○五味
説明員 限度額の引き上げについてのお尋ねでございますけれども、百万円と五十万円という
先ほどの限度額で発足をいたしまして、現在もそれで運用いたしておるわけでございます。御審議中の八年度予算を検討いたします際にも、これは当面据え置きであろうということにいたしましたけれども、理由は大きく三つほどあると思います。
一つは、
先ほども申し上げましたが、
国民金融公庫の一般教育貸付との併用ということが可能でございまして、こちらの限度額が百五十万円でございますから、これと合わせますと、
国民年金の加入者の方で学生一人当たり二百万円というのが限度額、
厚生年金の場合ですと二百五十万円というのが限度額になります。今、報道をお引きになりまして、なかなか教育費の
負担も大変でございますけれども、丸々すべての方が御満足いただける限度額というわけではないと思いますが、現状の資金需要には相当程度対応できるものではないかということ。
二つ目の理由といたしましては、これはやはり、
制度創設以来日が浅いものですから、まだまだ普及
期間であるということと、それから、一昨年十二月以降、約一年ちょっとということでございますので、この間に限度額を引き上げる必要があるような急激な事情の
変化があったわけでは必ずしもない。
それから、三つ目の理由といたしまして、ちょっと視点が違いますが、御承知のように、
国民金融公庫は特殊法人でございまして、この貸し付けばいわゆる官業になるわけでございます。政策金融の基本と申しますのは、
国民金融公庫法にも同種の規定が置かれておりますが、民間金融機関からの調達がなかなか難しいようなものについて補完的にこれを融通していくということで、我々はこれを民間金融の補完と呼んでおりますが、こうした機能が基本的なものでございます。
他方、御承知のように民間金融機関も、最近、非常に厳しい経営
状況の中で、いろいろな貸付先というものを開拓しております。住宅ローンしかりでございますけれども、教育ローンにつきましてもなかなか熱心にお取り組みでございまして、いろいろな商品が出てきております。
そういった中で、この限度額の引き上げということにつきまして、余り弾力的にこれを考えてまいりますと、いわゆる官業による民業圧迫、こういうことが起こり得るわけでございます。昨今の行政
改革論議の中でも、官民の役割分担を厳しく見直すべしということを言われておりますし、民業の補完に徹すべしということも言われておるというようなこともございまして、
制度そのものの趣旨に照らしまして問題が生じかねないというような
部分もこれありというようなことで、当座、この限度額で運用させていただいておるわけでございます。
実は、昨年になりますけれども、八年度予算の関係でスタッフと
議論をしておりますときにも、ここ何年か物価
水準というのは非常に安定しているわけですけれども、家計の教育費支出というのは割合着実にといいますか、じりじりと上がってきているわけでございまして、こういった教育費の動向というのは、こういう
制度を見る場合には非常に注意深く目配りをする必要があるということで
議論もしてまいりました。
今後の問題といたしましては、こうした教育費の動向でございますとか、あるいはこれは
先生御
指摘の還元融資であるという性格、こういう非常に重要な性格を持った
制度であるということも十分勘案をいたしまして、ただ他方で、限度額引き上げの制約要因となりますいろいろな
状況というものももちろん目配りをしながら、開かれた視点でいろいろな情報を集め、いろいろな方の御
意見も聞いて、今後の課題として限度額の引き上げに誤りのないような対応を検討してまいりたいと思っております。