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井関参考人 テレマーケティング協会の
理事長をやっております
井関でございます。
テレマーケティングという業界の
立場から、今回の
訪販法の
改正につきましての
意見を述べさせていただきたいと思います。
その前に、若干
テレマーケティングというものと、
テレマーケティング協会が今日どういうふうに取り組んできたかということを踏まえた上で
意見を述べさせていただきたいと思います。
御案内のとおり、
テレマーケティングというのは、
電話や
ファクスなど
双方向性の通信手段を用いまして、
企業と
消費者それから顧客がダイレクトにコミュニケーションを行っていくいわゆるマーケティングシステムでございまして、その前提となるものは、相互の良好な関係を構築した上で、
商品やサービスの
販売、
消費者相談窓口、各種調査等を行っていくというのが大前提であります。したがいまして、
電話による一方的な売り込みというものは、私
どもテレマーケティングという範疇には入れてございません。あくまで顧客満足を最大のねらいとして、顧客との永続的な信頼関係を築いていくというものを私
どもは目指しておるわけでございます。
今日の消費生活の多様化あるいは
情報化
社会の進展に伴いまして、こういった
テレマーケティングというものは、欧米や我が国でも大変な勢いで発達また発展しつつございます。一九七〇年代にアメリカで始まったこの事業でございますけれ
ども、アメリカでは今日約四十兆円の市場と言われています。日本では、一九八〇年代にこういった事業が初めて取り入れられました。今日ではおおよそ一兆円という、まだアメリカの四十分の一でございますけれ
ども、それでも毎年大体二けた成長をしつつある極めて発展段階にある業界というふうにお含みおきいただきたいと思います。
その中で、いわゆる
電話による効用というものが幾つかあるわけでございまして、先ほど話もありましたように、
企業と顧客が
電話を通じて
取引を迅速あるいは簡便に行うということが今日における
電話取引の最大のメリットでございます。また同様に、
電話取引以外でも、
電話によるマーケティング調査あるいは選挙の際の世論調査あるいはお客満足度調査等々、各種サービス、調査が
電話により行われており、また、各事業の効率化というものの追求の中にアウトソーシングという問題が多々発生しているわけでございますけれ
ども、そういった中で、顧客のデータベースに基づくこういった
テレマーケティングというものが今日多くの
企業で取り入れられつつあるという状況であります。
そういった中で、私
どもテレマーケティング協会は一九八八年に発足いたしました。現在、約百五十社の会員で協会が成り立ってございます。
協会の主な
目的といたしましては、
テレマーケティングに関する普及
活動あるいは利用促進、
テレマーケティングに関する調査研究あるいは
テレマーケティングの正しい発展のための倫理意識の維持向上、倫理ガイドラインの設定、あるいは
テレマーケティングに対する教育等を主な事業
目的としておりまして、協会として自主的に
テレマーケティングの倫理ガイドライン及び実施基準をつくってございます。また、個人
情報の保護ガイドラインというものもつくっておりまして、今日問題になっているような問題に自主的に取り組んでおるわけであります。
テレマーケティング協会の倫理ガイドラインの主なポイントだけを申し上げますと、まず、今回も問題になっておりますような、最初に
電話をかけることについての相手の同意を得るということ、それから当方の名前を名乗るということ、それから、提供する
商品、サービスについて合法的であるということ、それから
目的をはっきりさせるということ、購買等を決定するに必要な十分な
情報を提供するというようなこと、あるいは深夜等の時間帯は避けるというようなことを倫理ガイドラインとして自主的に運用しております。
〔
委員長退席、塩谷
委員長代理着席〕
そういった前提に立ちまして、今回の
訪販法の
改正について消費経済
部会でいろいろ
議論されました中で、私も
委員の一員として
意見を述べました問題につきまして、若干触れさせていただきたいと思います。
今回の
訪販法の
改正は、私
ども業界にとりましては極めて重大な、あるいは厳しい問題も含まれております。協会内でいろいろ
議論しましたときに、協会の自主的倫理ガイドラインの実施ということで十分
目的は達成されるのではないか、あえて法的
規制を導入する必要があるのかという
議論が当初ございました。しかしながら、今日の
消費者保護の問題と、あるいは私
どもにとりましても正しい
テレマーケティング事業の発展のために、悪質な
業者をいかに排除するかという観点に立って本問題に取り組もうじゃないかということで、種々
議論を重ねてきたわけであります。
そういった中でも、
クーリングオフの問題とかあるいは
書面による
契約の確認の問題とか、いろいろ今後、特に中小の事
業者に大変な
負担を強いるような問題が含まれておりますけれ
ども、私
どもとしては、あくまで
消費者保護と
悪質業者を排除するという前提でこの問題に取り組もうということで、協会内で
意見を取りまとめてきた次第でございます。
こう言ってはなんでございますけれ
ども、本来、
契約でございますから、一方では
契約当事者としての自己責任というものをやはり
消費者にも持っていただきたいという気持ちは大変強うございます。
そういった中で、今回
訪販法が成立されましたならば、内容につきましては若干また触れたいと思いますけれ
ども、まずもって
電話による
取引であるということ、それから今回の
訪販法の
改正の
目的は
悪質業者を排除するものであるということ、そういったことを
行政サイドあるいは地方自治体サイドからも十分な周知がなされないと、
電話によるもろもろの
行為が、正しく行われている
行為が皆さんから疑念を持たれるようでは、今日の
情報化
社会の発展に極めて重大な影響を及ぼすというふうに私
どもは考えておりますので、またぜひその点の十分な御指導、御周知もあわせて
行政サイドから行っていただけるように、冒頭お願い申し上げる次第でございます。
その中で、今回の
訪販法の中で、もう
法案の中で既に織り込まれているものもございますので、ある面では是認するという
立場から、ある面では少し厳し過ぎるのじゃなかろうかという
立場から、若干申し上げたいと思います。
当初、
審議会の中でも、
電話勧誘販売というか、
電話による
取引自体を禁止すべきじゃないかという
意見もありましたけれ
ども、私
どもはあくまで、
電話を用いたこういった
販売方法自体が悪質だと否定することについては極めて問題である、
電話による
取引自体が悪いのではなくて、個々の
勧誘の方法自体にいろいろな問題が含まれているのであるということを明確に分けていただきたいということで
意見を申し上げてきた次第でございます。そういった
意味では、
テレマーケティング協会として、迅速な開示あるいは
情報の提示といったようなことを行っておりますので、そういった前提でこの
訪販法が取り組まれて考えられているということにつきましては、いろいろ
審議の中身が生かされたのではないかというふうに思っています。したがいまして、あくまでも
電話による
販売自体の問題ではなくて、その
販売のやり方自体にいろいろな問題が生じて今日の問題になったということを、ぜひ御理解をいただきたいという点が一点でございます。
それから二点目には、
書面による
契約の是非がございました。
電話による
取引というのは、
消費者の便益のためにも、迅速性とか簡便性というのが最大のメリットでございます。そういった
意味では、事前に
書面で
契約を確認するとか、そういった
行為が行われては、この最大のメリットが失われてしまいます。ただ、
電話による
取引の事後、こういつた問題で再確認の
意味も含めて確認
行為が必要ではないかという
意見につきまして、私
どもも
悪質業者の排除という
意味からこういった問題に取り組んできた次第でございます。
したがいまして、あくまでも事後の確認ということで取り組んでいただきたいということと、それから
クーリングオフにつきましては、今回初めて事
業者負担ということになります。これにつきましては、中小の事
業者にとりましても、正しい
行為を行っている事
業者につきましても、ある
意味では
負担増になるわけでございます。そのときに、あくまで起算日は
消費者が
書面を受領したときというふうに
法案でもなされております。私
どもは、ぜひ最低それぐらいの形にしていただかないと、
消費者が
書面を送ってからということでは、起算日がいつになるか極めて不安定な
状態に置かれるということでございます。そういった
意味で、
クーリングオフにつきましては、せめて
消費者が
書面を受領した日という今回の
法案の中身が生かされるようにお願いしたい。また、
指定商品につきましても、法的
規制というのは必要最小限にすべきだというふうに思っていますので、今日の
訪販法の中の
指定商品にとどめていただきたいというふうに思っております。
細かいことでは、時間的な問題も種々論議されてきましたけれ
ども、あくまで深夜の
電話取引というような、そういった常識を外れるような
行為はともかくとして、何時から何時までというよろな時間設定が
法律でなされるといいますのは、今日の経済
活動あるいは生活
活動の多様性から見ると、
法律で決めるものではないというふうに私
ども思っておりまして、その辺は常識的な自主的運営というものでぜひさせていただければありがたい。私
どもは現在、夜九時以降は
電話しない、午前九時前は
電話しないというようなことで自主的に取り組んでいることを御参考までに申し上げたいと思います。
以上、幾つかのポイントを述べさせていただきましたけれ
ども、あくまでも
消費者保護、
悪質業者排除という点から私
どもも前向きに取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
ありがとうございました。
〔塩谷
委員長代理退席、
委員長着席〕