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1996-05-17 第136回国会 衆議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月十七日(金曜日)     午前九時四十六分開議 出席委員   委員長 中島  衛君    理事 稲垣 実男君 理事 佐藤 静雄君    理事 福田 康夫君 理事 竹内  譲君    理事 前田 武志君 理事 若松 謙維君    理事 石井 紘基君       伊藤宗一郎君    蓮実  進君       細田 博之君    綿貫 民輔君       上田 清司君    熊谷  弘君       鳥居 一雄君    西  博義君       渡部 恒三君    赤松 広隆君      五十嵐ふみひこ君   小泉 晨一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 久保  亘君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 中西 績介君  出席政府委員         総務庁行政監察         局長      大橋 豊彦君         大蔵大臣官房審         議官      尾原 榮夫君         大蔵省主計局次         長       林  正和君         大蔵省理財局長 田波 耕治君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君         建設省道路局長 橋本鋼太郎君  委員外出席者         大蔵省主計局司         計課長     田頭 基典君         会計検査院長  矢崎 新二君         会計検査院事務         総局次長    中島 孝夫君         会計検査院事務         総長官房総務審          議官      牛嶋 博久君         会計検査院事務         総長官房総務課          長       円谷 智彦君         会計検査院事務         総局第一局長  深田 烝治君         会計検査院事務         総局第三局長  山田 昭郎君         参  考  人         (日本銀行理事)本間 忠世君         決算委員会調査         室長      天野  進君     ————————————— 委員の異動 一月三十一日  辞任         補欠選任   野田  毅君     西  博義君 二月十四日  辞任         補欠選任   田中 直紀君     武藤 嘉文君   横内 正明君     高村 正彦君   嶋崎  譲君     海江田万里君 同日  辞任         補欠選任   高村 正彦君     横内 正明君   武藤 嘉文君     田中 直紀君   海江田万里君     嶋崎  譲君 同月十五日  辞任         補欠選任   嶋崎  譲君     海江田万里君 同日  辞任         補欠選任   海江田万里君     嶋崎  譲君 同月十九日  辞任         補欠選任   嶋崎  譲君     海江田万里君 同日  辞任         補欠選任   海江田万里君     嶋崎  譲君 同月二十二日  辞任         補欠選任   嶋崎  譲君     海江田万里君 同日  辞任         補欠選任   海江田万里君     嶋崎  譲君 同月二十六日  辞任         補欠選任   嶋崎  譲君     海江田万里君 同日  辞任         補欠選任   海江田万里君     嶋崎  譲君 同月二十七日  辞任         補欠選任   嶋崎  譲君     海江田万里君 同日  辞任         補欠選任   海江田万里君     嶋崎  譲君 同月二十九日  辞任         補欠選任   嶋崎  譲君     海江田万里君 同日  辞任         補欠選任   海江田万里君     嶋崎  譲君 三月一日  辞任         補欠選任   嶋崎  譲君     海江田万里君 同日  辞任         補欠選任   海江田万里君     嶋崎  譲君 四月二日  辞任         補欠選任   田中 直紀君     相沢 英之君   横内 正明君     武藤 嘉文君   嶋崎  譲君     海江田万里君 同日  辞任         補欠選任   相沢 英之君     田中 直紀君   武藤 嘉文君     横内 正明君   海江田万里君     嶋崎  譲君 同月四日  辞任         補欠選任   嶋崎  譲君     海江田万里君 同日  辞任         補欠選任   海江田万里君     嶋崎  譲君 同月九日  辞任         補欠選任   嶋崎  譲君     海江田万里君 同日  辞任         補欠選任   海江田万里君     嶋崎  譲君 同月二十六日  辞任         補欠選任   嶋崎  譲君     海江田万里君 同日  辞任         補欠選任   海江田万里君     嶋崎  譲君 五月十四日  辞任         補欠選任   田中 直紀君     東家 嘉幸君   三原 朝彦君     園田 博之君   小泉 晨一君     徳田 虎雄君 同日  辞任         補欠選任   園田 博之君     三原 朝彦君   徳田 虎雄君     小泉 晨一君 同月十七日  辞任         補欠選任   三塚  博君     細田 博之君   横内 正明君     蓮実  進君   渡部 恒三君     上田 清司君   三原 朝彦君   五十嵐ふみひこ君 同日  辞任         補欠選任   蓮実  進君     横内 正明君   細田 博之君     三塚  博君   上田 清司君     渡部 恒三君  五十嵐ふみひこ君    三原 朝彦君     —————————————   五月十六日  平成年度一般会計歳入歳出決算  平成年度特別会計歳入歳出決算  平成年度国税収納金整理資金受払計算書  平成年度政府関係機関決算書 は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  平成年度一般会計歳入歳出決算  平成年度特別会計歳入歳出決算  平成年度国税収納金整理資金受払計算書  平成年度政府関係機関決算書  平成年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成年度国有財産無償貸付状況計算書  平成年度一般会計歳入歳出決算  平成年度特別会計歳入歳出決算  平成年度国税収納金整理資金受払計算書  平成年度政府関係機関決算書  平成年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成年度国有財産無償貸付状況計算書      ————◇—————
  2. 中島衛

    中島委員長 これより会議を開きます。  平成年度決算外二件及び平成年度決算外二件を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤静雄君。
  3. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 自民党の佐藤静雄です。  時間がありませんから、わずかな時間でありますから、短く質問させていただいて御答弁をお願いいたしたいと思います。  決算審査というのは、予算が適正かつ効率的に執行されたかどうか、それを国会財政監督権というものに基づいてこうして審査をするわけであります。今までずっと決算委員会審査をしてきた過程においていろいろなことが指摘されているわけでありますけれども、その指摘を次の予算反映をしていかなければ余り意味のないことになってしまいます。大蔵大臣としましては、過去にどのようにしてそれを反映をしてきたのか、また、来年度予算をつくる時期に来ていますけれども、それに対してどのような方法でこれを反映させようとしているのか、お考えをお聞きしたいと思います。
  4. 久保亘

    久保国務大臣 御指摘のように、決算予算執行実績をあらわすものでございまして、その決算が所期の政策目的に照らして適正かつ効率的に執行されたかどうかを御審査をいただくわけでございます。  決算委員会を中心といたします国会における御審査の結果をどのように政府として受けとめ、そして新しい年度予算編成に当たりましてこれらの審査の結果を生かしていくかということは極めて重要なことであると考えておりまして、ただいま御指摘になりましたような、御意見がございましたような立場に強く留意をしながら、今後も財政運営に力を尽くしてまいりたいと考えております。
  5. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 今大臣からもお話ありましたけれども決算の結果というものはやはり大蔵省としてチェックをしながら次の予算反映をさせていく、これが非常に大事だと思っています。  今までも随分、予算が効率的に使われていないのじゃないかと、いろいろなことが指摘されてきました。例えば類似した仕事を各省庁ごとにやってしまう。例えば道路でしたら農道があり普通の国道がありと、こうやってしまう。そんなことが随分指摘されてきました。  大蔵省としても、公共事業に類似した事業間の調整ですとか、それから厚生省建設省汚水処理施設だとか下水道の調整なんかも、七年度予算なんかでもお互いに相談をしながらやっているらしいですけれども、しかし、まだまだたくさんの問題があるわけでありますね。  例えば農水省生活改善センター厚生省老人福祉センター、それから国土庁山村開発センターなんて、行きますと同じようなものが建って同じように利用されている。どうもこれは、調整をすればもっと大きな立派なものが建てられるのじゃないかなと思うことがたびたびあります。  農水省農村婦人の家と労働省の働く婦人の家ですとか、それから文部省の青年の家と労働省勤労青少年ホームですとか、それからまた文部省の普通の公民館と国土庁コミュニティーセンター、文化庁の文化センターとか、たくさんそういうふうな問題があるのですね。こういうものが、長い間指摘をされながらそのままになってきている。  それぞれの省庁に言わせますと、使う目的が違うからいいのだという答えが今まで返ってきています。しかし、目的は違っても使う人たちは同じ人たちが使っている面がたくさんあるわけですから、もっと整理をして、もっと予算が効率的に、むだのないように、重複しないように使う必要があると思います。大臣、お考えはどうでしょうか。
  6. 林正和

    ○林(正)政府委員 先生指摘のように、各省を通じます総合的な政策展開を可能とするためには、各省庁間の十分な連絡調整の確保が重要でございます。公共事業についても御指摘がございましたし、今具体的に会館等公共施設の設置についても御指摘ございましたが、これまでも予算執行面におきまして、交付要綱でありますとか、あるいは施設運用基準等の改定を行いまして、事務室、階段、玄関等について一体化するというようなことにより、共有が可能となるよう改善を図ってきているところでございます。  財政当局といたしましても、御指摘のように限られた財源の有効利用という観点から、こうした施設複合化を推進していくことが重要であると考えておりまして、これらの取り組みをさらに一層進めますように、各省庁に対して要請をしていきたいと思っております。
  7. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 こういう各省庁間の調整をこれからどんどん進めてほしいのですけれども、やはり大蔵省としましては、それがやはりきちっといっているかどうかというチェックも必要ですね。やはり、公共事業の類似したものを調整はした、果たしてそれがチェックされているのかどうなのかということが一つの大きな問題だと思うのですね。ですから、これからも調整をしながら、さらにチェックをしながら効率的に使っていく、ぜひともそういうことを進めていただきたい、そう思っています。  それから、予算をもっと効果的に使うというか、例えば公共事業などは景気回復のために経費を出していく、それが本当に景気回復のために役立っていく、そんなことを考えてみますと、今日本の国が採用している四月から開始する年度予算制度というのは果たしていいのかどうなのか。外国では暦年制、一月−十二月の予算制度をやっているところが非常に多いわけでありますけれども、私は、どうもその方がいいような気がいたしておるのであります。  四月に予算が通ったとしますと、私ども地元北海道でありますけれども北海道などを見てみますと、実際に仕事が出てくるのが、お盆過ぎの仕事になってしまう。八月の半ばごろに仕事が出てくる。結局、十一月ごろになってさましたらもうそろそろ雪が降ってきまずから、十一月、十二月の雪の降る時期に仕事をしなければならない。急いで仕事をする。よい仕事もできないし、また、非常にもうけも少ない。もうけも少ないということは、景気に与える影響などもそれだけ少ないということでありますけれども、そんなことが実態としてあるわけですね。予算がむだに使われているという面がそういう中で出てくると思うのです。  そういう意味で、現行予算年度の開始時期というものを、一月−十二月というものもそろそろひとつ検討してみる必要があるのではないかと思いますけれども、どうでしょうか。
  8. 林正和

    ○林(正)政府委員 寒冷地におきます予算執行に無理が生じないように会計年度暦年制に改めるべきだという御指摘でございますが、御案内のとおり会計年度は、社会経済活動国民生活の全般にわたって密接な関連を有するものでございます。特に現行会計年度は明治十九年度からとられておりまして、百年以上もの長期間なじんできた制度でございまして、いろいろな制度、慣習がその上に成り立ってきているのは御案内のとおりでございます。したがいまして、これを変更するということになりますと、各般にわたって相当の混乱を起こすことも予想しなければならないと存じております。  したがって、御指摘暦年制検討など会計年度の見直しの問題は、改正によっていかなる問題と混乱が生じ、その解決の見通しはどうか等について、十分慎重に取り扱うべき問題だろうと思っております。  なお、先生の御指摘積雪寒冷地におきます公共事業の円滑な実施という点につきましては、従来から御案内のとおり国庫債務負担行為あるいは繰り越し等活用を図ってまいってきておりますが、今後ともこれらの制度の一層の活用を配慮していきたいと思っております。
  9. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 日本の国が今やろうとしていることは、大きく構造改革をしなくてはならぬわけです。行政改革を進めなくてはならぬ。経済構造を変えなくてはならぬ。要するに、これだけ国際化時代を迎えて、日本の国が古い制度に固執しないで、古い制度を改めて、新しい二十一世紀に向かう。これを我々がこの四、五年のうちにやらなければならぬ時期が来ているのだと思うのです。  ですから、この予算制度は過去ずっと百年もやってきたなんという、それは自慢にならない話であって、今まではそれでよかった。今まではよかったけれども、これからの将来を見てそうした方がいいのではないか。やはり研究してみて、よかったらやってみる。そういう過去を打ち破る勇気というものが私は必要だと思いますから、ぜひともひとつ検討していただきたいと思っています。  それから今、債務負担行為なんかで雪国などに対応していると言いましたけれども、やはりそういう仕事もみんな継続事業なんですね。新規の事業なんかとてもあるものではありません。ゼロ国債というのをやってもらっていますけれども、それはやはりなかなか難しいです。雪国というのは、四月、五月、六月というのは、日照時間も長いし、最も雨が少ないし、最も仕事がやりやすい時期なんですね。仕事も非常にいいものができる。  ですから、やはりそういうことを考えてみましたら、そういうようなことではなくて、もっと予算時期を早く、一月からやれるとしたらもう三月か四月になったら仕事を出していけるということでありますから、十分にひとつ研究をしていただきたい、そう思います。  それから、行政改革を進める上で非常に参考になるのがニュージーランドです。小さな国でありますから、日本の国がニュージーランド行政改革のまねをすぐしろと言ってもそれは規模が違いますからできるものではありませんが、昨年、決算委員会ニュージーランド行政改革、特に決算委員会あり方とか、こういうものを勉強するためにみんなで行ってきたわけであります。  予算執行方法経済原理を導入したわけであります。例えば、所定の行政効果を当初予算よりも少ない額で効率的に上げるためにはどうしたらよいのか、それを役所に、責任者に任せる。その人が当初の予算よりも、そのやろうとしたことをより少ない金でもって仕上げたとする。例えば八割ぐらいの予算で当初の目的どおり仕上げる。そうしたら二割浮いてくる。それはまたその省庁で次の予算に回していく。さらに、非常にみんなで努力したんだからボーナスを少し多くするとか、そんなことを採用しているのです。非常に効果があって、そのために、ニュージーランドはそれまで財政難で悩んでいたのが今や非常に世界有数財政的に豊かな国になってきた。そういう事例があるわけです。  ですから、やはり我が国においてもそういうことを取り入れる必要があるのではないか。どうも予算が決まったらそれを全部使い切る、むだなことまでやっても使い切るというのは、これはよく国民から批判をされていることであります。  できる限り普通の会社と同じように——さっきも理事会でちょっと雑談していたのでありますけれども国会では予算委員会というのは非常に重要視されて、これからつくる予算に対して非常にみんな議論はあるけれども決算に対する議論は非常に少ない。企業というのは、やはり決算がどうなったかということが一番問題なんです。いかに効率的にできたか、やはり国の予算においてもそういう考えが正しいのではないでしょうか。国民の大事な税金を使っていかに効率的に、いかによいものができ上がったか、これは予算を超えて、予算はこれだけあったけれどもこのぐらいでできましたということをやはり示していく、そういうことが私は大切なような気がしますけれども、いかがでしょうか。
  10. 久保亘

    久保国務大臣 ニュージーランドの問題につきましては、私もニュージーランドの蔵相ともいろいろ話をする機会もございました。先生のおっしゃいましたように、ニュージーランドにおける行財政改革は、私どもが今後やっていきます場合参考になる問題もたくさんあると思っております。また今日、財政構造改革を進めるに当たって、省内におきましても、各国の改革はどのようなやり方で進められたかということについても検討を進めているところでございます。  なお、今、予算の効率的な使用、執行についての御意見がございました。私も、地方議会におりますときから通じて、今のような御意見に大変共感するところがございます。そして、そのためには、予算編成に当たって前年度実績をどのように見ていくかということがやはり重要になってくるのだと考えておりまして、今後、今御意見のございましたようなことについては十分配慮をしなければならないことであろうと思っております。
  11. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 大臣のそういう積極的な意見には本当に期待していきたいと思っておりますし、国民は望んでいると思いますから、ぜひとも早急な検討をひとつお願いいたしたい、そう思っております。  今の我が国の状態というのは、家庭に例えれば、年収五百四十万の人が七百五十万を使っている。八年度予算国債費は十六兆円ですから、過去のローンの支払いが百六十万ある。そしてまた二百十万円の借金をする。こういうような国の財政状況でありますけれども、利払いばかりに追われて政策予算がなかなかとれない、こういう実態であります。  この財政再建をどうするかということが、我が国の最大のこれからの課題になるだろうと思います。総理も非常に心配をされて、検討を始めたようでありますけれども、最後に大蔵大臣から財政再建に対する考え方をお聞きしたい、そう思います。
  12. 久保亘

    久保国務大臣 昨年の十一月十四日でありましたか、当時の武村大蔵大臣が、我が国財政事情国民皆様方に説明をされ、容易ならざる事態と結論づけられたのであります。このことは、当時、マスコミから財政危機宣言として報道されました。最近、武村さんは、財政再建に関するお考えを発表されたものの中で、その最初のところで、あれは財政危機宣言というよりは財政破綻宣言だという意味のことをお述べになっております。それほど重要な中で、今私ども平成年度予算を成立させていただいたのでありますが、この予算が終わります八年度の末には、お話がございましたように二百四十一兆という国債残高累積債務として残るわけでございます。  どのように財政再建をやるかということは、今や単なる再建ということではなくて、財政構造改革に大胆に取り組むことなしには再建の道は開けない、こう考えておりまして、昨日、総理の御指示によりまして、総理主宰のもとに四つの審議会調査会——税制調査会経済審議会社会保障制度審議会、それに財政制度審議会の代表の方々にお集まりをいただきまして、財政問題についての意見を交換する懇談会が開かれました。  これからもこれらの会合をさらに、財政とかかわりますもろもろの審議会調査会等とも懇談を重ねながら、できるだけ早く財政再建方向をきちんとしてまいりたいと思っておりますが、今、財政制度審議会に二つの分会がつくられまして、一つ財政再建の目標、一つ財政役割守備範囲ということで御検討をいただいております。大蔵省といたしましても、これらの審議会等の御意見国会皆様方の御審議等に十分に意を配りながら、今後できるだけ基本的な財政再建方向について早く方針を決めてまいりたい、このように考えております。
  13. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 終わります。
  14. 中島衛

  15. 若松謙維

    若松委員 新進党の若松謙維でございます。  きょうは、平成年度並びに平成年度一般会計決算を審議するという最初の入り口ですので、私は、総括的な立場から質問をさせていただきます。また、同僚の上田議員、個別の質問もさせていただきます。ともによろしくお願いいたします。  私も決算委員会理事として今やらせていただいているわけですけれども、やはり今の日本決算制度並びに会計検査院あり方について日ごろ疑問を感じておりました。先ほど佐藤先生質問をお伺いしていたところ、いろいろと省庁間のいわゆる類似的な支出、こういったところに対して大蔵省の方に質問をされておりました。そこで感じたのが、ああいった御質問というのは、別に佐藤先生がどうのこうのじゃないのですけれども、やはりそれをチェックする会計検査院が、まず一義的にそれをチェックして報告するのが本来のあり方なのかな、ところがそういった発想にこの決算委員会がいっていないというところにやはり大きな問題があるのではないかと今考えた次第でございます。  なぜこういった質問をするかというと、やはり会計検査院あり方なのですけれども、今会計検査院は、いわゆる三権分立の中で行政の中に含まれております。そして、いわゆる法的にはそれぞれの内閣に独立という立場をとりながらも、やはり行政の中ということでありますと、結局は、会計検査院という立場はどこまでも独立性を維持する、さらにそれを高めるという改革が必要であると思います。  三権分立の中で、いわゆる行政の中での会計検査院というのはどうしても限界がある。そういう意味で、やはり議会、立法府の中に、例えばアメリカのGAOのような、また、イギリスはまた違うのでしょうけれども、かなり議会会計検査院役割というものが活用されている、そういった観点から、これは大きな提言になりますけれども、また長期的な提言になりますけれども会計検査院議会に帰属すべきではないか、私はそのように思います。  会計検査院から直接説明されるのは立場的に非常に難しいと思いますけれども、ひとつ御意見を伺って、また、日本は議院内閣制でもありますので、きょうは大蔵大臣という以上に副総理として、ぜひともこういった観点から副総理のお考えを聞きたいと思います。
  16. 矢崎新二

    ○矢崎会計検査院長 お答え申し上げます。  御承知のとおり、会計検査院日本国憲法にその設立の根拠を持つものでありまして、会計検査院法におきましては、その第一条で「会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する。」というふうに規定されております。このことからも明らかなように、会計検査院は内閣の一部ではございませんで、内閣から独立した機関といたしまして、他から何ら制約を受けることなく検査業務を遂行しているということをぜひ御理解いただきたいと思います。  会計検査院の地位をどのように定めるかという問題は、高度の立法政策にかかわる問題でありますので、私からお答えを申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。  会計検査院としては、与えられた地位、権限等の中で今後とも最大限の努力をしていきたいというふうに考えております。
  17. 若松謙維

    若松委員 副総理に答えていただく前に、今の会計検査院長のコメントに対しまして、実はアメリカでやはりこういった議論が一九二一年に行われまして、そして当時の議会の議事録を読みますと、ある議員の方が、「私の経験によれば」、いわゆる会計検査院長などが「現在と同じ位置に置かれるかぎり、多少ともその判定にバイアスをかけるような影響を受ける」、こういう言い方もしておりまして、また、「能率的な会計システムは、行政のコントロールから除外されないかぎり実現されない」、こういうことで、いわゆるイギリス議会あり方参考にして、そして一九二一年、予算会計法が変更になって、アメリカの会計検査院、いわゆるGAOは議会に属した、こういった歴史的な経緯があります。  今、国民は税金の使い道に対して非常に厳しい、監視の目が強くなっている、そういう観点からもっともっと、議会主導型のチェック機能を国、国家のシステムの中に導入すべきだと思います。そういった観点から、会計検査院を、いわゆる行政というところからもっと第三者的に権限を、また言いたいことを言えるように、やはり議会、立法府に帰属すべきではないかと思いますけれども、副総理の御見解をいただきます。
  18. 久保亘

    久保国務大臣 会計検査院の地位については、今、会計検査院長の方から、憲法並びに会計検査院法に基づいて御説明を申し上げたところでございますが、これをどうすべきかということについては、会計検査院あり方についていろいろ御意見のあることは承知をいたしておりますが、これを国会の附属機関とすべきかどうかというような問題については、行政府の立場から私が申し上げることではないように思っております。  ただ、会計検査につきましては、その法律の定める地位に基づいて、決算書を会計検査院に提出し、送付し、会計検査院の報告を付して決算国会に提出しているところでございます。  私どもといたしましては、国会との関係ということは、国会において御論議をいただく問題と思いますけれども、御指摘の趣旨に沿って、会計検査の結果をより適時にその内容を国民に公表し、そして真摯にこの会計検査の結果を受けとめて取り組んでまいることが重要であろうと考えております。
  19. 若松謙維

    若松委員 この件については、この委員会等でまた議論していきたいと思います。  同じく、会計検査院のほかにいわゆる行政監察局、これがございます。最近、アメリカのGAOの変遷を見ていきますと、第一期がいわゆるバウチャーチェック、第二期がいわゆる効率性、経済チェック、ちょうど今、日本が、会計検査院がそういったところかな。今第三期に入っておりまして、これは一九八〇年くらいから始まっておりますいわゆるプログラム評価システム、いわゆる政策チェックです。  これは行政監察局もやっているのかなと思うのですけれども行政監察局というのはあくまでも行政の中であって、これも先ほどの、もっと独立性を高めて、かつ発言の権限を高めるという意味から、この行政監察局をやはり議会にしっかり持っていくべきではないか、そう思うのですが、これは、総務庁長官はやはり議員ですので、議員としての、議会としての立場から御発言いただきたいと思う。結局、日本は議院内閣制ですので、やはり議員がリーダーシップを持ってシステムを変えていかなければいけない、そう思いますので、そういった観点から、総務庁長官、いかがでしょうか。
  20. 中西績介

    ○中西国務大臣 行政監察、今まで政府みずからが、内部的な統制機能あるいは自己改善機能の一環としまして、各省庁と協力をしながら監察をしてきたところであります。特に、そうした行政の補完的な役割を果たすということでもって、行政改革推進を含む政府の重要政策課題の改革改善に向けてどうあるべきかを追求してきたところであります。  特に、今先ほどの会計検査院の問題と同様に、論議の対象のようでありますけれども三権分立の原則のもとにおきましては、立法府が行う監視のための体制整備、このことについては、先ほど大蔵大臣の方からも言われましたように、立法府みずからがやはり判断をしていかなくてはならぬだろう。したがって、内閣の一員として、総務庁長官としての立場からいたしますならば、このことについての意見を差し控えさせていただきますけれども、立法府のそうした監察強化、さらに総務庁が行う行政監察、それぞれの立場から機能を十分発揮していくことによって、全体としての行政効果が上がるようにしていく必要があるだろう、こう考えます。  したがって、議員の立場ということになりますと、これは立法府の問題でありますから、立法府の一員としてやる場合には、やはり立法府自体の論議を尽くしていただくようにお願いをしたいと思っています。
  21. 若松謙維

    若松委員 きょうは、本来ですと総理に出ていただければ、まさに議院内閣制の長としての発言をいただけるのですけれども、これは次回の総括に移すとして、やはりこういった、もっと独立性を高める、さらに発言の権限を高めるという意味で、三権分立をうまく活用した方が国民の期待に添うものだと私は理解いたします。ぜひともこれはまた別の機会で主張をしていきたいと思います。  実はこういう話を持ってきたのは、ゴールデンウイークのときにアメリカ、ワシントンDCに行ってまいりまして、こういった観点から自分なりに、各省庁、また議会に行ってまいりました。そして、アメリカの決算委員会に相当するガバメント・リフォーム・アンド・オーバーサイト・コミッティーというのがありまして、あえて日本語で言うと、政府改革評価委員会とでも訳すのでしょうか、そこの委員長にもお会いしてきました。そして、ではその委員会の活動はどうなっているのですかと聞きましたら、毎週やっていると。では、日本でことしになってこの委員会はどのくらい開いたかというと、指で数える指も要らないぐらいの、非常にやはりこの委員会の機能という面で国民に申しわけない実態である。  やはり先ほどの会計検査院活用行政監察局のその結果の活用仕事はすばらしい仕事もやっていると思います。本当に国民立場からそれをさらに活用する決算委員会のさらなる活性化というのでしょうか、やはりこれが改革されなければいけないと思うのですけれども、そういった面で、これは余りないのでしょうけれども、今の枠組みですとどうしても限界に突き当たってしまいまして、あえて限界を乗り越える意味で、決算委員長に、こういった点から国会審議をさらに進めるべきではないかと、ぜひ委員長質問させていただきたいのですが、いかがでしょうか。
  22. 中島衛

    中島委員長 若松先生が米国の議会及び会計検査院を訪問され、勉強の結果、ただいまいろいろ貴重な御意見を拝聴をさせていただきました。  決算委員会の重要性につきましては、委員長も深く思いをいたしておるところでありまして、今後、委員会の中で、また議会議論が深まることを期待しておるところでございます。
  23. 若松謙維

    若松委員 これも、議員同士のこれからの意見交換というのはやはり大事になってくると思います。きょうは第一発日ということで、これからまたいろいろと質問をさせていただきたいと思います。  それでは今度は、これはやはり大蔵省になるのでしょうか、先ほど佐藤先生もおっしゃっていましたけれども、いわゆる日本財政危機というのでしょうか、武村大蔵大臣は一二%がいいのじゃないか、本当は細川内閣のときに言っていただきたかったのですけれども、今言われました。もう一つ、二百数十兆という国の借金、さらには、このたび出てきました国鉄清算事業団の二十七兆円の債務。さらには幾つかの、二、三十の特別会計にも、それぞれ会計がパンク状態がある。今、では国の、いわゆる民間会社が持っている貸借対照表、バランスシートですね、果たして国として幾ら借金があるのか、借金を賄う投資は幾らあるのか。そういういわゆる貸借対照表、私は、もうそろそろ日本はつくるべきではないかと思います。  アメリカは、一九九〇年、いわゆる会計法という法律を改正しまして、そして、実際に貸借対照表をつくっております。これが一九九五年のアメリカの決算書です。これは連結ベースになっております。連結ベースとは何かというと、いわゆる国が管理するすべての政府の勘定を盛り込んで、そして貸借対照表をつくっております。いわゆるバランスシート、そこに、いわゆる総資産として約四百兆円の総資産、その反対側として、負債。四百兆の負債といいながら、実際にあそこも巨額の赤字、借金体質ですので、その実態が、リアルにバランスシートとして国の負債の状況が述べられております。  先ほどのニュージーランドも、行政改革で貸借対照表をまさに民間ベースで導入した。アメリカはさらに、これを一九九八年までに、いわゆる完全な連結ベースで貸借対照表、そして収支報告書並びに資金運用表、さらにそれの注記事項を含めて、GAO、日本で言う会計検査院が監査報告書を出す。そのために今大変な財政、いわゆる会計制度の見直しを財務省の一局が行っております。やはり日本も、今、日本のこの財政危機の中で会計制度改善、特に貸借対照表、これを早急につくるべきではないかと思いますけれども、ぜひ大蔵省の見解をいただきたいと思います。
  24. 林正和

    ○林(正)政府委員 今先生から、アメリカにおきまして貸借対照表を試みにつくっておられる御指摘がございました。私ども、もう先生案内のとおりでございますが、国の会計は基本的に企業会計とは異なるものでございまして、一般的に申しまして、政府の貸借対照表を作成するということはいろいろなじまない面があるだろうと思っております。ただ、国の会計のうち、企業活動に近い活動を行っております特別会計につきましては、その性格に着目して、企業会計に準じた貸借対照表等を作成しておりまして、これを国会へ御提出させていただいているところでございます。  また、国の財産等につきましては、その種類ごとに、国有財産法あるいは物品管理法、債権管理法等のそれぞれの管理体系を整備いたしておりまして、これらの体系のもとで国庫の管理状況を取りまとめて、それぞれ国会に御報告させていただいているところでございます。
  25. 若松謙維

    若松委員 では、大蔵省に聞きますけれども、先ほど、いわゆる国の会計は企業の会計とは違う、では企業の会計は何に基づいているかというと、ゴーイングコンサーンです。継続企業です。いわゆるつぶれるかつぶれないかという観点から、今の民間の会計手法がある。では、これから国はつぶれないという保証があるのだろうか。もうないと思うのですよ、この厳しい時期において。そういった観点から、まさに民と同等の会計制度をやはり国として持つべきだと思うのですけれども、改めて聞きます、いかがでしょうか。
  26. 林正和

    ○林(正)政府委員 先ほど国の会計が基本的に企業の会計とは異なるということをちょっと申し上げましたが、先生案内の、御専門のところでございますが、国の支出に係る資産が広い意味国民の資産形成につながるものでありましても、例えば一例を申し上げますと、地方公共団体あるいは社会福祉法人等に対する助成の形をとるものがあったり、また例えば河川、海岸等、こうしたものは原始的に取得しているものがあったりなど、こんなことから企業活動における貸借対照表の作成と同じ考え方で整理することになじまないところがあるというように考えておるわけでございます。  アメリカにおきましても、私ども必ずしも十分詳細には存じませんが、今先生指摘のような形で政府の財務状況についての情報を提供するということで、アメリカ政府がいろいろ努力をされておられるというものと理解しております。私どもといたしましては、従来から国民各層に対して種々の資料等を提供して、広く国民財政状況を御理解いただけるように努めたところでございますので、今後ともこうした努力を払っていきたいと思っております。
  27. 若松謙維

    若松委員 では、端的に聞きますけれども、今国としていわゆる借金、国債だけではなくて、隠れ借金とかあります。並びに、国鉄清算事業団のああいう特別勘定の負債、どのくらいいわゆる負債としてあって、それをカバーするだけの例えば政府が持っている資産、単純にどのくらいあるのですか、答えられますか。——だれも答えないのですか、答えられないのですか。これが現状なんですよ。
  28. 林正和

    ○林(正)政府委員 国全体の債務ということではなくて、今先生指摘の例えば国鉄等につきましては、従来から私ども、今後処理を要する措置ということで取りまとめをして国会に提出をさせていただいているところでございます。ただ、これにつきましても、皆それぞれその性格等が違いますので、一概にこれがすべて債務であるというようには申せませんが、少なくとも一般会計等にあらわれております国債のほかに国として処理をする事項があるものにつきましては、こういうような形で御説明をさせていただいているということを御理解いただきたいと思います。
  29. 若松謙維

    若松委員 ちょっとそれでは全然国民は納得しないのです。では、大蔵省に言っても無理ですから、会計検査院として、議会として要求しますけれども、いわゆる債務、国として負っている全体の債務、さらにそれをカバーするための資産、それを本当に簡潔に出していただきたいのですけれども、それをお約束できますか、会計検査院長
  30. 矢崎新二

    ○矢崎会計検査院長 御承知のように、会計検査院は、内閣が作成しました決算について検査するという立場にございます。決算をどのような形式で作成し、報告するかということは、内閣において十分検討し、対応していただくべきことであるというふうに考えております。
  31. 若松謙維

    若松委員 これが限界なのですよ、これが限界。副総理大蔵大臣としてではなくて副総理、今のこういったこと、議会人として大きな限界というものをやはり感じていただいたと思います。貸借対照表の作成の必要性、また会計検査院独立性、そしてまたこの決算委員会の再活性化、いかがでしょうか、副総理として。総括的なコメントをいただきます。
  32. 久保亘

    久保国務大臣 今御質問ございました債務をどのように押さえているかという問題につきましては、どの範囲で見るかということでございますが、我が国財政状況というものを考えます上では、G7の参加各国の中で我が国が際立って大きくなっておりまして、いわゆる債務を隠れ借金とかいろいろな形で言われてまいりましたこと、それから、中央政府、地方自治体の持ちます債務というものを全部合算をしてまいりますと、GDPの九〇%を超える事態になっていると思っております。そのような状況はG7の中でも際立っておりまして、EUの通貨統合参加資格であります六〇%をはるかに超える債務となっていると思っております。  また、財政赤字の方も、年度三%を限界といたしておりますEUの参加資格に対して我が国は八%を超えるという状況にありますことは、私どももよく承知をいたしていることでございます。  なお、数字につきましては、政府委員の方から報告をいたさせます。
  33. 林正和

    ○林(正)政府委員 長期の政府債務残高という観点から申し上げますと、三百二十一兆、うち国債が二百四十一兆、借入金が八十兆でございます。それに、今後処理を要する措置ということで国会にお出ししているものを単純な合計をいたしますと、八年度末で約四十三兆円ということになるわけでございます。
  34. 若松謙維

    若松委員 もう時間ですので、これで今後の議論に持ち越したいわけですけれども、ある方が、いわゆる監査、オーディットですね、監査なきところにアカウンタビリティーなし、いわゆる説明する責任、義務というのでしょうか、オーディットなきところにアカウンタビリティーなし、アカウンタビリティーなきところにコントロールなしと。  きょういろいろと、私なりに日ごろ感じている疑問点をこの場で発表させていただきました。これからも引き続き、さらに実りのある、さらに国民の期待するところの国の財政の透明性というところで、しっかりと勉強もし、また議論もしてまいりたいと思います。  きょうはありがとうございました。     —————————————
  35. 中島衛

    中島委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま議題となっております平成年度決算外二件及び平成年度決算外二件の各件審査のため、本日、参考人として日本銀行理事本間忠世君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 中島衛

    中島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。     —————————————
  37. 中島衛

    中島委員長 次に、上田清司君。
  38. 上田清司

    上田(清)委員 若松謙維代議士の後を受けまして、いみじくも今大蔵大臣が、EU諸国における経済・通貨統合の条件を定めたマーストリヒト条約によるところの六〇%条項あるいは三%条項について、日本が著しくこの条件に当てはまらない、極めて財政上悪化しているという御指摘もございました。今後、税制の見直しあるいは予算の配分の見直し等を含めた大変な厳しい構造改革をなしていかなければならない、なおかつ国民に対してもあるいは厳しい負担の選択もお願いしなければならないというような事態になっているという問題意識を私は持っております。  いみじくも、前大蔵大臣でありますところの武村大臣が消費税一二%というような大胆な提案もなされております。しかし、こうした改革の途上にあって、ともかく日本の大蔵行政、とりわけ金融行政についてのいわば先送り主義、また隠ぺいや密室行政、特に情報の不開示、こういったものが世界の市場に対して大変な不信感を与えている、また、個別金融機関を見ればモラルハザードの問題等々の結果をもたらしている、こういう認識の中で、私はきょう、大蔵の金融行政あり方について、大臣を中心に論議を深めたいというふうに思っております。  たまたまきょう西村銀行局長もおいでですが、三月二十五日の大蔵委員会における井奥議員の質問、出島判決の結審についての富士銀行の隠ぺい工作についての質疑の中で、それは極めて重大な指摘でありますということで、最後に、今後改めて検討させていただきたいというお話がございました。  これはいわば、隠ぺい工作を行うことが極めて、銀行にとって本当にそのことがいいというふうな判断をしている、そのことについても大蔵の監督行政の中で何か限界があるのかどうか。そこも含めておのずから重大な指摘だという西村局長の認識だったというふうに私は思っておりますので、その後どんな形で、その出島判決におけるところの富士銀行ぐるみの隠ぺい工作について、いわば監督省庁としての大蔵省立場でどのような御検討をなされているか、まず伺いたいと思います。
  39. 西村吉正

    ○西村政府委員 今御指摘のその具体的な事件についてどうこうということだけではなしに、一般的に申し上げまして、銀行のそのような問題につきましては私ども常々重大な関心を持って対応しておりますという趣旨をも含めて申し上げたつもりでございますが、今御指摘の具体的な事件そのものにつきましては、今まで国会あるいはその他の場で富士銀行等の関係者が御説明をしておられることでございますし、私どもその後、いろいろな御指摘に対しまして、今までの御説明以上のことがあるのかどうかという点について、確認はいたしておりますけれども、今まで関係者が国会等の場において御説明したとおりでございますというふうに伺っております。
  40. 上田清司

    上田(清)委員 何言っているかさっぱりわからないですよね、今のは。  井奥議員が出島判決の中身を詳しく説明しながら、最後に西村銀行局長が、議事録を見ていただければわかりますが、重大な御指摘ですので改めて検討させてくださいと、答弁なされたわけです。その改めて検討された中身とは何なのかということを私は伺っておりますし、もし、いろいろな時間があってなかなか十分改めて検討ができなかったということであれば率直に謝っていただかなくちゃいけないし、しかし、局長はしなくても部下を通じて、我々みたいに政策秘書は一人じゃないのですから、たくさんいらっしゃるのですから、重大な指摘だという認識をしているのであれば、当然そのことについて調べるのが当たり前じゃないですか。職務怠慢ですよ。答えてください。
  41. 西村吉正

    ○西村政府委員 御指摘もございましたので、富士銀行に対しましても、今までの対外的な御説明以上に何か問題があるかどうかという点については確認をいたしましたが、今までこの問題について御説明はいろいろな場で十分してまいっておりますし、それ以上のことはございませんということでございました。
  42. 上田清司

    上田(清)委員 隠ぺい工作はなかったという報告を、銀行局長として、そうだねという御判断をされたのですか。
  43. 西村吉正

    ○西村政府委員 隠ぺい工作という趣旨のことで申し上げておるわけではございませんけれども、御指摘のような問題についてさらに我々が説明を伺っておくべきことがあるかということについて、十分今まで御説明申し上げてまいりましたという趣旨のことを承っておる、こういうことでございます。
  44. 上田清司

    上田(清)委員 要するに、今調べていただいていると思いますが、出島判決というのは、大蔵省の銀行行政も含めて、相当突っ込んだ判決を行っているのですよ。  この判決文の中に、一部ありますからちょっと読み上げてみますが、「平成三年六月上旬ころに中村がしていた不正融資が富士銀行内部で発覚した後も、富士銀行が事件を公表せずに処理しようとしたことから、さらに判示第四、第五の犯行」と続くに至ったという、そういう事例をかなりきつく裁判の中で、もしもっと大蔵省の監督がきちっとできていればこんなことはなかったのじゃないか、あるいは富士銀行が隠ぺい工作をしなければもっと透明な形での金融行政というのが世の中で信頼されたのじゃないかというようなことも述べているのですね。  だから、井奥議員がそういうことについて——大蔵省は本当に事態を解明する能力があるのかないのか、あるとすればきちっとそのことを答えていただきたいし、ないとすれば、どういう限界があるのかということを知った上で改革をしなきゃいけないということになるでしょう。この議論を私はしているのです。きちっと答えてください。
  45. 西村吉正

    ○西村政府委員 先ほども申し上げましたように、裁判の結果等につきまして、節目節目において私どもも必要に応じ報告を受けているところでございますけれども、裁判の過程におきまして、監督当局として調査を行う必要があると判断をされる場合には再度調査を行うことも検討することとなろうかと存じます。  現段階におきまして、私ども、今御指摘のような、同行が組織ぐるみで隠ぺい工作を行ったというふうには考えてはおりません。
  46. 上田清司

    上田(清)委員 隠ぺい工作をやっていなかったというお話でよろしいのですね、局長の判断として。
  47. 西村吉正

    ○西村政府委員 現段階で報告を受けているわけでございますけれども、現段階での私どもの判断といたしまして、同行が組織ぐるみで隠ぺい工作を行ったというふうには理解をいたしておりません。
  48. 上田清司

    上田(清)委員 本当は違う論点もしたがったのですが、たまたまけさ国会に来る途中に写真週刊誌を見ましたら、ちょうどこの出島判決と関連する中身の、重大な「国会証言の疑惑」という形で、これは政府委員室の方に資料としてお渡ししております。  御承知のとおり、日本の金融史上の中で、引き出した総額六千二百億、それから焦げついた額が二千六百億で、最大の不祥事だと言われている富士銀行の不正融資事件であります。  この中で、今までの議論の中では、尾花さんに対して勝手に中村被告が融資をした、それが不正の融資だったということで改めてきちんと正規の融資をしたというこの国会の答弁を、橋本頭取もあるいはまた当時大蔵大臣だった橋本現総理もなされておりましたけれども、複数の関係者に言わせると、実は小林元秘書が本店の秘書室長の衛藤さんに連絡をして、四谷支店を紹介していただいて、四谷支店で融資をお願いしたわけですけれども審査の結果却下されたので、それで実は赤坂支店の方に回したんだという、したがって今までの国会の証言は全部うそじゃないかということが、たまたまこの写真週刊誌の中で出ています。  しかも、我々はX氏の証言を複数の富士銀行の責任ある立場の関係者に尋ねたところ、全部そのとおりだ、要するに、四谷支店を通じて一番最初やったのだけれども、却下されて、それで赤坂支店にお願いしたところ、中村さんが勝手に不正でやった、しかし、その不正は犯罪だからということで正規にやり直したということですが、もしそれが事実だとすれば、四谷支店で却下されたものがなぜ赤坂支店で正規の融資の対象になるのか。  こういうことについて、まあこれは一方の見方であるかもしれませんが、しかし、なかなかこれも相当信憑性のある、もし新しく証言者が出てくれば、今までの国会発言、証言とまるっきり違う発言になりますので、このことについて、最小限度四谷支店で当然この審査の稟議書みたいなものがあるわけですね、こういうことについて、本当にあるかどうか、あるいはなぜ却下されたのか、そしてまた赤坂支店でなぜクリアしたのか、この辺について、これだけ大騒ぎになって、国会でも予算委員会でも論議されていましたので、改めて、銀行局長自身の知っている範囲で結構ですので、こういうことについて、事実関係はどうだったのか、もう一度お話をしてもらいたいと思います。
  49. 西村吉正

    ○西村政府委員 私も、御指摘のこの週刊誌の記事はつい先ほど拝見をしたばかりでございますので、この記事自体の内容について十分に念査をするだけの余裕はございませんでしたが、全体的な問題として申し上げまして、私ども、銀行に対する検査、これは富士銀行に対しても同じでございますけれども、経営体全体としての健全性という観点からどういう問題があるか、それが金融システム全体にどのような影響を与えるかというような観点から検査を行い、それに対して行政執行するという立場にあるわけでございます。  この記事に記されていることは確かに銀行の融資に関することではございますが、個別の案件と申しますか、どのような方に対して、どのような経緯で、どのような判断で融資をするかということでございますので、必ずしも私ども、こういう個別の問題そのものにつきましてすべての案件について十分把握をしているというわけではございませんし、現段階においてこの問題について私どもがコメントをすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
  50. 上田清司

    上田(清)委員 局長、個別の案件と言われましたけれども、この問題は、ずっと予算委員会で論議をされた案件であります。これは事件にもなっておりますし、判決も刻々と出てきておりますし、ある意味では極めて象徴的な銀行の不正融資事件でもあり、あるいは隠ぺい工作につながった事件かもしれない。なおかつ、あれだけの富士銀行が、こんなことができた、できたというよりも防げなかった。そして、監査もされておられます大蔵省銀行局もこれを見逃してしまった。そういう論点から予算委員会であれだけ議論されたんですから、個別の案件ですからお答えできませんというのは、議論じゃないんですよ、それじゃ。全然話にならないんですよ。  そうじゃなくて、最小限度富士銀行から報告もさっき受けたと言ったじゃないですか、いろいろ個々に。この問題についても報告を受けているわけでしょう。その報告の中身を私は、赤坂支店ではどうだったんだと。四谷支店のことは知らないという話だったら、それはそれでも結構ですよ。赤坂支店ではこういう報告を、こういう形でこうなったという報告を私は富士銀行から受けているという、そういうことを言わなきゃだめじゃないですか。議論にならないでしょう。
  51. 西村吉正

    ○西村政府委員 もとより、個別の案件でございましても、その取り扱いというものが銀行の内部管理体制を判断する上で非常に重要な問題であるという場合には、我々も重大な関心を持って調査をするわけでございます。  御指摘のように、いわゆる金融不祥事におきまして、富士銀行の赤坂支店の問題であるとかあるいは東洋信金の問題であるとか、あの事件発生以来私どもも、日本の銀行の内部管理の問題が非常に重要な論点を含んでいるということで調査をしてまいりましたし、その後の検査におきましても、そのような問題に注意を十分いたしまして対処してきたつもりでございます。  ただ、御指摘の、先ほど拝見をいたしました週刊誌の記事そのものにつきまして、私、詳細、事実を承知しておるわけではございませんし、そういう意味におきましてコメントを差し控えさせていただきたいと申し上げたわけでございます。
  52. 上田清司

    上田(清)委員 全く同じ話になったじゃないですか、さっきと。私が言ったのは、この四谷支店の週刊誌の記事はまだいいですよと。そうじゃなくて、赤坂支店で起こったあの事件について銀行局としてどういう報告を受けたのか、そして、そういう報告を受けて、今後金融行政としてどんなことが限界で、どんなことでそういうことをこれから防げられるのかという、そういうことをさっきから私は論じているじゃないですか。そのことに関しては一つも答え出ていませんよ。それを聞きたいんですよ。
  53. 西村吉正

    ○西村政府委員 いわゆる金融不祥事と言われる一連の事件を契機にいたしまして、例えば当時議論になりました協力預金の問題であるとか、そういう銀行の内部管理に重大な影響を与えるような、バブルの当時金融界で行われておりましたような慣行と考えてもいいような問題、幾つか全銀協あるいは行政のベースで検討をいたしまして、そのようなことが二度と起こらないように、そのような背景になるような金融界における行動というものについては注意を喚起する、あるいは業界の内部において自粛をしていくということは、金融不祥事以来私ども努力をしてきたところでございます。  そういう意味におきまして、金融機関の行動という点でこの数年幾つか重大な是正をされてきたようなことはあると存じておりますけれども、ただいま御指摘の個別の問題について私今お答えする用意がないというふうに申し上げた、こういうことでございます。
  54. 上田清司

    上田(清)委員 この件については予算委員会で相当議論されたんですから、局長、赤坂支店についての報告を富士銀行から受けて、それをきっちり把握しておくのが当たり前だと思いますけれども、知らないということであれば、先ほどの井奥議員のことも結局あなたは、改めて検討させてくださいと言いながらしていない、職務怠慢ですよ。  これは、大臣、どうですか。少なくとも、大蔵委員会で本委員がきちっと質疑をして、重大な指摘だということに御本人が同意して、それでなおかつ検討さしてくださいと言って、一カ月半か二カ月近くたって答えを出さない。それでいいんですか。お立場もありますよ、忙しいという。しかし、部下を通じて調べることは可能でしょう。また今も、四谷支店のを個別の案件だと言いますけれども、これは、あれだけ予算委員会で大事な事件として議論されたことですから、銀行局長がよく知らない、こんなことで本当にいいんですか。大蔵大臣の御感想をちょっと聞いてみたいと思います。
  55. 久保亘

    久保国務大臣 ただいま銀行局長から、御指摘の点についての大蔵省としての対応については御答弁を申し上げたところでございますが、予算委員会において御質問のございましたことについて銀行局長としてお答えをした経過に照らして、今お答えをした内容で十分であったかどうかというようなことについては、私も、今ここへ来て上田さんの御質問でございましたから、少し銀行局長からもまた話を聞いてみたい、こう思っております。(上田(清)委員「井奥議員の指摘については」と呼ぶ)何ですか。
  56. 中島衛

  57. 上田清司

    上田(清)委員 私は、赤坂の支店のこともさることながら、ちょっとすごく嫌だなと思ったのは、重大な御指摘でございますと言ってヨイショしておいて、改めて御検討さしていただきますと。それで、それがどうなりましたと言ったら答えられない。やってませんと言っているわけですよ。そういうことでいいんですかということを、一番の責任者である大蔵大臣に私は承りたいんです。そんなことで本当にいいんですか。
  58. 久保亘

    久保国務大臣 いや、今あなたの御指摘、御意見もございますから、銀行局長から詳しくいろいろな話を、どういう経過になってきたかということを聞いてみたいと、こう申し上げたのでございます。
  59. 上田清司

    上田(清)委員 どういう経過じゃなくて、大蔵大臣もいらっしゃったんですよ、大蔵委員会。大蔵委員会にちゃんと御出席しておられたんです。だから、経過もくそもないでしょう。井奥議員がどんどん質問していたわけですよ。大蔵大臣にだって一、二回質問していますよ。あの内容というのはわかっていらっしゃるはずなんですよ。その部分に関しては私はたまたま聞き損なったと言うなら、それはそれで結構ですけれども、だから、銀行局長に後で聞きますという話じゃ通じないでしょう、本当は。いいです、もうこの議論は。時間がもったいないんで。ただ、そのことだけちょっと御指摘しておきます。  それで、日銀の理事の方、申しわけありません、急な話になりまして。急速、参考人という形でお願いをいたしましたけれども、実は、たまたま「エコノミスト」の九三年十一月九日号に、富士銀行に対しての日銀の考査結果についての御指摘があり、「今後、不良資産の処理状況、問題先の動向、不祥事の帰趨につき、定期的にご報告戴くことをお願いしておく。」ということを富士銀行側に言っておられるわけですね。  先ほど言った金融史上最大の不正融資事件があり、その後、住専の処理をめぐって、母体行の紹介融資の中でのいわば焦げつきの部分がたくさん、九〇%ぐらいある、こういう一連の流れの中で、いろいろな報告を受けて是正措置を大蔵当局がなさっても、その後もまた、住専をめぐっていろいろな問題が出てきている。  そうすると、日銀が考査されて、検査されて、是正勧告もなされて、その後も報告をなされているという前提に立ったとき、一体どんな形でそういう報告が戻ってきて、それに対してどんな改善を日銀がなさって、何というのでしょうか、どういうフォローアップができているのか、私は不思議でなりません。大変優秀な方々が集まっていて、そういうことをちゃんと指摘されながらも、その後も続々続々こういういろいろな事件が起きてくる、一体何なんだ、こういう思いを持っておりますので、ちょっと雑な質問になったかもしれませんが、御感想を述べていただければ大変ありがたいと思います。
  60. 本間忠世

    ○本間参考人 ただいまの御質問にお答えをさせていただきたいと思いますが、私どもは、金融システムの安全あるいは安定、金融機関の経営の健全性確保ということを基本的な第一義の趣旨として銀行の考査というものをやらせていただいております。  先生指摘のとおり、これは昨今のバブルの後遺症の中で金融機関に遺憾ながらいろいろ問題が起こってきておりまして、この今御議論がございます富士銀行につきまして、実は先生が先ほど挙げられましたエコノミストのこの記事そのものは私どもの考査の文書とは同じではございませんのですけれども、ただ、少し前に考査に入っておりまして、先生先ほどおっしゃっておられます幾つかの不祥事といいますか、この問題があったことも含めて、考査で、本部で担当の者が富士銀行の担当の方々、幹部の方々といろいろな議論をさせていただきながら、こういうことが二度と再び起こらないようにということをどういうふうに確保できるだろうかということをいろいろやらせていただいておるわけでございます。  その後も、先生おっしゃいますように、定期的にフォローあるいは改善に向けての指導というのを私どもはやってきておりまして、先生のお話の後段にございます、にもかかわらずなぜその後いろいろと問題が絶えないのかということにつきまして、これも非常に残念なことではございます。  必ずしもこの富士銀行だけではございませんのですけれども、しかし、こういう考査は一つでございますが、何とかこういう努力を積み重ねまして、金融機関のこの問題、不祥事というものがこの先少なくなる、なくなるということにつきまして、私どもなりに最大限の努力をさらに傾けさせていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  61. 上田清司

    上田(清)委員 本間理事さん、例えば、今のお話の中で、いろいろなことが次から次に起きる、そういうときに、商法二百五十四条の三項の、いわば善意にして善良な管理者の注意義務の範囲内であればきちっとできますよということができていない可能性があれば、当然処罰されるわけですね、これは商法違反で。そういうことがあったんですか。あったんですかというのはおかしいんですが、そういう判断をされていますか。  それとも、今までそういう善意の善良なる管理者で、銀行の取締役なりがきちっとやっていればこういう事件は防げられるはずだという前提に立ったとき、もしそれができていないとすれば、これはもう完全な義務違反ということで処罰の対象になるはずなんですけれども、そういうことを御指摘されたことはありますか。
  62. 本間忠世

    ○本間参考人 個別のケースにつきましてどういうふうに認識をすべきか、先生が今おっしゃいましたようなケースの問題を含めまして、私どもも重大な問題についてはいろいろ議論をさせていただくということがございますが、私がこれまで承知しております限りでは、今先生がおっしゃいましたような意味での基本的な法律違反ということについての問題を私どもの方から指摘するということはなかったというふうに思っております。
  63. 上田清司

    上田(清)委員 私は、それでは日銀の考査の限界があると思いますので、やはり処罰の対象になるということをきちっと言うべきだというふうに思います。あるいはその疑いが十分あるという強い意思を示さなければ、完全に犯罪を起こしてきているわけですから、善良なる管理者の注意義務で防げるはずだということが前提になって商慣習は行われているわけですから、それができていないのですから、そのことについて日銀がもう少ししっかりしていただきたいというふうに私は思います。これは多分大蔵省にも言えることではないかなというふうに思います。  それから、時間がなくなりましたので、大事なことを委員長にお願いをしたいと思います。  もしこの記事が本当だとすれば、今まで予算委員会あるいは平成三年八月の証券等金融問題に関する特別委員会での当時の橋本大蔵大臣、現在の総理、あるいは富士銀行の橋本頭取等の、あるいは小林元秘書も含めて、全部うそだったという議論になりかねませんので、これはぜひ、四谷支店の貸出審査の稟議書の提出、また、改めて赤坂支店の融資の基準をクリアしたということを言っておられますので、それを証拠書類としてこの決算委員会で提出を求めたいというふうに申し上げたいと思います。とにかく極めて大事なことですので、このことについての取り扱いをお願いしたいというふうに思います。  最後になりますけれども最初に申し上げましたように、私は自分の問題意識として、武村大蔵大臣もそうだと思いますし、何度か大蔵委員会等で私も質疑もさせていただきましたが、それはやはり、政府が信頼されない、政治が信頼されない、行政が信頼されないということにおいては、これは絶対何の政策遂行もできない。どんな正しいことも認められない、信頼なくして。  そういう信頼性を取り戻すためにはどんな方策をすればいいかということに関して、私は、きょうは西村局長の答弁は誠意がなかったと思います。もっときちっと答えていくというか、何か時間だけをずらしていけば、ああでもないこうでもないということばかり言って時間をずらしていけばそれで終わってしまうというのでは困ります。しかも、大蔵委員会というきちっとした委員会の場で御自身が、重大な指摘です、ありがとうございますと言って、この次までに検討しておきますと、そんなことを言いながら、それは知りませんと言ってはだめです、これは絶対。こんなことがしばしば行われるようだったら、もう職責怠慢で首ですよ、大蔵大臣。当然辞職ですよ、こんなのは。ということを申し上げまして、終わります。  ありがとうございました。
  64. 中島衛

    中島委員長 次に、石井紘基君。
  65. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 まず建設省に伺いたいと思います。  日本道路公団のつくっている財団法人に道路施設協会というのがあると思いますが、この道路施設協会は財団法人として設立されて、このもとにその後、私の数えたところでは六十八の孫会社、株式会社をつくっております。  それで、これらの株式会社は、仕事としてはほとんど道路公団の仕事をやっているのだと思いますが、この財団法人はどういう経緯でできたのか、基本財産等は公団との関係でどういうことでどれくらい出ているのか、それから公団との組織的関係あるいは事業関係、さらにはまた系列のそうした孫会社の経営の状況、つまり、資本金を幾らずつ出してあって、そして資産がそれぞれどれくらいあるのかというようなもののデータを出していただきたいと思いますが、今この場で答えられる、出せる範囲で答弁をしていただいて、出せないものについては、それを聞いてからまた申し上げたいと思います。
  66. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 財団法人の道路施設協会は、高速道路の休憩所、給油所等の施設の設置及び管理並びに交通案内等、利用者の便益増進を図ることを目的といたしまして、昭和四十年に設立された公益法人でございます。日本道路公団からサービスエリアの土地を一部占用いたしまして、休憩所の整備や高速道路情報の提供等を行っております。日本道路公団の業務を補完し、利用者等へのサービス向上に寄与していると考えております。  この道路施設協会は、高速道路にかかわる料金収受業務、交通管理業務及び保守点検業務等を行う民間会社に出資を行っております。これは、従来公団が実施しておりましたこれらの業務について、合理化、効率化の観点から積極的に外部委託化を進めた昭和四十年あるいは五十年代にかけまして、これらの業務を行う専門の民間会社が存在しなかった、そういう経緯から、会社の設立に当たりましてこの道路施設協会が出資を行ったものでございます。  公益法人からの出資先あるいは出資額等につきましては、平成七年十一月二十四日付の「公益法人の株式会社等への出資状況に関する質問主意書」に対しまして内閣からの答弁書がございますが、これによりましても、公益法人からの出資先等については、当該公益法人の秘密事項に該当する、このようにされておりますので、道路施設協会から個々の出資先等につきましては答弁を差し控えたいと考えております。  なお、道路公団は、道路施設協会から出資を受けた会社に業務委託をしてございます。平成年度につきましては、全体、今集計をしておりますが、概算的ではありますが、約千二百億円の契約をしていると報告を受けております。  なお、その他の詳細につきましては、可能なものにつきましては別途資料の御報告を申し上げたいと考えております。
  67. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 別途資料を出していただけるということでございますが、その際に、この財団法人の設立時に当たっての定款も含めて出していただきたい。  財団法人というものがそういうような目的で設立されるというのは、古い話に振り返るわけですが、まことにおかしな話であります。  それからもう一つ、大変不可解といいますか理解できないのは、今おっしゃったように、国の機関の資産を提供して、持ち出して、民間団体たる財団法人をつくるわけであります。それからまた、それが間接的に私的法人であるところの株式会社に渡っていくという、そういう構図になっているわけであります。これは何も道路公団に限らず、住都公団等の場合には、直接住都公団が多数の株式会社をつくるという際にも、官の系列の資産を、いわばここには税金も入っております、そういったものが私的な団体に対して流用されていく、持ち出されていくという構図になっているわけでありますので、この点については制度上の大きな問題があろうというふうに私は思っております。  私が調査をいたしまして最近出しました本、これは今本の表紙をこっちに向けておいたらだれかが裏返しにしてしまったので本のタイトルは言いませんが、この中でも、国が税制の優遇措置を与えているところの認可法人、公益法人等が、これがまた国の特殊法人等とつながっておって、つながってないものももちろんたくさんありますが、そしてそれがそれぞれ株式会社をつくっている。そうしたものを系列でトータルいたしますと、私の調査では、今のところ三千ぐらいそういう会社があるわけであります。地方も含めれば、こうした構造というものは膨大なものになろうかと思います。そういう意味でこれは大変重要なことでありますので、問題を喚起しておきたいと思います。  それから、今の答弁の中にもありました平成七年十一月二十四日の質問主意書というのは、これは私が提出したものでありまして、たまたま今その話が出ましたので申し上げますと、こうした国の系列の法人が株式会社へ出資をしている、これはもう金額的にも資産的にも膨大なものですが、それを示すように、つまり出資状況を質しましたところ、それに対してこれは秘密であるというふうな、これはまだ村山総理の時代でありましたが、秘密であるという、そういう返事が返ってまいりました。  国民の税金を使って、しかも相当の割合の国民経済を担っているそういう特殊法人と、それからその系列等の金の行き先について、これが秘密であるということは、一体何事か。  会計検査院では、これは調査はできるけれども、これまた公開することはできないというわけですね。調査ができるというのも孫会社まで、五〇%出資、そしてまた二〇%出資というところまでしか、会計検査院は手を入れることができない。しかも、会計検査院の場合は、そっちの方はどういうわけだか大変引っ込み思案になっておりまして、専ら地方の方へ行って、もっとも会計検査院も五万ぐらい調べなきゃならない団体があるわけですから、それはなかなか手も行き届かないでしょうけれども、地方の方ばかりやっておる。特殊法人等については手を入れない、ほとんど入れないというような状況であります。  そういうことで、税金がどんどん流れていって、そして民間の分野、私的企業の分野までくまなく網を張りめぐらすように流れていっている。それを追及できないということは一体どういうことか。  しかも、私が強調したいのは、そうした孫会社、ひ孫会社というところは経営が極めて順調でありまして、安泰であります。中には、資本金が足りなくなったら、またどんどんどんどん資本金をつぎ込んでいるというところもあります。そうしますと、特に今日のような不況の時代にありましては、民間同士の取引というものよりも、民間の企業にしてみれば、こうした官の系列に仕事を委託してきた方が安全である。あるいはまた地方公共団体等も、補助金などの関係がありますから、公共事業などをやはりこうした官の系列の企業に持ってくる。現にそういうことが多々あるわけであります。こういうふうにして、我が国は民間の事業分野というものを非常に、非常にというか、どんどん狭めているとある意味では言えるだろうと思います。  特に、大蔵大臣いらっしゃいますが、政府系の金融機関というのは、これまた大変な規模になるわけであります。特殊法人だけでも十二だか十三ございます。それ以外にも、さまざまな特殊法人でもって金融関係の業務を行っております。こうしたものを合わせますと、恐らく我が国の金融機関としては飛び抜けて大規模なもの、世界的にもそうなるのではないかと思います。  大蔵省に伺いたいことは、政府系の金融機関の全体の規模はどの程度のものかというようなことを、何か基準があるでしょうから、どういう基準でも結構ですので、お答えいただきたいと思います。
  68. 西村吉正

    ○西村政府委員 政府系金融機関と申しますと、二つの銀行、九つの公庫ということが考えられると存じます。  平成年度予算におきます二銀行九公庫の合計の貸付金の計画額は、二十四兆一千五百八十二億円となっております。ちなみに、ストックベースと申しますか、残高ベースで申し上げますと、平成七年三月末におきます貸付金の残高は、二銀行九公庫の合計で百三十二兆六千三百九十六億円に上っております。
  69. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 今のは、二銀行九公庫についてのみ言われたわけであります。私が先ほど言いましたように、政府系の金融事業というのは、これをさらに相当上回るものであります。もう一つ指摘したいのは、そもそも財政投融資計画というものそのものが銀行の業務のようなものでありますから、これらがまた世界最大の銀行ということになるわけですね。こういうふうに、政府系で金融事業を大変大規模にやっておる。  一方、民間の銀行に対しては、先ほどは民間の銀行に関する話もありましたけれども、全銀協なりあるいは地銀協なりというような認可法人を通して大蔵省の監督下にあるわけであります。そういうことで、民間に対しても、ある意味では大蔵省の指導監督というものが前提になった構造になっているということですから、我が国の金融というものはまさに、言うなれば一枚岩なんですね。国と大蔵省が全部やっておる。  そういうことでありますから、どこか一つの金融機関、民間の銀行あるいは農業系の金融機関、そういうものがちょっとおかしくなると、これは一枚岩ですから、全部が危機的な状況に直面するということになるわけです。そこで政府が乗り出していかなければならぬというふうにならざるを得ないのですね。これでは、崩壊するときには全部、あるときのソ連のように、一日にして崩壊してしまうということになるわけであります。  金融というのは、大蔵大臣もしばしば言われますように、動脈というか血管というか、人間の体に例えればそういうものですから、こういうことではこの先もうやっていけないというふうに私は思います。  そこで、政府系でやっている銀行業務というものを最大限民間に移していく、民間にその業務を吸収させていくということが必要である。それからまた、民間の銀行もそれぞれ、相乗り相乗りでやる、仕事をするというようなことから離れて、やはり独自の経営、独立した運営というものがなされるような方向へ持っていかないと、一つがつぶれそうになるとみんなが危ないということになるわけであります。  その辺で大蔵大臣の見解をひとつ聞きたいわけですが、一つ政府系の金融事業、もう一つは民間の銀行等のあり方、これについて御意見を伺いたいと思います。
  70. 西村吉正

    ○西村政府委員 私どもも、ただいま石井委員から御指摘がございましたような考え方で臨んでいると存じておるところでございます。  すなわち、まず政府系の金融機関あるいは政策金融というものがどうあるべきかという点に関しましては、あくまでも政策金融は補完機能を果たすものでございますので、原則は民間金融が担い、それで足らざるところを政策金融で補完する、こういう考え方でございます。したがいまして、政府系の金融機関の業務というものは最小限度のもの、政府系でないとできないものに限るという考え方で臨んでおるところでございます。  それから、一方におきます民間金融機関の分野でございますけれども、御指摘のような御批判はかねがね私どもも承知をしておりまして、金融の自由化、国際化という流れに沿いまして、できるだけ市場原理に応じた、あるいは自己責任原則に応じた金融行政というものに努めてまいる所存でございます。  そのようなことから、この十数年来、日本の金融の自由化、国際化の流れというものは大変に速いものがあろうかと存じますが、なお今後とも、透明性の高い行政、あるいは市場規律の原則の上に立った行政に臨んでまいりたいと考えております。
  71. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 来年度予算編成に当たりまして私がぜひ大蔵大臣にしっかり押さえてもらいたいと思いますのは、財投に対する負担が一般財政の方にも大変重くのしかかってきておりまして、政府保証債も入れますと、五兆四、五千億になっていると思います。その中にはもちろん必要な補助金もありますが、特に利子の補給金——財投機関というものは、そもそも設立されたのは政策目的ではあるけれども、しかし、お金は資金運用部から借りてきてその経営によってそれを返していく、そういう趣旨で来たわけであります。にもかかわらず、それがもう大変な危機にどんどんどんどん向かっている。そういう中で、国の予算から、つまり税金からどんどんそこに注ぎ込まなきゃいかぬという事態が、ますます年々加速化しているわけですよ。利子の補給だけでも、二、三年前は一兆七千億くらいありましたよ。まあ平成年度では一兆三千億ぐらいですか、計上されるようですが。  そんなことですので、利子補給をするというのは私はおかしいと思いますので、これを将来なくしていく方向で、少なくとも利子補給については当面なくしていく方向で、そして来年度予算ではそうした財投機関に対する、税金からこれに注ぎ込むということを極力抑えるという姿勢で臨んでもらいたいと思いますが、いかがでございますか。——大蔵大臣にもちょっと何か言わせたらどうなの。さっきから手を挙げているのだから。
  72. 林正和

    ○林(正)政府委員 ちょっと事務的にまず御説明させていただきます。  財投の対象機関に対する利子補給のお尋ねでございますが、これは先生案内のとおり、貸付金利を政策的に低く抑えることが求められるような分野につきまして政策金融機関の収支差を補てんする等のためになされているものでございまして、中身は、大きいものから申し上げますと、住宅対策あるいは中小企業対策、こうした国民のニーズに対応したものでございます。そんなことで、市場原理に基づく民間金融のみでは適切に対応することができないという分野について政策的にやっているものでございます。
  73. 久保亘

    久保国務大臣 政府系金融機関の役割につきましては、先ほど銀行局長も申し上げましたように、政策目的に沿って金融機関の役割が果たされているかどうかというようなことについては、設立当初の政策目的といいますか、そういうものに照らしながら絶えず見直しが行われていくことは非常に重要であると考えております。  ただ、金利の補給につきましては、政府系金融機関に対して援助をするというものではなくて、これは金融機関からの貸出先に対する政策目的というものが考えられた上でのものだと考えておりますが、今御意見のありましたようなことについて、いろいろと絶えず検討を行っていくことは行政改革立場からも重要であると思っております。
  74. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 貸出先というのがまさに政府系金融機関、金融機関だけじゃなくて政府系の企業なわけでございますが……。ありがとうございました。  そこで、今度は会計検査院のことについてちょっと申し上げたいと思うのですが、会計検査院我が国では、何といいますか、大変日陰の存在になっておる。各国の例を見ても、先ほども話が出ましたが、税金の使い方ですから、国民が国に税金を納めてそれがどう使われるかというのをチェックする唯一の機関というのは会計検査院しかないわけですから、この会計検査院がもっと権威を持った毅然たるものでなければ、国民に政治が信頼されるわけがないわけですね。  そこで、私は、今の会計検査院あり方というものを抜本的にやはり変える必要があると思います。一般公務員と同じになって、官僚体制といいますか、省庁の一隅、隅っこの方で何か細々とやっている、そうでしかやれないというのは、これはまずい。会計検査院というのは堂々と大手を振って、よほどの権威を持って、そして徹底的にやはりむだをチェックできるというものにするためには一体どうしたらいいか。  いろいろ考えるわけですが、私ども、実は昨日「国民会計検査院国会議員の会というのを設立いたしました。きょうの新聞にも載っておりますが、これは国会議員だけじゃなくて全国の市民も参加している運動であります。会計検査院が、さっき言ったように、五〇%出しているところ、二〇%出しているところ、そこまでしか調べられないということでは、しかも全体で何万と調べなければならない団体があるのに、そのほんの一部しか手がつけられないというようなことではだめであります。  そこで、一つは、会計検査院の地位といいますか、これの見直しが必要じゃないか。大体今の公務員制度あり方そのものも大変大きな問題があります。定年制だとか、あるいは実際には五十ちょっと過ぎるとどこかよその団体に行かなければならぬ、再就職しなければならぬ。それを時と場合によっては天下りと言われて、そして、これがいかにも悪の権化のように言われる。  その中で、特に会計検査院の場合もそういう状況でありまして、五十ちょっと過ぎたらどこかへ行かなければならぬ。だけれども会計検査院の場合は行くところがないのですね。だから、しようがないから、住都公団だとか鉄建公団だとか石油公団だとか雇用促進事業団だとか、自分が調べなければならない大どころですよ、莫大な国の金を使っている、公的な予算を使っている、そういうところの監査役に天下っていかなければならない。いかなければならないというような言い方もおかしいですけれども、行くべきじゃない、行っちゃだめだと言っても、そうするとおまんま食い上げたという状況があるわけでありますから。  ですから、私は、会計検査院だけは特にこういったものと独立させて、例えば特別職の公務員にするとか——いろいろな調査に行くときの旅費だとか調整手当だとか、あるいは飯代だとか宿泊代とか、そんなものに細かい規定がありまして、それこそコンビニで何か夕飯を買ってきて、安い国民宿舎みたいな宿へしこしこ泊まりながら、そして翌日は監査に出かけていくといったって、これじゃちょっと格好つきませんし、権威ないですよ。ここのところの、会計検査院の処遇とか地位、それから会計検査院そのものの権威、権限というものについてやはり抜本的に私は見直すべきであると思います。  私どもも、これからといいますか、今までも、さっきもニュージーランドの調査に行かれた佐藤さんの話もありましたけれども、研究をしてまいりたいと思いますので、決算委員会でも、委員長初めぜひ御関心をお持ちいただきたい。大蔵大臣に、今私が申し上げた会計検査院のことについて、副総理としてひとつお答えをいただければありがたいと思います。
  75. 久保亘

    久保国務大臣 会計検査院の持ちます大変重要な役割については、石井さんの御意見のとおりだと考えております。  会計検査院の地位については、先ほどの御質問にもお答えをいたしましたように、憲法、会計検査院法によってその地位は決められております。私の立場から会計検査院の地位について申し上げることはできないと思いますけれども、会計検査の役割を果たす上で必要なことは、また国会皆様方の御意見等を伺いながら考えていかなければならないと思っております。
  76. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 終わります。
  77. 中島衛

  78. 小泉晨一

    小泉(晨)委員 自由連合の小泉でございます。  私もこの五月の初め、社民党の秋葉さんや岡崎議員さんとともに米国の開墾局並びに全米野生生物連盟へ行きまして、十七回のワーキングをやってまいりました。目的といいますのは、この開墾局の総裁でありましたダニエル・ビヤードさんが、ちょうど二年前でありますけれども、一九九四年五月にブルガリアにて行われました国際かんがい排水委員会の年次総会でスピーチをされました。あわせて、同年十二月の南アフリカ共和国で開催されました巨大ダム委員会でも同様のスピーチをされました。その内容はたった一言、アメリカにおけるダム開発の時代は終わったというコメントでございました。このコメントの発言の検証と同時に、NGOの果たす役割政府がこれらの総裁の答弁に対してどのような姿勢と取り組みを行ったのかということの検証でありました。  翻って、本国日本におきましても、公共事業チェック機構を実現する議員の会、これは二十八名の議員の方が参加をしていらっしゃいます。先ほど質問に立たれました石井議員を呼びかけ人代表といたしまして「国民会計検査院国会議員の会、きょうまでのところ四十五名の入会者があったと聞いております。また、私が主宰いたします循環型国づくり勉強会、これにつきましては現在二十四名の議員の方々に参加をいただいているところでありますけれども予算をどうつくって、どんな予算を組み立てるかという議論あり方から、むしろ我々、今日本に求められている重要なところは、決算あり方といいますか歳出のチェック、このことが国民の大きな重要な関心事であろうというふうに思っています。  与えられた時間が十五分ということでございます。質問は二つしかありませんけれども、以下実例を挙げて御質問をさせていただこうというふうに思っています。それは平成三年、四年、五年、六年、七年と毎年予算化され、継続してこられました予算のことについてであります。  それは、多目的船舶の調査、検討に係る経費でございまして、私も資料を見まして調べたところ、平成年度に内閣関係で四百万強、災害救助等船舶調査研究委託費として総理府関係で一千万。三年、四年が全く同額でございまして、五年度になりまして五百万ほど増額。六年、七年全く同じ数字でこの平成年度を迎えているわけであります。  そもそも、こういう調査が五年もかかり、しかも、ほぼ同じ金額が五年踏襲され今日を迎えている姿は正常と言えるかどうか、ここのところに私は大変疑問を持つわけであります。国家予算何十兆という言葉も大事なポイントかもしれませんけれども、個々のことを実証していく仕組みを持たない限り、歳出のチェックは不可能だというふうに思っています。  そこで、いみじくも毎年同じで今日まで来た。そして、緊急の必要性があったから予算執行が行われ、調査費がついた。しかも大事なことは、私が第百三十二回国会予算委員会分科会で質問したところ、この数値の一致はいずれにいたしましても、この五年間にわたって毎年予算を使いながらレポートが出ていない現実について私は大変不審に思うのですけれども大蔵大臣、こういうことはどういうものでしょうか。
  79. 林正和

    ○林(正)政府委員 多目的船の問題につきましては、御案内のとおり中東湾岸危機に際しまして、航空機や船舶による難民の輸送、協力物資の輸送等が要請されたことを契機といたしまして、御指摘のように平成年度以降、経費を計上しているところでございます。  内閣及び総理府におきましては、平成年度以降、広範な観点から調査研究を行ってきており、今後これらを踏まえた総合的な検討が進められるものと私ども伺っておりまして、当該予算は適正に執行されているものと認識をしております。  今報告書のお話がございましたが、調査検討の結果をどういう段階で報告書の形に取りまとめるか、またそれをどの時点で公表するかは、これは執行官庁の御判断の問題と存じますが、内閣及び総理府からは、これまでのところ申し上げたような検討状況であって、現時点で報告書を取りまとめる段階には至っていないというように私ども伺っているところでございます。
  80. 小泉晨一

    小泉(晨)委員 総額で九千三百万ですから大したことはないと言ってしまえばそれまでかもしれませんけれども、報告書が出ない、そして委託研究先は毎年同じところ、レポートが返ってこない、それでもまた同じところへ委託する、この姿勢こそ問題だと私は思うのですけれども大臣、どうでしょう。
  81. 久保亘

    久保国務大臣 ただいま政府委員の方から御答弁を申し上げましたが、平成年度に始まります災害救助等船舶に係る検討費、研究委託費等については、御指摘のように私は報告が行われるべき性格のものと考えております。これは毎年国会で御議決になりました予算ではございますけれども執行に当たります政府として、どういう状況になっているのか、現況を調べる必要があろうかと思っております。
  82. 小泉晨一

    小泉(晨)委員 私は、この調査費のあり方というのは、この問題だけではないと思っているのです。一度突破口を開くとそのまま継続してしまって今日に至っている問題というのはたくさんあると思うのです。それが、大きく言えば公共事業あり方そのものにも影響してくるだろうというふうに思っているわけであります。  もし同額の予算でA、B、Cにも委託調査を出しその中からセレクトするということなら、これは結構なことでありますけれども、結果が出ないところに毎年毎年同じような調査費、しかも人件費が上がり物価が上がったと言いながら毎年同じ調査費ということ、このことにも大変疑問を持ちます。  今後この決算委員会の中でもこういった数値のとらえ方を私たちはしっかりしていかないと、あっていいのかなくていいのかわからないような——きょう私の前に質問された多くの方々も皆一様に委員長に対して、ぜひこの委員会役割というものをはっきりさせてほしいと要望がありましたけれども、私もまさにそのことだろうというふうに思っています。  できますれば、先ほど委員長質問をされた方がありましたが、ぜひ決算委員会にもうちょっと活力を持ったらどうだということの答弁の中で、いっかそういうことを検討したい、重要と思っているぐらいでは困るのでありまして、理事がちょっと怠慢だと私は思っているのです、理事が。委員長理事を含めまして、ぜひもう少し真剣にやってもらうように私は同僚に要望して、もう時間ですのでやめます。  どうもありがとうございました。
  83. 中島衛

    中島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十分散会