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1996-02-21 第136回国会 衆議院 商工委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年二月二十一日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 甘利  明君    理事 逢沢 一郎君 理事 自見庄三郎君    理事 塩谷  立君 理事 古賀 正浩君    理事 西川太一郎君 理事 増子 輝彦君    理事 小林  守君 理事 石井 紘基君       浦野 烋興君    小此木八郎君       尾身 幸次君    岸田 文雄君       熊代 昭彦君    中山 太郎君       野田 聖子君    野田  実君       石井 啓一君    上田  勇君       小池百合子君    佐藤 茂樹君       土田 龍司君    豊田潤多郎君       星野 行男君    宮地 正介君       山名 靖英君    吉田  治君       石井  智君    大畠 章宏君       佐藤 泰介君    松本  龍君       吉井 英勝君    後藤  茂君       牧野 聖修君  出席国務大臣         通商産業大臣  塚原 俊平君         国務大臣         (経済企画庁長         官)      田中 秀征君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     小粥 正巳君         公正取引委員会         事務局経済部長 塩田 薫範君         経済企画政務次         官       清水 澄子君         経済企画庁調整         局長      糠谷 真平君         経済企画庁国民         生活局長    坂本 導聰君         経済企画庁総合         計画局長    土志田征一君         経済企画庁調査         局長      澤田五十六君         通商産業政務次         官       遠藤  登君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       大宮  正君         通商産業大臣官         房審議官    横川  浩君         通商産業省通商         政策局長    細川  恒君         通商産業省貿易         局長      広瀬 勝貞君         通商産業省産業         政策局長    牧野  力君         通商産業省環境         立地局長    鈴木 孝男君         通商産業省基礎         産業局長    林  康夫君         通商産業省機械         情報産業局長  渡辺  修君         資源エネルギー         庁長官     江崎  格君         中小企業庁長官 新  欣樹君         中小企業庁計画         部長      藤島 安之君  委員外出席者         環境庁企画調整         局環境影響評価         課環境影響審査         室長      寺田 達志君         国土庁大都市圏         整備局総務課長 有賀 長郎君         労働大臣官房審         議官      木村富美雄君         労働省職業安定         局雇用政策課長 青木  功君         労働省職業安定         局業務調整課長 井原 勝介君         商工委員会調査         室長      石黒 正大君     ————————————— 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 甘利明

    甘利委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大畠章宏君。
  3. 大畠章宏

    大畠委員 自由民主党とさきがけ等々の御配慮等もありまして、また私が今回社民党の当番でございますので、私の方から大臣所信に対する質問をさせていただきたいと思います。  冒頭に、塚原大臣におかれましては、私自身も同じ郷土出身でございますので、そういう意味で、同じ郷土出身議員として、このたびの大臣就任に対して心からお祝いを申し上げたいと思います。非常に厳しい国際状況下でございまして、また国内経済も大変な状況でございますので、橋本通産大臣の後任として、ますます御活躍されますことをお祈り申し上げたいと思います。  そこで、さき大臣所信に対しまして、与党を代表して質問をするわけでありますが、第一番目には産業空洞化対策、さらに第二番目には雇用問題、第三点には円高対策等々について、順次お伺いを申し上げさせていただきたいと思います。  昨年、一時七十九円台に突入したわけでありますが、国内産業界は大変な事態になりました。この非常事態に対して、当時の橋本通産大臣を先頭に、与党通産省など一丸となって規制緩和などによる輸入拡大策など円高対策を必死に行い、その対策等もあり、一時百七円台に戻しました。現在、日銀の介入状況等がきのうの夜も伝えられましたけれども、百五円台の後半に推移しているという状況でございます。この状況に対して、現在、日本国内大手企業等々は、工場の海外移転等々、また大規模なリストラ等を実施しながら、この重大な危機を乗り越えようと対策をとりつつありますけれども中小企業はより深刻な状況下にございます。  そこで、最初に中小企業に対する支援策と、さらにベンチャー企業に対する支援策等について、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  4. 塚原俊平

    塚原国務大臣 通産大臣に就任いたしまして、昨年の大畠政務次官の大変な御実績を聞くにつけ、すばらしい相手と今度選挙が戦えることを大変に喜んでおります。  また、私ども地元もまさに大企業がございまして、産業空洞化をして中小企業が大変に困難をきわめている、苦労しているというような地域でございます。この懸念に対処するために、技術開発とか新規創業等創造的な事業活動を行う中小企業者に対します支援を、昨年度、先生政務次官のときからいろいろな形で実施をいたしておりますが、詳しくは中小企業庁長官の方から御答弁させていただきます。
  5. 新欣樹

    ○新政府委員 御指摘のように、産業空洞化問題というもので中小企業が今厳しい状況に立たされておるということは、そのとおりだと思います。  中小企業といたしましては、一つにはやはり自分自身海外進出をして活路を開拓をするというような考え方もあろうかと思いますが、そういう場合には、私ども中小企業事業団あるいはジェトロを通じました情報提供、あるいは診断指導と いったような事業を行っておりますし、また一昨年の十一月に新分野進出法を御制定いただきまして、これによりまして必要な支援措置などを考えておるわけでございます。  しかしながら、空洞化問題に対処するには、やはり国内中小企業が頑張ってもらうということが基本でなければいけないと存じておるところでございます。そのためには、ポイントとなりますのは、やはり技術開発技術力だと思います。この技術開発に力を入れ、またこの技術をてこに、新規事業への進出あるいは創業というようなことを支援をしていくということが必要だろうと思っております。  大臣が申し上げた新産業創造というようなこともこれに入ろうかと思いますけれども、このため、昨年の四月に中小企業創造活動促進法というのを御制定いただきましたけれども、それはこうした基本的な考え方のもとに行われておるものと思っております。今国会におきまして、この中小企業創造活動促進法改正法案を提出させていただいております。  こういった中小企業者技術開発新規創業等創造的事業活動ベンチャービジネスへの挑戦といったものに対しまして、引き続き支援を行ってまいりたいと思っております。
  6. 牧野力

    牧野政府委員 ただいまベンチャーにつきましては中小企業庁長官がちょっと触れましたが、ベンチャー企業育成について概括的に申し上げます。  御案内のように、ベンチャー企業育成を図っていくためには、資金調達面、それから人材確保面技術開発面からの総合的な支援対策が必要であるということでございますが、まず資金調達面では、委員十分御承知のとおり、店頭特則市場を創設いたしますとともに、産業基盤整備基金等公的機関による融資制度債務保証制度出資制度を充実させてきたところでございます。また、人材確保面におきましては、人材確保の切り札として、いわゆるストックオプション制度を導入いたしました。これは新規事業法、昨年の臨時国会改正をいたしましてこれを導入いたしまして、年末の税制改正におきまして、これの導入が容易になるような関連税制の創設を図ったところでございます。また、技術開発面におきましては、特に大学等企業との共国技術開発支援する融資制度といったものの充実を図ってきたところでございます。  いずれにいたしましても大事なのは、こういった制度を十分に普及啓発をして、使っていただくということにあろうかと思います。そういうことで、ただいま申し上げました施策をより着実に進めるとともに、この啓発普及に一層努めてまいりたいというふうに考えております。
  7. 大畠章宏

    大畠委員 それぞれ御答弁賜りましたが、平成七年度の補正予算等も、また平成八年度の予算も、中小企業に対する大変な支援策を入れた形で提案をしておるところでありますが、私は、この政府施策が本当に実効あるものかどうかを、まあ検証するということではないのですが、実際に大臣地元の日立市もそうでありますし、今中小企業庁長官の方から話がありましたけれども中小企業のところに、現場に出ていって、この政府施策はどうですか、使い勝手はいいですか、さらに何かやることはありませんかというような、実際の生の声を聞くように、全国の数カ所を選んで中小企業庁現場に出ていって、話を聞きながら政府施策を進めることが必要だとさらに思うのであります。  この件について、これは大臣中小企業庁長官にお伺いしたいと思います。
  8. 新欣樹

    ○新政府委員 御指摘のように、常に現場、生の声を敏感に感じ取って施策に反映していくということは、これは非常に大事なことでございまして、私も、感度のよい行政というものが必要だということを事あるごとに申し上げておるところでございます。  もちろん私ども、一日中小企業庁というような企画を毎年いたしておりまして、各地方で、中小企業庁がそこに移ったというようなことで、各現地の御意見を承ることもございますし、また、私自身、時間があればできるだけ現場に出て生の声を聞くというようなことも心がけております。そういったことと同時に、通産局や都道府県あるいは中小企業団体などを通じます各種の広報活動というものにも、また力を入れてまいりたいと思っております。
  9. 大畠章宏

    大畠委員 それぞれの中小企業も必死にやっておるわけでありますが、ぜひ現場の実態に即応した対策がとられるように、さらに御努力をお願い申し上げたいと思います。  次に、雇用問題に入りますが、きょうは労働省もお見えになっていますね。大変厳しいという話を聞いておりますが、現在の雇用状況、特に高校大学など来年三月に卒業する学生さんがどういう状況にあるのか、さらにそれに対してどういう対策をとろうとしているのか。労働省それから通産省、それぞれにお伺いしたいと思います。
  10. 井原勝介

    井原説明員 お答えいたします。  学生等就職状況でございますが、まず大学就職内定状況でございますが、昨年春卒業した学生につきましては、全体で九六・三%という状況になっております。ことしの春卒業予定の大学生につきましては、十二月末現在の数字でございまして、八一・七%の内定状況になっています。昨年の状況と比べてみますと、同じ十二月末現在で八五・九%ということですから、約四%ぐらい悪い状況になっております。短大卒業生あるいは高校卒業生等につきましても、昨年と比べまして少し落ち込んでいるという状況で、非常に厳しい状況になっております。  労働省といたしましては、こういった厳しい状況の中、三月まで残りわずかでございますけれども、最後まで、少しでも多くの学生就職していただけるようにということで、全国学生職業センター、それから昨年補正予算でつくりました臨時学生職業相談室、さらには全国公共職業安定所を通じまして、求人開拓、それから就職面接会の積極的な開催、あるいは求人一覧表配布等を通じて就職促進に最大限の努力をしているところでございます。
  11. 青木功

    青木説明員 雇用対策全体について御説明申し上げます。  雇用失業情勢につきましては、ただいま先生からお話がございましたとおりでございますけれども二つ大きな対策をとっております。  一つは、昨年の通常国会におきまして改正をいただきました業種雇用安定法、これに基づきまして特定雇用調整業種というものを指定いたしまして、今後雇用が減っていく傾向にある産業から雇用が伸びていく産業への、失業なき労働移動といったことを目的とした対策一つ講じております。  それから、中小企業対策でございますけれども、これらにつきましても、新しい産業なり新しいサービスを提供するという活動人材確保面から支援するということで、昨年秋の臨時国会におきまして中小企業労働力確保法改正をいただきました。  こういったことから二つの面で新しい対策をつくりまして、産業対策とも連携を十分とらせていただきながら施策を展開しているところでございます。
  12. 牧野力

    牧野政府委員 雇用対策につきましては、私ども産業政策を扱う立場からも非常に重視をいたしております。  私どもといたしましては、基本的には、まず早期の景気回復をし、ここで雇用を吸収していくということ。それから、先ほど御質問がございましたけれども、新しい分野、これはベンチャーのみならず既存の企業がいろいろなノウハウなり労働力を利用して新しい分野進出する、こういったことを大いに助成をしたいということでございまして、委員案内のように、昨年春に事業革新法を成立させていただきまして、雇用面におきましても労働省協力して対応しているところでございます。幸いにこれは非常に使い勝手のいい法律 でございまして、現在もう百件以上動いているということでございます。  それから、ベンチャーにつきましては、先ほど申し上げましたように、諸般の対策を進めてまいりたいと考えております。
  13. 大畠章宏

    大畠委員 やはり職場を求める青年がいる、その青年がなかなか就職先がないというのは大変重大なことでありますし、また、イギリスやドイツの議員とも話をしましたけれども雇用問題というのが言ってみれば世界政治課題になってきているのじゃないか。雇用問題が社会不安を生むし、社会の秩序等も大変乱れてきている原因になっているかもしれないということで、ぜひこの雇用問題は、いろいろ難しい課題もあると思いますが、各省庁が協力をして、特に塚原通産大臣は元労働大臣もされておられますので、ぜひそこら辺、通産省労働省お互い連携をとりながら雇用確保努力をしていただきたいと思います。  さらに、円高対策等々についてお伺いをしたいと思いますが、いずれにしても、異常とも言える円高が昨年の日本経済の大混乱のもととなりました。この要因はいろいろありますが、輸出入のアンバランスというものがこの円高要因の大きなものであると理解しております。  いろいろ勉強させていただきましたけれども貿易黒字幅GDP比の一%以内に抑えることが大変肝要であるということもいろいろと指摘をされているところでございます。今、通産省もこの貿易黒字幅を減らすために輸入拡大に努めているわけでありますが、貿易黒字幅減少傾向にあると言われておりますが、さらに継続的に努力をしていかなければならないと思っております。  そこで大臣にお伺いするわけでありますが、この輸入促進、さらには、今通産省として、為替レートは一体どのくらいの水準を目標としているのか。さらには、ちょっと時間がありませんので一緒にお伺いしますが、そういう中でAPECというのも大変大きな課題になってきております。このAPECに対する大臣基本的な御認識等についても、あわせてお伺い申し上げたいと思います。
  14. 塚原俊平

    塚原国務大臣 今の、輸入促進の現状並びにドル何円がいいかということですが、これは従来から、税制金融措置等各般輸入拡大策を講じております。今後とも輸入拡大に努めてまいるわけでございますが、具体的なものは担当の方から御答弁させたいと思います。  APECですけれども、本当に先生政務次官で大変な御尽力をされまして、各国の首脳から非常に応対がよかったというようなことで、我が国の権威を高めるのに大変に役立ちました。心から感謝を申し上げる次第でございますけれども議長国として、大阪で閣僚会議及び非公式首脳会議を開催しました。貿易・投資の自由化それから円滑化及び経済技術協力の推進のための行動指針の採択をここで行いました。本年フィリピンでこれがあるわけですけれども、各メンバーが行動指針に従って自由化円滑化に関する行動計画を提出することになっております。我が国も前の議長国として、内容ある前向きな行動計画の策定を行うことが大変に重要である。  また、昨年我が国が提案いたしました人口、食糧、エネルギー環境、これは今の橋本さんが通産大臣のときにアイデアを出して、かなり先生も中へ入られたというふうに伺っておりますけれども、これを村山さんが提唱されたわけでございますけれども、この問題についても積極的に取り組んで、APECのさらなる発展に引き続き貢献してまいりたいというふうに考えております。
  15. 大畠章宏

    大畠委員 基本的な大臣のお考え伺いました。  続いて、経済見通し等についてもお伺いしたいと思いますが、ちょっとその前に、公正取引委員会公取委員長にお伺いをさせていただきたいと思います。  この公正取引委員会の問題については、日米交渉等の中でも課題になりました。いわゆる公正な日本自由競争市場を整備していくことは大変重要である。私自身APEC等に参加をさせていただきまして、この十八カ国内で共通する市場経済をどうつくるかというのは、これからの日本の大変な課題だろうと思います。そのときに、公正なる市場というものを形づくるというのはその中でも重要なものでありまして、公正取引委員会には大変大きな期待を寄せているところでございます。  ちょうど九二年の独禁法改正のときにもいろいろございました。私どもは、そういう経験を踏まえながら、さき石原官房長官に対して、当時の社会党の商工部会として、公正取引委員会機能強化を図るべきであるという要請を強くしたところでありまして、今回、きのうの閣議の中でこの機能強化が決定されたことは、私どもとして大変歓迎するところでございます。  しかし、同時に私は、機能強化とともに体質改善というのが大変重要ではないかと思うのです。かつて九二年の、先ほど言いましたが独禁法改正のときに、刑事罰研究会報告では、刑事罰の罰金の上限額を数億円が妥当という報告がされました。数億円というのは幾らかという話がありましたけれども、結果的に一億円ということにおさまった、落ちついてしまったわけですが、私どもは、諸外国の例から、五億円が妥当であるという主張をいたしました。しかしながら、政府原案としては、先ほど言いましたように一億円という形になったわけでありますが、この問題が非常に後に尾を引きました。  さらに、埼玉県の土曜会談合事件についても、最終的には告発を見送るということがマスコミ等でも問題視されましたが、なぜそうなったのか、どうもその過程がわからないという、不透明感がその当時から残りました。そういう経緯があって、あの土曜会、現職の代議士が逮捕されるという重大な事件に発展したことは、公正取引委員会委員長である小粥さんも御存じのとおりだと思います。今回の独禁法改正案作成過程におきましても、まことに理解に苦しむ行動があったところであります。  ここで大事なことは、機能強化も大切でありますが、公正取引委員会日本国民が見ていると同時に、世界が見ているんですね。世界が見ているんですよ。十八カ国のAPECも見ていると思うのですよ。そういうことで、私は、いろいろな圧力、いろいろな環境があると思うのですが、やはりおてんとうさんの下を堂々と歩ける、毅然とした公正取引委員会の姿勢が強く今求められているんじゃないかと思うのです。  そこで、公正取引委員会委員長として、これまでのいろいろな事例等々を顧みながら、これからどういう形で公正取引委員会体質改善に取り組まれようとしているのか、そういう基本的な考えをお伺いしたいと思うのです。
  16. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいま大畠先生から御指摘をいただきましたように、現在、内外から、公正かつ自由な市場、あるいは市場原理を一層徹底させて我が国経済構造を変革するということが非常に大きな課題でございますけれども、その中で、規制緩和が強く要請をされております。規制緩和後の市場考えてみますと、公正取引委員会の役割は一層重要になってまいりますし、今お話をいただきましたように、内外から公正取引委員会の仕事に対する期待ないし要請が一層強まっていることを、私どもひしひしと感じているところでございます。  御案内のように、公正取引委員会は、独占禁止法の運用に当たりましては、独立してその職権を行使するということとされております。これは申すまでもなく、独占禁止法につきましては公正かつ中立的な立場で運用することが、職務の性質上、特に必要とされているということによるものと理解をしております。そしてまた、このことに関しましては、従来から、事務局職員に対しても徹底に努めてまいったところでございます。  今お話をいただきましたように、今国会におきまして、これから公正取引委員会事務局機能強化内容といたします独占禁止法改正法案の御審議をお願いをするところでございますけれども機能強化が実現をいたしましても、最も大事 なことは、ただいまお話をいただきましたように、この公正取引委員会職務重要性というものを深く認識をいたしまして、これを基礎にした職員の質の向上、内容が最も重要であると考えているところでございます。  私どもといたしましては、今後とも法律の定めるところにより、独占禁止法違反行為に対して厳正に対処するなど、その職務を適正に行いまして、今のお話のように内外からの、そして何よりも我が国国民あるいは消費者期待にこたえ、また信頼が本当に得られるように、そのようにしてまいらなければいけないということを深く心に期しているところでございます。  今後とも御指導のほどをよろしくお願い申し上げます。
  17. 大畠章宏

    大畠委員 ありがとうございました。公取委員長、御期待申し上げていますので、ぜひひとつ、どうぞよろしくお願いします。  田中経企庁長官にもお伺いしたいところでありますが、時間が参りましたのでこれで終わりにさせていただきますが、常日ごろ大変尊敬をしております。田中長官陣頭指揮をすれば、現在の景気がより着実に回復するものと期待をしているところであります。ぜひこれからのますますの御活躍をお祈りしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  18. 甘利明

    甘利委員長 続いて、宮地正介君。
  19. 宮地正介

    宮地委員 新進党の宮地正介でございます。  きょうは、大臣所信表明に対する質疑ということでございますので、できるだけ通産大臣並びに経企庁長官と、政治家としてお互いの責任のもとに議論をさせていただきたい、このように考えております。当面する重要な政治課題につきまして、一時間十五分でございますので、その辺を中心にいろいろな角度から御質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、最近の景気の問題について少しお伺いをしてまいりたいと思います。  二月の月例経済報告におきまして、日本景気がやや明るさの兆しが出てきたと、また、本日の経済企画庁の経済指標によるところの発表を見ておりますと、さらに回復の傾向にある、こういうことで、大変に政府としては最近の景気の動向について明るい方向を国民に示しておりますが、果たして実体経済との乖離はないであろうか。実際には、まだまだ雇用状況も大変に不安な状況にあります。二百万人という失業者、三・四%という過去に例のない失業率、また、中小零細企業の倒産も大変にまだ引き続き深刻な状況にあるわけでございます。  政府の発表しているこうしたこの二月における二回の経済指標をもとにした現在の景況が、果たして今後持続していくのであろうか。来年には消費税の税率がアップをされる、また特別減税が場合によっては廃止になるかもしれない。こういう状況を見ておりますと、政府の二・五%という実質経済成長率の達成も果たしてどうなのであろうか。私は、国民の立場から、実体経済の面から見まして、まだまだ大変に厳しい状況にあるのではなかろうか、こういう理解をしておりますが、現在における景気状況、今後の見通し、またそうした国民の不安、危惧の解消に対して、どのように政府が今後積極的に対策を講じていかれようと考えておられるのか、まず両大臣からお話伺いたいと思います。
  20. 田中秀征

    田中国務大臣 お答えいたします。  過日の月例経済報告、今、宮地先生がおっしゃるとおりの報告をさせていただきまして、マスコミなどでは景気回復宣言というふうに受け取られまして、漫画で、大口たたいて大丈夫かなんというようなことも拝見しました。  ただ、確かに明るさを確認した、そういう認識を示したわけであります。景気には緩やかながらも回復の動きが見られ始めている、こういう表現をいたしました。これは御承知のとおり、本格的な景気回復の宣言ではございません。文字どおり、今申し上げたとおりのことでありまして、本格的な景気回復にはまだまだ道のりがある、しかも楽観していない、そういう気持ちでございます。このところの経済指標、御指摘のものを含めてさまざまなものを見ておりますと、確かに明るい兆しが出てきたというふうに思いますので、あのような月例報告をさせていただいたわけでございます。  これから一番大きな目標といいますと、公共投資主導の景気回復から、いわゆる民間需要、設備投資や個人消費が引っ張っていく、そういう景気回復に移行させていくということが一番大きな課題で、私は、これは例えて言うと、温室で育てたものを野外に出す、そんなふうに自分で感じておりまして、まだまだ日本経済景気というのは温室で政府が積極的に施策を講じていかなければいけない状態にある、そんなふうに思っているわけです。これを何とか民間主導の景気回復過程に乗せて、そして、それをさらに中長期的な安定した成長軌道に乗せていかなければいけないということは、大変困難であり、また努力の要る過程である、そんなふうに思っております。  政府経済見通しは、平成八年度二・五%という数字を見込んでいるわけですが、年末にこの数字を私は閣外にあって見ましたときに、大丈夫かなというふうに正直思いました。また、民間のいろいろな予測も非常に厳しいもので、一%前後のものが多くを占めておりましたけれども、私も、民間の言う方が当たるのではないか、また経済企画庁の言うことはだめかもしれない、そんなふうに思っていたのです。しかし、その後のいろいろな景気経済の動き、また数字に示されたものを見ますと、これは確かな兆しかな、そういうふうにも思えますし、また民間の意見や予測、このところのそういうものを見ていますと、確かにまだ一%前後の厳しいことをおっしゃる向きもありますけれども、私ども政府よりも高い数字、二・七とか八とか、そういうものを示すものもふえてきたような感じがします。全体的に見て、この明るい兆しには政府なりに自信を持っているところであります。  ただ、これを本格的な景気回復軌道に乗せて、中長期の安定した成長軌道に乗せていくためには、非常に困難な克服すべき課題が幾つもあるんだ、そんなふうに思います。  私は予算委員会でも、その中から三つ挙げろと言われれば、予算、住専、規制緩和だ、こういうふうに申し上げているところです。平成八年度の予算を切れ目なく、年度がわりから着実に執行していくということが非常に大事なことだというふうに思いますし、それから、住専問題を含む不良債権問題、この解決に具体的に着手するということによって金融システムに対する信頼を取り戻し、正常化、安定化の展望を切り開いていくということが大事である。そしてまたもう一つは、昨年年末に私ども経済企画庁、政府が新しい経済計画を立てまして、「構造改革のための経済社会計画」というふうに言っているわけですが、規制緩和を含む構造改革というのは本当に大事なことなんだという認識を示し、そういう計画を策定したわけですが、年度末に規制緩和推進計画の見直しがありまして、そのための作業を今続けているところでありますけれども、既往の景気対策経済対策に加えて、やはり構造改革というものがそれに加わらなければこの二・五%の達成も無理だろうし、新しい経済計画で示した西暦二〇〇〇年までの三%の成長ということも無理だろう。非常に多くの課題があるんだ、難しい課題があるんだ、それを何とか克服していかなければならない、そういうふうに思いますし、宮地先生指摘雇用問題も本当に大変だと思います。  先ほど官邸で産業構造転換・雇用対策本部が開かれまして、その議論をしてきたわけでありますけれども、三・四%という、昭和二十八年以来、比較可能な数字でいえば最悪の数字が十一月、十二月と示されまして、本当に深刻な状況にあります。  ただ、この雇用の数字を見ましても、十、十一、十二と有効求人倍率はわずかずつながら改善されてきております。〇・六一、〇・六三、〇・六五と、そういうふうにわずかながら改善されてきており ますので、景気回復過程の中で一層改善されていくことを期待していますし、また御質問、重ねてあろうかと思いますけれども、構造改革を推進していく中で新規雇用の創出というものを真剣にやっていかなければいけない、そんなふうに思っております。
  21. 塚原俊平

    塚原国務大臣 ただいま経企庁長官からお話がございましたように、確かに数字の上からはやはり景気がかなりよくなっている、なりつつあるという状況はあるんだと思うのです。  ただ、そういう状況の中で、やはり中小企業がかなり数字が厳しい。中小企業が厳しい中でも、製造業はマイナスの中でもちょっとマイナスが小さくなっていますけれども、小売の方はさらにマイナスが大きくなっているというようなことで、これは大変に大きな不安材料だと思います。  宮地先生は明日の内閣の通産担当でございますし、きょうばいろいろな形で適切な御指摘、御指導がいただけると思いますし、私どもも私どもなりに、それに対していろいろとお話をさせていただく中で、かなりいろいろなものが詰まっていくんじゃないかというような期待をいたしております。  そういう状況の中で、もう一つの大きな不安材料として、これは先生経済企画庁長官もお触れになっておりましたが、また、先ほど大畠さんの質問でも通産省から答弁しておりましたが、第一義的には景気回復だと。雇用を確保するための条件として、景気がよくなればやはり雇用がよくなるんだ。これはもう当然一つの大前提として景気回復をしていかなければいけない。そのためには予算も早く通さなければいけないし、構造改革も切れ目なくやっていくしかないというのが当然あるんだと思うのです。  ただ、大きな不安材料としては、では果たして、先生方の本日のこういういろいろな議論の中で、景気が上がってきたときに雇用が本当に回復するのか。景気は上がるは、雇用が足りないというような状況が起こり得る可能性もまだあるんだというふうに思うのですね。そういうことになりますと、国民の中に景気が上がっても非常な不安感が出てくるということになりますと、これは大きな、これからの景気回復に一生懸命努力した中でのマイナス要因になってくると思います。  そういった状況の中で、やはり私ども通産省がどのような形で雇用を確保していくのか。幾つかの政策を先ほども御説明をさせていただいておりましたけれども、そこはもう非常に重要なポイントになると思いますし、私もそこを最大限の危機感と認識を持って作業をしていかなければいけないというふうに思っております。  本日は、よろしくお願いいたします。
  22. 宮地正介

    宮地委員 確かに兆しの経済指標というのは、消費者関係のそうした消費の需要とか設備投資とか、景気をはかる経済指標が大体上向きに出ているのは確かだと思います。  しかし、その中身は、半導体とか住宅の景気に支えられて、例えば昨年の阪神大震災が起きた、それに伴って鉄鋼業界は大変な増産をいたしました。しかし今、鉄鋼業界はいまだに在庫をたくさん抱えて大変な深刻な状況で、むしろ景気の足を引っ張っているような、そういう状況にあるのです。また、百貨店の売り上げの状況も若干上向きになっていると言っておりますが、まだまだ低迷をしておる。労働時間を長引かせたり、あるいはお正月から休日返上してお店を開いている、こういうようなことで何とか消費が少し前年度より伸びている。ある意味では、まだまだ経済指標というのは、場合によってはトリックにも見えるわけでございまして、実体経済の中から外れている部分も相当数これはあるわけでございまして、余り私はぬか喜びをできる状態にはないのではないか。  そういう意味合いにおいて、田中長官も、三つ今後の問題としてある、こういうお話がありました。それも私は理解はできるわけでございますが、特に失業率三・四%というこの問題の裏に、通産大臣企業失業者と言われるような方がまだたくさんおるわけです。特に四十代、五十代の、肩たたきに遭って、窓際族になって、自分の本社におれなくて取引先とか下請とかに出向されたり、企業失業者と言われている日本独特の、目に見えない失業者がたくさんおるわけでございまして、こういう方々を含めると恐らく失業率は五%を超えるのではないか、こういう大変深刻な状況に私はあると思います。この雇用不安の解消のためには、やはり構造的な改革あるいは技術革新、第三の開国と言われておりますが、二十一世紀に向けてもう一度産業の革命を起こすくらいの意気込みで取り組んでいかないと、私は、この雇用不安の解消は大変厳しいのではないか、こういうふうに思っております。  また、中小企業の大変な倒産の状態、この中身ももっと精査していただいて、特に建設関係の中小企業の倒産が非常に多い。この対策においても、単に中小企業庁がやっているような金融税制対策だけで果たして救済できるであろうか。私は、昨日も建設省に申し上げましたが、現在の公共事業投資のお金が現実に建設業界の中小零細企業に落ちているだろうか。  例えば埼玉県の例におきましても、建設業、中小企業は今大変な相次ぐ倒産に追い込まれております。その中身は、簡単に言えば仕事が来ない、仕事がとれない、こういう状態です。御存じのとおり、競争入札をする場合には、都道府県のいわゆるAランクのAライセンスを持っていても、国の事業をとるときにはBライセンスになってしまう。ほとんど国の事業は、大手のゼネコンがみんな持っていってしまう。結果として、なかなか中小の企業に落ちてこない。そういう点で、いろいろ建設省も今改善をしているようでありますけれども、そういう問題。  あるいは、東京都が臨海副都心の計画を断念した、そのひずみがどういうところに出ているか。東京、神奈川、埼玉、千葉、大手のゼネコンはあの中止に伴って、近県の中小零細企業、特に中企業がとっているような仕事まで全部今入り込んできて、根こそぎ持っていっておる。  こういう実体的な経済というものをもっと政府が目で確かめ、耳で確かめ、足で稼いで、そして国民の中に入り込んで生きた中小企業対策を打っていかなければ、現在の景気回復宣言なんて生易しいことは言えないのではないか、こう私は考えております。  まず、通産大臣、そのような企業失業者の対策について、あなたは大臣になってどのような決意で取り組もうとしているのか。また、中小企業庁を所管している大臣として、金融や税制対策、これも必要です。今申し上げたような、もっと国民の中に入り込んだ、生きた中小企業対策を打つ決意、抱負があるのかどうか、これをお伺いしたいと思います。     〔委員長退席、塩谷委員長代理着席〕
  23. 塚原俊平

    塚原国務大臣 企業失業はやり方がいろいろとあるようでございまして、一番ひどいのは、例えば茨城県の人間をその工場所在地からはるかに遠い工場所在地の協力会社に出向させる。そのときの言い方としては、出向だけれども、あなたは絶対に本社に帰れないんだという言い方をする。当然、家は茨城県にあるわけでありますから、そこで非常に大変な選択をしなければいけない。家族を置いて単身赴任をするといったって、それは、今勤めている企業よりはるかにはるかに零細なところに行く。しかも、これからの状況の中で果たしてその企業自体が先行きどうなるかわからないという中で、私どもが見ていても、もしかして、あなたはもうやめなさいというような言い方をしているんじゃないかというやり方も見られる。これは、一番やり方のいけない今おっしゃった企業失業の例なんだと思いますけれども、そういった具体的な事例というものは承知をいたしております。  ただ、やはり雇用を確保するというのは極めて大切なことでありまして、当然、賃金ベースを下げる、今みたいにずっとベースアップをしていく状況じゃなくて、賃金ベースを下げるということ になればある程度の雇用を確保できるのかもしれません。ただ、そういうことはなかなか許されないわけでありますから、それぞれの企業がそれぞれの考えをして、今話題になっている、公取の改正するいわゆる持ち株会社なんかもそういう一環であるような気がいたします。分社化をしていくやり方等々もいろいろとあるんだと思います。  私どもといたしましたら、まず大前提としてはやはり雇用を確保するということでありますから、仮に系列であるとか協力会社であるとかに行きましても、やはりそれなりの条件で雇用が確保されるということは、これは極めて大切なことであるというふうに考えております。ですから、そこで先ほど言ったような悪質な例が出ないように、しっかりとこれは指導監督をしていかなくちゃいけないというふうに思っております。  それからあと、人材が非常に、こちらでは余り有為ではないけれどもこちらでは大切だというような、そういう人材の流れということのやり方も必要だと思いますので、その作業も現在やらせていただいております。  それから、中小企業に対する先生のいろいろな御指摘がありましたが、一々仰せごもっともであるわけでございまして、具体的な施策につきましては、個々のものにつきましては、もし御必要でございましたら担当局長からもお答えをさせまずけれども、本日またさらに先生から御指摘をいただいた中で、自分自身もしっかりとその対応をいたしてまいりたいというふうに考えております。     〔塩谷委員長代理退席、委員長着席〕
  24. 宮地正介

    宮地委員 特に通産大臣、これから春闘がやってきますね。既に、日経連とか経団連とか経済団体は非常に、景気の動向を表に出しまして、要するにベースアップを凍結するとか、今から事前にいろいろな放送を流している。私は、この景気をさらに本物にしていく中で、やはり本格的な消費の需要の拡大というのは大変大事だ。そうなると、やはりベースアップの問題、この問題についても春闘の問題というのは非常に私は重大な局面を迎える。  これに対して通産大臣としては、ベースアップを凍結の方に考えが強いのか、それともやはり定期昇給プラス現在の経済環境に見合ったベースアップはきちっとやるべきだ、こういうふうに考えておられるのか。これは経済企画庁長官にもちょっと確認しておきたい。  私は、やはり今後の順調な景気の拡大と国民生活の今後の質の向上、こういうものを考えたときには、ベースアップは当然やるべきである、こういう立場でございますが、この点について両大臣の意見を聞いておきたいと思います。
  25. 塚原俊平

    塚原国務大臣 ちょうど羽田内閣のときに、公共料金の凍結をいたしましたときがございまして、そのときに、これ具体的には日経連でしたけれども、日経連の幹部と連合の幹部と私と、たまたま座談会する機会がございました。日経連の方々の中には、いわゆるベースダウンを経営者で結構主張される方がいらっしゃって、その分公共料金を下げろ、公共料金を下げて、その公共料金の下げよりもちょっとベースダウンを少なくすれば、ある程度給料は、ちょっとベースダウンしても上がったことになるのだから、そういうような対応を国がしろというようなお話でございました。  私はそのときに、当然お米も含めて、わかりました、そういうものを、仮に一〇%公共料金を下げるということをした場合に、そうすると賃金ベースで八%あるいは五%下げていただけるのかと言ったら、その日経連の方は、それはもう確実にやると言ったら、連合の方が怒り出しまして、その座談会がめちゃくちゃになっちゃったというのがあったのです。  現実に日本の国では、給料を下げる方向というのはなかなかやはり難しいのだと思います。ただ、基本的にはこれは労使のお話でございますから、当然そこの春闘でそれぞれの企業企業がどのようなお話をされるかというところを見守らなければいけないのですが、実際に日本人の今の生活の環境の中で給料を、ある程度の段階まで行かれたときに、例えばある程度の年齢まで行かれるとか、そういうときに平行にすることは可能かもしれませんけれども、やはり今の状況でなかなか平行にずっと保つあるいは下げるというのは難しいのじゃないのかなというような気はいたしております。
  26. 田中秀征

    田中国務大臣 お答えする前に、先ほどの私の答弁の中で、昨年の年末に一%前後の見通しが民間にあるというふうに申し上げましたけれども、今事務当局から指摘されまして、前後というと一%割ったものもある、しかし、それはないのだと。ですから、閣外にあってちょっと私も見当違いしておりまして、一%割ったものもあったかなと思ってああいう表現をしたのですが、一%台もあったというふうに訂正させていただきたいと思います。  ベースアップについてお尋ねでありますけれども、今通産大臣から御答弁ありましたように、基本的には労使関係で決まることで、私の立場からのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
  27. 宮地正介

    宮地委員 これはやはり、政府として特別減税も、これも景気の回復の重要な柱として平成八年も実行に移しているわけですから、それがこの春闘によって凍結なんということになると、まさに政府の政策と逆行するわけですから、この辺はしっかりと両大臣が踏ん張って、しっかり日経連とか経団連とかそうした経営者グループに対して、大局的な立場から指導していただきたい、こういうふうに思います。  特に、通産大臣の決意が大きな影響を与えるわけです。この点についてまず、簡単で結構ですから、しっかり決意を持って対応するのかどうか、一言お答えしておいていただきたい。
  28. 塚原俊平

    塚原国務大臣 そこまで詰められちゃいますと、やはり労使の問題なので、見守るとしかなかなか言いようがなくてまことに申しわけないのですが、ちょっと詰め寄られる前の段階ぐらいで、一生懸命認識を持って頑張るというようなことです。
  29. 宮地正介

    宮地委員 塚原大臣の大体人柄がわかりましたから、ぜひあとはあなたのそのパワーに期待したいと思います。この春闘問題については、やはり景気と関係が非常に深い、また、これからの企業の活性化にも士気の高揚にも生産性の向上にもつながる重大な問題でございますから、しっかり頑張っていただきたい、このことを特に私から御要望させていただきたい。  そこで、きょうは公取委員長さんにも来ていただいていますから、ちょっと伺っておきたいのですが、先ほどから、景気回復の中に重要な問題として規制緩和という問題が田中長官からもお話がありました。私も、これは大いにやらなきゃいけない重要な柱であろう、こう思っております。そうした規制緩和一つの大きな流れとして、恐らく公正取引委員会としては今回の独占禁止法第九条の改正に取り組んだのではなかろうか、こう私は理解をしているわけでございます。  なぜ今回のこの第九条改正問題が、国会提出があるいは閣議決定がおくれているのか、この辺の昨年から今日に至る経過について、委員長、簡単に御報告いだだきたいと思います。
  30. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいまお尋ねの持ち株会社の禁止制度につきましては、これまでにもその規制を緩和すべきであるという意見、要望が各方面から寄せられてきていたところでありますけれども、今御指摘いただきましたように、最近特に規制緩和との関連でこの規制のあり方を見直すべきだという主張が強くなっておりまして、御案内のように、昨年三月末に閣議決定をされました規制緩和推進計画におきましても、持ち株会社についての検討を開始する、議論を深めるということが取り上げられたところでございます。  そこで、このような状況を踏まえまして、公正取引委員会は、これまでに各種の調査を行ってまいりましたし、さらに昨年秋、各界の有識者から成ります独占禁止法第四章改正問題研究会を開催 いたしまして、十二月には、まず持ち株会社禁止制度についての報告書を取りまとめて公表したところでございます。  その報告書におきましては、持ち株会社禁止制度については、事業支配力の過度の集中防止という独禁法の目的規定を踏まえ、「これに反しない範囲内で見直すことが妥当」、こういうふうにされたところであります。  また、与党三党による政策合意におきましても、「独占禁止政策に反しない範囲で持株会社を解禁する。」このような内容が盛り込まれているところでございます。  そこで、公正取引委員会といたしましては、これらの議論等を踏まえまして、持ち株会社禁止規定に係る独占禁止法改正法案を検討しているところでございますけれども、現在、与党三党で独占禁止法改正問題プロジェクトチームが設置をされまして、できるだけ早く成案を得るべく目下大変熱心に検討が行われているところでございます。私ども、このプロジェクトチームの検討を受けまして、ただいま申し上げましたように、できるだけ速やかに成案が得られるように、こういう御趣旨でございますから、私どももその点を強く期待しつつ、これを前提として所要の法改正を行ってまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  31. 宮地正介

    宮地委員 公取委員長、あなた方のいろいろな御苦労は、私も大変理解できます。  ただ、この独禁法九条改正の問題について、特に雇用の問題とか、あるいは賃金の問題、あるいは労使間におけるいわゆる交渉の問題、こうした問題については今日までどういう議論をされてこられたのか。  また、こうした問題について、労働界とかそういうところとの折衝といいますか、意見交換といいますか、ヒアリングといいますか、こういうのを実際いろいろやってきたのかどうか。また、経営者側の代表としての経団連とか日経連、こちらは恐らく全面自由化の方向が非常に強いと思います。そういうような各種利害の異なった団体とのヒアリングとか、そうした問題についてはどういう取り組みをされてこられたのか。  この点についてちょっと御報告いだだきたいと思います。
  32. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいま御指摘をいただきました持ち株会社の解禁問題を取り上げますと、これが労働問題あるいは雇用面に影響を与えるのではないか、こういう御指摘をいただいていることは私どもも承知をしております。  実は、この委員会が始まります前、けさでございますけれども、官邸におきまして雇用対策本部の会合がございまして、その中でも連合及び日経連の代表者からの雇用問題についてのお話を承りましたが、その中で連合の会長さんからその点についての御指摘もいただきまして、私もその会議に参加をさせていただいておりましたので、その御指摘も私自身もよく承知をしております。  そこで、この問題でございますけれども、御案内のように、現行法制のもとにおきましても、会社の親子関係、事業を持っております会社が子会社を持つという関係は実はあるわけでございまして、この関係で雇用問題が議論をされているということも承知をしております。したがいまして、今般の持ち株会社、いわゆる純粋持ち株会社を解禁するかどうか、この議論に伴いまして全く新たに生ずるというわけでは必ずしもございませんけれども、今宮地先生指摘のように、この問題が改めてクローズアップされてきているということは私どももよく承知をしております。  したがいまして、ただいま申し上げましたけれども、私どもも含めまして、この問題の検討、先ほど申し上げましたように現在与党三党のプロジェクトチームで御検討がなされておりますけれども、その御検討の過程でも、これまでにも組合関係を初め各方面から広くこの労働問題、雇用問題も含めていろいろな御議論が行われていると承知をしております。この持ち株会社問題の検討に際しましては、この点を含めて、関係各方面の多様な議論が今後一層深められていくことが必要であると考えております。  また、私どもといたしましても、関係方面での御議論に資するような情報提供を行う等の対応にも努めてまいりたいと考えております。
  33. 宮地正介

    宮地委員 戦後の法律の中で、憲法第九条と独禁法第九条というのは非常に重要な法律としてでき上がったわけです。この独禁法九条を改正するということは、一つの時代の流れ、また、新しい時代に対応する一つの節目がやってきたのかな、私はこんな感じをしているわけでございまして、どうか公取委員長は勇気を持って、今後の日本経済の発展と活性化の大目付役として、この独禁法第九条が国民のためになるというその原点に立って、勇気ある決断をしていただきたいと私は思っております。  そういう意味合いにおきまして、最後に一問お伺いしますが、今国会中に提出する覚悟がおありなのかどうか、この点について見通しをお伺いしたいと思います。
  34. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 先ほども申し上げましたように、現在この問題は、与党三党の独禁法改正問題プロジェクトチームの場で御検討がなされているところでございます。連立政権の政策調整、法案作成過程、この場におきまして、私どもも現在の与党三党内でのこの問題についてのコンセンサスが得られることを強く期待しておりますし、それに従いまして、私どもも、今国会におきましてこの問題が適切な形で改正案としてまとめられ、そして国会で御審議がいただけることになりますことを強く期待をし、また、私どもとして努力を重ねてまいりたい、こういうふうに考えております。
  35. 宮地正介

    宮地委員 この問題は、やはり連立与党三党の調整が非常に重要な局面を迎えていると私は思います。きょうは自民党の代表である塚原通産大臣さきがけの代表である田中長官もお見えですから、これは今後の経済活動における大変重要な改正問題でございますから、両大臣から、この取り組みについて閣内でどういう対応をされようと思っているのか、一言お伺いしておきたいと思います。
  36. 田中秀征

    田中国務大臣 ただいま公取委員長からお話ありましたように、今、与党三党でプロジェクトチームをつくって、成案を得るべく真剣な検討がなされております。それを関心を持って見守っているところでございます。その与党三党の成案に従って私どもも真剣に取り組んでいきたい、そんなふうに思っています。
  37. 塚原俊平

    塚原国務大臣 経済の活性化に資するためには、やはり独禁法改正案が、この九条部分が早急に三党の間で合意されることを期待いたしておりますし、今先生から御指摘がございましたように、やはりこれは、いずれにしろ議論をする時期はもう完全に来ているのだと思います。どうせ議論をするなら、与党三党で議論をすることも当然大切ですけれども、そしてまた我々自民党も与党三党も全部オープンに議論はしていますが、やはり国会で議論をした方がより国民の皆様方にいろいろな形でオープンになるのだと思います。やはり今回の場合は、あくまでも働く人を基準にした発想でこの九条を改正していくわけですから、もしかしたら国会の議論の中ですばらしいものが生まれるのじゃないかというような感じもいたしております。  そういったことを考えますと、ともかく何らかの形でまとめて、一日も早く国会に提出をして、そしてこの場でいろいろな形の議論を、議論は私はある程度長くてもいいのだと思いますけれども、議論がされればいいなというふうな感じを持っております。
  38. 宮地正介

    宮地委員 塚原大臣、これはやはり私が見ているところ、社民党との調整が最大の問題ではないか。そういう点で、あなたの場合は通産行政の責任者ですから、特に経済活動の大事な第九条というこの改正問題でありますから、傍観視はしていないと思いますが、あなたのその馬力で精力的にこの調整についても、ただ公取に任しておればいいなどとは思ってはおらぬと思いますが、重要閣 僚の一人として大いに汗をかいてもらいたい。これは要望しておきますので、しっかりとお願いしたいと思います。  そこで次に、話題を変えまして、「もんじゅ」の事故とこれからの日本エネルギー安全保障問題について何点かお伺いをしてまいりたいと思います。  通産大臣、きょうは科技庁長官来ていませんが、あなたのところも全く関係ないというわけじゃありませんので、今回のこの「もんじゅ」の事故について、大臣としてはどういうふうな御見解を持っておられるか、まずお伺いをしておきたいと思います。
  39. 塚原俊平

    塚原国務大臣 事故の内容、程度につきましては今調査委員会で調査を一生懸命しているところでございますので、この結果を待たないと何とも言えないと思いますが、私の地元に東海村があるわけですけれども、原子力三事業所の所在地に住んでいる人間として、ともかく原子力というのは地域との信頼だけでずっと今日まで、最初日本はもう大変に衝撃的な原子力との出会いがありましたから、それはもう大変な不安感をみんな持っていたわけです。そういう中で、地域との信頼の中で東海村の住民も信用してずっと今日までそこで生活していたということを考えてみましたときに、これはもうはっきり言って信頼を完全に失ったわけであります。  そういった点で、事故の原因、内容、重大性、これも大変なことでありますけれども、それ以上に国民の信頼を失ったということで、これはもう大変に大きな事件だった、事故だったというふうに認識をいたしております。
  40. 宮地正介

    宮地委員 ちょっと抽象的で国民にわかりにくいんですよ。  まず、「もんじゅ」という高速増殖炉、いわゆる原子力発電の重要な炉と、今既に実用化している軽水炉、この違いは、大臣どんな認識を持っていますか。
  41. 塚原俊平

    塚原国務大臣 きのう御党の先生から本会議質問をされまして、それで、基本的にそこの部分がちょっと答弁漏れになりまして大変申しわけなかったんですけれども、とりあえず担当の方から、ここでちょっとだけ答えさせてください。(宮地委員「いや、担当からはもう僕は聞いているから、大臣がどの程度認識を持っているか、それを聞きたい」と呼ぶ)  結局、軽水炉と高速増殖炉を比べたときの認識が、はっきり言ってそこはなかったんです。それで答弁漏れになってしまったということがございまして、早急にここの部分のレクをしてくれということだったんですが、きょうは国会答弁レクだったのでそこの部分がちょっとまだレクされていないものですから、間違ったことを言ってもこれは大変だと思いますので、もしあれだったらちょっと交代させていただいて、私も聞ければありがたいというふうに思っております。
  42. 江崎格

    ○江崎政府委員 お答えいたします。  軽水炉は、先生御承知のように減速材、冷却材といたしまして通常の水を用いるということでございまして、もうこれは実用になっておりまして、今我が国の主要な電源として電力供給の大体三割ぐらいを賄っているという状況でございまして、主として燃料はウラニウムの235というものが使われております。  一方、高速増殖炉でございますが、これは御指摘のように現在研究開発の途上にあるものでございますが、ウランの資源の利用効率をより飛躍的に高めるということが言われているものでございまして、冷却材にナトリウムを使うというのが特徴でございまして、燃料としては、ウランとまぜたプルトニウムを主として使うというものでございます。
  43. 宮地正介

    宮地委員 大臣、レクを受けないとわかりませんじゃ、ちょっと困るんですよ。これは非常に大事な、日本のこれからのエネルギーの安全保障の確保にとって分かれ道と言われるぐらい重大な炉なんですよ。ですからそんな、我々博士でもないし技術屋でもないから、政治家ですから、もう本当に国民にわかりやすい基本のところだけしっかり押さえておかないと、大臣、まずいと思います。これは申し上げておきたいと思います。  今エネルギー庁長官いろいろ言われましたが、大臣、まずこれは燃料なんですよ。軽水炉の場合はウラニウム235という、ウラニウム一つだけなんです。これを水で冷やすから軽水炉なんですよ。それで「もんじゅ」の場合は、高速増殖炉というのはウラニウムの238にプルトニウムを混合して、冷やすのは水でなくてナトリウムなんですよ。  これはどこが違うかというと、いわゆるウラニウムの燃料の今後の確保の問題が違う。こっちはリサイクルができるんです。だから、ある意味では無限に燃料は確保できる。ところが軽水炉の場合は、まあ恐らく二、三十年先でウラニウムの燃料はもうなくなってしまう。高速増殖炉の方の燃料は、これは恐らく千年は大丈夫だろう、こう言われているんです。ですから、フランス、先進国は必死になってこの研究をやっている。日本も、御存じのとおり、二〇三〇年にはこの「もんじゅ」を実用化して、そして本格的な日本エネルギーの確保をやろう、こういうことで科学技術庁や動燃が一生懸命汗をかいているわけなんです。  大臣も御存じのとおり、これからの日本エネルギーというのは、その基本のところの燃料、これはLNGと石油、この石油資源によるものが二〇一〇年で約三九%占めてしまう。それで石炭は、これから日本国内では石炭はもう掘らない、海外の輸入炭でやろう。この石炭によるエネルギーも一五%なんです。三九足す一五ですよ。そうすると、もう大体五五%、五〇%を超えるエネルギーが全部石炭だとか石油、LNG。では、日本国内エネルギーとして自前でできるのは何か。水力の二〇%、これだけなんです。では、あとどうするんだ。確かに新エネルギーの開発とかいろいろ言っておる。そうすると、原子力発電によるところのエネルギーというものにどうしても頼らざるを得ない。ですから、二〇一〇年の努力目標として二五%のシェアにしょうとして計画を立てている。その一番中心のエネルギー源を軽水炉から「もんじゅ」、高速増殖炉にかえていこう。今そのテスト段階が始まったところなんです。そこでどんと今回事故を起こした。  その事故も、あなたのところの関係がないとは言わない、動燃にしたってもう全く以前の問題ですよ、以前の問題。隠ぺい工作をしただとかビデオを改ざんしただとか、これはもうまさに職員体質の問題です。こうした問題は「むつ」のときにもあったんですよ。長官、我々が当選してきたころあったじゃないですか。大問題になったじゃないですか、国会で。数字を変えたなんて、そのために原子力局長の首が飛んだじゃないですか。あれからもう何十年たった。同じような、全くばかげたような隠ぺい工作とか改ざんだとか、そんなことで国民の不信を買ってしまった。これはやはり連立政権として、もう少ししっかりこのところの重要性をかみしめて、よほど今後の改善をしていかなかったら、日本の将来のエネルギーの安全保障に大きな悪影響を既に与えてしまっている。私はこれを痛切に、今の内閣は猛反省してもらいたい。  それで、今後どうするんだ。職員の教育訓練、あるいは原子力というのは公開の大原則がある、この公開の大原則に向けてどう情報開示していくんだ、国民に御理解いただくようにどう努力するんだ。この辺について、これはもう政府としての重大な問題ですから、両大臣からお話を、決意を伺っておきたいと思います。
  44. 塚原俊平

    塚原国務大臣 動燃の体質改善につきましては、恐らく科学技術庁の方でもかなり真剣にお考えになっているというふうに思いますし、その作業を見守りたいというふうに思っておりますが、ただいま御指摘がございました信頼回復をしなければいけないということにつきましては、通産省としても、エネ庁等で公開の討論会とかシンポジウムとか、今までも開いていたわけですけれども、それをより積極的に開催をするような努力をする。 それから、間違っても公開の原則に反することがないように、すべてにおいて一部始終事実を明らかにする。さらに、不幸にしてトラブルが起こった場合には、そのトラブルの連絡も全く時間を置かないで連絡がとれるような体制を整備するというようなことを、無論整備されていたわけですけれども、それを再検証して、現実に予行演習などもしたところもあったというふうに伺っておりますけれども、そういうようなことを現在いたしております。
  45. 田中秀征

    田中国務大臣 私も、技術的なことは塚原大臣以上にわからないところがあるのですけれども、いずれにしてもこの問題は、原子力については安全性の確保ということが何よりも重要であり、それに対する信頼性というものに支えられていかなければいけないんだという認識をしております。  それで、この問題を含めて、今度、HIVのことでもそうですし住専の問題でもそうですが、かなり体質的に似通った問題じゃないかな、そんなことを考えております。  とにかく、今申し上げましたように、安全性の確保、それに対する信頼性ということについて全力で取り組んでいかなきゃいけない、そんな気持ちでおります。
  46. 宮地正介

    宮地委員 ぜひ、きょうは時間がありませんから細かいところまでは突っ込みませんが、これは非常に大事な、これからの日本エネルギーの安全保障という、その観点からこの「もんじゅ」というものをとらえたときには、大変重要な原子力発電の炉である。そしてこの安全確保という問題についても、当然これはもう国民に徹底してやらなきやならない。ところが、今回はもう以前の問題のところで国民に不信を与えてしまった。これは私はまさに政府の責任だと思う。  今、長官がこの「もんじゅ」の問題について、住専の問題とかあるいはエイズの問題、厚生省、大蔵省、何か同じようなものを感じるというお話をしていますけれども、私は、ここがやはりきちっと体質改善をしていかなかったら大変な問題になっていくのではないか。きょうは警告を発しておきます。ぜひ通産大臣も、レクを受けなかったからよくわかりませんから事務当局から答弁させるなどという、こういう情けないようなお話はされないで、あなたもれっきとした昭和五十一年当選の同期の桜なんだから、立場は違うけれども、しっかり責任持って、政治家として信念持って通産行政頑張っていただきたいと思うのです。このことをあなたに強く要請と警告をしておきたいと思う。  そこで最後に、大臣、今回は住専国会ということでありますから、大臣にもこれは最後に基本的な政治家としての基本姿勢としてお伺いしておかなければならぬ、こう思っているわけです。  あなたはきのう政治献金とかパーティーについて自己申告をされましたね。この中で、特に熊谷組とかフジタとかの政治献金、四百七十三万過去にお受けになった、こういうようなことを言われておりますが、まず、これは事実なのかどうか。事実であるとしたら、今後これはどういうふうにされるつもりでいるのか。これだけ住専問題で国民の信頼を失っている状況の中で、政治家として私は当然返還すべきだと思いますが、あなたのお考えはどうなのか、この点について確認しておきたいと思います。
  47. 塚原俊平

    塚原国務大臣 政治資金を集めるのはなかなか苦労でございまして、やはり一カ所からどかんというのはよくないということで、何とか月々いただきたいと、ぜひとも政治活動の御支援をいただきたいということでお願いにずっと歩いておった中で、フジタさんが、ちょっと今具体的に数字持っていないのですが、月にして六、七万だったと思います、それから熊谷組さんが月にして四万円だったと思いますが、継続的にずっと政治資金団体の方にお入れをいただくということになりまして、それが今日まで、今日というか、昨年度で政治資金規正法が変わりましたものでございますから、昨年までずっと続いておりました。そして、パーティー券も含めて、フジタさんと熊谷組さんが六百万弱ぐらいか六百万強ぐらいにたしか金額なっていたというふうに思います。  現在、住専で大変に国民の皆様方に私ども理解をいただく努力をしながら、なおかつまだ御理解がいただけないというような状況の中にございます。ただ、そういう状況の中で、このお金を返すのか返さないのかということでございますけれども、私にしてみると、正規な形で、全く正当な状況で政治献金を正々堂々と受け取ったものでございますし、何らそれに対して向こうも見返りを要求していたものでもございません。そういったことを考えましたときには、やはり受け取っていい正しいお金でありますので、まあ、返却するといってもなかなかこれだけのお金、今まとめて返却するのも大変だというのもちょっと本音の部分ではございますが、それは別にして、何とかこれは返却をしないで、私どもの政治活動に使った収支報告もきちんきちんとこれは出しているものでございますから、そういう中で御理解がいただければなというふうに思っております。
  48. 宮地正介

    宮地委員 大臣、あと、あなたの汚名を挽回する意味もあるのかもしれないし、我々にはなかなかわからないのですが、この太陽エステートの塚原裕さんという方は、これは何かあなたの御関係の方なんですか、違うのですか。
  49. 塚原俊平

    塚原国務大臣 同姓の方で、全く私どもとは関係ございません。
  50. 宮地正介

    宮地委員 そうすると、大臣はこの太陽エステートグループとの関係は今まで全くない、こういうふうに理解してよろしいですか。
  51. 塚原俊平

    塚原国務大臣 全く関係ないというふうに断言できると思うのですが、ただ一点、私ども地元の日立市で、私の住んでいる日立市でゴルフ場をやっていらっしゃるというようなことの報道を拝見をいたしました。ですから、もしかしたら、そのゴルフ場でゴルフをやったというようなことがあるのかもしれませんけれども、私もその、オーシヤンとかいうゴルフ場らしいのですけれども、行った記憶がございませんし、そういうことを考えてみたときには、あるいは地元で自由民主党の支部結成のときにパーティーをやりましたから、その券をそのゴルフ場に持っていっている可能性も含めて調べてみましたけれども、今のところそういうことがございませんので、恐らく全く関係ないというふうに御認識いただいていいと思います。
  52. 宮地正介

    宮地委員 今図らずも大臣からオーシャンゴルフの話が出ましたが、ここの開発許可だとか、当初は何か県民のための安いゴルフ場ということであったようですが、途中から高級なゴルフ場に変わっていったという、そういういろいろな変遷があるようですが、許認可の問題だとかそうした問題についてはかかわりはないですね。(発言する者あり)
  53. 塚原俊平

    塚原国務大臣 いや、これは本当に名誉回復のためにやっていただいているような感じで大変ありがたいんですけれども、そこにゴルフ場の予定地があったことすらも私存じ上げなかったものでございますので、そういったこと、先生の御指摘のとおり、全く関係ないということで結構でございます。
  54. 宮地正介

    宮地委員 むしろ私は大変安心いたしました。これからの大きな日本の通産行政をやっていく上において、そのトップである通産大臣が今の住専絡みにもし絡んでいて、そうした行政に大きな悪影響を与えたらむしろ大変だ、私はそういう危惧を持っておりましたから、あえてきょうは質問をさしていただきました。通産行政に関係ない、とんでもない。大臣基本姿勢の問題じゃないですか。そういう点で、ぜひ今後ともしっかりとした通産行政をやっていただきたい、このことを期待しておきます。  最後にお伺いしたいのは、昨日閣議了解を出されましたところの国連海洋法条約の問題について、特にこの問題で、通産省は資源問題が絡んでくる、大陸棚の問題が絡んでくる、大変これは今後の重要な課題でございます。特に、排他的経済水域の設定という問題について、韓国も素早く反 応いたしまして、設定をする、こういう方向になってまいりました。この問題は、やはり領有権の問題あるいは漁業権の問題そして資源の問題、大変重要な絡みがあるわけでございますが、通産大臣として、この海洋法条約が国会で成立をされ、今後批准されていく流れの中において、こうした問題についてのスタンスをどのように持っておられるのか、この辺を確認しておきたいと思います。
  55. 塚原俊平

    塚原国務大臣 海洋法条約が批准されることによって認められる権利というものがこれはあるわけでございまして、適切にこれが行使されますように所要の準備を今進めているわけで、通産省としても、その海洋法条約を批准した後の権利を行使するその作業に積極的に参加をしてまいりたいというふうに考えております。
  56. 宮地正介

    宮地委員 資源エネルギー庁長官、見えておると思いますが、この資源の日本のこれからの確保の対応については、条約批准後どういうふうに通産省としてやっていくのか、その辺について御説明いただきたいと思います。
  57. 江崎格

    ○江崎政府委員 大変デリケートな問題が絡んでいるものでございますから、現段階で私から申し上げられますことは、この海洋法条約の批准によって認められる権利を適切に行使できるよう所要の準備を進めるというふうに申し上げるわけでございます。
  58. 宮地正介

    宮地委員 最後に両大臣にお伺いして、私の時間がまいりましたので、終わりにしたいと思います。  まず、田中経済企画庁長官、当初申し上げましたように、これからの景気の推進、これが大事だと思います。まだまだ景気を冷やす要因が、今後非常にたくさんやってきます。先ほど申し上げましたように、消費税の来年四月からの増税の問題、あるいは特別減税をどうするか。継続できればこれはプラスに働くでしょうが、場合によってはこれは切られる可能性もある。こういうような非常に景気の足を引っ張るといいますか、デフレに持っていくそうした要因もまだまだたくさんあるわけであります。ですから、大変に景気に明るさが出てきたとはいえ、まだまだ本物じゃない。やはり本格的な景気回復に向けて、経済企画庁としても、ぜひその運営について政府のリーダーシップをしっかりとって頑張っていただきたい、こう思いますので、この点についての今後の御決意をお願いしたい。  また、通産大臣におかれましては、いよいよ二十一世紀に向けて、日本のこれからの産業の改革というものは非常に私は大事だと思います。産業の空洞化も忍び寄ってきております。また、ここで韓国や台湾や発展途上国と言われた国々がみんな成長してまいりまして、今まで我が国がやっていた産業がむしろ追い込まれてきている。日本がさらに世界の中においてそれなりのリーダーシップをとっていくためには、さらなる技術革新、いわゆる産業の革命的な構造改革をやらなくては、私はこれは前進ができない。特に、政府は、今後三%台の経済成長を維持するためにあらゆる処方せんをとりたい、三%という公約をしているわけですから、この三%の経済成長率を持続さしていくということは並大抵のことじゃない。私は、その大変重要なところが産業の構造改革だと思っております。また、技術革新だと思っております。特に、基礎的な技術の研究をこれからも本格的にてこ入れをしていかなくてはならない、そういう時代が来ているのではなかろうか。そういう点について、大臣として、今後どういう御決意を持っておられるか。  この両大臣の御決意を伺って、質問を終わりたいと思います。
  59. 田中秀征

    田中国務大臣 御承知のように、金融の緩和の基調と相まって、製造業を中心にして、企業設備のストック調整も終わりつつあります。また、昨年秋の経済対策が、年度をまたいで相当期間その効果が発現するというふうに見込まれます。その中で、先ほど申し上げたように、三つのハードルを首尾よく越えていくことが非常に大事なことだ。そして、その課題を克服できれば二・五%の成長というものは達成できるというふうに信じております。公共投資についても、補正予算そしてまた平成八年度の本予算を見ますと、かなりの高水準を維持できるというふうにも思っております。  いずれにしても、その三つのハードルが一番肝心でありますので、予算、住専、この問題について、宮地先生からもまた御理解と御協力をお願いしたいと思います。
  60. 塚原俊平

    塚原国務大臣 御指摘一々おっしゃるとおりでございます。本委員会を通じて、また議員個人として、明日の内閣の通産担当でございます先生の御指摘をいただきながら、一つ一つ適切に対応してまいりたいと思います。  やはり構造改革したり、規制緩和したりすると、当然これは痛みをある程度伴う部分もちょっと出てくるかもしれないですけれども、どれだけその痛みを少なくするかというのもかなり大きなポイントだと思いますので、そういったことも含めて、今後ともよろしく御指導をお願いいたします。
  61. 宮地正介

    宮地委員 じゃ、終わります。ありがとうございました。
  62. 甘利明

    甘利委員長 古賀正浩君。
  63. 古賀正浩

    ○古賀(正)委員 まず、塚原通産大臣、それから田中経済企画庁長官、御就任おめでとうございます。  改めて考えますと、戦後五十年、二十一世紀まであと五年、内外情勢大変激変の中にあすへの確かな日本の道筋を開くという、大変重要な課題を控えた今日になっておるわけであります。日本のため、国民のためみんな力を出さねばならぬ、そういうときでありまして、こういうときに大臣に就任されました。先般はその所信をお伺いいたしました。我が国の情勢あるいは世界の情勢に対応して、誤りなき通産行政を推進していただかなければなりません。  我が党の姿勢は、ただいまの我が党の明日の内閣の商工政策担当大臣であります宮地先生からの御質疑で明らかにしたところでありまして、与党の政策課題認識の程度、取り組みの意欲などのギャップはいろいろ危惧の念も持っておるところでありますが、大臣を励ますところはしっかり励まし、非とすべきところは厳しく非としてきちんと対応していかなければならぬと我々は考えておるところであります。今後大いに御健闘、御活躍をお祈りを申し上げる次第であります。  それでまず、これは質問通告しておらなかったわけでありますけれども通産大臣にお伺いしたい。  先般、所信表明伺いました。丸ポツまできちっとした所信の御表明であったわけであります。いわば官僚作文的な、きちっとした形のものであったわけでありますが、大臣は今御就任になって、これだけは自分が就任中やりたい、これはしっかりやろう、こういう御決意を持っておられる抱負は何でしょうか。そのことを塚原通産大臣にお伺いをしたいと思います。  特にまた、前任者がほかならぬ橋本総理ということでありますから、総理から特に引き継ぎを受けられたりしたような、あるいは塚原大臣への期待といったようなものが何かお話があったのでしょうか。その辺を差し支えなければお話をいただきたいと思います。
  64. 塚原俊平

    塚原国務大臣 前任者からの引き継ぎ事項は二点ございまして、神戸におきます四極の経済大臣の会合をしっかり成功させろというのが一点。それから、通産省という役所は大変にチームワークのいい役所であるから、それぞれ役人を信頼をして、何でも相談をして事を進めろ。この二点の御指示、引き継ぎ事項がございました。  私は元来、通産行政というのは今まで経験したことが余りなかったわけでございますが、ただ、これは小さい話で非常に恐縮でございますけれども、私のやはり生まれ育った環境から、どうしても中小企業はかなり危機感を持っていたものでございますから、あえて一つ何をやりたいということになると、先ほども冒頭申し上げましたが、景気状況の中で非常に大きな不安材料のある中小企業に対して、何らかの明るい兆しが私の在任中 にでも見せられればなという点は、ちょっとこまかい話になるのかもしれませんけれども、でも物すごく大きな話のような気もいたしますが、それは大変強い願望を持っております。  それから、国際会議等がこれからあるわけでございますが、そういう中でいろいろな交渉事もあるわけでございますけれども、ただいま、ちょっと施政方針演説が役人の文章であってというような御指摘をいただきましたが、やはり今までどうしても役所的な形での通商交渉、外交交渉というのがされていたと思うのです。それを、橋本大臣のときに非常に、人間と人間としての交渉、信頼というもの、これは安倍通産大臣のときにもそういうような状況があったのですけれども、それをさらに深めて、お役人がいろいろなことで対応するのではなくて、議員個人として、議員としての、お互いに向こうの大臣とこっちの大臣とのさしの会談でよりすばらしいものを見つけていくというようなことに努力をいたしてまいりたい。  これは、そういう面では新進党さんから見れば全く外交をしたことがない不安な大臣ということになるかもしれませんけれども、でも、外交したことはなくても、逆にそういう方がかなり堂々と、なまじっかわからない方が堂々とできるのじゃないのかなというような気がいたしますので、ひとついろいろなところへ行って、外国へ行って帰ってくるとかなり評価をされるような実績をつくってまいりたいと思いますので、国会でいろいろな日程もあると思いますけれども、いろいろな通商交渉等があるときには、何とかお許しをいただきまして、一日でも二日でも日本の国をお出しいただきますように、これはお願いでございますけれども、お願いさせていただきます。
  65. 古賀正浩

    ○古賀(正)委員 我が国の現下の歴史的課題ともいうべき日本経済の構造的転換、この本質を規定しているものの一つ経済の国際化ということに相なるわけであります。今大臣お話もございましたけれども、閣僚、なかんずく通産大臣の国際的場での役割、活動の必要性は今後非常に大きくなっている、大きなものがあると私ども考えております。  先週十四日に、当院では平成七年度の第三次補正予算を決めるという重要な日でございました。通産大臣はこれを欠席して、三月一日、二日の例のアジア欧州会合に向けたアジア側経済閣僚会議に出席をされたわけであります。我が党は、この計画に対して、言ってはなんでありますけれども、細川、羽田内閣当時の野党、我々が見ておりました野党と違いまして、この通産大臣の熱意に十分協力し、配慮をしたい、こういう考えで、あえてその本会議を欠席することも了解しておったわけであります。  そこで、今度開催されますアジア欧州会合、これについて簡単にまずお伺いをしておきたいと思うのであります。  今回のアジア欧州会合というのは、西欧とアジアとの数百年の歴史、経緯等を考えますと、何か、ここまで来たのかというような非常に重要な意味も基本的にあるような気がいたします。近年、アジア経済の成長は目覚ましいものがあるわけでありますけれども、まさに世界の成長センターの様相を呈している今日、アジアは十分アメリカ、欧州と並ぶ世界の三つの極の一極にまで達してきておる、こういうことだという認識になるわけであります。  そういう中で、今回の会議は非常に大きな意義があろうと思うわけでありますけれども、その成功のために、アジアの中の日本の役割を十分発揮するということが非常に大事だというふうに考えます。私としては、世界の調和ある発展のために、アジア、欧州、米州のそれぞれがバランスよく連携していくことが非常に大事であると考えるわけでありますが、その中における日本の役割ということも今後の日本のアジア政策の中でも非常に重要だ、こう考えるわけであります。  そこで、大臣に、本会合の意義及び日本の取り組みについてどう考えるかということについて所信をお伺いしたいと思います。
  66. 塚原俊平

    塚原国務大臣 御指摘のように、アジアと欧州とアメリカはまさに三つの核だというふうに思います。アジアと欧州の間の結びつきは、今先生からお話しいただきましたように、今まで大変に全体として希薄だったわけでございまして、そういった意味では今回の会合は大変に重要な意味を持つというふうに思っております。  私も出席をさせていただきまして、無論初参加であったわけでございますが、ともかく何事につけてもやはり日本は意見を求められますし、ちょっと議論がかみ合わないときは常に裁定を求められますし、そういった面では日本経済閣僚に対するアジア各国の信頼感というものが大変強いということを認識をいたしてまいりました。  また、そういう状況の中でも、やはりASEAN各国の中には、やはり欧州に対する、それからこれからの交渉に対する不安というものもあるわけでございまして、そういった面においても私どもが適切な形で彼らと議論を深めていく中で、無論我々はアジアの一員でありますけれども、欧州との間の仲立ちにもなることができるわけでございまして、そういった一連のことを考えてみましたときに、アジアとアメリカとの仲立ちというのは私ども随分今まで努力をしてきたわけでございますが、それに加えて、今回アジアの一員として、いろいろな形での欧州との仲立ちができるということは、日本の国が世界全体に経済的に外交面で大きく貢献していくための極めて重要な部分なのではないのかなというふうな認識をいたしております。今回、三月一日、二日に総理が行かれますが、これは極めて重要な会合であるというふうな認識を持っております。
  67. 古賀正浩

    ○古賀(正)委員 私も昨年の暮れ、新進党として東南アジアの経済状況調査に行ってまいりました。それで感じたことは、やはり東南アジアは、もう現在の世界経済成長の中心になってきておるというか、大変自信を持ってきておる、非常に生気がある、こんな感じであります。そういう中で、日本はもうだんだん、うかうかすると置いてきぼりになるのではないか、そのような危惧さえちらちらと感ずることもあるのであります。アジアが今後大いに経済を発展させ、世界の三極構造の中でいい役割を占めていくためにも、日本の役割、プレゼンスも非常に大事だ。でないと、ジャパン・パッシングみたいなことになりかねないことも危惧されるわけであります。ひとつ今後大いに頑張っていただきたい、心からお願いを申し上げます。  さてそこで、大臣所信表明の中にありましたごとく、経済構造の改革の推進というのは、現在の日本経済産業政策の大課題でありますけれども、これに大胆、真剣に取り組まなければなりません。この数年来の円高企業海外進出を非常に促進するというようなこともありまして、特に、国民経済の土台を形成する製造業の生産機能の移転、これは大変著しいものがあるのは御案内のとおりであります。  我が国の直接投資の対象は、欧米からアジアにこの数年かなり移行しておるというようなことも顕著でありまして、主要電気機械製品、例えばVTRとか電卓みたいなものも相当移ってしまっておる。日本のセットメーカーの生産分業システムの中に海外拠点がもう組み込まれてしまってきておる、このような状況もあるわけであります。そういう中で、産業空洞化の懸念というのはますます我が国について強まってくる、こういうことが取りざたされておるところであります。  過ぐる対総理の施政方針演説に対する質疑で、小沢党首が所信として申しましたとおり、未来の人類を支える新技術の研究開発を支援する、あるいは新産業分野、ニュービジネス、フロンティアの開拓等を進める、あるいは規制緩和、撤廃等を強力に推進していかなければならぬ。これは大臣所信表明の中にもあったとおりであります。そして、そういう中で産業の構造的転換に雇用との関係で時間的にもギャップがあってはならない、こういうことがあるわけであります。  塚原大臣は、かつて労働大臣もお務めになり、 大変労働行政にもお詳しいお立場の方であります。しかし、雇用政策を実効あらしめるためには、産業政策がまず基本である。雇用力の培養のもとはすべて産業政策にあるわけでありますから、そういった意味において、特に新産業分野開拓等、通産大臣としての役割、責務は非常に大きいと考える次第であります。こういう点について、ぜひひとつ全力を尽くしていただきたいとお願いを申し上げる次第であります。  先般、同じく本会議で政権準備委員会の中野副委員長が代表質問で申しましたように、こういう雇用政策、空洞化対策というのは、スクラップ・アンド・ビルドではなくてビルド・アンド・スクラップでいってほしい、このようなことを申しました。今後、このような雇用問題のギャップが生じない最大の配慮を通産大臣としても切にお願いを申し上げる次第であります。  この産業空洞化問題に関しまして、経済企画庁長官及び通産大臣の総論的な、端的な所信を一言ずつお願いを申し上げます。
  68. 塚原俊平

    塚原国務大臣 先ほどのところで、冒頭でお礼を言わなくてはいけないのをちょっと抜けてしまったのですけれども、大事な補正予算の採決のときに欠席をしたのですが、これはもう大変画期的なことだと思いますが、御配慮をいろいろといただきまして、本当にありがとうございました。  我が国の高コスト構造の顕在化などを背景にした産業空洞化と、それに伴う雇用の減少の懸念については、深刻な問題としてこれを受けとめております。このような懸念を払拭するために、大胆な産業構造改革に早急に着手することが必要だという御指摘をいただきました。  具体的には、一つは、まず規制緩和で高コスト構造を是正するのだ。それから二つ目には、新産業の担い手のベンチャー企業に対する資金調達、人材面での支援の充実をする。それから三つ目には、科学技術基本法を昨年通していただきましたが、研究開発基盤の整備を含めた構造改革型の社会資本の整備をするというようなことで、産業活動の場として我が国の魅力を高めることが必要であろうというふうに考えております。  おととい、ドイツの経済大臣が来られましたときに、彼が一つ申しましたのは、ともかくドイツでは労働大臣通産大臣になることは全く考えられないというようなことで、日本でもなかなかないケースのようでございまして、かつて二人くらいはいたのかもしれませんが、先ほど御指摘いただきましたように労働大臣から通産大臣になった。宮地先生からもそのことを言われましたけれども、そのことは自分自身、十分肝に銘じて仕事をしてまいりたいというふうに決意をいたしております。
  69. 田中秀征

    田中国務大臣 宮澤内閣のときに、古賀先生は通産政務次官をおやりになって、私は経済企画政務次官をやらせていただきました。その当時、産業の空洞化についてささやき合ったのを思い出していたのですが、それがいよいよ現実のものとなりつつある、そういう認識をしております。  この問題については、これはもう既成産業、既成企業については、荒っぽく言うと、構造改革によって高コストの構造を是正していくということと、新しい技術による新しい産業というものによってそれこそ新たな分野を切り開いていく、それ以外に方法はない、そんなふうに思っているところであります。  昨年末に閣議決定された新しい経済計画でも、主としてこの構造改革問題について注目して計画が立てられているわけですが、ここに挙げられている具体策をちょっと改めて御紹介したいと思うのです。一つ我が国産業の高コスト構造を是正し、新規産業創造していくための規制緩和の推進、二、我が国産業事業革新や積極的な新規事業開拓への各般の支援策の実施、三、研究開発や学術の振興など未来への発展基盤の整備、四、これまでの人や物の流れを変え、企業活動等を根底から改革する可能性のある情報化の推進、五、新たな雇用の創出と労働市場の整備等を挙げているわけでございます。  基本的に通産大臣がおっしゃったことと同じでありますが、さらに私見を申し上げますと、私は、現在の先進国の経済の低迷、なかなかうまくいかないことの中には、先ほど申し上げたのと重なるのですが、やはり技術不況というような言葉であらわされるような状態があるのではないか。経済を牽引していく新しい技術というものが、将来にわたって見通しできないというところにあるような気がします。そして、その技術を勉強するということに対する意欲が子供たちに失われている。新しい技術を開発する意欲に満ちた人材が不足しているという意味では、人材不況だと私は言っております。そして、それはなぜかということを考えていくと、やはり生活の便利さとか豊かさを目指していく、そういう経済社会の目標にかわる新たな価値が見出されていないという意味では、根底には価値不況というものがあるのではないかというようなことも私は申し上げているところです。  東南アジアの躍進というのは、今までの私どもの価値を掲げての大躍進だというふうに私は思いますので、そんなことも考えながら、新たな経済社会の価値目標とは一体何なんだということを考える中で、この空洞化の問題、構造改革の問題も考えていきたい、そんな気持ちでおります。
  70. 古賀正浩

    ○古賀(正)委員 先ほど来の御質疑、御答弁の中で、現在の日本経済の景況についての認識とそのやりとりがございました。  大臣認識にもありましたように、中小企業の業況というのは予断を許さぬ状態がある、こういうことであります。もう重複になりますからこれを避けますけれども、昨年十一月の日銀短観における業況判断指数は、あるいは中小企業の設備投資などは、中小企業は大企業に比べて改善傾向に非常におくれがあるというようなことがあります。また、中小企業の倒産件数、このところ前年水準を上回っておる。昨年一年間では一万五千件、対前年比七・二%増みたいな状態であるということが言われておるわけであります。  いろいろ住専問題等の忌まわしい課題もありますけれども中小企業景気回復のおくれは、既往債務の処理に苦しんでいることが大きな原因の一つであると我々は思っております。思い切った金融円滑化措置が必要ではないか、こういう気持ちがしておるわけであります。  昨年九月の経済対策によりまして、一年間の元利返済のための資金融資あるいは五%超の金利の減免等が決定をされました。この実行状況、いろいろあるようでありますけれども、さらにこれを継続し、拡充するといったようなことが今後必要ではないかという思いがいたしております。また、これは三年前、尾身先生おられませんが、大変強力な論陣を展開された、高金利で借りている政府系の中小企業金融機関のお金の一括返還を認められないかという問題も課題としてはまだしっかり残っておるということもあるわけであります。  また、これは県レベルで、信用保証協会の保証業務の運用の弾力化などもなかなか徹底をしていないというようなこともございます。あるいは中小企業融資について、現在金利が非常に下がっておるにもかかわらず、保証料がやはり非常に高い、据え置きのままであるというようなことが問題だという気持ちも、いろいろ地元中小企業等は持っておるわけであります。  現在の警戒すべき景況からいたしますと、次の景気対策の準備みたいなことも我々は怠るわけにはいかない、そういう研究、勉強もしっかりしておかなければならないというふうに思う次第でありますけれども、特にこの中小企業対策については、今後よくいろんな研究、準備をしていただきたい。  一々今私が申しましたことにお答えは要りませんけれども、きめ細かく血の通った対策を充実していくということが非常に大事だということでございまして、これについての大臣の御決意をまずお伺いしたいと思います。
  71. 塚原俊平

    塚原国務大臣 特に、今御指摘いただきました金融面につきましては、やはりこれは信用補完制 度をさらに充実するように努力をしていかなくちゃいけませんし、今御指摘をいただきました幾つかの積み残し検討問題があるようでございますので、それぞれ、なかなかこれは難しい問題も一つ一つあるのでございますけれども、十分にかみ砕きながら、無理なものは無理とはっきりやはり言っちゃった方がいいと思うし、可能性のあるものは可能性があると、その辺の整理もきちんとして公表をいたしていかなくちゃいけないというふうに考えております。  もし細かなものが必要でしたら答えますけれども……。
  72. 新欣樹

    ○新政府委員 中小企業をめぐる景況、最近一部製造業に持ち直しの動きは見られますけれども、御指摘のように大企業に比べますとまだ回復のテンポは遅いというようなことで、依然として厳しい状況にあるわけでございます。  ここで必要なことは、やはり我が国全体の景気回復に向けた足取り、これを確実なものにするということがまず大前提かと思いますけれども中小企業固有の対策といたしまして、先生いろいろ金融対策等について御指摘がございました。それぞれ私ども昨年九月の経済対策、それを裏づける第二次補正予算等によりまして各種の対策を講じており、また平成八年度におきましても中小企業の経営基盤の安定強化というための対策を図ると同時に、技術開発新規創業等支援、いわゆるベンチャービジネス支援を初めとする中小企業の構造改革の推進ということに切れ目のない対策を講じていくということで、今後とも施策の充実展開を図ってまいりたいと思っております。
  73. 古賀正浩

    ○古賀(正)委員 もう時間がなくなってまいりましたので、最後に一つ触れさせていただきたいのは、例の大店法絡みの問題であります。  近年、経営環境が非常に激変して厳しい競争にさらされているというのが現在の中小小売業ということになるわけであります。これは、大店法の規制緩和というのは時代の趨勢でもありますし、こういったことを推し進めていかなければならぬということはもちろんあります。しかし、その情勢変化の速度の激しさは、政治的に問題なしとしないというふうに私は考えております。大型店、郊外店舗の発展と既成市街地、商店街の凋落というような形を、健全な地域づくり、町づくりのために本当にこのまま見過ごしておいていいのか、こういう問題も非常にあるわけであります。  そういう中で、大店法の運用は、いろいろまたこの数年新しい制度になり新しい運用が始まりながら、必ずしもまだしっくりいっていないというような思いがしてならないわけであります。例えば、大規模小売店舗審議会というのがありまして、これは商工会議所に依頼して集約された意見をできる限り尊重しつつ総合的に判断するというような通産省指導もあるわけでありますけれども、実際に、大変地元の商工会議所等が努力をし苦労した地元意見集約結果というのが、どうも余り尊重されない例がいろいろある。こういうことが地元の意欲を非常にそいでおる。そして、こういうことが今後の大店法の運用上、将来いろいろな形でまた影響してくるのではないかというおそれも感じておる次第であります。  町づくり、地域おこしという提案と関連をさせながら、この大店法に基づくいろいろな店舗の進出等はよく吟味をしてほしいと思いますし、また一方で、そういういろいろな大店舗の展開とともに、あわせて町づくり施策を充実していくということが今後非常に重要な課題になっておるわけであります。現在、空き店舗対策の充実、中小企業事業団の高度化事業の拡大、活用等もやってもらっておるわけでありますが、これをもっともっとしっかり拡充して頑張っていただきたいとお願いを申し上げる次第であります。  規制緩和は、ただ制限を緩めるということだけではありません。緩める条件をつくる、その対策の充実ということが非常に重要であって、そこに真の目的の達成があるというふうに思う次第であります。先般、通産大臣が就任された後、これは一月十五日の日本経済新聞でありましたか、インタビューに応じておられまして、その中で塚原大臣は、「大規模小売店舗法についても九七年の見直しに向け、私なりの考えをまとめたい。」こんなふうなことをおっしゃっております。私が今申しましたようなことを含め、ひとついい適切な対応をしていただきたいとお願いを申し上げる次第であります。  これについての通産大臣の御所見を伺って、私の質問を終わります。
  74. 塚原俊平

    塚原国務大臣 中小企業状況がよくない中で、製造業はやや数字がよくなったけれども、小売はよくないというお話をしました。  それで、通産省規制緩和の役所でありますから、当然規制緩和をどんどん進めていかなければいけない。製造業については、やはり規制緩和は結構いい影響が出てくるのだと思うのです。ただ、小売業につきましては、やはり大店法が緩やかになればなるほど、当然大変に苦しい状況がこれは出てまいります。ですから、私は、一番ここが通産省としての矛盾のある難しい行政の部分だというふうに認識をいたしております。  就任当時は、平成九年の見直しで、ある程度大店法を両方に見直すことができるというふうなちょっと認識を持っていたわけですけれども、役所の基本方針としてもきつく見直すつもりは今のところ余りないようで、よりやはり規制緩和の方向にこれから行くということになりますと、まず今先生が御指摘になった空き店舗対策、これはいろいろな策を講じています。空き店舗が出た、その空き店舗に対して、そこに入ればいろいろとまたいいよとか、空き店舗をいかに埋めるかとか、これはやっているのですが、それよりもまず前に、空き店舗の出ない対応をこれからしなければいけないわけでございます。そのためには、今までいろいろなアイデアをやってきたと思うのですね。商店街に一つのモールみたいなのをかけてしまうとか、あるいは大きな店舗、郊外の店舗の中にその地域の商店街を入れるとか、いろいろなことをやってきたのだと思うのです。それから、大型店と大型店の間にまた専門店を置くとか、いろいろなやり方をやってきて、なかなかどれも、まあうまくいっている例は余り大きな問題にならないのかもしれないですけれども、やはりうまくいっていない例が大変に多いというようなことも伺っております。  ですから、そういった一つ一つの具体的な事例を平成九年に向けて、これからやはり大店法がさらに規制緩和の方向にどうしても向かうということになれば、商店街対策というものに、そういう規制緩和前提のもとでこれから対応というものをいたしていかなくちゃいけないと思っておりますので、先生から今御指摘いただきました認識をしっかり持って、これから個々に対応してまいりたいというふうに考えております。
  75. 古賀正浩

    ○古賀(正)委員 御努力をお願いします。  終わります。
  76. 甘利明

    甘利委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十二分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  77. 甘利明

    甘利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。吉田治君。
  78. 吉田治

    ○吉田(治)委員 午前中の質疑に引き続き、新進党を代表いたしまして質問をさせていただきます。  まず、今マスコミ等をにぎわしております独占禁止法改正、特に持ち株会社解禁について、公正取引委員会の方に、現状どうなっているのかというふうなところをまずお聞かせいただきたいと思います。
  79. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 お尋ねの独占禁止法改正問題、特に独占禁止法九条のいわゆる持ち株会社禁止規定についてですが、これまでの経緯と現状を簡単にお答えを申し上げます。  まず、持ち株会社の禁止制度につきましては、この規制を何らかの意味で緩和すべきである、こ ういう議論がいろいろあったところでございますけれども、最近は、特に規制緩和の観点からこの規制のあり方を見直すべきである、こういう議論が強く主張されまして、昨年三月末に閣議決定をされました規制緩和推進計画におきましても、この問題につきまして検討を開始し、議論を深める、三年以内に結論を得ることとされたところであります。  このような状況を踏まえまして、私ども公正取引委員会といたしましては、各方面につきましていろいろ御意見を伺い、あるいは調査をしてまいりました。そして、昨年の秋に、各界の有識者から成ります独占禁止法第四章改正問題研究会、これは持ち株会社問題以外の課題も含んでおりますけれども、これを開催いたしました。そして、とりあえず各方面から要望が強いこの持ち株会社問題につきまして中間報告を取りまとめて、昨年十二月に公表したところでございます。  この報告書におきましては、要旨、次のように結論をしております。すなわち、持ち株会社禁止制度については、事業支配力の過度の集中防止という独占禁止法の目的規定を踏まえて、「これに反しない範囲内で見直すことが妥当である。」これがこの研究会の報告の結論の要旨でございます。  それからまた、現在の与党三党におかれての政策合意の文章の中でも、「独占禁止政策に反しない範囲で持株会社を解禁する。」こういうことが盛り込まれているわけでございます。  さて、私どもといたしましては、このような状況の中で、今国会独占禁止法改正法案をお願いをいたしまして、その中に持ち株会社の見直し問題も含めて取り上げていただく、こういう考え方でこれまでにいろいろ御議論をさせていただきましたけれども、現在、与党三党におかれまして独占禁止法改正問題プロジェクトチームが設置をされ、特にこの持ち株会社問題につきまして可及的速やかに成案を得るとの前提のもとに、検討が鋭意行われているところでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、このプロジェクトチームの検討を見守りながら、今国会におきまして所要の法律改正が行われるための準備作業に現在私どもとしても努力をしているところでございます。  とりあえず、簡単に御報告申し上げました。
  80. 吉田治

    ○吉田(治)委員 それでしたら、これは四章の研究会の報告では、四類型について一部解禁する。また、一部報道では、いや全面解禁だ、いや全面解禁だけれども一部禁止なんだとか、いろいろ出ておりますけれども、すべてこれは連立与党三党の商工担当プロジェクトチームというのにお任せしているということなのでしょうか、委員長
  81. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいま申し上げましたように、私どもがお願いしました研究会の報告の結論要旨は先ほど申し上げたとおりでございますが、私ども、これをベースにいたしまして、私どもなりの改正の方向というものをいろいろ考えてきたことは事実でございます。  しかし、連立三党におきまして、この国会に提出をいたします政府与党間の法案作成の過程におきまして、現在、先ほど申し上げましたようなプロジェクトチームが設置されまして、そこで御検討いただいているところでございますから、私どもはいわば事務方としてこの検討作業に御協力を申し上げながら、その検討を受けまして所要の法改正を行う努力を現在いたしておる、こういうふうにお答え申し上げたわけであります。  先ほど、研究会の報告につきまして、四類型という御指摘がございましたけれども、この研究会報告書におきましては、先ほど申し上げました事業支配力の過度の集中に当たらない、いわば典型的な四つのパターンということで四類型、これは御案内のとおり、一定規模以下のものでありますとか、あるいは純粋分社化の場合等々でございますけれども、これはその当たらない典型的なケースということで掲げられているわけでございます。  そしてこれを、例えば原則自由と見るか、あるいは原則禁止と見るかという点は、これは端的に申しまして表現の問題でございまして、私どもとしてはそういう言い方はしておりません。あくまでも事業支配力の過度の集中を防止するという、これは独禁法の一条の目的規定に掲げられていることは御案内のとおりでございますけれども、その枠組みを維持しながら、その中でどのように見直しを行っていくか、これは法律改正のいわば表現の問題、あるいは手続の問題もいろいろございます。その点についてさらに議論が深められるべきである、こういうふうに考えておるわけでございます。
  82. 吉田治

    ○吉田(治)委員 それでしたら、あれですか、これは議員立法で出てくるわけですか、それとも閣法として出すという予定なんでしょうか。  そして、お話聞いていましたら、どうも委員長は、一カ月ほど前に大阪のある団体で御講演をなさっているんですよね。そのとき講演に参加された方々から聞いた話とちょっと違うんじゃないかと。そのときの委員長の話では、この九条の改正に関しては、やはり一条の基本が生かされる九条であると。昨今のマスコミ報道によりますと、いや全面解禁だ、全面解禁だと。参加された方々が、話が違うじゃないか、あのとき委員長さんが話してくれたことと違うと私のところに申しに来られておる現状もあるということでございます。これが議員立法であるのであれば、与党のプロジェクトチームでやられることは結構かと思いますが、閣法で出されるのであれば、公取の委員長として、事務方としてどこをスタンスにするのか、どこを基本にするのかというのをはっきりと明言をしていただきたいと思います。
  83. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 私どものこの独禁法第九条、持ち株会社禁止規定の見直しの基本的なスタンスは、先ほども研究会報告の結論要旨ということで申し上げました。あくまでも独禁法一条の目的規定、今先生もおっしゃられましたような事業支配力の過度の集中防止という表現が独禁法一条の目的規定の中に明記してあるわけでございますけれども、この枠組みを維持する、これがすべての基本でございます。これは研究会報告の結論でもありますし、私どももこの問題を議論する基本的なスタンスはこれである。  先ほど申し上げましたように、これを維持しながら、それでは、それを仮に法律改正をいたします場合の法案の法文の表現としてどのように書き込むか、あるいはまた手続としてどのような手続が望ましいか、こういう点についてはいろいろ御議論のあるところでありますので、この点はさらに議論が深められるべきであると思います。  いずれにしましても、今申し上げたような、繰り返しになりますけれども事業支配力の過度の集中防止という独禁法の目的規定の考え方、この点がはっきりと維持される、その点においては、私ども議論のスタンスは明確にしているつもりでございます。
  84. 吉田治

    ○吉田(治)委員 では、その研究会というのは、第一条に書いてある目的を再確認するためにわざわざ集めてやった研究会なのですか。今の言い方だとそうでございましょう。目的、過度集中、一条に書いてあります。それで、第四章研究会の報告書では過度集中を排除する、それがスタンスですよと。何のために研究会を開いて集まっていただいて報告書を出したのですか。そうだったら、そんな研究会は不必要じゃないですか。  それに基づいて持ち株会社解禁についての議論をする。それがいつの間にか変わってきた。持ち株会社解禁については、いつも説明では、いや日本と韓国しかないのだ、だから規制緩和だといいますけれども、ではヨーロッパだとかアメリカで持ち株会社を認めているかわりに、例えばヨーロッパでしたら、日本企業が持っているような株式の持ち合いというのは認められているのですか。アメリカでそういう制度が、そういう慣習があるのですか。  また、システムという部分で言えば、このたび公取の事務局が事務総局に格上げになる。しかしながら、アメリカの反トラスト担当の局では、体 制は千五百人体制でやっている。そういうシステム的な整備を何らなされずに、いや持ち株の解禁だ、それが規制緩和だ、そうしなければ日本経済はだめなんだ。建前ばかりでやられて、一向にぴんとこない。そういうふうな議論をずっとなさるというわけでありますか。  これは、どうも私自身聞かせていただいて、非常に何か持ち株会社だけの話をどんどん先へ進められて、それにかかわる条件整備、後ほど質問を申し上げますけれども、では中小企業の問題は考えられたことがあるのか。労働者、労使関係のことについては考えたことがあるのか。例えば、持ち株会社が認められているヨーロッパ、アメリカにおいては、それは日本に比べられないほどの労働者保護のためのさまざまな法律ができている。しかしながら日本では、まだ基準法にしても組合法にしても整備が足らない中で、いや持ち株会社にしなければだめなのだ。  その委員長の会に参加された方はこう言われていました。結論的には、吉田さん、持ち株会社というのはあれですな、人を減らすためのリストラに使える方法が一つふえるのですね、こんなばかげた法律が。そんなことが経営者の間で言われている。それをするのが公取の役目なのですか。どうなのですか、委員長
  85. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいまいろいろな御指摘をいただきました。  繰り返しになりますけれども、持ち株会社解禁につきましての私ども考え方基本は、さっきから申し上げております事業支配力の過度の集中防止という制度の枠組みを堅持しながら、これをどのように具体的に生かしていくか、法文に表現をするか、手続をどうするか。そういう問題が、まずいろいろ議論がございますということを申し上げました。  ところで、研究会の報告でございますけれども、これは研究会の報告のいわば結論部分の要旨を申し上げたわけでございまして、先ほども指摘の、例えば四つの類型、これは規模が一定規模以下であるもの、あるいは純粋分社化の場合、あるいはベンチャーキャピタルの場合、そして金融機関の業務相互乗り入れの場合、その四つの場合につきましては、これは事業支配力の過度の集中を招くような問題はないと考えられるので、この点は今の一条の目的規定に抵触をしない、解禁を行うべき典型的な類型であるとして四つの類型を示された。これも研究会の御議論の成果の一つでございます。  それからまた、研究会におきましては、持ち株会社についてのメリット、デメリットをいろいろと具体的に御議論をいただいたところでございまして、その中では、例えば今御指摘のいろいろな関連分野の問題も、この持ち株会社の見直しについてはいろいろ広がりがあるところである、したがって、例えば今雇用問題、中小企業問題等をお取り上げになりましたが、そういう問題につきましては、この研究会の報告では、いろいろ影響がある関連すべき問題も今後検討されなければいけないという点についても、もちろん指摘もされているところでございます。  したがいまして、この研究会の御報告は、これは全容を申し上げる余裕はございませんけれども、いずれにしましても、この問題の議論をこれからさらに拡充をしていきますための非常に重要な、基本的な、いわば議論の土台をつくっていただいた大変貴重な研究報告である、私どもこういうふうに観念をしております。  そこで、私どもといたしましては、今御指摘のような関連分野の問題も視野に入れながら、これから具体的な改正作業の検討の場としては、さっき申し上げました与党三党のプロジェクトチームがあるわけでございますけれども、私どもも事務局の立場でこのプロジェクトチームの検討の場に参加をさせていただきながら、私ども考え方報告をいたしまして、その議論の場の中で、いわば議論に参加をさせていただく。そして、現在の与党三党の体制の中で、最初に申し上げましたように今国会中に改正法案として提出できるように最大限の努力をしていきたい、そういうのが現状でございます。
  86. 吉田治

    ○吉田(治)委員 ですから、委員長がそういう発言をなさるから、大体こういう研究会で出てくる四類型というのは、それに基づいて普通通則は一部解禁という方向になるのが、そういう発言をなさっていくから、御自身の組織の拡充と取引で持ち株会社の解禁がなされるのだというふうなことが言われるのではないか、こういうふうに思うわけであります。  はっきりとしたスタンスを持たずに、持っておられたのが変わった。それはもう自分のところの組織の拡充てしょうがないのだ、仕方がないのだ、予算もいついつに上げなくては。何かすべてがそういうふうになっている中での、この持ち株会社の議論ではないかと思います。  ここで、その議論は何度しても同じですので、数点だけポイントをお聞かせいただきたいと思います。  まず委員長に、この持ち株会社が解禁になった場合、一部であろうが原則解禁であろうが、解禁になった場合の労働問題、労使関係においての影響というものを公取として認識をされたのか、議論をされたことがあるのかということ。そして、中小企業にどういうふうな影響があるのか。  御承知のとおり、京都の商工会議所の稲盛さんは反対だと言っているじゃないですか。経済界はこぞって応援だ、そんなこと、いろいろな方は言われますけれども、現に地方の商工会議所の会頭さんが、こんなことをされれば、今四類型の中でベンチャーキャピタルの話をされましたけれども、いいとこ取りをされるのじゃないかという話もなさっている。  その中において、公正取引委員会として、労働問題と中小企業の問題を、考え過程において認識、議論がされたのか。そして今度は担当される中小企業庁として、この持ち株会社の解禁に関して認識、議論はどうなさっているのか。そして労働省の方ではこの問題についてどういうふうに対応し、認識しているのかということを、それぞれ責任ある方に責任あるお答えをちょうだいしたいと思います。
  87. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 独占禁止法改正法案につきましては、これは実は公正取引委員会の事務局の組織強化の点につきまして、これをいわば切り離した形で昨日閣議決定をされ、これから国会で御審議をいただくということでございまして、この点は、私ども国会に提出をさせていただきます法案でございますから、できれば持ち株会社の見直しの問題も一括をしてということを強くお願いをしてまいりましたけれども、結果的には、まずその機構強化の問題を切り離して法案としてお願いをする、持ち株会社問題につきましてはなお議論を深めて可及的速やかにおまとめをいただく、こういう扱いになっているわけでございます。  ただ、先ほどの御指摘でございますけれども、私ども組織強化の問題と持ち株会社見直しの問題、この二つの問題は直接関係するものではございませんが、一本の独占禁止法改正法案の中に一括して盛り込めればということを強く期待していたということは事実でございます。ただし、この二つはそれぞれ内容的には全く別の問題でございますし、それから私どもとしては、二つ課題ともぜひ実現をさせたい、そういうことは今でも強く期待をしております。したがいまして、その二つの間にいかなる意味でも、今御指摘のありましたような、何かこの二つの問題を取引をしたかのようにもし伝えられるところがあるとしましたら、これは私にとりましてまことに不本意なことでございますので、この点はぜひそうではないということを御理解をいただきたいと思います。  さて、具体的なお尋ねでございますけれども、その持ち株会社を解禁した場合における労働問題、雇用問題についての影響、この点でございますが、これは雇用問題、労働問題に影響を与えるのではないかという御指摘をいろいろな形でいただいていることは、これは私ども承知をしておりますし、これは、例えばけさ官邸で開かれました 雇用対策本部の御議論で、労働組合の代表の方からも御指摘を直接承ったところでございます。この点は、法律上の問題といたしますと、現行の法制のもとで認められております、通常見られます会社のいわゆる親子関係におきましても同種の議論がされているところでありますから、今回の持ち株会社禁止制度を見直すに当たって、全く新しく生ずる問題というわけではないと思います。  ただし、この持ち株会社見直し問題が非常にクローズアップされたことに伴いまして、改めてこの問題についても大変強い関心が生じ、また議論が行われているということは私どもよく承知をしておりますので、今後このような分野についてどのような措置が必要とされるか、これは関係各方面において議論が深められていくことが必要であると考えられますし、また私ども、これからさらにこの持ち株会社見直しについての非常に多様な議論が行われていく中で、御指摘のこれらの分野につきましての問題についても、私どもも十分承り、また議論に参加をしていきたいと思っております。また、公正取引委員会といたしましても、関係方面での議論に資するように情報提供を行う等の対応に努めてまいりたいとも考えております。
  88. 新欣樹

    ○新政府委員 本問題、現在与党三党及び公取委員会におきまして、中小企業も含め関係各方面の意見を踏まえつつ、独禁法改正に向けての準備を進めていると承知をいたしております。中小企業の意見はどうかというお尋ねでございますけれども、私どもの耳に入っております意見の大勢は、持ち株会社が解禁されれば、この制度を利用することで経営の選択肢が増すことが期待される、また、ベンチャービジネスへの投資を主たる業務とするベンチャーキャピタルの一層の発展を可能にする等、ベンチャーの振興につながることも期待されるということから、中小企業の活性化にとっても有効というような意見が多うございます。  もちろん、大企業グループの巨大化とか系列化による中小企業への影響を懸念する声もあることは承知しておりますけれども、これは持ち株会社のみの問題ではなくて、事業支配力の過度の集中が招来したような場合においては、これは本来の独禁法の厳格な運用により対処すべき問題と考えておる、こういうのが大勢かと存じます。
  89. 木村富美雄

    ○木村説明員 独禁法改正問題につきましては、その内容等につき現在検討を進められておるという段階でございますので、この段階で明確なことは申し上げられませんが、いずれにいたしましても、持ち株会社がその形態を利用して労働関係に係る問題を生じさせることのないよう、今後の調整の推移も見守りながら、私どもとしては、どのような問題が生ずるのか、あるいはまた問題が生ずるとすれば、それに対してどのような措置を講じることが適切なのかといったような点について、論点の整理も行い、検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  90. 吉田治

    ○吉田(治)委員 時間が迫っていますのでこれぐらいにしたいと思いますが、小粥委員長、これは事前調整が何らなされてなかった、もうやみくもに組織拡大と持ち株会社の解禁を取引したと。委員長は違うと言いますけれども、でも、委員長のその前の話の中に、いや一本の線ですよという言葉がございましたよね。片言隻句をとるつもりはございませんけれども、一本の線の中で余りにも早急にし過ぎた結果、労働省さんも、まだ検討だ、これから問題が何が起こるかわからない、中小企業庁さんも、経営選択肢がふえて、これは一つはリストラということですよね、経営選択肢というのは。ベンチャーキャピタルにプラスかもしれない、でも懸念する声もある。何らのそういう周辺整備もなされずに、ただやみくもに進んでいく。あるいは財界人の声は、いや問題が起こってから考えたらいいんだ。起こっちゃ遅いんですよ、もう。余りにも公取の今度のやり方については、私はある意味で承服しかねる部分があるということを申し上げます。  そして、本日は、自民党代表の塚原大臣、またさきがけ代表の田中大臣、そして社会民主党、山形県のホープであられます遠藤政務次官、それぞれおいででございます。この問題について、大臣だとか次官という立場を離れられて、一議員としてどう考えられるのか、どう取り組んでいかれるのか、御自身の思想信条に基づいてお答えをちょうだいしたいと思います。  特に、遠藤次官に関しては、憲法を守って五十年の社会党、社会民主党。この持ち株会社というのは、経済憲法である独占禁止法の同じく第九条。憲法九条と同じように、経済憲法の第九条というのは死守しなければならないとあなたたち言っていたことですから、ちゃんとしたお答えをちょうだいしたいと思います。
  91. 塚原俊平

    塚原国務大臣 午前中も申し上げましたが、私は、最初閣法で出すのか議員立法で出すのかということで問い合わせもございましたが、仮に閣法で出すにいたしましても、やはり議員間で議論をするというのは大変重要なことだというふうに認識しております。  ただ、午前中申し上げましたように、この議論は国民の中にやはりより広く知らせた方がいいと私は思っておりますし、その議論の過程で、今度はいわゆる働く方々の方に視点を置いた九条をいじくっていくという話になりますから、そこに新しい展開が期待される部分もあるということを考えまして、何としても一日も早く国会の場で議論をしていただきたいという気持ちを持っております。
  92. 田中秀征

    田中国務大臣 先ほどからお話がありますように、現在与党三党でこの問題でプロジェクトチームをつくりまして、私どもの渡海さんが責任座長をしております。大変積極的な、活発な議論がこれからも展開されていくというふうに思うんですが、その成案を得る努力を見守りつつ、また公取を含めた議論に注目しつつ、私どもとしては、政府として規制緩和推進計画とか新しい経済計画の中で基本姿勢を述べておりますが、私個人としてもそういう姿勢で対応していきたい、そのように思っております。
  93. 甘利明

    甘利委員長 山形のホープ、遠藤通産政務次官
  94. 遠藤登

    ○遠藤(登)政府委員 どうも大変過分な御指名をいただきまして、恐縮でございます。  先生案内のとおり、今やはり一層の国際化あるいは自由化あるいは規制緩和ということで、何といっても持続的な経済の活性化、そしてベンチャーの振興、また企業体質の強化などが今求められているのではないだろうかというふうに思っております。  そういう意味で、独禁法基本的な課題について、今持ち株会社の解禁のありようなどについて与党内部プロジェクト等々で議論が展開されている最中であります。先生初め委員先生方、そしてまた中間答申もあるわけでありますけれども、広く各界の意見が早く集約をされて、この厳しい経済情勢に自由な経済競争が確保できるような、そういう体制を早くつくっていく必要があるのではないだろうかというふうに思っている次第であります。したがいまして、早く各界の意見が集約をされることを大きく期待をいたしているところであります。
  95. 吉田治

    ○吉田(治)委員 じゃ、遠藤政務次官、各界の意見がまとまればもう全面解禁でも構わない、憲法も、各界の意見がまとまれば憲法九条も改正しても仕方がない、まあ議論は全然違うでしょうけれども、そういう御意見だと承らせていただきました。また、非常に残念なのは、田中大臣が本当に官僚的な答弁をなさるということ。田中さんのお話は金を出して皆さん聞きに行く、陳情は一切受け付けない。昔は随分そういうふうに言われて、私ども若く政治を志す人間は感銘を得たわけですけれども、やはり大臣になりますと普通の人に戻るのだなということを理解させていただいた次第でございます。  以上で独禁法の持ち株会社の解禁の話を終わらせていただきまして、次は、それこそ田中大臣所管の経済企画庁のお話をさせていただきたい、質問をさせていただきたいと思うわけでございます。  本当にこの経企庁の予測が当たらない。経済見通しが全然当たらない。企業にとってはもう迷惑千万な話だ。いろいろな議論の中では、これだけ当たらないのだったら民間にいっそのこと移管してしまったらどうか、さまざまなシンクタンクがあるじゃないか。先々週の日曜日でございましたか、テレビで日本のエコノミスト五人か六人かが朝出てこられて一堂に会されていましたけれども、決して経企庁の方は呼ばれていない。これはもうマスコミの方が、当てにならぬということになっているのではないかな。数字的には、御承知のとおり、平成四年、五年、六年、七年とそれぞれ、三・五%、三・三%、二・四%、二・八%という経済見通しをしていながら、実質的にはそれぞれ、〇・四%、〇・二%、〇・五%、一・二%という実績しか見込めない。要因的にはデフレが云々ということはありますけれども、これは余りにもいかがなものかな。  特に、本年は二・五%の見通しで、これはもう大臣御承知のとおり、この数字に基づいて税収の見込みが立てられ、本年度予算というのが多分つくられていっている。じゃ、この二・五%が今までのとおりに、虚飾の数字と言ったら語弊があるけれども、机の上で考えたらそうだったよ、来年の今ごろになったら、やはり税収欠陥で足らないから国債を出さなくちゃ。それほど私は、経企庁の仕事というのは、国の予算に関しても、またそれに基づいて企業活動をなさる民間の各企業に対しても大きい影響を持っている、そういうふうに思うわけでございます。  この辺の数字の違い、なぜそうなったのかということ。そして、これからその数字、当たるのかどうか。もうこれは見通したとか予測より、当て物というのはこれは大阪弁ですけれども、当たり外れあるよというふうな形で御理解いただきたいとあえて言わなければならないのか、その辺、大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  96. 田中秀征

    田中国務大臣 大変厳しいお言葉をいただきましたが、確かに平成四年度以来、三年連続して私どもの見通しを下回るということになりましたし、七年度も二・八が一・二と下方修正されたわけです。この事実は厳粛に受けとめているのですが、もっと突っ込んで言えば、情けない話だという気持ちもないではありません。  ただ、この問題についてもうちょっと突っ込んでお考えいただくと、やはり経済というのは生き物でありますから、資産価額の急激で大幅な下落がもたらす経済に対する影響というものを、これはもう初めてのことでしたから、その読み違いというものは率直に言ってあったというふうに思います。  それと同時に、急激な円高とかあるいは阪神・淡路の大震災のような大きな不慮の出来事があったとか、いろいろな要因が加わってそういう形になったということでありますけれども、足踏み状態を脱して明るい兆しが出たという月例経済報告をさせていただきましたが、平成八年度、二・五%という数字については、これはもう決して楽観することは許されないものでありますし、本格的な回復軌道に乗ったわけではありませんけれども、これからの適切な経済運営、そしてまた午前中申し上げましたけれども、克服すべき課題、当面は予算、住専、規制緩和と私は申し上げているのですが、こういう問題をクリアしていって、そして民間主導の景気回復過程に移っていくということができれば、私は達成可能だというふうに思っております。
  97. 吉田治

    ○吉田(治)委員 大臣に教えていただきたいのですけれども、今まで六十兆円ほど、五十八兆九千億ですか、景気回復のためにどんどん資金をつぎ込んでおります、税金で。これは何か効果が生まれているわけですか。  また、今のこの景気というものは、やはり大きく円相場の適正水準、いわば為替の安定対策というのが重要だと思うのですけれども、経企庁として、調整官庁ではありますけれども、何らかの施策を行われているのか。  また、GDPの六割を占めるという消費が戻らなければやはり景気も戻らないという中で、この消費減、そして出てくる失業率。午前中の質問にもありました、三・四%、何となくみんなは不安だ。不安だから今あるお金を置いておこう、だから物は買わないというふうなこともあるのですけれども、この辺は大臣、どうお考えなんでしょうか。
  98. 糠谷真平

    ○糠谷政府委員 まず、これまでの経済対策、効果があったのかどうか、こういうことでございますが、平成四年度から、御指摘のように六回経済対策をやってきております。公共投資が中心でございますけれども平成四年度、平成五年度、それぞれ政府投資はGDPを一%以上持ち上げる結果をもたらしております。  ただ、その反対に、先ほど大臣お話し申し上げましたように、バブルの後のバランスシート調整、構造調整、いろいろなことがございまして、民間設備投資が非常に減少したということで、全体としてはゼロ成長近傍にとどまってしまった、こういうことで、私どもとしましては、経済対策そのものは効果を持っていたと思っております。  それから家計消費でございますけれども、御指摘のように雇用不安があるということから、消費性向が上がらない、むしろ低下をしているということが、個人消費、余り大きな伸びになっていないということでございますので、私どもとしては、雇用問題については今後とも十分目配りをしていかなければいけないと思っているところでございます。
  99. 吉田治

    ○吉田(治)委員 あと、中期経済計画ですとか、九二年に策定されました「生活大国五か年計画」、それは一体全体どうなったのかなというお話もしたがったのですけれども大臣、次の予定があるということで、この辺で終わらせていただきますが、最後一点だけ。  これは、申し上げたいのは、果たして今ケインズ理論というもので、それで経済を運営されていいのかな。都留重人さんという方がこういうようなことを言われていました。真っ暗やみの中でお金を落とした、それを捜すのに、経済学というのはケインズという光を当てるかマルクスという光を当てるかしか考えていない。ほかにいろいろ方法があるのではないかということをおっしゃりたかったと思うのですけれども、その辺を捜していただきたいな。ぜひとも運営していただきたい。そうでないと、経企庁五百人の職員がおられ、約二百七十億の予算をつけられていて、やっていることはうそでたらめ。先ほど、残念な限りです、申しわけないということを言わざるを得ないというのは、商工行政に携わられる皆様方としては余りにも残念ではないかな、かように思う次第でございます。  以上で、経企庁に関しましては質問を終わらせていただきたいと思います。  続きまして、通産省の関係を質問させていただきたいと思います。  まず一点目は、先ほど来話が出ております産業の空洞化という中において、さまざまな施策がなされておりますが、私一つ考えますには、この基本は、いつも申しております都市部から工場をどんどん追い出せる方法であります工場等制限法というふうなものが、これが大きな足かせになっているのではないかなと思っております。中央から地方へ出す、これは多極分散型国土形成という中では非常に重要かもしれませんが、これだけのハイテクの時代になってさましたら、どうしても大都市でないと製造しても意味をなさないようなものがたくさんあると思います。それを都市は受け入れられない。また、海外から日本進出したいと考えましても、よく御承知のとおり、日本から海外への投資は多くても、海外から日本への投資は少ない。それの大きな足かせが、やはり工場等制限法ではないかと思います。  私ども地元、京阪神三府県、三政令指定都市、そして京都、大阪、神戸の三商工会議所は、昨年九月二十一日に国土庁、通産省にも要望しておりますし、また大阪の、俗に言います経済五団体、ブロック知事会議等も中止または抜本的見直しとい うのを非常に要望しておりますし、私がこの委員会で取り上げておるのも再三でございます。  現状と今後の見通しについて、国土庁の方とそれから通産省としてどう考えるのか、簡潔にまとめていただきたいと思います。
  100. 有賀長郎

    ○有賀説明員 工場等制限法の問題でございます。  この法律は、大都市の中心部への産業、人口の過度の集中を防止し、都市環境の整備改善を図るということが目的でございます。そして今日におきましても、大都市の中心部における産業、人口の集積は依然として大きなものがあり、国土の均衡ある発展を図るという国土政策の観点から、同法の意義は引き続き大きなものがございますので、同法の基本的枠組みはこれを堅持していくことが必要であると考えておるところでございます。  ただし、この法律は、工場といいましても、工場のうちの作業場の部分、その面積が千平米を超えるものについて制限をしょうという形のものでございまして、例えば研究開発施設のようなもの、こういったものは同法の対象ではございません。また、千平米を超える作業場の新増設につきましても、例えば近代化設備を導入するといったような場合、あるいはいわゆるリストラの場合といったようなものについては、これは通常従業員数がふえるといったようなことが伴わないものでございますので、現在でもこの新増設についてはこれを許可するということで運用いたしておるところでございます。  今後とも地元の地方公共団体と十分に連携をとりながら、同法の的確な運用を図ってまいりたいと考えている所存であります。  また、産業の空洞化といった問題でございますけれども、私ども国土庁といたしましても、二十一世紀における近畿圏の整備のあり方につきまして、近畿圏基本整備計画を策定するということに向けまして、国土審議会に近畿圏の計画部会を設けまして、ここで御審議をいただくことを予定しております。その中でもこうした問題について十分御審議がいただけるものと期待しておるところでございます。
  101. 鈴木孝男

    ○鈴木(孝)政府委員 産業立地につきましては、先生指摘のように、最近ボーダーレス時代になりまして、企業が国を選ぶ時代という状況になっております。このような中で、大都市圏における製造業の位置づけ、あるいは日本全体を見た場合の製造業の適正配置、また外資系企業がどのように国内に投資するのか、そういう意味で、法律が制定されました状況とかなり違っているのではなかろうか、そういうような認識を私ども持っておりますし、また先生指摘のように、工場等制限法につきまして、地元経済界からいろいろな要望、緩和、見直しについて要望がなされていることを承知しております。  そういったことで、私ども経済界からの要望を踏まえまして、国土庁にも、そのような現在の状況あるいは法律の運用について何とかできないかという話をしております。近畿圏ではございませんけれども、首都圏につきまして、昨年の春に政令改正がされまして、一部運用面での改善がなされております。  そういったようなことでございますので、私どもといたしましては、この工場等制限法が制定されました状況と現在の状況の違い、あるいは二十一世紀に向けてどのような形にしたらいいのかということにつきましてよく勉強をし、国土庁とも連携をとりながら、この法律の適切な運用に努めてまいりたいと思っております。     〔委員長退席、塩谷委員長代理着席〕
  102. 吉田治

    ○吉田(治)委員 よく連携をして、この問題は早急に解決を図っていただきたい、かように思います。  次に、規制緩和の一環として、電気事業法またガス事業法等の改正がございまして、昨年、電気料金が改正された、ガス料金が改正された。ヤードスティックによって改正された。しかしながら、どうもこのヤードスティック自身の透明性というのですか、ヤードスティックというのは物差しと日本語で言ったらいいと思います、物差しでやる、その物差し自身が何かどうも私たちにはぴんとこない、見えない。これはまた新たな通産行政の一つの規制というか、目に見えざる規制というふうに言われることもある。最後の最後は、料金というところでぐっと抑え込まれているのではないかというふうなことも言われております。これについての答弁をいただきたい。  同時に、このときに、新規参入をしよう、電気事業を独占体ではなくて新規参入も認めようということがされております。私どもの大阪府においても、たしか私どもが聞いた話では、七十社近くが発電事業に乗り出したい、会社の約款も定時株主総会で変えた。しかしながら、実際始めてみると非常に厳しい環境基準がある。国の大気汚染法だとか大阪府の公害防止条例等以外の、俗に言う紳士協定と言われている厳しい禁止協定があって、これをクリアするには、自分たちはもう発電所なんかつくるほどの資金力がない。七十社はほぼゼロになるのではないか。  果たして、これ、エネルギーコストという部分、環境というのは非常に大事でありますけれども、それを含めた部分で環境というものによって——しかもこれが国の法律によって、また条例によってではなくて、地方自治の話ではよく言われるように横出し、はみ出し、それによって規制をされている。環境というものを守るというのは非常に重要なことでありますが、新しい産業を興して雇用をふやしていくということも、やはりこれまた重要なことだと思うのですけれども、その辺のことについて環境庁としてはどう考えるのか、どう取り組むのか。  これはもう規制緩和が起こってくると、そういう話があちらこちらに出てくると思います。私が聞いた話では、最終的には、大阪としては七十社もつくってもらったらちょっと大変なので、その環境基準によって何社か精査していくとかしないととかいう話も聞いております。  やはりその辺の調整というのは大事だと思いますので、環境庁の担当者と、またこれを進める通産の立場をここで述べていただきたいと思います。
  103. 寺田達志

    ○寺田説明員 お答え申し上げます。  まず、環境庁の基本立場でございますけれども、新規参入企業につきましても、これまで電気事業者同様に、通商産業省さんに御指導をお願いいたしまして、国としては一定規模以上の発電については環境影響評価を実施していただきまして、環境庁としてもそれを適切に審査するというのが基本立場でございます。  お尋ねの、地元の地方公共団体の公害防止協定等の問題でございますけれども、これはあくまで地方自治体が独自の御判断でおやりになっているというものでございまして、私ども環境庁としては、これに関与するという立場にはないというふうに考えております。
  104. 江崎格

    ○江崎政府委員 まず、ヤードスティックの問題でございますけれども、御指摘のように、この一月から電気、ガスの料金の査定につきまして、ヤードスティック査定というのを導入したわけでございます。この査定は、電力とガス、それぞれの事業者が効率化の度合いに応じまして、共通の尺度で相対的にその効率化の度合いを比較いたしまして、それに応じましてふさわしい効率化努力目標を決めまして、減額査定をするという制度でございます。  査定方法につきまして、今委員指摘のように不透明になってはいけないということは、私どももこの設計の当時から非常に留意をしたところでございまして、制度の客観性、透明性の確保に最大限努力を払いました。具体的には、この効率化の度合いを比較する場合の指標のとり方ですとか、それから比較の方法、それからその査定の結果どのような減額査定が行われるのかというようなことにつきまして、審査基準等を通じましてすべて公開をしております。したがいまして、今委員の御指摘のような懸念は、私どもはないのではないかというふうに考えております。  それから、卸発電に新規参入の問題についての環境規制の問題でございますけれども、事前の説明で私どもが承知しておりますのは、電力会社六社が購入予定ということで、合計二百六十五万キロワットを購入するという予定になっております。これらにつきまして、いろいろな基準、満たすべき要件等を公表しておりまして、新しく参入したいという人たちにつきましては、こうしたものをぜひクリアしていただきたいと思っております。  それから環境面の規制ですが、これは私ども一定規模以上は、新規参入であろうとあるいは従来の電気事業者であろうと、環境アセスメントというのをやるつもりでございますが、地方が独自に条例ですとかあるいは紳士協定等の格好で環境規制をおやりになる場合には、これは私どもコメントする立場ではないのですが、今委員も御指摘になったように、環境面の規制というのはまた一方で非常に重要な国民の要請でございますので、ぜひこれを新規参入者の努力によってクリアをして、その上でぜひこの卸発電に参入してもらいたいという期待をしているところでございます。     〔塩谷委員長代理退席、委員長着席〕
  105. 吉田治

    ○吉田(治)委員 もう時間もあれなんですけれども、一言申し上げたいのは、環境というのは非常に大事だというのは本当によくわかるのですけれども、私どもは、ちょうど私が生まれ育ったときは、昭和四十五年の万博のときに小学生でございます。小学校、今でも覚えております、ある日、真っ暗になるのです。これはスモッグで真っ暗になりまして、そういう環境状況でございました。だから大事さは一番よくわかるのですけれども、余りにもそれに身を投じ過ぎて、これだけの国際化、また産業の空洞化が言われている中で、環境によっても日本産業というものが、過度の環境行政ですね、過度と言った方がいいと思います、足を引っ張られることは私はあってはならないと思います。  笑い話があります。日本には偏西風で中国からさまざまな黄砂が飛んでまいります。日本の火力発電所は、世界一高い、世界一公害分の少ない石炭を使っております。出てくる煙はほとんど無公害であります。しかしながら、中国の、今この経済発展の中で、偏西風に乗ってやってくる煙がどんどん日本に落ちてきている。酸性雨だ何だというのは全部ほかの国からやってきている。何のために高いお金を使って、日本環境をやらなければならないんだ。まあ、やらなければならないんですけれども、そういうふうな話もあるということだけはお含みおきをいただきたいと思います。済みません、江崎長官、一点だけ言い忘れました。  燃料費調整制度というのが今度発足されまして、たしかガス会社さんが、円安ということで、標準家庭で五十四円の料金値上げ申請をしていると思うのですけれども、燃料費調整制度というのは、ある意味でいうと、安いときには早く安くなるけれども、高くなるときには、急に円が今百六円が百三十円になった、百五十円になったといった場合にもやはり適用されて、順次行っていくのか。これは大きな規制緩和一つの目玉でありましたけれども規制緩和というのは何も安くなるばかりではない、高くなることもあるのかということを長官の口からお答えいただきたいと思います。
  106. 江崎格

    ○江崎政府委員 今回導入いたしました原燃料費の調整制度でございますけれども、これは、為替レートの変動など経済情勢の変化を料金に素早く反映させるということでやったものでございまして、制度としては、基準の原料価格のプラスマイナス五%を超えて変動した場合にはこれを料金に反映させるということでございますので、その変動いかんによっては値上げになる場合もあるし、値下げになる場合もあるということでございます。  ただ、値上げの場合に、余りに極端な上昇は好ましくないということで、燃料費の六〇%を超える上昇分については、それを上限にして、それ以上は料金に反映させないということにしております。
  107. 吉田治

    ○吉田(治)委員 最後に、日米関係をまとめてお聞きしたいと思います。  日米関係、現在の問題は、これから半導体また写真フィルムの問題が、これは写真フィルムは富士写真さんが一生懸命さまざまな、二百ページにわたる報告書を出されて、いかに自分たちが正しいかということを、これはもう独禁法の、私は極めて問題だと思います。コダック自身がよくないと私自身は思っております。いつの間にか、コダック安かったのに値上げしてしまった、だからシェアが下がったんだ。これは当たり前のことなんですけれども、そういうふうな理不尽な要求について、半導体も含めて、どう考えられるのかということ。  そして、日米関係のフォローアップということではありませんけれども、過去の日米関係の結果によりまして、大店法が大分規制緩和されてまいりました。先ほどの質問でも出てまいりました、平成九年度見直しと言われておりますが、その見直しの見込みというものはどうなるのか。  そして、この日米貿易摩擦の一番最初であります繊維交渉のときに、唯一さまざまな貿易慣行の中で認められておりますMFAというセーフガードの発動。これは繊維産業、何度も申し上げておりますように、大変厳しい状況。ある繊維の方が言われておりました。鉄鋼の方、もう十年ほど前の話だと思いますけれども、いろいろな貿易関係の方と席を一緒にしたとき、繊維関係というのはしぶといですなと言われた。そのしぶといのが、まだ今でもしぶとい。もう業界としてはこれが最後だ、何とかMFAでセーフガードを発動してくれという声は、いつもいつも強くされているのは御承知のとおりかと思いますが、この辺を含めてそれぞれお答えいただいて、最後、大臣の方から、この日米関係についての臨む決意と、そしてカンターUSTR代表に、先ほど言われましたように、本会議を欠席して行ったのは画期的だと言われましたけれども、私は、一日も早くカンター・アメリカ通商代表とお会いなさって、個人的な信頼関係というよりも大臣大臣という関係をしっかりと構築させていただきたい。そのためには、聞くところによりますと、四月の中旬まで会う機会はないと言われておりますが、私は、金曜日の夜中でも、金曜日の夕方の飛行機で行きますと、たしかワシントンに金曜日の夜に着くはずです。その日の夕食だけでも一緒にするだけでも十分価値があると思います。そういうふうな形の、臨む決意を述べていただきたいと思います。
  108. 大宮正

    ○大宮政府委員 お答えいたします。  大店法についてでございますけれども、これは先生御承知のように、平成二年の運用適正化措置の実施、平成四年の改正大店法の施行、さらに平成六年五月には規制緩和措置の実施等、三段階の規制緩和措置を現在までで実施してきているところでございます。この結果、御承知のように、近年、日本の流通構造は大きな変化を遂げておる、こういう状況にございます。  大店法の今後の取り扱いにつきましては、政府規制緩和推進計画において決定をされておりまして、平成六年五月からの規制緩和措置の実効を確保しつつ、流通を取り巻く環境の変化を踏まえながら、平成九年度を目途に制度について見直しを行うこととしております。  なお、この平成九年度の見直しを行うに当たりましては、中小小売業の方々、消費者の方々、学識経験者の方々等の関係者の意見を広く聞いた上で検討していただきたい、こういうふうに考えております。
  109. 林康夫

    ○林(康)政府委員 フィルム問題についてお答え申し上げます。  昨年五月、米国のイーストマン・コダック社が米国の通商法三〇一条に基づいて、日本の一般消費者用写真フィルム及び印画紙市場について提訴したのは御指摘のとおりでございます。これを受けて、昨年七月、USTRが調査開始を決定いたしまして、現在調査が続けられております。その後は、御指摘のように富士とコダックの間のやり とりが続いておりますが、私ども理解では、コダック社の主張の核心が、日本国内において独禁法違反の事実があるということでございますので、コダック社は公正取引委員会に申告をすることが可能であります。そしてまた、そうすることが適当だと思っております。  また、一方的措置を背景とした、国際ルール上の問題のある米国の通商法三〇一条に基づいた手続のもとでの交渉には、私ども今後とも応じるつもりはございません。
  110. 広瀬勝貞

    ○広瀬政府委員 繊維のセーフガード措置についてお答え申し上げます。  繊維のセーフガード措置は、WTO協定上認められておる権利でございます。したがいまして、私どもといたしましては、具体的な案件が生じました際には、繊維セーフガード措置の手続等に従いまして、厳正に検討を行ってまいる所存であります。
  111. 塚原俊平

    塚原国務大臣 半導体とフィルムにつきましては一極めてこれはスタンスのしっかりしている話でございますので、向こうからもしお話がありました場合には、そのとおりお伝えするしかないというふうに考えております。  日米関係は日本にとりまして大変重要な関係でございます。そういった面で、アメリカの通商部の方とこれからも信頼関係を持って、しかも今度は国際法にのっとった形で話し合いをしていくわけでありますから、そこにはやはりお互いの信頼関係が必要だと思います。  御指導でございますので、こちらから出向いていく機会があれば出向いていきたいとは思っておりますけれども、もしかしたら、今のままだと、四月に向こうから来て初めてやあやあということになるのかもしれませんが、そういう状況になりましても、もう百年来の知己のように親しくやっていく自信はございますので、努力をしてまいりたいと考えております。
  112. 吉田治

    ○吉田(治)委員 意見を賜ってありがとうございます。  ただちょっと、最後、公取の方に、質問予告してないのですけれども、写真フィルムのことに関して、コダック社からの提訴というのはどういうふうな形になっているのか、答えられますでしょうか。答えられなかったらもう結構でございますけれども
  113. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 我が国のフィルム市場につきまして、コダック社がいろいろ独禁法上の問題があるということをUSTRに提訴したということは承知をしておりますけれども、コダック社が私ども日本公正取引委員会に提訴したかどうか。  実は、率直に申し上げますと、いかなる相手方であれ、私ども独禁法違反行為の疑いありとして提訴が行われたかどうか、その点について、これは私どもの業務の性格上、いわゆる申告の有無については申し上げることは差し控えさせていただくことになっておりますので、それは御理解いただきたいのでございますが、ただ、どうもコダック社の言い分を私ども仄聞をしておりますと、日本公正取引委員会は相手にしないんだということで、三〇一条を背景にした政府間交渉を求めているというふうに私ども承知をしております。
  114. 吉田治

    ○吉田(治)委員 以上で終了しますが、日米関係は大事な関係でございますので、ぜひとも精いっぱい頑張ってください。  以上でございます。ありがとうございます。
  115. 甘利明

    甘利委員長 次に、吉井英勝君。
  116. 吉井英勝

    ○吉井委員 私はまず、きょうは産地中小企業対策について大臣のお考えを伺うようにしたいと思います。  政府は二月九日に、「景気には緩やかながら再び回復の動き」と景気回復宣言を発しましたけれども、中小業者の現状というのは、これはもう景気回復にはほど遠い深刻な事態です。  それで、これまでは自動車、電機など基幹産業における産業空洞化問題、そして下請中小企業問題をこの委員会で取り上げてまいりましたが、きょうはそういう点で、産地中小企業対策、これを中心に伺いたいと思います。  先日、室町時代以来四百六十年を超える伝統を持ち、日本一の家具産地でもあります福岡県の大川市を訪ねて実情を聞いてきました。  この大川の家具というのは、建具を含めて約千二百の事業所があり、従業者数が六千六百人、年間生産額は千八百億円という非常に大きな産地です。消費不況と、特に最近はアジア諸国からの半製品、完成品の輸入が急増して、この一、二年の間に急激に経営が悪化しているということで、零細企業の動き等もいろいろお尋ねしたのですが、例えばこの零細の方でいいますと、たんす一本の塗装加工の仕事が、これまで千円だった単価が一本二百円になってしまった、仕事量も大体三割から四割減少した。そういう点で、特に下請関連業者は深刻な事態です。  それから、設備資金の借り入れについては、大体ここは親戚筋が多いものですから、お互いに連帯保証をやったりしているものですから、だから赤字が続いてもどの業者も仕事をやめるにやめられない。自分がやめたら一家だけじゃなしに、一族郎党といいますか、みんなパンクしてしまう、バンザイしてしまう、こういう厳しい実情も伺ってまいりました。  こうした産地の実態というものを掌握していらっしゃるかどうか、これを最初に伺ってみたいと思います。
  117. 塚原俊平

    塚原国務大臣 産地中小企業状況の厳しさというものは、先生今具体的な例をお出しになりましたけれども中小企業庁を通しましてそれぞれ把握に現在努めているところでございますし、この産地中小企業活動を、これからも私ども積極的に支援をしていかなければいけないという決意を持っております。  具体的なものにつきましては、中小企業庁長官から答弁いたさせます。
  118. 新欣樹

    ○新政府委員 私どもで、年間生産額がおおむね五億円以上の約五百四十産地を対象にしまして、毎年、産地概況調査というものを行ってございます。  この結果を見てみますと、昭和五十九年から平成六年にかけまして、企業数では、十二万あったものが七万に、四〇%減少をしておる。また、総生産額も、十五兆二千億円から十三兆五千億円に、一一%減少をしておるというようなことでございますし、また、一産地当たりの平均企業数も、五十九年には二百二十八でございましたものが平成六年では百五十二と減っておるというようなことで、これは、我が国産地の多くが輸入品との競合に加え、長引く国内需要の低迷の影響を受けておるというような結果だろうと思います。  しかしながら、これらの産地企業におきましては、こうした厳しい状況下にございましても、それまでの輸出向けから内需へ転換を図る、あるいは新商品の開発や新分野への展開を図る、さらには製品の高付加価値化等によってこういった厳しい状況を乗り越えていこうとする前向き、積極的な対応の姿勢を見せている企業が多うございます。  そういった意味で、私ども中小企業庁といたしましては、こういった産地中小企業におけるこれらの活動を積極的に支援していく所存でございますし、また、今後とも引き続き地域の実情を的確に把握してまいりたいと考えております。
  119. 吉井英勝

    ○吉井委員 この間、大川で伺ったのですけれども、何しろ四十フィートのコンテナに家具の半製品、完成品を積み込んで、大型トレーラーが深夜のうちに港から大川へどんどん入ってくる。昨年一年間に輸入されたコンテナが約二千に達するというのですね。だから、もうすさまじい量の家具等が入ってきているという事態なのです。これは大川だけの問題ではありませんでして、隣接した佐賀県の諸富家具や大分県の日田の家具、それから宮崎の方の都城家具などでも同様に深刻な事態が進行しています。  それだけではなくて、仏壇も同様な問題がありまして、八女の仏壇も有名ですが、鹿児島県の川辺町の川辺仏壇というのは、年間生産本数が三万 四千八百本であり、出荷額百五億円であるわけですが、こちらも日本一の産地であるのです。ところが、最近は仏壇まで中国や南朝鮮、韓国から半製品、完成品輸入が急増して、産地を圧迫している、こういう実情も調べてまいりました。  一九八五年のプラザ合意以降の円高の中で、我が国の輸出型産地があのとき非常に打撃を受けて減少するとともに、一部は内需型へ新たな道を目指してというのがありましたが、今度は内需型産地までが消されていく、こういう事態になっているという点を私は非常に深刻に受けとめているのです。  先ほどの長官お話を伺っておりますと、いろいろ努力して、少し明るい日も見えるように聞こえかねないお話なんですが、輸出型というのは、八五年のプラザ合意の後、確かに打撃を受けている。これは大体がたがたになったのですね。今深刻になっているのは、内需型産地が深刻になっているのだ、内需型産地の危機なんだ。そこをきちっととらまえていらっしゃるか、この点をもう一度聞いておきたいと思います。
  120. 新欣樹

    ○新政府委員 先生指摘の大川地域あるいは都城地域、家具の主要な産地であるということは存じておりますし、また、その主な需要先というのが内需型であるということも存じておりますが、この両地域、特に婚姻数が低下をしたというようなことで、全国的な家具需要の変化がある。また、住宅などには作りつけ家具というものがいろいろと市場が拡大をしておるというようなことで、こういった家具需要というものに低迷が見られるということにつきましては、十分把握をいたしておるところでございます。  私ども、こういった産地に対しまして、中小企業の集積活性化法という法律によりまして各種の支援措置を講じておるところでございますが、大川地域につきましては活性化計画の承認が見込まれておりますし、都城地域につきましては計画を承認をいたしまして、そのような承認計画に従って活性化を図っていくということが今進行中というふうに考えております。
  121. 吉井英勝

    ○吉井委員 まず最初にしっかりとらまえておかなきゃいけないと思いますことは、八五年から九三年への中小企業産地の経済的地位がどう変わっていったかというのを見たときに、輸出型産地と内需型産地、輸出型産地の方では、産地数でいうと、これは八五年から九三年にかけてが八十二から三十三というふうに、本当にがた落ちなんですね。ところが、内需型産地というのは、そのときは四百五十一が四百六十七ですから、輸出型から内需型に少し転換したところもあって、逆にちょっとふえているのですね。  特に深刻なのが、九三年から九四年にかけて、あるいは九五年にかけてという、ここのところなんです。この間に、内需型産地の方は四百六十七から四百五十一へと減ってきているのです。そのときに、企業数でいいますと約一万社減少する、従業員数では三万人減っているというふうに、この間、以前の円高不況の後の輸出型産地の減少のときとは違って、今度は本当に内需型産地が深刻で——婚礼のお話とかいろいろやっておられました、私はそれもわからぬで聞いているわけじゃないのです。しかし、事態はそんな生易しいものじゃないところへ今来ているということをしっかりとらえてもらいたいと思うのです。  その上に、輸入の問題がかかわってきているのです。国内が不況で内需がしぼんでいっているところへ輸入が来ておるのですね。輸入はどうなっているかといいますと、一九九三年から九五年にかけて家具の方は、これは二千八十六億円から二千八百八十一億円へ輸入額が三八・一%ふえているのです。ドルベースでこれを見ますと、このときの家具は六三・四%輸入がふえているわけなんです。それから、木製品も一〇%この二年間で輸入がふえ、ドルベースで見ると三〇%ふえているのです。だから、消費がしぼんで内需が減ってきているそこへ、それでもともと大変なのに、さっきおっしゃったように婚礼だ何だということもあって減ってきているところへ輸入がどかんと来ているのですね。こういう深刻さを今持っているわけです。  ですから、これをこのまま放置しておったら本当に、特に中小企業というのは、もちろんそれは産地中小企業だけの話じゃありませんが、日本企業数の九九%、従業員数の七六・五%という、まさに日本経済を支えているところでしょう。そこで深刻な事態になっている。このまま放置すれば、中小企業産地や地域経済というのは取り返しのつかないことになるのじゃないか。私は、ここのところを本当にはっきり腹に据えた対策というものを今、大臣もお考えいただくときじゃないかと思うのですが、この点どうでしょうか。
  122. 塚原俊平

    塚原国務大臣 今、中小企業庁長官が答弁をされた施策を着実に実行していく以外にはないのかと思うのです。  それで、ちょっと私も、先生の御質問を聞いて、例えば輸入をちょっと制限をするというような方法もあるのかなと思って頭をよぎったのですが、ただ、やはり国際協定とか国内法令なんかを考えてみたときに、中小企業の生産製品だからということで急に輸入制限措置なんかを出すのもなかなか難しいのかなというような感じもちょっとしたのですね。  もしあれでしたら、そういうことがどこまで実務面でできるのかということを、あるいは具体的な面を答弁させますけれども、ちょっと答弁させますか。(吉井委員「そういう方は後ほど」と呼ぶ)それでよろしいですか。
  123. 吉井英勝

    ○吉井委員 それで、実は私が大川へ行きましたときに、ちょうど組合議会が開かれていて、市長、助役さんはそちらへどうしても出られないということで収入役さんが出られたのですが、そのほか、大川の商工会議所の会頭さんとか家具工業組合理事長さん、それから木材事業協同組合の理事長さん、木工機械研究会会長さんや建具事業協同組合の専務理事さんなど、大川家具を担ってきた幹部の皆さんが一堂に会して、特に本当にうちのところの地場産業は大変なんだと訴えを聞かせていただいたわけです。いろいろ要望も伺いました。  お会いするとまずいきなり、政府景気が回復したと言っているが、あれはどこの話ですか、こういうふうに切り出されて、我々素人では想像もつかない事態で、伝統産業、伝統技術が壊れていくのは残念でならない。かつて経験したことのない事態で、今後の見通しがつかない。病人のようによたよたしている産地に少々の対策ではとても追いつかない、思い切った対策を講じてほしい。それから、住専に出す金があったら中小企業対策に回してもらいたい。次から次へと、本当に切々たる訴えというものを私は聞かせていただきました。  そこで調べてみると、中小企業庁の方には、産地の調査、ビジョンの策定、それから新製品開発、技術開発、需要開拓への助成等、確かに先ほどおっしゃったようにいろいろなメニューはあるわけですね。先ほども少し語っておられました。ところが、補助金等の額は非常にわずかで、ですから、マンションなどにあらかじめ組み込まれるハウジング家具が今ふえておって、それじゃやられっ放しじゃなくて自分たちもその開発に取り組もうということを始めたのだが、現在の補助制度ではとても間に合わない、こういう訴えもありました。  全国にある中小企業産地のこういう窮状を打開し、地域経済におけるかけがえのない役割を果たしている産地の再生とそして振興を実現するために、予算額も思い切って増額をして、そして特別の対策というものを、先ほど少し輸入制限のこともおっしゃいましたけれども、今のような例えばはめ込み家具なんかのところへ産地の人たちが出られるような、何か特別の対策というものをやはり研究し取り組んでいくという点で、ここはやはり大臣、本当に決断してそういう取り組みをやっていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  124. 新欣樹

    ○新政府委員 産地における例えば新商品の開発あるいは新技術開発事業のための補助金でございますけれども、私ども、八年度予算をお願いして おりますけれども、十四億七百万を計上いたしまして、こういった新商品、新技術開発事業支援というものを行っておるところでございます。もちろん、これは先ほど申し上げました特定中小企業集積の活性化に関する臨時措置法、いわゆる集積活性化法というものを土台にいたしまして、活性化計画に基づいて行われる措置でございますが、こういった補助金もございますし、あるいは中小企業金融公庫、国民金融公庫等による中小企業集積活性化特別貸し付けというような制度、さらには税制等の措置なども用意をいたしておるところでございます。  なお、活性化計画平成八年一月末現在で八十三地域が計画の承認を受けておるところでございます。
  125. 吉井英勝

    ○吉井委員 あなたのおっしゃっておられること、言いたいところ、わからずに言っているわけではないのですが、現実が言われるとおりだったら、悲痛な声は出てこないのです。現実の現場の実態というのは本当に深刻なんですよ。そういうものを踏まえたものになっていないから、今本当に思い切った対策を打ち出すということが、これを決断してそして必要な予算の増額も、メニューはいろいろつくってみたけれども現場の実態に合わないこともやはりあるのですよ。それは現場をよく調べられて、現場の実態に合うようなものにしていく、そういう取り組みというものが私は必要だと思うのです。  それで、もう少し一例を挙げると、今のこのはめ込み家具なんかの研究についても、これは本当にどういうふうな研究開発の助成をやればいいのかとか、制度面ともう少し別な面からとか、あるいは少し補助金をさらに増額しなくてはいけないのか、その辺のところを、やはり特別の対策というものを大臣として決断して打ち出していただきたいと思いますが、この点、一言でいいですから、先にお聞きしておきましょう。
  126. 塚原俊平

    塚原国務大臣 私の知人に物すごくこだわるおしょうゆ屋さんがありまして、もうとうとうこだわったおしょうゆをつくっていたら経営ができなくなりました。ところが、今そこは大変に盛り返したのですけれども、何で盛り返したかといったら、結局、彼はその屈辱に耐えて、危険とかそういうことではないのですけれども、スーパーのしょうゆをつくるようにしたのですね。だから、それは安全性とかそういうものは問題ないにしても、こだわりからいくと全然違う、商道徳としては非常に屈辱的な道を選んで、それでもまあ企業は盛り返したのです。  それで、はめ込み家具の問題は、割に大川あたりは非常にこだわりを持った家具屋さんが大変多いわけで、そこら辺のちょっと兼ね合いもあるのかもしれませんけれども、その辺も含めて、これは具体的な御指摘でございましたので、どういう対応がはめ込み家具なんかについてはできるのかということは、中小企業庁の方でこれからも研究させてみたいというふうに思っております。
  127. 吉井英勝

    ○吉井委員 そういう具体的な提起もあったのですが、要するに不況によって消費が落ち込んでいるわけですね。ですから、これはどの業者も皆大変なわけですが、そういうときに、例えば私も少し思ってみたのですが、公団住宅であるとかあるいは公営住宅であるとか、そういうところの家具を初め、民間の場合は国が物を言ってはなかなかあれにしても、とりあえずそういうところで官公需に対する期待というものもありますから、これは一工夫もできるのではないかということを私なんかも思ったわけです。  それで、官公需法に基づいて、家具というのは本来、中小企業に一〇〇%発注されるべき中小企業向け特定品目に指定されているわけであります。ところがこれは、調べてみると、九四年度の実績というのは、家具の官公需総額は四百二十五億三千五百万円に対して、中小企業向け発注は七九・八%の三百三十九億二千九百万円にとどまっていることがわかりました。発注比率も、実はもう少しさきの一九八八年度には、実は八五・五%あったのです。それが、発注比率が今落ちてきているのです。  これは私も予算委員会やまたこの商工なんかで、数年前にも、官公需の発注比率を高めることによって中小企業の経営危機の打開とか、それから下からの景気回復をということで提起したことがありますが、こういうふうに一〇〇%をというふうになっているこの分野ですから、国とか公団はもちろん、地方自治体にも協力をお願いするとかして一〇〇%中小企業に発注されるように努力するとともに、中小企業の受注が進むように製品開発なども含めて支援をしていかれるならば、マンションだけではなくて、これからは恐らく公団・公社・公営住宅も、はめ込み家具であって同時にかなりこだわったような家具とか、そういうふうなものも当然あるわけですから、この辺は官公需の発注比率を高めるということでかなり国としても取り組んでいっていただけると思うのですが、この点、大臣どうでしょうか。
  128. 藤島安之

    ○藤島(安)政府委員 中小企業向けの官公需の発注につきましては、官公需法に基づきまして、その発注機会の増大を図るために、政府は毎年度、中小企業者に関する国等の契約の基本方針を閣議決定をしているところでございます。本年度の方針は、中小企業向けの契約目標額を過去最高の五兆一千六十億円、官公需総予算に占める中小企業向けの契約比率を三九・九%に設定したところでございます。  御指摘の家具についてでございますが、官公需の中で特に中小企業が受注ができやすいということで特定品目というのを指定しておりまして、現在、織物、外衣・下着類、その他の繊維製品、家具、印刷、機械すき和紙、潤滑油等、十品目が指定されております。この全体を見ますと、契約実績は総額二千四百十三億円で、中小企業向けが千八百九十億円、中小企業比率は七八・三%でございますが、家具については、先ほど先生お話しになられた七九・八%となっております。私どもといたしましては、今後とも随意契約制度の活用、あるいは可能な限りの分割発注、分離発注に努めるなど、中小企業者の受注機会の増大に努めるために関係各省庁に強く要請してまいりたい、こういうふうに考えております。
  129. 吉井英勝

    ○吉井委員 大臣、今お聞きいただきましたように、中小企業庁としても方向は決まっておるわけですね。ただ、実態はまだ八割を切っているというところで、こういうところがらして、輸入製品なんかに押されている中で、本当に呻吟しながら頑張っている。しかし、この産地がつぶれては本当に、そこの家具だけではないのです。その地域の商店街がだめになってしまうとか、地域経済全体、地域社会が崩壊するという問題を抱えておることですから、ぜひ、先ほど答弁ありましたけれども、速やかに一〇〇%になるように、そして、中小企業へ発注の中で産地の人たちが生きる道を新たに開拓できるように、これは国としても全力を挙げて頑張っていただきたいというふうに思います。  それで、今回の不況の中で、九二年八月以来六次にわたる経済対策がとられて、さまざまな中小金融対策も打ち出されてきました。先ほども少しお話もありましたが、ところが現状は、これも大川へ行って聞いたのですが、銀行というのは金のあるところに、つまり力のあるところに貸すところであって、力のない者にはなかなか貸してもらえないというあきらめの声、そして今は貸し渋りどころか、逆に担保の設定枠を下げてくるという話とか、何とか二、三年でも景気のめどが立つまで金融機関が協力してくれたら、そういう嘆きの声といいますか、そういう声をたくさん聞きました。  新商品開発や新分野進出が軌道に乗るまで、せめてつなぎの資金を何とかしてほしいというこの要望にこたえるためにも、本当に困っている人に融資や保証がなされていないというこの現状は、現場にはたくさんあるわけです。これをやはり打開して、制度の趣旨をよく生かして、本当に困っている人に融資が受けられる、保証がされるように運営を改善されたいと思いますし、この点では 政府系金融機関、都道府県の信用保証協会に指導を徹底するということが今求められていると思うのです。  この点について、ぜひやっていただきたいということで、決意のほどを伺っておきたいと思います。
  130. 塚原俊平

    塚原国務大臣 当然、指導の徹底はいたしますし、中小企業金融の円滑化を図りますように、適切にこれから努力をしてまいらなければいけないと思っておりますが、個々の話についてちょっと答弁させますので。
  131. 新欣樹

    ○新政府委員 昨年の経済対策におきまして、中小企業金融対策につきましては、政府中小企業金融機関の資金供給の円滑化というものを図ると同時に、厳しい経営環境下にある中小企業がこうした政府系金融機関に有するいわゆる既往債務、これにつきまして向こう一年間、金利五%超のものを返済負担の軽減措置を講じるなど、思い切った措置を講じたところでございます。  それからまた、担保力、信用力が不足をしがちな中小企業の資金調達の円滑化を図るために、昨年秋に、中小企業信用保険法の一部を改正いたしました。無担保保険や特別小口保険の付保限度額の引き上げを図るなどいたしまして、無担保保証等の推進に最大限努めているところでございます。  加えまして、従来から信用保証協会に対しましては、中小企業の実情を十分考慮して保証手続の迅速化、あるいは担保の徴求が必要な場合にもその一層の弾力化など、適時適切な保証を行うよう指導をしてきたところでございます。  今後とも、そういったことでやってまいりたいと思っております。
  132. 吉井英勝

    ○吉井委員 時間が参りましたので締めくくらせていただきたいと思いますが、現場の実態は、努めてきたというお話と必ずしも合わないんですね。だから、本当によく現場の実態を調べていただいて、そして現場の声が生かされるように取り組んでいただきたいと思うのです。先ほど大臣の方から、輸入制限についても考えていかなきやというお話もありましたが、私は、もう時間がなくなりましたのできょうはおいておきますけれども、しかし、輸入の急増によって地域経済雇用に重大な影響が現にあらわれているという、そういう家具や木製品や繊維製品などについては、これは緊急輸入制限措置や繊維セーフガード措置を直ちに発動するということをやはり真剣に考えていただきたい。  そして、きょうは大川の家具の実例で挙げましたけれども、これは今日の全国の四百五十一の内需型産地全体の問題として私は取り上げ、その一例として御紹介したわけですから、本当に今日の日本経済を支えてきた中小企業が生き抜いていけるように、そのために全力を尽くしていただきたいし、セーフガード措置などの問題についてもぜひ取り組んでいただきたいと思うわけです。  何かコメントがあれば、一言伺って終わりたいと思います。
  133. 新欣樹

    ○新政府委員 セーフガードあるいは緊急輸入制限措置という問題でございますけれども、現行の国際協定及び国内法令に基づく緊急輸入制限措置は、製品ごとに特定貨物の輸入急増により本邦産業に重大な損害等の事実があり、国民経済上緊急に必要があると認められる場合、緊急避難措置として発動される措置ということで承知をいたしております。こういったような要件に該当するかどうか、またそういった申し出があるかどうかということだろうと思います。
  134. 吉井英勝

    ○吉井委員 終わります。
  135. 甘利明

    甘利委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時三十四分散会