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1996-05-31 第136回国会 衆議院 金融問題等に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月三十一日(金曜日)    午前十時開議 出席委員   委員長 高鳥  修君    理事 小里 貞利君 理事 尾身 幸次君    理事 大島 理森君 理事 小沢 辰男君    理事 松田 岩夫君 理事 森本 晃司君    理事 早川  勝君 理事 錦織  淳君       伊吹 文明君    石橋 一弥君       大野 功統君    金子 一義君       木村 義雄君    岸田 文雄君       栗原 博久君    中村正三郎君       野呂田芳成君    原田昇左右君       穂積 良行君    堀之内久男君       松下 忠洋君    横内 正明君       安倍 基雄君    愛野興一郎君       新井 将敬君    江田 五月君       加藤 六月君    鹿野 道彦君       北側 一雄君    笹川  堯君       鮫島 宗明君    野田  毅君       平田 米男君    村井  仁君       緒方 克陽君    坂上 富男君       田中 昭一君    永井 哲男君       細谷 治通君    田中  甲君       佐々木陸海君    吉井 英勝君       海江田万里君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         法 務 大 臣 長尾 立子君         大 蔵 大 臣 久保  亘君         農林水産大臣  大原 一三君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      田中 秀征君  出席政府委員         経済企画庁調整         局長      糠谷 真平君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         大蔵大臣官房総         務審議官    武藤 敏郎君         大蔵省主計局次         長       伏屋 和彦君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省理財局長 田波 耕治君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君         大蔵省国際金融         局長      榊原 英資君         農林水産大臣官         房長      高木 勇樹君         農林水産省経済         局長      堤  英隆君         建設大臣官房長 伴   襄君  委員外出席者         議     員 永井 哲男君         議     員 錦織  淳君         参  考  人         (日本銀行総裁松下 康雄君         金融問題等に関         する特別委員会         調査室長    藤井 保憲君     ――――――――――――― 委員の異動 五月三十一日  辞任         補欠選任   柿澤 弘治君     大野 功統君   野呂田芳成君     松下 忠洋君   松永  光君     木村 義雄君   愛野興一郎君     新井 将敬君   田中 昭一君     緒方 克陽君   吉井 英勝君     佐々木陸海君 同日  辞任         補欠選任   大野 功統君     柿澤 弘治君   松下 忠洋君     野呂田芳成君   新井 将敬君     愛野興一郎君   緒方 克陽君     田中 昭一君   佐々木陸海君     吉井 英勝君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  特定住宅金融専門会社債権債務処理促進  等に関する特別措置法案内閣提出第三五号)  金融機関等経営健全性確保のための関係法  律の整備に関する法律案内閣提出第九四号)  金融機関更生手続特例等に関する法律案  (内閣提出第九五号)  預金保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第九六号)  農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する  法律案内閣提出第九七号)  特定住宅金融専門会社が有する債権時効の停  止等に関する特別措置法案保岡興治君外五名  提出衆法第三号)      ――――◇―――――
  2. 高鳥修

    高鳥委員長 これより会議を開きます。  内閣提出特定住宅金融専門会社債権債務処理促進等に関する特別措置法案金融機関等経営健全性確保のための関係法律整備に関する法律案金融機関更生手続特例等に関する法律案預金保険法の一部を改正する法律案農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案及び保岡興治君外五名提出特定住宅金融専門会社が有する債権時効停止等に関する特別措置法案の各案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北側一雄君。
  3. 北側一雄

    北側委員 新進党の北側一雄でございます。  それでは、早速質疑に入らせていただきます。  お手元資料が行っておりますでしょうか。委員皆様の方にも、先生方の方にも資料が行っておると思います。これを使いながら、若干質疑をさせていただきたいと思います。委員長、よろしいでしょうか。
  4. 高鳥修

    高鳥委員長 はい、どうぞ。
  5. 北側一雄

    北側委員 このお手元にお配りしました資料は、帝国データバンクがことしの二月に、住専七社の大口貸出先三十二社の借入状況について、その調査の結果を発表したものでございます。  ちょっとB4の方のこの表をごらんになっていただきたいのですが、住専からの借入先三十二社につきまして、借入先の方から見て、どこからお金を借りているのかというのを、構成比を出したものでございます。  例えば、このトップにあります富士住建でございますと、住専から二千九百八十八億借りている。この構成比が五三・九%だ。さらに、都銀長信銀信託、それから住専以外のノンバンク、その他というふうに借入状況構成比を出しておるわけでございます。その他のところには、地銀、第二地銀、信金、それから信用組合等が入ってくるわけでございます。  この表の一番最後の「合計」というところをごらんになっていただきますと、この三十二社の借入先合計でこれは七兆余り、この三十二社で借り入れをしているわけですが、この七兆余りのうち、住専から借りているものは一九・五%でございます。一九・五%しかないというふうに言っていいのかもしれません、約五分の一。そして、都銀が一〇・六%、長信銀が一〇・八%、信託が一五・四%、住専以外のノンバンクが二四・六%。そして、地銀、第二地銀信用組合信用金庫等のその他のところが一九・一%となっておるわけでございます。  この報告、結果発表を見まして思いますことは、一つは、住専が一九・五%にすぎないんだということと、それから、住専以外のノンバンク、これが二四・六%もある。さらに、都銀に比べて全体の規模は小さい長信銀だとか信託が、長信銀が一〇・八、信託が一五・四%もあるということでございます。そして、地銀以下の金融機関についても一九・一でございますから、結構大きいというふうなことがわかるわけでございます。  これはあくまで帝国データバンクが調べたものにすぎませんけれども大蔵省から予算委員会等提出されました資料によれば、ここに挙がっている三十二社の借り手に対する住専債権というのは、大半が不良債権化しております。ということは、住専のこうした借り手に対する債権不良債権化しているだけではなくて、ほかの業態の金融機関債権も不良化している可能性が高いわけでございます。そういう意味で、よく住専というのは不良債権問題の氷山一角だというふうに言いますけれども、それを端的に私はあらわしている調査ではないかなというふうに思うわけですね。  そこで、ちょっとお聞きをさせていただきたいのですが、まず、大蔵省銀行局長にちょっとお聞きしますけれども、これから住専借り手に対する債権回収を強力に進めていこうとするわけでございます。それは、抵当権を実行したり競売をやったり差し押さえをやったり、場合によっては借り手破産申し立てをする等のことをどんどん進めていくわけですよね。そうすると、この借り手の、住専以外の債権者金融機関またノンバンクに対する不良債権顕在化をしまして、かなり大きな損失が表面化してくるのではないのかなというふうに思うわけでございます。  大蔵省は、今後債権回収、これはしっかりしていかなければいけないわけでございますが、債権回収を実行した場合に、他の金融機関ノンバンクに対する影響を当然これは分析をしていると思うのですね。これはどう分析しているのか、まず御答弁をお願いしたいと思います。
  6. 西村吉正

    西村政府委員 今御指摘の点でございますが、なぜ不良債権問題が早期処理が進まなかったのかという原因には、いろいろな原因があると思いますが、一つには、この住専問題、今お示し資料では約二割の部分を占める住専問題というものの解決の糸口というものがなかなかつかめなかった、それがゆえに全体の不良債権問題の処理が進まなかったという面もあろうかと存じます。  したがいまして、今御指摘の問題は、別の見方をすれば、不良債権早期処理のためにこの住専問題が突破口になるということの一つのあかしとも言えるのではないかというふうに思えるわけでございます。  私どもは、我が国の金融機関の抱えております不良債権の全体の姿を皆様にお示しをするという努力を昨年の秋以降してまいっているわけでございますが、今御指摘の点につきましては、そのような資料をも御参酌いただきまして御理解を賜りたいと存じます。
  7. 北側一雄

    北側委員 銀行局長、できるだけ私の質問に対する的確な御答弁をお願いしたいのですが、私が聞いておるのは、そんなことを聞いているんじゃないんですよ。  この住専に対する債権回収を強力に進めていった場合には――これまでやってなかったんですよね。今銀行局長もおっしゃったように、やってしまったらほかの金融機関不良債権が現実化してしまうということもあり、なかなか強力に債権回収できないという問題があるわけなんですよ。それで、現実にこれから強力な債権回収しよう、しなければいけない、そういう中で、やった場合に、他の金融機関ノンバンクに対する波及性というのは、当然これは具体的にどうなってくるのかということを検討しなければ、金融の問題の論議を今しょうとしているわけですから、全体の金融の問題の、その影響をどう考えているんだというふうに言っているんです。
  8. 西村吉正

    西村政府委員 この住専問題というまことに複雑に絡まり合っておりました問題を突破口として不良債権問題に取り組みますならば、この特殊な問題が解決した後には、他のノンバンク不良債権問題はいわば原則に戻りまして、個々経営の問題として関係当事者自助努力により処理されることが基本になってくるであろうと考えております。  また、過去の事例を見ましても、母体行または主力行を中心といたしまして、法的処理をも含みますさまざまな方策によりまして、このような問題の処理部分的にであれ行ってきているわけでございまして、今後も、それぞれのケースごと関係当事者の意欲と努力によりまして、このような個々の問題は解決していけるのではないか、金融システムの中において解決していけるのではないかと理解しているところでございます。
  9. 北側一雄

    北側委員 私が聞いておるのは、まず現状認識を聞いておるんですね。その現状をしっかり認識した上で、こういう状況である、だからこういうふうな形で対応していけばいいんだという結論が出てくるわけでして、その現状をどう認識しているんだということを聞いているわけなんです。  私は、この帝国データバンクがやっているような調査を、本当は大蔵省銀行局がもっときちんとやるべきなんですよ。実際、債権回収を進めていったらどうなるかなんというのは、借り手側債権者状況登記簿謄本なんか見ていったらすぐにわかるわけですよ。それをやっているのかということです。
  10. 西村吉正

    西村政府委員 私どもの場合には、金融機関というものを通じまして、金融機関の切り口の側から不良債権問題というものを見ているわけでございます。この資料は、借り手というものの側面から見ておられるわけでございますが、もとよりこういう分析は大変に有用であろうかと存じますけれども、私ども個々借り手の側に直接アプローチをするということはなかなか難しい点もございますので、私ども金融機関という側から実態把握するように努めているわけでございます。
  11. 北側一雄

    北側委員 借り手に直接アプローチをしろなんて、私言っているんじゃないんですよ。  総理、私、末野興産、もう名前を出しちゃいますけれども末野興産大阪市内にある登記簿謄本を大半取り寄せまして、その乙欄がどうなっているのか、要するに抵当権登記が、第一順位がどうなっているのか、第二順位がどうなっているのか、その辺を、かなりの量ありましたけれども、見ました。  見て、一番最初に私が感想を持ったのは、住専というのはしょせんこれは一部だなと。なおかつ、金融機関がいっぱい抵当権登記ついておるわけなんですよ、ノンバンクも。だから、これは一たん抵当権を実行したり、また破産申し立てとかをやった場合には、勢いすぐにほかの金融機関ノンバンクに対して影響を与えてくるなというのが一目瞭然にわかるんです。そんな登記簿謄本を調べるぐらい銀行局はやるべきですよ。(発言する者あり)やっていないんですよ。  総理、私、総理にお聞きしたいのは、登記簿謄本を見て思ったのは、第一順位抵当権を持っているのはやはり都銀とか割と強いところなんですね。問題は、下位の弱い金融機関とかノンバンクが問題なんです。こういうところはもう住専と同じでして、下順位になっている、下位順位になっている。結局、住専借り手に対する債権回収を強力に進めていきましたら、不良債権処理に耐えられなくて経営が破綻してくる金融機関ノンバンクがこれは相当出てくるのではないかなという私は危機感を持っております。  私は、だから債権回収しちゃいけないと言っているんじゃないですよ。債権回収はすべきだと思うんです、当然。ただ、その辺の認識を、住専処理の問題とこれから始まる不良債権顕在化波及という問題について総理がどう認識されておられるのか、御答弁をお願いしたいと思います。
  12. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 従来から、どうもこの点が一つ議論としてもかみ合ってこなかったようであります。私は、そこまで特定謄本をとって調べるといった作業をしておりませんので、これは委員がお調べになりました結果を尊重した上でお答えをさせていただきたいと思います。  我々は、金融機関不良資産をいかに処理していくかが非常に問題だということを申し上げてまいりました。そして、それが金融の信頼を回復する上でも我々が通り抜けなければならない問題だ、そのように思ってまいりました。そして、本院の御議論の中で、氷山一角という位置づけに住専を置かれておられる方々もあります。同じことだろうと思うんですけれども、私どもは、これを突破口、そして一番喫緊に解決しなければならない問題、そのようにとらえてまいりました。  当然のことながら、さまざまな波及が起こるであろうことは私も想像にかたくないと思っております。その上でなおかつ私どもは、住専の問題を処理していかなければ、この金融機関の抱える不良資産の問題の処理というものがまた先送りをされる、それはとるべき手法ではない、そのように考えております。
  13. 北側一雄

    北側委員 今の総理の御答弁は、やはり、私が今申しました債権回収を強力にやった場合に、他の金融機関ノンバンクに対しての波及性はこれはあるぞという認識はしっかり持ってますよ、だから住専処理を急がないといけないんだというお話ではないかなというふうに思う。  それで私、この資料に基づいて一番思いますのは、心配しますのは、やはりノンバンクなんですね、特にノンバンクです。住専ノンバンクというのは、これは構造的には全く私は同じだと思います。銀行等金融機関から多額の融資を受けて、それを原資に不動産業等借り手貸し出しをする、構造的には住専ノンバンクノンバンクといっても事業者向けノンバンクですけれども、もう全く本質的に同じだというふうに思います。  さらに言いますと、これまで予算委員会等で問題になった紹介融資、ございますね。銀行等金融機関が、融資枠をもう超えてしまったとかそれからリスクが高いとか、そういう融資案件自分が貸すのではなくて、自分系列住専自分支配下にある住専自分系列下ノンバンク自分支配下にあるノンバンク融資させていた場合が多いわけでございます。これも住専と全く同じ。住専事業者向けノンバンクの地位というのは、構造的には何ら変わらないというふうに思うんですね。  そこで、ちょっと住専以外のノンバンク問題についてお聞きをしますけれどもノンバンク融資残高というのはどの程度あるんでしょうか。そのうち、事業者向けノンバンクというのはどの程度融資残高があるんでしょうか。
  14. 西村吉正

    西村政府委員 平成六年の三月末で、ノンバンク貸付金合計が八十九兆三千四百四十一億円ございますが、そのうち事業者向けは六十四兆七千五百十二億円となっております。
  15. 北側一雄

    北側委員 ノンバンク事業者向け貸し出しが六十四兆余り、約六十五兆円ですか、あるということでございます。  大蔵省からいただいている資料によりましたら、ノンバンク貸付金のうちの約六割が不動産担保であるなんというようなことも聞いておりまして、やはり約六十五兆のうちにどの程度不良債権があるのか、これが本当に大きな問題ではないかなというふうに思うわけでございます。  金融機関のこのノンバンクに対する貸出金額とそのうちの不良債権額について、どの程度あるのでしょうか、もう一遍確認したいと思います。
  16. 西村吉正

    西村政府委員 主要二十一行のノンバンクヘの貸付額で申し上げますと三十一兆三千億円でございまして、これは七年九月末の数字でございますが、そのうち都市銀行が十三兆一千億円、長期信用銀行が八兆四千億円、信託銀行が九兆九千億円でございます。その中で不良債権となっておりますものは、都市銀行四兆一千億円、長期信用銀行九千億円、信託銀行二兆円、合わせて七兆一千億円となっております。
  17. 北側一雄

    北側委員 今のは主要二十一行だけの話なんですよね。先ほど申し上げたように、先ほどの銀行局長答弁だと、八十九兆の融資残高のうち事業者向けが約六十五兆あるということなんでございまして、私はぜひこの主要二十一行だけではなくて、やはりきちんとほかの金融機関についてもしっかりと調べていただきたいと思いますが、いかがですか。
  18. 西村吉正

    西村政府委員 従来から、私ども金融機関の側からノンバンクに対する貸し出し状況を見ているわけでございますけれども、他方におきまして、ノンバンクの側における実態立入検査などによって把握をするよう努めているところでございます。  しかしながら、立入検査につきましては、現在の法制下におきましては、資金需要者、すなわち借り手の利益の保護を図るためのものに限定されているというような面もございまして、健全性確保のための検査や調査という点では必ずしも十分ではない点もあろうかと存じますが、与えられた役割の中で努力をしてまいりたいと考えております。
  19. 北側一雄

    北側委員 その問題はまたちょっと後で聞くことにして、この主要二十一行だけではなくて、大蔵省が行政指導できる金融機関につきましては、同様にその銀行を通して、ノンバンク向け不良債権がどの程度あるんだ、これは調べられるでしょう。これはやはりこれからきちんとやっていただきたい。もう御答弁は結構ですけれども、やっていただきたい、やるべきです。先ほどの、特に六十五兆なんというふうな事業者向け残高を聞いたらなおさらそう思いますね。  次に、ちょっと農林大臣にお聞きいたしますけれども、同じように系統金融機関ノンバンクに対する貸出金額とそのうちの不良債権額、これはどの程度掌握されておられますか。
  20. 大原一三

    大原国務大臣 せっかく御指名がありましたので、私からお答えいたしたいと思います。  既に委員御存じのとおり、平成七年一二月は、一応我々の把握は七・七兆円と把握をしております。それから最近の、これは調査じゃございませんで報告ということでございますが、六・六兆、約一兆円減っておるという数字がございます。不良債権部分については、昨年の報告で約六百億円、一昨日の答弁で六百数十億と申しましたが、六百億円弱ございますという報告でございます。御承知のように、これは自主的な報告でございまして、強制力もないし、さらにまた委員御存じのとおり、協同経営にはいわゆるディスクロージャーということが行われていない経緯もあり、今後十分その辺について我々は関心を持ってディスクロージャーも進めていかなければならぬな、こう思っております。
  21. 北側一雄

    北側委員 今大臣おっしゃったように、ディスクロージャーをぜひ系統金融機関におかれましても積極的に推進をしていただきたいわけでございますが、このノンバンクに対する不良債権がどの程度あるのか。六・六兆と今おっしゃいましたけれども、六・六兆の融資残がある。このうちどれぐらい不良債権化しているのか。本当にこれ、六百数十億ですか。これはそうすると一%になるのですね。先ほどの二十一行の話でも三十一・三兆の貸出金額のうち七・一ですから、主要二十一行でさえ不良債権化の率が約二割ぐらいあるのですか、二割ちょっとありますね。そうすると、この系統の一%というのは余りにも少な過ぎる。  ここは私は今回の金融問題の一つの大きなポイントの部分だと思うのです。私は、ここはしっかり農水省として、一体系統金融機関、農林中金、各信連がどの程度ノンバンクに対する債権を持っていて、それがどの程度不良化しているのか、その実態をしっかり調べていただきたい。これは調査すべきであると思うのです。いかがですか。大臣、これは大臣にぜひ御答弁をお願いします。
  22. 堤英隆

    堤政府委員 大臣の方から今数字につきましても御説明を申し上げたところでございますが、私どもとしましても、また一昨日の大臣の御答弁におきましても、ノンバンク等に対します不良債権実態あるいは貸し付けの実態ということにつきまして、さらに正確にその実態等をつかんでいきたいということのお答えがございましたけれども、そういう気持ちを体してやってまいりたいというふうに考えております。
  23. 大原一三

    大原国務大臣 昨日でございましたが、この問題については我々としても重大な関心委員指摘のとおり持っておりますので、早速事務局に対して、報告ではなくてもう少ししっかりした数字把握できないかということで直ちに私も指示を出し、恐らくそういう調査を進めてくれるものと思っております。
  24. 北側一雄

    北側委員 ぜひそれは早急に進めていただいて、ぜひ御報告をお願いしたいと思います。  そこで、このノンバンク問題で、先ほどちょっと銀行局長答弁の中で言っておったのですけれども、今我々がここで論議しようというのは、住専問題だけではなくて、日本のこの金融秩序の不安定をどう解消していくのか、そして全体の金融不良債権がどれぐらいあるのかということをしっかり議論しないといけないと思うのですが、その中でやはりノンバンクの持っている意味というのは非常に私は大きいと思うわけでございます。  ところが、このノンバンクに対して余り、先ほど銀行局長答弁していましたけれども、現在の貸金業法ではなかなかノンバンクそのものに対して入っていけないんですね。入っていける場合も、法律で規定しているのは、先ほど御答弁ありましたようにノンバンク借り手、要するに消費者保護をするためには入っていけますよというふうな規定になっているのです。  ところが、今のこのような実態から考えて、やはりこの金融問題というものを、金融秩序を回復をしていくためには、やはりノンバンク、特に巨額の融資金融機関から受けているノンバンク、特に事業者向けノンバンク、こういうノンバンクについては、一定の要件のもとで立入調査が私はできるように検討すべきじゃないかなと思うんですね。  ノンバンク金融機関からの融資残の多い主要ノンバンクについては、その不良債権状況いかんが我が国の金融システムに与える影響というのは大きいわけですから、一定の要件のもとで当局が立入調査もできるように検討すべきではないかなというふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  25. 久保亘

    ○久保国務大臣 今日の不良債権の問題を真剣に考えてまいりますときに、今御指摘がございましたノンバンクに対する検査や指導のあり方というものを、現行の貸金業法でよいのかどうかということについては、検討すべき課題になってきていると考えております。
  26. 北側一雄

    北側委員 私は、現在のこの金融秩序の回復のためにノンバンクが持つ意味を考えたら、やはりノンバンクそのものに対する、もちろん全部じゃないですよ、一定の、例えば融資残が五千億以上だとか、そういう住専並みの、また住専に近い規模のノンバンクについてはやはり立入調査ができるように検討すべきである、貸金業法の改正を検討すべきであると思います。  それで、さらに、この法律の改正を待っていられませんから、少なくとも、今金融秩序の回復をしなければいけない、システムの改革が重要課題になっているという今日においては、臨時特例の措置として、幾つかの、問題になっているノンバンクがもう出ています、名前が幾つか。そういうところについては、やはり私は当局が調査を、昨年住専に対してやったようにとは言いませんけれども、やるべきではないのか。また、そうでなくても、仮にそれがだめだというのであれば、詳細な情報開示を、融資残がたくさんある心配なノンバンクに対して情報開示をきちんと求めていくというふうなことを検討すべきじゃないのかな、この法改正とは別にですよ。いかがですか。
  27. 西村吉正

    西村政府委員 我が国の金融機関の監督・検査の体制は、主としてお金を預かるという側面、預金者保護という側面に重点を置いて組み立てられております。フランスやスイスにおいては、お金を貸しているという観点に着目して監督・検査をやっているという例もあるわけでございますけれども、我が国の場合には少し体系を異にしているわけでございます。しかしながら、お金を貸すという点についても、社会的な役割、公共性というものもあるわけでございますので、かねてから、私どももそういう側面をも金融行政の大きな視点として、立脚点の一つとしているわけではございます。  ただ、ノンバンクそのものについて見ますと、先ほど申し上げましたように、検査の権限と申しますのは、借り手の利益の保護を図るため、これは貸金業規制法が昭和五十八年に改正施行されました段階での問題意識に基づいているわけでございます。その後、地価の高騰の時期を経まして、平成三年、平成四年に貸金業法の一部改正も行われて、土地融資に関してはそういう点が改正をされてきているところでございますけれどもノンバンク経営全体についての実態把握という点につきましては、現行の制度の中におきましても御指摘のような観点から努力を続けてまいりたいと考えております。
  28. 北側一雄

    北側委員 大蔵大臣、今のノンバンク問題につきまして、先ほど来申し上げていますように、金融機関から相当規模の融資を受けている、そんなもう小さな金額じゃなくて、先ほど申し上げた住専並み、また住専と近いぐらい融資金融機関から受けている、それが事業者向け融資で不動産を担保に使っている、こういう例があるわけですね。それでまた、そういう例というのは、ノンバンクといってもそんなたくさんあるわけじゃないんですね。  ですから、我が国金融全体の状況をやはりしっかり認識しなければそれに対する対応だって出てこない、的確な対応も出てこないわけですから、私は、今この時期に、金融問題が大きな議論になっているこのときに、やはり臨時異例の措置としても、幾つかのノンバンク、問題ノンバンクについては調査をすべきである、また、調査がだめだというのであれば、詳細な情報開示をそのノンバンクから求めていく、こういう指示をやはり大臣は出すべきであると思いますが、いかがですか。
  29. 久保亘

    ○久保国務大臣 先ほど帝国データバンク資料に基づいてお話がございましたけれども、あの資料を見ましても、都銀長信銀信託といったようなところは、ノンバンク住専などと並んで、債権者であると同時に、この債権者同士で今度は債権債務の関係がまたございます。非常に複雑な関係だと思って見させていただきましたけれども。  それで、このノンバンクにつきましても、法律上どこまで監督庁としての権限が及ぶのかということは、これは大蔵省としてはやはり慎重でなければならないと思っております。  しかし、実際に、債権債務の複雑な関係の中で、社会的な影響、特に金融機関における預金者に影響が及んでいくというような問題について、情報等をしっかり把握をして、必要な、法的に可能な立入検査等については、今御指摘のありましたことを念頭に置きながら検討させていただきたい、こう思っております。
  30. 北側一雄

    北側委員 貸金業法の先ほどの改正の検討とともに、これはちょっと急ぐ話ですから、ぜひしっかり検討を進めていただきたいし、もうこれは私は早く調査に入るべきだというふうに思っております。  そこで、さらに質問をさせていただきますが、今までお話ししてきましたように、住専ノンバンクというのは、先ほど申し上げたように、ノンバンク、特に事業者向けノンバンクですけれども住専事業者向けノンバンクというのは、構造的にも本質的にも私は全く同じであると思っております。同じと言わざるを得ないと思います。  そこで、大蔵大臣、これは予算委員会でも議論されていましたけれども、もう一度確認しますけれどもノンバンクの破綻処理には公的資金は拠出はしないんですね。
  31. 久保亘

    ○久保国務大臣 昨年十二月十九日の閣議決定が行われます際に、政府・与党における合意がございます。その合意の中で、ノンバンクの破綻処理に対しては公的関与を行わないという確認がございます。それに従いまして、今御質問ございましたとおり、ノンバンクの破綻に対して公的資金の投入は行わない、こういうことでございます。
  32. 北側一雄

    北側委員 ノンバンクの破綻処理には公的資金は出さないと。  そこで、私が聞きたいのは、今回、住専には巨額の財政資金を投入するわけです。先ほどから私がずっと言っていますように、構造的にも本質的にも住専ノンバンクというのは変わりません、これは。一方の住専には大変な巨額、第一次で六千八百億、二次では、下手すると一兆を超えるかもしれないというふうな、こんな財政資金の投入を今回の住専処理法で決めようとしている。一方で、ノンバンクも、不良債権がたくさんあります。ノンバンクの破綻処理には、公的資金は出さないというふうに決めている。一体この違いはどこにあるのか。どういう基準で、住専処理には公的資金を出す、ノンバンクには出さない、その区別の根拠というのは一体何なのですか。
  33. 西村吉正

    西村政府委員 まず、事実関係から御説明をさせていただきます……(発言する者あり)
  34. 高鳥修

    高鳥委員長 局長答弁を指名しましたから、まず局長答弁いたさせます。
  35. 西村吉正

    西村政府委員 住専を含みますノンバンクは、御指摘のように預金受入金融機関ではございませんので、その経営の問題は、民間の関係当事者の責任において処理される、これが基本でございます。私どももそのように考えております。  しかしながら、住専問題につきましては、関係金融機関が非常に多数に上り、それらの利害関係者が極めて錯綜していることや、系統金融機関という共通の巨大な貸し手が存在することから、関係当事者間の話し合いだけでは解決を図り得ない状況となっていたわけでございます。その点は、先ほど北側委員がお示しいただきました資料を見ましても、その一端をうかがうことができようかと存じます。  また第二に、我が国の不良債権問題の緊急かつ象徴的な課題でございまして、不良債権問題全体に取り組む突破口として、公的な資金の導入を行ってでも早急に解決する必要があること。不良債権突破口、解決の糸口を見出すという意味が、この住専問題については特に重いわけでございます。このような点にかんがみ、政府・与党といたしましては、国民経済全体の見地から今般の住専処理策を決定したところでございます。  そこで、今後、住専問題という特殊な問題が解決いたしました後には、他のノンバンク不良債権の問題は、原則に戻りまして、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、個々経営の問題として、関係当事者自助努力により処理されることが基本であると考えているわけでございます。  また、過去の事例を見ましても、母体行または主力行を中心といたしまして、さまざまな方策により、これは法的処理をも含めまして処理を行ってきておるところでございまして、今後もそれぞれのケースごとに、関係当事者の意欲と努力によりまして、金融システム内において十分解決ができるものと理解をしているところでございます。
  36. 北側一雄

    北側委員 総理大臣、六千八百億の税金を住専処理に使おうという議論をしているわけなのですね。さらにそれは、二次損失でもっと大きな金額になるかもしれないというのですね。今我々は、将来の日本の金融をどうすべきかという議論をしているわけですよ、将来にわたって。  金融機関の破綻の場合に、ノンバンクとか住専とか含めた広い意味での金融機関の破綻の場合に、公的資金をどういう場合に導入するのかという原理原則は、ここはもう明快に、客観的にやっていかないといけないというふうに私は絶対思いますね。ここをあいまいな基準にしては絶対ならない。そんなことをしてしまったら、私は、将来の日本の金融にとって、すごい大きな禍根を残すことになると思うわけでございます。  ノンバンク住専、違いがないという例をちょっとお話ししましょうか。例えば、これから話しますのは、全部これは系列ノンバンクじゃなくて、独立系のノンバンクですよ。もう名前は語弊があるから出しませんけれども、例えば独立系のAノンバンクですね。ここは借入額が五千億円あるのですよ、金融機関から五千億円。そして、多数の金融機関系統からお金を借りているのです。  例えば、このAノンバンクは、都銀十行、長信銀三行、信託四行、地銀十九行、第二地銀十四行、生損保二十五社、そして農協系統五百億。全然住専と変わらないじゃないですか。そして、第一次再建計画、第二次再建計画をやって、これも住専と全く一緒。その第二次再建計画も、またもや見直しが迫られている、こういう状況にあるのですね。全然変わりません、住専とこのAノンバンクですね。  さらにBノンバンク。Bノンバンクは、借入額八千五百億、こうありまして、四千億を超える延滞債権があるというふうに言われています。ここも今のAノンバンクと同様でして、多数の金融機関系統からお金を借りているわけでございます。  さらに、独立系のCノンバンク。Cノンバンクに至っては、借入額が何と約一兆円、そして延滞債権率が七割を超える。そして、九六年三月期の決算では、百億円の債務超過だというふうに言われているのですよ。  さらに、独立系のDノンバンク、ここは何と借入額が二兆三千億ですよ。住専よりも多いじゃないですか。  住専ノンバンクに違いなんかないのです。金融機関から多額の融資を受けて、それを不動産向けの事業者に貸している。全く本質は一緒です。構造は一緒です。なぜ住専処理に莫大な税金を使って、なぜこのノンバンクに使わないのですか。その基準が全然不明確ですよ。こんな不明確なままでは議論はできません。ここはしっかり明確に、私は、政府は見解を出してもらいたい。  もう一点言いますと、今回の金融三法でも、信用組合には財政支出をするのでしょう、最悪の場合は。信用組合以外の金融機関には財政支出をしないのです。金融機関内部で処理するということになっているのです。なぜこんな違いができるのですか。  結局、住専の破綻には税金を使えますよ、ノンバンクには使えません、信用組合には使えますよ、信用組合以外の金融機関には使えません。金融機関の破綻によって、その業種によって何でこんな差が生まれてくるのですか。とても理解できないですよ。  先ほど申し上げたように、公的資金の導入の問題は、今回の金融三法、そして住専処理法最大の論点です。この公的資金の導入について、客観的な基準というのを明確にすべきだ。政府は統一見解を出すべきだ。文書で出してもらいたい。
  37. 西村吉正

    西村政府委員 私どもは、今回の四法案あるいは住専処理法案を含めまして、金融システム安定化のための諸施策をどのように構築すべきかという点につきましては、昨年約半年をかけまして、夏休みを返上し、金融制度調査会の答申をおまとめいただき、その中で考え方をお示しいただいているわけでございます。今回御提案をいたしております法案は、そのような考え方に沿っているものでございます。  なお、ただいま北側委員の御指摘になりました独立系のノンバンクの問題でございますけれども、確かに、それは類似の点もあろうかと存じます。しかしながら、住専とそのようなノンバンクとの違いは、まず母体というものがあるかないか。独立系のノンバンクとおっしゃいましたけれども、もし完全な独立系でございますと、その母体とそれ以外というような利害の対立関係は余り先鋭でなかろうかと存じますし、仮に直系の場合でございましたら、一対一の対応関係ということで、非常に明確な親子の関係が見てとれるわけでございます。そのような点で、住専がまず一つ違うであろう。  第二に、系統のウエートでございますが、先ほど御指摘いただきました例で言いますと、系統融資の比率は余り高くないように見受けられますけれども……(発言する者あり)
  38. 高鳥修

    高鳥委員長 局長、簡潔に答えてください。
  39. 西村吉正

    西村政府委員 住専の場合には共通いたしておりまして、四二%に上る融資比率を……(発言する者あり)
  40. 高鳥修

    高鳥委員長 局長、簡潔に答弁してください。
  41. 西村吉正

    西村政府委員 はい。金融機関が占めているわけでございます。そのほか、住専七社に共通した課題があるというような意味で、十三兆円の一まとまりの問題というような性格のものは、他のノンバンクには見出せないと考えております。
  42. 北側一雄

    北側委員 金制調の金融システム安定化委員会というのがありまして、ここが今回の金制調の答申の重要な内容をしっかり議論して出している、私は基本的には賛成ですよ。  この金融システム安定化委員会のメンバーの中に池尾和人さんという慶応の教授がおられます。この方が、こう言っているのですよ、銀行局長も聞かれたと思いますけれども。衆議院の予算委員会の公述人としてこういうふうに言っているのです。これは総理、大蔵大臣、よく聞いていただきたいと思うのですけれども、そのままずっと読みますから。この池尾さんという、金制調の中の金融システム安定化委員会のメンバーである大学の池尾先生がどう言っているか。  私は公的資金を投入すること自体に反対しているというのではなくて、展望を持たないままに使うこと、つまりきちっとした原則にのっとったような形の支出をすべきであるというのが私の真意でありまして、日本の不良債権問題を全体として解決するためには、今回の処理案を上回る額の財政資金の投入が不可避であろうというふうに私は考えております。  そうであるがゆえに、膨大な国民負担を国民に納得していただかなければいけないわけでありまして、そのための最低限の必要条件として、財政資金の投入に当たっては原則をかたくなに堅持するということが必要であると思います。その場しのぎで原則を曲げた対応をとっておりますと、国民の反発を招く結果となり、たとえ経済合理的な対策であっても、今後は痛みを伴うものは実施できないというふうな非常に困難な状況に陥る可能性があり、財政資金の投入が今後必要と見込まれるがゆえに、投入に当たっては原則をかたくなに堅持するということが必要であると思います。  それでは、財政資金の投入に当たっての原則とは何かという点でありますが、その点は既に金融制度調査会の報告書の中でも確認されております。すなわち、破綻した金融機関は存続させない、救済の対象とは決してしない、ただし破綻に伴う損失を預金者に及ぼすことはできないわけでありますから、預金者保護に必要な限りで公的資金の使用はあり得るというのが金融機関の破綻処理にかかわる公的資金の導入の原則であります。こう言っているのです。  住専をこの原則の例外としなければならない理由は私には理解できないわけでありまして、この原則からすると、住専には預金者はいないわけですから、一般の事業会社の場合と同様に法的に処理を行うのが当然であるということになります。その上で、住専処理に伴う損失を吸収できずに破綻する金融機関が出現したときに初めて、預金者保護に限って財政資金を投入するというのがこれまでの原則に従った対応ということになると思います。 こう言っているのです。明快ですよ。  今回のこの金融機関の破綻に対して、公的資金をどういう場合にどういう基準で、原則で出すのか、その原理原則を明快にすべきです。先ほど申し上げたように、住専には出しますよ、巨額なものを。ノンバンクには出しません、信用組合には出します、信用組合以外の金融機関には出しません。ばらばらじゃないですか。一体基準がどこにあるのですか。ここを、基準を明快に、原理原則を明快にしてください。これはもう政府の統一見解を出していただきたい。これを出さないと、審議できないですよ。
  43. 久保亘

    ○久保国務大臣 統一見解を申し上げるまでもなく、今北側さんがお読みになりましたその考え方に立って、少し最後のところで違ってまいりますのは、この住専の破綻に伴って金融機関、関係の金融機関、つまり債権者となっている金融機関に破綻を生ずるようなことになれば、公的資金を導入すべきであるという今……(発言する者あり)ちょっと、静かに聞けよ。そういうことをおっしゃったと思いますけれども、そういう……(発言する者あり)ちゃんと答えているじゃないか、何言っているんだ。  それで、そういう場合が予見される、予測される場合に、そういう事態が起こってから公的資金を導入するか、そういうことを未然に防止することによって経済や金融の安定を図るか、そこは政治、政策の判断にかかわる問題だと私は思っております。
  44. 北側一雄

    北側委員 だから大臣、今おっしゃっているのは、金融機関が……(発言する者あり)ちょっと、静かにしてください。金融機関が破綻をしないような場合にも、それが見えると、ほっといたら。金融機関が破綻前でも公的資金の導入があるんだよと、そういう話を今されたのですよ。それは一体どういう基準で、これからだってそういうことは幾らでも起こりますよ、どういう基準でそういうときに公的資金を導入するのか、そこの原理原則を明確にしろと言っているのですよ。
  45. 久保亘

    ○久保国務大臣 それは、数量的な公式基準というものを申し上げることは非常に困難だと私は思います。しかし、そうではなくて、それらの問題が、私、前にも申し上げましたけれども、このような金融の破綻というようなことは、その可能性をどう見るかというのは意見の分かれるところはあると思いますが、これは実験を許されない問題だと思っております。  そういう意味では、そのことに対する政策的な判断をどうするかというのは政府の責任であり、その政府の責任で判断いたしましたことを、これを実行すべきかどうかは国会で御審議をいただいて御決定をいただくものだと思っております。(発言する者あり)
  46. 高鳥修

    高鳥委員長 ただいまの説明につきましては、もう少し明快に説明できるようにきちっと整理をして答弁をしてもらいたいと思います。  後で、まだ審議の時間もございますから、そのときにきちっと答弁していただくということにしたいと思いますが、御協力願います。  北側君。
  47. 北側一雄

    北側委員 今、委員長から、もう少し明確にしろと言ったでしょう。この問題は、今回の委員会の最大問題ですよ。この公的資金導入の原則は何なのか、明確に、客観的に基準を出す。これを文書で、政府で統一見解を出すべきです。出すまで審議できない。(発言する者あり)
  48. 高鳥修

    高鳥委員長 それでは、ただいまの問題についてはきちっと文書でお答えを出すということにしていただきます。  どうぞ、続けてください。
  49. 北側一雄

    北側委員 今文書で出すというふうに委員長から御指示いただきました。ありがとうございました。  これは、しかし、この委員会でも本当に大事な前提となる原理原則の議論ですから、これは早急に出していただきたい。それをもとにして、我々はさらに質疑をさせてもらいたいと思いますから、ぜひこの文書を早急に出してもらいたい。  以上で、質問を終わります。ありがとうございました。
  50. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて北側一雄君の質疑は終了いたしました。  午後二時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十時五十九分休憩      ――――◇―――――     午後二時開議
  51. 高鳥修

    高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  各案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁松下康雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 高鳥修

    高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  53. 高鳥修

    高鳥委員長 質疑を続行いたします。安倍基雄君。
  54. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 冒頭に、加藤委員、山岡委員から各党合意の話が出ました。その場合に、加藤喚問の問題が出たわけでございますけれども、これは答弁としては、内閣総理大臣としては答える立場にないというような返答をされたように記憶しております。  しかし私は、この各党合意がなければ予算の成立もなかった、この金融特別委もなかった。となりますと、ここにおける審議も各党合意に基づいておるということは紛れもない事実であります。それでまた、いわゆる各党合意について、総裁として当然、橋本総理は知っておられるわけですね。その意味で私は、ここで答える立場にないとは言っても、やはり総裁として各党合意は尊重されるべきものだという理解をしておられると思いますけれども、その点はいかがでございますか。
  55. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今議員みずからお述べをいただきましたように、私がここに立ちますのは、内閣総理大臣として院の答弁席に立つわけであります。その上でなおお尋ねでありますが、自由民主党総裁としての私が、各党におけるお話し合いを知っているということは当然のことでありましょう。そして、ここでお答えをする私は内閣総理大臣という立場であるということを繰り返して申し上げます。
  56. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 いずれにいたしましても、これはいかに内閣総理大臣の立場で答えるにしても、政党人として、総裁としては、やはりこういったものは尊重すべきものだということに理解していると思います。  次に、私はここで、今まで余り論議されなかったわけでございますけれども、結局この問題は、今回の住専処理法案あるいは金融法案、すべてバブルの発生と急速な冷却ということにいわば基礎がある。この点について、どういうぐあいに我々は今評価すべきかということが一番大切ではないかと思うのでございます。  私はやはり、それには幾つかの背景がある。一つは、かつて日本は資本が過少であった、少なかったという時代。それが、資本が過剰になってきたという時代に大きく変化してきた。しかし、銀行はあくまで預金獲得競争ということでずっときておる。どうやってそれを運用するかという点について、必ずしもノウハウを蓄積していなかった。こういうところから担保中心主義というようなものに動いていったということが大きな原因だったと思う。  そこで、ずっと見ますと、プラザ合意、そのときにいわゆる為替レートの是正という形でなったわけでございますけれども、それ以降、日本はずっと内需拡大を要望された。それが、いわば非常な低金利政策を長期間続けたという原因になっているであろう。  それとともに、いわゆる八七年十月のブラックマンデー、アメリカの株が下落した。そのときにドルが崩壊しそうになった。それに対して日本はどう対処するかということで、いわばドルの暴落を防ぐというような介入も随分した。それとともに、我が国はずっと低金利政策を続けた。この辺が、低金利政策が続いたという原因ではないか。  マネーサプライなどを見ますと、その前後から非常に伸びておる。そこで、いわば資本の過剰の時代に国内流動性が非常に高まったとき、本来は規制緩和でもして、どんどんと新しい投資機会を生むべきであった。ところが、企業はそこそこ、みんな自分で金を調達できる。いい借り手がいなくなる。そこで、その余剰資金が、値上がり期待でもって土地と株に流れ込んだ。  日本の株式市場というのは随分持ち合いが多いわけでございますから、広いといっても市場はすぐ動きやすい。また、土地も規制が非常に厳しいものですから、狭い土地に資金がどっと流入する。ある意味では非常に市場が狭い。  その二つが結局、借り手が見つからないところに過剰流動性ができて、それがいわばずっと、本来土地の値段とか株の値段というのは株の収益性なり土地の収益性をもとにして基本的には決まるべきところが、単に値上がり期待でもってぐんぐんと上がっていった。  ここで私は日銀総裁にお聞きしたいのでございますけれども、当時における金利政策というものが、もう少し早目に引き上げるべきではなかったか。その辺について、過去を振り返った意味で、御見解をお聞きしたい。  また、私が今、過剰流動性が生じた原因がそういうところであったのかということについて、同じ見解を持たれているかどうか、お聞きしたいと思います。
  57. 松下康雄

    松下参考人 バブルの発生につきましては、私どももこれは、金融の自由化、国際化などの進展でありますとか、首都圏一極集中でありますとか、土地取引に関します法制、税制などのいろいろな要因が相互に影響をし合う中で、経済全体の中に、いわゆる右肩上がりの幻想と申しますか、そういう考え方が生まれたことが大きな役割を果たしたものであると認識をしておりますけれども、その発生の過程におきまして、長期にわたる金融緩和にもその原因の一端があったということは否めないところであると考えております。  ただ、当時を振り返ってみますと、当時景気は回復が強まっております中で、物価の安定基調はなお維持されておりました。その中で地価等の資産価格の上昇が目立ったわけでございますけれども、当時はやはり政策運営におきまして、国の内外で為替相場の安定と貿易黒字の縮小、この重要性が強く認識をされておりました状況でございまして、その中で金融政策の運営面でもやむを得ざる選択を迫られたものだと理解しているところでございます。  ただ、一たん発生しましたバブルはいずれそれはつぶれるものでございまして、経済への悪影響を防ぐためにはバブルを発生させないということが非常に重要であるという点から申しますと、金融政策の運営におきましても、大事なことは、やはり為替相場の安定あるいは対外不均衡の是正のために過度に金融政策に依存した対応をとるということは適切でありませんで、あくまでインフレなき持続的な成長を目標としていくべきであるということ、また、資産価格の動向などにも十分留意をしながら早目早目の対応をとることが重要であるというふうに考えております。
  58. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 そうすると総裁は、我々としてはもう少し早目に金利の引き上げをすべきではなかったかという気持ちを持っておりますけれども、それについての御見解はいかがでございますか。
  59. 松下康雄

    松下参考人 ただいま申し述べましたように、当時の判断といたしましては、資産価格の上昇にもかかわらず、消費者物価、卸売物価等は甚だ安定をしていた状況であったということ、及び国際収支の黒字縮小あるいは為替レートの安定ということが最大の政策的な緊要の課題というふうに認識をされていたということ、その中での判断でございますから、それは当時の状況としてやむを得ざるところがあったと思いますけれども、なお今日の目で全体を振り返ってみますときには、やはり経済政策、金融政策の目標を国内の経済安定、インフレなき成長というところに置いて対処をする必要がある、そういうふうに判断をしておるわけでございます。
  60. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 いずれにいたしましても、今から考えてみるとやはりもう少し考えるべきものがあったなというお答えであると思いますが、当時物価が安定しているのは当然なんですよ。要するに、円が急に高くなるわけですから、輸入品目がぐっと下がるわけですから。そういった意味で、あのときのいわば物価安定というのは当然の話なんです。物価が安定していたからその辺はということは、やはり今から考えてみると、この物価安定という要素は円高から来ている、円のいわば価値増加から来ているものなんだ、もう少し国内に目を注いでいくべきであったかなという反省をすべきだと思うし、やはり我々はそこを直視しなくてはいけないと思います。  次に、現在の低金利政策、これは確かに私も、今までの伝統的考え方からすれば低金利政策が一つの景気浮揚になるというような考えもわからぬではないですけれども、ある意味からいうと、非常に資本過剰時代、消費がGDPの六〇%を超えている時代に、いわば低金利政策をずっと続けていくことが果たして妥当なのかなと。  この点につきまして、それはいろいろ議論もございましょうけれども、梶山官房長官といろいろ銀行のあれもございますけれども、やはり低金利政策で非常に多くのものが傷んでいる要素が随分ある。でございますから、資本が少ない時代と資本が要するにふえている過剰の時代と、低金利政策についてはやはり考え方が必ずしも以前のように一刀両断にはできないんじゃないか、景気回復のためには低金利政策が必要だということばかりではいけないんじゃないか、この点について、日銀総裁のお考えを承りたいと思います。
  61. 松下康雄

    松下参考人 金融政策の運営に当たりましては、何よりもその時点における経済の実態、それから、それを踏まえて考えられる将来の展望を材料といたしまして適切な判定をすべきものであると考えておりますが、そういう見地から、現在での金融、金利政策の運営についての私どもの考え方を申し上げますと、一方で、現状において仮に金利が上昇したといたしますと、御指摘のように、個人消費は所得の中の大きな部分を占めておりますけれども、それが利子所得の増大を通じて消費刺激をするという面もあるということは考えられると思います。  しかしながら反面で、現在の経済の実情から見ますというと、やはり金利が実体経済の状態に比べて高過ぎる場合には、それはやはり企業活動を圧迫をし、それが一方では投資その他の重要な需要項目の増大を抑制をしますと同時に、さらに重要なことは、それを通じて一般の方々の雇用問題の悪化が生じるというようなことから、国民生活にマイナスの影響を持つおそれがあるということも他面で十分に考慮をすべきことであろうと思います。  したがいまして、私どもとしましては、その両面をよく比較較量をいたしまして、とるべき最も適切な政策、それによって国民全体の雇用なり所得なりあるいは福祉の向上が実現できるような、インフレなき経済成長を確保するためにはどういう方策が現在必要かという点の判断を慎重に行ってまいりたい、そういうふうに思っております。
  62. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 いずれにいたしましても、かつての低金利政策を続けたことが国内の過剰流動性につながった。現在は過剰流動性になろうと思っても、いろいろ不良債権が累積しておりますからそうばなかなかいきませんけれども。  そうすると、今、日銀総裁は、経済が緩やかな回復基調で、やはりこのままという感じでおられるわけですか。もちろん金利についてはなかなか、総裁が一言言いますとすべて物事が動いてしまいますから、余りはっきりは言えないにしても、現状という感じでいらっしゃるかどうか。
  63. 松下康雄

    松下参考人 経済の現状につきましては、経済は現在緩やかに回復をしているというふうに考えておりますけれども、ただ、その回復の主役となっておりますのが主として公共投資あるいは住宅投資といった要素であります。この点につきまして、やはり今後経済が、さらにインフレなき持続的な成長を確かなものにしていく自律的な成長の軌道に乗っていきますためには、やはりここで民間の設備投資あるいは消費支出といったものが増加に転じていくことが非常に必要であろうと思っております。したがいまして、そういう要素に好影響を及ぼすことができるような、そういう政策の組み合わせを現在は考えてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
  64. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 じゃ、日銀総裁、何でしたらもう結構でございます。議論を聞いていただいても結構でございますけれども。  そこで、問題は、バブルであったのを急に冷やしたというところに一番の大きな原因がある。もちろん当時は金利をどんどん上げていきましたから、しかも土地が高騰している、株が高騰しているというような時期に、朝野そろって、土地対策をどうかしようか、どうにかしてくれという空気があったことは事実でございます。しかし、いわゆる総量規制一本で、通達一本でこれは非常に大きな問題が起こったわけです。  私がいろいろ聞いてみますと、例えば、確かに不動産業者がバブルに浮かれておった。しかし、例えば百億かかるところを五十億工事をした、あるいは土地を手にしようとした。あと五十億があれば一応それが造成できるのに、もうそこでストップしてしまうということが随分あったらしい。ただ、大手のいわば企業は、大体大手の銀行あたりから面倒を見てもらう。要するに、突き放されたのは中小である。  今出てきている悪者だ、悪者だ、確かに悪者なんですけれども、大体名立たる不動産会社はほとんどいない。どこかの片隅で聞いたような不動産業者ばかりだ。確かに悪い者もおりましょう。しかし、途中で不動産規制という通達一本で、要するに不動産の融資規制ですが、それで大勢の人がいわば仕事が中断されたり、その後はぐっと要するに土地が下がってきた。まさに不良債権の山を築いた。  私は、当時総理は大蔵大臣であったと思いますけれども、事務当局はどっちかというと、通達で、総量規制のことについてはちょっと問題、異論もあった。しかし、海部総理も言うし、みんなも言うから、まあやろうというぐあいに決断したと私は聞いておりますけれども、その辺の実情はいかがでございますか。総理お答え願いたい、かつての蔵相としての総理にお聞きしたい。
  65. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私が海部総理のもとで大蔵大臣を拝命いたしましたとき、既に地価の上昇というものは非常に大きな社会的な問題にもなっておりました。そして、たしか就任いたしましてそれほど時間を置かず通達を出した記憶がございますが、その効果もそれほど大きなものではなかったように思います。覚えております。  同時に、当時土地基本法の論議が国会で非常に盛んになっておりました。そして、二年の三月の土地関係の閣僚会議の席上、なお一段踏み込んだ措置をという総理の御指示を受け、省内で検討いたしまして通達を発出したという経緯がございます。
  66. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 当時は、事務当局はどっちかというと乗り気じゃなかったけれども、政策的にいわば選択をしたということでございますか、政治家として。
  67. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 もう一段の措置というものに何があり得るかということで議論をいたしたことは事実でありますが、いわゆる三業種規制の通達を思い切って発出する、いわゆる総量規制というものに踏み切るという判断をいたしました。
  68. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 今、日銀総裁が、当時としてはやむを得なかったかもしれないけれども、今考えてみるとちょっと問題があったというような金利政策についての発言がございましたけれども、今総理として、今みたいにこれほど大きないわば結果をもたらすということは予見されておりましたか、予見されておりませんでしたか。つまり、これだけ総量規制通達でだっと土地価格も落ち、いろいろなのが落ちた。それがやはり現在の大きな要するに要因になっているわけでございますけれども、それについて、当時それを出されたときの空気はさることながら、現在において、あれはやはりやり過ぎではなかったかなという判断を持っていらっしゃるかどうか。
  69. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 そういうふうな御質問であれば、当時こういう結果、例えば当時その住専でこういう問題が起きるということを予測はいたしておりませんでしたけれども、とにかく地価を下げろというのが至上命題だったわけでありますから、できるだけ効果的な手法を選択をしたということは事実であります。そして、地価を下げたいという思いは、私どもにとりましては共通のものでありました。
  70. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 いわば当時においてはそれが適切であったかもしれないけれども、今になってみればあれは創業だった、やはりそれがずっと長い間の低迷を招いた、私はそう考えておりますけれども、もちろん日本の場合に当時としてはやむを得ぬ。例えば、日本が大東亜戦争に突入するときも、朝野を挙げて要するにやれやれと、空気に押されたわけです。  しかし、私も、当時確かに地価がどんどん上がる、何かやれやれということでみんなが声をそろえて言ったかもしれないけれども、基本的にはあのときのやはり総量規制が非常な創業であったということは否めないと思うのです。その点について、今どうお思いになる。全く当時はその認識はあったかなかったか、そんな大ごとではないと思ったか。
  71. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私、今、突然のお尋ねでありますから、当時の議事録を持っておりませんけれども、私はむしろ総量規制というものは創業だということを国会でも繰り返し申し上げた記憶を持っております。  しかし、その創業がなお足りないという御指摘は随分ございました。そして、創業であることはある程度承知をいたしておりました。その上で、その創業を選択せざるを得なかった状況ではなかったであろうか。それは、土地基本法の制定から地価税の創設に及ぶ経緯と同様に思います。
  72. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 当時においていろいろな声があったと言いますけれども、やはり基本的には経済、財政を担当する大臣が先々のことを見通して判断すべきものなんですね。これは、役人はいろいろな案を出します。最後の決断はやはり政治家が、これが最終的にどういう効果を持つか。まあ考えてみると、本当に大勢の人間が今苦しんでいる。私は、その最初、基礎は、やはりあのときバブルで踊ったのは悪いけれども、それをつくったいわば政策も悪い。そこをまた急に冷やした政策が、非常にやはり長い目で見た見通しを誤っていたと私は考えております。その点について、当時としては正しかったかもしれないけれども、現在においてもあの選択はよかったとお考えでございましょうか。
  73. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変恐縮でありますが、議員はバブルが継続した方がよかったという御意見なのでありますか。  と申しますのは、先ほど来私は創業だということを本院でも御答弁を申し上げた記憶がございますけれども、あえてその創業を選択すべきだと思って、当時私は選択をいたしました。ただし、軟着陸ができることを願ったことは事実であります。それが予想よりも大きな、急速なバブルの終息を迎えた。それが今責任を問われるのであれば、私は軟着陸をさせたいと思ってはおりましたが、急速なバブルの終息というものになった。それがおまえの責任であるとおっしゃるなら、それを否定はいたしません。
  74. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私がここで申し上げたいのは、やはりすべての政策は先の先を見越した上で決めるべきだということでございます。これはもう異論がないと思います。いずれにいたしましても、すべての政策は本当にちょっとした政策がもう大勢の人に影響するわけです。だから、私は本当に、今から考えると、あそこで急に冷やしたことがそれ以後の大きな原因になっていると思っております。  そこで、私は金融三法の問題に移ります。  これは金利政策でじわじわやるのと、要するにいわば財政できゅっと締めるのと、それは今の金融で締めるのとちょっと意味が違うのですよ。やはり金利で上げていけば、それでもって、それをそろばんを合わせながらみんながそれに適応していく。ところが、融資額を一遍にとめれば適応のしようがないのです。だから創業なのです。そういう意味で、私は、やはり総理としても、当時の判断はやむを得なかったにしても、今考えてみると、さっき日銀総裁が言われていましたように、反省する余地が十分あると思うのです。  そこで、私は、本題に入りまして、いわば金融三法案と住専の問題に移りたいと思います。  まず第一に、この住専処理スキームが本当に長期的見通しに立ったものであろうかどうか。今の状況からいうと、やはりあれでいい、これでいいとみんなが言うかもしれません。しかし、これが将来どういう影響を持つかということについて、非常に大きな問題がある。  午前中、北側委員が質問されたノンバンクの問題。私は、まさにノンバンクこそ大きなブラックホールと思っていました。まさにそのとおり。  そこで、北側委員が提示された、一体その金融三法、あるいは貯金法を入れて四法ですか、それと住専処理法案との整合性は何か。つまり、住専においては公的資金を容易に導入する。ところが、金融三法においては、本来は金融機関をもいわば法的処理でいく、その場合に、信組と銀行がどう違うのだ。あるいは、彼が指摘しましたように、住専には公的資金を導入し、ノンバンクには導入しない、どこにどういう基準があるのだ。これはまさにこの委員会の最大の眼目なのです。ほかの細かいことを論議する前に、ここが一番問題なのです。  私は、本当にこの金融三法と住専処理法案、まさに相対立する法案と見ています。片方は原則でこういって、その原則の中にも、委員指摘されましたように、信組のときには入れる、では、ほかの方には入れないのか。それから、住専には入れる、全く住専と同じ形態のノンバンクには入れないのか。どこでどう判定するのだ。そこが一番の問題点なのです。ほかのものを、細かいところを議論するより、そこが一番根本なのです。  その意味で、私は、ちょうど住専の、私は本当にこの法案に入る前に大体勉強して、そこが一番中心になると思っておりました。まさに北側委員がそれを指摘されて、今、午前中に文書で回答せいということで、文書が出てまいりました。  そういった意味で、北側委員に午前中の質問の継続を私の範囲内でしていただきます。
  75. 高鳥修

    高鳥委員長 この際、北側一雄君から関連質疑の申し出があります。安倍君の持ち時間の範囲内でこれを許します。北側一雄君。
  76. 北側一雄

    北側委員 午前中に引き続きまして質問をさせていただきますが、委員長、ただいま委員長から要請をしていただきました文書らしきものが出てまいりました。委員長、これはごらんになられましたか、もう既に。
  77. 高鳥修

    高鳥委員長 今これをいただいて、読んでいる暇がございませんでしたので、中身はよく読んでおりません。
  78. 北側一雄

    北側委員 ちょっと私質問しておりますので、その間に委員長もぜひこれは内容をごらんになっていただきたいのですが、いや驚きましたね。これは、午前中の公的資金導入の基準について、それを明確に、客観的な基準を出してくださいと求めました。その趣旨を御理解いただきまして、委員長の方から政府に対して文書でこの公的資金導入の基準について出しなさいというふうに御指示をいただいた、その回答の文書がこれですか。
  79. 西村吉正

    西村政府委員 ただいま安倍委員からの御指摘もございましたが、午前中にも北側委員から、政府の今回の法案に関する基本的考え方、すなわち三法案の基礎となっている考え方と住専処理法案の基礎となっている考え方の関係を明らかにせよ、そういう御指摘がございましたので、私ども、先ほどお答えをしかけたところでございますけれども、その基礎となりました金融制度調査会の考え方をまとめまして、取り急ぎ御提出を申し上げたものでございます。
  80. 北側一雄

    北側委員 私が午前中にこの委員会で求めましたのは、るる一時間質問させていただきましたけれどもノンバンクの中にも大量の不良債権を抱えているのがありますよと。そして、銀行等金融機関から巨額の融資を受けている、住専と同じように、また住専とほぼ同じような金額の融資を受けて借り手に貸している、こういう経営危機のあるノンバンクが、私は四つほどお話をさせていただきましたけれども、そういうノンバンクがあるよと。ノンバンク住専とは構造的には何ら変わりないよ、本質的には変わりないじゃないですか、こういうお話をしました。  その上で、一方、住専には六千八百億もの巨額の財政支出をする、二次損失についてはさらに一兆以上になるかもしれない、そういうふうな法案になっている。巨額の住専処理に財政支出をしようとなっている。一方で、ノンバンクの方は、きょう午前中に改めて大蔵大臣に確認をさせていただきましたならば、ノンバンクには一切、ノンバンクの破綻があっても財政支出はしないんだ、こうおっしゃったわけですね。住専ノンバンク、構造的、本質的に変わりがないにもかかわらず、公的な財政支出の基準に、どういう基準なのか、どうしてこういう差が生まれるのか、そこを聞いたわけです。  これではどこにその公的支援の、公的資金の導入の基準について書いているのですか。どこにも書いてないじゃないですか。ここに上がっている文章は金制調の答申の部分をちょこちょこちょこと書いているだけで、その基準になるところは何も書いてないじゃないですか。余りにも不誠実な対応と言わざるを得ないですよ、これでは。  委員長、もう読んでいただきましたか。これでは午前中の質疑を踏まえた文書にはとてもなっていないですよ。なっていないです。  今国民が一番関心を持っているのは、この住専の公的支援、公的資金の導入の問題です。また、金融三法で、信用組合については、最終的には場合によっては財政支援しますよという法案になっているわけなのです。ノンバンクに出さない、住専には出す、信用組合には出す、信用組合以外の金融機関に出さないというふうにばらばらの取り扱いになっているのです。  一体、公的資金導入の原則というのは何なのか、そこを明確に出すことが、今後の金融のあり方を考えるに当たって非常に大事な問題だと私は言わざるを得ないと思うのです。そこがあいまいであってはならない。時の政権の、政府の裁量でそれが決まるなんてとんでもない話です。ここは客観的な、明確な基準をこの際つくっていかなければいけないというのが大事な論点だと思うのです。  委員長、これで午前中の、委員長が求められた文書になっておりますか。
  81. 高鳥修

    高鳥委員長 委員長としては、今までの審議を、経過を踏まえて明確になるようにペーパーを用意しなさいと申し上げたわけであります。それに基づいて、その参考としてこの資料が出たのだと思いますから、さらに銀行局長が説明する要があれば、銀行局長から説明をさせますし、あるいは大蔵大臣がむしろその点についてお答えがあれば、大蔵大臣から答弁を求めたいと思います。(発言する者あり)さらに答弁を求めてください。(発言する者あり)ともかく審議を続けてください。(発言する者あり)  ちょっともう一回答弁してもらって、その上でひとつお願いします。(発言する者あり)  もう一回銀行局長と大蔵大臣答弁を求めて、それで納得いかなかったらひとつ・・(発言する者あり)  それでは、もう一回北側君、質問してください。答弁はひとつしっかり明確にしてください。
  82. 北側一雄

    北側委員 もう一度確認しますけれども、きょうの私の午前中の質問に対する回答の文書はこれですね。これですか。
  83. 西村吉正

    西村政府委員 第三項目をごらんいただきたいと存じますが、「今回の政府の金融関係法案は、以上のような答申等の考え方を踏まえ提案されているものである。」ということで、今回御提出しております法案の考え方の基礎を御説明した資料でございます。
  84. 北側一雄

    北側委員 きょうの午前中の私の質疑の趣旨は、公的資金導入の原則の基準を明確に出してもらいたいという質問をさせていただいて、委員長の方から、その文書を出しなさい、政府に対して、出しなさい、こういう御要請があったのです。この文書のどこに基準が書いてあるのですか。
  85. 西村吉正

    西村政府委員 その答申の中で、金融制度調査会の答申の中で公的資金に関して触れられた部分を主としてここに御説明をしているところでございます。もし必要でございましたら、御説明をさせていただきます。
  86. 北側一雄

    北側委員 何度も言わせないでくださいね、余り時間がないですからね。この文書の中で公的資金導入の原則の基準はどこに書いてあるのですか。
  87. 西村吉正

    西村政府委員 これ全体がそういう考え方を示しているものでございます。  すなわち、御説明をいたしますと、まず九月の段階での審議経過報告でございますが、1の(1)に述べられていることが九月の段階における基本的な考え方であり、(2)に記されていることが、それと対比いたしましての住専問題に関する公的資金の問題を論じられたところでございます。  2につきまして、最終答申の段階では、これまた同じく(1)につきましては、公的資金の問題につきまして金融制度調査会の答申で述べられましたところを三つの部分に分けて記してございます。その中で、先ほど御指摘がございました、なぜ信用組合だけについてそのような措置を講ずるかという点については、③をごらんいただけばおわかりいただけると存じます。また、最終答申の段階での住専問題に関する公的資金の考え方につきましては、2の(2)に記されているとおりでございます。  以上のような考え方を踏まえまして、今回の政府の金融関係法案、これは三法案及び住専処理法案ともにでございますが、全体として整合性のとれた考え方になっていると私どもは考えている次第でございます。
  88. 北側一雄

    北側委員 いや、全くこれ、何にも基準は書いてないのですよ。住専ノンバンク、破綻した住専、破綻したノンバンクがあった場合に、なぜ住専に出して、なぜノンバンクに出さないかという基準、何にも書いてないじゃないですか。どこに書いてあるのですか。  それと、銀行局長、私も少し勉強していますから、余りこんな自分のところの都合のいい言葉だけ出さないでほしいんだよ。一項の(2)、との意見がありますと。「住専問題を念頭におきつつ、」こんなの書いていませんよ、文章には。「住専問題を念頭におきつつ、」と書きながら、こういう意見もありますと。本文ではその後まだ続きがあるじゃないですか。ひきょうですよ。書くんだったら最後まで書きなさいよ。自分の都合のいいところだけ書いて、この後何て書いてあるかといったら、こういう意見がありますと。「他方、こうした観点からの公的資金の導入論については、納税者の理解を得るには未だ十分な議論が尽くされておらず、金融機関経営者のモラルハザードの問題等が懸念されるとの意見がある。」こう言っているのですよ。この文もちゃんと書きなさい、そしたら。  そもそも公的資金導入の原則の基準についてはどこに書いてあるのですか。どこにも書いてないじゃないですか。どの基準で住専はオーケー、ノンバンクはだめとなっているのですか。どこにも書いてないじゃないですか。
  89. 西村吉正

    西村政府委員 御指摘のように、全体の答申をごらんいただきますと非常に長いものですから、その中を抜粋したわけでございますが、基準という意味におきましては二ページ目の(2)の①をごらんいただきたいと存じますが、「住専問題については、最終答申において、「本来、民間の債権債務関係の処理の問題であり、当事者が協議に基づき負担をすることが基本であり、」」こうございますけれども、この考え方の背景には、通常のノンバンク処理に関して言うならば、このような基本的な考え方に基づいて処理すべきものであるが、という意味でございます。  そこで、住専については「しかしながら、我が国金融システムの安定性とそれに対する内外からの信頼を確保し、預金者保護に資するとともに、我が国経済を本格的な回復軌道に乗せるため、住専問題の早期解決が是非とも必要であり、本問題の解決が遅れることによる損害は計り知れないものがある」とされたところでございます。  したがいまして、一般的には民間の債権債務関係の処理として考えられるべき問題であるが、これはノンバンクについてはそうであるが、住専についてはこのような事情があるということで、②に述べられているように、公的資金の導入の問題にも述べられている、こういうことでございます。
  90. 北側一雄

    北側委員 ここに書いてあるのは必要性を書いているだけでしょう。まず最初に、「本来、民間の債権債務関係の処理の問題であり、当事者が協議に基づき負担をすることが基本であり、当事者間において最大限の努力が行われてきたところである。」基本的には当事者間の協議に基づくんだと言った上で、「しかしながら、」云々と、「我が国金融システムの安定性とそれに対する内外からの信頼を確保し、預金者保護に資するとともに、我が国経済を本格的な回復軌道に乗せるため、住専問題の早期解決が是非とも必要であり、」という、必要性の理由を書いているだけで、なぜノンバンクだったら公的資金を導入しないのか、なぜ住専だったらこの莫大な税金を投入するのか、その基準については何も書いてないじゃないですか。必要性だけじゃないですか。  委員長、この文書では午前中の回答にはなっておりません。非常に不誠実な回答です。私は、これは理事会でもう一度きちんと、午前中の質疑に基づいてきちんとした文書を回答してもらいたい。
  91. 高鳥修

    高鳥委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  92. 高鳥修

    高鳥委員長 それでは、速記をつけてください。  北側君、もう一度大臣に質問してください。
  93. 北側一雄

    北側委員 大臣もこの委員会でもまた予算委員会でも何度も答弁されていましたけれども、今後の日本の金融システムのあり方としては、大臣がおっしゃっているのは、いつも市場規律の発揮と自己責任原則の徹底なんだとおっしゃっていますよね。そして、透明性の高い金融システムをつくっていこうとしているわけじゃないですか。透明性の高い金融システム、また、透明性の高い行政にしていこう、金融行政にしていこう、それがあるべき行政だ、これが今回の金制調の答申の基本理念ですよ。  ところが、一番肝心の公的資金をどういう場合にどういう基準で導入するのかということについては、その基準がどこにも書いてないわけですね。書いてない。  午前中質問しましたように、ノンバンク住専というのは構造的、本質的に何ら変わりがないわけです。銀行等からお金を借り入れて、それを借り手に貸す、全然構造は一緒です、本質は変わりません。なのに、一方では、住専に対しては公的資金を導入する、ノンバンクに対してはしない、こうなっているわけでしょう、結論が明確に。一体この公的資金導入の原則の基準、これは何なのか、そこを明確にしなければ、何が透明性の高い金融システムですか、何が透明性の高い金融行政ですか。後々、私は、この辺をあいまいにしていったら、将来の日本の金融にとっては大変な禍根になると言わざるを得ないと思います。  私は、この公的資金導入の原則の基準、これを明確に出すべきである。午前中、委員長の方から文書で出しなさいという要請があったのですけれども、この出てきた文書は、必要性は書いていても基準なんか何にも書いてない、金制調の答申のある部分だけを引き写しただけ、非常に不誠実な対応だと言わざるを得ません。一体この公的資金導入の原則についてどうお考えなのか、基準について、基準ですよ、文書で私は明確に出すべきである、そう思います。
  94. 久保亘

    ○久保国務大臣 今御意見を伺っておりまして、金制調の答申にございます住専問題の早期処理、解決、この必要性については、日本経済の将来にとって、また経済の動脈とも言うべき金融の安定にとって、政治もその責任として早急にその処理に当たらなければならないということについては御異存がないように伺いました。  そういうことになってまいりますと、このノンバンク、いわゆるノンバンクと言われているものと住専との違いは何か、どういう基準で物を考えているんだという御質問でありますが、単に広い意味での金融機関としての経営形態における性格と言った方がいいでしょうか、それによってグループ化される分け方による立場で考えますと、ノンバンクとしてこれは同様のものだという考え方は、それはそれで私も異議を申すわけではございません。  しかし、住専というまた特定金融会社の集団が存在していることも事実であります。そして、この住専が持ちます不良債権というものが今、日本の金融界にございます不良債権の象徴的なものと言ってもよいのではないかということについても、大方の認識が一致しているのではないかと思っております。  これをどのように今必要性が強調されております早期に処理、解決するかということについて、原則民間の問題でありますから当事者間で解決することが望ましいけれども、しかし、そのことが非常に困難な状況に置かれております場合に、そしてこの不良債権が先送りされれば一層深刻な状態になり、日本経済の将来に大きな影響を及ぼすということがわかっている場合に、これをどのようにして今日処理を行うかということについて、公的関与もまたやむを得ざるものという判断は、これは政府の責任において判断せらるべきものと私は考えているのであります。  そういう立場で、住専の問題処理に対して公的関与、そしてその場合に財政支出が必要となることについて、私ども一つの方策を、当事者とも協議の上合意に至ったものを今法案とし、また予算として御審議をお願いをしているということで御理解を賜りたいのであります。
  95. 北側一雄

    北側委員 住専処理を早急にしなければならないという必要性は我々は全く同感ですよ。必要性をおっしゃっているのですよ、今のはるる。私が聞いているのは、基準の話なんですよ。今政治判断とおっしゃいましたよ。政治判断を六千八百五十億、まだ二次損失に一兆かかるかもしれない税金投入、これを、時の政府が政治判断でやるのですか。そんなことが許されてしまったら、財政民主主義なんか、財政民主主義の意味がなくなってしまいますよ。  午前中私、委員長いいですか……(発言する者あり)ちょっと静かにしてください、午前中も申し上げましたけれども、独立系のノンバンクの中には、住専と全く変わらないのがあるわけなんですよ。  もう一回言いますよ。ある独立系のノンバンクは、銀行等からの借り入れが五千億を超えている。そして、借りている金融機関は、都銀が十行、長信銀三行、信託四行、地銀十九行、第二地銀十四行、生損保二十五社、農協系統からも五百億と、住専と変わらないわけですよ。そして、第一次再建計画、第二次再建計画、このノンバンクもやっているのですね。二度やったけれども、二度ともうまくいっていない。その見直しが言われている。住専問題と全く一緒です。このような独立系のノンバンクが、午前中お話ししたように四つ、四つお話ししましたけれども、あるわけなんですよ。  なぜこうしたノンバンクには公的資金導入はせずに住専についてはするのか、その公的資金導入の基準について明確にしなければ、これは後々、将来、その時々の政府の裁量によって公的資金を出すのかどうか決められてしまうわけですよ。これは財政民主主義に大変反することだと言わざるを得ない。  公的資金導入の原則について、基準について明確にすべきです。
  96. 久保亘

    ○久保国務大臣 少し混同されているのではないかと思いますのは、住専問題の処理ということが今日非常に重い責任を伴って必要となってきていることを通じて、それで、金融法案でも御提案を申し上げておりますように、新しい時代の金融システムはいかにあるべきかということについても、同時にこれを我々は進めていかなければならないという立場から金融法案を提案をしているわけであります。  この金融システムの改革、基本理念の徹底というようなことについて、その立場から今住専問題がそうなっていないではないかと言われるのは少し論理が逆だと思っておりまして、そういう状態があって非常に深刻な事態に陥っているから、これを解決し、金融システムのあり方について、私どもは、これをきちんと改革、整備しなければならぬと申し上げているのであります。  そして、必要性というものを認める場合に、その問題解決の必要性がわかっておって、そのことを処理すべき方法がほかに見当たらない場合に、経済や金融に責任を持つ政府としてその解決のために必要な手段を御提案を申し上げて皆様方の御審議をお願いするということが、どこに問題があるでしょうか。私は、そのことが政府のとるべき責任だと申し上げているのであります。
  97. 北側一雄

    北側委員 住専処理の必要性については、我々も早急なる処理の必要は同様に思っております。ところが、この公的資金導入の原則の基準について何ら明確な基準を示されません。  委員長、その基準を明確に出されるよう、午前中の委員長の御要請に従って文書で提示をしていただきたい。よろしくお願いいたします。
  98. 高鳥修

    高鳥委員長 ただいまそれぞれ、銀行局長あるいは大蔵大臣から御答弁があったわけでありますが、さらに納得がいかないということでありますので、これをこれ以上議論しておってもなかなかこの場では議論が尽きないと思います。しばらく理事会預かりという形にして、質疑を続けていただけませんか。(発言する者あり)  これ以上資料を出せるかどうか、それは、理事会でそれを含めまして御協議願うことにしたいと思います。  どうぞ。どうぞ進めてください。(発言する者あり)  速記をとめてください。     〔速記中止〕
  99. 高鳥修

    高鳥委員長 それでは、どうぞ速記をつけてください。  今から十五分間休憩いたします。     午後三時十八分休憩      ――――◇―――――     午後三時四十九分開議
  100. 高鳥修

    高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  理事会の協議に基づき、北側君要求の文書につきましては、委員長において努力いたします。  なお、安倍君及び北側君の残余の質疑並びに本日の村井君の質疑は後に譲ることといたします。  北側君。
  101. 北側一雄

    北側委員 委員長の御配慮に感謝申し上げます。  公的資金の導入の原則基準につきまして文書が提出されましたならば、さらに質疑を続行させていただきたいと思います。  大変にありがとうございました。
  102. 高鳥修

    高鳥委員長 質疑を続行いたします。吉井英勝君。
  103. 吉井英勝

    吉井委員 住専の予算が通った後でも、九割近い国民の皆さんが、税金投入は反対だという強い意思を示しております。それで、国民の意思は極めて明確だと思うわけです。  衆参の予算委員会を通じて、総理も大蔵大臣も母体行に追加負担を求めると繰り返し答弁をしてこられました。それは国民の負担を減らそうということで口にされたと思うのですが、まずそのことを確認しておきたいというふうに思います。
  104. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 母体行などの責任につきましては、これまでの住専経営の経緯などを踏まえ、債権放棄、拠出、低利融資など、政府の処理スキームに沿って最大限の協力を要請しているところでありますが、追加負担の問題につきましては、金融機関の公的責任の立場から大局的判断が望まれるところであります。  政府といたしましては、これまで、結果としてできる限り国民負担の軽減につながるよう、関係金融機関等の自主的かつ真摯な取り組みを促してまいったところであります。
  105. 吉井英勝

    吉井委員 それで、国民負担を減らそうということで追加負担について繰り返し答弁をされたわけですが、そこで、その問題についてきょうは少し伺っていきたいと思うのです。  まず、今度の法律によって、これまでの議論の中でも、回収が進み、益金が生じた場合には国庫に納付されるという話でありましたが、本当に益金が出るのかどうか。  回収に全力を挙げて頑張るという答弁を何度か伺っております。ただ、そんなことは、全力を挙げて頑張るのは当然なんですが、銀行にしても、それから株式会社共国債権買取機構にしたって、担保の土地を一生懸命売って回収に全力を挙げてきている。それでも損失が出るから住専法案を出して住専処理機構をつくるということにしているのじゃありませんか。
  106. 西村吉正

    西村政府委員 今回の住専処理策におきましては、預金保険機構と住専処理機構が一体となりまして法律上認められておりますあらゆる手段を迅速的確に用いることによりまして、これまで住専一社一社ではなし得なかった強力な債権回収を図ることとしているわけでございます。こうした努力によりまして、住専処理機構において回収が進んだ場合、すなわち、住専からの譲り受け債権等のそれぞれにつきましてその取得価額を上回る金額で回収が行われたこと等により利益が生じました場合には、国庫に還流することになるわけでございます。  そういうことがあり得るのかという御質問でございますが、例えば、まだ住専処理機構、発足しておりませんが、現段階におきましても、関係当局の努力によりまして、今までは見出し得なかったような債務者の財産を発見するというような努力もなされているところでございます。住専処理機構をお認めいただきますならば、そのような努力はさらに実を結ぶこともあろうかと考えているところでございます。
  107. 吉井英勝

    吉井委員 担保の土地を売って、それで回収に全力を挙げていく、これは当たり前の話なんですね。それで益金が出るという話であれば、もともと国民の二分の一の負担ということは考えなくてもいいわけですよ。  そうすると、住専処理法案そのものも要らなくなるということになるのじゃないですか。何かこう、あたかも益金が出るかのようなお話をずっと言われたんだが、そんなに益金が出るならば、もともと法律は要らないということになるのですね。これはどうなんですか。
  108. 西村吉正

    西村政府委員 回収に努めましても回収が不可能になりまして、不幸にして担保財産の処分をしなければいけない、そういうことを想定いたしまして、現在の損失見込みを計算しているところでございます。  しかしながら、先ほど申し上げましたように、そのようなことに至らずに努力の成果として回収を図ることができましたならば、益金を還流するという方法も可能であろうかと努力を傾けてまいる所存でございますが、そのようなことがなかなか容易ならざることであるということは私ども認識をいたしております。
  109. 吉井英勝

    吉井委員 そんな容易ならざることという事態ですから、益金が出るなんというような甘い話じゃないのですね。  それで、やはりこの最大の問題の一つというのは、損失が生じた場合には二分の一を国民が負担するというこの規定だと思うのですね。しかも益金が出るどころか、当初約一兆二千億円と言われているこの二次損失の方がどれだけ膨れ上がるかわからないということでしょう。  それで、大蔵大臣は、私の二月二十一日の予算委員会での質問のときに、路線価が昨年一月一日より、その分を去年の八月発表された分で計算したわけですが、ことしの住専処理機構を設立しようと政府が考えているときにはさらに下落をする、これは公示地価の下落の状況どもお認めになって、だから一次ロスが膨らむわけですね、出発時では。しかし、その分は二次ロスに先送りをするんだ、こういうお考えをおっしゃいました。  だから、当初見積もった資産価値が三大都市圏で約二割下がったというふうに言われたりもしていますが、そういうふうにすると、これは一兆三千六百億ぐらいが先送りになる。当初の二次ロス一兆二千億円が大きく膨らむということは明らかだというふうに思うのですが、この点はどういうふうに考えているのですか。
  110. 久保亘

    ○久保国務大臣 私が吉井さんに申し上げましたのは、公示価格が確かに二〇%近く下落いたしました。しかし、今処理スキームをつくります際に分類いたしました中で計算されております基礎は、公示価格ではなくて路線価であるということを申し上げました。この路線価は、公示価格と比べました場合には二、三割の低い価格で見られているわけであります。しかし、公示価格が落ちたということは同時にまた路線価も下がってくるというようなことでありましょうから、非常に厳しくなるということについては私はそのとおりだと思っておりますが、直ちにこの不良債権の額を訂正しなければならない関係には今はない、こういう立場から御答弁を申し上げたのではなかったかと思っております。正確には答弁内容を記憶いたしておりませんが、そういうふうに私は理解をいたしております。
  111. 吉井英勝

    吉井委員 一番問題になりますのは三大都市圏の方になりますから、それで私も、実は大阪の方で不動産をやっている関係者の人に聞いてみました。大体、おっしゃったように、公示価格の二割から三割落としたところで路線価。その路線価の八掛けとか、それが大体実勢価格、売買実例に近いということですよ。だから、非常に落ち込んできているわけですね。それがこの一年間をとってみても大体二割ほど落ちているということですから、これは物すごく、路線価でさらに係数掛けてやられたとおっしゃっても、それは本当に下がっているということは事実だと思うのですね。  ですから、私はその点で、今の御答弁で二次損失が昨年計算したよりもかなり膨らんでいるということは認めていらっしゃるというふうに思うのですが、もう一度確認しておきたいのですが、それはお考えなさっているんですね。
  112. 西村吉正

    西村政府委員 大臣も先ほどお答えされたように、地価が下がったということはこの回収について非常に難しい要因を加えておるということは、私どもも十分認識をしているところでございます。  しかし、他方におきまして、今回の住専処理のような方式をとりますならば、住専の大口債務者であるところから隠されていた財産が発見されるというようなケースもございましょうし、また、そういう実例は現段階でも既に見出されているわけでございますが、借り手責任の厳しい追及が進められているということはお認めいただけるであろうかと存じます。  また、母体、非母体あるいは事業会社合わせまして、全体で四兆円にも上る紹介融資というようなものもございますが、今後訴訟等で損害賠償請求権が認められるものもあることが予想されますことから、こうした強力な回収努力を続けますならば、地価の下落という不利な要因が一方にあると同時に、住専処理体制という今までになかった条件をもあわせ考えますならば、十分努力をしていくことができるのではないかと考えているところでございます。
  113. 吉井英勝

    吉井委員 益金が出るような、十分努力とおっしゃっても、そんな甘いものじゃ本当にないのです。  四月の二十二日の参議院予算委員会参考人質疑の中で、株式会社共国債権買取機構の金澤社長が来られて、債権の簿価に対して大体四一%、四割で買い取ったというんですね。その担保物件を売って回収してみると、簿価に対して三割が回収実績だ、四割で買って三割というものになるわけですから、そのときの答弁の中でも、当然地価の下落というものの影響はございますとはっきり言っておられたですね。住専の例よりも安く買って、今度の場合、言ってみれば、今度の第三、第四分類の分を除いたものに匹敵するものの価格で買って、それでも売ってみるとさらに四分の三ですから、二五%のロスが生まれている。ですから、本当に実態は厳しいというふうに言わなければならぬと思うのです。  週刊東洋経済のことしの二月十七日号で紹介しているものには、スミスバーニー証券の調査部アナリストの方の試算として、「住専の二次損失は最悪四・七兆円に膨らむ可能性がある」というふうに挙げているものもあります。それから、週刊ダイヤモンドの副編集長をやっておられる方が出しているものの中では、「住専処理機構には四兆円の二次ロスが発生することになる」という試算を出しておるのもありますね。  ですから、私は、この二次ロスというものは本当に大きく膨らんでいくものだ、そのことを考えてかからなければならぬというふうに思うのですが、大蔵大臣、この二次ロスの問題というのは、本当にこれは深刻な問題じゃないですか。
  114. 久保亘

    ○久保国務大臣 銀行局長お答えを申し上げましたように、二次ロスの問題につきましては、住専処理機構を一日も早く発足をさせまして、預金保険機構との一体的な活動を強めることによって、今考えられる最大の回収のための力を結集することによって非常に厳しい状況の二次ロスの発生を防ぐ、その努力が私どもが提案を申し上げております趣旨でございまして、ぜひ御理解を賜りたいと思っております。
  115. 吉井英勝

    吉井委員 最大限の努力というのは、現実の銀行にしても、今も御紹介いたしました共国債権買取機構のような会社にしても、それは最大限の努力をしてやっているんですよ。担保物件を売って回収するようにやっているんですよ。しかし、本当に大きなロスが膨らんでいっているというのがまず実態でありまして、これについてはやはり厳しい見方をしなければならぬというふうに思うわけです。  その二次ロスが膨らむと、今度は二分の一の税金投入ということになるわけですから、結局国民の負担がどんどん膨らむということになるのは明白です。膨らまないと言うなら、その根拠を、もしあれば計数を添えてお示しいただいたら結構ですが、これは本当に国民負担が膨らんでいくんだ、これはもう明白だというふうに言っておかなければならぬと思います。  それで、金融安定化拠出基金への拠出金を、いろいろな話が伝えられておりますが、七千億円から、場合によっては一兆円積み増しをするという案も考えられているとか伝えられておりますが、そしてその運用益を活用してということですね。ただ、その運用益というのは、この法律案の二十四条第二項で、二次損失が生まれたときには国民が二分の一を負担するというふうにしている部分へその運用益が流れ込んで国民負担がなくなることになるのかどうか。これは仕掛けとしてどうですか、ならないでしょう。
  116. 西村吉正

    西村政府委員 今の御質問は新聞報道等に基づいてのことかと存じますけれども、私ども、母体行あるいはその他の方々について追加的な負担をしていただくという問題については、御指摘のような具体的な方策までまだ十分に検討しているという段階ではございませんので、そのようなことを前提にした御答弁は今の段階で申し上げられないことを御理解いただきたいと存じます。
  117. 吉井英勝

    吉井委員 私が二月にいろいろ質問したときにもその話が既に報道されておりまして、そのときも、取り上げますと、大体同じようなことを言っておられた。その後ますます、さらに具体的な話になったような、いろいろな具体的なニュアンスを持った報道をされているんだけれども、しかし、局長の方は今のようなお話なんですね。  ただ、私は、そういう話が現に出ておりますから伺っておきたいんですが、大蔵省の方から、このスキーム図、おなじみの図を持ってきて御説明をいただきました。それで、この図のAの②という、もちろんこの図は手元になくても頭の中によく入っている図だと思いますが、「引き継いだ資産について将来仮に損失が発生した場合の財政措置」、これが国民負担の二分の一というもので、法律に対応する部分ですね。で、金融安定化拠出基金からはここへは行かないんですね。だから、これは行かない以上、幾ら益金をふやしたところで国民の二分の一負担はなくならないわけですね。だから、もし本当に伝えられているような安定化拠出基金を積み増しして、そして国民負担をなくそうと思ったら、これは法律上の措置ももちろんそうなんですが、このスキームの図でいえば、財政措置で、Aの②のところですね、行っている分を消しちゃって、Aの②も、Bの②の「円滑な業務運営のための助成金」、合わせたものを、金融安定化拠出基金、これでもって、そこの運用益で賄う、そういうふうにしない限り、このスキームの図を見ている限りは、これは国民の負担はなくならないと思うんですが、それは間違いないですね。
  118. 西村吉正

    西村政府委員 先ほども申し上げましたように、私ども、まだそういう具体的な方策を検討しておる段階ではございませんが、そのことと離れまして、現行の制度の御説明として申し上げますならば、金融安定化拠出基金の運用益は、現在の仕組みにおきましては、引き継いだ資産について将来損失が発生した場合に充てられるものでございまして、既に発生した損失の処理に充てられるものではございません。
  119. 吉井英勝

    吉井委員 今おっしゃった話なんですが、その最後のところがおかしいのですね。将来発生したものについてとおっしゃったわけだが、それについても二分の一の負担をするわけでしょう。  それで、要するに、二次ロスを処理しなければいけないですね。一次ロスの話じゃないですよ、二次ロスの方ですから。それについては、引き継いだ資産についての将来損失が発生する部分と、それから円滑な業務運営のための助成金と合わせたものに金融安定化拠出基金の運用益が流れる仕組みにしない限り、この国民負担はなくなりませんね、それを消してしまわないと、国民負担の方のところを消さないと。
  120. 西村吉正

    西村政府委員 今御指摘の、国民負担というのが六千八百億円のことを言っておられるとするならば……(吉井委員「いやいや、二分の一の話をしているんだから、二次ロスの話」と呼ぶ)二次ロスと言われているものの二分の一に充てるということにつきましては、現在の仕組みではそのようにはなっておりません。
  121. 吉井英勝

    吉井委員 ですから、この二分の一の規定がある限り、これは国民負担はなくならないのです。二次損失がどんどん膨らむということですから、これは大変なものです。金融安定化拠出基金への追加負担で運用益がふえたとしても、じゃ、この一次ロスの方で処理することにしている六千八百億円の穴埋めに行くかといったら、これも行かないわけです。  大蔵省の担当者の方からレクを受けました。私、そのことを詳しく聞いたのです。結局、一次ロスの中で投入されている税金負担分の六千八百億円、それから住専勘定への五十億円の国の出資金ですね、これにかわって、この部分を母体行の追加負担で何かやろうと思ったら、それは、結局、こちらの方の図面ですね、この国民負担分六千八百億円、ここへ、これはこっちの図でいえば、住専へ直接ということになりますが、贈与という形をとらないと、これは処理できない。  もちろん、一般行分になっている母体行の方の債権ですね、まだ放棄していない債権、この債権の放棄によってももちろんこれは処理することができるわけですが、それをやらないことにはこのことはうまくいかない。そして、この出資というところについても、母体行が出資するというスキームに変えないと国民負担はなくならないということですが、そういうレクを受けておりますが、局長、それはそのとおりですね。
  122. 西村吉正

    西村政府委員 私どもは、ただいま御提案を申し上げております法案に示されている考え方について、ぜひ御理解を賜りたい、こういうことで御審議いただいておるわけでございまして、現在の考え方を変えるという前提で私ども考えておるわけではございませんので、その点は御理解を賜りたいと存じます。
  123. 吉井英勝

    吉井委員 ですから、結局、この六千八百億のところについては、母体行に追加負担をさせて、それは贈与という形にするか、あるいは一般行分で持っている債権を放棄させるか、いずれにしても、そういう処理をしないと、国民負担は一次ロスについてはなくならないということです。  それから、住専勘定への国の出資金五十億のところについても、これは運用益が使われるというスキームにももちろんなっていないわけです。政府・与党の検討策として、追加負担の低利融資のさらなる上積み分、これは実際にそういう想定がされているのかどうかよくわかりませんが、五月二十九日付の新聞報道でありましたが、母体行が住専処理機構への低利融資をふやしたとしても、これはこのスキームで見る限り、結局それは一次ロスの処理をした後の方の約六兆八千億円の対価を支払って買い取る分へのものなんですから、六千八百億円の税金投入はなくなっていかない、これもレクで受けているわけですが、これも間違いありませんね。
  124. 西村吉正

    西村政府委員 たびたび同じことを申し上げて恐縮でございますけれども、私どもが御提案申し上げておりますのは、今御指摘のございましたような考え方ではございませんで、ただいま法律案に示されているような考え方でございますので、私どもから御説明を申し上げる内容といたしましては、御提案の内容に沿いましたものになりますことを御理解いただきたいと存じます。
  125. 吉井英勝

    吉井委員 ですから、結局、これは国民負担というのはなくならないんですね。国民負担がなくならないものであれば、私はこれは母体行の追加負担ということは言えないということになると思うのです。  ですから、このスキーム等、住専法案でいく限り、結局税金負担というのは六千八百五十億円にとどまらないで、二次損失の二分の一の負担分で幾らでも膨らんでいってしまう。だから私は、ここのところはやはりちゃんとしなければいけないと思います。  久保大蔵大臣は、昨日我が党の佐々木議員への答弁で、橋本全銀協会長発言について、不穏当な発言だと怒りの意をあらわされて、銀行業界としてきちんとした立場をとるよう促したいと。そして夕刻に橋本会長は来られたようですね。さらなる寄与には、しかし、困惑しているとか、思い悩んでいると言っただけで、母体行が、これは本来追加負担したら思い悩みがなくなっちゃうんですね。出さないものですから悩みが尽きないんですね。  問題は、そのときに大蔵大臣は、どう詰めて話を進められたか、ここのところを伺っておきたい。
  126. 久保亘

    ○久保国務大臣 追加負担の問題については、銀行側と協議のテーブルに着いて、これから話し合っていく下準備の段階でございますから、今いろいろなことを申し上げるのは難しい問題もございます。  昨日、官房長官の発言に対する批判を記者会見においてなさったということで、私から面会を求めたわけじゃございませんで、橋本銀行協会会長が、大蔵大臣にぜひお目にかかりたい、こういうことでございましたので、当委員会が終了いたしました後、五時なら大臣室におります、こういうことで御返事を申し上げて、五時からお目にかかりました。  そして、その際、長官の発言問題については、発言の内容を承知していないのにいろいろと申し上げたことを大変申しわけなく思っているということで、発言を撤回しておわびを申し上げたいので、ぜひ長官にお伝え願いたい、こういうことでございました。  これは、今の御質問じゃございませんから、簡単にそれだけ申し上げておきますが、その後、私から、せっかくおいでになったんだから、私の方からも申し上げたいことがあるということで、先日、といいましても四月二十三日でありますが、四月二十三日に前会長と一緒にごあいさつに見えたときに、私から追加負担による新たな寄与についてお話を申し上げました。そうしたら、そのとおりでございますということでございました。  その後、報道されたところによれば、追加負担について、銀行協会としては、銀行側としては、これに応ずる余裕はないといったような、拒否なさるような御発言があったように見受けているが、これはどういうことであるかということを私は申し上げました。そして、この際、国会においても与野党を通じて皆さんの強い御意見のあるところです、私もそう思っているということで、ぜひ新たな寄与について銀行側として自主的に真剣に御協議になるようにということを私は申し上げました。  これに対して銀行協会の会長から、大臣からの再三の問いかけに対してどのようにお答えしたらいいか今思い悩んでいるところでありますというお答えがございました。私からは一層の努力をお願いしたいということで、昨日の銀行協会会長との会談は、時間の関係もございましたのでそれで終わっております。
  127. 吉井英勝

    吉井委員 時間が迫ってまいりましたので、もうあと予定しておりましたのをもう一度大蔵大臣総理にだけ伺って終わりたいと思います。  大蔵大臣は、参議院で予算が通るまで、空前の業務純益を上げているのだから含み益も多くて体力十分だというお話もありましたし、前協会長に会うと、体力はある、名案がないだけだという話もあったという答弁とか、株主代表訴訟に受けて立つべきだというお話をずっとやってこられた、責任をとるべきだ、こういう立場で来られたし、総理も大体同じスタンスで言ってこられました。  ところが、予算が通る前はそういうお話だったのだが、予算が通ってからさっぱり追加負担策は出てこないのですね。私は銀行の方の態度を見ておったら、早く法案を通してくださいという態度ですよ。税金を出す予算を通して今度は税金を使う法案を通そうとしながら、銀行に負担を迫っていくということができないということでは、これはもう本当に大変なことだと思うのですよ。だから私は、これは大蔵大臣、本当にあなたの決意をばしっと聞いておきたいと思います。  最後に、総理にあわせて伺っておきますが、やはり今の住専法案の仕掛けでは、幾ら母体行の追加負担が出ても、そのままでは国民負担はなくならないのですよ。だから、政府の指導で、母体行に子会社である住専の不始末はみずからの責任で解決する、そのとき協力を求めたいところへは母体行が頭を下げて頼みに行くようにさせる、そういう強力な行政指導が必要だし、それが世間の常識なんだ、それをやはり総理として母体行に強力に当たられるとともに、その母体行の追加負担が、私が先ほど言いましたように、直接贈与という形で六千八百五十億円のところに入るなり、あるいは二次損失にならないような仕組みをつくるということと一体になって進めるべきだと思うのですが、総理と大蔵大臣の見解なり決意を伺って、質問を終わりたいと思います。
  128. 久保亘

    ○久保国務大臣 銀行側に対してかなり強い姿勢で申し上げているつもりでございます。しかし、具体的な内容を提示してお話しするような段階までまだ来ていない。それは一つは、銀行側とも合意をしたことに基づいて提案してございます住専処理機構の発足についての見通しが、法案の審議の進捗のぐあいによってどのように展望されてくるかということとも深くかかわっている問題だと考えているからであります。  しかし、今吉井さんからもお話がございましたけれども、政府を叱吃勉励していただいて大変感謝いたしますが、ぜひひとつこの問題については、母体行の負担ということについてこれを実現させていくためにまた協力も賜りたいと思っております。
  129. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今副総理からも御答弁を申し上げましたように、新たな寄与という問題につきましては、政府としてもこれまで既に国会からの厳しい御議論を踏まえながら金融界に対して協力要請をいたしております。先ほど引用されましたような全銀協会長の御発言というものも承知をいたしておりますけれども、私は金融界としても引き続き問題意識は持っていただいていると思います。  いずれにしても、政府は今後とも、結果としてできるだけ国民の負担の軽減につながるように関係の金融機関等の自主的かつ真剣な取り組みというものを促していきたい、そのように思っております。
  130. 吉井英勝

    吉井委員 時間が参りましたので、終わります。
  131. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて吉井英勝君の質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十五分散会