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1996-02-23 第136回国会 衆議院 厚生委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年二月二十三日(金曜日)     午前九時四分開議  出席委員   委員長 和田 貞夫君    理事 衛藤 晟一君 理事 木村 義雄君    理事 鈴木 俊一君 理事 青山 二三君    理事 柳田  稔君 理事 横光 克彦君    理事 荒井  聰君       伊吹 文明君    稲垣 実男君       狩野  勝君    近藤 鉄雄君       田中眞紀子君    竹内 黎一君       戸井田三郎君    長勢 甚遠君       根本  匠君    堀之内久男君       持永 和見君    保岡 興治君       赤松 正雄君    大野由利子君       鴨下 一郎君    北村 直人君       鮫島 宗明君    高市 早苗君       福島  豊君    桝屋 敬悟君       山本 孝史君    五島 正規君       田邊  誠君    森井 忠良君       枝野 幸男君    岩佐 恵美君       土肥 隆一君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 菅  直人君  出席政府委員         厚生政務次官  住  博司君         厚生大臣官房長 山口 剛彦君         厚生大臣官房審         議官      和田  勝君         厚生省健康政策         局長      谷  修一君         厚生省保健医療         局長      松村 明仁君         厚生省生活衛生         局長      小林 秀資君         厚生省薬務局長 荒賀 泰太君         厚生省社会・援         護局長     佐々木典夫君         厚生省老人保健         福祉局長    羽毛田信吾君         厚生省児童家庭         局長      高木 俊明君         厚生省保険局長 岡光 序治君         厚生省年金局長 近藤純五郎委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    小池 将文君         大蔵省銀行局保         険部保険第一課         長       二宮 茂明君         厚生委員会調査         室長      市川  喬君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十一日  辞任       補欠選任   枝野 幸男君     井出 正一君 同日  辞任       補欠選任   井出 正一君     枝野 幸男君 同月二十三日  辞任       補欠選任   久保 哲司君     鮫島 宗明君 同日  辞任       補欠選任   鮫島 宗明君     久保 哲司君     ――――――――――――― 二月二十二日  高齢者生活の安定と生きがいに関する陳情書  外二件  (第四五号)  生活保護法による医療扶助医療券方式改善  に関する陳情書外一件  (第四六  号)  被災者への医療費一部負担金免除措置継続・  延長に関する陳情書  (第四七号)  医薬品販売規制緩和及び漢方製剤保険適用  の継続に関する陳情書  (第四八号)  鐵灸マッサージ治療への保険制度適用拡大  に関する陳情書  (第四九号)  国立三朝温泉病院の存続に関する陳情書外一件  (第五〇号)  公的責任を明確にした介護保障の確立に関する  陳情書外二件  (第五一号)  検疫体制充実強化に関する陳情書  (第五二号)  食品・農産物の安全に関する陳情書  (第五三号)  診療報酬引き上げ及び改善に関する陳情書  (第五四号)  水道整備等生活環境施設整備促進に関する  陳情書(第  五五号)  廃棄物が不法に処分された場合の方策策定に  関する陳情書  (第五六号)  地域医療保健福祉対策推進に関する陳情書  (第五七号  )  保健福祉制度充実等に関する陳情書外一件  (第五八号)  薬害エイズ真相究明及び被害者救済に関する  陳情書  (第五九号)  老健法に基づく成人歯科健診の早期実施に関す  る陳情書  (第六〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  厚生関係基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 和田貞夫

    和田委員長 これより会議を開きます。  厚生関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。荒井聰君。
  3. 荒井聰

    荒井(聰)委員 新党さきがけ荒井聰でございます。  この数週間の厚生省初め関係者の御努力によって、エイズ問題に関する和解が非常に促進される見通しが、明るい見通しが出てきたなというふうに考えてございます。和解に向けて、さらに一層の関係者の御努力をお願い申し上げます。  きょうは、三月に入ってからエイズ問題に関する集中審議も予定されているということでございますので、エイズに関する問題は私の方からは差し控えさせていただきますけれども、ただ一つエイズ治療に関して各地域ごと指定病院促進がなされているわけですけれども、残念ながら、北海道にはまだ一つ指定されていない。  患者の数は約五十人から六十人ぐらい存在しているのではないかと思いますけれども厚生省と してもいろいろな努力をされているのだと思うのですけれども、それがまだ一つ指定されていないという現状にあるということ、これはどういうような理由なのか、あるいは現在どのような政策推進をされているのか、それらについてひとつお聞かせ願いたいと思います。
  4. 松村明仁

    松村政府委員 エイズ患者感染者の方々が安心して医療を受けられる体制整備することは、エイズ対策上急務であると認識しております。  このため、厚生省といたしましては、都道府県においてエイズ医療の中心的な役割を担っていただく拠点病院整備促進に努めておるところでございますが、現在まで、四十四都府県で百六十の医療機関が選定されているところでございます。しかし、現在、委員指摘のように、北海道におきましては、まだこの拠点病院指定されてないという状態にございます。  北海道状況を私ども調査いたしましたが、北海道におきましては、エイズ協力医療機関専門相談窓口として位置づけまして、患者の受け入れについて協力を要請してまいりましたほか、八十六カ所の医療機関から成りますエイズ協力医療機関連絡会議というものを設置しておりまして、現在、拠点病院の候補となる医療機関の特定を含めて協議中であると聞いております。  そこで、厚生省といたしましても、なるべく早く拠点病院指定していただきたいということで、一昨日でありますが、担当官北海道に派遣いたしまして、早期指定に向けて改めて要請、指導を行っているところでございます。
  5. 荒井聰

    荒井(聰)委員 ぜひ、その御努力をお願いいたします。  ところで、ことしの予算編成の中でも、大変重要な問題として、国立病院再編成というのが課題として上がってございます。地域として国立病院として管理運営する必要性の薄くなった地域、あるいは地域に根づいた病院などをどんどん移管していく、再編合理化を図っていくということは、それはそれとして意味のあることだろうというふうに思うのですけれども、この再編合理化考え方というのがもうひとつ私たちにはぴったりこない。  といいますのは、辺地医療が大変不足している、辺地医療にいろいろ問題があるという状況の中で辺地国立病院再編していく。あるいは、ただいまのエイズ問題のように、難病の治療指定がなかなかなされていないというときに、厚生省の所管の病院でさえもそれが指定できていない。まさしく国立病院が率先してこういうエイズ問題などの治療に当たっていくべきなのではないか、そういうところに国立病院としての存在意味があるのではないかというふうに思うのですけれども、このあたり国立病院再編に当たっての考え方というものをひとつお聞かせ願えますでしょうか。
  6. 松村明仁

    松村政府委員 ただいまは拠点病院お話を申し上げましたが、その中で、国立病院療養所におきます拠点病院状況についてちょっと触れさせていただきたいのですが、都道府県知事拠点病院を選定するわけでありますけれども、現在、国立病院全国で二十四カ所が拠点病院として参加しているところでございます。その他の国立病院療養所におきましても適切な医療を提供するように、いろいろな会議を通じまして指導並びに指示をしておるところであります。  なお、北海道につきましては、先ほど、八十六カ所のエイズ協力医療機関を設置しておる、こういうふうに報告申し上げましたが、北海道には国立病院療養所が十五施設あるわけでありますけれども、このうちの十二施設がこの協力医療機関となっているところであります。このように、国立病院といたしましては、国立病院として要請される事業につきまして積極的に取り組んでいく、こういうふうに考えておるところでございます。  また、再編整備のことにもお触れになりましたけれども、この再編整備基本的な考えも、今申し上げましたように、国立にふさわしい役目をしっかりと担っていく、こういうことが基本となっておるところでございます。
  7. 荒井聰

    荒井(聰)委員 最近の医療というのは大変高度化されています。しかし、そういう高度な医療技術を必要とするものではなくて、患者の健康をトータルで診ていくような、風邪だとか肺炎だとか簡単な病気なんだけれども、近くに医療機関がないといったような地域というのはたくさんまだまだ存在している、辺地医療というのはまだまだ確立されていないというか、問題が多く残されているのだろうと私は思うのです。  そこで、例えば、お医者さんが地方に勤務する環境を整えていく、あるいはそういう医療機関地方自治体や国が公的な機関として整備していくということはとても大事なことだと思うのですけれども、そのような辺地医療に対する考え方、方針というのをひとつお聞かせ願えますでしょうか。
  8. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 今お話しの、辺地医療といいますか、僻地医療ということにつきまして、私ども考え方としては、それぞれの二次医療圏ごと地域医療計画というものを策定いたしておりますが、その中で、僻地あるいは無医地区を抱える医療圏におきましては都道府県においてその対策を講じていくというのが基本であろうというふうに思っております。  一方、私ども厚生省におきましては、僻地保健医療対策ということで、従来から、僻地保健医療計画というものの策定を行ってきております。既に今年度で第七次の僻地保健医療計画が終了するということで、平成八年度からの第八次の計画を現在策定中でございます。  具体的な内容につきましては、平成八年度の予算案の中にも盛り込ませていただいておりますけれども、従来の、僻地中核病院を中心にした僻地保健医療対策ということに加えまして、さらにこれを支援するような医療機関予算案の中では僻地医療支援病院といったような言い方をいたしておりますが、そういうものを新たに設けて、この僻地医療支援病院というものを僻地医療の担い手として位置づける。また、特に最近、在宅医療といったようなことが一般的に言われているわけでございますが、僻地診療所において、在宅ケアを支えるようなデイサービスあるいはショートステイ等の機能を備えていただくということで、看護婦についての人件費加算といったようなものを新たに盛り込みたいというふうに考えておりまして、現在、そういったようなことも含めまして第八次の僻地保健医療計画策定しているところでございます。
  9. 荒井聰

    荒井(聰)委員 先般、診療報酬の改定がなされたわけですけれども、私は、診療報酬というのは、ある意味での政策的な色合いというか、政策的な意味が当然入ってくるべきものだというふうに思うのですね。  例えば、先ほどのエイズ治療などは、まだまだ差別というかそういう問題があって、お医者さんが、普通の医療であると言われているのですけれども、そういう差別問題にも絡んでしまってなかなか踏み込めないというような実態もあるのだろうと思いますし、あるいは僻地医療ども僻地であるために生活になかなか利便性がないということからそういうものを避けていくということが基本にあるのだろうと思うのです。  そういう問題を解決するためには、お医者さんの意識改革ということが一つ大きな意味があるのと同時に、経済的なインセンティブを与えていくということが大事なんじゃないのでしょうか。  そういう意味では、例えば、診療報酬地域ごとに、僻地のお医者さんのいないようなところでは診療報酬を少し上げていくとか、あるいはエイズ対策のような余り採算の合わない治療にあってはまた診療報酬を上げていくとかといったような、診療報酬を政策的にもっと工夫していくということをそろそろ考えてもいい時期に来ているのではないだろうかというふうに私は思うのですけれども、このあたりいかがでしょうか。
  10. 岡光序治

    岡光政府委員 まず、診療報酬上の特別の配慮という観点では、先生も御承知でございますが、 エイズ感染者を入院させた場合には、入院料につきまして加算をしております。それから手術の際も、出血を伴う手術を行うという場合には、それにやはり加算をしております。それから、エイズ患者に対するカウンセリングが大切だということでございますので、そういうカウンセリングをする場合に必要な加算を行う、指導料をつけるという格好で、現在考えられる一応の手だてはしているつもりでございます。  なお、この点につきましては、やはり適切な配慮が必要でございますので、今後とも、その内容改善には配慮していかなきゃいけないと思っております。  それから、診療報酬点数仕組みそのもの関係でございますが、お医者さんの技術評価ということが基本発想でございますので、全国どこにおいでのお医者さんも、その判断料というのでしょうか、技術については差がないという発想で、そういう意味全国一律の点数設定というのが基本原則でございます。  この例外としまして、現在の診療報酬では、物価、人件費都市部においては高いではないかというようなことで、建設コストに限りまして入院環境料加算をしておるという格好になっております。  それ以外の経費につきましては、地域差を導入するかどうか、非常に議論の多いところでございます。それで、この辺は地域差問題としてどう考えていけばいいのかというのはなお議論をさせていただきたいと思っておりますし、現に中医協でもその辺の議論がございますが、なかなか意見が一致しておらないというのが現状でございます。  御指摘がありました僻地対策としましては、そういう意味で、補助金制度であるとか税制上の配慮であるとか、そういう各種の施策等も活用しながら、いわば並行して、合わせわざ一本で取り組んでいくというのが今の考え方でございますし、当面そういう発想で臨むのが最も関係者の合意が得られるのじゃないだろうかというふうに認識をしているところでございます。
  11. 荒井聰

    荒井(聰)委員 ぜひ医療に関しての政策的な誘導というものを、どのような手法を使っていくのか、補助金もあるでしょうし、あるいは税制改正といったような面もあるのでしょうけれども、私は、診療報酬がお医者さんに一番わかりやすいのじゃないだろうかというふうにも思いますので、そのあたりの検討をぜひお願いいたします。  ところで、先ほど私の方からも一つお話をさせてもらいました中に、お医者さんの意識改革というか、そういう問題がこの医療の問題について大変重要なのではないだろうかというふうに思うのですね。  最近のお医者さんは、高度な医療関心を持っている。あるいは、医療研究といったようなことに非常に関心をお持ちである。それはそれとして、研究者側面あるいは医療技術者としての側面がありますから、そういう問題に非常に関心をお持ちになるということは、それはわかるのですけれども、しかし、患者病気治療するという基本的なところがどうも第二義的になってしまうのではないだろうか。トータル患者さんを診ていくという感覚が、今のお医者さんには少しく意識として低くなってきているのではないだろうか。このあたり医療教育と密接な関係がある、あるいは現場でのオン・ザ・ジョブ・トレーニングというのでしょうか、現場での教育ということと関係があるのではないだろうか。  医科大学における医療教育というのは、今でも多分講座制をそのまま踏襲しているのではないかと思うのですけれども、そういう教育の仕方ではなくて、もっと人間を見ていく、病気全体をその人間の中でどういう位置づけになっているのか、意味があるのかというような観点をよく教育の中に取り入れていくということがとても必要なのじゃないだろうか。  例えばアメリカの場合には、お医者さんの教育の中に、大変重要な意味づけとして、看護の部門をやらせる。看護婦のかわりのようなことをある一定期間やってもらう。あるいは、それが必須科目になっている。看護をすることによって患者の気持ちというものが非常に理解できる。そういう土壌をまず養っておいてから患者立場に立った医療を教え込んでいくのだといったような話も聞いたことがございますけれども、私は、医療技術者教育というものまでさかのぼって今のお医者さんの意識というものを、少しく患者立場に立ったそういう意識改革をぜひ教育の一環として大学でも、あるいは働いている病院でもしていただけるように希望いたします。  このあたり、何か御意見がございましたら、厚生省の方、よろしくお願いいたします。
  12. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 今先生お触れになりましたのは、医師の心構えというか、あるいは教育ということでございます。  私どもといたしましても、医療提供体制全体について、従来、どちらかというと供給者側を主体にした考え方というものが前面に出ていたように思いますが、そういう観点だけではなくて、患者側立場に立って見た医療供給体制というものの議論をしていく必要があるというふうに認識をしております。  その中でも、医師養成ということにつきましては、今までも卒後臨床研修を充実するということで、特に平成元年には卒後臨床研修目標というものを新たに定めまして、先ほどお触れになりましたような、単に専門分野の疾患を治療するということだけではなくて、患者、家族の抱えるさまざまな問題を的確に判断する、あるいはまた問題解決を図るという、いわゆる全人的な医療という考え方をその目標の中に取り入れております。また、それを受けて、昭和六十四年の医師国家試験出題基準からもそのことを反映させてきているわけでございます。  そういうことで、今先生お触れになりました看護の問題というのは、確かに、今後そういったようなことの中で私どもとしても議論をしていく価値がある問題じゃないかというふうに今認識をいたしました。
  13. 荒井聰

    荒井(聰)委員 終わります。ありがとうございました。
  14. 和田貞夫

  15. 根本匠

    根本委員 自由民主党根本匠であります。  私は、大臣所信に対する質疑として、ゴールドプランエンゼルプラン障害者プランについてお伺いしたいと思います。  昨年十二月、障害者プラン策定されました。これで、高齢者対策の新ゴールドプラン子育て対策としてのエンゼルプラン保健福祉の三本柱が確立いたしました。これはいずれも、自由民主党を含め社民党、さきがけ、連立三党が福祉プロジェクトなどを通じまして熱心に取り組んできた成果だと私は思っております。特に自由民主党におきましては、二十一世紀に向けての保健福祉の三本柱として、魂を入れて強力に推進してまいりました。  まず、ゴールドプランについてお伺いしたいと思います。  ゴールドプランは、かつて自由民主党が、高齢者保健福祉推進十か年戦略として先鞭をつけました。当時としては、数量目標を掲げた画期的なプランであったわけであります。これを契機に、安心して年をとれる施策として市町村や県が競い合う、福祉を競う時代になりましたし、各地域で熱心な取り組みがなされております。お年寄りに身近な施策として浸透してきたというふうに私は考えております。  特に、市町村都道府県において老人保健福祉計画策定されまして、これを踏まえて、目標水準引き上げた新ゴールドプラン平成六年十二月に策定されておりますので、この新ゴールドプラン推進するにはハードソフトの両面から自治体をバックアップする必要がある、私はこう思っております。  この点で二点お伺いしたいと思いますが、まず第一点は、ハード面でありますけれども特別養護老人ホームなどの施設整備を進めていくため に、実は地方自治体発注単価、要は実勢単価補助単価がいまだに乖離がある、ですから補助単価引き上げをすべきではないか、こう思います。  それからもう一点は、ソフト面についてでありますが、在宅サービスのかなめであるホームヘルパーについて、新ゴールドプランでは目標を十万人から十七万人に大幅に引き上げましたし、今回の障害者プランでも別に四・五万人のヘルパー計画するということになっておりまして、単にこのヘルパーの量をふやす、これも必要でありますけれども、より高いノウハウを身につけたヘルパー養成あるいはヘルパーの経験、技能の向上、これらを含めて地域ごとに必要な人材を確保、定着するための方策が必要だと思っておりますが、この二点についてお伺いしたいと思います。
  16. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 お答えをさせていただきます。  先生お話ございましたように、各地方自治体がそれぞれ地方老人保健福祉計画をつくられ、それぞれの地域における高齢者保健福祉に取り組まれる、そのいわば集大成となっております新ゴールドプランにつきまして、国としてこれを全面的に推進していくという体制目下努力をいたしておるところでありますが、その中で、具体的に二点お尋ねがございました。  一点は、特別養護老人ホーム等施設整備していくために、その補助単価をどのように考えていくかという点でございます。  特別養護老人ホームなど老人福祉施設国庫補助基準単価につきましては、私どもも、これまで随時引き上げを図りまして、建設費用に応じた整備が進められるようにという観点であれしてまいりました。  そういう点で、特に大都市地域におきましては、非常に建設費用が高くなりがちであるというようなことで、例えば、そういうところを進めるためには、都市部建設をします場合のゴールドプラン対象施設につきましては一〇%以内の単価加算をする、あるいは三階以上に高層化をして建てていただく場合には八%以内の面積の加算といったような、ある種の地域に応じた対応ということを考えながらやっております。  それから、過疎地域における整備につきましては、運営効率という意味では多少落ちるところがありましても、特例的に小規模の老人福祉施設整備を認めていくというようなことで工夫をしてまいっております。  また、単価全体につきましても、平成八年度予算におきましても、平成七年度に引き続きまして実勢単価に応じました緩和をいたしまして、四・一%の単価全体の引き上げを行っております。こういったことで、今後とも、単価引き上げというようなことにつきましては、コストをよく考えまして努力をしてまいりたいというふうに考えております。  また、ホームヘルパー関係につきまして、量の確保と言ってみれば質の向上、この二つの観点からお尋ねがございました。  御案内のとおり、新ゴールドプランにおきましては、かつてのゴールドプランの十万人を十七万人と大幅に目標引き上げまして、この整備に、増員に力を尽くしているということで、今後の一つの方向として在宅福祉ということをよく考えていかなければならないとなれば、非常に重要な政策になってまいりますので、ホームヘルパーの増員それから資質の確保につきましては、今後とも私どもも力入れをしていかなければならないというふうに思っております。  そういう観点から、明年度の平成八年度におきましても、約三万人の増員ということで、十二万二千四百八十二人のホームヘルパー体制を目指しての予算確保をするということで現在予算に計上させていただいております。  それから、質の面につきましては、もちろん質と同時に養成体制の問題がございますが、養成人員の増と同時に質という意味では、昨年、ホームヘルパーの資質の向上という観点から養成カリキュラムを全面的に見直しをいたしまして、技術向上ということに主眼を置いた新しいカリキュラムを専門家の御意見もいただいてつくりまして、これを八年度から全面的に実施するという体制全国に今お願いをいたしておるところであります。  そのほか、養成に当たりまして、やはり身近なところでできるだけ養成していくということで、市町村養成研修の委託でありますとか、通信教育あるいは通信衛星を使っての養成というようなことも考えて、さまざま工夫をしながら、量の確保と同時に資質の向上を図っていくということを目指しております。  あわせまして、やはり処遇の問題がございます。そういった処遇につきましても、御案内のとおり、平成四年度に大幅な単価引き上げを図りますと同時に、その後も逐次引き上げを図っておりまして、本来の給与勧告と同時に活動費につきましても引き上げを図らせていただいているというようなことで努力をしてきておりますが、今後とも、これは先ほども申し上げましたけれども、新ゴールドプランに掲げました各施策が進むかどうかが、非常に全体の、高齢者介護の問題にしましても大きく前進をするかぎだと思っておりますので、努力をしていきたいというふうに思っております。
  17. 根本匠

    根本委員 私は、ハード面の充実に加えてソフト面、特にマンパワーの確保養成、定着、これが重要だと思いますので、ぜひこれからも強力に推進していただきたい、こう思います。  次に、エンゼルプランについてお伺いしたいと思います。  二十一世紀の少子社会に対応するために、平成六年十二月にエンゼルプラン策定されました。特に厚生省においては、緊急保育対策等五か年事業として重点的に整備を図るということを打ち出したわけでありますが、緊急保育対策等五か年事業、この施策の実施状況を見ますと、例えば、時間延長型保育サービス事業が予算二千五百三十カ所に対して実施が二千二百八十二カ所、開所時間延長促進事業が予算三千七百六十三カ所に対して二千七百十七カ所、地域子育て支援センター事業あるいは放課後児童クラブ、これはいずれも目標を下回っております。  これらの状況について、厚生省はどのように認識して、あるいは事業を推進する上で具体的な課題、問題があるのかどうか、この点について考え方をお伺いしたいと思います。
  18. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 緊急保育対策等五か年事業でありますけれども、これは、五カ年先の目標を提示して着実に実施していこうということで、平成七年度が第一年次ということでございます。  そこで、平成七年度に予算措置をしました状況と現在までの状況と若干開きのあるものもあるわけであります。これは、第一年次ということでありますので、自治体等の立ち上がりが若干遅かった面もありますけれども一つには、使い勝手等の問題もあろうかと思います。これから、この五カ年の事業目標というものをきちっと消化できるように、そういった面を考慮しまして、自治体とも相談しながら着実に実施していきたい、こんなふうに考えております。
  19. 根本匠

    根本委員 私も、そういう立ち上がりの時期の状況なんだろうと思っておりますが、私の地元の市町村でも、地域子育て支援センター事業あるいは延長保育に積極的な動きが出ておりますので、ぜひこれは強力に推進していただきたいと思います。  それから、多少悩ましい問題なのでありますが、無認可保育所への対応について御質問させていただきたいと思います。  緊急保育対策等五か年事業、これは認可保育所での多様なサービスを飛躍的に拡充しようということでなされておりますが、無認可保育所も保育対策に一定の役割を果たしております。ただ、これらについては、国の施策としては対応がなされておりません。ただ毎年、無認可保育所について は、都道府県が設備や運営面について必要な調査を行っておりまして、中には国で定める基準を上回っている、こんな施設もあります。  無認可保育所に対して何らかの対応措置をとれという話になりますと、今の認可保育所の考え方が必要最低の条件を定めているという考え方でありますから、別なジャンルを、基準をつくってそれに対して何らか対応する、これが大変難しいと私も思っております。  ただ、昨年度の児童手当の拠出金を財源にして、事業所内保育施設、これは無認可保育所でありますが、それから駅型保育モデル事業についての補助金が出されておりまして、事業所内保育所については、事業者に負担させた、広い意味での還元措置だという理解ができるわけでありますが、駅型保育モデル事業になりますと、地域の無認可保育所と類型が似てきておりまして、そういう点で言えば、これは一歩踏み出した措置なんだろうというふうに思われます。  私は、地域の無認可保育所について、都道府県が立入調査をしていろいろな指導をしているわけでありますから、要は、一定の基準をクリアしたものについては、補助金を出せとまでは言いませんけれども、少なくとも、あるいはせめて政策融資の対象ぐらいにはできるのではないか。  ということで、政策融資を含めて、この無認可保育所に対する対応、取り組みについて御見解をお伺いしたいと思います。
  20. 高木俊明

    ○高木(俊)政府委員 近年、非常に保育の多様化といいますか、保育に多様なニーズが出てきておるわけであります。そういった中で、どういう形でそれを受けとめて対応していくべきかということが大きな課題になっておるわけでありますけれども、それを考えていく際に、やはり無認可保育所につきましても、どういう形でそれを支援していくのか、また、適正なものにしていくのかということがあろうと思います。  そういった意味で、私どもとしましても、一つの重要な課題として受けとめておりまして、先生指摘の点も踏まえましてこれから検討させていただきたい、このように考えております。
  21. 根本匠

    根本委員 では、ぜひ検討をお願いしたいと思います。  次に、障害者プランについてお伺いいたします。  昨年末、自由民主党、社民党、さきがけの連立与党の強力な後押しで障害者プラン策定されました。障害者プランが画期的なのは、具体的な数値目標を明示している、それから各省庁の施策を横断的に総合的に盛り込んでいる、あるいは推進体制として厚生省障害者施策の組織を一元化した、こんな意義があると思いますが、この障害者プランの意義について大臣がどのようにお考えか、御所見をお伺いしたいと思います。
  22. 菅直人

    ○菅国務大臣 ただいま根本委員の方から、障害者プランの意義についてどのように考えているかという御質問であります。  今委員御自身おっしゃいましたように、この障害者プランは、いろいろな問題を一元的にやっていこうとか、あるいは数値目標でやっていこう、そういう各党の意欲的な後押しでできたわけでありますけれども、御承知のように、障害者施策については、まず平成五年三月に障害者対策に関する新長期計画というものがあり、また同年十二月には障害者基本法の成立など、施策の一層の充実に向けた枠組みの整備により新たな施策の展開が求められてきたところであります。  この新長期計画などはまだ数値目標がなかったわけですが、特に、一昨年策定された新ゴールドプランエンゼルプランと同様に、今回、具体的な目標を明示した形での施策計画的な推進が必要だと考えられたわけであります。そういう状況の中で、障害者対策推進本部会議において、新長期計画の重点施策を実施する計画という位置づけで、去る昨年の十二月十八日、障害者プランが決定をされたわけであります。  このプランは、障害のある人々が地域社会の中でともに暮らせる、まさに共生できるといいましょうか、そういう社会をつくることを目指しておりまして、関係省庁の施策を横断的に盛り込むとともに、グループホーム、福祉ホームの整備ホームヘルパーの増員等の数値目標を設定するなど、具体的な施策目標を明記いたしております。  このプランは、与党における御検討、御支援のもとに策定されたものでありますが、このプランの意義は、一つには、高齢者施策の新ゴールドプラン、児童家庭対策としてのエンゼルプランとあわせて保健福祉施策の三つのプランができ上がって、保健福祉施策の強力かつ計画的な推進が図られる。これが第一点の意義だと思っております。  第二点は、具体的な施策目標が明記されておりますので、国と地方が一体となった取り組みによって、その目標に向かって施策を強力に推進できると考えております。  第三点は、関係省庁十九省庁あるわけですが、一体となった取り組みによって、施策を横断的、総合的に充実させること、この三つの点が大きな意義ではないかと考えております。
  23. 根本匠

    根本委員 大臣、ありがとうございました。  ちょっと時間が短くなってきましたので、これからは簡潔に御答弁をお願いしたいわけでありますが、障害者プラン、さまざまな内容が盛り込まれておりますので、この障害者プランの特徴、ポイントについて御説明いただきたいという点と、それから、これは総理府になりますが、各省庁横断的な施策でありますから、私は、これはフォローアップが大事だと思っておりますので、そういう意味においてどのように総合調整を図りながらフォローアップを図っていくのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  24. 佐々木典夫

    ○佐々木(典)政府委員 プランの特徴を今大臣から御答弁させていただきましたけれども基本的には、新長期計画を具体化する、できるだけ政策目標を具体化するということで、数値目標を入れられるところは入れる、数値が入らない場合もできるだけ目標を具体化して書く、これによって強力な実行を図っていくということでございます。それからなお、設定しました目標につきましては、それぞれ一定の需要にこたえられるようにする、あるいは施設でございますれば、できるだけ待機を解消して必要な施設を利用していただける、そんなようなことをねらっておるところでございます。  各省庁との関係につきましては、このプラン自身も、厚生省厚生省だけでもつくりたいという気持ちでありましたけれども関係各省庁も一緒にやろうということで、政府全体でつくることができたというふうに思っております。厚生省は、総理府で全体をまとめていただいております障害者施策推進本部、事務局はお願いしておりますけれども、中心的な省の立場ということで、今後とも、関係各省庁とも連携を密にしながら積極的な対応をしてまいりたいと考えております。
  25. 小池将文

    ○小池説明員 この障害者プランにつきましては、先ほどからお話がありましたように、総理府が中心になって、関係省庁に非常に意欲的に取り組んでいただいて取りまとめをしたものでございます。  このプランは、保健福祉を初め雇用とか教育建設、交通、情報通信それから防犯、防災、そういう障害者生活全般にわたる幅広い分野を総合的、横断的に取り入れた点に特徴があるわけですけれどもプランの本文の中でも、その進捗状況を定期的にフォローアップし、社会経済情勢の変化、市町村障害者計画策定状況などを踏まえ、必要に応じプランの見直しを行うことが明記されているわけです。総理府といたしましても、関係省庁と連絡を密にして、進捗状況のフォローアップあるいはプラン目標の一層の具体化へ取り組んで、この障害者プランの着実な推進を図ってまいりたいと考えております。
  26. 根本匠

    根本委員 障害者プランは、私も、現在考えられる施策を最大限盛り込んだものと理解しております。  ただ、障害者の問題は、ゴールドプランと違ってやや難しいのは、高齢化の問題と異なって身近 な問題としてどこまで浸透するか、これが課題だと思います。その意味では、施設面のハード面の取り組み、それから意識の啓発のソフト面の取り組み、これを同時進行させる必要がありますし、各省庁総合的にこの施策推進に当たる、これも必要であります。それからもう一点、ゴールドプランのように地方自治体ベースまで落としてこれをいかにしてフィードバックするか、こういうこともこれから大事だと思います。  いずれにしても、障害者プラン、始まったばかりでありますから、これからが正念場なので、ぜひ強力に取り組んでいただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  27. 和田貞夫

    和田委員長 青山二三さん。
  28. 青山二三

    ○青山(二)委員 新進党の青山二三でございます。  これまで大臣におかれましては、福祉あるいは年金問題に大変熱心に取り組んでこられましたということで、短い時間ではございますが、率直な御意見をお伺いしたいという思いで質問をさせていただきます。  まず最初に、エイズ問題でございます。  大臣は、今日まで大変熱心に薬害エイズ問題に取り組んでこられました。そして、エイズ被害拡大の背景には厚生省のOBが天下りしている製薬会社との癒着があるのではないかということで、厚生省の責任の明確化を求めてこられました。こうした薬害エイズ問題をめぐる大臣の御発言は大変歯切れのよいものであり、早急に真相の究明を行い、ぜひとも責任を明確にしていただきたいと切に願っております。  そこで、大臣が就任早々打ち出されました、薬害が拡大した原因などを解明する調査班を厚生省に設けられましたが、その調査内容、また、緊急を要することですが、いつまでに結論を出されるおつもりなのかをお伺いしたいと思います。さらに、事実関係が明確になりつつあるこの責任問題についてはどのように考えておられるのか、あわせてお伺いをいたします。
  29. 菅直人

    ○菅国務大臣 ただいま青山委員の方から、エイズ調査班について御質問をいただきました。  正式には血液製剤によるHIV感染に関する調査プロジェクトチームというものを、本年の一月二十三日に事務次官を責任者として厚生省内部に設けまして、一カ月をめどにして調査をして私の方に報告をする、そういう位置づけでスタートをいたしております。実は、きょうがちょうど一カ月目に当たるわけですけれども、きょうの午後に現時点での報告を受けることになっております。  この調査の位置づけは、いろいろ議論はあったわけですが、役所の内部でまずこの間の事実関係をきちんと把握しようということでありまして、調査の項目も十一項目にわたり、また、私の方から調査の仕方についての指示もいたしまして、現在に至っているところであります。  その調査過程の中で幾つかのファイルが見つかりまして、その一部、特に注目されていたものについて二十一日に発表させていただいた経緯があります。  そのさらなる調査の中身については、報告をきょう受ける予定にしておりますので、まだ私も細かいことは把握をしておりませんが、関係をしたいろいろな方に対して質問状のような形でお送りをして、その回答もいただいておりますので、そういうものを十分検討させていただきまして、できるだけ早い時期に公表したい。もともと、この調査は公表することを前提としてお願いをしておりますので、そういう前提で回答をいただいたものについてもできるだけ早い時点で公表いたしたいと考えております。  なお、事実関係が明確になった中での責任の問題ということでありますが、責任ということも幾つかの種類があるのかなと思っております。  一つは、まさにこの問題で、御承知のように、裁判が行われ、和解が進んでいるわけですが、その中で、和解に関連して裁判官の所見が出されておりまして、この中にも、国や製薬メーカーを含め、被告の責任、「重大な責任」ということが指摘をされております。この点につきましては、二月十六日の時点で私の方から、所見に述べられた中に国の責任も強く指摘をされているわけですが、その点については厚生省としてその責任を認めるということを患者、家族の皆さんに申し上げたところであります。  それを含め、そのほかのいろいろな責任の問題も議論が出ていることは承知をいたしておりますが、その問題については、事実関係の解明が進む中でおのずからはっきりしてくることもあると思いますし、また、その中でさらなる議論が必要なものも出てくるのではないか、現時点ではそのように考えているところです。
  30. 青山二三

    ○青山(二)委員 長い間、厚生省が、ない、存在が確認できないと言い続けておりました、エイズウイルスの過去の重要な資料が、先日、厚生省の書庫の中から見つかりました。私は、今まで本当に見つからなかったのかという素朴な疑問が起こるわけでございます。この調査班ができまして三日後のことだったわけでございますが、ともかく出てまいりました。その資料がないということで責任を回避して解決をおくらせてきた厚生省のこれまでの姿勢に、私は心から怒りを覚えるわけでございます。  そこで、確認しておきたいのでございますが、今回の調査班は、厚生省自身が自分で自分を調査、解明するという役割を担っているわけでございます。果たして、国民の納得のできる、信用できる調査、薬害拡大の原因の解明が本当にできると言えるのでしょうか。国民の信頼を取り戻すためにも、信頼できる透明性の高い調査、すなわち、さらに徹底した調査と、そのほかにも資料がございましたら完全な資料の公開をすべきと思っておりますが、この点については大臣のお考えはいかがでしょうか。ほかにも資料があると私は思いますが、いかがでしょうか。
  31. 菅直人

    ○菅国務大臣 実は、この調査プロジェクトをつくるときにも、各方面から、省内だけの調査プロジェクトで十分なのかという指摘もいただきました。  私は、省内でつくられるプロジェクトの調査と、場合によったら外の皆さんに参加をいただく調査といいますか、これは審議会のようなものになるのかと思いますが、そういうものとはそれぞれ性格はあるいは違うのじゃないだろうか。また、場合によっては、この国会でいろいろ調査をされるということもあり得ると思いますが、それもまたそれとして、一つのある重要な性格を持っているのじゃないだろうか。  そういう意味では、今回は省内に設けることで、私としては一省自身の責任のもとで、これ以上は捜しようがないというところまできちっと捜してくれ、もし見つからなくても、どこの場所をだれに聞いてどういうふうに調べたかということをはっきりさせて調べてほしい、そういう指示をいたしまして、その結果、今青山委員の言われたように、幾つかの資料が二十六日から二月八日にかけて見つかったということであります。  さらなる調査という問題は、いろいろ今後の議論としては十分あり得ることかとは思っておりますが、御承知のように、調査の責任と権限のような問題で、今やっている調査でも、例えば関係した方に、特に省に属しておられない方、民間の方についてはお願いをして答えていただいているという形でありますので、なかなかそれ以上に法律的に調査をするという権限は厚生省自身にはありませんし、ある分もありますけれども、例えば薬事法に基づく幾つかの点はありますが、そういう点では、まずは省内における調査が一応もうほぼ報告を受ける段階に来ておりますので、そういうものを受けた上で、さらにどういう手当てが必要であるかどうかということも検討させていただきたい。  今申し上げたように、そのことは、もしかすれば今後の薬事行政のあり方の改革といった問題についていろいろな皆さんに御意見を聞く、そういう形のものとして考えなければいけないのかもし れないな、こんなふうにも思っているところです。
  32. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは、さらに御尽力いただきますように心からお願いを申し上げます。  それでは、次の問題に移らせていただきます。  大臣は以前より、日本の福祉という問題で、さまざまな角度からのお話を本委員会でされております。ちょっと御紹介させていただきますと、大臣は、外国と比べて日本の高齢者と若い人の同居率が高いということを挙げまして、日本人の考え方として、高齢者の問題というのは基本的には家族とか個人の問題であり、社会に依存するのは本筋ではないという日本型福祉と言われる考え方がある、それを全面的に否定はしないが、家族に依存する福祉というものを前提とした考えではなく、基本的には社会システムとしてそれを受け持つような構造をつくっていくことが一番重要ではないかというような趣旨のお考えを述べられております。  人口の高齢化、とりわけ後期高齢者の著しい増加によりまして、寝たきり老人や痴呆の状態になる高齢者も大幅に増加することも予測されております。また、近年では、高齢者と子供との同居率が低下し、ひとり暮らしの高齢者や夫婦のみで暮らす高齢者が増加しております。  今日、我が国が推進している社会福祉の形を見ますと、明らかに施設福祉サービスから在宅福祉サービスヘの移行が見られます。  昨年九月の高齢者介護に関する世論調査を見ますと、自分が介護する立場の場合、両親等の介護は自宅で受けさせたいと答えた者の割合が五二・八%、親の介護を子供がみずからすることは当たり前のこととの答えも五七・三%と半数以上の者が在宅福祉を望んでおります。また、施設福祉と比較いたしますと在宅福祉が理想のようにも思われますが、果たして在宅福祉が要介護者のニーズに対して十分に対応が可能なのでしょうか。  現実を見ると、在宅福祉推進するときに必要な家庭介護の費用や女性の負担の問題、また、要介護者の対応を行う各種サービスがいつでも簡単に利用しやすい状況にないことなど、さまざまな多くの問題がございます。健康、福祉の問題が老後の最大の関心事となっている現在、高齢者が健康で充実した生活を営めるように積極的な健康づくり対策推進するとともに、在宅介護家族への支援及び施設サービスの充実などを一層推進していくことこそが我が国に求められているのではないでしょうか。  そこで、将来の日本の超高齢化社会を迎えるに当たって我が国の福祉社会はどうあるべきか、大臣の描いているトータルイメージをぜひお伺いしたいと思います。
  33. 菅直人

    ○菅国務大臣 今、青山委員の方から、私がかつてこの委員会でそういう意見を申し上げたかどうかはちょっと記憶に定かではありませんが、そういう考え方を持っているということはそのとおりでありまして、御紹介をいただきましてありがとうございました。  御承知のように、今国民にとって老後の生活というものは、その中でのある意味では最大の不安が介護の問題ということだと思っております。人々が安心して老後を迎えることができるように新たな高齢者介護システムというものを構築していくことがそういう意味では急務だというふうに思っております。  このため、このシステムの具体的な内容について、現在、老人保健福祉審議会において御検討をいただいているところでありまして、検討内容は広く情報を公開して国民的な合意形成を図りながら、できればこの国会、できればといいますか、この国会中に関連法案を何とか提出する方向で現在努力をいたしているところであります。  人口の高齢化が急速に進展しておりまして、これに伴い社会保障の費用が増加していくことは避けられない面もあるわけですが、制度の合理化あるいは制度の運営の効率化に努めながら、経済社会の活力を維持しながら、一人一人が心豊かに安心して暮らすことができる長寿社会を構築してまいりたいというふうに思っております。  トータルのイメージを、まさにこういう老人保健福祉審議会などで具体的に議論していただいているわけですけれども、そのイメージは今青山委員御自身が話をされたことと私もほぼ同感であります。  つまり、在宅で介護をするのがある意味では理想だと思いますが、しかし、そこにはそれを十分サポートするための、例えばデイケアにしてもあるいは一時的なショートステイにしても、施設も必ずバックアップとして必要ですし、また在宅をベースにする場合でも、いろいろな形のヘルパーの派遣とか看護の派遣とか、いろいろなフォローが必要になるわけでありまして、そういう点では、自宅でとか、子供がそれに当たりたいということが希望として多いという今の御指摘もよく理解できるわけですけれども、逆に言えば、そのことが余り過重な負担にならないで継続できるような体制をどうつくるか、そのことが今問われていて、そのための高齢者介護の新しいシステムをつくり上げて提案をさせていただきたい、このように考えております。
  34. 青山二三

    ○青山(二)委員 確かに、要介護になりましたときには自宅でぜひ介護してほしい。以前、大臣にも、どなたにどこで介護してほしいですか、このような質問をこの委員会でさせていただきましたときに、やはりその大臣も、我が家で妻にとおっしゃっておられました。  確かに在宅福祉を要介護の方は望むわけでございますが、それを介護する家族はもう本当に大変なわけでございます。西暦二〇二五年には四人に一人がお年寄り、こういう時代に入ってまいりますので、その介護が、本人が望むあるいは家族が望む、在宅かあるいは施設かどちらかを本当に自由に選択できる、そういうシステムにしていただきたい、このように切に願っているわけでございます。  それでは次に、そうした福祉に対する国民負担のあり方についてお伺いをしたいと思います。我が国の高齢化は本当に世界に類のないスピードで進行しておりまして、高齢化の度合いも二十一世紀初頭には世界に類のない水準に達すると見られております。こうした状況は、今後我が国の社会保障の費用負担を急速に増大させ、国民負担の著しい増大を招くことになるのではないかと予想されているわけでございます。  国民負担の限界や経済社会の活力及び世代間の負担のバランスなどを考えますと、国民の負担水準の上昇はできるだけ抑制することが望ましいといいます。そのためには、社会保障給付や受益者負担などの見直しが必要であり、その見直しを行ったとしても、現行の負担水準で本格的な高齢化社会のニーズに対応することは不可能だと思うわけでございます。将来に向けて国民の負担水準がある程度高まることもやむを得ないのではないか、こんな思いもいたしております。  昨年、橋本総理が総裁選に当たって発表いたしました福祉政策ビジョンでは、二十一世紀の高齢化のピークのときでも、国民所得に対する税金と社会保険料の合計額の割合である国民負担率を五〇%、できれば四五%におさめると言われておりますが、この点についての御所見、そして、それとともに大臣としての国民負担のあり方についてお考えをお伺いしたいと思います。
  35. 菅直人

    ○菅国務大臣 今、青山委員の方から、橋本総理が昨年の総裁選挙のときに、国民負担率は五〇%、できれば四五%以内にとどめた形で対応できればということをおっしゃったということは私もお聞きをいたしております。  現在、平成八年度において国民負担率は三七・二%程度というふうに推計されておりまして、今後の高齢化の進展に伴って一般的にはある程度増大していくことは避けられないというふうに考えております。こうした中にあっても、今後とも、経済社会の活力を維持しながら必要な給付を実現する、そこにこの問題の非常に大きな難しさがあると思っております。  国民負担率については、行革審の答申の中で も、高齢化のピーク、二〇二〇年あるいは二五年とも言われておりますが、このころにおいても五〇%以下をめどにその上昇を抑制するというふうに述べられておりまして、そういった意味では、制度の合理化、制度運営の効率化あるいは公民の適切な役割分担の確保などに努めて、必要な給付を維持しながら、将来にできる限り過重な負担を残さないように努力しなければならないと思っております。  そういう中にありまして、一つは、これからは福祉の構造改革ということを考える必要があるのではないか。つまりは、今回の介護制度の問題でも、社会的に運用をどうするかというような議論とか、現在、医療福祉、年金という形で行われているものの中でも、例えばお互いにリンクさせることによってより有効な効果を及ぼすものがあるとか、そういう意味では、単に今までのものを量的に増大させていくということだけではなくて、一つ福祉における構造改革というものをあわせて考えていかないと、行革審なり総理の言われている五〇%以下あるいは四五%以内ということ、それを実現すること自体が非常に難しくなるのではないかと思っております。  そういう意味で、なかなか難しいところではありますが、質は向上させながら、しかし、負担はできれば五〇%という線はピークにおいても超えないということが必要だと思いますし、そういう点では、これから数年間の間でいえば四〇%の前半、まだ四〇%にいっていないわけですから、できるだけそこで質的な、構造的な改革を進めて四〇%の前出でおさまるように努力したい、こういうふうに考えております。
  36. 青山二三

    ○青山(二)委員 ぜひお願いを申し上げます。  福祉国家と言われるスウェーデンではもう七〇%だと言われておりまして、フランスでも六〇%。こういう負担が多くなっていきますと、若い人が働く意欲をなくすとか、あるいは優秀な企業が国から出ていくというような問題も起こるわけでございますので、ぜひともそのあたりを真剣に取り組んでいっていただきたい、このように思うわけでございます。  それでは次に、高齢者施策について、公的介護保険制度についてお伺いをしたいと思います。  高齢者介護の問題は、本当に喫緊の国民的課題でございます。核家族や介護期間の長期化、高齢者の介護は家族だけではもう支え切れなくなっております。総理府の世論調査を見ましても、八割強の国民が公的介護システムの創設を望んでおり、大きな期待をされているところでもあります。しかし、これは、裏返して考えますと、老後の不安のあらわれとも言えるのではないかと思います。  一月末には、第二次中間報告が明らかにされました。しかし、これには公的介護保険制度の骨格や費用負担のあり方は示されずに、サービス内容に関する部分だけを中間報告の形でまとめたものでございまして、介護保険の骨格を知りたい国民にはわからないことばかりでございます。  国民の期待の大きさを考えましたとき、国民各層の意見を幅広く聞き、理解と納得を得なければならないと思います。審議の内容だけでなく、調整の経過についてもできるだけ公開してほしいとだれもが思っているのではないでしょうか。国民に広く負担を求める制度導入には、その過程が明らかにされた透明な議論こそ必要であると思っております。  そこで、国民が納得いくまで議論するのを待ち、国民の判断を仰ぐべきであると思いますが、こうした対応についてどのように考えておられるのか。  また、あわせてもう一つお聞きしたいのは、肝心の、保険の運営主体を市町村にするという厚生省案に対しまして、市町村には反対が強く、調整が難航いたしております。さらに、家族介護への現金給付をどうするのかなと、問題が山積いたしております。  しかし、公的介護保険制度についての最終報告が予定されている三月まで、本当にあと残りわずかとなっております。昨年から公的介護保険を導入いたしましたドイツでは、十年の議論を要しております。とはいえ、世界に類のないスピードで高齢化が進む我が国には余り時間がありません。一刻も早く受益と負担の具体案を示して、国民全体で時間をかけて議論を深める必要が出てきているのではないでしょうか。今後の日程についてどのように考えておられるのか、あわせてお伺いをしたいと思います。
  37. 菅直人

    ○菅国務大臣 今、青山委員おっしゃったように、一月末に、老健審の中間報告を出させていただきました。老健審は、これまでのいろいろな審議会の中でも特に、できるだけ公表していこうということで努力をし、あるいは地方公聴会なども幅広く実施をしているところであります。  ただ、おっしゃったように、前回の中間報告は、サービスの内容についてはかなり踏み込んだモデルなどを提示させていただきましたが、費用負担のあり方など制度の骨格については、必ずしもまだ明確な形になっておりません。この間の議論の中でも、例えば今おっしゃった保険者をどうするかといったような問題で、事務局案のような形で三つの案を提示するといったようなことで、いよいよその骨格といいましょうか、費用負担の問題を含めた議論に老健審でも入っている、そのように受けとめております。  今お話のありました自治体の問題は、大変私もいろいろな意見を伺っております。もしかしたら、若干自治体の関係の皆さんに心配といいましょうか、それを与えているのは、現在の国民健康保険の仕組みと似たような仕組みになるのではないかという、そうすると非常に費用負担が、自治体に責任が重くのしかかるという、そこにおける心配がかなりあるのだと思うのですね。  ただ、私が理解しているところでは、サービスの主体は、現在の新ゴールドも含めて、新しい制度でもやはり自治体が中心になって組み立てていただくのがいいという意見は大変幅広くあると思っているわけですが、財政的な責任を一〇〇%自治体に持っていただくという意味での保険者ということとは、今度の制度は若干違うのではないか。  これはまだいろいろな議論の最中ですから、余り私の私見ということにはならないかもしれませんが、余り申し上げることは控えなければいけませんが、例えば六十五歳未満の人の費用を何らかの形で集めた場合は、それは全国的にプールをして、それぞれの自治体に高齢者の比率などに対応して配分するといったような形が当然どの制度でも考えられるというふうに思っております。そういう点では、国民健康保険のように、財政責任もサービス責任もといいましょうか、それをすべて自治体にお願いするというよりは、サービスの方を中心にお願いをして、財政責任はもうちょっと幅広く何らかの形でフォローしながらやっていくという、そういうことになるのではないかと理解をしております。  現金給付、サービス給付の問題は、まさにこれはいろいろな議論が進んでおりますので、もっとそうした議論の進む中で合意が図られていけばと思っております。  そして、時間的な問題でありますけれども、確かに、一方で、ドイツのように十年、二十年かけた議論、慎重にという御意見もありますし、一方では、毎年十万人ずつ要介護者がふえている、現在多分二百二十万人ぐらいでしょうか、それが毎年十万人ずつふえていくというこの急速な高齢化の中でいえば一日も待てないという声もまたあるわけであります。  この制度は、制度としてスタートをしても、それがだんだんきちんとした形になるまでにはやはり何年間かはかかると思っておりますので、そういう点では、非常に積極的な議論はぜひお願いをしたい、あるいはやらなければいけない。そういう議論を非常に活発にする中で、しかし、できるだけ早く何らかの成案をつくってこの国会に提出したい。ですから、ちょっと欲張りかもしれませんが、議論そのものは活発にやる、しかし、成案 をつくって案を出すのはこの国会中にやらせていただきたい、そのように考えております。
  38. 青山二三

    ○青山(二)委員 やはり、こういう新しい制度を導入するときには、国民の合意というのが一番大切であろうかと思います。八〇%の方が待ち焦がれているとはいえ、反対の陳情も毎日来るわけでございますので、本当に時間をかけて議論をしていきたい、こんなふうに思っておりますので、どうか、この問題につきましては今後ともよろしくお願いしたいと思います。  次に、公的介護保険の導入に伴いまして、昨年七月の第一回中間報告でも、新ゴールドプラン充実強化いたしました新々ゴールドプラン推進が提言されまして、昨年十二月の老人保健福祉審議会でも同様の意見が出されております。  この第二次中間報告を見ますと、厚生省は、ともかく公的介護システムをスタートさせ、その中で段階的に施設や人材をふやし、二〇〇五年から本格的な制度にするというような構想を描いております。保険あってサービスなしの状況にならないためにも、早急に新ゴールドプランを見直すべきではないかと思うわけでございますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。これは大臣にお願いいたします。
  39. 菅直人

    ○菅国務大臣 御承知のように、現在、新ゴールドプラン自体、ちょうど計画でいえば中間程度に進行いたしておりまして、その中で新々ゴールドとかスーパーゴールドというようなことも言葉としては、御意見としてあることは承知をいたしております。  ただ、その場合、今の介護保険制度の問題の議論と大きくダブってくると思うのですね。私の理解では、新ゴールドプランよりもさらに高い水準を求めていくのが公的介護保険といいましょうか、そのシステムだと思っておりますので、新ゴールドプランの達成とこの新しい介護システムの提案というのがちょうど、ある意味では新ゴールドプランのさらに充実したものをイメージして提案をされてくる、そういう位置づけになってくればいいのではないかと思っております。
  40. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは、ホームヘルパーにつきましても質問を考えましたけれども、先ほどいろいろと御答弁も出たようでございますので、最後に、障害者プランについてお伺いをしたいと思います。  今回新たに作成されました障害者プランは、障害者対策の明確な方向性が示されたものとして大変意義あるものでございます。この中には、高齢者のためのヘルパーと区別して、障害者の特性に対応できるような専門のホームヘルパー養成していくとされております。  ヘルパーの質を高めるということはもちろん賛成ではございますが、目標の四万五千人の上乗せは本当にできるのでしょうか。現在の体制では大きな不安が残っていることも確かでございます。予算規模で見ますと、七年間で上乗せ一兆円。ちょうど住専の借金の穴埋めに一兆円の税金が充てられるということと比べてみますと、本当に驚くほど少ないものだ、このように考えるわけでございます。  このようにまだ欠点がたくさんありますけれども障害者対策の年次計画は初めてのことであり、ぜひとも実効性あるものにしていただきたいと思うわけでございます。  そこで、障害のある人の訴えに真剣に耳を傾け、障害者がいつでも、どこでも安心して暮らしていける総合的な施策をぜひとも強く推し進めていただきたいと申し上げたいと思います。最後に、大臣よりこの障害者プラン推進に対する力強い御決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  41. 菅直人

    ○菅国務大臣 御承知のように、障害者対策推進本部におきまして、去る十二月十八日に障害者プランが決定をされまして、新ゴールドプランエンゼルプランとあわせて保健福祉施策の三つのプランができ上がりまして、保健福祉施策の強力かつ計画的な推進が図られることとなったわけであります。  その中でも、この障害者プランにつきましては、今委員お話しされましたように、かなり思い切った充実計画になっておりまして、これは、従来ありました新長期計画目標年次十四年を同じ目標年次として、具体的に数値目標を出す、あるいはいろいろな役所を横断的にやっていく、そういった形で、厚生省だけではなくて、他の省庁の協力もといいましょうか、一緒になって、一体になってやっていくことになっております。予算も、八年度は七年度に比べて二百五十一億円増の二千二十五億円の予算確保したところであります。  そういった点で、この問題は、まさにノーマライゼーションという言葉が言われ出してかなり長くなるわけですが、本当に障害を持った方も一般の人たちと同じように生活できるという社会を目指して全力を挙げて私も取り組んでいきたい、このことを申し上げさせていただきます。
  42. 青山二三

    ○青山(二)委員 大変ありがとうございました。時間が参りましたので、終わらせていただきます。
  43. 和田貞夫

    和田委員長 福島豊君。
  44. 福島豊

    ○福島委員 大臣は、障害者施策につきまして、ノーマライゼーションの理念のもと、障害者の自立と社会参加に向けた各種施策を引き続き積極的に進めてまいりますと発言されておられます。障害者もさまざまございますが、本日は、その中でもALS、筋萎縮性側索硬化症の患者さんについて御質問をいたしたいと思っております。  日本ALS協会が平成七年に実施したアンケートがつい最近公開されました。このアンケートの結果につき御質問をしたいと思います。  このアンケートは約一千名の方を対象に平成七年一月に実施されたものですが、八百十八名から回答があり、四五%の人が言葉をしゃべることができず、五七%の人が自力で寝返りができないという状態が明らかになりました。  また、介護については、全面的に介護が必要または二十四時間介護が必要である人は全体の六二%を占めているということも明らかになっております。  そして、介護に困っている人、困った経験をなさった方は全体の七六%を占めている。この介護に困った場合に、実際に家族の方はどうしたかといいますと、そのまま家で頑張るか、または入院するしがなかったわけでございます。  こうしたALSの患者さんの年齢構成は、六十歳以下の患者さんが四二・八%を占めているということも明らかになっております。  また、入院した場合の付き添いの問題ですけれども、付き添いを雇っている方が一一%、家族が付き添いをしておられる方が六二%にも上っております。病院に一切を任せている方はわずか一六%にすぎないということも明らかになっております。  私も、ALSの患者さんを間近で見てきたことがしばしばございます。大変な難病であるというふうに思っております。  こういったアンケートの結果を踏まえて私が幾つかお聞きしたいことは、まず、病院の付添看護が廃止されたということに伴って、ALSの患者さんが実際に現場でどのような影響を受けているのか。私が一番懸念するのは、病院で手に余るということで病院から排除されるような、医療現場から排除されるような、家族で面倒見てくださいという方向に事態が推移していっているのではないかというような気がいたします。このような点について厚生省はどのように認識しておられるのか。  また、この病院から排除されるという方向を回避するためには、こうした神経難病の患者さんを長期に受け入れることが可能な、十分な介護力を備えた医療機関整備をしていくということが一番大切だと思っておりますが、その点につきまして厚生省の御見解をお聞きしたいと思います。
  45. 岡光序治

    岡光政府委員 平成六年度末で、いわゆるALSの方々の入院患者数が三千四百件余りというふうに把握をしております。  体制の問題といたしましては、特殊疾患入院施設管理料という格好で、入院患者さん二人に対して一人以上の看護要員を配置した場合に相当の入院料加算をしておりますのと、それから、まさに御指摘がありました体制整備という格好で、特殊疾患療養病棟、長い期間そこにおいでになるだろうということで、そういう長期入院の体制を整えるべく、その入院料平成六年四月に創設して、この四月から行おうとしております診療報酬改定におきましても、その点につきましては二五%程度の大幅な点数引き上げを行いたいというふうに考えております。  いずれにしましても、私ども、三千四百名余りの入院患者の方々の個別ケースを全部把握しておりませんので的確なお答えができないのでありますが、この病気の難しさからいいますと、かなりの体制の整った病院の中に入院されているのではないかというふうに考えております。そうなりますと、恐らく、そういう病院は基準看護をとっておいでなのじゃないだろうか。そうなりますと、基準看護をとっておるということになりますと付き添いはつけられないという格好になっているわけでございまして、ただいま御指摘がありましたアンケート調査につきまして、その辺、もう少し実態との突き合わせが要るのじゃないだろうかというふうに私どもとしても問題意識を持っております。  原則論といたしましては、手のかかる患者さんにつきまして退院を強いたりあるいは家族の付き添いをしてくださいというふうな格好で、そういう体制を整えた病院患者さんや家族にそういったことを強要するというのは許されておりませんので、そういったことのないように、県を通じまして適切に指導していきたいというスタンスでおります。
  46. 福島豊

    ○福島委員 確かに局長のおっしゃるとおりで、許されていない。許されていないけれども、しかし、その現場の暗黙の了解というのが恐らくあるのではないか、これは繰り返し報道されてきているところでございます。ですから、指導するということによって問題が解決するのではなくて、まさに体制を整えるということによってしか問題は解決しないと私は思います。  今、三千四百人のALSの患者さんがおられるというふうに把握しておられるという発言がございました。平成七年七月現在、特殊疾患療養病棟の算定施設が二十三施設、二千百八十三床であるというふうにお聞きいたしました。少なくとも一千二百人ぐらいの差があるわけでございます。これは、ほかの神経難病も当然入ってくるわけですから、もっと数は多い。  ということを考えると、診療報酬の改定を行っても、なかなか全部カバーできるほどにはなっていないというのが現実なんだろうと思うのですね。ここのところをもうちょっと、数字的にどのくらいこの病床をふやすのかという観点から対応していただければというふうに私は思います。それを要望いたします。  二点目でございますが、このアンケートでは保険外負担についても調査をいたしております。  二二%の患者さんが差額ベッド代を払っております。その三一%の人は二十万円を超す差額ベッド代を払っております。大変な高額だと私は思います。おむつ代等の衛生材料費についても四八%の人が払っておりまして、三六%の患者さんは一万円以上の負担を強いられております。  差額ベッドというのは公に認められたものでございますから、それがいかぬというふうに申し上げるものではありませんけれども、二十万円を超すようなベッド代を毎月払うというようなことは率直に言って大変だと私は思います。自分がその立場に置かれればとても払えないというふうな思いがいたします。この点につきまして御見解をお聞きしたいと思います。このような負担は仕方がないというふうに考えられるのかどうか、御見解をお聞きしたいと思います。
  47. 岡光序治

    岡光政府委員 今のような御指摘の実態は大変なことだと思っております。  私どもは、これはもう原則論で先生十分御承知のことでございますが、治療上の必要からそういう個室とか特別の部屋に入るという場合には、いわゆる差額ベッドを取ってはいけないということになっているわけでございます。御指摘がありますような患者さんたちは絶対治療上の必要性があるのだろうと思われるケースでございますので、そういう意味で、こういった状態に置かれている人から差額ベッド代を取るというのは、事態としてはおかしいというふうに私どもは考えます。ですから、それは個々のケース全部チェックしなければいけないと思いますが、そういった私ども基本スタンスでもって事態に対応したいと思っております。
  48. 福島豊

    ○福島委員 よろしくお願いいたします。  関連して、今、公的介護保険の検討がなされておりますけれども、これに対して、若いときから保険料を納めながら六十五歳未満で介護が必要になった人がサービスを受給できないという介護保険の案には賛成できないというような意見が聞かれます。  先日出されました経済企画庁経済研究所のレポート「介護保険の経済分析」においても、「六十五歳未満の要介護者も五十六万人存在しており、しかもその三分の二は寝たきりなどの重度の要介護者である。」「公的介護保険の対象を特定の年齢で区切ることの利点はもっぱら行政上の便宜以外には考えられない。」このように指摘されております。  リスクといえば、このALSも予測しがたいリスクであります。このようなリスクをカバーできないような介護保険であってはならないと私は考えます。この点につきまして、現在検討中のことですから明確な御答弁はできないかとも思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  49. 菅直人

    ○菅国務大臣 私も昨日、福島委員と同僚議員の北側委員が同行されてこのALSの患者さん御本人にお目にかかりまして、私も十分な知識を持っていなかったのですけれども、実際の患者さんの置かれている立場というものを伺いまして、本当に大変な状況だなということは強く感じたところであります。  今、福島委員の方から御指摘された公的介護との問題でありますけれども、若年者の要介護状態については、一般的には活動年齢にあることから、単なる身体介護のみならず、社会参加の援助等を同時に提供することが必要になることが多いわけであります。  こうしたことから、先般の老人保健審議会の第二次報告では、「若年障害者に対する介護サービスについては、基本的には障害者福祉施策によって対応することが考えられ、平成七年末策定された「障害者プラン」に基づき、具体的整備目標に沿って計画的にその充実が図られることにより、若年障害者によりふさわしいサービス提供が実現されることが望ましい。」こういう報告をいただいているわけであります。  ALSなどの難病患者に対する福祉施策につきましては、障害者プランにおきましても、在宅で介護が必要な状態にある難病患者のうち、従来、福祉施策の対象外となっていた方々に対しても、ホームヘルプサービス、ショートステイ、日常生活用具などのサービス提供を行うこととしたところであります。こうした施策推進によりまして、在宅で療養生活を送る難病患者の皆さんの生活の質の向上や介護者の負担軽減を図っていきたいというのがこの障害者プラン基本考え方になっております。  なお、現行の障害者福祉施策の対象となっていないが、サービスの性格上介護保険の対象にすることが適当だということで、初老期の痴呆のようなケースについては介護保険において給付サービスの対象として、サービスの谷間が生じないようにすべきだというふうに考えております。  いずれにしましても、年齢を通じて介護サービスや必要な生活支援サービスが行われ、サービスの谷間が生じないようにすることが必要だと考えておりまして、そういう中で、今回議論をしてお ります高齢者介護制度の中で、一応現在のところは今申し上げたような議論の過程ではありますけれども、六十五歳未満の方々について、障害者プランとの連携も含めてどういう形で制度的にカバーをしていくのがより望ましいのか、これは高齢者介護保険制度をこれから議論していただく中でも大いにいろいろな御意見を出していただきたい。そういう中で、場合によっては、従来のような、障害と介護とを少し分けて考えるという考え方がいいのか、ある意味では総合的に考える考え方がいいのか、そのこともあわせた議論が必要になるのではないか、そのように受けとめております。
  50. 福島豊

    ○福島委員 まだ検討の途中でございますが、ぜひとも前向きにお考えいただければというふうに再度要望いたします。  質問をちょっと変えますが、次は、医療福祉にかかわる制度間の格差の問題につきましてお聞きしたいと思います。  医療福祉の連携ということがよく言われるわけでございます。また、老人医療の領域では、医療と介護、福祉は切り離すことができないということも事実ですし、また、その境界も余り明確には引けないわけです。しかし、行政上には大きな違い、制度の違いがあるわけです。自己負担が制度によって異なるということもその一つであると思います。  大臣は、「適切な公費負担を組み入れた社会保険方式のもとで、保健医療福祉にわたる高齢者介護サービスを総合的、一体的に提供する新たな高齢者介護システムの制度化を図る」と表明されました。まさに総合的、一体的なシステムをつくるということは非常に大切で、その中で、現在存在する制度間の格差というものを解消していかなければならないのではないかというふうに私は思います。  ある人からこんな御相談がございました。母親が老人性痴呆になった。最初は病院に入ったわけです。次は老人保健施設、最後は特別養護老人ホームと移動していったわけですが、この中で、その方が不思議に思ったのは、負担が各施設で全く異なるということ。また、病院、老人保健施設では自己負担分は医療費として所得税法上の控除を受けることができる、しかし、特別養護老人ホームに入所すると扶養義務のある者の負担は控除は受けられない。状況は余り違わない、同じような感じでずっと続いているのにどうして違うのだろうかということを感じたそうでございます。大変素朴な疑問ですけれども、そう感じて当然かなと私も思います。  所得税法上の規定では、その第七十三条で「自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費を支払つた場合」ということで、控除が認められ、政令で医療費の範囲が定められているわけでございます。法的には、病院、老人保健施設医療を提供する施設となっておりますが、特別養護老人ホーム福祉施設ですから、その一部負担は当然控除の対象と現在の法制度のもとではならないわけです。  しかし実際に、先ほども言いましたように、家族の側から見ると、老人保健施設特別養護老人ホームで受けるサービス、どこがどう違うのかと言われるとよくわからない。非常に似ているところがあるわけですね。制度上の位置づけの問題でしかない。そこに、あえて目に見えない行政上の仕切りがつくられているように感じざるを得ないというふうに思います。むしろ、老人保健施設への入所、特養への入所、制度上どう違うのかということを理解している人の方が一般には少ないと私は思います。  そこで、介護保険創設にかかわり、この制度間の格差を是正しなければならないということが言われております。例えば高齢者介護・自立支援システム研究会の報告書では、「介護を必要とする高齢者に対する施設としては、特別養護老人ホーム、老人保健施設、療養型病床群、老人病院が主なものとしてあげられる。これらの施設については、高齢者ケアを担う施設として機能を強化する一方、利用手続や利用料における不合理な格差の解消を図るべきである。」と述べられております。  恐らく、公的介護保険の制度の中で負担の均等化というようなことを図られるのだと思いますが、そこからさらに踏み込んで、この税法上の扱いということに関しても私は対応すべきだと思うのですが、大蔵省にお聞きしますと、これは厚生省さんがどう考えるかという問題である、厚生省にお聞きしますと、これは大蔵省さんが考えることであると、お互いにキャッチボールをいたしまして、なかなか明確なお答えをちょうだいできないわけでございます。むしろ厚生省が踏み込んで、この制度間の格差をなくすということから大蔵省に働きかけられるということが私は必要ではないか、そのように思うわけでございますが、厚生省のお考えをお聞きしたいと思います。
  51. 和田勝

    和田政府委員 お答え申し上げます。  現在、社会保険方式による新たな高齢者介護制度の具体的なあり方について検討を進めておるところでございまして、先般、サービスの内容、水準等について御報告いただきました。現在、新たな制度についての具体的な費用負担の構造等についての御検討をいただいているところでございます。  こうした議論を踏まえながら、そういった中で利用者の負担といったことについても結論を得たいと思っているわけでありますけれども、その際に、結論を得られたそういった考え方をベースに、御指摘のありましたような高齢者介護制度に関連する税制等につきましても、税務当局と十分御相談をしてまいりたいと考えております。
  52. 福島豊

    ○福島委員 ぜひともよろしくお願いいたします。  また話が変わりまして、次は、厚生年金基金の問題についてお聞きしたいと思います。  昨年も御質問させていただきましたが、昨日の朝日新聞で次のような報道がなされました。「一九九四年十一月に解散した日本紡績業厚生年金基金が二十一日、加入者に約束している退職金を支払うのに不足する約二十五億円について、法定の上部団体である厚生年金基金連合会に支払い保証を請求した。」しかし、「連合会は保証資金が約五十三億円しかないので、全額は支払わない方針を決めている。」というような報道がなされました。  そこで、質問でございます。  年金基金は、厚生省が音頭をとって推進してきた事業であります。これが、バブル崩壊のあおりを受けて資金運用が行き詰まり、破綻に追い込まれた基金が出てきている、そのように単純化できるかと思います。それで、上部団体の連合会は、昨年二月、支払保証事業の運営規程を、解散したときに残った財産が少ない場合には保証しないこともあると変更しておりますが、私は、事後的に状況が悪くなったので規程を変更するというのは、加入者から見れば身勝手、フェアではない、そのように思わざるを得ません。その際、ではどのような水準であれば保証するのか、また、しないのか、その基準を明確にすべきではないかというふうに思っております。直接これは厚生省が運営しているわけではございませんけれども、所轄庁としましてどのように考えているのか、お考えをお聞きしたいと思います。
  53. 近藤純五郎

    近藤(純)政府委員 先生指摘の支払保証制度は、平成元年度に厚生年金基金連合会の任意事業という形で、母体企業が倒産した、こういったような場合を想定いたしまして創設されたわけでございます。  しかしながら、いわゆるバブル経済の崩壊後、基金を取り巻きます経済金融環境というのは著しく悪くなったわけでございまして、母体企業はそのまま残っていましても、財政悪化によりまして基金自体が残余財産がほとんどなくなるということで解散するといった、制度の創設時にはおよそ想定されなかったような事態が生じてきているわけでございます。  このような状況を踏まえまして、事業の実施主体でございます厚生年金基金連合会におきまして、現在の資金規模とか基金相互の助け合いとい う事業の性格、それから解散に至るまでの基金の運営状況、どういうふうな運用をしてきたのか、こういったようないろいろな観点から議論が行われたわけでございまして、その議論の結果、保証水準に一定の制限を設けるという結論に達したもの、こういうふうに理解しているわけでございます。現在、具体的な基準につきまして、連合会に支払保証事業運営委員会というものがございまして、この委員会におきまして検討が行われているという状況でございます。  私どもといたしましては、この事業につきまして重大な関心を持っているわけでございまして、担当者と議論をいたしているわけでございますけれども、この事業といいますのは基金全体の自主運用的な事業である、こういうふうに位置づけているわけでございまして、基金相互間での御議論あるいは事業運営委員会での御議論、それからそういう議論を踏まえての結論、こういったものについては私どもはやはり尊重すべきではないのかな、こういうふうに考えているわけでございます。
  54. 福島豊

    ○福島委員 基金としての主体性を尊重しながらも、受給権の保護という観点から、厚生省は積極的に取り組んでいただきたいというふうに私は思いますので、以上の点をお願いいたします。  関連しまして、きょうは大蔵省の方においでいただいておりますが、企業年金保険についてお聞きしたいと思います。  今回、大蔵省は、予定利率を四・五%から二・五%へと大幅に引き下げる決定をいたしました。また、四月一日から一斉にこれを実施するというふうに伺っております。  この点につきましてお聞きしたいわけでございますが、九四年度に予定利率を五・五%から四・五%に引き下げて間もないうちに今回二・五%へと大幅に引き下げる決定をした理由ですね。なぜこれが三・五%でもなく三%でもなく二・五%なのか、根拠が明確にされずにいきなり引き下げるという決定をしたわけでございます。この大きな変化に際して、加入者が納得するためにはなぜ二・五%なのかという情報開示が不可欠である、私はそのように思います。この点につきまして御説明をいただきたいと思います。
  55. 二宮茂明

    ○二宮説明員 お答えを申し上げます。  先生御承知のように、最近の金利状況を見ますと、公定歩合が史上最低の〇・五%となっておりますのを初めとしまして、長期金利が二%台で推移をするということで、極めて低い金利水準で推移をしているところでございます。  企業年金保険の予定利率の四・五%という水準につきましては、現下の低金利局面から見まして著しく高うございまして、生命保険会社の運用利回りとの間で非常に大きな逆ざやが生じております。平成七年三月期の決算につきましては、生命保険会社の受託する企業年金資産額から逆ざや額を推計いたしますと生命保険業界全体で約九千億円と、平成六年度の生保業界全体の経常利益約七千億円を大幅に上回るものになっておりまして、生命保険会社の経営の最大の圧迫要因となっておるところでございます。  このようなことから、今般、生命保険会社経営の健全性、そして契約者保護の確保、また企業年金制度の維持安定化等を図るために、企業年金保険の予定利率を四月一日から二・五%に引き下げることとしたものでございます。  以上でございます。
  56. 福島豊

    ○福島委員 確かに、運用する保険会社が大変だというお話はわかりました。しかし、それに先立つ期間で収益を上げたのではないかという思いもいたします。経営努力によりましてこの下げ幅を圧縮するということがなされたのかどうか、その点について御確認したいと思います。
  57. 二宮茂明

    ○二宮説明員 今回の予定利率の引き下げの要因となっております逆ざや問題を解消することは、生保会社経営の健全性、また契約者間の公平性、これを確保いたしまして、企業年金制度の維持安定化を図って契約者保護に資するものというふうに考えております。  なお、生保会社におきましては、こういう非常に厳しい運用環境下におきまして、健全性の維持向上に努めることを基本としながら、本社、支社などの組織の統廃合でありますとか、従業員の再配置あるいは事務の効率化、また諸経費の見直し等、経営のリストラに積極的に取り組んでおるところでございまして、今後とも引き続き事業の効率化に努めているというふうに承知しております。
  58. 福島豊

    ○福島委員 大変に厳しい経済状況であるということは私もよくわかります。しかし、やや景気も上向いてきたということでもございますし、できるだけ加入者にとって負担を緩和するような方向で今後とも御指導をお願いしたい、そのように申し上げたいと思います。  時間も残り少なくなりましたので、残り一点だけ御質問したいと思います。  今国会におきましては、らい予防法の廃止ということが予定されておるわけでございます。現在までに患者さんが経験してきました苦難を考えると、らい予防法がようやく廃止されるということを心より喜んでおります。今後も、療養所入所者の方々に対しては、その処遇の維持継続を図っていただきたいと思います。また、高齢化が進行いたしておりますから、施設その他の点でも状況に応じた対応をお願いしたいと思っております。そこで、しかし、目を世界に転じますと、いまだ東南アジア、アフリカには一千万人を超えるハンセン病の患者さんがおります。大臣は所信で、「開発途上国の人づくり支援のための我が国の専門家の派遣や研修等による国際協力推進、」を述べておられますが、らい予防法の廃止を一つの契機に、今度は世界のハンセン病患者を救うために積極的に国際協力を展開していただきたいと思います。この点につき厚生省のお考えをお聞きし、私の質問を終わりたいと思います。
  59. 松村明仁

    松村政府委員 ハンセン病は、現在なおアジア、アフリカを中心として多くの国で数多くの患者がおりまして、それらの国では重要な健康問題の一つとなっていると考えております。  ハンセン病に関します国際協力は、平成元年度から国立多摩研究所におきまして開発途上国からの研修生を受け入れており、現在、七期生五名が研修を続けているところでございます。  また、国立多摩研究所の専門家と開発途上国の研究機関等が共同で、ハンセン病の患者さんが数多く発生している地域におきます疫学調査と発病予防に関する研究を実施しておりますほか、開発途上国からの御要請に応じまして、国際協力事業団等を通じまして専門家の派遣等を実施しておるところでございます。  このように、私ども、現在、国際協力にも努めておりますが、今後とも、ハンセン病についての国際協力の充実に努めてまいりたいと考えております。
  60. 福島豊

    ○福島委員 どうもありがとうございました。
  61. 和田貞夫

    和田委員長 桝屋敬悟君。
  62. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 続きまして、質問をさせていただきます。  まず、菅大臣におかれましては、就任早々以来、大変に幅広いあるいは課題の多い厚生行政にお取り組みをされるということでありまして、何かマスコミの報道等を見ておりますと、今までと違う厚生行政の流れが私は出ているのではないかということで大変に期待をいたしておりますので、ぜひ頑張っていただきたい、こう思います。特に、大臣は市民運動を長い間されてこられたわけでありますから、現場感覚といいますか、本日私はホームヘルパーの話に集中をしてお話を申し上げたいと思うのでありますが、先ほど根本議員さんの方からもお話があって重複することは避けたいと思うのでありますが、特に大臣の現場感覚を期待を申し上げながらお話を進めたいと思います。  最初に、大臣、就任をされていろいろと資料をいっぱいごらんになって大変だろうと思いますが、先ほど大臣いみじくも言われましたゴールドプランそれから新ゴールドプラン、スーパーゴー ルドプラン、これは大臣の言葉で聞きますと物すごい迫力を感ずるわけでありますが、そうした新ゴールドプランが既に策定、実施をされて進められている。あるいは、今通常国会では新介護システム、先ほど青山同僚議員の方から新介護システムあるいは公的介護保険という話も出てまいりましたが、そんな大きな変化が今まさに目前にあるわけであります。  一つは、ゴールドプランそれから新ゴールドプラン、その上にスーパーゴールドプランという話を先ほどちらっとされたように伺いましたが、現行の新ゴールドプラン、旧の一番最初のゴールドプランがあってその上に新ゴールドプランがある、この進捗状況については大臣はどういうふうに御認識をされておられるのか、最初にお伺いしたいと思います。
  63. 菅直人

    ○菅国務大臣 桝屋委員の方から、新ゴールドプラン、スーパーゴールドというのは私もまだ正式な名前かどうかは知らないのですが、いろいろな方が言われている意味で先ほど申し上げたのですが、そういう問題について御質問いただきました。  御承知のように、新ゴールドプランに基づく介護サービスの基盤整備につきましては、平成八年度予算案においても、例えばホームヘルパーは対前年度比三万人増の十二万二千四百八十二人、また特別養護老人ホームは対前年度比で一万五千六首人分増の二十四万七千百九人分の事業費を計上するなど、着実な推進に努めているところです。  新ゴールドプランの各事業については一歩一歩着実に進捗しているものと考えていますが、事業ごとに見ると進捗状況に若干の差があるということも認識をいたしております。  私もいろいろなデータを聞いておりますが、ざっと見てみますと、ホームヘルパーについてはまあまあの進みぐあいなのかな。ショートステイについてもそれなりにいっているのかな。ゴールドの段階でまだ余りスタートしていなかった問題で、在宅介護支援センターなどはこれからピッチを上げなければいけないのかな。あるいは、ケアハウスなどもさらにピッチを上げていかないと新ゴールドの目標を達成しないのかな。  それぞれ若干の差はありますけれども、全体としては、多くの皆さんの御支援のおかげでかなりの進捗を見ているのではないか、こんなふうに受けとめております。
  64. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ありがとうございます。  大臣になられていろいろな資料をばっと役人の方から見せられながら今検討されているのだろうと思うのですが、今言われました着実にということは私もそのように認識をいたしておりますが、特に今から話題にいたしますホームヘルパーもまあまあという話であります。  しかし、一言だけ、かなり大臣も本音で話していただいたような気がするのですが、実は現場はもう大変であります。本当にゴールドプランだけで目が点になるような数字でありますが、その上に、途中から新ゴールドプラン、今やスーパーゴールドプランということですから、特に実施責任を持っております市町村は本当に大変な思いをして取り組んでおられるという事実もぜひ御認識をいただきたいと思います。  実は、こういう老人保健福祉マップというものが厚生省から出ております。これは、私の知る限り、ゴールドプランが始まってからおつくりになったのではないかと思っておるのですが、ある意味では、これは全国三千三百の市町村の成績表であります。三千三百の市町村を全部並べまして、どのぐらいの数値になっているのか、しかも計数整理をしまして、もちろん数字はあくまで指標だと私は思いますが、これは成績表でありまして、市町村にとっては大変に苦しい数字であります。  これをこういう手法で、在宅福祉サービス、これは施設も入っておりますが、進められるというのは、今までの厚生行政ではかなり乱暴なやり方でありまして、かなりきつい話だ。市町村に責任を持たせた、それですべての責任は市町村だ、こういう枠組みをつくった上で、ではその成績も発表しますということでありますから、これをベースに各議会では、市町村、県議会では相当責任者も追及を受けるわけであります。加えて、老人保健福祉計画も各市町村がおつくりになっている、こういう状況でありますから、大変苦労されておられる。これは厚生省が出されていますから、この資料に基づいて、きょうはヘルパーだけのお話を申し上げたいと思うのです。  六年版のマップの数字でいきますと、ホームヘルパー全国平均七四・二、これは計数が整理されております。これは六十五歳以上人口百人に対して年間利用できる日数で計数がつくられているわけでありまして、全国平均七四・二という数字であります。  これは大臣、仮に百人の高齢者ですから、元気な方も虚弱な方もあるいは寝たきりの方もいらっしゃるわけでありまして、全部ひっくるめて百人の高齢者で七十四日ほどヘルパーさんに来ていただけるキャパシティーがあるということであります。百人全部がお使いになるかというと、もちろんそういうことではないわけですから、仮に百人の中で一人ほど寝たきりの方がいらっしゃってホームヘルパーを使いたいという場合は、一人の場合は、一%の場合は七十四日あるわけであります。これを週に直しますと、七十四割る五十二週、そうしますと大体一・四ぐらいの数字になります。  私は、ぜひこれを認識していただきたい。だから、一%としますと、一%ではないと思うのでありますが、一%とすると、百人の中で一人ほどホームヘルパーが必要だという方がいらっしゃるとすると、全国の今の、六年版ですから平成五年の数字でありますが、平成五年のキャパシティーは七十四日、したがって、週一・四日来ていただける、こういうレベルであります。  その昔、私はホームヘルパーさんと長い間おつき合いをしておるのでありますが、ゴールドプランが始まるまでは、ホームヘルパーさんというのは週二回、一回二時間、手のかかる方は極力行かない、こういう悲惨な時代がありました。そのときの週二回、一回二時間ということでありまして、それを何とか崩したいということで皆さん現場は随分努力をされてきたわけでありますが、この数字が今七十四日というのは、一%と仮定しましても一・四日でありますから、余り状況は変わってないのじゃないかとこの利用状況を見ると私は感じるわけでありますが、これは局長さん、どうでありましょうか。
  65. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 お答えを申し上げます。  今、老人保健福祉マップの平成六年版の数字をお挙げになっての御質問でございました。  数字そのものは、先生指摘のとおりでございます。  それから、老人保健福祉マップをつくりましたゆえんのものも、ある意味からいうと先生おっしゃったようなことで、一面やはり、それぞれの市町村がこういったものの整備について一生懸命力入れをしていただくということが物事の出発でございます。そういう意味では、自分の市町村整備状況が那辺にあるかというところをやはり認識していただく、そしてその中で意欲を持ってやっていただく、そのことに対しては国も予算の面で全面的にバックアップをしていく、そういう体制の中で進めていこうという、いわば意欲のあらわれとしてこういうものをおつくりをさせていただいたわけであります。  そこで、今のホームヘルパーについての七十四・二日という数字でございますけれども、これにつきましては、私ども認識として、これで十分だとは決して考えておりません。  ただ、物事を時系列的にごらんいただきますと、例えばその前年とを対比していただきますと、今の七十四・二日というのは、その間に十二・四日、つまり二〇%の増加を、平成五年版ですから平成四年から五年にかけて伸びております。  さらに、その後につきましては、一番新しいの が今先生がお挙げになったマップですからまだ数字は出ておりませんけれどもホームヘルパーの数を比較させていただきますと、平成六年版でベースとなりました平成五年度のホームヘルパーの数というのは、今予算ベースで数字を持っておりますので申し上げますと、平成五年度予算におけるホームヘルパーの数がその当時は五万二千四百五人でございましたけれども平成八年度の予算のベースで申し上げますと、これが今十二万二千四百八十二人ということで、倍増の形にホームヘルパーの人員体制整備している。  そういう意味では、今お挙げになった数字は決して十分ではないし、まだまだ努力の要る姿ではあるけれども、急速にその努力を重ねてきており、そういう傾向の中で何とか目標十七万人ということを目指して、まずは新ゴールドプランとしてやっていきたい。それで、その新ゴールドプランヘの進捗という意味では、先ほど申し上げました十二万二千という姿は順調に着実に体制整備が進められてきている数字であるというふうに認識をしてよろしいのではないかという、その二面で申し上げさせていただければというふうに思います。
  66. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 局長、済みません。聞き漏らしました。十二万に、倍になったとおっしゃいましたですか。何年から何年が何人か、数字をもう一回正確に。
  67. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 恐れ入ります。早口で申し上げまして。  いずれも、予算ベースの数字でございます。したがいまして、まず最初に申し上げましたのは、平成五年度における全国予算計上定員としての人数は五万二千四百五人でございました。実績は、実はもうちょっとふえておりました。しかし、今度は平成八年度予算で、今予算手当てが済んでいる人数ということで申し上げますと、十二万二千四百八十二人でございます。これは先ほど大臣が申し上げた数字でございます。したがいまして、そういう数字を申し上げました。
  68. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 大臣、これは非常に大事なことですから、ぜひお聞き届けいただきたいと思うのです。ホームヘルパーさんは、今や頭数で、予算の数字では活動の実態はなかなかつかめませんから、ぜひお聞き届けいただきたいのです。  今、局長さんは、平成五年で五万二千人が八年はまさに倍の十二万ぐらいの数字になっている、こういう話でありました。では、出されていますこのマップで、これはさっきも言いましたように、百人当たりの年間利用日数ですから活動実績になっているわけでありまして、頭数ではない。実際何人の方が利用できるかという利用のところに着目をした数字でありまして、では、これが倍になっているかどうかというと、局長さん、どうでしょうか。
  69. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 老人保健福祉マップにおける数字はあくまでも実績の数字でございますから、ベースの違うものをもとに軽々に倍になるというふうに申し上げてはいかぬと思いますけれども、これも一つの指標でございます。また、数字的に全体をそういうふうに伸ばしてきているところも指標でございますから、厳密に倍かどうかは別にいたしまして、その間における利用状況等について変わりはない、それぞれの市町村における効率的な利用の仕方についての工夫に変わりがないとすれば、厳密に言えばを別にして、同じような勢いで整備が進められてきているということは少なくとも申し上げてよろしいのではなかろうかというふうに思います。
  70. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 済みません。意地悪なことを聞きましたけれどもホームヘルパーに限っては必ずしも頭数でなかなか整理できないものでありまして、活動実績というのは非常に大事だろう。しかも、本当に利用に着目したマップをお出しになっているわけですから、私はぜひこれで議論をしたいと思うのです。  では、頭数がふえているだけ活動実績がふえているかというと、今局長さんはっきりおっしゃらなかったのですけれども、僕は恐らく利用実績も相当ふえているだろうと思います。今、私の手元に、平成二年が四十七・三という数字でありますから、これが一番新しいもので今回七十四ですから、かなりの勢いでふえているということも、これもまた確かでありまして、これは局長さんおっしゃったように、頭数がふえる、活動実績もふえるという事実が非常に大事だろうというふうに思います。大変そこは難しい、悩ましい問題があると思うのです。  最初の話に戻りますと、七十四・二というのは、キャパシティーとして、例えば百人のうちお一人だけホームヘルパーさんをお使いになるという実態であれば、週一・四日くらい来ていただける、一週間に一・四回来ていただけるということであります。  ここはしっかりふやしていかなければいけないのだろうと思うのですが、このマップを見ますと、市町村ごとに三千三百で比較すると大変なのでありますが、県、政令都市で比較をしますと、最も高いところでは、これはいいところですから名前を出してもいいと思うのですが、横浜市で百五十・二日であります。それから一番低いところは、ここはもう言いませんが、これも政令市であります。都市部でありますが、十三・九という、まさに十倍以上の差があるわけであります。  この地域差というのは、本当にこれもまた悩ましいな、こう私は思うのです。横浜市の百五十というのは、ここは公社方式で、相当柔軟なホームヘルプサービスをおやりになっているということは私も聞いておりますから、その実績が出ているのだろうと思うのでありますが、逆に、この低い十三・九、どこかは申し上げませんが、こうしたところは一体どういう実態になっているのか。お年寄りはいらっしゃらないのか、あるいは要介護者が極めて少ない、あるいはその施設が大変多いということなのか、この差というのはどうでございましょう。
  71. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 先生今御指摘ございましたように、確かに大きな地域差があることは、これは事実でございます。そのことが非常に望ましい姿であるかといったら、決して望ましくないと私どもも思っておりますし、そういうことを解消していく一つの手段という意味でも、老人保健福祉マップをああいう形で整理をし、情報を公にしておるということもその一つでございますが、いずれにいたしましても、そういう差があります。これは、私どもとしても努力の中でできるだけ解消ということを心がけねばならないことだと思っております。  それで、その原因のよって来るところはなぜだろうということでございました。  一つには、客観的な条件の違いは確かにあると思います。それぞれにおいて、高齢化率の違い、あるいは、いいか悪いか、そのことの評価は別にして、家族による介護力の違いというのは当然同居率の違いといったような背景が出てまいります。それから、住民の意識でありますとか、自治体の意欲等の要因というものもありますし、地域の地理的な状況というのもやはり一つには大きく影響してくるであろうというようなことがございます。  今お挙げになったところにつきましても、一面において、そういうところは、例えば施設整備が逆に進んでいて、むしろ施設志向みたいなところが少しあるとか、それから、これ自体私どもとしては今後再編する中で介護問題の一つの取り組みとして考えていかなければいけませんが、社会的入院というような形での対応に事実上なっていないかとか、そういったもろもろの要因の結果として出てきておるものだろうと思います。  中には、そういう意味からいえば、これはやむを得ざるといいますか、地域における実情の違い、ある種のニーズの違いとして考えざるを得ないところはあると思いますけれども、そうでない、政策よろしきを得ればきちっとその格差が解消されるべき要因も多々あると思いますので、そういう意味では、そういったことにつきまして、その地域老人保健福祉計画という、全国こう いった形で、全部の市町村、全部の都道府県計画をつくっていただきましたから、その計画推進する中でこういったサービスのアンバランスというようなことを是正していくように、私どももよく指導、支援をしてまいりたいというふうに考えております。
  72. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 この地域差は、同居率の違いでありますとか、自治体の取り組みの意欲の差でありますとか、今いろいろお話がありましたけれども、確かに、五年の数字ですから、平成元年から始まったちょうど中間でありますから、もう少し様子を見てくれというお気持ちかもしれません。  ただ、大臣、今から我々はこの国会で公的介護保険といいますか、新介護システムの検討をやるわけであります。相当時は急いでいるわけでありまして、国民の目から見ますと、一つ地域差、さっきも言いましたように、ホームヘルプサービスの活動状況を見ただけでも十倍以上の差がある。あるいは、もう一つは今のサービスのレベル。  既に我々も見せていただいておるのですが、厚生省の老人保健福祉審議会の第二次報告あたりを見させていただきますと、新介護システム導入を前提としていろいろな資料を国民の前に出していただいております。  これを見ますと、新介護システムが導入されてからの姿、相当先の姿だろうと思うのですが、イメージとして高齢者の状態ごとに、例えば自分で寝返りすることができない相当重介護の方、こういう方にはどのぐらいサービスがこの新介護システムで予定されるか。一つの絵面でありますが、例えばホームヘルプサービスは週十四回ぐらい行きますよ、週九時間二十分ですと時間まで踏み込んでいるわけであります。  例えば、この十四回。先ほど私が言いましたように、ヘルパーは一回二時間、そういう機械的な活動でないということはもちろん私も承知をいたしております。しかし、週十四回ということは、一日二回、巡回型でどんどん行きましょう、こういうことなのであります。先ほどの話に戻りますが、七十四日というのは週一・四であります。これが十四回というのは、相当乖離があるわけですね。現状のサービスの水準からしましても、相当乖離がある。あるいは、地域差が相当ある。  こういう実態の中で新介護システム、全国共通の介護システムを導入しようということは、よく言われますように保険あって介護なし、あるいは今の基盤整備というのはまだおくれているのじゃないか、新介護システムを導入して果たしてうまくいくのか、こういう悩ましい国民の声になるわけでありまして、この辺の実態を大臣はどう認識されておられるのか。局長さんで結構です。
  73. 羽毛田信吾

    羽毛田政府委員 ホームヘルパーの現在の体制整備状況につきまして、先ほど来お答えを申し上げ、先生からも御指摘をいただいておるところであります。  先ほどの老人保健福祉審議会の第二次中間報告におきまして、お話のような訪問の回数についての試案が一つ参考としてついております。これは、将来高齢者が利用できる介護サービスの水準につきまして、新しい制度にふさわしい水準を目指すという観点に立ちまして、考えられる具体的なサービスモデルを示すという形でお断りをしてつけてあるというものでありまして、その中での先ほどお挙げになった十四回というのは、いわば最重度のケースの場合の数字でございます。  ここで示された数字につきましては、同じ報告の中で、「ここに示されたサービス水準の実現に当たっては、サービス基盤の一層の整備や財源確保等が必要とされるところから、直ちにすべてが実現されるものではない」、段階的にレベルを引き上げていくという形で対応しながら考えていくということが説明されております。  そういう意味からいえば、現状を踏まえて、確かに現状、今直ちにそういう状態にないことは私どもも事実としてそのとおりだと思いますし、これからそれを目指して段階的な引き上げを図っていく、その段階的な引き上げとの見合いにおいてそういった段階的な制度設計というものを考えていくという工夫がこれから要るでしょう。かたがた、それにしましても、とにかく大車輪でそういった体制整備を進めぬことには、先ほど先生おっしゃった保険あって介護なしみたいなことになってはいかぬということはそのとおりでございますから、大車輪で整備を進めながら段階的な対応を考えていくということになろうかというふうに思います。
  74. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 時間がありませんから急ぎますが、今局長さんおっしゃったように、段階的にということでありますし、あるいはまた、そうは言いながら大車輪のごとく格段に基盤整備を進めていかなければいけない、そのとおりであります。  どうか、今後、国民の前で公的介護システムを検討するときは、そのような話を、実態をぜひお出しいただきたい。システムを導入したらすぐこういうふうになるのですよということではなかなかないわけでありますから、そういう幻を余り出さないように、実態もお知らせいただきたいというふうに思います。  それで、段階的にふやしていくのですが、先ほど、七十四・二という数字は二〇%ぐらいふえているのです、こういう話がありました。今、二〇%というのは相当伸びていると僕は思うのです。これがそのままいきましても、例えば私が試算しましても、平成十一年、ゴールドプラン目標値からいきましても、二〇%ずつふえても二百二十ぐらいの数字になるわけでありまして、恐らく追いつかないだろうというふうに思います。恐らく、一週間に十四回と言わずに、一%の人が週七日、毎日ということでもこの数字は七百二十八ぐらいにならなければいかぬわけでありますから、大変にふやさなければいかぬということであります。  そこで、大臣、こういう声もあるということは御認識をいただきたいと思います。  厚生省さんがこうやってマップをつくってどんどんしりをたたいて、市町村、首長も悩んで取り組んでいるけれどもヘルパーをふやしたけれども、行くところがないのです、仕事がありません、ニーズがないのですという声も現場にあります。私は、もうないのかと思いましたけれども、ずっと現場を歩いてみますと、実際、ニーズがないという声もあるわけであります。  それはいろいろな理由があると思うのですが、例えば我が山口県の場合は、大変に病院施設が多いわけでありますから、ほとんどの方が病院施設に入られている。在宅で実際にホームヘルパーを利用されるという方は、まだ数は余り多くない。確実にサービスは具体的にふえてきているという話は聞いておりますが、しかしまだ、ホームヘルパーをふやしても行くところがないのですという声もある。  これはどういうことかといいますと、先ほど大臣がいみじくもおっしゃったように、構造改革であります。やはりこれからは、今のホームヘルパー、ショートステイ、デイサービスのような基盤整備を格段に進めていかなくてはいけないのですが、数値目標だけを出しても変わりません。現場は動きません。現場を動かすにはどうするかといいますと、やはり医療を中心とした社会保障の構造改革を同時進行で大胆にやっていかないと現場は混乱する一方であるというふうに私は思います。  恐らくどちらにしても混乱すると思いますが、どうせこの十年間は混乱するのですから、ぜひ思い切った構造改革をやっていただく、特に医療を中心とした構造改革をしていただくというようなことをお願いしておきたいと思いますが、大臣の御所見を最後にお伺いしたいと思います。
  75. 菅直人

    ○菅国務大臣 桝屋委員の方からは、いろいろな実態、あるいはいろいろな経験をお持ちの立場現場状況を教えていただきまして、どうもありがとうございます。  今言われましたホームヘルパーをふやすということと、それが具体的なニーズとのマッチでどうなるか。これは、施設の問題とか、まだまだ地域 によっては家の中に家族でない人が入ってくることに対する抵抗感があるとか、いろいろな状況があるのかなというふうに思っております。そういった点では、まさに試行錯誤をしながらそれぞれの地域に合った形でニーズを掘り起こしていくというか、そういうことも必要ではないかなと今話をお聞きして思っていたところです。特に、最後におっしゃった医療中心の今のあり方を改革をしていくという、ある意味では大変大胆なといいましょうか、大変重要な問題提起だというふうに思っております。  現在の公的介護の考え方も、御承知のように、特養だけではなくて、老健施設、中間施設あるいは一部いわゆる老人病院などについて、これを介護の枠組みの中で考えていこうというときに、施設内容についても、治療型を中心にしたものからいわば生活型を中心にしたものに変えていかなければいけないという問題もあると思いますし、また、そういう中ではケアのプランをどうつくっていくかとかいろいろなことが、あるいは従来の治療を中心とした医療制度とはやや違った考え方に組みかえていかなければいけない面も出るのかなというふうにも、今のお話を聞いていて思ったところです。  そういった点では、まだ直接に医療を中心としたものをどう変えるというところまで、私も言えるところまではわかりませんが、少なくとも、従来の、医療と措置費という二つの中心的な枠組みであったものに対して新たに介護ということをきちんと位置づけて、そういう意味では、医療と介護と措置というものがどういう形でこの福祉の中で位置づけられるのか。まさに、せっかくつくるわけですから、その中で、全体をより効率化と言っていいのでしょうか、そういうことも含めて構造改革を進めながらやっていく必要があるのかな。さらに言えば、将来には年金の問題も一部関連をさせて考えていく必要もあるのではないだろうかな。そんなことも思いながら、今のお話を激励として受けとめて、頑張っていきたいと思います。
  76. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 今後ともしっかり議論をしてまいりたいと思います。ありがとうございます。     〔委員長退席、木村委員長代理着席〕
  77. 木村義雄

    ○木村委員長代理 鮫島宗明君。
  78. 鮫島宗明

    鮫島委員 新進党の鮫島宗明でございます。  初めに菅大臣に、議院内閣制のもとにおいて、国民の代表である国会議員が大臣に就任したとき、どういう姿勢でその職責を果たすべきかということについて、私は、日々大変いいお手本を菅大臣が示してくださっていることについて、敬意を表したいと思います。特に、非加熱輸入血液製剤によってHIVウイルスに感染した患者の方々並びに御家族の方々に対する菅大臣の誠実な対処は、大変よき前例になるものだというふうに思っています。  そのような問題の中で提起されていることは、今の日本の社会にとって大変大きな問題でして、これは住専の問題とも絡みますけれども、いわば行政犯罪というものを今後どう考えていくかということについても問題提起がなされているのではないか。  まず、行政犯罪の摘発、立証あるいは処分というようなことについて考え方を整理する時期に来ているというのは、この住専問題も含めてですけれども、今まさに、日本の我々立法府にいる人間にとって正念場に来ているというふうに考えています。もちろん情報公開法の制定も含めてですけれども、行政権限の属人性をどう考えるのかというような問題も早急に整理すべき時期に来ているのではないかという気がいたします。菅大臣のますますの御健闘を初めに期待しておきます。  介護保険の話が、先ほどから何人かの委員の方から出されていますけれども、二月二日と三日の朝日新聞に「介護保険論点を探る」という特集記事が出ていまして、ここに出されている図は、必ずしも厚生省がおつくりになったデータそのものではなくて、多分、厚生省が出されている資料をもとに朝日新聞社の方でまとめた部分も一部含まれていると思いますけれども、その記事によりますと、二〇一〇年には六十五歳以上の約七%が要介護の寝たきりか痴呆症になります。二〇一〇年には約二百万人に達して、そのときの介護費用が十兆円になるでしようという予測がされています。  それから、さらに二〇二五年には、高齢化率といいますか、六十五歳以上人口比率が約二五%に達して、そのときには介護費用が二十七兆円の巨額に達するだろう。これは、半分が税金、半分が介護保険という話でいっても国民一人当たり十万円を超えるような巨額な介護保険の負担になるということですけれども、この高齢化率が二五%に達する二〇二五年には要介護老人の数はどのぐらいになるというふうに厚生省としては見積もっておられるのか。あるいは、そのときの介護費用は幾らぐらいになるというふうに見積もっておられるのか。  さらに、この要介護老人のうちのいわゆるアルツハイマー病といいますか、アルツハイマー型の老年期痴呆症の患者数がどのくらいになるというふうに厚生省の方では見積もっておられるのか、初めにお伺いしたいと思います。  もちろん、アルツハイマー病については、比較的若い世代といいますか、四十から五十代で発病する家族性のアルツハイマー病、これは主に遺伝が原因だと言われていますけれども、それと、六十五歳以上の老人で増加し始めるアルツハイマー型老年期痴呆症、これがいわゆるアルツハイマー病と言われていて、全体の九〇から九五%を占めると言われておりますけれども、私が今後アルツハイマー病と言った場合には、この後者の方の老年期のアルツハイマー型の痴呆症ということで言葉を使わせていただきますけれども、そういう意味でのアルツハイマー病の患者数が二〇二五年にはどのくらいになるというふうに推定しておられるのかをお伺いしたい。
  79. 和田勝

    和田政府委員 お答え申し上げます。  まず、二〇二五年におきます介護を要する人の数でございますけれども、これは寝たきり老人、痴呆性老人合わせまして合計約五百二十万人、そのうち要介護の痴呆性老人の方につきましては、寝たきり老人を除きましておよそ四十万人、先ほどお話がございました、およそ七・七%程度に当たろうかと思います。  二〇二五年度におきます介護費用についてでございますが、これは、先ほど御指摘がありました数字、およそ二十七兆円という推計をいたしております。これは、二十一世紀福祉ビジョンを策定する際に推計した数字でございます。なお、その時点におきます痴呆性老人に係る介護費用についての推計は、まだしてございません。そのデータはございません。  なお、老人性痴呆のうちアルツハイマー型の割合はどのぐらいかというお尋ねでございますが、二〇二五年におきますアルツハイマー型の痴呆性老人の数についての推計は、現在のところございません。  ただ、老人性痴呆の主な原因として、脳血管性の痴呆とアルツハイマー型の老年痴呆というものが挙げられるわけでございますけれども平成二年度の厚生省研究班の調査によりますと、現時点における脳血管性の痴呆の割合が四四%、アルツハイマー型の老年痴呆の割合が三二%程度といったようなデータがございます。
  80. 鮫島宗明

    鮫島委員 私が今言ったような意味でのアルツハイマー病による老人性痴呆がどのぐらいかという数字はおとりになっていないようですけれども、現在、日本に三十から六十万人の患者さんがいる。それから、アメリカでは既に四百万人が、レーガン前大統領も勇気を持って自分がアルツハイマー病であることを告白されておりましたけれども、アメリカでは既に四百万人という数に達している。  今も二〇二五年には二十七兆円という巨額が推定されておりましたけれども、このような今後介護費用が大変増大してくるときに、どうやってこの財源を確保するのかということを考えることも もちろん重要でしょうけれども、いかに介護負担の軽減を図るのか、逆に言えば、要介護老人の比率がふえないようにどのような社会的な措置をとるのかということも極めて重要なことだろうというふうに思います。  アルツハイマー病の悲惨さについては、古くは有吉佐和子さんのお書きになった「恍惚の人」を初めさまざまな文学的作品がありますけれども、一般的に言いますと、アルツハイマー病の患者さんは、非常に物忘れが激しくなって、今起こったことでもすぐ忘れてしまう。それから、時間や仕事の順序あるいは場所がわからなくなる。例えば家庭の中でも、料理の順序を忘れるとか、火をつけっ放しにするとか、大事なものを自分でなくしてしまってだれかがとったという妄想を持つ。あるいは、外出して道がわからなくなって家へ帰れなくなる。最後には、自分の息子や娘、配偶者の顔や名前、鏡に映った自分の顔すらもわからなくなり、人格的にも完全に崩壊する恐ろしい病だと言われています。これはノーベル賞を受賞されたような立派な学者でも、どのような人生経歴を持ってきたかに関係なくかなり広範に老人を襲う病気ということで、特に高齢化社会の先進地域であるアメリカ及びヨーロッパでは、このアルツハイマー病が重要な社会問題として取り上げられているのは既に御承知のとおりであります。  介護費用の軽減を図るという意味では、やはり、アルツハイマー病がなぜ発生するのか、あるいは有効な予防法や治療法があるのかどうかというのが非常に大事になってきます。今の多くの研究がアルツハイマー病に関して行われていると思いますけれども厚生省の御見解として、アルツハイマー病について、現在のところ有効な予防法あるいは根治的な治療法があるというふうにお考えなのかどうか、もしそういうことを御存じでしたらお教えいただきたいと思います。
  81. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 今、アルツハイマー病の有効な予防法だとか治療法があるのかというおただしでありますけれども、現時点で、アルツハイマー病またそれに近いところの老人性痴呆を含めまして、これが確実な予防法であるというものはいまだはっきりしていないと私は承知をいたしておるところでございます。また治療法も、同じように、効果的な治療法があるという段階ではない、このように思っております。
  82. 鮫島宗明

    鮫島委員 確かに、さまざまな研究が行われている割には、高齢期でないと発症しないというこの病気の特性もあって、なかなか予防法、治療法も有効な手だてが見つかっていないというのが現実だろうと思います。  先ほど、老人性痴呆のうちアルツハイマー性のもの、あるいは脳血管障害に起因するものという数字を御紹介いただきましたけれども、脳血管性の痴呆については、例えば塩分を控えたりアルコールを控えたりというような、食習慣の改善によって若干の改善効果が見られるということがありますけれども、アルツハイマー病の方に関しては、今のところその予防法についても全くわかっていない、大変憂うべき状態にあると思います。  ところが、この十年ぐらい、ヨーロッパやカナダのいわゆる高齢化社会の先進地域でかなり疫学的な調査が進んできておりまして、飲料水中のアルミニウムの濃度とアルツハイマー病との発生の因果関係がかなり高いという疫学的な調査結果が次々と発表されています。一九八六年のノルウェーの発表に続いて、イギリス、フランス、カナダ、スイス等で十人を超える多くの研究者の方々から、アルミニウム濃度の高い飲料水を飲み続けている地域、それから低い飲料水を飲み続けている地域、そういう地域間でどれだけアルツハイマー病の発生の差があるかどうかということをさまざまな角度から調べていますけれども、かなりはっきりした傾向が出ています。  今、厚生省が快適水質目標値として決めているアルミニウムの濃度は〇・二ppmですけれども、例えば〇・二ppmのアルミニウムを含む飲料水をとっている地域の人たちと、その十分の一の濃度の飲料水をとっている地域の人たちとを比べると、濃い濃度の方が約一・五倍危険率が高いというようなデータが複数箇所から出ておりますし、もっとその濃度差が高い場合にはもちろん危険率の差はもっと大きくなるという疫学的データが次々と積み重なっておりますけれども厚生省の方では、このような疫学的な調査結果については一応把握しておられるのかどうか、この海外から出されている調査結果についてどのように評価しておられるのか、あるいは日本ではこういう調査は行われているのかどうかについてお伺いしたいのです。
  83. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 今先生がおっしゃられた諸外国の事例のうち、全部について承知しているわけではございませんけれども、イギリスとかカナダのデータについては承知をいたしておるところでございます。  世界どこの国でも、アルツハイマー病の予防ということは大変関心があることでございまして、実は水道水との関連につきましても、WHOの水道の水質基準を定める会議等では非常に討議はされておるところでございます。ただ、現在段階では、水道水が原因でアルツハイマーが起きるということは、WHOとしてもまだ認めているわけではございません。これらの疫学データについてもまだ十分でない、こういうような判断というふうに伺っておるところでございます。  いずれにいたしましても、厚生省としても、この水の問題も大変重要な問題でございますので、文献情報を集める、特にWHOを経由して、WHOの会議にもうちの職員を派遣いたしましてWHOの情報をとってくる、また、会議にも出席して各国の様子を聞いてくるということをいたしておるところでございます。
  84. 鮫島宗明

    鮫島委員 それなりに深い関心を持ってWHOの会議にもお出になっているということですけれども、それでは、現在、日本各地の水道水中でアルミニウム濃度が実際どうなっているか、そういう発表できるようなデータはお持ちなんでしょうか。
  85. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 アルミニウムの水質検査を平成六年度に実施した結果がございます。  これによりますと、まず水道原水の方でいきますと、私どもがアルミニウムの快適水質目標値としている〇・二ミリグラム・パー・リットルという基準を定めて、それをオーバーする原水の採水の箇所数、全部の五百二十三のうち九十八カ所、一八・八%のところでこの目標値の〇・二ミリグラムという数値を超えておるということでございます。それから、きれいになった上水の方でいきますと、千百六十九カ所から取水をいたしまして調べた結果、十九カ所、一・六%がこの快適水質目標値を超えておるというデータがございます。
  86. 鮫島宗明

    鮫島委員 ちょっと角度を変えますけれども厚生省としては、このアルミニウムという金属をどう考えておられるのか。毒性物質という御認識がおありかどうか。つまり、アルミニウムが人の脳の神経細胞を冒す神経毒であって、人に対して痴呆症を起こす原因物質だという御認識をお持ちなのかどうか、あるいは毒でも何でもない、痴呆症を起こすこともないのだというふうにお考えなのかどうか、厚生省の御判断をお聞きしたいのです。
  87. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 アルミニウムという物質でございますけれども、これは地球の表層部に存在する原子といたしますと、一番多いのが酸素、それから珪素、その次にアルミニウムというぐらいで、地表ではアルミニウムというのは物すごく多い金属、金属の中では鉄よりももっと多い金属ですから、まず自然界にたくさんあるものであるということでございます。  そして、そのアルミニウムが毒性物質かどうかということは、ちょっと今もそこで話をしたのですけれども、薬務局の方で、結局、アルミが含まれた医薬品について一部アルミニウム脳症の事例が起きることがあるということからいいますと、アルミニウムで害が起きているということでありますが、ただ、それが大量になったときはそうなるかもしれませんけれども、量が少ない場合に は、今のところ人体に影響があるというデータはほとんどない、このように考えております。
  88. 鮫島宗明

    鮫島委員 もちろん、地球上にたくさんある元素だということは結構ですけれども、生体にとって、生物にとって必要な元素でないというぐらいの生物的知識はお持ちだろうと思います。  平成四年六月に、厚生省の方は「アルミニウムを含有する医薬品による副作用等の発生を防止するため、医薬品の添付文書に記載する「使用上の注意」を改めるよう指導」という指導文書を出しておりまして、この中で、アルミニウムを含む医薬品について、まず透析を受けて非常に腎臓機能が低下している人については、急性のアルミニウム脳症あるいはアルミニウム骨症があらわれることがあるということを明記しなければいけません、それから、腎臓障害のある患者については慎重に投与する、つまり、定期的に血中アルミニウム濃度の測定を行うことという注意書を書くように指導しておられます。健康な人についても、長期投与した場合のアルミニウム脳症については、長期投与ではそういうアルミニウム脳症とかアルミニウム骨症があらわれるおそれがあるので慎重に投与することということを、副作用について書き込む場合には書きなさいという指導をしておられる。  これはやはり、アルミニウムがある種の神経毒といいますか、脳とか骨にたまると深刻な問題を引き起こすという御認識がなければこんな文書を出す必要はないわけでして、恐らく、一九七〇年代の初頭に透析を受けている患者がばたばたと死んだ事例があって、それを調べてみたら、そこへ使われていた製剤の液体中のアルミニウム濃度が高くて、急性のアルミニウム脳症を起こして患者が大勢死んだというような経緯も踏まえてこういう指導文書を出しておられるのだろうというふうに思います。したがって、その急性の毒性については、厚生省の方も十分認識をしておられるのだろうと私は思いますけれども、むしろ問題になるのは微量慢性毒性です。  先ほど、〇・二ppmのガイドラインを超えている水道水が全体の一・六%、十九カ所でありましたというお話でしたけれども、こういう急性中毒を起こすような物質特に金属のようにほかのものに変化しない非常に安定した毒性物質というのは、微量であっても、長期間摂取した場合に慢性の症状を引き起こす可能性が高いと思いますが、そういう心配はないのだという事実がありましたら御紹介いただきたいと思うのです。     〔木村委員長代理退席、委員長着席〕
  89. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 アルミニウムの慢性毒性については、今、国際的なデータといたしましては、FAO・WHO合同食品添加物専門家委員会、JECFAと言っていますが、そこで、一生涯とり続けても健康上問題がないとされている摂取量を一日当たり五十ミリグラムと評価しておるということでございます。  それで、先ほども申しましたように、アルミニウムというのは水の中にも入っている。ほかにも、食品にも入っているということで、多くは食品の中にアルミニウムが入っているわけでございますけれども、その摂取量、これは日本のデータではございませんが、同じくJECFAのデータによりますと、大体一日当たり成人で六ないし十四ミリグラムというデータがございます。そういうことから考えると、先ほどの一日当たり五十ミリグラムと比べると相当低い数字にとどまっているということで、この程度の量であれば慢性毒性については心配することはない、このように考えておるところでございます。
  90. 鮫島宗明

    鮫島委員 時間の関係もあって、少し話をはしょります。  私は、大げさに言うと水俣病の再来を恐れて言っているわけでして、水俣病の場合でも、一般に、重金属のような物質あるいはこのアルミニウムのような金属物質が毒性があるかどうか、あるいは慢性毒性についてどう評価したらいいかという場合には、少なくとも科学的な原則、これは国際的にも専門家はほぼ同じように考えると思います。  まず、疫学的なデータがあるかどうか。それから二番目には、例えばこの場合ですと、アルツハイマー患者の脳内のアルミニウム濃度が非アルツハイマーで亡くなった方の脳内のアルミニウム濃度に比べて、明らかにアルツハイマー患者の脳の方が高いのだというような病理学的なデータがそろっているかどうか。それから三番目には、主に動物実験になると思いますけれども、放射能でラベルしたような、追跡できるような形でアルミニウムを動物に投与して、それが問題となるような器官に蓄積していく様子が把握できるかどうか、そういうトレーサー実験による事実確認。それから、あえて四番目ということでいえば、これは疫学的な調査の領域に入るかもしれませんけれども、その疑わしい要因を除去したら明らかにその発生率が減少した。  こういう四つぐらいの事象がそろえば、かなりこれはクロに近いというふうに判断するのが科学的にも社会的にも一般的な判断だと思いますけれども、この点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  91. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 アルツハイマーの患者さんの場合、病理を調べるとアルミニウムが蓄積している、今先生がおっしゃられたそういういろいろな研究データが出ておることは承知しておりますけれども、アルミニウムがあることと、それが原因であることとはまた一致をしないのも先生よくおわかりいただけると思うのであります。  そういう意味で、先生がおっしゃったように、疫学調査だとか病理調査、それから、その原因と疑われるものを除去したときに実際にその患者が減るとかいう、そういうふうにして学問を詰めていくということは先生のおっしゃるとおりでございます。  厚生省でも、アルツハイマーの研究というのに研究投資をいたしております。これは指定研究と公募研究をやっておりますけれども、公募研究の方にも、現にアルミニウムとアルツハイマーの研究をしたいという研究者からの公募が——公募があったかどうかちょっと確認できませんが、公募して合格をしていない状況から見ますと、審査をやっていらっしゃる先生方が、アルツハイマーとアルミニウムの関係については、確かに先生がおっしゃるように疑われる点はあるのかもしれませんけれども研究者先生方のレベルでは、今のところは研究の主体がそっちは向いてないというふうに私どもは承知をしておるところでございます。
  92. 鮫島宗明

    鮫島委員 日本の今の学会の中でのテーマの決め方というのは、これは大蔵省の予算査定の思想の問題もあって、実は別の問題としてとらえた方がいいのではないか。つまり、データが出やすい研究課題というのはたくさん申請があって、結果が見通せるものについては大蔵省も喜んで予算を出す。しかし、困難な研究テーマ、アルツハイマー病のように、例えば同じ実験動物でやろうと思っても、今、猿なんかを使って実験する場合も、病体猿の開発というのがそれ自身大変大きなテーマになっていますけれども、例えば高血圧の猿をつくるとか、こういうアルツハイマー病なんかでも、長い間生かしておいてアルツハイマーになった猿をまずつくって、それを対象にして研究するというようなことは何年もデータの出ない時代が続くわけでして、そういう課題は残念ながら日本では非常にやられなくなってきているというのは、これは科学技術分野の嘆かわしい兆候だというふうに私は思っています。  確かに日本でも、アルツハイマー病といえば、若年性の、先ほど言った遺伝性のアルツハイマーについては遺伝子の分析やなんかやると幾らでもデータが出ますから、ほとんど文部省の科研費あたり研究なさっておられる方も、アルツハイマー病患者の五から一〇%を占めると言われている遺伝に起因する家族性のアルツハイマー、その研究に偏っているのが現状でして、そのことをもとにして、だからいわゆる老人性アルツハイマーとアルミニウムの脳内蓄積との関係が科学的な関 心を呼んでいないという理由にはならないというふうに思います。  特にこの数年、私がさっき言ったような意味での病理的な知見なりあるいは実験動物を使ったデータというのは大変蓄積してきておりまして、既に、実験動物を使った実験では、アルミニウムがなかなか脳の細胞の中には入らないだろうと言われていたのが、はっきりと細胞内に侵入することが確認され、また、一度入ったものが排出されないということも科学的に明らかになっています。また、脳の細胞の中にアルミニウムが入りますと神経細胞が変化する、その神経細胞の変化の仕方が、実験動物で得られた変化の仕方とアルツハイマーの患者さんの脳の病理学的な所見と完全に一致するというようなデータも出てきておりまして、先ほど言った幾つかの、少なくとも微量慢性毒性を持っていると判断する根拠、疫学的、病理学的あるいは動物実験による研究等々のデータが蓄積してきている時期だというふうに私は思っています。  今、世界各地でもこの問題は大変深い関心を呼んで、アルツハイマーとアルミニウムという問題に限った国際会議も二年に一度ずつ行われていますけれども、既に一九九四年のレベルでほぼ、その前の国際会議あたりではまだ犯人説がやや揺れていた面がありますけれども、大体一九九四年ぐらいから、アルツハイマーとアルミニウムとの関係でいえば、アルミニウムが限りなくクロに近いということがほぼ国際的な合意になってきているというふうに私は思います。  水俣病の場合でも、原因となった有機水銀がチッソの工場から流され始めてから実際に水俣病の症状が人々に出てくるまでの間に二十五年近くがかかっておりますし、それから国が原因を特定して有機水銀の排出がとまるまでにはさらに十年以上がかかっている。先ほど一番初めに私言いましたけれども、今後、高齢化社会を迎えて、しかも高齢化率が二五%にも達する、そのときの介護費用が二十七兆円にもなるというようなトレンドの中で、いかにこの社会的な負担を減らしていくかというときには、やはり少しでもそういう介護の軽減に役立つような予防的な措置というのを早くとり始めて悪いという理由は私は何もないのではないかという気がしています。  水銀については、水俣病の原因であることがはっきりして、水質基準も厳しく決めてあると思いますけれども、今、水銀についてはどういう規制値になっておりますでしょうか。
  93. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 水銀は、水道の水質基準の健康に関する項目の中に入っておりまして、〇・〇〇〇五ミリグラム・パー・リットル以下となっております。
  94. 鮫島宗明

    鮫島委員 必ずしもアルミニウムについてはまだ水銀と同程度のデータの蓄積やなんかがなされているとは思えませんけれども、かなり疑いというのが強まっている中で、今、厚生省はアルミニウムについては水質基準の中でどういう取り上げ方をされておられるのでしょうか。
  95. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 アルミニウムは、水道水の水質基準ではなくて、快適水質項目ということで目標値を定めておるところでございます。その中で、先ほど申し上げましたように、〇・二ミリグラム・パー・リットルという形で指導しておるところでございます。
  96. 鮫島宗明

    鮫島委員 快適水質項目でしたか、あるいは水質基準、この基準項目に入っている場合は、多分法律的に水道事業者がこれを守る義務を課せられるのだろうと思いますけれども、今おっしゃいました快適水質項目に入っている場合は、これはどのような遵守義務といいますか、どういうことが水道事業者に課せられるのでしょうか。
  97. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 この快適水質項目は目標値でございまして、したがいまして、これを超したから水道をとめるとかということではございません。あくまでも目標として、各事業者がそこへ向けて努力をするということでございます。
  98. 鮫島宗明

    鮫島委員 厚生省の方でも、アルミニウムを透析を受けている患者あるいは腎臓の機能が低下している人たちに投与すると例えば胃薬のレベルでも必ずしも安全とは言えない、こういう神経毒を持っているということは御認識しておられると思いますけれども、健康に関連する項目ではなくて快適水質項目、罰則規定もない目標値というところに入っているというのは、いわば神経毒であるアルミニウムに対しての認識と実際の基準とが少しずれているのではないかという気がいたしますけれども、ヨーロッパやカナダあるいはアメリカではどういう扱いになっておりますでしょうか。
  99. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 お答えいたします。  世界各国の基準はすべて水道水が有すべき性状に関する項目として定められておりまして、健康に関する項目として定められたものではございません。  それで数字は、日本が〇・二ミリグラム、WHOの飲料水の水質ガイドラインも〇・二ミリグラム、アメリカの場合は〇・〇五から〇・二ミリグラム、それからEUは最大許容濃度が〇・二ミリグラム、ドイツも〇・二ミリグラムと、皆それぞれ健康に関する基準でなくて運用されております。
  100. 鮫島宗明

    鮫島委員 健康に関する基準とか水質について、性状に関連する項目とか快適水質項目とか、そういう日本型の分類を採用している国は少なくて、一般的な飲料水基準としてこういう項目が入っていると思いますけれども、今おっしゃった数字は最大許容濃度についての御紹介が中心で、ドイツでもイギリスでもアメリカでも、ガイドラインとしては〇・〇五ppmが採用されているというのが一般的でございます。最大許容濃度として〇・二ppmという数字が上がっていて、今、大体標準的な目標、推奨すべき濃度としては、〇・〇五以下というのが先進諸国では一般化しつつあると思います。  これはやはり、先ほどから言っておりますように、疫学的な調査によって、〇・一ppm以上ですと、その低いところとの間に明らかな、統計的に意味のある差が出てくるというような事実の積み重ねを受けて、もう少し低いところに持っていかないと今後の高齢化社会に向けて負担が高くなるということで、今、欧米では〇・〇五ppmというのが一つ目標数値として定着しつつあるのが現状だと思います。  先ほど、厚生省の方の水質調査で〇・二ppmを超えているのはわずか一・六%しかないというふうにおっしゃっておりましたけれども、私は、この国際基準で見た〇・〇五という数字で見ると、恐らく日本の水道水中のアルミニウム濃度はほとんどこれを超えているのではないかというふうに思います。  公式なデータは少ないのですけれども、愛知県衛生研究生活環境部の水道水中の濃度をはかったデータがありましたけれども、それですと〇・一ppm近い。つまり、海外のガイドラインと言われているものの二倍ぐらいというのが大体日本で一般的に検出される数字になっていて、この辺は、先ほどの疫学の調査でいえば、〇・一ppmのアルミニウムを含む水道水をとり続けていた人たち、それから、それより一けた下、〇・〇一ppmの濃度の水を飲み続けていた人たち、この両方の集団で比較すると、高い濃度の水、つまり〇・一ppmというと日本の大体標準的な水道水、これを飲んでいた人の場合、一・五倍患者の発生率が高まったということがあります。  したがって、私は、先ほどさまざま申し上げました将来の負担軽減という意味からいうと、少しでも早く日本のガイドラインも欧米並みの〇・〇五を採用すべきだし、快適水質項目に置いておくというのは、いわば健康に関する項目ではなくて、つまり健康とは関係ありませんよ、水の濁りとかにおいとか、そちらの範疇の物質ですという認識だけはやはりどうも理解できません。この数年間の急速なデータの蓄積あるいは国際的には既に、もちろんすべてのアルツハイマー病がこのアルミニウムから出るわけではありませんけれども、少なくともアルツハイマー病の危険因子の一つだということが広く認識され始めているとき に、やや考え方が保守的ではないかといいますか、この辺についてはどうも従来と余り姿勢が変わっておられないなという感想を抱かざるを得ません。  それで、例えば、別に厚生省の方では食品の容器、去年も容器包装リサイクル法が通りましたけれども、容器メーカーあるいは中身メーカーについて、アルミ容器の使用について何か指導とか通知を厚生省としては出されておりますでしょうか。
  101. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 昨年、先生方の御協力によりまして成立をさせていただきました容器包装リサイクル法の際に、アルミニウム容器について何か指導したかというお尋ねでございますけれども、私どもは、先ほど申しましたように、アルミニウムとアルツハイマーの関連ということは非常に関心を持って見ておりますが、まだ学問的にはっきりしないということで、あの法律の際に容器メーカーにアルミについて特に指導したことはございません。
  102. 鮫島宗明

    鮫島委員 厚生省に比べると世間の関心はもっとはるかに高くて、いろいろな大学先生あるいは生活衛生に関する方々がさまざまなところで調査しておりますけれども、アルミニウムの缶で特に酸性の飲料、酸っぱいジュース類とかそういうものを含んでいる場合は、あるいは果実酒なんかもそうですが、厚生省が言っている快適水質項目ですか、そこで言われている〇・二ppmを超えていることが多い。ビールについても、最近の缶ビールはみんな、少なくとも国産のものは内側にコーティングされていますけれども、海外から入ってくるさまざまなビール類についてはやはりコーティングが不十分なものもあったりして、アルミ缶についても基準値を超えているものが大分多いということですけれども、そういう調査は何か参考でなさっているというようなことはございませんでしょうか。
  103. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 厚生省の方では、アルミ製のなべから食品へのアルミニウムの移行について、国立衛生試験所で研究を行ったことがございます。  この研究によりますと、アルミニウム製のなべに実際の食品でありますトマトジュース、即席ラーメン、うどん、それぞれ入れまして十分間煮沸したところ、トマトジュースでは二・八ppm、即席ラーメンでは三・八ppmのアルミニウムの移行が認められましたが、うどんについては移行が認められませんでした。このように、先生も先ほどおっしゃいましたように、中に入るものによって移行が起きたり起きなかったりということは、科学の方から考えて当然想定されるわけでございます。  その他の食品については、私どもやっていませんし、缶についても、どの程度移行したかということは国の方としてはまだ研究もしてませんし、細かいデータもまだ把握していないところであります。
  104. 鮫島宗明

    鮫島委員 何百種類にわたるアルミ缶の飲料が既に市販されていて、その中には〇・二ppmの基準値を超えているものがかなりあるということは既に知られておるわけですから、そういう意味では、食品行政についてもう少しきめ細かい気配りをいただきたいというふうに思います。  アルミなべを使う場合、私が聞く前に先ほどお答えいただいたので、ちょっとその話をしますけれども、アルミが溶けるのは化学反応ですから割合単純でして、PHが酸性になっていて、しかも、そこでアルミと結合しやすいような塩素なんかがあると大変よく溶けてしまう。  例えば〇・四%のお酢それから〇・八%の食塩、これは大体すしのお米の味というふうに思っていただければいいと思います。この濃度で二十分ほど、レンコンでも何でもいいのですけれども、野菜でも肉でも、あるいは青みの魚の場合はもっとお酢を使うと思いますけれども、そういうことで調理をした場合、今の〇・四%のお酢、〇・八%の食塩、つまりおすしのシャリの方の味、その程度の濃度で煮炊きをした場合、二〇〇ppmのアルミニウムがその溶液中から見出されるという報告もなされています。  これは、〇・〇五じゃなくて、日本の基準の方の〇・二と比較しても千倍の濃度になるわけですし、先ほどトマトジュースとおっしゃいましたか、あるいはインスタントラーメンの場合でも、その基準値の二十倍というような数字のものが出てくるわけですから、こういうアルミ容器の使用、あるいは調理器具といいますか、なべかまの類の使用について、もちろんアルミが全く健康に害を与えないということが証明されていればそんな指導や通知は必要ないでしょうけれども、もしアルミの蓄積というのがアルツハイマーの発症にプラスに働くのだという御認識があれば、こういう分野についてももう少しきめの細かい指導が本当は要るのではないか。外食産業とか、我々、外で食べる機会がふえていますけれども、どういう調理場でどういう用具が使われて調理されているのか、いわばお客さんの方は知らないわけでして、その辺は行政側が目配りしないと、今後の高齢化社会を迎える上での行政として目配りすべき領域だろうと思います。  そういう意味でお伺いいたしますけれども、このアルミニウムというものが要注意すべき元素だ、要注意すべき金属だというようにはやはりまだお考えになっていない、厚生省としてはそういうふうには考えていないということをもう一度確認したいのです。
  105. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 今、要注意すべきかどうかというお話ですが、要注意というのはどの程度にとらえるかということで大分違いますが、我々としては、今先生の御紹介がありましたように疫学調査等がありまして、絶えず注意をしておく必要がある、こういうふうには感じておるところでございます。
  106. 鮫島宗明

    鮫島委員 厚生省として疫学調査を行う御予定といいますか、御計画はありますか。
  107. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 今の段階ではまだ考えておりません。
  108. 鮫島宗明

    鮫島委員 少し水道の問題に力点を置いて言いましたけれども、先ほど紹介したように、調理で使うアルミなべの問題あるいは容器として使われているアルミ容器の問題、それから意外と無視できないのが多分日常的に使われる胃腸薬、お医者さんが使うのじゃなくて普通に薬局でだれでもが買える胃腸薬、これも、成分を見ますと大体一包み一・三グラム中に二百ミリグラムから三百ミリグラムぐらいのアルミニウムの粉末が入っている製剤が一般的ですけれども、そういう形でも人間の体に入る危険性がありますし、特にお年寄りになってくると、一般的に老化の初めは腎機能の低下から起こると言われておりまして、腎臓の機能が低下している老人が、一人でアルミのなべを使って料理をして、胃の調子が悪いといってアルミの入った胃薬を飲む、それからまた水道水中の濃度も欧米から比べて決して低くはないという環境を考えますと、日本の老人はアルミニウムに関してはかなり無防備な状態にさらされているということが言えるのではないかと思います。  やはり、高齢化社会の先進国である欧米の研究成果を積極的に取り入れるべきですし、危険因子の一つとしてのアルミニウムを除くことが非常に重要になりますし、疫学的調査とか試験研究は、将来の介護負担でかかる費用に比べたらそれこそスズメの涙ほどといいますか、二十七兆円に比べれば、一万分の一の二十七億円の研究費でも十分だと私は思います。疫学的な調査、それから浄水場の機能を向上させて、今言った欧米並みの〇・〇五にアルミニウム濃度を下げるということの方が費用対効果を考えても安上がりだろう。将来の果てしなき介護負担のことを考えれば、少しでも介護負担を軽減するような予防的な措置あるいはアルツハイマー病の患者の発生を抑制するような社会的措置を、もう既に取り始める時期に差しかかっているのではないかという気が私はいたします。  最後に大臣に、大分専門的な用語も使わざるを得ない面がありましたけれども、この一時間の、 今のアルミニウムとアルツハイマーをめぐるやりとりを聞いていて、大臣としてどのような印象をお持ちか、お伺いしたいのです。
  109. 菅直人

    ○菅国務大臣 鮫島さんの方から、私自身にとっても大変参考になる御意見をいただいたと思っております。鮫島さん自身、いろいろな研究に携わってこられた経験から、特に諸外国でこの問題が相当に今注目をされ、あるいは疫学的な研究も進んでいる、そういう状況について、私は、残念ながらきようお話を聞くまでは余り詳しくは知りませんでしたので、そういう点では本当に参考になる話を聞かせていただいたと思っております。  今、いろいろと生活衛生局長の方からの答弁もさせていただきましたが、この問題について、国内における試験研究などが余りやられていない、あるいは疫学的な調査も国内においては余りやられていないという状況ですので、この点についてはぜひ考えさせていただきたい。今すぐこの場で、どういうことをやるということまではちょっとお約束できませんが、少なくとも何らかの、何か研究で専門家の方がやりたいというようなことがあった場合にそういうことについてお手伝いをするとか、あるいは疫学的な調査についても、疫学の調査というのはなかなか時間と手間がかかるというふうにも聞いておりますけれども、そういうことが可能かどうか、少し考えさせていただきたいと思っております。  アルツハイマーというものが、確かにレーガン大統領の表明を含めて大変注目をされてきておりますし、私もそうした高齢化社会に当たっての大変大きな要素だと思っておりますので、そのことが結果において、そういう危険性が、ないことが証明されればありがたいし、あるいはあるとすれば一層手を打たなければいけない問題ですから、まさに何らかの形で、試験なり調査なりを進める方向で何ができるかを検討させていただきたい、そのことを申し上げておきたいと思います。
  110. 鮫島宗明

    鮫島委員 規制緩和がこの永田町では一つの流行語のようになっておりますけれども、経済的規制は緩和した方がよろしいのでしょうけれども、やはり命や自然を守るという意味では、むしろ疑わしきは罰するという態度でお臨みいただきたいし、今、欧米で採用されている〇・〇五というガイドラインの濃度というのは、既に日本の浄水場の技術でも付加施設を加えれば十分達成可能な濃度なものですから、はっきりしない限りは取り組まないのだということを超えて、ぜひ新たな厚生行政を展開していただきたいというふうに思います。  最後に、蛇足ながら一言だけつけ加えますと、きょうの私のこの問題提起に関しては、多くの学者の方々が協力してくださいました。中でも東大の解剖学研究室の湯本先生は、きょうも傍聴に来てくださいましたけれども、世界各地の大変多くの有効なデータを紹介してくださいましたし、今年の三月で御定年になるのですけれども、良識的な学者としてのある種の遺言を受けて私はきょう問題提起をさせていただいたということを紹介したいと思います。  どうもありがとうございました。     〔委員長退席、鈴木(俊)委員長代理着席〕
  111. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)委員長代理 横光克彦君。
  112. 横光克彦

    ○横光委員 社会民主党の横光克彦でございます。  まず冒頭、菅厚生大臣におきましては、本当に就任早々、とりわけ薬害エイズ問題に関しまして、患者の皆様方に対する真摯な対応、そしてまた省内においての強い指導のもとで大変な御活躍をされていることに敬意を表します。  最初に、薬害エイズの件でございます。  現在、被害者の皆さんの悲願でもあります全面和解に向けて協議が行われているわけでございますが、ここに来て事態は大きく転換したというふうに思われます。また、その転換がこの和解協議、全面和解、救済に向けての進展につながらなければならない、そのように感じているわけでございます。  昨年の十月に、東京、大阪の地裁から、まさに画期的とも言える和解案が出されました。このことによって、当時の森井厚生大臣が、誠実に対応するということで、国が和解協議のテーブルに着いたわけですね。そして今、和解協議が進められております。  また、八年度のエイズ関連予算、ここでも、医療体制の充実には前年度比三倍増の二十一億円、さらに、エイズ医療等の研究開発推進には二倍の約十五億円という予算確保しております。  さらに、年明けの内閣改造のときに、与党三党で改めて、この薬害エイズ和解、救済に向けて三党で全力で努力するという合意もなされております。  そして、菅厚生大臣の強い指導のもとで、先ほどお話ございましたように、厚生省内にエイズ関連の調査機関が設置されました。そしてわずか三日後に、長い間確認されないと言い続けていた資料が発見されたわけですね。  さらに、先日の患者の皆様方の三日間にわたるいわば命をかけたとも言える座り込み行動、また、その中での大臣の患者の皆さん方に対する対応、そして責任と謝罪、こういった事態につながって、今このエイズ問題というのは大きな転換のときに来た、冒頭申し上げたところにつながっているのじゃないかと私は思います。  長い間発見されなかった資料が発見されて、先日の二十一日に公表されました。この資料の発見と公開がなぜこんなにおくれたのか。これは、患者の皆さんのみならず、国民の皆様方の大変な疑問なんですね。裁判が始まってから、もう六年になります。裁判所がこの資料を要求しましたが、なかなか出てこなかった。それが、大臣の調査機関設置、その後の三日間で資料が出てきた。これは、どのような弁明をしようとも、患者さんや国民の皆様方の目から見ると、たった一言、隠していた、こう思われても仕方ないわけでございます。  ですから、私は、ずさんな資料の保管体制、これをまず改める必要があるであろう。今回の薬害エイズを教訓として、私は、これまでの行政資料、これは厚生省のみならず、行政資料の保管方法を改善すべきではないか、このように思います。裁判所や国会が要求した場合、直ちに資料が提出できるようシステムをつくるべきではないかと思いますが、厚生省のお考えをお聞きしたいと思います。    〔鈴木一俊)委員長代理退席、委員長着席〕
  113. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 厚生省におきます行政文書の取り扱いでございますが、これは厚生省に訓令がございまして、文書保存規程によりまして、保存の場所とか保存期間、その他必要な手続が定められておるところでございます。これに従って整理、保存がなされておるところでございます。  お尋ねエイズ研究班の資料につきましては、そういった文書保存規程の観点から申し上げますと、研究班の管理運営というものが当時の主任研究者であります学者にゆだねられておりまして、厚生省の中央薬事審議会のような正式の審議会、厚生省が事務局を務めてその資料を用意するという性格のものではなかったということは申し上げられるかと思います。  しかし、今先生からお話のございましたように、今まで何回も調査をいたしましたけれども、発見ができなかったわけでありますが、今回、調査プロジェクトの設置を受けて再度徹底的な調査を行いましたときにファイルの発見がなされたところでございます。  今後とも、この文書保存規程に従いまして適切な整理、保管に努めてまいりたい、このように考えております。
  114. 横光克彦

    ○横光委員 私がなぜ行政資料の保管方法を改めてほしいということを要求したのかは、もし今回の資料あるいは新事実が六年前の裁判開始と同時に提出されていましたら、私は、多くの患者の皆さんが無念の死を遂げる前に解決の道が開かれたのではないか、その可能性があったのではないか、そのように思うからでございます。  次に、この資料の内容です。  私も拝見いたしました。エイズ研究班の二回目の会合前の八三年七月四日、この内部資料には「取り扱い注意」とまず書かれております。この七月四日の資料の趣旨ですが、当時のトラベノール社、現バクスター、このトラベノール社に対して加熱処理した製剤の輸入承認申請を急ぐように指示する、そして、非加熱処理の製剤については米国の原料を用いたものを取り扱わないように業者に対し行政指導する、こう書かれております。輸入承認申請を急ぐように、あるいは米国の原料を用いたものを取り扱わないように、この文言でおわかりのように、私は、この時点からエイズに対する危険性というのはもう研究班の方々は認識していたであろう、このように思うわけでございます。  それと同時に、この同じ七月四日の資料には、当時の名前ですが、「トラベノール、カッターの進出による国内メーカーへの打撃」、こういった文言がございます。輸入申請を急がなければならないけれども、国内メーカーへの配慮も同時に書かれている。  そして七月十一日、今マスコミ等で大きく取り上げております一週間後の資料では、「薬事法上の手続きでは、可及的速やかに処理しても本年」、要するに八三年の「十一月頃になってしまう。超法規的措置による承認は好ましくない。」いわゆる緊急輸入承認のことですね、これは好ましくない。  一週間前は、輸入承認申請を急ぐようにという指示を、それが一週間後には、緊急輸入承認は好ましくないと変わってきた。私は、この一週間が、この一週間の判断の変化が、もっと言えばこの一週間の判断の誤り、これが本当に悲惨な被害の拡大につながった、このことは申すまでもないと思います。ですから、今求められているのはこの真相の究明であろうと思います。  この七月十一日の、薬事法上の手続では本年十一月、このときは七月ですからわずか四カ月後でもよかったのです。でも、それさえもしなかった。結局、承認したのはそれから二年四カ月後の一九八五年である。  ですから、ここの一週間が、本当に違った対応をとっていれば、まあ薬事法の問題もあったでしょう。そういったことで今回、今国会にも提出される予定になっております薬事法改正案、この中で、例外的措置として医薬品の特例的な緊急許可というのを法律で決めよう。もしこれがあれば当時即緊急輸入できたのでありましょうが、こういったエイズの問題からこうした法案が次々といい方に変わっていく。しかし遅かりし、こういう思いがしております。  そういった意味で、この一週間の百八十度の転換の真相究明、これが被害者また国民の願い、そしてまた再発防止につながる一番大きな道であろうと思います。このことに対しましての厚生省のお考えをお聞かせください。
  115. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいま御指摘の昭和五十八年七月四日のペーパーの性格をちょっと御説明申し上げたいと思います。  この七月四日は、ごらんいただきますように手書きのものでございまして、当時の担当者あるいは責任者の話を聞いてみますと、当時、生物製剤課の担当者が課の中で検討をするためのディスカッションペーパー、要するにたたき台として作成したものであることが判明いたしております。その当時の担当者としては、実現可能性のあるものに限らず、自分なりに考えた、担当者として検討したあらゆる項目をたたき台として出したものでございまして、ここに書いてありますことが当時の生物製剤課の課としての方針ということではないということでございます。  そういった、まず課内で検討用のたたき台をつくり、そして課長を含めて課で検討をする、これはもう当然のことでございますが、この七月四日の、作成されたたたき台をベースに当時の生物製剤課の中で検討が行われまして、そして、七月四日のペーパーについて課内検討を行った後の整理したものと思われるのが七月十一日の資料でございます。この七月十一日の資料の性格については、それが生物製剤課としての方針になっていたかどうかについてはさらに今確認をしておるところでございます。  したがって、現在、調査プロジェクトチームによりまして、これらの資料を含めて当時の事実関係調査を広範かつ網羅的に進めておるところでございまして、そう遠くない時期にその結果が取りまとめられるものと承知をいたしております。
  116. 横光克彦

    ○横光委員 ぜひともよろしくお願いします。本当にここで、血液製剤を担当する生物製剤課でこういった意見があり、それがまたエイズ研究班の中でどのように反映されたのか、そしてまた、その意見がどのようにしてあのように大きく転換したのか、だれが意見を言い、あるいはどのような班の中の会議であのような転換になったのか、このことをやはりはっきりさせていただきたいと思います。  今、被害者の皆さんや国民の最大の願いは、一刻も早い全面和解、救済であろうと思います。国としてもぜひとも誠意をもって和解協議テーブルに着いて努力していただきたい、このように思います。また、和解が成立しましたら、こういった問題の真相究明がはっきりしなかったら、やはり私たちはこういった委員会の場に参考人としてもいろいろな関係者の方を呼ぶような事態になるかもしれない、このことをまずお伝えしておきたいと思います。  次に、こういった薬害が次から次へととまらない。サリドマイド、スモンや今回のエイズまたソリブジン、こういった薬害がなかなか終わらない。再発はもうしないのだと言いながら、本当にいつも再発が続く。これはどこに原因があるのかということを私たちは考えなければいけない。  やはりこれは薬事行政を根本的に見直す必要があるのではないか、私はこのような気がしております。医薬品については、その研究開発、生産また流通等のための許認可と指導、それと同時に品質や安全性のための規制、指導が同じ厚生省薬務局の中で行われているわけですね。業界の育成と安全性のための規制、指導が同じ局の中で行われている体制、ここにやはり一つ問題が出てくるのではないかという気がしてなりません。  例えば、医薬品や食品など国民の生命に直接にかかわる製品の安全性については、私は、国家行政組織法第三条に基づく安全委員会、これは仮称ですが、公正取引委員会のようなものですね、総理府のもとに置くことになろうと思いますが、こういった安全委員会というものを設けることも一つの案ではなかろうかと思います。このことに関しまして、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  117. 菅直人

    ○菅国務大臣 横光さんの方から、この件についていろいろ最初にもお話がありましたが、この問題は、昨年十月に既にもう和解勧告が出まして、厚生省として、前大臣のもとで、その和解交渉に臨むという決定をいただいておりまして、また、三党の皆さんの努力で、予算の中にも多くの予算を盛り込んでいただいております。そういう前提の中で、今回一つの方向を出させていただいて、和解による早期救済に向けて最後の重大な段階に来ているというふうに理解をいたしております。  そして今、横光さんの方から、今回のことに限らず、サリドマイドとかスモンとか、何度もそうした薬害が繰り返される一つの大きな構造的な問題として、薬メーカーを指導、育成するという役割と、ある意味では患者や国民の立場に立っていわば安全性をチェックするという立場、二つのことを同じ部局でやっていることが構造的な意味での不十分さにつながっているのではないかという趣旨のお話がありました。  この問題につきましては、私は、そういう御指摘があるということも十分に理解できますし、この問題がもう少し事実関係を含めてはっきりしてきた中で、どういう形でこれからの薬事行政を変えていけばいいのか、ぜひ御議論を各方面でいただきたいというふうに思っております。  今、国家行政組織法第三条に基づく安全委員会 という一つ考え方を横光さんの方からお出しをいただいたわけですけれども、そういう考え方もあるいは一つあるのかもしれませんし、これは必ずしも厚生省の行政だけではなくて、今まさに問題になっている住専の処理に関連しても、金融行政がどうだとか、あるいは従来のことでいえば証券行政がどうだとか、あらゆる分野で、いわば行政が情報も握り、指導もし、同時に国民的な立場でのチェックもするという、一人で二役も三役もやっていることの矛盾が各方面に出ている問題でありますから、そういう点では、薬事行政ということももちろん直接にはありますけれども、行政全般のあり方についての議論も含めてやっていく必要があるのではないか、その中で今の横光さんの方からの提案についてもぜひ積極的に受けとめていきたい、そう考えております。
  118. 横光克彦

    ○横光委員 非常に積極的な御意見、ありがとうございました。本当に、薬事行政の問題だけではありません。各行政の問題でございます。  もう時間がありませんので終わりますが、もう一つ大きな、いろいろな問題の原因となっているのが、国民にとって非常に不可解な問題であります天下りの問題です。この問題をお聞きしたがったのですが、時間がございませんので、また次回にさせていただきます。  ありがとうございました。
  119. 和田貞夫

    和田委員長 岩佐恵美さん。
  120. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 私は、まず最初に、薬害エイズに関する資料について伺いたいと思います。  いわゆる郡司ファイルなるものが二月二十日に公表され、当委員会にも提出され、説明がありました。全資料について今月中に公表、公開するということですけれども、当委員会に提出すべきだと思います。大臣のお考えを伺いたいと思います。
  121. 菅直人

    ○菅国務大臣 経緯についてはいろいろな機会に御説明を申し上げておりますが、一月二十三日に省内に調査プロジェクトをつくりまして、一カ月をめどにいろいろな項目について調査をしてほしいということで、きょうがちょうど一カ月目になります。午後にも省内の調査の報告を受けることになっておりますが、どういう形で、どの程度の量の調査の報告が上がってくるか、私も現時点ではまだ把握をいたしておりません。その内容なり分量なりを見て、基本的には、調査プロジェクトをつくる段階で、公表を前提としていろいろな御協力をお願いするということでやっておりますので、そこで調査の結果明らかになったことはできるだけ早い時点で公表したいと思っております。  その中で、この委員会からの御要請がありましたら、もちろんこの場におきましても、どういう手続が必要なのかはちょっとわかりませんが、提出を要請されましたら、できるだけこたえるように対応していきたいと思っております。
  122. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 その点はこの間も、二月二十日の場合、当委員会として、マスコミに発表する前にちゃんと資料を説明してください、公開してくださいということで、公開及び説明がありました。今度の場合も、きちんと当委員会に公開また説明をしていただきたいと思います。委員長にその点は要請をしておきたいと思います。  あわせて委員長に、昨日口頭で申し上げましたし、けさの理事会でも正式に申し上げましたけれども、安部英氏、八三年当時設置をされましたエイズ研究班の班長さんですね。当時、帝京大学の教授で、現在、副学長を務めておられます。それから郡司氏、この方は厚生省の生物製剤課長、現在、東大の医学部の教授ですが、お二人をぜひ当委員会に証人喚問として要請をしていただきたいというふうに思っています。  なぜかといいますと、先ほども質疑の中にありましたけれども、第二回エイズ研究班の一週間前には安全な加熱製剤の緊急輸入が検討されていたわけですけれども、その結論がわずか一週間でひっくり返ってしまった。本当に信じられないことが起こったわけです。このことによって、被害が本当に大きく広がってしまったわけです。なぜそうなったのかということについて、被害者はもちろんのこと、国民の皆さんは本当に疑問に思い、また、知りたいというふうに思っています。当委員会として、私はそうした疑問にこたえていく役割があるというふうに思っております。  郡司ファイルを見させていただいて、私もそういう思いを強くしているわけですが、第一次分としてこのお二人を証人として喚問するよう要請をしたい。またその質疑の間で第二次分、三次分というふうになると思いますけれども、とにかく、とりあえずお二人を証人喚問していただきたいということをお願いしたいと思います。
  123. 和田貞夫

    和田委員長 ただいまの岩佐恵美さんのお申し出の二件につきましては、理事会において協議いたしたいと思います。
  124. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 障害者プランについて、先ほどから議論があったところですけれども、二〇〇二年までの数値目標を定めたことは評価できます。  でも、それは厚生省のものだけで、障害者のための住宅建設あるいは雇用だとか駅、町づくりなど、障害者施策にかかわるすべての省庁を網羅したものにはなっていません。障害者の中には、特に教育、雇用については、これまでと同じように抽象的だ、具体性に乏しくて極めて不十分だ、そういう厳しい批判もあります。私は、前の委員会でも申し上げましたけれども、大臣が主導的に閣議の場などでの発言を通して障害者プラン全体を進める、そういうための主導的な、積極的な役割を果たしていただきたい、そう思います。  それとあわせまして、大臣は所信で、「障害者施策を総合的に推進する体制整備も図りつつ、障害者地域でともに生活を送るための施策を強力に推進してまいります。」と述べられました。  大臣官房に障害保健福祉部を創設して障害者関係部局を一元化することになっていますけれども、今必要なのは、障害者地域で本当に安心して暮らしていける、そのための障害種別ごとの法律、施設体系、福祉施設等の連携を図っていくことが必要だと思いますけれども、その点についてあわせてお答えをいただきたいと思います。
  125. 菅直人

    ○菅国務大臣 今回の障害者プランといいますのは、御承知のとおり、障害者対策推進本部の中で議論をされ、決定をされております。この本部長は内閣総理大臣でありまして、副本部長が内閣官房長官と厚生大臣という仕組みになっております。そういう意味では、このプランそのものが、厚生省だけではない、もっと言えば、厚生省もその重要な一員ではありますけれども、内閣全体でまとめられたものと理解していただいていいのだと思っております。  障害者地域の中で普通に生活できる社会を実現していくためには、厚生省の担当する保健福祉分野だけではなく、そういった観点から広く関係省庁がそれぞれの立場で取り組んでいくことが必要でありまして、そういった意味で政府全体として取り組んでいく。プランもその推進本部でまとめましたけれども、例えば、特にバリアフリー化の促進に関する施策などは、住宅であれば建設省、あるいは駅のエレベーターなどは運輸省、そういった関係省庁が積極的に取り組んでいただいてきていると思っております。  障害者プランは、推進状況を定期的にフォローアップしながら、社会情勢の変化に対応してさらに必要な見直しをしていかなければいけないと思っておりますが、先ほど岩佐さんのおっしゃいましたように、厚生省としてもこの問題で部局を一つにいたしまして強力に取り組んでいきたい、そう考えております。
  126. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 法律とか施設体系、福祉施策等の連携を図るという点について、もうちょっと踏み込んで、いかがですか。
  127. 佐々木典夫

    ○佐々木(典)政府委員 今、大臣から御答弁をしていただいておりますけれども、このプランにつきましては、策定の経過から申しまして、政府がつくっております平成五年の障害者対策に関する新長期計画の具体化版、実施計画版という位置づけで決めてきたわけでございますが、そういう意味では、関係省庁と一緒になってやってまいったところでございます。  具体的な目標をできるだけ書き込んでもらいたいということで、総理府を通じて私どもも事務的に努めてまいりました。そういう意味では、数量的なものが入ったところは厚生省保健福祉施策が中心なわけでございますけれども、各省におきましても、例えば……
  128. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 さっきの大臣の答弁でもういいです。障害者プランのことでしょう。
  129. 佐々木典夫

    ○佐々木(典)政府委員 はい。
  130. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 もうそれは伺いましたから、いいのです。そうじゃなくて……
  131. 佐々木典夫

    ○佐々木(典)政府委員 そういう意味では、策定の経過から踏まえ、それからフォローアップを
  132. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 法律だとか施設だとか、そういうものの一本化が必要でしようということを。
  133. 佐々木典夫

    ○佐々木(典)政府委員 そういう意味では、ただいま大臣からも申されましたけれども、七月から厚生省内でも、これまで身体障害者施策につきましては社会・援護局の更生課、子供あるいは精神薄弱の施策につきましては児童家庭局の障害福祉課、そして精神障害者施策につきましては保健医療局の精神保健課を中心として分かれてやってまいりました。今回、官房に障害保健福祉部という形で三局三課の仕事を一元化いたします。  これは、障害者施策は、御案内のとおり、障害の種類、程度がいろいろございますから、その専門性に応じた対応が要るわけでございますが、同時に、総合化の視点というのはぜひとも要るというふうに私ども思っております。そういう意味では、障害者施策を今後さらに高めていくという観点では、私どもは、三局を一本にするということで、まず着実に一段とその総合化の志向を強めたいということでございます。  そういう過程の中で、担当部長、担当課長、それぞれ縦のラインで責任を持って総合的な取り組みをするという中で、今、ある意味では縦割りになっております部分の不十分な点は今後大いに補って、施策の総合的な推進を図っていかなければならないと私ども思っているところでございます。
  134. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 時間がありませんので、質問をよく聞いていただいて、的確に答えていただきたいと思います。繰り返しの答弁はもう要りません。  精神障害者福祉施策について伺いたいと思います。  他の障害に比べておくれていると政府も認めて、精神障害者の長期入院者のうち、地域の社会基盤が整えば退院できる者については、社会復帰施設その他の地域における援助施策推進することにより社会復帰を図るとしてきました。また、総務庁の行政監察でも、社会復帰施設が充実すれば、入院患者の約二割、七万人近い人が今すぐにでも社会復帰が可能だとしています。ところが、障害者プランでは、精神障害者の社会復帰のための施策は、七年間でようやく二万人にしかすぎません。  あるいは、障害者の働く場として小規模作業所があります。今、授産施設と同じくらいの人数の障害者が入所していると思いますが、プランでも、「法定施設化を進めるとともに、助成措置の充実を図り、運営の安定化を推進する。」こう言っているわけですけれども、来年度予算で見ると、一カ所当たり百万円の助成が十万円ふえて百十万円になっただけです。こういう問題について、抜本的に見直して推進をしていくべきだと思います。  二つあわせてお考えを伺いたいと思います。
  135. 菅直人

    ○菅国務大臣 今回、この問題につきましては、相当高いレベルの目標を設定したというふうに思っております。いろいろな数字がありますけれども施設数などでは大体四倍とか五倍とか、そういった程度の目標を掲げて、平成十四年に向かっていろいろな施設整備を図っていきたい。  その中で、岩佐さんの今おっしゃいました社会に受け入れる体制も、確かに一遍に何万人というところまでいくかどうかわかりませんが、二、三万人程度がまず社会復帰できるような体制をつくるということで努力いたしております。  また、小規模作業所につきましては、いろいろな形態で運営が行われているということを承知しておりますが、例えばしっかりした授産施設の分場方式、つまり支店のような形で位置づけて、そうすれば、本体が法定施設であればその分場のところもそれの枠の中で助成措置が図れるというようなこともありますので、そういう形で進めていきたいと思っております。  百万から百十万ということもおっしゃいましたが、箇所数も千四百十一カ所から千八百九十五カ所に四百八十四カ所の増を同時に図っておりまして、そういう点では、七年度に比べて単価は一割の引き上げ、これも決して小さな額ではありませんが、箇所数も相当のレベル引き上げて、その方向で努力をしていきたいと考えております。
  136. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 それぞれ現状からすれば本当に皆さんの要求にこたえ切れていないということでありますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。  実は、きょう傍聴席にも来ておられるのですけれども、成人後知的障害になった方の母親の方からの訴えがありました。この方の問題について伺いたいと思います。  この方の息子さんは、二十歳のときに胃カメラ事故で一時呼吸停止となりました。一カ月間意識不明の状態が続いて、結局、後遺症が残って、現在は食事、排せつ、衣類を脱いだり着たり、そういう点ができなくて、全面的な介助が必要です。言語のコミュニケーションが一〇〇%失われていますので、ぜんそくの持病を持っているのですけれども、その訴えもできないということで、家族にとっては二十四時間、目の離せない状況にあります。また、通院、散歩などは、突然に走り出すとかということがあるものですから、二、三名の付き添いが必要な状況にあります。  この方の場合、障害者としてどのように処遇されるのでしょうか。
  137. 松村明仁

    松村政府委員 青年期あるいは老年期の前の時期にこういう状態になった方々にはいろいろなケースが考えられると思いますが、今委員が御指摘のようなケースの方ですと、もし身体障害という状態が非常に全面に出ているとすれば、これは身体障害という分野で対応すべき問題ではないかと思っております。
  138. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 障害者として自治体に手帳交付を申請しても、この方のケースの場合に、身体に障害がないのです。だから、身体障害者としては認められないのです。脳の障害だけあって、それが身体にあらわれていないのですね。  きのうもちょっと厚生省の方に来ていただいてどこへ当てはまるのですかと言ったら、精神障害者の課の方に、おたくの方でどうなのなんて言ったら、いや、うちの方はだめですと、そこでキャッチボールをしているわけですね。  精神薄弱者としても、成人からの障害なので認められないのです。精神障害でもないのです。ですから、その結果、手帳をもらえないし、障害者施設にも入れないのです。お母さんが市の窓口で納得できないと言って訴えたら、市の窓口は、他の同じケースの方には御理解をいただいておりますと言ったというのですね。それは要するに、他の人たちはしつこく行かないであきらめてしまった、泣き寝入りをしてしまったということだと思うのです。  今、十八歳で事故で知的障害になれば療育手帳をもらえるのですけれども、二十歳で知的障害になったらもらえないのです。そして、身体障害者は何歳で障害が発生しても対象になるのですね。知的障害だけは成人になったら対象とならないということですから、これはもう本当に全く制度の谷間という状態になっているわけです。  精神薄弱状態という言葉もあるようですけれども、交通事故の後遺症としてこのような障害を抱えておられる障害者が結構いらっしゃると思うのですね。そうした実態をきちんと把握すべきだと思います。  そして、重度の障害者であるにもかかわらず、 この方のケースの場合、本当に重度なんですね。早稲田の政経に通っておられて、そこで学生のときにそういう事故に遭われたわけですけれども、本当に一家にとっては突然のそういう不幸に見舞われてしまったわけですけれども、そうしたことでうんと苦しんでいらっしゃる方がいらっしゃると思うのです。  成人後知的障害になった、そういう方々を救済していく必要があるというふうに思います。ですから、実態を調べて、障害関係部局でもって一元化して総合的に考えていきますということですけれども、この方のケースのように本当に一刻を争うような、今そういう事態に追い詰められているわけですから、何とか方法がないのだろうかということで、ぜひ法律改正を含めて対応していただきたいというふうに思います。どうでしょうか。
  139. 菅直人

    ○菅国務大臣 今御指摘の、成人後の知的障害という分野といいますか、その問題について、これまでの制度が必ずしも的確に対応できないということは今のお話でも理解をさせていただきました。  そういう点で、どう対応できるか、まさに今回新しい組織をつくって総合的にこういう問題を対応しようということでありますので、このケースを含めて今後どう対応できるかということを研究して、何らかの対応を図るように努力してまいりたいと思っております。
  140. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 済みません。時間が来ているのですけれども、きょうお母さんも来られて、本当に切実なんですね。ですから、通知を一つ出して、こういうケースについてはとにかくとりあえずこういう救済をするとか、福祉作業所にも手帳がないために通えないという状態になってしまうわけです。ですから、緊急に対応していただきますように重ねてお願いをしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  141. 和田貞夫

    和田委員長 土肥隆一君。
  142. 土肥隆一

    ○土肥委員 もうあと十分でございますから、御辛抱いただきたいと思います。  今回、この厚生委員会に、社会保険方式のもとで高齢者介護サービスを総合的、一体的に提供する新たな高齢者介護システムを制度化するという大臣の所信表明が出ておるわけでございますけれども、私はここ二十年ぐらい福祉関係をしてまいりまして、いろいろな種類の障害者あるいは知的障害者、身体障害者ですけれども、それから特養あるいは児童養護、そしてさまざまな分場方式の施設もつくってまいりましたけれども、そうした中で一番問題になりましたのは、やはり圧倒的に在宅にいらっしゃる障害者やお年寄りの問題であります。  そういうことから考えると、どうしても施設だけでは対応できない部分をどう補っていくかといえば、当然、在宅福祉ということになるわけであります。そうした中で、私は、神戸ライフケア協会という、十四年ほど前に民間の在宅福祉のグループをつくりまして、そして活動をしてまいりましたが、今回このようにして介護保険が導入されて、いよいよ福祉という概念が大きく変わってくるということを思いますと、やはり今昔の感があるわけであります。いよいよ本当に国民のニーズに応じた福祉サービスが提供される時代が来たのだなというふうに思います。  しかし、この問題は議論し始めますといろいろな問題が出てまいりますから、やはり厚生省当局は相当の心構えで取り組まないと、これは解決あるいは実施に向けてなかなか困難な状況が生まれるであろうというふうに思うわけでございます。  きょうは時間が大変限られておりますので、従来考えられておりました、福祉といえば税金で見る、公費で見るというのが常識でございましたけれども、これを保険に変えるわけであります。なぜ税から保険なのか、保険導入をすることによって福祉がどう変わるのかということを端的にわかりやすく説明してください。
  143. 和田勝

    和田政府委員 お答え申し上げます。  現行の高齢者介護に係ります制度としては、税、公費を財源とする老人福祉制度医療保険の保険者の共同事業としての老人保健制度とに分立しておるわけでございますけれども、これら制度間には利用手続、利用料のルールあるいはその水準等において格差があるという現状にございます。差異がある現状にございます。こういった現行の高齢者介護制度再編成いたしまして、保健医療福祉にわたるサービスを総合的、一体的、効率的に、そして公平に提供するといった観点かち検討を進めておるところでございます。その場合には社会保険方式によることが適当であるというふうに考えております。  これは、まず第一に、高齢期におきましてはすべての人が、期間はともかくとして、相当程度の確率で介護を要するような状態になるといった可能性があること、こういった点から、これらのリスクは社会保険のシステムになじむものというふうに基本的には考えております。  この社会保険方式につきましては、ニーズに応じたサービスを普遍的に提供する方式といたしまして、公費の場合に比べて、サービス選択の保障あるいは利用しやすさといった点ですぐれているといった指摘がございます。また、負担と給付との対応関係が明確であって、負担に対する国民の理解を得やすいといった点でも意義があるといったような評価がなされております。  以上のような点を勘案いたしまして、将来にわたって増大してまいります高齢者の要介護ニーズといったものに対応する財源を安定的に確保するといった観点から、適切な公費負担を組み入れた社会保険方式について現在検討を進めているという状況でございます。
  144. 土肥隆一

    ○土肥委員 きょうのところは導入部分でありますから、一つ一つについて私の意見を述べることをやめます。  いずれにしても、私は大転換だというふうに思っております。従来の措置というようなものから保険というものに変わって、そして、だれでもが必要なサービスを受けられるということになるわけでありますから、これは国としてもあるいは我々としても相当腹を定めてかからなければならないというふうに思っております。  しかしなお、やはり私、最初から問題にしておきたいのは高齢者介護システムなんですね。六十五歳以上それから若年痴呆症の方ということになっておりますけれども障害者が外されているわけです。私は、障害者福祉も手がけてまいりましたけれども、やはりできるならば家庭で障害者生活してほしいというふうに思うわけです。  ここに厚生省の年金局数理課が出した厚生年金保険の障害厚生年金受給者実態調査というのがあるのですけれども、これを見ますと、年金を受けている障害者の八割の人が在宅、家にいる。そして当然、在宅あるいは在宅福祉ということになればホームヘルパーということになるのですけれどもホームヘルパーの援助を受けている人は〇・七%しかいない。こうなりますと、障害者は今の時点では在宅サービスを全然受けられないでいるといえば、まさにそのとおりだというふうに思うのであります。  負担の問題がありますけれども、二十歳から保険金を払ってもらうということになれば、若い人が参加するというときに、若い人も交通事故などで障害者になる可能性があるわけでありまして、そういう意味では、在宅障害者がもっと優遇されなければならない。そのときに今回の介護保険から障害者を外したという理由と、それじゃ障害者在宅福祉はどうするのかということをお答えいただきたいと思います。
  145. 和田勝

    和田政府委員 若年の、高齢期以前の障害者の要介護状態につきましては、一般に活動年齢にあることから、単なる身体介護のみならず社会参加の援助などを同時に提供することが必要となることが多く、障害の態様に応じまして教育、授産、就労、更生援護、住宅などの総合的な障害者施策が必要とされてくるというふうに考えております。そういった点で、高齢者の場合における介護とはやや異なった面があるのではないかというふうに理解をいたしております。そしてまた、現状 では、こういった高齢期以前の方の介護ニーズにつきましては、全額公費でサービスを提供しているという状況にございます。  こういったことから、先般の老人保健福祉審議会の第二次報告におきましては、若年障害者に対する介護サービスについては、基本的には障害者福祉施策によって対応することが考えられ、障害者プランに基づき、具体的整備目標に沿って計画的にその充実が図られることによって対応されることが望ましいといったような趣旨で整理をされておるところでございます。  ただ、現行の障害者福祉施策の対象となっておりませんが、そのサービスの性格上、介護保険の中で、高齢者介護保険の中で対応することが適当な、先ほど先生から御指摘がございましたけれども、初老期痴呆のようなケースについては、いわばサービスの谷間が生じないようにという観点から対応することが適当だという指摘を受けているところでもございます。  ただ、いずれにしましても、この若年障害者に対します介護サービスのあり方につきましては、種々御指摘も受けておるところでもありますし、関係審議会において御議論いただいているところでもございますので、それらを踏まえまして、今後さらに検討してまいりたいというふうに考えております。
  146. 土肥隆一

    ○土肥委員 最後に、制度あってサービスなしというふうなことをすぐ言うのでありますけれども、サービスの担い手をどうするかということについては、ひとつ大臣も記憶しておいていただきたいのは、今や、この十二、三年の間に住民参加型在宅福祉サービス団体、こう言っているものが大変ふえておりまして、そしてこの活動が極めて活発に行われているということ、これを忘れてはならないというふうに思います。  行政ヘルパーだけをふやすというのでは限りない財源が必要でございまして、既に六百九十一団体、そしてその最も突出しているのが住民互助型と社協運営型、これでもうほぼ全部、九〇%以上活動しているということでございまして、その中で民間団体がなぜこういう自分たちの手で在宅福祉の担い手になろうとしたかというと、まずは、大都市あるいは中都市の人口が四、五十万から百万台が多いのでありますけれども、やはりこのままでは自分が年をとったときに自分のところにサービスが回ってこないとか、行政に頼っていてはこれは間に合わないとか、もっと自分たちで自分の生活を維持していくような生活がしたいとか、それはお金を払ってでもそういう手を自分たちで確保したいというふうな非常に切実なニーズから、あるいは自己確認から生まれた運動でございます。  したがって、この人たちは非常に熱心に、私に言わせれば極めて創造的な、そして従来の行政のホームヘルプサービスなどをはるかに超えるような熱心な取り組みをしているわけでありまして、これが今後社会保険の方式に変わったときに、こういう団体を一体どうするのかということはきっちりと考えておかないといけないというふうに思うのであります。  そういうときに、今後この人たちの働きを十分行政的にもくみ上げて、そして保険の担い手になり得るかどうか、サービスの担い手になり得るかどうか、これは重大な政策判断が必要とされますが、その辺のお考えをお聞きしたいと思います。
  147. 菅直人

    ○菅国務大臣 今、土肥さんからのお話は、この制度を仕組む、特にサービスをどういう形で提供するかという問題で、大変大きな課題であり、工夫のたくさん要るところかと思っております。  現在、ホームヘルプサービスの運営主体は市町村で、そのもとに今も話の出ました社会福祉協議会あるいは特別養護老人ホームなどを経営する社会福祉法人あるいは福祉公社などといって財団のケースも多いですが、そういった一つの主体に委託をすることとしておりまして、運営の主体を今後は順次拡大をしていきたいというふうに思っております。  老健審議会の第二次報告におきましても、現行の事業主体を基本とした上で、利用者本位の効率的なサービス提供をするという観点から、サービス内容の性格に応じて民間事業者や市民参加の非営利組織などの参加による多様な介護サービスの提供を図ることが重要だと考えております。  こういった面については、土肥さんを初めいろいろな分野で実際の経験をお持ちの方もたくさんおられますので、そういう皆様の議論を含めて、これからの制度をつくっていく上でそういう御意見を取り入れながら進めていきたい、このように考えております。
  148. 土肥隆一

    ○土肥委員 終わります。
  149. 和田貞夫

    和田委員長 次回は、来る三月一日金曜日に委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時二十八分散会