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1996-03-27 第136回国会 衆議院 商工委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月二十七日(水曜日)    午後一時三十八分開議 出席委員   委員長 甘利  明君    理事 逢沢 一郎君 理事 自見庄三郎君    理事 塩谷  立君 理事 古賀 正浩君    理事 西川太一郎君 理事 増子 輝彦君    理事 小林  守君 理事 石井 紘基君       浦野 烋興君    小此木八郎君       尾身 幸次君    岸田 文雄君       田原  隆君    谷川 和穗君       中山 太郎君    丹羽 雄哉君       野田 聖子君    野田  実君       野呂田芳成君    石井 啓一君       上田  勇君    小池百合子君       佐藤 茂樹君    土田 龍司君       豊田潤多郎君    星野 行男君       宮地 正介君    山名 靖英君       吉田  治君    石井  智君       大畠 章宏君    佐藤 泰介君       松本  龍君    吉井 英勝君       後藤  茂君    牧野 聖修君  出席国務大臣         通商産業大臣  塚原 俊平君  出席政府委員         通商産業大臣官         房長      中川 勝弘君         通商産業省環境         立地局長    鈴木 孝男君         資源エネルギー         庁石油部長   河野 博文君  委員外出席者         消防庁危険物規         制課長     坂井 秀司君         消防庁特殊災害         室長      小林 恭一君         商工委員会調査         室長      石黒 正大君     ————————————— 三月二十六日  高圧ガス取締法及び液化石油ガス保安確保  及び取引適正化に関する法律の一部を改正す  る法律案内閣提出第一五号) 同月二十七日  著作物再販制度維持に関する請願園田博之  君紹介)(第九九七号)  同(田中昭一紹介)(第九九八号)  同(田中昭一紹介)(第一〇四二号)  同(田中昭一紹介)(第一〇九四号)  だれにでもわかる洗剤・洗浄剤の明快な表示に  関する請願荒井聰紹介)(第九九九号)  同(土肥隆一紹介)(第一〇〇〇号)  同(早川勝紹介)(第一〇〇一号)  同(森井忠良紹介)(第一〇〇二号)  同(横光克彦紹介)(第一〇〇三号)  同(青山二三紹介)(第一〇四三号)  同(細谷治通紹介)(第一〇九五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  高圧ガス取締法及び液化石油ガス保安確保  及び取引適正化に関する法律の一部を改正す  る法律案内閣提出第一五号)      ————◇—————
  2. 甘利明

    甘利委員長 これより会議を開きます。  内閣提出高圧ガス取締法及び液化石油ガス保安確保及び取引適正化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより趣旨説明を聴取いたします。塚原通商産業大臣。     —————————————  高圧ガス取締法及び液化石油ガス保安確保   及び取引適正化に関する法律の一部を改正   する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 塚原俊平

    塚原国務大臣 高圧ガス取締法及び液化石油ガス保安確保及び取引適正化に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  近時の高圧ガス保安状況を顧みますと、保安技術進歩及び事業者自主保安活動への積極的な取り組み等により、保安の水準が飛躍的に向上してきております。また、液化石油ガス等高圧ガス供給形態につきましても、事業活動多様化消費者の志向の変化等に伴い、大きく変化してきているところであります。  このような状況の中で、政府といたしましては、高圧ガス保安を合理的かつ効率的に確保する等のため、本法律案提出した次第であります。  次に、本法律案要旨を御説明申し上げます。  第一に、高圧ガス取締法改正であります。  その改正の第一点は、事業者による自主保安活動を一層促進するため、現在、行政庁等が実施している完成検査保安検査等について、高度な保安体制を有する事業者がみずから行うこと等を認めることであります。  第二点は、実効ある規制体系の構築のため、流通形態変化技術進展等を踏まえて製造販売及び貯蔵所に係る規制を見直すとともに、国際化への対応等のための所要措置を講ずることであります。  第三点は、高圧ガス保安確保における事業者自主保安重要性にかんがみ、名称を高圧ガス保安法に改めることであります。第二に、液化石油ガス保安確保及び取引適正化に関する法律改正であります。  その改正の第一点は、液化石油ガスを消費する一般消費者保安を的確に確保するため、これらの一般消費者等についての保安業務を実際に行う者を保安機関として認定する制度を新たに設け、あわせて販売事業に係る許可制登録制に改めることであります。  第二点は、事業者による自主保安活動を一層促進するため、高度な保安体制を有する事業者に対しては、その保安体制に応じて保安に係る調査点検等の義務を軽減することであります。  第三点は、消費者への情報開示の充実を図ることであります。  なお、消費地にあらかじめ設置された貯蔵設備充てん設備から直接ガス充てんを行ういわゆるバルク供給システムに関し、両法の適用関係を整理することといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 甘利明

    甘利委員長 これにて趣旨説明は終わりました。
  5. 甘利明

    甘利委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。最初に、小林守君。
  6. 小林守

    小林委員 社民党の小林です。  ただいま大臣の方から趣旨説明をいただきました。早速質問に入らせていただきます。  今日までの高圧ガス液化石油ガス、いわゆるLPガス保安規制見直しにつきましては、大きな事故発生を教訓とした規制強化の積み重ねであったわけであります。この結果、近時では、 技術進展による保安レベル向上により、事故件数は著しく減少しております。例えば、LPガス事故件数は、昭和五十四年の七百九十三件をピークといたしまして大きく減少し、平成六年には八十二件となり、ピーク時の約十分の一にまで減少しています。これは、LPガス販売事業者認定調査機関である保安センター等関係者の努力のたまものでありますが、このような事故件数等減少を背景とし、今日における規制緩和推進の要請を受けて、今回の大幅な見直しとなったと承っております。  今回の改正視点は、一に、技術進展保安実態等対応した実効ある規制体系づくり。二として、事業者自己責任原則のもとに、効率的かつ必要最小限規制にとどめ、一律取り締まり型の規制から自主保安誘導型の規制導入するというようなことでございます。それから第三点として、国際単位への統一等を図り、内外事業者が同等の条件で競争できるよう環境整備をして、国際化への対応を進めるというような視点に立ったものと承っております。このような視点で、保安規制の全般的な見直しを行うものと承っております。  さて、時間の制約もございますので、私は、特に一般消費者関係の深いLPガス保安確保及び取引適正化について、生活者や市民の立場から、今回の改正消費者利益にどうつながるのか、そういう観点に絞って二、三お伺いをしておきたいと思います。  初めに、消費者に深くかかわり、極めて関心の高い取引適正化についてでありますが、料金制度透明化はどう図られていくのか、料金は結果的に引き下げられることになるのか、このようなことでございます。  御承知のように、LPガスは、都市ガスのような公共料金とは異なりまして自由価格でございます。しかも、利用者は全国二千五百万世帯に及んでいると聞いております。LPガス料金はどのように価格形成されるのか極めて不透明でありますし、またしPガス料金は、一般下方硬直性というか、なかなか下がらない、そういうことが指摘されておりますし、また円高差益還元も十分ではありません。さらに、輸入価格末端販売価格の差は十数倍もあると指摘されております。販売事業界カルテル体質というようなものも問題視されているところでございますけれども、これらの問題について、今回の改正ではどのように改善されるのか、お伺いをしたいと思うわけであります。  あわせまして、顧客、お客さんを獲得するための有力な手段として行われております無償配管、器具の無償貸与、これらについてでございますけれども、その所有権につきまして、契約の解消時には大変トラブルを起こしている原因になっているところであります。消費者不在と言われても仕方がないようなこのような業界慣行には、さらにお客さんを商権として扱う、いわば縄張り、そういうものを売買するような慣行もあると伺っておりますけれども、このような不公正な取引はどのように適正化されていくのか。それもあわせて、まず第一点としてお聞きしたいと思います。
  7. 河野博文

    河野(博)政府委員 お答え申し上げます。  ただいまお尋ねいただきましたLPガス取引適正化に関してでございますけれども消費者の皆さんとのトラブル発生に適切に対応するといったような観点から、今後どういう対応策が必要かということにつきまして、石油審議会液化石油ガス小委員会におきまして、昨年御審議を賜ったところでございます。その中間報告が取りまとまったところでございますけれども、ここにおきましては、契約締結時におきます書面交付徹底化を図るために、未交付の場合、記載漏れの場合あるいは虚偽の記載の場合に、罰則などの担保手段を科すということが適当ではないかという提言をいただいたほか、さらにお尋ねのありました料金表明確化、あるいは、これもお尋ねがありました契約解除時の設備をめぐるトラブル防止策などにつきましての提言がなされたわけでございます。  そこで、今回の法律改正におきましては、こうした審議会の御意見をもとにいたしまして、料金面も含めました書面交付について、保安取引適正化、双方の観点から、罰則などの担保措置を科することとしております。また、それ以外の取引適正化の方策につきましては、所要省令改正などによりまして適切に対応する考えでございますけれども、こうした措置を講ずることによりまして、御指摘もありました消費者利益の着実な向上につながるということを私どもとしては切に期待をするところでございます。
  8. 小林守

    小林委員 それでは次に、保安制度拡充強化という観点からお伺いをいたします。  LPガス販売事業者は、この法改正によって許可制から登録制に変わるわけでございますが、自主保安誘導型の規制導入という理念に基づいての規制緩和というふうに受けとめられますけれども、このようなインセンティブを与える規制導入はうまくいくのかどうか、これを伺いたいと思います。現実に競争がさらに激化する中で、利益優先に走って消費者の安全や安心というものがおろそかにされるのではないか、本当に確保されるのかどうか、心配をしなければなりません。  特に、保安レベルの高い業者に対しましては、調査点検周期現行二年というものを延長するというようなことも考えているように伺っておりますけれども、今日、現場で保安業務を一生懸命行っている、携わっている保安センター職員等実態報告などをお聞きしますると、大変問題が多いというような御指摘もございます。特に豪雪地帯における定期点検というか、点検周期に行っても、なかなか雪が固まってしまってメーターが見られない、雪かきの方が先で点検が後回しになってしまう、こんな実態もお聞きしております。そういう点で、点検周期現行二年を延長するということについては時期尚早ではないのか、こんなことも指摘をされているところでありますけれども、どのような実態認識を持っておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。  あわせまして、耐震対策についてでございますけれども、我々、テレビの報道から、阪神・淡路大震災のときに、巨大なLPガスタンクが傾いて、タンク受け払いの弁の部分からガスが漏れて、住民が避難をするというような事態が生じた生々しい記憶があるわけですけれども、地盤の液状化というような問題も十分考えた上での耐震性強化が進められなければならない、このように考えているところでございますけれども、今回の法改正において、これらの消費者、国民の保安確保、安全、安心をしっかりと高めた上での規制緩和でなければならないというふうに考えます。耐震対策も含めまして、お伺いをいたしたいと思います。
  9. 鈴木孝男

    鈴木(孝)政府委員 三点お尋ねかと思いますが、今回の改正は、先生指摘のように、最近の保安事故ピーク時に比べまして十分の一に減少しているということを踏まえながら、保安技術進展、あるいは保安をめぐる情勢の変化に的確に対応するということでございます。  第一点の販売事業登録制への移行でございますが、この登録制への移行とともに、設備点検等保安業務を実際に行う者を新たに保安機関として認定いたすわけでございますが、その保安機関保安技術力というのは相当程度高いものと私どもは思っておりまして、その保安機関認定制度を活用することによりまして、保安レベル維持向上は図られるのではなかろうかと認識しております。  第二点のインセンティブ規制導入についてでございますが、これも集中監視システム導入しておりますような高度な保安体制を構築した事業者に適用されるものでありますので、保安レベル維持向上にむしろつながるものと認識をしております。  第三の点の耐震基準でございますけれども現行耐震基準は、兵庫県南部地震相当地震にも耐えられるものと私どもは確認しておりますけれ ども先生指摘のように、エム・シー・ターミナルのLPガス漏えい事故がございました。このLPガス漏えい事故を踏まえまして、さらなる耐震対策について検討しておるわけでございまして、特に、配管系、計装制御設備系にかかわります基準、それから液状化対策、この三点につきまして、現在、さらなる耐震基準策定につきまして検討を行っておるところでございます。
  10. 小林守

    小林委員 終わります。
  11. 甘利明

    甘利委員長 続いて、吉田治君。
  12. 吉田治

    吉田(治)委員 このたびの高圧ガス取締法及び液化石油ガス法改正に関しまして、新進党を代表いたしまして質問をさせていただきます。  それぞれ、戦後五十年にわたる技術進歩、また事故件数減少というものによって今回のこの法律改正というものを見た。業界早期実現を非常に望んでおられますし、また、私ども国政に携わる者も、規制緩和というのですか、本来社会的規制であるべきこういう法律というものが技術進歩によって緩和ができるようになったということ、これは非常にすばらしいことかと思います。  そこで、まず最初にお伺いしたいのは、高圧ガス取締法関係でございますが、今回の改正によりまして自主検査制度というふうなものが創設をされていく。高圧ガス製造等にかかわる企業にとっては、連続運転メリットであるとか、今までのような開放検査からまさしく解放されるということにおいて、非常にコスト減少考えられる。それでありましたら、私、いつもこの委員会での質問で申し上げておるのですけれども、この法律改正することによってどのような経済的効果、例えばコストがこれぐらい下がるとか、こうすることによって経済的波及効果が大きいよというふうなものがどう期待できるのかということを、まず質問させていただきたい。
  13. 鈴木孝男

    鈴木(孝)政府委員 今回の改正によりまして、行政庁によります各種許認可検査相当程度縮減されるものと私どもも見込んでおります。  ただ、こうした規制合理化は、事業者経済的メリットを付与する目的ではございませんで、先生指摘のように、まさしく社会的な規制で私ども高圧ガス取締法あるいは液化石油ガス保安確保法もやっておりますので、そういう意味で、経済的メリットがどう定量的に把握できるのかというのは大変難しいことかと思っております。  ただし、結果的には、手続面検査面での規制コスト削減が可能となるものと思っておりますし、また、事業者における運転計画弾力化、これも大変大きな効果を上げるのではなかろうかと思っております。  私どもとしましては、コストがどのくらい減少するのかということもいろいろ試算をしてみたいと思って検討はいたしましたのですが、一例を申し上げますと、石油精製石油化学に係るコンビナート事業所におきまして、今回の法改正自主保安検査制度、これが仮に導入されたといたしますと、運転期間が現在ですと原則一年でございますので、これが二年に延長されたということになりますと、この効果だけに限りましても、石油精製石油化学業界には二百億円ぐらいの効果が上がるのではなかろうかと産業界からも指摘をされておるところでございます。  また、高圧ガス取締法あるいは液化石油ガス保安法につきましては、各種許認可なり届け出がございますが、これが今回の法改正がなされた場合には、その提出届け出等も廃止されるようなものもありますので、これにかかるこれまでの時間、手間暇というものも相当程度縮減されるのではなかろうかなと思っております。
  14. 吉田治

    吉田(治)委員 さきの委員会特石法等のことをやりまして、事実この四月からガソリンが値下がりをする、反対に灯油、重油、軽油等が値上がりをしてくるというこの現状の中において、経済的効果が二百億、これは単に企業利益に回すだけではなく、やはり消費者への利益というふうなものに回していただきたいということは自明のことでございます。  経済的効果はそういうふうな形で波及できるということですけれども、それでは、現実にこの高圧ガス関連事故というもの、たしか昭和四十八年百三十六件というのをピークに、高圧ガス関係事故というものは減少していると聞いております。しかしながら、近年、この減少傾向が、ある意味では下げどまりというのですか、一定の、八十件もしくは九十件あたりでずっとここ数年推移をしている。ここには何らかの問題点があるのではないかなということが考えられると思うわけであります。  まず一点は、御承知のとおり、バブル崩壊以後の不景気の中において、経済に占める設備投資というもの、新しい設備に更新をしていくということにどうも熱心ではない。ですから、旧の設備で操業をするということによる事故への可能性が大になったのではないかということ。また、もしもそういう状況においてこの自主保安規制というふうなものに移行していった場合に、ひょっとしてこの事故件数が、下げどまりが今度は徐々に上がっていくのではないかなという危惧も感じられるのであります。  また、先ほど申しました旧設備というのと同時に、企業側のリストラというのですか、合理化というふうな中で、保安に占める要員でありますとか設備、また費用というものが、企業の中でどうもウエートを全体的に縮小していこうという中で、保安もその例外にならず縮小傾向にあるのではないかなというふうなことが考えられるのでありますけれども、この自主保安体制というものが確立されていく過程において、その辺について通産省はどうお考えになられているのでしょうか。
  15. 鈴木孝男

    鈴木(孝)政府委員 高圧ガス事故につきましては、ピークに比べましてかなり減少しておるわけですが、先生指摘のように、最近下げどまり傾向があるのではないかという指摘もございます。  その要因を分析しましたときに、これから高圧ガス事故を減らすには、一つは、ヒューマンエラーというものがありますので、保安教育というのを徹底する必要がありますけれども、もう一つは、やはり自主保安につきまして事業者が新しい投資を行う、あるいはいろいろな工夫を行う、そういうものに対しましての保安面でのメリットを付与することによりまして、自主保安意識というものを誘導するということも必要なのではなかろうかということが高圧ガス保安審議会においても議論されました。  むしろそういうことで自主保安活動を促進するような、あるいは事業者創意工夫というものを生かすことが保安高度化につながるのではないかという形に私ども認識しておりまして、今回の法改正もそういった趣旨から自主保安活動の促進をどうやって進めていくのかという形での取り組みで、それの結果といたしまして自主検査制度あるいは民間検査会社制度導入するというような形でもありますし、また事故防止をするための危害予防規程、これにつきましても事業者創意工夫あるいは技術進歩を十分反映させるような形をとるために、自主策定とするような形の仕組みというものを取り入れているわけでございます。  そういった意味で、自主保安活動に対する企業の積極的な取り組みをうまく活用いたしまして、保安維持向上、むしろ保安面高度化を図りたいというのが今回の改正趣旨でございます。
  16. 吉田治

    吉田(治)委員 その自主保安体制というものを、今局長が言われたように、下げどまりをより一層下げていく、ある意味民間活力導入ということは、私はいいかどうかわからないのですけれども自主保安にすることによって、より企業の意欲またインセンティブというものをかき立てていきたいということですけれども、やはり自主保安体制の確認というのですか担保というのですか、そういうふうなものが必要であるのではないかと思います。高圧ガス製造事業者等にとって、自主検査を実施することができるとされる認定を受けるという ことは、石油コンビナート等が高度な保安レベルを有する施設であるということが証明されるということでありますけれども検査機関として、認定に当たって厳正かつ公正な検査のもとで、適正な高度の保安レベルを有する事業者に対し、適時的確な実施というものが望まれるということはもちろん考えられることですけれども、どの程度事業者に対し認定というものの付与を行おうと考えているのか。また、その高度な保安レベルといった場合の高度の基準というふうなものはどの程度なのかということ、これをちょっとここで教えていただきたいと思います。
  17. 鈴木孝男

    鈴木(孝)政府委員 今回の法律の中では、高度な保安体制というものを設備面なりあるいは人材面というのでしょうか、保安要員がどうなっているかというような形での要件を定めております。  この要件を、具体的にどういう形でかというのは、これから政省令あるいは基準等で定めますので、また関係方面意見を十分徴しながら決めてまいりたいと思っております。  コンビナートの場合の例を挙げますと、現在四百ぐらいのコンビナートがあろうかと思いますが、これにつきまして、昭和六十二年から認定事業所制度をやっておりますけれども、その四百の事業所のうち二割ぐらいがその認定になっております。  そういった意味で、高度の保安体制というものをきちんと法律要件を踏まえまして基準づくりをしながら、それを、先生おっしゃいますように、十分その高度な保安体制というものが客観的に、あるいはその検査が公平に行われているということを担保するような形で運用してまいりたいと思っております。
  18. 吉田治

    吉田(治)委員 そういう政省令を決めていく過程というのをできるだけオープンに、またよくわかるような形にしていただきたいということを一言申し上げたいと思います。  また、今回の規制緩和によりまして、民間検査会社または事業者みずからが保安検査を行うことができるとなっておりますが、今後も引き続き現状までの有効な保安体制がとられるかどうか、不安な面も十分あると考えられております。検査の実施が厳正かつ公正に行われるということが、法律改正趣旨を生かしていく大きなキーポイントとなると考えられます。検査が厳正かつ公正に実施されるための担保として、もう一度政府としてどのように考えているのか。  また、事故の根絶を目指す保安体制の整備は引き続き今後の重要なテーマでありますけれども、先ほどの質問にもありましたように、昨今の地震等による各種事故発生等の教訓を踏まえ、今後の保安対策のあり方について政府はどういうふうに考えているのか。  この二点をお聞かせいただきたいと思います。
  19. 鈴木孝男

    鈴木(孝)政府委員 民間事業者検査導入に当たりましては、その公平性を担保するというのが極めて重要であるという認識でございまして、具体的に申し上げますと、検査の方法につきまして省令で定めまして厳格な検査を求める、あるいは事業者検査記録の保管、及び行政庁が請求した場合にはその記録の提出を義務づけるということを考えております。また、事業者認定に当たりましては、更新制という形で事業者保安体制保安技術を定期的に審査する、そういう仕組みにしておるわけでございます。  そういった意味で、自主検査を行う事業者事業所におきまして仮に事故が起きた場合には、これは当然認定の取り消しになるわけですが、そういった場合には厳格に対応するという形をもちまして検査の公平性というものを担保してまいりたいと思っております。  また、技術基準につきまして、地震を含めまして、技術進歩対応した形で私ども政省令あるいは基準づくりを常に念頭に置いておりますけれども高圧ガス保安協会におきましては、その技術基準見直しにつきましては技術に深い専門知識を持った方々あるいはその関係業界も含めまして委員会をやっておりますけれども、そういう高圧ガス保安協会の技術進歩に見合った技術基準づくり、あるいは耐震設計、耐震基準を含めまして、そういった形で、適時適切に基準づくりに努めてまいりたいと思っております。
  20. 吉田治

    吉田(治)委員 そういうふうな形になっていった場合、やはり一番不安なのはそのコンビナートなりの周りに住んでいる周辺住民というのですか、日本というのは、御承知のとおり人口密集地があって、その海岸ぶちに石油コンビナートが立地している。でありますから、よく新聞をにぎわしておりますように、事故があったというのを隠したとか消防署へ連絡するのが何分遅かったかというのが非常に大きな問題になるわけです。  そうしますと、地元からすると、自主保安体制でそういうところがやっているのが信用できるのかね、果たして大丈夫かね。それについて、今度の法案では認定という大きな国の証明をつけるということなのですけれども、その辺の理解というものを、地域住民、周辺住民にどういうふうにしていこうと今考えておられるのでしょうか。
  21. 鈴木孝男

    鈴木(孝)政府委員 安全に関しましては、地域住民を含めまして、社会的に安心を持っていただく信頼性というのは極めて大事だろうと思っております。  現在の高圧ガス取締法におきましても、地域住民の方々に安心感を持っていただくために、事業所策定しました危害予防規程を都道府県に提出いたしまして、都道府県で防災対策との連携を図っている。あるいは警戒標というのでしょうか、一定の標識を高圧ガスの所在地に掲げまして地域住民の方に開示しているわけでございますが、今回、認定制を導入いたしまして、そういう民間検査会社を活用するというような場合にも、何らかの形で地域住民の方々にそういう情報を伝えることが大事かなということを思っておりまして、具体的な方法につきましては今後検討してまいりたいと思っております。
  22. 吉田治

    吉田(治)委員 やはり地域に住む住民としては、その辺を周知徹底をしてもらいたいというのが本当の本音のところではないかと思います。  今局長言われましたように、その民間検査機関というものを、民法三十四条に定める公益法人に限られるということが、これから限られるということがなくなってくるということですけれども、全国でどのような民間会社が何社ぐらいこれから指定を受けることができるようになるのか。そしてまた、その結果、現在行っている公的機関、都道府県、高圧ガス保安協会等における人員の配置にはどのような影響が出るのか。削減であるとか配置がえ等、ある意味では行政のスリム化、効率化にどのようにつながっていくのか。いつも規制緩和というとどうも民間だけですけれども、今度はこういう自主保安という形になってきますと、行政の方にもどういうふうな効率化というものが行われてくるのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
  23. 鈴木孝男

    鈴木(孝)政府委員 現行法で、高圧ガス取締法におきまして民間検査会社という形で考えられますのは容器検査所がございますが、その容器検査所は八百を超える容器検査所がございます。  ただ、今先生指摘のような自主保安あるいは公的検査にかわる民間検査機関というものは、多分、現在設備メーカーなり、あるいはエンジニアリング会社などが検査会社といたしまして公的検査ではない形で現在行っておりますが、それは私どもの推定では約三百社ぐらいあるのかな、そういう民間の検査会社が、今回の法改正が行われました場合には、新しい形で認定制というものを申請してくるのではなかろうかと思っておりますが、それが具体的にどういう形になるのかは、これからの要件の設定あるいはその民間検査会社の方々の意欲によるものかなということで、現在この段階で何社ということは難しいかと思っております。  そのような形で、いわば新規参入という形が行われてまいりますと、現在やっております指定検査法人、公益法人のところに影響は少なからずあろうかと思いますけれども、逆に、指定検査法人 の方々もこれまでの実績あるいは他の業務をやっておりますので、そういったみずからの業務、知識、経験というものを生かす形での活性化というのにも努めておりますので、そういった形での努力の中で決まってくるのではなかろうかなと思っております。
  24. 吉田治

    吉田(治)委員 いつもお答えは今後の課題でとか今後の検討でと、具体的数字が出ないというのはある意味で非常に政府の答弁らしいなと。普通でしたら、これはアメリカを例にしていかがかと思いますけれども、何人これだけ減るのですよとか何人ふえるのですよと、具体的数字、本当かうそかわかりませんけれども、出してくる。その辺、これからの課題としてできるだけ担っていただきたいと思っております。  こういうふうな形で民間会社等が検査を行うに当たりましては、これまで以上の保安レベルを維持することができるよう、厳正かつ公正な検査の実施が求められていくわけですけれども、その辺の対策というのですか、通産としてどういうふうにお考えなのか。  また、私かねがね思っておりますのは、この保安にかかわる人たちというのですか、保安要員の人たちの社内における地位というのは、いろいろ聞く話によると、製造技術だ営業だというものに比べると余り高くない。保安サイドからこういうことをしてほしい、ああいうことをしてほしいと言っても、なかなか取り上げられないと聞いております。会社の中のことですから、そこまで行政が介入するということは私は余りできないかと思いますが、しかしながら、保安要員の地位の向上というものに関して、何らかの施策というのですか、何らかの方向性というものを持つことができるのではないかなと思っております。  また、この保安要員の方々というのは、ある意味では職人的技術というのですか、保安一筋何十年か何年かやってこられた方が多いとも聞いております。それがどんどん退職されていくと、その技術をある意味で機械が代行する部分もあるでしょうけれども、その技術自身を後どう伝承していくかというのも大きな問題だと聞いております。  この二点について、どういうふうにこれからしていくのか、またしようと今検討がなされているのかということをお聞かせいただきたい。  また、本日は特に消防庁の方にも来ていただいておるわけですけれども、実際石油コンビナートにかかわる法は、この高圧ガス取締法また消防法、労働安全衛生法とそれぞれあります。その中で、まずこの高圧ガス取締法技術進歩に合わせて、規制緩和という言い方がいいかどうかわかりませんが、ある意味緩和をされていく。それであるならば、消防法、同じ施設の中でさまざまな法律が、取り締まりというか保安のためになされている。一つの法案だけが規制緩和というのですか、それにはちゃんとした裏づけがあってなされていく。  では今までの、例えば何十年前にできた法律か施策かはわかりませんけれども、それがそのままずっと続いていくというのは、ちょっと整合性というのですか、片一方では随分先に進んでいるというか現実対応している、片一方は随分古いままでいっているというのもいかがかと思います。  代表してといっては何ですけれども、消防庁として、消防法の改正等、こういう保安に関しての現状の中で、どういうふうにこれから取り組もうと考えているのかということを一言お聞かせいただきたいと思います。
  25. 鈴木孝男

    鈴木(孝)政府委員 保安レベル維持向上を図る上で、先生指摘のように、保安要員の地位の向上というのが極めて重要であると私ども考えております。現在の高圧ガス取締法におきましては、製造保安責任者免状制度というのがございますけれども、この製造保安責任者免状制度をベースにいたしましていろいろな資格制度がございます。  そういった意味で、保安要員となるための資格というものを法的な制度と位置づけまして、そういう形で一定の免状を持ち、かつ一定の知識、経験を持った方々が的確に処遇されるようになるのが一つ必要なのではなかろうかな。今回の改正におきましても、自主検査制度あるいは民間検査会社におきまする検査制度におきましても、こういった資格者を一定の人数担保するというような形になっておりますので、そういった意味でますます資格制度というものが重要になってくるのかな。その資格制度の中で、保安要員の方々を的確に位置づけるということが地位の向上にもつながってくるのではなかろうかと思っております。  その保安要員の方々への技術、あるいはその技術の伝承をどうするかということでございますけれども、現在の法律におきましても保安要員の教育計画がございますが、これを各社できちんと行っていただきまして技術の習得あるいは伝承というものに努めていただきたいと思いますし、また私ども高圧ガス保安協会におきましても各種技術講習をやっております。そういう技術講習制度も活用していただきまして、保安要員技術能力の維持、伝承というものに努めてまいりたいと思っております。
  26. 坂井秀司

    ○坂井説明員 消防庁でございます。危険物規制課長でございますが、お答えを申し上げます。  危険物施設の所管をしておりますので、それに限らせて申し上げますが、危険物と高圧ガス等の対象の違いから、さまざまな規制がそれぞれの目的からなされていることにつきましては、御指摘のとおりでございます。  消防法の規制危険物につきましては、一定量以上の危険物を貯蔵、取り扱いを行っております施設の位置、構造、設備につきまして技術上の基準を定めておるところでございますが、行政機関がその基準の適合性を確認した後は、危険物施設の所有者等がこれらの基準に適合するように自主的に維持管理することを安全確保の基本とこれまでもいたしてきているところでございます。したがいまして、消防の受け持ちます保安検査というものにつきましては、対象施設はかなり大規模な屋外タンクのようなものに限っておりまして、検査周期もかなり、八年とか十年の幅になっておるようなものでございます。  また、施設の変更許可の際に当たりましては、市町村長等がその責任において客観的な立場から完成検査等を行っておるところでございますが、昨年策定されました規制緩和推進計画の中におきましても、危険物施設の設置変更の許可に係る手続の簡素化でありますとか、あるいは自主検査データをできる限り活用するといった形で規制緩和趣旨に沿った措置検討させていただいているところでございます。  いずれにいたしましても、消防行政に係る規制につきましては、いわゆる社会的規制に属するものということで、国民の生命、身体、財産を保護する上で極めて重要なものと考えておりますが、今後とも消防庁といたしましては、安全性に十分配慮しながら、規制緩和の問題につきましても適切に対処してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  27. 吉田治

    吉田(治)委員 この法案に関しまして、安全の確保を前提としつつ、技術進歩、進捗等を勘案して、絶えずこれは見直しというものを図っていかなければならない。これは消防庁さんにも申し上げたいのですけれども、していかなければならないと私は思うのです。  最後に大臣、この件に関しての御決意というのですか、どう見られているのかということをお答えいただきたいと思います。
  28. 塚原俊平

    塚原国務大臣 幾つが御指摘をいただきましたが、保安確保するということは経済社会活動の基盤であります。このために、実効性のある保安体制を構築することは極めて重要であるという認識をいたしまして、さらに研さん、努力を積んでまいりたいというふうに考えております。
  29. 吉田治

    吉田(治)委員 以上で高圧ガス取締法改正案についての質疑を終わりまして、続きまして、液化石油ガス法改正案について質問をさせていただきたいと思います。  まず、このたび、LPガス事業者というものについて許可制から登録制へ変わっていく。私は、これは二点、問題点があると思うのです。  一点目は、まず登録制をとるということに対する危惧。つまり、昨年の通常国会におきまして、特石法の廃止にかかわる石油製品関係整備法の審議の際にも、ガソリンスタンドの販売の登録というものが話題になりました。登録申請に係る行政側における受理体制について、円滑にいかないという例もあったように聞いております。事業を拡大してLPガス販売区域を隣接する他府県に広げていこうとする事業者や、新規にLPガス販売事業を始めようとする者に対し、今回許可制緩和されたことの実効性を上げるためにも、登録申請に係る諸手続について都道府県によって対応が異なることがないような、登録申請処理が公正円滑に行われることが必要となると思いますが、まずこの点についてどうお考えなのか。  また、LPガス事業者、新規参入が毎年五百社で廃業が約一千社と聞いております。事業の継承という部分でいけば、どんどん後をやられていく方が少なくなってきている。LPガス販売事業というものに対する、古くから、例えばお米屋さんであるとか燃料店、灯油を扱っていらっしゃる小売店の皆さん、そういう方が扱っていたのが、もう先が余り見えないよ、息子もやりたくないしと。片一方にはそういう、俗に言う中小零細企業としての悲哀というのですか先行きへの不安というもの、そしてなおかつ、今度この登録制ということによってどうも資本のある大きいところが、価格破壊という言葉がいいのかどうかわかりません、それを武器に乗り込んできて、私たちの市場を全部かっさらっていくのではないかという危惧の念も片一方にはある。この辺の整合性というもの。  また、新規参入者が増加することによって、今まで保安レベルを随分上げる、ですから、今回の自主保安ということも訴えられてくる。しかしながら、新規参入者はとにかく安ければいいのだということで、保安レベルの低下を懸念する声もあるやに聞いております。いかに現状のLPガス販売事業者、特にその中の多くを占める中小零細業者というものをソフトランディングというかソフトテーキングオフというか、どううまく導いていくか、この両方の側面があると思うのですけれども、それぞれについてのお考えというものを賜りたいと思います。
  30. 鈴木孝男

    鈴木(孝)政府委員 二点お尋ねかと思いますが、一点目は、登録制への移行ということかと思います。これは昨年の九月の高圧ガス保安審議会の中で液化石油ガス部会を設置いたしまして、六回、二十五名の委員の方々に御審議いただきましたわけですが、それが一つの大きな焦点になっておりました。  この登録制移行くの検討考える際の背景といたしましては、LPガス販売業界におきまして、一つは物流と商流というものが分離している。そういうベースの中で、保安販売もまた分かれて、かなりの方々が保安業務というものを外部に委託するケースが出てきている。そういったような背景を踏まえまして、どういう形が、保安確保を図りながら、また現在の取引なり供給形態実態に合うのかということを御議論いただきまして、現在の保安許可制につきまして、今回登録制になりましたけれども審議会の中では届け出制という議論もございました。  しかしながら、一つは実際に保安業務を行う保安機関認定制をやることによりまして、保安業務の安全性、保安確保する。しかしながら、その場合に、販売事業者一般消費者に対する販売者としての責任をどうするかということも種々議論がございまして、現在の登録という形で一つ要件を定めまして、登録制によりまして販売事業者としての責任を確保しながら、保安業務を実際に行う保安機関認定するという形が、物流と商流あるいは保安販売というものが今分かれている実態に合った形で、保安水準を維持する道としては一番適しているのではなかろうか、こういった議論が高圧ガス保安審議会一つの結論でございます。  二点目の、今回の制度改正によりまして新規参入がふえるのではなかろうかという御指摘でございますけれども、今回の改正は、この法律社会的規制でございますので、経済規制あるいは新規参入をどうするということではございませんけれども、現在の液化石油ガス業界におきましては、先生指摘のように、既に毎年千件廃業されて、五百件新規参入をしているというのが実態でございますが、こういう中でLPガス業界の活性化というのが図られてきているのではなかろうかなと思っております。  今回の法改正によりまして、先ほどの、保安業務を外部に委託できる、認定機関に委託できるというのは、ある意味では、中小事業者にとりまして負担の大きい保安業務を他者に委託することがきちんと法律上明確になったわけでございますので、その意味で中小事業者への負担の軽減というのが図れるのではなかろうかと思っておりますし、またこういう形の法律を運用するに当たりまして、中小企業の方々に十分配慮をという御指摘はごもっともだと思っておりまして、私どもも現在中小事業者の事業継承のために各種の支援措置をやっておりますけれども、来年度の予算におきましてもいろいろな支援策を考えておりますが、そういった中小企業支援策を十分活用いたしまして、この法律の円滑な施行ということにつきましても十分配慮をしてまいりたいと思っております。
  31. 吉田治

    吉田(治)委員 今局長さんの方から十分な支援策と言われていますけれども、手元にある私どもの資料では、LPガス産業関係予算案として、七年度の予算額は八十一億三千九百万、八年度予算案としては九十四億九百万円。十二億七千万、一六%ふえた、誇らしげにこれ大きい数字で書いているのですけれどもLPガス事業者、御承知のとおり三万四千件、三十二万人の方が働いておられる。一方、これはいつも比較して、比較される方には申しわけないことかもしれませんが、日本の農業戸数は四百万一尺ガット・ウルグアイ・ラウンドが行われることによって使われるお金は六兆円。百分の一といたしましても、ひょっとしたら六百億円が使われてもある意味でしかるべきではないかというふうな大きな改正に、今度の法律はなっているのではないか。  それを、九十四億円になったから、一六%もふえたからいいんだよというふうな考え方ということ自身が、私は余りにも、この法律改正によって影響を受ける業界にとって、しかもそれが、それぞれが大きな資本を持っている大きな会社ではない。小さな、従業員も二人、三人、先ほど申しましたように五百件の新規参入、これはほとんどのれん分けだと私は聞いております。十年、二十年、あるお店に、会社じゃない店に勤めて、昔の言葉で言ったら、でっちさんから始めて番頭さんになって、ようやくのれん分けでふえてきた。自分で独立したときには随分お金もかかる。何にお金がかかるといったら、先ほどから言われている保安のためにお金がかかる。  たまたま私の友人が、そういうLPガスをやられていた事業所の跡を借りまして、別の会社をこさえたのですけれども、彼いわく、大変なことだった。何が。自分の会社を建てる建築費と同じぐらいにその前あったLPガス事業者の建物を壊すのにがかった。つまり、それほどしっかりしたものをつくらなければガス事業者として認められないというふうになっていた。一面からいうと、それほどのことをやっているのに、一片の法律によって今まで頑張ってきたことが無に帰されるかもしれない。今の支援策、支援策と言われましても、果たしてそれでいいのかなという気が非常に私はしておるところでございます。  それから、保安の委託ということでありますけれども、それに関しましても、引き続きみずからが保安業務を行う場合には、改めて保安機関認定を受けなければならないとされています。現在保安業務を行っている小規模事業者等に対して、 またもう一度認定手続というふうなものをしなければならないのか。私は、する場合には過度の負担にならないような配慮もされるべきだと考えておりますけれども、この辺いかがでしょうか。     〔委員長退席、逢沢委員長代理着席〕
  32. 鈴木孝男

    鈴木(孝)政府委員 この認定保安機関制度導入するに当たりましては、私どもも経過措置一つ考えておりまして、法律が施行されまして三年間は、現在販売事業許可を受けている方々は認定機関とみなされますので、その間に十分、他者に委託するのかみずからやるのか、そういったことに対しまして対応できる期間が与えられるのではなかろうかと思っております。
  33. 吉田治

    吉田(治)委員 その間にできる限りの施策というものを私どもはしていただきたいと考えるわけでございますけれども、消費設備調査等において、消費者の承諾を得た上で立ち入り、設備点検等を行うため、場合によりその調査が円滑に進まないケースというものもこれから考えられてくるわけです。また、老朽化等により基準に適合しなくなった設備について修理、買いかえ等を進めるに当たっては、困難も少ないものではない。保安確保において、消費設備の安全な管理が非常に重要であるということから、消費者側の、このたびの自主保安というのですか保安委託というのですか、協力も必要である。それらの調査が円滑になされるとともに、消費者側においてもその重要性をみずから認定していくということ、周知義務ということが必要であると考えられております。そのための周知、広報活動を政府においても積極的になされることが考えられると思っております。  私どもの手元に「LPガスは正しく使いましょう。 家庭用LPガス 安心読本」という「家庭用LPガス周知文書」というのが二つあります。片一方は社団法人広島県LPガス協会、片一方は社団法人沖縄県高圧ガス保安協会、それぞれ出されているところは別です。内容を読んで、私はえっと驚きました。沖縄の方のこの「安心読本」に、「雪の多い地方」、沖縄に雪が降るのですか。周知する文章がこういうふうな文章。  これをまた、協会が出されているから役所は知らないよと言ったらそれっきりですけれども、こういうふうな文書が出されておって、これを読め、読んでくれ、周知徹底してくれ、周知徹底できているはずだからというふうなことは、ちょっと私は、今度は消費者という立場、LPガスを使うという立場から考えると、よく言われていますように、パンフレットを配布されても読むこともなく捨ててしまうということも少なくない。そして片一方では、規制緩和ということだから自己責任原則の徹底だ。何かこの辺にどうも、ある意味でちぐはぐというのですか、片一方の思いと、受け取る方は何だそれはという、そういうふうな間に入る媒体というのですか、そういうものの占める割合というものも大きいと思いますし、そこへの配慮というのが、どうも役所であるとか団体であるというのは足らないのではないかなと考えるのです。  その辺は、万が一事故発生すれば結局我が身にも降りかかると同時に、それは出版物というのですか周知徹底している方にも影響を及ぼしてくる。何も誤操作をしたから消費者が悪いだけではない、そういう設置をした方にも責任というものが及んでくる。その辺を含めて、もう一度広報のあり方だとか周知徹底のあり方というものを積極的にすると同時に、思いやりというのですか、相手の立場になって、読みたいなと思わせるもの、そういうようなものをつくっていく必要があると思うのですけれども、その辺はいかがお考えなのでしょうか。
  34. 鈴木孝男

    鈴木(孝)政府委員 昨年の高圧ガス保安審議会におきましても、消費者への情報開示というのが重要である、その場合に、単なる一律的な広報ではなくて、きめの細かい、実態に合ったという指摘がございました。  今の先生の事例は、一つは地域性ということかと思っておりますが、審議会の場では、例えば外国人の方とか老人の方といった方々に、単なるパンフレットではなくて、そういう方々にも十分対応できるような周知というものまで考えたらどうかということが審議会でも指摘されておりますので、先生の先ほどの指摘も踏まえまして、私ども高圧ガス保安協会、あるいは全国にありますLPガス保安協会にも十分伝えたいと思いますし、また、LPガス業界自体も、昨年からLPガスにつきましての安全に関する知識なり取引についての広報も行っております。そういった、官民一体となった消費者への情報開示というものが大事であろうかと思っておりますので、心がけてまいりたいと思っております。
  35. 吉田治

    吉田(治)委員 LPガス取引をめぐりましては、先ほどの委員質問にもありましたように、無償配管であるとか料金制度の不透明さ、ガス機器の無償貸与などに起因する消費者トラブル等、商慣行上の問題がいろいろ指摘され、書面交付義務というものが、これから記載内容を充実させるとともに、違反につき罰則が科せられるという形で、担保をとった上で行われていくわけです。これは、一面では消費者の信頼獲得、消費者としては知る権利、選ぶ権利という形で当然とは受け取れるのですけれども、今度は販売業者の方からしますと、一面、規制強化というのですか、そういうふうな部分とも受け取れる。  書面記載されていなければならない事項に、改正案の第十四条第一項第六号に「通商産業省令で定める事項」。規制緩和のはずなのに、またここで通産省が出てくるわけなのですね。つまり、ここで幾ら規制緩和で、こうしてLPガスの皆さん方が地元へ入って、地域へ入って一生懸命商売頑張ってくださいという中で、ここはやはり通産省の省令でないとだめよと。  では、それは具体的にどのような事項を考えているということなのか。また、現在許可を受けて販売を営んでいる業者に対しましては、本改正法の施行に合わせ必要事項を記載した書面を改めて交付をしなければならないのかということ。その辺の二点、どういうふうにお考えなのでしょうか。     〔逢沢委員長代理退席、委員長着席〕
  36. 河野博文

    河野(博)政府委員 お答え申し上げます。  ただいまお尋ね書面交付関係でございますが、御指摘がありましたように、料金面につきましては、料金の算定方法、その基礎となる項目、さらにはその内容についての説明などを書面交付の内容として記載を義務づけるという考え方でございます。
  37. 吉田治

    吉田(治)委員 だから、言っているのはよくわかるのだけれども、具体的に今何か考えているものがあるのかということなのですよ。
  38. 河野博文

    河野(博)政府委員 これは省令におきまして定めることになりますけれども、現在、例えばLPガス販売の方法といたしまして、料金体系といたしましては、基本料金と従量料金のような二部立てのものが八割ぐらいを占めております。そういった点で誤解がないように、例えば基本料金と従量料金の二つの項目から成る場合であればそういうことを記載し、また、それぞれがどういう計算方法によって料金に計算されるかを書いていただくということでございます。  それから、先ほどお尋ねございました、今後しかるべき時点で書面を再度お客様方に交付してはどうかという点でございますけれども、これは新しい取引に限らず、契約内容の変更がありました場合には新しい取引と同様の書面交付が必要になりますので、そういったできるだけ期近の機会に書面交付がきちっと届くように指導してまいりたいというふうに考えております。
  39. 吉田治

    吉田(治)委員 今の部長さんの話の中で料金の話が出てきましたけれども、これから危惧されているのは、安い値段で、大資本という言い方がいいのかどうかわかりませんが、そこが営業に入ってくる。安いからというので、皆さん、業者をかえていく、書面にもそう書いてあるよと。しかしながら、その安いのが未来永劫続くかというと、どこも保証はされていない。全部その辺の営業が 終わってしまうと、また徐々に値段を上げてくる。こうなってきますと、登録制にしていって、結果としてはやはり弱い者が泣いていったのだよ。ですから、その辺の、ディスカウントの永続性というものを担保しろというのは多分不可能だと思うのですけれども、指導なり通達なり、その辺でできることはできるのではないかなというふうに思うのですけれども、その辺はどうなのでしょうか。
  40. 河野博文

    河野(博)政府委員 ただいま先生指摘のとおり、料金面につきましては、LPガスの事業は自由でございます。したがいまして、役所の方でどのレベルがいい、あるいはさらに引き下げるべきだというのは、よほどのことでない限り口出しをする立場にはないというふうに思います。  したがいまして、LPガスの価格が決定されてまいります、いわゆる市場メカニズムの中での動きにつきまして、例えば消費者の皆さんに価格に関する適正な情報を私どもとしては御提供申し上げる。あるいは仮に、その消費者の方で納入者をかえたいというような希望がおありの場合に、そうした契約の変更がスムーズに行われる。そういった選択肢を広げることによりまして、競争環境を整備していくというのが私どもの役割ではないかというふうに考えております。  こういった観点から、私どもといたしましては、従来から価格情報の提供あるいは消費者相談事業の支援といったようなことで努力をしておりますけれども、先ほど御紹介申し上げました石油審議会の答申も受けまして、さらに先ほども御答弁申し上げましたような料金表明確化あるいは契約の解除条件の整備、そして消費者に対する情報提供の充実といったようなことに心がけまして、いわゆる市場原理がより働くように環境整備を図っていきたいというふうに考えております。
  41. 吉田治

    吉田(治)委員 LPガスの発展の阻害というふうなものでいうと、例えば都市計画法であるとか建築基準法等との関連で、LPガスが不当な扱いというのですか、一般都市ガスですとか電力に比べてやや規制がきついのではないかというふうな声があるのですけれどもLPガスというもの、LPガス事業というものを育てるという部分から、他省庁に対して、この辺の他の法律規制緩和等々、それをどういうふうに今なされているのか、これからするのか。また、先ほどから言われておりますように、この法律に基づいての政令、省令をやはり業種、業態等に応じた形にしていかなければならないということがございますけれども、この二点について、今どういうふうにお考えなのか、お聞かせいただきたい。
  42. 河野博文

    河野(博)政府委員 一つの業種におきまして経営の効率化を図るためには、御指摘のように、さまざまな分野で同じように効率化を図っていただく中でそれぞれのコストを節約していくということが大切かと思います。私どもも、業界の皆さんと議論をしながら、具体的な要望に沿いまして、関係の省庁とも十分連絡をしてまいりたいというふうに考えております。
  43. 吉田治

    吉田(治)委員 一番重要な保安というふうな部分でいいましたら、今、集中監視システム等が導入を図られ、私ども地元におりましたら、テレビの宣伝等も、集中監視システムでとか、電話回線を使ってと。やはりこれができるというのは大きな業者が中心になってくると思いますけれども、やはりこういうふうなものを小さな業者も寄り集まってしていくということが必要ではないかと思うのです。そうしますと、低利融資や利子補給、税制面の優遇策等の財政的な支援を一層拡充すべきだとも考えます。  また、作業員の高齢化等を考えていきますと、やはり重量のあるボンベを扱うということは大変でございますし、今度の法律でも言われておりますように、バルク供給の道を開くということ、流適合理化を進めていくということ。こういうことをやはり、単に値段を安くするということではなくして、その業界に働く人が働きやすい環境ができていくということ。技術水準の整備を行うということでも、普及促進に向けて、この二つの支援策というものが重要になってくると思うのですけれども、この辺は今いかがお考えなのでしょうか。
  44. 鈴木孝男

    鈴木(孝)政府委員 集中監視システムにつきましては、平成六年度からモデル事業を実施しておりまして、これは九年度までの予定でございます。また、中小企業の方々が集中監視システムを入れる場合につきましての融資制度は、中小企業金融公庫を含めまして、中小企業設備近代化資金制度、これを活用していただくように私どももお願いしております。  また、物流の効率化の決め手でありますバルク供給、これにつきましては、欧米でかなり普及をしておるわけでございますけれども、我が国におきましては、今まで、法律の体系からも高圧ガス取締法液化石油ガス保安法の両方にまたがって、技術基準も十分できていないということもございまして、まだ普及はしておりません。このバルク供給システム導入をいたすためにも、今回の法改正で法的な枠組みの整備を図るほかに、技術的にもまだ検討すべき点が多少あります。例えば、LPガスの過充てん防止装置の設置をどうするのか、そういった安全対策等につきましての実証試験などもども国としても支援してまいりたいと思っておりますし、また、そのバルク供給システム導入されるような段階におきましては、集中監視システムと同じように、中小企業に対する支援策というものを検討してまいりたいと思っております。
  45. 吉田治

    吉田(治)委員 今回の法改正というのは、基本には、今局長も言われましたように、高圧ガス及び火薬類審議会において議論され、答申を受けたものとされております。この中で、特にLPガスにつきまして、業界自主保安活動、安全機器普及及び促進運動において近年の事故発生減少を見たものと言われておりますし、また、ここにございます通産省とエルピーガス連合会の「ハイセーフをよろしく!」という資料にもはっきりと、安全機器普及率が上がると同時にLPガス事故件数が減っております。「平成五年九月には一〇〇%を目指してるんじゃよ!」とここに書かれております。また、私どもの手元の資料でも、九七、八%まで普及したと聞いております。  このことにより、より自主保安活動を推進し、国民生活の向上に資するための法改正と今度は解釈しておりますが、この答申の本文の中に、安全機器の義務づけというふうなことがうたわれておりますけれども、このこと自身は法律改正条文には一切出てきていない。ですから、どういうふうにこのことを考えられているのでしょうか。
  46. 鈴木孝男

    鈴木(孝)政府委員 昭和六十一年度からLPG業界も、今先生指摘のように安全器具の普及運動をやりまして、その結果がかなり事故減少につながっているものと私ども考えております。その場合の安全器具には、マイコンメーター、ヒューズコック、ガス漏れ警報器といういわゆる三点セットが考えられておりまして、この安全器具が現在九八%ぐらいの普及率になっているものと思っております。  今後、この義務化に当たりましては、対象器具をどうするか、この三点がベースだと思いますけれども、そのほかをどうするかにつきましては、関係方面意見も聞きながら慎重に対応してまいりたいと思っておりますが、その際も、現在あります、既に設置されています器具、それにつきましては、有効期限内のメーターに関しましては、期限終了まで引き続き使用を認めるような方向を検討しておりますし、また、マイコンメーター等の導入が不要な場合、例えば屋台での使用等、そういったものに対してまで義務化ということは難しいと思っておりますので、そういったことにつきましては、実態を踏まえて対応してまいりたいと思っております。
  47. 吉田治

    吉田(治)委員 どうなんですか、その辺は。安全機器の義務づけというのは、省令というふうなものの中で対応をしていくということなのでしょうか。
  48. 鈴木孝男

    鈴木(孝)政府委員 省令等の事項でございます ので、関係方面意見を聞きながら、今後の法改正が成りました場合に検討してまいりたいと思っております。
  49. 吉田治

    吉田(治)委員 省令で対応されるということで、これからの問題ということなのですけれども、先ほども私申し上げましたように、疑問として残るのは、自主保安でやってきたものを、九八%まで来ているのに、省令によってなぜ義務化をして保安規制強化をしなければならないのか。これは、安全というものが確保されるという前提のもとでございますけれども法改正の背景や精神からずれていくのではないか。  もしそれを義務化するということになりましたら、今局長さんは年度年度ごとの交換のときにやっていくんだよということですけれども、そのコストというのはすべて消費者にかかっていきまして、LPガスの価格をより上昇させるというのですか、その価格転嫁をガス料金に入れるのか別途建てにするのか、それは別としましても、LPガス消費者及びLPガス業界の、特にこの件に関しては中小零細企業に十分私は配慮をしていただかなければ、これは両面あると思うのですね。安全機器をもって、ガス料金、これだけ安くなった、安いよという形で乗り込んでこられる場合等、いろいろ考えられるのですけれども、省令を設置される場合に、今局長言われましたように、各方面の意見、特に私は中小零細企業に十分配慮をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  50. 鈴木孝男

    鈴木(孝)政府委員 安全器具の義務化に当たりましては、消費者事業者の両面について十分配慮していただきたいという点につきましては、私どももそう思っておりますし、今回、この義務化に当たりまして、審議会で議論しました際にも、昭和六十一年度からのLPG業界の安全器具の普及という、このことが事故減少につながったのではないか、片や、九八%まで現在普及しておりますので、消費者の負担増加にはならないのではないかということの接点で義務化になりました。事業者消費者への負担の増加にならないように、十分配慮しながら進めてまいりたいと思っております。
  51. 吉田治

    吉田(治)委員 それだけなっているので、あえて義務化までする必要があるのかな、自主保安活動でいいのではないかなというふうなことを私は感じているということだけを申し上げたいと思います。  最後の質問でございますけれども、阪神・淡路大震災のときに、やはり、LPガスの持つ対応性というのですか、即応性というのですか、都市ガスが全部遮断された中で、LPガスによってお湯を沸かす、料理をするというふうな即応性というものが随分出てきた。先ほど申し上げましたように、LPガスを扱われているところは、例えばお米屋さんであるとか、LPガスだけを扱っていないでほかのものも扱っている。それは、俗に言う、生活に一番密接したものを扱っている。  であるならば、このLPガス業界というのですか、LPガスというものの今後のあり方の一つとして、災害への対応というのですか、災害の、よく言われるのは行政がすべてのものを買い込んで、防災センターなるところに備蓄をする。これはある意味でいいことかもしれませんけれども、別面考えますと、私たちの税金がそこで眠ってしまう。であるならば、LPガス業界、この流通というものを活用すれば、その店なり倉庫なり工場なりにあるものが、今度は有事のときには即応して使える。何かそういう、すぐに使える体制というのですか、行政との連絡網、ネットワークというのも、これから防災というものを考えたときに必要ではないかと思うのですけれども、その辺の現在の取り組みですとか今後考えている部分があれば、一言言っていただきたいと思います。
  52. 河野博文

    河野(博)政府委員 ただいま御指摘をいただきましたLPガスが災害時に強いエネルギー源であるという点は、LPガス産業にかかわります者にとって一つのセールスポイントでもあるというふうに考えているところでございます。  振り返ってみまして、阪神・淡路大震災の際も、被災LPガス消費者の皆さんの設備を速やかに復旧するということのみならず、御指摘のように、避難所ですとかあるいは仮設住宅へのボンベの供給、カセットコンロの供給、こういったことを通じまして、代替熱源として被災者の皆さんにお役に立てたというふうに考えております。  その際、通産省といたしましても、流通在庫の確認ですとか、あるいは必要量の確保、それから輸送の便宜の確保などを通じまして、LPガス業界と連携をしながら被災地域への燃料供給の支援を行ったという経験がございます。  こうした経験を踏まえまして、私どもといたしましては、災害対策基本法に基づきまして近々改正する予定でございます通産省関係の防災業務計画におきまして、LPガスを含む燃料を防災関係物資というふうに位置づけまして、常時、需給、価格動向の把握に努めますとともに、関係省庁あるいは地方自治体の協力を得て、災害時における調達あるいは供給体制の整備を図るという考えでございます。  また、県ごとのLP協会におきましても、都道府県と災害時に協力ができるような連携を考えているところが多いというふうに伺っております。
  53. 吉田治

    吉田(治)委員 そういうふうなLPガスでございます。  最後に大臣、やはり規制緩和によって泣くのが中小零細企業でないということ、また、LPガス業界というのはこれから輝かしい未来、新しい展望があるんだというふうなところのことを大臣の口から申していただきたい、かように思います。
  54. 塚原俊平

    塚原国務大臣 ただいま委員から適切な御指摘をいただきましたので、一つ一つしっかり肝に銘じながらこの法の運用に当たっていきたいと思っております。
  55. 吉田治

    吉田(治)委員 終了します。
  56. 甘利明

    甘利委員長 続いて、吉井英勝君。
  57. 吉井英勝

    ○吉井委員 昨年の五月三十日に、川崎の東燃の石油精製装置の一部、硫黄回収装置で事故発生しました。死者三名、現在も意識不明の方が一名、その他重軽傷四十三名という非常に大きな惨事でした。地元の川崎市消防局に聞きますと、三名の亡くなった方はすべて六次の下請であったということなんですが、まず、このとおりなのかどうかを最初に確認したいと思います。
  58. 小林恭一

    小林説明員 お答えいたします。  昨年五月三十日の東燃株式会社川崎工場で発生いたしました硫化水素ガス漏えい事故における死者は、事故発生後四十八時間経過後の死者を含めまして三名となっております。これらの方は、東燃株式会社の関係者から定期点検及び修理工事を請け負っていた、いわゆる下請業者の作業員であったと聞いております。
  59. 吉井英勝

    ○吉井委員 第六次の下請ですね。そこをちょっと聞いておきたいと思います。
  60. 小林恭一

    小林説明員 そのように伺っております。
  61. 吉井英勝

    ○吉井委員 コンビナート災害が起こるたびに、定期点検強化、それから日常点検強化、社員、下請教育の徹底などが言われてきました。しかし、教育の中に入っているのは社員と一次下請まで、せいぜい二次までですね。東燃の六次下請で入って事故で死亡した方というのは、実は、当日の朝、川崎の駅前で手配師が駆り集めて現場に入った人でした。教育などができていないというのは、これは当然の話です。  現行法のもとでも、災害発生時に国などが指示したことが実行されているかどうか調べてみたら、実は実行されていないという例が非常に多い。大手は今も自主保安の範囲の多いところなのですが、自主保安任せでは教育もできないで、現に事故を起こしたというのがこの例です。その自主保安を拡大しても安全が担保されるんだという根拠があれば示していただきたいと思います。
  62. 鈴木孝男

    鈴木(孝)政府委員 今回の法改正につきまして、高圧ガス保安審議会におきまして高圧ガス部会を設置いたしまして御議論いただきました。  その際に、高圧ガス事故につきまして、最近、昭和四十年のピークに比べましてかなり減少 しておりますけれども下げどまり傾向にある。これに対応するためには、事業者自主保安という意欲を活用いたしまして、また技術進歩等に十分対応しながら事業者創意工夫を生かす。そういった意味で、その自主保安活動という形をうまく誘導することによって保安高度化を図れるのではないかというのが審議会の議論でございました。  今回の私ども改正も、事業者自主保安活動保安活動の基本である、社会的責任としても事業者自主保安というものを意識しているという中で自主保安を重視した規制体系としているところでございまして、今回、高度な保安体制を構築した事業者に対しまして自主検査を認める等の規制メリットを活用いたしまして、より保安高度化を図ってまいりたいと考えております。
  63. 吉井英勝

    ○吉井委員 通産省が一九八六年以来、コンビナート保安規則四十条に基づいて、今おっしゃった高度な保安確保体制を構築していると認定した企業が四十二社、七十一事業所。その中で、確認されている事故を起こしたのは二十三事業所で、三分の一に当たりますね。さらに、そのうちの四事業所というのは複数回の事故を起こしております。また、コンビナート史上最悪の死者十名を出す事故となった九二年十月十六日の富士石油袖ケ浦製油所も、実はこの認定事業所に入っていたのではありませんか。
  64. 鈴木孝男

    鈴木(孝)政府委員 認定事業所制度昭和六十二年度に制度を発足しております。その昭和六十二年度から現在まで、認定事業所におきます事故は、先生指摘のように二十七件でございます。また、その中で複数回事故を起こしているものにつきましても、四つの事業所と私ども認識しております。
  65. 吉井英勝

    ○吉井委員 ここで消防庁にもちょっと聞いておきたいのですが、先ほどの東燃事故ですね。昨年六月七日の川崎市議会で、この事故について消防局長は、「特定事業者の責任においてやらせる自主保安体制といいますか、そういう法律の仕組みになっております。今まではそういうことをずうっとやってきたんですが、それでもなおかつ実効が挙がらない」と言っているのですね。ですから、自主保安の問題というのは初めての話ではないのですが、消防庁、川崎の現場の声としてはそういう声が出ているのではないですか。
  66. 小林恭一

    小林説明員 川崎市消防局では、下請業者等に対しても保安について教育等を徹底するように指導しておりますけれども、なかなか実効が上がらないというふうに考えておりまして、市議会においてもそのような趣旨の答弁をしたと聞いております。
  67. 吉井英勝

    ○吉井委員 ですから、自主保安体制でやってきてなかなか効果が上がらない。通産省の認定事業所でも、三分の一で事故が現に起こってきたというのが実態です。だから、まずこれがコンビナート災害の現場の実態だということを、私はよくつかんでおかなければいかぬと思います。  東燃は、一昨年二月の事故の後、認定を取り消されました。それが、昨年五月の定期点検のときに、脱硫装置で発生する硫化水素から硫黄を回収する装置を点検していて、一つのバルブを交換するときに事故を起こしたわけです。非常に不思議なのは、私も現地へ行って聞いてびっくりしたのですが、硫化水素が流れている直径百五十ミリの配管からそこについているバルブを取り外すのに、当然上流側のバルブは閉めておかなければいけないのですが、それも安全を考えると少なくとも二重にとめておくべきなのに、交換するバルブの上流側の二つのバルブはあいたまま。そして交換するバルブについては、少なくとも安全のために仕切り板などを入れておかなければいけないのですが、それも外してしまっていた。これが直接の原因になったわけです。  先ほど教育していないということを指摘しましたが、教育を受けていても人間というのはミスを起こすこともあり得るわけです。ですから、そのために上流側のバルブが閉じた状態でロックをしておけばいいわけですが、それもやっていない。ここにはやはり根本的な問題があると思うんです。  石油精製工場というのは川崎に六社ありますが、東燃で事故が一番多い。それは、外資系で企業利益第一主義が徹底しておる。何しろ東燃だけが十割配当を経営方針の第一に掲げ、同業他社に比べて正社員が二割少ない。それが、今回亡くなった方のように六次下請まで徹底した下請工に頼り、人件費を徹底的に切り縮める。その中で、防災や保安に要するコストを削減してまで利益を上げることに走ってしまっておったということを、現地へ行って見ることができました。  会社幹部の方がおっしゃるには、それでもこの定期点検の周期を、一年に一回でなく三年ないし四年に一回と延ばしてほしいと言うんですね。まさに安全第一主義でなくて企業利益第一主義といいますか、生産第一主義。これが事故の本当の原因じゃないかと私は実感をしました。だから、ここにメスを入れないとコンビナート災害の根絶ということはできないんじゃないかと思うんです。  そういう点では、今必要なことは、保安を緩めることじゃなくて、まず何よりも日本全国のコンビナートの総点検を行うということ。今そのことが求められているんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
  68. 鈴木孝男

    鈴木(孝)政府委員 保安確保は、事業者にとりましても大前提だろうと思っております。事業者がその社会的責任を認識いたしまして、自主保安活動に積極的に取り組むような環境整備をしていくということが重要かと思っておりまして、今回の法改正で、高度な保安体制を構築した事業者に対しまして保安面でのメリットを与える。ただし一方で、事故発生した事業者に対しましては厳格な規制を適用するという形によりまして実効ある規制体系をと考えておりますので、そういったことを両面あわせれば、その自主保安というものをベースにした保安向上というものが図られるものと認識しております。
  69. 吉井英勝

    ○吉井委員 コンビナートでは、一度災害が発生すると被害は非常に大規模なものになるわけです。せんだってのこの委員会でも、四日市市における日本アエロジルなどの例を紹介いたしましたけれども、十キロとか十数キロという距離にわたって流出した有毒ガスによる被害が及んだりとか、とにかく日本のように人口密集地に隣接したコンビナートでは、災害が一度起こったときには被害が非常に大きくなるんですね。それだけに、保安基準強化を図ることとあわせて自主的に保安チェック、当然これはどんどん強化してもらわなきゃいけませんが、それをちゃんとチェックしていること自体を公的に監視するというダブルチェックの体制を強化するということなしには、本当に安心して地域住民がコンビナートの横で住んでいるということはできなくなると思うんですよ。私は、このダブルチェックの体制の強化、充実させることが必要だと思うし、今答弁が抜けておりましたが、あわせてやはりこの際、全国的なコンビナートの総点検というものをきちんとやることがやはり大事だと思うんですが、この点について伺いたいと思います。
  70. 鈴木孝男

    鈴木(孝)政府委員 私どもは、日ごろから事業者自主保安というものに積極的に取り組んでいると思っておりまして、今回の法改正趣旨につきましても、法改正が成立しました上には十分関係方面に周知徹底をしたいと思っておりますが、その際の基本は、既成の技術基準というものは何ら緩めるわけではなくて、その担保する方法として、事業者創意工夫進展した技術を取り入れる。その場合に、私ども行政庁は随時立入検査とかいろいろな方法がございますので、重点的にまたチェックをする。そういう形を総合的に考えた場合に、事業者自主保安活動を活用することによりまして保安面高度化が図られるものと認識しております。
  71. 吉井英勝

    ○吉井委員 自主保安というのは、従来から定期点検のときにやっているわけです。同時に、公的な監視のダブルチェックというのを本当に強化しなきゃいけないし、そしてやはり袖ケ浦とか川崎の東燃などの続いている中で、私は改めてコンビナートの総点検、実はこれは一九七三年ごろの全国的に起こったときに一度やっておりますが、しばらく飛んでいるわけですね。やはりそれを、この際改めてきちっとやらなきやならぬ、やる必要があるというふうに思います。  さて、一九七八年の液石法改正のときに、自社点検ではガス漏れ事故等が減少しないとして、保安センターが設置されました。このセンターは公益法人ですから、営利目的の会社が点検するときに見られる、実は点検よりも自社製品の売り込みというふうなことが主になるような事態はなく、市民から信頼され、未検査件数も少ないという実績があります。点検センターの調査実績を私も数字で見たんですが、ガス漏れが依然として多数見つかっているというふうに思うんですが、現在の実情はそういうところにあるんじゃないですか。
  72. 鈴木孝男

    鈴木(孝)政府委員 私どもも把握しております保安センター調査のケースでございますけれども消費者戸数が約百万戸の調査を実施しております認定調査機関調査データによりますと、ガス漏れを発見した件数が、その総調査戸数に対します比率でございますが、昭和五十七年から五八年は四・一三%であったものが、昭和六十三年から平成元年につきましては一・五七%に推移しているものと認識しております。
  73. 吉井英勝

    ○吉井委員 ですから、百万の調査件数に対して四万とかと、まだまだ非常に多いわけです。その点は私は、保安というのは国民の安全を守るために非常に厳しく見ていかなきやならぬ分野だというふうに思います。液化ガスも直接家庭にかかわる問題ですが、とりわけコンビナートの方では災害規模が大きくなりますから、コンビナート災害から国民の安全を守るという保安検査などは特別の厳格さが求められるという点で、これは大臣の方に取り組む決意というものを最後に一言だけ伺っておいて、私の質問を終わりたいと思います。
  74. 塚原俊平

    塚原国務大臣 保安確保は、経済社会活動の基盤であります。また、労災事故によります悲惨さは、私もかなり多くの事例を目の当たりに見てまいりました。先生から今具体的にコンビナート防災対策について御指摘をいただきましたが、それらも含めて、総合的見地から今後とも取り組んでまいりたいというふうに決意をいたしております。
  75. 吉井英勝

    ○吉井委員 終わります。
  76. 甘利明

    甘利委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  77. 甘利明

    甘利委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。吉井英勝君。
  78. 吉井英勝

    ○吉井委員 私は、日本共産党を代表して、高圧ガス取締法及び液化石油ガス保安確保及び取引適正化に関する法律の一部を改正する法律案に対して、反対の討論を行います。  まず、高圧ガス取締法の一部改正案であります。  本法案の反対理由の第一は、法の目的に民間事業者による高圧ガス保安に関する自主的な活動を促進することを追加し、この立場から、高圧ガスを取り扱う企業等に自主保安インセンティブを与えるとして、自主保安の推進や保安合理化など種々の方策を講じていることであります。これは、短期的な利益優先企業経営と地震等の長期の災害防止事故対策などの保安コストとをてんびんにかけるものであり、保安活動そのものを一層民間企業にゆだねるこのやり方は容認しがたいものであります。  第二。高度の保安確保体制を有すると通産大臣認定した事業者に対して現行コンビナート自主検査を一層推し進める自主保安体制を認めることは、労働者、地域住民の生命、財産、安全の確保にとって重大な危険をもたらすからであります。  事故の根絶と災害の防止は、石油コンビナート等の大企業はもちろん、すべての企業が第一義的に果たさなければならない社会的責任であることは当然であります。しかし、質疑で明らかにしたように、この十年間、通産省が推進してきたコンビナート自主保安認定事業者コンビナート史上最悪の事故を続発させてきた事実から、真摯に教訓を酌み取るべきであります。  今日、国際競争が激化する環境の中で、石油化学等の大企業は、プラントの連続操業や定期整備工事の過密スケジュール化あるいはリストラ、合理化を強行し、激しいコストダウンに狂奔しております。こうした情勢のもとで、民間大企業に一層の自主保安をゆだねる本法案は、停止検査の周期の延長等による経営効率の優先政策と相まって、重大な危険を内包するものと言わざるを得ません。  第三。保安確保のための政府、都道府県などの公的機関の監視と監督権限の合理化、例えば危害予防規程の認可制から届け出制への変更等は、結局は行政のチェック機能の縮小にほかならず、国民の生命、安全の確保にとって責任あるものとは言えないからであります。  次に、液化石油ガス保安確保及び取引適正化に関する一部改正案であります。  本案は、全国の世帯の過半に及ぶLPガス保安確保について、消費者の要求や国民の安全確保にとって見過ごせない問題を持つものであります。  特に、保安機関制度によって民間会社に保安業務を委託することができるようにするものですが、これは一九七八年四月十八日の本委員会の附帯決議の趣旨に反して、公益法人の保安点検センターの役割を低めるもので、保安点検の地域格差の拡大、点検時のガス器具等の販売促進など営利本位の弊害が予想され、消費者、国民の安全を実際上軽視しかねないものであります。  最後に、保安センターによるガス漏れの発見が現行の二年に一回でも減少していない現状を見れば、新型のマイコンメーター等の普及を口実としたLPガス消費設備点検周期の延長は、消費者の安全確保にとって問題があり、慎重に検討されるべきものであることを申し述べまして、討論を終わります。  以上です。
  79. 甘利明

    甘利委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  80. 甘利明

    甘利委員長 これより採決に入ります。  内閣提出高圧ガス取締法及び液化石油ガス保安確保及び取引適正化に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  81. 甘利明

    甘利委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 甘利明

    甘利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  83. 甘利明

    甘利委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時十二分散会      ————◇—————