○吉井
委員 特に、
総務庁の話にもありましたが、需給調整とか減車の問題なんかについても
一つ気になる動きがあるのです。それは、
独禁法違反だとか
規制緩和に逆行するんだという、それで責め立てるわけですね。だから、運輸省や労働省の方が萎縮してしまう。事態がこういうひどいことになっているのだから改善しようとせっかく取り組んでいるのに、一方で萎縮させてしまうようなやり方が大きな矛盾を生み出しているという
実態にもなっているのです。
もともと独禁法というのは、戦後つくられたときには戦前の旧財閥の支配、余りにも異常に強大な事業支配力を持って市場支配を行っていく、自
由競争や公正な取引が阻害される、それを排除するということで生まれているわけですが、タクシーの場合、大体保有台数百台以下の中小業者が九六%という状態ですね。だから、旧財閥の支配しているような
社会と全然違うわけです。ここで減車等の調整をしないで野放しにするとどうなるか。少数の力ある事業者のみ生き残って寡占状態へ進んでいって、その後に高い運賃が押しつけられる。またそれが交通事故の危険をひどくしたり、あるいは不法駐車その他のさまざまな問題を一層ひどくするというのが
実態です。
実はこれは、私が勝手なことをひとり言っているのじゃないのです。私この点で、橋本総理の「政権奪回論」というのをこの間読みました。この中で、橋本総理もやはりタクシーの例を挙げて私と同じ
指摘をやっていらっしゃるのです。二百ページのところからあるのですけれども、関係した
部分だけちょっと御紹介しますと、「
規制緩和はすべて
国民生活にプラスに働くと決めつけることは、非常に危険な発想だ。
規制緩和によって競争原理が生じ、新規参入を促すとともに競争による価格低下が期待できることは否定しない。しかし、ある
意味では野放し状態を容認するという危険性も必ずつきまとう。」
規制を「全廃したあとのことを冷静に考えれば、
規制緩和がすべて正しいなどとはいえないはずだ。」と主張しています。
その前のページでは、「ここで留意していただきたいのは、「
規制=悪、
規制緩和=善」という単純な図式であり、また、そういった風潮に対してである。」ということを総理も
指摘しているわけですが、最近、オウムの麻原のマインドコントロールにかかったみたいに
規制緩和万能論を賛美する風潮がある中で、やはりヘッドギアを外して、この
規制緩和の中で、
緩和すべきもの、維持すべきもの、逆に強化すべきもの、そこをそれぞれの分野できちっと仕分けをしてさめた目で見ていくということをやらなかったら、これは誤ってしまうと思うのですよ。私はそういう点で、総理のこの
部分というのは
一つの見識を示したものだなと思って読ませていただきました。
大臣、時間も終わりに近づいてまいりましたので、タクシー事業のような公共交通機関は、何といっても安全
確保第一。異常に長い労働時間や供給過剰で水揚げを上げるのに無理をし過ぎるような環境、そういうものは事故のもとになるわけですから、これはやはり
規制緩和万能論じゃなくて、安全運行を第一とする。またその条件整備に全力を尽くす。
総務庁長官としても、また内閣としても、こういう分野についてはそういう
立場で、運輸省、労働省、
総務庁長官も一体となって取り組んでいただきたい。先ほどの質問と若干重なりますが、重ねてこの点での大臣の決意というものを伺って、私の質問を終わりにしたいと思います。