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1996-03-25 第136回国会 衆議院 商工委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月二十五日(月曜日)     午後三時開議 出席委員   委員長 甘利  明君    理事 逢沢 一郎君 理事 自見庄三郎君    理事 塩谷  立君 理事 古賀 正浩君    理事 西川太一郎君 理事 増子 輝彦君    理事 小林  守君 理事 石井 紘基君       浦野 烋興君    小此木八郎君       尾身 幸次君    金田 英行君       岸田 文雄君    熊代 昭彦君       七条  明君    田原  隆君       谷川 和穗君    丹羽 雄哉君       額賀福志郎君    野田  実君       野呂田芳成君    石井 啓一君       上田  勇君    北橋 健治君       小池百合子君    佐藤 茂樹君       土田 龍司君    豊田潤多郎君       星野 行男君    宮地 正介君       山名 靖英君    石井  智君       大畠 章宏君    佐藤 泰介君       松本  龍君    吉井 英勝君       後藤  茂君    牧野 聖修君  出席国務大臣         通商産業大臣  塚原 俊平君  出席政府委員         通商産業大臣官         房審議官    横川  浩君         通商産業省環境         立地局長    鈴木 孝男君         通商産業省機械         情報産業局長  渡辺  修君         中小企業庁長官 新  欣樹君         中小企業庁次長 鴇田 勝彦君         中小企業庁計画         部長      藤島 安之君         中小企業庁小規         模企業部長   井田  敏君  委員外出席者         商工委員会調査         室長      石黒 正大君     ————————————— 委員の異動 三月二十五日  辞任         補欠選任   中山 太郎君     金田 英行君   野田 聖子君     七条  明君   吉田  治君     北橋 健治君 同日  辞任         補欠選任   金田 英行君     中山 太郎君   七条  明君     野田 聖子君   北橋 健治君     吉田  治君     ————————————— 三月二十二日  中小企業創造的事業活動促進に関する臨時  措置法の一部を改正する法律案内閣提出第一  七号) 同月十九日  著作物再販制度維持に関する請願片岡武司  君紹介)(第四八五号)  同(村田敬次郎紹介)(第五三三号)  同(矢上雅義紹介)(第五三四号)  同(村田敬次郎紹介)(第五七四号)  同(加藤紘一紹介)(第六一〇号)  だれにでもわかる洗剤洗浄剤の明快な表示に  関する請願秋葉忠利紹介)(第六〇二号)  同(石井智紹介)(第六〇三号)  同(大畠章宏紹介)(第六〇四号)  同(岡崎トミ子紹介)(第六〇五号)  同(小林守紹介)(第六〇六号)  同(後藤茂紹介)(第六〇七号)  同(森井忠良紹介)(第六〇八号)  石油製品安定供給の確立に関する請願(桜井  新君紹介)(第六〇九号)  新聞の再販売価格維持制度の継続に関する請願  (武藤嘉文紹介)(第六一一号) 同月二十二日  中小業者を守る諸施策推進に関する請願(吉  井英勝紹介)(第六六九号)  だれにでもわかる洗剤洗浄剤の明快な表示に  関する請願赤松正雄紹介)(第六七〇号)  同(左近正男紹介)(第六七一号)  同(松前仰君紹介)(第六七二号)  同(松本龍紹介)(第六七三号)  同(森井忠良紹介)(第六七四号)  同(山崎泉紹介)(第六七五号)  同(吉井英勝紹介)(第六七六号)  同(赤松広隆紹介)(第八九一号)  同(枝野幸男紹介)(第八九二号)  同(岡崎宏美紹介)(第八九三号)  同(五島正規紹介)(第八九四号)  同(田邊誠紹介)(第八九五号)  同(森井忠良紹介)(第八九六号)  同(横光克彦紹介)(第八九七号)  著作物再販制度維持に関する請願遠藤和良  君紹介)(第八八七号)  同(後藤田正晴紹介)(第八八八号)  同(田中昭一紹介)(第八八九号)  同(村上誠一郎紹介)(第八九〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  中小企業創造的事業活動促進に関する臨時  措置法の一部を改正する法律案内閣提出第一  七号)      ————◇—————
  2. 甘利明

    甘利委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中小企業創造的事業活動促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより趣旨説明を聴取いたします。塚原通商産業大臣。     —————————————  中小企業創造的事業活動促進に関する臨時   措置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 塚原俊平

    塚原国務大臣 中小企業創造的事業活動促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  中小企業創造的事業活動促進に関する臨時措置法は、企業家精神に富む中小企業創造的事業活動促進を通じて新たな事業分野開拓を図ることを目的として、昨年四月に施行され、これまでその積極的な活用がなされております。  他方、我が国経済は、製造業等海外展開の進展、海外調達拡大等により、産業空洞化への懸念がいまだ払拭できない状況にあり、このような状況を打開するためには、中小企業による新たな事業分野のさらなる開拓を図り、経済構造改革を強力に推進していくことが極めて重要になっております。本法律案は、以上のような観点から、創造的事業活動を行う中小企業者に対する支援措置を拡充することを目的として立案されたものであります。  次に、この法律案要旨を御説明申し上げます。  第一に、研究開発等を行う中小企業者株式及び社債による資金調達を支援する公益法人指定支援機関として指定するとともに、その支援機関の行う債務保証について中小企業信用保険公庫保険制度を創設する等の措置を講ずることとしております。  第二に、本法に基づく計画認定を受けた中小企業者リース等により導入する機械類等について、機械類信用保険てん補率を引き上げることとしております。  第三に、本法に基づく計画認定を受けた中小企業者金融機関からの借り入れについて、新事業開拓保険付保限度額を引き上げることとしております。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 甘利明

    甘利委員長 これにて趣旨説明は終わりました。
  5. 甘利明

    甘利委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本龍君。
  6. 松本龍

    松本(龍)委員 中小創造法の今の趣旨説明について、また質問を行っていきたいと思います。  昨年に引き続き改正ということで、私どもも何とか中小企業に大きな力になれるような法律ということでうれしく思っているところであります。  その前に、今の政治状況あるいは経済状況を見ますと、バブル時代政治状況が非常に異常であったということを改めて認識をしていかなければならないと考えています。住専処理あるいは不良債権の問題等々、与党も野党もこの後始末については大いに四苦八苦している、苦労しているというのが状況ではないかと考えております。  そういう中で、バブルのときの時代を少し検証していきたいと思うのですけれども一つは、きょう調査室からいただいた資料の中で、「開廃業動向推移」というのがありまして、簡単に言いますと、いわゆるバブル時代廃業率開業率逆転をした。戦後一貫して新規開業率の方が廃業率を上回ってきたわけですけれども、絶好調と言われたバブルの時期にそれが逆転をしたということがどういうことかということを考えたときに、やはり土地が高騰し、持てる者はその資産によって大きく資産をふやしてきたわけですけれども、新しく意欲を持った人たちが、逆にこのバブルの時期は新規開業ができなかった、つらい時代であったというふうに考えています。  一方、開業率の方は、バブルをボトムとして少しずつその率が上がってきています。土地が下がることによって少しずつ彼らも新しく事業展開ができていく。土地だけではないと思いますけれども、そういう意味で、経済疲弊あるいはさまざまな社会疲弊に伴って技術疲弊もこの時期にあったのではないか。そういう意味では、中小企業も大いにつらい時代があった、それを何とかこれから新しく取り戻さなければならない、再構築をしていかなければならない、そういうふうに思うわけですけれども、今日、この中小創造法改正に当たって、その背景趣旨を御説明を願いたいと思います。
  7. 新欣樹

    ○新政府委員 今回御提案申し上げておる改正中小企業創造活動促進法案提出背景趣旨ということでございますが、これは先ほど大臣提案理由説明にもございましたように、我が国主要産業円熟化でありますとか、あるいは円高傾向定着によります産業空洞化懸念などがもたらすいわゆる閉塞感を打破をいたしまして、我が国経済を活力あふれたものにするという必要がある。そのためには、経済構造改革推進し、新たな事業分野開拓に積極的に取り組む産業面の創出が必要である、こういう認識からでございます。  このような新規事業分野開拓の担い手といたしましては、企業家精神に富んだ中小企業者の役割が極めて重要でございますので、昨年四月に中小創造法制定、施行いたしまして、創造的中小企業を税制、金融などの面から幅広く支援しているところでございます。  中小創造法計画認定件数は、この二月末現在におきまして六百十二件に上っておりまして、都道府県中小企業者双方本法施策の利用に積極的であるということをあらわしておるかと存じます。  こういう実績のもとに、なおこの中小企業ベンチャー精神をさらに一層奨励をするという観点から、今回、中小創造法改正をいたしまして、第一には、創造的中小企業株式社債による資金調達を支援するために新たな再保険制度の創設を行うということ、第二には、機械類信用保険てん補率を引き上げることにより、計画認定を受けた中小企業者リースなどによる設備導入の一層の円滑化を図る、第三には、新事業開拓保険限度額を引き上げ、計画認定を受けました中小企業者金融機関からの借り入れの一層の円滑化を図るという措置を講ずることといたした次第でございます。
  8. 松本龍

    松本(龍)委員 今お話をお伺いしますと、大変要望も多いし、使い勝手もあるというふうに考えております。大いにこれからやっていただきたいと考えているわけですけれども、この中で、指定支援機関としてどのようなものを指定しようと考えているのか、また、都道府県における現在の取り組み状況を御説明を願いたいと思います。
  9. 藤島安之

    藤島(安)政府委員 昨年の十月に成立いたしました平成七年度の第二次補正予算におきまして、創造的な中小企業事業活動を支援するために、中小企業事業団の高度化融資制度を活用いたしまして都道府県ベンチャー財団をつくっていただきまして、これを通じまして、創造的な中小企業の発行する社債についての債務保証、第二に、創造的な中小企業株式あるいは社債引受資金低利融通というような、資金調達に関する直接金融的な支援制度を創設したところでございます。  これに呼応しまして、都道府県はこの制度を積極的に評価いたしまして、平成七年度中に既に十の都道府県におきましてこのベンチャー財団が設立されております。平成八年度中に設立予定のものを私どもに言ってきております都道府県が三十二ございます。  こうしたことでこのベンチャー財団制度が広がっていくわけでございますが、この制度を利用する都道府県の方からは、この財団の規模がそう大きくないので、ベンチャー企業でございますので、いろいろ倒産等の場合は債務保証を実行しなければいけない、そうするとなかなかリスクが高い。そのリスク平準化のためにいろいろな支援制度を創設してほしい、こういうことがございまして、先ほど委員が御指摘のございました中小企業信用保険公庫を通じます保険制度を創設いたしまして、その場合に指定機関制度を設けてほしい、こういうふうな要望が参ったわけでございます。この要望にこたえまして、今回第十四条の二におきまして新たに指定機関制度を創設した、こういう経緯でございます。  したがいまして、この指定支援機関につきましては、都道府県ベンチャー財団を指定する考えでございます。
  10. 松本龍

    松本(龍)委員 この中小創造法による支援策はやっていただきたい、そして、どんどん使い勝手をよくしていただきたいというのはもとよりですけれども、もう一点、この間NHKテレビで「職人技が消えていく」という大変深刻なリポートがありました。東京大田区の糀谷地区等々の中小企業実態でありますけれども、これを見ますと、やはり今までの日本は彼らが支えてきたのだなというふうに感じざるを得ません。  例えば、百分の二ミリを目ではわからないけれども手でさわればわかるという技能とか、ヘラシボリとか溶着とか金型とか、さまざまな特殊技能を持った人たちが存在をしている。しかし、今の不況と相まって、だんだんその人たち廃業を余儀なくされているという実態テレビでございました。これは、やはり深刻に考えなければならない事態だと思っています。  今までは、物をつくるときは、いいものをつくりたい、丈夫で長もちをするものをコストを安くしてつくりたいという時代でありましたけれども、これからは、コスト半分寿命半分、あとは使い捨てにしようという時代になってまいりました。そういう意味で、そういった人たちがだんだん厳しい状況に追い込まれているという実態があるわけです。  私は、そういった人たち技能というのは大変貴重なものであるし、例えば今大きな企業が、製造業などは海外に行けばそれこそ日本空洞化になるという懸念がありますが、その製造業がなかなか海外に行かないのは、ひょっとしてその人たち日本にいるから、この人たちがそういう技術を身近に提供し続けるから大きな企業を引っ張っているというふうなこともあろうかと思っています。  そういう意味で、技術というのは後々まで残ってまいりますけれども、何十年も培われた技能というものはなかなか一朝一夕ではできてこない。したがって、この技能を何とか守る手だてをこれからしていただきたいと思うわけです。そういった技能を伝承していくことについて、このほかにさまざまなお考えがあろうかと思いますけれども、そういった点をお聞かせを願えれば幸いだと思います。
  11. 新欣樹

    ○新政府委員 委員大田区の例を出されましたけれども大田区とかあるいは大阪の東大阪などを見ましても、いわゆる中小企業経営者自身が一種職人的な技能というものをお持ちで、それがまた集積をして、ネットワークをつくって今日の中小企業の強さというものを支えてきておるということは御指摘のとおりだろうと思います。  私どもは、そういった中小企業技術技能というものに対しましていろいろな面からバックアップをしているということでございますけれども、具体的には、都道府県が設置しております公設試験研究機関中小企業のための技術支援センターというような位置づけを行いまして、中小企業同士共同研究を実施させるような指導とか、あるいは中小企業技術上の相談への対応でありますとか、そういったようなことを通じまして力を入れておるところでございます。  また、御質問の中に、そういったところには労働者がなかなか定着をしないのではないかという意味の御質問もあろうかと思います。  こういうものに対しましては、私ども、労働省と協力をいたしまして、例えば中小企業労働力確保法というものを制定をし、いわゆる三K対策などに力を入れてまいったわけでございますが、昨年の臨時国会でこの法律改正をいたしまして、高度の技術及びこれに関する知識を有する方の確保、育成などを図る支援措置を行ったところでございます。  また、いわゆるベンチャー企業にいい人材が集まるようにというような意味におきまして、同じく昨年の臨時国会におきまして新規事業法改正し、これは大変な画期的な措置でございますが、ストックオプションという制度導入ども図って優秀な労働力確保を図っておる、こういうことでございます。
  12. 松本龍

    松本(龍)委員 新長官の前の中田長官は、昨年、何かの文献で読んだのですけれどもスモール・イズ・ストロングという言葉を使われて、中小は強いんだというふうに言われておりました。まさに二十数年前のシューマッハのスモール・イズ・ビューティフルをもじって言われたんだというふうに思いますけれども、そのスモール・イズ・ストロングが過去形になったり過去完了形になったりしないように、小さいものは強いというものをしっかりバックアップしていくシステムを、これからも絶え間なく続けていただきたいというふうに思います。  最後に、大臣にお伺いをいたしたいと思いますけれども、それに関連して、今職人かたぎというふうに言われましたが、去年の宇沢弘文さんの論文の中に、こういう文字がありました。  「「製作者気質本能」は、人間がもつ本来的、本性的な性向であって、ものをつくり、社会を形成し、新しい思想を考え出すという本能的な能力を意味する。」例えば大工さんは、「家をつくるという仕事に従事しているが、家の設計、原材料の選び方、柱の組み方など」、その「「本能」にしたがって、人々が快適に住むことができ、風土的、気候的諸条件と調和し、構造的にも安全であって、しかも審美的な観点から非の打ちどころのないような家を建設する」、これは「本源的な性向」である。これは先天的なものではなく、「学習、習練によって後天的に獲得することができる面をもつ。」というふうにありまして、まさに今、そういう意味では、製作者かたぎといいますか職人かたぎというのがだんだん薄れてきている。片一方で熟練が要るけれども片一方では経済合理性で利潤を追求しなければならない。そういう意味では、そういった乖離がこれからの経済社会の中で大きな深刻な問題だということを指摘しているわけですけれども、そういうことも含めて、大臣中小企業に対する姿勢について、再度決意をお伺いをしたいと思います。
  13. 塚原俊平

    塚原国務大臣 中小企業は、まさに人材が財産でございます。  通産省は、そういう中小企業を一生懸命応援するために今までさまざまな施策を講じてきたわけでございますが、ただいま先生から御指摘がございましたように、本来の技術を持った方々がその職場において環境が悪くなるというのは、中小企業が発展するために決していい方向ではないわけでございまして、ただいまの御指摘もしっかりと肝に銘じた上で、今後、経営基盤安定強化構造改革推進に資する政策の充実に努力をいたしてまいりたいと決意をいたしております。
  14. 松本龍

    松本(龍)委員 ありがとうございました。
  15. 甘利明

    甘利委員長 続いて、星野行男君。
  16. 星野行男

    星野委員 新進党の星野行男でございます。  私は、まず、今回の中小企業創造的事業活動促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案、これは非常に長いものですから、この後は、中小創造活動促進法改正案、こういう略称で呼ばせていただきますが、この改正案提出されました背景、すなわち、中小企業をめぐる我が国経済動向につきまして、何点か御質問を申し上げさせていただきます。  バブル崩壊後の長引く不況に追い打ちをかけた昨年二月末からの急激かつ大幅な円高の進行により、さらに私たちはこれに村山政権円高対策の手おくれが加わったと申し上げたいのでありますが、こういうことによりまして、我が国企業とりわけ製造業は、競って海外生産拠点を移転するようになりまして、我が国産業空洞化現象が急速に広がったところであります。  中小企業は、企業の数において全体の九九%、従業員数におきまして全体の約八割を擁し、まさに我が国経済の成長と国民生活を支えてきたわけでございますが、今や大企業のリストラと海外展開、さらに海外からの部品調達などの影響をもろに受けまして、事業の縮小、下請の選別、価格破壊などの嵐の中で大変な苦境に立たされております。  そこでまず、昨年すなわち平成七年ということでありますが、平成七年とその前の平成六年の中小企業倒産件数はどのくらいになっておったのか。関連いたしまして、先ほどもお話がございましたけれども製造業新規開業率廃業率推移につきましてお聞かせをいただきたいと存じます。
  17. 新欣樹

    ○新政府委員 まず平成七年、平成六年の倒産件数でございますが、民間の調査機関調査によりますと、負債総額一千万円以上の中小企業倒産件数は、平成七年で一万四千九百七十件、平成六年で一万三千九百六十五件ということになってございます。  それから、製造業開廃業率というお問い合わせでございますが、昭和四十一年から四十四年にかけまして大体年平均で六・〇%だった開業率が、平成三年から六年にかけましては年平均三・一%まで低下いたしております。一方、昭和四十一年から四十四年にかけて年平均で二・五%でございました廃業率が、平成三年から六年にかけては年平均四・六%ということで上昇いたしまして、したがいまして、平成元年から三年以来の開業率廃業率逆転現象というものが今日まで続いておるところでございます。
  18. 星野行男

    星野委員 今長官からのお話で、平成七年の倒産件数が一万四千九百七十件。ということは、一年三百六十五日でありますが、一日約四十件倒産している、こういうことで、大変な数字と受けとめさせていただきました。  さて、もう一つは、製造業海外直接投資が急増しているわけでございますが、この海外直接投資国内設備投資、その比率とかあるいは具体的な数値等がおわかりでございましたなら、お示しをいただきたいと存じます。
  19. 横川浩

    横川政府委員 製造業対外直接投資推移でございますけれども、一九八九年度をピークといたしまして一たん減少をいたしましたけれども、九二年度を底にいたしましてその後増加をいたしてきております。具体的な数字で申し上げますと、九二年度に百一億ドル、九三年度百十一億ドル、そして九四年度、前年度比で二三・八%の増でございますが、百三十八億ドルという対外直接投資実績になってきております。  九二年度から九四年度まで、対外直接投資は申し上げましたように増加をいたしてきておりますが、この間国内設備投資減少をいたしてきておりまして、その結果、双方比率海外直接投資国内設備投資に対する比率は年々大きくなってきておるわけでございます。九二年度六・六%、九三年度八・一%、そして九四年度は一〇・七%という増加を見ております。
  20. 星野行男

    星野委員 どうもありがとうございました。  さて、そのような関係で、製造品個別品目における海外生産比率、これも随分高くなっていると思うのであります。  実は、昨年二月、当委員会で私が質問に立たせていただいた段階では、カラーテレビが七二%、ラジオや電子レンジが六三%、電気冷蔵庫が四〇%、自動車が三一%と伺っておりましたが、その後この状況の変化はあったのではないかと思いますけれども、おわかりでしたらお聞かせください。
  21. 渡辺修

    渡辺(修)政府委員 お答え申し上げます。  今委員指摘数字でございますが、家電関係平成五年度の数字が御指摘のとおりの数字になっております。それぞれについて、日本電子機械工業会調査によります平成六年度の数字を申し上げますと、カラーテレビ海外生産比率が七八%、ラジオが六六%、電子レンジが六八%、電気冷蔵庫が四五%、こういう数字になっております。  それから、自動車について三一%という数字を今御指摘がございましたが、これは自動車工業会の平成六年の調査による数字と拝察いたします。実は、平成七年のデータをまだ自動車工業会が出しておりません。したがって具体的な数字は出ておりませんけれども、その後の円高動向その他を勘案いたしますと、海外生産比率はさらに拡大しておる、かように考えております。
  22. 星野行男

    星野委員 ありがとうございました。  このような状況の中で、最近の経済情勢でありますが、日銀の短観等によりますと、企業の業況判断すなわちDIは改善の方向に向かっているというふうに言われておりますが、激しい価格競争で企業収益は全体としてまだ依然厳しい状況にあると聞いております。  そういう状況の中で、企業全体の中での赤字企業、これがかなりふえているというふうに聞いているわけでありますが、具体的に、いわゆる黒字企業と赤字企業の割合といいますか、それはどんなぐあいになっておりますでしょうか。
  23. 横川浩

    横川政府委員 国税庁が行いました調査に基づきます数字を述べたいと思います。  税務統計から見た法人企業実態調査でございますけれども、これによりますと、平成六年度の欠損企業は法人企業全体の六二・七%を占めております。
  24. 星野行男

    星野委員 赤字企業が六割強を占める、こういう状況は大変厳しいものと受けとめざるを得ないわけでございます。  産業空洞化懸念、こういうふうに言われておりますけれども、これはもう明らかに産業空洞化と申し上げてよろしいのではないかと思うわけでありますが、このような産業空洞化の進行によりまして、まず第一に雇用の空洞化をもたらしておりまして、完全失業者が二百二十万人、失業率は統計開始後最悪の三・四%、特に若年者の失業率が高く、深刻な就職難に見舞われているところであります。第二に、国と地方の財政悪化を招来しているところであります。  すなわち、企業海外展開が進んでいることや赤字企業と失業者の増大によりまして、国の税収も、かつては六十兆円あったものが今は五十兆円程度に減少し、平成八年度予算七十五兆円のうち二十一兆円は国債で賄う結果、平成八年度末の国債発行残高が二百四十兆円、さらに、旧国鉄債務やその他のいわゆる隠れ借金を合わせますと、国の長期債務は八年度末約三百兆円になる、このように言われております。さらに、地方でも景気浮揚のために単独事業を積極的に実施をしてまいった結果、平成八年度末の地方債残高は百三十兆円になると言われているところであります。  このように、国と地方の財政は、まさに危険水域に入ったと申し上げて過言ではありません。このような状況から、公共投資による景気対策がもう限界に来ているのではないか、そんなふうに思うわけであります。  さらに、失業の増大や超低金利政策によりまして、国民の所得が減少しております。この間も年金生活者の方が、何せ定期の利息がひところの十分の一しかつかない、買い物せいと言ってもとても買い物なんかできませんよ、こういうことを申しておりました。失業でお給金が入らなければ、当然買い物もできないわけであります。このような失業の増大や超低金利政策による国民所得の減少、さらに年金や介護などの老後の不安がございまして、それが国民の貯蓄志向を高めているところであります。結局それが消費の伸びの足を引っ張っている、こういうことで、大きな伸びは期待できないのではないか、そんなふうに考えるわけであります。  このような状況の中で、中小企業創造的事業活動促進、すなわちベンチャー企業の活躍が必要なことはもう論をまたないところではありますけれども、なかなか容易なことではないなという気がいたします。ただ、一千百兆円とも言われる国民の預貯金と、先ほどもお話がございました高い技術力が一縷の望みではないか、そんなふうに思うわけでありまして、これをいかに活用するかということがこれからの活路を開く方向ではないか、そんなふうに思うわけであります。  政府は、新分野の開拓や新商品の開発などによる我が国経済の活性化あるいは産業構造改革について、中小企業にどのような役割を期待しておられるのでありましょうか。これは大臣からお答えをいただきたいと思います。
  25. 塚原俊平

    塚原国務大臣 この前の所信に対する質疑でも申し上げましたが、雇用と景気の関係は極めて深刻だという認識をいたしております。  と申しますのは、現実に設備投資も、元来中小企業が立ち上がって大企業が立ち上がるという状況だったのですが、大企業の方は結構立ち上がっても中小企業はよくないというのがあるのに加えて、雇用が満足に確保されないままで景気が回復するという可能性もある。従来になかったような状況が起こり得る可能性もあるわけでございまして、何としても、これから雇用を確保するということは極めて重要であるというふうに認識をいたしております。  そういったことを考えてみましたときに、今回御審議をいただいているわけでございますが、この新規事業分野開拓の担い手としての起業家精神、いわゆる業を起こす精神に富む中小企業の役割は、大変に大きくかつ期待がされるものであるというふうに認識をいたしております。  本日の提案理由説明でも申し上げましたが、昨年の四月に中小企業創造活動促進法の制定、施行をする等、創造的事業活動を行う中小企業を予算、税制、金融等の面から幅広く支援をしていくということで、現在その努力をいたしております。さらに、現在お願いをしております中小創造法改正を含め、このような中小企業に対しまして十分な支援を講ずるように努力をしてまいりたいというふうに決意をいたしておりますが、先生からまた適切な御指摘を具体の面においてもいただきますように、よろしくお願いを申し上げます。
  26. 星野行男

    星野委員 ありがとうございました。  戦後の我が国経済、あの焼け跡のゼロから復興し、そして経済の高度成長、そしてまた安定成長という軌跡をたどって今日に至っているわけでありますが、御案内のように、我が国は外国から安い原材料を購入いたしまして、それにハイテク技術で付加価値の高い製品をつくり出し、これを輸出して外貨を稼ぐ、こういう形で我が国経済の成長が遂げられてきたのではないか、そんなふうに思います。そういう時代の中で、戦後の我が国経済の成長発展を支えてきたのは、ソニーとかホンダなどに代表されるような数多くのベンチャー企業であったということも事実である、そのように思うわけでございます。  ただ、当時と現在では、経済環境、事情も大きく変わってまいったことも事実でございます。現在、いわゆる国際化、高齢化あるいは情報化、物余り、価格破壊あるいはボーダーレス、大競争、いろいろな言葉が使われているわけでございますが、そういう情勢の中で、中小企業事業活動も決して容易なことではない、むしろ非常に厳しいものがあるのではないか、そのように思うわけであります。  中小企業創造的事業活動というふうに言われておりますけれども、どのような分野を考えておられるのか、また、それが経済の活性化に及ぼす影響と可能性についてどのように見ておられるのか、そのあたりの御見解を承っておきたいと思います。
  27. 新欣樹

    ○新政府委員 これから中小企業が活躍できる分野はどういう分野であろうかということかと存じますが、これは一口ではなかなか難しいかと存じます。  ただ、平成六年六月に産業構造審議会基本問題小委員会報告というものが取りまとめられてございます。その二十一世紀に向けての展望という中で、今後成長が期待される分野として、情報・通信、医療・福祉、住宅関連分野など十二の新規事業分野が提示されているところでございます。したがいまして、中小企業といたしましても、こういった分野で当然活躍をしていただくということが期待されるかと思いますが、ただ、これに限らず、中小企業のちょっとしたアイデアとか知恵を生かして活躍できる分野というのは多々あろうかと存じます。  先ほど、創造法の認定件数、二月末で六百十二件と申しましたけれども、これらを見てみましても、もちろん高度な新規性を有する技術を駆使した分野から、あるいは、例えばおからをケーキにするとか魚からしょうゆをつくるというちょっとしたアイデアで、事業活動を新しい分野に展開していくというような事例もございます。そういうことで、各般にわたって中小企業に活躍をしていただくということを期待しているところでございます。
  28. 星野行男

    星野委員 お話がございました情報・通信あるいは住宅産業、医療・福祉あるいは環境等々、いろいろと言われているわけでございますが、そういう面で中小企業が小回りのきく中でアイデアを生かし、大企業のすき間を縫って、住民あるいは国民のニーズにこたえた新しいビジネス、あるいはまた新しい製品を開発していくということが大変重要であると私も思うわけでございます。  そういうベンチャービジネス、ベンチャー企業の支援のために今回の中小創造活動促進法の改正が練られたものと思うわけでありますが、先ほども説明がございましたけれども、今回の中小創造活動促進法改正案の概要とベンチャー企業支援の仕組みについて、もう一度お聞かせをいただきたいと思います。
  29. 新欣樹

    ○新政府委員 趣旨につきましては先ほど御説明を申し上げたとおりでございますが、今回の改正というところで、特に、研究開発などに多額の資金を必要といたします創造的中小企業の一層の発展を図るために、資金調達手段の多様化を行うということが極めて重要であると認識をしておる次第でございます。  こういう観点から、昨年十月の平成七年度第二次補正予算におきまして、都道府県ベンチャー財団を通じ創造的中小企業株式及び社債による資金調達、いわゆる直接金融円滑化する制度を創設したところでございます。  今般の改正案におきましては、この都道府県ベンチャー財団法律上の指定支援機関として位置づけまして、中小企業信用保険公庫による再保険の制度を創設をするということなど、創造的中小企業資金調達手段を一層多様化する措置を講ずることといたしておるところでございます。
  30. 星野行男

    星野委員 都道府県ベンチャー財団指定支援機関、こういうふうに取り込んでいこうということになるわけでありますが、その理由はどういうことでございますか。
  31. 藤島安之

    藤島(安)政府委員 今回の改正法案の第十四条の二で、通商産業大臣が県のベンチャー財団指定支援機関として指定するという制度がございますが、これは先ほど長官の方からお答え申し上げましたように、昨年度の補正予算に基づきまして各県でベンチャー財団が設立されつつございますけれども、この財団は規模が余り大きくないわけでございます。他方、その支援の対象となるベンチャー企業は非常にリスクの高いものでございます。このリスク平準化、こういったことが必要になってまいるわけでございます。  そういうことから、中小企業信用保険公庫を通じまして、この再保険制度を設けまして、県のベンチャー財団中小企業支援事業円滑化していこう、こういうふうなことがねらいでございます。
  32. 星野行男

    星野委員 それから、都道府県知事が研究開発等事業計画認定するわけですね。この知事の、研究開発計画認定する何か基準というものはあるのでしょうか。それは、全く都道府県知事の判断に任せるということになっているのでありましょうか。
  33. 新欣樹

    ○新政府委員 この研究開発等事業計画でございますけれども、この認定につきましては、現行の既に施行されております創造法の第四条に認定の規定がございます。  その第三項に、都道府県知事が認定をする場合に三号ほど掲げてございまして、一つは「事業活動指針に照らして適切なものであること。」それからもう一つは「研究開発等事業を確実に遂行するため適切なものであること。」それから三号目といたしまして、もし「負担金の賦課をしょうとする場合にあっては、その賦課の基準が適切なものであること。」ということになってございます。
  34. 星野行男

    星野委員 それから、機械類信用保険法の特例ということが今回出ておりまして、「認定研究開発等事業計画に従って購入する機械類及びプログラム使用権を取得するプログラム」、これを認定割賦等機械類ということになっておりますが、この認定割賦等機械類というのは具体的にはどんなものでありますか。ちょっと例示していただけませんか。
  35. 藤島安之

    藤島(安)政府委員 機械類信用保険法の対象の機械類でございますが、非常に広範に規定されてございまして、一般のボイラーあるいは工作機械等、企業事業活動に必要な機械類、そういうものが対象になっておりますし、さらには、委員がおっしゃいましたように、プログラムというようなものも対象になっておるわけでございます。
  36. 星野行男

    星野委員 大体わかったような気がいたしますが、そういういわゆる創造的な事業活動を行うに必要な機械あるいはプログラム、こういうふうに理解をいたしておきましょう。  さて、ちょっと話は飛びますけれども、さっき長官の方から、こういう新規産業分野といたしまして住宅産業というお話もございましたが、実は、ことし新潟県なんかも十年ぶりの大雪というかどか雪がございまして、屋根の雪おろしで大分人が亡くなったのですね。新潟県だけで、この雪おろしのために六人が屋根から転落して死亡いたしました。五十一人が重傷を負いまして、重傷を負った方は恐らく後遺症も残って一生苦労するのじゃないか、そう思っております。三十人が軽傷を負いました。合計八十七人が、雪おろし、雪をそっくり積んでおきますと屋根がつぶれるものですから、屋根の雪おろしをしなければなりませんが、その雪おろし作業中屋根から転落をして、このような悲惨な事故に遭った。  北海道の豊浜トンネルの巨岩落石、落盤事故、二十名の方が亡くなった。まことにお気の毒なことでありますけれども、やはり雪は災害で、豪雪が来ますと、新潟県だけでも百人から二百人くらいの人身事故が起きます。あるいは全国的にはもっと、何百人かの事故が起きるわけでございます。そういうことを考えてみると、やはり雪おろしの要らない住まいづくり、住宅づくりを進めていくことが、それこそ雪国の過疎をとめ、国土の均衡ある発展を図っていくという観点からも非常に重要なことだと思うのですね。  そういう住宅産業、雪おろしの要らない住まいづくりも、例えば床を高くして屋根の勾配をきつくいたしまして、雪が滑り落ちるような高床の落雪住宅とか、いろいろな方法で屋根雪を解かしてしまう、そういう融雪住宅とか、いろいろなことが工夫されているわけでありますが、このベンチャー企業のことで話が飛んで恐縮でございますけれども、これからの住宅産業の中に、そういう雪おろしの必要な地域というのは北陸から東北、かなりの世帯数になると思うのですね。だから、そういう雪おろしの要らない住宅開発あるいは住宅、これを克雪住宅といいますが、克雪住宅の普及、そういうものに力を入れていかなきやならぬのじゃないか、そう思うのですけれども、今回の中小創造活動促進法の関係で、ベンチャー企業がそういう面に大いに目を向けてやっていただければ大変ありがたいな、そういう感じを受けるわけであります。  そういう中で、これも先ほどお話がございましたけれども、各都道府県取り組み状況でございますが、さっきの話ではまだ十件ぐらいしか都道府県ではベンチャー財団ができていないということですが、平成八年度の見通しはどうなっているのでありましょうか。
  37. 藤島安之

    藤島(安)政府委員 先ほどお答え申し上げたように、県のベンチャー財団は三月末までに十ほど既につくられてございます。これは昨年の十二月あるいは今年の三月の県の補正予算において手当てされたものでございます。  このベンチャー財団事業活動を行いますには、企業を選びます審査、技術審査委員会等、いろいろな準備が必要なものでございます。そうした中で、昨年の十月からこの制度ができたわけでございますが、私どもは非常に積極的に取り組んでいただいているというふうに思っております。  お尋ねの平成八年度はどうなるか、こういうことでございますけれども、現在、私どもお聞きしているところでは、三十二の府県がこれに参加したい、こういうふうに言ってきております。そのほか、さらに五つの都県でも検討中、こういうふうに聞いております。
  38. 星野行男

    星野委員 ありがとうございました。  さて、ベンチャーキャピタルにつきまして、今回の改正案による成果を期待するところでございますが、かねて、実は、株式の店頭特則市場というのですか、俗に第二店頭市場、私はこう呼んでおりますけれども、これが開設をされまして、ベンチャーキャピタルについて大いに活用が期待されておるというふうな説明を受けたわけでありますが、この店頭特則市場が開設された後の取引状況など、どんなふうになっておりますか。おわかりでしたら、お聞かせをいただきたいと思います。
  39. 横川浩

    横川政府委員 ベンチャー企業が円滑に事業を行えるような環境といたしまして、やはり必要な資金調達できるということが大変重要でございます。そのような意味合いにおきまして、資金調達の場として店頭市場を活性化させていくことが極めて重要なことだというように認識をいたしております。  そのために、通産省といたしましては、かねてから店頭市場の改革を関係方面に働きかけをいたしてきたところでございまして、昨年七月には、先生ただいま御指摘になられましたように、店頭特則市場が創設をされることがあったわけでございます。  その後の店頭特則市場の状況でございますけれども、現時点におきまして、店頭特則市場の具体的案件はまだ出てきておりません。これは、監査証明の具備など、登録の準備のために一定期間がやはり必要でございまして、これが理由ということでございます。したがいまして、今年度の決算等の準備が整い次第、具体的案件が出てくるということを期待をいたしております。
  40. 星野行男

    星野委員 さらに、たしかストックオプションという制度もつくったはずですが、これはその後何らか機能しておりますか。
  41. 横川浩

    横川政府委員 昨年の臨時国会におきまして新規事業法改正をしていただきまして、ストックオプション制度導入が行われたわけでございます。その後、この新しい制度の普及、広報等行ってきておるわけでございますけれども、この新しい制度に対します期待というのが、実際にベンチャー事業をやっておられる方の中で大変高まってきております。いろいろ私どもの方への問い合わせなどもふえておりますし、また各地域でいろいろ説明会などもやっておるわけでございますけれども、大変たくさんの方々に来ていただいて、今そういう意味で勉強していただいているということでございます。  具体的な案件といたしましても、先般、新規事業法認定を、ストックオプションをやるということのために新しく認定を申請をし、また認定が行われたという企業も出てきておりますので、これから大いにこの新しい制度を使っていただけるのではないかと期待をいたしております。
  42. 星野行男

    星野委員 それから、この間テレビを見ておりましたら、ベンチャー企業で、不動産は持っていないけれども、いわゆるソフトの関係のものを担保にして融資を受けたということが出ておりましたが、いわゆる知的所有権担保の融資というようなことは今どんなぐあいになっておりますか。これも、おわかりでしたらお聞かせください。
  43. 横川浩

    横川政府委員 御案内のとおり、これまでの日本のいわゆる金融、融資は、圧倒的に物的担保に頼ってきたわけでございます。そういった中では、まだこれから会社を起こしていく、事業を始めていくといったような初期の段階にありますベンチャー企業は、なかなかこういった物的担保が十分ではないということで、これが理由で資金提供を受けにくいというような実態があるわけでございます。  しかしながら、最近の動きといたしまして、民間の金融機関におかれましてもいろいろ工夫をされまして、いわゆる先生御指摘の知的財産権、こういったものを担保として評価をして、ベンチャー企業に融資を行っていこうという具体的な案件も出てきておるわけでございます。  なお、通産省もこういった動きを奨励する意味で、昨年、研究会におきまして、この知的財産権の評価、これがなかなか難しいわけでございますけれども、この評価の手法等につきまして研究をいたしまして、こういったものも民間の御利用に供してきているという状況でございます。
  44. 星野行男

    星野委員 本当に、この日本経済の再活性化、雇用を含めて元気を出してもらうためには、あらゆる手法を駆使してベンチャー企業を支援をしていくということが必要であろうと思うのであります。  もう一つ、持ち株会社制度、これは御案内のように公正取引委員会で、限定解禁ですか、方向が出てきたようでありますが、お話があるように、ベンチャー企業を起こそうという人は、アイデアと技術と情熱、意欲は持っているのでありますけれども、しかし実績資金が乏しい、こういうことと、またリスクも背負っている、こういうことでございましょう。そういうベンチャー企業経済社会の中でやはり支援をしていくという風潮といいますか、基盤をつくっていくという意味では、ベンチャー企業株式を保有することによって資金面の支援をしていく、ベンチャー企業の育成をやっていくということも非常に重要なことではないかな、そういうふうに私は思うわけでございます。  現在、新聞等で拝見いたしますと、与党三党で、なかなか難航しておるけれども調整に努力中、こういうふうに承っておりますが、これは大臣の方から、この持ち株会社制度、私は今申し上げたベンチャー企業支援という意味からも非常にこれから有力な役割を果たしていく制度になるのではないかという気がいたしますが、大臣の御見解を承りたいと思います。
  45. 塚原俊平

    塚原国務大臣 持ち株会社の解禁は、ベンチャービジネスの育成に大きく寄与するものであるというふうには認識をいたしております。  ただ、どのような形でこれから解禁していくのかとか、あるいは仮に解禁した場合に、果たしてそれがどのような機能、効果をこれから果たすのかとか、これは国会で、公の場で国民の皆様方にしっかりと御理解をいただくだけの審議をする必要があるというふうに私は思っております。  いずれにいたしましても、この持ち株会社に関する法律案が一日も早く国会に提出をされまして、国会の場で御議論をいただくということを心から念じております。
  46. 横川浩

    横川政府委員 若干事務的な補足をさせていただきたいと思います。  一言で申しまして、持ち株会社の解禁がベンチャービジネスの育成に大きく寄与するのではないかという期待感を私どもは持っておるわけでございます。多少具体的に申しますと、持ち株会社の解禁によりまして、既存企業新規事業を統括する持ち株会社を設立いたしましたり、みずからが持ち株会社となることなどによりまして新規分野への大胆な事業展開を行うことが促進されるということでございますとか、また、ベンチャービジネスヘの投資を主たる業務といたします本格的なベンチャーキャピタルの発展を可能にするといったような点におきまして、ベンチャービジネスの育成に持ち株会社の解禁が寄与するのではないかというように考えております。
  47. 星野行男

    星野委員 いろいろとベンチャー企業に対する資金面からの支援体制あるいは手法等々について伺ってまいりましたが、中小企業創造的事業活動につきまして資金面から支援するベンチャーキャピタルが重要であることは申すまでもありませんけれども、もう一つの重要な課題は規制の撤廃である、そのように考えます。  お話がございました、これからのリーディングインダストリーとして情報通信産業とか住宅産業あるいは福祉、介護あるいは環境等々、いろいろと言われているところでございますけれども、いずれも現場の声を聞きますと、規制が多過ぎる、こういう苦情を耳にするわけでございます。いわゆる経済的な規制の撤廃が企業の創造的な事業活動促進の基本的な条件である、こういうふうに申し上げても過言でないと思うわけでございます。  規制の緩和あるいは撤廃等の取り組みについて、通産大臣の御見解と御決意のほどを承っておきたいと思います。
  48. 塚原俊平

    塚原国務大臣 規制緩和の推進は、新たなビジネスチャンスの拡大を通じまして企業創造的事業活動を活性化する上で極めて重要である、御指摘のとおりだと思います。こうした観点から、通産省といたしましても、今御指摘をいただきました特に今後の成長が期待される分野を中心にして積極的に働きかけを行い、その実現を図るよう今日まで努力をいたしてまいりました。加えて、ベンチャービジネス自体の活動の円滑化のために、例えばストックオプション制度導入、ただいま御説明いたしましたが、あるいは店頭特則市場の創設と、御評価をいただきましたが尽力をいたしてまいりました。  通産省といたしまして、今後とも規制緩和を積極的に推進することとしておりますが、現在の規制緩和推進計画の改定が充実したものとなるように現在努力をいたしておりますが、さらに努力を続けてまいりたいと考えております。
  49. 星野行男

    星野委員 中小企業問題は、このようなベンチャー企業の育成の問題だけではなくて一般的な中小企業問題、数々あるわけでございますが、私は、新しい産業立地政策をこの辺で我が国も組み立て直していくべきである、そう思うわけであります。  先ほど来お話しになっております企業海外展開、大手が一つ海外に工場を移しますと、その下に連なっております下請、孫請の中小零細企業は仕事がなくなってしまいます。そこで、倒産あるいは廃業、失業、こういう深刻な問題が出てくるわけでございます。  私はこの前テレビで拝見いたしましたけれども、手袋をつくる工場でございますか、中国へ工場をつくったけれども、工場をつくったときには名誉市民として歓迎されたのだが、十年たったら、どこか別のところへ移ってくれ、こういう移転勧告を受けて大変苦労をしているということが報道をされておりました。あるいは、この深セン地区、経済特区でありますが、そこで組み立て工場を合弁でつくったけれども、そこでは土地の使用料や賃金が高くなって組み立て工場では採算がとれなくなったということで、別の奥地の方に移転をしなければならないということが出ておったわけであります。  このように、企業海外展開は進んでおりますけれども、しかしそこで多年にわたって安定的な操業が保証されるというわけではありません。かねても申し上げたことがございますが、私の地元の小千谷というのは機屋の町でございまして、かつて韓国に機屋の工場を随分出しましたけれども、結局、地代は上がる、あるいは賃金が高くなる、あるいはストライキは起こされるということで、そこで操業できなくて引き揚げてきました。全部韓国は失敗して撤退してきたという現実を見ているわけであります。そういうことを考えると、やはり日本企業はできるだけ日本国内で操業していただくような条件整備を、政治も行政も真剣に進めていかなければならない、私はそのように思うわけであります。  御案内のボーダーレスということで、今、企業が国を選ぶ時代などと格好いいことを言っております。また、その中で産業立地政策も国際競争にさらされている、こういう時代になったという認識を持っているわけでありますけれども、そういう時代になればなったほど我が国としては、国内とりわけ地方にはまだ土地も水も緑もあるいは人的資源もございます。やはりできるだけ地方に我が国企業が立地をして、そこで新しい投資が生まれ雇用が生まれる、そこで地域の活性化あるいはひいては国土の均衡ある発展、こういう理想的な国づくりに一歩近づく、こういうことになるわけでありますので、今の状況を踏まえた中で、もう一度しっかりと我が国産業立地政策を組み立て直していく、そういう時期ではないか、私はそんなふうに考えております。  昭和四十七年に工業再配置促進法ができて、それ以来国あるいは自治体あるいは関係者の努力でそれなりの成果を上げてきたと思うのでありますけれども、同じ手法ではもう通用しなくなっているのではないか、そんなふうに思うわけであります。  このあたりの新しい産業立地政策について、これはベンチャー企業ということだけではなくて、やはり中小企業全体が生きていく道を開いていくという意味で非常に重要なことだと思うのでありますが、どなたか御答弁をお願いできませんか。
  50. 塚原俊平

    塚原国務大臣 産業立地政策につきまして、先生が大変に御熱心であるというふうに伺っております。また、今日まで適切な御指摘をずっといただいてきたというふうに伺っております。  政府委員からしっかり答弁させますので、お聞きをいただきたいと思います。
  51. 鈴木孝男

    ○鈴木(孝)政府委員 ただいま大臣からも、産業立地政策をしっかりという御指示もございました。  先生御指摘のように、既にこれまでも工業再配置政策とかテクノポリス等の産業拠点政策をやってきまして、一応の、一定の成果を上げたものと思っておりますが、最近の産業立地をめぐる情勢も大きく変化しておりますので、地場産業を含めての地域産業の高度化あるいは地域経済の発展のために、内外の環境変化を的確に踏まえまして積極的な産業立地政策を検討してまいりたいと思っております。
  52. 星野行男

    星野委員 御答弁が余り簡単過ぎてどうも満足できないのでありますけれども、いずれにしても、御研究、御検討の成果をいずれまたお聞かせいただきたい、そのように考えております。  それからもう一つ、このようなボーダーレス化の中で、円高のこともございましたけれども、さっき申し上げた企業が国を選ぶ、こういうふうなことが言われまして、企業はできるだけコストの安いところで操業しそこで利益を上げよう、こういうことで、我が国のいわゆるコスト高ということが一挙にクローズアップされてきたところでございます。土地が高い、人件費が高い。人件費も、日本人一人の給料で中国へ行けば五十人も使える、そういう話も聞くわけであります。いずれにしてもそういう賃金の問題は、我が国において賃金を引き下げるということは至難なことでありまして、できるだけ省力化あるいはオートメ化、コンピューター化、いろいろな技術を駆使しながらコストの削減を図っていかなければならぬ、そう思うわけでありますが、一つ政治的な課題といたしまして、やはり法人税率の問題がございましょう。  今、実効税率が四九・九八%、世界一高い、こういう法人税率であります。東南アジア等へ行けば税金も三分の一、こういう話も聞くわけでありますが、我が国といたしまして、戦後の経済成長の中でずっと右肩上がりに成長を遂げてまいりました。そういう時代は、企業に高い税金の御負担をお願いしても、それはそれでやってこれたと思うのでありますが、今日のこの状況の中で、今申し上げたような、企業が国を選ぶ、こういう時代の中で我が国がいつまでもこのような高い法人税率を維持していくということは、結局は産業空洞化を招く、また結果的には失業の増大を招く、こういうことになると思うわけでありまして、税制改革、直接税、間接税の問題、非常に難しい問題ではありますが、いずれにしても、これからの超高齢社会を所得税と法人税の直接税で支えていくということがとてもできっこないということは、ほとんどの人が理解しているところだろうと思うのであります。むしろ法人税の税率を下げて国内で操業を確保して、そこで雇用を維持していくという方が国民の利益に沿うことになるのではないか、そんなふうに私は思うのであります。  そういう観点から、法人税率の引き下げというような問題につきまして、これは真剣に、しかもそう時間をかけないで検討し、改革を図っていく、税制改革を進めていく必要があろうか、そんなふうに考えているところでありますが、大臣の御認識はいかがでございましょうか。
  53. 塚原俊平

    塚原国務大臣 法人課税を初めといたします企業をめぐる税制につきましては、関係各界の御意見あるいは課税の実態等を十分に踏まえまして、引き続き見直しも含めていろいろな作業に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  54. 星野行男

    星野委員 大分時間も迫ってまいりました。  中小創造活動促進法の改正案審議につきまして、いろいろと、バブル崩壊後の不況、それからそれによるその後の幾多の問題点について論議をさせていただいてまいりました。いずれにいたしましても、これから二十一世紀へ向けて我が国経済を活性化させ、そしてまた雇用を維持していくということが何よりも重要な課題である、そう考えております。  そういうことで、この新しい改正法の内容につきましては私どもも賛成をするにやぶさかではございませんが、これをひとつぜひ成果を上げるような運用を図っていただきたい、そのように考えております。  最後になりましたが、大臣たびたび引っ張り出して恐縮でありますけれども、この中小創造活動促進改正ベンチャー企業の育成、あるいはまたさらに全般的な中小企業対策等々につきまして、余り木で鼻をくくったような御答弁ではなくて、もう少し丁寧な御答弁を最後にちょうだいいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  55. 塚原俊平

    塚原国務大臣 今日の中小創造法、先生がおまとめいただきました法律の名前よりさらに短く言って恐縮でございますが、こういうタイミングの時期に本当に各党の御協力をいただいて本委員会審議をさせていただいたということは、これは中小企業者、経営者の方々、働く方々にとりましても極めて勇気づけられるものになるのではないかなというような認識をいたしております。  この法案を御審議いただきまして何とか成立させていただきましたところを一つの契機といたしまして、ともかく大変に厳しい、私が大臣になりまして三回月例経済報告がございましたけれども、明らかに景気は上向きの数字は示しているのですが、中小企業と雇用については、両方ともこれだけは数字が全然よくならないという状況があるわけでございまして、何事にもきっかけが大切だと思いますので、これをきっかけにいたしまして、さらに私どもも頑張って、日本の国の景気回復の最大要因はやはり中小企業が活性化することであるという認識に立ちました政策の展開を今後ともいたしてまいりたいというふうに決意をいたしておりますので、ますますの適切な御指導をよろしくお願い申し上げます。
  56. 星野行男

    星野委員 どうもありがとうございました。  以上で終わります。
  57. 甘利明

    甘利委員長 続いて、吉井英勝君。
  58. 吉井英勝

    吉井委員 中小企業新分野進出等円滑化法というのがこの創造法に先立って既につくられておりますが、この法律で新分野への進出を計画して承認されたのは全国で千九百四十六件。その中で支援事業費補助金を支給されたのは全国で四十七件というふうに報告をいただいております。  実は、中小企業新分野進出等円滑化法について、せんだって長崎県へ調査に行きまして聞いてみますと、ここの県では承認は十四件、しかし制度が生かされたのは補助金で一件、償還延長で二件の合計三件だけだ、融資は申し込んでもなかなか受けられないのが実情だということを伺いました。同様のことを実は福岡県へも行って聞いてみたのですが、そうするとやはり同様の状況にありまして、承認件数は十五件あるのですが、融資の申し込みをしても取り扱うのは市中銀行であって、ここで融資が受けられるかどうかは全く別だと。制度は名前だけになっては困るわけで、今この制度の改善とか充実というのが求められていると思うのです。  そこで、最初に伺っておきたいのですが、承認された企業には保証協会が保証して、市中銀行は直ちに貸し付けを行うように現場の対応を改善するべきであるというふうに思うのですが、この点についてのお考えを最初に伺っておきたいと思います。
  59. 藤島安之

    藤島(安)政府委員 お尋ねの中小企業新分野進出等円滑化法に基づく計画認定を受けた企業について、計画が承認を受ければ融資保証を直ちに受けられるようにすべきではないか、こういうお話でございますけれども、この中小企業新分野進出等円滑化法には、実はいろいろな助成措置が規定してあるわけでございます。委員も御指摘のございましたように補助金もございます、それから税制上の措置等もあるわけでございます。いわゆるメニュー方式で、あらゆる手段を動員しながらそうした中小企業の新分野への進生活動等を応援しよう、こういうものでございます。  したがいまして、申請の段階において、実はいろいろな御希望があるのを伺いながら都道府県で審査をしていく、こういう建前になっております。したがいまして、法律上の計画があったとしても、直ちにそれで融資保証が行われるというものではないものと思っております。やはり融資である以上は、中小企業金融公庫だとか中小企業信用保険公庫等専門の機関が、その中小企業の信用力あるいは収支状況等、金融観点からの審査や各貸付制度の要件の適否の判断を行うということは必要だ、こういうふうに考えております。
  60. 吉井英勝

    吉井委員 それだったら法律は要らないのですよ。全く今のお話はひどい話だと思うのですよ。法律が、何ですか、建前だけということですね。それだったら意味がないじゃないですか。  実は、私はなぜ前段にこれを伺ったかといいますと、今の中小創造法実態もやはり同様の面があるからですよ。これを少し事前に聞いてみると、技術改善費補助金の採択率は六〇%というのでしょう。債務保証の方の採択率は四〇%。つまり、今の不況の中で全国の中小業者は大変深刻な事態に置かれている。その中で承認を受けた企業というのは、先ほどの新分野進出等円滑化法の方で千九百四十六件とか、こういうふうな数なんですよ。それがせっかく承認されたのに、しかし実際には制度は適用されないとなったら、本当に意味がないんじゃないですか。私は、建前だけの法律というのは本当に感心しないと思うのです。  実は、名古屋市のある企業が、これは特許を出願中で、産業廃棄物処理機械を開発、製造、販売するというために申請したところがあるんです。これは創造法で実は認定企業となったわけです。ところが、受け付けのときに商品化計画資金計画も出させて県知事の認定となったのに、担保が出せないからだめだとして、信用保証協会の保証の特例二千万円が受けられないということになってしまった。せっかくの融資が受けられないということになってしまうと、これではもう中小創造法があっても役に立たないということになるわけです。  ここが私は、保証協会の問題ということもありますが、県への指導とか、やはり働きかけを強めて、この法律が本当に生きるように改善をするべきだと思うのですよ。さっきのような答弁ではとても話にならないですよ。
  61. 藤島安之

    藤島(安)政府委員 どうも大変失礼いたしました。先ほどは建前を申し上げたわけでございますが、委員指摘のように、融資を目的として計画認定を受けたい、こういう場合につきましては、今委員が御指摘のような混乱が起きないように、メニュー方式であって、どれをお選びになりますかと、それで融資をお選びになる、こういうことでありましたら、都道府県認定の際には、政府系の金融機関に対してこういう融資の期待ある旨を通知していただいて、あるいは直接前もって政府系の中小企業金融機関に行くようにして、なるべくスムーズに融資が行われるようにというふうに指導しておるわけでございますが、今後さらに一層適切な対応をするように指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
  62. 吉井英勝

    吉井委員 メニューの話はわかった上で聞いているのです。もともと、どのメニューということがあるにしても、そのメニューで承認を受けた企業なんですよ。その承認を受けた企業がそのメニューでどれだけ採択されたのかといったら、六割とか四割ですよ。これでは法律が生きてこないということを私は言っているのです。  それで、もう少し別な例も伺っておきたいのですが、これは福岡県の商工部の方から聞いて、逆に県から要請を受けたみたいなことになるのですが、技術改善費補助金を申請したところが、開発用に補助金を受けた機械施設を、成果を上げた後、商品化までの間遊ばせておくのはもったいないから使用したら、補助金を返せという話になってきた。また別な例で言うと、補助事業によって開発が成功して、その商品を量産化しようと設備を使ってもだめだ、こういう実態に置かれているということを聞いたのですが、実態としてはこういうことがあるんじゃないですか。
  63. 新欣樹

    ○新政府委員 技術改善費補助金でございますが、これは補助金でございます。これは申し上げるまでもなく、補助金の適正化法というものに従い、また補助金の交付要綱・実施要領というものに従って交付がなされておるものでございます。  この技術改善費補助金実施要領におきましては、「対象となる機械装置等は当該補助対象事業以外の目的には使用させないこと。」ということになってございまして、この補助金の目的というのは技術開発ということでございます。したがって、この補助事業によって取得した機械装置がその後量産化されるに至る、またそれに使えるということは、これはある意味では成功したということでございまして、そういう意味では、この補助金交付要綱・実施要領からすればむしろ補助金はお返しいただくという扱いになることになろうかと思うわけでございます。
  64. 吉井英勝

    吉井委員 製品開発をして、それでどこかお客さんを見つけて、顧客が見つかった、そこからこれだけの量をつくってほしいという話が出てきて初めて、今度は量産化のための、それまでの単品の製品開発とは違う研究開発の過程というのが始まるわけですね。私は、やはりそういう点では、量産化といったっていきなり量産化ができるわけじゃないんだから、量産化に必要な技術開発、研究開発のためにはその機械を使ってはならぬということになってしまったら、これは何のための補助金かということになるわけですから、もう少しそういうところは温かくといいますか、弾力的に、最後まで面倒を見れるように、そういう運用というものを考えていかなかったならば、この制度が十分生きてこないというふうに思うわけです。  私は、こういう点では、研究開発を目的とし、研究開発の過程にあるということであれば、量産化を目的としたものであってもそこはやはりちゃんと弾力的に対応するということが必要だと思うのですが、どうでしょうか。
  65. 新欣樹

    ○新政府委員 その機械装置が量産化のために使用されるということであれば、先ほど申し上げましたようにお返しいただくということになりますが、当然、量産化をするためにはどのような課題が残っているかということで、補助対象事業終了後に引き続き技術開発というものを行う場合には、それはその個々のケースに即して判断をすることになろうかと思いますが、補助目的に合うというケースもあろうかと存じます。
  66. 吉井英勝

    吉井委員 先ほど来議論してまいりましたように、法律をせっかくつくっても、本当に生きているかどうかというのは、現場の実態を見ると随分寂しい思いといいますか、寒い思いといいますか、そういう状況にありますから、これはやはりよく現場等も見ていただいて、現場の実態に合ったものとしてこの法律が生きていくようにしていただきたいというふうに思います。  それで、今日、空洞化によって中小企業が置かれておる立場というのは、本当に深刻な実態です。先ほど来議論もありましたが、大企業海外移転に伴う生産停止とか工場閉鎖ということが起こった場合に、これはヨーロッパを調べて見ると、EU指令というのを出したりして、企業の都合だけで勝手なことはさせないということで労使間の協議を義務づけておりますし、国際的にはやはり大企業に民主的な規制を加えるということが経済分野の民主主義のルールになっているというふうに私は思うわけです。  日本もやはりそういうことを踏まえて、しかし同時に、中小企業中小企業としてこの新しい分野で生き延びていけるようにその取り組みを支援するということが必要だと思うのですが、そういう点で、私は、予算の面と制度の運用面、活用面、その両方の面でやはり大事な問題を持っていると思うのです。  予算面で一つ触れておきますと、リアルワールドコンピューティング研究開発委託費というのがありますが、これは九六年度予算で六十億円となっていますね。大体十年間で六百億から七百億使おうというわけですが、これが東芝、NEC、日立など大手企業二十社に開発費として配分されていくわけですね。これがある上に、これと別に、ほぼ同じ企業技術研究組合超先端電子技術開発機構というのをつくっておりますが、そこへ九五年度から百十八億円の開発費を出している。一方、中小創造法技術改善費補助金の予算というのは、九五年度の補正を含めて十九億六千万円、九六年度では二十億五千五百万円。  予算の面で、力のあるところにはかなり開発費補助金を出している。ところが、力のない中小企業の中では、もともと限られたところしか認定が受けられていないのに、その認定の受けられているところでも補助金全体としてはこういうふうに非常に差があるのですね。少ない上に、その上なお運用面で非常にこれが使いにくいということになっておったのでは、私は、せっかくの法律というのが生きてこないというふうに思うのです。  ここは大臣に伺っておきたいのですが、やはり予算面での充実と、それから法律をつくったときの運用面、本当に現場の実態に合うように、これは各県との連係プレーをもっと強めることなどを含めて、私は、こういう点で本当に力強い取り組みというものをやっていただきたいと思うのです。最後に、大臣決意というものを聞いておきたいと思います。
  67. 塚原俊平

    塚原国務大臣 個々のケースについてはいろいろな場合があると思いますので、もしかしたら御趣旨に合わないような結論を下したところもあるのかもしれませんが、いずれにいたしましても、改正中小企業創造活動促進法、国会におきまして御承認をいただけましたならば、その施行に万全を期しまして、今後とも、創造的中小企業に対しましての積極的な支援を講じてまいりたいというふうに考えております。
  68. 吉井英勝

    吉井委員 終わります。
  69. 甘利明

    甘利委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  70. 甘利明

    甘利委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出中小企業創造的事業活動促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  71. 甘利明

    甘利委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 甘利明

    甘利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  73. 甘利明

    甘利委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十二分散会      ————◇—————