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田中国務大臣 お答えいたします。
過日の月例
経済報告、今、
宮地先生がおっしゃるとおりの
報告をさせていただきまして、マスコミなどでは
景気回復宣言というふうに受け取られまして、漫画で、大口たたいて大丈夫かなんというようなことも拝見しました。
ただ、確かに明るさを確認した、そういう
認識を示したわけであります。
景気には緩やかながらも回復の動きが見られ始めている、こういう表現をいたしました。これは御承知のとおり、本格的な
景気回復の宣言ではございません。文字どおり、今申し上げたとおりのことでありまして、本格的な
景気回復にはまだまだ道のりがある、しかも楽観していない、そういう気持ちでございます。このところの
経済指標、御
指摘のものを含めてさまざまなものを見ておりますと、確かに明るい兆しが出てきたというふうに思いますので、あのような月例
報告をさせていただいたわけでございます。
これから一番大きな目標といいますと、公共投資主導の
景気回復から、いわゆる民間需要、設備投資や個人消費が引っ張っていく、そういう
景気回復に移行させていくということが一番大きな
課題で、私は、これは例えて言うと、温室で育てたものを野外に出す、そんなふうに自分で感じておりまして、まだまだ
日本の
経済、
景気というのは温室で
政府が積極的に
施策を講じていかなければいけない状態にある、そんなふうに思っているわけです。これを何とか民間主導の
景気回復過程に乗せて、そして、それをさらに中長期的な安定した成長軌道に乗せていかなければいけないということは、大変困難であり、また
努力の要る
過程である、そんなふうに思っております。
政府の
経済見通しは、
平成八年度二・五%という数字を見込んでいるわけですが、年末にこの数字を私は閣外にあって見ましたときに、大丈夫かなというふうに正直思いました。また、民間のいろいろな予測も非常に厳しいもので、一%前後のものが多くを占めておりましたけれ
ども、私も、民間の言う方が当たるのではないか、また
経済企画庁の言うことはだめかもしれない、そんなふうに思っていたのです。しかし、その後のいろいろな
景気、
経済の動き、また数字に示されたものを見ますと、これは確かな兆しかな、そういうふうにも思えますし、また民間の意見や予測、このところのそういうものを見ていますと、確かにまだ一%前後の厳しいことをおっしゃる向きもありますけれ
ども、私
ども政府よりも高い数字、二・七とか八とか、そういうものを示すものもふえてきたような感じがします。全体的に見て、この明るい兆しには
政府なりに自信を持っているところであります。
ただ、これを本格的な
景気回復軌道に乗せて、中長期の安定した成長軌道に乗せていくためには、非常に困難な克服すべき
課題が幾つもあるんだ、そんなふうに思います。
私は
予算委員会でも、その中から三つ挙げろと言われれば、
予算、住専、
規制緩和だ、こういうふうに申し上げているところです。
平成八年度の
予算を切れ目なく、年度がわりから着実に執行していくということが非常に大事なことだというふうに思いますし、それから、住専問題を含む不良債権問題、この解決に具体的に着手するということによって金融システムに対する信頼を取り戻し、正常化、安定化の展望を切り開いていくということが大事である。そしてまたもう
一つは、昨年年末に私
ども経済企画庁、
政府が新しい
経済計画を立てまして、「構造改革のための
経済社会
計画」というふうに言っているわけですが、
規制緩和を含む構造改革というのは本当に大事なことなんだという
認識を示し、そういう
計画を策定したわけですが、年度末に
規制緩和推進
計画の見直しがありまして、そのための作業を今続けているところでありますけれ
ども、既往の
景気対策、
経済対策に加えて、やはり構造改革というものがそれに加わらなければこの二・五%の達成も無理だろうし、新しい
経済計画で示した西暦二〇〇〇年までの三%の成長ということも無理だろう。非常に多くの
課題があるんだ、難しい
課題があるんだ、それを何とか克服していかなければならない、そういうふうに思いますし、
宮地先生御
指摘の
雇用問題も本当に大変だと思います。
先ほど官邸で
産業構造転換・
雇用対策本部が開かれまして、その議論をしてきたわけでありますけれ
ども、三・四%という、昭和二十八年以来、比較可能な数字でいえば最悪の数字が十一月、十二月と示されまして、本当に深刻な
状況にあります。
ただ、この
雇用の数字を見ましても、十、十一、十二と有効
求人倍率はわずかずつながら
改善されてきております。〇・六一、〇・六三、〇・六五と、そういうふうにわずかながら
改善されてきており
ますので、
景気回復過程の中で一層
改善されていくことを
期待していますし、また御
質問、重ねてあろうかと思いますけれ
ども、構造改革を推進していく中で新規
雇用の創出というものを真剣にやっていかなければいけない、そんなふうに思っております。