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安部参考人 加熱製剤の治験の
状況をまず御説明させていただきます。
治験と申しますのはいわゆる臨床検査でございますが、新しい薬をつくられましてこれを
患者さんにあてがう、使おうと思いますときには、勝手にすぐにやるというわけにはまいりません。結局、その薬が私
どもの希望の効果があるかということと、それから、副作用のような
安全性の点ではどうかということを調べなければいけないわけでございます。これを調べますために、私は非常に苦心をいたしましたのでございます。
私が
加熱製剤がいいと思っておりますのは、一番
冒頭で申し上げましたように、これは絶対に変えたことはございません。これをいかにこの線に沿ってやるかということが私の治験の
目的でございましたのでございます。
それで、この治験をいたしますについては、治験の先生方に頼まなければなりません、私が持っております
患者さんはわずかでございますから。それで二十名余りの
方々に全部お願いをいたしたのでございますが、その治験をいたしますときの説明をいたしますときに、これは私
どもでは副作用がないかどうかということ、効くかどうかということを調べさせてくれなければ嫌だと皆様がおっしゃいますものですから、私は早くこの
加熱製剤を通していただきたいというふうにお願いをいたしましたけれ
ども、たんぱくを熱して得るのでございますから、
加熱しておるわけでございますからそれでたんぱく熱変性ということが起こり得る、そういうことで、そのためにどんな悪影響が起こるかわからない、例えば凝集とか凝固とか凝塊形成その他のことが起こります、それから免疫性能が変わるかもしれないとか、そういうことをみんな調べさせてくれと先生方がおっしゃいますので、それを調べなければ
自分たちの
患者さんに対して
責任を持ってこれの治験をお願いをするわけにはいかないと、この先生方のお心、お
気持ちでございます。
私は早く治験をやっていただきたいということをお願いをしておるのでございますが、ただいまのようなお
言葉が出ますと、これをむやみに、それはそういうことはないと言うわけにはまいりませんのでございまして、結局、非常に困りまして、提案をいたしました。それは、すぐには、一相といって調べることは時間がかかりますから、今までお使いになった
方々の報告とか、あるいはその印象を
皆さんと一緒に私も含めまして伺いましょう。それで、私の
アメリカの友達に頼んでその成績を集めようということでございます。それから薬屋さんにも頼みまして、今の治験の検査をなざいました
方々の成績ももらいたいというふうにいたしまして、それで治験を、後で報告いたしますから治験を始めてくださいというふうに頼みました次第でございます。
それで、そのために、次の一カ月ばかりいたしましてまた会を開きまして、こういうことでございます。確かに新しい
加熱製剤には今までなかった副作用はある、しかしながら、それはそれぞれに適当な方法をすれば何とかなるという
結論でございます。それから、これを熱してはいますけれ
ども、まだ作用は残っているということでございます。それで、これでお許しをいただいて治験を始めた次第でございます。
このために、始めましたならば、あとは私は何にも言うことはございませんで、その治験をやります先生と
患者さんと薬屋さんの三者がいろいろと議論をしたり連絡をして治験をお進めになるのでございまして、私がそれをとやかく言う筋合いはなかったのでございます。ましてや、
厚生省に申請をされまして、薬の許可を得られるところはもちろん私の関係するところではございませんので、こういうわけで、時間が一致したということは、これはたまたまそうなったのであろうと思うのでございますが、少なくとも、このところで私が関係をすることはできなかったのでございます。
とにかく、私がスタートしてもらいましたときには、すぐには五社の治験が同時に始まったわけではございませんで、早いところは早く始まる、遅いところはやはり遅く始まっておるのでございます。それが結果として承認の時期が同一になつたということでございますが、これは私としてはどうしようもなかったのが私の実情でございます。
次は、財団法人
血友病総合
治療普及会の設立の財源について
お話してございますが、実は、この財団をつくりますことにつきましては、これはここで申し上げてはあれでございますが、大変、
血友病というのが、これは遺伝でございますから、実にお気の毒なのでございます。でございますから、だれかがこのお世話をしなければいけない。それで、思っておりましたところが、
製剤会社の皆様がおつくりになっております
日本血液製剤協会というのがございまして、その代表者になられる方が私のところにお見えになりまして、先生は長く、私が、
安部は長くやっているのでこの財団をおつくりなさい、それでお金は
自分たちで出すということでございます。
私は、財団などつくるのはなれておりませんし、お許しを願いたかったのでございますが、結局そういうことを引き受けまして、結局お金が、そのうちに
厚生省さんから伺いましたら、初めの、
製剤協会から提案がございましたお金では足りないことになりまして、それで、私は何とかしてつくりたいと思いまして頼みましたのですが、治験というものと関係のある方は既にもう出しておいでになりまして、何にも治験とは関係がなかったのでございます。
それで、残っておりますのは、もうお金の入りようがないものでございますから、私の大学の学長さんにいろいろ相談をいたしまして、少し援助をしていただきました。それでもまだ大変足りませんでしたので、私は、自分が長くためておりましたのを少しずつ時間とともに出しまして、そしてそれで、これは結局拠出したわけでございます。皆様のお出しになりましたのも、これを使いなさいとおっしゃいますし、私もそれに倣ってお金を集めまして出しまして、そして、この財団法人の財源にといいますか、その基本金にした次第でございます。