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1996-03-13 第136回国会 衆議院 厚生委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月十三日(水曜日)     午前十時三分開議  出席委員   委員長 和田 貞夫君    理事 衛藤 晟一君 理事 木村 義雄君    理事 鈴木 俊一君 理事 横光 克彦君    理事 荒井  聰君       伊吹 文明君    稲垣 実男君       稲葉 大和君    遠藤 利明君       狩野  勝君    岸本 光造君       熊代 昭彦君    近藤 鉄雄君       田中眞紀子君    高橋 辰夫君       竹内 黎一君    戸井田三郎君       長勢 甚遠君    根本  匠君       福永 信彦君    穂積 良行君       保岡 興治君    山下 徳夫君       五島 正規君    田邊  誠君       森井 忠良君    枝野 幸男君       岩佐 恵美君    土肥 隆一君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 菅  直人君  出席政府委員         厚生大臣官房長 山口 剛彦君         厚生大臣官房総         務審議官    亀田 克彦君         厚生省健康政策         局長      谷  修一君         厚生省保健医療         局長      松村 明仁君         厚生省薬務局長 荒賀 泰太君         厚生省社会・援         護局長     佐々木典夫君         厚生省年金局長 近藤純五郎君  委員外出席者         厚生大臣官房審         議官      齋藤  勲君         厚生委員会調査         室長      市川  喬君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十三日  辞任        補欠選任   根本  匠君     遠藤 利明君   堀之内久男君     稲葉 大和君   持永 和見君     福永 信彦君   山下 徳夫君     穂積 良行君 同日  辞任        補欠選任   稲葉 大和君     岸本 光造君   遠藤 利明君     根本  匠君   福永 信彦君     持永 和見君   穂積 良行君     山下 徳夫君 同日  辞任        補欠選任   岸本 光造君     堀之内久男君     ――――――――――――― 三月七日  食品の安全と健康の確保に関する請願中村力  君紹介)(第一七〇号)  HIV問題の迅速な解決に関する請願狩野勝  君紹介)(第二〇一号)  同(木村義雄紹介)(第二〇二号)  同(丹羽雄哉紹介)(第二〇三号)  同(三原朝彦紹介)(第二〇四号)  同(岩佐恵美紹介)(第二一九号)  同(穀田恵二紹介)(第二二〇号)  同(佐々木陸海紹介)(第二二一号)  同(志位和夫紹介)(第二二二号)  同(寺前巖紹介)(第二二三号)  同(中島武敏紹介)(第二二四号)  同(東中光雄紹介)(第二二五号)  同(不破哲三紹介)(第二二六号)  同(藤田スミ紹介)(第二二七号)  同(古堅実吉紹介)(第二二八号)  同(正森成二君紹介)(第二二九号)  同(松本善明紹介)(第二一二〇号)  同(矢島恒夫紹介)(第二一二一号)  同(山原健二郎紹介)(第二三二号)  同(吉井英勝紹介)(第二三三号)  同(安倍晋三君紹介)(第三〇八号)  同(長勢甚遠君紹介)(第三〇九号)  国民の食品の安全と健康の確保に関する請願  (萩山教嚴君紹介)(第二〇五号)  建設国保組合改善及び公的介護保障確立に  関する請願田邊誠紹介)(第二四七号)  同(池端清一紹介)(第二四八号)  同(岩佐恵美紹介)(第二四九号)  同(岩田順介紹介)(第二五〇号)  同(穀田恵二紹介)(第二五一号)  同(佐々木陸海紹介)(第二五二号)  同(志位和夫紹介)(第二五三号)  同(田口健二紹介)(第二五四号)  同(寺前巖紹介)(第二五五号)  同(中島武敏紹介)(第二五六号)  同(東中光雄紹介)(第二五七号)  同(不破哲三紹介)(第二五八号)  同(藤田スミ紹介)(第二五九号)  同(古堅実吉紹介)(第二六〇号)  同(正森成二君紹介)(第二六一号)  同(松本善明紹介)(第二六二号)  同(森井忠良紹介)(第二六三号)  同(矢島恒夫紹介)(第二六四号)  同(山原健二郎紹介)(第二六五号)  同(吉井英勝紹介)(第二六六号)  らい予防法廃止患者医療生活保障、国  立ハンセン病療養所存続発展に関する請願  (正森成二君紹介)(第三〇六号)  障害者介護施策拡充に関する請願山本孝  史君紹介)(第三〇七号) 同月十三日  食品の安全と健康の確保に関する請願志賀節  君紹介)(第三二七号)  同(鈴木俊一紹介)(第三二八号)  同(玉沢徳一郎紹介)(第三二九号)  らい予防法廃止患者医療生活保障、国  立ハンセン病療養所存続発展に関する請願  (今村修紹介)(第三三〇号)  同(岡崎トミ子紹介)(第三三一号)  同(田中昭一紹介)(第三三二号)  同(寺前巖紹介)(第三三三号)  同(野田毅紹介)(第三三四号)  同(秋葉忠利紹介)(第三六四号)  同(今村修紹介)(第三六五号)  同(貝沼次郎紹介)(第三六六号)  同(古堅実吉紹介)(第三六七号)  同(今村修紹介)(第四三〇号)  同(貝沼次郎紹介)(第四三一号)  同(今村修紹介)(第四五五号)  同(貝沼次郎紹介)(第四五六号)  同(日笠勝之紹介)(第四五七号)  同(三野優美紹介)(第四五八号)  同(山花貞夫紹介)(第四五九号)  HIV問題の迅速な解決に関する請願金田誠  一君紹介)(第三六二号)  建設国保組合改善及び公的介護保障確立に  関する請願中島武敏紹介)(第三六三号)  健保本人二割・老人医療定率化など自己負担引  き上げ反対介護保障確立等に関する請願(岩  佐恵美紹介)(第四一〇号)  同(穀田恵二紹介)(第四一一号)  同(佐々木陸海紹介)(第四一二号)  同(寺前巖紹介)(第四一三号)  同(藤田スミ紹介)(第四一四号)  同(正森成二君紹介)(第四一五号)  同(松本善明紹介)(第四一六号)  同(吉井英勝紹介)(第四一七号)  社会保障福祉充実改善に関する請願(志  位和夫紹介)(第四一八号)  同(中島武敏紹介)(第四一九号)  同(東中光雄紹介)(第四二〇号)  同(不破哲三紹介)(第四二一号)  同(古堅実吉紹介)(第四二二号)  同(矢島恒夫紹介)(第四二三号)  同(山原健二郎紹介)(第四二四号)  重度障害者施設等における男性介護従事者の養  成等に関する請願村井仁紹介)(第四二五号)  重度心身障害者寝たきり老人とその介護者が  同居可能な社会福祉施設の設置に関する請願  (村井仁紹介)(第四二六号)  小規模障害者作業所に対する国庫補助制度の改  善等に関する請願村井仁紹介)(第四二七号)  生活保護受給者医療券方式改善に関する請  願(村井仁紹介)(第四二八号)  福祉医療の実施に伴う国民健康保険国庫負担金  減額調整措置廃止に関する請願村井仁君紹  介)(第四二九号)  高齢者医療生活安定等に関する請願(藤村  修君紹介)(第四五四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月五日  検疫体制充実の強化に関する陳情書  (第二  二三号)  高齢者生活の安定と生きがいに関する陳情書  (第一三四号)  廃棄物処理制度整備充実に関する陳情書  (第一三五号)  保育所措置制度の堅持・拡充に関する陳情書  (第一三六号)  らい予防法制の改廃に関する陳情書  (第一三七  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  厚生関係基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 和田貞夫

    和田委員長 これより会議を開きます。  開会に先立ち、新進党所属委員事務局を通じて出席要請いたさせましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。  厚生関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。衛藤晟一君。
  3. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 衛藤晟一でございます。  エイズ訴訟につきまして、質問を申し上げたいと思います。  三月七日に東京地裁大阪地裁から第二次和解案が示されました。両地裁全力を尽くされ、早期に第二次和解案を示されたことについて、心から敬意を表する次第でございます。  連立与党三党は、「新しい政権に向けての三党政策合意」において、「被害者救済は重大な課題であるとの共通認識のもと、HIV訴訟に関する早期和解を推進する。」ということを最重点課題として取り組んでまいりました。被害者早期全面救済実現するためには、示された第二次和解案が唯一の道筋であるというぐあいに確信をいたしております。被告の国と製薬企業がこの和解案を真摯に受けとめ、三月中の和解成立に向けて全力を尽くし、誠実な対応をすることが求められているというぐあいに確信をいたしております。原告患者方々においても、この和解案理解が得られることを期待いたしている次第でございます。  そこで、まず、和解に取り組む厚生省の基本的な姿勢についてお伺いいたします。大臣はどのような姿勢でこの第二次和解案に取り組んでいくのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  4. 菅直人

    菅国務大臣 今、衛藤委員の方から、三月七日に東京大阪地裁から出された第二次和解案についての国の姿勢についてのお尋ねです。  この和解案が出た直後の記者会見でも申し上げたわけですけれども、私どもも、この和解案裁判所がいろいろなことを考えた上で出されたもので、非常に重く受けとめております。そして、この和解による早期救済実現するために、関係省庁などといろいろ協議をした上で、できるだけ早く国としての対応を決めたい、先週の話でしたから次の週、つまり今週中にも基本的なこの問題に対する対応を決めたいというふうにその時点では申し上げました。  その後、他の被告である各メーカーあるいは原告団皆さん、特に与党皆さんには原告団皆さんといろいろ御相談をいただいていることを、この場をかりてその御努力に感謝を申し上げたいと思いますが、そういう皆さん意向ども直接間接にお伺いをしながら、全体がまとまることが非常に重要だと思っておりますので、全体としてこの和解案関係者一同合意されるということを何とか実現するということを踏まえて、国としてはこの和解案そのものを重く受けとめ、和解実現のために対応していきたい。時期的には、今週中ぐらいには厚生省として、国としての対応を固めたい、こういうふうに考えているところであります。
  5. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 今週中に厚生省は方針を決定したい、そして、全体的に和解することが極めて重要であるというお話がございました。そのとおりだと思います。  製薬企業の中で外資系企業が、どのように第二次和解案について受けとめられているのか、また、最終的な判断をどういうぐあいに行うかというのは、この和解の成否にとって特に重要なポイントであるというぐあいに思います。大臣も、何度も外資系企業を含め話し合いをされて、また、努力をされてきております。どのように今後取り組んでいかれるのか、大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  6. 菅直人

    菅国務大臣 今、衛藤さんの方からもお話がありましたように、この和解案が出る少し前の段階で、二月二十六日にはバクスター本社の会長、二十八日にはバイエルのこの分野のやはり本社責任者、それから日本では、日本臓器が販売している薬を供給しているイムノのこの問題の責任者などに順次お会いをいたしました。  その席でも、今回の第二次和解案内容と、何といいましょうか、大筋そういうものが出されるのではないかという認識の中でそれぞれの皆さん意見交換をいたしました。各社若干のニュアンスの差はありますけれども大筋和解による早期解決という点では、それぞれの各社とも、それが必要だ、重要だという点では意見が一致をいたしました。  その中で、外資系の三社としては、そういう和解による解決という土俵そのものは大事にするということを前提としながらも、若干の意見をいただいたわけです。しかし、その問題も、今回の和解の中、裁判所がいろいろ考慮をされて最終的な和解案をまとめられているわけですので、何とかそうした外資系皆さんもこの内容合意に至ることができるのではないかというふうに思っております。  そして、和解が出た後、これは私が直接はお会いしていませんが、バクスター、ハイエルの日本支社責任者薬務局長のところへ面会があったり、昨日は、国内メーカーのミドリ十字の社長が私に会いたいということだったのでお会いをいたしまして、いろいろと意見交換をいたしました。  そういう直接間接の話で私なりに感じておりますのは、それぞれのメーカー、まだ最終的な態度ということではありませんけれども、今回の二次和解案を非常に重要なものと受けとめて対応していただけるのではないだろうか、そういう感触を受けているという状況です。
  7. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 大変御努力に対して敬意を表します。厚生省の方も、今週中には態度を決めよう、それから、国からの働きかけも含め、各製薬会社も第二次和解案に応じるような意向が大体見えるということでございますので、ぜひこれについて最終的な御努力をいただきたいと思います。  さて、そうしますと、全面的な和解のためには、国と製薬会社だけではどうしても、相手方が必要なわけでございまして、患者方々あるいは御遺族方々が本当にこの和解案理解を示していただき、そして、全員でこの和解成立するかどうかということが最後の非常に大きなかなめになってこようかというぐあいに考えます。  遺族方々と、昨日も私どもお話をさせていただきました。両原告団の方からの文書に、こういう文章がございます。原告ら被害者は、社会のあらゆる場面において、エイズに対する偏見によるいわれなき差別を受けており、とりわけ、患者が最も救いを求めるはずの医療機関においても診療拒否、不十分な治療が今なお後を絶たない状況である。そして、東京大阪の両裁判所は、こうした遺族の無念な思いを深く受けとめ、第二次和解案提示に当たっての所見においては、「これら遺族原告に対しても、社会一般により格段の配慮といたわりが向けられなければならない。」とし、被告らに対し、「被害者への鎮魂慰霊措置を含め、最大限配慮をされるよう要請するものである。」というぐあいに断言をしておるところでございます。  遺族方々ともお話をいたしました。患者さんを抱えて大変つらい日々を過ごされ、そして、最愛の息子さんを、子供さんを抱えながらこの治療に懸命に取り組んできたところでございます。そして、そういう中で亡くなられ、遺族となったわけでございまして、ぜひこの遺族方々に対する弔慰措置裁判所でも明確に指摘をいたしておりますけれども、この「被害者への鎮魂慰霊措置を含め、最大限配慮」というぐあいに要請があるわけでございます。  そこで、私もお話をお聞きしましたけれども、なかなか案がまだまとまらないというような状況がございますが、提案でございますが、この和解協議成立前提条件として、大臣もここまで踏み込まれて、国を代表して、遺族そして原告団方々患者方々ともお会いをされました。ぜひ大臣の声明を明確に出していただきたいというように思いますし、また、遺族方々からも御要請のありますこの慰霊のための碑、鎮魂のための碑をぜひつくってもらいたい。あるいは、もともとずっと出ております、遺族に対する弔慰金という形で何とか検討してもらいたい。それから、せめて線香の一本も持って、国のしかるべき人が、あるいは製薬会社の人がぜひ霊前に線香を上げてもらいたい。あるいは、遺族方々が、現在の患者方々に対してもいろいろな話し合いをしながらバックアップをしておられます。そういうものに対するいろいろな相談事業、あるいは相談に乗っておられるわけでございますので、そういうものに対しても援助をしてもらいたいということがございます。  これは、我々も一緒全力を挙げて実現に向けて頑張っていきたいと思いますが、大臣もぜひ御理解と御努力をいただきたいというように思っておりますので、それに対して大臣見解を求めたいと思います。
  8. 菅直人

    菅国務大臣 今、衛藤さんの方から、遺族皆さんの亡くなった患者さんを抱えての大変長い間の本当に厳しい状況を踏まえて、そういう皆さんのそういった状況に対する弔慰の意をどういう形であらわすかということについて御指摘お話があったわけであります。  御承知のように、この問題は、私も何度か、この二次和解案が出る以前に患者遺族皆さんともお会いをしてお話を聞いても、本当に厳しいものだということを感じましたし、二月十六日のときは、ちょうど一週間ぐらい前に亡くなったというお子さんの遺骨と写真を持ってこられた方もあって、そういう皆さん思いというのは本当に痛いほどわかるような気がいたします。そういう点では、非常によく理解をしなければと思っております。  と同時に、裁判官も多分同じような思いでこの和解案なり所見を書かれたのだと思うのです。その中には、確かに遺族の方からいえばもう一歩という思いもあるかもしれませんが、この和解を成り立たせるための関係者のいろいろな立場を考えた中でこういった和解案ということになっているというふうに思っておりまして、この和解の骨格については、裁判所の考え方をまさに全体として重く受けとめて、その中で国としてもできるだけ積極的に受けとめていきたいというふうに思っております。  今、衛藤さんから言われました、この和解案の中にもあります「被害者への鎮魂慰霊措置を含め、最大限配慮をされるよう要請するものである。」こういった問題あるいはそれを含むいろいろなあり方については、この時点で私の方からこういう形がいい、ああいう形があり得るということを申し上げることはちょっと控えさせていただいて、原告団皆さんのいろいろな意向やこの全体の枠組みが成り立つということの考えなどで、できれば、大変御苦労をいただいておりますが、与党皆さんにもいろいろとそのあたりを御議論いただいて、ぜひいい形を提案していただきたい。それが和解時点ですべて決まるのか、あるいはその後に残された問題となるのかも含めて、私どももまさに真摯にそういった提案があった場合には受けとめて検討させていただきたい、このように思っております。
  9. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 ありがとうございました。ぜひ、これについても御努力をお願いいたしたいと思います。我々も一緒全力を挙げてこの弔慰措置具体化について、できれば和解成立するときまでに、そこぐらいまでにまとめるというような気持ちでやりたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。  さて、原告団患者さんにとりましては、医療体制というのが極めて大きな問題でございます。最近、大分この治療医療について明るい方向も見えてきておりますけれども、完全な治療体制整備をされておりません。今まで多くの患者さんたち医療機関における、先ほどから申しましたが、診療拒否とか不十分な治療というものに甘んじてきたわけでございまして、これを契機としてぜひ医療体制そして研究体制の抜本的な整備をやっていただきたいというのが患者さん方の切なる願いでございます。これについて、今後どういうぐあいにされるのか、大臣の御見解あるいは気持ちをお伺いさせていただきたいと思うのですね。  まず第一に、患者さん方は、センター的機能を備えた機関をぜひ持ってもらいたいというのが第一点でございます。そして、そのセンター的な機能を持ったところが何とかエイズに対する新しい治療法治療薬を開発してもらいたい、そして、それが全体のレベルを引き上げてもらいたいというぐあいにまず第一点目として思っておられます。第二点目として、これを一つの病棟に集中させるというのではなくて総合的に、免疫不全でございますから総合的に対応しなければいけません。ぜひ総合的にやっていただきたい。それから第三点目は、国はこれだけ責任があるのですから、やはり国立病院診療所は本当にこれを受けとめてもらいたい。この三点が極めて大きな柱でございます。  研究治療センター、このセンター的な機能を持つ病院をちゃんと整備してもらいたい。それから、総合的に取り組んでもらいたい。それから、国立病院療養所が率先して、結局、厚生省がほかのところに何とかかんとかというよりも、厚生省直属国立病院療養所がどんと正面から受けとめますよ、安心してくださいというぐらいの治療体制をつくらなければいかぬというぐあいに思っております。そして、それがあって初めてさらに多くの拠点病院整備充実というぐあいになるわけでございまして、この四点について、大臣見解と決意をぜひお聞かせいただきたいというように思います。
  10. 菅直人

    菅国務大臣 治療研究センターについては、この和解の議論の進行と並行してこれまでもいろいろな関係者皆さん協議を続けておりますけれども、特に、今衛藤さんおっしゃったように、原告団皆さん、これまでいろいろなところで治療を受けられているわけですが、これから積極的に推進するためには、厚生省が直接所管をする国立病院などを、大きな中心的な機能をそういうところに持たせた方がいいのではないかという提案原告団皆さんからもいただいております。そういった意味では、現在、そういった原告団皆さん要請も含めて、直接にも厚生省担当者がそういう皆さん意見を伺いながら、同時に、それに一番ふさわしい機関についてセンター的な機能を持たせるような位置づけができないかということを、今内部的にも協議を詰めているところであります。  そういった点では、この和解成立のころまでには、今言われた、センター的な機能を持ったところについてどうするかということの案はぜひ出せるようにしていきたい。一遍に一〇〇%決まるかどうかわかりませんが、少なくともそういった案を提示できるようにしていきたいと考えております。  また、総合的な取り組みという問題、いろいろな意味があると思いますが、御承知のように、拠点病院整備は今順次しているわけですけれども、そういったところで、直接の血友病の治療エイズ治療ということだけではなく、いろいろなかかわりを持った病気を発病される例も多いわけですので、そういうものが全体として治療ができるような、眼科ですとか他の科の治療ができるような体制も、それぞれの拠点病院、あるいは拠点病院の中のさらなる中心的な病院といったことも提案がありますけれども、そういうところで進めていきたいと思っております。  そういった意味で、国立病院の問題とは、さっきの問題と重なりますけれども、もちろん大学病院にもいろいろ経験を持った機関やお医者さんがおられますので、協力は求めなければならないわけですけれども、中心的な役割をやはり国立病院に持たせた方が患者さんたちにとっても安心できるということであるのかなと思っておりまして、そういう方向でできるだけ早急に案を詰めてまいりたい、こう思っております。
  11. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 ぜひこのセンターについても、きょうの新聞でも、もう徐々に出ておりますけれども国立国際医療センター国立予防研あるいは療養所東京病院とか、いろいろなものが出ておりますので、ネットワーク構想を含めて、十分にこのセンター的な機能を持った研究体制、それから国立病院あるいは療養所を中心とした治療体制、総合的に取り組んでぜひ実現をしていっていただきたいというように思います。  さて、再発防止の対策でございます。  二月の末に厚生省調査プロジェクトチームから中間報告がなされました。さらに引き続いて調査が行われているというぐあいに聞いております。その調査結果について、いつを目途に、どのような内容を公表するようになるのか、ここで明確にお示しをいただきたいと思います。
  12. 菅直人

    菅国務大臣 調査プロジェクトの中間報告を二月二十八日にさせていただいたわけですけれども、その時点で、まだ残されたいろいろなファイルなどについては三月中旬を目途に整理をして公開したいということを申し上げました。  基本的にはその方針どおり今準備を進めております。多少、前回のこの厚生委員会の集中審議とかあるいは従来いろいろ調査した結果に基づいてさらに幾つかの点で関係者に質問を出すとか、そういうことも追加的に行っておりますので、率直に申し上げて、今月半ばといえば今週末から来週初めということになるわけですが、今週末までに私のところに報告がぎりぎり上がってくるかどうかな、ですから、来週の余り遅くない時期には公開できるのではないか、そんな状況にあることを申し上げておきたいと思います。
  13. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 今回の事件を契機に、薬事行政のみならず、医療の方までちゃんと見直さなければいけないなという感じがいたしております。  厚生省は医学的な判断を研究班にゆだねたのですね。ところが、その研究班というのは、今から見ますと、明らかに医学界のボス支配のもとに置かれていた。ですから、当時、郡司課長も、何か問題があるのではなかろうか、心配だということでいろいろするけれども、結局、そのような案が日の目を見ないでつぶれていく。やはり何か非常に異常な事態だったというふうに思うのですね。また、その医学界自身がボス支配にゆだねられている。そしてその医学界自身も、いろいろな経費を出すに当たっては薬の方にどっぶりと依存をして、いろいろな学会をつくるに当たっては薬に強制的に寄附を取り立てていくというような状況にもあったわけですね。そうすると、明らかにそのようなものによって薬事行政はゆがめられてきた。  私は、薬事行政のみならず、今回のこのような反省の中で、医療行政全般を洗い直す必要があるのではないかと本気で今思っているところでございますが、それについて大臣所見をお伺いしたいと思います。
  14. 菅直人

    菅国務大臣 今の御指摘の中に、一つは、専門家、学者と行政の関係という問題があったと思います。  特に、今回の問題で、エイズ研究班というものが、専門家であると同時に、この研究班の場合はタスクフォース的につくられていて、薬事審議会といったような法律に基づく審議会でも必ずしもなかったといいましょうか、逆に言えば、機動的とも言えると同時に、その責任というものは一般の法律に基づく審議会よりもさらに必ずしも明確でなかった。  そういう点では、専門家、学者の皆さんの専門的知識は大変重要であるわけですけれども、同時に、物事を決める場合には、そういう御意見は十分踏まえるにしても、行政としてそれを踏まえた上でどういう判断をするかというのは、結果が同じであったとしても、あるいは変わるとしても、そこには一つ、それぞれの責任というものの区分があってよかったのではないか。そういった点では、これからの、そういう専門家の皆さんの御意見を聞くということと決定をするというところにどういう形をとることがいいのかということは、ぜひいろいろ御議論いただきながら、私どももこの問題を踏まえて検討しなければいけない大きな問題だと思っております。  そしてもう一つ、今、衛藤さんの方からは、薬事行政全般あるいは薬のあり方全般についていろいろ考えなければいけない問題があるのではないかという御指摘もいただきました。  この問題も、日本は一般的にも薬の使用量が、医療費に占める割合が非常に大きいとか、あるいは薬事審議会のあり方も、これは確かに、専門にそれに当たっている、つまり薬事審査に当たっている人の数は行政としては少ないわけですけれども、審議会にはたくさんの人に協力をいただいているわけですが、その分、審議会のあり方も、いろいろな薬の治験などに携わっている皆さんにもまた同時に審査にも一部携わっていただいているといったような問題など、いろいろ指摘をされておりまして、そういう点では、これからの薬事行政のあり方については、本当に国民皆さんから信頼がされ得る透明性の高い仕組みにしていかなければならないし、また、そのことが結果において日本医療の質を上げる。  同時に、ちょっと欲張りかもしれませんが、日本の薬事は、場合によっては、護送船団的に保護されている分だけ逆に国際的な競争力に打ちかつような開発がまだまだ不十分だという指摘もありますので、そういった面も含めていろいろな側面から今後のあり方を議論しなければならない、そういった議論も当委員会においてもぜひ御審議をいただければと思っているところであります。
  15. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 ぜひ、我々もこの問題を非常に深刻に考えておりますので、お互いに議論をしてちゃんとやっていきたいと思いますから、よろしくお願いいたします。  以上で終わります。
  16. 和田貞夫

  17. 田中眞紀子

    ○田中(眞)委員 自由民主党の田中眞紀子でございます。  エイズの問題につきましては、私も、いろいろ患者さんのお話を聞き、またいろいろな報道に接しながら、本当に胸を痛めておりましたけれども、菅厚生大臣が本当に一生懸命御尽瘁なさって、厚生行政にも曙光が見えてきたなという印象を持っておりますので、ぜひ大臣にも頑張っていただきたいと思いますし、また、エイズで苦しんでいらっしゃる皆様に対してはお見舞いも申し上げたいというふうに思います。  本来は、きょうの委員会は、年金問題ですとか介護保険の問題、それから、厚生と科学の研究の接点の問題がございます、例えば人工臓器の開発でございますとか、あるいは災害のときのインフラに関する問題、そういうことについてもお尋ねをしたいというふうに私は思いましたけれども、新進党の、野党の先生方が全員欠席というような変則的な状況でございますので、そういうことはまた別の機会に、ほかの議員の先生方の多くの御意見も伺って勉強できるようなときに質問をさせていただきたいと思いまして、きょうは、もう少し違った、細かい切り口になりますけれども、厚生行政についてお尋ねをしてみたいというふうに思います。  厚生省の仕事は、医療、保険、年金と、要するに、病気で苦しんでいらっしゃる方々、それからお年寄りですとか障害のある方々、子供たち、そういういわば本当に体も心も痛みを持って苦しんでいらっしゃる方々、そういう皆様に対する温かい行政をしなければならないところであるのですけれども、このエイズの問題は非常に典型的でございますけれども、何か出なかった書類が突然出てきたり、厚生省ももう少し人の心の痛みを一番早くキャッチして対応してくださる役所でなければいけないはずですのに、それができないでいたということを、非常に国民は怒りともどかしさを持って、私も含めて持っておりましたけれども、そういうふうな問題について、やはりもう少し役所の皆さんも自分の問題として、自分が生活者としてどう思うかという視点をぜひ持っていただければありがたいというふうに思います。  きょうは冒頭に、私が先日、つい二日ほど前でございますが、自由民主党のある県での地方支部設立総会で二言ホームレスという言葉を使いましたら、それが、私が何かホームレスをやゆしているかのごとき報道がされまして、私の本意ではございませんので、こういう不幸にして悲しい思いをしていらっしゃる方々について大臣がどう思っていらっしゃるか、簡単に伺ってみたいというふうに思います。  東京だけではございませんで、ロンドンとかニューヨークとか、大都会の繁栄の陰にはホームレスという方々がおられることは事実でございます。そういう方々の存在、これは本当にお気の毒ではありますけれども、つい先日、マスコミを通じて報道されました東京都の新宿で、動く歩道建設に伴って強制退去をして収容所に入れられた方々の実態について調べてみました。  この方々は約七十人いらっしゃるそうでございまして、現在は芝浦の施設に収容されていらっしゃる、そして、その半数ぐらいが就労のあっせんによって職についておられるということだそうでございます。ですが、残りの方はなぜ就労の機会がないかといいますと、意欲はありましても、体の調子が悪いとかそのほかでなかなか職につけずにいらっしゃるそうです。そして、ではそういう方々の施設はどうするのか、将来の展望について、計画について伺いましたところ、東京都及び二十三区が一緒に協力しながら恒常的な施設を探しているのだというお答えを聞きました。  ところが現実は、いざとなると、うちの区でない方がいいとか適切な場所がないとかいうふうなことで、場所の決定ができずに宙に浮いているということなんですけれども、基本的にはこれは地方行政の問題でもございますし、それから、就業のチャンスということになれば労働省マターでございますけれども、健康を害していて、そして意欲があっても職につくことができないということは、やはり人権の保護という問題にもかかってくると思います。そういうことはやはり厚生省もきめ細かく対応してもいい面ではないかというふうに思います。  それで、昨日、政府委員室を通じまして社会・援護局から、これがどういうふうに厚生省と関連があるかということを問い合わせましたところ、厚生省は、現在ホームレスに対する特別の対応は実施していない。なお、生活に困窮する者が、保護の要件である資産、稼働能力、扶養義務者の援助、そのほかあらゆるものの活用を行ってもなお生活に困窮する場合には、生活保護の適用があり得る。その生活保護が適用されるというのは、入院、施設入所の場合であるというのですが、その入る恒常的な施設がない。  ホームレスというのは、文字どおり、家が、住むところがないわけでございますから、そういう状態をいつまでも見過ごして放置することはできないわけでございまして、そういうところにこそ、細かい、血の通った行政がないと、それがどんどん積み重なっていって、大きな問題のときに血が通わなくなるというか、人の気持ち、痛みをくみ上げられないということになっているのではないか。今日の厚生行政の基本の問題点の一つには、そういう小さなことは事が起こるまで私どもの関係ではありませんというような姿勢があるのではないかと思います。  細かい数字ではなくて、こういうことに対して、厚生大臣が一議員として、また大臣としてどのように思っていらっしゃるか、簡単にお考えをお述べいただければと思います。
  18. 菅直人

    菅国務大臣 ホームレスの問題は、私も東京生活しておりまして、駅の地下道などでそういう皆さんをお見かけするケースが多いわけですが、一つは、本当にいろいろな施策が十分でないためにそうなっている人たちに対してはいろいろな手当てを尽くさなければいけないというふうに思っております。同時に、本人があるいは何らかの理由で定住的な生活をすることを、場合によってはそういう生活よりも、フリーと言ったら変かもしれませんが、ある意味ではそういう生活の方が自由でいいというふうに思っておられる方も若干おられるのかもしれないという気も率直なところいたします。  そういった点で、行政が画一的に対応できる問題かどうかは別として、やはりそういう皆さんに十分その状況を、話を伺いながら何らかの対応をしなければいけないというふうに思います。  ちょっとこれは話がそれますが、せんだって、実は阪神・淡路からの関係で、ある公園に座り込まれて、生命保険の猶予が切れるまでには何とかしてほしいみたいな議論があって、与党三党の皆さんに御努力いただいた話も、私も若干個別的に話を伺ったのです。  やはりこういう問題は、そのときも厚生省あるいは大蔵省に聞いたら、行政に聞くと非常に画一的な返事しか返ってこないというのを私も実感しておりまして、そういう点では、行政そのものも変わらなければいけないと同時に、そういうものを受けとめるそれぞれの政治家も十分受けとめて、行政をそれに合わせて動かすような努力もそれぞれの立場でしなければいけないな、そんな感じがいたしております。
  19. 田中眞紀子

    ○田中(眞)委員 ありがとうございました。ぜひ意にとめていただきたいと思います。  本論に入ります。  これはちょうど平成六年の十月でございましたけれども、私がその前に当選いたしましたときに、きょう御出席いただいております諸先輩も御一緒でございましたが、たくさんの諸先輩の御指導をいただきまして、御協力もいただきまして、中国の残留邦人の帰国促進に関する法律が議員立法されました。あれは平成六年の十月二十七日の閣議だと思いますけれども、私が閣僚をさせていただいておりますときに村山内閣で閣議決定いたしましたときには、本当に感動いたしました。  それから一年と五カ月が経過をいたしておりますけれども、今まだ、苦情といいますか、いろいろな報道やら投書、手紙をいただいております。そして、厚生省ももちろん前向きで頑張っておられますし、ことしも三十二億でしょうかの予算がついていると聞いております。  実際、この法律をつくりました基本の理念は何かと申しますと、身元引受人とか民間ボランティアに乗っかっていくのではなくて、日本の国策によって旧満州に送り込まれた人たちの、その影響で、そして中国の方々の愛情もあって、今日まで戦後五十数年たっても元気にこうして暮らしていられる方々の望郷の念とか、戦争の被害者としての皆様を救済するべきだ。人の心の痛みにも手を差し伸べるべきではないか。国の立場で、国が責任を持ってその対応をしてさしあげるべきだ。  当時で、中国の奥地も含めてですが、たしか約二千人近い方たちがいらっしゃるということだったわけです。ところが、今現在、また厚生省の悪い癖が出てきたのかどうか知りませんけれども、親族の意向を確認しないとだめだとか、いろいろ難色を示して帰してもらっていない。  それからあとは、帰国後、養母を日本へ迎えたい。普通、残留孤児の方、皆さん五十歳以上という方が多いわけですが、自分が引受人になりたいと言っているのに、年収が日本で五百万円以上ないじゃないか、だからあなたはなれませんので帰ってこられませんとか、熊本県のケースでございます。  それから、これは山形県の県議団からじかに私が伺った話で、私のところに陳情に来られたのです。所沢のような定着センターを山形県としてつくりたいということを言って、補助金もぜひ欲しいということを厚生省に再三陳情しているのだけれども、そこは厚生省の出先機関ではないからだめだといって却下されてしまった。本当に冷たい対応をされている。  せっかく法律ができても、仏をつくって魂を入れずという言葉がありますけれども、時間がたってくると、だんだんと初めの志と違った方向に行ってしまっている。就労の問題とか就学の問題とか、御本人が、言葉のハンディキャップがありながら、高齢であるというハンディキャップもありながら何とか日本で自立できるように見守っていく、そのためにきめの細かい対応をしていくということが目的であったにもかかわらず、まだまだたくさんこういうことが言われてきております。  細かい数字等は、私は事務方からいただいておりますし、あれですが、一番伺いたいことは、戸籍の回復について、事務方の援護局の方で結構ですけれども、どういうふうな努力をなさっているか、ぜひ教えていただきたいと思います。
  20. 佐々木典夫

    ○佐々木(典)政府委員 残留孤児の方の中で日本の国籍を持っていない方についての就籍というのは、日本で定着していく上でも大変大事なことでございますので、法務省とも相談をしながら、就籍にかかる費用については国費で計上して、その取得を容易にするということでかねてから取り組んでまいってきているところでございます。
  21. 田中眞紀子

    ○田中(眞)委員 今現在、厚生省からきのりいただいた資料ですと、残留邦人と言われる方は千七百四十五名前後というふうに聞いておりますけれども、戸籍回復のために具体的にどのような努力をなさって、何名ぐらいの方が戸籍を獲得なさったかという数字を挙げていただけますか。
  22. 佐々木典夫

    ○佐々木(典)政府委員 これまでの孤児の方で就籍の実績は、七百六十名程度の方について就籍をしていただいてきておるというところでございます。
  23. 田中眞紀子

    ○田中(眞)委員 それから、日本に帰られましてから亡くなる方もいらっしゃいますね。そういう方々が、戸籍の関係もあるのでしょうけれども、お骨がどのように――身元引受人にならない、あるいは家族がそれをどうしても名乗り出たくないという方もやはりいらっしゃるわけなんですね。そういうときに、お骨等の処理とか、そういうことはどのようにしていらっしゃいますか。
  24. 佐々木典夫

    ○佐々木(典)政府委員 身寄りのない方で亡くなられた方の墓地等の扱いでございますけれども、基本的には、日本へ帰ってこられて亡くなられた方で身寄りも特にないという方については、通常、ボランティアの方々の御協力をいただきながら対応しているというのが実際でございます。
  25. 田中眞紀子

    ○田中(眞)委員 ですから、ボランティアの方も、お骨までをお世話しようと思っていないという方もおられるのですが、そういうときに国が全然機能しないではないかという話をよく聞きますが、そこを具体的に御説明いただけますか。
  26. 佐々木典夫

    ○佐々木(典)政府委員 十分な把握ができていなくて恐縮なんでございますけれども、ボランティアの方々の御協力をいただいて、そういう意味でのお骨の受け入れということでは、全国で今三カ所ほどで対応しているというのが実情でございます。
  27. 田中眞紀子

    ○田中(眞)委員 具体的にはどこでしょうか。
  28. 佐々木典夫

    ○佐々木(典)政府委員 三カ所は、東京と山梨と福岡というふうに報告をいただいております。
  29. 田中眞紀子

    ○田中(眞)委員 これは基本的なことだと私は思いますので、このことについては質問を申し上げる可能性があるということをもちろん申し上げてありますし、日常、社会・援護局長の頭の中に入っていないということは、きめの細かい対応ができていないわけでございまして、つつつかれれば突然資料が出てくる。エイズ関係もそういうこともあったりしますが、言葉ができない、高齢で日本にやっと国費で帰ってこられたけれども、人間は生きているわけですから、苦しいことが日々起こるのですね。そのときに、国が地方行政とともに一人の人間の痛みというものを吸い上げるという対応がやはりできなければならない。役人の数も多いはずですし、そういうことについてはやはりしっかりと認識をして、チームをつくって連係プレーをしていただきたいというふうに思います。  そのほか細かいことはたくさんございまして、中国から帰ってこられて、中国にいたのだから賃金は安くていいじゃないかということを言われて悲しんでいる方とか、それから、定着センターでは三から六カ月、日本語の研修義務があるのだけれども、その後が、やはり自由に言葉が話せない、そうすると就学にも就労にもハンディキャップがあるわけでして、そういうときはまたボランティア、都合が悪くなると役所はボランティアと言うのだけれども、私たちは一体何なんですかということをおっしゃるわけです。こういうことも含めまして、菅大臣はどういうふうにお考えになられますでしょうか。
  30. 菅直人

    菅国務大臣 最近、「大地の子」というテレビ番組、もともとの本も私もちょっと読ませていただきましたが、本当に今、あの大変な混乱の中でまさに国に置き去りにされた皆さんが大変な時代を過ごされたということを考えますと、そういう皆さんをできるだけ国として受けとめていくということは重要だと思いますし、そういう点で、田中委員が平成六年に努力されたこの法律は大変大きなそういった気持ちがあらわれたものと思って、私も本当に心から敬意をあらわしたいと思います。  今いろいろな視点で、そういう点でせっかくのそういった思いが現在また薄れているのじゃないか、あるいは不十分じゃないかということをおっしゃいまして、確かにそれなりの努力はそれぞれの立場でしているのだと思いますが、ついつい、私が言うとあれかもしれませんが、ややお役所仕事的になって、自分の役目はここまでだということになりがちですので、そんなにたくさんの、何十万人という方ではないわけですから、いろいろわかっている数字で言えば、あと二千人弱ぐらいの方をどうするか、あるいは帰られた数千名の方をどう対応するかということですから、ぜひ私の方からも、十分そういう皆さん状況把握をしながら、場合によっては都道府県の協力をいただいたり、いろいろな方からいただきながら、本当にきめ細かい対応ができるように常に気配りをする、そういうことが必要なのかな、そんな思いをいたしております。
  31. 田中眞紀子

    ○田中(眞)委員 今、役人仕事というお言葉が大臣の口から期せずして出ましたけれども、こういう困っている方たちが行政の窓口に相談に行くと、役人が異動によってかわっているから引き継ぎが正確にいっていないのだというようなことをしゃあしゃあと言う役人さんもおられるそうですが、国家公務員としてそれは怠慢だと私は思います。そういう痛み、細かいこと、細かいことは本来役人というのは得意なはずですから、そういうことをきちっとやっていって、自分が税金から俸給をもらっているのだという自覚をみんなが持たないといけないというふうに思います。  制度に人間を合わせるのではなくて、これは医療福祉器具なんかもそうですけれども、ABC、SMLがあるからそれに足を合わせなさいと障害者に言うのではなくて、それが実態なんですが、きょうはそのことについては触れません、次回にいたしますけれども、その人の悩み、その人のサイズ、状態、症状に合わせて、投薬と同じように、器具もそうですし、こうした制度もあるわけですから、あとはすき間のところは人間がきめ細かく対応するべきなんです。  ですから、制度に人間を合わせるのではなくて、生き物の人間の実態に合わせるように政治が機能していかないと、政治不信というものは絶対に消えていかないと思います。こういうことを私ども三党、連立与党が手を合わせて、力をそろえてやっていく、政治家が行政を動かす、いいエネルギーを出していく、そういうことが本当に政治に対する信頼を回復することですし、こういう小さいことをなおざりにしたのでは絶対に政治はだれからも信頼されなくなっていってしまう。そういう認識を各省庁、特に厚生省や文部省には望みたいことなんですけれども、ビビッドにキャッチしていく、まめに動かす、生の声を出すということを末端までぜひ徹底していただきたいというふうに思います。  それから二つ目の質問でございますけれども、これは質問といいますか、私が今現在議員立法を目指しておりまして、六十数名の先生方からあっという間に御署名をいただきましたのですが、これまた役所の縦割り行政でありますのか、あるいは一部の議員さん、族議員さんか何かわかりませんが、そういう方々のちょっと、横やりでもありませんけれども、いろいろあって、いまちょっとのところでうまくいかないのですけれども、基本は、厚生省と文部省の両方に橋をかけるということを考えております。縦割り行政はだめだ、だめだといっても、実際に法律をつくって予算化して前へ出すというのが私は国会議員の仕事であろう、立法府の議員の仕事の本質であるというふうに常日ごろ考えております。  そこで、今私が考えておりますこの議員立法といいますのは、義務教育の段階の教員免許取得希望者あるいはしてしまった方に、それを遂行するにはもちろんいろいろな現場での御苦労もあると思いますけれども、介護実習を義務づけるということでございます。  それはいろいろな分野があります。授産施設もありましょうし、特別養護老人ホームもありましょうし、そのほかの養護施設がたくさんあるのですけれども、そういうところでもって自分が、実際に障害のある方たち、お年寄り、お年寄りは特殊ではありません、私たち自身が必ず年をとっていきますし、それから、健常者も何かで事故があれば障害者になりますから、障害者やお年寄りは私どもと同じスタンスなんですね。自分の問題であるということを健常者がとらえていかなければいけないわけですけれども、そういう視点を一番早く獲得するには、弱い立場で何らかの苦しみ、痛みを持っていらっしゃる方とともに一緒生活をする、介助のお手伝いをする、一緒に勉強してみる。そういう実際の経験をした人が教職員になることによって、人の心の痛みもわかる、日本の人づくりというものができてくる、そういう人が教壇に立つことによってこれから十年、二十年後の子供たち日本人も質が変わってくるのではないかというふうに思います。  ただ、それに関しては、厚生省の方では、実際の現場の養護施設等が、そういう研修生が入ってこられると現場が混乱するので困るというふうな御意見、それから文教関係でも、ほかのスタンスでもってなかなか大変かなという御意見があることは十二分に理解しておりますけれども、やはりプラスのエネルギーを出していくということが大事だと思います。  縦割り行政は、ついこの間の文部省と厚生省の関係でいきますと、エイズの問題で随分世間から言われましたけれども厚生省の課長さんであった方が国立大学の教授になったというような個人的な交流ではなくて、政策の面で厚生省と文部省が一緒に仕事をしていくというようなことはあってしかるべきだというふうに思いますけれども、こういうことについて、大臣、個人的でも結構でございますけれども、具体的なこういうことについてどうお考えになられますでしょうか。
  32. 菅直人

    菅国務大臣 教員の実習にこういう社会福祉施設で介護の研修というか実習を経験する、そのことは福祉理解を深めていただくという意味では本当に意義の深いことだというふうに思っております。  実際の受け入れということになった場合に、もちろん今いろいろな研修がいい意味で盛んになっておりますので、そういう点ではそれぞれの準備体制は組まなければいけませんが、私は、田中委員がおっしゃるように、そのことは十分に、受けとめられるだけのことはそれぞれ準備さえすればできると思いますし、このことは将来の子供たちあるいは社会全体に福祉の重要性を認識していただく上では大変積極的な提案だというふうに思っております。  もちろん、この問題は厚生省として受けとめるべきところもたくさんありますけれども、やはり教員の資格の問題になるようですから、それはそれとして文部省の方でもいろいろ議論がされるのだと思っております。  文部省と厚生省の協力といった問題、実はいろいろな面であることを私も感じております。今回のエイズ治療に対しても、やはり大学病院の御協力はいただかなければいけないといったような問題がたくさんありますので、このあたりは、必要な点は総理の御指導もいただきながら努力したいと思っております。
  33. 田中眞紀子

    ○田中(眞)委員 ありがとうございます。  先ほども冒頭に申し上げましたけれども、菅厚生大臣が登場なさったことによって、私たち国民が半ばあきらめかけていたような、エイズはもちろんですけれども、いろいろな私たちに身近な問題について光が差してきたなという思いがいたしております。私どもも及ばずながら一生懸命応援もいたしますし、勉強もさせていただきたいと思いますので、ぜひこういう政策にいろいろと御尽瘁いただきまして、御指導もいただきたいというふうに思います。  少し時間が残っておりますが、これで質問を終わります。ありがとうございました。
  34. 和田貞夫

    和田委員長 引き続き新進党所属委員の質疑を予定いたしましたが、質疑の申し出並びに御出席が得られません。  この際、暫時休憩いたします。     午前十一時二分休憩     午後一時二分開議
  35. 和田貞夫

    和田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。五島正規君。
  36. 五島正規

    ○五島委員 東西両裁判所から、このエイズの裁判問題について第二次和解案が提出されました。先ほど衛藤委員の質問に対しても大臣お答えになったところでございますが、七年を超える裁判の中で多くの原告の方々が既にお亡くなりになり、ようやく二次和解案の提出ということに到達いたしました。何としてもこの時期に和解成立を図らなければならないと考えているわけでございますが、大臣の御見解を改めてお伺いしたいと思います。
  37. 菅直人

    菅国務大臣 昨年の十月六日に、まず東京大阪の両裁判所から和解勧告が出されまして、その時点で、厚生省としても森井大臣のもとで和解協議に臨むということを決めていただきまして、その後、今日まで和解の場を中心にして協議が続いてきたわけであります。そういう中で、五島委員も御承知のように、二月十六日に、和解所見で述べられた国の責任を認めるという形で、その後の協議について国としてもさらに前向きに取り組んできたところであります。  そういった意味で、今回の第二次和解案というのは、そうした流れの中で裁判所が本当にいろいろなことを十分に検討された上で出されたものというふうに受けとめておりまして、国としても、和解による救済の実現ということを目指して、何とか関係者がこの第二次和解案で全体の合意ができるように、そのことを十分に念頭に置きながら対応していかなければならないと思っております。  本当に、水俣の問題は四十年もかかりましたし、いろいろなこういった課題が長い時間かかっておりますけれども、このエイズ訴訟も六年余というふうになっておりますので、この第二次和解案を大きく、重くそれぞれの立場で受けとめて、何としてもこの段階で和解による解決ということに一つの結論を導けるように私としても全力をさらに尽くしたいと思っておりますし、与党皆さんにもいろいろと御協力の方をよろしくお願い申し上げたいと思います。
  38. 五島正規

    ○五島委員 大臣のその御覚悟につきましては、与党協議して支援していきたいと思いますが、本和解案の中において裁判所所見としてお述べになられた文書の中に、  本和解による解決には、原告らHIV感染者のための各般にわたる福祉的救済のための具体的方策を全体として包括し得ないという限界があることは率直に認めざるを得ない。司法的解決の担い得ないこれらの役割は、本来、立法ないし行政が果すべきところである。 このように大阪裁判所指摘しているわけでございます。  そして、幾つかの点につき、裁判所は立法府並びに行政府に対し問題を投げかけているところでございますが、その中でも具体的に極めて大きな問題としてあるのが遺族方々に対する弔慰の問題でございます。  いわれのない社会的差別、しかも、あらゆる角度から見て本人に何ら瑕疵のない状況の中においてこうしたエイズの罹患という大変な状況におなりになり、しかも、いまだ医療の方法は十分に解明されていないという状況の中で、無念の中にお亡くなりになられた多くの方々がおいでになります。  これらの遺族方々遺族原告方々に対し、東西の裁判所とも、例えば東京裁判所は、「悲惨な死を遂げた被害者遺族の癒し難い無念さに深く思いを致し、これを慰藉するため、本和解とは別に、被害者への鎮魂慰霊措置を含め、最大限配慮」を求めているところでございます。  大阪におきましても、この問題につきまして、同様に、遺族原告は、亡きHIV感染者である夫や子あるいは兄弟の怒り、憤り、口惜しさ等に、自らのそれを重ね合わせて、これらを抱きつつ、深い悲しみの中に生きているのであって、これら遺族原告に対しても、社会一般により格段の配慮といたわりが向けられなければならない。 と指摘しているところでございます。  こうした、両裁判所思いというものがこの裁判の和解勧告の中に盛り込まれていない部分がある、それを立法府、行政府が責任を持って何らかの措置をしてもらいたいという裁判所の非常に切実な訴えがこの所見書の中に盛り込まれていると考えます。  こうした裁判所所見の趣旨に沿って、この遺族の無念さをいやすための何らかの弔慰の事業あるいは弔慰措置というものを実施すべきであるというふうに考えるわけでございますが、そのことについて、厚生省、具体的にそれを検討していかれるのですか。  先ほど衛藤委員お話に対し、検討の方向というお話でございましたが、このことについては、この裁判所見をどのように受けとめていくかという基本的な問題だと思います。そういう意味において、その内容については、原告の皆さん方とも、あるいは裁判所とも協議しなければいけないことがあるかもわかりません。しかし、その方向について、慰霊の事業あるいは慰霊措置ということについて、具体的な方向での検討を開始されるのかどうか、そのことを一言明確にお答え願いたいと思います。
  39. 菅直人

    菅国務大臣 先ほどの衛藤委員の御質問にもお答えしましたように、私も、この裁判所所見の中で述べられた遺族皆さんの本当に厳しい状況の中での、何といいましょうか、そうした経緯について、そのことを大変重い問題として受けとめております。そういった意味で、この裁判所の第二次和解案あるいは所見に述べられた、五島さんの方から今読み上げられたところに述べられた非常に重要な指摘については、国としてもまさに最大限配慮をするという立場をとるべきだと考えております。  そういった意味で、この和解そのものの議論あるいは和解から引き続く議論、いろいろな形があろうかと思いますが、まさに東京大阪の両裁判所指摘をされた遺族皆さんへの弔慰の意のあらわし方については、原告の皆さんあるいは与党関係者皆さんにもいろいろと御意見をいただきながら、厚生省としてもそのあらわし方については重要なものと受けとめて十分検討していきたい、このように考えております。
  40. 五島正規

    ○五島委員 実施の方向で検討するという意思であるというふうに受けとめて、次の質問に移ります。  今回の裁判所和解案の中におきまして、HIVの罹患者治療費については具体的に言及されておりません。現行におきましては、血友病患者皆さん方が凝固製剤によって感染したHIVの治療費は血友病患者の研究費によって措置をされているところでございますが、現在既に同じ血液製剤によって感染した第四ルートの患者さんの存在も明らかになってきております。また、既に血友病患者さんからの二次、三次感染者、すなわち配偶者等の問題も明らかになっているところでございます。  そういう意味におきまして、こうした形で感染、発症したあるいは感染した患者皆さん方に対する治療費の問題についてどのようにしていかれる予定なのか。これは明らかに、裁判所が触れていないということは行政の判断に任すということであるかというふうに考えるわけでございますが、その点についてどうお考えか、お伺いしたいと思います。
  41. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいまお尋ねの二次、三次感染者の方々につきましては、裁判所和解案におきまして、その感染原因の証明をまって順次本和解の対象とすることとされておるわけでございます。また、その医療費につきましては、第二次和解案におきまして、国が原告側と本件和解後引き続き協議を行い、適切な措置をとるよう努めることとされておるところでございます。  私どもといたしましては、この二次和解案を踏まえまして、今委員からお話のございました、血友病以外の疾病の治療のために血液製剤を使用してエイズウイルスに感染をした患者方々を含めまして、いろいろ問題もございますけれども、現在種々の角度から検討を行っておるところでございます。
  42. 五島正規

    ○五島委員 既に具体的に患者の発生が明らかになっているところでございます。時間を切ってこの結論を得るように努力していただくことを重ねてお願い申し上げておきます。  また、今回の和解案の中におきまして、行政の行ってきた措置について引き続き行政が行うようにということに書かれている部分がございます。健康管理手当の部分などがまさにそのとおりでございます。また、本来行政が判断すべき、あるいは学界のコンセンサスを得て行政が決めるべき部分についても、裁判所のところにおいては非常にあいまいな表現になっている部分がございます。例えば発症の時期等々の問題でございます。  これらについて、この裁判和解の中においてどのように扱われていくのか、今後この問題は裁判和解成立後引き続き国内外におけるコンセンサスあるいは状況を判断して決めていくということになるのか、その点についてお伺いします。
  43. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、エイズを発症しているか否かにつきましては、我が国におきましては、先生御承知のとおり、エイズのサーベイランス委員会が定めた診断基準によりまして判断をすべきものと考えております。CD4二百以下であることをもってエイズの発症ということにはなっておらないわけでございます。裁判所が、これまでの和解協議を踏まえまして、原告、被告双方の意見をさまざまな点で深く考慮され、今回、第二次和解案におきまして、エイズ発症者に対しまして一人当たり月額十五万円の健康管理手当、これは仮称でございますが、これを給付することにされておるわけでございますが、裁判所におきましてもこのエイズサーベイランス委員会の診断基準を前提にしているものと考えておる次第でございます。
  44. 五島正規

    ○五島委員 現行の我が国のシステムがサーベイランスの基準をもって発症ということにしていることはそのとおりでございますし、裁判所がそのような現状に沿って和解勧告をお出しになっているということは認識いたします。  しかし、基本的に、発症の問題あるいは健康管理手当の支給をどの程度までやることによってその患者さんの予後に大きく改善があるかという問題は、医学的な知見に任されなければならない問題でございます。加えまして、エイズというのは免疫力の低下が病気の本態であり、免疫力の低下によって起こってくる、通常においては起こり得ない日和見感染症、特殊な日和見感染症の発症をもって日本の場合はサーベイランス委員会が発症としているという内容であることは、もう厚生省も御承知のとおりだと思います。したがいまして、この点については当然将来的な検討はあるということであるというふうに考えます。  また、この問題と関連いたしますが、エイズ治療及び研究体制の問題でございます。  この点は、裁判所和解案の中においても詳しく言及されているわけでございますが、既に前の本委員会におきまして厚生省の方からも治療研究のためのセンターの問題、あるいは全国的にエイズ被害者あるいはエイズ患者治療拠点病院の問題についてお話ございました。これが各個ばらばらにつくられるということでは困ります。我が国におきましては、幸いにしてエイズ患者さんはまだ少ないわけでございますが、しかし、この病気の深刻さ、周辺諸国の状況を考えますと、早急にこのエイズ治療研究開発というものが求められます。  そのために、医学の世界においては何よりも症例が科学的にきちっと集中されるということが大事でございます。そういう意味では、治療研究センターと、それとネットワークを組む形で各ブロックにおいて、エイズ患者さん、HIVでエイズに罹患した患者さん、そういう方々が、単にエイズ治療できる感染症科があるということでなく、その患者さんがあらゆる疾病をお持ちになったときにも対応できる、そういうブロック的な拠点病院整備というものが欠かせないと考えます。そして、そのブロック的な拠点病院とさらに厚生省が指定された各地域に分散する拠点病院との間、こうした三段階のネットワークというものが極めて重要であり、その間における治療経験あるいは治験ルートを重ねていく等々の措置がされる必要があるかというふうに考えますが、その点についてどのようにお考えでございましょうか。     〔委員長退席、鈴木(俊)委員長代理着席〕
  45. 菅直人

    菅国務大臣 まず、この間、御承知のように拠点病院整備を続けているわけですが、三月四日現在、全都道府県において百八十一の医療機関がこのエイズ拠点病院として選定がなされております。  五島委員の方から、せんだってに引き続いて、ブロック的な形の中で、ある意味では拠点病院の中のさらに中心的な病院整備することが重要ではないかという御指摘をいただいておりまして、これについてはまだ具体的な案というところまではいっておりませんが、一つの重要な考え方として検討をさせていただきたいと考えております。  そして、特に今御指摘のありました、つまりは、エイズそのものの感染症の治療以外に、いわゆる免疫低下に伴ういろいろな病気についてそれぞれの科が連携して総合的に治療が行えるようにする、このことの重要性も御指摘をいただいて、十分認識をしているところであります。  このための一つの手だてとして、平成八年度予算案、現在御議論いただいている予算において新たに計上した医療従事者に対する実地研修などでは、各科連携に重点を置いた研修を行うことにより、総合的なエイズ診療の推進に努めてまいりたいと考えております。もちろん、こうした研修ばかりではなく、現在既存の総合的な病院にもこうした形での連携が図れるように、研修や指導あるいはいろいろな形でそのことが実現するように全力を挙げていきたい、このように考えております。
  46. 五島正規

    ○五島委員 あわせて、これはかつてエイズ全廃問題について本委員会の中においても議論され、また一部実施されてきたところでもございますが、エイズそのものの全国的な感染の増加というものを防ぐためにも、やはり感染された方あるいは感染の危惧をお持ちになった方々に対するカウンセリングというものは極めて大事でございます。また、感染者・患者さんの心理状態というのは、今日においてもまだ治療の方法は確定していないということでもって、心理的には大変不安定な状態にあることは御案内のとおりでございます。そういう意味におきまして、これら拠点病院におきまして、あるいはブロック拠点病院におきまして、この患者さんないしは感染可能者に対するカウンセラーの役割というのは非常に大事だというふうに考えるところでございます。  厚生省の方としても、こうしたHIVの感染者に対する、あるいはHIVのカウンセラーの養成ということについてはさまざま努力してこられたところでございますが、HIVの感染者・患者さんの心理状態を含めて最もよく理解されているのは、例えば、今回問題になっておられます、原告におなりになりましたが、やはり遺族方々あるいはお元気でありまだ十分に社会活動可能な感染者の方自身だろうというふうに私は思います。  私は、慰霊事業の一つとしても、そういうふうな方々が、二度とこうしたエイズが広がっていかないために、あるいは、みずからが自分の最愛の肉親をおみとりになってきたその経験を生かして今後の日本エイズ対策に大きな役割を果たしていただくという意味も含めて、その点についてぜひ厚生省も前向きに御検討いただきたいということをこの場をかりてお願い申し上げておきます。  次に、和解にようやく到達しました今回の事件の問題でございます。  私も、経過について、一体何が大きな原因なのだろうかということについていろいろと調べてみました。その中で、最近になって出てまいりました厚生省の資料というものが、どうも全体の流れからいうと非常にその一部であって、事実関係からいうと何かその一部だけが取り出されているのかなという疑惑を持つわけでございます。  これまでも、薬務局長の委嘱事業として血液研究運営委員会というのが昭和五十年ぐらいからずっと持たれてきているはずでございます。現在も続いているはずでございます。そして、血液研究運営委員会のもとにおいてそれぞれの研究テーマが整備され、そして、その研究委員会において、研究目的、研究期間、それに配賦すべき予算案が決定されているようでございます。  昭和五十八年の七月二十日に血液研究運営委員会が開かれまして、五十七年度の研究成果についての報告を聞いております。その中におきまして、現在問題になっております安部英さんの五十七年度の研究テーマは、凝固線容異常症に対する血液製剤の応用に関する研究というテーマでございまして、これはわかりやすく言えば、血友病患者に対する血液製剤の応用に関する研究ということなのだろうと思います。  その中で、目下の血漿分画製剤の有効利用方策、エイズ対策、新しい採血の基準設定の重要性などを指摘され、そして「安部さんの報告書のなかに、わが国の血友病患者の中にも免疫欠損あるいは異常症がみられるとの項に注目した。これはAIDSと関係あるのではなかろうか。」と考えたというのが、大阪赤十字センターの名誉所長の田中正好さん、この当時の研究運営委員会のメン八一の文章の中にございます。  そして、同じ年の十月十七日に五十八年度の研究計画の会議が開かれています。そのときに十の研究テーマが決められ、その八番目に、やはり安部さんが後天性免疫不全症候群の実態把握に関する研究として委託研究を受けておられます。  これは血液事業に関する一連の研究であり、この血液研究運営委員会というのは、この委託研究のレフェリー機関として設定されております。  ところが、一方におきまして、六月十三日に、すなわち五十七年度の研究報告が出される前に、厚生省にAIDSの実態把握に関する研究班が実施され、七月十八日に第二回、十月に第三回の研究班が既に並行して存在しています。そして、その五十八年十月十七日になりまして、この後天性免疫不全症候群というのが、エイズという言葉と違うだけで、同じ研究テーマの委託、研究を受託した形になっています。  これは中身としては非常に混乱してくる内容でございまして、一方は血液事業を中心とした運営委員会、一方は本来の目的から言えばエイズの感染を防止するための研究会であったものが、そこで同じものにすりかわって、しかも、十月十七日の血液研究運営委員会のその当日の議論の中におきましても、エイズ対策の緊急課題としていわゆる国内血への切りかえあるいはクリオ製剤への切りかえということについてさまざまと主張されたのでございます。また、外国で、イギリスのヘモフィリアセンターがクリオでやっている、そういうふうな事例等々も挙げておられる。そういうふうなことを主張したけれども、結論的に、クリオなんて時代おくれですよとの言葉で打ち切られた。そして、会議を終えて会場を出るとき、たまたま肩を並べた郡司課長が、時代おくれと言われちゃねと一言ささやいて云々というふうな表現もございます。  すなわち、血液事業の研究委員会の中にいつの間にか一緒にしてしまったところに、本来の目的が、知らぬ間にといいますか、エイズ対策から血友病の治療方法として何が一番合理的で、何が一番治療しやすいかという議論にすりかわっている。これが、研究班の結論でもございますように、要するに濃縮製剤の方が便利だ、クリオより便利だという、当たり前ではあるけれども、そこにはエイズの対策をどうするのかということを全く配慮されていない結論としてなってしまった。すなわち、もともとは二つの研究班があったはずなのが、班長を一緒にして重ねてしまった結果、その目的の追求がわからなくなったというのが真相ではないかというふうに考えるわけです。  血液研究運営委員会というのはいつから開かれて、そして毎年どれぐらいの予算があって、そしてどういうメンバーがその間レフェリーをやり、どういう人々が研究委託を受けておられたのか、その一覧をお出しいただきたいと思います。また、今私が考えた疑問について、現在判明しているところについて御説明を願いたいと思います。
  47. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいまお尋ねのエイズ研究班の性格でございますが、今委員からお話がございましたように、これは厚生省内の調査プロジェクトチームの中間報告にもございますように、本研究会がサーベイランスというような側面、それから血液製剤の使用という両方の任務をしていたことについて、これが適切であったかどうかというようなことについての議論のあるところというふうに考えておるわけでございます。  今お尋ねがございました血液研究運営委員会でございますが、これは、この運営要領というのが昭和五十四年に施行されておりまして、ただいまお話がございましたように、運営委員会の業務といたしましては、厚生科学研究費補助金の血液研究事業費の補助対象となります研究課題あるいは研究者の選考並びにそれぞれの課題に対して補助しようとする研究について審議を行うことが一点でございます。それから、研究費の事業実績、すなわち研究成果でございますが、この審査に関すること等がその業務とされておりまして、運営委員会は十五名以内の学識経験者によって組織をされておるわけでございます。学識経験者あるいは関係行政機関の職員から成っておるわけでございます。  今お尋ねの昭和五十八年のことでございますけれども、これにつきましては、今委員お話しのとおりでございまして、昭和五十八年十月十七日に血液研究運営委員会が開催をされまして、そこで五十八年度の研究計画、これは十テーマがございましたけれども、それについての審議が行われておるわけでございます。この中にAIDSの実態把握に関する研究、安部班長の研究計画も盛り込まれていたわけでございます。  この研究班は、お話がございましたように、六月に第一回会合を開催したわけでございまして、十月ということでずれておるわけでございますけれども、これにつきましては、当時の事情を調べてみましたところ、エイズ問題というものが非常に重要だという当時の生物製剤課の認識もございまして、できるだけ早い時期に知見の回収をしたいという必要性から、その他の研究よりも先行して、運営委員会より前に会合を開催したというふうに理解をいたしておるところでございます。
  48. 五島正規

    ○五島委員 厚生省が六月十三日にAIDSの実態把握に関する研究班を安部さんを中心にしておつくりになって、既に三回の討議、これは先日出されました資料の中にも会議録がございます。それが十月十七日になってみて、血液研究運営委員会の研究の研究小班の一つにそれをそのまま繰り入れていく、一体どういうふうなことなのかということについて、今の御説明では理解が得られないわけでございます。  加えまして、そういうふうな状況の中では、本来の目的は何だったのかということはわからなくなっていく。このレフェリー会議である血液研究運営委員会の議論の中においては、明確に、エイズの緊急課題というものは遠くへ退けてしまって、クリオなんというのは時代おくれなんだということの中で、我が国の献血量そして外国からの輸入量の中においてどういうふうに合理的に製剤をつくっていくかという議論が中心になったというのが書かれているわけですね。これは、研究テーマはすりかわっているわけですよ。そこのところが私は非常に大きな問題だということを申し上げているわけでございまして、その間の経過についてもっと明らかにしていただきたい。  あわせて、この研究運営委員会の中で、安部さん自身がレフェリーでありながら研究班の班長として何回にわたって委託研究を受けておられるのか、あるいは、郡司課長が退職され東大教授になられてから、この研究班の一つの班長として研究事業に参加しておられますが、何回にわたってこの研究運営委員会の研究班としての研究委託を受けておられるのか、お教えいただきたいと思います。
  49. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 今お尋ねの研究運営委員会でございますが、この目的は血液研究事業の研究活動あるいは成果の審査、そういったことについて目的を持っておるわけでございますが、今委員からお尋ねがございました研究班の責任者がまたこの運営委員会委員にもなっておるということにつきましては、その後、人選を改めたということでございまして、今後、運営方法等につきまして検討を加えまして、研究が適切に遂行されますように努めてまいりたいと考えております。
  50. 五島正規

    ○五島委員 安部さん、郡司さん、委託研究を何回受けていますか。
  51. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいま確答できませんので、また調べて御報告をさせていただきます。
  52. 五島正規

    ○五島委員 今資料がないようでしたら調べて報告していただきたいと思いますが、これで見ている限りにおいては、非常に研究者が少ない部門であるということは認めるにしても、特定の人が非常に長期にわたって研究費を受け取られている。そのあたりで、厚生行政、特に血液行政と学界とがそういう研究費という面をめぐっても非常に大きなつながりがあったということが理解されるわけでございまして、この中で、なぜ本来の目的であるエイズの感染予防をするために云々という原則を持った研究班が途中で変質をしてこういうことになってしまったのか、そういうことがないためにも、これからどう変えていくかということについては極めて重要だろうというふうに思っています。  先ほど申し上げました私の質問については、後刻資料としてぜひ提出をお願いしたいと思います。  次に、こうした問題の一番大きな問題として、血液事業全体の問題がございます。  現在もなお、アルブミンに直しまして国内において賄われている血液製剤量というのは三〇%ぐらいかというふうに考えます。残りは、国外からの輸入に頼っているわけでございます。  しかし、実はこの事件が起こる以前、昭和五十年の四月十七日には、血液問題研究会が意見具申をして、血漿分画製剤は今後すべて献血によって製造されるべきであるという具申をしています。また、昭和六十三年の十月、十二月には、衆参の当時の社労委員会が決議をもって、凝固因子製剤を献血血液により完全供給できる体制を早急に確立するなど、血液製剤の国内自給の促進のための体制整備するように決議をいたしております。そうしまして翌平成元年の九月五日には、新血液事業推進検討委員会の第一次報告におきまして、本検討委員会として改めて献血による血漿分画製剤の完全自給のための取り組みを求めるというふうに報告をいたしております。さらに、その次の年に、厚生省の通達をもちまして、血漿分画製剤原料血漿確保対策について、すべての血漿製剤を献血により確保するという目的達成に向けて進めることとしました、厚生省では今後国内自給に向けて具体的な対策を講じることとしますというふうになっています。  現在、凝固因子からグロブリン、アルブミン、三段階あるわけでございますが、それぞれの部分における輸入血の比率についてお教えいただきたいと思います。
  53. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 血液製剤の国内自給の問題でございますが、これにつきましては、輸血用の血液製剤あるいは血漿分画製剤のりちの血液凝固因子製剤、これは一部の特殊な製剤を除きますが、そういったものについては国内献血により自給が達成されておるわけでございます。  今お尋ねのアルブミン製剤それから免疫グロブリン製剤につきましては、血液製剤使用適正化ガイドラインを作成いたしましてその普及を図っておるところでございますし、また、輸入製剤よりも献血由来の製剤を優先的に使用するということで、医療機関等に対しても協力を要請しておるところでございます。そういった結果、自給率は徐々に高まってきておりまして、平成七年におきます自給率は、アルブミン製剤が二四・一%、免疫グロブリン製剤は四〇・四%となっておるところでございます。
  54. 五島正規

    ○五島委員 上がっていったといっても、まだ国内におけるアルブミンの自給率は三〇%を割っている、免疫グロブリンにおいてもまだ半分に達していないという状態でございます。  そして、さまざまなウイルスによる感染の危険性からいえば、理屈の上からいえば、凝固因子が一番危険性が高い、そしてグロブリン、アルブミンという形で、処理の過程からいえば常識的には判断されるわけでございますが、アルブミンについても、加熱をして、しかもエタノール処理をしたアルブミンについてすらこれが必ずしも安全ではないということは、今年の初め、バイエルでございましたか、製剤メーカーの名前はあれですが、ヤコブ病などのそういう患者さんから採血した血液ということで回収があったことは記憶に新しいところでございます。これはウイルスなのか、それとも感染性たんぱくなのか、非常に不明確で、まだよくわかっていない病原体ということしか現状では言いようがないわけでございますが、こういうふうなものが理屈の上ではアルブミンの製剤の中においても混入する危険性がある、そういう状況にございます。そうすると、何としても血液製剤の安全確保というのは、いわゆる化学薬品としての医薬品とは違った取り扱いが必要なのではないかというふうに考えるわけでございます。  最近、加熱により、ウイルスは六十度C、十時間加熱すればほとんど全部不活性化されるかのような誤解を与える報道が相次いでいます。しかし、ウイルスの中において、例えばリンゴ病なんかのように、加熱によって不活性化されないウイルスの存在も知られているところでございます。この問題について、加熱によるところの不活性化あるいはエタノール処理によるところの不活性化、いろいろ製品によって違うわけでございますが、今問題になっております凝固系因子について言えば、加熱だけの処理によって不活性化を図ろうとしているわけですが、一体これで安全と言えるかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
  55. 齋藤勲

    ○齋藤説明員 血液製剤は、ヒト血漿を原料として用いて製造するという性格がありますために、その時々の科学水準に応じた安全対策を講じましても、未知のウイルスの混入等により、予想しがたい健康被害の発生を完全に防止することが難しい面を有しているところでございます。  今先生御指摘のとおり、パルボウイルス、リンゴ病の病原体でございますが、これにつきましては、熱に比較的強いということで、加熱処理をしてもなかなか除去ができない。また、このウイルスが小さいという特性がございますので、ろ過をしてもなかなか除去ができない。血漿分画製剤につきましては、加熱でありますとか化学処理、ろ過、こうした物理的、化学的方法によりましてウイルスの除去、不活化をさまざまに工夫しておりますが、それでも完全にはできない状態にございます。  このパルボウイルスにつきましては、こうした状況にありますために、原料血漿のスクリーニングが望まれているところでございますが、これにつきましては、日本赤十字社におきまして、世界に先駆けてスクリーニング法を開発しまして、献血の血液の検査に導入することを検討しておりまして、これが実用化されますと、献血血液から製造された血漿分画製剤による感染の危険性も減少するものと考えているところでございます。     〔鈴木(俊)委員長代理退席、委員長着席〕
  56. 五島正規

    ○五島委員 もう一つ、今、血液製剤は加熱処理によって不活性化を期待をして、エイズなんかの場合は、今日では加熱によって不活性化することが知られているわけでございますが、されています。  問題は、その不活性化する場合に、現在、六十度Cで十時間とかいう形で不活性化されているわけですが、そうした長時間にわたって中温で加熱をするということによって、たんぱくの変性によって来るところのインヒビターの産出というのが問題になってまいります。当時の郡司メモの中にもインヒビターという問題で、空白の一週間という形で疑惑があるのだというふうにマスコミが言っていますが、我々から考えれば、インヒビターの問題というのは極めて深刻な問題だと思います。現在も、加熱製剤の中では当然インヒビターの問題があるわけでございまして、言いかえれば、凝固因子が効かなくなってくるという問題が当然あるわけですね。  そういうことを考えると、この加熱製剤にずっと頼っていくということは、将来的に非常に大量の、高単位の、凝固系といいますか、凝固因子を大量に投与していくしかないというふうな、倍々ゲームになってしまう危険性もあるわけなんですが、その実態についてどうなのか、インヒビターの問題を中心にお答えをいただきたいと思います。
  57. 齋藤勲

    ○齋藤説明員 凝固因子の加熱によりましてインヒビターが生ずるということが考えられるわけでございますが、一方、こうした問題に対応するために、遺伝子組みかえによります凝固因子製剤の開発も進められているところでございます。既に第Ⅷ因子につきましては実用化がされているところでございまして、その後も、その同様の製品の開発が別の企業によりまして続けられているというふうに聞いております。
  58. 五島正規

    ○五島委員 インヒビターの問題があるから遺伝子操作によっての薬品に変えていく、外国のメーカーはその方向を出しているということですが、これはやはり添加剤としてヒト由来のアルブミンに加えるわけでございますから、先ほど問題になりましたような形でのヤコブ病の問題等々の危険性はついてくることになります。そういう意味では、遺伝子製剤であるからといっても、血液の問題というものは非常に特別にきちっとした対策が必要だし、そして、採血者のリサーチというものもその安全性確保の上において非常に重要でございます。そういう意味では、国内血に切りかえていくということを何としても平成二年の通達にのっとった内容において進めていただきたいということをお願いしたいと思います。  最後に、時間もございませんのでお伺いしたいわけですが、常識的に考えて、なぜ、クリオがあのように否定されて濃縮剤にいってしまったのか、また、日赤等から、その危険な状況において、国内血由来のクリオ製剤に戻すようにという要請があったにもかかわらず、時代おくれだという形で医療のサイドがそのことに対して拒絶反応を起こしたのか。  あるいはもう一つ、不思議でならないことでございますが、八五年、加熱製剤発売後、非加熱製剤がまだ大量に売られたという事実でございます。これは、通常のルートで考えるならば考えられません。しかし、私は、例えば日赤がつくっていたクリオと濃縮剤との関係でいうならば、やはり値引き率の違いというものが当然あっただろう。クリオの場合は、単位が低いということでもって薬価も安い。その上、日赤製剤についてはほとんど値引きがない。一方、メーカーの濃縮剤は、五百単位とかそういう高単位である。だから薬価が高い。そこに五%、一〇%の値引きがあれば、その値引きが高いところに医療機関の選択がいってしまったのではないかということも一つはあるのではないかというように思います。  もう一つ、我々が非常に危惧しているのは、加熱製剤発売後も薬価の登載価格としては加熱製剤も非加熱製剤も同じ薬価であった。そのときに、薬価の値引きということがあったのか、なかったのか。これは、診療報酬の改定の都度、薬価調査をされているわけでございますから、この調査厚生省もされているはずです。その辺、薬価差額はその当時どうであったのか、八五年を中心にお知らせを願いたいと思います。
  59. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 当時の、昭和六十年の資料がございますが、この資料によりますと、第Ⅷ因子製剤、二百五十単位で、値引き率といいますか、これが一五・六%、それから五百単位が一二・五%でございます。一方、第Ⅸ因子製剤の関係は二%ということになっておるわけでございます。  これにつきましては、この第Ⅸ因子製剤の取引高というものが第Ⅷ因子製剤に比べまして著しく少ないというようなことの要因も考えられるわけでございますが、またこれは、血液製剤に限らず医薬品全般につきまして、当時の薬価差は二〇%を超えていたというふうに推定をされる状況でございます。  確かに先生のおっしゃるように、一二%から一五%ということで、これはマスコミ報道によっても値引きということも出ておりますが、私どもの方は、どの程度そういった要素があったかということについて、なかなか結論づけることは困難かと思いますが、数字の上では今申し上げたとおりでございます。
  60. 五島正規

    ○五島委員 第Ⅷ因子の当時の薬価は幾らですか。
  61. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 当時、第Ⅷ因子製剤、これは二百五十単位でございますが、六十年当時で二万四千百六十二円でございます。クリオにつきましては、百単位で七千七十円でございます。
  62. 五島正規

    ○五島委員 クリオが七千円で日赤の材料であるとすれば薬価差はゼロ、そして、二百五十単位の濃縮剤で二万五千円ぐらいで薬価差が一二%としますと約三千円ぐらいの薬価差が入る、そういうふうな状況の中でそういう薬品の選択があっても不思議はないと思います。ついでに申し上げておきますが、多くの公立病院で、医薬品の購入に対して現場の医師の意見を聞いてもらえないということがよくあることは御承知のとおりです。  しかも、もう一つ大きな問題として、今、第Ⅷ因子については、一つの薬価基準のもとにおいて一二%とか一五%とか、大きな値引き率をお示しになりました。これが加熱製剤と非加熱製剤が同率の値引きであったとは思えない。通常、血液製剤の値引き率というのは五%までというのが常識だと思うのです。それが、平均してそれほど大きな値引き率があったということは、どう考えても、私があえて邪推するわけでなく、やはりこれは加熱製剤に比べて非加熱製剤は大幅なダンピングをされたのではないかという疑いを持たざるを得ません。  そのあたりについて、厚生省の方で一段の調査をして、ぜひその結果を御公表いただけるようにお願いを申し上げたいと思うわけですが、このことはやはり、厚生行政がこの裁判の中を通じてまだし残している大きな仕事だと思います。その問題も含めた現在の医療全体のあり方、血液事業全体のあり方ともかかわる問題でございますので、ぜひその点について、菅大臣、最後にひとつ御決断をお願いします。
  63. 菅直人

    菅国務大臣 先ほど来、かなり専門的な面を含めて五島委員の方から御質問いただいておりましたが、今、薬価差益の問題、特に非加熱製剤が当時値引き率が相当高かったことがあるいはこの継続的な使用に影響を与えたのではないか、そういう御指摘もありました。一つ一つの事実関係は、現在調査をしているものも公表する中で、あるいはこういった議論を通してさらに明らかになっていくものと期待をいたしております。  同時に、今話のありました薬価の問題、特に薬価差益の問題というのは、私も、今回の問題にも影響したかどうかははっきりはいたしませんが、日本医療制度全体に与えているウエートというのは大変大きいものがあると思っております。そういった点で、今のような薬価基準の決め方がいいのかどうか。特に、私も、以前何か九〇%バルクライン方式というのが最近はまた加重平均とか、少し変わっているようですが、しかし、マーケットの値段を基準にして薬価を決めるというのであれば薬価差は本来発生しないはずであるにもかかわらず、ある意味では、薬価差が発生することがもう前提としていろいろ議論をされているという非常に矛盾した面も感じております。  そういった点で、薬価の決め方そのものが、あるいはマーケットの値段の調査の仕方そのものが今のようなあり方でいいのかどうか、この点は調べ方自体をもう一回再検討してみる必要があるのではないか。同時に、例えば薬価差がなければ経営が成り立たないといったような医療の実態がもしあるとすれば、その部分はまた別の形で診療報酬に適正な形でプラスする必要があるかもしれない。  ですから、薬を本来の目的で使うために、つまりは治療にプラスになるから使うということで使用するのはもちろんいいわけですけれども、薬価差益を得るためにたくさんの薬を使うというような実情があるとすれば、それはあるべきでもないし、また、そういうことがなくてもきちんとした医療が受けられるような仕組みにしていかなければならないのではないかと思っておりまして、そういう点で、五島委員の御指摘を重く受けとめて私たちも検討をいたしてみたい、こう思っております。
  64. 五島正規

    ○五島委員 質問を終わります。
  65. 和田貞夫

    和田委員長 枝野幸男君。
  66. 枝野幸男

    ○枝野委員 私も薬害エイズ問題についてお尋ねをさせていただきたいと思っております。  二次和解案が出た、それに対する評価については、私どもの党といたしましても、原告の皆さん思いが必ずしも一〇〇%かなっているものではなく、立法、行政に残された課題が大きいというふうに思っております。この点については、与党の一員として、政府とも協力をしながら、何とか和解とは別の形で残された課題解決したいというふうに思っております。  さて、これは和解の中の具体的な話ではございませんが、一種の恒久対策の一つの問題といたしまして治療薬の問題がございます。海外で、特にアメリカなどでかなり効果があるということが既に定評になっている薬が日本国内では使われていないという現実がございます。  去る三月七日に、そのうち四種類の薬品がいわゆるオーファンドラッグとして指定をされました。この指定をされた四つの薬だけでも、一日も早く希望している患者さんあるいは現場のお医者さんの手元に届くようにしていただきたいと思いますが、いつごろ、どんな手順で、どういった人たちにリトナビルを初めとする四種類の薬が届く見込みであるのか、御見解をお示しください。
  67. 齋藤勲

    ○齋藤説明員 従来から、エイズ治療薬それから関連の日和見疾患の治療薬につきましては、オーファンドラッグの指定を行いまして、開発費の補助、税制上の優遇措置、優先審査等の支援を行ってきているところでございます。  お尋ねのエイズ関連医薬品の3TC、リトナビル、インディナビル及び日和見疾患の薬でありますがンシクロビルにつきましては、三月七日の常任部会の議を経まして、四月一日付でオーファンドラッグ指定を行い、開発の促進を行う予定でございます。  これらの医薬品につきましては、それぞれの開発企業に対しまして治験の開始を急ぐように要請をしておりまして、このうち、インディナビルにつきましては二月十三日に治験届を受理いたしました。さらに、3TCについては三月中旬、リトナビルにつきましては四月に治験届が提出される予定であると聞いております。これらについては、五月中には患者を対象とした治験が開始されるものと考えております。また、ガンシクロビルにつきましても、五月を目途に治験を開始する予定であると聞いております。  また、服薬を希望する患者さんの方々が治験に参加する機会をできるだけ確保するために、製薬企業及び治験を実施する医療機関の御理解と御協力を得ること、また、患者方々の十分なインフォームド・コンセントをいただくことを前提に作成中の治験実施計画の目標症例を、従来、数十例程度でございましたが、今後、患者さんの御希望に沿えるよう数百例程度の多数にすることも可能にし、また、投与を希望する患者さんに行き渡るだけの十分な量の薬剤を確保することなどを企業要請しているところでございます。
  68. 枝野幸男

    ○枝野委員 きのう質問取りに来られた方とお話をした話と若干違うところがあるのです。希望する患者さんにきちんと行き渡るようにという数の問題ですが、きのり私が伺った話では、治験の対象にならない方についても、治験とは別に、治験開始とほぼ同時にこの薬を供給するようにしたいというような話だったのですが、どちらでございますか。
  69. 齋藤勲

    ○齋藤説明員 治験の中に、コアになります安全性、有効性をきちっと評価、判定する部分の治験、これと、これを補完するための一般的な臨床試験と二つの種類の治験がございまして、従来は、そのコアになる部分だけ済ませますとそれで治験を打ち切っていたわけでございますけれども、今回のケースにつきましては、その補完する部分の治験も積極的に受け入れるようにということで考えているわけでございまして、全体の枠組みとしては治験という枠組みの中で実施することになると考えております。
  70. 枝野幸男

    ○枝野委員 患者さんたちが大変心配をしておりまして、治験という枠の数で限られてしまうと、希望する人が例えば三百人いるところ二百で切られてしまうということになれば、今度、患者さんの中で要らぬあつれきが生じたりもいたしますし、今の御説明で、希望をすれば、これは患者さんとお医者様と両方うまく意見が一致したりしなければいけないという現場の問題もあるのだろうと思いますが、そうした現場の問題は別として、希望が現場からあれば必ず行き渡るという理解でよろしいでしょうか。
  71. 齋藤勲

    ○齋藤説明員 私どもといたしましても、そのようなことが実現することができるよう十分な薬剤の量を確保して実施するように、企業に引き続き要請をし、指導もしていきたいと考えております。
  72. 枝野幸男

    ○枝野委員 それからもう一つは、実際に現場に行き渡るだけの量があったとしても、現実にどこに行けばその薬を手に入れることができるのか、あるいはその薬を投与してもらえるのかという情報がしっかりしておりませんと、絵にかいたもちになってしまうと思います。こういった情報についてどのように公開をしていただけるのか、御説明をいただきたいと思います。
  73. 齋藤勲

    ○齋藤説明員 エイズ関連医薬品の治験の実施に当たりましては、委員指摘のとおり、患者方々が広く治験に参加することができるようにするためには、治験に関する情報の提供が重要であると私どもも考えております。企業からは、治験薬の概要でございますとか外国での使用状況、予定される効能、効果また予期される副作用、こういった内容の治験情報の提供を受けまして、これを一元的に管理し、医師及び患者に対して提供することができるよう努めていきたいと考えております。  具体的な方法といたしましては、医療機関に対しましては、エイズ拠点病院を経由して情報の提供を行うこととしたいと考えておりまして、また、医師等で構成されている患者さん支援のための団体に対しましても、このような情報を提供することによって周知していただけることになればと考えているところでございます。
  74. 枝野幸男

    ○枝野委員 大変結構なことだと思いますので、実際の運用がしっかりいくようにしていただくことと、それから、少なくともエイズに限らずオーファンドラッグの対象になるような、患者さんの数が少なくて情報も限られている分野については、こうした情報の公開ということを継続的にやっていくことを御検討いただきたいと思います。  それからもう一つ、今回は四つの種類の薬がオーファンドラッグの対象になって、これは何とか早期患者さんの手元に行きそうだという見込みに立っているわけですが、私の知っている限りでも、患者さん方から希望がある薬が現時点でも残り六つぐらいあるだろう。そして、このエイズに対する治療体制というものは研究が日進月歩で進んでいるというふうに聞いております。今後も新しい薬がどんどん、特にこれは患者さんの多いアメリカなどを中心に出てくるだろうという見込みが立っております。残された薬それから新しく出てくる薬についてどのように考えていらっしゃるのか、御見解をお示しください。
  75. 齋藤勲

    ○齋藤説明員 従来から、エイズに関する医薬品につきましては、オーファンドラッグの制度ができましてからはすべてオーファンドラッグとして指定をいたしまして、治験段階において相談、助成を行うとともに、承認審査におきましても、優先審査を行い、できるだけ早く承認を与えて患者さんに使用することができるようにしてまいったところでございます。  今回、オーファンドラッグに指定されました四品目以外のものにありましても、患者さんの要望の強いものにつきましては、本年二月から、製薬企業十社に対しまして治験の開始を早めるよう要請したところでございます。また、承認申請をされた後には通常は治験は中止されるものでございますけれども、こうした後においてもさらに治験を継続し、その医薬品の必要な患者さんが服薬できるような対応を今後とも企業の協力を得つつ行ってまいりたいと考えております。
  76. 枝野幸男

    ○枝野委員 ぜひオーファンドラッグの制度はどんどん活用していただきたいと思うのでありますが、ただ、現実問題といたしまして、オーファンドラッグに指定して治験をしていただいて市場に流していくという手順、これが本筋だとは思いますが、日本が幸いにもエイズ患者さんが非常に少ないという中では、このオーファンドラッグという制度を使ったとしても、製薬メーカーとしては、例えば輸入をして国内で販売をするということが採算ベースに合わないというケースは十分に考えられるだろう。そして、だからこそ今、製薬メーカーに治験を早めるようという依頼というか指示というか、していらっしゃるというお話がございましたが、なかなか製薬メーカーの方から治験をして売り出したいのでという話が出てこない。じゃ、その出てこないものを放置しておいていいのかといえば、たとえ商業ベースに乗らないような数であったとしても、エイズ患者さんが求める、そして少なくとも海外で有効性があるというふうな話が出ている薬については、可能な限り国内に入れて使っていただく機会をつくらなければならないだろうと思っています。  この商業ベースに乗らない薬について、オーファンドラッグではどうにもならない部分についてどういうふうにお考えになるのか、御見解があればお示しください。
  77. 齋藤勲

    ○齋藤説明員 マラリア等の熱帯病の治療薬のように、海外で感染をしまして国内に持ち込まれるといういわゆる輸入症例のような疾病につきましては、海外において販売が認められているけれども、国内では患者数が少ないということがあり、また、これを国内で開発をしようと思いましても、海外における開発時期が古いために海外において使うことのできるデータが存在していない、また、これを新たに試験を実施するとなると相当の費用がかかるということで国内開発を行う企業が存在しない、こうした薬剤も委員の御指摘のとおりございます。  厚生省におきましては、こうしたケースにつきましては、研究費を用意いたしまして、このための特別の研究班を編成し、薬剤提供を行っている状況にございます。  エイズの医薬品につきましては、原則的には、医薬品としての承認を取得して安定供給を実現することが望ましいことでございますので、引き続き企業に治験の実施を働きかけていきたいと考えているところでございますが、関連疾患のりち特に日和見感染症の対症療法、その痛みでありますとか、悪い、不快な症状をとる、そういった対症療法の薬につきましては、開発を行う企業が国内には存在しない場合もあると考えておりますので、必要に応じて熱帯病に対して取り扱っておりますような研究班組織による薬剤提供も検討してまいりたいと考えております。
  78. 枝野幸男

    ○枝野委員 できるならば一般の治験というルートに乗せるのが原則であろうという厚生省の立場はわからないではないですし、そのことで努力をしていただくことも大事でありますが、特にCD4などの数値が日々下がっていてまさに発症しそうな状況患者さん、あるいはもう既に発症している患者さんなどの立場、気持ちを考えれば、どんなに迅速にやっても早過ぎるということはない話でございます。特に、今おっしゃられた熱帯病薬等と同じようなやり方をするということについて、ちゅうちょすることなく決断をすべきときにはしていただくことをお願いしておきたいと思います。  次に、いわゆる真相解明等の問題についてお尋ねをしたいと思っております。具体的な話については私もお尋ねしたいことがたくさんございますが、これは、ここまで来ますと当事者御本人にお話を伺わなければなかなか真相究明の話は前に進まないだろう。そういった点から、もっと本質的な部分を若干きょうはお尋ねをさせていただきたいと思っております。  今回の薬害エイズの問題につきましては、厚生省の中では郡司生物製剤課長が八三年の夏当時、担当の課長さんであった。そして一方では、安部英さんを班長とする研究班、学者の皆さんたちが研究班をつくられて、そこでも非加熱製剤の安全性について議論をしていた。そうしたところで、結果的にこの非加熱製剤を使い続けるという決断があったというか、そのまま流れたというか、そういったことで八三年の七月、八月、九月と過ぎていったわけでありますが、ここで判断をする責任といいますか、判断権といいますか、例えば非加熱は危険だからやめろとか、いや、非加熱も危険ではないから使い続けていいよとかという判断権はどちらにあったのでしょうか。安部さんの研究班にあったのですか、それとも、郡司さん、課長を中心とした、それに象徴される厚生省にあったのですか、どちらなんですか。
  79. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 安部研究班におきましては、当時のエイズに関する実態把握あるいはこの診断の基準等について研究をいたしたわけでございますが、その研究成果等に基づいて行政がどう判断していくかということでございますので、行政判断として何をなすべきかということは、当然、厚生省責任を持ってやるべきことだと考えております。
  80. 枝野幸男

    ○枝野委員 そうすると、こういう理解でよろしいですか。学者、専門家、要するに一種の科学の世界の話について研究班で調べてもらった、その調べてもらった科学的な知見といいますか情報といいますか、それを前提として厚生省が行政的な判断を下した、こういう理解でよろしいですか。
  81. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいまの私的な懇談会、あるいは中央薬事審議会のような厚生大臣の正式の諮問機関の例もございますが、そういったところには、政策等についての専門的、技術的な判断を必要とする場合、あるいは医薬品の承認等についての御意見をいただくわけでありまして、それに基づいて行政上の措置、これは政策遂行でございますから、厚生当局において行う、こういうことでございます。
  82. 枝野幸男

    ○枝野委員 きちんと整理しなければいけないと思っているのですが、この場合には、科学的に、科学的なものというのは政策判断の入らない客観的なものだと思うのですが、科学的に安全と判断するのか、しないのかという部分と、科学的な安全性に対する評価に基づいて政策的にどう判断するかというのが、二つあるのだろうと思うのです。  それで、例えば今回のエイズ研究班と郡司課長の関係の場合、郡司課長は科学的な安全性についても判断すべき立場だったのですか、それとも、それについては安部さん、研究班の方でやっていただいたものに基づいて政策判断をする立場だったのですか、どちらなんですか。
  83. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 なかなか難七いところでございますが、まず、安部研究班で、当時の最高の知見に基づいて専門的、科学的な判断といいますか考え方を出していただくという要請があったことは確かでございます。それを受けて、当時の生物製剤課がその意見を踏まえて行政上どのような対応をとっていくか、その科学的知見あるいは専門的な意見をどのように参酌をして、そしてそれを行政の遂行に活用していくか、これはまさに行政の判断の問題であろうというふうに理解をいたしております。
  84. 枝野幸男

    ○枝野委員 それでは、こういう聞き方をさせてください。  例えば郡司さんとか、それから当時の薬務局の持永局長とかが、科学的なことを判断できる力をお持ちだったのですか、お持ちでなかったのですか。
  85. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 少なくとも郡司課長におきましては、当時、外国の文献その他、相当程度の研究も、また勉強もされていたように私は感じておるわけでございまして、そういう意味では、行政的な判断、それからかなりの専門的な、科学的な判断もでき得る立場にあったのではないかというふうに考えております。
  86. 枝野幸男

    ○枝野委員 なぜこういったことをお尋ねしているかといいますと、要するに、例えば今マスコミ等で出てきている議論が非常に混乱というか、真相究明が非常に難しいというか、わかりにくくなっている。なぜわかりにくいのかといえば、その当時の判断、八三年の夏の判断というのが科学的に正しかったのかどうかという判断が一つあるわけです。そして、科学的な判断としてはやむを得なかったとしても、行政判断として正しかったのかどうかという二つあるのです。  そこのところが、特に郡司さんという方が今の御答弁のとおり科学者でもある、今は大学の先生をやっているわけですから科学者でもあるという意味で、科学的な判断にも絡んでいたようだし、しかし、行政官として行政的な判断にも絡んでいた。分けて議論をしていかないと、科学的な判断が誤りであったのだとすれば、そういった科学的な判断をする人選がよかったのかどうかという話になるわけですし、科学的な判断としては妥当だったとすれば、それに基づいた行政の判断が正しかったのかどうかという議論をしなければならない。二つが混在をしていて、当時、非加熱製剤が安全だったのか、安全でなかったのかという議論と、当時、その非加熱をとめるべきだったのか、とめるべきではなかったのかという議論を全部ごちゃごちゃにしているところに我々もわかりにくいところがあるし、ある意味では、そういったところをきちんと仕分けをしていないからこそこういった事件が出てくるのではないかという問題意識を持っているのであります。  では、こういうお尋ねの仕方をさせていただきましょう。  例えば、今回のケースに限らず、一般論で結構でございます。一般論として、行政が専門知識を要する判断の必要に迫られたときに、科学的な専門家にお願いをしていろいろ調べていただいて、その結果に基づいて行政判断をした、ところが、その科学的な判断自体に誤りがあった、過失があったというような場合には、これはどういうことになるのですか。行政がやはり責任を負うのですか、それとも、その科学的な判断をした例えば研究班とか審議会が責任を負うのですか。
  87. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 専門の研究会なり、そういったところで最高の知見、最新の知見に基づいて判断をするということについて、行政上はそれを当然尊重して対応していくわけでございますが、例えばそういった場合に行政上の措置厚生省として、あるいは厚生大臣として行うということになれば、それは専門的な知見あるいは考え方が万が  間違っておったという場合でありましても、その行政上の措置をとる主体が厚生省であれば、厚生省責任が出るというふうに考えております。
  88. 枝野幸男

    ○枝野委員 そういうことなんだろうとは思うのですが、例えば今回の安部研究班長については、私も何度か質問させていただいておりますとおり、ミドリ十字から自分の関連財団にたくさん寄附をもらっているとか、あるいはその財団に関連会社から出資をするようにということを安部みずからがかなり強く依頼をして、そのことで製薬メーカーの一部から厚生省にも苦情というか、何とかしてくれという話があったという事実、これはもう厚生省もお認めをいただいております。それによって、例えば今回のエイズ研究班の判断あるいは知見がゆがめられたのかどうかということについては、これから真相を明らかにしていく問題なんだろうと思っておりますが、そういったことのように、専門家であるということで行政が専門的な判断をゆだねた対象が、関連するところからお金をもらっていたりして、専門家でありながらその判断がゆがめられるという可能性というのがあることは、少なくとも今回のことで明らかになっているのだろうと思っています。そのゆがめられる可能性があることに対して何の予防策もとらないで、専門家だからということでお願いをしているという現在のシステムが果たしていいのか。  例えば、前回も若干指摘をいたしましたが、薬事審議会が薬についての中心的な外部の審議会であります。今回の安部さんのようなことを、つまり自分が薬事審議会で審査をする薬に関連をしている製薬メーカーに対して、自分の関係している財団とか自分の大学などの研究室などに寄附、献金を強要するというような今回の安部氏のようなことが行われ、あるいはそれがなかったら薬事審議会の中での意見で差別的な取り扱いをするというようなことが起こる可能性というのは、今回の安部氏のことで明らかになっているわけであります。それに対して何の措置もとらずに、その専門家を信じて、そして、なおかつその専門家の判断に基づいて行政が責任を持って行政判断をしていくということは危険じゃないでしょうか。まず薬務局長、いかがですか。
  89. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 中薬審の委員につきましては、この委員を委嘱する際に、薬事関係企業の役職員あるいは定期的な報酬を得ている顧問等についている場合には辞任をしていただく、委員調査審議に関しまして公正な立場を堅持していただく、それから、審議の公正さに疑念を生じさせると考えられるような特別の利害関係を有している方は審議に際しては退室をしていただく、そういった留意事項をよく御説明させていただいて、審議の公正が保てるように努めておるところでございます。
  90. 枝野幸男

    ○枝野委員 確かにそういうことをやっても、例えば今回の安部さんのようなケースは少なくとも防げないですよ。本人が構わないやと思ってやっちゃったら防げないのじゃないですか。  そして、今回のようなこと、安部さんのようなことが、例えば薬事審のメンバーが薬事審の審査の場であったとすれば、今回の安部さんのケースが、財団に金をもらっているということで判断をゆがめていたのかどうかということが本当かどうかにかかわらず、少なくとも公正を疑わせる行為であることは間違いないわけで、今の薬事審の中で今回の安部さんのようなことをする人が出てきたときに、それをチェックする手段あるいはチェックして排除する手段というのはおありじゃないのですよね。
  91. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいま申し上げましたように、委員を委嘱をお願いする際に、そういった点にはくれぐれも注意をしていただくようにしっかりとお話をさせていただいておりますので、中薬審の委員の方におかれては十分な留意をされておるというふうに考えておるわけでございます。
  92. 枝野幸男

    ○枝野委員 注意をして守っていただけるのであればだれも心配はしないので、現実に今回の安部さんは、中薬審とは違いますけれども、少なくとも公正さを疑われるような行動をとっている学者さん、それも大家と言われる学者さんが現に存在をするということが証明をされているのであります。そうした中で、きちんと注意してやっていただいているから大丈夫だろうというのであれば、それこそ、じゃなぜ中薬審の先生だけをそんなに信頼するのか、製薬メーカーそのものを信頼してもいいじゃないか、現場のお医者さんを信頼してもいいじゃないかということになって、逆に中薬審は要らなくなるのじゃないですか。なぜ中薬審だけ信頼できるのでしょうか。
  93. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 中薬審の委員というのは、薬事制度の重要事項を議論していただく、あるいは新薬の承認に携わっていただく、そういった意味で極めて重要な職務を担っていただいておるわけでありますから、各委員委員として活動をされる場合には、今申し上げましたような中薬審の委員としての職責の重さ、また公正さを保たなければならないという自覚を十分持った上で任務を遂行されているというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  94. 枝野幸男

    ○枝野委員 どうしてもそこに対するチェックを入れられないということになると、今度はこういう理屈になりますよ。  そうやって信頼をして物をお願いして決めてもらって、そこに公正を疑われるようなことがあったり、あるいは不公正なことがあったり、例えば今回でいえば安部氏が財団にたくさん金集めをしていた、関連企業から集めていたという公正を疑われるようなことがあった、そして、もしかするとこれによって今回の判断がいろいろゆがめられていたのかもしれない、ゆがめられていたとしたら、そのことまで含めて、そもそもチェックもせずにそんな人に物を頼んで、そんなおかしなことをする人に頼んで、それを信頼していること自体が行政として物すごい重大な責任ということになると思うのですが、いかがですか。それでよろしいのでしょうか。
  95. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 私どもの方は、かねがねそのようなスタンスで委員の先生方には十分御理解をいただいておるというふうに考えておりますし、その点の信頼もいたしておるわけでございます。
  96. 枝野幸男

    ○枝野委員 ということは、次に何か薬事審に絡んで、今回は薬事審じゃなかったわけですが、薬事審に絡んで安部さんのような公正を疑われるようなことが出てきたら、厚生省としてそのこと自体きちんと行政としての責任をとらざるを得ないということになるということを、きちんとここでお示しをさせていただきたいと思います。  もう一つこれに絡んで、安部さんのところに戻らせていただきますが、仮に、今回の安部さんの立場というのは、今回の研究班の業務に関連をして例えば収賄があったとしても、これは贈収賄の対象にはなりませんね。
  97. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 中薬審の委員とは異なり、そういった意味の国家公務員ではございませんから、対象にはならないと考えております。
  98. 枝野幸男

    ○枝野委員 国が、厚生省が人の命にかかわる重大な問題について専門家にお願いをするということは、厚生省の内部だけでは科学的なところが十分にわからない、だから専門家を信頼を申し上げて専門家の判断をいただいて、それを参考にして行政判断をする、だから研究班をつくったのだという趣旨のことはるる申し述べていらっしゃいます。  その研究班の班長なりメンバーなりという人が全く公務員の皆さんとは違う法的規制のもとにいる。公務員の皆さんは、例えば厚生省の職員の皆さんは、関連企業から変なお金をもらったりしたら、そのこと自体で贈収賄あるいは懲戒処分の対象になるわけであります。ところが、もしかするともっと大事なことを厚生省からの依頼でやっている、例えば今回の研究班のようなものは、それが私的な諮問機関的なものであるがゆえに全くそういった規制すら受けない。  薬事審のように部分的に公務員とみなされる人についてでさえ、今回の安部さんのような抜け穴をつくられたら公正さを疑われるようなことが出てくるということはありますが、今回の安部さん、今回の研究班についていえば、そもそも何をやっても、要するに製薬メーカーから露骨にもし、そんなことがあったかどうかわかりませんが、露骨に製薬メーカーから一億円お金を積まれて、これで非加熱を続けさせてくれ、わかりましたといってお金をもらって、それで研究班の結論を一方の方向に持っていったとしても、今回のケースの安部さんは贈収賄とかの対象にならないというシステムなわけです。  そういう私的な諮問機関というものに、例えば贈収賄とか公務員法とか、大変厳しい規律の中で仕事をしている皆さんが安易に、容易に自分たちの仕事の一部分とはいえゆだねてしまって本当によろしいのでしょうか。大臣、いかがですか。
  99. 菅直人

    菅国務大臣 今、枝野さんの方からの指摘はいろいろな重要な問題が含まれていると思います。  一つは、専門家と行政の関係。これは、行政においては、いろいろな形で専門家の意見を聞く、あるいはきちんと法律で決められた審議会というような形で意見を聞く、こういうことはあるわけですけれども、先ほどの議論を聞いておりましても、あくまでそれはいろいろな問題の参考としていろいろ意見を聞くのであって、やはり行政は行政の責任でもって行政としての決定をしていかなきゃいけない、そこに責任というものは明確にする必要があるのだろうというふうに感じております。  今もう一つ言われた問題の中では、今度は専門家そのものの議論の場が、今回のエイズの研究班はいわばタスクフォースのような形で私的諮問機関になっておりますので、法律的な規制がかぶっておりません。ですから、今になって議事録があった、なかったといった問題まで含めて、きちんとしたルールが定かでありません。責任も定かでありません。  それに比較すれば、薬事審議会そのものは法律に基づいておりますし、まさに一つの、少なくとも最低限守らなければならない規則というものができております。しかし、それで十分かと言われますと、公開の問題など必ずしも十分でない問題もありまして、せんだって、審議会について原則公開という閣議決定がなされましたけれども、それもまだ具体的な形でどこまで実施されるか、これは今薬事審議会について検討中でありますけれども、残されております。  そういった意味で、今いろいろ御指摘をいただいた問題は、これからの薬事行政をどう改革していくかという上で大変重要な指摘というふうに受けとめさせていただきたい。ですから、今の段階で私がこうすべき、ああすべきということは、まだ私自身にもはっきりした形がありませんので、十分受けとめさせていただいて、これからの議論の材料とさせていただきたいと思っております。
  100. 枝野幸男

    ○枝野委員 ある意味では、厚生省だけにかかわる問題ではなく、審議会、私的な諮問機関一般にもつながる問題だとは思いますが、まさに、今度の薬害エイズの問題で浮き彫りになってきた問題でありますし、特に厚生省は、人の命にかかわるという意味では大変重大な仕事をしている、それから、いわゆる科学的といいますか、要するに行政の立場にいる方々では入り込めない部分をどうしても抱えている仕事であるという意味では、この問題が最も顕著にあらわれる部分である。今大臣お話もございましたが、今回の薬害エイズについての真相究明の調査を踏まえながら、今私が指摘をさせていただいた問題点などについてもきちんと対応していくということをぜひしていただきたい。もちろん、私も厚生委員会の場などでこの問題については今後とも指摘を続けていきたいということを申し述べまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  101. 和田貞夫

  102. 岩佐恵美

    岩佐委員 薬害エイズの問題について伺いたいと思います。  予算委員会の場で資料請求をしているのですけれどもエイズ拠点病院の施設ごとの患者受け入れの実績を提出してほしいというふうに求めているわけですが、資料がないということで、いまだに出ておりません。拠点病院百七十七カ所は決まっているのですが、医療水準がまちまち、これはもうさんざん議論をされてきたところです。その地域で一体どのような役割を果たしているかも明らかではありません。  昨日、東京大阪両原告・弁護団との懇談の場で出されていましたけれども、いまだに地方の国立病院で血友病患者にHIV感染の告知もない、治療もされていない、そういう例があるということです。国立病院がHIV患者を見殺しにしている、そういう訴えがありました。私は、本当にひどいというふうに思います。どういう治療がされているかも含めて、拠点病院の実態について調査をすべきだと思いますが、その点、いかがでしょうか。
  103. 松村明仁

    ○松村政府委員 拠点病院の実態調査でございますが、私どももこれまで、全国の都道府県に拠点病院を選定していただく、まずはその全都道府県に選定をしていただくというところで努力をしてきたわけでございますが、各方面の御努力によりまして、二月の末でこれが可能になりました。今後は、今御指摘のような拠点病院の質的向上という問題になっていくわけでございますが、残念ながら、拠点病院の全部の実態をまとめて調査したというものは今のところございません。  私、一つの例を申し上げますが、一月十九日に、エイズ医療体制に関する研究班が、エイズ拠点病院の先生方を集めて懇談会をさせていただきました。このときに七十一の医療機関出席していただいたのですが、この中では、六十病院が受け入れの経験がある、こういうふうな回答をしていただいております。一番多かったのは、二人から五人の患者さんを診ているという拠点病院が四一%というようなことになっております。  それから、国立病院の問題でございますが、国立病院におきましては、これまでに、延べ数でございますが、百五十二名の感染者・患者方々治療した経験があるということで、さらに一月三十日現在の入院の患者さんは十名、こういうふうな数字がございます。  拠点病院の実態調査というのは今後の問題だと思いますが、拠点病院の連携を図る上からも、こういった情報は極力収集してまいりたいと思っております。
  104. 岩佐恵美

    岩佐委員 この間、大臣に、国立病院を初め血友病の感染者の皆さんあるいは発症者の皆さんがどういう入院状態あるいは通院状態にあるのか、病院をぜひ訪れてほしいというお願いをいたしました。患者さん、被害者皆さんと会う機会、懇談の機会があるたびに、病院での差別、そして待遇の悪さというのを必ずいつも涙ながらに訴えられるのです。そういう皆さん気持ちを真剣に受け取るためには、今ちょこちょこつとヒアリングをされたという程度のものではなくて、国立病院を初め拠点病院が数的にどういう入院患者あるいは通院患者なのか、それから治療のレベルがどういうふうになっているのか、そういうことなどをやはりきちんと今後調査をしていく、そういう必要があると私は思うのです。  この間の延長線上にありますけれども病院もぜひ訪れていただきたいと思いますし、そういう調査をするということをぜひ約束をしていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  105. 菅直人

    菅国務大臣 これは、御承知のように、現在、拠点病院自体を拡大している段階で、今局長から現時点での若干の調査の報告があったわけですけれども、そして、和解成立すればもちろんですが、それ以前から中心的なセンター機関の問題など、今ずっと進めておりますので、そういうことを進める中では、当然現状を十分把握しながらやっていかなければいけないと思っておりますので、何か改めて調査のプロジェクトをつくる、つくらないということは別にして、実態把握はもっときちんとしながら、そうした方向で、充実させる方向で進めていきたい、こう思っております。
  106. 岩佐恵美

    岩佐委員 拠点病院の底上げといいますか、どこでも同じような医療水準の治療を受けられるというようなことからいうと、実態調査というのは本当に不可欠であると思います。その点、きちっとやっていただきたいということを再度強調しておきたいと思います。  次に、現在の調査研究事業による健康管理費用の支給ですが、CD4が二百から五百の方が月額三万五千三百円、二百以下が五万一千三百円となっています。CD4が五百以下に支給する、こうした理由はどういう理由からなんでしょうか。  それから、HIV感染者は発症予防のため健康管理をする必要があるのです。また、発症したからといって健康管理の必要がなくなるわけでもありません。また、きのうも訴えられましたが、CD4値が高くても肝臓の障害に苦しむ患者さんがほとんどです。ですから、健康管理が必要な患者さんが圧倒的多数です。HIV感染者全員に健康管理費用を支給すべきだという訴えがありますけれども、そうすべきだと思いますが、その点、いかがでしょうか。
  107. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 健康管理費用につきましては、今お話しのように、CD4が二百から五百、二百以下、こういう二つの区分で費用を出させていただいておるわけでございますが、この健康管理費用の性格につきましては、エイズの発症予防に役立てていただくということで、これは免疫不全の状況に応じて支給をする性格のものでございます。したがって、感染をされておりましても、免疫不全の状況がない段階につきましては、支給の対象とすることはなかなか難しい問題があると考えております。
  108. 岩佐恵美

    岩佐委員 この点については、感染者全員にとって、とにかく生きていく、そういう上で、自分がどれだけ長生きできるかというのは本当に感染した段階から準備をしていかなければいけないことなわけですね。だから、本当に切実な要求なんです。この点について、私はきちっと被害者の立場に立って考えていくべきだと思っています。  もう一つ、エイズを発症した方に対して友愛福祉財団から特別手当等が支給をされています。今度の和解案では、発症者に十五万円支給する、こういうことになっているわけですけれども、こうなると、現行の特別手当より低額となってしまいます。しかも、現行の発症基準は非常に厳しいものとなっています。発症の基準をCDCの基準のようにCD4二百以下にすべきだ、こういうふうに思いますけれども、この点、どうでしょうか。健康管理手当の額を含め今後とも拡大、充実すべきだと思いますが、その点のお考えを伺いたいと思います。
  109. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 エイズを発症しているかどうかにつきましては、我が国のサーベイランス委員会が定めました診断基準によりまして判断をいたしております。また、その判断をすべきものだというふうに考えております。したがって、CD4二百以下であることをもちましてエイズの発症とすることは難しいというふうに考えております。  裁判所がこの第二次和解案におきまして、エイズ発症者に対して一人当たり月額十五万円の健康管理手当、仮称でございますが、それを給付するという和解案を示されたところでございますが、裁判所におきましても、このサーベイランス委員会の診断基準を前提にしているものだというふうに考えておるところでございます。
  110. 岩佐恵美

    岩佐委員 HIV感染者の被害者本人が、昨日の訴えで、遺族気持ち思いやって、二十代中ぐらいの青年ですけれども、本当に泣きながら訴えられたし、聞いている私たちもみんな泣いてしまったわけですけれども、HIV感染の告知を受けたとき、御本人は泣かなかった。だけれども、親は日ごろは涙を見せなかったのにそのときには泣いたし、それから後で母親がずっと泣き崩れていた。身内の感染で身内の皆さんは非常にショックを受ける、死亡でまたショックを受ける。こういう死というのは本当に悲しくて、そして悔しい。国や企業は金がどうのこうのと言えないはずだ。遺族への弔意、最善の努力をして示してほしい。こう訴えておられました。  また、遺族の方は、夫は薬害エイズで殺された。あるいは他の方ですが、国立病院に入院したが、検査は大学病院でされた、また、国立病院の不備を理由に治療もしてもらえなかった、こんな状態の中で無念の死を遂げた。こうしたさまざまな遺族皆さん思い、これがあると思います。  そういうのを受けて所見では、先ほど来いろいろと強調されていますけれども、「悲惨な死を遂げた被害者遺族の癒し難い無念さに深く思いを致し、」「本和解とは別に、被害者への鎮魂慰霊措置を含め、最大限配慮」を要請しています。私は、遺族方々思いを正面から受けとめて対応すべきだと思います。改めて大臣のお考えを伺いたいと思います。  それとあわせて、先ほど薬務局長から、健康管理費用だとか、発症前の感染者の皆さんあるいは発症された皆さんに対して従来どおりの非常にそっけない、冷たい、そういう答弁であったと私は思っています。こういうことでは本当に血の通った行政にならないと思います。その点もあわせて大臣のお考えを伺いたいと思います。
  111. 菅直人

    菅国務大臣 遺族皆さんの本当にこの間の大変苦しいあるいは悲しいあるいは悲惨な状況の中でのそうした問題は、私も非常に重く受けとめなければならないと思っております。また、裁判所も、裁判官も所見の中で、東京大阪もこの問題に言葉をかなり尽くして、今岩佐委員の方からも読み上げられたところを中心にいろいろ言われているわけです。  そういった意味で、まさに「最大限配慮」を要請するというこの言葉に象徴されるように、私どもも弔意をいかなる形であらわすべきなのか、そのことを、原告の皆さん遺族皆さん、あるいは与党、超党派で他の委員皆さんからも、各党からも意見を聞きながら十分考えていきたいというふうに思っております。  と同時に、先ほどの健康管理手当や発症の時期の問題、若干遺族皆さんに対する問題にもかかわるかもしれませんが、裁判所和解成立させるために非常にいろいろな立場のいろいろな問題を相当注意深く考えてこの第二次和解案を出されたと受けとめております。  御承知のように、原告の皆さん要請、要望も既に出ておりましたし、国は国としての姿勢もありますけれども、同時に、同じ被告でも製薬メーカー、その中でもまた国内と外国のメーカー、それぞれ立場なり意見がある中で、第一次和解案を踏まえてこうした第二次和解案を出された。そういう意味では、この第二次和解案を、いわばその和解案に沿った形での解決をぜひ実現したい。そしてその中で、この中にもありますように、「和解とは別に、被害者への鎮魂慰霊措置を含め、最大限配慮をされるよう要請する」という表現もありますので、さらに残される問題も幾つかあるかとも思いますが、それはそれとして、また誠意を持ってその問題について必要な議論をし、対応を考えていきたい、こう思っております。
  112. 岩佐恵美

    岩佐委員 次に、ミドリ十字の問題です。  ミドリ十字のアメリカの子会社、アルファ製薬の元社長、トーマス・ドリース氏が八二年十一月のCDC報告を本社に流し続けた、製剤にエイズ警告のラベルを添付する、そういうことまでこのアルファという子会社が検討していた、こういうことが幾つかの新聞で報道をされているわけです。  この点についてですけれども、実はここにミドリ十字が出した五月三十日付の、内部文書だと思いますが、「AIDS後天性免疫不全症候群」というこの社内資料、須山忠和さん、こういうものが出ているわけです。  この資料によりますと、「ウイルス感染による可能性が濃厚であるとし、感染経路としてエイズ患者からの血液および製剤をあげている。また、最初はホモセックスや薬物静注常習者に多く、一種の性病ともいわれたが、最近(一九八二年頃)ではこれらと関係のないハイチからの移民や血友病患者にもみられるようになった。」と解説をしています。その後すぐに六月二日には、ミドリ十字の血漿部長名で、「感染経路の一つにプラスマフェレーシスによる原料血漿から、製品化された血漿製剤も関連すると言われております。従ってドナーの検診の際、リンパ節症、急激な体重の減少、持続的な下痢等について留意し、採漿の適否を慎重に判断して下さい」と、売血を採血する際、エイズでないかどうかよく検診するよう指示をしているわけです。  この内部文書によりますと、例えば米国CDCの調査では現在こうなっていますということで、例えばエイズの発症者、グループ別ということで、ホモセックスが何人、何%死亡しているとかずっと出ているのですが、例えば血友病患者については七三%が死亡している、こういうようなデータが出されているわけです。  こういうミドリ十字の内部文書あるいはミドリ十字の子会社であるアルファ製薬の元社長のトーマス・ドリース氏の発言等について、厚生省は知っているのでしょうか。
  113. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいまの件、米国アルファ社からミドリ十字への情報提供につきまして、当時の生物製剤課の職員に確認をいたしましたが、そういった情報を受けたというふうに記憶している者はいなかったわけでございます。ただいま委員の方からお話のございました内部文書とおっしゃっておるものについては、これは確かめてみなければなりませんが、裁判の過程で提出をされているものとあるいは同じものであるかどうかという感じがいたしております。
  114. 岩佐恵美

    岩佐委員 実は、この五月三十日付でエイズについて大変だという認識を持っていたミドリ十字なんですけれども、その後七月になると、同じ須山さんの名前で、「日本は血漿分画製剤は米国からの輸入に依存しているが、エイズ日本上陸・発症の可能性は皆無に近い」という社員教育用の文書を流しているわけです。この文書の存在についても御存じでしょうか。
  115. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいまの社内教育用の文書につきましても、これは確認をしなければなりませんが、あるいは裁判で出されていたものであるかもしれません。
  116. 岩佐恵美

    岩佐委員 それで、この間、郡司ファイルが公表されて、その中で七月四日付のメモが七月十一日になって百八十度の転換をするということで、どうしてそうなったのか、これはみんなが疑問に思っているし、大臣もその点は疑問に思うという答弁がありました。  今回、このミドリ十字の五月三十日付の内部の文書と七月に出された文書は、厚生省の七月四日付、七月十一日付の百八十度の転換と同じように転換をしているわけです。それで、どうしてこういうふうになっているのだろうか。非常に、厚生省とミドリ十字と行動が一緒なんですね。何かあるのじゃないかというふうに疑いを持たざるを得ない、そういう実態なんです。この点について、大臣、どう考えられますか。
  117. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 これはよく調べてみなければならない点もあるかとは思いますが、厚生省厚生省として、当時の担当課において十分な検討をしておったものというふうに考えておりまして、ミドリ十字とは関係がないというふうに考えております。
  118. 岩佐恵美

    岩佐委員 私は、製薬企業が早くから血液製剤によるHIV感染の危険性を知りながら非加熱製剤の販売を続けていたその責任は非常に重いと思うのですね。それから、非加熱製剤から加熱製剤に切りかわった後、非加熱製剤の販売量がふえる、こういう点でも本当に許しがたい、そういうふうに思います。  こういう問題について、私は、厚生省としてミドリ十字の実態をちゃんと調べて、そして関係者から事情を聞いて、きちんとした行政的な処分を含めた対応をすべきだと思いますけれども、その点、いかがでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
  119. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ミドリ十字につきましては、これまで、回収が終了したというふうに報告をされております時期以降においても非加熱製剤の回収が終了していなかったことについて、これは厚生省として立入検査を行ったところでございます。そういった中で、血液製剤協会を通じて報告をされていた時期よりも二年以上遅くまで回収がかかっておったということが明らかになったわけでございます。こういった立入検査の内容については、ただいま点検をいたしておるところでございます。
  120. 岩佐恵美

    岩佐委員 その八三年の三月に、元薬務局長経験の松下廉蔵さんがミドリ十字の社長に就任をしておられます。そして同じ三月に、薬務局出身の小玉知己さんがこのミドリ十字の副社長に就任をされておられます。まさに、薬務局とミドリ十字というのは非常に深い関係にあるわけです。私たちは、そういう点について疑問に思います。わからない点があるのです。  そこで、委員長に、この間、郡司氏と安部英氏の証人喚問をお願いしましたけれども、ミドリ十字の社長の松下廉蔵さんと、そして、薬務局の当時の局長だった持永衆議院議員を改めて証人喚問を要請したいと思います。
  121. 和田貞夫

    和田委員長 理事会で協議したいと思いますが、新進党の理事皆さんの一刻も早い理事会への参加を要請いたしたいと思います。
  122. 岩佐恵美

    岩佐委員 その辺はしっかりと検討していただきたいと思います。  それで、大臣に申し上げたいのですけれども、郡司ファイル以外の八冊がまだ公表されていません。薬務局関係が三冊で、公衆衛生局関係が五冊ですか、そういう八冊を、あれこれいじらないで、中間報告だとか最終報告だとか厚生省の考え方でまとめないで、そのままこの委員会に出していただくとか、あるいは、きちっとした、厚生省ではない第三者のところで、本当に公正な場に公開してもらって、一体この事件がどうして起こったのか、真相を徹底的に解明する、そういう機会をやはり持つべきだというふうに思います。  この問題はやっていけばやっていくほど疑問があちこちわいてくるわけですから、その疑問を解決する、そのためにも資料の公開がぜひ必要だと思います。そして、真相究明がなければ、やはり同じ薬害が繰り返されていくのではないでしょうか。それはもう何度も繰り返し言われているところです。菅大臣が資料の公開に踏み切って、私たちも郡司ファイルの公開というのは、原告弁護団の皆さんは、自分たちはもう七年間裁判でいろいろやっていた、もっと前に出ていたらどんなによかったかということを言われておられますけれども、遅かったにしろ、その公開は薬害根絶のために非常に大きな役割を果たしたと思います。さらに、本当にわからない点、大事な点が残っています。その点について真相解明をきちっとして薬害を根絶していく、そういう基本姿勢が大事だと思いますけれども、その点、いかがでしょうか。
  123. 菅直人

    菅国務大臣 中間報告のときも申し上げましたように、この調査プロジェクトで見つかりました九冊のファイル、一冊は既に公開をいたしましたが、残された八冊とその後のいわゆる風間ファイルと言われるものと、さらに今、追加の質問などを出しておりまして、それに対する回答なども含めて、今月の中旬ですからもう余り時間はないのですけれども、公開するという基本的な段取りで今準備を進めております。  他の委員の方にもお答えしましたが、今週末には私のところにまず報告が上がってくるぐらいではないだろうか、ですから、来週の早い段階で公開できるのではないだろうかと思っております。確かに若干時間がかかっていることを私も気にしておりますけれども、いろいろな出来事が今並行して、これに関連して動いておりますので、決して、わざとおくらせているというよりも、一つ一つをきちんと出したい。出す場合には、できるだけといいましょうか、前回の郡司ファイルでもそうでしたけれども、加工は加えないでお出しをしたい。先ほどの中間報告も若干の誤解がありましたが、後で誤解は解けたようですけれども、返事をいただいたものは見ていただくようにはした上で若干整理したものもお出ししたという、両方出したわけであります。そういうことで、来週の早い段階にはお出ししたい、こう思っております。
  124. 岩佐恵美

    岩佐委員 生資料を含めて、その提出を含めて、私は、厚生委員会としても、できれば小委員会の設置を初め、この問題について幕引きをしないで、ちゃんと真相究明して、薬害根絶のために取り組むということでやっていく必要があるというふうに思っています。そのことを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  125. 和田貞夫

    和田委員長 土肥隆一君。
  126. 土肥隆一

    ○土肥委員 最後の十五分を務めさせていただきます。  いよいよこの薬害エイズの問題も中身が明らかになりつつありますけれども、私は、厚生省からいただきました「血漿分画製剤品目別の製造状況」という一覧表をもらっているわけです。これは、平成二年からの統計しか出ておりませんけれども、要するに血液製剤というものを平成六年度で一千二百九十四万三千九百八本、そういう本数で製造されているということが示されております。そして、百万本単位で出ているのが、例えばヒト血清アルブミンの輸入だけでも平成六年で二百六十七万何がし、あるいはヒスタミン加入免疫グロブリン百七十八万何がし、あるいは静注用ヒト免疫グロブリン、五十単位でしょうか、百一万二千何がし、総数千二百九十四万三千九百八本、こうなっております。そして、大変多彩なというか多様な病気に使われておりまして、私、素人で全くわかりませんけれども、相当広範囲にこの血液製剤が使われているということがわかるわけであります。  ちなみに、今問題になっております、正式に言うと乾燥濃縮ヒト血液凝固第Ⅷ因子あるいは同第Ⅸ因子が使用された病名は幾つあるのでしょうか。
  127. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 第Ⅷ因子製剤につきましては、対象の疾患は、血友病のりちの血友病Aとフォンウィルブランド病の二つでございます。それから第Ⅸ因子製剤につきましては、対象疾患としては主として血友病のうちの血友病Bでございますが、生物学的製剤基準解説一九七三年によりますと、この第Ⅸ因子製剤は「肝硬変、肝炎、消化管吸収不全、ビタミンK欠乏症などの後天性欠乏症例にも使用できる。」というふうにされておるところでございます。
  128. 土肥隆一

    ○土肥委員 主に血友病でありますけれども、ビタミンK欠乏症であるとかというのが列挙されましたが、一九八三年に非加熱製剤が問題になりまして加熱にかわるまでに、今挙げられました病名でHIVウイルスの混入する可能性はあるのでしょうか、ないのでしょうか。
  129. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいまの御質問の趣旨が加熱製剤ということであれば……(土肥委員「非加熱製剤です」と呼ぶ)非加熱製剤につきましては、これはエイズウイルスが混入をしたという問題があるわけでございます。  先生のお尋ねがアルブミン製剤あるいはグロブリン製剤のことをおっしゃっておるのかと思いますので……
  130. 土肥隆一

    ○土肥委員 つまり、非加熱製剤を今挙げられました病名のところにお打ちになる、そのときに、今、血友病の患者さんの問題が出ておりますけれども、そのほかのビタミンK欠乏症であるとか、そういう方にもウイルスの混入した、あるいはHIVウイルスに感染した可能性があるのでしょうかということです。
  131. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 失礼をいたしました。  この第Ⅸ因子製剤におきまして、ただいまお話のございました血友病患者以外の方についてエイズウイルスが感染した例がございます。
  132. 土肥隆一

    ○土肥委員 一九八三年当時、まだ加熱製剤が導入されない、第Ⅷ因子、第Ⅸ因子が非加熱で投与されているときでございますが、一九八三、八四、八五で第Ⅲ及び第Ⅸの非加熱製剤が打たれた量をお示しください。
  133. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 第Ⅷ因子製剤につきましては、昭和五十八年が一億四百三十四万単位でございます。五十九年が九千七百七十万単位、それから六十年が一億二千八百六十三万単位でございます。また、第Ⅸ因子製剤につきましては、昭和五十八年が二千七百四十六万単位、五十九年が二千五百五十九万単位、昭和六十年が二千四百七万単位でございます。
  134. 土肥隆一

    ○土肥委員 単位ということは、厚生省からいただいております製造状況は本数、何本製造したかということになっておりますので、これが何本に当たるのかというのは、これはメーカーによって単位が違えば本数も変わってまいりますから、私はよくはわかりませんけれども、大体百ミリとか五百ミリとかいうようなことで使用されているのじゃないかと思いますが、どうでしょうか、これはかなりの本数だというふうに言っていいのでしょうか。
  135. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 平成六年でございますと、この第Ⅷ因子製剤が一億三千万単位でございますから、当時の一億単位あるいは一億二千万単位よりも現在の方が若干多い。また、第Ⅸ因子製剤につきましては、平成六年で二千三百九十八万単位でございますが、これは当時よりも若干減少しておるという状況でございます。
  136. 土肥隆一

    ○土肥委員 この辺の判断はもう少し専門家の意見を聞いて分析をしたいと思います。  そうすると、こういうふうに理解していいのでしょうか。  第Ⅷ因子、第Ⅸ因子の、皆さんが打ったこの凝固剤、非加熱の製剤は主に血友病患者さんに打たれ、その他若干というか、その他残った病名の皆さんに対する追跡調査と申しましょうか、俗に言う第四ルートというのでしょうか、今どういうふうに対応していらっしゃるのか。特にメーカーよりの追跡も必要でありましょうし、それから、お医者さんがこれにかかわっているわけですから医療面からの調査、こういうふうになろうかと思いますが、今状況はどういうふうになっているか、お示しください。
  137. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいまの御質問でございますが、ことしの二月五日に、メーカー六社に対しまして、薬事法六十九条に基づく報告命令を出しまして、凝固因子製剤の販売先の医療機関名等についての報告を求めまして、二月二十九日までにその結果を受け取ったところでございます。  この報告によりますと、三月十二日現在でございますが、この医療機関の数が千百五十五施設でございます。このりち、昨年の七月の調査と比較をいたしますと、新たに報告をされたものが六百五十施設でございました。
  138. 土肥隆一

    ○土肥委員 これは使用された製剤の何%ぐらいの追跡調査に当たるか、大体わかりますか。あと残りはどれくらいあるのか、調査の残っている分ですね。
  139. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 なおその点についてはまだ十分な把握ができておりませんので、引き続きこの医療機関の把握に努めてまいりたいと考えております。
  140. 土肥隆一

    ○土肥委員 ぜひお願いいたします。これからやはりいろいろと丁寧に追跡をしないと、何か非常な不安を覚える次第でございます。  もう一つ、いろいろな報告書などなど読みまして、厚生省薬務局の薬務行政が見えてこないのです。  例えば、今、薬務局があって企画課があって、その下に企画課血液事業対策室というのがありますね。だから、何か血液事業の対策をやっているのだろうと思います。そうすると、例えば経済課というのがありまして、そこでは医薬品産業情報調査室というのがありますが、医薬品業界の情報を収集しておられるのかな。それから、審査課というのがございますね。これは薬務行政上どうなるのか。それから、安全課というのがございまして、そこには安全課医薬品適正使用推進室というのがございますね。そのほかに監視指導課というのもありますね。今問題になっております生物製剤課というのは一体どこへ行ってしまったのですか。
  141. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 生物製剤課で行われておりました業務につきましては、生物製剤に関する審査業務というのがございまして、これは、今委員からお話がありました審査課に移っております。それから、血液事業の企画立案等の業務につきましては、今お話のございました企画課の中にございます血液事業対策室に引き継がれております。これは平成二年十月でございます。  この趣旨につきましては、審査業務については、一般の医薬品あるいは生物製剤を一元的、集中的に審査業務をまとめるということで審査課に統一をしたわけでございますし、また、血液事業の企画立案につきましては、こういった審査業務から分離をさせまして、献血の推進、製造、供給までの総合的な企画立案部門として充実強化を図るというねらいで行ったものでございます。
  142. 土肥隆一

    ○土肥委員 そうすると、いろいろな薬剤の問題が起きたときには審査課で主にやると理解していいのでしょうか。
  143. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 今のお尋ねは医薬品の副作用の問題だと思いますが、安全性の問題に関しましては、委員先ほどお話がございました安全課というのがございまして、ここで統一的にやっておるわけでございます。
  144. 土肥隆一

    ○土肥委員 まあ役所の機構はよくわかりません。  私が心配するのは、いろいろな資料ややりとりを見ておりますと、この薬務行政の中で日常的な最終責任者は一体だれなのか。それは薬務局長だと私は思うのでありますが、この資料の中に薬務局長はほとんど出てきませんね。今回、血液製剤の問題で、もう生物製剤課がなくなったわけですが、なくなったというよりは審査課とか安全課に移ったのでしょうけれども、アージェントアクションといいましょうか、危機管理といいましょうか、要するに、緊急事態にその責任体制は一体どうなっているのか、御説明いただきたいと思います。
  145. 菅直人

    菅国務大臣 薬事法が薬務行政の一番基本となる法律でありますが、当然のことですけれども、薬事法で、最終的な責任者は厚生大臣になっております。  しかし、もちろん厚生省は大きな役所ですから、それぞれの局がありまして、実際的にこの薬務行政を担当しているのは言うまでもなく薬務局でありまして、薬務局長を中心にして、相当の実質的な判断なり実質的な決定は薬務局長の段階でされているというふうに認識しておりますが、重要な問題は官房ないしは事務次官、もちろん大臣のところまで上がってきて決定されているというふうに認識しております。  今言われました危機管理的な問題について、私も今回のいろいろな問題を見ていて、必ずしもそういう認識を持って対応したという形跡が少ないのですね。特に、薬務局は薬の方からですけれどもエイズ感染という問題は、今はあれは保健医療局ですか、そういうところがいろいろサーベイランスなんかをやっているわけで、ある意味では、薬の方からくる問題と、一般の、公衆衛生というか、疫学的な調査というか、そういうものからくる問題とがあって、危機意識があれば、八三年の時点ではもちろんですけれども、その後の変化に対しても対応する姿勢がもっとあってよかったのではないかと思っております。  そういう点で、今のはお答えになったかどうかわかりませんが、そういう問題になってくれば、もちろんこれは薬務行政を超えた問題として役所全体で取り組むべき問題、最終的には厚生大臣責任であろう、こう思っております。
  146. 土肥隆一

    ○土肥委員 私は、薬務局長だと思うのですよ。あるいは保健医療局長でもいいです。やはり局長というのは、その局の最高責任者として直ちに陣頭指揮をとって、そして、そのすべての責任局長が負う。それ以上、政治問題化したときには大臣に行きますけれども、日常業務は私はそうだと思うので、私は、意見として、いつも局長がこういう報告書などに浮かび上がってくるような責任体制をぜひともつくっていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
  147. 和田貞夫

    和田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十三分散会