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田中(眞)
委員 大変誠実で正直に
お答えいただいてありがたいと思います。
まさしくこの時期が、
トラベノール社の中でいわゆる憶測やうわさもあったし、また動揺と失望感と信じられない思いであった。打ちのめされたとおっしゃいましたけれ
ども、そういう誠実なメーカーが、そして、しかも
治験をすればもっと時間がかかる。
患者さんが救済をこのときに本当にされなければいけなかった一番大事な時期なんですね。ところが、このときに
厚生省が一部
業界の顔を向いていたのか。
でも、私は、
業界、
ミドリ十字に対する、結果的には同時に一緒に
治験をして開発をさせるというふうな時間を待っていたというふうなこともあるかもしれませんが、根本には、
役所の体質として、これは
厚生省に限りませんけれ
ども、本当に
役所というものは、自分が今までやってきた行政、政策を否定されるということに対しては物すごい抵抗をするものでございまして、殊にこのときは、自分たちがやってきた
血液行政、薬事行政そのものが世間の批判にさらされる、その欠陥が出る。出ることは、やはりそれはやむを得ないわけですから、それに対して臨機応変に即危機管理をするべきなんです。それは政治家も役人もそうでなければいけないのに、そのときにむしろカバーアップに回ってしまったということが、
トラベノール社の皆さんがごらんになって、普通の常識の誠実な対応から見れば、なぜここで改めて
治験までしなければいけないのかということにつながったのだと思います。
チンパンジーに対するテストもなさって、B型肝炎の発症例その他、安全について云々ということをなさったという
経緯もわかっていますし、それからまた、
郡司課長がここに来られましたときにはいろいろと弁解もなさっていましたけれ
ども、それも含めまして、このときに本当に
厚生省が、そして政治家もそうですが、当時の次官、官房長それから薬務局長、そういう皆さんの責任は極めて私は甚大であるというふうに思います。
次のお尋ねですけれ
ども、ここで今のような
状態を経た後、
トラベノール社は手も足も出ないで、言われるのを待たざるを得ないというお気の毒な
立場にあったわけですが、その年の十一月になって、
厚生省から
治験の
説明会が各社一斉に対象として行われたわけですね。横並びになってきたわけです。
そして、その結果、
加熱で一番立ちおくれていた
ミドリ十字が、ここをぜひ
社長さん伺いたいのですけれ
ども、今まで
ミドリ十字はどういうやり方をしていたかといいますと、
加熱ではないほかの方法で、非常に手おくれで、開発がおくれていたわけですが、突然、
トラベノール社と全く同じ手法で
加熱製剤を開発したわけですよね。
それを聞かれたときには、これは偶然の一致ということなのかもしれませんし、あるいは
トラベノール社から技術者が流入したのか、あるいは産業スパイでもいたのか。あるいは、私なんかが思いますのには、多分、研究班があったわけですから、研究班を通じて
トラベノール社のノウハウ、技術が、これは
企業秘密に属するパテント物だと思いますけれ
ども、それが流れて
ミドリ十字に行ったのではないか。そうでないと、同じ温度で、同じ状況で、全く同じ
加熱製剤を
ミドリ十字社がつくり上げたということは、これはとにかく信じられないような偶然の一致というふうに思いますが、そのときどういうふうに感じられましたか、それから、その
情報についてどのように感じられたか、事実関係に基づいて
お話しいただければと思います。