運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1996-05-31 第136回国会 衆議院 決算委員会第三分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月三十一日(金曜日)     午前九時開議  出席分科員    主 査 佐藤 静雄君       三塚  博君    茂木 敏充君       横内 正明君    西  博義君       弘友 和夫君    若松 謙維君       三原 朝彦君    兼務 畠山健治郎君 兼務 山崎  泉君    兼務 嶋崎  譲君  出席国務大臣         通商産業大臣  塚原 俊平君         自 治 大 臣         国家公安委員会          委員長     倉田 寛之君         国 務 大 臣         (経済企画庁長          官)      田中 秀征君  出席政府委員         警察庁長官   國松 孝次君         警察庁長官官房         長       菅沼 清高君         警察庁生活安全         局長      泉  幸伸君         経済企画政務次         官       清水 澄子君         経済企画庁長官         官房長     竹島 一彦君         経済企画庁調査         局長      中名生 隆君         通商産業省環境         立地局長    鈴木 孝男君         中小企業庁長官 新  欣樹君         自治政務次官  山本 有二君         自治大臣官房総         務審議官    湊  和夫君         自治省行政局長 松本 英昭君         自治省行政局選         挙部長     谷合 靖夫君         自治省財政局長 遠藤 安彦君         自治省税務局長 佐野 徹治君  分科員外出席者         環境庁企画調整         局企画調整課長 増井喜一郎君         大蔵省主計局司         計課長     田頭 基典君         林野庁指導部計         画課長     金子  詔君         自治省財政局財         政課長     林  省吾君         会計検査院事務         総長官房審議官 関本 匡邦君         会計検査院事務         総長官房審議官 太田 光弘君         会計検査院事務         総局第一局長  深田 烝治君         会計検査院事務         総局第五局長  平岡 哲也君         公営企業金融公         庫総裁     花岡 圭三君         決算委員会調査         室長      天野  進君     ————————————— 分科員の異動 五月三十一日  辞任         補欠選任   三塚  博君     茂木 敏充君   西  博義君     弘友 和夫君   三原 朝彦君     金田 誠一君 同日  辞任         補欠選任   茂木敏充君      三塚  博君   弘友 和夫君     西  博義君   金田 誠一君     三原 朝彦君 同日  第一分科員嶋崎譲君、第二分科員畠山健治郎君  及び山崎泉君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成年度一般会計歳入歳出決算  平成年度特別会計歳入歳出決算  平成年度国税収納金整理資金受払計算書  平成年度政府関係機関決算書  平成年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成年度国有財産無償貸付状況計算書  平成年度一般会計歳入歳出決算  平成年度特別会計歳入歳出決算  平成年度国税収納金整理資金受払計算書  平成年度政府関係機関決算書  平成年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府警察庁経済企画庁)、通商産業省  所管中小企業金融公庫中小企業信用保険公  庫、自治省所管及び公営企業金融公庫〕      ————◇—————
  2. 若松謙維

    若松主査代理 これより決算委員会第三分科会を開会いたします。  主査が所用のためおくれますので、その間、指名により、私が主査の職務を行います。  平成年度決算外二件及び平成年度決算外二件中、本日は、総理府警察庁)、自治省所管公営企業金融公庫総理府経済企画庁)、通商産業省所管中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫について審査を行います。  これより警察庁所管について審査を行います。  まず、概要説明を聴取いたします。國松警察庁長官
  3. 國松孝次

    國松政府委員 それでは、平成年度警察庁関係歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  平成年度歳出予算現額は二千二百二十九億七千五十一万円余でありまして、支出済み歳出額は二千二百七億九百五十七万円余であります。  この差額二十二億六千九十三万円余のうち、翌年度へ繰り越した額は六億九千二百一万円余であります。  また、不用となった額は十五億六千八百九十二万円余であります。  以上、平成年度警察庁関係歳出決算について御説明申し上げました。何とぞよろしく御審議のほどお願いを申し上げます。  続きまして、平成年度警察庁関係歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  平成年度歳出予算現額は二千六百八十一億四千八百十八万円余でありまして、支出済み歳出額は二千五百九億六千七百三十三万円余であります。  この差額百七十一億八千八十四万円余のうち、翌年度へ繰り越した額は百五十一億四千四百十四万円余であります。  また、不用となった額は二十億三千六百六十九万円余であります。  以上、平成年度警察庁関係歳出決算について御説明申し上げました。何とぞよろしく御審議のほどお願いをいたします。
  4. 若松謙維

    若松主査代理 次に、会計検査院検査概要説明を聴取いたします。会計検査院深田第一局長
  5. 深田烝治

    深田会計検査院説明員 平成年度警察庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  次いで、平成年度警察庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  6. 若松謙維

    若松主査代理 この際、お諮りいたします。  お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 若松謙維

    若松主査代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————    平成年度決算説明                警 察 庁  平成年度警察庁関係歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  平成年度歳出予算現額は、二、二二九億七、〇五一万円余でありまして、支出済歳出額は、二、二〇七億九五七万円余であります。  この差額二二億六、〇九三万円余のうち、翌年度へ繰り越した額は、六億九、二〇一万円余であります。これは、設計に関する諸条件により工事等が遅延したため、年度内支出を完了することができなかったものであります。  また、不用となった額は、一五億六、八九二万円余であります。これは、退職者が少なかったので、退職手当を要することが少なかったこと等のためであります。次に、支出済歳出額の主な費途について、その大略を御説明申し上げます。  第一に、警察庁経費として一、四三〇億三、六七七万円余を支出いたしました。これは、警察庁自体経費及び都道府県警察に要する経費のうち警察法規定に基づき国庫支弁する経費として支出したものであります。  第二に、千葉警察東京国際空港警備隊経費として九三億七六八万円余を支出いたしました。これは、千葉警察東京国際空港警備隊が新東京国際空港に係る警備活動を実施するために要する経費として支出したものであります。  第三に、船舶建造費として二億二、九五八万円余を支出いたしました。これは、警察活動に必要な警察用船舶建造に要する経費として支出したものであります。  第四に、科学警察研究所経費として一一億三、三〇二万円余を支出いたしました。これは、科学捜査防犯及び交通についての研究調査等のための経費として支出したものであります。  第五に、皇宮警察本部経費として七一億六、一九五万円余を支出いたしました。これは、皇宮警察職員給与皇居警備行幸啓護衛等のための経費として支出したものであります。  第六に、警察庁施設費として七六億九、四四〇万円余を支出いたしました。これは、警察庁関係施設整備するための経費として支出したものであります。  第七に、都道府県警察費補助経費として五二〇億九、〇三八万円余を支出いたしました。これは、警察法に定めるところにより、都道府県警察に要する経費の一部を補助する経費として支出したものであります。  第八に、他省庁からの予算移替えを受けた経費は、科学技術庁からの科学技術振興調整費として二、三〇六万円余、同じく、国立機関原子力試験研究費として九八五万円余、環境庁からの国立機関公害防止等試験研究費として一、五一五万円余、国土庁からの災害対策総合推進調整費として七六八万円余をそれぞれ支出したものであります。  以上、警察庁関係歳出決算について御説明申し上げました。何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。     —————————————    平成年度決算説明                 警 察 庁  平成年度警察庁関係歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  平成年度歳出予算現額は、二、六八一億四、八一八万円余でありまして、支出済歳出額は、二、五〇九億六、七三三万円余であります。  この差額一七一億八、〇八四万円余のうち、翌年度へ繰り越した額は、一五一億四、四一四万円余であります。これは、設計に関する諸条件により工事等が遅延したため、年度内支出を完了することができなかったものであります。  また、不用となった額は、二〇億三、六六九万円余であります。これは、退職者が少なかったので、退職手当を要することが少なかったこと等のためであります。次に、支出済歳出額の主な費途について、その大略を御説明申し上げます。  第一に、警察庁経費として一、五一五億四、八〇四万円余を支出いたしました。これは、警察庁自体経費及び都道府県警察に要する経費のうち警察法規定に基づき国庫支弁する経費として支出したものであります。  第二に、千葉警察東京国際空港警備隊経費として九八億一、〇八八万円余を支出いたしました。これは、千葉警察東京国際空港警備隊が新東京国際空港に係る警備活動を実施するために要する経費として支出したものであります。  第三に、船舶建造費として一七億四、九七七万円余を支出いたしました。これは、警察活動に必要な警察用船舶建造に要する経費として支出したものであります。  第四に、科学警察研究所経費として一三億九、五九三万円余を支出いたしました。これは、科学捜査防犯及び交通についての研究調査等のための経費として支出したものであります。  第五に、皇宮警察本部経費として七六億一、〇〇七三万円余を支出いたしました。これは、皇宮警察職員給与皇居警備行幸啓護衛等のための経費として支出したものであります。  第六に、警察庁施設費として二一〇億四、〇四〇万円余を支出いたしました。これは、警察庁関係施設整備するための経費として支出したものであります。  第七に、都道府県警察費補助経費として五七七億七、一〇二万円余を支出いたしました。これは、警察法に定めるところにより、都道府県警察に要する経費の一部を補助する経費として支出したものであります。  第八に、他省庁からの予算移替えを受けた経費は、科学技術庁からの科学技術振興調整費として二、三三三万円余、同じく、国立機関原子力試験研究費として九七〇万円余、国土庁からの災害対策総合推進調整費として七五〇万円余をそれぞれ支出したものであります。  以上、警察庁関係歳出決算について御説明申し上げました。何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。     —————————————
  8. 若松謙維

    若松主査代理 以上をもちまして警察庁所管説明は終わりました。     —————————————
  9. 若松謙維

    若松主査代理 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。畠山健治郎君。
  10. 畠山健治郎

    畠山分科員 九二、九三年度決算に関連して、警察庁並び自治省及び会計検査院に対して幾つか御質問を申し上げたいと存じます。  まず、会計検査院にお伺いをしたいと思いますが、昭和二十年代に一度行ったと聞いておりますが、警察庁に対する検査報告会計検査院国会に行ったことがございますか。あるとすれば、差し支えなければ概要、お知らせいただきたいと思います。
  11. 深田烝治

    深田会計検査院説明員 警察関係検査報告事例といたしましては、戦後間もなくの混乱期で、まだ予算経理の体制が十分整っていない時期に不急の部品を購入したもの、経費年度区分を誤ったもの、地方警察費国庫負担金交付超過となっていたものなどが不当事項として掲記されておりますが、それ以降はございません。
  12. 畠山健治郎

    畠山分科員 三十年代以降一度もないということは、国会に報告すべき会計上の問題が見当たらなかったということでありましょうか。  そこで、御質問申し上げますが、会計上問題がなかったということと警察会計国民にでき得る限り公表されるべきだということとは別問題だと考えますが、いかがでしょうか。
  13. 深田烝治

    深田会計検査院説明員 会計検査院検査結果につきましては、従来から、検査の結果、法令、予算に違反し、または不当と認めた事項あるいは関係大臣等に対し改善意見を表示しまたは処置を要求した事項等があった場合につきましては、これを検査報告掲記し、広く国民に公表してきているところでございます。  また、不当事項処置要求事項等として指摘するになじまない事態でありましても、事業効果等の見地から広く問題を提起して事態の進展を図る、そういうことのために、昭和五十年度決算検査報告から特に掲記を要すると認めた事項として掲記しているところでございます。  また、平成年度からは「特定検査対象に関する検査状況」という掲記の場を設けまして、国民の関心の極めて高い問題につきましてその検査状況を記載するなどしまして、検査情報についてその開示に努めているところでございますが、警察財務会計内容公開という点につきましては、第一義的にはその財務会計を担当しておられます警察庁において対応すべきもの、そういうふうに考えられますので、これにつきましては会計検査院が発言する立場にないということを御理解いただきたいと思います。
  14. 畠山健治郎

    畠山分科員 確かに、会計検査院の任務は行政機関会計上の適法性妥当性検査にあるわけで、公表すべきかどうかという判断機関ではないかと思います。しかし、会計検査院といえども行政の一機関である以上、適法性妥当性判断は、行政機関同士ではなく、最終的には国民にゆだねるべきものだと考えます。  そのためには、特に会計情報公開は大切な要件と考えるが、この点について会計検査院のお考えをお伺いいたしたいと思います。
  15. 深田烝治

    深田会計検査院説明員 私どもの公表する内容といたしましては、先ほど申し上げましたように、検査結果につきまして検査報告掲記しております。  その内容も、先ほど申し上げましたような分類で掲記しておるのでございまして、具体的なその財務会計内容公開という点につきましては、繰り返しで恐縮でございますが、警察庁において対応すべきものと考えておりますので、その点については御理解を賜りたいと思います。
  16. 畠山健治郎

    畠山分科員 警察法第三十七条では「都道府県警察に要する経費については、予算の範囲内において、」「その一部を補助する。」と定めております。施行令三条によれば、その率は通常十分の五とされております。  そこで、自治省にお伺いしたいと思います。  これまで警察補助事業について、いわゆる超過負担に関する実態調査が行われたことがあるかどうか、また、行ったとすれば、調査結果はその補助事業のあり方にどのように反映されておるのか、説明をいただきたいというふうに思っております。
  17. 林省吾

    林説明員 お答えを申し上げます。  国庫補助負担制度におきます超過負担解消につきましては、私ども、国、地方間の財政秩序を適正に保つために極めて重要な問題であると考えておりまして、その解消に努めることといたしまして、毎年度、各省庁に申し入れを行っているところでございます。  また、これとあわせまして、地方団体等から改善要望の多い事業につきましては、関係省庁大蔵省と共同で実態調査を行うなどして、超過負担解消に努めてきているところでございます。  御指摘都道府県警察に係る国庫補助金につきましては、昭和五十年代、何度か実態調査を行い、その結果に基づいて改善措置をとっております。昭和五十八年度には同じような実態調査を行いまして、この結果を踏まえて、昭和五十九年度予算におきましては、警察庁庁舎に係る補助単価改善を図ったところでございますし、その後におきましては、営繕単価改定等に伴いまして、予算上、補助単価の引き上げが行われているところでございます。  今後とも、地方団体等意見伺いながら、社会経済情勢の変化、あるいは施設水準推移等に配慮しながら、関係省庁と連絡をとりつつ、国庫補助制度が適正に維持されるよう対処してまいる所存でございます。
  18. 畠山健治郎

    畠山分科員 調査に基づく一定改善がなされてきておるというようなお話でございますが、その限りにおいては評価をしたいというふうに思っております。  しかし、大分過去の例でございまして、近年どうなっているのかというようなことはうかがい知れないわけでございます。摂津訴訟以来、超過負担解消に努めていただいておるとは思っておりますけれども、ぜひひとつ、近年の資料も調べていただくように要請をしたいというふうに思っております。  そこで、警察庁にお伺いをしたいと思います。例えば、老朽警察庁舎改築率は現在どのようになっているのか、また、今後の改築に伴う所要経費についてはどう見込んでおられるのか、その辺の事情説明いただきたいと思います。
  19. 菅沼清高

    菅沼政府委員 お答えいたします。  警察施設は、警察活動の基盤でございますので、警察庁といたしましても、施設改善整備につきましては、常に予算の重点に掲げまして、整備に努めてきているところでございます。  現在の状況はどうかということでございますが、現在、警察署について申し上げますと、全国で千二百六十二署ございますけれども、建築後三十年ぐらいを経過しているようなものが約二百五十ほどございまして、それ以外のものにつきましてはおおむね整備が終わっているというように考えております。したがいまして、約八割ほどのものにつきましては、警察署について施設整備が終わっている、このように考えております。  今後も引き続き整備はしてまいりたいと思いますし、その場合に、それぞれの施設のグレードをアップしていく、あるいはその単価を上げていくというような形で、整備内容が充実したものになるように努めてまいりたいと思っております。
  20. 畠山健治郎

    畠山分科員 まだまだかなりおくれておるというふうに受けとめざるを得ないというふうに思っております。  そうしてみますと、予算補助でありますから、希望の数が多く出てくれば、どうしても超過負担というのはのしかかってくるということになるわけであります。それぞれ超過負担をなくそうというような努力の跡はよくわかりますけれども、これから先も超過負担にならないように、あらかじめ調整をすればできるというふうに思うのです。ぜひひとつ、その辺のところを調整をしていただいて、超過負担解消にさらに努めていただきますように要望を申し上げておきたいというふうに思っております。  それから、その問題を含めて、警察予算というのは、都道府県警に直に入る部分都道府県財政に入る部分と二つに別れておるわけでありますね。直の部分というのは、決算上、総体の金額は出てくるわけでありますけれども都道府県配分はどうなのかという中身は、これは定かでございません。その辺のところに、超過負担中身がわからないというクエスチョンマークが出てくるというふうに思うのです。情報公開をすべきだという方向で今進んできている時期でもあります、ぜひひとつ、その辺のところを工夫をしてもらわなければいけないというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  21. 菅沼清高

    菅沼政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおり、都道府県警察経費は、独自の県費によるものと補助金、それから国庫が直接支弁する経費から成っているわけでございます。  補助金補助につきまして超過負担の御指摘等がございましたが、警察庁補助金として各都道府県警察に出しておりますものは、これは治安についての国の責任という観点から、全国的な一定水準を維持するという観点から、それぞれの都道府県警察警察署の数、警察官の数等を勘案をいたしまして算定して、必要と思われる経費の二分の一に相当する経費、これは人件費等を除いておりますけれども、いわゆる職員設置経費以外のものにつきまして、必要とする経費の二分の一を 補助するという形をとっているところでございます。したがいまして、私どもといたしましては、必要と思われる経費の二分の一は補助がされている、このように考えております。  ただ、県におきまして、例えば施設なんかの場合に、私どもが考えております基準以上のものをいろいろな事情でつくる場合もあろうかと思いますので、結果的に二分の一を超えるということがあろうか、このように考えております。  それから、国庫支弁経費につきましては、これは特別な重要事件捜査等、これは施行令の二条に規定されておりますけれども、そうした経費につきましては国庫が直接支弁をするという形になっております。  情報公開との関係でございますけれども警察活動全体として、国民理解協力を得るためには、可能な限り情報公開には努力してまいっておりますし、また、していくべきものというように考えておるところでございます。  ただ、内容的に公開になじまない部分警察業務の特質上ございますので、その点は御理解をいただきたい、このように考えておりますが、御指摘のとおり、可能な限り、公開のできるものは積極的に公開をしていくという方向で対応いたしてまいりたいと思っております。
  22. 畠山健治郎

    畠山分科員 さきに、行政改革委員会から、情報公開法に関する検討メモが公表されております。  そこで、これと警察行政との関係について質問いたしたいと思いますが、このメモによる情報公開法が制定された場合、どのような点で警察行政と調和しない、あるいは対立するという部分が出てくるのか、お伺いをしておきたいというふうに思っております。
  23. 菅沼清高

    菅沼政府委員 お答えいたします。  情報公開制度につきまして、現在、行革委員会の中の部会で検討が進められているということにつきましては承知をいたしております。また、私ども意見を求められた場合に、意見を申し上げているところでございます。  警察行政国民理解協力の上に成り立っているということは言うまでもないことでございますので、情報公開という観点におきましても、そうした協力理解を進める上からも積極的に対応していくべきものと考えております。  ただ、警察の保有いたしております情報の中には、犯罪の予防・捜査に関する情報のように、いわゆる情報公開、提供になじまない部分も存在いたしますので、この点につきましては、この公開制度の中におきましても、業務の遂行に支障が生じることのないような仕組みが設けられることが必要であろう、このようには考えております。
  24. 畠山健治郎

    畠山分科員 犯罪の予防あるいは治安維持といった目的を第一義に考えれば、情報公開法は事警察行政に関しては余り意味がないというふうに受け取られてしまったのなら、やはり大変なことだというふうに思うわけであります。  何はともあれ、警察法第一条に、民主的な管理をするというようなことがうたわれておるわけでありますから、ぜひひとつ前向きに情報公開法に取り組んでいただきたい。  と同時に、くどいようでございますが、超過負担解消にさらに努めていただくように重ねて要請をしながら、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  25. 若松謙維

    若松主査代理 これにて畠山健治郎君の質疑は終了いたしました。  次に、弘友和夫君。
  26. 弘友和夫

    弘友分科員 新進党の弘友和夫でございます。私は、今プリペイドカードの変造問題などで大きな問題になっているパチンコのあり方というか問題について質問をいたしたいと思います。  パチンコといいますと、庶民の非常に身近な娯楽として、また適度に射幸心を満たすことができる遊技として大変根強い人気があるわけでございますけれども、その大衆娯楽としてのパチンコが、バブル崩壊後の経済低迷のもとにあっても大変成長しておりまして、総務庁の調査によれば、この五年間で二倍増の、三十兆産業とも言われるほど膨れ上がっておる。その過熱ぶりにつきましては異常なほどだ、このように言われているわけでございます。店頭売り上げが三十兆というこの規模は、日本が誇る自動車産業の約二倍ぐらいだ、そしてまた競輪、競馬などの公営ギャンブルの数倍にもなっている、国家予算の半分に近い額ということで、本当に大きな産業に成長をしているわけです。  しかしながら、その一方で、この業界に絡む事件ということも後を絶たない。今大変問題になっております偽造のプリペイドカード、賞品買い取りによる違法性の強い換金制度だとか、暴力団の介入、その資金源になっているということだとか、遊技機の不正改造、脱税は十一年連続のワーストワン、また、親が熱中する余り子供を車の中に置き去りにして死亡させてしまったとか、さまざまな大きな社会問題も提起しているわけでございます。  ここまで成長したパチンコ産業につきまして、いつまでもこの問題について法的にもあいまいなまま放置しておくわけにはいかないのではないかな。そういうことから、本日はパチンコ産業のあり方といった基本的な問題、そしてまた、今問題となっております変造のプリペイドカードの問題等についてお伺いをいたしたい、私はこのように思うわけでございます。  そこで、まずお伺いしたいわけですけれども国会議員の中にも大変パチンコ愛好者がおられまして、土井衆議院議長なんというのはパチンコ大賞ですか、とったというぐらい、つとに有名であります。私も先日、この質問をするに当たりまして、ずっとやったことがないものですから、同僚議員とたまたま行きまして、調査なくして発言なしという言葉があるので、行ってまいりました。  プリペイドカードを千円買ってやりますと、これは運がよかったのか、もう本当に三十分ぐらいのうちにあの大きな箱がいっぱいになりました。だけれども、昔と違いまして全然やり方もわからない。隣の人が一生懸命教えてくれましてやったという状況の中で、昔のあのパチンコのイメージと大きく今変わっておるな、このように感じたわけです。  長官がそういうことを答えられるかどうかわかりませんけれども、実際やられたことがあるのか。それと、ここまで、三十兆円規模になったこのパチンコの現状というものについて、どういうふうにお考えになっているのかまずお伺いをしたい、このように思います。
  27. 國松孝次

    國松政府委員 私自身は、昔は時々やったことがあるのでございますが、ここのところ十年近くやったことはございません。ただ、委員御指摘がございましたように、最近パチンコ産業というのがある意味で隆盛をきわめまして、一説によりますれば三十兆円産業というところまでなっておるということは私ども承知をしておるところでございます。それだけにこのパチンコ産業がより健全な形で社会に存在していくということが大変必要であるということで、私ども警察といたしましても、そのための努力ということをますますしていかなければならぬのだというように感じているところでございます。
  28. 弘友和夫

    弘友分科員 そこで、お伺いしたいのですけれども、パチンコ産業のあり方、今長官も健全な形で社会に存在していく必要がある、このようにお答えになられたわけです。そういうことで、今問題提起しましたいろいろな問題点、その解決の方法について、警察庁の方でも、何か生活安全局長の私的勉強会ということで、国民生活の安全を守るための施策を研究する会というのが平成六年十月に、「ぱちんこ営業の在り方について」ということでその検討結果を取りまとめて発表されているようであります。その要点につきまして、簡単で結構でございますけれども、問題点とその解決の方法というか、そういう方向性について御報告をお願いしたいと思います。
  29. 泉幸伸

    ○泉政府委員 ただいま御質問にありました、国民生活の安全を守るための施策を研究する会、これは座長が横浜国大の名誉教授の成田先生でありますが、一昨年の十月十一日に「ぱちんこ営業の在り方について」の検討をした結果を取りまとめまして、それを公表いたしました。  その要旨についてでありますが、まず、パチンコ営業は身近で手軽な大衆娯楽として国民の間に定着しているが、いわゆる賞品問題、暴力団の関与、遊技機の不正改造等さまざまな問題を抱えているということを指摘いたしました。  次に、これらの問題の解決方策として、賞品問題については、「ぱちんこ客の根強い換金需要等を踏まえると、これを適正に満たす方策を講じた方が賞品問題の解決に資するのではないか。現金の提供やこれと同一視される営業者による賞品の直接買取りを認めることについては、現段階では相当な困難が伴うのではないか。やむを得ない換金需要に応えるためには、第三者がぱちんこ客から買い取った賞品を営業者が買い取ることを認め、この第三者については、第三者性の明確な者で、暴力団排除や収益の社会還元等ができるものとすることが現実的な方策ではないか。商品券等の提供を認めることについては、その導入方法について更に慎重な検討を要するのではないか。」  また暴力団問題につきましては、「営業者による暴力団へのみかじめ料等の供与や暴力団を利用する行為を規制してはどうか。」  また遊技機問題につきましては、「遊技機の性能表示の義務付け等遊技の公正性確保の措置を検討してはどうか。」という考え方を示されております。  本検討結果は、論点を整理する意味からも、現段階における研究会としての一応の検討結果をまとめたものとした上で、「最終的な解決方策を決定するに際しては、国民のコンセンサスを十分に見極めることが重要である。」というふうに指摘されております。  以上でございます。
  30. 弘友和夫

    弘友分科員 今御報告がありましたけれども、この国民生活の安全を守るための施策を研究する会、大変いろいろな問題点そしてまた今後の方向性について勉強もされているというか、方向性を示されているのじゃないかな、このように思うわけですね。  それで、後から質問をいたしますけれども警察庁は健全化のためという名目のもとにプリペイドカードを強引にというか導入をして、いろいろな問題が今起こっている。私はこの前に、やはりこのパチンコ業界の抱えている問題というのを、この勉強会で示された方向といいますか、そこら辺を先に手をつけるべきであったのではないかな、このように考えているわけです。  それで、この問題について全部やるわけにはいきませんけれども、例えば今お話がございましたけれども、週休二日制の導入等によって余暇時間が大変拡大している。身近で手軽な娯楽の場の提供の重要性というのが増している。その中にあって、パチンコというのは大衆レジャーの中で重要な地位を占めていくものと思われる。そしてまた、パチンコ営業というのは、もともとは適度に射幸心を満たすことができる身近で手軽な娯楽としてパチンコというものがあったわけですね。  ですから、風適法ですか、要するに、賞品は提供することができるけれども、それを換金することができないということになっているわけですね。ところが、現実問題は、ほとんど九割に近い方が換金の需要がある。アンケートでは六割強ということもありますけれども、人に言わせたら九割ぐらいの換金需要がある。それが全国一万八千営業所で景品の買い取りということがまず行われている。しかし、それは、合法的でないというか、そういう要素もありますので、そこに暴力団だとかいろいろなものが介入する余地がある。  今、現実問題としてこの換金の需要があるわけですから、今御説明がありましたように、「やむを得ない換金需要については、一定条件の下に、第三者が買い取った賞品を営業者が買い取ることを認めることによって適正に満たすこととするのが、現実的な解決方策である」、このように言っているわけですね。それと同時に、商品券等を出してはどうかとかいろいろなことを提案というか、検討結果を出されているわけですけれども、最終的にはさらに詰めた検討を行う必要がある、こういうふうに最後は述べているわけです。  これについて、この提案というか、この勉強会の結果に対して、具体的には換金需要の問題も含めて、いつごろまでにどういう形で方向性を出そうとされているのか、お尋ねをしたいと思います。
  31. 泉幸伸

    ○泉政府委員 主としてパチンコの賞品買い取りの問題を中心としましたこの提言の中身についてでありますけれども、ただいま御指摘にもありましたように、非常に大きく、また各般に影響を及ぼす問題であります。また、提言自体にありましたように、国民のコンセンサスを十分に見きわめることが重要だという指摘も受けております。そのような性質のものだと認識しております。  したがいまして、ただいま御質問いただきましたようにいつごろまでにというのは、現時点ではそのような方向につきましていろいろな方の意見伺いながら検討をしておる段階でございまして、現時点でいつごろまでにと申し上げることはできる状況ではないというふうに考えております。
  32. 弘友和夫

    弘友分科員 例えばこういう例があるのですね。大阪方式というのは、今大阪では大阪身障者未亡人福祉事業協会、こういうのを設立をして、その身障者未亡人福祉事業協会が第三者の機関として、今まで暴力団だとかいろいろなものが介在していた景品の買い取りの部分というのにそういう福祉団体が入って、そしてそこに買い取りを任せることによって、暴力団の排除にもなるし、また何千名ですか、福祉的な見地から雇用の確保もできるし、そしてまた団体等に寄附もできるというような、非常に評価をされた、また業界のイメージアップにもなるという評価をされた例があるわけなんですね。  こういう方向でやれば、今のまま、現状のまま置いておくよりも、こういう形で進めていったら国民世論のそういう方向性もよくなるのじゃないかな、このように思うのです。例えば一つの例ですけれども、これについてどういうふうにお考えなのですか。
  33. 泉幸伸

    ○泉政府委員 ただいまお話がありました大阪方式、大阪で行われておりますシステムについては承知しております。  この景品買い取り問題につきましては、先ほども申し上げましたとおり、この生活安全研究会の検討結果の公表を契機として、各方面からの御意見、反響等もございますので、それらを見きわめつつ対応方針を慎重に検討しているという段階でございます。
  34. 弘友和夫

    弘友分科員 この問題については、後で時間がありましたら、またやりたいと思います。  そこで、今、こういう基本的な改善については、環境が整わないとできないというか、そういう整うのを待ってというようなお話でありましたけれども、では、今非常に問題となっているプリペイドカードの導入について、これは聞くところによりますと、警察庁が先頭に立って推進をしてきたというふうに言われているわけですね。  ところが、今になって、この偽造問題が非常に大きな問題になっている。新聞を見ましても、「パチンコの偽造プリペイドカード 暴力団に利益流出か 年間被害五百億円に」とか「PC変造被害六百三十億円 暴力団の資金源にも」、これは店ぐるみでやっているとか、こういう例もありますね。ここ最近、これに伴う報道はたくさんされておりますけれども、「十一都府県で組員逮捕昨年以降、不正使用など 十二カ国外国人も」「変造深刻、商社に誤算 防止策も空振りに 責任めぐりNTTと対立 パチンコカード被害六百三十億円」。これは大変な問題になっておるわけです。  先ほどから言っているパチンコ業界が抱えている根本的な問題というものに手をつけないで、ではなぜこのプリペイドカードの導入だけを急がれたのか。しゃにむに急いだという実態があるのじゃないかと思うのですけれども、このプリペイドカードを導入するに至った経過、またなぜそれを早急に推進しようという考えになったのか、そこら辺についてお伺いしたい。
  35. 泉幸伸

    ○泉政府委員 ただいま生活安全研究会の報告で提言された基本的な問題を横に置いてプリペイドカード導入を進めたという御趣旨の質問がございましたが、先ほど申し上げましたように、生活安全研究会は、平成六年にこの提言を、基本的な問題について提言をいただいております。  一方、プリペイドカードのシステムにつきましては、昭和六十三年七月に、民間企業から警察庁に全国共通方式でのプリペイドカードシステムの導入の計画が示されまして、同年十月に一社、平成元年八月に一社が設立され、それぞれ平成二年よりシステム供給が開始されたものでございます。現在は、この二社に加えまして、平成七年にさらに一社がシステム供給をしているという状況にございます。
  36. 弘友和夫

    弘友分科員 民間からあったからこれをやったんだというようなお話ですけれども、これは警察庁も推奨されてきたわけでしょう。  これは、最初は、このプリペイドカード導入については、これはある雑誌ですけれども、この導入については、全国のパチンコ店の経営者はほとんど知らない、寝耳に水だった、彼らの反応を一言で言うと、黒船来るであった、警察主導の上でやられた、こういうふうにその当時の受け入れる業界というのは受けとめているわけですね。  だから、どういうメリットというか、どういうことを考えられてそれを推奨されたのかということをお伺いしたい。
  37. 泉幸伸

    ○泉政府委員 プリペイドカードシステムにつきましては、パチンコ営業に特有の現金管理業務を軽減して、事務処理の効率化、経営の合理化にも有効なものでありますとともに、経理の明朗化にも資するという点から、パチンコ営業の健全化に効果を発揮するものとして、警察庁としてもその導入を推奨したものでございます。  導入当初におきましては、業界内部に賛否さまざまな意見があったということは承知しておりますが、実際にシステムが供給されて以降は、業界団体としても、健全化に対する同システムの効果に理解を示し、導入促進の決議等、システムの普及に向けた独自の取り組みを行ってきておると承知しております。
  38. 弘友和夫

    弘友分科員 そうしたらちょっと観点を変えて、今六百三十億に上る偽造の問題が起こっているわけですけれども、これの事犯、また内容について、ちょっと御報告をお願いしたい。
  39. 泉幸伸

    ○泉政府委員 パチンコプリペイドカードの変造・行使事犯は、昨年夏ごろから増加いたしまして、平成七年中に摘発した事件数は六百六事件、検挙人員は六百九十三人でありますが、平成八年一月から四月までの四カ月間で、それぞれ六百事件、七百八人となっておりまして、依然として高いレベルで推移しております。  警察庁といたしましては、変造カードの状況は、健全化のためのシステムが犯罪に悪用されている点でパチンコ業界の健全化に与える影響が大きいこと、また暴力団や外国人グループが関与している事案があり、治安上の問題を引き起こすおそれがあることなどから重大な問題と認識しており、各都道府県警察に対し取り締まりの強化を指示するとともに、業界団体に対し防犯及び通報体制の強化を指導し、また、カード会社に対しましては早急なセキュリティーの向上を要請しているところでございます。
  40. 弘友和夫

    弘友分科員 ある人は、パチンコ業界を健全化するという大義名分でプリペイドカードが発行され、カード会社の設立によって、警察と大手資本とによる利権ビジネスの合法的な支配の構図ができ上がった、その結果はアングラマネーが流れる偽造団というやみの組織を警察がつくってやったようなものですと。  これは誇張した言い方かもしれませんけれども、実際、今までは、これが導入されるまではそういう犯罪というのはなかったわけですから。それが、六百三十億という、これは大変な額ですよ。それが、それを導入することによって、そういう新たな犯罪を生み出した。先ほどおられた長官は、これは国家の基本にかかわる問題だ、治安の基本にかかわる問題だ、ここまで言われているような、そういう問題。  これを導入して、一生懸命警察庁が推進してきた結果、今までになかった犯罪を生み出しているという責任というか、国家公安委員長も来られておりますけれども、これについてどういうふうに考えられますでしょうか。
  41. 泉幸伸

    ○泉政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、プリペイドカードの導入につきましては、民間企業からプリペイドカードシステムをパチンコ業界に導入するという計画が示され、警察庁としましては、当時から、カードの不正使用及び偽造、変造に対する十分な防止対策を講じることができる技術的能力を有する企業の参画が不可欠と考えて、その旨も伝えており、結果としてプリペイドカードが導入、普及されてきたわけですけれども、今日、先ほど申しましたように、変造被害が多く発生し、治安上も問題であるという認識を持って、そのための対策を鋭意進めているところでございます。
  42. 弘友和夫

    弘友分科員 先ほどから、民間企業からその計画が示された、だからそれを許可したというような感じで言われているわけですけれども、では、民間企業というのはどこなのか。  当事者であるパチンコの業界は、当時、先ほどの黒船が来たというのじゃありませんけれども、実際、設備も自分たちでやらないといけない、プリペイドカードを導入することによってメリットというのはまずなかったと思うのですね。ですから、当初はほとんど行き渡らなかったけれども、聞くところによりますと、今まであった、一回入るとたくさん玉の出る連チャン機というのが業界の自主規制によって廃止をされた、そこで、CR機というプリペイドカードと一体となった機械が、やむなくというか、それによって普及をし出したわけです。  ですから、民間が計画した、このように言われましたけれども、それは警察庁の方の肝いりで民間ができ、やったんじゃないのですか、肝いりで。そこはどうですか。
  43. 泉幸伸

    ○泉政府委員 先ほども申し上げましたように、プリペイドカードの導入に関しましては、パチンコホール営業について、現金管理業務の軽減、事務処理効率化等々の観点から普及させることが有効ではないかということで、カード会社等におきまして、これを発案し、警察庁にも説明し、警察庁もその御説明を受け、またカード会社が各ホール等の団体等に御説明して普及させたものでございます。  ホール側において全くメリットがないではないかという御指摘もございましたが、この構想の当初においてはいろいろな意見があったというふうには承知しておりますが、実際にシステムが供給され始めてからは、それぞれのホール団体等も健全化に資するシステムであるという点に理解が進み、導入促進の決議あるいは導入業者に対する報奨金制度等々の措置もとられて、ホールも一体となってシステムの普及に向けた取り組みがなされているという状況でございます。
  44. 弘友和夫

    弘友分科員 ある記述によりますと、プリペイドカードの会社、日本レジャーカードシステム株式会社、日本ゲームカード株式会社、日本アドバンストカードシステム株式会社、今のところ三つですか、その会社に、警察庁の共済組織であるたいよう共済というのか、これも資本参加をしているというふうにありますけれども、これは事実でしょうか。
  45. 泉幸伸

    ○泉政府委員 そのとおりであると承知しております。
  46. 弘友和夫

    弘友分科員 それと、いわゆる天下りといいますか、警察OBのカード会社への就職状況、また、ほかの都道府県についてもこの業界にいろいろな形で就職をされている方がいらっしゃると思いま すけれども、それはどのようになっておりますでしょうか。
  47. 菅沼清高

    菅沼政府委員 お答えいたします。  先ほどお話のございました三社がいわゆるプリペイドカード会社であると承知しておりますが、その三社に、合わせて七名の者がいわゆる再就職をいたしております。  都道府県警察の段階のことにつきましては、詳細は承知いたしておりません。  また、そのことについてというお話でございましたが、警察のOBがプリペイドカード会社に入るについて、背景、経緯というものが格別にあるわけではございませんで、一般的に警察のOBが企業等に再就職いたしますときには、一つは本人の経験、知識が生かされてその企業あるいはその業界の健全育成に貢献することができる、また、警察行政の公正さ等が損なわれないといったことを考慮した上で、企業への再就職をいたしております。このプリペイドカード会社につきましてもそうした再就職の仕方の一つである、このように認識いたしております。     〔若松主査代理退席、主査着席〕
  48. 弘友和夫

    弘友分科員 日本レジャーカードシステムでは、代表取締役会長、副社長、監査役、参与、トップクラスの方が就職している。日本ゲームカード会社は、代表取締役会長、常務。それから日本アドバンストカードシステムは顧問。七名の方が、管区の局長クラスの人が再就職している。しかも、警察庁の共済組合というか共済組織、これも資本参加をしている。そこに就職をすることを、格別のものがあって就職するわけじゃないというような話であったのですけれども、これは、警察庁がそれを導入するのを一生懸命推進をしたとしか考えられないのです。民間企業からたまたま話があってやったということじゃなくて、やはり大義名分があったから推進したんじゃないのですか、警察庁としては。
  49. 泉幸伸

    ○泉政府委員 先ほどお話のありましたたいよう共済につきましては、警察の共済組織である旨の御指摘がありましたが、正確に申し上げるならば、これは警察官の保険等を取り扱っております民間会社でございます。  それから、プリペイドカードシステムの導入について、大義名分があったから警察庁は推奨したのではないかという御指摘でございます。先ほど申し上げましたように、プリペイドカードシステムが導入、普及されることが、とかく問題として指摘を受けております各ホールにおける経理を明朗化する一助となるという点はそのとおりであるという認識のもとに、プリペイドカードシステムの導入を推奨したものでございます。
  50. 弘友和夫

    弘友分科員 聞くところによりますと、プリペイドカードのCR機というのを普及するために、各都道府県の警察で普及の成績がよければ何か表彰されたような例もあるやに聞きましたけれども、そういう事実はありますでしょうか。
  51. 泉幸伸

    ○泉政府委員 各都道府県におきまして、パチンコ業界の健全化のための施策は鋭意進めておるところでございます。暴力団の排除あるいは不正機の摘発その他そういういろいろな施策の中で、健全化に資するカードシステムの普及状況等も一要素としては勘案し、賞揚されたことはございますが、これだけでという状況ではございません。
  52. 弘友和夫

    弘友分科員 ちょっと今最後がよくわからなかったのだけれども。表彰というか、そういうことをされたことはないのですね。
  53. 泉幸伸

    ○泉政府委員 健全化のための施策について非常に効果があった、いい施策をとったということについて賞揚、表彰したことはございます。その中身につきましては、カードシステムの普及も入っておりますが、それ以外に暴力団排除、不正機の摘発等の要素も入っております、このように申し上げました。
  54. 弘友和夫

    弘友分科員 余りそこはこれ以上言いません。  では、大変普及することが健全化につながると思われて一生懸命推進されたこのシステムが、六百三十億、新たな犯罪を生み出しているわけです。これを導入する時期、もう最初のとき、その当時はテレカなんかも変造問題がいろいろあったわけです。磁気カードというのは変造されるんじゃないか、そういう懸念も実際はあったわけですよ。それを、絶対大丈夫だ、十年間は破られない、このように言って推進をしたわけです。それが今や六百三十億ですよ。また金額だけじゃなくて、そこが暴力団の資金源になり、いろいろな問題が出ているのです。  これは今改造するからいいですよという問題ではないのです。新たな犯罪、国家の治安の基本にかかわるような大変な問題を警察庁が導入することによって生み出したということにどういうふうに責任を感じられるのか。国家公安委員長の御所見もお伺いしたい。
  55. 倉田寛之

    ○倉田国務大臣 弘友委員の御質問に入る前に、私の出席がおくれましたことをまず御了解をちょうだいしておきたいというふうに思います。  先ほど来御議論がございましたように、パチンコのプリペイドカードシステムにつきましては、パチンコ営業の健全化に効果を発揮するものとして、警察庁としてはその導入を奨励をしてきたものと私も承知をいたしているところでございます。  ただ、御議論にありましたように、昨今のプリペイドカードの変造の現状というものを見ますときに、健全化のためのシステムが犯罪に悪用をされている状況にございますので、パチンコ業界の健全化に与える影響が大変大きい。暴力団あるいは外国人グループが関与している事案もある。治安上の問題もゆゆしき状況にあるし、大きな治安上の問題を引き起こすおそれもあることから、先般、各都道府県に対しまして取り締まりの強化を示したところであると承知をいたしております。  ただ、プリペイドカードを導入をいたします際に、警察庁としては、カードの不正使用及び偽造、変造と申しましょうか、にせ、変造に対する十分な防止対策を講じることができる技術的な能力を有する企業の参画が不可欠であろう、こういう旨を伝えておったことも事実であるというふうに承知をいたしているところでございます。
  56. 弘友和夫

    弘友分科員 ゆゆしきことであるという御認識は当然だと思うのですけれども、これはもっとやはり深刻に考えないと、本当にこういう風潮といいますか、向こうも経済の論理で動いているわけですから、これをやると一日一千万、二千万も伸びてもうかるぞというようなところから、少々逮捕されようが何をしょうが構わない。そして、この偽造する技術につきましても、お金を幾らでも払ってこれを破ろうとしているわけです。これはイタチごっこというだけじゃ済まない問題を生じさせているわけですから、そこら辺は、やはり本当に深刻に考えていただかないといけない。  そしてまた、その使用者を捕まえても、これはだめだと思うのですね。やはりもとにある変造グループのトップ、そこら辺については手をつけられているのですか。そこら辺を逮捕したというのは余り聞いたことがないのですけれども、どうですか。
  57. 泉幸伸

    ○泉政府委員 この変造カードの事犯につきましては、先ほど申し上げましたように取り締まりを強化しておりまして、主としてホールにおいて変造カードの行使事犯、さらには組織的な行使事犯については検挙をした例はございます。  残念ながら、変造グループあるいは今御指摘がありましたような組織的な変造グループというようなものの検挙にはまだ至っておりませんが、鋭意捜査をしておるところでございます。
  58. 弘友和夫

    弘友分科員 そして、プリペイドカード方式というのを、普及しているのは今七割ぐらいですね、警察庁として今後も推進をしていこうと、まさに表彰までされているわけです。その一つとして表彰までされているわけですから、そういうものを推進していくのか。  そして、そのときにまた、これを破られてこういう問題が起こるということがあってはならないのですけれども、方針は、究極は、例えば今NTT等で検討されているICカードですか、こういうことにしていかないと、今のままだったら、お金と技術をあれしてきて破られるおそれというのは将来も十二分にあるんじゃないかな。ところが、ICカードを導入すると、その改造費でも、今でさえ業界の負担になっているのが、一軒当たり相当な負担、また新たな設備投資が要るわけですね、ちょっと金額はあれですけれども。しかし、最後までいくにはそれしかないかもしれない。  だから、警察庁として今後取り締まりは大いにしないといけない。もちろん、どんどんやる必要があるのですけれども、それをまた破られるかもしれないというところにあって、今後このプリペイドカードをどういう方向に持っていこうとしているのかということについてお尋ねします。
  59. 泉幸伸

    ○泉政府委員 先ほど来申し上げておりますように、このプリペイドカードシステムは、現金管理業務の軽減、事務処理の効率化、経営の合理化等に有効でありまして、また、何よりも経理の明朗化に資するという観点で推奨してきたところであり、そのこと自体は変更はないというふうに認識しております。  ただ、このシステムのセキュリティーにつきましては、ただいま大きな問題になっておりますし、また、先ほど国家公安委員長の方から御答弁がありましたように、導入当初からこの点については関心事であり、その旨を要請してきたところであります。今後、このセキュリティーの向上ということについては、万全を期すよう各方面に要請してまいりたいと思います。  先ほどの御質問にありました、どのようなシステムを採用してセキュリティーの向上をさせるかということにつきましては、基本的に、当然ながらカード会社の経営判断であり、また、どのようなカードシステムをホールに導入するか、どれだけの負担でホールに導入するかということにつきましても、これまたホールの経営判断ということでございます。  警察といたしましては、その点について云々するということではなくて、システムのセキュリティーの向上ということについては万全を期し、また、この種事犯の防止等についての対策も進めていただくよう、各方面に要請してまいっておるところでございます。
  60. 弘友和夫

    弘友分科員 経理の明瞭化だとかいろいろあるのですけれども、その店で全部の台にカードを使わないと意味がないのじゃないのですか。半分だけカードでやっております、半分は違うものでやっております。経理の明瞭化明瞭化と言われるけれども、余り意味がないのじゃないかなというふうに私は思うわけですよ。
  61. 泉幸伸

    ○泉政府委員 私どもは、そのホールにある全機種がカード化し、普通の現金による玉貸しができない機能にならないと意味がないというふうには考えておりません。一部におきましてもカードシステムを導入することによりまして、それの玉貸し状況等について明確になるということが、全体の経理の明朗化に相当資するのじゃないかというふうな認識を持っております。
  62. 弘友和夫

    弘友分科員 国税庁が一生懸命経理の明瞭化を言われるのはあれですけれども、天下りの問題は余り言いませんけれども、経理の明瞭化だけじゃない。いろいろな人が天下りをしている、また各都道府県でもいろいろやっているということを考えると、そしてまた、先ほどから問題提起しておりますいろいろな問題にはまだ世論の成熟が必要だということで手をつけないで、もうプリペイドカードが絶対だということで推進をしていくのはちょっと問題がある。しかもそこに六百三十億もの新たな今まで以上の問題をつくり出したということ、これは大いに反省もしていただかぬといけないのじゃないかな。ただセキュリティーシステムを今から向上していきますと言うだけじゃ済まない問題であるということですね。  ですから、これはこれで進められるのは結構ですけれども、三十兆円産業ですから、本当に健全な娯楽としてこの業界が社会に認知される、そういう業界に育っていくために、さっき言った福祉にも貢献をしているとかいうことを入れながら、そこら辺まで指導していかれた方がいいのじゃないかな、このように思います。  最後に、今後のそういう考えについて、国家公安委員長、またほかにもございましたら、お聞きして、終わりたいと思います。
  63. 倉田寛之

    ○倉田国務大臣 パチンコ営業は、身近で手軽な大衆娯楽として、国民の間に定着をしてきたと考えられると存じます。したがいまして、遊技機の不正改造や昨今の変造カード事犯等、健全化のために取り組まなければならない問題も多々あると承知をいたしておるところでございます。  警察におきましても、今後ともこれらの問題に適切に対応してまいるもの、こう承知をいたしているところでございます。
  64. 弘友和夫

    弘友分科員 では、終わります。
  65. 佐藤静雄

    ○佐藤主査 これにて弘友和夫君の質疑は終了いたしました。  次に、三原朝彦君。
  66. 三原朝彦

    三原分科員 決算委員会で質問するのは初めてなものですから、本当は決算書か何かを一生懸命勉強してきてやるのでしょうけれども、私は、これまで私が疑問に思ってきたといいますか、問題だといいますか、こうやればもっといいのにと思ってきたことで、一つずっと聞いてみたいと思っていたことがあるものですから、それを警察庁に聞きたいと思います。  それは、私自身は南北問題、ODAのことに関して最も興味を持って、政治の道でやりたいと思ってきたのですが、二十年ぐらい前にケニアとかタンザニア、エチオピアへ行きまして、貧しい国であったけれども、昼でも夜でも、Tシャツ一つでぶらぶら歩いても何の恐怖感もないし、心配もなかったのです。つまり、治安は悪くなかった。貧しいながらも、みんなお互い貧しかったということもあったのでしょう。  ところが、数年前に行きましたら、ちょっと日が暮れますと、外務省の人が、絶対にホテルから外へ出ないでくださいと。向こうの国でいうパンガという、青竜刀まで大きくないですけれども、でかい刀で、あなた下手をすると寝首をかかれますぞみたいなことでありまして、わずか二十年で、町は近代的なホテルが林立し、部屋は冷房完備でよくなってきましたけれども、一歩外に出ると民の心はすさんでおるという、その現場を見ました。  まして、夜お巡りさんがパトロールしていますから、お巡りさんがいるからいいじゃないですかと言いますと、そのお巡りさんが問題なんです、こういうことなのですね。彼らが一番危ないんですというようなことを言われまして、最も法と秩序を志向する上で基本となるべき、法の執行をする警察官がそこまで市民から疑念を持たれるような社会では困ったものだな、こう思ったことでありました。  翻って、我が国のことを考えてみますと、ありがたいことに、警察への国民、市民からの信頼というものは、しっかりとしたかたいきずなで結ばれておるわけであります。  その中のシステムの一つで、交番という一つの制度。一つの町に行きますと必ず交番がある、駅前に交番がある、繁華街には交番があるという感じで、つまり、その存在自体が、物を言わざるけれども一つの安心を与えるための装置になっておるとは思うのです。  それと同様に、遠い昔を思い出すと、学校帰りに駐在所のお巡りさんと一緒に遊んでみたりしたような記憶があったりして、やはりその土地にちゃんと根差した人的関係が結ばれていないと、実はいざというときに市民からの協力も得られないだろうし、また平常以上の心と心の結びつきというのが実は信頼のきずなの基であろう、こう私は思っておる次第でもあります。  こういういい制度が我が国にあるなればもっと、その国の文化、カルチャーというのをよその国に押しつけるわけにいきませんけれども、これを伝播するようなことはないだろうかと思っていろいろ聞いてみますと、実は、もうシンガポールあたりでは一九八〇年代に、交番のこのシステムはいい、大いに学ぼうというようなことで、いろいろアイデアも取り入れて、実際に成功しておるのだそうです。警察白書を読んでみても、アメリカあたりでもコミュニティーポリシングというのがあるそうでありまして、それもやはり実は、アメリカだと事が起こったらパトロールしているからぱっと行って、そしてその後の捜査をして悪いやつを捕まえるというそういう考え方から、やはりそれじゃいかぬ、地域に根差した警察組織みたいなのがないと本当はいけないんだ、そういうことを起こさないようなことをする、起こさないような社会をつくることが実は大切なんだという考え方の転換までするような感じもあるそうであります。  私は、開発途上国あたりの底上げするためには、やはり貧困対策が第一、それと同時に、法と秩序というものを成長させる、安定させるということが大切だと思っておるような次第でありまして、まして開発させるためには投資が必要であったりとか観光が必要であったりとか、そういうことによってハードカレンシーを得て、その国がまた発展に拍車がかかるわけですけれども、そういう面からも、実は法と秩序というものの必要性、安定性というものが絶対に必要だ。その基になるのが市民一人一人の法と秩序に対する信頼であろう、こう思う次第でありまして、そのことの基本の一つが、日本でいえば明治以来の交番のシステムであったろうし、そういうことが開発途上国、今から国を安定させていこうという国にも当てはまるのじゃないかと私は思いますけれども、専門的な立場からその交番の効用というものを、日本の国のことに関しては我々も十分知っておるつもりですから、これからの国に対してと、シンガポールやアメリカでのコミュニティーポリシングのメリットあたり、少し教えていただければと思う次第であります。
  67. 菅沼清高

    菅沼政府委員 お答えをいたします。委員御指摘のとおり、日本の交番制度は、明治以来日本の警察が持っております制度でございまして、いわゆる地域社会に根拠を置きましてあらゆる地域社会の現象に対して対応しているという意味で、地域の生活安全センター的な役割を果たしてきたわけでありまして、これが日本の治安の安定に大変大きな効果があったということは御指摘のとおりでございます。  そうしたことに外国の側も大変注目をしておりまして、私どもいろいろな機会に国際的な警察組織等との交流の場を持っておりますけれども、そうした場合に、こちら側の説明の中で、あるいは現地を視察したりした中で、この交番に大変関心を持ちまして、その仕組み等についていろいろ相談を持ちかけられることがあるわけでございまして、私どもも積極的にその効用、制度内容等について説明をしてきているところでございます。  そうした中で、委員も御指摘のとおり、各国の方からそういった制度を導入したいというような話もございまして、お話にございましたシンガポールのほか、現在、東南アジア諸国でマレーシア、フィリピン、タイ、ブルネイといったところで交番に類似する施設が設けられております。  アメリカにおきましても、先ほどお話にも出ておりましたけれども、コミュニティーとの関係、地域社会との関係を重視したコミュニティーポリシングという働き、制度警察が積極的に導入しておりまして、日本の交番に似たミニステーションと言われる施設をつくっているというように聞いております。  また、中米のプエルトリコでは、ちょっと内容はよくわかりませんけれども、まさに文字どおりコーバンという名前の施設をつくっているというようなことも聞いているところでございます。  私ども、この交番につきまして各国の方からいろいろな相談あるいはその導入についての指導が求められてまいりました折には、積極的にこれに対応しているところでございます。
  68. 三原朝彦

    三原分科員 例えばシンガポールあたりは、交番がまだなかったころとできてからの犯罪とか秩序の安定みたいなことに差異があったのでしょうか。それを調べたのがありますか。それとも、アメリカの都市によっては、コミュニティーポリシングあたりをやることによって、パトロールカーと捜査で悪い者を捕まえるという感じからコミュニティーポリシングという政策転換した後に、何か画期的な効果みたいなのが出たという話はありますか。どうでしょう。
  69. 菅沼清高

    菅沼政府委員 お答えいたします。  細かい統計的なものについては承知いたしておりませんけれども、シンガポールの政府のお話として私ども間接的ではありますが聞いておりますのは、この交番制度を導入したことによってその地域の犯罪の発生が極めて減少したというように聞いております。  それから、アメリカにおきましても、ミニステーション的なものをつくったことによって、いわゆるスラム地区といいますか、そうしたところの犯罪の発生が減っている、このように伝え聞いているところでございます。  したがいまして、交番という制度は、外国におきましても相当の効果を発揮し、また、期待できるものではないか、このように考えております。
  70. 三原朝彦

    三原分科員 それは、実は、浅草の仁王様じゃないですけれども、スラムに交番があることによって、一種のおどし効果からきた犯罪の低下でしょうか。それとも、そうじゃない、本当の意味での心と心の結びつき、ボランタリーで一緒に街角の、アメリカだったらバスケットをするところでお巡りさんと子供たちが、ストリートギャングたちが心を通わせ合ったとかそういうたぐいの、北風と太陽説で言うたら、むしろ太陽の存在があればこそ服を脱ぐような感じ、心を開くような感じ。どっちなんでしょう。
  71. 菅沼清高

    菅沼政府委員 威嚇的な効果もゼロではないと思います。今まで犯罪が発生していたところで常に警察官が常駐しているということは、検挙される可能性が高くなるわけでありますので、そういう意味では威嚇的な効果も十分期待できると思います。  ただ、私ども聞いておりますところでは、先ほど言いました地域社会の安全センター的な役割も大変注目をされておりまして、その地域の人たちがそこにいろいろと訪れてきて情報の交換をする、あるいは地域社会のつながりの核になる、こういった形で機能をしているという意味では、地域社会全体の連帯感、特に防犯意識の連帯感のようなものを醸し出すという意味では、北風的な面もありますけれども、太陽的な意味合いも十分ある、このように考えております。
  72. 三原朝彦

    三原分科員 交番の効用といいますか、我が国がつくり出した一つの文化といいますか、制度のよさみたいなのを、これは、できるならまた他の国、特にまだ法と秩序が確固としてできておらないような国には、学んでもらう場面があったらたくさんやってもらいたいと思うのですけれども、何かODA予算自体は、贈与もローンも全部入れますと日本はもう一兆円を超しているのですね。贈与で、これは二国間、多国間、国際機関ありますけれども、そういうのになると七千億円ぐらいある。技術協力はその中で三千億円以上ある。その中で、ODAで果たしておる警察庁の役割は、予算で見てみますと、ことしたと、調べてみたらわずか一億四千万か何かそのくらいですよ。ということは、もうゼロみたいなものですよ、ゼロみたいな。  その中で、去年もそう大してぐんと伸びたわけではないのでしょうが、今官房長さんがおっしゃった日本の誇るべき交番というシステムあたりを来たら教えてあげますというような感じですけれども、何かこういうのを読んでいますと、アジア地区の地域警察セミナーなどというものも近年行われておりまして、その中で、もちろん交番の制度だけではない、情報ネットワークのつくり方とか交通規制のリードの仕方とか、そういうこともやっていますと書かれてあります。トータルな意味での警察の役割みたいなことをセミナーの中でしておられるのでしょうけれども、この一億円強のODAの予算の中でのことだと思いますが、大体、その内容はどのようなことなのでしょう。
  73. 菅沼清高

    菅沼政府委員 お答えをいたします。  警察庁の場合は、このODA予算、おっしゃるとおり平成年度で一億四千三百万、前年、平成年度で一億三千五百万ということで、全体のODA予算の中に占めます比率は大変低いわけでございます。と申しますのは、警察庁は、いわゆる事業といいますか大規模な援助をやるという体質の役所ではございませんので、どういたしましてもいわゆるソフト面での協力ということになります。  したがいまして、今お話にも出ておりましたけれども各種のセミナーをやっておりまして、外国の方から各級の、上級幹部あるいは一般の実務者も含めまして日本へ研修に来てもらう、そして交通管制あるいは鑑識の技術その他、日本警察が持っておりますもろもろの技術についてそれを見学あるいは実習したりして身につけて帰ってもらう。また、交番等につきまして導入の相談等がございましたときには、こちらの方から、比較的長い期間滞在をして、いろいろ現地で指導をし、相談に応ずる、こういう形での活動でございますので、そうした会議、セミナー、旅費、滞在、そういったものの総計がおおむねそういう額になる、こういうことでございます。
  74. 三原朝彦

    三原分科員 テクノロジートランスファー、技術移転でも、例えばJICAあたりでやっているのを見ていますと、医療とか農業技術とか、そういうことはかなりの数の人が来て現場でオン・ザ・ジョブ・トレーニング、これがやはり一番役に立つのですよ。座学で、机上で教えられることももちろん理論的には理屈はわかるでしょうけれども、開発途上国のお医者さんあたりが日本に来て、目の当たりにして、一緒になって現場で苦労してみる。そのことが実は、ただ技術移転だけではなくて心の面でも、ああいう開発途上国に行きますと、医師というのはえらい高い、職業に貴賎はないといいながら実際そんなことはない。ああいうところに行くと、神様、仏様がおるような感じで、本当に地べたまでおりてきてというような赤ひげ医者みたいな人もいるのでしょうけれども、よく私なんか現場へ回ってみると、全然そういう感じではない、階層社会があるみたいな。ところが、日本へ来て現場を見てみると、そうではない。患者こそがまず第一なのだというようなことを教える場面がありますよね。  それと同様に、やはり開発途上国に行きますと、警察官というのは恐れられる存在であるのですよ。車をとめたと思ったら後ろから手を出して何かもらっているというような、そういう嫌なイメージも開発途上国に行くとあって、何度かそういう現場に出くわしたことがあるのですよ、私自身も。もちろん私はノーと言いましたけれども、余りうるさいから、百円ライターか何かをいつも持っていて、ほらこれと言ってやると、ユー・キャン・ゴーとか言って行かせてもらえるというようなことがあるわけですよ。  そういう一種の訓練、ディシプリンみたいなものをするためには、開発途上国のエリートの人を呼んできて教育するということももちろん大切ですけれども、市民とより当たるところの人の訓練が、技術的な訓練だけではなくてそういう心の訓練みたいなことがもっと必要だと僕は思うのですよ。そういうことに対して、もっとエネルギーを警察庁も払ったらどうか。そういう一番下のレベルの人を呼んでやっているようなことはあるのですか。どうなんでしょう、現場の人を呼んできて。
  75. 菅沼清高

    菅沼政府委員 こちらの方へ研修等で来る人というのは、どうしてもあるランク以上の人になりがちでございますし、数の上でも制約されてくるというのが実情ではございます。反面、こちらの方から参りました場合には向こうの方で現場の人たちと十分交流ができますので、こちらから参りましたものにつきましては、そういう現場の比較的下の方の人たちと接点を持ちながら警察活動内容、法律について説明をすることができる、このように考えております。  御指摘のように、状況等が許せば現場的な活動をしている人たちをより多く呼ぶということも可能ではあろうかと思いますので、それはまた考えてまいりたいと思っております。
  76. 三原朝彦

    三原分科員 それがもし資金的な、財政的な問題であるなら、本当にそれが大切だ、こういうふうにお考えであるとするなら、実は民間あたりでも、例えば日本の大手の自動車会社がこのごろアメリカにたくさん工場をつくりました。つくったら、トップの取締役の人ももちろん呼びますけれども、現場で働く職長さんクラス、ブルーカラーワーカーズを十人から二十人束ねるような職長さんクラスをちゃんと呼んできて、何カ月間も訓練させるのですね、初めはアメリカで教育しておいて。そのことが、実はやはり労働意欲とか一種のディシプリンとかそういうことになるということを、コスト意識を常に持っておる民間企業はやるのですね。そこはただただ技術を学ぶだけではなくて、それプラスアルファのものがあるということを私は自動車会社の人事の人から、一つの会社だけではない、幾つもの会社から聞いたことがあります。  そのことがすぐ警察行政で一〇〇%重なるのかというとまたいろいろそこに差異があるかもしれませんが、私は、やはりもっとオン・ザ‘ジョブ・トレーニングみたいなことに、そして、なおかつ若くて結構やる気を起こしているような人たちを日本に呼んで、ふだんなら幾ら働いたってやはり開発途上国は薄給ですから、外国に来る、ましてあこがれの日本に来るなんということは夢にも思ったことがないと思うのですよ。その中でも、頑張ってまじめにやっている人には、御褒美プラス、交番のシステムとか警察と市民との交流みたいなことを知ってもらおうということで、三カ月、半年だというなら、それを制度化すればいい。そのことによって、日本の一つのいい文化、いいカルチャーというものを外国に紹介することになる。  もちろん、我が国の援助は要請システムですから、向こうの国から要請されぬのをこっちから行ってしてあげますなんということもできぬでしょうが、しかし今官房長さんが最初におっしゃったように、いや、日本のシステムいいぞということでみんなが認識してくれておる、こういうことであるなら、そういう気持ちを向こうの国がお持ちなのなら、こちらからそういう一種のプログラムを考えてみて、新たな箱物をつくって何かするわけでもない、呼んで相手することに一億四千万もかかることじゃないでしょうから。これを一千万ふやせば何十人か来れて、二千万ふやせばその倍にふえてということで、もし、それは警察の方で、忙しくてそんな余裕もありませんよということなら別ですけれども。  今、海外に伝播された戦後の日本の文化はカラオケなんだそうですよね。カラオケも悪くないけれども、それに加えて、私は、そういう交番のシステム、警察と市民の交流の原点の交番システムというものを、どこに行っても交番といえば、もうオックスフォードの辞書に載っておるぐらい、そんな気持ちでやるという気概を持ってもらいたいと思いますけれども、どうでしょう。
  77. 菅沼清高

    菅沼政府委員 御指摘のとおり、私どももできるだけそういう形では持っていきたいと思っております。各国からの要望も強うございますし、これから現場の人を呼べるような方向に持っていきたいと思います。  ただ、警察活動というのは、これは企業あるいはカラオケなんかとは違いまして、やはりその国の、大げさに言いますと主権とか国民感情にもかかわってくるわけでございますので、余りに一方的に、いいからといって押しつけるというわけにもいかない。やはり向こうの方から一定理解と必要性の上に立って要請があれば、それに積極的に対応していく、こういう形になろうかと思いますけれども、委員御指摘の点は十分踏まえて、今後とも前向きに考えてまいりたいと思っております。
  78. 三原朝彦

    三原分科員 もちろん私だって、カラオケと警察の違いはもちろんあるでしょうけれども、そして我が国は、最初に申し上げたように要請主義ですからね、向こうの国が自分の文化に合わないものを、自分の国の制度に適しないと思うものをこちらが無理に押しつける、まさにそんな傲岸不遜なことを我々はすべきではないし、我が国が行うべきではないということは重々わかっております。  こういう国の開発といいますと、ただただ経済的に伸びていくことだけではなくて、一、二週間前の新聞にも、汚職といいますかコラプションの話が載っていました。特に多いのは、かつて社会主義であった国、香港とかのリサーチセンターの調べによりますと、中国とベトナム、こういうふうにかつて自由主義経済、市場経済でなかったようなところは、ぱっと門戸を開くと、人間の心というのは、何といいますか、やはり誘惑に弱いのでしょう、そういう問題がどんどん起こってきておるというようなことがあります。  そういうことも含めると、他のアジアの国は社会主義から急にぱっと門戸を開いてみたり、私がよく行く大好きなアフリカの国々も、急に社会主義から開いていくのではないから、そういう意味では急激な社会の変化とか、悪といいますか、不正なことが急激にふえているわけではないかもしれません。しかし、やはり貧困がもたらしめる矛盾みたいなものがたくさんありまして、そういうことはやはりその地域地域に訓練を受けた信頼できる人が中心になってやることが大切なものですから、私は、何とかこれからも胸襟を開いて、もしアジア地区の地域警察のセミナーがあるのだったら、このごろはヨーロッパのかつて宗主国であったイギリスやフランスまでが日本の外務省に来て、済みませんけれどもアフリカの開発を手伝ってくださいと日本で言っているのです。  二年ぐらい前から、アジア会議なんというのは日本が招請して、アフリカのリーダーやかつてのイギリスやフランスの宗主国の人たちを呼んで、どうすれば開発というものはうまくいくかということまでもやる時代になったのですから、今度は、では最後にお願いですけれども、アジア地区とか言わずに、アフリカにまでも考えるぐらいな気持ちを持ってやっていただきたいということを最後にお願いして、それに対するお答えがおありになるならお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  79. 倉田寛之

    ○倉田国務大臣 三原委員、いろいろな角度で御意見をお述べになられましたが、警察分野におきまする広い意味での技術移転につきましては、開発途上国の重要な社会基盤でございます民生の安定に資するものであるという観点に立ちまして、従来から積極的に対応をしてきたところでございます。今後におきましても、日本の国際社会に対する貢献の一つとして前向きに取り組んでいきたいと考えておりまするし、先ほど来御議論のあった点も十分受けとめて検討させていただきたいものと考えるところでございます。  かような技術移転は、国際社会における我が国の責任を果たしていくということだけではなくて、近年、来日外国人犯罪の多発であるとか、犯罪の国際化であるとか、海外における邦人活動の活発化などを考えますと、技術移転を通じまして開発途上国の警察機関との良好な関係をつくり上げていくということが、ひいては、我が国の治安の維持向上、海外における邦人の安全確保に資することになると考えておりますので、今後ともこれらについて十分対応させていただきたいものと存じます。
  80. 佐藤静雄

    ○佐藤主査 これにて三原朝彦君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして警察庁所管質疑は終了いたしました。     —————————————
  81. 佐藤静雄

    ○佐藤主査 これより自治省所管公営企業金融公庫について審査を行います。  まず、概要説明を聴取いたします。倉田自治大臣。
  82. 倉田寛之

    ○倉田国務大臣 平成年度及び平成年度における自治省所管決算につきまして、概要を御説明申し上げます。  まず、平成年度でございます。  一般会計歳出決算につきましては、歳出予算現額は、当初予算額十五兆八千八百四十九億五千四百八十二万円余、予算補正追加額五百四十三億一千七百二十六万円余、予算補正修正減少額一兆六千二百三十九億三千百八十万円余、総理府所管から移しかえを受けた額一億二千五百十八万円余、予備費使用額五億六百三十七万円余、合計十四兆三千百五十九億七千百八十三万円余でありまして、これに対し、支出済み歳出額は十四兆三千百四十七億三千八百五十四万円余で、差額十二億三千三百二十八万円余を生じましたが、この差額のうち、翌年度繰越額は六千五百九十四万円余、不用額は十一億六千七百三十四万円余であります。  次に、平成年度の特別会計決算につきまして御説明を申し上げます。  自治省関係の特別会計といたしましては、交付税及び譲与税配付金特別会計がありますが、この特別会計には、交付税及び譲与税配付金勘定と交通安全対策特別交付金勘定を設けております。  まず、交付税及び譲与税配付金勘定につきましては、歳入予算額は十八兆五千七百二十七億六千八百三十四万円余でありまして、これに対し、収納済み歳入額は十八兆六千九百九十八億九百万円余となっております。  また、歳出予算現額は十八兆二千八百十四億四千八百十六万円余でありまして、これに対し、支出済み歳出額は十八兆二千五百八十七億三百十四万円余、不用額は二百二十七億四千五百一万円余であります。  次に、交通安全対策特別交付金勘定につきましては、歳入予算額は九百九十九億六千八百五十七万円余でありまして、これに対し、収納済み歳入額は九百七十七億九千七百八十四万円余となっております。  また、歳出予算現額は九百二十四億八千六百七十七万円でありまして、これに対し、支出済み歳出額は八百九十六億六千百九十九万円余、不用額は二十八億二千四百七十七万円余であります。  続きまして、平成年度でございます。  一般会計歳出決算につきましては、歳出予算現額は、当初予算額十五兆七千三百五億五千七百二十三万円余、予算補正追加額五百五十九億二千三百五十万円余、予算補正修正減少額一兆七千百七十一億一千七百五十七万円余、総理府所管から移しかえを受けた額二千三百九十万円余、前年度繰越額六千五百九十四万円余、予備費使用額十九億一千八百四十万円余、合計十四兆七百十三億七千百四十一万円余でありまして、これに対し、支出済み歳出額は十四兆六百十七億七千四百四万円余で、差額九十五億九千七百三十六万円余を生じましたが、この差額のうち、翌年度繰越額は九十一億二千七百九十一万円余、不用額は四億六千九百四十五万円余であります。  次に、平成年度の特別会計決算につきまして御説明申し上げます。  まず、交付税及び譲与税配付金勘定につきましては、歳入予算額は二十兆四百十三億六千六百五十一万円余でありまして、これに対し、収納済み歳入額は二十兆二千百十五億三百七十六万円余となっております。  また、歳出予算現額は十九兆七千七百三十四億九千九百九十三万円余でありまして、これに対し、支出済み歳出額は十九兆七千四百五億三千二百九十一万円余、不用額は三百二十九億六千七百二万円余であります。  次に、交通安全対策特別交付金勘定につきましては、歳入予算額は九百五十九億五千二百四十万円余でありまして、これに対し、収納済み歳入額は九百五十二億八千二百四十七万円余となっております。  また、歳出予算現額は八百八十六億二千三百十八万円余でありまして、これに対し、支出済み歳出額は八百七十三億九千四百七十万円余、不用額は十二億二千八百四十八万円余であります。  次に、平成年度及び平成年度の一般会計及び特別会計における主な事項につきましては、お手元に配付してある資料のとおりでありますが、委員各位のお許しを得まして御説明を省略させていただきたいと存じます。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  83. 佐藤静雄

    ○佐藤主査 次に、会計検査院検査概要説明を聴取いたします。会計検査院関本審議官。
  84. 関本匡邦

    ○関本会計検査院説明員 平成年度自治省決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  また、平成年度自治省決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  次に、平成年度公営企業金融公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  また、平成年度公営企業金融公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  85. 佐藤静雄

    ○佐藤主査 この際、お諮りいたします。  お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 佐藤静雄

    ○佐藤主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————    平成年度自治省所管決算概要説明                 自 治 省  平成年度における自治省所管決算につきまして、概要を御説明申し上げます。  一般会計歳出決算につきましては、歳出予算現額は、当初予算額十五兆八千八百四十九億五千四百八十二万円余、予算補正追加額五百四十三億千七百二十六万円余、予算補正修正減少額一兆六千二百三十九億三千百八十万円余、総理府所管から移替を受けた額一億二千五百十八万円余、予備費使用額五億六百三十七万円余、合計十四兆三千百五十九億七千百八十三万円余でありまして、これに対し、支出済歳出額は十四兆三千百四十七億三千八百五十四万円余で、差額十二億三千三百二十八万円余を生じましたが、この差額のうち、翌年度繰越額は六千五百九十四万円余、不用額は十一億六千七百三十四万円余であります。  以下、支出済歳出額の主なものにつきまして、御説明を申し上げます。  まず、地方交付税交付金でありますが、歳出予算現額は十四兆二千三十六億五千七百十七万円余、支出済歳出額は十四兆二千三十六億五千七百十七万円余でありまして、全額支出済であります。この経費は、「交付税及び譲与税配付金特別会計法」に基づき、平成年度の所得税、法人税及び酒税の収入見込額のそれぞれ百分の三十二に相当する額、消費税の収入見込額のうち交付税及び譲与税配付金特別会計の歳入となる消費譲与税分を除いた額の百分の二十四に相当する額並びにたばこ税の収入見込額の百分の二十五に相当する額の合算額に昭和六十年度地方交付税に相当する金額を超えて繰り入れられた額及び平成年度地方交付税交付金の特例措置による額を加減した額を、交付税及び譲与税配付金特別会計の交付税及び譲与税配付金勘定へ繰り入れたものであります。  次に、参議院議員通常選挙費でありますが、歳出予算現額は四百三十六億九千三百二十二万円余、支出済歳出額は四百二十八億四千九百九十六万円余、不用額は八億四千三百二十六万円余となっておりまして、この経費は、参議院議員通常選挙の執行に要したものであります。  次に、地方債元利助成費でありますが、歳出予算現額は二十九億千五百九十四万円、支出済歳出額は二十九億五百三十六万円余、不用額は千五十七万円余となっておりまして、この経費は、新産業都市の建設及び工業整備特別地域等の整備に係る地方債の特別調整分に対する利子補給金として、道府県に対し、交付したものであります。  次に、地方公営企業助成費でありますが、歳出予算現額は百二十九億千九百五十万円余、支出済歳出額は百二十九億千九百四十八万円余、不用額は二万円となっておりまして、この経費は、公営企業金融公庫の上水道事業等に係る貸付利率の引下げのための補給金として、同公庫に対し、交付したもの等であります。  次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金でありますが、歳出予算現額は二百十五億五千万円、支出済歳出額は二百十五億五千万円でありまして、全額支出済であります。  次に、施設等所在市町村調整交付金でありますが、歳出予算現額は五十六億円、支出済歳出額は五十六億円でありまして、全額支出済であります。前述の経費及びこの経費は、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する都及び市町村に対し、交付したものであります。  次に、消防防災施設整備費でありますが、歳出予算現額は百四十二億三千百二十三円余、支出済歳出額は百四十一億九千八百九十四万円、不用額は三千二百二十九万円余となっておりまして、この経費は、消防防災施設等の整備に要する経費の一部を関係地方公共団体に対し、補助するために要したものであります。  以上が一般会計歳出決算概要であります。  次に、特別会計決算につきまして、御説明を申し上げます。  自治省関係の特別会計といたしましては、交付税及び譲与税配付金特別会計がありますが、この特別会計には、交付税及び譲与税配付金勘定と交通安全対策特別交付金勘定を設けております。  まず、交付税及び譲与税配付金勘定につきましては、歳入予算額は十八兆五千七百二十七億六千八百三十四万円余でありまして、これに対し、収納済歳入額は十八兆六千九百九十八億九百万円余となっております。  また、歳出予算現額は十八兆二千八百十四億四千八百十六万円余でありまして、これに対し、支出済歳出額は十八兆二千五百八十七億三百十四万円余、不用額は二百二十七億四千五百一万円余であります。  不用額を生じましたのは、一時借入金の利子の支払が少なかったこと等によるものであります。  支出済歳出額の主なものは、  第一に、地方交付税交付金十五兆六千七百九十一億九千九百十万円余でありまして、これは、地方団体の基準財政需要額が基準財政収入額を超える場合にその財源不足額に応じて必要な財源を、また災害その他特別な財政需要等に対し必要な財源を、それぞれ地方団体に交付したものであります。  第二に、地方譲与税譲与金一兆八千七百七十八億六十六万円余でありますが、これは、消費譲与税譲与金、地方道路譲与税譲与金、石油ガス譲与税譲与金、航空機燃料譲与税譲与金、自動車重量譲与税譲与金及び特別とん譲与税譲与金として、関係地方公共団体に譲与したものであります。  次に、交通安全対策特別交付金勘定につきましては、歳入予算額は九百九十九億六千八百五十七万円余でありまして、これに対し、収納済歳入額は九百七十七億九千七百八十四万円余となっております。  また、歳出予算現額は九百二十四億八千六百七十七万円でありまして、これに対し、支出済歳出額は八百九十六億六千百九十九万円余、不用額は二十八億二千四百七十七万円余であります。  支出済歳出額の主なものは、交通安全対策特別交付金八百五十五億六千五百七十七万円でありまして、これは道路交通安全施設の設置等の財源として、都道府県及び市町村に対し交付したものであります。  以上、平成年度自治省所管決算概要を御説明申し上げました。  なにとぞ、よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。     —————————————   平成年度業務概況説明             公営企業金融公庫公営企業金融公庫平成年度の業務概況につ いて御説明申し上げます。  平成年度における貸付計画額は当初一兆二千百七十五億円でありました。  これに対し貸付実行額は一兆二千六十八億五百二十四万円であり、前年度と比較して十七パーセントの増になっております。  一方、この原資としては、公営企業債券の発行による収入等一兆二千六十八億五百二十四万円を充てたのでございます。  なお、当年度における元利金の回収額は一兆四千三百九十億四千八百七十四万円余でありまして延滞となっているものはございません。  貸付実行額の内訳は、地方公共団体の営む上水道事業、下水道事業等に対するもの八千八百六十億千九百七十万円、公営住宅事業及び臨時地方整備事業等に対するもの三千四十一億六千百六十万円、地方道路公社及び土地開発公社に対するもの百六十六億二千三百九十四万円となっております。  以上により、当年度末における貸付残高は十四兆三百二十二億九百四万円余になり、前年度末残高と比較して五パーセントの増になったのでございます。  また、農林漁業金融公庫から委託を受けて公有林整備事業及び草地開発事業に対し百五十二億八千九百十万円の貸付けを実行しました。  このため、受託貸付の当年度末における貸付残高は四千億八千九百二十一万円余になっております。  次に、当年度における公営企業債券の発行額は一兆七千六百六十四億千十万円でありまして、このうち公募債が一兆二千五十八億二千十万円、縁故債が五千六百五億九千万円であります。  次に、公営企業健全化基金について申し上げますと、当年度における公営競技納付金の収入額五百八十一億千七百三十二万円余を基金に充てました。一方、基金の運用益三百四十八億七千五百四万円余を当年度における地方債の利子の軽減に要する費用に充てました。  この結果、当年度末における基金総額は五千三百三十七億四千四百三十四万円余になりました。  次に、収入・支出の状況について申し上げますと、収入済額は収入予算額九千二百八十五億二百九十万円余に対し九千百九十九億二千七百六万円余、支出済額は支出予算額八千五百四十二億八千九百三十万円余に対し八千三百五億九千七百三万円余でありました。  また、損益の状況でございますが、貸付金利息等の利益金総額九千二百八億四千八百一万円余に対し、債券利息及び債券借換損失引当金繰入並びに事務費等の損失金総額八千九百九十七億三千六百十七万円余でありまして、差し引き二百十一億千百八十四万円余を債券発行差金等の償却に充当いたしましたので、利益金は生じておりません。  以上、平成年度公営企業金融公庫の業務の概況について御説明申し上げました。  何とぞよろしく御審議の程をお願いいたします。     —————————————    平成年度自治省所管決算概要説明                 自 治 省  平成年度における自治省所管決算につきまして、概要を御説明申し上げます。  一般会計歳出決算につきましては、歳出予算現額は、当初予算額十五兆七千三百五億五千七百二十三万円余、予算補正追加額五百五十九億二千三百五十万円余、予算補正修正減少額一兆七千百七十一億千七百五十七万円余、総理府所管から移替を受けた額二千三百九十万円余、前年度繰越額六千五百九十四万円余、予備費使用額十九億千八百四十万円余、合計十四兆七百十三億七千百四十一万円余でありまして、これに対し、支出済歳出額は十四兆六百十七億七千四百四万円余で、差額九十五億九千七百三十六万円余を生じましたが、この差額のうち、翌年度繰越額は九十一億二千七百九十一万円余、不用額は四億六千九百四十五万円余であります。  以下、支出済歳出額の主なものにつきまして、御説明を申し上げます。  まず、地方交付税交付金でありますが、歳出予算現額は十三兆九千四百九十八億三千万円、支出済歳出額は十三兆九千四百九十八億三千万円でありまして、全額支出済であります。この経費は、「交付税及び譲与税配付金特別会計法」に基づき、平成年度の所得税、法人税及び酒税の収入見込額のそれぞれ百分の三十二に相当する額、消費税の収入見込額のうち交付税及び譲与税配付金特別会計の歳入となる消費譲与税分を除いた額の百分の二十四に相当する額並びにたばこ税の収入見込額の百分の二十五に相当する額の合算額に平成年度地方交付税交付金の特例措置による額を控除した額を、交付税及び譲与税配付金特別会計の交付税及び譲与税配付金勘定へ繰り入れたものであります。  次に、衆議院議員総選挙費でありますが、歳出予算現額は四百十二億三千百五十九万円、支出済歳出額は四百十二億三千百二十四万円余、不用額は三十四万円余となっておりまして、この経費は、衆議院議員総選挙の執行に要したものであります。  次に、地方債元利助成費でありますが、歳出予算現額は二十四億九千七百四十三万円余、支出済歳出額は二十四億九千四百十四万円余、不用額は三百二十九万円余となっておりまして、この経費は、新産業都市の建設及び工業整備特別地域等の整備に係る地方債の特別調整分に対する利子補給金として、道府県に対し、交付したものであります。  次に、地方公営企業助成費でありますが、歳出予算現額は百二十七億七千六百八十五万円余、支出済歳出額は百二十七億七千六百十四万円余、不用額は七十一万円余となっておりまして、この経費は、公営企業金融公庫の上水道事業等に係る貸付利率の引下げのための補給金として、同公庫に対し、交付したもの等であります。  次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金でありますが、歳出予算現額は二百十五億五千万円、支出済歳出額は二百十五億五千万円でありまして、全額支出済であります。  次に、施設等所在市町村調整交付金でありますが、歳出予算現額は五十六億円、支出済歳出額は五十六億円でありまして、全額支出済であります。前述の経費及びこの経費は、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する都及び市町村に対し、交付したものであります。  次に、消防防災施設整備費でありますが、歳出予算現額は百四十九億六千六十六万円余、支出済歳出額は百四十九億百九十一万円余、翌年度繰越額は千百六十五万円余、不用額は四千七百九万円余となっておりまして、この経費は、消防防災施設等の整備に要する経費の一部を関係地方公共団体に対し、補助するために要したものであります。  以上が一般会計歳出決算概要であります。  次に、特別会計決算につきまして、御説明を申し上げます。  自治省関係の特別会計といたしましては、交付税及び譲与税配付金特別会計がありますが、この特別会計には、交付税及び譲与税配付金勘定と交通安全対策特別交付金勘定を設けております。  まず、交付税及び譲与税配付金勘定につきましては、歳入予算額は二十兆四百十三億六千六百五十一万円余でありまして、これに対し、収納済歳入額は二十兆二千百十五億三百七十六万円余となっております。  また、歳出予算現額は十九兆七千七百三十四億九千九百九十三万円余でありまして、これに対し、支出済歳出額は十九兆七千四百五億三千二百九十一万円余、不用額は三百二十九億六千七百二万円余であります。  不用額を生じましたのは、一時借入金の利子の支払が少なかったこと等によるものであります。  支出済歳出額の主なものは、第一に、地方交付税交付金十五兆四千三百五十一億二千百八十万円でありまして、これは、地方団体の基準財政需要額が基準財政収入額を超える場合にその財源不足額に応じて必要な財源を、また災害その他特別な財政需要等に対し必要な財源を、それぞれ地方団体に交付したものであります。  第二に、地方譲与税譲与金二兆二百二十三億六千六百九十一万円余でありますが、これは、消費譲与税譲与金、地方道路譲与税譲与金、石油ガス譲与税譲与金、航空機燃料譲与税譲与金、自動車重量譲与税譲与金及び特別とん譲与税譲与金として、関係地方公共団体に譲与したものであります。  次に、交通安全対策特別交付金勘定につきましては、歳入予算額は九百五十九億五千二百四十万円余でありまして、これに対し、収納済歳入額は九百五十二億八千二百四十七万円余となっております。  また、歳出予算現額は八百八十六億二千三百十八万円余でありまして、これに対し、支出済歳出額は八百七十三億九千四百七十万円余、不用額は十二億二千八百四十八万円余であります。  支出済歳出額の主なものは、交通安全対策特別交付金八百四十五億千六百三万円でありまして、これは道路交通安全施設の設置等の財源として、都道府県及び市町村に対し交付したものであります。  以上、平成年度自治省所管決算概要を御説明申し上げました。  なにとぞ、よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。     —————————————    平成年度業務概況説明              公営企業金融公庫  公営企業金融公庫平成年度の業務概況について御説明申し上げます。  平成年度における貸付計画額は当初一兆六千九百九十六億円でありました。  これに対し貸付実行額は一兆七千三百九十一億六千二百九十五万円であり、前年度と比較して四十四パーセントの増になっております。  一方、この原資としては、公営企業債券の発行による収入等一兆七千三百九十一億六千二百九十五万円を充てたのでございます。  なお、当年度における元利金の回収額は一兆五千四百五十六億九千六百十八万円余でありまして延滞となっているものはございません。  貸付実行額の内訳は、地方公共団体の営む上水道事業、下水道事業等に対するもの一兆九百六十億二千五百七十万円、公営住宅事業及び臨時地方整備事業等に対するもの六千二百四十八億三千七百九十万円、地方道路公社及び土地開発公社に対するもの百八十二億九千九百三十五万円となっております。  以上により、当年度末における貸付残高は十五兆千五百一億九千七百四十五万円余になり、前年度末残高と比較して八パーセントの増になったのでございます。  また、農林漁業金融公庫から委託を受けて公有林整備事業及び草地開発事業に対し百五十二億九千六十万円の貸付けを実行しました。  このため、受託貸付の当年度末における貸付残高は四千百二億四千百四十万円余になっております。  次に、当年度における公営企業債券の発行額は二兆四千五百六十三億千三百五十万円でありまして、このうち公募債が一兆八千三百四十八億三千三百五十万円、縁故債が六千二百十四億八千万円であります。  次に、公営企業健全化基金について申し上げますと、当年度における公営競技納付金の収入額五百二十億五千九百七万円余を基金に充てました。一方、基金の運用益三百七十四億四千七百三十八万円余を当年度における地方債の利子の軽減に要する費用に充てました。  この結果、当年度末における基金総額は五千八百五十八億三百四十一万円余になりました。  次に、収入・支出の状況について申し上げますと、収入済額は収入予算額九千四百四十六億二千百六十二万円余に対し九千四百八十三億四千八百三十四万円余、支出済額は支出予算額八千四百八十二億千二百十二万円余に対し八千四百七十五億千六百四十六万円余でありました。  また、損益の状況でございますが、貸付金利息等の利益金総額九千四百九十五億八千八百十二万円余に対し、債券利息及び債券借換損失引当金繰入並びに事務費等の損失金総額九千二百七億二千二百七十万円余でありまして、差し引き二百八十八億六千五百四十二万円余を債券発行差金等の償却に充当いたしましたので、利益金は生じておりません。  以上、平成年度公営企業金融公庫の業務の概況について御説明申し上げました。  何とぞよろしく御審議の程をお願いいたします。     —————————————
  87. 佐藤静雄

    ○佐藤主査 以上をもちまして自治省所管公営企業金融公庫説明は終わりました。     —————————————
  88. 佐藤静雄

    ○佐藤主査 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。茂木敏充君。
  89. 茂木敏充

    茂木分科員 自由民主党の茂木敏充でございます。  私は、本分科会におきまして、自治省に関連して、主に地方財政の問題並びに地方分権と密接に関連しております町づくりとその権限の問題につきまして、お尋ねしたいと思います。  まず第一に、地方財政の現状と今後の見通しについてお尋ねいたします。  ただいまも倉田自治大臣より平成年度平成年度決算についての御報告がございましたが、地方財政白書によりますと、平成年度地方財政決算の財政構造は、平成年度に比べ、押しなべて極めて悪化をしております。一方で、国と地方の歳出純計額を見てみますと、国の歳出が四十八兆七千三百十一億円なのに対しまして、地方の歳出はその二倍近くになります九十二兆七千九十九億円となっており、地方財政の国民福祉、社会資本整備などに果たす役割がますます増大していることがうかがえるわけでございます。  地方においても、現在、景気の後退に伴う地方税の減収などにより、一般財源が大変伸び悩んでおります。こういった中でこの地方財政を支えているのは、地方交付税総額の確保や地方債の増額でございます。このため、交付税特別会計の借入金を含めました地方債の借入金残高は、平成年度末で百二十四兆円、平成年度末では百三十六兆円を超えるものと見込まれているわけでございます。また地方財政そのものも、平成年度においては八兆六千億円に上る大幅な財源不足への対策が必要となってきております。  地方財政はこのように大変厳しい状況にあると考えられますが、自治省においてはこの現状についてどのような認識を持っておられるか、また今後の見通しをどうとらえておられるのか、まずお伺いしたいと思います。
  90. 倉田寛之

    ○倉田国務大臣 茂木委員御指摘のように、平成年度地方財政につきましては、地方税の伸び悩み、地方交付税の落ち込みに加えまして、所得税及び住民税の減税が実施をされることなどから、お話にもございましたが、八兆六千億円に上ります大幅な財源不足が見込まれます。また、平成年度末におきましては、百三十六兆円を超えます多額の借入金を抱える見込みになっております。個別の地方団体におきましても、公債費負担比率の高い団体が増加をいたしておりますことから、地方財政は極めて厳しい状況に置かれているもの、かように認識をいたしているところでございます。  また、今後の対応やいかんという御設問もございましたので、続けて私の方から申し上げたいと思いますが、ただいま申し上げましたように、平成年度末で百三十六兆円を超えます多額の借入金を抱えておりますので、今後その公債費の元利償還を負担していかなければならないという厳しい状況がございます。一方では、住民の皆様に身近な社会資本の整備あるいは災害に強い安全な町づくり、さらには総合的な地域施策の充実等、現下の重要な政策課題を推進していく上におきまして、財政需要がますます増大をするものと見込まれております。  このような状況に対応してまいりますためには、地方団体におきまして行財政改革というものを一層推進をしていただきまして、行政経費の節減合理化を図ることはもとよりのこと、限られた財源の重点的かつ効率的な配分に徹していただくことが必要であろうかと存じます。  自治省におきましても、毎年度地方財政計画の策定に当たりまして、さまざまな財政需要を的確に把握をいたしましてこれを算入してまいりますとともに、必要な地方の一般財源の確保に努めるなどいたしまして適切に対処をしてまいりたい、かように考えているところでございます。
  91. 茂木敏充

    茂木分科員 自治省におかれましても大変御苦労いただいていることはよくわかるわけでございますが、私は、地方財政の今後について、より厳しい見方をしておるわけでございます。  と申しますのは、今後、地方においては、現在検討中の介護保険の例を出すまでもなく、高齢者を初めとした福祉対策や少子化問題への積極的対応などのニーズがますます高まり、さらに、先ほど指摘したような多額の借入金の後年度負担も考えますと、これらの行政ニーズを着実に満たしていくためには、都市部より景気回復がおくれがちな地方ほど極端な財政事情の悪化が懸念されるわけでございます。  もちろん地方自治体においても、大臣御指摘のように、時代に即応した組織・機構の見直し、定員管理及び給与の適正化の推進など、いわば民間企業でいうリストラに当たるところの簡素で効率的な行政の確立に向けて一層の努力が必要なわけでございますが、国においても、地方税源の充実や継続的な地方交付税総額の確保などを含めた中長期的な財源保障を行うことが、今後の地方財政運営上欠くことのできないことと私には思えるわけでございます。  そこで、自治省として、既に大臣お触れになった部分もあるわけでございますが、今後の地方財政支援に関してどのような具体策をお持ちか、改めてお伺いを申し上げたいと思います。
  92. 遠藤安彦

    ○遠藤(安)政府委員 御質問、いずれも御指摘のとおりでありまして、私どもも、御質問のような観点地方財政をこれから見ていかなくてはいけないというように思っている次第であります。  一つは、先ほど大臣からも御答弁がありましたが、マクロの意味で、地方財政全体で大変大きな借入金を抱えているということでございます。それから、ミクロの、個別の地方団体におきましても、公債費負担比率が非常に上がってきている。こういう借入金に対する対策というものを十分頭に置いて、これから地方財政の運営を考えていかなければならないということであります。  ただ、これは、私ども財政当局からいいますと、やはりある程度の、数年前のバブルまでとは言わないまでも、経済の立ち直りというのがどうしても前提になりますし、また、後段の御質問でお触れになりましたけれども、リストラというか行政改革といったものも厳しく進めていく必要がある。そういった中で、こういう借金体質の地方財政の現状というものを今後どう立て直していくかということも、よく考えていかなければならない問題であろうと思います。  それから、御質問の第二点にありました地方の役割の増大でありますが、高齢化あるいは少子化、福祉、それから道路あるいは下水道といったような生活関連の社会資本の整備がまだまだ十分でないといったようなことから考える必要もありますし、また、今まさに地方分権の時代がこれから始まろうとしているわけであります。  そういった観点から、これからやはり地方の役割というものはもっと大事になっていくし、バランスのとれた日本を形成していくというためには、先生御指摘になりました都市より地方といったようなことも大変重要な課題になってくるわけでありますので、地方が、地域の経営、あるいは地域づくり、あるいは地域の住民の福利厚生をより進めるといった立場からいろいろな仕事をしていかなければならない。しかもそれは、地方分権の中にあって、自主的、自立的にしていくのが望ましいという観点からの地方の財源を確保していくということが、大変重要な要素になろうかと思います。  私どもとしましては、これも大臣がお触れになりましたけれども地方税財源の充実というものを図る必要がありますし、地方税よりも地方交付税の方が多いという団体が全体の七割にも達する市町村の現状を考えていきますと、やはり地方交付税の所要額の確保というものが毎年度非常に重要なことになってまいりますので、そういった中長期的な観点からの対策及び単年度では地方財政の運営に支障がないような地方財政計画、ひいては地方交付税総額の確保といったようなものを図りながら、地方団体が思い切った政策を展開できるようにしてまいりたいというように思っている次第であります。
  93. 茂木敏充

    茂木分科員 ただいま財政局長の方から、地方の役割の増加、自主的、自立的取り組み、こういう言葉もあったわけでありますが、私は、やる気のある地域、イニシアチブを発揮している地域がより活発な活動をすることを支援していく、これが今後の地方支援策の基本方向になってくると思っております。  地方財政の問題につきましては、自治省におかれましてもこのような取り組みをぜひお願いいたしまして、次に、現在の地方分権の流れとも密接に関連しました町づくりの権限の問題についてお聞きしたいと思います。  昨年、国会におきましてようやく地方分権推進法が制定されたわけでございます。この法律にもありますように、私も、地方分権の推進に当たっては、町づくりはできる限り住民に身近な市町村を主体とすることが基本であると考えております。  まず、この点につきまして自治省の基本的なお考えはいかがでしょうか。
  94. 松本英昭

    ○松本政府委員 地方がその実情に沿って個性あふれる行政を積極的に展開できますように、地方の自主性、自立性を高めていくということが大変大切なことであり、また、地方分権を推進していく上での大変重要な課題であろうかと考えているところでございます。  そういうところから、去る三月二十九日に地方分権推進委員会がまとめられました中間報告におきましては、特に緊要度の高い分野として町づくりや土地利用の分野を取り上げられまして、「人々のくらしに身近な行政主体である地方公共団体が、住民の協力参加を得て、人々とともに、生活者の視点に立ったまちづくりを推進していかなければならない。」とされたところでございます。  特に土地利用の関係では、ただいま委員御指摘のように、「地域の個性を生かし、住民参加によるまちづくりを進めるため、土地利用に関する詳細な計画に関する事務は、市町村が中心になって行うことを基本として、」諸制度を見直す方向検討するとされておるところでございまして、私どもも全く同じ認識を持っているところでございます。
  95. 茂木敏充

    茂木分科員 今、行政局長の方からもお話があったわけなんですが、町づくりや土地利用に関してはこれまでも、地域の主体性を重視していく、こういう言葉は常に言われてきたわけなんですが、一方で、スローガンと実態というのがどうしても乖離がまだまだあるのではないかな、このようにも感じております。  実際の町づくり、都市計画、開発行為の許可、土地利用となってきますと、これまでのいわゆる中央省庁、縦割り行政からまだまだ一歩も出ていないという気がしてならないわけでございます。例えば、建設省の都市計画法、農水省の農振法、農地法といった形で、実際の都市計画、土地利用につきましては、それぞれの省庁がいまだに強い法規制をかけているのが残念ながら現状でございます。  例えば市街化区域と市街化調整区域の線引きについて言ってみますと、これは現在すべて建設大臣の許可となっておりますし、農林水産大臣との協議、環境庁長官、通産大臣、運輸大臣、厚生大臣の意見具申など、省庁ごとの関与が行われているのが現状であります。このため、地方が独自に時代のニーズに沿ってスピーディーな町づくりを推進しようと思いましても、大変時間がかかるわけでございます。  例えば、私の手元に全国市長会の都市政策研究特別委員会が作成した資料がございますが、自治体による線引きの見直し、これの作業開始から許可手続期間までの全期間の平均所要日数、これを見てみますと、自治体における事務処理期間、これも含めてでございますが、八百四日となりまして、約二年四カ月を要しているわけでございます。案件によりましては千六百日から千七百日、実に五年近くを要しているという指摘もあるわけでございます。  さらに、地域の事業国庫補助事業として実施する場合には、都市計画事業の許可と並びまして、もう一つ、国庫補助事業の採択、こういった二つの段階で国とのさまざまな協議が求められているわけでございます。  自治省もこういった問題指摘をいろいろなところからお受けになっていると思うわけでございますが、町づくりの権限について、今後これらの問題解決にどう対応していくのか。もちろん他省庁にもかかわる問題でございますので難しい点も多いと思いますが、基本的なお考えをお伺いしたいと思います。
  96. 松本英昭

    ○松本政府委員 今先生が大変詳しくお触れいただきましたように、現行の町づくりあるいは土地利用のそれぞれの権限というのが法律上に定まっておりますことも、地方の自主性、主体性を進める上でいささか問題のあるものもございますし、現実の運用に至りましては、またそれに輪をかけたようなことも見られるというようなことが指摘もされているのは事実かと思います。  そういうことも踏まえまして、さきの中間報告、先ほど取り上げました地方分権推進委員会の中間報告におかれましては、特に土地利用の問題点といたしまして、総合的な土地利用の欠如ということを問題点として掲げておられます。そして、改革の方向といたしましては、いわゆる広域的なゾーニング、一部の市街化区域、市街化調整区域というものの指定、これは都道府県が行う、そして特に重要なものについてのみ国と協議をするような方向でどうだろうか、国の意見を反映できる仕組みとすることでどうであろうかというようなことを指摘しておられるわけでございます。  また、農地法の転用許可につきましては、現在、二ヘクタールを超える転用につきましては国の権限とされているわけでございますが、これにつきましても、基本的には都道府県の事務とするという方向で考えていったらどうだろうかという御指摘をなさっております。  もっとも、これらにつきましては、それぞれまた別の観点から、留意事項として、やはり国にそれぞれの責任というものを残すべきだという御意見もあるということも指摘はされておるわけでございます。  私どもは基本的には、土地利用や町づくりというものは、特に広域的なもの、これは都道府県レベルで、しかも、あるいは市町村と十分の協議をしながら行うということはあり得ると思いますが、できるだけ市町村が自主的、主体的に自分たちの町づくりを行う、あるいは土地利用を決めていけるような体制が望ましいのではないかという意見を持っております。  ただ、この点については、また各省庁には各省庁の御意見があるところも事実でございます。今後、地方分権推進委員会における議論を通じまして、この辺も何らかの、地方分権の推進にとって前向きの方向が打ち出されることを私どもとしては期待をいたしているところでございます。
  97. 茂木敏充

    茂木分科員 方向としては私は評価したいと思っているのですが、例えば今の御答弁の中にもありましたように、特に重要なものは国とか、基本的には地方といいましても、結局、今までの長年にわたります仕事の経緯等々がありますので、なかなか地方分権というのは進まないのではないかな、本格的な地方分権の推進のためには個別の規制緩和や運営の改善ではもはや不可能に近いのではないかな、そのように私は考えております。  基本原則の転換といいますか、大臣、政治決断が必要である、このように考えているわけであります。すなわち、都市計画は市町村が決定するんだ、開発行為の許可などの規制権限も市町村が行う、こういうふうに決めてしまうことが必要なのではないかなと思っているわけなのですが、地方自治体を所管する立場にある自治省としての御見解をお伺いしたいと思います。
  98. 松本英昭

    ○松本政府委員 委員御指摘のとおり、都市計画につきましては、基本的にやはり市町村が決定するという方向が私どもとしても望ましいものであろうかと思っておりまして、地方分権推進委員会の先生方の中間報告におきますお考えの基本的な方向もそういう方向ではなかろうかと思っております。  その際に、広域的なものあるいは国の関心事項に属するものと、地方公共団体、特に市町村の決定ということとの間にどういう調整を必要とするか、この点はまたこの点として別途、別途といいますか関係をつけながら、それぞれの仕組みは考えていかなければならないだろうという考え方でございます。  基本的には、都市計画というのは基礎的な地方団体である市町村が決定するという方向は、私どもとしてもそういう方向であることが望ましいという見解を持っております。
  99. 茂木敏充

    茂木分科員 大臣、もし何かお言葉があれば、一口お願いいたします。
  100. 倉田寛之

    ○倉田国務大臣 松本行政局長がお答えをさせていただきましたことに尽きると思いますが、私は、地方分権を推進していくためには、基本的な土俵は、平成五年に衆参両院で全会一致で国会決議をいたしましたし、平成七年には地方分権推進法が衆参両院で全会一致で可決、成立した、ここがやはり基本だと思います。  そして、明治以来続いてまいりました中央集権的な行政システムすなわち画一と集権から、地方分権の行政システムである多様と分権に変えるわけですから、それは互いに痛みを分かち合いながら、国会における一つの決議、法案の成立の経過、ここに戻りながら、互いにこの問題は対比して、地方分権推進委員会の中間報告に基づく基本的な考え方をより一層具体的に示していく必要があろう、そのためには長年の念願であった地方分権の推進について私としては強い決意で臨んでまいりたい、かように思っている次第でございます。
  101. 茂木敏充

    茂木分科員 次に、もう少し具体的に、地方拠点都市に指定された地域での土地利用についてお伺いをしたいと思っております。  地方拠点法は、御案内のとおり、自治省も含め六省庁共管のもとに平成四年に制定され、既に一次指定、二次指定を含め、たしか全国八十五の地域が指定を受けているわけです。私は、この地方拠点法を大変高く評価させていただいております。と申しますのは、指定の段階におきましても、それから事業計画におきましても、地方のイニシアチブが大変尊重されている。同時に、六省庁共管ということで、地域づくりにおいて中央の縦割り行政の弊害を除去していこう、こういう意図があるのではないか、このように理解をしておるわけです。  そこで、まず自治省としてこの地方拠点法をこれまでの施策と比較してどう見ておられるか、お尋ねいたしたいと思います。
  102. 松本英昭

    ○松本政府委員 地方拠点法につきましては、ただいま委員が御指摘のように、従来の地域づくりの法制とは違った観点が表現されているということにつきまして、私どもも全く同じ考え方でございます。  特に地方拠点法の第一条には、地域における創意工夫を生かし、そして自主的、主体的な地域づくりを行っていくということが目標にはっきりと掲げられているところでございまして、実際の法制におきましても、地域の指定について国と協議をするということ以外は、法制上は計画の承認等についてもすべて都道府県までの地方のレベルに落とした法律になっているわけでございます。そういうことから、そういういわゆる地方の主体性を尊重するという面が一つ。  それから、これまた今委員から適切な御指摘をいただきましたように、六省庁がそれぞれの知恵を持ち寄る、それぞれの施策でできることを持ち寄りまして、そして地方がそういう形で主体的につくりました計画というものを六省庁の手段でそれぞれ協力しながらこれを支援していこう、そういういわゆる地方が知恵を出して中央が支援をする、その中央の支援も関係省庁が相協力して支援をしていく、こういう体制を法制上とっておるわけでございます。  そういう点について、ただいま委員が御指摘の点と全く同じようにこの法律の特性を私どもも認識をいたしているということでございます。
  103. 茂木敏充

    茂木分科員 私の地元の栃木県の県南地域もこの地方拠点法の指定を受けているわけなんでございます。今後の事業具体化、そういう段階に入っているわけですが、それを考えてみますと、いろいろお聞きするのですが、ボトルネックもあるな、こういうふうに考えております。と申しますのは、ここでも、地方拠点指定地域での実際の事業推進となってきますと、やはり省庁の壁というものが厚くのしかかりまして、従来どおりの許認可権が優先されているのがまだまだ現実ではないかと思います。  例えば拠点地域の整備につきましても、承認された基本計画に基づく施設整備、これが具体化した段階におきましては、農地法や農振法に基づきます協議調整がどうしても必要になってくるわけでございます。また、農地転用許可制度につきましても、先ほど行政局長の方からも御指摘ございましたが、二ヘクタールを超える農地転用につきましては、今の段階では大臣の許可対象とされているわけでございまして、国との協議や許認可にやはり多大の時間と労力を要しているのが現状なわけでございます。  これでは、せっかくの地方拠点法も何ら従来の施策と変わりないものになってしまい、いつになっても全国画一的な地方という状況から脱皮できないのではないかと、私はこの点を大変強く懸念をしておるわけでございますが、自治省としてこの辺の事情をどうとらえておられるのか、また、何か具体的な対応策をお考えなのか、お尋ねいたしたいと思います。
  104. 松本英昭

    ○松本政府委員 地方拠点法の理念なり制度の建前というものは、先ほど委員御指摘になり、また私も申し上げましたとおりでございますが、その運用の実態において、ただいま委員が御指摘のようなことがあるということもまた私ども事情としてよく承知いたしております。  今一例をお挙げになりましたので申し上げますと、例えば農地法等の転用の許可につきましては、この地方拠点法に基づきまして行われます拠点地域の計画に定められた事業については、二ヘクタールを超える許可申請も都道府県知事にするという制度の建前には一応なっておりますが、その間にいろいろ国と協議がされるとか何かで、法の予定されていたような運用になっておらないではないかというような指摘地方団体から私どももお伺いをしているところでございまして、そういうことについては一応国土庁が窓口官庁といたしまして、国土庁においてそういう各省庁の運用の問題等を取りまとめまして、各省庁を通じてそれができるだけ改善されるように努力をする仕組みに今なっておるところでございます。  一方また、先ほども申し上げましたように、地方分権推進に関して地方分権推進委員会の御議論の中でもそういうことが出ておりますので、地方分権推進委員会の地域づくり部会においても、これからの取り扱い等についても一定地方分権推進に沿った方向が示されるのではないかということで期待をいたしているところでございます。
  105. 茂木敏充

    茂木分科員 幸いなことと申しますか、まだ全国八十五のほとんどの指定地域では、これから基本計画に基づいて具体的な施設整備が始まるところだと思っております。  そんな中で、いろいろな改善が必要であるということですが、私は、国土庁の取りまとめではどうしてもやはり限界があるのじゃないかな、こういうふうに感じておりまして、ただいま問題指摘させていただきました点も含めて、やはり地方事情を一番よく御存じの自治省が、関係自治体の要望を踏まえて、農地法を初め現行法の一層弾力的な運用や手続の簡素合理化を進めていただきたいと思うわけですが、いかがでしょうか。
  106. 松本英昭

    ○松本政府委員 委員御指摘のように、私どもとしても、地方の声をできるだけ反映できますように努力をしてまいりたいと思っております。
  107. 茂木敏充

    茂木分科員 時間も参りましたが、本日は主に地方財政の問題と町づくりの権限についてお尋ねいたしましたが、最後に私はひとつ自治省にぜひお願いしたいと思っております。  地元に戻りましていろいろ意見を聞いてみますと、やはり中央省庁との間の距離というのが非常に大きいな、こういうことを感じるわけでございまして、自治省はやはり他の中央省庁とは違うんだ、地方のイニシアチブを本当に尊重しているのは自治省なんだ、地方自治体の立場、地域の立場に立って仕事を進めていく、こういう姿勢を今後より明確に示していただくことをぜひお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  108. 佐藤静雄

    ○佐藤主査 これにて茂木敏充君の質疑は終了いたしました。  次に、横内正明君。
  109. 横内正明

    ○横内分科員 自民党の横内正明でございます。きょうは、どうも御苦労さまです。  私は、自治省に、二つの問題につきましてお伺いをしたいというふうに思います。  第一点は、身体に障害のある方の投票の問題についてということでございます。  体が不自由で在宅介護を受けているという方々の中に、投票をしたいという意思、希望を持っている方も多いわけでございますが、現在の投票制度では事実上投票ができないという方がかなりの数いるわけでございます。言うまでもなく、選挙権は憲法に定められた国民の基本的な人権でありまして、何人もその行使を妨げられるようなことがあってはならないわけでございますけれども制度の制約によって事実上そういった選挙権の行使が妨げられているというのは、これはやはり問題ではないかというふうに思うわけでございます。  その代表的な例といたしまして、いわゆる神経難病というものの一つで、筋萎縮性側索硬化症という病気があるわけでございます。略称はALSというふうに言っておりますが、そういう病気がございます。これは天文学者で有名なホーキングという博士が患者なんですけれども、数年前来日をしまして、それから多少国民に知られるようになりました。  あのときも、ホーキング博士は車いすでほとんど体は動かせない、しかし、特別なパソコンを使いまして意思を表示できるということを皆さんごらんになったというふうに思うわけでございますが、そういう病気でございまして、これは手足の先から筋肉が萎縮をし麻痺をし始めまして、重くなると、言葉がもちろんしゃべれませんし、食べる物も食べられない、寝返りも打てない、寝たきりの状態になるわけです。そして呼吸困難になるのですが、人工呼吸器を装着することによって生き長らえることができる。そして、これは原因不明であるために有効な治療法はないということでございます。  そして、体は麻痺をするのですが、頭脳は全く正常で明断でございまして、判断力は通常人と全く変わらない、そういう意味で大変に悲惨な気の毒な病気でございます。したがって、寝たきりの状態のまま、頭脳労働、例えば本を書いたりとかそういった活動は活発にやっておられるという方が多いわけでございます。  したがって、そういう方々ですから、選挙で投票したいという高い意識を持った人は当然いるわけでございますね。  そこで、こういう人たちに対する今の制度をちょっと御説明をいただきたいのですが、こういう方々が投票をしたいといった場合に、現在の投票制度というのはどうなっているかということをちょっと確認的に伺いたいと思います。
  110. 谷合靖夫

    ○谷合政府委員 公職選挙法におきましては、一般に病院でありますとか各施設における不在者投票制度がありますが、そのほかに、身体に重度の障害がある方々の投票の機会を確保するために、郵便による不在者投票の制度も設けておるわけでございます。この制度は、身体障害者手帳あるいは戦傷病者手帳の交付を受けた一定の身体障害者、この方々に限られるわけですが、このような方々は、この郵便投票の制度によりまして、自宅で投票ができるというふうになっております。  ただ、この郵便による不在者投票は、投票当日に投票所で投票するという制度のいわば例外になるわけでありますので、選挙の公正確保という観点から、対象者を限定いたしますとともに、投票用紙への記載につきましても、必ず白書によっていただかなければいけない、このような特に厳格な手続を要するというふうにいたしておるわけでございます。  ただ、投票所なり不在者投票施設で投票ができる方ということになりますと、いわゆる代理投票というような制度がありまして、身体の故障等により投票用紙へ白書できないという方々のためには、その投票しようとする候補者をその方に指示していただく、指示の方法は別段問わないわけでございますので、そのような形で代理投票させる、このような制度もあるわけでございます。
  111. 横内正明

    ○横内分科員 今部長からお話があったわけですけれども、郵便による不在者投票というものがあるわけでございます。これは、過去、終戦直後、制度としてより幅広く、かなり認められていた制度だったようですが、大分悪用があって、一たんはやめて、その後復活をしたけれども、かなり限定的にやられているということのようでございます。そういうことで、お話がありましたように、白書、自分で書かないといけないということでございますが、何分にも手の筋肉が動かないわけですから、これによるというわけにはいかないということになるわけでございます。  また、部長からお話がありましたように、投票所まで連れていってもらえれば代理投票という制度がある、自分の手で書けないとしても、立会人の方に本人の意思を確認してもらって、そしてその指示によって代理投票をするという方法があるということを言われたわけでございますが、しかし、これも投票所まで行かなければいかぬわけでございます。  ところが、体は全く動かせないわけですから、ベッドに寝たきりでございますから、連れていってもらうということになるわけでございますが、やはり奥さん一人が介護をしているというような方もおりまして、何人かの人に運んでもらうというのが現実としてなかなかできないということがあるわけでございます。そんなことで投票所に行けないというようなことで、これについてもなかなか制約があるということでございます。  そこで、こういうALSの患者というのが全国で約四千人おられるというふうに言われております。このうちの五、六百名というのでしょうか、約数百名の方は病院に入っておりまして、病院に入っておりますと、病院で不在者投票をすることができるわけでございます。したがって、在宅の患者というのは三千名余ということになるわけでございますけれども、その半分ぐらいが程度が重くて、重度のために投票が事実上できないという状態のようでございます。  しかし、こういう人たちというのは、このALSという病気以外の方々でもかなりいるのではないかというように推測されます。例えば、高齢者あるいは一般の身体障害者、そういう方々で在宅介護を受けている方々が恐らく百万人単位でいると思うわけでございますが、そういう方々で、判断力が正常にあって投票をしたいという方々はかなりいるのではないかというふうに思うわけでございます。  そういう人たち、その実態について、自治省として、過去そういった調査をやったことがあるかどうか。あるいは、概数でも、目の子でも、大体このくらいの数そういう人がいるのではないか、端的に言うと、身体に障害があって、寝たきりの状態で介護を受けていて、頭脳というか判断力は正常である、そういうような方々、そういう人が大体どのくらい全国でいるものなのか、概数的なもので結構ですけれども、おわかりになれば教えていただきたいと思います。
  112. 谷合靖夫

    ○谷合政府委員 先ほど申し上げました、いわゆる郵便投票の該当者、この場合はあらかじめ申請をしていただいて、それによって郵便投票証明書を交付するという制度が前例になっておるわけですが、平成五年の衆議院の総選挙時において、いわゆる郵便投票証明書を交付している方の数は約五万二千人弱というふうに承知をいたしております。  今先生御指摘になられました、いわば在宅介護をされている方の中にあるいはこの方々も含まれているかもしれませんけれども、在宅介護を受けている方々の態様は、先生も御指摘のようにさまざまなものになっていると思いますし、私ども、その中で、この郵便投票制度の対象になっておらず、かつ投票に行く意思を持ちつつ投票に行けないという方々の数がどの程度あるかということについては、実態の把握が困難でございますし、数字自体を把握していないというのが現状でございます。
  113. 横内正明

    ○横内分科員 大体の見当はつくのですね。厚生省の調査で、寝たきり老人というのが、これは六十五歳以上ですが、お年寄りで寝たきりの方が、現在約九十万人いるということでございます。これにプラス、寝たきりというか在宅介護を受けている身体障害のある方がおられるわけですけれども、そういった意味でいうと、百万人単位の方が在宅介護を受けているのだろうと思います。しかし、その中には、お年寄りであれば、アルツハイマーの方もいたり痴呆症の方もおられますから、正常な判断ができないという方もいると思いますけれども、相当な数の方が今のような状態だろう、私が申し上げているような、投票をしたいけれども投票ができないという人がいるのではないかというふうに思うわけでございます。  そこで、こういう憲法で選挙権が保障されていながら、法律的な、制度的な制約で事実上その行使ができないということは、やはりこれは非常に問題ではないか、何らかの手を打つべく検討をすべきではないかというふうに思うわけでございます。  実務的にはそれほど難しいことではないと思うわけでして、投票所では、地域の有識者の方に委嘱をして、立会人という方がおられて投票の監視をしているわけですけれども、そういうふうな客観的、公正に判断をすることができるような立会人的な人を委嘱して、複数名ということになりますが、そういう人たちに今言ったような在宅の介護者のお宅を訪問してもらって、そして本人の意思を確認して代理投票をする、言ってみれば移動代理投票みたいな、そういう制度制度的には考えられるわけでございます。そういうことを自治省としてお考えになるかどうか、それをやることについての制約、問題点、そういった点があればお考えをお聞きしたいと思います。
  114. 谷合靖夫

    ○谷合政府委員 御指摘のように、選挙管理機関が自宅を訪問して、いわば巡回投票というような制度の、ただいまの御提案だったと思いますけれども、これは、確かに郵便投票の対象にもならず、かつ病院等の不在者投票ができる施設にも入院をされていない方々が投票する機会を得る、確保するというためには一つの方策ではないかというふうに私ども考えておるわけでございます。  ただ、御承知のとおり、このような巡回投票と仮に今申し上げますと、それを可能にする期間というのが、選挙運動期間でございますから、管理執行側にとっては非常に多忙をきわめる期間になるわけでございます。したがって、選挙管理機関が、そういう民間の方々の御協力を得たとしても、限られた短い期間にすべての対象者を巡回することは可能なのかどうか。特に、多数の該当者が存する地域であるとか交通至難な地域におけるこのような巡回投票の実施が可能なのかどうか、あるいは巡回の途中に事故があるとか、対象者がおりながら巡回し切れなかったときどうするのか、実施上のいろいろ困難な問題点があろうかと思いますので、こうした御提案について具体的な検討をするに当たっては、なかなか困難な課題、問題点があるのではないだろうかというふうに考えております。
  115. 横内正明

    ○横内分科員 今、検討するに当たっていろいろな問題点があるというような御指摘がありました。  今、部長のお話を聞いておりますと、端的に言うと、選挙期間中の選管職員が非常に忙しい時期でもあり、かつ対象者が多数に及んでくる、手間の面で非常に大変だ、それだけの時間的な余裕がないということをおっしゃったというふうに思います。それから、途中での事故だとか、そういうことも心配だということがありましたが、端的に言うと、非常に限られた時間の中で限られた職員がフルの活動をしているときに、やはりこういうことは現実問題として手間の面でなかなか難しいというようなお話だろうというふうに思います。  しかし、他方で、そういう多数の人が事実上投票をする機会を失われているというのは、これは多数であればあるほどこれまた問題だということになるわけでございまして、何といっても憲法で保障された権利なものですから、これは、やはり手間が大変だからできませんということではなかなか済まない。それは来年すぐやれということにはならぬと思いますが、ある一定検討期間、準備期間は必要だと思いますけれども、やはりこれはしっかりと本格的に検討すべきではないかというふうに思いますし、また、これは自治省ということではなくて、政治レベルでも党のレベルでもぜひ検討お願いしなければいけないと思っております。  今のお話を聞いていただいて、大臣の御見解を承りたいと思います。
  116. 倉田寛之

    ○倉田国務大臣 在宅で介護を受けておられる方々の投票機会を確保するということは極めて重要なことであるというふうに考えております。横内委員のお話にもございましたように、国民の権利としての投票の機会を確保するという点におきましても極めて重要であるというふうに認識をいたしておるところでもございます。どのような方法が可能なのかという点につきまして、鋭意検討をいたしたいと思います。  ただ、御指摘にもございました巡回投票制度につきましても、さまざまな問題点、また困難な面も多々あろうかと思いますので、さらに引き続き検討をさせていただきたい、かように思う次第でございます。
  117. 横内正明

    ○横内分科員 ありがとうございました。  もう一点、全くこれは別の話なのですけれども、お伺いをしたいと思います。  それは、オウム真理教事件に関連した問題でございまして、オウム真理教の教団の施設が所在する市町村の切実な願い、地元対策ということでございます。これは質問というよりはむしろ要望でございますけれどもお願いをしたいわけであります。  オウム真理教事件につきましては、今公判が始まっておりまして、まだ逃亡犯人もおりますけれども捜査当局の大変な努力で刑事事件としては徐々に終息に向かいつつあるというふうに思うわけでございます。ただ、地元の住民、自治体は長年大変苦労をしてきたわけです。さまざまなトラブルがあり迷惑をこうむってきたわけでございます。そういう立場から、地元の自治体、住民の皆さんは、こうしてほしいという強い要望を幾つか持っているわけでございますが、そういった地元の要望については現在まだ余り手がつかない状態で取り残されているわけでございます。  具体的に申しますと、私の地元である山梨県の上九一色村ではサティアンという施設が多数あるわけでございますが、約三十ぐらいの建物が依然としてそのままの状態で残っているわけでございます。そして信者の数も一時から減ってきておりますけれども、依然として幾つかの建物に約百名からの信者が残留をして住んでいるという状態でございます。  そこで、これは上九一色村だけではございませんで、こういった教団施設が所在する全国の地域の自治体や住民の方々が切望しておりますのは、一日も早くああいった忌まわしい建物を完全に撤去してもらいたい、それから信者については完全に自分の地域から撤退をしてもらいたい、そういう施設の完全撤去と信者の完全撤退ということを切望しているわけでございます。  ところが、これは地元自治体が努力をするといっても地元の単独ではなかなかできない話でございまして、幾つかの点を国に対して再々要望をしてまいりました。国の方では、御存じのように内閣にオウム真理教対策関係省庁連絡会議という組織がございまして、これは内政審議室が窓口になって、いろいろなオウム真理教事件に関連する問題の検討をすることになっているわけでございますが、実はこの地元問題というのが、関係省庁がはっきりしないというか所管省庁がはっきりしませんし、またはっきりしていても非常に複数の、多岐の省庁にわたるということがありまして、なかなか検討が進んでいない。内政審議室は一生懸命やっていただいておりますが、力不足もあり、関係省庁を動かすという状態には至っておりません。  例えば信者を退去させるといってもただ追い出すわけにはなかなかいかぬわけでして、親元なり自分の出身地に返していく。そしてマインドコントロールを受けている信者がありますから、そういう者は精神的なケアをしなければいかぬとか、あるいは信者の相談に乗って、就職したいという信者には就職のあっせんをしてやるとかいろいろなことがあるのですが、それぞれみんな役所が違っていまして中心的な役所がないものですから、内政審議室が一生懸命旗を振っても、なかなか具体的な施策が国の統一的な施策として出てくるという状態にはなっていないわけでして、地元としても非常に困っているわけでございます。  自治大臣は、国家公安委員長を兼任されて、オウム真理教事件の刑事事件としての捜査処理の最高責任者であられるわけでございますけれども、それに関連する地元問題についてもぜひ地元の衷情に関心を持っていただきまして、地元の希望が満たされるように今後御尽力を賜りたいというふうに思うわけでございます。  具体的には、地元は国の責任で例えば建物を撤去したりあるいは信者の退去をしたりとかいうことをやってくれというのですけれども、現実、なかなか国が国の責任でやれといってもそうはいきませんので、やはり私は、地元の県なり市町村がしかるべく措置をする、それに対する財政的な手当てはしっかり国の方でバックアップをするよという形しかないのではないかというふうに思います。  例えばサティアンのような建物については、土地は地元の自治体が買って、そして建物は撤去してそこを公園なりあるいは集会場だとかそういう地域振興的な事業に使っていく、そういう形が一番現実的ではないかというふうに思っております。  しかし、そうはいっても、例えば上九一色村というような村は過疎対象市町村でございまして、財政的には極めて弱い市町村でございます。したがって、国の、特に自治省の財政的なバックアップが必要とされるわけでして、地元の自治体がそういうような事業をやっていくについて、ぜひ手厚い財政支援措置をお願いしたいというふうに思います。この問題は今申し上げた関係省庁連絡会議の場で議論をされていくことになると思いますが、そういう議論の中で、自治省としてもぜひそういう意味で、当然地方財政措置ということを求められると思いますが、手厚い支援措置をお願いしたいと思います。  そこで、大臣に伺う前に局長に、そんなことで過去の経緯ももしあれば伺いたいのですが、そういう財政措置を求められたときに自治省としてどういうふうに対応するか、そこを伺いたいと思います。
  118. 遠藤安彦

    ○遠藤(安)政府委員 関係地方団体にとりましては大変切実な問題でありますし、通常の行政からいたしますと全然種類の違ったいろいろな経費がかかる。あるいはオウム真理教自体は現在宗教法人の清算手続の最中ですから、御指摘になりました建物の撤去だとか信者の問題というのはもう少し後になろうかと思いますけれども、現実にそういう問題が起こってきたときにどうやって対応するかというのは、通常の財政の範囲内では対処できないことであります。  現に、昨年来からのいろいろな現地での状況に応じて、村といたしましても特別の財政需要がいろいろかかっているというように私ども報告を受けているところであります。県を通じまして詳細なオウム真理教関係に係ります地元の町村あるいは県の特別な財政需要については承ったところでありますし、平成年度の特別交付税の配分につきましては、例えば上九一色村でありますと、山梨県の市町村合計で前年度に対する伸び率が二・三%のところを六〇・六%の伸びを確保いたしまして、こういった特別な財政需要に対処するというようなことで対策を講じてきたわけであります。  今後のことにつきましても、個別に、そのときにならないと具体的な行政対応というのが決まってこない、それに伴う財政需要というのも決まってこないというように思いますから、そういうときに具体的に生じた財政需要について、よく当該市町村なり県なりから事情をお聞きいたしまして、あるいは地方債で対応できるというようなこともあろうかと思いますが、特別交付税といったような道もあるわけでございますので、そういった団体が地方財政の財政運営上問題にならないように、支障を生じないように対応をしてまいりたいというように思っております。
  119. 横内正明

    ○横内分科員 今局長からお話がありました特別交付税の話は私も聞いておりまして、大変に伸び率の高い配分をいただいているということで、地元も非常に喜んでおりますし、私なんかも、やはりさすが自治省だな、余り目立たぬけれどもやるべきところはきちっとやっているなという感じがして、大変ありがたく思っているわけでございます。  先ほど申しましたように、これは実はなかなか話が進まぬものですから、最近地元の自治体が、これは山梨だけではなくて静岡県とか神奈川県とか東京とか千葉とか幾つかの県にまたがるわけでございますが、十幾つかの市町村が一つの連絡協議会的な組織をつくりまして、統一してひとつ国に本格的に要望活動をしていこうという動きが出てまいっております。政治的にもまたいろいろなそういうものが出てくると思いますけれども、ぜひそういう中での地元の要請が満たされますように、自治大臣、そして局長を初め財政局の皆さんにお願いをしたいということを申し上げまして、私の質問にさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  120. 佐藤静雄

    ○佐藤主査 これにて横内正明君の質疑は終了いたしました。  速記をとめてください。     〔速記中止〕
  121. 佐藤静雄

    ○佐藤主査 速記を起こしてください。  次に、山崎泉君。
  122. 山崎泉

    山崎(泉)分科員 社民党の山崎泉です。議運なものですから、中断させまして大変申しわけありません。差しかえで出てくるというふうに言ったら、こちらの方が、それでは困ります、こういう話でしたので、何でかなと思いながら、差しかえもせっかくしたのですが、またもとに戻って議運に出てきました。申しわけございません。  四点、五点ほどお伺いをしたいというふうに思います。  まず、地方交付税の総額の確保についてであります。  平成年度地方財政計画を見ても、地方税の伸び悩み、したがってこれは過去最高の収入不足、そしてまた地方債への依存度が一段と高まっている、同時に百三十六兆円を超える借入金残高を抱えているなど、地方財政の状況は一段と厳しさを増しておりますが、地方財政はいわゆる千差万別の財政力を持った多くの地方公共団体の集まりであり、財政基盤の脆弱な地方公共団体にとっては、公債費負担の高まりなど、一層深刻な状況が懸念される状態になっておる。  その一方で、各地方公共団体は、住民の皆さんや市民の皆さんに密接にあるわけでありまして、本当に毎年多様な行政需要にこたえ、そしてまた、少子・高齢化対策、地域産業の活性化、災害に強い町づくりなど地域の活性化、特色ある地域づくりに努力をしておるのは御承知だというふうに思います。  このような中で、私の選挙区である長崎県の県や市町村においても、それぞれ行財政改革の努力もされておりますが、何といっても、脆弱な財政構造を抱え、地方交付税による財政調整機能に大きく依存をしておるのが現状であります。したがいまして、財政力も弱いいわゆる後進地域にとっては、財政調整機能を維持するための地方交付税の総額の確保は重大な関心事であります。  政府は、地方財政の現状をどのように認識しておられるのか、そしてまたもう一点、いかにして地方交付税の総額の確保を図っていこうとしておられるのかお伺いしたい、こういうふうに思います。
  123. 山本有二

    ○山本(有)政府委員 山崎委員と同様に、一言で申し上げれば、極めて厳しい状況にあるというように思います。  平成年度地方財政は、地方税の伸び悩み、地方交付税の落ち込みに加えて、所得税及び住民税の減税が実施されていますことなどから、引き続き大幅な財源不足が見込まれております。特に、平成年度末で百三十六兆円を超える多額の借入金を抱える見込みともなっておりまして、さらに個別の地方団体の公債費負担率も増加しつつございます。  ちなみに、公債費負担率一五%以上が、昭和四十九年では五十団体だったのが、平成五年では千百団体になって、平成六年では、すべての団体の四〇%であります千三百二十二団体。それぞれの団体が極めて苦しい状況にあります。  一方、今後地方分権が推進されていく中で、住民に身近な社会資本の整備、災害に強い安全な町づくり、総合的な地域福祉施策の充実など、現下の重要政策課題を推進していく上で、地方団体の担うべき役割と、これに伴う財政需要はますます増大してくるものと見込まれております。したがいまして、地方財政は、極めて厳しい状況に置かれているものというようにとらえております。  次に、いかにして地方交付税の総額の確保を図っていくのかの御質問でございますが、地方交付税の総額は、法律の定めるところによりまして、国税五税の一定割合とされております。原則としてはこの法定率分によりその総額が決定されるところでございますが、御承知おきのとおり、近年の財源不足ということになりますと、これを補てんするための財源を確保する必要がございます。地方交付税の法定率分の額に加えて、地方交付税の増額措置を講ずることなどによってその総額を確保しているところでございます。ちなみに、ことしは八兆六千億円の財源不足が生じておるわけでありまして、この総額確保について知恵を絞っておるところでございます。  今後におきましても、毎年度地方財政対策等におきまして、一般行政経費、公債費等の歳出項目を適切に見込むとともに、地方財政運営に支障の生じることのないよう、これに必要となる地方交付税総額を確保してまいりたいと考えておりますので、委員の御協力もよろしくお願い申し上げます。
  124. 山崎泉

    山崎(泉)分科員 本当に地方財政、国全体も厳しいのでありますが、地方は特にそういう意味合いでは厳しい状況にありますので、よろしくお願いをしておきたいというふうに思います。  続きまして、地方公共団体の自主的な地域振興策に対する国の支援について質問をしたいというふうに思います。  御案内のとおりに、地方の自主的、主体的な地域づくりを推進するために、地方は単独事業を積極的に計上しております。地方公共団体にとっては、これを活用して各地域の課題や町づくりに地方独自の対応ができるようになっており、大変効果を上げておるというふうに聞いております。  私の地元の長崎県の佐世保市を初めとする県北地域の市町村や離島の市町村においては、旧産炭地域であることに加えて、離島というハンディや、御案内のとおり佐世保は基地の町、こういう特殊な事情を抱えていながら、若者の地域定住のためにいろいろな施策、そしてまたおくれておる地域基盤の整備などに全力を挙げておる。  幸い、近年、地方単独事業の充実に伴い、離島であります宇久町というのがありますが、これは平家の里づくり事業というものを起こしており、また、元冠の役で知られておる鷹島町というのはモンゴル村づくり事業、そして、私は日本で一番きれいな島と思う箱庭みたいな島があるのですが、小値賀町というのでありますが、ここが生き生きおじかリフレッシュアイランド事業、こういうふうに、それぞれ離島は各町の事業またイベントをやっております。  先週上ってくるときには、吉井町というこれも旧産炭地域でありますが、メロン祭、そして、同じ産炭地域である世知原町というのはじげもん祭、そしてまた佐々町では佐々まつり、こういうふうに、いろいろな事業やイベントを行いながら町の活性化に努力をしておるわけであります。当然、基地の町佐世保、これも基地からの脱却を目指して、観光振興に向けた九十九島を中心としながらのリゾートエリア整備事業、こういう地域の特徴を生かした独自のふるさとづくりを進めておるわけであります。  したがいまして、二点お伺いをしたいというふうに思うのでありますが、地方公共団体は、このように、それぞれ置かれておる厳しい状況の中で真剣な工夫を重ねながら、地域の活性化、また住民生活の向上のための施策を講じようとしております。したがいまして、国として、地方のこういう自主的な地域振興策に対して、引き続き一層の支援を図っていくべきであるというふうに考えます。それについてのお考え方を一点。  それから、二点目といたしまして、いわゆる後進地域である地方公共団体にあっては、どうしても地域基盤の最たるものである道路整備が地域住民の絶大なる要望になっております。ぜひ地方単独事業による道路整備についても一層進める必要があると考えますが、どういうふうにお考えでしょうか。     〔主査退席、若松主査代理着席〕
  125. 湊和夫

    ○湊政府委員 自治省では、昭和六十三年度の補正段階から「自ら考え自ら行う地域づくり」事業というものを実施いたしまして、それ以降も、この基本的な考え方にのっとりまして、地域づくり推進事業あるいはふるさとづくり事業という形の事業を推進してまいりました。  今先生から、長崎の北松浦郡等の町村のお話がございましたけれども、各団体本当に一生懸命、こういった施策を活用されまして、社会資本の整備、あるいは、今お話ございましたイベント等各種のソフト事業にも積極的にお取り組みをいただいてきております。こうした取り組みによりまして、地域の創意工夫に基づいて自主的、主体的な地域づくりを進めていこうという、そういう考え方が浸透してきたように考えておるところでございます。そして、こういう取り組みが、現在進められております地方分権推進の基本的な土壌にもなってきたのではないかというふうにも考えております。  そういう観点から、平成年度以降につきましても、こうした地方団体の自主的、主体的な地域づくりを支援するという観点に立ちまして、新しい形のふるさとづくり事業というものも今後展開してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  126. 遠藤安彦

    ○遠藤(安)政府委員 道路整備についての御質問にお答えを申し上げたいと思いますが、私ども、やはりバランスのとれた地域づくりをしていくためには、御指摘のように、道路整備というのが非常に重要であるというように思っています。なかんずく、やはり自動車専用道路といいますか高速道路のネットワークをできるだけ早くつくっていただくのと同時に、地方の都道府県道あるいは市町村道、そういったものもそういうネットワークに合わせて整備をしていく、それがやはりこれからの日本には大変必要なことではないかと思うわけであります。  高速道路等の広域のネットワークについては、これは地方団体がなかなかできる話ではございませんが、一方で、そういった高速体系はやはり国費をもっと投入しなければならないということがあるわけでありまして、私ども、建設省にはそういった趣旨のことをお願いしているわけであります。  逆に、地方道につきましては、これは地方の単独事業等で重点的に思い切ってやっていくという方法をとっていきたいというような物の考え方をしているわけでありまして、これにつきましても関係省庁の御理解と御協力を得るということで、建設省とは平成四年から地方特定道路整備事業というものを、これは単独事業で実施をいたしておるわけでありますし、農水省ともふるさと農林道というようなことで、これは農林道でありますけれども、山村地域の、あるいは農村地域の住民が生活用道路として使えるような農林道をつくろうということで、農水省と協調してふるさと農林道整備事業というものを実施してきております。  先ほど申し上げたような観点から、御指摘のとおり、積極的にこの単独事業を進める必要があるということで、平成年度には、地方特定道路整備事業につきましては、前年度五千五百億の事業量であったものを一兆円に拡充をする、あるいは、ふるさと農林道につきましても、両方合わせて前年度二千七百億であったものを四千五百億円に大幅に拡充する、そのようなことが地方団体ができるような財源措置をいたしておりますので、これは単独事業ですから私どもが強制するわけにはいきませんけれども地方のそういった意欲にはこたえられるような仕組みと財源措置になっているということをお答えさせていただきたいと思います。
  127. 山崎泉

    山崎(泉)分科員 財政が厳しいということは本当にもう百も承知でありますが、しかし、承知の上で、この地方のハンディを抱えた各自治体は単独事業を厳しい中で行っておるわけでございますから、ぜひ来年度も継続した支援を進めていっていただきたい、こういうふうに思います。  三点目にお伺いをします。  先ほども申しましたように、私の地元である佐世保市は、米軍そしてまた自衛隊が配置をされております。米軍があの佐世保港を専管しておる水域というのは八二%ぐらいになっております。八二%が、ABCとランクがありますが、簡単に言いますと自由に使えないという状況になっております。したがいまして、港湾施設の使用制限による経済活動への影響や、市民の基地に対する不安が増大をしております。特に米軍の出入り、そしてまた原子力潜水艦の昨年の出入りというのは、近年にない数になっております。  米軍の戦略が、これまでの軍事力で抑止して安定をつくるという考え方でなくて、軍事力は行使せずに地域全体の安定を図っていこうという戦略に変わりつつあります。それがゆえに今、日米安保条約、地位協定に基づいて日本国内の空港、港すべてをアメリカ軍は使いたい、こういうふうな雰囲気になっておるわけであります。長崎の空港も、全く私は知らなかったのでありますが、米軍の飛行機が到来をしておるという状況になっておりまして、基地に対する市民、県民の不安というのは、冷戦が崩壊したとはいえ、アジアの平和を、安定をという名のもとに、我が長崎県においては基地そのものが非常に拡大をされておるというふうに理解をしております。  住んでみないとわからないと思いますが、基地の町ならではの特殊な事情を抱えております。したがいまして、その財政負担の面からも、他の地方公共団体にない特殊な増加要素があります。全国的にも、基地所在の市町村にあっても同様の事情に苦慮しておるというふうに思うのでありますが、こういう米軍基地所在の市町村の財政負担についてどのような援助措置を講じておられるのか、まず一点。  それから、固定資産税の代替的性格を持って交付されておる、略して言いますが基地交付金については、先ほど簡単に申しましたが、国内における米軍基地の重要性、私は反対ではありますが、重要度がますます高まりつつある中で、対象資産の伸びに見合うような基地交付金の増額を図るべきだというふうに私は考えておりますが、この二点について、どのようにお考えなのか。
  128. 佐野徹治

    ○佐野政府委員 米軍の基地対策の問題でございます。  基地対策というのは基本的には国が対応すべきものと考えておりますけれども、米軍施設の周辺整備事業地方負担分だとか、それから軍人軍属または家族、そういう方々が居住をしていることに伴う地方団体の一定の財政需要、こういうことにつきましては特別交付税の算定において考慮することといたしておりまして、関係団体の財政運営に支障が生じないように対処しているところでございます。  それから、お話の基地交付金、調整交付金、これは御案内のとおり、米軍だとか自衛隊の施設にかかわります固定資産税が非課税になっている、こういうことなども考慮いたしまして、基地の所在する市町村に対して交付するものでございます。その予算額につきましては、昭和五十六年度から六十三年度までは同額に据え置かれておりましたけれども、固定資産税の評価がえだとか、その他いろいろな点も勘案いたしまして、財政状況は非常に厳しい中ではございますけれども平成年度、四年度、七年度に増額を行ったところでございます。平成年度につきましては、全体としてはマイナスシーリングのもとでございましたが、このような従来からの要求の経緯だとか国の財政状況も勘案いたしまして、前年度と同額の二百八十一億五千万円を確保したところでございます。  お話がございましたが、今後とも、対象資産価格の状況だとか国の財政状況、こういった点を考慮しながら、基地交付金、調整交付金の必要な額の確保には努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  129. 山崎泉

    山崎(泉)分科員 そういう状況であるのは確かに承知しておるわけでありますが、どうしても私は理解できない部分があるのです。基地交付金というのは固定資産税のかわりみたいでありますから、法的に言うと難しいというふうに思うのであります、それを前もって言いますが。  横須賀と佐世保を比較した場合に、確かに固定資産が違うのですよ。それはもう横須賀の方がうんと高いと思うのです。しかし、佐世保は場所が広い。この広さでもってどうにかならないかな、常日ごろからこんなふうに思うのです。その辺、どんなふうに思いますか。そういう議論がされて、あの基地のある町からは、そういう要望は恐らく来ておるというふうに思うのでありますが、この広さでもってある程度色をつけるというか、そういう物の考え方というのはないのですか。
  130. 佐野徹治

    ○佐野政府委員 今申し上げましたように、基地交付金の関係、これは、法律の規定に基づいてやっておることにつきましては御案内のとおりでございますけれども、この制度ができました趣旨なり経緯なりから申し上げますと、やはり国有地と申しますか、米軍なり自衛隊なりそういうところに国有地が提供されておりまして、これに対しては固定資産税が課税されない。これは今、広さというお話がございましたけれども、やはり基地と申しますと、恐らく、佐世保に限らずほかの地域におきましても相当広い面積、広大な面積を擁するものでございまして、そういうものがやはり固定資産税が課税されない、そういうことをいろいろ勘案いたしましてできておるものでございます。  固定資産税につきましては、これはもう御案内のとおり、資産の価格に応じて課税をする、こういう性格のものでもございますので、私ども基本的には、この制度は法律に基づく制度なものですから、やはり対象資産の価格等を基本にこの問題については考えていくべき性格のものではなかろうかと考えておりますので、御理解をいただければと思います。
  131. 山崎泉

    山崎(泉)分科員 わかって言っているのです、済みません。  一昨年は、佐世保は大渇水だったのですよ。一年間、約十カ月間、給水が五時間。あのときには、自治省には佐世保は大変お世話になりました。ありがとうございました。ただ、そういうときでさえ、米軍には二十四時間満杯の水を与えるのですよ、地位協定で。すごいのですよ。いかに米軍基地があるところがいろいろな面で負担を負っておるかというのは、御理解されておるというふうに考えましたが、一つの例として申し上げておきますから、基地交付金にしろ何にしろ、そういうところがあるところは、他のいろいろなものよりかなお一層の配慮をしていただきたいというふうに思います。  あとは、前置きは抜きにして、地方分権の推進についてお伺いをします。  昨年、推進法が成立しました。推進法第三条一項で、国は「地方分権の推進に関する基本理念にのっとり、地方分権の推進に関する施策を総合的に策定し、及びこれを実施する責務を有する。」というふうに規定されております。地方分権の推進に当たっては地方意見を十分に反映させる必要があるというふうに考えますが、これをどう考えておるのか、お伺いをしたい。  二つ目、地方の力を十分に発揮させるためには財源の確保が重要であります。推進法の第六条でも「地方税財源の充実確保」がうたわれております。この税財源の問題についてどのように考えておるのか、お伺いしたいと思います。
  132. 山本有二

    ○山本(有)政府委員 平成六年九月、地方六団体からの意見書を初めとしまして、各地方団体からもさまざまな提言がなされております。さらに、これを踏まえて、昨年十月以降、地方分権推進委員会の意見聴取の場におきまして、地方団体から具体的な改革意見要望が表明されているところでもございます。六団体の御意見は合計しまして八回、細部にわたりましてお伺いをさせていただいたと聞いておるところでございます。  また、特に一日地方分権推進委員会というのを全国で五カ所やりまして、またさらに今後二カ所を予定しているようであります。その中には、委員の長崎やあるいは私の高知のように財政基盤の脆弱なところも十分入っておるようでございますし、この一日地方分権推進委員会のメリットといたしましては、民間人の御意見を率直に聞くことができる、さらに地域の首長さんや地方で努力されておる方々の意見も率直にお聞きすることができるということがあるようでございます。こういったことを踏まえまして、地方意見をどんどんくみ上げましてこの分権に反映していきたいというように考えておるところでございます。  次に財源の確保でございますが、これは本当に難しい問題でございますが、結論的には事務配分に応じた地方税財源を安定的に確保する、こういう目標を持ってやっていきたいと思っておりますし、先般の税制改正におきましても地方消費税を導入することとしたというところでもございます。要は、国と地方の役割分担に応じた地方税財源の充実強化、これが不可欠でございます。特に、一般的には、行政ニーズは拡大するが税収は不足するという今日でございますから、自治省といたしましても、ぜひともこういう充実強化に努めてまいり、地方分権推進の努力をしていきたいというように決意をしておるところでございます。よろしくお願いします。
  133. 山崎泉

    山崎(泉)分科員 恐らくあと一分だろうというふうに思います。  では、あとは要望だけ申し上げておきたいと思います。  平成七年三月二十九日の地方分権に関する特別委員会の議事録を読んできました。直接請求制度の見直し、それから住民投票制度の導入について議論されております。直接請求については、第十六次地方制度調査会答申で指摘をされております。住民投票制度については、第二十四次地方制度調査会で「検討する必要がある。」というふうに言われております。ぜひこれを進めていって、積極的に取り組んでいっていただきたいということです。  時間があれば申し上げたかったのでありますが、地方分権の一つとして今我が長崎県の北松一帯では、民間の方々が海洋クラスター構想というすばらしい構想を持って、本当に地方分権の時代に合った町づくり、地域づくりをしようとしている。私は新聞だけしか知りません。すばらしい内容です。ぜひそういうものを全国にいっぱいつくっていただきたいし、長崎県北松一帯での海洋クラスター構想を、ぜひ自治省は支援、応援をしていただきたいということを申し上げまして、私の質問にかえさせていただきます。ありがとうございました。
  134. 若松謙維

    若松主査代理 これにて山崎泉君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして自治省所管公営企業金融公庫質疑は終了いたしました。  この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十五分休憩      ————◇—————     午後一時四十六分開議
  135. 佐藤静雄

    ○佐藤主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  これより経済企画庁所管について審査を行います。  まず、概要説明を聴取いたします。田中経済企画庁長官
  136. 田中秀征

    ○田中国務大臣 平成年度及び平成年度における経済企画庁歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、平成年度の当初歳出予算額は四百十七億八千五百二十万円余でありましたが、予算補正修正減少額七千八十九万円余、予算移しかえ減少額六億二千九百十万円余を減少いたしますと、平成年度歳出予算現額は四百十億八千五百十九万円余となります。  これに対しまして、支出済み歳出額は四百五億四千八百八十六万円余であり、歳出予算現額との差額五億三千六百三十三万円余は不用となった額であります。  次に、平成年度における経済企画庁歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、平成年度の当初歳出予算額は四百八十七億百八十二万円余でありましたが、予算補正修正増加額十一億三千五百八十万円余、予算移しかえ減少額六億五千七百二十四万円、流用等増加額三百二十二万円余を増減いたしますと、平成年度歳出予算現額は四百九十一億八千三百六十一万円余となります。  これに対しまして、支出済み歳出額は四百九十億八千五百三十一万円余であり、歳出予算現額との差額九千八百三十万円余は不用となった額であります。  以上、平成年度及び平成年度経済企画庁歳出決算概要を御説明いたしました。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  137. 佐藤静雄

    ○佐藤主査 次に、会計検査院検査概要説明を聴取いたします。会計検査院深田第一局長
  138. 深田烝治

    深田会計検査院説明員 平成年度経済企画庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  次に、平成年度経済企画庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  139. 佐藤静雄

    ○佐藤主査 この際、お諮りいたします。  お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 佐藤静雄

    ○佐藤主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————    平成年度総理府経済企画庁所管(一    般会計決算に関する概要説明                 経済企画庁  平成年度における経済企画庁歳出決算につきまして、その概要を御説明申しあげます。  まず、平成年度の当初歳出予算額は、四百十七億八千五百二十万円余でありましたが、予算補正修正減少額七千八十九万円余、予算移替減少額六億二千九百十万円余を減少いたしますと、平成年度歳出予算現額は、四百十億八千五百十九万円余となります。  これに対しまして支出済歳出額は、四百五億四千八百八十六万円余であり、歳出予算現額との差額五億三千六百三十三万円余は不用となった額であります。  次に、支出済歳出額のおもな内訳は、経済企画庁八十九億六千百九十万円余、海外経済協力基金交付金三百一億九千百九十四万円余、国民生活安定対策等経済政策推進費五億六百六十二万円余、経済研究所八億七千七百四十六万円余等であります。  また、不用額のおもなものは、経済企画庁について、人件費を要することが少なかったこと等によるものであります。  以上、平成年度経済企画庁歳出決算概要を御説明いたしました。  何とぞよろしく、御審議のほどお願いいたします。     —————————————    平成年度総理府経済企画庁所管(一    般会計決算に関する概要説明                 経済企画庁  平成年度における経済企画庁歳出決算につきまして、その概要を御説明申しあげます。  まず、平成年度の当初歳出予算額は、四百八十七億百八十二万円余でありましたが、予算補正修正増加額十一億三千五百八十万円余、予算移替減少額六億五千七百二十四万円、流用等増加額三百二十二万円余を増減いたしますと、平成年度歳出予算現額は、四百九十一億八千三百六十一万円余となります。  これに対しまして支出済歳出額は、四百九十億八千五百三十一万円余であり、歳出予算現額との差額九千八百三十万円余は不用となった額であります。  次に、支出済歳出額のおもな内訳は、経済企画庁百十億三千五百九十六万円余、海外経済協力基金交付金三百六十五億八千七百三万円余、国民生活安定対策等経済政策推進費五億六千四百五十二万円余、経済研究所八億八千五百四万円余等であります。  また、不用額のおもなものは、経済企画庁について、補助金等を要することが少なかったこと等によるものであります。  以上、平成年度経済企画庁歳出決算概要を御説明いたしました。  何とぞよろしく、御審議のほどお願いいたします。     —————————————
  141. 佐藤静雄

    ○佐藤主査 以上をもちまして経済企画庁所管説明は終わりました。     —————————————
  142. 佐藤静雄

    ○佐藤主査 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。 嶋崎譲君。
  143. 嶋崎譲

    嶋崎分科員 長官が金融特の方に、突如質問が入ったらしくて、この委員会から退席をせざるを得ないということを情報としてお聞きいたしておりますので、これからの質疑内容は、清水政務次官に御報告をお聞き取りを願って、その対処の方をよろしくお願いを申し上げたいと存じます。  私のきょう提起しようとするテーマは、昨年の六月に経済企画庁が発表しましたグリーンGDPについてでございます。  これは中間というのか、研究途上ですからまだ完成したものではありませんが、この経済企画庁が発表したものがマスコミその他でかなり大きく取り上げられた。あのままあの考え方で、日本政府のグリーンGDPの考え方が国連に持ち込まれるということになりますと、これは我が国にとっては重大事だなと思いまして、昨年の九月と思いますが、九月初旬に前の企画庁長官の宮崎さんをお訪ねいたしまして、私の見解を文書にいたしましてお渡しをして、経済企画庁検討をしていただきたいということを申し上げて、改めて予算委員会その他でと思ったら、今度は内閣がかわっちゃいまして、今の長官に受け継がれたのでございます。  それだけに、前回宮崎長官のときに提起しておきましたことを、幸い決算委員会が、決算ですから、このグリーンGDPは八五年と九〇年というかなり古い時期をとってはいますけれども決算の考え方を材料にして出されている判断だと考えてよろしいと思うので、この機会に、決算のこの分科会で議事録としてとどめさせていただき、今後、企画庁の方での善処方をお願い申し上げたいということで質問を終えたい次第でございます。  大臣お出かけになりますから問題点をかいつまんで申しますと、グリーンGDPというのは、大臣に御説明するまでもなく、釈迦に説法でございますが、国内総生産、いわばGDPの中から国内の資産の償却部分をまず引いておいて、そして今度は、経済活動に伴う環境悪化に対してどのような追加的費用というものを出したかというその追加的費用をそのGDPから差し引いたもの、これがEDPと称せられているもので、環境調整済み国内純生産と言われるものとして位置づけられているわけであります。  この考え方は、既に国連のサミットやアジェンダ21などの後を受けまして、経済企画庁としては、日本が世界に先駆けて国連のマニュアルなどを基礎にして一定判断をこの時期に一回出されたという性質のものでありますから、こういう問題を世界に先駆けて提起した意味は極めて重要な意味があり、しかも、我が国が世界に向けて、経済との関連で問題になります環境問題を、持続可能な発展ないしは持続可能な成長という新しい経済成長のあり方というものについて問題を提起することを意味するわけでありますから、この意義は極めて重大であると私は高く評価をいたします。  ただ、前回出されたもの、もちろんその後の対応は、企画庁の文書を見ても、平成年度、また本年度平成年度研究を深めていって、そしてより完成に近いものに育てていくという経過も書かれておりますし、大事な項目で検討すべきファクターを落としているが、いずれ検討すると発表されておりますから今後の課題にまつわけでありますが、いずれにせよ、来年、環境特別総会が開かれるわけでありますから、これには一定の日本政府の側の見解を持って臨む必要があろうと思います。  その昨年出されたものの中の一つの側面、今後補うべき欠陥とでも申しましょうか、それを一言で申しますと、この環境・経済統合勘定というものをつくるに当たって、森林というものを非常に重視をしているということは、大変結構なことだし、正しい位置づけだと思います。せっかく森林を位置づけているのに、この森林の環境・経済勘定への入れ方は、日本の森林の生産量に対して伐採量はどうかということをとってみて、成長に対して伐採が少なければ日本の森林は環境としてはいい方向に行っているという評価に基づく算定の仕方であります。  こんな算定の仕方をしますと、この経済企画庁のこの中にも書いてありますが、「森林の伐採による生態系の破壊については、樹木の成長を上回る伐採が行われた場合に、その過剰な伐採に対応する生産額を帰属環境費用とした。」経済活動に伴う環境の悪化というふうに算定しているんだと言っているんですが、これだと、後で聞きますけれども、林野庁は木ばかり切っている役所であって、環境保全の仕事は一つもしていなくてもよろしいということになる算定根拠に基づく問題の立て方になってしまう。  ましてや、我が国の場合には、非常に外材に依存していますから、他国の森林資源を随分伐採して、日本がそれを入れているから、日本の森林の自給率は低いわけであります。外材に依存していれば、国内の森林はそれだけ伐採しないで済む。それが五年たったら、成長の方がはるかに多くて伐採が少ないから、グリーンGDPとしては環境保全の側面から見る限り日本は非常によろしいとなるわけです。  こういう問題の立て方ではどうもよくないなというので、宮崎長官に材料をたくさん示しまして、今後林野庁とも連絡をとりなさいと。特に、単年度予算でいきますと、毎年、大蔵省予算の概算説明の中では、全体の予算の中で付表をつくりまして、環境経費というものは特別に表をつくっております。また、環境庁はそれを特別環境保全の予算として組んでいる。ところが、今度は決算にいきますと、その予算説明のときに使った大蔵省の資料がぱっと消えてしまって、決算がどこでやっているかさっぱりわからない。各省の中にたったったっと入ってしまって、せっかく環境保全のための投資的経費というものを単年度予算で組んだが、五年なら五年たってみたら、そのコストがどのような効果があるかというような決算はどこにも行われていない。  これは、環境庁のみならず、日本の役所全体の決算の姿であります。これを放置しておれば大蔵省の政策の方針が立たないはずでありまして、経済企画庁というのは私は内閣の司令塔だと思っておりますから、そういう意味で、こういう予算のあり方の中で、国民の税金を使ってコストを国家予算として提起する限り、それがどのような効果を生むかということを一定の中期の期間に総括しつつ、その政策を立案し、予算をつけていくという仕組みを今後つくっていく必要がある。  そういう意味で、グリーンGDPの前回の試算は少し欠陥が多いように思うので、今努力中だということは伺っておりますが、来年の国連総会に出るにはもう一年しかありませんから、決算の仕方その他もなかなか難しいテーマでありますけれども、今後とも、世に発表されたものの延長線上でない、より説得力のある、国民に対しても理解のできるものを発表なさるように田中長官にお願いを申し上げておきたいと思います。後は清水政務次官と議論した上で対処していただければ大変幸いと存じます。
  144. 田中秀征

    ○田中国務大臣 嶋崎先生仰せのとおり、金融特の答弁と重なってしまいまして、大変申しわけなく思っております。  今、御意見は承りました。後で審議内容については政務次官の報告を受けまして、当庁としても真剣に取り組んでまいりたい、このように思っております。  どうも申しわけありません。
  145. 嶋崎譲

    嶋崎分科員 環境庁は、今年度予算でも、こうやって平成年度環境保全経費というものをちゃんとくくってあります。この基礎になるのは、大蔵省の今年度予算説明書の一番最後のところに付表ができておりまして、環境保全と物価に関しては特別な表ができているわけであります。  さてそこで、決算委員会ですから決算がどうなっているのか平成年度でちょっと見ますと、平成年度予算の付表の中には環境保全経費、ちゃんと全体を総括した表があります。そして、物価対策関係経費の総括表も入っております。ところが、決算を見ますと消えてなくなって、各省で使われたということがこの中に入っているだけであります。  さてそこで、まず環境庁にお聞きしますが、環境基本法をつくって、それで環境基本計画というものをおととし方向づけて、予算はもう随分前から環境保全経費というのは組まれているのですよ。しかし、改めて、環境庁としては、国の予算の中で環境保全という項目を重視して、政策立案、国家投資の姿というものを国民の前に明らかにしようとしたのでありますから、今の国家投資によって環境保全がどう改善されたか、それについての評価をどのようになさろうとしているのですか。
  146. 増井喜一郎

    ○増井説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、環境庁では、環境庁設置法に基づきまして、政府全体の環境保全経費の見積もり方針の調整を行うこととされております。  具体的には、予算の要求段階におきまして、関係省庁に対しまして環境保全経費の見積もり方針の調整の基本方針というものを示すとともに、政府全体の環境保全経費の取りまとめを行っております。  ただ、御指摘のとおり、決算の取りまとめはこれまで行っておりません。しかしながら、環境保全経費は、環境基本法に基づきます環境基本計画が平成六年十二月に決定されましたことから、この基本計画を実施するための予算として位置づけられております。  この環境基本計画に盛り込まれました諸施策の実施状況等につきまして、中央環境審議会におきまして点検作業を行う、毎年点検をするということになっておりまして、現在、第一回目の点検作業が行われている最中でございます。  環境庁といたしましては、この審議会におきます点検作業等を通じまして、環境保全経費が適切に執行され、また十分な効果を上げるように努力してまいりたいと思っている次第でございます。
  147. 嶋崎譲

    嶋崎分科員 今の段階では、要するに、かけたコストがどのような効果があるかについて検討中であり、今後方向づけていくために努力中であるということであって、その意味では、本来決算というものに基づく積み上げがどのような政策的効果があっているかについては、今のところ評価なしというふうに理解するしかないが、今後努力されるのを期待するしかないということになりますね。  さてそこで、今度は経済企画庁に聞きますが、経済企画庁がこのグリーンGDPというものをおつくりになるに当たって、環境・経済統合勘定の試算の経過の説明があり、試算の方法、試算の対象、試算結果の概要、そして特に重要な帰属環境費用と言われるもののはじき方をやった上で、今後の検討すべき課題ということが整理されて報告を受けております。  しかも、これをなさった予算措置といいますか、経費は、環境庁経済企画庁と農水省、この三省が絡む所管の中で、経済企画庁が中心になって今日までこれをお進めになってきているということになっておりますが、このグリーンGDPを作成するに当たりまして、環境庁並びに林野庁と、それぞれの省庁の持っている環境保全という判断や考え方をお聞きの上で、一定のそれを考慮に入れた上で、このグリーンGDPの中間の発表にこぎつけたものと本来ならば想像されるわけですが、その経過を簡潔に説明してください。
  148. 中名生隆

    ○中名生政府委員 お答え申し上げます。  経済企画庁が昨年の六月に発表いたしました環境・経済統合勘定の試算につきましては、嶋崎先生よく御承知のとおり、二つの時点をとらえてのこの段階でのあくまで試算であり、これからさらに発展をさせていくべき推計でございます。  この調査につきましては、環境庁の方の地球環境研究総合推進費というのをいただきまして、私ども調査をしたということでございます。  この推計をするに際しましては、環境庁あるいは農水省とも御相談をいたしましたけれども、冒頭に先生からも御指摘がございましたように、例えば森林資源というものの扱い等というのは、これからまたよく関係省庁と御相談をしながらさらに改善を図っていかなければいけないというふうに考えている次第でございます。
  149. 嶋崎譲

    嶋崎分科員 その当時の新聞は、僕もびっくりして、これはすぐ勉強しなければいかぬと思ったのだけれども、新聞名は挙げませんけれども、やはり世界に先駆けて、それで環境サミット以来の国際的問題提起を受けて、日本の経済企画庁がいち早くグリーンGDPというものの試算に踏み切ったという非常に高い評価が報道されて、僕らもいいことをやったなと思っていました。  それでちょっと資料をもらってみたら、これはだめだなとその場でわかったんです。けれども、既に国内で話題を呼んだ、しかも、一定国民の世論を誘導する役割を果たしたものでありますだけに、来年の国連の環境特別総会には、世界的にも知られていることでもございますから、日本の対応はかなり重要なものになります。したがって、それまでには、今言われたように、例えば森林についても、環境庁の環境保全経費の使い方とその効果などもどのように考えるのかを含めて御検討を要すると思うのです。  そこで、グリーンGDPの試算に当たって、国家の投資、要するに国家予算の寄与度というものは、グリーンGDPの計算に当たって配慮した要素として入れているのでしょうね。
  150. 中名生隆

    ○中名生政府委員 経済企画庁が昨年発表しましたこの試算の中では、例えば森林については、一応国有林と民有林の両方を対象に考える。もちろん、その推計の仕方はまだこれから改善していかなければならない点がございますけれども、そういう意味では、国の部分というのを含めて試算をいたしております。
  151. 嶋崎譲

    嶋崎分科員 それだと全然試算は間違っている。林野庁の予算の位置づけ方がそんなのだったら間違っていると私は思うけれども、それはここでは余りがちゃがちゃ議論しないことにしましょう、時間もありませんから。  当然、市場経済ですから、市場経済の中における経済活動の中で、環境の損失というようなものをどうコスト計算するかということも一方でやらなければなりませんが、国の場合には国家予算という形で具体化するわけですから、その国家予算、つまり投資コストというものがどのようにグリーンGDPの計算にかかわっているかということは、我々の国政の重要なテーマになるということをまず前提にしておきましょう。  経済企画庁は「生活大国五か年計画」という中で環境経済というものをもう既に提起して、そしてまた環境基本法でも問題にし、基本計画の中でもそういう問題を提起し、そして同時に、国連のいろいろな提起や、マニュアルなども既に提起されているという経過の中でのことでございますから、大変難しい作業であるということはわかりますが、精いっぱいの努力をしてほしいと思います。  そこで、特別に森林の場合だけ取り上げてみますと、このグリーンGDPの計算は、この中で言っているのは、「森林の伐採による生態系の破壊については、樹木の成長を上回る伐採が行われた場合」に限られているのですね。それで、これの統計を見ますと人工林しかないのです。日本は、御承知のように自然林は五十数%、五三%ぐらいかな、人工林は四二、三%でしょう。日本の環境保全という場合に、持っている森林というのは人工林だけじゃないのです。それが、伐採したとか成長量がふえたということで判断を下すような政策的な判断は、恐らく林野庁といえども持っておらぬだろうと思いますね。  大事なことは保安林であります。六十一年度の白書を見ましても、造林、保育が適切に行われず、疎林化していたり根系の発達が悪いなど保安林としての機能を十分に発揮していないものが保安林の一一%に当たる八十九万ヘクタールに達すると白書は言っておるわけです。保安林というのは人工林の地帯にはほとんどないですよ、奥の方ですから。環境保全という場合の森林のストックというものを考えるときには、これは経費として入っていなければならないが入っていない。  また同時に、保安林の一一%は既に保安の機能を果たせなくなっているとなれば、保安林施業という仕事をしなければならない国は、それに対して予算をつけなければならない。その予算をつけるということは、環境保全の投資的経費になるわけだ。これはグリーンGDPの計算の中に入っていないということになるわけですね。  それから、同じ年の白書を見ても、日本の土砂崩れ、それから山崩れだとか土石流などによる被害の地域というのは、毎年毎年ふえていってこそすれ減っていることはないわけです。それは明らかに環境保全上の投資をすべきものですね。これも、それなりに国は一定の投資をしているはずであります。不十分だから被害地が拡大するばかりであって対応がおくれているということはありましょうが、現にコストはかけているはずであります。  間伐だって同じですよ。間伐というのは、環境保全上マイナスの議論をするのか、間伐によって森林が豊かになるという観点で伐採量というものをどう見るかというのを言わないと、そういう観点はグリーンGDPにも入っていないということになりますと、一口に言って日本列島というのは七割が森林で、そのうちの三割が国有林で七割が民有林です。民有林といえども環境保全的性格を持っているということに、グリーンGDPという問題の提起の意味があるわけですね。  そうしますと、この日本の七割を占めている森林に対して行われている施業の中で、公益的機能というものに対して投資されているコストというものを環境保全の投資として理解し、それがどのように年次計画を立てた結果どのような効果を発揮しているかということを決算的にとらえ返して評価していなければ、環境計画は立たぬはずということになるわけです。  そうしますと、今回は、今まだ勉強中だからこれで御努力をしっかりやりなさいと言うしかないにしても、今度発表されているグリーンGDPの事森林に関することは、点数をつけると三十点、これは落第であるということになるわけですね。そういう問題の立て方をどのように環境経済統合官庁という中に入れるか。  しかし、現に方法論としてはそれは入ると言っているのですから、つまり、経済活動によって損失が出てきているものに対してどのように投資したかというのをコスト計算して純粋のグリーンGDPを計算しようとしているのだから、そうすると、その中にどんなファクターが入るかということについて、この問題に関係のある企画庁、環境庁、農林省、主として森林でいえば林野庁、それぞれがよく連絡をとり合って、相互にこういう問題については知恵を出し合わないと欠陥商品になってしまうよということです。  そこで、林野庁、環境庁の環境保全経費というものの中にくくられている林野庁予算は、総額にすると約二千億です。僕も全部個別に洗ってみて、ここに出ている数字と合うかいなと思ってみんな印をして今年度やってみましたが約二千億。  国の方の予算が大体六千億ぐらいで、民有林その他が三千五百億ぐらいとして九千億ぐらいですから、その中の二千億というのはかなりのものだとは思うよ。公益的機能というものにきゅっと絞ってみるとこのぐらいが限度かなというような議論もあるし、いや、まだまだ広げなければならぬという議論も、一種のグレーゾーンみたいなものがあって、僕はまだまだ広げなければならぬという論者の一人ではあるけれども、二千億ぐらいになっておりますね。  そこで、環境庁のこの環境保全経費というものの中に組み込まれている林野庁の経費は、環境保全という観点から見てこれで十分なのか。強いて言えば、予算上は措置できないが、予算措置がよりょく行われれば、まだ環境保全として当面政策的なコストをかけなければならぬという判断ができるものとごらんになっているのかどうか。ちょっと各省庁関係があるから答えにくいかもしれないが、率直な感想を言ってください。
  152. 金子詔

    ○金子説明員 ただいま先生からお話がありました件でございますが、環境庁の方でお取りまとめいただいているところでございまして、それに当たりましては私どもも相談にあずからせていただいておるわけでございますけれども、私どもの方の立場としては、私どもの林野庁の予算、これは森林の整備関係するものがほとんどでございまして、森林というものは濃淡はありますが、押しなべて公益的機能の発揮というところに結びつくということからしても、その大宗が環境保全の予算になるのじゃないかというような基本的な考え方を持っております。  これは先生の御指摘もありましたように、グレーゾーンのところもありますし、いろいろその立場立場でまた判定というのはあると思いますので、環境庁さんの方といろいろ相談をしながら、最終的には環境庁さんに責任を持って取りまとめていただいているというところでございまして、なるべく多くのものがそう位置づけられるというのは、私どもの方の立場としてはそういう考え方を持っております。
  153. 嶋崎譲

    嶋崎分科員 時間が来たそうでありますから、二つだけ最後に問題提起して御検討お願いしたい。  一つは、どうも予算書、決算書というものを見たときに、環境庁経費のくくり方が、環境庁が独自に算定したというよりも、大蔵がこの項目に即して、環境庁の項目に合わせてはいるけれども、大蔵のものを環境庁が表として写しているなというにおいがするのです。そうでなければいいのだけれども、本当は環境庁独自の判断があって横断にくくっていなければならぬはずのものだと僕は思う。  というのは、きょう質問しませんでしたけれども、当初に出された予算説明の中の付表の総額と環境庁の環境保全の子細の総額は大体合っているのです。ところが、別に環境庁補助金と限って使用経費といってはじき出したものを見ると、六千億ほどそこから少ないわけです。何が落ちているかなというのを報告をいただいたので見ると、これは環境保全にくくるにしてはちょっとくくりにくいものだなという感じを僕は持ちます。  そうなりますと、今の国の環境保全経費というものを環境庁がくくっているくくり方について、今後ともどうするか考えつつ、大事なことは、グリーンGDPに反映すべく、まず環境庁と企画庁、環境庁研究所を持っているのですから、林野庁は林総研という研究所を持っているのですから、それぞれみんな研究所を持ってやっているわけですから、よくその知恵を出し合って横断につなぐこと、これが一つ。  第二番目は、せっかく環境基本法、環境計画というものをおつくりになるのなら、今後、環境関係の国の中長期計画というものなどについて一定のシステム化ないしは制度化をやって、単年度予算の積み上げが一定の段階になったら、どれだけ投資したらどういう効果があったのかなかったのかということをやるようなシステムを確立する必要があるのではないかと思う。  そういう意味で、これだけきちんとした当初予算決算——当初予算その他にも環境保全経費というものを特別に生かして環境庁が省の独自性の立場から推進しようとしているとすれば、政府全体の中で環境関係の国の長期計画並びにそれに基づく中期の計画などの制度化を検討して、そしてコストに対する評価というものをどう総括しつつ次に移っていくかというようなことを確立しなければ、今のような決算の仕組みでは、予算のときに組んだだけで後は使いっ放しであって、その効果はわからぬというような金の使い方では、これは国民のためになりませんぞというのが第二番目です。  その意味で、この二つの点について、今後環境庁なり企画庁がグリーンGDP作成に当たって関連する官庁とよく連絡をとること、そしてもう一つは、その中長期計画などについて、もう既にフォローアップ、努力なさっていることはお聞きしていますから、それを一定の段階で集約できるようなシステム化を考えるべしという問題提起をいたしまして、あと政務次官の方からの御回答をいただいて、質問を終わります。
  154. 清水澄子

    ○清水政府委員 環境問題並びに特に森林問題には最も造詣の深い嶋崎議員から、非常に厳しい、また私どもが今後検討しなければならない具体的な問題提起をいただきました。  私も、本当に今後グリーンGDPにそういう側面をどう反映させていくか、このことにつきまして、ただいま御指摘いただきました点は庁内におきましても早速検討してまいりたいと思いますし、そして関係省庁との連携をさらに密にしながら、その効果が具体的にあらわれるよう施策に反映させていきたいと思います。  ただ、御発言がございましたけれども、昨年公表されましたグリーンGDPの試算の結果というものは、最初からまだまだ効果としてあらわせるような内容にはなり切っていないかと思います。そして、今御指摘のありました、特にその中での森林資源に対する問題の立て方とか対象、それから試算の推計方法につきましてもまだまだ理論的にも未解決な問題が非常に多く残っていると思います。  しかし、日本がこういうグリーンGDPの試算を世界に先駆けて取り組もうとした意欲は評価いただいておると思うのです。その点をさらに内容のあるものにしてまいりたいと思いますが、まだまだこの研究というものは開発途上のものでございますので、今後とも、そういう点につきましては直接経企庁にもひとつ御提言いただきたいと存じます。  ただ、こういう環境の問題につきまして、また森林等の環境保全効果等の評価につきましては、いわゆる環境の価値というものをどのように認識するかということは、これは数量とか金額だけで評価できるものではない。そういう意味でも、今後研究すべき課題がとても多いということを痛感をしております。  しかし、日本は特に森林王国でございますし、今おっしゃいましたように、単なる森林伐採即砂漠化という形態ではなくて、非常に雨が多く、湿気が多く、非常に森林の育つ環境にありながら、そういう間伐とか手入れが不十分なためにさまざまな環境被害を生み出しておりますし、それらをコストとしてどう評価していくかということは、私たち、これは日本の国土のみならず地球環境全体の問題として、日本が森林王国として世界に先駆けてそういう評価の仕方、それからそういうグリーンGDPの試算の仕方というものを研究していくことが国際貢献にとっても最も大きなテーマだと思いますので、その点につきまして、今後とも、関係省庁とも連携をとりながら一層研究を進め、嶋崎議員の問題提起が反映できるように努力してまいりますことをここに申し上げて、答弁にさせていただきたいと思います。
  155. 嶋崎譲

    嶋崎分科員 ありがとうございました。
  156. 佐藤静雄

    ○佐藤主査 これにて嶋崎譲君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして経済企画庁所管質疑は終了いたしました。     —————————————
  157. 佐藤静雄

    ○佐藤主査 前日に続いて、通商産業省所管中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫について審査を行います。  質疑の申し出がありますので、これを許します。茂木敏充君。
  158. 茂木敏充

    茂木分科員 自由民主党の茂木敏充でございます。  本分科会では、通産省、中小企業庁に関連して、特に今後の中小企業対策についてお伺いしたいと思います。  実は、私は先日、国連関係の仕事でアメリカの方に行ってまいりました。そこで、アメリカの状況がどうだったか、こういうことでございますが、これまでアメリカ経済は長期的に低迷、これが指摘されておりましたわけですが、ここに来ましてアメリカでは、地価も回復基調にございまして、自動車産業、コンピューター産業を初め景気が大変上向きになってきていると、実際に行って、肌で感じてきたわけでございます。  特に、例えばビル・ゲイツのマイクロソフト社、御案内のように、ここはウインドウズでコンピューターソフトの市場を今世界的に支配して、この十年間で売り上げが大体五十五倍、現在二十八億ドルの売り上げ、純利益ではこの十年間で百倍を超えている、このような非常に急成長を続けるベンチャー企業の代表であるわけですが、このマイクロソフト社を初めとしまして、ベンチャー企業の躍進には、アメリカ経済、大変目覚ましいものがございまして、中小企業が元気であるから国の経済も活力にあふれている、これが今の米国経済の現状ではないか、このように思っているわけでございます。  そこで、まず日米の中小企業の位置づけについてちょっと考えてみたいと思うわけなのですが、日米の企業におきます製造業の付加価値構成、言ってみますと、一つの製品をつくるのにだれがどれくらい貢献しているか、こういったものを比較してみますと、例えば自動車メーカーにおきまして、アメリカでは、GM、そしてフォードを初めとしましてメーカー自身の付加価値が三割から四割、下請メーカーが部品製造などでつくり出す付加価値が六割から七割なのに対しまして、日本では、トヨタ、日産、本田といいました世界に冠たる企業ですら、メーカー本体の付加価値率というのは大体二割ぐらい、下請メーカー、中小企業の付加価値が八割以上に及んでいるわけでございます。  この傾向は、私が分析しました範囲では、自動車産業に限らず、家電メーカーを含めまして他の産業分野にも共通しているわけでございます。このことからしましても、経済全体における中小企業の役割というのは、日本において世界の先進国と比べても大変大きいのではないか、このように思われるわけでございます。  そこで、平成年度の中小企業対策関連予算を見てみますと、他省庁部分も含めまして千九百十四億円ということで、中小企業の技術開発、新規創業の支援や情報化の推進、そして中小流通業の活性化など大変な努力の跡が感じられるわけでございますが、現在の景気状況を見てみますと、今後もさらなる支援拡大が必要ではないか、このように私は考えておるわけでございます。  これらの点を踏まえまして、まず初めに、日本経済における中小企業の位置づけと中小企業への今後の支援策につきまして、大臣、体の方は大企業で、気持ちの方は非常にきめ細やかな中小企業、こういうことで御所見をお伺いしたいと思います。
  159. 塚原俊平

    ○塚原国務大臣 中小企業は、まさに日本の国の経済活力の源泉であると認識をいたしております。  既に委員御承知でございますが、企業の大体九八%が中小企業でございますし、七〇%以上の方がそこで働かれているということでございます。また、日本の国が戦後これだけの急成長を遂げられました、あるいは戦前も含めて非常に工業化を推進していった一つの背景には、世界には見られなかったぐらいの中小企業の大きな役割ということがあったことも事実でございます。  そういった非常に今厳しい環境に置かれているという状況の中で、これから委員からいろいろと御指摘いただけると思いますけれども、現在、中小企業予算に対して、果たしてこの額が日本の国の中小企業の果たす役割の中で十分なのかというような御質問をよくいただきます。無論、より多く確保することによって、さらに新展開ができることのお手伝い、雇用の確保のお手伝い等々ができれば私ども理想とするところでございますけれども、現状の中では、やはりかなり頑張った形で予算取りはしているのじゃないかというふうに思います。  どうか、本日の審議をきっかけといたしまして、さらに委員の方から、その国際感覚豊かな発想から我が国の中小企業に対してこれから政府がとるべき姿の御指導をいただければというふうに考えます。
  160. 茂木敏充

    茂木分科員 大臣御指摘のように、中小企業対策の予算の確保に関しましては、私も引き続き積極的に協力をさせていただきたい、このように考えておりますが、本日は、中小企業対策の具体的な内容につきまして、四点に絞ってお尋ねを申し上げたいと思っております。  まず第一に、商店街の活性化対策の拡充強化についてでございますが、私も地元の商店街、いつも常々帰って見ておるわけでございますが、中心商店街の駐車場というのは大変不足しているな、これが一つの大きな問題だな、このように感じております。  御案内のように、地方に行くほど移動というのは車で行う、このようなモータリゼーション、車社会が形成されているわけでございまして、地方都市の活性化、特にドーナツ化現象の進んでおります中心商店街の活性化には、どうしても市街地商店街付近の駐車場の整備、こういった問題が急務であると考えられるわけなんです。  そこで、公営の地下・立体駐車場の整備も含めまして、通産省としての今後の取り組み方針をお伺い申し上げたいと思います。
  161. 新欣樹

    ○新政府委員 我が国の中小小売商業者でございますけれども、消費者行動の変化とか、あるいは価格競争の激化、また御指摘のモータリゼーションの進展、さらには大型店の出店増といったようなことで著しい環境変化に直面しておるわけでございます。  このため、魅力ある商店街をいかにつくっていくかということがやはり対策のポイントになろうかと思いまして、私ども、アーケードとかあるいはカラー舗装とか、そういったものを基盤施設と呼んでおりますが、駐車場もその基盤施設に当たります。そういった基盤施設整備を図るとともに、また、イベントの開催でありますとか、商店街カードの導入などを図ることによりまして、商店街の振興を図っておるところでございます。  駐車場でございますが、駐車場につきましては、公営の駐車場、これは建設省が主にやっておられるところでございまして、私ども、建設省に対しまして非常に密接な連絡をとりまして、駐車場、特に商店街近辺の駐車場の整備に努められたしというようなことでお願いもいたしております。  また、私ども、商店街と一体となって行うような駐車場の建設につきましては、各種の補助金でございますとか、あるいは無利子融資というようなものによって整備の促進を図るというようなことで、駐車場対策を非常に重要視しておるところでございます。
  162. 茂木敏充

    茂木分科員 もう一つ商店街の問題で大きな問題が、空き店舗対策の問題であると思っております。  日本商工会議所の調査によりますと、空き店舗の存在する商店街、これが現在、全国で、全商店街の大体八五%に及んでいる、そして一商店街当たりの空き店舗比率が八・八%、一割弱まで来ている、このような深刻な状況指摘をされているわけでございます。  そこで、通産省の方で現在鋭意お進めになっていらっしゃいます商店街空き店舗対策モデル事業におきましては、既に全国で八カ所がモデル地域として取り上げられ、一億五千万円の予算配分が行われていると思うわけでございますが、全商店街の八割以上に空き店舗が存在するという現状を考えてみますと、このモデル事業も含めまして大幅な空き店舗対策の拡充、こういったことが必要になってくるのじゃないかなと思いますが、通産省もしくは中小企業庁の方の御所見を伺いたいと思います。
  163. 新欣樹

    ○新政府委員 空き店舗対策でございますが、私どもは非常に深刻な問題としてとらえてございます。  このため、昨年の秋の経済対策におきまして、空き店舗を買い上げる事業につきましては、従来二十人以上がまとまらないと高度化融資が出なかったという制度を五人以上が集まればいいということで、空き店舗を買い上げて、そこをいろいろなふうに使っていくというような措置をとったところでございますし、また、平成年度におきましては、委員御指摘の商店街空き店舗対策モデル事業というものを発足をいたしました。  確かに八地域ということで考えておったわけでございますが、大変にこれは御要望が多うございます。したがいまして、もちろんその予算単価もできるだけ落とさないような格好でいろいろな工夫をいたしまして、私ども、十五地域を拾い上げようというようなことで、八地域からさらにこのモデル事業の対象を拡大してやっていきたいということでございます。  いずれにしましても、空き店舗をどのように活用していくか、モデル事業を行うことによって、これがほかの商店街、地域の本当にモデルになって、他の商店街においてもこういったところのケースを見習って採用をしていくというようなことの契機になればと思って、力を入れてやってまいる所存でございます。
  164. 茂木敏充

    茂木分科員 冒頭にも触れさせていただいたのですが、次に、企業の新規分野進出並びに創業、それから新技術開発への支援、これについてお尋ねを申し上げたいと思うのです。  我が国では、やはりベンチャービジネスの育成というのが決定的におくれているのではないかな、このように考えております。ちょっと話題はそれるわけでありますけれども、例えば、現在問題になっている不良債権問題、これをとってみましても、私は、一面では、このベンチャービジネスの育成不足の問題と表裏の関係にあるのではないかな、こんなふうにも考えております。  と申しますのは、日本の金融機関におきましては、与信審査能力が非常に大きく不足しておりまして、土地があれば金は貸すんだけれども、幾らビジネスのアイデアや経営についてやる気がある、能力がある、こういうことであっても、ベンチャービジネスにはなかなか十分な資金が回ってこなかった、これが八〇年代以降の現状でありまして、これが今日のような状況を生んでいる一つの大きな要因になっているのではないかな、こう考えているわけでございます。もっと実体のビジネスの内容を中心に適正な貸し付けというのが行われていれば、こんな土地絡みの不良債権も大きく膨らまなかったのではないか、発生しなかったのではないか、こうも考えているわけでございます。  また、政府レベルにおきますベンチャービジネスの育成策、こういったものを日米で比較してみましても、我が国のテクノポリス、これは、当初の目標は別としましても、結果的には大企業偏重、こういうことが言われておりますし、ベンチャービジネスの育成には十分機能していないケースが多いのではないかな。これに対しまして、テクノポリスのモデルとも言われておりますアメリカのリサーチパーク、これを見てみますと、インキュベーターの機能を初めとしまして、起業家の育成策が大変きめ細かく盛り込まれているわけでございます。  さらに税制面などを見てみましても、アメリカでは、一九九三年法におきまして、小規模事業会社への投資に伴いますキャピタルロス、これはたしか五万ドルまで、今度は通常所得から総所得という形で範囲を広げまして損益通算が可能とされているわけでございまして、また、キャピタルゲインに対する所得税の半減、五〇%の減免、それから課税の繰り延べ等々も実施をされているわけでございます。  このように、ベンチャー企業の育成という点で我が国は大幅なおくれをとっているように思われるわけでございますが、投資損失準備金制度の創設の問題も含めまして、通産省として現状と今後の対策をどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  165. 新欣樹

    ○新政府委員 先生、実際にアメリカに行かれての御見聞に基づいていろいろ御意見また御指導をいただきまして、ありがとうございました。  私どもも、このベンチャー企業の育成というのは、日本経済のフロンティアをさらに広げていくという意味で、非常に大事な施策であるというふうに考えてございます。  ただ、御指摘のように、アメリカと日本ではまだ資金を集める風土、環境というものが違ってございます。御案内のように、エンゼルと呼ばれるような個人投資家というものがアメリカ側には非常にたくさん存在をする。しかし、日本にはまだこのエンゼルというものが育っていない。さらには、ベンチャー企業を発掘し投資をしていくというベンチャーキャピタルも、本当の意味でしっかりしたものがまだ育っている状況にはないということでございます。  したがいまして、私ども、こうした民間サイドにおいてベンチャー企業に投資をしていくという環境が整うというのが基本であろうかと思いますけれども、それを補う意味におきまして、これも昨年の補正予算におきまして、都道府県のベンチャー財団というものを活用した直接投資措置、直接金融措置を講じた次第でございます。これをまた今度の国会で中小企業創造法の改正を行うことによりまして、このベンチャー財団が行うベンチャー企業への債務保証を信用保険の対象にするというような措置の拡大なども図ったところでございます。  いずれにしましても、そういったことで、政府といたしましても、このベンチャー企業に対する資金融通の円滑化というものに努めておるところでございます。  また、税制措置でございますが、先ほど申し上げました中小企業創造活動促進法で認定を受けたもの現在八百四十七件、これは平成八年の四月末現在でございますけれども、この企業の中には、欠損金の繰越期間、通常ですと五年でございますが、この認定企業につきましては七年に延長するというような措置などもとられているところでございます。  それから、先生御指摘の投資損失準備金、これは恐らく、ベンチャーキャピタルがベンチャー企業に投資をする際に投資損失準備金で積んではどうか、こういう御提案であろうかと思いますけれども、これについて、いろいろな準備金を新しくつくるというのはなかなか難しい問題がございますけれども、私ども御提案を受けまして、勉強させていただきたいというふうに考えております。
  166. 茂木敏充

    茂木分科員 新長官御指摘のように、確かにエンゼルの存在の有無、こういう問題もありますし、シュローダーPTBみたいな形の本格的なベンチャーキャピタルがまだ日本に育成されていない、こういう民間レベルの問題もあると思うのですけれども、やはりこれからはベンチャーキャピタルなりを元気にしていかないと、日本経済自体も二十一世紀には立ち行かない。こういうことになってくると、少し政府の方で先取りをしてでもベンチャー企業の育成環境というものはつくっていく必要があるのではないかな、私は、このように改めて御提案を申し上げたいと思っております。  そこで、時間の関係もありますので、三番目のポイントとしまして、中小企業に対する金融政策についてお伺いをしたいと思うわけであります。  日銀や経企庁がどのように分析しましても、中小企業の現場それから地方経済では、まだまだ景気回復の実感というのはございません。このような中で、中小企業が新しい経営環境に的確に対応していくためには、さまざまな金融ニーズに的確に対応した金融支援策がどうしても不可欠なものになってくると私には思われるわけでございます。  そこで、特に政府系の中小企業金融機関につきましては、政策金融としての重要な役割を果たしていることにかんがみまして、今後も、貸付規模の拡大並びに融資条件の緩和を一層進めていくべきではないかな、このように考えております。また、このような中小企業の資金ニーズというか、そういったものに十分こたえられないのなら、政府系の中小企業金融機関の存在意義、必要性すらが問われるのではないかな、このように考えておりますが、いかがでしょうか。
  167. 新欣樹

    ○新政府委員 中小企業に対する金融の円滑化という問題は、中小企業対策の中で非常に大きな意味を持っておるし、大変重要なことだというふうに考えております。このために、政府といたしましては、二つの措置で円滑化を図っておるわけでございます。  一つは、御指摘の、中小公庫、商工中金、国民公庫等中小企業関係の政府系金融機関でございます。  これにつきましては、実は昨年の夏あたりに、いわゆる超低金利とも言われるような今日の状況に比べますと過去に借りた既往金利が非常に高いので、それに対してこれを何とかしてほしいという声がございました。非常に難しい問題が幾つかあったわけではございますけれども、やはり昨年九月の経済対策におきまして、中小企業者が有する債務につきましては、その金利の五%超部分につきまして全部または一部の支払いを一年間減免するというような措置を講じたところでございます。これによりまして、政府系金融機関の活用といいますか、存在というものが改めて見直されたというふうに私どもは考えてございます。  それからもう一つは、いわゆる信用補完制度でございます。  信用保証協会、信用保険公庫を通ずる民間金融機関からの信用を補完する制度の拡充というようなことでございます。これも、昨年の臨時国会におきまして、例えば無担保保険の限度額、あるいは特別小口保険の限度額を引き上げるというようなことによりまして、より使いやすい制度へと改善を加えてきておるところでございます。  今後、中小企業者に対する金融の円滑化に対しまして、さらなる改善、どういう方法があるかということについて不断の研究努力を重ねていくつもりでございます。
  168. 茂木敏充

    茂木分科員 中小企業関連対策の最後として、中小企業関連の税制についてもお伺いを申し上げたいと思うのです。もちろんこれは、大蔵省との関係が大変深い問題であると承知した上で御質問申し上げたいと思っているわけでございます。  今後の中小企業が経営環境の苦しい中で頑張っていくためには、税制上においても優遇措置を図る必要がどうしてもあるのではないか、このように思われますので、所管の通産省として、法人課税の軽減、土地税制の改善事業承継税制の改善につきまして、今後の取り組みの姿勢をお伺いしたいと思うわけでございます。  より具体的に申し上げますと、法人課税に関しましては、法人税の引き下げと、それに沿いました中小企業の軽減税率の引き下げ、そしてさまざまな指摘のあります同族会社の留保金課税の軽減の三点。  そして、土地税制の改善につきましては、固定資産税の税負担の軽減、地価税の廃止、固定資産税の評価がえに伴い税負担が急激に重くなっております登録免許税の軽減の三点。  それからもう一つ、事業承継税制に関しましては、御案内のように、八九年以降廃業率が開業率を上回るような状況になっている。九五年、昨年におきましては、六十四件発生した人手不足倒産のうち、五十七件を後継者難による倒産が占めている。中には、後継者難を悲観して破産申請をするなどのケースも見受けられる、このようにも聞いているわけでございまして、中小零細企業での後継者難が構造的問題として指摘をされているわけでございます。経済の担い手である中小企業の活力を維持する観点から、相続税等における土地評価の方法、そして取引相場のない株式の評価の方法等々につきまして改善が求められるのではないかな、このように考えているわけでありますが、この点も含めまして、中小企業関連の税制につきまして、所管の御所見を伺いたいと思います。
  169. 新欣樹

    ○新政府委員 税制について、大変幅広い内容の御質問でございます。  私ども、中小企業の方々の生の声というものをそれぞれに承ってございます。先ほど言われました、いわゆる同族会社の留保金課税の軽減でありますとか、あるいは資産課税としての固定資産税、地価税、こういったものについてできるだけ負担を軽くしてほしいという生の声があることは十分認識をしておるところでございます。この問題、大蔵省のいろいろな総合的な税制体系の中でどういうぐあいにやっていくかという中で、私ども、中小企業者の声ができるだけ反映できるような努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。  それから、いわゆる事業承継税制の問題についても御指摘がございました。  これは、以前からも、事業承継の円滑化を図るために負担軽減措置を要求してまいっておるところでございます。特に、一昨年、平成年度の改正におきまして、相続税の税率構造の緩和、あるいは基礎控除額や小規模宅地等の減額割合の引き上げなどの軽減措置が講ぜられたところでございます。また、取引相場のない未上場株式の評価方法につきましても一部見直されたところでございまして、これらの措置によってある程度事業承継の円滑化に資するものと理解をいたしているところでございます。  さらにこの問題、中小企業者の方々が強く要望してございます。問題の重要性は強く認識しておりますので、中小企業者の要望に真摯に耳を傾けまして、引き続き検討していく所存でございます。
  170. 茂木敏充

    茂木分科員 時間の関係がございますので、中小企業対策については質問をここで打ち切らせていただいて、最後に、別件で、平成四年に制定されました地方拠点法に基づき通産省が現在進めておられるオフィス・アルカディア構想について、若干お聞きしたいと思っているわけなのです。  オフィス・アルカディア構想は、東京二十三区のオフィスの移転による一極集中の是正と地方での都市整備を目的に、全国で現在七十四カ所の指定がされている、こういうわけでございまして、現在この構想がどこまで進んでいるのか。  それから、首都圏からオフィス移転が全国的に可能なのはもちろんでございますが、一般論としましてどこが最も有望かといえば、首都圏に隣接もしている、そこの中で、東京からの鉄道網、高速道路網に北関東横断道が交差する交通の要所となっております北関東地域、別に通産大臣が茨城で私が栃木だからというわけではございませんが、北関東というのはどうしても最有力地域の一つになってくるのではないかなと思います。  そこで、オフィス・アルカディア構想の実務面を担当している地域公団で適地選定調査を北関東地域において実施されたと聞いておりますが、その調査報告についてお聞かせいただければと思います。
  171. 鈴木孝男

    ○鈴木(孝)政府委員 オフィス・アルカディアについての御指摘でございます。  平成四年に地方拠点法が施行されまして、オフィス・アルカディア構想の地域といたしましては二十八地域、既に全国的に指定をしております。このオフィス・アルカディア構想に指定されますと、市町村が実施します業務施設立地円滑化調査に対する補助と、それから今先生御指摘のありました地域整備公団による業務用地の造成、また地域整備公団による第三セクターへの出資等の助成策があるわけでございます。  先生御指摘の地域公団の方の適地選定調査につきましては、私、まだ十分承っておりませんが、むしろ、これらの調査の結果を踏まえて、今、北関東地区の市町村の方から、先ほど申しました業務施設立地円滑化調査というものを今後希望するような話を聞いております。円滑化調査につきましては既にいろいろな地域で実施されておりますが、そういう円滑化調査を踏まえまして、オフィス・アルカディア構想が具体化されて地域指定に結びついてくるのだろうと私どもは思っております。
  172. 茂木敏充

    茂木分科員 地域公団の調査結果によりますと、栃木県の県南地域が一つの有望地域だということで指摘もされておる。  私の独自の見解でも、この地域、まず足利市、佐野市などを含む両毛地域や栃木市、小山市など栃木県の県南地域は、伝統的な繊維産業を初め機械金属、プラスチック、アルミ等、中小企業の幅広い産業の集積が見られておる。また、北東国土軸とひたちなかから新潟に抜ける地域連携軸とのクロスポイントであり、広域的な交流も今後期待できる。さらに、距離的に見ても東京から八十キロ圏ということで、適度な近接性を持ち、足尾山系の豊かな山並みを背後に抱えていることから、すばらしい自然環境の中で教育、研究活動を展開できる。最後に、また地元においても、足利市の北部拠点開発、佐野市の新都市開発計画、栃木市の駅前開発計画など土地開発プロジェクトが進行しており、用地確保も非常に容易であります。  こういうことを考えますと、ぜひ今後、北関東、そして栃木県南、両毛地域におけるオフィス・アルカディア構想を通産省としても前向きに御検討いただきたい、このように考えております。  時間の方も参りましたので、大臣にはずっとおつき合いいただいて大変恐縮であったわけですが、改めて中小企業対策の一層の強化充実をお願いいたしまして、以上で私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  173. 佐藤静雄

    ○佐藤主査 これにて茂木敏充君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして通商産業省所管中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫質疑は終了いたしました。  これにて本分科会審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  分科員各位の御協力を賜りまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。  これにて散会いたします。     午後三時二分散会