運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1996-03-13 第136回国会 衆議院 商工委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月十三日(水曜日)    午前十時十五分開議 出席委員   委員長 甘利  明君    理事 逢沢 一郎君 理事 自見庄三郎君    理事 塩谷  立君 理事 小林  守君    理事 石井 紘基君       浦野 烋興君    小此木八郎君       小野 晋也君    尾身 幸次君       岸田 文雄君    熊代 昭彦君       佐藤 静雄君    田原  隆君       谷川 和穗君    中山 太郎君       丹羽 雄哉君    野田  実君       萩山 教嚴君    石井  智君       大畠 章宏君    佐藤 泰介君       松本  龍君    吉井 英勝君       牧野 聖修君  出席国務大臣         通商産業大臣  塚原 俊平君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      田中 秀征君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     小粥 正巳君         経済企画庁調整         局長      糠谷 真平君         経済企画庁総合         計画局長    土志田 征君         経済企画庁調査         局長      澤田五十六君         通商産業政務次         官       遠藤  登君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       大宮  正君         通商産業大臣官         房審議官    横川  浩君         通商産業省通商         政策局長    細川  恒君         通商産業省産業         政策局長    牧野  力君         通商産業省環境         立地局長    鈴木 孝男君         通商産業省機械         情報産業局長  渡辺  修君         資源エネルギー         庁石油部長   河野 博文君         中小企業庁長官 新  欣樹君         中小企業庁小規         模企業部長   井田  敏君  委員外出席者         消防庁特殊災害         室長      小林 恭一君         商工委員会調査         室長      石黒 正大君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十三日  辞任         補欠選任   上田  勇君     鳩山 邦夫君   吉井 英勝君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   鳩山 邦夫君     上田  勇君   松本 善明君     吉井 英勝君 三月十三日  辞任         補欠選任   中山 太郎君     佐藤 静雄君   野田 聖子君     萩山 教嚴君   野呂田芳成君     小野 晋也君 同日  辞任         補欠選任   小野 晋也君     野呂田芳成君   佐藤 静雄君     中山 太郎君   萩山 教嚴君     野田 聖子君     ――――――――――――― 二月二十七日  著作物再販制度存続に関する請願中川秀直  君紹介)(第二三号)  著作物再販制度維持に関する請願月原茂皓  君紹介)(第一四五号)  フロン等放出禁止法の制定に関する請願細川  律夫君紹介)(第一六二号) 三月七日  著作物再販制度維持に関する請願石田祝稔  君紹介)(第一七八号)  同(中谷元紹介)(第一七九号)  同(山本有二紹介)(第一八〇号)  同(五島正規紹介)(第一九三号)  新聞の再販売価格維持制度の継続に関する請願  (小里貞利紹介)(第三一〇号) 同月十三日  著作物再販制度維持に関する請願小野晋也  君紹介)(第三三八号)  同(西田司紹介)(第三三九号)  同(堀之内久男紹介)(第三四〇号)  同(越智伊平紹介)(第三六八号)  同(関谷勝嗣君紹介)(第三六九号)  同(山本公一紹介)(第三七〇号)  同(東家嘉幸紹介)(第四三三号)  同(松岡利勝紹介)(第四三四号)  同(渡瀬憲明紹介)(第四三五号)  同(渡部恒三紹介)(第四三六号)  同(海部俊樹紹介)(第四六〇号)  同(片岡武司紹介)(第四六一号)  同(小坂憲次紹介)(第四六二号)  同(田中恒利紹介)(第四六三号)  同(山原健二郎紹介)(第四六四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月二十二日  中小小売店に打撃を与える大規模小売店舗法の  廃止反対に関する陳情書  (第七五号)  大型小売店元旦営業中止に関する陳情書  (第七六号)  水力発電施設周辺地域交付金交付期間延長  に関する陳情書  (第七七号)  海外生産された帯・帯地の原産国表示義務化に  関する陳情書  (第七八号)  二十一世紀万国博覧会の実現に関する陳情書  (第  七九号)  中小企業振興対策強化に関する陳情書外二件  (第  八〇号) 三月五日  二十一世紀万国博覧会の積極的な取り組みに関  する陳情書  (第一四〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ――――◇―――――
  2. 甘利明

    甘利委員長 これより会議を開きます。  新進党所属委員出席を要請いたしましたが、出席をいただけません。やむを得ず議事を進めます。  通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小此木八郎君。
  3. 小此木八郎

    小此木委員 自由民主党小此木八郎でございます。  塚原田中大臣には大変お疲れさまでございますが、今のこのとんでもない状況にある国会というもの、本当に権威が落ちてしまったと私は思っておりますが、きょうも新進党皆さんはいらっしゃいませんけれども、何かこの部屋の外にはおられたようでありますが、早く審議参加をされるように私からも申し上げたいと思います。  住専を処理するための予算だけが国の予算ではありません。七十五兆円にも上る予算案を、今やっと景気回復が見え始めてきたというこの時期に、国民の生活や活動に対して一刻も早く、あるいは少しでも不安を与えないためにこれは通さなければならない、執行しなければならないということが私たちの責務であると私は思っています。  だからといって、住専の問題が重要ではないというふうに言っているのではありません。この問題は、たとえ今仮に解決ができたといたしましても、今後の金融システムあり方や、あるいはこれは我々政治家も含めて、人がお金に対する意識というものを本当に再認識をしなければいけない、そういった再認識バブルと言われた時代までさかのぼって、あるいは金融システム歴史そのものを検証していかなければ、真の解決はないというふうに私は思っております。  私の知人で、ある立派な会社の女性の経営者がいらっしゃいまして、この方は八十に近いお年の方でありますけれども、あのバブル経済時代に、百人を超す社員皆さんに向かって、この景気というのはただの好景気ではない、今所有している会社の土地は絶対に動かすな、それには触れるな、そして、今ある借金というものはすべて返してしまえということを毅然として社員に戒めた。あの時代はずっとその態度をとり続けていたという方がいらっしゃいました。その当時でありますから、この方も多方面に関係のある方ですからいろいろな甘い誘惑があったと思いますが、最後までそれを貫き通されたということでありまして、私にこうおつしゃいました。小此木さん、今景気が悪くて苦しいけれども、私たちは地道にやってきたから、だから社員に給料が払えるのだよ、私はそれだけでもう本当に幸せなんだ、やはり商売というのは地道にやっていかなければいけないものなんだよというようなことをおっしゃいまして、これは大変に立派な、まさに指導者であると私は思いました。  我々政治家が、実は本当にこの姿を国民の前に見せなきゃいけない。今、政治不信と言われている今日でありますけれども、一刻も早く政治信頼を取り戻して、指導者たり得る立場というものを改めてつくっていかなければならないというふうに思います。  まずはちょっと精神論的な話でありますが、通産大臣、これからの政治あり方あるいは商工行政あり方において、こういった姿勢というものも大事だと思いますけれども、いかがお感じになられますか。
  4. 塚原俊平

    塚原国務大臣 ともかく国民皆様方から信頼をいただくということが、私どもが心がけなければいけない第一だと思います。私ども国会議員全員、その努力をいたしてきたと確信をしておりますが、誤解を招いている部分もたくさんあると思います。これから日本の国が国民とともに努力して、この厳しい時代を乗り切っていかなければいけないときに、政治政治として果たさねばならない役割を一つ一つ着実に推進していくということが極めて重要であるというふうに認識をいたしております。  当面といたしましては、通産行政景気回復ということが最大課題であるわけでございまして、ともかく何とかこの予算案をできるだけ年度内に、あるいはもし暫定となりましたとしても、暫定ができるだけ短い範囲でお届けをするということが私どもにとりましても望みでございますし、国会皆様方にもぜひとも大きなお力添えをお願いしたいと思う次第でございます。
  5. 小此木八郎

    小此木委員 そこで、今暫定予算という話がありましたが、田中長官にお伺いしたいと思いますけれども、これまで累次の経済対策補正予算措置を講じて、一刻も早い景気回復に努めてきたところであるということであります。その結果、やっと景気回復基調に転じつつあるように認識をしておりますけれども、先日発表された月例経済報告におきましても、その趣旨の報告がなされております。  今回、前年度比五・八%増の七十五兆一千四十九億円を計上した平成八年度予算案が、昨年、閣議了解をされました。一月二十六日から始まった予算委員会審議も、現在まで約百八十時間と、十分な時間を審議に費やしてまいりました。しかし、また重なりますが、議会制民主主義を踏みにじるような新進党の、委員会室を占拠するというようなちょっとわけのわからない行動で、十日間審議がストップしている。これは、国会が一日空転しますと二億円の税金のむだ遣いであるとよく言われます。今、中国から台湾方面に向かってミサイルが放たれている、そのミサイルが一発二億円するそうです。これはちょっと皮肉になりますけれども新進党景気回復というものに向かって、逆に破壊するようなミサイルを座り込みによって放っているというふうに私は感じておるのです。  このために暫定予算を編成せざるを得ない状況になってきて、これが景気への悪影響ということで心配をされていますけれども、これ以上予算案衆議院通過がおくれれば、景気に対して、特に今までの経済対策効果への影響も含めて、これからどのような影響が出るのであろうか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  6. 田中秀征

    田中国務大臣 一般的に申し上げても、暫定予算を組まなければならないという状態は、経済活動景気に水を差すことになるというふうに思います。水を差されても燃え盛るだけの火の勢いがあれば別でありますけれども、今回、この景気局面においては悪影響を与えるということを大変心配しております。  景気回復という列車が胸突き八丁、坂を上っている、そんな感じで今見ているのですが、それを押している主力、そのトロッコを押している主力は、公共投資を初めとする、要するに政府経済対策であり、政府主導景気回復過程に今ある。これがみずからのエンジンによって動く、これは設備投資個人消費主力となってみずからのエンジンでその景気回復の坂を上っていく、この状態になるべく早く移行するようにというのが今最大課題であります。ところが、まだそこまで至っておりません。したがって、政府トロッコを押す手を緩めてはいけない、そして手を離してはいけない、そういうことが非常に大事なときであります。  したがって、暫定予算を組む、これが長期にわたるということになれば、手を休めることあるいは手を離すこと、緩めること、そういうことになるわけですから、この景気回復列車が順調に回復過程を上っていくためには悪影響を与えることになるというふうに思って、大変心配をしております。  したがって、私は予算委員会で申し上げてきたのですが、二・五%という来年度の見通しを達成するために、当面の三つのハードル予算住専規制緩和というふうに申し上げてきておりますけれども、このハードルを越えていかなければいけない。それを首尾よく越えていくことが、景気回復過程政府主導から民間主導に移行させていく、そして二・五%の達成、中長期安定軌道に乗せていくために欠かせないことだというふうに思って、現在の事態を大変心配しているところであります。
  7. 小此木八郎

    小此木委員 政府主導から民間主導ということ でありますが、通常の景気回復局面では中小企業がその回復の立ち上がりが早いというふうに言われていますけれども、今回の局面では中小企業の立ち直りが非常におくれております。景気循環不況に加えて構造的要因が大きく影響していると思われますが、このような厳しい状況にある中小企業に対する認識について、これは中小企業庁にお伺いしたいと思います。
  8. 新欣樹

    ○新政府委員 我が国経済が再び景気回復動きも見え始めたということになっておるわけでございますけれども中小企業をめぐる景況というのは、確かに一部製造業に持ち直しの動きというものが見られますものの、全体としては依然厳しい状況にあるところでございます。  過去の景気回復のパターンでございますと、御指摘のように中小企業設備投資というのがまず伸びが出て、その後大企業設備投資が出てくるというような傾向が見受けられるわけでございますけれども、今回はむしろ逆でございまして、大企業の方にはある程度の高い伸び設備投資というものが見込まれる。これに対しまして、中小企業も少しは持ち直してはいますものの、それほど大きな伸び設備投資が見込まれない、またこれも非常に力強さに欠けるというような状況にありまして、御指摘のように、これは循環的な要因もさることながら、やはり構造的な要因というものがあるというふうに考えておるところでございます。  したがいまして、私ども中小企業庁から見ましても、せっかく回復基調にあるこの景気というものを何よりも本格的な回復軌道に乗せていくということが大事であるということで、このために中小企業に対する経営安定強化ということをまた図ってきております。  例えば昨年の九月の経済対策におきましては、いわゆる政府系金融機関既往債務高金利負担を軽減するという措置をとった次第でございますし、あるいは、資産不足に悩む中小企業担保力を補強するために、信用保険法を改正して無担保保証の推進というようなものも図ってきたところでございます。さらに、やはり構造改革というような観点から、いわゆる創造的な事業活動を行う中小企業ベンチャービジネスというようなもののこれからの新しい時代への挑戦をバックアップする、こういうような措置も図ってきておるところでございます。  そういう意味からいたしまして、昨年とりました経済対策を現在着実に実行しておるわけでございますけれども、これが切れ目のない対策として講じられていくということが非常に大事な時期だろうと思います。そういう意味におきましても、平成八年度予算、各種のまた新しい中小企業対策施策を盛り込んでございますけれども、この八年度予算を早期に成立させていだだいて、その速やかな執行に努めていくことが極めて重要である、こういうふうに考えておる次第でございます。
  9. 小此木八郎

    小此木委員 最後に、株価の動向なんですけれども世界に目を転じまして、日本住専処理スキームがまとまったときに、株式市場が即座に反応をいたしました。しかしながら、今回の衆議院における予算案をめぐる混迷等要因も含めて、ニューヨーク株価も、先日、史上三番目の下げ幅を記録して、また日本株価も二万円の大台を割り込みました。政府住専処理スキームに対する姿勢が私は国際的にも評価をされたものだと思って、懸案だったジャパン・プレミアムも解消するかのように見えたと思ったのですが、この混迷ニューヨーク株価など、今度は世界経済に対してどのような影響を及ぼしているのか、経企庁長官、ちょっとお答えをいただければと思いますが。
  10. 田中秀征

    田中国務大臣 住専処理の方策がまとめられた段階で、市場が好感したというふうに言われております。証拠はないわけでありまして、市場に対して予断を与えるようなコメントは差し控えたいというふうに思いますけれども、この問題に真剣に取り組むということがマーケットにおいて影響なしということは言えないというふうに申し上げたいと思います。  いずれにしましても、この問題の解決に向かって真剣に取り組んでいく、そしてそれが日本経済の再建、景気回復に大きくいろいろな面で寄与していくという流れが、世界経済あるいはマーケットに対して、中長期でもちろん好影響を与えていくものだというふうに私は思っております。
  11. 小此木八郎

    小此木委員 もう時間が過ぎましたので終わりますが、いずれにしても予算を早く通さなければならない、そのために本当に一刻も早く新進党皆さんがこの議論参加をされますことを強く申し上げまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  12. 甘利明

    甘利委員長 続いて、岸田文雄君。
  13. 岸田文雄

    岸田委員 自由民主党岸田文雄でございます。  塚原大臣田中長官におかれましては、予算審議混乱の中で大変な御苦労をされておられることをお察し申し上げ、しかし予算審議混乱の中にあっても世の中はどんどんと動いておりますし、国会におきましていろいろ論議しなければいけない問題、次々と出てきておるというこの状況を御勘案いただきまして、お忙しい中、商工委員会に御出席いただきましたことを心から感謝申し上げます。  さて、まず最初に質問させていただきますのは、三月一日と二日、タイバンコクにおきましてアジア欧州首脳会議が開催されました。アジア欧州が同じテーブルに着いたとか、アジア欧州の新しい関係を築くきっかけになる会議であるとか、あるいは経済におきましても新しい可能性を見出すことができる会議であったとか、さまざまな評価がされてあります。この会議塚原大臣も、橋本総理そして池田外務大臣とともにバンコクへ行かれまして、非公式の閣僚会議にも御出席されたということを聞いております。残念ながら、日本のマスコミにおきましては、せっかくの塚原大臣の御活躍、断片的にしか伝わってこなかったようでございます。せっかくの機会でありますので、ぜひこの商工委員会におきまして、塚原大臣、このアジア欧州首脳会議閣僚会議等においてどのような御活躍をされたか御報告をいただき、またどういつだ感想をお持ちになられたか、お話をいただければと思います。お願いいたします。
  14. 塚原俊平

    塚原国務大臣 国会のお許しをいただきまして、ASEM準備会、これは補正予算衆議院採決でございましたが、その採決を欠席させていただくという大変な御配慮をいただきまして、まず準備会に行かせていただき、その後、予算委員会分科会も、与党の皆様方の大変な御協力で、質問を御辞退いただくような形で時間に間に合うように分科会を終了していただきまして、本会合にも参加をさせていただきました。国会の御配慮に心から御礼を申し上げる次第でございます。  元来、経済閣僚とそれから外務関係閣僚というのは、時としてぶつかることが多うございまして、現実の問題として、今回のASEMは非常に歴史的な経緯がありました。欧州アジアが一体になってこれからいろいろな形で協力し合って進んでいこうということを話し合う、極めて重要な機会でございました。どうしても、やはり外交問題となりますといろいろととげとげしい部分もあるわけでございまして、やはり経済問題を中心議論を進めた方がいいというような私ども日本側の考えもございまして、準備会等でもそれをしっかりお伝えいたしました。そして、私ども非公式の閣僚会議の議題も、タイの議長さんに言わせますと大体七割五分が経済問題であったというようなぐらいに、経済問題中心に活発な議論をさせていただきました。  そういった中で、やはり欧州側アジアに対して持っている懸念、それからアジア欧州に抱いている不安感というものがそれぞれにあるわけでございますけれども、そういったものにつきまして、やはり日本はそれぞれの立場を極めて正しく 理解しているし、また両方の、ASEANとも欧州とも、今日まで極めて細かなお話し合いを進めてきたというような歴史的な経緯がございます。そういった中で、それぞれの不安を持っている部分を、私どもが間に入ることによってお互いにさらに意思の疎通を図り、融和を果たすことができた。私は、そういう面では日本の国が今回果たした役割は大変に大きかったと思います。  そして、この機会にいろいろな経済閣僚の方とバイで会談もさせていただきまして、それぞれの国の現在抱えている問題、日本に対する期待日本側からは当然、愛知の万博を中心として、ぜひとも我が国に対して御支援をいただきたい点等々もざっくばらんにお話し合いをさせていただいてまいりました。  特に橋本総理が、日本における経済閣僚会議ASEMは二年に一回あるわけですけれども、その間に、いわゆるフォローアップとそれから一年後に向けての二つの要素で経済閣僚会議を行うのがいいだろう、またそれをするためには民間レベルからもいろいろなお話を伺うのがいいだろう、そういうようないろいろなことを受けて経済閣僚会議をやったらどうだろうという提案をしたのに対して、アジアは当然大変喜んでくれたわけでございますが、私どもが予期しなかった以上に欧州の方も大変にこれに対して大きな期待感を寄せられたわけでございまして、そういった面におきましても、日本がこれからASEMに対して果たしていく役割の大きさというものを肌に実感して日本に戻ってきたという状況でございます。
  15. 岸田文雄

    岸田委員 ありがとうございました。まことに御苦労さまでございました。  続きまして、日米問題につきまして一つお伺いさせていただきます。  二月に橋本総理が訪米され、また来月、四月にはクリントン・アメリカ大統領日本を訪問されるという日程になっております。こういった首脳外交中心としまして、日本アメリカ、さまざまな分野でいろいろな問題、注目を集めておるわけであります。そういった問題の中で、通産省所管の問題としましては、半導体交渉ですとか、写真フィルム分野での交渉ですとか、こういったものが注目を集めております。  その半導体の問題でありますが、御案内のとおり、日米半導体協定、ことしの七月に期限が来るわけであります。お聞きしておるところによりますと、日本はその更新延長の必要はないという方針であり、一方、アメリカは、引き続きこの協定の意義を感じ延長期待しているんではないかというようなことも聞いております。これから七月に向けて、アメリカからどのような要求が寄せられることが予想され、またそれに対して日本側はどのような対応をされるおつもりか、そのあたりをまずお聞かせいただけますでしょうか。
  16. 塚原俊平

    塚原国務大臣 一応半導体協定につきましては、もう十分にその役割が終了しているというふうな認識をいたしております。粛々と七月を迎えればいいというふうに思っておりまして、私どもの方からこの議論を向こうの方にするという、その理由づけを見つけるのに大変これは逆に苦労しております。  ただ、総理がクリントンさんとお目にかかれたときにそのお話が出たとか、あるいは事務方でお話をしたときに、公式の会合が終わった後で延長の話が出た等々のことは伺っておりますけれども、正式には、まだ私のもとには向こう側からの要求というものは参っておりません。  もし必要でございましたら、政府委員の方から答弁をさせたいと思います。
  17. 渡辺修

    ○渡辺(修)政府委員 補足説明をさせていただきます。  今、骨格は大臣が御答弁申し上げたとおりでございます。  それで、アメリカサイドは、現在の協定、八六年に協定が締結され九一年に延長されまして、十年間極めて順調にいっているんで、うまくいっているものはそのまま延長すればいいではないか、こういうのがアメリカの言い分でございます。前大臣のときの四極貿易大臣会合のときに、一度この話をアメリカが持ち出したことがございます。その後、塚原大臣になってからは、閣僚ベースでこの話を持ち出したことはございません。  我々の考え方は、今申し上げましたように、既にマーケットアクセスは十分確保されておりますし、それから、日本アメリカ半導体企業相互間の産業協力も大変うまくいっておりまして、たくさんの共同開発、ジョイントベンチャーが動いております。さらに、しっかりとした品種によるすみ分けもできておりまして、かつまた、韓国あるいは台湾、そういったアジア半導体メーカーも相当シェアを伸ばしてきております。つまり、国籍によって半導体マーケットを云々するという時代ではない、極めてグローバルな状態になってきております。そういう意味で、新たな半導体をめぐる産業、市場、そういう動向を眺め渡しましたときに、過去十年は別といたしまして、もはや歴史的使命は終わったというのが我々のポジションでございます。  したがいまして、今後どういう展開になるか。一に、これはアメリカ側がどういうことで言ってくるかということだと思います。我々のポジションは、先ほど大臣が申し上げたとおりでございますので、既定方針どおり対応してまいりたい、かように考えております。
  18. 岸田文雄

    岸田委員 今御答弁の中にもございましたように、日本としてはこの協定延長はもう必要ないという御方針であるわけでありますが、十年前とは半導体をめぐる環境、随分変わってしまったというのは、その御答弁の中にもあったとおりであります。  十年前、この協定がスタートする時点では、半導体の国際的なシェアを見ましても、日本が猛烈にアメリカを追い上げて、ようやく日本アメリカを追い越そうという時点であったかと思うわけであります。しかし、それから十年、月日がたちまして、アメリカ日本の業界の間でも共存共栄関係が確立されたと言われております。  また一方、三月十一日の日でしょうか、ブリュッセルで三極半導体会合が開かれたということも聞いておりますが、その会合の中で、欧州の方はこの協定延長に反対するというようなことを発言されたということを伝え聞いております。これは日本立場を支持したと言えるかもしれませんけれども欧州の本音としては、日本アメリカだけではないんだ、自分たちもいるんだという存在感をアピールする発言ではなかったかと思うわけです。さらに、先ほど渡辺局長の御答弁にもありましたように、アジアの追い上げ、数字的には、伸びの勢いを見ますと、日本アメリカに将来肩を並べるんではないかというようなアジアの追い上げもあるわけであります。日本アメリカ、ヨーロッパそしてアジア、こういった勢力の分布、十年前とは随分さま変わりしたことも感じます。  そういった状況を勘案して、日本はこの協定延長、必要ないと主張するんであるならば、将来、この半導体の業界、分野においてどのような将来像、未来像を考えておられるのか、そのあたりの御所見、ひとつお伺いできればと思います。
  19. 塚原俊平

    塚原国務大臣 半導体産業、ここに来てちょっと陰りが見えているというような報道等もございますが、先行きの見通しにつきましては、政府委員の方から答弁をさせたいというふうに思います。
  20. 渡辺修

    ○渡辺(修)政府委員 半導体産業の動向でございますが、世界的なパソコンブームそれから移動体通信の急速な普及に見られますように、まさにハイテク産業の米であります分野でございまして、もちろんパソコンの動向によって、特に十二月のクリスマスセール後にやや緩みが出ているというのも一部で報道されておりますけれども、基本的には堅調に推移していくだろう、かように考えております。かつ、その中で、メモリーの分野とそれからアメリカの得意としておりますMPUの分野、それぞれのすみ分けができておりますので、かつまた、日本ユーザーにとっては不可欠なMP Uの分野というのもございます。そういったすみ分けを前提に、基本的には、私は、十年間かけて培われました半導体産業相互の強力な信頼関係というのが間違いなく今後展開していくと考えております。  したがいまして、協定がなくなりました後、現在既に二月二十三日に日米の両国半導体業界のトップが話し合いをいたしております。今までの協力関係というのをしっかり踏まえながら、今後引き続き協力していこう、こういう話し合いに入っておりますので、私は本来の姿、つまり民間企業同士が相互に協力し合いながら、世界半導体というのをしっかりと振興していけるんではないか、かように考えております。あわせて、先ほど先生お話しございましたが、ブラッセルで初めて三極の政府間による半導体の産業あるいはマーケットについての話し合いが行われました。これを継続して行おう、こういうことになっております。  したがいまして、私は、将来の姿として、半導体世界マーケットあるいは産業協力についてもし話し合う必要があるとすれば、そこでいろいろなお話し合いを三極を中心に、必要があればほかが入っていただいてもいいと思いますが、いろいろな話し合いをフランクにする場があるんではないか。こういう形で、基本的には産業間協力をベースにうまく展開していけるであろうと確信をしておるわけでございます。
  21. 岸田文雄

    岸田委員 田中長官にも、予算審議のおくれについてちょっとお伺いしょうと思ったんですが、時間が参りました。  何はともあれ、世の中どんどん動いております。この商工委員会におきましても、論議しなければいけない問題、盛りだくさんであります。商工委員会でもしっかりとした論議ができるためにも、予算審議、ぜひ正常な形で進んでいくことを心から期待申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  22. 甘利明

    甘利委員長 次に、小林守君。
  23. 小林守

    小林委員 社会民主党の小林でございます。  日本政治経済を取り巻く環境というのは、大変厳しいものがあります。特に経済の問題につきましては、一刻の緩みも許されない、そういう状況にあるのではないか、このように考えている次第でありますけれども景気回復を目指す平成八年度予算審議が、極めて遺憾ながら、正常な状態に進められていない。この状況を厳しく反省を求めなければならないと思いますし、一刻も早い正常化を皆さんとともに努力をしていかなければならない、このように考えているところであります。  昨年の暮れに、村山政権のときでございましたけれども景気回復のさまざまな取り組みを行いつつも、大きなネックとして不良債権の問題が横たわっておるという認識のもとに、この不良債権問題を何としてでも早期に解決をしなければならない、そのために公的資金を導入してでもこれに全力で取り組むのだ、こういう決断をされたわけであります。しかし、その結果、まさに市場そのものは正直だなというふうに思うわけでございますけれども株価は日経平均株価で一万八千円から二万円台にはね上がるというような反応も示しましたし、また、ジャパン・プレミアムというものも〇・五%台から徐々に下がって〇・一%台に、ほぼ諸外国と同じような水準になったというようなところであります。  このようなことを考えまするならば、あの決断は誤っていなかったと私は確信をしているわけでありますけれども、二月九日に出されました月例経済報告等によりますると、景気回復動きが見られ始めている、一面では景気回復宣言とも評価されるような報告がなされたわけであります。もちろん、中小企業等においてはまだ大変厳しい状況が続いているのが実態でありますし、さらに、完全失業率が三・四%という史上最高の水準で高どまりをしているということでありますから、決して安心できる状況ではないわけですけれども、しかしながら、切れ目のない再三にわたる財政、金融、税制上のあらゆる手段を講じて、景気回復対策に取り組んできた成果が徐々にあらわれてきているのではないか。このように、年明け少し明るい希望を持って迎えたところでございます。  しかしながら、今日の住専問題の解決について大変な停滞状況が進んでいることによって、証券市場においても、警戒感、懸念を表明するような、数値の動きが微妙に変化をしてきているというふうにも言われているところであります。そういう点から、この景気回復に向かっての平成八年度の予算、そしてことしの上半期が勝負ではないか、このように思えてならないわけであります。御承知のように、有効求人倍率、新規の求人指数などを見ますると、確かにここのところ上向きの状況にありますし、このような景気回復への芽をより確かなものにしなければならないという観点に立っても、平成八年度予算を早期に成立させることが最大課題だろう、このように考えているわけであります。  いずれにいたしましても、公定歩合一つとっても史上最低の金利で、多くの年金生活者やそれぞれの基金の運用を預かっている人たちにとっては、今大変厳しい環境の中で耐えているというような状況だろうと思いますし、また財政対策においても、昨年、史上最大景気のための経済対策、十四兆二千二百億円のものを上げておりますし、また土地税制の緩和や所得税等の特別減税を引き続き行っているわけでありまして、そういう点では、平成八年度末の公債残高は二百四十一兆円、地方団体が百三十六兆円、合わせると三百七十兆円以上の表にあらわれた数字での公債残高を抱えている、こういうまさに財政火だるまの状況の中で、全力を挙げて景気回復に取り組んでいるわけであります。  そういう点で、多くの経済評論家や識者が語るところによるならば、この上半期が勝負だ、これ以上の打つ手はないのではないかとまで言われているわけでありますが、この上半期の経済の動向と見通しについて、経企庁長官になろうかと思いますが、お考えをお示しいただきたいと思います。     〔委員長退席、塩谷委員長代理着席〕
  24. 田中秀征

    田中国務大臣 小林先生の御認識、もう私とほぼ同じ認識でございます。  九三年の十月に景気が谷を迎えて以来、大変厳しい経済状態が続いてきたわけですが、大げさなようですが、今世紀中に日本経済を再建し得るかどうか、この半年間が勝負である、ラストチャンスであるというふうにも私は考えております。  御承知のように、景気が明るい方向に向かっております。したがって、これを何とか物にすると言ったらおかしいですけれども、非常にデリケートな問題がたくさんありますが、何とかこの景気回復を本格的なものにしていかなければいけない、そのためにこの半年間というのは非常に大事な時期だというふうに私は心得ているわけであります。これは予算委員会でも申し上げたところですが、また先ほども申し上げました当面の三つのハードル予算住専規制緩和、この三つのハードルを首尾よく越えていくということが課題であり、それによって政府主導景気回復から民間主導景気回復過程に移行させていくということが、私どものそれこそ今当面の一番の目標でございます。  住専お話もありました。この住専の問題は、景気に対してどういう影響を与えるのだということをいろいろお尋ねいただくのですけれども、私は二つの面があるというふうに思っております。住専の問題に本格的に、具体的に着手するということが景気にどういう好影響を与えるかということなのですが、一つはこれからもたらされるであろう効果、もう一つは既にもたらされた効果、この二つに分けて考える必要があると思うのです。  これからもたらされるであろう効果というのは、もう予算委員会でも本会議でも議論されました。多方面にわたるわけですけれども、金融にお ける融資機能が円滑化する、あるいはまた土地の有効利用が促進される、さまざまな面で実物経済に、より直接的に好影響を与えるというふうに申し上げていいと思います。それからもう一つは、金融システム、金融行政が再編され新しく構築されることによって、日本経済あるいは金融システムがワンステージ上に上がる、そういう大きな期待ができるわけです。  既にもたらされた効果というのは、先ほど小林先生の方からも御指摘がございましたが、マインドとか、あるいは実物経済に対して金融経済であるとか、そういう面での好影響、あるいは好感を持って迎えられている、この効果ですね。  これからもたらされるであろう効果は着実に物にしていかなければいけない、既にもたらされた効果は失ってはならない。これがこの住専問題に対処するための課題であるというふうに思います。  これから当面する景気回復にどう取り組むか、経済運営にどう取り組むかということについて、この住専問題を初めとする不良債権問題の早期解決というのは非常に大事なことだというふうに心得ております。
  25. 小林守

    小林委員 長官の方からも、とにかくこの上半期が最後のチャンスだというようなお話まで出てまいりまして、私も同感に思っているところであります。  ことしの九月を目途に、消費税率の見直しという課題もあるわけであります。平成九年の四月から五%というような導入が法的にもう既に決められているわけでございますけれども、消費税の税率アップについては随分議論があるところでありますが、既に所得税、住民税の制度減税や特別減税という形で先食いをしているというか、これも景気回復のための要素が非常に強いわけであります。そういう点から、この五%という問題については避けて通れない課題であるし、また、三%据え置きというようなことはあり得ない、財政的な状況からいってもあり得ないと言わざるを得ないわけであります。  しかし、この消費税率のアップというものが、経済局面が上昇局面であるときには比較的景気に対する悪影響というか、そういうものは弱いのではないか、そのように考えられるわけでありますし、そういう点でも、消費税率の五%へのアップということを来年四月に控えた場合も、ぜひこの上半期に景気回復を確実に上昇気流に乗せないと、また大変な問題になってくるというふうに思えてならないわけであります。それについての御認識をお伺いしたいと思います。
  26. 田中秀征

    田中国務大臣 そのとおりだというふうに思っております。一般的に、消費税を上げるということは、消費者物価を押し上げ、あるいはまた消費を抑制する方向へ働くものだというふうに思うのですが、全体の税制改革ということで見れば、やはり先行減税によって消費を喚起する、そういう成果を上げてきたというふうに思いますから、全体としてはプラスになったと私は思います。  ただ、先ほど私トロッコの例えをしまして、お聞きになっていたと思うのですが、やはり税率をアップする、あるいは減税が終わるという形になれば、それはトロッコの上に荷物がほかに積まれるということですから、これを押し上げるための勢いというのがさらに必要になる。したがって、この一年、特に先生おっしゃるこの上半期の重要性というのは、私はさらに強く感じております。勢いをつけなければいけない、一番大事なのはこの半年間だというふうに私も思っております。
  27. 小林守

    小林委員 ありがとうございました。  当面する景気対策と同時に、日本中長期的な経済の成長発展、そして維持を考えていくならば、何といっても経済構造改革を進めなければならない、これはどなたも認識は同じだと思います。日本の高コスト構造の是正、それから高付加価値型生産への転換というようなことを、規制緩和、そして競争政策の積極的な、あらゆる分野における導入ということを通して進めなければならないわけでありますけれども構造改革ということになるならば、当然企業のリストラが進められるわけであります。しかし、そこに働いている多くの勤労者、労働者の問題もあわせて常に考えていかなければならないだろう、そのように考えるわけであります。  どうも私自身ずっと見て、聞いてきた範囲で、通産行政を進めていく中で、そこで一緒に働いている人たち立場それから生活、そういうものが政策の関連として常に視野に入っているかどうか、そういうことを忘れてはならないということを強く感じているわけでありますが、どちらかというと、産業政策、経営政策というようなところが中心で、そこに働く人たちの問題等については看過されやすいというふうに思えてならないわけであります。  この構造改革に伴う、リストラに伴う問題としては、失業なき労働移動という概念が基本的な方針の中にも示されているわけなのですけれども、これらについて、ぜひその視点を失われては困りますし、構造改革の中で、失業なき労働移動をどのような形で確保していくのか、その辺についてお聞きしたいと思います。
  28. 牧野力

    牧野政府委員 現在の経済の不安定の状況の中で、私ども通産省といたしましても、雇用の安定、これは中長期的にも雇用の安定というのが最大課題であるというふうに思っております。  雇用問題は、従来、主として労働省で扱ってきたわけでございますが、今申し上げましたように、産業構造改革を行う、そういう産業政策の中におきまして、一番何をねらっているかということを言われたならば、これはもう直ちに、中長期的な我が国の雇用の安定であるというふうに申し上げて間違いないと思います。これは労働省、通産省だけの問題でございませんで、委員十分御承知のとおり、一昨年、内閣に産業構造転換・雇用対策本部を設けられまして、総理を本部長としていろいろ活動をしているわけでございます。  したがいまして、いろいろ我が省が進める政策につきまして、若干雇用面がどうかという御指摘がございましたけれども、私はここで、雇用の安定ということを産業政策としても第一の目的としているということを断言をしておきます。  そこで、では具体的にどうするかということでございますけれども、まず重要なことは、雇用の受け皿となる雇用機会を創出するということであろうかと思います。これは先ほど来から十分議論がなされております来年度予算の早期成立、住専の処理ということを含めまして、まず景気回復、現在踊り場にあります景気回復をとにかく早く軌道に乗せる必要があるということであります。それと同時に、昨年来、本委員会におきましても法律制定等をしていただきましたけれども、事業革新円滑化法でありますとか、新規事業法でありますとか、こういった法律、あるいは昨年来の補正予算等で認めていただきました予算を駆使いたしまして、既存企業の雇用なり設備を活用して、既存企業が新たなものに出る場合にはそれを助成する、あるいはいわゆるベンチャーにつきましては新規事業法で大いに育成する、こういったようなことを行っているところでございます。  さらに重要なことは、そうはいいましても、やはり産業構造が転換していく中で、どうしても既存の産業から、これは非常な競争がありますから、雇用がある程度はみ出してぐるという問題もございます。問題は、そういったような問題に対応するために、雇用の需給ミスマッチによる失業問題の発生をできるだけ防いでいくということであろうかと思います。  これにつきましては、私どもも労働省と協力をいたしまして、例えば、先ほど申し上げました事業革新円滑化法におきましては、労働省の業種雇用安定法と協力をいたしまして、この業種雇用安定法を柔軟に使わせていただくということもやっておりますし、それから、いろいろ異論もあるところではございますけれども、労働者の派遣でありますとか、あるいは職業紹介等につきましても、よりこれを柔軟に活用することによって雇用のミスマッチを排除してまいりたい、こういうこ とでございます。  いずれにいたしましても、現通産大臣はかつて労働大臣の御経験もございますので、たまたまといいますか幸いといいますか、そのお立ち場を十分活用させていただきまして、労働省と十分な連携をとって、この雇用の安定に対応してまいりたい、かように考えております。
  29. 小林守

    小林委員 ありがとうございました。ぜひそういう方向で取り組んでいただきたいと思います。  それでは、時間もありませんのでちょっと飛ばしまして、大店法の規制問題と中小商店街の空洞化対策の問題についてお聞きをしていきたいと思います。  大店法の規制緩和問題については、平成二年以来、三次にわたりまして規制緩和措置がとられてきているところでございます。この問題については、経済、業界団体、それとそれぞれの地域の中小商店街の利害が反するというようなこともあろうかと思いますが、それぞれの立場からもっともな要望書が出されておりまして、私もきのう目を通してきたわけです。  私の地元の話になって恐縮でございますけれども、やはり大型店が進出する過程の中で、十年前、二十年前はその町の中心地であった、中心の通りであったところが、今は通称シャッター通りと言われているところが随分出てまいりました。要は、真っ昼間お店が開かれないで、シャッターが閉まっているお店が目立つということで、シャッター通りというようなことでございます。塚原大臣のお父様方の実家がありますのが私の本当の地元でございまして、鹿沼なんですけれども大臣の実家を抱える地域もそういう状況になっていることは御承知のところかと思います。  そういうことで、我々、地域からの発想を大事にしていきたいというふうな視点に立つならば、均衡ある地域の発展、それから市町村の町づくり計画を最優先すべきである。まさに今地方分権の時代でもあるわけでありますから、そういう点で、平成九年度を目途に大店法の制度の見直し、規制緩和のより一層の拡大、こういう形で出されてくる考え方、要望、非常に強いわけですけれども、しかしながら、地域の、地方の小売業者が果たしてきた今日までの役割というのは、単に消費財を提供するだけの存在ではなくて、消費者への利便性の提供や地域文化の継承、創出、地域コミュニティーの形成、地域の雇用提供に大きな役割を担ってきた。これは商工会議所の皆さん方の要請文なんですけれども、まさにそのとおりだ、このように私は考えているわけであります。  そういう点から、規制緩和動きの中で、町づくりや地域の独自性や町おこしという観点から、この大店法の規制緩和問題については地方分権による独自規制というものがあっていいのではないか。消費者保護や周辺地域の中小小売業の事業機会の適正な確保という観点から、一定の、自治体が独自規制することに対して、全国統一的な一つの規制緩和というものはいかがなものか、このように考えるところなんですけれども大臣を含め関係者のお答えをいただきたいと思います。
  30. 大宮正

    ○大宮政府委員 それではお答えいたします。  ただいまの大店法の規制緩和の問題でございますけれども、先生今御指摘もございましたように、過去三次にわたりまして大店法の規制緩和をしてまいったわけでございます。その背景には、御承知のように国民の消費行動の変化、例えば二十四時間のライフスタイルとか御婦人が働きに出るとか、そういうライフスタイルの変化、それから自動車が普及したことによるモータリゼーションの進展による消費者行動範囲の拡大、さらには、先ほどお話のありました大店法の規制緩和等のこともございますし、非常に競争が激化しておりまして、我が国の流通をめぐる環境は大きく変化しておるところでございます。  それで、大店法の今後の取り扱いでございますけれども、これは政府規制緩和推進計画において決定されておりまして、平成六年五月からの規制緩和措置の実効を確保しつつ、流通を取り巻く環境の変化等を踏まえて、平成九年度を目途に制度について見直しを行うこととしております。また、平成九年度に見直しを行う際には、中小小売業の方々、消費者の方々、学識経験者の方々あるいは関係者の意見を広く聞いた上で検討させていただきたい、こういうふうに考えております。  今先生御指摘のありました地方自治体の独自規制の問題でございますけれども、これは、御承知のように前の大店法を国会で御審議いただいたときもいろいろ御議論がございまして、ばらばらな規制になるのじゃないか、むしろ統一的な規制をした方がいいのじゃないか、規制の強いところ弱いところ、いろいろ無秩序になるというような御意見もございますし、これは地方自治法との関係もございまして、例えば大店法がある一定の規制をしているときに、地方自治体がどれだけの規制ができるのかというような関係の問題もございます。  こういった問題がございますので、今先生御指摘がありましたように、そういった問題も含めまして、平成九年度の見直しの際には議論をさせていただきたい、こういうふうに考えております。
  31. 小林守

    小林委員 旧来の中小商店街というのは、先ほどもありましたように、単に消費財を提供するのではなくて、やはり地域の文化を担っていると言えると思うのですね。例えばそれぞれの町にはいろいろなお祭りなどもあるわけですね。例えば、大型店が進出してきて、郊外に大変便利な、集客力のある商店ができた、しかしその商店がその町にとって何を果たしてくれるのか、何をもたらすのかということをやはり考えてもらわなければならないだろうと思うのですね。祭り一つとったって、やはり商店街の人たちがお金を出し合ってやっているわけですよ。そういうコミュニティーの問題とか文化の問題とかということまで考えるならば、やはりただ単に経済原則だけで規制緩和というものを考えてはいけないのではないか、そういうことを強く感じているところであります。  そういうことで、今後の検討課題になっているわけですけれども、その見直しの問題の方向というのはやむを得ない方向だと思いますけれども、それと逆比例する形で、中小商店の空洞化対策という形で相当力を入れて、それぞれの町づくりとかコミュニティーの形成という役割を、やはり顔のある町というか、そういうものをつくるためにも、ぜひ力を入れていただかないと困るということを申し上げさせていただきたいと思います。  時間も迫ってまいりましたので、もう一つお聞きしたいと思います。  最低資本金制の導入の問題で、これについては、御承知のところですけれども平成三年の四月一日から五年間の猶予期間というか、この期間に増資をして、有限会社は十万から三百万の資本金、株式会社は三十五万のところを今度は国際水準に合わせるというようなことで一千万円、そういう最低資本金制度が導入されて、今日までそれぞれ登録がえをしていただいてきているところでございますけれども、この期限がこの三月三十一日に来るわけであります。  実際のところ、今日景気が不況の中でなぜ増資しなければならないのだ、なかなか理解が周知徹底されていないというようなところもあるわけですが、この最低資本金の導入というのは、倒産の防止とか債権者の保護とかペーパーカンパニー対策とか、さらには欧米とか国際化の中での法人としての一定の体裁を整えていくというようなところもあったのだろうと思いますけれども、全国の三百二十万社と言われる有限会社、株式会社の総数の中で、五十万社ぐらいは解散に追い込まれるのではないか。増資ができなくて、とにかく株式会社から有限会社へ格下げをするといってはおかしいのですけれども、それも登録がえになるわけですけれども、要は、とにかく登録がえできなくて解散に追い込まれるというような会社が五十万社はあるだろうと言われているところでありますが、中小企業庁の方ではどのように把握をされているか。  また、この追い込まれている中小、零細の事業所については、特に地域改善対策事業の見直しの 中で大変厳しい環境に置かれているのも事実だと思うのです。最低資本金制度導入とともにこういう問題も、特に零細な事業所を多く抱えている地域改善対策事業等については、この最低資本金の問題についてはどうクリアしているのかどうか、この辺についての資料もいただきたいということでお話ししたのですが、そういう調べ方はしていないのだというようなことがございましたので、問題点を指摘させていただきたいと思いますけれども、今日の状況等についてお聞きをいたしたい、このように思います。  また、みなし解散公告というのが、法務大臣が公告するそうなのですけれども、四月一日以降大臣が公告するのだそうなのですが、実は、それぞれの税理士連盟とかそういうところがら、この法務大臣の公告期間を少し延長してはどうかというような要請が出されております。中小企業庁は、そのような趣旨を受けて、この五十万社に及ぶ解散をさせられるものについて、啓発期間なり実態をよく、だめなところはそれは解散でいいけれども、何とかなるところは指導助言をしていくというような対策をとっていくという観点からも、法務省に、もう少し待ってくれ、その公告期間を少し延ばしてくれというような申し入れを中小企業庁は持っているかどうか、その辺をお聞きいたしたいと思います。
  32. 井田敏

    ○井田政府委員 お答えいたします。  最低資本金制度の導入につきましての状況でございますが、会社の中にはいわゆる休眠会社もあるということでございまして、その達成状況の実態を詳細に把握するのは非常に難しい面がございます。そこで、中小企業庁といたしましては、全国商工会連合会、あるいは日本商工会議所、全国中央会等にお願いいたしまして、昨年の十一月、そしてことしの一月と二回にわたりまして、傘下の会員企業がどの程度最低資本金を満たしているか、こういう割合について調べていただいたわけでございます。  その結果によりますと、一番新しい時点、一月時点でございますが、おおむね八割ないし九割、多いところではもう九割以上の企業が既に最低資本金を満たしております。かなり相当の割合で達成が進んでいるものと私ども推測をしているところでございます。また、この時点で未達成でございました企業に、これからどうするのだと、今後の対応ぶりにつきましてもあわせて聞いておるわけでございますが、おおむね八割以上の企業が、期限までに対応する予定と答えております。  なお、この調査時点でも、態度が未定であるとか、あるいは不明というような回答をしている企業もございますが、集計いたしました全企業のたかだか一%ないし二%という極めてわずかな数字になっておりまして、私ども、期限切れを控えて、各企業がそれぞれ精いっぱいその対応策を講じているというふうに考えているところでございます。  そこで、議員御指摘のいわゆるみなし公告といいますか、法務大臣公告でございますが、この期限を延長してはどうかというお尋ねでございますが、私ども、今申し上げました状況から推察しまして、十分な対応ができるのではないかなというふうにも考えておりますし、また、この公告が出ましてからも、ニカ月以内に登記申請をすれば十分間に合うということでございますので、私どもとしては、特にこの延長の方は申し入れは考えていないところでございます。
  33. 小林守

    小林委員 独占禁止法の改正問題についてもお聞きする予定だったのですが、時間が参りましたので、新しい法律が出された時点で質問させていただくということで、終わりにしたいと思います。  ありがとうございました。
  34. 塩谷立

    ○塩谷委員長代理 次に、石井紘基君。
  35. 石井紘基

    石井(紘)委員 石井でございます。  塚原大臣には、国際会議参加をされたり、現下の我が国の対外貿易あるいは国内のさまざまに抱えております深刻な経済情勢への対応、まことに御苦労さまでございます。  今、台湾海峡で不穏な雰囲気がございます。台湾におきましても我が国企業活動が相当程度あるわけでございまして、これから選挙に向けて、そして選挙結果が出るという情勢の中で、我が国企業活動、対外的な活動についての懸念が感じられますので、ひとつ重々そのあたりの構えをおとりいただくようにお願いを申し上げたいと思います。質問ではございません。  そこで、まず、質問通告をしていないのですが、経済企画庁長官に、経済情勢についてのお話は後で伺うとしまして、ちょっと違った角度から聞いてみたいことがあるのです。といいますのは、私は、実は一昨年の九月に、かつて長官とも一緒に会派を組んでおりました日本新党を離脱をしたわけでございます。そのときに、こういう印刷した文書を出しまして、いろいろなことを書いたのですが、その中にこういうことがございます。  我が国状況を歴史的に見るときに、やはり世界の歴史そして我が国の歴史をよく振り返って見る必要がある。特に今日、我が国はもう百年に一度というような大きな変革の時期に差しかかっているわけでありまして、こういうときには、これまで進んできた経済社会の行き方というものが根本的にその価値を崩してくるわけでありますから、そうすると、新しい未来の社会像に向かっての方向性というものが定まってくるまでには相当の時間がかかるわけであります。高度成長を達成した後も、我が国は、その後一体どういう方向に進むのかということがいまだに明確にならないような、ある意味ではそういう状況にあるわけです。  こういうときには、振り返って過去の歴史を見ますと、やはり経済的あるいは社会的な混乱が多かれ少なかれ生じてまいります。そして、場合によったら失業率も高くなる、貿易関係等についてもいろいろな問題が生じてくる。そして、我が国の場合は、特に物価が高い水準を維持しているわけでありますし、また税負担についても、これの公正さ、あるいはまた国民への還元という点において、国民の中には非常に深い不満がある。特に、税の使われ方についても同様だと思います。  そういう情勢の中にありますと、特に中小企業や個人経営者なんかは、もう一刻一刻、あすの生活についての、断崖絶壁に立たされたような状態で日を、時を過ごすわけであります。そういう情勢の中では、何でもいいから、とにかく強い指導者が出てきてくれ、一体政治は何をやっているんだという、そういう不満が非常に強くなってまいります。私どもの選挙区へ行きましても、毎日のようにそういう声が強く聞かれます。そうなりますと、余り具体的な政策の内容についてというよりも、ある意味でかなり大ざっぱであってもパワフルに見える、インテリジェンスは見えなくてもパワフルに見えるというような政治勢力が登場しできますと、往々にしてそういう方に向かっていきがちなものがあると思うのです。  ドイツのナチズムなんかが登場してきたのは、ドイツのあの民主化の歴史の中から、ワイマール体制という民主化の方向の中から登場してきた独裁であったし、あるいはスターリン体制のようなものについても、ロシアの帝政における極端な搾取、そして権力の集中、そういうものに対するレーニンの、レーニンはこれを社会主義革命と言っていなかったのです、そういう民主化の運動の中からスターリン体制という独裁的なものが生まれてきた。我が国においても、戦前の歴史に似たような歴史がある。  それで、そういうことを見ますと、あらわれ方とか姿形はその時代その時代で変わってくるわけでありますから、それは世界的な軍事力による侵略を展開するというあらわれ方もありましょうし、またそうではないあらわれ方もあるわけであります。こういうような傾向というのは、えてして国民のムードといいますか、そういうものにのみ依拠して物事を考えがちであるし、行動しがちなわけです。そういう意味におきまして、今日の我が国の運営というものは、極めて難しい、微妙 なときにあるのではないかというふうに思います。  こんな抽象的なことを申し上げまして、経済企画庁長官にお言葉をというのはなんですけれども、今こそまさに我が国の民主主義が問われているのだ。我が国の議会制というか、そういう民主主義というものが問われている。ここはひとつ慎重に、しかも正念場としてとらえて、そして議会制民主主義を守る、民主主義を守るということが必要なのではないかというふうに思いますが、何か御所見はございませんでしょうか。理論家の企画庁長官に……。     〔塩谷委員長代理退席、委員長着席〕
  36. 田中秀征

    田中国務大臣 何時間もかけてお答えしなければいけないような御質問ですが、石井さんの御見解として承っておきますが、同じような問題の認識を持っております。  一言で申し上げるのも難しいのですが、政治経済も、ある意味で抑制心によってしか乗り越えられない時代が来たな、そんな感じがしています。ですから、逆に行け行けどんどんという、そういう方向をたどる可能性も中にはあるわけですけれども、逆であって、この際、抑制という言葉は非常に大事な言葉だな、そんなふうに私は思っておりますが、この辺で勘弁していただけますか。
  37. 石井紘基

    石井(紘)委員 そういうことで、今日の国会の姿を見ておりますと、そのようなことを申し上げたくなったものですから、突然の質問で恐縮でございました。  次に、経済の情勢でありますが、ちょうど今、年度末を迎える中で、特にまた昨年からことしに至る過程の中で、厳しい情勢、中小企業の倒産だとか失業率の増大とか、さまざまなものがあるわけであります。一方において明るい兆しが見えかかってきたとはいいながら、やはり他方においてはそういう厳しい情勢、いわば経済的には我が国は今薄氷を踏む、薄い氷の上にちょこっと立っているというような状態にあるだろうと思います。  けさ、この委員会が始まる時点で聞いておりましたら、株価の寄りつきも、またきょうも大幅に下げていたようであります。こうやって商工委員会が始まりまして、経済情勢についての議論がなされておりますから、その後、多少持ち直しているのか、あるいはもっと悪くなっているのかわかりませんが、いずれにしても、大変ここ一週間余りというものは、そうした経済の情勢をあらわす指標が崩れているだろうというふうに思います。ひとつ最近の、いろいろなそうした指標を示すもの、あるいはデータ、その他つかんでおられるものがあったらそういうこととともに、この今日の時点での、刻一刻の国内の経済情勢について、政局との絡みで御所見を伺いたいと思います。  では、まず長官に。あと、データ的なものが何かあったら……。
  38. 田中秀征

    田中国務大臣 また大変難しい御質問をいただいたのですけれども景気の方は三月一日の日銀短観を見ても、生産、設備投資あるいは小売の売上高に増加が見込まれているということで、先月の月例経済報告の基調が続いているというふうに認識をしております。  ただ、先ほどから申し上げておりますように、非常に微妙な、デリケートな、そういう状態に現在あると思いますし、予算住専規制緩和と三つのハードルがあるんだというふうに言っておりますけれども、これはどちらかというと政治、行政の役割に係る部分であります。したがって、非常に私どもの責任は重大であるというふうに思っているわけです。  先ほど、これからもたらされるであろう効果と既にもたらされている効果ということを申し上げました。株価の方は、前場の引けが日経平均百七十三円安ですね、微妙な動きを続けております。これは、もう石井さん御承知のとおり、アメリカマーケット等の影響もあるやに言われておりますし、また、国会審議状態を反映している部分もあるんじゃないかという声もあるわけですが、いずれにしても、住専問題を審議している国会審議が停滞している、そしてこの住専問題に陰りが出てくるというように受け取られるとしたら、これは影響なしとは言えない。先ほど申し上げました。そういうふうに思っておりますので、注目して見詰めているところでございます。  あと具体的に何か御質問ありましたらいただきたいと思いますが、一応そんなところでよろしいでしょうか。
  39. 澤田五十六

    ○澤田政府委員 経済の大まかな動きにつきましては長官の方からの御答弁ございましたけれども、私の方から若干、指標に即しまして補足させていただきたいと思います。  景気が昨年の七−九月にかけて弱くなりまして、それに対しまして大きな三つの対策が打たれてきた。金融の緩和、それから円高是正、それから公共投資中心としました経済対策、そのようなとられてきました対策の効果が十月以降はっきり出てき始めて、今にも続いている、こういうふうな状況でございまして、具体的に申しますと、公共投資が非常に大きな伸びになってきております。それから金利低下や収益改善との関連で、設備投資、住宅投資というのが勢いがついてきてございます。それから円高是正等の関連で、企業収益が改善するとか、弱かった輸出が下げどまりになってきた、こういうふうな状況がございまして、そういったことを受けまして、生産も十月以降増加を続けているというふうなことで、景気は再び緩やかながら回復の方向に向かっているということでございます。  ただし、万々歳ということではもちろんございませんで、雇用状態、これは厳しいものがございますし、所得の伸びもしたがって鈍いということで、消費などは余り力がない。さらに円高、空洞化等の関係で、中小企業、上昇してはおりますけれども、水準は非常に低いところにある。こういうふうな問題がございまして、景気を今後加速していく必要がある、こういうふうなことではないかと思います。
  40. 石井紘基

    石井(紘)委員 そうはいっても、来年から消費税が五%になるというような情勢を控えて、設備投資や住宅投資なんかはことし早くやらなければというようなこともかなりあるわけでありまして、そうした景気のいい、前向きの話はそれはそれとしていいのですが、我々としては、やはりもっとネガティブな面に焦点を当てていくということは必要だと思うのですね。  平成八年度予算がもし年度内に成立しないという事態になりましたら、これは大体大ざっぱな話でいいですけれども、どんなことが懸念されますでしょうかね。経済企画庁、いかがですか。
  41. 田中秀征

    田中国務大臣 暫定予算ということになれば、これは一般的にですが、切れ目が生じるかもしれない、そういう懸念があるわけですね。公共投資政府主導で今進めている景気回復、これを設備投資個人消費主導の景気回復過程に乗せていくということが当面の課題ですから、その意味では、政府が手を緩めては、手を離してはならない非常に微妙な段階で暫定予算ということになれば、それが長期化するということになれば、景気に対して悪影響を与えるという心配をしております。
  42. 石井紘基

    石井(紘)委員 ありがとうございました。  ちょっと別の話に移りますが、我が国の金融経済体制というものは、私はよく指摘しますように、国の大変一元的なもとにあるのでありまして、だからこそ住専等についても、国がどうしても支援策あるいは処理策というものを打ち出していかないと、市場経済の自己責任の中ではこれは連鎖反応が起こって全部ひっくり返ってしまう。そういう構造になっているために、どうしても国がやらなきやならぬという、そういう構造になっているところに大きな問題があるわけであります。  例えば金融については、一方で民間の金融機関に対しては、例えば全銀協とかあるいは地方銀行協会とか、そういうような認可法人、これは認可法人とは大蔵省の監督権限があるわけであります から、そういうもとにあるし、また実態的にも非常に強いつながりというものがある。それがそれぞれ個別にあるんじゃなくて、全体的にあるわけです。そういう構造になっているので、これが一枚岩で、どこか一つがだめになっても全部に影響してしまう、パニックの危険がある、こういうことになっているわけですね。  一方、民間の機関に対しての国のそういう支配権みたいなものと同時に、国自体が大きな金融機関を抱えておる。恐らく、世界最大の金融機関を我が国では国が抱えておるということだろうと思うんです。ざっと挙げましても、例えば日本開発銀行だとか日本輸出入銀行だとかとともに、国民金融公庫とか、中小企業金融公庫とか、住宅金融公庫とか、商工組合中央金庫とか、農林漁業金融公庫とか、中小企業信用保険公庫とか、環境衛生金融公庫とか、公営企業金融公庫とか、北海道東北開発公庫とか、沖縄振興開発金融公庫とか、こういうものは、総じて言えば世界一の銀行になるわけですね。  こういうものを我が国は、財投そのもの以外にこうして抱えておるということでありまして、まさに国営の金融コンツェルンというような形になっている。これによって大変大きな負担が生じているわけです。これらの機関に対する一般歳出予算からの負担というものは、日増しにふえているわけですね。利子の補給とかあるいは資本金とかいう形での支出というものは、莫大なものがあるわけです。それによって一般予算を強く圧迫をしているということも、もう一つの側面にあるわけです。  そこで、通産省に関しては、中小企業金融公庫について若干聞きたいんですが、中小企業金融公庫について聞く前にちょっと申し上げますと、今の財投からの受け入れの金利は、御案内のように三・一五%、そして貸し出す金利も、基準金利というんですか、これも三・一五%ということですから、そうすると、同じ金利で借りてきたものを同じ金利で貸すということになると、この経費の分は丸々、簡単に言ってしまえばこれは赤字というものが初めからわかり切っておる。あるいは、最近貸し出す分についてはこの三・一五でいっているけれども、従来貸したものは四%とか四・五%とか六%とか六・五%というような高い金利で貸しているわけです。それで、それは固定金利ですから、これが一般の市中銀行よりもはるかに高くなってしまった。そこで、昨年の十月ですか、これを五%に減免するという措置を講じた。しかしながら、まだまだ大変なこれは負担感があるわけですね、借りている中小企業にとっては。  こうした情勢の中で、昨年度は国から合計で七百三十九億円の補てんがあるわけです、中小企業金融公庫に対して。そこで、最近のそうした情勢の中での経営実態といいますか、それを示すとしたら、貸し付けの規模という点でお答えをいただけましょうか。貸し付けの規模という点でいうと、昨年度ないし一昨年と比較して、最近どのように変化しておりますか。
  43. 新欣樹

    ○新政府委員 中小公庫でございますけれども政府系金融機関としての役割から御説明をする必要があろうかと思いますが……(石井(紘)委員「それはいいです」と呼ぶ)よろしいですか。中小公庫、いわゆる民間の金融機関では貸しにくいような長期、固定の金利でお貸しをするというようなことでやってまいっておるわけでございます。  これまでの貸付残高ベースというところで見てみますと、いわゆるバブル期におきましては、民間金融機関もかなり中小企業向け貸し出しというのは伸びてございますけれども、同時に、政府系金融機関の貸出残高というのも伸びておるわけだった。それが、バブルが崩壊をしたと言われる平成二年度、三年度、四年度というあたりを見てみますと、民間金融機関は、貸し出しの伸び率、残高の伸び率というのは非常に落ちておるところでございますけれども、それに反比例をするような形で政府系金融機関については伸びておるという格好で、そういった残高を見ましても、民間金融機関のビヘービアに応じた補完関係というものが成り立っておるということが言えようかと思います。  最近の情勢ということでございますけれども、これは民間金融機関の貸し出し意欲が、特に優良な中小企業に対しては旺盛でございまして、このため、中小公庫の貸出先からは、いわゆる繰り上げ償還、過去貸していた分については、民間金融機関から借りて借りかえるというような動きが出ておりまして、これは非常にいろいろな意味解決すべき課題ということになっておったわけでございますけれども、それが今御案内のように、昨年の金利減免措置、五%超のものを向こう一年間についてでございますけれども減免をするというようなことによりまして、一応の答えを出したわけでございます。しかし、その後の情勢というのを見てみましても、貸出残高の伸びというのはむしろ減りぎみというところにございます。
  44. 石井紘基

    石井(紘)委員 もう余り時間がありませんが、昨年五%へ金利減免したのですが、そうすると減免する分だけ国の持ち出しと結果的にはなるわけなのですが、それはそれとしておいて、もうこれ以上減免措置というのは考えていないのでしょうか。  それから、今後そういう、なかなか厳しい実態の中で、借りる金利と貸す金利が同じというような実情の中で、市中金利が、金利が上がっていくということをただ単に期待しているというだけでいいのかどうなのか、そのあたりを含めた展望。  それから、こうした三・一五%というような金利で、中小企業にとって大してメリットがあると思えないのでありまして、恐らく貸出件数も大きく減ってくるという傾向でありますので、そのあたりもどのように考えているのか、それだけお尋ねをして、質問を終わりたいと思います。
  45. 新欣樹

    ○新政府委員 まず最初の、減免措置を今後も継続するのかどうかというお尋ねでございますが……(石井(紘)委員「いや、継続じゃなくて、だってことしの十月で切れてしまうわけだから、さらにもう一回やるというつもりはないのかということ」と呼ぶ)これにつきましては、ただいま中小企業者からのいろいろな要望がございます。継続してほしいというものもございますし、さらに、五%という水準をもっと割り込んだことにしてほしいというふうな御希望などもございます。これはやはり、そのときにおける市中金利とか政府系金融機関の基準金利の、こういった金利の動向というものを見きわめつつ、そのときの情勢においてまた検討すべき問題というふうに考えておるところでございます。  それから二番目、利ざやがないような状態で中小公庫などは十分な合理化努力を図っておるか、こういう御質問かと思いますけれども、確かに、現在の超低金利とも言えるような状況の中では、利ざやというものが発生してございませんけれども、過去におきましては、いわゆる基準金利と、それから原資となる財投金利との間で一定の利ざやといいますか、そういうものが発生をしておったこともあるわけでございます。したがって、これもやはり今後の金利の情勢というものを注視をし、それに応じて対応するということでございますが、私ども、中小公庫に対しましては、不断の経営の合理化努力というようなことは指導をいたしておるところでございまして、公庫といたしましても、例えば情報化を行うというようなこととか、あるいはOA化を進めるというようなことによって合理化を進めておるところかと思います。  それから、市中金利に比べて金利が高いのでメリットがないのではないかという御指摘でございますが、確かに三・一五%でございますが、十五日からこれが、財投金利が上がることによって基準金利も上がり、三・四になる予定になってございますけれども、そういう状況の中でも、中小公庫の顧客というものは現にまた存在をしますし、さらに私ども、基準金利のもとでもそうですけれども、政策的な意味合いというものがございます。例えば、これからベンチャー企業を育成するというようなときに、この基準金利を下回る、いわゆる財投割れ金利と称しておりますが、特利と いうものを活用することによって、いろいろまた政策的な誘導効果というものも図ってまいりたいと思っておりますし、そういうようなことで中小公庫の役割、今後とも非常に重要なものがあるというふうに考えておる次第でございます。
  46. 石井紘基

    石井(紘)委員 以上です。ありがとうございました。
  47. 甘利明

    甘利委員長 石井君の質疑は終了いたしましたが、次の質疑者が出席をしておりません。  速記をとめてください。     〔速記中止〕
  48. 甘利明

    甘利委員長 速記を起こしてください。  午後零時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二分休憩      ————◇—————     午後零時三十五分開議
  49. 甘利明

    甘利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  新進党所属委員出席を要請いたしましたが、出席をいただけません。やむを得ず議事を進めます。  質疑を続行いたします。吉井英勝君。
  50. 吉井英勝

    吉井委員 私は、最初に、委員会の持ち方についての日本共産党の見解というものを申し述べておきたいと思います。  日本共産党は、審議拒否とか物理的抵抗で阻止する、そういう立場に立つものではありません。しかし、委員会を構成するかなりの部分理事会にも委員会にも出席していないもとで委員会を設定し開会するという、こうしたやり方については同意をするものではありません。  問題の出発は、御承知のように、三月一日に、三月四日の日に予算委員会採決を強行するというその設定が行われたという点では与党の側のルール違反の問題がありますし、同時に、三月四日以降、新進党議会制民主主義に対するルール違反というやり方を進めて、非常に不正常な事態が広がってきた、ここに今問題があるわけであります。  日本共産党は、昨日も与党三党の皆さんと幹事長、書記局長の会談も持ちまして、四党で三項目の合意に達しておりますし、そういう立場で正常化に向けての努力を、今、しているところです。衆院議長にも、与党の皆さんと我が党の代表がそろって行って、申し入れもやってきたところであります。それだけに、本日の委員会の設定と開会については極めて遺憾である、やはり努力を尽くすべき時期である、このことを申し上げて、しかし、現実に委員会が開会されておりますので、質問に入っていきたいというふうに思います。  最初に経済企画庁長官に、私は、昨年十二月一日に閣議決定されました「構造改革のための経済社会計画」、この問題について質問をしたいと思います。  それで、我が国経済社会構造の抜本的改革が必要で、変革に伴う痛みは避けられないということをこの中で言っているわけでありますが、それでは一例として、雇用の分野とか中小企業、農業でどのような痛みを伴うものと想定をしているのか、そして、大臣はこういう痛みは仕方がないという立場に立っておられるのかどうか、この点を最初に伺いたいと思います。
  51. 田中秀征

    田中国務大臣 私は、九三年でしたか、細川内閣のときに、経済改革研究会、平岩研究会というのが総理の諮問機関としてできまして、そのときに政治家として一人参加をさせていただいて審議のすべてに加わったのですけれども、そのとき以来、規制緩和構造改革というものをずっと考えてきました。  規制緩和構造改革ということを進めるについて、経済の目から許されてもほかの面からはどうかというような問題が幾つかあるということをそのとき以来感じているのですが、やはり規制緩和構造改革を進めるためには、三つ四つ注意しておかなければいけない問題があるというふうに思ってきました。  一つは、今御指摘の雇用をどうするか。規制緩和がある意味で実効が上がるものであればあるほど、余剰労働力を生むものだというふうに思ってきましたから、そしてこの余剰労働力というものをきちっと吸収できる雇用の創出計画というものが一方でなければ、経済の目から見て成り立っても、政治的、社会的には成り立たないものだというふうに考えてきました。  それから、ほかには、やはり社会的規制というのは大事なものもあるし、これからも強化しなければならないものもある。健康とか安全とか環境、そういうものにかかわる問題。ですから、経済的規制と社会的規制の線引きというのは非常に困難で、単純に、これは経済的規制だということを一〇〇%決めつけるものというのは少ないですね。ですから、その辺の社会性というものをどう見るかということは非常に問題で、この構造改革を進めるに当たって、社会的規制まで、何というか緩めていく、必要なものまで緩めていくということは問題だから、気をつけなければいけないということが第二点でした。  それからもう一つは、御指摘のように、例えば労働移動を円滑にするために、職業訓練、能力開発あるいは職業紹介、こういう円滑化のための努力をしても、やはりそれからそれる人はおります。山村のおじいちゃん、おばあちゃんが小売をやっていて、その商売をやめてパソコンを習うというわけになかなかこれはいかないですから。ですから、中小企業、農業、そういう人たちに対する社会政策的措置というところまで断定しませんけれども規制緩和構造改革を進める上に、社会政策的見地というのは常に政治は持たなければいけない、そういうことを感じてきました。  それからもう一つは、規制緩和とか構造改革というのは、これは経済構造に対する手術ですから、手術にたえ得る基礎体力といいますか、そういうものが必要で、これが当面の景気対策である。やはり手術をしていくに際しては、一定の経済の安定した成長軌道というのは設定されていなければいけない。もちろんその中には、参入規制の中にあると思うのですけれども、規制が緩和され、あるいは撤廃されたときに直ちに設備投資に結びつくような、景気に対して即効性のあるものはあると思いますけれども、いずれにしても、当面の景気、その基礎体力の維持というものも必要だということを私は感じてきました。いずれにしても、痛みを分かち合うとか、痛みは避けられないといった場合には、その手術後にさらに元気な体になるということを見越してのことであります。
  52. 吉井英勝

    吉井委員 痛みを伴うというときに、痛みを実際に受ける側と、人に痛みを押しつけるといいますか与えるといいますか、そちらと立場が違うわけですね。やはり痛みを現に受ける側の問題というのを、政治はしっかりそこを見なければいけないというふうに思うのです。  この計画の中でも、図表の五ですね、この将来展望というのを見ておりますと、「就業構造の将来展望」では、九三年から二〇〇〇年にかけて、農林水産業が三百八十三万人から二百八十三万人へ百万人の減、それから製造業が千五百三十万人から千四百六十九万人へ、こちらはふえる分もあって、差し引きしての話ですが、六十一万人の減。それから、商業の分野では三十万人の減。これだけ雇用の喪失ということがここでは示されているのですが、この構造改革により痛みは避けられないという、この雇用喪失で現に痛みを受ける側、それは避けられないという立場に立ってしまうと、これはやはり私は大変な問題だと思うのです。この点では、この政府計画が実行されれば大量失業事態を招くということにもなるわけでありますし、大量失業やむなし、この計画を読んでおりますとそのことを懸念せざるを得ないのですが、大量失業やむなしという、それを方針として経企庁長官が臨まれるのかどうか、この点を重ねて伺っておきたいのです。
  53. 田中秀征

    田中国務大臣 新しい経済計画の策定の事務局を務めた計画局長が来ておりますので、また後で 御説明をさせていただきますけれども、痛みを引き受けるというのは、当然、先ほど申し上げましたように、さらに元気になっていただく、日本経済が元気になる。あるいはまた、痛みを引き受ける人たちが、将来的にとにかくその痛みを受けたままであるということではもちろんない。ただ問題なのは、このまま構造改革のメスを入れない、手術をしないで経過していくということになれば、結局、産業の空洞化あるいは全体としての衰弱ということが、全体にまたはね返ってくる。そういうところに来ているので、ここはもう日本経済というのは思い切って構造改革のメスを入れなければいけないところまで来ているということです。  その場合に、本当に一番考慮すべきことは、まさに雇用の問題であります。折から三・四%という最高の数字が十、十一、十二と三カ月続いてきているわけですが、これは、一般的に景気回復によって改善されていくという部分ももちろんありますけれども、しかし、それだけではだめである。やはり新しい産業分野が切り開かれていく、経済のフロンティアが拡大していく、そういう経済の活性化の流れの中で新しい雇用が創出されるように努めていかなければいけないと思います。  経済計画については、その中で成長期待分野として七分野挙げているということは先生御承知のとおりで、そこで西暦二〇〇〇年までに四百二十一万人という雇用を期待しております。これは、例えば人材派遣であるとか、あるいは医療保健であるとか住宅の関連とか環境の関連とか、一つ一つ見れば十分納得していただける分野であります。そのほかに、科学技術の開発、人材の育成によって、私どもが今未知の部分での新しい分野が切り開かれていく、そういう可能性もやはり追及していかなければいけないというふうに思います。  その経済計画については、計画局長の方からちょっと……。
  54. 吉井英勝

    吉井委員 計画の方はいいです。  それで私は、その数字については、あわせて通産省の機情局の方が機械産業懇談会報告書というのをまとめておりますが、そちらの方でも、自動車は二〇〇〇年には四〇%程度が海外生産比率になっていく、カラーテレビはもう九〇%程度だ。これは自動車、電機の一例でありますが、そうした中で、二〇〇〇年時点で、この海外生産が伸びる結果、雇用が一〇%程度減少していく、そういうことも挙げているわけですね。この中では、さらに日経連などでは我が国全体として数百万人から千数百万人の余剰人員があるという試算も出ておりますが、私は、大体今も大変な大量失業時代で、特に大学は出たけれどもという時代ですが、同時に、これが二〇〇〇年の時代にさらに雇用が喪失されるのだというお話が出てくる。一方、ふえるお話もありましたが、それは期待するという、期待の話なんですね。これでは、痛みを受ける側の問題というのは深刻なままなんです。  機情局の方にちょっと確かめておきたいのですが、自動車、電機については私の指摘したとおりの数字でいいですね。
  55. 渡辺修

    ○渡辺(修)政府委員 お答え申し上げます。  今委員指摘の、自動車、家電についての海外生産比率の数字はそのとおりでございます。  それから、それも含めまして、あとコンピューター、半導体、その他入れました主要機械産業でございますけれども、それにつきまして、伝統的な部門といいますか現在の機械産業、そのトレンドをずっと伸ばすような形で、かつ為替が漸進的に高くなるという前提での積み上げを行ったところは、先ほど御指摘がありましたように、大きく見て一〇%ぐらいの減になっていくんじゃないかというのが我々の数字でございます。ただし、これは報告にも指摘してございますように、思い切った新規産業、あるいは情報と機械を融合したような産業、あるいは高付加価値のキーテクノロジー産業、そういった分野の開発拠点をこれから国内にしっかりと築いていかなきゃいかぬ。それの成果というのは入れておらない、現状を伸ばした数字ということでございます。
  56. 吉井英勝

    吉井委員 それで、今数字の方は機情局の方でお認めになったとおりなんですが、リストラをどんどん今進めているわけですね。その中で、例えばリストラの結果、私もこの間新日鉄の皆さんからいろいろお話を伺ってまいりましたけれども、とにかく若い年齢にして転籍だといって首を切られて、今までだったら出向だと思ったところが、そこが下請仕事を切られて実際に失業になっていくとか、残った人たちはまた超過密労働という問題なども生まれてきております。しかし、その中で鉄鋼六社はそろって黒字。だから、企業の方はうんと利益を上げているんだけれども、本当にだれが痛みを受けているかということは、非常にこういうところに鮮明になってきているんですね。これが今もお話がありました自動車、電機の方ですね。そこで海外生産比率がどんどん進んでいく。  これは既に商工委員会で取り上げておりますが、その結果、東京の蒲田の方にしても、大阪でいえば東大阪などの方にしても、自動車とか家庭電器などを支えてきた非常に力のある下請中小企業、ここはせんだってNHKのテレビによりますと、人工衛星から原発に至るまで最も精密な部門を支えてきたということでも紹介されておりますが、そこが空洞化するということは、技術力が失われていくんです。ニュービジネスだとか新規産業とおっしゃるけれども、その開発力は失われていくんですよ。これでは期待値がその期待のとおりにはいかないということは明らかであります。  さらに、せんだっても商工委員会で取り上げましたような分野も含めて、日本中小企業と雇用を支えてきたところ、この間は大川の家具あるいは川辺の仏壇なども紹介いたしましたけれども、地方に行っても、今度は地場産業、産地中小企業が衰退していく。それが全体として消費購買力を失ってしまって、物を買う力は衰えているのに、大スーパーだけどんどん規制緩和だといって進出するものですから、ますますもって中小商店がつぶれ、地域社会が崩壊していくという事態が現実に進んでいるわけですね。  だからその中で、おっしゃったような構造改革という言葉じゃなしに、やはり今必要なことは、なぜこういうふうになってきたのか。これは本当に合理化、リストラをどんどん進めて、なるほど自動車、電機などは非常に、異常と言えるぐらいの強い輸出競争力を身につけたけれども、これはどんどん輸出して貿易黒字をうんと大きくして円高に振れていく、円高だからまた合理化を進める、リストラを進めるというやり方でもってここへ来たわけですから、そこのところの、おっしゃった構造転換という言葉を使うならば、文字どおりここの転換をしなきゃいけないと思うんですよ。  こういう点では、私は一方的なことを言っているんじゃなくて、これも紹介しておりますが、野村総研の研究員の方はトヨタ自動車の研究の中で、そういう悪循環のことを悪魔のサイクルと名づけておりますし、ソニーの元会長の盛田さんにしても京セラの稲盛さんにしても、これまでのようなヨーロッパよりうんと長い長時間過密労働の是正とか下請取引の是正とか、そこをやらなきゃいけないという提起が財界筋からも出ております。今必要なことは、なるほどそのことは逆のことをやっているように見えるけれども、しかし、そのことによって国内の消費購買力を高める、そのことによって国内需要を高めるということが国内生産の拡大にもつながっていくわけであるし、一時的に確かにそれはコストアップになりますから、これは貿易黒字が減る方向になって、そして円高是正へ向かうわけですね。  一九八五年のプラザ合意までの間、ニューヨークの物価を一〇〇として、日本が大体九三とか四とかであったのが、プラザ合意以降急速に逆転してしまって、日本の物価は二倍も高いと言われるぐらい円高になっております。これは円の実力を示すものじゃなくて、円の実力よりも、二倍も高いというところに異常さがあるわけで、そこをや はり是正しないと、コスト高の問題、いろいろな議論がされますが、しかし、ここを本当に改めるという、そこのところに経済企画庁長官もやはり抜本的に切り込んでいくということをやらないと、私は、今日直面している課題解決することはできないし、このまま産業空洞化等が進みますと、これは間違いなく、まあ麻薬や暴力や殺人といった社会の荒廃という、社会が空洞化してしまうといいますか、そういう問題に直面せざるを得ないという点で日本の将来を大変憂えているわけです。  そういう点で、私は、今申し上げましたようなまさにその悪魔のサイクルを逆転させる、そういう立場に立ったこの計画の見直しというものが必要だと思うんですが、この点を最後大臣に伺っておきたいと思います。
  57. 田中秀征

    田中国務大臣 共産党さんという立場でのお話なんですが、私どもの考え方と本当にそれほど変わらないな、そんな気持ちで実は伺っていたんです。いろいろお話があった中で、特に私が感じたのは、やはり理科系の研究室が荒廃していると、その国の将来というのは明るくないというふうに思ってきました。  ちょっと余談なんですけれども、先日、私の地元にある中学の新築祝いがあって、私は中学生の前で一言話したときに、理科の勉強をもっとしろという話をしたんです。後で社会科の先生が怒っていたという話も子供から聞きましたけれども。理科系になぜ行かなくなったかということを最近つくづく感じるんですが、経済社会が何を目指しているのかということが明確でなくなってきたんだなというふうに私は思います。ですから、最初の記者会見でも、私は、この経済の停滞の根底には価値不況というのがあるんだということを申し上げました。これがこれからの価値だぞと、間に合わせて用意するものじゃないと思うんですね。これは相当の苦悩を経て時代の中から生み出されるものであって、間に合わせにポケットから出して、これが新しい価値だというものではない。そういう非常に大きなうねり、過渡期に今あるんだなというふうに思います。  転換期というのはこういうものだと思うし、日本が最先端を走っているゆえに、この重圧は日本にとって非常に重いものでもあるし、そういうことを考えながら今のお話を伺っておりました。  ただ、先ほどと同じ痛みの問題については、あくまでも痛みをなくすために手術をするんだという大前提で考えているということは御理解いただきたいというふうに思います。  ですから、そういう意味では、これは規制緩和構造改革によって余剰の労働というのが生まれることは避けられないんですけれども、やはり第一段階としては、景気回復ということによって吸収できるように、当面の景気というのは非常に大事だというふうに思いますし、やはり規制緩和による経済の活性化によって生まれる雇用、新しい産業もあるかと思います。企業のリストラあるいは高コスト構造の是正という形で進んでいきますとどうしても余剰が出ますけれども、そういう部分はまた、新しい企業、産業、ベンチャー、そういうものを積極的に支援し育成していくという中で吸収していかなきゃいけない。  吸収するという言葉は語弊があるんですが、吸引力、むしろそっちの方に積極的に労働が移動していく環境をつくっていかなきゃいけないというふうに思いますし、また、労働移動がしやすいような環境、職業紹介であるとか人材派遣であるとか能力の開発、再訓練、そういう環境もきちっと整えていかなければいけないし、最終的には、先生が先ほどからおっしゃっている、新しい技術による新しい産業の分野を切り開いていくということを念頭に置いてもっと長期的にやっていかなければいけないし、大筋では昨年末の経済計画というのはその方向に沿った計画であるというふうに私は思っております。
  58. 吉井英勝

    吉井委員 現実に進んでいる事態というのは、例えばこれはせんだって朝日の九日付にも紹介されておりますけれども、鉄鋼六社は、企業は黒字なのですね、企業が痛みを受けているわけじゃないのです。しかしこの間、すさまじいリストラで、そこに働いていた人たちは大きな痛みを受けているのです。  そして大臣、一度八幡へ行かれますとよくわかりますが、かつて活況を呈した町が本当に寂れているのです、そこで商売をしていた人たちも、もう商売が立ち行かなくなるとか。今、本当に八幡の町の駅へおりて初めて入った人がびっくりしたのは何かといいますと、葬儀屋さんの、お葬式の会館だけ立派だった、あとの町は本当に寂れておったと。  これはだれが痛みを受けているのか。その痛みを受ける人たち立場に立った経済運営というものにやはり切りかえなければ、それは新日鉄で働いている人もそうですが、地域社会を構成してきた人たちが、地域社会そのものが崩壊するような事態に直面して、今大変になってきているわけです。  ですから、この計画はこれでいいんだということじゃなしに、私は、やはり今大事なことは、かなり意見が一致するところがあるというお話であれば、それは抜本的に切りかえていくという、この計画の見直しそのものが今求められているということを申し上げておきます。  あと残り時間が五分ほどになってまいりましたので、私は、阪神大震災からちょうど一年二カ月を過ぎた時点で、昨年もコンビナート防災の問題について質問をいたしましたが、そのことについて、残り時間で二、三お聞きしておきたいと思います。  一つは、このコンビナート災害が起こったらどんなにひどいことになるかというのは、私はかつて、もう十数年前ですが調査をいたしました。例えば、コンビナートで爆発火災が起こる、その被害というものは、直江津の方の信越化学で起こったときは、二・四キロ先まで爆風圧による被害が及びました。それから、有毒ガスが流出したときにはどうなるか。四日市の日本アエロジルで被害が起こったときには、市民の中で一万五千人がこの有毒ガスの被害を受けておりますし、農作物被害が十六万平方メートルに及んでおるというすさまじい事態も生まれるわけです。  日本の場合は、アメリカのような広大な土地の中で人口密集地から離れたところに石油化学企業なりコンビナートがあるわけじゃなしに、人口密集地の、川崎でいえば百万都市、大阪でいえば堺等周辺の百万都市の真横にコンビナートがあるという点で、この点では防災対策については特段の取り組みというのが私は求められていると思うわけであります。  その点で、阪神大震災のときに破壊されたときの堺・泉北のように、阪神大震災の震源地からはるかに離れたところでもメーターが振り切れてしまってコンビナートで十分機能しなかったということを昨年も取り上げましたが、やはり現に取りつけてあるそういう機器から装置から、実際に地震で外部電源も内部電源も、スチームも水も、そして配管の中にある石油、エチレンからその他が破損されたときに、どうして周辺の住民の安全を守るか、こういう立場に立った防災というものが今非常に求められているときだと私は思うのです。  その点で、阪神大震災の教訓に立って耐震基準が強化されたのかどうかという点、それからこういう安全点検については基準が強化されたのかどうか、また防災点検というものがきちっと定期的に公的にチェックされているのかどうか、その点を二つ目に伺いたいと思うのです。  三つ目には、先ほど来議論してまいりましたリストラの結果、実はコンビナート企業の中でもリストラが進んだ結果、どういうことが起こっているか。自衛消防隊の専任の職員が半減してしまっているところもあるのですね。そういうのがきちっと調査されているのかどうか。そして、相互応援協定に基づいて出動する消防資機材が、きちっと基準どおりあるのか。現に、リストラが進む中で非常にこれが欠陥を持ってきたり不足して きているということが、私は調べているのですが、そういうところをきちっと、今度は消防庁の方は把握しているのかどうか、その点を伺いたいと思うのです。  最後に、そういう日本のようなアメリカと違った地理的環境の中で、百万都市の真横にあるようなコンビナートについては、それに合った設備基準、点検基準をきちっと厳密なものにして、その上で、民間がチェックするのは当然ですが、官民ダブルチェックの体制というものを今本当に強化していかないと、一年二カ月たってみて、もう地震のことを忘れてしまった、こういうことになってしまっては大変なことだと思うのです。この点についての通産省と消防庁の取り組みをお聞きし、一番最後に、これはやはり強化してもらいたいので通産大臣の決意を一言伺って、時間が参りましたので私の質問を終わりにしたいと思います。
  59. 鈴木孝男

    ○鈴木(孝)政府委員 コンビナートの防災につきましては、先生御指摘のように、地域の住民との関係もございますので、従来から安全を最優先に対応してきたところでございます。  昨年の阪神・淡路大震災のケースにつきましても、一部液化石油ガス漏えい事故もございましたものですから、私ども、高圧ガス保安協会に高圧ガス設備等耐震対策検討委員会を設置いたしまして、耐震基準も含めましての検討をしておるところでございます。近く結論が出るかと思っておりますが、配管系に係る事故もございましたので、そのような基準につきましての見直しも行っておるところでございます。  なお、コンビナートにつきましては、高圧、ガス取締法あるいは石油コンビナート等災害防止法もございますが、私どもも、よく消防庁とも連携をとりながら、安全対策にこれまでも努めてきておりますし、今後も対応してまいりたいと思っております。
  60. 小林恭一

    小林説明員 阪神・淡路大震災の際には、石油コンビナートにおきましては、幸いにも爆発火災等の大きな災害は発生いたしませんでしたけれども、石油コンビナートで火災、爆発等の大規模な災害が発生いたしますと大きな被害が出るというようなことにつきましては、大規模な地震などの場合も含めて、依然としてその危険性が存在しているというふうに考えております。  阪神大震災以降、消防庁といたしましては、まず地震対策についてでございますが、危険物保安技術協会というところに耐震基準の検討の委員会を設けまして、石油タンク、それから防油堤、それから配管類等につきましての耐震基準の検討をいたしております。阪神・淡路大震災の被害を見ますと、特に小規模なタンクに被害が大きかったというようなことが判明しておりまして、そういうものについて、今耐震基準をどうするかというようなことについて検討をいたしているところでございます。  それから、定期点検等につきましては、消防法におきまして、一定以上の危険物を取り扱う施設につきましては一年以内に定期点検を行いましてそれを保管するということを義務づけておりまして、適切になされているというふうに考えております。  それから、リストラの話でございますが、最近の経済情勢を反映いたしまして、石油コンビナートにおきましてもいわゆるリストラというものが進んできておりまして、防災体制につきましても合理化の動きが出ているということにつきましては承知しているところでございます。しかしながら、石油コンビナート等で発生する災害から住民の生命、身体、財産を守ることは極めて重要でございまして、防災体制の合理化につきましても、石油コンビナートの防災の水準を確保することを大前提として行われるべきものと考えております。  先生が御指摘になりました、リストラによって防災体制が半減しているという、あるいは資機材が整備されていないというようなことにつきましては、私どもの方で調査した限りにおきましては、法定の要員あるいは資機材が完備しているというふうに報告を受けております。  以上でございます。
  61. 塚原俊平

    塚原国務大臣 保安を確保することは極めて重要であると認識をいたしております。
  62. 吉井英勝

    吉井委員 終わります。
  63. 甘利明

    甘利委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時十一分散会