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1996-05-29 第136回国会 衆議院 金融問題等に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月二十九日(水曜日)     午前九時開議 出席委員   委員長 高鳥  修君    理事 小里 貞利君 理事 尾身 幸次君    理事 大島 理森君 理事 小沢 辰男君    理事 松田 岩夫君 理事 森本 晃司君    理事 早川  勝君 理事 錦織  淳君       伊吹 文明君    石橋 一弥君       柿澤 弘治君    金子 一義君       岸田 文雄君    栗原 博久君       中村正三郎君    野呂田芳成君       原田昇左右君    穂積 良行君       堀之内久男君    松永  光君       横内 正明君    安倍 基雄君       愛野興一郎君    江田 五月君       加藤 六月君    鹿野 道彦君       北側 一雄君    笹川  堯君       鮫島 宗明君    野田  毅君       平田 米男君    村井  仁君       山岡 賢次君    坂上 富男君       田中 昭一君    永井 哲男君       細谷 治通君    田中  甲君       佐々木陸海君    吉井 英勝君       楢崎弥之助君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         法 務 大 臣 長尾 立子君         外 務 大 臣 池田 行彦君         大 蔵 大 臣 久保  亘君         文 部 大 臣 奥田 幹生君         厚 生 大 臣 菅  直人君         農林水産大臣  大原 一三君         通商産業大臣  塚原 俊平君         運 輸 大 臣 亀井 善之君         郵 政 大 臣 日野 市朗君         労 働 大 臣 永井 孝信君         建 設 大 臣 中尾 栄一君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     倉田 寛之君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)梶山 静六君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 中西 績介君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      岡部 三郎君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 臼井日出男君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      田中 秀征君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      中川 秀直君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 岩垂寿喜男君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 鈴木 和美君  出席政府委員         内閣法制局長官 大森 政輔君         警察庁生活安全         局長      泉  幸伸君         警察庁刑事局長 野田  健君         警察庁警備局長 杉田 和博君         総務庁人事局長 池ノ内祐司君         防衛庁参事官  別府 信宏君         防衛施設庁総務         部長      大野 琢也君         防衛施設庁労務         部長      早矢仕哲夫君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         法務省刑事局長 原田 明夫君         公安調査庁長官 杉原 弘泰君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省欧亜局長 浦部 和好君         外務省条約局長 林   暘君         大蔵大臣官房長 涌井 洋治君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君         国税庁次長   若林 勝三君         文部大臣官房総         務審議官    辻村 哲夫君         農林水産大臣官         房長      高木 勇樹君         農林水産省経済         局長      堤  英隆君         通商産業大臣官         房長      中川 勝弘君         労働大臣官房長 渡邊  信君         建設大臣官房長 伴   襄君         自治大臣官房総         務審議官    湊  和夫君         自治省行政局選         挙部長     谷合 靖夫君         自治省税務局長 佐野 徹治君  委員外出席者         議     員 保岡 興治君         議     員 永井 哲男君         参  考  人         (日本銀行総裁松下 康雄君         金融問題等に関         する特別委員会         調査室長    藤井 保憲君     ————————————— 委員の異動 五月二十九日  辞任         補欠選任   北側 一雄君     山岡 賢次君   吉井 英勝君     佐々木陸海君   海江田万里君     楢崎弥之助君 同日  辞任         補欠選任   山岡 賢次君     北側 一雄君   佐々木陸海君     吉井 英勝君   楢崎弥之助君     海江田万里君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  特定住宅金融専門会社債権債務処理促進  等に関する特別措置法案内閣提出第三五号)  金融機関等経営健全性確保のための関係法  律の整備に関する法律案内閣提出第九四号)  金融機関更生手続特例等に関する法律案  (内閣提出第九五号)  預金保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第九六号)  農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する  法律案内閣提出第九七号)  特定住宅金融専門会社が有する債権時効の停  止等に関する特別措置法案保岡興治君外五名  提出衆法第三号)      ————◇—————
  2. 高鳥修

    高鳥委員長 これより会議を開きます。  内閣提出特定住宅金融専門会社債権債務処理促進等に関する特別措置法案金融機関等経営健全性確保のための関係法律整備に関する法律案金融機関更生手続特例等に関する法律案預金保険法の一部を改正する法律案農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案及び保岡興治君外五名提出特定住宅金融専門会社が有する債権時効停止等に関する特別措置法案の各案を一括して議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  各案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁松下康雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高鳥修

    高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 高鳥修

    高鳥委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤六月君。
  5. 加藤六月

    加藤(六)委員 まず一番に、お願いしておいたのでありますが、四月十一日の本院において予算を本会議に上程するに際しまして、与野党四党の合意事項がありました。その三項目総理大蔵大臣にお渡ししておくようにと事務当局にお願いしておきましたが、お持ちいただきましたか。  総理、この合意項目があるというのを御存じでございますね。
  6. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 存じております。
  7. 加藤六月

    加藤(六)委員 そこで、合意項目の第一項、「予算書総則に第一六条を追加し「緊急金融安定化資金の六千八百五十億円については、制度整備した上で措置する」旨規定する。」こう書いてある。そしてこのとおりに総則十六条が書きかえられたということは、大蔵大臣御存じですか。
  8. 久保亘

    久保国務大臣 よく存じております。  そして、この合意事項第一項に基づいて修正が行われたと承知いたしております。
  9. 加藤六月

    加藤(六)委員 すなわち、予算書総則に第十六条を加えたわけです、今申し上げた第一項の文句を。だから、したがって修正したわけであります。  このことが案外軽く考えられておるようでございますが、我々にとりましては、四十一年ぶりに本格的に予算修正せられた。そして多くの政治評論家やあるいは学者の中には国会予算修正する能力ができたという評価等もあるわけでございます。これについてはいろいろな考え方はありますが、今までの五五体制下予算のいろいろの問題と新進党という国会内百七十名の野党ができたということでの違いというものも改めていろいろ議論されておるようでございます。  そして、評価していただいた方々はいろいろおっしゃっていただいております。例えば、座り込みを排除しようと思えば十分間で排除できたんだがなぜ排除しなかったのか、それは、住専七社は預金者が一人もいない会社であって、国民血税を六千八百五十億円、国民一人当たり五千五百円つぎ込むような、反国民的、経済原則を踏みにじったやみ取引、密室談合に対する国民の爆発を恐れたからようやらなかったんだろうと言ってくださる方々がおられるわけであります。  その問題はさておきまして、税金使い道というのが、これほど国会で熱心に議論し、そして幅広く国民各界各層の間で、税金使い道そのものについての広い議論があったということは、私は国会の機能というものが、国会民主主義というものが幅広く行き渡ってきたものとして評価いたしておるところでございますが、問題は、この次の項以降において若干お聞きしておきます。  その二項、「現行の金融税制財政制度及び経済構造全般にわたる改革を行い、併せて金融機関等の諸問題について協議し処理するための特別委員会を設置する。」すなわち、この特別委員会が設置せられ、今日こうやって私たちが質問をさせていただいておるということであります。  したがいまして、ここは、金融税制財政制度経済構造全般にわたる改革、そして金融機関の諸問題について協議し処理する特別委員会である。これはある面でいうと、一項の「制度整備した上で措置する」というものと重なっておるわけであります。  そして忘れてはならないのは、この三項目めであります。「証人喚問問題については、真摯に対応することを確認し、特別委員会において取り扱うものとする。」と、はっきり四党合意でできておる。この三項目合意を踏まえて、我が党は四月十一日の衆議院会議場に入った。したがって、この三項目を誠実に真摯にやっていかなくてはならない。  残念なのは、三番目のこの証人喚問問題が一番あやふやになり、わけのわからぬことになる、そしてうやむやのうちに何とかしたいという気持ちがある。  なぜ私たちがこの証人喚問問題を強く要求したかというのは、もう予算委員会であれほど長い時間をかけ、何十人の我が党委員が次から次へ立ち上がって、加藤紘一自民党幹事長証人喚問は必要であるということをいろいろ申し上げた。  それは、あの予算委員会最大の問題になったのは、六千八百五十億円の住専処理問題であった。大蔵大臣、間違いございませんね。ほかにもいろいろ議論はしましたが、六千八百五十億円の血税を投入しておるという問題が一番たくさん議論になった。どうでございますか。
  10. 久保亘

    久保国務大臣 この合意事項について、六千八百五十億円の問題でのお話でございますが、修正をいたしましたのは、与党三党によって修正が行われました。この合意は、与野党四党の提案、賛成ということにはならなかったと思っております。  したがいまして、この第一項に基づく修正解釈は、与党提案者代表による趣旨説明によって明らかにされております。それは、「本修正案は、住専不良債権処理財政資金を投入するという今回の処理策重要性と、これに対する国民の十分な理解納得を得るべく」修正を行うものである、このような提案理由説明が行われておりますから、この修正はこの趣旨に基づいて行われたものと解釈いたしております。
  11. 加藤六月

    加藤(六)委員 大蔵大臣がその理論でいましたら、この委員会は要りませんね。一項目のそういう解釈大蔵大臣がされておるなら、一項目に従ってつくった二項目のこの金融問題特別委員会は要らなくなる、あなたの論理でいうとですよ。  三党でやった。そうじゃないでしょう。我々がいろいろなことをやってやってやり抜いて、あなた方がもうほとほと困って、こうこうですからと言ってやったからやったんでしょう。何もないのに自発的にやったのではない。  そのことはおきまして、今の一項目め解釈でいったら、あなたの解釈を敷衍して言ったら、この特別委員会は要りませんよ。つくることになりませんよ。合意したからじゃないですか。何か間違うておるのじゃないですか。そのことはいいとして、特に、それに従ってやったなら、それなら皆さん方解釈は、この特別委員会も要らない、よって証人喚問なんて言ったのはうそだ、やる必要はないんだ、こうなるのですか。
  12. 久保亘

    久保国務大臣 これは党間で協議され、国会でお決めになったことでありますから、その経過に基づいて私は申し上げただけでありまして、私の意見を申し上げたつもりはございません。客観的に事実に基づいての判断を申し上げたつもりでございます。
  13. 加藤六月

    加藤(六)委員 私が今言おうとしたのは、予算委員会で最も多く問題になったのは、住専に六千八百五十億を入れる、いいことか悪いことか、こういう議論が随分あった。その過程で、その住専から金を借りて倒産した会社がある。その会社から今回のこのスキームをつくった与党幹事長政治献金をもらっておった。ところが、もらっていないと言った。過去三回、本院で言っておる。  ところが、後援会会長が、そうではない、もらって私が預かっておって、それなら、そうまで言われるなら一千万円法務局へ供託してから対決しましょう。こういうことになってきたから、住専問題の解決、税金を投入するシステムについて、これは最も重要なことが起こっておるのだから、加藤紘一さんをお願いして証人に出てもらおうではないかと。  これが、国民皆さんに六千八百五十億円という血税住専に投入するための、納得理解か知りませんが、してもらう第一歩、始まりじゃないかということで、我が党が強くお願いし、そして三項目が実現して、予算衆議院会議で通して参議院へ送った。我々はこう解釈しておるのです。  だから、四月十一日に我が党は声明を出しました。それは随分長くなりますから改めて読みませんが、「平成八年度予算衆議院通過に当たって 新進党」として四月十一日に出したわけであります。その中には一項目、二項目、三項目といろいろ書いておりますが、今の三項目を前提とした、党としてのそれらを踏まえた声明を出しておるということをこの席で改めて申し上げておきたいと思います。  この問題ばかりに時間をとってはどうかと思うのですけれども、もう一度確認しておきます。  この三項目お互い政党間の合意であるということになりますと、院を構成しておるのは各党であり、そしてまた議院内閣制でありますから、政党の上に内閣はできておるわけでありますから、各党間の合意というものを尊重して国会運営が行われていかなくてはならないと思います。特に総理自民党総裁でいらっしゃいますからそこら辺の指導力という点は、後からいろいろ出していきますが、よろしくお願いいたしたい、こう思うわけであります。  次に、議題を変えて、不良債権問題について二、三お伺いいたしたいと思います。  政府国会提出していただいた資料、いろいろあって、きょうは持ってこなかったのですが、次々膨大になるのでありますが、不良債権に対する、いただいた資料だけでも平成七年九月期の場合は、不良債権は全金融機関について三十八兆円ある。それから、党が要求して今週の月曜日の夕方三時ごろ届けていただいた資料によりますと、これは平成八年三月期、速報ということになっておりますが、三十四兆七千億円不良債権があるという数字があります。この不良債権の中身は後で時間があったら伺いたいのですが、ただ私たちが釈然としない問題がある。  それは何かというと、米国議会調査局は「日本銀行危機、原因と影響」というレポートの中で、百四十兆円不良債権があると報告しておる。同じくアメリカベリバンク金融機関調査会社が約百四十一兆円あると発表しておりますね。それから、英国格付機関でありますIBCAでは六十兆円ある。スイスUBS証券では七十五兆円ある。それから、同じく米国ゴールドマンサックス証券は大手三業態だけで五十兆円の不良債権がある、こう報告されております。  今は国際化時代ですから、情報は一日でぱあっと飛び交うのです。政府の発表しておるものは一〇〇%我々は信頼したいし、さりとてジャパンプレミアムというものまで横行しておるから、諸外国のこういう機関や、ましてや米国議会がこういう数字を発表しておる、一体どういうことだろうか、こう思うわけであります。もう文句はないのだ、政府の発表した数字を信じろ、こう大蔵大臣おっしゃいますか、どうですか。
  14. 久保亘

    久保国務大臣 不良債権の算定をいたします場合の基準とり方が違っている面があると思います。特に金利減免債の場合にそのとり方が違うと思いますが、詳細は政府委員の方から御答弁を申し上げます。
  15. 西村吉正

    西村政府委員 私ども先週末に今三月期の不良債権額を発表いたします際にも、外国報道機関方々にもその積算の根拠等も含めて御説明申し上げたところでございます。私どもは私どもなりの定義に沿って金融機関の報告に基づいて集計しております。  なお、先ほど御指摘の例えばベリバンク社というアメリカ金融専門調査機関が発表しておりますものでも、先ほど御指摘ございましたように最大推計で百四十一兆円、最小推計で十八兆円というような非常に大きな幅を持った推計をしておられます。最小推計に比べると私どもの発表したものの方がかなり大きい額になっておるというようなこともございますし、また例えば三菱銀行SEC基準アメリカ公表をしております不良債権公表額と我が国で公表いたしましたものとを比べてみますと、十分に説明のつき得るような数字となっております。  このようなことから考えましても、我々の発表しております数字は、日本において定義づけられている不良債権というものに基づきますならば十分御信頼いただけるものと考えております。
  16. 加藤六月

    加藤(六)委員 そこで、お伺いしたいのです。これは大臣がよろしいのか、銀行局長がよろしいのか、あるいはどこが……。  こういう数字が世界に流布せられておる。いろいろ飛んでおるわけですね。そうすると、よく与党委員ジャパンプレミアムあるいは金融システム安定のために住専を早く通せとかいろいろなことを言われますが、私は逆に、こういう数字が飛び交っておる、日本政府はどういうことをしたか。  例えばよく言われておるように、これは大変だよ、日本金融はそんなにシステムが不安になっておるのか、あるいは日本金融機関はそんなに不良債権を抱えておるのか。いろいろな要素があるでしょう、政治的要素は言いませんが。それで、結局ジャパンプレミアムが起こったり、いろいろな問題が起こる。そうしたら、あんたの国の百四十兆というのは数字根拠が違うんじゃありませんかと抗議をしたり、あるいはあんたの会社のこうこういうのは日本会社基準ではこうこうです、訂正してくださいとか言うような努力は、何か一体したのかしないのか。しておるのなら、具体的に説明していただきたい。  念のために、大蔵省アタッシェは、今私が申し上げましたアメリカスイスあるいはイギリス等に何人出ておるのですか。そして、ついでにお伺いしますが、この出ておるアタッシェに対して、こういう会社にアプローチして、こういうところは間違うて発表されておるからよく相談しろ、議論しろ、根拠をお伺いしろ、直してもらえというような訓令か指示を出しておるか出していないか、お聞かせください。
  17. 西村吉正

    西村政府委員 まず第一に、日本不良債権の現状といわゆるディスクロージャーの問題でございますが、私ども、最近この問題については努力を重ねておりますものの、しかし、従来必ずしも十分とは言えない面もあったと存じます。  例えば、当初、二年ほど前には、不良債権額と申しましても、大きな銀行破綻先延滞債権の額を公表するというようなことにとどまっておりました。しかし、現段階においては、そのようなことでは必ずしも外国の御理解が得られないということで、先ほど申し上げましたように、協同組織金融機関まで含めたところの日本預金受入金融機関全体の、かつ金利減免等債権まで含めました不良債権公表するに至っているというようなこともございます。したがいまして、最近に至りまして、日本金融情勢というものを以前に比べますとより御理解いただいているのではないかと考えているところでございます。  なお、先ほどお尋ね大蔵省からのアタッシェでございますが、ワシントンのアメリカ大使館には四名、ロンドンの英国大使館には三名、ベルンのスイス大使館には一名の出向者がおります。こういう人々あるいは本省から派遣された人間を通じまして、むしろ個々金融機関とか個々出版社ということではなくて、広くアメリカあるいはヨーロッパの方々日本金融情勢をより御理解いただくような努力は常々心がけているつもりでございます。
  18. 加藤六月

    加藤(六)委員 いや、理解してもらうような常々の行動じゃなくて、直してもらうように、訂正してもらうように、特にそういう発表等があった場合に、したかしなかったかというのを、あるいは訓令とか通告をそのアタッシェに出したのか出さないのか、それをお聞きしておるわけですよ。
  19. 西村吉正

    西村政府委員 広く状況をより御理解いただくための努力は常々いたしておるところでございますが、個々調査機関等に対しまして、具体的にこの数字修正しろというような意味での御要望は申し上げてはいないと承知いたしております。
  20. 加藤六月

    加藤(六)委員 やっていないということです。金融不安でございます、あるいは、ジャパンプレミアム国会新進党が抵抗しておるから起こっておるのでございますかのごとくあっちこっちの方に言っておきながら、現実には、諸外国でこういう数字が次から次へぼつぼつぼつぼつ出てきておることに対して政府は何も手を打っていない、こういうことではありませんか。  だからそこら辺が、何やかんや言えば山ほどの証言は出てくるのでありますが、簡単に言うと、今の連立与党は大きな政府を考えて、そして責任をとらない政府になるのじゃないかなどと言われるのは、こういうことに対してきめ細かくぴしっぴしっとしていないというところにあるのではないか、こうも思うわけであります。  しからば、新進党不良債権に対してどういう態度、方針をとっておるのか。これも、もう昨年春から我々はたびたび、新進党不良債権に対する対応、態度というものを申し上げてきたのでありますが、改めてここで申し上げておきますと、我が党のは、不良債権問題の処理に当たっては、経営預金者双方自己責任明確化情報開示に基づく自己規正を進め、市場規律の向上を図る、そして社会的不公正の排除、早期一括処理という、責任、透明、公正、迅速、これを四原則として提示しておりまして、この四原則に従って速やかに処置せよということでいろいろな提言をし、各方面に働きかけてきておるわけでございます。  大蔵大臣、この四原則、いいと思いますか、悪いと思いますか。もう一遍言いましょうか。責任、透明、公正、迅速、この四原則でやろうと。
  21. 久保亘

    久保国務大臣 今加藤さんからお話がございました四つの項目と申しますか、これは、新しい時代における金融システムの基本となるべきものということで申し上げております自己責任原則市場規律、そして高い透明性、こういうことで申し上げてまいりましたことと共通するものだと考えておりますので、私は、今申されましたことについて異論はございません。
  22. 加藤六月

    加藤(六)委員 原則はお互い共通であろうと思います、原則でいくのは。ところが、この処置の仕方というのがいろいろ難しいのですね。  例えば、政府が今度出してきたのは、私、前の予算委員会でも、法案を早く出してくださいというので強くお願いして、出なかったので予算委員会がとまったので申しわけないと思っておるのですが、そのことはさておいても、この処理の仕方が、今回の政府の仕方は全く逆なんです。国民血税をバブルのしりふきに一番先にぽんと住専問題で出してきて、そしてそれを出した後泥縄式に、いろいろな仕掛けや今回ここで議論しております私たちが言う金融関係三法案と貯金法案の四法案、これを後から出してきて、そして大事な税金を何のためにどうやって使うか、積算根拠をはっきりしろ、国民理解納得を得るようにしろということを十分にしなかったというところにいろいろな問題が発生したと思うのであります。  それはこれからの議論でありますから改めて申し上げますが、そういう中で一つ余り評価されていない問題があると思います。それは、金融機関に対してはもう公的資金は入れ済みであるということ。それを日銀総裁はやっておる。先進国でかつてない超低金利をしておる、これは、金融機関に対する公的資金は導入済みである、こういう解釈。その結果は、今回出た、今期、平成八年三月期の決算を見れば一目瞭然。業務大利益、各金融機関は空前の大利益を上げておる。これは何のためだといったら、超低金利政策で、先進国で例のないことをやっておるからそうなっておるのである。  逆に、この超低金利で泣いておるのは国民のほとんど全部。一番最初が年金生活者、そして、育英資金、奨学資金、それらの基金を積んで高等学校へ行こう、大学へ行こうと、基金の金利で運用、大学へ行っておる人。この金がどんと減っておる。五十人育英資金が出されるのが三十人になる、こういう被害がどんどんどんどんあらわれる。ましてや、大変な危機に陥ってきつつあるのは、厚生年金基金や生損保の経営という問題にもなってきておる。こういう中で、さらに住専の六千八百五十億円を税金でやろうと。  そこで、やや具体的に申し上げますと、我が党の、不良債権問題についていろいろ全体からあり、当委員会議論していただくようになっておるのですが、今はっきりすることは、不良債権をわかりやすい明確なルールで決着をつけよう。そのわかりやすく明確なルールで決着をつけようとするのには、巨額の不良債権がどういう背景で、どういう関係で、どうしてでき上がってきたんだ。そして、その責任はどこにあるんだ、だれがとるんだ。そして、今後こういうことが二度と起こらないような再発防止策はどうなんだ。そして、一体再発防止はどういう方法で担保するのかということが大切なんであります。この問題が放棄されたまま解決しようとしたら、大変なことになります。  まあ、今回出されておる金融関係三法案いろいろあり、私たちも真剣に議論し、言及していっておるわけでありまして、金融機関等経営健全性確保のための関係法律整備に関する法律案、四つ五つ重要な改革をやろうとしておる。金融機関更生手続特例等に関する法律案、これも大変多くのことをやろうとしておる。預金保険法の一部を改正する法律案、同じ。これと、農林省が提出してきておる貯金保険法改正案、ここら辺を十分に議論し、今申し上げたような立場でやっていかなくてはならぬ、こう思うわけであります。  大蔵大臣、私が言い過ぎかどうかわかりませんが、今申し上げた巨額の不良債権が起きた背景、環境、原因、経緯、責任、再発防止、これらについて、今回出されておるこの三法案の中のどこかに触れておりますか。
  23. 西村吉正

    西村政府委員 法律そのものの中にそのような原因分析というものは含んでおりませんが、そのような分析、反省の上に立って今回の法案を御提出申し上げているところでございます。
  24. 加藤六月

    加藤(六)委員 恐らくそう言われるだろうと思うから、私は、一体金融機関は何のためにあるんだ、だれのためにあるんだ。そして我々が金融不安を起こしてはならない、金融システムの安定が必要である。だれのために必要なんだ、国民のため、国民経済発展のためでしょう。  そして、一番こういうときに議論しなくてはならぬのは、つめの先にともしびをともして稼いだ金という言葉がよくあるんですが、刻苦精励して、使いたい物、食べたい物、行きたいところも行くのを我慢しながら貯金したその貯金を、預金を守っていきたい。それは、老後の自分の生活のために、子供のために、孫のために、いろいろな理由があるでしょう。  その根源にあるのは、政治が考えなくてはならないのは、もちろんもう私が申し上げるまでもない、国民の生命と財産を守る、これが政治。そして、我々がこの国会の場で、ここで議論するのは、預金者を守るということ、貯金者を守るということであります。預金者、貯金者を不安に陥れてはならない、ここに国会議論が集中してきておるのです。  銀行局長、昭和四十六年二月五日、預金保険法案が初めて当院の大蔵委員会にかかりました。あなたはその速記録を読んだことがありますか。私は当時国会議員でありました。去年の二月、改めて全部を読ませてもらい、主なところは全部コピーをとりました。同じく参議院の委員会の速記録、附帯決議もそうであります。あなた方の大先輩、近藤局長がいろいろなことを答弁し、当時の我々の先輩、同僚が熱心に質問しております。お読みになったことがありますか、速記録。
  25. 西村吉正

    西村政府委員 速記録すべてを拝見したわけではございませんが、当時の御熱心な御議論があった状況については仄聞しておるところでございますし、また四十六年の預金保険法の附帯決議で、信用組合の経営の健全化等につきまして決議がなされているというようなことも、承知はいたしております。
  26. 加藤六月

    加藤(六)委員 改めて、この預金保険法は第一条に「この法律は、預金者等の保護を図るため、」につくる、はっきり書いてあり、質疑の中身でも、大衆預金ということ、大衆という言葉がたびたび使われていたのでありますが、その議論の中で当時の近藤銀行局長も、そうですと、何が何でも、第一義的には預金保険法は、預金者の保護のためにこの法律はつくるんでございますと。  政府委員もそこでは完全に意見が一致して、そしていろいろ経過はありますが、最後に附帯決議として、これは社会党の先輩の広瀬さんが附帯決議の——大蔵大臣、あなたの先輩になりますよ。広瀬さんが附帯決議を出しておるんですが、預金保険法に対する附帯決議、一として、一番大切だったんでしょう。「信用協同組合については、検査、監督等の充実を図ることによって経営の一層の健全化を推進すること。」と、衆議院預金保険法の附帯決議の第一項目にこれがあります。  同じく参議院でも附帯決議が行われております。これは、参議院の場合は、一項目はちょうどこれと同じことを言っておるのですよ。  一項目は「農業協同組合、漁業協同組合および労働金庫等の預金者保護について、積極的に検討すること。」これは昭和四十六年三月四日です。そこで、それから後、農業協同組合、漁業協同組合については貯金保険機構をつくった。このなにに従って、つくりました。それから、労働金庫は預金保険機構に加えました。一項目はちゃんとやっておる。これは参議院の附帯決議。  二番目、「信用協同組合については、検査、監督等の厳正化を図り、経営の健全化に万全を期すること。」と書いてある。  昭和四十六年、二十数年前、初めてこの法案を国会議論するときに、衆参両院の我々の先輩は、農協、漁協のことを心配し、信用組合のことを心配して、ちゃんと附帯決議で、政府、この法律は通してやっていいと思うが、しっかりこれとこれとこれは必ずやれよと。しかも衆参で全く同じような決議がされておる。  銀行局長、あなたを含めてあなた方の先輩が、今までこの問題について、国会の附帯決議、衆参両院の附帯決議についてどの程度お考えになったことがありますか。
  27. 西村吉正

    西村政府委員 預金保険制度が昭和四十六年に御指摘のようにできまして以来、実際にこの預金保険制度が適用になりましたのは平成四年のことでございました。その間、幸いなことにと申しましょうか、金融機関は、この預金保険の発動をするという形で破綻処理をすることなく来たわけでございます。  しかしながら、昨年、特に二つの東京の信用組合の処理に当たりまして、国会におかれましてもさまざまな御議論がございましたし、当時の、この四十六年の附帯決議につきましても御指摘をいただき、私どもも、改めて再認識をするとともに、当時行われました議論についても再度勉強をさせていただいたところでございます。  それで、当時、このような御指摘をいただきましたことに基づきまして、既に国と都道府県知事との間で、信用組合の検査につきまして、その実情に応じて応援体制を整備し対応するというような措置もとってきたところでございますが、今回、新たにこういう事態を認識し直しまして、私どもとしては、今回御提案申し上げております法律の中で、あるいは実際の運用の問題といたしまして、この信用組合の指導監督に関する国と地方公共団体との関係というものの適正化にも配意するように努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  28. 加藤六月

    加藤(六)委員 まあそれでは大変不十分で、わけのわからぬことですが。  この法律をつくった後、私も当院の大蔵委員長を仰せつかったことがあるので、当時二、三の理事と相談をいたしましたが、前半、今銀行局長が答弁されたように、何も破綻するものがなかった、なかったものだからついつい手を抜いておったということでありますが、なかったからではなくて、私は、衆参両院の決議をどうやって真摯に行政当局がこれを実行していくかということでありまして、そこら辺は今の答弁では大変不満でございます。  まあ不良債権問題に絡む問題が今度は議論されておるのでありますが、預金保険法について何やかにや言いたいことがあります。今もいみじくも言われましたが、一昨年の暮れまでは、この預金保険法について大きな事故がなかったから八千七百億円あった。八千七百億円あったのが、去年あれよあれよあれよという間になくなってきて、途中、中間報告や何かによると、三千七百億円しかありません、木津信用組合や大阪信用組合の分に出してあげる金がなくなりそうでございます。大変なことですね、これは。預金者はたくさんおるのでしょう。ここに数字も何も全部ありますが、大変なこと。これでいろいろ数字を求めたり何やかにやしますと、いろいろ書いてありますよ。  これは、日銀総裁にも来ていただいておるので、余り長くここで拘束してはいけないのですが、例えば、私たちが、去年、この部屋で開かれた予算委員会で、日銀総裁、前総裁、三重野さんや皆さんにも大変やかましく申し上げたのですが、一昨年十二月の日銀麻布寮で、日銀や銀行局長や何かが集まって密談をやって、いわゆる日本銀行法第二十五条に基づく出資ということを始めた。かつてないことをやった。そして、それは何のためにやったんだ。協和、安全両信用組合のことでやった。まあここら辺はいいのですが、そこに次から次へ、日銀も特別融資、次から次へやっていっておる。そして、預金保険機構も次から次へ地方銀行にやっていっておる。  今いみじくもお話があったが、東京協和、安全がああいう状態になったら、預金保険機構四百億円、金銭の授与をやったという報告があります。兵庫銀行に四千七百三十億円出しましたと、預金保険機構。そして、コスモ信用組合、これは東京共同銀行にことし、八年三月二十五日、一千百億円、金銭の贈与を予定しておりますと。そして、木津信用組合、大阪信用組合は未定でありますと。  恐らく、この預金保険法の改正、あるいは既に政府は、この昭和四十六年につくった預金保険法の、途中で一回改正があったのですが、ことしの四月一日から保険料を四倍取るようにいたしております、これで穴埋めをするのか、これからお伺いします特別勘定の三倍、合わせて七倍取るようになるのですが、それで穴埋めをしようとしておるのか、わかりませんが、日銀総裁にいつまでもおっていただいても恐縮ですから、日銀総裁、共同銀行に日銀法二十五条で二百億円出資しました。あとはしていませんね、破綻したところに。あとは各個別金融機関の救済であるからもうしない、協和、安全の場合は異例中の異例だからしたと。どう解釈したらいいのでしょうか。
  29. 松下康雄

    松下参考人 日銀といたしましては、これまで金融機関の破綻処理に際しまして、どうしても必要と認められます場合には資金の提供を行ってきているわけでございますが、その考え方を御説明を申し上げますと、まず、日銀が資金供与を行います場合に原則が三つございまして、一つは、これを行わない場合には日本金融システム全体が動揺するという懸念があるということが一つでございます。もう一つは、日銀以外には資金を供給できるものはない、日銀がやらざるを得ないということでございます。もう一つは、この資金提供を行います場合に、経営責任がある関係者の経営責任を十分に追及をすることでいわゆるモラルハザードが発生をしないようにするという、この三つでございます。  また、あわせて日銀の側といたしましては、日銀の資産は銀行券の信用を裏づける大切なものでございますから、この信用が揺るぐことのないように、内容につきましては十分検討が必要でございます。  ただいまのお話の東京共同銀行は出資を行ったものでございますけれども、この出資を行います のは、こういう受け皿金融機関を設立するに当たりまして、その資本基盤をしっかりと固める必要があるという必要性を認めまして出資をいたしたわけでございます。その他の場合、貸し付けで対応しております場合には、そういう問題でなくて一時的な流動性の不足を補うものでございますから、これは、破綻処理が最終的に解決をいたしました場合には、当然その処理計画に基づいて返済を受けることとなっておりまして、現在も、例えば兵庫銀行につきましては、返済を受けております。
  30. 加藤六月

    加藤(六)委員 総裁、もう一問お伺いして、お引き取りいただいていいと思うのですが、これは東京共同銀行と言っておる。ところが、今回三法案を改正していったり何やかんやした場合に、整理回収銀行にこの共同銀行を改組、拡大していこう、こうなるように承っておるのですが、あなた、日銀が二百億も出資してこの決断をしたというのは、後々金融機関がばたばたつぶれるから、前古異例の方法だがこれをつくっておこうかと協和、安全のときに決断したのですか、それとも、この救済スキーム、東京共同銀行をつくったのを政府が上手に使って、これから破綻してくる信用組合がざらざらある、その整理回収銀行に使おうとしたのですか、どちらですか。
  31. 松下康雄

    松下参考人 東京共同銀行の設立をいたしましたのは、当時の二信組の破綻に際しまして、その最終処理に必要な機関として政府におかれて十分検討をされ、また、私どももあわせて検討いたしました結果の破綻処理機関でございます。その後におきましてなおその他の類似の案件が出てまいりまして、これについてもあわせて処理をする必要が生じたという状態にかんがみまして、政府及び日銀においてさらに検討いたしました結果が、現在検討をお願いをいたしておりますこの新しい機関でございます。  お話しのように、あらかじめどのような規模の破綻が起こるかという点につきましては、当初から確たる計画を持っておったわけではございませんけれども、現状におきまして、今後も発生を予想されるものを含めて、これに対する適切な対策機関というものとしての必要性を認めているわけでございます。
  32. 加藤六月

    加藤(六)委員 私は、先般の衆議院会議で、昨年の春、ある日突然大蔵大臣が日銀総裁を連れて東京都に陳情に行った、こういう発言をいたしたことがあります。  それは、いろいろのことを申し上げたかったわけでありますが、一つは信用組合に対する機関委任事務の問題と、それからもう一つは都道府県の、これから政府が考えておる整理回収銀行への支援問題、それから共同検査の基準、こういったいろいろなものがあるわけであります。ある面では、通貨の番人である日本銀行はもう少ししっかりして毅然とした態度をとっていただきたいし、もし法的にそれの不備があるなら改正もしなくてはならぬかという立場でございますが、それはきょうのメーン議題とはなりかねますので、次に移らせていただきたいと思います。  農林大臣に三、四点お伺いしておきます。  今私は預金保険法に若干触れたのでありますが、貯金保険法案、先ほどの参議院の附帯決議等々で、昭和四十八年にこの貯金保険法は通過、成立して今日までやってきております。その間に一、二の事件には遭遇しておるのでございますが、今回預金保険法案は七倍値上げする。もう四倍は既に四月一日からした。そして、この法律を通してさらに三倍値上げにしよう。これは特別勘定にします、預金保険法案。そして一般金融機関の勘定と信用組合勘定に使います。  ということからいろいろあるので、あと、委員長の許可をいただいておるので、これで表をつくってお聞きするのでありますが、貯金保険機構は、預金保険機構、そんなに七倍まで上げません、我が方はしっかりしております、こういうことなんです。もちろんこの預金保険法の特別勘定の三倍というのはまだ法律には書いてないわけですから、この法律が通った後、政府が三倍にするのか五倍にするのかわかりませんが、我々が想定しておるのは、預金保険法では四倍と三倍で七倍になる。それなら、貯金保険法は最終的に幾らぐらいを今胸算用されておりますか。
  33. 大原一三

    ○大原国務大臣 過般、貯金保険機構の運営委員会がございまして、現在の料率の一・五倍に引き上げようということが運営委員会で決定を見たわけでございます。  これはいろいろ事情を聞きますと、現在支払い準備金が一千六十億ぐらいございますが、そのリザーブが現在残っておりますし、さらにまた、過去のいわゆる倒産経緯等を見ますと、幸いにして、系統を初め漁協、二件ぐらいしか起きていないわけであります。それと同時に、農協の平均預金量というのが二百四、五十億でございますし、さらにまた単位の漁協の預金量が十四、五億ということでございまして、このような事故が過去五年に一回起きているのでありますが、それが毎年一件ずつ起きる、そういう状況の中で計算されたものと我々は了知をいたしております。そこが一・五倍でございます。  それから、この法律を通していただきますと、いわゆる五年間の青天井的支払いが始まるわけでございますので、その特別保険料率についてどうするかということは十分慎重に検討しなければいかぬのでございますが、大体現在の一倍ということで、全体合わせて二・五倍程度の水準になろうかと思っております。  加藤委員も専門家でありまして、私からるる申し上げる必要はないと思うのでありますが、御承知のように、農協、漁協には相互援助制度というのが既に三十九年から発足しておりまして、それが貯金保険法が決まりましてから後にまたさらに制度改革で今日引き続いてやっております。  この相互援助制度というのは、現行制度では〇・〇二%を二年間積み上げていただこうという制度でございまして、それをお互いに、破産なりあるいはまた経営破綻に陥った場合に相互援助しようというシステムでございますが、その相互援助のシステムを今回はさらに引き上げまして、毎年〇・〇〇二を今後ずっと継続的に、二年間じゃございませんで、積み上げていこうという方針も確認をされているところでございます。  それらが両々相まって、当直はこれでしのいでいけると思うのでございますが、しかし、現行の状況から、いつ何どきどんなことが起きるかわかりません。そういう状況を勘案すれば、やはり委員御存じのように、この倍率については、将来、状況に応じて弾力的にやはり変更していくことも必要であろう、かように考えております。
  34. 加藤六月

    加藤(六)委員 そうすると、預金保険機構、一般の金融機関を対象とするものは約七倍に上げる。貯金保険機構、これは私らもよく座談会や国会報告や演説会のときに言うのは、郵便局や農協や漁協へ預けるのを貯金と言うんですよ、それ以外の一般金融機関に預けるのを預金と言うんですよ、預金と貯金というのは、出る国民の懐は同じですよ、しかし預けた場所によって、貯金と言われたり、預金と言われるんですよという説明からやっていかないと、なかなか骨が折れる。その問題がありますが、片一方は七倍、片一方は二・五倍、これはいろいろ議論の対象になるんです。  それからあわせて、今農林大臣がおっしゃいました相互援助制度、相援制度、これは先ほど私が銀行局長にも申し上げ、昭和四十六年以降を考えて、信用組合にも労働金庫にも信用金庫にも相互援助制度はあるんです、相援制度はある。しかし、農協のようながっちりした相互援助制度になっていない。これも政府から資料を取り寄せていろいろ勉強してみました。ここら辺もこれから考えなくてはならぬ問題だと思いますが、これはちょっと後回しにしておきます。  そこで、農林大臣にさらに重ねてお伺いします。  我が党は、昨年十月十七日に、住専問題がいろいろあるので党内で幅広い議論をして、原則母体行主義によって解決すべしというのを決定して内外に発表しました。大臣、あなたは御存じですか。知っておるか、知っていないか、一言言ってください。
  35. 大原一三

    ○大原国務大臣 先生の質問があるということを聞きまして、事務局と勉強いたしました。
  36. 加藤六月

    加藤(六)委員 ところが、御存じのように、昨年の十二月十九日に、系統が五千三百億円贈与する。贈与ですよ。母体行は三兆五千億放棄する、一般行は一兆七千億を放棄する、系統は五千三百億円贈与する、これが決まったわけですね。放棄、放棄、贈与、決まった。これは、あなた、後からいろいろ言いますが、五千三百億円の農家一戸当たりの負担は幾らになるのですか。贈与ですからね。  そして、さらに昨年、これは後から追い打ちに、ことしにかけて決まったのは、二次赤字が出た場合、大体一兆二千億円出るだろう、六千億は税金で補おう、あとの六千億は三つで補おう。やはり系統はまた二千億円以上持たないといかぬようになる。この二千億円は、農家一戸当たりの負担、幾らになりますか。五千三百億円の農家一戸当たりの負担、二千億円の農家二戸当たりの負担、幾らになりますか。
  37. 堤英隆

    ○堤政府委員 お尋ねの住専処理のための農協系統が行います資金協力五千三百億円の……(加藤(六)委員「贈与だよ、協力じゃない」と呼ぶ)はい。贈与という言葉ももちろん使っておりますけれども、協力という言葉も使っております。五千三百億円の農家一戸当たりで見ましたときの負担額につきましては、農協の組合員九百万人で分担をいたしますとすれば、組合員当たり約六万円でございます。また、総農家戸数は現在三百四十四万戸でございますので、これで案分いたしますというと約十五万円ということになります。  なお、二次処理の問題につきましては、現在はまだ関係金融機関との間での議論が重ねられているという段階でございまして、具体的な額あるいは条件につきましては今後の協議事項ということでございますので、その部分に係ります戸当たりの負担ということは算定ができておりません。
  38. 加藤六月

    加藤(六)委員 そうすると、五千三百億円の供与だという、贈与もこれは同じようなものですが、農家一戸当たり十五万円、一人頭にしたら六万円ということですね。  それで、二次処理、これははっきり決まっておるじゃありませんか。ただ、これから私が質問していく中で、六千八百億円の軽減負担だとか、あるいは住専処理法の修正だとか、いろいろな措置等が、ことしの三月四日の三党合意のわけのわからぬ空中分解した措置とか、いろいろ出てくるのですが、要は、この五千三百億円で二戸当たり十五万円、そして、この二千億円については、局長はああいう答弁をされましたが、この比率で計算すると五万円になる、一戸当たり二十万円負担するようになるわけですね。  この問題はまた、農家、農民が知っておるのか、知らないのか。住専を早く通してくれ、通してくれなかったら困る困るという団体の陳情はある。しかし、それは農家一戸当たり最小限十五万円、二次処理を含んだら二十万円の負担になるんだということを踏まえて団体が陳情に狂奔しておるのかどうか。そこら辺は、一遍、各単位農協、農民に聞かなくてはならぬところだと思うわけですが、それは次の段階にいたします。  次にお伺いします、農林大臣。  今我々、不良債権問題を議論していますね、まだ。次々ありますよ。ノンバンクというのがありますね、ノンバンク。これは系統は、いろいろ数字によって若干違いもありますが、七兆七千億円ぐらい出しておると思うのですが、まずこの数字に間違いはないかということと、このノンバンクについては心配は要らぬのですか、要るのですか、それについてお答えをいただきます。
  39. 大原一三

    ○大原国務大臣 昨年、七年の三月、七兆七千億円という系統その他からの報告が出ておりましたが、最近の報告によりますと六兆六千億という数字に相なっております。その中の不良債権という部分が、委員既に先刻御承知のとおり、ディスクロージャーが実際のところ行われていない状況でありまして、それぞれの機関からの報告に依存するしかないのでありますが、六百数十億円という不良債権だと聞いております。この辺の問題、数字については、なお今後十分精査をしなければならぬと思っております。  このノンバンクの将来については、委員も十分御存じと思いますが、我々としても重大な関心を持っております。
  40. 加藤六月

    加藤(六)委員 このノンバンク問題が、私は、住専問題で変なことをしておったら、変なことになったら、国民理解というものは、今度は、ノンバンクの問題についてはさらに理解しにくい不透明なものになって、怒りが向かっできますよ、大変向かってくるんだから、そこら辺はしっかりしておかなければいけない。  これは法解釈というか物の解釈ですが、私たち新進党の立場からどう言えばいいかというと、農家とか単位農協というのは預金者的立場にあるんじゃないだろうか、そして、信連というのはそれを預託を受けておるんだ、そこら辺の法的根拠と手続を一遍はっきりしておかないといけないんじゃないか、こう思っておるんです。  大臣の方は、この農家、農協というものと信連との関係、これは貯金に関してだけですよ。貯金に関してだけはどういう——信連は預金を受けているんじゃない、預託を受けておる。これは貯金として受けて扱っておるのか、預託を受けて運用しているのか、そこら辺はどう解釈されますか。
  41. 大原一三

    ○大原国務大臣 委員指摘のとおり、貯貸率が単協で四割でありますし、信連で二割ということは、残りの部分は全部上部機関へ吸い上げられていっているということでありますから、確かに預金者的立場とおっしゃるそういう性格は、その数字にもあらわれていると私は思います。
  42. 加藤六月

    加藤(六)委員 そこで、今、入り口だけでありますが、預金保険法と貯金保険法、そしてそれに絡む他の二法のいろいろな手続論等をこれから言わせてもらわなければいかぬと思うんです。  そこで、これは官房長官にお聞きするのが一番いいか、あるいは大蔵、農林がいいか。今申し上げたように、預金保険法、貯金保険法で一千万円は保証してやるわけですね。そうすると、金融不安だ金融不安だ、国民の預金が危なくなる、何やかんや言っておるんですけれども政府は、皆さん、安心してくださいよ、一千万円まで貯金しておる人は預金保険法がありますよ、農協、漁協に貯金しておる皆さん、安心してくださいよ、一千万円までは貯金されておる方は貯金保険法がありますよ、こういうPRをされたことがありますか。預金保険法は大蔵、貯金保険法は農林、PRしたことがありますかありませんか。一言でいいんですよ。
  43. 西村吉正

    西村政府委員 大蔵省といたしましては、昨年の五月に取りまとめられました預金を考える懇談会の報告書を踏まえまして、通達を発出いたしました。預金者への情報提供の一環といたしまして、金融機関に対し、預金保険対象商品を顧客に明示するよう指導しているところでございます。  これを受けまして、各金融機関におきましては、本年一月より店頭に預金保険制度の概要を記載したポスターを掲示しているところでございます。さらに、昨年来の報道あるいは国会での御審議等を通じまして、預金保険制度についての国民の御理解はかなり深まった面があると考えております。
  44. 堤英隆

    ○堤政府委員 貯保につきましても、趣旨につきまして、従来から各農協あるいは漁協等におきまして、周知方を徹底していたところでございますけれども、今お答えもございましたように、本年一月からは、ポスター等を使いましての店頭表示という形でその趣旨の徹底ということに努めているところでございます。
  45. 加藤六月

    加藤(六)委員 これは去年の国会で、去年のこの予算委員会で徹底的に、我が党や我々が申し上げたのですよ、しっかりPRしておけと。預金者に不安を与えてはならない、預金保険法、貯金保険法は、預金者、貯金者を保護する、これでやっておるんだ。  そして、途中で改正して一千万。同じことは、アメリカも十万ドル、一千万なんだ。SアンドLその他でいろいろ問題になったけれども、皆一千万。私は本会議で、先進国の国民所得その他から言って、このペイオフの限度額一千万を二倍にする考えはないかという質問をしました。  それはさておいて、ところがどうですか、住専では。ちゃんと政府広報は「大蔵省」と入っておる。これは住専のPRをどんどんやっておる。不安だ不安だという。一千万円までは預金保険法がありますよ、貯金保険法がありますよ、こういうビラをどんどんつくって配ったことがありますか、大蔵省、農林省。中身も言いますよ、これから。
  46. 西村吉正

    西村政府委員 パンフレットという形でそのような広報をしたことはございません。
  47. 加藤六月

    加藤(六)委員 ないでしょう。私たちは同じく政府に要求して、全国に一千万以上の口座口数は何ぼあるか、一千万以下のものが何ぼあるか。それはもちろん金融機関で、都市銀行や信用金庫や信用組合や農協、漁協で違いますよ。ほとんどが一千万以内の口座です。ここら辺の人間が、この法律がありますと言うたら、心配するはずがないじゃないですか。それを、特にこの住専案件のPRといったら、これは前に予算委員会で大分やかましく言いましたが、まるで詐欺のような広告をしておるんです、詐欺。  住専処理機構は株式会社ですよ、住専でつくるのは。それで、私はこの委員会で質問したはずだ。検察官や警察官や国税が住専処理機構という株式会社に行けるのかと言うたら、行けませんと言う。わかり切っておる、住専処理機構の法律を読めば。そうなっておるんだ。それを、まるで住専処理機構が預金保険機構と同じものかのごとくちゃんと書いてあるじゃありませんか。それをやる前に政府はするべきことがあるといって、随分予算委員会のときにも申し上げたのです。  そして、同じことは、今回の三法の改正の中に回収銀行というのができてくる。先ほど日銀総裁が申し上げましたが、前古異例の措置で、東京協和、安全のときに二百億円の出資をしてつくった東京共同銀行、これを改組していくという。そして、そこでまた、今回出してきておる法律では、この回収銀行が、これは株式会社ですよ、強力な取り立て機関であり、取り立てができるかのごとくスキームで書いておる。  我が党がいろいろ住専処理法案でも、後から私がやりますが、いろいろなもので、会社更生法で、こうでとぴしゃっと実にいいようにやっておるのに、野党の案はだめ、政府案がと。我々は、こういう「住専処理税金はまったく必要ありません。」貧乏政党ですから、これしかPRできません。政府はこんな膨大ないいものでやっておる。それで、この回収銀行にも、権限がないのに強力な回収機能を持たすと説明しておる。株式会社ですよ、回収銀行は。住専処理機構がまるで預金保険機構かのごとく錯覚を起こさせて、検察や刑事や国税が入っているかのごとき図を書いておる。これは政府広報ですよ。  我が方はそれについてこういうわかりやすい、貧乏政党ですから一枚紙でいろいろやっておるのですが、これはいいです。これはいいですが、私が改めて言いたいのは、一千万円は預金保険機構、貯金保険機構でちゃんとしてあるということをなぜ真剣に言わないのか。住専で不安をあおり、経済が混乱し、ジャパンプレミアムがつくと言って、言って、言いの一手。予算委員会における我が党の委員理事はそのことを考え、あのことを考え、何やかんや考えて、冒頭言った四党合意の三項目で四月十一日に予算をああした。それを、大蔵大臣解釈は、いろいろ冒頭聞いたのですが、この金融特を否定するかのごとき解釈まで出てきたり、加藤証人喚問のごときは、まるでしなくてもいいかのごとき印象が今日あるのは残念きわまりない。  そこで、委員長の許可を得てこのパネルを、私としたら珍しくこういうものを、ある面では生まれて初めてつくった、こう申し上げましょう。  ちょっと小さいのですが、これが、今私が説明した、預金保険機構の中に住専住専勘定をつくる。いいですか、預金保険機構の中に住専勘定をつくる。これをつくる、わかりますか。住専勘定をつくる、預金保険機構の中。そして金融機関政府日本銀行。ところが、住専勘定でないのは、後からこれはめくるのですからわかるのですが、これとこれはないわけですね。いいですか。−これじゃ見えぬな、わからぬな。こちらはない。  住専処理機構というのは、預金保険機構の中に——この預金保険機構がある、これから議論する法律、その中に住専勘定を設ける、そして、政府は六千八百億の金と五十億の出資をこの預金保険機構にする。合わせて六千八百五十億円、日本銀行は応援する。金融機関は、先ほど言った料率を、今までは〇・〇一二であったのを七倍にふやして取られる。預金保険機構、全部これだ。そして何があるかというと、この預金保険機構のもとに株式会社住専処理機構をつくる。そしてこの住専七社をやる。これですね。  これが住専処理機構で、我々はこんな法律は要らないと言っておる。六千八百五十億はつぎ込まなくてもいいと言っておる。  次に、これを示す。これをひっくり返せば簡単にわかる。いいですか。  今まで農林大臣大蔵大臣に私は質問した。同じく預金保険機構。今までは通常勘定がある。通常勘定があって、先ほど申し上げました平成六年暮れまでにはこの通常勘定が八千七百億円あった。預金で積み重ねてきている。それが、金融機関が次々変な問題を起こし出したから、四月一日から政令で四倍に上げた。保険料、これは金融機関から取るのだけれども、原資は庶民の金だ。庶民の預金を計算して、その数量に基づいて金融機関から保険料を取っておる。ここに出てくるのは、一番大切なのは預金者。  それで、今回の改正では、三法案ですよ、住専三法案を除く改正では何をやろうとしておるかというと、一つは、この特別勘定をつくって三倍取ったい、さらに三倍取ったい。その中に一般金融機関勘定と信用組合勘定をとりたい。そして、五年先に信用組合勘定を清算するときに赤字だったら税金から補いたい。そして、破綻した信用組合が——信用組合ですよ、次々出てきたら、先ほど来言っておる整理回収銀行でやりたい。  それに絡む法律的問題としては、私がたびたび言ったのですが、一体、都道府県知事は整理回収銀行に対しどういう支援をさせる取り決めがあるのですか。あいまいでしょう、あいまいのまま。あるいは、これは権限移譲なんですか、これを法律的にはっきりするのですか、しないのですかとか、あるいは、危ない金融機関に対する共同検査に入らなければならない、国と都道府県が。基準が決まりましたか、決まっておりませんということです。  要は、預金者を保護するということ。同じものの中に、住専処理機構のこれをつくってくれ、こうある。いいですか、住専勘定を住専処理機構の中につくってくれと。この表を見れば、全くこれは同じなのですよ。これは同じことを、これは住専処理勘定。こっちがないのですよ、預金者というのは住専にはいないのですから。預金者、整理回収銀行はない。住専には、こうです、いない。住専はこう。それで、これを外したらこれになる。(発言する者あり)いや、内閣はしっかりしてもらわなければ、これからやるのだから。  いいですか、なぜ私はこの図をつくったかというと、住専処理法案は要らない、六千八百五十億円は要らないと。単純明快に、わかりやすく、日本全体の不良債権処理するのは、預金保険機構を使ってやるのなら、一本のもとにまとめてやつたらいいじゃないかと。これとこれは同じもので、一皮めくれば全く同じものだ。この整理回収銀行というのが、住専のときには住専処理機構になる。それで、住専七社がある。預金者とか整理回収銀行はない。  これだけの違い、これだけの違いをなぜ、全体を処理しようとするのだから、我が党は、全体を やるのなら金融関係法案を先に出しなさい、こういうようにたびたび申し上げてあったのを、住専処理法案は予算関連法案でございますから先へ出させてもらいましたと。我々の、このなにをつくっただけで一目瞭然です。住専処理機構は要らない、住専関係の法案は要らない、六千八百五十億円は要らない。この図、これで明らかになるわけです。  社会党の皆さん、よく見てくださいよ。わかりますね。これとこれですよ。全く同じですよ、全く同じ。  だから、私はこの問題についてさらに申し上げておきたいのですが、私が改めて今申し上げたことを、後から速記をとっていただけば、こういうことになる。  金融関係四法案、我が党が金融関係四法案と申し上げるのは、いろいろありますが、もう一遍念を押して申し上げておきますと、住専処理法案は入らない、そして貯金保険法を入れた四法案、この四法案を——今、私のこの図の説明だけでは、自民党の一部でわからないという方がある。もちろん、この中で、公平で透明で公正なとか、あるいはいろいろな議論、先ほど申し上げました都道府県知事と信用組合との関係の問題を明らかにするとか、何やかや中にはありますよ。  それは、冒頭申し上げて、大蔵大臣にも確認した不良債権解決の四原則というのを申し上げたのですが、まあ、要は、この四法案をきょうこうやって議論していただいておるように徹底的に議論してもらい、お互いの、与党、野党の衆知を集め、それで必要ならば修正すれば、そしてその修正の中身というのは、繰り返して申し上げますが、預金者保護というものを貫徹するんだ。この原則で、そして破綻金融機関は、これは相当責任が追及できる体制、この問題はあと同僚が二時間かけて徹底的に申し上げますから、その破綻した金融機関責任を追及できる体制、これを議論してまとめれば、住専処理法案は要らない、六千八百五十億円はやらないということになってくるのでございますが、しかし、その前にちょっと一、二触れておきたい。  けさも、また月曜日も、いろいろマスコミをにぎわしておりました。それは、この六千八百五十億円の税金投入を軽くするとか、あるいは投入しなくてもいいようにいろいろほかの方面で議論するとか、あるいは住専法案を修正するとか、いろいろ言われておりますね。  これは大蔵大臣に聞くべきかどうか。大蔵大臣、三月四日に与党三党がこういうようなのをまとめましたね。リストラによって、一次処理に投入する六千八百億円の税金と同程度の税収増を図る案における各金融機関に対する要請というので、民間金融機関、農業系統にそれぞれ、こうこう、こうこうやるという、与党三党が三月四日に合意したのですが、あれはどうなったか御存じですか。
  48. 久保亘

    久保国務大臣 その今お取り上げになりました、与党三党で関係者とも話し合われた内容というのは、七つの項目から成っていると思います。その一番最後の七項目めに、今お話しのことが、協議された結果として報告を受けました。それで、そのことについて、私どもは三党の合意努力としてその報告を受けとめた、こういうことでございます。
  49. 加藤六月

    加藤(六)委員 官房長官、あなたの名前もちょろちょろ出てくるんですな。それは、今言う修正か、あるいは六千八百五十億円、何ぼ何でも国民一人頭五千五百円取るのほかわいそうだ、何とか軽減さす方法はないか、努力されておる姿がちょろちょろ耳に入ってくる。ちょろちょろ言うたらいかぬ、あちこちから耳に入ってくるんですが、何かお考えがあっておっしゃったんでしょうか、どうでしょうか。
  50. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 こちらに来ると、ちょろちょろじゃなくて正式にお話を申し上げなければなりませんから、ちょろちょろという言葉はひとつお取り消しを願いたいと思います。  いろいろ考えたり、いろいろ打診をすることは仕事の一つでございます。ただ、政府は、現在提出をしているこの住専関連法案を一日も早く成立をさせていただいて、この処理が正確に厳格に遂行できるようなことをどうしても早くしてほしい。そういう思いがあれば、皆さん方議論を踏まえて、大筋変わらなければそういうこともあり得べし、こう思うことは、議員である、閣僚の一人ではありますが、その以前に議員の一人でもあります。国民の声を聞きながら、そう心に思うことは当然でありますし、また、そういう方向に努力をしてまいりたいと考えております。
  51. 加藤六月

    加藤(六)委員 ちょろちょろじゃなくて堂々とおっしゃっていただきまして、ただ、大筋でというところにひっかかりがあるのですね。それはなぜかというと、住専処理法案というのがある、出した。六千八百五十億円が、これ、ついておる。これを頭の中に置いておるから、はっきり明瞭にならない。これをこっちへ置いて、なくして考えれば、具体的なすばらしい案ができてくる。そしてそれはもう明確で、そして透明な案ができてくる。  住専処理法という不合理な、預金者のいない住専七社に六千八百五十億円出そう。ほかの金融機関がつぶれた場合でも税金を出してやろうというのは、今まで私が議論した中でもない。信用組合の場合、五年先に、最後に足らなんだ場合は考えようというぐらいですよ。それが、預金者の一人もいない住専七社に六千八百億円ばんとやる。その法律をつくった、預金保険機構の中に住専勘定というこれをつくった。これが大筋で、これを守らないといかぬからいい案が出ないのです。これをこっちへ置いて、六千八百五十億円を国民税金の負担にしないようにすると考えたら解決案が出る。今私が言うたことをまとめればさっとできる。そこをひとつ申し上げておきましょう。  それから、次であります。ほかに、この法案に対する問題は次から次へ申し上げなくてはならぬのがいっぱいあるのでございます。そこで、先ほど来私が申し上げてきた中で、政府からいただいておる資料で、冒頭申し上げましたが、預金保険機構と日銀が二十五条を発動して出資したりあるいは支援したりするのと、両方で、いろいろ金融不安を抑えるために努力されておるのはわかるのですが、先ほどもちょっと触れましたが、日本銀行が第二十五条に基づく特別融資としてコスモ信用組合に応援をしておるのですね。  それは、この大蔵省からいただいた資料によりますと、平成七年八月から平成八年三月で千九百八十億円、日本銀行が応援しておる。それから、その次は、先ほど来議論しております預金保険機構からコスモ信用組合に約一千百億円金銭贈与の、括弧して予定というのが同じく大蔵省からいただいた資料にありました。  コスモに入る前に、これは銀行局長で結構でございますが、東京協和、安全の両信用組合に対しては東京都は支援があったかなかったか、そして、同じく東京都の管轄下にあるコスモ信用組合に対して東京都は支援があったかなかったか、ここら辺についてまず承ります。
  52. 西村吉正

    西村政府委員 二つの信用組合につきましては、私どもと東京都の事務当局との間で合意ができました上で御提案をしているわけでございますが、都におきます手続はすべて完了しておるとは聞いておりません。まだ議会との関係でいろいろの御議論があるやに聞いております。  コスモ信用組合につきましては、すべての手続を完了をしていただいて、所定の行程はすべて完了をいたしております。
  53. 加藤六月

    加藤(六)委員 その都が支援したコスモ信用組合、都が支援してない東京協和、安全信用組合。同じ国民の預金を保護する場合に、都道府県で、自分の管轄下にある信用組合のこの組合とこの組合は支援する、そういうことが書いてあるでしょう。都道府県が、破綻した信用組合で支援しなかったりしたりというケースがある。  そして、もう一つお伺いします。都は、コスモを支援をしておきながら告発しましたね。コスモを告発しましたね。何を基準に告発したのです か。
  54. 西村吉正

    西村政府委員 東京都の行政下において行われておりますことでございますから、私からお答え申し上げるのはふさわしくないと存じますが、コスモにいたしましても二つの信用組合にいたしましても、私どもといたしましては、東京都が地域経済に与える影響や民生の安定等を御勘案の上で、公益上の必要性から財政支援を行うという考え方を固めていただいていると思います。その点においては両者とも変わらないと存じますが、都の中における手続が、議会等での御議論もございまして、二信組につきましてはまだ完了していない、このようなことでございます。
  55. 加藤六月

    加藤(六)委員 銀行局長、大阪信用組合、木津信用組合の破綻に際しては大蔵省が談話を発表しておる。この問題は今余り触れませんが、我々は、日本版RTCをつくってこうやる、そして、そもそもRTCとはということまでちゃんと書いておる。書いていろいろやっておるのですが、そこら辺は、今あなたのおっしゃった、都議会のことでございますからと、文と非常に違う点があるのです。協和と安全には東京都は支援していない、しかし、預金者は同じようにおる。コスモには東京都は支援した、しかし、けしからぬということで告発した。  私たち預金者を守るという立場なんです。なぜならばといったら、預金保険機構に入っていくのは、我々庶民の貯金が原資になって保険料として入っていっておるのだ。違いますか、これ。国民の預金が原資でしょうが、保険機構に入る保険料は。違いますか、どうですか。一言お答えください。
  56. 西村吉正

    西村政府委員 私どもは、二つの信用組合もコスモ信用組合も、預金者を守るという観点からの政策として同じ趣旨のものだと思っております。したがいまして、預金者保護という観点からすべての政策が行われておると理解しております。
  57. 加藤六月

    加藤(六)委員 それは国が都に要請しておるだけで、実現は、片一方はできておる、片一方はできていない。今度は大阪にも、木津と大阪信用組合に対して要請はしておる。結果はどうなんですか。  それは、あなた方は要請しかできない。これをはっきりしなさいということを、去年予算委員会であれほど強く申し上げてあるじゃありませんか。権限委任事務でございます。権限委任事務なら一〇〇%委任するか、一〇〇%はっきりするか。私たち預金者を守らなければいけない。権限があっちにある、こっちにあるというのは関係ない。  そこで、ついでにこのコスモ問題でお伺いしますが、いろいろのマスコミが、例えばこれはNHKです。旧コスモ信用組合の元理事長が信用組合から普通銀行への転換を図って、政治献金をしたり大蔵省の官僚を接待したりしていたという内容のニュースを五月八日に放送しました。しかも、放送は一遍ではありません。十八時、十九時、二十一時、二十三時、四回放送をしております。  そして、中身は、旧コスモ信用組合の不正融資事件で逮捕された泰道三八元理事長が、平成元年から二年にかけて、元理事長の政治団体の名義で当時の国会議員十二人に合わせて二千三百万円を政治献金していた、また大蔵省の幹部二人を高級料亭で四回にわたって接待し云々とか、こういうことが放送されたわけであります。  普通の株式会社がいろいろな接待をしたりあるいは政治献金をいろいろしてくれるということは、政治家として政治資金規正法に基づいて行動するのには何らやましいことはないと思うのですが、今回私たち預金保険法の改正案を議論しておる。そして、国民税金を、国民の負担をいかに安くするか、あるいは先ほど官房長官も整々と言われたように、どうやってあれを少なくするか。我々は、預金保険法を廃止すべし、また住専法を廃止すべし、六千八百五十億円は要らない、使うべきでない、これを強く主張しておるのですが、そういう中でこういうニュースが流れてみたら、これは一人や二人というのじゃないのです、たくさんの政治家がおるということになると、これから我々が考えていく法案修正やあるいは採決に非常に大きな影響がある、こう思うのであります。  これは官房長官に聞こうと思うたら官房長官が記者会見で出られたのですが、国家公安委員長、おられますか。調べておられるかどうかちょっと。ニュースを聞いて聞き流しか、それとも、これはいかぬぞと、法案の審議にも影響があるぞと思ってお調べになったかどうか。
  58. 野田健

    野田(健)政府委員 ニュースで報道されているということについては承知しておりますけれども、具体的事実関係その他について警察で資料等があるわけではございません。
  59. 加藤六月

    加藤(六)委員 ちょっと後の、語尾がよくわからなかった。「資料等が」という先がよくわからなかった。
  60. 野田健

    野田(健)政府委員 警察で収集した証拠等に基づいて事実関係をはっきりさせるような資料を持っているというわけではございません。
  61. 加藤六月

    加藤(六)委員 NHKは最も公共性の強い放送機関です。国民の聴視料の上に成り立っておる。少なくとも、まあいろいろマスコミというのはたくさんありますけれども、このNHKがそういう中身を放送した。それを、資料があるわけではございませんで済むと思うのですか。  しかも、その問題についてこの国会議論し、そして私は本会議でも質問した。信用組合の業態転換。業態転換は、金制調の答申にもあるのにもかかわらず今回の法案では触れていない、なぜだと質問した。そういう中で、NHKが放送したのを警察庁は聞き流しですか。もう一度答弁してください。
  62. 野田健

    野田(健)政府委員 コスモ信用組合の関連の不正事案につきましては、告発も受けておりますのでそれぞれ捜査をしておりますけれども、個別の、例えばニュースがありました、それについて、じゃその事実関係を新聞記者から聞くというような意味での調査をするということはございません。
  63. 加藤六月

    加藤(六)委員 よく調べてくださいよ。これ、いつまでに報告しますか。金額まで出ておるのですよ、二千三百万円。あるいは、大蔵省官僚を招待した四回という回数が出ておる。これがはっきりせずして、これから、きょう私が議論した膨大なこの問題について——一人じゃないんですから。十何人おったら政党が二つも三つもできる今日の我が国の国会ですよ。わかりますか。そういう中で、はっきり数字が出、金額が出、回数が出ておるのを、しかもその当事者は逮捕しておるんでしょう。だから、捜査上の秘密で言えないのなら言えないと言えばいいですよ。それを、全然やっておりませんということではどうかと思うわけでありますが、いつまでに国会に、委員長、報告してもらうか、この金融特に。秘密会でも構いませんよ。ちょっと協議してください。
  64. 高鳥修

    高鳥委員長 御提起のありました問題については、後刻理事会で協議いたします。   どうぞ御質疑を続けてください。
  65. 加藤六月

    加藤(六)委員 今、たびたび申し上げまして、私が言うた業態転換の話も何もあるんですが、大蔵大臣、本会議でもあなたに大分言ったのが、破綻した信用組合に対する支援を、今までは権限委任事務であるから支援しろと、こう言っておったね。  ところが、今の答弁は変わってきたんだ。信用組合というのは地域に密着した関係があるから都道府県にも支援してもらわなくてはならぬと思いまずと、監督権限とは別の意味でのへ理屈をつけ出した。これは、いつまでにこの問題ははっきり解決したいと思うんですか。
  66. 西村吉正

    西村政府委員 かねてから、信用組合の監督・検査権限がどこにあるのかという御議論はたびたび国会でもございました。私どもは、信用組合の監督は都道府県知事が機関委任事務として行っているものである、したがって一義的には信用組合の検査・監督権限は知事にありますという御説明をしてまいりました。  他方におきまして、しからば、その信用組合の破綻に際して、財政支援を都道府県がすべきであるかどうか、こういう点に関する先ほどの御質問だったと理解をいたしますが、都道府県に財政支出を行う責務が信用組合監督法令上あるわけではないと私どもはかねがね考えております。  しかしながら、これまで都道府県は、信用組合の破綻等に当たりまして資金拠出等を現に行ってきております。しかし、これは機関委任事務としての信用組合の指導監督の一環として行っているものではなく、それぞれの都道府県の実情に基づきまして、地域経済に与える影響や民生の安定等を勘案の上、公益上の必要性から、都道府県の責任に基づく御判断によりまして行われていることでございます。  もとより私どもは、こうした都道府県の財政支援は今後とも行われることが期待されると考えておりますし、金融制度調査会の御議論でもそのような結論になっているところでございます。
  67. 加藤六月

    加藤(六)委員 期待しているんですか、それとも、こういう金額は、破綻金額がこうでございますからこの程度はしてもらわなければ困りますという、何か基準があるんですか。
  68. 西村吉正

    西村政府委員 不幸にして信用組合の破綻が起こりました場合には、直接の監督に当たっておられます都道府県と、もし金融システム全体に影響があると考えました場合には、私どもも相談にあずかりまして、その場合に、どういう措置、その措置の中には地方財政上の支援も含めまして、どのような措置が必要であるかということを御相談するということはございます。
  69. 加藤六月

    加藤(六)委員 要は、不明瞭だということではっきりしていないわけですね。基準はあるんですか、ないんですかと聞いている。
  70. 西村吉正

    西村政府委員 破綻に至りました事情あるいは破綻の程度、それを収拾するための経費、それぞれケース・バイ・ケースで考えていかなければならないことだと存じますので、あらかじめ一つの算式に基づいてということは不可能であろうと思います。
  71. 加藤六月

    加藤(六)委員 冒頭四原則を申し上げ、その中に透明とか責任とか言っているが、透明というものがない。だから、要請を受けた都道府県は困る。そして都道府県知事は議会に諮らなくてはいけない、その根拠がない、大変な問題になる。だから、たびたび私は、その問題をはっきりしなさいと、こう申し上げておる。  それから、破綻に至る前の共同検査、国と都道府県の共同検査、この基準も明確にしなさい、発動するのをはっきりしなさいとたびたび申し上げておる。できましたか。
  72. 西村吉正

    西村政府委員 昨年の金融制度調査会の答申におきましては、「発動基準明確化を図り、共同検査を早期是正措置の一環として位置付けることが適当である。」とされているところでございます。  今回の法案で、この早期是正措置も御提案申し上げておるわけでございますが、金融制度調査会の答申を踏まえまして、共同検査の発動基準を早期是正措置の一環として位置づけまして、例えば、自己資本比率が一定の水準を下回った信用組合につきましては、原則として大蔵省と都道府県の共同検査を行うというようなことをも含めまして、今後、基準明確化を図ってまいる所存でございまして、そのためにもぜひこの法案を一日も早く成立させていただきたいとお願いを申し上げておるところでございます。
  73. 加藤六月

    加藤(六)委員 今局長がおっしゃいましたこの自己資本比率というのは、これは我が国の金融の世界的信頼性の上からいっても、あるいはまた金融機関の安定、二十一世紀を目指す金融機関としての問題等でも、これはすっきりはっきりさせなければいけない。ところが、この自己資本比率の基準があいまいなんだ。破綻金融機関が行わなくてはならないディスクロージャーも今すぐではない。しかもディスクロージャーの中身もあいまいなんだ。何もかにもあいまいのままが今回のこの法律でございます。そこら辺を大いに私たちははっきり、明確に今後していかなくてはならぬと思いますが、時間が参りましたので、あとは同僚議員に譲ります。  ありがとうございました。
  74. 高鳥修

    高鳥委員長 この際、江田五月君から関連質疑の申し出があります。加藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。江田五月君。
  75. 江田五月

    ○江田委員 加藤委員からさまざまな論点、今提起がございました。いろいろ疑問もわき上がってきたところだと思いますが、冒頭、私の方からも、国民皆さんの大変関心の高いこの特別委員会において、どうも野党の意見に全く耳を傾けない運営、重要法案について審議を尽くすという姿勢がどうもない、とにかく何が何でも無修正、強行突破すればよい、そういう強引な運営方法が見られるので、強く抗議をしておきたいと思います。  今回の与党皆さんの強引な運営を見て、私は前に読み上げたのですが、二月九日の予算委員会の場で皆さんに御紹介をした東京都の女性の方からの新聞の投書、これを思い出しております。あれは予算委員会で、今回、金融特別委員会ですので、改めてもう一度読み上げてみたいと思いますが、「恥を知れ!」という投書なんです。「住専銀行も「恥を知れ!」」東京都の主婦の五十二歳の方なんですが、   夫の経営していた従業員十人にも満たない町工場が倒産して二年になります。役所や銀行、親会社以外、債権者はほとんど関連の業者仲間。「必ず返済する」との夫の言葉を信じ、「返せ」と押しかけてきた業者は一軒もありませんでしたが、工場を明け渡し、家も土地も競売に付され、生命保険すら解約。自殺もできないからと、夫は五時起きして図面を引き、仲間の好意で借りた工場の片隅で文字通り身を粉にし、日曜も祝日もなく働いております。毎月、たとえわずかでも都合のつく額を、今も債権者に返し続けております。  夫はバブルに狂ったわけでも、金もうけに走ったわけでもありません。納得のいく機械作りに心血を注いでいただけです。資金繰りにほんの少しつまずいただけで、銀行にも親会社にも情け容赦なく切り捨てられ、今届くのは払えぬままの固定資産税と国民健康保険料の督促状ばかり。  「住専」に怒らずにおられましょうか。怒りは日々募ります。わが夫のような思いをしながら、黙々と税金を納めている人たちが、全国にどれほどいることでしょう。  バブルで散々甘い汁を吸い、なお平然と国民血税を当て込む企業にも銀行にも、それを助けている官僚や政治家にも、「恥を知れ!」と言いたい。 こういう投書で、「恥を知れ!」と厳しい言葉ですね。  もちろん、この言葉は、政府与党だけでなくて、私たちも含めた政治家すべてに向けられていると思います。このような国民皆さんの怒りや悲しみに対して、私たち政党同士での、ののしり合いをしてもだめなんだと思いますね。そうでなくて、本当に私たちができること、これは、この国会の審議の中で、この委員会の審議の中で真剣な議論を徹底的に尽くして、本当に国民皆さん納得していただける、そういう結論を出すことでなければならぬ、国民皆さんに信頼してもらえる国会審議をしなければならぬと痛切に思っています。  私は、この投書は国民の声を代弁するものだと思うし、二月の投書ですが、今なおその声は薄らいではいないだろうと思うのですが、総理、まず、本委員会に臨まれる総理の基本的な態度、これについてお伺いをいたします。
  76. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 ようやく御審議がいただけるようになったことを、私は大変喜んでおります。そして、その投書をされた方のお気持ちも、私は素直にそれを聞かせていただきました。そして、少なくともその方に御理解をいただきたいと思いますのは、住専を助けるものではないという、その一点であります。
  77. 江田五月

    ○江田委員 もう少しこうした、今政治に本当に 問われているものは何かといったことについて、導入ということでありますが、議論をしていきたいのですが、私は、総理、本当にこんなことを思うのですよ。  今、この金融特別委員会で、数字の話がいっぱい出てまいります。もちろん数字の話は非常に大切な話なんですが、しかし、やはりこういう国会での議論で、私ども総理そして各大臣といろいろな言葉のやりとりをします。そういう一つ一つの言葉のやりとりが、今、この国の形をこれから決めていくんだ、国民皆さん総理大蔵大臣やその他の皆さんの言葉を一生懸命聞いているわけで、どうぞ国民の胸に響く言葉をぜひ語っていただきたい。総理はもちろんそういうお気持ちでやってくださっていると思います。別に総理を今非難しているわけじゃないのです。  この特別委員会は、金融問題に関する六本の法律案を審査をし、さらに現行の金融税制財政制度及び経済構造全般にわたる改革を行い、あわせて金融機関等に対する諸問題についても協議し、処理するために設けられた。私もその目的に沿って質問をいたしますが、その前に、もっと根本にあることについて触れておきたい。それは、私たちは一体バブルの発生とその崩壊から何を学ぶのかということですね。  戦後五十年、普通の生活者の皆さんは堅実に暮らしてきた。多くの皆さんは、バブルの発生とその見せかけの繁栄に実はまゆをひそめていたんじゃないかと思うのですよ。しかし、司馬遼太郎さんが言われたように、近所の農家の人が実は土地の値上がりを待つためにネギを植えていた、そこに労働の喜びも誇りもない、このままでは日本日本人も本当にだめになる、土地を無用にさわることがいかに悪であったか、これを国民の一人一人が感じなければならないと司馬遼太郎さんが書かれた。  このような思いから出た司馬さんの言葉を都合よく解釈される与党の政治家の皆さんもおられるようで、私も別に私の方に都合よく解釈するつもりもありません。私は、司馬さんのこの言葉を税金投入の口実に使うだけじゃいかぬと思う。  私なりに司馬さんの言葉を解釈すれば、今回の住専問題は、決して住専七社、銀行、農協、大蔵省、農水省、借り手そして政治家などの当事者だけの問題ではない。土地を投機の対象としたバブル経済の存在を許した日本国民全体の問題だ。だから、この問題を解決する場合に、当事者たちの談合で解決策を決めるのじゃだめ、日本国民全体がこの問題の本質を知って、二度とバブル経済を発生させないために、国民一人一人が参加してこの問題に始末をつけなければならぬ。そこに司馬さんの真意があるのではないかと私も思います。  さて、総理、ちょっと私の勝手な言葉が続きますけれども、私は昭和十六年生まれでございます。昭和二十年の八月十五日から始まる戦後史のまさにその中で大きくなったのです。戦後史そのものだと思っています。昭和三十五年に郷里の岡山から、当時まだ新幹線はなかったのですね、夜行列車に乗って友達何人かと東京に出てきて、そして大学を受験いたしました。そこから郷里を離れた生活が始まった。昭和三十五年からです。  私なりに真剣に人生行路を歩みを進めてきたつもりですし、私の友達も皆そうしてきた。その中には、公務員試験を優秀な成績で通って大蔵省に入って、まさに衆望を集めて、総理も知っている、しかしセンセーショナルな舞台からの退散をしてしまった男もいます。  彼だけじゃない。ある者は、本当に一流大学を出て一流の会社に入って一生懸命会社のために働いて、しかし気がついたら何億という詐欺、横領、こういう嫌疑をかけられて縛についている者もいるし、ある者は、それを裁いた友達もいるし、それを弁護人として弁護している友達もいる。しかし私は、確かにこんなに大きく違うけれども、みんな同じ戦後の歩みを一生懸命歩んできた者だと思うのですよ。その点で私たちは違いはない。  私は、加藤さんも同じだと思うのですが、そんな意味で、別に恨みもつらみもあるわけじゃないし、そんなに違いはない。私たち皆同じ。違うのは、戦後の五十年の歩みと、それまでの日本の五十年といいますか、もっと長いかな、この歩みと、これが随分違ったんじゃないだろうか。あるいは、戦後の日本の五十年の歩みと、日本以外の国々のこの五十年の歩みと、これが随分違ったんじゃないか。そんなことを思うのです。  バブルの発生とその崩壊、欲に駆られてひたすら富を追い求めてきて、バブルになった、これも必然の帰結、バブルが崩壊したのも必然の帰結ですが、その陰で、実は私たちは、例えば責任とか罪の意識とかあるいは信頼とか献身とか、こういうようなものを忘れているのじゃないか。  先進国、先進国といいますが、どうも先進国というのは、物の豊かさだけが先進国で、実は、本当に子供たちのひとみは澄んでいますか、本当に皆、人の痛みを感じていますか、こんなことを考えたら、これは大変なところに我が国は来ている。  それが今のこのバブル崩壊後、不良債権問題をどうするかということにも当然かかわっていることで、本当にまじめにやらなければならぬのだという、その思いを国民皆さんと一緒に持つことがこの審議の一番重要な課題じゃないのか。物と金にとらわれるのじゃなくて、本当に人と心を取り戻す、そういう思いでこの審議をしなければならぬと思うんです。  そういう意味で、総理総理の言葉の一つ一つがこれからのこの国の形を、もちろんそれだけじゃないですよ。しかし、その総理の言葉は非常に重い重みを持ってこれからのこの国の形を決めていくんだと思っているんですが、どうです、そういうバブルとその崩壊で今不良債権を抱える状態に至っている、そして私たちみんなこうして議論をしている、このことについての総理の思いというもの、これをひとつお聞かせいただければと思います。
  78. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 数日前のあるテレビの番組で、あなたも御存じであったであろう、長島の愛生園医師として生涯をかけたある女性の姿が放映をされました。  よく存じ上げていた方でありますし、たまたまその方のおいごさんが私の中学、高校時代の親友であり、その彼が山で遭難をいたしましたとき、私はその遺体収容に当たりました。それだけに、さまざまな意味でよく存じ上げているつもりの方でありましたが、改めてその方の全生涯を通して、映像としてこれを拝見したときに、我々がかつて持っており、そしてかつての日本人が通常であれば皆心の中に持っていたであろうものがなぜなくなったのか、そして今、事新たにこの方の生涯が報ぜられたのか、考えさせられた場面でありました。  私は、議員より数年早く生まれておりますので、戦前戦中の、当時は国民学校でありますが、義務教育の一時期を経験したことがあります。同時に、敗戦で混乱をし、先生方が何を教えればいいのかに大変苦しまれた時代の生徒でもあります。そして、その時代の記憶と今日を重ね合わせますと、まさに私たちが何かをもう一度探し求めなければならない、そして再構築をしなければならない、言わんとされる意味は私もそれなりに理解ができるつもりであります。  そして、昨日もそのバブル期についての反省という御質問があり、相当長い答弁をいたしましたから、それをあえて私は繰り返そうとは思いません。しかし、そのときそのときにおいて政策担当者として全力を尽くしてきたつもりであっても、結果において生じた事態、これを考えるときに、どこかに政策選択の過ちがあったであろうことを否定することもできません。当然のことながら、そうした反省の思いは私自身も持っておるつもりであります。  そして、みずからの言葉の重さも私なりに、何も今始まったことじゃありません、政治家になったときから私はそのつもりで、むしろ正直に物を言い過ぎてしかられたこともありました。それだけの責任はこれからも持ってまいりたいと思います。
  79. 江田五月

    ○江田委員 きのうもこの委員会で、バブル期の政策の選択の誤り、具体的にどういうものがどうであればよかったという、それは一々細かく検証しなければならぬと思いますけれども、そうじゃなくて、総じて、今日ここに至ったについてはやはり何かおかしいところがあった、こういう認識を示されたことに敬意を表します。そして、やはりその一番根本のところに、何か戦後の歩みに欠けたものがあったのだということ、これをぜひひとつ総理と認識をともにしたいと思っております。  政府与党皆さんは、それなのになお今日も当事者だけの密室の談合で、国民にきっちり説明せず、いきなり税金の投入を勝手に決めた、そう思っている、少なくとも国民は。住専経営者も銀行大蔵省も農水省も政治家も、だれも責任をとろうとしない。  去年の暮れですね、税金の投入を決めた最大責任者である当時の総理大臣大蔵大臣が、責任をとるどころか責任を放棄して、自分たちが生き残るための新党をつくる方が大事だということで逃亡した。そして、政府与党は今またこの委員会の審議を尽くして国民の前に真実を明らかにするのでなく、とにかく議論をなるべくしないで、無修正で六本まとめて一気に強行突破、もしこういうことだとしたら、これはまことに残念なことだ。  今橋本総理からお考えを伺いましたが、大蔵大臣、ひとつ、先ほどの私の指摘、それはまあどうでもいいですが、司馬遼太郎さんの言葉、こういうものをどういうふうに受けとめておられるか、お考えがあれば聞かせてください。
  80. 久保亘

    久保国務大臣 当事者間の談合とか、あるいはこれを国民皆さんに見えない、聞こえないところで決めているとか、そういう御批判は、私は当たらないのではないか。これだけ長期間にわたって、審議が途中行えなかった時間も長かったですけれども、しかし、随分長い時間かけて、それこそ公開の場で御議論をいただいてきたと思っております。  それを通して、今、江田さんも認識をともにしていただけると思っておりますのは、住専問題の処理、つまり不良債権の象徴的なものとしてのこの住専問題をまず早期に処理すること、これ以上先送りは許されない、そして現在から将来にかけての日本経済にとって、この問題を処理することは極めて重要なことであるということについての認識においては、ともにしていただけるのではないかと思っております。  その処理の方法について、なかなか意見が一致できない点もございます。しかし、これを早期に処理しなければならない重要な課題であると考えるならば、それならば、その処理の方法において違いがあるとすればどうするのかということについては、十分議論を尽くしていただけばよいと思っているのでありますが、政府といたしましては、今日までの長い議論も経た上で、今皆さんに御審議をお願いをいたしております方策が、とり得る、今日考えられる最良の手段である、このように考えているのであります。  もう一つ、やはり誤解が国民皆さんにあるといけませんので、住専処理法案ということでこれを簡略にして私どもは呼んでおりますが、正確に申し上げますと、住専債権債務処理促進する特別措置法案でございます。そこのところは明確にいたしませんと、財政支出が住専を救援するかのごとき誤解を招くおそれがあるからであります。  そうではなくて、私どもは、日本の経済のきょうからあすにかけての重要な問題として、この住専の持つ不良債権住専を整理することによって速やかに処理することが重要である、そういう立場から債権債務処理促進に関する法案として審議をお願いを申し上げているのであります。(発言する者あり)
  81. 江田五月

    ○江田委員 少し小さな声で言った方が皆さん静かになるかと。  それはまあいいので、私は、本当にこれは残念に思うのですよ。総理と今お話をして、総理もちょっといらいらするような風情も示されたり。しかし、それはやはりそういうことをお感じだからだと思うのです。  ところが、大蔵大臣、副総理ですから、今の住専の問題というのは、確かに社会的コストを最小に抑えて今の金融危機を乗り切っていくという、それは大切ですが、社会的コストというのは単なる銭勘定じゃないのだ、国民みんながこの国、私たちの社会をどうするという気持ちを本当にみんなでもう一度持ち直すような、そういうことが大切なんで、そのために今こうして審議をし、政治家が言葉を出しているんだというその思いが久保総理に伝わったのかな。何か久保総理の言葉が胸に、少なくとも私の胸に響いてこないという気持ちがあるのですね。それはいいとして、次へ行きましょう。  金融関連法案、これを審議する前にもう一つ申し上げたい。金融の健全性というのは一体どういうことかということです。  今回の金融健全性確保法案、これは後からちょっとパネルで示しますが、については、「金融機関経営の健全性を確保していくための新しい監督手法として、自己資本比率等の客観的な指標に基づき業務改善命令等の措置を適時に講じていく早期是正措置を導入する」、こういうことが書いてあります。  そのこと自体は、それはそのとおりだと思います。しかし、この法律案をつくった皆さんの頭の中にはどうも数字のことしかないような気がしますね。自己資本比率の充実、そうなるとまた土地や株の含み益というようなことになるのか。もちろん我が国は市場経済の国ですから法律や行政の監督ということになじまないかもしれませんが、それでもやはり金融機関というのは今までどおり土地担保主義でいっていいのかどうかということは議論しなければならぬことだと思うのですよ。  初めに紹介をした投書の方の御主人のような、ほんのちょっといい機械をつくりたかっただけなんだ、そういう方にも、その人物やあるいはその業務の計画やこういうものを見てちゃんと融資の道を開く、そんなことができなかったら——少なくともそういう努力はすべきなんじゃないか。  土地の担保がなくても、例えば、今いっぱいあるんだ。東京に市民バンクというものができています。あるいは、WWBというのをお聞きになったこと、多分博識の総理ですからおありだと思いますが、ウィミンズ・ワールド・バンキングという女性起業家に対する支援のそういう金融システムというのができているんです。ニュージーランドも随分金融の面でも改革をしたという。  人の能力とか人柄を見、事業計画の将来性とか返済能力を見て、そこに夢を見出して、希望を見出して融資をするというそんなこと、一体何のために金融機関がこの社会に存在しているのか、こんなこともひとつ議論をする、そういうものがなければバブルの教訓を生かすことはできないと思いますけれども総理、いかがですか。
  82. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 山崎豊子さんの、世の中に公表された最初の作品ではなかったかと思います、「暖簾」という小説があります。その中に出てくる金融機関責任者の発言で、人を見てお金を貸す、その場合は、人という言葉のかわりにのれん、まさに、抵当はのれんですという言葉に対して、結構な抵当です、お貸ししましょうという一節がありました。  そして、今議員から、これから先も土地でいいのか、土地が中心でいいのか。私は、それはノーという答えが既に出ているはずだと思うのです。むしろ、土地基本法を我々が制定をしたとき、土地というものが公共の財であるという概念は一つ私は定着したはずだと思います。そして、そういうものがベースにできたからこそ、私は、地価税という、土地の保有に対する特別な負担を求めるという税も世の中に認められたのではないかと思います。  そして、当然のことながら、そうした世の中の変化というものは、私は、金融機関における担保というものに対する見方にも変化を生じてしかるべきものだと思ってまいりましたし、今もそう思います。もし、金融機関が人を見てお金を貸す、あるいは、まさにのれんを見て貸すというだけの審査能力を持っていないとすれば、これは非常に不幸なことであります。  本来、金融機関の役割は、一つは産業に対する資金の供給の場であり、もう一つは庶民の資産運用の安全な場でもなければなりません。そうしたことを考えるとき、私は今、議員が述べようとしておられるお考え、恐らくそうであろうと私が推察するものと、金融機関に求めたい私の思いとは違いのないものと思います。
  83. 江田五月

    ○江田委員 金融の健全性ということで、市場規律に基づいてということが書いてあるんです。市場規律だと思うんですが、しかし、その市場というのも人なんですよね。市場規律というともう物や金、金勘定。それだけじゃないんで、市場というのも人なんで、その人がつくる市場が本当に生き生きとした、夢のある、みんなが何かをやろうと思えばそこにお金が集まるべきは集まってくるという、そういう市場にするためにこそ私たちはこうして言葉を交わしているんだということだと思うんですね。  さて、どうも前置きが長くなって恐縮なんですが、もう一つ、これは今のと関連するんです。  私たちがなぜ自民党加藤紘一幹事長証人喚問を重要視するかということについて、ぜひ国民皆さんにも御理解をいただくために申し上げておきたいと思うんです。  自民党加藤幹事長証人喚問、もちろんこれは予算衆議院通過のときの約束事だとか、橋本政権の大黒柱である与党第一党の幹事長国会の場で繰り返し虚偽の発言をした疑いがあるとか、それ自体重大なことももちろん当然なんですけれども、もう一つ、加藤幹事長は、本委員会の目的の一つである当事者、関係者の責任追及の対象の第一号となるべき人だ、こう思うんですね。  住専問題の責任追及は、住専銀行、農協、大蔵省、農水省、借り手、政治家、対象は全部で七つある。そして、税金投入を最終的に決定したのは政治家です。当時の村山総理、武村大蔵大臣、これは責任者、先ほどちょっと申し上げた。そして現在六千八百五十億円を投入しようとしているのは、橋本総理久保大蔵大臣、あるいは今後ろでお話をしている今の梶山官房長官もそうかもしれない。しかし、この住専処理問題の当初から一貫して、この問題の実質的な責任者は加藤さんだったのじゃないですか。  平成三年から四年に大蔵省住専に第一次立入調査を行って、住専というのが破綻状態にあることが詳細に明らかになる、もちろん国民には知らせずに。そこで、平成四年の八月に、時の宮澤総理が、軽井沢のセミナーで公的資金の導入について言及をされた。当時の加藤さんは宮澤内閣の官房長官。もちろん、まだ自民党分裂より前ですから、今新進党に来ている者の中でもそれは関係している者も当然おります。そのことを別に私たち何とも思っているわけじゃないのです。官房長官です。  このころには加藤さんは関係者の皆さんと勉強会をつくって動かれていたというのですね、九段のすし屋ですか。加藤さんはいわゆる農水族の中心的存在、この問題について農協の皆さんから一体何を頼まれてどのように動かれたのか。平成五年の、九三年二月には問題の大蔵省と農水省の局長の覚書がつくられた。担当大臣はよく知らなかったということのようですが、まあそうなのかもしれません。  しかし、加藤房長官はどうだったのか。九三年二月から始まった第二次再建計画、これがとんざした、いよいよ最終的な住専処理に取りかからざるを得なくなったのが昨年。そのとき加藤さんは与党第一党自民党の政調会長、そして住専処理策作成の責任者の一人です。  そして、昨年十二月十九日、六千八百五十億円の税金投入を決めたときには加藤さんは自民党幹事長与党合意書に署名をした八人の政治家のうちの一人。住専問題の節目節目で、あるときは官房長官、あるときは政調会長、あるときは幹事長、こういうふうに、加藤さんは住専問題については最も長く最も詳しい実質的最大責任者なんですね。  その加藤さんが、住専から七十三億円を借りて返せないまま倒産した共和という会社から一千万円のやみ献金を得ていた。御本人は否定をされるけれども国民皆さん、当然これはあるなと思っていますね、疑惑をかけられているので。住専不良債権の穴埋めに六千八百五十億円を使うと、それが加藤さんのやみ献金の穴埋めになってしまうかもしらぬ。住専と関係なくない、まさに住専問題そのもの。  となれば、加藤さんはむしろみずから進んでこの委員会証人喚問を受けて、真実を明らかにする責務があると思う。責任とか義務とかということを政治家が考えるなら、そのくらいのことをしなければいけない。  今、国会で薬害エイズ問題、参考人招致が行われているけれども、肝心の厚生省の担当者や厚生省OBの政治家はなかなか国民の前に出てこない、フェアじゃない。住専問題も同じ。借り手の東西のチャンピオン、大阪の末野、東京の桃源社、こういうチャンピオンを捕らえるだけではなくて、もちろんそれも大切ですよ、しかしそれだけではなくて、国会はすべての当事者、責任者の話を聞いて真実を明らかにしなければいかぬ、追及すべき責任を明確に追及をしなければならぬ。  国会がこの委員会責任追及をきちんとやりますよというその最大のあかし、これが加藤幹事長証人喚問だと私たちは思うのですね。だから加藤喚問をまず実現すべきだと主張しているわけで、決して何か党利党略、そんなことで言っているわけじゃない。総理大蔵大臣も私の予算委員会の質問に対してたびたび、責任追及はやるのだ、民事、刑事責任追及、徹底的にする、地の果てまで追いかけると言明されている。借り手の東西のチャンピオンの責任だけではなくて、すべての当事者、責任者の責任を厳格に追及していくのだということならば、これは加藤喚問は避けて通れない。  きのうから委員会の質疑が始まりまして、それはもちろん私たちも、この質疑、審議の中に本当に精いっぱい全力投球していきたいと思っているのだけれども、しかし私は、国民皆さん国会のこの審議というものを今どういう目で見ているかというと、実は、大変残念なことだけれども、それほど信用されていないのかもしれない、それほど注目されていないのかもしれない。  それは、どっちみちあんなものは、まあいいかげんなことでやっているんでしょう、どっちみち筋書きが決まっているんでしょうなどと見られてしまっていてはいけないんじゃないですか。国会というのが本当にこの住専問題についてうみをえぐり出すんだという、そういう気持ちがあるなら、この委員会が本当に国民皆さんにそういう目で見てもらえるようになるには、やはりこれは、まずこの住専問題の一番の責任者である加藤さんの喚問ぐらいできなくて、国民皆さんに、委員会の質疑を注目してくれ、信頼してくれ、そんなふうに言えますか。  あるいは、住専処理策について、私どもは、政府皆さんの案と私たちの考え方と哲学の違いがあると思っています。我々は、うみを徹底的に出すんだという、裁判所の管財人に入ってもらって徹底的にうみを出そうというんだ。政府の方は、私たちから見ると、民間会社の債務の穴を税金で埋めて、後は臭いものにふたをして大勢の皆さんを免責してしまう、そういうふうに……(発言する者あり)そら、ちゃんと話がつけてあるなんて言うでしょう。国会審議がそういうことでいいのかというのですよ。そういうように見える。私たちはそう思う。皆さんはそうじゃないとおっしゃるのです。いいです、それは。そうじゃないとおっしゃる。地の果てまで追いかける、民事、刑事の責任は徹底的に追及するとおっしゃる。  それなら、加藤喚問をそれほど避けて通るというのは、まさにそういう民事、刑事の責任追及の気持ちがないということを皆さんは身をもって国民に示しているじゃないか。身をもって責任追及をやらないということを示しているじゃないか、国民皆さんはそう思わないか。加藤喚問というのはさっさと応じたらどうですか。総裁としてお答えください。
  84. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 まず第一、私は申し上げたいと思いますのは、確かに議員と我々との間には認識に差があるようであります。それは、私はあなたが言われたような理由からではありません。  我々は、この住専処理問題、住専処理というものを、我が国の金融機関の抱える不良資産問題を解決していくその突破口であり、喫緊の課題だととらえております。先般来からの御論議を拝聴する限りにおいて、それは氷山の一角という言葉を使われる、そして今、議員からは、うみを全部出す、それが国会の役割と仰せられました。私は、当然のことながらそういうことも必要でしょうが、解決策を用意する責任は我々にあると思っております。そして、その解決策の御審議を願っております。
  85. 江田五月

    ○江田委員 だれに責任があるのか、この事態は一体どういうふうに現実として起こっているのか、そのことをはっきりさせる努力もせずに、単に何か解決策解決策と言ったってだめだ。国民みんながあのバブルを冷ややかに見て、そして今のことだって本当に冷ややかに見て、そして、ああいう人だけが勝手なことをやったところに税金投入というのが起こっているわけでしょう。  さて、このことはこれから先も鋭く同僚議員が追及をすると思いますが……(発言する者あり)
  86. 高鳥修

    高鳥委員長 静粛に願います。
  87. 江田五月

    ○江田委員 さて、この特別委員会の任務あるいはテーマについて、私なりに整理をしてみます。どうも、私もパネルを示してなんというのをやったことがないので、ちょっとやりなれないことですから、本当にうまくいくかどうかわかりませんが、このパネルのようになるんじゃないか。  金融三法とか四法とか住専の法律とかいってもなかなかわからないので、ちょっとまとめてみました。きょうはテレビ中継の日ですので、国民皆さんにもぜひ議論に参加をしていただこうと思いまして三枚つくってきたんですが、まあ国民皆さんということでテレビにお見せしますけれどもね。  法案は六本ある、これはいいですね。金融機関健全性確保のための関係法律整備に関する法律案・・(発言する者あり)
  88. 高鳥修

    高鳥委員長 静粛に願います。静粛にしてください。
  89. 江田五月

    ○江田委員 健全化法。  それから金融機関更生手続の特例に関する法律案。これがどうも変な誤解があるんですが、金融機関更生手続特例等というと、何か特別の法律手続をつくる。そうじゃないんで、会社更生法なんですね、これ。金融機関に対して会社更生法で破綻を処理する、それについて幾つかの特例を設けるということで、何か金融機関更生手続というと会社更生法と全然違うように思っている人がどうもいるらしいんです。しかし、これは会社更生法だ。政府金融機関には会社更生法適用を今現に法律として提案をされておる。これは間違いないですよね、当然ですよね。  それから、三番目が預金保険法の一部改正法。四番目が農水産業協同組合貯金保険法の一部改正法。この一、二、三、これが金融三法と言われて、農水関係の貯金保険法、これは大蔵省でなくて農水省だからちょっと別で、しかし、これだけ四つが全部で金融四法。  それで、五つ目が特定住宅金融専門会社債権債務処理促進に関する云々という、この住専法ですね。六つ目が特定住宅金融専門会社が有する債権時効の停止法。これは役所が出した法律じゃありませんね。議員立法ですね。なぜ役所は出せなかったのか、なぜ議員立法になっているのか。まあこういう全部で六つの法案があって、この一、二、三、四、この四つについては、これは金融秩序、これをまあ農林系、系統も含めて健全化していこう、そのためにいろいろな措置をとっていこうということでございます。  これはもちろん私たち、先ほども加藤委員からも指摘がありましたが、いろいろ問題点は感じております。感じてはおりますが、まあ一定の評価はしております。したがって、きちんと審議をし、与野党共同で修正するべきものを修正をする、そして速やかに成立させるという、そういう基本的な考え方を別に持っていないわけじゃないんです。不良債権処理するということについては、私たちもその緊急性は認めているわけです。特に、例えばこの農水関係の貯金保険法なんというのは、もし農家の皆さんの心配があるならば、これだけでも今もう真っ先に通してもいいというぐらいにでも思っているわけです。  まず、金融システムの安定のためにはこの四つ、わかりますね。この四つというのは、健全化法と更生手続特例法と預金保険法と貯金保険法、この四つ、これについては、まずこれは処理しようじゃないか。(発言する者あり)そんなことはないんですよ、全然わかっていない人がああ言う。時効の関係は住専法が通らなかったら何にもならないんです。あれは住専法と一対になっているんですよ。だから、時効のことだけ取り上げたってだめなんです。  この四つについては、これは速やかに成立ということは、もちろん修正して。しかし、この五つ目、これが希代の悪法、住専処理法。そして政府は、あるいは与党は、四つまでが全部さっと行くと五つ目が取り残される、五つ目は国民の大変な怒りを浴びている法律ですから五つ目が取り残される、それは困るというので全部、六つを一緒にと言っているのじゃないですか。  そういう硬直した態度じゃだめなんで、やはりこの住専処理法とそれに付随する議員立法、住専処理法ができなかったらこの議員立法の時効停止なんて、まあ時効停止のことは私はかなり問題があると思いますが、意味がないんで、この二つ、これは私たちは反対だ、廃案を求める。  わかりましたか。この金融四法、これについては私たちは積極姿勢、あとの二つ、住専の問題については、こういうやり方でやるのをやめよう、廃案を求める。これが新進党の基本的な態度です。  この法案の審査のほかにもいっぱいあるのですが、ちょっと今の法案の関係について、もう一つパネルを用意しました。私たちの案。いいですか。住専処理法とそれから時効の停止は、これは要らない。  私たちの案、何か、きのうどこかで、いつの間にか引っ込めたとかいうようなことを言われた人もいますが、そんなことないです。ちゃんと出しています。見えますか。「新進党住専処理策」。  「新進党住専処理策」。まず、会社更生法による法的処理皆さん金融機関に対してやろうとしていることです。金融機関にやれることが、なぜ住専にできないのか。住専会社更生法によって法的処理をしましょう。  そして、そうなりますと住専処理への税金投入は不要、要らない。これも前から予算委員会で言っていることで、繰り返すことはないかと思いますけれども会社更生法で法的処理をしたら税金投入は、不要じゃないのです、本当は。不要どころか、入れる場所がないんです。入れたくても入れる場所がないんです。債務の穴埋めに税金を使うなんということは、会社更生法では全然その余地さえない、不要。  そして、管財人が実質的公平原則、単なる機械的平等ではなくて、実質的公平原則で負担額を決めて更生計画をつくるんですよ。実質的公平ですから、貸した事情、借りた事情、あるいはそれまでのいろいろな処理の事情、途中で返せと言われても、なかなか返してもらえなかったとか、いろいろな事情がある。そういう実質的公平原則で負担額を決めて更生計画をつくる。  そして、債権会議で決議される等々です。(発言する者あり)決議された更生計画を裁判所が認可するんですね。何か、債権会議合意がとれないとかいうやじがありますが、これは後でちゃんと説明します。きっちり説明しますから、しばらく黙っていてくれませんか。  裁判所が認可をすれば、皆さん御心配の株主代表訴訟は……(発言する者あり)だって、裁判所がこれが一番いいと言っているんですから、株主代表訴訟は起こる余地がない、あり得ない。  私は、国会決議でも本当に株主代表訴訟を防げるかどうかわからぬと思いますよ。会社というのは、国会の言うことに従わなければならぬことはないんだ。会社経営者は、株主に対して責任を負っているんですからね。しかし、裁判所がこうだと、それはちゃんと認可をすれば、後で裁判所によって株主代表訴訟を審査してくれといったって、そんなことが通るわけないんで、心配御無用。  さらに、管財人による厳格な債権の回収、責任の追及を行う。(発言する者あり)正式意見です。いいですか。  政府の案は、住専住専処理機構と、これは言葉がややこしいんで混乱するんですけれども住専というのは七つある会社です。住専処理機構というのは、別にもう一回つくる株式会社で、特別の権限も何もないのです。  私たちは、そうではなくて、住専に裁判所から派遣された管財人が入っていって、そして管財人が会社更生法で持つ権限によって債権の回収をする。そうしますと、否認権もあります。あるいはいろいろな保全措置もできます。あるいは役員に対する損害賠償請求権の査定なんという方法もある。徹底的に民事の責任追及もできる。そういう管財人による厳格な債権回収と責任追及。  そして、それでもまだ管財人だけではあるいは足りないかもしれないので、その管財人をバックアップする体制として日本版のRTCをつくりましょうと。アメリカでやっているああいうものを管財人を応援する体制としてつくりましょう、これ、日本版RTC。  そして最後に、何か預貯金が払い戻しを受けられなくなったらどうするのだという意見がありますが、これは政府案と我々・・(発言する者あり)だからさっきも言ったでしょう、金融四法については私たちは積極なんだ。預貯金保険機構の拡充強化によって預貯金はちゃんと国民皆さんに保証する、心配ない。預金や貯金が新進党案だと取れなくなるなんて、そんなことはないんだ。聞いていないだけでしょう。これが私たち新進党案なんですよ。きょうは国民皆さんに——どうも恥ずかしいですね、こういうのは。ということでパネルを用意してきましたが、こういう案が私たちの案でございます。  繰り返しますが、法的処理ですから、当然のことながら税金の投入は全く不要だ。管財人が入って関係人の調整を行って、債権額に比例した形式平等ではなくて、母体行責任や紹介融資責任、こういうあらゆる実態、あらゆる実情、責任の重さ、こういうものを十分考慮した実質的公平原則で負担額を決めて更生計画をつくる。したがって、もちろん系統の皆さんはいろいろとおっしゃりたいことがある。その系統の皆さんのおっしゃりたいこと、これは私たちもそうだと思う。そのことはちゃんとこういう実質的公平原則の中で生かされる。  したがって、私たちの案で言えば、政府案よりもずっと私は農家の皆さんの負担は少なくなると思いますよ。五千三百億円の贈与は要らない。二兆二千億円の長期低利の融資も要らない、二兆二千億円も要らない。こうやって更生計画をつくりまして、そして関係人集会で決議されれば、その上で裁判所がこれを認可するから、代表訴訟の心配はない。管財人の保全手続、否認権の行使、損害賠償請求権査定の申し立てなどなど権限も行使する。  いいですか。皆さんの案は、通常の株式会社である住専処理会社住専処理機構が債権の回収をする。そこに裁判官経験者や検察官経験者や警察の経験者が入ってきたって、柔道や剣道のけいこはしているかもしれないけれども、法的権限はないんですよ、特別なものは。法的権限がなくて、ちゃんと回収できますか。強制執行の免脱に対して、刑事事件で関係者を引っ張ってくることはできるでしょう。  しかし、では、例えばこの間のあの佐々木吉之助さんのケースでも、私、これは後で時間があれば聞いてみたいとも思いますが、刑事事件にはしても、あの事件について民事的にどういう対応をとっているのかということは、これはぜひ本当は聞いてみたいんです。  民事について、例えば、登記が移っていればあるいは変な登記がついておれば、それについての処分禁止仮処分というようなものをやって登記を動かされないようにさせるとか、あるいは占有の移転も禁止させるとか、いろいろなことをやらなければいけないんだけれども、まして我々だと、会社更生法ですから特別の権限があるわけで、会社更生法という法律によって管財人に特別の権限が与えられるわけです。したがって、政府よりもよほど厳格な責任追及ができる。  どうも私は、政府住専処理会社更生法を使おうとしないのは、何かやはり会社更生法を使うと困ることがあるのじゃないかと思う。いろいろあれが困る、これが困ると言いますが、本当に困ることは、会社更生法でそこに管財人が乗り込むと、——困ることがあるのじゃないですか。それを覆い隠すために会社更生法を使いたくないのじゃないか。大蔵省のOBとか母体行の出身者で占められた住専経営者、この皆さんは一体責任追及ができるのかと本当に心配している。本当に心配しているのです。  私たち提案説明をしましたが、さて……(発言する者あり)
  90. 高鳥修

    高鳥委員長 静粛に。静粛に願います。
  91. 江田五月

    ○江田委員 本委員会のテーマに戻りましょう。いいですか。特別委員会では、国会に特別な機能を与えることも含めて債権の回収とか責任追及を徹底して行おうという議論があった。社民党なども非常に熱心だったと思いますが、しかし今はどうなんでしょう。梶山官房長官もペコラ委員会という構想を出された。ノンバンク対策は一体どうするのか。  いいですか。もう一遍ここへ戻ります。特別委員会のテーマ、今の法案、こういうことです。  私たちの対案は今言ったようなことです。そのほかに、さらにこの委員会が、ペコラ委員会という言葉も出された。ペコラ委員会というのはアメリカの大恐慌のときの委員会ですかね、大変な活動をされたそういう委員会。そんな構想もあって責任追及とか債権回収、こうしたことについて正面からあるいは側面からこの委員会が活動をする、これもこの委員会の重要なテーマのはずですよ。  さらに、不良債権問題の解決、これはノンバンク対策をどうするんだ、土地の流動化対策をどうするんだ、あるいは税制、規制緩和、公有地拡大等、いろいろあると思いますが、さらに金融機関の破綻処理の手法の一つとして持ち株会社の解禁問題も、これもたしかあったはずですよね。こういう問題、これは一体どうなっているのか。この委員会のテーマの一つです。  そして、もっと大きなテーマとして、金融行政の改革大蔵省金融行政はこのままでいいのかどうか。今、皆さん、私のこの一番上の法律ですが、健全化法。これでいろいろ大蔵省はむしろ権限を拡大することになって、一方で大蔵省の権限の縮小、大蔵省改革がなしだったらこれはまずいのじゃないか。一方で拡大するのだったら、やはりそれがちゃんとやれるように大蔵省改革をしなければいけないのじゃないかという大蔵省改革とか、あるいは日銀法の改正とか、ざっとこういうことが私はこの特別委員会議論のテーマになるんだろう、こう思っております。  さあ、一人で随分しゃべりましたけれども総理、この委員会のテーマというのはこういうことじゃないか、あるいは私が今申し上げたものの中で、何かここはどうしてもということがあればお っしゃってください。
  92. 高鳥修

    高鳥委員長 ちょっと待ってください。  ただいまの江田委員の御発言の中で不適切な部分があるという抗議がございましたので、後刻、発言を、速記録を調べました上で適切な措置をいたします。  取り消しを求めたわけではございません。後刻、御発言を点検の上、適切な措置をいたします。(発言する者あり)ですから、そういう抗議がございましたので、後刻、理事会において点検の上、措置いたします。  橋本総理大臣
  93. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 非常に幅の広い御意見の開陳の後、見解を求められましたが、私は特別委員会のテーマを政府が云々することは本来とるべきことではないと思います。これは院として御決定になるべきことでありますし、具体的には委員会御自身の御判断の中でお決めになるべきことでありましょう。  ただ、先ほどペコラ委員会にお触れになりましたけれども、私が聞いておりますところでは、ペコラ委員会与党から提案をいたしましたものが、御相談の中でむしろ与党からではなく外れたと聞いております。
  94. 江田五月

    ○江田委員 大蔵大臣、何かさっき手を挙げておられたようですが。
  95. 久保亘

    久保国務大臣 ここで私は反論を申し上げるつもりはございませんけれども、先ほど当委員会に付託されております法案について順序と思わせるような番号をおつけになりましたので、私の方から申し上げますことは、衆議院において御決定になり、議長の指揮に従って私が趣旨説明を申し上げました順序は、江田さんが五番とされましたものが一番でございました。そのことだけは事実を申し上げておきたいと思います。
  96. 江田五月

    ○江田委員 結構ですけれども総理もどうも、国会が、委員会が決めることと言えばそうですが、やはりみんなそれぞれいろいろな意見を出し合いながらということだと思います。順番のこともそれは大切なことでしょう。  さて総理、今回の住専処理策が決定されてかれこれ半年、政府与党皆さんがあらゆる努力でPRをされましても、いまだ国民の九割が六千八百五十億円の税金投入に納得していない、こう言われておるのですね。  さてそこで、ここにもう一枚パネルを用意いたしました。これは国民皆さんが疑問に思っていること、いまだ政府が十分説明できていないこと、これを挙げてみました。  まず委員皆さん、どうぞ。よく見てください。いいですか。  なぜ預貯金者のいない民間企業の倒産に税金を投入するのか、こういうことですね。なぜ税金を投入するのか。預貯金者のいない民間会社の倒産になぜ税金を投入するのか。これはいろいろおっしゃるので、それはああ言えばこう言うでいろいろありますが、国民がまだ疑問に思っている第一点です。(発言する者あり)思っていますよ。  第二番目。六千八百五十億円の積算の根拠は一体何なのだ。ぎりぎりだ何だと、こういう話がありましたけれども、ぎりぎりがぎりぎりでないというのはその後の例の追加策とかいうのですぐにわかったわけですね。  五千三百億円がぎりぎりだ。これも農林系、ぎりぎりという話ですが、しかし五千三百億がぎりぎりと言って、いろいろ言われて、幾らでしたかね、千八百億でしたかね、追加策でまだ出せるという。つまり、五千三百億というのは単年度のぎりぎりで、その翌年になったら今度、翌年からずっとしばらく続くだろうと思いますが、千八百億あるなんというのでは、ぎりぎりなんというのはどういうことですか。これもやはり国民は疑問に思っている。  では、さっき何かありましたけれども、五千三百億円はなぜ贈与なのですか。これも国民は大変疑問に思っている。銀行の方は放棄でしょう。なぜ一体系統だけは、系統というのは農協それから信連、農林中金、そういうところだけはなぜ贈与なのか。これは、たしか五兆五千億全部返ってくるから、贈与なら、だから、五兆五千億全部返ってくれば責任者がこれで無罪放免になるからという、そんな話でしたかね。このなぜなのかということ。  四番目、二次損失の二分の一はなぜ税金なのか。  六兆四千百億でしたか、一次処理。そして二次処理、一兆二千億以上。それの二分の一は一体なぜ税金なのか。  六千八百五十億を何とかかんとかやって、そして追加負担を一生懸命お願いをして、どうやら国民皆さんの税負担なしで済むことができると、これも後で出ますが、仮にしましょう。それでもあと二次損失から、ここから先あるのです。住専だけで済むのか、ほかのノンバンクはもうないのか。あるいは、そういうノンバンクだけで済むのか、ほかの金融機関はないのか。二次損失の二分の一、これはなぜ一体税金なんですか。  あるいは、この二次損失の二分の一の残りの二分の一、これの分担の割合は一体どういうことになっているのですか。一兆二千億以上と言われる二次損失の半分、これはどういう分担で、国民税金を除いた分ですね・・(発言する者あり)底なし。二次損失の金額は一体幾らに本当のところなるのですか。  三月五日に発表された与党三党のいわゆる追加策、これはどうなったのですかね、あれはその後。生きているのですか死んでいるのですか、それこそよくわからない。どうなったのか。  税金を使わないようにするんだ、そういうかたい決意をお持ちなんだったら、なぜ一体法案を撤回しないのか。税金を使わないようにするというのですから、じゃ、なぜ法案を撤回しないのか。  税金投入の責任者は一体だれなんだ。だれがこの税金投入などということを決めたのか。あるいはその責任を真に負うべきはだれか。私は、先ほど言いましたように、村山前総理、武村前大蔵大臣、そして今の橋本総理久保大蔵大臣、そして加藤さんだ、こう思いますよ。  なぜ法的処理を行わないのか。なぜ一体法的処理を行わないのか。  あるいは番外として、不良債権の総額は一体幾らなのか、これもどうもわかりませんよ。  きのう銀行局長が、ことしの三月末で三十四兆六千八百二十億円であると言明された。本当にそうなのか。何だかまだ隠された不良債権があるのじゃないか。七十兆とか百兆とかと言う人もいる。  本当はこれらのことを全部一つ一つ議論をしていきたいところですが、きょうは全部をやるという時間はないので、これから委員会の審議の中で同僚議員にどんどんこれは審議を詰めていただきます。  何か今、総括二日の一般二日とか、そんなことじゃ到底これはだめですよ。これだけあるのですよ。しかも、まだこっちにもこれだけあるのですよ。まだまだこれから解明していきたいと思います。  さてそこで、大体これだけ疑問がある。きょうはこの中から一つだけ、なぜ一体法的処理を行わないのか、この点についてさらに議論を深めてまいりたいと思いますが、新進党住専処理策である会社更生法による法的処理については、きのうの委員会でも与党議員の皆さんによって取り上げられておりますが、法律知識の欠如による誤解とか曲解の議論がどうも私には多いように思われまして、残念です。  例えば、きのうも自民党委員の方でしたかね、住専は三分の一占めているから決議ができないというような、株主総会と会社更生手続とを混同したようなわけのわからない議論もあったりとか、あるいは、会社更生手続では、住専経営者は手続から排除されて裁判所の監督のもとに管財人によって債権者など関係者の間で更生計画が作成されていくわけで、住専経営者、これはちょっとどきなさい、管財人がそのかわりにその立場に座る、そして管財人が裁判所の監督のもとで更生計画をつくっていくわけですから、住専経営者の意思というのは関係ないのです。  弁護士さんが三千人要るとかいう。どこからそんな数字が出てくるのか、そんなことありません。オウム事件で今、東京地裁は大変だから、裁判官がそっちにとられて、会社更生なんかが来たら裁判所はお手上げたとか、まあだれも答弁は要らないですよね。そんなもの。そんなことあるはずがない。(橋本内閣総理大臣政府はそんなこと言っていないですよ」と呼ぶ)政府は言っていない。与党の人でそんなことをおっしゃった人がいるから、そのことは国民皆さんも聞いているから、私はそれを言ったわけです。(橋本内閣総理大臣「いや、政府は言っていない」と呼ぶ)当然ですよ。政府がそんなことを言うはずがないですよね、幾らなんでも。それは当たり前だ。非常識なことを平気で言っているわけで、そんなことを言ったら、もしそんなことだと言うんだったら……(発言する者あり)皆さんの方だってテレビを使って宣伝しているじゃないですか。政府提案している会社更生法の適用さえできないということになるのです。  まず、大蔵大臣にお伺いをいたします。(発言する者あり)
  97. 高鳥修

    高鳥委員長 静粛に願います。静粛に願います。
  98. 江田五月

    ○江田委員 今回の内閣提出金融三法の中の金融機関更生手続特例等に関する法律というさっきの二番目の法律です。この法律があって、このもとになったのが昨年十二月の金融制度調査会の答申です。この金制調の答申によれば、「破綻金融機関はそのまま存続させない」、いいですか、「破綻金融機関はそのまま存続させないという原則の下で、破産等により事業の解体を行わずに円滑な倒産処理を図る必要がある場合もあることから、破綻処理手続の整備会社更生手続をベースに行うことが適当」だ、こう書いてある。これは政府の認識だと考えてよろしいですか。
  99. 西村吉正

    西村政府委員 会社更生法についてのお尋ねでございますので、私どもの考え方を先ほどの御質問も含めましてお答え申し上げたいと存じます。  今回の会社更生法も含みます三法案の提案に際しましては、江田委員指摘のように、金融制度調査会におきまして長い時間をかけまして検討いたしました結果を反映させたものでございます。そこにおきまして、私どもといたしましては、決して、会社更生法、破産法を含みます法的処理というものを金融機関の破綻処理に際して使わないということを申し上げているわけではございません。住専に関しては使えないと申し上げていることでございまして、一般的に金融機関の破綻処理に際しましては、もとより関係者の話し合いによりまして処理されるケースもございますし、それが不可能な場合には法的な処理によって手続がなされることもあるわけでございます。  そういう意味におきまして、会社更生法は既に今までも金融機関の破綻処理に際しては認められてまいった手続でございますが、今回、更生特例法案を御提案申し上げております理由は、大まかに分けますと、いろいろな理由がございますが、三つございます。  一つは、従来は、金融機関の破綻処理について会社更生等の手続を行います場合に処理がおくれるケースが多かったわけでございますが、これを促進するために、監督庁に更生手続開始の申し立て権を認めるというような問題が一つでございます。  第二に、金融機関の場合、債権者、すなわち預金者でございますが、その数が極めて多く、円滑に手続を進めることが困難だということもございますので、預金保険機構に預金者を代理する機能等を付与し、手続の迅速化を図ることとしたわけでございます。ちなみに、銀行では、平均いたしまして六百万に上る口座がございまして、それが債権者の数ということにもなろうかと存じます。  また、従来、金融機関の中でも協同組織金融機関につきましては会社更生手続が適用されなかったわけでございますが、今回の特例法におきましては、この協同組織金融機関に対しても会社更生手続を適用できるようにして金融機関処理促進することができる、このような趣旨でこの更生特例法を御提案申し上げておるわけでございます。  したがいまして、先ほど、住専処理については会社更生を適用しないのに、このような法案を提案するのは矛盾しているのではないかというような御指摘があったように伺いましたが、私どもといたしましては、この更生特例法は、今申しましたような理由によって、従来以上に会社更生手続を使いやすくするために必要だというふうに考えているところでございます。  ところで、しからば住専についてはなぜそのような手続が使えないのかという点でございますが、これはかねてから予算委員会等におきましてもたびたび御説明を申し上げてまいったところでございますけれども、まず第一番目には、会社更生法と申しますのは、会社の再建というものについて見通しがあることを前提にしてとられる手続かと私どもは考えておりますけれども住専につきましては、残念ながら、ただいまの経営実態から申しますとその再建を図るということはまことに困難であり、私どもとしては、これは破綻をさせるということを前提に対応策を考えざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。  第二に、先ほど実質的な公平原則というお話もございましたが、私どもも今回の住専処理に際しまして関係者の間でのお話し合いをいたしますに際して、実質的な公平原則という御主張と恐らく同じような考え方に基づいて話し合いを促したつもりでございます。  それが私どもの御説明の言葉によりますならば、ぎりぎりの対応と申し上げておることがそういうことかと考えておるところでございます。関係者の間で納得できるぎりぎりの負担をお願いをし、そのような合意の上に立って今回の処理方策を決めているわけでございますが、そのことを会社更生手続の中で、今政府提案の中に示されておりますような配分と違った形で合意を得るということはまことに難しいことと存じますし、債権者の中には今回のような負担をするにつきましてもいろいろと御異論があったところでございますが、それをさらに負担を重くするというようなことで円滑に更生計画が合意を得られるということは、まことに難しいことかと考えております。  なお、そのようなことを行いました上で預貯金は保証をするというお話でございましたが、私どもといたしましては、今回の処理方策は、現下の金融情勢にかんがみまして、十三兆円に上ります住専債権債務処理するに際しましては、やはり若干例外的な取り扱いにはなりますけれども、預金取扱金融機関を破綻させた後に問題を処理するという事後的な方式ではなくて、この問題につきましては事前的な処理方式、すなわち、住専そのものは破綻、清算させるけれども、しかしながら、住専に融資をしております預金取扱金融機関、例えば系統金融機関というようなところの、破綻をさせた上で問題を処理するということは、余りにもこの問題の処理の影響というものが大き過ぎることにはならないであろうか、このような考え方に基づきまして、この問題につきましては一般的な金融破綻処理の事後方式という方法はとりがたいというふうに判断をして、今回の御提案を申し上げているわけでございます。  なお、先ほど数項目にわたって、多くの積算根拠、あるいは二次損失の国庫負担を二分の一にした理由、あるいは追加策の取り扱い等ございましたが、もしそれについてお答えを申し上げてよろしければ……(発言する者あり)それはよろしゅうございましょうか。
  100. 江田五月

    ○江田委員 いろいろお話ししたいという、それはよくわかりますけれども、あれは、こういうテーマがあるからこれからこの委員会で十分やりましょうという、これだけのテーマがあるんですよということを示したんですから……(発言する者あり)まあ次へ行きましょう。  今、更生手続の特例法について、これもどうも私が尋ねたことじゃないことを随分お答えくださったんで、御親切に感謝しますけれども、例えば事後方式じゃなくて事前方式とか、私どもそんなことを文句を全く言っていないんで、それは今の預金保険法、貯金保険法の改正で、事前方式でちゃんと預貯金を保証していくというようなことについては、それはだから大切なことだと言っているわけです。  問題は、金融機関の場合でも、破綻した金融機関をそのまま存続させずに、しかし破産ではなく、円滑に倒産処理を図るという方法として会社更生手続をベースに行うんだ。あれですか、この会社更生手続で、破綻した金融機関を存続させない原則処理をして、それで存続させるんですか、更生させるんですか、再建させるんですか。これは残さないんじゃないですか。存続させないという原則のもとでというのは、そうじゃないんですか。     〔委員長退席、尾身委員長代理着席〕
  101. 西村吉正

    西村政府委員 金融機関の場合には、破綻金融機関は消滅させるといたしましても、その事業につきましては、更生の見込みがあり、また地域経済の安定のために事業の維持更生を図る必要がある場合がございます。金融機関は一般の事業と異なりまして、多くの預金者、一般国民を含みます多くの預金者がこの金融機関の活動に依存しているわけでございます。  したがいまして、金融機関が破綻をいたしました場合でも、地域経済の安定のために事業の維持更生を図る必要がある場合がございますし、また債権者の、すなわちこの場合は預金者という意味でございますが、預金者の間の利害の対立の度合いが少なくて更生計画案が可決されるという場合も少なくない、そういう意味では住専の場合とは事情が異なる場合も考えられます。そういうような場合には、必ずしも破産手続ということではなくて、更生手続を活用いたしまして金融機関の破綻処理を行うということが適切な場合もあろうか、こういうふうに考えている次第でございます。
  102. 江田五月

    ○江田委員 なかなか議論は難しいといえば難しいのですが、やはり、よし、ひとつあいつの言うことも理解をしてみようという気持ちで聞いていただきたいのですけれどもね。もちろん皆さんの言うことも理解をして批判をしているわけです。  いいですか。金融機関が破綻をした、それはもう清算をするんだ、しかしその事業は何かの形で残していく、そうでないとその地域の皆さんが大変なことになるから。したがって、会社更生法でその金融機関自体は処理をしながら、清算をしながらちゃんと事業は残す。  じゃ、住専はどうなんですか。いいですか。住専は三兆五千億円、正常債権があるのでしょう。三兆五千億円、正常債権があるので、そのうちの幾ら、二兆円強ですか、これが個人の住宅ローンなんですよ。個人の住宅ローンの借り手の皆さんはどうされているか。住専はもうあんな調子だから、あれはそのうちなくなるんだから、じゃ、わかった、もうローンは払わぬことにしようなんて言っていますか、個人の皆さんが。今もちゃんと本気で皆、中にはそれは悠々と払える人もいるかもしらぬけれども、中には身を切る思いで払っている人もいるのですよ。そうやってきちんと個人の住宅ローンは皆返しているのです。そういうような正常債権が三兆五千億円からあるわけですね。  それで政府はどうするか。その事業というのは全部もうなくしてしまうのですか。違いますね。政府がやろうとするのは、そういう債権を全部住専処理機構に集めて、そしてこれはずっと続けていくというのでしょう。事業を続けていくというのでしょう。それはまさに会社更生法でやろうとすることじゃありませんか。政府は、本来なら会社更生法を使ってやるべきことをああいう形でやりながら、しかもそこに税金投入までやりながら、しかし、管財人が入っていっていろいろなことを明らかにするということだけをやめさそうとしているのじゃないですか。どこに一体違いがあるのですか。     〔尾身委員長代理退席、委員長着席〕
  103. 西村吉正

    西村政府委員 もとより、例えば個人住宅ローンというような正常債権につきましても、住専処理機構設立後も管理をし、利用者の方には御不便をかけないようにしていくということは当然のことかと存じます。しかしながら、それは、積極的に事業を継続するとか、あるいは会社の更生を図ってその事業を存続させていくことを目的とする、そういうことではございませんで、処理、清算をすることをいかに円滑にしていくかという考え方のもとに取り組むことでございます。おのずから、会社を再建するとか会社を更生するということとはまた違った観点の問題であろうかと存じております。  そのような意味におきまして、住専処理機構において正常債権の管理も行ってまいりますけれども、そのことと、先ほど申し上げました預金受入金融機関を地域経済の安定のために維持更生を図るというのはまた違った問題であろうかと考えております。  私どもは、この地域経済の安定のために事業の維持更生を図るというのは、もしそういうことが可能であるならばその金融機関をもう一度生まれ変わらせて新しい事業に取り組ませる、そういうケースもあり得るのではないか、こう考えているわけでございますが、住専に関する限りは、そういうことは望み得ないし、またその必要もないのではないか、このような考え方で臨んでいるわけでございます。
  104. 江田五月

    ○江田委員 どうもよくわからない。破綻金融機関はそのまま存続させないのでしょう。事業の維持更生とおっしゃるけれども、その金融機関自体、破綻した金融機関自体は存続させないのでしょう。存続させないけれども、しかし、何かの方法で、大切な仕事、地域に役に立つ仕事をやっている場合には、その仕事自体は生かしていくというのでしょう。住専だって同じじゃないですか。住専というものは存続をさせない。しかし、そこで、ちゃんとある三兆五千億の正常債権あるいは個人住宅ローン、これはちゃんと生かしていこう。どこに違いがあるの。違いは、金融機関なら裁判所から管財人が来ても大丈夫、住専は裁判所から管財人が来たら大変なことになる。何が大変なことなのかというと、いろいろなことがばれるからじゃないかということを言っているのですよ。
  105. 西村吉正

    西村政府委員 金融制度調査会の答申では、このように破綻処理原則が述べられております。  「金融機関の破綻処理においては預金保険が発動されることとなるが、預金保険の発動により保護されるべきは預金者、信用秩序であり、破綻金融機関経営者、株主・出資者、従業員ではない。従って、預金保険の発動に際しては、」すなわち破綻処理に際してはということでございますが、「破綻金融機関は存続させないこと、」「経営者の退任及び民事・刑事上の厳格な責任追及が行われること、」「株主・出資者の損失負担が行われること、」「が前提条件となる。」このように述べられております。すなわち、破綻金融機関は存続させないというのは、今、江田委員が御指摘のとおりでございます。  しかし、それは、例えば具体例で申し上げますならば、兵庫銀行の例が一つの事例かと存じますが、兵庫銀行自体はこのような、今申し上げましたような原則によって存続させないということにいたしました。しかしながら、地域経済に与える影響その他の事情を勘案いたしまして、兵庫銀行が行っておりました事業というものを完全に消滅させてしまうということは問題があろうと地域の方々がお考えになり、金融界がそのような判断に立ち、新しい組織としてその事業を継続するということをいたしました。例えばそういう事例もあろうかと存じます。  しかしながら、住専に関しましては、今住専の行っております事業をそのような形で、地域の経 済に不可欠であるとか、あるいは国民経済上今後とも不可欠であるとか、そういう判断に立って、一たん消滅させた後、何らかの形で事業を継続するという必要はないのではないか。  そういう意味におきまして、金融機関の場合と今回の住専処理の場合とには違いがあろうかと考えているところでございます。
  106. 江田五月

    ○江田委員 兵庫銀行の例を今お出しになって、私もけさの新聞をちょっときっちり読まずに来たのでよくわからないのですけれども、兵庫銀行のケースというのは、破綻したのですね。そして、兵庫銀行の持っている債権債務、これを移して、みどり銀行というのをつくって、そこでやっている。その兵庫銀行のいろいろな事業のうちに、これは関連会社でやるのですかね、抵当証券なんというのを出していて、そういうものに対して今民事の裁判が起きたりしていますよね。その関連かどうか、あるいは関連じゃないかもしれないけれども、抵当証券の関係で、けさ何か刑事事件、何か始まりますよね、そんなことが出されていますよね。  問題は、その兵庫銀行の場合に、役員の皆さんが本当にきっちり仕事をしていたのかどうか、ここへこれはクエスチョンマークがついているのですよ。だから、民事の裁判も起きているわけです。そういうのがあるのです。  ところが、そういう役員の皆さん方、これは大蔵省から来た方もおられるかもしらぬ、あるいは銀行から来た方もおられるかもしらぬ、日銀から来た人もいるでしょう。そういう役員の皆さんがきっちりとした仕事、その兵庫銀行のためにきっちりした仕事をしていないケースだってあるのですよ、たくさん。兵庫銀行の場合でもあるのだけれども住専の場合には特にそれが多いと言われている。そういう皆さんに対して民事の裁判も債権者から起こされたりしているような状況。  ところが、そういう役員の皆さんは今や退任している。しかも、退職金は幾らもらっているんですか、一億円なんというような報道をされているでしょう。いいかげんな、いいかげんと言うと後で怒られるかもしれませんが、役員の義務をしっかり果たしていなくて、そして住専が傾きかけた、これは大変だというので退職金をがっぽりもらって逃げている。今や豪邸に住んで高級車を乗り回している。そういう皆さんに対する責任追及というのは、例の兵庫銀行とみどり銀行の場合だってきっちりできないんじゃないですか。  全部そういう役員の皆さんに対する損害賠償請求権、この役員はこういう事務の落ち度があった、そしてこんな損害を銀行に与えた、本来ならその人に対する損害賠償というものは行われなければいけない。ところが、そういうものはやっていないし、しかも、やれ債権譲渡ですというときに何か、全部ですから入っていますと言うのですが、そんなことにならない。これはまあちょっと、なかなかテレビで聞いている皆さんにすぐおわかりいただけないかもしれない、ややこしいところですけれども、要するに、債権譲渡というのはどこまでいけるのか。  債権がAという人からBという人に移るときに、包括承継と特定承継というのがあるのです。包括承継というのは、とにかくもう全部、何もかにも一切合財移る。例えばAという人が亡くなって相続でBという人に移るとき、これは包括承継です。そんなときに一々どの債権とどの債権とどの債権が移ったなんて言わなくても、移ったBの側が一生懸命調べればいいのです。  しかし、通常、そういう会社の合併とかあるいは私人の相続とかじゃない、Aという人とBという人と独立して別にあって、Aという会社とBという会社が独立にあって、その間に債権譲渡が行われるときにはこれは特定承継でなければ、包括承継で何だかわずか一行の言葉でそんなものが移るという、そんなことにはなっていないのが法律の建前なんですが、今の兵庫銀行とみどり銀行の関係、これなども今度の住専処理のスキームというのが実にでたらめだということだと思いますよ。なぜ一体会社更生でできないのか。  さて、総理大蔵大臣も、住専については更生の見込みがないから会社更生法を適用できないと再三言われている。私はまあ会社更生法についても多少実務、私自身が実務で会社更生法をやったわけじゃありませんが、実務のその世界におりましたので、ある程度実務の土地カンというのもあるつもりなんですが、そういう立場で言いますと、やはりこれは更生の見込みがあるとかないとか言ってもちょっと違うのです。裁判所が決めることで、もちろん総理大蔵大臣が決めることじゃない、それは当たり前ですよね。  大蔵大臣は二月九日の予算委員会、私の質問の答えで、住専の事業は今の時代ではもう立ち行かなくなってきているから更生法は適用できないと言われましたね。しかし、同じときにお隣に座っている農水大臣は、同じく私への答弁で「引き続いて住宅ローンの従来の役割を果たしていける、」と言われた。住専はもう立ち行かない、今の時代では。そうじゃなくて、農水系の住専である協同住宅ローン、これは更生の見込みどころか、今の時代で立ち行けるどころか、そのまま存続できる。今の時代でもう要らないというのと今の時代で要るというのと、かなり違いますね。  要するに、存続させるとかさせないとかという大蔵大臣の意思というのは、これは会社更生法の更生手続開始の条件じゃないので、申し立てがあって、更生手続の開始のために必要な、その限度での再建の見込みというものがあれば、裁判所は更生決定をするのです。三兆五千億円の正常債権がある。債務が必要なだけちゃんとカットされてスリムになっていけば住専の再建の見込みも立つ。しかし、それはそのままの格好で再建させずに別に事業の存続を図っていくとか、それはいろいろありますよ。  しかし、会社更生の開始決定がなされるための条件は、そういう三兆五千億も正常債権がある、そのうちの二兆円は個人住宅ローンで、しかもちゃんとその住宅ローンは返ってきている、これだけあれば開始決定はなされる。  個人住宅ローンの債務者、これは今一体何人ぐらいいるのですか。
  107. 西村吉正

    西村政府委員 たしか十八万人ばかりだったと記憶しております。
  108. 江田五月

    ○江田委員 それだけの皆さんがいるのですよね。地銀生保住宅ローンに至っては、母体行がもし全額債権放棄すれば、それは損失見込み額とほぼ同等ですから、即座に立ち直ってしまうとさえ言われておる。それでもなお、大蔵大臣、更生の見込みがないから会社更生法は住専に適用できない、こうおっしゃいますか。
  109. 久保亘

    久保国務大臣 江田さんは、さっきおっしゃいましたように、御専門の方ですからお詳しいのだろうと思いますが、会社更生法の三十八条による判断はどうなるのか。それから、既に上場いたしております日住金や第一住金などは、三月二十六日に会社の整理、清算に入ることを、再建を断念して決定をいたしております。それに基づいて、多分株主総会に必要な提案がされるような状況になっているのではないかと思っております。  そういう中で、三十八条に基づく裁判所の判断はどのようになるのかというのは、これはあくまでも裁判所がお決めになることでありますけれども、私どもの判断としては、更生手続に入ることは困難である、こう思っております。
  110. 江田五月

    ○江田委員 これは、国民皆さんから見ると、何でそんなこだわるのか。別に会社更生法でも政府のスキームでも、税金が使われないようになるならまあ同じことじゃないか、税金が使われるようになるかどうかというのは、これは問題ですけれども。  私どもがこだわる理由は、本当に税金を使わなくて済むようにできるのかどうかという、これも一つありますが、同時に、やはり責任追及とかあるいは権限に基づく回収とか、そういうことは会社更生法と政府のスキームでは雲泥の差があるから、だから私たち会社更生法と言っているわけです。  さて、今三十八条と言われましたが、先ほどるる申し上げているとおり、三十八条については、それは更生の見込みはクリアできるのです。それからもう一つ、今の日住金、既に手続に入っておる。しかし、それは心配ないのです。既に手続に入っていても、いろいろな手続は進んでいても、会社更生開始決定が出れば、そちらが優先されるという法律の条文がちゃんとあるわけですから、日住金がそういうことになっているからといって、心配することはない。  さて、銀行局長、仮に今提案されている今回の法律で、これで破綻した金融機関に対して監督官庁たる大蔵省更生手続開始の申し立てをする場合、再建の見込みについては一体どういうふうにお書きになるつもりなんです。ケース・バイ・ケースだと思うけれども、さっきから住専についてはだめで、破綻した金融機関ならいいとおっしゃっているから聞くのですが、破綻した金融機関を存続させないという前提のときに、一体どういうふうに再建の見込みについて裁判所に出す文書の中で書くのですか。
  111. 西村吉正

    西村政府委員 これは言うまでもないことでございますが、すべてのケースについてそのような手続をとるということではございません。ケースによって、地域経済との関係であるとかその事業の状況であるとかいうことから、会社更生手続によって更生を図れる場合があるであろうということを言っているわけでございます。  それで、それがどのようなケースであるかというのは、これは個々の事業の実情はさまざまでございますのでケース・バイ・ケースで考えていかざるを得ないと思いますが、金融機関の場合には、やはり多くの利用者、多くの国民の生活に密着して活動をしているものがかなりあると思いますので、ただ事業を消滅させただけですべて物事が済むというわけにはまいらないことがあると考えているところでございます。
  112. 江田五月

    ○江田委員 ですから、住専の場合とそれから金融機関の場合と更生の見込みというのがそんなに違いがあるわけではないのです。こういう事業をやっている、ここにこれだけの正常債権もある、しかし、こんなにたくさんの不良債権を抱えてしまった、それをちゃんとカットしていけばこういう再建の道はある。再建させるかどうかは別として、この会社にはこういういろいろな人がまだかかわっているわけだから、だから破産というやり方ではなくて、会社更生というソフトなやり方で処理した方がいいのだということになるので、これは同じこと、住専だって破綻した金融機関だって同じこと。  もう一つ、銀行局長、破綻した金融機関会社更生法を適用するメリットといいますか利点、これはどういうところにありますか。以前いただいた資料だと、透明、迅速かつ円滑な処理ができるのだ、こう書いてありますが、破綻した金融機関会社更生法を適用すると透明、迅速かつ円滑な処理ができる、それがこの会社更生法適用の利点だ、こう理解していいですか。
  113. 西村吉正

    西村政府委員 それは、どのような場合と比較してそうだという考え方になろうかと存じますけれども、関係者の間でそういう法的な手続によらない場合に比べれば今おっしゃったようなことになろうかと考えます。
  114. 江田五月

    ○江田委員 私ども住専について会社更生法の適用を主張したときに、政府もたしかいろいろおっしゃいましたよね。与党皆さんは何か、いっぱいありましたね、いろいろ言いました。何年かかるかわからぬとか、金が幾らかかるかわからぬとか、弁護士が数千人だとか、あれやこれやおっしゃってくれましたけれども、だって、政府の方でも、金融機関の破綻の場合に会社更生法だと透明、迅速、円滑と言っているのですよ。  なぜ、金融機関政府、監督官庁が申し立てれば、もちろん一定の手続の整備はしますけれども、透明、迅速かつ円滑にすばらしい手続になって、我々が言う住専会社更生法を使ったら、何年かかるかわからぬ、金は幾らかかるかわからぬ、とても大変だということになるのですか。どこが違うのですか、一体。
  115. 西村吉正

    西村政府委員 ちょっと私のあるいは御説明がまずかったのかもしれませんが、まず、大前提といたしまして、会社更生法という手法が使えるかどうかという問題があると申し上げておるわけでございます。その点において、住専は使えない、使いにくいケースであろう。なぜならば、事業の更生の見込みがないから。  金融機関の場合には、地域経済の関係とかあるいは預金者との関係で更生という手法を使える場合もあるし、使わなければならない場合もあるであろう。その場合に、今回お願いをしております更生特例法は、従来の会社更生法ではなかなか迅速にいかなかったような問題についても手続を迅速に進めるとかあるいは透明性のある手続で進めるとか、そういうような使いやすい工夫をさせていただきたい、このようなお願いをしている、こういうことでございます。
  116. 江田五月

    ○江田委員 それは金融機関の場合も、会社更生法で処理するのが適当な場合もあるし、そうでなければならぬ場合もあるし、それが不適当な場合もそれはあるでしょう。いろいろあるでしょう。同じことは住専についてだって言えるのですよ。住専七社、いろいろ個性があるのですよ。その個性を全部没却して、住専七社は全部一緒で、会社更生法は使えませんなんて、そんな議論は成り立たない。  そうじゃなくて、使える使えないの話でなくて、仮に会社更生法を使ってやれば、今の透明、迅速、円滑、皆さんが透明、迅速、円滑と言っているじゃないですか。住専会社更生法を使って、これは使える使えないの話はちょっとわきに置いて、もし……(発言する者あり)いや、それは、だって、その議論はまた別の議論ですから。使った場合に、透明、迅速、円滑というのは変わらないでしょう。  さて、久保大蔵大臣新進党案だと税金投入は政府案よりずっと大きくなる、こう再三言っておられたようだけれども、どうですか、ちょっと法務省民事局長、突然の指名で申しわけないのだけれども会社更生手続会社更生法の中で債務の穴埋めに税金を使うような余地というのはありますか。
  117. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 突然の御質問でございまして、必ずしも精査しておりませんが、更生手続の中でそういうことが行われるということは、一般的にはないものと思っております。
  118. 高鳥修

    高鳥委員長 大蔵大臣、答弁ありますか。
  119. 久保亘

    久保国務大臣 新進党の案といいますか、方針が示されました最初の半枚の紙では、農協関係の系統金融機関に関しては、預金者に、問題を生じた場合はこれは全額政府責任で措置するという意味のことが書かれておりましたですね。そうすれば、結果的にどれぐらいここには必要となってくるというお考えでしょうかということを江田さんに私はお聞きしたことがございます。それで、それはお答えいただけませんでした。  もし、会社更生法の適用によって母体行等の債権放棄等が今よりも少額のものとなっていきました場合には、そこに生ずる問題に対して全額財政支出で負担するということになれば、大変な額にならないだろうかということを申し上げたのであります。(発言する者あり)
  120. 高鳥修

    高鳥委員長 静粛に願います。
  121. 江田五月

    ○江田委員 新進党案だと税金投入はという、まあいいです。  しかし、いずれにしても、住専処理のために……(発言する者あり)
  122. 高鳥修

    高鳥委員長 静粛に願います。
  123. 江田五月

    ○江田委員 その債務の穴埋めに税金を使うというのは、我々の会社更生法を適用するということでは、これはそこの部分では使う余地はない、これはまあ当たり前のことで、今も民事局長、一般的にはとおっしゃったけれども、一般も特殊も、そんなことはありっこないんです。  わかりました。大蔵大臣がおっしゃるのは、だから要するに、住専会社更生法になったらああなってこうなって、そしてずっといって、ついに最後に農協の、これは預金者じゃなくて貯金者で すが、その貯金者の貯金が返らなくなるようなことがあって、それを保証するということになったら大変だ、こういうことですね。  私ども預金保険法、貯金保険法の今政府が出しているこのやり方については、それは基本的にそういう方向でよろしい、預金、貯金の保証についてはですよ。これはそういうふうに申し上げているわけですが、どうも仮定の話の連続で、たら、ればが七つも八つもついた、風が吹かないとおけ屋が損するといったぐいの議論を余りされても困るんだけれども、まあよろしい。  次に、会社更生法を適用しても、三分の二以上の債権者の同意が得られない、したがって更生計画の決定は得られない、認可は得られない、そういうのではないかという、こういう議論があるわけですが、そこは一つの議論のポイントなんです、それは、債権者の同意が得られなければいけないんで。そこで、だから久保大蔵大臣は、その債権者の同意が得られないから、したがって、ころころ転がって、破産からずっとそっちへ行くだろうという、そういう議論だと思うんですが、同時に、その点こそ私は政府案の、政府処理策の最もだめな点だと思うんですよ。  つまり、この民主主義の社会、法治国家の中で、利害関係のある当事者だけの密室の談合、だから利害が対立したときには合意がなかなかできなくなるんです。それをその関係者の中だけの話し合いでやろうとするから、大蔵省がいろいろなことをやるわけですよ。念書を書けとかなんとかというようなことをやるわけでしょう。無理やりなことになってしまうんです。  評論家の長谷川慶太郎さんのレポートですと、最近では、民間の銀行はどうも大蔵省の言うことを全く信用しなくなっているという。あげくの果てに、大蔵省は勝手に国民税金を使うことを決めてしまっている。  それに対して、会社更生法の更生計画の策定では、実質的平等、実質的公平の原則に立って、裁判所の監督のもとで、公正な第三者である管財人がいろいろ調査もする、実態の解明もする、責任の追及もする、債権の回収もする、そうして関係者みんなにそれが透明に、オープンになるんです。みんなが事実を、共通の認識を持つんです。  それで、その上で、なるほどこれはこういう事情があるのか、なるほど原資はこれだけしかないのか、そういうことがみんなの共通の認識になって、しかもいろいろな議論をして、そして管財人が必死の努力でこの更生計画というのをつくっていくんですよ。その管財人が必死の努力で説得の活動をしながら、汗をかきながら、みんなの合意をつくるというのが必要なんですよ。  それをやらずに、大蔵省が、大蔵省でなければできぬだろうと言って、いろいろなところへ行っておどし上げて、まあ、おどし上げてはごめんなさい、こういうようなやり方で合意ができました、しかしどうにも合意ができません、六千八百億円穴があきました、国民税金、それは、民主主義とか法治主義とか、そういうものとは無縁ですよ。  いいですか、会社更生法の中では、そういう大変な努力合意をつくって、そして、今までの実務の経験では、そういう努力の中でちゃんと合意ができていっているんです。そういうような実質的な議論の中で事が決まっていく。農協系の金融機関皆さんも、その中で、この更生計画、反対すると今度は自分たちの不利益になってしまう、あるいは銀行の方だって、これはやはりいろいろなことをわかりながら、考えながら、提案しながら決めていくわけですから。  今、数字をいろいろここへ、私のメモに書いてありますが、それをもういろいろ申し上げる時間もありませんが、結論的に、私は、やはり管財人が、裁判所の監督のもとで、ちゃんと公的機関の支援を受けて、債権の保全もやる、回収もやる、あるいは責任者の責任の追及もやる、そういうことをきっちりすることによって、しかもそれが国民皆さんに見えることによって初めてこの住専問題をめぐるいろいろなもやもやが明らかになってくるんです。そのいろいろなもやもやを明らかにしていくことで、国民皆さんが、なるほど、私たちお互いの共同社会をもう一度つくり直そう、ああいう欲にまみれたやり方ではない、本当にすがすがしい世の中をつくっていこう、こうなっていくんじゃないですか。  いいですか、梶山官房長官、国民の怒りは改革のエネルギーなんですよ。国民が怒っているときにそれに顔を背けてはだめですよ。やはり国民が怒っているときに、これと真正面に向かって、その国民の怒りを改革のエネルギーとしながら、私たち政治家はいい世の中をつくるために頑張らなければいけないんじゃないですか。そのために、今住専問題というのは、むしろ私たちに与えられたチャンスじゃないですか。なぜ一体そのチャンスを生かさないのかということを最後に申し上げ、大蔵大臣、お答えがあれば答えてください。
  124. 久保亘

    久保国務大臣 何か問題が隠されているのではないかという不信感の上に立った御批判は、誤りだと私は思います。やはり、今、江田さんが言われましたような方法も検討された上、今日とり得る手段、その緊急性、重要性にかんがみれば、今この道を選ぶことが政府がとるべき責任であり、皆様方にぜひ御理解、御協力をいただく道だと考えております。
  125. 江田五月

    ○江田委員 国民は、何か隠されているんじゃないかと思っているんですよ、残念ながら。冒頭の投書の「恥を知れ!」というこの言葉を、私たちみんなでかみしめたいと思います。  終わります。
  126. 高鳥修

    高鳥委員長 午後四時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時一分休憩      ————◇—————     午後四時開議
  127. 高鳥修

    高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。  この際、山岡賢次君から関連質疑の申し出があります。加藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山岡賢次君。
  128. 山岡賢次

    山岡委員 住専予算、これには国民の一人当たり一万円、こういうことが見込まれてくるわけでございます。お年寄りも、またきのう生まれた赤ちゃんも含めて、家族が一家五人であるなら五万円を払う、こういう勘定になってくるのが今度の住専予算であります。  我が党は、国民にこのような大きな負担を強いる住専予算、これを審議するに当たっては、今まで一貫して加藤紘一自由民主党幹事長証人喚問を要求をしてきたところであります。先般の予算委員会におきましても、住専予算を除く一般予算の通過に当たりまして、証人喚問については真摯に対応し、金融問題特別委員会において取り扱う、こういう約束も交わされているところであります。  表現の問題はともかくといたしましても、証人喚問についてはというのは、これは加藤紘一氏の証人喚問、こういう意味であり、取り扱うというのは証人喚問を行う、これが当事者間の合意であるわけでございました。しかるに今般、自社さきがけ三党は、ひたすら加藤氏の疑惑を隠したまま、強引に住専予算の審議にこのとおりお入りになりました。  なぜ与党加藤氏の疑惑を隠さなければならないのでしょうか。なぜ加藤氏は堂々と証人喚問にお出ましにならないのでしょうか。なぜ我々が加藤氏の証人喚問住専予算の審議に当たって要求をしているか。きょうは、このことを、国民の大きな負担を強いる予算を審議するに当たって、しっかりと、はっきりと解明をして、国民の皆様にも御納得をいただかなければならない、こんな思いでここに出てまいったわけでございます。  住専予算加藤氏の喚問とは関係がないではないか、こう言う人もいらっしゃいますし、住専予算をやっているうちにいつの間にか加藤紘一氏の喚問問題にすりかわってしまったなどと言う人もおります。しかし実際は、この加藤氏の疑惑を解明することが住専問題のまさに真相の解明であり、そのかぎであるわけでございまして、加藤氏の問題の解明は住専問題あるいは金融問題そのものとも言えるわけでございます。  もう一度繰り返します。何の責任もない、もちろん罪もない国民一人一人に一律一万円以上を負担させる、それである以上、住専問題イコール加藤疑惑、まずしっかりと解明し、国民の皆様にきちんと御理解をいただく、これは国会人としての当然の務めではないかと思うわけでございます。  時間がなくなるといけませんので、最初に結論から申し上げておきます。  加藤氏を喚問する必要があるその一は、共和やみ献金問題であります。  すなわち、住専不良債権が最初に発覚したのは、平成二年の鉄骨加工メーカー共和の倒産によるものでありました。このとき政界に流れた使途不明金は十三億円と言われております。その共和から、氷山の一角と言える一千万円のやみ献金を受け取ったという疑惑が加藤氏は持たれているのであります。  もしそのことが事実なら、この加藤氏が中心になってつくった住専予算国民負担六千八百五十億円、すなわち、何度も申し上げますが、国民一人当たり一万円の負担によって、国民加藤氏が受け取ったやみ献金一千万円のしりぬぐいをさせられている、こういうことに相なるわけでございまして、ぜひこのことを加藤氏の証人喚問によって国民の前にはっきりとさせていかなければならないと思います。  加藤氏を証人喚問する必要があるその二は、住専予算すなわち住専スキームが、一部の県信連役員、住専役員等のバブル時代の乱脈経営、無担保、無保証、無審査による巨額な融資、背任、横領、私文書偽造等々の犯罪を隠ぺいする仕組みとなっているこの点であります。  このスキームは、平成八年度の予算編成に当たりまして、加藤氏が主導して六千八百五十億の緊急安定化資金として極めて不自然に導入されたものであります。しかもこの際、農林系統から巨額の政治工作資金が加藤氏へ流されたという国会での指摘もあり、農林内部に詳しい評論家の情報もあります。  金融安定化とか景気対策とか、国民を欺くような美名のもとに導入されようとしているこのスキームが、実態は、加藤紘一氏主導による種々の住専不正の隠ぺいのものではないのだろうか、加藤氏の証人喚問によって国民の前にはっきりとさせていかなければならないのであります。  加藤氏を証人喚問する必要があるその三は、にせドル識別機の輸出と加藤紘一事務所関与の問題であります。  当局も今これに重大な関心を持ち、マスコミも特別班を編成しているようでありますが、にせドルは、言うまでもなく、金融システムを混乱、破壊せしめる重大な国際問題であります。加藤紘一氏自身、この疑惑についてこの金融特別委員会で証言をする義務があると言えます。  きょうは、なぜ加藤氏の証人喚問が必要であるか、その理由について三点指摘しておきますが、その一つ一つについて時間の許す限り質問をしていきたいと思います。  まず、共和のやみ献金問題でございますが、大蔵省にお伺いをいたします。  住専不良債権が発覚しましたのは平成二年の鉄骨加工メーカー共和の倒産がきっかけと、これがNHKの「クローズアップ現代」で報道されておりますが、そう理解してよろしいのかどうか、お答えを願います。
  129. 西村吉正

    西村政府委員 住専問題につきましては、私どもがこの問題に取り組み始めました機会と申し上げられるのは、恐らく平成三年十月の地銀生保住宅ローンの第一次再建計画というものが金融界の中で議論の対象になってからだと記憶をいたしておりますけれども、そのような住専問題が金融問題として取り上げられてまいりましたことと、ただいま御指摘のようなものの関連につきましては、私ども、必ずしも十分認識しておらないところでございます。
  130. 山岡賢次

    山岡委員 十分認識していないのは関連だけでなく、すべて認識をしていない、こういうふうに思っているわけですが、別にこれを特定することは重要な要件じゃありません。いずれにしても、このことが出てきたことがスタートであった、そういうことは間違いないことであります。  法務省にお伺いいたしますが、共和汚職事件は平成三年十二月に発覚をしております。この住専問題のまさに始まりというようなところになると思うのですが、この共和汚職事件については、どのような調査が行われて、現在司法の中でどういう状況になっているのか、一応御説明をいただきたいと思います。
  131. 原田明夫

    原田政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のいわゆる共和事件は、平成三年に発覚いたしました鉄骨メーカー株式会社共和の元副社長らにかかわります詐欺事件に端を発しまして、最終的には、平成四年二月に元北海道開発庁長官を受託収賄罪等の事実で起訴いたしまして一連の捜査処理を終結した事件でございます。  現在の裁判の状況でございますが、共和の元副社長につきましては既に有罪判決が平成五年十一月に確定いたしております。また、元北海道開発庁長官につきましては、一審、二審とも有罪判決がなされまして、現在最高裁判所に係属中でございます。
  132. 山岡賢次

    山岡委員 ありがとうございました。  平成四年の第百二十三回国会は共和汚職事件とPKO法案の審議が中心だったと思います。共和事件で問題となった政治家は、今も説明がありましたが、自民党の阿部文男氏、塩崎潤氏、鈴木元首相、そして当時の内閣官房長官、現在の自由民主党幹事長加藤紘一氏であったわけでございます。  今お話しのとおり、阿部氏は裁判中、塩崎氏は証人喚問に応じて、その後政治責任をとった形になっていらっしゃる。鈴木元首相も社会の批判に応じられた。加藤紘一氏は、当時再三再四にわたる国会の追及にもかかわらず、責任ある態度がいまだ示されていない。  久保大蔵大臣に、副総理にお伺いを申し上げたいと思います。  副総理は、共和事件について、当時参議院予算委員会で宮澤首相を厳しく追及しておられました。私も当時参議院におりましたから、その雄姿をつぶさに、拝見と言っては失礼ですが、見させていただいていたわけでございます。現在と当時の心境にお変わりないのかどうか、お伺いをいたします。
  133. 久保亘

    久保国務大臣 共和汚職事件に限らず、政治的な汚職、腐敗に関しては、国会においてその真相を解明し再発防止のために全力を挙げることは議員の任務であると考えております。  そのような立場から、当時、今御指摘のございました平成四年の参議院予算委員会において、これらの問題について当時の首相でございました宮澤総理大臣にいろいろとお尋ねをいたしましたし、また当時、元首相をめぐってのいろいろな疑問もございました。そういった問題についてぜひ真相を明らかにすべきだという立場から、証人喚問予算委員長に対して求めたと記憶いたしております。そしてその後は、その要求いたしました証人喚問につきましては、参議院予算委員会において委員長指揮のもとに理事会等において協議をされましたが、たしか実現しなかったのではないかと思っております。
  134. 山岡賢次

    山岡委員 おっしゃるとおり、久保総理におかれましては、その当時最も舌鋒鋭く証人喚問を要求をしておられました。この問題については、加藤紘一氏の問題については国会で何度も取り上げられているわけでございまして、平成四年の二月の二十日、衆議院予算委員会で草川昭三議員がこの問題をまず取り上げました。そのときに草川委員は、  森口副社長はそこで加藤さんと、短時間のようでございますけれどもお会いになったというお話があるのですが、その点は御記憶ございませんか。こう聞いております。  ○加藤国務大臣 そういう事実はございません。  また、平成四年の三月十六日が、今この久保総理がお話しになったこの質問の第一弾であったわけでございます。三月の十六日でございました。  そして、平成四年の三月の十七日、この辺が非常に微妙なところなんですが、参議院の予算委員会で佐藤三吾議員が同じように質問に立たれたわけでございます。  ○佐藤三吾君 加藤長官にお聞きしますが、平成二年二月十日ごろに東京新宿のセンチュリーホテルで共和の森口副社長と水町医師と会っておりませんか。  ○国務大臣加藤紘一君) 会っておりません。  ○佐藤三吾君 一千万を森口が渡したと言っておるんですが。  ○国務大臣加藤紘一君) そういう事実はございません。  ○国務大臣加藤紘一君) いずれにいたしましても、そういう金品を受け取ったことはございません。こういうふうに言っておられるわけでございます。  さらには、平成四年の六月の十日、今度は舞台はPKO特別委員会に御案内のとおり移りました。そこで、上原康助委員——上原予算委員長が、スキャンダルを解明せずして審議は難しい、こういうふうにただしているわけでございますし、また、当時の上原委員が、  加藤氏に倒産共和から一千万の政治献金があったということが明確になっている。  ○加藤国務大臣 そのいわゆる一千万円の問題、私には記憶がございません。また、私たちの方の資料で調べましても、その事実はございません。こういうふうにお答えになっていらっしゃるわけでございます。  さらに言えば、同じ六月の十日で高沢寅男議員が、  あなたはまさに共和から一千万円を受け取っていたということになるわけであって、このことの事実関係を私はこれから証明しますけれども、こういうふうに述べていきまして、   そのリストの中に加藤房長官、あなたに対して一千万円、こういうふうに記載されているわけでありますが、この森口五郎氏が、この人は金をやった立場の人です、そのやった立場の人があなたに一千万円を渡したということが、しかも破産管財人に対する報告書の中で出ている。このことをあなたは一体どうお考えか、お尋ねしたいと思います。こういうふうにだんだん具体的に聞いております。  ○加藤国務大臣 私たちの方の資料にはそういうものはございません。また、私の記憶にはそういうものはございません。  ○高沢委員 共和の破産管財人の人はこの文書を森口五郎氏から受けた、受け取ったということを認めておられるのです。このことを一体どう思いますか。  ○加藤国務大臣 そういう一千万を私が受け取ったということは記憶にございません。  そして、平成八年の、最近のことでございますが、二月の十六日、我が党の愛知議員が同じく予算委員会でお聞きになっております。  ○愛知委員 改めてこの件につきまして加藤さんに確認をしておきたいと存じますが、共和の森口副社長から平成二年二月ごろ一千万を受け取ったことはなかった、こういうことでございますか。  ○加藤議員 彼に会ったとかどうとかということについては、私は記憶がありません。  こういうふうに国会で一連の答弁をして、あるはやりとりがずっとあるわけでございます。古のもありますが、記憶に生々しいものであると思うわけでございます。  大蔵大臣は、大蔵大臣のところは読みませんでしたが、もう御本人が御存じのことだと思いますので改めてここで読むことはいたしませんが、このときにあなたも証人喚問を要求していらっしゃるわけでございます。この時点で要求をしているのですが、ここにいろいろと、一日違いで重大な違いがあるのは、そのときまでは加藤さんのことは本当のことを言うと必ずしもはっきりしていなかったのでございますが、佐藤三吾さんによって極めて明快に追及され始めた、こういうことで、社会党のそれは大勢であったと思いますが、そういうふうなことをまさに社会党の当時のリーダーとして進めていらっしゃるわけでございます。  そういう筋からしても、社会党あるいは久保総理あるいは社会党の幹部の皆さんは、一貫して証人喚問を要求し、するべきである、こういうふうにずっとこの国会でやってまいったのでございますが、今度はその方針がお変わりになったのかどうか、お聞きをしたいと思います。
  135. 久保亘

    久保国務大臣 証人喚問等に関する問題につきましては、政党間で協議が行われ、そしてこの特別委員会で御相談になるということで合意されたものと承知をいたしております。私の現在の立場から、そのことについて申し上げる立場にはない、こう思います。
  136. 山岡賢次

    山岡委員 お立場はわかります。しかし、我々国会議員は、お互いにいろいろな立場でまたやっているわけでございます。そういう点においては、社民党ではございますが、名前は多少変わられても、その幹部であり、今までの脈々としてやってきた政治の姿勢、これに別に変わっているものはないと思うわけでございます。  そういう点においては、私の見ていた久保総理の姿というのが最近見えないわけでございますが、いま一度、それでは個人的にでもどうお考えになるか、お述べをいただきたいと思います。
  137. 久保亘

    久保国務大臣 個人的な考えや立場を申し上げることはできないと思います。
  138. 山岡賢次

    山岡委員 前に社会党の閣僚をやっておられたときに、答弁の中で、これは閣僚としての立場でございます、これは個人としての立場でございますと、あれだけ皆さんは語られたわけでございました。所変わると、今度はそういうことは答えられなくなる、それもまた、私には理解できないところでございます。  ところで、久保総理、あのころでもあれだけのことをされたわけでございます。我々が今証人喚問をしているということを、関係ないとか、いろいろこうやってやじっていらっしゃいます。しかし、あのころでもあれが本当の姿であったわけでございます。そして、今日はどういうふうになってきたかというと、あのころと比べると、またはるかに新しい事実がたくさん出てきているわけでございます。  その一番大きな問題は、あのころには住専の問題というのはなかったのでございます。単なる共和のやみ献金問題、しかし、今日は住専不良債権問題が社会問題となり、国民の問題となり、毎日毎日国会のこういう重大な問題になってきている、そういうことにこの共和のやみ献金、加藤紘一氏の疑惑、こういうふうに絡んでいる、こういう新しい事実、またこの問題を今やっている、このことが前とは違った一つの真剣に考えていかなければならぬものであると思うわけでございます。  いま一つは、あのころと比べて、加藤幹事長がクロである、わかりやすく言うとそういうことが次々と公表され、証人まであらわれ、いろいろな事実が今オープンになってきている。そういう中にあって、あの当時あれだけ要求したのに、今日においてそれを拒否をしている、この姿は国民にとっても我々にとってもどうにも理解しがたいことでございます。  加藤紘一さんの元後援会長水町氏が報道関係者に語ったところによりますと、共和の森口副社長から加藤紘一さんが一千万円を受け取った現場に水町氏が立ち会った、こういうことを言っております。あのころは否定をしておりました。そして、その立ち会った日はいっか、それは平成二年の一月の三十一日、こういうふうに言っているのでございます。  この日は極めて重要な日にちでございます。といいますのは、先ほど私が読み上げました議事録の中で、佐藤三吾氏が非常によく調べて、極めて厳しく追及をされたのでございますが、肝心なところで間違ったのでございます。どこが間違ったかといいましたら、加藤氏が金を受け取ったのは二月の十日ごろ、こういうふうに断定をしたわけでございました。  ところが、その二月の十日には、これは水町氏本人はいらっしゃらなかった。聞くところによると、海外に行っておられたとか、あるいは加藤当時の官房長官そのものも東京にいらっしゃらなかった。俗に言う、事件物で言うとアリバイが成立したわけでございます。そのことによって万事休した、これが実情であることは、当時の幹部でいらっしゃる久保総理が一番よく知っていることじゃないかと思うわけでございます。  ところが実際は、今般その御本人が、その日は一月三十一日でありました、場所もここでございます、こういうふうに明快にお答えに、あるいは発表していらっしゃるわけでございます。当時の二月十日ごろと違って、これを佐藤さんが追及し切れなかった原因というものが、これが取り除かれた、こういう新しい事態になっているわけでございます。  平成四年の共和事件が発覚したときに、加藤房長官とその関係者の皆さんは、頻繁に会って対策を練っていたそうでございます。もちろん御本人、それから当事者の水町元後援会長、そして第一秘書の森田氏、きょうは名前は言えませんが、有名な弁護士さん、あるいはマスコミ関係、テレビ関係の有力者等々の皆さんが定期的に、報道によって記載されているものによれば、ここは事実かどうか私は知りませんが、全日空の七〇一号室、ここに何度も何度も集まって対策を練った、こういうことも新たに発表されております。そして、その相談によって水町後援会長が加藤紘一氏から一千万円を預かることに相なった、こういうことも公表されてきているわけでございます。  言うなれば、なぜ預かることになったかといえば、共和事件が発覚して問題になったからでございまして、自分で受け取って持っているものを後援会長に預けた、こういうことが読売新聞の五月二十二日朝刊に細かく出ているわけでございます。また、やみ献金を受け取った当時の日誌や発覚に際して対策を練った当時の手帳、さらに言えば、水町氏がそのお金を返金するに当たって加藤幹事長の第一秘書森田氏と交わした電話のテープ、日誌やテープはこれは地検特捜部に提出してあるそうでございますが、そういうものもはっきりと出てきているわけでございます。  いろいろとやじを飛ばしていますから、五月二十二日の読売新聞、   水町医師が院長を務める「水町クリニック」の秘書が九〇年当時、同医師の行動を時間単位で記録。同年一月三十一日この三十一日でございます。  午後六時以降の欄に、「6・30バングス OK」と美容院の店名が記され、そのわきに「XLD」と書かれていた。「水町先生がこの日に行く予定だった美容院の予約を、急きょキャンセルしたことを記録したもの」と説明。水町医師は「午後六時から七時ごろ、共和の副社長からの連絡で急きょホテルに出向いた。八時から九時にかけて加藤氏が現れた」と話している。これは、マスコミの取材がうそだとは思えないのでございまして、直接マスコミ陣が本人に取材した記事であると思うわけでございます。   一方、業務日誌とともに特捜部に提出されたテープは、水町医師が今年二月二十二日、加藤氏の公設第一秘書との電話でのやり取りを録音したもの。この中で、同医師が「一千万円は元副社長が九〇年に、直接加藤氏に手渡したが、その後、自分の所にあるのはまずいと言い出した」と説明したのに対し、同秘書は「うん」「うん」とうなずいたうえ、「(水町先生が)一時預かった形になっているんだよな」などと話していた。これは読売新聞に書いてある内容であるわけでございます。  こういうことを、自分で調べなくてもこれだけの客観事実が既に出ているわけでございます。言うなれば、マスコミを信用しないというなら別でございますが、こういう報道が出て、これだけ新たな事実が出てきている。  さらに言えば、この報道によれば、三月十七日に、まあ久保総理証人喚問を要求した翌日ですね、十七日というのは。翌日の佐藤三吾氏のやみ献金の追及をしたことに対して加藤さんが全面否定をいたしました。さっきのとおりでございます。そして、加藤さんは水町氏へ、佐藤三吾の質問については手を打っておいた、こういうふうにも話している、こういうことなんでございます。  野党から追及された大臣が手を打っておいたということは、大変な裏があると普通は考えられることでございまして、そういう加藤紘一氏の共和に関するやみ献金疑惑、これはもう今や具体的な新しい事実で、真っ黒、こういうふうに言っても過言でない状態になっているわけでございます。かつての社会党、現在の社民党が、加藤喚問を知らぬ顔をしている、こういうことは考えられないわけでございまして、副総理、いかがでございますか。
  139. 久保亘

    久保国務大臣 社民党として知らぬ顔をしているということではないんじゃないでしょうか。この問題については今山岡さんがおっしゃっているような御意見もあり、証人喚問問題についてはこの委員会において取り扱うということで国対委員長間の合意となっていると私は承知いたしております。
  140. 山岡賢次

    山岡委員 それは、取り扱うという合意になっていると承知しているということは、やるというふうになっていると承知している、こういう意味ですか。
  141. 久保亘

    久保国務大臣 国対委員長合意は、私が勝手な解釈をする立場にはございません。文章のとおり、そして当事者において合意されたとおりに行われるものと思っております。
  142. 山岡賢次

    山岡委員 お言葉を返すようで申しわけありませんが、今、それは私の関与するところではない、国対委員長会談でやられることになっているじゃないか、こうおっしゃられたので、そういう解釈を、あるいはそういうふうに認識しておられるのかと。  それじゃ、いないのですか、いるのですか。要するに、証人喚問はするという御認識なのか、しないという御認識でいらっしゃるのか。
  143. 久保亘

    久保国務大臣 重ねて御答弁申し上げますが、「証人喚問問題については、真摯に対応することを確認し、特別委員会において取り扱うものとする。」こういうことで党間の合意がなされているわけでありますから、そのとおりに私としては受けとめているという以上のことを申し上げる立場にはございません。
  144. 山岡賢次

    山岡委員 おっしゃるとおり、党間の合意が成り立っているわけでございまして、ということは、これは証人喚問をやる、こういうふうに御理解になっていらっしゃる、こういうことですねとお聞きをしているのでございます。
  145. 久保亘

    久保国務大臣 それは、あなたの党の国対委員長として合意された西岡さんにお聞きいただく以外にないんじゃないでしょうか。
  146. 山岡賢次

    山岡委員 もうやめようと思いましたが、そう言われるとまた言わなければならないのですが。それはそうでしょうが、副総理はどういうふうに御認識をしているかということを聞いているのですよ。副総理の認識を聞いているのですよ。
  147. 久保亘

    久保国務大臣 与野党政党の役員間で合意されました文章に対して、私が個人的な認識を申し述べる立場にはございません。
  148. 山岡賢次

    山岡委員 公式な合意というのは、中身の認識が一致しているから初めて合意になるわけでございます。その一致がわからない、副総理がわからないということでは、甚だ我々も納得しがたいところがあるわけでございますが、総理、その点はいかがでございましょうか。
  149. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 内閣としてお答えすべき種類の話ではないように思います。
  150. 山岡賢次

    山岡委員 総裁としてのお答えをいただけませんですか。
  151. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、政府の一員としてここに呼ばれていると思います。
  152. 山岡賢次

    山岡委員 政府の言貝として呼ばれていることはわかっているのです。したがって、自民党総裁としてはお答えできないのですかということを聞いているのです。
  153. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 ここに私は内閣総理大臣として出席をしている。自由民主党の総裁として答弁をする場ではございません。
  154. 山岡賢次

    山岡委員 要するに、答えることはできない、こうおっしゃっているわけですね、このことについては。  法務省、この加藤幹事長のやみ献金問題が本年三月に衆議院議員の山田正彦氏らから所得税法違反の疑いで告発され、受理され、そして加藤氏の時効も延期ということに相なったと聞いておりますが、報道によりますと、関係者から今私が申し上げたような資料も特捜部に提出された、こういうことなのでございますが、捜査の状況とこれからの見通しについて御説明をいただきたいと思います。
  155. 原田明夫

    原田政府委員 お尋ねの件につきましては、御指摘のとおり、平成八年三月に東京地方検察庁におきまして所得税法違反ということで告発を受理いたしておりまして、現在捜査中であると承知しております。  具体的な捜査の状況につきましては、捜査の内容にかかわる事柄でございますので、法務当局として答弁は差し控えさせていただきますが、検察当局におきましては、所要の捜査を遂げまして、法と証拠に基づきまして適切に対処するものと存じます。
  156. 山岡賢次

    山岡委員 私も法務省の立場はわからないわけじゃないわけでございますが、少なくとも、それでは、時効を一年延長したということについて御説明いただけますでしょうか。
  157. 原田明夫

    原田政府委員 具体的な事案につきまして、具体的な事実を認定いたしまして、それについての時効がどのようになるかという点につきましては、これは具体的な事情でございますので法務当局として差し控えさせていただきますが、一般的に申し上げますと、時効がいつ完成するかは、それが一見して明らかな場合は別といたしまして、通常は、あくまでも事実関係につきまして捜査を尽くした上でなければ判断できない事柄でございますので、検察当局といたしましては、まずは事実関係の解明のために所要の捜査を行うものと存じます。
  158. 山岡賢次

    山岡委員 しつこいようで申しわけありませんが、いろいろと検察当局にテープ等々を提出をしている、こういう報道がなされて、まあ捜査中ですからお答えできないと言うのでしょうが、この報道は事実なのでしょうか。
  159. 原田明夫

    原田政府委員 御指摘の事柄につきまして、さまざまな報道がなされているということにつきましては承知しておりますけれども、その中身につきまして法務当局として確認することはできませんので、御容赦をいただきたいと存じます。
  160. 山岡賢次

    山岡委員 橋本総理のお立場はわかるのでございますが、総理加藤幹事長と会談をされて、私とあなたは一蓮托生である、こういうふうにおっしゃったと報道されておりますが、それは事実でございましょうか。
  161. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 およそ政党総裁あるいは党首、幹事長、党務の実質的な責任者、それがばらばらである方が私はおかしいと思います。
  162. 山岡賢次

    山岡委員 それはそのとおりだと思います。それはそのとおりで、そんなことを聞いているのじゃなくて、私とあなたは一蓮托生だと言ったということは事実ですかと聞いているわけです。
  163. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 そういう言葉を使ったこともあろうと思いますし、そうでなく、ほかの形容詞を使ったこともあるかもしれません。いずれにしても、党務を預かってもらう以上、同等の言葉を使うのはおかしいことだとは思いません。
  164. 山岡賢次

    山岡委員 言葉じりをとらえたくはないのですが、私の質問は事実かどうかと聞いているので、それがおかしいことであるかどうかとか……
  165. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 ですから、そういう言葉を使ったこともありましょう。そういう言い方でない言葉を使ったこともありましょう。
  166. 山岡賢次

    山岡委員 最初からそう言ってくれた方がわかりがいいのですが……(橋本内閣総理大臣「さっき申し上げたじゃないですか」と呼ぶ)そんなことはないですよ。的確でないから一々お伺いをしているわけです。  その一蓮托生というのは、おっしゃったようなことは、何もここで伺わなくたって、そんなことは当然言わずもがなでございます。  報道されたところによりますと、この疑惑についても一蓮托生だ、こういうことで頑張ろう、こう言ったというふうに聞いているわけですが、それについては事実ですか、どうですか。
  167. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 そのような言葉を使ったと報ぜられていたとすれば、私は、それは訂正をしていただきたいと思います。  確かに、一蓮托生という言葉を使ったことは多分ありましょうと先ほど申し上げました。疑惑について云々と、そのような会話を交わしてはおりません。
  168. 山岡賢次

    山岡委員 この共和の問題についてはまた後ほど触れさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、これだけ私が今事実を申し上げたわけでございまして、これはおっしゃるとおり、私の事実じゃなくてもいいのでございまして、社会、世の中、客観的な事実に今相なっているわけでございます。  その共和のやみ献金問題が、住専のこのことを契機に大きな問題になってきた。そして、今日の住専加藤疑惑の一千万円の問題、こういう問題が新たな問題としてクローズアップされてきた。そして、その中において、さっきも申し上げましたが、新事実が次から次へと出てきている。そして、その当時と全く変わった、立ち会った第三者本人というのが、そこで立ち会った、こういうふうに言っているわけでございます。  そこで、委員長に改めて証人喚問の要求をさせていただきたいと思います。  加藤紘一氏の証人喚問と、当然今いろいろ私が述べたことについてるる承らなければいけない、そういうことにおいて水町元後援会長の証人喚問をここで要求をさせていただきます。
  169. 高鳥修

    高鳥委員長 新進党から既に証人喚問のリストが理事会に提出され、ただいま協議中であります。
  170. 山岡賢次

    山岡委員 これは予算委員会で……(発言する者あり)
  171. 高鳥修

    高鳥委員長 山岡委員に申し上げます。   ただいまの御要求につきましては、理事会で協議いたします。
  172. 山岡賢次

    山岡委員 わかりました。  予算委員会でも要求をしていることで、委員長がそういう御認識であるなら改めて要求しなくてもいいのかもしれませんが、いつになっても実現をされていない。しかも、それがノーという回答であるならまだ別でございますが、真摯に対応する、取り扱う、そういう約束を何度も何度も、まあ二度ですけれども交わしている。それが一向に実現をされていない、これが現実であるわけでございまして・・(発言する者あり)こういうふうにいろいろとやじっていらっしゃるなら、堂々と加藤氏もここに出てきて、証人喚問を受け、そして我々は水町氏の証人喚問も要求をしているわけでございますから、どうして彼は要求をしているものに対して応じないのか、なぜ直接聞かないのか、そのことを私は委員長にも強く要求というよりもお願いを申し上げておく次第でございます。(発言する者あり)
  173. 高鳥修

    高鳥委員長 静粛に願います。
  174. 山岡賢次

    山岡委員 それでは、次は住専処理法案のスキームの問題点についてお伺いをしたいと思います。  橋本総理にお伺いをしたいのでございますが、住専不良債権処理六千八百五十億の税金投入、こういうことについてはきょうも一日論じられてきているところでございますが、現在も国民の九〇%の皆様が反対をしていらっしゃる。およそれ〇%の皆様が反対をしている。これは、もう非常に原点に戻りまして、国民的立場に戻ってお聞きをするのでございますが、そういうふうに反対している理由というのはどこにあると思われるでしょうか。
  175. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、現在まだ国民の御理解を得られたと申し上げる状況にない原因というものは幾つかあろうと思います。  一つは、これも何回か予算委員会以来お答えを申し上げてきたことでありますが、この住専の不良資産の問題というものが、当事者の中で何とか解決をしたいという努力が続けられる間、逆にそのプロセスというものが国民の前に必ずしも十分開示をされていたとは言えなかった。そして、ある日、国民の目から見れば突然公的資金投入というものが出てきた。そして、そのプロセスがはっきりしておらないということから、その公的資金の投入の経緯とともに、なぜという点についての御説明がおくれた。こうしたことも原因であったと思います。
  176. 山岡賢次

    山岡委員 確かに、総理のおっしゃるとおりだと思います。言うなれば、もともと難しい問題だということは言えるかもしれませんが、しかしこのプロセスが余りにもはっきりしていない。いまだはっきりしていない。むしろ、プロセスを検討して調べていけばいくほど、おかしいのではないか、おかしいのを通り越して、これは問題があるのではないか、こういうことが毎日指摘をされているわけでございまして、国民には、その一つ一つが御理解されているとは思いませんが、しかしどうにも納得できない、いまだそういう状況であるわけでございます。  さらに言えば、突然出てきた、今総理がおっしゃいましたが、まさにそうなのでございまして、突然出てきたわけなのでございます。私の聞いているところでは、知るところにおいては、自民党内においても越智案なるものが真剣に検討されて、まあこういう世界ですから、内々いろいろな根回したとか相談だとかそういうこともあったわけでございます。その辺のプロセスはよくわかったのですが、ある日突然、国民に税負担だ、こういうものが忽然とあらわれてきた。この辺が我々にもまた非常にわかりにくいし、またここにどういう問題があるというか、どういう都合があったのだろうか、こんなこともいろいろ検討せざるを得ないし、しているうちに、どうもこれは国民のためのものじゃなくて、つくった人の都合によってできているものじゃないのだろうか、こういうことがだんだんと明らかになってきているわけでございます。  もとより総理大蔵大臣も、率直に申し上げますと、そのことに直接関与してきておられた方ではないわけでございます。国会議員は、それはVIPの一人としては当然関与されているかもしれませんが、しかし当事者という方は、これは、まず表向きの当事者、このお二人ともさっさと審議の前におやめになっているというかお逃げになっていらっしゃるわけでございます。そして、それを根本的に考え出し、越智案なるものから急速変わった、この当事者であるのが加藤紘一幹事長であるわけでございまして、その都合が一体何なのか、こういうことに今疑問がたくさん出てきているわけでございます。  久保大蔵大臣も、当事者じゃない、直接的な当事者じゃないとは申し上げましたが、今総理から承りましたが、大蔵大臣はいかがでございますか。——いいですか、委員長。  難しいことを聞いているのじゃないのです。国民の九〇%近くがこれだけ審議をしてもいまだ反対をしていらっしゃる、そういう素朴な疑問に対して大蔵大臣はどうお考えになるか。
  177. 久保亘

    久保国務大臣 先ほど総理から御答弁を申し上げたことに尽きると思うのでありますが、住専問題を早期に処理しなければならない、極めて日本経済にとっての重要な問題であるということについては、国民の皆様方の御理解は高まっていると私は思っております。それは国会における与野党の皆様方の熱心な御審議にもよるものだと考えております。  ただ、財政支出をどうするかというような問題につきましては、意見が分かれております中で、国民の皆様方の多くの御理解を得るということは非常に難しい問題だと思っておりますが、それでも私は、国会論議などが続きます中で次第に理解していただける層も広がっていると思っております。しかしまだ、そのことが国民の大多数の御理解を得るに至っているかということでありますならば、大変に難しいということを申し上げなければならないと思っております。
  178. 山岡賢次

    山岡委員 大蔵大臣のおっしゃるとおりだと思います。国民はまだまだ御納得をしていらっしゃらない。そういうことでこうやって連日審議をしているわけでございます。  私は、今のうちに申し上げておきますが、加藤氏等々の喚問も重要なマターですが、国民納得していただけるようになるまで十分にここで審議をしていかなければならない、そういうことを総理大蔵大臣も言っておられた、こういうことに相なると思うわけでございます。  この中身について申し上げますと、二月の二十三日の予算委員会の公聴会で、慶応大学の池尾教授、この方はこう言っております。今回の住専処理を正当化しようとする説明の中には法治国家の自己否定につながるものがある、こういうふうに指摘をしているわけでございます。  本来自己責任において処理して、意見の対立があれば司直による判断を仰ぐ、そうやって処置していくというのが法治国家の基本なんでありまして、それを今、国民が反対している、いろいろプロセスがわかりにくい、突然出てきた、こう言いつつも、別な言い方としては、これは国際金融システムの安定につながるのですとか、景気対策ですとか。国際金融システムの安定と言って反対できる人はいません。する人もいません。景気対策ですと言って反対する人も、これもいないのでございますが、そういう理屈をつけながら、その実は、この中身はまやかしで、第三者の国民に負担を押しつける、こういうことに相なっている中身ではないか、こういうことがだんだんはっきりしているわけでございます。  金融システムの安定ということであったら、住専だけではなく、ノンバンクや銀行や信金や、この不良債権全体の処理できるものを、あるいは経済の構造改革、こういったものをやっていかなければそういうものはできないわけでございまして、住専処理をすれば金融システムが安定して景気がよくなるんじゃないか、そのことは、専門家ではない国民の皆様には中身がわかりませんから反対のすべもなし、しかし、何となくどうも信用できない、何となく納得できない、これが私は、現にこれだけ多数の国民の皆様がこれだけ審議をしても反対をしているいわれじゃないかと思うわけでございます。  言うなれば、今度のものをよく調べてみますと、これはもうこじつけ、どんぶり勘定、談合、こういうことによって住専問題を処理しよう、こういうやり方であるわけでございまして、六千八百五十億を使おう、国民の一人一人からお金を出してもらって使おう、こう言いながら、それは住専などというごく一部だけのことで全体の病気が治るわけじゃない。がんの中が腐って大変になっているのを根本治療もせずに一部分だけモルヒネを塗って、そして六千八百五十億のばんそうこうを張っておこう、こういうことでは、これは金融システムの安定にも景気対策にもつながらないじゃないか、こういうふうに少なくとも私は思うわけでございますが、大蔵大臣、いかがでございますか。
  179. 久保亘

    久保国務大臣 随分厳しいお言葉でございましたけれども、しかし、もともと国民の御負担を願うという問題はそんなに簡単に御納得、御理解をいただける問題ではない、非常に難しい問題だということは、過去におけるいろいろな増税の問題や負担増の問題で多く我々は共通して経験をしている問題でございます。  今度の住専処理の問題につきましては、談合で突然ということでございましたけれども、私はそうではないと思っております。これはかなり長い期間をかけて金融制度調査会でも御論議をいただき、また、与党三党のプロジェクトチームも熱心な協議を続けて、昨年十二月の初めにガイドラインを明らかにした上で、それから予算編成に至りますまでの間にもいろいろと協議が行われ、そしてその協議いたしました結論を予算法律案にして国会で御審議を願うという議会制民主主義の手続を踏んで、今皆様方にこの方策を御決定をいただくようにお願いをしているのであります。
  180. 山岡賢次

    山岡委員 久保節の響きはいいのでございますが、まだまだ本物ではないな、こう思うのは、熱心に討議をしたとか、あるいは難しいとか、そういう抽象的な言葉でこれは対処できる問題ではないわけでございます。  また、今までのような税制等々によってこれは、もう国民の血を流すものはみんな国民のためということになってはおります。しかし、税にはいろいろな見解はあったとしても、それはやはり国民のために相なる、こういうことになってくると思いますが、この住専予算は、どうも額面と中身が違うじゃないか、本当に国民のためになるのか、こういうことをもう本能的に感じていらっしゃるし、また、そういうものではないんじゃないか、難しいとか痛みを伴うという割には、これはもう本当のごまかしの、戦前戦後を通じた法治国家としての最低の立法じゃないか、こういうふうに私は思うわけでございまして、今回のスキームは、言うなれば、憲法的に見ても三つの違反をしているわけでございます。  第一点は、憲法第十四条の法のもとの平等に違反しているんです。言うなれば、阪神大震災、このことはもう記憶に生々しいわけでございまして、いまだ家を失ったままプレハブの仮設住宅に入っていらっしゃる皆さんがたくさんいらっしゃる。その方はなぜ入っていらっしゃるか。それは、せっかくの新しくローンを組んでつくった家も、これは倒壊してしまったわけでございます。  しかし、その皆様方は、自分の家がなくなってもローンだけは残っているわけでございます。本当にお気の毒なことです。このローンを全部払い終われば、いずれこれは我が家のものになり、息子に渡してやれるんだ、これなら、どんなにつらくても、大変でも、一生懸命働いていく、こういう意欲も起きてくると思うわけでございますが、もうなくなってしまっている家に対してもローンを払っていかなければならない、これが一般国民の現実であるわけでございます。  ところが、この住専の、国民から税金を負担していただいてやろう、こう言っているこのものについては、借りたものも返さない、そして豪華な生活をしている、あるいは資産を隠している、そういうところの結局は、言うなればしりぬぐいをしていく、こういう法律と相なってくるわけでございます。これは、憲法十四条で保障された法のもとの平等に明らかに違反をするわけでございまして、言うなれば、もうちょっと国民に対しては平等に行き渡る立法をすべきだ、だから最低だ、こういうふうに申し上げているわけでございます。  また、第二点目は、憲法十五条の公務員の全体の奉仕の義務にもこれは反しているのでございまして、言うなれば、大蔵省、農水省の一部幹部、これが農林族議員と結託して、憲法が禁止をしている一部の者の奉仕者、こうなってつくり上げたのがこの制度、こういう結果に相なってくるわけでございます。  第三点は、憲法八十三条の財政民主主義の原理にも反する。言うなれば、税金というのは、公平で、かつ法的根拠が必要なんです。政府がつくったものだから、国会がつくったものだからといって、法的根拠がなく、理由づけがなく、談合で、これは金融対策でありますとか、景気対策でありますとか、こういうまくら言葉、形容詞を使えばこれが許される、こういうものではないわけでございまして、言うなれば、財政民主主義の原理にも反しているわけでございます。  国会は何でもやれるんだ、国会議員は何でも決められるんだ、大間違いであるわけでございまして、久保先生は憲法のこの精神を一番尊重していらっしゃるんじゃないのでしょうか、いかがでしょうか。
  181. 久保亘

    久保国務大臣 山岡さんの憲法に対するお考えとして伺いましたけれども、私は見解を異にいたします。
  182. 山岡賢次

    山岡委員 それで、先ほどから申し上げたのですが、言うなれば、あのころの久保先生ではなくなってしまったのかな、あのころの国家を思い、党を思い、敵ながらあっばれだとひそかに尊敬をしていた久保先生の言っていることとは私はとても思えない、情けない、悲しい思いであるわけでございます。  その公平性のことを申し上げますと、住専を破綻させた関係者の責任とり方、再三指摘されていますが、これが一番の問題であるわけでございます。何度も言われておりますが、借り手の責任、こういうものは今法的責任を追及されて逮捕をされてきている。  しかし、住専に借りてほしいと頼み込んで、無審査、無担保、無保証というずさんな融資をしてきた農林系統とか県信連の役員、それを唆した母体行の責任者、借りた金を無責任に貸しまくって、不動産などの企業と癒着して甘い汁を吸った住専の役員。また、この役員のトップというのは大蔵省からの天下りがたくさんいる、これももう御承知のとおり。このだれもが、この人たち責任をとらなくてもよい仕組み、今つくられている株式会社住専処理機構、これはまさにそれをするための機構ということに現実にはなっているわけでございます。  農林系統は、五兆五千億円の元本保証で県信連役員の責任は問われない。母体行は債権放棄で勘弁してもらう。住専の役員は、自分が責任のあるようなものは民間の住専処理機構には持っていかなくてもいいようになっている。いいですか。これも非常に問題がある。本来当事者が負担すべきこの処理に不足する金を、第一次損失、第二次損失と、国民税金で払う。結局は、そういう者たち責任逃れを、全部最後には国民税金で充てる。阪神の大震災で毎日毎日苦労している皆さんにも、一律一万円を当てる。これがこの住専のスキームの実態ではないですか。  まず悪いのは、大蔵省の役人。大蔵OBの住専の役員を助けるためかどうか知らないですが、この住専スキームをつくることに加わっている。次には農水省の官僚、天下り先の農林系統の金融機関をつぶさないようにしたいのかどうなのか、そういうこともわからぬですが、スキームづくりに参画している。  しかし、最も悪いのは政治家。政治家にも、住専に不動産屋から頼まれて口ききした人もおりますが、何と言っても、農林系の金融機関から懇請されて、政治工作をされて、法治国家の自己否定と言われる住専処理スキームをつくった政治家、これが一番悪い、こういうことに相なってくるわけでございます。  この本当の責任者、私はさっきからここに座って厳しいことを申し上げておりますが、言うなれば、総理大蔵大臣もその後についていらっしゃるわけでございまして、本当の責任者というのは自民党加藤幹事長である、私はこういうふうに申し上げているわけでございます。  この人は、さっきも申し上げましたいろいろな点で今疑惑が指摘をされている。住専問題だけで も、官房長官時代に農林系統の五兆五千億の元本保証をする仕組みをつくって奔走した。きょうも江田委員が言っていたようでございますが、言うなれば、九段のすし屋の「喜与し」というところで集まって、いろいろな工作をしていた、こういうことが国会審議の場で取り上げられて、マスコミでも報道されているわけでありまして、こういう政治工作絡みのことが行われているとあちこちで指摘をされているわけでございます。  言うなれば、平成八年のこの予算編成に当たっても、私がさっき申し上げたように、越智案でいくのかなと思っていたら、突然出てきた。なぜか。こういう関連から生まれてきたわけでございまして、このようないろいろな疑問や疑惑やあるいは疑獄につながる話が出てきている者が、この人が、この住専のスキームをつくった中心人物である。疑惑、疑獄とを含めて、どうしてもここに出てきていただいて、そして堂々と宣誓をして喚問に応じていただきたい。これが、きょう先ほどから申し上げている御要請であるわけでございます。  第三の問題を申し上げます。これは北朝鮮と加藤紘一事務所の関係についてであります。  外務省にお伺いをいたします。  国交のない国との交渉をやるに当たっては、それはいろいろな立場の人が出入りをする、いろいろなことにかかわってくる、それはよくわかるわけでございますが、そのこと自体を私は批判しているわけではありません。ここで、しばしば国会の質問で問題となった、加藤紘一事務所の代表と言われている佐藤三郎氏、加藤紘一事務所の名刺で活躍している吉田猛氏、この両者について外務省に確認をしたいのですが、北朝鮮との関係でどのような活動をしているのか、説明をしていただきたいと思います。
  183. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 吉田氏は北朝鮮事情に詳しい方であり、外務省の関係者が折に触れて意見交換を行ったことがある人でございます。  佐藤三郎氏と北朝鮮との関係について、外務省としては特に承知いたしておりません。
  184. 山岡賢次

    山岡委員 外務省としてもそこまで踏み込んで、いろいろこの問題で一緒にやっていますと、そこまで言っているのは大したものですが、ちなみに、もうちょっとつけ加えると、吉田猛氏は第十八富士山丸問題で活躍しておりますし、佐藤三郎氏及び吉田猛氏の両者は北朝鮮への援助米でパイプ役を果たしている。吉田氏は、日朝貿易の草分け、新日本産業の代表取締役、父親の時代に北朝鮮から日本に帰化した人物、外務省、こういうことに間違いありませんか。
  185. 池田行彦

    ○池田国務大臣 先ほど政府委員から御答弁申し上げましたけれども、吉田氏につきましては、北朝鮮の事情に詳しいということで、時折外務省として話を聞いたりしたことがあるということでございます。しかし、佐藤氏については、それほど存じません、こういうことでございました。  それから、ただいま委員、昨年行いました北朝鮮への人道的見地からの米の援助についてお触れになりましたが、この件は、御承知のとおり北朝鮮から要請があって行ったものでございますが、我が国と北朝鮮の間には国交関係がございませんので、最初、与党関係の方にその要請が来たわけでございます。そうして、その段階で与党の関係者はいろいろな方と相談をされたようでございますが、そのときに吉田氏とかかわったということはあるようでございます。  それから、今一見、吉田氏との関係について随分外務省が緊密に連絡をとっている、よく相談に乗っている、そういうふうなニュアンスでおとりになったようでございますが、先ほどの政府委員の答弁は、時折、時に事情を聞いたことがある、こういうことだというふうに御承知いただきたいと思います。  また、その関連で第十八富士山丸の話をされましたが、この話は一九九〇年の早い時期で、なかなか長期にわたって問題が解決いたしませんので、外務省として、あれこれ事情通から、どういうルートがあるだろうか、そういったことであちらこちら当たっておった、その中に吉田氏がおったというふうに理解しております。  しかし、結果的には、その吉田氏によるこの問題の解決ということではなかったわけでございまして、委員御承知だと存じますが、これは、一九九〇年の秋に当時の自民党と社会党の合同訪朝団が参りまして解決したわけでございます。そのときの自民党の訪朝団の団長は、当時の自民党幹事長であった現在の小沢一郎新進党党首でございまして、社会党の団長は当時の土井たか子社会党委員長、現在の議長であられますが、その訪朝団が最終的なやりとりをやって、紅粉船長、栗浦機関長が釈放をされた、そういうことになっているわけでございます。  事実関係だけ申し上げます。
  186. 山岡賢次

    山岡委員 詳しく御説明いただきまして、ありがとうございます。私がお聞きしたのは、そういうことにタッチをされたかと言っているので、別にいいとも悪いともまだ言っているわけじゃないのでございまして、よくわかりました。  そこで、今問題になっている金融関係の話にかかわる問題をしたいのでございますが、世界の金融秩序にとって今非常に脅威となっているのが、にせ札の問題でございます。スーパーKという極めて精巧なにせドルが出回っている。韓国にも日本のにせ円が出ているという情報もあるわけでございます。これは明快になったわけではないのでございますが、北朝鮮に疑惑があるんじゃないかという報道もあるのでございます。  そこで、警察庁にお尋ねを申し上げますが、にせ札の識別機が新潟港から北朝鮮に向けて輸出された、こういう事実を承知をしているかどうか、いつごろ、何回、だれがだれに輸出したのか、何という船で運んだのか、こういうことをお伺いをしたいと思います。
  187. 杉田和博

    ○杉田政府委員 市販をされておりますいわゆるにせドル札の識別機でございますけれども、これが過去において日本から北朝鮮に輸出をされたという事実は承知いたしております。  しかしながら、この輸出に関して、具体的な違法行為があってこれを検挙したというものではございませんので、それ以上詳細なコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
  188. 山岡賢次

    山岡委員 違法があるかどうかということはまだ聞いていないのですが、その船は、いろいろあったと思いますが、万景峰号、これでも行っていますか。
  189. 杉田和博

    ○杉田政府委員 ただいま申し上げましたとおり、具体的な違法行為があって検挙したというものではございませんので、詳細なコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
  190. 山岡賢次

    山岡委員 それでは、詳細は答えられないのでしょうが、大進商事というのは、もう時間がないからここで詳しく説明しませんが、御存じと思いますが、そのにせ米ドルは、大進商事、ここから届けられたか、出てきたものであるのですか。
  191. 杉田和博

    ○杉田政府委員 これまで、国内におきまして数百枚の精巧なにせドル札が発見をされております。その都度届け出等なされておりますけれども、具体的にだれが届け出をしたということについては、答弁は差し控えさせていただきます。
  192. 山岡賢次

    山岡委員 言えないと思いますからそれ以上聞きませんが、それじゃ、この東海商事とか大進商事とかこういうところと、あるいはその社長である李健一氏と、新日本産業、つまり吉田猛さんの会社か本人との関連か関係がありますか。
  193. 杉田和博

    ○杉田政府委員 再三で恐縮でありますけれども、警察は、具体的な違法行為で検挙したという場合は格別、個人的なこと、さらにまた企業等について具体的に御説明することは差し控えさせていただきたいと思います。
  194. 山岡賢次

    山岡委員 公安調査庁、このスーパーKについてはどうお考えですか。
  195. 杉原弘泰

    ○杉原政府委員 御指摘のスーパーKにつきましては、国際的にも大きな問題になっておりますし、また、報道等によりますと、タイ当局で、よど号のハイジャック犯でもあり、かつ共産主義者同盟赤軍派の元メンバーであるという田中義三という者が調べられている、それで、これが御指摘のにせドル紙幣の所持に関与していたというふうにも言われておりますので、私ども公安調査庁としても重大な関心を持って注目いたしております。
  196. 山岡賢次

    山岡委員 公安調査庁も警察も重大な関心を持って見ておいていただきたいと思います。  本人たちは言えないでしょうから、「ベルダ」という雑誌の五月号にこういう記事が載っております。   実は先頃、日本でも発見された偽百ドル札事件の一部に、吉田が関与している疑いがあるのです。  吉田はそれ以前に、偽ドル札の識別機を、過去二十回にわたって新潟港から北朝鮮に輸出していたという説もある。北鮮製の偽ドル札は、識別機にかけても偽物かどうか分からないほど精密だった、とある北朝鮮筋が自慢していたという話もあり、どうも北朝鮮は識別機を使って偽ドル札のテストをしていたフシもあるこういう指摘があって、今警察や公安調査庁ではそういうことは述べられないと思いますが、よくわかりますが、しかし、この吉田氏というのが加藤紘一氏の名刺を持っている、佐藤三郎氏とも極めて親しい、こういうことが指摘されて、金融問題が非常に心配をされている。今マスコミも特別班を組んでいる。  こういう状況があるということを、これはやはり、自分のところの秘書でありあるいは責任者ということについては、この場に出てきて堂々と説明をしていただきたい、証人喚問に応じていただきたい、その三点であるということを急ぎ申し上げさせていただきます。  時間がなくなりましたので、最後に相なるわけでございますが、国民血税を強いる住専予算に対しては、やはりすべての意味においてすっきりとしていただかないと困る。いわんや国会議員であり、またその中心的人物である人においては、当然のことであるわけでございます。  最近の社説はもうみんな異口同音に、つまり社説というのは国民の声、異口同音にそういうことを言っております。  五月十七日の毎日新聞。   自民党加藤紘一幹事長証人喚問が、またまた先延ばしされる見通しとなっている。「先延ばしはもう許されぬ」というタイトルでございます。  関係者が証人として喚問されたのは当然である。この証人喚問に「聖域」を設けることは許されない。特に国会議員の場合、率先垂範して真実を明らかにする責務がある。民間人は喚問されるが、国会議員は喚問されないでは、政治不信はますます募り、国会の権威も地に落ちることになる。   加藤氏も最近「いずれ、なんらかの形で説明したい」と釈明の必要性を認めている。それなら、参考人、記者会見などの手段ではなく、証人という形で、一日も早く疑惑を晴らすことを期待したい。こういうふうに毎日の社説では国民を代表して言っております。  朝日新聞、五月二十一日。   審議入りのネックとなっている加藤幹事長証人喚問問題を解決する道は、ひとつしかない。与野党で、この国会中の喚問実現を決めるのである。場所は、金融特別委員会でも予算委員会でもいい。   「加藤氏は潔く喚問に応じるべきだ」という声は野党だけでなく、自民党内にもあるが、本人は「いずれの時か、明確にする心積もりだ」というだけで、行動で示そうとしない。自民党総裁である橋本龍太郎首相は、喚問実現を決断すべきである。   そうした与党加藤氏の姿を、国民は冷ややかなまなざしで眺めている。産経、五月二十三日。   「喚問問題は真摯に対応し、特別委で取り扱う」との先の与野党合意に沿って「加藤喚問」に応じるべきである。  そして、読売。   審議入りの障害を取り除くという意味では、政府与党加藤喚問にこそ積極的に対応すべきだろう。   加藤氏はその責任を厳しく受け止めて、疑惑を晴らす必要がある。特に、朝日の「天声人語」はなかなか傑作でございます。五月二十一日。   テレビでの所見だが、この話題になると、加藤紘一自民党幹事長はキョトンとした顔になって、しきりにあらぬ方を眺める、ような気がする。本人も落ち着かず、居心地が悪いのだろう  加藤氏をめぐる「ヤミ献金」問題がくすぶり続けている。早く釈明して、青天白日の身になればいいのに、と思うのは素人考えらしい。自民党側はごく最近も、「(釈明については)今国会中をめどに常識の範囲で措置する」などと太平楽なことをいっている。「めど」といい「常識」といい、あいまいな表現だ。証人喚問を求めている新進党がむくれるのも無理はない「いずれの時か、いずれかの場で自ら明確にする心積もりだ。すすんできっちり説明したい」と述べていた。二つの発言は四月のこと。もう五月も下旬になった。「いずれの時」とは、いずれの時なのか  加藤氏が階段を踏み外しかねないだけでなく、一蓮托生、橋本政権もこける恐れなしとはしない。それが自民党の判断のようだ。こういうふうに言っているわけです。  なるほど、これまでの加藤氏の説明は、はなはだ説得力に欠ける。問題が最初に取り上げられた四年前には、「(献金したとされる人物に)会ってはいない。そういう金品を受け取ったことはない」と、それなりに明快だった   新事実、新証言が出て、いま、あのときの強硬さはない。ない、といえば社民党にも四年前の雄姿はない。「政治スキャンダルの解明なくして審議はむずかしい」と加藤氏追及の先頭に立ったのは、当時の社会党だったのだけれど   これらの現象をくくるなら、かつてアメリカの牧師がつぶやいた次の一言で足りる。「政治屋は次の選挙のことを考え、政治家は次の世代のことを考える」これは朝日新聞、まさに言い得て妙であるわけでございます。  この問題からして、私は、加藤紘一氏の言うなれば国会における虚偽の発言はもう明々白々ではないか。そうでないというのなら、証人喚問に応じてほしい。  かつてイギリスにプロヒューモ事件というのがありました。陸軍大臣総理候補、有望なプロヒューモという陸軍大臣が、キーラーさんという、言うならば高級コールガール、この人との接点があった、こういうことが問題になったわけでございます。  しかし、彼はそのことによってやめたのではないわけでございまして、国会において事実を事実としてしゃべらなかった、うそをついた、そのうそをついたことによって、キーラーさんと接触があったとかあるいはキーラーさんがソ連のスパイと接触があったという問題ではなくて、我々の議会の発祥の地イギリスの国会においてうそをついた、そのことをもって陸軍大臣もやめ、そして国会議員もやめた。こういう現実を我々も直視していかなければならないと思います。  終わります。
  197. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて加藤君、江田君、山岡君の質疑は終了いたしました。  次に、佐々木陸海君。
  198. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 日本共産党を代表して、最大の焦点であります住専処理法案の問題について質問をいたします。  予算段階での住専論議というものは、六千八百五十億円の支出の是非が当然中心になりましたが、本委員会では、それだけにとどまらず、住専処理の全体の枠組みそのものを議論しなければならないと考えます。きょうは、その立場から議論をしてまいりたいと思います。  住専処理への六千八百五十億円の血税投入、これに対する国民の反対は、衰えるどころか広がってさえおります。しかし、この法案の問題は、六千八百五十億円の問題だけではありません。いわゆる一次損失は全体の約一割を税金で負担する、これが六千八百五十億円にかかわるわけですが、しかし、二次損失は二分の一を国民が負担するということが法案に明記されています。なぜ、何の責任もない国民が二分の一負担なのかという質問が予算委員会でもなされましたが、政府はまともに答えることはできませんでした。  そこで首相にお伺いしたいと思いますが、既にこの二次損失の問題では、一・二兆円がはっきりしている。そして、さらに膨らむということも大方の予測として行われておりますが、法案では二分の一国民負担という以上のことは何もわからないわけですから、国民の利害とのかかわりの最大の問題の一つとして、これが、一・二兆円がさらに膨らむようなことがないのか、確言できるのか、その点についてまずお答えを願いたいと思います。
  199. 西村吉正

    西村政府委員 今までにも御説明を申し上げてまいりましたとおり、住専に関する損失見込み額は六兆四千百億円でございます。しかしながら、その後の、資産承継後に万が一ロスが生じました場合の対応策といたしまして、今御指摘のいわゆる二次ロスと呼ばれているものの処理方式を御提案申し上げているわけでございます。  私どもといたしましては、その二次ロスと言われているようなものが生じないように、回収等に強力に当たりましてこの問題に取り組んでまいる所存でございますが、そのためにも住専処理機構を一日も早く発足させていただきたいわけでございますけれども、現段階におきましても、既に、例えば関西の不動産業等の事例でごらんいただきましても、今までのような個別に各会社が回収に取り組んできた段階では考えられなかったような、例えば隠されていた資産が見つかるというような事例も出てまいっておりますし、このことは、住専処理機構が発足いたしまして、預金保険機構と一体となりまして債権回収に取り組みますならば、必ずや成果を上げ得るものと確信をいたしておるところでございます。
  200. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 要するに、ロスが生まれないように努力をするという話だけであります。しかし、このロスの問題の一番の基本は地価の動向であります。地価そのものは下落をしていることは明白でありまして、この一年間でも二割程度都市部では下落をしております。我々は今の地価の水準をよしとしていない。当然もっと下がっていくことを国民も望んでいる。そういう状況のもとで、二次損失が、それは努力はするでしょうけれども努力のいかんによってなくなるというようなものではなくて、ますます膨れていくだろうということは否定のできない事実だと思うのです。  こういう税金投入の仕組み、これが今度の法案の一つの中心なんですけれども、もう一回、首相に今度はお答え願いたいと思いますが、大体民間会社預金者のいない金融機関、ノンバンクの破綻の処理税金を投入するというのは前例がない、これが初めてということで間違いありませんね。
  201. 西村吉正

    西村政府委員 ノンバンクに限りませず、今まで預金取扱金融機関に関しましても、直接財政的な措置を講ずるということについては、そういう事態には直面はしてまいりませんでした。今まではそうでございました。  しかしながら、バブルの崩壊後、現在のような金融情勢になりまして、不良債権の累積というものが日本経済の暗雲となって覆っておりますような状況になりまして、この事態を一日も早く打開をしなければいけない、そのための突破口といたしまして、この住専問題というものに取り組まざるを得なくなったわけでございます。  そういう意味におきまして、私どもといたしましても、財政措置というものは必ずしも講ずることが必要でなければそれにこしたことはないわけでございますが、ぜひとも今の事態を打開するための措置として御理解を賜りたいと存じます。
  202. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 いろいろ言われましたが、まさに全く前例のない初めてのことを、民間のノンバンクの破綻処理税金を投入するという前例のない初めてのことを、政府自身が法律をつくってやろうとしているということがはっきりしたと思うのです。  しかも、この法案で民間会社の破綻処理税金を投入するという新しい例を切り開いてしまったら、それこそ不良債権問題などで税金投入の無限軌道を敷くことになってしまう。そういう意味で、国民がいわばその手付金としての六千八百五十億円の投入に強く反対し続けているのは全く当然だと言わぎるを得ないと思うのです。  そして、今前例がない処理、前例のない法案だということが明らかになりましたけれども、では前例はどうなのか。住専のような母体行のはっきりしているノンバンクの破綻処理はこれまで一体どういうルール、枠組みでやってきたのか、それをまずはっきりさせようと思うのです。  そういう直系ノンバンクの破綻というのは、九〇年代に入ってバブルの崩壊で一挙に起こってきたものであります。これを処理する原則については、去る二月二十三日の本院予算委員会の公聴会で公述人の野田正穂法政大学経営学部教授はこういうふうに言っておられます。「ノンバンクの破綻の処理につきましては、従来母体行責任原則がとられてきましたし、また現にそれがとられている」「金融機関の場合、母体行責任原則が行政上も明確にされたのは九一年十月のことであります」というふうに述べています。橋本首相が大蔵大臣をやめたのが、この九一年のたしか十月だったと思います。  そこで、首相にお聞きするのですが、あなたの大蔵大臣在任中の九一年四月には例の静信リースというノンバンク、第一号のノンバンクの破綻と言われていますが、あれが明らかになって、そしてあなたの最後の十月までに至る間というのは、ノンバンクの破綻への対応というのは大蔵省としても重大な関心事であったはずであります。大蔵大臣当時、こうした事態に行政として、今の野田教授の言われたような母体行責任原則で対応するというようなことが議論をされていたのかどうか、その辺の御記憶はいかがでしょうか。
  203. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 御連絡をいただきましたので調べてみました。  確かに、委員指摘のように、私の大蔵大臣在任中、金融機関の系列ノンバンクの破綻処理が行われましたのは、静岡信用金庫を母体といたします静信リースの会社更生申し立てのみであったようであります。ただ、この更生計画案が裁判所の認可を得ましたのは平成六年二月でありまして、このとき、損失の負担方法がいわゆる修正プロラタ方式で行われる、そういう決定がなされたものという調べた結果が出てまいりました。そして、その当時、ノンバンクの破綻処理というものが、それほど大きな議論をしておったようには記憶いたしておりません。  以上です。
  204. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 結構です。  橋本総理の認識はそういうことだということですが、昨年行われました東海銀行をめぐる株主代表訴訟というのがありまして、この訴訟では、東海銀行側は、これは九二年から九三年のことを言っておりますが、当時、金融当局、大蔵省及び日本銀行は、金融システム崩壊を回避するため、いわゆる母体行責任主義として、各銀行が融資残高に応じて支援するのではなく母体として認識されている銀行が自行が危機に瀕しない限り支援をするという方式を採用し、その旨を行政指導してきたということを申し立てておりまして、九月二十二日の名古屋地方裁判所の判決でもそういう行政指導が行われてきたという事実を認定しております。  これは大蔵大臣にお聞きしますが、九二、九三年当時、母体行責任主義として自行が危機に瀕しない限り系列ノンバンクを支援せよという行政指 導を、大蔵省、やっていたという事実があるでしょうか。
  205. 西村吉正

    西村政府委員 まず、先ほど前例がないということを申し上げたのですが、最近においては前例がないということでございまして、戦前だとかあるいは終戦直後はまた別でございますし、地方公共団体のこともまた別の問題でございます。  ただいまの御質問でございますが、九二、三年ごろのお話につきましては、当時はまだ今のようなバブルの崩壊状況ではございませんで、どちらかといいますと、直系ノンバンクに関しましては破綻処理ということよりも再建が可能であるということで関係者、当事者は取り組んでまいったと思います。  それが、先ほど御指摘の静信リースというケースになりまして、そういう再建策だけではなかなか処理ができないという事態を迎えまして、この静信リースにつきましては破綻処理を行ったわけでございますけれども、その場合の処理方策は、いわゆる母体行主義ではございませんで、修正プロラタ方式という方法をもって処理されたわけでございます。  当時、それではいわゆる母体行主義、母体が完全に責任を持つという方式が行政指導という形で行われていたかという御質問でございますが、これは必ずしも行政指導というわけではございませんで、金融界におきます、母体が経営に関与してまいりましたとか、あるいは母体自身の信用の保持という観点から、できる限り再建に際してはいわゆる母体が協力をしていこうという対応がとられてきた、こういうことと理解をいたしております。
  206. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 大蔵大臣に答えていただきたいと思いますが、大蔵省としても、まあ指導と今お認めにはなりませんでしたけれども、東海銀行に言わせれば母体行責任主義という行政指導が行われたというように受け取っているわけですが、そういう受けとめ方をされるような対応を大蔵省もしてきたということは間違いないですね。
  207. 西村吉正

    西村政府委員 先ほど申し上げましたように、行政指導としてそういうことを行ってきたということではございませんで、金融界の考え方として、できる限り直系のノンバンクに関してはそういうことが行われることが望ましいという考え方はあっただろうと思います。ただし、それは直系ノンバンクに関してのことだと私は理解をいたしております。
  208. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 もちろん私は最初から直系ノンバンクの問題について質問をしているわけであります。  二十一日の本会議で、私の質問に対して大蔵大臣は、金融機関を母体とするノンバンクの経営については、「母体金融機関最大限の支援を行って再建を図る方法をとることが通例であると認識している」というふうに述べられました。重要な答弁だったと思うのですが、母体行が最大限の支援を行うのが通例だったということでは、そうすると例外は何かあったんでしょうか。具体的に挙げていただきたいと思います。
  209. 西村吉正

    西村政府委員 これも今私がお答えした中にもあったわけでございますが、それまでは、再建ということを目指して直系ノンバンクの対応策を講ずるということが多うございました。そのような中において最大限の努力を母体行がするというケースが多かったということでございます。  しかしながら、静信リースの案件以降、幾つか破綻処理を行わざるを得ないというケースが出てまいりました。それは、例えば大阪総合信用等三社に関する大阪銀行のケース、あるいはフクトクリース等六社に関する福徳銀行のケース、阪和リース等二社に関する阪和銀行等のケースでございまして、それぞれ修正プロラタあるいは完全プロラタ方式によって、金融機関経営状況を勘案しつつ、関係者、当事者の間で処理策が検討をされている、これが事実でございます。
  210. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 今幾つか例外のケースを挙げられましたが、直系ノンバンクの破綻に直面して、その処理に当たるに際して、母体行主義というのが通例であった。そして、その母体行主義というのは、もちろん母体行に力がある場合には他の金融機関に一切迷惑をかけずにやるという完全母体行主義、これでそのノンバンクの破綻に対処した。同時に、母体行にそんなに体力がない、そんなことをしちゃったら母体行がいかれてしまうというような場合にはそういうことはできないわけですから、しかしその場合にも、母体行は自分たちの本店の土地、建物を売り払うまでして、他の金融機関にも頭を下げながら、しかしその破綻の処理合意形成の最後までの責任は自分が負って処理するということがずっとやられてきた、そう思うんです。  そして、この間のこの系列ノンバンクの処理において、母体行がもうだめだということで全部投げ出してしまった、そういう例外があるかという点をはっきりさせていただきたいと思うんです。
  211. 西村吉正

    西村政府委員 ちょっと御質問の御趣旨を必ずしも十分に理解をしておらないかもしれませんが、先ほど申し上げましたケースがいわば直系ノンバンクの破綻処理というものに関しましてはほとんどすべての例を挙げたつもりでございますが、強いて言いますならば、ほかに兵銀ファクター等二十社に関する兵庫銀行のケースもございます。  いずれもそれぞれ破綻処理をするという場合には修正プロラタ方式あるいは完全プロラタ方式という方式がとられておりまして、これは母体の金融機関経営上いろいろな問題を抱えているというケースでございます。
  212. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 兵庫銀行の場合には銀行そのものがいかれてしまったのですから、それはもう例外の処置には当然数え上げられませんけれども、その他の今挙げられたものについては、結局、母体行が力がない場合でも、最後まで合意形成をして、そしてその処理責任を負う、そういう形で責任を負うという点では例外はないわけでしょう。
  213. 西村吉正

    西村政府委員 もとより母体行もノンバンクに対する融資先の一つでございますから、最大限の努力をもってこの収拾を図るということでございます。  責任を持ったのであろうという御指摘でございますけれども、その責任の持ち方といたしまして、例えば完全プロラタという方式をとる場合には、他の母体でない債権者と同じような立場でしか責任を持つことができなかった、こういうケースになるわけでございますし、修正プロラタ方式の場合には、自分自身の融資している最高限度まで債権を放棄するという形で責任を負った、こういうケースでございます。
  214. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 要するに、母体行がもう完全に投げ出してしまった、破産処理にしてしまったケースは一つもないわけでしょう。例外はないのですよ、そういう意味では。  私が母体行責任主義と言っているのは、母体行が完全に、体力がない関係から全面的な責任を負えない場合でも、母体行が合意をまとめて最後まで努力するということをしてきたわけでありまして、そういう意味では、今いろいろ言われましたけれども、母体行が投げ出してしまったようなケースはなくて、最後まで母体行がそれなりの力や体力に応じた合意形成の責任を負ってやってきたというのが今までの実態だったと思うのです。  そこで、そういうことが、今まで母体行の責任主義というのが裁判でも確認されているようにルールだったと思うのですけれども、首相は去る二十一日の私の質問への答弁で、「住専問題の解決に向け何らかの案を策定し合意形成を行っていくに当たり、当該住専の現況に最も通じている住専自身及び母体行がまずもって対応していくことが自然」だったと理解しているというふうに本会議の答弁で言われました。  これは、母体行が主体的役割を果たして処理案の合意形成に責任を持つことが自然であり、本来のあり方だという首相の認識だと思いますが、そう受け取ってよろしいでしょうか。
  215. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 正確な言い回しは記憶いた しておりませんが、同様趣旨の御答弁を多分申し上げたと思います。そして、自然体で考えた場合、母体行というものが、その設立からの経緯を考えますとき、当然のことながら大きな役割を処理においても演じていく、自然体の話であろうという感じは申し上げたと思います。
  216. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そうすると、この母体行が責任を持って処理をするという今までの系列ノンバンクの処理のルール、そしてそれを住専に適用すれば、今首相が言われたように、母体行が合意形成の責任を果たして処理するというのが自然だ。  住専に照らして言えば、住専の母体行が、一般行とかあるいは農協系統とか、こういったところと、住専に大穴があいている、どうしたらいいかということをやはり率直に話し合って、そして合意形成の努力をする。大変な大穴だから一般行もこういうふうに負担してほしいし、それから系統もこういうふうに負担してほしいということを、頭を下げて、責任を持つべき、主体に当たるべき母体行が合意の形成の努力を図って、そしてその合意がうまくまとまらずにさらに足りない分ができたとすれば、それは当然、母体行がみずから負担をしてその穴を埋めていく。これが、母体行が、言ってみれば合意形成の中心的な役割を果たす、最も自然な形としてそうなるべきだというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  217. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 昨年の、正確な時期はちょっと、何日ということを覚えているわけではありません、昨年の初夏以降、この問題に対して関係者が解決の努力を開始し合意形成の努力を踏んでくるプロセスにおいて、当然のことながら、そうした視点からも議論が行われたと存じます。そうした中で、最大合意形成の努力をする中で、どうしても最終的に当事者間の努力の中で埋め切れない部分が、今回御論議をいただいております公的資金投入という結論を導き出した、そのように思います。
  218. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 今いろいろ事情を言われましたけれども、母体行が基本的に責任を持って解決するという従来からのルール、母体行責任主義のルールに照らして、住専だって当然そうすべき、それが自然だったと思うのですけれども、なぜ住専にそういう方向が適用されずに税金投入になってしまったのか、そこのところをちょっと明確にしていただきたいと思うのです。
  219. 西村吉正

    西村政府委員 住専問題の処理、これは今回の処理に限りませず、例えば第一次、第二次再建計画というような段階も含めまして、あくまでもこれは当事者が解決に当たるということは原則でございます。また、実際に住専あるいは母体行が中心になってそのような問題に対処してきたということでございます。  しかしながら、昨年の夏以降、この住専問題に最終的な決着をつけるべきではないかという世の中の御議論が非常に盛んになってまいりまして、また、与党の中におきましてもプロジェクトチームをつくってそのような御議論を展開されるに至りまして、その中におきましても、なおかつ住専及び母体ないしは一般行も系統も含めまして、関係者の話し合いによってこの問題を解決しようという努力は続けられてきたわけでございます。  秋に至るまでそのような最大努力が続けられてまいったわけでございますが、最後、この問題の決着をつけるという段階になりまして、やはり関係者だけでは結論を出し得ないということで、政府あるいは与党がその調整に乗り出し、また、その結果といたしまして、最終的な処理策を策定する段階におきまして、やむを得ず財政措置を講ずることをお願いせざるを得なくなった、こういうことでございますので、御理解を賜りたいと存じます。
  220. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 それは納得できない理由だと思うのですよ。今までの直系ノンバンクの処理の基本的なルールも、母体行が合意形成に責任を持って、そして、ともかく、自分が全部負担するかどうかは別問題としても、他の金融機関との調整も図って、そして体力のある限り負担をして解決を図っていくということをするのが当然であります。政府が調整に乗り出しても、調整をすべき範囲というのはそういうことを母体行にきっちりやらせるということであるのが当然でありまして、なぜそうできなかったのか、そこがどうしても問われなければならぬと思うのですが、大蔵大臣、いかがですか。
  221. 久保亘

    久保国務大臣 今佐々木さんがおっしゃいましたことが、結局、この住専問題処理意見の分かれてきたところだと思いますが、日本の抱えます巨額の不良債権、その象徴的なものとなってまいりました住専不良債権をどう処理するかということは、非常に緊急な、先送りを許されない事態として受けとめられたと思うのであります。  そういう中で、けさほども御答弁を申し上げましたけれども日本経済の今日からあすの時代にかけて、そしてまた、その経済の動脈となる金融の安定、内外の信用の確保といったようなことを考えますと、これは極めて重要な課題であると考えなければならないということから、この緊急にして重要な課題を解決をするために今どのような方法が可能かということで、住専債権債務に関して具体的な、どのような人たち債権債務の責めを負うているのか、そういうことの関係からいって、今一般論として銀行局長が申し上げましたような母体行主義ということで、これは民間の問題であるから母体行が中心になって解決せよということだけで終わるかという立場から、大蔵省としては、住専不良債権の関係者と協議を重ねて、そしてその協議で一定の合意に達しましたものを国会で皆様方に御審議をいただくに至った、こういうことでございます。
  222. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 さきの本会議で、私は、首相にも大蔵大臣にも、なぜ母体行に本当に責任を持たせるという方向を貫かなかったのかという質問をしたのに対して、首相もこういうふうに言われました。「関係する多数の金融機関の利害関係が極めて錯綜していること等から、当事者の意欲と努力だけでは解決を図り得ない状況となった」。関係する多数の金融機関の利害関係、これが錯綜しているということを主な理由に挙げられました。そのとおりですか。
  223. 西村吉正

    西村政府委員 先ほどからの御議論をちょっと整理をさせていただきたいと存ずるわけでございますけれども、初め母体行主義という御議論がございました段階では、直系ノンバンク、一対一の対応関係にあるような、従来から最大限の母体が責任を持って処理をしてきたような、そのようなケースについてのお答えを申し上げたわけでございます。     〔委員長退席、尾身委員長代理着席〕  しからば、住専というものがどういう性格のものであるか。この点が、ただいま御指摘になりました総理からの御答弁の趣旨であろうかと存じますけれども、関係者の間で、この住専というものに関する母体、一般行あるいは系統金融機関、それぞれの立場に対する理解が異なってきておる。多数の関係者の関係が複雑で、かつ絡まり合っている。立場の違いによって意見の対立が非常に激しい。したがいまして、そのような状況を放置しておきますならば、なかなか関係者だけの間では話し合いが結論を得るに至らない。この状況を関係者だけの協議にゆだねておくのか、それとも一日も早く解決するために公的な立場から何らかのお手伝いをすべきと考えるか、ここが意見の分かれるところではなかろうかと考えるわけでございます。
  224. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 関係者が多数というんですけれども、さっきから議論をしている直系ノンバンクの場合だって、これに貸しているのは母体行が一行の場合でも母体行のほかに一般の銀行もあれば、農協系統も一般の系列ノンバンクにいっぱい貸し込んでいるわけですから、だから関係者が多数というのは別に住専だけの特殊な理由じゃないと思うんですよ、系列ノンバンクだってそういう状況があるわけですから。そこで適用した処理方針を住専で適用できないというのを、関係者が多数で複雑だからというようなことでやられたんじゃ国民はたまったものじゃないと思うんですよ。 そこのところをちゃんとはっきりさせてください。何が多数なんですか。違うんですか、系列ノンバンクと。
  225. 西村吉正

    西村政府委員 まず、いろいろな要素があろうかと思いますが、多数という場合に、先ほど申しましたように、直系ノンバンクの場合には、いわば親と子が一対一の関係にあるわけでございます。それに対して、住専につきましては、多い場合には親が約九十に上るというようなケースもございますし、七つの住専、それぞれ特色がございますけれども、そういう母体と住専というものの関係において直系ノンバンクと異なるという事情がございます。  また、利害の対立という観点から申しますと、利害というよりも物の見方と申し上げた方がいいかもしれませんが、この七つの住専には、共通した最大債権者、系統金融機関というお立場がございます。このお立場からの住専問題に対する物の見方というものは、同じ債権者であっても、一般行と言われている民間金融機関方々とはまた違った見方があったわけでございます。現に、今もあるわけでございます。  こういうふうに、通常の一対一の親子関係にあるノンバンクの処理とは違った事情があるがゆえに、この問題の解決が今日まで困難であったという事情があるわけでございます。     〔尾身委員長代理退席、委員長着席〕
  226. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 それは、本当におかしな理屈だと思うんですよ。一人の親だと話は簡単だけれども、それは簡単は簡単でしょうけれども、しかし、母体行が複数であるといったって集団親会社みたいなものでありまして、非常に親ははっきりしているわけですね。  そして、今母体が九十あるというようなことを挙げましたけれども、これは地銀生保住宅ローンですけれども、ここでも母体行が一緒になってその住専をつくるときは、設立の合意書なんかでも、「業界あげて一致協力し、将来に亘り、新会社の育成、発展に努めるものとする。」というようなことで、一緒になってつくって、意思を統一してつくっているわけですよ。そして、暴走させるときもやはり母体行として存在してきたし、そして破綻に至らしめた。そして、この破綻の処理の段階になったら、親がたくさんあるから責任を持ち切れないなんという、そんなふうになっちゃったら、本当に銀行の身勝手を許すだけ、そういう理屈にならざるを得ないと思うんですよ。  私は、率直に言いまして、もう時間がありませんから最後にしますけれども、母体行、体力はどうかといえば、これは本当に、最近発表された数字によっても、国民の、言ってみれば年金生活者の預金金利を吸い上げることまでやって、二十一行で四・八兆円、だから前期の一・七倍という空前の利益を上げている、こういう母体行があるわけですよね。数がたくさんだからというのでそれを、何か責任を見逃す、これはとんでもない理屈だと思うのですよ。  母体行の間の合意ができなかったとかなんとかという理屈も挙げられたわけですけれども、しかし、その足りないところの穴を国民が埋めるという点で国民合意していないわけです。だから政府として一番重視しなければならぬのは、やはり母体行間の合意とかなんかができていないというようなことじゃなくて、国民合意の問題でありますし、それからまた、本当に金融システムの安定という問題でも、何よりもやはり日本金融システムに対する国民の支持と合意がどうあるかということが問題になるわけであります。  もともと母体行主義で、母体行の責任主義で解決するというルールがあって、それが業界で全体としてやられてきたという経過があるわけですから、その上に、わざわざそのルールを破って、体力もあり、そして責任を負担する能力もある母体行を、言ってみれば三・五兆円以上はもうやりませんよと言って逃げているのを容認して、その足りない穴を国民に埋めさせる。本当に、どう見たって道理に合わないんじゃないかというふうに思うんです。  それで、ルールは今まであるわけですから、だからこんな法案を廃案にして、もとのルールに戻して、そしてこれだけ国民理解は高まってきているわけですから、母体行に対して、今までのルールに沿って母体行が全体の責任を引き受けてきちんと解決しろということを迫っていくことがこの問題での一番の肝心なかなめだと思うのです。法的処理なんというふうに母体行側がおどしても、そんなおどしに屈せずにちゃんと母体行に今までのルールに沿って母体行責任主義のルールでやらせる、これをやることが肝心で、それを国民も支持するし、政府もそういう指導をしていくべきだ、そういう意味でこの法案は廃案にすることがこの問題の一番の解決の近道なんだということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  227. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて佐々木陸海君の質疑は終了いたしました。  次に、楢崎弥之助君。
  228. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私は、市民リーグ・民改連の会派の楢崎弥之助であります。  本題に入る前に、イントロとして、高級官僚の綱紀粛正の問題についてお伺いをすることから始めます。  私は、ことしこの会派に入りました。それまで無所属でございましたから、委員会は懲罰委員会、だから普通の委員会の質問ができませんから、昨年十月から十一月にかけて、国会法の第八章「質問」、第七十四、第七十五条に基づいて質問主意書を三回出しました。そのうちの二回目の、当時の村山内閣の答弁。通産大臣は現橋本総理であります。こういう答弁をなさいました。  「より一層綱紀の厳正な保持等を図るための具体的な措置を講じた」とは、通商産業省において、従来の措置に加え、関係業界等との会食等を伴う会合に出席する必要がある場合には事前承認を得ることとすること及び省内に服務管理委員会を設置すること等の措置を平成七年十月二十六日に講じた昨年の十月二十六日に講じたと。 それ以降、昨年の十月二十六日以降、この措置は地方の通産局まで徹底されておりますか、それが一つ。  そして、これにあるとおり、昨年の十月二十六日以降、そういう関係業界と飲み食いする、そういう場合にはあらかじめ、事前に承認を得ることと言っておりますから、そういう事実がそれ以降あったかどうか、まずそれをお伺いします。
  229. 中川勝弘

    中川政府委員 先生から綱紀粛正に関する質問主意書をお受けいたしまして、たしか昨年の十月だったと思いますが、私どもの関係業界との接触に当たりまして国民の疑惑を招くことのないように、綱紀のより厳正な保持を図るための具体的な措置を定めまして、全職員、通産局も含めまして周知徹底をいたしたところでございます。  その中で、御指摘ございましたように、関係業界とのいわば接触のあり方につきまして、国民の疑惑を招くような行為を慎むことは当然のことでありますが、接触については会食を伴わないことを原則とすること、どうしても職務上の必要から会食等を伴う必要が出ます場合には、事前にみずからが属する本省あるいは外局の服務管理者の承認を得なければならないということにいたしまして、徹底をいたしました。  また、その実施をフォローいたすために服務管理委員会を設けておりまして、この線に沿って私どもやってきたところでございます。
  230. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 あるかないかを聞いておるんじゃないか。何をあなたは聞いておるんだよ。そういう事前の承諾を得たようなケースがあったかと聞いているのですよ、去年の十月二十六日以降ですね。
  231. 中川勝弘

    中川政府委員 これは、それぞれの原局の服務管理者が、それぞれの局の対応に応じまして判断をいたしておりまして、そういうケースもあったと思います。
  232. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 どういうケースですか、具体的に。
  233. 高鳥修

    高鳥委員長 許可を得てから答弁してください。  中川房長
  234. 中川勝弘

    中川政府委員 これは、例えば業界との、その業界が抱えます問題について懇談をし情報交換をいたしますための朝食会等のケースが、それの一つの例に当たると思います。
  235. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは、具体的に私が指摘をいたしますから、調査して報告してください。  今通産省は、さっき言いました措置を徹底させておる、地方まで含めて。一つだけ例を挙げます、具体的に。私がおる福岡にその問題がありました。  ことしの四月八日、もう去年の十月から随分たっていますよ。場所は福岡市の有名な繁華街の中洲にある、さる料亭であります。大きな造船会社の専務取締役さん……(発言する者あり)いいですか、名前言って。言おうが言うまいが、私の勝手でしょう。専務取締役の人が、これは元通産省の局長なんですよ。その人が、その料亭に九州通産局の局長ほか二名の課長、これは通産省と関係がある業界だ。だから、その事実を確かめてください。もしそれが事実であれば、あなたが今答弁したことは虚偽になる。  私は去年三回質問をした。虚偽の答弁されたら困るんですよね、この委員会も重要な委員会ですから。そして、私が特に昨年三回にわたってやったのは、通産省の産業政策局長の関係業者による接待ですね、豪華なハイヤー代まで出させてツケ回しをしておるという事実を三回にわたって質問した。そうしたら、そういうツケ回しの事実はないというのが当時の橋本通産大臣の報告で、当時の村山内閣がそのままうのみにして私に答弁をさせた。それは完全に虚偽である。  それで、私は、以下証拠をもってその虚偽であるということを明らかにしたい。  通産大臣、本年の二月二十日及び三月十三日、おたくの堤事務次官あてに元通産OBの方からある文書が提出されておるはずであります。重要な文書である。それをあなた、報告を受けましたか、堤事務次官から。
  236. 塚原俊平

    ○塚原国務大臣 報告を受けまして、調査をいたしました結果、この前先生の質問主意書に対しましてお答えをした状況から変化がないという、そのことの報告も受けております。
  237. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 あなたはことしの一月十一日から通産大臣になられたから余り関係がないことはわかっておりますから、あなたにはそう聞きたくないのです。本来、それまで通産大臣をされておった橋本総理に聞きたいのですけれども、中身を申し上げます。  どういう文書が行っているか。  「牧野力産業政策局長と私」ということはその文書を出した人です、通産OBの。「私は以前よりあるところを」これはもう言いません、料亭の名前は。迷惑がかかってはいけぬから。「時々使用しておりましたが、すべて私のポケットマネーで支払っておりました。しかるに、ここ数年来○○より」つまりその料亭でしょう。「よりの請求金額が急増しておることに気づき、明細を提出させましたところ、牧野氏が私に無断でツケ回しをしておる金額が非常に多いことが判明をいたしました。」ツケ回しを受けた本人が言っておる。「これは非常識な行為と断ぜざるを得ません。別添の」別に添えてあったはずです。「別添の請求金額は私が既に支払わされたものであります。先日、国会での楢崎弥之助衆議院議員からの御質問に貴省より出されました、ツケ回しはない、また豪遊と称するほどのものではないという御回答は牧野氏の虚偽の申告に基づくものと存じます。なお、別紙をごらんいただければ、楢崎議員が質問の根拠として一度発表されたものと同一であることに私も驚いております。この事実を明らかにするため、楢崎氏へ御通知するつもりでおりますので、御了承ください。」とあらかじめ私の名前がここに出されておる。そして、「御通知する」と書いてある。御通知が来ました。それがこれです。  続いて三月十三日の分、同じくその人から、その通産OBから事務次官あて。「牧野産業政策局長は私に無断でツケ回しをしていたことは、先日御送付のお手紙で連絡いたしましたとおりであります。」こう書いてあるから、連絡が、手紙が行っておるはずです、二月の手紙が。  「このほかにも以下のことがありました。十年近く前より、私は彼に、安月給ではどうしても業者にたかりたくなり、役人の矜持を失いかねなくなるであろうから、ツケ回しをどこにもするなと年間五、六回、一回ごとに百万円の小遣いをその某所で渡しております。したがって、彼は」つまり牧野氏は、「最近の数年間で二千万円程度の金を手中にしております。私はこれで料亭の金は支払われたものとばかり思っておりましたので、ツケ回しの発見がおくれました。このほか、私のテーラーを彼の自宅へ訪ねさせて、イギリス製の高級服、三十万から四十万」大したものですね。「をつくらせたこともあります。」こういうあれが三月十三日に出されている。  だから、その私に対する三回の答弁は、橋本総理、牧野さんが言ったことをそのままあなたは信用されて、それを村山内閣に諮られて、そして村山内閣が土井衆議院議長にそのまま答弁をした。私はこれは・・(発言する者あり)あなたに聞いておらぬ。それは、いいですか、行政府と立法府の問題なのです、これは。総理・・(発言する者あり)それがよろしかったら証人として呼びますよ。呼ぶなら言います。委員長、私が言ったら呼ばれますか。
  238. 高鳥修

    高鳥委員長 具体的な御要求があれば、理事会で協議をいたします。
  239. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは、言われるところまで言いましょうか。やはり今仕事をなさっているからね。  この方は……(発言する者あり)わかります。わかるから、今から言うことを聞けや。大正十四年生まれの方、昭和四十四年、重工業局の鋳鍛造品課長をされておって、そのときに退官をされた。それで、大分で農業資源エネルギー協会、これは地熱発電などをやっているところですね。それで関係がある。  それで、平成五年の五月二十二日に解散の決議をした、これは。それで、今は清算中であります。  今どこにおられるか。これは東京の、こんなすぐの大きなホテルです、オーの字のついている。部屋もわかっております。私は何回も面会を申し込んだが、ずっと拒絶をされた。だからもう信義則はない。私は本人に確かめて、もう客観的にはっきりしておるから。  それで、だから、あれは虚偽の答弁書であった。行政府と立法府の関係において、総理大臣から議長あてに、あるいは議長から内閣あてに、この国会法七十四条と七十五条の質問主意書というのはそういう形になっているのでしょう。それで、閣議決定までして答弁している。ここでは一々答弁に閣議決定しませんでしょうが、ここでは。重みが違うんですよ。  だから、何をあれされても、虚偽の答弁をされたら何にもならない、この委員会は。だから……(発言する者あり)聞きなさいよ。あなた、黙っておきなさい。だから、後まで聞きなさいと言っているんだよ。  それで、これは重要な問題ですから、立法府と行政府の関係において、立法府がこれは行政府からなめられておることになるのですよ、虚偽の答弁をされて。  毎回言いますとおり、必要ならば証人として喚問しますよ、もし疑われるならば。  それで、私は、ここでどうしてこのイントロでこれをやったかというと、こういうことが言われておるから私は心配しているんだ。これが、なぜこの文書を出したか。これから先はわかりません、調べてもらわないと。正直に言います。言われておることを私は申し上げる。だから、事実を調べてください。  つまり、この文書、今私が読んだ文書と、その方がある数十億円の債務保証をその局長に頼んでいるという、つまり、今私が読みました文書と債務保証を頼んでおるということがセットになっておると言われておる。文書は今言ったとおりであります。  だから、もしこれが事実なら重要問題でしょう。もしこれが事実ならば、私は事実でないことを願うが、法務大臣、これは、もし事実なら贈収賄罪に該当すると思うが、法務大臣の見解を聞きたい。
  240. 高鳥修

    高鳥委員長 最初に、中川房長、事実関係について説明してください。
  241. 中川勝弘

    中川政府委員 御指摘の当省のOBから私どもの方へ連絡があったかということにつきましては、ございました。  それで、私ども、この問題は昨年質問主意書で御指摘をいただきましたことでもございますので、再度当該局長を呼びまして事情を聞き、調査をいたしました。当該OBが指摘するようなツケ回しを行っているという事実は明確にないと否認をしております。  また、この当該OBに私ども接触をするべく、話を聞くべく直接努力をいたしましたが、当該OBの経営する会社が、現在、会社更生法の手続中のこともありまして、今日まで連絡がとれていないのが実態でございます。  また、当該店の責任者にもお尋ねをしましたところ、このOBが示しておりますリストにつきましては、このOBから頼まれて別の目的で作成したものであって、私どもの当該局長の飲食とは無関係であるという証言を得ておるところでございます。  したがって、先ほどの答弁書に虚偽の報告があるということについては、全く事実に反しているところでございます。
  242. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 まだ、あなたは本人に会っていないんでしょう、今の答弁では。そして、別の目的で出されたということは認めたじゃないですか。場所を教えましょうか。
  243. 高鳥修

    高鳥委員長 楢崎議員に申し上げます。
  244. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ホテルオークラの本館のM二〇〇、そこにおられるはずだ、女性の事務員がちゃんとおりますから……(発言する者あり)興奮しなさんな、あなたに言っているんじゃないんだから。
  245. 高鳥修

    高鳥委員長 楢崎議員に申し上げます。  お約束の時間が来ております。
  246. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 もうやめます、あほらしいから。これ以上やってもあほらしいじゃないですか。  ありがとうございました。
  247. 高鳥修

    高鳥委員長 なお、通産省におきましても、これは個人の名誉に関することでありますから、きちっと調査をしてください。
  248. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そういうことです。お願いしますよ。いつでも、私も責任をとりますよ、事実じゃなかったら。終わり。
  249. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて楢崎弥之助君の質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十一分散会