運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1996-03-27 第136回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月二十七日(水曜日)     午後一時五十分開議 出席委員   委員長 日笠 勝之君    理事 栗原 博久君 理事 栗原 裕康君    理事 林  幹雄君 理事 井奥 貞雄君    理事 工藤堅太郎君 理事 土田 龍司君    理事 網岡  雄君 理事 宇佐美 登君       安倍 晋三君    片岡 武司君       金子 一義君    久野統一郎君       七条  明君    中村正三郎君       茂木 敏充君    江崎 鐵磨君       古賀 敬章君    実川 幸夫君       樽床 伸二君    藤村  修君       山本 孝史君    輿石  東君       田中 恒利君    山下洲夫君       藤田 スミ君  出席国務大臣         建 設 大 臣 中尾 栄一君  出席政府委員         警察庁交通局長 田中 節夫君         総務庁長官官房         交通安全対策室         長       井野 忠彦君         建設省道路局長 橋本鋼太郎君  委員外出席者         特別委員会第一         調査室長    田村 勝美君     ————————————— 委員の異動 三月二十七日  辞任         補欠選任   古屋 圭司君     安倍 晋三君   江崎 鐵磨君     古賀 敬章君   山下洲夫君     輿石  東君 同日  辞任         補欠選任   安倍 晋三君     古屋 圭司君   古賀 敬章君     江崎 鐵磨君   輿石  東君     山下洲夫君     ————————————— 三月二十六日  交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の  一部を改正する法律案内閣提出第四〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の  一部を改正する法律案内閣提出第四〇号)      ————◇—————
  2. 日笠勝之

    日笠委員長 これより会議を開きます。  内閣提出交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を求めます。中尾建設大臣。     —————————————  交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の   一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 中尾栄一

    中尾国務大臣 ただいま議題となりました交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  交通事故防止国民共通願いであり、従前から、国、地方公共団体等一体となって、各般の交通安全対策を強力に実施しているところであります。  政府におきましても、これまで、交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法に基づき、交通安全施設等整備事業を鋭意推進してきたところでありますが、交通事故による死亡者数が八年連続して一万人を超え、高齢者事故が急増するなど、交通事故をめぐる状況は依然として極めて憂慮すべきものとなっております。  このような状況対応するため、現行平成三年度から平成七年度までの計画に引き続き、平成八年度以降の五カ年間を対象とする第六次五箇年計画を作成することとした次第であります。  次に、法律案要旨を御説明申し上げます。  平成八年度以降の五カ年間において実施すべき交通安全施設等整備事業に関する計画を作成することといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げる次第でございます。  ありがとうございました。
  4. 日笠勝之

    日笠委員長 以上で趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 日笠勝之

    日笠委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。栗原博久君。
  6. 栗原博久

    栗原(博)委員 ただいま中尾建設大臣から、この法律改正に伴う第六次計画に対する御所信を伺いまして、ぜひひとつ死者一万人撲滅のために、今次の計画が円滑にまいりますことをまず御期待申し上げる次第でございます。  さて、戦後の驚異的なモータリゼーションの発達によりまして、昭和三十年代後半から事故が急増し、それに伴って交通事故死が大変頻発しておるわけでありますが、それによって、建設省あるいはまた総務庁警察庁関係機関一体となって道路改良あるいはまた交通安全施設等充実に努めていることについては、重ねて敬意を表する次第でございます。  特に、四十一年の第五十一国会に際して、きょう大臣から御提案ありました交通安全施設整備に関する緊急措置法が通りまして、そして四十一年から四十三年に交通安全の整備事業三箇年計画、あるいは四十四年から四十六年にも、三箇年計画が二回あったわけであります。これとまた関連しまして、四十二年には通学路に係る交通安全施設等整備とか踏切道法律をつくって、交通事故防止、あるいはまた円滑に交通が行われるようにという措置をとってきていると思うのであります。  私は、先般も申し上げたのでありますが、この法律を見まして若干疑義があることは、この法律における対象道路法道路であるということで、そうしますと、農道あるいはスーパー林道、あるいは広域農道等がこの対象から外れていることについて、速やかにある程度の検討を、総合的な中でこの整備計画を進めるためにも今後御検討いただきたいことをまず申し上げたいと思うのでございます。  それで、先ほども申しましたとおり、過去、昭和四十一年から四十六年まで三箇年計画が二回ありまして、その後四十六年から五箇年計画を五回やっておるわけでありますが、それに係る交通安全施設整備事業達成率はどの程度になっているかということをお聞きしたい。  その次に、今度の改正法律案を見ますると、従来の諸事業に加えまして、交通事故分析システム充実を新たに図るとか、あるいはまた譲り合いのための付加車線とか、あるいは自動車駐車場とか、地点標キロポストなどをつくって新し く需要対応するというようなお考えであるようです。  では、前回の計画執行状況あるいは執行内容はどうであったかということ、あるいはまた、過去五カ年において反省すべきものはどういうものがあったかということをお聞きしたいと思うのであります。
  7. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 交通安全施設整備につきましては、三箇年計画あるいは五箇年計画を策定して、昭和四十一年以来実施してきております。  昭和四十一年からの第一次の三箇年計画は、達成率が一〇〇%でございました。それから第二次の三箇年計画は、達成率が六七・七%でありますが、これにつきましては二年で改定しております。そういう事情がございます。それから、昭和四十六年以降は五箇年計画を策定するということにしておりまして、一次から順次申し上げますと、一〇三・八、一〇三・九、それから第三次は八九・六、第四次が一〇〇・八、第五次が一一一%という、交通安全施設等整備事業五箇年計画の中で国が関与する特定事業の分、さらに道路管理者分進捗率について申し上げますと、今御説明したとおりでございます。  なお、これとあわせて実施しております地方単独事業につきましても、おおむね達成率は一〇〇%近くいっており、あるいは一〇〇%を超えておりますので、そういう意味では進捗は順調であったということが言えるのではないかと思います。  さらに、今御説明いたしましたのは事業費ベースお話でございますが、例えばその中で、道路管理者として重点的に実施してきておりました歩道等整備について申し上げますと、昭和四十五年度末には歩道が設置されている道路というのは約一万七千キロしかなかったわけでありますが、平成七年度末には十二万八千キロの道路歩道がついたという状況でありまして、歩道のついている道路のストックとしては七・五倍になったということであります。あるいは、横断歩道橋等につきましても、昭和四十五年度末は五千八百でありましたが、これが七年度末には一万六百と、約二倍近くになっております。そういう意味で、施設についての十分な整備進捗が図られたものと考えております。  しかし、特にこの五カ年を振り返って反省点がないかという御指摘でございます。  今申し上げましたように、施設整備を着実に実施してまいりましたし、現行の第五次五箇年計画においても、自動車駐車場、あるいは後続車車線を譲るための付加車線の設置など、新しい施策もいろいろ盛り込んで、事故防止のためのいろいろな工夫をしてきたわけでありますが、残念ながら、目標としております交通事故死者数一万人をなかなか下回ることができない。あるいは高齢者事故死者数が、他の年齢層が減少あるいは横ばいの中でふえてきているという状況でありまして、これらの状況については大きな課題であり、真摯に受けとめなければならないと考えております。そういう中で、社会情勢変化等、これらに十分対応できる施策展開が必要ではないか、そのように考えております。  そういう意味で、今後は、例えば科学的な手法に基づく、さらに事故率が高い箇所への効果的な事業展開を集中的に実施していくというような点、あるいは歩行者空間連続性確保が必要であるという観点から、連続性を強調する、あるいは歩きやすい幅の広い歩道整備をして、高齢者にも優しい道路としていくということが必要ではないか。さらには、道路利用者視点から、あるいは地域のいろいろな方々の意見も十分反映していくというようなやり方の面、安全点検等を含めて、この事業の進め方についてもいろいろ反省すべき点があるのではないかと考えております。
  8. 田中節夫

    田中(節)政府委員 警察庁といいますか、公安委員会関係分につきまして御説明いたします。  詳しくはただいま建設省の方から御説明がございましたけれども公安委員会分交通安全施設整備事業につきましては、過去五回の交通安全計画につきまして、財政状況が非常に厳しい状況のもとでは一〇〇%の達成率でありませんでしたが、第五次の五箇年計画につきましては一〇〇%を超える見通しでございます。  なお、反省点はどうかというようなお話でございましたけれども、現在の五箇年計画のよって立つところの交通安全基本計画、この目標達成ができなかったということはまことに残念であるというふうに考えております。現在の事故状況、そういうものを綿密に分析いたしまして、今回の新しい計画に反映させたいというふうに考えておるところでございます。
  9. 栗原博久

    栗原(博)委員 昨年の十一月三十日に、何としても平成七年には一万人にならないようにということで本委員会でも決議をしておるわけであります。しかしその決議に反して、十二月末には一万六百七十九人のとうとい人命が失われているわけでありまして、阪神大震災のあの被災者の約二倍に匹敵する方が、毎年、過去八年連続亡くなっているわけであります。  こういうことを踏まえながら、今御答弁で、ハードの面、要するに道路とかそういうものは進捗一〇〇%、大変これはいいことである、私ども田舎においても横断歩道等もできてまいりましてすばらしいことだと思っております。しかし、その成否はやはり事故が少なくなること、それから死亡率が落ちること、それによって判断されることだと私は思うわけでありまして、先ほど大臣からも所信がございましたが、ぜひひとつ第六次の計画の中で、やはり一万人を何としても食いとめるべく政府挙げて御対応をひとつお願いしたいと思うのであります。  その中で、道路をつくるとか横断歩道あるいはいろいろの施設ハードの面でありますが、今度はソフトの面からもちょっとお聞きしたいと思うのですが、実は安全教育の中心的な役割は、自動車教習所に大きいものがかかっていると私は思うのであります。全国に千五百を超える教習所があるやに伺っておりますし、約七万人の職員がそこに従事しておるわけであります。  近年、私も団塊の世代ですが、私ども子供たちが今もう自動車免許を取っている時代であります。やはり今後十八歳以上の人口がどんどん減ってくるわけでございますが、その中で社会的な使命を帯びております自動車教習所自動車学校人件費が八〇%以上に及ぶわけですから、なかなか生き残りが大変だと思うのでございます。特にまた、自動車学校は、御承知のとおり子供たちの冬休みとか春休みに集中してやはり講義を受けるのが多いわけでありますから、労働体制四十四時間ですか、その中でも変形労働時間制をとりながら何とか経営をして耐えているということであると思うのです。  そこで、先般、実は予算委員会で、どなたでしたかちょっと私忘れましたが、外国等の要望の中の規制緩和の一環とも思うのですが、自動車学校について、どうも経費が高い、受講料ですね、河川敷で走らせてそこで免許を取ってやった方がいいじゃないかという御提言もあったように伺っています。それはそれなりのまたお考えもわかるのでありますが、我が国道路が極めて狭小であり、そしてまた混合道路であるということ、あるいはまた、いろいろな道路とか、あるいは車の種類がございますから、私どものこの日本の交通体系の中で、やはりきちっとした教育体制といいますか安全教育というものは私はどうしても必要だと思うのであります。これをやっているから、また事故も、今死亡者一万人いっておりますが、その程度で何とか食いとめているかもわからぬ。  これからは、今度ソフトの面でひとつ高齢化社会の中でお年寄り方々安全教育を。私も、この二十三日に免許の書きかえがあったので新潟免許センターに参りましたら、九十三歳の方が免許の書きかえにいらしておりました。これだけどんどん高齢化社会になるわけですし、当然若い方とお年寄りでは違うわけですから、やはり事故というものも起きると思うのです。こういう高齢者に対する安全教育等のことを、要するに生涯交通 安全教育ですね、そういうものを、せっかく今各自動車教習所あるわけですから、こういうところにやはり委託をするとか何かいたしまして、お年寄りがわざわざ、例えば私ども新潟でありますが、七十キロ、八十キロのところの免許センターまで行かねばならない状況なんですが、それは書きかえのときはよろしゅうございますが、やはり市町村に一個ぐらい自動車学校があるわけなんで、平時はそういうところで安全教育等した方がいいと思うのであります。  これについて、このような自動車教習所に対してどのような役割を国が求めているか、あるいはまた、私今申しました安全教育等について、指定自動車教習所等を今後どのように活用するお考えがあるかということをお聞きしたいと思います。
  10. 田中節夫

    田中(節)政府委員 委員指摘のように、我が国交通安全教育の中で指定自動車教習所の占める位置は大変高いというふうに認識しております。新しく運転免許を取得する者のおおむね九五%が指定自動車教習所の卒業生でございまして、特に初心運転者教育実施に当たりましては大変大きな役割を果たしているというふうに認識しております。  交通安全の確保に、施設面だけでなくて、そのソフト面と申しますか、そういう面でより役立つ、より交通安全に配慮した運転者を育成するという観点で、平成六年には普通自動車等教習カリキュラム改正を行いました。交通事故を起こさない、あるいは交通事故に遭わないための教習内容を盛り込みましたし、また、自動二輪車に関しましても同じような観点で見直しを行っておるところでございます。今後とも、安全な運転を履行する運転者の養成、さらには、既成運転者に対する再教育の場として効果的な教習業務等が行われるように指導していきたいと存じます。  また、高齢運転者の御指摘がございました。高齢運転者にかかわる交通事故は大変ふえてきております。指定自動車教習所の有する施設教育体制というものを十分に活用いたしました、高齢運転者に対するところの参加・体験・実践型の交通安全教育は大変効果的であるというふうに認識しております。  既に一部で実施しているところがございますけれども、今後さらに、高齢運転者講習あるいはシルバードライビングスクール等地方自治体の協力も得ながら強力に推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  11. 栗原博久

    栗原(博)委員 私は、やはり安全コストはお金ではかれないと思うのでありまして、我が国自動車損害保険等を見ましても、他の国に比べてやはりその掛金も大変多いわけであります。ですから、私は、ある程度経費はかかってもいたし方ない、しかし、国民一億二千三百万人の大事な財産、生命、これをこの一万人の交通事故死亡者の中において何としても食いとめるように、やはり政府挙げての対応を求めたいと思うわけです。  最後に、中尾大臣お越してございますので、こういう交通安全の環境づくりのために、建設大臣としての御所信を一言ひとつ承りたいと思います。
  12. 中尾栄一

    中尾国務大臣 先ほど来、委員交通安全というものに対する情熱をそのまま吐露されたお言葉を私も率直に承っておりまして、本当に感じ入った次第でございます。  交通安全というのは全国民の切実な願いでございますが、交通事故死者数昭和六十三年以降八年連続して、御指摘のとおり一万人を超えるとともに、高齢者事故が急増するなど、まことに憂慮すべき状態が続いておる次第でございます。  こうした事態に対処しまして、交通事故削減に向けて効果的に事業実施するために、事業重点化総合化を図るとともに、必要な事業費確保に向けて取り組んできたところでございます。  このような考え方に基づきまして、新たな交通安全施設等整備事業五箇年計画を策定いたしまして、交通事故の研究、調査分析、それを行った上で、まず第一点、事故削減策を集中的に実施するための事故多発地点緊急対策事業、また第二点として、高齢者等社会参加を支援する歩行空間面的整備のためのコミュニティーゾーン形成事業、あるいは第三点として、利用する視点からの安全への取り組みのための安全総点検というものに重点を置きまして、警察庁地方自治体、その他関係者と連携して事業実施を図る所存でございます。
  13. 栗原博久

    栗原(博)委員 どうもありがとうございました。
  14. 日笠勝之

  15. 宇佐美登

    宇佐美委員 新党さきがけ宇佐美登でございます。  本日は、交通安全の中でもとりわけというのでしょうか、目に余るような違法駐車の現状について御質問をさせていただきたいと思います。  バブルの後、少しずつではありますけれども、私の目から見まして、都市部において、六本木、銀座、赤坂等を見ている中で、違法駐車というもの、夜間は少しずつ少なくなっているようにはお見受けするのですけれども、それでも平日のビジネスタウンにおいては、まだまだ違法駐車があるかと思います。  現在の年間の違法駐車の数についてお伺いしますけれども取り締まり件数、実際に違法として取り締まった件数と、それから、実際の違法駐車というのはさらに数が大きいものがあると思います、その総量の類推というもの、どのように警察として把握なさっていますか。
  16. 田中節夫

    田中(節)政府委員 委員指摘違法駐車状況でございますけれども平成七年中の違法駐車取り締まり件数全国で二百五十三万八千八百二十九件となっておりまして、交通違反検挙件数全体の約三〇・四%を占めております。  その取り締まり件数に比べまして違法駐車状況はどうかというお話でございますが、これはサンプルでございますが、違法駐車台数は、東京大阪の例で申し上げますと、平成七年五月に、ある瞬間の路上駐車状況を調べたものでございますが、東京都内では、瞬間路上駐車台数は約十六万台、そのうち違法駐車台数は約十二万七千台、それから大阪市内では、瞬間路上駐車台数が約二十七万四千台、うち違法駐車台数が約二十二万台というふうになっております。  ただ、この数字は、平成三年に道交法改正がございまして、また各府県で駐車違反防止条例もつくっておりますので、平成二年当時から比べますと、法改正後は委員指摘のように減っているという状況でございます。
  17. 宇佐美登

    宇佐美委員 東京でいえば、瞬間で違法駐車十二万台ということで、単純に三百六十五倍していいのかといえば、正しくはないのでしょうけれども、わかりやすくするために三百六十五を掛けますと、東京だけでも一年間で四千万台、瞬間でありますけれども違法駐車があるわけでございます。大阪数字は、東京の大体倍ぐらい違法駐車があるわけですから、推して知るべしの数字であるかと思います。  ということは、だんだん少しずつ減ってはきているといいますけれども、繰り返しますが、まだまだ違法駐車があるんだと思います。その違法駐車抑止対策としてどのようなものを講じているのか、具体的にお答えいただければと思います。
  18. 田中節夫

    田中(節)政府委員 まず、私どもの方から御答弁申し上げます。  都市部を中心といたしました違法駐車の問題は、基本的には駐車需要容量のアンバランス、より根源的にはドライバーの意識とかマナーにかかわるものが原因だというふうに認識しております。  抜本的な対策といたしましては、駐車容量の拡大あるいは駐車需要の軽減、駐車モラル向上施策というのを同時並行かつ着実に推進していく必要があるわけでございます。私どもといたしましては、現在の都市状況あるいは道路状況を前提といたしまして、パーキングメーター等整備拡充あるいは駐車誘導システム等整備拡充、あるいは、悪質・危険性迷惑性の高い違反重点 を志向した取り締まりを行う、そのほか、関係機関団体によりますところの駐車モラル向上対策あるいは路外駐車場整備等総合対策が効果的に推進されるよう要請をしておるというのが実情でございます。
  19. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 都市部におきます駐車場は、御指摘のように大変不足しているということでございます。このため、民間駐車場に対しまして、低利融資制度あるいは税の優遇措置あるいは建築物に対する附置義務等により、一時預かり駐車場整備を推進してきております。  これによりまして、駐車場法に基づく届け出駐車場台数につきましては、平成三年三月末時点で約百万台でございましたが、平成七年三月末までには約百二十七万台まで整備が進んでいるということでございます。これらにつきましても、充足率にしますとまだ六〇%付近という程度と認識しております。
  20. 宇佐美登

    宇佐美委員 今の百二十七万台というのは、時間貸し駐車場の一時預かりの数字ですね、それが充足率六〇%というお答えだったわけです。東京近辺に関して言えば、違法駐車の数、先ほど警察の話があったように、瞬間で十二万七千台あったわけですから、充足率六〇%という数字、どういう分母でどういう分子なのかちょっと理解しがたいのですけれども、まだまだニーズがあるんだというふうに思うわけであります。  警察庁の方からは、パーキングメーター拡充という話が出てまいりました。この近辺でも、至るところ、大体三車線以上、上下四車線、六車線以上のところにあるわけですけれども、結局パーキングメーターというのは道路駐車場として使っているわけですから、その目的、結果というものは推して知るべしなわけであります。  例えば、パーキングメーターが一時間三百円というところが私の近隣でもございます。同じ場所で、目の前にといったら語弊がありますけれども、ほんの十メートル真横に、パーキングメーター一時間三百円のところに、時間貸し駐車場、そこは土地を借り上げて、固定資産税はもちろん貸し主が払っているわけですけれども、それも含めた形で一時間二百円の時間貸し駐車場があります。こちらは何時間とめてもいいわけでございます。二時間とめればその倍、当たり前です。片方のパーキングメーターは、一時間以上とめれば、例えば営業の仕事で交渉が長引いていく、一時間半たっていくうちに、チェックしに来る方々がいるわけですね、チェックしに来て、違法駐車というような形で検挙される場合もあるわけであります。  どちらがユーザーにとって得か、使いやすいかといえば、できる限りの時間、好きな時間だけとめられる。先ほども申し上げたように、六十分で二百円のところは三十分で百円、大体百円単位でやられているわけなのですけれども、その効率を見たときに、民間がそれだけ安くやれているにもかかわらず、パーキングメーターは時に高い場合もあるわけであります。  パーキングメーターの数というものは今どれぐらいのふえ方をしているのか、年度ごとの数字で、情報として教えてください。
  21. 田中節夫

    田中(節)政府委員 お答えいたします。  パーキングメーターの数の変遷でございますけれども平成三年から平成七年、過去五年間の数字について申し上げますと、平成三年が二万四千八百四十九基、平成四年が二万七千八基、平成五年が二万七千五百三十三基、平成六年が二万七千七百十七基、平成七年が二万七千六百五十九基となっております。
  22. 宇佐美登

    宇佐美委員 つまり、平成六年から平成七年で減ったという認識でよろしいですね。平成六年が二万七千七百十七で平成七年が二万七千六百五十九ですから、一時的にせよパーキングメーターを減らしているのだというふうに思います。  というのも、繰り返しになりますけれども道路駐車場として使っているわけでありますから、当然円滑化が阻まれない形でのパーキングメーターの設置ではあるかと思いますけれども、近くの、例えば広尾でいえば、目の前に明治屋さんというスーパーがあって、そこはパーキングメーターがあるのですね。そうすると、そこのパーキングメーターの車と明治屋に入る車、土日になりますと物すごい渋滞になるわけであります。さらに、この年度末になれば工事工事という形で都内の道路は本当に動かない、一日じゅう動かない状態になっているのも現実だと思います。  パーキングメーターの存在そのものを私は非常に否定的に考えております。民間ができる限り道路ではないところに駐車場、一時預かり時間貸し駐車場ができるように整備を進めていくべきだと考えるわけでございます。  民間の時間貸し駐車場状況というものは現在どのようになっておるのか、建設省の方からお答えいただければと思います。
  23. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 民間の時間貸し駐車場につきましては、地方公共団体によりまして、その都市ごとに駐車場整備計画を策定するとか駐車場整備のマスタープランを策定するということで整備の促進に努めているところでございます。あわせまして、いろいろな支援施策もこれらに講じているところでありまして、先ほど申し上げましたとおり、一時預かりの駐車場につきましては、平成六年度末で百二十七万台、平成七年度末で百三十四万台程度整備を見込んでいるところでございます。
  24. 宇佐美登

    宇佐美委員 百三十四万台の時間貸し駐車場があるということなのですが、この数字的把握は五百平米以上の駐車場だと聞いております。つまり百六十坪ですか、大体二十台ぐらい入る規模の駐車場以上のものを届け出という形で受けている数字だと思います。  現実には、二十三区近辺でいえば、駐車場二十台以上の土地、百六十坪というのは、坪当たりの単価から計算してみればすぐわかることですけれども、そんな大きな規模の駐車場というのは非常に現実的ではないというのが正直なところだと思います。それより以下、極論を言えば、一台とか二台とかいうところで、ペンシルビルとペンシルビルの間にある余った土地を何とかしなければならないという中で時間貸し駐車場になさっている地域もあるかと思います。今後、そのような数字も把握しなければいけないのだと思います。  というのも、今後議論されると思いますが、三月十二日の中央交通安全対策会議交通安全基本計画によりますと、「短時間駐車需要路外駐車場整備状況等を勘案しながら、交通の安全と円滑上支障がない場所については駐車の効用にも配意し、週末等における駐(停)車禁止規制の解除、パーキングメーター等の設置」などなどというふうに書かれているわけであります。「路外駐車場整備状況等を勘案しながら、」というわけですから、十二分な調査がなされなければ勘案することもできないわけであります。  五百平米以上の数字というものは、私はもっと小さくすべきだと思います。ただ、届け出という、行政手続的には民間に対して負担をさせるわけでありますから、繰り返しになりますけれども、それに応じた税制なり、また、時に補助金という形もあります、低利融資という形もあります、方策をしなければいけないかと思います。  これまでなされてきた制度的方策については今局長からお答えいただきましたけれども、今後何らかの制度的方策というものをお考えいただいているのかどうか、お答えいただければと思います。
  25. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 民間の一時駐車場整備を促進するために、先ほども説明いたしましたがいろいろな融資を考えておりまして、道路開発資金あるいは日本開発銀行、民間都市開発推進機構等による低利融資あるいはNTT—Cによる無利子貸し付け融資、いろいろございます。そういう中で、例えば道路開発資金等につきましては、道路事業の一環として、百台以上、機械式にあっては三十台以上のものについて一時預かり駐車場として低利融資をしております。  そういう意味で、これら以外の施策についての 検討も必要とは考えますが、従来あるこの制度を十分活用して整備が促進されるように努めてまいりたいと考えております。
  26. 宇佐美登

    宇佐美委員 繰り返しになりますけれども、今の低利融資でいえば百台以上という基準があるわけでございます。百台以上と申しますと、大体二千五百平米ぐらいですか、その広さが必要になるのですね。そうすると、東京二十三区、繁華街においてそのような土地が、駐車場のみとして使う、時には地下に掘っていくこともあります、赤坂でも今この低利融資等に沿ってやられているわけですけれども、現実的な数字に引き下げることが何にしましても肝要、重要であるかと思いますので、その点について検討していっていただきたいと思います。民間駐車場がこれまで交通安全に対して行ってきた功績というものが十二分に勘案されるようお願いを申し上げたいと思います。  共同駐車場整備促進事業等による低利融資、もう一つの問題点は、低利融資ということでお答えいただいたわけですけれども、現在非常に市場金利の低い中で、開発銀行の金利というものが時に逆ざやになっておりまして、一般融資よりも高い場合もあります。NTT—C等安いもの、無利子融資もございますから一概には言うことができませんけれども、低利融資という方策よりも、この地域でいえば、非常に高い固定資産税を払っているわけでございますから、その点について、租税特別措置を含め税制的な優遇も考えていく必要があると思います。これは、繰り返しになりますけれども、一部の時間貸し駐車場を経営している方が得をするのではなくて、そこにとめることができる自動車ユーザーが得をすることに結果としてなるかと思います。  パーキングメーターの話に戻せば、今時間貸し駐車場の中では電話予約をすることができるものがあると聞いております。六本木等で電話をして行く。というのも、行き先に着いたときに、時間貸し駐車場がたくさんあると聞きながらも満杯になっていて入れられない、仕方なく違法駐車をする場合もあるかと思います。それをなくすためにも、まず電話で時間貸し駐車場を予約できる、そのようなシステムもあるわけです。パーキングメーターと比較しても、民間のそういうような努力を促進する方策、政策というものをやっていくのが必要だと思っております。ぜひその点について御検討をいただきたいと思います。  次に、残り三分ほどでございますけれども、チャイルドシートのことについてお話をさせていただきたいと思います。  私も一歳の赤ちゃんを持つ父親としまして、生後一週間のときから、車で動くときには三カ月以内の赤ちゃん用のもので運んだわけでありますし、三カ月を超えてからは普通のチャイルドシートで車に乗せているわけですけれども、このチャイルドシートの義務化というのは、欧米の先進諸国としては当たり前のこととして行われております。  昨年のこの委員会におきましても、藤田議員の方からその関連の質問もあったかと思います。普及率が高まってからチャイルドシートの義務化というものが必要なのだというような議論もあるかと思いますけれども、まずは義務化を行って、一昨年ですか、子どもの権利条約ということで、一人一人の子供の大事さ、当たり前のことですけれども権利も保障されている昨今でございますから、まだ意思のないころから、ぜひとも安全な交通というものに即する必要があるのだと思います。  チャイルドシートの義務化について、その方向性というものをお示しいただきたいと思います。
  27. 田中節夫

    田中(節)政府委員 チャイルドシートの義務化につきましては、委員指摘のように、昨年にも藤田委員から同じような御質問がございました。  チャイルドシートの着装を法的に義務化するということにつきまして検討はしているわけでございますけれども、現在の普及率、着装率は、極めて低い七%を若干超えるぐらいの数字で推移しております。また、国民に新たな経済的負担を課すということにもなりますので、国民の間に、チャイルドシートが子供の安全の確保のためにいかに大事であるか、いかに有効であるかということにつきまして十二分に御認識を持っていただく、そしてある程度の理解を得た、ある程度の着装の状況、実態が出てきたというようなことを踏まえて初めて法的措置について検討してまいりたいというのが、私どもの現在考えているところでございます。
  28. 宇佐美登

    宇佐美委員 検討をするということを繰り返されているわけですけれども、ならば、例えば六歳以下の子供が自動車に同乗をしておりまして事故が起きたときに、運転者やまた他の大人の同乗者と比べてけががどれだけ重いかとか、どれだけ命を落としてしまった率が高いかとか、そういうような数字警察庁として持っていられるのですか。持っていられるとしたら、お答えできる範囲でお答えいただきたいと思います。
  29. 田中節夫

    田中(節)政府委員 今委員指摘のような、例えば後部座席に六歳以下の幼児が乗っていた場合の交通事故があった場合の受傷の程度状況等につきましての詳細なデータは、現在手元には持っておりません。今後、そういうような分析も含めて法制化の際には十分検討してまいりたいというふうに思っております。
  30. 宇佐美登

    宇佐美委員 今、六歳以下の子供が後部座席に乗っている場合のというふうに局長おっしゃいましたけれども、日本の中で子供が乗っているときには往々にして助手席に乗っている場合が多いのだと思います。ですから、調べる際にはそのような現状を十二分に見詰めながらしっかりとした数字を調べていただきたいと思います。  カリフォルニア州におきましては、二人乗りの車の場合には子供を乗せることができませんし、四人乗りの場合におきましても、もしくは五人乗りの場合も後部座席しか乗せることはできません。かつ、六歳以下の場合にはチャイルドシートをつけなければいけないということが法律的に決められておりまして、この罰則というものは本当に厳しいわけであります。  日本人がアメリカに留学したときに、スーパーに行くということで子供を車の中にしばらくの間放置しただけで、人だかりができた上、警察が来てガラスを割って救出していたということもあります。それぐらい子供が車の中にいての安全というもの、動いているときもとまっているときも非常に厳格に処置をされているということを十二分に御議論、御検討いただいた上で、できる限り早急に答えを出していただきたいと思います。  以上です。
  31. 日笠勝之

    日笠委員長 土田龍司君。
  32. 土田龍司

    ○土田委員 新進党の土田でございます。  さきの座り込み統制でちょっと風邪を引きまして非常に調子が悪いものですから、お聞きづらい点はお許しをいただきたいと思います。  まず、去年十一月三十日に本委員会におきまして委員会決議をまとめたわけでございます。理事会で細かな文言までよく検討しまして三十日に決議をしたわけですが、各省庁でどういうようなことをされたか。すぐにされたことと、その決議がその後どういうふうに生かされているか、まずそれについてお答えを願いたいと思います。
  33. 井野忠彦

    ○井野政府委員 全体的な取り組みについて私の方から申し上げます。  決議の行われました翌日の十二月一日、関係十八省庁により構成されております交通対策本部におきまして、「現下の情勢を踏まえた交通事故防止対策の推進について」という申し合わせを行ったところであります。  これを受けまして、関係省庁においては、管下の機関、地方公共団体、関係団体に対して、事故防止対策を一層推進するようその徹底を図ったところであります。  総務庁といたしましては、都道府県知事へ直ちに通知をし、あるいはテレビ、ラジオで広報を行ったところでございます。地方公共団体ではこれらを踏まえましてさまざまな取り組みをしており、例えば事故多発警報の発令や事故抑止県民大 会の開催等を実施した旨の報告を受けております。
  34. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 建設省におきましては、決議を踏まえまして、交通事故の研究調査分析を行った上で、今回の新しい第六次特定交通安全施設等整備事業五箇年計画を策定するということで鋭意準備をしているところでございます。  また、平成七年十二月一日付の交通対策本部申し合わせを受けまして、建設省の三局長名、建設経済局長、都市局長、道路局長名で、交通安全施設等の緊急的な点検整備、大型車両等の通行についての指導取り締まり、広報啓発活動等の展開及び道路パトロールの重点実施を緊急かつ効果的に推進するように道路管理者あてに通知したところでございます。  その結果につきましては、交通安全施設等、例えば標識とか照明、防護さくでありますが、その損傷等のあった約三万七千カ所の改善、あるいは過積載等の取り締まり全国で四百十路線、約四千四百回実施するとともに、講習会等も実施しました。そのようにいろいろな活動をしております。また、不法占用物件の撤去の指導等も重点的に進めるべく道路パトロールも実施しておりました。  いずれにいたしましても、今後関係省庁、関係機関と連携を図り、交通安全施策の推進に鋭意努力してまいりたいと考えております。
  35. 田中節夫

    田中(節)政府委員 委員指摘の本委員会での決議を踏まえまして、各都道府県警察に対しまして、地域に密着した広報啓発活動の展開、効果的な交通安全施設整備充実参加・体験型の交通安全教育の推進、さらに重点的な交通指導取り締まりの推進等の諸対策を指示したところでございます。  本年に入りましてから、その効果もあったかと思いますけれども、若干数字は減ってきておりますし、さらに私どもから本年中にも一万人以下に抑えるようにという強い指示を出しまして、各県におきましてはその目標に向かって目下いろいろな対策を講じているところでございます。
  36. 土田龍司

    ○土田委員 大変に通達をよくやられているような感じがするのですが、総務庁でおっしゃった、徹底を図ったということなんですが、私は本当は余り徹底されてなかったと思っているのです。  実は、きのう質問することが決まってから、神奈川県警の警察署の交通課長に何人か電話で聞いてみたのです、十一月三十日にこういった決議がされたのをあなたは知っていますかと。だれも知らなかったですね。一人だけ知っているのがいましたけれども、それは新聞で見たということでございまして、本当に徹底されたかどうか、単なる言葉だけでなくて、その辺については僕は非常に怪しいものじゃないかという気がしてならないのです。  実際一万人を超えましたけれども、これは結果論であって、やむを得ないというところもあるわけでございますが、委員会決議決議としまして、言葉だけでなくて本当にしっかりした早目の通達をなされて、あるいはそれについての報告をまた受けるというぐらいのことをしていかないと、本当の効果は上がってこないように思うのです。ただ年末年始の交通安全旬間だけでなくて、委員会決議というのはもっと重く受けとめていただいて、ぜひそういった、すぐやることと、それから徐々にやっていくこととあると思いますけれども決議決議としまして真剣に徹底を図ってもらいたいというふうに思います。私は、徹底は図れていなかったというふうな感じがしてならないのでこの質問をしたわけでございます。  その決議の中に、いろいろ我々も文章を練ったわけでございまして、第六次交通安全基本計画の策定に当たっては、現行計画施策を検証し、抜本的な見直し、財政措置の拡大を図って全力で取り組んでほしいということで申し上げたわけでございますので、今度の第六次の整備五箇年計画に当たって、どういった抜本的な見直しをされたのか、あるいは新規の施策はどういつだものがあるのか、御答弁願いたいと思います。
  37. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 交通事故削減に向けましては、事業重点化総合化が大変重要だと考えております。そういう中で、警察庁あるいは地方自治体その他関係機関との連携のもとに、交通事故調査研究、分析が必要であります。そういうものをベースにいたしまして、科学的手法に基づく事故削減方策を事故多発地点に集中的に実施していくという点、あるいは高齢者等社会参加を支持する歩行者空間、歩きやすい歩道、こういうものを含めました面的な整備が必要であるという点、さらには、利用者視点から交通安全に取り組んでいくということが必要ではないかと考えております。  そういう中で、新たな施策といたしましては、事故多発地点緊急対策事業というものを実施したいということで、これは、交通事故がある特定の区間で多発しているという傾向がございますので、そういう箇所について総合的な緊急対策をしていこうというのが一点であります。  さらに、歩行者、特に高齢者の住宅の周辺におきます事故が多いということもありますので、コミュニティーゾーン形成事業というのを新たに創設したいということであります。これは、住居系の地区に歩道等の設置が困難な道路がたくさんありますが、そういうところに大型車等の通過交通が進入してきているという点がございます。そういうことで、道路にハンプや狭窄部を設けたり、さらには交通規制もこれにかみ合わせて、安心して歩ける歩行者空間確保していってはどうかと考えております。  また、通学路等につきましても、従来から通学路点検はしておりますが、平成七年度末で、全国二万四千の小学校のうち約一万六千校で点検実施して、約六割から七割は終わっておりますが、まだできていないものもあります。こういうものの完成も含めて通学路の再度点検を、これは小学校の学童の方あるいはPTA、警察等と協力して通学路点検をしていく、これを交通安全施設の五箇年計画に反映していくという努力をしてまいりたいと考えております。
  38. 田中節夫

    田中(節)政府委員 第六次交通安全施設等整備事業五箇年計画の取り組みの問題でございますけれども、今までのところ、私どもとしては、財政規模につきましては約二七%増ぐらいのつもりでおります。  それから、事業の内容につきましては、詳しくは今建設省の方から御説明がございまして、また建設省と共同してやる事業が大変多うございますけれども、私どもといたしましては、特に高齢化社会というようなことに着目いたしまして、例えば弱者感応信号機を倍増するというようなこと、あるいはコミュニティーゾーンにつきましても、建設省道路管理者と共同しながら、新しい事業としてきめ細かな施策を推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  39. 土田龍司

    ○土田委員 第六次の交通安全施設等五箇年計画の策定に当たってでございますが、交通事故分析センターの活用についてどのように図られるのか、お願いいたします。
  40. 田中節夫

    田中(節)政府委員 これは決議にもございましたけれども、検証して新しい計画をつくる、こういう御趣旨でございました。財団法人交通事故総合分析センター、これにつきましては、御承知のように、警察から提供いたします交通事故データあるいは運輸省からの自動車登録データ、建設省から道路交通センサスデータ、そういうものを合わせました統合データベースを構築いたしまして、交通事故調査分析を行っております。  今回の新しい計画に基づきます交通安全施設等整備事業につきましては、交通事故総合分析センターの統合データベースを活用するなどいたしまして、緊急に措置が必要である、そういう事故の可能性が高い、あるいは現実に事故が発生している、そういう地点、路線、地域等を把握いたしまして、警察といたしましては、道路管理者とも協力して重点的な施策を行うというようなこと、あるいは、交通事故総合分析センターがいろいろな調査研究を出しておりますが、そういうような ものを踏まえて、真に効果のある整備が行われるよう計画を策定してまいりたいと考えておるところでございます。
  41. 土田龍司

    ○土田委員 わかりました。  交通事故死者の中で高齢者が随分ふえているということで、今高齢者対策お話をされましたけれども高齢者事故死者の数をなくすためにこの五箇年計画では具体的にどういつだことをされているのか、詳しくお話願いたいと思います。
  42. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 近年、残念ながら六十五歳以上の高齢者交通事故死者数がふえております。若者の死者数がトップであったものが逆転して、高齢者の方が多い。平成七年でも三千二百四十人の方がお亡くなりになっておられるということでございます。今後はさらに高齢化社会を迎えることでありますので、高齢者等への十分な配慮が必要と考えております。  そういう中で、新しい第六次交通安全施設等整備事業五箇年計画におきましては、高齢者等方々が安心して社会参加できるように、歩きやすい歩行者空間、こういうものを整備していこうというのを大きなポイントにしております。  具体的には、高齢者等が安心して通行できる幅の広い歩道、例えば車いすでもすれ違えるということで、幅が三メーター以上あるというような歩道を駅とか病院、福祉施設などの市街地の主要な施設の周辺において重点的に整備していきたいということ。それから、先ほどもちょっと申し上げましたが、いわゆる住居系の地域におきまして高齢者事故も発生しておりますので、住居系の地区においてコミュニティーゾーン形成事業というものを、全国で五カ年間に約三百カ所について実施していきたいと考えております。  さらに、これからの高齢者対策としては、交通結節点での乗りかえなどの負担を軽減していく必要があります。そういう意味で、現在地下鉄の駅あるいはJRの駅等でいろいろな昇降装置がつけられつつございますが、道路管理者として実施しております立体横断施設等につきましてもこの自動昇降装置をつけていってはどうか。さらにはこの立体横断施設、それを上りおりするだけではなくて建物に直接出入りできるようにしてはどうかということで、駅前等でペデストリアンデッキ等を進めておりますが、そういう考え方を進めていきたいということであります。自動昇降装置等につきましても、利用状況を十分踏まえて必要な箇所について整備を進めていきたいと思います。  また、歩道等につきましては、従来から、段差とか切り下げとか、これらの構造についていろいろな御要望がございます。傾斜していて危ないとかあるいは段差があるとか勾配が急であるというような点も指摘されておりますのでこういうものの修整、あるいは視覚障害者誘導用のブロックなども改めて整備をしていく必要がある、そのように考えております。  そのほか、高齢者運転者が大変ふえてきているという観点からは、後続車車線を譲るための付加車線、譲り合い車線、こういうものをつくったり、あるいは道の駅ということで休憩施設等の駐車場整備していこう、あるいはわかりやすい大型の案内標識、こういうものも整備していきたいと考えております。
  43. 田中節夫

    田中(節)政府委員 高齢者に対する安全施設の問題でございますが、交通事故総合分析センターのデータによりますと、六十五歳以上の高齢者事故死者数は、特にその六割が自宅周辺五百メートル以内で発生しているという実情がございます。  このような状況対応するために、私どもといたしましては、高齢者の関係する福祉施設を中心とした地域に弱者感応信号機を設ける、あるいは高齢運転者高齢者に見やすい道路標識等の整備をする、さらに建設省とも連携いたしまして、住居系地区等におけるコミュニティーゾーンの整備等を推進することとしておるところでございます。
  44. 土田龍司

    ○土田委員 今度は警察庁にお伺いするのですが、そのほかにどういつだ対策考えていらっしゃいますか。交通事故死者が減らなければ仕方がないわけでございまして、交通安全施設の方はよくわかりましたので、そのほかのことでどんな対策をやっていらっしゃるのか。
  45. 田中節夫

    田中(節)政府委員 高齢者が関係する交通事故防止のための施策施設以外にどのような施策を講じているかという御質問でございますが、数点挙げますと、老人クラブと連携いたしまして、交通事故危険性や夜間における反射材の効果等を実際に体験することのできる参加・体験・実践型の安全教室の開催、それから、模擬運転装置によりますところの技能診断や科学的な検査機器を活用した運転適性診断と、それに基づきますところの高齢運転者の個別指導、あるいは、運転免許の更新時講習におきまして高齢運転者運転特性等に応じた講習を実施するための高齢者学級の編成、先ほどの質問にお答えいたしましたけれどもシルバードライビングスクール等の開催ということを考えているところでございます。  なお、現在、有識者の方々によりまして、高齢者にやさしい交通社会をめざす懇談会というのを開催しておりますので、この結果を待ちましてまたいろいろな施策を推進してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  46. 土田龍司

    ○土田委員 高齢者対策のために整備を予定しているとのことですが、弱者感応信号機、それについては高齢者が利用するペンダントをやるそうでございますけれども、それはどういった基準で配付をしていくつもりなのか、いつごろからやるのか、具体的にお答え願いたいと思います。
  47. 田中節夫

    田中(節)政府委員 弱者感応信号機についてお尋ねでございますが、この信号機は、交通弱者用の押しボタンを押したり、あるいは、今お話しのようにペンダント型の発信機を持っていただきまして、それを操作いたしますと歩行者の青時間が長くなる、こういう信号機でございます。  弱者感応信号機に対応いたしましたペンダント式の発信機でございますが、これは、警察では直接購入とか配付のあっせんは行っておりませんが、現在、地方自治体で、高齢者やあるいは身体に障害のある方に対しまして無償で配付を行っております。そのほかに、社会福祉関係の法人等が、視覚障害者にペンダント発信機をあっせんしたり普及に努めているところでございまして、既に相当程度普及しているというふうに考えているところでございます。  私どもといたしましては、こうしたペンダント式発信機の普及状況に合わせまして、先ほどお話し申し上げましたような弱者感応信号機の整備を推進していくという考えでおるところでございます。
  48. 土田龍司

    ○土田委員 時間はまだ少しありますけれども、最後に、大臣にお尋ねをしたいと思います。  交通安全を取り巻く厳しい状況が続いておるわけでございまして、私の前に質問された方もそうですし、これまで長年にわたって交通事故を一人でも減らすための努力は続けられているわけです。前の、あるいは昔の答弁を聞いたわけではございませんけれども、多分そのたびに担当大臣というのは、なくすための努力をするんだという決意の答弁を続けられてきていると思いますが、なかなか実際は実効が上がっていない。これからもやるんだという、その答弁だけはいいですけれども、本当に実効あらしめるために政府を挙げてやるべきだと思います。  中尾大臣におかれましては、その辺について、再度といいますか、もっと突っ込んだ決意といいますか、あるいは具体的な決意についてお尋ねをしたいと思います。
  49. 中尾栄一

    中尾国務大臣 決意というのは、いかなる場合でも決意を述べたにすぎないというようなお話で、全く私も、委員として考えた場合に、そのお気持ちはよくわかる次第でございます。  ただ、恐らく各大臣も気持ちの上では、どういう形においても、一人でも二人でも三人でも、そういう災害、被害、あるいはこのようなアクシデントをなくしていきたいという思いはいっぱいでございましょうが、先ほど言うたように、お言葉 のやりとりを聞いておりますると、せっかく指示をしていただいたものが下達を十分にされておらない、行き渡っておらないという御不満もこれまたよくわかることでございますから、まずもってそういう連係リレーの中に過ちのなきように、やはり一たん下達された場合には、もうこれは警察建設省も、また担当の総務庁等々と、挙げてこの問題には真剣にみんな連動しながら取り組んでいくということが大事であろうかと思う次第でございます。  こうした状況対応するために、安全性の高い道路網の形成を図ることといたしまして、一般道に比べて事故率の低い高規格幹線道路、あるいはまた、地域高規格道路を初めとする道路ネットワークの整備推進により事故削減を図ることも、これまた大事な要素ではないかなと思いますし、さらにはまた、新たな交通安全施設等整備事業五箇年計画というものを策定いたしまして、そしてまず第一点、事故多発地点の緊急対策事業、あるいはまた第二点としては、高齢者等社会参加を支援する歩行空間面的整備であるとか、あるいは第三点といたしましては、利用する視点からの安全総点検実施重点を置いて交通安全施設等整備を図るという方針を固めていきたいと思っている次第でございます。  交通安全対策は、関係省庁が一体となって全力で取り組むことが極めて必要でございまして、その中にあって、建設省としましては、まず道路における交通環境の改善等を通じて交通事故防止を行ってまいりたいということに全力投球をさせていただきたいと思っている次第でございますが、決意といいましても、事文言だけではどうにもならないというお言葉でございますので、そのお言葉も十分に踏まえ、私も、委員とは違って岐阜県の応援等で声がすっかり出ませんものですからこのような声でございますけれども、まことに恐縮でございます。
  50. 土田龍司

    ○土田委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  51. 日笠勝之

    日笠委員長 樽床伸二君。
  52. 樽床伸二

    樽床委員 新進党の樽床でございます。  本日、さらなる新規事業を含むこの五箇年計画に対しまして、御質問をさせていただきたいと思います。  まず、前提として、交通事故が毎年一万人を超える方の命を奪っていく、こういうことは大変憂慮すべき事態であろう、このように考えております。私ごとでまことに恐縮でありますが、昭和四十一年、こういった取り組みの初年度であろうというふうに認識をしておりますけれども、その年にたまたま私も兄弟を交通事故で亡くした、こういった経験も持っておりまして、そういった中で、交通事故で亡くなられる方が一人でも少なくならねばならない、こういった大前提に立っておるところであります。そしてまた、昨年、阪神・淡路大震災で六千名を超える方が亡くなられた、こういうことでありますが、それを超える一万人の方が年間年間亡くなっていっておられる。こういった事態を深く受けとめて、鋭意交通事故死亡者を減らしていくという前提で全力で努力をしていかなければならない、このようなことをまず冒頭に申し上げます。  最初に御質問をさせていただきたいと思いますが、私どもが把握しております範囲では、昭和四十年代の半ばごろに死亡者がピークに達しまして、それからずっと減少傾向を続けておりまして、それがまた五十二年から四年ぐらいにかけまして一番少ない谷になりまして、それからまたずっと増加傾向に至っておる。こういったカーブを見まして、数次にわたりますこれまでの取り組みで、こういった法律の制定以来効果が上がったけれどもまた効果が薄らいできた、こういったことがこの死亡者のカーブで、これはかなり強引かもわかりませんが、そういったことも読み取れるのではないかということを大変憂慮をいたしております。  そういった中で、制定以来緊急措置法がどのような効果を上げてきて、そして今回これを再度延長するその必要性は、一体どのようにお考えであるのかということをまず最初に大臣からお聞かせいただきたい、このように思います。
  53. 中尾栄一

    中尾国務大臣 建設省及び警察庁そのものは、昭和四十一年にこの法律が制定されて以来、交通安全施設整備を一貫して強力に推進してまいった次第でございます。その結果、昭和四十五年度末には約一万七千キロにすぎなかった歩道橋の整備延長が平成七年度末には約十二万八千キロになるなど、施設整備水準は飛躍的に高まりまして、例えば自動車の走行台キロ当たりの死者数は昭和四十一年の約十分の一になるなど、その効果は着実に上がっているものと考えておる次第でございます。  しかしながら、交通事故死者数の絶対数は、先ほどから論議の対象になっておりますように、いまだ一万人を超えておりまして、今後高齢化社会の進展に従って高齢者事故の増大が見込まれるなど、交通安全を取り巻く状況は依然として厳しいことから、新たに平成八年度を初年度とする五箇年計画を策定しまして、対策を一層積極的に進めていく必要があると認めておるわけでございます。  新たな五箇年計画は、高齢者事故の増大などの最近の事故状況に的確に対応したものとなりますように策定いたしまして、警察庁と緊密な連携のもとに、地域の実情も十分に踏まえて総合的な対策を強力に推進してまいる所存でございます。
  54. 樽床伸二

    樽床委員 それぞれの時代状況が変わってまいるわけでありまして、かつて効果があったものがだんだん効果がなくなってくる、そして、かつては考えられなかったような施策が非常にいい効果を生み出してくる。こういったように常に世は移り変わるわけでございますので、柔軟な発想の中でこの五箇年計画がさらに効果を上げることを心から期待を申し上げる次第でございます。  その中で、特にこの五箇年計画の中心的な一つのテーマとして、事故多発地点、大体三千カ所あるというふうに聞いておりますが、それぞれの地域において緊急対策を行うのだ、こういうことを聞いております。  私の旧選挙区でまことに恐縮でありますが、たまたまその中に、大阪においては最も事故が多いと言われる道路がございまして、これは国道一号線であります。片側二車線の、晩になると車が八十キロから百キロぐらいの猛スピードで駆け抜けていくような道路でありますが、昼間には大変渋滞をいたしております。この道路で、特に枚方バイパスというふうに言っておるわけでありますが、このバイパスで大阪府下では最も事故が多い、このように聞いております。  このような幹線道路における事故多発地点においてはどのような緊急対策をされようとしておるのか、またこれまでしてこられたのか、お聞かせいただきたいと思います。
  55. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 平成七年におきます交通事故死者交通事故件数は一万二百二十七件でございますが、都道府県道、国道等の都道府県道以上の幹線道路において発生した死亡件数は六千八百五十五件と、全体の六七%であり、そういう意味では幹線道路事故が集中しているということが言えると思います。さらに、財団法人の交通事故総合分析センターにおきますデータによりますと、事故率の高い幹線道路の中でも特定の区間にまた事故が集中する傾向がある。幹線道路の中の約九%の区間に全体の四割が集中しているというような事態がございます。そういう意味では、国道一号の枚方バイパス等のように、交通量の多い幹線道路については事故率が高いという状況が現在出ているのではないかと考えます。  調査によりますと、平成六年は、この枚方バイパス、十九・五キロで五百十件の死傷事故が発生した、このように報告は受けております。そういう観点から、新しい第六次特定交通安全五箇年計画におきましては、事故が多発している地点について重点的に総合的な施策を講じていこうということで、現在約三千カ所を抽出しまして、これを重点的に整備しようという方針を立てているとこ ろであります。  その中におきまして、特に幹線道路交通事故防止のためには交差点改良が極めて有用であります。右折レーンを設置したり、交差点の形を変えたり、あるいは必要なところには中央分離帯を設置するというような施策を講じていきたい、あるいは歩道等整備についても積極的に取り組んでいく必要がありますし、幹線道路については道路照明、夜間照明、連続照明でありますが、こういうものも導入していきたいと考えております。  例えば、先ほど御指摘がありました国道一号の枚方バイパス、約二十キロありますが、ここにつきましても、現在、走谷交差点というところで交差点改良を実施しておりますし、この新しい交通安全五箇年計画の中でも、この路線全体で約十カ所程度事故多発地点緊急対策としていろいろな施策実施してはどうかということで検討しているところであります。さらに、この枚方バイパス等につきましても歩道整備率が約八割であり、道路照明も約二割程度しかできておりません。  交通事故の減少を図る観点から、どのような施策が一番効果的であるか十分検討しながら、これらの施策を総合的に進めてまいりたいと考えております。
  56. 樽床伸二

    樽床委員 ありがとうございます。  交通事故を減らそう、減らそうと思いましても、今局長がおっしゃいましたように、総合的にやっていかなければ、一つの原因ですべてが解決するというわけではございませんので、いろいろ御努力もあろうかと思いますが、鋭意御努力を心からお願い申し上げる次第でございます。  そして、今回の五箇年計画の二つ目のポイントとして高齢者事故昭和五十年代半ばから死傷者がずっとふえてきておるということを先ほど私申し上げましたが、その一つの要因に、グラフで見ると同じ傾向をたどっておるのがやはり高齢者の方の死傷者の数であろう、こういうふうに考えております。そういったことを考えると、やはり高齢者事故に対する対策というのは大変重要であるなということも改めてわかるわけでありますが、先ほど土田委員の質問にもございましたコミュニティーゾーンの施策につきまして、若干質問をさせていただきたいと思います。  内容につきましては、先ほど土田委員の質問に対するお答えで大体尽きているのではなかろうかと思いますが、これを五年で全国三百カ所展開していこう、こういう御答弁があったようでございますが、その箇所をどのように選定をされていくのか。もしそういったことをお考えでありますならば、その選定の基準といいますか方法といいますか、そういったものを教えていただけたらと思います。
  57. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 コミュニティーゾーン形成事業につきましては、第六次特定交通安全の中の新規施策としまして、今後この整備を推進してまいりたいと考えておるところでございます。公安委員会等とも協調してこれらは進めていく必要がございます。現在のところ、全国の人口十万人以上の約二百二十都市を中心に、約三百カ所程度についてモデル的に整備を推進していきたいと考えております。  これらにつきましては、詳細な調査をして、適切な地区についてこれらの事業展開していく必要があります。一般的に申し上げまして、幹線道路に囲まれ、通過交通がその中に入り込んできている、さらに、その地区の道路が比較的幅が狭い、そういうことで歩道等整備がなかなか困難であるという住居系の地域、こういうものが対象になるのだと思います。  そのような考え方で進めてまいりたいと思いますし、この地区における交通事故状況等も踏まえまして、地元の自治体あるいは地域の方々と協議を進めまして、積極的な事業展開を図ってまいりたいと思います。  いずれにいたしましても、これは地域内のコミュニティーゾーンを形成することでありますので、事業は公共団体等が実施するにしても、地域の方々の御協力が必要であります。地域の方々とも十分協議の場を設けまして進めてまいりたいと考えております。
  58. 樽床伸二

    樽床委員 今、幹線道路に囲まれてその中に通過車両が入ってくるような場所、こういった御説明がございました。  実は、そういった地域でこのような施策をされること自身は、私はそれなりに有意義であろうというふうに思っております。先ほどの答弁にもありましたように、高齢者の方が、自宅から五百メーター以内で亡くなられている人が大変多い、こういうことを考えますと、それなりに効果が上がるのではなかろうかと思っております。  しかし、今のお話を聞きますと、要は、そこにこれまでは通過、要するに抜け道として車が入ってきていた、こういうことになるわけでございますね。そうすると、まず心配いたしますのは、その周辺で、これまで入ってきたものがそこでとまることになるわけでありますから、逆にそのことによって幹線道路がさらに渋滞をするのではなかろうかということを、これは揚げ足取りのようなことになるかもわかりませんが、一つをやればまたそれに対する弊害が出てくる、こういったことが発生する可能性もあるというふうに今考えております。  特に、どうしても、ドライバーの心理からいたしますとすぐいらいらして抜け道に入っていくというのが通常の心理でありますので、そのいらいらというものがさらに交通事故をふやしていってしまうのではなかろうか、こういうマイナス点もこれはあるわけでございまして、この点につきましてどのようにお考えであるのか、お聞かせいただけたらと思います。
  59. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 御指摘状況はまことにそのとおりでありますが、そういう意味では、比較的幹線道路整備されているというのが前提になると思います。なかなか幹線道路整備が十分できていない地域、例えば大阪の場合で申し上げますと、国道一号などにつきましては相当渋滞しておりますが、これは、例えば第二京阪をさらにもう一本幹線道路として整備するという、ネットワーク全体の整備の中でこういうものは並行して考えていくものではないかと思いますし、もう一つ申し上げれば、先ほど申し上げましたように、比較的幹線道路充実しているところについてできる施策ではないかと考えております。
  60. 田中節夫

    田中(節)政府委員 委員指摘の、コミュニティーゾーンを設けた場合に周辺に渋滞が起きるのではないかという御質問でございますが、先ほど建設省から説明がございましたように、コミュニティーゾーンになる道路につきましては、これは基本的には通過交通を排除する、しかも車両の通過速度を抑えるという趣旨でございますので、その設定に当たりましては、周辺の道路につきまして十分状況を踏まえた上で設定するということが一つでございます。  そのほかに、例えば周辺地域の信号機の運用につきまして、交通状況対応するような時間配分の見直しをすることで幹線道路の流れをよくするというような円滑化対策をするなど、交通規制の見直し等もその際図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  61. 樽床伸二

    樽床委員 ありがとうございます。  確かに総合的な観点の中で推進していかなければならないことであろう、このように思いますし、今お話ございました信号機の時間配分等々も、いただいておりますこのパンフレットを見ますと、「道路交通のインテリジェント化」、こういうような言葉もあるわけでございまして、そういった中で、やはり車が走ってとまって、走ってとまってということになると、運転する人もさらにいらいらが、何でこんなところでとまらないかぬねん、こういう心理状況が働くわけでございますので、総合的な観点で、こういった前向きな施策のマイナス点が出ないような方向でぜひとも推進をしていただきたい、このように考えるわけでございます。  さらに、このコミュニティーゾーンにつきましてもう一点、杞憂に終わるかもわかりませんが、 心配しておりますことは、そういった道路におきましては、これまで大抵の方は、大抵の方といいますか、多くの車が路上駐車をしておられるというのがよく見受けられる光景でございます。それが、いただいております資料を見ますと、非常にきれいになりますと逆に路上駐車をする場所がなくなるわけでございまして、それがなくなるということは非常にいいことでありますが、そこのエリアだけがなくなると、そこからはじき出されて周辺部に青空駐車がふえてしまうというようなことも若干心配をするわけでございます。  こういったことについてどのようにお考えで、また対処していこうとされておられるのか、お聞きしたいと思います。
  62. 田中節夫

    田中(節)政府委員 コミュニティーゾーンにつきましては、当然その地域内におきましては、特に高齢者等の通行の安全を考えますと、原則的には路上での駐車は抑えるというような考え方で進めていかざるを得ないというふうに考えておるところでございます。そのために、今委員指摘のように、従来違法ではありますけれどもとめていた車両は周辺に散らばっていく、あるいは別のところで違法駐車をするというような状況が出現するのではないかという御指摘でございます。  路外に駐車場が設けられるのがベストでございますけれども、それができない場合につきましては、短時間の駐車場につきましてはいろいろ御批判もございますけれども、一部駐車可能な区間を幹線道路あるいはその近くに設けるというようなことも考えていかなければならないだろう。あるいはまた、周辺道も含めて、適切にこのコミュニティーゾーン対策を推進していく上で、青空駐車等の違法駐車車両には厳正に対処していくことになろうかというふうに思っておるところでございます。
  63. 樽床伸二

    樽床委員 ありがとうございます。  私は個人的には決してマイナス思考をする人間ではございませんが、こういったいい施策をするに当たりましては、常に物事にはプラス面とマイナス点が併存しておるわけでございますので、そのマイナス点を少しでもなくすような努力で、プラス面がさらに出ていくような形でこの施策の実行をお願い申し上げる次第でございます。  それから、先ほど道路交通のインテリジェント化、こういったことを申し上げましたが、その一環としてVICSと言われる道路交通情報通信システム、この分野、が、実は産業の発展の分野でも非常に注目をされておる分野であろうというふうに思います。しかし、一方でまた、車で、俗にカーナビというふうに言っておりますが、便利なのですけれども、普通は走っているときには見えない、映らないわけでありますが、すぐ、線をちょっといじくれば走っているときにも映る、こういうような状況もちまたには散見をされるわけでございまして、そういったことをトータルいたしまして、しかしながら、この分野の発展が我が国経済の成長を導いていくという一面も大変重要視していかなければならない、このように考えております。  そういった点をトータルにひっくるめまして、このVICSの分野における現在の概要、それから将来展望につきまして教えていただきたいと思います。
  64. 田中節夫

    田中(節)政府委員 委員指摘のVICSの概要と将来展望ということでございますが、VICSは御案内のとおり、新しい情報通信技術を活用いたしまして、ビーコンとかFM、そういう各種メディアによりまして、車に載っている端末機へ渋滞情報あるいは規制情報等のリアルタイムな道路交通情報をディジタルのデータにより提供するシステムでございます。ドライバーのニーズにこたえますとともに、安全、円滑な道路交通環境の実現に寄与するというふうに考えております。  この効果といたしまして、ドライバーの自主的判断によりまして交通流・量が分散する。渋滞が減少いたしますとともに、いらいらが防止されて交通の安全と円滑が確保される。さらには、円滑な流れが確保されますので、騒音、排気ガスの減少等によりまして環境保全に資するものと考えておるところでございます。  このVICSの事業は、来月二十三日から東京都、埼玉県、千葉県及び神奈川県の一般道路及び高速道路それから東名、名神高速道路におきまして、平成八年度中には大阪府下の一般道路及び高速道路におきまして運用を開始いたしまして、その後、逐次全国展開を図っていく予定でございます。  私どもといたしましては、建設省、郵政省とともにVICSに関連する施設整備を積極的に推進していく所存でございまして、VICSが広く普及して交通の安全と円滑に大いに寄与することを期待しているところでございます。  なお、お話がございましたように、こういうようなものが発展する反面で、また、画面を見ることによりましての事故の発生のおそれというようなことも十分ございますので、それはまた交通安全教育の面で十分対応してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  65. 樽床伸二

    樽床委員 ありがとうございます。  今回いろいろな形で質問させていただきましたが、車に乗るなというのは今の社会状況では不可能な話でございますので、交通事故をゼロにしようと思えば、車を廃止すれば車で亡くなる方はいなくなるわけでありますが、そんなことは考えるべきものでもなかろう、このように思っております。  そういった中で、先ほどから繰り返し申し上げておりますように、それぞれの個別の、一つ一つの施策でやりますとイタチごっこのような形になりまして、効果が出ればまたそのマイナスが出る、マイナスを打ち消すように努力すれば効果が出るが、また次のマイナスが出る、こういったことの繰り返しであろう、このように思います。しかしながら、息長く総合的に展開をしていかなければならない、このようなことでもございます。とうとい人命が、年間に一万人を超える人命が失われていく、このような状況を、一刻も早くそのカーブが下降線をたどるような努力をしていかなければならない、このように私どもも強く実感をするものでございます。  道路整備を含めて、先ほど局長おっしゃいました、私の地元の話で恐縮でありますが、第二京阪という固有名詞も出てまいりましたが、二十年ぐらい前から叫ばれておりながらまだ整備もなかなか進んでいない、こういう状況もありまして、このままいくとあと二十年ぐらいかかるのじゃないかというような気もいたしております。時間との闘い、総合的な施策との兼ね合わせ、こういった中で、ソフトハードを含めて、交通事故で亡くなられる方が一人でも少なくなるような施策を心から御期待を申し上げ、そして、私どももそのような施策の推進に努力をしていきたい、こういった思いも申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  66. 日笠勝之

    日笠委員長 藤田スミさん。
  67. 藤田スミ

    ○藤田委員 まず初めに、基本的な点でお伺いをいたします。  一九九六年度から始まる新交通安全基本計画は、今後五年間の交通安全対策の基本になるものであります。昨年の交通事故死亡者は一万六百七十九人、これを三十日以内の死亡者というふうに見ますと一万二千六百七十人でありまして、実に一日三十五人の死亡者ということになります。  交通事故の犠牲者は一九八八年に一万人を超えまして、八九年秋、一万一千人に達する事態になって交通事故非常事態宣言が出され、第二次交通戦争と言われ、交通事故の死者が八年連続して一万人を超える深刻な事態になっていることは、先ほど来、どの委員も御指摘のあったとおりであります。  ところで、この新交通安全基本計画は、交通事故死者数を一九九七年までに一万人以下、二〇〇〇年までに九千人以下にすることを目指すとしています。考えてみますと、いわゆる第一次交通戦争と言われました時期、第二次交通安全基本計画でほぼ目標を達しましたけれども、再び増加に転じた交通事故死者は増加の一方でありまして、基本計画目標値をわざわざ甘くしながら、それさえも達成できない状態が続いたわけであります。私は、この事態を政府として深刻に受けとめるべきだというふうに考えます。  目標達成ができなかった原因はどこにあるのか、また、どのように目標を達成するのか、この点についてお伺いをしたいと思います。また、第六次計画に向けて、建設大臣として、その取り組みに対するきっぱりとした決意をこの際お示しをいただきたいわけであります。
  68. 井野忠彦

    ○井野政府委員 交通事故死者数が八年連続して一万人を超えた原因でございますが、さまざまな原因があると思います。  まず一つには、自動車保有台数及び免許保有者数の増加が続いて道路交通量そのものがふえていること、中でも、国民生活の夜型化に伴いまして夜間の交通量が増大していることが挙げられると思います。また、死亡事故の当事者となりやすい高齢者人口が増加したこと、自動車乗車中の死者数が高水準で推移している中で、シートベルトの着用率がまだまだ低いことなどが原因として挙げられると思っております。
  69. 中尾栄一

    中尾国務大臣 藤田委員にお答えをさせていただきます。  ただいまの説明にもございましたように、確かに八年連続をいたしまして一万人を超えていく、しかもなおかつ、往時は若者が多かったのにもかかわりませず、昨今は高齢者方々が非常にふえてきておる。これはやはりゆゆしき問題であり、社会問題であると同時に、これはもう政治問題そのものであろうと思うわけでございます。  それだけに、いかような形でこの高齢者方々事故の多発というものが、特に、伺ってみますれば、自転車に乗っておって激突をされる、あるいはまた歩行者として歩いておるときに事故を起こす、これなどを考えてみますると、場合によっては相手方、ぶつけた方か、あるいはまたこちらの方が近寄っていってぶつかった場合もありましょうけれども、その各位の方々が相当乱暴な運転もしておったのではないのかという感じ方も、これは率直に受けとめなければならぬ問題であろうと思いますし、この事故原因なども精査していく必要があろうかなというように考えるわけでございます。  そこで、こういう事態の削減に向けては、効果的な事業実施するために、何としても事業重点化総合化というものを図ることが先ほど来申し上げておりますように必須条件でございまして、必要な事業費確保に向けて、これまた私としては取り組んでいくつもりでございます。  このような考え方で考えますると、新たな計画を策定して、先ほど申し上げたように交通事故の研究そのもの、あるいは調査そして分析というものを行った上で、事故多発地点緊急対策事業、あるいはまた高齢者等社会参加を支援する歩行空間の面的な整備、助成、これは私どもの特に所管になるわけでございますけれども、それからまた、利用する視点からの安全総点検実施重点的に警察庁と、これはまた特に密接に連携をとりながら、現場の問題でございますから、どちらかといえば警察と私どもとで対応していかなければならぬことかな、このように考えておる次第でございます。
  70. 藤田スミ

    ○藤田委員 大臣のおっしゃることはよくわかるわけでありますが、自動車台数がふえる、このことが、交通事故を多発させ交通事故死者数をふやしていくという点ではいや応なく関連しているわけであります。先ほどえらい極端に、一台もなくしてしまったら全然交通事故がなくなるなんて、そういうことを言っているわけではありませんが、いずれにしても、自動車台数交通量の増加をこのまま放置していくことでは死者数を減らすことはなかなか困難であると言わざるを得ないわけです。  自動車台数が著しく増加をしている一方で、公共交通機関は採算性などを理由にして切り捨てられてまいりました。したがって、この自動車台数の推移を指数で見ましたら、一九七〇年を一〇〇として一九九四年には三四六と驚くべき増加になり、その間死亡事故は倍加してきているわけであります。  私は、そういう点では、政府がモータリゼーションという問題について真剣に考えてこなかった責任ということを思わざるを得ないわけであります。モータリゼーションは、交通事故だけではなく、先ほどからお話にもありましたが、車庫なしの車や路上駐車などいろいろな社会問題も起こしております。したがって、私は、モータリゼーションの野放してはなく、車の総量規制と公共交通機関を重視した交通政策というものにやはり大きく踏み出していくべきではないかということを考えるわけであります。ここのところが一点。  もう一つ、私はこの際ぜひ考えていただきたいのは、諸外国ではもう既にいろいろな取り組みをやっておりますが、日本でも、地域によってはノーマイカーデーというのが行われております。ノーマイカーデーに公共交通機関へ住民を誘導するために、地方自治体によっては割引乗車券を出しているというようなところもあるわけであります。自動車交通の総量を減らすために、創意を生かした取り組みを国も地方自治体とともに企業活動も含めながら大いに進めていくべきじゃないかというふうに考えますが、この点はいかがでしょうか。
  71. 井野忠彦

    ○井野政府委員 交通需要道路整備を上回る勢いで増加している現在におきましては、道路の輸送効率の向上や交通量の時間的、場所的平準化を図る、いわゆる交通需要マネジメントも重要であると考えております。このため、地方公共団体等におきまして、さまぎまな創意工夫によりこのような取り組みが行われることは、交通安全の観点から大変有意義であると考えております。  政府におきましても、このような取り組みを推進していくこととしており、第六次交通安全基本計画にも新たに交通需要マネジメントの推進に関する事項を盛り込み、公共交通機関への転換、自動車利用の効率化、交通需要の平準化を図るための各種施策を推進することとしております。
  72. 藤田スミ

    ○藤田委員 公共交通機関に転換させるように誘導している、国の方もそういう政策的な施策を進めているのだとおっしゃいますが、現実は、バス路線を廃止するとかバス路線の時間帯を間引きするとかして、もうこれじゃ、車のないおうちも無理をしてでも車を持たなければやっていけないなというような状態のところが、単に地方だけではなしに、都市の中でも随分出てきておりまして、そういう点では、こうした御指導を国の方でもぜひお願いをしたいわけです。  一体国民は、こういう悩み事が起こったときに、それはもちろんその地方のバス会社だとかあるいは役所の方にも行くわけですが、国に訴えようと思ったらどこへ行ったらいいのですか。それだけ聞かせておいてください。
  73. 橋本鋼太郎

    橋本政府委員 国ということよりも、これは地域の問題でありますから、地方公共団体、これには交通対策課、そういう課がございます。もちろん、その交通対策課、地方を中心に、先ほど申し上げましたように交通需要マネジメント策を推進するような協議会を関係機関みんな入ってつくっておりますから、そういうところの窓口にお申しいただければ、その地域でその問題についての対応ができると思います。  なお、例えば特定のバス路線のバスをどうしてほしいとか、そういう場合でしたら運輸省でありますし、あるいは駅前広場を整備してくれということならば建設省であります。そのような分野の担当があると考えております。
  74. 藤田スミ

    ○藤田委員 だから私は、こうした計画を打ち出しても、やはりもっと政府の方針というものをずっと徹底させなければいけないという意味で言っているわけです。役所のどこへ行ったらいいかというようなことは、もう嫌というほど痛い目に遭っていますからわかっているわけです。しかしながら、国がせっかくこういう方針を出しながら、地方自治体と随分乖離をしているし、いわん やバス会社なんかとはもう大きく離れてしまって、住民は国のせっかくの政策の恩恵を受けることができないという状態になっているから言っているわけでありまして、ぜひともそうした国の政策、公共交通機関に誘導していってできるだけ総量規制を進めていこうよということが、本当に粘り強く浸透するようにお取り組みをいただきたいわけであります。  ところで、次の問題に移りますが、第六次交通安全施設等整備事業五箇年計画の案を見せていただきますと、「新計画の主要課題と具体的対策」の一番目の「道路交通の安全確保」の最初に「交差点事故抑止対策」が掲げられています。我が党は、既に十年も前から交差点の安全対策の強化を求めてきました。死亡事故の四四%が交差点及び交差点付近で発生しておりまして、これを抑止するということは重要な課題であります。  交差点内事故で死亡事故は三千七百四十一人、これは前年比八十六人増ということでありますが、この中で、信号のあるところは千六百五十八人に対して、信号のない交差点で二千八十三人ですから、どれだけ信号の設置というものが大きな効果を上げているかということはこれだけを見ても明らかだと思いますが、この点についてはどういう御意見ですか。
  75. 田中節夫

    田中(節)政府委員 委員指摘のように、交通事故の実態を見ますと、交差点におきます死亡事故というのが、構成率が大変高うございます。  また、今お話しのように、昨年の交通事故の発生状況を見ますと、信号機が設けられている交差点、信号機のない交差点、比べますと信号機のない交差点の事故が大変多いという数字がございます。  また、交通事故総合分析センターの資料によりますと、第五次の五箇年計画におきまして新たに信号機を設けた交差点、これをランダムに抽出いたしまして、七百十九の交差点の信号機設置前後の事故防止効果を見ますと、全体では七五ないし七八%減少しておる。出会い頭の事故では九一%減っている。それから、押しボタン式の信号機でございますが、横断歩道横断中では八五・五%減っているということでございますので、交差点につきましては、これは交差点の構造等いろいろな問題がございますけれども、交差点対策交通事故防止対策で大変重要な位置を占めているという認識でございます。
  76. 藤田スミ

    ○藤田委員 ぜひ大臣にも聞いていただきたいのですが、今、その七百十九カ所の新たに信号機を設置したところでの効果を見れば七八%、九一%というような減り方になっている。これはもう本当にうれしいですね、こういう仕事は。  この重要な信号機の設置は、以前は国の補助事業であったわけです。ところが、昭和六十一年、一九八六年で、これが行革にひっかかりまして補助事業ではなくなってしまって、地方単独事業ということになってしまいました。私は、本当に人命尊重が何物にも優先するという立場に立つならば、こういう事業をわざわざ行革の対象にするなどということはもってのほかだというふうに言わざるを得ないわけであります。  したがって、私は、今後再度この信号機の設置については特定事業化するなどの対応をぜひ検討していただきたい。このことは本当に無信号のところをなくしていくためにも重要な課題になっておりますので、ひとつ、そのことを言いたいわけですが、いかがですか。
  77. 田中節夫

    田中(節)政府委員 委員指摘のように、信号機の新設につきましては、昭和六十年度に終了いたしました第三次の五箇年計画までは、全国一律に信号機を整備するという方針から、特定事業といたしまして国が二分の一の補助を行ってきたところでございます。しかし、昭和六十一年度以降の第四次五箇年計画からは、交通情勢に対応すべき信号機の改良、高性能化の方が緊急の課題であるということ、そして信号機の新設につきましてはその整備におきまして各都道府県のニーズに違いがあるというようなことで、これはそれぞれの県の実情に合わせて整備すべきであるという判断で地方単独事業というふうになったものと認識しております。  ただ、今委員指摘のように、これを国が補助じてはどうかという御意見でございますが、国の全体の財政状況の中で考えるわけでございますのでなかなかに難しい問題があろうかと思いますけれども、大変貴重な御提言として私ども受けとめさせていただきたいと存じます。
  78. 藤田スミ

    ○藤田委員 平成五年に四千三百十七基信号が新設されております。私はそれを細かく計算し直しました。四千三百十七基を四十七都道府県にある警察の千二百六十一で割りますと、一警察署に年間三・四基しか信号は新設できません。  それから交番や駐在所、全国にこれが一万五千カ所あります。交番が六千五百、駐在所が八千五百あります。この一万五千で割りますと、何と三・五の交番ないし駐在所に一基、言い直したら、三年半に一基ずつしか我が駐在所、交番の所管内に新しい信号はできない。しかも、新しい道路ができますとそこに新たな信号機を設置していきますから、つまり、ここに信号機を設置してほしいと幾らお願いしてもできないのは、三年半に一基分しか割り当てがない、それも新たな道路建設で食われてしまうという状態があるんだということを、私は計算し直しまして、そういうことになるなと。  これは本当にひどいな。だから、信号機を設置されますと、地域の大変な喜びようでありまして、それこそちょうちんでもぶら下げてみんなお祝いしようか、こんな話になるわけです。  やはりこれだけ効果を発揮している信号機なら、それは国の財政困難は私は認めないわけじゃありませんよ。しかし、命にかかわり、しかもこんなに有効な効果があるというなら、それこそ、そこにお金を入れたっていかほどのものか、今一万人に対するマイナスの金額というのは出ていませんけれども、それと比較してもはっきりしているじゃありませんか。  大臣建設大臣でおられる間に、この問題、ひとつ閣議ででも提起して、国が死亡事故を一万人以下に抑えるための英断を下していただきたい。私は、大臣にお願いして、終わりたいと思うのです。
  79. 中尾栄一

    中尾国務大臣 私は、総合的に、先ほど来藤田委員お話を聞いておって、大変に賛同するものでございます。  ただ、私はまず、これは両局面考えていかなければならぬと思いますのは、例えば今信号機の話が出ましたけれども、これはもう直接的ないわゆる防御策あるいは保全策ということになりましょうか。これはこれで、私どもは、先ほど御指摘賜りました三年半に一本、これはもうまことに、つくった途端に町を挙げてちょうちん行列するみたいなことを聞きますると、ああ、そんなにとうといものかなと私さえもが驚くくらいなものでございまして、本当に、これは国を挙げてのということでございますが、私も、建設省の重立った首脳メンバーにもこれは早速研究をさせ、そしてその方向でいけるものなら下達をしたいと思っております。  第二点、やはり青少年の中に非常に乱暴運転が昨今目立つ、これが老齢者の方々にも御迷惑をかけていることは間違いございませんから、基本的な教育というのでございましょうか、マナーというのでございましょうか、青年としても犯してはならないマナーというものはおのずからあるわけで、そういう意味においては、お隣のうちでオートバイを買ったから私の方でも買わなければとか、あるいはお隣のうちでこうだからああだからというようなことで、それが波及効果で、一波が万波を呼ぶ、こういうようなことがあってはならぬものだと思いますね。  そういう点では、もう少し精神的な問題点というものも大きく鼓吹していただくことがこれまた大事なことではないか、このように思っておりまして、そういう点におきましては全力投球することだけはお約束を申し上げます。
  80. 田中節夫

    田中(節)政府委員 今建設大臣から御答弁ございましたけれども警察庁としての考え方を申し 述べておきます。  先ほど申し上げましたように、委員の御提言につきましては、大変貴重な御提言として受けとめさせていただきます。  なお、現在地方単独事業でやっておりますので、この地方単独事業につきまして、今お話しのように財政措置が十分でないところがございますので、引き続き、地方財政について配慮されるよう関係者と十分に協議を重ねてまいりたいと考えているところでございます。
  81. 藤田スミ

    ○藤田委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございます。
  82. 日笠勝之

    日笠委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  83. 日笠勝之

    日笠委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  84. 日笠勝之

    日笠委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 日笠勝之

    日笠委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  86. 日笠勝之

    日笠委員長 この際、中尾建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中尾建設大臣
  87. 中尾栄一

    中尾国務大臣 交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいる所存でございます。ここに、委員長を初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。  どうもありがとうございました。(拍手)
  88. 日笠勝之

    日笠委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十一分散会      ————◇—————