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1996-05-30 第136回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月三十日(木曜日)     午後二時四十九分開議 出席委員   委員長 左近 正男君    理事 稲葉 大和君 理事 七条  明君    理事 中谷  元君 理事 大口 善徳君    理事 小池百合子君 理事 小坂 憲次君    理事 濱田 健一君 理事 高見 裕一君       小此木八郎君    小野 晋也君       佐田玄一郎君    佐藤 剛男君       田中眞紀子君    額賀福志郎君       福永 信彦君    松岡 利勝君       松下 忠洋君   三ッ林弥太郎君       宮路 和明君    村上誠一郎君       村田 吉隆君    横内 正明君       赤羽 一嘉君    石田 祝稔君       遠藤 乙彦君    長内 順一君       河合 正智君   柴野たいぞう君       白沢 三郎君    初村謙一郎君       増田 敏男君    桝屋 敬悟君       石井  智君    今村  修君       三野 優美君    前原 誠司君       穀田 恵二君    土肥 隆一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 鈴木 和美君  出席政府委員         阪神淡路復興         対策本部事務局         次長      生田 長人君         国土庁長官官房         長       竹内 克伸君         国土庁防災局長 村瀬 興一君  委員外出席者         法務省入国管理         局入国在留課長 坂中 英徳君         外務大臣官房外         務参事官    古屋 昭彦君         大蔵省関税局業         務課長     塚原  治君         厚生省社会・援         護局保護課長  西沢 英雄君         厚生省保険局企         画課長     辻  哲夫君         農林水産省農産         園芸局植物防疫         課長      坂野 雅敏君         中小企業庁長官         官房総務課災害         対策室長    玉木 昭久君         運輸省運輸政策         局貨物流通企画         課長      上子 道雄君         運輸省海上交通         局港運課長   石井 健児君         運輸省港湾局計         画課長     川島  毅君         建設省住宅局住         宅・都市整備公         団監理官    大久保和夫君         建設省住宅局住         宅整備課長   山中 保教君         建設省住宅局建         築指導課建築物         防災対策室長  佐々木 宏君         特別委員会第三         調査室長    金山 博泰君     ――――――――――――― 委員の異動 五月三十日  辞任         補欠選任   逢沢 一郎君     村田 吉隆君   衛藤 晟一君     小野 晋也君   赤松 正雄君     河合 正智君   石田 祝稔君     桝屋 敬悟君   西村 眞悟君    柴野たいぞう君   宮本 一三君     白沢 三郎君   前島 秀行君     石井  智君 同日  辞任         補欠選任   小野 晋也君     衛藤 晟一君   村田 吉隆君     逢沢 一郎君   河合 正智君     赤松 正雄君  柴野たいぞう君     西村 眞悟君   白沢 三郎君     宮本 一三君   桝屋 敬悟君     石田 祝稔君   石井  智君     前島 秀行君     ――――――――――――― 五月二十八日  特定非常災害被害者権利利益保全等を図  るための特別措置に関する法律案内閣提出第  九九号) 三月十九日  阪神淡路大震災被災障害者家族関係者  に対する救援災害対策に関する請願岩佐恵  美君紹介)(第五〇五号) 四月二十五日  阪神淡路大震災被災障害者家族関係者  に対する救援災害対策に関する請願土肥隆  一君紹介)(第二二二三号)  同(山本孝史紹介)(第二二二四号) 五月十日  阪神淡路大震災被災障害者家族関係者  に対する救援災害対策に関する請願石田祝  稔君紹介)(第二二七七号) 同月十七日  阪神淡路大震災被災障害者家族関係者  に対する救援災害対策に関する請願外二件  (横光克彦紹介)(第二四七六号)  同(岩佐恵美紹介)(第二五五八号) 同月二十八日  阪神大震災被災者生活・雇用の保障、抜本  的防災対策に関する請願穀田恵二紹介)(  第二六二八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月十二日  阪神淡路大震災労働者住民本位復興に  関する陳情書  (第二二〇号)  震災で失われた住宅家財等への国家補償に関  する陳情書  (第二二一号) 同月二十六日  阪神淡路大震災被災者の再建に対する減免・救  援特別措置継続等に関する陳情書  (  第二五六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  特定非常災害被害者権利利益保全等を図  るための特別措置に関する法律案内閣提出第  九九号)      ――――◇―――――
  2. 左近正男

    左近委員長 これより会議を開きます。  内閣提出特定非常災害被害者権利利益保全等を図るための特別措置に関する法律案議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。鈴木国務大臣。     ―――――――――――――特定非常災害被害者権利利益保全等を図  るための特別措置に関する法律案    〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 鈴木和美

    鈴木国務大臣 ただいま議題となりました特定非常災害被害者権利利益保全等を図るための特別措置に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  この法律案は、近年の災害発生状況等にかんがみ、特定非常災害被害者権利利益保全等を図るため、特定非常災害が発生した場合における行政上の権利利益に係る満了日延長、履行されなかった義務に係る免責、法人破産宣告特例民事調停法による調停申し立て手数料特例及び建築基準法による応急仮設住宅存続期間特例について定めることとするものであります。  以上が、この法律案提出する理由であります。  次に、この法律案要旨を申し上げます。  第一に、著しく異常かつ激甚な非常災害であって、本法律案に定める措置を講ずることが特に必要と認められるものを、特定非常災害として政令で指定するものといたしております。この政令においては、当該特定非常災害に対し適用すべき措置を、あわせて指定することといたしております。  第二に、特定非常災害被害者が、自動車運転免許のような有効期間のついた許認可等行政上の権利利益について、更新等のために必要な手続をとれない場合があることを考慮して、許認可等に係る有効期間満了日一定期間延長することができることといたしております。また、有価証券報告書提出義務のような履行期限のある法令上の義務が、特定非常災害により本来の履行期限までに履行されなかった場合であっても、一定期限までに履行された場合には、行政上及び刑事上の責任を問われないこととするものであります。  第三に、特定非常災害により債務超過となった法人に対しては、支払い不能等の場合を除き、一定期間破産宣告をすることができないこととするものであります。  第四に、特定非常災害被災地区内に住所等を有していた者が、特定非常災害に起因する民事に関する紛争について、一定期間内に民事調停法による調停申し立てをする場合には、申し立て手数料を免除することとするものであります。  第五に、特定非常災害に際して建築された応急仮設住宅について、一定の場合には、建築基準法による存続期間を、一定期間延長することができることとするものであります。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願いを申し上げます。
  4. 左近正男

    左近委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 左近正男

    左近委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤羽一嘉君。
  6. 赤羽一嘉

    赤羽委員 新進党の赤羽一嘉でございます。  きょうは、与えていただきました時間内で、本日の法律案についての御質問と、また、阪神淡路大震災発生以来約五百日という日数が経過しようとしている現在、神戸市街地、また被災地域を歩いておりますと、まだまだやり残された問題、課題が非常に多いことに胸を痛める厳しい現状が実は被災地現状だというふうに思っております。そこで、法案内容プラスそれに関連する事項につきましても、限られた時間の中でございますが、種々質問させていただきたいと思います。  各省庁関係省庁政府委員の方がいらっしゃっておりますが、現在その課題について取り組んでいらしてくださることについては御説明いただいて結構です。この一年四カ月間でやり残されてきた問題でございまして、恐らく今までの現状制度ではどうにも対処できなかった内容が多いと思いますので、そこはひとつ、責任ある立場であります国土庁長官政治家としての御発言をよろしくお願いしたいと思います。  それでは、まず今回の法律案について質問をさせていただきたいと思います。  まず、この法律案の中に盛り込まれております応急仮設住宅期限延長、これが実質的に一年間延長が認められる内容法律案提出されるに至ったということは、率直に言って本当に喜ばしい限りだと存じます。  この問題は、現場では非常に前から言われておりましたので、私も昨年十一月八日の厚生委員会の場で、この期限延長についてどうするのか。当時、兵庫県、神戸市から提出されていた公営住宅公的住宅着工計画を見ても、当然二年以内では間に合わない、受け入れ住宅がすべてこの二年の間でそろわないことはもう明らかであるということで、当然これは期限延長を前提に法制度を整えるべきだという意味提案をさせていただいたところでございます。残念ながらそのときは、県、市の住宅建設に努力をお願いし、二年たったらそのときにまた考えましょう、前向きに考えましょうというような厚生大臣の御答弁があり、非常に腑に落ちないような思いで、以後、本通常国会予算委員会等々で何度となく同じような質問を重ねてまいりました。  私はそのときの質疑でも申し上げたのですが、被災地皆さん、特に仮設住宅に入居されている皆さんは非常に精神的にも痛んでおります。現状としては、今は仮の宿だ。であるがゆえに職につくこともできない。そして、二年後どうなるかがよくわからないような現状の中で、例えば子供の学校の問題がある、御主人の仕事のことがある等々、不安定な要素を抱えながら、先々のことを早目に決めてほしいというような声がございました。  ですから私は、本来であれば、今の時点での決定よりも、ちょうどもう半年以上前になりますが、十一月八日の時点でそれなりの対応をして当然であるというふうに思ったわけでございますが、何ゆえあれから六カ月間以上の月日がたってようやくこの御決定になったのか。昨年十一月の時点、これは厚生委員会のときの質問でございますが、そのときの状況と今ようやくこの五月、六月の状況とどう変わったのか。状況が変わったから今決定ができたのか。それじゃなくて、決定までに時間が別の理由でかかったのかどうか。このことについて、まず大臣から御所見を伺いたいと思います。
  7. 佐々木宏

    佐々木説明員 お答えいたします。  ただいまの、今回の建築基準法特例の設定が現時点になったということでございますけれども、昨年の阪神淡路大震災以来、建設省といたしましても、地元方々と御調整しながら、恒久住宅供給等に鋭意努めてまいったところでございます。  私どもといたしましては、やはり住宅対策としては、恒久住宅への円滑な移行ということを第一義に考える必要があるという立場政策を進めてまいったところでございますけれども、その後、公営住宅等建設状況などを十分精査いたしまして、現時点に至りまして、やはりこれはこういった特例措置が必要であろうという判断に立ち至りまして提出をさせていただいたという経緯でございます。よろしく御了承をお願いいたしたいと思います。
  8. 赤羽一嘉

    赤羽委員 この問題で余り時間をかける考えはないんですが、それでは、昨年十一月の時点と今、年が明けてこの四月、五月ですか、この政策決定に至った時点公営住宅、公的な住宅計画について何か変更があったんでしょうか。私はそういう認識に立っておらないのですが。
  9. 佐々木宏

    佐々木説明員 現時点に至るまで計画変更があったということではございませんけれども供給状況、例えば供給のための用地の確保でありますとか、そういった建設状況等についての判断の中でこういった判断をするに至った、こういうことでございます。
  10. 赤羽一嘉

    赤羽委員 着工三カ年の計画でございまして、今四万八千戸、約九万人とも八万人とも言われている仮設入居者を受け入れるだけの住宅が二年後にできないことは、昨年十一月の段階で、あの当時から明らかだったわけですね。ですから、あの当時に当然何らかの決定をするべきだった。  建設省の方に言うのがどうなのかわかりませんが、政治家として被災者皆さんに何らかの心の安心を与える、そういったことを考えるならば、手品ではございませんし、公的な住宅がぽんぽんできるわけではないのですから、あの時点で、無理だとわかった時点で、期限延長は認める方向で決定する、そういった政策決定を当然するべきであったと思いますが、大臣、どうでしょう、いかがですか。
  11. 鈴木和美

    鈴木国務大臣 先生指摘のとおり、あの段階である結論を早く出しておいた方がいいということは、当時いろいろな関係大臣との話のときにもありました。しかし、具体的に、地元の方の意目等と、厚生省それから建設省、それぞれの所管のスケジュール等関係を見たときに、若干調整する必要があるだろう。それからもう一つは、地元で既に調査がだんだん始まっていく段階だった云のですから、若干時間を置いて今日になってしまったというのが実情でございます。
  12. 赤羽一嘉

    赤羽委員 今回のこの問題の件ではなくて、今回の震災復興一連においていろいろな問題が噴出し、そしてそれに対する対応が全般的に極めて柱間がかかったということで、地元の声というの什厳しくなった。せっかくやっていただいた施策についても、余りにも遅いということで、やった割に評価をされていないというような現状もあると思いますので、まだまだやり残した問題はたくさんございますから、どうか国土庁長官政治家としての御決断で、今後の残された問題を早期に解決していただきたいというふうにまずお願いしておきたいと思います。  先ほどの建設省の方からの御答弁で、恒久住宅に一日も早く移ってもらうというのが当面の住宅政策で大事なことだという趣旨お話があったと思います。私も全くそのとおりであると思いますが、今回のこの法案の中に、一年以内の延長期間満了後も再延長できるという旨が盛り込まれていると思うのです。これは、何の制限も加えないでさらに一年のリニューアルを認めるということが、恒久住宅への移行を逆に困難にするケースも出てくるのではないかと私は非常に心配をするのですが、いかがでありましょうか。
  13. 佐々木宏

    佐々木説明員 先生指摘のように、被災者のための住宅対策ということで、やはり恒久住宅への円滑な移行というものを第一義に考えるべきであるということは、私どもそのとおり承知をしております。  しかし、阪神淡路大震災級被害が甚大かつ広範囲な災害におきましては、建築基準法に定められました二年三カ月という期限内に十分な数の恒久住宅供給することが困難であるという事態に至ることが想定されますことから、応急仮設件宅入居者の居住の安定に資するためのやむを得ない措置ということで、本特例を設けることといたしたものでございます。  したがいまして、本特例によります延長許可は、安全上、防火上及び衛生支障がないといったようなこととともに、被災者住宅需要に応ずるに足りる適当な住宅が現に不足する場合、すなわち、恒久住宅供給が量的に不足しているというやむを得ない場合において適用するということといたしておるところでございます。  また、御指摘のように、この延長については一年単位でそういった手続をするというように定めておるところでございます。  建設省といたしましては、まず第一に、公的住宅量的確保等について、地元自治体連絡調整を行いまして、支援を進めているところでございますけれども、本特例運用に当たりましては、御指摘のように、恒久住宅への移行第一義とするという適切な運用が図られますよう、特定行政庁を指導してまいりたいと考えておるところでございます。
  14. 赤羽一嘉

    赤羽委員 具体的にお聞きしたいと思うので才が、例えば今、市街地仮設住宅に住んでいる方がいらっしゃる。仕事場も比較的近いところにある。今度受け皿となる恒久住宅、公的な住宅は若干距離がある、神戸市から。市街地にあったり、また神戸市以外のところにできたところがあった。当然家賃もかかるということで、仮設住宅の方は、そんなところにあえて出たくはない、この一年間リニューアルできるのだから、さらに一年たったところでも自分は出ない、ここに居続けたいという主張をする人も具体的に出てくるのではないかと思いますが、それについてはどんな対応がされるのですか。
  15. 佐々木宏

    佐々木説明員 ただいま御指摘のようなケースでございますけれども、この法案規定しております「被災者住宅需要に応ずるに足りる適当な住宅が不足する」という点につきましては、当該応急仮設住宅入居者の新たな生活の本拠となり得る住宅が、全体として需要を充足するに足りる程度存在するかどうかといった点で判断ベきものであるというぐあいに考えておるところでございます。
  16. 赤羽一嘉

    赤羽委員 ですから、数がある、その条件はいろいろあるかもしれないけれども、数はできた。そうした場合は、出てくれという退去勧告なりなんなりをすることが可能なのでしょうか。
  17. 西沢英雄

    西沢説明員 今回の法案によりまして、延長の御審議をいただいている段階でございます。ここからまた、公営住宅建設に伴いまして、順次ね移りをいただくことになるかと思います。  その後、何年後にどういうことになるのかということは、特に法律でどうこうということではございませんけれども、そういうことのないように、まずそれぞれの方々恒久住宅に移っていただきたい。具体的にいろいろな問題が出てくると思いますけれども、その辺のところは、今後、重態の推移に応じながら適切に対応していくべき去のではないかというふうに考えております。
  18. 赤羽一嘉

    赤羽委員 御趣旨はよくわかりますが、私はやはり、新しい法律をつくるのですから、例えばこれを三年間を限りとするとか五年間を限りとするとか、歯どめみたいな部分を入れておいた方がいいのではないかというふうな心配もするの下すが、そのようなことはなじまないのでしょうか。
  19. 佐々木宏

    佐々木説明員 この法案趣旨でございますが、やはり、二年とか三年とかいった歯どめを、歯どめといいますか一定期限をさらにこの上に設けるということは、法案規定という性格上なかなかなじまないのではないかというような判断に至ったものでございます。
  20. 赤羽一嘉

    赤羽委員 恐らく、来年また再来年、公営住宅ができるまで、またできてからも、かなり移動のトラブルというのは出てくると思いますので、その点については万難の対応策お願いしたいというふうに思っております。  また、別のことですが、延長期間を認めた場合、建築基準法上の補強工事は行われないこととなるといった解説の部分があったのですが、これはどういう意味でしょうか。
  21. 佐々木宏

    佐々木説明員 御質問の点でございますが、建築基準法上、災害時に建築されました応急仮設仲宅については、建築基準法による許可を受けることによりまして、最長二年三カ月の間建築基準沖一定規定適用が除外されるということになっておるものでございます。したがいまして、この期間を超えましてその応急仮設住宅を存続させようとする場合には、所要の補強工事等を実偏することによりまして、建築基準法規定に適合させるということが求められるものでございます。  一方、この法案によりまして適用されます応急仮設住宅につきましては、この特例措置によりまして、安全、防火衛生支障がないことなどを確認の上でこの許可期間延長するということが認められているものでございまして、延長に係る期間内については、建築基準法規定に適合六せるための適法化工事を行うことは必ずしも必至とされない、そういう趣旨でございます。
  22. 赤羽一嘉

    赤羽委員 若干わかりにくいあれだったのですが、結局、今回特例措置をとるので、一般住宅に衣がえをせずに仮設住宅として期限延長を認めるというような御趣旨答弁ですか。
  23. 佐々木宏

    佐々木説明員 もともと建築基準法応急仮設住宅規定と申しますのは、緊急につくるものであるので建築基準法一定規定については適用を除外するという趣旨でございます。したがいまして、二年三カ月の間はその規定適用がなかったわけでございます。ですから、それを超えるときは、従来は補強工事等をやって規定に合うようにしていたということでございますが、今回の特例を受けますと、その補強工事をして規定に適合させるということが建築基準法上は必要なくなる、そういう趣旨でございます。
  24. 赤羽一嘉

    赤羽委員 わかりました。  また、少し内容が違うのですが、期限延長をするに伴って、実質的にもう一年数カ月で、かなり各応急仮設住宅が傷んでおるわけでございます。そういった意味で、安全、防災上の観点からも当然、今後補修補強経費というのが必要と見込まれると思うのですが、この補修補強部分。  また、リース料ですね。リースしている仮設住宅も半分以上ですか、五五%ぐらいたしかあったと思いますので、この部分経費について、原則は地方自治体負担という御説明ですが、ここはずっと我々お願いをしているのですが、国の国庫費用としての負担で賄うということはいかがなのでしょうか。
  25. 西沢英雄

    西沢説明員 仮設住宅補強の問題は、先ほどお話にございましたように、大筋要らなくなるのではなかろうかというふうに考えております。建築基準法を満たすための補強の問題、従来取り組んでまいりましたけれども、今回の御審議いただいております法案が成立いたしまして延長が認められるようになりますと、その分は必要がなくなるだろうというふうに考えております。  それ以外に必要が出てくるかどうかという問題でございますが、実は昨年の八月に最後の方が入居されておりまして、まだ一年たっていない施設もございまして、長くなりますといろいろそういう問題も出てくるのかなという気はいたしておりますけれども、その辺のところはこれから少し様子を見てみないとわからないのかなという感じでございまして、地元ともその辺の状況内容を聞いたり調整をしているところでございます。  それから、延長した場合、リース料をどうするかという問題がございまして、二年間の分は既に手当て済みでございますけれども、その後延長になった場合にそういうものが必要になるのかどうか。それから、これからあと一年ぐらいあるわけでございますけれども、その時点で、どういう仮設住宅がどういう形で残るようになるのか、その辺のところを地元兵庫県ともよく協議しながら対応してまいりたいというふうに考えております。
  26. 赤羽一嘉

    赤羽委員 今の御答弁を聞いて、かなり認識のギャップがあるというふうに率直に言って実感をいたしました。  何か今、補修補強が必要な仮設住宅が出ているか出ていないか、まだ余りよく認識されていないというような御発言がありましたが、現実に回っていただければ、そういった、たてつけがずれてきたとか、ひどいところでは屋根がずれてそこから雨漏りがするとか、すき間風があって、皆畳を上げてそこに新聞を敷きガムテープを張ってみたいなことをやっているのがほとんどの仮設住宅なんですね。大体が更地というより公園とか無理なところにつくってあるようなところでありますし、それがもう既にかなり問題が出てきている。それをさらに一年間の期限延長をすることによって、当然この補修費また補強費、修繕費というのはばかにならない費用がかかるというふうに、私自身は現場を歩いてそういう認識をしております。  ですから、その部分のこととか、あと、今リース料が必要になるのかどうかというような御発言がありましたけれども、ちょっとその意味がわからないので……。リース料が発生しているのですし、一年延長している後も当然継続でリース料そのものは出てくるのではないのでしょうか。  また、ちょっと加えて、これもずっとお願いしていることですが、仮設住宅がだんだん撤去されていく。その撤去費用とか、また公園なんかをつぶしてやっているわけですから、その公園の原状復旧に要する経費、これもすべて国庫負担としていただくべきだというふうに私は思っておるのですが、このことも含めてもう一度御答弁お願いします。
  27. 西沢英雄

    西沢説明員 リースの関係でございますが、あと一年先の問題でもあるわけでございますけれども、一応つくるときに二年間という約束でつくっていただいております。撤去するのが一年間延びた場合にやはりもう一回リース料を追加して払わなければならないものかどうかといった点につきまして、今地元と少しその辺の調査等をしている段階でございましてという意味でございます。特に必要があっても払わないとかそういうふうな意味じゃございませんで、その辺を詰めた上で対応をしていきたいというふうなことでございます。  それから、仮設住宅建設につきましては、なるべくきちんとしてつくるように地元も御努力をいただいております。そうした中で、いろいろ不都合が出てきた場合に、まだ一年たったかどうかという時期でございまして、建築上の問題があるのかどうか、どちらに責任があるのかとか、そういったことを調査しながら、どういう対応をするか詰めていく必要があろうかなというふうに考えている次第でございます。  それから、撤去費の関係でございますが、これは、ただいま地元の兵庫県におきまして入居者の実態調査を行いまして、これを踏まえまして、公営住宅等移行を進めるための計画を検討している段階でございます。したがいまして、この計画を受けて、どの程度の応急仮設住宅を残すことになるのか、どのぐらいの仮設住宅が撤去されることになるのか、その辺の具体的内容をよく調整し、お伺いした上で、関係省庁とも十分協議しながら対応してまいりたいというふうに考えております。
  28. 赤羽一嘉

    赤羽委員 今、応急仮設住宅をどのくらい残すかというような御発言がありましたけれども応急仮設住宅は全部解消し公的住宅移行するという大方針でやっているのではないのですか、大臣
  29. 西沢英雄

    西沢説明員 実は私ども、費用の問題になりますと予算の関係がございますので、何年度でどういうことをするかということも重要になってくるわけでございます。  そういう意味で、今年度といいますと来年三月まででございますので、そういったところがどういうふうになるのかというのが、非常に事務的な問題でございますけれども、きちっと詰めておく必要があるということも一つあるわけでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  30. 赤羽一嘉

    赤羽委員 政府委員の方の答弁はもういいのです。  大臣にぜひお答えいただきたいのですが、基本的には、この仮設住宅というのは、前のどなたかの答弁予算委員会答弁にもあったかもしれませんが、公営住宅と同じように考えている、地方自治体の財産だから、つくりました、後は地方自治体で運営管理しなさいというスタイルだというふうな原則論のことを言われておりました。  これは、今回の震災で四万八千戸、つくっていただいたことは大変ありがたいことですが、これを管理し、またそれについてのもろもろの費用、また撤去、そして公園への原状回復とか、そこまでをすべて地方自治体に持たせるということは、元気ならばいいのですが、神戸市、兵庫県ともに財政的にはもう大変厳しい状況であるということは大臣もよく御認識だと思うので、仮設住宅を地方自治体の財産だという認識は、これは基本的にはぜひ改めていただきたい。これについては、もうすべて特例で、政府のアカウントで、最後まで責任を持つというふうにしていただきたいのですが、いかがでございますか。
  31. 鈴木和美

    鈴木国務大臣 住宅の問題につきましては、今関係省庁から答弁があったと思うのですが、まず第一に、今日までちょっとおくれてしまったなというのは、五月の半ばぐらいにある程度この住宅問題に絡む一切の問題を決定づけようかという方針で進んでまいりました。ところが、現地で実態調査をやっていただきまして、これがちょうど一カ月おくれてしまったのですね。したがいまして、六月十五日ということになりましょうが、この辺のところである程度の集約をきちっとするように、今県、市にお願い申し上げております。そうしますと、その実態というものをある程度つかまないと次の対策がとれないというような省庁の分野もあるものですから、これは六月の早いうちにもう一回現地との間に話を進めて対応していきたい、こういうのがまず大前提としてあります。  それから、もう一つの仮設の問題でございますが、今建設省等の答弁でもはっきりしたと思いますが、つまり、仮設から動きたくないという人がいるのと同時に、仮設はあくまでも仮設なんですから、恒久住宅の方に移行することを大前提として対応しなければいかぬと思うのです。先生先ほど御指摘のように、そうならば、何年というふうに区切ったらどうかという意見もあるのですが、これもこの次の地元との調整会議のときにはっきりさせてまいりたいというように思っているところでございます。  いずれにしても、もう時期が切迫してまいりましたから、家賃問題も含めながら住宅問題については的確な対応をこれからしていきたい、かように思っているところでございます。
  32. 赤羽一嘉

    赤羽委員 前向きな御答弁をいただきまして、本当にありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。  今お話が出ました、県による仮設入居者の全戸調査の結果というのが、もう一応結果が出ていると思います。その取りまとめに時間がかかっているというお話、多分分析に時間がかかっているのではないかと思いますが、私がいただいている資料では、世帯主が六十五歳以上の高齢者世帯が四二%、その四二%のうち、単身世帯、独居老人である人たちが五一%、御夫婦の世帯が三九%、合わせて九一%。ですから、高齢者世帯は全体の四割以上ある、そこのほとんどが独居老人か、もしくは御夫婦お二人で住まわれているということが報告されております。仮設全体を調べても、平均世帯人数が一・八七人、ほとんどお一人か二人であるということであります。  また、総収入額、これが年間三百万円未満が七割、百万円未満が実に三割もいらっしゃる。恐らく、年金、恩給で暮らしている方たちがその多くだというふうに思っております。全国の総収入の世帯平均が六百八十万円ということを考えますと、実にその平均の半額、半分以下、もしくは六分の一、七分の一といった極めて経済的には厳しい人たちが、一年四カ月たった今なお仮設にとどまっているという現実があると思うのです。  従前三万円以下の安い家賃で入っていた人たちが五六%、約六割近くいるというような状況で、転居予定が七%で、九割以上の人たちがどこか移る当てがないというふうな状況であります。できるならば、被災前の現住所というか、もとの居住地に戻りたいということを述べられている方たちが約六割いるという現状でございます。  恐らく、この自然災害によって幾万人にも及ぶ被災者が直面しているこの課題について、これまでずっと政府の答弁を聞いて思ったことですが、もはや、被災者個人に解決をゆだねるということではなくて、社会全体で取り組んでいかなければ救うに救えないというふうな厳しい現実が物すごくあると思うのですね。  私も、私もというか、新進党の阪神淡路復興推進委員会という委員会をつくりまして、一年四カ月たった今、取り残された問題について、現実的な政策提言をしていかなければいけないということで、地元の仮設回りをしながら皆さんの意見を聞かせていただいているのですが、本当にどうにもならないような状況でいらっしゃる人たちがかなり多い。この統計の数字は多分ほとんど当たっているなというふうに思うのです。どうしたらいいのか、立ち上がれぬ人たちの新しい生活に立ち上がれない現状というのはどこに一番原因があるというふうな認識に立っていらっしゃるのか、まず、その点についての御所見を聞かせていただきたいと思うのです。
  33. 生田長人

    ○生田政府委員 お答えを申し上げます。  立ち上がれない原因はどこかという御質問でございますけれども、私どもとして、詳細に調査をしたことはございませんけれども、日々地元の公共団体あるいは被災者方々お話をしている中で感じたことにつきましては、例えば、地震によりましてこれまで生活の本拠だった家あるいは家財を失ってしまった、なかなか再建の手当てができない、こういった状況にある方もいらっしゃいますし、あるいは、震災に伴いましてこれまでの職を失って、さらに高齢あるいは傷病等の理由でなかなか新たに就職ができない、こういった状況にあられる方もいらっしゃるわけでございます。あるいは、自営で細々と暮らしてこられた方の中には、生業の中断を余儀なくされまして、お金がないためになかなかその再開の見込みがない、こういった方々もおられるようでございます。さまざまな事情がございまして、それは非常に千差万別でございます。  したがいまして、私どもといたしましては、これらの方々に対しまして、まずは最初に、安定した生活を送っていただくためにも、必要な住宅に十分低い負担で入居できるように努力をする、これが第一に大切なことだと思っております。同時に、地元の自治体におきまして、いろいろな千差万別の相談にきちんと乗っていただける、こういった体制をきちんととるということもこれまた重要なことだと考えております。現行制度でかなりのことができることも事実でございますので、そういった相談にきちんと対応をして、そういった方々の千差万別のニーズに対応する、こういったことは非常に重要なのではないかと今私どもでは考えております。
  34. 赤羽一嘉

    赤羽委員 今御答弁ありましたように、やはり住宅、仮設ではなくてしっかりした住宅をつくるということも大事だと思うのですが、あとは、要するに、経済的に本当にお困りになっているという方が今残った人たちのほとんどだというふうに私は思います。個人補償ということで、非常にハードルが高くてできない中で、非常にお困りになっている方がたくさんいらっしゃる。  ちょっと住宅のことは後で聞くことにしまして、医療機関を利用している世帯は仮設入居者の中で五七・八%というのが出ているのですね。そのうちの約六割が震災以前からかかっているかかりつけの病院に通っているという調査結果が出ております。  今回は、結果としては非常に皮肉な形になったのですが、去年の今ごろは、仮設をとにかく早くつくれ、そして最初に高齢者や障害を持たれている方、社会的にいわゆる弱者と言われている人たちを優先的に入れようということで一生懸命やったわけです。最初にできていった仮設が、実は市街地の中でなかなか土地も見つからなかったということで、ポートアイランドやら西区というところやら、北区の六甲山の裏側の鹿の子台とか藤原台とか比較的土地のあるところに建っていた。そこの高齢者の入居率というのですか占有率は、多分先ほどの四割とかということよりももっと高い世帯が、高齢者の世帯が占めていると思うのです。  そこで、例えば北区の場合、北区藤原台というところがあるのです。そこから三宮まで出るのが、時間的には四十分ぐらいの話なんですが、これはもともとの問題としてあるのですが、交通費が片道約千円かかるのですね。私鉄の電車、市営地下鉄を三つ乗りかえなければ出られない。三つの初乗り料金を払って片道千円、往復で二千円かけて三宮まで出るというような厳しい状況が実はあります。  ですから、今住まれている人たち、ただでさえ経済的に苦しい人たちの中で、恐らく医療費及び通院にかかる交通費の占める割合というのは物すごく多いわけでありまして、私は何度となく予算委員会お願いをしたのですが、去年の十二月に打ち切られた医療費の一部負担特別措置を何としても復活していただきたいというふうにお願いするわけでございます。  前回の予算委員会厚生大臣答弁では、実は雲仙はまだこの特例措置というのは続いているのですね。何でこういう差別があるのだと言えば、雲仙はいまだ災害状態にあるという御答弁があって、阪神大震災の方は基本的にはそういう災害状態が終わっているという認識であるから去年の十二月に打ち切られたという御答弁がありました。  しかし、数字として、あのときに御説明もしたのですが、兵庫県の保険医協会の調べで、芦屋、西宮、神戸の百二十の医療機関を対象に患者の実数を調査した結果、昨年十一月には六千八百八十九人がいらっしゃった。一部負担の免除を受ける患者数が六千八百八十九人、そしてこの打ち切った後の本年一月には四千百八十二人、約四割も患者数が減っていたという具体的な数字の裏づけも出ているわけでございます。  通院はしたいのだけれどもとても医療費が負担できないということでやめた方たちがこの調査で約四割もいるというような状況の中で、この医療費の一部負担特別措置というのは、あえて今、あのときなぜ打ち切られたのか。そのさしたる根拠も僕は余りなかったのではないかと思うのですが、ここについてぜひ再びこの特別措置の復活をお願いしたいというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  35. 辻哲夫

    ○辻説明員 阪神淡路大震災被災者に係ります一部負担の免除措置についてでございますけれども、この趣旨は、大災害の際に多くの方が避難所に移られまして、避難所では非常に不自由な日常生活を強いられるということで、疾病にもかかりやすいということで緊急医療の確保、これが免除措置趣旨でございます。  そういうことで特別に立法をお願いいたしまして、したがいまして対象者も、お住まいが全半壊するというようなことで避難所に行かざるを得ないというような方々を対象として、昨年五月末まで免除、そしてその中で低所得の方々に限りまして十二月まで免除、こういった考え方で行われたものでございます。  この一部負担の免除措置の前提となる一部負担は、例えば今お年寄りの場合、通院で一カ月千三十円といったような水準でございますけれども、基本的に保険制度は保険料を原資として行われている制度でありますので、一定の窓口負担をいただくというのは大基本でございますので、例外的な措置というのはおのずから限度があるということで、雲仙の例は、まだ災害がやんでいない、災害が続いているということですので唯一の例外でございまして、大部分は三カ月が基本で、大部分というよりも、一部六カ月の例がございましたが、三カ月ということである中で一年間という非常に長期間にわたって措置をとったということで、緊急医療の確保としては役割は終了したというふうに理解いたしております。  ただ、国民健康保険制度におきましては、個別の町村、保険者の判断によりまして特別の事情が認められれば個別に一部負担を減免するという規定がございまして、この活用によりましてお困りの方々対応されるようにというふうに私ども考えている次第でございます。
  36. 赤羽一嘉

    赤羽委員 私は、個別の対応でカバーできるような生易しい数ではないというふうに認識しております。  ちょっと聞きたいのですが、雲仙は災害が続いている、阪神地域は災害が終わっているという認識、繰り返し御答弁ありましたけれども、これはどういうことなんでしょうか。実際四万八千戸の仮設住宅、応急仮設の建物に八万人も九万人も避難、入居していることの現状から、何をもって災害が終わったというふうに厚生省は言い切るのか。私は全然納得がいきませんが。
  37. 辻哲夫

    ○辻説明員 災害がやんだ、やんでいないという前提でございますけれども、この措置というのは、今申しましたように、極めて異例な、本当に医療を理屈抜きに確保してさしあげなければ困る、こういう状態に着目して措置をとるというのが趣旨でございますので、災害がやむ、やまないというのは、実質的にそういう避難所で住まわざるを得ないといった大混乱の中にあるというのは基本かどうか、こういう意味でございます。  そういう意味で、雲仙の場合、何といいますか、いつまたそこに雲仙にかかわる災害が起こるかもしれないという中で、何といいますか、災害との関係で平常時に戻っていないという意味でやんでいないということでございます。神戸等の地域におきましては、そういう意味では仮設住宅という、大変御苦労されておりますけれども災害との関係では全国に同じようにお住まいで困っている方がいらっしゃいますけれども、そのような意味で同じような状況に服しておりますので、そういう意味では、社会保険の制度といたしましては特例措置というものは個別例外のものでしか対応せざるを得ない、こういう趣旨でございます。
  38. 赤羽一嘉

    赤羽委員 個別例外の措置であるということはわかりますが、十二月に打ち切った。十二月の時点での被災地状況と、現在全戸調査がやられてこれだけ厳しい数字が出てきた。私は、十二月の段階と比較して、ここはデータを持っているわけではございませんけれども、あの時点で仮設から出ていった方たちというのは、まだ経済的に余裕があったからこそ民間に出ていった人たちだと思うのです。今なおまだ残っているということは、本当に困窮度が高い人たちだけが残ってしまった。事実、年収百万円未満が三割いるという数字が出てきている。仮設住宅についても、余り避難所とは、それは幾らかはいいかもしれませんが、あくまで仮の宿だということも考えれば、これについて昨年十二月に打ち切ったということ、あのときに打ち切ったということは何を根拠にしているのでしょうか。
  39. 辻哲夫

    ○辻説明員 今申しましたように、本来そういう緊急医療の確保、理屈抜きに、どの医療機関でもともかく飛び込まなくてはいけない、そのときに負担というものが障害になってはいけない、そういった趣旨のものでございますので、五月末までが本来でございまして、その中でも低所得者の方を例外的に一年にしたという意味で、本来三カ月とかそういう措置を五カ月にし、かつ、それを一年に延ばしたという意味で十二月まででございます。  そういう中で、ちょっと今千三十円と申しましたけれども、千二十円。お年寄りが多いという御指摘がございましたけれども、月千二十円といったような御負担のもとで医療というものにおかかりになるという意味で、今の状態というのは仮設で大変御苦労されておりますけれども、その点は医療保険のそういうルールからお願い申し上げたいということ。  それから、確かに一部負担の仕組みが、特例措置がなくなりまして、少なくとも切りかえ時に相当患者さんが減ったという事実は私ども承知しておりますが、一方におきまして、この特例措置によりまして、平成七年度は、一月に災害が起こっておりますので、ざっくり申しまして、平成七年度と六年度の比較というのは細かく対応しておりませんけれども、例えば医科は、総費用が、医療費が、平成六年度五%の伸び率に対しまして一〇%伸びる、これはもっともなことだと思います。例えば歯科で見ますと、六年度の伸びが五%に対して二〇%も伸びているといったように、本当に困った方を救わねばならないわけですけれども、やはり一部負担というものが持つ逆の面もあるわけでございまして、そういうことを考えますと、緊急時の措置というものの使命が終われば、私どもとしては、十二月末で、法律期限を終わった段階で了とするということはやむを得ないものと考えております。
  40. 赤羽一嘉

    赤羽委員 私は納得ができないのですが、全戸調査で出てきた数字が上がってきているわけですから、そこで新たにもう一度、これまでとった施策でいいのかどうかという検討をぜひしていただきたいと思います。  大臣にちょっとお聞きしたいのです。前回、菅厚生大臣予算委員会答弁でも、今厚生省の方の答弁にもありましたが、「雲仙については、これはまだ災害が続いているという認識の中で対応が続いている」という御説明がありましたけれども、政府として、阪神・淡路地域というのは災害が続いているという認識にはないのかどうか、ここだけはっきりさせておきたいと思います。
  41. 鈴木和美

    鈴木国務大臣 ただいまの点は、雲仙の方から申し上げますと、雲仙の方は、間もなく災害の対策本部を終結する段階にあります。長崎県もそろいう態度をとられましたので、いずれ中央でもとらざるを得ないと思っています。  さて、そういう中で、阪神の問題というのは、橋本総理からも答弁があったと思いますが、阪神・淡路の対策というものは医職住を中心に考えなければならぬ。その医職住の医の方はお医者さんの医であって、それから職の方は職業の問題である、それで住宅、このことが阪神・淡路の中心的な政策課題でなければならぬ、こういう認識に立って、今政府としても一体で取り組んでいろところです。  今先生の御指摘の医療の問題につきましては、当初、やはり緊急的にとった措置なものですから、収入の高い人も低い人も一緒の手続をとっていったわけですね。ですから、それはもうある期間が来れば是正しなければならぬのじゃないか、なおかつ、苦しい人、重い人に対してどうするのかということが今日残っている話題でございます。  したがいまして、これは恐らく六月の中旬ぐらいになると思いますが、現地との間に、またこれも、どのように対応するかということも相談すろ事項になっています。そのときに、兵庫県で今復興の基金というものがございますね。あの基金がどういうふうに活用されているのかということもこれから国が対応する場合の大きな要素になるものですから、その点も、地元先生方の御協力を得ながら基金問題をどう扱うか、お知恵を拝借できればありがたいというように思っています。
  42. 赤羽一嘉

    赤羽委員 わかりました。基金は原資が五千億ちょっとなんです。これは二兆円ぐらいあればいろいろなものに潤沢に使えると思いますが、かなり細々とした利子補給やら何やらに使われているというのが現状で、ここの原資の部分に国が参入していただければ、本当にかなりいろいろなことができるというふうに私も認識しております。  また、被災者全員が一律にいろいろな措置を受ける必要はないと私は思います。五百日たった今なお本当に困っている人を、困窮度の限定というのは難しいのだと思うのですが、そこを精査して、一度やめてしまった措置であるかもしれないけれども、医療費についての一部負担なんかも視野に入れて、ぜひ復活を考えていただきたいというふうに思っております。  また、生活保護のことについて、けさの朝日の「論壇」に、実は神戸の高校の先生から、「震災復興」はだれのためなのか」ということで投書が来ておりました。生活保護法については被災者向けの特例措置は一切ない。義援金と災害弔慰金を収入扱いすることで、行政側が受理を渋っておる。その結果、もちろん市内から流出した人もいるけれども、昨年の同時期に比べ、生活保護受給世帯数が震災前に比べ約一千世帯も減少しているという統計が出ております。この方が面倒を見ている人の一文をちょっと御紹介したいのです。   生活保護を受けていたBさんは震災でアパートが全壊し、家財のすべてを失った。高齢で一人暮らし、身寄りはいない。月三万円の年金と月八万円の生活保護で暮らし、万一に備えて九年間で五十万円をコツコツ蓄えていた。四十万円の義援金、十四万円の見舞金と合わせて百四万円がいまの全財産である。  遠くの仮設住宅に入居が決まった後、Bさんは福祉事務所に「義援金は受け取ったのか」「いくらもらったか」「何に使ったか」など、執拗に問われた揚げ句、生活保護が打ち切られた。手持ち額が多いとの理由である。震災で失った生活用品をこれから買いそろえていくと、義援金を加えた手持ち額は、ほとんど残らない。という現状がある。これは、一都市民団体が強く抗議した結果、生活保護の一部の支給が再開されたというわけですが、しかし、光熱費や医療費などがかさみ生活は厳しい。「「一着、好みの夏服を買いたい」。Bさんのささやかな願いである。」これは事実、だと思うのです。  その生活保護の部分についても、全国一律ということもあり、実際の窓口での適用条件というのは本当に厳しいのですね。家がつぶれた、たまたま小さな土地を持っている、土地を持っているから資産があるから対象外だ、しかし、実際はその小さな土地は何も資産価値はないような状況の中、これも災害弔慰金を収入扱いにするとか、こんなことはちょっと緩和して、幅広く生活保護を受けるような形で、個人補償ができないならば、そのかわりにそのような運用ができないものなのかどうか。  きっと政府委員に聞いてもできないと言うふうに思うのですが、要するに、何でも私はいいと思うのです。医療費の負担でもいいし、先ほどの交通費に対する補助費でもいいし、生活保護の適用条件の緩和で生活保護の受給をふやすということでもいいし、とにかく新しい生活に向かって立ち上がれるような何らかの措置を手を打っていただきたいというふうに思うのですが、この義援金と災害弔慰金を生活保護の収入扱いにするという部分について、お答えできる方がいらっしゃったら、どう処理しているのか。
  43. 西沢英雄

    西沢説明員 生活保護法、先生今御指摘のとおりでございまして、憲法二十五条によります生存権の保障の法でございまして、全国統一的な制度として実施されているわけでございます。  今御指摘いただきました義援金とそれから弔慰金の関係でございますが、義援金につきましては、普通の生活費に充てるのではなくて、災害によって失われました生活基盤の回復、例えば家財を買うとかいろいろ用途はあると思いますが、そういうふうな道に使っていただけるのであれば収入として認定しない、要するに生活費に充当するべき資産として認定しないということでございまして、生活費は従来どおり支給されるという仕組みになります。  それから、弔慰金でございますが、弔慰金は、世帯主が亡くなった場合には五百万円、それ以外の方ですと二百五十万円というふうになっておりまして、そこには弔慰と同時に、生活再建といいますか、生活を支えるという意味合いが入っておりますので、そこのところは、どういうふうにお使いになるかということを十分保護を受けている方々にお伺いをいたしまして対応をしていく。  例えば、保護を継続するのであれば、一カ月の生活費が単身老人であれば九万円ちょっとかと思いますけれども、その生活で過ごしていただく。弔慰金につきましては別の、自立更生といいますか、そういったふうの用途に使っていただくというふうになります。そこで御本人が、このお金がありますので、生活保護以上の生活といいますか、しばらくこれで生活をしたいというお話であれば、その時点生活保護は一たん廃止になるというふうな方法がございまして、その辺はよく本人の御都合もお伺いをし、事情を説明して、懇切丁寧に対応するように努めているところでございます。
  44. 赤羽一嘉

    赤羽委員 現状は、行政の窓口は全国、オールジャパンとして統一に対応しているから、被災地皆さんからすれば極めてつれなく、また厳しく、そういう条件を迫られているというような現状もございます。  大臣に重ねてお願いしますが、医療費でもいい、通院補助費でもいい、生活保護の適用拡大でもいい、何でもいいですから、何とか立ち上がれるような財政的な諸施策を、どうか知恵を絞って、私たちも提案をさせていただきますので、考えていただきたいと思います。  もう時間もあれなんですが、仮設住宅から恒久住宅への移行移行というふうな話がありますが、実際回ってみますと、まず、家賃の三カ月分の保証金とか、転居する引っ越しの費用、これはもう払えないというふうに言われている方がたくさんいらっしゃるのですね。ですから、この転居支援費用とかまたは保証金立てかえの措置とかいうようなことというのは、これはすべて一貫した話なんですが、考えられないのでしょうか、どうでしょう。  あの人たちに、今どき引っ越し代といっても十数万円かかる、また三カ月分の家賃の保証金を入れるというのも、これも何か特例措置として何とかならないのかなというふうな思いがするのですが、どうでしょうか。
  45. 西沢英雄

    西沢説明員 仮設住宅から恒久住宅へ移るための転居費用等々の問題でございます。  昨日、連立与党におきまして、阪神・淡路地域の復興対策に関する第四次報告で御指摘されているところでございまして、仮設住宅から恒久住宅への円滑な移行等の生活再建を図ることが重要な課題であるというふうに認識をしているところでございます。  これを受けまして、移転経費等につきまして、生活福祉資金貸付制度を活用した支援方策を検討しようということになっておりまして、具体的にどのような支援方策が可能なのか、今後関係官庁とも協議しながら検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  46. 赤羽一嘉

    赤羽委員 今の御答弁にも関連するかもしれませんが、例えば昨年十月終了した災害援護貸付資金、そこから使途目的を外して、例えば上限一千万円にして無利子措置は五年とする。仮に本人死亡時の場合はその償還は免除するといったような特別な立ち上がり資金、そういった新しい制度の創設ということをぜひ考えていただきたいと思うわけでございます。これは、その部分についての御決意も、もう一つの問いとあわせてお願いしたいのです。  あと一つ、被災マンションの再建問題について、本当はこれをじっくりやりたかったのですが、大型のマンションが、もうほとんど住民合意の形成ができずに、今神戸市内、芦屋市内、西宮市内にぼこぼこ残っている。小型のマンションはそれなりに再建の決着がついてきているけれども、百戸以上入っている大型のマンションはもう手つかずの状況でいる。  ですから、これは今の制度ですと、住民合意にすべてをゆだねているというような状況で、八割の合意形成ができない。住民の中でもめている。ある人は建て直しをしたい、ある人はとても金がないから補修にしたい、しかし補修にすると、反対する人は資産価値が落ちると言う人もいたり、また補修にすると国の今の国庫助成制度が全くないというようなことで、ほとんどデッドロックに乗り上げて、もう疲弊し切っている被災マンションの管理組合の人たちというか入居者の話をよく聞きますので、この問題についても改めて、建設委員会の場でも結構ですし、当委員会でもいいと思いますが、しっかり前向きな討論をぜひしたいと思います。  最後に、新進党は今、住宅地震共済保険制度法案を用意してまさに今提出しようとしておる状況でございますが、このことについて、政府として今国会中この法案提出の用意はあるのかないのか。所管がいろいろまたがっていると思いますが、とりあえず国土庁長官の御意見をぜひ最後に開陳していただきたいと思います。よろしくお願いします。
  47. 鈴木和美

    鈴木国務大臣 先生の前段の方の御提案につきましては、今ここでやりますとかやらぬとかという返事がなかなかできかねますので、先生がせっかくこの委員会においてそういう提案をなさったということを踏まえながら、六月の中旬までにもう一回現地との相談事がありますから、そのときにまた話題にしていきたいと思っております。  それから、地震の問題については、これは兵庫県から提示されておった地震保険の問題もございまして、これは個人補償が非常に難しいという災害状況から考えたときに、地震の問題という相互扶助の問題が出てくることは当然だと思っているのです。けれども、今兵庫県から提起されている問題については、何回も私言っているのですが、検討の課題として四つどうも難しい問題があるわけですね。その一つは、とにかく国民全員を加入させよう、こういう制度の問題。それから、水準をどういう水準にするのか。それから、それを徴収する徴収のコストの問題が出てくる。そこで、もう一度今度は神戸の方にも遡及しろという問題ですね。  こういう前提を置いた地震制度の中では、なかなかこれが実現不可能でございまして、現在ある制度の中でもう少し充実することができないか、現に充実した面もありますけれども、もう少しできないかという問題と、まだ新進党の皆さんの案は直接伺っておりませんけれども、そういう問題が出てくれば出てきたようにまた対応していかなきゃならぬと思っています。  国としては、今直ちにこういう保険制度をやろうじゃないかというような検討のところはまだ入っておりません。
  48. 赤羽一嘉

    赤羽委員 どうもありがとうございました。  地震共済保険制度については、私たちも年の初めから用意してつくった法案でございますし、国会の場で議論をしたく、ぜひ政府・与党からも御提出のほどをお願いしたいと申し上げまして、終わりにさせていただきます。ありがとうございました。
  49. 左近正男

    左近委員長 赤羽君の質疑はこれにて終了しました。  小池百合子君。
  50. 小池百合子

    ○小池委員 今回の法案審議に当たりまして、今私どもの同僚であります赤羽議員の方から、生活関連、特に住宅関連の質問をさせていただきました。私の方は、先行きが見えなくて、そして仮設住宅から出られないという人たちのその根本原因でもあります産業復興の方に的を当てて伺わせていただきたいと思っております。  今、同僚議員の赤羽さんがおっしゃいましたように、震災被災地におきましては、まだまだ震災のショックがいえていない、過去形ではなくてまだ現在進行形であるということを政府・与党の皆さんはよくよく御理解いただきたいと思っております。  ちなみに、あす五月三十一日で震災の発生からちょうど五百日がたつわけでございますけれども、この五百日が早かったのか、もしくは非常に時間がかかったととるのか、時間の経過によって問題が落ちついたり、または時間がたったからこそ問題が派生じたりというようなことがございます。今まだら模様なところはございますけれども、基本的にはきっちりとその現状というのをより確実に把握していただきたいと思っております。  そこでまず、前回の二月の時点でも私伺わせていただいたわけでございますけれども、製造業関係は、産業の空洞化といった全然別次元の問題もございますけれども、何とか復旧、復興の道を模索しているというような足取りが見えてきた部分もございます。  一方、おくれている部分といたしまして、これは店舗そのものの問題ということで、中小の小売商業関係が一八%はまだ仮設もしくはめどが立っていないという状況でございます。特に商店の皆さん方というのは、そこでの毎日の御商売というのが一言で言えば日銭になるわけでございますので、この点、これからも復興に向けてさまざまな支援をしていかなければ立ち上がれないという方々がほとんどでございます。  二月の時点で中小企業庁の方にもお尋ねさせていただいたわけでございますけれども、政府系の中小企業金融機関ということで三機関あるわけでございますが、激甚災害法に従っての適用期間ということをそのまま当てはめて、当初は平成七年七月末までの期限ということで受け付けをしていただき、そして平成八年七月末まで一年間の取り扱いの延長を行っていただいたところでございます。まだその期間は来ていないわけでございますが、現実として、実際に商店を再開しようという方々はまさにこれからが支援が必要でございますので、中小企業庁、この延長について改めて、今後の見通しなども含めてお答えいただきたいと思います。
  51. 玉木昭久

    ○玉木説明員 お答えを申し上げます。  前回のこの委員会でも申し上げましたとおり、政府系機関の災害融資につきましては、適用期間が平成七年七月末ということでございましたところを、この制度の本来の目的である地域経済全体の復旧がなし遂げられる、あるいはそのめどが立つという状況に当時至っていなかったということで、昨年六月二十七日の閣議決定によりまして、本年の夏、七月末まで延長を行っているところでございます。  これ以降につきましては、現在、兵庫県等を通じまして、被災地域の最新の復旧状況等の実態把握を行っているところでございますので、それ序見ながら適宜適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  52. 小池百合子

    ○小池委員 前回も、適切に対処してまいりたいというふうにお答えいただいております。そして今、適宜適切にということで、そういう言葉になるのでしょうけれども、ぜひとも現実にこれから支援が必要になるという点をよく理解していただきまして、本当の意味で適切に処置をしていただくことを強く改めてお願いしておきたいと思います。  続いて、産業の復興の問題に関しまして、そのかなめとなりますのが神戸港でございます。生ず、神戸港の復興・復旧状態について伺ってい去たいと思っております。それについての御報告序お願いいたします。
  53. 川島毅

    ○川島説明員 神戸港につきましては、現在、鎖意復旧中でございます。  まず、港湾の外航船の入港隻数でございますが、この一月、二月を、平成七年は特異な年でございますので、震災前の平成六年と比べましたところ、一月が平成六年の八六%、二月が八七%となっております。それから、外航コンテナ貨物量につきましては、この一月が平成六年と比べて八六%、二月が八三%ということで、関係者の御努力により徐々にもとに戻りつつあります。  なお、コンテナの取り扱いにつきましては、現時点では十五バースで取り扱っております。
  54. 小池百合子

    ○小池委員 今、ちょうどその最後に十五バースということをおっしゃっていただきましたけれども、そもそも、この神戸港のバースでございますけれども、全体の数字は幾つあるのでしょうか。
  55. 川島毅

    ○川島説明員 特に最近貨物を扱う中心となりますコンテナバースにつきまして御説明をさせていただきます。  神戸港におきましては、パナマックス型、いわゆるパナマ運河を通過できる最も大きな船でございますが、これを受け入れるためには、水深十四メートル以上のバースが必要でございます。(小池委員「そこまで詳しくなくて結構です」と呼ぶ)水深十四メートル以上のコンテナバースにつきましては神戸港は五バースでございます。十五メーター以上のコンテナバースにつきましては二バースでございます。
  56. 小池百合子

    ○小池委員 細かいバース数というと、私は三十三というふうに聞かせていただいているのですが、今は大きなところで七つというふうにお答えいただきました。  ハードの方は、先ほどの復旧状態の数字が、入船の状況が大体八〇%台ということで、戻りつつあると見るのか、そこでもう頭打ちになるのかといったところが、これからの神戸港に対してのコンセプトそのものにかかってくるのではないか。つまり、バースの数でいいますと、神戸港にしても、日本のそのほかの港にいたしましても、ハード面では結構これは見劣りしないと申しましょうか、これまでの業績が、復旧した段階でもかなりのところまではいくのではないかというふうに私は思ってはおります。  しかし問題は、むしろ港のソフト面がこれからどのようにして改善されていくのか。つまり、これはむしろ、神戸港という阪神大震災の被災を受けた特殊な港の問題のみならず、日本全体の港にも関連してくる問題ではないかと思うわけでございます。基本的に、関西空港にいたしましても、飛行機の着陸料が極めて高いといったようなことが非常に問題になったわけでございますけれども、ソフト全体をひっくるめまして、神戸港もほかのアジア諸国と比べて極めて高いと言われているのですけれども、その料金面の方、コスト面の方をどのように運輸省ではとらえられておるのか、伺わせてください。
  57. 石井健児

    石井説明員 お答え申し上げます。  我が国と諸外国の港湾関係料金でございますけれども、特に韓国等アジア諸国との港湾関係料金につきましては、我が国が相対的に割高になっているということが昨今指摘されておりますし、主た実際に割高になっているというふうに私ども認識をしております。  この価格差の原因につきましては、一概にはこれは申し上げられませんけれども、我が国におきましては、人件費、土地代を初めとする諸経費がこうしたアジア諸国に比べまして割高である上に、最近における円高の影響も働いているものと考えております。また、このような利用料の状湘が国際競争力に影響を与える一因となっているというふうにも認識しているところでございます。  私どもといたしましては、港湾の国際競争力の確保の面でも、こうした利用料金の問題に取り組むことも重要な課題であると考えておりまして、今後、ターミナル整備等につきましてもさまざまな努力をしていきたいと考えております。
  58. 小池百合子

    ○小池委員 相対的とかさまざまなとか、かなり形容詞が多かったわけでございますけれども、ところで、この神戸港の復興に関しまして、地元の団体などからも強く規制緩和の声が上がっておりまして、せんだって、五月二十七日の段階でございますか、橋本総理もこの神戸港に関しての規制緩和を大幅にやるということを指示されたといろふうに伺っております。  それでは、どのような形で、どの面の規制緩和をこれからやっていこうとしておられるのか、生だ、何ができて何ができないのか、なぜできないのか、そういった点について伺わせていただきたいというふうに思っております。  それでは、その面につきまして、神戸港の場合でございますけれども、港湾管理者が神戸市であり、港湾管理というのは運輸省の監督を受けているという面での縦割りの問題がある。運輸省はまた、港湾建設局、海運局、海上保安庁といった縦割りの組織で港湾にかかわっておられる。これに動植物の検疫で農水省、検疫が厚生省、税関業務が大蔵省、入国管理は法務省、港湾労働は労働省というような、まさに縦割りの象徴のようなところが港になっておりますし、また、最近は海外での食品や花卉類などの買い付けなども大変行われているわけでございます。  外地でのそういった物品の購入等々についてけ非常に早いのですけれども、実際に港に着きますと、そこからの通関手続に何倍もの時間がかかる。その結果、生活者、一般消費者にその高コス十分がかかってくる。また、そういった港の運営等についても非常に高いということから、納税者、タックスペイヤーにとりましても非常に高いものについてくるわけでございまして、よって、せんだって橋本総理がおっしゃいました規制緩和、今は特殊な状態にある神戸港の中での規制緩和は、どこまで皆さんは本気でやっていらっしゃるのか。  例えば、農水省の皆さんは、農水省では動植物検疫、これを運輸省とかどこかその一つのもの、私は究極的にはポートオーソリティーをつくるべきだというふうに思うわけですけれども、そこに集約することができるのかどうか、伺わせていただきます。
  59. 坂野雅敏

    ○坂野説明員 植物検疫について御説明申し上げます。  現在は、輸入者からの検査申請書の提出を受けて検査しているところでございますが、現在、植物検疫手続を電算化すること、また、その手続と通関手続の電算システムをつなぐ、いわゆるインターフェース化という準備をしておりまして、インターフェース化につきましては、平成九年度から実施したく準備しておるところでございます。
  60. 小池百合子

    ○小池委員 それでは、法務省の場合は、入国管理部門、これについての規制緩和、どこまでできるのでしょうか。
  61. 坂中英徳

    ○坂中説明員 法務省としましては、運輸省または他の関係省庁から神戸港における入国手続を一括処理したいというような申し入れは今のところ受けておりませんので、現在、そういう一括処理のことについて検討はいたしておりません。
  62. 小池百合子

    ○小池委員 そうしますと、そういう申し出といいましょうか動きがあれば受ける方向でしょうか。
  63. 坂中英徳

    ○坂中説明員 お答え申し上げます。  いろいろそれぞれの所管の関係でそれぞれが行政目的も違いますので、なかなか一括してやるというのは難しいのじゃないかというふうに私ども考えております。
  64. 小池百合子

    ○小池委員 そうしますと、次は大蔵省に伺わせていただきますけれども、税関業務でございますけれども、一括といいますかポートオーソリティーのような形なり、いずれにいたしましても、利用者がもっと利用しやすくなるような形ということはどのようにお考えになっておられるのか、お答え願います。
  65. 塚原治

    ○塚原説明員 お答えいたします。  税関におきましては、外国貿易船からおろされた外国貨物、これにつきまして輸入申告を受け、関税等が必要な場合にこれらを納付していただいた上で輸入の許可をしているわけでございます。  この輸入申告から輸入許可までの一連の手続につきましては、神戸港を含めまして全国の主要な港において、税関手続の電算システムでございますNACCS、ニッポン・オートメーテッド・カーゴ・クリアランス・システム、NACCSというシステムにより行っております。現在、輸出入貨物の約九割の通関手続が電算化されている状況にございます。  さらに、輸入者の利便に資するため、先ほどの答弁にもございましたが、平成八年度以降にこのNACCSのシステムと厚生省の食品衛生手続、農林水産省の動植物検疫の手続のそれぞれの電算システムと電子的に接続し、税関手続とこれら他省庁手続の効率的な同時平行処理を図ることとしております。これによりまして、輸入に当たって他省庁手続が必要な貨物の約八割が電算化されるということになる予定でございます。  今後とも適正な通関を確保しつつ税関手続の簡素化、迅速化に努めていくこととしているところでございます。
  66. 小池百合子

    ○小池委員 それでは、事務次官もこの規制緩和についての会見をなさっておられるようなんですけれども、運輸省の今後について。
  67. 上子道雄

    上子説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。  お答えいたします前に、運輸省関係手続につきまして、まず港湾の管理運営という観点から、港湾管理者に対する出入港届け出、そういったものがございますし、また、係留施設その他を使用する場合におきます施設使用許可ということがございます。また、保安庁の関係でございますけれども、船舶交通の安全、港内の整とんを図るという観点から、特定港に入港する場合に対して出入港の届け出ないしは錨地の指定、こういったような手続がございます。  こういった手続があるわけでございますが、運輸省といたしましては、先生指摘のように港湾間の国際競争が激化しているということもございますし、国際競争力を強化していく必要があるということで、ハード面のみならずソフト面の施策が必要ではないかというふうに認識しておりまして、まず運輸省の部分でございます出入港手続の簡素化の観点から、港湾管理者、港長が受理する書類の電子化及び標準化につきまして検討作業に着手したところでございます。  それから、総理の指示との関係でございますが、出入港手続全体の簡素化につきましては、税関、出入港管理、動植物検疫など輸出入にかかわる関係省庁の所管にまたがることでもございますので、また港湾管理者を初めとする地元の御意向もございますので、そういった点をヒアリングその他によって行いまして、関係省庁とともに対応策の検討を行っていきたい、かように存じております。
  68. 小池百合子

    ○小池委員 今の、これから検討をということでございますけれども、いつまでをめどにしておられるのか、伺わせてください。
  69. 上子道雄

    上子説明員 まだ時期その他について明確にできる段階ではございませんが、そのさまざまな手続につきまして、港湾関係者あるいは港湾管理者、地元でございます神戸市その他の御意向をまず聞くのが先決ではなかろうか、その上で関係省庁とともに検討を進めてまいりたいと存じております。
  70. 小池百合子

    ○小池委員 地元の意向というのはとうの昔に出されているはずでございますし、また復興に際して、最初ハード面の方の作業が大変であったという事実は認めます。しかしながら、ソフト面での緩和といいましょうか、ソフト面の運用ということが神戸港のみならず他の港についても同じことが言える。ですから、モデルケースにということをよく言われておりますけれども、この神戸港というのはその辺非常に切迫した問題を抱えているわけでございます。ヒアリングをしてというのは、大体、これは何年もかかるというようなニュアンスがこの国会内ではあるようでございますので、ですから、もっと時間の感覚ということを持った上でやっていただかないと、あの橋本総理の指示というのは一体何だったのだろうか。野党の私が言うのもおかしいわけですけれども地元の人間といたしましても、また日本という国を考えても、ぜひともそこは早くしていただきたいと思っております。  先ほど、大蔵それから厚生、それぞれ電算化ということを言われておりました。このリンケージをどのようにしていくのかということでございますけれども、これは徹底してやっていただきた  と申しますのも、今世界でトラフィックを一番活発にやっているシンガポールでございますけれども、シンガポールの場合には、一つのトラックがマニフェストというものさえ提出すればあとはもう自動的に、トラックが通過するだけですべてができるというのは、もう皆さんは既に御承知のことだと思います。そういうふうなソフト面を強化した結果、シンガポールという港がアジアの中でも最も活発にやっているということでございますし、また、そういったような総合的なビジョンを持った上でシンガポールという国づくりをやっているということでございます。  きょうの新聞にも出ておりましたけれども、スイスの世界経済フォーラムで毎年発表している競争力ということで、一位がシンガポール、日本はベストテンにも入らない十三位ということでございました。この世界経済フォーラムというのは私も毎年出席している会議で、このアンケートにも、私はできるだけ日本を一位に近づけさせたいと思ってちょっとげたを履かせてアンケートにも答えたわけでございますけれども、結果的には全然、世界からは日本はもうおくれているということで、評価されていない。この事実もやはり知るべきだと思いますし、また船のコンテナ扱い量は、一九七五年神戸港は世界第三位であったのが、八五年に五位、そして九四年には六位になっている、こういう事実もあるわけでございます。  もう一度繰り返して申し上げさせていただきますと、ハード面での復旧、復興というのはほぼ進んできた。また基本的に、ハード的には神戸港というのは非常に世界にも冠たるものを持っている。ところが、一方でコストパフォーマンスというのが極めて悪い。あちこちに同じような港があり過ぎるというような面で、まさに、ハブをつくっていないというような国家ビジョンの欠落ではないか。  そしてまた、それに従って、大変重要なソフト面というのもこれまた縦割りの最たるもので、最初に申し上げました書類の提出から、船荷目録ですかマニフェストを出してから係留施設使用届を出して、停泊場所指定願を出して、移動届・許可申請書を提出して、また、夜になって入港する場合には夜間入港許可願が要る。そして、危険品を積んでいれば危険物荷役許可申請書が必要になる。そして、薬品などの名前を一つ一つ書き出して税関、消防署に申告する。消防署においては毒物、劇物、ガスは消防係、引火性物質は危険物係というふうに、もうありとあらゆることをやらなくてはいけないわけでございます。こういうことをやっていたら、日本はまだ十三位というふうになっているけれども、もうとっくにアジアの国々全部に抜かれてしまう。  ですから、これは神戸港で規制緩和をやる、そしてまた、来月六月十一日まで特例措置という形で、とりあえず三カ月延長して九月十一日までやっておられるということでありますけれども、船の商売、船荷の商売、配船計画というのは非常に長期にわたってやらなくてはいけない。何か、小出しにやるというのは、そもそもこれによって規制緩和の穴があけられるのが嫌でやっておられるのではないかとさえ私は思うわけでございます。  よって、今やっている特例措置こそ、これが普通の国が当たり前にやっていることで、つまり、二十四時間年中無休体制というのが普通の国の港のあり方なのであって、日本というのはさまざまな問題もあるのはわかっておりますけれども、しかしながら、このままだと神戸だけではなくて日本全体が緩慢なる災害に遭ってしまうというようなことで、私はこの際、神戸港をモデルケースにして、ぜひともこういった措置、規制緩和というのを、緩和ではもうだめで、むしろ規制撤廃という方向でおやりいただかないと、神戸も浮かばれませんし日本も浮かばれないということを強く訴えさせていただきたいというふうに思っております。  それから、最後になりましたけれども、先ほど申し上げましたようにポートオーソリティーということでございますけれども、各国ではこのポートオーソリティーシステムでやっているわけですね。ところが、日本の場合は全部それが出先で、縦割りでということ。先ほどから言っているのはそのことでございます。そして、私もよくニューヨークとか香港などのポートオーソリティーの方々に会いますけれども、彼らはお客を引っ張るための営業努力もしているわけですね。日本でそれを一体どこがどういう形でやっておられるのか、一元化してやっておられるのか。私はやっておられないと思います、本当の意味では。そんな意味でも、神戸港の問題、震災ということで被害に見舞われただけでなくて、緩慢なる国家災害神戸港をこれ以上遭わせないでほしいということを強く訴えたいと思います。  時間もございませんので最後の一言になりますけれども、そういった面でも、日本港湾協会といったところなど港に関連してさまざまな財団法人等々がありまして、このあたりでますます規制緩和がしづらくなっているのではないか。これは厚生省のみならず、港一つをとりましても同じことが言えるのではないかということを強く指摘させていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  71. 左近正男

    左近委員長 これにて小池君の質疑は終了いたしました。  土肥隆一君。
  72. 土肥隆一

    土肥委員 まず、外務省にお聞きいたしたいと思いますけれども、このたび、六月三日からトルコのイスタンブールで開幕いたします第二回国連人間居住会議、ハビタットⅡに提出します政府の公式文書のほかに、NGOの神戸ネットワークがまとめました神戸レポートを正式に公式文書に採用した。そして、これは国別報告書の中で述べられる、扱われるということでございますが、これは事実でございますか。
  73. 古屋昭彦

    ○古屋説明員 御指摘の、国連におきます第二回の人間居住会議の件でございますが、このたび、もちろん政府の文書も提出いたしましたが、その後、「日本NGOレポート」という、これは、この国連居住会議へ向けてNGOフォーラムというのがつくられました。そのフォーラムが中心となりまして、「第一部 人間居住問題の現状と国際協力」「第二部 阪神淡路大震災と居住の権利」の二部で構成されております。  そもそも、この国連人間居住会議でございますが、九二年の国連総会の決議で、幅広い意見を集めよう、こういうことが決議で決まっておりまして、我が政府としましてもこの決議の意義にかんがみまして、それから近年のNGO活動の重要件ということにもかんがみまして、国別報告書として提出したものでございます。
  74. 土肥隆一

    土肥委員 そうすると、正式の国別報告書の中に、NGOのこの神戸レポートが採用された。この神戸レポートを今読んでみますと、「大震災は大人災だった」という書き出しで始まるわけです。そして、応急仮設住宅に入っていただいたのは「強制移住」だと言うんです。なかなか激烈な文章があります。一方、災害に関する政府のレポートを見ますと、これはもう要するに、将来何とかしよう、将来こういう姿勢で日本の国はこの居住問題を考えていきたいというふうな報告になっておりまして、そこにはすごいギャップがあるわけですね。  こういうギャップのあるものをお持ちになるのは私はいいと思いますが、これで、政府はこのハビタットⅡに出席なさって、どういうふうに調和をなさるのか。調和というよりは、両方非常に違うものを、どうやってこの国際会議に持ち込まれるのでしょうか。簡単に説明していただきたいと思います。
  75. 古屋昭彦

    ○古屋説明員 御指摘の点でございますが、先ほども申し上げましたとおり、この会議では、政府だけではなく、地方公共団体であるとかNGOであるとか、そういった幅広い意見を会議で集め上う、こういう趣旨でございます。世界のほかの国々も、同じようないろいろなセクターから参加者が来る、こう予想されております。そういったいろいろなセクターで今まで培ってきた経験、知識、こういうものを有意義な交換をしよう、ころいう趣旨で私どもは臨む覚悟でございます。
  76. 土肥隆一

    土肥委員 大変結構でございますけれども、さて、国際会議のこの結果を、私はある程度憂慮しております。この三日から十四日まで行われる国際会議、本当に外務省は乗り越えられるのかなということも心配するくらいでありまして、やはり国際会議でありますから、いい討議がなされて、そして、その居住者会議の結果が今後の日本の震災対策に役立つことを期待しながら、一抹の心配をしているということだけを申し上げまして、外務省に対する質問を終わらせていただきます。  さて、それでは次に移りますけれども、兵庫県は、新聞では、被災者対象家賃低減策について国と協議を開始した、しかもその具体案を六月末をリミットに協議するんだと言うのでございますが、その県の説明と同じと考えていいでしょうか。
  77. 生田長人

    ○生田政府委員 お答えを申し上げます。  先生御承知のとおり、家賃の軽減を初めといたします住宅対策につきましては、現在、国と県と市の実務者から成ります住宅対策実務者会議というのがございまして、そこで精力的に協議を進めているところでございますけれども、現段階におきましては、県、市から家賃対策についての具体的な案が提示されるに至っておりません。こういう状況でございます。  しかしながら、私どもといたしましては、六月末と言わず、できるだけ早くその結論を出すことが望ましいというように考えております。具体的には、県、市が六月末から七月にかけまして公的供給住宅の一元募集というのをやるということを従来から言っておりますので、それに間に合わせるように努力をしているところでございます。
  78. 土肥隆一

    土肥委員 協議中だということで、今、六月末をタイムリミットと、こう言っておりますが、ぜひとも急いで出していただきたいと思うのです。  県の新聞に対する発言によりますと、住宅を四つのタイプに分類するんだと。いろいろなタイプを大まかに四つのタイプに分類して、単身者用であるとか、夫婦用であるとか、家族用であるとかということであると思いますけれども、そこで、家賃低減策を考えるときに入居世帯の所得と家族数を基準とする、そして、従前家賃や財産から判断するのは難しい、こういうふうに報道されていますが、復興本部も大体そのような方向で考えているのでしょうか。これは建設省になりますかね、どちらでしょうか、家賃の低減策について。
  79. 生田長人

    ○生田政府委員 先ほども答弁申し上げましたように、現段階では県、市からの具体的な要望がございませんので、何分こういうところで答えにくい状況にございますけれども公営住宅の家賃につきましては、従来以上、今回の震災におきましてはいろいろな施策を実施することによりまして引き下げてきたわけでございます。  それにしましても、先般、兵庫県で行われました応急仮設住宅入居者の実態調査、これに基づきますと、その引き下げられた後の家賃でも、なかなかまだ負担が重いという方がかなりいらっしゃるということにかんがみまして、これらの層を対象に、いま一層の引き下げができないかということを検討させていただいているところでございます。  なお、その対象世帯の範囲であるとか、あるいはその家賃負担の基準等につきましては、私どもとしては、これから県、市の意向も十分聞いた上で、できるだけきめの細かい配慮ができるようにしたいというふうに考えております。
  80. 土肥隆一

    土肥委員 きめの細かい配慮というのは大変ありがたいことです。  そこで、今仮設住宅にいらっしゃる方は、一体、自分は恒久住宅に入ってどういう暮らしになるんだろうかということを非常に心配しておりますから、例えば、きめ細かくとおっしゃるのでしたら、年収百万円以下の人は大体幾らぐらい、百万から二百万の人は幾らぐらい、二百万から三百万と。そうすると、ああ、自分はこれぐらいの収入だからこれぐらいの家賃で入れるなということを、なるべく早くお示しいただきたいというふうに思います。  したがって、いつまでこの低減期間を置くのかということについて、県の発言によりますと、所得の動向を見て自立できる期間を考えたい、こういうふうに言っております。つまり、ずっと安い家賃でいくんじゃありませんよと。したがって、どこかで自立できたという判断がなされたときには、この家賃の低減策が普通の公共住宅の家賃に移っていくんだろうというふうに思いますが、しかしそこが、自立できるとか、あるいは自立できた期間、この自立というふうな判断は、政府としてはどういうふうに考えていらっしゃるのでしょうかね。
  81. 生田長人

    ○生田政府委員 先ほどの答弁のとおりでございまして、その家賃対策の内容につきましては、まだ私ども、今先生の御指摘のございました期間も含めまして具体的なことを聞いておりませんので、県がどういう趣旨でその自立という言葉をお使いになっているのかは、残念ながら私どもとしてはよくわからないということしか申し上げられないわけでございます。ただ、特別な家賃軽減措置を実施する場合に、先生のおっしゃるとおり、すべての人に対していつまでもその措置を実施していくわけにはやはりいかないというぐあいには考えております。ただ、仮に一定期限を切る場合であったとしても、その時点で必要性等につきまして、当然検討が行われるものであるというふうには思います。
  82. 土肥隆一

    土肥委員 この自立というのは非常に大事な概念でございまして、自立していない、あるいは自立しているということは、やはり政府としてもよく考えておかないと、行政もよく考えておかないと、あなたは自立できましたよと言ったって、何が何を根拠にということになるわけであります。実はけさの神戸新聞に、元阪神淡路復興委員長の下河辺先生が「震災五百日」ということで、大変いい記事、いいインタビューを受けていらっしゃるのですね。「復興委員会の解散後に気づいた新たな課題は」と聞きましたら、  仮設住宅の四、五十歳代の人が非常につらい状態になっている。自殺者の数字を見て、五十代の人の多さに驚いた。人生に失望して、社会へ復帰していく気力を失っているのではないか。中にはアルコールにおぼれている人もいる。この人たちに明るさが戻るためにどうしたらいいのか、もっと議論をしていくべきだ。率直に言って、復興委員会は高齢者のことで精いっぱいで、こうした問題に気づかなかったこう言っていらっしゃるのですね。  それで、すぐれてもう四十、五十歳で自分の人生を捨てている、つまり自立心を放棄しているという状況があるわけですね。そういう意味で、復興委員会は何とか高齢者を助けようとしたけれども、実は、そういう中高年あるいは壮年の、まだ十分働いていただき家族も維持していかなきゃならない年代の人たちが非常につらい思いをしている。  これはどういうことかということで、この下河辺氏は、結局、市民と企業、つまり地元の主体的な参加がなきゃだめだ、こう言うのです。   市民も行政に苦情を言うだけでなく、自助とか助け合いのシステムをどう展開するのか。これからの五百日は、行政主導から脱皮し、市民と企業が主役になる大事な時期だこう言っております。  行政はもう終わりましたよというのじゃないのですね。行政は支援をしていただかなきゃいけませんけれども、国も支援をしますけれども、一体、その支援とは何なのか。それは自立支援だというわけですね。その辺はぜひとも、これはちょっと抽象的かもしれませんけれども、政府部内あるいは復興本部などで配慮していただかないと、本当の意味で、インフラはでき上がったけれども人間が全部、全部とは申しませんが、大勢の人が自分の人生を放棄してしまうという事態が起こりかねないということを申し上げたいと思います。  もう一つ問題として、非常に個別的になりますけれども、今回の法案応急仮設住宅の年限を延ばしたということでございます。「応急仮設建築物である住宅を存続させる必要があり、かつ、安全上、防火上及び衛生支障がないと認めるときは、」延期するということです。  これは私、応急仮設住宅が安全上、防火上、衛生上、内容がよくわからないところがございまして、夏は五十度になる。この市民レポートも、これ持っていきますよ、ハビタットに。五十度と書いてありましたよ。冬は零度以下。北区などは零度、四度、五度ぐらいになると思いますね。つまり、一冬、それで今度夏を過ごす。また冬が来、夏が来、恐らく三、四年かかるでしょうから、三、四回夏、冬を経過しなきゃいけない。そういうときに、衛生上問題でないというふうに私は言えないと思うのですよ。何か酷寒そして酷暑の対策を考えてあげないと、あの建物で三年、四年過ごせというのは非常に問題だと思いますが、その辺の応急仮設住宅に対する認識を問いたいと思います。
  83. 佐々木宏

    佐々木説明員 先生指摘衛生上の概念でございますけれども建築基準法は、御承知のように、建築物が有するべき最低の基準を定めておるというものでございまして、建築基準法で申しますところの衛生上と申しますのは、例えば伝染病が蔓延するといったような状況を防止するというような観点でございます。  したがいまして、酷寒、酷暑対策といったようなものまで建築基準法で言うところの衛生上という言葉の概念の中でとらえていくというのはなかなか難しいのではなかろうかというぐあいに考えておるところでございます。
  84. 土肥隆一

    土肥委員 この豊かな時代に、水道もあるのです、下水道もあるのです。ですから、衛生上何か問題が起こるとは想像できませんが、まさに健康に害を与える、まさに衛生上の問題であると私は思うのであります。条文上はそういうふうになるのかもしれませんが、ぜひともこれは、地方自治体とも相談しますが、そういう配慮をしないと、大変な生活環境であるということは間違いないと思います。  最後に大臣、先ほどの自立であるとか、あるいは今の建築基準法衛生上とかそういう、これはずっと昔の話の、昭和二十六年ごろの建築基準法だと思いますが、いわば今日の応急仮設住宅があれでいいとはとても思えないわけですね。そういうことも含めて、人間の自立、そして今後の環境をどうしたらいいとお考えかをお聞きいたしまして、私の質問を終わります。
  85. 鈴木和美

    鈴木国務大臣 今までの阪神・淡路の御質疑をいただく中で、一番きょうは本質的なこれからの問題を提起されたと私は思っています。つまり俗称、政府側で答弁するときには自力とか自立で頑張ってくれということをよく申し上げておったのですが、それがもう少し具体的に何をもって言うのかということは一番大切なことだと思うのです。  そこで、今お話しのように、私が思うのには、みんな今のところ、五百日になったわけでございますが、まだ気持ちの中ではどうしていいのかという不安材料があると思うのですね。したがって、自立とか支援とかというときの一番根本的なものは、やはり私は職だと思うのです。つまり、職に対して、それは経済的な実入りだけじゃなくて、勤めて働くということが人間の生きがいに感ずるような、そういう面から見ると、職のあっせんであるとか職の支援であるとか、そういうことをきめ細かにやはり相談に応じてやるということが一番大切じゃないのかなと私は思っているのです。  そこで、ちょうど五百日過ぎるわけでございますから、先ほどから何回か申し上げたとおり、六月の末までにはきちっとしたそういう住宅の対策と職の対策に対応できるように現地との間に話を進めていきたい、こう思っています。  けれども、六月の末、六月の末と言っているとまたおくれてしまいますから、各省庁お願いしているのは、五月十五日と私は言ってきたのだから、それが、今度は調査が一カ月おくれたのだから、六月十五日までにはしっかりしてもらわないと担当大臣としては困るのだ、そういうような話をしながら各省庁の御協力をいただいているところでございます。これからも全力を尽くしてやってまいりたいと思っています。
  86. 土肥隆一

    土肥委員 終わります。
  87. 左近正男

    左近委員長 土肥君の質疑は終了しました。  穀田恵二君。
  88. 穀田恵二

    穀田委員 日本共産党の穀田です。私は、今回の法律案質疑に入る前に、先ほど理事会で申し入れを行いましたけれども、本委員会の視察と会議開催について一言委員長に要望します。  阪神大震災被災地では、先ごろ行われた応急仮設住宅入居者調査で、家族全員の収入三百万円未満の世帯が七割、医療機関利用世帯は六割の事態に見られるように、本当に困難を抱えています。五十数項目の特例措置の打ち切りがさらに拍車をかけて生活再建のめどが立たないという実態があふれています。私は、被災者一人一人の生活住宅を再建するため、ますます公的支援が求められていると思っています。ですから、当委員会としてもぜひ御尽力願いたいということで、きょう三つ提起しました。  一つは、委員会の視察は被災地住民の現状と要望をお聞きすることに中心を置こうではないか。二つ目には、被災者に対する公的支援をどう実現するのかについての集中審議を本委員会で行うべきじゃないか。三つ目は、被災現地での委員会の開催を行うべきじゃないか。こういう三つを提起したところです。  この点でも委員長からお諮りいただければと思っているところです。
  89. 左近正男

    左近委員長 別途、理事会等で協議をいたします。
  90. 穀田恵二

    穀田委員 先ほど鈴木国土庁長官から職の話がございました。総理とのお話し合いの中で、総理は医職住という話をされました。私も、大事なのはもう一つ住、これはどうしても大事だ。これは、災害の長期化及び警戒区域等の設定に伴う生活実態把握調査報告書ということで、島原のところで行われた報告書がございます。  それによりますと、施策に対する評価、これまで実施してきた施策のうちで主要なものについての評価。特に評価が高いのは何かと調べてみますと、やはり家賃補助事業、それから義援金の配分、三番目が住宅再建助成金、こうなっているのですね。これらはそれぞれのパーセンテージはありますけれども、合わせると七〇%前後、こういうふうに高率を占めています。まさに、ここにあるように、自立を促す上でどうしても大事な施策の中心はやはり住にありということがこれの結果でもおわかりいただけると思うのです。しかもその際に、家賃の補助という問題と、あわせて住宅再建助成金というのがやはり大きな意味を持ったということが示されていると思います。そういうことを私は思っているということをぜひ見ていただきたいと思うのです。  そこで、時間もそんなにあるわけじゃありませんし、そういう議論は、本当はそれだけでしたいということを先ほど申し上げたばかりなのですが、今回の法律案に沿って言いますと、仮設住宅というのは、その名のとおり仮の住まいなのです。したがって、一日も早く恒久住宅に移ることができるように、行政がさまざまな援助をすることが肝要です。しかし、阪神大震災や雲仙・普賢岳の火山災害などの現状に照らして、延長特例を可能にするのは私は当然だと思うのです。しかし、期間延長だけでそういう点での生活再建ができるわけじゃないことは、この間の議論を通じて明らかだと思うのです。  そこで私は、せめて仮設住宅についても、全世界にあるわけじゃありませんけれども、もう少し改善する必要があると思うのです。その点を私は提起して、お答えいただきたい。  一つは、従来でいいますと、確かに、雲仙・普賢岳の場合には、期限が切れた段階建築基準法関係補強しました。その程度の補強は、今の仮設住宅を維持する上でも必要じゃないかということが第一点。  二つ目に、住環境の改善はどうしても必要だ。先ほども土肥先生からお話があったように、夏は暑い、冬は寒い。とりわけ冬の場合には、行って皆さんもおわかりだと思うのですけれども、あのふろというのは追いだきできないのです。ですから、物すごく寒いわけです。入っているうちに冷たくなってくる、したがって熱いお湯を上から入れる、下にどうやって逃がすかとか、こういう本当に苦労しているわけですよ。そういう改善だとか、すき間風で、テープを張っているという事態があるわけですから、そういう住環境を改善すべきじゃないか。  そして三つ目に、撤去費用については国が負担をするというふうなことについては多くの方々もおっしゃられているわけだし、地方自治体の要望でもあるし、実現すべきじゃないか。  四つ目に、民有地に仮設をつくっておられる場所がありますよね。仮設延長に対して、民有地の場合についても補助をするなりして努力すべきじゃないか。  それから五つ目に、転居費用に対する支援をすべきじゃないか。この五つ目の問題は、行って集約をするということも当然考えられますよね。あいてくるからここに行っていただきたいとか、そういう場合に転居費用なども出すべきじゃないか。  こういうことは最低改善すべきじゃないかと実は思うのですが、厚生省、いかがですか。
  91. 西沢英雄

    西沢説明員 ただいま補強の問題、環境改善、撤去費用等々につきまして御質問いただきました。  これらの問題につきましては、かねがね当委員会でも議論され、また県からも要望を受けておりまして、実は今、仮設住宅から恒久住宅へどういうふうに移っていただくかという段階でございまして、兵庫県に対しましても、先ほどの入居者実態調査の結果を踏まえまして、これをどういうふうに進めていくかということを検討している段階でございます。  私どもとしては、恒久住宅への移行が終わった段階でどうなるのか、それからもう一つは、延長に関連してどうなるのか、残った仮設をどうしていくのかという二つの問題を抱えているわけでございまして、その段階での撤去とか借地の問題、あるいは補修の問題等々につきましては、計画の推進状況、どのような方法で恒久住宅への移転を進めていくか、それによってどんな仮設が残っていくのか、本年度末はどういう状況になるのか、来年度末はどういう状況になるのか等々の問題がございまして、今地元から具体的な内容をお伺いした上で、関係省庁とも十分協議して対応していきたいというふうに考えているところでございます。
  92. 穀田恵二

    穀田委員 悠長な話をしているわけじゃないんだけれども、いずれにしても、来年の二月や三月には二年が来るわけです、建設されてから。そういう時期に来るわけですよ。その間に全部移れる可能性がないことも明らかなんです。  だから、そういう点で、それぞれの場所について言えば、個別の、ここの住宅はこうする、ここの住宅はこうする、そこまではないでしょう、しかしすべての恒久住宅ができるわけじゃないわけだから、そういう補強をどうする、これをどうするという考え方があってしかるべきだと私は思うのです。それを私はいつも問うているのです。そんな先送りの話じゃなくて、すぐ目の前にこれはあるわけなんですからね。  その辺を私は、先ほどもお話がありましたけれども、実際に行ってみると、その暑さと寒さ、それからその費用といい、大変だという方の声が聞こえてくるわけでしょう。そういう声にどうおこたえするのかという立場が非常に私は欠落していると思うのです。  だから、例えば、この前現地入りした武村前大蔵大臣もこんなふうにおっしゃっておられます。被災者が引っ越しどきなどに借りることができる被災者生活貸付金制度の拡充や、従来の枠組みを破って、家賃低減政策の新しいルールづくりなんかを考えるべきだ、こう言っておられるのです。  ですから、現実を見た方は、やはりそういったことをしなければ、引っ越しの問題もそうだし、次々出てくる越えなければならぬハードルだとみんなわかっているんですよ。それが、二年先に突然来るのじゃなくて、一番早いところは来年の二月に来る。だから、そういう時点に立って、今我々はこうしますよという方針を明らかにしろと言っているのですよ。どうもわからぬ人たちだな。だから、そういうことを言っているから、みんな入っている方々は次々と不安を隠せないわけですよ。もう時間がないから私はやらないけれども、そこだけ特に要望しておきたい。それは別に厚生省、やめたというわけじゃないんですよ。言っておきますけれども、あきらめたわけじゃないんですよ、私。  ついでに、では公団住宅の追い出しともいうべき事態についてひとつ質問をしたいと思います。  遅きに過ぎる嫌いはあったですけれども建設省は、住宅公団の協力を得まして、阪神大震災被災者の一時避難住宅として提供している公団住宅の入居期限を一年間延長すると発表しています。ところが、神戸生活再建本部は、「暫定入居(入居期間延長)についてのお知らせ」という文書を送りつけています。  それには、「暫定入居はあくまでも、平成九年三月三十一日までの取り扱いとなっております。それまでに住宅確保できるめどのない方につきましては、仮設住宅の斡旋をさせていただきますので、ご希望の方は、」云々かんぬん。そして最後の方で、「神戸市では、原則として平成八年三月三十一日をもって仮設住宅の斡旋を終了しており、特例として、仮設住宅の斡旋をさせていただきますので、」云々。まるで出ていけと言わんばかりの内容なんです。  公団が行った一時入居の延長という施策、指導している建設省は、こういう文書が、今やられようとしている公団住宅の一部貸与措置についての趣旨と合致していると思いますか。
  93. 大久保和夫

    ○大久保説明員 御指摘の点でございますが、公団の住宅に一時入居されております方々のうちの、さまざまな事情で三月末の期限までに移転先を確保できなかった方に関しましては、高齢者世帯それから低所得者世帯につきましては、公共団体が必要とされる戸数を平成九年の三月までの期間を限度といたしまして公共団体にお貸しをする。それから自宅再建中というようなことで移転時期が短期間ずれるような世帯につきましても、公共団体が必要とする戸数を必要最小限お貸しするということで、公共団体にお話をしているところでございます。  公団の住宅に一時入居されております方々に対してどのように対応されるかということにつきましては、この方針による一時貸与を含めまして、各地方公共団体がそれぞれの地域の実情を踏まえて決定をされていくものと考えておりますが、建設省といたしましては、被災者の居住の安定を図るということで、地方公共団体と建設省、公団との連絡を密にするということ、さらに公団に対しては、この方針に基づく公共団体からの一時貸与の要請については的確に対応するようにという指導を行っているところでございます。
  94. 穀田恵二

    穀田委員 連絡を密にするのは当たり前ですけれども、そういったことが行われている事態について把握しているんでしょう。つまり、神戸市は先ほど言ったような文書を送りつけている。住宅確保できるめどのない方については仮設住宅をあっせんさせていただきます。高齢者、低所得者の場合、めどがないから住んでいるんでしょう。そういった方々にこういうふうな文書が送りつけられていることについては、あなた方が連絡を密にして被災者に対処しようという内容に基づいて行われている文書かと。
  95. 大久保和夫

    ○大久保説明員 神戸市でございますが、建設省、公団のこの方針による一時貸与ということについては十分御承知をされておりますし、この一時貸与の継続措置を用いましてこの問題に取り組んでいくというふうに聞いております。  文書について被災者の誤解を招くというようなことでございますけれども、市では、同時並行的に電話でありますとか訪問等を行いまして、その旨をお話をしているようでございますので、全体としては、被災者に市の方針は伝わっているんではないかというふうに考えております。
  96. 穀田恵二

    穀田委員 市の方針はさっきの方針なんですよ。だから、こういう住都公団の方針に基づいて市がやっているかどうかということを聞いているんですよね。わかってないんだよな。  そこで、電話だとか訪問だとかというお話がありました。それはそうでしょう。しかし、実態はもっとひどいんです。  私、そういうふうに神戸市がやられているとお聞きしたので、住んでおられる方々に電話して聞いてみました。何のことはない、違うんですね。枚方の香里団地なんかの例では電話などありません。ある方の場合、家を再建しようにも神戸の区画整理の予定地となっておる。方針が決まっていないものだから手の打ちようがない。だから、もとのところへ帰る保障をなくしておいて、出ろと言っているわけですね。しかも、その文書を送ってきている際に、回答書まで送ってきているんですよ、必要な内容について書いて送ってくれって。その回答書に書いて送り返しているんですよ。そうしたら、何か連絡があってしかるべきでしょう、それほどのことを言って、送り返しているんだから。それに連絡がないんですよ。これは現地のある方の証言なんですよ。  つまり、そういうふうにだれが見ても無理だというところに対しても、手紙を一方的に送りつけて、事情がそういうことなのにかかわらず、出ろと言っている。電話している、訪問していると言うんだったら、その手紙を送り返した内容について電話してきたらどうなんです。それもしてない。  そういった内容がいっぱいあるのに、それは自治体の問題だ、公団の問題だというようなことでやられますか。そういう中身が、せっかく被災者に対して一年間猶予して入ってもらおうじゃないのと決めた施策。しかも、こう言っているんですよ。「一時貸与期限の全面的な延長はできないので、」これは住都公団の文書ですね、「地方公共団体と連携して、入居先が固まらない被災世帯の個別事情に即したよりきめ細かい対応を実施」、これがきめ細かい対応ですか。どうですか。
  97. 大久保和夫

    ○大久保説明員 公団住宅の一時入居と申しますのは、各市の責任において被災者の方の居住の便に供していただくということで公団がお貸ししているものでございます。その期間が一応基本的にはことしの三月で切れるということで、各市においてそういうことを前提に、あるいは公団の方で、建設省と公団で準備をいたしました一時貸与の継続措置を含めまして適切に対応をしていただくべきものというふうに考えております。
  98. 穀田恵二

    穀田委員 そういう話をしていたんでは、せっかくそういう話を決めて、ああこれでおることができるのかなと思った方々に対してさらに冷や水をかけて、冷や水がかかっている事態について、それは市の問題だなどと言っていることが、本当に助けることになりますか。何のためにこれをやったんですか。本当にそういうことで平気でいるという、それで市の問題だとか、そういう問題で済ませることがわからないんだね、私。だから、こういう事実を言っているわけだから、きちんと調べて、それは市とも協議して対応したいというのが当たり前じゃないですか。あなた、そう思いません。
  99. 大久保和夫

    ○大久保説明員 先ほど申し上げましたように、公団住宅につきましては、市の方の御判断で必要とされる方にお貸しをするという前提でお貸しをしているわけでございます。そういう意味では、公団サイドとしては受け身と申しますか、間接的な立場に立つというふうに理解をしております。  ちょっと個別具体の文書なりあるいは対応がどうかということにつきましては、私ども調査をいたしてみますが、基本的にはそういうふうに考えておる次第でございます。
  100. 穀田恵二

    穀田委員 復興本部、どう思います、こういう事態について。こういうふうに、市の対応だと。具体的に指摘しているんです。こんな事実がある、それは直すべきじゃないかと言っているときに、そんなもの、それは市の問題だ、市とあれとの対応の問題だ、こういうふうになるから私言っているんですよ。そうじゃない。事実がこれはあるわけだから、もともと全体の施策の中で、公団住宅に一時入居されるというのも施策だったんですね。そういうやり方をしたんですよ。出るに出れない方もまだおられる。そういう方々についてはどうしようかと迷っていたときに、三月二十五日発表された。そして当然少しはそういう方々も含めておられる。とりわけ低所得者や高齢者については入っていただいて結構ですよという話を出した。それを最終的に協議するのは市でしょう。しかし、そういうふうなやり方に基づいてやられていないで、現実は出ろと言わんばかりな実態が進行していますよと言ったら、それは市の問題だなんて話しておったんじゃあかん。被災者が困っているわけだから、それに対して、どうなっているんだ、きちんとしなさいと指導するのが私は大事じゃないかと思うんですが、復興本部、いかがですか。
  101. 生田長人

    ○生田政府委員 お答えを申し上げます。  私どもとしては、住宅都市整備公団が今回の措置をしていただきましたことにつきましては、大変評価すべきことだというふうに思っております。  それから、先生から今御指摘がございました市の対応につきましては、現在のところ私ども初めてお聞きする話でございますので、市からも事情を聴取していきたいというふうに考えております。
  102. 穀田恵二

    穀田委員 私、本当に残念だと思うんですよね。そういう施策がとられて、わざわざきめ細かにやるべしと書いていることが、実際には、手紙がぼんと行く、電話がかかっているなんと言うけれども、かかってもいない、無理を承知でやっている、こういう事実がたくさん出ているから私は言っているわけです。そういうことについてはきちんと対応して、被災者の身になって努力していただきたいということを再度申し上げて、次に移ります。  公営住宅建設について、建設省に聞きたいと思います。  私は一貫して、公営住宅建設戸数が被災者の要望と比べて少ないんじゃないかということを言ってまいりました。昨年の十月十三日の予算委員会でも提起してきましたし、日本共産党としても、ことしの一月十七日に震災一周年に当たってということで、もっとふやすべきだということと、家賃については三万円以下にすべきだということを提起してきました。私はこの際、激甚法の条文に従って、滅失戸数の半分までは保障するからきちんと要望を持ってきなさいという立場に立って激励すべきじゃないかと思うのです。そして、一万八千戸という災害公営の住宅なんですけれども、一体何戸までなら応じるつもりなのか、この辺をちょっとお聞きしたいと思います。
  103. 山中保教

    ○山中説明員 公営住宅の必要建設戸数についてでございます。  ただいま先生から御指摘がございましたように、滅失戸数の一定割合を建設してはどうかという考え方でございますけれども、そういう一律的な考え方をとるよりも、被災の状況を十分把握しております地元計画に的確に対応していくということが適切ではないかというふうに考えております。このために、県が作成いたしましたひょうご住宅復興三カ年計画というものを私どもは強力に支援いたしておるところでございます。  しかし、現在、仮設住宅入居者のアンケート調査がまとまりまして、地元公的住宅供給計画の点検を行っております。その結果を踏まえまして、今後とも適切に対処してまいりたいといろ考えでございます。
  104. 穀田恵二

    穀田委員 そこで、今お話のあった応急仮設住宅入居者調査結果速報ですね。それによりますと、長田区の居住出身者といいますか、前そこに住んでおられた方々は四千七百七名を超えます。そういう実態がこれには報告されています。さらに、そういう居住者の方々で今後の住宅希望地を選ぶ際の理由は何かといいますと、最大のポイントは、被災前のところに住みたいという方が多いようです。五三・七%を占めています。ところが、災害公営住宅でいいますと、長田区は計画によれば、県、市、合わせますと今は七十六戸ということになっています。ですから、そうなりますと、長田区の出身者は四千七百七名を超えて、さらにそこでもとのところに住みたいと多くの方が言っておられる。そしてさらに長田区に住みたいという方は幾らいるかというと、また三千数百名、資料によってもおられる。こうなりますと、やはり仮設住宅の二の舞を繰り返さないように、数合わせじゃなくて、やはり市内中心部への建設に特別に心を砕かねばならぬと思うのですが、それはどうですか。
  105. 山中保教

    ○山中説明員 公営住宅建設の立地の問題でございますけれども、私どもアンケートの結果も十分承知をいたしております。できるだけ地元に帰りたいということは承知をいたしております。  ただ、被災地での用地の確保というものも現実には困難な問題がございまして、現在、地元公共団体では懸命な努力で用地の確保に努めておるわけでございます。ただ、供給時期の問題もございますので、そういうものも頭に置きながら、できるだけ被災者方々の希望に沿うような形で供給ができるように取り組んでいきたいというふうに思っております。  神戸市の場合で申しますと、約一万戸の計画が現在あるわけでございますけれども、そのうち四分の三に相当いたします約七千四百戸につきましては、既成市街地を含みます七区に用地を確保いたしております。それから、このほかに既成市街地等におきましては、再開発等の関連でいわば従前の居住者の方々供給する公的な住宅もあるわけでございます。それも相当数計画がございます。これらを合わせまして、できる限り被災者方々の希望するような場所に公共賃貸住宅供給できるよう、地元ともども努力をしてまいりたいと考えております。
  106. 穀田恵二

    穀田委員 それで、先ほどの数字は三千八百二十四でした、長田区に住みたいという方々の統計は。  そこで、用地の取得が本当に大変なんですよね。だからこそ何度も私は申し上げているのですが、用地の取得に対する補助制度の創設がなければ、二十五年、三十年という話ありますよ、貸してというやつね、それだけではできないと私は思うのです。だからそういう制度を創設すべきだということが一つ。  二つ目に、もう一つありまして、もとのところに住みたいという要望が一番何と言ってもきついんですね、当然なんですよ。そういうことを実現しようと思いますと、低家賃という政策恒久住宅をたくさんつくるということとあわせて、土地がないという問題もありますから、民間住宅に対しても家賃補助という制度をカバーしてあげるということをしないと、これまたできないんじゃないかと思うのですね。だから、家賃補助を三万円からさらに下げるということとあわせて、その対象を民間住宅にお入りいただく方にもやってあげるというふうな努力が私は必要じゃないかと思うのですね。ですから、そういう点を二つどうしても改善していただけないかと思うのですが、いかがですか。
  107. 山中保教

    ○山中説明員 民間住宅への家賃補助の件でございますが、総理からの指示がございました家賃軽減策につきましては、先ほど来、復興本部初め御答弁申し上げているところでございます。関係省庁で今精力的に検討いたしておるところでございます。  被災前に居住いたしておりました住宅が滅失をいたしまして、低所得あるいは高齢者であることなどで自力では住宅の再建、取得が困難な被災者方々に対しましては、低家賃で一定水準が確保されました公的賃貸住宅を大量供給するということが重要ではないかというふうに思っております。これらの供給につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、現在供給計画の点検を行っておりますので、それを踏まえまして適切に対応していきたいというふうに考えております。
  108. 穀田恵二

    穀田委員 最後に一言。大臣、一言だけ。大臣は、就任直後の神戸新聞のインタビューに答えてこう言っておられます。「親族が亡くなったりして、自力で立ち上がれない人が現実にいる。そういう人にどう援助を差し伸べるかが大切だ。そのためには行政レベルから話を聞くだけではなく、市民の方々と直接会って話を聞きたい。住民感情と一致するような政策を出していくべきだと思う」、こういうふうに語っておられます。そういう決意はお変わりないと思うのですが、改めてそういう点で、先ほどお話ししましたような実態、事実というものがやはりあるわけですから、掌握していただいて、改善をさらにしていただきたいなと思うのですが、そういう点での御決意だけ最後にお伺いしておきたいと思います。
  109. 鈴木和美

    鈴木国務大臣 五百日目になりまして一番私が不安というか心配というのは、時が過ぎるに従って阪神・淡路の状況の認識が薄れていく国民感情というのがありますね。それを、どうやってああいう異常な災害が起きたのかということをどうしてもPRしていかなきゃならぬと思っています。  それから、いよいよ結末的な最後の手当てをするということになりますと、委員各位から御意見を賜ったものと現地の意向を十分つなぎ合わせまして、対応措置していかなきゃならぬと思っています。  私本人としては、今先生がおっしゃったような気持ちには今でも変わりありません。
  110. 穀田恵二

    穀田委員 終わります。
  111. 左近正男

    左近委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  112. 左近正男

    左近委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  特定非常災害被害者権利利益保全等を図るための特別措置に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  113. 左近正男

    左近委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 左近正男

    左近委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  115. 左近正男

    左近委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十一分散会      ――――◇―――――