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1996-05-30 第136回国会 衆議院 決算委員会第四分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会平成八年五月二十四日(金曜日)委員  会において、設置することに決した。 五月二十九日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       東家 嘉幸君    綿貫 民輔君       竹内  譲君    渡部 恒三君       田中 昭一君    小泉 晨一君 五月二十九日  田中昭一君が委員長指名で、主査選任され  た。 ————————————————————— 平成八年五月三十日(木曜日)     午前十時開議  出席分科員    主 査 田中昭一君       荒井 広幸君    遠藤 利明君       小此木八郎君    綿貫 民輔君       大野由利子君    白沢 三郎君       竹内  譲君    東  順治君       渡部 恒三君    小泉 晨一君    兼務 熊代 昭彦君 兼務 栗原 博久君    兼務 佐藤 剛男君 兼務 川島  實君    兼務 永井 英慈君 兼務 渡辺浩一郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 亀井 善之君         建 設 大 臣 中尾 栄一君  出席政府委員         運輸大臣官房長 戸矢 博道君         運輸省鉄道局長 梅崎  壽君         運輸省自動車交         通局長     山下 邦勝君         運輸省港湾局長 栢原 英郎君         運輸省航空局長 黒野 匡彦君         建設大臣官房長 伴   襄君         建設省建設経済         局長      小鷲  茂君         建設省都市局長 近藤 茂夫君         建設省河川局長 松田 芳夫君         建設省道路局長 橋本鋼太郎君  分科員外出席者         警察庁交通局交         通企画課長   中川 雅量君         大蔵省主計局司         計課長     田頭 基典君         農林水産大臣官         房総務課環境対          策室長     柘植 茂晃君         運輸省鉄道局都         市鉄道課長   榊  正剛君         建設省道路局企         画課道路経済調          査室長     藤本 貴也君         会計検査院事務         総局第三局長  山田 昭郎君         住宅金融公庫総         裁       高橋  進君         決算委員会調査         室長      天野  進君     ————————————— 分科員の異動 五月三十日  辞任         補欠選任   東家 嘉幸君     荒井 広幸君   綿貫 民輔君     小此木八郎君   渡部 恒三君     矢上 雅義君 同日  辞任         補欠選任   荒井 広幸君     遠藤 利明君   小此木八郎君     綿貫 民輔君   矢上 雅義君     東  順治君 同日  辞任         補欠選任   遠藤 利明君     東家 嘉幸君   東  順治君     大野由利子君 同日  辞任         補欠選任   大野由利子君     上田  勇君 同日  辞任         補欠選任   上田  勇君     白沢 三郎君 同日  辞任         補欠選任   白沢 三郎君     渡部 恒三君 同日  第一分科員栗原博久君、川島實君、第二分科員  佐藤剛男君、第三分科員熊代昭彦君、永井英慈  君及び渡辺浩一郎君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成年度一般会計歳入歳出決算  平成年度特別会計歳入歳出決算  平成年度国税収納金整理資金受払計算書  平成年度政府関係機関決算書  平成年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成年度国有財産無償貸付状況計算書  平成年度一般会計歳入歳出決算  平成年度特別会計歳入歳出決算  平成年度国税収納金整理資金受払計算書  平成年度政府関係機関決算書  平成年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成年度国有財産無償貸付状況計算書  (運輸省建設省所管及び住宅金融公庫)      ————◇—————
  2. 田中昭一

    田中主査 これより決算委員会第四分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりました社会民主党の田中でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。  本分科会は、総理府(北海道開発庁所管北海道東北開発公庫沖縄開発庁所管沖縄振興開発金融公庫国土庁所管) 、運輸省、郵政省、建設省所管及び住宅金融公庫についての審査を行うことになっております。  なお、各省庁の審査に当たっては、その冒頭に決算概要説明会計検査院検査概要説明及び会計検査院指摘に基づき講じた措置についての説明を聴取することといたします。  平成年度決算外二件及び平成年度決算外二件中、本日は、運輸省所管建設省所管及び住宅金融公庫について審査を行います。  これより運輸省所管について審査を行います。  まず、概要説明を聴取いたします。亀井運輸大臣
  3. 亀井善之

    亀井国務大臣 まず、平成年度運輸省所管一般会計及び特別会計決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計について申し上げます。  第一に、運輸省主管歳入でありますが、歳入予算額二十九億六千二百六十四万円余に対し、収納済み歳入額は二十九億七千二百三十万円余であり、差し引き九百六十五万円余の増加となっております。  第二に、運輸省所管一般会計歳出でありますが、歳出予算現額一兆八十六億三千六百三十二万円余に対し、支出済み歳出額は九千七百三十九億六千七十四万円余でありまして、その差額三百四十六億七千五百五十八万円余のうち、翌年度へ繰り越しました額は三百三億五千五十万円余であり、不用となりました額は四十三億二千五百八万円余であります。  次に、特別会計について申し上げます。  まず第一に、自動車損害賠償責任保険特別会計でありますが、保険保障及び業務の三勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額は三兆四千二百七十七億六千八十四万円余であり、支出済み歳出額は五千二百二十二億七千三百三十九万円余でありまして、差し引き二兆九千五十四億八千七百四十五万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第二に、港湾整備特別会計でありますが、港湾整備及び特定港湾施設工事の二勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額は五千三百二十億三千四百一万円余であり、支出済み歳出額は五千百九十三億三千二百十八万円余でありまして、差し引き百二十七億百八十三万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第三に、自動車検査登録特別会計でありますが、収納済み歳入額は四百八十一億二千三十七万円余であり、支出済み歳出額は四百二億三千六百九万円余でありまして、差し引き七十八億八千四百二十八万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第四に、空港整備特別会計でありますが、収納済み歳入額は五千五百三十五億三千六百五十一万円余であり、支出済み歳出額は五千五十八億六千八百六十一万円余でありまして、差し引き四百七十六億六千七百八十九万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  以上が、平成年度運輸省所管一般会計及び特別会計決算概要でありまして、このうち主要な事項につきましては、お手元に配付いたしました平成年度決算概要説明書をごらんいただきたいと存じます。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。  次に、平成年度運輸省所管一般会計及び特別会計決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計について申し上げます。  第一に、運輸省主管歳入でありますが、歳入予算額七十三億三千六百八十八万円余に対し、収納済み歳入額は八十億七千九百六十四万円余であり、差し引き七億四千二百七十六万円余の増加となっております。  第二に、運輸省所管一般会計歳出でありますが、歳出予算現額一兆二千九百一億二千八百八十四万円余に対し、支出済み歳出額は一兆二千三十二億六千百二十四万円余でありまして、その差額八百六十八億六千七百五十九万円余のうち、翌年度へ繰り越しました額は八百二十億八千六百五十九万円余であり、不用となりました額は四十七億八千百万円余であります。  次に、特別会計について申し上げます。  まず第一に、自動車損害賠償責任保険特別会計でありますが、保険保障及び業務の三勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額は三兆五千三百九十六億三千四百四十万円余であり、支出済み歳出額は五千三百九十億七千四百三十六万円余でありまして、差し引き三兆五億六千三万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第二に、港湾整備特別会計でありますが、港湾整備及び特定港湾施設工事の二勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額は八千四百五十七億五千五百九十一万円余であり、支出済み歳出額は八千二百二十億十九万円余でありまして、差し引き二百三十七億五千五百七十二万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第三に、自動車検査登録特別会計でありますが、収納済み歳入額は四百九十億六千二十四万円余であり、支出済み歳出額は四百九億七千七百七十五万円余でありまして、差し引き八十億八千二百四十八万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第四に、空港整備特別会計でありますが、収納済み歳入額は六千七百五十九億二千五百七十一万円余であり、支出済み歳出額は六千百九十八億五百六十七万円余でありまして、差し引き五百六十一億二千四万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  以上が、平成年度運輸省所管一般会計及び特別会計決算概要でありまして、このうち主要な事項につきましては、お手元に配付いたしました平成年度決算概要説明書をごらんいただきたいと存じます。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
  4. 田中昭一

    田中主査 ありがとうございました。  次に、会計検査院検査概要説明を聴取いたします。会計検査院山田第三局長
  5. 山田昭郎

    山田会計検査院説明員 平成年度運輸省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令もしくは予算に違反しまたは不当と認めた事項一件であります。  これは、兵庫県におきまして、高潮対策事業実施に当たり、鋼矢板式護岸施工設計と著しく相違していて、工事目的を達していないものであります。  引き続き、平成年度運輸省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項三件であります。  その一は、地下高速鉄道建設費補助金算定に関するものであります。  地下高速鉄道事業を営む地方公共団体等に対し新線建設費を補助する事業において、補助対象建設費算定の取り扱いを明確に定めていなかったため、補助対象建設費から控除することとされている土地の売却収入が控除されておらず、補助金が過大に交付されていました。これについて指摘したところ、改善処置がとられたものであります。  その二は、岩盤しゅんせつ工事における破砕岩運搬費積算に関するものであります。  補助事業で行う岩盤しゅんせつ工事において、しゅんせつした破砕岩運搬作業に使用する土運船等の規格に係る積算基準が、砕岩しゅんせつ船作業能力等に即したものとなっていなかったため、破砕岩運搬費積算額が過大になっていました。これについて指摘したところ、改善処置がとられたものであります。  その三は、空港に連絡する道路等に設置されている街路灯点検作業に関するものであります。  空港に連絡する道路等に設置されている街路灯点検清掃等を行う工事において、電球等の性能が向上し、定期点検の周期を延ばすことが可能となっているのに、設置基準等を見直す配慮が欠けていたため、街路灯定期点検費積算額が過大になっていました。これについて指摘したところ、改善処置がとられたものであります。  以上をもって概要説明を終わります。
  6. 田中昭一

    田中主査 ただいまの会計検査院指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。亀井運輸大臣
  7. 亀井善之

    亀井国務大臣 平成年度予算執行につきまして、不当事項として指摘を受けた検査報告番号一七五号の「高潮対策事業実施に当たり、鋼矢板式護岸施工設計と著しく相違していて、工事目的を達していないもの」について御説明を申し上げます。  地方公共団体等が行う国庫補助事業については、その適正な執行を図るため常に努力しているところでありますが、なお工事施工が適切でなかったものについて指摘を受けるような事態を生じたことは、まことに遺憾であります。  今後は、このようなことのないよう、さらに補助事業者に対し指導の徹底を期する所存であります。  なお、指摘に係る補助事業者に対しては、今後十分注意するよう指示を与え、本件工事については、平成五年十月十九日に手直し工事を完了させました。
  8. 田中昭一

    田中主査 この際、お諮りいたします。  お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 田中昭一

    田中主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————    平成年度決算概要説明書                 運 輸 省  平成年度運輸省所管一般会計及び特別会計決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計について申し上げます。  第一に、運輸省主管歳入でありますが、歳入予算額二十九億六千二百六十四万円余に対し、収納済歳入額は二十九億七千二百三十万円余であり、差引き九百六十五万円余の増加となっております。  第二に、運輸省所管一般会計歳出でありますが、歳出予算現額一兆八十六億三千六百三十二万円余に対し、支出済歳出額は九千七百三十九億六千七十四万円余でありまして、その差額三百四十六億七千五百五十八万円余のうち、翌年度へ繰り越しました額は三百三億五千五十万円余であり、不用となりました額は四十三億二千五百八万円余であります。  次に、特別会計について申し上げます。  まず、第一に、自動車損害賠償責任保険特別会計でありますが、保険、保障及び業務の三勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額は三兆四千二百七十七億六千八十四万円余であり、支出済歳出額は五千二百二十二億七千三百三十九万円余でありまして、差引き二兆九千五十四億八千七百四十五万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第二に、港湾整備特別会計でありますが、港湾整備及び特定港湾施設工事の二勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額は五千三百二十億三千四百一万円余であり、支出済歳出額は五千百九十三億三千二百十八万円余でありまして、差引き百二十七億百八十三万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第三に、自動車検査登録特別会計でありますが、収納済歳入額は四百八十一億二千三十七万円余であり、支出済歳出額は四百二億三千六百九万円余でありまして、差引き七十八億八千四百二十八万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第四に、空港整備特別会計でありますが、収納済歳入額は五千五百三十五億三千六百五十一万円余であり、支出済歳出額は五千五十八億六千八百六十一万円余でありまして、差引き四百七十六億六千七百八十九万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  以下、部門別に主要な事項につきまして、御説明申し上げます。  まず、鉄道整備推進について申し上げます。  整備新幹線建設につきましては、新幹線鉄道整備事業に係るNTT株売払収入を活用した無利子貸付金及び新幹線鉄道整備事業費補助として、鉄道整備基金を通じて日本鉄道建設公団に対し二百四十九億七百万円を交付いたしました。さらに、整備新幹線建設推進準備事業費補助金として二十三億二千八百五万円余を交付いたしました。これによりまして、整備新幹線建設促進を図るとともに所要の調査を行いました。  第二に、主要幹線鉄道整備につきましては、幹線鉄道活性化事業費補助金として、鉄道整備基金を通じて山形ジェイアール直行特急保有株式会社及び北越急行株式会社に対し十二億七千九百二十万円、地方鉄道新線建設費等補助金として、鉄道整備基金を通じて日本鉄道建設公団に対し百五十八億三千百七十二万円余を交付いたしました。これによりまして、主要幹線新幹線との直通運転化幹線鉄道活性化AB線建設等を実施いたしました。  第三に、都市鉄道整備につきましては、地下高速鉄道建設費補助金として、鉄道整備基金を通じて帝都高速度交通営団ほか一都八市に対し六百八十一億九千九百七十六万円余、ニュータウン鉄道建設費補助金として、鉄道整備基金を通じて神戸市に対し三億七千八百十八万円余、貸付線及譲渡線建設費等利子補給金として、鉄道整備基金を通じて日本鉄道建設公団に対し百三十八億五千六百六十四万円余を交付いたしました。これによりまして、都市鉄道整備促進を図りました。  第四に、安全・防災対策につきましては、鉄道防災事業費補助として、鉄道整備基金を通じて東日本旅客鉄道株式会社ほか五事業者に対し五億四千六百六十七万円余、踏切保安設備整備費補助金として、鉄道整備基金を通じて四国旅客鉄道株式会社ほか十四事業者に対し二億一千百四十一万円余を交付いたしました。これによりまして、防災対策のための諸施設整備及び踏切事故の防止を図りました。  第五に、中小民鉄対策につきましては、鉄道軌道整備費補助金として、鉄道整備基金を通じて北海道ちほく高原鉄道株式会社ほか二十九事業者に対し十三億六千二百七十七万円余、鉄道軌道近代化設備整備費補助金として、鉄道整備基金を通じて秩父鉄道株式会社ほか三十三事業者に対し七億五千九百八十四万円余を交付いたしました。これによりまして、中小民鉄維持改善を図り、地域住民の利便を確保いたしました。  次に、日本国有鉄道清算事業団長期債務対策について申し上げます。  日本国有鉄道清算事業団に対し、日本国有鉄道清算事業団補助金として九百二十四億円を交付いたしました。これによりまして、過去債務に係る利子負担の軽減を図りました。  次に、空港港湾海岸等運輸関係社会資本整備促進について申し上げます。  第一に、空港整備につきましては、第六次空港整備五箇年計画の第二年度として、空港整備特別会計において五千五十八億六千八百六十一万円余を支出いたしました。  このうち、主な事項について申し上げます。まず、新東京国際空港公団に対する政府出資等として二百七十億九千二百五十二万円余を支出いたしました。これによりまして、新東京国際空港整備推進いたしました。  次に、東京国際空港沖合展開事業として一千四百五十六億四千五百十九万円余を支出いたしました。これによりまして、沖合展開事業整備推進いたしました。  次に、関西国際空港株式会社に対する政府出資等として六百九十五億七百十五万円余を支出いたしました。これによりまして、関西国際空港整備推進いたしました。  次に、国内空港整備を図るため八百四十三億二千五百四十三万円余を支出いたしました。これによりまして、新広島空港ほか八十一空港整備を実施いたしました。  次に、公共用飛行場周辺における航空機騒音障害防止のため二百六十九億七千三十五万円余を支出いたしました。これによりまして、特定飛行場の周辺における移転補償等を行うとともに、緩衝緑地帯等整備を実施いたしました。  以上によりまして、航空輸送力増強等に対処するとともに、航空の安全の確保と環境の整備推進いたしました。  第二に、港湾整備につきましては、第八次港湾整備五箇年計画の第二年度として、港湾整備特別会計において五千百九十三億三千二百十八万円余を支出いたしました。  このうち、港湾整備勘定においては五千十四億一千八百六万円余を支出し、直轄港湾改修事業として百二十七港、十五航路及び六海域の工事を、港湾改修補助事業として八百三港の工事を実施したほか、海水油濁防止施設整備補助事業港湾公害防止対策補助事業港湾環境整備補助事業港湾事業調査補助事業等を実施いたしました。  特定港湾施設工事勘定においては百七十九億一千四百十一万円余を支出し、エネルギー港湾施設工事として五港、鉄鋼港湾施設工事として二港、物資別専門埠頭港湾施設工事として二港の工事をそれぞれ実施いたしました。  以上によりまして、効率的な物流体系及び快適な旅客交通体系の形成、豊かで潤いに満ちたウォーターフロントの創出、地域の活性化海上交通安定性向上等を図りました。  第三に、海岸事業につきましては、第五次海岸事業五箇年計画の第二年度として四百十九億二千六百四十六万円余を支出し、海岸保全施設整備事業として直轄事業海岸補助事業四百一海岸海岸環境整備補助事業として百五海岸公有地造成護岸等整備補助事業として八海岸工事を実施いたしました。これによりまして、海岸保全施設等整備を促進いたしました。  また、港湾施設災害復旧事業及び港湾施設災害関連事業として百五十四億五千九百八十六万円余を支出し、直轄事業八箇所、補助事業五百二十一箇所の工事を実施いたしました。これによりまして、港湾及び海岸災害復旧を促進いたしました。  次に、地域における公共交通維持整備について申し上げます。  第一に、地方バス路線維持費補助金として、北海道ほか四十五都府県に対し百七億四百四十八万円余を交付いたしました。これによりまして、地方における乗合バスの運行を確保し、民生の安定に寄与いたしました。  また、特定地方交通線代替輸送事業運営費補助金として、宗谷バス株式会社ほか二十三事業者に対し十一億六千六百一万円余を交付いたしました。これによりまして、特定地方交通線代替輸送を確保いたしました。  第二に、バス活性化システム整備費等補助金として、福岡県バス協会ほか十五事業者に対し四億七千九百七十五万円余を交付いたしました。これによりまして、バス輸送サービス改善するためのシステム整備等の促進を図りました。  第三に、離島航路補助金として、百二十五航路を経営する百十九事業者に対し三十九億九千六百七十四万円余を交付いたしました。これによりまして、離島航路輸送力を確保し、民生の安定と向上に寄与いたしました。  次に、海運、造船、船員雇用対策等について申し上げます。  まず、海運対策について申し上げます。  第一に、外航海運対策推進のため、既に締結した外航船舶建造融資利子補給契約について、日本開発銀行が昭和六十二年度以降の海運会社利子補給金相当額利子支払いを猶予することに伴い、外航船舶建造融資利子猶予特別交付金として、同行に対し三十六億八千六百二万円余を交付いたしました。  第二に、船舶整備公団が行う業務の円滑な運営に資するため、同公団の借入金に係る利子の一部を補給する補給金として、同公団に対し二億五千五百七十二万円を交付いたしました。  次に、造船業基盤整備対策について申し上げます。  造船業基盤整備事業協会に対し、高度船舶技術研究開発補助金として九億二千七百三十二万円を交付いたしました。これによりまして、同協会が実施する次世代船舶研究開発促進業務等の円滑な推進を図りました。  次に、船員雇用対策等について申し上げます。  第一に、最近における船員の雇用情勢にかんがみ、船員雇用促進対策事業として十一億二千五百七十四万円余を支出いたしました。これによりまして、離職船員の雇用の促進等を図りました。  第二に、財団法人海事国際協力センターに対し、開発途上国船員を対象とする研修を推進するため、事業の実施に要する経費の一部として六千百十万円余を支出いたしました。これによりまして、開発途上国船員の養成に協力・貢献いたしました。  次に、観光交流の拡大・観光の振興について申し上げます。  第一に、日本人の海外旅行及び外国人訪日旅行の双方向の観光交流の拡大を図り、国際相互理解の増進、市民レベルでの国際交流の拡大等に資するため、「観光交流拡大計画」の推進に関連して、国際観光振興会等に対し二十八億七千二百二十七万円余を支出いたしました。これによりまして、観光交流の拡大を促進いたしました。  第二に、観光の振興による地域の活性化地方の国際化を図るため観光基盤施設整備補助金として、愛媛県ほか一道十六県に対し三億三千万円を交付いたしました。これによりまして、自然に親しむ観光レクリエーション活動の場としての家族旅行村、来訪外客による伝統的地域文化の体験・地域住民との交流の場としての国際交流村及び手軽に宿泊利用できるオートキャンプ場としての家族キャンプ村の整備を促進いたしました。  次に、国際社会への貢献について申し上げます。  運輸分野における国際社会への貢献を一層推進するため、民間において実施する開発途上国への調査団の派遣、開発途上国からの研修員の受入れ等に要する経費の一部の補助、二国間での運輸関係者との意見交換、研究交流等の拡充、アジア太平洋地域における多国間協力の推進、国際協力の効果的な推進を図るための調査に必要な経費として四億四千四百五十三万円余を支出いたしました。これによりまして、運輸関係の国際協力を推進いたしました。  次に、貨物流通関係について申し上げます。  貨物流通対策を推進するため一千六百二十三万円余を支出いたしました。これによりまして、テクノスーパーライナーを活用した輸送システムの導入を図るための調査を行いました。  次に、運輸関係の技術開発の推進について申し上げます。  まず、鉄道整備基金を通じて財団法人鉄道総合技術研究所に対し、鉄道技術開発費補助金として四十一億五千三百八十八万円余を交付いたしました。これによりまして、超電導磁気浮上方式鉄道に係る技術開発をはじめとする鉄道技術開発の促進を図りました。  また、造船業基盤整備対策でも申し上げましたように、造船業基盤整備事業協会に対し、テクノスーパーライナー等次世代船舶研究開発促進業務等の高度船舶技術研究開発補助金を交付いたしました。  次に、海上保安体制の充実・強化について申し上げます。  第一に、船舶の航行安全体制の確立、警備救難体制の強化等を目的として、広域的哨戒体制の整備及び海洋調査の充実・強化を推進するため百六十六億六千三十一万円余を支出いたしました。これによりまして、引き続き巡視船三隻、中型測量船一隻、航空機二機の整備及び海上保安通信体制の整備並びに管轄海域画定のための諸調査等を行ったほか、新たに、巡視船一隻、巡視艇十四隻及び測量艇一隻の代替整備を行うとともに、巡視船三隻、巡視艇三隻及び航空機二機の代替整備に着手いたしました。  第二に、航路標識の整備を図るため九十四億六千二十五万円余を支出いたしました。これによりまして、引き続き広域電波航法システム(ロランC)一部の米国からの移管整備を行うとともに灯台等光波標識二十八基、マイクロ波標識局一局、船舶通行信号所一箇所及び海上交通情報機構一部の整備並びに既存航路標識の改良改修を行いました。  次に、気象業務体制の充実・強化について申し上げます。  第一に、台風・集中豪雨雪対策等観測予報体制の強化を図るため三十七億八千六百四十万円を支出いたしました。これによりまして、静止気象衛星業務推進、アメダス等地上気象観測施設及び気象レーダー観測網の整備を行いました。  第二に、地震・津波対策及び火山対策の強化を図るため一億三千三百五十一万円余を支出いたしました。これによりまして、地震観測施設及び火山観測施設整備等を行いました。  第三に、気候変動対策の強化を図るため三億三千九百四十五万円余を支出いたしました。これによりまして、観測・監視・予測体制の整備を行いました。  第四に、海洋及び海上気象観測体制を整備するため十一億三千八百九十九万円余を支出いたしました。これによりまして、海洋気象観測船の代替建造を行いました。  以上をもちまして、平成年度運輸省所管一般会計及び特別会計決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。     …………………………………    平成年度決算運輸省についての検査の概    要に関する主管局長説明                 会計検査院  平成年度運輸省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項一件であります。  これは、兵庫県が実施した高潮対策事業におきまして、鋼矢板式護岸の施工が設計と著しく相違していて、工事の目的を達していないものであります。  以上、簡単でございますが説明を終わります。     —————————————    平成年度決算概要説明書                 運 輸 省  平成年度運輸省所管一般会計及び特別会計決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計について申し上げます。  第一に、運輸省主管歳入でありますが、歳入予算額七十三億三千六百八十八万円余に対し、収納済歳入額は八十億七千九百六十四万円余であり、差引き七億四千二百七十六万円余の増加となっております。  第二に、運輸省所管一般会計歳出でありますが、歳出予算現額一兆二千九百一億二千八百八十四万円余に対し、支出済歳出額は一兆二千三十二億六千百二十四万円余でありまして、その差額八百六十八億六千七百五十九万円余のうち、翌年度へ繰り越しました額は八百二十億八千六百五十九万円余であり、不用となりました額は四十七億八千百万円余であります。  次に、特別会計について申し上げます。  まず、第一に、自動車損害賠償責任保険特別会計でありますが、保険、保障及び業務の三勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額は三兆五千三百九十六億三千四百四十万円余であり、支出済歳出額は五千三百九十億七千四百三十六万円余でありまして、差引き三兆五億六千三万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第二に、港湾整備特別会計でありますが、港湾整備及び特定港湾施設工事の二勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額は八千四百五十七億五千五百九十一万円余であり、支出済歳出額は八千二百二十億十九万円余でありまして、差引き二百三十七億五千五百七十二万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第三に、自動車検査登録特別会計でありますが、収納済歳入額は四百九十億六千二十四万円余であり、支出済歳出額は四百九億七千七百七十五万円余でありまして、差引き八十億八千二百四十八万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第四に、空港整備特別会計でありますが、収納済歳入額は六千七百五十九億二千五百七十一万円余であり、支出済歳出額は六千百九十八億五百六十七万円余でありまして、差引き五百六十一億二千四万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  以下、部門別に主要な事項につきまして、御説明申し上げます。  まず、鉄道整備推進について申し上げます。  整備新幹線建設につきましては、新幹線鉄道整備事業費補助として、鉄道整備基金を通じて日本鉄道建設公団に対し四百十四億四千四百九十三万円余を交付いたしました。さらに、整備新幹線建設推進準備事業費補助金として十八億一千四百八十二万円余を交付いたしました。これによりまして、整備新幹線建設促進を図るとともに所要の調査を行いました。  第二に、主要幹線鉄道整備につきましては、幹線鉄道活性化事業費補助金として、鉄道整備基金を通じて北越急行株式会社及び道東高速鉄道開発株式会社に対し七億三千二百十五万円余、地方鉄道新線建設費等補助金として、鉄道整備基金を通じて日本鉄道建設公団に対し百五十三億九千三百四十万円余を交付いたしました。これによりまして、幹線鉄道活性化AB線建設等を実施いたしました。  第三に、都市鉄道整備につきましては、地下高速鉄道建設費補助金として、鉄道整備基金を通じて帝都高速度交通営団ほか一都八市に対し八百六十四億五千九百二十一万円余、ニュータウン鉄道建設費補助金として、鉄道整備基金を通じて横浜市、神戸市、住宅・都市整備公団及び大阪府都市開発株式会社に対し二十五億九千二百八十六万円余、都市高速鉄道建設補助金として、鉄道整備基金を通じて埼玉高速鉄道株式会社に対し八億七千三百万円、貸付線及譲渡線建設費等利子補給金として、鉄道整備基金を通じて日本鉄道建設公団に対し九十八億九千八十一万円余を交付いたしました。これによりまして、都市鉄道整備促進を図りました。  第四に、安全・防災対策につきましては、災害復旧事業補助金として、鉄道整備基金を通じて北海道旅客鉄道株式会社及び九州旅客鉄道株式会社に対し六億九千八百五十六万円余、鉄道防災事業費補助として、鉄道整備基金を通じて九州旅客鉄道株式会社ほか五事業者に対し五億六千八十七万円余、踏切保安設備整備費補助金として、鉄道整備基金を通じて四国旅客鉄道株式会社ほか九事業者に対し二億九十七万円余を交付いたしました。これによりまして、鉄道施設の大規模な災害の復旧、防災対策のための諸施設整備及び踏切事故の防止を図りました。  第五に、中小鉄道対策につきましては、鉄道軌道整備費補助金として、鉄道整備基金を通じて北海道ちほく高原鉄道株式会社ほか二十七事業者に対し十三億七千五百九十五万円余、鉄道軌道近代化設備整備費補助金として、鉄道整備基金を通じて秩父鉄道株式会社ほか四十二事業者に対し十一億八千六百七十四万円余を交付いたしました。これによりまして、中小鉄道の維持改善を図り、地域住民の利便を確保いたしました。  次に、日本国有鉄道清算事業団長期債務対策について申し上げます。  日本国有鉄道清算事業団に対し、日本国有鉄道清算事業団補助金として八百五十億円を交付いたしました。これによりまして、過去債務に係る利子負担の軽減を図りました。  次に、空港港湾海岸等運輸関係社会資本整備促進について申し上げます。  第一に、空港整備につきましては、第六次空港整備五箇年計画の第三年度として、空港整備特別会計において六千百九十八億五百六十七万円余を支出いたしました。  このうち、主な事項について申し上げますと、まず、新東京国際空港公団に対する政府出資等として百九十九億七千九十四万円余を支出いたしました。これによりまして、新東京国際空港整備推進いたしました。  次に、東京国際空港沖合展開事業として二千二百五十七億九千二百五十六万円余を支出いたしました。これによりまして、沖合展開事業整備推進いたしました。  次に、関西国際空港株式会社に対する政府出資等として四百八十四億九千五百七十四万円余を支出いたしました。これによりまして、関西国際空港整備推進いたしました。  次に、国内空港整備を図るため一千二百三十一億八千九百六十六万円余を支出いたしました。これによりまして、新広島空港ほか八十二空港整備を実施いたしました。  次に、公共用飛行場周辺における航空機騒音障害防止のため二百五十六億一千八百七十五万円余を支出いたしました。これによりまして、特定飛行場の周辺における移転補償等を行うとともに、緩衝緑地帯等整備を実施いたしました。  以上によりまして、航空輸送力増強等に対処するとともに、航空の安全の確保と環境の整備推進いたしました。  第二に、港湾整備につきましては、第八次港湾整備五箇年計画の第三年度として、港湾整備特別会計において八千二百二十億十九万円余を支出いたしました。  このうち、港湾整備勘定においては七千九百九十五億七千百六十九万円余を支出し、直轄港湾改修事業として百二十九港、十六航路及び六海域の工事を、港湾改修補助事業として八百十五港の工事を実施したほか、海水油濁防止施設整備補助事業港湾公害防止対策補助事業港湾環境整備補助事業港湾事業調査補助事業等を実施いたしました。  特定港湾施設工事勘定においては二百二十四億二千八百四十九万円余を支出し、エネルギー港湾施設工事として四港、鉄鋼港湾施設工事として二港、物資別専門埠頭港湾施設工事として二港の工事をそれぞれ実施いたしました。  以上によりまして、効率的な物流体系及び快適な旅客交通体系の形成、豊かで潤いに満ちたウォーターフロントの創出、地域の活性化海上交通安定性向上等を図りました。  第三に、海岸事業につきましては、第五次海岸事業五箇年計画の第三年度として五百六十八億四千八百八十二万円余を支出し、海岸保全施設整備事業として直轄事業海岸補助事業三百九十五海岸海岸環境整備補助事業として百十三海岸公有地造成護岸等整備補助事業として九海岸工事を実施いたしました。これによりまして、海岸保全施設等整備を促進いたしました。  また、港湾施設災害復旧事業及び港湾施設災害関連事業として百七十一億四千百三十一万円余を支出し、直轄事業六十七箇所、補助事業四百七十二箇所の工事を実施いたしました。これによりまして、港湾及び海岸災害復旧を促進いたしました。  次に、地域における公共交通維持整備について申し上げます。  第一に、地方バス路線維持費補助金として、北海道ほか四十五都府県に対し百五億九千二百七十八万円余を交付いたしました。これによりまして、地方における乗合バスの運行を確保し、民生の安定に寄与いたしました。  また、特定地方交通線代替輸送事業運営費補助金として、宗谷バス株式会社ほか十七事業者に対し六億九千六百五万円余を交付いたしました。これによりまして、特定地方交通線代替輸送を確保いたしました。  第二に、バス活性化システム整備費等補助金として、名古屋市交通局ほか十七事業者に対し五億九千五百七十七万円余を交付いたしました。これによりまして、バス輸送サービス改善するためのシステム整備等の促進を図りました。  第三に、離島航路補助金として、百二十三航路を経営する百十七事業者に対し四十一億八千四百四十三万円余を交付いたしました。これによりまして、離島航路輸送力を確保し、民生の安定と向上に寄与いたしました。  次に、海運、造船、船員雇用対策等について申し上げます。  まず、海運対策について申し上げます。  外航海運対策推進のため、既に締結した外航船舶建造融資利子補給契約について、日本開発銀行が昭和六十二年度以降の海運会社利子補給金相当額利子支払いを猶予することに伴い、外航船舶建造融資利子猶予特別交付金として、同行に対し三十七億八千五百三万円余を交付いたしました。  次に、造船業基盤整備対策について申し上げます。  造船業基盤整備事業協会に対し、高度船舶技術研究開発補助金として九億九千六百万円を交付いたしました。これによりまして、同協会が実施する次世代船舶研究開発促進業務等の円滑な推進を図りました。次に、船員雇用対策等について申し上げます。第一に、最近における船員の雇用情勢にかんがみ、船員雇用促進対策事業として八億二千七百九十一万円余を支出いたしました。これによりまして、離職船員の雇用の促進等を図りました。第二に、財団法人海事国際協力センターに対し、開発途上国船員を対象とする研修を推進するため、事業の実施に要する経費の一部として六千五百八十四万円余を支出いたしました。これによりまして、開発途上国船員の養成に協力・貢献いたしました。  次に、観光交流の拡大・観光の振興について申し上げます。  第一に、日本人の海外旅行及び外国人訪日旅行の双方向の観光交流の拡大を図り、国際相互理解の増進、市民レベルでの国際交流の拡大等に資するため、「観光交流拡大計画」の推進に関連して、国際観光振興会等に対し二十五億八千六百九十二万円余を支出いたしました。これによりまして、観光交流の拡大を促進いたしました。第二に、観光の振興による地域の活性化、一地方の国際化を図るため観光基盤施設整備補助金として、愛知県ほか一道十七県に対し四億二千二百万円を交付いたしました。これによりまして、恵まれた自然の中でオートキャンプ等の観光レクリエーション活動を行う場としての家族キャンプ村及び家族旅行村並びに外客との交流の場としての国際交流村の整備を促進いたしました。  次に、国際社会への貢献について申し上げます。  運輸分野における国際社会への貢献を一層促進するため、民間において実施する開発途上国への調査団派遣、研修員の受入れ、国際協力人材養成等に要する経費の一部の補助、開発途上国との政策対話、環境保全のための交流、国際協力推進のための調査等に必要な経費として五億一千百二十三万円余を支出いたしました。これによりまして、運輸関係の国際協力を推進いたしました。  次に、貨物流通対策の推進について申し上げます。  貨物流通対策を推進するため二千六百二十四万円余を支出いたしました。これによりまして、テクノスーパーライナーを活用した輸送システムの導入を図るための調査等を行いました。  次に、運輸関係の技術開発の推進について申し上げます。  まず、鉄道整備基金を通じて財団法人鉄道総合技術研究所に対し、鉄道技術開発費補助金として七十二億九百四万円余を交付いたしました。これによりまして、超電導磁気浮上方式鉄道に係る技術開発をはじめとする鉄道技術開発の促進を図りました。  また、造船業基盤整備対策でも申し上げましたように、造船業基盤整備事業協会に対し、テクノスーパーライナー等次世代船舶研究開発促進業務等の高度船舶技術研究開発補助金を交付いたしました。  次に、海上保安体制の充実・強化について申し上げます。  第一に、船舶の航行安全体制の確立、警備救難体制の強化等を目的として、広域的哨戒体制の整備及び海洋調査の充実・強化を推進するため百九十八億九百七十三万円余を支出いたしました。これによりまして、引き続き巡視船三隻、巡視艇三隻、中型測量船一隻、航空機二機の整備及び海上保安通信体制の整備並びに管轄海域画定のための諸調査等を行ったほか、新たに、巡視艇十六隻の代替整備を行うとともに、巡視船五隻、巡視艇二十六隻及び航空機一機の代替整備に着手いたしました。  第二に、航路標識の整備を図るため百億八千二百八十二万円余を支出いたしました。これによりまして、引き続き広域電波航法システム(ロランC)一部の米国からの移管整備を行うとともに灯台等光波標識四十九基、船舶通行信号所一箇所及び海上交通情報機構一部の整備並びに既存航路標識の改良改修を行いました。  次に、気象業務体制の充実・強化について申し上げます。  第一に、台風・集中豪雨雪対策等観測予報体制の強化を図るため四十九億二千四百九十九万円余を支出いたしました。これによりまして、静止気象衛星業務推進、アメダス等地上気象観測施設及び気象レーダー観測網の整備を行いました。  第二に、地震・津波対策及び火山対策の強化を図るため二億八千七百四十六万円余を支出いたしました。これによりまして、地震観測施設及び火山観測施設整備等を行いました。  第三に、気候変動対策の強化を図るため三億五千八百四万円余を支出いたしました。これによりまして、観測・監視・予測体制の整備を行いました。  第四に、海洋及び海上気象観測体制を整備するため二十三億一千五百四十五万円余を支出いたしました。これによりまして、海洋気象観測船の代船建造を行いました。  以上をもちまして、平成年度運輸省所管一般会計及び特別会計決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。     …………………………………    平成年度決算運輸省についての検査の概    要に関する主管局長説明                 会計検査院  平成年度運輸省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項三件であります。  その一は、地下高速鉄道建設費補助金の算定に関するものであります。  運輸省では、地下鉄事業を営む地方公共団体等に対し、新線建設費の一部を補助するため地下高速鉄道建設費補助金鉄道整備基金を通じて交付しております。  補助対象建設費は、新線建設費から土地の売却収入等を控除するなどして算定することになっておりますが、東京都ほか三市では、地上権を設定して売却した場合などの土地の売却収入を新線建設費から控除していなかったなどのため国庫補助金が過大に交付されていると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、運輸省では、通達を発し、地上権を設定して売却した場合などの土地の売却収入の取扱いを明確に定めるとともに、基金における審査体制を整備し、地下鉄事業者に対し、制度の趣旨の周知徹底を図るなどの処置を講じたものであります。  その二は、岩盤の浚渫工事における破砕岩運搬費積算に関するものであります。  茨城県ほか七事業主体が補助事業で実施した岩盤の浚渫工事におきまして、浚渫した破砕岩運搬作業に使用する土運船及び引船の規格が砕岩浚渫船の作業能力等に即したものとなっていなかったため、積算額が過大になっていると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、運輸省では、岩盤の浚渫工事における土運船及び引船の規格について積算の基準を改正して、適切に積算が行われるよう処置を講じたものであります。  その三は、空港に連絡する道路等に設置されている街路灯点検作業に関するものであります。  運輸省では、東京国際空港ほか二十七空港空港に連絡する道路等に設置されている街路灯点検作業を実施しております。  近年、街路灯の性能が向上し、定期点検の周期を延ばすことが可能になっているのに、この点についての配慮を欠いていたため、定期点検費の積算額が過大になっていると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、運輸省では、点検についての基準を改正して、経済的な維持管理を行うこととする処置を講じたものであります。以上をもって概要説明を終わります。     —————————————
  10. 田中昭一

    田中主査 以上をもちまして運輸省所管説明は終わりました。     —————————————
  11. 田中昭一

    田中主査 質疑に入るに先立ちまして、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願い申し上げます。  また、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いをいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。荒井広幸君。
  12. 荒井広幸

    荒井(広)分科員 委員長初め皆様、おはようございます。また大臣には、平素御活躍、御貢献をいただきまして、心から厚くお礼を申し上げます。  私は、予算委員会と同時に決算委員会というものが十分に機能することが、財政を大切に使うことであり、また国民の負託にこたえることだと思います。  ややもすると、決算委員会予算委員会に比べまして、そのスピードからいっても、これから国会改革の一つの課題となっていくものだと思いますし、情報公開が叫ばれて、これは当然のことだと思いますけれども、そのような意味で、適正に執行されたか、そして次の年度予算にどう反映するか、この辺の仕掛け、仕組みが、私たち、国会改革の一つの大きなこれからの課題だろうと思います。  そのような中で、私は空港整備充実の考え方とその財源について取り上げさせていただきたいと考えております。  一日に約二十万、もう一つは一日に約十万、こういう数字がございます。これは平成年度航空旅客数の一日のおおよその数でございますけれども、国内線が一日二十万人、そして国際線は日に十万人と大変な数でございます。ライト兄弟以来空を飛ぶことが夢であった我々人類が、まさに毎日、足として、翼として自由に使えるようになって、それぞれの目的を果たす道具になっておるわけでございます。  国内においては、高度化、多様化する国民各位のニーズに対応して、有力な交通機関の一つとして、特に長距離ではその威力を発揮しているわけでございますし、また国際線においては、ほとんど今は飛行機が有効な移動手段として発展をしてきたわけでございます。  こういう中で、パスポートを法務省に申請をするときに、観光目的業務目的かということで申請をしますが、平成年度、観光が一千百二十九万人でございました。業務などが二百二十九万人でございました。こういうことで、非常にビジネス的にも使われているわけでございます。また、観光という名目でビジネスに応用しているというケースもあるでしょうから、二百二十九万の業務等ということでいえば、もっと仕事的な利用は多いものだろうというふうに思います。  さてそこで、日本は、こうした世界じゅうの人と物と情報と金融、これが集まる世界の中心の一つでもございます。それが日本を支える活力のもとでありましたし、世界の発展にも寄与してきた部分でございました。空の足の拠点となる空港整備ということが、これは当然のことですが、各界から叫ばれております。特にハブ空港という言葉がよく世間では使われるようになりました。  このハブ空港という言葉、特に言葉というものが内容を伴いましてひとり歩きすることが非常に多いのですが、改めて、ハブ空港というのはどのような意味なのかをお尋ねをさせていただきたいと思います。
  13. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 ハブと申しますのは車輪の車軸のことでございまして、これは先生御存じかと思いますが、それに対しまして放射状に出ているものをスポークと呼んでおります。もともとこれは米国におきまして、輸送の効率化あるいは事業の戦略上、需要を一たん一つの空港に集めて、そこでまとめてまた運ぶ、こういう思想というか考え方が発展いたしました。それをハブ・アンド・スポークといいまして、スポークに当たるのが需要を運んでくる路線であり、ハブがまとめの中心になる空港でございます。  もともとそういう意味でスタートしたわけでございますが、最近はかなりいろいろな意味で使われておりまして、路線が多く集中する大規模な空港、こういう意味でハブ空港という言葉が使われております。
  14. 荒井広幸

    荒井(広)分科員 そういうふうに、網の目のようにというとちょっとあれなのですが、そこから放射状にいろいろな日本国内にまたネットを張っていくということだろうと思いますけれども、こうした状況の中で、非常に日本が、これからの世界的な地位、それは当然に世界に貢献するという意味も含めてなのですが、人、物、情報、金融、こういったものをうまく動かすためにも、ハブ空港整備、これが極めて重要であるということを指摘されております。  そこで大臣にお尋ねをさせていただきたいのですが、今年度から始まります第七次空港整備五カ年計画においては、日本国として、こうしたハブ空港を含めた空港整備に対してどのようにお取り組みになられるのか、どのように空港整備を進めていかれるおつもりか、大臣にお尋ねをさせていただきたいと思います。
  15. 亀井善之

    亀井国務大臣 今委員指摘の、ますますボーダーレス化する国際社会において、人、物、金、いろいろな面での交流、これが必要なことでありまして、そういう中で我が国が今後とも安定した地位を確保していく、こういう面では、この航空需要に対しまして、ハブ空港整備あるいはまた国内拠点空港整備というものは時期を失うことなくやらなければならない課題であります。  そこで、第七次空港整備五カ年計画の中間取りまとめにおきましても、国際ハブ空港を初めいわゆる大都市圏における拠点空港整備、このことを最優先課題として取り組む、このようなことを指摘を受けておるわけでありまして、運輸省といたしましても、この面を重視して最善の努力をしてまいりたい、このように考えております。
  16. 荒井広幸

    荒井(広)分科員 力強いお話をいただきましたが、航空審議会の答申が八年十一月に出され、この後に閣議決定となるわけでございまして、今の国際ハブ空港を含めて、地方空港等を含めて、大変に各方面から、私の福島県なんかもそうなんですけれども、大臣、運輸省に対する期待も非常に大きいわけでございますので、どうぞ将来を見通してお力添えのほどをよろしくお願いを申し上げたいと思っております。  さて、そのような計画が必要性に迫られて、これは大方の方が認めていることだと思いますが、それに伴います財源というのが常に問題になるわけでございます。特に、少子・高齢化の中で、バブル崩壊後経済も足踏みをして、橋本政権になってやや日の目を見てきたというような感じもいたしますけれども、なお納税負担者という意味では、少子・高齢化が続いてまいりますし、また、お世話になった先輩方に恩返しをする、これは子としての当たり前の務めでありますけれども、そうした負担もふえる。  こういう中で、今のようなもうボーダーレス化の中での交流を生かしていかなければ、余りに消極的に、内側にこもりますと、逆に言うと、二〇二〇年以降は高齢化時代とは言わずに今度はむしろ若い方がふえてくる時代でもありますから、その後のことにもまた対応できないのではないかというふうな気が私はいたしますので、私は、積極的にこの空港整備にはかかわるべきではないか、このように思っているわけです。  そこでお尋ねをさせていただきたいわけでございますけれども、財源の確保をするためには、日本の場合には特に空港整備財源としては空港使用料、これが利用者が負担するということで中心になって、それが求められて財源となっている場合があるわけです。  ここで、国民の皆さんにも私はある意味で、御負担はおかけしていると思いますけれども、誤解であるなというのがいっぱいあるわけです。例えば、今若い人も御年配の方もよくマクドナルドなんというハンバーグなんかを食べますが、その国でどれぐらいの値段であるかというような購買力平価というようなことで比較をしていくことも非常に重要だと思うのです。  そういうふうなことでいいますと、日本の空港の使用料が高い、こう国民の皆様方もおっしゃって、確かにそういうことだと思いますが、実はそこにはやむを得ない事情もある。それは、一つには土地などにかかわる国土特有の事情があります。建設コストが高くかかる。それから物価水準でございます。そして為替の影響もたびたび受ける。こういうことで、高い、こう言われてしまうわけでございます。こういったこともある程度は考慮しなければならないことであり、そこもまた配慮に入れれば、私は、やはり財源については利用者負担ばかりにも頼っていられないなと思います。  これからの国際ハブ空港を初めとして、空港は我が国に大変な利益を及ぼしますし、当面苦しいから、財源が容易じゃないからといっても、ほかの国にそういう空の足というのがもう当たり前になってきているのが奪われてしまうということになると、高齢化のピークである二〇二〇年、二五年以降をどうするんだ、そのころ整備して間に合うのか、こういう問題が出てくるわけでございます。  そうしますと、私は、積極的に整備財源として一般財源を大幅に投入していくべきではないか、こういう結論に立つわけでございます。この点につきましての御見解をいただきたいと思います。
  17. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 先生御案内のとおり、今空港整備空港整備特別会計という別の会計で処理をさせていただいております。平成年度、本年度を例にとりますと、その中の歳入の構成は、いわゆる一般公共のお金、これが約二五%、四分の一でございます。それから、空港使用料が約四〇%に達しております。それ以外に借入金が二三%、こんな率になっております。  このうち空港使用料につきまして、大変諸外国に比べて高いという御批判を賜っておりますし、私どもも高いと思ってはおります。ただ、これはまさに今御指摘のとおり、我が国の特殊事情もございまして、ただ単にこれを下げればいいということではございませんで、空港整備全体のペースとの関係でこの空港使用料をどうするかというのは、極めて難しい問題だと思っております。ただ、諸外国との比較におきまして、これ以上この空港使用料の方に過大な期待をかけるのは難しいな、かように私ども思っているところであります。  また、借入金につきましては、これは羽田の沖合展開、この事業に特定して投入をいたしております。安易に借入金に頼りますと、まさに将来の高齢化社会のときにそのツケが回ってくるということになりますから、私ども、空港整備特会の健全な運営という観点から、この借入金につきましては従来どおり厳しい姿勢で臨んでいかなければいけないと思っております。  そういたしますと、結果といたしましてもこの公共事業費、これに対する期待が非常に高まるわけでございます。従来より、関係の方々の御支援も受けまして、この空港整備に対する公共事業費の伸びにつきましてそれなりの実績を上げてきているつもりでございます。本年度におきましても、他の公共事業全体の伸びよりも若干高目でございまして、七・三%増という数字をいただいております。  ただ、専らこの空港整備の立場からいいますと、これでも決して満足できる額ではございませんから、これからもなお一層この一般財源の投入をふやすという方向で私どもなりに努力をさせていただきたいと思っておりまして、御支援も賜りたいと思っているところでございます。
  18. 荒井広幸

    荒井(広)分科員 七・三%増ということで、関係の皆様方の御熱意が実っているものと思いますが、足りる足りないでいえば、私は足りないというふうに思うのです。  というのは、今盛んに東南アジアの首脳陣が言っていることは、韓国もそうです、マレーシアもシンガポールも、やはり国際ハブ空港を自分たちの手の中に置くことがこれからのその国の繁栄になるんだ、こういうような視点でございますので、これは大臣を先頭に積極的に対応していかなければならないというふうに思って我々考えておりますので、その点、御一緒に理解をいただくように、また国民の皆様にも理解をいただくようにしていきたいということでございます。  その一つが、先ほど局長から御説明があったように、世界と比べて、特殊事情がありますから、私は確かに高いという気はしますけれども、そういう事情がある、しかしその上で、まあ上げるということはできないわけですから、そういう方法がやはりとり得るべき一つの最善のものであるというふうに考えておるわけでございますので、これについてはやはり国民の皆様方にも十分に御理解をいただく必要があるし、それから世界の方にも御理解をいただかなければならないことでございまして、そういったアピールもまたお願いをしたいと思っております。  また、大規模な空港整備につきましては、非常一にその経済波及効果が高いわけでございますので、周辺地域は、それらの関係する都道府県ですか、そういう自治体はそれに見合う費用も御負担をいただければまたそこには返ってくる、こういうことにもなるんじゃないかということで、お互いに持ちつ持たれつでやっていく、こういう財源事情のときはそんなことが必要なんだろうというふうに思います。  安く乗りたいわ、自分はお金は払いたくないわというようなことだけを、今までのようなパイが広がっていく高度成長時代のような発想でやったのではならない。お互いに負担はかかるけれども、お互いに協力し合いながら、一つの方向をいい方向に出していくということだろうと思います。  その意味で、何といいましてもまさに人が前提に立っての世の中でありますから、人が移動するということで、マルチメディアでバーチャルリアリティーなどということで仮想空間をつくって、旅行に行かなくてもいいようにしよう、エジプトにバーチャル上で、全く電子空間上で実際に行ったような感じをしようというようなこともある意味では行われていますが、やはり本物、実際に行くということには勝てないわけでありますし、そういう需要も強いわけでございますが、人というものが中心になって輸送、航空があるわけでございますので、我々もそういったお互いにというような気持ちで応分の負担をしなければならないというふうに思います。その意味では、一般財源から出すということは私は非常に理屈にかなっていることではないかというふうに考えておる次第でございます。  また一方で、大臣が冒頭にお話をされましたボーダーレス化ということで、国もそうでありますが、地方も非常にボーダーレス化をいたしまして、それぞれが姉妹都市を世界各国と結んだり、あるいは国際交流協会などをつくって、子供たちを含めての世界との交流を随分進めているわけでございます。また、そういったことが地方振興に非常に役に立つということで、地域振興のためにも空の国際化ということは重要なことだと思います。ハブ空港と同様に、地方空港においても近中距離の国際線を中心とした国際化をさらに進めていく必要があると考えておりますけれども、この点についてはいかがでございましょうか。
  19. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 御指摘のとおりでございまして、私どもも従来より地方の国際化、あるいは地方空港の国際化と申しましょうか、これを努力をしてきているつもりでございます。  具体的に申し上げますと、まず、地方空港からの国際チャーター便につきましては、その積極的な振興を図ってきているところでございます。また、定期路線につきましては、各地方から大変強い御要望がございます。これは、相手国との間の需要があるかどうか、これを基本といたしまして、CIQ関係の方々の御協力が得られるかどうか等も見ながら、国際定期路線の開設にも努力してまいっておりますし、これからも引き続きそういう方向で臨みたいと思っているところでございます。
  20. 荒井広幸

    荒井(広)分科員 そのような方向で、地方の期待も高いわけでございますので、ぜひともお願いを申し上げたいと思っております。  委員長から時間どおりにというようなことで、極めて順調にいきまして、ちょっと時間が余りそうでございますけれども、空港整備の観点から一点お尋ねしたいのです。  首都機能移転というようなことで、今国会中に与党三党では首都機能移転にかかわる法律の改正法案を出したい、こういうことでおるわけでございますけれども、空港整備の観点からこの首都機能移転にかかわってどのような検討をされておられるのか、ちょっとこれはまだまだそういう段階ではないとは思いますが、その点についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
  21. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 昨年十二月に国会等移転調査会の最終報告書が出されておりまして、移転先地の選定基準の一つといたしまして、「国際社会への能動的貢献の場という観点から、国際的な空港が確保できる場所であること。」こうなっております。私どもこの検討の段階から、事務局である国土庁さんに対しましては、国際空港というのは大事ですよという問題提起は内々させていただいているところでございます。  この基準が、今空港のあるところに移転するのかあるいは移転先に新たに空港をつくるのか、これは選択肢が二つあるところでございますが、私どもといたしましては、やはりこれからの二十一世紀を目指した首都であるならば、どうしても立派な国際空港が近くにあるということが必須の条件ではないかと思っております。これからいろいろな形で検討が進むと思いますが、運輸省なりに、この議論の展開に十分留意して適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。
  22. 荒井広幸

    荒井(広)分科員 まさにジェット機のスピードのように世の中が目まぐるしく変わるような状況でございますが、そのような意味において、空の足というものをいかに整備をし、飛行機そのものもそうでございましょうし、また空港もそうでございましょうし、そうしたものを充実整備をし、しかも安全に、こういったことを常にお心がけをいただいておるわけでございますが、さらにそうしたことに取り組みをしていただきたいというふうに考えているわけでございます。  航空審議会の中間取りまとめなども拝見をさせていただきますと、大変な伸びで航空旅客需要が伸びる、このようにされているわけでございますので、量に対しての備え、そして同時に安全に対する備えということをお願い申し上げ、そのためには私たちは、一般財源という中から国民の皆様方の御理解を得つつ積極的な投資を進めていくべきである。もちろん、関係者の応分の御負担はいただくべきである。しかし、少子・高齢化の中で、経済成長が大幅に見込めない中においてはやはりみんなが我慢をして協力をしなくてはならない。  そして同時に、日本的に言うと二〇二五年がどうも暗礁に乗り上げるような話なんですね、高齢化のピーク。そうではなくて、そこまでみんなで支え合って頑張って、その後はむしろいい時代が来る。いい時代が来るというと、何かそこまでが悪い時代ですからこれは取り消さなければなりませんが、さらにそこからはまた新しい発展の時代に入る、こういうことでございますので、それまでの間の先行投資、先行整備、国際化の中で人が中心である以上、やはり空港というものも大きいということを私は申し上げまして、質問とさせていただきました。  ありがとうございました。
  23. 田中昭一

    田中主査 これにて荒井広幸君の質疑は終了いたしました。  次に、佐藤剛男君。
  24. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 亀井運輸大臣に御質問の機会を得まして、非常に光栄でございます。  運輸大臣におかれましては、国会の中で運輸行政に最も通じておられる大臣が大臣職につかれまして、特に、ただいま荒井代議士からお話がありましたが、福島県はいろいろな面で運輸省にお世話になっておりまして、運輸省のおかげなくして福島県の発展もありません。日ごろ本当にお力をいただいていることに感謝申し上げる次第でございます。  福島は、今荒井代議士から空港の話がありましたが、福島空港、それから相馬港、小名浜港という港がございます。そして常磐線という、私の選挙区のことで申しわけないのですが、今度浜通りというところが選挙区になりまして、浜の男、佐藤剛男ですなんて言ってやっておるわけでございますが、相馬港、それから原町というところがあります。それできょう、こんなことで、お願いのような質問、お願いのような意見陳述になって恐縮なんですが、一つは、スーパーひたちにかわるものとして、スーパーひたちをやめるというのではなくて、スーパー原町、スーパー相馬をぜひ実現していただきたいというのが一点なんであります。  それから第二の点は、ずっとその脈絡で申し上げさせていただきますが、今福島空港の問題でお世話になっておりますが、空港へのアクセスということでいきますと、どうしても将来は、東北本線の須賀川から空港への乗り入れというような問題が必ず大きな課題になってくるだろう。  それから、仙台空港というのを持っているわけでありますが、この仙台空港というのは、私も使ったことがあるのでありますが、意外に、仙台市から結構時間がかかるのです。自動車で行きましても一時間近くかかる。東北本線に岩沼という、常磐線と東北本線の分岐点のところにあるのでありますが、その岩沼から仙台空港への乗り入れ、そして仙台空港と福島空港をスーパーエクスプレストレイン、超高速、時速二百四十キロだか五十キロになると思いますが、そういうような形で、仙台、岩沼、福島、郡山、須賀川、福島空港、そういうふうになりますと、福島県が二つの空港を持てるようになるわけでございます。  そして、今おかげさまで相馬港の港湾開発もまた小名浜の開発も成っておりまして、アジアの中の相馬港、相馬市長、今野市長さんとおっしゃるのですが、非常に熱心にやっておられまして、アジアの中の港になってくるのじゃないかと思っております。水深が十五メーターのところというのが今日本にはないのですね。シンガポールには四つのものがあるのですが、これからやはり港もアジアというような観点で、国土総合開発計画の第五全総には、ぜひそういうアジアの中での港、アジアの中の飛行場というような観点で、地域連携というものを推進していく必要があるのではないかということを日ごろ力説している者の一人としまして、そういう面で港湾の点もお願いしたいと思うわけであります。そういう観点で、私の持ち時間を活用させていただきます。  それで、最初に一つ、スーパー原町あるいはスーパー相馬、簡単にいいますとスーパー浜通りということであります。私の選挙区の相馬、原町、相馬地域というところでございますが、そういう観点でちょっと質問、お願いをしたいと思います。  実は、この浜通りということの重要性を申し上げますと、原子力発電の五分の一があるところが浜通りであります。今日本の原発による発電力、これが四千五百万キロワットまでいっていないのです、四千百五十万ぐらいなんですが、これを約五十基で動かしているわけであります。これを将来七千万キロワットにしなければならない。そうすると、四千五百万で今五十基ですから、平均しますと大体九十万、百万キロワットいっていないのです。それで、福島はそのうち十基あるのです。  そうしますと、基数でいいますと二〇%の原発を持っておる。しかも、それだけで電力量でもほぼ一千万キロワットを超えております。福島県の原発を三基ぐらい定期検査でとめますと、東京は真っ暗やみになるわけであります。そのぐらいの非常に重要なる意味を持っているところであります。  ところが、この浜通りというのは原発を誘致した恩典が非常になくて、その地域の人たちはチベットだなんて言っておりますけれども、私も選挙地域が変わったので行ってみますと、ははあ、なるほどこれはチベットみたいだなという感じの、交通の面についてはそう感ずるわけであります。  スーパーひたちで日立まで行くのは結構ぽんと行くのですが、あとはちょんちょんと毎回各駅で行きまして、また最終便も、私は福島なんですが、仙台に行って新幹線に乗りかえて帰ってくるわけです。そうすると、もう原ノ町あたりの駅に行きますと、スーパーひたちを使って、一時間ぐらいしか滞在できません。いられないのです。もう最終便がなくなってしまう。  それから、一つお願いしたいのは、便の拡大ができないか。便数であります。それから、高速化の意味においてスーパー相馬、スーパー原町、スーパー相馬地域とでもいいますか、そういうどこかの地域にスーパーひたち並みのものを延ばしていっていただくことができないか。  これは技術的にはそんな難しいことではないということを私は聞いております。既存の軌道を使いまして二百キロから二百五十キロぐらい出るという話も技術的に可能だというようなことを聞いておりますと、ぜひその便数の増大と高速化、そして複線化なんです。複線化なんですが、ここまでのところでまず実質的にできる最大限可能なものを早急にひとつ着手していただく。  そして、その大義名分は、けさも自民党の中のところでは、原子力発電を持っておるところの各市町村が集まって、ひとつ法律をつくってくれとか、いろいろな陳情があったわけでありますけれども、広域的なそういう効果のあるものをつくってください、そうしませんとなかなか増設ができないですよとおどかされたわけであります。  七千万キロワットやりますと、あと二十基から二十五基要るのですが、東京の北多摩郡のところとか南多摩郡に原子力発電を持ってくるわけにもいかぬでしょう。それから、神奈川県にというわけにもこれもいかぬだろうとなると、やはり既存のところを大切にしながら、その住民の皆さんの声をぜひひとつ吸収していただいて、そして要望、こういうことがあるとなれば、ああそうか、それならひとつ原子力発電の増設も喜んで引き受けよう、こういうふうな話になってくるのではないかと思いました。  本題が長くなりまして恐縮でございますが、大臣、また鉄道局長におかれまして、ひとつ前向きの御答弁を賜りたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
  25. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 ただいま先生からいろいろお伺いをさせていただきました。まず最初に、常磐線の高速化の問題、それから列車本数の増発の問題、こういうことでございます。  まず高速化の方から申し上げますと、現在上野−原ノ町間は、一番早いスーパーひたちで三時間十一分でございます。JR発足時に比べますと二十三分短縮いたしましたが、まだ三時間を超えているという状況でございます。ところで、これをさらに高速化するには、実はスーパーひたちは上野と日立の間は最高スピード時速百三十キロで走っておりますが、いわき−岩沼の間が線形が悪いために時速が百キロでございます。そういうことがございまして、これ以上のスピードアップには、いわき−岩沼間の線形改良が必要になります。線路の路盤が悪いためにこれ以上スピードを上げることができないという状況でございまして、この路盤を改良しなければなかなかスピードを上げることはできないという状況でございます。  こういった問題がございますので、まず既存のシステムでできる分につきましてはいろいろJR東日本も努力をしておりますけれども、これ以上のスピードアップは線形改良が要るということで、これはやはり投資の負担の問題が出てまいりまして、やはりこのような設備投資をするかどうか。例えば非常に曲がりくねっているところを直線化していくとかいうような線形改良というのは、非常にお金がかかるものでございますから、やはり鉄道事業者において、採算性あるいは当然のことながら需要がどれだけあるか、あるいは投資コストがどれだけかかるか等々の点から、まず事業者でございますJR東日本において自主的に判断をする必要があると思っております。  私どもとしましては、鉄道事業者が利用者利便の向上のために努力をするのは当然だと考えておりますけれども、やはりそういう負担が伴います投資を必要とするといった点にかんがみますと、まず事業者がそこら辺を十分判断して対処していくべきだろうと思っております。私どもも基本的にはそういう観点に立って、今後輸送需要の動向も見ながら、適切に対処するように指導していきたいと思っております。  それから、運行回数の増加の件でございますけれども、現在上野から原ノ町まで特急で上下十二本、それから普通列車で上下三十二本、こういった運行状況でございます。これはJR発足時から同様の状況でございます。この点に関しましても、列車の増発をするかどうか、やはり需要の動向を見ながら事業者においてまず判断をしていただく問題だろうと思っております。
  26. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 局長さん、非常に政治的な御答弁を賜ったのですが、もう少し、一段上がって、それで前向きのものをいただきたいのです。  というのは、単なる普通の場所ではない。僕はわざわざくどいことを言ったのですが、だれも好んで原発を持ってきているわけではない。しかも、それの五分の一持っている。二基でも三基でもとめれば東京が真っ暗になるという、本当は東京電力の本社が福島に来てもいいぐらいの、本当はそのぐらいの価値のある地域です。それで、その需要の点というのも、結局、卵と鶏ではないのですけれども、こういうスーパーがある、新幹線ができる、これが何ができるとなると人がふえるのと同じように、いけるのですよ。いけないと、自動車になってしまう。ところが、この自動車も今や大変です。  他日、いろいろ亀井大臣にお世話いただいたわけですけれども、車で行きましても、私も、福島、県庁所在地から相馬のところに一時間半かかる。それで、一時間半もかかり、さらに冬場になりますと、うねっていまして、アイスバーンになんか乗ってしまいましたら、対向車がなかったからいいものの、対向車があったら、政治生命がなくて私はここに立っていられない。もう死んでしまったです、これは。そのぐらいの怖いところであって、しかも冬行かなければいけない。  これは小選挙区制になってそうなってしまった。山があるのだけれども、山がないと思って人口を基準でやってしまったから、浜などというのがないと思ったら、浜が出てきてしまったわけですから、そういうふうなものの中で見ますと、ある意味では、こういう機会に県庁所在地に弾丸道路を通しましょう、国際的な港の相馬港があります、市長さんも一生懸命頑張る。原町の市長さんも、門馬市長さんというのですが、この複線化を初め非常に頑張っておられる。皆、浜通りの市町村長さんというのは本当に熱心にやっておられる。  そういう人はなぜやっているかというと、背後に原発を持っている。それを住民の人たちの声を生かしながらその役割をなそうということでありますから、需要者のということをやっていると、これは進まないわけですよ。ひとつこれをやってみるから、研究してみるから、スーパー相馬、そういうものについてやるからということで、これについてのそういう研究会みたいなものを運輸省、JR、それから市町村集めてやってもらう方法とか、それから便数というのも、これは恐らくほとんどふえていないと思いますよ、原発ができてから。十何年ふえていないのじゃないか。そこなんですよ、問題は。だから、そういうのをひとつブレークスルー、突破してもらいたい、これをぜひお願いしたいので、もう一回答弁を願いたい。前向きに大臣、ひとつよろしくお願いします。
  27. 亀井善之

    亀井国務大臣 今委員からいろいろ福島県の福島空港あるいは相馬、小名浜の港湾の問題、あるいはいろいろ物流の関係から申し上げますと、港の整備とあわせて、それらの物資がいわゆるその後背地に円滑に輸送されなければならないわけでありまして、そういう面では私ども、物流関係とあわせて、建設省の所管になりますけれども道路の整備というもの、やはり総合的にこれらの問題に対応しなければならないわけでもあります。  また、今特に浜通り等で原発のお話もいただきました。そういう中で、鉄道の整備、ぜひこれは地元の福島県を中心として、いろいろ関係の皆さん方が御協議をいただきまして、そのような考え方、こういうものをお持ちいただくことによりまして、私どもは、あるいはJR東日本にもまたそのようなお話を申し上げ、総合的に地方でそのような研究会なりそういうものをおつくりいただくような必要がまた一面あるのではなかろうか、そういう中で我々も、運輸省としてもタイアップをしてまいりたい、このように考えております。
  28. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 亀井大臣、ありがとうございました。それでは、私、早速そのオーガナイザーになりまして、いろいろ市町村長とも御相談させていただきまして、またその熱意のある地域の声をお届けし、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。  次に第二の点で、これはアイデアのようなことを申し上げたのですが、福島空港について、アクセス道路とかいろいろなものがあるわけですが、これは、新幹線があそこのところはずっと中通りのところを走っておる。それから、東北本線が走っておる。須賀川というのが東北本線のところにある。それの福島空港への乗り入れというのとあわせて、そして東北本線の岩沼から仙台空港へ乗り込む。これは何か初めてのお話かどうかわかりませんけれども、これは私も、そういう福島と仙台空港を一時間ぐらいの超特急、簡単に言いますと新幹線みたいなもの、これができますと、既存の東北本線の規格で二百四、五十キロ出せるというのですね。  そうすると、それは可能なようなことだと思うのですが、あとは金の問題ですよね。そうなってくると、今大臣が言われました物流の問題を含めまして、それから先ほど荒井代議士が言っております首都圏移転の問題があるのですが、そういうようなことをもろもろ考えていきますと、そういうインフラストラクチャー整備の非常に大きな効果が、延長するような仕方をやると出てくると思うのです。  ですから、仙台空港−福島間一時間の、簡単には新幹線みたいな話なんですが、東北本線を活用した相互乗り入れみたいなものの研究を、検討をやっていただけないかどうか、これについての御意見を承らせていただきます。
  29. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 ただいまの福島空港あるいは仙台空港の鉄道によるアクセスの問題でございますが、まずそれぞれの地域におきまして、軌道系のアクセスの整備をしたいということで、地元でもいろいろ検討しておられるというぐあいに私どもも聞いております。仙台の方では、宮城県におきまして、ルートであるとか需要予測であるとか収支採算性について検討中でございます。また、福島におきましても、こういったようなものをどうするかというのがあるというふうに聞いております。  こういった問題に対しまして、やはりまず地元におきまして、鉄道によるアクセスの整備ということにつきましては、その環境づくりといいますか地道な研究といいますか、そういったような努力をしていただきまして、そのような案件の成熟性を高めていくとでも申しましょうか、そういったような努力をまずは尽くしていただくのがいいのではないかというぐあいに考えております。
  30. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 ありがとうございました。それでは、そういう研究会とか、地元を中心にしましたような形をつくらせていただき、御指導を賜りながら進めさせていただきたいと思います。  そういうこととあわせまして、亀井大臣のところには、地元から、また県からいろいろ私ども御一緒させていただき陳情させていただいたり、また地元でお願いいたしたりしまして、感謝しているわけでありますが、港湾、港であります。  きょうは港湾局長はおられないのですが、これは何も細かいことを聞くわけではございませんで、ひとつ相馬港を、これは逐次進んでおります。相馬市長さんの御努力の形で進んでおります。おかげさまで予算も逐次つけていただいてやっております。あとは埠頭を国際的な港ということで整備をやっていただく。  それで、将来は海外から国際観光船がそこに着いて、そしてその観光客が、先ほど大臣もちょっとお触れいただきましたが、相馬港から県庁所在地福島への三十分ぐらいの弾丸道路で、福島は温泉が非常に多うございますので、そこのところに観光客を引っ張ってきて、飯坂温泉とか土湯温泉とか高湯温泉とか岳温泉とか、非常に景観のいい地域でございますので、そういうことをするアジアの港、国際的港、おかげさまでそういうことに逐次行きつつあります。  それから、予算の面等について、私どもも応援団としまして一生懸命その一翼を担わせていただきますが、ひとつ予算等の重点的な配分について、物流の大きな基地として私は港の開発というのはこれからすごく重要だろうと思っておりますので、その面についての御配慮をお願い申し上げる次第でございます。  それについて、大臣、局長さんおりませんから、大臣から一言御意見賜りますれば幸いでございます。
  31. 亀井善之

    亀井国務大臣 相馬港並びに小名浜港のことにつきましては、港湾整備の五カ年計画の中で順次その整備をいたしておるところでございます。  引き続き地元の計画等々とあわせてその整備に今後とも努力をしてまいりたい、このように考えております。
  32. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 それでは、もう時間でございますので、繰り返すようでございますが、福島県の発展に、運輸省のお力、非常に欠かせない点が鉄道、港、そして空。空、海、鉄道、それを中心にしまして、物流の事業自身は道路の話ですから建設省なり道路公団なりになりますが、この物の流れ、物流というのは将来の日本の発展の中において非常に重要なことでありますし、そして物流のコストをいかに低減するかということが——日本の経済は本当に高コストになっちゃいまして、皆高いコストで、産業空洞化と言われるような海外に行くケースというのは、そういう面でやはり低コスト化していくことが非常に大きな課題でございますので、二十一世紀の国土づくりということで、空、海、鉄道、そして道路、こういう四位一体の中で、その四位一体の中の三位は運輸省でございます。よろしくお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  本日は、本当に心強い御答弁を賜りまして、亀井運輸大臣初め局長さん、ありがとうございました。感謝申し上げます。
  33. 田中昭一

    田中主査 これにて佐藤剛男君の質疑は終了いたしました。  次に、川島實君。
  34. 川島實

    川島分科員 新進党の川島實です。  私は、今議題になっております平成年度運輸省決算のうち、空港整備事業費について、このことに関連する多くの問題についてお尋ねをしていきたいと思っております。  御承知のように、現在、我が国の空港、これでいいのかという非常な危機感を私どもは持っておるところでございます。なぜ日本の空港がこのようにどんじりになってしまったのか、一体原因はどこにあるのか。  世界各国、韓国を初め香港、シンガポール、上海、このアジアの諸国をとってみても、我が国のハブ空港と称するものは本当にハブ空港なのかどうか。韓国がこれから計画をしている空港は、我が国全部の空港を入れてもそれを上回る規模でこれらの計画がなされている。  運輸省が所管をする空港建設の目標は、一体今後どのような方向で進めていくのか。特に地元の、これからつくろうといたしております中部新国際空港、これらについて、今後の我が国の将来の空港行政というのが見えてくるのかどうか、お伺いをしていきたいと考えておるわけでございます。  そこで、現在、中部新国際空港について、どのような手続で、いつまでに、どのくらいの規模で行っていこうとされているのか、まずその点についてお伺いをしておきたいと思います。
  35. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 いわゆる中部新国際空港につきましては、昭和六十年ごろから地元の調査会を中心に検討が進められまして、私どもも平成年度から正式な調査費をつけまして調査を進めてきたわけでございます。  昨年の八月にまとめました第七次空港整備五カ年計画の中間取りまとめ、この中におきまして、この中部新国際空港につきまして総合的な調査検討を進め、早期に結論を得た上、関係者が連携して事業推進を図る、こういう位置づけをさせていただいたわけでございます。  これを受けまして、現在、私どもあるいは地元で広範な調査検討を進めておりまして、その成果をなるべく早く得た上で正式の事業化を図りたい、かように思っているところでございます。
  36. 川島實

    川島分科員 では、我が国が今回つくろうとする中部新国際空港、話を聞きますと、滑走路も一本。関空が一本で開始をして、即二本目をつくろうとしている。なぜ最初に二本をきちっとつくり上げるという努力がなされないのか、この点についてはいかがなのですか。
  37. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 私ども、専ら空港をつくるという立場から申し上げれば、いろいろな夢もありますし、非常に大きな空港もつくりたいと思いますが、現実にはさまざまな制約がございます。  一番大きな問題は、外部から資金を調達いたしますから、事業としての採算性、これを無視して、いわば孫子の代に借金のツケを回す形で無責任なつくり方はできないと考えておりまして、常に採算性、そのバックに需要があるわけでございますが、これを見ながら検討を進めるということでございまして、その点で、今御指摘のとおり、中部の新国際空港については、とりあえず一本の滑走路で十分機能するであろうと思っているところでございます。
  38. 川島實

    川島分科員 それでは、今具体的にいろいろな調査を行っている、予算がついてきているわけでございますけれども、その調査がいっ終わって、いつ着工になるのですか。
  39. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 今調査は、私どもの調査、それから中部空港調査会と申しまして地元でつくられました法人、ここにおける調査、それから地方公共団体独自の立場の調査、この三つが並行して進んでいるところでございます。  私どもの調査は、今年度をとりますと約三億の金をつけまして、具体的な空港設計をする上に必要な各種のデータを収集するという調査でございます。したがいまして、私どもはなるべく早くこの結果を得たいと思っておりますが、具体的に、ではいつまでにやるかということは、これは調査結果を待たないとまだ断言できないという状況でございます。
  40. 川島實

    川島分科員 それでは、いつ着工という目標もなしに、そして、いつでき上がるかという目標も現政府にはない、こういうふうに判断していいですか。
  41. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 先ほどもお答え申し上げたとおり、第七次の空港整備の中間取りまとめの中におきまして、早期に結論を得た上で事業推進しようではないか、こういう方向を出していただいておりまして、私どもといたしましては、この第七次の空港整備五カ年計画の間では事業化はぜひ図りたい、できればその中でもなるべく早期にということを目標に持っております。
  42. 川島實

    川島分科員 第七次の空港整備計画というのは、一体いつからいつまでですか。五年間もあるんじゃないのですか。
  43. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 八年度から十二年度まででございます。
  44. 川島實

    川島分科員 もう一つは、結局、先ほどもちょっとお話が出ておりましたように、孫子の代まで借金を残す——これは、余りにも現在の空港建設計画の中に占める国の負担が軽過ぎるのじゃないのですか。余りにも地元への押しつけじゃないのですか。一割の負担で運輸省が多くの権限を持ってがっちりいろいろと、運輸省にお伺いを立てなきゃ何にもできないという状況になっている、ここに欠陥があるのじゃないですか。
  45. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 この中部新国際空港につきましては、私ども、地元と非常に密接な連絡をとってやってきているつもりでございまして、今先生の御指摘のような不満の声は聞いたことはございません。
  46. 川島實

    川島分科員 あなたのことを聞いているんですよ。それじゃ、なぜ一割の負担なんですか。
  47. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 負担割合も含めましてこれからの問題でございまして、一割という数字は決まっておりません。
  48. 川島實

    川島分科員 それじゃ、今回の総事業費というのは、金額は幾らに押さえているんですか。
  49. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 今までの調査結果を踏まえますと、総額で約八千億円を見込んでおります。
  50. 川島實

    川島分科員 それじゃ、今、関空でいろいろ建設についての反省の中で、今後の事業方式の具体的なあり方として上下分離方式という話が出てきているわけですけれども、今度の中部新国際空港というのはそういう方式をとられる予定でございますか。
  51. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 私ども、関西空港の経験も踏まえまして、中部は中部なりの一番いい方法をとろうではないかということで、これは今まさに地元と密接に連絡をとりながら検討している過程でございまして、上下分離方式をどういうふうにとるかということにつきましても、これもこれからの地元との御相談マターでございます。
  52. 川島實

    川島分科員 あなたたちは、自分たちの専門のエリアなんですよ。我が国の将来を、どう空港建設をやっていくか、世界の中の日本が貿易立国として成り立っていくためにどう対応していくかという戦略が必要なんですよ。どういう戦略をお持ちなんですか。これだけアジア諸国から——日本は一本の滑走路で、三つの空港を合わせてもほかの国に太刀打ちできないのじゃないですか。ハブ空港としての役割をどうとらえているのですか。
  53. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 我が国の特殊な事情もございまして、国際空港の能力が十分ではないというおしかり、ごもっともだと思っております。  私ども、今大きな眺めといたしましては、成田を一刻も早く平行滑走路をつくるということ、それから関西空港のもう一本の滑走路をつくるということ、さらにこの中部の新国際空港もなるべく早期につくる、この三つをまとめまして我が国の国際の玄関にする、これが我々の大きな展望でございます。
  54. 川島實

    川島分科員 関西空港は、着工から完成までに何年かかったのですか。そして事業費は、運輸省、国からお幾ら出されたのですか。その総事業費のうちの幾ら出しているか、それをお伺いします。
  55. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 関西空港は、着工が昭和六十二年一月でございます。開港が平成六年九月でございまして、一期の事業費につきましては、総トータルといたしまして約一兆五千億でございまして、そのうち一割を地元に負担していただき、二割を国が負担する、こういうやり方でやっております。     〔主査退席、竹内(譲)主査代理着席〕
  56. 川島實

    川島分科員 金額にして幾らになるのですか。
  57. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 平成年度までの累計でございますが、国が出資金といたしまして約三千億でございます。それから地元が、民間も合わせまして、その半分でございますから約一千五百億でございます。
  58. 川島實

    川島分科員 そうすると、この関西空港の一兆五千億は、中部新国際空港では八千億という置きかえでいいのですか。
  59. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 事業費というベースで申せばそのとおりでございます。
  60. 川島實

    川島分科員 そうすると、同じような、今までの行政がこういう予算を支出するときには積み立て方式でずっと来ているわけですから、中部新国際空港も二割ということになると二、八、十六、一千六百億、こういうふうな見方をしてもいいのですか。
  61. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 その辺が冒頭申し上げました採算性との絡みでございまして、空港は開港した後、空港使用料という形で利用者の方々から投資した資金を回収するわけでございます。したがって、需要が多ければその分だけ、今のような国、地方からの無利子の負担金といいましょうか、これを減らすことができますし、逆に需要が少なければもっとこれをふやさなければいけない、こういうことでございまして、その点も現在の調査の主要な項目の一つでございます。
  62. 川島實

    川島分科員 私どもは、総事業費もさることながら、地元負担が非常に多過ぎる、軽減をしてほしい。しかしその分だけ、例えば滑走路一本のものを同時に二本つくって、ハブ空港としての機能を持てるようにアクセス道路、三重県からの分、愛知県からの分、それから名古屋港との関係、それらを含めて、ハブ空港としてのすべての施設を二十四時間体制で稼働ができて、アジア諸国のほかの空港との関連を見てもまず劣ることがない、そういう空港を私はつくるべきだと考えているわけでございますけれども、大臣、この件はいかがなんですか。まず一言御所見をお伺いします。
  63. 亀井善之

    亀井国務大臣 今いろいろ御指摘をいただいたわけでありまして、目下、いわゆる現在の名古屋空港の処理能力、二十一世紀の初頭に限界に達する、このような視点の中で、先ほど航空局長からも御説明申し上げましたとおり、成田、関空あるいは中部新空港、これをハブ空港、こういう視点に立ちましていろいろ努力しておるところでもございます。  そういう面で、やはり今地元でもいろいろの協議をしていただいております。また、あわせて役所の機構の中でも、大都市圏空港計画室、このような室をつくりまして、これ専門にいろいろ調査また企画をさせておるわけであります。やはり先ほど先生お話しのような国際ハブ空港、このようなものを完成するにつきましても、ぜひ地元の皆さん方の御協力と、あわせて総合的に国のいろいろの努力も加味されてそれが完成するわけでありまして、先ほど来お話しのような国際ハブ空港、このことを完成するためになお一層総合的に努力をしてまいりたい、このように考えております。
  64. 川島實

    川島分科員 私は、いろいろな空港建設をするについてのその組織図といいますか、国は縦割り行政ですから、中部国際空港に対して十カ年計画でやるというのなら十カ年計画で、最初からきちっといつ着工していつ完成する、いろいろな財源問題もきちっと積み上げて、ほかの各省庁との連携もばっちりとって、それらがもう早くから国民に姿が見えてこなきゃいかぬと思うのですよ。  我が国の空港建設の見劣りの意見はばんばん入ってきますけれども、それに対して、二十一世紀を展望してこれらの問題点について明るさが全然見えてこない。次の孫の代にまで借金はかかるというが、それをなくする方法をなぜ提案をして解消しようとしないのか。その姿が見えてこないのです。  地元では、今までの流れの中で、例えば埋め立てたけでも上下分離方式できちっとやって、上の建設の方については負担がかからないようにしようというような意見もございます。そして、よそよりも着陸料その他の費用が安くても採算が合うように、三十年間かからずに借金が返せるようなそういう努力もいろいろ検討している、こういうことも耳に入ってきているわけでございますけれども、国の方の方針が一向に見えてこない。  いつ着工になるのか。じゃ、次の万国博覧会を予定しているそのときまでにつくってほしいと言っても、それに間に合うかどうかということも一向に言わない。皆さん方はある一定の年限すると全部次から次と係がかわっていって、責任が一体だれにあるのかという責任体制の組織図もはっきりできていない。これらに対して、これでいいと思うのですか。その点についでひとつお聞かせをいただきたいと思います。     〔竹内(譲)主査代理退席、主査着席〕
  65. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 非常に率直に申し上げれば、そういうはっきりした展望を示すまでに至っていないということでございまして、それを目指して今地方と国が一生懸命検討を進めている、こういう段階でございます。
  66. 川島實

    川島分科員 だから、それは一体いつまでにでき上がるのですか。どういう手順でやっておるのですか。
  67. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 繰り返しになりますが、今私ども、具体的な空港設計するためにどうしても必要なデータあるいは採算性につきましてかなり精緻な調査をしている段階でございまして、その結果を見て、今先生の御指摘のようなきちんとした展望をつくりたいと思っておりまして、これは私どもから見ますと、地元の工業団体と完全に調和をとって進めているつもりでございます。
  68. 川島實

    川島分科員 国会で尋ねていることなんですよ。空港建設でも、毎年恐らくいろいろな地方からの同じような議論が出てくるのではないかと思います。なぜ具体的に、今年度はこういう調査をしてこれはこう終わります、着工まではこういう関係ですという具体的な工程表——私は建築家ですけれども、建物をつくるときには地質調査からいろいろなものを、地耐力だとか全部やりながら、どういうくいの大きさにするか、それは時々のことですが、いっそういう調査をして、いつまでに終えてという目標が全部ございますよ。東京都の都庁のビルをつくるのだって、一日千五百人の人たちが仕事をしておりましても、いつ完成するためにどういう形で一つずつ積み上げていかなければならないかという工程表が全部あるのですよ。  なぜ運輸省は、中部新国際空港をつくるための一つのきちっとした工程表を示さないのですか。なぜなんですか。
  69. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 先ほど先生おっしゃられました二〇〇五年という目標が一つあるわけでございまして、私どもも現在の名古屋空港が、我々の需要予測では二〇〇五年にはほぼ限界に達するだろうと思っております。したがって、二〇〇五年には完成したいと思っております。それを目指して、繰り返しになりますが、今諸般の準備を進め、先生のおっしゃったような工程表が一日も早くできるようにしたいと思っているところでございます。
  70. 川島實

    川島分科員 それでは、上下分離方式というのはどういう役割を担う方式なんですか。これについてお伺いします。
  71. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 上下分離方式につきましては、関西空港で第二期工事に導入をすることにさせていただきまして、先ほど国会でも関係の法案を通していただいたところでございます。下の埋め立てと上の空港施設そのものの運営を別にする、埋め立ては別会社をつくりましてそこが専ら埋め立てをし、その土地を上の関空会社が借り、将来は所有権も移転する、こういう二本立てでいこうということでございます。  関西空港でこれを入れました主な目的は、仮に埋め立てにつきましても上物の会社、すなわち関空会社が直接やりますと、開業当初に資本費負担が大幅にかかりまして、関西空港株式会社として採算性が極めて悪くなるということでこれを分離するというやり方をとったものでございます。
  72. 川島實

    川島分科員 それでは、きょうは建設省も参っておりますので、空港へのアクセス道路で予算分科会でも質問をさせていただきましたが、ただ、関西空港の例を見ておりますと、ちょっと台風が来たら空港へ行く通路が全部遮断されて何ともならないような状況を呈しておりますから、例えば鉄道が、そういう台風や何かが関係しても地下に潜るなりしてきちっと向こうへ、空港へ入ることができるとか、道路についても、例えば名神に風に対しての非常に大きな覆いが両側につくってあるような、そういうことも発想しておるのかどうか。そういうものを含めて、鉄道や、陸や、三重県からの高速のホーバークラフト等もいろいろ地元から出ておるようでございますけれども、それらのアクセスの関係についてはどのような配慮がなされているのか、建設省を含めておのおのお伺いをしておきたいと思います。
  73. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 アクセスにつきましては、昨年末、私ども、あるいは建設省さんも入っていただきまして、地元でつくりました中部新国際空港推進調整会議、この中でアクセス部会というのを設けてございます。ここで、道路それから鉄道、海上、主としてこの三つのアクセスをどうするのが一番いいか、またこれには資金をどうするかという問題もございます。あるいは民間の事業者の関係もございますから、その点の調整を今鋭意進めている段階でございます。
  74. 藤本貴也

    ○藤本説明員 中部新空港関係のアクセス道路でございます。  先ほどお話ございましたように、中部新国際空港推進調整会議のアクセス部会の中で具体的な調整をさせていただくことにしております。  私ども、空港への道路アクセスというのは非常に重要な課題だというふうに考えております、特に、この中部新空港を含めてでございますけれども。そういう意味で、高速性、定時性を確保するために高規格幹線道路なりあるいは地域高規格道路網、こういうものを基本に、空港圏域の主要な地域から自動車専用道路ないしこれと同等の機能を有するような道路で空港周辺までアクセスできるようなことを基本に、このアクセス部会の中で検討を進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  75. 川島實

    川島分科員 空港へのアクセスが必要だということを言われておるわけでございますけれども、国民にはその姿が一向に見えてこないのです。建設省は、一体どこまで道路としてやるのかどうか。空港から海上の架橋で道路をつくるとかいう意見もございますし、いろいろなことがありますけれども、一体どこまでやるのか。  それからリニアだとか第二東名だとか、今の高速道路との連係の関係だとか三重県との関係。今の名古屋空港よりも距離は、三重県側にしたって岐阜県にしたって遠くなるわけですから、ハブ空港として一体どういうところに位置づけを考えておるのかどうかというようなことも、一向に我々には——既設の道路都市計画の中でこれを延ばせばいいとかいろいろな意見を出しているだけで、基本的な線はやはり早く運輸省が、中部国際空港をつくるについてのいろいろな問題点で基本的な問題はこうあるべきだという一番ベターな方法を示しながら、それを地元で議論させた方が非常に早いのじゃないかと思います。  一生懸命地元がいいと思っても、あなたたちがだめだと言えば一遍にぽしゃんとなってしまいますから、非常に活力が低下されてしまうというおそれがあるわけですけれども、三重県からのアクセスについてを含めて、ひとつお伺いをしておきたいと思います。
  76. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 特に三重県は海を隔ててちょうど向こう側でございまして、三重県側からも海上アクセスの必要性という非常に強い御意見を承っております。その意見も踏まえまして、先生がおっしゃったように、アクセスというのは空港にとって非常に大事な問題でございますから、検討を進めてまいりたいと思っているところでございます。
  77. 川島實

    川島分科員 次に、自衛隊との空域に接触するところの解除の問題です。これがまた時間のかかる可能性が非常に多いわけですけれども、これは大体いつごろの目標でこれらのことをきちっと整理されるのですか、二十四時間体制というと大変なことだと思いますが。
  78. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 この問題につきましては、防衛庁の方にもいろいろ御理解を賜っておりまして、現在、事務的というか専門家同士の議論を進めております。  一つのめどとして、ことしの秋の空港整備五カ年計画の決定、それが一つのめどにはなると思いますが、なるべく早くきちんとした結論を出したいと思っております。
  79. 川島實

    川島分科員 この中部国際空港は伊勢湾の中にありまして、名古屋港とも非常に関連が深い。ハブ空港としてこれはきちっと機能をさせなければいかぬわけですけれども、きょうは港湾局長もちょっとお呼びしておるわけですから、これとの関連で今どのような動きがなされているのか、お伺いをしておきたいと思います。
  80. 栢原英郎

    栢原政府委員 現在、名古屋港は昭和六十三年に定められました港湾計画に基づいて整備が進められております。これではこの港湾区域の外に現在の中部の新しい空港が想定をされておりますので、特に港湾との関係が生ずるというふうには考えておりませんが、具体的な飛行場の位置、規模、そしてその制限表面等が決まれば、それに合わせて港湾計画の方も検討していきたいというふうに考えております。
  81. 川島實

    川島分科員 最後に、時間がございませんので、たくさん聞きたかったわけですけれども、反対グループの対応策ですね。一つは、現在の名古屋空港跡地の利用計画について、一元化されるのに反対をするというグループがございます。二つ目は、やはり地元の環境悪化や何かに対して非常に問題を提起している。こういう人たちがいろいろいるわけですが、これらに対しての対応というのは、運輸省としてどのようにお考えになっておみえになりますか。
  82. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 一元化の問題は、私ども大変頭の痛い問題でございます。新空港をつくりましたときには、この空港の利便性の確保あるいは採算性という観点から見まして、新しい空港に一元化するというのは、これは避けて通れない問題かと思っております。  ただ、交通施設の宿命でございまして、その一元化をする新空港がオープンするその前の日まで今の名古屋空港をフルで使わせていただかなければいけないという難しい問題を抱えているわけでございます。これは個別に地元の代表の方々とも話し合いをしながら、御理解を賜らなければいけないと思っておるところでございます。  また、環境の問題につきましては、先ほど来私はいろいろな調査が要ると申し上げましたけれども、特に環境にどういう影響を与えるかということにつきましては、慎重の上にも慎重な調査と話し合いが要るわけでございまして、その点について十分誠意を持ち、また時間をかけて調整を進めたいと思っておるところでございます。
  83. 川島實

    川島分科員 最後に、大臣にお伺いをいたします。  今ほんのわずか三十分の時間で議論をさせていただいたわけですけれども、私も海外に三十七回ぐらい、アフリカを除いてほとんどの国に行っておりますけれども、日本の空港の、一本事故を起こすと、一時間も二時間も全部よその空港へ着陸をせざるを得ないという不便さ。これは、貿易立国でこんな状況では大変なことで、ほかの国々から全部追い抜かれてしまう要素というのは、もう痛くなるほど身にしみて感じてきているわけですけれども、残念ながら、では新しい空港をつくるために、これらのいろいろな事柄が世界で一番、これ以上の空港がないというような、二十一世紀に向かってかなり躍動するような、そういう発想というのが一向に出てこない。  ある一部で従来の慣例に従って、お互いにがあがあ議論をし合いながら、一つずつ何か積み木を積み重ねるように積んだり、壊したり。そして、鉄道のアクセスにしても、従来の民間の鉄道を利用してやるのかJRとしてやるのか、それらも一向に話が進まない。名古屋港へ行く鉄道を、建設途中で廃止になっている路線を生かすというような意見も出ておりますけれども、これらもだれもきちっとしたまとめる案ができていない。これは本当に大きな国家の損失なんです。  このことについて、ひとつ運輸大臣、我が国のこれからの将来のことを考えて、一番ベターな方法を一刻も早く、建設計画は十年かかってもいいですよ、しかし地元では、もっと国債を発行するなり負担を証券化するなりというのは経団連の方からも出ておりますし、今の住専ではないけれども、積算根拠も何もなしに六千八百五十億も一年で、単年度で出せる余力がまだ我が国にあるのでしょう。これらは積算根拠も全部きちっとはっきりした形で出せるわけですから、もう少しやはり国民から見て、運輸省はしっかりやっているな、中部新国際空港についてはこれほど熱を入れていただいている、アジア諸国のどの空港を見てもこれ以上のものがない、こういうものをはっきり示してください。このことについての御所見をお伺いして、終わりたいと思います。
  84. 亀井善之

    亀井国務大臣 いろいろ御指摘をいただきました。目下中部新空港につきましては、この整備のための、地元あるいは私どもの役所の出先、それぞれ協議機関もつくりまして努力をしておるわけでありまして、大変制約された日本の国内の中での空港整備、いろいろの難しい問題もあるわけであります。それらの問題に総力を挙げて取り組んできておるところでございます。  先生から御指摘のように、非常に各般にわたる問題を一つ一つ解決をしていかなければならないことでもありますし、また今日まで私ども、空港建設につきましてのいろいろの反省もあるわけであります。そういうものも、やはり国民の皆さん方の御理解また地元の御協力、また役所もそのつもりで今までの反省の上に立って、総力を挙げてやることによってこれらの問題は解決する、このように考えておりますので、ぜひ地元の皆さん方の引き続きの御支援をお願いを申し上げると同時に、私どもも誠心誠意、今までの経験にかんがみ努力をしてまいりたい、このように考えております。
  85. 川島實

    川島分科員 ありがとうございました。  終わります。
  86. 田中昭一

    田中主査 これにて川島實君の質疑は終了いたしました。次に、東順治君。
  87. 東順治

    ○東(順)分科員 東順治でございます。  十五分という極めて短い時間でございますので、答弁は簡略に、ひとつよろしくお願いを申し上げます。  現在、運輸省の土地というものが全国的にあるのでしょうけれども、私はここで、大都市圏周辺の人口というものが急増している、そういう地域における運輸省の持つ広大な土地、この問題についてきょうは質問させていただきたいというふうに思っている次第でございます。  福岡県粕屋郡新宮町という町に、運輸省の元航空標識所跡地というものがございます。五万八千三百平方メーターという大変広大な土地でございます。今地元の自治体、そしてまた住民から、この土地を何とか町に貸してもらえないものだろうか、そして町の有効な施設として使わせてもらえないものだろうかという声が大変大きくわき上がっております。まず、この点についての今日までの経過、今の現状というものの御説明をお願いします。
  88. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 今先生御指摘のとおり、粕屋郡新宮町の短波送信所廃止跡で約五万九千平米の土地がございます。これにつきまして、地元の町の方から、運動公園のために無償で貸し付けてもらえないかという要望をちょうだいいたしておりまして、今までさまざまな折衝がされてきているということを承知しているところでございます。
  89. 東順治

    ○東(順)分科員 大変長い折衝の経緯があるようでございますけれども、当初は、買うのが一番いいわけですけれども、町の財政力ということがあってなかなか買えない、それで、現在貸与させてもらいたい、有償で貸与させてもらいたいという経緯があって、それでもなかなか借りるお金の額そのものが結構な額で、現在年間四千三百万ですか、そういうようなことになっていて、これもまたなかなか手が出ないということで、何とか無償貸与できないものだろうかということのようでございます。現在町は、面積十五ヘクタール程度の総合運動公園というものの設置を目指して調査研究中である、これが特定されるまでの間、つまり十年程度、何とかこれは無償で貸してもらえないものだろうか。  というのは、隣の福岡市、ここで三つの公園、これは大変広大な公園でございます。東平尾公園、雁の巣レクリエーションセンターあるいは舞鶴公園、これが、大蔵省の土地でございますけれども無償で借りることができている。これと比較して、これはどうなっているのだろう、持ち主が大蔵省と運輸省と違うにしても、同じ国の土地じゃないか、何で借りられないのだろうかという声が、大変強く住民の中にあるわけでございます。  というのも、ここに私航空写真を持ってきております。これ、そこから見えますでしょうか、大臣、局長。この赤枠が今言う跡地でございます。周辺は、ごらんのように、ずっとびっしり住宅なわけですね。この住宅のまさにど真ん中に広大な土地が横たわっておるわけでございます。  それで、現状として、私もこれを見てきたのですけれども、雑草がはびこり、ごみの投げ捨てがあり、夏になると害虫あるいは野犬のすみかとなっている。そしてまた、広大な広さの土地ですから、この周辺は、それに引きかえ夜の光、電灯というのが非常に少ない。したがって、婦女子の夜道というのは非常に危険になっているというようなことで、環境面、それからそういう安全面両面から、周辺住民から再三にわたって苦情が起こっているという実態がございます。  そういう中で、しかも今、町には町民グラウンドというのがあるのですけれども、この町民グラウンドが、牟田川という川の県の改修工事によって間もなくこれは削られる。もっと狭くなる。人口はどんどんふえてきていて、人々は外へ外へという、そういう屋外で運動したい、あるいはレクリエーションに行きたいという動きというのは非常に強く年々起こってきている。人口はふえている、町の町民グラウンドは削られるというようなことで、何とかこれを一時的にでも借りて、総合運動公園ができ上がるまでの間、それを代替地として使わせてもらいたい、こういう要望が非常に強いのです。  町当局が考えているのが、これをもし使わせていただければ、その中に広さとして四百メータートラックが一つつくれる、そしてまたゲートボールが六面とれる、ソフトボールも一面とれる、テニスも四面とれる、そして駐車場もというような絵を描いておられるようでございますけれども、非常に要望が強いのです。この点について、局長、どのようにお考えでしょうか。
  90. 黒野匡彦

    ○黒野政府委員 まず最初の、地域の方々に御迷惑をかけているかという点でございます。  私どもなりに除草とかさくをしたりしておりますが、私自身現場を見たわけではございませんので自信を持ってお答えできませんが、この点につきましては、より一層これからも努力をさせていただきたいと思っております。  それから、実際の利用の件でございますが、これは申すまでもなく、国有地というのは国の貴重な財産でございまして、厳正、公正にその扱いを決める必要がありまして、いろいろなルールが非常に細かく決められております。私ども、そのルールに従って判断をしなければいけないと思っているところでございますし、また、空港整備特別会計の土地でございまして、この空港整備特別会計の現状から見ますと、きょうもいろいろ御議論ございましたように、空港整備の大変貴重な財源の一つでございまして、その点から見ましても、なかなか我々なりに安易な結論を出すわけにはいかないという事情がございます。したがいまして、その点も総合的に踏まえながら、なお地元の御意見はお聞きしたいと思っているところでございます。
  91. 東順治

    ○東(順)分科員 運輸当局のお立場、今日までの努力、これは十分私はわかった上で伺っているわけでございますけれども、現実にこの広大な土地で草がぼうぼう生えている。そして今、年に一回程度、一、二回ですか、草刈りをやっておられる。これはどのぐらいかかるのですかと聞いたら、平成年度で二百二十六万四千円かかっている。これは、毎年ただ刈るためにお金をかけているわけですね。しかも、その広大な土地はそのまま遊んでいるわけですから、しかも環境問題等を引き起こしてきている上に、二百二十六万毎年かけてただ草を刈っている。これはいかにももったいない話だというふうに私は思います。  それで、何も町はこれを下さいだとかいうことを言っているわけではないのですね。総合運動公園というものができ上がるまでの間、代替地として例えば十年お貸し願えませんかという話をしているわけです。  しかも、現実に町がこれを借りることができれば、当然グラウンドとして整備をするわけでありますし、さまざまな附帯設備をつけたりして、いわば環境面の問題というのはこれでクリアされる。そして、住民の強いニーズ、要望、運動公園みたいなものをぜひつくってもらいたいという思いにもきっちりこたえることができる。なおかつ、当然のように草刈り代というのはかからなくなって、町自身がこの土地の管理者として見事な管理をしてくれるわけで、これは運輸省にとっても大変私はありがたい問題ではないのかなというふうに思うのですよ。したがって、もっと柔軟にこのことを考えられて、これはぜひ勇断すべきである、私はそのように思います。  そして、実はこのグラウンドに隣接しているところに、福岡コロニーといいまして、身障者の皆さんの印刷会社があるのです。大勢の体の不自由な方たちがここで働いていらっしゃる。それで、例えば理想的なのは職住隣接ですね。本当に、体が不自由なだけに、長時間かけて通ってくる、これは大変な思いをして通ってこられたりしている人たちもたくさんいらっしゃるのです。したがって、そういう人たちの例えば町の公営住宅みたいな形で、このグラウンドの一部をそういうものに充てて対応してあげる。  あるいはまた、私もこの福岡コロニーというところに行ってきましたけれども、工場から建物全体が物すごく老朽化しておるのですね。やはりその会社自身も、どこかで建てかえたいという思いもあるようでございまして、安いお金で例えばそういうところが借りられれば大変ありがたいという意向もあるようでございます。  このように、住民側からのこの運動公園ができるまでぜひという問題、それからまたこういう体の不自由な方たちの切実なお願い、いろいろな要望が実はこの土地に集中をしているわけでございますので、ぜひ勇断を持って柔軟な対応をしていただきたい、このように思う次第でございます。  大変短い議論でございますけれども、大臣、これまでのお話を伺っていて、こういうことにつきましてどのような御見解をお持ちですか。
  92. 亀井善之

    亀井国務大臣 御指摘の用地につきましては、新宮町と今後とも誠実に協議をしてまいりたい、このように考えております。  なお、先生からいろいろ御指摘をいただきました。私ども、空港整備特別会計、一兆円の借入金を抱えているような一面もございまして、いろいろなところから連日空港整備、滑走路の延長の話等々、陳情を受けるようなわけでありまして、大変厳しい財政の中でいろいろなことをいたさなければならないわけであります。この国有地につきましても、先ほど航空局長から御答弁申し上げましたとおり、いろいろ御事情はわかるわけでありますけれども、国民全体の貴重な財産、こういう視点から厳正に処分をすべきものである、このように考えておるわけでありまして、ぜひまた御理解もいただきたいと思います。  なお、当面の問題といたしましては、町と誠実にいろいろ協議をさせていただきたいと思います。
  93. 東順治

    ○東(順)分科員 今のお話の中で、先ほども私申し上げましたけれども、実際に二百二十六万四千円というお金がただ草を刈るために毎年出ていっていること自体がもったいない話で、これは実は、町がお借りになればこれを払わなくて済むわけですから、やはり運輸省にとってもありがたい話になるわけですね。  しかし、さまざまなこれまでの経緯、今の難しい状況があります。今大臣から、誠意を持ってこれからもこの問題に取り組んでいきたい、このような答弁がございましたので、ぜひとも誠意を持って町当局と御検討を重ねていただきたい。そして、公平、公正というお話がございましたけれども、やはりその周辺に住む住民の皆さんが一番ありがたいと思うこと、住民の側に立っての心の通った行政ということがこれからの時代に特に必要になってくるのだろうというふうに思いますので、そういうこともしっかり勘案をしていただいて、どうか前向きにこの問題に取り組んでいただきたい、このように思う次第でございます。どうぞよろしくお願いします。  以上でございます。
  94. 田中昭一

    田中主査 これにて東順治君の質疑は終了いたしました。  次に、渡辺浩一郎君。
  95. 渡辺浩一郎

    ○渡辺(浩)分科員 新進党の渡辺浩一郎です。  きょうは、運転代行業について、私も十五分間の枠の中で質問させていただきます。  私は、この問題について、過去二回にわたって運転代行業についての御質問をさせていただいております。そうした中、それの継続という形できょうは御理解いただきたいと思っておるのですが、運転代行業、御存じのとおり、いろいろな経緯を置きまして、一昨年の六月にはともかく運輸省と警察庁の共管になったということから始まりまして、やっとのことでことしの三月の一日に全国運転代行協会というのでしょうか、それの認可がおりまして、そして社団法人としてスタートをしたというふうに承っております。  そして、運転代行業、要するに、車でもって運転して飲み屋に行った、そして酒を飲んだ、とてもじゃないけれども車の運転はできないから、運転代行業をお願いしよう、こういうことでの運転代行業というのがだんだん発達してきているわけですけれども、これに対してやっと、今申しましたように、中核になる社団法人ができたということでございます。  そして今後、これをベースに、運輸省、警察庁、いずれでも結構ですけれども、どういった方向で社団法人あるいは業界の方の育成を基本的に考えていらっしゃるか、そのことをまず第一にお伺いしたいと思います。
  96. 亀井善之

    亀井国務大臣 今先生からもお話がありましたとおり、運転代行業が地方都市を中心に市民生活に定着して、利用者が安心して利用できるような適正な運営の確保、これが必要ではなかろうか、また利用者の利便の向上、こういうことも必要ではなかろうか。  そして、先ほどもお話がございましたが、本年三月、運輸省と警察庁の共管法人として社団法人全国運転代行協会を発足したわけでありまして、これらを中心に、いろいろの課題につきまして、運輸省としても業務の適正化、健全化に警察庁とも協力をしていろいろ指導、また育成をしてまいりたい、このように考えております。
  97. 渡辺浩一郎

    ○渡辺(浩)分科員 ありがとうございます。  それで、まず一つには、業界あるいはまた社団法人の健全な育成化ということに対して、まず具体的にどんな方向で健全育成化を運輸省、警察庁は考えていらっしゃるか、その辺をひとつお伺いしたいのですね。  やはり当然それぞれの当事者が、業界あるいは社団法人が、自助努力というのでしょうか、そういうものをやっていかなければいけない。これなくしては、幾ら私どもが、あるいは周りが、あるいは使うお客さんが言っても始まるものではありませんので、まず当事者がどういう形で頑張ってもらうかを運輸省、警察庁の方がどういうふうに考えているか、ぜひともお伺いしたいと思います。お願いします。
  98. 山下邦勝

    ○山下政府委員 平成七年五月に運輸省、警察庁が共同いたしまして「適正な運転代行事業者のあり方について」という指針を一応策定いたしました。この中で、安全運転管理者の選任でございますとか、料金をきちんと提示、説明すること、また苦情処理体制、運転代行保険への加入、さらには自分のところの労働保険の加入、こういった良質な利用者サービスを確保するための事業運営体制を明確にいたしました。  これを受けまして、先ほどお話がございました、本年三月に設立されました社団法人全国運転代行協会では、この指針に従いまして活動を開始いたしたところでございます。残念ながら、この方針自体は貫かれておるわけでございますけれども、加入が思ったとおりまだ目標まで上がっていないということが一つ問題点であろうかと思いますので、こういったことを促進するために、加入率が向上するように行政としても環境整備に努力をしてまいりたいと思っております。  特に、今御指摘ございましたように、利用者が安全に利用できる運転代行事業者として育つために、やはり利用者がきちんとわかる情報提供、こういったことが必要なのではないかということで、この辺の選択がきちんとできるような方策についてさらに検討してまいりたいと思っておるところでございます。
  99. 渡辺浩一郎

    ○渡辺(浩)分科員 全体の業界の数と、それから社団法人に今入っている加入数というのがかなり違うんじゃないかと思うのですね。たしか社団法人の方には約五百業者ぐらいだと聞いておりますけれども、それから、全体の業者というのは運輸省あるいは警察庁の方でそれぞれ把握していると思うのですが、まずひとつ、大体どのぐらいなのか、ちょっとお教えいただきたいと思います。
  100. 山下邦勝

    ○山下政府委員 私どもは、道路運送法の九十四条によりまして報告を求めております。昨年の十月末現在で、事業者数が千七百四十二社と報告は来ております。これがすべてではないかもしれませんが、大体こういう数でございまして、先ほどおっしゃいましたように、社団法人に入っているのは現在五百三者でございます。
  101. 渡辺浩一郎

    ○渡辺(浩)分科員 そうしますと、かなりまだ社団法人に入っている加入者が少ないわけですね。そうすると、運輸省あるいは警察庁では、この多くの業者の人たちが、ほとんどの人たちが社団法人に入ることをまず指導していくということから始めるお考えなのでしょうか、その辺をちょっとお伺いしたいのです。
  102. 山下邦勝

    ○山下政府委員 社団法人では、先ほどの指針を実現いたしますためにいろいろ努力をしておるわけでございまして、これに入っているということは、その指針に従って努力をしておるということでございますので、こういったものがふえるということがまず必要だと我々も考えておりますので、そういったものを促すための措置をいろいろとっていきたいと思っておるところでございます。
  103. 渡辺浩一郎

    ○渡辺(浩)分科員 わかりました。ぜひ多くの業界の方たちがこの社団法人の中に入っていけるような体制づくりというのを、業界の方たちも、あるいはまた運輸省、それから警察庁の方たちも、そういう方向で努力をしてもらいたいと思います。  しかし、業界の方たちが自分たちの自助努力でもって社団法人に入ってもらう、あるいは今共管の運輸省、警察庁の指針に向かって努力をするといっても、私はやはり限度があるのだろうというふうに思うのですね。なぜ今社団法人に五百人ぐらいしか入らないか。実際には、運輸省では千七百四十二業者あるにもかかわらず、それだけ入らないかというのは、いろいろとやはり何か理由があるかと思うのですけれども、そういった現実を見ても、業界の方たちだけでこれを自助努力するというのはやはり私は限度があるというふうに見ておりまして、もう少し運転代行業に関連するいろいろな法的な整備を今後きちっと計画を立ててつくっていかなければいけないのじゃないかと私は強く思うのですね。今この運転代行業というのはたしか報告義務でしょうか、になっているかと思います。タクシーのように、まず一つは許可があったりあるいはその次の認可がということがタクシーの分野では行われていますけれども、例えば、この運転代行業もそういった方向で行くか、行けるようにするのか、単に今の報告義務だけじゃなくて届け出制、そういった分野まで運輸省、警察庁ではお考えなのかどうか、その辺をひとつお伺いしたいのですが。
  104. 山下邦勝

    ○山下政府委員 今運転代行事業の適正化に向けまして業界団体が自助努力を始めたばかりのところでございます。私どももできるだけこういうことが促進されるような環境整備を図っていきたいと思っております。そういう中で、特に、きちんとした代行事業者を選んでくださいという、利用者の選択によってきちんと事業が健全化されるということをまず期待をいたしたいと思っておるところでございます。  今先生御指摘のような、そういう中でさらにいろいろ問題が出てきた場合に、例えば立法措置をとる必要があるかどうか、そこらの状況を見きわめながら今後慎重に検討をすべき課題ではないかと考えておるところでございます。
  105. 渡辺浩一郎

    ○渡辺(浩)分科員 要するに、繰り返し申し上げますけれども、業界の方たちの努力ではやはり私は限度があるなという気持ちでおるのですね。ある程度加入者数をふやすためにも、運輸省それからあと警察庁も側面からやはりきちっと整備をしてやる、援護射撃をしてやるということが僕は大変大事なことだろうと思っています。  例えば、政治の世界でいえば、今一つ大きな流れでは規制緩和と言われておりますけれども、私は、もともと無秩序なところは規制をかけてある程度ルールづくりをしなければいけないというふうに考えるんですね。ある程度ルールができて、そういう業界の方たちもあるいは使う利用者の方たちも、一定のルールづくりができて、それになじんだ後は、それから先はまた規制を緩和していくということは大変大事だろうと思いますけれども、この運転代行業に関しては全くまだまだ私から言わせれば無秩序に近いというふうに考えているわけですね。  東京では余り利用率がありませんけれども、地方に行けばこの利用率が高い中、事故があったときの補償とかそういったものに対してまだまだ法的な整備をきちっとしていかなければいけない。それを業界の人たちだけに任せていくのはやはり僕は酷な面があるのじゃないかという気がするのですね。  例えば、どんなことで法的な整備をしなければいけないかといったら、一つには、まず運転代行業者の事業者の資格の条件をきちっと整えてあげるとか、あるいはまた、料金もある程度一定のルール、タクシーはもちろんきちっとルール、料金が決められておりますけれども、そういった料金の明確化をきちっと法的な措置で行ってあげるとか、あるいは違法行為ですね、AB間の輸送の問題だとか、そういったものを撲滅するためにやはりある程度のルールをつくってやる。そしてまた、これは深夜の作業ですから、運転代行業にある方たちの現場の労働環境というのをやはりきちっと整えてあげなければいけない。そういったたくさんのこれからの課題、法的にきちっと整備していってあげなければいけない課題がいっぱいあると思うのですね。  そういった意味で、これを整えていくことが私は今後とても大事なことだろうと思うのです。そういったことをまず第一に、業界の努力というのは当然してもらわなければいけないですけれども、それにあわせて、並行して、こういった法的な整備をきちっと私はやっていかなければいけないと思っておりますけれども、それに対して運輸省あるいは警察庁はどういうふうにお考えか、改めてお伺いしたいということでございます。
  106. 山下邦勝

    ○山下政府委員 先ほども申し上げましたように、三月に協会が設立されましたばかりで、協会も、きちんとした事業運営を目指して、今先生御指摘のような料金の問題だとか違法行為の問題等々の環境整備をしようということで、いろいろ努力をいたしておりますので、その成果をまず見守っていきたいと思っておるところでございます。  その上で、さらにいろいろ御希望また問題点の御指摘等がございましたときに、これをどうすべきかということについては、我々としても検討をしていかなければならない問題が生じる可能性はあるかと思いますが、こういったことで、特に利用者にきちんとこういうことでやっておるということがわかるような手段を考えるということが一番必要なのではないかと思っているところでございまして、こういう面では我々もできるだけ、そういうことが伝わるような手段については、警察庁とも協力をいたしまして努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  107. 中川雅量

    ○中川説明員 今自動車局長が申し上げたこととほぼ同じであります。  今ようやく施策等が効果があらわれてきたというふうに考えておりますので、当面この施策の成果を見守りながら将来的に検討してまいりたいと思っております。
  108. 渡辺浩一郎

    ○渡辺(浩)分科員 ぜひこれは早急に、並行してと言ってもいいぐらい、あるいは先行してといっても言いぐらいに、私は、そういった方向、法整備を整えていくことが私どもが安心して酒を飲めるという状況に早くつながるのではないかと思っていますので、ひとつどうぞよろしくお願いいたします。  最後ですけれども、ひとつ具体的なことでちょっとお伺いしたいのですが、保険、共済、こういった問題点が事故があったときに大変大きな課題になるわけですね。  それで、これは今、報告義務で、書類を出すことだけになっているのですが、そのときには、この保険あるいはまた共済ですか、保険証券とか共済証書をつけなくて単に書類だけを出すことになっているんだと思うのですね。そうしますと、これが虚偽の報告はないとは思いますけれども、もしもそうだった場合に、事故があったときには大変えらいことでありまして、保険を掛けていると言っておきながら実際は掛けていなかったら、チェックはしていないわけですから、そういうこともあり得るわけですね。そうしたときに、それを防ぐために、事故があったときにでもちゃんと対応できるようなことのために、今の報告義務のそういった書類の中にこの保険証券とか共済証書を添付していく、あるいはそのコピーを添付させる、こういうことが私は大変必要ではないかと思うのですけれども、この辺のことはいかがでございましょう。具体的な件で恐縮ですが、お伺いしたい。
  109. 山下邦勝

    ○山下政府委員 今先生御指摘のように、陸運支局への運転代行事業報告におきまして、保険、共済等への加入状況について報告を求めております。これは、入っているか入っていないかということだけでございますので、やはり利用者保護の面から非常に大事な話でございますので、この報告時におきまして保険証券の写しを添付するという制度をどういうふうにすれば実行できるか、今検討しておるところでございます。
  110. 渡辺浩一郎

    ○渡辺(浩)分科員 では、最後になりますが、要するに、社団に入っている人たちは証券がちゃんとコピーあるいはちゃんと添付させているわけですけれども、加入していない人たちがいいかげんなことをする可能性があって、事故が起きました、しかし保険に入っていないために全然補償ができませんでしたでは、これはやはり不備だと思うのですね。  したがいまして、これはぜひ早急に検討していただいて、少なくとも加入していない業者に対しては添付をさせる、何も届け出制にしろという話ではないですから、現行法規の中でできることの改善ということのお願いでございますので、ぜひ強力に検討していただきたいというふうに思います。  大変時間がなくなりましたけれども、この運転安全代行業、私どもにとりまして大変大事なものだと思っておりますので、このことに関しまして運輸省、警察庁の方のさらなる御尽力をお願い申し上げ、私の質問を終わらさせていただきます。ありがとうございました。
  111. 田中昭一

    田中主査 これにて渡辺浩一郎君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして運輸省所管の質疑は終了いたしました。     —————————————
  112. 田中昭一

    田中主査 これより建設省所管住宅金融公庫について審査を行います。  まず、概要説明を聴取いたします。中尾建設大臣。
  113. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 建設省所管平成年度歳入歳出決算につきまして、概要を御説明申し上げます。  まず、歳入につきましては、各会計別の収納済み歳入額は、一般会計三百五十六億四千八百万円余、道路整備特別会計四兆二千五十五億六千百万円余、治水特別会計の治水勘定一兆四千六百五十億二千九百万円余、同特別会計の特定多目的ダム建設工事勘定三千九十三億五千六百万円余、都市開発資金融通特別会計千六百九十七億二千八百万円余となっております。  次に、歳出につきましては、各会計別の支出済み歳出額は、一般会計六兆八百十三億九千百万円余、道路整備特別会計四兆四百六十二億六千三百万円余、治水特別会計の治水勘定一兆四千九十六億三千二百万円余、同特別会計の特定多目的ダム建設工事勘定二千八百八十四億三千三百万円余、都市開発資金融通特別会計千六百九十五億九千七百万円余、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち建設省所掌分千八十一億二千三百万円余となっております。  以上が、平成年度における建設省所管決算概要であります。  決算の詳細につきましては、お手元に資料をお配りしておりますが、委員各位のお許しを賜り、説明を省略させていただきたいと思います。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。  引き続き、建設省所管平成年度歳入歳出決算につきまして、概要を御説明申し上げます。  まず、歳入につきましては、各会計別の収納済み歳入額は、一般会計六百十九億三千五百万円余、道路整備特別会計六兆千四百四十億四千万円余、治水特別会計の治水勘定二兆四千百八億五千九百万円余、同特別会計の特定多目的ダム建設工事勘定三千六百六十億九千六百万円余、都市開発資金融通特別会計二千五十一億八千二百万円余となっております。  次に、歳出につきましては、各会計別の支出済み歳出額は、一般会計八兆六千三百八十三億九千三百万円余、道路整備特別会計五兆八千八百三十一億二千九百万円余、治水特別会計の治水勘定二兆三千四十五億六千二百万円余、同特別会計の特定多目的ダム建設工事勘定三千百九十三億四千六百万円余、都市開発資金融通特別会計二千三十三億九百万円余、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち建設省所掌分千四十四億五千九百万円余となっております。  以上が、平成年度における建設省所管決算概要であります。  決算の詳細につきましては、お手元に資料をお配り申し上げておりますが、委員各位のお許しを賜り、説明を省略させていただきたいと思います。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。  以上。ありがとうございました。
  114. 田中昭一

    田中主査 次に、会計検査院検査概要説明を聴取いたします。会計検査院山田第三局長
  115. 山田昭郎

    山田会計検査院説明員 平成年度建設省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令もしくは予算に違反しまたは不当と認めた事項五件及び本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項二件であります。  まず、法律、政令もしくは予算に違反しまたは不当と認めた事項について御説明いたします。  検査報告番号二二七号は、北海道常呂郡置戸町におきまして、橋梁整備事業実施に当たり、設計が適切でなかったため、橋台等が不安定な状態になっているものであります。  検査報告番号二二八号は、岩手県稗貫郡大迫町におきまして、緊急地方道路整備事業実施に当たり、施工設計と著しく相違していたため、モルタル吹きつけ工が工事目的を達していないものであります。  検査報告番号二二九号は、山梨県甲府市におきまして、緊急地方道路整備事業実施に当たり、橋台の設計が適切でなかったため、堤防に欠陥をもたらすおそれがあるものであります。  検査報告番号三二〇号は、愛知県豊田市におきまして、橋梁整備事業実施に当たり、設計が適切でなかったため、橋脚が不安定な状態になっているものであります。  検査報告番号二三一号は、奈良県におきまして、緊急地方道路整備事業実施に当たり、設計及び施工が適切でなかったため、擁壁が不安定な状態になっているものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について御説明いたします。  その一は、公営住宅等家賃対策補助金算定に関するものであります。  公営住宅等の家賃負担軽減のため地方公共団体の経費の一部を補助する事業において、補助金交付要綱で交付額の算定方法を明確に示していなかったなどのため、交付額の算定の基礎となる家賃限度額を誤って算出したり、収入超過者が入居していて補助対象とならない戸数を補助対象としたりして、補助金が過大に交付されていました。これについて指摘したところ、改善処置がとられたものであります。  その二は、連続立体交差事業における負担金の支払いに関するものであります。  都道府県等が鉄道と道路の平面交差踏切を除去するために補助事業で行う立体交差事業において、鉄道の高架化工事を施行する鉄道事業者に負担金を支払うに当たり、両者の協定で定めるべき事項を具体的に示していなかったなどのため、工事の内容や出来高を十分確認しておらず、負担金が過大に支払われる結果となっていました。これについて指摘したところ、改善処置がとられたものであります。  次に、平成年度建設省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令もしくば予算に違反しまたは不当と認めた事項六件及び本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項一件であります。  まず、法律、政令もしくは予算に違反しまたは不当と認めた事項について御説明いたします。  検査報告番号二〇九号は、埼玉県狭山市におきまして、公共下水道事業実施に当たり、管布設工費の積算を誤ったため、工事費が割高となっているものであります。  検査報告番号二一〇号は、千葉県夷隅郡夷隅町におきまして、緊急地方道路整備事業実施に当たり、設計が適切でなかったため、ボックスカルバートが不安定な状態になっているものであります。  検査報告番号二一一号は、神奈川県川崎市におきまして、河川改修工事実施に当たり、仮桟橋等の覆工板の損料の積算を誤ったため、工事費が割高となっているものであります。  検査報告番号二一二号は、新潟県佐渡郡佐和田町におきまして、離島道路改良事業実施に当たり、間詰め床版コンクリートの養生工費の積算を誤ったため、工事費が割高となっているものであります。  検査報告番号二一三号は、福岡県におきまして、海岸環境整備事業実施に当たり、護岸コンクリートブロックの設計が過大となっていたため、工事費が不経済になっているものであります。  検査報告番号二一四号は、沖縄県におきまして、橋梁整備事業実施に当たり、設計が適切でなかったため、橋脚が不安定な状態になっているものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について御説明いたします。  これは、下水道終末処理場建設工事における床掘り費の積算に関するものであります。  補助事業で行う下水道終末処理場建設工事において、地盤の床掘りが人力でなく機械を主体として施工されている実態を積算に反映させるよう措置していなかったため、床掘り費の積算額が過大になっていました。これについて指摘したところ、改善処置がとられたものであります。  引き続きまして、平成年度住宅金融公庫決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令もしくは予算に違反しまたは不当と認めた事項三件であります。  これらはいずれも、団地住宅購入資金、公社分譲住宅購入資金の貸し付けにおいて、貸し付けの対象とならない者に対して貸し付けられていたり、住宅が貸し付けの目的外に使用されていたりしていたものであります。  次に、平成年度住宅金融公庫決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令もしくは予算に違反しまたは不当と認めた事項三件であります。  これらはいずれも、団地住宅購入資金の貸し付けにおいて、貸し付けの対象とならない者に対して貸し付けられていたり、住宅が貸し付けの目的外に使用されていたりしていたものであります。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  116. 田中昭一

    田中主査 ただいまの会計検査院指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。中尾建設大臣。
  117. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 平成年度決算における会計検査院の御指摘に対しまして建設省のとった措置について御説明申し上げます。  地方公共団体等が施行する国庫補助事業につきましては、その適正な執行を図るよう常に指導しているところでありますが、平成年度決算検査報告におきまして、工事設計が適切でなかったもの等五件について不当事項の御指摘を受ける事態を生じましたことは、まことに遺憾であります。  御指摘を受けました事項につきましては、事業目的を達成するよう手直し工事施工させる措置を講じたところであり、さらに指摘に係る補助事業者に対しては、設計審査の徹底、施工の厳正な監督・検査の実施等になお一層努めるよう通達を発するなど、注意を喚起したところであります。  今後は、このような御指摘を受けることのないよう指導を一層徹底し、事業の適正かつ効率的な執行を図ってまいる所存であります。  引き続き、平成年度決算における会計検査院の御指摘に対して建設省のとった措置について御説明申し上げます。  地方公共団体等が施行する国庫補助事業につきましては、その適正な執行を図るよう常に指導しているところでありますが、平成年度決算検査報告におきまして、工事設計が適切でなかったもの等六件について不当事項の御指摘を受ける事態を生じましたことは、まことに遺憾であります。  御指摘を受けました事項につきましては、事業目的を達成するよう手直し工事施工させ、または国庫補助金を返還させる措置を講じたところであり、さらに指摘に係る補助事業者に対しては、設計積算審査の徹底になお一層努めるよう通達を発するなど、注意を喚起したところであります。  今後は、このような御指摘を受けることのないよう指導を一層徹底し、事業の適正かつ効率的な執行を図ってまいる所存であります。  ありがとうございました。
  118. 田中昭一

    田中主査 ありがとうございました。  次に、住宅金融公庫総裁高橋進君。
  119. 高橋進

    ○高橋説明員 平成年度決算検査報告におきまして、団地住宅購入資金等の貸し付け三件について御指摘の事態が生じたことは、まことに遺憾であります。  御指摘を受けました事項につきましては、いずれも貸付金の全部につき繰り上げ償還の措置を講じたところであり、さらに、受託金融機関に対する貸し付けの審査及び管理に関する指導監督を強化するよう注意喚起をいたしました。  今後は、このような御指摘を受けることのないよう、貸し付けの適正を図ってまいる所存であります。  また、平成年度決算検査報告におきましても、団地住宅購入資金の貸し付け三件について御指摘の事態が生じたことは、まことに遺憾であります。  御指摘を受けました事項につきましては、いずれも貸付金の全部につき繰り上げ償還の措置を講じたところであり、さらに、受託金融機関に対する貸し付けの審査及び管理に関する指導監督をなお一層強化するよう注意喚起をいたしました。  今後は、このような御指摘を受けることのないよう、貸し付けの適正を図ってまいる所存であります。
  120. 田中昭一

    田中主査 ありがとうございました。  この際、お諮りいたします。  お手元に配付いたしております決算概要説明などのうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 田中昭一

    田中主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————    平成年度建設省所管決算概要説明                 建 設 省  建設省所管平成年度歳入歳出決算につきまして、概要を御説明申し上げます。  まず、歳入につきましては、各会計別の収納済歳入額は、一般会計三百五十六億四千八百万円余、道路整備特別会計四兆二千五十五億六千百万円余、うち、「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備促進に関する特別措置法」第二条第一項に該当する事業に要する無利子貸付金は、千二百五十七億二千五百万円余、治水特別会計の治水勘定一兆四千六百五十億二千九百万円余、うち、「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備促進に関する特別措置法」第二条第一項に該当する事業に要する無利子貸付金は、二百七億五千二百万円余、同特別会計の特定多目的ダム建設工事勘定三千九十三億五千六百万円余、都市開発資金融通特別会計千六百九十七億二千八百万円余、うち、「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備促進に関する特別措置法」第二条第一項に該当する事業に要する無利子貸付金は、五十七億二千六百万円余となっております。  次に、歳出につきましては、各会計別の支出済歳出額は、一般会計六兆八百十三億九千百万円余、道路整備特別会計四兆四百六十二億六千三百万円余、うち、「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備促進に関する特別措置法」第二条第一項に該当する事業に要した無利子貸付金は、千三百二十四億九千五百万円余、治水特別会計の治水勘定一兆四千九十六億三千二百万円余、うち、「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備促進に関する特別措置法」第二条第一項に該当する事業に要した無利子貸付金は、二百四十八億千二百万円余、同特別会計の特定多目的ダム建設工事勘定二千八百八十四億三千三百万円余、都市開発資金融通特別会計千六百九十五億九千七百万円余、うち、「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備促進に関する特別措置法」第二条第一項に該当する事業に要した無利子貸付金は、五十七億二千六百万円余、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち建設省所掌分千八十一億二千三百万円余となっております。  以下、各事業について御説明申し上げます。  まず、治水事業につきましては、第八次治水事業五箇年計画の初年度として、河川事業では、直轄河川改修事業百二十三河川、中小河川改修事業七百六十二河川について工事実施し、ダム事業では、直轄六十一ダム、補助二百三十五ダムの建設工事実施いたしました。また、砂防事業では、直轄三十二水系及び土地区、補助三千九百十六渓流及び八百七十九地区の工事実施いたしました。  海岸事業では、第五次海岸事業五箇年計画の第二年度として、直轄十二海岸、補助六百五十五箇所の工事実施いたしました。  また、急傾斜地崩壊対策事業は、第二次急傾斜地崩壊対策事業五箇年計画の最終年度として、二千五百四十二地区について補助事業実施いたしました。  災害復旧事業につきましては、直轄及び補助事業についてそれぞれ事業実施いたしました。  次に、道路整備事業につきましては、第十次道路整備五箇年計画の最終年度として、一般道路事業では、一般国道及び地方道の改良四千三百十四キロメートル、舗装四千八十キロメートルを完成させたほか、特定交通安全施設整備事業、維持修繕事業等を実施いたしました。  有料道路事業では、日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団及び本州四国連絡橋公団に対して出資等を行い、また、有料道路事業実施した地方公共団体等に対して資金の貸付けを行いました。  次に、都市計画事業につきまして、御説明申し上げます。  公園事業につきましては、第五次都市公園等整備五箇年計画の第二年度として、国営公園十五箇所、都市公園等二千百十六箇所の施設整備等実施いたしました。  下水道事業につきましては、第七次下水道整備五箇年計画の第二年度として事業実施し、管渠四千三百五十七キロメートル、終末処理場の施設二百四十一万人分を完成いたしました。  市街地再開発事業につきましては、百五十九地区の事業実施いたしました。  都市開発資金の貸付事業につきましては、八十七箇所の用地の買取り等に対し、資金の貸付けを行いました。  次に、住宅対策事業につきましては、第六期住宅建設五箇年計画の第二年度として、公営住宅三万九千八百三十二戸、住宅金融公庫融資住宅五十五万二千九百四十五戸、住宅・都市整備公団住宅二万二千二百十五戸のほか、農地所有者等賃貸住宅等の建設推進いたしました。  最後に、官庁営繕事業につきましては、合同庁舎等二百八十八箇所の工事実施いたしました。  以上が、平成年度における建設省所管決算概要であります。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。     …………………………………    平成年度決算建設省についての検査の概    要に関する主管局長説明                 会計検査院  平成年度建設省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項五件、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項二件であります。  まず、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項について御説明いたします。  検査報告番号二二七号は、北海道常呂郡置戸町が実施した橋りょう整備事業におきまして、設計が適切でなかったため橋台等が不安定な状態になっているものであります。  検査報告番号二二八号は、岩手県稗貫郡大迫町が実施した緊急地方道路整備事業におきまして、施工設計と著しく相違していたため、モルタル吹付工が工事目的を達していないものであります。検査報告番号二二九号は、山梨県甲府市が実施した緊急地方道路整備事業におきまして、橋台の設計が適切でなかったため、堤防に欠陥をもたらすおそれがあるものであります。  検査報告番号二三〇号は、愛知県豊田市が実施した橋りょう整備事業におきまして、設計が適切でなかったため、橋脚が不安定な状態になっているものであります。  検査報告番号二三一号は、奈良県が実施した緊急地方道路整備事業におきまして、設計及び施工が適切でなかったため擁壁が不安定な状態になっているものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について御説明いたします。  その一は、公営住宅等家賃対策補助金算定に関するものであります。  建設省では、住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃で住宅を賃貸している都道府県及び市町村の事業主体に対し各種の補助を行っており、この一環として、公営住宅等における事業主体の家賃負担の軽減を図るために事業主体が負担する経費の一部を補助する公営住宅等家賃対策補助金を交付しております。しかしながら、この補助金の交付に当たって、建設省において、補助金交付要綱で交付額の算定方法を明確に示していなかったことなどのため、交付額の算定の基礎となる家賃限度額を誤って算出したり、収入超過者が入居していて補助対象とならない戸数を補助対象としたりして、補助金が過大に交付されていたものであります。当局の見解をただしましたところ、建設省では、五年十一月に補助金交付要綱を改正し、補助金の交付額の算定方法を明確なものにするとともに、都道府県に対し通達を発して補助金交付要綱等の周知徹底及び審査体制の整備を図るなどの処置を講じたものであります。  その二は、連続立体交差事業における負担金の支払に関するものであります。  建設省では、街路事業の一環としまして、都道府県又は政令指定都市の事業主体が、鉄道と道路の平面交差踏切を除却するなどのため、鉄道を相当区間にわたって高架化するなどの連続立体交差事業に対して補助金を交付しております。この事業は、高架施設等の工事は鉄道事業者によって実施されており、これらの工事費等は事業主体と鉄道事業者との間で交わした協定に基づきそれぞれ負担することとされ、事業主体は、補助金の交付を受けて負担金を鉄道事業者に支払っております。しかし、事業主体が、鉄道事業者に負担金を支払うに当たって、建設省において、両者の協定で定めるべき事項を具体的に示していなかったなどのため、工事の内容や出来高を十分確認することなく、請求された金額をそのまま支払っており、負担金が過大に支払われる結果となっていたものであります。当局の見解をただしましたところ、建設省では、五年十一月に都道府県及び政令指定都市に通達を発して、負担金の支払が適切に行われるよう協定で定めるべき事項を明示するとともに、本件補助事業の適切な実施を図るよう指導することとするなどの処置を講じたものであります。  なお、以上のほか、平成年度決算検査報告に掲記いたしましたように、住宅金融公庫及び住宅都市整備公団にまたがる重複契約の解消等について改善処置を要求いたしましたが、これに対する建設省の処置状況についても掲記いたしました。  以上をもって概要説明を終わります。     —————————————    平成年度住宅金融公庫業務概況                住宅金融公庫  住宅金融公庫平成年度業務計画と実績につきまして、御説明申し上げます。  貸付契約予定額は当初、住宅等資金貸付け七兆五百七十億四千万円、関連公共施設等資金貸付け五十億円、宅地造成資金貸付け二千百六十九億六千万円、財移住宅資金貸付け三千億円、合計七兆五千七百九十億円でありましたが、その後、資金需要の変動に伴い、貸付契約予定額を、住宅等資金貸付け六兆五千百四十五億八千六百万円、関連公共施設等資金貸付け二十五億六千九百万円、宅地造成資金貸付け二千四百十九億九千二百万円、財移住宅資金貸付け一千六百九十六億二千六百万円、合計六兆九千二百八十七億七千三百万円に改定いたしたのでございます。  この貸付契約予定額に対しまして貸付契約の実績は、住宅等資金貸付け六兆五千百四十三億七千六百三十万円、関連公共施設等資金貸付け二十五億六千九百万円、宅地造成資金貸付け二千四百十九億九千百九十万円、財移住宅資金貸付け一千六百九十六億一千八百万円、合計六兆九千二百八十五億五千五百二十万円となったのでございます。  資金の貸付予定額は当初、平成年度貸付契約に係る分三兆六千七百三十億三千六百万円、前年度までの貸付契約に係る分二兆七千六百七十五億九百万円を合わせた計六兆四千四百五億四千五百万円でありましたが、その後、前年度決算による改定等により、合計七兆二千三億七千百万円余に改められたのでございます。  この原資は、資金運用部資金の借入金六兆七千七百三十七億円、簡易生命保険積立金の借入金八百億円、民間借入金三千二百五十二億円、財移住宅債券発行による収入八百四十五億七千四百万円余、住宅宅地債券発行による収入八百三十八億八百万円余を合せた計七兆三千四百七十二億八千二百万円余から借入金償還等一千四百六十九億一千百万円余を控除した額をもって、これに充てることとしたのでございます。  この資金の貸付予定額に対しまして実績は、前年度までの貸付契約に係る分を含めまして、住宅等資金貸付け六兆八千二百九十三億六千五百二十八万円、関連公共施設等資金貸付け十一億一千五十万円、宅地造成資金貸付け一千八百三十九億八千六百二十万円、財移住宅資金貸付け一千七百二十二億三千六百三十八万円、合計七兆一千八百六十六億九千八百三十六万円となったのでございます。この実績は、前年度に比べますと、一兆四千九百九十億九千九百六十四万円、率にいたしまして、二十六・四パーセント増となっております。  また、年度間に回収いたした額は、二兆九千八百九十九億七千六百九十二万円余でありまして、前年度に比べますと、五千二百三億四千六百九十二万円余、率にいたしまして、二十一・一パーセント増となったのでございます。この結果、年度末貸付残高は、四十八兆五千三百六十億五千百五十八万円余となりまして、前年度末に比較いたしますと、四兆一千九百七十三億五千五十二万円余の増加となったのでございます。  貸付金の延滞状況につきましては、平成年度末におきまして、弁済期限を六箇月以上経過した元金延滞額は、二百二十一億四千二百十六万円余でありまして、このうち一年以上延滞のものは、百八十二億一千三百九十八万円余でございました。  次に住宅融資保険業務につきましては、平成年度におきまして金融機関との間に保険関係が成立する保険価額の総額を四千三百億円と予定し、この額の百分の九十に相当する三千八百七十億円を保険金額といたしましたが、保険関係が成立いたしたものは、三千三億九千四百七十四万円余でございました。  収入支出について申し上げますと、収入済額は、収入予算額二兆八千六百六十一億七十八万円余に対し、二兆八千二百五十三億九千百十九万円余となりました。支出済額は、支出予算額二兆九千五百五十三億九百三十万円余に対し、二兆七千五百十七億五千四百八十七万円余となり、支出より収入が、七百三十六億三千六百三十二万円余多かったのでございます。  損益計算の結果につきましては、総利益二兆九千四百五十五億四千三百十五万円余、総損失二兆九千四百七十一億六千五百五十九万円余となり、差し引き十六億二千二百四十四万円余の損失金を生じましたが、これは住宅融資保険特別勘定の損失金によるものであります。  この住宅融資保険特別勘定の損失金は、住宅金融公庫法第二十六条の二第四項の規定により同勘定の積立金を取りくずして整理することとしました。  なお、平成年度において、同法附則第十四項の規定により特別損失として整理した額は六百七十億円でございます。  以上をもちまして、平成年度業務概況の御説明を終わらせていただきます。     …………………………………    平成年度決算住宅金融公庫についての検    査の概要に関する主管局長説明                 会計検査院  平成年度住宅金融公庫決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項三件であります。  検査報告番号二三二号から二三四号までの三件は、団地住宅購入資金等の貸付けが不当と認められるものであります。  これらの資金の貸付事業は、自ら居住するため住宅を必要とする者や、その者に住宅を建設して賃貸する事業を行う者等に対し、住宅の建設及び購入に必要な資金で、一般の金融機関から融通を受けることが困難な資金を直接又は金融機関に委託して貸し付けるものでありますが、団地住宅購入資金等の貸付けに当たっての審査や貸付後の調査が十分でなかったため、資金が貸付けの対象とならない者に対して貸し付けられていたり、住宅が貸付けの目的外に使用されていたりしていたものであります。  以上、簡単でございますが説明を終わります。     —————————————    平成年度建設省所管決算概要説明                 建 設 省  建設省所管平成年度歳入歳出決算につきまして、概要を御説明申し上げます。  まず、歳入につきましては、各会計別の収納済歳入額は、一般会計六百十九億三千五百万円余、道路整備特別会計六兆千四百四十億四千万円余、うち、「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備促進に関する特別措置法」第二条第一項に該当する事業に要する無利子貸付金は、九百六十九億千五百万円余、治水特別会計の治水勘定二兆四千百八億五千九百万円余、うち、「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備促進に関する特別措置法」第二条第一項に該当する事業に要する無利子貸付金は、五十億九千八百万円余、同特別会計の特定多目的ダム建設工事勘定三千六百六十億九千六百万円余、都市開発資金融通特別会計二千五十一億八千二百万円余、うち、「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備促進に関する特別措置法」第二条第一項に該当する事業に要する無利子貸付金は、四十四億二千七百万円余となっております。  次に、歳出につきましては、各会計別の支出済歳出額は、一般会計八兆六千三百八十三億九千三百万円余、道路整備特別会計五兆八千八百三十一億二千九百万円余、うち、「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備促進に関する特別措置法」第二条第一項に該当する事業に要した無利子貸付金は、九百六十五億九千二百万円余、治水特別会計の治水勘定二兆三千四十五億六千二百万円余、うち、「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備促進に関する特別措置法」第二条第一項に該当する事業に要した無利子貸付金は、五十一億三千九百万円余、同特別会計の特定多目的ダム建設工事勘定三千百九十三億四千六百万円余、都市開発資金融通特別会計二千三十三億九百万円余、うち、「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備促進に関する特別措置法」第二条第一項に該当する事業に要した無利子貸付金は、四十四億二千七百万円余、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち建設省所掌分千四十四億五千九百万円余となっております。  以下、各事業について御説明申し上げます。  まず、治水事業につきましては、第八次治水事業五箇年計画の第二年度として、河川事業では、直轄河川改修事業百二十三河川、中小河川改修事業七百六十三河川について工事実施し、ダム事業では、直轄六十五ダム、補助二百四十八ダムの建設工事実施いたしました。また、砂防事業では、直轄三十三水系及び土地区、補助三千八百七十九渓流及び九百九地区の工事実施いたしました。  海岸事業では、第五次海岸事業五箇年計画の第三年度として、直轄十二海岸、補助六百四十二箇所の工事実施いたしました。  また、急傾斜地崩壊対策事業は、第三次急傾斜地崩壊対策事業五箇年計画の初年度として、二千五百六地区について補助事業実施いたしました。  災害復旧事業につきましては、直轄及び補助事業についてそれぞれ事業実施いたしました。  次に、道路整備事業につきましては、第十一次道路整備五箇年計画の初年度として、一般道路事業では、一般国道及び地方道の新設及び改築四千二百キロメートルを完成させたほか、特定交通安全施設整備事業、維持修繕事業等を実施いたしました。  有料道路事業では、日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団及び本州四国連絡橋公団に対して出資等を行い、また、有料道路事業実施した地方公共団体等に対して資金の貸付けを行いました。  次に、都市計画事業につきまして、御説明申し上げます。  公園事業につきましては、第五次都市公園等整備五箇年計画の第三年度として、国営公園十六箇所、都市公園等千八百九箇所の施設整備等実施いたしました。  下水道事業につきましては、第七次下水道整備五箇年計画の第三年度として事業実施し、管渠四千六百九十五キロメートル、終末処理場の施設二百四十四万人分を完成いたしました。  市街地再開発事業につきましては、百五十四地区の事業実施いたしました。  都市開発資金の貸付事業につきましては、百八十三箇所の用地の買取り等に対し、資金の貸付けを行いました。  次に、住宅対策事業につきましては、第六期住宅建設五箇年計画の第三年度として、公営住宅四万九千百七十八戸、特定優良賃貸住宅二万五千百八十戸、住宅金融公庫融資住宅七十六万九千九百九十八戸、住宅・都市整備公団住宅二万二千五百十九戸のほか、農地所有者等賃貸住宅等の建設推進いたしました。  最後に、官庁営繕事業につきましては、合同庁舎等三百八十七箇所の工事実施いたしました。  以上が、平成年度における建設省所管決算概要であります。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。     …………………………………    平成年度決算建設省についての検査の概    要に関する主管局長説明                 会計検査院  平成年度建設省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項六件、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項一件であります。  まず、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項について御説明いたします。  検査報告番号二〇九号は、埼玉県狭山市が実施した公共下水道事業におきまして、管布設工費の積算を誤ったため、工事費が割高となっているものであります。  検査報告番号二一〇号は、千葉県夷隅郡夷隅町が実施した緊急地方道路整備事業におきまして、設計が適切でなかったため、ボックスカルパートが不安定な状態になっているものであります。  検査報告番号二一一号は、神奈川県川崎市が実施した河川改修事業におきまして、仮桟橋等の覆工板の損料の積算を誤ったため、工事費が割高となっているものであります。  検査報告番号二一二号は、新潟県佐渡郡佐和田町が実施した離島道路改良事業におきまして、間詰床版コンクリートの養生工費の積算を誤ったため、工事費が割高となっているものであります。  検査報告番号二一三号は、福岡県が実施した海岸環境整備事業におきまして、護岸コンクリートブロックの設計が過大となっていたため、工事費が不経済になっているものであります。  検査報告番号二一四号は、沖縄県が実施した橋りょう整備事業におきまして、設計が適切でなかったため、橋脚が不安定な状態になっているものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について御説明いたします。  これは、下水道終末処理場建設工事における床掘り費の積算に関するものであります。  建設省では、下水道の整備計画的に推進するため、下水道整備事業実施する事業主体に対し、毎年度多額の国庫補助金を交付しております。  事業主体が実施した下水道終末処理場建設工事における床掘り費の積算につきましては、掘削最下面を乱さないようすべて人力施工としておりました。  しかし、施工の実態を調査したところ、積算で想定した施工方法とは異なり、機械を主体として施工している状況でありました。これは、近年、バックホウの操作性能が向上したことのほか、バックホウのバケットの爪部分に鋼板を取り付けることにより掘削最下面を乱すことなく掘削できる工夫がなされるようになったこと、及び小型のバックホウが普及してきたことなどによるものであります。  したがって、床掘り費の積算に当たっては、施工の実態に即して、機械による施工を主体として積算すべきであると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、建設省では、六年十一月に都道府県等に通達を発して、床掘り費の積算施工の実態に適合したものとする処置を講じたものであります。  以上をもって概要説明を終わります。     —————————————    平成年度住宅金融公庫業務概況                住宅金融公庫  住宅金融公庫平成年度業務計画と実績につきまして、御説明申し上げます。  貸付契約予定額は当初、住宅等資金貸付け七兆二千四百七十七億六千五百万円、関連公共施設等資金貸付け五十億円、宅地造成資金貸付け二千七百七億三千五百万円、財移住宅資金貸付け三千億円、合計七兆八千二百三十五億円でありましたが、その後、資金需要の変動に伴い、貸付契約予定額を、住宅等資金貸付け十一兆四千七百七十億五千三百万円、関連公共施設等資金貸付け四十一億一千万円、宅地造成資金貸付け二千五百七十二億一千六百万円、財移住宅資金貸付け一千二百三十四億五千三百万円、合計十一兆八千六百十八億三千二百万円に改定いたしたのでございます。  この貸付契約予定額に対しまして貸付契約の実績は、住宅等資金貸付け十一兆四千六百五十九億七千六百二十四万円、関連公共施設等資金貸付け四十一億九百万円、宅地造成資金貸付け二千五百七十二億一千五百三十万円、財移住宅資金貸付け一千百七十二億四千四十万円、合計十一兆八千四百四十五億四千九十四万円となったのでございます。  資金の貸付予定額は当初、平成年度貸付契約に係る分三兆七千六百十二億八千万円、前年度までの貸付契約に係る分三兆四千四百九十九億円を合わせた計七兆二千百十一億八千万円でありましたが、その後、前年度決算による改定等により、合計十一兆二千九百三十億四千八百万円余に改められたのでございます。  この原資は、資金運用部資金の借入金九兆八千六百十九億円、簡易生命保険積立金の借入金一千百億円、民間借入金三千五百四十八億円、財移住宅債券発行による収入六百六十一億四千九百万一円、住宅宅地債券発行による収入八百八十八億九千九百万円余のほか、貸付回収金等から八千百十二億九千九百万円余をもって、これに充てることとしたのでございます。  この資金の貸付予定額に対しまして実績は、前年度までの貸付契約に係る分を含めまして、住宅等資金貸付け十兆八千九百三十七億五千九百九十九万円、関連公共施設等資金貸付け二十七億四千九百三十万円、宅地造成資金貸付け二千百四十八億一千四十四万円、財移住宅資金貸付け一千四百八十七億六千八百七十万円、合計十一兆二千六百億八千八百四十三万円となったのでございます。この実績は、前年度に比べますと、四兆七百三十三億九千七万円、率にいたしまして、五十六・七パーセント増となっております。  また、年度間に回収いたした額は、四兆四千八百四十四億二千六百九十四万円余でありまして、前年度に比べますと、一兆四千九百四十四億五千二万円余、率にいたしまして、五十・〇パーセント増となったのでございます。この結果、年度末貸付残高は、五十五兆三千百二十一億二千六百六十九万円余となりまして、前年度末に比較いたしますと、六兆七千七百六十億七千五百十万円余の増加となったのでございます。  貸付金の延滞状況につきましては、平成年度末におきまして、弁済期限を六箇月以上経過した元金延滞額は、二百七十九億四百三十三万円余でありまして、このうち一年以上延滞のものは、二百六億七千四百五十四万円余でございました。  次に住宅融資保険業務につきましては、平成年度におきまして金融機関との間に保険関係が成立する保険価額の総額を四千三百億円と予定し、この額の百分の九十に相当する三千八百七十億円を保険金額といたしましたが、保険関係が成立いたしたものは、三千八百二十億四千五百五万円余でございました。  収入支出について申し上げますと、収入済額は、収入予算額三兆六百四十七億三千九百三十万円余に対し、三兆九百七十億九千六百七十六万円余となりました。支出済額は、支出予算額三兆一千三百億三千三百三十六万円余に対し、二兆九千二百七十六億二千三百九十四万円余となり、支出より収入が、一千六百九十四億七千二百八十二万円余多かったのでございます。  損益計算の結果につきましては、総利益三兆一千八百億六千八百四十六万円余、総損失三兆一千八百二十六億九千二百三十九万円余となり、差し引き二十六億二千三百九十二万円余の損失金を生じましたが、これは住宅融資保険特別勘定の損失金によるものであります。  この住宅融資保険特別勘定の損失金は、住宅金融公庫法第二十六条の二第四項の規定により同勘定の積立金を取りくずして整理することとしました。  なお、平成年度において、同法附則第十四項の規定により特別損失として整理した額は二百三十八億円でございます。  以上をもちまして、平成年度業務概況の御説明を終わらせていただきます。     …………………………………    平成年度決算住宅金融公庫についての検    査の概要に関する主管局長説明                 会計検査院  平成年度住宅金融公庫決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項三件であります。  検査報告番号二一五号から二一七号までの三件は、団地住宅購入資金の貸付けが不当と認められるものであります。  この資金の貸付事業は、自ら居住するため住宅を必要とする者に対し、住宅の購入に必要な資金で、一般の金融機関から融通を受けることが困難な資金を直接又は金融機関に委託して貸し付けるものでありますが、団地住宅購入資金の貸付けに当たっての審査や貸付後の調査が十分でなかったため、資金が貸付けの対象とならない者に対して貸し付けられていたり、住宅が貸付けの目的外に使用されていたりしていたものであります。  以上、簡単でございますが説明を終わります。     —————————————
  122. 田中昭一

    田中主査 以上をもちまして建設省所管住宅金融公庫説明は終わりました。     —————————————
  123. 田中昭一

    田中主査 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。東順治君。
  124. 東順治

    ○東(順)分科員 東順治でございます。  私は、大都市圏周辺の交通混雑の問題につきまして質問をさせていただきます。  特に福岡市の周辺は、近年とみに、福岡市の九州の中での一極集中化とかいろいろなことで、車も人も周辺は大変に増加しております。まず、この福岡市郊外の北東地域とでも申しますか、この状況についての御認識から伺いたいと思います。
  125. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 福岡市郊外の、特に北東部につきましては、福岡都市圏あるいは北九州都市圏との連絡を担う幹線道路がございます。九州縦貫自動車道あるいは国道三号、さらには国道四百九十五号、三路線がございます。  九州縦貫道につきましては、この当該地域、新宮町付近でありますが、平成年度の道路交通センサスによりますと、一日当たりの交通量が約四万二千三百台、さらに国道三号につきましても一日当たり交通量が約六万四百台、さらに国道四百九十五号についても一日当たり交通量が一万九千二百台、このようになっております。これらは、道路が適切に交通量を分担している交通容量という概念がございますが、これらの交通容量というものと比較してみますと、交通容量をオーバーして混雑を引き起こす程度の交通量になっております。  そういうことで、建設省といたしましても、渋滞対策を積極的に進める必要があるということで、平成五年から新渋滞対策プログラムというものを進めております。これは、主要な渋滞ポイント、交差点等でございますが、そういうものについては緊急に整備を進めていこうということであります。  この地域につきましては、例えば国道三号の下原交差点、さらに国道四百九十五号の和白交差点、こういうものが主要な渋滞ポイントになっておりますが、それぞれ平成年度調査したところによりますと、最大の渋滞長がそれぞれ二千二百五十メーターあるいは九百五十メーターとなっております。日ごろから渋滞をしているというふうに認識をしております。
  126. 東順治

    ○東(順)分科員 ただいまの答弁で交通容量をオーバーして混雑を引き起こす程度という表現がございましたけれども、私はもっと深刻に実は認識をしておるわけでございます。  平成年度に幹線道路の混雑状況というのを調査なさいましたね。これによりますと、混雑度一というのが交通量が道路の交通容量に等しい状態、つまり車が自然に渋滞せずに流れる状態、それから一から一・五、それが朝夕のピーク時を中心に渋滞をする、今度は一・五以上が一日じゅう渋滞をする、こういうふうに表示されておりましたけれども、今局長指摘の国道四百九十五号線、つまり旧国道三号線、それと新たにできました新三号線、それから九州自動車道、三本の主な道路が福岡市に向かって通っておるわけでございます。この中でも国道四百九十五号線というのが、混雑度から見れば、一・五以上が一日じゅう渋滞とありましたけれども、実に二・一六という非常に高い数値を示しておるわけでございます。  例えば、交通量の推移で申し上げますと、ただいまも数字の御指摘がありましたけれども、福岡市の北東部の新宮町、古賀町、この両町を通る車が、昭和六十三年のときには八万五千二百二台、それが平成六年で十万五千六百三十八台ということで、大変な台数の伸びを示しておるわけでございます。  それで私は、人口もどのぐらいふえているのかということをちょっと調べてみたのです。そうすると、昭和六十三年は古賀町と新宮町を合計しまして五万八千八百人、それが平成六年で六万八千七百五十四人。つまり、古賀町、新宮町を通る車の量が六年間で八万五千から十万五千、二万台ふえている、そしてまた人口が六年間で五万八千人から六万八千七百五十人、約一万人ふえているということで、これは大変な急増なわけです。この中で、古賀町というのはもう明年度古賀市に昇格する。これもやはり人口の増加に伴ってそういうことになっておるわけでございますから、いわば人は大変ふえて、道路はさほどふえずに、車がもう洪水状態になっている。  したがって、メーンの道路が大渋滞ですから、わき道に車がみんな逃げていく。そうすると、朝の通学時なんかは子供たちは大変な被害、身の危険というものも感じている。それからまたメーンの通り、新三号線沿いなんかは、旧三号線沿いもそうですけれども、ファミリーレストランだとかスーパーだとかが軒並み建っている。ますますそこに人が車でもって押しかけてくるという非常に深刻な状況でございます。  その中でまず具体的に、国道三号線の博多バイパスというのを今整備なさっていますね。この整備状況と今後の見通しについて伺いたいと思います。
  127. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 ただいま御指摘のとおり、福岡都市圏におきます交通渋滞は、ある面では福岡都市圏が拡大している、人口が増加しているという点が極めて大きなウエートを占めているのだと思います。それに対して道路の整備がなかなか進んでいないというのは、御指摘のとおりだと思います。しかし、その中で、今御質問がありましたとおり、国道三号博多バイパス等につきましては、現在鋭意事業を進めております。  例えば今御指摘の博多バイパスにつきましては、福岡市の北東部から郊外部に至る地域の交通混雑の緩和を図るという観点から整備を進めております。全体で七・七キロの六車線バイパスであります。現在までのところ、約四キロの区間が供用を開始しております。  引き続き、これに続きまして主要地方道の福岡東環状線に至る一・五キロの区間について、重点的な整備区間として今整備を進めており、平成年度は用地買収を促進しようということにしております。この当該区間一・五キロは区画整理事業でやろうとしておりますので、この区画整理事業との調整を図りながら進めておりますし、今後ともそういうことが必要であります。  なおまた、この区画整理の中でも、現在JRの鹿児島線と西鉄の宮地岳線の共同駅の計画がある、このようにお聞きしております。その駅までの〇・四キロについて、今さらに重点的に整備を進めているところでありまして、これにつきましては平成年度ぐらいには供用をしていきたい、このように考えて進めております。  さらにその先二・二キロの区間につきましては、現在事業をしているところの状況等を見ながら、今後、順次事業を展開していきたいと思います。
  128. 東順治

    ○東(順)分科員 道路というのは全線開通してこそ初めてその効果というのが出てくるわけでございまして、この道を利用する人たちの切なる思いというのは、いつになったら全部開通するのだろう、この一点なんです。  それで、新しくできる駅までは何とか平成十年までとしても、その先の二・二キロ、これの見通しということに実は大変な関心があるわけでございます。これについてはどうでしょうか。ぜひとも具体的なお話をいただきたい。
  129. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 この福岡東環状線から東区の下原に至る、先ほど申し上げました延長二・二キロにつきましては、今後事業を進めていくという区間でございます。今後の予算状況その他いろいろなことの中で検討していく必要があると思いますが、平成年度からは第十二次の五カ年計画が策定されます。そうしますと、平成十年から十四年が次の五カ年計画の期間であります。そういう期間の中でぜひ開通ができるように努力していく必要があるのではないかと考えております。そういう意味では、平成十四年度ごろというようなのが一つの目安になるのではないかと思います。  しかし、それにしても大変な事業費がかかりますので、予算の確保等大いに努力してまいりたいと考えております。
  130. 東順治

    ○東(順)分科員 続きまして、国道四百九十五号線の整備状況及びその見通しについて伺います。
  131. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 国道四百九十五号につきましては、北九州を起点といたしまして、宗像市あるいは古賀町、新宮町を経まして福岡市に至る幹線道路でございます。国道三号と並行しておりますが、極めて重要な路線と考えております。  このうち、古賀町から福岡市に至る区間については非常に交通量がふえている、あるいは市街化が進んでいるという観点から、主要な交差点を中心として交通渋滞が生じております。そのために、特に渋滞の著しい福岡市の北東部において、昭和六十三年度から延長〇・七キロの香住ヶ丘拡幅を事業中でありまして、これまでに〇・四キロの供用をしております。残る区間も鋭意努力をいたしまして、平成年度ごろには一応この〇・七キロの区間は完成したいと考えております。  さらに、その先のことでございますが、引き続き主要渋滞ポイントとなっております和白交差点、そこまでの区間が約二・一キロあります。これについては、平成年度から唐原拡幅ということで事業化をしました。四車線化をするということで、今後鋭意事業を進捗していきたいと思います。  このように道路を二車線から四車線に拡幅するということのほかに、例えば新宮町内におきまして平成年度から県道小竹下府線との交差点、こういう交差点が大変込んでおりますので、こういう交差点の右折車線を設置していくというような交差点改良事業、そういうものも着手しましたので、完成を早めて交通渋滞の解消に努力していきたい、そのように考えております。
  132. 東順治

    ○東(順)分科員 細かい話になって恐縮なんですけれども、交差点の改良事業は今何カ所手をつけておられますか。
  133. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 この付近におきまして、四百九十五号につきましては、今申し上げました平成年度から小竹下府線の交差点について着手したところでございます。  そのほかに地元からの要望があり、あるいは渋滞している交差点という観点から我々が必要と考えておりますのは、古賀町内の花見交差点、あるいは新宮町内の夜臼交差点等については、早急に右折車線等の設置を含めた交差点改良が必要だということで現在調査を進めている段階であります。
  134. 東順治

    ○東(順)分科員 まさに今御発言ありました夜臼交差点それから花見交差点、これが非常に込んでおる。これは、調査を速やかに行われて、できるだけ早く右折レーンの設置ですか、これに着手をしていただきたい。先ほど申し上げられました一カ所、それとこの夜臼、花見、この三カ所は、右折レーンができるだけで私は随分違うと思います。これは本当に速やかに着手をしていただきたいというふうに思います。朝、車の中で待っている時間というのは大変なのですよ、本当に。乗ってみられたらわかりますが。  それと、先ほどお話がございました和白交差点までは何とか四車線拡幅、これは手をつけている、こうおっしゃいましたね。私は、この和白交差点からなお上、北側、これもやはり四車線に拡幅していくべきである、このように思います。これは、上の、北の方の宗像市あるいは古賀町、それから新宮町からずっと大渋滞で車がおりてくるわけですから。先ほど御説明ありました国道三号線、それから四百九十五号線、つまり旧国道三号線ですね、それから九州自動車道、全部が満杯なわけですから、やはり四百九十五号線の和白交差点以北、これも四車線化はぜひともやるべきである、このように思いますが、いかがでしょうか。
  135. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 国道の四百九十五号の和白交差点以北の四車化であります。  これにつきましては、新宮町、古賀町の間を昭和四十七年に二車線で都市計画決定をしているという実態がございます。また、現道を見ますと、市街化が非常に進んでおりまして、現道拡幅するということが一般にいうと大変困難な状況に見られております。  しかし、今御指摘のとおり、これは北九州と福岡を結ぶ、あるいは新宮町、古賀町の人口増加というものに対応していく上では、都市計画決定の見直しも含めて、現道拡幅ができるのか、あるいは他のバイパスルートにする必要があるのか、この辺を十分検討する必要がある、道路の四車化の必要性と検討の必要性を私は認識しております。ただ、このバイパスにいたしましても、近くに玄界国定公園があるとかいろいろな課題がございますので、これについては、広域的に、総合的な検討をしていく必要があると思います。  いずれにいたしましても、道路の整備を着実にやっていくという必要性を十分認識しているところでございます。
  136. 東順治

    ○東(順)分科員 検討の必要ありと今前向きな答弁がございまして、ぜひお願いしたいというふうに思うのです。  ここでちょっと立ち入って伺いたいのですが、国道三号線というのは指定区域、つまり国直轄なわけですね。国道の中でも、この四百九十五号線というのは指定区域外と伺いました。つまり、県知事さんに管理をしてもらう、つまり機関委任事務というのですか、この違いがあるというふうに聞いたのです。この都市計画を見直す際に、四百九十五号線、指定区域外の道路で、知事に委託をしているという道路ですけれども、これは国が、ぜひ見直すべきである、このようにリードして県に働きかけて、それで見直しが可能なのでしょうか。  それからまた、見直す場合の過程といいますか、どういう手順を踏んで見直しが決定されていくのか、その点もあわせてお答えいただきたい。
  137. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 御指摘のとおり国道には、約五万キロございますが、約二万キロは直轄事業でやっておりまして、あとの三万キロ程度につきましては、県知事さんに機関委任事務になっているものでございます。  しかし、国道は、五万キロ全体でもって国道としての幹線道路のネットワークを形成しているわけであります。そういう意味では、現地におきましては、九州地方建設局あるいは福岡県、福岡市が一体となって、まずこの地域の道路網はどうあるべきかということを現在も検討しておりますし、私はその検討を進めるべきだと思います。そういう地域においての合意ができたものについては、国として、あるいは建設省としましても早期に都市計画の手続をすべきではないか、そういうようなことについては、法的にということよりも、助言をしてそのように進めていくことが必要なのではないかと思います。  その際に、作業といいましょうか、具体的にどう進めていくのかということでありますが、まずは福岡市、それから福岡県におきまして、国道四百九十五号の拡幅化、バイパス化、あるいはバイパスならどこを通すのかということを調査して、それの成果を先ほど言いましたような全体の協議会の中でオーソライズをして、国の方にも御相談に来られるということが必要なのではないかと考えております。
  138. 東順治

    ○東(順)分科員 地域の合意ができて国に相談に来るという話ですね。  地元の自治体としては、交通混雑に対して深刻な問題意識を持っておるわけですから、当然合意ということになるのだろうと思います。もしこういう合意がきちっとでき上がって国に来た場合は、これは速やかに対応していただきたいし、また国の方からも、どうなっているのですかというリーダーシップをとっていただきたいというふうに思いますので、この点よろしくお願いします。  それから、先ほどから申し上げています国道四百九十五号線、つまり旧国道三号線、新しくできた国道三号線、それから九州自動車道、主にこの三本の線、これに加えて、本当は県道筑紫野線というのですか、古賀−筑紫野線というのもあるのですけれども、これらがずっと集中して福岡市に入っていく、福岡市に通じていく道路なわけですね。新宮町という町を通り過ごして、福岡市の東区の香椎というところから実は福岡都市高速一号線に乗っかるようにインターチェンジがあるのですけれども、この混雑解消の抜本的な役割というか、大きな力として、地元の自治体とか住民の皆さんの中に大変強い要望が実は一つあるのです。  それは、今福岡市の東区の香椎というところから福岡都市高速一号線に乗っかっているのを、何とか古賀町方面まで福岡都市高速一号線というのを延伸できないのか、あるいはまた九州自動車道と接続ができないのか、そうすればこれは相当に混雑解消に役立つのではないかというような非常に強い熱望というか、そういう声があるのですけれども、これについてはどのような御見解をお持ちでしょうか。
  139. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 九州の北部、特に福岡と北九州の間につきましては、大変、交流の活発化あるいは交通量の多い地域でございます。特に宗像市あるいは福岡市の方に至るところにつきましては、先ほども御指摘のように、人口が増加しているというような観点も含めて交通量が極めて多いところであります。  そういう観点から申し上げますと、先ほど申し上げました国道四百九十五号の四車化をする、あるいはバイパスを検討するということ、これも進めてまいりますが、やはり大きくは、北九州市と福岡を規格の高い道路で結んでいく必要があるのではないかと考えております。我々といたしましては、これを地域高規格道路ということにしておりまして、現在、現地におきまして協議会を設けて検討を進めている段階であります。  その場合に、北九州から福岡に至る地域高規格道路について、現在ある福岡の都市高速とどのように、直接あるいは間接的にでも連絡していくかということが大きな課題であります。それにつきましては、まだ具体化はしておりませんが、その必要性については御指摘のとおりだと思いますので、この地域についても幹線道路のネットワークを検討する協議会がありますので、その中で十分検討されるように、あるいは検討するように指導してまいりたいと考えております。
  140. 東順治

    ○東(順)分科員 私がお尋ねしたのは、福岡都市高速一号線というものがございますね、これを高速として延伸できますかというふうにお尋ねしたのですが、今局長のお答えは、地域高規格道路、北九州から計画があるのでこっちをつなぐというアクセスの仕方が逆の御答弁だったのですけれども、私はどちらでもいいと思うのです。この高速道路を延伸することが無理ならば、今おっしゃったように地域高規格道路、北九州からずっと下ってくるところの道路、これを新たにつくって、そして都市高速につなげていけば、高規格道路というのは自動車専用道路なわけでしょう、これがつながっていけば同じ効力になるわけで、非常に私はいいアイデアであるというふうに思うのです。  それで、今お話のありました地域高規格道路の計画なのですけれども、私、手元にあるこの図面を見ますと、北九州から福岡の方にずっと印がつけられていますが、この計画道路というのは現在調査中なのでしょうか、それとも計画に上がっているだけなのでしょうか。それはどちらですか。
  141. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 福岡−北九州間の地域高規格道路につきましては、一応候補路線というのに指定しております。  全体のお話を申し上げますと、最初に候補路線になり、次に計画路線になってさらに調査をし、事業を進める、こういうステップになっておりますが、とりあえずは候補路線でございます。そういう中で、現在候補路線でありますので、基礎的な、あるいは広域的な調査実施しているところでございます。その中から優先順位を定めて、必要な区間については、次に計画路線に指定してさらに詳細な調査をするというステップが必要と考えております。
  142. 東順治

    ○東(順)分科員 私の手元にあるこの図では、候補路線というのは、黒丸が点々とついているのですね。計画路線というのは、四角で黒く塗りつぶしたのが点々とついているのですね。今私が指摘している地域高規格道路、北九州と博多方面を結ぶこれは、二つともこの印がついているのです。局長、ちょっと見ていただけますか。委員長、よろしいですか。——これはどっちなんですか。
  143. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 福岡県におきますいろいろな広域道路網計画等がありまして、そういう中でいろいろな路線の必要性が指摘されております。それが、一般的に申し上げましてこの黒い四角で出ておりまして、そういうものを参考にしながら現在国と県とで合意しておるのは、この丸い方の候補路線という位置づけでございます。
  144. 東順治

    ○東(順)分科員 そうすると、この「調査中」で黒の四角で点々としているのは、調査中ということではないということですね。そういうことなんですか。
  145. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 この場合はそういうことでございます。
  146. 東順治

    ○東(順)分科員 それでは、候補路線という形で表示されているこの路線ですけれども、大まかな今後のめどと申しますか、この候補路線というのをこれからどうされようとするのか、これからの手順みたいなもの、例えば調査をし、計画化し、そして道路を実際につくっていくというような手順があると思うのですが、これからの手順はどのようになりますか。
  147. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 候補路線の中から計画路線は選定していくわけでありますが、一般的に申し上げますと、二、三年先ほど申し上げましたような一般的、広域的な調査をして、その中から優先順位の高いところを計画路線にして調査区間にするということであります。  この場合におきましても、今調査を全般的に進めておりますから、例えば平成年度あるいは平成年度にその一部が計画路線となり調査区間に指定される、そういうような動きで進んでいくのではないかと想定されます。
  148. 東順治

    ○東(順)分科員 平成八年もしくは九年に計画路線になり調査区間になる、このように今お答えですね。これはぜひとも速やかに実現をしていただきたい。そして、福岡のこの都市高速とぜひつなげていただきたい。これは大変な熱願でございます。  最後に大臣に、私たちの今のやりとりをお聞きいただいて御所見をと思ったのですけれども、時間が来たので簡単に一言だけ、この大都市圏の周辺の混雑の解消の問題についてどのようにお考えか、よろしくお願いします。
  149. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 私は、今の討議を聞いておりまして、いかように委員がその地域に詳しく、しかも詳細にわたってお調べになったあげくこのようなことを言われているかという熱意はよく感ずるわけでございます。  このため、第十一次の道路整備五カ年計画に基づきまして、バイパスや環状道路の整備や踏切の連続立体交差化などの渋滞解消に効果の大きい事業を重点的に実施しているところであります。さらに、新渋滞対策プログラムも実施しておりまして、最近では、公共交通機関との乗りかえ用駐車場の整備、駅前広場の整備、バスレーンの設置などによりまして公共輸送機関の利用を促したり、車の利用の仕方を工夫するなどのソフトな施策についても取り組んでいるところでございます。  今後ともこの地域については、渋滞の解消、緩和に向けて、委員の御指摘のとおりに最大限の努力を払っていきたいと考えておる次第でございます。
  150. 東順治

    ○東(順)分科員 ありがとうございました。
  151. 田中昭一

    田中主査 これにて東順治君の質疑は終了いたしました。  次に、渡辺浩一郎君。
  152. 渡辺浩一郎

    ○渡辺(浩)分科員 新進党の渡辺浩一郎でございます。  きょうは、一般論でございますけれども、首都圏の中の交通網の整備、特に鉄道の整備というのは、これは大変大事なことでございまして、東京都におきましても、特に多摩地区では、中央線が東京から三鷹までは高架になっております。しかしそこから、三鷹から先はまだ高架になっていなくて、これを高架にすることが輸送の安全や地域の交通網の渋滞を解消する大変大事なことにつながるということで、一応平成十五年までに三鷹から立川までの間を高架にすることが決まっております。  その決定の中で、ひとつぜひ御質問させていただきたいのですが、一般的に駅というのは、首都圏、あるいは全国か、どちらかよくわからないのですが、大体平均一・三キロぐらいの間隔で普通あるわけでございますけれども、この多摩地区の中央線の中で、国立と立川の間が約三キロ駅が今離れております。そして、地元の人たちの中から、大変不便だという声がずっと前からありまして、それで、ここの国立と立川の間に、中間にどうしても新駅をつくっていただきたい、こういう動きがずっと前からございます。  ずっと前からと申しますのは、昭和二十五年、もう四十年以上前から、このことで地元からの運動が起きているわけなんですね。しかし、予算のこととか、いろいろな経緯がありましたが、今冒頭私が申しましたように、今度ここの中央線が高架になるということが事業決定されている中で、この機会をとらえて新駅をつくりたいという動きが、地元から非常に強い要望が実はございます。  私は実は専門が建築でございますので、技術的な面から申し上げれば、損得とかあるいは政治的な判断とかというのは別にしまして、純粋に技術の面からいえば、この高架の工事のときに新駅をつくるのが一番いい。技術的にも、安全確保からも、あるいは建設費用からいったら一番いい時期だ、これを逃してはもう絶対ないというぐらいな判断を私はしておるわけでございます。したがいまして、私は、これを機会にぜひこの新駅をつくりたいというふうに考えている一人の議員でございます。  そうした中で、この新駅をつくるに当たって、国あるいは東京都、地方自治体が力を合わせて、地元の住民と力を合わせてつくるわけですが、国としてこの新駅をつくっていくための一般的な条件というのでしょうか、そういうものがあればまずもってそれをお教えいただきたいというふうに思います。
  153. 榊正剛

    ○榊説明員 新駅の設置につきましては、基本的には鉄道事業者でございます旅客会社の経営判断となっておりますが、一般論で申しますならば、新駅の設置場所は、輸送上、技術上問題がないこと、それから、相当数の新規の利用客がございまして、それによります収入が、新駅設置によりまして経費が増加いたすわけでございますが、その経費の増加を上回ること、建設費の資金面での協力が得られていること、駅前広場の取りつけ道路といったようなものの都市計画上の配慮がなされていること、設置につきまして関係自治体との意思統一がなされていること、おおむね大体五つぐらいの要件になろうかと思っております。
  154. 渡辺浩一郎

    ○渡辺(浩)分科員 五つありましたので、また後で文書を読ませていただきますけれども、そういった一般論の中で、やはりその新駅をつくるのを地元だけだとかあるいはJRだけでというのではこれは到底建設ができないのは、今までの経験からよくわかるわけですね。もちろんこの場合、JRの場合、請願駅ならば協力する意思はあると思うのですけれども、しかし、金銭的なものを含めて、地元の自治体だけでやることはもう到底不可能だろうと私は見ているのですね。そうした中で、国の判断や国の積極的な姿勢というのがやはり私は当然必要だろうというふうに考えています。  今その五項目の話がありましたけれども、そういった中で、中央線の高架のときにあわせて新駅をつくることに対して、国としてこの問題に対してはどういうふうにお考えか、積極的にこれに取り組んでいこうという考え方なのか、その辺をひとつお聞きしたいと思います。
  155. 榊正剛

    ○榊説明員 先ほど一般論ということで申し上げましたけれども、新駅設置につきまして、全国的に相当要望がございますけれども、JR関係でございますが、大体ほぼ皆さん地元の負担金を拠出していただきまして設置をしているのが常でございます。  したがいまして、私どもの方として、このような場合には具体的な要望をまずお出しいただきまして、そういった場合に、先ほど申し上げました五つの要件の検討に加えまして、連続立体交差事業の施行者でございます東京都と十分調整を図っていく必要があるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  156. 渡辺浩一郎

    ○渡辺(浩)分科員 わかりました。そういう手続上のことは当然私どももこれからやらさせていただこうと思っています。もちろん、自治体がこれを中心になってやっていることは私もよく承知しております。ただ、自治体だけではこれはとても解決できないなと見ているだけに、国としての積極的な取り組みをまず私は望んでいるわけであります。  そういった背景の中で、国に積極的な動きをしてもらうためにどんなことができるかというふうに考えた場合、一つは、今話が出ましたように、高架をつくっていく中で、まず、新駅をあわせてつくるときに、通常は駅周辺の土地区画整理事業を当然行っていくわけですね。土地区画整理事業がある程度きちっとめどがついたら新駅をつくっていくということが通例の手法だと思うのですけれども、それをやっているとやはりすごく時間がかかるだろう。高架の方はある程度後ろが決められて、平成十五年までにある程度めどをつけてしまおうということが決まっているわけですから、そのときに周辺の住民の賛成を得て地権者による土地区画整理を行って、それが合意を得たら新駅の工事を始める、あるいはその前に設計を始めるということでは、私は非常に時間がかかり過ぎるだろうと思うのですね。  したがいまして、ここは一つの考え方ですけれども、周辺整備、土地区画整理事業とか市街地再開発とか、そういった手法と新駅の建設とを切り離して、それでその新駅の設置の方を例えば先に進めていくというのも、僕はまた一つの方法だろうと思うのですね。そういうことが実際に可能かどうか、この辺を一つお伺いしたいというふうに思います。
  157. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 先生の御指摘の御質問で、計画論としてはまず一体的に、新駅の位置、規模、そしてそれに関連して駅前の市街地としての整備計画をどうするか、これはまず一体的に決めなければいけないかと思いますが、そのときに、新駅の関連する敷地等についても、区画整理事業の中で生み出すということももちろん一つの方法だろうと思いますが、それはそれで新駅そのものを整備を先行させて、その後で一体的な計画のもとで区画整理事業を後でフォローする、そういうことは十分可能だろうと思います。
  158. 渡辺浩一郎

    ○渡辺(浩)分科員 そうですが。わかりました。それは大変ありがたいと思います。  そんなこととか、あるいはいろいろな形を、私どもも地元から、こういう形をどうしたらいいのだろうか、あるいはこういうことをできないだろうかという質問を受けておりまして、そのうちの可能性のあるものだけ、ちょっともう一つ質問させていただきたいのです。  これを今行っていくには、自治体に任せる自治体の単独事業じゃなくて、その駅周辺あるいはまた駅建設が単独事業でなくてその周辺に都市計画道路なんかも当然設置いたしますので、それにあわせて国の補助事業としてこれを取り上げることが可能かどうか。詳細は一々説明を申し上げませんけれども、手法として、特にこの国立−立川間の中間のこの場所におきましてそういった補助事業としてこれをやっていくことが可能かどうか、この辺はいかがでございましょうか。
  159. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 新駅の整備に伴っての市街地整備ということになりますと、相当大がかりな事業になろうかと思います。現段階においてそういう区画整理事業の要望はございませんが、私どもの基本的な考え方として、こういう大型の事業については当然国が積極的にバックアップすべき、そういう基本的な考え方を持っておりますので、計画段階がまとまり、ということであれば、調査費の段階から積極的に応援する、そういう基本的な考えを持っているところでございます。
  160. 渡辺浩一郎

    ○渡辺(浩)分科員 わかりました。  冒頭の質問の中で、この新駅については全国ではたくさんあるのだという話をいただきましたけれども、私もそれは当然だと思っています。しかし、この国立−立川の間におきましての新駅は、周辺には国の、自衛隊があったり大蔵省の役所があったり官庁があったり、国に勤める役所の人たちも結構利用できるようなところでございますので、それだけではありませんけれども、しかし新駅をつくることで相当の利便性が確保できますので、私は、つくっていくことにぜひ国が全面的な、できる限りのバックアップをしてもらいたいと思います。  今、局長の方からそういう話をいただきましたので、また後、機会をとらえて次の具体的なことについて御質問するかもしれませんけれども、ともかくこの新駅について国としてなるべく積極的な姿勢を貫いていただきますようお願い申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。  最後にまた、ちょっと恐縮ですが、大臣の方の所感をひとつ聞かせていただければありがたいのでございますが、お願いいたします。
  161. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 私、この問題を十分知悉しているわけではございませんが、先ほど委員がおっしゃられた言葉一つ一つはもっともなことでございますし、また、都市局長を中心にこの問題は任せておりますとともに、私も必ず報告は受けておりますから、またそのようなお互いの認識の中で良識ある選択というものを考えていくのが当たり前か、こう思っております。
  162. 渡辺浩一郎

    ○渡辺(浩)分科員 どうもありがとうございました。  では、質問を終わらせていただきます。
  163. 田中昭一

    田中主査 これにて渡辺浩一郎君の質疑は終了いたしました。  次に、大野由利子君。
  164. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 新進党の大野由利子でございます。関連質問をさせていただきます。  首都圏、特に東京都など大都市におきまして、雑木林とか屋敷林等々、緑がどんどん伐採をされまして減っているという状況がございます。バブルで地価が高騰したあたりから特に目立ってまいりましたけれども、バブルの崩壊後も、この減少は続いております。  東京都で調査をいたしました緑被率におきますと、一九七二年の調査から十九年間で四・九%緑被率が減少しております。広さでいいますと八十七平方キロメーターという状況でございまして、ちょっとした市町村が一つか二つすっぽり入るぐらいの大変大きな平米、その広さの緑が減少をしております。  そこでまず、こうした都市部の緑が減っている現状の中で、都市の緑の保全対策をどのように進めていらっしゃるのか、建設省にお伺いしたいと思います。時間が余りございませんので、簡潔に教えていただければと思います。
  165. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 私ども、緑の保全活用を都市行政における非常に大きな課題だというふうに基本的に認識しているところでございます。  私どもは、平成六年の七月に緑の政策大綱というものを実はつくっております。そこでは、二十一世紀初頭までに都市公園等を中心にしながら、道路とかあるいは河川空間、これも含めまして緑の公的空間を三倍にしよう、それから市街地における民有緑地を含めた緑地性の高い市街地の比率を三割にしよう、こういう基本的な政策課題を持ちまして、それを踏まえて、先般改正された都市公園等整備緊急措置法による都市公園の整備五カ年計画、今準備中でございますが、そういうことで整備を進めていきたい。  さらに、この課題に対応するためには、先生御指摘の民有地の緑、これを確保するということが非常に重要だと考えておりますので、緑地保全地区とかあるいは市民緑地、こういったものを一般的に活用していきたい、基本的にはこういうふうに考えているところでございます。
  166. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 所有者が、特に相続が起こった場合、相続税とか固定資産税の納税のために、今まであった屋敷林や雑木林を大量に伐採をいたしましてマンションに建てかわる、そういう状況が続いております。こうした屋敷林や雑木林というのは、一応もちろん個人の所有のものではあるわけですけれども、地下水の保全とか、また大気汚染の防止とか、また景観はもとより、気温の調整、CO2対策、さまざまな面、また災害対策等々で、所有者だけじゃなくて、周辺の町の対策に大変役立っているという状況でございます。  それで、市民緑地制度というものを設けていらっしゃるというふうに承知しておりますが、この市民緑地制度はどういう扱いになっているのか、また活用状況はどうかについて簡単に御説明をお願いしたいと思います。
  167. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 先生御指摘の市民緑地制度でございますが、基本的に、民有地の緑が、先生御指摘のように非常に大きな、たくさんの公益的な機能を持っているということで、それを積極的に活用して保存しやすいようにしていこう、これが市民緑地制度の目的でございます。  そのために、法律上の制度として構成することによって、とりわけ相続税についての軽減措置ができないかということで制度をつくったわけでございますが、現段階においては、二十年以上の貸し付け、二十年以上公共団体に貸していただける土地については評価二割減という相続税上の特別措置が講ぜられているわけでございます。まだこれは、制度改正が去年でございますので、実例は一件でございます。  ただ、そもそもこの制度化も、公共団体の方でそういう動きがある、それを踏まえて相続税の評価減につながるように法律上の制度として構成しておりますので、実は武蔵野市等ではそれを管理する条例はもう既につくっております。完全な切りかえはまだ行われておりませんけれども、そういう実態的に市民緑地制度に近いものは、公共団体でいろいろ実例は既にもう多くあるわけでございます。
  168. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 昨年の八月からこの市民緑地制度というのが実施されたようでございますが、この広い地域で、今のお話ですと、たった一件しか既に実施されているところがない。  もちろんいろいろ検討されているところはあるかと思いますが、この市民緑地制度でございますと相続税が二割軽減されるという状況があるようでございます。市が契約をして、そして借り受ける、契約したところが借り受けるというシステムになっているわけですね。その借地料を市が払わなければいけない。もちろん借地料というのはそんなに高いものではないと思います。固定資産税相当額か、そんな大した額じゃないんじゃないかなとは思いますけれども、今各地方自治体は大変財政難で困っておりますので、一生懸命これをPRいたしまして、宣伝をいたしましても、市のいろいろなお金の持ち出しにもなるわけでもございますし、私も今東京の三多摩地域に住んでいるわけでございますけれども、なかなかこの市民緑地制度というのが、二十年間、市民緑地に決めたらまず宅地に変えられないということとか、たった二〇%しか軽減がないというようなこととか、市に借り上げてもらわなければいけないというようなこと等々がネックになりまして、これはなかなか進まないな、とてもじゃないけれども、ますます緑が減っていく歯どめにはとてもなり得ないという状況ではないか、このように思っております。  今、生産緑地制度というのがございます。三十年間生産緑地でしていくというふうになると、相続税の猶予、それから当然、宅地じゃなくて生産緑地としての固定資産税も軽減されるというふうになっているわけでございますが、この点についてどのような見解を持っていらっしゃるかについて伺いたい。私は、市民緑地制度というものを生産緑地並みの扱いにできないものかどうかということについて伺いたいと思います。
  169. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 基本的には、先生御指摘の方向で毎年毎年努力しているところでございます。  ただ、基本的に税務当局の考え方としては、他の制度とのバランスということも大きな勘案要素になっておりまして、農地そのものについてはそもそも特例的に納税猶予制度がある。その中での生産緑地地区ということで、御案内のとおり、確かに三割の評価減という手続があるわけでございます。  最も規制が厳しい制度としては、樹木の伐採が禁止されているような保安林でも、その評価減についてはやはり非常に制約、限度があるという状況でございまして、いろいろな工夫をしていかなければいけないという状況でございます。  市民緑地制度そのものというのは、実は、ある程度地主の方の御理解を得て、屋敷林をそのままの形で公共団体が維持管理する、せいぜい散策路を設けさせていただくという程度で、できるだけ現状のままでというのが市民緑地でございます。この形ですと二割が限度なのですが、もう一つ、ある程度恒久的な施設をちょっとつくっていただくという形になると、これは運用上の取り扱いでございますが、都市公園の類型としてみなせるということで、これについては四割の評価減という制度があるわけでございます。  ただ、ここでのネックというのは、ある程度恒久的な施設、つまり二十年間以上、一応農地と同じような、永久にという色彩が出てくるのでこの辺は非常に限定的に、地主の方の理解が得られる場合にしか使えないということで、汎用性がある制度とは必ずしも思っていないわけでございますが、いろいろな努力をすることによって、税制面の優遇措置によって緑を保存していきたい。基本的には、先生と同じ考え方で努力しているところでございます。
  170. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 この制度、確かに全国一律というわけにはいかないということはよく承知をしております。しかし、生産緑地制度にいたしましても、例えばNOx法にいたしましても、このNOx法も、大変自動車の総量の多い、非常に排気ガスの多い特定地域のみ、東京都とか埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫の一部の地域のみ非常に厳密なNOx法の施行がされているという状況でございますので、この市民緑地制度におきましても、地域を指定して、都市部の、三大都市圏の非常に緑の減少が著しい場所を指定してさらに拡充を図るということが十分考えられるのじゃないかなというふうに思うのです。  大臣に伺いたいのですが、こういう制度がまず考えられるかどうかということについてちょっと伺いたい。  こういう考えと申しますと、要するに、市民緑地制度を生産緑地並みに扱う、類似したような形で扱うというふうにすることが可能かどうか、やるかどうかは別にいたしまして、まずそういうことが考えられるかどうかについてちょっと伺いたいと思います。
  171. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 事務的にまず、今の税務当局とのやりとりについて簡単に御説明いたしたいと思います。  私どももそういう方向で、大都市地域の特例ということでもというお願いをしているわけでございますが、基本的には制度、相続税の評価減というのは体系的な一つの大きな枠組みの中での整備ということで今までのところ事務的に努力しているわけでございますが、なかなか実現していないというのが現状でございます。
  172. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 もちろん大蔵省の問題もございますでしょう。建設省だけでこれは結論が出る問題ではございませんが、まず考えられるかどうかということと、建設大臣といたしまして、この緑を守るために今後どういう方向でやろうとされているのかということについて、大臣の御見解を伺いたいと思います。
  173. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 建設省では、緑の保全、創出に係る諸施策の総合的な展開を図りますために、平成六年七月に緑の政策大綱を策定したところであることは、もう委員もよく御案内のことと思います。  緑の政策大綱では、二十一世紀初頭を目標にいたしまして、一つは、公園、河川等の緑の量を三倍にする、また二番目といたしましては、市街地の緑地の割合を三割以上確保するということなどを基本目標としている次第でございまして、このうち都市の緑の中核となる都市公園の整備につきましては、先般改正されました都市公園等整備緊急措置法に基づく第六次都市公園等整備五カ年計画によりまして、鋭意整備を続けていく所存でございます。  加えまして、民有緑地を保全するためには、緑地の保全地区や市民緑地の普及活用を図るなど、多様な手法を駆使しまして、都市の緑の保全、創出に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。  以上です。
  174. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 この緑を守るために、さらにインセンティブが働きますように、建設省も今までもいろいろ努力をしてきてくださったことは承知をしておりますが、この市民緑地制度をもっともっと拡充をしていただきたいという市民の、十万人からの署名とか、東京では都議会全員の方の請願、陳情等々、大変な盛り上がりを示しておりますので、ぜひ前向きに検討をしていただいて、ぜひ前進をお願いをしたい、このように要望させていただきまして、質問を終わらせていただきます。
  175. 田中昭一

    田中主査 これにて大野由利子君の質疑は終了いたしました。  午後三時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時二十五分休憩      ————◇—————     午後三時開議
  176. 田中昭一

    田中主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設省所管住宅金融公庫について質疑を続行いたします。荒井広幸君。
  177. 荒井広幸

    荒井(広)分科員 自由民主党の荒井広幸でございます。  本日は、大臣にお出ましをいただきまして、大変ありがとうございます。平素の御指導に心から御礼を申し上げます。  私は、きょうはダムに関連しての質疑をさせていただきたいと思います。  まず一点目は、ダム建設後における水質等の影響の実態調査に対する取り組みについて。二つ目が、ダム湖の水質保全対策に関する建設省の取り組み。それから三番目に、ダム湖の水質保全について、ダム湖内及びダム湖周辺のみならずその上流域等々の、流域全体としての取り組みについてお尋ねをさせていただき、同様な趣旨で、ダム湖の水質保全について、農林省の取り組みもお尋ねをさせていただきたいというふうに考えている次第でございます。  今ダムは、治山治水あるいは浄水、まことにいろいろな考え方があり、水を調整するという機能もあります。同時に、環境に対しても多大な貢献をしていただいているわけでございますけれども、ダムの場合、大規模な水没地域、水没の面積を持つことから、その地域一円に対して、環境や河川、こういったことに多大の影響があるわけでございます。  特に、ダムを建設した後の堆砂、濁水、富栄養化などの影響についての、でき上がってからの建設後の調査というものが大変重要であるというふうに思われます。建設省として、ダム建設後の水質などの調査に対する取り組みをお聞かせをいただきたいと思います。
  178. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 荒井委員から、ダム建設後における水質等の影響の実態調査に対する建設省の取り組みそのものはどうか、こういう全体にわたるグローバルな御質問もございましたから、冒頭に私から申し上げまして、残余、詳細なことにおいても担当から御説明させたいと思います。  一般にダム建設におきましては、土地、家屋などの大規模な水没を伴うことから、程度の大小はあるものの、河川の環境やあるいはまた地域社会に影響を与えることは認識しておる次第でございます。  したがって、管理段階のダムにおいて、環境調査地域社会への影響調査、洪水調節などの調査を行い、ダム建設による効果や影響を把握するように努めてきたところでありますけれども、平成年度からは、ダム等の管理に係るフォローアップ制度を設けまして、追跡調査の充実を図ることとした次第でございます。  この制度は、近く試験湛水を実施する予定の福島県の三春ダムや、また熊本県の竜門ダム等も含めまして、当面、建設省直轄及び水資源開発公団所管のダム等を対象として試行するものでございます。学識経験者から成るダム等管理フォローアップ委員会の意見を聞いて、ダム完成後の環境への影響等の調査、あるいはまた洪水調節等の調査やその分析をより客観的に、科学的に行うもので、その成果を今後のダム管理に反映しようとするものでございます。  今後はこの制度を十分に活用し、さらに適切なダム管理を行っていく所存でございます。
  179. 荒井広幸

    荒井(広)分科員 平成年度からそのようにフォローアップ調査、大臣のお手元で大変客観的かつ科学的な調査等々が行われるということで、大変高く評価を申し上げる次第でございます。  そういう中で、それらの調査結果を、発生した問題に対していかに的確に対処をしていくかということがまた同時に大切なことであろうと思います。それらのフォローアップのいろいろな結果を受けて、どのように建設省所管の、管理中のダムについて水質保全対策を進めていかれるのか、お尋ねをしたいと思います。
  180. 松田芳夫

    ○松田政府委員 ダムのフォローアップ制度の発足に伴い、あるいは水質保全対策等にそのフォローアップがどのように反映するかという委員のお話でございます。  まず、現在、建設省としてダムの水質問題についてどういうことをやっているかということを簡単にお話しいたしますと、我が国は多数ダムがございますが、近年、山林の荒廃等による濁水、あるいはまたその地域に生活されておる人々の生活雑排水等の流入増に伴いまして、一部のダムで水質汚濁が見られております。  それで、現在いろいろな対策を講じておりますが、ダム貯水池の水質保全対策としてまず第一にやっておることは、ダム湖、ダムの貯水池の水そのものを、曝気循環といいますか、空気をまぜてかき回すというような、エアレーションなどとも呼ばれておりますが、そういった手法で、空気をよくまぜて水質浄化を図るというような、これはちょっと人為的な方法でございます。  あるいはまた、貯水池周辺の地肌が荒れていることが汚濁の原因ではないかというような議論もございますので、ダム貯水池ののり面の緑化等を進めて、植物による水質浄化というような効果を期待する試みもなされております。  それから、もっと抜本的に、流域対策ということで、これも一部のダムで試みてございますが、貯水池近傍における植栽を促進する、木を植えるというようなことも実施しているところであります。  こういったいろいろな試みも現在なされておりますし、また今後の技術開発とか、あるいはダムのフォローアップ委員会のいろいろな検討なり調査の結果を反映して、今後とも、河川管理者という立場からも、ダムの貯水池の水質保全あるいは水質改善ということに積極的に取り組んでまいりたいというふうに今思っているところであります。
  181. 荒井広幸

    荒井(広)分科員 ただいま松田局長さんからお話をいただきましたけれども、私なんか素人でございまして、これからできるダムなど、あるいはまた近所にあるダムなんか見ていまして、普通にと言うとおかしいですけれども、そのままかなと思いますと、曝気というのでしょうか、水を循環させたり、いろいろな工夫をされているのだなということを改めて痛感するわけでございます。  ただためているだけと言うとおしかりをいただきますけれども、そのような意識を私たちは持ちがちだったのですけれども、いろいろ工夫をされて水質を守ることをされているということを、私も改めて学んだ次第なのです。  それで、ダム貯水池水質改善事業というものが、先ほど来お話いろいろありまして、ダム貯水池の水質保全事業を行ったり、また今度は流域の整備事業を行うなどということで、いろいろと御努力をいただいているわけでございますが、きょうの私の最大の関心事は、実は、ダム湖及びダム湖内、あるいはある程度のダムの周辺というところだけではなくて、水質保全という観点から考えますと、ダムに水が流れ込みます流域全体が、極めて重要な対策を講じるべきところではないかなというふうに思っているわけでございます。  そこで、水源地全域をカバーするような、特にダムの上流域においての森林保全や水質対策などの流域保全対策というものが必要であろう、このように考えているわけなんです。この点につきまして、建設省の御見解を承りたいと思います。
  182. 松田芳夫

    ○松田政府委員 委員指摘のとおり、ダムの貯水池の水質問題については、ダムサイトそのものだけということではなくて、堆砂の問題、濁水の問題一つをとっても、あるいは富栄養化などの問題をとっても、流域全体としてトータルの対策を考えていかなきゃならぬということは、私どもも十分そのとおりだと思っております。  これは河川の水質汚濁対策についても当然言えることでありまして、河川の流域全体として、下流に都市があり、中流部に中山間地域があり、上流部に森林があり、一般的に河川を下流から考えていくとそういうことになるかと思いますが、やはり水質問題というのは流域全体で考えていくべきというのが本質的であろうかと思っております。  しかしながら、現在のところでは、最大の汚濁源が例えば都市排水というようなことがございますので、都市部における下水道の整備というようなことで、汚濁の発生源の著しいところから重点的に対応していくというようなことになってございます。一方で、渇水問題等も近年たびたび発生しており、その渇水時に水道の水が余りおいしくないというような状況もあるわけでありまして、国民の側からいうと、水資源の貴重さということに対する認識というのは非常に高まっております。  そういう水源地のダムの水質問題ということを考えていくときに、先ほど申しましたように、流域全体として考えるということは、十分私どももわかっておるつもりでございますが、今後このような方向を進めるということで、森林を管理しております林野庁とかあるいは環境庁、その他関係省庁とも十分連絡調整をとり、協力を得ながら、ダム上流域の水質問題ということにどういうふうに対応していってよろしいか、総合的に考えていきたい。  それで、可能なものについては、それぞれの事業分野で、例えば河川事業あるいは治水事業でそういった問題に対応する、あるいはまた下水道事業の分野で対応させていただく、あるいはまた農水省とも協議して、森林の方での対応もまた考えさせていただくというようなことで、関係省庁とも十分連絡調整をとりながら、水源地の水質改善というようなことに今後とも努めていきたいと思っております。
  183. 荒井広幸

    荒井(広)分科員 大変前向きなお話をいただいてありがたく思っております。  といいますのは、私自身が地元に戻りますと、いろいろな方々からお話を受けるのですけれども、一生懸命下流域の方のために水をためる協力をした。しかし、上流域にあってそこで生活をする人、あるいはさまざまな関係で汚れた水の原因を、望んでいるわけではありませんが、結果的にそんなことになっていく。そうすると、上の人がもう少ししっかりしてくれよということで、非常にいたたまれない状況になっているのですね。  しかし、現在のところ上流域については、では、特別そういう何かインセンティブを与えるような施策があるかというと、もう一歩なかったというふうに私は考えておるわけなんです。  そういうようなことで、私は、これは同様に農林省の方にお尋ねをしたいのですが、ダム湖の水質保全についてですが、農林省のいろいろな取り組みについて、なお一層水質保全対策をする必要があろうと思いますが、いかがでございましょうか。
  184. 柘植茂晃

    ○柘植説明員 お答え申し上げます。  農林水産省といたしましては、農村地域の水質保全を図る観点から、これまでも、農村地域の生活雑排水の処理を行うための農業集落排水事業あるいは林業集落排水事業、また肥料の節減とかあるいは営農技術の改善等を通じまして環境への負荷の軽減を図ります環境保全型農業、これは全国的な展開をしているわけでございますが、こうした環境保全型農業の推進。さらには、畜産地帯がございまして、家畜の排泄物がどうしても出るわけでございますが、こうした排泄物のコンポスト化等、適切な処理を行うための畜産環境対策。さらにはまた、先ほどお話が出ておりましたけれども、森林の土砂流出防止対策といたしましての治山事業等、いろいろ実施しているところでございます。  先生御指摘のようなダムの上流域とかあるいはダム湖の周辺、こういったところは水質保全対策としてまさしく重要と私どもも認識しているところでございまして、今後とも、こういった地域の実態を十分に踏まえまして、各種の事業を効果的に実施し、水質の保全の推進に努めてまいりたい、かように考えているわけでございます。
  185. 荒井広幸

    荒井(広)分科員 なお一層の対応をお願いしたいのです。  まさに環境保全型の農業、それから畜産等に対するふん尿等の排泄物、それから森林を守っていただく、こういうような大きくは三つの柱だと思うのですが、先ほどの例で申しますと、やはり上流にある畜産農家の方は、私のところは特に中山間地帯なものですから、家畜、畜産をやっている方が点在をいたしておりますと、沢などにどうしても、そのようなことのないようにということで頑張ってはおられるのですけれども、結果的にいろいろな残念な結果になる場合もあって、一生懸命努力はしているのですが、何か下の方々から、もうちょっとしっかりしろみたいな声ばかり上がる。  そうなりますと、その流域の自治体の首長さんとしては、できればいろいろな事業を取り入れて水質保全に寄与をしたいということなんですが、そのときに、例えば補助率のかさ上げとか新しいメニューの創設とか、あるいは交付税で見るというような対応がもう一つないと、せっかくのこれは国民の財産としての水でございますから、それをまた我々が生活に、環境に取り入れていくわけでございますので、この点については早急に、しかも建設省、農林省、厚生省、環境庁等々関係の役所の皆様方が十分な連絡をとっていただきまして、そして流域全体として総合的、一体的に管理できるような、そのような御工夫をぜひともしていただく研究を進めていただきたいと思っている次第でございます。  大臣には、きょうお越しいただいて大変ありがたいわけでございます。どうぞ、そういった流域の一体的な取り組みによりまして、各省庁の連携によりまして、きれいな水で、そして我々の生活に、環境に大きくさらに寄与してもらうように御指導をお願い申し上げたいと考えている次第でございます。  ちょっと私の質問が早く終わってしまうのであれでございますが、きょう四つほど質問させていただいたわけでございます。申し上げたいことはいっぱい胸の中にはあるのですが、もうお酌み取りをいただいているという状況なものですから、私といたしまして、さらにダムの建設ということについては環境などということで非常に難しいような状況もありますから、そのような意味でも、こうした建設後の、先ほど大臣のお話にありました平成年度からのフォローアップというような仕組みなどを通じて、それが水質保全対策の一つの大きな武器になっていく、つながりになっていく。そして同時に、上流域が一体となって、それぞれの自治体ももとよりでございますが、生活する人もそして役所も一体となってのお取り組みを心からお願いをしたいと思っております。  以上をもちまして質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  186. 田中昭一

    田中主査 これにて荒井広幸君の質疑は終了いたしました。  そのまま暫時休憩をいたします。     午後三時二十分休憩      ————◇—————     午後三時二十六分開議
  187. 田中昭一

    田中主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。熊代昭彦君。
  188. 熊代昭彦

    熊代分科員 自由民主党の岡山県選出の熊代昭彦でございます。大臣、お疲れさまでございます。  道路の問題につきまして質問をさせていただきたいと思います。  道路は、公共事業の、比重が徐々に落ちつつあるとはいえ圧倒的なシェアでありますし、その重要さというのはいささかも失われない。いい道路が一本できただけで、人々の生活は目が覚めるように変わるということでございます。その重要性を十二分に認識するものでございます。  国におかれましては、全国的な高規格幹線道路ネットワークをつくっておられますけれども、最初に、どのような考え方で、どのような基本的な哲学で、そして現実にどのように整備を進めてこられたか、また今後、これからどのような考え方で整備を進めていかれるか、そういうような基本問題についてまずお答えをお願い申し上げます。
  189. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 我が国の本格的な道路整備は、昭和二十九年に第一次道路整備五カ年計画をスタートさせて以来平成年度よりの十一次五計まで、着実に五カ年計画に基づき道路整備を進めてまいりました。  それぞれの五カ年計画に当たりましては、道路整備の質的あるいは量的な立ちおくれ、こういうものを解消するということで鋭意努力してきたわけでありますし、十一次五計におきましても、交通渋滞、交通事故あるいは生活環境の保全、いろいろな意味で緊急性が高い課題がございますが、こういうものに十分対応するように努めているところであります。  また、我が国の均衡ある発展を図っていく、あるいは東京の一極集中是正のためには全国的な高規格幹線道路というものがぜひ必要でありますし、さらにこの高規格幹線道路網から市町村道に至るようなバランスのとれたネットワークの整備が必要と考えております。  特にこの高規格幹線道路につきましては、昭和六十二年に四全総で提唱されました交流ネットワーク構想というものを推進するために、地方の中心的な都市からおおむね一時間以内で高規格幹線道路が利用可能となるように、あるいは地方の中心的な都市だけではなくて、全国のあらゆるところから高規格幹線道路に一時間で到達できるように、そういうような全国的なネットワークとして整備することを目標に、一万四千キロの計画を定めたところでございます。十一次五計でもこの高規格幹線道路の整備を最重点にしております。平成年度末では、計画の四八%、六千七百七十キロメートルを供用することを目標にしておりますし、二十一世紀初頭にはこの全ネットワークの完成を図っていきたいと考えております。  いずれにいたしましても、我が国の国土の時間距離を短縮していく上では、従来一般国道等の一般道路の整備も重要でありましたが、今後は高規格幹線道路の整備が極めて重要であります。これにより、大幅な時間距離の短縮が可能であります。  また、この高規格幹線道路だけではまだそれぞれの地域の連携が十分なされない地域がございますので、今般、平成年度には全国で五千三百二十キロの地域高規格道路、こういうものを指定しました。二十一世紀初頭までに約六千キロから八千キロの整備を行うという計画を定めたところであります。  今後とも、これら高規格幹線道路、地域高規格道路などの整備を重点的に進めてまいりたいと考えております。
  190. 熊代昭彦

    熊代分科員 ありがとうございました。  ちょっと細かい話を確認して恐縮でございますが、地域高規格道路というのは高規格幹線道路の一部分ですか、それとも外ですか。
  191. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 地域高規格道路は、高規格幹線道路一万四千キロの外で、高規格幹線道路を補完する機能を持つものと考えております。
  192. 熊代昭彦

    熊代分科員 ありがとうございます。  私、今は岡山新二区でございますが、岡山県全域につきましても、地域高規格道路がどう整備されるかということに関心が移りつつあるところでございまして、この地域高規格道路、今かなりの程度計画が進んでいるところでございますが、新岡山二区というのは、岡山市の旭川から東の岡山市ですね、それから玉野市、灘崎町、それから邑久郡三町で、上から長船町、邑久町、牛窓町というところで、道路事情からするとやや恵まれないかなというところでございますが、その辺を中心に地域高規格道路の整備状況について、そして今後どういうことになるのか、ちょっとお聞かせ願えればと思います。
  193. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 地域高規格道路につきましては、平成年度に路線の指定を実施しております。全国的に申し上げますと、候補路線、それから計画路線、それから整備をしていく、こういう順番になるわけですが、まず候補路線として百七路線ございます。それから、計画路線としては百三十八路線五千三百二十キロ、これが指定されているわけであります。岡山県にかかわる路線としましては、候補路線として岡山空港道路、岡山倉敷道路、こういうものがありますし、計画路線としては美作岡山道路、岡山環状道路、空港津山道路等、五路線が指定されているところであります。  今後これをどのように整備していくかでありますが、まず、候補路線の中から重要度の高い区間について、計画路線として指定をする必要があります。この計画路線として指定されますと、路線全体のルート選定、整備手法、環境アセスメント、都市計画決定等の調査を進める調査区間にいたしますし、さらにこの調査が進めば、整備区間ということで指定をして、事業を進めていくということにしております。先ほどの中で、例えば美作岡山道路の美作町から勝央町間などの三区間は調査区間に指定されております。さらに、今後ともこの調査区間、整備区間の指定を充実していきたいと考えておりますし、今年度もできるだけ早い時期に新しい調査区間、整備区間の指定等を行い、今後の円滑な事業の進捗に役立てていきたいと考えております。
  194. 熊代昭彦

    熊代分科員 全般的なお話を伺ったわけでございますが、次に、極めて具体的な話で恐縮でございますけれども、玉野市と灘崎町、この両方合わせて人口八万六千ぐらいあるのですが、あと、児島湾を隔てて岡山市の中心部から離れております甲浦地区、小串地区、それぞれ一つずつの小学校区でございますけれども、これを合わせますと、およそ約人口十万程度あるという地域でございまして、この地域地域高規格道路の恩恵を受けてないということが地元で言われております。この玉野、灘崎地区は、現在は私の選挙区でございますが、中選挙区の時代は橋本総理大臣の選挙区でもございました。  その地域でございますけれども、ここで、早島、これは山陽自動車道路と瀬戸中央自動車道、これが連結しているインターチェンジでございますが、そこと玉野市を結ぶ、そういう地域高規格道路ができますと、地域高規格道路あるいは高速道路網にこの十万の地域がつながる。それから、大都市である岡山市、倉敷市にしっかりと非常に短い時間でつながるということでありまして、現在路線指定はされてないわけでございますが、これについて検討願えないかというのが地元の大変強い要望であるわけでございますが、これについてお考えを聞かせていただければありがたいと思います。
  195. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 御指摘のように、玉野市あるいは灘崎町を中心にして、地域人口約十万人ある、あるいは重要港湾の宇野港等もございます。そういう意味では極めて重要な地域と考えております。それで、この地域の振興発展のために、中心都市である岡山市あるいは山陽道、瀬戸中央道、こういう高規格幹線道路とこういう地域のアクセス性の向上は極めて重要な課題である、そのように考えております。現在、一般道路としてではありますが、国道三十号あるいは主要地方道の玉野福田線、こういう幹線道路について、四車線化とかあるいは交通不能区間の解消、そういう事業を進めているところであります。  御指摘のように、玉野市と山陽道の早島インターをつなぐと、規格の高い、例えば地域高規格のような道路でつなぐことについては、現在のところ指定はされておりませんが、平成年度より、この地域については岡山県が中心になりまして、総合都市交通体系調査、パーソントリップ調査と言っておりますが、これを実施して、この地域全体の幹線道路のあり方についていろいろな検討をしております。そういう中で、現在の国道三十号等のような一般道路ではなくて、さらに規格の高いものにして、時間距離を短縮していく必要があるというような方向づけがされた場合につきましては、地域高規格の一環として整備することも可能かと考えます。  いずれにいたしましても、この地域で十分な検討をして、そのような位置づけをすることによりまして次のステップへ進めていくことが必要ではないかと思います。
  196. 熊代昭彦

    熊代分科員 御指摘のように、まず岡山県内の調査に基づいてその重要性を県内で固めてくるということも確かに必要でございましょうが、中央のリーダーシップもぜひ発揮をお願いしたいというふうに思うわけでございます。  今のお話にも出ましたけれども、次のテーマといたしまして、国道三十号線が現在四車線化しつつあるということでございます。これに対する期待も非常に大きいということでございまして、これは限定アクセスではないから、どこからでもアクセスできるということでもございますし、あらゆる地域からの期待が極めて大きいわけでございますが、これが今どこまで四車線化しておりまして、どこまでしてなくて、そのネックはどこまでなのか、ネックは何なのか。  それから、先ほど重要港ということでお名前を挙げていただきました宇野港、玉野市の宇野港まで行くことになっておりますが、その宇野港に一番近いところがなかなか難しいというような状況ではないかと思いますが、その辺の、玉野市の宇野港まで行くのをできるだけ早めていただきたいと思うわけでございますが、その辺の事情を少し御説明いただければ大変ありがたいと思います。
  197. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 一般国道三十号につきましては、岡山市から玉野市を経て高松市に至る延長二十六・四キロの幹線道路でありますが、岡山県内におきましては、岡山市と玉野市あるいは宇野港を連絡する延長二十四・三キロの路線でございます。このうち、交通需要の多い箇所から順次四車線化を進めております。  現在、児島の拡幅ということで、延長十・七キロの区間について、児島拡幅という事業のもとに事業を進めておりますし、さらに、それに続きますところにつきましても、玉野拡幅ということで延長四・三キロについて事業を進めております。  児島拡幅につきましては、四車線に拡幅するための用地の取得が約九九%、玉野拡幅については八〇%ということでありますから、用地確保は相当に進んでいると認められております。さらに、岡山市内の四・二キロの整備が完了しておりますが、事業中の児島拡幅の一部二・五キロと玉野拡幅の一部二・四キロ、これが完成しております。そういう意味では、全体のうち九・一キロが四車線化で供用されているわけであります。  今後とも、この四車線化の事業については積極的に進めてまいりたいと思います。平成年度までにはさらに二・一キロの供用を図りたい、このように考えております。  しかし、先ほど申し上げましたように、用地買収が相当進んでいる割には四車線化の工事がなかなかはかばかしくないというのは我々も感じているところであります。例えば今年度の当初予算等の配分からいきますと、なかなか厳しい現状でありますので、これらについては、さらに予算獲得にも努力しながら、早期に四車線化ができるように努力していく必要があると我々も考えております。  さらに、宇野港の方に参ります区間がまだ二車線で残っております。交通量が一日一万五千五百台程度ありますので、これについては、国道三十号という重要な路線でもありますし、私は、これは早く都市計画決定をして計画を固めておく必要があると思います。先ほど申し上げましたような児島拡幅、玉野拡幅という事業の進捗が相当進んできましたので、次にはぜひこの宇野港周辺についての拡幅等の事業にかかれるように計画を定めておく必要があると考えております。  そういう意味では、これらの計画が早期につくられますように、建設省としてもぜひ指導を強めていきたいと考えております。
  198. 熊代昭彦

    熊代分科員 その都市計画決定でございますけれども、一般的にはどういう手順で、どういうことで決定されていくわけでございますか。
  199. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 ここにつきましては、建設省の直轄事業の区間と補助事業の区間がございますが、直轄事業実施しておりますので、建設省において、まず都市計画の原案になる路線の図面を作成する必要があります。都市計画の原案を作成する。これに基づきまして岡山県におきます都市計画審議会の議を経て決定していくということであります。そういう意味では、まず四車線の拡幅の都市計画原案を建設省において作成する必要があると考えております。
  200. 熊代昭彦

    熊代分科員 それでは、ぜひ鋭意、早期にその都市計画の決定のための図面を作成していただきたいということをお願いしておきますが、ぜひよろしくお願い申し上げます。  次に、国道二号線の岡山バイパスの整備状況でございますけれども、今どのような整備状況にありまして、また今後どのような予定になっているのか、そのあたりをお聞かせ願いたいと思います。
  201. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 国道二号岡山バイパスでありますが、岡山、倉敷市内の交通混雑の緩和ということで、あるいは交通安全の確保を目標といたしまして計画された、岡山市の浅川から倉敷市の大西の間、延長三十八・三キロメートルの幹線道路バイパスでございます。  昭和三十八年に事業化して以来、鋭意整備を進めてまいりまして、これまでに岡山市の福治から終点倉敷市の大西に至る延長三十三・三キロの区間で供用開始をしたところであります。残る区間は、福治というところから浅川までの延長五・〇キロメートルの区間でございます。これらについては、平成年度の供用を目指して、現在、用地買収及び工事に取り組んでいるところであります。  今年度平成年度についても、用地買収を完了するとともに、竹原高架橋とかあるいは浅川高架橋、福治橋等の橋梁工事なども進めてまいりたいと考えております。  いずれにしましても、平成年度に全線供用をするという目標でありますので、一日も早い供用を目指して今後努力してまいりたいと考えております。
  202. 熊代昭彦

    熊代分科員 お話しの、福治から浅川まで五・〇キロメートル、まさしく私の選挙区でございまして、本当にこれの開通が待望されているところでございます。平成年度までに大丈夫だと、大変力強いお言葉をいただきましたが、あらゆる困難を乗り越えて、ぜひ平成年度に完成して、みんなが本当に笑顔で、混雑解消をしまして、また安全に車が走れますように、心からお願い申し上げまして、若干の時間を残しましたけれども、私の質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  203. 田中昭一

    田中主査 これにて熊代昭彦君の質疑は終了いたしました。  次に、白沢三郎君。
  204. 白沢三郎

    白沢分科員 建設省、時間もありませんので、簡単に御質問したいと思っております。  高速道路の件、一点に絞ってお聞きしたいと思います。おのおの御質問申し上げますが、簡潔にお願いできればと思っております。  まず、高速道路網、高規格幹線道路ですが、昭和六十二年に一万四千キロを策定をした、こういうことでありますが、そのうち一万一千五百二十キロ、これが高速自動車道である、こうお聞きしておりますし、残る二千四百八十キロ、これは一般国道をいわゆる自動車専用道路にする、こういうことであります。  実は、お聞きをしたいのは、一万一千五百二十キロ、このうち整備計画路線として今計画を立てておるのが何キロメートルであるのか、これが第一点であります。  それで、そのうち、資料によりますと、整備計画路線、これは供用開始をしておる路線も整備計画に入っておる、こういうことだそうでありますので、現実に供用開始をしておる路線が何キロであるのか。さらには整備路線、施行命令が出て実際に今工事に着手をしている、もちろん用買も測量も含めてでありますが、それが何キロメートルであるのか。  それから、後でお聞きをしますが、このたびあるいは今秋、冬になるのかわかりませんが、国幹審を開かれる予定であると実は年頭に森建設大臣も記者会見で発表しておるようであります。そのうちのまだ着手をされていない部分が何キロメートルであるのか、これをまずお聞きをしたいと思っております。
  205. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 高規格幹線道路一万四千キロのうち、高速自動車国道として定められておりますのは一万一千五百二十キロでございます。そういう意味では、まず予定路線として、一万一千五百二十キロがスタートラインであります。  そのうち、基本計画を策定し、整備計画を策定し、事業に着手して供用開始するということになりますが、現在、整備計画が策定されている延長は七千八百八十七キロでございます。このうち、供用開始ができておりますのが五千九百四十キロでありますので、現在、整備計画区間であり、事業実施しているというのは千九百四十七キロでございます。  さらに、次の国幹審で基本計画の中から整備計画を策定していく必要があるわけでありますが、基本計画のままになっている区間、これが千七百十六キロとなっております。
  206. 白沢三郎

    白沢分科員 そういたしますと、千七百十六キロは今計画路線という認識でよろしいのですか。
  207. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 現在の基本計画区間になっておりますのが、そういう意味で千七百十六キロでございます。
  208. 白沢三郎

    白沢分科員 次に、年頭の森建設大臣の記者会見だと記憶をしておりますが、昨年は阪神・淡路大震災ということで、国幹審が開くの開かれないのと、こういうことで一年が終わってしまったわけですが、ことしはできるだけ早く国幹審を開きたい、こう発言をされておるようであります。それが九月ともあるいは十月とも十一月とも、いろいろうわさされているようでありますけれども、大体いつごろ開催の予定であるのか、見通しをお聞きをしたいと思っております。
  209. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 新たな高速自動車国道の整備に着手するためには、今御指摘のように、国土開発幹線自動車道建設審議会において、基本計画なり整備計画を策定する必要が出てまいります。  先ほども御説明しましたとおり、現在の基本計画区間は千七百十六キロでございます。そうしますと、これから整備計画を策定するわけでありますが、その前に環境影響評価、これを実施する必要があります。この環境影響評価の実施に当たりましては、都市計画の手続を中心に進めることとしております。  さらに、都市計画決定をしないものについては、昨年公表いたしました大規模公共事業に関する総合的な評価方策の趣旨に従いまして、事前に知事さんの意見を聞いた上で、建設省の要綱に基づく環境影響評価を行うということでございまして、今、都市計画決定あるいは環境影響評価をするための準備あるいは手続、そういうものを進めております。  現在のところの見通しによりますと、こういうものが全国的に、おおむね秋から年内に向けて準備が整うのではないかと考えておりますので、全国的なこれらの手続の進捗を踏まえながら、年内のできるだけ早い時期に国幹審を開いていただくように、我々としては努力してまいりたいと考えております。
  210. 白沢三郎

    白沢分科員 今局長がおっしゃった中に、都市計画の手続をどうのこうの、あるいは環境アセスの調査、今手続中であるとか、あるいはそういうものをやっておると。前回の国幹審はたしか何年でいらっしゃいましたか。
  211. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 前回の国幹審は平成三年の十二月でございます。
  212. 白沢三郎

    白沢分科員 そういたしますと、ことしの秋に国幹審を開きたい、あるいは開く予定である、計画中である、こういうことでありますが、その平成三年から今日まで、もう都市計画の手続を終えているところも相当あるのだろうと思いますし、これからそこに着手をする、そしてこの国幹審に間に合うようにやる、この一、二カ月の間にそういうクリアしたものを国幹審に上げるという、いかにも短兵急のような感じが実はするのです。  都市計画の手続完了あるいは環境アセス、都道府県にお願いするわけですが、ほとんどできているのではないですか。どうなんでしょう。
  213. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 国幹審は従来から数年置きにやっております。前々回は平成元年にやりました。平成元年にやり、次が平成三年、現在平成八年でございます。平成元年に基本計画が出て、それ以来都市計画の手続を進めているところもありますし、それから平成三年の基本計画の策定を受けて、その後既に都市計画決定等が終わっているところもあります。  そういう意味では、現在千七百十六キロあるわけでありますが、正確な数字ではありませんが、数百キロのオーダーでは既に都市計画決定ができているという区間があることは事実でございます。
  214. 白沢三郎

    白沢分科員 では、次に進みます。  この有料道路制度のあり方についての中間答申、去年の九月に報告で、十一月に答申をされました。それで今回、審議会もさることながら、もしもこの中間報告について尊重をするということで、料金値上げをしない前提、ここにもろもろ書いてありますが、公的助成のあり方、償還制度のあり方、料金水準のあり方、この三点がどうも重要のようであります。料金水準のあり方について、料金上昇を回避するよう最大限の努力が必要だ、こう答申で出ております。だとするならば、この答申を尊重をして、この中間答申を踏まえて整備計画を策定をする場合、規模が大体どのくらいになるのか。  もちろん、料金を上げるということになりますと、今の計画路線をほとんど整備路線に上げたいという気持ちはありますが、料金をそう簡単に上げるわけにはいかぬ。いろいろな問題もありますし、それから国民感情もあるでしょうし、あるいはこの答申で、前回の、償還期限を終えた高速は料金を無料にする、こういうことですが、今度は方針を転換したようでして、維持管理も含めて有料だと。  ですから、こういう答申を今回国幹審で尊重し、そして踏まえてやった場合、この計画路線から、千七百十六キロあるそうでありますが、大体でありますけれども、整備路線にどのくらい策定できるのか、お聞きしたい。
  215. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 昨年十一月に道路審議会から、高速自動車国道の整備のあり方等について中間答申をいただきました。その際に、今お話がありましたとおり、料金の上昇を抑制するとともに着実な整備を図る必要がある、このように言われております。  そのためには、まず建設費や管理費の節減、公的助成の拡充あるいは償還制度の見直し、あるいは一般国道の自動車専用道路の活用、いろいろな施策が必要、このように答申を受けております。  そういう中で、料金上昇を抑制しながら、例えば公的助成の拡充はこの予算の範囲内で、あるいはその予算を最大限活用して、どこまでできるのか。さらに、償還制度につきましても、現在四十年間で償還しておりますが、これを、償還制度の見直しはしていいという答申を得ておりますが、じゃ具体的に何年に延ばすかというのは今後の課題でありますし、用地費を償還対象経費からの対象として除くというようなことも含めて、今後検討しなくてはならない事項がたくさんございます。  そういう意味で、現在いろいろな検討を進めている段階であります。あるいは、今後の金利の情勢がどうなるのかというようなことも大きな要素であります。そういうもの全体を踏まえて、現在検討をしております。  我々の推定でありますと、前回約八百九十キロぐらい整備計画の策定ができましたが、先ほど申し上げましたように、今回は料金改定ができない、しかし制度の見直しをするという厳しい状況の中で、どの程度できるかは今後の課題と考えております。
  216. 白沢三郎

    白沢分科員 もう一度戻りますが、国幹審が開催をされる、これは一日も早く開催をしていただきたいという局長からのお話ですが、大体の目安として、まさか五月、六月に国幹審やるわけでもないでしょうし、大まかなめど、何月ごろ、こういうのを答えることはできませんか、局長さん。
  217. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 国幹審の開催時期につきましては、これは総理大臣が会長の、大変大きなといいましょうか、重要な審議会でもありますので、道路局長が余り答えることではないと思いますが、先ほど申し上げましたように、準備ができるのがやはり秋ごろ、十月、十一月になると思います。そうしますと、年内にはぜひやりたいと我々も申しておりますので、その辺から大体の可能な範囲というのが推測されるのではないかと思います。
  218. 白沢三郎

    白沢分科員 大臣、今局長さんが十月あるいは十一月ごろ、もちろん総理の権限で、橋本総理のあれで決まるわけでしょうけれども、大臣も内閣の一員でございますし、局長さんも、そういうことでできたら、こう私は理解をしたのですが、大臣におかれてもぜひともその線でできるなら、どうでしょうか。
  219. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 ただいま局長の答えたとおりです。
  220. 白沢三郎

    白沢分科員 ありがとうございました。  次に、地元のことで大変恐縮なんですが、高速道路、相当いろいろございますが、局長さんも新潟で生まれて秋田で育った、こうお聞きをしております。恐らく新潟あるいは秋田の方に墓参り、盆暮れに行くということになると、大変に不便をされる。新潟までは便利ですが、新潟から秋田まで行くいわゆる日本海沿岸高速自動車道ですが、これを我々、町村長さんたちも地元あるいは沿線の住民も、とにかく一日も早く完成をしていただきたい、工事に着手をしていただきたい、こういう希望を持っております。  それで、大変に御高配をいただいて、前回の国幹審で、新潟から中条までは整備計画から施行命令が出されております。今、工事あるいは用買、測量、いろいろやっておるのですが、問題は中条から以北。これは前回で基本計画路線となっておるのですが、平成三年に中条から村上までは都市計画の手続はもう完了しておる、こういうことでありますが、村上から朝日までは都市計画あるいは事業アセスを今後進めたい、こういうような話でございます。  今度の国幹審で、いわゆる中条から以北、あるいは朝日村までなんですが、朝日から山形へ行って温海、こうくるのですが、温海まではまだ入っていない、こういうことなんですが、中条から朝日間、これは整備計画の策定の見通しはいかがなものか。答えにくいことかもしれませんが、感触としてでもありますし、これは平成三年にもう都市計画手続は完了しておる、こういうことでありますので、我々はとにかくお願いを申し上げて、あるいは我々の切実な要望、気持ちを酌んでいただいて、そして整備計画に格上げをしていただきたい、こういう希望でありますが、局長さん、いかがでございましょうか。見通しで結構でありますが。
  221. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 日本海沿岸東北自動車道、これは新潟から秋田県の小坂町に至る三百四十キロの路線であります。新しい全総でも、日本海沿岸の国土軸を形成するというような構想からいたしましても、大変重要な路線だと認識しております。  御指摘の中条から朝日村間三十一キロのうち、中条から村上市間二十一キロにつきましては、平成三年に既に都市計画決定が終わっております。そういう意味では、準備が全部できているという区間であります。残る村上市から朝日村の間十キロにつきましては、現在詳細なルート、構造の設計等を進めております。できるだけ早く都市計画決定の手続に着手できるように努力していきたいと思います。  こういう状況の中で、どの区間を整備計画にするかは、先ほど申し上げましたが、ネットワーク全体の中からの重要性、それから準備ができている状況、そういうものを踏まえて今後検討してまいりたいと考えております。しかし、先ほどから申し上げておりますように、路線の重要性、あるいは既に都市計画決定がされているということは極めて大きな要素ではないかと考えておりますので、その辺も含めて総合的に検討して整備計画区間を今後定めてまいりたいと考えております。
  222. 白沢三郎

    白沢分科員 大変ありがとうございました。これで少しは我々の気持ちも晴れたような御答弁をいただいて、本当に心から厚く感謝を申し上げたいと思っております。なお、大臣におかれても、我々の要望を酌み取っていただいて、御配慮をされていただければ大変ありがたいな、こう思っております。  なお、我々の期成同盟会も大変に建設省には御迷惑をおかけをいたしますが、あすにもまた期成同盟会で、日沿道の整備計画を是が非でも、こういうことで御陳情に参りますので、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思っております。  それと、もう時間がございませんが、最後に道路財源についてお聞きをしたいのです。  この道路網でありますが、全国の格差を是正する、こういう意味で全国の高速ネットワークを実現をしたい。特に、都市部はさておいて、地方の過疎化の進んでおる地域は、道路は我々の命である、こういうことでその一日も早い実現を実は切に願っておるのです。  だけれども、なかなかそれが進まぬ。結局は、つまるところは道路財源が問題、こういうことになってきておるのですが、この中間報告を拝見をしても、建設省はやりたいと言ってもなかなか大蔵省等々、あるいはこれは今交渉中だとお聞きをしておりますが、そう簡単に認めていただくわけにいかぬ。こういうことで、しからば料金を上げたい、こう言いますと、国民感情から、料金を上げるとは何事だ。こういうようなことで、お互い料金と工事と相反する状態だろうと思っておるのです。  それで、毎年毎年実はこういうことでありますけれども、お互いに陳情をやって、あるいは大蔵省と建設省が折衝をやって、しかもその繰り返しであったのですが、今二十兆も超えるという借金、赤字である、こういうことを考えてみますと、もう少し抜本的に物事を変えて、そして国民の納得のいくようないわゆる財政、財源を確保できる方法はないのか。  こういうことをもちろん建設省も相当お考えでありましょうが、実は、私は新潟でありますが、新潟県の道路建設課長は、私のところに先般参りまして、きょう資料を実は持ってこなかったのですが、同じことを繰り返してもこれは借金がふえるだけだ、もっといい方法ということで、地方からその声を盛り上げよう、我々は県民を納得させたい、こういうことでして、高速自動車道の料金、いわゆる税収アップにするために、タイヤを買ったときに、例えばの話ですが、タイヤ税なるものを考えたらどうか。大変に画期的な御意見を私は拝聴したのです。  全国、もちろん建設省が——林野庁が入山税というものをやったことがございます。これは国民からの反発でだめになってしまった。あるいは、細川内閣のときに、福祉税をやって一〇%云々という構想も出たことがございます。これも国民からの反発でだめになってしまった。ですから、こういう中央官庁あるいは国からのそういう徴収でなくて、広く国民に納得をしていただいて、我が新潟県でもというような構想で、タイヤを買った人たちには何%かの税金をいただくというような構想を、あるいは発想を建設省の皆さん方にも何とかお話を申し上げて考えていただけないか、実はこういう話でございました。いろいろもろもろ考えておるのでしょうが、それができれば一番、大変有効でいいことだなと私も感心をしたのです。  建設省の皆さん、特に道路局の皆さん、あるいは大臣も含めてでありますが、そういう抜本的な財源の確保、このことについて何か考えておられるのかどうか、お聞きをしたいと思っております。
  223. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 我が国におきます道路整備を進めるために、特に事業の立ちおくれに緊急に対応するという観点からは、道路整備につきましては、一般財源とともに自動車利用者の受益に応じて負担を求める特定財源、これが活用されているところであります。第十一次道路整備五カ年計画におきましても、一般財源の投入の拡大を図るとともに国及び地方の特定財源の充実を図ったところでございます。今後ともこの特定財源の堅持をしてまいりたいと考えております。  御提案のタイヤに係る税につきましては、我々の調べたところでも、アメリカにおきましてタイヤに課税をして道路の特定財源にしたという例があるというふうに聞いております。一つこれも受益者・損傷者負担の考え方に基づく考え方ではないかと思いますが、こういうものが、地方においてもあるいは国全体においても、国民に理解されるかどうかについて慎重に検討する必要があるのではないかと考えております。
  224. 白沢三郎

    白沢分科員 最後であります。  もちろん車にはガソリン税、あるいは重量税等々で特定財源、これは田中先生の当時だと思いますが、設定をされた。アメリカでタイヤ税はあると私も聞いておりますが、そういうものをもろもろと、世界の状況、外国の状況を検討していただいて、例えばの話がタイヤ税、こういうものが出てきたわけでありますので、どうかこれからもより検討をしていただいて、一日も早い高速道路網の完成を心から期待を申し上げて、さらに建設省の皆さん方にもぜひとも御努力を心から御期待を申し上げて、時間でございますので終わりたいと思っております。  大変きょうはどうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。
  225. 田中昭一

    田中主査 これにて白沢三郎君の質疑は終了いたしました。  次に、永井英慈君。
  226. 永井英慈

    永井(英)分科員 新進党の永井英慈でございます。  二点について御質問をさせていただきたいと思います。  実は、急な質問でございまして十分な準備もできておらないのですけれども、まず、平成四年、五年の公共事業関係費補助金の総額をいただきました。そうしましたところ、平成年度が約四兆円、そして平成年度が約四兆一千億円。それに国の直轄事業が、平成四年が一兆五千億近く、平成五年が一兆六千億強。これを合わせてみますと、建設省の公共事業費が、平成四年が五兆四千億、平成五年が五兆七千億なのですね。  そこで、今、申し上げるまでもなく地方分権、規制緩和、行政改革、財政改革、これは抜本的な見直しが迫られておるわけです。その中でも、実は今地方分権に関する特別委員会でも質疑をしてきたのですけれども、国の補助金制度のあり方、これは深刻な事態と私は受けとめているのです。  そこで、まず、補助金の交付の申請から事業完成までの手続、これは膨大な手続が要るわけです。昭和三十年に制定された法律ですけれども、補助金等に係る予算執行の適正化に関する法律、実はこの系統図というのですか、申請の手続の図を、チャートをいただきましたが、この各段階で扱われる事務量、これだけでも膨大なものだと思うのです。そこで、この補助金の制度について、建設省は基本的にどうお考えになっているのですか。
  227. 伴襄

    ○伴政府委員 補助金の問題につきましては、いろいろなところで問題になっていることも私どもよく承知しておりますが、私どもの扱っております道路にしても河川にしても下水道にしましても、あるいは住宅にいたしましても、やはり国と地方の適切な役割分担で、国だけではもちろんだめですし、地方とも役割分担して一体的に進めるという必要があろうかと思っております。  特に国の役割というのは、やはり広域的な観点から、例えば県域をわたってという広域的な観点から必要な調整を行うとか、あるいは一どきに大変多量の事業費が要るといったような事業を重点的に、機動的に実施していくという意味で、そういうときに補助金が生きるのではないか、有効ではないかなというふうに考えているわけでございます。したがって、こういう有効性のある補助制度というのは欠かせないのではないかなと基本的には思っております。  ただ、先生御指摘のように、例えば先般の地方分権推進委員会の中間報告がございました。あの中でも、国庫負担金、補助金のたぐいは、広域的な効果を持つ根幹的な事業などに限定することというようなことの御指摘をいただいております。  建設省といたしましても、なるべく補助も地方の主体性、自主性を最大限に尊重いたしまして、それも例えば一つの地方公共団体を超える広域的な観点からの施設整備、例えばネットワークとしての道路だとか、それから水系としての河川だとか、あるいは大都市圏における住宅宅地供給だとか、県をわたるような、公共団体をわたるような、そういうたぐいのものでございます。それから全国的に整備水準のバランスのとれないものについて、それをバランスをとる。例えば、下水道などはかなりおくれているところはおくれておりますので、そういうものについてバランスをとるというようなことでございます。それから国家的プロジェクト等に関連して集中投資をする。オリンピックをやるとか、あるいは国体をやるとか、何か博覧会をやるとかといったときには、急にある一カ所のところで大量に要るといったようなものもございますので、そういったところに重点化していきたいというふうに思っております。  それからもう一つ、やはり補助の手続のお話等もございましたけれども、交付の仕方も極力手続的には簡素化する。添付書類なんかも省略させるとか、何回も来ていただくのを回数を減らしていただくとか、それから、補助の中身も、いろいろな補助金がございますとそれを統合いたしましてメニュー化する、メニューを提供して、公共団体からその中から選んでもらうといったようなことをやりまして、この補助制度の改善、改革については大いに努力していきたいというふうには考えておりますし、現にいろいろな形でやらせていただいております。  それから、内部的なことでございますけれども、この公共事業の効率的あるいは効果的な実施というのは、いろいろ私どもは課題として迫られていると思っておりますので、そういう公共事業の効率的・効果的実施についての検討委員会というのを省内に設けまして、それで今の補助金等の問題も含めて、公共事業をいかに重点化、効率化していくかといったようなことについて我々なりの回答を出して、それで実施していきたいというふうに考えているところでございます。
  228. 永井英慈

    永井(英)分科員 今補助金制度の基本的なあり方について御説明がありました。でも、お話を伺って、その広域的なこと、あるいは地域の整合性を持たせること、あるいは河川だとか道路とか、そういう視点で補助金が出されているというのは実は非常に少ないという感じを私は持っているのです。  というのは、私、神奈川県でございますが、これは神奈川県の平成年度の箇所表なのですね。これを見ましても、そういう視点で補助金が必要だから出しているということは考えにくい補助金が随分あるというように感じます。しかも、これ建設省の関係で、すごいのですね、平成四年、五年分はないということなのですけれども、補助金の箇所数、平成六年、二万六千三カ所だというのです。平成七年、二万六千七百五十三カ所、これが今お話しのような基準、考え方にのっとって補助金が出されているのではないというふうに私は感ずるのです。  そこで、抜本的なこの補助金のあり方を今見直さなければ大変なことになるだろうということでこの質問をさせていただいておるわけでございますが、この補助金対象事業については、実施主体、執行地方自治体がやっているわけですね。ですから、地方自治体の一般財源に最初からしてしまう。一定の基準を設けて完全に補助金制度は廃止していいのではないだろうか。そして、建設省がやるべき仕事は今の直轄事業、それに限定すべきだという考え方を持っているのですけれども、どうでしょう。今お話しのような基本的な考え方、あるいは必要性に応じて、この補助金制度というのはどうしても続けていかなければならないのか。私はもう全廃していいというような考え方を持っております。  と申しますのは、地方議員をやっておりまして、都道府県、市町村それぞれかなりの執行能力があると判断をしておりまして、この席では、ぜひ全廃に向けて取り組んでいただきたい、こういう主張なのですけれども、いかがでしょう。
  229. 伴襄

    ○伴政府委員 件数の多さをおっしゃいましたが、二万件ということでしたけれども、三千三百余りの公共団体を対象にしておりますので、全国トータルにしますといかにも多いように思われるかもしれませんが。  それで我々重点的にということで、極力箇所数も、重点的にということは結局箇所数は減らすということでございますけれども、そういう努力もしてきておりますし、そういう重点化の努力はやってきておりますので、単に全国の合計だけで、ばらまきではないかというふうに思われても困るのですが、我々は極力公共団体の御要望にきめ細かく対応していこうということで、一方ではそういうきめ細かい対応ということも必要だと思っておりますので、そういう心構えでいることを一方では御理解いただきたいと思っております。  今先生からたまたま全廃という御意見がありましたけれども、さっき申し上げましたように、補助制度というのは、やはりそれぞれの公共団体がばらばらで、まあ財源の問題もありますけれども、財政的な手当てもございますけれども、その自分の財政能力に応じてばらばらと対応されたのでは、例えばネットワークとしてやるような道路が、あるところでは整備され、あるところでは整備されてない、つながらないとか、あるいは、河川はもうほとんどが水系では本当に一体的なものになっているわけです。下水道もそうでございます。大都市圏の住宅問題などはそれぞれの公共団体、特に市町村がばらばらやられたのでは、恐らく大都市の住宅問題は解決しないといったようなこともございますし、それから、大きなプロジェクトをやるときに集中的に投資するというようなことは、恐らく各公共団体ではそのときに対応できないのではないかという感がいたしますので、補助金そのものについては大変有効であると私は思っておりますし、せっかくの御提案のその点だけは、ちょっと私も賛成しかねるところでございます。  ただ、補助金についてのいろいろな執行の問題点というものはあると思いますので、それは御指摘もありますし、十分に努力していきたいというふうに考えております。
  230. 永井英慈

    永井(英)分科員 とにかく二万六千カ所、そして金額にしても四兆円ですね、これを全国に配分というか、補助金で出しているわけです。この事務量、例えば小さなことですけれども、この紙一つ、これだけの紙一つにしても大変だと思うのです、行政経費の節減の視点から見て。こういう事務経費を徹底的に削減しなければいかぬというのが私の考えでして、それには補助金制度を、地方自治体への補助金はもう全廃の原則を打ち立てるべきだ。  今お話しのように河川の管理、これは一体性が必要です。道路についても整合性が必要です。しかし、今近隣の各自治体が十分調整する能力はあると私は思っているのです。建設省が補助金を、一々補助基準とか何かいろいろつくって、そしてこういう事業をやりますと出しますよ、自治体は自治体で検討して、もらえるならやろうというような制度は、徹底的に廃止しなければいかぬ。基本的に私は、この補助金制度というのは明治以来の国の統治構造の根幹をなしている、あるいは支配構造の根幹をなしている部分だろうという認識を持っているのです。今、もうそうじゃない。それぞれの自治体も自治能力はある、執行能力はある。だから、徹底してこの中央の関与を排除していく、その一番のポイントがこの補助金制度であろう、このように私は思っておりまして、今お話しのように、整合性だとか一体性、こんなのは十分確保できる。  申し上げるまでもなく、財政ピンチです。私は、今後日本の国・地方を通じての財政危機、どう回避していくのか、回避できないのじゃないだろうか。とりわけ高齢化、さらには経済全体が、私は日本経済はデフレ傾向になっていくと思うのです。避けられない。そういう中で、税収は極めて深刻な事態になろうと思うのです。そういう視点からしても、この補助金制度はもう全廃しなければ国の財政はもたぬ。しかも、手続で余りにも税金のむだ遣いが現実に行われている。  私は、建設行政については地方議員時代から全くタッチしてなかったのです。でも、今回、地方分権をやってみて、これに取り組んでみて、そしてたまたまこの補助金のことに気がつきました。その象徴的なこととして、建設省の補助制度、補助金の実態についてちょこっと調べただけなのです。本当にもう小指で触れた程度のことなんですけれども、深刻にこの制度を私は受けとめておるわけです。これはもう全廃しても十分国土整備、国民生活に影響はないという考えに至りました。ちょっとしつこいようですけれども、もう一度ひとつ明確に御答弁をいただきたい。これはもう全廃の方向に向けて姿勢を転換しなきゃいかぬ。  しかも、今のお話は、私が言いました統治構造あるいは支配構造、この発想から抜けていないような感じがするのです。  例えば、またちょっと話が長くなって恐縮ですけれども、国体やる、集中的にやる、そういうときはそういうときで、ぴしっと国の補助制度も別につくれるはずなんですね。それを公共事業という形で補助金を出している。ぜひ廃止の方向に向けて全省挙げて取り組んでいただきたい、このように考えているところです。もう一度御答弁をしっかりいただきたい。
  231. 伴襄

    ○伴政府委員 どうも限られた時間で、先生に御理解いただくのはなかなか至難でございますけれども、本当に補助金を全廃して大丈夫というのはどういう状況かというのがなかなか私にも理解できないわけですが、こんなことになって大丈夫かと、むしろこちらの方がそう逆に思うわけでございます。  今の執行体制のお話もございましたけれども、どの公共団体も同じように立派な執行能力があればいいのですけれども、それはまた、まだいろいろ千差万別あるということはいろいろな事情が証明しているところでもございます。  それから、加えて、財源的なことでございますけれども、各公共団体によって財政能力というか、財源能力もかなり違うと思うのですね。そういったものに対してどうやるのだろうかといったようなことも思います。  先生がおっしゃったのは、手続が大変だとか紙の枚数がこんなにたくさんだ、こういうお話でございますけれども、それは確かに影の部分というかマイナス部分があるかもしれませんけれども、それはいろいろな努力で、なくすわけにいかぬけれども、減らす努力ということは可能だと思います。  それよりも、補助金によってどんな効果が上がっているかというプラスの面ですね。補助金によって今住宅・社会資本整備がいかに進んだかといったようなプラスの面をぜひとも積極的に評価していただいて、明るい面を見ていただきたい。暗い面じゃなくて明るい面を見ていただきたいということをぜひともお願いしたい。  それで、その暗い面は一生懸命努力してなるべく暗いのを少なくする、薄くする、そういう努力をさせていただくということを約束させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
  232. 永井英慈

    永井(英)分科員 もう一度言いますけれども、二万六千カ所、四兆円前後の公共事業は、実は全部地方自治体がやっているのですね。全部やっているのです。建設省はお金を出すだけなんです。そうですね。全部都道府県、市町村がやっているのです、現実に。建設省はとんから持って一つも作業してないのです。建設省がやっているのは直轄事業だけなんです。ですから、補助金を全廃して何ら支障はない。全廃した後、公共事業の財源を、どういう仕組みをつくっていくかが今一番の問題だと思うのです。執行能力はあるのです。現に全部やっているのです。現にやっているのです。ですから、この補助金制度は、今度は財源の面で、財源制度を変えていけばいい。  では、補助金をなくして何がデメリットがあるか。私は考えられない。  今、影の部分ばかり強調していると言うけれども、日陰の部分、今まで確かにあったでしょう。全国的に、大規模あるいは一体性、整合性等々の視点からやってきた。しかし、これだけ財政がピンチになってきますと、紙一枚も節約することが求められると思うのです。  恐らく建設省の事務量の中で、ちょっとくどいようですけれども、建設省の事務事業のうちで補助金を出すための事務量、これが圧倒的に多いのじゃないかと思うのです。これから精査して私なりにまた論文なり主張を出していきたいと思うのですけれども、恐らく建設省の仕事のほとんど、半分以上、この補助金交付のための事務になっているのじゃないか。  それからもう一点、地方建設局、これも実は廃止するとほとんど要らなくなる。国直轄事業をやればそれでいいわけですね。ですから、非常に狭まってくる。  それからもう一つ、補助金制度を廃止することによって陳情がなくなるのですね。私は、国会に来てみて、地方から出てきて、腰を曲げてかばんを提げてきた人たちが陳情している風景は、何とも哀れに思えてならないのです。全くのむだなことだと思うのです。  ですから、建設省は、もう要望にとどめますが、とにかく補助金制度を全廃した後、地方公共団体の公共事業の財源をどう確保するか、この財源の制度を研究していくべきだと強く要望しておきたいと思うのです。一言ありましたら、ちょっと。
  233. 伴襄

    ○伴政府委員 事務量のことでお話ありましたけれども、補助金の交付業務とかそういうことだけで建設省が全体を、半分と言われましたけれども、とんでもないことでございまして、それはほんの一部でございます。  御指摘いただいたように、例えば直轄の河川とか道路の管理というのも、これも大変大事なことでございまして、今地建は要らないとおっしゃったのですが、地建、地方建設局は、まさに直轄の道路、河川を整備し、それを管理する、その仕事のためですから、これはもう絶対補助金交付には直接関係しておりません。今建設省の職員のほとんどは地建におりますけれども、それはこの事業のためにやっているわけでございますので、御理解いただきたいと思います。  また、陳情の話も出ましたけれども、私どもも、むだな陳情をされないようにということで何遍もお願いして、それから公共団体、東京事務所等を通じましてお願いしております。最近それはかなり改まっていると思いますが、決して私は、先生のおっしゃるように、哀れというふうには見ておりませんで、来ていただくときには、本当に我々も真摯に接触して、本当に地元の真の声、生の声を聞かせていただくチャンスでもある、そう積極的に思っておりますので、ひとつそういう意味でこちらの方も前向きに御理解賜りますように、よろしくお願いいたします。
  234. 永井英慈

    永井(英)分科員 とにかく、徹底的に発想を転換して行政経費の削減に全力を挙げていただきたいし、重ねて申し上げますけれども、地方自治体の公共事業の財源制度の確立、これはぜひ研究していただいて、実現に向けて努力していただきたい。要望しておきます。  それから次に、もう時間もないので簡単にさせていただきますけれども、建設業法第三条、私は初めてこの建設業法というのを読んでみました。すごい法律なんですね。ここまでやらなければいかぬかな、よくもこれだけ制度、法律をつくったものだと感心をしながらも読んだのですけれども、その三条の「建設業の許可」について、経済局長、お見えですか。——そこで、都道府県知事の許可それから建設大臣許可と二通りございます。  この制度についてはもう皆さん熟知していますから、私がどうこう言うことはないのですけれども、これも地方分権やら規制緩和や行財政改革の視点から、この二つの許可制度、とりわけ建設大臣の許可制度は、これまた全く要らない、全廃していいと私は感じたのです。  まず冒頭、このことについて局長の御答弁をいただきたいと思います。
  235. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 これは私が改めて申し上げるまでもないかもしれませんが、現在の建設業法の考え方でございますが、これは全国にわたりまして許可の統一性を確保する必要があるという観点から、全国一律の基準によりまして許可を行うという仕組みになっておりまして、しかも、これは国が行うということになっております。  これは必ずしも建設業法ばかりではなくて、ほかの分野でも、業に対する規制が必要な場合には、こういう、国が一律的な規制を行うという仕組みになっておるわけでございます。  問題は、その際、国が行うそこの部分を、大臣がみずからやるのか、知事にお願いしてやっていただくのかという問題であろうかというふうに思います。  これも現行法の考え方は、主として一つの県の中で営業を行われるような方は、その申請者の便宜を図るといったような観点、あるいは行政事務処理の効率化といったような観点から、知事さんにお願いして処理をした方がよかろう。ただし、営業所を複数の県にまたがって設けて広域的な事業展開をやる業者さんに対しましては、これは特定の県の知事さんに許可をお願いし、指導監督もお願いするというのはちょっと負担が重いのではないかということで、国がみずから、つまり大臣がやろう、こういうことで現在のような姿になっておるわけでございます。
  236. 永井英慈

    永井(英)分科員 全く私はそれが理解できないのです。大臣許可も県知事許可も全く同じ様式であり、チェック項目なんですね。全く同じなんです。大臣許可が必要なのは、二県以上で営業所を開設することのみなんですね。そのためだけに大臣許可が必要なんです。その大臣許可をとるために、新規にとるんだったらまず都道府県の工事検査課というんですか、指導課へ行って申請する。そうすると、それで一カ月半ぐらいかかる。今度は建設省へ上がってくるんですね。全く同じ書類が上がってくるんです。そのチェックに半年かかるんです。全く同じ仕事をやるんですよ。県知事の方がいいわけなんです、地元ですから、事務所を調査するとか何とか。これもどうしても考えられない。八カ月もかかるんです。建設業の業界の秩序を乱すとか行政に混乱を来すということは全く考えられない大臣許可制度だと私は考えているんです。  今の経済局長のお話ですと、国民が聞いたら、全くむだな制度だったんだなということがよくわかると思うのです。そういうことで、もう時間もありません。議論の余地なしと私は考えております、この件については、現実に。  それから、チェック項目も、もう少しやりたいのですが、すごいんですね。それから、この建設業の許可を得るのに二十八の工事の種類が指定されているんです。タイル屋さんとかブリキ屋さんとか、こういう業者にまで知事の許可、大臣の許可が必要なのかどうか、すごい疑問を持っているんです。  ですから、もうこれで終わりますが、局長、ぜひこれは、大臣許可については全廃の方向で検討するということを明言していただきたい、全く要らないものであるということ。  それで、そのために、すごいんですね、建設省だけでもこの建設業課に二十七人もいる、平成四年。平成五年、二十八人。神奈川県、私は地元ですから、建設審査班、専属八人、それから臨時に雇ってくる、仕事が忙しいときに、十二人。それで、建設審査班の職員に聞いてみたんです。そうしたら、とっても忙しくて、毎日毎日忙しくて、この業務、これだけじゃありませんけれども、忙しくて、夜六時、七時、八時まで仕事をやっていると言うんです。まさにこれは行政改革、行政経費の削減の一つのポイントだと思うのです。  ぜひ前向きに、全廃をするということでひとつ御検討いただきたいし、その御答弁をいただいて私の質問を終わります。
  237. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 まず、大臣許可の業者がどの程度いるかということからお話し申し上げたいと思いますが、全体で最近五十五万業者でございますが、このうち約一万弱が建設大臣業者でございますので、建設大臣業者の事務処理で忙しいということではなくて、むしろ本来やっていただいております知事許可業者の処理が大変だということではないかと思います。  それから、大臣許可はやめたらどうかということでございますが、例えば、現行制度は許可を一つもらえば全国どこでも仕事ができるわけでございますが、お説のようなことになりますと、複数の県で事業をやります場合に、それぞれ県の知事の、A県、B県、C県と許可をそれぞれとらなければならない、こういうことになりかねませんので、かえって規制強化になるのではないかというふうに思っておりますので、その辺はどちらがいいのかということにつきましては、私どもでは、現行法の仕組みが割合実態に即しているのではないかというふうに思っておりますし、業界の関係筋、業界の団体でも特にそういうことが今問題になっているという状況ではないのではないかというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  238. 永井英慈

    永井(英)分科員 時間が来ましたので終わりますが、とにかくもう少し議論させていただいて、この問題についても改革に向けて御努力をいただきたいと思います。  ありがとうございました。
  239. 田中昭一

    田中主査 これにて永井英慈君の質疑は終了いたしました。  次に、栗原博久君。
  240. 栗原博久

    栗原(博)分科員 発言の機会をお与えくださいましてありがとうございます。  日ごろ、中尾建設大臣を初めとする建設省の皆さん、我が国の国土の保全、そしてまた道路、交通網あるいはまた河川、もろもろの建設事業に対して多大なお力をお示しになっているということについて、まず深く敬意を表します。  またあわせまして、昨年の阪神・淡路大震災あるいは豊浜トンネルなどにおきまして本当に建設省の皆さんが一丸となってその対応をされたことについても、国民の一人として強く心から感謝申し上げる次第でございます。  その中で、今建設省に求められておりますことは、限られた財源、ゼロシーリングというもので財政もなかなか厳しいようでございます。先ほども私、別の分科会で久保大蔵大臣に日本の財政問題についてもちょっとお聞きしてまいったわけでありますが、そういう限られた財源の中で、いかに有効にかつ敏速に予算執行するかということが皆さんに求められているわけであります。この豊浜トンネル事故の対応を見ましても、まだまだ全国的に、私の選挙区にも岩が落ちてくるようなトンネルもあるわけでありますが、私は、その中で本当にこれから大変な御苦労をされることと思います。  当然、それに伴いまして、中央におられます皆さんを初め、建設省の全職員、一丸となってきめ細かな対応をされていることと実は私も見ておるわけでありますが、それだけまた建設省の皆さんもお仕事も大変であり、今まで建設省の職員も、一次から八次までの定員削減計画があったようでございますが、大変御努力されて削減計画を成功されてまいったわけであります。先ほど申しましたああいう淡路大震災とか、あるいは豊浜トンネル工事のああいう崩落事故等が出てまいりますと、今まで予想しなかった仕事の面で、私の選挙区にも信濃川、阿賀野川があるのですが、いつも現場の職員の方々が、私ども余り気がつかないのですが、細かなところまで河川の監視をされているのを見ておりまして、本当に大変だな、当然それに伴う人件費等にも大変なお金がかかっているだろう、そこにさらにこのような事故が起きてくるとやはり職員の方々の負担も大変だろうと思うのであります。  そういうことを踏まえまして、建設行政を円滑に進める中で、現在の建設省の職員の皆さんの適正な配置、あるいはまた、それに伴って建設行政をさらに円滑に進めるために増員等の計画はあるのかどうかということについてお聞きしたいと思うわけでございます。
  241. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 日ごろ栗原議員には大変に国会の中におきましても御苦労をかけ、また同時に、御協力も賜っておるものですから、心からこちらの方も感謝を申し上げたいと思っておる次第でございます。  建設省の業務につきましては、公共投資基本計画実施によりまして、今後も生活関連事業を中心に一層の増大が見込まれていくものである、こう思っておる次第でございます。  事業執行に際しましては、地元調整、環境対策、新たな入札契約制度への取り組み等にきめ細かく対応するとともに、河川、国道等の管理につきましても、複雑・高度化する国民のニーズに的確に対応していくことが求められている次第でございます。  建設省としましては、過去五年間で、政府全体の定員削減計画に基づきまして約一千四百人の削減を実施する中で、こうした状況に対応するため、五百八十五人の増員数を確保してきたところでございます。今後とも、建設行政に対する国民の大きな期待にこたえるために、関係方面の理解を得ながら、なおかつ、引き続き必要な要員の確保に取り組む考え方でございます。  ちなみに、多少とも、私も今回のこの御質問のアウトラインをとらえましたときに、いろいろと聞かせていただきました。また同時に、調べてみますると、このような削減をいたしましたというところは全く建設省だけでございまして、他の省庁、あえて名前は伏しますけれども、やはり建設省が一番この点においては、削減の上に立っての一つの秩序というものに対しては厳しく守らせていただいた、こういうことにつながりましょうか。  それだけに、実を申し上げますと、私どもとしては、これはこのままではいかぬのではないかな、このままでやっていけないのではないかなと。だから、ある意味においては、アルバイターとは申しませんが、別の形においての協力を求めなければならぬ要員を必要とする、こういうところにもあるわけでございます。私どもはその点についても、むしろ栗原委員等の御協力も、十分御理解をいただいた上でいただかなければならぬことだ、こうさえ思っておるわけでございます。  これはまた後ほど、私のこの問題に対しての問題点は、他の答えさせていただくスタッフもおりますので、もう少しその点については申し上げたいと思います。  平成年度以降の定員につきましては、政府としては計画的削減の方式が継続される予定でありますが、その具体化に当たりましては、建設省の厳しい定員状況を十分に踏まえた内容としていただきたい、このように考えておる次第でございます。  以上でございます。
  242. 栗原博久

    栗原(博)分科員 では、御答弁いただけますか。
  243. 伴襄

    ○伴政府委員 では、事務的なことを最後に。  大臣からお話がありましたように、定員削減の方は大変大幅な削減官庁になっております。それを本当は増員の方でカバーできればいいのですけれども、今までのところは十分にカバーできなかった。建設省の定員は、実はピークのときに比べて三分の二になっておるわけでございます。  御指摘ありましたように、事業量もふえておりますし、それからいろいろな事業そのものあるいは管理そのものが、質的にも大変複雑で難しくなってきておりますので、それをカバーできるような必要な人員を確保するという意味で、増員の方も努力していきたいというふうに思っております。  これからの計画的な定数削減についても十分の御配慮をいただきたい、実情を御勘案いただきたいということで、我々も一生懸命政府部内でも努力していきたいと思っておりますので、よろしくまた御指導いただきたいと思います。
  244. 栗原博久

    栗原(博)分科員 ただいま大臣初め局長の皆さんからお話がありましたが、まさしく行政改革の一環として、建設省はこの削減計画に一番御努力されておるわけでありますし、それゆえにまた職員の方々も大変だろうと思うのです。先ほど申したとおり、こういう事故等が起きますと、やはり河川とか道路等についての管理あるいはまた監視体制の中で、当然地元の地方自治体は、さらに建設省に対して御期待をするわけでございます。私ども地元におきましても、やはり市町村長は口をそろえて、建設省の出先の機能の充実と申しましょうか、それを求めているわけでございます。  先ほど大臣からのお話を承りまして、私も大変安堵いたすと同時に、また今後の建設行政の機能の充実の面においても、やはり人的な面を含めてひとつ御検討賜りたいと思うわけでございます。  さて、きょうせっかくこういう決算委員会でのお時間をいただきましたので、地元の問題を御要望申し上げて大変恐縮でございますが、実は私どもの地元で三条市というところがございます。これは、新幹線の燕三条の停車駅のある、三条市を初めとする県央地区で二十七万人の人口を擁しているところでございます。これは地場産業でございまして、大変いろいろの複合産業都市でありますゆえに、道路等について大変期待が大きいわけでございます。  かつてこの選挙区には田中角栄先生という大先生がおられまして、いろいろ公共投資あるいはまた産業アクセスの面で整備を図られたわけであります。中尾大臣におかれましては、大臣の地元ではリニアモーターカー、我々にとってはぜひひとつそういうお力、大臣のお力であそこまでいっていると思うのでございます。私ども、田中先生が政界を去ってから、とかくいたしますとやはり新潟の建設投資というものはちょっと低くなっている、これは我々政治家の努力の至らぬ点もあると思っておるわけでございます。  そこで、話はもとへ戻りますが、三条市におきまして、ここは国道八号線、それから二八九、四〇三等が交差しておるのでありますが、三条市の都市整備というものが、地場産業の都市であるゆえにいろいろの調整等を要しておりまして、道路網がまだまだおくれている面がございます。やはり環日本海時代、特に国土軸の中における新しい産業形成をさらに進めるためには、どうしても三条市周辺の道路網の整備が待たれているわけであります。  それについて、そこを通っております四〇三号のバイパスの問題について、特にこの四〇三号は昭和五十六年の四月に国道決定しまして、そして三条から亀田まで約三十二キロメートルが国道昇格されてからこの事業推進されてまいりましたが、以後、新津の南バイパスで暫定二車線が供用されております。あるいはまた、三条北バイパスについても事業着手をいただいておるところであります。  このバイパスの進捗状況はどのようになっているかということ、そして今後の整備の方針等について、地元の問題をお聞きして大変恐縮でございますが、大臣にいろいろなことをお聞きして恐縮ですが、ぜひひとつ、お時間の中で御答弁賜りたいと思います。
  245. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 国道四百三号につきましては、新潟市を起点としまして、新津、三条、長岡市を経まして、長野県の松本市に至る二百五十五キロの幹線道路でございます。  そのうち特に新津市から三条に至る間については、順次バイパス事業を進めております。現在、一般国道の補助事業といたしまして、五・四キロの新津南バイパス、それから延長七・八キロの小須戸田上バイパス、延長八・三キロの三条北バイパス等の事業を進めております。  新津南バイパスにつきましては、昭和五十年度事業着手し、平成年度までに暫定二車線で全線供用開始しております。  それから、ちょうど中間にあります小須戸田上バイパスにつきましては、平成年度に新規事業として事業着手をしておりますので、今年度につきましては測量、設計等の調査を進めてまいります。今後事業の進捗を図っていく必要があると考えております。  それから三条北バイパスでありますが、これにつきましては、昭和五十九年度事業着手しまして田上町側から用地買収と改良工事を進めてきておりまして、平成年度には、加茂川にかかる千代橋を含む〇・四キロの間、部分的に供用開始をしております。平成年度につきましては、用地買収を完了している加茂市から田上町にかけての二・八キロ、この区間について暫定二車線で供用を図るよう、工事を進捗してまいります。現在鋭意努力しておりますので、おおむね五年程度でこの区間についても供用が図られるのではないかと考えております。  平成年度に着手したバイパスの区間もありますので、今後とも地元の皆様の御協力を得まして早期に供用できるように努力してまいりたいと考えております。
  246. 栗原博久

    栗原(博)分科員 道路局長さんから、特に三条北バイパスについては今後五年程度で供用開始できるというふうに今御答弁賜りましたが、三条市の市内に参りますと、法線が未決定の区間がございます。県道塚野目代官島から西の方を含めて整備促進を図る必要があるのでございますが、実は中尾大臣の御就任前の森大臣から、特にこの四〇三号の早期促進ということで、市町村長挙げて大臣のおいでを賜りまして、つぶさに現地を視察していただいたのでございます。特に、この四〇三号が八号に通じるにはどうしてもやはり信濃川に橋をかけねばならないということで、これについて何とか調査費等をつけていただきたいということで御要望をする予定でございましたが、ちょうどあのときすぐ内閣がかわりまして、みんな待っておったのですがお越し願ったときにはもう大臣をおやめになっておったのです。しかし、たとえ大臣をおやめになっても、強くやるというようなお話でお帰りになられました。  しかし、こうして実力大臣の中尾大臣が今御就任されておりますので、当時森先生がお越しになったときの件についてぜひひとつ御理解賜りまして、この四〇三号、五年以内と申しましたが、もっと早く、そしてそれは八号に通じる橋梁を含めてというふうに解釈してよろしいのでございましょうか。よろしくお願いします。
  247. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 先ほど御説明しました三条北バイパスにつきましては、今御指摘がありました、とりあえずは終点が県道の塚野目代官島線になっておりますので、これまでの区間についてはおおむね五年程度が見込まれております。これにつきましては、今御指摘ありましたように、さらに少しでも早い供用開始が望まれておりますし、我々としても努力する必要があると考えております。  さらに、この県道塚野目代官島線から燕市の方に、国道八号に接続していく路線を決定する必要がございます。この三条市におきましては国道二百八十九号それから四百三号、こういうものが通っておりまして、これらの道路のそれぞれのバイパスが必要でありますので、この二百八十九号のバイパスそれから国道四百三号のバイパス、これらを一体的に考えて、現在地元でルートの調整をしております。速やかに調整が終わり、早く都市計画決定ができて事業に着手する必要があると思っておりますので、そのように新潟県等を強力に指導していきたいと考えております。
  248. 栗原博久

    栗原(博)分科員 せっかくお時間をちょうだいしておりますので、さらにひとつ御要望といいましょうか、地元の問題を含んでお願いして終わります。  ここに、三条の市内から八号線に通じる石上橋という橋があるのでございますが、この四〇三号が本当に機能を果たすためには国道八号に出なければならない。皆さんのお力でこの九月ごろ正式認可いただくと思うのですが、燕−三条間に県央大橋という橋を平成十四年度の完成をめどに今仕事が進んでいるわけでありますが、そうしますと、この県央大橋は、燕−三条には——中ノ口川と信濃川は川と川の間がほんのわずか数百メートルしかないわけですね。ちょうど信濃川の本流が三条のちょっと上流から分かれまして中ノ口川という川と信濃川に分流するわけでございます。そしてこの川が、先ほど言ったとおり、川と川の間の距離が本当にわずかなんでございます。そこで、今県央大橋はこうやって着工のめどが立っておるわけですが、四〇三号が塚野目代官島にぶつかりましてから右折して国道八号に向かうには、どうしてもこの信濃川に橋をつけなければいかぬ、やはりこの今の石上橋の下流に橋がつかねばならぬのです。  先ほど局長さん仰せのとおり、二八九のバイパスの問題とかあるいは四〇三号、これをどのようにするかとか、橋の位置決定を図る必要があると思うのでございますが、ぜひこの橋の調査費、これを何とかおつけ願うことによって地元の皆さんも安心すると思うのでございまして、大臣がこの席におられますので、この点についてぜひひとつ御検討といいましょうか、何かいい御回答を賜れればと思うのでございますが。
  249. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 御指摘の点、信濃川に橋が現在、石上大橋ですか、一橋で、これに相当交通が集中しているというのは実態だと思います。そういう意味で、先ほど申し上げましたように、四百三号と二百八十九号のバイパスそれぞれが、信濃川を渡りまして国道八号に接続する必要があります。早期にルートが決定されてこの橋が早期に着工できるように、この調査費につきましては、国道でありますが県の管理区間になっておりますので、新潟県等とも十分相談してまいりたいと考えております。
  250. 栗原博久

    栗原(博)分科員 ありがとうございます。
  251. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 全く栗原委員指摘のとおりで、政治というのは継続でございますから、したがって、前森大臣、私も親しい友人でございますが、そういう継続で、熱意を持っておやりになられたことは私も踏襲していくということがごく当たり前のことだと思っております。したがいまして、かつては私どもの大先輩の田中先生等もそれだけ腐心をされたところでございますだけに、決してその気持ちは変わるものではありません。今局長が答えたとおり、その意に沿って懸命に努力もしたいと思います。  それだけに、ちょっと余談になりますけれども、ある県においては非常に自力のある県もある、ある県においては自力のない、本当に三割自治どころではない、二割自治ぐらいなところもある。そういうような中にあっての分布が日本に散らばっているわけですから、地方分権とかいろいろ、言葉はきれいごとに、ファッショナブルに使いますけれども、やるべきトレンドは私どもは認めますが、そうでなく、いたずらにそういうような陳情行政とかあるいは県に全部主体的に任してしまえというような形が一体本当にとれると思っておるのか、私に言わせるならば。  それを考えていったときに、先ほどの方の質問に私もお答えをしようと思いましたが、一体そのような理想と夢みたいなことを描いて、この建設行政が今日までの日本をつくってこられたのかということを私は申し上げたいという気持ちなんです。だけれども、今いないからもうしょうがない、私も言いようがないけれども、私はそういう気持ちですよ。  そんなに生半可な政治は今日までしてきていないはずだ。そうでなければ、日本の国は万般ここまでの大きな伸び率もなかったでしょう。そういう意味においては、多少時間を費やして申しわけありませんが、そのような継続的な意欲の中で私どもは断じてやっていくつもりでございますから、どうかその点は、協力は賜っても、全くそれでは言い分に応ずるならば、じゃ、あなたのところの県は何にも必要ないというのか、自分の県だけで独立してやれるかと私が問うた場合に県知事は何と答えるか、私は申し上げてみたいと思う。  だから私自身は、ぜひともひとつ御理解を賜って、仰せのとおり、委員の温かい気持ちと一生懸命やろうという気持ちはもう意欲的に感じておりますし、森前大臣のお気持ちは十分にそんたくしてやっていくことを私の口からもお誓いいたします。
  252. 栗原博久

    栗原(博)分科員 中尾大臣から、心強いといいましょうか、政治家たる御姿勢の中での御答弁を賜りまして、大変私も意を強くして地元に帰れるわけでございます。  特に、この三条の市長の長谷川長二郎市長さんから、今回、地域活性化促進道路事業ということで、この四〇三号、二八九を含めてこの地域活性化ということで、県央都市形成事業ということで、三条市と燕市の工業振興支援という立場で国道八号の三条の拡幅の問題、四〇三号の三条北バイパスの問題とか主要地方道の燕分水路、あるいは街路事業、あるいはまたJR弥彦線がございまして、今架橋にしておるのですが、そういうものについてもろもろ、早期にやるということで活性化事業の指定を今回お受けしたわけでありまして、市長からも篤と大臣にお礼を申し述べてまいれと言われましたので、これをつけ加えさせていただきます。  それで、ここに二八九という国道があるのでございますが、これは海岸端から、日本海側から太平洋側までつながっている道路でございます。ところが、その間に二つ中断しています。新潟県から福島県に行く道路の部分と、それから福島県に入りまして白河、あそこは甲子峠とかなんとかいいましたか、ちょっと私も忘れましたが、そこが、法線はありますがまだ道路が開けていない。  特に、福島県と新潟県につきましては、南会津、只見町というところがございますが、ここは医療機関も未整備でございまして、このトンネルが開通しますと、二八九の八十里越が開通しますと、わずか一時間もかからない、四十分ぐらいで新潟県の中央にあります三条の医療機関に来られるわけでございまして、医療施設を利用する上にも極めて重要な国道であるわけです。  この国道、何としてもこれを早く開通したいということで、今は亡き田中角栄先生が八十里会という会もつくりまして、地元で強く要請しておったわけであります。残念ながら、先生はこういうことでお亡くなりになりました。それの後を継ぐ私どもといたしまして、先生の遺志を受け継いでもこれをやはり早急に開通させていただきたいと思うのでございますが、この二八九の道路の進捗の状況とあわせまして、今後どのようなお取り計らいをいただけるのかということについてお聞かせ賜われば、大変ありがたいと思うのです。
  253. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 国道二百八十九号につきましては、新潟市を起点としまして、三条市、下田村、さらには福島県の只見町を経ましていわき市に至る二百七十キロの幹線道路であります。  本路線は、越後三山只見国定公園等の急峻な山地を通過するということもありまして、例えば新潟県内でありますと、改良率が六八%でありますし、福島県の方を見ましても、御指摘のとおり、甲子峠と申します峠については交通が不能になっているのが現状でございます。  このうち、三条市から下田村付近までの間につきましては、一般国道の補助事業として実施しております延長三・一キロの吉田燕バイパスを平成八年三月に全線二車線で供用開始しましたし、延長一・二キロの新八木橋等の事業も現在鋭意進めているところでございます。  一番重要な区間であります新潟、福島県境の八十里越につきましては、交通不能区間の解消を図るという目的で、新潟県の下田村から福島県の只見町に至る区間、延長十一・八キロメートルの区間を建設省の直轄事業事業を現在実施しております。この前後につきましては、それぞれ両県で、新潟県、福島県で事業を進めているということで、建設省それから新潟県、福島県、これが一体となってこの事業に取り組んでいるところでございます。  直轄事業として実施している区間につきましては、最も事業期間がかかると想定されます三キロを超えるような長大トンネルがありますので、この長大トンネルに着手できるように、現在そのアプローチとなる区間から施工を開始しております。さらに平成年度には、新潟県側ではアプローチとしても利用できる本線の改良工事を本格的に促進し、福島県側からもトンネルの施工に着手するための用地買収を進めていくこととしております。また、先ほど申し上げましたように、それぞれ新潟県あるいは福島県におきましても、あわせまして事業の進捗を図っているところであります。  今後、大変重要な路線でありますので、早期に交通不能区間の解消を図りたいということで、三者一体となって進めてまいりたいと考えております。  大変大きなトンネル、先ほど申し上げましたように、三キロを超えるようなトンネルあるいは橋が多数ありますし、この地域につきましては、大変な豪雪地帯で工事ができる期間というのが九カ月と限られております。  そういう厳しい自然状況の中ではありますが、一般的に申しますと、このぐらいの工事規模、これは全体で約三百七十億円ぐらいの事業費を必要としているわけでありますが、約十年かかるわけであります。雪のハンディキャップを考えると十二年ないし十三年というものが工期として一応想定されますが、こういう工期についてもできるだけ前倒しができるように、今後技術的な開発も含めて努力していく必要があると思いますし、そのような努力をしていきたいと考えております。
  254. 栗原博久

    栗原(博)分科員 どうもありがとうございました。ひとつよろしくお願いします。
  255. 田中昭一

    田中主査 これにて栗原博久君の質疑は終了いたしました。  次に、遠藤利明君。
  256. 遠藤利明

    遠藤(利)分科員 ただいま栗原委員から建設省の皆さんの定員の問題でお話がございましたので、関連して最初に御質問申し上げたいと思います。  実は昨年の暮れに大型補正予算を組まれたわけでありますが、公共事業がおよそ八兆円ぐらい、これは農林等も含めての事業になるわけです。そのときに、私の地元で国道十三号線という道路があるのですが、ここの四車線工事を一挙にやろう、延長をやろうという話になって進んだのですが、いざ考えてみますと、橋の設計が途中できていなかった。ですから、工事を発注したのですが、途中部分だけ橋の設計ができないものですから、抜けるわけです。  いろいろ話をしますと、最近補正予算あるいは本予算も公共事業に大変皆さん配慮していただいておりますので、ましてやこういう景気の支え役として大変効果があるわけですが、工事が進捗する、あるいはいろいろな仕事をする、その中で、用地の取得あるいはこういう設計をしておく、そういう実際に事業をする前段の部分、ストックとか、そういう部分が少し少なくなっているのではないか。  工事事務所なんかに行きますと、夜遅くまで皆さん大変仕事をされておられますし、そんな意味からすると、たしか建設省の定数なんかを見ましても、昭和四十二年から見ますと、およそ六七%少々。環境庁なんかは、時代が時代ですから二〇〇%近くになっているわけでありますし、そんな意味で定数削減ということで大変努力をされていらっしゃると思うのです。しかし、現実にそういうストックをしておく、設計あるいは用地のストックをしておく、そういうふうな職員の方がいらっしゃらなければ、補正予算を組んだとしても実効として上がっていかない。そんな意味でやはりケース・バイ・ケース。これは総務庁に本来はお願いをする、あるいはたださなければならない問題かと思いますが、ぜひそうした中で、いずれ高齢化社会に至ったときにはなかなかこういう社会資本の整備というのは難しくなってくる。  そんな意味からも、今そういうケース・バイ・ケースでの対応を図っていかなければ、せっかくのこういう補正予算あるいは公共事業を景気対策として生かしていく効果がなくなってくるのではないかな。そんな意味からも、この定数の問題について官房長から、簡単で結構ですから、現状とともに、これからの考え方を一言お伺いしたいと思っております。
  257. 伴襄

    ○伴政府委員 先生から的確な実例などを踏まえながらお話しいただきまして、ありがとうございました。本当に私ども、一方では、定員削減計画という政府の計画でございますのでそれに従う必要があると思いますが、御指摘がありましたように、まさにピーク時の三分の二ということで、トータルで減ってしまっているわけでございます。しかしながら、一方では事務量、事業量は大変ふえておりまして、今事業という形で先生おっしゃいましたが、それもそうでございます。  それから管理の方も、本当に直轄の河川管理、質的にも大変化しておりまして、先ほど先生からも御指摘がありましたように、災害などが起こりますと、あるいは除雪とかいうふうな話になりますと、またそれで大変事業量がふえるというようなことでございまして、先生が言っていただいたように、事業の前段階のストックどころか自転車操業でやっている、自転車操業も間に合わないといったような状況もあるわけでございまして、これはもう何とかしなければいかぬという思いが我々はいたしております。  いろいろ仕事の中で工夫をしまして、外注できるものは外注するというようなこともやっておりますが、それでもやはり、行政みずからやる定員というのは必要なわけでございますので、それを何とか確保していきたいと思っておりまして、恐らくこれから、閣議決定されておりますので、計画的に削減をするという新しい定員の削減計画が出てくるのではないかと思いますが、そのときにもしっかりと建設省の実情を説明いたしまして、御理解を得る努力を我々もしたいと思っております。  それからあわせまして、それは減る方だけでございますが、ふえる方も大事でございますので、これは毎年のことでございますが、これも、国民の期待がこれだけ建設行政に集まっているわけでございますから、それにきちっとこたえる意味でも、関係方面の御理解を得ながら、要員の確保を図るということが必要だと思っております。最大限我々も努力しようと思っておりますので、ひとつよろしく先生の御指導、御支援を賜りたいと思っております。
  258. 遠藤利明

    遠藤(利)分科員 今官房長から話がありましたのであとは申し上げませんが、本来これは総務庁にぜひということになるかと思いますが、そんな中で御努力をお願いしたい、このように思っております。  さて、数年前ゼネコン疑惑というようなことで社会を大変揺るがせたわけでありますが、そうした中から政治改革あるいは行政改革、政官の癒着を断ち切ろう、そんないろいろな動きの中で今進められて、そしてその中でいろいろな改革の中で入札制度を変えていこう。これは当時の内閣も、そして現在の内閣あるいは与党のいろいろなプロジェクトの中で入札の問題について検討されたわけでありますが、今その入札制度がどのような形で推移をされているか、そんな今の評価といいますか、今の入札制度についてどのように御見解をお持ちなのか、まずお伺いをしたいと思います。
  259. 小鷲茂

    ○小鷲政府委員 お話ありましたように、数年前の不祥事件を受けまして、少しでも不正が起きにくいシステムをつくろうということで、透明性、客観性、競争性、そういった要素を大幅に取り入れる制度の改革を実行したわけでございます。  この制度が平成年度から一部始まっておりまして、現在全般的には着実に実施されているというふうに評価をいたしておりますけれども、何せ九十年ぶりの大改革であったということ、そして改革の内容も、一般競争入札を本格的に導入することに始まりまして、既存の指名競争入札につきましても相当大幅な改善措置を講ずる、こういった内容でございますために、なかなか実行面で難しい問題もございまして、正直言いまして、一部地方公共団体等におきましては、必ずしも改革の実施が徹底されているとは言えない状況にございます。そのために、私どもといたしましては、自治省の協力を得ながら、この改革が着実に実行されるように指導しておるところでございますが、今後もその定着を目指して十分指導をしていきたいというふうに考えております。
  260. 遠藤利明

    遠藤(利)分科員 まさに透明性を高める、あるいはいろいろな競争性の高い手続、そういう実現をすることが大変重要かと思いますが、実は急に変えたといいますか、当然今までの仕組みが変わるわけですから、若干一般競争等で混乱もあったのではないか。実は、私の地元で最初に県が一般競争入札をしましたときに受注したのは、会社名はともあれ、四国の業者なわけであります。結局受注をしたものの、そこに人手がいるわけではありませんから、それを地元の会社に下請を出す。そうしますと、結局名前だけで、実態としては地元の会社がやるわけですが、利益だけはその企業が四国に持っていくというような形になるわけです。  ですから、会社がどうのこうのではなくて、やはり地元で税金を納める、あるいは地域経済の担い手になっている地元の中小企業、建設業界、こういう皆さんにとりましては大変残念なことでありますし、またいろいろな不安があるわけであります。ましてや、最近民間工事などではかなりダンピングが進んでいる。それだけ仕事がないのかなと、特に建築などはそんな感じがいたします。そして、ダンピングをするわけですが、当然、ダンピングをしてとれば、それも下請に、また地元の中小業者をたたいてというような言葉も変かもしれませんが、安くさせる、結果的に体質が弱くなってくる、そんな状況であります。  そんなことを考えますと、やはり地元の中小の建設業者、こういう皆さんへの、透明性を高めあるいは公平な受注をするということも大事でありますが、どのような形で受注機会の確保に取り組んでいかれるのか、お伺いをしたいと思います。
  261. 伴襄

    ○伴政府委員 建設業の大宗は中小業者でございますし、先生お話しのように、特に地元の地場産業としての建設業というのが大事でございます。地域の経済、雇用を支えている、地域経済の活性化のかぎを握っているのも地元の中小建設業ということもあろうかと思いますので、それに受注の機会をなるべく多く提供するということは大事な施策かと思っております。  かねてから、そういうことで、例えば発注標準というランクの区分けですね、それをきちっと厳守をするように、要するに上の大手が下におりてこないように、そういうようなこととか、あるいは分離・分割発注して、地元中小がとりやすいような単位のロットの発注をするといったようなこと等をやってきております。  ただ、先生が御指摘のように、必ずしも入札契約制度の改革のせいとは思えないのですけれども、たまたま平成年度の受注実績を見ますと、かなり中小の受注実績が全国的に落ちたというようなこともあって、大変だということで、我々も大いに問題意識を持ちまして、昨年、平成七年の七月、十月に中小・中堅建設業者の受注機会の確保対策というものをまとめまして、それを実行しているわけでございます。  具体的には、まず隗より始めよで、我々の建設省の直轄工事につきまして、例えばジョイントベンチャーについては条件を緩和して規模の小さい建設業者も加えるようにするとか、あるいは一般競争やら公募型の指名競争等をやっておりますが、その参加資格を緩和しまして、地理的条件、すなわち地元ということですね、地理的条件を勘案して、上位ランクの工事へ参入を可能とするようにというようなことを施策として講じてきております。  さらに、根本的にはどうしても発注単位が大きくなってきておりますので、それに応じたような発注標準、ランク分けというのが必要かと思いますので、これは平成年度から直轄を全地建にわたりまして発注標準を引き上げまして、一般土木・建築工事につきましても、AランクとBの境、BとCの境と全部引き上げていったわけでございます。そういったことによりまして効果が出てきているのだろうというふうに思っておりますが、なお十分検証していきたいと思っております。  あわせまして、これが直轄工事だけで終わらないように、例えば建設省の関係公団だとか公共団体、それから他省庁、他の国の発注部門につきましても建設省はこういうふうにやっているということを、連絡協議会がありますのでそこに十分お話ししておりますし、そういうことで、かなり右に倣えでやっていただいているところもあります。特に公共団体等につきましては、自治省とも共同して通達なども出しておりますけれども、そういうことで敷衍させていきたい、できる限りの努力をしていきたいというふうに考えております。
  262. 遠藤利明

    遠藤(利)分科員 今いろいろ努力をされているということでありますし、これからも期待したいわけであります。  ただ、先ほど質問した中の定員削減との関係もあるのではないかと思うのですが、職員の数が少ない、公共事業はいろいろ補正予算等で多いわけですから、そうしますと、ロットといいますか、一つ一つの単位を大きく発注される。そうすると、どうしてもその分が大手に行ってしまう。ですから、今まで地元の業界でこなしていた例えば一億だとかそういう単位を、今度一挙に三億とか五億の単位でいきますから、その分はまた結局大手に行ってしまう、そして現実の仕事は下請で地元がやる、そんなこともあるのではないかな。  そんな意味で、確かに、効率あるいは合理性からいえば、単位を大きくしてそしてまとめて出すというのは理解はできるのですが、しかし、では現実にそういうものを地元の企業にできますかというと、実績がないですとか、そういう形で整理されていかれるわけですから、そこら辺もぜひ御検討いただきたいと思いますが、一言あればお願いいたします。
  263. 伴襄

    ○伴政府委員 おっしゃっていただいたとおり、発注ロットも、コストの削減の意味でも、それから今のように仕事の合理化の意味でも省力化の意味でも必要で、どうしても傾向としてはそうなります。  したがって、大きくなっても例えば地元の中小がとれるようにするというためには、先ほど申し上げた発注標準を変えることによってロットが傾向として大きくなってくるなら、受注される方の近傍同業者もそれに応じて大きいところがとれるようにするという工夫が必要かと思っておりますので、それを平成年度からやっております。こういうこともその努力の一環だというふうに御理解いただきたいと思います。
  264. 遠藤利明

    遠藤(利)分科員 よろしくお願いをしたいと思います。  そこで、先ほど白沢委員かと思いますが、高速道路の話が多分出たのではないかと思います。ちょっと関連するかと思いますが、道路局長にいろいろ高速道路の問題でお伺いをしたいと思います。  伝え聞くところによりますと、ことしの暮れぐらいには国幹審があって、そしてその中で七、八百キロかそこら辺になるのでしょうか、整備路線への昇格とか、そんな形で進まれるのでないだろうかと思っておりますが、昨年の十一月に、道路審議会の答申の中で、プール制の問題あるいは償還の制度の見直し等、いろいろ答申がされたと思うのです。  私ども、地方に住んでおりましていつも残念に思いますのは、大都市の皆さん方から、もう大都市は高速道路の整備が終わった、そしてもう償還期間も過ぎたのだし、すぐ無料にしてくれ、地方はこれからと言ったって、車も通らないのだから、そんなのは自分たちで整備すればいいじゃないですか。そんな議論を聞くと大変情けなくなるといいますか、自分たちの大都市でさえも、昔は人が多いわけでなくて、そのときに当然こういう制度の仕組みの中でやって、整備をして、人が集まって、そして採算がとれるようになってきた、しかし自分のところは終わったからもうほかのところはいいよという議論は、大変勝手な言い分ではないかな。  たしか明治二十二年に東海道線がスタートをして、明治二十四年にはもう東北線が開通したのだと思うのです、これは列車の話ですが。あの時代に、たった二年しか東海道線と東北線の整備が違わない。たしか、私のところの奥羽線は二十四年にもう一部開通しているのです。ですから、あの時代にそれだけ国土というものを、いわゆる社会資本の整備を一貫してやっていこう、均一してやっていこう、そんな気構えがあって今の日本という仕組みができたのではないか。  そんなことを考えますと、やはり全国プール制あるいは償還制度見直しというものを私はきちっとその答申を受けてやるべきかと思いますが、建設省として今どのような検討をされているのか、お伺いをしたいと思います。
  265. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 現在計画されております高規格幹線道路一万四千キロの二十一世紀初頭までの完成というのは、極めて重要な国の施策と考えております。その中でも一万一千五百二十キロにつきましては、全国のプール制のもとに着実な整備を図っていこうということにしておるわけでございます。  昨年の十一月に、道路審議会より中間答申をいただきました。その中では、建設費、管理費の削減、一般国道自動車専用道路の活用あるいは公的助成の拡充とともに償還制度の見直しという御指摘も受けております。そういうことで、現在償還制度の見直しの検討を行っております。  その中で、現在の償還期間は四十年とされておりますが、道路資産の今後の活用を図るという観点からはこの償還期間を延ばしてもいいのではないかという御指摘もありますので、さらにこの償還期間を延伸していくということを考えております。あるいは、償還対象経費の中に用地費も入れておりますが、土地代についてはこの償還期間中には償還する必要がないのではないかというような御指摘もありますので、その辺のことについても検討をしております。  いずれにいたしましても、今後の高速国道の整備に当たりましては、料金上昇の抑制を図りながら、しかしながら着実な整備を進めていくということが必要であります。そういう観点から、今後とも努力してまいりたいと思います。  また、プール制の堅持についてもこの答申でも言われております。従来から全国プール制を活用して整備を進めてきておりますが、今御指摘のとおり、高速道路が既にでき上がっている地域とこれからつくる地域の均衡を図る、あるいはできた時期による通行料金のアンバランスがないようにしていくということは、最低限必要なことだと思います。そういう意味で、全国プール制も堅持して、この一万一千五百二十キロの高規格幹線道路、特に高速自動車国道の整備に努力していきたいと考えております。
  266. 遠藤利明

    遠藤(利)分科員 そうした中で、おととしてしたか、高速道路の料金値上げの問題で、しばらく凍結するということで、その後解除をされたわけですが、解除されて、そして当初の計画より少な目に値上げを設定されたわけであります。  そこで、その分だけその後の計画が少しずれ込んだ部分もあるのかなと思っておりますが、確かに安いにこしたことはありませんので、当然いろいろな仕組みの中で低料金で、プール制の中でさらに低料金でという形は必要なのかと思います。  そういうふうなことを考えますと、どうしてもほかから財源を持ってこないと、いわゆるただ単に独立採算性の中だけでは、そういう低廉な料金という形にならないわけであります。そんな意味で、どうしても国費助成がもう少し必要なのではないかな。たしか今年度二千億円前後ぐらい国費助成ということになりますが、同じパイの中で国費助成をふやしていけば、当然ほかの部分が、一般道路とか県道、地方道路が減るよという不安もあるわけであります。しかし、広く全国を統一して整備をしていこうという気構えからしても、やはり国費助成は不可欠なのではないだろうか。そんな意味で、もう少し進めていったらよろしいのではないかと思います。  もう一つ、実は整備をしていくときに用地の問題が出てくるのだと思いますが、今土地の値段が下がっていますからすぐにどうのこうのと議論にならないかもしれませんが、できれば地方の道路公社とかそういうところで用地先行などを先にしておく、そんなこともして、それを国が何らかの形でフォローしておくというふうなことになれば、なおさら地元の皆さんは、早くここは整備されるのだな、そういう安心感も出てくるのではないかなと思います。ここら辺もあわせて、局長の御見解をお伺いしたいと思います。
  267. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 今後の高速自動車国道の整備の進め方でありますが、先ほど道路審議会の中間答申の内容については御紹介したところであります。いろいろな施策が展開されることとなりますが、その中でも、一つは公的助成の強化、国費助成の強化が一つの施策として盛り込まれております。  例えば、平成年度の当初予算におきますと、道路公団の高速自動車国道に対して千七百十億円の出資金、利子補給金を投入しておりますが、平成年度につきましては、これに対して二三%増しの二千九十九億円の助成を行ったところであります。この中には、震災対策緊急補強事業等をやるというための出資金、こういうものも含まれていますが、傾向、方向としましては、国費の助成の強化を図っていきたいと考えております。  しかし、御指摘のとおり、道路予算そのものも厳しい状況であります。厳しい道路予算の中で何を重点にしていくかということが今後の課題であります。我々としては、この十年、十五年の間に高規格幹線道路のさらなる促進が極めて重要な施策と考えておりますので、そういうことも考えながら、道路予算の中で重点化を図っていきたいと考えております。  また、この事業が円滑に進むために、用地先行、特に地方自治体における用地先行等も活用が図られないかという提案が各地であります。そういうことでありますと、現在、基本計画区間ではありますが都市計画決定等がされておって道路区域がある程度決定されているところについては、自治体からの申し出もあれば、我々としてはそういうものについても積極的に対応できるように努力をして、整備計画ができ、施行命令が出たときに工事が早く着手できるような、そういうような施策もぜひ前向きに検討すべき、そのように考えております。
  268. 遠藤利明

    遠藤(利)分科員 そうした中で、私の地元、山形県でありますが、ようやく高速道路が通りましてというか、整備をされました。たしか数年前までは、全国で高速道路のない県の後ろから何番目と言われておりまして、残念な思いをしておったわけでありますが、今、横断道酒田線が整備をされて、運行状況といいますか通過する車両も数も多いようですし、そういう意味では大変効果があるのではないだろうか。特にこれから、首都移転が果たして南東北に来られるかどうかわかりませんが、どちらにしても、山形、仙台、福島、こういうトライアングルというのは一つの大きな経済圏になり得るわけでありますし、そんな意味で、山形と仙台を結ぶその横断道酒田線、大変な効用を発揮しているわけであります。  同時に、東北中央自動車道あるいは日本海沿岸の自動車道と、まだまだというより、むしろこれから整備を待っている部分が数多くありますし、国幹審の中で、数カ所、整備計画にぜひ昇格してほしい。  とりわけ栗子峠などは、かつて山形の初代県令の三島通庸という方が、道路は文化を運ぶなどという名言を吐いて大難所のトンネルを掘ったわけでありますが、ここらの整備計画もぜひお願いをしたいということであります。  とりわけその中で、実は横断道酒田線の四車線化の工事を今進めていただいております。村田ジャンクションから山形蔵王のジャンクションまで今工事を盛んにされておりますが、その途中に笹谷トンネルという、これは高速道路ではなくて、一般国道の有料道路ということでなされているわけでありますし、大変通過量も多い。前後が高速道として四車線の整備をしているわけですが、ここはまだ一般の有料道路で、二車線のトンネルなわけです。何ら指定もされていないわけであります。そうしますと、前後が四車線ができて、そのトンネルは二車線、当然渋滞することは目に見えているわけであります。  そんな意味から、今度の国幹審の中でぜひ、整備計画だけではなくて、整備計画、施行命令、すぐ着工という形をとっていただきませんと、逆に、そのせっかくの前後の整備が混乱を来す原因になってくるのではないかな。もちろん県内全体の整備計画もお願いをしなければならないわけでありますが、とりわけこの笹谷トンネルについては、早急な対応をぜひお願いしたいと思っております。いろいろ今計画をしていただいておられるようでありますが、山形にとりましては生命線でもありますし、そんな意味からも、建設省の皆さんの絶大なる御支援をいただかなければならないと思っております。  そこで局長に、全体の山形県の整備計画をお伺いするとともに、この笹谷トンネルについてどのように進められるのか、最後にお伺いをしたいと思います。
  269. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 山形県管内におきまして国幹道で基本計画の区間となっておりますのは、六区間、約百二十キロ程度ございます。そういう意味では、この六区間の中から整備計画の策定をする区間を選定していく必要があるわけであります。ネットワーク上の必要の区間等、いろいろな検討を踏まえまして、できるだけ多くの区間が整備計画に格上げできるように、我々としても今後努力をしてまいりたいと考えております。  さらに、笹谷峠についてでありますが、これは宮城県の村田町で東北道から分岐して、山形市を経由して酒田市に至る百五十キロの路線でございます。東北横断道酒田線と申しておりますが、御指摘の笹谷インターチェンジと関沢インターチェンジの間に笹谷トンネルというのがございまして、これについては、昭和五十六年に一般国道二百八十六号を有料道路として二車線で供用したものでございます。その後、高速自動車国道として村田ジャンクションと笹谷インターの間が平成二年に、それから関沢インターと山形蔵王インターの間が平成三年に、それぞれ暫定二車線で接続して、これらが一体となった利便性の高い道路ネットワークを今形成しているわけであります。  当該区間、この笹谷峠の区間でありますが、年平均の交通量が、供用当時は一日五千台でありましたが、東北道とつながった平成二年には一日一万台になりました。平成七年、現在でありますが、一日約一万六千三百台と極めて大きな交通量の伸びを見ておりますし、渋滞の発生も見られる状況になってきております。そのため、関係地域、特に山形県から、早期の四車線化について強い御要請がございました。  笹谷トンネルの前後の区間については、国幹道として従来整備してきておりましたので、平成五年から四車線拡幅の事業に着手して、現在鋭意その事業を進めているところであります。  そうしますと、残るところが笹谷インターチェンジから関沢インターチェンジの間であります。現在の笹谷トンネルの区間も、高速自動車国道に編入して四車線化を図ることが緊急の課題ではないかと認識しております。そのため、現在、整備計画策定に必要な手続としての環境影響評価を既に開始しております。  次期の国幹審におきましては、この笹谷トンネルの区間も含めて、全国的に基本計画の区間が千七百十六キロございますが、この区間も含めて整備計画を策定できるように、最大限の努力が必要と考えております。
  270. 遠藤利明

    遠藤(利)分科員 時間ですので、これで終わります。どうもありがとうございました。
  271. 田中昭一

    田中主査 これにて遠藤利明君の質疑は終了いたしました。  次に、小此木八郎君。
  272. 小此木八郎

    ○小此木分科員 自由民主党の小此木八郎でございます。きょうはお疲れさまでございます。私で最後でありますから、三十分よろしくお願いをいたします。  昨年の阪神・淡路大震災によりまして、危機管理という言葉が改めて人々の中で使われるようになったと思いますけれども、きょうはその意味も込めましてぜひお聞きをしたいのです。  私も、朝駅頭に立ちましてマイクを持つときがありますが、ふだんはいろいろな紙をお配りするのですけれども、地震があった直後に、皆さんのお住まいの近くの緊急避難場所というものをすべて書いた紙を配った。いつもは自分の書いたいろいろな政策文はとってもらえないけれども、そういった地震の直後でありましたから、それを皆さんに渡すと喜んで持っていった。これは、地震があった直後であるから、私のところも危ないというふうな危機意識からそういったものを皆さんがとっていったのだと思いますけれども、逆に言うと、今まではそういったものを知らなかったり、これは危機管理になっていないなというふうなことも思ったのです。  あのような大変な大震災があったことであります。自然の災害でありますから、もう二度とないということは確実には言えないわけであります。我々の認識とすれば、そういった意識はきちっと持っていかなければならない。  そこでまず、急傾斜地の崩壊対策事業というものについてお伺いをしたいと思いますけれども、私の地元横浜というのは、全域の約六〇%がそういった丘陵地で占められておりまして、その丘陵地のほとんどが、雨や地震でがけ崩れを起こしやすい関東ローム層で覆われています。昨年の大震災によって国民のがけに対する関心も高まってきたと思いますが、今年度は第三次の急傾斜地崩壊対策事業五カ年計画の四年度目に入るということであります。その急傾斜地に対する崩壊対策を積極的に推進していかなければならないと思っていますけれども、建設省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  273. 松田芳夫

    ○松田政府委員 今委員お尋ねの急傾斜地崩壊対策事業でございますが、通称がけ崩れ対策事業などと言っておりますけれども、お話のとおり、丘陵地のがけの上とがけの下に家がある、がけが崩れるとがけの上の住宅は下へ押し流され、下の住宅は土砂の下敷きになる、こういういわゆるがけ崩れを防止する事業でございます。これが急傾斜地崩壊対策事業、現在第三次でございまして、第三次五カ年計画の四年目になっております。それで、国の補助事業分については、今年度で約八〇%の執行率ということで、予算ベースではおおむね予定どおり進捗しております。  しかし、がけの高さ、高低差五メートル以上のがけで、保全対象住宅が五戸以上の家屋、それが危険にさらされているわけでありますが、そういうところを全国的に調査いたしますと、現在八万一千八百五十カ所あると目されておりますが、それに対する整備状況は、平成年度末で約二四%という数字になっております。整備がおくれているのが実態でございまして、心配される状況にございます。  水害等の災害に比べますと、がけ崩れ災害は人命、家屋に甚大な損害を与え、それから、最近の自然災害の中ではがけ崩れによって亡くなられる方が非常に多いという実態もございますので、人命保護という観点からも、がけ崩れ対策事業には力を入れていきたいと思っております。  しかし、一般的に市街地で仕事をするというようなことから、いろいろ困難な事情もございますので、整備が進むまでの間は、警戒避難体制の整備あるいは予警報システムの開発、がけが崩れそうなときにどういうふうに、事前に何かアラームが出せないかとか、そういったソフトな対策も取り入れて積極的にがけ対策を進めていきたいと思っております。  また、事業費の確保につきましても、毎年一生懸命努力したいと考えております。
  274. 小此木八郎

    ○小此木分科員 現在、公共の工事として着工するためには、傾斜度が三十度以上、保全戸数十戸以上等、そういった工事採択の基準に該当しなければならないということが言われていますけれども、しかし、この基準に満たないところでも、雨が降れば、先ほどもおっしゃっていましたけれども、いろいろなところで危険にさらされるところが多いとも思います。そこで、その工事の採択基準というものを緩和をするなど、がけの状況に応じて事業推進していくべきであると私はさらに考えますけれども、いかがでしょうか。
  275. 松田芳夫

    ○松田政府委員 お話しのとおり、現在、がけの高さ十メートル以上、それから保全対象戸数十戸以上というのが公共事業としての補助対象の採択要件になってございます。それで、従来から、地方自治体等の要請に応じまして、必要な箇所については採択基準を少しずつ緩和してきたところであります。  例えば、昨年、平成七年には、災害弱者施設を保全対象に含む箇所——災害弱者施設と申しておりますのは、高齢者のための養老院とか病院、あるいは逆に保育園とか、いろいろなお子様とか高齢者の方が多く集まる設備というのが案外がけの近くにあるというケースもあるものですから、そういった災害弱者施設を保全対象に含む箇所については採択基準を下げるとか、平成年度からは、ここに逃げなさいという避難地の指定がございますが、その避難地を含む箇所についても採択基準である必要人家戸数を下げたところであります。  しかし、片方で、急傾斜地崩壊対策事業も公共事業の一環であるという見方もございまして、これ以上の採択基準の緩和ということはいろいろ議論のあるところでございます。公共事業費を特定の家屋の保護のために支出するという形になるものですから、やはり公益性との兼ね合いで、どこまでそれを補助対象にするかというのは、財政当局を含めましていろいろな議論がございます。  土木工事だけで防ぐということでもなくて、今後は地方自治体等の意見も参考にして、危険箇所への住宅の接近の防止とか、あるいは場合によっては、安全地帯への人家の移転等のもっと幅広い対策が必要になるのではないかというようなことも考えられますので、今後、急傾斜地崩壊対策事業を進めていった上でのいろいろな問題点の一つとして、地方自治体等の御意見も参考にして、より本質的な対応策を研究してまいりたい。これは研究してまいりたいというふうに思っております。
  276. 小此木八郎

    ○小此木分科員 危機管理というのは、何かが起こってしまった後で、あのときああいうふうにしておけばよかったということが出てくるわけで、そこを何とかしなければいけないということでありますし、これを緊急に緩和するということでなくて、さらに研究し議論することが重要であると思いますので、今後ともよろしくお願いをいたします。  続きまして、道路事業促進についてお伺いをしたいと思います。  これまでは、全国的な格差是正の観点から、首都圏を初めとする大都市地域への社会資本投資というのが地方に比べて抑制をされてきたと思います。今こそそれを見直す時期に来ているとも思いますけれども、大都市地域には産業経済基盤が集積しておって、慢性的な交通渋滞がどれだけ過大な経済的損失を与えているか、はかり知れないところであると思います。このままでは高コスト構造により日本は国際競争から取り残されてしまうおそれがありまして、流通コストを削減し国際競争力を回復するためには、道路などの交通基盤への投資が重要であって、特に大都市地域では、道路建設費が高いということと交通需要が非常に多いということで、投資効果が非常に大きいということが言えると思います。財政状況が厳しい時代においては、コストパフォーマンスの観点からも、投資効果の高い大都市地域予算を重点配分することが重要だと思いますけれども、いかがでしょう。
  277. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 道路は国民生活を支え、経済社会活動を支える最も基本的な施設だと考えております。その整備は全国的に依然として立ちおくれた状況でございます。渋滞、物流対策、防災、環境あるいは交通事故、いろいろな対策が必要でありますし、緊急に対応すべき課題が多い。これらのことにつきましては、都市部あるいは地方部、こういうものを問わず整備が急がれていると考えております。  渋滞につきまして、特に時間やエネルギーのロスということで経済活動へ多大な損失を与えているということは全くそのとおりであります。時間損失だけでも年間全国で約十二兆円生じている、このように試算もされております。また排ガス、騒音等の増加を引き起こしており、渋滞の解消に向けて強力な対策が必要と考えております。  さらに物流についても、国民生活の向上と経済の進展に伴い、国民の物流ニーズが多様化しあるいは高度化しておりますが、一方トラックの輸送効率は低下しておりますし、大型貨物車の都市内の走行が極めて多い、交通量が多い、そういうことから交通渋滞、排ガス、騒音などの環境悪化、このようなことが問題になっております。物流システムの高度化、効率化等の物流対策についても積極的に対応していく必要があると考えております。  このため、現在進めております第十一次の道路整備五カ年計画におきましては、バイパス、環状道路等の体系的な道路ネットワークの整備あるいは踏切の連続立体化などを実施しておりますし、さらに、新渋滞対策プログラムということで緊急的な渋滞対策も平成年度から実施しているところであります。この中では、公共交通機関の乗りかえ用の駐車場の整備とかバスレーンの整備など、地下鉄とかバスなどの公共輸送機関の利用も促していきたい、車の利用の仕方も工夫していきたい、そういうようなソフトな施策も盛り込んでいるところであります。さらに、物流拠点等についても、物流拠点とアクセス道路を一体的に整備していこうというようなことも取り組んでおります。  いずれにいたしましても、渋滞対策、物流対策の事業は極めて重要と考えており、平成年度予算でも大幅に伸ばしているのが実態でございます。  御指摘のように、特に大都市におきましては、活発な都市活動に伴い大量の自動車交通が発生しております。渋滞対策、物流対策が重要な課題でありますし、通過交通を排除していく、都心への交通の円滑な分散導入を図るための道路網、例えば首都圏で申し上げますと圏央道とか東京湾湾岸道路あるいは首都高速道路の放射環状道路等極めて重要な役割を果たしていると思いますので、こういうものについて重点的な投資を図るように努力していきたいと思っております。
  278. 小此木八郎

    ○小此木分科員 よろしくお願いいたします。  それで、物流の話も出ましたけれども、阪神・淡路大震災が去年ありまして、神戸港も壊滅的な打撃を受けたということで、災害に強い港づくりの必要性というものを実感をするとともに、他の都市が被災した場合には、私の地元の横浜が、横浜の港が、その機能を代替して日本の経済活動というのを確保していくことが例えば必要になってくると思います。  先ほどの物流の話になりますが、横浜港の港湾機能を有機的に発揮させるためには、三大物流拠点であります大黒埠頭、本牧埠頭、南本牧埠頭、これを円滑に結んで、一体として機能させることが重要であるとも思います。既に高速湾岸線の開通によって、大黒埠頭と本牧埠頭というのは連絡をされていますけれども、物流経費の削減だとか交通量の増大などによって、横浜ベイブリッジの下のところに国道三百五十七号線をつくるということも言われておりますが、これは本当に必要であると思うのですけれども、この早期整備ということについてはいかがでしょうか。
  279. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 まず御指摘の点は、首都高速湾岸線の五期ということでありまして、横浜市の金沢区の並木から本牧埠頭に至る十四・六キロの路線であります。東京湾環状道路の一環として、国道十六号等の現道の混雑緩和にも役立つ路線でございます。  この路線につきましては、昭和六十二年に都市計画事業の承認を受けて以来、用地買収あるいは工事促進をしております。用地につきましては、懸案でありました根岸地区の大規模な工場に関する契約も平成年度末で終了いたしまして、平成年度末では約九割程度の用地が取得できたことでございます。さらに工事につきましても、並木地区で半地下区間やトンネル区間、あるいは本牧地区で高架の下部工事等がほぼ終了しまして、平成年度末で約六割程度進捗をしております。平成年度におきましても、事業費約四百九十六億円をもちまして、並木あるいは杉田、本牧の各地区の高架工事等を実施するほかに、新たに磯子地区についても工事に着手する予定でございます。  このように、首都高の湾岸線五期の工事の進捗を図ってまいりたいと考えておりますし、これに関連する国道三百五十七号につきましても、現在いろいろ検討しているところでございます。まずは湾岸線の五期の早期の完成ということを目指していきたいと考えております。
  280. 小此木八郎

    ○小此木分科員 続いて、老朽した橋梁の改築について質問をいたしたいと思います。  昨年の大震災では、震災時の避難、救援、復旧活動において幹線道路というものの役割が大きく果たされたということは言うまでもないことでありますけれども、特に幹線道路にかかる橋梁は、大震災の例を見ても、震災時の救援活動などのキーポイントになっていると思います。  橋梁の被害が特に大きかったことは記憶に新しいところですが、都市部においては、橋梁の数は多くて、特に首都圏においては、関東大震災からの復興のときにつくられたものを初めとして、多数の老朽化した橋梁がいまだに存在をしています。これらの橋梁は、単なる補強などの対策だけでなくて、新しくかけかえを行う必要があると思います。現在では、築造された時代とは異なって、車両も大型化されていますし、そういったところからも傷みも激しく、耐用年数も短くなっていると想定をいたします。  一刻も早くその対応が必要と考えますけれども、都市部においてはかけかえには多くの費用と期間が必要となっています。震災時の人的、物的被害を少なくするためにも、都市部における老朽橋梁のかけかえについて積極的に国庫補助を投入すべきであると考えますが、いかがですか。
  281. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 我が国におきまして、橋長が十五メーター以上の道路橋は、平成六年四月におきまして約十三万橋ございますが、このうちの約六千橋が五十年以上経過しているということであります。老朽橋というものの正確な定義があるわけではありませんが、こういうものが老朽が進んでいるとみなされるものではないかと考えられます。  この中で、しかし、隅田川にかかっています永代橋のように、大正十五年にかけられても今なお橋としての役割を十分担っているものもございます。耐用年数については、それぞれの橋につきまして、日ごろの維持管理あるいは補修、こういうものを十分やりますと、かなりの長期間供用することが可能になっておりますが、一般的には、五十年以上前の橋というのは相当の荷重を受けておりますので、老朽化が進んでいるというふうには認められるのではないかと思います。  そういうことで、我が国の経済社会を支える道路の中でも道路橋、特に橋でございますが、大変重要であります。安全に利用していただくことが必要でありますので、現在進めております第十一次道路整備五カ年計画におきましても、老朽化した橋梁対策として、定期的な点検、その結果に基づく補修を実施するとともに、補修で対応できない老朽化した橋梁につきましては、計画的にかけかえを進めております。また、最近では、大型車が二十トンから二十五トンというようなことも計画されております。そういうような車両の大型化にも対応すべく、橋梁の補強も実施しております。  さらには、阪神・淡路大震災、この教訓から、平成年度から三カ年において、首都高速道路の大都市の橋梁につきましては、高速自動車国道あるいは一般国道も含めまして、緊急度の高い橋梁として、兵庫県南部地震にも十分耐えられるような構造とするための所要の補強を実施しているところであります。  そういうことで、我が国は地震国でありますので、地震にも耐えられるような補強と、それから必要なかけかえというものに今後積極的に取り組んでまいりたいと考えておりますし、現在も計画的に実施しているということを御報告申し上げたいと思います。
  282. 小此木八郎

    ○小此木分科員 続きまして、橋の下を流れる川でありますけれども、横浜を流れる鶴見川、この鶴見川の改修についてお聞きをしたいと思います。  鶴見川というのは全国の中でも典型的な都市河川でありまして、この川の改修は、これまでも護岸工事などが随時行われてきました。平成年度予算においても改修のために約百三十億円の予算をつけていただきまして、本当にはんらんの歴史というのが長いわけですから、地元の人も大変に喜んでおられます。  しかし、流域住民は過去何度も多大な被害を受けておりまして、まだその記憶も新しい、そういった被災もありました。戦後の記録的な最大量の雨が今後降った場合、これを安全に下流に流すためにはなおほど遠いものがあると思います。それに加えて、鶴見川の上中流域の開発が進んで、保水・遊水機能が著しく低下をしているのではないかということも懸念をされているわけです。これらのことを考えますと、約百六十万人に及ぶ流域住民が台風や集中豪雨でも安心していられるように、新総合治水対策、これの強力な推進はもとより、生麦地区というのがありますけれども、そこを初めとする無堤地区の解消というものがさらに必要になってくると思います。  また、遊水地の地内利用として整備する横浜国際競技場を平成十年の国民体育大会に使用するということになっておりまして、多目的遊水地事業をより促進させる必要があります。  これらの点につきまして、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  283. 松田芳夫

    ○松田政府委員 委員お話しのとおり、鶴見川は日本の代表的な都市河川でございます。現在、一級河川ということで建設省関東地方建設局が改修あるいは管理してございますが、下流部は横浜市あるいは川崎市ということで、人口調密地帯。特に、昭和五十年代には毎年のように水害がございました。当時、横浜市内外における宅地開発といいますか人口増が非常に著しいものがございまして、特に港北ニュータウン等丘陵地帯での開発というものが盛んでもございました関係で、水害が頻発していたわけであります。  そのため、建設省としても、昭和五十四年に総合治水対策特定河川の第一号ということで採択しまして、以来、単に河川の改修を進めるということだけではなくて、流域の保水・遊水機能を確保する、遊水地をつくるとか、あるいは流域から川の中へ流れてくる洪水量を減らすように、雑木林を残すとか、流域に保水地、保水のためのいろいろな池をつくったりとか地下に浸透させるとか、いろいろな施策を講じてきたところであります。  現在も、鶴見川多目的遊水地ということで治水事業のかなめになってございまして、この多目的遊水地の建設促進に鋭意努力しているところであります。  それから、河道整備に関しましては、治水上のネックになっている橋梁を二つかけかえなければいけないということと、それから、委員お話がございました下流右岸側の生麦地区の無堤地区の早期解消ということで、遺憾ながらそこに不法占用物件が多数ございますので、その不法占用物件の調査を今鋭意実施しているところでございます。  それで、鶴見川の多目的遊水地、これが完成しますと洪水の調節機能が非常にふえるものですから、現在、この多目的遊水地を鋭意促進しております。お話ございましたように、横浜市の公園を兼ねる設備になってございまして、平成十年には神奈川県の国民体育大会のメーン会場として利用される予定であるということで、おしりの方も決まっておるものですから、治水工事もそれに合わせて現在鋭意促進しているということで、重点的に予算をつけているところであります。  鶴見川下流は、東海道線という日本で一番大事な鉄道なども走っているところでございまして、治水に対して、一刻も早く安全になるようということで私ども建設省としても全力を挙げて努力してまいる所存でございますので、また御理解賜りたいと思っております。
  284. 小此木八郎

    ○小此木分科員 終わります。ありがとうございました。
  285. 田中昭一

    田中主査 これにて小此木八郎君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして建設省所管住宅金融公庫の質疑は終了いたしました。  次回は、明三十一日午前九時三十分から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十八分散会