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1996-02-13 第136回国会 衆議院 国会等の移転に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年二月十三日(火曜日)     午後一時三十分開議 出席委員   委員長 佐藤 孝行君   理事 田野瀬良太郎君 理事 西田  司君    理事 村田敬次郎君 理事 鴨下 一郎君    理事 坂本 剛二君 理事 千葉 国男君    理事 松本  龍君 理事 玄葉光一郎君       谷  洋一君    東家 嘉幸君       中山 利生君    根本  匠君       蓮実  進君    堀内 光雄君       茂木 敏充君    青山 二三君       河合 正智君    長浜 博行君       山岡 賢次君    関山 信之君       田邊  誠君    中島 武敏君  出席政府委員         国土庁大都市圏         整備局長    五十嵐健之君  委員外出席者         参  考  人         (国会等移転調         査会会長)   宇野  收君         国会等移転に         関する特別委員         会調査室長   白兼 保彦君     ————————————— 委員の異動 二月十三日  辞任         補欠選任   弘友 和夫君     河合 正智君 同日  辞任         補欠選任   河合 正智君     弘友 和夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国会等移転に関する件(国会等移転調査会報  告)      ————◇—————
  2. 佐藤孝行

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  国会等移転に関する件について調査を進めます。  本日は、昨年十二月十五日に国会報告されました国会等移転調査会報告につきまして、参考人から意見を聴取いたしたいと存じます。  本日御出席願っております参考人は、国会等移転調査会会長宇野收君であります。  この際、参考人一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。  まず、宇野参考人から二十分程度国会等移転調査会報告概要について御説明をいただきました後、委員からの質疑に対して忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  なお、長時間にわたりますので、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、宇野参考人、お願いいたします。
  3. 宇野收

    宇野参考人 国会等移転調査会宇野でございます。  本日、この場にお招きいただきまして、私ども国会等移転調査会報告内容について御説明をする機会を賜りまして、まことにありがとうございます。  調査会におきましては、昨年六月に第二次中間報告を取りまとめました後、当面の検討事項のうち、残された課題であります移転先選定基準移転の時期の目標、東京整備あり方三つにつきまして、基本部会中心に精力的に審議を行ってまいりました。  これらの項目につきましては、昨年の七月二十六日から十二月七日まで計六回にわたりまして基本部会審議を重ねまして、さらに十二月十三日に開催いたしました第七回の調査会において審議をいたしまして、既に中間報告として取りまとめております「首都機能移転 その意義効果」「首都機能移転範囲手順・新首都都市づくり」を含む国会等移転調査会報告として取りまとめたわけであります。同日、村山内閣総理大臣に直接御報告をいたしまして、その後、同月十五日付で総理から国会報告されたと承っております。  それでは、報告書につきまして御説明をさせていただきます。  まず、表紙をめくっていただきまして、表紙の裏をごらんいただきたいと存じます。ここに「新首都」という言葉定義について書いてございます。「首都」という言葉法律上の定義は現在のところないようでございますが、この報告書におきまして、「新首都」とは、「国会並びに行政及び司法に関する機能のうち中枢的なものの移転先の新都市」という意味において用いております。  次に、二枚めくっていただきまして、「目次」をごらんいただきたいと存じます。本報告書は七章から構成されております。  第一章は「今なぜ首都機能移転か」ということでありますが、首都機能移転とは何か、なぜ首都機能移転が必要か、首都機能移転意義効果は何かということを国民に問いかけ、理解と関心を持っていただくために、平成五年の調査会発足から約一年間にわたり調査審議を行いまして、一昨年の六月に第一次中間報告として取りまとめた部分でございます。  次に、第二章「移転対象は何か」、第三章「新首都はどのような都市か」、第四章「首都機能移転はどのように進められるのか」の三つの章は、第一次中間報告を取りまとめました後、約一年にわたって、新首都具体像を明らかにしていくためにどのような機能をどのような手順移転整備すべきであるか、新首都はどのようなイメージ都市にすべきか、新首都づくりのための新しい手法制度はどうあるべきかなどについて調査審議を行い、昨年六月に第二次中間報告として取りまとめた部分でございます。  これらの部分につきましては、過去に中間報告として内閣総理大臣に御報告いたしまして、総理から国会に御報告されている部分でございますので、時点修正や語句の統一などの編集上の修正にとどめまして、そのまま引用したものとなっております。  次に、第五章「新首都はどこへ」、第六章「いつ移転するのか」、第七章「世界都市東京」の新たな出発」が、第二次中間報告後、それまでの検討の成果を踏まえまして新たに調査審議を行った部分でございます。  以上、先ほども申し上げましたように、平成五年四月から昨年十二月までの約二年九カ月にわたる検討の結果を総括的に一冊の報告書として取りまとめましたのが本報告書でございます。  それでは、その内容につきまして説明をさせていただきます。  まず、第一章から第四章につきましては、既に中間報告を行い報告させていただいたところでございますので、ごく簡単な説明にとどめさせていただきます。  第一章の「今なぜ首都機能移転か」では、我が国を取り巻く現在の社会状況を概観し、その変革に的確に対応するための方法としての首都機能移転意義効果について、できる限り網羅的に記述しております。  その内容としては、一つ首都機能移転により、政経分離を図り、政官民の新たな関係をつくり出す国政全般改革契機となること。首都機能移転は、地方分権規制緩和並び我が国社会改革のための車の両輪であること。その次、東京一極集中のメカニズムを改め、国土の均衡ある発展が図られること。その次、首都機能東京と同時に被災する可能性の少ない地域移転することにより、国の災害対応力強化されること。次に、来るべき二十一世紀に向けて、新たな時代をつくり、国民意識を変える人心一新の好機となることという点を挙げております。  次に、第二章の「移転対象は何か」では、「新しい政治行政機能」「本格的な国際政治機能」「日本の進路を象徴する機能」の三つ観点から新首都機能あり方について検討を行い、移転対象となる国会行政司法機能範囲を記述しております。その範囲とは、国会は全部、司法最高裁判所移転対象と考えておりますが、行政国会内閣との関係中枢性の高い政策立案等に係る機能が立地すべきものとしております。  第三章の「新首都はどのような都市か」では、新首都づくり基本理念のキーワードとして平和、文化環境を挙げまして、新しい国会議事堂中央官庁などの新首都の施設や、国会都市中心とした小都市群とするといった都市形態イメージを記述しております。  第四章の「首都機能移転はどのように進められるのか」では、首都機能段階的に移転することとし、第一段階の新首都像を明らかにしております。また、新首都づくりのための土地利用のコントロールの方策土地投機対策土地取得方策事業主体などについての望ましい制度手法あり方についても記述しております。  第五章以降が今回新たに報告するところでございます。七十五ページをごらんいただきたいと存じます。  第五章「新首都はどこへ」では、今まで議論してまいりました新首都基本理念を体現し、首都機能移転意義効果を発揮させるために新首都に求められる要件を明らかにし、その場所選定基準を示すとともに、公正透明な手続移転先地選定する方法について提案を行っております。  まず、移転先地選定基準といたしましては、次の九項目を挙げておるわけであります。  まず、七十六ページでございますが、開かれた新首都という観点から、国内のより多くの地域から容易に来訪できる場所が望ましく、日本列島上の位置について、国内各地から新首都へのアクセスに極めて大きな不均衡が生じない場所であること、これが一番であります。  第二番は、七十七ページでございますが、東京からの距離としては、政経分離を目指した新しい政治行政都市としての新首都を、我が国経済文化の拠点としてあり続ける東京との間で一定の距離を置きつつも相互機能分担と連携を確保する必要があるという観点から、新首都東京からおおむね六十キロから三百キロメーター範囲にあることが適当であること。また、新首都東京を結ぶ交通ルート相互に代替できる複数ルートを選択できる必要があることということを述べております。  第三番目は、七十八ページでございますが、新首都国際社会への能動的貢献の場という観点から、その町開き段階から、特に航続距離の長い欧米主要諸国からの便にも対応できる規模滑走路を備えた国際的な空港が必要であること。また、新首都都心部から空港までの所要時間はおおむね四十分以内であること。  第四点、これは七十八ページの下の方でありますが、新首都開発面積は、第一段階だけでも約二千ヘクタール、最終的には、段階的に整備された小都市群を合わせますと、最大限人口が六十万規模面積で九千ヘクタールと想定をいたしております。広大な用地の迅速かつ円滑な取得が可能であって、土地利用の密度が低く、可能な限りまとまった規模国公有地が活用できることということが条件でございます。  七十九ページでございますが、第五点、国の災害対応力強化という観点から、東京と同時に被災する可能性の少ない地域であり、大規模地震により著しい災害を生じるおそれのある地域や火山による壊滅的な災害が予測される区域は避けること。  次は第六点、八十ページでございます。その他の自然災害により、都市活動に著しい支障を生じないよう十分配慮すること。  第七点、極端に標高の高い山岳部や急峻な地形の多い場所は避けること。また、一国の応接室としてもふさわしい景観にも配慮する必要があること。  第八点、六十万都市の出現で、現在の首都圏より水需給の逼迫するおそれのある地域は避けること。  最後の第九点は、八十一ページでございます。政令指定都市級大都市からはスプロールの影響が及ばない十分な距離を保つこと。  以上、九つの基準を掲げております。  なお、東京からの距離がおおむね三百キロメーターを超える遠隔地については、その他の選定基準に照らし極めてすぐれた長所を有する場合には、検討対象に加えることといたしております。  八十二ページでございますが、移転先地地理的条件を規定するものではございませんが、移転先選定段階だけではなく、新首都建設段階においても配慮すべき事項として、経済的な効率と自然的環境への配慮を挙げております。  次に、八十三ページからの移転先地選定方法でございますが、移転先地選定は、多くの国民移転先地元合意形成を図りつつ、公正透明な手続で行うことが必要であります。このため、移転先については、国権の最高機関である国会法律により決定することが最も適切であると考えております。また、これに先立ち、選定基準に照らして移転先候補地選定し、国会報告するための権威ある専門的かつ中立的な選定機関を設置することを提案しております。  八十五ページからの第六章「いつ移転するのか」では、移転早期実現必要性を整理するとともに、早期移転のためのプログラムについて提案をいたしております。  地方分権規制緩和を初めとする国政全般改革は、我が国が新しい社会対応するためにおくらせることのできない緊要の課題であります。また、阪神・淡路大地震の経験は、我が国にとって大規模災害に対する対応力強化が急務であることを改めて認識させることとなりました。首都機能移転は、国政全般改革を促進する契機として、また災害対応力強化観点から、その早期実現が求められております。  そのため、二十一世紀にふさわしい政治行政機能を確立するという国政全般改革国土構造の改編という効果をより鮮明に発揮できるよう、世紀を画する年に首都機能移転のメルクマールを置くということであります。  そのために、一つ、専門的かつ中立的な移転先選定機関を設置し、二年程度目途移転先候補地選定し、これを国会報告すること。二つ、この選定機関報告を受けて、国会法律移転先を最終的に決定すること。三つ世紀を画する年までに新首都建設を開始すること。四つ、建設開始後約十年を目途に新首都国会を開設することというプログラム提案しております。  最後に、八十七ページからの第七章「世界都市東京」の新たな出発」では、首都機能移転後の東京あり方について記述をいたしております。  首都機能移転は、東京から見ても、災害対応力強化するとともに、社会資本整備のための費用の増大や生活環境の悪化に歯どめをかけ、東京を住みやすく働きやすい環境につくりかえる上で大きな効果があると考えております。すなわち、首都機能移転後の東京が、過密集中に伴う諸問題から解放され、より国際的、先端的、創造的な特色を有した世界都市としての役割を果たしていくものと考えております。  そこで、九十一ページでございますが、都区部内に所在する庁舎及び宿舎の敷地は約二百十ヘクタールに及んでおりますが、首都機能移転に伴って発生する跡地を活用して、大規模災害への対応危機管理体制強化生活者重視の住みやすく働きやすい快適な都市づくり世界都市にふさわしい国際的な経済文化交流機能の育成という視点を重視した新しい町づくりを展開していく必要があると考えており、その適切な利活用プログラム検討する体制を国と東京都等で整備することを提案いたしております。  以上が、国会等移転調査会報告概要でございます。  最後に、一言お願いを申し上げさせていただきます。  国会等移転早期実現に向けてどうしても欠かせないのが、国会のリーダーシップと国民的な合意形成でございます。国会におかれましては、次のステップに進むための所要法制度整備に早急に着手していただくとともに、国民にわかりやすいPRの実施に努められ、実現に向けて一層の国民合意形成が図られますよう努力されるように期待を申し上げております。  以上をもちまして、私からの報告を終わります。ありがとうございました。
  4. 佐藤孝行

    佐藤委員長 ありがとうございました。  これにて概要説明は終わりました。     —————————————
  5. 佐藤孝行

    佐藤委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田野瀬良太郎君。
  6. 田野瀬良太郎

    田野瀬委員 ただいま宇野会長から御報告をいただいたところでございます。三年に上る長い期間をかけて七項目に及ぶ多岐にわたっての慎重審議をしていただいて、きょう最終の報告となったわけでございますが、内容を見せていただいて、本当に詳しくいろいろと御報告をいただいておりますことを、この間の御努力に対しまして、調査会委員皆さん方に心から敬意を表する次第でございます。長い間どうも御苦労さまでございました。  そこで、調査会調査報告がこうして出されたわけでございますが、調査会として今後どういう立場にあるのか、もっと言いかえるならば、この後の作業としてはどういうことを準備されておられるのか、考えておられるのか、今後の調査会あり方等につきまして、会長のお考えを聞かせていただければ、このように思うわけでございます。
  7. 宇野收

    宇野参考人 報告についての御好意をいただきまして大変ありがとうございました。  今御質問のございました、今後の調査会は何をやるのかということでありますが、私どもといたしましては、この報告をもって一応その仕事は実質上終わったな、あとはこの基準の趣旨に沿った形で具体的に候補地選定をしていただく機関を早急につくっていただいて、そこの場で具体的な候補地選定の論議をお進めいただきたい、こういうことでございます。
  8. 田野瀬良太郎

    田野瀬委員 ということになりますと、調査会としての活動はしばらく小休止、ボールはこの委員会あるいは国会に投げられた、こういうふうに解釈していいのでしょうか。
  9. 宇野收

    宇野参考人 そのように御解釈いただきましたら結構でございます。  なお、何となくここ一、二カ月の期間が私どもに残っておるという意識もございまして、まだ勉強足らぬところがあるかなという意味で、先般もブラジリアというブラジルの新首都運営状況ども勉強に行ってまいったようなことはいたしておりますけれども、やはり次の機関をつくっていただくということが先決だというふうに考えております。
  10. 田野瀬良太郎

    田野瀬委員 ということになりますと、いよいよ国会の使命は重大である。しかも、この調査報告によりますと、二年以内に候補地選定してもらいたいという内容になっておるわけでございまして、改めて我々の責任の重大さを感ずるわけでございます。  さすれば、この委員会あるいは国会に対しまして、会長として期待注文あるいは提言を率直にストレートにひとつこの際我々に言ってもらえれば、我々もこれから大変励みになる、このように思いますので、御苦労が大変多かったと思うのですが、今までの調査会の三年に上る御審議の感想も含めてひとつ我々に、再度申し上げますが、注文提言あるいは期待等ストレートにおっしゃっていただくと大変ありがたい、かように思うわけでございます。
  11. 宇野收

    宇野参考人 注文ということではございませんが、まず第一に、今回の国会等移転の運動の火をつけていただいたのは、国会の議員の諸先生方が、これは与野党含めてということでございましたが、この国会等移転必要性を決議されて、それで法律ができて、その法律に基づいて私ども調査会ができたという意味では、生みの親はむしろ国会でありましたという理解をいたしております。  そこで、何遍も同じようなことを申し上げますが、私ども調査会は、一応選定基準、あるべき姿の国会、新首都、それから東京をどうするかというようないろいろ考えられるすべての問題について答申をしたわけでありますが、今、国会にお願いしたいことは、この次の段階は、できるだけ速やかに次のステップとして候補地選定をする機関の設置をしていただきたいということでございます。
  12. 田野瀬良太郎

    田野瀬委員 今、会長さんから、いよいよ国会が早急に動くようにという注文期待をいただいたところでございます。その中で具体的に、中立的な選定機関ですか、それを早く設置するようにということでございました。  事実、この調査報告の中にも、国会が最終的に移転先地を決定するが、あらかじめ専門的かつ中立的な選定機関を設置し移転先候補地選定する、こういうことになっております。その選定機関が二年程度をめどに移転先候補地選定し、国会移転先地を決定すること、こういうことになっておるのですが、ただ我々そこでちょっと理解があいまいな部分は、その専門機関選定機関選定して候補地を決めて、そして国会に上がってきたときに、その選定機関が決められた候補地に対して我々国会意思がどういうふうに表現できるのか、そういうところがちょっと我々としても解釈しにくいところがあるのですが、その辺の話はかなり踏み込んで審議されたのでしょうか。
  13. 宇野收

    宇野参考人 ある程度議論はいたしましたが、先刻から申し上げておりますように、私どもは具体的な候補地を頭に置いての議論というものには踏み込んでおりません。  したがいまして、すべて私どもはやや抽象的な書き方をしておって、六十キロとか三百キロとかあるいは四十分以内の空港とかということは具体的に書いておりますが、あとは抽象的に書いておりますので、こういうものを踏まえて、次の機関にこの候補地選定してもらうときに、それは単数の候補地に絞り込むのか複数にするのかということも問題だと思います。しかしながら、それはすべて次の機関でやっていただきたいということでございまして、国会の方でどういうふうな受け方をされてどう決定されるかも、その過程でおのずから決まってくるのではないかなというふうに思っております。
  14. 田野瀬良太郎

    田野瀬委員 よくわかりました。すなわち、複数選ぶか一つに絞り込むか、そういったことも、これから選定機関を設けるときにそういう手順も決めてもらったらいい、こういうことですね。  これに関して、ちょっとついでの質問ですが、この調査報告が出されたときに、各マスコミ、新聞、テレビ等に数候補地に絞り込んだかなり具体的な地名が上ってきましたね。阿武隈山地であるとか那須高原であるとかいろいろな地名まで出てきたのですが、調査会での選定基準審議する中で、ある程度固有の候補地を頭に入れながら審議されたのか、全く白紙の状態で審議されたのか、ある程度想定して話し合いをされたのか、その辺はいかがだったのでしょうか。
  15. 宇野收

    宇野参考人 私、会長といたしましては、具体的なところは全く頭に入れないで皆さん審議されたものと思っております。私自身も全くそういうものは考えておりません。  しかし、お説のとおり、その間マスコミで随分具体的な名前が挙がりました。また地元の大変な活動もあったという地域もあるやに聞いておりますが、我々の審議には一切影響はなかったということでございます。
  16. 田野瀬良太郎

    田野瀬委員 ということは、あくまでも候補地は今のところは全くゼロである、あくまでもその選定機関でもってこれから一から候補地を選ぶ、その時点で我々国会としての意思も反映していく、調査会での話し合いはそういうことだったと理解してよろしいですね。
  17. 宇野收

    宇野参考人 そのとおりでございます。
  18. 田野瀬良太郎

    田野瀬委員 わかりました。  自民党として二十分いただいておりまして、村田先生の御質問の時間もございますので、あと一点だけの質問で終わらせていただきたいと思うのです。  ちょっとこの調査報告に踏み込んだ話なのですが、過日我々、この委員会でオーストラリアの新首都であるキャンベラを見学させていただいたときに、いろいろな方々の話の中で、メルボルンなりシドニーなり国際空港におり立って、それから一たん国内線に乗り継いでキャンベラに行かないといかぬという不便さがあるんだ、日本が新しい首都をつくるときは各国から離発着できる国際空港の近くがいいですよという話があったのです。  私ちょっとこの内容を見ておるのですが、滑走路各国から元首が来るときに離発着できる空港ということであって、それは、一般の乗客が世界各国から乗りおりできる国際空港であるというふうに限定していないような表現、私の理解が悪いのかもわかりませんが、その辺はいかがでしょうか。
  19. 宇野收

    宇野参考人 私は、ただいま御理解いただいたとおりでございますと申し上げたいと思います。  ただ、各国といいましても、ヨーロッパの国あるいはアジアの諸国というので距離が随分違いますから、勢い上限の長距離から来られる方も、空港首都の中にあって、あるいは首都の近くにあってすぐに着けるというぐらいの能力のある空港でないと困る、しかし一般旅客を想定した空港であることは必ずしも必要でないという理解でございます。
  20. 田野瀬良太郎

    田野瀬委員 以上、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  21. 佐藤孝行

    佐藤委員長 次に、村田敬次郎君。
  22. 村田敬次郎

    ○村田(敬)委員 私は、これまでの長年の政治活動におきまして、首都機能移転の問題を大きな政治課題として位置づけ、平成二年の国会等移転決議、平成四年の国会等移転に関する法律の制定などの問題に取り組むとともに、また現在も、国会議員の超党派の集まりであり二百五十名を超す新首都推進懇談会の会長として、首都機能移転に全力を挙げているところでございます。  昨年十二月十三日に国会等移転調査会において移転先地選定基準等を含む報告書が取りまとめられ、同月十五日に内閣総理大臣から国会報告が行われましたが、この報告の取りまとめに当たっては、本日御出席宇野会長に一方ならぬ御尽力を賜ったところでございます。私としては、この報告を受けて、いよいよ新首都建設に向けて大地が動き出したという感懐を持っており、大変感慨深く感じているところでございます。  首都機能移転は、申すまでもなく、来るべき二十一世紀我が国のグランドデザインを構築し、新しい日本を築くための、国民の未来をかけた大プロジェクトでございます。二十一世紀まであと数年を残すこととなった現在、東京一極集中の是正、国土の防災機能の向上、さらに国政全般改革の推進のために、この首都機能移転という壮大な夢を夢物語に終わらせることなく、その実現に向けて今こそ新たなステップを踏み出すべき大切な時期に来ていると考えております。  そこで私は、この報告を踏まえながら、移転先候補地選定という新たな段階に入るための法律整備が必要であると考えておりますが、今後、移転先候補地選定機関の設置を含め、どのように首都機能移転を推進していくべきか、宇野会長の率直なお考えをお伺いいたしたいと存じます。
  23. 宇野收

    宇野参考人 村田先生には、首都機能移転について最初から提唱をしていただいておりますので、今後どのように進めていくかについても、もう先生先刻御承知のとおりでございます。  ただ、私どもとしては、大変大事な問題で、一遍はもう通過したなと思っておりますが、もう一遍繰り返して、国民皆さん合意が本当にあるか、あるいは理解があるかという問題は詰めていくことが大変大切ではないかという感じが今いたしております。  しかし、それにしましても、時間はそうかけられないよというのはもう先刻村田先生がおっしゃったとおりでありますから、少なくとも今世紀末には着工ができるというぐらいの目標を立てて、したがって候補地選定はその手前の二年以内に立ててというぐらいのところは、これは大変急ぐ急ぐとおっしゃるけれども、そのぐらいのスピードでないといけないなと思います。  それは、実は日本の国力が今の状態で、果たして先になったらこれがこなせるだけの力が残っておるかという、まことに心配のし過ぎかもしれませんが、そういう問題も含めてございますから、早く新しい時代にふさわしい体制をつくってしまうという意味での首都移転というのをやってまいらなきゃいけない。そのためには、次の選定機関も早急にひとつお決めいただいて、具体的な候補地議論国会でいろいろとやっていただいて決めていただきたいと思っております。
  24. 村田敬次郎

    ○村田(敬)委員 御承知のように、先ほど宇野会長がおっしゃいましたが、二年以内に候補地の決定をしなければならない、それから同時に、土地問題等についても重要な配慮をしなければならないということが述べられたわけでございますが、二年以内にもしまとめるとすれば、現在の調査会委員の任期はことしの三月まででございますから、したがって、例えば、現在の国会等移転についての法律の一部改正というような形で新たなる調査機関をつくらなきゃならないと思います。  そうなれば、それは調査会という名前であるのか、あるいは審議会という名前であるのか、これはハウスである衆参両院において決定をすべき問題でございますが、その二年以内の候補地選定及び土地等の所要の措置等について、特にお考えがあればお聞かせいただきたいと存じます。
  25. 宇野收

    宇野参考人 大変難しい問題でございますが、先ほど私はもう一つつけ加えて言うべきでありました。土地の投機防止。土地の取得という問題が非常に大きくかかわっておりますが、これも具体的に候補地が決まりませんと話ができないという問題も一方でございますので、できるだけ土地の値段が上がらない、しかも広大な土地があるようなところが候補地としてどんなふうに挙がってくるかなというようなことを含めた御議論国会でぜひひとつして、決定をしていただきたいというふうに思います。
  26. 村田敬次郎

    ○村田(敬)委員 私ども国会議員としての配慮は、新産業都市それから工業整備特別地域の指定が今から三十年ほど前に行われたんですが、このときは、日本全国で誘致のための合戦をしましたね。そういうことを今度はしてはならないというのが我々関係国会議員の認識でございます。  したがって、これは一カ所を決めるのでありますから、日本国民の世論を結集した形で、それも二年以内ということは、法律の改正その他の手続が要りますので、実際にはもっと手短にやっていかなきゃならぬ、周到に、そしてまた着実にやらなければならないと思っておるところでございます。新産・工特の誘致のような誘致合戦をしないように、言うなれば、国民のコンセンサスが得られるという方向でやっていかなきゃならないと私どもは認識をいたしております。  それと同時に、指定をしたら同時にそこの土地が上がるというようなことでは困りますので、私的売買を禁止するような関係土地法の制定が必要であろうと思っておるわけでございますが、先ほど宇野会長おっしゃいましたようないろいろな配慮をなさっておると思います。これらのことについてお感じになっておるところがあれば、お承りをしたいと思います。
  27. 宇野收

    宇野参考人 まず審議会で、一般論として、土地の問題につきましては、仮に候補地がいよいよ決定をされるということになりましたら、その土地は全部国公有地でない限りは買収問題が起こるわけでありますけれども、その買収の価格は計画が決定される前の状態の土地の価格をベースに行うという話をしたことはございます。それから同時に、この際、今村田先生がおっしゃったような法の改正という問題もなければできないのではないかというのが私の個人的な感覚でございます。  大変身近な例で申しますと、私は関西におりまして、関西学研都市というものの建設にかかわりましたときに、ちょうど時代がバブルの時代でございましたから、学研都市の大半は住都公団の土地でありましたが、それ以外の土地も含めて周辺が非常に値上がりをして、計画が進まないで困ったことがございました。そこで当時は、監視区域というのをやりましたけれども、これはもう後追いであったので、その監視区域の効果が余り出ないままに推移して、バブルがはじけて今度はちょうどよくなったというようなことでございますので、よほどの工夫が要るというふうに思います。
  28. 村田敬次郎

    ○村田(敬)委員 時間が参りましたので、これで、最後意見を述べて終わりますが、要は、私は、この新首都選定の問題は、国民のコンセンサスが必要であり、二十一世紀のグランドデザインであるということを強く認識をしておるところでございます。したがって、今後の新首都問題推進についても、宇野会長に今までいろいろとお尽くしをいただきましたわけでございますから、なお今後も御尽力をいただきたいという希望を申し述べまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  29. 佐藤孝行

    佐藤委員長 次に、千葉国男君。
  30. 千葉国男

    ○千葉委員 新進党の千葉国男でございます。  委員の皆様のお許しをいただきまして、幾つか質問をさせていただきたいと思います。  宇野会長様におかれましては、国会等移転調査会報告に当たりまして、二十一世紀以降の我が国の未来を考えました首都機能移転の御報告はまさに親から子、子から孫への世紀旅といいますか、そういうものを実感させていただきました。これまでの調査に当たりまして、心から御礼を申し上げたいと思います。  具体的な問題に入らせていただきますが、この調査報告の四十五ページに「「東京時代」から「新首都時代」へ 変化の実感と夢の創造」ということで、日本の歴史をずっとひもとかれまして、奈良、平安、鎌倉、室町、江戸そういう都の名称や首都機能の所在地による呼び名が一般に用いられてきた、こういうことを通しまして、首都機能の位置を変えるということが、単に政治的側面にとどまらず、それに伴って生ずるさまざまな変化が時代の空気や人々の気分を一新させ、社会経済文化等あらゆる側面で新たな潮流をつくり出していく効果があることを示している、こういうふうにまとめられているわけです。  日本の場合に、四百年周期で遷都が行われてきた、こういうふうなことがよく言われているんですが、こういう歴史的あるいは文化的な側面から、この調査会においてはどのような議論が交わされたのか、その辺のところをぜひお聞かせいただきたいと思います。
  31. 宇野收

    宇野参考人 今千葉先生から御指摘がございました首都移転の歴史的な意義につきましては、特に私非常に強く感銘を受けましたのは、この調査会委員の一人であった司馬遼太郎先生、残念ながらきのう亡くなったわけでありますが、非常に歴史的な意義を説かれたわけであります。  具体的には、やはりこの記述の中にもございますけれども、四百年とかあるいは二百年とかという、少なくとも一世紀をはるかに超えた時代の転換期に首都が移ることによって、人々の意識、そして文化が変わる。実は、それがこの新しい体制づくりに入っていく一番大事な問題である。したがって、移転に伴ういろんな摩擦とか移転に伴う費用とかいうふうな問題を計算して可否を論ずる前に、移転を行うことによる歴史的な意義を考えねばならない。特に司馬先生が言われたのは、これはもう非常に古い話でありますが、源頼朝が鎌倉に幕府をつくったということで日本政治が武家政治の時代に画然と入ったということを説かれたわけであります。  多少冗長になりますけれども、第一回の調査会で、移転意義という問題について皆さんどうお考えでございますかということを各委員皆さんにお聞きいたしました。それで、委員の数が非常に多いものですから、一人五分以内にお願いいたしますと申し上げたのですが、司馬先生は二十分しやべられました。しかし、皆さん非常に謹聴して聞かれたのは、やはりそのことについて大変説得力のあるお話であったからというふうに思っております。  今、移転に伴っていろんな費用が多いとかなんとかという問題、これは確かにありますが、日本が新しい時代に入るんだという、そういう歴史の転換点に移転をするということの意味をもう一遍考える必要があるのではないかというふうに考えます。
  32. 千葉国男

    ○千葉委員 私は東北宮城出身の議員ということで、こだわりを持ってお尋ねしたいのですが、世界地図の中で、北緯四十度を中心とする地域に世界的にも文明の中心地帯がある、いわば文明のベルト地帯である、こういうふうに言われております。  ちなみに、東北の北端は青森県下北郡大間町大間岬で北緯四十度三十分、それから南端が福島になりまして、福島県東白川郡矢祭町で北緯三十六度四十七分、こんなふうになっております。  それで、この東北がある緯度にどのような世界的な都市があるかちょっと調べてみますと、西回りで挙げますと、韓国はソウル、中国は北京、シルクロードの中心であった敦煌、トルコの首都アンカラ、それからヨーロッパに入りまして、ギリシャのアテネ、スペインのマドリード、ポルトガルのリスボン、アメリカに渡りますと、ニューヨーク、ワシントン、フィラデルフィア、今、こういう世界の主要国そしてその首都、これが大体ベルト地帯にずっとなっているわけであります。  このことを通しまして、大まかに言って、文化中心地域が歴史とともに北に移る、こういうふうな傾向が言えるのではないか、東北という意味で申し上げておりますが。この調査会におきましては、こういうふうな世界の文明のベルト地帯、こういうところになぜそういう首都が集まってくるのか、そういうものについてこれまでの議論の経過がありましたら教えていただきたいと思います。
  33. 宇野收

    宇野参考人 私の記憶する限りでは、今千葉先生が御指摘のような国際的な都市首都の分布絡みの議論はなかったと思います。  思いますが、日本首都の北上論というのは私はまた別のルートから承っておりましたし、それから今後の首都あり方について、三百キロ問題といった場合のどの範囲かなという中にも何となくそういうことをおっしゃっている方があったかなというふうにも思います。それから、第五次の国土計画の中に新しい一つの東北—北海道の軸というのがあることも、多少議論の中に出たことはございました。しかし、具体的にほかとの比較でどうだったということは、私の記憶では、なかったと思います。
  34. 千葉国男

    ○千葉委員 今そういう世界の文明のベルト地帯についてのお話が余りなかったということなんですが、そういうふうに一つの町が中心でできてくるためには、何か世界的な自然的なものが歴史の背景にあってなっていくのではないか、こう私は思いますので、ぜひその辺のところについても専門家の方々にさらに研究をしていただければありがたいな、こういうふうに思っております。  それで、きょう国土庁からいただきましたこの「首都機能移転 新首都づくり早期実現をめざして」というパンフレットがあるわけなのですが、「今なぜ首都機能移転が必要なのでしょうか?」ということで、一が国政全般改革、二が東京一極集中の是正、三に災害に強い国土づくり、四に人心一新、こういうふうなことを言われております。ここへ来て首都機能移転というものをやはり真剣に考えなければならない。  こういうふうになった背景というものには、やはり昨年の阪神・淡路大震災の大きな教訓というものが国民皆さんにもあるし、私たち議員の中にも出てきて、関東大震災以来いつこれからまた東京にそういうものがあるかもしれないというような周期みたいなものがあって、その可能性の中で、できるだけ東京と同時に被災する可能性の少ない地域首都機能というものを移転する、そして同時の被災を何としても避けていかなければならない、こういうことが国民皆さんのコンセンサスをまとめていく上では、先ほどもありましたように非常に大事なポイントではないか、こういうふうに思っております。  こうしたことを考えましたときに、特にここが大事だなということで一から四まであるのですけれども、順番が三番になっているのですが、その辺のところについての調査会での意見のまとめ方についてお聞かせいただければありがたいと思います。
  35. 宇野收

    宇野参考人 国土庁のつくりましたパンフレットの四つのアイテムの中でやはり一番大きな問題は、一番目にある国政全般改革という問題だと私は理解をしておりましたし、皆さんもその問題を非常に意識しておられたと思います。  ただ、御指摘のように、途中で阪神の大地震がございまして、これはもし首都でこういう問題が起こったらどうなるかというような非常な危機感を抱いた関係で、災害対応ということが大きく出たことも事実でございます。  一方で、すべてのシステムを取りかえなければいかぬという問題が出ておるときに、やはり首都が移るということが一番徹底したモメントになるのではないかという議論が出たのも事実でありますから、結局、ずっとこれはやっていきますと、一極集中の是正も含めて見直すことも大事であったということであろうかと思います。
  36. 千葉国男

    ○千葉委員 新首都はどこに移転するのでしょうかということで、先ほど御説明いただきましたように、九つの選定基準、基本的な基準というのがありましたけれども、その中でも、五番目に地震、火山の災害に対する安全性ということがありました。  その他のさまざまな条件につきましてはいろいろあると思いますけれども、やはりまさしくこの都市機能東京も含めいつも思うわけですが、都市機能というのは意外に自然災害に弱い。ちょっと東京で雪が降っただけでもう都心が麻痺するとか、新幹線一つとっても、後からできた東北新幹線の方は雪が降っても五分くらいのおくれですけれども、この間たまたま大阪の方へ行きましたら、行く途中で三時間も四時間もあの新幹線がおくれるということが日常的に繰り返されているわけです。  そういう意味で、やはり自然災害あるいは異常気象、こういうものが本当に首都機能の中で実は非常に大事なポイントになってくるのじゃないか。世界の元首のお客様を迎えたときに、天気が悪くて、飛行場に来たけれども結局どこかまた回ってくださいみたいなことが簡単に現実的には起きるわけですので、その辺の問題についてどんな感じの自然現象かとか、そういうものについて教えていただきたい。
  37. 宇野收

    宇野参考人 この選定要件の中にそういう災害問題の起こりにくいところというふうに抽象的に書いておりますが、もうおっしゃるとおりでございまして、東北新幹線と東海道新幹線との違いというのは何かというと、初めから雪というものを頭に置いてそういうものに対応することをつくったところが結構ちゃんといけてる、こっちはそこの考え方が足らなかったのではないかというふうな思いもいたします。  そういたしますと、我々がコントロールできる対応策というのはある程度考え得るのではないかというふうに思いますので、何が何でもここは危ないからだめ、ここが危ないからだめといったら、日本全体がもう大きな地震帯におるわけでありますから、どこも選定できないということなので、その辺の兼ね合いを見て選定をすればよろしいのではないかというふうに考えております。
  38. 千葉国男

    ○千葉委員 この構想の中で「変化の実感と夢の創造」、こういうテーマがあります。いろいろパンフレット等も出ておりまして、見ていきますと、今お話もあったように、近代科学の粋を集めたものであれば、かなりの面でいろいろ新しい取り組みができると思います。確かに、その辺ではバラ色のイメージがあるわけなんですが、これから新首都建設をしていくというタイムスケジュールを考えますと、二〇一〇年とかという話になってくるわけですね。ですから、そうなってまいりますと、逆にその社会に住んでいる人々というのは、日本全体が超高齢・少子社会、新首都に集まった人は若い家族で元気はつらつの仕事をする人が考えられる。  今我々が、この国会としてもあるいは議員としても、これから過ちを犯さないためには、これまでの既成の概念でやっていることが結局新しい時代の対応のために準備ができてない、こういうことで、現在、この激動期にさまざまな問題等が頻発しているわけです。そういう意味で、新首都に若い人だけでなくてそばにお年寄りがちゃんといて、そういう中で国会が本当に高齢化社会を考えていく実感を持つような、緑のイメージだけはいいんですが、緑と年寄りというのは一緒なんだというところをこの御報告の中で余り何か実感を受けないんですが、その辺はどのように議論をされたんですか。
  39. 宇野收

    宇野参考人 今おっしゃるような意味の人間社会の潤いがあって、老若、皆さんが一緒に住めるような社会という形で新首都ができることは理想でございます。  私ども、実はこの過程で、初めから意図的に新首都としてつくったワシントンDCとかカナダのオタワとかキャンベラ、それから先般はブラジリアというふうなところをそれぞれ視察してまいりまして、一様に言えることは、無味乾燥な新首都というものをつくっては、これはもう仕事に集まるだけでそこには住まないというような町になってしまうよ、だから、そこのどこかに潤いのある、潤いというのは、どこか遊びの場所もあるというものを含めた町づくりを考えなければいけないなという思いは皆さん非常に強く持っておるわけでございますが、この辺のところも新しい選定をされましたときにぜひひとつ都市設計でいろいろ考えていただきたいと思います。
  40. 千葉国男

    ○千葉委員 私、今回初めてこの国会等移転委員にさせていただきましたものですから基礎的な知識はなかったわけなんですが、そういうことで、東北各県あるいはまた茨城も含めまして先日一月二十四日に、宮城、福島、茨城、栃木、その県における調査特別委員会がそれぞれ開かれておりまして、移転に対しての構想であるとか提言とかあるいはまた決議等をされております。  先ほどもちょっと御質問に出ましたけれども、それぞれのところで要望されているのは、この専門的、中立的な選定機関の設置がこの一月二十四日の四県での首都機能誘致に関する決議の中で行われております。それだけこの専門的、中立的な選定機関の設置ということを各県とも非常に重要に受けとめていて、この選定機関内容次第によって何か全部決まってしまうということもありまして、それぞれこの新しい中立的な選定機関の設置の内容とか中身とか手法について非常に関心を持っておりますが、一番何をそこへ置かなければいけないというふうに会長様はお考えでしょうか。
  41. 宇野收

    宇野参考人 これは、神ならぬ身でありますから大変難しい仕事だと思いますが、やはり国会等移転の議員の先生方の会合で、自分の選挙区には首都は持ってこないということを申し合わせようじゃないかということを御発言になったのを私は拝聴しておりまして、まさにそういう気持ちの塊のような機関でないと大変選定に苦しむであろうというふうに思っております。  ただ、何となくそのときの選定基準になるという意味で、先ほど報告に記載いたしましたようないろいろな条件を頭に入れながら候補地選定してもらったら結構かなと。しかし、神ならぬ身でありますからこれは大変難しい仕事だと思いますが、そういう意味で私しないという形で決めていただきたい。
  42. 千葉国男

    ○千葉委員 最後にお願いでございますけれども、あす東北を中心にした首都機能移転のシンポジウム等が東京で開かれるような話も聞いておりますが、今後ともぜひ、この国会等移転調査会の皆様が現場に出ていっていただいて、各県の中で、本当にこの国会移転の問題について一緒に考えませんかというようなシンポジウムとか討論会とか講演会とか、そういうものをお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  43. 佐藤孝行

    佐藤委員長 次に、松本龍君。
  44. 松本龍

    ○松本(龍)委員 社会民主党の松本龍と申します。  きょうは、宇野先生におかれましては、公私ともに御繁忙の中、本委員会に御出席をいただいて、意見陳述、そして私たちの質問に的確にお答えをいただきまして、冒頭、まず心から敬意を表したいと思っております。  私もこの委員会に入りまして、この委員会はほかの委員会と違って少し特別な意味があるというふうに思っています。与野党でどう対決していくのかではなくて、与野党の議論をどう国民の前に見せていくのかという意味で、この委員会は、国民にどうこの首都機能移転が信じていただけるのかということを、これからさまざまな議論を積み重ねていく中でしていかなければならないなということで、責任を大きく感じているわけです。  まず一番最初に、先ほどいみじくも、このままで日本はいいのかな、このままで日本はうまくいくのかなということがあってこの調査会に臨まれたというふうに言われましたけれども、司馬遼太郎先生の話も含めて、このままでいいのかなというところをもう少し具体的に詳しくお聞かせを願えませんでしょうか。
  45. 宇野收

    宇野参考人 もうこれは先生先刻御承知のとおりでございますけれども日本の戦後の歩みというのは、戦争に負けた後、欧米、特にアメリカを目標にして、いかにキャッチアップするかということにもうひたすら集中してまいったわけでございます。その集中する過程でどういう手法がとられたかというと、やはり一極集中の中央集権体制で最も効果的にその力を出すということであったと思うんです。  それは、金融の面もあるいは産業の面も、それからもちろん行政の面も含めてそういう問題でございますから、戦後五十年たって、特にこのバブルの時代までのところの発展のぐあいは、まさに中央集権体制の成果が最も世界的に出た国だったというふうに思っておりますが、やはり一つ制度というのは、行き着くところまで行き着きますと、これはもう大変な弊害が出てくることは先刻御承知のとおりでありまして、最近のあちこちのいろんな事象はすべてその古くなったシステムの弊害が噴き出たというふうに理解をしております。  だから、この弊害をどうして除くのかということが、実は行政改革であり、あるいは規制緩和であり、あるいは中央集権を破る地方分権でありということでありますから、まさに時代の大きな変革期にどういう手をどういう時期に打つかというのが今の時点だと思いますけれども、そういう規制緩和とか地方分権とか行政改革とかいうふうな問題の頂点にあるものが、実は、私は首都移転だというふうに思うのでございます。  先ほど御質問のありました司馬遼太郎さんは、ああした一つの歴史観を持った方でありますから、自分の歴史観に基づいて、今閉塞状態にあるこの局面を転回していく一つの仕組みとして、過去の例を見ても首都が移るということが新しい時代をつくるきっかけをつくっておるよということであったと思うし、私もまさにそのとおりだと思います。そのとおりで、首都移転をしないとこれは新しい時代を本当にきれいに迎えられないよというふうな思いがしておるということでございます。
  46. 松本龍

    ○松本(龍)委員 今のお話は本当に私も同感で、さまざまな制度疲労が今日やはり時代の節目として起こってきているということは、本当に同感であります。  しかし私は、一方で、東京が鬼っ子のように一極集中の弊害というふうに言われますけれども、今言われましたように、戦後、やはり日本という国は南北に長い国で、一極集中をしていかなければならなかった事情もこれまたあったと思います。そういう意味では、今日、一極集中のデメリットあるいはメリットをしっかり調査し、そしてつまびらかにしていくことによってこれからの時代の展望があるだろうというふうに思っています。まさに一極集中という点では、国土のわずか三・六%に三千二百万、人口の二六%が今東京圏に集中しているわけで、やはりこれを分散化させるというのは喫緊の課題であろうかというふうに思います。  ところで、この首都機能移転についてさまざまな懸念があります。その懸念の多くは、東京がどうなるのだろう、例えば政治経済が切り離されることによって東京が疲弊するのじゃないか、経済規模が縮小するのじゃないかという懸念であるわけですけれども、今まで先生が議論された中でこの懸念を払拭していただきたいし、残された東京というのがどういう東京であってほしいかという気持ちも含めて、御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  47. 宇野收

    宇野参考人 東京都の皆様が大変不安がっておられて、反対をいろいろおっしゃっているということもよく存じております。私も東京に住んでおったら反対をしておったかもしれぬという思いもいたします。  しかし、今回の首都移転というのは、先ほどからのお話のとおり、大きな新しい時代に入っていく日本にとって、政治経済をこの際分離するということの一つの仕組みを首都移転を通じてやるということであります。もし政治が出ていった場合に、経済はそれについていかないと衰退するのかということになりますと、これはやってみないとわからないということもございますが、今のアメリカの例を見ましても、ワシントンに首都があって、経済はニューヨークにもある、シカゴにもある、あるいはロスにもあるというのはなぜできているのですかという問題が反間として出てくるわけでありますし、私は、東京都は経済首都として依然として大きな力を世界に発揮するというところだと思います。  それから同時に、文化の面でも、東京というのは日本文化首都として大きな役割を果たすというのはもう間違いないことであります。政経分離というのがそのとおりぴたっといかなくて、やはり首都が出す情報が経済に役立つということがありますから、そういう問題は首都にひっつかないと不便なことが多少あり得るでしょうけれども、その問題があるから東京が疲弊するということに短絡するようなことはちょっとあり得ないことであると私は思っております。
  48. 松本龍

    ○松本(龍)委員 今のお話をお伺いして、やはり二十一世紀のグランドデザインを描く上では、首都機能移転というのは非常に大きな象徴的なことであろうというふうに思いますし、私、個人的な意見ですけれども、これからの東京に関しては、ある意味では、今の若い人たちや子供たちにある程度フリーハンドを与えるような仕組みも必要ではないかというふうに考えている者の一人であります。  先ほど、この問題に対して大変古くから頑張っておられる村田敬次郎先生が言われましたけれども、新産・工特以来、地域振興策あるいは経済振興策等々がとられましたときには、近ごろのリゾート法、また最近では拠点都市法等々もありますが、そういった中で各県からの陳情合戦あるいは誘致合戦がありまして、このこともこれから考えなければならない問題ではないかというふうに思っています。  一方で、エコノミストをこの間読んでいますと、堺屋太一さんのように、いろいろな売り込み合戦があってもいい、ある日突然こっそり決められたのではうまくいかないのだというふうな話もあります。その辺の整合性をどうとればいいかということを御参考までにちょっとお伺いをしたいと思います。
  49. 宇野收

    宇野参考人 先刻も申し上げておりますように、調査会では具体的な地名を頭に置いた議論というのはしておりませんが、その間に、新聞に出ました。私は、一方で困ったなという思いもいたしましたが、一方でこれでいいのだとも思いました。  なぜなれば、ああいうことが出ることによって、大変けしからぬ、うちの方がいいよという方もあるし、さあ、うちに来いという方もあって、それが実は、国民首都移転に対する関心あるいは首都移転に対する一つ理解が深まる契機になるという面もございますので、一方で困ったなと思いながら、一方ではこれはどんどんやってもらった方がいいなという思いで新聞の記事を読んでおった次第でございます。
  50. 松本龍

    ○松本(龍)委員 私は九州の福岡で選定基準からはかなり離れておりますので、伸び伸び発言をさせていただきたいと思っております。  先ほどお話をされました選定機関の問題ですけれども、明言は避けられましたが、例えば複数を絞り込むのか、単数に絞るのか。これはひとえに我々のこれからの意思にかかわってくると思いますけれども、お差し支えない点で、個人的に、どういう選定の仕方がいいのだろうということがもしありましたら、参考までにお聞かせ願いたいと思います。
  51. 宇野收

    宇野参考人 これは大変難しい、お答えのしにくい問題でございます。私は、先ほども申し上げておりますように、これは選定機関議論をしてもらうべき問題だというふうにしか答えられませんけれども、実はこれは、受けられて決定されるのは国会でありますから、国会が、限りなく精微な候補地を出してもらって、自分たちはもうその議論は大体わかったというのですらっといった方がいいというふうに御判断になるのか、やはり国会の中でもう一度複数候補地から選定されるという国会側のお態度もあり得るのではないかなと思います。  したがって、この問題はすべて次の選定機関が、よくその辺のことを考えながら、複数選定をするか、単数の候補に絞り込んだことにするかというのを決めていかれればいいのではないかというふうに思います。
  52. 松本龍

    ○松本(龍)委員 いろいろそういうことがずっと起きてきますと、先ほど来お話があっておりますように、土地の高騰とかさまざまな問題点が出てくると思います。国土利用計画法の二十七条の二でも監視区域というのがありますけれども、これはひとえに都道府県の権限になっておりますし、そういう意味では、そういった新首都に関しては、新たな土地の高騰を防ぐような、あるいはそういったことを招来しないような特別な立法措置が必要であるかということに関して議論があったと思いますけれども、その辺のところをお聞かせ願いたいと思います。
  53. 宇野收

    宇野参考人 まさにおっしゃるとおり、府県の首長さんの権限によって監視区域という問題がございますのですが、その程度で本当に大きな土地の確保というのができるかなというふうにも私は思いますので、先ほど村田先生からも御指摘がございましたが、ここのところは、ひとつ大きな立法措置を伴った土地の取得というふうな問題も考える必要があるのではないかなと思います。
  54. 松本龍

    ○松本(龍)委員 今、貴重な御示唆をいただきまして、これは我々に逆にボールが返されたわけで、このことに関しては、この委員会でこれからさまざまな議論の中で克服していかなければならない課題であろうと思っております。  堺屋さんのこの間のエコノミストの本では、三信七疑、首都移転は半信半疑ではなくて今のところまだ三信七疑だというふうな話をされておりました。村田先生とこの間雑談をしておりましたら、先生は、半信半疑までいけばこれは進むんだというふうな話をされましたので、これから委員会でまた活発な議論を続けていきたいと思っております。  時間が余りましたけれども、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  55. 佐藤孝行

    佐藤委員長 次に、玄葉光一郎君。
  56. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 玄葉光一郎でございます。  宇野会長には、取りまとめ役として、これまでの御功績に対しまして、心から敬意を申し上げたいと思います。  この問題については、戦後、浮かんでは消え、浮かんでは消えしてきた問題であります。しかし、やっと現実的な話題に上がってきたのには、二つ理由があるのかなと思っています。  一つは、先ほど来先輩方の御質問がありましたけれども、その御功績にもよって、平成二年十一月七日に国会決議をして、新しい政治の都を国会意思としてつくるんだよということを決めた。それで、その決議によって法律をつくって、平成四年に調査会をつくって、御案内のような選定基準を出されたということが一つあろうと思います。  もう一つは、私も若干関与させていただいたのですが、与野党、特に最初は与党だったと思いますし、あるいは新首都懇だったとも思いますけれども、二年という数字を出して移転先を決めるんだということを提案し、合意をしていった。そして、今回の報告書にもそのとおり二年を目途にということで出されてきた。この二年という具体的な数字が出てきたというのが一つ現実的な話として俎上に上った理由かなというふうに今考えて、認識を新たにしているところであります。  先ほどこれもお話がありましたけれども、七九四年に平安京、そして一一九二年に鎌倉幕府、一六〇三年に江戸幕府、四百年ごとに新しい政治の都ができております。今回は皇居は移らないということでありますから国会等移転ということでありましょうが、四百年というのは本当にある意味で偶然なのか歴史的必然なのか、いろいろ感慨を感じるものであります。かつては、報告書にもありますとおり戦争や混乱時だったわけでありますけれども、今回は平和裏に行うということであります。しかし共通項は、先ほど宇野会長もおっしゃったように、人心一新ということであります。  私は歴史が好きなものですから、ベネチアの歴史とかあるいはオランダの歴史とか、あるいは都市国家、小さな国家ですけれどもカルタゴの歴史とか調べさせていただきますと、我々のようなこういう小さな資源のない国が次の時代に的確に対応していくためには、不断の、いわゆる絶えることのない時代への対応、これが欠かすことのできない大事な要件といいますか、絶対条件だと私は思っております。  したがって、私は、この機に変革というのはまさに大切な話であると思っております。その変革の方向性というのは、私ははっきり申し上げて出ているんだろうと思っております。それは、もう陳腐な言葉になってしまいましたけれども規制緩和であるとか地方分権であるとか、あるいは最近大蔵省の解体論が出ていますけれども中央省庁の再編成とか、そういう言葉にある意味では集約をされていくんだろうなというふうに思っています。そういう問題が、新しく政治の都をつくりますよというときに、特に中央省庁の再編成なんというのはまさにそのとおりでありますけれども、改めて必ずやらなければならない課題に上がってくるわけで、私は、国政全般改革一言で言いますけれども、まさに大きな契機になるというふうに思っております。  あるいは、先ほど来話が出ておりますように、危機管理の問題あるいは景気対策という観点もあるでしょうし、私はまた東京のためにもいいんだろうというふうにも思っております。何か東京都は反対のような、あるいは東京都議会も反対だということでありますけれども、私は、都民は必ずしもそうではないんだろうというふうに理解しておりますし、また、首都高の問題あるいは地下鉄のそういった混雑率の問題を考えても、東京のためにもいいんだろうというふうに思っているところであります。  したがって、今回の報告書、一章から七章までありますけれども、私は、率直に申し上げて賛意を申し上げたい気持ちでおります。  これまで意義効果とか新都市あり方とか既に報告を受けておりますし、したがって、また質問もさせていただいておりますから、今回は、特に選定基準の問題について若干質問をさせていただいて、また今後の進め方についても、質問というよりは御意見をお伺いをしたいなという思いでおります。  一つは、恐らくこの選定基準をつくるときに一番のポイントになったところは東京からの距離、この六十キロから三百キロの範囲だというところではないかなと推測をしているわけでありますけれども、これは審議の中でどのような意見が交わされ、どのような経過を経てこのように集約をされたのか、まずお伺いをしたいと思います。
  57. 宇野收

    宇野参考人 玄葉先生、どうもありがとうございました。  今の首都からの距離の問題につきましては、やはり日帰りで行き来できるぐらいの距離というのが大事だなと。なぜかなれば、新首都ができましても、やはり東京が全部移ってしまうまでには相当な期間がある。その間、新首都東京との距離が余りに離れておっては日常の業務に大変差し支えがあるという意味で、日帰りの距離ということで時間、距離を考えますと、二時間というようなことになる。二時間というのを逆に置くと、新幹線なら三百キロ間でというふうな問題になるなというようなところは、割合にすらっと皆さんの御意見が出たように私は記憶しております。  問題は六十キロなんですね。何で六十キロかということについても議論は多少ございましたが、要は、私ども調査会に入る前に八十島懇談会がございまして、その中で新首都問題の議論がされましたときに、六十キロ以上離れたところという一つの結論のようなものが出されておりましたから、これはそういうものが前例にあるから六十キロ以上離れたところということで考えたらいいじゃないかということでございました。  中には、六十キロでは近過ぎるじゃないか、もっと離した方がいいよという御議論もありまして、百キロ説というふうなこともあったように思いますけれども、しかし、結論は六十キロ以上離れたところで三百キロぐらいのところということに決めましたのは、実は先ほど申し上げましたように、日帰り区間のところにないと、十年くらいは首都が二つに分かれた状態で日本の運営がなされる、そういう現実を踏まえた考え方がやはり必要ではないかというところでこういう表現になったということでございます。
  58. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 私は六十キロから三百キロというのは賛成なのでありますが、いろいろ御異論もあったのではないかなということでお尋ねをさせていただいたわけであります。  今後の進め方なんでありますけれども、先ほど、もう一段の国民的な合意形成があってもいいなということをお答えの中でおっしゃられました。先ほど松本先生は、九州だ、どうも選定基準から外れているよというお話でありましたけれども、確かにこの問題というのは、これまで深く関心を持ってこられた方々あるいはかかわり合いを持ってこられた方々、あるいは候補地になっているような地区の住民の皆さんは大変関心が高いわけでありますけれども、何か候補地にはならないだろうなというようなところの方々についてはどうも関心がまだまだで、何で国会移転が我々のためになるんだ、次の時代のためになるんだと、さっき私なんかも申し上げたような、意義効果そのものについての、移転それ自体についての合意形成が確かにまだまだできている状況ではないなと懸念をしているところもあるのも事実なんです。  このもう一段の国民的な合意形成のために、これは御意見をお伺いしたいと思うのですけれども、私たちも精いっぱい努力をさせていただきたいと思っておりますし、またマスコミの役割も大変大きいと思っておりますけれども会長御自身の御意見があれば、この点についてもお伺いをしたいなというふうに思います。
  59. 宇野收

    宇野参考人 まさにおっしゃるとおりでございますが、私は、マスコミ皆さんにいろいろ書いてもらうということも非常に結構でありますが、やはり何といってもメディアの時代で一般皆さんに最も訴えるのはテレビであろうと思います。だから、テレビ討論会のようなものを一般の聴視者の意見をしょっちゅう電話で聞くというようなことを加えながら何遍かやっていただくというのが、一番浸透力が大きいのではないかなというふうに思います。  しかし、これは先ほどお話にありました三信七疑ではありませんが、百信ゼロ疑ということはあり得ないことでありますから、半信半疑からもう一つ踏み込んで七信三疑ぐらいまでいけば、もう皆さん合意をされたということになろうと思いますので、そういう意味で、なおなお先生方のいろいろなお話もやっていただき、マスコミ、特にテレビの討論会なんかを通じての皆様への理解とそして討論内容の広がることを非常に期待をいたしております。  それから、ちょっと私先ほど申し落としたわけでありますが、六十キロ、三百キロの問題は、三百キロを超えたところは全部だめということではありません。三百キロを超えたところであっても、先ほど申しました九つの条件に非常にかなっているということがあればこれも拒否されないということを書いておりますが、それはそういうことでありまして、この範囲以外は絶対だめということではありませんということでございますので、つけ加えさせていただきます。
  60. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 もうこれまでも出ましたが、これから中立的かつ専門的な選定機関をつくるための法律と土地投機を防止するための法律と用意をしなければならないという認識で私もおります。やはりできるならば国民的な合意形成がもう一段必要なんでありますけれども、あわせて行うという意味で、今通常国会中に特に選定機関をつくるための法案を出して、そこでぜひマスコミも出してというか我々が出てというか、マスコミも、まさに今会長おっしゃっていただいたように特にテレビに扱ってもらって、選定機関法そのものだけではなくて国会移転そのこと自体についての議論を精いっぱいする。  我々国会でも、その法案が出たら時間もたっぷりとって、仮に一部移転法を変えるだけの法案であっても時間をとって、改めて移転そのこと自体についての議論をするべきなのかなというふうに思っているところでありますが、選定機関法を今国会中にという意味では、会長はどのようにお考えでありましょう。これは我々サイドの問題ではありますけれども、時期についてはどのようにお考えか、もういろいろお尋ねされましたので時期についてお尋ねしたいと思います。
  61. 宇野收

    宇野参考人 これは国会のことでありますから、私の期待を申し上げるならば、今国会中にぜひそういう措置をとっていただきたいなというふうに強く思っております。
  62. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 中立的かつ専門的な選定機関、私個人的には、また私の党と申し上げてもいいのかもしれませんが、通常国会に法案を提出すべきだというふうに考えております。  この専門的かつ中立的な選定機関の中身の問題でありますけれども、これもまた御意見という形でお伺いができればありがたいと思いますけれども一つは、先ほど来話が出ておりますように、複数なのか単数なのかというのは、これは確かに一つの大事な問題だと思います。科学的かつ理性的な判断を大切にするならば、ある意味では単数であってもいいのかな。場合によっては、民主的なルール、イコール数の論理になりかねないところもあるわけでありますけれども、民主的なルールを大切にするならば複数の方がいいのかなとも思っております。  この点についても再度お伺いをしたいと思いますし、また、もう一つあわせてお伺いをすれば、今度は委員の人選というのも大事なテーマになってくるのだろうと思っております。これも個人的な見解で結構なんですが、特に恐らく大事な話は、政治家を入れるべきなのか入れないべきなのかということも大事な論点になるだろうと思っておりますので、この二点について、一点目はもう何度かお伺いをしていることでありますが、御意見を、個人的な見解でも結構でありますので、お伺いをしたいと思います。
  63. 宇野收

    宇野参考人 いずれも、お答えするのが非常に難しい問題でございます。  まず、複数がいいか単数がいいかという問題は、先ほど来何遍か申し上げておりますが、次にできる機関の人たちの考え方、そしてまた国会の方でのあうんの受け方というふうな問題が非常に影響されることであろうかと思いますので、一般論として言うならば、国会が決定されるわけでありますから、国会が選択をして決定されるということであれば、複数検討されるのがいいのではないかと思います。  しかし、そんなことじゃない、もっと問題が非常に複雑なんだから、できるだけの専門的な詰めをして絞った方がいいという御意見もあり得るかと思いますので、これはまさに国会と新しくできる機関との間のあうんの呼吸みたいなものが要ることで、また、そこで決められることであるという意味で、お答えにならないお答えを申し上げたいと思います。  それからもう一つは、これも大変難しい問題で、ちょっと個人的な見解をあえて申し上げるならば、専門的、中立的な機関というところに、政治先生方は専門家でもあり中立的でもあると言えますが、やはり限りなくそれから遠いということも言えますので、これは私の全く個人的な感じでありますが、政治の方はお入りにならないで、決定の方に回られた方がいいのではないかなというふうに思います。お答えにこれもなりません。
  64. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 まさに先ほど会長おっしゃっていただいたように、民主的なルールと科学的かつ理性的な判断が両立できるような方法を我々としても精いっぱい考えさせていただいて、提案できればなというふうに思っております。  もうそろそろ時間でありますからやめますけれども、先ほど村田先生から、誘致合戦をしないというお話がありました。実は、私自身は候補地と目される地域から出ている議員でありますけれども、ただ、私自身は、仮にどこへ行ったって、この国会移転というものは絶対に必要だと思っている人間であります。ですから、大局的な見地からこれから議論をさせていただきたいというふうに思っておりますので、この場で申し上げておきたいというふうに思います。  土地投機の防止の問題についてもお尋ねしょうと思いましたけれども、時間が参りましたのでここでやめさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  65. 佐藤孝行

    佐藤委員長 次に、中島武敏君。
  66. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私は、きょうの質疑に臨むに当たって、もう一度改めて調査会報告を読み返してみました。その上で宇野会長に伺いたいのです。  この報告書では、二十一世紀を展望して国政全般改革を行うということが随所で強調されております。首都機能移転は物理的な、これは物理的なんですね、物理的な政経分離を図ることにより国政全般改革を補完し、加速し、定着させるものとして位置づける、この首都機能移転はそのために極めて効果の大きい影響力を持つ物理的、具体的な手段である、こういうふうに言っております。  それじゃ、具体的に何をするのかという問題についても触れているのですけれども、この考え方に基づいて、これまで一世紀にわたって形成され、なれ親しんできた価値観やそれから経済社会システムを根底から見直していかなきゃならない、大きな混乱や痛みが生ずることも予想される改革に今日的課題として取り組まなきゃならないんだ、こういうふうに言っておられるのです。  この点で伺いたいのは、この大きな混乱や痛みが生じることも予想される改革、これは一体何を意味しておられるのでしょうか。私は、これは中曽根内閣から始まったいわゆる臨調行革路線を意味しているのかな、こう思いますけれども会長にこの点を最初に伺いたいのです。
  67. 宇野收

    宇野参考人 戦後五十年、もっと言うなれば明治政府ができて百二十年近くの間、日本のシステムはすべて西欧に追いつくということで一貫しておったと思います。途中で戦争に負けましたが、負けてから後も一貫しておったと思うのです。  そういうときにできたのが、先ほど申し上げましたように中央集権の、権限を中央に集め、財源を中央に集めということでありましたし、その集める過程でいろいろな規制があって、またその規制によってぬくもりを感じながら経済活動しておる企業があってという、現在の我々の経済活動政治活動すべてがその枠の中で動いておったという意味で、今度その枠そのものを外す、あるいは大きく変えるということになれば、当然そのすべてのリズムが変わってくるというわけでございますから、それが大きな痛みを伴うという問題の基本にあると思います。  それからもう一つは、今の財政の問題であります。これはもう今これだけの大きな赤字財政をやりながら、なおかつ、景気をよくするためにわかっておりながらも赤字財政を続けておるということでありますが、どこかでこの問題についてメスを入れなければいけない。入れるときには不況が来ますよというような問題もございますね。  そういうようなことがすべてやはり痛み、混乱を伴うという問題でありますけれども、それを避けていけるのか、それはもうかぶってでもいくのかという一つの判断をする時期に今入っておって、私どもは、それはもうかぶってでもいくんだということにしないと次の展望ができない、大変抽象的なことを申して恐縮でございますが、そんなふうに考えております。
  68. 中島武敏

    ○中島(武)委員 今のお答えは何か抽象的なお話で、具体的なことはちょっとわかりかねるのですけれども。  じゃ、もう一つ関連して伺いたいのですけれども、こういうことが書かれているのですね。二十一世紀に向けて新しい時代にふさわしい新しい経済社会を築くには、政官民の緊密な関係から生じる弊害を除去することが必要である。そのためには何が必要かということが書かれておりまして、ここには政経分離なんだという考え方が打ち出されているのですね。私は、首都機能移転して政治経済が分離される、そのことによって政官民の緊密な関係から生じる弊害が除去できるというのはよくわからない。これは会長、何を言わんとしたのですか。
  69. 宇野收

    宇野参考人 一つは、先ほどから申し上げておりますように、産業政策、経済政策というものが、キャッチアップをするために企業を育成するというようなことが規制社会の中で行われてきたわけですね。その結果、日本は大変なキャッチアップをしたわけでありますが、そのことはそのキャッチアップされる側の企業から見ると規制がある方がいいということも反面に起こってきておって、産と官の癒着というふうな面が出ておったというようなことも、これまた事実ございます。  そういう問題をこれから先続けていっていいのかどうかということになると、もうこれからはすべてもっと自由な経済活動をベースにした世界に入らないと、世界の中の日本というのはあり得ないというような問題が官と民との癒着の問題としてあった。また、その裏側に政が癒着しておったという問題もあったというようなことをその中に書いておるんだと私は思っております。
  70. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私は、首都機能移転して東京経済首都にする、それから新しい首都政治首都にする、こういうふうに物理的に分離したからといって、今会長が言ったようなことが果たして是正されるのかなということを思いますね。政官財の癒着というのは、ずばり申し上げれば、政治献金なんかは一切禁止するとか、それから高級官僚の天下りを禁止するとか、そういう本質論に迫らないとこの問題は解決できないのじゃないかと私は思うのですよね。  それから、じゃその次に伺いますが、別の問題です。首都移転を何のために行うかといえば、これはもうかねてから、また首都移転に関する法律の中でも述べられておることですけれども東京一極集中の是正、あるいは排除という言葉も使われておりますが、これだったんじゃないですか。この最終報告書に基づくやり方で、つまり首都機能移転することによって東京一極集中は解決するでしょうか。会長は解決するとお考えなんでしょうか。
  71. 宇野收

    宇野参考人 幾つか御質問がありまして、根本に触れる問題でございますが、ちょっと視点を変えて私申し上げたいと思います。  今回議論をされておりますのは首都機能移転でございますけれども、たびたび言われていますように、私は、規制緩和地方分権そして首都機能移転というのがいわば三点セットであって、この三点セットを軸にして新しい二十一世紀日本の姿を描くということが必要だというふうに考えておるのです。それで、その場合の日本国というのは、やはり首都は小さな首都、そして地方はできるだけ自治権を持った地方にするということが二十一世紀日本ではないか。  そういう面から見ますと、政経を分離して首都をつくると言いますけれども、要するに経済はもう自治で自由にやりなさい、規制はできるだけない形で経済活動をしなさいということでありますし、首都は今ある首都のような大きな機能をそのまま持っていかなくても、首都機能ができるような、小さな首都にしてしまうほど規制の緩和をすればいいのではないかということでございますから、そういう意味政経分離というのは私はでき得ることだというふうに考えております。
  72. 中島武敏

    ○中島(武)委員 これもちょっとわかりにくいのです、会長がおっしゃっておられるのは。小さな政府をつくる、それから地方自治権を充実する、それで首都移転する必要はあるのでしょうかね。ですから、どうも今会長が言われたのは、それだったら首都をむしろ移転しなくてもよろしいのじゃないかという感じさえするのです。  私、この報告書を見ますと、報告書自身がどの程度の一極集中の是正、過密の解消になるかということを述べている部分があります。これによりますと、霞が関、永田町付近のピーク時における地下鉄の混雑率は一〇%程度緩和するというのですね。それから自動車交通でいえば、首都高速道路環状線の交通量が三%程度減少する、こう言っているのですね。私は、これは本当に少ないのじゃないかと思うのです。  東京都もアセスメントをやっています。その調査結果はこれまで三回にわたって発表されましたでしょうか、それによりますと、鉄道の混雑率は一九四%から一九二%になるだけである、新聞も読めないという状況は何ら変わらないということを報告書で述べておりますね。私は、そういう点からいうと、一極集中の是正とか排除ということは、今度の調査会が出されておられる首都機能移転によって解決しないのじゃないか、端的に申しますと。  それどころか東京経済首都にする、こう言っているわけですね。経済首都にするということになったら、具体的に考えるとどうなるか。現在、政府の政策、方針として、首都改造計画がかつて発表されて、これに基づいて業務核都市を二十三区の周りに五つですか、つくるということになっていますね。だから、ますます集中が激しくなってくる。東京二十三区じゃないかもしれないけれども東京都全体あるいは東京圏に過密が拡大をするということになるのと違いましょうか。  私は、そういう点からいうと、こういう問題についてどの程度真剣に調査会の中で検討されたのかなと疑問さえも感じるのですね。どの程度検討されたものでしょうか。
  73. 宇野收

    宇野参考人 東京都のこれからあるべき姿というのは、私どもは理想図を描いております。したがって、これの非常に細かい詰めというのは、率直に申し上げて、そこまで十分な詰めば議論している時間はなかったのが実情でございます。  ただ一つ申せますことは、先ほどちょっと触れられました地方分権という問題と規制緩和という問題をやりますと、地方分権というのは、ある意味で目に見えない遷都をしているのと一緒なんですね。したがって、今まで東京と地方との格差がどんどんつくほど東京にすべての権限が集まり財源が集まるというのが、地方の方にも財源を割り、地方にも権限を渡し、さらにまた官でやっていたのを民に渡すというふうな形のものが進むわけでありますから、そんな意味で、東京都は、首都が移らなくてもいいのじゃないかという議論も一方であります。  そこで、私は、そういう大きな時代の変化が出てきましたときに、首都は今度かわりましたよということが日本の皆様の意識をどれだけ変えるかという歴史的な意味が非常に大きいということを、先ほど来再々申し上げておるわけです。これはまた司馬遼太郎先生が非常に強く意識した問題でございます。  私は、この際、政経分離をしてでも首都を移すということで人々の気持ちを変えるということが、実は新時代に入る最も大事なことだ。といいますのは、多少進みますが、地方分権をやりまして、いろいろやっていこうということを議論しておりますが、その議論をしている割合に、一般国民皆さんが燃え上がって、私たちは自治を取り上げようというところがまだ余りないのですね。これがなければ本当の自治にならないと思うのです。それを持ってもらおうという意味での、国民意識を変えるために、首都が移るということが非常に大きな意味があると私は思って、司馬遼太郎先生の言ったことに対して大変な賛意を表したということでございます。
  74. 中島武敏

    ○中島(武)委員 今会長が言われたのは、別に何か東京から首都を移さなくたってできることなのと違いますか。どうも不思議なんですよ。どうもそういう話を聞いていると、私は、首都移転が先にありきかなという感じがしてくるのです。スリムな政府をつくるとか、あるいは地方分権、あるいは地方自治体に権限と財源をうんと任せる、こういうことは、何も首都をよそに移さなくたってできる話とは違いましょうか。私は、そういう話を聞くとますます、首都移転必要性はまるきりないのじゃないかな、そういう気に私は会長の話を聞いているとなるのですよ。どうも妙な感じがするのです。  次、もう一つ伺いますけれども首都移転問題の旗印の一つは何かというと、さっきの一極集中問題。それからもう一つは何かといえば、地震対策ですね。そこで聞きたいのですけれども首都機能東京に置いたまま危機管理機能強化するということについてどのような検討がなされましたか。これを伺いたいのです。
  75. 宇野收

    宇野参考人 危機管理問題は、神戸の地震があって以来、いろいろな検討がなされました。幾つかのテストの結果のこういう一つの案だというものも、東京の中でもできていないわけではございません。しかし、非常に今問題なのは、これだけ過度に集中した中でいかほどそういう危機管理をやっても、果たして危機対応ができるのかということについて疑問が残ったという問題が一つございます。  それからもう一つは、先ほどの御質問の中に実は入っておりました、それだけスリムになったらもう首都はここにおってもいいじゃないかということであります。  これは中島先生にも御意見がおありと思いますけれども、今、日本の官庁二十一省庁ですか、ありますね。それをスリムにしたもので残れるというふうなことを東京の中でできるかどうかということは大変疑問ではないか。仮に言うなれば、新首都には八省庁なら八省庁が行ったらもうそれで首都機能が果たせますというような絵が描けておったとしても、東京の中におったらそれは非常に難しいことではないか。これを宿がえするということになれば八省庁になるよというようなことがあるのではないか。  と思いますのは、今ドイツで、ボンからベルリンにまたさらに移転する問題が起こっておりますが、そのときでも、やはり移っていくことによって大変スリムな状態になっておりますので、そういう意味で、首都が移るということの波及効果というのは私はあると思います。
  76. 中島武敏

    ○中島(武)委員 時間がなくなってきましたものですから、どうしてもこの議論を続けたい気持ちはあるのですけれども、ちょっと打ち切らせていただいて、もう一つ最後に伺いたい問題があるのです。  その前に一言だけ申し上げておきますと、首都機能地震対策の問題なのですけれども、これをよそへ移転する、なるほどそれば政府の危機管理体制はあるいはできるかもしれないのです。だけれども、三千二百万の東京圏の人間は一体どうなるのか。これだけの過密は、好きこのんで都民や県民がつくったものじゃないのですね。それはやはり政府の政策なんですよ。それは、そういう点の責任というようなものもやはり十分考えて対策をとらなければならない問題じゃないかと私は思います。  それで、最後に伺いたいのは、ほかでもないのですけれども、費用の問題。首都機能移転することによってかかる費用なのですが、報告書には記載されていないのですね。それで、記載されているのは「その詳細なあり方については、今後適切な時期において検討されることが望ましい。」こういうふうにあるだけなのです。「詳細なあり方」、こうあるのですけれども、詳細でないものは検討されたのですか。試算されましたか。
  77. 宇野收

    宇野参考人 調査会の前に八十島懇談会というのが先行してございまして、その時点一つの概算計算をしております。その概算計算をそのまま私どもは踏襲しておるわけですが、具体的な金額は十四兆円という金額が出ておりました。しかし、これは精査した結果でございませんから、あえて取り上げておりません。しかし、大体十四兆、あるいはそれに多少ふえるというような金額が一つの想定の基礎になっておったということでございます。
  78. 中島武敏

    ○中島(武)委員 十四兆のお話は私も知っているのですが、今の会長のお話では、調査会としてはこれは検討していない、前のものを引き継いでおられるということでございますね。  これだけのビッグプロジェクトなんですよ、結局。超大型のプロジェクトになりますよね。これは一体どれぐらいお金がかかるのか。空港は一体どれぐらいかかるのか、それから新幹線や高速道路は一体どれぐらいかかるのかというようなことをまるきり計算されていない。それは、確かにどこに移るかによって違いが出てきますよ。出てきますけれども、そういうものを考慮しても、十四兆だけじゃなくて、それにどれぐらいかかるんだというようなことは、やはり調査会ですから、移転させるというのですから、財政の問題を抜きにして決められるものじゃないと私は思うのです。そういう点では、幾らか無責任じゃないかな、私はこういう感じがするのです。  実際、財政審の建議も出されましたし、また、大蔵大臣も財政危機宣言をやっているわけですね。来年度の末になりますと、二百四十兆円の国債残高になるわけです。それは、国民一人当たりにしますと二百万円近い借金なんですよ。もう危機宣言を発して、このままおいておいたら取り返しがつかないことになる、これが財政審の見解なのですよ。そこへもってきて、さらにこれだけのものをやるというのは、これはそんなことをやったら非常に大変なことになる。僕の率直な考えですよ。  それで、僕は何が言いたいかというと、調査会でそういう性質のものを何で検討を深めていないのかということなのですよ。そんなことを検討もしないで、国の財政が破綻している、危機宣言を出している、これをやったら破綻してしまうかもしれない、取り返しがっかなくなるかもしれない。そういうものを出されるに当たって、私はやはりそういうことについて非常にはっきりした見解を持つべきじゃないかと思いますよ。  これは財界の話、私も随分いろいろ聞きました。いろいろなものを読みました。平成のニューディールだとか、アメリカのニューディールよりもっと超えたものにするとか、これをやれば三%成長になるとか内需拡大になるとか、こういろいろ言っているのです。言っているのですけれども、財政が破綻してしまって結局何が残るかといえば、大手ゼネコンを初めとする大企業だけが富み栄える、こういうことになるのじゃないかというおそれを申し上げて、私の質問を終わります。
  79. 宇野收

    宇野参考人 大変貴重な御意見ありがとうございました。  今の試算の問題でありますが、十四兆円を計算したときには、それなりの基礎があると思います。土地の買収費、都市の造成費、それから少なくとも最小限度のインフラの費用というものが入っておったと思いますが、なぜ私どもはそれ以上踏み込まなかったかといいますと、既に申し上げたように、候補地がどこかによって非常に変わってくるのです。これがどこかによって、空港を新しくつくる必要がある、あるいはインフラも非常に大きな整備が要るということがありますから、そういうものを幾つか考えながら、試算というのをこれはやって意味があるのか、むしろこれは次の調査会一つの専門の事項としてやっていただきたい、仮にA候補地だったら幾ら、B候補地だったら幾ら、C候補地だったら幾らというふうな形の、精査した計算をしてもらいたいということが一つでございます。  もう一つは、なるほど財政危機のときに大変問題だということは私もよくわかっております。しかし一方で、これは非常に大きな公共工事なんですね。そうしますと、日本がアメリカに六百三十兆円十年間という約束事をしております。その約束事をした金額は何に使うのですかという問題になったときに、首都移転の費用がどの辺の優先度のところになるかによりますが、十年間に仮に二十兆円としまして二十兆円を使うのは、十年間に六百三十兆円という枠を約束しているのですから、それは大変な金額ではあるけれども、全然できないことではないではないかという思いがいたします。
  80. 中島武敏

    ○中島(武)委員 いろいろ意見はあるのですけれども、時間が過ぎておりますので、これで終わります。
  81. 佐藤孝行

    佐藤委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人一言御礼を申し上げます。  宇野参考人には、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十三分散会