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鈴木(孝)
政府委員 最近の
我が国経済の
状況を見てみますと、最近
是正傾向にはございますけれ
ども、趨勢的には
円高ということで、この
円高の
傾向に対応いたしまして
我が国の高
コスト構造というものが顕在化しているのではなかろうかと思っております。一方、長期にわたる
消費不況等によりまして
国内の
需要も低迷しておるわけでございますので、
国内の
産業にとりましては大きな打撃を与え、これが
地域経済の疲弊化にもつながっているのではなかろうかと思っております。
幾つかの
数字を見てみたいと思っておりますが、
平成六年度の製造業の海外投資、これは前年度と比較いたしまして二四%という大幅な伸びを見せております。また、
平成七年度の製造業の海外生産比率は一〇%に上がるのではなかろうかと予測をしております。このような
傾向が引き続き続くのではなかろうか。
また、個別製品ごとに見ますと、カラーテレビやテープレコーダーなどは、海外生産比率は七割を超える
状況になっているわけでございます。
また、海外
事業活動の
国内生産、
雇用への
影響を見てみた場合に、従来ですとプラス
効果が大きかったわけですが、これが、
マイナス効果と比較いたしますとむしろ
マイナスの
効果の方が大きくなるということになろうかと思っております。九五年度には、海外
事業活動が
雇用に与える
影響といたしまして
マイナス十一万人という形で、初めて
マイナスに転化する見込みになると予測しております。
また、
平成六年度の工業統計速報ベースで見ますと、製造業の
事業者数あるいは従業者数が、前年に比べて
全国平均でそれぞれ六・五%あるいは三・六%の減少になっておりまして、また、
地域別に見ましても全都道府県において
マイナスという形になっております。
工場立地件数で見てみますと、
平成元年、これはピークの年でございましたけれ
ども、四千百件を超えていたわけでございますが、
平成元年以降六年連続で減少しておりまして、昨年
平成七年には千三百件強と、これはオイルショックのときが
工場立地件数が一番低かったわけですが、それに近い
数字になっているということでございます。
また、企業の活力を見る一つの
指標といたしまして開業率があろうかと思っておりますが、米国の一九九二年の開業率が一三%というのに対しまして、
我が国の開業率は
平成三年から六年の年平均ですと約四・六%でございまして、これも各
地域別に見ますと、大都市圏の開業率が四・七%であるのに対しまして地方圏におきましては四・四%と低くなっておりますので、地方圏におきましては海外
展開した
産業にかわるべき新規成長分野の立ちおくれというのが、大都市圏も含めて米国と比較しますと低いわけでございますけれ
ども、そういった
地域的な
展開もあろうかなと思っております。
以上のような数値を見た場合に、私
どもは、これから
地域産業の
空洞化といったことが一つの
懸念材料としてあるのではなかろうかと認識をしているところでございます。