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1996-05-24 第136回国会 衆議院 厚生委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月二十四日(金曜日)     午前九時三十二分開議 出席委員   委員長 和田 貞夫君    理事 衛藤 晟一君 理事 木村 義雄君    理事 鈴木 俊一君 理事 青山 二三君    理事 石田 祝稔君 理事 柳田  稔君    理事 横光 克彦君 理事 荒井  聰君       伊吹 文明君    稲垣 実男君       狩野  勝君    熊代 昭彦君       近藤 鉄雄君    佐藤 静雄君       田中眞紀子君    高橋 辰夫君       竹内 黎一君    戸井田三郎君       長勢 甚遠君    根本  匠君       堀之内久男君    持永 和見君       保岡 興治君    山下 徳夫君       赤松 正雄君    粟屋 敏信君       鴨下 一郎君    北村 直人君       久保 哲司君    高木 陽介君       福島  豊君    桝屋 敬悟君       山本 孝史君    網岡  雄君       五島 正規君    森井 忠良君       金田 誠一君    岩佐 恵美君       土肥 隆一君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 菅  直人君  出席政府委員         厚生大臣官房長 山口 剛彦君         厚生大臣房総         務審議官    亀田 克彦君         厚生省保険医療         局長      松村 明仁君         厚生省薬務局長 荒賀 泰太君  委員外出席者         科学技術庁科学         技術政策局計画         課長      干場 静夫君         科学技術庁科学         技術振興局研究         振興課長    市丸  修君         参  考  人         医薬品副作用         被害救済・研         究振興調査機         構理事     佐藤 良正君         厚生委員会調査         室長      市川  喬君     ————————————— 委員の異動 五月二十四日  辞任        補欠選任   稲垣 実男君    佐藤 静雄君   大野由利子君    高木 陽介君   田邊  誠君    網岡  雄君   枝野 幸男君    金田 誠一君 同日  辞任        補欠選任   佐藤 静雄君    稲垣 実男君   高木 陽介君    大野由利子君   網岡  雄君    田邊  誠君   金田 誠一君    枝野 幸男君     ————————————— 五月二十三日  薬事法等の一部を改正する法律案内閣提出第  七六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  医薬品副作用被害救済研究振興調査機構法の  一部を改正する法律案内閣提出第四三号)      ————◇—————
  2. 和田貞夫

    和田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出医薬品副作用被害救済研究振興調査機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  本日は、本案審査のため、医薬品副作用被害救済研究振興調査機構理事佐藤良正君に御出席をいただいております。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。根本匠君。
  3. 根本匠

    根本委員 自由民主党の根本匠です。  私は、今回の法改正背景になる基礎研究予算等々の考え方について御質問したいと思います。  科学技術創造立国は、今の橋本政権の大きな柱でありまして、将来の日本経済を展望すれば、取り組むべき喫緊課題だと私は思っております。私も、この問題に今まで大きな関心を持って取り組んでまいりましたが、我が国が立ちおくれている基礎研究分野に国家的な投資が必要ですし、科学技術創造立国に向けた戦略的な政策対応が必要だと考えております。  本年度予算で講じられた六省庁の三百二十億円の基礎研究推進事業、これは、政治がリーダーシップによって、政治主導予算化し、将来の科学技術創造立国へ道筋をつけたものであります。私は、この六省庁を通じた共通する理念、政策を整理して、基礎研究から将来の新産業、新分野創出に結びつくシナリオと政策体系の構築が必要だ、このように考えております。  特に厚生省が担う分野、これは、欧米先進諸国が注目して力を入れている生命科学分野ライフサイエンス分野でありますし、国民の健康、安心にとって不可欠の医療分野であります。しかも、産業政策的視点から見ますと、これからのニーズの大きい、そして国際競争の激しい医療機器医薬品分野ですから、厚生省役割は大変大きいものと思っております。  ですから、今回の予算、単に、基礎研究費として十億円、これを一件当たり一億円の研究費で配分しましょうとか、あるいは研究してくださいというところにとどまることなく、これを医療政策上明確に位置づけて、医薬品医療機器産業政策と関連づけながら、画期的新薬など将来の新産業、新分野創出に結びつくように立体的に構想して、大きな政策体系を構築していく必要がある、こう私は思っておりまして、今回の機構法の一部改正機構業務拡大という法改正でありますけれども、私は、特にこの背景になる内容を明らかにしていきたい、こう思っております。  このような問題意識に立ちまして、大きく分けて言いますと、三つのポイントから質問いたします。一つは、基礎研究あり方、もう一つは、産官学連携研究体制活性化あり方、もう一つは、産業政策考え方、この三つジャンルでこれから質問していきたい、こう思います。  まず最初の質問でありますが、今回の十億円の予算基礎研究推進事業医療政策上の意味をお伺いしたいと思います。厚生省がこの分野において基礎研究を重視し、そしてこれから取り組もうとする医療政策全体における位置づけ、意味を明確にすべきだと考えておりますが、この考え方についてお伺いしたいと思います。
  4. 菅直人

    菅国務大臣 今、根本委員の方から、基礎研究重要性について、全体としても重要であるし、特に今回お願いしている法案で受けとめようとしている、厚生省に関連した基礎研究についての重要性を御指摘いただきましたが、私も全くその点では同感でありまして、特に我が国のような資源のない国でこれから発展する分野としては、いろいろなハイテク分野がありますけれども、医薬品あるいは医療機器分野というのは非常に大きな可能性を持った分野だと考えているところであります。  そういった点を踏まえて、科学技術というのは、人類の将来の発展のための基盤であり、共通知的資産であることから、積極的にその振興を図らなければならないことは、昨年十一月に制定された科学技術基本法においても明確に規定をされており、国の果たすべき役割重要性も挙げられているところであります。  保健医療分野においては、いわゆる三大成人病や老人性痴呆予防治療技術研究は、高齢化社会を迎えた我が国の重要な課題であり、また、エイズ研究及び治療薬開発喫緊課題であると考えております。これらを含め、こうした課題に対応するためには、遺伝子レベルの解析や免疫システム研究といった基礎研究が果たすべき役割はますます増大していると考えております。  しかしながら、我が国における政府研究投資欧米諸国比較して十分とは言えず、本法案をてこに国が今後積極的な役割を果たしていかなければならないものと考えております。  今後、保健医療分野研究共通基盤となる基礎研究を推し進め、その成果を応用、あるいは開発技術に発展させ、画期的な医薬品医療機器開発を初めとした我が国医療の飛躍的な進歩を図るためにこの制度活用されることを期待いたしております。
  5. 根本匠

    根本委員 私も大臣のおっしゃるとおりだと思うのですが、今回の基礎研究振興法によって、国民健康水準向上しますし、さらに言えば、これを通じて将来の医療費の削減にもつながると思います。  それから、私が今回のこの予算に注目しているのは、やはり全体の医療政策の中で、今回、医学生命科学研究振興を柱として、前から多少はあるのですけれども、これを明示したというところに意味があるのだろうと思っております。これまでの日本医療政策医療サービスの提供は、医療費の問題、これが重要関心事でありました。医療への国民アクセスを保障するという意味では、医療保険政策重点がありましたし、医薬品の安全、価格に関する官主導による規制政策的な志向が強かったのだろう、こう思っております。  私は、今回の予算で非常に注目すべきは、医学研究医療の質、この面では実はアメリカにも政策的対応でおくれていたわけでありますが、今回、医療政策の柱として基礎研究を重視して医療の質に焦点を当てた、これが画期的だと思っております。ここはやはり日本がおくれている分野ですからもっと充実していかなければならない、こんなふうに思っております。  それからもう一つは、今まで我が国医療政策国際経済というような国際的視野を欠いていたのではないか、こう思っておりますが、基礎研究の重視を通じて将来の産業の活力の維持、あるいは国際競争力などの産業政策もこの全体の取り組みを通じて視野に入れるということが非常に重要なのだろう、こんなふうに思っているわけであります。  次に、この基礎研究予算について、従来、厚生省では厚生科学研究費という既存の研究予算がありましたが、こういう従来の研究予算比較して、今回の基礎研究予算意味とそれから中身を明らかにしていただきたいと思います。
  6. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 厚生科学研究費につきましては、国立試験研究機関あるいは大学等研究者業務として行っております研究課題のうち、厚生省推進すべき課題についての研究費の一部を補助する制度でございまして、一課題当たり研究費も年間約二、三百万円程度でございまして、大型基礎研究ができないという制約がございました。  今回創設をいたします制度におきましては、新しい研究課題について専念ができる研究班を編成して、そしてマンパワーを集中的に活用し、また、先端的な実験機器を購入して大型基礎研究を行うというところにねらいがございます。一課題当たり年間約一億円の研究を数年間行うということで、その研究費の全額を国が支出するということでございます。  その成果につきましては、特許等知的所有権として確保するということで、その成果を積極的に普及いたしまして、将来の国民全体の共有する知的な資産の確保、形成に努めることといたしております。
  7. 根本匠

    根本委員 厚生科学研究費は要はフォーミュラベースだし、基礎研究推進事業プロジェクトベースだということで、私は、この基礎研究推進事業、特に一億円という大型で、しかも一番いいのは、研究員の雇い上げが可能になるし、共鳴した人たちが集まって大きくする仕組みが可能になったというところで、今までの厚生科学研究費と違って大きな意味がある、こう思っております。  ですから、この基礎研究推進事業は非常に大切にして進めていかなければならない、こう思いますが、具体的に、テーマ設定あるいは選定方法がどうなっているのか、これをお聞きいたします。  まず、テーマ設定に当たっては、私は、やはり国家戦略的な視点からのテーマ設定が必要だろう。それからもう一つは、同時に、研究者自主性とか自発性を尊重しながら、個別の提案を含めて見返りを求めない好奇心誘導型の研究開発、こんな研究開発も必要だろうと思っておりますが、要はテーマをどのように提示していくのか。それからもう一つは、提案募集型ということのやり方でやりたい、こういうことであります。  提案募集型は、民間の創意工夫を発揮させたり、あるいはアイデアに共鳴した人が集まって大きくするような仕組みですから、これは非常にいいやり方だと私は思いますが、公募したテーマをどうやって選定して決定していくか、この具体的な方策、これが大事だと思います。科学的で公正な選定方法、これが必要だと思いますが、この点についてどのようにお考えでしょうか。
  8. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 今回の制度におきましては、重点研究分野をあらかじめ医薬品機構が示しまして、これに対して広く研究課題を公募することにしております。重点研究分野といたしましては、脳・神経関係でありますとか老化の関係、あるいはエイズ医用工学技術等考えておるわけでございます。  この研究課題採択当たりましては、従来の研究では解明が進まなかった分野につきまして、分子生物学的な研究といった斬新なテーマ採択してまいりたい。これはその事業成果を上げる上で極めて重要であるというふうに認識をしておるわけでございます。  具体的には、第一線の若手研究者によります評点制度、ピァ・レビューと言っておりますが、そういった評点制度を導入いたしまして第一段階の選定を行います。さらに、非専門家を含めた有識者から成る委員会におきまして、倫理面あるいは社会的な側面からの必要性も含めて採択の可否を決定する、そのようなプロセスを考えておるわけでございます。  このような方法によりまして、独創的な発想を持った若手研究者によります先端的な研究が積極的に推進できるものと期待をいたしております。
  9. 根本匠

    根本委員 私は、ピア・レビュー方式を導入する、これも非常にいい方法だと思います。それから、有識者判定機関第三者機関、これも大事だと思いますので、ぜひこの運用を的確に行って、独創的な研究が生まれるように重点的にやってもらいたい、こう思います。  次に、研究成果評価及び活用方法についてお伺いいたします。  やはり具体的な独創的な研究をやってもらおうということでありますから、研究成果をどのように評価して活用するか、これも大事だと思います。研究成果知的資産を形成して国が確保して共有する、こういうことでありますが、この成果の普及、実用化、これが非常に重要だと思うのですね。  私は、これは六省庁それぞれでやっていくわけでありますが、六省庁それぞれの研究成果を、研究機関研究者評価も含めて情報を提供し評価するようなシステムが必要だろう。ここではむしろ、六省庁がいろいろやるわけでありますから、少し競争原理などを導入してこの辺の研究成果評価活用方法にどうインセンティブを与えていくか、これが大事だと思いますけれども、この考え方についてお伺いしたいと思います。
  10. 菅直人

    菅国務大臣 今、本研究事業において採択された課題研究成果について、その評価あり方などのお尋ねであります。  この研究結果につきましては、医学等専門家はもとより他の分野有識者も含めた委員会において、その研究保健医療分野共通基盤として独創的な新技術、新分野創出等に資するかどうかを、社会的及び倫理的な配慮も踏まえ、長期的観点に立って評価することといたしております。これはテーマ設定でもそうでありましたが、やはり同じように、評価の場合も、ピア・レビューなども取り入れた評価にしていきたいと考えております。  さらに、その成果研究機関企業等において積極的に活用され、難病や老人性疾患に対する予防治療方法開発エイズ発症予防治療薬開発人口臓器やQOLの向上に資する治療機器開発等国民保健医療水準向上に寄与するよう、この成果をつなげていくように努力したいと考えております。
  11. 根本匠

    根本委員 私は、この成果活用というのが非常に重要な分野だと思いますので、ぜひ強力に取り組んでいただきたい、こう思います。  次に、次のステップの話として、産官学協力連携大学など研究体制活性化あり方について、科学技術庁の方にお伺いしたいと思います。  この研究予算を新産業、新分野創出につなげようということでは、基礎研究への支援と同時に、研究体制として産官学大学国立研究所特殊法人企業、こういった分野連携協力、そして資金と人との相互交流、協力し合う体制づくり、これが必要だと思います。これは、一方では産官業癒着などと言われる可能性も、危険性もある分野でありますが、私は、これを前向きにとらえて、その辺はチェックしながら、この産官学連携研究体制活性化ということをやっていくことがぜひ必要だ、こう思っております。  例えば、アメリカではこの分野は大変進んでおりまして、大学研究者あるいは大学と数多くの研究協定企業が結んで技術シーズヘアクセス拡大し、産官学が相互連携的な技術共同体、こういうものも形成しているという点もあります。それから、大学での地位を保持したままスピンオフしていく、それで企業をスタートさせる、こんな動きも出ておりますし、ベンチャー企業への投資に利益、損失双方税制優遇措置、あるいは資本市場におけるファイナンスが容易である、こういう点で非常にアメリカあたりは進んでいるわけであります。  私は、これからの日本産官学連携あるいは大学などの研究体制活性化として、今後取り組むべき課題としては六つぐらいあると思っております。  一つは、社会ニーズを反映した基礎技術開発推進国立大学との共同研究実施形態弾力化国立大学からの企業への技術移転促進教官兼業規制の緩和、あるいは働いた者が報われるようにインセンティブを付与する、要は国立大学企業との共同研究成果教官個人にも帰属するようなことも考える必要があるのではないか、それから、研究者評価をどうするか、ポストドクターの育成、こういったいろいろな課題があると思います。  今、科学技術庁が総括的な官庁として、この産官学連携大学研究機関活性化で対応しておられますので、この考え方と、具体的にどのようなことを今検討しているのか、これについてお伺いしたいと思います。
  12. 干場静夫

    干場説明員 御説明申し上げます。  先生ただいま御指摘産学官連携交流につきましては、昨年制定されました科学技術基本法に基づきまして科学技術基本計画検討を行っているところでございますが、現在、科学技術会議のもとにあります総合計画部会で、その科学技術基本計画審議が行われているところでございます。  この中でも、産学官連携交流促進を図ることは我が国研究開発活性化を図る上で重要な事項の一つであるというふうに認識しておるところでございます。産学官人的交流促進いたしますことは、研究者創造的能力を酒養する、また発揮させるという機会を与えるとともに、さまざまな交流を通じまして研究成果移転を可能にする、そういったような効果もございまして、その促進のための方策について検討を行っているところでございます。  また、先生指摘ポストドクター等若手研究者の活躍の機会拡大、あるいは産学官の広範な研究者が競争的な条件下で活動し得るような基礎研究のための研究費の充実、そういったことについてもあわせて検討しているところでございまして、今後さらに検討を進めまして、政府として、できるだけ早い機会計画をまとめてまいりたいというふうに存じておる次第でございます。
  13. 根本匠

    根本委員 まだ基本計画が固まっていない、検討中ということで、個別の話が余りなかったわけでありますが、今検討中ということですから、私はぜひ、これは政治の責任でもありますけれども、個別の具体的な課題をこれからきちんと詰めていっていただくように要望いたします。  それから、厚生省で、この産官学連携観点から、出資制度という方式調査研究を進めておられますが、その内容についてお伺いします。
  14. 菅直人

    菅国務大臣 今、産官学のいわば有機的な連携必要性について御指摘をいただきまして、私は、有機的な連携というのは不可欠だと思っております。もちろん、そのことと、いわゆる癒着と呼ばれるような関係ではない形の透明性を確保するということは、これはまたこれで当然のことですが、やはりそれぞれの立場のよさを生かした形での有機的連携が必要だと思っております。  こういった目的のために、厚生省では、研究企業医薬品機構共同出資により設立した研究法人に行わせる産業投資特別会計による出資事業を進めておりまして、そうした産官学連携推進にも努力をいたしております。  今回の基礎研究事業による成果のうち、より具体的な製品開発が期待できるものについては、出資事業等により積極的に支援を行い、国民保健医療水準向上を図ってまいりたい、こう考えております。
  15. 根本匠

    根本委員 ありがとうございました。  それでは、最後のジャンルになりますけれども、これからの医薬品医療機器産業産業政策産業ビジョンについてお伺いしたいと思います。  私は、これからの医薬品医療機器産業をどのように活性化振興させていくのか、あるいは、激しい国際競争の中でどのような産業ビジョンを持って産業政策を打ち出していくのか、これが大事だと思うのです。  我が国医薬品メーカー特徴は、全体の生産高は五兆七千億円で、世界第二位の市場規模、非常に市場規模が大きいわけです。ただ、企業規模とか収益力は個別の企業を見ますと欧米企業におくれておりますし、貿易収支が入超でありますから国内市場への依存度が高い、こういう特徴がありますし、産業別欧米企業との比較でも、日本薬産業分野というのは比較劣位産業にある、こんな状況になっております。  それから、医薬品産業というのは研究開発型で、本来であれば日本が一番得意とすべき分野であります。研究開発費売上高比率は、ほかの日本産業と比べますと当然一番高いわけでありますが、欧米企業と比べますと大差がないけれども、欧米の大きな企業等々と比べますと額において大きな開きがある、こういう産業上の特徴があるのですね。  特に、欧米あたりを見てみますと、欧米製薬企業MアンドAが今非常に活発に行われております。一方では、ベンチャーも出ておりまして、アメリカ株式公開企業のうち売上高伸び率の高い企業四十社中、健康・医療関連が十二社と三割を占める、こんな状況も出ておりまして、欧米製薬産業医療産業に非常に活発な動きが出ている、こんな状況にあるわけであります。  ですから、これからの課題としては、人口高齢化医療ニーズの変化に対応して医療の質を高める、これが当然必要なわけでありますけれども、国際競争力観点からも、医療医薬品全体の産業生産性を高める必要があるのではないか。その意味では、医薬品産業等の将来の産業ビジョンをきちんとつくって、産業政策を打ち出していく、こういうことが必要だと思いますが、この点のお考えをお伺いしたいと思います。
  16. 菅直人

    菅国務大臣 今委員の方から、特に国際的な競争社会の中でのこの分野日本のいわば立ちおくれということを御指摘をいただきました。  私も、この分野関係の皆さんの話を聞いてみて、何かやはり日本のこの分野も、よく言われる護送船団方式、これは金融機関で言われておりましたが、医薬品医療機器分野でも多少そういう傾向があったのではないか。つまりは、国内では確かにそれなりの収益を上げている大きな製薬メーカーはたくさんあるわけですが、しかし、それが必ずしも世界のマーケットの中で通用する医薬品などが提供できているかというと、それほどの数に上っていない。  そういったことを考えますと、やはりここでは、もう少し研究開発意味でのインセンティブが働くような施策も必要ですし、場合によっては、結果において護送船団になっているいろいろな規制や保護のようなものなどももう少しきちんとしたルールにして、国際的にも通用するし、外国から見ても日本制度透明性が高いと言われるようなものにしていかなければならないのではないか、こんなことを感じております。  そういう中で、基礎研究について国が積極的に取り組むということを今回の法案でもお願いしておりますし、国際的な調和に配慮しつつ、将来の規制内容や時期を明示していくといったことが必要である、また、医療環境の改善を含め、国際的に評価されるような治験の実施、さらには、画期的新薬評価され、研究開発インセンティブが働くような薬価基準制度の改善などが必要ではないかと考えております。  現在、医薬品及び医療機器研究開発の将来ビジョンを作成するために、創薬ビジョン委員会及び医療機器政策検討会において検討を行っており、本年六月をめどに報告書を取りまとめる予定になっておりまして、この報告を踏まえながらより具体的なビジョンを作成してまいりたい、こう考えております。
  17. 根本匠

    根本委員 私も、これからの将来ビジョンに期待したいと思います。  それから、時間がなくなってきましたので、細かく言えば三問、大きく言えば二問お聞きしたいと思います。  一つは、今大臣の答弁にも出ておりましたけれども、私は、産業政策のビジョンをつくる、これは非常に重要だと思います。  それからもう一つは、では、その産業ビジョンをつくった場合に、これを具体的にどのように実現していくか、産業政策のツール、手法、これが大事だと思うのですね。日本医薬品産業産業政策政策手法、政策ツール、手段を考えますと、これは薬価基準と臨床試験のあり方、特に薬価基準の決め方がある意味では日本産業のありようをこれまで規定してきたのではないか、いや、むしろこれが非常に大きな要因だと思います。薬価基準をどうつくるかによって日本産業の具体的なあり方が決まってくる、こういう側面が非常に強いと思うのですね。  日本の薬の問題点として一般に指摘されていますのは、日本は使われる薬の量、種類が非常に多い。それから値段も、たくさん使って売れれば普通なら値段が下がるけれども、下がらない。あるいは反面で、長い間使われて、いい薬であっても、安くなると製造されなくなってしまう。こういうことが指摘されておりまして、私は、この薬価基準の問題が非常に大きいのだと思うのです。  それからもう一つ、臨床問題。この問題では、日本の臨床データが欧米では通用しないで、国産の薬が有効性の証明が十分でないために認められないという例も出ておりました。  私は、ここの薬価基準と臨床試験のあり方、これが大事だ、こう思います。特に、画期的な新薬の開発を将来進めようということであれば、新分野、新産業創出視点から薬価基準のあり方を再検討すべきだと思いますし、臨床試験も国際的標準化の動きがありますから、医薬品産業の改革を促すという視点も含めて新薬の臨床試験のあり方を点検すべきだろう、こう思います。  それからもう一つ、これは一番最後にお聞きしたいわけでありますが、今回の法改正背景にある基礎研究推進事業、これは基礎研究内容の充実に重点を置く、これは当然でありますし、私も、この事業予算は将来さらに増額していく必要がある、こう思います。  基礎研究への国家投資を契機に、私は、厚生省分野で、基礎研究の重視から産官学協力のあり方大学等研究体制活性化を含めて、国際競争の中で医薬品産業の将来ビジョンをどう描くか、この政策手法として薬価基準等をどう考えるのか、それぞれの全体の施策の関連を明らかにしながら、言うなれば医療科学技術創造立国の全体の政策体系を構築すべきだ、こう思っておりますが、この点についての大臣の決意をお伺いして、私の質問を終わりにしたいと思います。
  18. 菅直人

    菅国務大臣 今御指摘をいただいた薬価の問題が医薬の開発インセンティブに非常に影響を与えているという認識は、私も最近特に強く持つようになりました。そういった意味で、今、厚生省の中にも薬価差益の問題のプロジェクトをつくりましたが、これは単に薬価差益をどうするとか、薬価をどうするということだけではなく、今委員の御指摘のあったような問題まで含めて見通して、本当に国際的に、あるいは患者の立場から見ていい薬を開発なり製造なりができる、そういう体制が維持できるようにということで、そういうものも視野に置いて議論をしてほしいということで、今一つのプロジェクトをつくっているところであります。  また、治験における被験者の安全確保、特に臨床試験のデータの信頼性の向上などについては、この国会に同時に薬事法の改正案も出させていただいているところですが、これによって我が国の治験、承認の審査を欧米並みの水準に引き上げていきたい、こう考えているところであります。  また、日本科学技術立国という点で、この医薬品あるいは医療機器分野が重要であるという認識は私も全く同感であります。  具体的には、今回の基礎研究事業を初め厚生科学研究産官学連携による出資事業企業に対するオーファンドラッグ支援事業等の研究支援策、承認審査、薬価基準等の関連諸施策を効果的に組み合わせまして、同時に、いろいろな、国民の皆さんに納得ができる透明な制度とすることも含めて、そういう中で積極的に取り組んでまいりたい、こう考えております。
  19. 根本匠

    根本委員 ありがとうございました。
  20. 和田貞夫

    和田委員長 山本孝史君。
  21. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 新進党の山本孝史でございます。  おはようございます。きょうは、この法案審議に資するために、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構から佐藤理事にもお越しをいただいております。ありがとうございます。お世話になります。  まず冒頭、大臣にお伺いをいたしますが、今回この改正を要します。その背景と、この改正が目的としているものは何なのか、そこのところを御説明をお願いします。
  22. 菅直人

    菅国務大臣 科学技術立国という点で、日本がある時期までは欧米を、どんどん追いついていき、あるいは部分的には追い越していったという認識があったわけですが、近年になりまして、逆にまた追い抜かれているのではないかという危機感もありますし、そういう点では、科学技術研究にある程度力を注ごうというのがかなり国会を中心に各党の共通認識になってきたのではないかと思っております。  そういう中で、今回、基礎研究推進のための制度を各省庁にまたがってつくっていただいた中で、厚生省においても保健医療分野における基礎研究推進事業というものをお認めいただいたわけであります。そういった点で、今回は、この保健医療分野における基礎研究推進する、そういう目的に沿ってこの機構活用して進めていきたい、このことが、この法案といいましょうか、の背景考えております。
  23. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 欧米諸国に比べて日本研究開発費への支出が少ない、かねて言われていることですけれども、その点を若干なりとも今回の改正で補っていこうと、国が、政府がこういう研究費を出すということについては私も賛成なんですけれども、しかしながら、この医薬品機構法を改正していくということに伴ってのいろいろな問題もあろうというふうにも思います。この際、これまでの救済給付事業についても、その状況をお聞かせをいただきたいというふうに思っているわけです。  五十四年に、医薬品副作用被害救済基金法という形でスタートをいたしましたけれども、六十二年の改正で、医薬品副作用被害救済研究振興基金法に改正になりました。平成五年の改正で、医薬品副作用被害救済研究振興調査機構法というふうに名前が変わりました。今回、薬事法が出ておりますので、さらに新しい業務が追加されることになります。改正されるたびに、この団体の名称が、法人の名称が長く長くなっていって、業務がどんどんどんどんふえていく。  この機構法を見ましても、第二十七条のところに「業務」というのがあります。「目的」は、第一条に二項目しかありません。一項目は被害者の被害の救済とその他の事業ということになっておりますが、二十七条の「業務」を見ますと、この第一条一項に関する業務は四項目、四号までの規定、第一条第二項に関するものについては二十七条の二項で十二号まで、三項で三号まで、四項で三号までというふうに、こちらの方の業務がどんどん大きくなってきている。  こういう医薬品副作用被害救済基金という形でスタートした機構にどんどん業務を追加していくことが適切なのかどうかというところに疑問を感じているわけですけれども、その点、大臣はどのようにお考えでいらっしゃいますか。
  24. 菅直人

    菅国務大臣 私の記憶が間違っていなければ、これは、スモンの問題が起きたときに、いろいろ裁判手続などで救済に時間がかかるというところの反省から生まれてきた機構だというふうに認識しております。そういった点では、確かに当初の副作用被害の迅速な救済を目的にするという制度に幾つかの機能を順次加えてきているわけでありまして、そのことが積極的な意味で適切であったかなかったかということは、あるいはいろいろ考え方はあるかと思いますが、一つは、行政改革といったような観点も含めて、今日の時点では、やはりこの機構に幾つかの機能を受け持っていただくことが相対的には適切であったろうというふうに考えているところであります。  そういった点で、多様な行政ニーズに対応して、医薬品等に関する業務のうち、国が直接携わるものよりも民間の事業として実施することがより効果的と考えられる業務について、同時に専門的でかつ厳正中立といいましょうか、民間的といっても、いわば行政にある程度近い形で実施できる主体としてこの医薬品機構を位置づけてきているものであります。厚生省が薬務行政のグランドデザインを描くという役割を担い、医薬品機構厚生省の指導監督のもとで専門性、中立性を生かしながらその業務を実施するという役割を果たすことにしておりまして、先ほど申し上げましたように、いろいろな機能を受け持っていただくことについての適否にはいろいろ考え方があると思いますが、私どもは、現時点ではこの機構に受け持っていただくのがいろいろな観点から総合的に見て適切であろう、こう考えているわけであります。
  25. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 民間でできるものはできるだけ任せていけばというような御趣旨の御発言がございましたけれども、参考人でお越しをいただいております佐藤理事にお伺いをします。  今、医薬品機構の役職員は何人おられますでしょうか。また、厚生省を退職されて行かれた方、あるいは現在厚生省から出向されておられる方はそのうち何人おいでになりますでしょうか。
  26. 佐藤良正

    佐藤参考人 機構の総定員七十一人のうち厚生省出身の数のお尋ねでございますが、役員六名のうち四名が厚生省出身でございまして、それから、職員六十五名のうち、同省より出向している者が五十九名でございます。  以上でございます。
  27. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 役職員七十一人のうち厚生省をおやめになって来られた方、あるいは厚生省から現在出向の方を合わせまして六十三人、そうしますと、七十一人中八人の方だけが厚生省の方ではないというふうに思うわけですね。  役員、理事長一人、理事四人、監事一人の六人ですけれども、このうち厚生省が四人、あとの二人はどこから来られておられるというふうになるのでしょうか。
  28. 佐藤良正

    佐藤参考人 役員の六名のうち残りの二名は、総務庁が一人、それから大蔵省が一人でございます。
  29. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 理事の方は全員官庁の御出身、職員の方もほとんどが厚生省からの御出向、五年を超えると年金の問題があるので厚生省から来られておられるのは大体平均二年というふうにお伺いをしていますけれども、ほとんど厚生省のいわば外郭といいましょうか、厚生省医薬品機構分室といいましょうか、という形で運営をされているわけですね。厚生省とほとんど同じであるというふうにも考えてもいい、そういうふうに思うわけです。  大臣、今の数字をお聞きいただいたと思いますけれども、前回改正、平成五年の改正でございますけれども、その折に  この基金という機構にそういう業務をどんどん  付加していくことが、本来のあり方として適切  なのかどうかというところが、いろいろ説明を  聞いていても疑問になるわけであります。あるいは  先ほどからしきりに行革の趣旨からいってとか  総定員法からいってとか、全然副作用の問題と  は関係のない趣旨の方が中心になってこういう  ふうな改正法が出されてきているということに  ついては、かなり疑問があるというふうに率直  なところ言わざるを得ないわけであります。という御発言があります。  この御発言に御記憶ありますか。大臣にお伺いします。
  30. 菅直人

    菅国務大臣 私がどの場面で発言をしたか、正確な記憶は率直なところ今ありませんが、あるいはそういう発言をしたかもしれないというふうには思います。  ですから、率直に申し上げて、先ほど来申し上げておりますように、この機構にいろいろな機能を持たせることについていろいろな議論があることは私も承知をしておりますし、そのことが絶対的な意味で一番いいということなのか、あるいは現実のいろいろな機能を受け持つ中で、先ほど委員もおっしゃいましたように、例えば厚生省の薬務局なり、あるいは他の部局を創設して、そこに新しい定数をつけていただいて対応することが可能性も含めてできるのかどうか、多分それぞれの時代にそういった議論がある中で現在のような形になり、また、今お願いしているような形になっていると思います。  そういう点では、将来の問題として今薬事行政の全般の見直しなどを、議論を省内的にも、あるいは第三者機関はまだできておりませんが、お願いすることにしておりまして、アメリカのFDAとか、そういう機構を参考にしますと、相当大きな機構によってかなり意欲的、積極的で透明性の高い行政がなされていると思っておりますので、そういう大きな改革の段階ではまた議論することもあるのではないか。  しかし、率直に申し上げて、現在、総合的に判断をした中では、今回の新しい研究開発に係る資金を扱う場としてはこの機構にお願いすることが総合的な判断から適切ではないか、こう考え提案をさせていただきました。
  31. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 大臣、御記憶にないようですけれども、平成五年の前回の改正のときの議事録を読んでおりまして、さすがに舌鋒鋭く、私もそうだそうだ、このとおりだ、こういう御質問をされる方が大臣なんだからよっぽど今回は議論をされた上でこの法案は出されたのだろうなというふうに思ったわけですね。  かつておっしゃっておられた内容に沿わないような形で法案を提出するというのは大変に御苦労なさっただろうというふうに思いますけれども、今お触れになりましたFDAなりあるいはCDCなりというような形のアメリカ医薬品の薬務行政を例にしながら、厚生省としても今プロジェクトの中で、あるいは大臣の頭の中で大きな機構の改革というか、そういうことをお考えになっているのかなというふうに思うわけですね。  お伺いしているのは、今後、この機構というものをどういう方向に持っていこうというふうにしておられるのか、厚生省の外のところで、ほとんどが厚生省の職員の方で運営されていて、委託事業ですから責任は最終的に厚生省がとるのだというふうにおっしゃっているわけですけれども、本来的にこういう形での行政の進め方というのはよろしいのかということをさっきからお伺いしているわけですね。  国の中で見ていけば、はるかに人の要らない部局はいっぱいあるわけであって、そういうところの人をもっと減らして、こういうやはり国民生活に密着をしている医薬行政でありますとか、あるいは食品衛生ですとかといったところにもつと重点的に人を配置するという形にしていただかないといけない。あやふやな形での機構の改革というのは、大臣委員として御質問されておられるとおりに、私もそういうふうに思うわけですね。  この機構を今後どういう方向に持っていこうとしておられるのか、もう一度そこのところをお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  32. 菅直人

    菅国務大臣 この機構は、今おっしゃったように、いわゆる認可法人になっておりまして、ある意味では国家公務員と同じような守秘義務等もかかっているわけであります。そういった意味では、確かに、厚生省の責任のもとではありますけれども、相当、機構自体も公務員に準ずる責任を持っていただいて、いろいろなことに当たっていただいているわけです。  今後、この機構についての将来的なビジョンのようなことをお尋ねですけれども、現時点で、今回提案をさせていただいている先のことはまだ具体的には考えておりません。ただ、委員が言われましたように、今後の薬事行政、場合によっては食品行政も関係するかもしれませんが、そういうことに対応しては、私もこの間のいろいろな経緯を私なりに考えてみますと、そういう分野における厚生省の対応能力というのは、必ずしも人の問題、場合によっては予算も含めて、十分な体制ではないのではないか、いろいろな意味で不足しているのではないか、そういう認識はだんだん強くいたしております。  そういった点では、これからのいろいろな場面での御議論、特にこの国会における御議論も踏まえながら、そういう医薬品行政、さらには場合によっては食品行政を含めて、どうあるべきかということを御議論いただく中で、もう少し根本的な改革が必要になってくるのではなかろうか。その時点では、もちろん、この機構も今と同じ形でお願いをするのか、あるいはそうでない形があるのか、そこはもう一度議論になっても不思議ではない、こう思っております。
  33. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 現在の機構が何か間違ったことをされておられるとかというふうには私も全然思っておりませんで、むしろ、少ない人数の中で一生懸命お仕事をおやりだなというふうに思います。むしろ私は逆の立場で、もう少しバックアップも必要なのだろうというふうに思うのです。  いずれにしても、今、国家公務員の採用から始まって行政改革、いろいろと政府・与党の中でもお考えのように新聞等で見ておりますけれども、二十一世紀に向かっての大きな課題だと思いますので、ここのところをしっかりとお考えをいただきたいというふうに思います。  本来の、副作用被害の救済事業についてお伺いをさせていただきます。  副作用による健康被害者の迅速適切な救済を目的にこの事業が開始されているわけですけれども、副作用被害に遭われた方への機構からの給付金額というのは大体毎年どのぐらいの金額になっておるのでしょうか。
  34. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 救済給付の関係でございますが、件数では大体年間二百件程度、それから給付額が六億ないし七億程度でございます。
  35. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 この機構の趣旨からして、今おっしゃった六億ないし七億の給付金と製薬会社からの拠出金はほぼ同一になるように運営をされております。今、この副作用基金の中の基金としては八十億ぐらいあるように思うのですけれども、この大きな八十億という基金に比べて給付金額は少ないのではないか。給付金と製薬会社の拠出金は、申し上げましたように、ほぼ同一という形でございますから、ここのところ、私は給付金額は明らかに少ないというふうに思います。一般管理費とほぼ似たり寄ったりの給付金額になっておりますので、ここのところはどういうふうにお考えなのか、あるいは責任準備金の適正額は幾らというふうにお考えなのか、ここのところをお聞かせいただきたいと思います。
  36. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいま御指摘がございましたが、平成六年度末でこの救済勘定の積立金が八十三億六千七百万円となっておるわけでございます。  この金額につきましては、過去のサリドマイド事件でありますとか、あるいはスモンのような大規模な副作用が発生した場合に、極めて多額の救済費用を必要といたしますことから、保険システムとしての機能を果たし、また、迅速確実な救済を実施するためには、その財源としては現在程度の積立金が必要ではないかというふうに考えておるわけでございます。  また、この積立金とは別に、責任準備金につきましても、平成六年度現在で三十七億円程度の責任準備金を保持しておるわけでございます。
  37. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 その責任準備金の額は適正というふうにお考えなのでしょうか。
  38. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 これは障害年金等の将来の年金給付に充てるべき原資を確保するために計算をした適切な額であるというふうに承知をしております。
  39. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 基金額八十三億、将来の給付に必要な額、手持ちで持っておかなければいけない責任準備金三十七億、大分格差があります。  もう一つお伺いします。製薬会社からの拠出金の率は、法定は最大幾らと定められていて、現実のところは幾らのパーセントになっておりますか。
  40. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 法律上、最大千分の二と承知しておりますが、現在は千分の〇・〇五でございます。
  41. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 最大千分の二、〇・二%、現在のところは〇・〇五%、法定されている最大限のうちの四分の一という割合に今なっているわけですね。  もう少し製薬会社に御負担をいただければ、拠出金が上がって給付金額も上げることができる。しかも、申し上げているように、基金額八十三億に対して責任準備金必要額三十七億というふうにお考えなわけですから、この間も格差がある。もう少し給付金額を上げることができるのではないかというふうに思うわけですが、大臣、ここのところはいかがなのでしょうか。
  42. 菅直人

    菅国務大臣 今局長が答弁しましたように、千分の二が現在千分の〇・〇五ですので、もう一けた少なくなっております。ですから、上限に比べれば四十分の一ということになりましょうか。  それで、どういう率が適切なのか、あるいは逆に言えば、余裕がある場合に救済をどうするのかという御議論なのかと思いますが、性格はこれは当然のことながら保険ですから、もちろん保険事故があった場合にはきちんとしなければいけませんが、保険事故がないときに保険料があるから給付をふやすとか減らすとかという性格のものとは若干違うのではないか。逆に言えば、給付がふえる場合は保険料を上げていかなければいけないし、給付が少ない場合は、場合によったら保険料はそう高くない水準にとどめおくという考え方考えていいのではないだろうか。  現在は、給付しているものについても、例えば年金的に給付しているものについては国民年金の年金額の改定等に準じた改善は行っておりますので、そういった他の国民年金などに準じた改善は行うことは当然だと思っておりますが、それとは別個に、余裕があるから大幅な引き上げといったようなことにはならないのではないか、そういうふうに認識をいたしております。
  43. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 余裕があるからと言っているわけではありません。もちろん、余裕があるからということもありますけれども、給付金額そのものが少ないのではないかというふうに思うわけですね。遺族一時金にしましても、あるいは手当額、全体的にもう少し改善の余地はあるのではないか、また、改善すべきではないか。現在の基金のお持ちの額あるいは責任準備金のお示しいただいた額とのことから考えれば、あるいは拠出率の低さから考えれば、健康被害を受けた皆さんへの給付金額を引き上げることは可能であるし、引き上げるべきではないかというふうに申し上げているのですが、もう一度御答弁をお願いします。
  44. 菅直人

    菅国務大臣 ですから、一応考え方としては、その問題と財政状況というのはそれぞれ独立して考えるべきであろうというふうに思います。ですから、ちょっと私もこれまでの、どういう場面でどの程度の給付がなされ、それがどういう判断で決められているかということを具体的なところで細かく知っておりませんが、その内容について、もっと救済が必要だということであれば、それはしかるべきところで御議論をいただいて、その判断として決めていただく必要があるのではないだろうか。  御存じのように、私もこの制度を運用されているのを見まして、どちらかといえば、この制度では救済できない分野がかなり設けられているわけですね。例えば、私の理解では、たしか制がん剤などではこの制度では救済されないとか、今回の薬害エイズのような異物混入のようなものもこの制度における救済対象とは違って、別の制度ではこの機構にいろいろ受け持っていただいていますけれども、そういうふうにいろいろ限定がなされております。  そういう範囲の中での、救済が受けられる分野での水準はどの程度が適切であるかというのは、それはそれとして独立して御議論をいただく必要があるのではないか、こう思っております。
  45. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 今回の改正法を提出していただく中で、この救済給付の内容についての御検討は余りしていただいていないように今の御答弁を受けとめました。この間のエイズ薬害の四千五百万という和解金額も、私は極めて低いなというふうにつくづく今思います。  この金額の低さ、遺族年金、十年を限度としている部分、あるいは今大臣もお触れになりましたけれども、制がん剤というか、がんの治療のために使われている場合にはそれは除くというようなことで、救済基金の対象にならない部分があります。ぜひ、この金額あるいは給付の内容、対象といったところをもう一度見直ししていただきたいというふうに思います。強くお願いをしておきます。  もう一点、救済給付に関してですけれども、保健福祉事業がなされております。五十四年のこの法制定の折の議論の中で、本来、医薬品によるところの健康被害の被害者の救済をしよう、通院を手助けしましょう、あるいはお亡くなりになった方には遺族弔慰金を出しましょうというような形になっている。あわせて、何といっても健康被害からの回復、原状回復が一番の目的であろうから、リハビリのようなヘルス事業もやるべきではないかという御議論が強くなされておりました。残念ながら、ここのところは盛り込みされませんでしたけれども、今、保健福祉事業ということで副作用被害の治療に関する研究大学等研究班に委託しているというふうに思いますが、保健福祉事業とうたっておられますけれども、金額は幾らほどのものを支出なさっておられるのでしょうか。
  46. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 例年、全体で大体二千万程度でございます。
  47. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 給付金額が毎年度六億から七億、今お聞きいただきましたように、保健福祉事業として支出されておりますのが二千万円で、副作用被害の治療に関する研究大学等に委託をするという内容になっておりますけれども、今回は、この副作用被害救済・研究振興調査機構に十億円のお金を出していろいろ研究をしていこうということで、片方で十億というお金が出てくるわけですが、この二千万というのは明らかに少な過ぎるのではないか。保健福祉事業というふうにおうたいになるならば、あるいはこれだけの基金をお持ちであるならば、こんな中途半端な事業をするのではなくて、もっとしっかりとした事業をおやりになるべきではないかというふうに思いますけれども、この点はいかがなんでしょうか。
  48. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 保健福祉事業につきましては、今お話がございましたように、救済事例の蓄積をもとにいたしまして、研究事業大学等に委託をしてお願いしておるわけでございます。この改善につきましては、今後の検討課題として受けとめてまいりたいと思います。
  49. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 ぜひ改善方よろしくお願いをいたしたいと思います。  もう一つ、改善をぜひ早く進めていただきたい点についてお伺いします。  請求あるいは支給の件数が少ないのではないかというふうに思うわけです。少ないのは、もともと被害が少なければ少ないにこしたことはないので、少ないからどうだこうだということにはならないわけですけれども、もし、本来救済されるべき人が適切に救済されていないことのあらわれとしてこの件数の少なさになっているのであれば、これは大いに問題であろうというふうに思うわけです。  平成六年一月に「薬事に関する行政監察結果に基づく勧告」というものがなされておりまして、平成七年八月に、その総務庁行政監察局からの勧告を受けての厚生省の回答あるいはその後の改善措置状況というものをお出しになっておられます。  改善をすべきだというふうに指摘をされました点、三点ございまして、被害を受けた方が申請をなさって、その結果が決まるまでの期間が余り長いのはいかがなものか、最長で二年五カ月、平均十カ月、この救済給付の請求事案の処理にかかるということは問題であるということで、この点については、八カ月というふうに定めたという御報告がなされております。  残りの二点ですね。その一点、被害を受けたと思う人が請求をしやすいように、また医療機関が、その請求をするに事たって、例えば投薬証明を書くとか診断書を書くとかということについて協力するように指導するというふうに厚生省の方は御回答なさっておられます。  医薬品機構佐藤理事にお伺いをしますけれども、この行監の勧告を受けて、請求者の皆さんが請求しやすいように、あるいは医療機関が協力するようにというような形に今なっておるのでしょうか、現状をお聞かせいただきたいと思います。
  50. 佐藤良正

    佐藤参考人 行監の勧告のうち、標準期間を定めて、八カ月と定めておりますが、それについては、ほぼ期間は守られて裁定がされておる。  それから、請求の資料でございますが、診断書については、救済給付の請求について必要な改訂をせよというような御指示がございました。この点については、今、若干の期間が必要でございますので、検討をいたしておるということでございます。  なお、その他PR等について、各種の証明書についてば簡易にするという形で進めておるわけでございます。
  51. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 佐藤理事厚生省大臣官房審議官をなさっておられたので、よくこういう場では答弁を求められたのだろうというふうに思いますけれども、きついことを申し上げて恐縮でございますが、行監の勧告が出されたのは六年の一月、それに対して厚生省が改善をしますという御回答をされたのが七年の八月、現在八年の五月でございまして、診断書については現在まだ改訂の作業中であるというお答えで、ここのところはまだ勧告が実っておりません。  それから、請求をしやすいようにということで、PRが足りないのだというふうにおっしゃいましたけれども、これはPRが足りないということだけなんでしょうか。あるいはそのほかに、健康被害を受けたと思われる方が実際にこの機構の便益を受けるのに、PRすなわち知らないということ以外に障害になっている要件はないのでしょうか。
  52. 佐藤良正

    佐藤参考人 診断書を記載していただくのは、障害を診ていただいたお医者さんにお願いをするということになっておりますので、その辺についてのいろいろな、何というか、内容の認識あるいは症状の診断等についていろいろ問題があるという点は承知しておりますが、その辺についての問題というのが先生の御指摘かと思います。
  53. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 今のエイズ薬害の部分もそうですけれども、結局、非加熱製剤を投与したお医者さんが投薬証明を書かないことによってその被害の証明ができないという状況の中で、被害者が、せっかく和解が成立しながらもその恩恵にこうむれないという状況を心配しておられます。同じように、医薬品の副作用被害を受けたと思われる人が、せっかくありますこの医薬品副作用被害救済基金の便益を受けることができないという状況の中で、全く同じなんですね、今の御説明を聞いておりますと。  私は、ひょっとしたらこの医薬品、薬を飲んで健康被害を起こしたのではないかと思っている人がもっとスムーズにそこのところの申請ができるというような形にならないものか、あるいは、実際に相談を受けられた機構側が、あるいは判定をされる厚生省の側で、調査権限をしっかり持ってお医者さんにそういった事情あるいは事実の調査をする、あるいは申請の手助けをするというような仕組みのつくり方はできないものなんだろうかというふうに思うわけですが、その点はいかがなんでしょうか。
  54. 佐藤良正

    佐藤参考人 今の関係で、障害の診断書の書き方とかあるいは申し立ての状況とか、それらを踏まえて、申請書の様式について、改訂は厚生省の方にもお願いをしておることでございますので、いましばらく時間の猶予をいただきたいと思っております。
  55. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 済みません。理事、たび重ねての御質問で恐縮ですが、診断書の様式が変わればもっと申請はしやすくなって被害者の救済が迅速に行われるという御理解なんでしょうか。
  56. 佐藤良正

    佐藤参考人 記載の内容について、医学的な診断と請求者の申し立ての調整の問題と申しますか、書き方の問題がいろいろあるのじゃないかと思います。その点たしか、私どもといたしましては、クライアントの申し立てがあれば、もともと救済給付を設けられた趣旨を踏まえまして認定できる部分もあるのじゃないかなというようなことを常々思っておりまして、そういう間の問題といたしまして、申し立ての書き方あるいは記載の要領について今検討しているという話でございます。
  57. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 書き方、記載の仕方について検討をしていただく、それは早くやっていただくということでお願いをしているわけですけれども、例えば、薬を飲んだ、多分あの薬が体にこういう症状を及ぼしたのじゃないか、悪いのじゃないかということで、すぐに被害の救済をしてくれという話よりは、むしろ、どうなんだろうという相談に行かれるのが最初なんだろうというふうに思うわけです。  そうしますと、この請求をされてこられる方たちというのは、どういう形で請求をしてこられるのですか。御本人が、こういう機構があって救済の便益を受けることができるからということで書類をお出しになるのか、あるいは診断をされたお医者さんが、投薬したものが間違っていたのだと、御本人が投薬されたか、あるいはほかの方が投薬されたかもしれませんけれども、お医者さんがごらんになって、これは明らかに医薬品の副作用であるからこれを機構の方に申請をしなさいという形で申請をしてこられるのか。申請に至るきっかけというのはどういう形になっているのですか。
  58. 佐藤良正

    佐藤参考人 申請のきっかけはいろいろございます。例えば、市町村役場等で非常にPRをいたしまして、そこで窓口として受け付けていただく。あるいは、私ども、救済給付の関係の相談窓口を設けておりまして、これについて、最近かなり電話等の相談もございます。そういう面でお教えをするというような形でございますので、いろいろございますが、そういう申し立てをして、さらに添付書類と申しますか、附属書類としてお医者さんの診断書が要る、こういうシステムになっております。
  59. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 PRは大いにしていただきたいというふうに思います。  あと、実際に被害を受けたと思われる方が相談に乗っていただけるように、多分、調査機構は、あるいはお薬の相談に応じますというようなことで今も相談業務をおやりになっているのだろうと思いますけれども、そういったところの、例えば病院にポスターを掲示されるなどして、ここに電話をすれば薬のことについては教えてもらえるのだ、あるいは薬を飲んだことについての自分の体の健康に対する問題についても相談に乗ってもらえるのだというようなことになれば、もっと基金の請求者がふえてくるのではないかというふうに思うわけですね。  あわせて、その折に、なかなか素人はそういう診断書を書くということにおいて難しい面もありましょう。お医者さんと患者さんの間というのは、御承知のように、どうしても上下関係といいますか力の関係がありまして、なかなか御本人は申し出にくいというような部分があると思います。そういった状況が今のこの件数の少なさに反映をしないように、本来救済されるべき人が申請をためらう、あるいは申請できないというようなことのないように、もう少し、診断書の記載だけではなくて、そこを御検討を早急にしていただいて、行政監察局の勧告が生きるようにしていただきたいというふうに思うのですが、その点、御答弁をいただいて、この質問を終わりにしたいと思います。
  60. 佐藤良正

    佐藤参考人 先生のおっしゃること、まことにごもっともでございます。十分踏まえてまいりたいと思います。  なお、薬相談につきましては、昨年、相談室を開設いたしたところ、今おっしゃったものも含めていろいろ相談もございますので、あわせてその辺についても、PRあるいは窓口をさらに充実してまいりたい、こう思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  61. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 どうぞよろしくお願いをします。  あわせて、もう一点お聞かせをいただきたいのですが、医薬品適正使用推進事業というのを平成六年からおやりになっておられます。どういう事業内容をされておられるのでしょうか。担当部局はどこでおやりになっておられますか。ここのところを教えてください。仕事については、では参考人の方からお聞かせをくださいますか。どういう仕事をなさっておいでになりますか。
  62. 佐藤良正

    佐藤参考人 機構といたしまして、被害の内容につきましてデータベースを作成するという形で予算をいただいて、今、内容について充実の途中でございます。
  63. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 薬務局長にお伺いします。  今、副作用情報のデータベースを機構の方で進めておいでになるということでございましたけれども、モニター病院あるいはモニター薬局等、その他いろいろな経路を通じまして、厚生省医薬品の副作用報告が上がってくるシステムになっていると思います。今、大体何件ぐらいこの副作用報告が上がってきているのか。その上がってきた副作用報告を、この機構の皆さんの力もかりながら、どういう形で処理をなさって機構の中で副作用情報のデータベースを今進めておいでになるのか。  あわせて、機構の方にもお伺いをします。  今、データベースを進めておいでになるわけですが、現在の進捗状況、どのぐらいの副作用情報が入っているのか、これがどのように活用をされているのか。今後の見通し、どういうふうに活用が進められていくのか、そのためにどのような手当てが機構として必要とお考えになっているのか。この点をお聞かせいただきたいと思います。
  64. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 この医薬品副作用情報データベースの関係は、厚生省から医薬品機構に委託をしておりますので、私どもの方からまずお答えをさせていただきます。  ただいまのこの企業報告あるいはモニター病院の報告、平成六年度の段階で、合計の報告数が一万四千五百九十五件、約一万五千件でございます。これは、先ほど先生からもお話がございましたように、こういった副作用の報告を整理するために、平成六年度に機構にデータベースをお願いいたしまして、平成六年八月から入力を開始しておるわけであります。現在までに、この企業報告、モニター病院報告を合わせまして約二万五千件のデータが入力をされておるわけでございます。  それに対します私どもの活用の仕方でございますが、この集積された症例につきましては、中薬審において定期的に医薬品ごとの副作用の集積状況を分析して評価を行っておるわけでございます。その結果は、医薬品の「使用上の注意」の改訂でありますとか、あるいは副作用情報の提供等の形で、厚生省における医薬品の安全対策の基礎資料として活用をしておるところでございます。
  65. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 そうしますと、今、二万五千件のデータベースが入っていて、その分析を中央薬事審議会でなさるという形ですね。  直近で起きましたダナゾールですとかソリブジンはこの時点ではまだ入っていないかなと思いますけれども、例えばダナゾールというような薬害被害に対して、このデータベースは有効に対応できるのだろうか。あるいは、例えば今後、医薬品を使っているお医者さんが、こういう症状がうちの患者に出たけれども、これはどうなんだろうかということを厚生省に尋ねたときに、このコンピューターが活用されることによって適切な回答が迅速に出てくるものなんだろうか。どの程度の有効度合いがあるというふうに御判断でしょうか。まだ今二万五千件というふうに少ないので、今後の進捗状況次第だと思いますけれども、どういうふうに進めていって、どのぐらいに効果があるというふうにお考えになっておるのでしょうか、お聞かせをいただきたいと思います。
  66. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいまのシステムにつきましては、一般の方あるいは医療機関からのアクセスに対しまして、まだ必ずしも十分な情報提供をできるところには至っておりませんが、今後、このシステム、あるいは別のシステムの形で構築するかを含めて、そのような医療機関あるいは一般の方からのアクセスに対して正確な情報提供ができるようなシステム検討していきたいというふうに考えておるところでございます。
  67. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 別のシステムで構築することも考えているとおっしゃったので、また話がややこしくなりますが、いずれ、来週になりますと薬事法の改正がありますので、その折にもう一度聞かせていただきたいというふうに思います。  要は、この適正使用推進事業、平成六年から始まって、新たにこの機構に追加された業務という形ですけれども、どうも、見ていましても、業務が追加されるごとに新たに部がつくられて、課がつくられて、どんどん組織が大きくなっていくわけですけれども、それに応じての人的な対応をしっかりしないと、なかなか機構の方は大変なのではないかというふうに私は思うわけです。先ほど申し上げた保健福祉事業にしても極めて中途半端な状態じゃないかというふうに思いますので、やるならばしっかりとした体制をとってやっていただかないと機構の方が大変じゃないかというふうに思います。  本論の基礎研究出資事業なんですけれども、今回、十億円のお金で、一件一億円の大型研究をするという形ですけれども、このテーマ設定なんですが、どういった形でテーマ設定されるのか。あるいは、機構の方で公募をされるというふうに聞いておりますけれども、公募をするとなれば、当然、こういうテーマで募集をするのだという形になるのだと思いますけれども、そのときのテーマ設定あるいは公募の仕方みたいな点をもう一度お聞かせいただきたいと思います。
  68. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 今回の改正においては、重点研究分野というものをあらかじめ医薬品機構が示しまして、これに対しまして広く研究課題を公募するということにいたしたいと考えております。この重点研究分野といたしましては、今のところ、例えば、脳・神経の関係でありますとか、老化の関係でありますとか、あるいはエイズ医用工学技術等考えておるわけでございます。  研究課題採択当たりましては、できるだけ斬新なテーマ採択をしていきたいと考えておりまして、具体的には、若い研究者に光を当てた基礎研究推進を図っていく、そのために、具体的な課題設定、その課題採択につきましては、第一線の若手研究者によりますピア・レビュー方式による評点制度を導入いたしまして、いわば外部の専門家による選定を行いたいというふうに考えております。その一定の選定を行いました上で、さらに非専門家をも含めた有識者から成る委員会におきまして、倫理的な側面あるいは社会的な側面も含めた全体的な評価をいたしまして採択の可否を決定いたしたい、そのように考えておるわけでございます。  また、研究結果につきましても、同じようなピア・レビュー、あるいは親委員会といいますか、この委員会において、独創的な新技術、新分野創出に資するかどうか、そういった点を中心に長期的な観点に立って評価をしていくことになろうかと考えております。
  69. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 各省庁がいろいろな形で研究費をお出しになっておいでになるわけですね。一つ心配しておりますのは、今回の十億円で行われる研究内容というものが、他の研究費補助事業、科技庁、文部省、通産省というようないろいろなところで出ておるわけですけれども、そういったところと重複するのではないだろうか、あるいは成果というものはきっちりと共有されていくのだろうかというふうに思うわけです。  というのは、文部省の科研費で、せんだってから問題になっておりますけれども、エイズアメリカにおける先端治療を研究に行くのだということで阪大の山村先生を中心に行かれました。文部省の中に報告書は出ましたけれども、厚生省はその報告書は御存じなかったという話もあるわけです。  国が研究費ということで出しているものが、その研究テーマが他とダブらないように、大体どこの省庁を見ても、みんな、がんだとかエイズだとかという研究はやっているわけですけれども、そういう意味でダブらないように、あるいは成果がうまく共有できるようにどういったような形で調整をされるのか、あるいは研究テーマを生かしていかれるのか、その辺はどうなんでしょうかというふうに思うわけです。  きょうは科技庁に来ていただいているのですけれども、科学技術会議、先ほど根本先生からの御質問での御答弁もありましたけれども、こういった私の心配に対して、国全体の科学技術立国を目指す中で中心的な存在である科技庁としてはどういうふうにお考えになっているのか、あるいはどういう対応をとろうとしているのか、そこをお聞かせいただきたいと思います。
  70. 市丸修

    ○市丸説明員 先生指摘のとおり、今、出資金を活用いたしました新たな基礎研究推進制度関係省庁で実施しようとしているところでございまして、これらの新制度が全体として整合性のとれた形で適切に運用されることは大変重要なことであると認識しております。  このために、科学技術会議政策委員会のもとに、科学技術会議の議員等から成ります学識経験者で、特殊法人等における新たな基礎研究推進制度に関する懇談会というものを開催いたしておりまして、これら新たな基礎研究推進制度の運用の基本に関しまして御検討いただいておりまして、各制度整合性のとれた運用方法等、御意見を伺っているところでございます。  また、関係省庁では、基礎研究推進制度関係省庁連絡会というものを設置いたしておりまして、省庁間の連絡体制を整備いたしまして適切な運用を図るということにしております。  さて、研究分野それから個別の研究テーマにつきましては、各制度それぞれ固有の目的を持って運用されることから、基本的には重複するものではないと考えておりますけれども、基礎研究の性格にかんがみまして、運営に当たりましては、先ほど申しました関係省庁連絡会等の場で検討いたしまして、重複がないように、それから成果が生かされるようにということにつきまして、適切に対処していくと考えております。
  71. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 いずれにしましても、少ない経費で大きな成果を上げていただきたい、虫のいい注文かもしれませんけれども、納税者側としてはそういうふうに思うわけであります。  したがって、データベースの構築あるいは研究開発成果の公開というような点について、科技庁が中心になって十分にリードしていただきたい、あるいは厚生大臣も、閣僚の一人として、こういう基礎研究推進組織というようなものを、ちゃんとしっかりとした、他省庁も全部合わせての、日本の国全体としての研究が進むような形の組織をつくっていただきたいというふうに思うわけです。  もう一点、大臣にお聞きをしておきたいのは、平成二年の十月に、日本学術会議から「創薬基礎科学研究推進について」という勧告が出されております。お薬をつくるという字を当てて創薬というふうに書いてございますけれども、この勧告をどのようにお受けとめになっておられるのか、今後の厚生行政の中でどのような形でこの勧告を生かしていくおつもりでいらっしゃるのか、その点をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  72. 菅直人

    菅国務大臣 先ほど他の委員の方からも、日本における創薬、医薬品開発等について、国際的に見て必ずしも十分な体制整備ができていないのではないかという御指摘もいただきましたし、また、今御指摘の、日本学術会議から平成二年に「創薬基礎科学研究推進について」という勧告が時の総理大臣、海部俊樹総理大臣あてに出ていることは承知をいたしております。  この点が大変重要だということは認識いたしておりまして、これから、この法案と並んで薬事法の改正法案もお願いをするわけですが、そういうところにも関連をする問題も含まれておりますが、この勧告の重要性を認識しながら進めてまいりたい、こう思っております。
  73. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 どうぞよろしくお願いします。  医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構の佐藤理事、きょうはお忙しい中お越しをいただきまして、ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。  質問を終わります。
  74. 和田貞夫

    和田委員長 岩佐恵美さん。
  75. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 医薬品副作用被害救済基金は、薬害被害者の運動によって、昭和五十四年に医薬品副作用被害の迅速な救済を目的として設立をされました。その後、昭和六十二年の改正研究振興業務が加わり、翌年には、HIV感染による健康被害の救済給付業務が加わったわけです。平成五年には、希少疾病用医薬品開発振興業務と調査業務が加わって、名称も基金から機構となりました。  医薬品の副作用による被害者を救済する目的で設立された特殊法人が、その性格を大きく変えて、医薬品開発を中心とした組織となってきました。設立の原点である薬害被害者の救済業務、つまり、被害者の実態と発生の要因の徹底調査あるいは保健福祉事業の積極的実施、薬害防止対策の推進、これを抜本的に強化すべきと思いますが、先ほどからも議論になっていると思いますけれども、改めて大臣の簡潔で明快な答弁を伺いたいと思います。
  76. 菅直人

    菅国務大臣 医薬品機構は、医薬品の副作用による健康被害の迅速な救済を図ることを目的として設立をされたわけでありまして、今委員指摘のように、その後の改正によって出資事業や調査指導業務などが加わっております。しかし、これらの業務も、広く言えば、医薬品の安全性、有効性の向上を通じて国民保健の向上に寄与しようとするものであると考えております。  これらの業務が追加された現在においても、救済業務が重要な業務であるということにはもちろん変わりがないわけでありまして、今後とも、制度の周知徹底、救済事業の適切な事務処理のため改善を図る等、救済業務のなお一層の適切な運営に努めてまいりたいと思っております。  なお、いろいろな、今回の薬害エイズの問題を含めて今後の再発防止については、その都度御報告しておりますように、今、厚生科学会議においての御議論をいただき、また、省内にもこうしたことの再発を防止するための検討のためのプロジェクトをつくっておりまして、そういう中で、この機構が行っている活動に加えることになるのか、あるいはさらに別の何かをつくることになるのか、まだわかりませんが、その問題の重要性については認識をしながら、改革の道筋をどうするか検討してまいりたいと思っております。
  77. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 薬害被害者の団体は、少しずつ既成事実を積み重ね組織を変質させてきている、断じて容認できない、こういう態度を表明しておられます。それは職員の配置を見ても明らかだと思います。  理事及び監事と総務部といういわゆる共通部門の二十四人を除いて職員数を見てみますと、救済給付関係業務に九人、既発生被害救済等の業務に七人、研究振興業務に八人、希少疾病用医薬品開発振興業務に三人、調査等業務に十九人となっています。つまり、まとめてみると、救済給付関係に十六人、医薬品開発関係に二倍の三十人が配置をされている、こういう形になっています。さらにまた、今回の薬事法の改正で治験指導業務に十五名が配置をされますと、約三倍となるわけです。  そういう実態について、被害者の皆さんは、これではひさしを貸して母屋をとられるということになるではないか、こういうやり方というのはとても認められない、こんなふうに言っているわけですけれども、その点について、大臣、どうでしょうか。
  78. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 医薬品機構業務のうちの救済業務に従事する職員でございますが、これは、業務量に応じまして必要な人員を確保しておりまして、救済業務が適切に行われるように努めてきておるわけでございます。  今回の基礎的研究業務の追加につきましても、これは、当面、現在の定員の枠内で活用しながら対応していくことにしておるわけでありますが、救済業務の遂行には支障が生じることのないように、救済業務とは別の組織で運営をすることといたしております。
  79. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 先ほどの議論にありましたけれども、医薬品機構歴代役員名簿がございます。その大部分が厚生省と大蔵省の天下りによって占められています。歴代の理事長は、初代の非常勤の小澤氏を除いて、いずれも薬務局長経験者です。厚生省医薬品機構を薬務局の一部あるいは分室ぐらいに考えているのではないかというふうに思えます。  現在の正木理事長は、持永氏の後任として、八三年八月から八四年八月の約一年間、薬務局長を務めて、エイズ研究班の血液製剤小委員会の設置及び報告に対する対処あるいは加熱血液製剤の治験等の重要な仕事にかかわり、現在、その責任というのが問われているわけです。このような人物が医薬品の副作用被害救済を目的とする機構理事長にふさわしいのかどうか、そういう疑問が挙げられているわけですけれども、大臣、その点、いかがでしょうか。
  80. 菅直人

    菅国務大臣 この機構業務内容については、先ほど岩佐委員も御指摘がありましたように、副作用被害救済に加えて幾つかの役割を受け持っていただいております。また、先ほど来他の委員の質問にもお答えしましたように、守秘義務など公務員に準ずる、そうした責任体制もとっていただいておりまして、そういう点では、厚生省のやるべき仕事をある意味では厚生省の責任のもとで部分的に分担をしていただいているという性格もあるわけであります。  そういう中での、理事長あるいは理事の方をどういう中から選ぶかということにおいて、これは民間の天下りの問題とはやや性格を異にしていると思いますが、もちろん、ある意味厚生省のやったこと、やるべきことを、今委員に申し上げたように、厚生省の責任のもとで一部分担をしていただくという性格の中では、厚生省の経験者が何人か入っている、あるいはかなりの数が入っているということも一概には否定できない、こう思っております。
  81. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 私は、正木氏について言えば、薬害エイズの問題で非常にその責任が問われる、そういう立場にあるのではないか、結果論としてそういうことになっているわけで、薬害被害者の救済という点から見るならば、例えば被害者の代表だとか、あるいは弁護士だとか学識経験者だとか、そういう方々をこの医薬品機構の役員にしてもおかしくないというふうに思うのです。むしろ、被害者の救済ということであるならば、そういうふうにすべきだというふうに思いますけれども、大臣、改めていかがですか。
  82. 菅直人

    菅国務大臣 一般的に言えば、今おっしゃることもよく理解できるわけでありまして、そういう点で、今後こうした役員構成を将来にわたってどうしていくかということについては、またそういう幅広い人材から求めるという方向について検討していきたいと思っております。
  83. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 医薬品機構というのは、役員を天下り官僚が占めているという点では、典型的な特殊法人であると思います。  理事長の給与ですけれども、年収で一千七百万円を超えています。前理事長の方の在任期間というのはわずか五年だったわけですけれども、その方の退職金というのは二千万円です。一般庶民からすれば、これは大変な額なんですね、二千万円というのは。何十年勤めたって、それこそ二千万円というのは出ない人が圧倒的に多いわけです。退職金の計算というのは、本俸に在職年数というのが普通ですけれども、この役員の場合には、本俸に在職月数を掛けるということでこれだけの大変な退職金になるわけです。このような特殊法人あり方について、大臣はどのように考えておられるのか、伺いたいと思います。
  84. 菅直人

    菅国務大臣 今委員がお述べになったいろいろな給与の水準などについて、一般的な特殊法人の水準と比較をしてこの機構が特に高いという報告は受けておりませんで、どちらかといえばやや低い水準だというふうに、これは比較の問題ですから、他の特殊法人との比較でいえばやや低い水準だというふうに報告を受けております。  広い意味での天下りの問題、あるいはいろいろな機構なりを、いろいろな団体を次々に、何といいましょうか、その職について、またやめて次の職について退職金を次々と受け取るといったような問題ぱ、従来からいろいろ指摘をされておりまして、こういう点が国民の皆さんから見てやや過剰な優遇ではないかという見方があることは、私もよく承知をいたしております。  この問題、公務員の全体のあり方として、時折私も質問を受けて答えておりますけれども、例えば六十五歳ぐらいまではそれぞれが社会的に意義のある仕事を継続できるような、そういう全体の体制をつくる中で改革すべき問題は積極的に改革すべきではないか、このように考えております。
  85. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 他の特殊法人比較をして大したことないよという話はちょっとやはりよくないので、一般の国民から見てどうなのかということが問題なのでして、こういう問題は本当にきちっとしていかなければいけないというふうに思います。ぜひきちっとしていっていただきたいと思います。  次に、今回、基礎研究振興ということで、建設国債を財源として既存の研究と切り離して行う、そういうところに非常に疑問を持たざるを得ないのです。  なぜ機構が国から出資金を受けて委託研究を実施しなければならないのか。厚生省でいえば厚生科学研究があり、基礎研究振興予算重点的配分が必要なら、研究あり方を見直して、厚生科学研究として厚生省が配分すべきなのじゃないか、そういうふうにも思うわけですけれども、その点、どうでしょうか。
  86. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 我が国政府関係研究投資欧米諸国に比べまして十分ではないということで、科学技術基本法にも述べられておりますように、国が基礎研究に対して積極的な役割を果たしていかなければならないという認識を持っておるわけでございます。  今回の建設国債を財源といたします出資金の受け皿として、厚生省関係で、保健医療分野基礎研究を行う出資金を受ける場合の機関としてはこの医薬品機構が最も適切であるという判断をいたしまして、このような医薬品機構基礎研究を行う実施主体として今回の法案で盛り込んでおるところでございます。  厚生科学研究費も、確かに厚生省の重要な研究費でございますが、これにつきましては、研究費の一部を補助する制度でございまして、一課題当たり研究費も必ずしも多くないわけでございまして、今回のような大型基礎研究を実施することはなかなかできないような制約があるわけでございます。  私どもは、新しい発想といいますか、新しい研究課題につきまして、専門の研究班を編成して、マンパワーと必要な機器を整備した上で大型基礎研究が実施できるような、そのような体制と実行を目指しておるわけでございます。
  87. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 その現在の厚生科学研究ですけれども、これについて、私、問題があるというふうに思っているのです。  研究者を人選する場合、役所の指定が七割、公募が三割、大半が指定になっています。しかも、補助金申請書の様式というのは定式であって、申請書だけでは、研究内容または研究者の優劣、適性の判断というのは非常に困難だと思います。  八五年度から八七年度までの三年間、リューマチ専門医の塩川優一氏が、総額約一億七千万円のエイズ研究にかかわるすべての研究事業の補助金を受けています。  文部省では、研究者の人選については最終的に学術審議会の審議に付しているわけですけれども、厚生省の場合、企画評価委員会で決められています。この委員会委員のメンバー、三十委員会があるそうですけれども、六つは資料公開されていない。あと二十四が公開されているのだというのですけれども、いまだに私のところに一体どういう役員名簿なのかということが来ていないわけですね。そういう意味では本当に非公開である。  班長である塩川氏の裁量で分担金が支払われているというふうに伺いますけれども、研究班班員にはそれぞれ幾ら支払われているのでしょうか。端的にお答えください。
  88. 松村明仁

    ○松村政府委員 一九八五年から八七年にかけて、塩川先生研究費のうち班員にどのように配分されたかということですが、私ども、調査をしたわけでございますけれども、研究事業実績報告の内容については、書類の保存期間が経過していることなども関係しているのかもしれませんが、現在、残念ながら確認できないというところでございます。
  89. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 時間がなくなりましたので二問あわせて伺いますので、まとめてお答えをいただきたいと思います。  一つは、塩川氏に配られた八七年度のエイズ調査研究については、六千五百六十二万円の補助金の配分はもとより、研究者の氏名もわからない。補助金が最終的にだれに幾ら配分され、どのような研究が行われたのかくらいは明らかにしておくべきだと思うのですね。五年間の保存期間が過ぎたから何もわからないということはおかしいと思います。また、小さな研究については、担当者の判断で、研究結果の公表も保存もされない、処分されてしまう。  厚生科学研究成果国民に公開されない、広く活用されているとは到底言えない、こういう実態はおかしいと思います。医療機関の関係者を初め国民研究内容活用できるように、情報公開のあり方を改善して成果の蓄積を図っていくべきだ、こういう点について一つ伺いたいと思います。  もう一つは、主任研究者の人選は、必ずしもみんなが納得できるものになっていません。行政意図から意図的に人選されているのではないかというような疑念を抱かせる、こういうあり方というのは大変ぐあいが悪いというふうに思います。  しかも、補助金は主任研究者に補助をするもので、班員や研究協力者に幾らの補助金が配付されたのか、それは一切関知をしない。会計監査も、担当の事務職員が計算をチェックするだけ。研究結果についても、大規模研究については国会図書館に一部寄託をする程度で、一億七千万円もの補助金を使った結果が有効に活用もされていない。  こういう問題について、大臣、補助金研究事業あり方について、国民が納得できる、そういうあり方に改善をすべきだというふうに思います。  この二点について伺いたいと思います。
  90. 菅直人

    菅国務大臣 先ほどの政府委員の答弁でも、いろいろ、当時のことが十分にわからないということもありましたけれども、資料のあるなしというよりも、本来は、予算の執行ですからそれなりのものは、当時は何らかの書類で決裁したはずでありまして、当然、そういう予算執行については、あるレベルまではきちんとしたルールで透明性の高い形で処理していくべきだと私も思っておりますので、その点はもう少し、そういう方向で明らかにできるものは明らかにしていきたいと思っております。  また、今委員の言われました成果の報告とかあるいは人選についても、基本的には、そうしたものを今研究事業ごとに設置されている研究企画委員会などで行っているわけですけれども、この研究企画委員会あり方を含めて、従来、平成元年に研究評価マニュアルというものが策定されておりまして、それに基づいて運営がされているわけですが、現在、そのマニュアルを見直すということの必要性が昨年八月の厚生科学会議において指摘をされております。  こういう研究評価マニュアルの見直しの議論と並行して、あるいはその中でといいますか、今指摘のあったような問題については、できるだけ国民の皆さんにわかりやすい形で進めるように変えていきたい、こう考えております。
  91. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 終わります。
  92. 和田貞夫

    和田委員長 土肥隆一君。
  93. 土肥隆一

    ○土肥委員 今回の法改正につきまして、二、三質問させていただきます。  従来、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構にかかわる財政投融資という財投の金が入っておったわけです。今回は建設国債から金を引っ張ってこようということでございまして、一体、この財投を充てる部分と今回の建設国債で十億という部分と、何か仕事上に振り分けなど考えていらっしゃるのか。そして、財投を投入する理由であるとか、あるいは今度は建設国債を導入するというような理論的な背景について、考え方についてお述べいただきたいと思います。
  94. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 今回の一般会計からの出資金を活用いたしまして、国の研究の中でとりわけ基礎研究が立ちおくれておるという点を補強し推進していくというねらいで、関係省庁でこういった基礎研究推進をやっていこうということでやっておるわけでございます。  今お話がございました、昭和六十二年から、この機構と二つ以上の企業がそれぞれの技術を持ち寄った形で新しい研究法人をつくって、そして医薬品等の研究開発をしていく、これは、今お話のございました別の特別会計から資金を受けてやっておるわけでございますが、今回は、国としてやるべき基礎研究をいわば一般会計の形で、しかも全額、大型基礎研究として実施をしていくというところにねらいがあり、それがまた今の時期に必要であるという認識に立ってやっておるものと理解をいたしております。
  95. 土肥隆一

    ○土肥委員 今回、六省庁が横並びになったわけでありますが、これは、すべての省庁がことしの平成八年度にそろえて始めた、いわば国債を導入するということになっているのか。あるいは、この省庁間の話し合いで、対大蔵省とはどういう話し合いになったのでしょうか。要するに、こういう形での国債を利用していくというようなことは、今後もずっと継続し、発展的に考えられていくシステムなんでしょうか。
  96. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 これは六省庁とも基本的に同じでございまして、いわゆる建設国債を出資金という形で、特殊法人あるいは私どものような医薬品機構という認可法人が受け皿となって、そして、その研究費研究費として活用していくという形でございます。  これはもちろん、これから重要な政策課題として継続的に、しかも発展的に考えておるわけでございます。
  97. 土肥隆一

    ○土肥委員 では、大蔵も今後ともこの線でよろしいと言っているのですね。
  98. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 予算の問題でございますから、今直ちに将来のことを申すわけにはまいりませんが、私どもの構えとしては、この基礎研究を現在十億円で発足をさせていただくわけでありますが、これからの充実強化に全力を尽くしてまいりたい、このように考えております。
  99. 土肥隆一

    ○土肥委員 十億円というのは、こんな金で、スタートはスタートで結構でございますけれども、これから一層拡大をして、本当の意味で、いわば建設国債というのは後年世代に負担を負わせるわけでありますから、後年世代が助かるような基礎研究をやれということだろうと思います。  さて、その内容でございますけれども、十億円をどう使うかということです。  今回、大型研究というふうな言い方をしておられまして一億円、そうすると、十件で使い切ってしまうということになります。大型研究というのは、大体一億円くらいで一定の成果を上げるというふうに理解していいのでしょうか。
  100. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 金額の問題につきましては、確かにこの金額という相場があるわけではございませんで、基礎研究といっても、大きなものもあればそうでないものもあろうかと思います。  ただ、私どもは、今まで厚生省の中でこういった大型研究というものがなかなか予算的にも得られなかったという事情もございますので、この十億円、一課題年間一億円、これを数年間継続いたしますから数億円の規模になるわけでございますけれども、そういったことについて、厚生行政、とりわけ保健医療分野の水準の向上に大きく寄与してもらえるものというふうに期待をし、また、そういった方向で取り組んでまいりたいと思います。
  101. 土肥隆一

    ○土肥委員 例えば、一億円をある研究者がもらった。そうすると、普通ですと、研究成果の報告もしなければいけないし、帳面もつけなければいけないだろう。私は、いろいろと面倒なことを押しつけることになるのじゃないかと。  財投でしたら、これは返していくお金ですから、研究成果が悪ければそれで赤字になるのかもしれません。しかし、この助成金、補助金といいましょうか、こういう研究費というのは、使い切って、結果的に成果が上がらなくてもいいのか。あるいは報告書など、どんなふうなことを大体考えていらっしゃるのか。つまり、研究者にどれほどの事務的負担を与えるのかということをお聞きしたいわけであります。
  102. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 これは、先ほど来御説明申し上げておりますように、課題選定、外部的な委員活用しながら選定をし、また、その評価もしていくわけでございます。  一方、受ける研究側でございますが、主として大学とか試験研究機関等を考えておりまして、その主たる研究者のもとに優秀な若手研究員が結集をして基礎研究推進していくわけでございますから、確かにその中で事務的な負担は多少ともあろうかと思いますが、しかし、それよりも、こういったことについて、今までなかった新しい研究課題に取り組めるということで、大いに若手研究者に期待をされているものというふうに理解をしております。
  103. 土肥隆一

    ○土肥委員 私も多少、福祉事業などをやっておりまして、帳面の整理、理事会の議事の内容であるとか、もう微に入り細にわたり、ひどい場合には、施設の車の燃費まで割り出しまして、これではガソリン代が合わないではないかなどというとんでもない監査をする場合もあるわけでございます。  私は、何も野方図にやれとは申しませんけれども、やはり研究者が積極的に研究をしていい成果を上げていただきたい、そのときに機構が、今薬務局長がおっしゃったような意を体して、余り微に入り細にわたって、これは何ですか、これは何ですかというような検査、監査はするべきではないと思います。しかし、公金を使ってやるわけでありますから、その辺のバランスはよく考えていただきたいと思います。  さて、もう一つ厚生省にお聞きしたいのですが、基礎的研究をやろう、大変結構だと思います。調査室の資料を読みましても、いろいろな研究がなされていて頼もしいのでありますが、一つの難病対策として申し上げたいわけであります。  今も難病に苦しんでいらっしゃる人がいっぱいいて、決定的な治療法がなかなか見つからない。そしてまた、平成八年度、ことしから、難病の患者さんに対する福祉施策がやや前向きになってまいりまして、例えば、ホームヘルパーさんをことしは千人ふやすのだとか、難病の患者さんのショートステイができるとか、福祉用具は給付するのだというようなことになりましたが、最近の難病研究で、何か画期的な研究成果一つ二つ挙げていただければ大変ありがたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  104. 松村明仁

    ○松村政府委員 最近の画期的な研究成果ということでございますが、具体的に申し上げると、例えばB型肝炎あるいはC型肝炎では原因ウイルスが発見をされた、さらに、今までよくわからなかった疾病として、例えばレックリングハウゼンあるいは後縦靱帯骨化症というようなものがあったわけですが、遺伝子の異常でこういう疾病が発生するというようなことが判明をいたしまして、今後の根本的治療の開発等につながるものとして期待をしております。
  105. 土肥隆一

    ○土肥委員 最後に、佐藤理事さん、この機構がどんどん仕事がふえてまいりまして、今七十一名だということでございますけれども、どうでしょうか、仕事がふえる、しかし金は出さないというのが大体今の習いでございまして、この機構が本当の意味で機能していくために、今の体制で十分とは申しませんけれども、今後どういうふうなものであればこの機構がフルに回転できると、将来展望も含めてお話しいただきたいと思います。
  106. 佐藤良正

    佐藤参考人 当面、当機構の調査指導部に担当する室を設けまして、業務を実施する予定にいたしております。  なお、この担当室には、医薬品機構の職員のほかに、技術面を担当する研究嘱託を二名、それから事務、経理面を担当する事務嘱託二名、そのほかに非常勤職員一名を配置する予定としております。  なお、それらの事務遂行について、さらに十分検討してまいりたいと思っております。
  107. 土肥隆一

    ○土肥委員 終わります。
  108. 和田貞夫

    和田委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。  速記をとめてください。     〔速記中止〕
  109. 和田貞夫

    和田委員長 速記を起こしてください。     —————————————
  110. 和田貞夫

    和田委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出医薬品副作用被害救済研究振興調査機構法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  111. 和田貞夫

    和田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 和田貞夫

    和田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  113. 和田貞夫

    和田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  厚生関係の基本施策に関する件、特にエイズ問題について調査のため、来る二十八日、株式会社ミドリ十字元取締役社長松下廉蔵君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 和田貞夫

    和田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、来る二十八日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十七分散会