運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1996-05-17 第136回国会 衆議院 厚生委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月十七日(金曜日)     午前八時三十二分開議 出席委員   委員長 和田 貞夫君    理事 衛藤 晟一君 理事 鈴木 俊一君    理事 青山 二三君 理事 石田 祝稔君    理事 柳田  稔君 理事 横光 克彦君    理事 荒井  聰君       伊吹 文明君    稲垣 実男君       狩野  勝君    熊代 昭彦君       近藤 鉄雄君    田中眞紀子君       高橋 辰夫君    竹内 黎一君       戸井田三郎君    長勢 甚遠君       根本  匠君    堀之内久男君       持永 和見君    保岡 興治君       山下 徳夫君    赤松 正雄君       粟屋 敏信君    大野由利子君       鴨下 一郎君    北村 直人君       久保 哲司君    高市 早苗君       福島  豊君    桝屋 敬悟君       山本 孝史君    五島 正規君       森井 忠良君    枝野 幸男君       岩佐 恵美君    土肥 隆一君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         厚 生 大 臣 菅  直人君  出席政府委員         人事院事務総局         職員局長    佐藤  信君         社会保障制度審         議会事務局長  加納 正弘君         厚生大臣官房長 山口 剛彦君         厚生大臣官房総         務審議官    亀田 克彦君         厚生大臣官房審         議官      和田  勝君         厚生省社会・援         護局長     佐々木典夫君         厚生省児童家庭         局長      高木 俊明君         厚生省保険局長 岡光 序治君         厚生省年金局長 近藤純五郎君         社会保険庁運営         部長      横田 吉男君         運輸省鉄道局長 梅崎  壽君         労働省職業安定         局長      征矢 紀臣君         自治省行政局選         挙部長     谷合 靖夫君 委員外出席者         大蔵省主計局共         済課長     松川 忠晴君         文部省初等中等         教育局高等学校         課長      本間 政雄君         運輸省鉄道局保         安車両課長   小野山 悟君         厚生委員会調査         室長      市川  喬君     ————————————— 五月十七日  安全な水の安定的な供給確保等に関する請願  (岩佐恵美紹介)(第二四一六号)  同(穀田恵二紹介)(第二四一七号)  同(佐々木陸海紹介)(第二四一八号)  同(志位和夫紹介)(第二四一九号)  同(寺前巖紹介)(第二四二〇号)  同(中島武敏紹介)(第二四二一号)  同(東中光雄紹介)(第二四二二号)  同(不破哲三紹介)(第二四二三号)  同(藤田スミ紹介)(第二四二四号)  同(古堅実吉紹介)(第二四二五号)  同(正森成二君紹介)(第二四二六号)  同(松本善明紹介)(第二四二七号)  同(矢島恒夫紹介)(第二四二八号)  同(山原健二郎紹介)(第二四二九号)  同(吉井英勝紹介)(第二四三〇号)  国立病院療養所の充実に関する請願山花貞  夫君紹介)(第二四三一号)  同(北橋健治紹介)(第二五七八号)  障害者介護施策の拡充に関する請願外二件  (横光克彦紹介)(第二四六一号)  同(岩佐恵美紹介)(第二五三一号)  腎疾患総合対策早期確立に関する請願(菊池  福治郎君紹介)(第二四六二号)  同(横光克彦紹介)(第二四六三号)  重度戦傷病者と妻の援護に関する請願中山正  暉君紹介)(第二四六四号)  同(浜田靖一君紹介)(第二四六五号)  同(茂木敏充紹介)(第二四六六号)  同(小此木八郎紹介)(第二四八六号)  同(細田博之紹介)(第二五三八号)  同(河村建夫君紹介)(第二五七九号)  同(細田博之紹介)(第二五八〇号)  聴覚障害者に対する文字放送内蔵型テレビ給付  に関する請願前田武志紹介)(第二四八五  号)  同(大野由利子紹介)(第二五三四号)  同(高木陽介紹介)(第二五三五号)  同(古屋圭司紹介)(第二五三六号)  同(森本晃司紹介)(第二五三七号)  保険によるよい入れ歯を実現するための診療報  酬の大幅引き上げ等に関する請願藤田スミ君  紹介)(第二五三二号)  療術の法制化に関する請願阿部昭吾紹介)  (第二五三三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  厚生年金保険法等の一部を改正する法律案(内  閣提出第七五号)      ————◇—————
  2. 和田貞夫

    和田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出厚生年金保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。衛藤白成一君。
  3. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 総理に早朝からお越しをいただきまして、大変御苦労さまでございます。また、感謝申し上げる次第でございます。  ぞれでは、今回の年金統合法案につきまして、総理質問させていただきたいと思います。  昭和六十二年に行われました国鉄民営化は、戦後の我が国のまさに政治のリーダーシップを象徴する大事業でありました。巨額の赤字を抱え完全に行き詰まっていた国鉄経営を分割・民営化によって合理化した国鉄改革は、当時運輸大臣をしておられた総理の強力な指導力によってなし遂げられたものであります。この場をかりて、改めて橋本総理に敬意を表するものであります。  さて、国鉄改革はなし遂げられましたが、そこで働く人々年金財政は、当時からかなり厳しい状況となっておりました。ついに、平成二年度からはほかの年金制度からの財政支援を受けるということになりまして、独立した年金制度として年金を出し続けることはできないという我が国年金史上極めて異常な事態となりました。  今回、橋本内閣のもとで、長年の懸案だったJR年金共済の赤字問題を構造的に解決する法案国会に提出されましたことは、私としても、時代とリーダーのめぐり合わせを感じざるを得ません。  そこで、総理にお伺いしますが、今回、橋本内閣によって旧三公社JR、JT、NTT共済厚生年金への統合が実現されようとしていることに対しての御感想をお聞かせいただきたいと思います。
  4. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 たしか昭和四十年代の後半であったと思いますけれども政府社会保障制度審議会国会側委員を拝命いたしておりましたころ、私どもが非常に判断に迷いましたものが当時の三公社年金共済制度についてでございました。必ずしもその内容が十分に開示されないままに、さまざまな角度から不安がその当時から提起をされながら、なかなかそれが運営に反映をしなかったという大変苦い思い出を持っております。  ちょうど十年前に私が運輸大臣を拝命いたしました際、国鉄改革を行いますにつきましても、合理化などにより既に財政相当程度に悪化をいたしておりました国鉄共済年金の問題というのは、解決のプロセスにおける非常に大きな問題の一つでございました。当面の暫定措置として制度間調整事業を実施してきたわけでありますけれども、今回、統合法案が提案をされましたことは、私どもからして極めて感慨深いものがございます。そして、制度の長期的安定という見地からまた非常に意義の深いものでもございます。  しかし、今回の統合措置というものは、被用者年金制度の再編成のうちの第一段階でありますから、同時に今後の再編成を進めていく上でも、これは非常に重要な意義を持つもの、そのような感じを持っております。
  5. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 総理おっしゃいましたように、今回の法案は、言うまでもなく、JR共済を救済するためだけのものではありません。本委員会でも繰り返し発言がございましたが、昭和六十年の改正年金給付面での官民格差が基本的にはなくなり、残された一元化の問題である、課題でありました、いかに年金制度財政的に安定したものとしていくか、また、いかに負担格差を解消していくかという問題をめぐって関係者の間で議論が重ねられてきました。今回の法案は、こうした関係者努力が実を結んだものであり、いわば被用者年金制度の再編成の第一段階であるとともに、今後の再編成のルールを示すことになる画期的な意義を持つものと考えております。  確かに、独立して運営してきた共済制度成熟度も異なり、置かれた財政状況も違っているため、関係者の合意をとっていくのは容易ではないと思いますが、総理として、今後の被用者年金制度一元化をどのように進めていこうとしておられるのか、御答弁をお願いいたします。
  6. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 これまで各制度が独立して運営をされてまいりましたその経緯あるいは目的、機能等につきまして配慮をしていく必要は、私は当然あろうと思います。しかし同時に、公的年金制度というものにつきましては、制度の長期的な安定と同時に、給付負担の公平の確保というものが極めて重要でございます。  こうしたことを考えましたとき、個人のお名前を挙げて恐縮でありますけれども、亡くなられた連合の事務局長山田精吾さんが、この鉄道共済が問題になりましてからの問、果たされた役割というものは大変大きなものがございました。そして、今日の姿にたどり着いているわけであります。  政府としては、今申し上げましたような二つの基本的な目標というものを達成するために、三共済厚生年金統合という措置をとったわけでありますけれども、その後も引き続き、被用者年金制度安定化そして公平化を図るべく、被用者年金制度の再編成を着実に進めていく必要があると考え、また、そう願っております。既にこうした趣旨の閣議決定を行いまして、政府としてはこうした方針を定めておるところであります。
  7. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 さて、JR共済等厚生年金統合するに当たりましては、必要な積立金厚生年金移換するとともに、世代間扶養部分については各制度が公平に負担をするということになっております。JR共済では積立金が一兆円ほど不足し、そのうち八千億円を国鉄清算事業団負担することになっています。しかし、既に国鉄清算事業団は二十数兆円の債務を抱えており、土地株式売却だけでは整理できるものではないと考えます。  そこで、年金積立金八千億円も含め、国鉄清算事業団債務をどのように処理されようとしているのか、お伺いしたいと思います。
  8. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今回の八千億円の移換金負担を含みました国鉄清算事業団長期債務などの処理につきましては、昭和六十三年の一月及び今年三月の閣議決定におきまして、「土地処分収入等自主財源を充ててもなお残る事業団債務等については最終的には国において処理するものとする」とされておりまして、その本格的な処理のために必要な新たな財源措置につきましては、土地処分などの見通しのおおよそついたと考えられる段階で、歳入歳出全体の見直しとあわせて検討、決定されることとなっております。また、事業団土地処分につきましては、平成元年十二月の閣議決定におきまして、「平成九年度までにその実質的な処分を終了する」こととされております。  事業団債務などの処理のための新たな財源措置というものにつきましては、これらの閣議決定を踏まえ、土地あるいはJR株式処分状況を見定めながら必要な措置について検討してまいりたい、現在はそのように考えております。
  9. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 二十一世紀の本格的な少子高齢社会が近づきつつございますが、こうした中で、我が国社会活力あるものとしていくためには、税や社会保障負担を含め、国民負担を適正な水準にしていくことが必要であります。そのためには、社会保障に関するさまざまな制度についても再編成を進め、より効率的なものにしていくことが必要であります。  社会保障についても深い理解を持っている総理は、こうした二十一世紀の本格的な少子高齢社会を見据え、年金を初め介護、医療など社会保障制度全体の再編成をどのような方向で進めるべきだと考えておられるのか、お考えをお聞かせください。
  10. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今後、高齢化の進展などに伴いまして、社会保障に要する費用というものが増大していく、これは避けられないものだと私は思います。しかし、そうした中にありましても、今後とも、経済活力を損なわない、また国民に過重な負担を課すことのないようにしながら必要な給付を実現していく、その道は大変険しいものがあろうかと思います。  昨日、政府といたしまして、財政制度審議会税制調査会経済審議会社会保障制度審議会の会長にお集まりをいただきまして、財政構造改革に関する懇談をスタートをさせました。この席上におきましても、今後の社会保障国民負担のあり方につきましてはさまざまな御意見が出されたところでありますし、今後ともに、このような会合を初め、さまざまな場で議論を重ねていただきたいと考えております。  例えば産構審等におかれましても、この激動する時代におきまして、我が国に立地する企業がその優位性を維持するために、あるいは海外から日本に投資を求めるといった場合の投資への魅力を持たせるために、どういう方法が必要かという御論議を近く始められると伺っておりますけれども、こうした議論の中には、企業社会保障負担部分、税と合わせた負担というものは当然のことながら俎上に上ってくるでありましょう。  こうした議論を踏まえながら、社会保障制度合理化あるいは制度運営効率化などによりまして国民負担を適正な水準にすることに努めながら、社会保障社会全体としての長寿を支える、そして一人一人が長生きしてよかったと言っていただける、実感していただけるような社会を創出していけるように今後とも努力をしてまいりたいと考えておりまして、本院の御協力をも心からお願いを申し上げるところであります。
  11. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 近年、生まれてくる子供さんの数が減っております。このままでいきますと、若い働き手がもっと減ってくるということが予想されています。子供の数が減るというのは、年金財政にとりましても大きなマイナスの影響があるのではないかというぐあいに考えておりますが、年金だけではなくて、社会全体を支える労働力が減っていくということは非常に大きな問題であります。  ましてや、今や人生八十年時代ですから、長い老後をただ単に余生を過ごすという生き方をしてもらうということは、国民一人一人にとっても、また社会全体にとっても大きな損失というぐあいに考えます。働く意欲のある人々には、それぞれの体力などに応じた働く環境を整備していくことは重要なことだと思いますが、高齢者雇用の促進に向けての総理の決意をお聞かせいただきたいと思います。
  12. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今議員から御指摘がありましたように、我が国経済社会活力を維持していこうと考えます場合、働く意欲のある高齢者が、もし御希望いただけるならば、六十五歳まで現役として働いていただくことのできる社会をつくっていくということは極めて重要だと思います。このために、六十五歳までの継続雇用の推進あるいは高齢者の多様な形態による雇用就業機会確保が重要でありますし、じっくりさまざまな仕組み見直しながら、高齢者雇用就業機会の拡大を図ってまいりたいと考えております。  たまたま昨日、日経連定時総会がございまして、その際、私はこのような発言をいたしました。  例えば雇用の問題について言えば、二〇二〇年に六十五歳以上の方が四分の一を超えることが予測され、そのときに国全体としての働き手が減ってしまっていいのかという問題があります。また、年金支給開始年齢が今後段階的に六十五歳まで引き上げられていこうというときに、まだ十分に働けるし、働く意欲もある人であっても、皆六十歳で定年ということでいいのかという問題もあります。そういう目で見たとき、働き手にとっても経営者にとってもより多くの選択肢があるという意味で、自由度の高い社会を、仕組みをつくっていくために、これまでの制度、例えば六十歳定年制というものを見直していくことも必要なのではないでしょうか。  昨日の日経連定時総会で、私はこうした問題提起をさせていただきました。恐らく日経連等におかれましても、こうした点について今後真剣な議論をしていただけるもの、そう期待をいたしております。
  13. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 強力にぜひ進めていただきますよう心から要望いたします。  どうもありがとうございました。
  14. 和田貞夫

  15. 柳田稔

    柳田委員 おはようございます。  きょうは、厚生年金法の一部改正厚生委員会に御出席いただきまして、どうもありがとうございます。  今、衛藤議員の方からいろいろ質問がございました。大分ダブる点があるので、ダブる点はできるだけ省いて質問させていただければと存じます。  橋本総理質問するのは、私が初当選したときに予算委員会質問させてもらいまして、あのときは大変緊張して、どういう御答弁があったのか頭に入らないぐらいだったような感じです。あれから六年ちょっとたちまして、少しはまともな質問ができるのかなと思って、きょうは徹夜に近いぐらい勉強したと言っていいかなと思うのですが、勉強してまいりました。  今回の年金改正それなり評価をしたいと思います。特に一元化の問題、今までの課題でございましたが、それがやっとここに来て御提案されたということについては、評価をしたいと思いますし、それなり理解もしたいと思います。ただ、今回の改正で不安になることがございまして、そのことについて質問させてもらいたいと思います。  先ほど質問がありましたけれどもJR共済から移換すべき積立金が一兆二千百億円、このうち八千億円を清算事業団事業主負担として引き受けるというふうに聞いております。  清算事業団は、現在、平成八年度首で二十七・六兆円、債務がございます。さらにこれに今回の持参金といいますか、移換すべき積立金八千億円が加わるわけでございます。大変な債務だな、そう思わざるを得ないのであります。国鉄JR民営化したときの債務が二十五・五兆円、そして、あれからもう大分たちまして、現在が二十七・六兆円プラス八千億円。その間に土地売却が相当進んではおるのですが、逆に債務はふえているという現状であります。  こういう現状について、総理はどう受けとめられて、どう評価されておるのか、まずお聞きをしたいと思います。
  16. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今議員から御指摘がありましたように、国鉄清算事業団昭和六十二年四月の設立時に旧国鉄から引き継ぎました債務は、約二十五兆五千億円でございました。しかし、その後、土地あるいは株式資産売却不動産市況の問題あるいは株式市況の低迷といった中で思うように進んでおらなかった、これは事実でありまして、その結果として、平成八年度首約二十七兆六千億円になっていると見込まれているわけであります。  この事業団債務処理の問題は、国鉄改革の総仕上げという意味でも大変重要な課題でありますし、今後、その保有する株式あるいは資産売却に対して鋭意取り組むことによって国民負担を極力少なくするように努力をしてまいりたい、率直に反省を込めて申し上げます。
  17. 柳田稔

    柳田委員 土地売却につきましては、約半分もう売れているというふうに聞いておるのです。昭和六十二年四月現在で大体面積が八千八百ヘクタール、これが現在もう四千三百ヘクタールぐらいしか残っていないというふうな現状を聞いておるのであります。そうすると、大分進んできてはおるのだなという印象を受けるわけでございますが、ただ、この清算事業団が、二十七・六兆円の借金があるのに、八千億円も今回移換金を持ってこないといけないわけですよね。  それで、どれぐらい財産があるのかなと思ってちょっと調べてみましたらば、今ある資産は、土地が大体四兆円ぐらいなのだろうという推計ですね。そして、株がどれぐらいになるのか今定かではありませんが、平成五年にJR東日本の株を売却いたしましたときの売却収入が一兆円強でございまして、これを考えると、土地を売ったとしても、そして株を売ったとしても、二十兆円を超える債務はやはり残るのだな。これをだれかが払っていかなければならないし、さらに八千億円という移換金を払わなければならない。  そうすると、もう倒産してもおかしくないところから、八千億円お払いなさい。これは二十年間の延べ払いというふうに聞いておるのでありますけれども、本当に八千億円持ってきていただけるのだろうかと、それが物すごく心配なのです。  総理、そう心配するな、任せておけとおっしゃられればありがたいのでありますけれども、どのようなお考えをお持ちでしょうか。
  18. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今回の八千億円の移換金というものが移換されなければ、この仕組み自体が壊れてしまうわけでありまして、私は当然のことながら、この移換は行われると思います。また、それでなければなりません。  ただ、その八千億円を含みます国鉄清算事業団長期債務などの処理につきましては、先ほどもお答えしたところですが、昭和六十三年一月及び本年三月の閣議決定におきましても、「土地処分収入等自主財源を充ててもなお残る事業団債務等については最終的には国において処理する」とされておりまして、その本格的な処理に必要な新たな財源措置につきましては、土地処分などの見通しがおおよそつくと考えられる段階で、歳入歳出の全般的な見直しとあわせて検討、決定されることになっております。  そして、その昭和六十二年の四月に事業団が発足いたしました当時、大都市を中心として地価が異常に高騰する状況の中におきまして、当面の地価対策というものが国家的な緊急課題となっておりました。そして、その中で、地方自治体あるいはその他からの御要請もありまして、昭和六十二年の十月十六日には、政府自身方針として緊急土地対策要綱閣議決定をされ、旧国鉄用地について、現に地価が異常に高騰しつつある地域内の用地売却については、現に公用、公共用の用途に供することが確実と認められる場合などを除いて、その地域地価の異常な高騰鎮静化するまでこれを見合わせるという措置をとったわけであります。  当時、この措置については、国会からの御支援もございました。私は、緊急土地対策要綱そのものは、その当時において、国家的な緊急事態であった当面の地価対策という観点事業団に係る土地処分方法の公正さを確保するという観点及び国民負担の軽減という観点を総合的に勘案してとられた措置だったと思います。  ただ、現時点においてこれを振り返ってみますと、その異常な高騰の中に大量の国鉄用地というものが提供される、それが地価鎮静化に役立たなかっただろうかといった反省は私自身ございますし、むしろ、その当時もそういう思いがなかったわけではございません。しかし、これが売却のおくれをもたらしたということは否めなかった事実でありますし、もう少し工夫の余地があったのではないかという思いは今も残っております。
  19. 柳田稔

    柳田委員 あのときは土地が高くなり過ぎまして、本当にどうなるのかなと我々も考えて、いろいろな意見を申し述べた記憶があります。  そのときの反省については今総理からいただきましたので、それはそれとしてお聞きいたしておきますけれども、要するに、二十七・六兆円という借金のある会社、資産を調べてみますと、土地が大体四兆円、どのころの計算かわかりませんが、それから比べるともう少し下がっているのだろうな。そうすると、土地は四兆円以下の資産しかない。さらに、株をどんなに売っても、これも数兆円にしかならないのではないかな。そうしますと、二十兆円を超える債務のある会社から八千億円もらわなければならない。今総理は、八千億円もらわなければスキームが崩れるとおっしゃいましたけれども、本当に払えるのかなと非常に不安なんです。一点だけなんですけれども、これが不安なんですよ。この清算事業団がずっと続くということも考えられませんし、本当にお支払いいただけるのか。  要するに、厚生年金事業団に八千億円行きますよね。その八千億円は絶対大丈夫なんだ、必ず行くのだ、それはこうこうこういう理由でこうするから大丈夫なんだというものがあれば、もう一回その辺を御答弁をお願いしたいと存じます。
  20. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 ただいま御指摘の八千億円の移換金負担の問題でございますが、総理から御答弁ございましたとおり、六十三年一月の閣議決定、それから、この法案閣議決定に当たりまして行われました本年三月の閣議決定におきまして、「最終的には国において処理する」、この移換金の八千億円の債務につきましても、清算事業団の全体の債務とあわせまして、最終的には国において処理するというような考え方でございます。  その具体的な措置につきましては、私どもといたしましては、清算事業団が持っております土地JR株式処分状況を見定めながら、今後、財政当局とも相談の上、必要な措置について検討していきたいと考えております。
  21. 柳田稔

    柳田委員 今、二十七兆円の借金がありますね。土地を売った、株を売った、それでも二十兆円以上のものは残るわけです。それに対する利子が約五%弱ですね、平均的に言いますと。そうすると、これは毎年一兆円を超える利子がかさむわけです、ほったらかしておきますと。そこから八千億円を本当に払ってもらえるのかな、それが本当に不安なんですよ。  では、別な角度から聞きますと、二十七兆円という債務を、これは大変な額ですけれども、いつ、どのようにして、だれが負担するのか、お考えがあればお聞かせ願いたいと存じます。
  22. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 国鉄改革を実施いたしました際には、そもそも、土地あるいは株式といった自主的な財源を充ててもなお残る債務につきましては国民負担があるという前提でこの改革が行われております。ただ、土地株式につきまして早期かつ効果的な売却を行うことによりまして、できるだけ国民負担を減らすという方向で現在まで努力をしてきたわけでございます。  この残りました分につきましては、先ほど先生からいろいろ御指摘もございますが、まだ最終的な国民負担の額というのが確定できる状況にございません。私どもといたしては、これをできるだけ縮減する方向で清算事業団ともども鋭意努力をしているところでございますが、この残りました分をどうするかにつきましては、あるいは繰り返しになるかと存じますけれども、これから運輸省といたしましては、財政当局とも相談の上、必要な施策について検討していきたいと考えております。  この移換金の八千億円につきましても、全体の債務の中でこの問題に対処していきたいと考えております。
  23. 柳田稔

    柳田委員 今、住専等でいろいろとお話が出ていますけれども答弁答弁として聞きますが、要するに危機的意識はお持ちなんですね、政府としても。二十七兆円の借金のうち、土地を幾ら売っても四兆円ぐらい、株を幾ら売っても数兆円、計算をすると残りは二十何兆円になると思うのですが、これはどうしても穴埋めができないお金なんですね。それにプラス八千億円ですから。この処理をほったらかしておくと、先ほども言いましたように、利子が五%弱なんですよ。毎年一兆円ずつまた借金が膨らむということを考えますと、今の答弁のようにのんびりとされた感じではたまらぬな、そう思うのです。  総理のお考えをお聞かせ願えればと思います。
  24. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今手元の資料を探しましたところ、六十二年四月一日の時点における国鉄長期債務等とその処理の関係の資料が出てまいりました。  当時の時点で、処理すべき長期債務等の総額は約三十七兆一千億円と見込まれておりました。そのうち、新事業体に移すべきものが約十一兆六千億円、清算事業団が承継すべきものが二十五兆五千億円、そして、その時点におきまして、新幹線保有機構の負担が約二兆九千億円、土地売却収入として見込んでおりましたのは、当時七兆七千億円でありました。そして、JR株式売却収入、これは営団出資分とJR株式本体とがございますけれども、これをほぼ一兆二千億円と見込んでいた。そして、その時点におきまして、国民負担として最終的には御処理をいただかなければならないもの、十三兆八千億円というものが既に存在をしていたわけであります。  そして、先ほど私自身、反省を込めて申し上げましたように、その後において、もし旧国鉄清算事業団に承継をいたしました土地処分することが許されておりましたなら、私は、ここは大幅に状況は変わっておったと思います。  しかし、要するに国策という立場から、地価の抑制という方向に向けて努力をする中で、清算事業団の赤字がふえることを覚悟の上で、当時、売却を停止いたしました。本来なら、当然のことながら、清算事業団用地でありますから、手続の透明性という意味からも公開入札、競争入札を採用したでありましょうし、その時点における、私は、逆に地価を冷やす上で、それは効果があったと思います。  しかし、そのころ圧倒的に多くの方々は、国鉄清算事業団用地の主要な部分が大都市の中心部に存在をするといった状況をお考えになり、その公開競争入札そのものが一層の地価上昇に拍車をかけるのではないかという懸念を強く持たれ、これは本院もそうでありますし、マスコミからもそうでありますけれども、むしろ、清算事業団用地売却させない方向に全体の力は働いたと思っております。それだけに、私は、これは今改めて清算事業団用地処分こもっと工夫がなかったのかなという思いはいたします。  私どもとしては、最終的に国において処理するという六十三年一月及び本年三月の閣議決定というものを踏まえながら、でき得る限りの自主財源を充てていく、確保していく努力をまずさせていただかなければならない。そして、土地処分等の見通しのおおよそつくと考えられる段階において、最終的に国において処理するという内容をどのように処置していくかの判断をいたさなければならない。事業団土地処分につきましては、平成元年十二月の閣議決定におきまして、九年度までにその実質的な処分をするとなされているわけでありますが、今後の地価動向等を見ながら、こうしたところも十分考えていかなければならない。  いずれにしても、最終的に国民に御負担をいただかなければならない部分を縮小する努力をしてまいりたいと思います。
  25. 柳田稔

    柳田委員 もう時間が来ましたので、やめなければいけないのですが、要するに八千億円は本当にお支払いいただけるのかな、しかし、払うところが余りにもひどいな、その払うもとである清算事業団処理について、本当に不透明だな、本当に大丈夫かなというのが一番不安なんです。この解決については後ほどやるということですが、そんな時間を置いていますと、毎年一兆円を超える利子がかさみますので、できるだけ早く処理の方策を決めていただけるようにお願いをいたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  26. 和田貞夫

    和田委員長 青山二三さん。
  27. 青山二三

    ○青山(二)委員 新進党の青山二三でございます。  総理には、連日連夜、本当に御苦労さまでございます。また、きょうは早朝よりこの委員会にお出かけをいただきまして、本当にありがとうございます。  早速質問に入らせていただきたいと思いますが、厚生年金法質問に入ります前に、公的介護保険法についてちょっとお尋ねをしておきたいと思います。  去る五月十五日の日経新聞でございますけれども、公的介護保険法案の今国会の提出を見送るというような記事が出ておりました。一九九四年に作成されました二十一世紀福祉ビジョンにはこの介護保険導入について明確には織り込まれておらず、これは国民への新たな負担を伴う課題であるために前提条件を見直すことが必要である、このようにおっしゃっておりますけれども、私もそのように思います。  また、新たな介護システムの導入は国民の声でありまして、早急に推進しなければなりません。しかし、国民の期待の大きさを考えましたとき、各層の意見を幅広く聞き、理解と納得を得なければならないと思うわけでございます。国民の納得のいくまで議論をする必要もあり、また公費負担については、財源をどうするのかという具体的な議論をもっともっと行う必要もあると思うわけであります。  この公的介護保険制度について、ちょうどいい機会でございますので、総理としてはどのようにお考えなのか、新聞どおりでよろしいのかどうか、お伺いをしておきたいと思います。
  28. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 新聞を初めマスコミの皆さんは、それぞれ御自分の取材の中で信念を持ってさまざまな記事をお書きいただいております。  ただ、例えば私自身が構想を固めたという見出しを見まして、本人が戸惑う場面もしばしばでございます。そして、現在老健審が真剣に御論議をいただいております。そのさなかにおきまして、内閣の最高責任者として個人的な見解を報道機関に申し述べるほど、私は不見識ではありません。  そして、介護制度というものは、私は本当に必要だと思います。同時に、これはその仕組みの組み立て方によりましては、例えば年金でありますとか健康保険でありますとかの保険料の上に、国民に新たな御負担をいただく必要の出る仕組みでもあります。そうなりましたときに、国民負担率の面から見て、一体その仕組みがどうあるべきなのか、他の保険料とのバランスはどうなのか、そうした点も当然のことながら検討は必要でありましょう。あるいは、制度そのものの運営の主体がどういう形になるのか、民間の活力がその中にどう生かされていくのか等々、さまざまな論点が今御論議をいただいておるところと承知しております。  菅大臣とも時々お互いの意見を交換しながらこの問題は進めているわけでありますが、私は、できるだけ幅広い国民の御支援のいただける仕組みをつくっていただきたい、厚生大臣にお願いを申し上げているのが実態であります。
  29. 青山二三

    ○青山(二)委員 御答弁では、やはり早く導入させたいということで理解してよろしいのでございますね。  それでは、公的年金一元化についてお尋ねしたいと思います。  この公的年金一元化の問題と申しますのは、昭和五十九年の閣議決定で、昭和七十年といいますから平成七年を目途にいたしまして「一元化を完了させる。」ということで、政府が公約をしたものでございます。今回、厚生年金JR、JT、NTTの三共済統合するということにいたしましたわけでございまして、残る私学、農林、公務員共済をそのままにして、いわば二元化という形で決着をいたしております。一昨日の委員会でも、一元化なのかあるいは一本化なのかという議論が随分出ていたようでございます。  高齢化社会の到来とともに、今回見送られた他の共済制度も財源が苦しくなるのが目に見えている状況でございまして、財政の安定と公平を目的とした一元化は早急に進めなければならないと考えておりまして、私も今回のこの一元化の問題は、今回の法案ではその第一段階であるというふうに理解をしているわけでございます。農林共済、私学共済、公務員共済も、今回のJRやあるいはJT、そしてNTTのように、行き詰まったら厚生年金に助けてもらう、こういうことでは本当に国民の納得は得られない、このように思うわけでございますので、この際はっきりと一元化の展望と目標年次なども示すべきであろう、このように考えます。総理の御見解をお尋ねしたいと思います。
  30. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 平成八年三月八日の閣議決定におきまして、例えば国家公務員共済及び地方公務員共済につきましては、それぞれの制度の成熟化の状況などに応じ、財政再計算時ごとに将来の財政見通しなどについての分析を行い、公務員制度としてのあり方をも踏まえながら、両制度財政安定化のための措置検討すると決められておりますし、農林漁業団体共済組合につきましては、構成団体の組織整備の進展が制度の基盤に与える影響を、また私学共済につきましては、その成熟化の進展を踏まえつつ、それぞれの位置づけを置きながら、被用者年金全体の中における制度の位置づけの検討を行うという閣議決定をいたしております。  制度の長期的安定ということと給付負担の公平というものが公的年金制度において一番大切な柱であることは、これはもう申し上げるまでもありません。私たちは、この二つの目標というもの、基本的な目標というものを達成するために、今回も三共済年金統合をお願いいたしたわけでありますが、この後も引き続き被用者年金制度の再編成を進めてまいりたいと考えておりますし、その基本方針は、今申し上げました閣議において決定されているところでございます。  今後この基本方針に沿って私ども被用者年金制度安定化公平化を図ってまいりたい、そのように考えております。
  31. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは、国民年金の空洞化が今大きな問題になっております。  昭和三十六年にこの国民年金ができまして、我が国は皆年金の体制がしかれました。しかし、ただいま申し上げましたように、国民年金への未加入者あるいは未納者が年々増加をいたしまして、国民年金の空洞化が大きな問題になっております。これはとりもなおさず、公的年金に対する国民の信頼が大きく揺らいでいるということではなかろうかと思うわけでございます。  公的年金の基盤を強化するためにも、今こそ国民の信頼を取り戻さなければならないと思うわけでございますので、総理のその辺の御所見をお伺いしたいと思います。
  32. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、国民年金の空洞化という御発言がございました。私は、必ずしもそこまで極端に事態を申し上げるつもりはございませんけれども、若い学生諸君等聞いておりますと、それに似た答えを時々聞くこともございます。  ただ私は、その公的年金制度というものは、従来から、人口構造の変化というものを織り込んで給付負担の設計をしてまいったと思っております。むしろ、事務当局としてはきちんとして計算をしてまいりましたものを、国会の論議でしばしば修正をいたしたりし、基本的な計算を狂わせたこともなかったとは申せません。  しかし、年金制度というものが長期的に安定していくというためには、安定した経済成長というものが一方で非常に重要であることも、また申し上げておかなければならないことであります。さらに、年金制度におきましては、給付負担のバランスというものを図りながら、将来の負担を過重にしないということがもう一つの要件でありましょう。  こうした諸点を考えながら国民の合意を形成し、社会経済の変化に対応して必要な制度改革というものに、これまでも真剣に取り組んでまいったと存じておりますが、これからも真剣に取り組んでいき、長期的に安定したものとしていくことで年金制度に対する国民の信頼を取り戻していく、確保していくということに努力をしていきたいと思います。
  33. 青山二三

    ○青山(二)委員 前回の委員会でも菅厚生大臣が何度も指摘されておりましたけれども年金制度を不安にするものの一つに少子化の進展がございます。そこで、少子化対策について少々お伺いをしてまいりたいと思います。  二十一世紀高齢化社会を支えていく子供たちが年々減少していくということは、年金のみならず、本当に日本の国力の低下にもつながるということでございまして、大変大きな問題でございます。  去る五月四日、総務庁が発表いたしました我が国の十五歳未満の子供の数は、前年より三十二万人も減ってしまいました。二千万人の大台を割りまして千九百八十七万人となり、ついに戦後最低記録を更新してしまったわけでございます。こうした結果は、高齢化が深刻になるというふうに分析されております。そこで、国としても子育て支援に対する抜本的改善を図る必要があるわけでございまして、それを行わなければこうした少子化の歯どめはかからないと思うのであります。  菅大臣も一昨日の委員会で、年金制度が今後とも長期的に安定したものであるためには、一つには出生率の回復が重要であるという御答弁がありました。そして、地方の少子化対策のお話も紹介されておりました。実際地方では、厳しい財政の中、涙ぐましい努力をいたしております。その一つが乳幼児の医療費の無料化でございます。  私の地元栃木県でも、乳幼児の死亡率が大変に高かったために、昭和四十七年に全国に先駆けてゼロ歳児の医療費の無料化を実施いたしました。その後、他の県でも次々にゼロ歳児の無料化が実施されまして、さらに年齢を二歳、三歳、四歳というほどに上げていったわけでございます。  栃木県でも三歳児までの無料化を、私、県議会議員でございましたので強く県に要求をいたしておりましたが、なかなかいろいろな事情がありまして実現しなかったわけでございますが、ついに平成五年、乳幼児の死亡率が全国ワーストワンに落ち込んだために、やっとこのたび、ことしの四月から三歳未満児にこの年齢を引き上げたわけでございます。  こうして全国の都道府県が乳幼児の医療費の無料化を進めている中、国は財政難を理由にいたしましてこの制度を認めず、さらにはペナルティーまで科しているのが実情でございます。赤ちゃんは抵抗力が弱く、よく病気をいたします。せっかく生まれてきた子供を、病気のときは医療費の心配をせずに医者にかけさせてあげられるというこの乳幼児の医療費の無料化を、国でも少しぐらいは検討してもいいのではないかと私は常々思っているわけでございますが、総理はこの点につきましてどのようにお考えでしょうか。
  34. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 少子化の原因というのはさまざまな角度から議論がされております。しかし、その背景となる一つの問題点として、女性の社会進出などが進みます中で、仕事と子育ての両立が難しいということが指摘をされておることもあります。そして、こうした状況を克服していくことも一つの課題であろうと思います。  ですから、育児休業休暇を気兼ねなくとれるようにしていくことなどの雇用環境の整備に努める、あるいは、低年齢児保育あるいは延長保育の充実など多様な保育プランの充実を図るといったエンゼルプランの充実にも努めていかなければならないというのが、現状、私たちの基本的な考え方でありましょう。  ただ、今委員から、乳幼児の死亡率改善という視点から、乳幼児の医療費の無料化という御提言がございました。私は、この点は必ずしも議員考えを一つにいたしません。  無料化と申しましても、その部分は公費が投入されているわけでありまして、公費の投入ということは国民に御負担をいただいている部分が現実にあるわけでありますから、そのとき受診について無料ということであり、それにかわる給付は公費の中から医療機関になされているわけであります。私は、むしろ、医療を受ける者と受けない者の均衡という観点から、一定の御負担をいただく方が原則的な考え方にはふさわしいと思うのです。  乳幼児の医療につきましては、難病のお子さんでありますとかあるいは未熟児、さらに障害を持っておられるお子さん、こうした特に手厚い援護が必要な児童に対して、特別な疾病の治療に対し医療費の公費負担を行っておりますし、私は、こういう方向の方がより大切ではなかろうか、むしろ、乳幼児医療一般というものを無料化するということは、受診する者としない者の均衡という点から逆に出ていくのではなかろうかと思うのであります。  私どもの体験から申しますと、ちょうど私ども国会に出ました直後が母子保健法の制定の論議の盛んな時期でありました。当時の議論を振りかえってみましたとき、実は我が国は、西欧諸国に比べては、乳幼児のみならず妊産婦の死亡率も高かったと記憶をいたしております。そして、その原因を調べましたときに、むしろ医療というよりも栄養という面に着目すべきというのが当時の方向でありまして、その中から妊産婦に対する牛乳給食というものが持ち上がってまいりました。  ただ、当時の我が国の畜産の現状から、妊産婦全員に生乳を供給するだけの量を確保することができず、大都市部等におきましては鉄剤とビタミン剤の供与といった形になりましたけれども、いずれにしても、我々はその時点で栄養という視点から死亡率の低下に取り組んだと記憶しております。  そして、少なくとも今日、我が国の乳幼児死亡率は、世界で最も低い国の一つというところまで下がってまいりました。むしろ、疾病にかかって治療を受ける以前の問題として、母体の健康管理から始めてより健やかな赤ちゃんを産み育てていただく、施策としてはその方向に向ける方が本筋のように私は思います。
  35. 青山二三

    ○青山(二)委員 大変長い御答弁をいただきましたけれども、大変それは厳しいということであろうかと思います。しかし、住専に使うお金があったら赤ちゃんのために使ってほしいという全国のお母さんの切なる声もございますので、その辺をお聞きおきいただきたいと思います。  ちょうど時間こなってしまいましたので、これで質問を終わらせていただきます。大変ありがとうございました。
  36. 和田貞夫

  37. 岩佐恵美

    岩佐委員 総理運輸大臣のときに国鉄の分一割・民営化を進めました。六十年には三十万人いた職員が、六十二年の民営化直前には十九万九千人に削減をされました。その結果、国鉄で働く労働者が、雇用や労働条件で多くの犠牲を払わされることになりました。何の責任もない労働者が、戦前の満州鉄道の引揚者問題や国鉄の分割・民営化やリストラ、合理化など、産業構造の転換によってまさに国策の犠牲にされた、そういうふうに思います。鉄道共済もその一つだと思います。  総理は、その責任問題についてどう認識をされておられるのか、まず最初に伺いたいと思います。
  38. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 確かに、昭和五十年代以降鉄道共済財政は悪化をいたしました。  しかし、その主要な原因は何かといえば、モータリゼーションの進行などを背景といたします輸送構造の変化というものによりまして、旧国鉄が鉄道産業としてその雇用を縮小せざるを得なくなった結果、鉄道共済年金の成熟化が高くなったものと考えております。  殊に、議員も御記憶でありましょうが、国鉄神話というものが崩れましたのは、国鉄の労働組合自身が選択をいたしましたスト権ストという違法ストの結果、もし鉄道が完全に麻痺すれば大都市部の消費者物価は大幅に上がり、政府は困るであろうという組合の思惑が大きく外れ、むしろトラック輸送によって生鮮食料品の供給が安定的に行われた結果、長期化するストに対しましても、例えば東京都区部における生鮮食料品の価格は変動しないといった、鉄道労働者自身の組織する労働組合が選んだ戦術の中から鉄道神話というものを崩していかれたという事実がございます。  私は、その昭和六十二年の国鉄改革といいますものは、昭和三十九年に赤字に転じまして以来経営の悪化をたどっておりました国鉄、しかも、公社という巨大組織による全国一元的な経営の中で危機的状況に陥っておりました国有鉄道というものを、何とかしてレールを残したいという皆の知恵が結集されて、分割・民営化という方向にこれを向けた、そして抜本的な経営形態の変更を行うことによって鉄道事業の再生を図ろうとした、そのように受けとめております。  こうした改革の実施の後、JR全体としては、高い生産性のもとに鉄道サービス、鉄道輸送サービスの向上が図られている、また収支状況も改善されておる、鉄道事業というものに対して向けられる国民の目も大きく変わってきた、そして鉄道に対する愛情というものがむしろ国民の中に芽生えた、私はそのように考えております。
  39. 岩佐恵美

    岩佐委員 国鉄の赤字について労働者の責任を追及されましたけれども、私はそれは……(橋本内閣総理大臣「そうじゃない、スト権スト」と呼ぶ)スト権ストということを言われましたけれども、労働者がみずからの生活の向上、権利を求めてそういう行動を行うということが、当時の国鉄の赤字を招いたというふうに私は思っておりません。  私は、当時、消費者団体におりまして、国鉄の運賃の値上げのたびに、一体赤字がどこから来るのかということについてさんざん議論をいたしました。国鉄の十カ年計画というのがよく立てられます。ところが、もう途中でそれが破産をしてしまう。また次の十カ年計画。何で破産をするのかというと、結局、大規模な投資というのが破産に追い込んでいったというのを記憶いたしております。  ですから、モータリゼーションの影響もあるでしょうけれども国鉄自身の赤字というのは、そういう大規模な投資、それから大企業向けの、例えば自動車なんかは個人が送るよりも六分の一の価格でサービスをしていた、サービス価格でやっていた、これも国鉄の貨物運賃の赤字を招いたわけですから、その辺はいろいろ議論がありますけれども、私はきょうはそこのところに深く入り込むことはできませんので、次に行きたいと思います。  先ほどから議論があったところですが、国鉄民営化の際に旧国鉄から引き継いだ二十五兆五千億円の債務、これはことしの三月で二十七兆六千億円に増大をしています。民営化によって果たして国民にプラスがあったのかという問題です。  つまり、利益が上がるいい部分というのは、これはもう企業の方に譲り渡しました。赤字路線は地方自治体に押しつけました。そして、大切な国民の共有財産である土地を切り売りするということになったというふうに思います。職員の三分の一、十万人余りを首を切った。年金負担を被用者年金に押しつけた。資産を失った上に借金だけ二兆円ふえているわけです。国民負担額は、先ほど十三兆五千億と言われましたけれども民営化前の十四兆円から二十兆円に大幅に増大をいたしております。何のために、どういう目的で民営化したのかということがわからない、そういう疑問が今上がっているのは当然だと思います。  この問題について、これから毎年毎年一兆円以上の利子補給をしなければいけない。こういう膨大な借金を返済する。一体どうやって返済をしていくのか、その返済計画について端的にお答えをいただきたいと思います。
  40. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 今回の移換金の問題も含みます国鉄清算事業団長期債務の問題につきましては、昭和六十三年一月の閣議決定、それから本年三月の閣議決定におきまして、土地処分等の自主財源を充ててもなお残る事業団債務については最終的に国において処理をする、こういうぐあいにされております。  このような基本的な考え方は決まっておりますので、私ども、現在清算事業団が持っております土地株式の早期かつ効果的な売却に努めることによりまして、国民負担の縮減に努力をしているところでございますが、残ったものにつきましては、今後、土地株式売却状況等を見定めながら、財政当局と相談して必要な措置検討してまいりたいと考えております。
  41. 岩佐恵美

    岩佐委員 先ほど議論で、国民負担をできるだけ少なくするために鋭意努力をしていく、総理もそういう答弁を繰り返されましたけれども、これはもう聞いている人たちにはさっぱりわからないですね。国民にとってはどうしようとするのかというのは全くわからないということで、本当に無責任だというふうに言わざるを得ないわけです。  次に、雇用の問題についてですけれども国鉄を解雇されて、清算事業団からも首を切られている千四十七人の労働者がいます。中労委、地労委でも、職場に戻すよう相次いで救済命令を出しています。また、国鉄清算事業団で働く約二千名の労働者の処遇が問題になっています。  分割・民営化に伴って、中曽根元総理大臣は、当時、一人たりとも路頭に迷わせないと断言をしています。運輸大臣として総理もそのときお聞きになったというふうに思います。長年培ってきた技術、能力の生かせる職場を確保してほしいと本人たちは望んでおられますし、私は確保すべきだというふうに思います。端的に総理のお答えをいただきたいと思います。
  42. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、JR発足当時、不採用になりました職員の方々に対して随分多くの新たな職場が紹介され、提示され、それがお受けをいただけなかった当時の状況も記憶をいたしております。現在も、このJR発足時の職員不採用問題というのは、中労委においてあるいは司法の場で係争中であり、政府におきましては、歴代の運輸大臣がこの問題の解決について労使双方に努力をお願いするなどの取り組みを行ってまいりました。しかし、依然としてこの問題につきましては、現在、関係者間においても考え方に大きな隔たりのある状況でございます。  先日も私は御答弁を申し上げたところでありますが、中労委あるいは司法の場で係争中の問題について、ここで私の見解を申し上げることは差し控えるべきであろうと思いますし、政府としては、やはり労使双方の対応というものを見守りながら、これまでの経緯を踏まえ、我々ができることがありますなら解決の努力をしていく、それ以外に申し上げられないと思います。
  43. 岩佐恵美

    岩佐委員 次に、先ほど女性の年金権、少し議論がありましたけれども年金権について一昨日、当委員会で菅大臣には質問申し上げたのですけれども、二点について伺いたいと思います。  民法が改正された場合、五年間の別居で離婚が認められるようになりますと、遺族年金との関連で複雑な問題が生じてくると思います。長い婚姻期間があっても、離婚した、あるいはさせられた女性は遺族年金を受給できない。男性が再婚した場合は、どんなに長い婚姻期間があっても、いわゆる先妻には受給権がないことになります。フランスでは、婚姻期間によって遺族年金を支給する、こういうことができるようになっております。こういう問題について考慮をしていく必要があるのではないか、これが第一点です。  それから、女性の年金というのは、賃金が男性より低い、その上に育児、介護などで仕事を中断せざるを得ない、こういう不利な条件が重なっています。出生率の低下、これが社会問題になっているということで先ほど議論がありましたけれども、育児が実質女性の負担になっている限り改善をされないというふうに思います。特に、育児休業や介護休業などについて就業継続期間とみなすことや、フランスで実施しているように一児の育児について二年の被保険者期間を加算するなど、女性の地位が実質改善されるよう積極的に取り組んでいく必要があるのではないかというふうに思います。  ちょうど総理は男女共同参画推進本部長でもいらっしゃいます。ぜひ総理に積極的に取り組んでいただきたいというふうに思っております。
  44. 和田貞夫

    和田委員長 岩佐さん、もう質問はそれでいいですか。あと、あったら続けてやっておいてください。
  45. 岩佐恵美

    岩佐委員 せっかくの機会でございますので、企業献金についてちょっと伺いたいと思います。  この間、住専問題でも薬害エイズでも、官僚と業界及び政治家の癒着の構造が大きな問題になっています。総理御自身、入院給食有料化が実現した直後に日本メディカル給食政治連盟から百万円の献金を受けたという指摘がされたり、あるいは四月十二日の予算委員会答弁されておられるように、ミドリ十字からは八九年以降八百六十万円、日本薬業政治連盟からは九二年以降二千万円を受け取っておられます。財界は見返りのないところに献金をしない、こう言っているわけで、国民にとってみれば、国民本位の政治や行政のあり方をゆがめるのが政治献金、企業献金だというふうにとらえています。ですから、きっぱりやめるべきだというふうに思います。これが第一点です。
  46. 和田貞夫

    和田委員長 ちょっと岩佐さん、もう時間がないんです。
  47. 岩佐恵美

    岩佐委員 はい。  それから、あともう一つは、天下りの問題について議論がいろいろされておりますけれども、天下りの問題についてぜひ積極的に取り組んでいただきたい、この二点。
  48. 和田貞夫

    和田委員長 極めて簡単に御答弁願います。
  49. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 簡単にといっても大事なことばかりなのでありまして……。  まず、離婚した妻に対する婚姻期間に応じた遺族年金の支給、これは私は、生計を維持されていた遺族の生活を保障するために年金を支給するという遺族年金の趣旨に合うかどうか、民法上、離婚した妻に対しては法定遺産相続が認められていないという我が国の法体系になじむかといったことから、慎重な検討が必要だと思います。  次に、育児期間を有する者の年金額の増額につきましては、拠出に応じて給付するという現行の年金制度の体系の中に育てた子供の数によって給付を増額するという異質のものを持ち込むだけに、関係者意見を十分聞きながら、幅広い見地から議論していく必要があると考えております。  また、企業等の政治献金について御指摘がありました。私は自分で商売を持っておるわけでもありませんし、父親の代から莫大な資金を有する家庭ではございません。政治活動に必要な資金を正々堂々と私は受け、届け出をし、政治活動に使ってまいりました。  平成六年の政治資金規正法の改正によりまして、政党、政治資金団体並びに資金管理団体以外の者に対しては、これが一切禁止をされ、改正法の施行後五年を経過した場合、資金管理団体に対するものは禁止措置を講ずる。政党、政治資金団体に対する献金のあり方についても見直しを行うものと承知しております。  それから、公務員の天下りについてということでありましたが、何をどういう具体的な御意見かわかりません。しかし、私は人事院は厳正にルールを運用しているものと考えております。
  50. 岩佐恵美

    岩佐委員 終わります。
  51. 和田貞夫

    和田委員長 土肥隆一君。  ひとつ時間の厳守をお願いいたします。
  52. 土肥隆一

    ○土肥委員 はい、わかっています。二点まとめて質問いたします。  総理、通告しておりませんが、先ほど青山委員の方から出ました公的介護保険のことについて、やはり総理の決断をお聞きしたいと思います。  私も制度審に二年ほど末席を汚させていただきまして、将来像委員会、そして公的介護保険の提案まで参加させていただきました。そして今回老健審が、両論併記あるいは三論併記だと言われておりますが、私はやはりこの際、橋本総理、橋本カラーを出すということであるならば、ぜひともこの老健審の線に沿って公的介護保険の実現を期していただきたい、そのことをひとつお願い申し上げます。その決意をお願い申し上げます。  もう一つは、年金法の改正をやっておりますけれども制度審におりまして、年金数理部会の役割というものを再度私は痛感いたした次第でございます。この一本化、一元化、これは議論がございますけれども、やはり各省あるいは各制度に徹底した情報公開を求めて、そして事務局体制を充実して、この制度審の年金数理部会が今後の一元化、一本化の主導的な働きをするように、組織の強化であるとか総理の指導をお願い申し上げたいと思うのですが、この二点についてお答えください。
  53. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、先ほども申し上げましたように、現在老健審において御論議をいただいているさなかのものに、特定の方向での意見を申し述べることが適切だと考えておりません。  むしろ今後、ぎりぎり申し上げるといたしますならば、二十一世紀の本格的な高齢社会というものにおきまして、長生きしてよかったと言っていただけるような社会の実現を図りますためには、高齢者介護のシステムというものは必ず必要になるわけでありますし、高齢者介護保険というものの制度化に向けて積極的に取り組んでいきたいという一般論のみ申し上げます。  それから、もう一つ今議員の御指摘の内容がわからなかった部分がありますが、私は確かに、この介護保険制度についても社会保障制度審議会が果たされた役割は大変大きかった、問題提起の部分で大変大きかったと思います。その点については私は敬意を表します。  また、公的年金の再編成に当たりまして、各被用者保険制度の安定性あるいは公平性を確保するというものにつきまして十分検証を行っていくことは当然必要ですし、この部分につきまして、今社会保障制度審議会年金数理部会にお願いを申し上げていることも御承知のとおりです。  ですから、私は、今後、その制度、横断的な財政運営などについて年金数理部会がどういうふうな例えば情報公開の仕方をなさろうとするのか、情報公開だけでまなく方向づけまで考えていかれようとなさるのか、これは年金数理部会そのものの運営に係ることでありまして、我々がどうこう申し上げるべきことではないと思いますけれども、いずれにいたしましても、年金数理部会がこの役割を果たしていただくのに、その補佐する事務局が十分その機能が発揮できるように努力をしていきたいと思います。
  54. 土肥隆一

    ○土肥委員 終わります。
  55. 和田貞夫

    和田委員長 これにて内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。
  56. 和田貞夫

    和田委員長 質疑を続行いたします。桝屋敬悟君。
  57. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 それでは引き続きまして、今回の年金一元化法案につきまして質疑をさせていただきたいと思います。  最初に、これは通告はいたしておりませんが、大臣にもう一度、基本的なことでありますのでお伺いしてみたいことがあるのです。本日の日経に大臣の顔が、お写真がある記事が出ておりまして、一昨日やりましたこの委員会での論議の内容等も出ておりまして、私もこの前、大臣と議論させていただいた中で、そんなに大臣と違う考え方を持っているわけではないのでありますが、一点だけ気になることがありますので、議論させていただきたいと思います。  問題は、年金と医療、介護の三つの制度を連動させて効率化させる改革が必要である、こういう大臣のこの前の委員会での御答弁もございました。本日の日経の新聞にもそんな内容が入っております。それで、この前の委員会で大臣がお述べになりました福祉の構造改革、この中で大臣が使われた、大臣のお気持ちをあらわされた言葉の中で、「元気な高齢者は生活費が、病気になれば医療サービスが、寝た切りになれば介護サービスが必要になる。同じ人がこの三つを同時に必要とはしない、という観点からそれぞれの制度を連動させ、効率化する必要がある」このようにこの記事でお述べになっています。  私は、三つの制度を連動させて効率化させるということは確かにこれから大事だろうという気持ちでありますので、大臣のお気持ちに賛成なんでありますが、ただ、大臣、これを国民にお話しになるときに、今引用しました、元気な高齢者には生活費が必要だ、病気になれば医療サービスが必要だ、寝たきりになれば介護サービス、しかし、同じ人がこの三つを同時に必要とはしないという観点からという、これはたしかこの前の委員会でもそんなお話があったかと思います。私は、表現としてはさらっとこの前聞きまして理解をしたのでありますが、けさこの新聞を見ましてよくよく考えると、本当に大事なポイントだろうとは思いますが、今多くの国民介護保険議論を前にして一番抱いている懸念は、大臣、この生活費と医療サービスと介護サービス、実は同じ人が三つとも同時に必要になるというこの事実がまさにあるわけであります。  もちろん大臣がおっしゃられようとした意味合いは私も理解をしておるのでありますが、私も長い間現場で福祉の仕事をやってまいりました。一番困るのは、この三つが同時に来る人がいらっしゃる。本当にサービスが必要なときはその三つが同時に来る。それで多くの国民は、あるいは今のお年寄りは、多くの若い人もそうなんでありますが、老後の不安ということで、この三つが同時に来たらどうしよう、実はこれが一番不安なんであります。そして一生懸命蓄えをされているという事実が現にあるわけであります。  私は、言わんとする意味はよくわかるのでありますが、「同じ人がこの三つを同時に必要とはしない、という観点から」という表現はよくよく慎重に検討していただいて、というのは、今厚生省さんがお進めになっている介護保険の中でも、まさに示されているサンプルの中に医療サービスと介護サービスを同時に総合的に受けるというケースを想定されているわけでありますから、この三つは同時にあるだろうし、また、何とかその三つの部分について安心ができる、そういうシステムを私たちは考えているのだ、こういうことをぜひ国民にお述べいただきたい。  そういう意味では、年金と医療、介護の三つの部分を連動させて、本当に必要な方には本当に必要なサービスを提供できるシステムを考えていきますよ、こんな言い方の方がいいのではないかというふうに私は思うのでありますが、大臣、いかがでありましょうか。
  58. 菅直人

    ○菅国務大臣 よく御理解をいただいた上で御指摘をいただいて、大変ありがとうございます。  まさに私が言いたかったことも、今桝屋委員がおっしゃったとおり、まあ逆の形で言えば、年をとったときに、どういう状態になってもきちんとした安心できる対応ができる制度でなければならない。  ただ、この言い方をしたのは、今は制度がそれぞれ一種分立をしているために、ある部分では制度の谷間で十分なフォローが得られない人があり、ある部分では、制度が分立しているために、長い間入院していると年金がたくさん残ったというようなことで言われるようなケースもありまして、そういう意味では、本当に今おっしゃっていただいたとおり、どういった状態になっても安心した老後が送れるのだ、そういうことを実現をすることを前提としながら、同時に、効率といいましょうか合理的といいましょうか、そういう仕組みに連動させて考えていく必要があるのではないか。  言い方としては確かに若干舌足らずのところがありますので、今後は注意をいただいたことを念頭に置いて表現は考えていきたいと思っています。
  59. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ありがとうございます。  本当に二十一世紀の新しい福祉システム、社会保障システムを考えなくてはいけないときでありますから、気持ちは全く同じでございますので、ぜひお願いを申し上げたいと思います。恐らく国民の皆さんから見ると、むしろ今の社会保障を提供するシステムの方に多くの問題があるわけでありまして、随分むだもあるわけであります。そこを見直しをするということでありますから、本当に二十一世紀は安心ができるという、そういうイメージというものをぜひこれからもお話しいただきたいと思います。  それから、旧公共企業共済年金統合に係る問題で一点だけ確認をさせていただきたいのですが、JR等の共済組合事業として実施されておりました短期の医療給付あるいは貯金事業、あるいは全国に多くの会館や宿泊所等もあるわけであります。あるいは物資あっせん事業等もあるわけであります。私の祖父はJRに勤めておりまして、実は亡くなる前に寝たきりになりまして、大変に悩んだ時代があるのでありますが、この共済事業、本当にきめ細かな配慮をしていただいて、大変感謝をしたという時代もありました。  そんなことを思いますときに、共済組合事業、今回の統合の中で、今の医療給付でありますとか貯金事業あるいは会館、宿泊所、そんなもろもろの事業がどのようになっていくのか、ちょっと簡単に御説明いただきたいと思います。
  60. 松川忠晴

    ○松川説明員 今回の統合に伴う共済組合の各種事業の取り扱いについてのお尋ねでございます。  医療保険につきましては共済組合では短期給付事業と称してやっておりますが、これにつきましては旧三公社の各事業主が健康保険組合を設立することを予定しておりまして、したがいまして、その医療保険事業につきましては健康保険組合に承継することといたしております。  それから、宿泊所でありますとか保養所でありますとかいった宿泊事業、保健事業につきましては、健康保険組合においてあわせて実施することができる事業でありますので、新たに設立される健康保険組合に承継することといたしております。  ただ、貸付事業については健保組合ではできませんので、統合後は、厚生年金の他の被保険者と同様に、年金福祉事業団の貸し付け等を利用することになるものと考えております。しかしながら、現に共済組合から貸し付けを受けておられる方がおられるわけでございまして、引き続き存続組合あるいはそれにかわる業務を行うこととされる厚生年金基金において回収業務等を行うこととしております。  なお、貯金事業、物資事業JR共済のみでございますけれども、これは健保組合ではできませんので、八年度中にこれを廃止することを考えております。
  61. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 先般行いました参考人の意見陳述の中でもいろいろあったわけでありますが、特に今までJR等の共済事業、その中で共済運営体制があったわけでありまして、多くの職員の方もいらっしゃる。そういう方は、今お話がございました健保組合、さらには存続組合にというようなお話もございまして、何とかなるだろうというような話もございました。しかしながら、雇用対策として本当に大きな問題だろうと思います。私は、行政におかれてもきめ細かな配慮をぜひお願いを申し上げておきたいと思います。  それからもう一点だけ、これはもうお願いということで発言をさせていただきたいのですが、JR、JTの企業年金でございます。  考え方としては、この前局長からも御答弁がありまして、制度としてはできないことはない、しかしながら、今までの経緯からしますと、あるいは今後ほかの部分から御支援をいただくということからすると、当面はなかなかという話がありました。ただ、局長さんから物の見事にとんでもないというような雰囲気もございましたので、大蔵省が言われるのはよくわかるのですが、厚生省のお立場としてはもっと優しい言い方もあるのではないか。  それから、このJRの問題は、今まで長い間救済のためにいろいろな準備をしてきたわけでありまして、今回これで統合化が成るわけでありますから、特に若い現役世代の立場に立って、当然ながら企業年金、後ほどまた福島議員からも問題点のお話もあるようでありますが、やはり企業年金というのは大きな役割もあるわけでありますから、そういう若い現役世代が本当に希望を持って働けるような環境づくりも必要であります。これは当然ながら関係者理解と協力がなくてはできないことでありまして、私はそんな御配慮もぜひお願いをしたい、これはお願いを申し上げておきたいと思います。  それから次に、障害年金の問題につきましてお話をさせていただきたいと思うのであります。  最初に、実は昨年の十二月に障害者プランが策定をされたというふうに伺っております。これは政府・与党におかれても随分御努力もされ、我々新進党も大変関心を持って策定の経緯を見守ってきた背景があるわけであります。  この障害者プランの障害者の所得保障の中で、こういう表現になっております。「障害無年金の問題について、年金制度の在り方全体をにらみながら、年金制度の中で対応するか福祉的措置で対応するかを含め、幅広い観点から検討する。」という項目が障害者プランの中に入れられたわけであります。この内容については年金局におかれてはどのように把握をされ、理解をされておられるのか、まずお伺いしたいと思います。
  62. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 障害の無年金の方々でございますけれども、この方々は、保険料を滞納している間に障害を受けたとか、任意加入のときに任意加入されなかったとか、今でも未加入、こういうふうな方々が多いのではないかというふうに推測されるわけでございますけれども我が国年金制度は御承知のとおり社会保険のシステムでできておりますので、拠出をしている方に年金を支給する、事故が起きたときに年金を支給する、こういうふうな建前でできておりまして、これによりまして保険料の拠出というのを担保してきているわけでございます。  したがいまして、「年金制度の在り方全体をにらみながら、」といいますのはまさにこのことを指しているわけでございまして、障害年金だけではなくて老齢年金もそうでございますけれども年金制度の基本にかかわる問題だ、こういうことで慎重に検討する必要がある、こういう趣旨で書かれたものというふうに理解しております。
  63. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 おっしゃるとおり、「年金制度の在り方全体をにらみながら、」というのはまさに年金制度の本質にかかわる問題で、したがって、社会保険方式のこの年金制度でありますから、当然ながら、掛金を掛けてない、あるいは加入してないような方について無年金になるという現象はどうしても出る。したがって、今までも年金制度改革検討するときに、税制度に移行しようというような議論も常に出ているわけであります。  そうしますと、今の局長さんのお話からすると、「年金制度の在り方全体をにらみながら、」というのはまさに制度の根幹にかかわる問題だということでは、この障害者プランの中で、障害者の所得保障、障害無年金の問題についてはなかなかすぐに検討が前に進むということではないような気がするのですね。  それで、この障害者プランというのは、実は多くの障害者が大変に期待をして見守っているものでありまして、長期計画等、具体的に今までずっと詰められてきたその計画をさらに数量化して、本当に着実に障害者対策を進めようという全体の性格があります。そういう意味では、障害者の所得保障の項目が上がったということは、全国の多くの障害者が注目をしているわけであります。しかし、今の局長さんのお話を聞くと、項目としては上がったけれども、次の財政再計算時まで精力的に検討して何とか解決するようにいたしますよ、こういう簡単なことではないような気がするのですが、いかがでありましょうか。
  64. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 先ほど申し上げましたように、年金制度への対応と申しますのは、社会保険としての年金制度の根幹に触れるわけでもございますし、それから、制度に加入して保険料を納めている人と納めていない人との公平の問題もあるわけでございますし、先般来議論されておるわけでございますけれども年金財政というのはこれから非常に厳しい事態が予測されるわけでございますので、そういう中でどうして財源を見出していくか、こういう問題もあるわけでございます。  したがいまして、年金制度仕組みのもとでの対応というのは非常に困難というふうに考えておりますけれども、こういう切実な問題でもあるわけでございますので、次期財政再計算期におきます検討課題の一つとして、やはり審議会の方でも御検討を願わなければならない一つの論点かな、こういうふうに認識はいたしております。
  65. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 障害者プランに項目として入りました所得保障、特に障害無年金の問題につきましては、今の近藤年金局長さんのお話を伺いますと、私は年金局長がかなり遠くに見えるのであります。そうしますと、どうしてもプランをつくられた佐々木局長さんに、ではここは、年金制度の中で対応するかあるいは福祉的措置で対応するかも含めて検討するということになっているわけでありますから、どうでありましょうか。  特に今介護保険検討されておりまして、実はこの介護保険の中で一つ議論としてあることは、若い障害者の方の介護の問題は介護保険の中では税で対応しよう、どうもこういうことのようであります。  私は、その方向はいいと個人的には思っているわけでありますが、そういう意味では、まさに今回介護保険という新しい社会保険システムを検討されているわけでありまして、その中で介護という問題は、お年寄りの介護はお年寄りの世界で、若い障害者の部分は税の制度で対応しようということであろうと思います。  そういう意味では、そんな問題もあるわけでありますから、横にらみしていただいて、年金制度の中で対応するのか福祉的措置で対応するのか、そんなことは政策日程に上げていただいて検討する、こういう姿勢をぜひお持ちいただきたい。特に障害者施策、新しい機構も厚生省の中でできるようでありますからお願いを申し上げたいと思いますが、佐々木社会・援護局長さんにお伺いしたいと思います。
  66. 佐々木典夫

    ○佐々木(典)政府委員 今先生からお話がありましたとおりの経過で、昨年末の障害者プランの中では、あるいはさらにそれに先立ちまして厚生省の方の保健福祉推進本部の中でも、同じ趣旨でございますけれども年金制度の中で対応するのかあるいは福祉的措置で対応するのかも含めて幅広い観点から検討するという旨で、そのような記述のもとに障害者プランがまとめられてきたということは今お話しのとおりでございます。  それで、この問題につきましてはまさにこの文面で示されたとおりでございます。これまでも年金法の審議の過程等で、いろいろ国会の場等でも御議論があった。そのような経過を引き継いで、やはり障害者の施策の中でも所得保障というのは非常に大きな位置を占める、そういうような観点から障害者プランの中でも位置づけられたということでございます。そうしたことでございますので、事柄の筋につきましては、ただいま年金局長からお答えがございましたが、まさにそういった本質がございます。  現在、福祉サイドでございますと、もう先生御案内のとおりで、生活保護による所得保障のほかはいわゆる特別障害者手当というのが唯一福祉のサイドではございます。これは、性格としましては、まさに身体あるいは精神の著しい重度の障害のために日常生活において常時特別な介護が要るというふうな点に着目して手当が支給されてきているという経過がございますが、それ以外について、いわば年金制度保険料が納められなかったりしたことなどによる無年金の方への補完という形で福祉制度でやるということにつきましては、いろいろな根本の議論があるように思います。  いずれにしましても大変難しい問題でございますけれども、これは関係部局の連携のもとに、障害者プランの中で規定しております趣旨にのっとって、さらに関係部局一緒になって努力をしていかなければならない問題であるというふうに認識いたしてございます。
  67. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ぜひ局長、お願いを申し上げておきたいと思います。全国の多くの障害者の方が所得保障というこの項目に多くの関心を寄せているということをぜひ御理解をいただきたいと思います。  それで、近藤局長に重ねてお伺いするのでありますが、これはもう障害者の問題だからあっちでやれということではなくて、実はこの障害者プランで私が甚だ不満なのは、障害者の所得保障を「障害無年金の問題について、」という項目だけに絞られている、ここが甚だ不満であります。障害者年金の問題、所得保障の問題は、この無年金の問題だけではないのであります。  実は、どういう問題があるかといいますと、やはり障害年金給付水準の問題、これが一つあろうかと私は思います。確かに、今までの数度の改正によりまして相当のレベルの所得保障の給付水準にはなっている、こういうことは私は理解をしているのでありますが、例えば厚生年金三級が国民年金にはない、こういう問題もあります。そこは当然制度のよって立つ性格上の違いもあるのでありましょうが、そこはそういう問題もあります。  さらには、一番私が気になっておりますのは、最近は障害者の世界でも、新たな障害者といいますか、例えば身体障害者手帳の範薦も新しい方がふえているわけであります。例えば、その昔なかった人工透析を受けておられる方、これは内部障害者ということで新たな障害者という位置づけがされておりますし、さらには、最近はオストミーと言われている人工肛門をおつけになったような方、昔は恐らく命を失われていたような方も今は人工膀胱をつけられて、人工臓器をつけられて生活をされておられる。しかし、それはそれで日常生活に相当の支障があるわけですから、障害者の位置づけがある。  ところが、一点だけお聞きしてみたいのですが、質問はしておりません、もし回答が不能ならばいいのです。数字的な話ですが、例えば人工肛門あたりは、人工肛門をつけられておられる方は、私は恐らく身障手帳は三級か四級ぐらいの認定になるのだろうと思います。恐らく障害年金の中ではボーダー、あるいは恐らく対象に入っていないのではないかという気もしないでもないのでありますが、その辺のところちょっと教えていただけますか。
  68. 横田吉男

    ○横田政府委員 障害年金の支給要件に該当する障害の状態につきましては、政令におきまして、日常生活がどの程度制限を受けるかに着目いたしまして、障害の状態が、日常生活の用を弁ずることを不能たらしめる程度の障害の状態を一級とし、また、日常生活が著しい制限を受けるかまたは著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を二級としているところであります。厚生年金独自の給付といたしまして、これ以外に、労働の制限を受ける程度に着目した三級の要件を設けております。  これに基づく個々のケースの障害認定を適切に行うために、傷病の種類別に具体的な認定基準を定めております。  御質問にありました人工透析につきましては、現在の基準におきましては、人工透析療法を施行中の者につきましては厚生年金の三級に該当することになっております。これに加えまして、臨床症状あるいは検査成績等によりまして総合的に判断して、さらに二級なり一級の認定をしているところでございます。また、人工肛門につきましては、人工肛門を造設した者は厚生年金の三級該当にほぼ認定されることになっております。これに加えまして、全身の状態ですとか術後の経過等によりましては、さらに二級なり一級の認定がされるというふうなことになっているところでございます。
  69. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ありがとうございます。  今、厚生年金の御説明がありました。人工透析の方は三級をベースとして、その他の症状は二級、一級、それからオストミー、人工肛門の方も三級が一般的だろう、状況によっては二級、一級、こういう考え方ですね。  国民年金の場合はどうでしょうか。
  70. 横田吉男

    ○横田政府委員 三級は厚生年金だけでございますけれども先ほど申しましたように、国民年金も含めまして、療法施行中という状態に加えまして、臨床状況及び検査成績を踏まえて、二級に該当すれば二級、一級に該当すれば一級ということで認定しているものでございます。
  71. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ちょっと私よく理解できなかったのでありますが、大体わかりました。逆を言いますと、例えば人工肛門をおつけになった方は身障者手帳は通常三級から四級だろうと思うのですが、厚生年金は一般的には通常三級、そうすると国民年金は該当にならないということですね。その他の症状によってはと、こういう理解ですね。わかりました。ありがとうございます。  今のような問題も実はあるわけでありまして、こういう障害者の方というのは以前はそんなに多くもなかったし、そういうカテゴリーもなかったのではないかという気がするのであります。当然ながら厚生年金国民年金の違いはありますが、今のようにまさに三級部分で該当する人としない人が出てくるわけであります。当然ながら国民年金厚生年金は性格が違う、そういう理解もあるのだろうと思いますが、片方、障害者の所得保障という観点から見たときに、本当にそれでいいのかということもあるわけであります。  それで、今申し上げた障害者給付水準の問題、あるいは給付対象者の問題、あるいは認定基準等の問題について、特に身体障害者の世界も相当状況は変わってきております。そろそろ検討される時期に来ているのではないか。これはもちろん検討されると一年や二年で終わることではない、三年ぐらいかかるのだろうと私は思います。そういう意味では、次期財政再計算を目指して検討に着手する。先ほどの無年金の問題だけではなくして、こういう障害者の所得保障、障害者年金給付水準給付対象者、そして身障の世界の新しい障害者、身体障害者の認定基準との横にらみであるとか、私は検討する時期が来ているのではないかと思うのですが、局長さん、いかがでありましょうか。
  72. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 いろいろ障害者年金につきまして検討すべきではないか、こういう御質問でございます。  まず給付水準について申し上げますと、障害厚生年金でございますけれども、老齢厚生年金と同じ方法で計算いたすわけでございます。もちろん三百カ月に足りなければ三百カ月で計算するということでございますけれども、二級の場合で老齢厚生年金と同じ算定方式になるわけでございまして、一級の場合にはその一・二五倍、こういうふうなことで、加入期間が短くても二十五年相当の最低保障という形で行われているわけでございますし、それから障害基礎年金というのも、これもほぼ同じような考え方で、二級の場合には老齢基礎年金と同じ、一級の場合には一・二五倍、こういう形で構成しているわけでございます。  このように障害年金につきましては老齢年金を基礎にして金額を決めている、こういう事情でございますので、当然生活水準の向上等によりまして老齢年金等の見直しはやっていくわけでございますし、それに従って障害年金見直しをすべきだ、こういうふうに考えているわけでございます。  障害認定の関係につきましても、これは主として社会保険庁の方でお願いしておりますけれども時代の趨勢といいますか、医学の発達とかそういうものに対応いたしまして必要な見直しをやっていく必要がある、こういうふうに考えております。
  73. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 何度も申し上げますけれども障害者プランの中に所得保障が入ったということは、私ども評価しております。ただ、表現として、無年金の問題だけではないということもぜひ御認識をいただきたい。全国の障害者が注目をしている。  特に大臣、今回の障害者プランの最大のポイントは、地域での障害者の生活支援、自立の生活をいかに支援するか、こういう側面のプランでありました。そのプランの中で生活支援ということを政府がおっしゃっていただけるのであれば、最大のポイントは所得保障だ、こういう声が多くの障害者の中にあるということを私は大臣にお伝えをして、この質問を終わりたいと思います。  きょうはありがとうございました。
  74. 和田貞夫

    和田委員長 福島豊君。
  75. 福島豊

    ○福島委員 本日は朝早くから、大臣、大変御苦労さまでございます。年金制度一元化につきまして、幾つかの観点からお聞きしたいと思っております。  こういうことが言われておるわけでございます。日本の年金制度一元化給付一元化でしかない、要するに出口の部分の一元化だけなんだと。その中身をいろいろと検討すればさまざまな意味で問題点がある。  例えば、こういうことも言われております。被用者の保険料は定率で取られるわけですね。それに対して自営業者は定額である。被用者の配偶者は無拠出ということになる。被用者は所得に比例した拠出であるために応分の負担ができるけれども、自営業者は高所得者も低所得者も同額の拠出であるため、低所得者ほど負担は重たくなる。いわゆる逆進性ということが起こるわけです。このような保険料の性格がありますから、基礎年金においては被用者には所得再分配機能が働くけれども、自営業者には働かない。日本の公的年金制度は、一元化といいますけれども、一部では所得再分配機能が働く性格を持っているけれども、一部ではそれが働かないような性格のものになっている。  ですから、最終的に一元化を進めていくといった場合に、どういう性格の年金制度なのか、その哲学の問題ですね。所得再分配ということもあるのかないのか、そういうことも含めて私は一元化ということを考えていかなければいけない。これからさらに一元化に向けてさまざまなステップが踏まれていくと思うのですけれども、この点について、一元化の哲学は何か、どのような機能を求めるのか、大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  76. 菅直人

    ○菅国務大臣 一元化の哲学という御質問で、どういう側面からお答えするのかと考えるわけですが、公的年金制度は老後の生活のまさに柱となるものでありまして、そういう点で、制度の長期的な安定ということと給付負担の公平を図るということが大変重要だと思っております。  委員が今話をされました再分配という考え方は、現役同士の中での再分配というのは税においてはかなり言われるのでしょうが、年金の場合は、その機能も部分的にはあるというふうにも思えますが、どちらかといえば世代間の分配といったようなことがより重視されているのではないかと思っております。  そういう中で、全国民共通の制度である基礎年金制度につきましては、国民共通の給付を設定して、必要な費用は各制度が加入者数に応じて負担するという仕組みにより、ここは一元化というよりも、さらに進んでいわば一本化されているわけですね。まさに一体になっているということが認識できると思います。  また、サラリーマンなどを対象とする被用者年金制度については、特定の職域や産業を対象とした制度が分立していることから、小規模な制度が産業構造の変化に対して脆弱であるという問題や、各制度成熟度などの違いを反映した保険負担の問題があり、制度の再編成を進めることによって、最初に申し上げました制度の長期的安定ということ、さらには給付負担の公平を確保するということが大きな課題となっていると思っております。  そういった点で、この被用者年金制度の再編成の第一段階として、JR共済等の三共済厚生年金統合するという今回議論をいただいている法案を提出したところであります。  そういった意味で、先ほども申し上げましたが、年金の場合は世代を超えての長期の問題でありますので、その安定と同時に給付負担の公平性を図るというのが一つの一元化の目的、あるいはあえて言えば哲学ではないか、このように考えております。
  77. 福島豊

    ○福島委員 制度の安定的な運営を図るということと公平さということが必要だ。公平さというのは、世代間の公平さ、それから世代内の公平さ、二つあるというふうに思うわけですね。  先ほど申し上げました基礎年金の話ですけれども、これは世代内の公平さにおいて、要するに職種によって違うじゃないか。確かに、大臣おっしゃられるように、全部まとめていくと、数の分だけ出すんだから公平じゃないかという話になるわけですけれども、個々の被保険者になりますと、所得に応じた保険料を納めるわけですから、そこのところは全体で見た場合と個別の場合とで私は違うんじゃないかなという気がするんですね。  余談でございますが、ちょっとお聞きしたいと思うのですけれども、男性と女性は平均寿命が違いますね。女性の方が長いわけです。五年は長い。ですから、単純に考えますと、女性の方が年金をたくさんもらう、男性の方が少ない。早く死ぬということなわけでございますけれども、こういう意見もあります。世代内の公平さということを考えたときに、これは男女間で不公平なんじゃないか、女性の方が長く生きるのはもう確率的に決まっているわけですから、男性の方が短い、男性の方が保険料が少なくてもいいんじゃないかというような意見があります。これはちょっと余談でございますが、どのようにお考えか、お聞きしたいと思います。
  78. 菅直人

    ○菅国務大臣 大変難しい御質問のような気がしますが、私も年金というものを考えるときに、仕組みの中で、今言われたようこ、これが民間の生命保険などであれば、どういう人がどの程度生きるとか、最近は場合によったらたばこを吸う人と吸わない人を分けようとか、それは民間の場合はいろいろ計算上の問題があって、そういう仕組み考えられるのはそれぞれの一つの考え方だと思います。  ただ、公的年金の場合やはり一番大きなのは、その時代その時代で生み出した富を世代間でどのように分かち合うか、そういうことを最終的には理念としていて、ただ、それに向けてどういう仕組みの中でそれを組み立てていくかということのような気がします。  ですから、先ほど公平性の問題も言われましたが、国民年金の場合も、今は二階建て部分はまだ加入者が少ないわけですが、国民年金基金ができておりまして、この部分は、場合によったら、ある程度所得の多い人は二口、三口入るというようなことで厚生年金と若干似たようなこともできるわけであります。そういう点で、確かにおっしゃるとおり、いろいろな公平の考え方はあると思いますが、私は、最終的にはそれぞれの時代における生み出した富をどう世代間で配分するか、それの根拠づけとしての年金をどう構想するか、そういうふうに考えていいんではないか、やや抽象的ですけれども、そんなふうに考えております。
  79. 福島豊

    ○福島委員 基礎年金の国庫負担の割合を見直す議論というのはもうずっとあるわけでございますが、その一つの観点というのは世代内の公平さを図る。先ほど申しましたように、自営業者と被用者で制度が違う、負担のあり方が違う、これはおかしい。それを解消するためには、最終的には、世代内で所得移転ということが年金の場合にも起こっているわけでありますから、それをすかっとさせるためには税金でこれを賄う、その比率を上げていくということが一つの解決法なのではないかという考え方がありますね。この点につきましてはどのようにお考えでしょうか。
  80. 菅直人

    ○菅国務大臣 ちょっと私の理解力の不足なのかもしれませんが、世代間の問題あるいは逆進性ということを当初言われましたけれども、確かに、所得に比例して掛ける被用者保険と、所得にかかわらず定額であるということは、税と同じように考えれば、そういうおっしゃり方は成り立つと思うのです。  ただ、国民年金の場合は、定額であると同時に、受けるときも定額です。つまりは、被用者保険の場合は定率で、たくさん払った人は逆にたくさん受け取るという形になっていますから、税の場合のような考え方とは若干観念性が違うのではないか。つまり、税の場合は完全に一つの財源になるわけです。プールされるわけですが、年金の場合は掛けた金額にある程度連動した受け取り方をしますから、そこは考え方に多少の差があるのかなという、お聞きしていてそんな感じがいたしております。  それから、今おっしゃった基礎年金の国庫負担を見直すという問題ですけれども、御指摘のように、この基礎年金の国庫負担については、所得再分配という機能があるかどうかということが一つの論点であると思っておりますが、国庫負担水準をどの程度に設定するかにつきましては、相当前回の法案のときに議論があったことを私も記憶をいたしております。  この設定の仕方によって、非常に巨額の財源を要する問題であるわけですので、それが年金財政や国家財政にどのような影響を及ぼしていくかという点、さらには、受益と負担の関係が最も明確な社会保険負担中心の枠組みを維持していく中で、税と保険負担のあり方をどのように考えるかという問題、さらには、医療や福祉を含めた社会保障政策の中で優先順位をどのように考えるかという問題もあるわけでありまして、もちろん国会における附帯決議あるいは附則等もあることは十分承知しておりますけれども、今申し上げたようないろいろな観点を含めて幅広い観点から検討していく必要がある、このように考えております。
  81. 福島豊

    ○福島委員 世代間の問題でございますけれども、世代問にも許容できる範囲の公平さというのでしょうか、それがあるのかなと思うのですね。  最近よくマスコミで報道されていますのは、年金が危ないという特集が非常に多いですね。例えば、これはアエラに載っておりました特集ですけれども、若い世代、これから生まれてくる世代、大変に不公平だという議論が非常に盛んだ。確かに世代間の助け合い、扶養ということになると思うのですけれども、そこが余りにも不公平なんだということでは、私はなかなか受け入れがたいと思うのですね。  大体、大学生は余り年金のことを知らないことが多いわけですけれども、逆にかえって年金のことをよく知っている私の知り合いの学生などは、掛けても損じゃないかということを率直に言うわけです。また、先ほども言いましたように、年金が危ないというさまざまな特集では、掛けても損だということが数字をもって示される。これを見ていると、どうもやはり本当に危ないのと違うかという認識を国民も持つ。  こんなことも書いてありますね。これは若干の皮肉でございますけれども、どれだけ掛けてどれだけ受け取れるかという試算があるわけですね。これはよく雑誌にも出ています。  厚生省の試算ではいかなる世代でも、受け取り  の方が支払いより多くなっている。   いくつかの民間の試算とは、計算の仕方が  違っているからだ。   厚生年金保険料は、本人と雇用主が半分ず  つ負担することになっており、これは当然ですけれども、  通常は雇用負担分も本人の所得の一部で、合  わせて本人の負担分と考えられる。   だが、厚生省の試算では、本人負担分しか計  上していないので、同様の他の試算の半分しか  負担がカウントされていない。ですから、見かけ上、掛けたよりも受け取りの方が多いような書き方をしておるんだ、こういう皮肉が書かれているわけでございます。これは通告していませんので結構でございますけれども、そのあたりのことというのをやはり正直に言った方がいい。  例えば、このアエラの特集でしたら、一九八五年に生まれた場合には、支払いに対して受け取る比率は〇・七四である。一を割るわけですね。これは民間の試算ですから、どれだけ正しいのか数字的には若干の問題はあると思うのですけれども、私はやはり正直に言った方がいい。その上で世代間の公平さの問題、世代間でも若い世代に余り負担がいくということは、これは若い世代としてはなかなか容認しがたいということになると思うのですね。  大臣の哲学を私は教えていただきたいのですけれども、世代間の扶養、助け合いということを考えた場合に、どこまで若い世代に負担を求めてもいいのか。それは公平さというふうに言ってもいいと思うのですが、その点について大臣の哲学をちょっとお聞きしたいと思います。
  82. 菅直人

    ○菅国務大臣 これもなかなか難しい御質問なのですが、今おっしゃった、世代間で、若い人にとって掛けた保険料が十分に返ってこないのではないか。私も数字はきちんと示すべきだと思いますし、確かに厚生省が一般的に出している数字では本人の掛金をベースに考えていますから、例えば若い人で一・九倍といっても、それには本人の掛金以外に企業負担あるいは国庫負担等もありますので、そういう点では、そういうことは正直に出した上でまさに議論すべきだというふうに思っております。  そういうことを前提として世代間の公平というものを考えたときに、今国民負担率の議論も出ておりますけれども、例えば十年、二十年、あるいはピーク時と言われる三十年後に、そのときの現役世代がどれだけ負担をしなければならないのか、これはまさに今でいえば若い人の負担ということになると思いますが、そういうことを考えていろいろな仕組みの将来展望を検討しなければいけないと思っております。  そういう点で、先ほど来もありますように、私は、福祉構造というものも、そういう長期的な展望にも立って構造改革を進めていく必要があるのではないか。先ほど他の委員の方からも御指摘を受けましたが、例えば年金と医療と介護の問題で、私の舌足らずな面もありますけれども、少なくとも年をとったときに安心できる、そういう社会を実現するという一つの前提は必要だと思います。あるいは目標とすべきだとは思いますが、同時に、そういう社会をつくるときの、若い人たち、現役世代がそれを負担できる、あるいは負担を例えば国民負担率でいえば五〇%以内で負担できるような、そこはなかなか難しい非常に狭い選択かもしれませんが、その両方を考えてこれからの福祉の構造を考えていかなければいけない、このように思っております。
  83. 福島豊

    ○福島委員 そうしましたら、若干質問の対象を変えまして、基礎年金番号についてお聞きをしたいと思います。  まず、厚生省の現在の基礎年金番号の導入に向けての作業の進捗状況、また、どういった制度として最終的に実現されるのかという点につきまして、お答えできる範囲で結構でございますけれども、お答えいただきたいと思います。
  84. 横田吉男

    ○横田政府委員 公的年金制度が複数制度に分立いたしまして、記録管理がそれぞれの制度ごとに行われているという状況のもとにおきましては、未加入者が発生しやすいとか、あるいは制度をまたがる年金相談とか裁定が非常に迅速的確に行えないとか、そういった問題点が指摘されているところでありまして、基礎年金番号は、こうした状況に対応いたしまして、現在それぞれの制度ごとにあります年金番号を共通化いたしまして、年金サービスの向上なり未加入者の解消を図ろうとするものであります。  こうした基礎年金番号につきましては、これまでも各種審議会あるいは関係団体等からも早期導入が求められてきたこともありまして、私どもといたしましても、関係省庁と調整を図りながら、平成六年度からシステム開発を進めてきているところでございます。  システム開発の関係につきましては七年度でほぼ終了したという状況でございまして、八年度におきましては、システムのテストでありますとか、厚生年金の被保険者につきましては現在住所情報がございませんので、三千二百万人ぐらいいるわけですが、住所の収録作業、あるいは秋からは、重複加入されて手帳を幾つか持っている方もおられますので、そういったものの確認、チェック、年末には各被保険者に対しまして番号の通知をするというような予定で、切りかえ作業を進めているところでございます。  これが実施されますと、二十歳に到達した場合に国民年金に加入すべき者というものがはっきり把握できるようになりますので、届け出の勧奨を行うことが可能になるとか、あるいは、複数の制度を異動した場合においてうっかり届け出を忘れるというような場合もあるわけですが、そういった者についても把握できるようになりますので、こちらの方から連絡ができるようになります。  また、制度をまたがりました資格、記録関係の相談でございますとか裁定につきましても、従来よりも迅速に対応ができるようになると考えております。さらに、将来的には、一定年齢の者につきましては、過去の加入記録をお知らせするとか年金見込み額をお知らせするというような新しい行政サービスも可能ではないかというふうに考えております。  私どもといたしましては、現在、こういったことで、来年、九年の一月の実施を予定しておりますけれども、それに向けまして全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
  85. 福島豊

    ○福島委員 この年金番号の導入で、現在問題になっております国民年金の未加入者の問題、これはかなり改善が見込めるのでしょうか、そのあたりについてはどのようにお考えですか。
  86. 横田吉男

    ○横田政府委員 先ほども申し上げましたように、現在の年金事業運営におきましては、各制度ごとに記録管理なり年金番号を持っておりますので、加入者の届け出がない場合にはほかの制度に加入しているかどうか全く把握ができないわけであります。こういったことで未加入者が発生しやすくなっているということが言えるわけであります。  基礎年金番号が実施されますと、各制度の記録の把握が年金番号をキーといたしまして可能になりますので、例えば二十歳に到達した者につきまして、二号被保険者として入っている者につきましては、その情報を社会保険事務所の方から市町村に連絡することによりまして、市町村においてどの者が一号被保険者として加入すべき者かというのがはっきりいたしますので、的確な加入勧奨なり手帳の送付ができるようになるということであります。  また、転職あるいは退職等によりまして、例えばサラリーマンをやめて自営業者になった者につきましても、本来は一号被保険者としての届け出が必要になるわけでありますが、忘れている場合等もあると思います。そういったことにつきましては、被用者の被保険者としての資格の喪失情報というものを社会保険事務所から同様に市町村に提供することによりまして、未届けの者につきまして、必要な届け出を行うように個別にお知らせが可能になるということであります。  さらに、三号被保険者につきましては、配偶者の制度間の異動に伴いまして市町村に届け出が必要な場合もあるわけでありますが、うっかり忘れているというケースも多いわけであります。こういった者につきましても個別に把握できるようになりますので、それぞれに社会保険事務所の方から連絡ができるようになるということであります。  こういったことを通じまして、現在の未加入者がすべて直ちに解消できるというふうにはならないかと思いますけれども、うっかり届け出を忘れているといったような者につきましてはそれぞれお知らせができるようになりますので、未加入者の減少に極めて大きな効果があるというふうに考えておるところでございます。
  87. 福島豊

    ○福島委員 先ほど御説明ありましたけれども、基礎年金番号を導入して、自分自身の年金の加入期間であるとか、また年金の見込み額であるとか、そういう情報が得られるような新しい行政サービスを行いたいというお話でございました。これは非常に大切なことだなというふうに私は思うのですね。ただ、見込み額、えらい少ないじゃないかというお話になったらいかぬわけですけれども、これは余談です。  自分自身の社会保障にかかわる情報を国民が得やすいような形にする。今でしたらよくわからぬわけですね、自分の年金手帳を見てもよくわからない。それが逆に得やすい情報としてあれば、そこにアクセスをして、ああそうなのか、自分の老後はこういう形で保障されるんだなということがわかる。それはまた逆に言いますと、社会保障に対しての信頼性を増すということにもなるのでしょう。それからまた、日本は貯蓄大国と言われておりますけれども、老後が心配で、せっせと貯金をしなければいかぬと思っておるわけです。それは余り信用していないということですけれども。そういうような傾向からもまた変わっていくのではないか。  ただ、利用のしやすさ、窓口をどうするのか、これは要するにプライバシーの問題もありますから、そこのところは検討していただかぬといかぬと思うのです。手続に時間がかからないような、これだけマルチメディアといいますか情報ネットーワークが進んできているわけですから、そういう技術もどんどん積極的に取り入れて、アクセスしやすいシステムというものをつくっていただきたいな、そのように要望させていただきたいと思います。  続きまして、年金と教育の問題なのです。  私は思うのですが、先ほどもある大学生の言葉を聞かせていただきましたが、年金制度の空洞化ということが今指摘されていて、大変深刻な問題だ。若い世代の負担というのは今後減ることは決してないわけですね、ふえることはあっても。その中にあって、まあ年金だけではございませんけれども、この社会保障についての考え方、世代間扶養の考え方、これを若い世代の人に理解してもらう、納得してもらう、これはやはり教育が大事なのだというふうに思うのですね。  この点については、私は、やはり高等学校のときにこういう授業をすべきだというふうに思うのです。日本の高校の進学率は非常に高いわけです。ですから、高校でそういう授業をすればかなりの部分がカバーできる、基本的な考え方を教えることによってカバーできるというふうに私は思うのです。  きょうは文部省においでいただいておるかと思いますけれども、御見解をお聞きしたいと思います。     〔委員長退席、横光委員長代理着席〕
  88. 本間政雄

    ○本間説明員 先生お尋ねの件でございますが、高齢化社会をこれから迎える、こういう状況にあるわけでございまして、私ども文部省といたしましては、学校教育におきまして、年金等を含めました社会保障制度につきまして正しい理解を深めていくということが大変重要だというふうに考えております。  このため、児童生徒の発達段階に応じまして、社会科等の教科を中心に、国民の福祉の重要性あるいは社会保障制度等につきまして適切に指導を行っているところでございます。  具体的に申し上げますと、ただいま先生から高等学校の進学率が非常に高い、実際九六・七%というような高率を示しているわけでございますが、この高等学校段階におきましては、例えば現代社会あるいは政治・経済といった科目があるわけでございますけれども、こうした科目の中におきまして社会保障の充実等につきまして理解を深めさせるというふうにしております。  また、家庭一般という科目もございますけれども、ここにおきましては、安定した老後の生活のための年金等の社会福祉につきまして、その意義あるいは課題等につきまして考えさせるというふうにいたしております。これが学習指導要領の記述でございます。  それでは、主たる教材でございます教科書においてはどうかということでございますが、例えば高等学校の現代社会の教科書を見てみますと、各種の年金の種類を例示いたしております。また、それとともに、高齢化社会に向けての課題等が記述されております。さらに、家庭一般の教科書を見てみますと、公的年金の受給状況などとともに、年金制度の充実が必要であるというようなことが記述されております。  いずれにいたしましても、年金を含めました社会保障制度の重要性にかんがみまして、年金制度あるいはその趣旨、その重要性等につきまして、学校教育におきまして一層充実をしていくように努力をしてまいりたい、かように考えているところでございます。
  89. 福島豊

    ○福島委員 確かに教科書に記述されているかもしれないわけでございます。一般の授業の現代社会の教科書の中に確かに書いてある。  ただ、現代社会の教科書に書いてあっても、要するに、試験に何が出るのだというような観点で大体教えるわけです。ですから、そういうことと切り離して、国民として基本的に知っておかなければいけないようなものとして、僕も別建てのパンフレットをつくるぐらいのことをしてもいいのじゃないかと思うのですよ。それで一時間だったら一時間ちゃんとやる。いろいろな現代社会についての知識の中の一端として、年金にも触れましたよ、社会保障にも触れましたよという知識の問題ではないのですね。我々が直接かかわることだ、あなたが直接かかわることなのだ、そういう教え方をしていただきたい、私はそのように要望だけさせていただきます。  続きまして、厚生年金基金のことにつきましてお聞きしたいと思います。  これは先日も委員会でも御質問があったようでございますが、一元化という観点から考えますと、やはり不思議だなと私は今思っているのです。どうしてかといいますと、厚生年金基金にはさまざまなタイプがあります。単独設立、連合設立、総合設立と三つのタイプがある。どちらにしましても非常に単位としては小さいわけですね。  一元化の目的というのは、要するに財政単位を拡大して、社会経済がどんな変化があっても対応できるような体制をつくろうということなのですね。それに対して年金基金は、確かに上乗せがありまして、年金の内容を充実するという視点もあるわけですけれども、しかし単位は小さいわけですね。また、厚生年金の代行部分がありますから本体から離れている。そういうものをたくさんつくるということは、一元化に向かっていく大きな流れの中でどんなふうに考えたらいいのか。やはり矛盾しているのではないか。  確かに、日本紡績業基金の破綻にしましても、大きな経済構造の変化、就労構造の変化、そしてバブルの崩壊ということが重なっているわけですけれども、日本の経済はもっともっと変わっていくのじゃないかと私は思います。現在、さまざまに提言されている経済改革の問題でも、就業構造が大きく変わるということが予測されています。労働省が出している予想でも、ビジョンでも、大きく変わるとされている。  その中にあって、細かな制度に分かれています基金をつくってきたということです。これをどう考えたらいいのか、また、大きな変化が今後予測される中にあってどう対応していくのか、こういう基本的なことにつきましてお答えをいただきたいと思います。
  90. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 先生御承知のとおり、厚生年金とかほかの共済組合に比べましても非常に小規模の財政単位でやっておりますので、大きな変動があるということになりますと非常に脆弱な面もあり得るわけでございますけれども、そういうことのために事前積立方式という形をとっているわけでございます。  ただ、完全積立とまではいきませんので、寿命が延長しますと給付がふえますし、それからベースアップなんかがありますと給付もふえる、こういう事情もございまして、今まで問題が顕在化しなかったのは、収益が非常によくて利差益で泳いでいたわけでございますけれども、これが逆に利差損になる、こういうことで今までの問題も一挙に顕在化したというように、危ない時期になったわけです。  それから、一元化と異質じゃないかということでございますけれども厚生年金基金というのは事前積立といういわゆる代行部分を土台にしてつくっているわけでございまして、今回の一元化ということは、私どもは、被用者年金の方が全員入っておられる二階部分を想定したものを考えているわけでございます。企業年金につきましては、そうした二階の上に立って従業員の福利厚生をさらに向上させる、老後生活を豊かにする、こういう目的でできているわけでございまして、これは事前積立方式でやっているということでございます。  一元化議論になりますのは、高齢化少子化というのが進みまして、物価スライドとか賃金スライドとかやっておりますので、こうしたいわゆる世代間扶養を後代の人が負担するというのは非常に難しくなる、しかも成熟度が違う。こういうものを何とか是正して負担の公平を図りたい、こういうふうな趣旨で行っております。事前積立方式というのを基金として取り込んでおりますので、今回申し上げておりますような一元化の理念というのには必ずしも反しないのではないのかな、こういうふうに考えているわけでございます。  それから、御承知のとおり、就業構造とか産業構造が非常こ大きく変化いたしているわけでございます。基金を取り巻く情勢といいますのは大変大きな流れがあるわけでございます。したがいまして、今までどちらかといえば単線のといいますか、剛構造の仕組みになっていまして、ほとんど一本線の制度だというふうに言える。初めの設計は確かに柔であるわけでございますけれども、これについては予定利率は五・五%ですよと単線でできているわけでございますので、これを複数路線といいますか柔軟な構造にして、その中で基金が主体的に選択をしていく、自主的に決定していく、こういうふうな柔軟な仕組みに変える必要があるのではないかというふうに考えております。  ただ、こういうふうなことをやりますと、ややもすれば今まで規制の中でがんじがらめの中の方がかえってよかった、さらにこういうふうな事例も出てこようかと思うわけでございますので、そういう場合にはやはり基金全体でセーフティーネットと申しますか、今の制度で申し上げれば支払保証制度、こういったようなもので受給権の保護というものを重視していく必要があるのではないかというふうに思っております。現在の支払保証事業というのは非常に小さなものでございますので、こういったものを拡充して受給権の保護に遺憾がないようにする必要がある、こういうふうに考えている次第でございます。
  91. 福島豊

    ○福島委員 時間も残り少なくなりましたので、若干質問をはしょりまして、昨日の日経新聞に出ておりました記事でございますけれども財政悪化した厚生年金基金の支援としてこういうことが書いてありますね、連合会が検討しているということで。これは通告しておりませんのであれなんですけれども、「基金の母体企業が構造的に経営不振に陥り、将来解散も考えられる基金に対しては、他の基金との合併をあっせんする。」というような方針が書いてある。要するに、小さくてやっていけないからまた一緒にするという話だな、今回のこの厚生年金の合併のような話だなというふうに思って読んでおったわけです。  そういうことが考えられるのでしたら、先ほどの話にまた戻るわけなのですけれども、小さくやるという、今グループとしては三つに分けられますね、そのあり方をもうちょっと根っこの部分で今の時期から見直した方がいいのじゃないかなというふうに思うのです。いずれ悪くなったらまた合併、一体どこと合併するのだろうかとか、どこも嫌がるだろうなとか思ったりもしまして、そういうあたりのハードルのことは余りここに書かれていないわけですけれども、その点について最後にちょっとお聞きしまして、おしまいにしたいと思います。
  92. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 私も記事は読みました。私は連合会からそういう話は聞いておりませんが、経営指導員を派遣して、専門家を派遣していろいろ指導するとかチェック体制を充実するとか、こういう話は前々から聞いておりますし、当然やるべきだと思っておりますけれども、やはり合併によってできるというふうな性格のものではないと思います。もちろん合併を否定するわけではございませんけれども、危なくなったら合併させる、こういう方式というのは、恐らく基金でやるというのは実際問題難しいのかなという感じであの記事を読ませていただきました。  連合会がどこまで考えているのか私はちょっと伺っておりませんけれども先ほど申し上げましたような支払保証事業というふうな形で、オール基金として、基金から落ちこぼれるといいますか脱落する者、こういう方への受給権の保護、こういったものを充実する方が現実的ではないのかな、こういうふうに思っております。
  93. 福島豊

    ○福島委員 どうもありがとうございました。  以上で質問を終わります。
  94. 横光克彦

    横光委員長代理 岩佐恵美さん。
  95. 岩佐恵美

    岩佐委員 昭和六十年に三十万七千人いた国鉄職員が、分割・民営化によって六十二年には十九万九千人へと大幅に減らされました。それ以降十九万人体制で今推移をしてきているわけです。この減員が鉄道共済の破綻の大きな要因となっていることは明らかです。  職員の大幅削減は、十歳遡及することができる減額年金を支給することによって減員を促進する。当時約二万人が受給したと言われています若年退職者をふやして、その負担鉄道共済に押しつけたと思います。本来ならこの分をJR当局が責任を持つべきものだと考えます。  ある試算によりますと、この負担というのが年間約三百億円にもなるということです。これがまた大きな財政負担になって破綻を促進したということになるのではないかというふうに思いますが、その点いかがでしょうか。
  96. 松川忠晴

    ○松川説明員 鉄道共済年金財政状況の悪化についてのお尋ねでございます。  繰り返しで恐縮でございますが、この鉄道共済の赤字の原因につきましては、一つには、旧国鉄共済時代制度あるいは運営等に起因する側面もございますが、主たる要因といたしましては、やはりモータリゼーションの進行に伴う産業構造の変化によりまして国鉄自体が雇用を縮小せざるを得なかった。その結果、年金財政の支え手である現役組合員数が著しく減少をいたしまして、年金受給者数とのバランスが著しく崩れたということによるものであると認識いたしております。  国鉄のいわゆる民営化は、こうした鉄道産業の産業構造の変化の大きな流れの中で行われたものでありまして、共済組合の組合員数の減少も、実はその民営化前から進行してきていたことからもうかがえますように、分割・民営化そのものが鉄道共済財政状況悪化の直接的な原因であるとは考えておりません。  それから、若年の退職者についてお触れでございますけれども、若年の退職自体については、減額年金ということですので、年金財政に及ぼす影響としては、そのこと自体はそれほど大きなものではないと思っております。主たる要因は、やはり産業構造の変化の流れの中で組合員数と受給者とのバランスが大きく崩れてきたことによるものと思います。  したがって、こうした変化による影響はいろいろな産業分野にあり得ることでございまして、特定の運営の主体に責任を帰すことは適当ではないと考えている次第でございます。
  97. 岩佐恵美

    岩佐委員 この間からこの問題については議論をしてきておりますので、これ以上もうやるつもりはないのですけれども、でも、全体として考えて、国鉄財政を赤字にしてきたのは、結局は、モータリゼーションとかいろいろ言いますけれども国鉄自身にだって大規模な投資だとか、後のことを考えないそういうやり方というのはあるわけですね。それから、人員をふやしたり減らしたりということだって、後にツケがどうなるかということを考えないでやってきている部分が随分あるわけですし、  それから、今だって二十五兆五千億円が二十七兆六千億に膨らんで、その上にまた八千億、今度の統合によって清算事業団負担がふえていくというようなことで、後にツケをどんどん回していくというようなやり方、これではもう本当に大変だと思うのですね。その過程の中で労働者が犠牲になっていく、こういうやり方というのはやめていかなければいけないというふうに思います。これはもう本当に議論が平行線ですので、これ以上時間もありませんのでやめますけれども。  ちょっと視点を変えて、人減らし合理化によって、いわゆるJRの安全性問題で大分問題が出てきているのではないかというふうに思うのです。例えば障害者のホームからの転落事故、あるいはこの間の新幹線のホームでの事故、そういう事故が目につくわけですね。それから東京でいえば、中央線で自殺というのが非常にふえていて、これは昔にはなかった。大分目が届かなくなったからこういうふうになったのではないだろうかというような話もあるわけです。  JRの運転事故あるいは運転阻害件数というのがどういうふうになっているのかということを伺いたいのと、それから、分割・民営化以降、国鉄時代と比較をして、各社別に無人駅がどのくらいふえたのかということについて教えていただきたいと思います。
  98. 小野山悟

    ○小野山説明員 JR七社における列車の脱線あるいは踏切事故等の運転事故につきましては、各種の安全対策の推進によりまして、平成二年度においては八百件発生しておりますが、平成六年度には六百十二件と約二割減少しているところでございます。  また、JRの車両や信号機等の設備の故障あるいは風水害、雷害等により輿車が三十分以上遅延する、あるいは運休する、こういった運転阻害につきましては、平成二年度は千九百六十八件発生しており、平成六年度は二千四百七十件となっておるところでございます。阻害原因のうち、鉄道施設や車両等の故障など鉄道側に責任のあるものにつきましては、最近の各種の対策によりまして、近年はほぼ横ばいの状況となっております。しかしながら、風水害でありますとか地震、雷害などの自然災害でありますとか、さらに自殺等による阻害につきましては、残念ながら増加をいたしておるところでございます。  また、国鉄からJRへ移行した時点の無人駅でございますが、まことに申しわけないことで実数を把握しておりませんが、平成六年四月一日現在におきましては、JRの総駅数四千六亘二十六駅に対しまして無人駅は二千四百四十四駅となっております。
  99. 岩佐恵美

    岩佐委員 平成二年には千九百六十八件だった運転阻害件数が平成六年には二千四百七十件にふえている。事故には至らないけれども運行上支障を来している、そういう運転阻害件数がふえているわけですね。また無人駅は、今のお話で全体の五三%を無人駅が占めているわけです。地域的に見ると、北海道などは六三%だとかあるいは四国など七一%だとか、地域的には非常に高い無人駅の率になっているわけです。  この無人駅について、高校生じか利用しない駅なのにたばこの吸い殻だらけ、駅員がいないので女生徒は危なくてJRを利用できないなど非行の温床となっている、不便で危険、不正乗車のし放題とモラルさえ低下させる原因にもなっている、こういう指摘もあるわけです。  行き過ぎた人員の削減、これは安全上大変問題だというふうに思いますし、また地域での影響というのも大きいわけですね。この点についてどうお考えでしょうか。
  100. 小野山悟

    ○小野山説明員 JRの運転阻害につきましては、先ほど申し上げましたように最近増加しておるところでございますけれども、これは風水害でありますとか地震、雷害などの自然災害によるものや、自殺等による運転の阻害が原因となっておるところでございます。なお、近年は列車密度が非常に高くなっておりまして、運転阻害が発生しやすい状況にあることも事実でございまして、安全に万全を期するために、強風時でありますとか設備の異常を発見した場合には、無理な運行をすることなく慎重に対処するために列車の運行を一時抑止したり、設備等の点検、確認を行うために列車の運行を一時抑止する、そういったものが原因となっておるところでございます。  JRの運転事故につきましては、この五年間で二割減少しておりまして、重大事故につながるおそれのある踏切事故の防止のために、障害物検知装置でありますとか踏切遮断機の増設、さらには列車の衝突防止、赤信号を冒進ずるのを防止するために自動列車停止装置の改良など、各種の安全対策を推進しているところでございます。安全の確保につきましては、前向きな姿勢で努力している成果であるとも考えておるところでございます。  輸送の安全の確保につきましては、何にも増して重要でございますので、今後とも、安全の確保には万全を期すよう各種の対策を進めていきたいというふうに思っております。     〔横光委員長代理退席、委員長着席〕
  101. 岩佐恵美

    岩佐委員 人減らし合理化で駅が過疎になっていく、スラム化していく、そういうことがないようにきちっとやっていっていただきたいというふうに思います。  次に、鉄道共済厚生年金統合されることによって、従来共済として行ってきた貯金、貸付制度についてはどうなるんでしょうか。
  102. 松川忠晴

    ○松川説明員 今回の厚生年金への統合に伴いまして、日本鉄道共済組合の事業主は健康保険組合を設立することとされております。健康保険組合におきましては、医療保険事業とあわせまして宿泊、保養所の事業は実施できることになっておりますが、従来共済で行われておりました貯金事業及び貸付事業については実施できませんので、八年度中にこれらの事業については廃止することにいたしております。.  なお、貸し付けにつきましては、統合後は厚生年金の他の被保険者と同様に、年金福祉事業団の貸し付け等を利用することが可能になるものと考えております。なお、現在実際に共済組合から貸し付けを受けておられる方がございますので、その方のために、いわゆる年金給付のために従来の共済組合を存続することにしておりますが、その存続組合にあわせて貸付金の回収業務等を行わせることにいたしております。
  103. 岩佐恵美

    岩佐委員 鉄道共済として運営してきた保養施設、五十二カ所あるということですけれども、これは健保組合に引き継ぐけれども十六カ所に減らすというようです。また、JRとしては独自の活用も考えるということで検討中のようですけれども、いずれにしても、福祉事業の面で労働者が不利益になるということがないようにすべきだと思います。その点いかがですか。
  104. 松川忠晴

    ○松川説明員 先ほど申し上げましたように、保養所等の運営につきましては、新たに設立されます健康保険組合に事業を承継することといたしております。今、御指摘五十二カ所とございましたけれども、現在、日本鉄道共済組合において保健施設として保有しておりますのは六十一カ所でございまして、その内訳といたしましては、保養所が五十一カ所、学生寮が一、それから弥生会館と言っております会館でございますが、それが九、合わせて六十一カ所でございます。  それが統合後に健康保険組合に引き継がれる際には、合わせて十七カ所にするということが予定されております。したがいまして、四十四カ所整理されることになりますが、そのうち二十五カ所につきましては会社へ売却するということで、引き続きJR各社で運営されるということですので、相互利用という形で引き続き利用が可能になるものと考えております。  十九カ所整理されるということでありますけれども、この保養施設の経営は、そのいずれの保養所におきましても押しなべて経営状況が大変に厳しい状況でございまして、現状のままでは保養所の事業が全体的に行き詰まっていくということが予想されますことから、組合員の利用状況等も踏まえまして、経営改善の見込めない施設について八年度中に整理をするということを計画されているというふうに承知をいたしております。
  105. 岩佐恵美

    岩佐委員 国鉄職員の削減に当たって、多くの職員が清算事業団に移されました。さらに、事業団を解雇され、現在も係争中の千四十七名の労働者がいるわけです。これは先ほどからずっと言ってきていることですが、現在、その年金及び医療保険はどうなっているのでしょうか。それが決着がついた場合にはどうなるのかということについて説明してください。
  106. 横田吉男

    ○横田政府委員 被用者年金なりあるいは被用者保険制度におきます適用関係につきましては、実質的な雇用関係の有無によって判断することといたしておりまして、解雇されまして事実上の使用関係がなくなった場合には、年金制度の場合には国民年金の適用となります。また、医療保険につきましては国民健康保険の適用となるものであります。  その後、解雇の有効性につきまして訴訟が行われ、裁判所で例えば勝訴判決が確定した、それによりまして給与の支払いが行われる等の事実上の使用関係が発生した場合におきましては、本来加入すべきであった制度こ遡及して適用されることになります。
  107. 岩佐恵美

    岩佐委員 約三十年前にある事業所を不当解雇されて、裁判で争ってきた労働者がいます。地裁では解雇無効の判決が出されて、それ以降、賃金が支払われ、厚生年金保険料も納付をしてきたわけです。ところが、高裁、最高裁で逆転判決となって、会社が掛金を引き揚げてしまいました。そのため、さかのぼって厚生年金の資格がなくなってしまったわけです。このままだと無年金になってしまいます。本人はずっと厚生年金保険料を納付し続けてきたわけですから、そういう点では、国民年金権を保障する、あるいは無年金者をなくすという立場で、こうした事例について検討すべきだと思いますけれども、その点についていかがでしょうか。
  108. 横田吉男

    ○横田政府委員 一たん解雇され資格を喪失いたしまして、その後、それが裁判で争われ、地裁なり高裁の段階で勝訴となったというような場合におきましては、その段階で、先ほど申し上げましたように遡及して厚生年金が適用されるということになるわけであります。その後、なお裁判が係属いたしまして最高裁で敗訴となったというような場合におきましては、今度は逆に、当初にさかのぼりまして厚生年金の資格がなくなるということになります。この時点において、さかのぼって国民年金の適用が行われるということであります。
  109. 岩佐恵美

    岩佐委員 そういう原則にのっとって、こういう無年金者が起きないようにきちっと対応をしていっていただきたいというふうに、再度申し上げておきたいと思います。  次に、平成七年度の四千百五十億円の厚生年金への国庫負担の繰り延べに続きまして、平成八年度もまた八千億円繰り延べをしようとしています。リストラによって加入者の伸びが鈍り、年金財政が厳しい状況にあります。このような繰り延べ措置というのは、基礎年金の国庫負担を二分の一をめどに引き上げることを検討する、そういう国会の附帯決議があるわけですけれども、この趣旨に逆行するものだというふうに思います。この点についてどうでしょうか。
  110. 横田吉男

    ○横田政府委員 平成七年度及び八年度におきまして、厚生年金の国庫負担の一部について経過的な繰り延べ措置を行ったところでございますが、この措置は、御承知のように極めて厳しい財政状況のもとで、年金給付の方に支障が生じないように配慮しながら、ぎりぎりのやむを得ない措置として一時的に国庫負担の繰り入れの特例を行ったものでございます。後日、将来にわたる年金財政の安定が損なわれることのないよう返済されることになっているところであります。  したがいまして、この特例措置は、平成六年度年金制度改正の際の両院厚生委員会における基礎年金の国庫負担割合についての附帯決議の趣旨に反するものではないと考えているところでございます。
  111. 岩佐恵美

    岩佐委員 昭和六十一年度から平成元年に行われた厚生年金の国庫負担の繰り延べで、返済見合い財源一兆五千億円を厚生保険特別会計に繰り入れて、完全に返済した形になっていません。なぜこのような変則的な形になっているのでしょうか。
  112. 横田吉男

    ○横田政府委員 御指摘のように、昭和六十一年度から平成元年までの厚生年金の国庫負担の繰り延べにつきましては、その返済見合い財源といたしまして一兆五千億円が既に厚生保険特別会計の業務勘定に繰り入れられております。これは、特別保健福祉事業資金といたしまして、厚生保険特別会計法の附則におきまして、その運用益で老人保健制度の基盤安定化のための諸事業の実施に充てますとともに、厚生年金の国庫負担の繰り延べの返済にも充てることができるというふうにされているところでございます。  現在、この資金の運用益をもちまして、老人保健拠出金の負担増を緩和するための助成、あるいは在宅介護推進事業、それから老人保健施設の整備事業の助成などの特別保健福祉事業を行っているところでありまして、現時点でこれを直ちに取りますことは適当ではないというふうに考えているところでございます。
  113. 岩佐恵美

    岩佐委員 つまり、借りたものを返した形にして、その利子を運用しているということになるのだと思うのです。その運用益を老人保健等に使っているからいいじゃないか、こういう話のように聞こえるわけですけれども、いずれにしても年間八百五十億円、それが八年分になって六千八百億円既に使っているわけですね。これそのものも、本来だったら戻さなければいけないもの、それが戻されていないということですから、隠れ借金というような形になっているというふうに思います。これもよくよく調べてみないと、本当に国民の目にはよくわからない計算式になっているわけですね。  その上に今回、先ほど言われた繰り延べ、つまり、平成七年四千百五十億、平成八年八千億、そして今の運用益の部分六千八百億へこういう繰り延べ総額を計算してみると一兆九千億円近い。私たちは隠れ借金というふうに言っていますけれども、そういう返済すべきものを返済していないというふうな形になっているわけです。  ですから、六十一年度からの繰り延べ分、これはこれでちゃんと返済すべきだと思うのですね。そして今回の新たな繰り延べ、これをどう返済するのかというふうにきちっとしていくべきだと思いますけれども、どうですか。
  114. 横田吉男

    ○横田政府委員 返済見合い財源といたしまして、元年度の補正予算において厚生保険特別会計の業務勘定に一兆五千億円が繰り入れられているわけであります。これは先ほども申し上げましたように、六十一年から元年度までの繰り延べ分の返済に充てることができるという一つの目的とともに、他方、特別保健福祉事業資金としてもその運用益を使うことができるというふうになっているわけでありまして、この扱いについては、双方を勘案して決められるべき問題ではないかというふうに考えているところでございます。
  115. 岩佐恵美

    岩佐委員 大臣、聞いていただいていておわかりいただけると思うのですけれども、要するに借りたものはやはりちゃんと返す、返してそこでちゃんとつじつまを合わせてやっていかなければ、基礎年金の国庫負担分を二分の一めどに早く引き上げようというようなことからいっても、片一方、国庫負担を取りますような借金というか繰り延べ、そういうことを繰り返していくというのは、これは道理のない話、筋が通らない話だと思うのですね。ですから、私は六十一年度からの繰り延べ分はまずちゃんと返したらいいというふうに思います。  それで今回の新たな繰り延べ、これについても隠れ借金のままずっといくのではなくて、きちっと返していく、そういう見通しを立てていく。そうしなければ、二分の一の国庫負担を目指すということだって、どんどんそういう話が遠くなってしまうということになるのではないでしょうか。国会の附帯決議ですから、そこのところは十分尊重していただいて、取り組んでいただくのが筋だというふうに思いますけれども、大臣のお考えを伺いたいと思います。
  116. 菅直人

    ○菅国務大臣 年金運営の原則からいえばおっしゃる点もよくわかるわけですが、これは厚生省の立場でいえば、借りているというよりは貸しているのですよね。つまりは、国庫財政の方に繰り延べられているというのは、本来いただくべきものをまだいただかないかわりに、その分だけお貸しをしているということになるわけです。そういう点では、今、大変財政状況が厳しい中での国全体の財政のやりくりの中でこういうことになっていると思っておりまして、岩佐委員が言われましたいわゆる改正時の附帯決議の趣旨とは、ちょっと性格が違うのではないだろうか。  ですから、つまりは、国庫負担というものをどうすべきかという議論はもちろんその当時からあるわけでありまして、そのことと今回繰り延べていることは一応切り離して考えていいのではないか、そのように理解しております。
  117. 岩佐恵美

    岩佐委員 ぜひ切り離すなら切り離すでそちらはきちっとやっていただきたいと思いますし、それから、国民によくわからないようなお金をどんどん借りていくというような形、これは好ましくありませんので、きちっとけじめはっけていただきたいということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  118. 和田貞夫

    和田委員長 土肥隆一君。
  119. 土肥隆一

    ○土肥委員 先ほど橋本総理大臣にお聞きした件で、ちょっと蒸し返しになりますが、菅厚生大臣の御意見も聞いておきたいと思います。  公的介護保険でございますけれども、老健審が報告をして、今度は厚生省がお返しをする、どんな案を出すか提出する、そういう段階でいろいろと言われておるわけですが、手続上、今、公的介護保険はどの段階、どの位置に来ているのでしょうか。
  120. 菅直人

    ○菅国務大臣 御承知のことと思いますが、現時点では、厚生省としての試案というものをつくりまして、十五日に老健審にお示しをしているという状況であります。  もう少し申し上げますと、先月、四月の二十二日ですか、老健審の方から最終的な御報告をいただきまして、その折にそれをベースに、幾つか両論併記等があったわけですが、それをベースに厚生省として試案をつくってもよろしいということを言っていただきまして、また与党の皆さんとも何度か打ち合わせをいたしまして、与党のプロジェクトの方からも、基本的にある考え方に沿って試案をつくって提示をすることについて了解をいただきました。そういういろいろな手続の中で、一応正式という言い方で言えば、十五日の段階政府として試案をつくって、もちろん事前に与党の皆さんにも御提示をいたしましたが、老健審の場に提示をして御意見をいただいた。  今後、老健審が今予定されているところだけでも何度か日程が決まっておりまして、その中で御議論をいただいて、またいろいろな関係方面からの御議論をいただいて、そういう中で了解が進んでいけば、次の段階としては法案化をし、大綱として正式に老健審、さらには社会保障制度審議会に諮問をする、それで答申がいただければ国会に提出をする、そういうことを想定してといいましょうか希望して努力をしている、そういうような状況にあります。
  121. 土肥隆一

    ○土肥委員 厚生省試案について議論をする時間がありませんけれども、私は極めて不満があります。それは、制度審におりました者としてもそうでありますけれども、私が公的介護保険で願っている、今後の福祉のあり方を大幅に変える、これはもう革命的な福祉が展開されるというふうに考えますときに、厚生省が何であんな四十歳以上を被保険者とするような、そして老健審報告に対して極めて後退した条件を出すのか。あるいは社会福祉施設など、あるいは介護型の病院の保険適用も後退させるというようなことについては、私は極めて不満がございます。  今日まで、福祉がお仕着せの、上から下の、そして受ける側のお年寄りや障害者、それはもう一種スティグマといいましょうか、福祉対象者にはもう理想とかあるいは利用とかいう観念がない。今後は、もう措置ではなくて利用型の社会福祉という時代が来る、そういう理想に近い、理念に近いものであろうというふうに思うのでありますけれども、それがああいう形で出てくるというのは、私は極めて不満であるということを申し上げておきたいと思います。  さて、私は、きょうは厚生年金基金の問題で、特に国民年金基金などの三階部分についてお尋ねをいたしたいと思います。  一貫して年金制度改革に当たっては、安定化公平化、あるいは一元化、統一的枠組みなどというふうな閣議決定に従って相当制約されてまいりましたけれども、三階部分はこの安定化公平化というようなことについては適用されないものなのでしょうか。まず、基本的な三階建てに対する認識をお聞きいたします。
  122. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 三階部分でございます厚生年金基金とか国民年金基金につきましては、基本的には、企業年金につきましては労使の合意によって決められる、それから国民年金基金につきましては、本人の選択によって入るか入らないか、その額をどうするかというのを決めるわけでございます。したがいまして、被用者年金に共通する二階部分を想定いたしまして、安定化公平化とか一元化、こういうふうなことで私ども理解しております。
  123. 土肥隆一

    ○土肥委員 国が積極的に三階部分を奨励し、税制措置もし、あるいは連合会も積極的につくらせて、非常なでこぼこのある、倒れる企業はそれでおしまい、今度のJRなんかもそうでありますけれども、もうあきらめなさいというふうな一方で、三階部分がきっちりできていて、その上に財形だとかなんとかあって、いわば豊かなところは非常に豊かな年金給付を受ける、豊かでないところはそうでない。むしろこれは公的年金じゃないのじゃないか、これは何も厚生年金やあるいは共済が扱う必要はないのじゃないかなというふうな感想も持つぐらいでございます。  その一つとして、国民年金基金についてお尋ねいたしますけれども、一号被保険者が一千八百五十万人いる。今七十七万人しか加入しておりません。なぜこんなに少ないのでしょうか。私は、一時期、まだ景気のいいころでしたけれども、個人経営の大工さんや左官屋さんなどのところに行きまして、やはり国民年金に入った方がいいですよ、将来について年金が少しでも豊かになるようにと、こういうふうに言いましたけれども、このごろはもう何か言う気がありません。とにかく月額三万円もらおうと思ったら掛金が一万一千七百円、上限は六万八千円と決まっているわけですが、なぜ国民年金基金がたった七十七万人なのか、そして国民年金基金についてどういうふうな将来像を考えていらっしゃるのか、御答弁ください。
  124. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 国民年金基金に現在加入されております方は、この三月末でございますけれども八十四万人でございます。私どもが目標としておりました百三十万人にまだまだ足りない状況にあるわけでございます。  なぜ加入者が少ないかということでございますけれども、残念ながらまだこの存在が知られてないという面もあろうかと思いますし、さらには、その後に起きましたバブルの崩壊と申しますか、こういう経済の低迷によりまして保険料を払うゆとりがなくなってきた、こういうふうな事情が相乗効果で加入者が少ない、こういうふうに思っているわけでございまして、これにつきましては私どもPRに努めて、少なくとも百三十万人を目指して頑張ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  125. 土肥隆一

    ○土肥委員 なぜ百三十万人なのですか。
  126. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 この国民年金基金でございますけれども、いわゆる一号被保険者、自営業者等の方でございますけれども、基礎年金に加えまして任意で加入いたします付加年金を代行しているわけでございます。かつてありました付加年金を代行する、この中に吸収する、こういうふうなとであったわけでございます。  この基金が発足当時、付加年金の加入者というのは約二百万人いらっしゃったわけでございまして、この二百万人のうち農業者年金基金に入っている方が七十万人いらっしゃったわけでございます。付加年金に入っていて農業者年金に入ってない人を一応目標人数に、上乗せの付加年金に入っている方ぐらいはぜひ入っていただきたい、こういうふうなことでこういう目標値を設定したというわけでございます。
  127. 土肥隆一

    ○土肥委員 何か余り希望のない国民年金基金だなというふうに思うのであります。人数要件でありますとか設立形態などをもう少し考えて、国民全体が、もう少し自営業者の皆さんが喜んで参加できるようなものにすべきではないかと思います。  最後に、大臣にお答えいただきたいのですが、今後の年金基金、特に三階建てのあるべき姿について大臣のお考えをお聞きいたしまして、質問を終わります。
  128. 菅直人

    ○菅国務大臣 私も厚生年金基金のいろいろな議論を聞いておりまして、一つは、従来、退職金を年金化するという要素も含めて、この制度が拡大してきたというふうに記憶をしているわけです。そういう中で、同時に、今いろいろ問題になっておりますように、産業の変化の中で多少厳しいところが出る、あるいは特にバブルの崩壊でより厳しいところが出て、全体としてはかなり厳しい議論になっていると思うわけです。  そういった意味で、まず、厚生年金基金制度は、より豊かな老後生活を確保するために重要であるということは今も変わりないわけでありますが、現在研究会において制度全般にわたる見直しを行っているところであります。社会経済の実態や基金の実情に応じて、基金が自主的に判断して運営していくことができる制度とするために、この研究会での御議論をいただいて、必要な改革を進めなければならないと思っております。  同時に、今御指摘になりました国民年金基金制度につきましては、自営業者の老後の生活の安定という観点から重要な制度考えておりまして、これはまだまだ制度としては小さい段階ではありますが、逆に言えば、余り大きな問題を抱えないで、現在のところまだ大きさが小さいというだけで、矛盾は少ないというふうに認識しておりまして、この制度の趣旨を十分に伝えながらその普及に努めてまいりたい、このように考えております。
  129. 土肥隆一

    ○土肥委員 終わります。
  130. 和田貞夫

    和田委員長 次回は、来る二十一日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午前十一時四十八分散会