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1996-05-10 第136回国会 衆議院 厚生委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月十日(金曜日)     午前九時三十五分開議 出席委員   委員長 和田 貞夫君    理事 衛藤 晟一君 理事 木村 義雄君    理事 鈴木 俊一君 理事 青山 二三君    理事 石田 祝稔君 理事 柳田  稔君    理事 横光 克彦君 理事 荒井  聰君       伊吹 文明君    狩野  勝君       熊代 昭彦君    近藤 鉄雄君       田中眞紀子君    高橋 辰夫君       竹内 黎一君    戸井田三郎君       長勢 甚遠君    根本  匠君       堀之内久男君    持永 和見君       保岡 興治君    山下 徳夫君       赤松 正雄君    大野由利子君       鴨下 一郎君    北村 直人君       久保 哲司君    高市 早苗君       桝屋 敬悟君    山本 幸三君       山本 孝史君    五島 正規君       田邊  誠君    森井 忠良君       枝野 幸男君    岩佐 恵美君       土肥 隆一君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 菅  直人君  出席政府委員         厚生政務次官  住  博司君         厚生大臣官房長 山口 剛彦君         厚生大臣官房総         務審議官    亀田 克彦君         厚生省年金局長 近藤純五郎君         社会保険庁運営         部長      横田 吉男君           委員外出席者         大蔵省主計局共         済課長     松川 忠晴君         大蔵省銀行特         別金融課長   五味 廣文君         農林水産省経済         局農業協同組合         課長      高橋 賢二君         運輸省鉄道局国         有鉄道清算業務         指導課長    金澤  悟君         労働省労働基準         局労災管理課長 播   彰君         厚生委員会調査         室長      市川  喬君     ————————————— 委員の異動 五月十日  辞任        補欠選任   粟屋敏信君    山本幸三君 同日  辞任        補欠選任   山本 幸三君     粟屋 敏信君     ————————————— 五月十日  無認可保育所公平化に関する請願樽床伸二  君紹介)(第二二四二号)  国立病院療養所充実に関する請願永井哲  男君紹介)(第二二四三号)  同(永井哲男紹介)(第二二七二号)  同(永井哲男紹介)(第二二九一号)  同(永井哲男紹介)(第二三二七号)  同(永井哲男紹介)(第二三五三号)  同(永井哲男紹介)(第二一二七二号)  同(永井哲男紹介)(第二三九二号)  腎疾患総合対策早期確立に関する請願(小渕  恵三君紹介)(第二二四四号)  同(亀井静香紹介)(第二二四五号)  同(工藤堅太郎紹介)(第二二四六号)  同(尾身幸次紹介)(第二二九二号)  同(豊田潤多郎紹介)(第二二九三号)  同(大石正光紹介)(第二三二八号)  同(細川律夫紹介)(第二三二九号)  同(藤田スミ紹介)(第二三五四号)  同(細川律夫紹介)(第二一二五五号)  同(稲垣実男紹介)(第二一二七三号)  同(遠藤利明紹介)(第二三七四号)  同(二階俊博君紹介)(第二三九三号)  障害者介護施策拡充に関する請願石田祝  稔君紹介)(第二二七一号)  児童福祉法の一部改正に関する請願岡崎トミ  子君紹介)(第二二七三号)  公的年金制度抜本的改善に関する請願矢島  恒夫紹介)(第二三二五号)  社会保障福祉充実改善に関する請願(松  本善明紹介)(第二三二六号)  国と自治体の責任による保育制度拡充に関す  る請願五島正規紹介)(第二一二五二号)  重度戦傷病者と妻の援護に関する請願戸井田  三郎紹介)(第二三七一号)  同(逢沢一郎紹介)(第二三九四号)  同(大野功統紹介)(第二三九五号)  同(中村正三郎紹介)(第二三九六号)  同(持永和見紹介)(第二三九七号)  社会保障福祉充実改善等に関する請願  (不破哲三紹介)(第二三八四号)  同(藤田スミ紹介)(第二三八五号)  同(古堅実吉紹介)(第二三八六号)  同(正森成二君紹介)(第二三八七号)  同(松本善明紹介)(第二一二八八号)  同(矢島恒夫紹介)(第二三八九号)  同(山原健二郎紹介)(第二三九〇号)  同(吉井英勝紹介)(第二三九一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  厚生年金保険法等の一部を改正する法律案(内  閣提出第七五号)      ————◇—————
  2. 和田貞夫

    和田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出厚生年金保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、来る十五日水曜日午前九時三十分、参考人出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 和田貞夫

    和田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 和田貞夫

    和田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長勢甚遠君
  5. 長勢甚遠

    長勢委員 今回の年金一元化法案は多年の懸案でございましたが、ようやくこの法案提案六れる運びになりましたことを私も大変うれしぐ思っておる次第でございます。そういう意味で、年金はこれからの高齢者社会にとって最も関心の高い大事な制度でございますが、この法案に賛成の立場から国民方々に御理解いただくための質問をさせていただきたい、このように思っております。  この法案はともかくとしましても、今国民の中で年金に関して一番、我々が地元におりましていろいろな方々とお会いしましても、特に若い方かにおいて行われる質問というのは、私も五十ちょっとになりましたが、四十代、三十代の人であればあるほど、我々がそれなりの年になったときに本当に年金がもらえるのだろうか、まあもらえないのじゃないかという不安をいろいろな方々から聞くわけであります。  これは大変残念なことでございますし、こういうことでは我々の社会、これからの二十一世紀高齢社会というものが大変不安なことになるわけでございますので、ぜひ政治立場から、そういうことは大丈夫なんだということを国民方々に安心してもらっておくということが私は大変大事なことだと思う次第でございます。  そういう意味で、ひとつ大臣から、これから出生率がどんどん下がっていく、また、いろいろなことで保険料も上がっていくとか、いろいろな問題を皆さんが大変心配されているわけでございますが、将来にわたって、今の若い方々も、この日本の社会において年金というものは老後生活保障のために確実なものとして安定的に運営されていくのだ、心配する必要はないのだということをわかりやすく説明してやってほしいと思うのです。ひとつ大臣立場から、年金は絶対大丈夫なんだということを国民皆さんに訴えるというか御説明というか、お示しをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  6. 菅直人

    菅国務大臣 今、長勢委員の方から、年金の将来の安心したというか安定した運営がきちっとできるということを国民皆さんに明確にすべきだという御意見、全くそのとおりだと思っております。  年金は大変長い時間の経過の中で進んでいく制度ですので、十年、二十年あるいは三十年後、高齢化社会のピークを迎えても期待されている年金給付がその時代時代に必ず受けられるような制度ということで、逆に言えば、やっていかなければならないということをまず申し上げたいと思います。  その上で、現在の状況なり問題点がどういうところがあるかを若干申し上げてみますと、国民長寿化が進んでおりますし、また、核家族化が進行する中で、公的年金老後に欠くことができない柱として重要な役割を果たしているわけであります。  年金財政の将来の見通しにおきましては、人口構造就業構造変化を一定程度織り込んでおり、こうした前提が大きく崩れない限りは、年金制度は安定的に運営していけるものと考えております。  年金制度が長期的に安定し、将来の現役世代負担が過重なものとならないための一つ前提としては、出生率が現在かなり下がってきておりまして、この出生率がある程度の水準回復をするということがぜひ必要ではないかということが一つと、実質的な経済成長が、現在これもかなり落ち込んでおりますけれども、やはりある程度の経済成長が重要であるというふうに認識をいたしております。  また、年金制度においては、給付負担のバランスを確保し、将来の負担を過重なものとしないことは重要な課題と受けとめておりまして、平成六年改正において、六十歳代前半厚生年金の見直しやネット所得スライド導入などの改革を行ってきているところであります。  二十一世紀の本格的な少子・高齢化社会が到来する中で、今後とも、国民合意を得ながら必要な制度改革を行って、安定的な制度運営に努めてまいりたいと考えております。  そういった意味で、最初にも申し上げましたが、いろいろと社会情勢あるいは経済情勢変化がある中で、そういう中で安定的な制度運営を進めていくためには、今幾つか申し上げましたが、そういった出生率回復とか経済のある程度の成長とかそういうものを、何とかそういう条件を満たせるような努力を並行して全力を挙げていきたい、このように考えております。
  7. 長勢甚遠

    長勢委員 今、厚生省の方でも、また政府全体としても、与党においても、介護保険の問題などたくさんの問題を議論しておるわけであります。そうなると、いろいろな意味でいわゆる社会的負担というものもどんどんふえていく。そういうことにも大変若い方々は不安に思っておられる。そして、そういうことも含めて、全体として本当に大丈夫なんだろうかということが、やはり、具体的ではないにしても、みんな持っている不安だと思うのです。  私は、今大臣の御答弁でございましたが、出生率回復をしなければならぬとか、経済成長それなりになければいかぬといったような条件をたくさんつければつけるほど、それで大丈夫だと言われると、大変残念なことながら政治は余り信用されていない時代ですから、ますます若い方々は不安になるというのが私は実態だと思うのです。  現実にできないものはできないわけですし、また、みんなでやっていかなければならないことはやっていかなければならないわけですから、国民方々にややもすると迎合するにすぎないといったような話ばかりではなくて、現実の厳しさも踏まえて、こういう形で十分安定できるのだということがもう少し皆さんにわかるような話を我々はしていかなければならぬのじゃないかと思うのです。  我々、前回、年金法改正案を成立させたわけでございますが、その際に、きちんとした保険計算をして、将来の出生率も、また経済成長の問題についてもそれなりに確実なものとして考えて将来的に大丈夫だという試算をして、それがゆえに給付についても若干の合理化も図り、また、保険料も上げるというシステムを大変な苦労の末につくったわけですから、この計算で大丈夫なんだということを私はやはり国民方々にきちんと申し上げるべきだと思います。  しかし、そうはいっても、出生率なり経済成長なり、それが要素でございますから、それが変われば変わるということもあり得るわけですから、その時点できちんとした議論皆さんにお示しして、将来的に絶対大丈夫なものにつくり直していくから心配しなくていいのですよという話ぐらいは、もう少しきちんとしてやることが我々の責務ではないか、こう思いますが、恐縮ですが、大臣、もう一言お願い申し上げたいと思います。
  8. 菅直人

    菅国務大臣 現在、社会保障制度全体の中で、年金医療あるいは介護を含めた福祉、これらトータルがどういう形になっていくかということについて考えていかなければならないというふうに思っております。例えば、そういう中では、医療医療福祉福祉という形ではなくて、そういった個々の政策の間の連携を図りながら全体としてサービスの供給を効率化するといったようなことも必要だと思いますし、場合によっては、年金についてもそういう全体の中で考えていく必要もあるのではないかと思っております。  そういった意味で、社会保障給付全体の増加をそういった効率化などによってできる限り抑制するといった観点を踏まえて、全体を考えていく必要があるというふうに思っております。整合的な国民負担あり方サービス給付あり方について総合的な検討を加えるということについて、やはりそういう議論をする場を設けて考えていく必要があるのではないか。最近もいろいろな審議会の会長さんなどにお集まりをいただきましてそういう議論をいただいたケースもあるわけですけれども、そういう場を活用するなどして、全体の枠組みを考えていかなければならないと思っております。  そういう一つの全体の進め方を念頭に置きながら、今長勢委員の方からのお話がありました、年金の将来の安定的な、何といいますか、国民の信頼の確保ということですけれども、私も率直に申し上げて、大丈夫だということを言わなければならない、あるいは、そういうように考えているということはそのとおりなんですけれども、大丈夫にするための条件がどういう条件を満たさなければならないのかということもあわせてきちんと言う必要があるだろう。先ほど委員の方からも、甘い言葉だけではなくてきちっとした認識を言うようにということを御指摘いただきましたが、そのようにあわせて考えております。  そういう点で、数年前に議論をいただいたときの社会情勢経済情勢と今日の経済情勢社会情勢、特に経済の面ではかなり大きな変化が出てきておりますので、そういった変化を踏まえての新たな展望を先ほど申し上げたような場で議論していただく必要があるだろう。そういうことを含めて、出生率の将来の見通しあるいは経済成長の将来の見通し、さらには物価上昇の将来の見通し、これはどちらかといえば物価上昇が抑えられているという意味プラス要素でもありますけれども、それを含めてどの程度の負担増が可能かということの見通し、これらを連動した形で議論をしていただいて、結果において安心できる年金制度ということで維持し、発展させていきたい。若干抽象的かもしれませんが、問題点を十分踏まえて進めていく必要があるだろう、このように考えております。     〔委員長退席荒井(聰)委員長代理着席
  9. 長勢甚遠

    長勢委員 年金は絶対守らなければならないという精神論を我々が一生懸命言っておっても、なかなか国民方々は納得できない。大変厳しい状況にあるような認識でおられる方が大変多いわけでございますので、具体的にも大丈夫なんだということが御納得いただけるような、これは宣伝という意味ではありませんで、本当の説明をしていく努力を、さらに実態も踏まえてつくりながら御努力をいただきたい、このことをお願い申し上げます。  さて、今度の一元化法案でございますが、御案内のとおり、この一元化方針というのは昭和五十九年に閣議決定をされて、ようやく今日に至ったわけでございますが、私の記憶というか、平成七年度ぐらいには結論を出すという方針で進めてこられたと伺っておるわけで、関係者方々もそのことに大変大きな期待を持っておりましたけれども、少しおくれてようやくここに至った。この間の御努力には敬意を表しますとともに、大変御苦労されたことに感謝を申し上げるわけでございますが、このようにおくれてきたということは、それなりにやはりいろいろな問題もあったのだろうと思うのでございます。  ぜひこの法案提出に至る経緯について、どういうことにいろいろなネックがあったのかということも含めてひとつ御答弁をお願い申し上げます。
  10. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 先生指摘のとおり、公的年金一元化につきましては、昭和五十九年二月の閣議決定によりまして政府方針が決まったわけでございまして、これに基づきまして、昭和六十年の改正におきまして、基礎年金制度導入する、それから被用者年金制度の二階部分給付公平化を図る、こういったような措置を行ったわけでございます。  次いで、平成二年の四月から、被用者年金制度の再編成に向けました当面の措置一元化の地ならしの措置という形で制度間調整事業というのが実施されたわけでございます。これによりまして各制度間の財政調整、これによりましてJR共済等支援をいたしてきたわけでございます。  先生指摘のように平成七年、当時、昭和七十年と言ったのですが、平成七年度を目途に一元化を完了するという目標があったわけでございまして、これに向けまして平成六年二月に一元化懇というものを設けたわけでございまして、これによりまして関係者合意形成に努めてきたわけでございます。  しかし、なかなか利害が相反するわけでございまして、JR等におきましては、構造的な赤字があるということで独立した制度としてはやっていけないわけでございますけれども、その財源をどういうふうにだれが分担するか、こういうのが非常に大きな問題があったわけでございます。  そのほかの問題といたしましては、JRの現存の給付をどうするのか、水準をどうするのか、こういうふうなものも含めまして合意形成に努めてきたわけでございますけれども、残念ながら、時間がかかりまして、調整に手間取りまして、平成七年七月にやっと懇談会報告書がまとまりまして、関係者のおおよその合意ができたわけでございます。  その懇談会報告を受けまして、政府内で具体的な調整作業を続けたわけでございまして、その結果、関係者合意をおおよそ得た、こういうことで、JR等共済厚生年金統合する、こういうことで今回の法律提案に至ったわけでございます。
  11. 長勢甚遠

    長勢委員 そういうことで、ことしの三月にようやく「公的年金制度の再編成の推進について」という閣議決定がされて法案提出に至ったというふうに伺っておるわけでございますが、この閣議決定の基本的な考え方被用者年金制度の再編成というか一元化というか、この趣旨、基本理念について、きょうは大臣があれで、ベテランの住政務次官がお見えいただいておりますが、ぜひ御答弁をお願い申し上げます。
  12. 住博司

    住政府委員 長勢先生先ほどからの御指摘、非常にもっともだと思います。  今回お願いをしております被用者年金制度編成の問題につきましては、公的年金制度は、先ほど大臣がお答えをいたしましたように、老後生活を支えるいわば重要な柱である、ですから、長期的な安定と、給付それから負担公平化を図ることが極めて重大だという観点でいろいろと御議論を進めていただいているところでございます。こういうことから、基礎年金制度導入でありますとか、あるいは被用者年金制度給付公平化等改革も進めてきたわけでございます。  しかし、同時に、一方におきまして、小規模な制度産業構造変化に対して極めて弱いということがあります。それから、各制度成熟度の違いということで、保険料負担の問題というのがどうしても残ってきてしまう。  このため、今回、JR共済含めて三共済厚生年金統合する法案提案したところでございますけれども、今後とも、産業構造変化、いろいろな制度成熟化進展等に対応いたしまして、公的年金制度安定化公平化を図るために、その再編成というのは着実に実施をしていかなければならない、こう思っておりますので、これからもいろいろと御議論をさせていただきまして御提案をさせていただきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  13. 長勢甚遠

    長勢委員 では、順次、今回の法案について質問をさせていただきたい、このように思います。  今回の法案は、被用者年金制度の再編成の第一段階という位置づけになっておるわけでございまして、費用負担平準化とか被用者年金制度全体で支える仕組みとか、新しい枠組みが取り入れられておるというふうに思っております。  そこで、今回の法案の基本的な枠組みというものはどういうふうになっておるのか、どういう考え方かということをひとつ御説明をお願いします。
  14. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 今回の法案の基本的な枠組みでございますけれども、JR共済JT共済それからNTT共済でございますが、これは既に民営化、株式会社化されておりますので、この三兵済厚生年金平成九年の四月から統合いたすということでございます。  統合後の期間に係ります給付費につきましては、これは、加入者全員の方が厚生年金に加入いたしますので、厚生年金全体として財政運営を行いたいというふうに考えておるわけでございますが、統合の前の期間に係ります給付の扱いにつきまして、これが大分手間取ったわけでございますけれども、一つは、三共済が独立した制度として運営された期間保険料納付いたすわけでございますけれども、その保険料納付したときにもう肝に年金額がいわば確定する部分があるわけでございます。こういう給付がそのときに確定した部令につきましては、三共済から厚生年金に対しまして必要な額の積立金移換していただく、こういうのが一点でございます。  それから第二点といたしまして、まず物価スライドとか再評価といいますいわゆる世代間扶養という部分があるわけでございまして、これについては被用者年金制度全体で公平に分担しようではないか、こういうことであったわけでございます。その分担の仕方といたしまして、一つ負担能力に着目する、それから一つ負担平準化、こういう二つ観点を踏まえながら負担をしていただく、こういうことにいたしたわけでございます。
  15. 長勢甚遠

    長勢委員 特にJR共済は大変な赤字構造で、現役方々OB方々も大変な苦労をしてこられたわけであります。そのよって来る原因等についてはいろいろな議論もございましたけれども、現実現役の方もOB方々も大変な苦労をしておる、また大変な負担も、自助努力も行われるということで今日まで来たわけでございますが、ようやくこの厚生年金への統合によって負担給付公平化が図られる、そういう意味での解決が見られるということになったことは大変喜ばしいことでございますし、私もこの問題に取り組んでまいりましたので、大変関係者の御努力感謝を申し上げ、うれしく思っておる次第でございます。  とはいいながら、この異なる財政運営をしてきた制度統合するということについて、関係者の皆様の納得をするルールをつくるということは大変難しかったことだろうと思いますし、たくさんの方々の御理解の中でこの制度ができたものと理解をいたしております。  そうはいいながら、今この拠出金その他の考え方というか仕組みをおっしゃられましたけれども、これはやはりその関係者にとっては大変な問題でございますから、どういう考え方でこの積立金移換したのか、また、他制度から支援なり拠出金を出してもらうことにしたのかということをもう少し、ああ、そういうことか、それじゃやはりやってよかったなとみんなが思えるように御説明をいただきたいと思います。
  16. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 先ほど申し上げましたように、積立金移換をする部分と、それから、制度全体で支える部分というのを二つに分けて費用負担をする、こういう形にしたわけでございまして、独立していたときに既に給付が確定している部分につきましては、三共済から必要な額を分担していただくということでございますけれども、積み上げました積立金の相当する額、非常に額が多いわけでございますので、今の積立金水準ですぐ移換するというわけにはいきませんので、これにつきましては二十年の年賦払いで払っていただく、こういうふうな形で、この二十年賦のものを各年金給付に充当する、こういう考え方をいたしているわけでございます。  それから、物価スライド・再評価の部分につきましては、これは先ほど申し上げましたように、負担能力に応じまして半分、この負担能力といいますのは、標準報酬の総額が各制度で明確にわかるものでございますので、これに按分をして負担をしていただく。それから、負担平準化の関係でございますけれども、これにつきましては、財政の非常に余裕があるところ、具体的に申し上げますと、まだ成熟化の度合いが低くて、負担すべき水準というのも比較的低い、保険料水準もそれほど、賦課方式でもし取ったとした場合にはどうなるかということで考えましたときに比較的低い、こういうところに多目に負担をしていただく、こういうことで負担をしていただくことにいたしたわけでございます。そのほかに年金に支払います保険料の一部を充当いたしますので、その残りの部分を今申し上げましたようなことで共済年金制度で公平に負担していただくということでございます。  ただ、NTTの場合でございますけれども、これは、積立金移換保険料による充当でほぼ給付費が賄えるわけでございますので、このような共済年金制度全体におきます支援というのは必要でない、こういうふうに考えているわけでございます。
  17. 長勢甚遠

    長勢委員 大変御丁寧な御答弁でありがたく思いますが、私も役人上がりでございますけれども、役人というのはこういう答弁をつくっていたのかなと今思っておるのでございますが、こういうことでございましょう。  とにかく、統合前に確定しておったものについては持参金で払えるようにしよう。それから、その後のものは当然厚生年金で払うわけですし、今まで確定したものについても、物価スライド等で上がった分については、自分で持つというのもなかなか大変なので、ほかの制度から、国公なり地公なり、そういうところからひとつお手伝いをいただく、御支援いただく、拠出金ということで面倒見てあげよう、こういうことにいたしました。  こういうことで素人にはわかりやすく思えるのですが、そういうことでよろしいでしょうか。
  18. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 実務上ちょっと正確に申し上げましたので長たらしくなりましたけれども、先生の御指摘のとおりでございます。
  19. 長勢甚遠

    長勢委員 そこで、一番問題はJRだと思うのでございます。  JR共済から移換すべき積立金計算すると何か一兆二千百億円というふうになっておると聞いておりますが、このJR共済が今保有する積立金というもの、これが三千数百億円しかないというようなこともあって、この不足額が約一兆円にも上る。これをどういうふうにやっていくかということが議論になって、清算事業団とJR各社で分担をするということになっておるというふうに聞いておりますが、これはどういう考え方でどういう分担になっておるのでしょうか。
  20. 松川忠晴

    ○松川説明員 移換すべき積立金負担についてのお尋ねでございますが、先ほど厚生省の方から御説明申し上げておりますように、今回の厚生年金統合に伴いまして、統合前の給付費のうちいわゆる給付確定部分、スライド・再評価以外の部分については積立金移換しなければならないとされております。この現有積立金は約三千億円程度でございますので、その不足額が生じておるわけでございますが、この不足額については事業主が負担しなければならないわけでありますけれども、鉄道共済の場合につきましては、その事業主が、昭和六十二年四月のいわゆる国鉄の分割・民営化の前後で、旧国鉄の事業主としての地位を引き継ぐ国鉄清算事業団とJR各社に立場が分かれておりますことから、両者の間でこの民営化前後のそれぞれの期間に対応する給付確定部分の比率で按分して負担することとしているところでございます。  もう少し詳しく具体的に申し上げますと、その積立不足額については、当面、統合に際しまして、年金のお支払いに充てる支払い準備として留保すべき分もございますし、それから、当分の間給付を維持する観点から、いわゆる経過的に残っている独自給付部分の引き当てに充てる必要もございます。これらの所要を見込むことは、正確に見積もることはなかなか難しいわけでありますけれども、現時点の非常にごく粗っぽい試算で申し上げますと、それらの所要の分を差し引いても、なおその積立金で充当できる部分が約二千億円強であろう。そういうことから、非常に粗っぽい試算では約一兆円の負担をしなければならない。先ほど申し上げましたその民営化前後の期間の比率で負担するということでございますが、これも現時点の試算でいいますと、おおむね八割と二割、民営化前が八割で、民営化後が二割ということで、具体的には、その約一兆円の不足を八千億円と二千億円ということで国鉄清算事業団とJR各社で負担することになると思われます。
  21. 長勢甚遠

    長勢委員 そうなりますと、八千億円を清算事業団が負担するということになるわけであります。今、この清算事業団は何か二十八兆円にも及ぶ債務を抱えておるということで、この処理ということもこれからの大変大きな課題だと思いますし、また、JR各社が二千億円負担をするということになるわけでございますが、特に三島あるいは貨物といったようなところはそんなに楽な経営ではない、こういうふうに聞いておるわけでございます。  こういう清算事業団なりJR各社がきちんとこの積立金負担をしていただかないと、この統合というものも大変おかしなことになってしまう。厚生年金が大変な問題を抱えることになるのか、どこがどういうことになるのか、いずれにしても大変なことになるわけでございますが、この清算事業団あるいはJR各社の負担の仕方なり、また、これからの見通しについて御答弁をお願いをいたします。
  22. 金澤悟

    ○金澤説明員 御説明申し上げます。  ただいま委員のお話のとおり、清算事業団がおおむね八千億程度、そしてJR各社がおおむね二千億程度という負担の見込みでございますが、それを清算事業団が負担ができるかという問題につきましては、昭和六十三年の閣議決定におきまして、清算事業団が保有しております土地、株、こういった自主財源を充ててもなお残る債務につきましては最終的には国において処理をするということが決定されております。  したがって、今回の鉄道共済厚生年金への統合に当たって必要となりますこの移換金につきましても、実は先般三月の本法案提出時の閣議決定におきまして、既存の債務と同じような扱いをする、すなわち、最終的には国において処理をするということが決定されておりますので、それに基づいて処理をされます。  では、具体的に各年度にどのように支払いをしていくのかという点でございますが、それにつきましては、今後その関係者間でいろいろと調整したいというふうに考えております。その際、委員指摘JR各社がどのように負担していくかという問題についても、十分に各社の経営に与える影響について留意しながら調整をしていきたいというふうに考えております。
  23. 長勢甚遠

    長勢委員 ぜひ心配のないようにしていただきたいと思います。  それと、この各制度拠出金について考え方先ほどお伺いをいたしましたけれども、この拠出をする仕組みというものはまた相当長期にわたることになるのだろうと思うのですが、当面この各制度負担額というものがどの程度になるのか、教えてください。
  24. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 この制度はかなり長期にわたるものでございまして、四十年近い拠出になるわけでございますけれども、当面の五年間の金額を決めまして御提案させていただいているわけでございます。  当面の五年間と申しますのは平成九年度から十三年度まででございますけれども、毎年度の拠出額は、これからの給付増もスライド等も見込みまして毎年度千六百億円ということで見込んでいるわけでございまして、これを先ほど説明しました方針で分担をいたしますと、毎年度、厚生年金が千二百七十二億円、国共済が二十五億円、地共済が二百三十七億円、私学共済が五十八億円、農林共済が八億円、こういうふうに見込んでいるわけでございます。
  25. 長勢甚遠

    長勢委員 JR共済はこういうことで大変安定することになるのですけれども、一方、厚生年金側からすると一種の負担を負うということになるというふうに考えられるわけで、そうなると、これで厚生年金保険料が上げられるというようなことになったのじゃたまったものではないという不安を持っている人もいないわけではありませんので、そこら辺をちょっと答えてください。
  26. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 先ほど申し上げましたように、厚生年金の当面の毎年度の負担額は千二百七十二億円でございまして、そのときに見込まれます厚生年金の標準報酬の総額、これはボーナスは抜いているわけでございますけれども、百四十兆円程度でございまして、割り算をいたしますと〇・一%弱、いわゆる一パーミル弱になるわけでございます。  したがいまして、それだけの負担増は当然あるわけでございますけれども、直ちに現在すぐ財政再計算をやる、こういう事態にはならないわけでございまして、当然ほかの要素でも負担の増減があるわけでございます。その全体の負担増といろ形の中で今後保険料をお願いをする、こういうことになろうかと存じます。
  27. 長勢甚遠

    長勢委員 JR現役方々保険料は、従来、相当高くなっておったわけでございます。今回統合されて、本来なら同じにしてあげればいいなとは思いますけれども、そうはいっても、ほかの制度から支援を受けなければならぬという大変な経過でございますから、すぐにというのも大変残念ながらやむを得ないのかなと思うのですけれども、やはりあらゆる働く方々が同じ水準負担給付というスタイルにすることがこの一元化の目的でしょうから、なるべく早くそうしてあげていただきたいと思うのですが、これからの見通しはどうなりますか。
  28. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 JR共済保険料率というのは厚生年金より高いわけでございまして、一元化に関する懇談会におきましても、一緒にしたらどうかという御意見も一部にはあったわけでございますが、いろいろ議論の末、従来の経緯もございますので、段階的にその格差を解消すべきである、こういうふうなことで、関係者といいますか、合意をいたしたわけでございます。  これを踏まえまして、JR、JTの保険料率につきましては厚生年金保険料率が追いつくまでの間は据え置ぐ、こういう考え方をいたしているわけでございまして、この時期、いつ解消するかということについては現在のところ明確に言えないわけでございますが、仮に平成六年改正のときの財政再計算、こういうものにのっとって保険料率を引き上げていく、こういうことで想定いたしますと、次の次の財政再計算期ということでございますので、平成十六年にそういう形になるのではないのかな、こういうふうに思っております。
  29. 長勢甚遠

    長勢委員 それでは、その試算でいくと、この次のときはどれくらいの差になりますか。
  30. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 現在、厚生年金が一六・五%、JR共済が一九・五九%でございますが、これはことしの十月にもう法定されているわけでございますが、厚生年金が一七・三五になりまして、JRが二〇・〇九になるわけでございまして、平成十二年は、現在の財政再計算見通しでは一九・五%ということでございますので、〇・五九%という差になろうかと思います。
  31. 長勢甚遠

    長勢委員 大変気の毒な感じがいたしますが、ひとつなるべく早く解消してあげるように御努力をいただきたいと思います。  同時にまた、従来、JR給付を受けておられる方々も、かつての制度に比べると、職域年金部分がカットされるとか、あるいは標準報酬の再評価が繰り延べになるといったようなことで大変給付が抑えられるという大変気の毒な状況にあったわけでありまして、退職された方々は、一日も早く一元化をしていただいて人並みの給付がもらいたい、こういうのが念願であったわけであります。今回の改正でどういうことになりますでしょうか。
  32. 松川忠晴

    ○松川説明員 委員指摘のように、現在、他の制度から財政支援を受けているための自助努力の一環として給付の抑制措置をしておりますが、その内容は、大別いたしますと、一つは、公的年金、被用者年金として各制度に共通する厚生年余水準を上回る部分厚生年金並みにする措置と、それから、さらに追加的にそれよりも給付を抑制する措置に分かれます。いわゆる職域年金部分の加算額の給付を行わないという自助努力、あるいは旧法年金の百十分の百を超える部分、これは厚生年金相当部分を上回る部分でございます。  したがいまして、そういったようなことを考慮いたしまして、統合後におきましてはどうなりますかということでございますが、厚生年金にはいわゆるこの職域年金相当部分がないということ、それからさらには、統合後も当分の間は各制度による財政支援を受けるという事情を考慮いたし生じて、いわゆる現在の自助努力のうち職域年金相当部分厚生年金を上回る部分については引き続きその措置を継続していただく。ただし、厚生年金水準を下回る部分となっております再評価の繰り延べの部分、これにつきましては、厚生年金並みにするという趣旨から、統合の時点、平成九年の四月の時点で繰り延べを解除するということを予定いたしております。
  33. 長勢甚遠

    長勢委員 そうすると、実質的に繰り延べの解除ということが受給者にとってはメリットになるわけですが、これによって実質的にどれくらい年金額が引き上げになるのでしょうか。
  34. 松川忠晴

    ○松川説明員 この再評価の繰り延べ部分でございますが、これは、平成六年の再評価におきまして、一般的には三・四%の改定を行っているところでございます。したがいまして、統合に伴いまして解除することにより、この三・四%部分だけ報酬比例部分年金額が引き上げられることになります。
  35. 長勢甚遠

    長勢委員 どうもありがとうございます。  そこで、今回の議論、我々も党内でも議論をしてまいりましたけれども、大変な関係者皆さんの納得の上でまとまったわけでございますけれども、やはりそうはいっても、何でJR共済を助けてやらなければいけないのだという誤解も世の中にないわけではありませんし、JR共済が放漫にやってきたのではないのか、そういう人たちのために何で負担しなければならぬのかという誤ったイメージも世の中にあると思うのです。  そういう方々に納得していただくためにも、JR共済自体も今まで大変な御苦労をされてこられたのだ、つまり自助努力を一生懸命やってこられたのだということもやはり世間の方々にも知っていただいて、この制度が円滑に発足、一元化が円滑に進むようにした方がいいと思いますので、JR共済現役OB方々がどんな自助努力をされたかということを、もう一度改めて御説明をしていただきたいと思います。
  36. 松川忠晴

    ○松川説明員 鉄道共済がこれまでに行ってきた自助努力につきまして、簡潔に整理して申し上げますと、まず給付面におきましては、給付水準厚生年金水準に合わせるという考え方のもとに、昭和六十年四月から、既裁定年金について一〇%のスライド停止措置を講じますとともに、昭和六十一年四月に共済年金給付設計を厚生年金にそろえた際に、いわゆる三階に当たる職域年金相当部分については支給しないこととされました。また、平成二年四月の被用者年金制度によります制度間調整事業の開始に伴いまして、六十歳前の繰り上げ支給の退職年金制度を原則廃止にいたしました。また、退職時特別昇給による有利部分年金額をカットすることにいたしました。さらには、標準報酬の再評価についても繰り延べることにされまして、その結果、先ほど申し上げましたように、総体としてこの繰り延べ部分だけ厚生年金よりも低い給付水準になっておるわけでございます。  負担面におきましては、鉄道共済保険料率は現在一九・五九%でございまして、厚生年金一六・五%と比べまして約二割程度高い保険料負担しているわけでございます。  また、事業主も特別負担として、清算事業団が毎年千億円、JR各社が毎年二百二十億円を負担しているところでございます。
  37. 長勢甚遠

    長勢委員 この一元化が円滑に進むためには、事務処理も大変膨大なものではないかと私は思うのです。従来のデータはみんな三共済にあったのでしょうし、その実務は三共済でやっておられたわけですから、これを厚生省の方で受け取る、また、連携をとるということが大変大事なのではないかと思うのでございますが、具体的にどういうスケジュールで、どういう体制で進めようとされておるのか、ぜひ御説明をいただきます。
  38. 横田吉男

    ○横田政府委員 今回の三共済厚生年金への統合に伴いまして、被保険者四十七万人、年金受給権者六十三万人、計百十万人の方を厚生年金に引き受けることになりますので、私どもといたしましては、三共済統合に伴う事務処理が円滑に行われるということを最重点といたしまして、現在検討を進めているところでございます。  現時点における考え方といたしましては、統合後に発生する年金につきましては社会保険庁において裁定等を行うことになりますので、三共済の組合員記録、標準報酬でございますとか資格記録等をできるだけ速やかに移管していただくことによりまして、新規裁定を迅速かつ確実に実施できるようにしてまいりたいと考えております。  また、統合前に三共済から年金を支給されている既裁定の年金につきましては、支給システム等の開発の準備もございますので、当分の間はその事務の一部を存続組合の方に委託して行っていただくことを考えているところでございます。  現在、その事務処理の細部につきましては、社会保険庁と三共済の間におきまして事務処理を円滑に進めるための協議会をつくりまして、詳細を検討しているところでございます。  このほか、統合に伴いまして、年金相談あるいは職員の研修等についても十分配慮いたしますとともに、事務処理に必要な体制の整備についても努力してまいりたいというふうに考えております。
  39. 長勢甚遠

    長勢委員 先ほど、今回の一元化考え方について政務次官から御答弁いただきましたが、この統合によりまして、まだ四共済厚生年金という五つの制度になるわけであります。今回の改正によって一つのルールができたわけですから、なるべく速やかに一元化を進めていくことが今後の安定的な年金制度の確立のためにも大変大事なことだと思うわけでございますが、今後どういう方針一元化を進めていかれるのか、御答弁をお願いいたします。
  40. 住博司

    住政府委員 先ほども御答弁をいたしましたように、今度のNTT、JR、JTの共済統合後も、政府としては被用者年金制度の再編成を推進するという考え方でおります。そしてそれは、基本方針閣議決定で決めておるわけでございます。  具体的に申し上げますと、国家公務員共済並びに地方公務員共済については、それぞれの成熟度というもの等を勘案いたしまして、公務員制度ということのあり方も踏まえつつ、二つ制度の財政的安定化措置というのを検討するということが一つ、それから、農林共済及び私学共済につきましては、被用者年金制度の中におけるそれぞれ制度の位置づけについて検討を加えていくということを基本方針にしておりまして、その基本方針にのっとって被用者年金制度の再編成を着実に進めていきたいというふうに考えております。  よろしく御理解をいただきたいと思います。
  41. 長勢甚遠

    長勢委員 この一元化は、何も危なくなったからするということではなくて、もっと根本的な年金制度あり方として進められるべきものだと私は理解をいたしておりますが、残ります四つの制度の中の一つであります農林年金についてちょっとお伺いいたします。  前回も改正が行われたようでございますが、これから農協組織もいろいろな変化が考えられると言われておりますし、そういう中で、余りゆっくりしているとまた変なことになっても大変困るのじゃないかという不安も聞くわけであります。この農林共済について、統合についてどういうスケジュール、どういう考え方で今お考えになっておられるか、農林省のお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
  42. 高橋賢二

    高橋説明員 農林年金制度についてでございますけれども、現在のところは安定的な制度運営が行われているところでございます。  去る三月八日に閣議決定が行われましたが、ここにおきましては、農林年金につきまして、「構成団体の組織整備の進展が制度基盤に与える影響を踏まえつつ、財政再計算時ごとに将来の財政見通し等について分析を行い、被用者年金制度全体の中における」「位置付けについて検討を行う。」ということにされております。  農林水産省といたしましても、この閣議決定の趣旨を踏まえまして、今後の就業構造変化制度成熟化進展等に対応しまして農林年金制度の安定的な運営が図られますよう適切に対応したいと考えております。よろしくお願いいたします。
  43. 長勢甚遠

    長勢委員 ぜひ不安のないように十分御検討いただきたいと思います。  少し観点が変わりますが、年金一つの問題として、現在、国民年金の空洞化が相当に進行しておる、基盤が揺らいでおる、国民年金の未加入とか保険料の未納とかということが問題になっておるわけでございますが、こういう人たちはどういうふうになっておるのか。また、こういう方々を放置をするということであれば、これからの高齢者社会にとって大変大きな問題になると思いますし、保険料未納者とか未加入というのは無年金者という層をつくることになるわけでございましょうから、これは大変な問題だ、不安定要因だと思いますが、どういう対策を今講じておられるのかお聞かせをいただきます。
  44. 横田吉男

    ○横田政府委員 国民年金の未加入者につきましては、平成四年の調査によりますと、本来第一号被保険者になるべき人のうちで未加入になっている人数が約百九十万人というふうに推計いたしております。未納者につきましては、一月未納の人も一年未納の人もいるということでなかなか人数が把握できないわけでありますけれども、私どもは月数でこの納付率をはかる、いわゆる検認率というところで把握しておりますが、これによりますと、平成六年度で検認率が約八五・三%、未納率といたしましてはその裏側の一四・七%ということになっております。これから人数を推計いたしますと、未納者の人が約二百数十万人程度になるのではないかというふうに考えているところでございます。  これらの人の年金をどうするかということ、あるいは年金財政の健全な運営を図るという両方の観点から、私どもといたしましては、未納者、未加入者対策の解消というのは一番重要な課題ではないかというふうに考えているところでございます。  その未加入者の対策といたしましては、まずは、二十歳に達した時点で全員入っていただくということを目指しまして、現在、市町村による勧奨等を行っていただきまして、二度、三度やりまして、明らかに今入っておられない方につきましては手帳を送付していただくというようなことで適用を進めております。現在、九割の市町村におきましてこういった努力を実施していただいているところに来ております。  それからもう一つは、未加入者のうちの七割が国民健康保険の方には入っているというような実態がございますので、国民健康保険との連携の強化あるいは窓口の総合化というのを進めていただきまして、国保加入者のうちの未加入者の方の適用を重点的に進めるということをやっております。  それから、九年一月からは、各公的年金制度に共通する基礎年金番号の導入を図ることにいたしておりますけれども、これができますと未加入者の把握がしやすくなるということがございますので、そういった点も含めて、未加入者対策の一層の推進を図っていきたいというふうに考えております。  それから、未納者の方の対策でありますけれども、特に都市部に重点を置きまして、これは、昼間いないとか移動も激しいとかいろいろ保険料声いただきにくい環境にあるわけでありますが、一つは、そういった中で口座振替を促進するといろ点に重点を置きまして、現在、金融機関を活用いたしましてそういった口座振替の促進を図っております。一つの口座を設定していただくごとに七年度までは三百円を手数料としてお支払いしていたわけでありますが、八年度におきましては六百円に引き上げまして、こういった点の促進を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。  そのほか、専任の徴収員、これも八年度には二百人増員して、千五百人の体制にいたしまして強化してまいりたいというふうに考えているところでございます。  このほか、私どもとしては、やはり基本的には年金制度に対する国民理解を深めていただくというのが肝心ではないかということで、新聞、テレビ等を通じました広報活動の強化、あるいは二十になる前の中学校、高等学校といったところにおける学校教育の推進というような点を重点にしまして、未加入者、未納者対策の推進に努めているところでございます。     〔荒井(聰)委員長代理退席、委員長着席〕
  45. 長勢甚遠

    長勢委員 大変御努力をいただいておるようですが、この未加入者、未納者の割合というのは制度全体にとって無視できない相当な割合だ。正直言って、このことを国民方々は余り御存じなぐて、聞かれたら大変びっくりされると思うのですね。  それで、そういう方々制度をお知りにならない、あるいはお払いにならないということ自体も大変大きな問題ですが、これを長期間にわたって御努力はされておりますけれども、成果が上がっていないとすれば、これは行政の怠慢のそしりも免れないと私は言わざるを得ないと思うのです。ぜひ、こういう問題に社会的な注意も喚起をしてもらい、また、厚生省においても一層の努力をし工夫をしてしただくように心からお願いを申し上げまして、終わります。
  46. 和田貞夫

    和田委員長 横光克彦君。
  47. 横光克彦

    ○横光委員 社会民主党の横光克彦でございます。  厚生年金保険法等の一部を改正する法律案の寒議に当たりまして、私、賛成の立場質問を申し上げます。  まず、この法案ですが、昭和五十年代、まだJRになる前の国鉄時代JR共済赤字となって以来の懸案でございましたが、この法案でようやく抜本的な解決を見るに至ったかと思うと、まことに感慨深いものがあるわけでございます。  今、長勢委員からもちょっと御質問ございましたが、現在、JR共済赤字対策として、職域相当部分として年金額の百十分の十カットあるいけ職域加算の停止などの措置が行われたり、再評価の繰り延べ措置が行われてきております。今回、統合によってこのような措置はどういうふうにだるのでしょうか、大蔵省。
  48. 松川忠晴

    ○松川説明員 お答えを申し上げます。  先ほど来お答えしておりますように、職域加算部分というのは厚生年金にはございません制度でございまして、また、引き続き統合後も他の制度から実質的な支援を受けるという状況にございますので、こういった厚生年金を上回る部分については支給しない措置を継続することと予定いたしております。
  49. 横光克彦

    ○横光委員 先ほど同僚議員からちょっと不安のようなお話ございましたが、今回の統合によって厚生年金加入者等には何ら益することは少ないわけで、その上に大きな負担を負うのではないかという民間労働者の皆さんの不安や不満もあろうかと思います。統合に伴いまして、厚生年金負担についてお尋ねいたします。
  50. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 今回の措置によりまして、厚生年金負担増でございますが、当面の五年間、平成九年度から十三年度、これは物価スライド、賃金スライドする、こういうことで見込んでおりますのが合計で千六百億円でございます。これを各制度で分担していただくということになっているわけでございまして、厚生年金の場合、その千六百億円のうち千二百七十二億円を負担していただくという見通してございますが、そのときの厚生年金の標準報酬の総額が約百四十兆円程度と見込んでいるわけでございまして、この百四十兆円で千二百七十二億円を割りますと〇・一%弱、いわゆる一パーミル弱ということでございまして、現在、厚生年金は一六五パーミルという形で、全体として見れば大体二百分の一程度かな、こんなような感じでございます。  したがいまして、直ちに保険料を引き上げる必要はないわけでございますが、当然負担がふえるわけでございます。ほかの要因でも当然ふえるわけでございますので、厚生年金全体という形で財政再計算をする、この中でこの辺も含めて保険料負担をお願いせざるを得ない、こういうふうに考えております。
  51. 横光克彦

    ○横光委員 今直ちに保険料の値上げにはつながらないということで、皆さん安心されたのじゃないかと思います。  この公的年金制度は、若い人たちにとっては、長い間納付しても年金がもらえるのは高齢者になってからということで、非常に理解しにくい、していただきにくい問題ではあるわけです。さらに、今この統合によって厚年の皆様方の不安や不満もあるわけです。そういった意味で、この公的年金制度がいかに国民理解してもらわなければならないか、そして、いかに身近なものとしていかなければならないか、そういった努力がこれから必要であろうか、このように考えておるわけでございます。  そういったものの一つに、長い間の加入期間において積立金から必要なときに融資を受けるといういわゆる還元融資の仕組みが大変有効じゃないか、このように考えております。現在、厚年の中での積立金還元融資制度といえば、直接加入者に個々に結びつくものといえば、住宅資金貸付制度、そして年金教育資金貸付制度、この二つがあるのじゃないか、このように思っております。  この年金教育資金貸付制度について、ちょっと私、お尋ねしたいと思います。  現在、年金の教育ローン、これの貸付金利はどのようになっておりますか。
  52. 五味廣文

    ○五味説明員 現在、年三・四%でございます。
  53. 横光克彦

    ○横光委員 年三・四%。同種の貸し付けについて、各都市銀行が設定している貸付金利はどの程度になっているのでしょうか。
  54. 五味廣文

    ○五味説明員 銀行によりまして多少違うようでございます。私の今手元にございますのは昨年の九月現在の金利でございますが、代表例でございますと、富士銀行が行っております教育ローンが年五・二五%、地方銀行では福岡銀行で四・七%というような例がございます。
  55. 横光克彦

    ○横光委員 今のお話では、やはりこの制度は他の銀行に比べて非常に有利な貸付制度であるわけです。  平成六年十二月にこの貸付制度が実施されてから約一年以上過ぎたわけですが、これまでの貸し付け状況をお尋ねいたします。
  56. 五味廣文

    ○五味説明員 国民金融公庫の扱いました年金教育貸付の実績でございますが、平成六年十二月から平成八年三月末までの実績の累計で百三十五億円でございます。
  57. 横光克彦

    ○横光委員 百三十五億円の貸し付け状況である。私は、そんなに高い利用状況ではないような気がするのです。  貸付限度額は幾らになっているのですか。
  58. 五味廣文

    ○五味説明員 貸付限度額は、教育資金の必要性、あるいはこれは個人への、家計への貸し付けであるというような、そういう与信上の性格あるいは還元融資事業という性格、これら総合的に勘案をいたしまして、学生生徒一名につきまして、厚生年金の被保険者については百万円、国民年金の被保険者については五十万円、これが限度額となっております。
  59. 横光克彦

    ○横光委員 貸し付け状況が百億円余りというお話でございます。  新設されて日も浅いわけではございますが、なぜこのように貸し付け状況が低いのか、その方はどのように受けとめておりますか。
  60. 五味廣文

    ○五味説明員 一つには、今おっしゃいましたように、創設後まだ日が浅いということで、まだまだ周知をこれからしていくという段階にあるということがございますのと、もう一つは、この年金教育貸付のほかに同じ条件国民金融公庫では一般教育貸付がございまして、これは併用することができますので、そちらとあわせてお借りになるということでございまして、この部分だけ取り出しますと余り大きくはないということかと思います。
  61. 横光克彦

    ○横光委員 今、国民金融公庫との併用ができるということですが、私は、この制度は加入者がその資金でもって恩恵を受ける、そういった趣旨に持っていくべきではないかという気がしているわけです。  私は、この利用状況が低いのは、一番大きな原因は、やはり限度額が余りにも低過ぎるからではないかという気がしております。  私の地元の大分合同新聞、あるいは朝日新聞の三月二十日の報道では、東京の私立大学に入学すれば自宅外通学で三百二十四万円必要とする、そして、負担については全体の八七%の方々が大変重い、そういったお答えをされている。これは一人の場合。大学に二人行った場合はこれは倍になるわけですからね。これが庶民の声であろうと思うのです。そういった中で、この限度額が厚年の場合百万円、国民年金が五十万円というのは、私は余りにも低過ぎるのではないかという気がしてならないわけでございます。  大工さんや左官さんや農業や漁業の方たちは、本当に、国民金融公庫があるとはいえ、大学に入るときに大変御苦労をされているという話も私はよく聞くわけです。せっかくある制度ですから、もっと利用しやすいものにして加入者に福祉還元していくべきだと私は思うわけでございますが、厚生省としてはどのようにお考えですか。
  62. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 貸付限度額につきましては先ほど大蔵省の方から御答弁があったとおりでございまして、私ども、平成六年からお願いしているわけでございまして、昨年度も増額をお願いしたわけでございます。ただ、まだできたばかりだということもございまして、まず普及に努めるべきだ、こういうふうな話もあったわけでございます。私ども、これの増額につきましては今後とも財政当局の方にお願いしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  63. 横光克彦

    ○横光委員 厚生省も増額の必要性をお認めになっているわけでございます。厚生年金及び国民年金の累積積立金が今や百兆円を超える規模にまで達しております。このことを考えたら、貸付限度額の増額や事業規模の拡大、いわゆる医療介護あるいは子女の結婚とか、そういったときにも利用できるように事業の拡大も必要ではないか、また、そういうことも十分に可能ではないか、私はこのように思うわけです。  例えば、厚年被保険者で百五十万から三百万円まで、そして国民年金被保険者で百五十万円ぐらいまでに引き上げるべきではないかと思うわけですが、実際に貸し付けを担当されております国民金融公庫を所管されている大蔵省としてはどのようにこの限度額のことを考えているのでしょうか。
  64. 五味廣文

    ○五味説明員 限度額の引き上げについてのお尋ねでございますけれども、百万円と五十万円という先ほどの限度額で発足をいたしまして、現在もそれで運用いたしておるわけでございます。御審議中の八年度予算を検討いたします際にも、これは当面据え置きであろうということにいたしましたけれども、理由は大きく三つほどあると思います。  一つは、先ほども申し上げましたが、国民金融公庫の一般教育貸付との併用ということが可能でございまして、こちらの限度額が百五十万円でございますから、これと合わせますと、国民年金の加入者の方で学生一人当たり二百万円というのが限度額、厚生年金の場合ですと二百五十万円というのが限度額になります。今、報道をお引きになりまして、なかなか教育費の負担も大変でございますけれども、丸々すべての方が御満足いただける限度額というわけではないと思いますが、現状の資金需要には相当程度対応できるものではないかということ。  二つ目の理由といたしましては、これはやはり、制度創設以来日が浅いものですから、まだまだ普及期間であるということと、それから、一昨年十二月以降、約一年ちょっとということでございますので、この間に限度額を引き上げる必要があるような急激な事情の変化があったわけでは必ずしもない。  それから、三つ目の理由といたしまして、ちょっと視点が違いますが、御承知のように、国民金融公庫は特殊法人でございまして、この貸し付けばいわゆる官業になるわけでございます。政策金融の基本と申しますのは、国民金融公庫法にも同種の規定が置かれておりますが、民間金融機関からの調達がなかなか難しいようなものについて補完的にこれを融通していくということで、我々はこれを民間金融の補完と呼んでおりますが、こうした機能が基本的なものでございます。  他方、御承知のように民間金融機関も、最近、非常に厳しい経営状況の中で、いろいろな貸付先というものを開拓しております。住宅ローンしかりでございますけれども、教育ローンにつきましてもなかなか熱心にお取り組みでございまして、いろいろな商品が出てきております。  そういった中で、この限度額の引き上げということにつきまして、余り弾力的にこれを考えてまいりますと、いわゆる官業による民業圧迫、こういうことが起こり得るわけでございます。昨今の行政改革論議の中でも、官民の役割分担を厳しく見直すべしということを言われておりますし、民業の補完に徹すべしということも言われておるというようなこともございまして、制度そのものの趣旨に照らしまして問題が生じかねないというような部分もこれありというようなことで、当座、この限度額で運用させていただいておるわけでございます。  実は、昨年になりますけれども、八年度予算の関係でスタッフと議論をしておりますときにも、ここ何年か物価水準というのは非常に安定しているわけですけれども、家計の教育費支出というのは割合着実にといいますか、じりじりと上がってきているわけでございまして、こういった教育費の動向というのは、こういう制度を見る場合には非常に注意深く目配りをする必要があるということで議論もしてまいりました。  今後の問題といたしましては、こうした教育費の動向でございますとか、あるいはこれは先生指摘の還元融資であるという性格、こういう非常に重要な性格を持った制度であるということも十分勘案をいたしまして、ただ他方で、限度額引き上げの制約要因となりますいろいろな状況というものももちろん目配りをしながら、開かれた視点でいろいろな情報を集め、いろいろな方の御意見も聞いて、今後の課題として限度額の引き上げに誤りのないような対応を検討してまいりたいと思っております。
  65. 横光克彦

    ○横光委員 お話はよくわかります。国民金融公庫と併用できる、あるいは民間の補完的立場であり、官業が民業を圧迫する懸念がある、そういろお話でございますが、私はむしろ、それは本末転倒ではなかろうか、このように思っております。国民あるいは厚生両年金加入者へのいわゆる還元融資はまず両年金の累積積立金をもって充てる、そして、もし不足するならば国民金融公庫の制度を利用する、これが正しい考えではなかろうかと私は思うのですね。  加入者への還元融資というものが、現在百兆以上の累積積立金があるわけですから、私は、ないそでを振れと言っているのではないのです。そして今、求められているのです。今、家庭の年収の三分の一を教育費が占めるような状態になってきた。こういった問題を処理していくということは少子化問題にも非常に影響を与えるわけですから、大きな意味があると思うのですね。  きょう、大臣にお尋ねしたがったのですが、政務次官にお尋ねいたします。どうか大臣になったおつもりでお答えいただきたいのですが、この融資限度額の引き上げについて政務次官はどのよろにお考えでしょうか。
  66. 住博司

    住政府委員 横光委員の御指摘は本当にもっともだと思います。還元融資の福祉運用等の問題につきましては、当然、長期にわたって保険料を納めていただく納付者の納付の意欲というものについても大変大きな影響を持つものだと私は思っておりますし、そういう意味から、年金制度を円滑に運用していくためには大変必要だと私は考えております。  これは本来、菅厚生大臣が御答弁をするところなんですけれども、厚生省全体としてもそういろ考え方にのっとって、例えばバリアフリーに対する住宅の融資の問題についても、横光委員福祉プロジェクトの中で御指摘になられて、こういうものについての運用をしようということでスタートさせてみたり、そういうことを考えております。したがって、こういうものについてはこれからも積極的に議論を重ねて、運用を拡大していく方向で検討をすべきものであるというふうに考えております。  もちろん、役所間、いろいろと検討しなけれげいけないことはありますので、そこのところは十分に考えながらやらせていただきますけれども、そこの御指摘はもっともなことである、私はそういうふうに考えております。
  67. 横光克彦

    ○横光委員 どうもありがとうございます。非常に前向きな意欲的なお話でございます。どうか、厚生省一丸となってこの問題、頑張っていただきたい。  私、何度もしつこく言いますけれども、加入者への還元融資制度、これが保険料を払うときの意欲につながると、すばらしいお言葉が今ございましたが、そこにもつながるわけです。そして初めてこの統合法案理解をいただけるようになるのではないか、そういった思いで私は質問させていただきました。  時間がございませんが、もう一つちょっと質問させていただきます。  労働者の基本的な権利の一つであります労働者災害補償保険の件でお尋ねしたいのですが、まず最初に、国民、厚生両年金の加入者が労災の給付対象になった場合の労災との給付の併給調整、rの仕組みを御説明ください。
  68. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 同一の事故によりまして、厚生年金国民年金それから労災の年金給付が併給される場合でございますけれども、かなり相互に機能が重複している部分があるわけでございます。それから、両方併給いたしますとかなりの金額になりまして、従前の賃金を上回る、こういうふうな事態もあるわけでございまして、併給調整が行われております。  その具体的な方法といたしましては、国民年金厚生年金は、これは年金としては全額を出します。一方、労災の年金給付につきましては、一定の調整率を掛けまして労災の方で減額をする、こういう仕組みになっております。
  69. 横光克彦

    ○横光委員 同じように、共済年金加入者の場合の併給調整仕組みを、大蔵省、お願いいたします。
  70. 松川忠晴

    ○松川説明員 同様に、同一の事故によりまして共済年金と国家公務員災害補償法上の給付とが併給される場合につきましても、機能が重複する部分が見られますことから併給調整を行うことになっております。  具体的には、例えば公務または通勤による傷病等によりまして、遺族共済年金と国家公務員災害補償法の規定による遺族補償年金が支給される場合に、その遺族共済年金の額のうち、その原因が公務等によるものであることによって給付額が上積みになっている部分、職域年金相当部分の一部でございますが、公務による上積み部分相当額を共済年金の方で減額して調整することにしております。
  71. 横光克彦

    ○横光委員 今御説明ございましたように、これは非常に格差があるのですね。例えば、国民厚生年金加入者の方がもし不慮の事故に遭って労災の給付の対象になった場合、これまでの加入以来の全期間の平均給与、これを基礎に算出する厚生年金、これが全額、厚生年金が全額、しかも、ずっと加入以来の全期間の平均ですね。これが全額であり、労災が調整でカットされる。片一方、共済の加入者はこれと逆なんですね。労災が満額で、共済がカットされる。この労災の場合は直近の三カ月の賃金を基礎に算出されるわけです。  これはどう見ても共済年金制度の方がいいわけで、せっかくこういった年金統合する大きな法案提案されるわけですから、私は、いい制度はなくすのじゃなくて、いい制度に持っていくベきじゃないか、そういったチャンスじゃないか、こういうふうに思うわけです。  労働省にお尋ねするのですが、どうしてこの格差といいますか、こういったものが起きて、長い間続いているのでしょうか。
  72. 播彰

    ○播説明員 御説明申し上げます。  先ほど厚生省そして大蔵省の方からも御説明ございましたけれども、災害という同一の事由で障害を負われた、あるいは御遺族になられた、そういう同一の事由につきまして、それぞれ独立の制度から給付が行われるのが出発点でございますが、これも御答弁ございましたとおり、従前の所得をオーバーする場合が出てくる、あるいは、私ども労災の方からいたしますと、給付負担する使用者の方の、労災保険は損害賠償のてん補でございますので全額使用者の負担でございますが、その使用者の御負担が重複する、こういう観点から調整を行ってございます。  具体的には、昭和三十五年に私どもの障害補償あるいは遺族補償が年金化されるときに、それまでは一時金でございましたが、そのときに初めてこの問題が出てまいりまして、何よりも、昭和三十五年の時点では労災保険の年金化はまだよちよち歩きでございましたし、数も少ない側で相当な事務量を伴いますので、新しい方において調整すべきである、これが現在まで至っております。  他方、共済におきましては、当初から共済の方で調整されておったということで、結果といたしまして、現在、どちらの側で調整するかという問題は、労災を挟みまして共済厚生年金とで裏返しとなっている、その観点からしてみますと裏返してございます。  ただ、先生指摘のとおり、長い長い議論が重ねられてまいりまして、私どもとしましても、これは社会保険の役割分担にもかかわる問題であると考えてございまして、よく勉強を重ね、関係省庁ともお話を重ねながらなお検討を続けてまいりたい、こう考えてございます。
  73. 横光克彦

    ○横光委員 私は、この差は歴然としていると思うのですが、年金局長にちょっとお尋ねします。年金財政の面から見てどちらが有利であるか、率直にお答えください。
  74. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 両方式によって併給調整が違うわけでございますけれども、共済方式の方は年金をカットするということでございますので、共済方式によりました方が年金財政から見れば当然有利ということになるわけでございます。
  75. 横光克彦

    ○横光委員 だれが見てもそういったお答えになろうかと思います。ですから、せっかくこういった年金統合する場合、厚生年金加入者にとって、先ほどから言うように、理解をいただくために、あるいは不安を一掃するために、いい方向に変える大きなチャンスじゃないか、私はこういうふうに思うのです。  また政務次官にお尋ねいたしますが、私は、労働者の業務上災害や通勤事故に関して、まず第一に労働者災害補償保険が重点的に対処すべきだ、それに共済国民、厚生、各年金給付が補充的な役割を果たすのが妥当だと考えておりますが、政務次官のお考えはどうでしょうか。
  76. 住博司

    住政府委員 横光委員はよく御承知の上でお話をされているわけですから、ただ、この議論は大変長い期間議論している話でございますから、例えば双方の給付の機能というものをどう調整するかとか、公的年金制度間の整合性というのはどう考えていくのか、いろいろな議論があると思います。今、大蔵省、労働省等関係省庁でよく検討させていただきまして、横光委員の御指摘というものは非常にわかる部分もたくさんございますので、それに対する答えをきちんと出せるような形での検討をさせていただきたいと思っております。
  77. 横光克彦

    ○横光委員 この労働者災害補償保険制度の設立目的、ここにも「迅速かつ公正な保護をするため、」「公正な保護をするため、」とはっきりと書かれているわけです。ところが、どうも公正でないような気もするわけです。そういった設立目的から見ても、また労働者個々の利害関係から見ても、現行の共済年金方式が私は正しいのじゃないかという気がしております。  ですから、今回の法案統合されることによって、せめて労災保険との併給調整という一点について、私は、共済年金改善が行われないものか、このように思っております。統合に当たってよりよい制度へ変えていくべきだ、そのように考えております。  どうか、政務次官も大臣を強力に補佐して、労働大臣あるいは労働省との協議に全力で立ち向かっていっていただきたいと私は思いますが、そのお気持ちをお聞かせください。
  78. 住博司

    住政府委員 この制度はだれのためにつくっているのかということを基本に考えれば、おのずから答えが出てくるというふうに思います。  したがいまして、よくよく今までの経緯を踏まえながらきちんと検討をするように各省庁で努力していきたいというふうに考えております。
  79. 横光克彦

    ○横光委員 終わります。ありがとうございました。
  80. 和田貞夫

    和田委員長 次回は、来る十四日火曜日午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時十一分散会