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1996-06-05 第136回国会 衆議院 金融問題等に関する特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年六月五日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 高鳥  修君    理事 小里 貞利君 理事 尾身 幸次君    理事 大島 理森君 理事 小沢 辰男君    理事 松田 岩夫君 理事 森本 晃司君    理事 早川  勝君 理事 錦織  淳君       伊吹 文明君    石橋 一弥君       柿澤 弘治君    金子 一義君       木村 義雄君    岸田 文雄君       栗原 博久君    塩谷  立君       中村正三郎君    野呂田芳成君       原田昇左右君    穂積 良行君       堀之内久男君    横内 正明君       安倍 基雄君    愛野興一郎君       江田 五月君    鹿野 道彦君       北側 一雄君    笹川  堯君       鮫島 宗明君    竹内  譲君       谷口 隆義君    野田  毅君       平田 米男君    村井  仁君       坂上 富男君    田中 昭一君       永井 哲男君    細谷 治通君       田中  甲君    佐々木陸海君       矢島 恒夫君    吉井 英勝君       海江田万里君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         大 蔵 大 臣 久保  亘君         農林水産大臣  大原 一三君         自 治 大 臣 倉田 寛之君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 梶山 静六君  出席政府委員         警察庁刑事局長 野田  健君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君         大蔵省銀行局保         険部長     福田  誠君         大蔵省国際金融         局長      榊原 英資君         国税庁次長   若林 勝三君         農林水産大臣官         房長      高木 勇樹君         農林水産省経済         局長      堤  英隆君         自治省行政局選         挙部長     谷合 靖夫君  委員外出席者         議     員 保岡 興治君         議     員 永井 哲男君         金融問題等に関         する特別委員会         調査室長    藤井 保憲君     ――――――――――――― 委員異動六月五日  辞任         補欠選任   石橋 一弥君     塩谷  立君   江田 五月君     竹内  譲君   鹿野 道彦君     谷口 隆義君   吉井 英勝君     佐々木陸海君 同日  辞任         補欠選任   塩谷  立君     石橋 一弥君   竹内  譲君     江田 五月君   谷口 隆義君     鹿野 道彦君   佐々木陸海君     矢島 恒夫君 同日  辞任         補欠選任   矢島 恒夫君     吉井 英勝君     ――――――――――――― 六月五日  住専処理への税金投入反対、真相の徹底究明に  関する請願(古堅実吉紹介)(第二七九九号  )  同(吉井英勝紹介)(第二八〇〇号)  同(藤田スミ紹介)(第二八七三号)  同(吉井英勝紹介)(第二八七四号)  同(中島武敏紹介)(第二九〇四号)  同(不破哲三紹介)(第二九〇五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  特定住宅金融専門会社債権債務処理促進  等に関する特別措置法案内閣提出第三五号)  金融機関等経営健全性確保のための関係法  律の整備に関する法律案内閣提出第九四号)  金融機関更生手続特例等に関する法律案  (内閣提出第九五号)  預金保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第九六号)  農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する  法律案内閣提出第九七号)  特定住宅金融専門会社が有する債権時効の停  止等に関する特別措置法案保岡興治君外五名  提出衆法第三号)      ――――◇―――――
  2. 高鳥修

    高鳥委員長 これより会議を開きます。  内閣提出特定住宅金融専門会社債権債務処理促進等に関する特別措置法案金融機関等経営健全性確保のための関係法律整備に関する法律案金融機関更生手続特例等に関する法律案預金保険法の一部を改正する法律案農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案及び保岡興治君外五名提出特定住宅金融専門会社が有する債権時効停止等に関する特別措置法案の各案を一括して議題といたします。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。松田岩夫君。
  3. 松田岩夫

    松田委員 最初に、自治省お尋ねをいたします。政治団体社会計画研究会というものの届け出がありますか。
  4. 谷合靖夫

    谷合政府委員 お尋ね社会計画研究会から自治大臣に対して設立届提出されております。
  5. 松田岩夫

    松田委員 右政治団体、今申しました政治団体設立届年月日と主たる事務所所在地を教えてください。
  6. 谷合靖夫

    谷合政府委員 お答えいたします。  設立届届け出昭和五十一年一月六日に行われております。また、主たる事務所所在地でございますが、設立時には千代田丸の内二の二でございましたが、昭和五十六年一月に千代田丸の内二の四の一への異動届け出がありまして、さらに平成七年一月に千代田区永田町二の十の二への異動届け出提出をされております。
  7. 松田岩夫

    松田委員 この政治団体代表者及び会計責任者について、次の各時期における各氏名をそれぞれ教えてください。一つ目設立時、二つ目九二年、平成四年、九六年、平成八年、それぞれのときの代表者及び会計責任者を教えてください。
  8. 谷合靖夫

    谷合政府委員 設立時における代表者でございますが武藤幸雄氏、会計責任者松田義幸氏と届け出が出されており、また平成四年におきましては、代表者武藤幸雄氏、会計責任者森田廣氏となっております。さらに、現在の代表者加藤紘一氏、会計責任者佐藤三郎氏というふうになっております。
  9. 松田岩夫

    松田委員 この政治団体衆議院議員加藤紘一氏とは、今のお話代表者が現在は加藤紘一さんということでございましたね。加藤紘一さんとの関係を重ねてお伺いします。
  10. 谷合靖夫

    谷合政府委員 お尋ね社会計画研究会につきましては、平成六年の政治資金規正法改正前におきましては加藤紘一議員のいわゆる指定団体として届け出が行われております。この前の改正指定団体制度がなくなりまして、その改正後におきましては加藤紘一議員のいわゆる資金管理団体としての届け出提出されております。
  11. 松田岩夫

    松田委員 社会計画研究会、この政治団体平成四年の支出項目中、政治活動費総額幾ら届け出られておりますか。
  12. 谷合靖夫

    谷合政府委員 お尋ね社会計画研究会平成四年分の収支報告書確認をいたしましたところ、支出のうち、政治活動費総額は一億一千四百五十五万七千二百二円となっております。
  13. 松田岩夫

    松田委員 さて、この政治団体は九二年、平成四年の政治活動費について平成八年六月四日、昨日収支報告書訂正を行ったことがありますか。
  14. 谷合靖夫

    谷合政府委員 社会計画研究会平成四年分の収支報告書確認をしましたところ、平成八年六月四日に訂正願提出され、訂正が行われております。
  15. 松田岩夫

    松田委員 その訂正手続会計責任者名において行われたと思いますが、同人の来庁時間は何時ごろでありましたか。
  16. 谷合靖夫

    谷合政府委員 お答えをいたします。  来庁者は代理の方だというふうに聞いておりますが、また詳細な時刻については確認はいたしておりませんけれども事務担当者に聞きましたところ、午前十時前ごろに訂正に来られたというふうに聞いております。
  17. 松田岩夫

    松田委員 午前十時前ごろといいますと、昨日の参考人質疑の直前ということでございますね。  訂正内容についてお示しください。
  18. 谷合靖夫

    谷合政府委員 社会計画研究会平成四年分の収支報告書によりますと、政治活動費のうち「寄附交付金」という項目につきまして、平成四年三月十七日に紘和会に対して一千万円の寄附を行った旨の記載が行われますとともに、「寄附交付金」と同じ項目にかかわる「その他」の支出欄の額が二千三百十四万円から一千三百十四万円に訂正されております。
  19. 松田岩夫

    松田委員 その日付はいつになっていますか、紘和会支出したという日付は。
  20. 谷合靖夫

    谷合政府委員 先ほども申し上げましたが、平成四年三月十七日に紘和会に対して一千万円の寄附を行った旨の記載が行われるという訂正になっております。
  21. 松田岩夫

    松田委員 平成四年三月十七日と申しますと、きのうの質疑でも申し上げましたが、参議院予算委員会佐藤吾議員から、共和の森口副社長から一千万円をいただかれたかどうか御質問を受けられたその日でございますね。  この訂正された内容平成四年、九二年当時にこの政治団体確認していた場合、収支明細書記載して届け出なければならない事項だったと思いますが、正確ですか、正しいですか。
  22. 谷合靖夫

    谷合政府委員 私ども事実関係については承知をいたしておりませんので一般的に申し上げますと、政治資金規正法第十二条第一項二号におきましては、政治団体会計責任者は、その提出する報告書においてすべての支出についてその総額及び所定の項目別金額記載するとともに、経常経費以外の経費支出のうち一件当たりの金額が五万円以上のものにつきましては、その支出を受けた者の氏名金額年月日等記載するものというふうにされているところでございます。
  23. 松田岩夫

    松田委員 そうすると、事実関係はともかく、法律論として、この規定に違反した場合、罰則はありますか。あれば、平成四年当時及び現在における法定刑を教えてください。
  24. 谷合靖夫

    谷合政府委員 先ほど申し上げました政治資金規正法十二条の規定に違反した場合につきましては、同法第二十五条において罰則が定められております。  その法定刑でございますが、平成四年当時の政治資金規正法におきましては、五年以下の禁錮または三十万円以下の罰金というふうになっております。また、改正後の現在の現行法におきましては、五年以下の禁錮または百万円以下の罰金というふうになっております。
  25. 松田岩夫

    松田委員 いや、大変な重い刑なんですね。わかりました。  さて、自治大臣、お待たせいたしました。昨日の審議で明確になった、この社会計画研究会、この訂正が、九二年、平成四年の、つまり今から四年前になりますかの事実として、昨日、つまり四年もたった昨日、訂正がされたわけでございます。所管大臣としてどのような所感、感想を持っておられますか、ちょっと伺っておきます。
  26. 倉田寛之

    倉田国務大臣 政治資金規正法におきましては、政治資金収支を広く公開することをその大きな目的の一つとしております。政治団体会計責任者は、その政治資金について法の規定に従った収支報告書提出しなければならないものとされているところでございます。したがいまして、もし収支報告書提出後に誤りが明らかになった場合におきましては、その時点において法の規定に則し、適切に訂正されるべきものと考えております。
  27. 松田岩夫

    松田委員 ありがとうございました。  先ほどのお話で、訂五年月日平成四年の三月十七日というふうに過去にさかのぼって訂正されておられるわけで、当然のことでございますが、この日がちょうど佐藤吾議員質問の日といったようなことを思いますと、当時、知っておられたのではないか、知っておられながら、御報告をしておられなかったのではないか。これは私が推測するわけでありますが、推測させていただくとすると、この私の推測が事実とすれば、極めて重い罰金のかかる罪、こういうことになる、こういうことが明らかになりました。  さて、昨日の加藤参考人に対する私の質疑の中で、今御質問いたしましたことが出てまいりましたので、追加として御質問させていただいたわけでありますが、きのうも申しましたように、いただかれていない、いただいていないというのに返却をされた、その返却の金の出どころを今明確にさせていただいたわけでありますが、それを昨日訂正という形で処理された、こういうわけであります。私どもとしては、ますます、なぜいただかれていないと言われながらこうした返却手続がとられたのか、いただいていない金を返すなどということは前代未聞、まことに不自然なわけでございます。  一層疑惑は深まるばかりでございますが、昨日の夜、今お手元に配らせていただきました、記者からいただいたんでございますが、記者会見をされて水町さんがこれを配られたということなんで、質疑の資料として今お手元にお配りをさせていただきましたが、見ていただきますと、「たとえ偽証の制裁がないとはいえ加藤議員の弁明は残念ながら真実に反するの一言につきるものであります。真実一つであります。」と述べて、以下ずっと書いてありますが、「加藤議員国会で弁明した以上私も一方当事者として国会で証言する義務と責任があると思料します。」ただいま住専に対して税金を使うかどうか、その住専不良資産不良債権七十三億円をつくった共和から一千万円の献金を受けておられるかどうか、まさに住専問題そのものであります。  そういう意味で、私どもはこの加藤さんの証人喚問を強く求めてまいりました。きのうの参考人質疑で一層疑惑は深まったわけでございまして、まして水町後援会長の御意見とも全く異なっている。こうなりますと、まさにここになぜ一緒に証人喚問しないのか、なぜそれができないのか、国民は強い不満を持っているわけであります。それをしないのは国会なれ合いだなどとさえ言う人がいました。私たち新進党は、昨日夕刻の理事会でも、改めて両氏の証人喚問を強く要求いたしました。しかし、与党理事の皆さんの反対で、取り上げていただけませんでした。なれ合いでやらないのではありません。与党反対でできないでいるわけでございます。  委員長、重ねてお願いをいたします。委員会運営責任者として、こうした国民の声に耳を傾けていただいて、もう一度理事会で、この加藤さんと水町さんの両人の証人喚問を取り上げていただくよう、心からお願いをいたします。
  28. 高鳥修

    高鳥委員長 理事会で協議いたします。
  29. 松田岩夫

    松田委員 私の質問を終わります。
  30. 高鳥修

    高鳥委員長 この際、竹内譲君から関連質疑申し出があります。松田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。竹内譲君。
  31. 竹内譲

    竹内(譲)委員 竹内譲です。  きょうは官房長官にも来ていただいておりますので、最初に、少し金融政策の問題について意見交換をしたいと思います。  住専の問題で、現在、金融機関追加負担の問題が言われておりますが、低金利政策銀行はもうけ過ぎているという御意見がございます。だから追加負担をして当然なんだという考えがございますが、この考え方について官房長官、どのようにお考えになりますか。
  32. 梶山静六

    梶山国務大臣 私がこの問いに答えるべきかどうかは判断に苦しむところでありますが、この半年間の国会の論議を通じまして、母体行ないしは金融機関がこの金融不安のもとになった住専状況には一義的な責任を負うべしと、こういう声が日増しに高まっていることを承知をいたしております。恐らく私を今指名をされたのは、過般、私が、場外というか、国会でも一回質問を受けたわけでありますが、必ずしも私はそれを不当な利益を得ているというふうに考えているわけではありませんが、正確な数字を私、存じませんが、今不良債権額は三十四兆と言われておりますが、一説には五十兆とも言われるし、その判断というか基準のとり方によっては、相当違うと思います。  いずれにしても、こういうバブルが崩壊をした後、いわば土地デフレといいますか、そういうものが起きることによってそういう負債が誕生いたした、このこと自身は大変残念なことであります。しかし、日本の景気が低迷をしているわけでありますから、低金利政策をとって、景気刺激というか、反発力の原動力にしたいということは、これは当然であります。マクロ経済運営については、私はそのことに間違いはないと思うんですが、結果として、金利が下がっていく過程においては、貸出金利とそれから銀行調達金利の差が当然広がって、未来永劫にではございませんが、そういう過程において銀行にたくさんの業務利益が出ることは避けられないというか、いいことだろうと思います。  しかし、私は、銀行自身に一〇〇%責任がないとは、この不良債権については思いません。けじめをちゃんと持った融資が行われていればこんなことにはならなかったという思いが、率直にいたしております。ですから、この不良資産を早く解決をすることが何よりも大切。そのために我々は懸命に汗をかいている。若干の方法論は違っても、そういう問題でお互いにいることは間違いがございません。  しかし他面、国民の間には、特に、弱者というか、高齢者というか、年金生活者というか、所得をそれほど発生しない方々には、金利というものの下落というのは大変なことであります。  私の友達も過般参りまして、梶山、一千万の定期預金を一年やると幾ら利子が取れるか知っているのかと。残念ながら、私は計算をしておりませんでした。頭の中で計算はしたんですが、四万円足らずと聞いて愕然といたしました。前は五十万やそこらの金利は当然得たはずだ、こういう状態でいいのかというのを言われますと、銀行で低金利政策によって業務純益が出たとするならば、その果実の幾ばくかは、償却ももちろん、これも株主やあるいは預金者のためになることでありますが、一部分でもそういうものに補てんをするというか、何らかのかさ上げを限定をしながらやられれば、私は、銀行経営というのは、経営に口出すわけじゃありませんが、私たちの望むものになるであろう、そういう思いを持っているわけであります。  低金利政策を私は非難はいたしません。少なくとも景気上昇の兆しの見える間は大切だと思いますが、果たして低金利政策だけで景気回復するものかどうか、これも大変疑問のあるところであります。特に、景気というのは個人消費消費によって景気が大きく左右をされる現在、設備投資もさることながら個人消費が冷え込んでおって景気回復はあり得ない。そういうのを考えれば、いわゆる一般の国民消費マインドをどうやったらば拡大できるのか、これは当面経済運営に当たる大蔵大臣経企庁長官にぜひとも心していただき、国会でもそういう論戦を通じまして、何とかこの危機的な状況を脱却できるようにお互いに努力を払っていかなければならない、このように考えております。
  33. 竹内譲

    竹内(譲)委員 私が最初に御質問をしたのは、低金利政策銀行がもうけ過ぎているから、だから追加負担して当然だという意見に対してどう思うかという質問でございました。  いろいろお答えになったんですが、日銀金融白書というのが五月三十日に発表されまして、私が申し上げたかったことは、政界では低金利政策銀行が不当に利益を上げているというような見方もあるようですが、この日銀白書によりますと、低金利のもとで「金融部門は、金融資産負債が概ね見合っているため、金利変化に対して所得ニュートラル考えられるが、このうち銀行部門についてみると、貸出有価証券保有など資産サイド金利調整速度負債サイドに比べて遅いため、実際には金利低下局面では所得移転を受け易い。」というふうに述べております。  いささかわかりにくい表現ですが、要するに、金利低下局面では、貸し出しとか有価証券とか固定の運用があるものですから、調達部門が即時に下がりますと一時的に収益は膨らむ。ただし、逆に、金利が反転して上昇局面に上がると、今度は調達金利がすぐに上がりますから、運用との逆ざやになったり赤字になる場面も出てくる。そういう意味で、金利低下局面上昇局面と合わせれば、基本的には銀行部門金利の影響はニュートラルなんだ、中立であるということだというふうに思われます。  そういう意味で、もう少し日銀金融白書を読んでみますと、九五年度下期における企業収益増加要因分解を試みておられます。そうすると、「中小企業では、前年同期からの増益幅の七割、非製造業・大企業に至っては全てが純金融費用低下によってもたらされていることが分かる。中小企業では、こうした収益増加とほぼ並行する形で、企業マインドの好転、ならびに設備投資増加が起こっている。」こう述べておるわけでございます。その意味で、低金利政策には両面あるというふうに思うわけでございます。  私が申し上げたかったのは、一方的な、低金利政策というのは銀行をもうけさせるためだというこの見方というのはやはりおかしい、間違っている、やはり景気全体への配慮ということから低金利政策が行われているんだということを申し上げたかったわけでございます。  そこで、低金利政策の功罪ということについて考えてみたいと思うんですが、日銀金融白書をさらに読みますと、メリットとして主なものを挙げております。一つは、住宅投資回復など耐久消費財の持ち直し、二つ目は、円建て確定利付資産収益率低下による円高修正とか、円高修正によって景気に対するメリットが働いている。  一方で、デメリットということを考えなければいけないと思います。先ほど官房長官おっしゃられましたように、金融資産超過主体資産の構成の中で金融資産が非常に多いという方々はどうしても所得減少をもたらす。つまり、先ほどおっしゃられたように、年金だけで生活をされておられる方などは所得減少をもたらす、こういう問題があります。また、そのまま余り固定的に枠をはめ過ぎると、インフレの招来とかそういうこともあり得るということだと思います。  既に先ほど官房長官おっしゃられましたが、私も、こういう低金利政策――政治家がこういう発言をして別に悪いとは思いません、これが続けばこういう年金生活者方々所得減少をもたらすわけでありますので、かつて、今もありますが福祉定期の充実とか、さらにまた障害者や要介護者など、そういう方々に対して、やはり何らかの金利面での措置というものを考えていかなければならないのではないかというふうに思っております。  この点につきまして、官房長官、つけ加えることがございますでしょうか。
  34. 梶山静六

    梶山国務大臣 もうはるかに私の専門分野というか持ち分を離れておりますが、委員はかつて金融専門家でもあったわけですから、私もそんな詳しい日銀金融白書を全部読み切れるほどの能力も時間もございません。ただ、若干新聞の切り抜き等で私なりに分析をいたしているんですが。  マクロ経済で確かにニュートラルであるということはわかるんですが、それは、事業利益とそれから個人利子利得、これを考えれば、おのずとそこに転移があったわけでありますから、片や取られた方は損失を見る。しかも、私が言っているのは、全般的な青空天井金融をもってなりわいとなす人間ではなくて、本当の意味弱者をどうするかという問題は、私たち政治家が視点を当ててあげなければ大変なことになる。マクロで見れば総トータル、金利がこちら安くなったからそれで事業利益が出たんだというだけの計算で私たちの職分が果たせるわけではない。このような観点から実は私は申し上げているので、低金利政策全体がいいか悪いかという問題は、今はやむを得ないだろう。  しかし、下げる段階は必ず楽なんでありますが、いつもこの低金利政策がとり得るのかどうなのか、そのときにどういう現象が起きるのか、上げるときにどんな困難があるのか、この問題を今から考えておかないと間違いが起きますし、金利政策日銀専管事項だと、こうだれかにか言葉静かにののしられましたけれども、私は言葉荒げてみずからの政治分野を守ろうとしているだけでありますが、言葉静かに反論をするというか、諭す人たちにそれだけの実は思いやりがあるのかどうなのか。小さい分野でありますが、このことに一つ憤りを感じております。  それから、日銀金融政策、決して私は批判をしようとは思っておりません。しかし、これからこうやりなさいとは言いませんが、過去に大きな失敗をいたしているわけであります。アメリカとそんなに大きい違いがなかった日本の不況状態が、アメリカがなぜ脱出ができて日本が脱出ができなかったかというと、これは、九〇年代の当初にアメリカは思い切った低金利政策をとった、反対に日本はいわゆるバブルの退治ということで高金利政策に移行した。このことが今日の私は景気の低迷につながったというふうに、いわば確信に近く考えております。  こういうのを考えますと、私は、必ずしも日銀やあるいは、私は言葉が悪いからぐると言ったのですが、銀行協会が日銀といって日銀をかばう理由は仲間意識があるからなのかしらという気がするのですが、そういうことで、完全に神様ではないだろう。そういうおのおの批判があってこそ切磋琢磨ができるものだ、このように考えますので、特に専門家である竹内委員には、そういう意味国会での良識をどんどん発表していただいて、国民の幸せをつかんでほしい、このようにお願いします。
  35. 竹内譲

    竹内(譲)委員 私も、障害者方々やまた年金だけで暮らされる方とか要介護者方々初め、本当にこの方々に何とかやはり手当てをしなければいけない、そういう思いでは官房長官と同じであります。  私は、大事なことはやはり、我々政治家金融政策についていろいろ言うことは別に一向に構わないと思います、いろいろな意見があってしかるべきですから。ただ、最終的にはやはり公定歩合あるいは金融政策というものは日銀の専管の問題ではないのかと思うわけであります。要するに、市場が、マーケットが政治家の発言をどう評価するかということですから、幾ら発言しても全然反応しない政治家もいるわけですし、反応する人もいるかもしれません。いずれにせよ、我々は市場経済の自己規律の中に生きているわけですから、やはり基本的には、ここはルールどおり日銀専管事項ということにしておくことが大事だろう。  そして、私は、政治家はいろいろ意見を言ってもいいと思うのですが、要するに、政治日銀にたがをはめてしまうということだけは避ける必要があるだろう。機動的に景気の動向に応じて、あるいはインフレの動向に応じて、やはり機敏に対応するときは対応しなければなりませんから、そういう意味での一応の日銀専管事項というルールはやはり尊重しなければいけないのだろうというふうに思っているわけでございます。そうしなければ、余りだがをはめ過ぎると統制経済になりますから、市場経済ではなくなるというように思うわけであります。  この問題につきましてはこのくらいにしておきまして、次に、平成八年の六月四日の日本経済新聞によりますと、大蔵、農水両省は民間金融機関に五千億円以上、農林系に二千億円程度の拠出を提示する方針を固めた、こうはっきり書いてありますが、これは事実でありますか。大蔵大臣
  36. 久保亘

    ○久保国務大臣 今お読みになりました新聞の記事につきましては、政府・与党でそのような方針を固めたということは、大蔵大臣であります私は承知いたしておりません。
  37. 竹内譲

    竹内(譲)委員 農水大臣、どう思われておりますか。
  38. 大原一三

    ○大原国務大臣 私も関知しておりません。
  39. 竹内譲

    竹内(譲)委員 そうすると、この方針を固めたということは事実ではない、そういう事実はないということでよろしいですね。検討もされていないということですか。
  40. 久保亘

    ○久保国務大臣 私も政府・与党のメンバーの一人だと思っておりますけれども、私が知ります限りでは、そのような事実はございません。
  41. 竹内譲

    竹内(譲)委員 農水大臣も同じでよろしいですか。
  42. 大原一三

    ○大原国務大臣 私も知りません。
  43. 竹内譲

    竹内(譲)委員 ということは、これはもうマスコミ、日経新聞が勝手に書いたということですか。これは事実でないとした場合に、追加負担策というのは今検討はされているんでしょうか。大蔵大臣
  44. 久保亘

    ○久保国務大臣 最近、住専に対する債権者であります金融機関との間に、追加負担による新たなる寄与をどのようにやるかということについて、まだ具体的なものを提示して話し合うという段階には至っておりませんが、そのような方向で相互に協議を行うべきだということについて次第に状況が、環境が整備される方向に向かっているのかな、このように考えております。
  45. 竹内譲

    竹内(譲)委員 大原大臣の方はいかがですか。検討もされていないのでしょうか。
  46. 大原一三

    ○大原国務大臣 政府として正式にそういうお話があったわけでもないし、具体的に我々としてはいまだ検討はいたしておりません。
  47. 竹内譲

    竹内(譲)委員 そうすると、ここに非常に具体的に、マスコミには非常に具体的に書いてあるわけです。少し読みますと、日経新聞では、  政府・与党はすでに農林系金融機関に二千億円程度の拠出を打診。母体行など民間金融機関にも近く拠出を要請するが、負担額が五千億円以上となる公算もある。 中間を省略しまして、  追加負担策は民間、農林系双方から基金に拠出させ、十五年程度で得られる運用益を預金保険機構を通じて国庫に返納する方法を軸に検討する。仮に七千億円の基金を年三%の金利運用した場合、十五年間で四千億円程度の利益が出る計算になる。   すでに民間金融機関住専債権回収に伴って発生する二次損失の処理のために九千億円の「金融安定化拠出基金」をつくることで合意、住専処理法案に盛り込んでいる。この基金を増額する方法に加え、別建ての基金の設置も検討する。 というふうに、相当具体的に書いてあるわけでございます。  今大蔵大臣の方からは、そのような方向で協議を行う環境にあるという趣旨の御発言がございました。ということは、今後その追加負担の問題が具体化する可能性はあるということでよろしいでしょうか。
  48. 久保亘

    ○久保国務大臣 昨年の十二月二十二日の金融制度調査会の答申の中にも、公的資金の投入は極力圧縮する努力をすべきだという趣旨のことがございます。私どもは、そういう立場からいたしましても、またこの国会におきます住専問題処理に関する御議論等も十分に踏まえた上で、特に母体行等を中心にしながら、追加負担による新たなる寄与が必要だということで当初から申し上げております。そしてそのことによって、結果的に国民に負担をお願いをする部分をできるだけ軽くしようということで努力すべきものと考えてまいったのでありまして、したがいまして、そういう方向で当事者間の合意が得られるように、今その協議を始めるべく努力をいたしている段階だということを申し上げておるのであります。  方法論につきましてはいろいろな意見がございますことを私ども承知をいたしておりますし、具体的な話し合いに入ります際には、必要がありますときには政府の側から方法、手段につきましても申し上げなければならないときもあるかなと思っておりまして、与党においてもいろいろな検討が行われていることはあると思いますが、政府・与党で具体策を固めているということはございません。
  49. 竹内譲

    竹内(譲)委員 当事者間の合意を得られるように努力しているということですね。  では、大原大臣にお聞きしますが、系統金融機関住専七社からの一月から三月分の未払い金利六百億円がございます。これの返済を一たん受けた上でこれを追加負担として拠出するという案が農林水産省の中にもあるというふうに同じ新聞の中に書かれてありますが、この事実はありますか。
  50. 大原一三

    ○大原国務大臣 農林水産省の中にあるのかどうか私はよくわかりませんが、責任者である私のところにはいささかもそういう話はありません。
  51. 竹内譲

    竹内(譲)委員 わかりました。  そうすると、あと私がこの追加負担の問題でお聞きしたかったのは、以前に、たしか三月の四日前後だったかと思いますが、民間金融機関のリストラによる税収増の寄与五千億円の案が与党の方で出されました。これは政府としてはどのように取り扱われるのでしょうか。
  52. 久保亘

    ○久保国務大臣 新たなる寄与についてということで、与党三党で関係の団体等ともいろいろと協議をされた経過がございます。そして、そういう中で、銀行並びに系統金融機関等との間に一つの合意が得られたものが三月四日の、今お尋ねになりました内容のものであったと思っております。これは、情報の開示とか責任の追及とかいったような項目を含む七項目から成っておりまして、一番最後の七項目めの中に、一つ追加策と考えられたものが、合意の上で記載されております。  私どもはこの報告与党から受けまして、政府といたしましては、この与党三党が努力された新たなる寄与に関する内容については、これを重く受けとめてまいりたいと思っております。これは今日も合意に基づくものとして生きているものだと考えております。
  53. 竹内譲

    竹内(譲)委員 大原大臣も同様の御意見でよろしいですか。
  54. 大原一三

    ○大原国務大臣 大蔵大臣の御意見と同じでございます。
  55. 竹内譲

    竹内(譲)委員 そうすると、重く受けとめている、生きていると。  これは、もう少し具体的に申し上げると、今後金融機関をこの方針で拘束して、政府を通じて国会報告させる、こういう方針だということでよろしいですか。
  56. 久保亘

    ○久保国務大臣 金融機関のリストラに関する努力の経過や結果について報告をされるということは合意されていることだと考えております。
  57. 竹内譲

    竹内(譲)委員 そうすると、民間金融機関のリストラによる税収増の寄与というものを求めていくということは間違いのない事実だと。それに加えて、先ほどおっしゃられた新たな追加負担の合意も重ねて求めていく、こういう趣旨でよろしいですね。
  58. 久保亘

    ○久保国務大臣 このリストラによります新たなる寄与は、そのままは国民負担の軽減につながらないという御意見国会においては多くございました。しかし、このことはまたこのことで、それぞれの金融機関も必要とお考えになっていることだと思っております。したがいまして、今後協議が行われるとすれば、その中で検討される追加負担というのは、これとはまた次元の違うものになろうと思っております。
  59. 竹内譲

    竹内(譲)委員 このリストラによる追加負担というのは当時から随分と批判もされて、本来リストラするかしないかは銀行の自由でありますし、当然やるべきことをやっているにすぎないという論調が大変多うございました。私も全く同感でございます。これを余り過度に強調し過ぎると国家統制経済につながってまいりますからおかしなことになってまいりますし、そういう意味では、前の案が余り意味のない追加負担だったということになるのだろうというふうに思っております。だからこそ新たな追加負担の合意を得るように努力されているのだろうというふうに理解をいたしました。  そこで、私、いろいろお聞きしたいことはたくさんあるのですが、今回の金融三法案について御質問したいのですが、もともとこの金融三法案の前に住専処理法案があって、この住専処理法案というのは系統金融機関の救済ではないというふうにおっしゃられました。それは何回も確認していますが、それでよろしいですね、大蔵大臣住専処理法案における住専問題への税金投入というのは系統金融機関の救済ではないという御答弁が今までの中でございますが、これはこれでよろしいですか。
  60. 久保亘

    ○久保国務大臣 系統金融機関の救済のために住専問題処理方策が検討されたということではないと申し上げてまいりました。
  61. 竹内譲

    竹内(譲)委員 そこで、今回の金融三法案の目的の一つは、信用組合の預金者保護を通じて金融システムの崩壊を防ぐことにあると私は思っているわけでありますが、こういう理解でよろしいですか。
  62. 西村吉正

    ○西村政府委員 今回御提案申し上げております金融三法案は幅広い問題意識を持ったものでございますが、自己責任原則の徹底と市場規律の十分な発揮を基軸とする透明性の高い金融システムを構築する、こういうことを目的といたしまして、具体的には金融機関経営健全性確保、それから破綻処理手続の整理、それから預金保険制度の拡充、そのような手段をもちまして以上申し上げました目的を達成しよう、こういうものでございます。
  63. 竹内譲

    竹内(譲)委員 今回の住専問題が出てきたときに、当初政府側がお答えになったのは、これは系統金融機関の救済ではない、金融システム全体の維持のために税金を使うんだ、こういう御主張であったと思います。  それで、私、今回の金融三法案は、系統金融機関、信連などの破綻の可能性というものはあるわけですが、今回もしこれに税金を使わなければ多くの信連が赤字になって、系統、農協を初めとして取りつけ騒ぎが起きる、これが信用組合やら信用金庫、そういうところに取りつけ騒ぎが波及して金融システムの破綻が起きる、こういう説明であったと思います。そこで今回金融三法案を出されたということは、系統の破綻の波及を防ぐ、ブロックする、つまり、信用組合それから信用金庫、そういう中小の金融機関の破綻というものをこれによって抑える、預金者保護ということが五年間保証されているわけですから、そういう意味での心理的なパニックというものを抑える、その間に早期是正措置やらさまざまな手段を通じて金融システムの維持を図っていこう、そういうねらいだと思うわけであります。とするならば、今回貯金保険機構の改正案も出ております。つまり、信用組合だけではなくて、貯金保険機構を通じて系統金融機関の貯金者の預金というものを五年間は保証しようということになっているわけです。信用組合の方も保証しよう。その間に情報公開をして、早期是正措置も行って、きちっとした自己責任原則というものを徹底させていこうという趣旨であるわけですね。  ということは、今回の法案をよく調べてみると、まず今申し上げたように、預貯金の保証というのは、系統も一般の金融機関も五年間保証するとなっておるわけです。早期是正措置も、これは農協も信連もそれから信用組合もみんな対象にする。何が系統金融機関とそのほかの金融機関とで違いがあるかというと、会社更生法の対象が違うと。信用組合、信金等は会社更生法の対象になっているのですが、信連、農協はこの会社更生法の対象になっていない、ここだけが違うわけです。ということは、つまり、今回の金融四法案全体を通じて、とにかく金融システムの安定、維持を図ろうという目的で相当な力を入れて銀行局がそしてまた農水省が法案を出されたわけですね。ところが、系統金融機関とそのほかの民間金融機関との一点の違いは、要するに、信連、農協だけは会社更生法の対象にならない、だからここに非常に不思議を感じるわけであります。  ここまで金融システムの維持を図るために尽力されているわけですから、これはもう完全にルールを徹底させて、きちっとした法的処理を行えば済むのではないのか。つまり、預貯金は全部保証されるようになっているわけですし、早期是正措置もやるというようになっている。それで系統以外は全部会社更生法でやるとなっている。そういう意味で言うならば、住専というのはまさに法的処理ではっとやって、実行すればいいのではないのかと私は思うわけです。  法的処理というと系統金融機関の負担が莫大なものになるとすぐおっしゃるわけですが、全くの誤解だろうと思うわけです。管財人が間に入って系統の言い分を聞くわけですし、母体行の中には相当あくどいことをやっているところもあるわけです。とすれば、管財人の判断としても、母体行主義に近い判断が下される可能性も高いわけです。結果的に、系統の負担が厳しいという結論が出た場合に、償却負担から赤字になる信連が出るかもしれません。しかし、赤字イコール倒産ではありません。必要ならば資金手当てをすればいいわけです、赤字イコール倒産ではありませんから。  だから、要は、法的処理をやった場合のポイントは、赤字になった信連を見て農協の貯金者が貯金の引きおろしに走るかどうかということが最大のポイントになるわけです。そうすると、今回の金融四法案で全額五年間保証すると言っているのだから、そこで金融システムは維持されているわけだし、そういう取りつけ騒ぎが起こらないという、そういう体制を全体としてがちっと組んでいるわけですよ。ここまでやっているのであれば、当然これはもう法的処理で進めればいいじゃないか。しかも、先ほど大蔵大臣は、系統金融機関の救済ではないとおっしゃったわけですから、そうすれば、まさにこれはもう法的処理でびしつとルールどおり実行するということが本当の金融システムの維持になるのではないでしょうか。大蔵大臣、いかがですか。
  64. 西村吉正

    ○西村政府委員 簡明に御説明を申し上げるために、あえて少し簡略化した御説明になることをお許しいただきたいと存じますけれども金融三法案あるいは金融制度調査会の基本的な考え方といたしましては、金融機関の破綻処理に際しましては、いわば事後処理、事後主義と申しますか、預金受入金融機関が破綻した場合であっても、その預金者には迷惑をかけないように少なくとも五年間は預金者を完全に保護すべきである、そのための仕組みを整備しておくべきである、このような考え方に立って法案を作成しておるわけでございます。それに対しまして、住専処理法案について考えますと、この十三兆円という債権債務の塊というものをそのような同じ方式に立って処理して支障がないかどうか、あるいは他のいろいろな要素を勘案する必要があるのではないか、このように考えているわけでございます。  もとより、住専処理法案は系統金融機関を救済するということを目的とするものではございません。しかしながら、この破綻金融機関処理の原則という考え方を徹底いたしますならば、この十三兆円の債権債務関係を直ちに迅速に処理するということにいたしますと、恐らく系統金融機関を初めといたしまして体力の弱い金融機関には非常に大きな影響を与えるであろうと考えております。  ただいま竹内委員から、法的処理をいたしましてもそのようなことにはならないという御主張がございましたが、私どもは、やはり法的処理にゆだねるとそういうことになるのではないかと考えているわけでございまして、もしそうであるとするならば、この問題につきましては、不良債権問題の早期処理の突破口という意味をも持ちますので、迅速に処理をするということ、また、その影響が極めて大きいことを考えますと、緊急異例の措置として財政資金の投入を含む処理策を講ずる必要があるのではないか、このような考え方で取り組んでいるところでございます。  竹内委員の御主張との違いは、恐らく住専処理というものを預金取扱金融機関の破綻というものをした後に施策を講ずるのであるか、この問題の特殊性から、事前に手当てをした方がいいと考えるか、そのように分けられるのではないかと考えているところでございます。
  65. 竹内譲

    竹内(譲)委員 何のための金融四法案か、私は全くわからないと思うのですね、全体として金融システムを維持するために一括で出されているわけですから。もう少しこれは質問をやりたいと思いますが、きょうは時間がありませんので、最後に、住専処理になぜ庶民、多くの皆さんが反対しているかということだけ申し上げて終わりたいと思います。  世論がなぜ反対しているかというと、これは政府の説明が悪いからということもあるかもわかりませんが、私は、単にそれだけではない。上から理屈で説明してもますます反発している。それは、やはり多くの国民の皆さんはこの不況の中、本当に生活を切り詰めてわずかな収入の中からローンを払って、その後に残った所得の中から税金を払っている。企業収益回復してきたといえども、それはリストラで収益回復している部分が多いわけですから、そういう意味では本当に大変な状況にあるわけです。そういう意味では、食べるためにはどんなことだってしなければならないんだという思いが大変にあると思います。  ところが、政治家や官僚は、庶民にはうまいことを言いながら、実は裏では癒着して金をがっぽり集めて、いいものを食べ、いいものを着て楽に暮らしているんだというようなぬぐいがたい不信感が僕はあると思います。それは、これまでの数々の腐敗事件にも原因があると思うんです。ロッキード事件やリクルート事件などもそうでした。そしてまた、きょう申し上げたいこの中島問題もそうだと思います。  エコノミストの九六年三月十九日号には、そのとおり読みますと、「中島氏は、過剰接待問題に加えて、大蔵省内での多額の金銭受け渡し、さらに資金授受などの新たな疑惑が発覚した段階で、」中略「大蔵省大臣官房が中島氏に自主退職を正式に求めた時、同氏はパニックに陥ったという。「どうして私を守らないのだ。ほかの省庁の首脳が民間からカネをもらっているのに責任を問われていないではないか」という発言までしたと省内に伝わっている。」こういうことがエコノミストに堂々と出ているわけです。要するに、こういうことが本当にぬぐいがたい不信感というものを私は招いていると思います。  ですから、その意味で、私は最後に、住専処理に強引に税金を使うのであれば、やはり大臣、きょうは総理おられませんが、総理、大蔵大臣、農水大臣、こういう方が率先して責任というものをとっていくべきである、けじめをつけるべきであるというふうに申し上げて、私の質問を終わります。  以上です。
  66. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて松田君、竹内君の質疑は終了いたしました。  次に、北側一雄君。
  67. 北側一雄

    ○北側委員 新進党の北側一雄でございます。  先週も質問をさせていただきましたが、引き続き御質問をさせていただきたいと思っております。  きょうも前回と同様、公的資金の導入の基準の問題について議論をさせていただきたいと思っておるわけでございますが、それとも関連してまいりますので、先にちょっと、新京都信販の破産の問題、これをお聞きをさせていただきたいと思います。  六月の三日に新京都信販、中堅のノンバンクでございますが、ここが破産宣告を受けました。まず、大蔵省の方に、このノンバンクの破産事件につきまして、この新京都信販に対して融資をしている金融機関、これがどの程度の数があるのか、そして負債がどの程度あるのか、御答弁をお願いいたします。
  68. 西村吉正

    ○西村政府委員 新京都信販が自己破産を申請いたしたわけでございますが、記者発表によりますと、負債総額は三千五百七億円、うち借入金が千二百二億円、保証債務二千二百八十四億円、このように伺っております。
  69. 北側一雄

    ○北側委員 この倒産したノンバンクに融資をしている関係金融機関はどの程度あるんですか。できれば業態別に分類して御答弁をお願いします。
  70. 西村吉正

    ○西村政府委員 これは、個別金融機関といいますか、特にノンバンクの破綻の問題でございますので、ノンバンクの経営内容を私どもの口から発表申し上げるということは、必ずしも適切ではないと存じます。(北側委員「数を聞いているんですよ」と呼ぶ)  借り入れをしております金融機関はかなり多数に上ろうかと存じますけれども、詳細につきまして私どもから発表することは差し控えさせていただきたいと存じます。
  71. 北側一雄

    ○北側委員 ちょっとよくわからないですね。名前を言えと言っているんじゃないんですよ。倒産をした、六月の三日に破産宣告を受けたノンバンクに融資をしている金融機関、業態別にその金融機関の数を出せと言っているんですよ。個別名を出せと言っているわけじゃないんですから、何の問題もないでしょう。
  72. 西村吉正

    ○西村政府委員 私ども、借り入れをしております主な金融機関状況等を伺ってはおりますけれども、借り入れをしているものの総数等につきまして、小さなところに至るまでのことまで把握はいたしておりません。
  73. 北側一雄

    ○北側委員 ちょっと私は信じられない答弁だと思うんですよ。現に今このノンバンクが三千五百億余りの負債を出して倒産をしているわけでしょう。金融機関はここにお金を貸しているわけでしょう。それはもう明確に不良債権になっているわけでしょう。どの程度の金融機関がかかわっているのか、都市銀行がどれぐらいあるんだ、地銀がどれぐらいあるんだ、そんなのを掌握するのは当たり前の話じゃないですか。それが答えられないなんておかしいですよ。
  74. 西村吉正

    ○西村政府委員 私どもは個別のノンバンク、特にこのノンバンクは独立系のノンバンクでございますが、そのようなものの破綻処理というものは私どもは当事者によって行われるべきものと考えておりますし、従来から、そのようなケースにつきましてすべて当事者で処理が行われてまいっております。  したがいまして、私どもは、そのような個別のノンバンクの処理につきまして、詳細にわたって行政が関与するということは適切でもないと存じておりますし、従来からそのようなことを行っているわけではないということを御承知おき願いたいと存じます。
  75. 北側一雄

    ○北側委員 委員長、今の答弁は、ちょっとこれは納得できないですよ、幾ら何でも。個別の、どこどこ銀行幾ら金を貸しているんだと聞いているわけじゃないわけでしてね。先週の議論でも、ノンバンクが我が国金融に与えている影響が大きいということはさんざん議論をしてきたわけでございまして、破産宣告を受けた新京都信販に貸している金融機関の数も出せない、もし掌握してないとしたらとんでもない話ですよ。ぜひこれはきちんとした答弁をするように、委員長の方から大蔵省に言っていただきたい。
  76. 西村吉正

    ○西村政府委員 いわゆるノンバンクと申しますものは、数で申しますと二万に上っております。二万に上るノンバンクの個別の処理につきまして、すべて行政が詳細にわたるまで関与をするということはなかなか難しいことでもございますし、私どもとしてはそれは必ずしも適切ではないというふうに考えて従来から対処してまいったわけでございます。
  77. 高鳥修

    高鳥委員長 局長に申し上げますが、少なくとも、主なる銀行、箇所数で大体どのぐらいとか、あるいはまた銀行関係の貸付金額で、主なるものを拾い上げれば今現在把握しているところはこの程度とか、そういうふうなことで答弁できませんか。
  78. 西村吉正

    ○西村政府委員 借入金の残高が千二百二億円ございますが、そのうち主要なものといたしまして、固有名詞を申し上げるのはそれでは差し控えさせていただきますが、A銀行九十六億円、B銀行七十二億円、C銀行六十七億円、D銀行五十五億円、E銀行四十九億円、そのようなものが主要なものと伺っております。
  79. 北側一雄

    ○北側委員 いや、私は、個々の金額を聞いているのじゃなくて、数を聞いているのですよ。どれくらいの金融機関がかかわっておるのか。何が言いたいかといったら、数多くの金融機関がかかわっておりますよということを示すがために聞いているわけですよ。どれぐらい都市銀行でかかわっているのか、長信銀がどれぐらい、信託がどれぐらい、生保が何社、損保何社、これぐらいの答弁できるでしょう。信用組合が何社貸しているんだという、そういう数は出ませんか。
  80. 西村吉正

    ○西村政府委員 今確かめましたところ、借入先の総数は七十社だそうでございますが、業態別につきましては、私今把握しておりませんので、後ほど調査をさせていただきます。
  81. 北側一雄

    ○北側委員 七十社。最初からそう答えてくださいよ。  農水大臣、このノンバンクにつきましては系統金融機関も融資をされておられるのですね。どの程度、系統金融機関がこのノンバンク、倒産した新京都信販に対して融資をしているのか、掌握されておられますか。
  82. 堤英隆

    ○堤政府委員 お尋ねの新京都信販に対しましては農協系統も一部融資をしていると報告を受けておりますが、農協系統の融資額につきましては全体で約八十億円程度というふうに聞いております。
  83. 北側一雄

    ○北側委員 系統金融機関すべてで八十億ぐらいの融資をこのノンバンクにしておるという御答弁ですね。  それで、先週の農水大臣の御答弁で、系統金融機関のノンバンクに対する融資額とその不良債権額、御答弁いただきましたですね。六兆から七兆のノンバンクに対する系統の金融機関の融資、正確に言いますと、先日の御答弁は、七・七兆円ですか、平成七年三月現在で。ただ、これは一兆ぐらい減っておるかもしれないという報告も受けている、このうち不良債権部分は約六百億弱でございますというふうなお話があるのですよ。  ところが、今のこの新京都信販だけで、ついこの間倒産した新京都信販だけで八十億のお金を貸しているわけですよ。これは破産宣告ですからもう大半が返ってこない可能性もありますよ。きのうも参考人質疑で農協の方が五百八十という数字を出されておりましたけれども、この五百八十とか六百弱とか、とてもこの数字は納得できない、信用できないわけですよ。だって、破産宣告受けたこのノンバンクで、一社だけで八十億もあるというのですから。  私、改めて言いますけれども、系統金融機関のノンバンクに対する融資、そしてその中の不良債権がどの程度あるのか、それはもう早急に調査をして御報告いただきたい。この委員会に御報告をいただきたい。
  84. 堤英隆

    ○堤政府委員 その点につきましては、この前農水大臣からお答え申し上げたとおり、ノンバンクに対します貸し付けの実態等につきましてさらに詳細に調べろという指示が私どもにございました。私どもの方もそういう実態につきましてできるだけ調べたいというふうに思っております。  平成七年三月期のものにつきましては先ほど来御説明しているとおりでございますけれども、今期につきましては現在決算中でございますが、そういう決算の状況を待ちまして、大臣の御指示のとおり、できるだけ詳細に私どもとしては把握してみたいというふうに思っております。
  85. 大原一三

    ○大原国務大臣 北側委員この前から御指摘のとおり、私も非常に心配をしているわけでありまして、多分六百億というのは破綻先債権ではないのかな。実際のところ、ディスクロージャーが行われておりませんし、平成八年の四月から段階的にディスクロージャーをしていこうと。一番最初の段階が破綻先債権でありまして、それから金利減免債権等へ段階的にやろうというのでありますが、やはりこういう状況の中で、そういう先の話ではなくて、三段階なら三段階、四段階なら四段階でいわゆる不良債権の全貌を把握していく責任が我々としてはある、そういう意味でお約束したのでありますが、この審議中にお出しできるかどうかは、事務的によほど詰めてみないと正確な御返事はできないと思います。
  86. 北側一雄

    ○北側委員 先週の委員会では主力二十一行の方の答弁は大蔵省の方からあったのですね。ノンバンクに対する融資額、不良債権額についてありました。これはやはり、系統金融機関不良債権額については、余りにも数がそれに比べて少な過ぎる。今のノンバンク倒産例から見てもおかしい。今の大臣の答弁では、破綻先債権額だけ出しているのかもしれないという御答弁でございまして、系統金融機関のノンバンクに対する不良債権がどの程度の状況にあるのかという実態がはっきりしないでどうして金融全体の問題の議論ができるわけでしょうか。やはり当委員会にきちんと出していただかないと、私は、金融全体の問題、特に系統金融機関、今後どうするんだというような議論なんかできるわけないわけなんです。  ぜひ、当委員会にきちんとした調査結果を、系統金融機関のノンバンクに対する不良債権状況について報告いただきたい。委員長に求めます。
  87. 高鳥修

    高鳥委員長 今調査中ということでございますので、できるだけ速やかに、まとまりましたら、当委員会報告していただくように要請しておきます。
  88. 北側一雄

    ○北側委員 先週もやりましたけれども、大蔵省所管の方の金融機関は、大手二十一行でノンバンクに対して三十一兆余りの貸し出しがある。そのうち不良債権化しているのが二割以上の約七・一兆あるという御答弁がございました。主力二十一行では二割以上あるわけですね。系統金融機関の方のこれまでのノンバンクに対する不良債権というのは、七・七兆貸していて、もしくは六・六兆貸していて、不良債権額は約六百億弱という御答弁がずっと続いているわけでございまして、ここはおかしい、今申し上げたように。これはきちんと掌握をしていただきたい。  今金融問題全体についての議論をしているわけでございますし、系統の今後をどうしていくのかというのも大きな論点であるわけでございますから、当委員会にきちんと出してもらいたい。完璧な数字を出せとは申しません、五百八十億とか六百億弱なんというふうな、そんな数字ではなくて、もう少しきちんとした数字を出していただきたい。いつまでに出せるか、御答弁お願いいたします。
  89. 堤英隆

    ○堤政府委員 平成七年三月期につきましては、これは国会でも御答弁申し上げておりますように、七・七兆円、うち不良債権が五百八十億ということでございます。これはディスクローズされているわけではございませんけれども、私どもとして、できるだけ国会の審議に供するということから、報告をとりましてここで御説明をしておるものでございます。  平成八年三月期につきましては、これから六月末に向けまして決算が現在進行中でございます。そういう状況の中で、私どもとしましても、できるだけこれから把握に努めてまいるわけでございますが、現在決算中であるということについても特段の御理解を賜りたいというふうに思う次第でございます。
  90. 北側一雄

    ○北側委員 だって、単位農協を全部調べろなんて言っているわけじゃないんですよ。農中と信連四十七しかないのですから。それだけ調査するのは、そんな時間かからないでしょうが。  ことしの三月期の決算の財務書類が出てきて、それはそれで結構です、そのときにまた御報告ください。しかし、農中と信連に対しては、数が決まっているのだから、ちゃんと農水省の方から事実関係を調査して掌握していただきたい。それはできないことはないと思います。これを当委員会中にぜひやっていただきたい。大臣。
  91. 堤英隆

    ○堤政府委員 私ども先ほどから、農中、信連、共済ということで、系統全体としての不良債権額ということで御説明しているところでございまして、平成七年三月期につきましては先ほど御説明したとおりでございますし、平成八年三月期の数字につきましては、現在、六月末に向けて決算がそれぞれ行われておりますので、その状況を待って、できるだけ早く私どもとしても実態を調べたい、こういうことでございます。
  92. 高鳥修

    高鳥委員長 農林水産省に申し上げますが、決算の総会は六月のあるいは半ば過ぎ、末ころかもしれませんが、決算資料はかなりもう調製ができているはずですから、できるだけ速やかに当委員会に、調査をして御報告ください。
  93. 北側一雄

    ○北側委員 委員長、ありがとうございました。  当委員会に、できるだけ調べて御報告ください。よろしくお願い申し上げます。その時点でまた私、それを踏まえてこの問題については質問させていただきたいと思っております。  大臣、よろしいですね。今委員長の方からの御要請がございましたけれども
  94. 大原一三

    ○大原国務大臣 ただいま事務局が答えたとおりであります。
  95. 北側一雄

    ○北側委員 大臣、済みません。今委員長の方から、当委員会に速やかに調査をして報告をするようにと。既に決算は、決算の最終的な報告自体はまだかもしれませんけれども、基礎資料はあるはずだから、きちんと調べて報告しなさいというふうに委員長から要請があったわけでございまして、これは大臣の方からもぜひ事務当局に対して、今の委員長の御趣旨を踏まえて指導していただきたいと思います。一言。
  96. 大原一三

    ○大原国務大臣 信連が四十七、共済連が四十七あるわけでございますが、その内容について、三段階ないしは四段階のいわゆる不良債権について、我々としてはこれは調査をしなければならぬということは先日も申し上げました。したがって、できるだけ早くこれをやるようにということは既に事務局に私から指示がしてあるわけでございますが、事務局の言うには、今すぐそれを出せと言っても、どんな正確な資料が出るか。自信の持てない資料をずらずら出しても意味がありませんので、十分時間をかけて、決算も六月中ないしは六月終わりにはわかるわけだから、精査をしてやるようにということを指示をしたわけでございますが、今委員長御指摘のとおり、今わかる範囲でということでございますので、そういう意味では御協力を申し上げたいと思います。
  97. 北側一雄

    ○北側委員 それでは、その御報告を、調査の結果をお待ちしておりますので、よろしくお願いいたします。  そこで、先週の私の質問、公的資金導入の基準について文書で出せという質問に対しまして、委員長の方から改めて政府の方に対して、努力をしなさいということがございまして、一昨日ですか、出てまいりましたので、委員の皆様のお手元にも行っておるかと思いますが、これもまた全然、私の質問に対する答えになっておらないのですよね。  私は、金融機関破綻の場合の公的資金、財政支出がなされるその基準というのは一体何なんだということをお聞きしましたら、返ってきた文書が、「「ノンバンクのうち住専について公的資金を導入する考え方」について」という、私の質問に対する答えとはちょっと違う、ずれている答えが返ってきているのです。  それで、これ、内容をちょっとやっていきますけれども、要するに四つの場合に分かれると思うのですね。先週も大蔵大臣からあった御答弁を後でちょっと紹介しますけれども、四つに分類できると思うのです。  金融機関の破綻前、要するに狭義の、預金者がいる、預金受け入れの金融機関破綻前に住専が破綻した場合に公的資金を導入するという話になっているのですね、今回の住専処理法案は。  で、金融機関破綻前の、住専を除くその他のノンバンク破綻については公的資金を導入しないというふうに政府・与党で決められておるということなんですね。これが二つ目。  三つ目は、預金者のいる金融機関そのものが破綻をする場合。  一つは、信用組合が破綻をした。今回の金融三法、預金保険法改正法案では、最終場面では、信用組合の破綻の場合には財政支出というのが手当てされておるわけですね。財政支出をし得る手当てがなされておるわけですよ。  ところが、信用組合以外の、これは系統金融機関もそうなんですけれども、その他の金融機関の破綻については、どんな破綻であろうと、最終場面で財政支出ができるような、そういう手当ては全くされておらないわけなんです。  というふうに、この四つの場合それぞれ、公的資金の拠出という面では全然対応が違う政府案になっておるわけでございます。そこで私は、公的資金導入の基準というのは一体何なのか、それを文書で出してもらいたいというふうにお願いをしたわけでございます。  ところで、一昨日出てまいりましたこの文書でございますけれども、私は内容には非常に不満でございますけれども、これは政府の公式的な見解でございますね。確認をしておきます。
  98. 西村吉正

    ○西村政府委員 大蔵省といたしまして、この法案を提出いたしました考え方を整理をして提出したものでございます。
  99. 北側一雄

    ○北側委員 大蔵大臣、これは政府の私の質問に対する、公的資金導入の基準を出してもらいたい、示してもらいたいという質問に対するお答えの文書、政府の責任の文書ですね。政府が責任を持って出した文書だというふうに理解してよろしいですか。
  100. 久保亘

    ○久保国務大臣 御質問のございましたことにつきまして、大蔵省として責任を持って提出した文書でございます。
  101. 北側一雄

    ○北側委員 大蔵省がということでございますので、もしかすると総理は聞いておらないのかなということかもしれませんが、ちょっとおいておきましょう。  そこで、この文書によりましたら、この文書の内容というのは要するに私はこういうことだと思うのです。これはノンバンクと住専について比べて、原則はそもそもノンバンクであれ何であれ、住専であれ公的関与を行わない、公的資金の導入はしないというのが原則ですと。そして例外的に、ここの文書の言葉をかりれば「臨時異例の措置として」、例外的に住専に公的資金を導入するのですと。  その導入する基準とは何なのか、この文書では非常に不明確ですけれども、あえて善意に解釈をさせていただいて読ませていただきましたら、一つは、この①の方に書いてありますけれども、「関係金融機関が非常に多数」で「利害関係が極めて錯綜している」。二点目が、「関係当事者間の話し合いだけでは解決を図り得ない」。この文書で読む限り、この二点しか善意に解釈して読めないのですね。そういう理解でよろしいですか。
  102. 西村吉正

    ○西村政府委員 政府の公的資金導入に関しましてとっております考え方につきましては、先ほど北側委員御整理をいただきましたように、預金受入金融機関であるのかどうかということ、それからその預金受入金融機関が破綻をする前であるのか後であるのか、そういう考え方にのっとって整理をしておるということでございます。  そういう考え方の中で、この住専に公的関与を行うということは臨時異例の措置ということで御提案申し上げているわけでございますが、その理由といたしましては、提出いたしました文書に述べられているとおりでございます。
  103. 北側一雄

    ○北側委員 今の銀行局長の答弁は、私の今の質問を肯定されたということですね。この二つの要件が満たされれば、公的関与は例外的にやりますよという趣旨ですというふうに理解してよろしいですね。
  104. 西村吉正

    ○西村政府委員 このような考え方にのっとって御判断をいただきました結果、今回の措置をとることを内閣として決断をいただいた、こういうことでございます。
  105. 北側一雄

    ○北側委員 要するに、住専の場合は関係金融機関が非常に多いよ、利害関係が錯綜しているよ、これが一点。もう一点は、関係当事者間での話し合いでは解決が図り得ない、この一点。この二点で住専に対しては例外的に臨時異例の措置として公的資金を導入したというふうな文書なんですね。これは非常に私はおかしな話だなと思うのですよ。  一つは、「関係金融機関が非常に多数」であると。この文書では住専七社丸めて数を出しておりますけれども、こんな、丸めること自体がおかしな話で、住専各社はそれぞれ独立の株式会社ですから、それぞれ一個一個見ていくべきですよ。そう見たら、負債をたくさん抱えていて経営が危機に直面をしているノンバンクとどう違うんだという話になってくるのです。変わりなんかありませんよ、そんなの。ノンバンクだって、関係金融機関が非常に多数で利害関係が極めて錯綜しているノンバンクなんてありますよ、こんなのは。これで住専とノンバンクを区別する理由にはならない。  もう一点の、「関係当事者間の話し合いだけでは解決を図り得ない」。関係当事者間で話し合いがっかなかったら公的資金を導入するのですか。そんなばかな話ないですよ。これだって要件には該当しません。非常に不的確な文書になっておるのです。この文書は、とても私の質問に対する回答の文書になっておりません。  それで、大蔵大臣大蔵大臣は私の先週の金曜日の質問に対して結構大事な御答弁をされておられるのですよ、よくよく読ませていただきましたらね。  二つほどちょっと久保大臣の御答弁を紹介させていただきますけれども、まず一つ目が、公的資金導入の基準について出さぬとだめじゃないかという私の質問に対して、大臣、こういうお答えをされておられます。金融機関の破綻が、これは預金受け入れの金融機関という意味だと思うのですけれども金融機関の破綻が予見される場合、予測される場合に、そういう事態が起こってから公的資金を導入するか、そういうことを未然に防止することによって経済金融の安定を図るか、そこは政治、政策の判断にかかわる問題だ、こういう御答弁をされておられます。よろしいですよね。  この御答弁は、そもそも私が冒頭に四つの分類をしましたけれども金融機関破綻前の問題と金融機関破綻後の問題と立て分けました。金融機関破綻前の場合の住専とかノンバンク破綻の場合に、そういう預金受け入れの金融機関の破綻が予見される、予測されるような場合に、そういうことを未然に防止することによって経済金融の安定を図るんだ、そこは政治、政策の判断だ、こうおっしゃったわけなんですね。  ところが、この御答弁で私は納得できないのは、一つは、この御答弁では、なぜノンバンクには出さずに住専には出すのかという、その区別の理由が何ら示されていないのです。これが一点。  もう一つは、それは何でも最終的には政治、政策判断です。ただ、今我々がここで議論をしようとしているのは、今後の日本のあるべき金融のことを考えたら、護送船団のこれまでの行政ではなくて、ルールに基づく透明な金融のあり方を考えていこうじゃないか、透明な行政にしていこうじゃないかということを議論をしているわけでございまして、そのことは大蔵大臣も何ら異存がないはずでございます。  この一番肝心かなめの公的資金導入のルールについて何ら決めなくて、その都度、この大臣の御答弁にあるように、金融機関の破綻が予測、予見されるような場合には、それを未然に防止するために、経済金融の安定を図るために政治、政策の判断として出すのはいいんだというお話だけでは余りにもルールが不明確なわけでございまして、こういうことを一たんやってしまったら、そのときの単なる政府・与党政治、政策判断だけで、時の政権の無原則な裁量によって公的資金導入というのがなされてしまうという問題点があるわけでございまして、ここはやはりきちんとそのルールを明確にする必要があるわけでございまして、この御答弁はやはり私は納得できないと思うのです。  ついでにもう一つ言っておきますね。もう一つ、久保大臣はこういう御答弁をされています。ちょっと違った観点から答弁されていまして、原則民間の問題であります、その当事者間で解決することが望ましいけれども、しかし、そのことが非常に困難な状況に置かれております場合に、そしてこの不良債権が先送りされれば一層深刻な事態になり、日本経済の将来に大きな影響を及ぼすということがわかっている場合、今度はこういう言い方をされているのです。  一つは当事者間で解決が非常に困難だということをおっしゃって、もう一つはこの不良債権処理を先送りすると日本経済の将来に大きな影響を及ぼすよ、だから住専に金を出すのだとおっしゃっておるわけでございますが、これも当事者間での解決が非常に困難だというだけの理由では理由にならないわけでして、当事者間で解決が非常に困難なノンバンクの処理なんて幾らでもあるわけでして、実際この新京都信販の場合は話し合いがうまくいかなくなって破産になっているわけですから。  そして二番目の、日本経済の将来に大きな影響を与えるといったって、こういう言い方をしてしまいますと、では仮にノンバンクの破綻でも今おっしゃっているような日本経済の将来に大きな影響を及ぼすような破綻があるならば、公的資金を導入することがあり得るというふうに読めるわけなんですね。大臣、いかがですか。
  106. 久保亘

    ○久保国務大臣 その前後にも申し上げていることがあると思います。国会の審議をお願いしているというようなことについても申し上げていると思いますが、今私の答弁を議事録で御紹介になったと思いますが、私今聞いておりまして非常にきちんとお答えしているな、自分でそう思っております。と申しますのは、もし公的資金導入について、これまでのルールとして数学の公式的なものがもし存在していたとするならば、これは御論議を願うものではないわけであります。それをそのまま当てはめればよいことでありまして、議論の余地は残らないわけですね。  ところが、今日まではこの金融機関の破綻等についての処理政治の場でどのように見るかというようなことによっていろいろな対応が考えられてきたと思うのでありますが、原則は、私が申しておりますように、これは民間の問題であり、当事者が処理すべきもの、それが原則であることは間違いございません。しかし、そのようなルールですべてが処理されるという金融システム、金融行政のあり方というものが確立されてこなかった、その責任は大変重いと考えております。したがいまして、そういうものをこの機会に明確にすること、それが必要なことであるという認識では、北側さんと私との間に異論はないと思います。そのことのために今金融関連法を御審議をお願いをいたしているわけでございます。  しかし、そのような新たな時代の金融システムや金融行政のあり方というものを確立していく、そのための条件といいますか、環境を整備していくためには、今あるこの深刻になっている問題、先送りを許されない問題を、公的関与を行っても処理しなければそこへ進めないという状況もあるのじゃないでしょうか。そのことに関して、私どもは昨年長い時間をかけて論議を与党においてもしていただきましたし、また金融制度調査会も議論をされたところであります。この答申も再度にわたっていただきました。そういうものの上に立って、私は、今日政府の責任として国会の御論議を経た上で、今私どもが提起いたしております方策によって住専問題を処理するということが極めて重要なことであるという判断をいたしたということを申しているのでございます。
  107. 北側一雄

    ○北側委員 大臣、大臣の今のお答えは、なぜ住専処理税金を投入するかという理由をるる御説明されているのですけれども、私が先週の金曜日以来議論しているテーマはそこじゃないのですよ。なぜ住専に出してノンバンクには出さないというふうに明確に分かれるのですか、それはそこに基準があるからでしょうというふうに言っているわけなんですよ。その基準についてお答えいただきたい。  だから、逆にこう聞きましょうか。例えば当事者間で解決が困難である、そしてほっておいたら日本の経済に大きな影響を与えてしまうというふうなノンバンクの破綻事件が仮にあった場合には、公的資金は出すのですか、出さないのですか。――これは大臣に、銀行局長はいい。
  108. 高鳥修

    高鳥委員長 まず局長、次に大臣。
  109. 西村吉正

    ○西村政府委員 その点につきましては先般御提出申し上げた資料にも示されているところでございますが、私ども判断といたしましては、この住専問題という今挙げたような意味での特殊な問題が解決した後には、ノンバンクの不良債権問題については原則に戻って関係当事者により処理されることとなり、十二月十九日の政府・与党合意にも掲げられておりますように、他のノンバンクについは公的関与を行わないということを示しているわけでございます。
  110. 北側一雄

    ○北側委員 銀行局長、時間をとるのをやめてくださいよ。結論だけ言っていただきたい。私はそんなこと――基準を聞いているのですから。  委員長、ここはもうやはり納得できません。私は大臣にお答え願いたいのですが、関係当事者間で解決が困難である、そしてその破綻が日本の経済に大きな影響を与えるような、そういうノンバンクの破綻については、公的資金は導入するのですか、しないのですか。
  111. 久保亘

    ○久保国務大臣 これは、関係金融機関等との間で処理できる案件については、その処理によってその破綻の処理をすることが正しい、こう思っております。  それでもう一つ、今北側さんが言われた中でつけ加えておかなければならないのは、その破綻が非常に大きな預金者の負担に及んでいくというおそれ、可能性というものをどう見るかということも判断の基準となろうと思っております。
  112. 北側一雄

    ○北側委員 とても合理的な御答弁はなされておらないわけでございますが、ちょっと戻りますけれども、大臣、金融機関の破綻が予見される場合、予測される場合に、未然にそれを防止するために公的資金を導入するという答弁ですね。今回の住専処理の場合は、どこの金融機関の破綻を予見、予測されておられるのですか。
  113. 久保亘

    ○久保国務大臣 再三政府委員からも、また私どもからもお答え申し上げておりますように、この破綻を単なる当事者間の処理、法的処理に任せました場合には、特に体力に弱点のございます系統金融機関等にはそのような影響が起こり得る可能性が大きい、そのように考えております。
  114. 北側一雄

    ○北側委員 大蔵大臣の御答弁は、系統金融機関の一部にこのままほっておくと破綻が予見される、予測される、だから公的支援を導入したのだという御答弁ですね、確認しますが。
  115. 久保亘

    ○久保国務大臣 それも判断一つだと申しているのであります。
  116. 北側一雄

    ○北側委員 私は冒頭で申し上げたように、今回の政府の処理というのは四つに分類できる。金融機関の破綻前については、住専破綻について公的資金導入、住専を除くその他ノンバンクについては、その破綻があっても公的資金はだめ。そして、預金者のいる金融機関の破綻、それ自体があった場合には、最終的には信用組合の場合は公的資金支出の手当てがなされている。その他の金融機関については、系統金融機関も含めてそういう手当てがない、金融システム内での解決だけ、こういう図式になるわけでございます。  一番これはおかしいなと思うのは、預金者のいる金融機関の破綻でさえ、信用組合以外はあくまで金融システム内で処理するのだ、これは当然ですよ。金融システム内でまずやるのは当たり前の話ですが、それがどうしてもだめな場合が仮に将来あっても、公的資金を入れる余地は、今回の金融三法ではないわけなんですよね。それなのに、預金者のいない住専には、公的資金六千八百億という、第一次損失だけで莫大な税金を投入する。さらに、第二次損失でさらにこれを上回るかもしれない税金を投入するかもしれないという案です。いかにこれがばらばらで場当たりか、私はこれではとても納得をできないわけでございます。  そこで、昨日当委員会におきまして参考人質疑をやりました。午後、池尾先生が参考人で来ていただきまして、意見陳述をされました。この池尾さんという方は、金融制度調査会の有力なメンバーでございますし、安定化委員会のたしか副座長か何かじゃなかったかなというふうに思います。  そこで、この池尾参考人がこう言っているのですよ。今回の金融三法については、第一歩なのだと言っているのですね、第一歩だと。信用組合以外の業態の金融機関についても、その破綻処理をいかなる体制で進めるのか、とりわけその資金的手当てをどうするのかという点は全く未確定のままであります、金融自由化を言う限りは、信用組合だけではなくて、普通銀行につきましても破綻処理のための体制の整備を整えることは当然必要であります、だから第一歩だというふうに言っているのですよ。普通銀行に対する破綻処理のための体制もつくらなければいけないということを強調されておられます。特に、その資金的手当ての問題が重要だというふうに言っているのですね。  さらに、住専の問題についてはこういうふうにおっしゃっているのですよ。金融制度調査会でこの住専処理の問題はどう議論されたのだという我が党委員質問に対して、こういうお答えをされています。池尾参考人は、昨年の八月の時点におきましては、当事者の合意努力をまつという姿勢でありまして、当事者に最大限の努力をしていただくということで、金融システム安定化委員会としては、当事者の議論を見守るというふうな姿勢を当面とっておったわけであります、そうした形で期待をしておったわけでありますが、最終段階になりまして、率直に申しまして、どこで、どういうふうな形で決まったのか、私はわからないのでありますがと、こう言っている。どこで決まったかわからないが、処理案というものが決まりまして、それが金融システム安定化委員会にも提示されるということに至ったわけでありますと。  金制調自体では、この住専処理の問題はほとんど議論なんかしていないのです。この段階では、もう政府、閣議決定というような形でまとまった段階で提示されるということになりまして、それに関しましては、率直に申しまして、委員の中でかなり議論が分かれているといいますか、評価が分かれていたということで、全面的にそれでいいというふうな雰囲気ではなかったと、このような答弁をされているわけでございます。  委員長、この公的資金導入の問題でるる質問してまいりましたが、やはりここは、今回の金融三法と、また金融四法とそれから住専処理法案の両法案にまたがる最大の論点は、公的資金の導入をどういう場合にどういう基準でどういう原理原則でやるのかということが最大の論点です。ここを今回の政府案のようなこんなあいまいな、不明確な対応であっては私はならないと思うし、ここはきちんと政府の統一見解としてこの基準を明確に出していただきたい。文書で出していただきたい。改めて委員長に求めます。
  117. 高鳥修

    高鳥委員長 委員長としましては、先般の北側委員の御質問に対しまして、大蔵省に対して、せっかく努力するようにという要請をいたしました結果、これ以上のお答えはできませんということで出してきたのが、この整理された文書であったわけであります。  今、北側委員から、統一見解をということでございますが、それにつきましては、理事会で協議をいたします。
  118. 北側一雄

    ○北側委員 統一見解を出していただきたいと思うのです。  そうしたら、ちょっと先に総理、総理にせっかく来ていただいていますので、ここが一番国民が関心を持っている大きな論点でございますので、このような大蔵省の役人の方がつくられたこういうペーパーではなく、きちんとしたその辺の基準を明確に出してもらいたい。いかがですか、総理。
  119. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今まで私の体験上、政府部内において見解が分かれておりました結果、統一見解を求められ、政府が提出をしたことはございます。  今回、政府部内において見解の相違はございません。
  120. 北側一雄

    ○北側委員 総理はおられなかったからかもわかりませんが、分かれているのではなくて、極めて不明確なんですよ。不明確なんです。不明確だから、ちゃんと基準を出してくださいというふうに言っておるわけです。住専には出して、ノンバンク破綻には出さないというふうに明確に政府・与党で決められているわけですから、何で信用組合には出して、その他の金融機関の破綻については出さないということになっているのか、その辺の基準を明確に出してください。  池尾参考人、金制調の有力なメンバーである池尾さんの話を聞いても、その辺が非常に不明確なわけですね、政府案というのは。ここはきちんと文書で回答をしていただく必要があるというふうに思います。
  121. 西村吉正

    ○西村政府委員 今まで何回もその点については御説明を私あるいは大臣から申し上げてきたところと存じますが、北側委員のおっしゃる基準という意味が、何かの算式に基づくというような意味であれば、そういうことはなかなか難しいかと存じますけれども、私どもは、御指摘の点についての取り組む考え方というものは、極めて明確に御説明を申し上げていると存じております。  繰り返しになりますが、それではその点を改めて御説明を申し上げますが、まず、あくまでも金融機関の破綻処理は、金融システム内の最大限の負担により行われることが原則でございまして、公的な資金は極力使わない、使うことなく済ますというのが基本的な大原則でございます。しかし……
  122. 高鳥修

    高鳥委員長 銀行局長、もういいですから。  それでは、北側君。
  123. 北側一雄

    ○北側委員 だから、その原則はよくわかっているのですよ。例外として出しているでしょう。例外として住専処理に財政支出をするという案じゃないですか。その基準は一体何だ、どうして住専には出してノンバンクには出さないのか。先ほど来の理由とされている、当事者間で話がつかないだとか、話が困難だとか、経済に大きな影響を与えるだとか、仮にそういうふうなノンバンクの破綻があったら公的資金を導入するという話になりますねと言っているのです。
  124. 西村吉正

    ○西村政府委員 その点も、先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、そのような基準に照らして考えるならば、住専以外のノンバンクについては公的関与を行う必要はないと政府・与党として判断をしているところだと申し上げているところでございます。
  125. 北側一雄

    ○北側委員 今銀行局長、大事な答弁をしましたよ。そういう基準に照らし合わせるならば、現状では今のノンバンクには公的資金を出す必要はないという答弁なんですよ、今のは。ということは、この基準が働くということなんですよ。この基準が働くということは、将来このようなノンバンクが出てきた場合には公的支援はあり得るという答弁ですよ。
  126. 西村吉正

    ○西村政府委員 私、現状というふうには申し上げなかったように記憶しておるのでございますが、先ほど来御説明申し上げておるような基準といいますのは、私どもは基準というのは考え方という意味において使っているわけでございますけれども、そのような考え方に基づいて現状を考えますと、住専以外のノンバンクにつきましてはそのような処理をする必要がないという判断に立っておりますと申し上げたわけでございます。
  127. 北側一雄

    ○北側委員 冒頭の新京都信販の状況なんかでも、あのような御答弁であるにもかかわらず、そんな状況をきちっと掌握していないわけでしょう。どうしてそんな答弁ができるんですか。同じようなノンバンクがあった場合には公的資金を導入する可能性があるという答弁になっているんです。本当に私は不明確だと思います。  委員長、改めて、ここはやはりきちんと文書を出していただかないと、一番大事な問題ですから、質疑は続行できませんよ。
  128. 高鳥修

    高鳥委員長 どうぞ質疑を続けてください。(発言する者あり)  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二分休憩      ――――◇―――――     午後一時六分開議
  129. 高鳥修

    高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前の北側一雄君の残余の質疑は後に譲ることといたします。  質疑を続行いたします。谷口隆義君。
  130. 谷口隆義

    谷口委員 新進党の谷口隆義でございます。  まず初めに、冒頭、現下の金融システムの危機的な状況と申しますか、大変な状況にあるわけでございまして、政府は、御存じのとおり、住専処理システム、スキームにおきまして六千八百五十億円というような極めて不明朗、また密室の中でやられたこのような状況に対して、いまだに国民は厳しい目で見ておるというのが現状でございます。そういう意味におきまして、今問題になっておるのは、極めて大きな問題として護送船団行政というのがあると思うわけでございます。  御存じのとおり、護送船団行政というのは、金融機関の一番ボトムのところを支えていこう、そのために極めてコストがかかる、このような状況金融行政が行われてまいりました。一九八〇年代にどんどん我が国は国際化の中に入っていったわけでございますが、一九八五年のプラザ合意以降、本来今日あるのがわかっておったにもかかわらず、それに対して我が国の金融行政は全く、今の国際化、また極めて国際的に競合するような社会の中でどう対応していくかということについて放置しておった状況が続いておったというのが現状なんだろう、このように思うわけでございます。  このような護送船団行政の中で、この住専処理システムはまことに典型的な護送船団行政そのものなんだろう、このように思うわけでございますが、今、そのような中で、政府の方は護送船団行政を見直していかなければいかぬ。今まで、銀行は一行もつぶさない、銀行不倒神話である、このようなことで来たわけでありますが、ここに来て、それだけのコストをかけるに値しないといいますか、そういう極めて厳しい金融システムの環境になってきた。  今回特に、この金融三法と申しますか、健全性確保のための法律案、また更生手続の特例に関する法律案、また預金保険法の一部を改正する法律案、この三法を中心にして本日は質問をいたしたいと思うわけでございます。  まず初めに総理にお聞きいたしたいのですが、この護送船団行政を見直すというようなお話でございましたが、今、一連の金融三法の問題、また住専処理スキームの問題におきまして、そのような兆しが私の方には考えられないというか感じられない、このように思うわけでございますが、総理の御見解、御所見をお願いいたしたいと思います。
  131. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今議員が護送船団行政という言葉をお使いになりましたが、これは確かに、私は、金融自由化が本格化する以前における金融機関の破綻回避を目的とした、あるいは前提とした競争制限的な金融行政の手法、そう位置づけております。そして私は、それはそれなりに一時期功を奏し、役割を演じた時期があったと思っております。  ただ、その後、金融自由化が進展していくプロセスにおきましてこの行政手法をもっと早く見直しておくべきだったという御指摘は、私自身大蔵大臣経験者として反省している一点でありまして、議員の御指摘は素直にこれはちょうだいをいたしたいと思います。  そして、私自身の在任中にも、信用組合で破綻に瀕したものがありましたとき、情報開示がほとんど行われていなかった状況、さらに預金保険というものが即座にワークする状況になかった、そうしたことを考えると、この護送船団方式と言われるその手法の中での処理を選択せざるを得なかった、そのような経験も持っております。  そうしたことを考えますとき、今後の金融行政におきまして、何といいましても一つは、自己責任原則というものを徹底していくと同時に、市場規律の十分な発揮というものを基軸とする透明性の高い金融システムをつくっていく、これが何よりも我々の目指すものでなければならないと思っております。そして、そうした状況の中において初めていわば新しい金融秩序の構築というものが完了すると私は考えておりまして、議員はその点に疑問を呈せられましたけれども、私は、金融三法というものは、そういう方向に向けていくために、環境をつくっていく上で大きな役割を果たすと考えておりますし、こうした環境を整備することによりまして、金融機関と行政との間に一定の緊張感が保たれる状況がつくり上げられる、そのように考えております。
  132. 谷口隆義

    谷口委員 また後ほど質問の中でさせていただきたいと思いますが、今回のこの金融三法の中に早期是正措置というのがございます。これはある意味において大蔵省の権限の再構築ではないか、このようなことを指摘される方もいらっしゃいます。このことについても、また後で質問いたしたいと思います。  いずれにいたしましても、今回のこの金融三法は、特に信用組合を念頭に置いた破綻処理と申しますか、破綻に対応する処理と申しますか、そのようなことであると私は考えておるわけでございますが、これは従来私質問しておったことなんですが、この信用組合の置かれておる状況が極めて不明確である、このように思うわけでございます。  なぜなら、この信用組合と申しますのは、都道府県が機関委任事務をやっておりまして、監督責任が都道府県に任されておる。現実にその経営破綻が起こった場合に、果たして国が責任を持つのか地方が責任を持つのか、このあたりが極めて明快になっていないまま現在もずっと来ておるというのが現状ではないか、このように思うわけでございます。  金融システム全般を見ますと、我が国の金融システムの中で、この信用組合のところだけが欠落しておると申しますか、風穴があいておるわけでございまして、実は弱小金融機関のこの信用組合のところからやはり経営破綻が現実に起こっておるわけでございまして、また今後そのようなことが危惧されるところがあるというような観点で今回のこの金融三法が提出されたんだろう、このように思うわけでございます。  そこで、大蔵大臣にお聞きいたしたいわけでございますが、先ほども申し上げました機関委任事務があって国と地方との問題があるわけでございますが、今後、この信用組合のあり方と申しますか、その関与の仕方、これが現在と同様に今後推移していくのか。また違う角度でこの信用組合の状況を把握するようなことを考えていらっしゃるのかどうか。  またもう一つは、今現在、地域金融機関として、端的な例を申しますと、木津信用組合が経営破綻をいたしました。ああいう協同組織金融機関におきまして、員外貸出規制があるにもかかわらず、現今の信用組合業界全体を見ますと、もう既に全体の平均そのものが二〇%を超えておるというような状況にございます。現実に、木津信用組合と都銀との間で同じテーブルで競合が行われておった、同じ土台の上で競合が行われておった、このようなことがあるわけでございます。  まず、先ほど申し上げました国・地方の関係、また信用組合の今後の状況、また地域金融機関として信用組合に対するこれからの方向と申しますか、どのような形で存続させていくのか、また別個違うイメージをもって考えていらっしゃるのか、そのあたりのお答えお願いいたしたいと思います。
  133. 西村吉正

    ○西村政府委員 最近における一連の金融機関の問題につきまして、御指摘のように、信用組合というものは非常に大きな位置づけを占めております。すなわち、一昨年の九月に二つの東京の信用組合の破綻に関しましていろいろ国会でも御議論をいただいたわけでございますが、そのような御指摘の中で、私どもも、この信用組合のあり方というものについて深く考えさせられるところがあったわけでございます。  まず、地域金融機関としての方向づけという御指摘でございますが、バブルの発生以来、もともとは仲間うちの金融機関であるべき信用組合というものが、一般の金融機関と同じようなビヘービアをとって、そういうことの結果として破綻に結びついているという事例が多く見られました。  そこで、私どもは、この信用組合というものを、本来の仲間うちの金融機関としての性格に戻っていただくというか、そういう位置づけを守っていただく方々は従来と同じように信用組合としてやっていただくと同時に、例えば今御指摘の員外貸し出しあるいは員外預金というような点について一般の金融機関と同じような行動をとるものについては、そのような枠組み、金融システムの中での一般金融機関としての位置づけの中で活動していただくようなことが必要なのではないかということで、業態転換というようなことも御提案申し上げているわけでございます。  なお、国と地方との関係につきましては、もとより機関委任事務として都道府県知事に検査・監督が委任されているわけでございますが、私どもも、金融システム全般に影響のあるような場合には、地方公共団体と一緒になってこの問題に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
  134. 谷口隆義

    谷口委員 銀行局長、御答弁いただいたのですが、私が先日お尋ねしたときの御答弁と全く同じでございまして、どちらに破綻責任があるかということに対して明快な答弁になっておらないわけでございまして、そういうことは地方公共団体に対する影響が極めて大きくて、私は大阪が地元でございますが、特に大阪の信用組合は、極めて脆弱な基盤の中で、経営の破綻がいつ起こってもいいような状況にあるというようなことを巷間聞いておるわけでありますが、そのような中で、現在はそういうような状況にあっても、今後はどういう形で持っていくのかということも含めて、一遍明確に御答弁お願いいたしたいと思うのです。
  135. 西村吉正

    ○西村政府委員 信用組合の検査・監督の権限につきましては、東京の二つの信用組合の破綻以来いろいろな御議論がございました。  その中では、地方公共団体の側、今御指摘の大阪府も含めまして、今や信用組合の監督というものは非常な重荷になっているので、国がもっとその行政に直接取り組んでくれないかというような御提案もございました。他方におきまして、権限の地方への移譲という問題との関連におきまして、機関委任事務というものはむしろ地方にすべてゆだねるべきである、このような御議論もございます。  このように、国がより多くの行政を吸い上げていくべきだ、金融の世界においてはそういうことが必要だという御議論と、地方により権限を移譲していくべきだという御議論と、その中におきまして信用組合の監督というものをどう位置づけていくべきかということは極めて難しい問題であろうかと存じます。  私どもといたしましては、信用組合の監督は、従来と同様、都道府県知事に機関委任事務として引き続き責任を持ってやっていただくと同時に、検査等において共同で取り扱っていくということなどにつきましては従来以上に国も積極的にお手伝いをしていく、そのような方策が必要なのではないかと考えているところでございます。
  136. 谷口隆義

    谷口委員 今銀行局長の方から国と地方公共団体が共同検査を行うというようなお話がございましたが、監督権限において、国と知事が共同検査を行う場合の発動基準と申しますか、どのような場合に共同検査を行うのか、御見解をお願いいたしたいと思います。
  137. 西村吉正

    ○西村政府委員 現行法上は、都道府県知事の要請があり、かつ大蔵大臣が必要と認める場合には、大蔵大臣及び都道府県知事が共同で検査を行うことができるということになっております。昨年の金融制度調査会の答申におきましては、「共同検査の要請について発動基準の明確化を図り、共同検査を早期是正措置の一環として位置付けることが適当である。」とされたところでございます。  私どもといたしましては、金融制度調査会の答申を踏まえまして、共同検査の発動基準を早期是正措置の一環として位置づけまして、例えば自己資本比率が一定の水準を下回った信用組合につきましては、原則として大蔵省と都道府県の共同検査を行うというような方法を含めまして、今後、基準の明確化を図ってまいる所存でございます。
  138. 谷口隆義

    谷口委員 今回の、先ほど申し上げました金融三法におきまして、信用組合において、どうもこれが施行された場合にこういうのはどのようになるのかなというようなことが何点かあるわけでございます。  まず一点お聞きしたいのですが、金制調答申では、信用組合の破綻処理に当たって出資者責任が大前提となっておるわけでございますが、御存じのとおり、信用組合が出資を募ることが極めて困難な状況になっております。一方で、先ほども申し上げましたように、自己資本比率が一つの基準になって早期是正措置を行う、このようなことでございますが、このような信用組合にとって非常に厳しい経営環境の中で、この自己資本比率を上げると申しますか、早期是正措置を回避するというためには信用組合の組合員の出資をふやすというようなことになるのだろうと思うわけでございますが、そういう意味においてこの出資をふやすのが大変困難であるというような状況でございます。  このような状況の中で、この法案が成立しますと、即座に信用組合に対して、早期是正措置の対象になってそれなりの対応をやっていかざるを得ないような状況になるところも出てくるのだろう、このように思うわけでございます。このような現状に対しまして、大蔵省は別途、この信用組合に対してどのような経営改善策を考えていらっしゃるわけでございましょうか。
  139. 西村吉正

    ○西村政府委員 自己資本を基準といたしまして早期是正措置を導入するといたしますと、今まで以上に自己資本の充実ということが大変大切になってくるわけでございます。その中におきましても、ただいま御指摘のように、協同組織金融機関は会員の相互扶助を目的とした組織であるところから、出資金以外の自己資本の拡充策というものは利益の内部留保に限定されているというのが現状でございます。  そういたしますと、自己資本の充実ということについて協同組織金融機関は大変に制約された条件の中にあるわけでございますけれども、これをどのような方法で充実策を講じていくのか。例えば劣後ローンだとかいろいろな手法を協同組織についても認めてはどうかというような御主張もあろうかと伺っておりますけれども、協同組織としての性格と、それから自己資本充実という要請、その二つの観点からこのような問題についてどのように考えていくか、慎重に検討してまいりたいと考えております。
  140. 谷口隆義

    谷口委員 今私、劣後ローンのことを申し上げようと思ったのですが、今銀行局長がおっしゃいましたが、これは事前に明確にしておかないと、この法案が施行された場合に極めて混乱が生じるのだろうと思うのですね、信用組合の中で。特に、先ほども申し上げました大阪の信用組合は、かなり経営が悪化しておるというような現状のようでございます。そのような状況の中で、これが施行された後に考えていくというような姿勢では、なかなか実務の中で受け入れがたい。極めて大きな問題が間違いなく生じるというようなことなのだろうと思いますが、それに対しまして具体的に御答弁をお願いいたしたい。
  141. 西村吉正

    ○西村政府委員 基本的には、先ほど申し上げましたように、協同組織金融機関、とりわけ信用組合は会員の相互扶助を目的とするものでございますので、外部から資本的なものを取り入れるということについてはなかなか難しい点もあろうかと存じます。  しかしながら、他方において、御指摘のように自己資本の充実ということが要請されるという側面も、とりわけ早期是正措置の導入に伴いまして強くなっているところでございます。現在は、国際統一基準による自己資本比率で認められる劣後債務等につきまして、これを国内基準の自己資本比率、これは信用組合等もそういう基準でやっているわけでございますが、その国内基準の自己資本比率においても算入可能とする方法も考えられるかと存じますが、その詳細について今後検討を進めまして、可能なものから措置を講ずることとしたいと考えております。
  142. 谷口隆義

    谷口委員 これは、事前にそのあたりを具体的に公表すると申しますか、やっておかないと、施行された段階で大変混乱する可能性がございますので、ぜひそういうようにお願いいたしたいと思います。  また、もう一つお聞きいたしたいのでございますが、信用組合の業界で合併を行うというようなことも考えられるのだろうと思いますが、例えば、ある信用組合が別の信用組合を救済するために事業譲渡を受けようとする場合に、救済される信用組合の破綻認定がまず必要である、自己資本のロスへの充当が前提、このようになっているために、救済した側の信用組合は、事業譲渡後、自己資本は増加せずに資産増加だけが起こるということで、自己資本比率が低下するというようになるわけでございますが、そうしますと、先ほどの早期是正措置の対象になってくる。こういうようになるわけでございまして、こういうことは不良債権の償却余力を持たない信用組合の再編を促進するために必要な制度であって、金融関連法案が破綻処理一辺倒との批判を回避するためにもぜひ取り上げていかなければいけない問題であるというようなことでございます。  具体的に申し上げますと、信用組合が例えば水平合併をするような場合、一定のリストラを含む経営改善計画を前提に、整理回収銀行が合併後の組合経営に見合った価格で不良債権を購入できることとし、同行が負担することになる損失額を預金保険機構が資金支援するというようなことが考えられるのですが、このようなことについてどのような御見解でございましょうか。
  143. 西村吉正

    ○西村政府委員 まず、信用組合等の合併ということによりまして自己資本比率が低下するという問題でございますが、かつて私どもは、金融機関経営危機というものを合併というような手法によって対応していくということを主体としてまいりました時期がございました。しかしながら、最近におきましては、やはり経営危機を処理するに際しまして合併をした相手方まで体力を低下するというようなことについて、すべての問題の対応方法としていかがなものであろうかというような反省もまた出てきているわけでございます。  とりわけ信用組合の経営危機に対処いたしまして、合併という手法がどこまで活用し得るかという問題はなかなかに深刻な問題もございまして、とりわけ大都市部におきます金融情勢を勘案いたしますと、恐らく、従来と同じような位置づけにおきまして合併によって現状をしのいでいくということについてもおのずから限界があろうかという御指摘もまた見られるところでございます。しかしながら、他方におきまして、やはりこれも一つの大きな手法であることには間違いございません。委員御指摘のとおりでございます。  そのような場合において今御指摘の手法、すなわち経営危機に陥りました金融機関不良債権の部分を切り離して整理回収銀行に譲り渡し、いわば健全な部分を残すという方法によって金融機能を生かしていく、このようなことは考えられないかという御指摘かと承りましたが、私の理解によりますと、アメリカではクリーンバンクPアンドAと言われているような手法であろうかと存じます。今回の金融三法の中におきましては、そのような手法をも講じられるように措置しているところでございます。
  144. 谷口隆義

    谷口委員 先ほど質問いたしたことでございますが、信用組合が、地域金融機関の役割と申しますか使命と申しますか、極端な話が、存続する意義があるのかないのか、こういうような議論も出てくるわけでございまして、現今の状況を見ておりますと、極めて脆弱な経営基盤の中で、業態の、比較しますと大きいところに比べましてそれなりのメリットもないということになってきますと、これは、当然その存在基盤そのものも疑われるような状況になってくるときもあると思うわけでございますが、そういう観点で、いろいろ方法を考えていかなければいけない。合併というのも一つの方法なんだろうと思うのですね。  現状の中で放置しておりますと、特に私の方の地元の大阪の信用組合あたりは資金が流出しておるのではないかというようなうわさを聞いたりもいたすわけでございまして、一つは、ある程度の金融機関に、例えば信用組合から信用金庫に格上げするとか、そのためには合併を前提にしてある程度の資金規模にやっておかなきゃいかぬと思うわけでございますが、今のまま放置しておると、これは、先ほど申し上げましたように、この法律が施行された段階で即座に早期是正措置の対象になってくるわけでございます。そのあたりの具体的なイメージが全くわいてこないということが私の最も大きな疑問でございまして、そのあたりを明確に御答弁お願いいたしたいと思います。
  145. 西村吉正

    ○西村政府委員 御指摘の問題は、これは非常に難しい課題であろうかと私ども行政としても考えておりますし、それから、我々行政以上に業界の中で、今後の信用組合のあり方ということについて深刻に関係者が悩んでおられる課題であろうかと存じます。  一つは、信用組合が仲間内の金融機関として本来の信用組合のあり方に徹するという行き方があろうかと思いますけれども、これは現在の信用組合の状況からいたしますと、すべてがそのような形で今後も継続して営業を続けるということは難しかろうと存じます。むしろ、一般金融機関と同じような形で営業をしておられるところにつきましては業態転換、具体的に申しますと、信用金庫あるいは銀行という形で、今後、一般の金融原則に沿って仲間内の金融機関という性格を脱してやっていくという方法もあろうかと存じますけれども、しかしながらそのような道を選ぶ場合には、今まで以上に営業基盤、経営基盤というものが強化され、信頼されるものでなければならないわけでございます。  そのような業態転換を仮に進めるという場合に、今委員の御指摘のような合併というようなことも一つの手法であろうかと存じますけれども、それに限らず、それぞれの信用組合の性格に応じたいろいろな形での経営基盤の強化策があろうかと存じますし、その場合に、監督に当たっておられます都道府県のお果たしになる役割も非常に重いものがあろうと存じます。国の行政としてもそのような問題に取り組んでまいりたいと考えております。
  146. 谷口隆義

    谷口委員 それでは、先ほども申し上げました早期是正措置についてお聞きいたしたいわけでございますが、金融機関は、今回、この法案によって資産の自己査定を行う。外部監査人がこれをチェックする。チェックしたものをベースにして自己資本比率を算出して大蔵省に報告する。大蔵省の方は、この自己査定に基づいて再度チェックして、不良債権等を勘案して自己資本比率を確定し、その指標に基づいて銀行の指導を行う、このようなことでやられるようでございますが、これは今非常にマスコミ等でも問題として挙げられておるところでございますが、自己資本比率について詳しくお聞きいたしたいと思います。  金融機関の自己資本比率というのは、本来どういう意味合いを持つのかというようなことがあるのだろうと思います。多分、金融機関経営の先行指標どしてこのような自己資本比率を持ってこられたのだろうというように思うわけでございますが、実務の世界におきましては、こういう自己資本比率というのは、先行的な意味合いというよりも、むしろ結果として自己資本比率が算出されるというようなことなんだろうと私は思うわけでございまして、いろいろな問題があるわけでございます。例えば、現在多くの金融機関が非常に悩んでいらっしゃるような問題、不良債権の償却の問題がございます。不良債権の償却を行うと損失が生じます。損失が生じますから自己資本が減少するわけでございます。自己資本が減少しますと自己資本比率が低下するわけでございまして、そうしますと不良債権の償却ができないというようなことになるのではないか、このような危惧がなされるわけでございます。  また一方、自己資本比率につきましては、今、国際決済銀行のBIS基準ですね、八%以上、また国内展開のみの店舗におきましては自己資本比率が四%以上、このようになっておるようでございますが、統計を見ますと、九五年三月末で、数ある銀行の中でこの基準に至らなかったのは二行であったというように言われております。当然のことながら、あの経営破綻した兵庫銀行もこれをクリアしておったというような状況でございました。このような状況の中で、この自己資本比率を今回早期是正措置の指標として採用されておるわけでございますが、そのようなことに対する御見解をお願いいたしたいと思います。
  147. 西村吉正

    ○西村政府委員 金融行政を透明化かつ迅速化するために早期是正措置というやり方が非常に適切であるということについては、金融制度調査会におきましても、さまざまな見地からそういう御意見がございました。しかしながら、それではどういう指標をもってこの早期是正措置を発動するのかという点については、これまたいろいろな御意見がございました。すなわち、アメリカは自己資本比率というものを基準に行っているわけでございますけれども、非常に透明、単純、明快でございますけれども、それだけで金融機関のいわば生死を判断する、健康状態を判断するということでは単純過ぎるのではないかという御意見もまた他方にございました。  しかしながら、私どもといたしましては、これを余り精緻にし、あるいは判断の余地を高めるということになりますと、本来、早期是正措置の目的といたします透明性、迅速性ということにやはり支障が生じるのではないか、こういう考え方から、いろいろ制約はございますけれども、やはり自己資本というものに着目いたしまして、アメリカでも幾ばくかの経験がございますので、そういうものを参酌しつつ、この自己資本を中心とした早期是正措置の発動という基本線を貫いていこうという考え方で取り組んでいるところでございます。
  148. 谷口隆義

    谷口委員 もうちょっと詳しくお聞きしたいのですが、これは当然そうなんだろうと私は思うのですが、自己資本比率は末の残高でやるのか、いわゆる平残でやるように想定されておるのか、まずこれが第一点。  それと、銀行は多分、この早期是正措置の対象になるような事態を避けるために、必死になって自己資本比率をある一定水準に維持しよう、またそれ以上にしていこう、このようにするのだろうと思いますが、現実の問題として、その自己資本比率の低下を招来するということは、これはあるわけでございます。例えば、自己資本の金額、絶対額を一定としますと、自己資本比率を六%から八%に引き上げるというような例でいきますと、総資産を二五%圧縮する必要があるというようなことでございます。現実の問題として、二五%の総資産を圧縮することは不可能なんだろうと思うわけでございます。  そうしますと、このような金融機関はどういうような対応をするのか。一つは、大蔵省の方といろいろなお話し合いをされるのではないか。大蔵省の方は、先ほど私が申し上げましたが、この護送船団行政をやめるのだ、どんどん、やはり自由化のあらしの中で競争力をつけてもらわなければ困る。こういう流れの中で、しかし一方では、こういう早期是正措置を通じて、大蔵省の権限の再構築と申しますか、このようなことが行われるのではないかというようなことが言われておるわけでございます。  先ほど私が申し上げました、例えば六%から八%に引き上げるのに二五%の圧縮をしなければいかぬ。これは、二五%の圧縮は実務的には大変不可能なことだと思いますが、しかし、いずれにしても、この自己資本比率を維持するために、例えば貸し出しを抑制する。今現在BIS基準がクリアできない金融機関が与信を抑えておる、これが景気に与える影響が極めて大きくなっておる、こういうことも考えられるわけでございますが、このようなことに対しまして御見解をお願いいたしたいと思います。
  149. 西村吉正

    ○西村政府委員 自己資本を維持あるいは向上させるためにどのようにすべきかという課題は、今回早期是正措置を導入するということに際しましても重要な課題になってくるわけでございますが、今までにおきましても、例えばBIS基準を守るために大変に苦労したときがございます。株価が低下いたしましたときに、日本の金融機関はBIS基準八%を維持するために大変に苦労いたしました。  そのときに、金融機関はどのような対応策を講じることができたかといいますと、今谷口委員が御指摘のように、一つは、総資産を圧縮する、すなわち貸し出しを減らすとか、あるいは証券化というような方法によりまして総資産を圧縮するという方法、すなわち分母を縮めるという方法が一つございました。もう一つは、分子をふやすという方法でございまして、それは、自己資本の額をふやす、充実するということで、そのためには劣後債の発行であるとか、今までやってなかったような手法を講ずることを金融機関はいたしました。  今回、早期是正措置という課題に取り組むに際してもその二つの道があろうかと存じますが、どちらかというと、総資産の圧縮というのは金融活動にとりましては消極的なというか守りの姿勢でございますし、分子をふやす方は積極的な手法になろうかと存じます。どちらの道を選ぶかはそれぞれの金融機関経営方針に関することでもございますけれども金融当局といたしましては、それらの手法が円滑に実施できるような枠組みを整える、こういう役割を担っているかと存じます。  なお、早期是正措置が権限の再構築につながるという御指摘でございましたけれども、私どもの問題意識といたしましては、現在の銀行法におきましても大蔵大臣の権限といたしまして業務停止等を命令することは可能でございますけれども、しかしながら、その発動基準が必ずしも明確でなかったことにより我々が迅速に取り組めなかったという反省もございますし、透明性に欠けているという御批判もあるところでございます。このような行政行為の迅速性、透明性という点についてより一層充実し、よりよい行政を目指すという見地から今回の早期是正措置を御提案申し上げておるところでございますので、御理解いただきたいと存じます。  それから、自己資本比率を末残か平残かと。この問題もBIS規制との関連で随分と議論をされたことがございました。それぞれ一長一短があるわけでございますが、やはり末残という考え方で定着しておると考えております。
  150. 谷口隆義

    谷口委員 末残で定着しておるということになりますと、極めてこれは懇意的に、一日だけですから、極端な話をしますとどうにでもなるというぐらい対応できるわけでございますが、それに対してそういうことをさせないような対応は考えていらっしゃるのですか。
  151. 西村吉正

    ○西村政府委員 御指摘のような問題に対応するために平残をとるべきである、こういうことを私ども考えたことがございます。バーゼルの自己資本比率、BIS規制を決めております会合におきましてそういうことが議論されたこともございました。しかしながら、どうも諸外国の考え方によりますと、仮に、平残をとるというような、一時点だけではなくて安定性を指標に求めるという考え方であるならば、むしろ期中の最低の水準というものをとるのが適切ではなかろうか、こういう御指摘が諸外国からあったことがございます。そういう経緯もございまして、一長一短あるわけでございますが、現在のところ、世界の考え方の大勢は末残をとるということで、多くの人がそのような基準を考えているのではないかと考えております。
  152. 谷口隆義

    谷口委員 末残をとるということに対しましては、私も長いこと職業会計人としてやっておりましたので、極めて恣意的と申しますか、そういうことができるわけでございますので、何らかの、外堀を埋めると申しますか、そういうことができないような環境をやはりつくる必要があるのではないかな、このように思います。ぜひ考慮をしていただきたいというように思っております。  その次に、今回五年間の特別措置で預金保険機構の中に特別勘定が設けられた経緯でございます。  これは、一般金融機関特別勘定と信用協同組合特別勘定、こういうようなことでございますが、これは五年後に廃止されるというようなことでございます。その折に累積の赤字がたまっておったとした場合に、この一般特別勘定に責任準備金が残っておればそれで補てんする、なおかつ、それで補てんできない場合は政府はこれを財政資金を使って穴埋めする、このように考えていらっしゃるのでしょうか。
  153. 西村吉正

    ○西村政府委員 私どもといたしましては、預金保険料を一般保険料、特別保険料含めまして七倍に引き上げるというような措置を講じまして、今御指摘のような事態が生じないようにということを考えて今の仕組みをつくってはいるわけでございますけれども、しかしながら、信用組合の経営の現状を考えまして万全を期するという見地から、今御指摘のような、政府保証を付した上、現実にその保証を実行する必要が生じた場合には財政支出をも行うことを考えるような仕組みを御提案申し上げているわけでございます。
  154. 谷口隆義

    谷口委員 それは、前提として日銀からの借り入れを行って政府保証する、それでその資金が結局、最終的に五年後にこれは廃止されるわけでございますが、その残高について返済するべき、償還するべき資金がないわけですから、財政資金を投入する、こういうことですね。
  155. 西村吉正

    ○西村政府委員 五年後に清算をいたしまして、もし日銀等から借り入れた資金を返済するということが不可能な部分が生じましたら、その分について財政資金を充てる余地をお認めいただきたい、このような提案でございます。
  156. 谷口隆義

    谷口委員 その次に、金融機関更生手続特例等に関する法律案についてお聞きいたしたいと思います。  金融機関が破綻したときの処理を適時適切に開始する観点から、監督庁は、金融機関に破綻の原因たる事実が生じるおそれあるときは、更生手続開始の申し立てができることとする、このようになっておるわけでございますが、この監督庁というのは何を指しておるのでございましょうか。
  157. 西村吉正

    ○西村政府委員 金融機関の監督に当たる立場にある者でございまして、具体的には大蔵大臣または都道府県知事でございます。
  158. 谷口隆義

    谷口委員 そうすると、信用組合の場合は、先ほども明確になっていないと私が申し上げております機関委任事務の関係で、知事が監督権限を持っておって破綻処理責任を持っておるのかどうかというのは極めて不明快、こういう状況の中で知事が更生手続開始の申し立てをやるわけですか。
  159. 西村吉正

    ○西村政府委員 これは、従来から信用組合に関しましては、例えば業務停止命令、業務改善命令等、監督権限はすべて知事が発動していたわけでございます。したがいまして、信用組合につきましては、今後ともそのような仕組みのもとで都道府県知事が責任を持って行っていく、こういうことになろうかと存じます。     〔委員長退席、大島委員長代理着席〕
  160. 谷口隆義

    谷口委員 いや、私が申し上げているのは、この更生手続開始の申し立てというのは、これはやはり破綻処理責任を持っている者が開始の申し立てをするのではないか、このように理解しておるわけでございますが、先ほどから申し上げておりますように、機関委任事務の結果、監督権限が都道府県にある。監督権限と破綻処理責任は、これはまた別の話でございますから、これは機関委任事務の結果、監督責任を都道府県が今持っている、こういうことでございます。この監督庁については、当初は大蔵省だけであったというように私はちょっと聞いておったのですが、これは、知事が監督庁、都道府県が監督庁ということになりますと、若干、私が先ほどから申し上げております監督権限、破綻処理責任の問題を明確にしないと、このあたりは極めて中途半端な形になってくると思うわけでございますが、もう一度御答弁をお願いいたしたいと思います。
  161. 西村吉正

    ○西村政府委員 私どもは、銀行及び信用金庫につきましては大蔵大臣、信用協同組合につきましては管轄をいたしております都道府県知事、それから、強いて申しますならば、労働金庫につきましては大蔵大臣と労働大臣、それが申し立て権を与えられる、このように理解をいたしております。
  162. 谷口隆義

    谷口委員 それはわかるのですが、要するに、信用組合は都道府県知事が申し立てを行うという根拠を聞いておるわけです。
  163. 西村吉正

    ○西村政府委員 信用組合を監督・検査いたしますのは、機関委任事務として知事に与えられている権限でございます。従来からもそのようなことでやってまいりましたが、今後ともそのように、信用組合の監督・検査、その結果としての処理ということもそれは含まれていると私ども考えておりますけれども、そういうことについては都道府県知事が責任を持って行っていく、こういうことでございます。
  164. 谷口隆義

    谷口委員 今銀行局長おっしゃったのは、結果としての処理もその中に含まれておるということは、破綻処理責任も都道府県が負担するというようなことでございますか。
  165. 西村吉正

    ○西村政府委員 さようでございます。  従来からも信用組合の破綻処理は都道府県知事がやってまいりました。例えば信用組合に業務停止命令を出すというのは、都道府県知事の名において行ってきたことでございます。
  166. 谷口隆義

    谷口委員 今の発言は極めて重要な発言であったと私は思っております。今まで監督権限は確かに地方自治体、都道府県の首長である知事が持っておりました。ただ、各地方自治体の間でいろいろ大蔵省との話し合いがあったと思いますが、破綻処理責任をめぐって明確な御答弁はなかったわけでございます。  今、銀行局長は明確に、破綻処理責任、監督責任は地方自治体の知事にあるんだ、こういうことなんですね。
  167. 西村吉正

    ○西村政府委員 御指摘のとおりでございます。  ただ、問題を区別して申し上げるとすれば、あるいは谷口委員はこのようなことを御指摘なのかもしれませんが、破綻をした場合に、その処理に要する費用をだれが持つかという問題につきまして、例えば大阪府の御主張を考えますと、破綻をした場合の負担をすべて都道府県に課するということは問題ではないか。例えば、従来都道府県が財政支援をしてきた例もあるけれども、それは破綻処理の義務として財政支出をしているのではなくて、地域対策という観点から、別の観点から財政支出をしているんだということを主張しておられるわけでございます。  そのことは、破綻をした場合の負担をどう分担していくかという問題でございますが、破綻を処理する権限がだれにあるかということについては都道府県知事であるということは明確でございますし、従来から都道府県知事の名において業務停止等がなされてきた、こういうことでございます。
  168. 谷口隆義

    谷口委員 私は今の問題を何回か指摘したのですが、最後、破綻処理責任まで地方公共団体の知事が持つというような御見解は今初めてお聞きいたしました。  冒頭私が申し上げました金融システム全般の中で、信用組合だけがぽこっと穴が抜けておるというか、あいておるわけでございます。現実、そういう経営破綻を起こした、極めて資金量の大きい、具体的に申し上げますと、木津信用組合あたりは、我が国の金融システムを揺るがすほどの大きな金額でございました。  これが大蔵省の監督下にない、また破綻処理責任もないということになってまいりますと、極めて整合性のないと申しますか、統一的な管理ができない。極めて金融システム全体が脆弱と申しますか、いっどのようなことが起こってもおかしくないような今の現状の中で、これは極めて大きな問題になるのではないかと思うわけでございますが、これに対しまして御答弁をお願いいたしたいと思います。
  169. 西村吉正

    ○西村政府委員 従来から、信用組合の監督、それは破綻の処理を含めまして都道府県知事が行ってきたわけでございますけれども、しかしながら、先般の東京の二つの信用組合の処理をめぐりまして、都道府県の力だけではなかなかに処理し切れないようなケースが発生してまいりました。  別の言い方で申し上げますと、我が国の金融システム全体に影響を及ぼすような場合におきましては、これは都道府県知事にゆだねているというだけでは金融システム全体の安定性を維持することは難しゅうございますので、そのようなケースにつきましては、大蔵大臣といたしましても、我が国の金融システムの安定性維持という観点から、都道府県知事と力を合わせまして、場合によっては日本銀行も力を合わせましてこの問題に取り組む、こういうことで臨んできているわけでございます。
  170. 谷口隆義

    谷口委員 いずれにしても、先ほども私が申し上げましたように、破綻処理責任も地方公共団体、知事が持っておる、こういうような御見解であったというようにお聞きしました。  それで、またこの更生手続特例等に関する法律案のことでございますが、金融機関に破綻の原因たる事実が生じるおそれがあるときというような場合は、これは具体的にどのような事態を想定されていらっしゃるのでしょうか。
  171. 西村吉正

    ○西村政府委員 破綻の原因たる事実とは、支払い不能または債務超過でございます。したがいまして、そのおそれのあるときと申しますと、支払い不能または債務超過のおそれのあるとき、このように理解をいたしております。
  172. 谷口隆義

    谷口委員 支払い不能というのは極めて判断が難しいですね。ですから、この中し立てを行うかどうかというのは、ちょっと私が感じるのは、かなり懇意性が入ってくるんじゃないか、このように感じるわけでございますが、そのあたりはどうでございましょうか。
  173. 西村吉正

    ○西村政府委員 確かに判断が難しい点もあろうかと存じますけれども、私どもは、支払い不能または債務超過が生ずることが客観的に予想され得るような場合、このように考えております。
  174. 谷口隆義

    谷口委員 例えば債務超過は、これは決算をしてみないとわからない、年に一遍やってみないとわからないと思うわけでございます。月次決算のことをおっしゃっておるのかどうかわかりませんが、これはどういうことでございましょうか。
  175. 西村吉正

    ○西村政府委員 谷口先生は会計の専門家でいらっしゃいますので、御指摘のとおりでございまして、私どもも、一般的に申し上げますならば、決算時にそういう状況が判明する、こういうことであろうかと思います。  通常はそういうことであろうかと思いますけれども、しからば年度の途中でそういうことが起こることが絶対にないかということになりますと、途中におきましても、経営状況等が明確に破綻のおそれがあると言えるようなときには、これはそのような判断をすることもあり得ることかと考えております。
  176. 谷口隆義

    谷口委員 私が申し上げているのは、機動的に動けないと言っているのですね、一年に一遍であれば。これは、例えば資金ショートする、支払い不能に陥る、こういうのは極端にばっといくわけでございまして、だんだん支払い能力が低下するということじゃないわけで、そういう意味での機動性が落ちるのではないか、低下するのではないか、このような観点で申し上げたわけでございます。このあたりも十分考慮に入れていただきたいと思います。  その次に移りますが、先ほども私申し上げました木津信用組合のことでございますが、この木津信用組合の経営破綻に至る道筋をずっと見ておりますと、三和銀行紹介預金が極めて大きな影響をしておったということのようでございます。今政府は、住専問題で母体行責任を強く求めていらっしゃいます。都銀と信用組合の関係も同じような構図がある、このように私は感じる次第であります。特に、昨年経営破綻をいたしました木津信用組合にとって、この三和銀行は母体行の関係にあった。経営破綻に対する責任の所在を明確にする必要があるのではないか、このように私は考えております。  ちなみに、三和銀行紹介預金の推移を見ておりますと、昭和六十二年四月に二十億円を皮切りに、平成四年十月まで五年半にわたって反復継続して、平成二年十二月のピーク時には総預金の三六%、三千百七十四億円が紹介預金であった。また、三和銀行は、昭和二十八年に、木津信用組合設立時に指導助言をやっておりまして、延べ十五人にわたる人材を派遣するというほど極めて密接な関係にあった。ピーク時に三千百七十四億円の紹介預金を、その後急激に引き揚げるわけですね。  大阪府の調査によりますと、この紹介預金が木津信用組合に預け入れられた、預け入れられた資金を運用するがために例えば不動産投資に乗り出していった、不動産投資に乗り出していってピークのころに紹介預金を引き出した、引き出すことによって、高利の預金をつくって、商品を開発してやらざるを得なかった、このような構図が見えてくるわけでございます。これが経営破綻の極めて大きな原因の一つではないか、このように思うわけでございますが、このようなことにつきまして総理の御見解をお願いいたしたい。
  177. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は個別の信用組合の内情を十分に承知をしておるわけではございませんし、今、木津信組を例にとられていろいろお話がありましたけれども、私はそれ自体に十分な知識を持っておりません。  ただ、いつの間にか信用組合というものが変質してしまったという感じは否めないものがございます。非常に身近なところで身近な方々を対象として非常に地味なものとして運営されていた、いっそれが変質をしてしまったのか。ある意味では、そうした問題意識がございますがゆえに、いろいろな御批判をいただきましたけれども、今後、金融機関不良資産処理の中におきまして、やはり信用組合というものはちょっと別な扱いをするといった考え方も生まれる素地もあったと思います。  そして、大変古い話にさかのぼって恐縮でありますけれども、土光臨調と言われました第二次臨時行政調査会のときに、今思い起こしておりましたのは、信用組合の監督というものがこのままでいいのかということが部会ベースで取り上げられたことがございました。  ところが、結果としてこれには改正を加えられず、そのままに残っていたわけでありますが、考えてみますと、その当時には信用組合は特段の問題を持っておらなかったわけでありまして、それが、国と県との監督権限の整備というものがその時点に行われておれば、あるいはまた違った結果を生じていたのかな、そのような思いもしないではありません。さまざまな感慨を持ちながら、今御意見を拝聴しておったところであります。
  178. 谷口隆義

    谷口委員 ちょっと私がお尋ねした答弁ではなかったのですが、要するに、具体的に木津信用組合の問題におきまして、大蔵大臣もしくは銀行局長どちらでも構いませんが、今私の申し上げましたこの木津信用組合に対する三和銀行責任、これは、先ほども私申し上げておりますように、大蔵大臣もよくおっしゃっておりますように、住専問題における母体行の責任と極めて似ている、同じような構図でございまして、経営破綻の一つの大きな原因になったんだというように私は考えておるわけでございます。それに対して、三和銀行は今回のこの処理に対してそういう資金の支出ということも含めて負担をしなければいけないのではないか、私はこのように思うわけでございますが、それに対しましてもう一度御答弁をお願いいたしたいと思います。
  179. 西村吉正

    ○西村政府委員 木津信用組合に対しますいわゆる紹介預金の問題といたしましては、御指摘の三和銀行に限りませず、幾つかの金融機関が木津信用組合に対して紹介預金をしていたということはございます。また、他方におきまして、木津信用組合の経営への関与ということに関しまして申しますならば、それらの紹介預金をしておりました金融機関の間に相当な濃淡があるというようなこともございます。  いずれにいたしましても、木津信用組合の処理の問題に関しましては、昨年の十一月二十二日に木津信用組合の処理について発表をいたしました際に、関係金融機関の協力ということで、破綻処理に要する費用についてはまず紹介預金等を通じて木津信用組合と関係の深かった金融機関に対して可能な限りの協力を求めるという趣旨のことを私どもは発表しているところでございます。  預金の紹介を行った金融機関に対しまして、直ちに法律上の責任を問うということは難しいと考えられます。また、当事者間の私的な預金取引でございますため、経営上の責任論についても見方がいろいろございまして、一方的に断定することは困難でございますが、いずれにしても、木津信組の破綻処理に要する費用については、紹介預金等を通じて木津信組と関係の深かった金融機関に対して可能な限りの協力を求めていく所存でございます。     〔大島委員長代理退席、委員長着席〕
  180. 谷口隆義

    谷口委員 そうしますと、これは従来政府からおっしゃっておられますように、住専関係金融機関追加負担というような問題がございます。これは本質的には全く変わらないと私は思っておるわけでございまして、住専関係で母体行に追加負担を求めるのであれば、今回のこの木津信用組合の件において、母体行の立場である三和銀行追加負担を求めるというのはむしろ当然の話でございますので、そういうことでぜひまた政府におかれましてもやっていただきたいというように思っております。  あと、農林系金融機関追加負担ということで、私、本日の午前中の審議を聞いておりましたが、大原大臣が御答弁されておられました。今、六千八百五十億円の住専関連予算のうち、農林系金融機関で一月から三月までの金利分が月間二百億、合計六百億、それに一般金融機関が二百五十億でございますから、合計しますと八百五十億ですね、約一千億。それ以外にまた一千億ほどを追加負担してもらうというようなお話があるようでございますが、これに対しまして、午前中のお話では、私は聞いておらないというようなことをおっしゃっておられたのですが、この追加負担についてもう一度御見解をお願いいたしたいと思います。
  181. 大原一三

    ○大原国務大臣 その際お答え申し上げたのでありますが、まだ政府として具体的にどういう負担をするのかということも決まっておりませんし、また、当事者が非常に多いわけでございまして、信連から共済から、これらの方々がどう考えていらっしゃるのかも私としては的確にまだ把握しておりません。したがって、今の段階では何とも申し上げられない、こういうことを申し上げたわけでございます。
  182. 谷口隆義

    谷口委員 五千三百億円がぎりぎりの負担であると何回もおっしゃったわけでございますので、このあたりとの話が、またこれに一千億、二千億、このように追加負担できるのであれば当初からやっていただければいいことでございまして、スキームの流れを見ますと、当初、この農林系金融機関が一兆一千億を負担する、もともと国民負担は考えておらなかった中で、急にこのようなことになったわけでございますので、そのあたりの状況が、これは当初の根拠そのものが大きく変わってくるのではないか、このように私は考える次第であります。  時間がございませんので、最後に質問いたしたいわけでございますが、今回のこの金融三法は破綻処理のインフラが整備されるというような法案であろう、このように思うわけでございます。基本的には、信用組合の場合、実はこの金融機関の問題、金融システムの問題というのは、確かに脆弱な経営基盤の信用組合は一番大きな問題ではあるわけでございますが、それだけではなくて、これは信用金庫にも、第二地銀、地銀、また大手の二十一行にもそういうようなおそれがあるわけでございます。  そういう状況の中で、今回、いわゆる弱小金融機関と申しますか、信用組合を念頭に置いた法案であるわけでございますが、これを拡大するというようなことになるとこれまた大変なことになるんだと思いますが、当初から全部をこの範疇に入れたような形の法案にはならなかった、この理由をお聞きいたしたいと思います。
  183. 西村吉正

    ○西村政府委員 この金融三法案は、御指摘のように破綻処理のインフラという側面があるわけでございまして、それは破綻のみにかかわらず、金融機関の健全化だとかあるいはその他の預金保険制度の充実という観点からも、インフラの整備という役割を担っていると思います。  その場合に、それではそれは信用組合だけを念頭に置いたものであるのかと申しますと、決してそういうことではございませんで、この金融三法は銀行から信用組合に至るまですべての金融機関を念頭に置いたものでございますけれども、その中で、例えば整理回収銀行あるいは公的関与ということに関しまして申し上げますならば、確かに信用組合を念頭に置いた部分がございます。それは一般的に他の金融機関も含めまして全体を視野に置いたものでございますけれども、信用組合の部分がとりわけ脆弱な部分であるので、その点に関しては信用組合に限った特別の措置をも付加して講ずる、こういう枠組みになっていると御理解をいただきたいと存じます。
  184. 谷口隆義

    谷口委員 それじゃ、これで終わらせていただきます。
  185. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて谷口隆義君の質疑は終了いたしました。  次に、平田米男君。
  186. 平田米男

    ○平田委員 住専の問題を議論してまいりまして、予算委員会から引き続いて大変長いわけでございますが、審議をする中でいろいろな問題が明らかになってきておるわけでございます。  そういう中で、ひとつ具体的な問題からまず入らせていただきたいというふうに思うのですが、大蔵大臣も総理も同じかと思いますが、住専債権の回収は徹底してやる、そして地の果てまで追いかけてやっていくんだ、あらゆる権限を使って、こういう大変力強い御発言をしておいでになりました。これは、この処理スキームが通って、でき上がって、そして住専処理機構ないし預金保険機構をもってやるんだという御趣旨かもしれませんが、しかし、この法案審議に入って既に半年近くなっておるわけでございますし、この処理スキームを検討し始めてからは一年近くたつのではないかと思うわけでございまして、その間に相当住専も変質をしておりますし、また借り手もさまざまな対応をしているわけでございます。  きのう、清水直参考人がこの住専スキームの問題点を幾つか挙げられた中で一つ言われているのは、着手が遅い、会社更生法を適用するなら、あすにでも保全管財人が決まり、二、三カ月後には内容が明らかになって、裁判所から更生管財人がさらに選任をされて財産管理もきちっとされるだろう、こうおっしゃっているわけであります。いまだにそのような状況にはこの処理スキームではないわけでありますが、しかしその間、今申し上げたように住専も、そして借り手もどんどん変質をしている。変質をしているということは、資産が散逸をして債権回収がなかなか困難になりつつある、こういうことなのではないかというふうに思うわけであります。  例えば末野興産、新聞記事が幾つか出ておるわけでありますが、見出しだけ見てみますと、末野興産については九一年から資産隠しをしていたとか、それからダミーの十一社に資産を移転している、三十二物件、四百億円で売却している。借り手責任の追及に備えてやったんだと。また、昨年の十二月以降だけでも、不動産二百億円を隠している。また、小切手で九十億円、社長みずから車の中に隠していた。それから借名口座、五百十三億円の預金があった。こういう実態が次から次へと報道をされているわけであります。  末野興産だけではありません。もう一つ挙げますと桃源社。桃源社については、賃料は社長の会社に振り込み先を移しかえている、数億円の差し押さえを回避しているというようなことが報道されております。  ほかの住専からの借り手についても、まだまだ調べれば同様なことが起きているというふうに容易に推測をされるわけでありますが、いまだに何らの手も打たれていない、これが現実なのではないかと思います。  確かに検察の手、捜査の手は伸びました。また国税の調査も入りました。しかし、いずれもこれは債権の回収のための手続、手段ではないことは明白でございます。幾ら国税が調べたってお金が戻ってくるわけではありません。事実関係を明らかにする情報はもらえるかもしれないけれども、散逸した資産を回収するには法的手続をきちっとしなければならないわけであります。  私どもは、住専に対して、政府・与党考えでおります処理スキーム、住専処理機構という株式会社をつくってそこに債権の取り立て代行をさせる、さらに預金保険機構にさらにさらに取り立て代行をまた頼むというような回りくどいやり方ではなくて、住専そのものを、会社更生等の法的手続をとって直ちに保全管財人を選任をしていただいて、財産を保全をするとともに厳しい取り立てをやるべきだ、こう言っているわけでありますが、それについては政府・与党はいまだに反対をしておいでになります。  その辺の議論を今やる前に、それはさておいて、この法案が仮に通ったとして、政府の考えでおります住専処理機構ができ、そして預金保険機構が活動を始めて取り立て業務を開始できるには相当な日時を要するわけであります。あと三カ月どころじゃありません、半年ぐらいはかかるのでしょう。その間にさらに借り手は財産を隠し、ますます債権の回収は困難になっていくわけであります。これに対してどういう手を打つべきなのか。これは今回のスキームをつくった政府・与党責任者として当然考えておられなければならないことだと思いますが、どのようにお考えでございましょうか。
  187. 久保亘

    ○久保国務大臣 今平田さんが御紹介になりました末野興産や桃源社の財産隠しや分散などにつきましては、これは国税、検察、警察が協力して、債権の保全を図るためにも、法的に追及できるものを追及する中で明らかになったものであります。そういう努力を今可能な限りやっているということも認めていただいた上で御答弁を申し上げたいと思います。  私どもは、住専からの借り手に対して強力な債権の回収を図るということを住専問題と取り組みますときの重要な、基本的な立場として確認をして出発を、御審議をお願いを申し上げたと思っております。残念ながら、今日までまだ住専処理機構がスタートできない状況にありますために、当初考えておりましたよりもおくれておりますが、しかし、これまでも住専の各社に対しましても、今日まで、できる限り借り手の債権を回収できるように努力をするよう、特に法的整理を必要とするものに対してはそのような手段も用いて回収に当たるべきだという立場を明らかにしてきたところでございます。  しかし、今日なお回収の手続に、預金保険機構と住専処理機構が一体になって、今回の法律によって御決定をいただきますならば付与されます財産調査権等も含めて、全力を挙げる段階にまだ来ていないことは大変遺憾に思っておりますけれども、御指摘がありましたように、回収すべき債務の散逸、劣化を避けるために、今後も可能な努力は続けていかなければならないと考えておりますが、この処理法案が、御審議いただきまして成立をさせていただきますならば、できるだけ早くその体制を整え、具体的に回収の作業に入れるようにやってまいりたいと思っております。
  188. 平田米男

    ○平田委員 法的処理をすべきであるという立場を明らかにしてきたということが今の大臣の御答弁の肝心なところだというふうに思います。  そういたしますと、私ども考えます法的手続というのは、まず、債権回収のためには、抵当権があれば抵当権の実行をする、抵当権がなければ債務名義をとって強制競売にかける。また相手が債務超過あるいは支払い不能、支払い停止になっている場合は、会社更生とか破産とか、そういう倒産処理の法的申し立てをして手続に入る、破産決定とか更生開始決定というものをとる。こういうのが今大臣がおっしゃった法的処理、このように理解をするわけでございますが、そういうことでよろしいでしょうか。
  189. 西村吉正

    ○西村政府委員 住専処理機構及び預金保険機構が住専から引き継ぎました債権を回収いたします場合に、あらゆる法的な措置をも含めまして、最も効率的な資金の回収に臨む、このような趣旨で大臣が申し上げた次第でございます。
  190. 平田米男

    ○平田委員 いつも西村銀行局長はこうでございまして、まともにお答えをいただけないというのが、予算委員会を通じての私ども質問者側のいつもの印象でございます。  私は、法的処理ということの内容について、具体的にその手続を挙げまして、そういうことでございますかというふうに確認をしているわけでありますから、それをどうなのかというふうにお答えをいただきたいのですよ。  今私は処理機構ができ上がる前のことを申し上げておるわけでございまして、その前のことに対して、いかに債権保全をするか、借り主の財産隠しを防ぐか、そういう意味で大臣は法的処理をすべきであるという立場を明らかにしてきた、このように御答弁をいただいたわけでございますので、その法的処理の中身は何ですかと、さらに私は再度質問をさせていただいたわけでございます。  こういう回りくどい質問、答弁というのは時間のむだ遣いでございますので、ぜひとも真摯なお答えをいただきたい。再度お願いを申し上げます。
  191. 西村吉正

    ○西村政府委員 住専処理機構が設立される以前の段階におきましても、現段階の住専におきましても、回収に当たり、必要に応じて競売、差し押さえ、仮差し押さえの申し立て等の法的手続をとってきていると聞いております。  例えば、七年度の住専七社の合計で申し上げますと、競売に付しましたものは件数で二千二百二件、金額で二千四十五億円に上っております。また、差し押さえ及び仮差し押さえの件数は三百七十八件、六百二十九億円に上っておると聞いております。
  192. 平田米男

    ○平田委員 そこの法的処理の中には、借り手に対する会社更生の申し立てとか、あるいは破産の申し立てというのは入っているのでしょうか。また、それは現実になされているのでしょうか。
  193. 西村吉正

    ○西村政府委員 今御指摘の点について、具体的な計数を今持ち合わせているわけではございませんが、調べまして、後刻御報告いたします。
  194. 平田米男

    ○平田委員 競売とか差し押さえ、仮差し押さえの件数はすらすらとおっしゃり、金額も明らかにされながら、一番強力な債権保全の手段である会社更生とか破産の申し立てについては調べなければわからないというのは、極めて不可解です。不可解です。これはもうわかっているはずでございまして、やっていないならやっていない、やっているならやっている、そういうふうにお答えをいただいて、直ちに件数なりを明らかにしていただきたいと思います。それだけは調べなければわからないなんというのは納得できません。
  195. 西村吉正

    ○西村政府委員 確認をいたしておりませんので、今お答えを申し上げることは差し控えた次第でございますが、私の印象では、そのような手段は恐らく最近においてとってはいないと思いますけれども、私、確認をした上でございませんので、留保をさせていただきたいと存じます。
  196. 平田米男

    ○平田委員 不正確な御答弁だということを前提にされたわけでございますが、破産とか会社更生というのは最近においてはとっていないということは、極めておかしいなと思います。  一つ一つの担保物権とか債権の行使というよりも、もう既に支払い不能あるいは債務超過に陥っている大手の借り主がたくさんいるわけでありまして、そこに対して、今、末野興産とか桃源社の例を挙げましたが、財産隠し等の行為をやっているわけでありまして、個々に競売をかけるとか、あるいは差し押さえ、仮差し押さえをやるよりも、強力な手続である破産とか会社更生の申し立てをするのが適切な判断だと思うわけでございまして、やっていないというのは大変けしからぬと思うのですよ、大臣。  要するにこれは、大臣がおっしゃっていることと事務方が考えておいでになることには、大分開きがあるんじゃないでしょうか。大臣は徹底してやるんだとおっしゃっておられるのに、どうもその徹底してやるのは住専処理機構ができて、それからやるんだというような誤解をしておいでになるのか知りませんが、しかし、もし住専処理機構がスムーズにでき上がって動き始めるためには、その事前の段階、今の段階にきちっと債権保全の手を打っておくということが極めて重要です。これはだれが考えたって気づくことでありまして、それを怠っている、全く怠っているわけではありませんが、適切にはどうもやっていない、こういう銀行局長の御説明のようでございますが、大臣、どうですか。
  197. 久保亘

    ○久保国務大臣 住専処理機構が設立されて公的関与が不良債権処理に行われるという段階までは、住専と借り手との関係なのではないでしょうか。しかし、これらの問題に対して、政府としては、住専に対して、法的な整理も含めて可能な限り財産が保全され、回収の手段が尽くされるようにということを申しているのであります。  そして、この問題は、実際に住専処理機構と預金保険機構が一体となった回収に向けての公的な関与が可能となりましてから、さらに強力に進められる。現在、我々の側から関与をいたしておりますのは、明らかに法律に違反している行為等を通じて問題となっておりますものを追及して、あわせて、そのことによって債権債務の保全に努める、こういうことであろうと思っております。
  198. 平田米男

    ○平田委員 おっしゃるとおり、住専と借り手の問題です。それはおっしゃるとおりでございますが、住専処理機構が発足しなければ、住専が何をやっていても構わないということではないはずでございます。  今、政府が、母体行と農協の話し合いがつかないので、そこに割って入って、そして財政資金六千八百五十億円、二次損失については半分はまた財政資金で負担しますよというスキームを提案をし、そしてでき上がったとおっしゃっている、この住専処理スキームであります。ということは、母体行や、あるいは系統を指導し、また、直接住専を指導して、住専処理機構が十分な回収ができるように万全な準備をしておきなさい、こう言って指導をされるのが、これは国民に対する責任だろうと私は思いますよ。それが、住専と借り手の問題ではないか、このような一言で、何か政府の責任ではありませんというような御趣旨のことだとするならば、国民はこれは納得できないのではないかと思います。  その点、大蔵大臣はそんな御趣旨でおっしゃったのではない、ちょこっと言葉が滑ったのではないかというふうに私は思うわけでありますが、滑ったというよりも、事実関係を明らかにされたというふうに理解しましょう。  しかし、今申し上げたように、それはやはり住専に対してきちっと指導すべきなんであって、競売やら差し押さえや仮差し押さえだけではなくて、破産とか会社更生等、やれるものは全部やれ、こう言って指導されるのが私は当然だと思います。やっていないという状況については大臣は進んで、直ちにやれることはやりなさいというふうに指導したい、このようにお答えをいただくのが国民に対する真摯なる御答弁なのではないかと思います。金融機関経営者の責任についても大臣が率先して明らかにすべきだとおっしゃってきたことと同様に、やはり一番肝心な住専のその対応については、もっと強力な御指導があってしかるべきだと私は思いますが、いかがでございましょうか。
  199. 久保亘

    ○久保国務大臣 平田さんは、私の言っていることをまともに受けとめてくださっていると思っておりますが、私は、住専に対して、政府として今日まで指導ができる限りにおいて、法的な手続も含めて、借り手に対する追及、回収に努めるようにと指導はしてまいりましたということを申し上げてあるのであります。  しかし、現在、政府の側から法的整理に訴えるということは、住専の借り手に対しては、法律上の責任が追及できるもの以外には難しいのではないかということを先ほどは申し上げたのであります。その意味でも、速やかにそういう手続を含めて債権回収に強力に取り組むことができるように法案の早い成立をお願いしていると申し上げているのであります。
  200. 平田米男

    ○平田委員 今、末野興産、それから桃源社の例を挙げました。財産隠しをしている、あるいは賃料を別の口座に振り込みさせている、こういうことが報道されているわけでありまして、少なくともこの二社に対しては、破産の申し立てないし会社更生の申し立てを債権者である住専からやるべきだと思いますが、いかがでございますか。そのような手続を検討しておられるのでしょうか。
  201. 西村吉正

    ○西村政府委員 大臣からも御答弁申し上げましたように、現段階での住専と政府との法律関係といたしましては、旧出資法に基づく行政の対象、こういうことでございます。その旧出資法の規定によりますならば、御指摘のような、住専の貸付先に対してどのような法的処理をするかということまで政府が権限を持って指導することは、法律的には不可能であろうかと存じます。  もとより私どもは、この住専問題の置かれております現状、今までの経緯等にかんがみまして、住専に対しまして、その債権の保全を全力をもって確保するように、私どもといたしましても住専に対してそのようなことを申しているわけでございますが、法律的に処理をすることを強制をする、あるいは政府の権限として指導をするということまでは、今の法律関係のもとでは制約があるということを御理解いただきたいと存じます。  もとより、そのような法律的な関係がお認めいただきました後においては、全力をもってそのようなことに取り組むつもりでございます。
  202. 平田米男

    ○平田委員 西村銀行局長がおっしゃることはよくわかります。権限を持って強制するとか権限を持って指導することはできない。  しかし、後段は納得できません。この法案ができなければ何らの指導もできないと。権限を持っての指導とかあるいは権限を持っての強制をしてくださいと私は申し上げているわけではありません。先ほど大臣が、法的処理をすべき立場を明らかにしてきたというふうにおっしゃったわけでありますが、これも法的権限を持った指導あるいは強制ではないはずでございます。それと同じような趣旨で破産の申し立て等をやるように指導をすべきなのではないか、このように申し上げているわけであります。  今回の処理スキームをつくるに当たっては、母体行とそして系統の金融機関の当事者の話し合いに任せておいたけれども、それができなくなったので政府が入ったのだというお話でございました。これも権限を持って介入したわけではないでありましょう。権限を持たないでもこのような処理スキームを政府はおつくりになったというこれまでの御説明であるわけでありまして、一番重要な債権回収のときに、国民に六千八百五十億円負担させるときは権限がなくても介入をし、そして債権の回収のときには権限がなければ指導ができませんという言いわけは、国民は納得できません。  これは、権限がなくても、破産の申し立てぐらいしなさいよと母体行を指導できませんか。こういうことは私は言ってしかるべきだと思うわけであります。ですから、お願いをしているわけでございます。権限を持って強制してくださいとか、権限を持って指導をしてくださいというふうに今お願いをしているわけではありません。  これは総理、私の申し上げていること、よくわかっていただけるかと思います。我々は立場が違います。私たちは、住専は会社更生等の法的処理をすべきだ、総理は、住専処理機構をつくって債権の取り立てをして債務を整理すればいいのです、こういうお考えでございます。しかし、ともに共通しておりますのは、借り手からしっかり回収しましょう、財産隠しは許さないぞ、これはともに共通しているわけでありまして、ここには何も意見の対立はないわけでございます。  ですから、私は、会社更生を住専に適用するかどうかという問題はさておいてと冒頭に申し上げたわけでございまして、ぜひとも末野興産とか桃源社やその他の大手の借り手、これに対しては破産の手続等をきちっとやれるかどうかというのは、今からでも結構でございますから、直ちに私は精査をして、そのような要件を満たしているものはどんどん申し立てをさせるというような権限なき指導をぜひ、権限なき指導というよりも、権限がありませんからお願いをしていただいて結構でございますが、何でも結構でございますので、そのようなことをやはり政府として責任を持ってやっていただきたい。これが少なくとも国民の声を、今政府のスキームに反対しているのがもう圧倒的でございますから、少なくともその共通している問題についてはともに力を合わせてやるということについて合意をいただけないものかと思うわけでございますが、総理いかがでございますか。
  203. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、公務員がみずから法律によって付与されている権限を越えて勝手に行動することは好きません。いかに正しいことでありましても、私は、公務員は法のもとにおいて、法に従って行動すべきだと思います。そして、我々は、そのためにも法律案の一日も早い御審議を、成立をとお願いをしてまいりました。  そして、議員述べられましたように、その立場は違う部分も確かに我々は持っているわけでありますが、本当に借り手に対して一銭でも多く徴求しようというその点に変わりはないはずでありまして、政治家としての私どもは全力を挙げて努力をしていきたい、そのように思います。
  204. 平田米男

    ○平田委員 今の御答弁は、破産の申し立て等についてもやるべきだというお立場である、そういう表明だというふうに伺ってよろしいのでしょうか。
  205. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今改めて、政治家である久保大臣とも確認をし、使える武器は我々は何でも使おうよ、そう今言って、ここへ立ちました。
  206. 平田米男

    ○平田委員 大変に前向きな御発言をいただきました。  総理がおっしゃるとおり、公務員が権限なくしていろいろなことをされるというのは、それは正しいことであっても許されないことだ、それはおっしゃるとおりであります。  追加措置については、何か、ある政治家がお電話をされて、その後、銀行局長がまたお願いに回るという報道がされておりますが、単なる報道でございますから、本当かどうか私は知りませんが、もし追加措置についてお願いに回られるのであったならば、今申し上げた、政治家として総理、そして大蔵大臣がやるべきだとおっしゃったことをやはり官僚はきちっと受けて、破産の申し立てをどしどしやっていただきたい、このようにさらにつけ加えてお願いをして、次の質問に移りたいと思います。  次は、住専の法的処理の問題にまた移らせていただきたいというふうに思うわけでございますが、この辺は政府・与党と新進党の対立するところでございますが、住専は会社更生等によって法的処理をすべきだ、こう申し上げているわけであります。  それで、今回政府案は、監督官庁に、金融機関の会社更生と破産の申し立てをする権限を付与する法案を出されてまいりました。これは、金融機関であろうとも、基本的に法的処理をすべきだ、そういう大原則のもとでつくられた法案だ、このように私は理解をしているわけでございますが、そのような理解は正しいでしょうか。
  207. 久保亘

    ○久保国務大臣 問題は、不良債権等、破綻の状況が生まれてまいります場合に、これを適切迅速に処理することが必要であろう、そのことが新たな金融システムを確立していく場合の基本の考え方の一つでございます。そういう場合に、破産の手続をとることが認められる、こういう場合でも、しかし、その手続債権者のすべてに認められている問題であり、なおかつ、その手続は裁判所によって認められることになるものだと思っております。  問題は、事態を適切迅速に、早期に処理するという新しい時代の金融システムのあり方にふさわしく、法律によって定めようとするものだと考えております。
  208. 平田米男

    ○平田委員 私の理解が間違ってなかったという御答弁でございましたが、そういたしますと、たくさんの預金者がいる金融機関であっても、適切迅速な処理のためには、会社更生、破産という手続、これが新しい時代の金融システムなんだ、こういうお話でございます。  であるならば、一般会社にすぎない住宅金融専門会社についてもやはり同様の処理をするのがベターだ、何らかの理由があって、今回は政府はおとりにならなかったんだと思いますが、基本的にはやはり住専の場合も会社更生等の法的手続をするのがベターだ、こういうふうな理解でよろしいんでしょうか。
  209. 久保亘

    ○久保国務大臣 その点は、今平田さんが申されたことは違います。  どこが違うかといいますと、新しい金融システムを確立していく、この基本的な立場やその具体的なものを金融関連法案として今御審議を願っているわけでありますが、このことを確立してまいりますためにも、既にぎりぎり、もう時期おくれになって、これ以上先送りできない状況になっている問題を解決しなければならないという立場が一つ。  それから、住専の問題は、今日、他の法的処理にゆだねることが果たして早期の処理ということになるのか、それからその処理を的確に行うことになるのか、そういう点において意見が分かれているのだと思っておりまして、政府といたしましては、今日提案をいたしております処理方策が、考えられる最善の策と考えているところであります。
  210. 平田米男

    ○平田委員 先送りできないとか、あるいは早期の処理には法的処理が適さないとか、的確になされるという点についても疑問だとかというお話になりますと、先ほどの御説明と相矛盾してきはしないのかと思うのです。  先ほど、適切迅速に処理をする、そして、新しい時代の金融システムにふさわしい手続として、会社更生、破産という手続、申し立て権というのを監督官庁に与えたんだというお話になりますと、基本的には、会社更生とか破産とかというのは適切迅速な処理が行われるものだという御評価をいただいたと私は素直に理解をしたわけでございます。そうすると、基本的に法的処理というものは、住専の場合であったとしても、早期の処理とか的確な、適切な処理にふさわしいものなのではないかと素直に理解をするわけであります。  ただ、それが、特別な理由があって政府はそれはとらないんだという御説明がまた別にあるんだろうと私は思っているわけでありますが、その点、間違いなんでしょうか。
  211. 久保亘

    ○久保国務大臣 その詳細な理由は政府委員に答弁をいたさせますが、私は、住専問題が今、日本の不良債権処理に当たっての象徴的で喫緊の課題という表現を使っておりますが、そういうものであって、この処理は、法的処理、つまり、皆さんが予算委員会においても、破産処理、会社更生法による処理、二つの意見が述べられておりましたけれども、そういう法的処理によってこれを処理するということは非常に困難な状況にある。しかし、この住専問題は速やかに処理しなければならない、そうしなければ、新しい金融システムを確立する、そういう方向に進めない状況が深刻に横たわっている、この問題を決着させることは政府の責任である、そういうことで申し上げているのであります。  なお、詳細な説明は銀行局長から申し上げます。
  212. 西村吉正

    ○西村政府委員 平田委員が今御質問の点は、二つに分けて整理することが必要かと存じます。  一つは、金融機関の破綻処理をする場合に、会社更生法であるとか破産法を適用するという形での法的処理をすることが原則であるか、それが一番いいか、こういう御指摘が一点あろうかと存じます。  この点に関しては、大臣が先ほど御答弁申し上げましたように、そういう手法をとる場合によりとりやすく迅速に適用できるような方策を、今回の金融三法で提案をさせていただいております、こういうことでございます。  しかしながら、すべての破綻処理について法的処理、すなわち会社更生法や破産法を適用すべきであるということは、それはそんなことはないと思います。今までも破産法や会社更生法を適用せずに処理をしてきた例がむしろ原則でございますし、そういうことができればそれにこしたことはないわけでございますけれども、それで解決できない場合に破産法や会社更生法を適用するということもあり得るということでございますし、今回、そういう場合について迅速的確な措置をとり得るような方策を付与していただきたいとお願いしているところでございます。  第二点は、住専に法的処理を適用すべきか。  この問題につきましては、先ほど大臣がるる御説明申し上げましたとおり、住専に関しては、破産法、会社更生法の適用というものは、私どもは適切とは考えておりませんと申し上げておるところでございます。
  213. 平田米男

    ○平田委員 整理をした御答弁をいただいたわけでありますが、すべての破綻処理を法的処理でするわけではない、そのとおりだろうと思うのですが、ではどういうふうに区別するのか、それを少し説明していただけますか。
  214. 西村吉正

    ○西村政府委員 金融機関といえどもこれは民間の組織でございますから、関係者の間で破綻を処理する方法が合意に達すれば、それでとりたてて破産法等に訴える必要はないわけでございます。  例えば、それがふさわしいかどうかというのはケース・バイ・ケースでございますが、合併というような方法もありましょうし、転換というような方法もありましょうし、いろいろな手法があろうかと思いますけれども、最後、どうしても関係者の間で話し合いがまとまらないという場合に法的な処理をするという道は当然残されている、このように考えます。
  215. 平田米男

    ○平田委員 まさに、今御説明いただきましたが、合併とか転換、要するに他の金融機関と合併をさせるとか、あるいは普通銀行から信金に移すとか、そういうようなことなのだろうと思うのですが、そういうことができないときには法的処理なんだ、こういう原則を御説明をいただきました。よく納得できました。  では、住専の場合はどうなるのですか。合併とか転換、あるいは何かそれに類する範疇があるのでしょうか。その範晴の中に今回のスキームというのが入ってくるのでしょうか。しかも、それができないときに初めて法的処理なんだという御説明に、今の御説明から類推するとそういうふうに思えるわけでございますが、しかしどうもそうではないようで、合併とか転換というのは、これは住専のときはちょっとあり得ないと思うのですね。  すると、次に来るのは法的処理だ。法的処理をしないで今回のスキームをつくった、こういうことになりますと、新しい枠組みの中の、要するに、大蔵大臣がおっしゃいました新しい時代の金融システムのあり方として会社更生とか破産の申し立て権を監督官庁に与えたという趣旨からは、どうも範疇を超えた今回の処理スキームだというふうに思わざるを得ないのです、今の御説明を伺っている限りでは。  合併とか転換に類するようなものとしてこの処理スキームがあるというふうに理解をしなければいけないのですか。そうだとするならば、その辺はどういうことなのか、国民にわかりやすく御説明をいただけますでしょうか。
  216. 西村吉正

    ○西村政府委員 今までも、金融機関につきまして破産法や会社更生法という手続を使えなかったわけではございません、適用は可能でございました。しかしながら、大臣が申し上げましたように、金融機関預金者という債権者は非常に数が多い、数百万に上る場合がある、そのようなことから、実際問題としてそのような手続を預金受入金融機関について適用することはほとんど不可能であったわけでございます。したがって、今までの破綻処理というものは、破産法を使って金融機関処理をするというようなことは行われてまいりませんでした。その他の手法をもって処理をされてきたわけでございます。  しかしながら、今後はやはりそれだけでは迅速な金融機関の破綻処理というものはできないのではないかということで、今回この三法の一部をもちまして会社更生法や破産法の適用を金融機関に対してももっと使いやすくするということをお認めいただきたいとお願いをしておるところでございます。
  217. 平田米男

    ○平田委員 何かまた答弁がはぐらかされてしまいまして、要するに今回の処理スキームは今御説明されなどの範疇に入るのですか、そこを教えてくださいと申し上げているのであって、使いやすくするためにこの法案をつくったということはもうわかっております。それはわかった上で申し上げているわけで、こういう法的手続をとるということはいいことだなと私も賛成でございます。  その立場の上で、では、住専処理はどのような範疇の中でこのような処理スキームを打ち立てられたのか。これは、金融機関更生手続特例等に関する法律案では来年の四月一日施行ということになっているわけでありまして、早急にこの法律を具体的な事例に適用していこう、こういうことになっているわけであります。であるならば、一年前で、住専には会社更生は使えないというわけでもないのだろうと思うのですね。  ですから、今おっしゃったような、金融機関に対して合併、転換等の処理、それができなければ法的処理なのだという、二段階によって選択をするのですという御説明をそのまま敷衍して、住専処理の今回の処理スキームはどういう範疇に入るのですかというそこの説明をいただきたい。この立法の趣旨を聞いているわけではありません。お願いいたします。正確に、的確に御答弁ください。
  218. 西村吉正

    ○西村政府委員 住専に関して申しますならば、御指摘のように合併とか転換ということはあり得ないわけでございます。今回は、話し合いの段階から、例えば営業譲渡、資産譲渡というような方法をもって処理してはどうかということになっているわけでございまして、今回の処理策は資産を譲渡するという形によって処理をすることになっております。  そのような手法を法的な処理をもってすることが適切かどうかという点に関しましては、私どもは、法的な処理によってこの負担を配分するという方法ではこの問題を適切に処理はできないという判断に立っているわけでございます。
  219. 平田米男

    ○平田委員 今営業譲渡という言い方をされましたが、金融機関の場合は、合併とか転換とか、もう一つ範疇として営業譲渡も出てきてもいいと思うのですね。でも、営業譲渡というのは譲渡された営業がまた継続されるということが前提になっておるわけです。すなわち、銀行業務がもう破綻した金融機関から健全な金融機関に営業譲渡される。それで、受け取った、譲り受けた金融機関がまた銀行業務を合わせて継続してやっていくということになるのだろうと思うのです。  そういう意味では、住専の場合は、営業譲渡というお言葉を使われましたが、これは営業譲渡という形を使って実はそうではなくて、もう営業をやめてしまうわけですから、住宅ローンの融資という住宅金融専門会社の本来の業務はやめてしまって、単に債権だけを譲り受けてその債権の回収だけをやる、これが今回の処理スキームではないですか。ですから、その範疇とはちょっと違うのだと思うのですよ。ですから、営業譲渡という御説明では、これはどうも納得しがたいわけですよ。これは一体どういう処理スキームなのですか。
  220. 西村吉正

    ○西村政府委員 先ほど、合併とか転換のほか営業譲渡とか資産譲渡とかいう形があると存じますがと申し上げたと私は記憶しておるのでございますけれども、法律上、私ども金融機関の場合には営業譲渡という言葉を使い、今回の住専処理の場合には資産譲渡という形になろうかと存じております。  しかしながら、資産を譲渡いたす場合におきましても、ただいま平田委員御指摘のように仕事は一部続けざるを得ないわけでございまして、正常な資産もございますので、個人住宅ローンを借りておられるような方々に対して、あすから直ちに営業を停止するということでは御迷惑をかけることになりますので、そのような消極的な、今後どんどん事業を展開するという意味ではなく、かつて行っておった業務のうち利用者に御迷惑をかけない範囲において仕事を継続するということはやむを得ないことと考えております。
  221. 平田米男

    ○平田委員 今度は営業譲渡じゃなくて資産譲渡だという御説明になりまして、しかも仕事はやめないのだという御説明になりましたが、仕事というのは、住宅金融専門会社の主たる仕事は要するに住宅ローンの融資業務なわけでありまして、住専処理機構はこの融資業務はしないはずでございます。  確かに、正常債権があります。正常債権はほとんど住宅ローン債権でございまして、この住宅ローン債権の回収業務、これは当然住専の付随的なといいますか、融資に伴う付随的な業務として住専がやってきた。したがって、その仕事は継続して住専処理機構もやるのですよ、引き継いでやるのですよという御説明はそのとおりではありますが、しかしそれは主たる業務ではない。新たに住宅ローンをやるわけじゃないのですから、そういう説明は僕は正確ではないと思うのですよ。  いつまでたっても、この住専処理スキームの範疇というのは何なんですかということについての御説明がない。全くの特例中の特例というふうに理解をせざるを得ないということになってくるのですね、このやりとりの中から浮かび上がってくるのは。  特例中の特例というのは一体何のための特例中の特例なんだ。特例を実施するというのは、大変重要な特別の目的を追求するためにやむを得ずこのような処理をします、こういう理由がなければ私は正当性がないのだろうと思うのですね。これが常識だろうと思います。基本的な考え方からするとそうだと思います。  そうすると、それは一体何なんだろうかということで、今までそれは系統の保護のためなのではないのですかとか、あるいは住専経営者の責任を免れさせるためのものではないのですかとかといういろいろな批判が出てきているわけであります。それは、いずれにしても、まず系統のためではないかということについては総理以下否定しておいでになるわけでございまして、これはないということになるわけですよ。  そうすると、あと残っているのは何なんですか。住専経営者の責任逃れのためだということになってしまうのですか。いや、そんなばかな話はないわけで、そんなことをお考えになって政府・与党が出されるはずがないと私は思うわけであります。  そうしますと、何が特別な理由なんでしょうか。国民が納得できる特別な理由がなければ、この処理スキームというのはやはり国民から受け入れられるものではないと思うわけであります。その特別な理由、国民が納得できる特別な理由、目的というのを明らかにしていただけますでしょうか。
  222. 西村吉正

    ○西村政府委員 これは従来からも御説明を申し上げておりますとおり、金融システムの安定性維持であり預金者の保護でございます。  系統金融機関の救済のためではないという意味は、そのこと自体を目的としているわけではない、こういう意味でございまして、このような措置を講じます結果として預金者、系統金融機関も一般の金融機関預金者も、特に経営について必ずしも強くないというようなものにつきましては、そのような預金者が結果として保護されるということにおきまして、この措置金融システムの安定のためであり預金者の保護のためである、こう申し上げてきたところでございます。
  223. 平田米男

    ○平田委員 金融システムの安定、預金者の保護、これは先ほど大蔵大臣がおっしゃった新しい時代の金融システムが当然追求しなければならない重要な二つの価値です。そうですよね。何も特別に住専処理スキームだけが持っている追求すべき目的、価値ではないはずであります。したがって、先ほどおっしゃった合併とか転換とか、あるいは営業譲渡という手法の場合でも、追求すべき目的は金融システムの安定であり預金者の保護なんですよ。そして、それができない場合には会社更生とか破産という法的処理をする。その場合も、追求すべきはその二つなんです。金融システムの安定と預金者の保護のはずです。  その説明だけでは特別な目的にはならないのですよ。それ以外に特別な目的がなければ、特別なスキームをつくった理由の説明にはならないのです。一般的な処理スキームの説明だったらば、すなわち合併等の範疇の処理、もう一つの会社更生、破産の法的処理、それの説明だったらば、金融システムの安定とか預金者の保護のためですよという説明だけで私たちはなるほどなと納得をします。国民も納得されるでしょう。しかし、それとは違った範疇として住専処理スキームを持ってきたわけですから、もう一つ特別な理由、特別な目的をつけ加えないと説明にはなりません。  それは総理も大蔵大臣もおわかりいただけますでしょう。それをきちっとやはりわかりやすく国民に説明をしていただきたいわけです。我々も、それが説明されて、なるほどなと思えば考え方が変わるかもしれません。今はどうも納得できないから、わかりませんよと申し上げているわけです。だから今お伺いしているわけです。  その特別な目的は何なんですか。系統の保護ではないとおっしゃった。まして住専経営者、大蔵省出身の人がほとんど社長でございましたが、そういう人たちの保護のためでもない。責任追及を免れるためでもない。じゃ、あと一体何が特別な目的なんですかということです。こういう特別な目的ですよ。金融システムの安定とか預金者の保護という一般的な大きな価値ではないのです。もう一つつけ加わった第三の価値というものがついて初めて特別なスキームが認められるのですよ。それについてはいまだに、予算委員会から延々と審議をしておりますが、何一つ説明がない。ですからお伺いしているわけです。
  224. 西村吉正

    ○西村政府委員 この点についても、従来からたびたび御説明を申し上げていると存ずる次第でございますが、もう一度それでは申し上げさせていただきます。  私ども金融機関の破綻処理を行います場合の原則として考えておりますのは、まず預金受入金融機関が破綻をした場合に対処をするという原則でございます。そういう意味では、事後的に処理をする、事後的に預金者を保護するという目的で対応をするというのが原則でございます。  そういう意味で、この住専問題は例外でございます。事前的に手当てをするという意味では例外でございますが、なぜそのような例外的な取り扱いをするのか。いわばノンバンクのうち住専に公的資金を導入してまでも問題解決を図ることとしたのはなぜかと申しますのは、これは先ほども話題になりましたが、私どもから提出いたしました資料に記されておりますとおり、まず第一には、住専七社の母体が百六十八、貸し手金融機関が約三百存在するなど、関係金融機関が非常に多数に上り、それらの利害関係が極めて錯綜していることや、系統金融機関という共通の巨大な貸し手、住専七社の借り入れの四二%を占めている、そういう存在があることから、関係当事者間の話し合いだけでは解決を図り得ない状況となっていたこと。  及び、解決を図り得ないからといってほっておけるかといいますと、我が国の不良債権問題の緊急かつ象徴的な課題であり、不良債権問題全体に取り組む突破口として、公的資金の導入を行ってでも早急に解決する必要があることにかんがみ、我が国金融システム全体の安定性を確保する等のための臨時異例の措置として私どもとして決断をいたしました、このような説明を申し上げてまいっております。
  225. 平田米男

    ○平田委員 最後は、言葉としては臨時異例の措置と言って、第三の目的があるような言葉で締めくくっているのです。これで我々は惑わされちゃっているのですよ。  では、前の言葉は、この金融機関更生手続特例等に関する法律でやろうとしている金融機関の会社更生や破産のときには全く当てはまらないのですか。たくさんの金融機関債権者として出てくるのじゃないのですか。たくさんの預金者がいるわけでしょう。利害も対立するでしょう。同じじゃないですか。住専と破綻した金融機関処理とどこが違うのですか。  預金者がいないという点では住専の方が権利関係はまだ単純ですよ。事務処理手続も単純ですよ、金融機関に比べれば。金融機関の方がもっと住専よりも債権者が複雑で、債権者が多いというその金融機関に会社更生を適用しながら、いや住専の方が債権者が多いですよ、複雑ですよとだあっと言ってきて、だから臨時異例の措置ですと言っている。こういう最後の、臨時異例の措置という言葉だけで私たちを何かわけをわからなくさせているわけです。先生方も聞いていておわかりになるでしょう。  ですから、何か第三の目的がなければいけないわけですよ。第三の目的が明らかにならないということになると、先ほど私が挙げたようなことが、すなわち系統の保護だとか、あるいは住専経営者の責任を免れさせるためだとかということが、また水面下からすうっと上に上がってくるわけですよ。そうだったら、それは素直に認めにゃいかぬわけですよ。  系統の保護だということになるのだったら、また話は別になるわけです。系統の保護だというのだったら、じゃ、この処理スキームは系統の保護のために本当になりますかという議論を我々はここでしなくちゃいかぬわけです。目的を隠して法案を出して、そしてまともな議論ができないような委員会だったら、国民のための議論はできません。まして二番目の目的だったら、これは断じて許せないことですよ。だから、目的をはっきりしてくださいと言っているわけです。  臨時異例の措置だという言葉だけでは、目的というものは明確になりません。国会というのは、法案のその目的が明確になって初めて中身の深い議論ができるわけです。単なる臨時異例の措置ですから、まあ何とか勘弁してください、こんなずずずずっとところてんみたいに出るような、日にちだけ経過をすれば、それで立法府としての、国権の最高機関としての国会責任、それを構成する国会議員の責任は果たすわけにはいかないわけですよ。  だから、提案する内閣は、また担当の各省は、きちっとその法案の目的を明確に私たちに、議員に、そして国民に示さなければ、法案審議なんてできないじゃないですか。これは、極めて論理的に物事をお考えになる総理、大蔵大臣はよく御理解いただけると思うのですよ。  でも、その目的がはっきりしないのです。系統の保護かというふうに最初たちは聞きました、系統の保護のためなんじゃないんですかと。実はそうじゃないかと後ろからお話がありましたが、しかし総理は基本的にそれは否定されました。系統の保護だということになるとまた話は別になるわけです。系統を保護しなくていいなどというのは――系統にも預金者がいますから、系統の預金者のためには何らかの手を打たなければならないというのは、我々新進党の立場であります。しかし、このやり方がいいのかどうかについては正面から議論をしなければならないわけであります。それを不明確にしたまま、予算委員会からずっと今日まで来ているわけですよ。  農水大臣、どうですか。ここで、第三の目的、系統の保護だというふうにはっきりお認めになりますか。
  226. 大原一三

    ○大原国務大臣 総理、大蔵大臣がおっしゃいましたように、バブルの崩壊による不良債権の象徴的な不良債権がこれだということでございまして、私たちは、貸したものは返してもらいたい、こういう哲学というか、普通の常識のもとに今日まで主張し続けてきたわけでございまして、五千三百億の負担も、正直に言いまして、第一次再建、第二次再建でお返しします、こういうお約束をいただいたお金でございまして、最初からこのスキームが系統を保護するためにつくられたものという前提に立って議論されることは、我々としては反対であります。
  227. 平田米男

    ○平田委員 今の大原農水大臣の御答弁というのは本当におかしいのですよ。我々は貸したものを返してもらいたいという、この我々はだれですか。今は農水大臣というお立場でお話しになった。系統の金融機関がおっしゃるのだったらわかります。だけれども、系統の金融機関というのは農水省の一部なんですか。そうなんですか。そんなばかな話はないですよ、国の機関じゃないのですから。それはおかしいですよ。しかも、第一次、第二次再建計画では返すと約束したじゃないかと。  それは、農水省は系統の金融機関に対して、大蔵省と並んで監督官庁としての立場がありますから、その預金者の保護のために系統の金融機関をどうすべきなのかというお立場で英知を発揮していただくことは当然だと思いますが、今の御答弁は全然違いますよ。あれは、県信連とか、それから農中の最高責任者の御発言なのであって、これは全然だめだと思います。
  228. 大原一三

    ○大原国務大臣 非常に真剣にお答えしょうと思ったものですから、系統の皆さん方の気持ちを代弁して我々と申し上げたわけであります。
  229. 平田米男

    ○平田委員 それはお気持ちはわかりますが、ここらでぴしっと立て分けて考えていくというのが、大蔵大臣がおっしゃった新しい時代の金融システムじゃないのですか。  今までは護送船団だったのです。自分のところの我が子、もう目に入れても痛くないという、それほどかわいがってきた金融機関なんです。銀行局は金融機関を、そして農水省は系統の金融機関をそれまでかわいがってきたのです。だから、そのような御発言になってもやむを得なかったかもしれません。  しかし、これからは違うんだ、新しい時代は。これは市場原理、自己責任でやるんだ、こういうふうにおっしゃっているわけでありますから、これは突き放さなきゃいかぬですよ。それは今までかわいくてかわいくでしょうがなかった金融機関でありますから、生木を裂かれるように苦しいのかもしれませんが、そんなことはないですよね、お役所ですから。これはもう決めた大原則のもとでぴしっとやらなくてはいけないわけです。  そうしたら、今おっしゃられたような系統の金融機関にかわってという御発言は、私は本来あってはならないと思うのです。系統の金融機関預金者の立場に立ってと、そうでなければおかしいんじゃないですか。系統の金融機関経営者のだったら、責任を免れたいとかそういう発想まで背負わざるを得なくなるわけです。そうであってはならないわけですよ。系統の金融機関預金者であり、あるいはそこの組合員でしょう。また、組合員イコール預金者でしょう。結局預金者ですよ。その立場から考えたらどうなのかということでこの住専処理スキームをもう一遍考え直さなければいけないのじゃないかと思うのです。  どうもその辺があいまいになってきて、ずっと予算委員会からの農水大臣の御答弁、あるいは農水省の政府委員の御答弁を伺っていると、どうも、系統の金融機関経営者の立場、何かもう自分のところの金融機関のように思われてしまって、まだ乳離れがしていないというか子離れがしていないというのか、新しい発想になっていないのです。  我々は戦後五十年、確かにいい日本をそれなりにつくってきましたが、もう古い物差してはだめなので、新しい物差しで物事を考えましょうというのがみんな共通した認識なのですが、いざ行動をしますと、新しい物差しとは何だったのかなとわからないものですから、古い物差しを持ち出してきてそれで行動する癖があるんですよ。ですから、今、大原農水大臣、もう頭脳明断な方でございますし経験豊かな方でございますが、真剣に答えるとなると、思いが系統の金融機関経営者の立場になった発言になってしまう。  これは、皆さんにこやかに聞いておいでになりますが、私は極めて重大なことだと思うのです。我々の発想の転換が本当に十分になされているんだろうか。これは、与野党ともに政治家も、官僚も、いや、マスコミの人たちも、経済人も、日本をいろいろな立場で指導しておいでになる方々すべてが常に反省をしなければならないことなのであって、何も大原農水大臣お一人のことを私は申し上げているわけではありません。これは誤解のないように。  そういう意味で、私は、この住専処理スキームというものは、どうも系統の金融機関の立場あるいは母体行の金融機関の立場というものを考え過ぎた、自然と考えてしまった、体にしみついたものとして出てきてしまって、そこの預金者の立場というものを考えているようで忘れてしまっている。銀行のこと、あるいは系統の金融機関のことを考えていれば預金者のためになるんだという錯覚、思い違い、その考え方で発想してつくったのではないのでしょうか。  きのう、参考人質疑がありました。その際に、慶応大学の池尾参考人がおっしゃっておいでになりましたが、銀行追加措置を求めるというが、私はある銀行に預金をしている立場であるけれども銀行のお金というのは預金者のお金ですよ、銀行のお金などというものはありません、預金者のお金であり株主のお金ですよ、言えば預金者のお金ですよ、それを出せ出せと言う、それを出すんだったら、そこの銀行から私は預金を引き揚げます、こうおっしゃいました。  私は、なるほどなと。我々は、どうも銀行経営者、銀行そのものと銀行預金者というのを一体だと思ってしまっている。それは分けて考えなければいけないということになれていないのですよ。ですから、西村銀行局長が、先ほどから、金融システムの安定のためだとか預金者の保護だとかとスローガンのごとくおっしゃっていますが、本当に預金者の保護になるのかどうか、預金者の立場に立って私たち考えたことがあるのだろうか。どうも金融機関の立場、そして、細かく言えば金融機関経営者の立場に立って物事を考えてしまったのではないですか。  ここにお並びの総理大臣、大蔵大臣、農水大臣は、この処理スキームを前の内閣からそのまま受け取ったお立場であって、そのときにどこまで突っ込んだ議論がされたかということはよくおわかりにならないかもしれないけれども、私は、与野党を超えてこれからの新しい時代にふさわしい金融システムをつくるんだ、そのとおりで、私たちもそれをつくらなければいけない、これは一致しているわけですよ。一致しているのに、何で出てくる結論が違うんだ。どうもそれは、癖がまだたくさん残っている人たち、そう言ってはちょっと失礼かもしれませんが、それを持っていた人がつくったものをそのまま受け取ってしまった今の内閣、それをそのまま引きずっておいでになる。  もう一遍ここで、預金者の保護というものは何なのかということをよく考えなければいけない。だから、真摯に僕は見直すべきだと思うのですよ。それは与党の中にもいろいろ御事情があるかもしれないけれども、しかし、それだったら、新しい時代の金融システムをつくりますということは胸を張っては言えないと思います。そういうものを乗り越えなければ、新しい時代を我々は切り開くことはできないのですよ。既成のいろいろな利害、既得権益、そういうものを乗り越えて初めて私たちは新しい時代を打ち立てることができるわけであります。これは、与党であろうと、野党であろうと、政党がどこであろうと関係ない話です。同じ行動原理のはずですよ。そうじゃないですか、総理。  私は、頭から、野党だから政府案に反対だとかというのではありません。今国会で政府が出された案で、唯一反対しているのは住専関係の法案だけですよ、新進党が反対しているのは。新進党は政府案を、賛成のものはどんどん法案審議を促進させ成立させているじゃないですか。その真摯な野党の、真剣な野党の新進党の意見をなぜ聞かれないのか、なぜ耳をかそうとされないのか。  我々が何でピケを張ったんですか。こんなことをやったら日本を過つ。今まで第一委員会室でピケをやった政党なんかどこにもありませんよ。座り込みするようなことは、私たちは胸張ってやれることではないと思っています。しかし、嫌であったとしても、国のため国民のためには、それを忍んでやらなければいけないと思ってあの廊下に座りました。二十二日間も嫌な思いをして座っていました。しかし、それは、国のためであり国民のためなんですよ。そういう我々の気持ちがわからない与党であったならば、私はやはりおかしいと思う。  議会というのは、それは確かに多数をとったものが運営していくのは当たり前です。議院内閣制でもあります。多数決です。それが民主主義です。しかし、同時に、少数者の意見にもきっちり耳を傾けて正当な議論を国会で行う、そして、本当に正しいものであれば、真剣な提案であれば、真剣な警鐘であれば、それをきちっと受けとめて対応していくというのがやはり国を預かっている政府・与党の立場じゃないのでしょうか。(発言する者あり)国民の審判を受けていないという御批判もございますが、それはさておいたとしてもですよ、私は、いずれにしても、政府・与党の立場としてはそういう姿勢がなければならないと思うのです。  しかも、国民に六千八百五十億どころじゃなくて、第二次損失は、最近いろいろなデータがありますが、第二次損失は四兆円だという話もある。四兆円だと、半分は国民負担ですから、二兆円。すると、二兆六千八百億円も負担をさせてしまう。それに対して新進党は真剣に警鐘を鳴らしているわけですよ。それをお聞きにならないというのは、私は政府・与党としてはやはりおかしいと思うのです。立場が違うということではないんですよ。  先ほど申し上げたように、この処理スキームが、総理、大蔵大臣、農水大臣が真剣に議論されて、最後の政治決断をされておつくりになってきたものなら、それはそれなりに責任があるでしょう。しかし、前の内閣からそのまますっと受け取られた。どうも今の政治家というか、今の政治家だけじゃない、我々は前の古い物差しで物を考える癖がある。その癖が強く出て今回の法案になったんじゃないか。預金者の保護よりも、お題目は預金者の保護と言うけれども、どうも預金者の保護よりも金融機関の保護、あるいは金融機関経営者の立場、そういうものを重視した発想で処理考えてしまった、そういうことをやはり深く自省してみる必要があるんじゃないでしょうか。どうですか、総理。
  230. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は今非常に真剣に平田議員の御議論を拝聴いたしました。そして、中には非常に感じた部分もありますし、同じ問題意識を持ちながら結論がこういうふうに違ってしまうのはなぜかなと感じた部分もありました。そして、ピケの話、あるいは座り込んで、それが楽しかったんじゃないんだという率直なことまで触れて言われた御意見というものを、私はそれなりに非常に真剣に聞かせていただいたつもりです。  その上で、私は私なりに申し上げてみたいと思いますが、私は、この日本の金融機関の抱えている不良資産処理というものの必要性についての見解の差は全くなかった、そのように思います。そして、その金融機関不良資産処理していかなければならないその前提条件にも認識に差はなかったような思いがいたします。  大きく違った点が一点ありますのは、議員は、例えば会社更生法等を含めました法的処理、あるいは資産譲渡とかほかのものを事務方は例に挙げておりましたですね、使える幾つかの手法を水平の位置に置きながら、その同じランクにこの住専の問題も位置づけて、どういう手法があるかという問いかけをしておられました。恐らく、これは、従来から新進党の皆さんが氷山の一角と位置づけてこの住専問題の議論をしてこられたその論点の、いわば象徴的な位置づけではなかったろうかと思います。  そして、政府委員から、あるいは久保副総理・大蔵大臣から、この住専問題というものの我々の位置づけについて御説明を申し上げましたものに御納得がいただけませんでした。私たちは、日本の金融機関の抱える不良資産処理を喫緊の課題とする、そしてその金融機関不良資産処理を行っていく中で新たな金融行政というものをつくり上げなければならない。それは、自己責任原則と市場原理に基軸を置いたものであり、より透明性の高い金融システムである。その目指す方向についても恐らく変わりはなかったと思います。  問題は、私どもはこの住専問題というものを、ほかの問題と同列に置いて解決のできる問題ではないととらえました。今さら、幾つの金融機関が母体行として、あるいは資金提供者として、さらに系統がどう組んでといった話を長々とするつもりはありません。しかし、昨年の恐らくもうちょっとした時期ぐらい、初夏からだったと思います、関係者の間で議論を始め、この住専問題を処理しようという真剣な話し合いが始まりましてから論議をしていく中で、結果的に、住専問題というものを従来の手法で解きほぐしていこうとすれば非常に多くの時間ばかりがかかり、しかも結論が出ないというのが私どもの感じでありました。そして、最終的に選択をいたしましたものが、公的資金投入を一つの柱とする現在御審議をいただいているスキームであります。  しかし、この住専という突破口を開くことによって、それに続く、先般来、ノンバンクの場合はどうか、あるいは信組の場合はどうか、さまざまな御指摘がございました。私は、それぞれに指摘をされた問題点が間違っていたと言うつもりはありません。それぞれの指摘はそれだけの重みを持っておったと思います。そして、それらのものに手をつける前にこの住専という問題を処理しておかなかったら、議員のお言葉をかりるなら、通常のルールとしてこういうものが挙げられると言われましたような手法を駆使し、あるいは銀行局長の言葉をかりますならば、そうした法的処理にゆだねる以前の手法による解決策、こうしたものを駆使して対応していく、これはその後の問題についてできることでありまして、住専については、昨年初夏以来の話し合いの中で、我々はこれは無理だと見切りをつけてきた。そこに私は両者の大きな食い違いがあるような気がいたします。  そして、政府・与党としては、政治の決断とし、この手法を選びました。御批判はあろうかと存じます。しかし、今私の立場から申し上げたいことは、冒頭の委員の御質問の中でも、むしろ現在この法案審議の進行している最中であっても、返済の要求に応じない借り手に対しての追及をどんどん行え、そして少しでも国民の負担を減らす努力をしろという御指摘でありましたが、その努力を本格的にできる仕組みを早くつくらせていただきたい、一日も早く住専処理機構、預金保険機構のスタートをさせていただきたいというのが私自身の率直な思いであります。  議員のお考えに相反する部分があることは承知をいたしておりますが、率直にお話を伺っている感想を申し上げます。
  231. 平田米男

    ○平田委員 総理は総理のお立場で御答弁をいただいたわけでございますが、ほかの問題と同列に置いて考えることができない問題だということと、それから、住専の問題を処理しておかなければ、いわゆる次の一般的な基準での処理ができない、新しいスタートができないんだ、こういうお話でございました。その辺が大きく見解の違うところだろうと思います。  でも、今総理がおっしゃったことを納得させる客観的な情報、こういうものが実は開示されてないのですよ。例えば、先ほどのノンバンクの話。系統は大変だ、これからノンバンクで大変だ、これはみんな我々も心配しているわけです。それで聞くと、不良債権は五百八十億しかありません、七兆七千億円のうちに不良債権は五百八十億しかありません、こういうような答弁しか返ってこないんです。しっかりわかっているんだったらすぐ説明すればいいのに、この場で聞いても説明をしない。だから、この問題だけはもうすべてのルールを無視してこういうやり方で処理するんです、そこまで今緊迫しているんですという情報が実は国民の目の前に明らかにされていない。そこが国民が納得できないし、我々新進党が納得できないことなんですよ。  ほかの問題と同列に置いて考えることができない問題だ。そうだとするならば、何でそうなのかという具体的な理由を明らかにしなければいかぬですよ。それもしないで、ただそうなんです、だから私たち判断を信じてくださいというふうに言われても、私も信じたい思いはあるんですよ、信じたい思いはありますが、国会議員としての立場とするなら、いや我々新進党の立場とするならば、やはり事実に基づいた判断をしなければならないのであって、その事実が明らかにされないで、言葉だけで信じてくださいというわけにはいかないのではないか、それをずっと我々この予算委員会から言ってきたわけです。
  232. 大原一三

    ○大原国務大臣 私も、先ほどの委員の御説明もあり、きのうからも御指摘いただいたのに御答弁しているのでありますが、六兆六千億という数字が最近のノンバンクヘの融資だという……(平田委員「七兆七千億です」と呼ぶ)いや、七兆七千は七年三月でございまして、最近はそういう数字が出てまいっております。不良債権の方は、五百八十億程度の数字が七兆七千億の時代に出されておるわけでございます。私も、これはちょっと少な過ぎるんではないのかと正直に農林省の皆さんに申し上げて、もう少し実態調査をする必要があるのではなかろうかということで指示をいたしまして、現在決算期も迫っておりますし、いい機会でございますから、もう少し実情把握をするように下命をいたしたばかりでございます。  しかも、現在のところ、組合組織の金融機関では全くディスクローズが行われていない、そういう状況でございますので、大蔵省や金融制度調査会のスケジュールでは八年三月、四月から徐々にやっていこうということでございますけれども、このような問題を抱えた我々といたしましては、特に今、内閣に設けられました農政審議会、さらにまた我々の手元にもプロジェクトチームをつくりまして、そうしてこの不良債権問題についてはもっと的確な照明を当てられるように、そしてリストラができるなら、そういった問題もリストラの中へ織り込んでやるべきである、こういうことで先ほどの委員にもお答えをし、できるだけ早く実態調査をいたしまして、できる範囲の資料は御提供申し上げる、かようにお約束をしたところであります。
  233. 平田米男

    ○平田委員 農水大臣の誠意ある御答弁というふうに理解をするんですが、しかし、本当だったら、そういう事実は、処理スキームをおつくりになるときにわかっていて初めて、総理がおっしゃったようにほかの問題とは同列に置いて考えることができない問題だという判断が出てくるんじゃないんですか。何となくノンバンクもあるから大変だぞという感触でお考えになったという言い方もできるのかもしれませんが、しかし、それではやはり国民は、六千八百五十億も出すということについては、それは疑問とせざるを得ない。だったらもっときちっと調査をしてくださいと。  大蔵省も住専について特別に調査したわけですよ。そうしたら今度、系統についても大変なんだ、まず住専の問題を先に処理しておかなければ、系統にもノンバンクの問題もあるから大変だぞということになれば、ノンバンクのことについてもその時点で、去年の秋ごろにはやはりきちっとわかっていて初めて、総理がおっしゃった、このような事情からするとほかの問題とは同列に考えられないからこれは特別な措置をやろう、こういう判断になりましたという説明はわかると思うのですよ。しかし、これから調査をしてノンバンクの系統の負債の状態を調べますという御答弁では、じゃ去年の秋の判断はどういう事実に基づいて判断されたんですか。やはり国民の疑問は残ってしまうんです。  ですから、同列に置くことはできないんですよ、今、住専の問題を処理しておかなかったら大変なことになるんですよ、そういう言葉だけではやはり国民にこれだけの負担をかけることをお願いすることは私はできない。私たちも納得するわけにはいかない。やはり政府・与党としては、かくかくしかじかですという客観的な事実を国民にきちっと示すということもこれは当然の義務ですよ。今から調べますなんというのは怠慢だったという話ですよ。  総理のおっしゃったことは極めて論理的です。論理的であるがゆえに、私はそれを裏づける事実を欲しいと申し上げているわけでありまして、その事実はこれから調査をするというようなことでは、我々は納得できない。もう既にわかっていてこういう判断をされたんだから、わかっているんだったらそれを全部出してください。今まで膨大な資料を出したにもかかわらず、そういう一番肝心な話は出ていないんだ。総理の御答弁が論理的であればあるほど、やはりここはきちっとそれを裏づけるものを、もう既に去年の秋にはこういう事実がわかっておりましたというのを出してください。
  234. 堤英隆

    ○堤政府委員 ノンバンクに対します不良債権状況ということにつきましては、現在まで、先ほど大臣申し上げましたように、ディスクローズされていないという状況の中で、御審議に供するということで系統全体の負債額がどうであるかということで私ども調べまして、全体で五百八十億ということで、この定義につきましては、通常の、他の不良債権の定義と全く同様の定義ということで報告を求めてございます。したがって、それぞれ中金なりそれから信連なり共済という内訳はございますが、五百八十億ということでございます。  さらに、本年につきましては、平成八年三月分がございますので、これは決算の状況ということではまだ決算中ではございますが、先ほども大臣申し上げましたように、できるだけ私どもとしては、概数としてでも調査をしまして御報告を申し上げたい、こういうことでございます。
  235. 平田米男

    ○平田委員 やはり総理、今の堤経済局長の御答弁は、五百八十億しか不良債権はありませんという、こういう答弁なんですよ。そうすると、今総理がおっしゃった、ほかの問題とは同列に置いて考えることができないんだという、それを根拠づけるデータは農水省は出さないんですよ。持っていないんですよ。持っていなくて判断をしたという話、前の内閣が。橋本総理は前の内閣からそういう説明を受けられたんでしょうけれども、前の内閣は何の根拠もなくそういう判断をしたということになってしまうんですよ。  そうするとその判断は、根拠がなければやはり誤った判断だと思いますよ。誤った判断をそのまま橋本総理が、橋本内閣が受け取っておられるだけだったら、これはやはり考え直していただかないといけない。  総理の話はよくわかります。しかし、その根拠を示していただかなければいけないのに、農水省は示されない。
  236. 堤英隆

    ○堤政府委員 決して根拠を示さないとかそういうことではございませんで、これも不良債権の額でございますから、全銀協の統一開示基準というのがございます。御案内のとおりでございます。これに沿いまして、それぞれ、破綻先債権、延滞債権金利減免債権ということで報告を徴しまして、先ほど来御説明しているところでございます。  平成八年三月につきましては、系統の方も一部、必須開示事項ということで開示にも入っております。信連につきましては、来年にはすべての不良債権を開示するというところまで方針を決めて、実行に移しております。  さらには、この全銀協の統一開示基準が今回内容が変わっております。そういう変わった内容に合わせまして、今の平成八年三月期の不良債権がどうであるかということにつきましては、現在鋭意手分けしながら作業しているということで、まとまり次第御報告したいということを御理解いただきたいと思います。
  237. 平田米男

    ○平田委員 相変わらず農水省は同じことをおっしゃっているわけでありまして、橋本総理は、前の内閣からそういう御説明を受けて、ほかの問題と同列に置いて考えることができない問題なんだ、だからこういうふうにしたんだと、それを了とされたわけですが、さきの内閣の総理ないし大蔵大臣の御説明をそのまま疑いもなく引き継がれたのだろうと思います。これは同じ与党内ですから当然のことだろうと思いますが。  しかし、やはりその根拠が、今聞いている限りは、要するに系統の問題にしたってノンバンクの状況はわからない。それから、大蔵省管轄の金融機関については大変な負担をするわけですから、このスキーム以外のスキームだともっと大変になるという話は恐らくないのだろうと思うのですね。基本的にはやはり系統の問題なんであるというふうに論理的になると思うのですよ、私の推論からしますと。  しかし、その系統の実態というのは明らかにされないで最終的に判断をされた。この処理スキームは、最終的にはやはり、こんな状態だから、破綻した住専を会社更生等で清算をするようなことになると系統がばたばたと大変なことになる、連鎖的に大変なことになるということが推測されるような事実があって、それで同列に考えていくわけにいかない、とにかくこれだけは緊急にやらなくちゃいけないのだという御説明もなるほどなというふうに、そういう事実が明らかになればわかるようになると思うのですよ。何遍聞いても農水省は出さないのです。  やはり、これでもう決めてしまいましょうというわけには私はいかないと思うのですよ。衆議院としてこういう特別委員会を設けていただいて集中的に審議をさせていただいている我々の立場としては、これは与野党通じて、まだまだそんな、情報がない中でこの法案がいいとか悪いとかという判断さえできないじゃないかということになってしまうのです。  北側委員の要求に対して、調べられるという話ですけれども、私から言わせれば、今から調べられるという話は納得できない話なんです。去年の秋にあって初めてなんですよ。去年の秋こうでしたという話だったらわかるのです。それに従って前の村山内閣はこういう判断をしました、それをそのまま橋本内閣も受け継いで、他の問題と同列に考えられない問題だということをきちっと我々も認識しているのです、それをわかってくださいというふうに我々に説得をされるのだったら我々もわかるでしょう。けれども、それが去年の秋にわかっていないのです。わかっていないということは、村山内閣の判断というのは事実に基づかない判断をされた可能性があるのですよ。  僕はまだ決めつけませんよ。だけれども可能性が出てきたのですよ。事実に基づかないでこういう結論を出してしまわれた可能性がある。この処理スキームはちょっと考えてみなければいけないぞということに、極めて論理的に物事をお考えになる橋本総理だったらばお気づきになると思うのです。  これは、どうしてもやはり考え直さないといけないのじゃないでしょうか。考え直す必要がないというのだったらば、去年こういうデータがありましたというのを出してください。あしたで結構です。
  238. 大原一三

    ○大原国務大臣 これは予算委員会から始まりまして、六百億弱という数字は何回も繰り返して御報告をしております。それに対して資料の要求というのはございませんでした。しかし、私は、七兆七千億に対して六百億は少な過ぎないかと。信組、信金、これも不良債権はわかっておりません、ディスクローズしていないのですから。そういう意味ではこれは一体的な問題であるが、とにかくこれは住専処理とは直接関係がございません問題ですけれども、我々としては自主的にこれを調査をする必要があるということを私が事務局に言ったのは、もうずっと先でございました。  きょう初めて資料要求がありまして、調査は進めているということでございますから、できるだけ、調査できる範囲でこの問題は掌握し次第発表すべきである、私自身もそう考えております。
  239. 平田米男

    ○平田委員 この問題は、資料要求があったら出すという話ではないはずです。  今総理がおっしゃったように、他の問題と同列に置いては考えられない、それを根拠づける事実の一つとして、私が、少なくともノンバンクの問題だって重要なことですよと、それで大変なことなんだということになれば、総理がおっしゃるように、同列に置いて考えられない問題だ、こういうことの根拠の一つにはなるだろうというふうに私は勝手に推測したから申し上げているわけです。  ほかの事実でもいいのです。去年の秋にわかっていた事実は一体何なのですか。総理がおっしゃるように、他の問題とは同列に置いて考えられない極めて重大な問題なんだと、これを根拠づける事実は一体何なのですか、それを、去年の秋にわかっていたことを出してください、このようにお願いしているわけです。  何もノンバンクだけの話ではありません。ノンバンクは一例として私が勝手に挙げた話です。私が判断して、それも一つの事実になるでしょうと思ったからです。しかし、それは調べなければわからないというのだったら、去年の秋にわかっていないという話じゃないですか。  そうすると、去年の秋に村山内閣が判断をした、他の問題と同列に置いて考えることができないとした、その根拠になるデータというのは一体何ですか。それを出していただかないとこれは審議にも何もなりませんですよ、総理。
  240. 大原一三

    ○大原国務大臣 正直に申し上げますが、去年の秋、ノンバンクの問題については、村山内閣の御判断は、特段、別途に議論されたとは思っておりません。ノンバンクについては公的資金の援助はしない、したがって自主的にこれは処理すべきである、我々もその際の決定はさように認識……(発言する者あり)よろしいですか。  そういうことでございまして、その当時は、六百という数字はありますけれども住専処理の参考資料としては議論はされた経緯はございません。六百億の数字、出せとおっしゃるならば、その当時の数字は、いわゆる農協からの自主的報告に基づくものとして我々は手元に持っております。
  241. 平田米男

    ○平田委員 だから、私はノンバンクのことだけを言っているわけじゃないんですよ。総理がおっしゃった、他の問題と同列に置いて考えることができない問題なんだというふうに判断をされたその客観的事実を裏づける、こういう事実があってそれを裏づけるデータはこうですと、それを出してくださいと申し上げておるわけです。それを出されなければ、その村山内閣の判断は架空の判断ということになってしまうんです。総理が今おっしゃった事実は全く根拠づけられないという話になるわけです。  これでは、委員長、もうこれ以上だめですよ。審議できないですよ。ただし、あしたですね、あしたの朝にぜひ資料を出していただくことを要求いたしまして、私はもうこれ以上審議できませんので、あと時間が残っておりますが、あしたまた引き続いて、資料を出していただいた上で質問をさせていただきたいと思います。
  242. 高鳥修

    高鳥委員長 総理から答弁があります。橋本総理大臣。
  243. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私がお答えをして質問を続行していただけるかどうかわかりませんが、今やりとりを伺っておりまして、多少、農水大臣の答弁と議員の御指摘との間に食い違いがあるように思います。  農水大臣は、ノンバンクの要するに赤字の部分というものに非常にこだわって答弁をしておられました。しかし、昨年末、このスキームを考えていくプロセスで議論をしておりましたのはまさに住専の問題でありますから、恐らく系統の関係者からすれば、五兆五千億というものが返ってくるのかこないのか、そして、返ってきた上でどこまでの負担に耐えられるのかという視点がその論拠であったと存じます。  そして、その際には、系統全体の預金量、そして利回り、それによって得られる配当収入、そして内部留保、その中で、取りまし、経営に影響の出ないぎりぎりの部分はどの程度か、そして、一定の線を超えた場合、赤字がどれぐらいの組合に発生するか、恐らく私はそうした議論ではなかったかと思います。そして、その時点において、ノンバンクにおける債務というものが不良債権化しているものがどれだけあるかということは、今回のスキームを決定するプロセスでは私は必ずしも議論の対象になっていなかったと思います。  それを前提に、先ほど農水大臣の方から、明日までにできる資料を提出するという御答弁でありますので、どうぞ御理解をいただきたいと存じます。
  244. 平田米男

    ○平田委員 じゃ、あしたの朝出していただくと。  私は、農水大臣については、ノンバンクの話をさせていただいたんですが、去年の秋にどういうデータがあったのかをお願いしたいんですよ。去年の秋、要するに・・(橋本内閣総理大臣「何の資料」と呼ぶ)どんな資料か知りませんよ。要するに総理がおっしゃった、他の問題と同列に置いて考えることができない問題なんだと判断をされた、それを根拠づける事実及びそれを立証する・・(橋本内閣総理大臣「系統側」と呼ぶ)何でもいいですよ、大蔵省でも農水省でも、持っているものは出してください。それを我々が納得できるかどうかなんですから。(橋本内閣総理大臣「大蔵省は随分出したとさつき言われませんでしたか。それで農水省はと言われたんじゃなかったですか」と呼ぶ)出してください、どちらからでも結構ですから。
  245. 久保亘

    ○久保国務大臣 昨年の十二月十九日に閣議決定が行われますまでのいろいろな検討の結果、このような住専処理策を決定するに至ったその検討の経過と内容につきましては、私からも申し上げましたが、銀行局長の方からも先ほど詳細にもまた重ねて申し上げたところであります。それで御了解いただく以外にないと思っております。
  246. 平田米男

    ○平田委員 もうずっとるる質疑をしてまいりまして、最終的に総理の御答弁をいただいたわけです。他の問題と同列に置いて考えることができない問題だと判断をしたんだと。私は、特別な理由があったんでしょうと。その特別な理由があったんですという御答弁なわけです。特別な理由があったというそれを根拠づける事実、そして根拠づけるそれのデータ、それをきちっと出していただきたい。それをお願いいたします。
  247. 高鳥修

    高鳥委員長 どんな資料ができるかわかりませんが、委員長において検討をさせます。
  248. 平田米男

    ○平田委員 ありがとうございます。
  249. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて平田米男君の質疑は終了いたしました。
  250. 平田米男

    ○平田委員 あとはまた質問時間が残っているかと思います。また質問させていただきます。ありがとうございました。
  251. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、村井仁君。
  252. 村井仁

    ○村井委員 ちょっと別のサブジェクトにつきまして質問をさせていただきたいと存じます。  この委員会金融問題等に関する特別委員会ということでございます。最近、いわゆる日米の間におきまして保険問題が大変大きな問題になっておりまして、当初六月一日と、このように協議を終了するターゲットが決まっておりましたのが延びまして、新聞報道によりますと、六月の半ばくらいまでには決めなければならないのではないか、こんなようなお話もあるようでございます。  実は私ども、これでかれこれ七、八年になりますか、ここにもおります松田岩夫議員が中心になりまして日米議員交流という催しを毎年二度の一ペースでやっておりまして、アメリカの議員と私どもとの間で忌憚のない意見の交換をしようと、年二回そんなことをやっているわけでございます。  去る四月の末に、私どもその催しの第十五回目でアメリカへ参りました折に、USTRの代表を招いて、これはいろいろなことをやるわけでございますが、昼食会、ワーキングランチをやろうとした。御案内のとおり商務長官が殉職されまして、それでカンターさんが急に商務長官に回られまして、結局、カンターさんを予定していたわけでございますけれども、その後任のUSTR代表代行になられたバーシェフスキ女史がおいでになりまして、そこでお話を伺った。  米国の通商政策、あるいは特に日米の間の課題について彼女語るところがありまして、米側の関心分野としまして、半導体、フィルムなどと並びまして保険について触れるところがあったわけでございます。実は、私も長いこと大蔵委員をやらせていただいておりまして、昨年は、特に保険業法の大改正といいますか全面改正というのがございまして、いろいろ教えていただいたこともございました。  バーシェフスキの言っていることを聞いておりますと、保険につきましては、アメリカが、いわゆる第三分野、これは傷害とか疾病とかという御案内の分野でございますが、これにつきまして非常に日本のマーケットで強い。しかし、もし日本が生命保険あるいは損害保険、この分野の間の垣根を取り払って相互参入を子会社形式でやれるということになったとしても、この第三分野に簡単に入ってこられると、日本の生命保険会社あるいは損害保険会社とアメリカの日本で営業をしている会社との間には余りにも力の差があり過ぎる。したがって、これは入ってほしくないんだ、これが非常にアメリカの重要な関心分野だ、こういう話をしたわけでございます。  私はこの発言に対しまして、私どもは今申しましたように生損保の間の垣根を取り払って自由化を進めるということをしてきた、これはある意味ではアメリカが求める日本の経済のいろいろな分野での規制の撤廃、こういう一連の動きの一つであって、それをアメリカの都合でこのように第三分野の自由化をおくらせろというのは大変おかしいのではないかという指摘をしたわけでございますが、バーシェフスキは、日本の大企業とアメリカの小企業とが競争するのは不公平だ、こういう言い方をして、その話は、ランチョンでございますから終わったわけでございます。  ここからは私の見解でございますけれども、これはもうはっきり申しましていわゆるダブルスタンダードの典型みたいなものでございまして、自分に都合が悪くなると、規制緩和とか自由化とかいうことを原則論tして主張しておきながら、個別分野では堂々とそれはやらないでほしい、規制を続けろという全然別の議論をする。私は非常にけしからぬ不当な議論の仕方だと思いますし、これにまた日本は応ずるべきではないと思っているわけでございます。  私は、実は昔、議員になる前でございますけれども、いろいろな機会にアメリカの役人と議論をする場合もございました。その場面でいつも閉口いたしましたのは、議論をいたしまして、ある程度こっちが優位に立ちまして押さえ込みますと、アメリカの担当者は何と言うかというと、議論では確かにおまえの言うとおりかもしれない、しかし、それで妥協してはおれのポリティカルマスターズが、ポリティカルマスターズというのはまさに政治家ですね、このポリティカルマスターたちが黙っていない、納得しない、したがって、論理はそうかもしれぬが、おれはおりるわけにはいかない。これには参ってしまいまして、それで、しようがない、時に談判決裂、あるいは時にこちら側が妥協の道を探るというようなことが間々あったわけでございます。  そこで、私お伺いしたいわけでございますけれども、まず、これちょっと事務方からお話しいただいた方がいいと思うのでございますが、国際金融局長から、交渉の今の状況をごく概略御説明いただけませんか。
  253. 榊原英資

    ○榊原政府委員 日米保険協議は事務レベルで何度も協議を重ねているところでございますけれども、最近では五月の二十八、九日にワシントンで、国際金融局の次長が向こうに参りまして、向こうの代表補代理と協議をいたしました。六月一日を一応の目標にして、それまでに決着をしようということで努力してまいったわけでございますけれども、なお日米間の差がかなりございます。  一つは第三分野への参入ということでございます。もう一つは主要分野での自由化、その自由化をどうモニターするかという、その二点でまだ依然として日米間の立場の相違が大きいということでございまして、今後鋭意努力をして、何とか決着に向けていきたいというふうに考えておるところでございます。
  254. 村井仁

    ○村井委員 これもちょっと事務的にお伺いしたいのですが、アメリカ側が主張していることの一つに、例えば傷害保険の料率算定会というのがありますね。これにつきましてAIUが異議の申し立てをした、この料率算定会が算定した結果につきまして異議の申し立てというのは初めてのことだ、このように新聞に報道されておりますが、この間の事情につきまして、保険部長、ちょっと説明してくれますか。
  255. 福田誠

    ○福田政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおり、AIUからは、損害保険料率算定会が去る五月十五日に大蔵大臣に対して届け出た傷害保険料率につきまして、異議の申し立てがなされております。  当局といたしましては、算定会が届け出た保険料率が法令に適合した適正な料率か否かについて審査を行う過程におきまして、算定会及び異議申立人のAIUの双方から意見を聴取することといたしております。
  256. 村井仁

    ○村井委員 保険部長、それで、異議の申し立てというのはAIUだけですか。AIU以外にも異議の申し立てをしているのかどうか。それから、それについて後どんな手続で日本側の処理がされるのか。それが国際的に見て非常に不公平なものであるのかどうか。そのあたりちょっと、簡単で結構ですから。
  257. 福田誠

    ○福田政府委員 お答えいたします。  今回の異議の申し立ては、AIUに続きまして、アメリカンホーム、それからチューリッヒという三社から出ております。  異議の申し立ての内容につきましては、詳細は御説明を省略いたしますが、算定会が長年の課題でありました傷害保険料率の分野で、新しいいろいろなデータをもとに料率を算定し直したものにつきまして、その新しい料率を適用する結果、個別社の収益にいろいろな影響が出るとか、いろいろなことから異議の申し立てがあったものと考えております。こういうような異議の申し立てば初めてのことでございます。  私どもとしましては、法令に基づきまして、異議の申し立てがございますと、その料率の審査を行うことになっておりまして、先ほど申し上げましたように、算定会及び異議申立人の双方から意見を聴取し、最終的な判断をさせていただくということになっております。
  258. 村井仁

    ○村井委員 ありがとうございました。  私の承知しておりますところでは、日米の間の保険分野での相互参入の程度というものは、実は比較にならないくらい日本へアメリカが入ってきている。そして、日本からのアメリカへの進出というのはそんなに大したものではないという実態がございます。特にアメリカの場合、各州でそれぞれ免許を取る、こういう仕組みになっているわけでございますね。私の聞くところによりますと、例えば東京海上がアメリカ各州で免許を一通り取るのに十八年かかったそうでございまして、非常な苦労をしてようやく入った、こういうことであるそうであります。  私は、第三分野と呼ばれるこの分野で、日本では、傷害の分野ではAIUが、それから疾病ではアリコが比較的大きなシェアを持っているわけでございますけれども、これはいずれもAIG、アメリカン・インターナショナル・グループというグループの一部でありまして、これの持ち主のグリーンバーグという会長が、何ですか政治的に大変大きな影響力を現在の政府に持っているという話もございます。クリントン大統領とも大変親しいというようなお話もありまして、これがUSTRの大変強い態度にも関係しているというような説もございます。  大統領選挙の年というのはいろいろなことがあるものでございまして、そういう意味で私は、日本政府が、ことしの四月に施行されたばかりの新保険業法でございますけれども、これを円滑に適用し、そしてその成果をあまねく消費者にもたらしていくというためには、アメリカに対して安易に妥協するべきじゃない、こうかたく信じているわけでございます。それにつきまして、昨日、大蔵大臣がモンデール大使とこの件でお会いになった、このように新聞紙上で拝見いたしましたが、大蔵大臣、恐縮でございますが、昨日のモンデールさんとの交渉といいましょうか会談、どんなことであったのか、お聞かせいただければありがたいと存じます。
  259. 久保亘

    ○久保国務大臣 モンデール大使が昨日大蔵省においでになりましたが、その前日に首相を訪問されております。これも報道されているところでございます。その際、橋本総理大臣の方から、ぜひ大蔵大臣とも会って話をしてほしいというお話があったと聞いておりますが、それを受けて、モンデール大使もぜひお会いしたいということでございましたので、お目にかかりました。  一時間余りお話をいたしました。六月一日を双方の合意の目標としてやってまいりましたけれども、非常に難しい意見の相違もございまして、残念ながら六月一日までに合意に達しておりません。しかし、なるべく早く双方が合意できるように努力をしようと。特に私からは、直接のこの問題の交渉の相手ではございませんけれども、モンデール大使にも、この問題の合意を得るために今後も力をかしてほしいということを申し上げました。それで、今後も引き続き私とも話を続けよう、こういうことにしてございます。  私が内容を詳細申し上げるのは、きょうは控えさせていただきたいと思いますが、一九九四年十月の合意に至りました決着文書がございます。この決着文書の読み方において双方にかなりな相違がございまして、そのことがこれまでの、事務レベルの何回も行われました交渉においても合意に達しないところではないかと思っております。  日本政府の側といたしましては、できるだけ日本側も柔軟に対応しよう、しかし、アメリカ側も柔軟に対応してもらいたいということを申してございます。まだこれからできるだけ早い合意決着を目指してやっていかなければならないと思っておりますが、日本側としては、主権に及ぶようなことは絶対に認められないところでございますし、九四年の合意文書に対しては、誠実に日本側としてこの実行に取り組んできたと思っておりますので、その点については、私どもとしても日本側の主張を申し上げているところでありますが、今後、もう少し双方の合意を得るために具体的な話をしていかなければならないことだと思っております。
  260. 村井仁

    ○村井委員 ありがとうございました。  私の理解では、九四年の日米合意文書について、アメリカ側は、本来の、生命保険、第一分野、それから損害保険、第二分野、それの自由化が行われるまで、生損保の子会社による第三分野への参入を原則的にシャットアウトしたい、こんなような感じに解釈をしているようでございます。私どもの理解では、日本の生命保険あるいは損害保険が外国企業の参入という点で制度的なバリアがあるとは到底考えられない。そういう意味では、私はこれは、それこそしっかりと交渉をしていただきたいと思うのですね。  私ども、とりわけて昨年、保険業法を国会で審議いたしました際に、衆議院で附帯決議をつけておりまして、これは引用でございますが、「いわゆる第三分野に係る激変緩和措置については、長期にわたることのないよう十分配意すること。」こういうことを申しておりますし、また参議院におかれましては、「傷害・疾病・介護分野(いわゆる第三分野)への本体相互参入に係る激変緩和措置は、利用者の立場等から長期にわたることのないよう十分配慮すること。」こういう附帯決議を、国会の意思として明らかにつけているわけでございます。  私は、アメリカの官僚がいわゆるポリティカルマスターズの意思を尊重することを非常に大事にすると同様に、私ども日本の国会の意思としてこのように明確に示されていることも十分に主張して、いわば武器として交渉に臨んでいただきたいと思うわけであります。   一番心配しておりますのは、タフネゴシェーターでいらっしゃる橋本総理でいらっしゃいますからその点は私は本音はそう心配しているわけじゃございませんけれども、しかし、一部の報道によりますと、リヨンのサミットに際して日米の首脳会談が行われる、その場をアメリカは決着の場として期待しているのではないかというような報道さえございます。  先ほどのお話で、六月中旬くらいが一つの事実上のデッドラインじゃないかというようなお話も、これは国内的な事情もありまして、あり得るわけでございますけれども、私はぜひ総理にこの問題の重要性を御認識をいただきまして、かりそめにも日本の国益を損なうことがないように、これは私は、何も業界益ではなくて、まさにユーザーとしての、保険に受益する国民利益でありますから、それを守っていただくようにお願いを申し上げたい。  さような意味で総理から一言御決意を承りまして、この問題を終わりたいと存じます。
  261. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今議員から半導体と保険という二つの分野お話に出てまいりました。(村井委員「フィルムもちょっと申しました」と呼ぶ)そしてフィルムがありますけれども。実は、往々にして忘れられてしまいますのが、我々の方から向こうに持ち込んでおります民間航空分野の旅客、この問題もありますので、交渉テーマを挙げてくださいますときに、この問題もぜひお忘れのないようにお願いを申し上げたいと思うのでございます。でないと、アメリカ側は、これだけはこっちから督促しないと絶対言いませんので。  しかし、むしろ国会の意思を背景にして交渉に当たれという言葉を大変ありがたく拝聴しておりました。今私自身、リヨン・サミットにおける日米首脳会談でこの保険の問題を初めとして通商問題が俎上に出てくるかといえば、私は、今回は恐らく出てこないのではなかろうかと思っております。そして、いたずらに首脳会談の議題に取り上げることによって解決困難な問題をプレーアップすることを恐らく得策とは思わない、そういう考え方をお持ちではなかろうかと私は思っております。  しかし、先ほど大蔵大臣からも御答弁をいただきましたように、一昨日、モンデール大使が私のところに見えましたときには、まさに半導体と保険、殊に保険分野に重点を置いてのお話でありました。そして私は、大蔵大臣との間でじっくり話し合っていただきたい、一回だけではなく、どうぞ二度でも三度でもということをモンデールさんにも申し上げ、大蔵大臣にもお願いをしました。きのうその第一回が開かれたわけでありますが、モンデールさんの提案といいますか考え方に対し、恐らく大蔵大臣が反論をしていただく、あるいは日本側としての意思を明らかにしていただく、そうした場面もあろうかと存じます。  私どもは、こうした論議がいたずらに決裂することを求めるものではありません。しかし、お互いに国益というものを踏まえての交渉でありますから、でき得る限り両者に円滑な結論が出ますように努力をしてまいりたい、そのように考えております。
  262. 村井仁

    ○村井委員 ありがとうございました。  昨年の保険業法の改正というのは、本当に、昭和十四年でございましたか以来の大改正でございまして、それで日本の関係業界に相当な犠牲も払わせつつやったことでございますだけに、その成果を広く国民に均てんさせる、その非常に重要なメルクマールだと私は思っております。そういう意味で、ぜひよろしくお願い申し上げます。  総理、お忙しくていらっしゃるようでございますから、どうぞ。  保険業法の関連といいますか、第三分野の問題をとりあえず終えまして、あと、ちょうだいいたしました時間――私ども新進党、実は一人六時間、各法案について一時間ずつ六時間、十四人の委員がおりますので、合計八十四時間審議をしたいということでお願い申し上げておりまして、現在までのところ、私の計算によりますと十四時間ほど消化しただけでございまして、審議はまだまだこれから、こういうことでございます。(発言する者あり)保険の話だって金融の重要な問題じゃないですか。それを何がいかぬのです。  金融制度調査会の答申でございます。これはやはり私は、何と申しましてもこの一連の事柄の基本になることでございますけれども、これまで金融制度調査会の昨年の十二月二十二日、「金融システム安定化のための諸施策」というこの答申につきまして、余り詰めた議論をしてこなかったという印象がございます。昨日、参考人から御意見をいろいろお伺いしたのも非常に私どもにとりましても参考になったわけでございますけれども、これを少し踏まえながらお伺いをさせていただきたいと思います。  その前に、私、一つだけ申し上げておきたいと思いますのは、きのうもちょっと触れたことでありますけれども、先般、与党議員の御質疑の中で、昭和金融恐慌のことを取り上げまして、それで、現在我々が金融関連法案を審議しているのと同様に、当時の議会が昭和金融恐慌の際に、例えば情報を出せとかあるいは責任はどうだとかいうようなことを議論して、その結果、昭和金融恐慌が大変深刻化して、当初は一億円の負担で済んだのが七億円も最後出すことになってしまったというような批判をされたわけでありますけれども、現在は、例えば日銀法ですとかあるいは預金保険法、貯金保険法ないしは銀行法、いずれもかってに比べて大変整備されて、いわばセーフティーネットができているということがございます。  そういう意味で、きのうも、これは池尾和人先生の御発言だったと思いますが、アメリカでSアンドLの処理をしますときに、預金者には一切迷惑をかけない、一セントたりとも迷惑をかけないということを大統領が宣言することによって、あのSアンドLの処理が非常に円滑に進んだという御指摘があった。私は、こういう態度こそが本当は必要なんだと思うわけでありまして、一番私どもが恐れておりますのは、六千八百五十億円の住専処理のための財政資金の投与というのが現在問題になっているわけでございますけれども、これが六千八百五十億で済むという保証は全然ない。これ以上にもっともっと膨らんでいく可能性があることは、既に同僚議員からもいろいろな形で指摘されたところであります。  例えて言いますと、住専処理法案というのを、いつもこの委員会では議題を読み上げられるときに第一に挙げられる。これは、たまたま一番最初にこの国会に出されているということ、それはたまたま技術的にこれが予算関連法案だったからということにすぎないわけでありますけれども、これを政府は、現在の金融システムに関する問題解決の突破口だ、このようにおっしゃるわけでございますけれども、私は、どうも突破口で穴をあけた先に、トンネル掘るときに破砕帯というのが時々あるのですね。私の地元に、私の地元と岐阜県との間、日本アルプスの底を抜いている安房トンネルというのがありますが、これが途中で破砕帯というのに出くわしまして非常に苦労したわけでございますけれども、こういう、ともかくもうぞろぞろ幾らでも不良資産が出てくる、不良債権が出てくるというようなことになりますと、尋常なトンネル掘削機じゃどうしようもない。  私は、どうも今のこのトンネル掘削機、用意されている住専処理法案というのは、六兆四千億の話だけは片づけるような形に一見なっていても、第二次処理の話とかその先にある話、例えば他のノンバンクのお話なんかも既に出ておりますけれども、こういったようなことについては全然対応できない、そういう仕組みにすぎないのではないか、ここのところを私どもは非常に問題にしているのだということをまずもって申し上げておきたいと思うのです。  そういう意味で、この答申というのは、実は非常に書き出しのところ、立派な書き出しになっております。私はぜひこの機会に朗読をさせていただきたいのですが、この答申は一番最初のところで「金融の自由化の進展は金融機関相互間の競争を通じて経済の効率性を高める一方で、金融機関をはじめとする各経済主体にとってのリスクが増加する過程でもある。」ということを言っているわけです。これは、私は大変重い言葉だと思うのですね。「各経済主体にとってのリスクが増加する過程でもある。」  それで、さらに具体的にそれを敷衍しまして、「最近表面化している大規模な金融機関経営破綻」、金融破綻というのは「金融機関自身の自己責任意識の不徹底によりリスク管理が十分でなかったこと、」それから「従来型の行政手法によるチェックでは不十分」「断固たる処置がためらわれ、結局問題の先送りとなって」いることが示されている。それから「我が国金融システムの不透明さ」、これは「ディスクロージャーが過渡的段階にあることや、国際的に見てあいまいさの多い行政のあり方そのものに起因する所が多い」、こういうことを言っているわけですね。私はここは非常に重い指摘だと思うのです。  果たして、そういう意味で、今提案されている法律案というものは、この答申の一番冒頭にある基本的な考え方というものを具現しているものなのかどうなのかということを少しずつお伺いしていきたいと思うわけであります。  そこで、非常に技術的なことで申しわけないのですけれども、これは審議会の御議論を、まあ私の経験でもそうですけれども、西村局長、議論を聞きながら、事務局は大蔵省銀行局、それで銀行局の職員がそれを整理してこのような形に文章にまとめていかれる、それでまた委員の先生方の御意見をお聞きになって整理していかれるということですから、言葉遣いや何かも当然のことながら相当正確になっておると思うのですけれども金融機関という言葉が使われています。この金融機関という言葉は、この答申で使われている限りは、当然のことですけれども、いわゆる預金取扱金融機関、これを意味する、このように理解してよろしゅうございますね。
  263. 西村吉正

    ○西村政府委員 この十二月二十二日の答申の対象になっております金融機関は、この中に住専の問題も含まれておりますように、広く金融機関のあり方というものを問題にしていると思いますけれども、しかしながら、その重点は預金取扱金融機関でございまして、そういうものに対する預金保険制度のあり方等を重点的な課題としているという意味から申し上げますならば、この金融機関という言葉は主として預金取扱金融機関を念頭に置いているというふうに考えております。
  264. 村井仁

    ○村井委員 今のは大変あいまいな、西村さんらしくない御答弁で……。  いいですか、もう一回言いますよ。この答申、これは皆さんがある意味では実際に筆をとってお書きになっている、相当気を使って配慮してお書きになっている、そういう答申ですよね。金融機関という言葉、これの意味を私はお尋ねしている。  第六章で「住専問題」というのが出てきまして、「住宅金融専門会社(以下「住専」という。)」というくだり以下のところでは、これは金融機関の問題は議論していないのです。この答申全体が金融機関を議論しているかどうかなんということは私は聞いてない。ここで使われている金融機関という言葉は、もう一回聞きますよ、預金取扱金融機関意味しているのですねということを聞いているのです。
  265. 西村吉正

    ○西村政府委員 主として預金受入金融機関を対象としております。ただ、例えば今、村井委員がお挙げになった第六章の「住専問題」のところで「関係金融機関の」というような言葉が出てまいります。この金融機関という場合には、例えば母体行の中にあります生命保険会社とか、そういう広い意味での金融機関ということも念頭に置いているわけでございます。しかしながら、主として預金受入金融機関を念頭に置いているということは委員御指摘のとおりでございます。
  266. 村井仁

    ○村井委員 なるほど、生保やそれから証券がそういう意味で母体行として入ってくるというのは、それはわかりました。それは、なるほどそういう意味では金融機関というのは、そうすると、もう一回念を押してあれしますと、第一章から第五章までのところ、ここまでのところで出てくる金融機関、これは関係金融機関というのはそういう意味では出てきませんよね。ここでは預金取扱金融機関ですね。
  267. 西村吉正

    ○西村政府委員 そういうことを念頭に置いてこの議論は進められております。
  268. 村井仁

    ○村井委員 そこで、この答申の一番の重点というのは、当然のことながら金融機関の破綻問題ということに重点が置かれているわけであります。  その破綻の処理に際しまして、金融機関同士の合併とか吸収とか買収、あるいは債権債務の譲渡というような手段が使われる。これは当然のことですけれども、問題は、関係者が余り気乗りがしないのに、銀行行政に当たる当局が無理やり合併などを勧めて私的な処理を進めていく。そのような当局の過剰な介入というのが現にこれまで存在した。  これが、日本の金融機関というのは一体体力があるのかないのかわからないという状況をつくり出した。これは、これまでもこの委員会で何度かいろいろな形で、いろいろな表現で指摘されたことでありますけれども、それが問題だから透明性を高めた制度整備をしよう、私はこれがいわゆる金融四法案の基本的なねらいだ、こう思うわけであります。そういう意味で、これまでの金融行政にそういう意味で適切を欠いたものがあるという反省に基づくものだろうと思うのですけれども、その点いかがでございますか。     〔委員長退席、尾身委員長代理着席〕
  269. 西村吉正

    ○西村政府委員 過去におきます銀行行政では、銀行が規制時代には体力がございましたことから、仮に破綻金融機関経営危機に陥った金融機関がございます場合に、そのような体力のある金融機関がこれを抱きかかえていくということが可能でございましたし、そういうことを前提とした金融制度になっていたと思います。その時代におきましては、そのような行政、そのような仕組みというものは必ずしも批判されるべきものではなく、高度成長時代においては、むしろそのような仕組みが日本経済全体を発展に導いたという面もあろうかと存じます。  しかしながら、この十年くらい、金融の自由化、国際化というものが進みまして、それぞれの金融機関が競争というものを前提として、自分自身が最大限の効率化を図っていくという前提に立って金融システムができ上がってまいりますと、今御指摘のように、そもそも他の金融機関を抱えていくだけの体力がそれぞれの金融機関になくなってきたということもございますし、また、競争時代においては、市場原理を旨として運営してまいります金融システムとしては、そのような手法そのものが適切でない、過剰な行政介入という見方が出てまいったわけでございます。  このような状況下において、透明性のある破綻処理金融行政というものを進めていくにはどうしたらいいかというのがこの答申の問題意識の根底にある発想でございます。
  270. 村井仁

    ○村井委員 そこで、この答申、これはいろいろなバージョンがあるのかもしれませんが、六ページくらいになりますか、「金融機関の破綻処理のあり方 ①基本的考え方」というのがございまして、そこで「① 金融機関の破綻処理においては預金保険が発動されることとなるが、」と、まず書き出されているわけであります。  この「金融機関の破綻処理においては預金保険が発動されることとなる」というのは、この「金融機関」というのは、これはいわゆる、当然のことですけれども、預金を受け入れている金融機関、そういうことでございますね。――そこのところを確認させていただきました上で、それで私は、この法律といいますか、この答申全体を読んでおりますと、結局ここで提起されている破綻処理の一番の特徴というのは、監督当局に倒産手続開始の申し立て権を付与して、それで会社更生手続をベースに行おうとしております。ここが一番の特徴だろうと思うのですけれども、それはそういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  271. 西村吉正

    ○西村政府委員 そのことも一つの特徴でございます。  しかしながら、私どもは、金融機関経営危機あるいは破綻処理に際しまして、必ずしもすべての局面において会社更生法ないしは破産法が適用されるということを想定しているわけではございません。
  272. 村井仁

    ○村井委員 どちらかというと説明の重点が信用組合に集中しているような感じがあるものですからね。確かに信用組合につきましては、会社と違いますから、従来の手法ですと更生手続が適用できない。だからそれが適用できるようにしようということで、その部分の条文が多い。しかし、物の考え方としては、会社更生手続を信用組合のみならず他の金融機関のすべてにも適用していこう、そういう道を開こうという考え方をこの答申は包含しているというふうに考えていいですか。
  273. 西村吉正

    ○西村政府委員 例えば、先ほど委員が御指摘になりましたこの「基本的考え方」の「金融機関の破綻処理においては預金保険が発動されることとなるが、」この発動される場合でございますが、必ずしも会社更生法とか破産法が適用されないと発動されないわけではございませんで、例えば先ほども平田委員との御議論でございましたが、営業譲渡というような場合に預金保険が発動されることもあるわけでございます。現にアメリカの破綻処理におきましても、必ずしも形の上で破産をさせるというような事例がすべてではございませんし、金融機関というものが預金者というものを抱えております以上、慎重な取り扱いをしているというのが各国共通した例でございます。
  274. 村井仁

    ○村井委員 逆に、相当規模の例えば信用金庫、あるいは銀行という形態のものであっても、そうすることが適当であるという客観的な状況があるならば、更生手続を適用していくということも考えられるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  275. 西村吉正

    ○西村政府委員 今の御質問の趣旨が、大きい金融機関についても破産や会社更生という手法を適用することもあるという理解でいいかという御質問でございましたら、それはそういう御趣旨のとおりでございます。
  276. 村井仁

    ○村井委員 どうも一般に受けとめられている印象は、信用金庫以上のところは護送船団方式でまた対応するのじゃないかというふうに受けとめられている傾きがある。私は、そこのところははっきり姿勢を示しておいていただいた方がいいと思うのですね。  何といいましょうか、できるだけ透明にやっていく必要がある。そのために、ある意味では一番すっきりしたやり方というのは、やはりこの答申にありますように、きちんとした法的処理をすることであります。もちろん、営業譲渡だ何だかんだというような私的処理のやり方でやるのが適当な場合があることを私も否定しませんけれども、しかし、会社更生手続というのは、ある意味では倒産五法の中で最も弾力性がありまして、このあたりは同僚議員がいろいろな形で既に触れてもおりますしこれからも触れると思いますけれども、そうすればこそ、かなりの長い審議時間をかけてこの金融制度調査会の金融システム安定化委員会が知恵を絞って、協同組織金融機関についてまでこの処理手続を適用する、適用を可能にするように法律改正を提起して、ここに出してきているということなんですから。それがかなりのところまで基本的には有効な方法だということをここで改めて確認をしておきたいということであります。その点はもういいですね。  続いて、ちょっと細かい話になりますけれども、この答申の八ページに、預金保険機構に管財人をやらせる問題につきまして、これは⑤ですね、「預金保険機構への管財人機能の付与は利益相反等の問題があり適当でなく、」云々というのがございます。預金保険機構に管財人をやらせることは利益相反の問題があり適当でないという判断をしているとすると、実際に処理をするのはどういうふうにするのか。これは具体的には、普通の管財人が選ばれて普通に管財業務を行う、こういうふうに考えていいですね。
  277. 西村吉正

    ○西村政府委員 金融制度調査会でも、この点はかなりいろいろな議論がございました。委員の中には、管財人機能を与えた方が効率的に預金保険機構の仕事が遂行できるのではないかという御趣旨もございました。しかしながら、最終的には、ここに記されてございますように、利益相反等の問題が生ずるので、管財人を任命する場合には、預金保険機構の外にというか、本来の、普通の管財人の任命という形で処理をするのが適当である、こういう法律の専門家方々の御意見も含めましての結論でございました。
  278. 村井仁

    ○村井委員 大蔵省から出していただきました資料を見ておりますと、この問題につきましては、適切なファイアウォールを中につくればこの利益相反の問題を片づけることができるのではないかというような議論があるのですね。これは十二月の一日、かなり遅くになってですが、「管財人機能についても、ファイヤーウォールを設けて利益相反を防ぎながら付与していく」ということが可能であるというような議論があった。  この辺は、私もこれは確かに一つのやり方だろうなと。といいますのは、預金保険機構というのにかなり強力な権限を与えるということをおっしゃっておるわけですね。そうであれば、この預金保険機構が、調査機能にあわせて管財人機能という、ある意味では更生計画を立案する主体的な、中心的な役割を果たすということがかなり合理的だということも言えるのじゃないかという気がしたものですから、これを読み合わせておりまして、もう少しお話を伺えたらと。
  279. 西村吉正

    ○西村政府委員 この議論は、アメリカの預金保険制度も参酌しながら、管財人機能というものを与えるという考え方があり得るのではないかという御議論でございました。私どもも、そういうことが可能ではないかということを相当長期間かけて追求をしてみたのでございます。  預金保険機構は、ある意味預金者の立場で金融機関の破綻というものに対処するわけでございます。したがいまして、預金者利益のために仕事を遂行するわけでございます。しかしながら、金融機関には預金者以外の債権者もあるわけでございます。そういたしますと、預金保険機構が預金者だけの立場でこの破綻処理に当たりますと、他の債権者の権利というものとの関連において、その人たちの権利を害する場合もあるのではないか。  すなわち、預金者預金者以外の債権者との間に利害の対立がある場合に、預金保険機構が預金者だけの立場に立つということになったのでは問題ではないか、こういう問題意識のもとに、この答申では、そのような手法は適当ではない、こういう結論に達したと記憶をいたしております。     〔尾身委員長代理退席、委員長着席〕
  280. 村井仁

    ○村井委員 それは、細かいところに入って恐縮ですけれども、預金保険機構というのは複数の要するに行き詰まった金融機関を対象にしますよね。そのときに、Aという金融機関とBという金融機関、Cという金融機関、これがそれぞれ、まあ簡単に言えば更生手続が進行する、その間に何らかの利益相反が生ずるというようなことも考えられたのじゃないですか。
  281. 西村吉正

    ○西村政府委員 むしろ審議会での御議論といたしましては、預金者預金者以外の債権者の関係ということに重点を置いた御議論であったように記憶しております。
  282. 村井仁

    ○村井委員 ありがとうございました。  続いてもう一つ、預金保険機構の特別基金の問題、これにつきましてちょっとお教えをいただきたいと思います。  いわゆる当面の枠組みとして、預金保険機構の中に特別基金を設けるということになっています。不良債権処理のためのいわゆるペイオフコスト、ペイオフを超えるコストを負担させる、そのために預金保険機構に特別基金が設けられるわけでありますが、これは、答申は、本来業態横断的であるべきである、こう言っておきながら、信用組合については、これだけは他の業態とは別につくるんだ、こういう言い方になっているのですね。ここのところが非常にわかりにくい。これを少し説明していただけませんか。
  283. 西村吉正

    ○西村政府委員 一般の預金保険、今までの預金保険がそうであるわけですが、これは信組だけを取り出すということではなくて、都市銀行から信用組合に至るまで、すべての業態を包括して取り扱っているわけでございます。答申では、それが本来の姿であるということを言っているわけでございます。  しかしながら、この特別基金というものに関して申し上げますならば、五カ年間の臨時異例の措置である。この緊急事態をしのぐためにどうしたらいいかという議論であったわけでございますが、このような臨時異例の事態を解決するためには、今の金融機関の置かれております現状を前提としなければいけない。そう考えますと、信用組合以外の業態においては、金融システムの中において、すなわち預金保険料の範囲において破綻処理をすることが可能であると思われるけれども、信用組合について言うならば、なかなかそういうことでは処理が難しくなる局面も考えられる。  このことは、実はアメリカの例が皆さんの念頭にあったわけでございます。日本の場合には、今一緒にやっているものを、信用組合という少し違った立場に置かれたものをちょっと横に置いて処理をしよう、こういう発想になっているわけですが、アメリカの場合は逆でございまして、もともとSアンドLと一般商業銀行というものは別々の預金保険の体系になっておりました。これをSアンドLの部分についてだけ特別な扱いをする、すなわち財政負担をしてでもこの問題を早期に処理しよう、こういう発想で取り組みまして、その処理が終わったところでいわば合体をするという姿にアメリカではしたわけでございます。  この発想を逆にしまして、日本の場合に、しからば類似の事例に対処して、今は一緒だけれども、ちょっと信用組合の部分だけこの五年間においては距離を置いたものにして、正常な姿に戻した後にまた再び全体を一体として取り扱うという普通の姿に戻す、このようなプロセスを経てばどうかというのが御議論の内容であったように記憶をいたしております。
  284. 村井仁

    ○村井委員 ある意味では、信用組合の業容というのが非常によろしくない、一般的に見ればよろしくないというところの認識からそのような話につながっていくということだろうと思いますが、そのあたりはなかなか当局としては言いにくいところだと思いますが、お話はとりあえず理解をいたします。  そこで、もう一つ続いて、信用組合につきましては、確かに、最近のコスモだとかいろいろな破綻している信用組合の例で、理事が大変その信用組合を私物化して、それで余りおもしろからざる行動をとったということが破綻の具体的な原因になっているということは事実でありますから、そこで、信用組合の理事の兼職禁止というようなことがここにはっきり出てきているわけでございます。  これは「信用組合等の健全性確保」という項の中で、信用組合の役員につきましては、原則として常務に従事する役員については兼職を禁止することが適当である、こう書いてありまして、なお、理事長、副理事長については、その職務の重要性からいって、兼職等の制限に関しては非常勤であっても常勤役員として取り扱うことが重要だと、かなり厳しくそこを縛ることにしている。そして、仮に兼職が認められる場合であってもこのようなチェックをしろというようないろいろな条件を書いてあるわけであります。特に、ディスクロージャーをしろというようなことも書いてある。  そこで、銀行等につきましてこれをどういうふうにお考えなのか。答申では、十ページの下から二行目、「銀行、信用金庫、労働金庫についても、仮に兼職等が行われている場合には同様の対応が行われる必要がある。」こう書いてある。これはどんなふうに処理されたのですか。
  285. 西村吉正

    ○西村政府委員 信用組合に関しましては、今御指摘の役員の兼職禁止を初めといたしまして、この答申で相当の紙数が割かれているわけでございますが、これは、そもそも今回の議論の発端が、前回の通常国会におきまして、東京の二つの信用組合の破綻処理に関しまして、国会でこのような問題について非常に議論が盛んであった、そのような御議論を踏まえてこのような答申になっているわけでございます。  その二つの信用組合を初めといたしまして、最近におきます信用組合の破綻の事例では、役員、特にトップの役員が他の業務を兼職しているということが破綻に関連を持ったのではないか、こういう御指摘が多かったわけでございます。現在、信用組合以外の金融機関、すなわち銀行や信用金庫におきましては、兼職は原則として禁止されているわけでございます。今回、信用組合においてもやはり兼職を禁止するということを原則として、他の金融機関と取り扱いを合わせたらどうかというのが発想の原点でございます。  なお、最後に御指摘がございました銀行、信用金庫等についても、仮に兼職等が行われている場合には同様の対応、すなわち、ディスクロージャー等所要の措置がとられることが望ましいという考え方が示されているということでございます。
  286. 村井仁

    ○村井委員 これは確認ですけれども、そうすると、銀行、信用金庫、労働金庫等については、兼職禁止というのは原則としてもう決まっている。そこで、例えば社外重役だとかなんとかいうような形で入っているようなケース、こういうのは、ディスクロージャーとかなんとかというのはどんな形でその辺を示すことにしていることになりますか。
  287. 西村吉正

    ○西村政府委員 そのような開示は、業務報告書で行われているところでございます。  なお、銀行や信用金庫につきまして、常務に従事している役員の兼職というものは非常に厳格に取り扱われているというのがただいまの現状でございます。
  288. 村井仁

    ○村井委員 続いて、これは同僚議員からも既にいろいろ取り上げられた問題でございますが、公的資金の関与問題。  これにつきましては、実はこの答申、非常に丁寧に書き込んであるのですね。この答申の「信用組合の破綻処理について」、最初に「国と地方の役割」というのを書いてありまして、その次に「公的資金の関与」というのがございます。  ここで、これは恐縮ですが、ちょっと読ませていただいた方がよろしいかと思うのですが、  ①金融機関の破綻処理金融システム内の最大限の負担により行われることが原則であり、ペイオフコストを超える資金援助を行うために設けられる特別基金の財源も、基本的には金融機関の最大限の負担(特別保険料)により賄われることとなる。しかしながら、多くの金融機関が巨額の不良債権を抱え信用不安を醸成しやすい最近の金融環境下においては、こうした手立てを講じてもなお破綻処理費用が賄えない場合の備えを確保しておくことにより、預金者保護、信用秩序の維持に最大限の努力を払う必要がある。 こういうふうにまず述べまして、そして、  ② 預金は国民にとって最も身近な貯蓄手段であるだけでなく、決済手段としても経済において中核的な役割を果たすものである。ひとたび信用不安が生ずると、預金者は自らの預金を一挙に引き出そうとし、また、これがために、預金を通じて行われている各種取引の決済が麻痺し、膨大な数の個人企業金融機関等に甚大な悪影響が及ぶことが想定される。このような意味で、金融・決済システムは経済のインフラストラクチュアであり、その安定性確保は金融機関預金者のみならず、広く国民経済全般の安定の基礎となるものである。従って、上記のように金融システム内の手立てを講じてもなお破綻処理費用が不足するような場合には、経済全般の安定を確保するためのコストとして、広く間接的な受益者として、納税者にも負担を求めることとせざるを得ないと考えられる。 そして、  ③ この場合、これまで信用組合については大規模な破綻が相次いで生じていること、米国においても商業銀行の破綻処理は預金保険の発動により金融システム内で処理されていること等に鑑みれば、公的資金の導入は信用組合特別勘定に限定することが適当である。具体的には、五年後に信用組合特別勘定の積極的な業務が終了した際に、一般金融機関特別勘定に黒字があり、これを充当してもなお信用組合特別勘定に赤字が生じている場合には、政府が適切な財政措置を講ずることとすることが適当である。  なお、納税者に安易に負担を求めるべきではないこと等を踏まえると、三年後に勘定の損益の状況金融機関の財務状況等を勘案の上、特別保険料の適正な見直しを行うことが適当である。 このように書きまして、そして、  こうした公的資金の導入措置は信用組合を救済するものではなく、預金者保護及び金融システムの安定性確保のために行われるものであり、破綻金融機関預金者に直接損失の分担を求めることが困難な当面の間の臨時異例の措置であることは言うまでもない。  このような記述。ちょっと長い引用をいたしましたけれども、私は、ここに書かれていることというのは実は大変重いことが書いてあると思うのですね。しかも、これは表題を見ると信用組合の破綻処理に限定して書いている。そして、これだけの厳しい条件をつけて公的資金の関与の問題について答申は論じているわけです。  私はそこで、それから答申をずっと読んでいきますと、これを踏まえて、実はこの住専問題というのに触れますと途端にこの答申、申しわけないが歯切れが悪くなる。この答申は、本当は一冊の答申じゃなくて、一章から五章までと、それから六章だけ別というような話、言ってみれば本当に木に竹を接いだようなものであります。  住専問題につきましては経過をさらさらっと書きまして、それから、簡単に言えば十二月十九日の閣議決定を引用しまして、そして十五ページですか、「六、住専問題」の「(3) 当調査会は、上記のような公的資金の導入も含めた」、また臨時異例が出てきますが、「臨時異例の措置が政府において決断されたこともやむを得ないと考えるが、」云々ということになっていまして、政府の審議会、調査会の答申にはこれはまず類を見ない、異例に皮肉を込めた表現だ、私はこのように感じるわけであります。  そこで、私、これは大蔵省からちょうだいした資料をずっと見させていただいたのですけれども金融制度調査会、これは八月八日に確かに金融システム安定化委員会で一回住専問題を議論しているのですね。それから、九月二十七日に、あれは経過報告ですか、そこでちょっと触れている。それきりで、後、全然議論をしていない。そして、十二月二十二日になって突如こういう答申が、多分、十九日の閣議決定の後、役所の皆さんが汗かきながら一生懸命書いて、それでぽんと委員の前に出したということじゃないかと思うのですが、局長、そのあたりどういう経過だったのですか。
  289. 西村吉正

    ○西村政府委員 金融制度調査会の御議論は、第一回が昨年の七月四日に始められまして、その後、十数回にわたる議論の後、十二月二十二日に最終的に報告に取りまとめられました。  その発足以来、委員の皆様方の住専問題に関する御関心は大変に高うございました。それは、何よりも当時国民の間でこの住専問題というものの解決が我が国の金融の課題としてまことに大きなものであるというふうに考えられていたからだと思われます。  したがいまして、金融システム安定化委員会の議論の中でも住専問題についてその都度触れられることはございましたけれども、しかしながら、集中的に住専問題を取り上げましたのは、先ほど村井委員御指摘の八月八日でございました。そして、その問題について一応の考え方の整理が行われましたのが九月二十七日の審議経過報告でございますが、その前段階、九月二十一日の取りまとめに向けての検討においても、そのような問題についての御議論があったと記憶をいたしております。  このようなことでございまして、回数は全体として限られたものではございますが、金融システム安定化委員会の御議論の中で、住専問題に関する委員の皆様の御関心というものは大変に高いものでございました。しかし、最終的に取りまとめられました十二月二十二日の直前、十二月十九日に政府としての住専問題に関する取り扱い方針が決定をされましたので、その政府の決定方針はそれまでの金融制度調査会での御議論をも念頭に置いたものではございましたが、結果的にはその政府の十二月十九日の住専取り扱い方針を踏まえた金融制度調査会の報告になった、このような経緯でございます。
  290. 村井仁

    ○村井委員 局長からはそのようにしかおっしゃれないだろうと思いますが、いずれにいたしましても、ともかく木に竹を接いだような答申になってしまった。「金融システム安定化のための諸施策」の非常に格調の高い冒頭二行の、金融の自由化の進展というのは各経済主体にとってのリスクが増加する過程でもある、そういう意味で、経済の効率性というメリットの面だけではなくて非常に大変な問題なんだ、それにきちんとした対応をしていかなければいけない、自己責任の世界とかいろいろな話が、ここで何か突然崩れてしまうのですね。  私は、住専問題のこの六章の中で一番問題なのは、形式的には、閣議決定を受けてこれを入れ子にして、これもやむを得ない、こう書いてしまったのですが、しかし、この答申もなかなかしっかりしたものでありまして、条件をつけている。十六ページに「住専処理過程での責任の明確化にあたり、法的にみて問題があるものが判明した場合には、関係者に対し法の下で厳格な責任追及が行われる必要がある。」ということを殊さら言っているのですね。  しかし、私はどうも、この答申を受けて住専処理法案を整備される上で、それにふさわしい法律的な対応というものを全く怠っておられるように思うのです、政府の案は。要するに、住専処理手続の中で、この非常に重要な答申の条件づけを十分に入れ込んでいない、そのように思うのですが、そこは、局長どういうふうに考えますか。
  291. 西村吉正

    ○西村政府委員 この関係者に対する法のもとでの厳格な責任追及という問題につきましては、私どもが原案をつくります段階におきましても、御答申を踏まえて強く意識をいたしたところでございます。さらに、国会での長い御論議におきまして、このような問題については、国会ではさらに強くこのような点を強調し、御指摘をいただいたところと考えております。  したがいまして、私どもがこの住専処理スキームをつくりました段階におきまして感じておりましたことを、国会の御審議を通じましてさらに強く促されたというふうに理解をいたしておりまして、この住専処理スキームを実施する段階におきまして、このような御指摘を十分に踏まえた対処をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  292. 村井仁

    ○村井委員 私は、局長住専処理法案の中に、あるいはそれに関連する法律案でも結構ですけれども、これをきちんと担保するような手当てがされるべきであろうと思うのですね。どうも今言われていることは、既存の法律による処理を行う、あるいはわかれば罰する、あるいは、簡単に言えば検察あるいは警察当局による追及をやるというようなことであって、システムとして、法的な制度としてこれがビルトインされているわけではない。  例えて言えば、法律に訓示規定というのがありますよね。あの訓示規定というのは、あれは法律事項じゃない。要するに、法律をこういうふうに運用しなさいという、言ってみれば訓示ですよね。守ったって守らなくたってどうということはない、オーバーに言えばですよ、極端に言えば。そういう規定が法律の中には間々あるわけでありますけれども、私は、それ並みに扱われてしまったという感じがする。  率直に言って、この答申の中で、法的に見て問題があるものについては厳格な責任追及を行え、これはアメリカのSアンドLの処理のときにも大前提になった話なんですけれども、同僚議員からも既にいろいろ指摘があるように、住専処理法案というのは、七つをパッケージにしてばっとまとめて処理してしまうという手法をとったがために、その間のいろいろな問題をあいまいにしてしまうという宿命を持っているわけですよ。そういう選択をするならば、当然何らかの手当てをして、個別の住専のいろいろな責任というものがきちんとえぐり出せるような法的な手続住専処理法案の中に私は入れるべきだったと思うんですけれども、そういう配慮がどうしてできなかったのですか。
  293. 西村吉正

    ○西村政府委員 ただいま御提案を申し上げております住専処理法案におきましても、例えば罰則つきの財産調査権だとか、あるいは包括的な損害賠償請求権の承継だとか、そのような仕組みがビルトインされているわけでございまして、私どもといたしましては、通常、全くの私的な会社である場合にはそのような責任が追及できないようなものについても、この住専処理法案によってより強く法的な責任を追及できるような仕組みが講じられていると考えているところでございます。  さらに、七つをパッケージにするということは、このような体制をとるということを可能にするとともに、個々の、例えば債務者の追及ということに当たりましても、七つに共通するような債務者については一括して強力な回収体制をもって当たることができるというように、パッケージにすること自体、この責任追及ということについては非常に強力な手段になるのではないかと考えているところでございます。
  294. 村井仁

    ○村井委員 そこのところは随分私ども意見の違うところでありまして、これは同僚議員から既にいろいろ御指摘もありましたし、また別の角度でいろいろ議論がされるところだろうと思いますけれども、答申との関連で、私は、七つをまとめる形をとるためにかえって責任の所在があいまいになるという結果になっているというのが私どもの見解だということを改めて指摘をしておきたい。  そしてまた、答申が非常に重視している責任追及というのが非常に不十分で、とてもじゃありませんが、預金を受け入れている信用組合でさえ、さっき私長々とあえて朗読させていただきましたけれども、非常に多くの条件をつけてようやく公的資金の導入が認められる、そういうものに比較して、住専の場合、極めて甘い処理の仕方がされることになりかねないということを私は懸念として申し上げておきたいと思います。  さてそこで、住専問題について、ちょっとこれは答申を離れますけれども、しかし基本的な問題でございますので、既にこれも同僚議員が若干触れてはいますが、少しお伺いしたいのです。  住専というのは今や悪の権化みたいなものでありまして、ともかくあれはいかぬのだ、つぶすんだという話になってしまっている。しかし、よく考えてみますと、ノンバンクという業態、これは要するに預金を集めている金融機関から金を借りてきて、あるいは別の方法で資金を調達して、要するに一般から預金を集めることなくしかし他に金を貸す、いわば資金仲介業者としていろんな形態があり得るわけですね。これはリースだとか信販だとか、何だかんだいろいろありますね。そういうものの一つとして住宅ローンを専門にするいわゆるノンバンクというのは、これから絶対存立しないものなんですかね。その辺、私はどうもそういう前提で議論がされているように思うので、その辺は非常に疑問に思っている。これはちょっと銀行局長、御説明いただけませんか。
  295. 西村吉正

    ○西村政府委員 御指摘のように、ノンバンクという、いわばお金を貸すという機能に着目した、預金を受け入れていない金融機関というものは、全国で約二万に上るわけでございます。その中には、消費者向けの貸金業者もあれば、クレジットカード会社もあれば、信販会社もある、このようなことでございます。  このような中で、住宅金融専門会社という存在が今後成り立ち得ないのかという点につきましては、これはむしろ、役所、行政が決めるというよりも、実際に、市場と申しますか、経営者の判断といたしまして、このような貸し金を業といたしますものの中でどのような分野が有望であり、継続して営業ができるものであるかと判断されることかと存じますけれども。  経緯として申し上げますならば、この住宅金融分野には、昭和四十年代の後半においては、まだ一般の金融機関がこのような分野で仕事をすることに余り気が進まなかった時代がございます。他方において、高度成長期を経まして、国民の住生活に対する需要というものが非常に旺盛になりまして、住宅に対する資金供給というものを何らかバックアップしなければいけないというような発想が当時あったわけでございます。  そのような時代に、この住宅金融専門会社という分野が非常に発展をいたしまして、その時代としては時代のニーズに適合したものであったわけでございますが、今やこの住宅ローンという分野には銀行等の金融機関が直接乗り出すということもございますし、また住宅金融公庫という公的な部門が非常に充実してきたということもございまして、かつてのような、専門の会社が存在することに大きな意義があったという時代は過ぎてしまったのかという感じがいたします。  しかしながら、これは行政が、そういう分野があってはならないとか育てるべきだということを申し上げるべき筋合いのものではございませんので、そこは、経営者の判断によって、事業が営まれるかどうか決断されるものと考えております。
  296. 村井仁

    ○村井委員 銀行局長、さすがに用心深くお話しになっておられますけれども、率直に言って、要するに破綻した住専処理のこの議論のプロセスで、行政がそういうことを決めるべきではない、決めるべきではないと今言われましたけれども、ずっとこれまで、住専会社はこれはもうつぶすのだ、破綻させるのだと非常に断定的に銀行局長言ってこられたのですよね。大臣も言ってこられた。ということは、そう言いながら、こういう業態はもうあり得ないのだということを、日本の国会大蔵大臣銀行局長とが言っているという大変矛盾した話なのですよ。  私は、これは非常に実は問題に思っているのです。ノンバンクという業態、私は、金というものも、それは一般から預金を集めて、そしてこれを貸すという形態は、確かに信用秩序の問題があるから、だからこれはいろいろな意味で制約をある程度課していかなければならないだろう、それはわかるのだが、しかし、銀行などから金を引っ張ってきて他の足らざるところへ貸していくという業態は、これはもっともっと自由にしていっていい世界だと思っているのですよ。それについて、住宅についてのニーズがなくなるだろうとかなんとかいう話は、私は、これはそもそも当局がいろいろ予断すべき話じゃない、大変僭越な話だと思います、基本的に。  それに加えて、今の話でもう一つ、私は非常に問題だと思うのは、住宅金融公庫ですよ。住宅金融公庫のような公的金融機関が充実してきたからというのはどういうことです。これは、本来、住宅金融公庫を含めて、公的金融機関なんてものは民間の活動の補完金融機関ですよ。それが表へ出てきて、そのために民間がプレッシャーを受ける、そんなことを前提にして議論がされるというのは非常におかしいと思いませんか。  ちょっと大臣、これは私は銀行局長に聞こうかと思いましたけれども、公的金融機関が出てきて充実したから、だから民間のビジネスチャンスがなくなったのだ。これは私は、日本の今の大きな流れからしたら、非常に大きな問題だと思いますよ。おかしいと思います。それは、過去の経過として、反省として語られるならいざ知らず、これからもそうなるだろうというのは、私は少し言い過ぎじゃないかと思うのですよ。これ、ちょっと大臣、御見解を伺いたい。     〔委員長退席、尾身委員長代理着席〕
  297. 久保亘

    ○久保国務大臣 住専を清算、整理いたしますことと、いわゆる住宅金融をどのように考えるかということは必ずしも一緒ではない、こう思っております。今の住専は、既に企業としてみずからもう再建の見込みをなくしているわけでありますから、そして、多額の不良債権を抱えるという状況になってきております経営上の問題がございます。  しかし今度は、住宅金融公庫といわゆる民間の住宅金融業というものの関係をどう見るかということは、これは何か、どちらかへ軍配を上げるというようなことは非常に難しいような気がいたします。と申しますのは、やはり、住宅政策それから景気対策、そういったような面から見まして、財政投融資によって住宅政策が推進されるというのは、一般的な民間における住宅金融とは違った役割を政策金融として持っているのではないかということが一つございます。  それから、村井さんおっしゃいましたように、民間の住宅金融というのは、それが企業として成り立つものであれば、国が介入してそのことをやらせないとかそういう筋のものではないだろうと思っております。しかし、住宅政策そのものは、全体として国の重要な政策とも深くかかわっている立場は、やはり私どもとしてはよく見ていかなければならないことだと思います。
  298. 村井仁

    ○村井委員 私は、今の大臣のお話を伺っていまして、人間というのはどうもこういう傾向がありまして、景気がどんどんよくなっていくときにはそういう傾向がこれからも続くと思い景気が悪くなっていくときにはどんどん景気が悪くなっていく、こう思いがちなものなのでありますが、今の住宅金融公庫の状態というのは、考えてみますと、景気の下降局面で、景気対策として、住宅というのは割合に伸びる可能性がまだありましたしニーズもありましたから、非常に重点的につけてきたという側面があるのですね。そこで住宅金融公庫の役割というのは非常に私は大きくなった、ある意味では肥大化した、こう言えるかもしれない。だけれども、これが本来あらまほしき姿なのだろうかどうだろうかというところは、私はやはりいささか疑問があると思います。  総理は席をお立ちになっていますけれども、橋本政権でも行政の簡素化というのは非常にお考えになっているわけですし、いわゆる特殊法人の整理合理化というのは我々共通しての関心事、どのぐらい熱心かというのは、それはみんな温度差があるだろうけれども、非常に関心がある問題ですよね。基本的に公的金融機関というものは、補完的な役割、民間の補完に徹するというのが、これはできたときからそうなんですよ。そういう意味で、私は、どちらかというと、住宅金融公庫が充実したから、もう住専はその役割が乏しくなったというような議論がされて、ここで住宅金融ビジネスというものに、あるいはそれを例えばノンバンクという形態でやることに何か初めからだめというレッテルが張られちゃう、これは非常におかしいと思います。  ついでながら申し上げると、例えば、これはもう既に我々の同僚議員も指摘していますけれども、地銀生保ローンなんかは、母体行と称する、要するに出資者が債権放棄すれば大体何とか成り立つというような業態なんですね。結局、簡単に言えば健全債権がそれだけあるということなんですよ。それまで、七つ一緒にして処理するためにつぶれていくという話になっている。これも私は随分乱暴な話だと思うのですね。このあたりに住専処理スキームというものの非常におかしさがあらわれているのじゃないかと私は思うのです。ちょっと大臣、そこのところをどういうふうにお考えになりますか。  要するに、地銀生保ローンのような、母体行なるものが、要するに株主が自分の債権を放棄するという程度のことだけすれば、七社のうちの一社はそこそこにやっていける、そういう可能性はあるのですよ。それなのに、それもつぶしちゃう。これは言ってみれば、国が、あるいは政府が民間のビジネスチャンスをあえてこのプロセスを通じてつぶそうとしているというふうにも言えるのじゃないですか。
  299. 西村吉正

    ○西村政府委員 大変詳細な分析をいただきましたが、地銀生保住宅ローンは、御指摘のように、いわゆる母体行が債権を放棄することによってほとんど不良債権処理するということができる存在でございます。そういう意味では、他の六つの住専と非常に違った特色を持っております。  しかしながら、それはなぜそういうことができるかというのは、会社の経営状況が他の六つの住専よりもいいということではございませんで、母体行の融資比率が高い、四五%くらいを母体行が融資をしている、それがゆえに、母体行が放棄することによってほとんどの不良債権をカバーしてしまえる、こういう事情にあるわけでございます。  しからば地銀生保住宅ローンは、そういう事情にあるから破綻処理をしCSローンを消滅させることに消極的であったかというと、必ずしもそうではございませんで、むしろ住専処理の歴史を見ますと、地銀生保住宅ローンの母体である地銀業界は、住専問題、すなわち住専の破綻処理に最も早く取り組んだ業態でございまして、そういう意味では、住専処理に最も熱心な業態の一つが地銀と生保業界であったと申し上げることもできるのではないかと考えております。
  300. 村井仁

    ○村井委員 そのあたりのところはまたいろいろ御議論があるところだと思いますのでその程度にいたしまして、これは答申全体の流れの話とも関連するのですけれども、少し基本的な問題を議論させていただきたいと思います。  今度の答申で非常に重点が置かれていますのは、いわゆる信用組合、信用組合の破綻の問題であることは先ほど来何度も申しました。よく考えてみますと、信用組合というのは、協同組合はみんな同じでございますけれども、いわゆるロッチデールの原則に基づいて、例えば信用組合であれば、そのメンバーのある会社が、ある企業が例えば五年前に設備投資した、そしてそれからだんだん返済してきて、そこはゆとりが出てきた、一方で、別の業者が、別のメンバーが今度は自分のところが設備投資したい、ついては金を借りたいということで、言ってみますと、信用組合のメンバー同士でお互いに助け合う、こういう精神ででき上がった。  その結果、借りるときの金利は安い、しかし一方預けたときには、ほかの金融機関に預けるよりも、そこはもうけるという感覚がない世界であるはずでありますから、比較的安いコストで、高く預かってもらってそれで安く借りることができる、こういう世界が信用組合というものの本来の姿ですよね。  ところが、よく考えてみますと、どうもそういうふうにうまく動く世界というのがだんだんだんだん少なくなってきた。特に日本が金余りの状態になってきますと、どうやって運用するかという問題が大きな課題になってきた。そうしてみると、二〇%しか員外利用を認めることができない、これは信用組合に限らず協同組織の一つの基本原則、共通した原則でありますけれども、そういう世界では余ったものをどうしていいかわからぬ。これが最近の大きな課題になってきているわけですね。  一方で、協同組織金融というものの一つの特徴として、得た利益というものはメンバーに配当していくということがある意味では当然のことだとされている。したがって、内部留保も当然に薄い、薄からざるを得ない、こういう宿命があるわけですね。そういう組織というものを本当にこれからどうしていったらいいのだろうかということ、これは私は大変深刻な問題だと思います。  これは思い出したのですけれども、明治時代に三井銀行の事実上の中興の祖ともいうべき中上川彦次郎が三井銀行の副長になったときの逸話ですが、十万円以上の預け入れがあるときには必ず本部の了解を得よ、こういう指示を、副長、つまり事実上の頭取ですね、あのときはたしか頭取というのは三井家の人がなっていますから、それで事実上の頭取になったときにそういう指示を出した。そのときの中止川彦次郎の理由づけは、預金を受け入れるということは銀行にとって借金である、これをちゃんと金利を払ってくれる人に貸して、そしてそれが返ってきて初めて物が売れたということになるのである、単に売れる当てのない物を仕入れるようなことは商人としてするべきことでない、こういうことを言っている。私はこれは非常に傾聴すべき考え方だと思うのです。  考えてみますと、日本は長いこと、高度成長の時代に、言ってみれば資金不足にずっと悩んだわけでございまして、そのために、資金を受け入れるということはそのこと自体が善であるというような感じでずっと来た。それがここへ来て、ある意味では破綻をした。その破綻がある意味では蓄積の非常に薄い協同組織金融機関のところに端的にあらわれてしまったということなのではないかと思うのですが、この協同組織金融機関一般につきまして、これは局長から伺いましょう、どんなふうにお考えになり、また、これからどういうふうに持っていかれようとお考えになっておられるか、ぜひお聞かせいただきたい。
  301. 西村吉正

    ○西村政府委員 御指摘のように、三井銀行の中止川彦次郎氏は、私の記憶によれば、預金といえども借財なりという趣旨のことをおっしゃったと記憶をいたしておりますし、当時、貴族の銀行であった十五銀行の社是として同様のことがうたわれておったようにも記憶をいたしております。  ただ、当時の銀行は、いわば自分の、自己資本を企業に対して貸すというような性格の金融機関であったわけでございますが、現在の金融機関は預金を一般から集めてそれを貸すということを主たる機能にしておりますので、若干、戦前と戦後の銀行の機能には性格の違いというものがあろうかと存じます。  しかしながら、それにいたしましても、確かに高度成長期には、お金を集めさえずればそれを貸すことには全く苦労をしない、集めることが金融機関の主たる仕事であったという時代がございました。しかしながら、そのような日本経済の発展段階を終えまして、安定成長、成熟成長の時代になってまいりますと、今度は、ただお金を集めただけでは金融機関としてやっていけない、むしろ運用というものに非常に苦労をする、運用というものが銀行の主たる仕事であるという時代が参ったという御指摘は、まことにそのとおりであろうかと存じます。  特に協同組織金融機関は、貯貸率とか預貸率と言っておりますけれども、預かりましたお金に対しまして貸し出す領域が非常に狭くて、そのことが収益を圧迫する要因になっているのが大きな問題になっているわけでございます。したがいまして、今後、協同組織金融機関、これは信用組合にとどまりません、信用金庫、農協も含めまして、協同組織金融機関のあり方というものが、お金が足りなかった時代からお金が余ってきた時代において大きく転換をしなければいけないということは、我々行政のみならず、業務に当たっておられる方も日々痛感しておられるところと感じております。
  302. 村井仁

    ○村井委員 協同組織金融機関、私はとりわけて信用組合を意識しているのですが、この中でも、業態的に非常にはっきりしたグループ意識のある信用組合はありますから、こういうところは余り問題はない、それ以外のところに問題が集中しているということだろうと思うんですね。そこは銀行局長のお立場でそれ以上はちょっとおっしゃりにくいだろうから、それでとりあえず結構であります。  私はそういう意味で、例えば資金の運用も非常に国際化している現在、協同組織金融機関というものにどうしても運用の面での限界というものができてきたということを私たちは直視して対応しなきゃならない、そういうことだろうと改めて強調をしておきたいと思います。  最後に、私、まだいろいろありますけれども、早期是正措置の問題に少し触れさせていただきたいのです。  いわゆる裁量型からルール型へ銀行行政の姿勢を転換するということが一つの重要な要素になっているわけですけれども、そういう観点で、今度やろうとしている早期是正措置の具体的な中身でありますけれども、いわゆる自己資本比率というのが基準になるということでありまして、そのほかに、経営の安定性を見る基準として日常的なモニタリングを行う、こういうことを言っておられるわけでありますけれども、日常的なモニタリングを行うというのが、またぞろMOF担がしょっちゅう大蔵省へ出入りして、実は私のところはこうなっておりますがというようなことをやるようだと、これは私は何をやっているのかわからぬことになると思うんですね。  これは省令で決めるということに、出している法律案ではなっていますが、具体的に一体どういうふうな内容をお決めになるおつもりなのか。私どももやはりこうして審議をしますのは、ある意味では立法府として、省令で定めるということは政府に授権することであります。どういう内容を我々は授権しようとしているのか、これはぜひ具体的に示していただくことが必要なんじゃないかと思うわけであります。  ちなみに、アメリカの場合に、これは日銀のリポートか何かに載っていたものをこの委員会の調査室で整理されたものでしょうか、いわゆるプロンプト・コレクティブ・アクションの概要というようなものも出ておりますけれども、これでも出ていますのは単に自己資本比率の数字の表にすぎない。これをリスクアセット・レシオでどうだとかレバレッジ・レシオでどうだとかいうようなことで金融機関の規模によって掲げておるわけでありますが、どの程度のものを省令でお考えなのか、お聞かせいただければありがたい。
  303. 西村吉正

    ○西村政府委員 まず、早期是正措置をとります基本的発想は、行政的な措置の透明化、迅速化ということでございまして、決して権限の強化だとかあるいは行政の裁量ということではございません。  しからば、その早期是正措置の具体的な発動はどのような基準で行うのかという点でございますが、これは明確化するという意味から省令で規定をすることといたしております。  具体的にどのようなことが決められるかということでございますけれども、これは、自己資本の状況を示す指標につきましては、自己資本比率を用いることといたしております。この自己資本比率といたしましては、現在、国際統一基準、すなわちBIS基準でございますが、BIS基準を適用しております銀行と、海外で活躍していない銀行については国内基準というものもございますが、これを使用するということになろうかと存じます。  それから、自己資本の充実の区分に応じましてそれぞれ措置内容を定めることになろうかと存じますけれども、これは例えばアメリカの例でございますと、必ずしも厳しい措置を決める一方ではございませんで、自己資本が充実されているという分野につきましては立入検査の頻度の軽減を図るというような特典が与えられているところでございます。私どもといたしましては、この早期是正措置というものの発動に際しましては、必ずしも厳しく取り扱うということだけではなくて、優秀な自己資本を備えているものにつきましては、このような取り扱いの特典も与えなければ不公平になろうかと考えているところでございます。  その自己資本が不足している度合いに応じまして、業務改善計画の提出であるとか、あるいは配当性向の抑制、これは資本が外に流出することを抑制するという趣旨でございますが、あるいはさらに状況が悪くなりました場合には業務の一部を停止するとか、最終的にはその業務を全面的に停止するというケースもあろうかと存じますけれども、それらを明確な指標を示すことによって透明性、迅速性の高い行政を行っていくというのがこの早期是正措置の趣旨でございます。
  304. 村井仁

    ○村井委員 そのときに非常に重要なのは、会計準則といいますか、よるべき会計の基準、これについても私はきちんとしたものを示しておかないと、これは非常にあいまいなことになりかねないと思うのですね。それが一つ。  それからもう一つ、今、こういう状態になったら例えば業務停止をするとかいうようなお話があったけれども、例えば刑罰が法定されているように、こういう基準にぶつかったら業務停止だとか、あるいは立入検査の頻度がふえるとかいうようなところまで、何が一体指導として行われるのか、そこまで書き込まれるのでしょうか。そのあたり、ちょっと教えていただけませんか。
  305. 西村吉正

    ○西村政府委員 非常に重要な点の御指摘があったと存じますが、一つは会計準則を示すという点でございます。  これは、早期是正措置の前提といたしましては、会計処理が公正であるということが大前提になるわけでございまして、この点につきましては、会計準則を厳格にしていただくと同時に、行政がそれを検査するということだけでは必ずしも十分でない。現在三年に一回程度検査に入っておりますけれども、三年に一回ということではなくて、常々みずからの経理の状況をみずからが把握していただいている必要があるわけでございますので、行政の検査ということだけでなくて、みずからの自己査定というものを今以上に充実をしていただくということが前提になろうかと考えているところでございます。  もう一点の御質問措置を明確化するような基準を示すということを省令で考えているのかということでございますが、私どもは、省令をごらんいただけば措置内容が明確に理解できるようなものをつくるということを目標にしているわけでございます。
  306. 村井仁

    ○村井委員 私は、できればそういうのは具体的に、こういうふうな状態になればこういうふうなペナルティーが、あるいはウオーニングが行われるのだ、科されるのだというようなことをやはり示していただいた方がいいと思うのですね。  これは、なぜそれが大切かといいますと、私はさっき、またMOF担がうろうろしなければならないのじゃないかというようなちょっと皮肉を申し上げたのだが、要するに、こういう早期是正措置の基準をオープンにするということが、私は、今問題になっている金融機関に対する金融行政のあり方、これをおかしくしないためにも大切だと思うのですね。  一つの議論としては、業者行政と検査業務というのは完全に分離しろ、こういう議論もある。これをどうするかというのは、これは大変難しい問題なのですけれども、そういう問題に至るか至らないかということの一つ判断基準にも私はなるのだろうと思うのですよ。そういう意味で、ぜひこの委員会に、この委員会での実質的な議論、これからどんどん私は詰まっていくと思いますけれども、そういう場にそういう資料を出していただきたい。  それから、もう一つ私は御提案申し上げたいのですけれども金融機関に対して行政がそれでもやはりいろいろな指導、アクションというものを行わなければならないことがあると思うのです。そういうものにつきまして、言ってみれば銀行指導白書とでもいうべきもの、そういうようなものを国会報告するシステムというのも、私は、一つの方法として、言ってみれば銀行行政の透明化を図る手段としてあり得るのじゃないかと思うのです。  時間が参りましたので、まだいろいろな問題もありますが、また時間をいただきたいと思います。  私は委員長にぜひお願いをしておきたいのでございますけれども、今私申し上げました資料も含めまして、ぜひ資料をこの委員会に出していただく、これは私は立法府としまして行政府に授権する以上当然のことだと思いますし、過去いろいろな法律案の審議で、私どもそのようなこともお願いし実現してきたわけでありまして、ぜひそれを御配慮をお願いしたい。  それからもう一つ、私はきょうは主として金融制度調査会の答申に沿っていろいろな問題点をごくごく軽く触れさせていただいたわけでございますけれども、まだまだたくさんの問題があるわけでございまして、これから同僚議員がいろいろ議論をさせていただくことになると思います。委員長においてよろしくお計らいをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  307. 尾身幸次

    ○尾身委員長代理 ただいまの資料要求につきましては、理事会で協議いたします。  これにて村井仁君の質疑は終了いたしました。  次に、矢島恒夫君。
  308. 矢島恒夫

    矢島委員 住専問題については今なお国民が納得できない、こう言っているわけですけれども、それは、住専だとかあるいは母体行、金融機関、こういうものの不始末を、なぜ関係のない国民が犠牲者になって六千八百五十億円も穴埋めに出さなければならないのかとか、あるいはさらには、第二次ロスでその半分をやはり国民が負担しなければならないのか、こういうところにあるわけなのですね。それだからこそ、予算が成立した後も依然として国民反対の声というのが大きいわけです。  ところが、住専をつくって、支配して、そして破綻に追い込んでいったその母体行が今まさに居直っているという状況に対しても、国民はやはり怒っているわけです。本来、母体行こそが不良債権をつくった張本人なのです。なのに政府は、どうも法的根拠がないのでというようなことを言って、母体行の追加負担については現在お願いをしているところだと。  私は、なぜ政府がお願いしなければならないのか。本来母体行こそが、不良債権をたくさんつくって迷惑をかけましたと頭を下げてお願いする立場なのです。どうですか、その辺は、大臣。
  309. 久保亘

    ○久保国務大臣 矢島さん、先般も同じようなことをお聞きになって、私はお答えしたと思いますが、母体行が今度の住専問題に負わなければならない責任は大変大きいものがあるということを私どもは一貫して申し上げておりますし、また国会においても、党派を問わず皆さんが御主張になっていることでございます。これらのことについて、母体行のといいますか、銀行協会の責任者、代表の方々とも、私どもは何回も、国会の審議の模様もお伝えし厳しくこの問題に対応していただくことを要請をいたしているのであります。  お願いをいたしますという日本語をどういうふうに読むかは別の問題でありますが、銀行側に対してはかなり厳しい私どもの要請を行っていると考えております。
  310. 矢島恒夫

    矢島委員 私が言いたいのは、母体行の責任は極めて重大である、そして追加負担というものも母体行に要請していかなければならない、そういう方向でずっときているわけです。ところが、依然として、この母体行の居直りという形に対して国民は納得しないでいるわけですよ。母体行がなぜこういうような態度をとりつつあるのか、そこに問題があるのじゃないか。  むしろ、だからこのお願いという言葉は、それぞれ日本語をどういうふうに解釈するかということは今おっしゃられましたけれども、これは政府がお願いするよりも、むしろ本質的には母体行自身が、こんな不始末をしてしまったということで、母体行が主体的にこの問題について処理考えていくのが当然だろうということで、私最初お尋ねしたわけなんです。  さて、そういうことの中で、総理にお聞きしたいのですが、私が今大蔵大臣お尋ねしたように、母体行と大蔵省あるいは政府、この立場が本来あるべき姿からは逆転しているんだという考えなんですよ。つまり、なぜこういう主客転倒が起こったのか、立場が逆転したのか。それは、根本原因ということになると、昨年の十二月十九日の閣議決定にあるんだと思うのです。  総理は、五月八日の、これは参議院の方の予算委員会での質問お答えになった内容ですけれども、  今回の住専処理の中で、母体行というものに対  しましては、住専設立にかかわった経緯ある  いは人間の派遣その他を含めまして、住専に関  する責任というものは、債権の全額放棄と同時  に預金保険機構に対する低利融資など、住専問  題を早期に処理するためにできる限りの協力が  要請され、処理策に組み込まれてまいりまし  た。しかしその後、紹介融資の実態等、当時こ  れを決定いたしました段階で私どもの知らな  かった問題も次々にあらわれていることは議員  御指摘のとおりであります。こういう答弁をされています。  つまり、この十二月十九日にいわゆる閣議決定というものがされたときにはまだ明らかになっていなかった部分がある。それは、住専自身のいろいろな問題もありますけれども、中心的に母体行が、紹介融資だとか、あるいはその紹介融資のうちの九一%が不良債権になってしまっているという事態だとか、あるいは母体行の紹介融資のときには通知預金だとか協力預金が強いられたとか、こういう実態がその後明らかになってきたわけです。しかし、閣議決定というもので母体行の負担はこれでぎりぎりだという線を引いてしまった。その上、あとは税金で面倒を見ますというスキームをつくってしまった。  こういうスキームをつくったから、橋本全銀協会長などは、会長就任前の談話ですが、我々は政府に十分協力した、これ以上はできないと言ったり、きのうの参考人としての発言でも、いい案がないとかいって、原案どおり早期に成立することを望んでいるなどと、まさに居直りなんですね。私は、何が協力か、こう言いたいわけですよ。だから、このスキームをそのままにしていては、この母体行の居直りの姿勢というものは変わらないんだと。総理、どうですか、その辺については。     〔尾身委員長代理退席、委員長着席〕
  311. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 これもたびたび繰り返してきたことでありますけれども、議員も今参議院での私の答弁を引用されました。まさに母体行の責任というものは、本院におきましても、繰り返しさまざまな角度から各党の御指摘を受けております。  これまでの住専経営などの責任あるいは経緯を踏まえまして、昨年十二月十九日の閣議決定におきましては、債権の全額放棄だけではなく、拠出あるいは低利融資など、政府の処理スキームに沿って最大限の協力の要請をしてきたこと、そして、母体行の負担というものを、ややもすると債権放棄だけに限定してとらえられますけれども、そうではないということも繰り返して申し上げてまいりました。そして、母体行の追加負担の問題というものにつきましては、金融機関の公共的責任という立場から大局的な判断が望まれるものだ、そのように思います。
  312. 矢島恒夫

    矢島委員 私が指摘したいのは、母体行が依然として追加負担というものに対して積極的な態度をとるべきなのにとっていなくて、まさに私に言わせれば居直りだと。そういうことをやっているのは、そもそもは、あのスキームというものを決めて、そして税金を投入しますよというあれがあるから居直っていられるんだ。ここをやはりきちんと考えないと、本当に、母体行に追加負担をさせますよといったって、ああいう強気の発言が出てくる、あるいは傲慢な態度が出てくる、こういうことだと私は思うのですよ。  そこで、私は、ここに五月二日の参議院予算委員会に富士銀行の橋本徹頭取から提出された文書を持ってきているんです。その中に、日付は今年一月十九日付なんですが、表題は「住専処理政府案に対する大蔵省宛回答」、こういう文書があるんですが、大蔵大臣お持ちでしょうか。(久保国務大臣「あります」と呼ぶ)この文書というものが、橋本頭取の証言によりますと、一月十日に大蔵省から示された処理案に対する回答文書で、住宅ローンサービスの母体行の代表である第一勧業銀行を通じて大蔵省に提出された文書だ、こうなっています。まさにこれは居直りの回答ですよ、どう見たって。  一番冒頭、何と述べているか、大臣見てください。「大蔵省案は基本的に受け入れ難いものであるが、五行は下記条件を前提として大蔵省案に沿って(株)住宅ローンサービスの処理策を検討する。」受け入れがたいものであるが次の条件、七つも条件をずらっと並べているんですよ。これが、証人喚問という中でこの書類が出てきたわけですね。つまり、私は、この文書を読みますと、まるで不良債権をつくったのは大蔵省で、母体行は仕方なしに協力してやるというような立場での回答ですよ。大蔵大臣、こんな偉そうな回答を唯々諾々と受け入れたのですか。
  313. 久保亘

    ○久保国務大臣 これは、私がこの回答を受け入れる筋のものではなくて、参議院予算委員会の要請に基づいて富士銀行が参議院予算委員長に回答したものだと承知いたしております。
  314. 矢島恒夫

    矢島委員 いや、そうではなくて、これはもしあれだったら銀行局長の方から答えてもらってもいいのですが、この文書というのは、大蔵省が住専処理政府案というのはこういうのだ、これでどうですかということに対しての大蔵省に対する回答なんですよ。そうですね。
  315. 西村吉正

    ○西村政府委員 大臣の申し上げましたのは、御指摘の文書は予算委員長あてに富士銀行提出した文書でございますので、大蔵大臣からその文書についてコメントを申し上げることは必ずしも適当でないという趣旨のことを申し上げたわけでございますが、この文書は大蔵省あての回答というものでございまして、私ども、いろいろなやりとりの中で、この文書に限りませず、口頭にいたしましても、住専処理策を具体化するに際しましていろいろな意見の交換は行ったところでございます。このような御主張もその中にはあったというふうに記憶をいたしております。
  316. 矢島恒夫

    矢島委員 この文書の一番の書き出しがそういう書き出しで、七つの条件を前提として、そうして検討するんだなんという居丈高な内容になっているのですよ。  では、具体的に聞きましょう。そのうちの①というのがありますね、「前提条件」の中の①、系統金融の負担し得る損失の合理的な理由、根拠を明示せよという文。これは命令ですよ、大蔵省に対して。(発言する者あり)本当です。そのとおりですよ。こういう命令をしていて、しかし、母体行自身は負担し得る明確な根拠など示していないのですよ。系統金融に対しては明確にせよということを言いながら、自分では、いわゆる債権全額放棄だけなのかどうか、全然明確ではない。  大蔵大臣、だからこそ大臣は、この全額放棄だけではなくて、さらに追加負担をということを求めてきたんじゃないのですか。
  317. 西村吉正

    ○西村政府委員 先ほども申し上げましたように、いろいろな意見の交換の中での一こまでございますので、その一つ一つについて御説明をするというような性格のものではないとは存じますけれども、ただいまの御指摘につきましては、例えば、この母体行の立場といたしましては、自分たちが負担をするという分については、もちろん意見の交換もありまして十分趣旨を理解した上で要請を受けているわけですから、そのことについて今さら説明を受ける必要はないわけでございますけれども、系統金融機関が負担し得る限界であるという部分については説明をしてほしいということを母体行側が求めるということは、ある意味では当然のことではあろうかと存じます。
  318. 矢島恒夫

    矢島委員 これは、一番最初に「受け入れ難いものであるが、」こういう文章から始まっているのですよ。そして、「下記条件を前提」とするというのです。その中の条件の一つを今私読み上げたわけですよ。このことに対して、そのとおりですというので説明をしたわけですね、それでは。根拠が当局から明示されること、大蔵省はこれを明示した、こういうことですね。
  319. 西村吉正

    ○西村政府委員 同様の論点につきましては、国会におきましても御議論がございました。私ども、同様の趣旨の説明を母体行側にも申し上げているところでございます。
  320. 矢島恒夫

    矢島委員 それでは、⑤というのがあるでしょう、条件の中に。「「住専処理機構」が住専から資産譲渡を受けるにあたっての」、その次からですね、「買取資金の融資は、母体・一般・系統とも金利・返済条件が同一となること。」という条件がありますね。  そもそも住宅ローンサービスは、平成五年の五月二十七日、いわゆる第二次再建計画、新経営改善計画というのがありますが、ここで、この富士銀行も母体行として、農林系の金融機関は四・五%、それから他の金融機関は二・五%、母体行は〇%、これを決めたことを了承しているんですね。これは母体行としての責任からなんですね。しかし、こういう第二次再建計画を投げ捨てて、ここにあるように、全部ですよ、「母体・一般・系統とも金利・返済条件が同一となること。」こういう条件を出してきたわけですね。  大蔵省、まるでなめられているんじゃないですか。こんな条件を認めれば、母体行責任をあいまいにするだけだと思うんですね。これを認めたんですか。
  321. 西村吉正

    ○西村政府委員 これは共産党のおとりになっておられる根本的な考え方と必ずしも同一ではないかもしれませんが、このような住専処理スキーム、すなわち再建計画ではなくて、一度破綻処理をいたしまして、その上でニューマネーをどのように調達するかという場合におきましては、原則といたしまして融資の条件は同一であるということは、通常の金融の世界ではそのような考え方が  一般的であるわけでございます。  しかしながら、この問題に関しましては、系統の側から、系統の体力等の問題もございますし、金利等について条件を変えてほしいという御指摘があることは事実でございます。
  322. 矢島恒夫

    矢島委員 私が質問したことに対して、共産党と同じじゃないけれどもなんて、いわゆる答弁の要求していることと違うことを一々言わなくても結構ですよ。  私が聞きたいのは最後の一言なんですよ。これ、どういうふうに措置したのですか、これらの七つの条件に対して。こういうのが来たんでしょう。一月の十九日に大蔵省に、この七つの条件が書かれて来たわけですよ。一番下には例のあの七百億円、これは全額回収する、母体行の債権放棄額は四百一億円、こういうふうに百億円ずつ引き揚げたわけでしょう。ですから、この債権放棄、全額じゃないということを七番目の条件として言っているわけですよ。こういう条件についてどう措置したのかということですよ。これを一つ一つこういう条件を前提としてやっていきましょうと、この一つ一つについて、どういう経過でどういうふうになったのだか、全然皆目わからないじゃないですか。そういうことを聞いているのですよ。
  323. 西村吉正

    ○西村政府委員 初めに申し上げましたように、この文書そのものは、いろいろな議論の過程におきまして当事者の一人から提出されたものでございますので、これについて一つ一つ今の段階でお答えを申し上げるというような性格のものではなかろうかと存ずるわけでございますが、一つ一つの点についてもし御質問ということでお問い合わせがあるのでございましたら、もちろんそれに対してお答えを申し上げるわけでございますが、先ほどは、この融資の条件についてどうだということでございました。  ただいまニューマネーにつきましてのお問い合わせでございますが、母体行によるニューマネー融資とは、住専各社の再建計画を策定いたしました……
  324. 矢島恒夫

    矢島委員 一つ一つなんていいです、一つ一つやらなくて……。  こういう大蔵省あての回答、これは住専処理政府案ができた、これに対して母体行としてどうですかと。それで、「受け入れ難いものである」けれども、このときには、「二行は、「条件が整わず回答し難い」。」というのが注に入っていますけれども、五行としては、住宅ローンサービスの母体行五行としては、この次のこういう条件が前提だ、こう出てきたわけでしょう。それでまあいろいろな過程で、これがこうやりとりがあった。今あなたがおっしゃったところだ。その経過というのは実際問題としてわからないんですよ。  それじゃ、お聞きしますが、こういう処理案に対してどうですかというのは、ほかの母体行、全部やったんですか。
  325. 西村吉正

    ○西村政府委員 私どもが御説明を申し上げ、協力を要請する場合には、母体行の代表の方にそれぞれお願いをするという方法をとってまいっております。
  326. 矢島恒夫

    矢島委員 そうしますと、それぞれの母体行の代表ということになると思いますけれども、そういうところから、これは、私が提示したのはたまたま証人喚問の中で出てきた一つの書類ですけれども、ほかの住専母体行の代表からもこういう回答が出てきているんですか。
  327. 西村吉正

    ○西村政府委員 それは、それぞれの母体の方々の御主張というものは必ずしも同じものではございませんので、それぞれのお立場でいろいろな御意見が出てくることはございますが、それは口頭で回答がされることもあるし、文書で回答がされることもある、こういうことでございます。
  328. 矢島恒夫

    矢島委員 非常に重大なんですよ。というのは、既に閣議決定したその後出てきたいろいろな条件なんですよ、ここに出てくるのは。スキームができ上がっている上で、こういうことはどうだ、こういうことはどうだと、こうくるわけです。  それでこれは、ほかの母体は、口頭で来たのもあればあるいは文書で来たのもあると今局長答弁されましたが、この中身というのは、今まで一度も出てきた問題じゃないのですよ。これは、証人喚問でやっていたから出てきたのですよ。そうしたら、中身を見ましたら、まさに居直りもいいところです。こういうことの条件が整わなきゃおれたちだめだよというように、まさに、中には大蔵省に命令しているような文章まであるわけです。  ですから、大臣、こういう文書がほかにもあるのですよ、今答弁されたように。それについてはこういう条件もありますといったことがあるかもしれないし、いや、全面的に私たちは結構ですという文書もあるかもしれないし、全然出ていないのでわからないのですよ。あるいは口頭でというのもあるかもしれない。口頭のを出すことはできないかもしれないけれども、こういうのをきちんと出していただかないと、スキームそのものをつくったことがどういう――このスキームができてからこういう条件が出てきたのですから、そういうことを明らかにしなかったら審議できないですよ。  こういうのをひとつ、ほかの母体行の代表からも出しているというのならば、ぜひこれは資料として出すべきだと思うのですが、いかがですか。
  329. 西村吉正

    ○西村政府委員 それは、いろいろな議論のプロセスにおきまして、関係者の間で議論の過程で交わされた文書もございましょうし、口頭で交わされた会話もございましょうし、議論のプロセスにつきましてはさまざまなプロセスがあるということは、他の議論の展開と同様のことがこの住専についてもあったということでございます。
  330. 矢島恒夫

    矢島委員 どうもわからないのですよ。こういうのを、いいですか、住宅ローンサービスとして、橋本頭取が証人喚問として出てきて、いろいろこの問題が論議されて、この問題というのは⑦の問題ですけれども、そうしたら、その結果、これが出てきたのですよ。今まで大蔵省は一度も出してないのですよ、こんなものを。  議論の結果だとかなんとか言いましたけれども、ほかにもこういうのを出したんだ、中にはこういうのを出してきているところもあると。だから、私、口頭で言った分については結構ですよ、それはしようがない、口頭で聞きます。ただし、文書で出てきているのもあると言ったのですから、それを出してくださいよ。
  331. 西村吉正

    ○西村政府委員 これはいろいろな意見のやりとりの中の一つのプロセスでございまして、このような意見の交換の結果、今回のスキームにつきまして関係者が合意に至っているわけでございますので、そのプロセスにおきます意見の交換自体を御報告申し上げるということは差し控えさせていただきたいと存じます。
  332. 矢島恒夫

    矢島委員 そういうプロセスが大事なんですよ、全部論議しているんですから。母体行責任をどういうふうに追及していこうかとやっているわけでしょう。そういうときに、これはたまたま出てきたからわかったのですよ。そして、なるほど居直りですごい要求しているんだなあということになったわけです。  そうしたら、ほかにもこういうのがあるのでしょう、書類として出ている回答。回答をよこせというのだから、回答を出しているところがあるのでしょう。何にも条件を書いてないのもあるかもしれませんよ、それは。私は見ていないのですから。しかし、それはそれでいいですよ。全面的に認めますというのもあるかもしれないし、こういう条件が整わなければ私のところはどうもそのスキームを認めるわけにいかないというのがあるかもしれない。  どうなんですか。簡単に出せるんでしょう、あるんですから。大蔵大臣、これはやはり出してもらう方がはっきりするのではないですか。
  333. 久保亘

    ○久保国務大臣 文書で母体行側との協議の過程において出されたものがあれば、お示しすればよいと私は思っております。ただ、今銀行局長が申しておりますように、結論としてはこのスキームでお示しいたしておりますものに原則合意している、それが結論だということで御論議いただきたいと思います。
  334. 矢島恒夫

    矢島委員 だから、その経過の中でいろいろな条件が出てきて、そしてそれに対して大蔵省としてはいろいろ折衝したわけでしょう。それで、全体的には今大蔵大臣おっしゃったとおりの方向へ行ったと。  しかし、その経過というのはやはり重要なんですよ。その後、スキームをつくった後どういう条件が出てきて、それに対してどういう対処をしたかということが全面的に明らかになることが必要で、文書で出てきているものは本当にすぐに出していただきたい。あしたの朝になってしまうのでしょうがね、今だから。
  335. 西村吉正

    ○西村政府委員 議論のプロセスにおいて、いろいろな意見の交換という性格のものについては、それは口頭で交わした意見の交換もございましょうし、文書で出されたものもございましょうが、そのようなプロセスについて、資料としてお示しをするというような性格のものではないと私ども考えております。
  336. 矢島恒夫

    矢島委員 大臣が文書で出してあるものは出してもいいんじゃないかと言うのですよ。  委員長、これは重大ですから、ひとつ委員会に出すように取り計らってください。
  337. 高鳥修

    高鳥委員長 扱いについては、理事会で協議いたします。
  338. 矢島恒夫

    矢島委員 ぜひ、大臣が出してもいいということなのですから……。  時間が少なくなりました。  私は、何回も今この問題をやったのは、母体行の責任というものをやはり明確にしなければならないのですよ。そういう意味では、このスキームをつくったことによって母体行は安心して居直って、次々と条件を出してきているのですよ。ほかはわかりませんけれども、これだけ見ても、スキームはでき上がった、税金投入は決めた、政府案というのはそういうのだ、では、ここでいろいろ条件を出していこうじゃないか、こういうことで出てきた。  それを、過程はわかりませんが、そのやりとりがどうなって、どうなったかというのは全然発表されていないのでわからないのだけれども、多くの場合、その条件の中でのめるものはのみながら合意をしていこう、こういう経過がその中にあるのではないかと思うのですよ。だから、こういうスタンスだから、追加負担をやれと言っても、名案がないとかいろいろなことを言いながら銀行は回答してくるわけです。  大蔵大臣、やはり追加負担が必要だという大臣の考え方は、国民負担を何とか減らそう、それでよろしいのですよね。
  339. 久保亘

    ○久保国務大臣 これは、金融制度調査会の答申にも、公的資金の投入はやむを得ないものとしてお認めになった上で、しかし、極力圧縮する努力をするようにということで示されていたと思っております。  また、当初から、母体行の負担が可能であれば、さらに母体行等の負担を追加することによって国民負担を軽減するということは、当然のこととして御答弁を申し上げてきたと思っております。
  340. 矢島恒夫

    矢島委員 私最初から言っておりますように、銀行がこのような態度をとり、居直り、あるいは傲慢な態度をとったりやっているのは、やはりこの処理スキームがあるというところ、ここにボタンのかけ違いがそもそもあるんだ。このボタンのかけ違いをそのままにして住専処理法案を提案するとかこういうことでは、本当に国民の負担を減らすのか、あるいは追加負担などでなくしていく、こういうことはあり得ないんじゃないか、このスキームをもって税金でやりますよ、これでやりますよと言っておいて。  総理、あなたのやはり答弁の中に、母体行というものがみずからの責任をどう受けとめて、そしてどうこたえていくのか、国会での御議論などを踏まえながらみずから十分に判断していかれる、その姿勢だけはぜひとっていただきたいのだと考えております、こういう御答弁をされている。しかし、母体行、金融機関は今、このスキームの決定の中であぐらをかいている状況だと思うのですよ。総理のこういう発言も無視されているのじゃないか。処理スキームを見直して、強力な指導が今必要なときじゃないかと思うのですが、これについてのお考えを。
  341. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、強力とか強力でないとかいうことではなく、ルールというものは守られるべきものだと思います。その中で全力を尽くします。
  342. 矢島恒夫

    矢島委員 体力の問題でも、大蔵大臣に予算委員会の中で私いろいろとお聞きしまして、十分に体力があるという状況については、これは全銀協も認めているわけですね。確かに、業務純益を見ますと相当の純益を上げている。  一番最近の資料で見てみましても、九五年度の決算内容が発表されたわけですが、都市銀行は九五年度の業務純益は三兆四千九百九十九億円、九四年度のときの一・七倍ですよ。まさに史上最高ですね。主要二十一行だけを取り上げてみましても、九五年度は四兆七千七百八億円になっているのですね。これは前年度の大体一・七倍ですよ。バブルが崩壊しても、銀行はこういう状態になっているわけです。  これは私、前に論議した金利の問題などの繰り返しになりますから、その論議はここではいたしませんけれども国民は、そういうふうにもうかっていながら母体行は依然として勝手なことを言っている、ここにいら立ちを持っているのですよ、今。  大臣、こういうことについて、どう国民に説明するかということです。
  343. 久保亘

    ○久保国務大臣 母体行を攻撃するだけで結果が得られるかどうか。実際に、母体行に追加負担による新たな寄与を求める立場の者は、実効ある、実際にそのことを実現させる努力に全力を傾けなければならないと考えております。
  344. 矢島恒夫

    矢島委員 時間がなくなってきました。  昭和六十三年の国会消費税が審議され、平成元年の四月一日から導入をされたわけですけれども、そのとき、それと引きかえに、法人税の税率というものがいわゆる税制の国際化という名のもとで大幅に引き下げられたわけです。  私、あのときの法人所得の上位にずらっと大銀行が並んでいますので、一九九〇年度に法人税等をどれだけ減税になるか試算してみたのです。そうしましたら、野村証券は二百二十五億五千万円の減税です。第一勧銀は百六十一億八百万円、それから住友銀行は百五十六億四千五百万円、三菱銀行は百三十一億八千二百万円、富士銀行は百二十六億二千百万円。こういう減税を消費税導入と引きかえにやったわけですよ。  あれから五年目の今、一方では、消費税の税率を来年四月から、三%から決まった形では五%、こういうことを行おうとしている。他方では、住専の母体行になっている大銀行だのの不始末に、救援の手を税金投入ということで差し伸べる。内容は違いますが、やろうとしていることは、本質は同じだと私は思うのですよ。大銀行の、あるいは大法人の減税を消費税に転嫁するものだと言わなければならないですわ。  しかも、この消費税を導入しようとしたときに、久保大蔵大臣反対しましたよね。ところが今、今度は逆に五%にしていこうという。歴史の皮肉と言うべきかどうか。こういうことを国民はなかなか理解できないのですよ。大蔵大臣、お考えをお聞きしたい。
  345. 久保亘

    ○久保国務大臣 消費税の導入に当たりまして、この税の持ちます性格等から、私どもはこれに対して強く反対をしたことは御指摘のとおりでございます。  平成六年の十一月、税制改革の中で、景気対策を中心とする特別減税等の見合い財源として消費税の五%が議決されたわけでありますが、その際にも、私どもはいろいろと過程において意見も申し上げ、論議もいたしました。しかし、結果としてこれを私どもは認めたのであります。  この消費税は、その導入後再度にわたって欠陥を是正する努力が重ねられ、現実に、益税等の是正について努力が払われてきたところでございます。今後も、税制は絶えず見直しが行われ、よりよい国民の理解と納得を得られる税制にしていかなければならないと考えております。
  346. 矢島恒夫

    矢島委員 今の答弁ではなかなか納得しないと思いますが、時間が来ました。  終わります。
  347. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて矢島恒夫君の質疑は終了いたしました。  次に、海江田万里君。
  348. 海江田万里

    ○海江田委員 きょうは多少時間がございますので、法案の中身についてお話をさせていただきます。  まず、預金保険法の一部を改正する法律案についてお尋ねをします。  現在の預金保険法ですと、金融機関が破綻をしまして、そしてペイオフを行う場合の保険金の支払い限度額、この保険金の支払い限度額は政令で決めるということになっておりますけれども、現在は支払い限度額が一千万円ということで、これは六十一年の七月からこういう一千万円という金額が決まったということでございますが、新しく預金保険法改正をされますと、この一千万円が引き上げになるのか、それとも一千万円のまま据え置きになるのか。これは政令マターですけれども、どういう心づもりかということをお教えいただきたいと思います。
  349. 西村吉正

    ○西村政府委員 この預金保険の限度額、上限をどのようにするかということについては、いろいろな御議論がございました。ペイオフを発動するかわりにこれを引き上げたらどうかとか、そういう御議論もございました。  私どもといたしましては、今御提案申し上げておりますように、五年間に限ってはペイオフということは原則として控えるということでございますが、この限度額につきましては、アメリカにおきましても類似の十万ドルであるというようなことを勘案いたしますと、今のところこの限度額を変えるという考え方はございません。
  350. 海江田万里

    ○海江田委員 私はアメリカの例は余り参考にならないと思うのですね。為替のレートが変われば全く変わってしまいますし、それから、アメリカと日本では貯蓄性向が全然違いますので。これはもう言うまでもないことでありますけれども、日本は大変貯蓄率が高くて、貯蓄の残高が大きい。ちなみに、勤労世帯の平均貯蓄額で、この一千万円の上限が決まりました昭和六十一年は七百三十二万九千円。それが現在、一番新しいデータで平成七年のデータでございますけれども、千二百六十一万三千円。五百万円以上、勤労世帯の平均貯蓄額が高くなっているわけですね。  それから、もちろん先ほどもお話がありましたけれどもこれはペイオフをやってからの話でございますから、これから向こう五年間というのはペイオフはないという約束ですから、実際にこの保険金の支払いはないわけですけれども、つまり、これから決めたらやはり五年後まではこの数字というものは動かなくなるわけですから、私は、そのあたりを勘案をしまして、限度額の引き上げということを考えてもいかがかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  351. 西村吉正

    ○西村政府委員 昭和六十一年におきまして、当時の個人金融資産の保有状況等を踏まえまして政令を改正いたしまして、当時三百万円から現行の一千万円に引き上げたわけでございます。その後の個人金融資産の保有残高等の推移を見ますと、全体として増加傾向にあるとはいえ、平成六年の一人当たり貯蓄残高は約四百六十万円、預金残高は約百七十万円となっておりまして、先般の金融制度調査会におきましても、現段階において直ちに限度額を引き上げるという点につきましては消極的な意見が多かったように記憶をいたしております。
  352. 海江田万里

    ○海江田委員 といいますのは、ここから先の議論で、支払い限度額を超えた場合の支払い、これは法律案によりますと、預金保険機構が保険対象外の預金等に係る債権預金者等の請求に基づいて買い取ることができるということですから、今一千万円ですと、仮に三千万円の預金がある人は、一千万円を超える部分、二千万円の部分についてこの債権を機構に買い取らせる。ところがその場合、これは買い取りの率を掛けますね。一定の率、概算払い率ということですけれども、この概算払い率を乗じて計算した額で買い取ることになる。しかも、この概算払い率というのは、破綻をしました金融機関ごとに決まってくるわけですね。全部が一律で六割とか七割とかいう話でなくて、五割であったり六割であったりと違ってくる。  一千万円から上の部分も払い戻しがあるんだけれども、これはどこの金融機関に預け入れをしていたかということによって随分差がついてくるということになるわけですから、私は、そうである以上、やはり根っこのところをもう少し上げておいた方が、どこの金融機関に預けておいたかによって、ペイオフがあったときの戻ってくるお金がかなり差が出るという、その差をなるべく小さくすることができるんじゃないだろうか、こういう考え方を持っているんですけれどもね。
  353. 西村吉正

    ○西村政府委員 それは一つのお考え方であろうかと存じます。  要は、金融機関が不幸にして破綻をした場合に、どの程度保証をすることが適当かということでございますけれども、余り多くのものを保証するということになりますと、経営サイドのモラルハザードというものも生ずるわけでございますし、また、そのコストも高くなる、すなわち預金保険料が全体として高くなるという問題もあるわけでございます。  現在のところでは、一千万円というのは、世界の趨勢から見てもいいところではないかというお考えが多いように見受けております。
  354. 海江田万里

    ○海江田委員 世界の趨勢ということは、もう余り言わぬ方がいいですよ。さっきもお話ししましたけれども、為替のレートによって全然違ってくるわけですから。たまたま今がちょうど十万ドルで一千万円という話だけで、これがもっと円安に進んだり円高に進んだりこれは変わってくる話ですから。  むしろ私は、あともう一つどうしても言っておきたいのは、例えば片一方で、今勤労者の平均貯蓄額で比較をしましたけれども、あともう一つ、退職金なんかのケースもあるわけですね。退職金はやはり二千万、三千万もらうケースもあって、その退職金が、例えば会社との絡みでどうしても特定の金融機関に預け入れをしてしまったら、その金融機関が破綻をしてしまったというようなときに、その大事な退職金の一千万円を超える部分というのがそういう形で払い戻しの額が少なくなるというのは、レアケースかもしれませんけれども、そういうことも念頭に置いてひとつもう少し御検討――これはいつ決める、もう一千万と決めたんですか、そこだけ、最後に。
  355. 西村吉正

    ○西村政府委員 現段階におきましては、金融制度調査会等での御議論を踏まえまして、一千万円は現状のまま維持をしたいと考えているところでございます。
  356. 海江田万里

    ○海江田委員 私のような意見があるということもしっかりと記憶しておいていただきたいということでございます。  それから、明日採決になってこの法案が直ちに成立するとは思いませんが、ただ、私は一つお尋ねをしておきたいのは、この法律案が成立をしてからのスケジュール、タイムテーブルでございますね。と申しますのは、やはり国会も会期末がありまして、そしてその後、臨時国会とかいうことも言われておりますけれども、今度の臨時国会というのは減額補正をやらなければいけないわけですから、税収の見通しもある程度出てきてからということだと、そんなに早くは国会は開けませんから、やはりここで議論をしておかないと、ここから先かなり議論をする場がなくなるということもありますので、あえて議論をさせていただくわけでございますけれども、例えばこの法律案がこの会期中に通った場合、一体どのくらいのスケジュールでこの住専処理機構をスタートをさせるのかとか、それから債権債務の確定がいつごろなのかとか、そのあたりのタイムスケジュールというのですか、今の段階での腹づもり、どの程度の予定でいるか、お知らせいただきたいと思います。
  357. 西村吉正

    ○西村政府委員 大変に難しい御質問でございますが、私どもは、この法案をお認めいただければ、住専処理機構の発足は一日も早くという考え方で臨みたいと存じております。そう一月も二月もかかるということではないかと存じます。  ただ、債権の譲渡ということになりますと、これは財産の内容等を精査する時間も必要でございますので、やはり二、三カ月の期間は必要になってくるんではないか、このように思っております。
  358. 海江田万里

    ○海江田委員 あともう一つ。各住専は解散させるということですけれども、これは当然、臨時の株主総会を開いて解散をさせるということになるだろうと思いますけれども、これは全部ぴしっと解散になるんですか。個人の株主も多いというようなことも議論されておるところですけれども
  359. 西村吉正

    ○西村政府委員 日住金について御心配をかけておりますが、日住金や、上場をしております第一住金、そういう問題があることは私どもも認識はいたしておりますけれども関係者の努力によりましてそのような問題は克服できるものと現段階では考えております。
  360. 海江田万里

    ○海江田委員 努力をしても、これは株主ですから、馬を水辺に連れていくことはできても、馬に水を飲ませることはできないわけですからね。どうなんですか、できると確信をしておるということですけれども。本当に、今もお話がありましたけれども、幾つかの住専の中ではもう個人株主が嫌だということがはっきりしているという段階で、何か手はあるんですか、その場合。
  361. 西村吉正

    ○西村政府委員 私どもが今伺っておりますところでは、関係者の努力によりましてそういう心配はクリアできるという見通しを持っておるところでございます。
  362. 海江田万里

    ○海江田委員 これは水かけ論になりますけれども、私は大いに危惧をしておる。私だけじゃなくて、危惧をしておる者がかなりの数いるということは、これもお伝えをしておきたいと思います。  あと、遅くまで各大臣にお残りいただきまして本当に恐縮でございますけれども、やはり私は行政責任の問題を一言触れたいんですね。  行政責任の問題につきましては、この金融システム安定化委員会の第三回会合の模様という、いただいた資料の中にございますけれども、これはやはり、「住専に対する貸出は、農協の員外利用規制の対象外となっている等の事情から住専への貸し込みが生じたといった面もあり、行政の責任も問われるべきとの意見もあった。」まあこの意見だけじゃありませんけれども。また、「一方、住専問題についても自らの判断で貸し出した以上貸手側の責任もまぬがれず、母体、貸手、行政の三者に責任があるとの意見もあった。」ということで、行政の責任が全くないということではないと思う。  あるいは、政府がおつくりになりました「住専問題とは何ですか。」という中にも、行政責任ですね、四ページの「住専問題の責任はどうするのですか。」という中にはっきりと「行政の責任も明らかにします。」ということが書かれているわけですね。  この「行政の責任も明らかにします。」ということの中身が一体どういうことに、どういう内容になるのかということ。このことをまず大蔵大臣、それから農水大臣にもお答えをいただきたいと思います。
  363. 久保亘

    ○久保国務大臣 私は、バブルの発生から破綻に至る過程、そして今日、巨額の不良債権を生じているこの金融をめぐっての金融行政の責任というのは、結果責任としても大変重いと考えております。そのときそのときは懸命の努力をして最も適切な判断考えたことも、それは結果として見ますならば大きな適応の誤りであったのではないかという問題もあるわけでありますから。今はそれらの反省の上に立って、全力を挙げて新しい金融システム、金融行政のあり方というものを追求し、これを明確に確立していくということが、責任を果たす第一のことだと思っております。  それらのことを通して、実際にその間行政の責任にありました立場の者としてどのような責任考えるべきかというようなことについても、これらの問題をやり遂げました段階でいろいろと検討しなければならない問題かと考えております。
  364. 大原一三

    ○大原国務大臣 何回か申し上げたことでございますけれども、十二月十九日の政府・与党の決定の中におきましても、系統、農林省については、特に努力義務ということで、今回のような不祥な事件が起きないように新しい金融秩序を早く確立するように、そしてまた透明性のある責任体制のとれるリストラをやれということでございますので、大蔵大臣お答えになりましたように、この九月までにはそのリストラのスケルトンを我々としても積み上げ、来年の国会にはそういった法案を提出すること、これがまず我々の責任だと思っております。
  365. 海江田万里

    ○海江田委員 総理、お出ましいただいておりまして、今お二人の責任のとり方というものについての考え方をお聞きになったと思うのですが、同じ橋本内閣で、菅厚生大臣がエイズの問題で、もちろん今のそれぞれの役所の立場にある方があの問題を引き起こしたわけではありませんけれども、やはり今のそれぞれの立場に、つかさつかさにいる人たちがああいう形で責任をとったということがあるわけでございます。やはり橋本内閣の厚生省でそういう責任のとられ方、もちろん不十分だという声もありますけれども、それに対して、やはり大蔵省や農水省が今それぞれの大臣からお話しをいただいたような責任のとられ方ということでは、橋本内閣全体としてこれはちょっとでこぼこがあり過ぎやしないだろうか、そういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  366. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私自身、証券不祥事が起きましたとき、みずからを減俸に付し、まあ減俸という制度がございませんでしたので、歳費の一部国庫への返納という措置をとり、同時に、当時の責任ある官僚の諸君も同様の措置をとった時期がございます。  その上で、あえて私は、今、海江田さんのお話に対して、一つの節目を迎えました問題となお努力を必要とする問題と、その進行の途中における状態において当然ながら差異はあると思います。同時に、その問題の性格によりまして、その対応もおのずから異なるものはあろうと思います。  私は今、大蔵大臣大蔵大臣としての立場、そして農水大臣が農水省としての立場で言われましたこと、それを着実にできるだけ早く実行していくことがまずとるべき責任という意味では考え方を一にいたしております。
  367. 海江田万里

    ○海江田委員 どうもありがとうございました。終わります。
  368. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて海江田万里君の質疑は終了いたしました。  次回は、明六日木曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後七時二十五分散会