運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1996-05-30 第136回国会 衆議院 金融問題等に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月三十日(木曜日)     午前九時二分開議 出席委員   委員長 高鳥  修君    理事 小里 貞利君 理事 尾身 幸次君    理事 大島 理森君 理事 小沢 辰男君    理事 松田 岩夫君 理事 森本 晃司君    理事 早川  勝君 理事 錦織  淳君       伊吹 文明君    石橋 一弥君       柿澤 弘治君    金子 一義君       岸田 文雄君    久野統一郎君       栗原 博久君    中村正三郎君       野呂田芳成君    原田昇左右君       穂積 良行君    堀之内久男君       松永  光君    横内 正明君       安倍 基雄君    愛野興一郎君       江田 五月君    加藤 六月君       北側 一雄君    笹川  堯君       鮫島 宗明君    野田  毅君       平田 米男君    村井  仁君       輿石  東君    坂上 富男君       田中 昭一君    永井 哲男君       細谷 治通君    田中  甲君       佐々木陸海君    吉井 英勝君       海江田万里君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         法 務 大 臣 長尾 立子君         大 蔵 大 臣 久保  亘君         農林水産大臣  大原 一三君         通商産業大臣  塚原 俊平君         自 治 大 臣 倉田 寛之君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 梶山 静六君  出席政府委員         内閣官房内閣内         政審議室長   藤井  威君         警察庁刑事局長 野田  健君         国土庁大都市圏         整備局長    五十嵐健之君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         法務省刑事局長 原田 明夫君         大蔵大臣官房総         務審議官    武藤 敏郎君         大蔵省主計局次         長       伏屋 和彦君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君         農林水産大臣官         房長      高木 勇樹君         農林水産省経済         局長      堤  英隆君         通商産業大臣官         房長      中川 勝弘君         自治省財政局長 遠藤 安彦君  委員外出席者         議     員 保岡 興治君         議     員 永井 哲男君         議     員 錦織  淳君         参  考  人         (日本銀行総裁松下 康雄君         金融問題等に関         する特別委員会         調査室長    藤井 保憲君     ————————————— 委員の異動 五月三十日  辞任         補欠選任   野呂田芳成君     久野統一郎君   田中 昭一君     輿石  東君   吉井 英勝君     佐々木陸海君 同日  辞任         補欠選任   久野統一郎君     野呂田芳成君   輿石  東君     田中 昭一君   佐々木陸海君     吉井 英勝君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  特定住宅金融専門会社債権債務処理促進  等に関する特別措置法案内閣提出第三五号)  金融機関等経営健全性確保のための関係法  律の整備に関する法律案内閣提出第九四号)  金融機関更生手続特例等に関する法律案  (内閣提出第九五号)  預金保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第九六号)  農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する  法律案内閣提出第九七号)  特定住宅金融専門会社が有する債権時効の停  止等に関する特別措置法案保岡興治君外五名  提出衆法第三号)      ————◇—————
  2. 高鳥修

    高鳥委員長 これより会議を開きます。  内閣提出特定住宅金融専門会社債権債務処理促進等に関する特別措置法案金融機関等経営健全性確保のための関係法律整備に関する法律案金融機関更生手続特例等に関する法律案預金保険法の一部を改正する法律案農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案及び保岡興治君外五名提出特定住宅金融専門会社が有する債権時効停止等に関する特別措置法案の各案を一括して議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  各案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁松下康雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高鳥修

    高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 高鳥修

    高鳥委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金子一義君。
  5. 金子一義

    金子(一)委員 自民党金子一義でございます。  きょうは主に、一般質問に入ってまいりましたものですから、昨今来議論があります住専問題、きのうの江田議員からもありました、いわば会社更生法による手続、この点について法的にどうかという問題、並びに三法、六法のうち、ディスクロージャー、自己資本比率規制行政といった問題に焦点を絞って御質問をさせていただきたいと思っております。  その前に、冒頭でありますけれども橋本首相、先般、財政審等々四つの審議会を束ねて、これからの我が国財政社会保障のあり方等々についての御議論橋本首相の御提案で開かれた、その状況方向総理問題意識、その辺についてぜひお伺いをさせていただきたいと思います。
  6. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 財政構造改革などに関する四審議会会長などとの懇談は、五月十六日開かせていただきました。  そして、なぜこのようなことを考えたかといいますのは、本院におきましても、しばしば我が国財政というものが危機的状況にあるという御議論をいただいておるわけでありますけれども、関連する政府審議会、これはそれぞれの立場で御議論をいただいておりまして、なかなかそれが集約をされません。そこで、財政構造改革というものについて少し広く議論をしてみる必要はないだろうか、そのような思いから、財政制度審議会税制調査会経済審議会そして社会保障制度審議会の四審議会会長方にお集まりをいただき、それぞれの立場から御意見をお出しをいただくことによって今後の論議というものが整合性を持ったものになるのではなかろうか、そのような思いからこうしたことをスタートさせました。  この懇談会、行ってみまして、審議会の壁を超えて大変自由に御議論をいただきました結果として、我が国財政危機的状況というものについて各審議会会長あるいは会長代理方々の間に共通認識が生まれるという意味では、非常に有意義だったと思います。  また、これを契機に五月二十八日には、財政制度審議会社会保障制度審議会老人保健福祉審議会医療保険審議会の代表の方々が、これは私の方から特にこういう形でとお願いをしたわけではありませんけれども財政制度審議会の皆さんに他の関係する審議会と積極的な懇談をというお願いをいたしましたその結果が実りまして、財政構造改革あるいは社会保障制度課題などについての意見交換もスタートいたしました。  私としては、今後ともにこうした場を通じまして財政構造改革について論議が深められることを期待いたしております。同時に、会長会長代理のレベルだけではなく、こうしたことを進めていく中で、それぞれの事務局、これが共通問題意識を持って取り組んでくれる、そうしたきっかけをもつくることができればと、そのような思いを今かけております。
  7. 金子一義

    金子(一)委員 スケジュール的にはどういうことでいつごろこの考え方に、中間であっても第一次であっても方向を見出していただきたいというようなお考えはあるのでしょうか。
  8. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今その最初の会合のときの速記を振り返って目を通しておりますけれども、必ずしもいつまでというような時間設定はいたしませんでした。ただ、私としては、これはできるだけ早くそれなりの方向を見出していただければという思いを持っておることは事実であります。
  9. 金子一義

    金子(一)委員 マスコミ等にも既にある、与党内でもある意見なんですけれども、どうもこれをきっかけにして、平成年度からもうこれが財政の削減の材料になるんだというような議論、これを消費税の値上げのきっかけにしてしまうんだという一方的な議論もあることは、総理、お耳に既に入っていると思います。  私たち、そんな話ではなくて、やはりこれから一番大事なのは、人口構成の問題、それに財政というのは我々国会議員として常に取り組んでいかなければいけない話でありますけれども、しかしよく考えてみますと、バブル崩壊後この数年間、いわば国民負担率みたいな議論がまともにできる場がなかなかなかった。そういう意味では、中期的な問題として取り組んでいくという意味で非常に大事な時期を迎えていると思っております。そういう意味で、短期的に来年度財政再建マイナスシーリング発射台だみたいなそんな位置づけを、さらさら総理は考えていると思いません。大蔵省は考えていると思います。しかし、我々、中期的にそれにきちっと取り組んでいく、総理リーダーシップのもとに進めていただきたいと思っております。  もう一点、ついでで恐縮でありますけれども、今度の住専議論土地問題が先般の予算委員会以来ずっと出ております。総理からの答弁も既にいただいております。これは御回答というよりも、また御見解なんでありますけれども土地問題、住専の裏腹の問題としてどうしても解決していかなければならない重要な問題である。幾らでも材料は転がっているのです。  土地問題といいますと、残念ながら建設省だ、国土庁だという話になりかねない。土地問題、多分東京大阪が一番の問題。ところが、国で取り組もうとしますと、公共用地先行取得みたいな話になってくる。地方の話になっちゃうんです。本来、東京大阪でどうやっていくか。競落率も今非常に下がっております。  しかし、例えばの話でありますけれども東京老健施設をつくりたい。老健施設普及率というのは、実施率東京は非常におくれています。残念ですけれども、新宿、中野それから品川、大田区、この辺は全国に比べても、東京都の中でも老健施設中間施設、この普及率は一けた台なんです。ほかのところはもう二四、五%から三〇%いっているのです。そういうところは何が問題かというと、やはり土地なんです。総理御存じのとおり、措置費というのはついているわけですから、やりたい人は多いのですよ、医療法人等々で。そこさえうまくつけばやれる。少々の不整形地であっても、日当たりが悪くても、そういうものは使えるのです。  私が申し上げているのは有効利用、厚生省としては中間施設の三年なり五カ年なりの計画をつくって計画的にやっていますから、認めていくのは単年度年度予算主義でやっていますけれども、しかし中期的な計画の中での用地買収であればそれは進められる。問題は、財源を、それに対応できる金を、いろいろな切り口はありますけれども、それを買えるような東京都なり大阪に対する仕組みをつくってやれないだろうか。  残念ですけれども大阪府、東京都もそうかもしれません、ちょっと金がないから事業債を発行したいんですと。ところが、事業債というのは、対象自分事業をやる。途中で医療法人に売り払ってしまう、ましてや医療法人にその土地を貸してしまって事業をやるというような話になりますと、やはりこれは対象になっていかないというような、そのほかにもいろいろな問題点があります。しかし、一つ一つそういうものに全省庁で取り組む体制をつくっていくということがやはり必要なんだろうなと。  もう一つ、例で申し上げます。総理自民党政調会長のときに、民都機構というもので土地を活用していこうよと。あれは曲がりなりに少しずつ進んでまいりましたけれども、致命的な欠陥があります。リスク自分でとれないという致命的な欠陥なんです。住専問題を片づけていくという意味では、これは官だけではどうしてもリスクがとれないという制約が伴ってしまう。やはり民の力もかりて、あわせてリスクをとれるというところをやっていってこそ初めて有効利用、民都機構というようなものもできてくる、民都機構にこだわる必要はありませんが。  今度、住専負担で、新聞情報でありますけれども大蔵省がこういう問題を金融機関に働きかけているといったようなのがちょっと聞こえてきましたけれども、こういう話であれば、金融機関負担のかわりだけである必要はないと思うのです。不動産業界、その他業界、つまり経団連ベースで協力を依頼して進めていくという方向もあり得るのだろう。これも事大蔵省だけの問題でもない、建設省だけの問題でもない。ましてや、残念ですけれども国土庁に何ぼそこを頼んだってなかなかだめだ。  そういう意味で、ぜひ官邸、首相がここもリーダーシップをとっていただいて束ねていただく。土地対策はそこだということを、我々いろいろなアイデアをぶつけていきますので、ぜひ受けとめていただきたいと思いますが、それに対して御回答をいただければと思います。
  10. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今二つの問題にお触れをいただきました。  そして最初お話がありました、まさに国民負担率議論、これは土光臨調と言われました第二次臨時行政調査会審議のプロセスにおいてある程度議論をされまして以来、確かに必ずしも十分な議論がされておるとは言えません。そして、税あるいは各種の保険料、それがそれぞれに動いておりますために、トータルとしての国民負担率というものを必ずしも十分に議論をしていない、御指摘のとおりであります。  しかし、現実に今我々は、非常に厳しい危機的な財政状況にあるわけであります。我が国人口構成の変化を考えますときに、いや応なしに国民負担率はある程度上昇せざるを得ません。それをどこで食いとめることができるか。そうした視点を考えてまいりますと、やはりこの四審議会だけではございません、それぞれの分野が連係プレーに入っていく必要性というのは私はあると思います。  同様に、今議員から御提案のありました土地につきましても、御指摘は、私はそのとおりだと思います。そしてこれは、今まさにこの委員会の中で住専並びに金融関連の各法案の御審議をいただいておるわけでありますが、この法制度ができましても、本当に大事なことは何かというならば、土地がちゃんと動き出す、しかもそれはかつてのような異常な値上がりという姿ではない中でいかに動くかということでありましょう。今の御指摘は、私は非常に大事な視点としてちょうだいをし、私なりに工夫をして、また御相談も申し上げたいと思います。
  11. 金子一義

    金子(一)委員 橋本首相、その他はまた、御多用でありますからどうぞお引き取りください。  本論に入ります前に、きのうの楢崎議員から最後質問のありました通産省牧野産業局長へのツケ回しの問題、しり切れトンボでちょっと我々も何となく、このままいくと牧野産業局長は飲み食いし放題、金銭授受のもらいっ放しの印象があるのであります。高鳥委員長からよく調査しろというお話がきのうありましたけれども、この質問に対する事実調査の結果、これについてポイントだけ改めて質問をさせてください。
  12. 塚原俊平

    塚原国務大臣 昨日当委員会楢崎議員から、ただいま先生から御指摘をいただきましたような内容の質問をいただき、御答弁を申し上げましたところ、委員長から、個人の名誉にかかわる問題でもあるので通産省においてきちんと調査を行うように御指摘をいただきました。  牧野産業政策局長は、かかるツケ回し疑いに関する指摘については、再度の調査の結果によってもそのような疑いはないと事務方から報告を受けており、したがって、昨年同議員質問主意書に対し政府回答した答弁書は、議員指摘のごとく虚偽の報告に基づくものではないと考えております。  これ以外、指摘事項を含め詳細につきましては、中川官房長の方から補足をさせたいと思います。
  13. 中川勝弘

    中川政府委員 それでは、調査結果を補足して御説明させていただきます。  まず第一に、御指摘局長飲食等の代金を当省のOBツケ回しをしたという件でございますが、これはきのう御答弁申し上げましたとおり、再度の調査によりましても、そのような事実は認められませんでした。  楢崎議員が読み上げられました当省OBからの手紙に同封されておりました請求書の写しは、昨年同議員が再質問主意書に別添として付されましたリストと基本的に同じものでございますが、これをもとに局長に対して再度問いただしました結果、ツケ回しは行っていないと明確に否認をしているところでございます。  また、再度店の責任者からも事情をお聞きいたしましたが、手紙に同封されておりました請求書そのものは、当該OBの求めに応じてつくったもので牧野局長とは関係がないという旨証言を得ているところでございます。  なお、当該OBの話を直接聞きたいということでアプローチをしておりますが、きのう申し上げたような事情もあってか、今日に至るまで残念ながら連絡はとれない次第でございます。  以上の調査結果に基づきまして、本件OB手紙は、質問主意書に対する答弁書回答した事実関係に誤りがあったことを裏づけるものではないと考えております。  また、当該局長当該OBから多額の現金を受け取っているほか、物品贈答品等も受け取っているという指摘もございました。本人に問いただしましたところ、物品の件につきましては、数年前の幹部昇進時にお祝いとしてちょうだいしたことはありますが、金銭授受は断じてないと明言をいたしております。  なお、当該局長は、これは本人の名誉にかかわる問題でもございますので、今後もいわれない中傷が続くようでございますれば法的措置を講ずることも検討したいと申しておるところでございます。  第三に、当該OB経営をしております会社地熱開発計画に関しまして、当省の局長が便宜を図ろうとしたのではないかという御指摘がございました。そのような事実は全くございません。  現在、当該会社が新エネルギー総合開発機構NEDOでございますが、ここに債務保証を求めて、正式申請前の事前相談を行っていることは事実でございます。ただ、NEDOは、この事前審査段階で基準に照らしましてむしろ当該案件問題点指摘を行っておりまして、厳正に対応しておるところでございます。この間、当省の局長クラス幹部当該OBの意を受けましてNEDOに圧力をかけたというようなことは一切ございません。  最後に、九州通産局職員の例を挙げて、私ども綱紀粛正措置遵守状況についての御指摘がございました。この件につきましては、本年四月に福岡で九州通産局長ほか職員が、当省の所管業種ではありません造船業を主に営む会社に在籍しております当省のOB会食の席を持ったことは事実でございます。ただこれは、久しぶりに九州に来訪しました先輩との会食で、地域経済現状等について意見交換を行うということで、私どもの所定の服務管理手続を踏んで出席したものでございます。  以上であります。
  14. 金子一義

    金子(一)委員 かなり明確になりましたけれども、いずれにしましても、あのような疑惑が持たれないような節度ある行政と、つき合いをお願い申し上げたいと思います。  さて、いよいよ本論に入らせていただきます。  会社更生法住専問題ではこの会社更生法の可否というものが最大の課題になっておると思っております。きのう江田議員から会社更生法についてパネルでもって御説明もいただきましたけれども現実問題として、我々の認識といたしましては、申立人である日住金、もう既にこれは破産ですと言って計画を出してしまっておるわけですし、これはもう申し立てにならない。それから、その他、申立人であるべき系統だって、もうこんなリスクはとりたくない、一刻も早く手を引きたいと。そうですよね。  もう一つ母体行だって、母体行もけしからぬのかもしれませんけれども、手前のところでやれる体制をつくってしまったから、グループをつくってあんなところでしこしこ住宅ローンを続けるなんてそんな気持ちはほとんどないというような現実の中で、本当に申し立てというのがあり得るのだろうか。その現実問題は別として、法的に一体どうなのか。  ところで錦織先生、あなたは今度、時効一年延長提案をしていただいているわけですが、与党法的責任プロジェクトチームの座長でもありますね。ここで、この一年時効延長というものは、今の政府処理案、これを前提としてやっていますよね。大蔵省の閣法を前提にしているわけですね。他の手段、百歩譲って法的手続更生手続をとった場合どうなるかといったような検討をそもそもチームできちっとやっていただいているのかどうか、そこだけちょっとまず答えてください。
  15. 錦織淳

    錦織議員 法的責任等検討プロジェクトチーム与党住専対策会議のもとに設置されましたが、主として弁護士出身者あるいは金融実務を経験した方々、そういった者で構成されておりまして、いろいろな観点からそうした点についても検討いたしました。特に、法的手続にゆだねるといっても、いわゆる私的整理から、破産法による手続、和議による手続会社更生法による手続、商法上の整理、その他もろもろの手続がございますので、そうしたものについては一通りの検討をいたしております。
  16. 金子一義

    金子(一)委員 私、あなたとなれ合いでやるつもりはありませんので、ポイントポイントでの御回答お願い申し上げさせてください。  十分検討していただいたというお話であります。それじゃ、一つずつお答えください。冒頭に、破産手続によった場合にどういう問題が起こるんですか、お答えください。
  17. 錦織淳

    錦織議員 破産手続によるべしという議論はかなり早い段階には出ておりましたが、そのうち、そうしたことを主張する方が減ってまいりました。それは、次に申し上げるように、破産手続にゆだねた場合に重大な問題点が存在することが議論の結果明らかになってきたからだと思います。その理由は二つございます。  一つは、実質的に見て非常に不公平な結果になるのではないか、そういう問題点でございます。もっと端的に申し上げれば、住専七社を解体した場合に多額損失が生ずるおそれがございます。その損失をだれが負担するかということは、住専七社に対する三つ債権者グループ、つまり母体グループ一般行グループ、そして系統グループ、この三つグループでその損失をどう負担するかということを決めなければなりません。ところが、破産手続にゆだねた場合には、この点で、端的に言えば、母体行に極めて有利に、逆に言えば、母体責任を主張する例えば農協系統にとっては極めて不利な結果になる。そしてそれは、実質的に見て大変不公平な結果を生ずるおそれがあるということでございます。  もう一つ問題点は、短期的に見れば、今申し上げましたように、母体行にとって数字上は有利になりますけれども、しかし、この破産手続にゆだねた結果生ずるさまざまな経済不安、信用不安その他の混乱、そういうものを考えますと、我が国金融システム、そうしたものに与える影響が甚大であって、結果的に見ますと、一見有利と思える母体行にとっても不利な結果を生ずるおそれがあるということでございます。  なお、ではなぜそうした実質的な不公平が生ずるかということでございますが、それは破産法の構造に由来をいたしております。  破産法というものは、基本的に額面債権によって比例配分をする、これが配当の原則でございます。もちろん、担保権を持っている者、別除権のある者、こうした者は別途の手続を行使することができるわけでございますが、基本的な考え方としては、いわゆるプロラタ方式、つまり債権の額面の比例配分によるということでございます。したがって、母体行の三・五兆、一般行の三・八兆、さらには農協系統の五・五兆、こうした額面に応じて基本的に損失を比例配分するということになりますので、例えば、現在政府与党提出をしております処理の仕組みに従った場合に比べますと、今申し上げたように、母体行に大変有利、そして母体責任を追及する農協系統には極めて不利な結果になるということでございます。
  18. 金子一義

    金子(一)委員 次に、会社更生法手続によるという議論がありますね。きのうも、会社更生法というもので管財人に非常に強力な権限を与えてやれば、今お話のあった、母体行だ、一般だ、系統だというような、債権者間のいわば利害調整もきちんと管財人ができるじゃないか、回収問題だって、今の政府案に比べて強力な権限を持って追求等々できるじゃないかという議論がありましたね。  しかし、私は、冒頭申し上げたように、現実にこんな申立人は今もういませんよ、日住金だってという例を挙げました。しかし、きのうの議論でもありましたとおり、申し立てを受け付けるかどうかということは裁判所の判断だ。これは立法じゃない、司法の問題だ。  そこで、これももう既に議論があったわけでありますけれども、本当に申し立てが受け付けてもらえるのかどうか。これは東京地裁の現職の裁判官の論文なんですけれども、私の拝読しているものでは、裁判所が更生の見込みなしと判断した場合には更生手続開始を取り下げる、こういうペーパーもあるのです。  百歩譲りまして、更生手続を受け付けてくれたとしましょうか。その場合に、それじゃどういう問題が起こってくるのか。きのうのような、更生手続によれば、すべて強力な権限が与えられれば債権者間の調整もちゃんとできますよという話になるのかどうか、そこのところを御説明ください。
  19. 錦織淳

    錦織議員 今先生の御質問の中にございましたように、そもそも住専七社に対して会社更生の申し立てをした場合に、果たしてそれを認めてもらえるかどうかという問題が前提としてございます。  そして、その点についてまず申し上げておきたいと思いますが、更生の見込みのない場合、こうした場合については会社更生の申し立てそのものを受理をしないということでございます。特に東京地裁の民事八部の実務の運用によれば、事前に、もし仮に会社更生がうまくいかない場合には、破産申し立てに取り下げてほしいというような誓約書を提出いたします。  さらには、この会社更生の見込みについては緩やかでいいのか厳格に解するのかという問題もございますが、基本的には、現在の実務の運用では大変厳格な取り扱いをいたしております。つまり、更生の見込みがあるかどうかということについてはきちんとその審査をするわけでございます。  そして、一部の議論の中に、最初から整理を、つまり清算を目的とする会社更生の申し立てができるのではないか、こういう御指摘もございます。(発言する者あり)
  20. 高鳥修

    高鳥委員長 静粛に願います。
  21. 錦織淳

    錦織議員 その清算を目的とする会社更生というものが、制度上当初からそうしたことを目的とするものということではございませんで、その手続を進めている中で、会社更生、つまり会社の再建が困難になった場合にこの清算型に移行をするという意味会社更生の手続の中にそういう手続が予定されているわけでございます。(発言する者あり)
  22. 高鳥修

    高鳥委員長 静粛に願います。
  23. 錦織淳

    錦織議員 したがって、最初から清算を目的として会社更生手続を利用するというのは、一種の会社更生の乱用的な申し立てであるということで困難だというふうに理解をしております。これがまず第一点でございます。  そこで、先生の御質問本論の方でございますが、果たして現在の日本の会社更生法手続のもとで、先ほど申し上げました住専七社の債権者三グループ間の調整というものができるかどうかという問題でございます。私が先ほど申し上げましたように、この点で破産法会社更生法とがどう違うかという点でございます。  結論から申し上げますと、母体責任という点に関して申し上げるならば、会社更生法破産法との間では何らの違いがないということでございます。つまり、破産法手続それ自体の中で、母体責任の存否、つまり母体行に法的な責任があるかどうかということを、破産管財人なりあるいは裁判所なりが判定をするという仕組みはございません。  それでは会社更生ではどうかということでございますが、会社更生もこの点では全く同じでございます。つまり、債権者三グループ間の紛争が生じた場合、つまり更生担保権者あるいは更生債権者間に異議が出されてそうした届け出債権について争いがあった場合、つまりそれが母体責任をめぐって法的な紛争が生ずる場合ということでございますが、そうした場合には、現在の我が国会社更生法のもとでは、残念ながら、更生管財人やあるいは更生裁判所がこれを査定をしたり判定をしたりする権限はございません。あくまで、そうした異議を申し出た債権者同士の別訴、別の訴訟による解決にゆだねるという形式をとっているわけでございます。  なお、この点については、立法論上の批判がございます。つまり、破産法会社更生法とが全く同じ構造をとっているということについて、それはおかしいのではないか……(発言する者あり)
  24. 高鳥修

    高鳥委員長 答弁、簡潔にお願いします。
  25. 錦織淳

    錦織議員 会社更生の場合には、更生裁判所の権限の中で、そうした債権者三グループ間の紛争を解決するというような権限を更生管財人や更生裁判所に与えるべきではないか、こうした議論もございますが、しかし、それはあくまで立法論でございまして、現実我が国会社更生法はそういう考え方をとって、いない。  したがって、整理をして申し上げますと、母体行、一般行、そして農協系統の三グループ間で母体責任をめぐって法的紛争が生じた場合、それが先鋭な対立になりますと、結局最終的にはそれを別訴でやる。別訴でやった場合は極めて長期間を要するということになって、破産法と同じ結果をもたらすということでございまして、確かに破産法会社更生法とでは債権回収の手続においては差はございますけれども……(発言する者あり)
  26. 高鳥修

    高鳥委員長 簡潔にお願いします。
  27. 錦織淳

    錦織議員 今申し上げた点では本質的な差異がないわけでございます。
  28. 金子一義

    金子(一)委員 いずれにしましても、更生法がとられれば、住専間の話だけではなくて、関係者、一般、母体系統の間のいわば負担調整まで管財人が極めて法的にも解決ができるという話では決してないということははっきりよくわかった。(発言する者あり)
  29. 高鳥修

    高鳥委員長 静粛に願います。
  30. 金子一義

    金子(一)委員 わかりましたね。  さて、それじゃ次の、ちょっと時間がありませんものですから、いよいよ三法の話に入っていかせていただきたいと思います。  銀行局長、今度三法で回収機構ができますね。信組の処理による東京共同銀行、これは、新しくこの法案ができることによっていわば回収の受け皿ができるわけでありますけれども、改組していく。これは住専処理機構のように、回収のための人材等々は当然強化していって回収に全力を挙げられる、これはそうですね。  そして、その場合、今までやってきた東京二信組ですとか、それからコスモ信組とか、今までそれぞれにこういうやり方をとっているわけでありますけれども、今度これは、過去のものが、私が非常に気になるのは、例えば東京二信組の回収率が物すごくおくれている、八%ぐらいにすぎない。これは何でかというのをいろいろ聞きました。しかし、こういうのはやはり既にあるものも、新しくこの法案が通ったならばその整理回収機構に、東京共同銀行を改組したところへぶち込んでいくべきだと思うのですよ。  そうでないと、きのうも議論がありましたけれども、あれは東京都も金を出しにくい部分がありますよ。というのは、東京の二信組、コスモも一部債権を外に出してしまっていますね。東京都信用組合協会、都信協、あそこに出してしまっています。東京都はそこに金を出す仕組みになっていますね。これは、今度できれば東京都にもぜひ、コスモは出しているけれどもこっちは出していないというわけですから、その回収を図れる体制をきちっととってやらないと東京都だって出しにくいと思うのです。それをぜひ御検討いただきたいと思うのですが、一言。
  31. 西村吉正

    ○西村政府委員 昨年設立いたしました東京共同銀行は、残念ながら回収実績が非常に低うございます。これも新たに今回の法律改正をもちまして、東京共同銀行を改組いたします整理回収銀行に引き受けますことによりまして、回収のための機能、権限も強化いたしまして、ただいまのような状況を脱するということも一つの大きな目的にしております。
  32. 金子一義

    金子(一)委員 入れるの、入れないの。
  33. 西村吉正

    ○西村政府委員 東京都が東京都信用組合協会とともに回収に当たっております部分につきましては、従来と同様の体制をとることになっております。
  34. 金子一義

    金子(一)委員 それなんですよ。何で従来と同様にとるのですか。これからのものは全部、今までのものは個別、個別だ。どうして従来のものは全然別の体制なんですか。というのは、心配なのは、都信協というのは人材がいないのですよ。こっちは回収機能が物すごく強化されるわけですよ。何でばらばらにするのですか。それでは東京都は怖くて出すものも出せなくなります。もう一遍。
  35. 西村吉正

    ○西村政府委員 これは東京都との話し合いの結果、そのような形を都の方としてもお望みになったのでそういうふうな形になっているわけでございますが、例えば今度木津信用組合の処理をいたします場合にそれをどのような仕組みにするか、大阪府の御意向によっては、金子委員指摘のような方法もとり得るところでございます。
  36. 金子一義

    金子(一)委員 都の話が出ましたので、地方自治体のいわば役割の分担なんですけれども、加藤六月議員からも再三にわたりましてこの点は指摘されております。私は、この点については加藤議員に本当に同感なんです。  やはりこれはきちっと考えていかないと、仕組みはつくった、だけれども、それならばもう東京都や大阪府は出す必要がないではないか、この仕組みでやってもらえればそれで済んでしまうじゃないかという話になりかねない。結果として、その部分が最後政府保証というところへ、政府保証ですから税金でしょう、税金の負担に来てしまうわけですね。ですから、やはりある意味でルール化、簡単ではないと思うのですよ、一つ一つそれは組み立てていかなければいけないのですが、もう加藤六月議員議論で尽きておりますので。  私は、今度の木津信組の関連で、大阪府は物すごい大変な努力をされた。物すごく議会でも大変な努力をされた。そのときに、報道でありますけれども大阪でもしやるとせば金が大変だ、だから、おれたちにこれを出すための起債を認めてほしいよ、転貸債。これは自治大臣ですね。そうしたら自治省が、いや転貸債というのは起債の対象ではないという話をされたやに、これは経済雑誌ですから事実かどうかわかりません、そういう話が聞こえてきているのですが、我々こういう仕組みというのを一つ一つつくってあげた方が、地方自治体もそれなりの役割を負っていただけるはずだと思っているのですけれども、自治大臣。
  37. 倉田寛之

    ○倉田国務大臣 金融対策にかかわります財政支援に関して地方債で財源手当てを行うことは、一般的にはなじまないというふうに考えるものでございますが、地方団体から御要請があった場合には、個別の事情をよくお聞きをした上で、地方財政法に基づき、地方債許可方針等も勘案をして検討してまいる所存であります。
  38. 金子一義

    金子(一)委員 ぜひ御検討お願いを申し上げます。  時間がなくなってしまっているのですが、ディスクロージャーと自己資本規制なんです。  大蔵省にディスクロージャーとは何ですかというようなことはもう聞きません。一番の観点は、ディスクロージャーによって国民、預金者がその金融機関の健全性を判断する。延滞、金利減免とか四つのカテゴリーがありますね。本当に預金者はそれでもってその金融機関の健全性を判断できるのだろうか。これは実は非常に怖いなと思っているのです。  何でかといいますと、五年後はもう自己責任ですよというのを原則としているわけですね。預金者は一千万のペイオフで全部切ってしまいます。ところが、今のディスクロージャー、例えば金利減免債、延滞債。延滞というのはたしか六カ月以上の延滞でしょう。今やっていることはどういうことをやっているかというと、金融機関は延滞債にならないために、金利を払うように追い貸しし ているんですよ、追い貸し。金利減免債、これも金利減免債といっても、たしか何か一つの基準がありましたよね、例えばそれ以下のところでやっておけばこれは金利減免債として不良債権に出てこない。  支援対策なんというのを今度やりますね。どこの銀行が幾ら系列に、系列というか支援していますよと。そうしますと、一つの例だけれども、兵庫銀行。当初予測されていた不良債権が、いざ計画がああいう形でとんざしてみたらば、公表されていた不良債権の数倍の不良債権が出ましたね。これはやはりそういう操作をある意味でやっている。不良債権を大きくしたくないという部分が働いてしまっている。そうしますと預金者は、本当に大丈夫だろうか、そこのところの不安を非常に持ちかねないのです。  自己資本比率というのは、一方でこれは大蔵省が検査するわけだ。そういうことで検査をするのだから、ちゃんと四分類でやるわけですね。この四分類でやって、実質的な腐っている不良債権という部分と、ディスクロージャー、つまり預金者に見える指標というものをこの五年間の間にどういう整合性を持たせていこうとしているのか、簡単に答えてください。
  39. 西村吉正

    ○西村政府委員 確かに今まで金融機関のディスクロージャーが十分でなかったことは御指摘のとおりであろうと思います。この二年余りの間にそれは随分と進んでまいりました。これからもさらに進められると思います。  その進められる中において、預金者一人一人はなかなかそれを分析することは難しい点もあろうかと思いますが、公表された資料をもとに、例えば会計的に事情をよく御存じの方々、あるいは経済的な問題に通じた方々、そういう方々がいろいろな分析をし、それをまた新聞、雑誌等に発表をされるということもあろうかと思います。そういうことを通じまして、今までなかなかわからなかった金融機関経営の実態というものがさまざまの形で明らかにされて、それがひいては利用者の判断につながっていく、こういうことになろうかと考えております。
  40. 金子一義

    金子(一)委員 全然私が聞かせていただいていることにお答えいただいていない。さまざまな形というのはそれはそのとおりなんですけれども、しかし見える部分と、本当に大蔵省が検査でやった四分類の部分というのは全然違っているじゃないですか。だから兵庫銀行みたいな話が起きるんだと申し上げたんですよ、あえて。  それで、五年後には一千万きりペイオフでやっちゃいますと言っているんだから、しかも自己資本比率行政をやろうというわけですから。というのは、あえて言いますと、これは不良債権少ないねとディスクロージャーされていたもの、何らかの理由で抑えられていた、必ずしも実態をあらわしていない。ところが、大丈夫だと思っていたら、ある日突然、自己資本比率行政の中で突然業務停止なんというのが出てくる可能性だってあるわけでしょう。そういう意味で、ディスクロージャーという概念と自己資本比率というのは全然違うんですよね。ここのところをやはりきちっと、どうこれを行政に使っていくのか。  言い方を変えますと、ちょっと時間がなくなりましたので、自己資本比率行政というのは骨格だけですね。具体的に正味自己資本は何をもって計算するのか。それから、新聞等で既に幾つか出ていますね。五分類に割るとか、国内業務は四%、海外は八%、農協は六%で、幾つかのカテゴリーに割って、どのカテゴリーに入ったら配当停止、業務停止、店舗を認めない、そして役員の賞与カットなんという、いわばこういう非常に過大な権限が大蔵省に与えられるんですね。ディスクロージャーとは何にも関係ないんですね。  それは、この法案では、省令で定めると書いてあるんですよ。これ、実は我々非常に怖いんです。大蔵大臣や大蔵次官が、この間銀行の役員は、頭取はやめるべきだと記者会見やりましたね。あれに法的な根拠を与えちゃうというこれはテーマなんですよ。それだけに、省令でやるということは、この自己資本比率、骨格はわかりますよ、しかし、中身はこれからなんでしょう。そうですよね。どういうカテゴリーに入ったら業務停止しますよ、どういうカテゴリーに入ったら配当制限加えますよ、これはまだ骨格だけですね。  そうすると、それがすべて省令で決められるという部分、ディスクロージャーと自己資本比率という関係もまだ預金者によくわからない、そういう中で大蔵省が省令ですべて決めていくというのに対しては、残念ながらちょっと議論をしている時間がなくなっちゃったので、大変申しわけないのですけれども委員長、この部分について、再度御質問させていただく時間があればさせていただきますけれども、一度理事会で、いわば金融行政の進め方、これをどういうふうに適用していくかということについて明文化していくといったようなことを附帯決議なりなんなりで求めていくということを御検討いただくように、ぜひ私として御提案をさせていただきたいと思っております。  その点について、それではちょっと大蔵大臣に、一度もお伺いしていないので、最後に。
  41. 高鳥修

    高鳥委員長 簡潔に願います。時間が参っております。
  42. 西村吉正

    ○西村政府委員 今回の早期是正措置は、もともと現在の銀行法上も、例えば二十六条で業務の停止等を命ずることができる、権限的には大蔵大臣が既にできることになっておることでございます。今回はむしろ、省令でもってその発動基準を明確にしよう、透明にしようということでございまして、新たな権限を与えるというよりも、与えられた権限の発動を透明、明確にすることによって発動しやすくしていこう、また、それが国民の目にもよく見えるようにしていこう、こういう趣旨でございます。
  43. 金子一義

    金子(一)委員 最後に、時間になりましたのでこれで終わらせていただきますが、権限を新たに省令でつくり上げるわけですから、今の答弁では私は納得できません。そのことだけを申し上げて、質疑を終了させていただきます。ありがとうございました。
  44. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて金子一義君の質疑は終了いたしました。  次に、坂上富男君。
  45. 坂上富男

    ○坂上委員 どうも委員長、御苦労さんでございます。社民党の坂上富男でございます。  きのうの夜遅く、質問するようにということを受けまして、総理を初め皆様方に真夜中に御連絡をしたりいたしまして、大変御迷惑をおかけいたしました。また、日銀総裁、真夜中に御連絡申し上げまして本当に恐縮でございました。ありがとうございます。  それでは、早速でございますが、質問させていただきたいと思います。これはやはり住専にもかかわる発言のようでございますので質問させてもらうわけでございます。  梶山官房長官、大変きょうの新聞ににぎやかに出ているのでございますが、この新聞によりますと、「梶山官房長官、銀行業界への怒り収まらず」、こういう表題のようでございます。どうも私も不勉強で、きちっとした資料の裏づけなく質問をするわけでございますが、何か梶山官房長官、公定歩合のことについての発言がありまして、これに対しまして現橋本銀行協会連合会長が、金融金利政策は日銀の専管事項であって、何を言っているんだというような趣旨の発言があったようでございます。  そこで、きのう、今度官房長官の方から、「「銀行の思い上がりというか、「民くたばれ、われ繁盛」だ」と、超低金利政策で過去最高の業務純益を上げながらその恩恵を住専処理の追加負担や預金者保護に還元しようとしない銀行業界に不満をぶちまけた。」さらに、夕方の記者会見でも怒りおさまらず、「低金利政策でこれだけ業務純益があったなら、果実は高齢者や年金生活者に配慮されてしかるべし。信然として恥じない銀行に憤りを感じる」、こういうふうにおっしゃったそうでございます。私も御発言には賛同をするような気持ちでございます。まず、官房長官の御真意を賜りたいと思っておるわけでございます。  その次に、今度は総理総理の方からも、二十九日、きのうの夕方、総理は、「僕もおやっと思った。これだけ(銀行)批判のある中で、あれだけ高姿勢でいられるのは実に大したものだ。僕にはとてもまねできないね」、こうおっしゃったと書いてあるわけでございますが、この真意をひとつお話しいただきましょうか。
  46. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 まずもって、住専処理や金融健全化のために、国会、政府、与野党、そしてこの関連する金融界、また農協系統金融機関、幅広い国民の皆さん方の大変熱心な御議論のさなかに、私、官房長官としてのもちろん記者会見でありますから発言でございますが、この問題で若干でもこういう問題にそごを来すことがあれば大変申しわけないという思いがいたします。しかし、私は決して、私人としての思いというよりも現在置かれている立場を実は申し上げたことでございまして、幾ばくか、この新聞の論調には若干強弱をつけてある点もありますので、弁明もひっくるめまして、真実を申し上げたいと思います。  このきっかけになったのは、先週の五月二十四日の夕刻の記者会見。きょうの新聞を見ますと、金融機関、史上最高の業務純益を出しているという報道がございます。八兆四千億、うち都銀十一行で三兆五千億、大変な業務純益が出ております。今までの不良債権のいわば償却がこれで格段に進むと思っておりますから、それぞれ銀行の間にばらつきはあるものの、総体として金融界の体質の強化につながっていくであろう。  こういうことを申し上げましたときに、質問がございまして、感想をということであったので、純益が拡大をしていることは原則として歓迎すべきこと、日本経済が低迷をし、金融業界も不良資産を山ほど抱えているという現況から見れば、低金利政策をとっていることは御承知のとおり、世界で一番低い公定歩合であります。預金者の金利がこういうものに抑え込まれているという現実もある。業務純益が出ておりますが、不良資産の償却その他で赤字になっている。預金者の金利というか、短絡的に考えるわけにはまいりませんが、これから先もそういうことが言えるのかどうなのか。青空天井に大規模な預金者も保護するということではなくても、最小限度、福祉的なものを取り上げる可能性というか、そういうことが可能な状態に近づきつつあるのではないかという私自身の判断を申し上げました。  そして、日曜日のNHKの討論でも質問があったので、やはり日本の産業を活発にするために低金利政策をとらざるを得ない、景気を引っ張っていくためでありますから一気に高金利政策に転換することはできない、そういうことになればこの間の矛盾が全部噴き出してしまう、そういうことはできるはずがない。しかし、幾ばくかの条件をつけて、高齢者であるとか、あるいは身体障害者であるとか、金額的に幾らにするとか、もろもろの制約をつけながら、今日の低金利政策のために、預金者の目減り、なかんずく年金その他の生活者に大変な苦痛を与えている、こういうものに若干の配慮ができないものかどうか。  これは与党間のいわば政策調整会議でも確認をされていることでございまして、それを受けて幾つかのそういう金融商品が生まれていることも承知をいたしております。その拡大を念頭に置いて、私は具体的には申し上げませんでしたけれども、その二つの発言がありました。  それを受けて、これも正確であるかどうかわかりませんが、銀行協会の橋本会長が、金融政策は日銀の専管事項、日銀以外の人がどうこうしろと言うべきではないと先週の梶山官房長官の利上げ要求の発言を批判した、そして、預金者の保護も考えねばならないと暗に公定歩合の引き上げを求めたというふうに、彼は錯覚をしたのかどうかわかりませんが、そういうことが書いてありまして、外圧がかかればかかるほど日銀の独立性を求める声は強くなると牽制した云々というのは、ある新聞に出ましたから、この新聞が私は全面的に正しいか正しくないかはわかりません。二、三紙にこういう橋本全銀協会長の発言が、私を批判したということで載っております。  私はそれを受けて昨日、全国銀行協会連合会長の橋本会長・さくら銀行頭取の発言がありました、何か誤解をされているのではないかと思うのですが、金融政策は日銀の専管事項、日銀以外の者がどうしろと言うことではない、これは先週の梶山官房長官の利上げの要求を批判したと、こう出ているけれども、真相を知って言われたのかどうなのか。彼も銀行協会の会長としての発言でありますから。政府にはちゃんと広報室があって、私の速記はうそ偽りなく全部とられているのです。きょうも慌ててとって持ってきたのです。  ですから、私は、そこでは若干今度はオーバーランをしたと言うつもりはありません、心の中に思っていることですが、今日の金融、このたくさんの不良債権というのは、もちろんバブルの崩壊にもよりましょうけれども、本来、銀行の経営者たる者がこんなに大がかりな不良資産を、四十兆、五十兆と言われるようなものをつくった。これは恐らく総体の預金量の七、八%に最高ではなっているはずです。いや、隠れたものを見れば一〇%にもなるということは、これは銀行の放漫な貸し付け政策にあったはずだ。  事実、先を見れば、私たちの友達、知り合いは、たくさん銀行から金を借りろ借りろとやられて、土地を買わされ、工場の拡大をし、そしてそのあげくの果てに大変苦しんでいる。しかも、借り手が悪いというよりも、借り手は大半善良なんです、本当のところを言いますと。一部の人がごまかしたりなんかしているから、この借り手の責任はもちろん追及されなければなりませんが、総体的に貸したのは銀行であります。  そういう、私は腹に据えかねるというか、しかし、これだけ苦労をしてそのしりぬぐいをやらなければならない今の方々は大変だな、そういう同情もありますから、せめてこの金融健全化が終わるまではそういうことは申し上げまいと思ったのですが、協会長みずからこうやって反論をされれば申し上げざるを得なくて、後日、この文書は正確なものでありますから出しましたし、私は一時のは興奮かと思って、きのうは園遊会に参りまして、心を澄まして帰ってきても、五時間たっても、興奮ではなくて公の憤り、これはおさまらない、そういう思いで、もう一回その記者会見にこのことを出しました。  そういうことでございますので、大変、若げの至りといったって、七十を過ぎているのですから若げの至りじゃありません。私は真実を申し上げているつもりでありますが、こういう態度が見られていいのかどうなのか。もちろん私は誤解に基づく発言だろうとは思いますが、この心の底には思い上がりがある、庶民の気持ちを一つも知らないという、そういう思いがありましたので申し上げたことで、言葉に関する責任は私が負います。
  47. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、官房長官御自身の気持ちを御自身の言葉で述べられました。そして、私は、報道された範囲で銀行協会の責任者としての御発言を拝見しました。間違いなく公定歩合の操作は日銀の所管事項である、専管事項である、その程度のことは私も梶山さんも存じ上げているつもり。私にはそれほどの勇気がないけれども、本当に胸を張って立派なことをおっしゃる、大変なことだな、そういう感じを確かに持ちましたので、記者団から聞かれましたから、率直にそういう感じを申しました。  殊に、外圧が強まれば強まるほど日銀法について云々という御発言がありましたが、日銀の独立性に対する御議論というものは本院においても当然ありましたし、また、今後、日銀法の改正を議論されている方もあるわけでありますが、余りにも何か恣意的な御発言という感じが私はいたしました。ただ、それほど強い言葉を用いる勇気がありませんでしたので、大変な御見識であると敬意を表した次第であります。
  48. 坂上富男

    ○坂上委員 私は、これは本当の冒頭でのつけ足しの質問のつもりだったのですが、何か中心的になってくるのですが、仕方がありません、少し質問させてもらいます。  さて、そこで、やはり公定歩合のことがもうそろそろ議論され出しておるわけでございます。私らも選挙区を回りますと、年金生活者、それから預金の利子で食べておられる皆様方、どうしてくれるのですか、もうこうやって金利が下がりに下がって私たちやっていけませんというお話も、本当に聞いているわけでございます。それで、せめて皆様方のような立場方々だけには特別の保護政策をしなければならぬというようなことで私は言っているのでございます。  こういうようなことが議論され始めたのでございますが、松下日銀総裁、どうですか。日銀の専管事項であることもわかっておるし、また、官房長官も総理も、承知の上で今御答弁をなさっておることも明らかなのでございますが、日銀が黙して語らずということよりも、やはり国民の前に公定歩合等についての御見解をお話しいただくこともこの席で必要なんじゃなかろうか、こう思って、きのう、真夜中でございますが、招致の要請をいたしたわけでございます。きちっと御答弁賜りたいと思います。
  49. 松下康雄

    松下参考人 初めに、私どものただいまの金利の政策につきましての考え方を簡単に御説明を申し上げたいと思います。  私どもは、我が国の景気の現状は緩やかな回復の道を歩んでいるというふうに判断をいたしております。ただ、その景気そのものを、より持続的な、自律的な回復の道に乗せていくということが現状では非常に大切なことだというふうに考えている次第でございます。  そういうことでございますので、金利政策の運営につきましても、現在、委員指摘のような非常に緩和した政策を採用しているわけでございますけれども、これを踏まえまして、今後の経済の状況というものの推移を子細に観察をしながら適時適切な対応をとってまいりたいというのが私どもの基本の姿勢でございます。  低金利の効果といいますのは、ここ数カ月来経済のいろいろな面で感じられるようになっておりますけれども、ただ、その効果の反面といたしまして、御指摘がございましたように、収入のうちの多くのものを金利に依存しておられる方々にとりましては、その収入が減少するという点で大変御苦労をおかけしているということは十分に認識をいたしております。  この点は私どもも全く心苦しいことであると存じておりますけれども、ただ、私どもが金利を定めていきます場合の基本的な考え方は、この政策によりまして、申し上げましたような経済の回復をしっかりとした持続的なものにすることによりまして、経済全般に、例えば雇用の面につきまして、また個人所得の面につきましてプラスの効果が生まれてくるということを期待しておりまして、これらが預金者も含めまして国民全般に利益を及ぼしていくということを願って現在の政策を続けているということを御理解いただきたいと存じます。
  50. 坂上富男

    ○坂上委員 総理、もう一問させてもらいます。  さて、そこで大蔵大臣、何かこの辺に関連をいたしまして官邸ではいろいろと心配りをされているようでございまして、大蔵省に銀行協会長が釈明をする、こういう点について梶山長官は、「「大蔵省とグルなのに、それで釈明になるか」と怒りが収まらない様子だった」と、これは書いてあるのです。そこで、今度は久保大蔵大臣ですが、この問題についてこういう発言をなさっておるわけでございますが、大蔵大臣としてこの問題の対処の仕方についてお聞きをしたいのです。  「梶山さんは私に、発言の真意を(橋本会長に)聞くように言ったが、こういう問題は双方が会えば、いっぺんに片付く」こう述べて、「仲裁に乗り出す意向を示した。」そして、この新聞によりますと、「橋本会長は三十日、大蔵省を通じて釈明をする」、こういうようなことが書いてあるという話でございますが、大臣、この点いかがですか。
  51. 久保亘

    ○久保国務大臣 昨日、当委員会が終わりました後、定例の記者会見が大蔵省でございました。その際、記者団の方から質問がございました。それで、梶山官房長官の発言と銀行協会の橋本会長の発言について、官房長官の方で大蔵大臣に真意をただしてもらいたいという御意向のようだがいかがですかという意味質問だったと思います。  私がそのとき申し上げましたのは、双方マスコミを通じての御発言になっているので、正確にその発言の内容を知るためには、私がお聞きするというよりは、お二人が直接お会いになってお話しになった方が解決するのじゃないでしょうかねということを申し上げたのでありまして、私が仲介の労をとるなどという、そういう不遜なことを申し上げたことはございません。私が申し上げたのはそういう意味でございます。  しかし、つけ加えましたのは、もし銀行協会会長関係行政機関でございます大蔵省に説明をしたいということであれば、断る筋のものでもないなというような意味のことを申し上げたように記憶いたしております。     〔委員長退席、尾身委員長代理着席〕
  52. 坂上富男

    ○坂上委員 私は、各大臣、総理がおっしゃったこと一々ごもっともでございまして、賛同いたします。おのおのぜひ初心を貫いていただきたいと思っておりますので、頑張ってください。  そこで、総理、この発端は、母体行の住専に対する責任をもっと追加すべきじゃないか、責任をもっと深くとるべきではないか、こういうことがやはり私は基本だろうと思っておるわけでございます。きのうも総理から、母体行に対する責任の問題について大変厳しい発言がございました。これを踏まえまして、私は、母体行の責任問題について再度総理質問させていただきたいと思います。
  53. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 本院におきましても、従来から、この母体行の責任というものについてさまざまな角度から御論議がございました。そして、そのたび私がお答えを申し上げてまいりましたこと、それは、母体行が住専の設立、その後の大事などその経営に深くかかわってきたことは否定できないことであります。こうした経緯などを踏まえ、母体行については、住専に対する債権を全額放棄するとともに、預金保険機構に対する資金の拠出や住専処理機構に対する低利融資など住専の早期処理のために最大限の協力が要請され、処理方策に組み込まれております。なお、追加負担の問題については金融機関の公共的責任立場から大局的判断が望まれるところで、みずから御判断をいただくべきことであると思います。  こういう答弁を繰り返し申し上げてきたところでありますが、衆参両院のこの問題についての御論議を通じ、母体行の責任が重過ぎる、もっと軽くしろという御意見一つもありませんでした。それが今私は、母体行に対して向けられている国会内のすべての党派、すべての議員共通した御意見であろうと思います。  そうした中での御発言でありましたから、私は大変立派なものだなと御尊敬を申し上げたわけでありますけれども、私は、母体行に対してどれだけ世間の目が厳しいか、そして、その世間の目というものを代表し御論議をいただいております国会内の御論議の中に、母体行の負担を軽減しろという御意見が全くないということを関係の皆様にはぜひおわかりをいただきたいものだと願っております。
  54. 坂上富男

    ○坂上委員 総理、官房長官、お忙しいところありがとうございました。松下総裁ありがとうございました。お帰りになって結構でございます。  さてそこで、母体行の責任についてのお話があったわけでございます。私も、少しでも公的資金の導入を軽減できれば幸いだと思っておるわけでございます。そこで、大蔵大臣、私も、今総理がおっしゃったことを今度は項目別に述べてみますと、四つ五つあるのじゃなかろうかと思っておるわけでございます。  まず一つは、母体行の設立に対する責任でございます。それから、住宅ローン業務に対する母体行の介入に対する責任でございます。それから三番目に、紹介融資に対する責任でございます。それから四番目に、役員派遣の責任でございます。まだ並べればいっぱいあるのだろうと思うのでございますが、私がゆうべ考え出した責任論の各項目別の話でございますが、これに対して、今列挙した部分、大臣としてはその母体責任についてどういう御所見でございますか。
  55. 久保亘

    ○久保国務大臣 両院におきまして予算委員会で御審議が続きました際にも、一貫して、母体行の責任ということに関して今お話がございましたことを申し上げてきたと思っております。  私の使いました言葉で申し上げますならば、住専の設立段階から破綻に至るまで、設立、出資、人事、経営そして紹介融資などを含めての住専とのかかわりは大変重い責任であるということを申し上げてまいりました。
  56. 坂上富男

    ○坂上委員 さてそこで、前の銀行協会長も橋本さんなんですね、今の会長さんも橋本さんで混同するおそれもあるんですが、しかも総理が橋本さんときておるものでございますからなかなか誤解があっては困るんでございますが、まず、私は前橋本会長から参考人の際質問をさせてもらったんでございますが、いずれも、株主代表訴訟があるから、また、これに責任を問われるから、こういうようなことを言って、三兆五千億円以上あるいは一般行が放棄した部分以上はとてもじゃないが出せるものではございません、こう言って、それを盾に出さないという対応をしているわけでございます。しかし、大蔵大臣は、それを盾に協力をする、拠出することを拒むことは許されない、こういうことも国会で確かに発言があったようでございます。私も賛成でございます。  そこで法務大臣、一体この株主代表訴訟というのはどういう制度なのか、簡単でいいですからお答えいただきたいと思います。  それから、政府当局、事務当局でいいですが、代表訴訟において取締役の行為が違法とされた判例があるのか。まあ二つぐらいしかないらしいじゃないですか。あとはみんな適法だ、こういう判例の方が多いようでございますが、この具体的な判例も示して、銀行協会が怖がっているから、安心せいという答弁をひとつしていただきたいと思いますが、どうぞ。     〔尾身委員長代理退席、委員長着席〕
  57. 長尾立子

    ○長尾国務大臣 株主代表訴訟についてのお尋ねでございます。  株主代表訴訟とは、株式会社の取締役による違法な行為によって会社に損害が生じた場合に、一定の要件を満たした株主が会社にかわって取締役の責任を追及するという制度でございます。  このような制度が設けられている趣旨といたしましては、取締役が会社に対して損害賠償責任を負っている場合にその追及を会社に任せておいたのでは、取締役同士の密接な関係からその取締役に対する責任の追及がなされず、会社の利益が損なわれるおそれがあるためと考えられております。
  58. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 株主代表訴訟におきまして取締役の行為が違法とされた裁判例、どのようなものがあるかという御質問でございますが、法律誌等に紹介された事例といたしましては、商法が禁止しております自己株式の取得をした事例、それから町長に対して贈賄をした事例、こういう事例があると承知しております。  他方、違法とされなかったものといたしましては、証券会社の顧客に対するいわゆる損失補てんが取締役の善管注意義務に違反する行為とは言えないとされた東京高裁の判決がありますほか、これは代表訴訟の付随の手続としての担保提供命令の申し立てがあったその処理における決定事例でございますが、銀行が系列ノンバンクに対する債権放棄をしたことが、金融システムの安定性の確保等のさまざまな点を考慮した上で取締役としての経営判断において許容される裁量の逸脱があったとは言えない、したがって、これは終局的な判断ではございませんけれども、違法行為とされる可能性が著しく低いという中間的な決定があった事例がございます。  いずれにいたしましても、裁判所の判断は、個々具体的な事案に応じて、すべての事情を総合して判断されるものと考えております。
  59. 坂上富男

    ○坂上委員 さてそこで、この代表訴訟における取締役行為の適法性の判断の資料になるもの、きのう自民党先生から一部指摘がありまして、大臣の方から、それも裁判所が考慮する要素になるであろうという答弁でございました。私は、大体この五つぐらいに要約されるんじゃないか、こう思っているわけであります。  一つは、子会社、この場合は住専、破綻に瀕しておりまして、債権放棄等の支援をどうしても必要としておる場合。  それから二番目、母体行と住専関係の深さ。今言ったような責任問題でございます。これはもう専ら総理も大蔵大臣もみんな言っておるわけでございます。この責任の深さ。  三番目に母体行の信用失墜の可能性。このままこうやって母体行が頑張っていれば頑張っておるほど、国民の皆様方から、国会からも大変な批判が出ておりまして、だれ一人母体行を守れなんという話は出てこない。この母体行の信用失墜の可能性ということ。もう失墜可能性は顕著でございます。  それから四番目、信用不安の表面化の可能性。これは大蔵省がしょっちゅう言っていること。及び金融システム全体の安定性の維持、これが大変大事なことだろうと思っておるわけでございます。  そこで五番目に、追加負担についての国会の要請。例えば立法化したらどうだというお話であります。国会の決議もそうでございます。また大蔵省の要請もそうだし、大臣の要請、総理の国会答弁、こういうようなものを総合判断をいたしますと、これは裁判所が判断することでございますが、適法性の判断の際には十分考慮の対象になろうかと思っておりますが、まず、法務当局どうですか。
  60. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 今御議論されている視点からいいますと、経営者としての判断の合理性の範囲を逸脱しているかどうかといったことが、当該会社、すなわち母体行のこの問題に関して置かれた状況等あらゆる事情を総合して判断されるということであろうと思っておりまして、ただいま委員指摘の五つの点、これらはいずれもそういった諸般の事情一つとして、裁判所が判断されるに当たっての重要な要素として考慮されるものであろうというふうに判断しております。
  61. 坂上富男

    ○坂上委員 さてそこで、母体行は約百五十行だそうでございます。今公的資金導入が六千八百五十億。これを均等割しますと平均四十五億なんですね、一行当たり。大きいのも小さいのもありますが、一行の負担、四十五億。これは決して、銀行にとってはそれほど不可能な金額でもないんですね。この部分が株主代表訴訟、取締役業務執行の適法性の限界の問題になるわけであります。三兆五千億の放棄、これ以上はもう無理だという話でございますが、いろいろ分析してみますると、大体一社あたり四十五億ぐらいだったら私は可能なんじゃなかろうか、こう思っておるわけでございますが、銀行局長どうですか。
  62. 西村吉正

    ○西村政府委員 株主代表訴訟は、取締役が会社に対する善管注意義務に違反していることによって会社に損害を与えた場合に追及されるものでございます。したがいまして、金額の多寡と申しますよりもその行為の性格によることになろうかと存じます、四十五億円というものが多額であるかどうかという問題は別といたしまして。したがいまして、一行当たり四十五億であるから義務違反とならないという性格のものではないと存じます。  なお、先ほど来いろいろな御議論がございますが、現在の制度におきましては、損害を与える可能性があるかどうか、それによって責任を追及される可能性があるかどうかを判断いたしますのは、最終的には裁判所でございますが、そのような行為をとるかどうかということは当該取締役が判断することでございます。その取締役が取締役会等におきまして、会社の行為を決定いたします場合にどのような判断をするかによって、その行為がとられるかどうかが決まるということでございますので、その点もお含みおきいただきたいと存じます。
  63. 坂上富男

    ○坂上委員 だから、総理あるいは官房長官あるいは銀行協会長、大蔵大臣、余り大げんかしないようにして、できるだけ出していただくようにしていただいて上手にひとつやっていただく、こう思っておるわけでございます。  さてそこで、もう時間も来たようでございますが、ちょっと捜査当局にお聞きをいたします。  大阪の方では末野興産、それから東京では桃源社の社長らが逮捕されておるわけでございます。そこで、一体この両社の債務総額は幾らなのか。それから、大蔵省にも聞くのですが、一体この両社は大蔵省の見解としてはどれぐらい回収できるのか、まずこの点の見解を聞かせてください。
  64. 西村吉正

    ○西村政府委員 本年二月に大蔵省から本院予算委員会に御提出申し上げました住専の大口貸出先の実名リストによりますと、末野興産に対しましては、住専五社から合計二千三百六十八億円の貸し付けを行っております。そのうち千八百七十三億円が損失見込みとなっております。また、桃源社に対しましては、住専四社から合計七百二十八億円の貸し付けを行っておりますが、そのうち六百十一億円が損失見込みとなっております。  まだ住専処理機構設立がなされていないわけでございますが、現段階におきましても、当局の協力によりまして末野興産等に対します実情の調査が行われております。そういう中におきまして、今まで不可能でございました財産の実情等も明らかになってきておるようなものもございますので、私どもといたしましては、損失見込み、ただいま申し上げたような状況でございますが、少しでも回収ができるように努力をしたいと思っておりますし、それは住専処理機構あるいは預金保険機構の新しい体制ができることによって強化されるものと考えているところでございます。
  65. 坂上富男

    ○坂上委員 一点、今度は法務省の方ですが、末野社長は、ここの参考人としては、半分ぐらいしか返せない、こういう参考人供述をしているのですね。それから参議院では、佐々木社長は、十分の一だ、こういうようなことを言っているわけでございます。しかし、私はこれ以上何としても回収していただかぬといかぬと思っております、とてもじゃないがこんなことで許されるはずはありませんから。  そこで、この間から参議院でも問題になりました佐々木証言、これは何かテナントと桃源社の間に新しい子会社を入れて、そこが家賃を回収するというようなシステムにして強制執行を免れるような処置をしたのじゃなかろうか、法律的には強制執行免脱罪に当たるのじゃなかろうかというような疑い一つ出てきているわけであります。したがって、その問題は偽証にも当たるのじゃなかろうかということが今指摘をされておるわけでございますが、法務省の見解はどうですか。
  66. 原田明夫

    原田政府委員 お尋ねの点につきましては、最終的には具体的な証拠に基づきまして判断されるべき事柄でございますし、また、捜査の内容に直接かかわることでございますので、法務当局として答弁は差し控えさせていただきたいのでございますが、御指摘のとおり、桃源社の佐々木社長にかかわる種々の事件につきましては既に本格的な捜査が開始されたところでございます。  検察当局におきましては、当委員会、また、これまでの種々の国会におけるさまざまな観点からの御指摘、またマスコミにおける報道、これらは直ちにそれが証拠ということではございませんですけれども、そういうような点も、御指摘の点も踏まえつつ、警察当局また国税当局等の関係法執行機関と緊密な連携のもとに、鋭意所要の捜査を進めて事件の全容解明に努めるものと存じております。
  67. 坂上富男

    ○坂上委員 どうもありがとうございました。終わります。
  68. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて坂上富男君の質疑は終了いたしました。  次に、田中甲君。
  69. 田中甲

    田中(甲)委員 新党さきがけの田中甲です。  ただいまの坂上委員の何か引き続きの質問事項のように図らずもなりましたが、脱税をしながら巨額の資産隠しを図っていた末野興産の末野容疑者、また桃源社の佐々木容疑者が競売の妨害などを行っている容疑で逮捕された、住専の大口借り手の追及が本格化してきた感も今持たれているところであります。けさのニュースでは、NHKのニュースでありましたが、佐々木容疑者には不動産名義の分散による特別土地保有税の脱税の疑いも出てきているということのようであります。  住専処理に対する国民の理解を得るためにもこうした犯罪行為は徹底的に追及されなければなりませんし、一昨日総理が御発言になられているように、地の果てまでも追及されなければならないというふうに私も思っております。しかしながら、実際には、現在司法当局によって追及が行われているのは、依然として国税庁が税務調査に入った大口の借り手だけ、つまりこうしたものがまだまだ氷山の一角であるという思いも多くの国民が持っているところだと思います。  したがって、一刻も早く住専処理法を成立させて住専処理機構住専債権債務を移した上で、一つ一つの債務に対して専門家が綿密な精査をして、預金保険機構に付与する財産調査権を活用して、資産隠しや脱税あるいは競売の妨害などの悪質な実態、犯罪行為、そのすべてを国民の前に明らかにしていくことが極めて今重要だと思いますが、総理の御見解をお伺いしたいと思います。
  70. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今まで、本院の予算委員会を初め本委員会の御審議に際しましても、私どもは、政府としての住専処理策、すなわち住専処理機構と預金保険機構が一体となって強力な債権回収を行うということを繰り返して申し上げてまいりました。また、回収に際して違法な妨害行為があれば、捜査当局と緊密な連携をとり、積極的に告発するなど厳正な対処を行うということも申し上げてまいりました。同時に、こうした強力な回収を行うためにも一日も早く法案の成立をということを訴え続けてまいりました。  今議員が御指摘をされましたように、今後こうした努力を積み重ねていく中で、我々は国民の期待にこたえていかなければならないと心に誓っております。それだけに、一日も早く法律案の成立を願っておる、そうした毎日でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
  71. 田中甲

    田中(甲)委員 総理、どうもありがとうございました。  住専処理機構債権回収を進めていく上で、担保不動産の処分をどのように進めていくか、これが重要なことにこれからなってくると思います。そこで、担保不動産の処分方法について何点か大蔵大臣にお伺いをしたいと思います。  まず第一に、住専処理機構の担保不動産を時価で債権ごと共国債権買取機構に買い取らせてはどうだろうかという私の考えであります。もともとこの共国債権買取機構は、金融機関が不良債権処理のために共同出資で設立したものでありますから、共国債権買取機構債権の購入資金については、時価で取引される限り民間金融機関から融資を受けることは可能だと思います。民間金融機関に、いわゆる新たな寄与、この一環としても協力をある面では求めやすいのではないかと考えるからであります。  ただ、これには難点があると思いまして、昨年の秋には民都機構の方で改善がされたところでありますけれども債権の売り主が五年後に買い戻す特約を結ばなければいけないということになっておりますから、もし今お話しした民都機構のように、制度を改めて、第三者が買い取る形の売り切り制度というものを導入することができれば、利用者の幅が広がってくる、そのように考えてもおります。  住専処理機構が売り主の場合に限ってこのように売り切りの形を認めることができないだろうかということもあわせて、大蔵大臣にお伺いをしたいと思います。
  72. 西村吉正

    ○西村政府委員 御指摘の共国債権買取機構が不良債権に係る担保不動産を買い取ることにつきましては、基本的には買取機構が判断すべきことと考えますが、当局といたしましても、同社の株主である金融機関から具体的なスキーム等の相談を受けた場合には適切に対処してまいりたいと存じます。  ただ、問題は、現在共国債権買取機構についてもそのような御指摘があるわけですが、買取機構へ資産を移すということですべての問題が解決するわけではございません。そこから先、市場にどのように処分ができるかという最終的な段階の問題がむしろ私どもは頭の痛いところでございます。  そのような点に関しまして、ただいま委員の御指摘のような、その先の問題としていかような工夫ができるのか、そのようなことについても私ども今後真剣に検討してまいりたいと考えております。
  73. 田中甲

    田中(甲)委員 まさにその続きと申しますか、その不良債権を証券化するということをここで真剣に我が国でも考えていかなければならないのだろうと思っております。  と申しますのは、アメリカではSアンドL、貯蓄貸付組合の危機の際に発生した巨額の不良債権、これをRTCが証券化して、市場を通じ大量に売却して、短期間に債権の回収の実を上げることに成功をしております。  まさに日本でこうした例に倣いまして、更地などの開発可能な担保不動産については住専処理機構が、開発ノウハウを持った、例えば住都公団ですとかあるいは民間都市開発推進機構などの公的な開発推進機構、さらには建設あるいは不動産会社などの連携ということも深めまして、もちろん母体金融機関の協力も得なければいけないのですが、担保不動産を証券化して販売することもぜひ検討すべきではないかと考えますが、大蔵大臣いかがでしょうか。
  74. 西村吉正

    ○西村政府委員 証券化につきましては、実は私どもも数年前からそのような問題を研究、検討してまいったところでございます。  しかしながら、なかなか日本の現在の仕組み、これは単に制度の問題というよりも経済的な慣行の問題もございますけれども、実際にそのような証券化を推進するということは並大抵のことではないなというのが今までの実感でございます。  しかしながら、今回の住専問題、あるいはより広く不良債権問題を根本的に解決いたします上で、御提案の証券化ということにつきましては、私ども今まで以上にこの問題に取り組んでまいらなければならないと存じますし、その際には不動産会社方々の御意見も十分に伺う必要もございましょうし、また政府部内におきましても、建設省国土庁とも御相談すべきことが多々あろうかと考えております。
  75. 田中甲

    田中(甲)委員 そこで、大蔵省にはもう一歩不良債権の証券化をして実を上げるということに踏み込んでいただきたいというお話をさせていただきます。  不動産の証券化については、商品ファンドですとかあるいはファンドトラストということで、もう既に国内でも商品が出回っておりますけれども、ここには大きなネックがありまして、なかなかこれが伸びないという実態があります。それは、証券化の商品の販売に関して、不動産の譲渡益課税ですとか不動産取得税という税の負担ということがここにネックとなって出てきておりまして、実際に今私申し上げましたように余り進んではいないというのが状況であるように認識をしております。  つまり、こうした税制ということを見直すことが必要になってくるのだろうと思います。例えば一つ、課税を不動産扱いではなくて有価証券扱いとすること、あるいは土地の所有権の移転でなく利用権の売買と見て課税を軽減することなど、こういう対応ができるかと思うのですが、重ねて、不動産の証券化の奨励のためにこのような措置を検討すべきではないかと考えますが、大蔵大臣いかがでしょうか。
  76. 薄井信明

    ○薄井政府委員 不動産の証券化ということですと、特定の不動産あるいは不動産に係る貸付債権責任財産としまして、そこから得られる収益を見返りとした証券を発行する、そんなことが考えられるわけでございます。この不動産の証券化につきましては、信託だとかあるいは民法上の組合を用いるものなどいろいろな方式が考えられるわけですが、であれば、課税関係につきましてもそうした態様に応じて判断していかざるを得ないということであろうかと思います。  先ほど答弁がありましたが、現在、不良債権についての証券化ということはなされていないわけですが、不動産を含めての新たな証券化スキームというものに対してどういう課税を行うかということは、そういったスキームができてきて、その趣旨、内容がどういうものになるかということを見きわめた上、類似の商品との課税上のバランスを踏まえて適切に判断してまいるのが方向かと思います。  なお、商品ファンドに不動産が対象になっているのかどうか、そこは対象になっていないのではないかというふうに私は承知しております。
  77. 田中甲

    田中(甲)委員 ありがとうございます。  住専処理機構債権回収を円滑化するためにも、また、より広い意味で不良債権問題を解決に導いていくためにも、不良債権の担保不動産の流動化と有効利用ということを促進していく必要があると考えております。  したがって、不良債権の担保不動産の買い取り資金を確保するために、何らかの新たな基金の創設や低利融資などの形で関係金融機関にさらに寄与というものを求めてはどうか、こういうことも考えているのですが、今度は大蔵大臣いかがでしょうか。
  78. 久保亘

    ○久保国務大臣 母体行の追加負担、新たな寄与ということにつきましては、国会におきましても、党派を問わず皆様方の非常に厳しい御意見があったところでございます。また、政府といたしましても、母体行の高い公共性、社会的責任住専問題へのかかわりからくるその責任の重いことを申し上げて、新たな負担、寄与について、今後も母体行に対して積極的な協力を促すよう努力するということを申し上げてまいりました。  その具体的な方法については、まだ住専処理機構が法律として決まらない段階において、非常に難しい点もございます。しかし、今このことに対して政府との協議を始められるよう、私どもとしても、国会の審議もよく考えながら努力を始めているところでございます。  その具体的な方法としてどういうことがあるかということについて、今、田中さんの方からお話がございましたような考え方もございます。それから、いわゆる税負担という形で考えられる方法はないかということも意見がございます。また、既に機構として御提起申し上げております拠出基金等にさらに追加負担をするという方法は考えられないかという御意見等もございますが、これらの御意見は、追加負担による新たな寄与を求めるという立場からいろいろな方法が模索されているという段階でございまして、今私の方から具体的な方策を提案をしたという段階ではございませんが、今お話のございましたようなことも、考えられるいろいろな方策の中で検討をしてまいらなければならないことかと思っております。
  79. 田中甲

    田中(甲)委員 大臣、ありがとうございます。  私も、けさこの連絡を受けたのですが、与党の大蔵改革プロジェクトチームが昨日金融行政改革に関する素案をまとめたようであります。それによりますと、大蔵大臣の業務命令権や役員の罷免権の廃止などによる日銀の独立性の強化、二点目に日銀考査のあり方を法律で明記すること、三点目に国会に対する報告など責任の明確化、政策委員会の政策決定過程の透明化などを柱とする日銀法の改正案を次期通常国会に提出するということとなったようであります。  この素案は、来週与党プロジェクトチーム提案の後に各党内の手続に入るということになっているようでありますが、与党の了承を得た暁にはこれをぜひしっかりと推進していただきたいという願いを持っておりますが、大蔵大臣にその御決意のほどをお聞かせいただければ幸いであります。
  80. 久保亘

    ○久保国務大臣 日銀法の改正、日銀の独立性の確保等につきましては、今この新たな金融の時代にどのように対応すべきかということについて多く御意見があることを十分承知いたしております。  与党三党のプロジェクトチームでもこれらに関する考え方をおまとめになったということで、私もその報告をいただきました。十分に与党の御意見も伺いながら、また、国会の御審議も賜ることと思っておりますので、それらの御意見を十分お聞かせいただいた上で、大蔵省としてなすべきことについてきちっとやってまいりたいと考えております。
  81. 田中甲

    田中(甲)委員 そろそろ時間のようであります一が、最後質問とさせていただきます。  大蔵大臣、もう一つ重要なのは、金融行政の当事者である大蔵省改革ということだと思います。与党プロジェクトチームの素案の中で、秋口に構造改革の具体案を策定して大蔵省設置法の改正等を決定することとしているところでありますが、間違っても大蔵省の、表現が不適切かもしれませんが、焼け太りになってはならないということを申し上げておきたいと思います。  プロジェクトチームではこういう発言もありました。はしの上げ下げまで口を出すような教育ママの大蔵省を、うるさいことは言わないがいざというときにはがんと言う威厳のあるパパに変えようというのが今回の大蔵改革の趣旨だと与党プロジェクトチームの伊藤座長が言われておるのですが、それならば、私からのお願いであります、そしてこれはもう国民からの願いでありますが、なるほど大蔵省も身を削ったということがはっきりわかるような改革を進めていただきたい、これが重要だと思いますが、大蔵大臣の御決意を最後にお聞かせいただきたいと思います。
  82. 久保亘

    ○久保国務大臣 省内に新しい金融行政のあり方について検討するプロジェクトチームを四月の二日に発足をさせまして、今その検討も続けておりますが、このことについて私が最初に申しましたことは、今お話がございましたように、機構改革を恐れず、みずからを改革するという決意でやらなければ意味がないということを申してまいりました。  よく、改革大蔵省の焼け太りではないかというような御意見を耳にすることがあるのでありますが、私は、そういうことにはならない、それは改革ではない、こう思っております。ただ、どうしても必要な部分まで焼き払うようなことにはならないようにしなければいけないと思っております。
  83. 田中甲

    田中(甲)委員 ありがとうございました。
  84. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて田中甲君の質疑は終了いたしました。  次に、佐々木陸海君。
  85. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 けさの新聞各紙でも、それからこの委員会の先ほどからの論議でも、橋本俊作全国銀行協会連合会会長の二十八日の記者会見での発言の問題が少し論議をされておりますので、私もちょっとその問題について触れたいと思います。  直接的には公定歩合は日銀の専管事項かどうかというような話なんですが、しかし彼は、あの記者会見での発言を丁寧に読みますと、低金利政策をもっと続けてもらいたいという立場から、官房長官が公定歩合の問題についてあれこれ言うなという趣旨のことを一方で言っておりますし、それから追加負担なんというのはする気がないんだということもはっきり言っているわけですよ。つまり、もうけは確保するぞ、もうけは今までどおり、いや今まで以上にもっといただきますよ、しかし負担なんかしませんよ、端的に言うとそういうことを言っていると思うのですよ。  梶山官房長官はかなり激怒しておりまして、庶民の心がわからないということを言っておるわけですが、官房長官にお聞きしたいと思ったのですけれども記者会見で出られないということですから、総理もいろいろ発言しておられますし、先ほど総理も発言されましたが、官房長官に比べるとややクールな反応のようにも伺いましたけれども、やはり官房長官と同じようにこの橋本全銀協会長の発言に対しては憤りを持っているということでよろしいのでしょうか。
  86. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、その橋本全銀協会長がどのような発言をされたのか正確に存じているわけではございません。ですから、あくまでも報道された範囲内でということにとどまります。しかし、先ほど申し上げましたように、いささか恣意的な御発言という印象を持ったということは事実であります。  私は、公定歩合の決定が日本銀行の専管事項である、これは当然のことでありますし、そのことは存じているつもりでありますが、民主主義社会において、閣僚を含めほかの人間が意見を述べてはいけないということはないと思います。それぞれ意見はあるのですから、意見を述べてはならないということはないと思います。そして、官房長官は御自身の発言に対しての批判でありますから私とトーンの違いはありましょう。しかし、少なくとも報道されました発言を見る限りにおいて、いささか私には納得のいかない御発言であった、それはそのとおりであります。
  87. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 橋本全銀協会長は、その記者会見の中で、追加負担の問題については、四月の二十三日に就任のあいさつに前会長と一緒に大蔵省へ行ったときに、自発的な意思による新たな寄与、貢献という話はあった、そのときには名案はないと言ったという経過は大蔵大臣もこの予算委員会の場で発言をされており、また私も承知しておりますが、彼はさらに、それ以降、直接かつ具体的に追加負担の要請は受けていない、金融業界の方は押しなべて、自発的に追加負担の申し出をしようという空気は生まれていないということをはっきり言っているわけです。大蔵大臣、ちょっと感想を述べてください。
  88. 久保亘

    ○久保国務大臣 前橋本会長に対しても、私は、再度にわたって追加負担の問題について、国会の審議の模様もお伝えした上で、私から要請をいたしてございます。そして、二人一緒にあいさつに見えたのであります。そのときに、私が再びそこでも申し上げました。そのことに対して前会長が言われたことは、確かに体力はあります、しかし銀行も民間の株式会社でございますから、法的制約があって名案が浮かばないのです、しかし、大臣から再三にわたってお話がございましたことを新しい銀行協会の会長にも引き継ぎたいと思います。本人の目の前でそう言われたのです。それで、それに対して新しい会長は、そこにおられて、私はそのことを承知されたと思っております。  私は、銀行協会の立場や、それから現行法によるこの新たな負担に関する私どもの要請の限界というものも頭に置きながら、銀行協会が自発的に国会の全体的な要請にもこたえられるようにということを申しているのでありまして、これを直接私に対してではなく、記者会見等を通じて、ああいうものは拒否するというようなもし御発言があったとすれば、私としては、極めて不穏当な発言であると考えております。  そのことに対しては、もし事実であれば、私としては強く抗議をし、そして銀行協会としてのきちっとした立場をおとりになるよう促したいと思っております。
  89. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 大蔵大臣は、母体行の追加負担という問題については、二月二十八日の予算委員会で、母体行に三・五兆円の債権放棄以上の負担を求めることはやるべきことだと思っているというふうに決然と述べられまして、それからずっと問題になってきたわけです。私も、例えば四月の八日の委員会で、早く具体策をまとめて持ってきてください、示してくださいということまで言いました。  それに対して大蔵大臣は、この四月八日ですが、「今はこうして連日この委員会に拘束されておりますので、私も余り時間をたくさん持つことができません。」しかしその後、参議院も終わりまして、拘束も解かれているわけですけれども、新しい銀行協会会長に再度、早くそういうものをきちんと考えろということを申し出たことはないわけですね。
  90. 久保亘

    ○久保国務大臣 四月の二十三日に大臣室にそろって、専務も連れて見えたのでありますから、そのときに、私としては、大蔵省、大蔵大臣としての要請をきちっとお伝えしてあるつもりであります。
  91. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そこで、次の問題に進みますが、この橋本、名前が同じですが、橋本全銀協会長は、同じ記者会見の中でこういうふうに言っています。「政府処理スキームが組み立てられて、我々としては、当時、不満もあったわけですが、そういう不満を抑えて、民間金融機関として、法的に許される最大限の負担として、住専向け債権を放棄することによって責任を果たすということに加えて、金融安定化拠出基金への資金の拠出だとか、あるいは住専処理機構への低利融資を行うということによって、金融システムの安定に寄与していく。そういう考え方に立ったわけです。」「これ以上の負担というのは極めて難しいし、また、スキームの否定にもつながりかねないと言わざるを得ない、」彼はこう言っているんですよ。  ですから、先ほど問題になっておりますように、低金利をさらに続けてもっともうけさせてもらいたいとか、あるいは追加負担はやれないとか、二十三日に引き継がれたようなことは全然知らないような話も公然とする。本当に開き直っているわけです。開き直っているんですよね。そして、その開き直っているのに対して、梶山さんあるいは首相も大蔵大臣も、けしからぬ、抗議したい、極めて不穏当だと。大蔵大臣の発言でいえばそういう発言もあったわけですけれども、しかし、幾ら口をきわめて彼を批判してみたところで、スキームがあるわけですよ。そしてスキームを今この委員会で法律として通そうとしているわけです。そのスキームは、住専処理の穴のあいた六千八百五十億円は国民が出します、二次ロスが出た場合にも、その半分は国民が負担しますという法案として出されてきているわけです。  だから、このスキーム、この法案前提とする限りは、母体行が幾ら理不尽だとか、けしからぬとか、庶民の心を知らないものだとか言ってみたところで、この法案が成立してしまったら、彼らのその身勝手が法律的には通ってしまう、それ以上の負担をするような法的根拠が全くないことになってしまうわけでしょう。だから私は、きのうも言いましたように、政府処理スキームは主客転倒しているんじゃないかということを言わざるを得ないと思うんです。(発言する者あり)議論を急がないでください。  あの処理スキームというのは、主体は政府ですね、大蔵大臣。
  92. 久保亘

    ○久保国務大臣 これはもうこの委員会で一昨日来いろいろと御質疑もあり、お答えもしてまいりましたように、この住専債権債務を早期に解決しなければ非常に重大な事態になりかねない、このような立場からこの処理をどうするかということで関係者の協議を進めたのでありまして、その中で関係者との合意を得たスキームとなっているのでありますから、この問題を、もし今政府提案いたしております方策を認めないという御決定になりますならば、この合意はなくなるわけであります。そういたしますと、どのような方法をとればよいのか、そういう点について御意見を付して御質問いただければ、大変私どもの方も答弁がしやすいと思っております。
  93. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 その問題はもう少し後で論議するつもりでお聞きしたんです。あの処理スキーム、つまり合意の枠組みというものの主体は、母体行ではなくて政府ですね。そのことを聞いているんです。
  94. 久保亘

    ○久保国務大臣 法律にいたします主体は政府かもしれませんが、この法案を準備をいたします過程におきまして、住専問題の処理に関して協議をいたしました主体は当事者だと思っております。
  95. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 主体は当事者だ、それはそうでしょうけれども、しかし、話をまとめる主体は結局政府が引き受けたわけでしょう。まとまらなかったから政府が引き受けたわけでしょう。違いますか。
  96. 久保亘

    ○久保国務大臣 法的処理に任せることの是非等も含めていろいろ検討してまいります中で、当事者間でもし話がまとまればそれでいいのです。しかし、これはまとまる状況にないという判断に立って、これはもう数年来の問題でありますから、政府としても、当事者間の合意を得られる方策について当事者間の話を進めた、こういうことだと思います。
  97. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 なかなかお認めになりませんけれども、あれは、当事者がいろいろ話し合ったけれどもまとまらなかったから、最後政府がそれをまとめる主体の役割を引き受けてまとめたということなんですよ。だから、足らない分はしょうがないから政府負担しましょう、国民が負担しましょうということになっているわけですよ。  きのうも私、論議しましたけれども、これまでの直系ノンバンクの処理では、銀行局長きのういろいろ言いましたけれども、これまでの例では、要するに母体行が、直系ノンバンクの場合ですよ、お客さんみたいな顔をして、債権者みたいな顔をして、子会社のノンバンクの破綻の処理を、自分責任持ちませんよと投げ出して、公的資金なり、あるいは破産処理なり、好きにやってくれと言ったような例はないわけですよ。ないでしょう、銀行局長
  98. 西村吉正

    ○西村政府委員 御質問の御趣旨がよくわからないのですが、勝手にしてくれというふうに言ったという意味がちょっと私どもには理解できないのでございますけれども
  99. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 子会社であるノンバンクの破綻の処理に当たって、母体行が、それは母体行の体力の問題がありますから、母体行の負担の割合は最後はどうなるかという問題はいろいろありますよ。それはあることは承知しているんだけれども、しかし、母体行がその子会社の直系ノンバンクの処理に当たって、その処理の方策を決める上での主体的役割を放棄してしまって他にゆだねてしまったような例はない。母体行がそういう意味では最後まで、場合によっては自分の本店の建物や土地まで売り払って、責任を持ちながら、最終的に自分が持ち切れない分はほかに出してもらうにしても、最後まで責任を持ってやっているでしょうということを言っているのです。
  100. 西村吉正

    ○西村政府委員 それは当然のことでございまして、それは母体行であれ、母体行でなくても、株主……(佐々木(陸)委員母体行のことを聞いているのです」と呼ぶ)母体行というのは一般に言いまして出資者でございますから、その会社処理に当たりまして、株主、出資者がどのようにするかということを判断するのは当然のことでございます。  したがいまして、今おっしゃっておられます母体行も、出資者の一員としてその会社処理最後まで関心を持つというのは言うまでもないことであります。
  101. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 要するに、これまでの直系ノンバンクの処理において、親会社がそういう意味最後まで責任を持たなかった例はないですねと聞いているのです。
  102. 西村吉正

    ○西村政府委員 それは、直系ノンバンクであれ何であれ、株主が、あるいは出資者が、その会社処理について関心を持ち処理に当たるということは当然のことでございます。
  103. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 例外はないのですよ。はっきりしているみたいに当たり前のことなんですけれども。しかし、これまでの直系ノンバンクの処理では、みんなそういう形で、母体行が何らかの形で最後まで合意をまとめる責任を持ってやってきているのですよ。だから、直系ノンバンクの処理において、公的資金投入なんて例がないのはもちろんですし、破産処理に行ったものもないのですよ、直系ノンバンクの場合は。みんなそういうふうに責任を持ってきているのですから。最後まで合意形成に何らかの形で親会社母体行は責任を持ってきているわけですから。それがこれまでのルールだったんですよ。違いますか。
  104. 西村吉正

    ○西村政府委員 母体行がその処理について尽力をしてまいるというのは、私どもも当然のことだと思っておりますが、共産党のいつもの御主張のように、母体行がすべての負担をするという以外の処理がないということはございません。
  105. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 何か問題をすりかえているのですね。負担の額はそれはいろいろありますよ。通例は、子会社の場合に、直系ノンバンクが破綻したような場合に、その負債を母体行が全額負うというのが通例だったわけでしょう。しかし、そうでないのもありますよ。そうでないのもありますけれども、そうでない場合でも、母体行がその合意をまとめる、責任を放棄しないで最後までやるというのが今までの、例外がないでしょうと言っているのです。それは例外はないわけですよ。そうでしょう。もういいですよ。例外はないでしょう。
  106. 西村吉正

    ○西村政府委員 私、先ほどから申し上げておりますように、出資者といたしまして、とりわけ設立等に当たりました母体行がその会社処理につきまして関心を持ち、取り組むというのは当然のことであると申し上げておるわけで、今までも母体行はそういう問題を処理をしてまいったわけでございます。  ただ、その問題と共産党の御趣旨でございます責任の持ち方という問題とはおのずから別の問題でございますので、そこのところを私は先ほど申し上げたわけでございます。
  107. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 責任の持ち方というのは、負担の額の持ち方の割合の問題でしょう。処理策を何とかまとめるという点では、最後まで責任を持つという点では同じなんですよ。例外はないのですよ。大蔵大臣、これが今までの例なんですよ。きのうも言いましたように、そういう平地に波乱を起こそうとしているのが今度の住専処理のスキームであり、この法案なんですよ。  今までの例でいけば、母体行がともかく系統金融機関やあるいは一般行にも働きかけて、頭を下げるなりなんなりして、住専がこんなに大変だから協力してくださいと協力を依頼して、それは農協にもっと出してもらうのも、向こうが合意すればいいですよ、そして合意を図って、自分が合意形成の主体的な役割を果たして、そしてどうしてもほかの協力が得られないで足りない分が出れば、自分の本店の建物や土地を売り払ってでもその分は自分で穴埋めするというふうにまとめてきたのが今までの例だったのですよ。きのう銀行局長が言った関西三行のノンバンクの場合なんか、そういうことをやられているわけですよ。  だから、住専の場合でも、この今までのやり方をそのまま適用すれば、母体行がきちんと責任を持ってやらざるを得なくなる。だから、この法案を廃案にして、廃案にしてというのは政府の気に入らなければ、こんな法案をつくらないで、今までの例に従ってやればちゃんとできる。それをきちんと促進していくのが政府の任務だ、それが住専処理の我々の具体策なんだということを言っているわけです。御意見ありますか。
  108. 久保亘

    ○久保国務大臣 佐々木さんがおっしゃっております意味は、政府がこの住専問題の処理にかかわるな、こういう意味でしょうか。
  109. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 今はっきり言いましたように、母体行がそうやって責任を持って合意を取りまとめる、母体行が主体的に合意を取りまとめる、そういう母体行の行動を促す、その合意を促進するという点で政府責任を果たさなきゃいかぬということを言っているわけです。
  110. 久保亘

    ○久保国務大臣 最初に申し上げましたように、住専債権債務処理促進することにおいて、どのような方策をとるべきかということについての政府責任というのも、私は非常に政策判断の上で重いものが今日の事態に伴って存在していると思っております。そのことについての今の佐々木さんの御意見というのは、政府が考えましたこととの間には政策判断の上での違いがあるのではないだろうかと思っております。
  111. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 政策判断の問題じゃないと思うのです。私は、今までの銀行の直系ノンバンクの破綻処理は、みんな母体行が何らかの形で、全額自分負担するというのも含めてですけれども、必ずしもそればかりじゃないけれども、しかし破綻の処理の合意、スキームをまとめる責任はやはり母体行が最後まで果たして、そして投げ出すことなくそれなりの解決をしてきた、そのルールを住専にも適用しなさいということを言っているわけです。  住専の場合も、もう繰り返して言われてきているように、つくったのも母体行だし、暴走させたのも母体行だし、破綻の状態に至らしめたのも母体行だ。そして、設立以来の役員の五百二十二人中四百七十三人、八八・九%は母体行出身で、現在の総役員の百十四人中三分の一以上が母体行の現職役員だ。そして株式でも、多いところでは七、八割を母体行やあるいは母体行の子会社が持つという形で本当に人的にも資本の面でも完全に住専を支配しているわけですから、本当に直系ノンバンク以上に母体行の直系であるわけですから、そして体力もあるわけですから、だからこの母体行が本当に主体的に責任を担って、系統金融機関なり一般金融機関なりに働きかけて合意を形成して、その合意を実行するというふうにすれば解決する。つまり、今までどおりの世間一般でこれまでに行われてきたルールを、それは銀行の数が多くなりますけれども、しかしそのルールをきちんと守らせれば住専の問題も解決する。  それを守らないで、政府が乗り出して、合意できなかった部分は、それじゃしょうがないから税金で持ちましょうというふうにしてしまって、しかもそれを法案としてまとめて今つくろうとしているから、そうなれば母体行の方はますますのぼせ上がって、お客さんみたいな顔をして、あのスキーム、もともとおれたちは不満なんだけれども、追加負担なんていったって出せるわけがないと開き直っても、それに対して政府の方は、いろいろふんまんは述べられるにしても、母体行にそれ以上のことを詰めることができない。しかし、従来どおりのルールに従えば、母体行が最後まで、そうはいったって住専の破綻処理責任を持たなければならなくなる、そのことをやらせなさいというふうに言っているわけです。わかりませんか。
  112. 久保亘

    ○久保国務大臣 母体行に責任持ってやらせろと、こういうことをおっしゃっておりますのは、母体行による判断、母体行の判断に任せろということなんでしょうか。そうなれば、恐らく、住専の今日の状態からいたしますと、これは法的処理に付せられる以外に方法はないのだと思っております。このことに対しては、私が今まで伺ってまいりました限りでは、共産党の皆様方も、法的処理に付するということはおとりにならなかったのではないかと私は記憶をいたしております。
  113. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 法的処理というのは銀行側のおどしなのですよ。つまり、今の三・五兆円よりもっと少ない負担で済ませてしまおうということでしょう、法的処理になったら。しかし、先ほども確認しましたように、今までの直系ノンバンクの処理のすべての例において、そんな法的処理というのか破産処理なんというような方向に行った例はないのですよ。母体行がやはり最後まで何らかの形で関与して責任を持ってきている。だからさっき確認したのです。例外はないのですよ。  結局、政府処理案というのは、そういうこれまでのルールに母体行が従わない、数が多いとかなんとかという話がきのう出ましたけれども、従わないでごねている、そして、母体行としてその処理策をまとめる責任をとらない。でも、第一次と第二次の再建計画は、母体行がそれなりに責任をとってまとめたのですよ。農協系統にも全国を回って頭を下げたりしてまとめたのですよ、再建の場合は。再建の場合は一生懸命まとめるけれども、しかし、つぶしてしまうときには、もうもうけ口にはならないから責任持たないよといって、彼らは数を頼んで逃げているわけですよ。それを結局野放しにしてしまって、その身勝手を容認してしまったから、三・五兆円以上はもうできませんよと開き直って、追加負担なんか応じませんよと開き直っている。  その開き直りを合理化する法案を出してきてしまっているのはやはり間違いだ。やはりこの母体行の態度が公の民衆の心に反している、大衆の心に逆らっているというふうに本当にお思いになるのだったら、それをちゃんと母体行に果たさせるというのは、今の法案を出すことじゃなくて、今までどおりのそういうルールに沿ってやらせなさいということを私は繰り返し言っているわけです。  もちろん、今までの直系ノンバンクの処理も、強制ができたわけじゃないけれども、そういうふうにやられてきているのです。そして今や、この母体行の誤りというもの、母体行の本当にひどさというものも国民的にも明らかになってきているのだから、やはり国民の力もかりながらそういう方向母体行に迫っていくということが肝心だ、それが解決策なんだということを申し上げているわけです。  総理、いかがでしょう、最後に。
  114. 久保亘

    ○久保国務大臣 共産党の御主張としてはよくわかりました。  しかし、実際に、母体行に完全母体行主義でこの問題を始末をつけろということをおっしゃっても、そのことは、母体行が実際にどういう方法をおとりになるかということは別の問題だと私は思っております。強制できる手段はない。協議による合意によってここまで来たものを、さらに、実際に住専処理機構が活動を開始する段階にはもっと母体行に責任を持ってもらえるような負担お願いをしたいということで努力を続けているのでありまして、私といたしましては、今政府がとろうとしております方法が最善の方法ではなかろうかと考えております。
  115. 高鳥修

    高鳥委員長 時間が来ておるので、御協力をお願いします。
  116. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 最後に一言……
  117. 高鳥修

    高鳥委員長 いや、もう御協力をお願いします、時間が来ておりますので。
  118. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 じゃ、終わります。
  119. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて佐々木陸海君の質疑は終了いたしました。  次に、海江田万里君。
  120. 海江田万里

    ○海江田委員 今回の住専の問題の背景には、言うまでもなく、地価の急激な高騰とその後の急落があるわけですけれども、この地価の高騰の原因につきまして私なりにいろいろ研究をしてみますと、一つのレポートにやはり行き着きます。このレポートというのが、今写しがございますけれども、昭和六十年五月、一九八五年の五月に国土庁の大都市圏整備局がつくりました「首都改造計画」というレポートでございます。  いろいろなことが書いてございますけれども、この中に、今後の都内、これは二十三区部ですね、二十三区部のオフィスの床需要の見通しについて、東京都二十三区部においてだけでも昭和七十五年、昭和七十五年というのはちょうど西暦の二〇〇〇年ですけれども、二〇〇〇年までに約五千ヘクタール、五千ヘクタールというのは括弧をしまして「超高層ビル二百五十棟に相当」と書いてございますが、「昭和七十五年までに約五千ヘクタールの床需要が発生すると予測される。」というような記述があるわけでございます。  今回のこの地価の高騰というのは、田中角栄総理のときの列島改造論と違いまして、やはり都心部のオフィス用の土地から地価が高騰をし始めて、そしてそこの、ちょうど私の選挙区でございますけれども千代田区でありますとか港区でありますとか新宿区でありますとか、ここには昔ながらに住んでいた人たちがいた。ここに地上げ屋が入ってきて、そして本当に札びらで顔をたたいて、そして土地を買い上げをしていった。  しかも、そのときは土地の買いかえ税制がございましたから、とにかく売った値段と同額あるいは一円でも高い値段でまた新しく土地を買えばその譲渡益には一円も税金がかからないという制度があって、そして都心部のオフィス用の地価の高騰が始まって、そこからだんだんそれが周辺部に移っていったという経緯があるわけでございますけれども、この時期、特に、これはまだ一九八五年の五月ですから、中曽根第二次内閣で竹下さんが大蔵大臣をやっていて、そして竹下さんが、プラザ合意で、九月の二十二日ですか飛んでいく四カ月前ですね。  この四カ月前にこういうレポートが出たというのは、一体どういうような根拠で二〇〇〇年に約五千ヘクタール、超高層ビル二百五十棟もの床需要が出てくるということを記述をしたのか、予測をしたのかということをお尋ねしたいと思います。これは国土庁事務方で結構でございます。
  121. 五十嵐健之

    ○五十嵐(健)政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、昭和六十年の五月に首都改造計画が策定されたところでございますが、当時深刻化がいよいよ進んでまいりました大都市圏あるいは大都市問題に対応するということから、まず、今後の十九年間になるわけでありますが、その間にどれだけのビル需要が都心に発生するかということを推計いたしまして、これを周辺に、つまり業務核都市という概念を立てまして、多核多圏域型の連合都市圏を構成する、それによって需要を誘導していく、そういう構想を打ち立てたわけであります。そのための基礎データとして発表されたものでございます。
  122. 海江田万里

    ○海江田委員 私がお尋ねしたいのは、基礎データの根拠、何でそんなに床需要が必要になるのかということを、この当時は景気もそれほど過熱をしておりませんでしたし、何か根拠になる理由があるのかということをお聞かせいただきたいのですが。
  123. 五十嵐健之

    ○五十嵐(健)政府委員 首都改造計画の需要予測は、当時最新のデータでありました昭和五十六年の事業所統計等がございまして、これらをもとに、十九年間、当時でいきますと昭和になります、昭和七十五年までのオフィス需要を予測したということであります。  背景としては、昭和五十年代を通じまして、大変に空室率が低いというようなことがありました。それからもう一つは、OA化がいよいよ本格化するというようなことがあった。そして、全体的にサービス化がこれから進むであろうというような点が加味されたと承知しております。
  124. 海江田万里

    ○海江田委員 総理、もうすぐお出かけになるということでございますけれども、これは、その一九八五年の五月に立てた予測でございますけれども、この予測が大幅に外れているということは、これはもうまごうことなき事実でございますね。それから、先ほどもるるお話をしましたけれども、都心部の地上げというものに対してやはりこのレポートが非常に大きな役割を果たしたということも、これまたまごうことなき事実なんですね。  そうなりますと、役所がそういう大胆な予測をして、しかもその予測が外れたときの責任というんですか、これは全くないものなんでしょうか。それとも、やはりそれなりにまじめに考えなきゃいけないものなんでしょうか。いかがでしょうか。
  125. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 これは、私大変難しい話だと思うんです。逆に、そういう問題で責任を問われるとなりましたときに、ある意味では、大きな理想を掲げて青写真を描く人間が出てくるだろうかという問題もあります。  そして、私は、これは今の例とは違いますけれども行政というのはそのときそのとき最善は尽くしている、しかし結果として、例えば今回のバブルを振り返りましたとき、どこかでやはり政策の誤りがあったということは認めなきゃならないということを申し上げてまいりました。ただ、同時に人はかわっております。そうすると、既に去った人間に責任が問えるかといった問題も生じます。そして、その後そのポストについた人間に既往の先輩たちの見通しの誤りの責任を問うことは可能なのかということもあります。  私は、全く責任がないと言い切るつもりはありません。しかし同時に、ある程度、私はやはり、そうしたリスクはありましても、将来に夢を持つ青写真を描く能力、そしてそれを実行に移していく能力、これは双方ともに必要なものではなかろうかと思います。
  126. 海江田万里

    ○海江田委員 確かにおっしゃるように、これは大変難しい問題でございまして、これは私自身も、経済の見通しにつきまして、まだ議員でなかったころ、幾つか間違えた点もございます。  それは大変反省をしておるところでありますけれども、例えば金融政策でも、日銀が間違いがあったというようなことは述べているわけですね。土地政策についても、橋本総理の口からやはり土地政策について間違いがあったというような発言もあったように私は理解をしておるんですけれども、この際ですから、一九八五年ぐらいからの政府がとりました諸施策一つ一つについて、どこがどう間違って、そして結果的にこういう結論になったんだということを何らかの形で、少し大胆にといいますか、やる必要があるのではないだろうか。個別ばらばらに、日銀総裁が金利政策で若干間違えた、それから金融政策でもって大蔵省が間違えたというようなことを個別ばらばらに言っているのじゃなくて、少し全体的にこの間の問題点について洗い直しをしてみる必要があるんじゃないだろうか。  それこそ総理の何か機関でもよろしゅうございますけれども総理が全体を掌握をして、そしてそういう全部の問題についてうみを出してみるというような必要は感じませんか。
  127. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、土地に限定しては必ずしも考えておりませんでした。土地というものに限定してはです。  ただ、いずれにいたしましても、プラザ合意の前から今日までのプロセスというものは、どこかで一度分析をする必要はあるとは思っております。同時に、その分析をする時間も事態は動いているわけでありますから、私はやはり、まず景気を安定させること、回復軌道に乗せること、あるいは、現在御審議をいただいております金融機関の抱える不良資産処理に対し、我々はそれを突破口と住専の問題をとらえておりますけれども、本院の御議論の中には氷山の一角というとらえ方をされる方もあります。私は、言い方の違いであって、どこから手をつけるかということだと思いますけれども、そうした問題をまずやはり片づけていきたい。  同時に、どの時点からがいいのかはわかりません。しかし、少なくともここしばらくの間の総合的な反省というものはする場が必要だ、そのようには考えております。
  128. 海江田万里

    ○海江田委員 総理はこの後御用事があるようですから、どうぞお引き取りいただいて結構でございます。  残された時間、少してございますけれども、銀行の三月期決算が出ましたので、その問題について一言質問をさせていただきたいと思います。  この委員会でも議論をされましたけれども、都市銀行十一行、今は十行になっていますけれども、低金利によって業務純益が大変たくさん出たということであります。業務純益といいますと、一般には、金利が低くなって、貸し出しの金利はそんなに下げていませんから、要するに利ざやが入ったということで、それによって、預金をして利息で生活をしている高齢者の方ですとか、いわゆる弱者の方たちが大変打撃をこうむっておる。これはもちろんそのとおりでございますけれども、ただ、今回の決算の特徴というのは、実は九月の中間決算の場合もそうだったわけですけれども、この業務純益の中身が、いわゆる利ざやだけじゃありませんで、国債を中心にしました債券の売買益というのが非常に大きいわけですね。  債券の売買益というのは、要するにこれは、例えば悪いですけれども、丁半ばくちのようなもので、金利が下がるということがわかっておれば、債券の売買益というのは簡単に、いわゆる丁半で丁しかないのと同じわけですから、これは非常に簡単にもうかるわけですね。ところが、今度は金利が反転をして上昇をしていきますと、債券の売買益で業務純益を膨らますというのは非常に難しくなってくるわけですね。  事実、これまでも、金利が動いていく中で、それこそ都市銀行の大手もかなり債券の、売買益でなしに売買損が出て大変利益をへこませたというような例もあって、私は、この債券の売買益に頼って業務純益を出すというのは、銀行の経営の健全化ということからいうと大変好ましくないことではないだろうかというふうな考えを持っておるんですが、これは大臣あるいは銀行局長でもよろしゅうございますが、こんなような決算をいつまでも続けていていいのかどうなのか。私は大変危険だと思うんですけれども、そういう認識がおありかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  129. 西村吉正

    ○西村政府委員 御指摘のとおりの要因、すなわち、債券関係の利益が増加した、すなわち金利が低下をしておりますから債券の価格が上昇しております、したがって売買益が生ずる、それが今回の業務純益の増加した主な原因であるというのは、御指摘のとおりでございます。  ただこれは、それが適当かどうかということよりも、決算をした結果そういう結果になりましたということでございますので、恐らく、金利が上昇してまいりますと逆の傾向が出てまいることも御指摘のとおりかと存じますけれども、それも決算をした結果そういうふうになるということを覚悟をしておかなければいけないであろう、こういうふうに理解をいたしております。
  130. 海江田万里

    ○海江田委員 一言だけ。  好ましいことなんですか、余り好ましくないことなんですか、今回のような決算は。
  131. 西村吉正

    ○西村政府委員 好ましいか好ましくないかというよりも、実態を正確に決算に反映させますと、今回のような決算結果になりますということかと存じます。
  132. 海江田万里

    ○海江田委員 わかりました。ありがとうございました。
  133. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて海江田万里君の質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時四十分散会