいと思うのです。
  6. 田中秀征

    田中国務大臣 私、実はその新聞を読んでおりません。私の知らない間に転換を模索しているということもないだろうと思います。読んでいると時間がかかりますので。——財政に対する依存を今までよりも薄めていくというような書きっぷりなのですか、これは。私は全部読んでいないので……(小此木委員「赤い線が書いてありますね、そこのところを見ていただくとわかるのですけれども」と呼ぶ)これは、研究会調整局長の個人的な研究会なので、ちょっと調整局長の方から話をさせていただきます。
  7. 糠谷真平

    糠谷政府委員 きょうの朝日新聞に出ておりますのは、四月から私のところで経済政策のあり方についての研究会というのを始めたところでございまして、きょうの新聞に書いてありますようなはっきりとした方向を初めから結論づけてやっているわけではございませんけれども、今までのように何でもお金を出して経済を高くしていくということが続くような世の中でなくなってきたということはそのとおりでございますし、公共投資波及効果というのも長い目で見れば落ちている。ただ、効果がなくなったとは私ども思っておりませんし、依然として重要な役割を果たすと思っておりますけれども、昔のようではないというのはそのとおりでございます。  そういう意味で、財政政策金融政策構造政策規制緩和、その他、そういったものを新しい状況に照らし合わせて、総合的にどういうふうにこれからの経済政策を持っていったらいいかということを少し研究する必要があるのではないかということで始めたところでございます。  きょうの朝日新聞解説記事は、正しいことを言っている面もございますし、そこまでまだ私ども結論づけているわけではないというようなこともあるということかと思っております。  以上でございます。
  8. 小此木八郎

    小此木委員 いずれにしても、これはいろいろなやり方を模索しなければならないということでありますけれども、今私が本当に言いたいのは、景気対策というのは本当にやっていかなければいけない、これは当たり前の話でありますけれども、もっともっと、今政治離れ、国民政治に対する意識というのが薄まっていく、無関心であるという状況、特に私の横浜では感じております。経企庁長官を初め皆様方にもっと政治家が連動をして、国民に対してもわかりやすい政策というもの、わかりやすい明るいものを我々は打ち出していかなければならないということについて、これからも協力をし合いながら打ち出していきたいと思っております。  次に移りますけれども消費税の話。  消費税が今度三%から五%という引き上げ、来年の四月一日から予定をされていますけれども、九六年度末で約二百四十一兆円に上る国債残高など財政改革は緊急の課題でありまして、また、二〇二五年には四人に一人が六十五歳以上の高齢者でいっぱいになってしまうという前代未聞のいわゆる高齢化社会をこの日本は迎えるというふうに言われております。  このような状況から、五%の消費税率を将来またさらに見直さなければならないことがあるかもしれない。その際に、消費税逆進性というものを緩和するために複数税率導入を検討する必要が出てくるのではないかと思いますけれども、この複数税率化というのはいろいろなメリット、デメリット指摘されておりまして、この導入に対してどのようにお考えか、お聞きをしたいと思います。
  9. 森信茂樹

    森信説明員 まず、逆進性の問題でございますが、消費税所得に対しましてはわずかながら逆進的な傾向を示すということは事実でございますが、消費に対しましては比例的な負担となっているわけでございます。  そもそも、所得に対しまして累進的か逆進的かといった所得の再配分の問題につきましては、消費税という一つの税目のみを取り上げて判断すべきではなくて、所得税とかもろもろの税制全体を勘案しまして、さらには社会保障制度歳出面も含めまして財政全体で判断し対応すべき問題であるというふうに考えております。そういうふうな観点から我が国現行税制全体で見ますと、つまり消費税だけでなくて所得税も含めて見ますと、依然としてかなり累進性を有しているというのが我が国税制の現状であろうかというふうに考えております。  次に、複数税率の問題でございますが、これにつきましては次のような問題点があるというふうに考えております。  まず、一番目でございますが、国民消費の態様が多様化しておりまして、対象品目を客観的な基準により選択することが極めて困難になっているというふうな問題点。それから二番目に、対象になりました品目軽減税率対象にならない品目との間に価格が異なるというふうな影響を与えるわけでございます。それから三番目に、納税義務者事務負担という観点から考えますと、国民全体で非常に膨大な社会的、経済的なコストを払うという問題があろうかというふうに考えておりまして、そういう意味におきまして、公平、中立、簡素という消費税の持つメリットを損なうおそれがあるというふうに考えているわけでございます。さらに、軽減税率の設定によりまして減収分が発生するわけでございますが、それを補うために標準税率を高くする必要が生じるというふうな問題があるわけでございます。  ただ、食料品軽減税率につきましては、例えば、税率EC諸国並みになるなど税率水準のいかんによりましては逆進性の配慮から採用すべきであるというふうな意見があることは十分承知しておりまして、将来的な検討課題であるというふうに認識しておることもまた事実でございます。  いずれにしましても、EC諸国並み税率水準に至らぬ段階では、軽減税率は公平、中立、簡素という観点からいろいろ問題が多いというふうに考えておる次第でございます。
  10. 小此木八郎

    小此木委員 また、もう一つ高齢化社会の到来に備えて、今度消費税の一部を福祉目的税化する議論もありますけれども、これについてはいかがでしょうか。
  11. 谷口博文

    谷口説明員 お答え申し上げます。  先ほど先生がおっしゃいましたように、高齢化社会の進展に伴いまして、社会保障支出等財政需要の増大に対応してまいりますには安定的な税収構造の構築が要請されているということを踏まえますと、消費税というのはこれから国民生活の安定や経済社会の発展にとって欠くことのできない存在であるというふうに考えるところでございます。  ただ、消費税をいわば厳密な意味での目的税とすることにつきましては、一般論といたしまして、まず資源の適切な配分をゆがめるというような問題点、これがひいては財政を硬直化させるといったような傾向を持つということが一般指摘されております。それから二点目といたしましては、消費税社会保障経費といったものの間の関係でございますが、既存の目的税とかあるいは特定財源には、いわば直接的な受益と負担関係がございますけれども、こういったような関係が見出せるかどうかといったような問題点。それからもう一つは、これは逆に、税収によって福祉そのものが制約を受けるのではないかといったような関係者の懸念もございます。こういったようなことから、基本的には問題があるのではないかと考えておるところでございます。
  12. 小此木八郎

    小此木委員 ともかく、今は、消費税をどんと出すと、全部が消費税だめだというような話になってしまいまして、もっと私たちも、税金というのは消費税だけじゃないのだ、いろいろな税金があるのだ、そのバランスを考えていかないと今の世の中はなかなかもたないのじゃないかというような話をするわけでありますけれども、もっとこれについても努力をしてわかりやすくしなければならないというふうに思っております。  時間が来ましたけれども最後にちょっと消費者保護という点について質問をしたいのです。  最近、牛乳に水などを加えたものを無調整表示して販売していた業者に排除命令がなされました。商品表示というものが、やはり消費者商品を選択する際の唯一の判断材料であるとすれば、適切な商品表示を提供して消費者保護を図る観点からも、このような不当表示に対してどのような対策を講じていこうとお考えなのか、最後にお聞きをしたいと思います。
  13. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいま御指摘がございました、最近私どもが手がけました、不当表示として排除措置をとりました牛乳不当表示事件でありますけれども、今の御指摘のように、一般論といたしまして、消費者の適正な消費選択が妨げられるということは、独占禁止法、そしてその特別法であります景品表示法の規定に基づきましても、これはいわゆる不当表示として排除対象になるわけであります。すなわち、商品内容あるいは取引条件につきまして実際のものよりも著しく優良または有利であると一般消費者に誤認されるような表示、これが不当表示でございまして、排除対象になるというところであります。  今御指摘牛乳のケースでございますが、二日前の五月二十八日に私ども措置をいたしました。全国酪農業協同組合連合会に対しまして、牛乳表示をして製造販売していた商品が、実際にはただいまの御指摘のように生乳にクリーム、脱脂粉乳あるいは水などを混入して製造している、こういう事案でありまして、申し上げましたように、景品表示法で禁止する不当表示に該当するとして排除命令を行ったところであります。  私どもは、今後とも商品の品質に関する不当表示につきましては、これは消費者保護の見地からも非常に重要な問題でございます。したがいまして、重点的に監視をする。そして、もしこのような違法行為が現実に発生いたしましたら厳正に対処いたしますし、さらに景品表示不当表示とはどういうものかという法令の考え方の周知徹底を図りまして、今後このような違反行為が未然に防止できるように一層努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  14. 小此木八郎

    小此木委員 ぜひよろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  15. 新井将敬

  16. 小野晋也

    小野委員 先ほどの小此木委員質問に対する長官の答弁のように、今日本経済は着実な回復を遂げている実感を私ども感じ始めております。長官の取り組みの中にこのような景気回復が生まれておりますことに対し心から敬意を表し、今後の活躍を御期待申し上げたいと思います。  私も、長官は以前から理論派で鳴らしておられて、さまざまな新しい発想を持たれながらやっておられる政治家だと尊敬の念を持って見させていただいてまいりました。それだけに、きょうは経済の問題に関しまして、長官に対してその基本的な部分また戦略部分についていろいろとお尋ねをさせてもらいたいと思っている次第です。  長官は、この通常国会冒頭の一月二十二日、経済演説をなされております。  その中で語られました内容と申しますと、内外ともに歴史的な転換点に私たちが立っているという認識を示されまして、工業化社会から情報化知的生産の文明史的な大きな転換点に今いるのだという御指摘でございました。私もこの点、大変共感を持つものでございまして、この大きな競争の時代の中をどう日本丸が動いていくのか、どうかじ取りをしていくのか、非常に大きな問題を抱えている時代だと考えております。  その中で、具体的な指摘といたしまして、日本経済は厳しい二正面作戦をとらなくてはならないという御指摘もなさっておられました。それは、一つには先端技術を持つ先進国経済とその先端部分において厳しい競い合いをやらなければならないということでございまして、もう一点は途上国経済との関係でございますけれども労働コストの面で圧倒的に優位に立つこれら途上国経済コスト面における争いもやっていかなくてはならない、この両面作戦というものを展開をしながら日本経済の生きる道を模索しなければならないという御指摘だったと思います。  この点に関しまして、二正面作戦というのは軍事用語としてよく使われる言葉だと思いますけれども、戦争の中で二正面作戦というのは非常に困難な作戦であるということがよく指摘されるわけでございます。戦略性においても、その両面に対応するだけの戦略性が求められ、また指導者層においてはそれを遂行する力量が求められてくるということでございまして、この厳しい中を乗り切っていこうとする長官の決意をこの言葉から私は感じたわけでございますけれども田中経済対策参謀本部長と申し上げてよろしいのでしょうか、この参謀本部のトップといたしまして、厳しい二正面作戦基本戦略というのはどういうものであるのか、この姿を御教示いただきたいと思う次第でございます。
  17. 田中秀征

    田中国務大臣 その御質問は一番難しい質問だと私は思っております。  二正面作戦という言葉は、経済演説をするに際して私が最後に書き込んだ言葉であったのですが、この間経済企画庁で東京、大阪、名古屋の証券市場、一部、二部上場企業を網羅して調査したときに、六割までの企業海外進出考えているということでありました。こういう数字なのかなと私は受けとめましたけれども、この海外展開への流れというのは私はとどめがたいものだと思っておるし、ある程度空洞化するから心配だというのじゃなくて、空洞化はもうしてしまったのだという認識も必要じゃないかと思っているのです。  言ってみれば、一つの家庭の中で一番の働き手が出ていってしまった、そういう環境にあって、低生産性部門がうちの中に残った。ある意味で扶養しなければいけない人たちが残ったと言ったら語弊があるかもしれないのですが、そういう環境になっている。それでどうするかという非常に深刻な状況にもあるというふうに思うのですね。  委員お尋ねのことについては私も常々考えていることでありますけれども、これをとにかく前向きに何とかとらえなければいけない。また前向きにとらえるような積極性もいろいろな調査で出てきております。やはり先進国経済に対しては、具体的には新しい技術に挑戦していくという姿勢、これは官民合わせてそういう姿勢で臨んでいって、新しい企業、産業というものを興していく、そういうことしかないのだというふうに私は受けとめます。軸になるものはそれなんだというふうに思うのですね。  その際、私は就任のときの最初の記者会見で記者の皆さんに話したのは、現在の景気状態の底にはやはり人材不況とか技術不況という言葉であらわすようなそういう状態があって、そのもっと奥には価値不況というようなそういう状態があるのだと。豊かさを求める、飢餓から脱出する、そういう価値目標じゃなくて、さらに新しい経済社会の価値目標がなければそれに対応する技術が生まれない、人材がそこに集まらない、そういうことになるので、やはり新しい経済社会の価値目標というものをこれからは考えていくということが必要じゃないか。そこに初めて技術開発、技術研究の機運が生まれてくる、そんなふうにも思います。  ただ生活の便利さ、豊かさを追うような技術の開発というのは、なかなか若い人たちが興味を示さない。したがって、理科系の学科に人が集まらないというような現象になっているのだと思うのですね。根本的なことだと思います。私は、今の中学生、高校生を見ていて、理科系嫌いですからね。だから、もう二、三十年後の日本からは新しい技術は生まれないのかな、そんな心配もします。新しい技術を持たない、そういう時代はやはり経済的な繁栄もまた難しいのじゃないかというふうに思っているわけです。  基本的には、我々の挑戦というところはそういうことだと私は思うのですが、途上国云々ということについては、これはもう今懸命な努力をしているリストラ努力、あるいは新しい付加価値をつけていく努力、そういうものによって競争に打ちかっていく以外に方法はないかな、そういうふうに考えています。  大ざっぱな答弁で申しわけないのですけれども
  18. 小野晋也

    小野委員 先ほどの大臣の答弁の中に、やはりこういう時代は新しいものへの挑戦をしながら前向きに切り開かなきゃいけないんだ、この御指摘は私も同感でございますけれども、この新しいものへの積極果敢な挑戦というのは、やはり相当の危機意識から発するものでなきゃならないというように私ども考えております。  しかしながら、この現在の日本の風潮を見ておりますと、本当の意味での危機意識が社会全体からあふれ出てきているかというとそうではなくて、非常に安易なスローガンが打ち立てられて、そのスローガンが大きな何かバラ色の未来を約束するかのように語られて、非常に危機意識を避けて、楽観的に物事を見過ぎているのではないかというような気持ちがするところが実はあるわけでございます。  先ほど、田中長官のことを参謀長というようなことで申し上げたわけでございますけれども、かつて日本の歴史の中で、名参謀ということで名前を挙げるとするならば、やはり日露戦争のときの児玉源太郎等の活躍だろうと思いますけれども、先日亡くなられました司馬遼太郎さんが、こんな文章を残しているのですね。   日本海海戦勝利を経て、日本がロシアに勝利した後、大山巌、児玉源太郎は、早期講和を戦勝にうかれる東京に要請した。   それは、彼らが日本の国家は、まだ、ひ弱なものでしかないということを、徹底的に認識していて、それを戦略と政略の基礎にしていたからである。それだけではなく、彼らは自分達こそが、日本国家を作ったという実感があり、国に対して薄いガラスの器を扱うような感覚があり、それに対する責任意識も強い。   弱者だから、常に臆病で、常に危機感があり、綱渡りのように、一歩踏みはずしたら奈落の底だという意識が、彼らをして、知者たらしめた。という文章でございまして、この十数年来、日本の国の中での国民の意識というのは、日本経済大国であるという、実質がどこにあるかということを別にして、数字的にあらわれる個人当たりのGNPが世界のトップクラス、場合によれば、トップになったと言っていいと思いますけれども、そういう部分的なものにとらわれて、日本は既に強国になったんだというような意識が、日本の国における危機感を失わせてしまっている部分があるような気持ちがしてならないのでございます。  先ほど、二正面作戦の問題を少し取り上げさせていただきましたけれども、この二正面作戦というのは、外部に対して日本の持つ国力を二つに分けて対応しなきゃいけないという問題であると同時に、国内的に見るならば、相矛盾する二つの要素をこの日本の国内に抱え込まざるを得ないという問題でもございまして、非常に国内的対策考える中でも問題の多い作戦になってくる。それだけ政策立案をし、それを引っ張っていくというところには強いリーダーシップが求められることだろうと私は思っている次第でございます。  具体的なところを申し上げますと、ウルグアイ・ラウンドの交渉の最中も、国内は世論が二分された部分があったと思いますね。先進的な自動車産業だとか電子工業だとかいう分野においては、これは自由化をどんどん進めていくべきであるというのに対して、農業者等におきましては、なぜ先進的な産業のために自分たちが犠牲にならなきゃならないのかというような形の問題が表面化してきたわけでございます。  それらの矛盾や摩擦というものを日本政策当局としては、自由化や自己責任というのが世界の潮流である、それがルールであるということで割り切りながら進んでいこうとされたわけでございますけれども、結果的に見ますと、社会的には非常に殺伐とした雰囲気がこの国内に広がりつつあるなということも一面の問題として私は感じてきている次第でございます。  先ほど申しましたとおり、日本社会においては、困難に遭遇したときにスローガンが打ち立てられて、それが今回の場合、自由化であり、規制緩和であり、自己責任というような言葉になろうかと思いますけれども、それを掲げて、その方向に進みさえずればさまざまな問題が解決できるというようなアピールをして、それ以上議論を深めることなく進んでいこうという取り組みがかいま見られるところがあるわけでございますけれども、私は、こういう取り組みをしていくときに、そのものばかりにこだわって進んでいくと、非常に危険なものもあるはずだ。  先ほど申しました日露戦争においては、参謀が、国というのは非常にもろいガラスの器であるという認識を持ちながら誘導すればこそ、あの難しい国際情勢の中で日本の国の生きる道が見つかったわけでありますけれども日本の国は戦えば必ず勝つ、困難に遭えば神風が吹く、こういうことを言い始めた段階からの日本の国というのは、非常に、戦いにおいても国民に偽った情報を流しながら、とにかく負けるとわかっても突き進むような乱暴な政策がとられていくわけでございまして、日本の現在の経済政策の中におきましても、マイナス面を十分に認識をしながら、弱さを知りながら進む部分というのを大事にしなきゃいけない。  ですから、無制限に自由化が善なんだとか、規制緩和をどんどんすべきだとか、こういう乱暴な議論に対してはやはり常識を持った対応が必要だろうと考えている次第でございます。  昨年の十二月は、構造改革のための経済社会計画ということで一つの大きな計画が打ち出されておりますが、それも、先ほど言いましたスローガン主義を私は感じてしょうがないのですね。  この点につきまして、大臣は、こういうふうな行き方について、マイナス面についての御認識をどのようにお持ちになられながら推進されようとしておられるのか、この点についてお尋ねをしたいと思います。
  19. 田中秀征

    田中国務大臣 同じ政治家として、大変示唆に富むと言っては失礼ですが、拝聴いたしまして、司馬遼太郎先生のお話は特に感じ入ったのですけれども、私も正直言って同じような認識を持っておりまして、規制緩和も、すべてこれがいいものだ、構造改革、一〇〇%いいものだ、そういう気持ちでは私はありません。  規制緩和をしていく、それですべてバラ色だということは、経済の目からは成り立ち得ても、政治的、社会的に成り立ち得ない部分というのがあるのだというふうに私は思っています。それはもちろん、規制緩和を進める上で、やはり一方で新しい雇用の創出というカードを持っていなきゃいけないし、もう一方では、ある意味での社会政策的な観点というのも必要だというふうに思いますし、規制でも、社会的規制と経済的規制とを分けたときに、やはりこれから必要になる社会的規制もございますね。  私も選挙区へ帰ったりしますと、今度の牛肉事件なんかで、日本によく入れなかったといって褒められたりするのですね。それから、HIVのあの話もあります。ああいうものをすぐ一般人たちは規制というものと考えて、それまでどんどん緩和してしまうのかという、そういうものがありますから、もっと我々は丁寧にその辺を説明していかなければいけないというふうにも思っています。  しかしながら、最後に申し上げますと、規制緩和、構造改革をこれだけ大きく叫んでも妥当な水準まで進んでおりません、そういうふうに思っています。
  20. 小野晋也

    小野委員 御指摘のとおり、スローガンを掲げて大声で叫んでもなかなか進みにくいからこそ、それだけまた力説されるんだという御指摘、おっしゃられること、よくわかる気がいたしますので、その部分、十分に配慮していただきながら推進をいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。  きょうは二十分余りで時間が余りありませんので、準備した質問ができませんが、あと一問だけお願い申し上げたいと思うのですけれども、それは、先ほどのお話にも関連する自由競争という問題でございます。  自由競争というのは、その一番の基本にある考え方は何かということをたどっていけば、やはりダーウィニズムにたどり着くんだろうと思うのです。生物界においてそれぞれが競い合いながら強者が生存し弱者が滅んでいくというようなことが自然界で行われているのであれば、現実の人間社会もそういうルールをもとにやっていけばうまくいくのではないかという、ある意味ではそういう信仰に基づくルールなんじゃないかなと思うわけでございます。  しかしながら、これは一面正当であると思いますけれども、もう一面では必ずしも正当でないというのは、どういう自然界にあっても優者がすべて残り劣者がすべて敗れるかというと、そうではなくて、ほどほどのバランスが保たれながら、確かに表面的には、優者が劣者を襲い、劣者をみずからの食物にしながら生きていく姿を見れば、優者が勝つという姿かもしれません。しかし、では、アフリカのサバンナに行けば弱い生物はどうかというと、滅んでしまうわけじゃなくて、適度な数量で残っていくということを考えますと、自由競争といいながら、そこに適度のバランス感覚、調整作用というのが働きながら社会というものが運営されてというか、自然界というのが動いているのではないだろうかということに思い至りましたときに、私たちもこの自由競争というものを、単に強い者は勝つ、弱い者は負けるというような単純な考え方ではなくて、もう一段高次の調整作用を働かせるような経済社会を志向していかなければならないんじゃなかろうか、こんなことを思うわけでございます。  ここで連想いたしますのはがん細胞の問題でございまして、長官もよく御存じだと思いますけれども、私たちの体の中の正常細胞というのは、相互の間に情報のやりとりをしながら、鼻のところにある細胞は鼻の形をつくるように働いたらもうそこでとまってしまう、ほかの臓器にしてもその臓器の形を形成したらもうそれ以上は増殖しなくなるというような形で、非常に複雑なメカニズムだと思いますけれども、自然のうちにあるべき姿におさまるような機能を持っているわけでございますが、がん細胞というのは、みずからの体から生まれるにもかかわらず、他の細胞の情報を遮断してしまって自分たちだけの世界をつくってしまう細胞なんだそうですね。ですから、あるところまで成長しても、みずからはどんどん成長し続けていくという形で体を侵してしまい、がん細胞は大きく膨らんだように見えるけれども、結果的に見ればその増殖によって母体が死んでしまい、がん細胞もともに死んでしまうというようなことになってくるわけであります。  今唱えられている自由競争は、どうもこのがん細胞的なルールを私たちの社会の中に適用しているような気持ちがしてならないのです。大型店舗が地方に進出していくならば、その地方の商店街はほとんど壊滅的な状況にまで至ってしまう、というようなことを基本ルールとする自由競争というのは、必ずしも自然界のルールじゃないというようなことを考えてまいりましたときに、やはり先ほど申しましたとおり、高次の調整作用というものをいかにこの自由な経済メカニズムの中に組み込んでいくのかという問題が、これから大きく問われてくる問題だろうと考えているのでございます。  非常にこの点は漠然とした質問になってしまいますけれども長官はこういう考え方についてどういうお考えをお持ちになられ、そのスタビライザーとしていかなる仕組みを想定しておられるんだろうなと思うわけでございまして、ぜひこの点についても御答弁をいただきたいと思います。
  21. 田中秀征

    田中国務大臣 また本当にもっと難しい、そういう御質問でありまして、日ごろ頭を抱えて実は考えている、そういうテーマであるのですが、これは極端にいくと鎖国するか鎖国しないかというような話にまで到達しがちな話なんですが、一つの大きな流れの中でどうやって激変を緩和してソフトランディングしていくかということでもあろうかと思います。  いずれにしても、お互いみんな生きている、一人一人が同じ生命価値を持って生きているわけですから、そういう中で、ブルドーザーが走って何かを押しつぶしていくような、そういうことは許しがたいものだというふうに思います。  いずれにしましても、日本経済がもう一度立ち直らなければ、医療、年金を初めとしてもう高齢化社会に対応できないという現実があるわけですが、その目標を優先させつつ、その中でどうやってお互いに、すさんだ我が国、すさんだ時代とならないような形で乗り切っていくかということであろうと思います。これからも一緒に考えさせていただきたいと思います。
  22. 小野晋也

    小野委員 ちょっと基本の部分でなかなかお答えしにくいことをお尋ねした点、お許しをいただきたいと思います。  ただ、やはり日本経済というのが、ただまっしぐらに量的拡大を目指し、世界市場を目指して進んでいけばいい時代から、この国の中での調和、そしてまた世界経済の中での調和という問題が求められ、さらに情報社会という中で、表向きにこれまでの経済社会の常識として行われてきたような経済活動のほかに、情報社会を介しての公的な、外形的にはなかなかとらえがたい経済活動というのもまた今進行しつつあるというような状況等をお考えいただきますと、かなりの深い検討をしていかなければ、これからの経済対策というのは打ち出していけないのではなかろうかというような認識を持っております。  ぜひ、理論派で鳴らしておられる田中長官のもとで、経済企画庁皆さん方が新たな二十一世紀の経済構造の建設を目指してお取り組みいただきますことを心からお願いいたしまして、質問を閉じさせていただきたいと思います。
  23. 新井将敬

    新井委員長 佐藤剛男君。
  24. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 きょうは私、最初にどういう範囲の質問をするかと申しますと、先ほど田中大臣のお話を聞いて、規制緩和に関連いたす問題でございますが、競争、規制緩和に伴う問題でいい面と悪い面というのが出てきたのですね。  一つのいい面というのは、はっきりしている面は、情報関係、ポケットベル等々の情報産業の投資、設備投資を見ましても、経済企画庁おられるからあれでしょうが、三兆幾ら行っているのですね。ですから、そういうものが大きな支えになって今の景気回復への道の形をなしている。  しかし、片や、この規制緩和という観点で一番いい例は、平成二年の選挙の後をお考えいただきますといいのですが、当時、海部内閣であった。それで海部さんが、当時の選挙で自民党が勝ちまして、アメリカはそれを注視していたわけでありますが、二月末に行って、そこで約束してきたことが二つあったのですね。それが一つが大規模店舗の規制緩和、それからもう一つが四百三十兆にわたる公共投資問題。  大規模店舗の問題というのは、一つの典型的なのがトイザらスという、トイズというおもちゃ、ラザラスというその会長の名前、そのトイザらスというのが中心になって、アメリカの大統領までやって、それで日本の大規模店舗を規制緩和しろということで、それを契機に、国内においても規制緩和がぐっと進んでいる。今、トイザらス何社あると思いますか。四十数社やっているのですよ。トイザらスが四十数店ある。これは五十店にいくのはもう近々です。奈良のところにブッシュ大統領がやってきて、最初のトイザらスの開店のところに全部財界人を連れてきたのが数年前だ。そういう意味において、規制緩和というのはすごく進んだのです。  ところが、その反面、いろいろな問題を出しました。それは、私は、当委員会において、平成七年、一年前でございましたが、一つの問題提起をいたしました。これは経済企画庁もそうだし公正取引委員会もそうだが、これから物価問題については、下がればいいという話じゃないのです。経済企画庁にある物価局というのは、下がるのだけをもって、価格が上がらないのを見守っていてやっているだけの仕事じゃない。価格というものがきちんと、そういう消費者一般——消費者ということは国民ですね。例えば酒屋さんのおやじさんが八百屋に行けば消費者なんです。八百屋のおじさんが酒を飲みたいといって酒屋に行けばこれは消費者なんです。酒屋さんが肉屋に行けば消費者なんです。だから、簡単に言えば、この消費者問題特別委員会というのは国民全体を扱っている委員会なんです。そういう意味において、経済企画庁長官それから公正取引委員長の御出席をいただいて我々が議論を闘い合う非常にいい機会なんです。  そこで、私が問題を指摘したのは、例えばお酒。私ははっきり言ったのですよ、ダイエーと。ダイエーが輸入のビールを持ってきた、それで百円で売った。見切り商品だ。見切り商品ということは、つまり、果物でいえば腐ってしまうからやるというのが見切り処分というわけですけれども、そこでは缶ですから。しかもそこに、賞味期限一年間保証なんて書いてある。一年間保証しているものを見切り処分というようなことで百円で売って、そんなものはダンピング以外にないでしょう、公正取引委員会、それに対してきちんとやっているのかということで、審査部長、本日御出席ですが、やっておりますということで無事決着しまして、私は御立派なことをやられたと思っているのであります。  つまり、規制緩和という観点は、新しい失業、新しい雇用を増大する、これはポケットベルだの何だの、非常に大きな力になる。それと同時に、逆に言いますと、トイザらスであるとか大規模店舗が急激にふえる。それから、今まで距離制限をしていた酒屋さんが、距離制限をやめてスーパーが酒を売れる、こういうようなことになってきているから、あるいは最近では家電だの何だのの、私は不当廉売と称していいんじゃないかと思いますけれども、激安とか価格破壊とかいう問題というのを提起してきている。  そうすると、日本のフェアトレードコミッティーといいますか公正取引委員会のあれというのは、アメリカ流でできたのですね、日本の独禁法の体系は。アメリカの独禁法の体系というのはどういう体系になっているかというと、これは、仕入れ原価に一定の利益率を、六%なら六%の上がりというのを認めるのですよ、委員長。これをマークアップというのですよ、御存じですか公正取引委員会。これを認めて、一・〇六マークアップをつけておいて、そしてその土俵の中で大いに競争する。それで、そこのところでおかしいのはダンピングという形。私、今手持ちのこれは、アラバマ州のモーター・フュエル・マーケティング・アクトといって、簡単に言えばガソリンですね、ガソリンの法律、州法ですよ。これはどういうふうになっているか。アンフェアコンペティション、不公正競争は禁止する、びしつとやる、そのコンペティションで何がアンフェアかというのをちゃんと決めておる。  ですから、そういうふうな配慮がないと、これからやっていかなければならない公正取引委員会の仕事というのは、私は、一つの大きな仕事は、不当廉売に関する不公正取引。なかんずく優越的地位について、例えば先ほど私が申し上げたダイエーのような、大きな資本を持っている、大きな力を持っている、簡単に言えば象ですよ、ゴジラみたいなもの、象とネズミとの戦い、あるいは鯨とシラスとの戦い、そういう優越的地位の乱用になるような不公正取引は、独禁法は禁止しているのだから、これはびしつとした形でやっていただかないと。  本日、公正取引の法律が本会議でかかっていますね。私は、十七人の増員の問題について、大いに応援演説をやり、もう昨年来からずっと公正取引委員会の立場に立ってやりました。持ち株会社についての部分が与党間で調整できないで残ってしまったというのは非常に残念なんですが、私は、公正取引の仕事というのは、持ち株会社についての禁止条項を外すこと、それから、優越的地位の乱用になる不公正取引というものをきちんとやる。つまり、ダンピングと思ったものについては、ふえた人間も含めて五百四、五十人の体制でしょう、それをきちんとやってやることが消費者のためになるんだ。みんな消費者なんだから。先ほど言いましたように、酒屋さんも消費者、八百屋さんも消費者、魚屋さんも消費者、肉屋さんも消費者なんですから。そういうことをしませんと、赤字が出ました、税金は払えません、おかしくなりました、フーフー言って騒いでいるんですよ、今電気関係。  そういうことで、前段は私の話はまずそのぐらいにしまして、公正取引委員会に伺いますが、最近における不当廉売のケースとしてどういうものを皆さんは取り扱っておるか、それをちょっと披瀝していただきたい。特に電気製品関係でございますればありがたい。
  25. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいま御指摘がございましたが、現在、政府の最も重要な政策課題であります規制緩和の推進、この規制緩和の推進には、私ども公正取引委員会といたしましても、競争政策の積極的な推進と一体的に行われなければいけないということで、最も重要な課題認識をしております。  ただ、今先生の御指摘のように、規制緩和を推進をしていく、あるいは規制が緩和された結果の市場でいろいろ問題が起こってくる、そこに注意をしなければいけないというお話でありますけれども、私どもも、規制緩和後の市場におきまして、ただいま御指摘がございましたような大企業の取引上の優越的地位の乱用であるとか、あるいは不当廉売を含む不公正な取引方法、こういうものが規制緩和の市場で行われるということでありますと、これはせっかくの規制緩和メリットがむしろ損なわれるということにもなりかねないわけでありますから、私どもの重要な業務といたしまして、今御指摘もございました、このような不公正な取引方法に類する行為が規制緩和後の市場で行われることのないように、十分監視をし、また、そういう違法行為があればこれを排除していく、そういう必要があるということを認識をしております。  そこで、今のお尋ねは、最近それでは、例えばその不当廉売に当たる行為に対して公取がどんな措置をとったか具体的に報告をするように、こういうお話でございますけれども一つは、先ほど御質問の中にもございました、大手量販店のビールの廉売の件でございます。  これは、具体的に先ほど御質問の中にもございましたけれども、大手量販店ダイエーが輸入ビールを百円という価格で販売を始めた、それに対しまして、私ども、これは不当廉売に当たるおそれがあるということで、直ちに調査を始めまして、そして、昨年の三月のことでありますけれども、このまま販売を継続していけば不当廉売に当たるおそれがあるということで、同社に対して注意を行いました。それに対して同社は、当初は、販売を開始をしたのが二月でありますけれども、それから半年間、八月までこの販売を継続をするという予定であったわけでありますが、私どもの注意を受けまして、三月の下旬にこの百円での販売を中止をいたしました。  これは内容的には、先ほどこれも御指摘がございましたけれども、賞味期限の六カ月前から廉売をされておりましたので、賞味期限が切迫をした、あるいは切れかかっている、そういう理由、これは場合によれば正当な理由に当たり得るわけでありますけれども、いわゆる見切り販売には当たらない、正当な事由なしということで、私ども、そのような判断をし注意をした結果、販売が取りやめられた。したがって、競争者である他の事業者に対する事業の継続を困難にさせるおそれがそこでやんだ、停止をしたということをもって、私どもの対応が効果をおさめたと認識をしているわけでございます。これは法的排除措置に至りませんでしたけれども、事実上の行政上の注意処分で対応した。  それからもう一つ例を挙げますと、これも酒の例でございます。これは平成六年の二月でありますけれども、北海道釧路市所在の酒類の廉売業者、いわゆるディスカウンターが、ビールを総販売原価を著しく下回る価格で繰り返し販売をしていた。これによって、周辺地区の一般の酒屋さん、酒類の小売業者の事業活動に著しい影響を与えた疑いがあったということで、調査をした結果、同業者に厳重に警告をしてこれをやめさせた、こういう例でございます。その他にも、ガソリンの問題あるいは牛乳の問題等の事例がございます。  いずれにいたしましても、私ども、実際の実例に即しまして、ただいま御指摘の、規制緩和後の市場における価格が自由であり競争的になってきているという状況そのものは、競争政策の見地から当然積極的に評価をするわけでありますけれども、その中で、行き過ぎが著しいもの、先ほど来再三御指摘がありました不当廉売の要件に明らかに該当するものがあれば、これは直ちに調査をして、ただいまも事例を一、二申し上げましたけれども、その実態に応じて適切に対応する。今後ともこのような事態につきましては、私ども、監視を怠らず、違法行為があれば、それに対して適切厳正に対応していく所存でございます。
  26. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 明快な御答弁を賜りまして、ありがとうございました。  そういう観点でやっていただきたいと思います。それが公正取引委員会の非常に大きな重要な——規制緩和をやったときのここから生ずる弊害、これを除去するのは公正取引委員会しかないのだから、私的独占禁止法を使わなければいかぬ、それがあるのだから、そこら辺はしっかりとやっていただきたいと思います。  そして、それに関連して、経済企画庁長官経済企画庁には物価局というのがありますね。物価局の、内外価格差比較だとか、物価面についていろいろあるのですが、通称価格破壊問題。私は、価格破壊というのは範囲がすごく広過ぎる言葉だと思いますけれども、そういう問題について、経済企画庁はどのような取り組みをなさっているのか、しょうとしておられるのか、御見解を伺いたいと思います。
  27. 田中秀征

    田中国務大臣 価格破壊と言われるものが消費者にプラス面があるということは事実ですが、そのマイナス面については、非常に多くの陳情を政治家として受けます。そういう声を聞くにつけ、不当な廉売についてきちっとしなければいけないという思いを常に持っておりまして、これは公正取引委員会の活躍に期待をしているというところでございます。
  28. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 つけ加えさせていただきますと、国と国との場合にはダンピングというのがある。アメリカの場合には、日本製品に対してダンピングをかけまして、相当のものを没収してやっているケースが御存じのように随分ある。ですから、それが国内において、こういう規制緩和というような絡みで出てきたときの問題でございますので、その面において、従来のような不当廉売についてのガイドラインとかいろいろあるのですけれども、ひとつそれをもう少し検討し直していただきたいと私は思っているのです。  そして、検討し直していただきたいというのは、アメリカ流の、公正取引委員会というのはアメリカから流入したのだから、その後いろいろ枝葉をくっつけて、ヨーロッパ風の問題だの何だの入れていますけれども、アメリカの州法、これはガソリンスタンド関係についての規制です、これは、アンフェアコンペティションはプロヒビットといって、禁止です。そこの中において、マークアップという問題は、先ほど言った、一定の利益率を、粗利を含ませているわけです。そういうふうな検討を、公正取引委員会それから経済企画庁の中で鋭意していただきたい。  それで今、公正取引委員会の不当廉売の考え方というのは、二つの要件があるのです。総販売原価を著しく下回る価格で継続している販売、それからもう一つは、それによって他の事業者の事業活動を困難にさせることがあること、この二つの要件に該当するかどうかで不当廉売と見ている。しかし基本は、総販売原価を著しく下回る価格で継続して販売する、この解釈なのです。それについて、ひとつしっかりとアメリカ流にしていただきたいということ、それに対する答弁をいただきまして、私の質問を終わります。勉強してくださ
  29. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 不公正な取引方法の一態様であります不当廉売につきましては、今先生からも御指摘をいただきましたように「供給に要する費用」、私どもそういう表現でありますけれども、「供給に要する費用を著しく下回る」。ですから、供給に要する費用は、いわば総販売原価ということでありますから、先生アメリカの州法の例をお引きになったわけでありますけれども、これは一般的な販管費、販売管理費がその中に含まれると考えております。  これをアメリカの州法の中で、御指摘のように、具体的にマークアップ率を指定をいたしまして取り決めている例も確かにございます。私どもとしましても、それは承知しておりますし、我々が販売管理費を含むと考えております総販売原価、これは日本の場合には、御案内のように、アメリカの州法の例にあるような定率で決めているわけではありませんけれども、これはこれで外国の立法例として一つ参考になるということは、当然私ども認識はしております。  ただ、日本の場合に、一律にマークアップ率を決めるのがいいかどうかという点、これは御指摘もいただきましたように、勉強すべき問題であろうと思います。  それから、申すまでもございませんけれども、アメリカの場合でも、単にマークアップ率だけをめどにしているわけではございませんで、競争者を排除したり、あるいは競争を制限する目的や意図を有するという要件がございます。私どもでいいますと、それは他の事業者の事業の継続を困難にさせるおそれ、これがやはり不当廉売を構成する重要な要件であることはもう先生はよく御存じのとおりでありますが、こういう要件を踏まえて、一つは、先ほど御答弁申し上げましたように、規制緩和後の市場を、こういう不公正な取引方法が横行することのないように今後とも監視する。私どもの物差しでも、実際にそういう行為があればそれに対して厳正に対応するということを今後一層強めるとともに、一方では、こういう物差しを具体的にどう適用していくかに当たりまして、今御指摘のような他国の立法例等も十分参考にしながら、今後とも考えてまいりたいと思っております。
  30. 大来洋一

    ○大来政府委員 今先生の御指摘の中にございました価格破壊のマイナス面につきましての研究というのは、私どもも定常的な業務の中で今後鋭意やってまいりたいと思っております。
  31. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 ありがとうございました。
  32. 新井将敬

    新井委員長 岸田文雄君。
  33. 岸田文雄

    ○岸田委員 自由民主党の岸田文雄でございます。私は、きょうは公共料金につきまして幾つか御質問をさせていただきたいと存じます。  昨年、当委員会でも、内外価格差問題を集中的に論議したことがございました。その際に、内外価格差の原因といたしまして、為替あるいは生産性の低い産業の存在等々いろいろな原因とともに、公共料金の存在というものが内外価格差を助長する大変大きな問題であるという議論が行われたことを思い出すわけであります。内外価格差が存在することによって、日本経済が高コスト経済になり、また、日本の産業、経済空洞化を助長するということにもなるわけでありますから、この問題は決して看過することはできない問題であると思うわけであります。  この内外価格差の大きな要素である公共料金につきましても、この問題の大きさにかんがみまして、政府、各省庁ともそれぞれ努力をされておられることと存じます。昨年からいろいろな公共料金の改定をされておられるわけでありますが、そういった中でいろいろな努力をされておられると認識しております。  しかしながら、例えば、ことし三月でございますが、通産省の外郭団体であります国際価格構造研究所というところが公共料金について報告書をまとめておられるようであります。この報告書を見ましても、三十六項目中二十項目で東京の価格がニューヨークを上回ったとか、十項目は価格差が二倍以上あるというような報告もされておるわけであります。内外価格差問題の中で、公共料金の価格差、これはまだまだ努力を続けていかなければいけないということを感じる次第であります。  そういった思いで、きょうは短い時間でありますから、昨年からいろいろな公共料金の改定が行われる中で、大変大きな議論が行われ、印象に残った公共料金として二つ取り上げさせていただきまして、お話を伺わせていただければと存じます。その二つといいますのは、一つは国内航空運賃でございまして、もう一つは電気・ガス料金でございます。この二つにつきましてお伺いさせていただければと思います。  まず、国内航空運賃でございますが、この国内航空運賃につきましては、運輸省を中心とされまして、競争原理を導入するために幅料金という新しい制度を導入して、競争原理の導入をより色濃く反映させて、消費者、利用者の期待にこたえられるように努力されておられるということを聞くわけであります。六月にその料金がスタートするということで、いよいよ直前に迫ったわけでありますが、その内容が報じられ、そして各民間航空会社がその新しい制度に基づいて料金を発表する中で、どうもこの新しい料金制度が期待に十分こたえてくれるのだろうかという心配の声が出ているのも事実であります。  実際、新しい制度に基づいて各民間航空会社が料金を発表しておるわけですが、一部路線におきましては、逆に値上がりをしてしまうということも出てきておるわけであります。また、さまざまな割引制度、新しい割引制度を導入しておるわけでありますが、これとて利用者から見ますと、どうも利用しにくいというような声も出ておるようなありさまです。少なくとも料金制度を改めるわけでありますから、利用者、消費者としては、より安い料金でサービスを受けられることを期待しておるわけでありますが、どうもその期待には十二分にこたえられないのではないかという心配の声、これからスタートするわけでありますから、まだ今のところ心配の声が出ておるという段階でありますが、そういった動きが報じられております。  まず、この国内航空運賃の幅料金制度、新しい制度の導入についてそのような声が聞かれるわけでありますが、運輸省の方はこういった声に対してどのようにお考えになっておられますか、お聞かせいただけますでしょうか。
  34. 丸山博

    ○丸山説明員 御説明申し上げます。  六月一日からこの新しい運賃制度が実施されるわけでございますが、まだ搭乗も始まっておりませんので、今の時点でトータルな評価をするというのは非常に難しいところがあろうかと思います。  ただ、先生ただいま御指摘のとおり、一部路線におきまして、特に目立つ路線といいますか、東京−札幌でございますとか東京−福岡でございますとか、幹線で非常に目立つ路線で、通常期でございますとか繁忙期に値上げになったということで、御心配をいただいておるということも事実でございます。  ただ、これらの路線につきましても、今度運賃に、繁忙期、通常期、閑散期という季節制が設けられたわけでございますが、閑散期につきましては現在より下がっておるというようなこともございます。また、現在の運賃が幅運賃の上限でございます標準原価を上回っております五十二路線につきましては、これは強制的に幅の中に入れるように値下げをいたしました。  また、乗りにくいとか、いろいろ今御批判もいただいたわけでございますが、これまでになかったような新しい割引制度も導入されておりますし、また、先ほど申し上げましたとおり、日本にこれまでございませんでした季節制の運賃というものも導入されておるというところでございます。  いずれにいたしましても、現在航空各社が六月一日から実施しようとしております運賃につきましては、各社のいわば初値でございますので、今後、航空各社の競争あるいは消費者の反応を通じまして変わっていく可能性があるものでございます。そして、変わっていけるというのが今度の制度の趣旨であろうと私ども思っておりますので、今後、各社の競争を通じまして、消費者のニーズに合致した運賃が幅の中で形成されていくということを運輸省としては期待しておるところでございます。
  35. 岸田文雄

    ○岸田委員 確かにこれからスタートするわけでありますし、評価するのはまだまだこれからであります。また、これからスタートする制度が十二分に期待にこたえられるよう、ぜひしっかり努力していただきたいと思うわけでありますが、どうも期待にこたえられないのではないかという心配の声の中に、例えば路線に参入するのが非常に難しいという現状が指摘されたり、あるいは空港使用料が非常に高い、あの辺が原因じゃないかというような声もありますので、その辺もしっかり受けとめていただきまして、この制度が利用者の期待に十二分にこたえられるよう、しっかりと努力してくださいますことをお願い申し上げます。  加えて、割引制度の話もありましたけれども、この国内航空運賃の内外価格差を見た場合に、正規の料金でいきますと、アメリカの方が高いわけであります。正規の料金を比べたら日本の方が安いと言えるかと思うのですが、実際のところ、アメリカは割引制度が充実していて、割引した結果、実際の運賃と日本の今の現状とを比べると、アメリカがはるかに安くなってしまうというようなことでありますので、日本の割引制度もぜひ利用しやすくするよう、それはもう第一には民間航空会社が努力しなければいけないのでしょうけれども、そういった利用しやすい割引制度の導入ということもぜひ関係者皆様方に心がけていただければと存じます。ぜひよろしくお願いいたします。  続きまして、もう一つ公共料金の問題としまして、電気、ガスの問題についてお伺いさせていただきます。  電気、ガスにつきましても、より競争原理を導入するという観点から、ヤードスティック方式というものを従来の総括原価方式に上乗せする形で導入され、ことし一月から新しい料金制度をスタートされたわけであります。  電気におきましてもガスにおきましても値下げが行われて、一月からスタートしたわけでありますが、この制度には燃料費調整制度という制度が加わっておりまして、三カ月ごとに為替レートや燃料価格の変動を自動的に料金に反映させるという制度がついてきておるわけであります。  その制度があるがために、ガスにおきましては四月からもう既に値上げがスタートしておるわけであります。そして、ガスは七月にさらにまた値上げが予定されているというようなことでありまして、一月時点で値下げしました分をもうすべて使い果たしてしまって、逆に値上がりするのではないかというようなことが言われておるようなありさまですし、また、電気の方も七月からこの制度が作用するために値上げが予定されておるわけであります。  これにつきましても、こういう制度でスタートしたわけでありますからこれは当然のことだという言い方もできるかもしれませんが、こういう制度が動いていき、まだ評価するには早過ぎるかとは思いますが、これからだんだんこの新しい制度を評価していかなければいけない中で、利用者側から値上げが続くというような心配がされておるという事実が報じられております。そういった状況を受けまして、通産省の方から少しお話を聞かせていただきたいと思います。
  36. 市川祐三

    ○市川説明員 まず、電気の方からお答え申し上げたいと思います。  先生先ほど御指摘ございましたように、今回の料金制度の改革におきましては、電気という典型的な地域独占的事業でありますけれども、何とかして効率化をめぐる競争を入れたいということでヤードスティック査定方式を導入したわけでございます。また、それと同時に、従来ややもすれば調整がおくれがちになっておりました円高あるいは油の価格による調整をできるだけ迅速に行いたいということ、それと、そのような経営の立場から見ますと外部的な要因で決まるものにつきましては、これを外部化いたしまして経営効率化の環境を整備するとともに、その成果がわかりやすく明確になるというふうな観点から燃料費調整制度を入れたわけでございます。  先生先ほどお話がございましたように、三月ごとの調整ということでございます。電気の場合、七月検針分から調整が行われるわけでございますが、今回、十社平均では標準家庭で月当たり七十七円、若干ではございますけれども上方に調整されるということになるわけでございます。これは制度の当然の結果でございますが、今回は上昇になるわけでございますが、為替レート及び油の価格の動向いかんによってはこれはまた下がるということも、三月ごとの見直しでございますので当然あるわけでございます。  ただ、我々としましては、一番重要なことは、燃料費調整制度によって燃料費が上がろうと、さらには下がろうと、とにかくやらなくてはいけないことは、今後とも相当の設備投資をしていく中で、何とかして経営の効率化を進めコストの低減に努めなければいけないということが一番の重要課題でございます。そういう観点から、徹底した効率化努力ということを進めていかなくてはいけないというふうに考えているわけでございます。  幸いにも、今回の一月からの料金改定におきましては、引き下げのトータルが十社合計で六千百億円でございますが、そのうちの三千二百億、すなわち過半は、電気事業者が将来の効率化努力によって下げられる可能性のある金額としてあらかじめそれを先取りして下げるという形によって達成されたものでございます。現に下がっているものではなくて、これから下げようということによって達成されたものでございます。  その内容を若干申し上げますと、設備投資につきましても、スペックを見直しするなりあるいは資材の購入方法を見直すなどによりまして、計画比でいいますと一〇%なり一五%程度の削減をしているとか、あるいは組織、人員につきましても、現場部門での整理統合とか、あるいは本社機能におきましても整理統合をし人員の削減を図ってみる。さらには、東京電力の場合でございますけれども一般経費についてはゼロシーリングを適用するのだというようなところまで思い切った方針を出しておられるように思っております。  さらに、先ほど申し上げましたことでございますが、経営効率化の内容につきましては、毎年度計画をつくりまして公にする、また需要家の方の御意見を聞いてその内容の充実を図るというような仕組みにしてございます。平成八年度におきましても、先ほど申し上げました料金改定時の経営効率化の内容をさらに充実してコスト削減に努めたいということが公になっているわけでございます。  いずれにせよ、このような経営の自主的な努力こそがコスト低減のかぎであるというふうに認識しておりまして、この努力を積極的に各電力会社が進めていくことを期待しておりますし、行政当局といたしましても、この努力が需要家の理解を得ながら積極的になされるように努めてまいる所存であります。
  37. 寺坂信昭

    ○寺坂説明員 御説明申し上げます。  ガス事業に関しましても原料費調整制度が導入されておることは、先生御指摘のとおりでございまして、従来は大口の産業用に入っていたものでございますけれども、先ほど御説明いたしましたような趣旨で全体的にこの原料費調整制度の適用を拡大したわけでございます。  現在までのところ、先ほどお話ございましたように、四月検針分あるいは七月検針分ということで値上がりに動いてございまして、大手三社の単純平均で標準家庭ベースでは五十五円程度の値上がりということになっております。このように、原料費調整制度そのものは上がったり下がったりするものでございますけれども、公共料金の低廉化の要請ということは大変重要なことでございまして、事業者がその努力を一層傾注すべきということは十二分に認識をしているところでございます。  今回の料金改定におきましては、ガス事業者各社ともに経営効率化目標というものを策定いたしまして、設備投資の合理化あるいは人員の削減、その他諸経費の圧縮等に努めることを明らかにしているわけでございます。そうした目標の実現に向けまして計画どおりに取り組んでいるというふうに承知しているわけでございまして、今後ともなお一層の取り組みを期待しているところでございます。
  38. 岸田文雄

    ○岸田委員 ぜひ消費者の期待にこたえられるように、事業者の経営効率化努力、この努力が一層進みますよう働きかけていただきますようお願い申し上げます。  時間がなくなってまいりましたが、今、公共料金ということで代表的なものを二つ取り上げさせていただきました。公共料金、それぞれ努力はされておられるわけでありますが、なかなか思い切った値下がりにはつながっていないという現状にあるわけであります。しかし、日本経済が高コスト化が言われ、そして空洞化が叫ばれておる現状、幾らそれぞれの公共料金、それぞれ制度をつくって、それぞれの制度にそれなりの理由があるとしましても、内外価格差ということに関してそれなりの成果が上がらなければ、この日本の厳しい経済状況に何ら資することはできないわけであります。幾ら理屈を言っても、成果が上がらなければ何にもならないということも言えるのではないかという気がしております。  そういった中で、今の二つの公共料金も含めまして、公共料金の設定に関しまして経済企画庁も協議をされておられるわけでありますし、また物価安定政策会議等に諮られていろいろと公共料金の設定にかかわっておられるわけであります。経済企画庁もこの公共料金のあり方につきましては当事者の一人ではないかと思うわけです。そういったお立場で、今の議論、やりとりも含めまして、経済企画庁長官から一言御感想、御所見を承りたいと存じます。お願いいたします。
  39. 田中秀征

    田中国務大臣 内外価格差が縮小していくという傾向が見られれば見られるほど、委員がおっしゃった公共料金、いわゆる非貿易財というものがまだまだ縮小度が小さいという思いを強くしております。今回の調査でも私はそれを痛感しまして、公共料金の価格差を縮小していくということが非常に大きな課題であると思います。  最初に取り上げられた幅運賃制度についても、これは利用者から非常に大きな期待があっただろうというふうに思います。先日、私札幌の景気懇談会に行ってきまして、運賃について随分おしかりを受けたり不満の声を聞きまして、これからいい方向に進むものと期待しているのですが、また最初に発表した料金に追随した者が安かったときにもう一度修正したという過程もちょっとありましたね。あれはちょっと救いであったのですが、しかし考えてみると、飛行機に乗ってあめをなめたいとか、飛行機に乗ってただの雑誌や新聞を読みたいとか思って乗る人は余りいないので、私はこういうものはむだだなというふうに思ったりするのです。  ですから、まだまだ安くできるいろんな方法というのはあるのではないか。これはもうサービスがいっぱいの航空会社があってもいいし、またそれを全部除いて低運賃に持っていくところがあってもいい、そんなふうにも日ごろ思っておりますので、ぜひ航空会社でも利用者の期待に沿うような形で、大きな期待があったわけですから、そういう方向でこれからも検討していただきたいと強く期待しております。
  40. 岸田文雄

    ○岸田委員 公共料金の内外価格差の存在、この問題の大きさを十二分に御認識いただいていると感じましたが、ぜひ引き続きまして御努力いただきますよう心からお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  41. 新井将敬

  42. 山本幸三

    山本(幸)委員 新進党の山本幸三でございます。  私は、経企庁長官に、現状の経済認識から、そしてこれから景気を本格的に回復するために今どうしたらいいのかということが一番大事なことだと思うので、まさに経済政策のかなめにおられる長官の基本的な認識、そして将来についての決意、そういうものをお聞きしたいと思います。  時間が余りありませんから、長官にぜひ御自分の言葉でお答えを願いたいと思いますが、景気認識については先ほどからいろいろありましたので大体わかりましたが、まず経済企画庁景気見通しというのはどうしてこんなに外れるのかということをお伺いしたいのです。  一九五九年度から九四年度まで三十六回景気見通しをやった中で、当たったというのは、当たったというのはぴったりというのはあり得ませんから、誤差率一〇%以内を当たったとして、三十六回中見通しが当たったのは五回しかない。打率でいうと一割四分。ある人に言わせると、こんな打者はアマチュアの野球でも採用しない、そういう打率でありまして、さいころも振れば六回に一回は当たるのですね。さいころだって一割六分ある。つまり経企庁なんか要らないので、さいころ振って決めた方がよほど確率が高いというような見方もあるのですけれども、なぜ経企庁景気見通しというのは当たらないのですか。
  43. 田中秀征

    田中国務大臣 大変厳しい御質問ですが、これはもう委員もよくよく御承知のとおりだと思うのですが、経済企画庁政府経済見通しは単に民間の経済見通しと多少趣旨の違うところがある、やはりそこに政策努力の決意あるいは目標というものも加味されての数字であると私は理解しておりますので、単に民間の見通しと比べてというものではないというふうに思っております。  この四年間ずっと当たらなかったということでありますが、今申し上げたことに加えて大きかったのは、資産価格の大幅で急激な下落、そういうものが経済にどれだけ大きな影響を与えるか、これはもう戦後初めての経験でありました。そういうことについての正確な洞察を欠いていたということは言えると思いますし、また急激に襲った円高ということもありました。あるいはまた震災もありました。もろもろのことで、精いっぱいそれぞれの内閣が頑張ってきたわけですけれども、うまいぐあいには進まなかったということであろうと思います。  もう一つ私は申し上げたいのです。この間金融特でもお話ししたのですが、私は四年前に経済企画庁の政務次官をやっておりまして、平成三年から四年ですけれども、平成四年の一月に宮澤総理が経済審議会に生活大国の経済計画を諮問しまして、六月三十日に閣議決定されたのですが、大車輪で審議されました。  そのときに、日本を代表する企業人や言論人あるいは学者がそれこそ網羅的にそれに参加して、百何十人も参加して、私はそのほとんどの部会、委員会に出ました。二回くらい公務や国会の都合で欠席しただけで、あとは私は全部出ました。百数十時間私は同席して聞いていたのですが、そのときが、平成三年から四年というふうに申し上げるとどういうときか、今の金融の問題を絡めておわかりでしょうけれども、一切不良債権の問題とかそういう資産価格の下落に伴う議論はございませんでした。  そのときにもう既に足場に亀裂が入っていたにもかかわらず、その当時の経済の延長上で経済計画が議論されていたということを考えますと、私は今ぞっとするわけでございます。私自身もその不明の責任はありましたけれども、当時かんかんがくがくたる議論というのは外国人労働者をどうするかというようなことでありましたが、今の現状を考えると本当に今昔の感にたえない、そういう感じです。これだけの優秀な有識者が集まってこうだった。  しかし、私が考えるには、当時もう既にわかっていた政府の一角があったんだということを思いますと、経済に関する情報、財政政策金融政策、通商政策あるいは産業政策、さらに公共投資、土地政策、そういうものの情報はもちろん、経済社会のゆがみ、ほころびあるいはまた価格破壊等の新しい現象、それを網羅的に一元的に、迅速に正確に集まる場所がなかった。したがって経済認識について正確な認識がされなかった。したがって、認識が不十分であり不正確であれば、そこから新しい経済政策を打ち立てていくことはできないということを最近つくづく感じておりますから、そういう経済にかかわる情報、指標それから実態についての、先ほど申し上げた経済社会のゆがみとか新しい現象とか、すべての行政府から正確に一カ所に集まるような情報の一元化体制というのはどうしても必要であるということを私は四年前の経験からして最近つくづく感じているところであります。
  44. 山本幸三

    山本(幸)委員 要するに、政府見通しというのは客観的な見通しと違うから当たらないことは当然だ、そうであれば民間の見通しを見てくださいという話ですので、これからそうしたいと思います。  それから、反省を込めて、要するに経企庁では経済の本質の問題を見きわめる能力がなかったということをおっしゃったわけですね。私もそのとおりだと思います。平成三年から四年ということですが、諸外国では、バブルがあってそれが崩壊してという現象がもう既に起こっていた。日本でもそういう可能性もあった。ところが、あのころ経企庁は、いや景気は減速しつつも伸びつつあるなんて不思議な言葉を発したりいろいろおもしろいことをやって、あるいはおっしゃって、まさにバブル崩壊が、とにかく地価を下げればいいんだ、株価を下げればいいんだという、これは永田町も霞が関も一緒だったと思いますけれども、そういう感覚だけが先行して、そのことが経済にどういう悪影響を及ぼすかについて考えがなかった。これは大いに反省してもらわなければいけない。つまり、経企庁にそれを見通す能力がなかったということですから。  私は、実はなぜそういうふうに見通しを誤るようになったかということはもっと根本的な原因もあるのじゃないかと思っています。それは、ある意味でいうと、経企庁がいろいろなときに使う世界経済モデルあるいはそういうモデルのもとになっている物の考え方自体に問題があるのじゃないか、つまり、理論自体が少し間違った理論を採用していたのじゃないかという気がします。それについては後で少し議論したいと思います。  その前にちょっとお伺いしておきたいのですが、景気回復の芽が少し出てきている、しかし、本格回復ではない、そういう認識皆さん一致していると思いますけれども、では問題は、これからどうするか。これからどの政策を使うのか使わないのかということが一番大きな問題になるのですね。それについて少し気になっていますことを、次の議論につなぐ意味で極めて重要なことなので、お伺いしたいと思います。  長官は、参議院の予算委員会、予算が上がる最後の時期ですか、五月九日、梶原委員に対する質疑に答えられまして、財政出動に頼り過ぎることが構造改革への熱意を鈍らせることもある、秋に新たな追加的な財政支援をなしで済ませるという決意が本格的な軌道に乗せることを可能にするというふうにお答えになりました。つまり、これからは財政出動はすべきでないと考えておられるように思いますが、そういう決意でこれからも断固として臨まれるということですか。
  45. 田中秀征

    田中国務大臣 その部分だけお読みになると随分過激な言い方だと思って今お聞きしたのですが、前後があろうかと思います。  秋の財政出動云々ということについて私がやるべきだということを言っていないのは事実であります。いろいろなところで言っておりません。  これについては幾つかの理由があるのですが、その一つは、平成八年度の予算においても公共投資というのは高水準で維持されるものと思っております。昨年の当初予算と比べても四・一%増ということになっておりますし、御承知のように昨年の経済対策が年度をまたいで効果を発揮しているということもありますので、それを考えますと、平成八年度もならして高水準で推移するというふうに考えているということが一つでございます。  もう一つは、今御指摘された私の発言であります。ちょっと息切れするとすぐ財政に助けを求めるあるいは財政が助けに出ていくということであれば、やはり構造改革に対する熱意というものが本物になっていかないのじゃないか、そういう危惧を私はしております。しかし、政府が昨年の暮れに決定した経済計画でも言っているとおり、構造改革がうまくいけば、西暦二〇〇〇年まで平均で実質三%の成長は可能である、これがだめならば、一と四分の三程度にとどまるだろうと言っております。私は、もうその時期が始まっているのであって、今年度の二・五%の成長も、これを達成していくためには、やはり即効性のある規制緩和を初めとする構造改革というものを進めていかない限り二・五%の達成は難しいというふうに思っているわけです。したがって、二・五%にするためにどんどん財政を出動させていくということでは肝心の構造改革が進まない、それは将来的な日本経済社会を見通した上で決して好ましいことではないと思っているのが二つ目でございます。  それから三つ目は、申し上げるまでもなく財政の窮状です。もう一々数字は申し上げません、山本委員プロでありますから申し上げませんけれども、これだけの財政の窮状の中で許されるのかという問題も別の問題としてあるわけです。ですから、なるべく、できる限り今の流れの中で規制緩和を中心とする構造改革を進めていく、そしてまた、不良債権の処理に展望を切り開いていく、土地の有効利用を促進していく、そういう流れの中で経済見通しの達成に努力していくべきだと思います。  いずれにしましても、私は、今世紀最後のチャンスだ、ラストチャンスだということもいろいろなところで申し上げております。日本経済の再建にとってこの機会というのはラストチャンスだということでありますから、将来の年金、医療とかそういうことまで考えても、今回このチャンスを本格的な回復軌道にどうしても乗せなければいけない。景気回復というのが至上課題であって、最優先課題であると思っております。しかし、背に腹はかえられないということも事態としては起こり得るというのはもちろん承知しておりますが、現在の姿勢をできる限り貫いていくべきだとは思っております。
  46. 山本幸三

    山本(幸)委員 構造改革を進めるため、あるいは財政の現状から見て安易でやるわけじゃないというところは、私は、非常に高い見識で評価すべきだなと思います。その意味では、私の考えとちょっと違うのですけれども、結論的には似通っているかな、大変高い見識だなというふうに思いますが、理論的にはちょっと違うのですけれども、それについてちょっと後で質問します。  次に、一方で、大蔵省が来年度の予算のシーリングについて、公共事業の伸びをゼロにする、そして経常経費についてはマイナス一〇にするというシーリングについての考えを示した。それについて経企庁次官は、公共事業の伸びをゼロにするというのは景気対策としていかがか、問題があるという趣旨の発言をしたと私は新聞で読んだのですが、これについて大臣はどのようにお考えなのか。シーリングは公共事業ゼロでいくべきと考えるのか、それとも、次官が言っているように、それは問題があると考えるのか、次官と大臣の間で食い違いがあるのかどうか。
  47. 田中秀征

    田中国務大臣 平成九年度の概算要求基準については、今後検討を行っていく事柄でありまして、何ら具体的なことは決定されていないものと認識しておるところですが、小林次官の発言について、私はそれほど気にしておりませんでした。御本人にまた確認したのですが、五月二十三日の会見の発言を指しておられるものと思います。  この発言は、厳しい財政状況及び財政再建の必要性を十分に認識しつつ、従来以上に各種施策についての優先順位の選択を厳しく行っていくことが重要であること、ようやく回復に向かい出した景気をどう本格的回復に結びつけるかという視点も重要なことを一般的に述べたものである、というのが本人の答えでありました。
  48. 山本幸三

    山本(幸)委員 その次官の発言ははっきりしないことなんだということですが、大臣は先ほど、要するに、構造改革とか財政赤字考えると財政出動は慎重にすべきだという意見を述べられました。私も高く評価しますが、そういう大臣のお考えからいえば、大蔵省が考えているという公共事業の伸び率はゼロにするということについては、それは当然だという結論が出てくるように思うのですが、そうじゃないのですか。
  49. 田中秀征

    田中国務大臣 それはこれからの、今即断する云々ということじゃなくて、このところの景気もじっくり検討して考えていかなければいけないことだというふうに思っております。基本的には大蔵省の方向について理解ができます。
  50. 山本幸三

    山本(幸)委員 ここで確約してもらいたいのですが、それが無理だということであれば見守りたいと思いますが、基本的な考えとして、哲学として述べられたことをそう簡単に変えることがないように、私は、企画庁長官はそれぐらいの決意は持っておられると思いますから、どうされるのか、大いに期待しております。  そこで、なぜそういうことを議論してきたかといいますと、私は、経企庁の見通しはこんなに外れてきた。その政府見通しを出すときは、確かにそういう政策判断があるでしょう。しかし、経企庁の見通しというのは、例えばいろいろな総合対策を、経済対策を打ったときでも、その対策効果でGDPは何%伸びる効果がありますなんというのはいろいろ言っているわけですよね。それはすべて外れている。  例えば、九二年八月の総合経済対策のときには、これで二・四%GNPを押し上げ効果がありますよなんて言っていた。あるいは、九三年では二・六%、九四年二・二%、そんなぐあいに、二%から二・五、六%ぐらいまでの効果がありますと言いながら、全部外れてきたわけですね。こういう対策を打ったときの効果というのは、いわゆるモデルから脱して、それから言っているのでしょうから、それは普通の政府見通しとは違うと僕は思うのですね。  いずれにしても、そういう間違いがどうして起きるのかということを私はずっと考えているのですが、諸外国のバブルが崩壊した、不況が起こった。そして、それから回復するときの対応と、日本の、九二年から公共投資をどんどん出して、財政出動、六年間で六十五兆円以上と言われていますが、そういうことをやってきたこととは非常に対照的な対策をやってきた。  それで、諸外国でもバブルもあった。しかし、そのバブルが終わった後の不況がまた当然来たわけですが、それに対する対応策で財政出動をしたという国はない。アメリカ、イギリス、カナダ、あるいは北欧のスウェーデン等、英語圏諸国あるいは北欧諸国というのは、このバブル崩壊後の不況に対して、財政出動を大きくやって回復をしようという政策はとらなかった。むしろ、アメリカを初め、逆に財政赤字は削減しようという政策をとった。そのかわり、金融政策の面で思い切った政策をとったのですね。  御承知のように、アメリカは実質金利ゼロまでの政策をとって、そのほかの国も財政赤字削減はしながら金融政策をとった。結果を見ると、そっちの国の方がうまくいってしまった。そういう英語圏諸国や、あるいは北欧諸国の方が、日本よりもずっと早く景気回復を達成した。他方、公共投資財政出動をこれでもかこれでもかとやり続けた日本は、一向に回復しなかった。ようやく結果が出てきたのは最近ですね。私は、これは金融政策を緩めたからだと思っています。  私は、当選してから、三年前からすぐに、金融政策を早く緩めろということを主張してきましたが、まだ一年生ですから、なかなか聞いてもらえなかった。羽田内閣のときの官邸に行って、そのほかも含めて三回にわたって当時の羽田総理に、とにかくマネーサプライをふやさなければだめだから、日本銀行に言って金融を緩めてくれということを私なりに御説明して、羽田さんもわかった、そうか、では日銀総裁に話してみようと言われて、その二日後に羽田内閣がつぶれてしまった、残念ながら。その後の村山内閣の一年間というのは、日本政治についても不幸だったと思うけれども日本経済国民にとっても大変不幸な一年だったと私は思っていますね。全く経済政策がわかっていなかった。  村山政権ができてから、すぐ日本銀行は景気回復していますなんて言ってしまって、まさに金融緩和をやるどころか、そこから金融引き締めに入ったのですね、それで一年間おくれた。大変だというので、ようやく昨年に初めて金融緩和が起こって、これがきいてきた。  そういうことを考えると、景気対策として財政出動というのはきかないんじゃないか、景気対策金融政策でやるべきではないかという気がする。そういうことについて、では理論があるかというと、いろいろある。一番典型的なのはマンデル・フレミング理論というものですが、これは、私は予算委員会で初めて使って、霞が関ではもう常識になっていると思いますから、あえて使わせてもらいますけれども財政政策財政拡大をやると、その結果、金利水準が高まるプレッシャーがかかる。変動相場制のもとでは、そういうプレッシャーがかかったときには為替レートが円高になる。そして、財政出動で景気刺激効果が少しは出てくるのだけれども、しかし、それは円高という為替レートが上昇する効果によって相殺されて、結局きかない。むしろ金融政策で緩めたら、金融緩和という効果と為替レートが円安になるという二重の効果が働いて、より働くのだ。これは変動相場制のもとでの基本的な考え方ですね。  ところが、日本は、変動相場制になったのだけれども、依然として固定相場制のときのような感覚で経済政策をやってきたのではないか。公共投資をどんどんぶち込めばきくという考えでやってきたように思う。この考え方が一つある。理論的に言うと、これはケインジアンモデルから出た考えですが、しかし、変動相場制のもとでの財政出動と金融政策効果について非常に示唆的なことを言っているように思えます。  私は、この日本の過去の経験を振り返るとぴったり当たっているのかなというふうに思いますが、この点について大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
  51. 田中秀征

    田中国務大臣 財政金融政策専門家である委員お話、興味深く今拝聴したのですけれども、後で、この三、四年の経済政策展開については、実際にそれに従事した政府委員の方から詳しくお答えをさせたいと思うのですが、私は、本格回復、自律的回復というのを非常に簡単に言うと、これは民間主導に景気回復がなっていくことだというふうに理解をしているわけです。  特に、設備投資と個人消費が主導する、この二つが主役になる回復過程を本格的回復。ところがこの主役が今のところわき役にとどまっている。主役は何だといったら、これはいろんな数字で明らかなのですが、公共投資と住宅建設であります。これが主役を演じていて、わき役の方は、力をつけているけれども、まだ主役のところまでいっていないという状態がいろんな数字に見られます。  そうであれば、住宅建設の方は低金利という政策効果が出ている面があるわけですが、公共投資の方は財政出動でありますから、これがこのところの明るい動きの中でかなり明確に効果が見てとれるということを考えれば、私はこの財政出動の経済効果というのはまだまだあるのだな、そういう思いを、専門家ではありませんけれども、そんな感じで見ているところでございます。
  52. 糠谷真平

    糠谷政府委員 ただいまの大臣のお答え、若干補足をさせていただきたいと思いますけれども、先生御指摘のように、財政政策金融政策関係経済対策としてどういうふうに考えるか、欧米の実例からいろんな議論があるということは私どももよく承知をしているところでございます。それから、一昨年後半でございましょうか、金利が上がっていったことが景気影響を与えたのではないか、そういう御議論がいろんなところであるということも私どもよく承知をいたしております。  ただ、財政政策、私ども効果がないかということにつきましては、今大臣からもお答えをいたしましたように、過去、もちろん世界経済モデル等から計算、算術的に計算をされますような効果があったのかどうか、いろんな漏れがあったんじゃないかということはそういうことだろうと思いますけれども、平成七年度、それから平成五年度、四年度、経済対策をやった年でございますけれども、平成六年度はやっておりませんので例外といたしまして、大体一%前後はGDPを押し上げる効果があった、現実にでございます、ということだろうと思っております。  それがなぜ〇%成長あるいは小数点成長に終わったのかということは、やはり何と申しましても民間設備投資の落ち込みが大きかった。それはやはりバブルの後遺症が大きかったということでございますので、ストック調整あるいはバランスシート調整と言われるものの影響、私どもがその影響について十分読めていたかということについての御批判は私どもも甘受しなければいけないと思っておりますけれども、やはり民間設備投資の落ち込みを、公共投資効果を持っていたけれども、十分にそれを補い切れなかったということが大きな要因ではないかなと思っているところでございます。
  53. 山本幸三

    山本(幸)委員 公共投資効果はまだまだある、しかしそれでも埋め切れなかったという見解ですね、私はそれはちょっと不十分のような気がするのですね。  民間設備投資がなぜ火がつかなかったか。それはバブルの後遺症、もちろんあるでしょう。しかし、公共投資をやれば、先ほど申し上げたマンデル・フレミング理論で言うように、金利上昇プレッシャーがかかっているということで、そして円高になって、そのことが民間設備投資を消極化させたことにもつながっているわけですね。  つまり、公共投資は、私は効果はゼロとは言っていません。しかし、そのことによる弊害が出てくることでまた相殺されちゃうからだめなんだと言っているわけですね。前半の部分だけはそれは効果がある、しかし経済政策というのは全体を見て、全体が、すべてが終わった後に、前の段階と比べて効果があるかどうかという議論をしなきゃ経済政策議論していることにならないんですね。それは部分均衡分析でやったら効果があるに決まっているんだけれども一般均衡分析しなきゃ意味がない。  そういうことから考えると、私は、公共事業、効果があるということで言っていますが、世界経済モデルも、公共投資の乗数が一・二とか一・四とか、最近下がってきている。しかし、この世界経済モデルの方が非常に問題があるのは、公共投資やったときにマネーサプライもふえるという前提で議論していますね。これは、私は、正確な公共投資乗数を出してない。本当に公共投資乗数を議論するなら貨幣の供給量はふやしちゃいけない。ふやさない段階で公共投資やったときにどれだけの乗数効果が出るという議論をしなきゃいけない。  ところが、この世界経済モデルを見てもそうじゃないんですね、前提は。前提は、公共投資ふやしたときにマネーサプライもそれに応じてふえるという前提でつくっているから、私は、これは恐らく本来以上に公共投資乗数が大きくなっているだろう。これは、経済理論を知っている人ならだれでもそう考えるわけですけれども、そういう点から考えると、財政出動の公共投資効果、乗数というのは、私は、経企庁が前提としていろんなことを考えている、それは恐らく大き過ぎるだろう。  アメリカのデータ・リソーシズというシンクタンクが言っているのは、公共投資乗数はもう〇・六しかない、それはマネーサプライをふやさないでですよ、そういうことを言っている。つまり、金出したってそれだけの効果もないという結論を出している。  その結果、マンデル・フレミング理論の次に出てきている考え方というのは、先ほど申し上げたように、各国がなぜ財政出動をしないで、むしろ財政赤字を削減しながら金融政策景気対策とやることによって成功してきたか、このもとになっている考え方というのは、どうも、これまでの日本の霞が関、永田町における物の考え方の基本になっているケインズ的な考え方、つまり公共投資やれば乗数効果がある程度あって、それで景気回復するという考え方と相当違う。この考え方はニューケインジアンというような呼ばれ方で言われているようですが、要するに、私が今言ったように、財政政策財政出動の効果には疑問がある。  しかし、将来の中期的な日本経済考えてやるためには、長官が先ほどおっしゃったように、要するに民間の設備投資、これに結びつかなければ長期的、中期的な経済成長といのはあり得ない。そしてこの民間の投資、将来の成長率を高めるためには、かつてケインジアンが言っていたような、とにかく需要が不足しているから公共投資をぶち込めばいいという考え方ではなくて、それは効果が余りないから、そうじゃなくて、貯蓄をよりふやして、そして貯蓄をふやした方が投資率も上がるんだ。むしろ、貯蓄をふやす政策をとって、長期的な、中期的な経済の成長率を上げることの方がよりよい景気対策であり、経済政策であるという考え方なのです。私は、最近、この考え方に非常に親近感を感じて、むしろそうではないのか。  どうも、これまでの日本の最近の経験あるいは各国の経験を見ると、この新しいニューケインジアンが言っているように、財政出動というのは余りきかない。むしろそうじゃなくて、アメリカがレーガン政権でその失敗を勉強して、その後、財政赤字削減という国家としての貯蓄をふやす方向に来ている。しかし、それでもまだ足りない。日本は、貯蓄は高いと言われていたのだけれども、このところの財政出動によって国家貯蓄は全くマイナスになっちゃった。大きくなった。  そうすると、国家的な貯蓄としてはどんどん減りつつある。これは、私は中長期的に見て、日本経済にとっては非常に大きな問題になって、高齢化社会に対応することもできない。そうであれば、今こそ各国の経験を見て、そして経済政策に対する考え方を基本的に考え直す必要があるのじゃないか。  そうであれば、私はこの理論に基づいて言うのですが、大臣は直感からおっしゃって、私は非常にいいセンスをしておられると大変敬意を表しますが、これからは安易な財政出動に頼るべきじゃない。むしろ、やるなら金融政策でやるべきであって、金融緩和を堅持しなきゃいけないし、場合によっては、期待インフレ率が下がっている場合には、もっと緩和するということも考える方がまともな景気対策であるというように、このニューケインジアン的な考え方からそういうふうな気がしておりますが、その点についての大臣の所感をお伺いして、終わりたいと思います。
  54. 田中秀征

    田中国務大臣 現在の金融緩和基調については、委員もよく御承知のように、景気回復にとっては非常にいい環境であるのですけれども、反面、いろいろな社会的なひずみもありますし、しわ寄せも行きます。そういうことも、政治家であれば委員も私も真剣に考えなきゃいけないことであろうかと思います。  そういう中で、先ほど申し上げましたように、景気回復最優先ということが、いろいろな家計の中長期を見ても、将来を見ても必要だという思いで、金融緩和の現在の基調を維持するということに期待感を持って、今経済運営に取り組んでいるところでございます。  公共投資財政出動がどれだけの経済効果があるかということについては、きょう、委員からもいろいろ教えていただきまして、また私も一生懸命勉強していきたいと思うのですが、私は、個人的にこういう観点も持っているということをお話ししておきたいと思うのですが、やはり公共投資経済効果というのはあると思います、これは委員もお認めになったわけですが。  しかし、公共投資というのは、あくまでも必要な社会資本を整備するために金を使って、結果として経済効果もあるということであるべきだと私は思っておりますので、金を使うために金を使うというような形のものは、そういう状態がもしあるとしたら、なるべく早くそこから脱却しなきゃいけないというふうに、私は常々これを思っています。  ですから、景気回復にとってもやはり火つけ役が必要なのであって、景気経済状態を維持するために、それこそモルヒネみたいな状態で使っていくということは大変不健全なことだし、それでは足腰の強い経済というのは中長期的にできないだろう、そんな感じを私は持っております。
  55. 山本幸三

    山本(幸)委員 ちょっと超過して申しわけないのですが、一言コメントさせていただいて終わりたいと思います。  金融は緩和しているということですが、私が今心配しているのは、もう既に長プラは上がりつつある、長期の金利は上がりつつある。長プラは、一番低いときから既に一%上がりました。今三・六になった。そして、この長プラが上がって、長期の金利が高い、しかも期待インフレ率が低いということは、実質金利は高くなっているということなんだ。これは、かつてまさに村山政権ができたときに起こった現象で、その前半は金利が下がっていたのだけれども金融政策が何も手を打たなかったために、日銀が少しこの長プラの上がることをほって、その結果、円高が猛烈に起こってきたわけです。これは今繰り返す可能性がある。このことをよく注意して、この点について、もっとそれが上がらないようにしていかなければ、本当の金融緩和ということにならないということを申し上げたい。  それからもう一つ公共投資、必要なところに金を出すということですが、言っておきますが、日本公共投資の水準というのは、水準自体は非常に高いのです。各国に比べて、各国の二、三倍あります。問題は、その使い方なんですね。だから、公共投資が足らないから景気対策にならないという議論は、そんな単純ではない。むしろ、使い方が悪いというところに非常に問題があると思う。これはここで議論することじゃないので、そのことを指摘して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  56. 新井将敬

    新井委員長 鮫島宗明君。
  57. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 前委員の高通な総論を受けて、やや身近な各論についてお伺いしたいと思います。  消費者の豊かさの実感を確保するという立場で、規制緩和についてきょうは幾つかお伺いしたいと思いますけれども、平成八年三月二十九日の閣議決定でも、従来の五カ年計画を前倒しして三カ年計画で、千七百九十七事項についての規制緩和を行うということが了承されたようですし、そのうち、新規に盛り込まれたものが五百六十九事項という、この平成七年から規制緩和の大きな動きが行政の中で定着していくというのは、大変歓迎すべき傾向だと思います。  一方で、新たに生まれている規制というのもこの陰でたくさんあるんじゃないかと思いますけれども、この三年間で千七百九十七事項減らしますということに対して、これは具体的な数字、いきなり聞いてもわからないのかもしれませんけれども、平均一年間に新たな規制というのはどのぐらい生まれているのでしょうか。もし数字がわからなければ、後ほど調査して御返事いただいても結構です。減らす方だけじゃなくて、ふやす方もぜひ気をつけて見ていただいて、ネットでどうなっているのかということについて、常に留意する必要があるのではないかと思います。  いろいろな規制緩和について、たくさんのパンフレットとか広報の資料、「規制緩和はいま」というようなものも出ていますし、いろいろ便利になったという宣伝も行われていますけれども、きょうは、通産省と農水省と大蔵省に、それぞれ一番消費者のためになったと思われる規制緩和一つ、それから、雇用創出に役立ったと思われる規制緩和、胸を張って自慢できる項目を、本当は全省庁に聞けばよかったかもしれませんけれども、ちょっと時間の都合で、通産、大蔵、農水、三省にぜひ御紹介いただきたいというふうに思います。
  58. 小松兼一

    ○小松説明員 農林水産省の行いました規制緩和のうち、まず消費者のためになったものでございますが、例えば昨年十一月に施行されましたいわゆる新食糧法の関係での米の流通に関してのものがございます。  この中では、従来単線的な流通ルートを弾力化いたしまして、計画流通米が流通段階のニーズに応じて多様なルートによって流通できるようにするとともに、また、流通の担い手でございます出荷取扱業者、卸売業者、小売業者につきまして、従来指定許可制であったものを一定の要件を備えればだれでも参入できるという登録制にいたしたところでございます。この制度自体は、本年六月一日に最初の登録がなされるということに向けまして、現在登録要件の審査を行っております。  私どもといたしましては、この結果、米穀の販売業におきまして新規参入が促進される、消費者が精米を購入する際の便利さが増す、それから、小売業者の間で一層の競争原理が働くことになりまして、消費者に対してサービスの向上、多様な品ぞろえも可能になります。また、流通経費の節減を通じまして小売価格の低下なども期待されると考えております。  それから、私ども関係で雇用の創出に効果のあったものでございます。  私どもとしては、平成元年、これは農業振興地域制度の運用上の措置といたしまして農村活性化土地利用構想というものを設けました。これは具体的に申しますと、例えば市町村が、その地域の中におきまして活性化のために必要な施設、例えば高速道路のインターチェンジ周辺の工場や団地、それから一般国県道沿いの流通業務施設、そういった多種多様な非農業的土地利用に対応するために一定の構想を設けていただいた場合に、その構想に即してそういった施設等をつくる場合につきまして農振制度上のもろもろの手続あるいは要件等につきましての特例措置を設けております。  また、これに見合った形で農地転用許可制度上の取り扱いもそういったものとしてなされることになっております。  この制度、平成元年でございますが、その後、約三百の市町村におきましてこの構想が設けられ、関連する工場、流通業務施設等々が設置されておりまして、そういったもので雇用の創出が上がったものと考えているところでございます。  以上でございます。
  59. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 次は、順序は任せますから、あと通産省と大蔵省、お願いします。
  60. 古賀茂明

    ○古賀説明員 お答え申し上げます。  通産省関係規制緩和、いろいろございますけれども、その中で特に消費者の利益に資するものということで、代表的なものとしましては、例えばこの三月に特定石油製品輸入暫定措置法というもの、いわゆる特石法でございますが、これを廃止いたしまして石油製品の輸入を自由化したところでございます。この自由化を見越しまして、早くからガソリンなどの価格がかなり大幅に低下をしてきておりまして、ガソリンなど三油種で、年間一兆円近くを消費者及び事業家に還元できているのではないかという計算もなされております。こうしたものは消費者利益に非常に資するものという代表的な例ではないかと思われます。  それからもう一つ、新規雇用の創出に資する例というお尋ねでございますけれども、例えば今回の新規事業法の改正によりましていわゆるストックオプション制度というものが導入できることになりました。これなどは、ベンチャー企業などが有能な人材を確保したり、あるいは、勤労インセンティブというものを付与することによって成長することができるようになるという意味でベンチャー企業の振興に資するということで、新規雇用の創出につながるものであると考えております。  先生御指摘のとおり、消費者利益あるいは新規雇用創出といったものは規制緩和を進めていく上での非常に重要なポイントであるかと思いますので、こうした点を十分これからも意を用いながら進めてまいりたいと思っております。
  61. 若狭正幸

    ○若狭説明員 お答えいたします。  規制緩和につきましては、大蔵省といたしましても、昨年の規制緩和推進計画に当たりまして、金融、証券、保険あるいは通関、流通等幅広く各分野につきまして規制緩和事項を盛り込みました。また、本年三月の同計画の改定に当たりましても、約百十の新規項目を盛り込むといったことで積極的にこれまで取り組んできたところでございます。  ただ、これらの規制緩和の施策それぞれにつきまして、どの分野のどの施策がどれだけの効果があったというように、個々にその効果を定量的にとらえることは非常に困難でございますが、それぞれの施策が、市場機能の一層の発揮による市場の活性化あるいは手続の簡素化による負担の軽減、事業機会の拡大ということを通じまして我が国経済の中長期的な発展に資するものと考えております。  いずれにいたしましても、今後とも計画の着実な実施に努め、規制緩和に取り組んでまいる所存でございます。
  62. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 私は、それぞれの省庁が国民に向かって宣伝するいい機会を与えたつもりだったのですけれども、それぞれの省庁の体質が見事に浮き彫りにされたなという気がいたします。  規制緩和は、細川政権の誕生以来、政治の場でもかなり大きなイシューになりましたけれども、やや粗雑な取り扱われ方といいますか、余りにもかけ声だけは大きく、特に、初め規制緩和が論議されたころは、あくまでも経済分野における規制の緩和ということに力点があって、命や自然を守るという分野の社会的規制については、むしろ内容を厳しく点検して、物によっては強化すべきだという考え方もあったと思います。  ただ、経済的な分野の規制については、価格規制なり参入規制は原則廃止の方向で持っていくということが合意されていたと思いますけれども、いつの間にか全省庁一律に緩和せよというようなことに切りかわってきまして、それから規制緩和内容も、どちらかというと消費市場の開放というのが一番中心になってきて、少なくとも生活者が実感できる規制緩和としてはそういうあたりが非常に強く全面に出てきたのがこの数年の傾向ではないかと思います。  確かに、規制緩和によって、官業による民業の圧迫、あるいは過度の規制によるビジネスの活力を阻害するという要因が減っていくのは大変いいことなんですけれども、実態的に見ますと、規制緩和によって価格破壊が起こる、あるいは製品輸入も盛んになるということによって、中小零細の、これは二次産業、三次産業含めてですが、ある意味では競争力のない分野が負けていって、それが産業の空洞化につながり、そして、中小零細の分野で働く労働者の人たちの生産者としての力の低下が消費者としての力の低下につながり、価格が安くなったにもかかわらず余り消費が活性化しないというある種の悪循環が、市場開放だけに余り規制緩和が行き過ぎると起こるのではないかという懸念を持っております。  そういう意味では、規制緩和とは何かということを少し考えてみる必要があるのではないかと思います。  例えば通産省としては、規制緩和によって大いに市場が開放されました、しかし、そのことによって、負の側面、競争力のない中小零細の分野が次々と空洞化していくということに対して、それから、商店街についてもかなり深刻な問題がありまして、大型店が非常に進出しやすくなりました。しかし、それに対して、家族経営型の商店が次々に競争力を失って負けていくというような状況も起こっていると思うのですけれども規制緩和の持つ当然の影響といえば影響なのですけれども、こういう生活圧迫型の影響について、通産省としては中小零細の活性化対策、あるいは個人経営を主とする商店街の活性化対策についてどのような施策をお打ちなのか、御紹介いただきたいと思います。
  63. 松島茂

    ○松島説明員 お答えいたします。  製造業について私の方からお答えをさせていただきたいと思います。  委員指摘のとおり、規制緩和を初めといたします経済的な環境はここのところ大変大きく変化をしてきております。その中で、どちらかといえば体質の弱い中小零細企業がその中で御苦労されているという状況認識をいたしております。そういった認識を踏まえまして、中小企業が体質を強化できるようなさまざまな策をきめ細かく講じておりまして、それによって体質を強化するというのが中小企業対策一つの柱でございます。  あわせて、我々が今新しくとり始めております政策は、こういった環境の変化というのは新しいビジネスチャンスに道が開けるという面もあるわけでございまして、中小企業がさらなる発展を図っていくために、新しい事業分野への進出であるとか、新商品、新サービスの開発といった創造的事業活動に取り組むところを政策としてもサポートしていこうということで、中小企業新分野進出法あるいは中小企業創造活動促進法といった法律を中心にいたしまして、資金面においても手厚くそういったところの応援もしていきたいというふうに考え政策を実施しているところであります。
  64. 近藤賢二

    ○近藤説明員 お答えを申し上げます。  御指摘のとおり、今中小の小売業は非常に厳しい現状でございます。商業統計を見ますと、平成三年から平成六年までの三年間に、百六十万の中小小売業が百五十万まで十万店舗減っておるといったような厳しい状況でございまして、今御指摘をいただきました商店街でも空き店舗の問題が大きな問題になっております。全国で一割以上空き店舗になっている。要は、十軒に一軒以上空き店舗になっている商店街が全体の中で三分の一以上を占めておるといったような厳しい現状になっておるわけでございます。  そういう中で、私どもといたしましては、中小企業がみんなで力を合わせていろいろと魅力のある商店街づくりをしていこう、商業集積づくりをしていこうというものにつきまして、アーケードや駐車場の整備でありますとか、共同でみんなでイベントをやるときに支援をするとか、いろいろと共同の仕入れをするとか、カード化を進める、いろいろな形で支援をしてきておるわけでございます。  こういう状況の中で、今年度の予算におきましても、中小小売業対策は約一割近く予算を増額をしていただきまして、何とか中小小売業の方々に、これからみんなが知恵を出しながら、みんなでまとまって頑張っていこうということで支援を進めておる次第でございます。  これからも中小小売業、なかなか最近の消費者のニーズの変化等もございまして、厳しい状況ではございますけれども、何とか町を守っていくためにも、中小小売業の活性化のために一層取り組んでいきたい、こんなふうに考えておる次第でございます。
  65. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 今一応各省庁からそれぞれ、規制緩和によって競争条件が緩和される、しかし、その競争に直接参加できる体力のある社はいいのですけれども、体力のない場合にはやはりその競争に参加できるような基礎体力をつける措置が必要であろうという観点から、今通産省にもお伺いしたわけですけれども、大蔵省の方でも、やはりこれからの新たな雇用創出、それからベンチャービジネスの展開、支援という観点から、特に新しいビジネスを始めようとする場合、資金調達のところで皆さん大変お悩みになるわけですけれども、こういうベンチャー企業が事業展開に必要な資金を調達するということを支援する制度といいますか、どんなふうに大蔵省としてはお考えでしょうか。
  66. 後藤敬三

    ○後藤説明員 お答えを申し上げます。  先生お尋ねのベンチャー企業等の資金調達の道を広げるという観点から、昨年七月より、店頭特則市場、いわゆるフロンティア市場を開設いたしまして、その活発な利用を期待しておるところでございます。
  67. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 通産省の方でもあれば、どうぞ。
  68. 松島茂

    ○松島説明員 今の大蔵省の後藤課長の御答弁につけ加えさせていただきたいと思いますが、研究開発に多額の資金を必要とする中小企業、この資金調達の多様化を図るという観点から、昨年の十月の第二次補正予算におきまして、都道府県のいわゆるベンチャー財団というのを通じまして、創造的中小企業の株式及び社債などによる資金調達を円滑化する制度を創設をいたしたところでございます。  さらに、本年四月にこの国会で中小企業創造活動促進法の一部改正を通していただきまして、この都道府県のベンチャー財団を法律上の指定支援機関というふうに位置づけまして、中小企業保険公庫による再保険制度の創設、あるいは新事業開拓保険の限度額を二億円から三億円に上げるといったような措置を講じておるところでございます。  今後とも、こういう中小企業の実情を細かく私どもも見てまいりまして、大蔵省と一緒になりまして資金調達の便を図る、こういうことを努力してまいりたいと考えております。
  69. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 今各省庁からそれぞれ手短に規制緩和の目玉商品と、あるいは規制緩和によって派生的に、二次的に生じた、ある意味では二次、三次産業における弱小部門の空洞化ということについて、その対策について簡単に紹介していただいたわけですけれども、この三年間の規制緩和の動き、現実的にはやはり市場の開放、価格破壊というのが一番強く出ていまして、まだそのタイムラグというか時間差があるので、なかなか今のような中小企業振興策とか個人商店街の活性化の策を打っても、やはり最初、価格破壊のインパクトが強いために、空洞化が進んで失業率がふえるという段階に今まだあって、こういう新たな環境に応じた新しいビジネスの展開なり、あるいは業種の内容の変化というようなことがまだ見えてきていない時期ではないかと思います。  長官としては、この規制緩和を進めるときに、どうしても避けられない負の側面というのをどうとらえられて、そしてそれに対してどのような手を打とうというふうにお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。
  70. 田中秀征

    田中国務大臣 規制緩和経済効果については私は大変強い関心を持っていまして、プラス面、マイナス面、特にプラス面の効果はどれほどあるのかと、各項目別に勉強してみろというようなことも事務当局に指示したりいろいろしているのですが、なかなかこれは困難で難しいのですね。具体的な数字としての効果というのは難しい。先ほど各省から話がありまして、無理もないというふうに私も実は思ってきたところなのです。  規制緩和の流れをずっと私は私なりに見てきて感ずるところが相当あります。それは、できる限りマイナス面を少なくしてプラス効果を大きくするという平凡な、常識的なことになるのでしょうけれども、そのためにどうしたらいいかということをいろいろ考えてみるわけですが、やはり携帯電話の例、売り切り制にしたらぐっと伸びたわけですね。新しい技術とか新しい産業にかかわる規制というのは、緩和し、撤廃したときのマイナス面というのは比較的少ないのじゃないかと思っています。新しい雇用を創出するという面から見ても、経済活動を活発にするという面から見てもそうじゃないかと。  問題は、既成の産業ですね、特に生産性の低い部門での規制緩和。特に参入規制の緩和、撤廃ということになりますと、これはしわ寄せがたくさん行くところがあります。それによって保護されていた業界などはそうなのですけれども、そうすると、強い者が勝つ、新しく入ってきた人が勝って、今までの人が困るという事態になるので、これは企業によるリストラというより業界のリストラみたいな形になっていってしまうと私は思います。  そういう場合には非常に注意深くやっていかなければいけないと思うのですが、成功した例を幾つか見てみますと、プラス面が大きかった例を見てみますと、先ほど申し上げたように、新しい技術に係る、新しい産業に係るような規制緩和と同時に、やはり大企業がひとり占めしていたあるいはひとり占めに近い状態にあった、そういうものですね。規制の緩和によって幅広く参入機会が得られるようなことについてはプラス面が非常に大きいと思います。  例えば大蔵省が、これはかなり思い切っておやりになったのでしょうけれども、小口ビールの許可がありますね、最低生産量をぐっと低目に設定するということをやったわけです。これなどは、大企業のシェアは多少失われるかもしれない、そういう影響もあるかもしれないのですけれども、そのかわりどんどん小口ビールの会社が、地ビールの会社ができて、そこに雇用機会が生じて、エダマメまでよく売れるというような、いろいろな細部の波及効果まであるのですね。そういう大企業がひとり占めにしていた部分を中小の意欲のある企業や人によってやってもらう、そういうことにつながるような規制緩和、これは目のつけどころの一つ。  もう一つは、行政がやっていたものですね、行政がやっていて民間ができるもの。こういうものもプラス面が大きくてマイナス面が比較的少ないものである。  この大企業や行政がやっていて中小の人たちでもできるもの、新しい参入によって広がっていく、そういう期待ができるものを優先的にやっていくことが非常に必要じゃないかと思います。  今回労働省などでも、例えば人材派遣、職業紹介に関連するものについてかなり思い切って踏み出していただきました。まだ不十分だと私は思っているのですが、この人材派遣業、職業紹企業などというのは欧米などで非常に活発なわけですね。こういう大企業や行政が独占的であって民間ができるもの、そういうものに目をつけて規制を緩和していくということが、雇用機会を新たにつくり出しつつ消費者、利用者の利益にもつながっていくという面で優先的にやっていかなければならないことだなということを思うと同時に、それから政策目標を立てるということも大事ですね。  これは建築費をどのくらいにするという具体的な数字を立てて、政府がそれを始めたわけですけれども、具体的な数字、目標値を出して、政策目標を立ててやっていく。個別にいろいろな、何十出しました、何百出しましたということじゃなくて、一つ政策目標の中で、例えば価格をここまで持っていく、そのためにこの規制が問題なんだという形でやっていく。これは私は細川内閣のときからそういう主張をしてきているのですが、そういうことも大事だと思いました。  いずれにしても、きめ細かくやっていかなければいけないことだと思います。それから、即効性があるかどうかということも十分配慮して、いろいろな観点から見ながらやっていかなければいけない、そういうことだというふうに思っています。     〔委員長退席、実川委員長代理着席〕
  71. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 長官の得意な分野なので、全部質問時間を食われてしまいそうな気もいたしますけれども。  やはり規制緩和を行うときに、競争原理の導入または促進のためというのが最大の目的ですから、競争条件が整わないで規制緩和だけやっても余り効果が上がらないということが一つあると思います。もう一つは、いきなり環境が変化することに対して、特に体力のない事業体が十分競争に参加できるような措置をとる。この二つのこと、体力をつけることと競争条件を確保すること、この二つが規制緩和を進める上で同時に必要な措置ではないかと思います。  そういう意味では公取の役割というのがこれからますます重要になってくると思いますけれども、先日独禁法の改正案が出されて、公正取引委員会の機構改革を含めての機能の強化について、現在委員会では可決されたのかどうかちょっと私わかりませんけれども、どういうねらいで今独禁法を改正して公正取引委員会の機能を強化しようとしているのか、手短に御説明いただきたいと思います。
  72. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいま国会で御審議をお願いしております独占禁止法の改正法案の目的でございますけれども、これは、今委員から御質問で繰り返し指摘をされております規制緩和の推進と極めて密接な関連があるということはもう御案内のとおりでございまして、規制緩和推進計画におきましても、規制緩和独占禁止法の積極的展開と一体的に推進しなければならない、そういうふうにうたわれているところでございます。  具体的に申し上げれば、一つは、規制緩和ということは当然、今御指摘いただきましたように競争原理がより一層徹底をしていく、こういうことでございますから、いわば規制緩和後の市場におきまして、その目的であった競争原理が本当に行き渡って十分徹底しているか、それを一つは監視する。それから、もし競争原理に背くような競争阻害行為があれば、典型的なものは例えば入札談合でありますとかその他の価格カルテルのようなものでありますが、そういう行為については我々が常に監視をし、違法行為を認めれば、これに対して厳しい対応をする、排除をする。そういうことによって競争秩序を常に維持していく、あるいはさらに発展をさせていく。そういうことでありますから、公正取引委員会というのはいわば市場の監視役であり、違法行為排除という大変大事な任務を担っているわけであります。  それからまた、本日の御質問の中でも、先ほども出ましたけれども規制緩和後の市場においてはもちろんルールがなくなるわけではありません。独占禁止法という普遍的なルールがそれまで以上に徹底しなければいけないわけでございますから、例えば優越的地位の乱用でありますとか、あるいは実例も御指摘がありましたが、不当廉売のようないわゆる不公正な取引方法にわたる行為が規制緩和後の市場において存在しているかどうか、そういうものをやはり我々が厳しくチェックしていかなければならない。そういうことを考えますと、規制緩和と同時に競争政策の積極的展開、そしてそれをいわば担っております、担当する行政部局であります公正取引委員会の機構、組織自体もこれまでよりさらに強化拡充する必要がある。  そういうことが今回提出をしております独占禁止法改正法案の主たる目的でございまして、内容は、時間もございませんので極めて簡単に申し上げれば、現在の事務局を事務総局に改組いたしまして、業務の機動性、効率性あるいは政策立案調整機能を向上させて、より一層規制緩和の推進、あるいは緩和後の市場の監視、違法行為排除役であります公正取引委員会がその業務を一層積極的に、強力に行えるような必要最小限の体制づくりを行う、そういう趣旨でございます。
  73. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 どうもありがとうございました。  公正取引委員会が行う業務の中で、やはり公平な競争条件を確保する。ただ、私、先ほど、規制緩和を行うときに競争条件が確保されないと規制緩和意味がないというふうに言いましたけれども、その例としてよく引き合いに出されるのが航空運賃の問題でございます。  かなりマスコミでは大々的に取り上げられて、国会議員も含めて、みんな消費者人たちは飛行機代が大分下がるのかと思ったら、幅価格帯が設定されただけで、実質ほとんど運賃の低下にはつながっていない。これは、航空産業への参入規制が、一方で非常に運輸省によって制約されているために競争が起こらない、競争が起こらないところでは価格も下がりようがないという当たり前のことだと思いますけれども、海外から、またこういう日本の競争的条件について多数の独禁法適用除外制度があると。  特にその典型が、先ほど長官もちょっとお触れになりましたけれども、官業ビジネスには意外とビジネスチャンスがありますよという御指摘だったと思いますけれども、その政府規制の分野がこれから非常に、見方によっては大きなマーケットにもなっていくと思うのです。今度、公取が機能を強化されて、今までは事務局長だったために関係省庁も局長しか出してこないという話だったのが、事務総長ということになると事務次官と対等に話ができるということになるかもしれません。  そういう意味では、明らかに民間のビジネスチャンスにとって障壁的と思われるもの、あるいは、時代背景からいって必ずしも官が独占しなくてもいいというようなことにお気づきになった場合に、今までもいろいろな意味公正取引委員会としては提言なり広報というのをやってきたと思いますけれども、この機能が強化されることによってそういう力が上がるというふうに考えていいのでしょうか。政府規制について公正取引委員会が意見を言うときの、その言う強さが上がって、我々としてはその効果が従来よりも期待できるというふうに考えてよろしいのかどうか。
  74. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいまの御質問規制緩和の中でも、特に官業と申しますか、政府が事業主体になっている、あるいは、これまで政府の規制が非常に強力であって参入規制が厳しく行われている、そういう分野についての緩和が積極的に行われていく必要がある、その場合に公正取引委員会がどのぐらい役割を果たし得るか、こういう御趣旨かと思いますが、多分三つぐらいポイントがあると思います。  一つは、今お話しのような、政府規制分野を、参入規制の緩和を含めて具体的に規制緩和を推進していく、そのために公取は何をやっているかと申しますと、これはもう十数年前からでございますけれども公正取引委員会が、例えば政府規制と独占禁止法に関する研究会を常時開催をしておりまして、次々に具体的な規制分野を研究対象に取り上げて、随時その報告書をまとめて出しておりますが、これは当然のことながら、今御指摘の参入規制あるいは価格規制等、その規制の内容を具体的にどういう考え方でどういうふうに緩和したらいいのかという点を具体的な提言として報告、発表をしております。  これは、当然関係省庁に対しても、その報告の内容、提言の内容を紹介をいたしまして、緩和をいわば慫慂する。政府部内で規制緩和の旗振り役として、経済企画庁、総務庁とともに、公正取引委員会は大変小さな世帯でありますけれども、もうかなり前からそういうところで奮戦をしてきたつもりでおります。  ただ、これは率直に申しますと、公正取引委員会の、端的に申せば力あるいは存在感、あるいは、公正取引委員会が実際に、先ほど申し上げた競争秩序に対する制限、違反行為に対して厳しく対応していくという、そういう実績、そういうものが伴いませんと、せっかく内容のある提言をいたしましても、なかなか所管の行政官庁が公取の方を向いてくれない、言うことに耳を傾けてくれないわけであります。従来、その嫌いが確かにいろいろございました。  しかし、最近はかなり違っております。公正取引委員会の、例えば今申し上げたような規制緩和の具体的な提言に対して、所管官庁も、非常に真剣に公取の提言あるいは具体的な指摘に対して耳を傾けるようになった。これはやはり、口幅ったいのですが、我々が日ごろからやっております競争制限行為に対する例えば排除措置、そういうものを通じて公取の存在感が少しずつ高まってきている、その反映ではないかと、多少自画自賛かもしれませんが、そういうふうに考えております。  それから二つ目……(鮫島委員「時間がないので」と呼ぶ)では、あと、ごく簡単に申し上げます。  特に独禁法に直接関連する問題といたしましては、個別の法律によります独占禁止法の適用除外制度がありまして、適用除外カルテルというものが従来たくさんございました。これを何とか原則廃止をしなければいけないということで、例の規制緩和推進計画の中にも、はっきりと十年度末までに原則廃止の観点から見直しを行うと。それで、七年度末までに具体的結論を得るということになっておりますが、この三月に、私ども、現存の二十八の法律による四十七の適用除外制度の全部見直しをいたしまして、所管官庁の御協力をいただいて、その七割に当たる三十三制度については十年度末までに廃止をする、そのために、一括その法を提出をするというところまでこぎつけているわけでございます。そういう活動をやっている。そのための、また公取の強化が必要であるというふうに御理解いただければ幸いでございます。
  75. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 済みません、時間がなくなってきましたけれども、あと一問だけ。  ちょっと話が飛びますけれども、やはり新しいビジネスが育つような環境をどう整えるか。アメリカでは、この十年間に女性の社長が七百七十万人誕生したと言われています。私の友人で、市民バンクというのをやっている片岡という男がいますけれども、若い方々が大変たくさん新しいビジネスをしたいといって駆け込んでくる。その駆け込んできた人たちに対して、無担保で一千万の事業の立ち上がり資金を与える。既に七十以上の企業が立ち上がって、六百人の方々がそういう新しいビジネスを始めているというような実例もございます。  生活関連、福祉関連、あるいは食べ物関係などというのが大変多いようですけれども、そういう中でも、今や主導権は女性がとっていまして、新しいビジネスがそういうところからかなりたくましく起こってくるポテンシャルは、私は十分見えているというふうに思います。  そういう方々がやはり一番苦労されるのが、土地担保主義の壁といいますか、アイデアはあっても土地を持っていなければ事業が始まらないという日本型の悲劇に皆さん直面するわけですけれども、そういうときに、そのファンドマネーの調達の容易さという意味で、若い方々はコンピューター上での出資の募集、自分のアイデアをインターネットのホームページに投げて、そこに、これなら私は応援しよう、今、銀行にお金を預けておいてもどうせろくな利息も入らぬし、というような人たちが、百万なり二百万を出資する。  こういうような集め方というのがもう一部で始まっていまして、見方によっては詐欺師の活躍の場にもなるのかもしれませんけれども、こういうようなある種のマネーマーケットの誕生といいますか、それが多分、ほっておけば非常にこれははやるというふうに私は思うのですけれども、大蔵省としては、こういうことがはやることに対して、困るというふうにお思いなのか。あるいは、大変結構だから、どうぞ御自由にということなのか。  ある程度これが浸透してきた段階で突然、実は何かに違反しているとか、こういうのは好ましくないというような規制がかかると、せっかく出かかった芽、あるいは、今こういう、市民の間で非常に起業家精神が高揚していることに水を差す危険性もありますので、多少先取り的に私は大蔵省のお考えを伺っておきたいのですけれども、このようなコンピューター上での資金の調達、ある意味では大蔵省も銀行もコントロールできない形でこのような資金調達がコンピューター上でどんどん進むことに対して、大蔵省としては規制をかけるつもりはないという言葉を私はいただきたいのですけれども、いかがでしょうか。
  76. 後藤敬三

    ○後藤説明員 お答えを申し上げます。  大変広い広がりを持った御提言であろうとお受けとめいたします。先生の御質問の御趣旨が、資金調達をいたします法人が、投資者との間で、例えば媒介者、仲介者を通さずに直接に行われる相対の資本調達といった面でのお尋ねでございますならば、先生も御指摘いただきましたような、投資家保護という観点からの証取法上のディスクロージャーの御要請がございますが、それをお果たしいただければできるというふうに考えてございます。
  77. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 時間なのでやめますけれども、今の、間に立つ人は恐らくホームページを貸す人というか、場の提供者というのが多分仲介者として登場する可能性があると思いますけれども、こういう新しい世界がどんどん始まっていく中で、ぜひ活力をそがないような御判断をお願いしたいと思います。  僕はこれで終わります。
  78. 後藤敬三

    ○後藤説明員 お答え申し上げます。  先生も御指摘いただきました投資家保護上の観点から、証取法上の証券業のあり方等につきまして、そういった点も踏まえまして、慎重に検討させていただきたいと思います。
  79. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 どうもありがとうございました。
  80. 実川幸夫

    ○実川委員長代理 岡崎トミ子君。
  81. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 田中長官、就任されましてから四カ月がたちました。この間、景気回復基調にあるというふうに言われておりますけれども、まだまだ先行きは心配なものがございます。  現在、史上最低の金利水準と言われておりますけれども企業実績が発表されました。それを見てみますと、業界の不振をしり目に、ノンバンクの企業実績が軒並み好調であると五月二十一日の新聞に載っておりました。経常利益で五%から六七%の増益が予想されているということでございます。  ところが一方で、借金低利切りかえ、借金一本化、他に借金がある人でもオーケーというような広告でもって、多重債務者や借金の一本化を希望する人を誘う手口に関して消費者相談が殺到している、トラブルも増加しているというふうに聞いておりますが、消費者被害の状況について、まず御報告いだだきたいと思います。
  82. 坂本導聰

    ○坂本(導)政府委員 委員にお答えする前に、委員に私ども説明員が数字をお届けさせていただきましたが、それは金融全般の相談案件ということでお届けさせていただきましたので、私が申し上げますのは今委員指摘の多重債務でございますから、数字がちょっと違うという点を御了解いただきたいと思います。  国民生活センターにおきまして、パイオネットで集めている多重債務の苦情件数、相談件数でございますが、平成元年度六百十五件から、二年、三年、四年度六千百四十六件と非常に増加いたしました。しかしその後、五年、六年と多少減少いたしましたが、また平成七年度につきましては六千二百七十二件とふえてございます。  中身は、どんなところで多重債務に陥っているかと申しますと、ぜいたく品とか生活必需品以外、宝石とかアクセサリーとか洋服とか、そういったものを購入していて二九%程度の方が多重債務に陥っている、全体の多重債務者の中で。それから、生活費自体で困って多重債務に陥っている方も一七%程度いる。それから、遊びに使う、ギャンブル、交際費といったぐいで多重債務に陥っている方が一二%程度おられる。それから、特に若い方でございますが、自動車の購入をしたために多重債務に陥っている、これが一割程度ございます。  いずれにいたしましても、二十代、三十代の方々にこの多重債務者が多くございまして、両者合わせますと、大体二十代、三十代で六割程度ということになってございます。
  83. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 大変な被害だと思いますけれども、この被害を未然に食いとめるために、消費者教育を含めた情報提供が不可欠であろうというふうに思います。経企庁の取り組みはございますでしょうか。
  84. 坂本導聰

    ○坂本(導)政府委員 私どもも、この多重債務問題というのは極めて重要な問題であると考えておりまして、昨年十二月に開催されました内閣消費者保護会議におきましても、この多重債務問題に適切に対処するための対策というものを考えるべきである。ただ問題は、消費者のプライバシーというものを踏まえながら、全体的、総合的な残高情報の交流というのが必要ではないか。その調和をどうやって図っていくかという問題があろうかと思いますが、そういう点も含めて、各種審議会等の御報告も踏まえながら、関係各省あるいは業界と一緒に考えてまいりたい。  また、経済企画庁としても、従来から国民生活センター等を通じまして、こういった情報の提供をしておるところでございますし、また、関係各省とも十分この問題に前向きに対応するよう考えてまいりたいと思っております。
  85. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 その国民生活センターを利用しての資料を見せていただきましたり、すべての資料を見たわけではないのですけれども、こういう情報は、できるだけわかりやすく、漫画化してみましたりあるいは読みやすく工夫したものを作成したり、あるいは市町村レベル、これは自治体の消費生活センターとの連携ということになろうかと思いますけれども、地方自治を侵害しない範囲で市町村レベルまで協力、連携を視野に入れて、市町村の広報の中に配布してすべての人たちが目に触れるというような、そういう努力も必要でしょうし、学校ですね、今のことでいいますと、若い人たちがそうした被害に遭うということがございますから、本当に小学校からの教育が一番大事なのだろうと思いますけれども、そうした学校関係の情報提供、積極的な支援とか協力体制が大事だというふうに思いますけれども、いかがですか。
  86. 坂本導聰

    ○坂本(導)政府委員 委員指摘のとおりでございまして、今問題にはございませんでしたが、いわゆる資格講座商法というので大分被害者が多くございますが、これは極めて若いサラリーマンということでございまして、つまり、社会に出て、新しい資格を得れば何かもうける道があるというようなことで、つられてひっかかる。そういうことを考えますと、比較的早い時期からの教育というものが必要であり、情報の提供が必要である。  それから、委員指摘のように、私どもは地方公共団体とは密接な連携を持っております。また、消費者教育支援センターを通じましても広報しておりますが、ただ、委員指摘のように、相当細部までパンフレットが行き渡っているかというと、予算等の制約もございまして、一定のところにとどまっているという状況でございます。
  87. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 そこで、今申し上げたのは、広報などでちょっと触れていただくと全戸に配布されているということを申し上げたかったわけなのですけれども消費者の利益を守るとともに、悪質業者の取り締まり、指導、健全な経営の指導というのが大変必要で、大蔵省にもきのうお伺いしたのですけれども、担当課では、違反行為が見つかった場合には、免許の取り消しをする権限とか報告徴収の権限を持っております。違法行為を立証するのが大変困難だという場合には、行政指導もある程度可能かとも思います。  そこで、被害を受けたという相談があるという、この情報提供をきちんと大蔵省にして、早い対応もしていただきたいというふうに思います。ぜひとも大蔵省との連携を密にした協力体制を進めていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  88. 坂本導聰

    ○坂本(導)政府委員 委員指摘のように、関係各省とは相当程度情報交換をやっておりますが、ただ、大蔵省はあるいは入っていなかったかもわかりませんので、その辺を調べて、もし必要ならばやらせていただきたいと思います。
  89. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 ぜひとも大蔵省の指導を促していただきたいと思います。  次に、安心して暮らせる経済社会の創造のために、雇用環境の整備、障害者の雇用機会の確保などを行うというふうに長官は所信表明でされていらっしゃいます。この問題では、先日総務庁の行政監察の結果をもとに勧告がなされました。これでは、約半数の企業が身体障害者の法定雇用率、民間一・六%を満たしていないことが明らかになっておりまして、雇用が義務づけられていない知的障害者も含めた新たな雇用率を設定して、障害者全体の雇用を拡大するよう求めているわけですけれども、この中でも文部省の障害者雇用率が著しく低いことが明らかにされて、新聞の社説によりますと、障害を持った先生がいることは本当は教育効果が非常に大きいし、どちらかというとマイナス面ばかり考えられがちで、文部省は後ろ向きではないかというような指摘もあったわけですけれども、精神障害者の雇用についても、もっともっと積極的な姿勢が問われておりました。  この点について長官のお考えを伺いまして、経済企画庁としては具体的にどのような支援策が考えられるでしょうか。
  90. 田中秀征

    田中国務大臣 障害者雇用のことにつきましては、新しい経済計画、昨年末に決定した経済計画でも述べているところであります。具体的には、障害者雇用促進法により定められました障害者雇用率がすべての企業において達成されるように事業主を指導していくことや、障害者雇用に関する相談、援助の充実を図ることとしております。特に、岡崎先生御承知のように、雇用環境が非常に厳しいわけです。三%台という、昭和二十八年以来、比較可能な統計でいうと最悪の状態にあるので、そういう雇用環境が厳しいということで、さらに障害者雇用にしわ寄せがいかないようにしっかり注視していかなければいけない、そう思っております。
  91. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 私は、生活の質とか豊かさは、ノーマライゼーションの考えを抜きには語れないというふうに思っております。さまざまな立場の人たちと一緒にある社会、最も弱い立場の人たちが本当にみずから自立のできる社会、人権が尊重される社会こそが、本当に安心して暮らせる豊かな社会だというふうに考えます。したがいまして、障害者の雇用の確保は労働省に頑張っていただくというだけではなくて、社会全体での意識改革を含めた取り組みが重要だというふうに考えております。  先日、これは五月一日の新聞ですけれども経企庁の「豊かさ指標」というところで、「住むなら富山、働くなら長野、子育てなら北海道」ということで、長官のお住まいの長野は、「賃金や労働環境」、これが第一位でございましたね。それから、「交わる 地域活動」というところでは長野は第二位というふうになっていて、これも豊かさ指標の中に入っているものだと思いますけれども、今回は、この知的障害者というのは雇用が義務づけられていなかったわけですね。ですから、新たな雇用率を設定してやりなさい、こういう勧告の中身なわけなんですけれども、やはり障害者の雇用を含めたノーマライゼーションの進行度というか、これをわかりやすく取り入れていただきますと、そのことによって各自治体の、あるいは企業の取り組みが促進されて、また、社会の障害を持った方への理解も深まるのではないかというふうに思います。  経企庁としては、三年前から豊かさ指標の中に障害を持たれている人に対する統計が入っているということなんですけれども、どういう中身を入れているのか、私はよくわかっておりませんで、ぜひともこのノーマライゼーションの進行度を取り入れるということに関して検討の必要があろうかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  92. 坂本導聰

    ○坂本(導)政府委員 PLIにつきましては、最近、都道府県の順位をつけるのではないかというような御議論があって、別の面で議論を呼んでいるところでございますが、私どもは、そういうことではなくて、「住む」とか「費やす」とか「働く」とか、そういう部門部門でどういつだ数値になっているかというのを客観的に比較しているというものでございます。  今委員指摘の身障者につきましては、これは身障者を就業人口千人当たりどれだけ採用しているかということを、実は「働く」の中の「公正」という項目の中で評価しております。ただ、一方で、例でございますが、転職率というのは、首を切られるという観点から考えますと「安全・安心」ではマイナスの要素になります。しかし、みずからほかの仕事を求めて選ぶという点では、「自由」という点ではプラスの評価になります。ですから、プラス・マイナス評価のある転職率というのがございますが、この身体障害者比率はプラス面だけで評価をしている、それも都道府県別、時系列別に出ておりますので、経時変化もとらえることができると思っております。
  93. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 少し私が申し上げたことには答えていただかなかったように思いますけれども、義務づけられていなかった知的障害者の雇用ということを考えますときに、どのぐらい都道府県で進行しているか、その度合いを示してくださいますと、また企業とか各自治体の取り組みが促進されるのではないか、こういう点で申し上げたのですけれども、ぜひ検討していただきたいと思います。
  94. 坂本導聰

    ○坂本(導)政府委員 私も、PLIを作成するに当たりましては、毎年各都道府県等の意見も参考にさせていただきまして、中身を修正したり入れかえたりしておりますので、委員の御指摘一つの御意見として検討させていただきたいと存じます。
  95. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 次に、環境と調和し持続的発展が可能な経済社会を構築するということに関してお伺いしたいと思います。  私たちは今、限りある地球環境を可能な限り保全して、そして次の世代へ残して伝えていくという責任がございます。そのためには、経済最優先、大量消費社会の反省をして、循環型社会へ実践をしていかなければならないと思います。アジェンダ21では環境負荷のコスト経済勘定に統合する必要性が唱えられましたが、日本においても今後の経済政策に生かされるような統計計算が必要だというふうに考えております。これが進みますと、開発計画の検討や計画アセスの判断のよりどころともなり得ると思います。  環境庁にお伺いしたいと思いますが、循環型社会の構築のための環境勘定にどう取り組んで、現段階での研究状況はどんなふうになっているか、伺いたいと思います。
  96. 石野耕也

    ○石野説明員 御説明申し上げます。  委員指摘のとおり、今日の環境問題の多くは、通常の社会経済活動あるいは日常の生活に起因している問題でございまして、解決を目指すためには、社会経済活動の中に環境の保全を織り込んでいくこと、つまり、環境経済を統合することが求められております。このために、環境経済のかかわりを総合的に評価する、これによって環境に配慮した経済活動の意思決定、あるいは政策決定に資する手法として、環境勘定の重要性が認識をされてきております。国際的には、オランダ、フランス、ノルウェーなどの国におきまして、環境勘定の研究と開発が進められております。そのほか、国連では一九九三年の国民経済計算体系の改定の際に、これを補足する勘定ということで環境経済を統合する勘定の手法というものが示されております。これらにおきましては、国民経済計算体系自体の修正ということよりも、自然資源の物量的な勘定あるいは国民経済計算体系を環境に関して補足する勘定、いわゆる環境サテライト勘定と申しますが、これの開発に主眼が置かれております。  我が国におきましては、平成四年度から、環境庁の国立環境研究所、それから経済企画庁経済研究所並びに農林水産省の森林総合研究所及び農業総合研究所におきまして、環境庁の地球環境研究総合推進費を活用いたしまして、環境資源勘定体系の確立に関する研究というものを実施しております。これは、七年度以降は国立環境研究所と経済研究所で研究が継続をされております。このほか、環境庁の本庁におきましても、環境基本計画の長期的目標に係る総合的指標の開発というものと関連をいたしまして、環境勘定の調査検討を行っております。  これらの研究は、環境勘定の体系化のための方法論に重点を置いたものでございまして、このほかにも環境勘定の基礎となるデータの整備といったさまざまな問題が実際の活用までにはあります。引き続きまして、我々としては、研究それから調査検討を行っていくということといたしております。
  97. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 この環境勘定の研究は急務だと思います。私たちのライフスタイルの見直しをしたり、あるいは経済活動のあり方の発想転換をするためにも大変大事だというふうに思っておりますが、今のお話でも、経企庁も研究をされているということですけれども、グリーンGNPは現在、どのような研究をなさっており、またこれをどんなふうに活用されているのでしょうか。お伺いいたします。
  98. 中名生隆

    ○中名生政府委員 お答えを申し上げます。  経済企画庁といたしましても、経済活動の環境に及ぼす影響については非常に重要な問題であるというふうに考えております。このため、一九九三年に国連が提示しました方式を踏まえまして、経済企画庁においても環境経済統合勘定の試算結果というものを昨年公表したところでございます。  多少詳しくその中身について申し上げますと、この中では、一つは、経済活動に伴う環境の悪化というものを経済活動の費用ということで金額に換算をして表示をいたしております。それからもう一つは、国内純生産からこの費用を控除いたしまして、環境悪化分を考慮した国内純生産これは環境調整済み国内純生産と申しておりますけれども、これを計算をする。これを一九八五年と九〇年という二つの時点についての試算というものを行っております。  その場合に、経済活動に伴う環境悪化ということで推計の対象にいたしておりますのは、一つは大気の汚染それから水質の汚濁というような環境の汚染の問題、それからもう一つは土地の開発でございますとか森林の過剰伐採による生態系の破壊、それから三つ目には地下資源の採取による減耗、こういうものを試算の対象といたしております。  ただし、これはいわばまだ開発の途上という感じの推計でございまして、今申し上げましたように、まだ推計の対象というのも限定されておりますので、そういう推計対象を拡充していく必要があると思いますし、それから市場で価格のついていないものでございますから推計がなかなか難しいわけでございますけれども、そういう推計方法についても改善を図っていく必要があるというふうに考えているところでございます。
  99. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 持続的発展が可能な社会については、まだ経済社会では統一的考え方やコンセンサスがとられていないと思うのですね。環境と調和する経済のあり方は、一日も早く具体的なビジョンを提示していただかなければならないというふうに思います。  産業構造の変化、そして環境保全意識の高揚、国民生活の多様化の著しい現代におきまして、この転換が必要だというふうに思っておりましたところ、けさの新聞で、「経企庁 景気対策転換模索薄れる公共投資効果」ということで、これまで六十五兆円投資したけれども、なかなか緩やかな回復にとどまっていて、「公共事業のカンフル効果が薄れている。」ということがこの新聞には書いてありまして、「政治と建設業が結びつく「土建国家」のあり方が問われている。」ということで、私はこの考え方に賛成な方なのです。  そして、今私どもは「公共事業チェック機構を実現する議員の会」というのをつくりまして、税金のむだ遣いとなっているものに関してきちんと第三者がチェックをしなければいけない、このことに関しては政権の新三党合意の一つにもなっているわけなのですけれども、こうした環境への負荷と失われた自然環境をどう評価していくのか、あるいは投資の経済効果などあらゆる面から検討して意思決定のよりどころとしていくためにも、この環境勘定は大変重要ではないかというふうに思います。  長官環境庁と連絡をとりまして、できるだけ早い研究と実用化が望まれますけれども、いかがでしょうか。
  100. 田中秀征

    田中国務大臣 岡崎先生の御趣旨に私は大体賛同でございます。また、前向きに検討させていただきたい、そんなふうに思います。  公共事業のことに触れられましたけれども、しっかりした評価システム、チェックシステムというものを整備していかなければいけない、そんなふうに思っております。
  101. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 次の質問をさせていただきます。女性の権利の拡大の施策についてお伺いします。  昨年の八月末から九月にかけて、北京におきまして第四回世界女性会議が開かれまして、ここで日本は、女性のエンパワーメント、意思決定システムヘの積極的な参画それからNGOとのパートナーシップということについて公約をしまして、私たち女性は大いに勇気づけられました。これまでの数知れない国連決議の中でも、この北京会議での行動綱領というのは世界の人々から大変注目を集めました。各国はこの実施に向けてただいま動き出しているわけです。行動綱領は大変多岐にわたっておりますので、すべての省庁、公的機関で取り組んでいただかなければならないと思います。  長官は所信表明の中で、女性の一層の社会進出や高齢化に対応した雇用環境の整備、自助、共助、公助を組み合わせた新しい支援システムの構築を表明されております。いろいろな男性にお伺いしておりますが、殊に長官には一度お伺いしてみたいと思っておりました。まず男女の格差、性差、ジェンダーという視点についてどうお考えになっていらっしゃいますか。
  102. 田中秀征

    田中国務大臣 実は私の不得意な分野でありまして、よく御承知の上でお聞きいただいているのだと思うのですが、ただ私は、個人的なことですが、家族七人で男一人であります。いつも悩まされて生きているのですけれども、男と女の違い、基本的な違いを感ずることは私はないのです。  ただ、これはちょっと違うなというのが一つだけあるのです。それは運転なのですね。運転をしていると女性のドライバーというのはちょっと邪魔になるなと思うことが割合に多いのですね、これは余り真剣に受け取らないでいただきたいのですけれども。そういう意味では、女性の体質的なものとかいろいろなもの、総合的なものがすべて含まれてそこへ出るのかなというふうに思ったりしますけれども、これも科学的根拠はないのです。ただ、ほかの面では社会参加は同等であるべきだというふうに思います。  この間、堂本先生に私言われたことで、ああなるほどと思ったのは、お金を借りたりいろいろするときに女性は男性と比べて大変なのだ、そういうことを言われまして、なるほどと私は思いました。今までは女性の方がひょっとしたら強過ぎるのではないかというふうに思っていたことがなきにしもあらずなのですが、堂本さんにそう言われましてなるほどと。まだまだ我々はこれを政策的にも援護して進めなければいけないということをそのときに痛感いたしました。
  103. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 田中長官の家庭環境と個人的な見解はこちらの方においておきまして、すべての面で、今世界じゅうはジェンダーの視点ということをすごく大事にして政策に取り組んでいるということでありますし、日本でもそのモニターというのがすごく大事で常に評価して、あるいはそのことを勧告するための女性の無任所国務大臣を置くことなど、女性省ということで女性たちが大挙梶山官房長官に要請したということもございますけれども、各界有志が動いているということを知っておいていただきたいなというふうに思っております。  この世界女性会議では、行動綱領にアンペイドワークヘの取り組みをすべきというふうに書いてございまして、総理府の男女共同参画室でも、この問題については非常に積極的な姿勢を示しております。私の問い合わせに対しましても、取り組みがもう進められており、研究も進んでいる。政府としても、無償労働に関する知識統計の開発あるいは情報の共有について政府が奨励すべきこととされている。アンペイドワークの関心は大変高くて、専門家からのヒアリングなどを実際に行って協議をしているということで、審議会ではこの夏に内閣総理大臣に答申を行う予定ということなのです。  経企庁としても、この問題について積極的、具体的な取り組みを期待したいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  104. 田中秀征

    田中国務大臣 アンペイドワークについては、私どもの清水政務次官が非常に熱心に関心を持ち取り組んでおられまして、私にも、ぜひ企画庁で世界で一番最初に調査研究しろ、そういうことを強く連日のように言いまして、話を聞きまして、私もそれはいいことだというふうに思いまして、企画庁の中で直ちに検討に入っている、研究しております、政務次官を中心にして。そういう経過でございます。
  105. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 この男女共同参画室の世論調査というのを見ましても、育児や介護など、多くの女性は社会にとって大切な役割を担っていて、ほぼすべての国で女性の方が男性よりも長時間働いているということですし、国連開発計画の調査によりましても、総労働量のうち半分以上は女性による負担であることがわかっているということでございます。そして、日本の場合ですと、外から得られた収入の半分は外で働いている人のものであり、半分は家事を担っている人のものであると答えた人が六〇%だということなんですね。殊に、育児に対しては六〇%近く、介護に対しては八〇%以上の人が何らかの経済的評価が必要であるというふうに感じているということでございますので、ぜひこうした世論調査も踏まえまして、そしてまた、総理大臣に向けてのきちんとした報告がなされるということでございますので、ぜひそこに大きな影響を与えていただきたいなというふうに思います。一層の取り組みを期待したいと思います。  ところで、最後に、さきがけの代表として内閣に参画していらっしゃいます一政治家としてお伺いしたいと思いますが、武村党首が中央公論の六月号で、消費税八%、一〇%、一二%の論議をされておりますけれども、ちょっと私にとりましては耐えがたいものがあるんですけれども消費者行政を担ってこられました経験も踏まえて、この最高一二%の消費税の値上げという議論に関してはどんなふうにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
  106. 田中秀征

    田中国務大臣 武村さんは、その論文をお書きになるときに最初に私に相談しました。それから、草稿の段階でも何度も私に見せてくれまして、私も意見を申し上げました。その出す時期に対するタイミングも私なりにいろいろ申し上げました、いいか悪いかということも含めて。  内容についても、私が一番心配したのは、論文を読まれた上でのお話だと思うんですが、その前提としての行政改革、前提条件としての行政改革、そういう経過があります。私が心配したのは、その一二%という数字がひとり歩きするぞと、これも選択肢の一つであったはずです。一番高い一二%という数字だけが見出しになってひとり歩きするよ、それで真意は伝わらない可能性がありますよという忠告を最初の段階から私申し上げていたんです。  結果的にそう受け取られた節があるんで、私も事後的にも残念だけれども、そうなっちゃったというようなことを言ったんです。しかし、真剣に、昨年の財政危機宣言を出したときから、その以前から、滋賀県の県庁での経験からして財政の現在の状態に非常に強い危機感を持っていて、財政危機宣言を出して、しかも二十一兆円という国債発行、平成八年度、そういうことまでみずからの責任においてしなければいけなかったいろいろな思いの中で、どうしても正しいから言っておくんだ、そういう気持ちで出したものであって、消費税一二%ということだけ取り上げると何だということになろうかと思いますけれども、それは一つの選択肢であるということと、もう一つは、それまでの過程というものは非常に厳しい行政改革というのがあるんだということで、御理解いただきたいというふうに思います。
  107. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 まさに私もまずは本当にむだをどういうふうに省いていくのかということがすごく大事なことで、行政改革がまずなければいけないというふうに思って、消費税の問題は、率直に言えば、本当に消費税頼みになってしまうのではないかという心配がございます。  新進党の小沢一郎さんの財政再建についての考え方も、やはり消費税税率アップの議論だというふうに思いますし、消費税のアップは、税率のアップというのは、物価が上昇するインフレ経済のもとで初めて税として意味のある税金ではないかなというふうに今まで思っていたんです。物価が、例えば百円だったらそれについて税率三%で三円、物価が百五十円に上がりましたらそれは四円五十銭というふうに、物価が上がれば同じパーセントで税収はふえていく、こういう税収だというふうに思うのです。  今はグレートコンペティション、大競争時代であるという形になっていて、アジアが工業化して猛烈な勢いで安い工業製品を世界じゅうに売り込んでいく、こういう価格破壊で価格革命と言われるような物価が下落をする時代に来ている。地価も下落をする。日本の物価高の一つの大きな原因はこの地価の上昇にあったというふうに思いますけれども、これがコストに上積みされてくるから高くなってくるというふうに思うんです。これは、当然下がれば物価も下がってくるわけですけれども、これまでの右肩上がりというのは右肩下がりにならざるを得ないというときでございますから、こういう方向で日本経済の構造改革をやらざるを得ないというふうに思っております。  ぜひ私たち、殊に女性たちが家庭をあるいはいろいろとうちの財政のやりくりをやっていくときに、まず消費税アップありきということに関して耐えられないという人たちが非常に多くて、来年四月の五%という問題についても随分神経をぴりぴりさせているという状況でございますので、ぜひとも、まずむだを省く行政改革から長官としても進めていただきますように心からお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  108. 実川幸夫

    ○実川委員長代理 金田誠一君。
  109. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 長官に、まず消費者問題という視点から教育についてお伺いをいたしたいと思います。  私も、長官同様に今の教育の現状を大変憂慮している一人でございます。本来、教育も一つ商品であろうと思います。教育サービスという商品だと思いますし、国民はそれを税とか授業料という形で買っているという関係に本来はあるんだと思うわけでございます。しかし、文部省なり教育業界の皆さんには、そうした認識はおよそないんではなかろうか。教育だけが何か特別な権威あるものである、聖域化されたような、そういう認識があるように思えてならないわけでございます。その結果、これほど消費者を無視した業界はほかにあるだろうかと思うような状態に今の教育はなっているような気がしてなりません。管理教育であるとかいじめ、自殺であるとか、甚だしくは校門の間にお客様を挟んで殺してしまうとか、他の業界では考えにくいようなことがさほど深い反省もなくやられているような気がするわけでございます。  長官は、今の政治を評して、官権政治という規定をされているわけでございますけれども、この同じ論法でいきますと、今の教育はまさに官権教育ではなかろうか。この官権教育をいかにして民権教育に変えていくかということが今求められていると思うわけでございますが、文部省なり教育業界の自己改革ではもはや不可能、役所の内部でもいろいろな省庁が、さまざまな閣僚が意見を差し挟んで、全体的な内閣の総体的な取り組みにしていかなければ、中教審の議論も今しているようでございますけれども、およそ期待できるものは出てこないような気がして私はならないわけでございます。  この官権教育の現在の特徴は、がんじがらめの規制にあるというふうに思います。まず参入が極端に規制されておりまして、義務教育などでは恐らく参入不可能という状態だろうと思います。お客さんの方にも学校を選ぶ自由がない、選択の自由がない、先生を選ぶ自由もない、授業内容を選ぶ自由もないということでございますし、本人の個人情報さえ開示されない、あるいは今大きな時代の流れになっております分権とか自治というものについても、この教育だけはどうも除外されているようでございます。規制緩和という大きな流れの外にこの官権教育が置かれている。  私は、今の教育が憂慮すべき事態にある根本をその辺に見出しているわけでございますけれども、今回の所信を拝見をいたしましても、教育も一つ商品であり、受ける方はそれの消費者であるということが大々的に認識されているとも思えないと思うのです。政府部内でも教育というものは文部省の所管ということにもしなっているとすればいかがなものか。国民を挙げて、すべての役所が寄ってたかつてこの教育改革を進めるべきだと思うわけでございますが、その辺につきまして、長官の官権から民権へという根本理念などと照らし合わせた上で御所見をお伺いできればありがたいと思うわけでございます。
  110. 田中秀征

    田中国務大臣 私は教育には非常に強い関心を持っているのですが、教育について余り語ったことはありません、いろいろな新聞であるとか雑誌であるとか、そういうことも含めて。それは、非常に難しい問題であるし、自分でまだ納得できるいろいろな方向性とか結論を見出していないから、安易に語らない方がいいと自分なりに戒めているのです。  今のお話の中で、商品消費者というお話は、これはちょっと抵抗がありますね。突然聞きますとちょっと抵抗があるのですが、私は、官権教育という言葉を使われましたけれども、そういう部分もなきにしもあらずだと思います。それも含めて全体的に、教育の管理性といいますか、いわゆる管理教育といいますか、子供たちに対するいろいろな意味での自由というものをもっと与えてやらなければいけないというふうに思います。  何年か前に長野県の小中学校の校長先生の集会に行きまして私が申し上げたのは、子供が忙し過ぎる、都会では親より子供の方が忙しい、そういうところもある、それじゃいけないからとにかく宿題を少なくしてくれというような幾つかの要望を私出しました。子供がちょっと時間があくと、親たちが行って、PTAが行っていろいろ企画して、子供たちのためになるんだという形でいろいろな行事を仕組んでいって、結局独創的に自分たちが遊びをつくり出す、物事を考える時間を奪っている、そういうことを、子供を大勢持っている者として非常に不満に思っていましたから、私はそのときにそういうことを言ったのです。  いろいろな意味で管理され過ぎていて、例えば教材にしても、数を数えるのにビニールの棒みたいなものがあるのですね、それを買わなければいけない。私はそんなものは周りにある石ころを持ってきてやればいいじゃないかというふうに考えるものですから、あらゆるところまで、隅々まで管理されていていい子供が育つのかどうかという疑いをずっと持ち続けてきまして、とにかく忙し過ぎるのはいけない。それで、親や文部省もそうですけれども、行政当局もそうです、企業もそうです、子供たちの時間をなるべく奪わないように、自由にしておくように、そういう方向でやはり考えていかなければいけないということを痛感しておりました。  それからそのためには、今金田さんおっしゃったように、いろいろな意味での参入機会をふやしていくということはまたいいことだと思います。特に最近、国立大学も民営化を真剣に検討してもいいのじゃないかとさえ私は思っておりますから、もっともっと自由に学べる環境、子供たちや学生に自由な時間を与える、そういう方向に持っていかなければいけないというふうに思います。     〔実川委員長代理退席、委員長着席〕
  111. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 ありがとうございます。  長官は北海道の生活も長いわけでございますけれども、先ほど来、これからは財政出動による景気浮揚ということがかなり厳しい状況になる、その是非は別としましても、そういう状況は相当出されていたと思うわけでございます。そういう中で、北海道、積雪寒冷地は公共事業に頼る部分が非常に大きいという中で、少ない公共事業費をより効果的に景気浮揚に結びつける、雇用に結びつけるということからしますと、これは古い問題らしいのですけれども、会計年度の変更ということが一つ課題としてあるのではないかと思っております用地元からもよく言われるわけでございます。  現在の四月から三月までの会計年度であれば、予算ができて、四月、五月のちょうどいい時期に設計だとかそういう準備に入る。ゼロ国債とかで多少是正はされているのでしょうけれども、それにしても短期間に集中して公共事業費を使わなければならない。それよりも、会計年度を暦年に合わせて、一月から十二月までという会計年度に仮にしたとすれば、一月、二月の寒い時期には室内の仕事ができて、三月、四月から外の仕事にかかれる。同じ公共事業費を使うにも、その方が効果としてはより大きなものがあるのではないかという指摘なのでございます。  これは、にわかにそうなるということは、非常に面倒な問題だと思いますけれども、少なくとも同じ公共事業をやった場合に、そういう形で年間に分散して執行するのとそうではない場合と、経済波及効果景気なりあるいは雇用なりに及ぼす効果はどういうことになるのかという調査といいますかシミュレーションといいますか、そういうことを経企庁として検討、研究していただくわけにはまいらないか、こう思うのですが、いかがなものでしょう。
  112. 田中秀征

    田中国務大臣 私も積寒地の選出ですから、その問題についてはずっと一年生のときから自分で陳情もしたことがあります。それでなかなかそういうことにならないのは御承知のとおりなんですが、恐らくそちらを立てればこちらが立たないというようなことがいろいろあるのだろうと思います。同じ気持ちは今私の頭の一部にももちろんあります。  あと、適切な形でなるべく臨機応変に予算を執行していくということ。あるいはまた、月曜日に北海道の景気懇談会に私行ってきました。そのときも、ゼロ国債の恒常化という強い陳情も受けました。いろいろな知恵はあろうかと思います。特別そういう気候風土の条件でお困りになるようなところに対しては、何とか改善していくような努力を重ねるべきだというふうに思います。
  113. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 難しい問題だと思うわけでございますが、少なくとも、四月から三月の場合と一月から十二月の場合とどういう効果の違いがあるのかという研究ができないものかどうか。どこかの大学なりなんなりに委託とかということもあるのかもしれませんけれども、ぜひその点について今後も御検討いただければありがたいと思いますので、これは御要望を申し上げておきたいと思うわけでございます。  時間がなくなりまして、それでは用意したのを一つはしょりまして、もう一つ、公取の方に今度はお伺いをいたしますが、化粧品の価格考える会という会がございまして、勉強会をもう二度ですか三度ですか、やらせていただきまして、聞けば聞くほどこれはひどいではないかということで驚いているわけでございます。  公取から排除勧告が出た部分もあるようではございますけれども、いまだにきちんとその改善がされていない。大手の化粧品メーカーは、化粧品をセルフ型化粧品と対面販売型化粧品の二つに区分けをして、対面販売型については絶対に値引きをさせないということで小売業者を統制しているようでございます。こういうことは公取のガイドラインに照らしても極めて問題が多いというふうに思っておるわけでございます。  市民団体の方が調査をされまして、ここに買い上げのレシートのコピーがあるのですけれども、対面販売型化粧品については、いろいろな店で買ってみたけれどもすべて同じ値段、全く値引きがされた事実はない。それに引きかえ、値引きがされているのはセルフ型商品と称される化粧品に限って一定割合の値引きがされている。本当に消費者が魅力を感ずるのは実は対面型と言われる商品であるということなんでございます。  販売方法をそれなりに小売店に指示することも場合によってはあり得るのでしょうけれども、メーカーが小売業者の販売方法に関する制限を手段として小売業者の販売価格、競争品の取り扱い、販売地域、取引先等についての制限を行っている場合違法性の有無が判断される、こういうのがガイドラインでございますから、そういうことからしますと、この現状はこれに抵触をしているのではないかと思うわけでございますが、どのように考えておられるかをお聞かせいただきたいと思います。
  114. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいま、化粧品メーカーの小売業者に対する対面説明販売の義務づけとその価格、その関係についてのお尋ねでございます。  まず、多少一般論から入らせていただいて恐縮ですが、メーカーが小売業者に対しまして化粧品に見られるようにいわゆる対面説明販売を義務づける、そういう販売方法の制限ということはそれ以外にもあるわけでございますが、それが直ちに独禁法上違反となるかどうかにつきましては、商品の安全性の確保、品質の保持等、当該商品の適切な販売のために合理的な理由が認められ、かつ、他の取引先小売業者に対しても同等の条件が課されている場合には、それ自体独禁法上直ちに問題になるものではございません。  しかし、例えば、メーカーが小売業者の販売方法の制限を手段として、つまり、端的に申せば値引きを認めない、そういう販売方法の制限のような現象、御指摘でございますけれども、これを手段として小売業者の販売価格についての制限を行っている一ちょっと言葉があれでございますが、表現が正確ではありませんでしたが、対面説明販売のような販売方法の制限、それを手段にして実は販売価格の制限を行っている、そう申し上げなければいけません、そういう場合には、今お示しのように、私どもが出しております独禁法上の考え方、いわゆるガイドラインに従っても問題になります。  具体的な例としては、メーカーが対面説明販売の条件をつけていた、しかしそれを遵守しない小売業者がいた、その場合に安売りを行った者に対してだけ制裁を科す、そういう場合などはまさに販売方法の制限を手段として価格の制限を行っている、こういうことになるわけでございます。  先ほど、具体的な化粧品メーカーの行った行為についてのお尋ねがございました。御承知のように、私ども、昨年でございますけれども、化粧品業界の大手メーカーであります資生堂のいわゆる再販売価格維持行為に対しまして、これを明確に排除する措置をとりました。その場合に、それが何が違法であったかということを私ども調査をしたわけでございますけれども、具体的に申せば、大手量販店がメーカー希望小売価格以下で売る、いわゆる値引き販売をしようとしたけれどもそれをさせなかった、そういう意味の再販売価格維持行為について私ども排除措置をとったわけでございます。  しかし、今お尋ねの対面販売の義務づけと安売り防止、それとの関係につきましては、率直に申しますと、私ども、この資生堂に対する審査の際にはこういう点についても視野に入れて、つまりそういう問題があるかもしれないということを考えながら審査を行ったわけであります。その点については、私どもの審査の結果、今私が申し上げた意味での安売り防止のために対面販売の義務づけを行っているんだ、そういう事実が認められる証拠が結果として得られなかったものですから、私どもは、対面販売の義務づけあるいは卸販売の禁止という条項もございますが、これを違反行為として問題にすることができなかったということでございます。  再び一般論に戻らせていただければ、御指摘のような問題が、先ほど私が御説明申し上げましたような意味での、例えば安売り防止のためにそれを行っているんだということをはっきりと示す証拠が得られますれば、私ども、もちろんちゅうちょなくそれは違法行為として処分をするつもりでございますから、その点は御理解を賜りたいと思います。
  115. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 そういう販売方法を手段として安売りをさせないということで大変な締めつけを受けて苦労されている業者の方々が、今までも何度も公取の方にその辺の事情を訴えておられるはずでございます。そうした方々から私ども直接お話を伺いましたけれども、公取はどちらの方を向いているのかということで怒りをぶつけておられましたが、なるほどなと思って聞かせていただきました。  それで、具体的な証拠をということですが、例えば都内の何カ所かのスーパーを調査しただけでも、いわゆるカウンセリング販売、対面販売商品は全く値引きがない 一方セルフ型だけが一定の値引きになっている。明確にこういう結果があらわれているわけですから、これは自由主義経済のもとにおいては極めて奇異なことだと思って調査をして対応するのが常識だと私は思うわけでございますけれども、まずは現実に対面販売型の価格設定がどうなっておるのか、この辺について、もう時間がございませんから、調査をしていただけますでしょうか、それだけ。
  116. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 また一般論で申し上げて恐縮でございますけれども独占禁止法違反行為があると疑わせるに足るだけの情報なり資料がありました場合には、私ども必要な調査をいたしまして、その結果、証拠上それが確認できる場合には、先ほどの資生堂の例で申し上げましたように、言うまでもなく厳正な処分を行っているところでございます。今委員が御指摘のような問題も含めまして、私ども、個人なり法人事業者からの申告、情報の提供を初め、私どもが職権で探知をして収集した資料を、常にその点は資料、情報の収集に努めているつもりでございますから、ただいまのような御指摘の資料、情報というものも当然私ども一般的に視野に入れて対応をさせていただくつもりでおります。
  117. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 一般論でなくて具体論として、今対面販売型の化粧品が、これは都内数カ所でございますけれども全く同じ値段で売られている、こういう事実をお示しして具体的に調査していただけるかどうかをお尋ねしているのですが、これについては御回答いただけませんか。後日でも結構でございます。
  118. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 私ども具体的に調査をどういう対象に対してどういうふうに始めるかということは、これは大変恐縮でございますけれども、私どもの業務の性格上その点はお答えを申し上げるわけにはまいりません。ただ、御指摘のありましたような問題については、先ほど資生堂の審査の際の具体的な私どもの関心事項でもお察しいただけると思いますけれども、私ども化粧品を含む流通市場の価格の動向なり販売の状況については常に関心を持ってウォッチをしているということだけは申し上げさせていただきたいと思います。
  119. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 時間がオーバーしまして申しわけありません。終わります。
  120. 新井将敬

    新井委員長 矢島恒夫君。
  121. 矢島恒夫

    ○矢島委員 長官にまず消費税の問題でお聞きしたいと思います。  最近の閣僚の発言や新聞報道などによりますと、政府は、消費税税率は来年四月から五%にする方向のようですが、そうなのかどうか。  私は地元でいろいろな方に会います。商店街の人たちだとかあるいはまた零細な企業の経営者、いずれもこの消費税については廃止してほしい、せめて消費税税率アップはやめてほしい、こういう切実な声がたくさん寄せられるわけなんですね。長官として、この消費税税率五%ということについて御賛成なのかどうか。もし賛成であるとするならば、その理由をお答えいただきたい。
  122. 田中秀征

    田中国務大臣 一人の政治家として申し上げると、これは委員と同じで、消費税をアップしたくない、できることならやめたいというのが正直なところであります。  しかし、そういうことで国が運営できるわけではありませんので、これは目をつぶってでもお願いしなきゃいけない、やむを得ないことだというふうに思っているところでございます。  一般的に、景気の話との関連でお答え申し上げます……(矢島委員「いや、それだけで結構です。また後でお聞きいたします」と呼ぶ)そうですが。
  123. 矢島恒夫

    ○矢島委員 ひとつ、一政治家としての信念を貫いていただければ……(田中国務大臣「信念じゃなくて気持ちです。信念は、やはりだめだったらあきらめるというところです」と呼ぶ)気持ちですか。あきらめないでひとつぜひお願いしたいと思うのですが、国民はそういうことを本当に願っていると思うのです。  それで、私、消費税税率が三%から五%になったらどれぐらい影響が出るだろうかと計算してみたのです。大ざっぱな計算ですが、平成八年度の国内総生産、いわゆる成長率、GDPを、政府の八年度経済見通し主要経済指標というのがありますが、二・七%になっておりますが、二・七%と見まして、それから総務庁の平成七年度の家計調査報告の中の全世帯の月間消費支出、この数字を使って計算してみました。仮に平成九年度のGDPを〇%としても、私の計算では、消費税負担は平均年額約八万五千円と出てきたわけなんです。非常にこれは大変な問題だと思うのです。  総務庁統計局の家計調査報告というのを見てみますと、こんなふうな記述があるわけですね。消費支出というのは、平成四年度から平成六年度まで連続三年間減少した。平成七年六月以降も七カ月連続して実質減少となっていたが、平成八年一月以降三カ月、この間は連続して実質増加、こう述べているわけです。一方、五月二十八日に経済企画庁が発表した三月の景気動向指数によりますと、五〇%を切ったということから景気回復の足取りに不安感が出てきた。  こういう中で消費税税率アップが来年四月から五%になりますと、普通、一般的には個人消費というのは大体一%押し下げられる、こういう見方があるわけです。個人消費が一%マイナスになりますと、GDP成長率が大体〇・七%下げられる、こういうことも言われております。来年度、消費税率五%ということになりますと、長官が所信で述べられた自律的景気回復への移行ということがなかなかできにくくなることになる。何よりも、先ほどもありましたが、消費税逆進性の強い税金だ、だから最もこの打撃を受けるのはやはり年金生活者だとか低所得者。とりわけこういう方々は、現在預金金利の低下で利息が本当に入ってこない、こういう方々は非常に大きな打撃だろうと思うのですね。  長官、ひとつこの消費税税率アップに泣かされているお年寄りだとかあるいは中小業者、こういう人たちの声に対してひとつどのようにこたえられるか。
  124. 田中秀征

    田中国務大臣 先ほど申し上げましたように、消費税税率アップというのは、私ども好んでとりたくないことであります。しかし、それと同時に、景気が足踏みを続けたり、もう一度大変な事態になるということになれば、これはもうある意味ではそれ以上という局面もあり得るわけですから、景気回復に全力で取り組んでいるところでありますし、また景気対策として特別減税をやってきて、その効果も私は上がっているというふうに思います。  企画庁で試算したものがあるので、御参考までにちょっとお示ししますけれども、今回の税制改革が経済に対してどのような影響を与えるかということでありますけれども、平成六年十月に行った試算であります。所得減税を平成八年度まで先行実施して消費税率を五%に引き上げた場合、税制改革を行わなかった場合と比べて平成六年から十一年度の平均で実質GDPを〇・五%程度引き上げる効果があるというふうに試算結果が出ております。また、消費税率の五%への引き上げは消費者物価の水準を一・五%程度押し上げる効果があるという、そういう試算結果であります。  それからついでに、家計に対する影響について大蔵省が平成六年の九月に行った調査がございます。年収四百万円ないし一千万円までのモデル世帯に係る試算によりますと、所得減税を平成八年度まで先行し消費税率を平成九年四月に五%に引き上げた場合、平成六年から十年の間の五年間を通じて見ると、すべてのケースにおいて税負担減になるというふうに結果が出ております。
  125. 矢島恒夫

    ○矢島委員 いろいろな試算というのがなされていることは承知しております。ただ、大蔵省の平成六年の例も挙げられましたけれども、これはいわゆる勤労者標準世帯の例であるほか、給与収入が年率四%アップするというような前提に立った計算であると思います。そういう二年前に作成したものでありますから、実際に現在どうなっているかということについては、さらに検討する必要があるのじゃないかと思います。  といいますのは、日経の五月十八日の夕刊なんですけれども、この夕刊の中で総務庁の全国消費実態調査の全世帯の一カ月平均の消費支出、約三十四万として計算しております。ずっと計算式などが書いてありますが、年間七万ないし八万円の負担増になるという計算も一方にあるわけです。私が計算したのは八万五千と出たわけですが、大体当たらずといえども遠からずという数値かと思うのです。こういうような状況から考えてみて、私は、何としても消費税税率アップというのはやるべきでないと思うのです。できれば消費税の廃止、こういうことが景気回復にも重要な役割を果たすだろうということを主張いたしまして、次の質問に移ります。  次は、今住専の問題の論議の中で、大蔵省と金融機関との癒着問題、あるいはエイズの問題では厚生省と製薬会社との関係、特にその中でも天下り、それから天上がり、こういう問題がいろいろ論議をされております。  そこで、民間企業から非常勤職員として経企庁に出向しているいわゆる天上がり職員、経企庁では委嘱調査員と呼んでいるようですけれども、この問題について質問したいと思うのです。  この制度というのは昭和四十九年度から設けられたということですけれども、昭和四十八年の第七十一国会の決算委員会での議論指摘を受けて設けられたということですが、どういう点を反省し、今日のような制度にしたのか。また、この制度を、決算委員会や最近の予算委員会での天上がり制度はやめよという議論に照らしてどのように考えておられるか、お答えください。
  126. 竹島一彦

    ○竹島政府委員 御指摘のように、昭和四十五年度の決算に関する衆議院の議決がございまして、その中で、経済企画庁を初めといたしまして各省庁におりましたいわゆる部員、平たく申し上げますと、手弁当で民間企業から政府の方に出向して仕事をされるという方々がおられたわけでございますが、そのいわゆる民間企業からの派遣職員につきまして、給与も国が払っていない等々の御指摘をいただきました。  それで、これは変則的な人事であるから見直すべきであるという御指摘がございましたので、政府の中で検討いたしまして、その結果、昭和四十九年の三月十五日に閣議決定をもって、企画庁等において受け入れている民間企業職員についてはこれからは非常勤職員という形できちんとした取り扱いにすると同時に給与もお払いをするという形で、それから、公務に従事していることに関しましては当然国家公務員法の適用もあるということを改めてはっきりとさせていただいた次第でございます。
  127. 矢島恒夫

    ○矢島委員 七十一国会だけではなくて、その翌年の国会でも、予算委員会分科会だったかと思いますが、経済企画庁担当のところでこの問題が論議されたと思うのですね。その論議の内容からいうと、今御答弁いただいたものでは極めて不十分だというように私は思うのです。  経済企画庁の場合、非常勤職員として採用して、調査局と経済研究所を重点に配置されているように伺っております。ことしの四月一日現在で、調査局と経済研究所がそれぞれ十四名、調整局と国民生活局、物価局各一名、合計三十一名ということだと思うのです。  委嘱調査員で公費で海外調査に出張された方、あるいは公用の旅券で海外に出張された方はおられないようなんですけれども、いわゆる委嘱調査員としての身分はそのままで、派遣元の企業が本人の希望等を勘案して、出向職員を海外に出張させた例はあるということをお聞きしました。こういう例はどれぐらいあるのかということなんです。その方は経企庁のどの部局の出向職員で、派遣元企業はどこなのか。また、何日間どういう目的で出張しているのか。その辺をお答えいただきたいと思います。
  128. 竹島一彦

    ○竹島政府委員 委嘱調査員というのは、あくまでもそれぞれの出身の企業に身分を置いたまま、国の方では、経済企画庁においては非常勤職員として仕事に従事していただいているところでございますので、当方の業務に支障のない場合には、先方の企業の指示に基づいて海外に出張するということもあり得るわけでございます。  しかしながら、国の方で、経済企画庁の方で旅費を持って、いわゆる正規の海外出張命令というものを出したケースはございません。出身の企業の方で、こちらと都合をつけまして、費用を負担して海外出張させている場合がある、そういうことでございますので、悉皆的に実態を実は把握をしておりませんけれども、今回の御質問で御指摘をいただきましたので、調べました範囲で申し上げますと、この一年間で、そういうケースで海外に、いわゆる民間から出張した者は十三名ということが把握できました。それで、それらは欧米、アジア諸国に平均一週間から八日、七、八日程度ということでございまして、それぞれの国の経済動向であるとか金融動向でありますとか、そういったことを調査するということで出張しているというようなことでございます。
  129. 矢島恒夫

    ○矢島委員 派遣元企業の方からの出張ということになりますから、なかなか企画庁としてその内容、全容を克明には把握できないという部分があるかもしれませんが、また調査の結果、もし、もっと詳しい実態がわかりましたら教えていただければと思います。  もう一つの問題で、この委嘱調査員は、国際会議にも出席していると思うのです。過去十年間、企画庁の代表が出席するような公的な会議にどの程度出席しているか、お答えいただけますか。
  130. 竹島一彦

    ○竹島政府委員 外国で行われる国際会議に委嘱調査員が参加をした場合ということでございましょうか……(矢島委員「国内」と呼ぶ)国内でございますか、失礼しました。  国内で行われる国際会議というと、ちょっとかた苦しいといいますか、二国間の経済協議等々がございますので、そういったものには出席はさせておりませんけれども経済企画庁の場合は、シンポジウムというような形で外国から研究者を呼んできて、共同でシンポジウムをするというようなことが多々ございます。そういったものは、これはむしろ関心のある者には参加の機会を与えるということで基本的に臨んでおりますので、そういった国際的な会合には委嘱調査員も、その本人の関心なり、業務に差しさわりがないということを前提といたしまして、参加の機会を与えているということでございます。
  131. 矢島恒夫

    ○矢島委員 そういう会議に出席できるということはいろいろと情報が得られると思うのですね、その委嘱調査員の方に。海外へ行けば、肩書は企画庁の委嘱調査員ということですから、これまたその肩書を持ったまま、先ほど答弁があったように十三名ですか、行っているわけですね。そういうところを考えてみますと、派遣企業にもたらされるいろいろな情報あるいはまた企業の利益、こういうものにつながってくるわけです。このことが、たしか七十二国会の中でもいろいろと論議されたと思うのです。それで、二年間非常勤勤務をするわけですから、いろいろな人脈の形成というものができますから、これは将来、企業にとっても大きな財産になるだろうと思うのです。これらを考えますと、企業は非常勤の日額が非常に低額なのですが、それでも経企庁に人材を送っているわけです。しかし、問題になるのは、癒着の問題なんですよ。  これは、現在、予算委員会などで大蔵省と金融機関との癒着や、あるいは先ほど言いましたように、エイズの問題等で厚生省と製薬会社の問題なんか出てきたわけですけれども、そういうメリットといいますか、こういうものが企業側にいろいろとある。そういうようなことが論議される中で、たしか七十二国会だったと思うのですけれども、当時の内田経済企画庁長官が、「これは」というのは、いわゆる制度です。「これは永久に置くということではなしに、国会の御意思に従って逐次その方向でできるだけ早く整理をしてまいる、こういう処置をとるのがよかろうと私は思います。」こういう答弁をしていらっしゃるのですが、時間が最後になりました。大臣の御見解を伺いたいのですが、こういうものはなくしていくという方向で当時の内田元経済企画庁長官が言っているのですが、大臣、これについてはどういうふうにお考えですか。
  132. 田中秀征

    田中国務大臣 矢島先生御承知のように、私ども経済企画庁は許認可の権限を持たないという、そういう意味では特別の官庁であります。日常の仕事の中でいつも思うのは、民間の知恵とか発想というものをある意味では大変必要としている役所でもあるというふうに思います。そういう意味で、民間から私どもは人を借りているような形になっているわけですけれども、民間側にとってもマクロ政策の勉強の機会、そういう感じだろうと思います。  ですから、まず私どもにとって厳に慎むべきことは、とにかく政策決定にかかわるようなところには決して近づけるようにしないこと、大事な情報が入るところには近づけないような形でやること、そして、今おっしゃったような癒着なんということはこれはとんでもない話で、そういうことは絶対生まれないように改めて気持ちを新たにしてやっていきたい、そんな気持ちでございます。
  133. 矢島恒夫

    ○矢島委員 ぜひそういう方向でさらに検討を進めていただきたいと思います。  終わります。      ————◇—————
  134. 新井将敬

    新井委員長 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 新井将敬

    新井委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事豊田潤多郎君を指名いたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時二十二分散会