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永井国務
大臣 お答え申し上げます。
労働行政については、
坂口先生、労働
大臣も御経験されまして、大変御
協力いただいておりますことに心から感謝を申し上げておきたいと思います。
今、先生から御指摘がございましたように、橋本総理が、六十五歳までの雇用の継続は極めて重要だということを内外に示されているわけでありまして、私も同じ
考え方で、労働行政を預かる
立場から、その推進を図ってきているところであります。
先生も御指摘になりましたけれ
ども、六十歳定年制ということが十数年かかりました。それは、六十歳から年金の支給が始まっていくという、そのこととのリンクの
関係もありまして、それに合わせていこうということで、大変な
努力が労使双方でもございまして、ようやくこの六十歳定年制ということが法制化されまして、平成十年の四月一日からこれが
施行されることになっているわけであります。
しかし、厳しい今の経済
状況の中ではございますが、労使のたゆまぬ御
努力もありまして、現在まだ義務化されていない
段階で六十歳以上の定年制をとっているところ、これは全企業の八五・八%に上っています。そのうち、六十五歳以上の定年制を定めている企業が五・五%含まれておりまして、これは、主として六十歳あるいは六十歳以前で退職した人のいわゆるノウハウやあるいはその技術、技能というものを活用していこうということから積極的に高齢者を採用している企業などがありまして、六十五歳以上の定年制は五・五%という数字になっているわけであります。
しかし、御案内のように、リストラが盛んに叫ばれている中で、まだ六十歳定年制が義務化されていないという
段階でありますから、一応労使間で六十歳の定年制を定めているところでも、いわゆる勧奨退職などという若年の退職がまだまだ最近は事例が多うございます。したがって、人生の生活設計をきちっと確立させるためにも、せっかくつくった六十歳定年制というものがその企業において実施をされていくとするならば、それを確実なものにしてもらいたいということを私
ども指導をし、お願いもしているところであります。
また、六十五歳になりまして年金の支給が行われるという、この
関係につきましては平成二十五年が
予定されているわけでありまして、それまでに
段階的に六十一歳から年金の支給開始の年齢が引き上げられていくわけでありますが、それに必ずしも合わせるのではなくて、それ以前の
段階から、六十歳を超えた人たちで、働きたいという意欲を持っていらっしゃる方、希望を持っていらっしゃる方は全員就職できるように、そういう
立場で今、高齢者の雇用継続給付な
ども行いながら
対応しているところであります。
なお、そのほかに今
考えておりますことは、六十五歳の定年制をしくまでの
段階といたしましても、フルタイマーでなくてもいい、その人の希望によっては、三時間なり五時間なり、働ける時間帯で働けるような仕組みができないか。あるいは、自分の持っている技術、技能を生かして自分の家庭で
作業することができないか。あるいは、パソコン時代でありますから、そういう情報通信の
作業に高齢者の
皆さんも積極的に進出してもらうような道筋ができないか。いろいろなことを今
考えまして、
検討を進めているところであります。
なお、その場合は、人事制度であるとか、労務管理などの制度がどういうふうにあるべきかということも当然のこととして
検討していかなくてはなりません。そのことに今具体的に
着手をしているところでありまして、それにいたしましても、六十歳以上の
方々に働いていただくということは、保険料の
関係からいきましても大きなメリットが労働者にも企業にも国にもあるわけでありますから、できるだけ多くの方に働いていただこう。
少子化社会ということがまた片方で言われておりますが、これまた先生もう御苦労いただいてまいりましたように、育児休業制度もできました。そしてまた、介護休業制度も平成十一年から制度化されようとしております。そのことによって、少しでも子育てにそれぞれが力を尽くすことによって、数字の上からでいきますと高齢化社会という率が少なくとも下がってまいるような、そういう取り組みも必要なのではないか、これも労働行政に課せられた大きな
責任だと私は
考えまして、今懸命の
努力を続けているわけであります。
いずれにいたしましても、
国民的なコンセンサスを得ながら、六十歳以上の
方々の高齢者の就職機会をつくり上げていくこと、また、それに企業も社会もきちっとこたえていただくような、そういう仕組みをつくり上げていくこと、それに必要な雇用保険などについてはさらに充実をしていく必要がある、このような
立場で取り組んでおりますので、これからも一層の御理解と御
協力を賜りますように切にお願いを申し上げる次第であります。