運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1996-04-10 第136回国会 衆議院 厚生委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月十日(水曜日)     午前九時二十三分開議  出席委員   委員長 和田 貞夫君    理事 衛藤 最一君 理事 木村 義雄君    理事 鈴木 俊一君 理事 青山 二三君    理事 石田 祝稔君 理事 横光 克彦君    理事 荒井  聰君       伊吹 文明君    稲垣 実男君       狩野  勝君    熊代 昭彦君       田中眞紀子君    高橋 辰夫君       竹内 黎一君    戸井田三郎君       長勢 甚遠君    根本  匠君       堀之内久男君    持永 和見君       茂木 敏充君    保岡 興治君       山下 徳夫君    赤松 正雄君       粟屋 敏信君    上田  勇君       大野由利子君    鴨下 一郎君       北村 直人君    久保 哲司君       高市 早苗君    福留 泰蔵君       桝屋 敬悟君    山本 孝史君       今村  修君    五島 正規君       田邊  誠君    森井 忠良君       枝野 幸男君    玄葉光一郎君       岩佐 恵美君    土肥 隆一君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 菅  直人君  出席政府委員         厚生大臣官房長 山口 剛彦君         厚生大臣官房総         務審議官    亀田 克彦君         厚生省健康政策         局長      谷  修一君         厚生省保健医療         局長      松村 明仁君         厚生省生活衛生         局長      小林 秀資君         厚生省薬務局長 荒賀 泰太君         厚生省児童家庭         局長      高木 俊明君         厚生省保険局長 岡光 序治委員外出席者         公正取引委員会         事務局審査部管         理企画課長   梶山 省照君         文部省初等中等         教育局特殊教育         課長      嶋崎 和男君         農林水産畜産         局衛生課長   青沼 明徳君         自治省財政局準         公営企業室長  木村 良樹君         厚生委員会調査         室長      市川  喬君     ————————————— 委員の異動 四月八日  辞任        補欠選任   稲垣 実男君     武藤 嘉文君   土肥 隆一君     海江田万里君 同日  辞任        補欠選任   武藤 嘉文君     稲垣 実男君   海江田万里君     土肥 隆一君 同月十日  辞任        補欠選任   近藤 鉄雄君     茂木 敏充君   赤松 正雄君     福留 泰蔵君   福島  豊君     上田  勇君   田邊  誠君     今村  修君   枝野 幸男君     玄葉光一郎君 同日  辞任        補欠選任   茂木 敏充君     近藤 鉄雄君   上田  勇君     福島  豊君   福留 泰蔵君     赤松 正雄君   今村  修君     田邊  誠君   玄葉光一郎君     枝野 幸男君     ————————————— 四月九日  社会保障研究所の解散に関する法律案内閣提  出第四四号) 同日  児童福祉法の一部改正に関する請願岩佐恵美  君紹介)(第一四九三号)  重度心身障害者とその両親またはその介護者及  び寝たきり老人とその介護者が同居入所可能な  社会福祉施設実現化に関する請願矢島恒夫  君紹介)(第一四九四号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一六二二号)  らい予防法の廃止と患者医療生活保障、国  立ハンセン病療養所の存続・発展に関する請願  外一件(江田五月紹介)(第一四九五号)  同(三野優美紹介)(第一四九六号)  高齢者医療生活安定等に関する請願輿石  東君紹介)(第一四九七号)  国立病院療養所の充実に関する請願輿石東  君紹介)(第一四九八号)  同(佐々木秀典紹介)(第一四九九号)  同(笹木竜三紹介)(第一五〇〇号)  同(辻一彦紹介)(第一五〇一号)  同(永井哲男紹介)(第一五〇二号)  同(濱田健一紹介)(第一五〇三号)  同(三野優美紹介)(第一五〇四号)  同(村山富市紹介)(第一五〇五号)  同(横光克彦紹介)(第一五〇六号)  同(輿石東紹介)(第一五四八号)  同(佐々木秀典紹介)(第一五四九号)  同(辻一彦紹介)(第一五五〇号)  同(永井哲男紹介)(第一五五一号)  同(濱田健一紹介)(第一五五二号)  同(松本龍紹介)(第一五五三号)  同(三野優美紹介)(第一五五四号)  同(村山富市紹介)(第一五五五号)  同(横光克彦紹介)(第一五五六号)  同(佐々木秀典紹介)(第一六一五号)  同(辻一彦紹介)(第一六一六号)  同(永井哲男紹介)(第一六一七号)  同(濱田健一紹介)(第一六一八号)  同(三野優美紹介)(第一六一九号)  同(横光克彦紹介)(第一六二〇号)  腎疾患総合対策早期確立に関する請願(近江  巳記夫君紹介)(第一六一一号)  聴覚障害者に対する文字放送内蔵型テレビ給  付に関する請願中川昭一紹介)(第一六一  二号)  男性介護人に関する請願唐沢俊二郎紹介)  (第一六一四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第四二号  )      ————◇—————
  2. 和田貞夫

    和田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木村義雄君。
  3. 木村義雄

    木村委員 おはようございます。  私、昭和六十一年に衆議院に初当選をさせていただきました。ちょうどそのときに、所属委員会が当時の社会労働委員会でございました。ある意味で非常に地味な委員会、やはり当時からほかの委員会の方がはるかに人気が高かった。そういう中で社会労働委員会に配属をされまして、言ってみれば意外な気がいたしたわけであります。  しかし、だんだん時代の流れと申しましょうか、この委員会所属をしていて本当によかったな。やはりこれからの社会高齢化社会であります。  そして、国民皆さん生活をよくしていく、国民皆さんの命を大切にしていく、そういう委員会であったからでございます。  そして、行政の側でそれを担っているのが厚生省であります。厚生省の仕事というのは、やはり一番大事なことは人の命を救う、こういうことではないでしょうか。  しかしながら、昨今のエイズの問題、人の命を救うべき大切な、崇高な任務を帯びている厚生省の、当時からすればなかなか難しい判断があったのでしょうけれども、多くの国民皆さん期待大分ずれができてしまっている。誤解の面もあるかもしれませんけれども、本当に残念な気がいたしてならないわけであります。  また、きょうの新聞等を見ますと、日本医療食協会、これは厚生省が認可をし、厚生省の所管であり、しかも厚生省のOBがいわゆる天下ったところで、理事長総理大臣より高い年間五千万円以上の報酬を得ていた。厚生省、またこれもか、おまえもか、そういう気がいたしてならないわけでありまして、本当にこういうことをもう二度と起こしてほしくはない、そういう気がいたしてならないわけであります。  しかし、やはり物事というのは前向きにとらえていかなければいけない、前向きにとらえるのに我々はもっともっと真剣に取り組んでいく必要もあるのではないか、こう思うわけであります。  ところで、先ほど私も議員になってから十年と申しましたけれども、十年間たってなかなか進まないケースがある。きょうの国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案、実はこれはもう十年前にできた法律改正しようということであります。十年前の答弁を見てみますと、十年たったらどうするか、当初を見ればこういうようななかなか先を見越した質問も出ていた。しかし、結局十年たってしまったわけであります。  そこで、今回十年たって、今度の改正案趣旨また概要、そしてこの十年間の実績、まずこれをできるだけ手短に御説明いただきたいと思います。
  4. 松村明仁

    松村政府委員 国立病院療養所の再編成は、昭和六十一年に全体計画を策定いたしまして、以来十年が経過いたしました。この間、国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律を適用するなどいろいろな努力をしてきたところでございますが、御指摘のように、残念ながら進捗ははかばかしくないというところであります。また一方におきましては、地域にあっては、医療計画の策定を通じまして医療供給体制の拡充が図られてまいりました。また、医療保健福祉を総合的に推進するというような動きも出ているところでございます。  このような国立病院療養所を取り巻く状況変化を踏まえまして、再編成推進方策の柱でございます再編成特別措置法改正することによりまして、今申し上げました変化等に対応して地域の選択の幅を広げ、再編成の一層の推進を図ろうとするものでございます。  それから、実績でございます。  現行の再編成計画は、昭和六十一年度を初年度といたしました計画でございましたが、当時二百三十九施設があったわけですけれども、十年間でこのうちの七十四施設統合あるいは移譲によって減らそう、最終的には百六十五施設にしよう、こういうのが計画でございました。  現在どうなっておるかと申しますと、統合移譲合わせまして十三施設を減らすことができました。したがって、二百二十六施設となっておりまして、残りが六十一施設ある、こういう状況でございます。
  5. 木村義雄

    木村委員 七十四施設のうち十三ケースができたということでありますから、このまま単純な計算をしますと、終わるまで五十年かかってしまうのですね。ここで五十年生きているといったら鈴木さんぐらいかな、もっとみんな長生きをするかもしれませんけれども。これはいつまでに終わらす気なんですか。
  6. 松村明仁

    松村政府委員 再編成と申しますのは、地方自治体を初めいろいろな方々国立病院移譲、できるところはお譲りしていくというようなこともございますし、また、これは統合するというようなこともございます。そういうことで、とにかく相手があることでございまして、なかなか現時点において完了時期を具体的に見込むことは困難ではないか、こう思っております。そういうところからいたしましても、再編成特別措置法改正を行いまして、さらに一層この再編計画推進していきたい、このように考えておるところでございます。
  7. 木村義雄

    木村委員 さっきも申しましたように、十年前の議論の中で、十年たってできなかったらどうするのだという議論があったわけであります。また今、だからこれも十年なんですかね。それで、また十年たってできなければ、これは改正案のまた改正案を出さなければいけない。こういうことになってしまわないようにしっかりやっていただかなきゃいけない。特にこれから十年後を担う若手の厚生省官僚皆さん官僚というのは余りいい言葉じゃないけれども、十年たって幹部で残っているのは何人いるかわからないけれども、しっかりやっていただかなきゃいけないと思っています。  ですから、できないのであれば、やはり民営化とかもっと具体的に、役所じゃなくて、これは政治がもっと真剣に取り組んでいかなければいけないのかな、役所に任しておけないということになりかねない。頑張っていただきたいと思います。  それで、じゃ何でこれはできなかったのですか。
  8. 松村明仁

    松村政府委員 再編成が進まなかった理由でございますが、基本的といいましょうか、バックグラウンドには我々厚生省努力不足ということがあるのでありましょうが、実際に見られた現象としては、地元の自治体の皆さんを初め地元方々にこの国立病院の再編成の本意というところがなかなか理解が得られなかった、こういうことがあろうかと思います。それから、具体的に適当な引き取り先が得られなかったこと。それから、先ほども申しましたけれども、地域では医療をめぐる状況もいろいろ変化してきておったわけでありますけれども、医療機関とあわせて保健衛生施設社会福祉施設等を整備したい、こういう地域ニーズに対応できなかった、こういう面があるのではないか。そのほかもあるかもしれませんが、こういったところがその理由ではないかと私ども分析しておるところでございます。
  9. 木村義雄

    木村委員 その引き取り手の問題とか、言ってみればこれは国がお荷物を地方に押しつける、そのような問題点もあったのではないか、そういう態度が見えたのではないか。  それから、組合をやはり甘やかしたのではないか。十年前のあの答弁を見てますと、やはりあの十年前の答弁に物語っているようなところがある。これは中身としては相当厳しい中身ですよ。ところが、あのような答弁をしていたのでは皆さん、大切にします、大切にします、それは大切にしなければいけないけれども、やはりどこかにしっかりとしたけじめを求めて、毅然たる態度でこれをしなかったら、これはできませんよ。十年たっても二十年たっても、さっき言ったように五十年たったってできない。  そういうことでは、やると決めた以上はしっかりやっていただかないといけません。できないのだったらそれはまた別な問題になってしまう、こういうことでありますから、今後どういう姿勢で臨むのか。
  10. 松村明仁

    松村政府委員 最近、再編成あるいは統合をめぐって、病院統合していく場合には、広域を対象とした高度・専門医療などの新しい診療機能を持つ病院をつくることができる、それからまた、経営移譲ということをいたしますと、移譲を受けてその地域ニーズに合った病院をつくることができる、こういったようなことが地方においても御理解がいただけるようになってまいりまして、他の地方自治体におきましても、再編成を受け入れてもいいな、あるいは検討してもいいなというような傾向が出てきておるところでございます。  したがいまして、今回の再編成特措法改正におきましては、医療機関とあわせて保健衛生施設社会福祉施設等を整備したい、こういう地域の御要望があるようなところでは、こういったことができるような形になるわけでございまして、こういったことでさらに一層の推進に向けて努力をしてまいりたい、このように考えております。
  11. 木村義雄

    木村委員 組合の甘やかしの問題については何か考えておりますか。
  12. 松村明仁

    松村政府委員 労使関係健全化ということは非常に重要なことだと認識しております。  それで、厚生省といたしましても、平成四年の七月には職員厚生課というような課を設置もいたしまして、さらに、職員団体とは平成六年の九月に「交渉の在り方」というようなことについても協議をいたしました。こういったことに基づいて、現在、適正な労使関係の構築へ向けて一層努力をしておるところでございます。  また、国立病院療養所の再編成という問題につきましても、職員団体にも十分に説明をする、こういう形で進めておるところでございます。
  13. 木村義雄

    木村委員 今問題点をお聞きしたのですけれども、基本は、地域に住んでいる住民の皆さんが安いをしてそのニーズに合った医療が受けられる。やはり、地域診療所地域医療だけでは持てないところで国立病院期待は大きいですよ、期待は非常に大きいのだ。やはり国立病院と名がつく以上、それにふさわしい内容を持っていなければいけないわけであります。ところが、残念ながら、同じ国立病院といっても大変な格差があるのですね。大きなナショナルセンター的なものから、本当にもう地域医療と言うにふさわしいかどうか、そこまでも厳しいようなものもある。  しかし、こういう中で、少なくとも地域全体、例えば私どもは四国ですけれども、四国ではここに行けば東京や大阪と同じような医療水準がある、そういう国立病院があってしかるべきだ、私はそのように思えてならないのですけれども、例えば、厚生省の区分の中でナショナルセンター高度総合病院というのは四個と十個、合計十四、トップがありますが、ところが、残念ながら四国と北海道にはない。こういう地域偏在は考え直していただかなければいけないので、この点も含めて、要するに、これは第一次再編成がもう出ているわけでありますけれども、そういう地域偏在等も含めた第二次再編成について考えておられるのか、この辺をお聞かせいただきたいと思います。
  14. 松村明仁

    松村政府委員 国立病院療養所機能強化、まさにそのために資するこの再編成特別措置法改正をお願い申し上げておるところでございます。したがいまして、この特別措置法改正等を踏まえまして、六十一年に策定されました現行計画をまずは強力に推進させていただきたい、このように思います。  また、御指摘四国における病院機能強化ということでございますが、これを行うためにもこの再編成進捗ということが必要になってまいります。したがいまして、再編成進捗状況を見据えつつ将来の検討課題の一つである、このように考えておるところでございまして、そのときには委員指摘趣旨について十分検討させていただきたいと思っております。
  15. 木村義雄

    木村委員 病院の統廃合でも、これがなくなつてもこちらに立派なものがあるのだから安心だ、むしろこちらを統廃合してでももっとすばらしいものをつくってほしい、そういうことなんでしょう。ですから、いや、これができなければ次ができないというのも、何か中途半端な中身だったのではないか。先ほどいろいろな理由を挙げられたけれども、今度の第一次再編成計画というのがある意味で中途半端で、もう少しめり張りのきいたものだったらもっと理解が得られたのではないか、私はそういう面があると思うのです。だから、こちらはなくすけれども、こういうすばらしい医療体制が保障されているのだというのをもっと理解ができるような、そういうしっかりとした配慮をこれからしていっていただきたい、こう思うわけであります。そういう意味で、まず、さっき言った地域偏在をしっかりなくしていっていただきたい。  ところで、国立病院というと必ず問題になるのが賃金職員です。職員としてはその定員外の人、賃金職員人たちもそれはもう大変一生懸命やっていただいている、給料水準が悪い中で一生懸命やっていただいているのは、これは事実でありますし、ある意味で、お互いが、労使双方が都合よく考えていた、さっき甘やかしという言葉を使ったけれども、何となくなれ合っていたのではないか、そのような点があるのではないか、私はこう思うわけでありまして、これもどこかですっきりさせていかなければいけない。この賃金職員の考え方、ちょっとお聞かせをいただきたい。
  16. 松村明仁

    松村政府委員 現在、国立病院療養所におきまして、定員職員のほかに、勤務時間は定員職員と同様の日々雇用の非常勤職員、いわゆる賃金職員の方が勤務をしております。  病院運営に必要な定員の増員につきましては、これはこれで、毎年、看護婦を中心としてその確保に努力を傾けているところでございますけれども、しかしながら、現在の日々進化するというか進展する医療事情に対応するためには、どうしても一定の賃金職員の方を確保いたしまして運営を行っていかざるを得ない実情にございます。  このような賃金職員定数管理等につきましては、国の機関でございますので、法令に基づき予算、定員の枠組みの中で適正に運営すべきものでございますが、かつて、定数手当等の点においてやや不適切な運営がありまして経費が圧迫されて、病院経営に重大な支障が生じたことがございます。このため、平成五年十二月一日付で、定数管理を含めました業務改善命令というのを出させていただいて、現在、改善を進めておるところでございます。  その結果、現在、賃金職員数というものが、平成五年十二月一日では一万二千九百五十四名在籍しておったのですが「平成八年一月一日現在では一万二百六十二人、こういうふうに改善を見ておる状況にございます。
  17. 木村義雄

    木村委員 国立病院の中で、医療に対する期待は強いわけでありますけれども、一方でやはりお役所病院、率直に言ってサービスが悪い。  これはある公立病院なんですけれども、看護婦さんの件で、患者さんが夜中の十二時ごろ気分が悪くなった、ブザーを押して看護婦さんを呼ぼうとした、ブザーを押した、そうしたら看護婦さんから返ってきた答えが、何ですかこんな遅く、あしたの朝にしなさい。  これは冗談じゃなくて本当の話なんですよ。そういう看護体制があった。体制があったか、看護婦さんの個人的な問題なのか、結構そういうお話をよく聞きます。私のところにも、病院に入院して一番依頼があるのは、担当の看護婦さんをかえてほしい。これは要するに患者家族の方からそういう依頼がたびたびある。本当に残念なことであります。  また、夕食の時間も、四時に夕食を出した。なぜ四時に夕食を出したかというと、配ぜんをして 後じまいして五時に帰る、こういうことだそうです。この辺は多少改善をされた、保険の点数か何かで見て少しはよくなっているようでございますけれども、まだまだ早い。結局、余り早く出すものですから、患者さんもまだなれない、だから糖尿病患者さんが、家族の方が差し入れたおいしいお弁当を食べてしまって病院食事療法が効果が全然ないとか、そういう面もあるやに伺っております。  また、土曜日、日曜日は公務員だから休みだという意識が強過ぎて、土日診療、特に産婦人科の先生なんかには、土日の出産なんかはとても怖くてできない、そういうようなお医者さんの指摘もあるぐらいであります。  こういう、言ってみればサービスというより当たり前のことですよ、当たり前のこと、それに対する厳しい批判が出ているわけでありますから、この辺、これからも一生懸命こういう改善に努めていっていただきたい。これは答えは要りません。  それから、そうなってくると国立病院、これは民間病院もたくさんあるわけでありますから、やはり国立病院にふさわしい中身を持つ、役割を担うということがあるし、それから、国立病院が稼ぎ欲しさにそれこそ風邪の患者とかすり傷患者ばかり診ているようでは何のための政策医療か、こういうことにもなっているわけであります。  それで、政策医療といっても、よく言われるのは、何か大きな本当にしっかりとしたシステムになっているのかというと、そうではなくて、その病院にいるお医者さんのその個人の力量にゆだねられているというケースが非常に多いのですね。それで、あの先生がいなくなってしまったら急に患者さんも来なくなった、また、病院でも対応ができないというケースがしばしば見受けられる、しばしば聞かされるわけでありまして、そういう話を聞くと、まことにこれで国立病院なんだろうか。先ほどの話の繰り返しになりますけれども、やはりせっかく再編成をする以上は、期待にこたえられる、中途半端な中身ではないものにしていただきたい、こう思うわけでございまして、この辺、どうやってそういう組織的な強化機能強化をお考えになっているか、聞かせていただきたい。
  18. 松村明仁

    松村政府委員 国立病院一般医療との割り振りというようなことでございますが、一般医療の提供は私的医療機関あるいは地方公的医療機関にゆだねる方向で、国立病院としては、国民の健康に重大な影響のあるがんとか循環器病等の分野の高度先駆的な医療、あるいは結核、重症心身障害、進行性筋ジストロフィー症等々の国立が引き受けるべきもの、あるいはまた原因の究明及び治療法の確立が急がれている難病、エイズ等の専門的な医療、こういったものを主としてやっていく。さらに、これに付随する研究、研修等、こういったことを今後の国立病院の主な仕事、このように考えておるわけであります。  それで、組織的に機能強化を図るということでございますが、今委員指摘のように、医療は医師の力量というものに確かに影響される面もあるわけでございますが、ただ単にそういった個人的な力量だけでなくて、その国立病院療養所が一体どういう役目を果たすのかというところに十分に配慮をいたしまして、例えば循環器病あるいは神経・精神疾患、母子医療、腎不全、こういったものをその医療機関のメーンテーマということといたしまして、一層こういった分野に集中させる、あるいは機能を集中させていく、こういう形で機能強化を図ってまいりたいと考えております。こういったことも再編成を通じて私どもは実行をさせていただきたい、このように考えておる次第でございます。
  19. 木村義雄

    木村委員 今言ったような中身を着実にしっかりと取り組んでいっていただけるのであれば、これは国立病院として−例えば、一般民間病院では、今の保険点数で十分な収入を得て、しかも利益を出して税金まで払っている、ところが国立病院は、どんどん一般会計から繰り入れをしている、中身は民間と大して変わらないということであれば、これは一体何をやっているのか、こういうそしりを免れません。ですから、今局長がお答えになったことをしっかりと本当に取り組んでいっていただきたい。難病対策等に関しましても、地域方々から非常に期待が高まっております。ぜひ頑張っていただきたい。  それから、この間和解を受け入れましたエイズ、今これは特に県の方に大分任せているような面もありますけれども、エイズ医療についても国立病院期待は大きいと思うのです。県に任せればいいというものではありません。だから、エイズ医療についてはどのようにこれから国立病院として取り組むつもりなのか、この辺をお聞かせいただきたい。
  20. 松村明仁

    松村政府委員 国立病院療養所におきますエイズ医療でございますが、これは、都道府県知事といいましょうか、都道府県単位に各地域にエイズ拠点病院をつくっていただいて、とにかくエイズの感染者あるいは患者さん方が安心してかかれる、こういう状態をつくるということで今努力をしておるところでございます。現在、全国で百八十八のエイズ拠点病院がつくられておるのですけれども、国立病院はこのうち二十八カ所が参加をしております。  それから、国立病院におきましては、個室病床の整備あるいは医療機器の整備、こういったことを積極的に行って医療体制強化を図っておりますし、エイズにつきましては、いろいろまだ未知の面もありますし、情報が不足というようなこともございます。こういったことから、研究の推進それから情報収集、あるいは医療従事者が積極的にエイズの治療に参画することができるように海外研修というようなこともやっておるわけであります。  それからまた、エイズ訴訟の和解という範疇におきましては、恒久対策において、エイズ医療を総合的、一体的に推進するために、国立国際医療センターにエイズ治療・研究開発センター、仮称でございますが、これを設置することといたしまして、現在、これの必要な整備それから人材の確保に努力を傾けておるところでございます。
  21. 木村義雄

    木村委員 エイズに関連してですけれども、いわゆる第四ルート、これはどういうお取り組みを考えておられるのですか。
  22. 松村明仁

    松村政府委員 血液凝固因子製剤によりまして血友病でない方がHIV感染をされた可能性がある、こういうことで、この実態調査につきましては、これまで、研究班によります調査それからさらに厚生省が都道府県、指定都市を通じた調査、これを実施してまいりましたけれども、調査結果が必ずしも十分ではないということで、さらに、この問題の重要性を考慮いたしまして、四月二日に、厚生省内に調査プロジェクトチームを設置したところでございます。今後、医療機関医療施設に対する調査におきまして、カルテや薬剤管理簿に基づいて、製剤の投与、あるいは感染が実際に起こったかどうか、こういったことの把握の徹底に努めてまいりたいと考えております。
  23. 木村義雄

    木村委員 それから、何かエイズに似たような病気で、今、狂牛病というのが大分世間をにぎわしております。特にイギリスでは大変な大騒ぎになっているわけでありますけれども、これは、要するに人に感染する、こういう発表になったから大騒ぎになったわけでありますけれども、これはどういう形で感染をしていくのですか。牛肉を食べたら感染するのですか、それとも、さわったら感染をするのか。そういうことをお聞かせいただきたいのと、何か既にイギリスでも北アイルランドの方から輸入された牛の肉があると聞いておりますけれども、これは安全性はどうなのか。また、原因は羊だそうですけれども、羊のスクレイピーとか何かいうのだそうですけれども、これは、羊は人に感染しないのですか。それから、マトンはジンギスカンなんかであるけれども、これは本当に大丈夫なのか。その辺をあわせてお聞かせをいただきたいと思います。それから、今後の 取り組み。
  24. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 お答えいたします。  まず、この狂牛病という病気も人のクロイツフェルト・ヤコブ病も、いわゆるばい菌よりもっと小さいのがビールスですが、そのビールスよりもっと小さいたんぱく質が実は病気の原因でございます。これ自体は核酸も持っていなくて、ビールスのように活発に活動するということではないのでありますけれども、こういうプリオンという小さなたんぱく質が病気の原因であるということをまず御理解いただきたいと思います。  それで、この狂牛病と人のクロイツフェルト・ヤコブ病との関係は、現在では明確に確認されているわけではございません。  この三月二十日に出されました英国の、海綿状脳症というのは狂牛病のことですが、海綿状脳症諮問委員会の声明では、十人のクロイツフェルト・ヤコブ病の患者については狂牛病との関連が最も可能性が高い、こういうふうに言われているわけであります。そして、WHOの専門家会議では、一九九一年ですから今から五年前になりますが、狂牛病にかかった牛の肉や、狂牛病が存在している国にあっては健康な牛でも、狂牛病の原因である、今言いましたプリオンというものが多く含まれる可能性のある脳だとか脊髄を食べないようにというふうに言っているところでございます。  それで、まだはっきり、いわゆる一般に出ている肉でかかるかどうかということは今何とも言えませんけれども、今まで言われていることは、狂牛病の牛の肉は食べないように、それから、そういう流行している地域のその脳だとかいうのは食べないようにということになっているわけであります。  今先生がおっしゃられましたように、あと羊の話がございますが、その前に、アイルランドからの輸入された牛肉とおっしゃいましたけれども、実は、北アイルランドから入っていますのは牛肉ではなくて一番多いのが胃袋、そういうものが入っているわけですけれども、今のところは、これが原因でクロイツフェルト・ヤコブになるということはわからないのでありますけれども、輸入業者にお願いをして、商品は自粛してとめていただいております。そういうことにしておりますし、それから、この三月二十六日には厚生省の方ではこれらの商品について輸入の自粛をお願いし、農林省の方は二十七日にこれは輸入禁止にということの措置がとられて、日本にはもう今イギリスから商品が入ってくるということはないようになっておるのが現状でございます。  それからあと、マトンの話——いいですか。
  25. 木村義雄

    木村委員 時間がなくなってしまったので、最後に、今度のエイズ問題あるいは医療食協会の問題等で厚生省への国民の信頼が非常に大きく揺らいでしまっている。ぜひ信頼回復に努めていただきたい。その信頼回復に努めるのは、やはり医療の最前線の現場である国立病院等が毎日毎日の仕事の中で国民皆さんに真摯に対応する、その地道な努力で回復していっていただきたい。このことを心からお願いを申し上げ、大臣、残念ながら時間がなくなりましたので、大臣の答弁を求めずに、終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  26. 菅直人

    ○菅国務大臣 今、木村委員の方からも言われましたように、厚生省が抱えている問題、新たな問題も含めて大変大きいものがあります。また、いろいろと御指摘をいただいておりますが、国立病院の問題を含めて、国民皆さんに信頼をしていただけるような厚生行政になるように全力を挙げていきたい、このように考えております。
  27. 木村義雄

    木村委員 ありがとうございました。
  28. 和田貞夫

    和田委員長 石田祝稔君。
  29. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 私は、まず厚生大臣に最初にお伺いをしたいと思いますが、昨日の閣議後の記者会見で天下りの自粛について御発言をされたというふうに伺いましたが、その発言の御真意を御説明いただきたいと思います。
  30. 菅直人

    ○菅国務大臣 昨日、厚生省からの天下りの状況についてお知らせをしたことが報道されましたので、それについて質問がありましたので、国会で答えてきたのと基本的には同じなんですが、その場でも天下りについての見解を申し上げたわけであります。  内容につきましては、国家公務員法百三条の規定によって、職員が離職後二年以内に、離職前五年間に在職した国の機関と密接な関係を有する営利企業に就職する場合は、人事院の承認を得なければならないとされております。厚生省としては、今後とも、つこうとする地位の職務内容が離職前五年間の職務内容と関係がある場合や厚生省の許認可等に関係がある場合は人事院へ申請をしないなど厳正な運用を行ってまいりたい、このように考えているわけであります。  これ以上の制限を加えることにつきましては、公務の公正な執行の確保の要請と憲法で保障されている職業選択の自由の調和を図っている現行の国家公務員法の趣旨にかんがみて、公務員制度全体のあり方にもかかわる問題と考えております。  これは何度かこの委員会でも申し上げましたが、私も、天下りという形が非常に国民皆さんから見て行政の中身をゆがめているのではないかという御指摘をいただいていることは厳しく受けとめなきゃいけないと思っております。と同時に、職員皆さんがある程度安心して仕事に全力を挙げていけるためには、それでは、あるいは退職後どうするのか、あるいは六十五歳ぐらいまではきちんと社会的に有意義な仕事を続けることができるような体制をどうするのかということもあわせて考えておかないと、一時的に自粛をしてもまた何年かたつともとのもくあみということにもなりかねないという意味では国家公務員制度全体の問題としても受けとめる必要があるのではないか、このような趣旨のこともあわせて申し上げました。  しかしながら、そういうことを含めて、今回の薬害エイズの問題などが起きた背景の中にはやはり製薬企業への再就職が影響しているのではないかという国民皆さんからの厳しい目があるわけでありますので、この問題について何らかの行政としての対応を決めるに当たっては、この問題についてもどう対応するかを検討してまいりたい、このように考えております。
  31. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 私は、先日の三月一日のエイズの集中審議のときに、特に薬務局のことに触れまして天下りに関連することもお聞きをしたわけです。私はそのときに、薬務局は、製薬会社という産業の育成というコーチの部分と、それの薬の治験を通しての安全性の判定をするアンパイア、そしてさらには天下りをして製薬会社へ行って、ピッチャーになったりバッターになったりしてプレーヤーにもなっている、だからコーチとアンパイアとプレーヤーという全然異なるものに本来あり得べからざる形でなっているというのが今回の問題の根っこにもあるのではないか、こういうことも指摘をしたわけであります。  いろいろな、例えば保険の分野、年金のところから年金基金に行くとか、国民の生命に直接関係ない部分というのは、私は、その御本人の能力の問題等も含めて、今後の検討課題としてそれはもう大いに結構だと思うのですが、薬の問題については−我々は、ある意味では薬を選ぶ権利がない。医者から言われたら飲まなくちゃならない。また薬局等でも、書かれているものをそのまま安全だと思って飲んでしまう。薬務局の薬の問題については、これは一般論ということで片づけるのではなくて、今回の問題にかんがみてやはりもう少し踏み込んだ考え方をしていかなくては、今回の問題が何だったのか、こういうことにもなりかねないと私は思うのです。  この天下り自粛、改めてきのう発言をされたということに、大臣は何か特別のお考えがあったのかなとも思って私は今質問しているのですが、再度、特に薬の問題についても、ほかと同じだ、全体の中で考えていくべきだ、こういうお考えですか。
  32. 菅直人

    ○菅国務大臣 薬の問題で、いわゆる許認可と産業振興という問題、これをどうしていくかという問題は、今後の薬事行政あるいは厚生省の行政全体として考えなければならない問題だと思っております。  それに加えて、今お話がありました薬メーカーへの天下りという問題は、先ほども申し上げましたが、今回の薬害エイズの問題に関連しまして、行政としてのこの間のいろいろな経緯を反省しての何らかの姿勢を示さなければならないというふうに思っております。その姿勢を示す段階で、今の御指摘も十分踏まえながら、そうした企業への天下りをどういうふうにしていくのか、さらに厳しい自粛という形をとり得るのかどうか、そのことも含めて検討させていただきたい、もう少し時間をかしていただきたいと思っております。
  33. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 それでは、和解後の協議にゆだねられておりますエイズの拠点病院の選定についてもお伺いをしたいのです。  先ほど同僚議員から国立病院等のエイズ拠点病院の問題も御質問がございましたが、現在、拠点病院の選定状況として国立病院、国立療養所が何カ所選定をされているのか、また、それはふえてきているのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  34. 松村明仁

    松村政府委員 エイズ患者・感染者の方々が安心して医療を受けられる体制を整備することは非常に重要なことだと考えております。  今御指摘のように、厚生省といたしましては拠点病院の整備の促進に努めておるところでございまして、現在までに全都道府県において百八十八医療機関が選定されております。それから、このうち国立病院療養所が二十八施設、選定を受けております。この数は徐々にふえてきておる、こういう状況でございます。
  35. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 二十八というのは最近の数ですか。公表されている拠点病院の数ですか、ちょっと混同しているように思いますが。
  36. 松村明仁

    松村政府委員 国立病院療養所が二十八施設でございまして、公表するかどうかは都道府県単位でいろいろ検討がなされておりまして、この中には、公表されている施設あるいは公表されていない施設も含めて二十八施設ということです。
  37. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 そうすると、二十八施設が拠点病院として選定されておる、そのうちの十一カ所が公表されているというふうにお聞きをいたしておりますが、私は、拠点病院構想そのものがこれから協議の大事な問題になろうと思います。  国立病院療養所をエイズの拠点病院として、その箇所を今後さらにふやしていくお考えはあるのか、またそれとともに、公表されていないというところが二十八病院のうちの十七ということですので、この問題も含めて保健医療局また厚生省としてのお考えはどうか、現在でお聞きをしたいと思います。
  38. 松村明仁

    松村政府委員 エイズ拠点病院の公表ということは、厚生省といたしましては、ぜひお願いしたいということで以前からお願いをしておるところでございますが、各都道府県の状況がそれぞれございまして、公表がなされているのはまだ約半数でございます。  これにつきましては、実は今週の金曜日でございますが、全国の拠点病院会議を急邊招集いたしまして、こういった機会に、ぜひ公表をやっていただくことも私どもお願いを申し上げたいと思っております。
  39. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 四月五日現在で、拠点病院の選定状況、公表をされている医療機関のある都道府県が全国で十五都県なんですね。ということは、四十七のうちの三分の一しかまだ公表されていない。ですから、どこに行けばよいのか、その地域にいらっしゃる方は大変お困りだろうと思うのです。  例えば、私は高知県で選出されておりますけれども、拠点病院定数が一医療機関で、公表されていない。それから、四国の中で公表されているところは、ちょっと見ますと、どこも公表されているところはございません。先日、四国のエイズの問題でボランティアという形で大変支援をされている方とお会いをいたしましたけれども、役所に聞いてももちろんわからない。いろいろプライバシーにわたるところまで聞かれて答えられない。聞けないから、そういうボランティアのところに電話がかかってくるようになっているようなんです。  このことについて、四十七全都道府県で少なくとも複数、もうちょっといって一つでも公表されていないと、その県の人がどこかへ、東京へ行け、大阪へ行けという話になってくるわけですが、厚生省としていつまでにどうされるお考えがあるのか。ただ単に集めて、頼みますよ、こういう姿勢なのか、それとも、厚生省内部でいつまでにこういう形にしていこう。これは和解の協議事項になっているわけですから誠意を持って進めていく必要があると思うのですが、これについてどういうふうに考えておられますか。
  40. 松村明仁

    松村政府委員 重ねて申し上げるようで恐縮ですが、私どもは、拠点病院の公表については一貫してお願いをしておるところであります。  そこで、今御指摘のような事情がございますので、私どもといたしましては、拠点病院を本当に公開、公開ということがもしできないとすると、少なくとも、例えば医師会あるいは歯科医師会というような専門団体方々の間、それから今御指摘のように支援団体方々の間、こういったところの方々には周知をしていただけないか、こういう方向で今さらに指導を、具体的にお願いをしておるところでございます。  いつまでにそれをやれということでございますが、これはちょっと、相手のあることでございまして、いつまでということを申し上げることはなかなか困難でございますが、引き続き、今の御意見を体しまして、公表あるいは周知、こういった方向で努力をさせていただきたいと思います。
  41. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 これはぜひ早急にお願いをしたいと思います。これはやれないことはないと思うのですね。例えば東京は、二十医療機関選定されて、全部公表をされているわけですね。ですから、これは、三分の一の都県にしかまだないということをぜひ御認識いただいて、お願いをしていますということがエクスキューズにならないように、ぜひお願いをしたいと思います。  続きまして、私の地元の高知病院と東高知病院統合についてお聞きをしたいと思います。  この病院統合については、十年前の段階より、大変地元の心配等もございまして、また、高知県、高知市から厚生省に対して具体的な要望、陳情等もあったというふうに聞いておりますが、今回の統合ということで、県また市の申し入れをされていた条件というのはすべてクリアをされて今回の統合になっているのかどうか、お聞きをします。
  42. 松村明仁

    松村政府委員 国立高知病院と国立療養所東高知病院統合する新病院計画がございますが、この基本計画の作成に当たりましては、高知県及び高知市の要望を十分に取り入れさせていただいております。  例を具体的に挙げますと、隣接地を購入いたしまして敷地面積の拡大を図ったとか、また診療機能につきましても、母性小児総合医療、腎臓の総合医療、重心、重症心身障害児・者医療を担う、こういうふうな計画にしておりまして、この計画につきましては県市当局からも評価をいただいておるところでございます。
  43. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 この中で、高知市の要望で、アレルギー、リューマチ、リハビリテーションについても充実をしてもらいたい、こういう要望があったと思います。  それで、健康政策局にお聞きをしますが、新たに標榜診療科名を追加するというふうに聞いておりますが、これは、新しく追加される医業の診療科名はどういうものが入っておりますか。
  44. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 今お尋ねがございました診療科名につきましては、平成四年の医療法の改正法律事項から政令事項に改正をされた、それを受 けまして、医道審議会という審議会がございますが、そこで検討をしてまいりまして、この三月に報告書をいただいております。  具体的には、過去要望のございました幾つかの診療科について個別に御審議を、御検討をいただきまして、今回、アレルギー科、心療内科、リューマチ科、歯科口腔外科を新たに追加する、それから、従来ありました理学診療科というものを廃止いたしましてリハビリテーション科にするといったような内容の御意見をいただいております。  私どもとしては、これを受けまして、今後、政令の改正の手続を行っていきたいというふうに考えております。
  45. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 それで、高知の統合病院の、新病院計画書をいただいたのです。その中で、診療科は二十一科になっているのですが、高知市また県から要望のあったアレルギー、リューマチ、リハビリテーション、こういうものが新しく標榜科名になるのですけれども、そういう要望を取り入れたといいながらも、こういうアレルギーとかリューマチ、リハビリテーションを診療科名として標榜していいということになっているのですが、計画書には、これは印刷が早かったのでしょうか、全然そういうものが科名に入っておりませんけれども、これについては今後どうされる予定ですか。
  46. 松村明仁

    松村政府委員 標榜診療科名につきましては、標榜診療科名が正式に改正になった段階で、今委員指摘診療科について標擁することを検討してまいりたいと思います。
  47. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 それでは、最後にお聞きをいたします。  今回の改正案のたたき台になったと思われます国立病院療養所政策医療、再編成等に関する懇談会の最終報告の中の「再編成推進方策」のところの(2)に「再編成対象施設国立病院療養所施設、跡地を活用したまちづくりに協力する視点が必要である。」こういうくだりがあるのですが、今回、この法案の中で、町づくりに活用する、それに協力するという部分が抜けているように思いますが、今後どのように町づくりに協力をするという姿勢で臨まれるのか、最後にこれをお聞きをします。
  48. 松村明仁

    松村政府委員 今回の法改正では、譲渡後の国立病院等の資産の利用の範囲を、医療機関のほかに福祉施設などをあわせて整備する場合にまで、そういったものもできるように拡大する措置を講ずること、これによって地域の選択の幅を広げよう、こういうことになっております。それで、具体的には、平成八年度から、国立病院療養所の再編成計画に基づく移譲または統合後の後利用に関する地元自治体の計画を作成する場合、この計画を作成する費用に補助制度を導入しております。  したがいまして、この法案とそういう措置、こういったもので後利用の拡大あるいは地元の町づくりに資する、そういった活用方法というようなことができるのではないかと考えております。
  49. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 終わります。ありがとうございました。
  50. 和田貞夫

    和田委員長 青山二三さん。
  51. 青山二三

    ○青山(二)委員 新進党の青山二三でございます。  法案の質問に入らせていただきます前に、ちょっと一、二点お聞きしたいことがございます。先ほども御質問が出ましたけれども、狂牛病についての厚生省の対応をお聞きしたいと思います。  今、イギリスの狂牛病パニックがEUを越えて世界各地に広がっております。この病気は、正式には牛海綿状脳症という病気だそうでございまして、イギリスで発見され、これまでに十六万頭の牛が感染しておりまして、イギリス以外でも四百頭の感染が報告されております。  人間のクロイツフェルト・ヤコブ病という病気が狂牛病と症状が大変よく似ている、そして、プリオンといったんぱく質が共通の病原物質のようでございます。そういうことがわかっております。手足がしびれたり、記憶がなくなって、痴呆状態となりまして、発病すると二年以内に九割が死ぬと言われております。イギリスでは、年間で多いときには五十人の人が死亡しているという報告がございます。  去る四月三日には、WHOが汚染の疑いのある肉を食用にしないことを勧告いたしました。我が国でも慌てて輸入の禁止とか自粛をしたようでございますが、先ほど質問にありましたが、我が国には、昨年、イギリス・北アイルランド産の牛肉が百八十トン、もう既に輸入されているということでございます。先ほどの御答弁では、これは食用ではなくて内臓である、そういう御答弁がございましたけれども、一体これはどのように日本で使用されているのでしょうか。そのあたりから質問させていただきます。
  52. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 先ほども少しお答えを申し上げましたが、狂牛病と人のクロイツフェルト・ヤコブ病との関係は、牛肉等を食するからなるというふうにはっきりわかっているわけではないのでありますけれども、その他いろいろな状況等から見まして、例えばEUがイギリスからの牛肉及びその加工品等の輸出を禁止するというような措置から見て、十分に疑われるところであるわけであります。  したがいまして、北アイルランドから輸入された牛の内臓につきましても、食品衛生上の問題は確認できませんけれども、先ほど申しましたように、EUのとられました対応等を重視いたしまして、これらの商品の輸入者の確認ができ次第、順次、輸入者に対し販売の自粛を要請するとともに、販売されたものについては、輸入者を通じ販売先の調査を行いまして、国内における販売の自粛を要請することにいたしております。  それで、どうなったかと言われるのですけれども、牛の内臓で、これは食用、食べる物としてのあれで、みんな冷凍物で入っているわけですけれども、一部もう食されたものもありますけれども、食されていないものは今冷凍庫に置いてある、こういう状況にあるわけであります。  さらに、四月の二日、三日、WHOにおきまして、狂牛病の人への移行に関する専門家会議がございまして、厚生省から、国としても二人の職員を派遣いたしまして、その会議に行かさせていただきました。  明日、厚生省の方で食品衛生調査会の一番大もとになる常任部会と、それから乳肉衛生部会、そこに臨時にこの病気の専門家五人ほど入っていただきまして、国全体としての意見交換をしていこう、このように考えておりますし、またさらに、食品への今後の対応についても専門家の意見を十分徴して、そして適切な対応を行ってまいりたい、このように思っております。
  53. 青山二三

    ○青山(二)委員 内臓は食用として使われているということで、大変懸念をするわけでございますが、外国産のその内臓でつくりました化粧品とか医薬品があるわけでございますけれども、そのあたりについてはいかがでしょうか。
  54. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ウシ由来物を使用いたしました医薬品としては、ホルモン剤あるいはウシ血液抽出物、ウシ胆汁エキス末等がございますし、また化粧品としては、クリーム、乳液、口紅などに含まれておりますゼラチンとかコラーゲン、牛脂などがございます。  この外国産のウシ由来物を含有しております医薬品あるいは化粧品等につきましては、私ども、三月二十七日に、関係業界を通じまして、その有無でありますとか製品名のリスト、その臓器の部位であるとか使用目的等々につきまして、四月五日を目途に報告を求めておるわけでございますが、現在までのところ、市販されている医薬品、化粧品で英国産ウシ由来物を含有するものがあるという報告は受けておりません。  さらに三月二十八日に一私どもとして、関係業界団体に対しまして、欧州委員会におきまして、医薬品、化粧品等に使用をされます英国産ウシ由来物等については、EUの域内外を問わず輸出禁 止措置をとることが決定されましたことを、それからまた、これはメーカーでありますとか輸入販売業者でありますが、その業界の会員に対しまして、輸入先のウシ由来物の情報を収集して安全性確保に留意して適切な対応をとるように、周知を要請いたしました。  それから、WHOの四月初めの専門家会議におきましても、牛海綿状脳症の汚染地域からのウシ由来物の使用を避けるべきだという提言が行われております。私どもとして、当面、英国産ウシ由来物を医薬品とか化粧品に使用しないこと、それから、ウシ由来物を使用する場合はその原産国等の確認、記録を行うことを指導することを決めまして、本日、都道府県に対してその旨を通知することにしております。  さらに、中央薬事審議会の副作用調査会を十二日に開催いたしますとともに、近日中にその上部の組織でございます中央薬審の常任部会を開催しまして、この方面の専門家にも加わっていただいて、今後の医薬品等の牛海綿状脳症に対する安全性確保対策について御審議をいただくことにしております。  今後、さらに注意深く内外の情報収集に努めまして必要な対応をしてまいりたい、このように考えております。
  55. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは、エイズの拠点病院についてお尋ねをいたします。  先ほど来いろいろと質問も出ておりましたけれども、先ほどの御答弁によりますと、エイズの拠点病院が全国で百八十八、そのうち国立が二十八、その中で公表されているのが十一という答弁でございましたが、これはやはり、国立としては大変、この数から見ますと国の対応が大変消極的だ、このように受け取るわけでございます。国立病院こそ、エイズを初めとする難病の治療に採算を度外視してでも積極的に取り組むべき、このように考えますけれども、これは大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  56. 菅直人

    ○菅国務大臣 国立病院の中でエイズ拠点病院、次第にふえてきておりますけれども、まだ十分とは言えないという御指摘もいただいております。先ほど他の委員の方にも数字などはお示しをいたしましたが、現在、百八十八の医療機関がエイズ拠点病院に指定され、そのうち国立病院及び療養所は二十八施設になっておりまして、そのうちの十一施設が公表されております。国立病院でこうしたエイズの治療などを積極的に行うべきだという認識は、私も基本的には同じ考えであります。  今回お願いをしている法案を含めて、今後の国立病院療養所のあり方としては、そのエイズ、難病等の政策医療というものに対応できるような形にしていくということも大きな目的の一つになっていることは御承知のとおりでありまして、そういった方向での中で、エイズについても積極的にその医療推進していかなければならない。ただ、実態として、今、国立病院なり療養所がそれにすべて対応できるかといいますと、この実態はいろいろな形があるものですから、それはまた実態として対応できるところからやっていかなければいけないということも御理解をいただきたいと思っております。
  57. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは、法案の質疑に入らせていただきたいと思います。  厚生省は、昭和六十一年の一月に国立病院療養所の再編成計画を発表いたしまして、全国二百三十九カ所の国立病院療養所のうち七十四施設を十年間かけて、統廃合または経営移譲により削減することを決めました。その計画によりますと、平成七年度をもって完了するという予定でございましたが、先ほどの質疑の中にも出てまいりましたように、なかなか思うとおりには進んでこなかったという状況がございます。  それで、先ほどの御答弁を聞いておりますと、その進まなかった原因については、引き取り手がなかった、あるいは地域理解が得られなかった、こういう御答弁でございましたけれども、なぜ引き取り手がなかったのか、なぜ地域理解が得られなかったのか、そのあたりまでもう少し詳しく御説明をしていただきたいと思います。
  58. 松村明仁

    松村政府委員 先ほども申し上げましたけれども、再編成進捗がはかばかしくなかったことのバックグラウンドとしては厚生省努力不足というところがあるということは私ども認めざるを得ないところですが、そのバックグラウンドはさておいて、今委員指摘の、地元自治体等の理解が得られなかったということにつきましては、なぜかということはなかなか的確にお答えできないのですが、計画が発表されまして、十年間ですぐこの病院がなくなってしまう、そういうふうな誤解というか、この計画が非常に素早く進捗するというようなことをお考えになられて、各自治体におかれましては、関係する自治体がほとんど反対の意思表示をされてしまったのですね。そういったことで、地元としては反対の議会決議というような形にもたくさんなっておりまして、なかなかそれ以上にお話し合いができなかった、こんなようなことがあると思います。  それから、適当な引受先が得られなかったということでございますが、これも実はいろいろ難しい面があると思います。  私どもとすれば、かなり思い切った割引率というようなものを適用させていただいて何とか引き受けていただきたい、このように考えておったのですが、引き受けていただくその条件が、後医療の確保というか、医療をそのまま引き継いでいただく、こういうことがあったわけでございます。そういたしますと、地域といたしましては、大きな病院をそのまま、その医療そのものを引き継ぐということになると、なかなかこれは、国がやってもうまくいかないのにということで、あるいは難しい、こういうふうにお考えになったのかもしれません。  そういったことも含めて、やはり実際に自分たちが引き受けていくというところが非常に少なく、これはもちろん、先ほど申し上げたように厚生省の働きかけというようなものもあるわけでございますが、具体的に言えばそういうことだと思っております。
  59. 青山二三

    ○青山(二)委員 十年間かけて今日のような状態なんですけれども、さて、この十年間にどれくらいの経費を費やして、あるいは売却等によって得られた収入もあるわけでございますが、この十年間の収支をお教えいただきたいと思います。
  60. 松村明仁

    松村政府委員 十年間の収支ということでございますが、いろいろな計算の仕方があると思いますが、一応簡略に、この十年間で運営を開始いたしました再編成による統合病院、九施設ございますが、この九施設を整備する費用あるいは土地を購入する費用として一千八百五十億円の費用がかかりました。逆に、この十年間に統合移譲をいたしまして土地建物の売却を行ったというケースが十四施設でございまして、四百八十億円でございます。
  61. 青山二三

    ○青山(二)委員 大変な経費をかけて今日まで頑張ってくださったわけでございますけれども、結果的にはなかなか進まなかったということで、やはり一番やるべき、地域の住民に対してのいろいろな説得あるいは自治体に対する理解を得るというようなことを怠ってきたのではないか、このように考えるわけでございます。それと、自治体や住民の声を無視して計画の達成を急ぎ過ぎたのではないか、あるいは、二百三十九施設のうち七十四施設といいますとこれは約三分の一ですね、ですから、もう最初からこの再編成計画には無理があったのではないか、このように思うわけでございますが、これらの点について大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  62. 菅直人

    ○菅国務大臣 私も十年前、たしか社会労働委員会に籍を置いておりまして、この計画が出されたときのことを若干思い起こしているのですが、今も政府委員から説明がありましたように、国立病院あるいは国立療養所として果たすべき役割というものが社会変化の中で変わってきたことを受けて、国がやるべき仕事としての国立病院の仕事は何であるかということが本来この再編の大きな 目的であったわけですけれども、そのこと自体が必ずしも十分に自治体を中心に理解をいただけなかった。これは厚生省努力も不十分な点があったと思います。そういう点で、十年たってみてなかなか予定したように進んでいないということは十分重く受けとめなければいけないと思います。  ただ、細かい点は除いて全体の計画そのものを考えますと、社会の本当に大きな変化の中でいえば、政策医療などを中心にした、つまりは他の民間の医療機関ではなかなかできにくい問題をきちんとやれるような国立病院療養所に再編していかなければいけない、そういう方向性は私は誤りではないのではないか、方向性としては正しい方向ではないか。  ただ、具体的に、今おっしゃいましたような幾つかの国立病院の場合に、すべてがそうした再編の中で確実にやり切れるかと言われますと、いろいろな問題が残るものもあろうかと思います。ただ、これはきょう法案をお願いして一層努力しようという段階ですから、この方向に沿ってぜひさらなる努力をさせていただきたい、こう思っております。
  63. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは、この十年間の反省を踏まえて、今後は一つ一つの病院療養所について、例えば、より実効性のある方法で再編成を進めるために、地元ニーズがあれば新規の施設を整備拡充するということもあるのだとか、あるいは具体的な将来像を地域や自治体や職員に示して十分な理解を求めるべきである、このように考えます。  今回の改正で、地域ニーズを的確に反映し、より魅力ある再編成を目指すとしておりますが、残る六十一施設をどのように、先ほど何年ぐらいでという質問がございましたが、御答弁では、さらに一層進めていく、このような抽象的な御答弁のようでございましたけれども、この法改正によって以前よりは進んでいくと思うわけでございますが、どのように進めていくのか、具体的に示していただきたいと思います。
  64. 松村明仁

    松村政府委員 再編成を具体的に進めていくということについて、その具体的な内容でございますが、これは、先ほども答弁申し上げましたように、なかなか、地域方々あるいは地方自治体方々あるいは専門団体方々というようなことで相手があることでございまして、現在、その完了時期あるいは具体的な予定というようなものについて申し上げる段階にないことはひとつぜひ御理解をいただきたいと思います。  しかし、現在、約十施設ぐらいが実際に動きがある、こういう状況でございまして、これから再編成特別措置法がもしできたらさらにそれは進むもの、このように考えております。
  65. 青山二三

    ○青山(二)委員 次に、職員の身分の保障などについてお尋ねしたいわけでございます。十年前に国立病院等編成計画が出されましたときの国会答弁などもいろいろ読ませていただきましたけれども、今回改めてお伺いしたいと思います。  現在、国立病院等職員数は、資料によりますと、平成七年度で五万三千五百九十八人、このほかに賃金職員と言われる職員が一万人を超えております。今回の法改正で、移譲あるいは特例譲渡あるいは管理委託の対象となる職員の人選はどのように行われるのか、また、その身分とか処遇の保障あるいはまた雇用の確保等についてはどのように考えているのか、お伺いをしたいと思います。
  66. 松村明仁

    松村政府委員 再編成を進めるに当たりまして、地域で受け入れていただくということが最も重要なことなんですが、一方、私ども国立病院を管理する者といたしますと、職員の問題というのは一番大きな問題の一つでございます。そういったことで、これには十分な配慮をしてきておるところでございます。  それで、やや具体的になりますけれども、再編成計画を進めるに当たりましては、計画がだんだん具体化するに伴いまして、職員の希望を尊重するために、計画をよく説明いたしまして意向調査というものをいたします。そのときに、移譲先を希望される方については、厚生省移譲先で十分に調整を行います。しかし、移譲する方には自分は行きたくないという方につきましては、他の国立病院への転勤を希望する場合については、その希望を十分に尊重をしております。  そういうことで、多くはその二つの場合に行くわけでございますが、その他、御事情によっていろいろ方向を変えられるというような方も中にはございますが、そういったときにも十分に御相談に応じておりまして、職員の身分の保障という問題については最大限の努力をしております。
  67. 青山二三

    ○青山(二)委員 それともう一点でございますけれども、懇談会の最終報告では、今後の方向性といたしまして、一般的な医療は民間や自治体の病院にゆだね、国立病院療養所は主として広域を対象とした高度、専門的な医療を中心にする、このように報告がなされております。  しかし、現実には、高度な、専門的な医療ばかりではなくて地域住民に信頼される国立病院もあるわけでございますので、こうした病院までもが一般診療をやめたり専門的な医療だけになれば、不便を強いられる患者や住民もたくさんいることと思います。実際に再編成計画で被害をこうむるのは、現に国立病院で治療を受けている、あるいは療養所で治療を受けている患者家族であり、特に入院している患者などには、大変不安に陥っていることと思われますので、こうした現状については十分な配慮が必要であると思いますけれども、御所見はいかがでしょうか。
  68. 松村明仁

    松村政府委員 国立病院療養所におきましては、国が対応することがふさわしい医療、すなわち高度・専門医療あるいは広域、こういうふうな医療にだんだん向かっていきなさいということが言われておるところでございます。それで、地域においては、確かに一般医療という形で貢献をしておる国立病院も現にございます。しかし、全体的な流れは、国民期待というところは、国は国らしいところを担当してほしいというのが大筋のお声だと思っております。  そこで、今委員指摘の、例えば入院されている方々再編計画によって非常に不安を感ずることがないように、仰せのとおりでございます。私ども、再編計画を進めます場合に、入院患者さんあるいは利用されておられる方々の御理解を得るということは非常に大事なことだと思っております。それで、今までも経験をしておりますけれども、こういった患者さんたちには主治医の先生がもうかなり前から、計画ができたときからお話を申し上げて、統合あるいは移譲になってもその個々の患者さんに最も適した医療が続けられるように、そういう配慮をするように考えておるところでございます。
  69. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは、時間がなくなりましたので、最後に大臣から、国立病院療養所が真に国民医療の向上を図るためにあるべき姿、今後の国立病院療養所のあるべき姿についてどのような御所見をお持ちなのかお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  70. 菅直人

    ○菅国務大臣 国立病院療養所が今後担っていくべき医療につきましては、地域における医療供給体制の中で、基本的には、先ほど申し上げたように、一般的な医療の提供は私的医療機関地方公共団体などの公的医療機関にゆだねていこう、そして、国立病院療養所は主として次のような目的のものにある程度集中していったらどうであろうか。  その一つは、国民の健康に重大な影響のあるがんとか循環器病等の分野の高度先駆的医療、もう一つは、結核、重症心身障害、進行性筋ジストロフィー、ハンセン病など歴史的な経緯あるいは社会的な経緯から国立病院療養所が引き続き担った方が適切と考えるもの、そして三つ目が、原因の究明及び治療法の確立が急がれている難病、この中にはエイズなども含めて、こういうものを克服するための専門的な医療などの政策医療というものに重点を置こう。さらに加えて、臨床研究、教育研修、また先駆的な医療政策等の実践の機能 を果たしていくことがこれからの国立病院療養所の方向として必要ではないか、このように考えております。
  71. 青山二三

    ○青山(二)委員 大変ありがとうございました。時間が参りましたので、これで終わります。     〔委員長退席、鈴木(俊)委員長代理着席〕
  72. 鈴木俊一

    鈴木(俊)委員長代理 桝屋敬悟君。
  73. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 それでは、引き続き質疑を行わせていただきます。新進党の桝屋敬悟でございます。  私は、特に重症心身障害児施設あるいは筋ジストロフィーの施設の内容を中心に話を進めさせていただきたいと思います。  先ほどから局長さんからも、今回の法改正によりましてかなり統廃合が進む、その目標なり実態というものはまだなかなか明らかにできないのでありましょうが、十ぐらいは既に話が進んでおる、こういう話がありまして、実はもっとあるのではないかと思うわけであります。大変危惧をいたしますのは、特に国立療養所に設置されております重症心身障害児施設、俗に重心施設と言われているものでございますが、こうしたものも恐らく統廃合の対象になるものもあるのではないか、このように思うわけでありまして、質問をさせていただくわけでございます。  最初に、国立療養所ということよりも、まずこの重心施設というのは、医療という面もございますが、よく言われるように点数払いの施設、いわゆる措置費体系を持ちながらなおかつ診療報酬で措置費が支払われるという、医療福祉施設を一体化した大変すぐれた施設だろうというふうに私は思っております。その施設の一定の部分を国立療養所は担ってきたという、まさに先ほど大臣のお話の歴史的経緯があるわけであります。  まず、この重心施設、先ごろ、十二月ですか、障害者プランも発表されまして、地域の中では重度の重複障害をお持ちの方々にとりましては大変に必要性の高い施設でございますが、今後、障害者プラン等ではこの重心施設がどういうふうになっていくのか。まず現状、重心施設施設数と定員、さらにはそれの民間と今の国立療養所の数、あわせて筋ジスの実態もちょっとお教えいただきたいと思います。それから、その実態とこれを今後どうしていくのか、障害者プランではどのように押さえられているのか、お伺いしたいと思います。
  74. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 重症心身障害児の施設の関係の現状でありますが、国立療養所に委託をいたしておる分が八十カ所でございます。ベッド数で申しますと、定床としましては八千八十ベッドということになっておるわけであります。それから、いわゆる重症心身障害児施設というものでありますけれども、これは七十六カ所ございまして、七千九百九ベッドございます。合計いたしますと、委託分も含めて、施設数で百五十六カ所、ベッド数で一万五千九百八十九、このような格好になっております。  それから、障害者プランとの関係でございますけれども、障害者プランにおきましては、重症心身障害児の対策として今急がれるものについては入所よりもむしろ在宅対策である、また、在宅対策をもっと充実してほしいという要望が非常に強うございます。そういった意味で、在宅の通園事業の推進ということを基本にして逐次整備をしていくということで盛り込んでおるわけでございます。  施設関係につきましては、重症心身障害児の今後の数といいますか、これがどのようになっていくかということとの絡みでありますけれども、我々としましては、現状では、施設に入っていないけれども施設に入りたい、いわゆる待機者という観点からはそれほど要望はないのじゃないか、むしろ、現在例えば肢体不自由児施設に入っているけれども、高齢に伴って重症心身障害児施設に入りたい、いわゆる施設の転換でありますが、こういった方がやはりあるかなというふうに思っておりまして、そういった意味ではかなりきめ細かい対応ということになるものですから、それぞれの地域の実情に応じた格好で対応してまいりたい、このように考えております。  なお、筋ジスの関係でございますけれども、筋ジスにつきましては、国立療養所の委託病床でございますけれども、これは二千五百ベッドという格好になっております。施設数は二十六カ所でございます。
  75. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ありがとうございます。  今の実態をお聞きしますと、今、委託という言葉が出ましたので、私も改めて、ああ、委託なのかな、こう思ったわけであります。国立療養所に委託されているものが重心でいいますと約半数、それ以外、民間が取り組まれているケースが半分だろう、約半分ずつぐらいかな、このように理解をしたわけであります。  こういう重症心身障害児施設の数を今後ふやしていくということはないのでありましょうが、しかし、一定の非常に重要な役割を持った施設だろうと思うわけであります。そういう重症心身障害児施設の中で、国立療養所に委託という話が出ましたけれども、国立療養所の持つ役割といいますか、今回の統廃合でこれがどんどん民間に持っていかれるのではないかという危惧もありますし、国立療養所統廃合の計画があるでしょうが、今の八千ぐらいのベッド数は今後とも維持されていくのか、この役割を果たされるのか、その辺のところをお伺いしたいと思います。
  76. 松村明仁

    松村政府委員 今後における重症心身障害児施設としての役割ということでございますが、国立療養所における重症心身障害児医療につきましては、国が実施すべき政策医療として、昭和四十一年から年次計画で病棟整備を行い、今お話が出ておりますように、これまでに八千八十床の整備をしてきたところでございます。今後とも、政策医療というところに位置づけられておりまして、国立療養所としてはその役割を果たしてまいりたいと思っております。
  77. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ちょっとよく聞き取れなかったのですが、今後とも今の体制は続けていく、この統廃合の中で一気に民間へ持っていくというようなことではないのだろうというふうに思うわけであります。  実は、今回の法改正に当たりまして、国立病院療養所政策医療、再編成等に関する懇談会の最終報告書が出ております。この報告書の内容を見ますと、特に重心施設については、「障害者保健福祉施策推進の観点から、将来における患者の望ましい処遇を見据えて、中長期的な視点に立った見直しを進める必要がある。」このように書いてあります。極めてよくわからないのでありますが、しかし、意味するところは、私も現場の声も聞きながらおぼろげながら理解もしているわけであります。こうした今の最終報告書の内容を少しここで検討させていただきたいわけであります。  最初に、重心施設における療育体制という点であります。  先ほど申し上げましたように、重心施設は、まさに医療を中心とした、医療福祉、療育の面が両方ある施設でありまして、私は、施設としては大変すぐれた施設だろうというふうに思っております。特に、肢体不自由児施設なんかに比べますと、人の手当ては体系の中で相当厚みがあるのだろうというふうに私は思っております。  しかしながら、障害者保健福祉施策推進の観点から見直しを進める必要がある、こう認識をしていただいているわけでありまして、特に医療のスタッフと福祉、療育のスタッフの割合は、どうしても看護婦さん中心の施設になっておりまして、特に患者の直接処遇という観点からは指導員さんなり保母さんなりの配置がちょっと少ないのではないか、このように思っておるわけであります。  この重心施設の、特に療育スタッフの問題でございまして、実態は今、最低基準等ではどうなっているのか、医療スタッフも含めてその職員配置は大体こういうふうになっているという御説明をまずいただきたいと思うのです。あらあらで結構 でございます。
  78. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 重症心身障害児施設の、いわゆる児童福祉法上の最低基準と言われるものでありますが、これ自体は、職員配置につきましては、「医療法に規定する病院として必要な職員のほか、児童指導員、保母、心理指導を担当する職員及び理学療法士又は作業療法士を置かなければならない。」という規定でございます。したがいまして、入所者に対する割合がどれだけ置かなければいけないとか、そういうような定めは現在のところございません。  ただ、実態的に見てみますと、重症心身障害児施設の配置状況でございますけれども、この中では、いわゆる看護職員として看護婦さん、それから保母あるいは指導員、それから介助員、こういった直接指導職員といいますか、処遇職員と申しますか、こういった方があるわけでありますが、これらの方については、おおむね職員と児童との割合が一対一ぐらいになるような形が実現できるような予算措置といいますか、処遇の措置がなされておる、このように考えております。
  79. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 今の職員配置の状況で、医療スタッフと指導員なり保母さんあるいはPTさんなんかも含めて一対一の直接処遇、こういうことでありますから、社会福祉施設の中では、児童福祉施設の中では大変に厚みのある職員体制だろうというふうには理解をしております。  実は、今のように最低基準で明確に数字がないものですから、私の地元の山陽荘病院で、百二十床で配置の実態がどうなっているかというのを伺いましたところ、看護婦が百二十に対して六十六人、これは正看、准看を入れてでありますが、それから看護助手が十七人、指導員が三人、保母さんが六人、こういう体制というふうに伺っております。合わせて九十二人、その他後方援助要員もいると思いますから相当の厚み、一対一にはまだなっていないような気もしますが、しかし、それに近い形でございます。  私が一番気になりますのは、確かに直接処遇職員の厚みは十分にあると思うのでありますが、特にこれは児童家庭局長さんよりも保健医療局長さんにお伺いしたいのでありますけれども、国立療養所については今のような体制で直接処遇をされているわけでありますが、看護婦さんというのは、ほかの病棟をずっと回ってきて、そしてこの重心の病棟に回ってくるということになりますと、果たして重心の施設の療育という体制で本当に大丈夫なのか。  もちろん、一生懸命おやりになる方もいらっしゃるでありましょう。しかしながら、なれていないということもあるわけでありまして、指導員が三人、保母さんが六人という体制では、恐らく夜勤はまず無理でありましょうし、それから昼の体制にしましても、もう少しこちらの方を、私の私見で言えば、看護婦さんを減らしてでもこっちをふやしてもいいのではないかというふうにも思うわけでありますが、そんな見直しをぜひ今後考えていただきたい。看護婦さんを今のままにして、指導員さん、保母さんをふやすということであればそれでも結構なのでありますが、ぜひそうしたことも今後御検討いただきたいと思うわけでありますが、いかがでありましょうか。
  80. 松村明仁

    松村政府委員 国立療養所の具体例を引かれてお話しいただきまして、まことにありがとうございました。  御指摘のとおり、国立療養所医療機関でございますので、療育体制というものもどうしても看護婦さん中心ということになろうかと思っております。それで、看護婦さん中心とは申しながら、指導員、保母の方々も、これは多いか少ないかは別にいたしましても、現状は、先ほどの八千床に対して四百五十二名の保母さんあるいは児童指導員という方々を配置はしております。  それからまた、実際に山陽荘に御視察いただきましたけれども、私どもの考え方といたしましては、重心の病棟四十床当たり、いろいろな方々、もちろん看護婦さんを入れて、それからその他の方々も入れて一応四十名、一対一という形で定員は考えているところであります。  そこで、看護婦さんと指導員、保母さんの比率についてでございますが、看護婦さんからかえてもいいというお話もありましたけれども、なかなか厳しい定員事情でございまして、鋭意努力はいたしますけれども、病院という性格を持っている国立療養所であること、それから、現在の定員事情等を考えますと、今一対一という対応でございますので、これ以上ふやすということについてはなかなか難しい面もあるかな、このように考えております。
  81. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 一対一は、もうそれで私はある意味ではすぐれた体制だろうと思います。あとはその配置、中の職員の割合等についてはなかなか一律にはいかないでありましょうが、今、出来高払いとか定額制とか、選択制にもなっているようでありますから、特に療養といいますか、療育を中心とした施設になりたいとか、あるいはしっかり治療をやりたい、診療をやりたい、そういう重心もあるでありましょうし、現場のニーズに応じてそこは柔軟にできるような、そんな検討をぜひ今後進めていただきたい。これは御要望をしておきたいと思います。  そこで、先ほど高木児童家庭局長からお話がありました、重心は今後通所を一生懸命やるのだ、在宅対策をしっかりやるということでありますが、重心の通園事業、これは国立はどうされるのか、その点を簡略にお答えいただきたいと思います。
  82. 松村明仁

    松村政府委員 現在のところ、国立療養所は実施施設の対象にはなっておりません。この理由はいろいろあろうと思いますが、今後、そういう御要望があれば実施について協議をしてまいりますけれども、実際に入っておられる方々の状態というようなものもかなりいろいろな幅があると思いまして、なかなか難しい問題ではないかなと考えております。
  83. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 今、施設の対象になっていない、こういうお話があったのですが、これは、国立は今のところやる体制にないということだろうと思うのですが、制度的には、私は、高木局長さんにお伺いしたいのですが、今の重心の通園事業、今回これは障害者プランにも明確な数値目標が出たというように伺っております。現状の数と十四年の障害者プランの目標値、それから対象施設としてはどういう、国立療養所はできないのかどうなのか、もし希望された場合どうなのか、その辺のところをお伺いしたいと思います。
  84. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 障害者プランでは、通園モデル事業を三百カ所程度にはふやしたいということで考えておるわけであります。現在やっておりますのは十カ所、これは平成七年度十カ所でありますが、これはいわゆるモデル事業ということでやっておりまして、このモデル事業では現在国立療養所はやっておりませんが、今後三百カ所にふやしていく中で、現実的に国立療養所も対応できるのであればお願いしていくというような道を考えていかなきゃいけないだろうというふうに考えております。
  85. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ありがとうございます。障害者プランでは、平成十四年度に現在の十カ所の通所事業、通園事業を三百にしたい、こういうことでございまして、恐らく重障のこの通園事業については一番ノウハウがあるのは重症心身障害児施設、重心施設だろうというふうに私は思うわけであります。  そういう意味では、もちろん肢体不自由児施設もその対象にはなるのでありましょうが、数からいきますと、三百という目標値に対して、現在、国療に委託されているのが八十カ所、それから民間が七十六カ所、合わせて百五十六カ所、これに恐らく肢体不自由児施設が七十数カ所であると私は理解をしておりますから、合わせましてもなかなか三百にならぬわけでありますから、そんな状況の中で、私は、明確に言っていただきたい。国立はやりませんよというのだったらそれでも結構なんです。これから、これは大変難しい、悩ましい。入所は国立が専門医療としてやる、しかし通 所というのは地域に根差した事業じゃないか、したがって国立がやるのはいかがかという議論は確かにあると思うのでありまして、そこのところは、方針があるのならあるでお示しをいただきたいし、いや、今後地域とも協議して、地域ニーズがあり、そして療養所体制としてやるというのであればやりますよ、こういうことなのか、その辺のお答えをいただきたいと思います。
  86. 松村明仁

    松村政府委員 明快な御質問でよく理解はしておるのですけれども、お答えする方といたしましては、現在いろいろな事情がございまして、この場で明快にお答えするわけに残念ながらまいりません。関係の部局と十分協議をさせていただきたいと思っております。
  87. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 全く要を得ないのでありますが、私はぜひ、先ほども申し上げたように、そこのところはしっかり整理をしていただいて、障害者プランはこれから、国が大きな目標を出しましたけれども、実施するのは市町村の現場、県の現場でありますから、そこはやはり——恐らく、さっきの実態からいきますと、全国四十七都道府県で七十、七十ぐらいで施設数があるわけですね。そうすると、一県に一カ所かニカ所、国立と民間がある。こういう中でこれから格段に障害者プランを進めていかなきゃいかぬというときに、やはり地域とすれば、せっかく専門施設があるのだから御協力をいただきたいという声も出るだろうと思うのです。どうかその辺は柔軟に対応できるように御検討いただきたい、これはまた引き続き私も見守ってまいりたい、このように思います。  それでもう一点、時間もないのでありますが、国立療養所に設置されています重心施設の中で、さっきも言いましたように指導員と保母さんは大変少ない、こんな中で大変いいのが、喜ばれているのが教育の対応でありまして、中学部まではどうも養護学校の分室等近くの分室ができまして学校の先生が来ていただける、そして今の指導員や保母さんに加えて日中は教育の対応があるわけでありますが、これは高等部になるとぱたっとなくなるということで、あとは日中ベッドの上でほとんど寂しい、寂しいといいますか、生活をしておられる、なかなか手が回らない、こういう実態も聞いております。  ぜひ高等部も、今児童数も減っているわけでありますから、聞くところによりますと、一か所ぐらいは重心施設に併設されている、中にあります養護学校で高等部の対応をされているという事例も聞いておりますので、この辺もぜひ御検討いただきたい、お願いを申し上げたいのですが、きょうは文部省来られています。
  88. 嶋崎和男

    ○嶋崎説明員 御説明申し上げます。  ただいま先生からの御指摘いただきました養護学校の高等部につきまして、現在、重症心身障害児施設がある国立療養所に隣接あるいは併設等の形で設置されておりますいわゆる高等部のある養護学校、平成七年五月一日現在で全国で二十三校ございます。  ただ、私ども、このような後期中等教育につきまして、保護者等の方々からいろいろと要望があるということを承知しているところでございますし、また、その必要性につきましても十分認識しているところでございます。従来から都道府県教育委員会に対しましてさまざまな機会に指導してまいったところでございますが、このような養護学校の高等部の設置につきまして今後ともさらに指導してまいりたい、さように考えているところでございます。
  89. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ぜひ積極的にお願いを申し上げたいと思います。  それからもう一点だけ、ここは大変悩ましい話なのでありますが、重心施設厚生省サイドからの指導監査、実際は県にお任せになっているかもしれませんが、私は、指導監査は民間施設はきちっとなされていると思います。最低でも二年に一回、指導監査に行かれて直接処遇の内容まで点検をされておられる、検証されておられるということがありますが、国療の中にあります重心施設、これはどういう指導監査体制になっているのか、御報告をいただきたいと思います。
  90. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 重症心身障害児施設、これは、児童福祉法上の施設でありますと都道府県が入所の措置をするというようなことでありますし、そういった意味で、いわゆる民間施設といいますか、あるいは県が設置しているものもありますが、そういったものについてはそれぞれ各都道府県において指導監査を実施する、こういうことであります。  それに対しまして国立療養所につきましては、これは、法制度上はいわゆる児童福祉施設ということではありませんので、児童福祉法上の指導監査という権限といいますか、そういうような形には乗らないわけであります。したがって、いわゆる形におきましても、都道府県が委託をする形で入所をお願いしているという格好になっております。  実態的には、私どもとしては、各県の児童相談所と指定の国立療養所等と処遇の問題等々について話し合っていただくような場を設けていただくのがいいのではないかというようなことを通知等しておりますけれども、全国立療養所についてそういった形で実施されているかどうかということになりますと、必ずしも全部やっていないと思いますが、形としてはそういう形でそれぞれの処遇の適正というものを図っていただくような、そんなような仕組みにしております。    〔鈴木(俊)委員長代理退席、委員長着席〕
  91. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 法の指定された施設でないということであればやむを得ないわけでありますが、しかし、やはり私は、こういう直接処遇をしている施設で内部の牽制システムというのは極めて大事だろうと思いますし、加えて半々でございますから、今のような実態も吸い上がってこないのじゃないかという気もしまして、現場の声も、現場の問題点も吸い上がるようなシステムというものはぜひ御検討いただきたい、今の児童相談所を活用するという方向でも結構でございますからぜひお願いをしておきたいと思います。  最後になりましたけれども、実は日本筋ジストロフィー協会から御相談もいただいておるのでありますが、筋ジスを専門にやっている国立療養所の中で、日本筋ジストロフィー協会が団体として施設の土地をお借りして施設内に社会訓練センターというのをつくっておられて一生懸命活動されておられる、こういう話を聞いております。  ところが、昔は借地料が非常に安かったのでありますが、バブル期からだんだん地価が上がってまいりまして、最近の事例を見ますと、自分たちが運営しておられる、自主努力でやっておられる運営費が二百八十万ぐらいに対しまして約一割ぐらい借地料がかかっているというような声を聞いておりまして、もちろん自分たちでやることだから払わなければいかぬのだけれども、大変圧迫をされていて大変厳しい、何とか減免等の措置はありませんか、こういう強い要望があります。  私は、療養所の中にある筋ジスの施設、日本筋ジストロフィー協会の方が団体としておやりになっているとはいいながら、病院なり療養所なり、その施設との密接な連携のもとに有効に機能している施設じゃないかなという意味では借地料もぜひ御検討いただきたい、このように思うわけでありますが、いかがでありましょうか。
  92. 松村明仁

    松村政府委員 現在、国立療養所のうち六カ所の療養所におきまして、その敷地内に今御指摘のような施設がございます。もちろん設置等については認めているわけですけれども、ただ、敷地の使用料というものは、国有財産法に基づき使用許可を与えておりまして、行政財産の使用料については統一的な基準により算定することとなっておりまして、これだけを例外扱いすることは、いろいろ検討いたしましたけれども、まことに困難である、こういうことでございます。  今御指摘のように、地価の評価額が上がってまいりまして非常に使用料が上がっているわけなんですが、現在の算定基準におきましても急激な使用料の上昇を招かないように激変緩和措置というものは行われているわけでございまして、ひとつ これは一般的な問題でございますので、御理解をいただきたいと思います。
  93. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 最後に、大臣にお伺いしたいのでありますが、時間がないので御要望にさせていただきたいと思うのです。  大臣、今お話をお聞きになったとおり、先ほど言いました重心施設というのは、国立療養所の部分と民間でおやりになっている部分と二つの系列がありまして、児童家庭局と保健医療局、それぞれ監査があるとかないとか、あるいは通園事業がどうのこうのとかということがありまして、障害者保健福祉施策推進の観点から、私は、この重心施設を利用されておられる、入っておられる方々の処遇向上のために、どうか連携を持っていただいて御検討をお願い申し上げたい、御要望を申し上げておきたいと思います。  ありがとうございました。
  94. 和田貞夫

    和田委員長 北村直人君。
  95. 北村直人

    ○北村委員 きょうの委員会に提出されております国立病院等の再編成に伴う改正法案で、大臣に私の方からまず基本的にひとつお聞きをしたいと思います。  今回の提出の中に、「国立病院及び国立療養所につきましては、広域を対象とした高度医療専門医療などを担うことができるよう、機能の質的強化を図ることが必要である」こういうふうに書かれております。それで、「広域を対象とした高度医療専門医療」、具体的にどういうことを考えて、そして「機能の質的強化」を図ろうとして  いるのか、それをお聞きしたいと思います。
  96. 菅直人

    ○菅国務大臣 今、北村委員おっしゃいましたように、この国立病院療養所の再編成は、時代の変化の中で、従来、国立病院療養所期待されていた機能がある意味では変化をしてきたのではないか、そういう中におきまして、広域を対象とした高度または専門医療を担えるような、そういう質的な機能強化を図っていきたいということであります。  具体的には、三つの考え方を持っておりまして、一つは、がんなどの高度な医療、もう一つは、難病などのようなこれから研究開発を進めていかなければならない医療、そしてもう一つは、結核とか先ほどの重症心身障害、筋ジスあるいはハンセン病など社会的、歴史的経緯から国立て受け持っていった方が適切だと思われる医療、こういうものを中心としたものに再編成したい。加えまして、臨床研究、教育研修あるいは先駆的な医療政策の実践、こういうものを考えているところでありまして、二十一世紀に向けて国立医療機関としての役割を積極的に果たしていくための再編成、こういうふうに考えております。
  97. 北村直人

    ○北村委員 今、大臣から質的な強化を図っていく具体例が出ましたが、それと地域医療とがどういうふうに提携をし、そして地域医療国立病院あるいは療養所とがどういう兼ね合いで将来の医療というものを考えているか、お聞かせをいただきたいと思います。
  98. 松村明仁

    松村政府委員 例えば、先駆的な医療の中にありますがんを例に申し上げますと、国立病院というところでは高度先駆的な医療を行う、あるいは研究開発を行う、これで得られた情報を地域医療機関に十分に還元するといいましょうか、御利用いただくことによって地域医療機関との連携を高める、したがって、それによって国立病院地域医療にも、間接的ではございますけれども、今日的な役割を果たすことができる。一例を申し上げるとそういうことでございまして、地域医療の中で必要な連携、協力、そういったことを図っていこう、こういうふうに考えております。
  99. 北村直人

    ○北村委員 どうも国立病院療養所地域医療との関係というのは、今の御説明だけではなかなか将来の展望が見えてこないような気がいたします。  と申しますのは、先ほど来同僚議員からもいろいろと国立病院のあり方あるいは療養所のあり方等々についての御質問、あるいは意見の開陳等々がございました。私の住んでいる地域も、大変地域医療、そしてある面では医療というものが過疎化現象が起きていると言わざるを得ない地域でございます。  そういった地域で、国立病院であろうが、あるいは民間の病院であろうが、地域の住民にとっては病院なんですね、国立てあろうが何であろうが。ですから、そこへ行けば自分の命も、あるいは病気も治してもらえるということになるわけでありますから、国立病院のその地域における存続というのでしょうか、これは国立病院であろうが、あるいは療養所であろうが、地域の住民にとっては何も差別がないわけであります。  先ほど来同僚の議員からも出ておりましたが、今回の改正法律案、これについて、地域住民の意見というものを十二分に参酌しながら、地域医療とのかかわりというものを最重点にしていただきながらこれを進めていただきたい、このように思います。  そして、地域によっては、その市町村長、首長においては病院の存続というものが、あるいは地域医療を担っていただける医師の確保というものが、首長のその地位を揺るがすような大きな事件にまで発展してしまうということであります。特に地方の方は、今、少子時代を迎えて、特に医療の面では、小児科に携わる先生が少ない、地域地方に来ていただけないということで、小児科を閉鎖せざるを得ないというような状況も実はあるわけであります。  そうしますと、先ほど御説明にありましたように、国立病院あるいは療養所がその地域医療の中核となる。こういうようなことが将来の目的というよりも元来の目的であるということになれば、私は、国立の病院あるいは療養所がどういう立場でそういう地域医療にきちっと携わっていけるかということを、今回の法律改正の中でもしっかりとした方針を出していかなければならない、ぜひ出していただきたい「このように実はお願いをするところでございます。そしてまた、この国立病院療養所の将来への方向性、こんなことが考えられないかということは、また後で御質問をしたいと思います。  実は、難病等々、日本の国内の病気等々にどうもこのごろは海外からの病気が入ってくるのではないか、特に今回大きな問題となっております狂牛病、本当に日本は安全なんだろうか、こういうのが国民あるいは市民、地域の住民が大変関心を持っているところだと思います。  先ほど来同僚議員が質問をされておりますので、まずそういう心配を払拭する、きょうは農水省の方もおいでだと思いますが、我々が口にするものでありますからきちっと国が安全宣言をする、日本に出回っているものは安心である、何ら心配ないということを声高らかに宣言するべきだと私は思いますが、まず厚生省、そして農水省の方の御見解をお願いをいたします。
  100. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 英国産の牛肉の加工品等につきましては、厚生省では、三月二十六日付で輸入自粛を指導する等、既に必要な対応を行っており、食品衛生上の問題はないものと考えております。また、農林水産省においても、家畜衛生の観点から輸入禁止措置が講じられておりまして、英国産の牛肉及びその加工品等が我が国に輸入されることはないものと考えております。  また、既に輸入されたものにつきましては、先ほどもお答えいたしましたが、輸入者の確認ができ次第、順次、輸入者に対し販売の自粛を要請するとともに、販売されたものについても、輸入者を通じ販売先の調査を行い、国内における販売の自粛を要請いたしておるところでございます。  それから、今後の問題でありますけれども、明日、食品衛生調査会を開きまして、そこでは、プリオン病であります狂牛病だとかクロイツフェルト・ヤコブ病の専門家にも臨時委員で入っていただきまして、その方々からも意見を徴して、そして今後の対応を考えていこう、このように思っております。
  101. 青沼明徳

    ○青沼説明員 御説明いたします。  我が国におきましては、狂牛病の発生は報告さ れておりません。英国本島からの牛肉、牛臓器につきましては、一九五一年以来、輸入禁止をいたしております。それから、生きた牛につきましても、一九九〇年以来、輸入を禁止しているところでございます。  さらに、今回、狂牛病が世界的な問題になったこと等にかんがみまして、今までの措置に加えまして、今後英国から輸入される可能性のある牛肉加工品等につきましても、万全を期す観点から、三月二十七日船積み分より当分の間輸入を禁止することといたしたところでございます。
  102. 北村直人

    ○北村委員 要するに、現状ではやるべきことはしっかりやっている、であるから日本で販売されている食品は安全である、こう言ってよろしいですか。もう一度お答えください。
  103. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 イギリスのこの病気自体はきのう始まったわけではなくて、もう一九九五年、四年のときからあるわけですから、過去に入ったものまで含めますとどうかと言われますと問題ありかもしれませんが、現在、日本で危険な商品は流通していないと私たちは確信をいたしております。
  104. 青沼明徳

    ○青沼説明員 御説明いたします。  ただいま申し上げましたとおり、英国からのウシ由来の製品は一切入ってこないような措置を講じておるところでございます。
  105. 北村直人

    ○北村委員 はい、わかりました。  それで、あすから狂牛病と人間のヤコブ病について議論というよりも会議が開かれるということでありますから、ぜひその会議の節目節目で国民皆さんにしっかりと情報の開示をしていただきたい。そして、イギリスがああいう形で、私はある面では英断だと思います、疑わしきものはしっかり国民に伝えて、国民の判断もいただく。ある面ではパニック状態になっても、情報として大切なものはきちっと開示をする、こういう姿勢が将来ともに大切ではないか、このように私は思います。  そういった観点から、そうなりますと、では視点を変えて、日本の検疫体制というのは一体どうなっているのか、これが非常に疑問になってまいります、本当に大丈夫なのかなと。  我が国の検疫体制、特に検疫の方は厚生省の管轄と農林省の管轄とあるわけであります。動物の検疫あるいは食品の検疫、それに携わる検疫官の方々の日ごろの労働力というのは大変なものがあろうと思いますけれども、では日本の検疫官の数というのは本当に十二分なんだろうか。こういうことも含めて、まず厚生省の我が国における検疫体制あるいは農林省の方の検疫体制、これについてお伺いをしたいと思います。
  106. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 我が国の検疫体制の現状についてお答えをしたいと思います。  まず最初に、検疫伝染病、これはコレラ、ペスト、黄熱でございますが、これら三つの日本に常在しない病気につきまして、船舶または飛行機を介して国内に侵入することを防止するために検疫所が置かれておりまして、今話がありましたクロイツフェルト・ヤコブ病というものをチェックするということではないということをまず御理解いただきたいと思います。  検疫所の数は全部で十七、支所とか出張所を合わせますと百四ございます。こういう方については、水際でチェックをすると同時に、場合によって、入った場合には国内の追跡等をやっておるところでございます。検疫所の職員は、こういう検疫のほかに食品の輸入のチェックもありまして、八百五十人程度の職員がおるわけでありますけれども、検疫関係の方は五百名弱でやっておるところでございます。  近年、航空機の大型化、スピード化、それから地方空港の国際化、国際交流の進展等によりまして、海外渡航者及び輸入貨物が増大をいたしておりまして、検疫所の業務は増加の一途をたどっておるわけでございます。このため、主要な空港では、海外渡航者の利便性を考慮いたしまして、有症者や健康に関する相談者の円滑な誘導や保健衛生指導等を行い、検疫手続の迅速化及び効率化を図っているところでございます。  なお、平成八年度におきましては、業務の見直しを行いまして、無線検疫の拡大による船舶検疫の合理化を行うとともに、海外感染症情報の収集・提供事業の開始等、国際化に対応した効果的検疫体制の整備を行うことといたしております。
  107. 青沼明徳

    ○青沼説明員 御説明いたします。  動物検疫につきましては、現在、全国の主要な海空港に一本所、六支所、十七出張所を配置いたしまして、定員二百五十八名の家畜防疫官によりまして、全国五十八カ所の指定の海空港におきまして、輸出入される動物、畜産物について輸出入検疫を実施いたしております。これまでも、家畜、畜産物の輸入の動向、地方空港の国際化等を踏まえまして、検疫施設の整備、家畜防疫官の定員の増加等、検疫体制の整備に努めてきたところでございます。  動物検疫体制につきましては、近年の畜産物の輸入の増加や海外旅行者の増加、さらには地方空港の国際化の進展に対応しまして適切な輸入検疫業務が遂行し得るよう、今後とも遺漏のないように努めてまいる所存でございます。
  108. 北村直人

    ○北村委員 今の日本の検疫体制について、検疫法に基づくと、検疫伝染病とされているのはコレラとペストと黄熱の三つである、しかし、そのほかの伝染病というのはどうなっているのか、非常に心配ですね。特に、今回のような狂牛病は別として、私が一番心配なのは、人から人それから動物から動物への伝染病は今の検疫体制の中で、動物検疫所あるいは厚生省管轄の検疫所の中で処理をされますけれども、動物から人間、つまり人畜共通伝染病については日本の検疫体制というのは全く無防備ではないのかな。多分、動物検疫所と農水省、厚生省は一緒になってこれをやっていただいていると思います。  特に、先ほどお話があったように、今もう出入りで三千万人を超える人方が成田の空港を使われる。成田の空港は一日五万人はあるわけでありますね。そうしますと、海外で伝染病にかかって、その海外で発病しないで日本に帰ってきてから発病するというケースは十二分に考えられる。それが東京都内あるいは大都市の近辺でしたら、そういう症状があらわれてすぐ駆け込む病院がありますけれども、今もう全国いろいろなところから、市町村から、津々浦々から海外に出るわけでありますから、日本に帰ってきて自分の家に着いて発病した、ところが駆け込んだ病院地方病院で何が何だかさっぱりわからない、こういうことは十二分に考えられるな、これはゆゆしき問題になるなという気がいたします。ですから、この検疫体制というものを、十二分に今後の検疫所のあり方というものを私は考えていくべきであると思います。  そして、その中で特に人畜共通伝染病。きょうここに、ことしの一月十日の某新聞のコラムというよりも、新聞社の記者さんがプロジェクトチーム、特別取材班をつくって取材をしたのだと思います。「検疫なしのペットザル無防備で家庭に外国では伝染病死者も」、こういうような見出しで、ちょっと読まさせてもらいます。  これはことしの一月十日ですので、   昨年十二月九日午前、成田空港四七七番ス  ポットに到着した貨物機から、一メートル四万  の木箱二十個が降ろされた。箱の中では、南米  ガイアナから四十時間の旅を終えたばかりの  ペット用リスザル百六十二匹が黒い大きなひと  みを光らせていた。体長約三十センチの生後間  もないリスザルは、何の検疫も受けず某県の  ペット卸業者に引き取られていった。昨年、ザ  イールで二百人以上の死者を出し世界を揺るが  したウイルス性エボラ出血熱は、野生生物の体  内に潜んでいた   「小さいサルなので、病気だったら日本に届  く前に死んでいる。検査の必要はない」。一週  間後、店を訪れた私に卸業者はこう明かした。  既にすべてのサルが全国のペットショップに  渡っており、年内には家庭に売られるという。   日本では何の規制もない。こういうコラムがあります。  そして私も、ことしの二月二十日の夜でしたけれども、あるテレビ局が特集で、日本に到着したペット猿、二時間で通過する、そしてペットショップに売られてしまう、行ってしまう、そして輸入業者が検疫所で九週間にわたって検疫を受けるのは実は実験用のペットだけである、こう言うのですね。厚生省は二十二年前に自主検疫を指示しただけでありますね。ところが、輸入猿の自主検査を目的に設立された全日本動物輸入業者協議会というのがあるようであります。加盟十七業者がこれに加盟をして自主的に検疫をする。しかし、この五年間、同協議会は総会も開かれてない、一体どうなっているのかわからないような状況にある、こう言うのですね。  私が言いたいのは、世界の中で安全レベルという規定がございますね。レベル一からレベル四。伝染性のごく低い病原菌、例えば連鎖球菌ですとかサルモネラ菌、これらはレベル一でほとんど全く問題がないわけでありますけれども、レベル二、伝染性がそれほど高くない病原菌、肝炎ですとかライム病、流感、これにはコレラ菌とかチフス菌も入るようであります。レベル三、伝染性が高くて複数ワクチンを必要とする。炭疽ですとか先ほど言ったペスト、こういうものですね。レベル四、極めて危険で厳重な管理を要する。これにはエボラ、ラッサ、ハンタウイルスあるいは黄熱ウイルス、こういうものが入っていますね。これには治療法もワクチンも何にもないのですね。先ほどのエボラ、これは猿からと言われています。皆さんも映画を見られた方もおいでになったと思いますが、こういうものを取り上げた映画がつい近年放映されましたですね。  調べてみますと、日本にはレベル四を扱う施設がないのですね。レベル三まではあります。検疫所、成田ですとか関西空港等々はレベル二、レベル三まではいいですけれども、レベル四というのは検疫関係でもないのですね。やれない。これで本当にいいのだろうか。特に先ほど私が申したペット、これは非常に問題ではないのかな。特に猿はペットとして不向きですね。猿というのはいろいろな病気を持っています。エボラ出血熱も猿ではないか、あるいはマールブルク出血熱の感染源ではないだろうか、こう言われていますね。これは全部レベル四です。これがもし日本に、先ほどの検疫体制では全く無防備で、検疫も何もされないでそのまますっと二時間くらいで成田の空港から入ってしまう。  人畜共通伝染病、私はこのことに日本の検疫というものは目を向けていくべきであると思いますし、そして何よりも、人畜共通伝染病の中では、狂犬病はなされているわけでありますけれども、しかし、それ以外のペットで、ぜひペットの猿、霊長類、猿類、これは輸入を禁止してはどうかな。そこまでやらなければ、島国である日本というのは、ある面では検疫は世界の国から見て非常に厳しいものがありますが、水際で防いできたことでありますけれども、ペットからうつってくる人間への感染というのは非常に大きいものがあります。  そして、このごろ新聞にも、例えばQ熱で国内で初の死亡が出た。これは二月二十三日の某新聞には載っていますね。あるいはライム病というのも日本で存在するのではないかとか、いろいろな問題が実はこのごろ出てきております。  今までの検疫体制というのは本当に大丈夫なのか、特に人畜共通伝染病を考えたときに厚生省のこれからの検疫体制の中でどうお考えなのか。それともう一つ、先ほど私の方から話をしましたペット用の猿をやはり輸入禁止にしてはどうか。この点についてお答えをいただきたいと思います。
  109. 松村明仁

    松村政府委員 人畜共通伝染病につきましては、黄熱を除いて検疫法の対象とはなっておりません。  また、今委員指摘のペットの猿の問題でございますが、輸入猿につきましては、今御指摘のように、赤痢が発生したという事例が過去にございまして、業者に自主規制を行わせて、輸入時に二週間以上の健康管理を自主的に行うように指導をしておるところでございます。  それから、鳥類でございますけれども、鳥にも人間に感染をするというオウム病というようなものがございまして、これについてもほぼ同様に輸入業者に自主的に健康管理を行わせる、このようにしておるところでございます。  それからまた、御指摘の、さらにもっと激しい疾患については、今のところ、私ども特に人畜共通伝染病ということで対策をとっておりません。例えばエボラ出血熱とかマールブルク病とか、そういうふうなものが仮にいろいろな経緯、例えば動物を介するかもしれませんし、あるいは人を介するかもしれませんが、これが国内に入りましたときには、いろいろな状況を考えまして、これまでの対応とすれば、非常に激しい感染力あるいは致命率というような疾患がもし我が国に侵入いたしました場合には、伝染病予防法で厚生大臣が指定をいたしまして、以降、伝染病予防法等の強力な予防対策をとる、こういうシステムになっておるところでございます。
  110. 青沼明徳

    ○青沼説明員 御説明いたします。  人畜共通伝染病に対する検疫体制はどうなっておるかということでございますが、農林水産省は、専ら畜産面への被害防止という観点から、指定検疫物及びその他の伝染病を持ち込むおそれのある動物等について、家畜伝染病予防法に基づき検疫を実施し、家畜伝染病の侵入の防止に努めているところでございます。  人畜共通伝染病を対象とした検疫につきましても、同様の観点から、輸入される動物が家畜の伝染病にかかっている場合及びそれのおそれがある場合には同法に基づき検疫を行っているところでございます。  公衆衛生への観点からは、輸入動物の検疫につきましては、犬の狂犬病の輸入検疫だけは、狂犬病予防法の規定に基づきまして動物検疫所において検疫を実施しているところでございます。
  111. 北村直人

    ○北村委員 ペットの猿について、お答えでは禁止をしたいというようなお答えはなかったようでありますけれども、ここに平成六年度の厚生科学特別研究、「我が国における今後の検疫所業務の在り方に関する総合的研究」の報告書がございます。この中にも、実ははっきりと、  野生動物はその性質上ペットとすることは不向  きな動物も少なくない。その典型的な動物は猿  類であろう。猿類は、引っかく、咬みつくなど  して人に外傷を負わせるばかりでなく、Bウイ  ルス病、ラッサ熱など各種のウイルス病、細菌  性赤痢、サルモネラ症などの人畜共通伝染病の  感染源として極めて危険性の高い動物種であ  り、ペットとしては不向きな動物種である。  これをやはり輸入を禁止すべきであるというふうな示唆までしているわけでありますね。そういうことを考えたときに、私は、先ほど言ったレベル四のウイルスというのは日本でも入ってきていますね。そういうことを考えたときに、やはり水際でしっかり防ぐということは大事である。  それから、狂犬病のことについても、ここに一冊の、これはフィクションでありますけれども、「白い狂気の島」という本があります。この中に狂犬病の怖さというものが書かれています。  日本では、昭和三十二年から狂犬病は出ていない。ところが、狂犬病を診たことのあるお医者さん、これは昭和三十一年以前に大学を卒業されている方でないと診ていないのですね。それ以後にお医者さんになった方というのは狂犬病を実際に診ていない。そうすると、いろいろな病院でも病院長さん方はもういないのですね、こういう方は。そうすると、実際に狂犬病というのはわかっていても、かまれて症状的にはわかっていても、病院に行ったときにそのお医者さんが、これは狂犬病だと判断できるだろうか。それはいろいろな検査をするためにいろいろなところを使いますけれども、そのうちに、ワクチンを打つ前に本人は亡くなってしまうということもあるでしょう。  ですから、そういう意味で、せっかくあります国立予防衛生研究所、ここの中でその狂犬病も扱っていると思います。やはり、こういう予防研究所がそういうレベル四も含めたきちっとした対応をしておかなければ、診たことのないということになると、これは判断がなかなかつかないと思います。だから、そういうことをするための国立の予防衛生研究所だと思います。その予算等々を見ても、なかなか大変ですね。本当に我々の生命を任せられるだけの予算がついているのかというと、そうでもないようですね。ぜひそういうところにもっともっと目を向けていっていただきたいと思います。  時間が参っておりますので、最後にもう一度、ぜひ厚生省として、自主的な検疫をお願いしているペット類、特に霊長類の中の猿、これをペットとしての輸入は禁止をする。展示ですとか実験用ですとか、これは別だと思います。しかし、ペット用としては私は不向きである。お考えを、大臣、どうでしょうか。
  112. 菅直人

    ○菅国務大臣 今、人畜共通伝染病を中心にして、北村委員の方から大変重要な御指摘をいただいたと思っております。  エイズの問題も、当初、あるいはそういう種類のものではないかという意見もありましたし、今回の狂牛病の問題も、非常にそういう危険性が言われているわけです。  私も、きょう北村委員からの質問を前提にしまして、とにかく一つの危機管理的な感覚が必要ではないか。この狂牛病については、農林省、厚生省両方にまたがっておりますけれども、とにかく現在できることで順次手を打つと同時に、現地の様子なども、必要に応じて情報をきちっと日々刻々とらえながら、それに対応した対策を講じていく必要があるだろうと思っております。  特に、今言われましたペットの中でも猿についての輸入禁止という問題、今の法律体系でどういう措置がとれるのか、あるいはどういうところと相談しなければいけないのか、私も今すぐに確定的なことを申し上げるだけの知識を持っておりませんが、大変重要な指摘だと思いますので、十分検討させていただきたいと思っております。  特に、ここには輸入時に二週間以上の健康管理を行わせることとして、これは赤痢ですが、赤痢の国内侵入防止に努めているところであるということになっているわけですけれども、先ほどの御指摘だと、実際にはそういうことも行われていないのではないかという御指摘もありますので、そういうことも含めて実態を把握して、どういう対応ができるか検討させていただきたい、このように考えております。
  113. 北村直人

    ○北村委員 ぜひ検討していただきたいと思います。そして、例えば現行の狂犬病予防法を改正するなどして、やはりペットの検疫の立法化をきちっと進めていただきたい、こう思います。  そして、特に先ほど申しました国立予防衛生研究所、ここではレベル四の関係の施設が、地域住民の理解が得られずに、完成した施設が使えないでいる状況もあるわけであります。そこのところももっときちっと対応していかないとまずいのではないか、私はこう思います。  また、ワシントン条約で売り買いができないはずの動物が、例えばチンパンジーですと百五十万だ、オランウータンなら五百万だ、ゴリラなら二千万だ、こういうふうなアングラ的な業者間の言葉が発せられているペット業界なんですね。  ですから、そういうことを考えたときに、人間に伝染されるであろうそういうウイルス性の疾患を主体とした人畜共通伝染病、この対策というものを今のうちから特にしっかりやっておかないと、いざというときには、我々の生命というものがおかしくなるというふうに思います。映画だけにしていただきたいと思います。「アウトブレイク」の中で、一つの町が消えようとしているような映画がありましたけれども、これも小さなリスザルからのエボラ出血熱を主題とした映画でありますけれども、そういったことが日本で起きないような対策をぜひとっていただきますようにお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  114. 和田貞夫

    和田委員長 午後一時より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十四分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  115. 和田貞夫

    和田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。今村修君。
  116. 今村修

    今村委員 社会民主党の今村修です。  私は、今回の法律改正案に関連して、幾つかの質問をさせていただきたいと思っています。  私の住んでいる青森県には、五つの国立病院療養所があるわけであります。それだけに、今回の法律改正統合移譲問題には大きな関心が地域的にある、こういう状況になっています。  そういう状況の中で、今回新たに法律改正をする。昭和六十一年につくられた国立病院療養所再編計画が思うように進まない、そういう状況の中で、改めて国立病院療養所の果たすべき役割を、引き続いて、主として広域、高度・専門という分野の政策医療、臨床研究、教育研修などの機能に限定をし、基本的・一般医療の提供は私的医療機関及び地方公共団体等の公的医療機関にゆだねるとの考え方に立って、資産譲渡等に関する特別措置の拡充を図って従来の再編計画を進めようという内容になっているわけであります。  なぜこれまで再編計画が進んでこなかったのか、今回の改正再編計画が大きく前進をする、こう考えているのか、基本的な考え方についてまず見解をお伺いをしたいと思います。
  117. 松村明仁

    松村政府委員 これまでの再編成進捗がはかばかしくなかったということにつきましては、先ほども申し上げたところでございますが、基本的に私ども厚生省努力不足というバックグラウンドがあった上に、具体的な問題としては、地元自治体関係の方々あるいは地域方々等の理解がなかなか得られなかった、それから、国立病院療養所移譲したい、こういうふうに思いましても適当な引受先が得られなかった、こういうこともあろうかと分析をしておるところであります。さらにまた、最近におきましては、医療機関とあわせて保健衛生施設社会福祉施設等を整備したいという地域の御要望というものも出てまいりまして、こうした地域の御要望に対して適応することができなかった、こんなことを大きな理由というふうに考えております。  しかしながら、最近におきましては、幾つかの例が出てまいりまして、再編成により統合されて、広域を対象とする高度・専門医療などの新しい診療機能を持った病院が現に出現をしているということ、また、経営移譲をいたしますと、移譲を受けて地域病院、こういう形になるわけでございますが、そういったことによって地域ニーズに合った病院ができてきた、こういうようなことで、そういう例を積み重ねることによりまして、各自治体の方々におかれましても、国立病院の再編成というものを理解する、あるいは受け入れる、こういう傾向が出てきておるところでございます。  したがいまして、今回の法改正におきましては、地域ニーズに対応できるような、そういう形で選択の幅を広げるというようなことでありますので、私どもとすれば、この法律ができればかなり再編成には弾みがっくのではないか、このように考えております。
  118. 今村修

    今村委員 前の再編計画が思うように進まなかったその一つに、地元自治体の理解がなかなか得られなかった、こういう理由が入っているわけであります。  今、全国の地方は高齢化と過疎化に悩まされ、地方自治体は財政の悪化が一層深刻化をしている、こんな状況になっているわけであります。一方、私的医療機関では採算がとれず開業していただけない、こんな困難な状況にもある。  私の出身地である青森県では、お医者さんのいない村が二つあります。無医地区と言われるところが三十一あるわけであります。統合移譲計画に入っている青森、岩木、大湊の療養所も、町村合併により青森市、浪岡町、むつ市に編入をされているものの、過疎地域にあり、その地域では唯一の病院として重要な役割を担っています。  こうした現状は、全国の統合移譲計画に入っている多くの国立病院療養所に共通した内容になっているものと思っています。こうした状況を無視した形で進められる統合移譲計画であってはならない、こう思っているわけであります。  そこで、ひとつお伺いをいたします。  全国の自治体病院、特に市町村病院の収支の状況が一体どうなっているのか、全国的な無医村あるいは無医地区の現状について明らかにしていただきたい、こう思います。
  119. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 全国の無医地区でございますが、私ども、僻地医療対策を考えるに当たりまして、無医地区ということで定義をいたしておりますけれども、おおむね半径四キロ以内の区域内で人口が五十人以上いる、容易に医療機関を利用することができない地区ということで、平成六年九月末現在で、全国で九百九十七地区でございます。
  120. 木村良樹

    木村説明員 自治体病院の経営状況はいかんという御質問でございますが、平成六年度における病院事業、全国で九百九十病院でございますけれども、総収益が三兆五千七百五十二億円、総費用が三兆六千六百六十八億円ということでございまして、九百十六億円の赤字ということになっております。  御案内のように、自治体病院は、僻地医療、救急医療等不採算部門を受け持っていることもございまして、経営は厳しいものがございます。最近では、平成六年度においてやや改善が見られたものの、赤字額は増加傾向にございます。また、この九百九十の病院の全事業のうち、五七・〇%が赤字経営ということになっております。  以上でございます。
  121. 今村修

    今村委員 全国の町村立病院の中の四七%、これは不採算地区病院という取り扱いになっている。全国では町村病院が三百三十ありますけれども、このうちの約半分は採算のとれない地域病院だ、こういう取り扱いにもなっているわけであります。こうした全国の状況を今回の新たな法律改正あるいはこれからの統合移譲計画の中でどう取り扱っていくのか、この点のお考え方があったとしたらお伺いをしたいと思います。
  122. 松村明仁

    松村政府委員 地域におきます医療供給体制の中でどういうふうに役割分担をしていくかということになろうかと思うのでありますが、私ども国立病院療養所を所管しておる立場といたしますと、地域医療という基本的・一般医療の提供は私的医療機関及び地方公共団体等の公的医療機関にゆだねるということといたしまして、国立病院は、主として広域を対象とした高度あるいはどうしても国がやっていく必要があると言われる専門的医療、こういったものを中心として、さらにその周辺にあります臨床的な研究でございますとか、職員あるいは医療関係者の教育研修、こういったことを遂行していくことが期待されているのではないか、こんなふうに考えておるところでございます。  しかしながら、医療機関が立地しております、医療機関と申しますのは国立病院療養所でございますが、立地をしておる地域にはもちろんそれぞれの御事情がございますので、地域の自治体等と十分に話し合いをしながら進めることとしておるところでございます。これは、これまでもそうでありましたし、今後も十分に話し合いを進めていこう、こういうことでございます。  なお、今回の特別措置法改正によりまして、より地域ニーズに対応できるような形で病院をお譲りしていこう、こういうことによって地域方々が本当によかったなと思うような医療が展開されるように努力をしてまいりたい、このような考えが基本的な考えでございます。
  123. 今村修

    今村委員 先ほども全国の自治体病院の経営状況を若干御説明いただいたわけでありますが、県、市町村を含めて全体で約六〇%が赤字、こういう内容になっているようであります。累積欠損金を抱えるという形になると、多くの自治体病院が累積欠損金を抱える、こういう状況になっています。我が青森県でも、自治体病院の約八〇%が赤字経営、そして、累積欠損金についてはほぼすべての病院が抱える、こういう状況になっているわけです。統合移譲計画に入っている青森、岩木、大湊の療養所がある青森市、浪岡町、むつ市もまた同様であります。  青森療養所は、老人医療と結核病棟が特色であり、青森市内ではありますけれども、市内で独立した野内地区の地域医療に、岩木療養所は、重心障害者、筋ジストロ、難病の治療に特色があり、浪岡町のこれも独立した女鹿沢地区の地域医療に、大湊療養所は、老人医療と結核病棟に特色があり、むつ市の大湊地区の地域医療に大きな役割を果たす、こういう内容になっています。  これらの地域は、今、過疎化による人口減が続き、独立している地理的条件などにより民間の医療機関の立地はなかなか困難だ、こんな状況にもあります。立地条件が都市部の療養所と異なり、統合移譲計画により一たん廃止をされた場合、代替の医療機関の設置はなかなか困難だ、こんな状況下にあると思われています。こうした状況にあるからこそ、これまで全国の国立病院療養所再編計画が思うように進んでこなかった、こんな状況にあったと思います。  こうした課題を国の課題として解決していかない限り、幾ら今回の法律改正が行われたとしても、その成果を期待するというのはなかなか困難ではないのか、こう思うわけでありますけれども、これに対する御見解をお伺いしたい。同時に、機械的に、国は政策医療、他は自治体にゆだねる、こう言っても、それを受け入れる条件下にない地方自治体にとっては大変悩みが多い、こういうことになるわけでありますが、こうした課題についての御見解をお伺いしたいと思います。
  124. 松村明仁

    松村政府委員 過疎化、人口減ということから赤字病院になりやすいというような地域の実情をどう考えておるかという御質問だと思います。  私ども、先ほど申し上げましたのは、一般的な対応ということでございますが、今回の再編成の特措法の改正案の中では、後利用あるいは譲渡先の範囲の拡大というようなことを通じて、いろいろ存在しておりますでありましょう地域の御事情というもの、それから御要望というようなものになるべく合致できるような措置をとることとしておるわけであります。また、譲渡を受けて新しい病院としてやっていく、そのために必要な施設設備、こういったものに対する補助等も措置を講ずることとしておるわけであります。  したがいまして、私ども、機械的にこちらの事情で押しつけるということでは決してございません。これまでもそうでありましたように、今後も、個々のケースについては地元の自治体等皆さんとよく話し合いながら、どうしたら一番いいかということを研究しながら進めてまいりたいと思っております。きめ細かく対応することによって、いろいろ困難な御事情を抱えておられる地域においても、本当の意味地域の身近な医療機関として国立病院療養所が利用される、生まれ変わっていく、そういうことを考えておる、こういうことでございます。
  125. 今村修

    今村委員 これまでの計画もそうですけれども、これまでの計画をなおかつ継続していく、こういう内容になっているわけであります。  国立病院療養所再編計画は、国は政策医療、他は自治体にゆだねる、民間病院にゆだねる、こういう基本的な考え方に立っているわけですけれども、内容を見ていきますと、経営移譲の問題、独立採算制という中で経営が思うようにいかぬ、ですから、経営の健全化を図るには国が抱えていてはできぬ、国立じゃなくてこれを自治体や民間に経営をゆだねることによって国の方は身軽になる、こんな考え方が強いような気がしてな らないわけであります。これまで再編計画に乗ってこられなかった、こういう事情がその地域にはいろいろな課題として残っている。その事情が国の、国民医療を進めるという厚生省の中で、厚生省が抱える病院が身軽になることによって、地域に、自治体病院にその重さを押しつけるという形で進むということになったら、これは厚生省という大きな役割は一体どうなるのだろうな、こんな気がするわけであります。  そういう点で、こうした地域が抱えている課題を含めて、国はそんな逃げないよ、国としてもそのために努力します、こういう内容も含めて、厚生大臣にもし御見解があったらお伺いをしたいと思います。
  126. 菅直人

    ○菅国務大臣 今、今村委員のお話をお聞きしておりまして、確かに、過疎が進んでいる地域の中で医療機関がなかなか新たに進出しにくい地域がある、あるいは自治体が経営する病院も経営的にはなかなか厳しくなる、そういった事情は十分理解ができるわけであります。  そういう地域地域にどういう形で医療サービスを供給していくのか。かつて無医村といったような言い方をよくされておりましたが、先ほどの報告でもまだそういう地域が相当数あるという報告でもありますが、一方では、かなり以前からお医者さんの数がかなりふえてきておりますし、また地域医療計画などで、いろいろと、過密化したような地域からもっとお医者さんの足りない地域医療サービスが、絶対量としてはそちらに移るだけのお医者さんの数とかそういうものは存在は全国的にはしてきたのではないかという、そういう認識もあるわけであります。そういった地域地域の事情ということが、一方で現実の問題として非常に重要であるということはそのとおりだと思っております。  と同時に、この国立病院あるいは療養所というものがどういう役割を国の政策としてあるいは機関として果たすべきかという、これについてもそれぞれ長い間の議論が積み重ねられてきた中での十年前のこの法律だったというように思います。  最近は、エイズ拠点病院の問題も、具体的に国立病院がどこまで引き受けられるかといったようなことも個別に出ておりますが、あるいは地域ごとに、例えばがんなんかの治療は、あるいは心臓病の治療はいわゆる大都会に出なくてもそれぞれの地域で拠点的なそういう病院が欲しい。そういう高度の病院ということになりますと、これもなかなか個人病院なりでは難しいということで、逆に言えば、そういうより高度なものを求めたいという地域地域の要望も一方ではまたあるというふうに思います。  そういった意味で、今までの医療サービスがその地域でなくなってしまうということがない形で、一方では、国の国立病院療養所をひとつ再編して新たな機能を持ったものとしてもう一度地域の中に根づけていくというか、そういうことが可能かどうかということだと思っております。  もう御承知のように、今回の再編成は、財政的な面だけからいえば、国の財政負担が少なくなってきているというよりも、新たな病院に再編成するに当たっては、先ほども御質問がありましたが、新規の投資の方がかなり大きくなっておりますし、また、その後の経営といいましょうか、国立病院に対して、高度なことをする、あるいは難病対策などをする上での財政負担というものは、決して従来より下がっているということにはなっていないわけであります。  そういった点では、国立病院が果たすべき役割というものと、それぞれの病院が現在存在していて、その地域の抱えておられる問題というものとがいい形で再編成されていくという意味では、先生おっしゃるように、地域皆さんの意見は十分に聞かせていただかなきゃいけないと思っております。そしてその中で、後利用の問題とか、あるいは今は、医療と同時に、もうこれも先生御専門ですが、福祉施設といったもののニーズも非常に高いわけですので、そういったものにも使えるように、今回の改正案で、新たなメニューといいましょうか、そういうものも提案をさせていただいているところです。  そういった意味でありまして、自治体を初め地元の関係者と各種の機会をとらえて十分に話し合いをして、それぞれの事情をお聞かせをいただきながら、そういう中で理解をいただいて進めていきたい。この十年間、必ずしも十分に進んではいなかったいろいろな反省も含めて、しかし同時に、地元地元の事情は事情として十分聞かせていただきながら御理解を得て進めていきたい、このことを重ねて申し上げておきたいと思います。
  127. 今村修

    今村委員 ぜひとも、大臣が御答弁いただいた内容で対応していただく、そのことを心からお願い申し上げたいと思います。  特に、国立病院療養所は、歴史的な経過を見てみますと、私ども青森県の場合、これは全国の場合もそうでしょうけれども、陸海軍病院が国立にかわった、結核病棟が国立にかわった、こういう経過を持っているわけです。それだけに地域と強力に結びついたという形の病院になっている。同時に、この病院は一定のベッド数を持った病院で、そこに働く人たちは、過去の歴史からその地域人たちが中心にそこに雇用されているという経過にもなっているわけです。内容的には、その地域で最も雇用の多い、最も大きな雇用を抱える病院という形にもなっている。それが、統合することによっては、医療という面じゃなくて雇用という問題にも大変な問題をその地域に起こす、こういう内容になっているわけであります。  そういう点では、地元自治体の納得を得るという形の中でぜひともこの計画は進めていくべきだ、こう思っているわけであります。この点だけはぜひとも確約をしていただきたいなと思っています。  同時に、そういう地域人たちを雇用しているという内容を含めて、職員のいわば処遇の取り扱いというのもまた大変大きな問題になるわけです。  これは、市内全域から全部集まっているとか、それぞれの町村の全地域から集まっているという状況であれば、またいろいろな解決の方策もあるのでしょうけれども、その地域を中心にして雇用されているという実態が、見ますと多いわけです。それだけに大変な課題を抱える、こういう内容になります。この職員の処遇というのですか、この問題についての基本的な考え方もひとつお答えをいただきたいと思います。
  128. 松村明仁

    松村政府委員 全国各地で国立病院療養所が、今委員指摘のように、人的あるいは物質的に地域の御支援をいただいておるということはよく存じております。また、これが、地域の方から見れば、雇用の確保というような問題あるいは産業的な問題、こういう波及効果もあるということもよく存じております。  そこで、私ども、統廃合といいましょうか、施設統合する、あるいはこれを移譲させていただく、こういうときに、その施設に現にお勤めになっておる職員、この方々の処遇というものは非常に重要な問題と考えております。  したがいまして、まず、計画の固まった段階から十分に職員方々にこれを説明申し上げまして、さらに、計画が具体化するにつれて意向調査というものをさせていただいております。これは、病院が例えば移譲をされるというときに、その移譲先に行きますか、あるいは、さらに国立病院として別の施設でお勤めになりますかというようなことを含めて、職員に十分に意向調査をしております。それから、もちろんそういう意向調査の結果に基づいて、譲渡あるいは移譲を受けられる方面にもその意向を、厚生省としてよく協議し、伝えておるところでございます。  こういった努力をいたしまして、各職員の希望を尊重して、身分の保障が確保されるよう最大限の努力をしてまいっております。また、今後ともこの努力を続けてまいりたいと思っております。
  129. 今村修

    今村委員 ぜひともその努力だけは続けていた だきたいと思います。  それから、一つ、これは確認だけしておきたいのですけれども、そういう歴史的な背景や地域のいろいろな課題を含めていくと、地方自治体にとっては、その病院がなくなるという状況が出てきたとすれば、その代替を講じなければならぬという課題が出てくるわけです、いずれにしてみても。そのことを講じないまま自治体としては対応するということはできぬと思います。  そういう点では、これらの統合移譲という問題については、地元自治体の合意を得るというこの点だけは、どんな内容があったにしてみても合意を得るという条件だけはクリアしていただきたい、そのことはぜひとも確約していただきたい、こう思うわけでありますけれども、この点、最後にお考えをお聞きしておきたいと思います。
  130. 菅直人

    ○菅国務大臣 今、雇用の問題をおっしゃいましたが、私は、今後の高齢化社会の進展でまた議論をしていかなければならない介護の問題などでも、今回、特別養護老人ホームとかケアハウスなどが医療機関と一体に整備される場合は、後利用の問題で、従来の譲渡の後の利用の範囲を拡大したわけであります。そういったところにも新しい雇用の場というものが十分生まれてくるのではないかというように思っております。  それから、先ほど来言っておりますように、確かにいろいろな事情があることはよく理解ができるわけですが、一方では、国の機関としてどういう役割を果たすことが期待されているかという面で、地域地域状況によって、あるいはいろいろな若干の差があるのではないかという感じもいたします。  そういう点で、先ほども申し上げましたが、具体的な計画を進めるに当たっては、自治体を初め地元の関係者と各種の機会をとらえて十分に話し合いをして、理解を得ながら進めていきたい、このように考えております。
  131. 今村修

    今村委員 ありがとうございました。以上で終わります。
  132. 和田貞夫

    和田委員長 荒井聰君。
  133. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 新党さきがけの荒井聰でございます。  きょうは、国立病院の再編成の話と、それからもう一つ、きょう新聞で、公取委が独禁法違反の疑いがあるということで排除勧告を出しました財団法人日本医療食協会の問題について御質問したいと思います。  まず第一に、今度の国立病院の再編・統合の問題に関しまして、過去十年間で統合したのが十一カ所、移譲されたのが二カ所という、十カ年間で計画から大変なそごを来した。なぜ再編計画が過去の十カ年間で計画どおり進まなかったのか、これについて厚生省はどのような認識をしているのかということについて、お聞かせ願いたいと思います。
  134. 松村明仁

    松村政府委員 理由ということでございますが、基本的に厚生省努力不足だったという点がバックグラウンドにあることは認めた上で、具体的な理由といたしましては、地元の自治体の御理解がなかなか得られなかった、あるいは適当な引受先が得られなかった、さらには、医療機関とあわせて保健衛生施設社会福祉施設等を整備したいという地域ニーズ変化に十分対応できなかった、こういったことが挙げられる、このように考えております。
  135. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 今のような理由だと、今後十年間でもそんなに大きな変化はないのではないか。それより、今回のこの過去十カ年間で本当に再編・統合がうまくいかなかったのは、国立病院に本当の意味での魅力がなかったからなのではないか。官業の施設移譲したりということは、昔でいえば官業施設の払い下げですね。多くの人たちが積極的に払い下げをしてほしいと押しかけるぐらいの、そのような状況が現出しても全く不思議ではない。それが、要らないよ、そういうものをもらっても仕方ないよといったような事態が地方から沸き上がってくるというのは、国立の病院自体に魅力が足りない。  先ほど厚生省がさまざまな理由を挙げましたけれども、厚生省努力国立病院に本当の意味の魅力を与えるという努力が足りなかったのではないか、私はそんなふうに思うのですけれども、この点、どうでしょうか。
  136. 松村明仁

    松村政府委員 国立病院運営を一生懸命やってきたという面はぜひ御理解をいただきたいと思いますけれども、国立病院は国が経営する病院でありまして、なかなか新しい医療というところで魅力が少なかった、こういうことは言えるのかもしれません。  しかし、現在私どもが考えておりますのは、もし現在が国民方々から魅力がないというふうに言われるとすると、これは私どもの方向がちょっと間違えているということでございまして、今後はこれを再編いたしまして、本当の意味国民期待にこたえる国立病院、こういうふうにしたいということで、今回この法案の改正もお願いをしておるところでございます。
  137. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 今の局長答弁、大変力強いのですけれども、ただ魅力的にするといっても、厚生省のサイドから一生懸命指導しても、むしろ、そちら側の努力よりも、中で働いている人、中で医療に従事をしている人に、本当の意味国立病院というのは何をするのか、地域の人に何を与えていくのか、何を交流するのか、その原点のところが十分理解されていなければ、それはちっとも魅力ある施設になり得ない。そこにこそ、今度の国立病院移譲が難しい点や再編・統合の難しい点というものがあるのじゃないのですか、局長
  138. 松村明仁

    松村政府委員 国立病院を真に魅力のあるものにしていかなければならない、おっしゃるとおりだと思っております。二十一世紀に向けまして、国立にふさわしい機能の質的強化を図りたい、これがぜひとも私どもがなし遂げなければならない課題である、こういうふうに考えております。  そこで、今の委員の御指摘は、病院職員が一丸となってこの問題に理解を示して進める、これが必要ではないかということでございますが、厚生省といたしましても、施設会議等におきまして、国立病院療養所の置かれている状況を常に説明しておるところでございます。  また、健全な労使関係ということにつきましても、平成四年の七月に職員厚生課というものをつくりまして、職員団体との間における適正な労使関係の構築に努めておるところでございます。  また、管理者だけでなくて中間の管理者、中間的な方々に対しても十分に研修を行うということで、その職員の中における意識の高揚、いわゆる士気の高揚を図っておる、こういうことでございます。
  139. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 国立病院の役割については、先ほども厚生大臣から、政策医療を積極的にやっていくのだというお話がありました。そのとおりだと思うのですね。民間医療機関や大学ではできないようなことを国立が率先してやっていく、だからこそ、国立病院で働いている人たちのプライドというか誇りというものが高揚していき、そして国立病院を魅力ある施設にしていく原動力になるのだと思うのです。  しかし、どうも今の国立病院では、一般の病気あるいは軽度の病気、そういうものに携わっている場合が多くて、政策医療に傾斜している、あるいは実験的な医療体系をつくるために努力しているといったようなことが薄いような気が私はいたします。  その例として、私の北海道では国立病院がたくさんあるのですけれども、つい最近まで、国立病院ではエイズの治療を行わなかった、エイズの拠点病院として指定されていなかったという例があります。私は、働いている人が真に国立病院こそ政策医療をやるのだという認識を持っているならば、エイズ治療という我が国の社会的な大問題になっている政策医療について率先してやっていくという意気込みがなくては魅力ある病院にはならない、こんなふうに思います。  つい最近、局長努力にもよりまして、十六カ所の拠点病院が北海道でも指定されたようですけれども、その中にもたくさんの国立病院が指定されたようですけれども、私は、その考え方は、厚生省から言われたからやるのではなくて、むしろ国立病院で働いている人たちの中から出てこなければうそだというふうに思うのですが、局長、いかがでしょうか。
  140. 松村明仁

    松村政府委員 エイズの拠点病院国立病院は、現在、各都道府県単位で選定されますが、二十八カ所参画をいたしておりまして、積極的な診療体制を整えておるところでございます。拠点病院以外の国立病院療養所におきましても、患者の症状に合った適切な医療が提供できますように、私どもも種々の機会をとらえて指導を行っておるところでございまして、いわば国立病院療養所全体でエイズ医療に取り組んでまいろうと考えております。  また、今御指摘のように、こちらから指示をしたからそういうことが行われるという体制ではなくて、やはりそこは、私どもの指示を待つまでもなく、それぞれの国立病院が積極的にいろいろな、エイズのみなちずその時点その時点の国民の健康問題に対して参画していくようなことができるように、私どももそういうことができるような病院をこの再編計画を通じてつくってまいりたい、このように切に思っておるところでございます。
  141. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 ところで、国立病院労使関係がどうも私には理解できない。労使関係として問題があったのは、過去に旧国鉄がございました。旧国鉄の労働組合は大変強い労働組合で、自分たちの生活を守るために、それは労働組合として一生懸命やったのでしょうけれども、結果的には国民の支援、支持を失ってしまった。自分たちの置かれているしっかりした立場というものを見失ったからそのような事態が現出したのではないかと私は思うのです。  このようなことは、労働組合というのは、労働組合の権利というのはもちろん大事にしなければいけませんけれども、しかし、労使一体となって政策医療というのは何なのか、あるいは国立病院の役割というのは何なのかということを労使一体が同じ考え方で協調して実施していかなければ、そごを来して、ついには国民の支持を失いがちになってしまいはしないかというおそれを私は持っております。  ところで、国立病院に働いている人たち、その人方たちがなかなか病院間を異動しない、一つの病院勤務をするとほとんど異動することがないというような話も聞きますけれども、そのようなことはあるのでしょうか、いかがでしょうか。
  142. 松村明仁

    松村政府委員 現在の国立病院勤務する職員のうち、一般職員の中に事務職あるいは看護職という区別があるわけでありますが、これら事務職、看護職につきましては、施設内において業務の内容の異なる職場を経験させるために異動を行っております。また、こういった方々が昇任する場合には施設間の異動ということも行っておるところでございます。  しかしながら、一方で、技能的な職、すなわち調理ですとか洗濯とかいう技能的な職についておられる方々の場合は、施設内の職場も限定をされておりまして、同一施設内の勤務となっているのが実情でございます。  今後、職員の資質の向上及び職場の活性化等の見地から、職員全体の人事異動のあり方の一環として、今御提案、御指摘いただきました問題につきましても、その必要性を含めて検討をしてまいりたいと思います。
  143. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 私は、国立病院の役割というものの一つに、高い医療技術、そういうものを普及していくという役割があるのだろうと思うのです。その場合には、高い医療技術を身につけたお医者さんはもちろん、検査技師や看護婦さんという人たちがもっとどんどん普及のために広範囲に異動していく、転勤していくということは国家公務員として当然のことではないか、場合によっては、そのような人たちが、民間の病院あるいは市立病院などの地方自治体病院との人事交流を通じて、高い医療技術というものを普及していく、交流していくということさえ考えるべきではないだろうかというふうに私は思うのですけれども、いかがでしょうか。
  144. 松村明仁

    松村政府委員 職員の人事異動について、資質の向上及び人事の刷新を図る、こういう立場、あるいはさらに職場の活性化、こういった点から、職員の人事異動につきましては、厚生省施設間では、先ほど申し上げたように一定の頻度、経路でやっておるわけなんですが、他の設置主体の病院等との人事交流、自治体というようなお話も出ましたけれども、これにつきましては、お相手があることでありますし、また、そこにおける独自の配置計画というようなものもございましょう、また一方では給与水準というようなものの違い等もございまして、現状ではなかなか難しいのかなということでございますが、一連の問題の中で引き続き検討させていただきたいと思います。
  145. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 私はぜひ検討していただきたいと思います。魅力ある病院というのは魅力ある職員から成り立っているのです。そういう人たち地方自治体がぜひ活用したい、あるいはそういう人たちに来てもらってその地域医療水準を高めてもらいたいというふうに思わない限り、施設を譲ってほしいというような声というのは決して強まらない。そして、国立病院で働いている人たちもそういう自分たちの政策医療の役割というものを十分認識して、魅力ある国立病院づくりに労使が一体となって励んでいくという形がなければ、私は、いつまでたっても、十年後も同じ議論をしているのではないかという心配をいたします。  ところで、先ほど何人かの先生方の質問の中でエイズの拠点病院の話をされていたのですけれども、そのときに局長の方から、各国立病院にエイズの拠点病院として指定、治療できるようにお願いをしている、お願いをしているという発言がございました。  私は、どうもこの話を聞いていて、お願いをする話ではないだろう、厚生省所管の国立病院であるからにはこの国立病院政策医療の重要な柱であるエイズの治療をするべきだ、そういう指示監督をするべきだというふうに思うのですけれども、厚生省には国立病院に対する指示監督権限というのはないのですか。
  146. 松村明仁

    松村政府委員 エイズの拠点病院の公表の点につきましては、これは各都道府県が一括してその県の拠点病院の名前を公表する、あるいは公表は今ちょっと差し控えておく、こういうことでございまして、その部分では、私どもは県を通じてお願いをして、あなたの県ではぜひ公表をしてください、こういうことを言っておるわけでございます。  したがって、その中で国立病院、個別に名前を公表しても、もちろんそれは可能だと思うのですけれども、やはり県の中での医療のいろいろな関係を尊重するがために、私どもは一応県を通じてお願いをしておるということでございまして、直接国立病院に対する指揮監督ということについては十分に今後もやっていきたい、このように考えております。
  147. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 私は、この拠点病院の指定というのは、自分の部分のところは自分で指定する、そういう姿勢がなければ、それを都道府県に任せておくということでは、それは各都道府県が協力してくれるということにはなかなかならないのではないだろうかなというふうに思います。  ところで、きょうの朝刊で一斉に、医療用食品の公取委の排除命令の話が出ております。政府の指定する財団法人に対して公取委が独禁法の排除命令を出すというのは非常にまれな例なんですけれども、この財団法人に対する監査あるいは指導監督というのは、厚生省は一体どうなっているのでしょうか。
  148. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 今回、公正取引委員会から勧告を受けました財団法人日本医療食協会の問題に つきましては、昨年、公正取引委員会から調査が入ったということで、その前に国会でも取り上げられまして、私どもは財団に対して、あるいは協会に対して事業の適正化等の指導を行ってきたところでございますが、今回のようなことになったということで大変遺憾に思っております。
  149. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 このような事態が発生したのは、診療報酬に加算したからですね。これはいつから加算するようにしたのか。そして、そのチェックというのは一体どういう現実になっていたのか。
  150. 岡光序治

    岡光政府委員 導入の時点は、昭和五十三年二月の診療報酬改定の際でございます。  それからチェックは、的確な栄養管理が行われる、そういうことに資するようにということでございますので、それぞれの食材についてチェックをしているわけでございます。
  151. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 国立病院で、この財団法人を通じて、日清医療食品ですか、ここからどのぐらいの食材を使っているのかという、そういうようなデータはございますか、ございませんか。
  152. 岡光序治

    岡光政府委員 全体の姿について御説明申し上げますと、これは平成六年度の社会医療調査等からの推計でございますが、医療用食品加算の額が百七十五億円相当でございまして、これは病院給食費のうちの約一・五%、それから、いわゆる医科医療費の〇・〇八%相当でございます。
  153. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 新聞では、この医療用食品というのが一般給食の食品の市場価格よりも一・五倍あるいは三倍とか五倍とかという数字も出ていますけれども、厚生省はこういう価格差があるということは知っていましたか。
  154. 岡光序治

    岡光政府委員 委員会でも御指摘を受けておりまして、その辺の調査をしておりまして、やはり物によって差がございますが、かなり高いものもあることを把握しております。
  155. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 それでは、この日清医療食品という食品会社に限定されていたということも知っていましたね。
  156. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 日清医療食品の製品がシェアとして八〇%以上を占めているということは承知をいたしておりました。
  157. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 この財団法人と日清医療食品という形を通じて独占的に、他の企業が排除されるような状況をつくっている、いわゆる独禁法違反の疑いがあるのではないかという認識は、厚生省の財団法人の調査の中ではそういう認識は持ち得ていなかったのですか。
  158. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 今の先生の御質問の最初の部分で若干言葉を省きましたので、若干説明をさせていただきますが、御承知のように、この問題については、昨年の四月に公正取引委員会が協会へ立ち入りをしたわけでございますが、それ以前に、平成六年に国会でのやりとりもございました。  そこで、私どもといたしましては、その平成六年の暮れに医療食協会に対しまして、医療用食品の販売業者を認定する委員会を設置すること、あるいは医療用食品の品目についての複数製品の登録あるいは分類についての検討、また、認定に関する関係業者への指導といったようなことについて指導をいたしたところでございます。  また、昨年四月の公正取引委員会が協会へ立ち入り以後、いわゆる独禁法違反の事実について協会にも確認をいたしたところでございますけれども、私どもは、当初、適法に行っているという旨の回答を得ていたところでございますが、昨年の末になって、公正取引委員会に独禁法違反の根拠となる資料が押収されているという報告を受けたということは事実でございまして、そういう意味では、今回公正取引委員会が明らかにいたしましたような独禁法違反についての具体的な事実というものについては、私どもの調査では把握ができなかったということでございます。
  159. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 今度の事件というのは、私は大変深刻にとらえています。厚生省がエイズ問題で大変傷ついている、それを何とか再建しなきゃならないというときに当たってまたこの問題が発生したということは、私は大変深刻な問題ではないかと。特に、一般的な商取引であるべきそういうマーケットに、公的な機関である財団法人が承認という過程を通じて、一般の企業が入ってくるのを排除していたということは極めて大きいことだろうと私は思います。  新聞ではこの件に関して、日清医療食品やその親会社あるいはこの財団法人に多くの厚生省OBの人たち勤務していた、あるいは参加していたということも報じられています。薬務局に関しても厚生省OBの問題がいろいろ議論されている中にあって、やはり同じようなパターンがここでも出ているのかという思いを国民が抱くのではないかということを私は心配しております。今の役所制度ではなかなか天下りを一挙に廃止するということは私は難しいのかもしれないと思っておりますけれども、しかし、幾ら先輩が企業に入ったから、あるいは財団に入ったからといって、私的なある種の甘えみたいなものを行政の中に介入させるということは、これは決してあってはならないことであります。言語道断のことであります。私は、この天下り問題と行政の問題では、厚生省はもっと厳しく、もっと冷静に業務をしていくべきだと思っております。  最後に、厚生大臣のこの件に関する見解をお聞かせいただいて、私の質問を終わります。
  160. 菅直人

    ○菅国務大臣 今、荒井委員がおっしゃったとおり、今回の問題は、いわゆる業者の参入を認めないという独占的な扱いという問題、さらには、事実上それをコントロールしたのが厚生省所管の財団法人であったという問題、さらには、その背景として医療用食品制度というものがつまり法律制度として存在をしていて、その存在が本来あるべき目的、つまりは食事の栄養成分の確保とか安定といったものに使われるのではなくて、いわばその独占をコントロールするために使われた、そういう問題だと認識しております。  そこで、直接この財団に対する指導についても、理事長の退任を求める、あるいはその理事長を初めとする、非常に社会常識を超えた給料に対して是正を求めるといったこともやらなければならないと思っておりますが、同時に、この制度自身が必要であるかないかということを、この委員会でも議論があったわけであります。今月の終わりに中医協の方にこの制度の廃止について諮問を行って、検討いただいて、廃止の答申をいただければ、この制度そのものを廃止していきたい、そうすることによって、結果的に今回のようなことの根っこの部分の原因も少なくとも取り除かれるのではないか、そしてそのことが国民皆さんにも、要らない制度をつくって、そこにまた一つの組織をつくって、そこに天下りを入れていくというような構造のいわば是正ということで御理解をいただけるようにしていきたい、このように考えております。     〔委員長退席、横光委員長代理着席〕
  161. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 医療保険も大変な赤字になるおそれがあります。そういうときに、この診療報酬の加算というほとんど意味のないと思われるような制度を私は一刻も早く廃止すべきだということを求めて、私の質問を終わらせます。  ありがとうございました。
  162. 横光克彦

    横光委員長 代理岩佐恵美君。
  163. 岩佐恵美

    岩佐委員 まず最初に、私も医療用食品につきまして質問をしたいと思います。  まず公正取引委員会の方から、昨日公表されました、日本医療食協会及び日清医療食品株式会社に対する勧告等について御説明をいただきたいと思います。
  164. 梶山省照

    ○梶山説明員 御説明いたします。  公正取引委員会は、昨日、財団法人日本医療食協会と日清医療食品株式会社に対しまして、医療用食品分野におきまして私的独占行為があったということで、独占禁止法に基づき勧告いたしました。  この勧告の内容は、できるだけ簡単に御説明したいと思いますが、一つはまず、医療食協会が医療用食品の唯一の検査機関として指定を受けてい るということを受けまして、医療用食品の製造工場認定制度あるいは販売業者認定制度、こういったものを設けまして、協会が認定したものしか製造あるいは販売できないようにしていたこと、あるいは、協会が医療用食品の登録制度というものを設け、そして、その登録制度の運用におきまして、類似した医療用食品は登録させない、あるいは品目数そのものも一定の数に制限する、こういった方針のもとに登録制度を運用して医療用食品問の競争を減殺していた。  さらに、昭和六十一年に、それまで日清医療食品が医療用食品の販売業者として独占的な立場にあったところ、それに対する社会的批判が高まってきたことから、新たに日清の競争業者を参入させる必要がある、社会的批判をかわすために参入させる必要があるということで競争業者を参入させることにしたわけですけれども、その際に、協会と日清医療食品が当該参入業者との間で協定を結んで、当該参入業者のもろもろの販売活動を制限した。  こういった、そのほか若干の事実を認定した上で、協会と日清医療食品が医療用食品の新たに入ってくる製造業者あるいは販売業者を排除した、あるいは既存の製造業者あるいは販売業者の事業活動を支配していたということで、独占禁止法第三条の私的独占の禁止規定に違反するということで行ったものでございます。
  165. 岩佐恵美

    岩佐委員 私は、今回の公正取引委員会の排除勧告等によって、公益法人が特定の業者と一緒になって法に違反してまで利益をむさぼるという驚くべき実態が明らかになったと思います。天下りが問題になっていますけれども、厚生省児童家庭局出身の協会理事長の年間の給与が五千万円、やはり厚生省出身の二人の専務理事の給与が合わせて三千万円、三人で八千万円、異常としか言いようがないような実態です。  先ほど谷局長答弁で、厚生省として何も把握していなかった、こういうことでありましたけれども、公正取引委員会が立入調査したのが去年の四月二十五日です。私は、このような実態を放置してきた厚生省の責任は非常に重い、そう思います。先ほど大臣は、医療用食品を診療報酬から外す、そういう方針であるという答弁をされましたけれども、協会の今後のあり方を含めて厳正に対処をすべきだというふうに思います。改めてそのお考えを伺いたいと思います。  それから、今回の事件から、中央官庁つまり厚生省がみずから公益法人をつくってみずから役員となる、まさに自作自演、そうした許しがたい実態が明らかになったのではないかと私は思います。そういう意味で、公正取引委員会厚生省に対し、厚生省所管の公益法人等において今後同様の行為が生じないよう指導することを要請いたしております。公益法人については、このような一冊の本があります。五百を超える公益法人があるわけですけれども、私は、このような公正取引委員会の要請を厚生省として正面から受けとめて、公益法人の実態を調査して、そして厳正に対処をしていくべき、そう思います。この二点について、大臣からお考えを伺いたいと思います。
  166. 菅直人

    ○菅国務大臣 今回、厚生省所管の法人が独占禁止法違反の行為により公正取引委員会から勧告を受けたことは、極めて遺憾でありまして、指導監督が不十分であったと言わざるを得ないと反省をいたしております。  このため、公正取引委員会からの勧告を受けた後、直ちに、担当局から協会理事長に対して、高額であった役員報酬の見直しなど、公益法人としての運営の適正化及び公益事業の一層の、本来の面での公益に係る事業を推進するよう指導したところであります。今後、二度とこういうことが起こらないよう、提出書類の厳密なチェック、立入検査の充実等、公益法人の指導監督の強化に努めてまいりたいと思っております。  また、先ほども申し上げましたように、この背景となっております医療用食品加算制度については、四月中に中医協に対して諮問をし、制度廃止についての答申をいただきましたら、周知徹底の観点から一定の経過期間を置いた後この制度を廃止していきたい、こういう方針で臨みたいと考えております。  また、公正取引委員会から、厚生省所管の他の公益法人においても同様な行為が生じないよう指導するということが要請をされております。  公益法人は、その設立の趣旨、目的にかんがみれば、公益事業の一層の推進に努めるべきであって、独占禁止法の規定に抵触するような行為を行うことは、公益法人にあるまじき行為であることは当然のことであります。  御指摘の、公正取引委員会からの、他の公益法人についても同様な行為が生じないよう指導することとの要請に対しては、医療関連サービスに関する業務などを行う公益法人、これはいろいろ存在をしておりますけれども、それらについて、直ちにその趣旨を通知をして、こうしたことがないようにという指導を行ったところであります。その他厚生省所管の公益法人に対しても、公正取引委員会からの要請の趣旨を踏まえ、通知を行い、指導したいと考えております。  これらのそれぞれの公益法人の内容がどういうもので、どういうことになっているかということは、適宜指導する立場から内容の掌握には努めなければならないと思っておりますが、今回の指摘を受けて、どういう形で対応するか、現在のところ、今申し上げたように、そういうことのないよう通知、指導したところでありますけれども、もう少し内容的に踏み込んだ指導が必要であるかどうか検討してみたい、このように考えております。
  167. 岩佐恵美

    岩佐委員 もう一点伺いたいのですが、公正取引委員会は、病院給食の受託分野における警告を日清に対して出しました。その中身は、日清が、医療機関に対し、一定の期間、同社に継続して給食業務を請け負わせる、そういう条件と引きかえに、正常な商慣習に照らして不当な利益を提供していた疑いが認められた、そういうふうに公正取引委員会指摘をし、法違反の疑いがある、そういう警告を出しています。私は、この警告を厚生省として受けとめて、そしてこの問題についても調査をし、また、きちんと対応していくべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  168. 菅直人

    ○菅国務大臣 今お話のありました点につきましても、この勧告に指摘をされた趣旨について十分精査をして、どういった法律的な問題点があるか、十分な検討を加えて対応をしていきたいと思っております。  なお、先ほど申し上げましたが、通知を行った法人はいろいろありますけれども、医療関連の業務を行う法人、四法人に対して通知を行っておりますし、また同時に、個別指導を財団法人厚生共済会に対しても行ったところであります。
  169. 岩佐恵美

    岩佐委員 次に、国立病院の再編成特別措置法について伺いたいと思います。  資産譲渡後の後利用ですけれども、これについて、「医療機関と一体として」というふうになっていますけれども、医療機関としてはどの程度の、つまり稼働病床数などですけれども、どの程度のものを考えておられるのか。老人保健施設はどうなるのか。移譲、譲渡できる者の対象に特定医療法人が入るのかどうか。また、地方自治体から管理委託を受ける者として医療法人も可能だというふうに読めるのですけれども、その点、いかがでしょうか。
  170. 松村明仁

    松村政府委員 国立病院の資産の譲渡先が引き続き開設する医療機関は、法改正前における取り扱いと同様に、基本的には譲渡前の国立病院等が有していたものと同程度の機能を有していることが望ましい、こういうふうに考えております。  といいますのは、後医療ということで、医療の量的なものを引き継いでいただくということで、同程度が望ましいとは考えておりますけれども、しかし、いろいろその地域の個別の事情等もあると思います。今後、この問題については、地域の実情に照らして個別的にもまた判断する必要があるのではないかと思っておりますが、現在の ところは、今申し上げたように、同程度の機能を有していることを望ましいと考えております。  それから、老人保健施設は、これは医療施設でございますので、後医療ということで結構でございます。  それから、特定医療法人を譲渡先に加えることにつきましては、これは現在、政令で定めるということになっておりますので、関係機関と調整をしておるところでございます。  それから、管理委託をする場合に医療法人でもよろしいかということでございますが、これは、自治法上は、公共団体または公共的団体等に対する委託が可能であるということになっておりまして、そのときに個別的に判断されるものだ、このように考えております。
  171. 岩佐恵美

    岩佐委員 今の説明で言うと、結局、後利用が本当に確保できるのかどうか、そういう点では確保できないと言わざるを得ないし、減額譲渡の対象に医療法人まで入る、そういうことになると、結局、国が地域医療から手を引くために、なりふり構わず国民の共有財産である国立病院療養所を処分しようとしているとしか思えないのですね。  先ほどから議論がありましたけれども、国立病院の再編成計画計画どおりには進んでいません。これは、全国の自治体から国立病院の存続と一般医療の充実を求める多くの要請が寄せられているように、国立医療機関が僻地、離島などを含めて画一的に地域医療から撤退をする、高度・専門医療に特化する、そういう厚生省医療政策が地域に受け入れられなかったからにほかならないと思います。  後医療を含めた負担を地元自治体、住民に押しつける、そういう再編計画というのはもはやこの十年間で破綻していると思うのです。計画の基本的な考えを見直していく、そのことこそが今求められているのではないでしょうか。減額譲渡の対象拡大、後利用の範囲の拡大、すなわち国立医療機関をつぶしたり、たたき売るため、そういう規制緩和が今求められているはずではないというふうに思うのですけれども、その点、大臣のお考えを伺いたいと思います。
  172. 菅直人

    ○菅国務大臣 国立病院療養所の再編成については、昭和六十一年に全体計画を策定して以来十年間が経過をいたしておりますが、おっしゃるとおり、その進捗は必ずしもはかばかしくはありません。一方、地域における、医療計画の策定を通じた医療供給体制の拡充、保健福祉施策の総合的な推進の動きなど、国立病院療養所を取り巻く状況はこの十年間に大きく変化をいたしております。  そこで、今岩佐委員のおっしゃったように、この計画がいわば破綻をしたのではないかという御指摘ではありますけれども、国立病院なり療養所がどうあるべきかという議論からこの計画が出てきているわけであります。  確かに、先ほど他の委員からもありましたように、それぞれの地域の中で医療サービスをしているということはもちろん大きな意味を持っているわけですけれども、果たして国立病院なり療養所の中心的な仕事がそのことにあるのか、それとも、他の医療機関ではなかなか果たせない高度な問題、あるいはいろいろ経緯があって国立てないとなかなかやりにくい問題、そういうものを受けとめてより積極的にやれるような体制をつくることが必要なのかという、いわば選択があったように思うわけであります。今、国立病院の中で、それを再編成することによって、そうした新たに必要とされる機能を充実するということも一方で強く求められてきているわけであります。  そういう意味では、なかなか御理解がいただけない面もありましたが、最近になりまして、新たに再編成された国立病院の現実を見て、そういうしっかりした病院に生まれ変わるのならば統廃合を進めることも必要ではないかと言われるような自治体も順次出てきておりますし、御理解が進んできているのではないかと思っております。  このような状況変化を踏まえて、国立病院等の資産の譲渡などに対する特別措置を拡充して、地域ニーズにこたえることによって、再編成の一層の推進を図って、高度医療専門医療などを担うことができるよう国立病院機能強化を図っていきたい、この方針は全体としては御理解が得られるもの、私はそういうふうに思っております。
  173. 岩佐恵美

    岩佐委員 そこの議論はあるのですけれども、具体的な問題について幾つか伺いたいと思います。  国立大蔵病院と国立小児病院統合して国立成育医療センターを建設することになっています。この東京の世田谷、狛江の地域医療圏は千二百を超える病床不足地域となっています。自治体及び住民は、小児、成育医療とあわせて一般医療も継続してほしいとの強い要望を持っています。高度・専門医療というのは、その地域一般医療を総合的に行う、その上で高度・専門医療を付加して初めていい医療ができるというふうに思います。また経営上からも必要なことだというふうに思います。建てかえが終わった後も一般医療を継続すべきだというふうに思いますが、その点、いかがでしょうか。
  174. 松村明仁

    松村政府委員 国立病院療養所の今後のあり方につきましては、今大臣からも御説明があったところでございます。私ども、今後、一般的な地域医療の供給は、その地域における私的医療機関及び地方公共団体等の公的医療機関にゆだねるべきではないか、大枠そういうふうに考えておるわけでございます。  さて、国立大蔵病院と国立小児病院ケースでございますが、これは、この二つの病院統合いたしまして小児・母性医療に対する高度な医療を行う、あるいは調査研究を行う、重ねて、周産期、小児期、成人期と一貫した最先端の医療を担い、ナショナルセンターという形で整備をしていく、このように計画を立てているところでございます。  さて、こういうナショナルセンターというような病院として高度先駆的な医療の実施、あるいは臨床研究等の機関として全国のリーダーシップをとっていくというような立派な機関としてやっていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたような一般的な国立病院療養所の今後の機能づけの面から、さらに、当該国立大蔵病院、小児病院ナショナルセンターという非常に高度先駆的な医療を行う施設になるという点から考えて、基本的に、そこの地区の一般医療を担うということについてはなかなか難しいのではないかな、このように考えておるところでございます。
  175. 岩佐恵美

    岩佐委員 その問題について、この法律を制定するときに、統合までに地元合意を本当に得るようにしていくということがきちっと言われてきているわけですね。ですからそういう意味で、ちゃんと地元合意を大前提にしてこの問題を進めていくべきだ。  この地域では、例えば成育医療センターはいいと言っているわけですからね。ただ、そういうものの上に一般医療をやってほしいという地元の人々の声があるわけですし、それから、地域でベッドが千二百不足をしているという事態なわけですから、そういう点、厚生省として、住民の意見をばっさりと切り捨てる、合意なしでもやるのだということには今までの経緯からいってならないというふうに私は思うのですけれども、その点はどうですか。
  176. 松村明仁

    松村政府委員 再編成計画推進に当たりましては、地元自治体あるいは地元の関係者の方々と各種の機会をとらえまして十分話し合いをさせていただいて、御理解をいただきながら進めてきております。今後もこの方針は変わりません。  ただ、今まで申し上げてまいりましたように、再編成計画国立病院療養所機能強化には不可欠でございます。ぜひともなし遂げたい、なし遂げなければならないものでございます。こういった点をぜひ地元の関係者の方々にも十分な御理解をお願いしたいと思っております。
  177. 岩佐恵美

    岩佐委員 最後に一問伺いたいのですが、労働条件の問題についてです。  労働条件の問題につきましては、職員団体と必要な事項におきましては交渉も行い、話し合いの中で理解を求めつつ進めてまいりたい、現在働いておられる職員につきましては、その雇用の確保について十分配慮してまいると答弁をしているわけですけれども、この点について再度確認をしておきたいと思います。  統廃合、移譲が行われた福知山、花巻、久留米では、採用試験や職種、年齢制限などによる選別雇用が行われた、そういう実態でした。例えば、福知山では二十八名も不採用になりました。他の国立病院や私立病院に臨時職員として採用されたりしたわけですけれども、結果的には五名が退職をせざるを得なくなりました。そのほかも、移譲ということで、そのことをきっかけに九名が退職を迫られた、せざるを得なくなったということになっているわけです。  今回の法改正によって、ますます職員が退職せざるを得ない状況に追い込まれるのではないか。そういう点について、職員の雇用に対して使用者責任を果たすべきであるというふうに思いますけれどもその点、いかがでしょうか。    〔横光委員長代理退席、委員長着席〕
  178. 松村明仁

    松村政府委員 実際に統合あるいは移譲等の行われる場合に、当該施設職員方々の処遇につきましては非常に重要な問題だと考えております。それで、十分に意向調査あるいは御希望を伺って対応をとっておるところでございます。可能な限り移譲されるところに、要するに御希望に沿って処遇をしていこうというふうに考えております。  しかし、職員方々の御事情というのは非常にいろいろなケースがございまして、今委員指摘のように、中には退職を余儀なくされるようなケースもあったのかもしれませんが、私どもとしては、基本的には、移譲される側に行っていただくか、あるいは引き続き他の国立病院療養所勤務をしていただくか、こういうことで対応をさせていただいておるところでございます。
  179. 岩佐恵美

    岩佐委員 国立病院療養所は結核等の感染症の治療で大きな役割を果たしてきましたし、先ほどから指摘があるように、難病、重症心身障害児・者の医療あるいは離島・僻地医療では大きな役割を果たしてきました。国立病院は、発足当初、日本の総病床数に占める割合は三〇%でしたけれども、今日では約五%となっています。北海道から沖縄まで配置をされている国立病院の強みを発揮して、災害医療やエイズ対策、医療情報システムの確立等を行うべきだというふうに思います。今求められているのは、国立病院をこれ以上縮小するということではなくて、拡充をするべきだというふうに思います。  時間がなくなりました。そのことを指摘して、私の質問を終わりたいと思います。
  180. 和田貞夫

  181. 土肥隆一

    土肥委員 土肥隆一でございます。  最後でございますが、今回の特措法に関しまして、昭和六十一年から十年計画をもって目標値七十四が十三にしかならなかった、それは二〇%にも届かない結果に終わったわけです。今度の特措法でやや上向くのかな、このように思うのでありますが、しかし、その手法といいましょうか、今度の特措法の手法というものもなかなか難しいのじゃないか、このように思っております。  国立病院療養所病院としての経営上非常に苦しい状況にあるということは、厚生省から出されました各種の報告でわかるわけであります。例えば一般会計からの受入額が平成八年度、今年度で二〇・六%となっていますね。それから、資金運用部からの借入金が五百七十七億円。六年度の経常収支率で見ますと、国立病院は九六・六とかなりよくなっておりますが、療養所は八四・八だ。一〇〇%以上超えている病院は三十一しかなく、療養所に至っては二療養所しか目標値を超えていないということになりますと、果たして今回の特措法でどれくらい統廃合が実現するのだろうかということを思うわけであります。  そこで、やはり十年間でもって十三施設しかできなかったということは何か原因があると思うのですね。そもそも目標値が過重に過ぎたのか、それともこういう統廃合というのはそもそも無理なのか、あるいは手法自体を変えなければならないのか、そういうことを考えますときに、今度の特措法でどれくらい進捗するのかということをまずお聞きしたい。  それから、この統廃合の目標数は百六十五施設にとどめるということでありますけれども、これで終わりなのかどうか、これ以上また統廃合が進むのかどうか、お聞きしたいと思います。
  182. 松村明仁

    松村政府委員 再編成につきまして今後どのような目標というか、進むのかということでございますが、これは、先ほど来申し上げておりますように、相手があることでございまして、現時点で年度別の目標値やその完了時期を具体的に見込むことはなかなか困難なところではないかと思っております。  ただ、今回の特措法を心待ちにしておるといいましょうか、この特措法が進むことによってさらに弾みをつけて再編成が進むというものは、少なくとも今具体的には十カ所ぐらいございますし、さらにそれを上回るケースが出てくるものと私どもは期待をしておるところでございます。  それからもう一つの御質問でございますが、第二次のものがあり得るのかということでございますが、今、私どもはとりあえずこの第一次の計画をこの特措法をばねにして十分に進めたい、このように考えておるところでございます。
  183. 土肥隆一

    土肥委員 その特措法でありますけれども、非常に巧妙にというかうまく、引き継ぐ職員の数と譲渡額というのは連動しているわけですね。そこから見ると、やはり引き継ぐ職員が大変だということが認識されているわけですね。これはもうだれが考えてもそうでありまして、職員の引き継ぐ人数に応じて譲渡額が決まってくるということになれば、結局なかなか手が出せないのじゃないかというふうに思うのですね。  ですから、私は、もう思い切った、職員皆さんのことについては別途、国立病院全体で考えるというようなことはできないだろうか。そして、やはり地方自治体に喜んでというか、積極的に受け入れてもらおうとする、あるいは民間の医療法人でもいいのでありますが。  例えば自治体は自治体の給与体系がありますし、一般病院もまた一般病院の給与体系があって、国立の職員皆さんとの給与体系の組み合わせなど大変難しい問題があろうかと思うのです。したがって、私は、この際、職員を切り離しまして、そして思い切り譲渡額も低くして、ただで上げろとは言いませんけれども、どんと渡して、そのかわり市町村なら市町村で、今後は老人福祉計画もお出しになるし介護保険も入ってまいりますから、いろいろな形で、もうとにかく地方自治体に頑張ってもらわなければいかぬわけですから、そういうふうな思い切った発想でこの国立病院療養所移譲を図るということはできないものでしょうか。お答えください。
  184. 松村明仁

    松村政府委員 再編成を実際に進める場合に、今土肥委員の御指摘のように、職員をどうするかということは非常に重要なことでございます。  そこで、私どもは、これまで職員が二分の一以上移譲先に行った場合には大幅な減額率を適用しておりました。ところが、その二分の一というのはかなりレベルが高いということで、今回、職員の三分の一以上が譲渡先に採用される場合についての減額率というものもセットさせていただいておるわけでございます。  そこで、そういったものはもう切り離して考えなさいという御意見でございますけれども、私どもは、国立病院あるいは療養所を再編成するということでございまして、そこのところを切り離して、病院でなくてもいい、こういうことにはなかなかならないという問題がございます。それからまた、引き受ける方でも、急にその職員を全く新しい職員に入れかえるというようなことは非常に 難しい問題もございまして、いろいろ考えた末に、低減率というか減額率の中に一つの刻みを入れさせていただいた。したがって、これ以上の減額措置は極めて困難である、このように考えております。
  185. 土肥隆一

    土肥委員 そうなると、また十年後が楽しみなんですけれども。私、そのときに議員をやっているかどうかわかりませんけれども、またもやもう二〇%で、四〇%ぐらいで、なお片づきませんでしたと。どうでしょうか、病院経営というのは大変難しいこともわかるし、それから、国立病院療養所にはその生活圏に職員皆さん生活していらっしゃるわけですから切り離すということは難しいと思いますが、やはり私は、もう少し民間の人たちの参加というものをぜひ考慮していただきたいと思うのであります。  それからもう一つは、自治体の首長さんあるいは当局が、老人保健福祉計画あるいは介護保険などが入ってきて、地域福祉は全部地元でやるのだという切実な思い、そのときに、医療も必要、それから老健施設社会福祉施設も必要なわけでありますから、何かやはり国の方でいろいろなビジョン、いろいろな手法というものを豊かに提供していただきまして、こんなふうにやったらこの療養所が役に立ちますよとか、そういうふうなもっと積極的なアプローチをしない限り、つまりセールスをしない限り、今までのとおりに難しい難しいと言っていたら、これは税金で一般会計から二割以上つぎ込んで、借金も入れて、それがどんどん膨らんでいくというようなことではやはり国民的にも合意が得られないのではないか。  大臣、最後に、今の私の提議についてお答えください。
  186. 菅直人

    ○菅国務大臣 この問題、私もいろいろ議論をお聞きしておりまして、二つの側面があるのかなと思いました。  一つは、いわゆる再編をすることによってより高度の仕事ができる病院をつくっていくということと、まさに後利用の問題としてそれをどういう形で自治体なり他の機関に受け継いでもらう、あるいはそれを活用してもらうという、そういう二つの側面があって、それぞれが関係者の理解が得られなければならないのかなと。  そういう点で、今土肥議員の言われましたような、場合によったら、今回も特別養護老人ホームなどを併設する医療機関に譲渡した場合にもかなり減額措置ができるようになってきたわけですが、ぜひいろいろまた意見を聞かせていただいて、この法律の範囲でもっとこうやったらいいのではないかということがあれば、ぜひ検討させていただきたいと思っております。
  187. 土肥隆一

    土肥委員 ありがとうございました。終わります。
  188. 和田貞夫

    和田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
  189. 和田貞夫

    和田委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。岩佐恵美さん。
  190. 岩佐恵美

    岩佐委員 私は、日本共産党を代表して、国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に反対する討論を行います。  この十年間、国立医療機関の統廃合、移譲計画どおり進んでいません。これは、国立医療機関地域医療から撤退し、高度・専門医療に特化するという政府の再編成計画が国立医療の存続と一般医療の充実を求める住民の医療要求に反しているからであり、再編成計画の破綻を示すものです。  本改正は、国が地域医療から手を引くために、減額譲渡の対象拡大や後利用の範囲の拡大をすることにより、国民の共有財産である国立病院療養所を処分しようとするものです。これは結局、住民と労働者、地元自治体に負担を押しつけるもので、到底認めることはできません。  国立病院療養所政策医療、再編成等に関する懇談会の最終報告で、「後利用法が決まらない場合であって、」「経営を継続することが適当でないとき、施設を廃止することも選択肢の一つとなる。」として、地元との合意なしでも廃止できるとしていますが、このようなことはやるべきではありません。  国立病院療養所医療分野で果たしている役割は重要です。ところが、国立病院の発足当初、日本の総病床数に占める割合が約三〇%であったのが、今日では約五%となっています。  国民地域住民の切実な医療要求にこたえるため、経済的効率のみを追求し、国民の切実な要求に耳を傾けない国立病院編成特別措置法は廃止し、国立病院療養所の整備拡充をこそ積極的に図るべきであることを指摘して、討論を終わります。
  191. 和田貞夫

    和田委員長 これにて討論は終局いたしました。
  192. 和田貞夫

    和田委員長 これより採決に入ります。  国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  193. 和田貞夫

    和田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  194. 和田貞夫

    和田委員長 この際、本案に対し、木村義雄君外四名から、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけ及び市民リーグ・民改連の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。青山二三さん。
  195. 青山二三

    ○青山(二)委員 私は、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけ及び市民リーグ・民改連を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。     国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の事項について、適切な措置を講ずるべきである。  一 再編成等を通して、国立病院療養所機能強化を図り、難病、エイズ等の政策医療を積極的に展開すること等、国立の医療機関にふさわしい役割を果たしていくよう努めること。  二 国立病院療養所国民期待に応えていくよう医療スタッフ及び施設整備の強化に努めるとともに、経営の効率化を図ること。  三 国立病院療養所における健全な労使関係の確立に引き続き努めること。  四 国立病院等の再編成に当たっては、自治体等の関係者と十分話合いのうえ進めるとともに、地域医療計画との整合性を図ること。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  196. 和田貞夫

    和田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  197. 和田貞夫

    和田委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、菅厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。菅厚生大臣。
  198. 菅直人

    ○菅国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力をいたす所存でございます。     —————————————
  199. 和田貞夫

    和田委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  200. 和田貞夫

    和田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  201. 和田貞夫

    和田委員長 次回は、来る十二日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時五十四分散会