○梶山国務大臣 まずもって、
住専処理や金融健全化のために、国会、
政府、与野党、そしてこの関連する金融界、また
農協系統の
金融機関、幅広い国民の皆さん方の大変熱心な御
議論のさなかに、私、官
房長官としてのもちろん記者会見でありますから発言でございますが、この問題で若干でもこういう問題にそごを来すことがあれば大変申しわけないという
思いがいたします。しかし、私は決して、私人としての
思いというよりも現在置かれている
立場を実は申し上げたことでございまして、幾ばくか、この新聞の論調には若干強弱をつけてある点もありますので、弁明もひっくるめまして、真実を申し上げたいと
思います。
この
きっかけになったのは、先週の五月二十四日の夕刻の記者会見。きょうの新聞を見ますと、
金融機関、史上最高の業務純益を出しているという報道がございます。八兆四千億、うち都銀十一行で三兆五千億、大変な業務純益が出ております。今までの不良
債権のいわば償却がこれで格段に進むと思っておりますから、それぞれ銀行の間にばらつきはあるものの、総体として金融界の体質の強化につながっていくであろう。
こういうことを申し上げましたときに、
質問がございまして、感想をということであったので、純益が拡大をしていることは原則として歓迎すべきこと、日本経済が低迷をし、金融
業界も不良資産を山ほど抱えているという現況から見れば、低金利政策をとっていることは御承知のとおり、世界で一番低い公定歩合であります。預金者の金利がこういうものに抑え込まれているという
現実もある。業務純益が出ておりますが、不良資産の償却その他で赤字になっている。預金者の金利というか、短絡的に考えるわけにはまいりませんが、これから先もそういうことが言えるのかどうなのか。青空天井に大規模な預金者も保護するということではなくても、最小限度、福祉的なものを取り上げる可能性というか、そういうことが可能な状態に近づきつつあるのではないかという私自身の判断を申し上げました。
そして、日曜日のNHKの討論でも
質問があったので、やはり日本の産業を活発にするために低金利政策をとらざるを得ない、景気を引っ張っていくためでありますから一気に高金利政策に転換することはできない、そういうことになればこの間の矛盾が全部噴き出してしまう、そういうことはできるはずがない。しかし、幾ばくかの条件をつけて、高齢者であるとか、あるいは身体障害者であるとか、金額的に幾らにするとか、もろもろの制約をつけながら、今日の低金利政策のために、預金者の目減り、なかんずく年金その他の生活者に大変な苦痛を与えている、こういうものに若干の配慮ができないものかどうか。
これは
与党間のいわば政策調整
会議でも確認をされていることでございまして、それを受けて幾つかのそういう金融商品が生まれていることも承知をいたしております。その拡大を念頭に置いて、私は具体的には申し上げませんでしたけれ
ども、その二つの発言がありました。
それを受けて、これも正確であるかどうかわかりませんが、銀行協会の橋本
会長が、金融政策は日銀の専管事項、日銀以外の人がどうこうしろと言うべきではないと先週の梶山官
房長官の利上げ要求の発言を批判した、そして、預金者の保護も考えねばならないと暗に公定歩合の引き上げを求めたというふうに、彼は錯覚をしたのかどうかわかりませんが、そういうことが書いてありまして、外圧がかかればかかるほど日銀の独立性を求める声は強くなると牽制した云々というのは、ある新聞に出ましたから、この新聞が私は全面的に正しいか正しくないかはわかりません。二、三紙にこういう橋本全銀協
会長の発言が、私を批判したということで載っております。
私はそれを受けて昨日、全国銀行協会連合
会長の橋本
会長・さくら銀行頭取の発言がありました、何か誤解をされているのではないかと思うのですが、金融政策は日銀の専管事項、日銀以外の者がどうしろと言うことではない、これは先週の梶山官
房長官の利上げの要求を批判したと、こう出ているけれ
ども、真相を知って言われたのかどうなのか。彼も銀行協会の
会長としての発言でありますから。
政府にはちゃんと広報室があって、私の速記はうそ偽りなく全部とられているのです。きょうも慌ててとって持ってきたのです。
ですから、私は、そこでは若干今度はオーバーランをしたと言うつもりはありません、心の中に思っていることですが、今日の金融、このたくさんの不良
債権というのは、もちろんバブルの崩壊にもよりましょうけれ
ども、本来、銀行の
経営者たる者がこんなに大がかりな不良資産を、四十兆、五十兆と言われるようなものをつくった。これは恐らく総体の預金量の七、八%に最高ではなっているはずです。いや、隠れたものを見れば一〇%にもなるということは、これは銀行の放漫な貸し付け政策にあったはずだ。
事実、先を見れば、私たちの友達、知り合いは、たくさん銀行から金を借りろ借りろとやられて、
土地を買わされ、工場の拡大をし、そしてそのあげくの果てに大変苦しんでいる。しかも、借り手が悪いというよりも、借り手は大半善良なんです、本当のところを言いますと。一部の人がごまかしたりなんかしているから、この借り手の
責任はもちろん追及されなければなりませんが、総体的に貸したのは銀行であります。
そういう、私は腹に据えかねるというか、しかし、これだけ苦労をしてそのしりぬぐいをやらなければならない今の
方々は大変だな、そういう同情もありますから、せめてこの金融健全化が終わるまではそういうことは申し上げまいと思ったのですが、協
会長みずからこうやって反論をされれば申し上げざるを得なくて、後日、この文書は正確なものでありますから出しましたし、私は一時のは興奮かと思って、きのうは園遊会に参りまして、心を澄まして帰ってきても、五時間たっても、興奮ではなくて公の憤り、これはおさまらない、そういう
思いで、もう一回その記者会見にこのことを出しました。
そういうことでございますので、大変、若げの至りといったって、七十を過ぎているのですから若げの至りじゃありません。私は真実を申し上げているつもりでありますが、こういう態度が見られていいのかどうなのか。もちろん私は誤解に基づく発言だろうとは
思いますが、この心の底には
思い上がりがある、庶民の気持ちを
一つも知らないという、そういう
思いがありましたので申し上げたことで、言葉に関する
責任は私が負います。