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1996-05-28 第136回国会 衆議院 商工委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月二十八日(火曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 甘利  明君    理事 逢沢 一郎君 理事 自見庄三郎君    理事 塩谷  立君 理事 古賀 正浩君    理事 西川太一郎君 理事 増子 輝彦君    理事 小林  守君 理事 石井 紘基君       浦野 烋興君    小此木八郎君       岸田 文雄君    熊代 昭彦君       田原  隆君    谷川 和穗君       中山 太郎君    丹羽 雄哉君       野田 聖子君    野田  実君       野呂田芳成君    石井 啓一君       上田  勇君    河合 正智君       小池百合子君    佐藤 茂樹君       豊田潤多郎君    宮地 正介君       山名 靖英君    吉田  治君       石井  智君    大畠 章宏君       岡崎トミ子君    佐藤 泰介君       正森 成二君    後藤  茂君       牧野 聖修君  出席国務大臣        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 梶山 静六君  出席政府委員        公正取引委員会        委員長      小粥 正巳君        公正取引委員会        事務局長     糸田 省吾君        公正取引委員会        事務局経済部長  塩田 薫範君        公正取引委員会        事務局取引部長  大熊まさよ君        公正取引委員会        事務局審査部長  矢部丈太郎君        通商産業大臣官        房審議官     横川  浩君   委員外出席者        商工委員会調査        室長       石黒 正大君     ————————————— 委員の異動  五月二十三日   辞任         補欠選任    土田 龍司君     二階 俊博君  同日   辞任         補欠選任    二階 俊博君     土田 龍司君  同月二十四日   辞任         補欠選任    岸田 文雄君     小渕 恵三君    熊代 昭彦君     林  義郎君    谷川 和穗君     安倍 晋三君    額賀福志郎君     蓮実  進君    土田 龍司君     田名部匡省君    吉井 英勝君     正森 成二君  同日   辞任         補欠選任    安倍 晋三君     谷川 和穗君    小渕 恵三君     岸田 文雄君    蓮実  進君     額賀福志郎君    林  義郎君     熊代 昭彦君    田名部匡省君     土田 龍司君  同月二十八日   辞任         補欠選任    星野 行男君     河合 正智君    松本  龍君     岡崎トミ子君  同日   辞任         補欠選任    河合 正智君     星野 行男君    岡崎トミ子君     松本  龍君     ————————————— 五月二十二日  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法  律の一部を改正する法律案(内閣提出第五六号  )  地方自治法第百五十六条第六項の規定基づ  き、公正取引委員会事務局地方事務所管轄  区域変更及び支所設置に関し承認を求める  の件(内閣提出承認第二号) 同月二十八日  商標法等の一部を改正する法律案内閣提出第  五五号)(参議院送付) 同日  著作物再販制度維持に関する請願津島雄二  君紹介)(第二六二五号)  同(与謝野馨紹介)(第二六五四号)  同(中山正暉紹介)(第二六六八号)  同(塩川正十郎紹介)(第二六七九号)  同(谷垣禎一紹介)(第二六八〇号)  同(原田憲紹介)(第二六八一号)  同(高市早苗紹介)(第二七三七号)  同(中馬弘毅紹介)(第二七三八号)  同(渡海紀三朗紹介)(第二七三九号)  同(河野洋平紹介)(第二七五〇号)  インドネシアヘの原発輸出に対する貿易保険運  用反対に関する請願今村修紹介)(第二六  二六号)  同(濱田健一紹介)(第二六二七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第五六号  )  地方自治法第百五十六条第六項の規定基づ  き、公正取引委員会事務局地方事務所管轄  区域変更及び支所設置に関し承認を求める  の件(内閣提出承認第二号)      ————◇—————
  2. 甘利明

    甘利委員長 これより会議を開きます。  内閣提出私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、公正取引委員会事務局地方事務所管轄区域変更及び支所設置に関し承認を求めるの件の両案件議題といたします。  これより両案件について順次趣旨説明を聴取いたします。梶山内閣官房長官。     —————————————  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法   律の一部を改正する法律案  地方自治法第百五十六条第六項の規定基づ   き、公正取引委員会事務局地方事務所の管   轄区域変更及び支所設置に関し承認を求   めるの件     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 梶山静六

    梶山国務大臣 ただいま議題となりました私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  独占禁止法は、公正かつ自由な競争維持、促進することにより、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発展を図るものであります。近年の我が国経済につきましては、市場メカニズムのもとで経済活性化を図り、我が国市場を一層開かれたものとすることにより経済構造改革を推進していくことが強く求められているところであります。このためには規制緩和を推進することが重要であり、これと一体のもの として、競争政策の積極的な展開を図ることが必要不可欠であります。  このような背景のもとに、公正取引委員会機能を強化する観点から、公正取引委員会事務局組織抜本的強化拡充などを図ることとし、ここにこの法律案提出した次第であります。  次に、法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一に、公正取引委員会機能を強化する観点から、現行の事務局にかえて事務総局を置くこととし、その内部組織につきまして、事務総局事務総長を置き、その職務を定めるほか、官房及び局を置くなど所要措置を講ずることとしております。  第二に、公正取引委員会委員長及び委員をより幅広い範囲から人選するとの観点から、今後任命される公正取引委員会委員長及び委員定年年齢を六十五歳から七十歳に引き上げることとしております。  第三に、今回の組織強化に伴う暫定措置として、当分の間、事務総局に置かれる官房及び局の総数の上限規定を設けることとしております。  第四に、国家行政組織法の一部を改正し、委員会には、特に必要がある場合においては、法律の定めるところにより、事務総局を置くことができることとするなど、関係する法律について所要改正を行うこととしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願いを申し上げます。  次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、公正取引委員会事務局地方事務所管轄区域変更及び支所設置に関し承認を求めるの件の提案理由につきまして、御説明申し上げます。  今国会提案中の私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案による公正取引委員会機構改革の一環として、同事務局地方事務所には、所要の地に支所設置できることとされております。これを踏まえて、事務効率性等向上を図るため、地方事務所を合理的に再編することとしております。  この案件は、これに伴い、近畿事務所管轄区域を、現在の近畿事務所中国事務所及び四国事務所管轄区域をあわせた区域変更し、同事務所近畿中国四国事務所とするとともに、同事務所支所として、広島市に中国支所を、高松市に四国支所設置することについて、地方自治法第百五十六条第六項の規定基づ国会の御承認を求めようとするものであります。  何とぞ、慎重に御審議の上、御承認くださいますようお願いを申し上げます。
  4. 甘利明

    甘利委員長 これにて両案件趣旨説明は終わりました。
  5. 甘利明

    甘利委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大畠章宏君。
  6. 大畠章宏

    大畠委員 社会民主党の大畠章宏でございます。  今回の独占禁止法改正案、いわゆる公正取引委員会機能強化中心とする独占禁止法改正案につきましては、ことしの一月八日に行われました連立与党の「新しい政権に向けての三党政策合意」において、引き続き取り組む課題一つとして、「公正取引委員会については、その活動を強化するため所要法案次期通常国会提出し、成立を図る。」という合意事項基づいたものでありますし、内容については歓迎をするところでございます。  今回提案されているこの公正取引委員会機能強化というものは、日米経済構造協議等でも従来から指摘されてきた方向でありますし、また、日本経済市場透明化公正化のためにも最も力を入れていかなければならない改革一つだと考えています。  私は、平成二年の百二十回国会課徴金引き上げ、あるいは平成四年、百二十五回臨時国会での刑事罰強化等、従来から国際化の中での日本経済市場における公正取引委員会重要性に着目し、公正取引委員会メンバー構成、二点目には機能強化、三点目には課徴金引き上げ、四点目には刑事罰強化、こういう内容中心として、当時の社会党の議員立法として提出をいたしました。しかしながら、その当時の公正取引委員会を取り巻く政治状況が十分でなく、埼玉土曜会の談合問題がうやむやとなったり、さらには現職の代議士が逮捕されるという事件にも及んでいるところであります。  今回の法案提出過程においても幾つか問題があったわけでありますが、まさにAPEC時代を迎えようとしている今、このような経済状況を踏まえ、欧米並みの透明なわかりやすい市場、公正な市場経済実現を目指し、なお一層努力していただきますよう冒頭に強く指摘をしておきたいと思います。  このような観点から、関連する質問をするところでございます。  最初に、国際調和が求められている、透明感ある公正な取引市場を目指す、そういうことをやらなければならないわけでありますが、今回の機能強化というものが各国の同じような執行機関陣容比較して十分なものであるのか。権限、実績成果等々、私も手元にいただいておりますが、この陣容が、組織はある程度の形になったわけですが、陣容といいますか人数面でもまだまだ不十分ではないかと私は思うわけでありますが、この件について最初にお伺いしたいと思います。
  7. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいまのお尋ねは、我が国世界各国競争当局の体制ないし制度内容比較についてのお尋ねと理解をいたしました。  まず、代表的な米、欧について比較を申し上げたいと思いますが、アメリカ独禁当局は、御案内のように、司法省の反トラスト局連邦取引委員会二つ組織から成っております。それから欧州でございますけれども、もちろん欧州各国それぞれ、いろいろでありますが、欧州につきましては、特に現在、欧州経済統合が非常に進捗をしておりまして、その統合組織でありますEUにおきまして、ローマ条約基づ競争当局設置をされております。これは欧州委員会第四総局と呼ばれている組織でございます。  そこで、まず職員数について具体的な比較を申し上げたいと思います。  我が国公正取引委員会の人員、これは今年度十四名の増員を認められましたので、本年度の末で五百三十九人の陣容でございます。念のためでございますが、委員を含んでおります。それから、一九九五年度の数字になりますが、アメリカについては、ただいまの二つ組織を合わせまして千八百三十八人でございます。それから欧州委員会第四総局、これは同じく九五年の数字で、四百三十六人ということになっております。この下に、下と申しますか、これとあわせて各国独禁当局がある、こういう仕組みでございます。  それから、今度は制度面と申しますか、競争政策上この違反行為に対する排除措置制裁内容についてごく簡単に申し上げたいと思います。  我が国では、御案内のように、カルテル等違反行為者に対しての公正取引委員会行政上の排除措置、それから課徴金納付を命じるという制度のほか、法人には一億円以下の罰金個人には五百万円以下の罰金または三年以下の懲役の刑事罰が科される、こういうことでございます。一方、米国では、連邦取引委員会による排除命令裁判所による差しとめ命令のほか、法人には一千万ドル、これは現在の為替レートに置き直しますと約十億円ということになりますが、これ以下の罰金個人には三十五万ドル、換算いたしますと約三千五百万円以下の罰金または三年以下の拘禁刑もしくは併科の刑事罰、こういうことになります。それからEUでございますけれども委員会排除命令に加えまして、一千ECU以上百万ECU以下、これは上限レート換算で一億三千万円となりますが、それ以下の制裁金が賦課される。制裁のあらましは以上のようなものでございます。  したがいまして、例えば罰金上限につきましては確かに彼我の差もございますけれども制度的にそれぞれ制裁内容の重点がやや異なるということが言えようと思います。  さらに、このような制度のもとでの具体的な措置件数実績はどうかということをごく簡単に最近のケースで見てみたいと思います。  九五年度、昨年度で見ますと、我が国では、これは合併に対するものを除いた措置件数でございますけれども法的措置件数が三十一件、課徴金納付命令は約六十四億円でございます。アメリカにつきましては、反トラスト局刑事訴追件数は六十件、罰金額の合計は四千百四十三万ドルでございますから、為替換算をいたしますと約四十一億円程度、そのほか、差しとめ命令を求める民事提訴が十五件、連邦取引委員会の審決が十二件、こういう数字でございます。また、EUにつきましては、欧州委員会禁止命令件数が三件、制裁金額は千四百五十一万ECUでございますから約十九億円、こういうことでございます。  もちろん、この刑事罰としての罰金我が国で主としてとられております課徴金は、これは罰金そのものではございませんけれども、今のような近年の実施状況を見ますと、私ども違反行為に対する執行レベルが、米、欧に比べましても、それなりの相応のものとなっているということを御理解いただけようかと思います。  とりあえずは以上でございます。
  8. 大畠章宏

    大畠委員 ありがとうございました。  今のお話を伺いましても、私も残念だなと思うのは、この課徴金刑事罰等々の、違反者に対する罰金等についても、アメリカは十億円になっていますから、日本でもあの当時いろいろやりとりがありましたが、当初五億円あるいはまた三億円という話もあったのですが、結局いろいろな関係から一億円になってしまった。そういう意味では、あの当時も万一捕まったら大変ではないかなんという話もあったのですが、大変だということだからこういうふうなレベルに上げようという話だったのですが、結果は結果でありますけれども、さらに、そういう諸外国状況をにらみながら、日本公正取引委員会独禁法というものの位置づけが非常に世界的にも高く評価される、そういうふうにさらに努力をしていただきたいと思います。  それから、公正取引委員会委員構成について、私どももいろいろ論議しておるのですが、どうも小粥委員長を前にして申しわけございませんが、世界状況を見ましても、いわゆる官僚出身の方が五人の委員を全部占めるというのは、やはり私は異常な状況ではないかと思うのですね。これは小粥委員長に所感を求めても無理ですから、諸外国のそういう委員メンバーというものはどういう形で構成されているか、それについて、事務当局でも小粥委員長でも結構ですが、教えていただきたい。
  9. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいま主要国競争当局委員構成についてのお尋ねがございました。簡単に申し上げます。  まず、アメリカ連邦取引委員会でございますが、これは委員長を含む五名の委員構成されております。その任命要件といたしましては、五名の委員のうち同一政党の党員が三名以内であること、この限定がありますほかは特段任命要件はございません。上院の承認を得て大統領任命するということになっております。ちなみに、現在の米国のFTCの委員出身を見ますと、五名のうち四名が弁護士資格を持った方でございます。また、二名が事務局経験者である、こういうことになっております。  それから、フランス競争評議会でございますが、これは委員が十六名おります。そして、三名が常勤、十三名が非常勤でございまして、その構成要件はかなり細かく規定されております。  御参考までに申し上げますが、第一の七名のグループは、国務院会計検査院またはその他の行政裁判所もしくは司法裁判所の現または元構成員である、これが七名でございます。それから次の四名のグループは、経済または競争及び消費に関する学識経験者でございます。残りの五名は、製造業流通業等々、自由業まで含む各部門において職業を営みまたは営んでいた方。以上が委員の内訳でございますが、常勤委員三名につきましては、閣議決定の上、大統領の署名によって任命されるということになっておりまして、常勤委員の現在の出身は、国務院会計検査院及び事務局経験者、こういうことになっております。  以上がフランスでございます。  それからイギリスにつきましては、これは独占合併委員会というものがございますけれども特段任命要件はなく、貿易産業大臣によって任命をされる。なお、現在の委員長ほか委員出身は、会社経営者弁護士等専門職労働団体役員、学者など、こういうことになっております。  以上でございます。
  10. 大畠章宏

    大畠委員 今御質問をさせていただきましたけれども、これは、小粥委員長にはぜひこれからも全力投球をしていただきたいということが一つでありますし、また、この公正取引委員会メンバーの件については、今後、与野党を含めて私たち立法府の人間がもうちょっとこれは検討しなければならない課題だと思います。この点を指摘して、次の質問に移らせていただきたいと思います。  これまでいろいろ一生懸命取り組んではいただいておるのですけれども、どうもこの公正取引委員会、最近は非常に活発に行動されまして、各活動成果についても先ほどいろいろ小粥委員長からお話を伺ったところでありますが、従来のいろいろな事例を経ながら、そういうものの反省とこれからの体質強化、いわゆる組織強化で量はふやしても、質も高まらなければなりませんから、その点について、簡単で結構でございますが、どういう形でこの機能強化というものを図った上で、さらにどういう質の向上を図ろうとしているのか、お伺いしたいと思います。
  11. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいまのお尋ねは、今回の機構改革が仮に実現したとしても、いわば形だけではだめだ、内容、質の向上が重要だ、こういう御指摘かと存じますが、私も全くただいまの御指摘に同感でございます。  申すまでもなく、公正取引委員会は、法律上、独占禁止法運用に当たりまして独立してその職権を行使する、こういうことになっております。これは、独占禁止法につきましては、公正かつ中立的な立場で運用することが職務の性質上特に必要とされているというゆえんであろうかと思います。このことに関しましては、私自身、委員のあり方として心するとともに、当委員会事務局職員全員に対しても常々徹底に努めているところでございます。  したがいまして、御審議お願いしております今回の公正取引委員会事務局組織強化が今国会成立実現をさせていただきましても、私は決して、いわば形としての組織強化だけでは当然足りないのでありまして、何よりも大事なことは、その内容、あるいは端的に申せば、この運用を担う委員会はもとよりでありますけれども、個々の職員使命感及び、例えば違法行為に対する審査技術向上、そういう仕事に対する取り組み方及びその手法のさらなる向上がなければ、その裏づけがなければ、せっかくこの組織強化をお認めいただきましてもその実が上がらないということを強く感じております。  現在、ただいまの御質問にもございましたように、この公正取引委員会職務あるいは競争政策の一層の積極的推進に対する内外あるいは国民期待は極めて強いということを私どもひしひしと感じているところでございますけれども、今後とも一層心いたしまして、法律の定めるところにより、違反行為に対する厳正な対処を初めといたしまして、私どもに与えられております職務を誠実、適正に行い、国民期待にこたえ、また信頼の得られるようにしていかなければならない、そのことを強く感じております。
  12. 大畠章宏

    大畠委員 今、小粥委員長からお話がございましたが、ぜひそういうことを公正取引委員会の一 人一人が本当に肝に銘じて実行していただきますように、心からお願い申し上げたいと思います。  とにかくこれからの日本経済というのは市場透明化公正化というのがもう世界から求められておりますし、それをなし遂げることがこれからの日本経済の展望が開ける大もとになると思うのですね。したがって、ますますの活躍を期待したいと思います。  そこで、独占禁止法の第二十七条の二の五号に「一定の取引分野における競争を実質的に制限する行為についての規制、公正な競争を阻害するおそれがある行為についての規制、」こういうことも公正取引委員会所掌事務となっておるのですが、具体的な例をちょっと申し上げたいと思うのですけれども、最近各所で一円セールというものが始まっております。  これは二月二十三日にオープンするところのお店ですが、十四型リモコンテレビ一円、冷蔵庫四十五リットル一円というもの、さらには十四型テレビ九六%引き、電子レンジも八一%引きで三千九百八十円とか、こういうものが各所に出始めています。これも私のところに手に入っているもので、この大型のチラシですが、委員長のところまで見えるかもしれないけれども、一円、テレビ一円。とにかく冷蔵庫も一円、こういうふうなものでございまして、これがどういうわけかあちこちではやっておりまして、それに対して地元の商店街は、そんなんじゃもう商売できないじゃないかというような話があって、公正取引委員会のこれは景品表示監視課かもしれませんが、その方に話したところ、これは独禁法違反じゃないのだというような話もしたというのですよ。  私は、この独禁法の二十七条の二の「公正な競争を阻害するおそれがある行為についての規制、」というのだけれども、こういうものを今の公正取引委員会でもしも取り上げないとすれば、一体何をやるのだという感じがするわけですよ。  景品のところに行ったからかもしれませんけれども、そういうものは景品課じゃなくてこれは別なところで扱うものですということで別なところに振ればいいのだけれども、振らないで帰してしまったわけですね。だから、その商店街の人は、公正取引委員会は一体何をやるところなんだと非常に憤慨をして、過日三月十五日、家電業界危機突破決起集会なんかやりまして、私も行って、初めて聞いてびっくりしたわけです。  さらには、小売店が仕入れる値段以下で量販店が売っている。そうすると、小売店としては仕入れ値以下に下げられないわけですよ。だから、もうそれは私のところでは商売やるなということに等しいじゃないですか、こういう現状をこの日本では見過ごすんですか。そういう状況をもしも見過ごすのであれば、政治家も一体何をやっているんだかわからない、公正取引委員会というのは何なんだ。こういうふうな厳しい御指摘もありましたので、この一円セール、並びに小売店の仕入れよりも非常に低い価格で量販店が売り出す、こういう行動について公正取引委員会は今後どういうふうに対応されようとしているのか、お伺いしたいと思います。
  13. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいまの具体的な事案についての御指摘でございます。この件につきましては、事務局の方で調査をしている経緯もございますので、審査部長からお答えします。
  14. 矢部丈太郎

    ○矢部政府委員 ただいま御質問いただきました家電製品の一円セールにつきましては、そういうチラシが出ていることを承知しておりまして、公正取引委員会では、独占禁止法禁止されている不当廉売に該当するおそれがあるということから審査を行ってきております。  この審査の過程におきまして、独占禁止法趣旨を十分説明し、相手方にも今後こういう不当廉売に該当するような行為を繰り返さないというようなことを注意したところでございます。各地でチラシが出ておりますけれども、関係人は三社ございまして、その三社に対しまして注意したところでございまして、今後こういうことのないよう十分価格動向について見守ってまいりたいと考えております。  それから、今後でございますけれども独占禁止法違反行為の排除の重要性公正取引委員会に対する期待の大変高まっている状況におきまして、審査部門を中心といたしまして強化充実が図られておるわけでございますので、審査能力あるいは審査技術向上に努め、不公正な取引方法を含む独占禁止法違反事件への取り組みを一層強化いたしまして、迅速な処理に努めてまいりたい、そういうふうに考えております。
  15. 大畠章宏

    大畠委員 この件について、例えば二月からもう始まっているのですよね。去年あたりから少し動き出して、二月に入って、それで五月にも行われているわけですよ。だから私は、どうも手の打ち方が非常に遅いのではないかと思うのですね。  それで、新聞記者さんが、こういうことはいいんですかねと公正取引委員会の地方の事務所に言ったら、我々としてはそういうふうな情報を持ち合わせてないし、かつお訴えもないので何とも言いようがありませんという答えをしたと、こう書いてあるわけですよ。そんな姿勢ではだめなのですよ。そういう事態があったら、皆さんだって各家庭でそういうふうな情報を知っているはずだから、新聞だって出ているわけですよ。訴えがないから動かないというようなお役所仕事では困るのですよ。  だから私は、機能強化をするのだったら、本当にそういうものはしっかりやってもらいたい。これはぜひお願いしたいと思いますし、機能強化といってすばらしい刀は入れたけれども、どうも竹光だったということでは困りますから。やはりこれは、さっきの刑事罰の問題ではありませんが、いや、捕まったら大変じゃないですかではなくて、そういう違反行為はさせないということですよ。違反行為があったら捕まえるのではなくて、違反行為をさせないように公正取引委員会がそういう監視の目を強めて、万一やったら大変だ、そういう公正取引委員会になっていただきたいと私は思います。  時間でございますから以上で質問を終わりますが、最後になりましたけれども、ぜひ公正取引委員会、本当に消費者も、それから世界各国も、国民も注目をしております。これまで、五、六年前の話を言ってはなんですが、五、六年前はどうもいま一つ活発ではなかったのですが、最近やっと目覚めて、一生懸命仕事をやっていただいていることに対しては敬意を表するところでありますが、さらに、これから本当にAPEC時代等にも突入してまいりますし、そういう中で、まさに日本公正取引委員会が質も機能もAPECのモデルとなるような、そういうところを目指していただきますようお願い申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  16. 甘利明

    甘利委員長 次に、河合正智君。
  17. 河合正智

    河合委員 発言のお許しを得ましたので、議題となっております案件並びにそれに関連する事項につきまして、公正取引委員会委員長並びに関係各位に御質問申し上げます。新進党の河合正智でございます。  まず、先ほどの官房長官の提案理由説明にも、当初の原稿に加筆されて、規制緩和競争政策観点からの提案理由の御説明がございました。  社会主義国家が崩壊しました後、世界は、自由主義経済市場原理を共有する国家と国家の経済システムの優劣競争の時代に入ったと言われております。  一方、日本は、戦後の経済体制が制度疲労した上で、閉塞状態にございます。日本経済構造改革のためにも、規制緩和競争政策の一体的な推進、というよりもむしろ、規制緩和を実行すれば必然的に市場社会は、ノンルールになるのではなくて、競争政策からくるきちっとしたルールの確立が必要である。そういう状況に入ったと私は認識しておりますけれども委員長のこの点に関する御認識から、まず御見解を賜りたいと思います。
  18. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいまの御指摘に、私も全く同感するものでございます。  まさに現在、経済のグローバライゼーションが 進捗しておりますけれども、そしてまた各国経済、その発展段階はいろいろでございますけれども、ただいまの御指摘のように、特に冷戦構造崩壊後は、挙げて市場経済が志向をされております。そして、その市場経済が全世界的な広がりを持って進捗をいたしますと、これまた当然のことながら、いわば国際的にも、企業の行動ルールとして競争政策あるいは独占禁止体制というものが、市場の基本的な原則としてより一層重要視される。また、各国における積極的な展開が、これは文字どおり内外から要請される。こういうことになろうと思いますので、御案内のように、政府におきましても、昨年三月に規制緩和推進計画を策定し、今年三月、一年たちましてその見直しを行い、さらなる規制緩和の推進を確認したところでありますが、その中でも、規制緩和競争政策積極的推進が文字どおり一体となって行われなければいけないということが強く掲げられたところでございます。  今回、私ども公正取引委員会事務局組織強化を目的といたします法案について御審議をいただいているところでございますけれども、私ども公正取引委員会組織強化と申すものは、ただいま御指摘のような今後一層積極的に推進される規制緩和の、いわば規制緩和が行われた後の市場におきまして、これはいわば経済規制が極力排除をされる。そういたしますと、先ほど申しましたように、共通の一般的なルールとして独禁法の遵守ということが一層国民全体あるいは特に消費者の立場から重要になってくる、こういうことでございます。  先ほど大畠委員の御指摘にもございましたけれども規制緩和後の市場において、消費者やあるいは経済的に立場の相対的に弱い中小業者、これを、公正かつ自由な競争維持するという立場から、私ども公正取引委員会がその職務といたしましても、規制緩和後の市場において、例えば取引上の優越的地位の乱用でありますとか、あるいは先ほど御指摘がありました不当廉売というような行為が行われることのないよう、一層この強化されました体制におきまして監視に努めなければいけない、こういうふうに考えているところでありますので、ただいまの御指摘を体しまして、私ども、御審議お願いしております今回の体制強化が成りましたら、一層、これまで以上に競争政策積極的推進に努力をしてまいりたいということを強く念じているところでございます。
  19. 河合正智

    河合委員 ありがとうございました。  私どもも細川政権誕生の折、規制緩和を掲げました折に、公正取引委員会機能強化、これは事務局事務総局に格上げすることも含めまして強く要望、推進してきたところでございますけれども事務総局制が今回導入されるということになりますと、この規制緩和競争政策の一体的推進といった観点から、具体的にどのような効果があるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  20. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 今回の組織強化によりまして、具体的にどのような競争政策の推進上効果があるのか、こういうお尋ねでございます。  今回の機構改革内容といたしまして、一つは、事務局事務総局に改組するわけでございますが、これはいわば組織論的に申せば、質的に最高レベル事務を処理する基幹的な組織として、局を複数設置できる。  具体的には、違法行為の審査を担当いたします審査局と、それからその余の公正取引委員会事務を取り扱います経済取引局、この二つの局を設置するわけでございますけれども、それぞれ大変業務が広範かつ膨大になるわけでございますので、局長の負担の過重になることを避けるためにも、この二つの局にそれぞれ部を置くということを想定をしておりまして、これによりまして事務処理の迅速化、それから業務の機動性、効率性、これを格段に向上させるということを期待しているわけでございます。  なお、さらに具体的に申せば、今申し上げました審査局及び特別審査部、これを設置することによりまして、カルテルあるいは入札談合事件等の独禁法違反行為への一層の厳正な対処、とりわけ大型・重要事件、あるいは国民生活に密接に関連する事件等への積極的取り組み、これが進展をするということを私ども考えているわけでございます。  また、今審査以外の事務を取り扱います経済取引局の設置のことを申し上げましたけれども、先ほど来御指摘の政府規制、それからそれとの関連で独禁法の適用除外制度の見直し、この業務を私ども特に重点を置いて取り組んでいるところでございますが、今回の経済取引局の設置によりまして、この面での他省庁との調整機能、これが格段に向上するということを私ども期待をしているわけでございます。  それからまた、この経済取引局の中に、特に取引部という部を置きまして事務を分掌させるつもりでございますけれども、先ほど来御指摘をいただいております、規制緩和後に消費者や中小事業者が不当な不利益を受けることがないように、当然のことでございますけれども公正な競争ルールの徹底、定着を図る、その業務を特に取引部の体制強化によって行っていきたい。  それから、最後になりますけれども経済のグローバル化ということを申し上げましたが、競争政策の国際的な調和を含めまして、競争政策につきましての二国間あるいは多国間にいろいろな問題がございます。これらの課題に積極的に取り組んでいくということで、今回国際課を新たに設置をいたしまして、国際業務について特に重点的に取り組んでいこう、こういうことでございます。  多少具体的に申し上げましたけれども、今回の組織改正をもしお認めいただけますならば、私ども事務局のいわば能力も相当程度に向上し、今後の競争政策の積極的な展開に資するところが極めて多大であろうと強く期待をしているところでございます。
  21. 河合正智

    河合委員 規制緩和という観点から申し上げますと、政府・与党によります規制緩和は一向に進んでないという非常に大きな不満が内外にございます。  一方で、例えば大胆な規制緩和に取り組みましたニュージーランドの例がよく挙げられるわけでございますけれども、マイナス一・五%まで落ち込んでおりました経済成長率が、この一、二年で、九五年を例にとってみますと六%を超える経済成長率を確保しているという状況でございます。  平成八年三月に改定されました規制緩和推進計画におきまして、競争政策についてはどのような進展があったのか、お聞かせいただきたいと思います。
  22. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 昨年三月に策定をされ、本年三月、一年後に見直し、改定が行われました政府の規制緩和推進計画におきましては規制緩和全般を対象としておりますけれども、ただいまのお尋ねは、その中で特に私どもの業務であります競争政策について具体的にどんな進展があったのか、こういう点でございますが、なるべく具体的に申し上げます。  この一年間の具体的な進捗につきまして、主として次のような事項がございます。  まず第一に、規制緩和後に、例えば事業者団体による独禁法違反行為が行われることがないように、これが一つの大きなポイントでございますけれども、その関連で、十数年前に策定をいたしましたいわゆる事業者団体ガイドラインというものを、今日の規制緩和の積極的な推進の現状及び今後の展望に即しまして昨年の十月に改定を行い、現在その普及に努めておるところでございます。  それから二番目でございますが、個別法による独占禁止法適用除外カルテル制度、これは現在なお二十八法律、四十七制度ございますけれども、これを、この三月末までに政府部内の調整を経まして、現時点でその四十七制度のうち三十三制度、七割強でございますけれども、これについて平成十年度末までに廃止、法整備をする、こういう結論を得、今後の法整備、法改正につきまして現在関係省庁と協議をしながら取り組んでいるところでございます。  それから、独禁法上原則違法となっておりますいわゆる再販売価格維持制度でございますが、その中で指定再販と言われるものがございます。現在、一部の化粧品及び大衆医薬品について指定がされておりますけれども、この指定商品のすべてにつきまして今年度中にその指定を取り消すという手続を実施をいたしまして、平成八年度末までにこの指定再販制度を廃止をすべく現在調整中でございます。  それから、景品規制についての問題がございます。これは景品表示法制定後三十数年の時がたっておりますけれども、現時点で、規制緩和及び競争政策の推進の見地から見直しをいたしまして、具体的には景品類の上限額の引き上げ、撤廃及び規制対象の縮減、明確化等を内容といたします見直しを、実は先月、ことしの四月から、関係告示の改正等を行いまして実施をしたところでございます。  それから、海外からも大変指摘が多い制度でございました国際契約の届け出制度、これにつきましては原則廃止の方向で見直しを行っておりまして、今年度末までに結論を得るということにしております。  さらに、独占禁止法第九条に規制をされております持ち株会社規制の見直しのために所要の検討を行う。また、これに伴いまして必要となる大規模会社の株式保有制限についても必要な検討を行うということにいたしまして、目下その検討を行っております。  以上、幾つかの項目につきまして具体的に申し上げましたが、この一年間の見直しの成果ということで御報告を申し上げます。
  23. 河合正智

    河合委員 内外価格差、また輸入制限のタスク・フォース、これはプロジェクトチームといったことかもしれませんけれども設置されたと聞いております。これは国民期待の高いところだと思いますが、具体的な成果は上がってないのではないかという批判がございますが、これに対してはどのようにお考えでしょうか。
  24. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいま御指摘の、国民生活に特に密接に関連いたします内外価格差あるいは輸入制限等につきまして独禁法上の問題がある場合には、特に重点的にこれに取り組んでいきたいということで、いわば情報収集専門チームといたしまして、御指摘のタスク・フォースを昨年の三月に設置したところでございます。ちょうど設置後約一年でございますが、具体的成果が徐々に上がっていると私ども考えております。  内容につきましては、審査部長から御説明を申し上げたいと思います。
  25. 矢部丈太郎

    ○矢部政府委員 御質問いただきました輸入制限・内外価格差問題タスク・フォースは昨年の三月に設置されまして、まだ一年少してございますけれども、今までにどういう成果が上がっているかということを具体的に申し上げますと、タスク・フォースが手がけまして既に処分を終わっている事件といたしましては、ローカルの事件ではございますけれども、オートガスとプロパンガスの販売価格の引き上げ事件をやっております。これは輸入に大変依存するわけでございますので、円高差益が十分国民に還元されるという点からの問題でございます。それからまた、並行輸入を不当に阻害した事件といたしまして、外国有名ブランド品であります磁器製食器の事件と、それからピアノの事件を取り上げております。それからまた、円高差益の還元でよく問題になります洋書の輸入でございますけれども、これにつきましても、最近でございますけれども、大学へ納めている洋書のマージン率を協定していた事件を取り上げたわけでございます。  これ以外にも、タスク・フォースが手がけまして現在審査中の事件が数件ございます。
  26. 河合正智

    河合委員 次に、先ほど大畠委員も御指摘でございましたけれども、公取の組織強化と質的向上観点からお伺いさせていただきたいと思います。  その前に、公取が組織強化されまして、違反事件摘発の効果がきちっと上がるかどうかという期待があると思われますけれども、具体的に、近年、例えば告発が三件しかないといった状況も踏まえまして、まずこの点からお伺いさせていただきます。
  27. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 独占禁止法違反行為に対する厳正な対応、これは私ども職務の中でも最も重要な分野でございますから、これまでにも私ども、与えられました陣容のもとで最大限の努力を払ってきたつもりでございます。  ただいま委員から、告発件数、これが少ないのではないか、こういう御指摘でございますけれども、端的に申し上げますと、昭和五十二年の改正カルテル等につきましての、先ほど来御指摘がございます課徴金制度を導入いたしました。これは、先ほど外国との比較を申し上げましたが、罰金ではございませんけれども、カルテル参加企業、つまり違法行為を行った企業に対しては非常に厳しい経済的な負担であるという意味で、独禁法違反行為に対する抑止力として非常に有効に機能しているわけでございますが、今申し上げました五十二年改正で導入以後、公正取引委員会としましては、特にカルテルを中心とする違法行為に対する抑止力は主として課徴金納付命令、これによってその抑止力発揮を期待してきたところでございます。  それなりの効果は十分上がっておりますけれども、しかし、それだけでは必ずしも十分ではないということで、御案内のように、平成二年でございますけれども違法行為の中でも特に国民生活に重大な影響を及ぼすような悪質重大な事案については、法律上当然規定がございます検事総長に対する公正取引委員会の告発を積極的に行っていくということを宣明いたしまして、それ以後、この告発方針に則しまして対応してきたところでございます。  確かに、御指摘のようにその告発方針発表以来、具体的に告発をいたしまして立件をされた事案は三件でございますけれども、最近では、御記憶かと存じますが、昨年の三月及び六月に二度にわたって告発を行いました下水道事業団発注の電気設備工事に係る入札談合事案がございまして、現在これは公判係属中でございます。  確かに、例えばアメリカのように、司法省反トラスト局が年間数十件の刑事訴追を行うという状況と比べますとそのような御指摘もあるところでございますが、先ほど来御説明しておりますように、やはり彼我の法制度あるいは運用内容が違っておりまして、私どもは、現在のように、まず第一義的に公取による行政的な排除処分そしてカルテルについての課徴金納付命令、その先に特に悪質重大なものについては刑事告発があり得る。現実に、刑事告発によって有罪判決が確定した事案も既に二件出ているところでありまして、そのようないわば多重的な違法行為に対する取り組みということで、私ども違反行為に対する未然防止にも一番効果があります、違反行為に対しての厳正な対応ということに心がけているつもりでございます。  それからなお、課徴金のことを再三申し上げましたけれども、先ほど平成七年度の実績約六十四億円ということを申し上げましたが、これは実は課徴金の算定率の引き上げが四年前に行われたということも反映いたしまして、ここ数年、課徴金納付命令額は逐年増加をしておりまして、先ほど各国との対比でも申し上げましたけれども、いわば最終的な違法行為に対する非常に強大な抑止力を持つ告発を含めまして、公取による排除措置そしてカルテルに対する課徴金、その内容が逐年高まってきている、非常に厳しいものになってきている。  したがって、その抑止力も、現時点におきましては他国と比べても遜色のないレベルに達していると私は思っておりますけれども、御指摘のように、今回の機構改革をお認めいただきました後は、さらに整備されました体制、特に違法行為に対する審査部門についての質、量ともに増強ということが図られるわけでございますから、私ども、先ほどもこの内容の充実こそ最も大事なことと申し 上げましたけれども、一層その御指摘にこたえるべく努力を積み重ねてまいりたいと考えているところでございます。
  28. 河合正智

    河合委員 そこで、私どもから見ますと、この組織強化といった観点から考えますと、単に制度的に整備される、それ以上に中身の質的な向上が望まれる。そしてそれは、もっと具体的に端的に申し上げますと、公正取引委員会の独立性といった問題がこの法改正の中で、また法改正後にくっきりと浮かび上がってくる大きな問題ではないかと私は思います。  それで、大変失礼な質問にわたるかもしれませんけれども、御質問させていただきたいと思います。  まず、公正取引委員会の独立性といった観点から、公正取引委員会委員長の問題、委員の問題、それから特に審判官制度の問題、この三点にわたってお伺いさせていただきます。  まず、公正取引委員会委員長の定年を六十五歳から七十歳に引き上げるといったことが今回非常に論議の的になっておりまして、これは巷間、うがった見方でございましたけれども、現委員長のポストを維持するために引き上げるのではないかといった一部報道がなされたことがございますが、それに対しまして、委員長はみずから退任を表明されました。この勇気ある行動に対しましては、私は敬意を表しております。  そういった委員長のお立場から、例えば公正取引委員会委員長、現委員長も含め歴代の委員長の十四人中九人が大蔵省の出身である、しかも連続四代二十年にわたっている。これは、公正取引委員会というのは大蔵省に支配されているのではないかという内外からの批判がございます。そのことがまた、非常に飛躍した論理かと思いますけれども、結局現在の金融不祥事というものをチェックできていかなかった遠因は日本の構造的なチェック機能の弱さにあるのではないかという指摘もなされているくらいでございますけれども、この点につきまして、委員長、大変失礼な質問にわたりますけれども、どのようにお考えでございましょうか。
  29. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいまのお尋ねは、公正取引委員会委員長及び委員のいわば資格と申しますか、あるいはどういう分野からの出身者が任命をされているか、そういう点についての御指摘と存じます。  公正取引委員会行政は、経済の大変広い分野における事業者の活動を対象とし、かつ処分に当たりまして準司法的な手続がとられるという仕組みでございますから、法律または経済に関する豊富な知識と高度な専門性が必要とされるということで、御案内のように、独占禁止法によりまして、委員長及び委員のいわば資格要件としては、年齢三十五歳以上、法律または経済に関する学識経験のある者のうちから内閣総理大臣が両議院の同意を得て任命する、こういうふうに規定されているところでございます。したがいまして、ただいまのお尋ねでございますけれども、私の立場と申しますか、公正取引委員会といたしまして個々の人選につきましてお答えする立場にないということは、これは恐縮でございますけれども御理解をいただきたいと存じます。  あえて一般論で申し上げますと、公正取引委員会委員長及び委員は、先ほど申し上げましたような観点から、現在の公正取引委員会ないし我が国競争政策が果たすべき役割等をも勘案しながら、法律に定める要件に該当する適切な者が幅広い観点から合議をするということが可能であるように、委員会構成を配慮しつつ、その人選が、先ほど申し上げました法律上の手続により国会の御同意、そして任命権者の御判断で人選されてきたものと考えるわけでございます。  なお、先ほど御指摘がございましたが、今回の改正法案におきまして、委員長及び委員の定年を六十五歳から七十歳に引き上げるという規定が盛り込まれているわけでございますが、この趣旨は、念のために申し上げれば、今後一層幅広い範囲からの人選を可能にするということを目的として今回定年制の引き上げが行われる、そういう改正法案内容になっているわけでございまして、ただいま申し上げました趣旨に従いまして今後適切な人選が行われる、そのように承知をいたしております。  直接のお答えにならないかもしれませんが、ひとつ御賢察を賜りたいと存じます。
  30. 河合正智

    河合委員 みずからの出処進退を既に明らかにされております委員長に重ねてお伺い申し上げますのは大変潜越でございますけれども、では、ただいま委員長ということをしばらくおきまして、公正取引委員会委員の問題についてもう一つお答えいただきたいと思います。  実は、この四人の委員も、歴代大蔵省、通産省などのOBでございます。これは、経済の憲法とも言われております独禁法の守り手たる公正取引委員会委員として、国民からまた国際社会から見て果たして透明なものと言えるかどうかということについて、私は大きな疑問を持っている一人でございます。むしろ、自由経済の必要性ということを肌身で感じている民間人、この方たちも登用すべきではないか。例えば、法律家ですとか消費者問題の専門家また経済学者、そういった民間人を選任いたしまして、市場経済を守る中立公正な公正取引委員会委員という立場をこの際鮮明にしていく時期に来ているのではないかということも私は考えまずけれども、いかがお考えでしょうか。     〔委員長退席、逢沢委員長代理着席〕
  31. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 重ねて委員出身について御指摘がございました。これは、公正取引委員会が発足いたしました昭和二十二年以来、満四十九年をけみしようとしているわけでございますけれども、歴代の委員出身分野を見ますと、確かに御指摘のように行政出身者が多いことは事実でございます。しかし、それ以外に、例えば裁判官でございますとかあるいは学者の方、民間企業御出身の方というように、それなりに多彩な分野からの選任も行われているという事実もあるわけでございます。  いずれにいたしましても、現在の法律によりまして、委員の資格要件が先ほど申し上げましたような内容で法定をされているわけでございますし、今回、この改正案内容でもございます委員長及び委員の定年制の引き上げということもございます。今後、御指摘のような観点から、法律規定に従って、一層幅広い分野からの適切な人選が行われるものと私ども考えている次第でございます。
  32. 河合正智

    河合委員 次に、審判官の問題にも触れさせていただきたいと思います。  今回の改正におきましても審査部門が機能強化されておりまして、御案内のように公正取引委員会は、独立した行政委員会ではございますけれども、準司法的な機能も担い、またそれが期待されているところでございます。例えば審査官、これは司法的な見地からいいますと検察官の役割でございましょうか、それから被審人側、これは弁護人、それに対します。その主張の立証を審判官、これは具体的には裁判官的な役割を果たされているわけでございますが、こういった公取の準司法的な機能を考えてみますときに、審判官の独立性が必ずしも明確に保障されていないのではないか。  これはどういうことかといいますと、審判官は公正取引委員会内部の職員の方であり、また、法曹資格を要求されているわけでもございません。そして、将来におきましては審判官から審査官、ですから判事役をした方が検事役に戻るといったシステムになっているわけでございますけれども、これは例えば具体的にこの審査制度にかかわった方たちからしてみますと、デュープロセスといった観点から非常に疑念が残るといった声もございます。私は、この審査部門を充実していけばいくほど、強力にすればするほど、このデュープロセスの考え方というのは大事になってくると思いますが、この点につきまして委員長の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。
  33. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいま公正取引委員会の審判 制度についてのお尋ねがございました。  御案内のように、公正取引委員会独占禁止法違反行為について審査活動を行った結果、違法行為が認められれば、その排除を命じる行政上の処分、典型的なものが審決でございますけれども、これを行うことができるわけでございます。  ところで、この審決を初めとする行政上の処分を行うに当たりまして、その処分を公正かつ慎重に行うために、ただいま御指摘がございました、ちょうど訴訟手続によく似た形でございます審判という手続、いわゆる三面構造あるいは当事者構造などと言っているようでありますが、その中で違法行為ありと被疑された被審人から、ちょうど今御指摘をいただきました裁判に類似をした手続で十分に相手方の主張を聞く、そういう手続が定められているわけでございます。  ただ、これは確かに裁判に似ておりますし、それから講学上も準司法的手続と言われているところでございますが、しかし、内容的にはあくまで  これは行政上の手続でございまして、行政処分が先ほど申しましたように公正かつ慎重に行われるための手続、これが審判手続でございます。  したがいまして、公正取引委員会は、独占禁止法違反行為を排除するための行政処分を、片方では審査手続、それから今申し上げましたその処分を公正、慎重に行うために相手方の主張を十分に聞くための審判手続、このいわば二つの手続を相備えまして、それによって独禁法を統一的、効率的に運用する、こういう姿になっているわけでございます。  しかし、これはいずれも公正取引委員会の名のもとに、実際には事務局職員がそれぞれの役割を担って業務を行っているわけでございますから、特にこの準司法的手続と言われる審判手続につきましてその一層の公正さを確保する、これを制度上もそのように配慮するということが当然必要でございます。  この点については、いろいろとこれまでの経緯もございますが、審判官の審査部門に対する独立性の確保のための手当てといたしまして昭和五十二年に独占禁止法改正が行われましたが、そのときに、審判対象事件について、審査に関与したことのある職員は審判官として当該事件を担当することはできない。つまり、まさに御指摘のような審査関与の経験のある職員は、今度は具体的事案についての審判官として、つまり審査と審判の両役を演ずるということのないように、手続の公正、慎重を期するための措置制度上手当てをされたというところでございます。  私ども、このような措置が講じられたことで、御指摘の審判官の独立性の保障は一応担保されていると考えておりますけれども、しかし現在でも、ただいま御質問をいただきましたような、なお一層の公正さを求める、そういう御指摘がございます。  そこで、今回の改正法案におきましても、審判官が公正取引委員会から委任を受けて行う審判事務、これが通常の形でございますが、これはこれまで事務局を総括いたします事務局長所掌事務の範囲になっておりました。今回、この組織改正が認められますと事務局長事務総長ということになりまして、委員会事務局所掌事務を文字どおり総括をするわけでございますが、この審判事務につきましては、事務総長所掌事務の範囲外に置くということを明記をいたしました。これも審判の公正の一層の確保を図る必要な措置と私ども考えておりますので、ただいまの御指摘を十分に踏まえて、こういう措置法律上、制度上も行うということでございます。  しかし、このように制度上念を入れて一層の公正さを担保する手当てをしているわけでございますけれども内容的に、当然のことながら審判を担当する者が、そして結局は私ども公正取引委員会そのものが、審査とはっきり対置をされる審判事務につきまして、その職務を公正迅速に、かつ独立して行うという法律趣旨を体して運用するということが結局一番大切なことというふうに十分認識をしておりますし、今後ともただいまの御指摘を踏まえまして運用をしてまいりたいと考えている次第でございます。
  34. 河合正智

    河合委員 次に、審査部門の問題をもう一問御質問申し上げたいと思います。  これは、政府規制とか公益法人、団体等に関連する独禁法違反行為に対する取り組みの問題でございますけれども、例えば、事業が免許制ですとか、料金が許可制といった競争制限的な政府規制の分野の売上高が全産業の三九・四%に上るということが公表されております。そういった中で、審査部門強化による取り組みの強化が期待されると思いますけれども、この点につきまして御見解を伺いたいと思います。
  35. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいま御指摘をいただきました政府規制、あるいは政府規制を実施するときに主体にもなります公益法人でありますとか団体等に関連する独占禁止法上問題のある行為、それに対する取り組みについての御指摘でございます。  先ほど来御説明申し上げております規制緩和の大きな流れの中で、通常、政府規制がございますと独占禁止法が適用されないというふうに理解をされておりますけれども、これは子細に見てまいりますと、規制があれば独占禁止法は適用されないと直ちに言うべきものでは必ずしもないと思います。規制があると言われておりましても、その中で、ある部分には不完全ながら競争が行われている、あるいは行われるべきである、そういう分野もございます。  したがって、一般的に規制関連部門と言われております分野の中でも、十分に独占禁止法上問題として取り上げるべき事案もいろいろと出てきているところでございますので、特に規制緩和が推進されている中で、規制が撤廃ないし緩和されれば当然に独占禁止法の適用範囲がそれだけ広がるわけでございますから、私どもの業務分野の広がり、したがって体制強化によってさらにその取り組みを強めていかなければいけない。それからまた、規制が残っている分野におきましても、ただいま申し上げましたようにやはり独占禁止法上看過し得ない問題があり得る、そういうことでございますので、十分に注意をしているつもりでございます。  具体的な最近の事案につきましては担当部長から御説明申し上げさせますけれども、例えば、ことし取り上げました非常に顕著な例を一つだけ申し上げますと、これは医療用食品分野における財団法人、この法人がいわば規制を実施する主体になっていたわけでございますが、その財団法人独占的事業者による私的独占事件、この事件をことしになりまして私ども取り上げました。これは一般的にもかなり大きく報道をされておりますので、社会からも注目をされた事案かと存じます。  この事案を私ども具体的に取り上げまして、ただいま御指摘をいただきましたような、従来規制分野と目され、そのために独占禁止法の適用があるということが余り意識されなかった、関係者もそのことについて恐らくほとんど認識を持たなかった、そういう分野も、やはり注意をして見ていきますといろいろあるのではないか。今申し上げました具体的な医療用食品分野における私的独占事件というのはかなり特異なものかと思いますけれども、これは明らかに、こういうものを独占禁止法違反事件として取り上げることによりまして、ひいては消費者、国民利益にも結びつく、そういう排除事案でございました。  これを一つの典型的な例と考えまして、今後とも規制緩和の進展によるメリットが損なわれることがないように、今申し上げました公益法人、団体等に関連したものを初めといたしまして、広い意味の政府規制分野における独禁法違反事案の排除に極力努めてまいりたい、そのことがまた規制緩和を本当に実効あらしめるゆえんであろうかと存じます。  なお、具体的な事案への取り組みが必要でございましたら、審査部長から御説明させていただきます。
  36. 矢部丈太郎

    ○矢部政府委員 規制関連分野における独占禁止法違反事件につきまして積極的に取り上げておる ところでございますが、ただいま委員長が御答弁申し上げました医療用食品分野以外に最近取り上げたものといたしましては、トラックの運賃についての独禁法違反事件がございます。トラック運賃は最近認可制から届け出制になったわけでございますが、その届け出運賃について、団体で会員に同じ料金で届け出をさせたという事件でございます。  それからまたタクシー、これも同一地域、同一料金という制度になっておりますが、料金を値上げしなかった者をほかの業者がボイコットしたという事件でございまして、これに対しては警告を行っております。それからまた、航空の分野におきましても、新しく入ってくるところを排除を図ったという事件で警告を行っております。  そのほか冷蔵倉庫、これも届け出制でございますけれども、この団体によるカルテル事件につきまして取り上げたわけでございますが、これは現在審判開始決定を行いまして、審判が行われているところでございます。
  37. 河合正智

    河合委員 ただいまの冷蔵倉庫保管料をめぐるやみカルテル事件の第一回審判につきまして、新聞報道がなされております。  それによりますと、「運輸省の意向を受けて、業界団体が加盟各社に値上げを指示した」という主張に対しまして、業界側は、「値上げは各社の自主的な判断」と反論、全面的に争う姿勢が二月八日の第一回審判で行われた。それに対する解説でございますが、「業法という特殊な枠組みで業界をコントロールしようとする所管官庁と、その庇護の下で競争秩序を維持しょうとする業界。主要官庁が業法による「競争秩序」を優先した結果、独禁法は軽視され続けてきた。」しこのように書かれているわけでございますが、反面、これを裏返せば、今後公正取引委員会に対する大変な期待が込められていると、私はこの記事を読ませていただきました。  次に、個別法により独禁法の適用除外分野の売上高は全産業の一三・九%にも上っている。これは、戦後の復興期から高度成長の歴史は、先ほどの記事を書かれた記者さんの解説のように、独禁法が骨抜きになってきた歴史と言えるかもしれません。しかし、産業政策優位の時代の構造改革が、今日、圧倒的に迫られております。規制とか適用除外制度日本経済の手かせ足かせになっているという解説もここで書かれているところでございますけれども、今回この改正法によりまして、政策担当部門が組織強化されるわけでございます。  こういった個別法による独占禁止法適用除外カルテル制度の見直しにつきまして、具体的にどのように見直すのか。また、これを例えば一括して見直すのか、それとも個別法で相変わらず対処していくのか、そういった点につきましてお伺いさせていただきます。
  38. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 個別法による独占禁止法適用除外カルテル制度、その見直しの具体的な内容についてのお尋ねでございます。  先ほど、昨年三月に政府が策定をいたしまして、一年後、ことしの三月にその改定が行われました規制緩和推進計画、その中で個別法による適用除外カルテル制度の見直しが掲げられているということを申し上げたわけでございますけれども、その規制緩和推進計画の中では、個別法による適用除外カルテルについては平成十年度末までに原則廃止の方向で見直しを行う、その見直しの結論を平成七年度末、ですから、ちょうど計画の改定が行われましたついせんだって、ことしの三月末というのがこの見直しの結論を出す時期でございまして、その結論を、私ども、個別法を所管しております所管官庁どの大変厳しい調整を経ながら結論を出したわけでございます。  先ほどごく概括的に申し上げましたけれども、現在、この個別法による適用除外制度は、法律の数で申しますと二十八、制度の数で四十七ございますが、そのうち、各所管官庁との調整折衝の結果、七割強にわたります三十三制度について廃止をし、必要な法整備をするということを決定いたしました。さらに、残りのうち四制度につきましては、廃止までは至りませんけれども、適用除外の範囲の限定を図るということでございます。さらに、残りの制度、これは十制度ございますけれども、これにつきましてはさらに引き続き検討を行うということでございまして、申し上げましたように、四十七制度のうち相当部分の見直しを行うという方向を決定したわけでございます。  そこでお尋ねの、当然これは個別法による制度でございますから、この改廃につきましては立法措置が必要でございます。私ども、関係各省といろいろと相談をしてまいりましたが、現状におきまして、これは一括整理法案提出するという方向でその措置をすべきではないか、大体そういう方向で合意ができつつございます。提出の時期につきましては、もちろん現在なお協議を行っているところでございますけれども、大きな方向づけとしてはそのような方向と御認識をいただければと思います。  それからなお、ついでに申し上げますが、これは制度としての今後の改正についての見通してございます。しかし、このような適用除外カルテル制度基づきまして、実際にカルテルがどのぐらい行われていたかということでございますけれども、この適用除外カルテル、私ども公正取引委員会が把握したものに限って申し上げまずけれども、昭和四十年度末、もう今から三十年前でございますけれども、その当時は実はこの適用除外カルテル制度が最も盛んに行われていたときでございまして、統計上もピークでございますけれども、千七十九件という、千件を超えるカルテルが実際に行われていた。しかしその後、やはりこういうカルテルはできるだけ削減、縮小すべきである、そういう考え方で次第に削減をされてまいりました。また関係各省庁も、競争政策の見地からの私どもの主張についても大変理解をしていただいたという面も多々ございますけれども、激減をしてまいりまして、現在、私どもが把握している限りでは四十件台、ですからピーク時の二十分の一ぐらいまでに実施カルテル数は減ってきております。  ただ、問題は、カルテルが現に実施されていなければそれでよろしいというものではございません。やはり特別の理由があるものも含めまして原則廃止という方向での見直し、すなわち、できることならば制度そのものをこのように法律措置をとって廃止をする、できるだけ結論をそちらの方向へ持っていきたいということでこれまで作業をいたしてまいりました。その結果が、先ほど申し上げましたような法律制度改廃についての見直し内容でございます。     〔逢沢委員長代理退席、塩谷委員長代理着     席〕
  39. 河合正智

    河合委員 持ち株会社の問題をお伺いさせていただきます。  これは、本来与党プロジェクトの皆様にお伺いするのが本意かと思いますけれども、この委員会の性質上、公正取引委員会委員長にお伺いさせていただきますが、当初、部分解禁ということで公正取引委員会のスタンスは決まっていたと私は思っておりましたが、全面解禁と打ち出されたり、また与党内の御意見の収れんができないという状況から、今この問題が非常に行き先を失っているという現状でございますけれども、この持ち株会社の問題につきまして、公正取引委員会としての一つの見識を自信を持ってお示しいただきたいと思います。     〔塩谷委員長代理退席、委員長着席〕
  40. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 持ち株会社問題についてのお尋ねでございます。  先ほど来申し上げております昨年三月に閣議決定をされました規制緩和推進計画におきまして、持ち株会社制度につきまして、政府部内で検討を開始して三年以内に結論を得るとされたところでございます。  その後、私どもといたしましては、各種の調査を行い、さらに各界の有識者からなる独占禁止法第四章改正問題研究会を開催いたしまして、まずこの持ち株会社問題につきまして、昨年十二月に 中間報告を取りまとめていただきました。その報告書の中では、持ち株会社禁止制度については、事業支配力の過度の集中の防止という独禁法一条の目的規定を踏まえ、これに反しない範囲で見直すことが妥当、このように記されているところでございます。  そして、規制緩和推進計画の改定がこの三月に行われましたが、その改定の内容といたしまして、持ち株会社規制については、企業のリストラの促進、ベンチャー企業の振興等を図るために、独禁政策に反しない範囲で持ち株会社を解禁すべく見直しを行い、所要措置を講ずる、このようにされております。  そして、ことしになりまして与党内に、与党三党によるこの問題についてのプロジェクトチームが設置をされまして、現在まで大変精力的に成案を得るべく御議論が行われているところでございます。  したがって、私どもといたしましては早急に与党内での成案が得られることを強く期待をしておりますし、また私どももいわば事務方としてそれに向けて努力をしてまいりたいと考えておりますが、私どもの基本的なスタンスは、先ほどの研究会の報告の中に盛られておりますように、事業支配力の過度の集中の防止という独禁法の目的規定を踏まえて、それに反しない範囲で見直すということに尽きるわけでございまして、確かに、御指摘のように公取の考え方について種々の報道がされたようでございますけれども、私どもといたしましては基本的なスタンスを途中で変えたというつもりはございません。あくまで今申し上げました事業支配力の過度の集中の防止という目的に反しない範囲での見直しということで、しかし具体的な成案を得るための種々の御議論がございました。  私どもといたしましても、事務局としてその中に参加をさせていただき、いろいろとその御議論にも加えさせていただいたわけでございますけれども、基本的な考え方は今申し上げましたようなことで終始一貫しているつもりでございますので、御理解をいただければと存じます。
  41. 河合正智

    河合委員 持ち株会社の問題といい著作物の再販制度の見直しといい、政府・与党におきましてはすべて結論が先送りされている現状でございます。規制緩和と新しい経済ルールを確立する切迫した状況にある中で、私どもは甚だこれは遺憾であると考えております。  いずれにしましても、今回議題となっておりますこの独禁法につきましては、市場における自由かつ公正な競争を保護する憲法、経済憲法でございます。公正取引委員会、内外ともに期待されているところでございますので、本日は委員長に大変失礼にわたる質問もいたしました。その点をおわびいたしまして、質問を終わらせていただきます。
  42. 甘利明

    甘利委員長 次に、正森成二君。
  43. 正森成二

    ○正森委員 日本共産党を代表して質問をいたします。  私どもは、今回の、事務総局制にするとかあるいは委員の定年の延長を人材確保のために行うというような組織改編については、公取が公正な取引を確保するために果たさなければならない役割に関連して、賛成させていただきたいと思います。しかし、それにもかかわらず、今同僚委員から最後の段階で御質問がありましたが、本体部分の、特に持ち株会社の解禁に絡んでさまざまな経緯があって、後で時間があれば申しますが、結局本体と切り離して組織問題だけ提案しなければならなかったという点については、非常に問題意識を持っております。  そこで、質問を重複しないようにしながら、若干お伺いをいたしたいと思います。  そもそも論として、独占禁止法、特に九条が持ち株会社を原則的に禁止した理由、これは沿革にさかのぼって簡潔に、どこにその理由があるのか述べていただきたいと思います。
  44. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 持ち株会社の禁止規定でございます独占禁止法第九条の制定趣旨についての御質問でございました。  沿革ということでございますが、昭和二十二年の独禁法の制定に際しましてこの第九条の規定が設けられたわけでございますけれども、その当時の提案理由補足説明を調べますと「所謂財閥の再現を防ぐ」という旨が説明をされております。さらに、ただいまのは沿革でございますが、先ほど申し上げました、この問題についての検討を有識者にいただくということで私ども昨年の秋に独禁法第四章改正問題研究会を設けまして、その中で、第四章の中でもまずこの九条規定についての検討をお願いいたしました。その中間報告を昨年末にいただいたとさつき申し上げましたが、この報告書によりますと、この九条の趣旨、目的について次のような説明がございます。  まず歴史的沿革でございますが、先ほどとも関連いたしますが、我が国においては、過去に、いわゆる財閥を中心とした企業結合が持ち株会社を通じて事業支配力を集中し、強力なコンツェルンを形成していたことから、その再発を防止する、これが歴史的沿革とされております。それから、持ち株会社そのものの性格でございますが、持ち株会社は、その機能が他の会社の事業活動の支配であることから、経済力集中の手段となりやすい性格を有する、このように記されております。  それからさらに、市場の開放性、透明性の確保との関連でありますが、我が国では企業による株式所有が広く見られるという状況がございます。企業集団やいわゆる系列の中核となる可能性を有する持ち株会社を規制することは、市場メカニズム機能が妨げられることを防止するとともに、我が国市場や取引慣行が閉鎖的、不透明にならないようにする、そういう観点からも意義がある、このように述べられているところでございます。
  45. 正森成二

    ○正森委員 今御答弁がありましたが、私の方の資料でそれをさらに明確にしますと、例えば戦後間もなくの昭和二十一年十月二十六日に発表されな米国陸軍、国務省から日本に派遣された日本財閥調査使節団の報告書というのがあります。それにはどう書いてあるかといいますと、  財閥が日本経済に及ぼしていた支配力は他の如何なる資本主義的産業国家にも類例がない程厖大であった。一九四四年現在、十七財閥が所有した払込済資本金は、日本の全株式会社の払込資本の殆んど四分の一におよんだ。更に各個の産業についてみれば、この支配力は一層顕著であって、十五財閥傘下の生産額が各産業において占めた比率は次の通りであった。すなわち石炭五一%、アルミニューム六九%、紙・パルプ五〇%、レーヨン二〇%、蒸気機関八八%、蒸気機関車六九%、絹糸五〇%、化学染料四九%、火薬三〇%、このほか財閥は普通銀行の資本金の五七%、貸付金および貸越金の七一%を占め、又貯蓄銀行の資本金の九九%、信託会社資本金の六九%、火災保険会社資本金の七四%、生命保険会社資本金の三八%を有していた。 こう言っております。そしてその後で、三井財閥や三菱などを例に挙げまして、その中で持ち株会社が果たした役割について詳細に論じております。  御承知のことと思いますが、この調査団の団長を務めましたコーウィン・エドワーズという人が論文を書いております。その論文の中でこう言っております。  日本の対外侵略に対する財閥の責任は、人的なものではなく主として制度的なものである。すなわち個人の財閥の組織が軍事的侵略に都合のよい手段となったのである。日本の産業は日本政府によって支持され強化された少数の大財閥の支配下にあった。産業支配権の集中は労資間の半封建的関係の存続を促し、労賃を引下げ、労働組合の発展を妨げて来た。また独立の企業者の創業を妨害し日本における中産階級の勃興を妨げた。かかる中産階級がないため、日本には今日まで個人が独立する経済的基盤が存在せず、従って軍閥に対抗する勢力の発展もなく、ために他国では軍事的意図に対する反対勢力として働く民主主義的、人道主義的な国民感情の 発展も見られなかったのである。さらにかかる特権的財閥支配下における低賃金と利潤の集積は、国内市場を狭あいにし、商品輸出の重要性を高めかくて日本を帝国主義的戦争に駆りたてたのである。日本財閥は政府の庇護の下にあったため、陸軍および海軍が政府の政策を壟断することに反対する意志はあったにせよ、自己の弱体を知っていた財閥は、政府に対して強硬な態度を取ることができなかった。その結果必然的に財閥は外交政策上政府の手足となった。かかる財閥が日本国家に対する忠誠のためのみでなく、自己の利益に忠実に働くことを念願としたことは当然といわなければならない。上述せる結果をもたらす財閥の特権形態を破壊し、他の民主主義諸国の如く軍国主義者に依る政府支配に対抗し得るグループを育成することが米国の対日財閥政策の中心目的である。 こう言っております。これはもちろんアメリカ側から見た見解でありますが、現在から見ても、当時の財閥の状況や、それが我が国経済及び社会に果たした役割を一定程度評価している、こういうように言わなければならないと思います。  そこで、現段階ではどうかということを伺いたいと思います。  今、同僚委員からも質問がございましたが、公取は、少なくとも昨年の五月ごろまでは、持ち株会社の全面解禁などというのは到底考えられないと思っていたのではありませんか。  例えば、私が持ってまいりましたが、おたくには企業課という課がございますか。その企業課長に舟橋和幸という人がおられたようであります。この人が、去年の三月二十四日に日本経済新聞に「持ち株会社禁止は必要」という論文を出しております。それからまた、もう一つ持ってまいりましたが、日本経済研究センターの一九九五年七月一日の会報には、同じ方が、五月三十日に開催されたシンポジウムだろうと思いますが、そこで意見を発表しております。長いから多くは述べませんが、現段階でも日本経済において持ち株会社を禁止する十分な、相当の理由があるということを詳細に述べております。この一部を引用しますと、  市場メカニズムが十分に機能するためには、個別の商品・役務だけでなく、経済全体としても特定の事業者に事業支配力が集中し、複数の市場にわたってその影響が及び事業者の自由かつ自主的な判断が制約されないようにすることが必要となる。持ち株会社は、その機能が他の会社の事業活動支配そのものであり、かつ、それ自体が経済力集中の手段である。そのため、事業支配力の過度の集中をもたらし、市場メカニズムを阻害する恐れがある。よって、独禁法ではこのような持ち株会社のもつ性格に注目し、その手段自体を禁止しているのである。 こう言った上で、   わが国では、法人による株式所有がほとんどで、上場会社の約七〇%が金融法人・事業法人によって所有されている。 念のために大蔵を通じて全国証券取引所協議会の所有者の分布をとりましたが、それに符合しております。大蔵の人に聞こうと思いましたが、その必要はないと思いますので、聞かないことにします。  これは個人所有の株式比率が五〇%を超えている米国比較すると、異常ともいえる高い比率である。 ちなみに日本では二三%程度であります、個人所有が。  また、企業総数では〇・〇〇九%を占めるに過ぎない上位二百社が、金融業を除く全法人企業が所有する株式の四分の一を所有しているという実態もある。 これはまさに戦前の財閥と同じぐらいの比率に達しているということであります。  更に、六大企業集団(三井、三菱、住友、芙蓉、三和及び第一勧銀グループ)の株式所有とグループ内取引の関係には、明らかに正の相関が見られ、株式の相互持ち合い関係が深くなればなるほど、グループ内との取引が多くなっている。もし、持ち株会社が解禁されれば、これまでの横並びの持ち合いの関係から、更に、持ち株会社を頂点とした垂直的な関係にシフトすることによって、むしろ系列を強化することにつながるであろう。 こう言って、これは、  わが国が取り組んでいる市場開放や公正かつ自由な競争の促進への流れに逆行することになるのではないだろうか。 こういうように言った上、外国では持ち株会社解禁が多いという議論に対して、これは非常に短絡的な議論だとして、  持ち株会社解禁の是非については、前述したような日本の持ち合いなどの株式所有の状況や「系列」・企業集団の存在を考えなければならない。日本と同様に企業集団の存在が認識されている韓国では、持ち株会社が禁止されている。 云々、こう言っております。  これは私は、一企業課長の見解ではない、こう思っております。なぜかならば、去年の三月六日に参議院で質問が行われましたが、その中で小粥委員長自身がこれと全く同種の答弁をしておられます。ここに議事録がありますが、私は時間の関係であえて読みません。  少なくとも五月段階まではこういう見解だったのではありませんか。
  46. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいま持ち株会社問題につきましての公正取引委員会としての考え方についてのお尋ねがございました。  ただいま委員指摘の、昨年の三月でございましたか、国会においてその問題についての御質問をいただいたことを私も記憶をしておりますし、そのときは恐らく、昨年三月に政府として策定をいたしました規制緩和推進計画の策定より少し前の段階であったかと思いますけれども、その段階でたしか私は、この九条という規定がなぜ設けられているかについての考え方、先ほど第四章問題研究会の中間報告の概要を申し上げましたけれども、それに類した観点を申し上げたと思います。そしてこの問題につきましては、その段階では私は、議論をしていくことは大変結構だと思います、ただ、私どもとしては、この九条の枠組みは必要であると思っております、たしかそういう趣旨を申し上げたと思っております。  そこで、その後三月末に、先ほど申し上げました規制緩和推進計画が策定されましたが、その中で持ち株会社問題につきましては、今御指摘もございました、例えばいわゆる系列化の問題あるいは企業集団の問題、あるいは株式保有の問題、そういう問題にも留意をしながら、一方ではまた企業、経済活性化、あるいはベンチャービジネスの問題、そういう問題にも配慮する、そしてその競争政策推進の見地からこの問題について議論を深めていく、三年以内に結論を出すという、そのような趣旨規制緩和推進計画の中でもこの問題についての問題意識をそのように策定をされたわけでございまして、いわば政府として公式にこの現行九条について見直し、検討を行う、そしてその見直し、検討のスタンスというものをそこで明記をしたわけでございます。  それを一年後の、ことしの三月の改定計画におきましてもより明瞭な形でその点を取り上げておりまして、先ほど私が引用いたしました独禁法第四章研究会の中間報告で、この点については独禁法第一条の目的規定を引きまして、事業支配力の過度の集中を防止するという独禁法の基本的な考え方、あるいは九条の存在理由と申しますか最も重要な趣旨、それは堅持をしながら、それに反しない範囲で見直しをしていくという点につきましては、私は先ほど来申し上げておりますように、そのような基本的なスタンスのもとで現在見直し作業に私ども事務方として参加をしているということを繰り返し申し上げたところでございまして、ただいまの委員の御指摘は私十分承りますけれども、しかし、公正取引委員会の立場といたしまして、繰り返しで恐縮でございますけれども独禁法一条の目的規定を踏まえた上で、それに反しない範囲で見直しを行う。これは、あるいは独 占禁止政策に反しない範囲でと言いかえても同じ趣旨でございますが、その点は何とぞ御理解を賜りたいと存じます。
  47. 正森成二

    ○正森委員 今公取委員長からるる御自分のお立場について御説明がありました。私は、そうあってほしいというように思っております。  しかし、新聞紙上等で、いろいろ論評によりますと、例えば、公取委員長が今言われました独禁法第四章改正問題研究会というのが昨年の十二月に提言をいたしまして、このときには四分類に限定した部分解禁方針を打ち出したと私どもは承知しております。ところが、一月十八日を越えましたら、これは突如として百八十度転換して、二十三日に、原則は自由で、事業支配力の過度の集中を招くような持ち株会社のみの禁止というように態度を変更し、それがために与党内でも非常に論議が紛糾したというように聞いております。  この点について我が党がいろいろ調べましたら、今度の組織改編の問題と絡んでこういう声があるということを公取委員長は記憶にとどめておいてほしいと思います。「公取委は独禁法より局長ポストを大事にすることがよくわかった」、これは独禁法の専門の学者であります。連立与党のある人は、公取委員会は「魂を売り渡した」、こう言われたそうであります。これは、去年の十二月からことしの一月にかけて、公取の意見が非常にくるくる変わったことに対する痛烈な批判であるというように言わなければならないと思います。  さらに、こういう指摘もあります。「独禁法改悪と組織拡充・ポストの増設が取引された形です。委員会益あって国民の利益なし——研究会メンバーの一人は「公取委は研究会の中間報告を踏みにじり、財界と自民党のいうことをそのままきくあしき前例をつくった。これではこの先、独禁法運用は財界・自民党の意のままになる。」」こういうように指摘する声があると私どもの調査ではなっております。これはゆゆしきことだと言わなければならないと思うのですね。  現在、我が国状況はどうかといいますと、私どもは二年前に「新しい日本経済への提言」という文書を発表いたしました。非常に膨大なものであります。その中で、日本における経済力の集中とその影響について述べておりますが、それはあなたの方の企業課長が発表した論文とほぼ符節を合わせております。その一部を読みますと、「たとえば、」旧財閥系を含む三井、三菱、住友、芙蓉、三和、一勧などの「六大企業集団の全上場企業一約二〇〇〇社)への影響力が、株式所有比率で二五・二%、融資比率で三三・八%、さらに派遣役員数四二八四人(全上場企業社外出身役員数の四六・三%)などと、これらの指標のどれもが上場企業全体に支配をおよぼすに足る高さになっている。」こういうように指摘し、そして、株式所有の分布について大蔵省からも報告を受けたとおりのことを指摘した上、「国際的にみるとき、日本の大銀行が強大になっていることが、いっそう明らかになる。一九九〇年フォーチュン世界銀行ランキングでは、一位から六位まで日本の銀行が占め、上位五〇行中二〇行が日本の銀行である。」これはバブルの崩壊でその後変わりましたが、少なくともそういう状況がありました。  こういう状況を考えると、私は、独禁法九条の持ち株会社禁止という点については、あなたの方の企業課長や、去年の三月に公取委員長、あなた自身が参議院予算委員会で答弁されたあの基本的な観点を貫くことが大事であり、仮にも、私どもが調査したような、魂を売り渡したというようなことを言われることのないようにしていただきたいということを申し上げ、時間が参りましたので、あなたの御見解を伺って、私の質問を終わります。
  48. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいま御審議をいただいております組織改正の問題は、これはもう提案理由説明にも明記されておりますように、競争政策積極的推進のために必要不可欠な法改正ということでお願いをしているわけでございます。どうしてもこれは法律成立させていただきたい、我が国競争政策の今後の展開のためにもどうしても必要だということでございます。一方、持ち株会社につきましては、先ほど来その経緯を申し上げましたように、私ども独占禁止法の一条の目的規定を踏まえて、それに反しない範囲での見直しが必要ということで現在検討を行っているということは再三申し上げたとおりであります。  この二つの問題は、ともに独占禁止法改正につながる問題でございますけれども内容的には全く別でございまして、その双方に何か関連があり、まして、ただいま、お言葉でございますけれども、その二つを絡めて私どもの態度が非常におかしいということを御指摘いただきましたが、その点については私は全くそういうふうに考えておりませんので、この点ははっきり申し上げておきたいと思います。  私は、どちらもやらなければならない、しかし今のところ持ち株会社問題については、先ほど来申し上げておりますように、現在なお与党内で調整中であるということを申し上げるにとどめておきたいと思います。
  49. 正森成二

    ○正森委員 終わります。
  50. 甘利明

    甘利委員長 これにて両案件に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  51. 甘利明

    甘利委員長 この際、ただいま議題となっております両案件中、私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案に対し、逢沢一郎君外二名から、自由民主党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけの三派共同提案による修正案が提出されておりますので、提出者から趣旨説明を求めます。小林守君。     —————————————  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法   律の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  52. 小林守

    ○小林委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、提案者を代表して、私からその趣旨を御説明いたします。  修正案はお手元に配付されているとおりであります。  修正案の内容は、施行期日につき、原案では「平成八年四月一日」としていますが、既にその日が経過していますので、これを「公布の日」に改めようとするものです。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  53. 甘利明

    甘利委員長 以上で趣旨説明は終わりました。     —————————————
  54. 甘利明

    甘利委員長 これより両案件及び私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、逢沢一郎君外二名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  55. 甘利明

    甘利委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決された修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  56. 甘利明

    甘利委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、公正取引委員会事務局地方事務所管轄区域変更及び支所設置に関し承認を求めるの件について採決いたします。  本件に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  57. 甘利明

    甘利委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両案件に関する委員 会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 甘利明

    甘利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  59. 甘利明

    甘利委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     正午散会      ————◇—————