○北村
委員 今の日本の検疫
体制について、検疫法に基づくと、検疫伝染病とされているのはコレラとペストと黄熱の三つである、しかし、そのほかの伝染病というのはどうなっているのか、非常に心配ですね。特に、今回のような狂牛病は別として、私が一番心配なのは、人から人それから動物から動物への伝染病は今の検疫
体制の中で、動物検疫所あるいは
厚生省管轄の検疫所の中で処理をされますけれども、動物から人間、つまり人畜共通伝染病については日本の検疫
体制というのは全く無防備ではないのかな。多分、動物検疫所と農水省、
厚生省は一緒になってこれをやっていただいていると思います。
特に、先ほどお話があったように、今もう出入りで三千万人を超える人方が成田の空港を使われる。成田の空港は一日五万人はあるわけでありますね。そうしますと、海外で伝染病にかかって、その海外で発病しないで日本に帰ってきてから発病するという
ケースは十二分に考えられる。それが東京都内あるいは大都市の近辺でしたら、そういう症状があらわれてすぐ駆け込む
病院がありますけれども、今もう全国いろいろなところから、市町村から、津々浦々から海外に出るわけでありますから、日本に帰ってきて自分の家に着いて発病した、ところが駆け込んだ
病院は
地方の
病院で何が何だかさっぱりわからない、こういうことは十二分に考えられるな、これはゆゆしき問題になるなという気がいたします。ですから、この検疫
体制というものを、十二分に今後の検疫所のあり方というものを私は考えていくべきであると思います。
そして、その中で特に人畜共通伝染病。きょうここに、ことしの一月十日の某新聞のコラムというよりも、新聞社の記者さんがプロジェクトチーム、特別取材班をつくって取材をしたのだと思います。「検疫なしのペットザル無防備で家庭に外国では伝染病死者も」、こういうような見出しで、ちょっと読まさせてもらいます。
これはことしの一月十日ですので、
昨年十二月九日午前、成田空港四七七番ス
ポットに到着した貨物機から、一メートル四万
の木箱二十個が降ろされた。箱の中では、南米
ガイアナから四十時間の旅を終えたばかりの
ペット用リスザル百六十二匹が黒い大きなひと
みを光らせていた。体長約三十センチの生後間
もないリスザルは、何の検疫も受けず某県の
ペット卸業者に引き取られていった。昨年、ザ
イールで二百人以上の死者を出し世界を揺るが
したウイルス性エボラ出血熱は、野生生物の体
内に潜んでいた
「小さいサルなので、病気だったら日本に届
く前に死んでいる。検査の必要はない」。一週
間後、店を訪れた私に卸業者はこう明かした。
既にすべてのサルが全国のペットショップに
渡っており、年内には家庭に売られるという。
日本では何の規制もない。こういうコラムがあります。
そして私も、ことしの二月二十日の夜でしたけれども、あるテレビ局が特集で、日本に到着したペット猿、二時間で通過する、そしてペットショップに売られてしまう、行ってしまう、そして輸入業者が検疫所で九週間にわたって検疫を受けるのは実は実験用のペットだけである、こう言うのですね。
厚生省は二十二年前に自主検疫を指示しただけでありますね。ところが、輸入猿の自主検査を目的に設立された全日本動物輸入業者協議会というのがあるようであります。加盟十七業者がこれに加盟をして自主的に検疫をする。しかし、この五年間、同協議会は総会も開かれてない、一体どうなっているのかわからないような
状況にある、こう言うのですね。
私が言いたいのは、世界の中で安全レベルという規定がございますね。レベル一からレベル四。伝染性のごく低い病原菌、例えば連鎖球菌ですとかサルモネラ菌、これらはレベル一でほとんど全く問題がないわけでありますけれども、レベル二、伝染性がそれほど高くない病原菌、肝炎ですとかライム病、流感、これにはコレラ菌とかチフス菌も入るようであります。レベル三、伝染性が高くて複数ワクチンを必要とする。炭疽ですとか先ほど言ったペスト、こういうものですね。レベル四、極めて危険で厳重な管理を要する。これにはエボラ、ラッサ、ハンタウイルスあるいは黄熱ウイルス、こういうものが入っていますね。これには治療法もワクチンも何にもないのですね。先ほどのエボラ、これは猿からと言われています。
皆さんも映画を見られた方もおいでになったと思いますが、こういうものを取り上げた映画がつい近年放映されましたですね。
調べてみますと、日本にはレベル四を扱う
施設がないのですね。レベル三まではあります。検疫所、成田ですとか関西空港等々はレベル二、レベル三まではいいですけれども、レベル四というのは検疫関係でもないのですね。やれない。これで本当にいいのだろうか。特に先ほど私が申したペット、これは非常に問題ではないのかな。特に猿はペットとして不向きですね。猿というのはいろいろな病気を持っています。エボラ出血熱も猿ではないか、あるいはマールブルク出血熱の感染源ではないだろうか、こう言われていますね。これは全部レベル四です。これがもし日本に、先ほどの検疫
体制では全く無防備で、検疫も何もされないでそのまますっと二時間くらいで成田の空港から入ってしまう。
人畜共通伝染病、私はこのことに日本の検疫というものは目を向けていくべきであると思いますし、そして何よりも、人畜共通伝染病の中では、狂犬病はなされているわけでありますけれども、しかし、それ以外のペットで、ぜひペットの猿、霊長類、猿類、これは輸入を禁止してはどうかな。そこまでやらなければ、島国である日本というのは、ある面では検疫は世界の国から見て非常に厳しいものがありますが、水際で防いできたことでありますけれども、ペットからうつってくる人間への感染というのは非常に大きいものがあります。
そして、このごろ新聞にも、例えばQ熱で国内で初の死亡が出た。これは二月二十三日の某新聞には載っていますね。あるいはライム病というのも日本で存在するのではないかとか、いろいろな問題が実はこのごろ出てきております。
今までの検疫
体制というのは本当に大丈夫なのか、特に人畜共通伝染病を考えたときに
厚生省のこれからの検疫
体制の中でどうお考えなのか。それともう一つ、先ほど私の方から話をしましたペット用の猿をやはり輸入禁止にしてはどうか。この点についてお
答えをいただきたいと思います。