○五島
委員 あわせて、これはかつて
エイズ全廃問題について本
委員会の中においても議論され、また一部実施されてきたところでもございますが、
エイズそのものの全国的な感染の増加というものを防ぐためにも、やはり感染された方あるいは感染の危惧をお持ちになった
方々に対するカウンセリングというものは極めて大事でございます。また、感染者・
患者さんの心理状態というのは、今日においてもまだ
治療の方法は確定していないということでもって、心理的には大変不安定な状態にあることは御案内のとおりでございます。そういう
意味におきまして、これら
拠点病院におきまして、あるいはブロック
拠点病院におきまして、この
患者さんないしは感染可能者に対するカウンセラーの役割というのは非常に大事だというふうに考えるところでございます。
厚生省の方としても、こうしたHIVの感染者に対する、あるいはHIVのカウンセラーの養成ということについてはさまざま
努力してこられたところでございますが、HIVの感染者・
患者さんの心理状態を含めて最もよく
理解されているのは、例えば、今回問題になっておられます、原告におなりになりましたが、やはり
遺族の
方々あるいはお元気でありまだ十分に
社会活動可能な感染者の方自身だろうというふうに私は
思います。
私は、
慰霊事業の一つとしても、そういうふうな
方々が、二度とこうした
エイズが広がっていかないために、あるいは、みずからが自分の最愛の肉親をおみとりになってきたその経験を生かして今後の
日本の
エイズ対策に大きな役割を果たしていただくという
意味も含めて、その点についてぜひ
厚生省も前向きに御検討いただきたいということをこの場をかりてお願い申し上げておきます。
次に、
和解にようやく到達しました今回の事件の問題でございます。
私も、経過について、一体何が大きな原因なのだろうかということについていろいろと調べてみました。その中で、最近になって出てまいりました
厚生省の資料というものが、どうも全体の流れからいうと非常にその一部であって、事実関係からいうと何かその一部だけが取り出されているのかなという疑惑を持つわけでございます。
これまでも、
薬務局長の委嘱事業として血液研究運営
委員会というのが昭和五十年ぐらいからずっと持たれてきているはずでございます。現在も続いているはずでございます。そして、血液研究運営
委員会のもとにおいてそれぞれの研究テーマが
整備され、そして、その研究
委員会において、研究目的、研究期間、それに配賦すべき予算案が決定されているようでございます。
昭和五十八年の七月二十日に血液研究運営
委員会が開かれまして、五十七年度の研究成果についての報告を聞いております。その中におきまして、現在問題になっております安部英さんの五十七年度の研究テーマは、凝固線容異常症に対する血液製剤の応用に関する研究というテーマでございまして、これはわかりやすく言えば、血友病
患者に対する血液製剤の応用に関する研究ということなのだろうと
思います。
その中で、目下の血漿分画製剤の有効利用方策、
エイズ対策、新しい採血の基準設定の重要性などを
指摘され、そして「安部さんの報告書のなかに、わが国の血友病
患者の中にも免疫欠損あるいは異常症がみられるとの項に注目した。これはAIDSと関係あるのではなかろうか。」と考えたというのが、
大阪赤十字
センターの名誉所長の田中正好さん、この当時の研究運営
委員会のメン八一の文章の中にございます。
そして、同じ年の十月十七日に五十八年度の研究計画の
会議が開かれています。そのときに十の研究テーマが決められ、その八番目に、やはり安部さんが後天性免疫不全症候群の実態把握に関する研究として委託研究を受けておられます。
これは血液事業に関する一連の研究であり、この血液研究運営
委員会というのは、この委託研究のレフェリー
機関として設定されております。
ところが、一方におきまして、六月十三日に、すなわち五十七年度の研究報告が出される前に、
厚生省にAIDSの実態把握に関する研究班が実施され、七月十八日に第二回、十月に第三回の研究班が既に並行して存在しています。そして、その五十八年十月十七日になりまして、この後天性免疫不全症候群というのが、
エイズという言葉と違うだけで、同じ研究テーマの委託、研究を受託した形になっています。
これは中身としては非常に混乱してくる
内容でございまして、一方は血液事業を中心とした運営
委員会、一方は本来の目的から言えば
エイズの感染を防止するための研究会であったものが、そこで同じものにすりかわって、しかも、十月十七日の血液研究運営
委員会のその当日の議論の中におきましても、
エイズ対策の緊急
課題としていわゆる国内血への切りかえあるいはクリオ製剤への切りかえということについてさまざまと主張されたのでございます。また、外国で、イギリスのヘモフィリア
センターがクリオでやっている、そういうふうな事例等々も挙げておられる。そういうふうなことを主張したけれ
ども、結論的に、クリオなんて時代おくれですよとの言葉で打ち切られた。そして、
会議を終えて会場を出るとき、たまたま肩を並べた郡司課長が、時代おくれと言われちゃねと一言ささやいて云々というふうな表現もございます。
すなわち、血液事業の研究
委員会の中にいつの間にか
一緒にしてしまったところに、本来の目的が、知らぬ間にといいますか、
エイズ対策から血友病の
治療方法として何が一番合理的で、何が一番
治療しやすいかという議論にすりかわっている。これが、研究班の結論でもございますように、要するに濃縮製剤の方が便利だ、クリオより便利だという、当たり前ではあるけれ
ども、そこには
エイズの対策をどうするのかということを全く
配慮されていない結論としてなってしまった。すなわち、もともとは二つの研究班があったはずなのが、班長を
一緒にして重ねてしまった結果、その目的の追求がわからなくなったというのが真相ではないかというふうに考えるわけです。
血液研究運営
委員会というのはいつから開かれて、そして毎年どれぐらいの予算があって、そしてどういうメンバーがその間レフェリーをやり、どういう人々が研究委託を受けておられたのか、その一覧をお出しいただきたいと
思います。また、今私が考えた疑問について、現在判明しているところについて御説明を願いたいと
思います。