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1996-04-17 第136回国会 衆議院 規制緩和に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月十七日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 石破  茂君    理事 岸本 光造君 理事 橘 康太郎君    理事 松下 忠洋君 理事 西川太一郎君    理事 野田 佳彦君 理事 福島  豊君    理事 永井 哲男君 理事 枝野 幸男君       安倍 晋三君    栗本慎一郎君       福田 康夫君    宮路 和明君       村田 吉隆君    渡瀬 憲明君       伊藤 達也君    上田 清司君       河合 正智君    武山百合子君       秋葉 忠利君    輿石  東君       吉井 英勝君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総務庁長官) 中西 績介君  出席政府委員         行政改革委員会         事務局長    田中 一昭君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         総務庁行政監察         局長      大橋 豊彦君  委員外出席者         経済企画庁総合         計画局計画官  上肥原 洋君         法務大臣官房司         法法制調査部司         法法制課長   藤田 昇三君         大蔵省銀行局中         小金融課金融会          社室長     振角 秀行君         厚生省健康政策         局指導課長   磯部 文雄君         厚生省薬務局監         視指導課長   松原  了君         農林水産省食品         流通局品質課長 村上 秀徳君         運輸省自動車交         通局旅客課長  藤井 章治君         郵政省電気通信         局電気通信事業         部事業政策課長 小笠原倫明君         郵政省電気通信         局電気通信事業          部業務課長   桜井  俊君         労働省労働基準         局賃金時間部労         働時間課企画室         長       福島 康志君         労働省職業安定         局業務調整課長 井原 勝介君         労働省職業安定         局民間需給調整         事業室長    森山  寛君         建設省建設経済         局宅地課民間宅          地指導室長   中北 哲雄君         建設省都市局都         市計画課長   山本繁太郎君         建設省都市局区         画整理課長   小沢 一郎君         建設省住宅局住         宅生産課長   松野  仁君         特別委員会第三         調査室長    金山 博泰君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  規制緩和に関する件(規制緩和推進計画改定  等)     —————————————
  2. 石破茂

    石破委員長 これより会議を開きます。  規制緩和に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。枝野幸男君。
  3. 枝野幸男

    枝野委員 さきがけの枝野幸男でございます。  私は、与党行政改革プロジェクトチームという、与党規制緩和を取り扱うポジションの三座長の一人として、今回の規制緩和計画改定にも関与させていただきました。そのような見地から、そのプロジェクトでも議論になりました幾つかの各論の問題についてお尋ねをさせていただきたいと思っております。  まずその前提として、出発点でございますが、そもそも、現在行われている規制というものが無数にあると言われておりますが、我が国は法治国家でありますから、国民の権利を規制するというようなことは、いかなる意味においても法律根拠に基づかなければなし得ないというふうに考えていいと思っておりますが、幾つ規制緩和各論の問題をお話しさせていただいておりますときに、正式な御発言ではございませんでしたが、それは、その根拠はどこの法律に基づいて規制をしているのですかというようなお尋ね役所の方に申し上げましたところ、各省設置法だ、例えば大蔵省設置法とか厚生省設置法とか、そういう設置法に基づいて、うちの役所の所管の範囲内の問題だから規制ができるのだというような言い方をされた役所の方がいらっしゃいました。各省設置法根拠規制ができるのだとすれば、ある意味では日本の国民生活すべてにおいて、例えば法律がなくても何でも自由に規制をできるということになってしまいます。一部のイレギュラーな発言だと思いますが、各省設置法のような法律規制を行う根拠法にはなり得ないという考え方、これは法治主義の原理から間違いないということを確認させていただきたいのですが、いかがでございますか。
  4. 陶山晧

    陶山政府委員 枝野先生には、かねがね規制緩和推進に関しまして、与党のお立場で大変な御支援をいただいてまいりましたことをまずもって感謝を申し上げたいと存じます。  ところで、ただいまのお尋ねの件でございますが、国民とか企業を対象といたします許可とか認可、いわゆる許認可につきましては、具体的な法令上の根拠に基づいて行われておるものでございます。ただいま御指摘のございました各省設置法において、何々に関する事務を行うことといった一般的な規定を直接の根拠として許可とか認可が行われているものではないというふうに理解をいたしております。  ただいまのお尋ねの件は、恐らくは各省庁設置法の一般的な任務とか所掌事務範囲内において、いわゆる行政指導を行うということが多々ございます、この行政指導に基づいて、いわば実質的な規制に該当すると思われるような行政指導を行うということは事実上あると思われます。この行政指導につきましては、個別具体的な法令によらない場合であっても、その設置法規定根拠として行うことができるという解釈はされておりますが、行政指導につきましては、行政手続法に沿って適切に行う必要があるということは当然であろうと考えております。
  5. 枝野幸男

    枝野委員 まさに、その行政指導というのがどういった意味を持つのかというのが、許認可というようなはっきりした形以外のところで出てくる規制についても問題なんだろうと思っております。  そこで、各論部分に関連して入らせていただきたいのですが、今回の規制緩和推進計画改定で、リースクレジット会社コマーシャルペーパーによる資金調達規制緩和がなされました。その議論の中で、従来このコマーシャルペーパーによる資金調達は、出資法リースクレジット会社社債による資金調達を禁止している、それと並びで、コマーシャルペーパーによる資金調達規制がされているのだというような言い方がな されておりましたが、それでは法の根拠かおかしいでしょうという指摘をさせていただいて、大蔵省さんは、コマーシャルペーパーによるリースクレジット会社資金調達についての規制行政指導にすぎないということをお認めいただいていると思いますが、間違いございませんね。
  6. 振角秀行

    ○振角説明員 大蔵省銀行局金融会社室長でございます。お答えさせていただきます。  端的にお答えいたしますと、まさしくそれは行政指導であるということでございまして、CP出資法第二条第三項の社債ではないということでございますので、これにつきましては、ただ、経済的な実態につきましてはいわば短期社債という側面を有していることにかんがみまして、先ほど総務庁の方から答弁もございましたけれども、行政指導として、大蔵省として、金融を所管する行政官庁として行っておるというものでございます。
  7. 枝野幸男

    枝野委員 そこで、念のため大蔵省に確認させていただきますが、出資法社債部分については、これは出資法で決められていますので、刑事罰までつけられます。違反をすれば刑事罰が科せられます。今おっしゃられたとおり行政指導なわけでございますから、例えばどこかのリースクレジット会社行政指導に反しても、よく大蔵省は江戸のかたきを長崎で討つだなどというような形で、行政指導に従わないと国税が入るとか、そういった実質的なことはあるのでしょうが、少なくとも建前、表向きには、その行政指導違反をしてリースクレジット会社コマーシャルペーパー資金調達をしても、法的には問題にならないということでよろしいですね。
  8. 振角秀行

    ○振角説明員 お答えをさせていただきます。  CPについては、先ほど言いましたように行政指導ということでございますので、先ほども行政管理局長の方から答弁ありましたように、行政手続法に基づいてやらなければならないということですから、あくまでも相手方の任意の協力が前提だというふうに承知しておりますし、従わないことを理由としたいわゆる不利益な取り扱いは行われないというふうに解しております。  ただ、これも先生承知だと思いますが、一般的にCPにつきましてはそういう解釈だと思いますけれども、社債といっても、経済的にそれに類似した行為を行うと、これは裁判所の判断によりますが、一般的に解釈で、そのまがい行為についてもそこの三条に当たるという解釈はなされ得る余地はあると思います。
  9. 枝野幸男

    枝野委員 銀行局長さんと規制緩和推進計画が決まる二日前の晩ぐらいに夜中の十二時ごろまでやり合ったときにも、同じような言い方皆さんされて、その前段でとめていただければそれでいいのですよ。後段は要らないのですよ。CPだろうと何だろうと、社債と書いてあるのを逸脱する目的で何か別の制度を悪用したら、これは出資法違反になるのは当たり前のことなんで、別にコマーシャルペーパーだからどうこうという話じゃないのですよ。その余計なことをおっしゃるから、どこまでが行政指導で、どこからが法に基づいた規制なのかという境目が見えなくなって、行政指導とあいまいでわけがわからぬという話になるのです。ぜひそういったお答えの仕方は今後注意をしていただきたい。お願いをいたします。  幾つも聞きたいことがありますので、次に進みますが、次に、厚生省おいでをいただいております。  新聞などもにぎわしておりますが、最近、医療食の問題で、厚生省認可公益法人であります医療食協会関与をして、公正取引委員会が入って、独禁法違反という勧告を受けたという事実がございます。それで、その医療食協会検査というか検定というか、そこを通ったものを病院が使うと、その病院には保険の点数が加算をされるという意味で、その医療食協会検査を通っていないものは不利に扱われるという意味で、これも規制の一環の側面を持っていると思っておりますのでお尋ねをさせていただきますが、この医療食協会は、公益法人として社会のために広く役に立つからこそ、許可を得て法人格を持っていたものであります。  ところが、今回独占禁止法違反ということで勧告を受ける当事者にまさになったわけです。そして、医療食協会業務公益業務の何割という言い方は金額とかだけではできませんが、少なくとも主たる業務がこの医療食に関する検査検定が主たる業務でありました。つまり、公益のためということでやっていた業務のど真ん中で、独禁法違反をどれぐらい重い罪と見るかということは、人によって評価はあるでしょうが、経済社会の中では最も重い罪の一つであると私は思っております。  そのような社会的に許されないような行為をした医療食協会厚生省は放置をしておいていいのかどうか。民法上の許可取り消し事由というところにまで当たるかどうかということになれば、これは法律的にいろいろな議論はあると思います。しかし、先ほど来、総務庁からも大蔵省からも役所のお好きな行政指導という言葉が何度も出てきております。解散命令は出せないにしても、皆さんのお好きな行政指導で、この医療食協会に対して解散の方向で議論をしたらどうですかという行政指導ぐらいはしてもよろしいのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  10. 磯部文雄

    磯部説明員 委員指摘のとおり、公益法人にあるまじき独禁法違反ということを犯しまして、この協会に対しまことに遺憾に存じております。そしてまた、委員指摘のとおり、民法による取り消しというのは要件上なかなか難しいというふうに認識をいたしております。  そこで、解散指導の件でございますけれども、法人に対しまする解散指導というのは、いわばみずからの生命を絶つようにという指導であり、非常に重いものと考えており、これを行いますには、例えば、法人休眠状態にあるとか、公益事業を行う意思がないとか、あるいは監督、命令に従わないとか、それなりの要件が必要なのではないかと考えております。しかしながら、協会は現時点におきましては医療食品以外の公益事業も実施しておりますし、また公正取引委員会勧告を応諾しようともしております。また、主務官庁指導にも従っているというところでございまして、今直ちに解散指導ができる状況にはないのではないかというふうに考えております。
  11. 枝野幸男

    枝野委員 何度もこの話では課長さんともやりとりさせていただいておりますが、別に今すぐ解散をしろだなんということはできない。それは、従業員も抱えておりますでしょうし、この問題になった医療食検定以外の業務も行っているわけでありますから、今すぐ解散をしろというのは無理でありましょうが、例えば、類似公益法人財産を移してというようなことは現在の民法上も可能なわけであります。一年とか二年とかかけて類似公益法人財産を移して業務を引き継いで、この医療食協会はこれだけの不祥事を犯したのだから、しっかりしたけじめはとらなければいけないのじゃないかということは、むしろ自然なのではないか。  解散というのは命を絶つという言い方を今されましたが、それは一見妥当な適切な比喩のように聞こえますが、人間の命を絶たれたら大変なことになるというのと違って、しょせん社団、財団法人というものは特定の目的に供するために存在をしているものであって、存在そのもの目的ではないのでありますから、今の例えというのは当たらないのじゃないかなと私は思っております。  そこを構成している、例えば、いずれにしろ理事の方は全部入れかわりになるそうでありますからその点で問題ないでしょうし、従業員皆さんの職場がなくなるとかというようなことについてきちんと配慮をすれば、命を絶つというような表現ではなく解散をさせてもだれも困らない、むしろ、けじめをつける意味では解散指導をすべきではないかというふうに思っております。これは与党行革プロジェクトチームでも議論させていただいております途中でありますので、そうした声を踏まえて厚生省に対処をしていただくように 改めてこの場でもお願いをいたします。  厚生省にはもう一つ、今回の規制緩和推進計画でも問題になりましたが、医薬品の問題についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  医薬品規制緩和については賛否両論さまざまな意見があるというのを存じております。そして、私自身薬害エイズ問題に深くかかわらせていただいております立場からすれば、医薬品安全性というのはどんなに規制緩和が進んだとしても、行政がしっかりとしたチェックをしなければならない分野であるし、ある意味では薬害エイズなどを見ると甘いという部分があるというふうにすら思っております。  ただ、この問題は、そういった一般論だけではなくて、もっと細かく見ていかなければならないのではないかと思っています。例えば、医薬品医薬部外品というのがあって、例えばバスクリンみたいなものについても薬事法規制の中でいろいろな検査を細かくしなければならないということが書かれています。歯磨き粉とかそういったものも一緒のカテゴリーのようでございますが。  それから、医薬品といっても、お医者さんが使わなければならない薬から薬局処方せんなしで買えるものまで、幾つかの種類があります。その今分けているカテゴリーというものを前提に物事を考えていくと、例えば風邪薬ぐらいはスーパーで売らせてもいいのじゃないかという今回も何度か議論になった問題について、風邪薬一般全部、今現在薬局、薬店で処方せんなしに買うことのできる風邪薬一般全部をスーパーで売れるようにしろという議論であれば、それは若干危険かなというふうに私自身も思います。あるいは、それは頭痛薬にしろ胃腸薬にしろ同じようなことが言えるのではないかと思います。  しかし、今処方せんなしで売れる、例えば風邪薬とか胃腸薬とかの中の特に副作用の危険の少ないものを、また特別なカテゴリーをつくって、その範囲ならばスーパーで売ってもいいとかというような工夫といいますか、そういったものは余地があるのではないかなと私は思っています。  今回の推進計画改定で、医薬品の中からビタミンみたいなものを外して、あるいは食品の方の規制にかぶせるという形で規制を緩めたようでありますが、そうやって今あるカテゴリーの中で移していく、緩めていくというだけではなくて、カテゴリーの切り方というのでしょうか、そういったものを見直して、ある部分緩和をできるのじゃないかというような工夫をすべきじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  12. 松原了

    松原説明員 お答えします。  医薬品食品の区分につきましては、消費者医薬品と誤認して使用することによって保健衛生上の危害が生ずるというようなことを防止する必要がございます。そのために、医薬品範囲に関する基準を定めてこれまで規制をしてきたところでございます。しかしながら、食生活の多様化ですとか医薬品としての使用実態変化等によりまして、一般消費者医薬品に対する意識の変化がございますので、そういったことを踏まえて医薬品範囲について見直すことといたしております。  それで、先ほど委員が申されましたように、具体的には、ビタミンCにつきましては本年八月をめどにしまして、またそのほかのビタミンにつきましては八年度中に、順次これまで医薬品として扱われていましたカプセル等を使用したものは食品としても流通可能となるように措置することと今現在検討しております。  また、その後は、ハーブにつきましても順次食品医薬品範囲を見直すという予定でございまして、さらに本年三月の改定規制緩和推進計画におきましても、ミネラルを追加してその見直しを図ることといたしております。  それで、一般的に医薬品販売規制につきましては、昨年十二月の行政改革委員会報告におきまして、安全性確保医薬分業推進薬物乱用防止等観点を踏まえて医薬品カテゴリー見直しも含め、検討を開始すべき、当委員会でも引き続き検討するとされまして、厚生省におきまして引き続き検討するということとしております。本報告書を踏まえまして、厚生省におきまして今年度から医薬品販売規制見直し検討を開始する所存でございます。  このように、報告書にもございますように、社会的規制につきましても必要最小限にすべきであるという判断前提にいたしまして、安全性確保医薬分業推進薬物乱用防止等観点を踏まえまして、カテゴリー見直しを含め、医薬品関係者行政改革委員会の今後の検討も十分踏まえながら検討してまいりたいと思います。
  13. 枝野幸男

    枝野委員 今の御答弁前段は、私は今お尋ねしておりませんことでございます。今回どういう緩和をしたかということは、きょうは聞いておりません。お尋ねをしたことにだけお答えいただければいいので、こういうことがありましたら、ぜひ委員長の方からも御注意をいただければと思います。  なかなか、前向きと言える答えなのかどうか、今のお答えはわかりにくいなというふうな思いがございますが、最初にも申し上げましたように、私は決して、医薬品医薬部外品もそうでありましょうが、薬にかかわる部分安全性チェックを緩めてもいいという立場に立っているわけではありません。むしろ、もっともっときちんとしたチェック体制をつくっていかなければならないだろうと思っています。  そうした中で、現在の仕組みというのはきめの細かさが足りないのではないか、そして、結果的に広く浅くというチェック体制になっているのではないか。本当に命にかかわるような副作用のようなものが出るおそれのあるもの、それから、確かに肌荒れとかそういったものも健康の被害として重大ではありますが、肌荒れぐらいで済むものとは全く抜本的に違う。それは現状でも区別はしているとおっしゃるのでありましょうが、そういった予想される副作用可能性とそれに対するチェック程度のバランスというものをもう一度きちんと御検討をしていただいて、本当に大切なところにエネルギーを注いでいただくということをやっていただきたいとお願いを申し上げます。  さて次に、農林水産省おいでをいただいておりますが、これも最近新聞に出てきている、取り上げていただいている問題でありますが、JAS規格についてお尋ねをさせていただきます。  JAS規格は歴史的には意味があっただろう。戦後の高度成長時代、まがいものとか、にせものみたいなものがたくさん市場に出回っていた時代であったというふうに聞いております。ただ、これだけ情報化社会になり、それから社会が成熟をしてきた中で、国が、例えばJAS規格で、そうめんの太さは何ミリ、冷や麦の長さは何ミリというような規格まで決めてチェックをする必要があるのかどうか。むしろ、そういった基準のようなものは民間にお任せをしても、国民生活に影響が出る、例えば安全性とか健康とかとは絡んでいないのだからいいのではないかなと思うのでありますが、このJAS規格のあり方について、民間にお任せをする考えがないかどうか、農水省にお尋ねさせていただきます。
  14. 村上秀徳

    村上説明員 お答えいたします。  JAS規格は、一定品質基準、それから表示基準を定めまして、それが実際に規格と合致しているかどうか、製品をチェックしてJASマークをつけるという制度でございます。  過去にも一定の役割を果たしてきたと思っておりますし、これからも消費者品質に対する関心、それから表示に対する関心にこたえていくという意味一定重要性を持っているのではないかというふうに思っているわけでございます。  JAS規格を制定、それから改正、廃止しようとする場合でございますが、あらかじめ農林水産大臣が、消費生産流通にかかわる利害関係者学識経験者から成る農林物資規格調査会意見を聞くということになっております。これは、中立的な立場にある国が、広く関係者意見を集約いたしましてJAS規格に反映させるといった めに行っているというものでございます。  このように、JAS規格につきましては、既に民間意向をかなり十分踏まえるという制度になっておりまして、先生の御提案でございますけれども、現行の制度を基本的に維持するのが適当ではないかというふうに考えているところでござ  います。
  15. 枝野幸男

    枝野委員 民間意向を入れるかどうかという問題よりも、どちらが主体になるのかというのが私は問題だと思っているのです。  御承知のとおり、JAS規格農林省基準を定めるわけでありますが、その定めた基準に合っているのかどうかを検査するのは、農林省役所の方そのものではなくて、農林省が指定をした、主に公益法人民間法人、要するに民間検査をしているわけです。ですから、JASのほとんどの事務といいますか作業というもの、検査そのものというのは民間がもう既にやっていて、それでうまく回っているわけであります、ある意味では。そこに役所がどの程度かかわるかというのは、民間を信用できない時代であるならば、その関与程度というのは非常に重くなければいけないだろう。特に事前から事後までチェックをしなければならないだろうと思います。しかし、逆に言えば、農林省皆さん検査機関としての民間法人に対してはかなりの信頼性を置いているからこそ検査業務そのものをお任せになっているわけでありますから、そうしたところに中立公平にいろいろな意見を聞いて基準そのものを改廃もやりなさいとお預けをしても、そんな不安はないんじゃないか。  万が一それでおかしなことをやったところに対しては、行政処分にしても刑事処分にしても、何らかの事後の制裁措置でその正当性を担保するというようなやり方で、主体は民間農林省がそれを後ろからチェックをするというふうに切りかえていくというのは、そんなにJASそのものに対する期待というか役割というものに影響はしないで、そしてできるだけ規制を公の手から離して、何らかの規制に近いものがあったとしても民間の自主的なものにお任せをするという方向に近づいていくのではないかなというふうに思っております。  これは長年あるシステムでありますから、今から議論して一カ月や二カ月でという話ではないと思いますが、ぜひ今のようなことも踏まえて、JASというシステムを今のままで運営していっていいのかどうか、御議論、御検討をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  16. 村上秀徳

    村上説明員 お答えいたします。  先生御提案の内容でございますけれども、今のシステムでは、先ほど申しましたように、利害関係者意見を聞いて規格を定めて、それから登録格付機関が格付をしているというシステムをとっているわけでございます。民間の団体において規格をつくるということになりますと、異なる利害の関係者意見をどのように調整していくのかという問題もあると思いますし、それからWTO協定のもとで、国内規格につきまして、国際的な調和をするという要請もございまして、そういう調整をいかに担保していくかというような、かなりクリアすべき課題もございまして、先生御提案の話について、直ちにJAS制度に取り入れていくのは難しいのではないかなという感じを持っておるところでございます。  それから、民間が自主的に決めた規格について、違反があった場合に罰則をかけるというアイデアでございますけれども、これは専門的なところとの相談が必要でございますけれども、そういう仕組みが法制度上本当に可能なのかどうか、相当慎重に検討しないと難しい問題ではないかというふうに考えているところでございます。
  17. 枝野幸男

    枝野委員 今の質問でやめておこうと思ったのですが、ちょっと一点、気になりましたので。  今、だれが対立する利害を調整するのか、民間ではできないじゃないかというような趣旨のことをおっしゃいましたが、それは制度そのものの仕組みと矛盾をしていますので、ちょっとお気をつけいただいた方がいいと思います。  皆さん公益法人に、民間法人検査をやらせているわけです。私も民間法人にやらせればいいじゃないかというようなことを言っているわけです。これは公益法人です。要するに特定の利害を代表しているような公益法人は認められないのです。そんな公益法人解散させなければいけないのです。あなた方が今検査をやらせているところは中立公平なところなのです、公益法人なのですから。そこは中立公平の調整ができないということだったら、今の話は矛盾しますよ。ちょっとそこの部分は撤回された方がいいと思いますよ。公益法人は中立公平じゃないのですか。特定利害の代表なのですか。農林省許可している公益法人は特定利害の代表なのですか。それを教えてください。
  18. 村上秀徳

    村上説明員 個々の公益法人が特定の利害を代表しているというわけではございませんけれども、規格というのは、生産者、それから消費者とか流通関係、学識経験者、それから国際的な動きとか、いろいろなものの利害を調整する必要がございますので、そういう役割はやはり基本的には国にあるのではないかというふうに思っているわけでございます。
  19. 枝野幸男

    枝野委員 今の言い方なら論理矛盾ではなくなりましたけれども、そこがまさに行政改革、規制緩和のところでのポイントでして、国じゃなきゃできないということが、それは我々政治も含めて、一種の思い上がりなんですよ。民間でもできるのですよ、できるところは。ただし、それを担保するような仕組みを国がやらなきゃならないことがあるかもしれない。そういったことはあるかもしれないのですが、民間のところでも利害の調整機能などというのは、実際に社会を見れば、いろいろなところで働いているわけです。そうじやなかったら社会は成り立たない。すべてのところの利害調整を役所がやっているわけではないわけです。そこのところの思い上がりをちょっと変えていかないことには規制緩和なんて進まないと思いますので、これは農林省に限らず、政治も含めて、政治、行政、思い上がりがあるのじゃないかなと思いますので、ぜひその辺のところを考慮していただきたいというふうにお願いを申し上げます。  もう一点、次に、労働省にお尋ねをさせていただきます。  労働省の職業紹介事業についての規制緩和が、前に進んだような進んでないような状況になっています。どうも労働省は職業紹介を民間にやらせるということについて、全体として、全部だめだというような印象を受けざるを得ないというのが現状でございますが、確かに、こういう言い方は国会の場で表現していいのかどうかわかりませんが、ブルーカラー労働に関しては今の職安もかなり機能しているというのは現実だろうと思います。そして、それが歴史的に非常に大きな意味を持ってきたのも確かだと思っています。  ところが、今この国で、職を求めている、潜在的失業者と言っていいのかもしれませんが、ホワイトカラー、要するにデスクワーク、事務職の人々、特に中高年の皆さんが職を失ったり、あるいは企業が、路頭に迷わすわけにはいかないということで、無理やり社内に抱えていて、その労働力が実は社会全体としては非常にもったいない、その当人にとっても大変お気の毒でありますし、社会全体にとっても、そういった中高年を中心とする事務職、管理職系のホワイトカラーの皆さんの職業の移動というものが必要なときではないのか。残念ながら、現状の職安ではそのニーズに——それは、職を求めている、中高年を中心とするホワイトカラーの皆さんにとってのニーズも、それから中小企業などで、経験のある中高年の管理職などを実は本当は欲しいのだけれどもどうやって探したらいいのかわからないという企業も私は少なくないと思います。そうした人たちの需要も、残念ながら職安では満たせていない。  こういったホワイトカラーの皆さんの職業の移動、職場の移動というものに対して労働省はどう いう考え方で臨もうとしているのか、具体的なものというよりも、その哲学というか考え方というか、そういったものを教えていただきたいのですが。
  20. 井原勝介

    ○井原説明員 お答えいたします。  労働省におきましては、ホワイトカラーも含めまして、職業紹介につきましては、従来から、全国の公共職業安定所を通じまして求人開拓、職業相談、職業紹介を実施してきているところでございます。  特にホワイトカラーにつきましては、職業安定所の一つの機関でございますが人材銀行というものを設けまして、きめ細かな対応をしてきているというところでございます。  しかしながら、先生指摘のように、最近の産業構造の変化、就業構造の変化、労働者のニーズの変化等の中で、ホワイトカラーの労働移動ということが強く言われているわけでございまして、そうした中で、必ずしも十分に公共部門で対応できていない部分も現状あるのではないかというふうにも考えておりまして、そうした情勢の変化に対応いたしまして、特にホワイトカラーに対応して十分なサービスが提供できるように、最近の情報システム等の発達等に伴います。そういったシステムを利用いたしまして、求人情報の提供機能等の強化、あるいはホワイトカラーの職業紹介に当たりましては、専門的な相談、援助という機能が求められておりまして、そうした機能の強化等を通じましてホワイトカラーの労働移動に対して十分な対応ができるように努力をしていきたい、検討していきたいというふうに考えているところでございます。
  21. 枝野幸男

    枝野委員 要するに、今後も職業紹介は全部労働省が抱えるんだというような哲学のように聞こえましたけれども、僕は、結局それがもう無理な時代だと思うのです。  それは、ホワイトカラーの問題に限らず、例えば、私は三十一ですが、我々の世代は職業を求めるときに、もう日本の国という単位を全然相手にしていない人たちがたくさんいるのです。国際社会の中で、シンガポールもいい、香港もいい、台湾もいい、アメリカもいい、そういうベースの中で職場を探すという感覚の人間が非常にふえているわけです。こんなところに労働省がどんなことをやったって、その影響力を行使することはできないわけです。ですから、そういったところに見られるように、すべてのところに労働省が目を光らすんだという感覚をお捨ていただきたい。  ただし、大変大事なところはあるわけです。確かに、例えば日雇いで仕事をされている皆さんのようなところについては、現実問題として行政がしっかりと目を光らせないとさまざまな問題が生じてくるとか、それから、職にあぶれて本当に困っている人で、どんな職でもいいからというような方に職業紹介をしていくということについては、まさに職がなくて困っているわけですから、ただで職を紹介してくれるという場所が絶対必要なわけで、職安が要らないとか意味がないとかということではないわけです。ただ、全部を管理できるんだという考え方はお捨てをいただかないと、多分間違えるのじゃないかなと私は思っております。  最後に、法務省さんにも来ていただいているのですが、時間がないので、ちょっとお尋ねする時間はないかもしれません。むしろ総務庁の方に、法務省の絡みでお尋ねをさせていただきたいのです。  法曹人口の問題が規制緩和委員会からの報告の中でも入っておりました。  誤解をされると嫌なので念のため申し上げますと、私も弁護士でありますので、自分の業界の話でありますが、私は弁護士の数の大幅増には大賛成であります。今、一年間に千人ぐらいの司法試験の合格者ですが、二千人や三千人にした方がいいと私は個人的に思っています。  そういったことを前提とした上でですが、ただ、これを規制緩和委員会で、そして行革委員会で取り上げているということが本当にいいのかどうかということについて私は若干疑問を持っております。  それは、形式論として、司法が行政改革の一部なのかという問題が一つあります。そういう形式論議のほかにもう一つ、この法曹人口をふやすという問題は、もちろん弁護士の数がふえると同時に裁判所、まあ検察庁にどれぐらい影響するかというのは難しい問題がありますが、少なくとも裁判所の予算や人員をふやせという話と同義語であります。  今、全体として、行政改革という枠の中で規制緩和を見ている。基本的にはみんな、役所の持っている権限を少なくしよう、そして役所の予算のむだ遣いを減らそう、役所の数も、私は減らせるとは余り思っていませんが、少なくともふやすのをとめよう、小さくしようという方向で全体が動いているのが行政改革、規制緩和議論だと思っています。  そうした中で、規制緩和だからということでこの法曹人口の話を入れ込むと、裁判所だけは予算も人もふえますよという話が全体に縮めようという動きの中に一つだけ入ってくる。もしそうなつたときに、必ずこの行政改革や規制緩和の話で出てくるのは、おれのところだけは例外だ、おれのところだけは例外だという話が出てきて、みんなが例外になって、各論反対で何も進まないというのが、行政改革、規制緩和について一般的に心配をされていることであります。ですから、例外はつくるべきではない。例外が出てこない形で枠をつくって、その中は全部進めるのですよという枠で進めないと、どこか一つの例外を認めちゃうと、みんなが、おれも例外だ、例外だということで、進まなくなる。  そうした意味で、この法曹人口の問題は、裁判所だけは、これはふやさざるを得ないよねという例外を何か枠組みの中に取り込んじゃうような形になってしまうと、今言った心配が現実になってくるのではないか。そこのところをうまく仕分けをしないと難しいところが出てくるのじゃないか。  現実に遅いとは言われていますが、司法ベースのところでこの法曹人口増加という問題は、法務省も最高裁もどんどんやるべきだという感覚で進んでいるのであって、日弁連は若干抵抗しているようですが、進んでいる話でもありますので、ちょっとそこの仕切りを御検討いただいた方が全体の進みはいいんじゃないかなと思っているのですが、いかがでしょうか。
  22. 陶山晧

    陶山政府委員 枝野先生のただいまの御意見は拝聴さしていただきました。  ところで、行革委員会の御意見を尊重して、先般の閣議決定、規制緩和計画の中に新たな事項としてただいま御指摘の点が入っておるわけでございますが、具体的な増員をどうするかということにつきましては、これはもう申し上げるまでもございませんけれども、法曹三者が協議を行うということになっておりまして、現時点において、法曹人口の増員が予算とか定員の面でどういう影響を及ぼすかということを予測することは必ずしも正確にはできないということでございます。  なお、具体的な御指摘がございませんでしたが、国家公務員である検察官の定員につきましては、毎年の予算編成時に法務省からの御要求を受けて、私どもの方で審査を行ってその数を決めるという仕組みになっていることを申し添えさしていただきます。
  23. 枝野幸男

    枝野委員 法務省、来ていただいたのに時間がなくなってしまいました。済みません。  以上で終わります。ありがとうございました。
  24. 石破茂

    石破委員長 福島豊君。
  25. 福島豊

    福島委員 新進党の福島豊でございます。  本日は、まず前半の半分ほど、総論的なことにつきまして総務庁長官の御見解をお聞きさしていただきたいというふうに思っております。そして、後半で各論的なことにつきまして何点かお聞きをする予定でございます。  規制緩和という言葉はしばらく前からマスコミでも繰り返し繰り返し取り上げられまして、国民 の意識の中にも、ああ規制緩和ということがあるんだなということで定着をしてきているというふうに思います。ある意味で一種のブームのようになっております。しかし、何のために規制緩和をするのか、最終的にどういう方向を目指しているのか、どういう目的を目指しているのかということを私はしっかり認識することが必要だというふうに思います。  といいますのは、先ほども枝野委員の方から御質問がありましたように、総論賛成、各論反対の中でこの規制緩和を本当に推進していくというのは、並々ならない努力と、そしてまた情熱と時間のかかる作業であろうというふうに私は思っております。ですから、この一つの目標というものを明確にして、そこに向かって頑張るんだという意識づけが必要ではないかというふうに思います。  この点につきまして、改めて長官の御見解、規制緩和は何のために行うのか、どういう到達点を我々は目指しているのかということにつきましてお聞きしたいと思います。
  26. 中西績介

    ○中西国務大臣 規制緩和は、我が国の経済社会構造を抜本的に改革をしていこうと、こういうことがまずあろうと思います。  そうした中で、特に今問題になっております、国際的にどう開かれておるかということがまた大きな課題になっております。したがって、国際的にどうこれから後開放していくのか、と同時にまた、自己責任原則と市場原理、自由な経済社会としていく、これを基本に据えて、まず第一は消費者の多様なニーズに対応できる選択の幅の拡大、あるいは内外価格差の縮小等によりまして国民生活の向上を図っていく、これが一つであろうと。二つ目に、内需の拡大あるいは輸入の促進、事業機会の拡大などを図りまして国際的な調和のとれた体制をどうつくり上げていくか。三点目が、国民負担の軽減あるいは行政事務の簡素化を図るということが大変重要でありますし、積極的に、計画的にこれを推し進めていくことが今問われておるんじゃないか、こういうように考えております。  で、特に、今回改定計画を発表いたしましたけれども、規制緩和の努力、現時点におきましてぎりぎりやってきたというのが現在までの状況であります。したがって、規制のこの見直し等につきましては、社会情勢の変化によってさらにまたこれが増加する等もございますので、常時これを私たちが見落とすことなく継続して対応していくということが大変重要だろうと思っております。  言いかえますと、到達点というのがもう限定されるなどということはあり得ない、したがって、将来的にも絶えず鋭意こうした問題についての努力を続けていくということが今問われておるんではないかと、このように考えております。
  27. 福島豊

    福島委員 到達点というのは限定されるものではないという長官のお言葉、同感でございます。まさに一つの動きといいますか、継続する努力として規制緩和というのは行われるべきである、そのために私は政治的なリーダーシップというのが本当に必要であるというふうに思いますし、長官にはそのリーダーシップを発揮していただきたいというふうにも思います。  また、自己責任原則、市場原理にのっとるということでございますが、なかなか、言葉ではそう申しましても、現実のこの政治情勢の中でその原理がどこまで貫かれているのかということにつきましては若干の疑問を感じざるを得ませんけれども、ただ、それは後ほどお聞きしたいと思います。  で、今長官がおっしゃられたことの中で、私は、一つこういう視点が一番大事だと思っておるのです。さまざまな、具体的な個別の規制というのはたくさんあります。国際的な整合性もそれはとっていかなきゃいけないと。技術論的な部分というのは多々あるわけですね。ただ、その技術論的な議論はともかくとしまして、その根っこの部分でやはり大切なことは、官僚機構と民間といいますか、官と民の関係を見直すということが非常に大切であるというふうに私は思います。  で、よく言われますように、一九四〇年体制という言葉があります。官僚主導型の社会経済体制のことを指すわけでございますけれども、その一九四〇年体制からどのように離脱していくのかと。民間主導型の、先ほどもおっしゃられました、まさに自己責任原則と市場原理にのっとる社会にどのように移行していくのかということが一番大切なのではないかというふうに思います。この官僚主導型の社会経済体制というのは、戦後の復興期においては、良好なパフォーマンスを得て日本の今日の発展を築き上げる原動力になったのではないかというふうに思いますけれども、しかし、今やその官僚主導型の社会経済体制というものがむしろ日本の社会の将来を開くためには足かせとなっている、手かせとなっている、そのような思いがいたします。  で、最近、「官僚たちの大国」という本が出ました。日本は大国と言われましたけれども、だれの大国かというと、国民の大国ではなくて官僚たちの大国であると、極めてアイロニカルな表題でございますけれども、その中でフランク・ギブニーというジャーナリストは、日本は第三の開国をすべきであると。これは、第一の開国というのはもちろん明治維新のことでございまして、第二の開国というのが戦後のさまざまな諸改革、アメリカの占領下のもとで行われた諸改革のことを指しておるわけでございますが、それに引き続き、日本の新たな社会構造を目指すための第三の開国が必要であるということを訴えております。  これは、今まで外圧主導型といいますか、外圧によって進められてきた側面が多々あるわけでございますけれども、内圧的に、まさに政治がリーダーシップをとることによってこの官僚主導型の社会経済体制からの離脱を図っていくということが私は必要ではないかというふうに思います。  この点につきまして、長官の政治家としての御見識をお聞きしたいというふうに思っております。
  28. 中西績介

    ○中西国務大臣 行政改革は、先ほども申し上げましたように、社会の動向、流れ、こういうものに対応して、変化に対応することのできる体制をどうとるかということでありますから、こうした点を中心にして見直しをしていかなくちゃならぬということはそのとおりであります。  したがって、今まで問題になっておりましたいろいろ行政的な手だてというものが、一つ規制あるいは情報の独占、あるいはいろいろな行政内容についても独占をしていくという、こういう状況にあったわけでありますから、こうした点をどのように簡素化し能率化していくかということが大変今問われておると思います。  そこで、一番やはり重要なことは、国民に信頼をされた行政のあり方というものを私たちが実現することが今最重要課題であると思っておりますので、行政改革全般にこうした問題を私たちは追求をしていく必要があるだろう、こう考えております。  そういう中でのこの規制緩和でありますから、この規制緩和についても、やはり同様に、官から民へという、今言われました内容も含みまして、今後の問題として社会の構造そのものをやはり大きく転換を求めていくという、今、戦後五十年たってみまして、追いつき追い越せの状況から、世界で有数の社会経済大国になったわけでありますけれども、しかし、それまでの間における行政のかかわりというのが今までは許され、そしてそのことがまた大きく寄与した面もありますけれども、これから後というのは、一定のところに達しますとこれが逆に弊害になってくるという、先ほど委員もおっしゃったように、出てきたのが現状ではないかということで、一つずつやはりこうした規制というものを解くことによって経済社会の活性化あるいは変革をこれからどう求めていくかということが、今一番重要な課題になっておりますときだけに、これは何としても後退は許されませんから、これから努力をし続けると同時に、多くの皆さんの御理解を得て、また皆さん方の御協 力をいただきたいと思っております。
  29. 福島豊

    福島委員 官と民の関係の見直しということで、官の側の意識転換ということが非常に大切だと私は思っております。  今回の規制緩和推進計画改定におきましては、先日御報告をちょうだいいたしましたとおり、千七百九十七事項の規制緩和方策が具体的に計上されました。この中で、既定計画に計上されていない事項が約百事項、新規に計上された事項が約五百七十事項ある。行政改革委員会また経済団体等も、こうした点を踏まえて今回の改定を積極的に評価しているといってもいいのではないかというふうに思います。  しかし、ただ一面では、大変辛口の評価もございまして、例えばこれは産経新聞の三月三十日付の朝刊でございますが、「既得権に固執する官民のエゴをはねのけていくのは政治の役割だ。規制の根幹にある五百本余の関連法規を抜本見直す厳しい姿勢がほしい。」というような論評もございます。  どうも私、規制緩和議論、例えばここでも百事項であるとか五百七十事項であるとか千七百九十七事項であるとか、全体で一万幾つだとか、数字は出てくるのでございますけれども、どうもタマネギの皮むきをしているような気がいたしまして、皮はむいていくんだけれども実際どうなんだ、その中、一体どう変わっているのかというようなことを考えましたときに、本当にどこまで抜本的な官と民のかかわりに踏み込んだ改革がなされているのか。まさに数字的な問題ではなくて質的な転換がどれだけ本当に図られているのか。これはお聞きしましてもなかなか答えにくい質問にはなるわけでございますけれども、その点につきまして、長官が今回の改定計画の先頭に立って進められてきたわけでございますので、率直な御意見をお聞きしたいというふうに思います。よろしくお願いします。
  30. 中西績介

    ○中西国務大臣 今回の改定について発表いたしましたけれども、先般のこの委員会の論議におきましても、数の問題ではないのではないかという指摘もございました。私はやはり質的な問題がどうなったかということを問い直すことがまた大変重要だということも十分認識をしておるつもりであります。  何と申しましても、先ほど申し上げましたように、戦後五十年、経済社会の構造あるいは行政のあり方、こうした行政全般について改革を遂げていかなければならぬというこうした段階でありますだけに、橋本総理も言われておりますように、内閣の最重要課題だということを皆さんに訴え、そして皆さんの御協力を願うということで進めておるわけでありますけれども、一番のやはり問題というのは、各種規制の徹底的な見直しをある程度行ってきたという、この点は今までなかったことでありますし、年数にいたしましても五年というのを三年に前倒しをし、そして今回の改定と、そして一年さらにまた努力をした上で改定をしていこうという、こうしたスケジュール、そしてさらにまた、内容的にも、措置のできなかった、あるいはやらなかった問題についても、改めてなぜできなかったかということ等を含めて発表をして皆さんの御論議なりあるいは御批判を受けよう、こういう体制で今進んでおります。  したがって、私は、そうした点を考えますと、ある程度開かれ、そして透明度の高いもので皆さんと一緒にこれを推し進めていくということが大変重要だということを認識をしながらやってきたということは間違いでなかっただろうし、そして一月段階における中間の公表で皆さん方からいろいろ御批判いただきましたけれども、内外あるいは多くの皆さんの御批判をいただいて、先ほど御指摘ございましたように、約千八百に近いそういうものを取り上げていった。そして新たに五百七十近いものを今回の場合には改定をするということで取り上げてまいりました。そうした点を考えてみますと、今、我々行政の中で果たし得る体制を何とかして皆さんに御協力いただいてここまで持ってこれたというこの自負心というのは、私たちは持っておるつもりであります。  そこで問題は、これから後の問題でありますけれども、何と申しましても、民間部門がこれから自律的かつ主体的に活動できる経済社会というものが問われておるわけですから、これを順次構築されていくように、行政としては一緒にこれからさらに継続し、取り組んでいくことを考えなくてはならぬのではないか、こういうふうに今改めて考えておるところであります。
  31. 福島豊

    福島委員 今回の規制緩和のことに関連しまして、規制緩和を進めるに当たってはさまざまな政治的な力が働く、一つ一つの個別の問題については働くわけでございますが、その折にやはり規制を残しておいた方が都合がいいという立場の人たちがおるわけですね。またそれがさまざまな形で政治にも働きかける。これはよく言われますように、「政・官・業の鉄の三角形」というようなものがやはり厳然として機能して規制緩和推進に対して一つのハードルになっているというふうに思います。  この「政・官・業の鉄の三角形」、これをどうしていくのか。それはまた同時に、政治のあり方というもの、また先ほども長官おっしゃられましたように行政のあり方というものを見直していくという本質的な議論に入っていくわけでございますけれども、この「政・官・業の鉄の三角形」について長官はどのような御認識をお持ちなのか、それをお聞きしたいと思います。
  32. 中西績介

    ○中西国務大臣 「政・官・業の鉄の三角形」といった表現でありますけれども、これはマスコミだとかあるいは識者の間で使われておるということは認識をいたしておるつもりです。  問題は、平成五年十月に第三次行政改革推進審議会最終答申におきまして、「政治が特定の利益の擁護に力を注ぎ、行政は省庁ごとにいわゆる族議員との関係を深め、産業界は政治的支援の見返りを期待するに至ったとの批判の声が、国民から上がっている。このような構造的要因が、行政の領域の固定化を招き、縦割り行政の弊害を一層深刻なものとしてきた。」このように指摘をされておるわけであります。  政治、行政及び業界が相互に密着をする、こうした関係が定着をしてまいりますと必ず内外の変化に対してもう対応できなくなるというのが、今まで指摘をされた大きな問題であったと思います。したがって、行政の停滞も、それに沿ってもたらすことになるわけでありますから、こうしたものに対する警鐘の意味を含んでおるのではないかと認識をします。  したがって、こうした規制緩和推進しまして、自己責任を基本としまして、さらに自由で活力ある経済社会の構築に向けて努力をしていく。そのことがこのような鉄の三角形というものを緩和をすると同時に、そして、私たちが期待をする社会構造へ大きく転換を求めていかなくてはならぬだろう、こういうふうに考えます。
  33. 福島豊

    福島委員 この鉄の三角形について、それに切り込んでいくんだというような御趣旨かと思います。  先ほども御紹介いたしましたフランク・ギブニーさんは、今回の「第三の開国」ということで「「骨」まで切らなければならない。」というようなことを言っています。まさに骨というのは、「政・官・業の鉄の三角形」と言われるような、日本の社会の既存の硬直化した仕組みの、根っこの部分にまで切り込んでいかなければ日本の社会は変わりませんよというふうに警告をしていただいているんだと思います。  この最終答申で指摘されておりましたことについて、やはり政治がリーダーシップを発揮して、どれだけ切り込むことができるのかという責任があるというふうに思います。決して言葉だけで終わってはならない。現実に、今回の改定の中でも、やはり一番抜本的な部分というのは、結論が出なかったものもありますし、先送りされたものもあります。その事実を踏まえると、どこまで本当に踏み込むことができているのだろうかということについて、一抹の危惧を私は覚えております。  次に、これと関連してでございますが、車検制度のことにつきまして、評論家の屋山太郎さんが次のようなことを述べております。  車検制度は、平成七年に改定がなされまして、今回の改定されました推進計画の中でも、新規の項目として平成八年度に検討するというようなことが盛り込まれているわけでございます。  これにつきまして評論家の屋山氏は、「首相の諮問機関である行政改革推進審議会が車検の簡素化を強く申し入れた結果、運輸省は一九九五年七月からドイツのような「前検査・後整備」方式でもよいという制度を併用することになった。」等々、ちょっと長くなりますので中略しますと、いろいろと理由を挙げまして、このように改定されましたけれども、「新しい検査方式は、改善とか簡素化とよばれるような代物ではない。」というふうに断じております。  その理由につきまして、「運輸省が車検の簡素化に抵抗するのは、はっきりいうと、認証工場の業界団体である日本自動車整備振興会連合会(日整連)を守るためである。このために連合会の中枢に運輸官僚を天下りさせ、組織の上でも官・業が一体化している。」そしてさらに「ここ一〇年の間に、車検の簡素化は何度も政治の俎上に乗った。しかし、最終場面になると与党である」、当時与党でございましたが、「自民党が立ちはだかつてつぶされるのがつねだった。なぜ自民党が車検業者を守るのか。そのカラクリはこうだ。」ということでございまして、中選挙区制度のもとで、自民党の自動車族と言われる族議員の方がどのようにして支えられているのかというようなことがるる述べられているわけでございます。  これは先ほども長官が申されましたように、最終答申でも指摘されていることでございますけれども、まあいろいろと御意見はあろうかと思いますけれども、しかし、この構造そのものにどれだけ切り込むことができるのかということが極めて大切であるというふうに思うわけです。  特殊法人改革でも、改革はしたと言われましたけれども、単なる数合わせで終わって、その実態にまで切り込んでいない。先ほどの言葉をかりますと、骨まで切り込んでいくことができるのか。皮を切り、また肉を切り、ちょっと出血しましたよというようなことで、国民に対しての説明を終わらせている。その根本部分にまでは切り込めていないのではないかというような思いがいたすわけでございます。  長官も、長年野党として、このような政治のあり方に厳しく対峙されてきたことがあるわけでございますので、長官の御意見を改めてお聞きしたいと思います。
  34. 中西績介

    ○中西国務大臣 規制緩和推進計画を策定あるいは改定するに当たりまして徹底的な規制見直しをしてきたというのは、私も総務庁に入りまして改めていろいろ勉強しました。そうした中で、従来に増して進められておるということは、私もある程度実感をいたしました。  御指摘の車検の問題でありますけれども、これは御存じのように、今回の場合には定期点検と車検整備と両方ございますけれども、これについても、定期点検の場合には約三三%減、そして車検整備の場合は一三%の減というように、一定の料金を低減させるということは、私は一定の前進であった、こう思っております。  規制緩和推進に伴いまして、行政と企業の関係、指摘のありました点でございますけれども、行政に対する厳しい国民の批判、あるいは目がだんだん変わってきておるということを私たちは認識をいたしております。したがって、今後とも引き続いてこうした問題についてはさらに深く、そして先ほども申し上げましたように、限定するのでなしに、その時々に対応できるように、これらの問題についてさらに実効性のあるように努力をしていかなくてはならぬだろう。そして規制緩和、この中にこれからさらにまた新しく盛り込んでいかなくてはならぬのではないか、こういうように今考えております。
  35. 福島豊

    福島委員 確かに、車検制度につきましても何%の減、ユーザーの負担は緩和されたということも事実だと思うのです。ただ、そのところが極めて日本的な解決の仕方なのかなと私は感じているのです。お互い、規制緩和の声がこれだけ強くなったし、何もしないというわけにはいかぬ、何かしなければいけないと。ただ、抜本的にダメージを受けるようなことをするわけにもいかぬ。ちょうど間をとりましょうかということなのかなというふうな感じもあるのです。  先ほども言いました、数の問題ではない、またタマネギの皮むきではないという話をしましたのは、まさに日本的な解決ではなくて、官と民の関係のあり方そのものをドラスチックに質的な部分で変えなきゃいかぬということからは、まだまだその切り込みというのが、何%の減ですということだけでは説明が不十分なのではないかなというふうな認識も私は持っております。  引き続きまして、長官は先ほど、規制緩和推進というのは自己責任原則と市場原理に立つ自由な経済社会をつくる、それに目的があるんだということをおっしゃっておられました。これはちょっと立場が異なりますので、長官の立場ではなかなか御答弁が難しいかと思いますが、先ほどもおっしゃられた日本のあるべき姿ということを踏まえて、長官の政治家としての御意見をお聞きしたいのです。  それは住専問題に関連した金融制度改革の問題でございます。これも、ある意味では第三の開国が必要とされるような、閉塞しまた硬直化した日本の社会経済構造が生み出した問題の一つであるというふうに認識をしていいのではないかというふうに思います。  これはファイナンシャル・タイムズの論説でございますが、三月十九日号で次のように述べております。  「責任追及の輪が広がってくると、」「日本社会の構造的欠陥の問題に行き着く」。「日本の金融制度の構造と運営は、個人または企業が最終的には責任を取らなくても済むように構築されている。」「政府側もようやくこれまでの金融制度そのものを改革しなければならないことを口にし出した。とはいっても、まだ改革の方向に歩み出したばかりで、実のある改革は何一つ実行しておらず、相変わらず旧来の構造にしがみつこうとしているのではないか」。「日本の経済構造を抜本的に改革する必要を認めなければならない。」「いつまでも認めないでいると、早晩、同じ過ちを繰り返すことになるであろう。」こういうような警告を発しているわけでございます。  その内閣を構成する一員としまして、長官も内閣の方向性というものについて御意見を述べることが多々あろうかというふうに思うのですね。私は、今後の金融制度改革ということに向けて、この市場原理また自己責任原則というようなものをしっかりと確立していくことが大切だし、また政治家一人一人の物事を考える判断の座標軸としてそういうことを定めていくということが必要なんだというふうに思うのです。  日本人というのは熱しやすく冷めやすいといいますか、問題が起こったときにはあたふたとするけれども、しばらくするとまた忘れてしまう。これは私どもにも言えることなのかもしれませんけれども、しかし、そのようなことであってはならないというふうに思うわけでございます。この点につきまして、御見解をお聞きしたいというふうに思っております。
  36. 中西績介

    ○中西国務大臣 私は、やはり住専問題を考えますと、今委員も申されましたように、私たちがまず踏まえるべき基本姿勢ですね、結局、自己責任そして市場原理というものをちゃんと踏まえた上で、特に金融につきましては、これは公金を集めて預かっておる、こういう状況でありますから、ただ単なる私企業的なものということだけでなしに、大変な責任があるということを私たちは指摘をしなければならぬと思います。そうした中で、もうけさえずれば何でもするというバブル時代のこうしたあり方というものをやはり根本的に変え ていただくということがまず問われておるんじゃないか、こう考えます。  同時にまた、これを指導する側の、あるいは規制をする側の行政側のあるべき姿についても、やはり十分今後こうした課題について再度反省を求めると同時に、新しい経済社会の構造と同時に金融構造というものについても打ち立てていく、そのための行政を何をなすべきかを今問われておる、このように考えるわけであります。  したがって、私は、こうした点を考えますときに、何回も申し上げましたけれども、やはり透明性の高い行政のあり方、その中の金融システムのあり方を徹底的に追求し、再構築を図っていくということが今また大変重要な課題であろう、こう考えております。
  37. 福島豊

    福島委員 私ども野党としましても、政府がどのような対応をするのか厳しく追及といいますか、見詰めていきたいというふうに思っております。  また、関連しまして、この住専の問題で問題になりましたことは、これも評論家の屋山さんの言葉でございますけれども、こういう指摘がされております。  これは三月二十二日付の産経新聞の論説でございますが、「ここに至るまで、官僚や政治家の責任については一切、明らかにされていない。加えて、官民癒着の構造的欠陥についても論議されていない。」中略「住専、薬害エイズ、もんじゅなどに共通するのは官僚が情報を隠しておいて、裏で処理する図である。その密室で作った法案を与党がやみくもに成立させるのが、これまでの政治だった。しかしこの官僚政治にいまこそ終止符を打つべきだ。」そのように述べております。  私も大変同感でございます。特に薬害エイズの問題につきましては、意図的に隠ぺい工作を行ってきたのではないか。そのようなことはないという答弁でございますけれども、しかし、経過を見ていると、国民はだれも厚生省の言葉を実は信じていない。うそをついているんだろうという思いが国民の中にはあるというふうに思います。  先ほども行政の信頼性が大切だというお話が長官の方からございました。信頼性を獲得するためにはまさに、先ほども透明性ということを長官はおっしゃられましたけれども、情報を隠ぺいするというように思われるような行動をしてはならないし、また積極的に情報というものを開示していかなきゃいけない。  先ほども官と民の関係ということを言いましたけれども、まさにこれはお上的発想というのが根強く官僚組織の中にはあると私は思います。知らしむべからず、国民に余計なことは言わなくてもいい、我々が判断すればそれがベストであるというような思いがやはりあるんだというふうに私は思います。  ですから、先ほども質的な転換が必要だというお話をいたしましたけれども、官僚機構の、官僚組織のあり方そのもの、意識のあり方そのもの、情報の公開性ということも含めてやはり変えていかなきゃいかぬことなんだというふうに思うのです。  その意味では、行政の総括的な立場にあります総務庁の役割というのは極めて重要であると思いますし、その点につきまして長官の御見解をお聞きしたいと思います。
  38. 中西績介

    ○中西国務大臣 今指摘のございました公正で民主的な行政のあり方というものが今問われておるということは、先ほどからのお話の中でもいろいろ出てきたところであります。したがって、今御指摘のありました国民の信頼をかち得るその手だてとしても、何を重要視しなくちゃならぬかという一つの問題として、また行政改革全般の中でも、情報公開というのはそうした大変な意味を持っておるということが言えると思います。  したがって、御存じかと思いますけれども、行政改革委員会の方から、行政情報公開部会を設置をいたしまして、ここで精力的に討議をしていただきまして、この間大変な御努力をいただいたところであります。憲法にどう、法律的にどうということも含みまして、これからまたさらに深めていく必要があろうと思っています。  したがって、このたび中間的な発表もいたしますけれども、これから本格的に、これも三年というのを二年に短縮をされましたので、大変な御努力をいただいておりますけれども、そうした専門分野における討論を重ねていただきまして、調査審議をしていただいております。したがって、本年十二月までにこの行政改革委員会から意見具申をしていただくことになっておるようであります。  したがって、こうした御意見を十分尊重した上で積極的に取り組んでまいらなくてはならぬということを、今、私たち総務庁といたしましても、より積極的にこれらの問題については前向きに取り組んでいこうということを確認をして、鋭意努力をしておるというのが現状でございます。
  39. 福島豊

    福島委員 本日は、行政改革委員会の方にもおいでいただいておりますが、情報公開法の制定について、その作業の進捗状況ということについてお聞きしたいということでございます。  また、追加しまして、情報公開法が制定されました場合に、例えば今回のエイズ薬害問題で厚生省は長いこと資料はないと言ってきたわけでございますが、そのような事態というのは、これは公開法が制定されると何らかのアプローチするような手だてができるものなのでしょうか、その点につきましてお聞きしたいと思います。
  40. 田中一昭

    ○田中(一)政府委員 お答えを申し上げます。  今、中西長官からもお話がございましたが、行政改革委員会設置法におきまして、「行政機関の保有する情報を公開するための法律の制定その他の制度の整備に関する事項を調査審議する」ことになっております。今これも長官がおっしゃいましたが、当初、委員会の設置期限の三年に合わせてあったわけですけれども、国会で修正がございまして、二年以内に総理大臣に対して意見を具申する、こういう仕掛けになっております。  それで行政改革委員会は、今これも長官おっしゃいましたが、昨年三月十七日だったと思いますが情報公開部会を設けました。発足以来今日まで三十六回開催いたしております。毎週三時間以上にわたる精力的な御審議をいただいております。この本部会のほかにも、実は基礎的な、基礎委員会ともいうべき小委員会も設けまして、これも七回ぐらい開いております。  検討の成果につきましては、来週四月二十四日水曜日に、部会として取りまとめた中間報告、これは本委員会に対する中間報告でございます。情報公開法の要綱案ともいうべきものでございますが、これを行政改革委員会報告することにしております。  これからの見通しでございますが、この中間報告に対する各界各層の御意見を十分承りまして、十月ごろには部会としての最終的な案を取りまとめることにしております。期限が十二月十八日ということになっておりますので、遅くとも十二月十八日までには総理に意見具申申し上げる、こういうスケジュールになっております。これは三党合意でも実はできるだけ早く意見具申せよということでございますので、現在鋭意努力しておるところでございます。そういうスケジュールでございます。  後段の話でございますが、実は私もほかの小委員会、部会等々全部携わっておるものですから、部会でこういう問題が議論されたことも承知しておりますけれども、どこまでどう議論されたかつまびらかにはしておりません。もちろん、この課題自体がまだいろいろ進行形でございますので、どういうものであるかも承知しておりませんが、なかったというものが出てきたということについては非常に難しい問題でございます。  ただ、この情報公開法というものが本当にできて、できなければいけないのですが、その大前提として文書管理というものが非常に大切でございます。まず文書管理を的確にしていくことが必要でございまして、我々の今検討中の要綱案におきましても、文書管理のありようについて言及して おります。どういうふうにすべきかということについて述べておりますが、恐らくそれに基づいて、現在各省それぞれ大臣訓令等々で文書管理の規定をすべて持っておりますけれども、各省はこれを恐らく見直すことになろうかと思います。それで、ある課なら課として組織的に使用するペーパーであれば、それは決裁をもらっていなくても情報公開の対象にしたい、するというのが今の案で述べられております。そういう程度の御説明でようございましょうか。
  41. 福島豊

    福島委員 大変圧縮された日程の中で御苦労さまでございますが、よろしくお願いいたします。  時間も残りわずかになりましたので、通告いたしました質問を若干はしょらさせていただきます。  厚生省の方にもおいでいただいておりますので、先日話題になりました日本医療食協会についてお尋ねをしたいと思っております。  どういう報道がなされていたかといいますと、日本医療食協会という財団は、昭和四十七年に設立されたものでございますけれども、厚生省のOBが天下り、理事長となっておるわけです。医療用食品の認定検査目的としておりまして、二百七十二品目について認定している。協会は、メーカーが販売会社に納めた価格の五%を得ることになっており、平成六年度は九億三千万円の収入が上げられた。医療機関が同財団の認定食品を使用するためのインセンティブとして、診療報酬体系の中で百八十円の加算金が設定されており、年間を通じて全国では総額百七十から百八十億にもなる。この販売会社は、日清医療食品、これはワタキューセイモアの子会社でございますが、九〇%とほぼ独占しているような状態である。  昨年から公正取引委員会調査に入りまして、本年の四月九日に独占禁止法違反で排除勧告を行った。厚生省も同日、診療報酬加算を廃止することを明らかにしまして、またこの理事長は五千万円という大変高額な報酬をもらっていたわけですが、二月の段階で、自民党の与党のサイドからもそれは高過ぎるのではないかというような意見があったようでございますけれども、これを減額させて、また天下りのこの役員の退任を求めるということになったということが、一連の報道の中で述べられておりました。  これはさまざまな批判をかわすためにあたふたと処理をしたのではないかというような感がぬぐえないわけでございますけれども、個別の問題というよりもむしろ、こういったことが二十年間近く行われ続けてきたということが非常に問題である。まさに診療報酬体系という、公的に定められる仕組みの中に収益を上げる構造がビルトインされて、その収益を上げると同時に、また公益法人と関連する企業というのが特定の企業によって独占をされてきたというような構造が放置されてきたというのが非常に問題なのではないかと思います。  もちろんこれは官主導でつくられた公益法人であると考えて間違いはないのだというふうに私は思うのでございますけれども、この点につきまして、まず厚生省お尋ねしたいのですけれども、なぜこのような状況が放置されてきたのか。今回公正取引委員会が入らずに、そしてまたマスコミからも、これは本年の早い段階で、ある写真雑誌が報道しておりましたけれども、そういうマスコミの手が入らなければ来年、再来年と続いておったのではないかというような気がするわけでございますが、この点につきまして御意見をお聞きしたいと思います。
  42. 磯部文雄

    磯部説明員 先ほども申し上げましたとおり、我が方の所管しております法人独占禁止法違反行為によりまして勧告を受けましたことを非常に遺憾に存じております。そしてまた、それに関しましての私どもの指導監督が不十分であったということを認識しておるところでございます。  ただ、ちょっと、先生がおっしゃいました当初の経営につきましては、私どもの理解しておりますところでは、二十年以上前でございますけれども病院の食事というのが非常に貧しい状況で、それを改善していくということで財界等が中心になってつくられた財団だというふうに理解をしております。  いずれにいたしましても、御指摘のとおり不十分な監督でございましたので、公正取引委員会から勧告を受けまして、直ちに役員の構成の見直し、また先生指摘のとおりの理事長等の退任等を指導いたしまして、公益法人としての運営の適正化、また医療用食品の加算制度の廃止に伴います組織の見直し等を図るように指導したところでございます。今後、二度とこうしたことが起きないように、提出書類の厳格なチェック、あるいは公益法人に対しまする立入検査の充実等を行って、指導監督の強化に努めてまいりたいと考えております。
  43. 福島豊

    福島委員 二度と起きないように指導監督をしっかりとしていただきたいと思いますが、これは寝具でも同じようなことが実はあったわけですね。この日清医療食品というのは、ワタキューセイモアの子会社ですが、ワタキューセイモアというのは寝具の方でございまして、これはもうちょっと前にさかのぼるわけですね。ですから、やはり同じような構図が繰り返されておるのだというふうに私は思うのですけれども、厚生省にとりましてはOBは身内でございますから、監査、監督といいましても、なかなか身内を厳しく監督するのは難しいのじゃないか、日本的社会の中では率直に私はそう思うわけでございますが、そういう意味では第三のチェック機構が必要だ。  総務庁というのは行政全般にわたって監察する立場にあるわけでございますけれども、総務庁としましてどのような御見解をお持ちか、お聞きしたいと思います。
  44. 大橋豊彦

    ○大橋政府委員 今、委員指摘になりましたように、総務庁では、これまで三回にわたりまして公益法人指導監督、行政の監察を行っております。その三回の監察におきまして、延べ二千二百を超える法人について、相手の法人の協力のもとに実地調査をいたしまして、関係の省庁に対する改善勧告を行っております。その結果、例えば各省庁の官房長から成ります公益法人指導監督連絡会議というものがつくられたり、あるいは、公益法人の運営に関します指導監督基準だとかあるいは会計処理基準等の各種の統一的基準が申し合わせされているところでございます。  今、委員が申されましたように、行政の中におきます公益法人の役割というのは非常に大きくなってきておりますので、そういう観点から、引き続き今年度にも私ども行政監察を実施したいというふうに思っております。
  45. 福島豊

    福島委員 しっかりとよろしくお願いいたします。  時間も残り少なくなりまして、建設省の方にもおいでいただいておりまして、土地・住宅についての規制緩和につきましてお聞きしたいと思います。  今回の改定計画での住宅・土地関連施策の評価は、日経新聞による評価でございますが、宅地開発指導要領等の適正な見直し推進については、実質的な改善が進まず、評価は期待外れであるというふうになっております。この点につきまして、なぜ期待外れという評価しかされなかったのか、なぜこのような結果しか得られなかったのか、建設省としての御見解をお聞きしたいと思います。
  46. 中北哲雄

    ○中北説明員 指導要綱の問題につきましては、良好な都市環境などの形成という意味一定の役割を果たしてきておりますけれども、以前から、行き過ぎがあるということでずっと建設省としてもその見直しに取り組んできているところでございます。  具体的に申し上げますと、一番直近で大きなところで申し上げますと、昨年の十一月でございますが、指導要綱の見直しに関する指針というものを、私ども俗に指針と称しておりますが、そういう通達を全都道府県を通じまして全市区町村まで流しまして、負担内容の合理化とか手続の公正化というようなことにつきまして御指導申し上げております。その結果と申しますか、私どもが承知 している範囲でも、昨年からことしにかけまして、大都市圏の政令市、四市ほどでございますが、それを含めましてかなり改善する方向での見直しをしていただいてきております。私どもとしましても、政令市ですから有力な市でございますので、そういう見直しの内容について全国の市区町村まできちんとPRをいたしまして、こういう方向に進んできているんだよというようなことを精いっぱいPRしてきております。  ただ、長年ずっと、二十数年間続いてきた問題でございますので、一日にしてすべてが解決というわけにはまいらぬかもしれませんが、昨年の十二月段階で私どもが調査いたしました、全都道府県、全市区町村を調査したわけでございますが、近年見直した、あるいは近く見直し検討しておるというものが、要綱を持っておりますところの六割弱ございます。そういう意味では、積極的に見直そうという雰囲気がかなり出てきているのだろうというふうに思います。私どもとしては、そういう流れといいますか、そういうものを大事にいたしまして、今後とも折に触れていろいろ指導してまいりたい、こう考えております。
  47. 福島豊

    福島委員 それから、生産緑地に関連したことでございます。  昨年出されました規制緩和推進計画に関する意見の中で、「宅地並み課税を選択した農地については、」「宅地供給のための種地として活用できるような周辺基盤整備、周辺に生産緑地がある場合には交換分合等を積極的に推進する。」というふうに書いてあります。今回の改定計画では、「土地区画整理事業等を支援する緑住まちづくり推進事業に係るマニュアルを改訂し、同事業の一層の推進を図る。」とされておりますけれども、この具体性が余りうかがえないのですが、どのような方向でそのマニュアルを改定し、またマニュアルを改定しただけで事業は進むものなのかという疑問もわいてくるのでございますけれども、この点につきまして建設省の御見解をお聞きしたいと思います。
  48. 小沢一郎

    ○小沢説明員 お答えいたします。  緑住まちづくり推進事業という区画整理事業でございますが、全国で百九十七の特定市を対象として行うことになっております。その事業の対象といたします宅地化農地、三大都市圏で三万三千ヘクタールあるわけでございますが、そのうち五千ヘクタールをこの緑住まちづくり推進事業で行おうとしております。  当面二千五百ヘクタールを十年間で行うということでございますが、この事業は通常の区画整理事業と違いまして、今先生がおっしゃいましたように、散在する宅地化農地と生産緑地、これを交換分合等でまとめ上げていかないと良好な宅地にならないということがございますので、新しい事業制度をつくりました。これにつきまして、それをいかに活用してもらえるかということにつきましては、それぞれの百九十七の市の事業担当部局が十分この事業の内容について習熟してもらわぬといかぬということがございます。そういうこともありまして、平成六年度にこの制度が発足いたしましたときに、その事業の内容について十分理解をしてもらうためにこういうマニュアルをつくったという経緯がございます。平成六年でございます。  しかし、現時点におきまして、百九十七のうちまだ五十ちょっとの市でしかこの事業が実施されていないという経緯がございまして、できるだけ三大都市圏の宅地化農地を宅地として供給をしていくというために、ほかの市においても十分この内容を理解していただき、事業に結びつけていただこうという趣旨でございまして、今回は、当初のマニュアルに付加いたしまして五十幾つで行われております具体の事例をできるだけ載せ、どういうふうに事業を立ち上げていくのか、農家の方々の理解をどういうふうに得ていくのか、より突っ込んだ指導マニュアルをつくったということでございまして、これをもとに現場でより正しく理解をしていただいて事業を進めていくということで、私どももこれから一層努力をしていきたいというのが内容でございます。
  49. 福島豊

    福島委員 積極的に推進お願いしたいと思います。  時間もなくなりましたが、最後に一点、郵政省においでいただいていますので、ぜひともお聞きしたかったことでございますが、今回のNTTの分離分割問題についての対応は、政治決断を放棄し結論先送りというような、大変期待外れであったというような評価が高いのではないかというふうに私は思っております。今まで五年先送りだったものが一年先送りになったのだから、ちょっとはましかというような話もあるわけでございますけれども、一年後に本当に結論が出るのか。日進月歩の状況の中では、一年といえども大変長い時間であると私は思っておりまして、この点につきましての郵政省の御見解を最後にお聞きしたいと思います。
  50. 小笠原倫明

    ○小笠原説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のNTTのあり方に関する問題でございますが、これにつきましては臨調答申以来の経緯というものがございます。ただ、私どもといたしましても、現下のこの分野の国際市場をめぐる情勢あるいは国内の競争環境といったものに留意いたしますと、早急に措置すべき重要課題であるというふうに今受けとめておるところでございます。したがいまして、こうした早急に措置すべき重要課題であるという認識に立ちまして、今回の閣議決定でも触れておりますが、電気通信審議会答申、これは二月末に出たものでございますが、その趣旨に沿いまして、また関係者の十分な意見も聴取しながら、次期通常国会、つまり来年一月に開催、召集されます次期通常国会に向けまして、結論を得ることができるよう引き続き検討を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  51. 福島豊

    福島委員 以上で質問を終わります。  通告いたしましたが、省略させていただきました質問が多々ありましたことをおわびしたいと思います。ありがとうございました。
  52. 石破茂

    石破委員長 上田清司君。
  53. 上田清司

    ○上田(清)委員 新進党の上田清司でございます。同僚議員に続きまして、今回の計画改定につきまして幾つかの御質疑をさせていただきます。  若干委員会席にいなかったときもございましたので、各議員の質問の骨子だけしか読んでおりませんので、幾分重なる部分もあるかと思います。それはお許しいただきまして、まず長官に承りたいのですが、規制緩和推進経済社会の抜本的な構造改革につながる、こういう御認識での意見表明があったわけでございますが、何が本当に経済社会の抜本的な改革なのか、この点について改めて長官の御認識を承りたいと思います。よろしくお願いします。
  54. 中西績介

    ○中西国務大臣 今、委員が申されましたように、我が国経済社会の抜本的構造改革を図っていくということを目的にしてやっておるわけでありますけれども、このことは今極めて重要な課題として、またいち早く手がけなくてはならない問題として私たちは認識をいたしておるところであります。  こういう考え方に立ちまして、政府といたしましては、規制緩和は国政上の重要課題として位置づけをすると同時に、その計画的な推進を図ってまいりまして、三月二十九日に規制緩和推進計画をより充実した内容として改定をいたしたところであります。今後ともこの計画に沿いまして、より充実した内容を私たちが追求できるように、そして着実にその規制緩和を進めていく中で、特に今指摘のございました経済社会の抜本的な構造改革というこの方針に基づきまして、今後とも見直しをさらに強め進めていきたいと思っております。
  55. 上田清司

    ○上田(清)委員 ありがとうございます。  ちょっと中身の感じが違うのですが、長官の発言要旨の中にもありますように「国際的に開かれ、自己責任原則と市場原理に立つ」ということは、今まで必ずしも国際的に開かれていない、あるいはまた自己責任の原則がなかった、市場原理 に立っていないさまざまな経済政策、社会政策が行われてきた、こういう認識を改めて今後政府としては共通の課題として、これは閣議でも決まったことですから、今までの逆の認識、国際的に今度開かれ、市場原理あるいは自己責任のルールというのをきちっと確立する、そういう仕組みでやっていくという決意だというふうにしっかり受けとめてよろしいのですね。
  56. 中西績介

    ○中西国務大臣 日本の経済社会の構造を抜本的に変えるというこの決意は、今指摘のございました、私たちが従来から持っておりました多くの諸問題を抜本的に変革するという、こうしたことでございますので、これからより積極的に取り組んでまいりたい。そして、行政のあるべき姿、そのことがまた経済の活性化と同時に、国民皆さんに信頼をかち得るような体制をつくり上げることが肝要であるということを十分認識いたしまして、今後取り組んでまいりたいと思っております。
  57. 上田清司

    ○上田(清)委員 長官のかたい決意を伺ったところで、具体的な緩和措置の中に国民生活の質の向上云々ということで十一分野にわたる、新規で五百六十九、そして平成八年度以降の措置見込みで四百十が計画に上っております。私たちがこういう一冊の本を、本というのでしょうか、資料を見ますと、なかなかこれは、もちろん専門家である私たちですらも何が何なのかわからない。国民にとってみればなおわからない。国民から見て一体どこがどうなんですか、よくなるのですか、そういう国民にとって生活が便利になりますよ、豊かになりますよという、私たちが個人演説会とかでこうなりますということを、長官、当然地元とかでやられると思いますが、五点なら五点、国民生活に絞って言えばこんなになりますということを具体的にイメージしていただければありがたいのですが、というよりもむしろ、そのことをもっと積極的に国民にアピールしないと、何のための規制緩和なんだということを指摘できないと思いますので、長官として五点以外でも結構でございます、三点に絞っても結構でございます、長官から見て何と何と何だということを、重要課題としてこれだけのことが便利になります、これだけのことが豊かになりますということを申していただければ大変ありがたいと思います。
  58. 中西績介

    ○中西国務大臣 規制緩和の効果を今指摘ありましたように幾つかに分けまして申し述べてみたいと思います。  まず第一は、消費者の選択の幅の拡大、これは米穀の流通に係る規制緩和、国内航空路線のダブル・トリプルトラック化基準緩和、あるいは内外価格差の縮小に資するものとして、化粧品の輸入手続の簡素化あるいは特定石油製品輸入暫定措置法の廃止によるところのガソリン輸入に係る規制緩和、こうした問題があると思います。  二つ目に、内需拡大や輸入の促進等による国際的調和の実現に資するものといたしましては、問題になっておりました海外建築資材の円滑な受け入れのための海外検査機関との相互認証の推進、あるいはJIS規格の国際規格への整合化などございます。  三点目が、国民負担の軽減に資するものといたしまして、パスポートの有効期限の延長や車検の簡素化等を挙げることができると思います。  以上でございます。
  59. 上田清司

    ○上田(清)委員 それだと演説会じゃ余りわからないと思いますよ。化粧品が安くなりますとか、ガソリンが安くなるのですよとか、こういう言い方にしないと。それから、建築資材が云々とか、JIS規格が云々と言ってもわからないのですね。例えば、今日本は坪単価四十万、六十万ですよ、しかし、どの国見ても十万から二十万ですよ、それが実は五万でも安くなるのですよとか、そういう話をしないと、この規制緩和というものがどれだけ国民生活にとって意味があるかということを十分説明し切れないというふうに私は思っているのです。そういう意味で、長官として、これですよという具体的にイメージですぱっと国民が入ってこれるものを、役所レベルでまとめられたものじゃなくて、長官の生の声でもう一度お願いできればありがたいと思います。  もう一つ加えて言えば、今のは国民生活レベルですが、いわゆるニュービジネスというのですか、新規事業の分を含めてお願いしたいのですが、二度目に新規事業についてはどうですかということを聞くつもりだったのですが、一緒で結構ですが、こういう規制緩和によってニュービジネスとしてこういうものが見込みが出てくるのだ、皆さんどうですか、やりませんかというそういう明るい夢を展開しないと、なかなか本当の意味での経済社会の構造改革というのは難しいのじゃないかと私は思いますので、まさしく担当大臣、長官としての言葉でお話をしていただければありがたいと思います。
  60. 陶山晧

    陶山政府委員 大臣からお答えあろうかと思いますが、今回の規制緩和計画の中で、ただいま先生から御指摘のございました新規事業の創出であるとか新規参入の促進という観点でいろいろと具体的な内容を盛り込んでおりますが、わかりやすい例として、例えば、最近技術革新の大変進展の激しい情報通信の分野につきましては、いわゆる需給調整条項を根拠法から削除するというような内容も入っておりますし、あるいは、携帯電話等の移動体通信についての料金の設定方式について、それを認可制から届け出制に改めるという内容も入っておりまして、競争の拡大、新規事業参入によって料金低下につながるという効果が期待されるところでございます。例えば国民生活とのかかわりという面でも、そうした情報通信の分野での新規事業参入の促進に資するような内容が入っているということを例えの一つとして申し上げさせていただきます。
  61. 上田清司

    ○上田(清)委員 余り大したお話じゃないですね、わざわざ局長が出てこられた割には。  大臣、やはり私どもも、夢を国民に常に与えなくてはいけない、厳しい現実もやはり知らせなくてはいけないという立場の職業であります。そういう中で、この規制緩和によって日本の経済構造も変わるのだ、また新規事業も展開できるのだという、これだけのものがありますという、ただ数字を千七百挙げても、国民には何ともわからない。しかし、これとこれとこれはこうですよ、ほかにもいろいろあるのですけれども、そういう細かいことは各種業界に関連したいわば規制緩和措置ですと、しかし一般国民皆さんにはこれとこれとこれですよということを言えるようなものはないのですか。あるのだったらぜひ、三点でも五点でも十点でも結構でございます、具体的に表明していただきたいと思います。
  62. 中西績介

    ○中西国務大臣 問題になっておりました、例えば一般の旅券の場合で言いますならば、御存じのように今までは五年間ということで有効期限が限られておりましたけれども、これを十年に延長するということになりました。そのことによって、使用する件数が今五百二十五万件という数にまで達し、渡航者の数は千三百五十八万人という今まで到底考えられないくらいの数にまで膨れ上がっておるということであります。  あるいは、自動車車検の問題につきましても、六カ月定期点検についても、これを二万二千円から、改正いたしまして一万四千八百円、約三三%に減額できるという状況になり、車検整備につきましては六万七千円から五万八千二百円、一三%減額されるという状況になっております。  あるいは、携帯電話等につきましても、平成五年四月の段階におきましては二百万台程度であったものが、現在この二月には一千万をはるかに超える台数になり、そのために、生産のために相当の雇用も創出ができるし、そしてさらに料金もうんと安くなるというような状況等が、さらにまたそのことが、今までは借り入れであったものが今度は買い取りができるわけでありますから、物すごく低廉化されるという状況等が出てきたわけであります。  こういうように、これから後の生活と密着をした問題等について、より具体的にお示しをできるように努力をしていきたいと思っております。
  63. 上田清司

    ○上田(清)委員 余りいじめてもいけませんので、このくらいで終わりますが、今回の計画改定についての政府の御努力、総務庁の御努力を多としたいと思いますし、それなりに評価されるところもあると思います。  ただ、岸本議員なども言われましたように、数字をだあっと出す、それよりももっと大事なことは、何が重要だという重要事項をもっと明確に国民に知らせるようなそういう仕組みの報告書というのでしょうか、そういうものをやはりつくっていかないと、何のためのこれは報告かというと、業界団体、要望事項の業界団体のためにつくったような話になってしまいます。もちろん、業界団体を通じて国民皆さんもその中に代表されていかれる場合もあると思うのですけれども、そういう報告書のつくり方もぜひ長官の方から、行政管理局長初め皆さんに適切な御指導を私はすべきではないかというふうに思います。  なぜなら、我々は常に一線に立って政治家として国民皆さんと密着しております。こういう報告書で何がよくなるかということがわかるわけがありません。そういう意味で、あるいはまた新聞等で記者の皆さんが若干解説していただいたりはしておりますが、それだけでも十分じゃありませんので、ぜひ今後のさまざまな規制緩和措置がまだまだ具体的な形で検討課題がたくさん残っておりますので、そういう意味でのきちっとした中身をつくっていただきたいなというふうに思います。今のは要望ですので、御返事は要りません。  それで、一連の流れでありますが、私の問題意識ですけれども、経済企画庁の総合計画局長の研究会で、楽市楽座研究会という大変しゃれた名前の研究会がありまして、平成六年の十月に中間報告というものをつくられたわけでございます、報告されたわけでありますが、この中で、大変意欲的な、試論というのでしょうか、ございます。  何かと申し上げますと、規制緩和の実施によって国民経済全体に及ぼす影響を何らかの形で計量化することを試みたということであります。もちろんこの計量化するための試みの中での計数をどうするかとか、いろいろな形で、多角的に研究すれば批判もできるかもしれません。ただ現実に、アメリカとの比較の中で労働生産性の低い産業分野をもし二〇%だけでも縮めることができるならばという認識のもとに考えていけば、GDPが五年間で八%伸ばすことができる、あるいは実質消費が九%増になる、一年当たりにしていけば一・六%のGDPの伸びになる、あるいは実質消費が一・七%になっていくというような試論を報告をしているわけであります。  私は、こういうことで一つの目標をきっちりつくっていくということでは大変いいことではないかなというように思います。この背景について、後でまだ質問したいこともあるのですが、まず経済企画庁の政府委員の方に、なぜこういう試論をつくってこられたか、研究会のもともとの、余り長く話されても困るのですが、なぜこういう形で試論を出されてこられたか、私は当然規制緩和によって、より開かれた市場、より活性化された経済社会ということを達成するために、経企庁の一局かもしれませんが、また私的な研究会かもしれませんが、なかなかいい試みではないかなと思いますので、その点について、そのときの意欲というのでしょうか、そのときの中身を少しお話ししていただきたいと思います。
  64. 土肥原洋

    ○土肥原説明員 お答え申し上げます。  規制緩和でございますけれども、これは競争を活発化させ、日本経済の高コスト構造を是正させ、企業の自由な創意工夫を引き出すことによって新規事業を創出するものである、そういう認識に立っているものでございます。また、規制緩和による内外価格差の是正、縮小につきましては、実質所得を増大させて新たな需要を生む、また、新規事業の創出と相まって雇用を増大させるものであるというふうな認識に立っているものでございます。  先生指摘の研究会でございますけれども、平成六年十月に経済企画庁内に設けました楽市楽座研究会でございますけれども、規制緩和国民経済に与える効果を分析した中間報告を取りまとめたところでございます。  その報告書によりますと、先生指摘ございましたけれども、規制緩和、これは低生産性部門の生産性向上などを通じまして、仮定ではございますけれども、一定の仮定を置きまして試算いたしますと、年一・六%程度実質GDPを上昇させる効果を有するのではないかということ、さらに、内外の具体例、日米でございますけれども、規制緩和は、新規事業の創出などにより経済を活性化させ雇用を生み出しているのではないかということ、さらに、規制緩和のプラスの効果を適切に発揮させるためには、労働移動に伴う摩擦的問題を解決するための配慮が必要であること、こういったことを指摘しているものでございます。
  65. 上田清司

    ○上田(清)委員 管理局長、今の経企庁の楽市楽座研究会の意欲的な試算というのが大変意味のあることではないかなというふうに私は評価しているのですが、今回の改定計画の中でこういう計量的な試算化というのは、先ほど長官も、車検整備あるいは六カ月点検なんかで何%安くすることができたとか、そういう御指摘もいただきましたけれども、基本的に、各省庁とのすり合わせの中でこういう計量化というのはかなりなされたのか、そのことについてちょっと承りたいと思います。
  66. 陶山晧

    陶山政府委員 ただいま経企庁から御説明のありました研究会の中間報告は、私どもも承知をいたしております。私どもの立場としても、特に経済企画庁のような専門的な勉強をしておられるところで、今後とも一層こうした問題について、いわば蓄積をつくっていただきたいというふうに願っているところでございます。  ただいま先生から御指摘のございました件については、私どもも、もちろん意識をしないわけではございません。ただし、大変に技術的に難しい要素があるということは御理解いただけると存じます。この規制緩和の経済効果を定量的に正確に分析をするということはなかなかに、言うべくして技術的には難しい問題があるとは思いますけれども、いずれにしろ、この規制緩和を進めていくに当たって、当然のことながら、そのさまざまな効果あるいは影響について常に念頭に置きながら進めていくように努力をする必要があると考えております。  私ども自身も御指摘の点についていろいろ勉強してまいりたいと思っておりますが、これに関連して申し上げるならば、公的規制実態把握ということについて私どもの立場で、総務庁立場で勉強を深めていきたいという観点から、行政監察局におきまして、専門の学者の方々に御参集いただいた研究会を設置をいたしまして、現在検討を続けているところでございます。いずれにしろ、私ども自身も引き続きいろいろ勉強を続けてまいりたいと考えております。
  67. 上田清司

    ○上田(清)委員 ありがとうございます。  引き続き、とかくどうしても既得権益というのでしょうか、現にある利益の方でそれなりに固まってしまっている部分がありますので、そうした人たちに対する一つの説得の材料として、決定的なものはそういう意味での経済効果だというふうに思いますので、ぜひ定量化を進めるすり合わせを各省庁とやっていただきたいと思います。  それの一応代表的な事例で建設省の方に承りたいのですが、先ほども長官も申しておられましたが、住宅資材等の輸入の促進等でかなり住宅コストが下がるのではないかという期待を、各業界、あるいは何よりも消費者の方々が期待するところであります。先ほども申し上げましたけれども、土地はともかく、日本が必ずしも国土が広くないということでいろいろ問題がありますけれども、上物だったら少なくともどの国だって同じじゃないかという基本的な考え方が私にはあります。どんなさまざまなものも日本では諸外国に負けないようにしてつくってきた、住宅だってできるはずだ、諸外国が十万、二十万でできるのだったら、なぜ日本にできないのだという。もちろん日本特有の慣行もあります。いきなりつくっていくとこ ろが、日本では地鎮祭をやって、神主さんが出てきて、それで一日つぶしてしまうというような、そういうコスト高というものもあるかもしれませんが、余りにも差がある。  そういう意味で、建設省の、二〇〇〇年までに住宅コストを三分の二にしたいという、こういう意欲的な計画もあります。今回の住宅関連の規制緩和措置によってどのくらい住宅コストが下がるのか。これは大変朗報であります、きちっとした数字が発表できれば。そういうきちっとした数字が発表できるのでしたら、今この場で発表していただければ大変ありがたいというふうに思います。
  68. 松野仁

    ○松野説明員 お答えいたします。  ただいまの御質問でございますが、今回計画しております個々の規制緩和措置がございますが、この措置に対応しまして住宅価格がどの程度下がるのかということにつきましては、数字的に示すのは大変難しいと考えております。特に、我が国の住宅の特色でございますけれども、在来の木造の伝統的な工法から、プレハブあるいはツーバイフォーと、大変さまざまな工法がございまして、しかも、その工法ごとに、コスト構成、資材でありますとか労務コストでありますとか、バリエーションがかなりございます。そういう特色がございますので、これについては、個々に予測するというのは大変難しい問題だと考えております。  ただ、それぞれに考えていくのは大変難しい問題でございますが、先生がおっしゃいましたように、政府といたしましては、二〇〇〇年、平成十二年までに標準的な住宅のコストを全体として三分の二にするという大きな目標を掲げているところでございまして、今回の措置は、このことをさらに強力に推進するために、八年度に重点的に取り組む事項を中心といたしまして、関係四省庁で「住宅建設コスト低減のための緊急重点計画」というものを取りまとめたものでございまして、今後とも、この「緊急重点計画」の措置を着実に実施いたしまして、住宅のコスト低減に努めてまいりたいと考えております。
  69. 上田清司

    ○上田(清)委員 ありがとうございます。  なかなか難しい質問かもしれませんが、こういうことに関して、多少、民間のシンクタンクも含めて、建設省も含めてですが、試算とかというのはあったりするのでしょうか。こことこことこうすればこのくらい安くなりますよというような、そういう研究というのはかなりなされているのでしょうか。数字そのものは言わなくてもいいですから、実はこういう形でいろいろな研究がなされていますということをちょっと教えていただきたいと思います。
  70. 松野仁

    ○松野説明員 お答えいたします。  ただいまのところ、先ほども申し上げましたとおり、大変難しい問題がございますので、具体的に、この規制緩和、例えば相互認証を進めることによってどの程度ということは現在のところ予測はしておりませんが、御指摘の趣旨を踏まえて今後勉強してまいりたいと考えております。
  71. 上田清司

    ○上田(清)委員 ありがとうございます。  ごめんなさい、質問通告にはなかったのですが、たまたまひらめきの中で言って。  今の回答じゃなくて、いろいろな、シンクタンクも含めて、ラインというのでしょうか、資材について、こういう形になっていけばこうですよとか、工法について、こんな工法にしていけばこのくらい安くなりますよとか、そういうかなりの研究というのが進んでいるのかどうか、そういうことを御教示賜りたいというふうに思っているのです。
  72. 松野仁

    ○松野説明員 お答えいたします。  それでは、ちょっと一般論になるかもしれませんが、例えば、海外の住宅に比べますと、在来工法につきましては多少労務コストが高い、あるいは資材のコストが高いというようなことが言われております。これにつきましては、住宅生産の現場での生産性の向上というようなことが必要でありましょうし、そういうような観点からのいろいろな研究は既になされてきております。
  73. 上田清司

    ○上田(清)委員 必ずしもちょっと質問がかみ合いませんでしたが、私が予想するところ、いろいろな形で資材を自由に使えるようにしたり、あるいは組み立てを自由にできるようにするとか、それから、さまざまな規格を一本化しないで自由にしていくというような形にしないと、そのうちに、ユニット化された住宅が大きな船でどんどん運ばれてきて、日本の住宅産業にかかわる産業分野が壊滅的な打撃を受けるような、そういうときも来るのではないかというふうに私は勝手に想像しておりますので、そういう意味での規制緩和をより一層進めていただきたいというふうに思っています。これは意見ですので、聞きおいていただきたいと思います。  次に、NTT分割、福島議員が最後に触れられましたけれども、今回先送りということになっておりますが、どんな検討課題によって先送りになったのか。非常に重要な問題だ、早急にこの結論を出さなきゃいけない、来年の通常国会までには出す、こういう先ほどの御意見でありましたけれども、どんなところが基本的な検討課題になって今回先送りになったのか、ぜひ教えていただきたいと思います。
  74. 小笠原倫明

    ○小笠原説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のNTTのあり方に関する問題でございますけれども、今後、次期通常国会に向けて私どもとして引き続き検討を進めさせていただくということにしておりますけれども、では具体的な検討課題は何かということでございます。  NTTのあり方といいますのは、日本の電気通信全般に大変影響する事項が多いところでございますので、検討事項と申しましても、一口ではなかなか申し上げかねることでございますが、例えば、今回の検討の中で、NTTを再編成した場合の財務の見通し、そういったものにつきまして今後さらに検討が必要ということで、NTTを初めといたしました関係者の十分な意見も聴取しながら引き続き検討を進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  75. 上田清司

    ○上田(清)委員 それでは回答になりませんね。わざわざ電気通信審議会が出した答申の、分割について、ただ財務の見通しが立たない、これだけなんですか、検討課題は。もう少し、五点なら五点ぐらい重要課題があるはずです。こういう問題がありました、こういう問題がありましたと、そういうことを聞きたいのです。
  76. 小笠原倫明

    ○小笠原説明員 お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、NTTのあり方、電気通信はこれから二十一世紀のリーディング産業というふうにも各般から期待されておるところと思いますが、そうした中で、例えばその日本の電気通信を今後発展させていく上で、国際競争力をどうやって向上していくべきなのか、あるいは現在の電気通信、あるいは情報通信に関します研究開発、そういったものをどういう形で今後向上させていくべきなのか、あるいは、これは最近よく非常に深刻な問題になっておりますけれども、NTTと他の新しい事業者の方の公正な競争条件といったものをどういうように確保していくべきか、そういったような問題を今後検討していく必要がある、かように考えておるところでございます。
  77. 上田清司

    ○上田(清)委員 これはまた逓信委員会等々でかなりの議論がなされているというふうに思いますが、総務庁レベルでいうと、一社による独占体制というものが、例えば、国民生活から見れば、電気通信にかかわるさまざまな事業分野で競争が激化することによってもっと国民生活が便利になるのじゃないか、そういう意味での分割論というのがあったわけであります。  そういう中で今回、まだまだ検討が十分なされていないという認識のもとに結論を先に延ばしたというふうに思いますが、私は、やっぱり総務庁立場の中でも、こういう問題についてきちっと郵政省に対して、なぜ電気通信審議会の方が分割にしろという一つの答申を出したか、それについても、やっぱり総務庁として、国民生活の便利さ、あるいは豊かさ、あるいはまた安く便利に使 えるという視点から、さまざまな形で、一つ指摘というのでしょうか、何らかの形で指摘をしてもいいのじゃないかと思うのですが、長官、この問題について何か御議論なされたことがあるのでしょうか、閣議も含めて、きちっとした一つの長官としての御見解を述べられたことはあるのでしょうか、このことについてちょっと伺いたいのですが、よろしくお願いしたいと思います。
  78. 中西績介

    ○中西国務大臣 閣議ではやっておりません。  なお、この問題については、与党プロジェクトにおける論議の推移もございますし、さらにまた、郵政省内における具体的な論議もあると。したがって、私たちとしては、こうした郵政省の今後行政のあるべき姿として、このNTT問題についての分割問題、どのようにして進めていくかについての論議の推移、そしてさらに、与党プロジェクトにおける一定の論議、あり方等々を十分しんしゃくをした上で私たちとしては判断をしていかなくてはならない、こういう立場に立っておりまして、これらの問題について総務庁の方からこれについての見解あるいは提起を直接行ったということはいたしておりません。
  79. 上田清司

    ○上田(清)委員 私どもの立場からすれば、少なくとも規制緩和の項目の中にこれから電気通信事業関係はたくさん出てくると思いますので、そういう意味合いにおいてぜひ御議論をかけていただきたいというふうに思います。それはもう、またの機会にさせていただきます。  次に、労働省の方にお伺いしたいんですが、有料職業紹介、基本的に業種別というんでしょうか、二十九業種のみになっているということでございますが、常識的に見て、なぜ制限されなきゃならないのかと。なぜ職業紹介がさまざまな形であれやってはいけない、これやってはいけないのかという、もう根本の議論を  まさしくこれは原則自由で、何かそれこそ変なことでもしない限りは、それはまた刑法とかで罰則ができるんじゃないかなというふうに思うのですけれども、まさしくこういうのは原則自由じゃないかなというふうに思うのですが、そうじゃないというところにどんな見解があるのか。もう初心に返って承りたいと思いますので、お願いいたします。
  80. 森山寛

    ○森山説明員 お答え申し上げます。  この有料職業紹介につきましては、既に昨年の十月から中央職業安定審議会の方で検討を進めておりまして、推進計画に基づきましても八年中に検討を得るということで今鋭意検討を進めているところでございます。  この職業紹介につきましては、例えば機会均等に関する職業紹介というもの、それから不的確な紹介というもの、これをどう担保して労働者の保護を図っていくかというような観点等々からさまざまな議論がございます。また一方で、最近の労働市場というところで労働力需給の強化という観点、これも強く要求されているところでございます。こういうものを踏まえまして、早急に検討を得りますように、ことし中に検討を得りますように鋭意検討を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  81. 上田清司

    ○上田(清)委員 なかなかすっきりしない回答だと思います。私が聞いたのは、検討をするというよりも、原則自由で例外禁止でいい部門のもう典型的なものじゃないかなと思うのですが、逆ですね、中身は。原則禁止で例外自由というような形だと思いますが、これから抜本的な構造改革、経済社会をつくっていくという視点からすれば、自由な市場、自己責任の原理に全く反するような話じゃないかなというふうに思うのですね。この点についてもう一回、なぜそんなふうになっているのか。歴史的な背景もあるのかもしれませんが、じゃ、原則自由にして具体的に何が困るのか、それを御教示賜りたいと思います。
  82. 森山寛

    ○森山説明員 この有料職業紹介につきましては、ILO条約がございます。ILO九十六号条約というものがございますけれども、それで二部と三部がございまして、二部の方はいわゆる国家独占ということでございます。例えばフランスの国等々はこの国家独占ということでございまして、基本的には民間の有料職業紹介を認めていない国でございます。日本の場合はILO条約の三部を批准をしておりまして、この三部と申しますのは、一定の監督のもとに認めていくというものでございます。そしてまた手数料等々の規制がございますが、そういうものを批准をしております。  で、日本はこの三部でございますので、この三部のもとで現在の政策を進めているところでございますけれども、そのときに、各国、この三部を批准している国におきましてもいろいろな労働者保護というのをどう考えていくか。この条約、そもそも労働者保護の観点からいろいろと規制がございますので、その観点から各国ともいろいろなさまざまな方法がございます。  そこで、私どもも今検討を進めておりますのは、まさに先ほど申し上げましたように、例えば女性とか高齢者とか、そういう方々への職業紹介の機会均等性という問題、これをどう図っていけばいいのか、どのように担保していけばいいのか、そういうものを含めながらいろいろな観点からの御検討を進めなきゃいけないということで、現在まさに労使相まっての御議論をいただいておりますので、それを、早急に結論を得るように進めていきたいというふうに思っておるわけでございます。
  83. 上田清司

    ○上田(清)委員 条約との絡みもあるという御指摘、私どもがまだ全然知らない認識だったので大変恐縮いたしますが、これも、ぜひ条約も含めて今後の検討課題に入れていただきたいと思いますし、関連するところで人材派遣業でございますが、これは今度少しふやしていただいたという経緯でありますが、これもまさしく、中高年あるいは主婦、そういった人たちに対する雇用機会を制限することによって奪う。その兼ね合いをどんなふうに考えておられるのか。今の問題と少し関連いたしますので、あわせてちょっとお聞きしたいと思います。
  84. 森山寛

    ○森山説明員 お答え申し上げます。  この派遣事業につきましては、現在、国会の方に派遣法の改正案を提出をし、御成立をお願いしているところでございますが、これは、有料事業に先立ちまして一昨年の十一月から審議を開始をしておりまして、昨年の十二月に建議をいただいたものでございます。  この中でやはり議論になりましたのは、先生指摘いただきましたように、対象業務をどうするかという問題でございます。これは現在十六でございますが、それにつきましては大幅に拡大をすべきだという御意見が一方でございましたけれども、もう一方の方で、やはり派遣という形態が、雇用する人と指揮命令する人が違うという形態でございます。この特殊な形態についての労働者保護をどう図っていくかということで、これも各国いろいろなさまざまな仕組みをとっております。  そういう中で御議論がございまして、結果的には十二の業務をふやしていくと。それからまた一方で、育児休業、介護休業、こういう場合におきましての特例としましては、それを原則自由という形で広げていくということで、こういう内容のものをお出しをしているわけでございます。  これにつきましても、私ども、まずその法律の早期成立というものをお願いしておりますし、それからまた、引き続きこの推進計画に基づきまして、八年度中にはまたこの派遣につきましても検討を進めていくというふうになっております。
  85. 上田清司

    ○上田(清)委員 これは労働政策の根本を問うような話になると私自身は思いますが、常態雇用を基本的には保護するというお立場の中でこれまでのいわば雇用関係、労働政策があったというふうに私は受けとめておりますが、しかし一方では、あらゆるニュービジネスの中で、常態雇用じゃない、そういう部門の方が、勤労者というんでしょうか、労働者そのものがまたそれを望む形態もあるんですね、そういう常態雇用の保護は要らないと。むしろ、少し保護されなくてもいいから、積極的にそういう意味での派遣事業等で、安定はし ないけれども、好きなときに好きなような形で働くというそういう意識を持った人たちもふえてきているという認識で、労働者、勤労者も考え方が違ってきていると、そういう意味合いに立って、窓口というんでしょうか、業種間もたくさん広げていく、ここはぜひそういう認識に立っていただきたいということを強く要望を申し上げます。これは御返事は要りません。  時間があと少しになってきましたので、これは総務庁長官に伺いたいと思いますが、御承知のとおり、これは急な質問、朝に持っていきまして、大変御無礼で申しわけありません。  たくさん、日本の許認可をとる体制の中で、各省庁にまたがっているというのがかねてから御指摘が多いものがありまして、例えばダイエーの中内さんなんかよく言われるのですが、とにかく小売業の大型店の出店でも、営業関係に限ってだけでも十二の法律、二十六種の許認可、そして七十五種類の申請書、枚数にして最低でも三百四十枚、五百枚ぐらいはざらだ、このくらい手間暇がかかる。それもこれもいろいろな許認可事項が各省庁にまたがっている、そういう問題があるということで、事業機会、あるいはまた先ほど申し上げた経済の構造的な抜本改革、長官が表明されたところと相当食い違うような形になっていると思いますが、これは、今回の改定計画の中で、各省庁とのまたがる規制部分緩和をどんな形ですり合わせてこられたか、どういう形で今後整理されていくのか、また検討課題としてどの程度しっかり各省庁間に受けとめられたか、この点について、長官の御意見を賜りたいと思います。
  86. 陶山晧

    陶山政府委員 ただいまの先生の御指摘は、極めて重要な要素を含んだ御指摘であろうと考えております。  規制緩和の計画を改定いたします場合に、あるいは当初策定いたしました場合も同様でございますけれども、民間の事業者のお立場からの御意見や御要望を、ある意味の契機として、それを具体的にどこまで可能かということを所管省庁に検討していただくというシステム、やり方を基本的にはとってきておるわけでございますが、御指摘のような複数省庁にまたがる許認可手続の簡素合理化ということにつきましても、民間の業界とか事業者、個々の方々からの御意見、御要望がいろいろ出てまいっております。  そういう、ただいま申し上げましたような観点で、極力御意見、御要望を実現、どこまでかは別として、どこまで実現できるかという意味で、各省庁に真剣な検討お願いしてまいりました。今回の計画の中でも、時間の関係上個々個別には申し上げませんけれども、複数省庁にまたがる許認可手続の様式の統一でありますとか簡素化でありますとかが盛り込まれておるところでございます。  今後とも、具体的な御要望、御意見を受けて、引き続き各省庁にその見直しを私どもの立場としてはお願いをし、極力簡素合理的な仕組みに改めていくように努力をしてまいりたいと考えております。
  87. 上田清司

    ○上田(清)委員 時間になりましたが、本当にありがとうございました。これからの社会が大蔵型のパイを分配する社会じゃなくて、むしろさまざまな広がったパイを集約していくというような、そういう未来を持っているような意味合いを持っておると私は思いますので、総務庁の役割というのは大変重要だというふうに思っておりますので、長官以下、どうぞ頑張っていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  88. 石破茂

    石破委員長 吉井英勝君。
  89. 吉井英勝

    ○吉井委員 私は、きょうはタクシー事業の分野について少しいろいろお聞きしたいと思うのです。  実は昨年五月二十四日の当委員会の参考人質疑のときには全国乗用自動車連合会理事長にも来ていただいて、タクシー分野に関して陳述を求めたことがあります。そのときにこの理事長は、他の産業に比べて年間労働時間三百十二時間多く、平均年収百三十八万円低いのがタクシー事業の分野だ、そういう紹介がありました。  中西長官の出身地であります福岡県、タクシー事業の分野で、ここは、北九州市とか福岡市が非常に自動車の台数が多過ぎるというので有名なところで、私も東京や大阪におりまして、そして福岡、北九州に行ったときに本当に多いなということで感心しているところですが、せんだって、そこの問題について実はタクシーの労働者の皆さんからいろいろ伺いました。そうすると、福岡では、九一年の三百五十五万円から九四年には三百三十一万円へと、三年間で二十四万円平均年収が減ったという話、これは一般の労働者の賃金と比べても二百十一万円も低いんだ、つまり、昨年規制緩和で来られたときの理事長さんのお話は全国レベルなんですが、それに比べてもうんと福岡は深刻な事態なんだということを伺いました。  そこで、運輸省に最初に伺いたいのですが、過去三回のタクシー事業者からの運賃改定申請と運輸省の許可条件には、例えば九州運輸局長の方から「運賃及び料金の変更認可について」というものを出された中で、労働時間の短縮それから賃金引き上げに充当することなど、良質な労働力の確保を図るために運賃値上げを許可するということにしておったように思うのですが、この点はどうでしょうか。確認しておきたいと思います。
  90. 藤井章治

    ○藤井説明員 九州地区は四つの運賃改定ブロックより成っておりますが、そこにおきますタクシーの運賃改定の最近の情勢でございますが、平成六年十月から七年五月にかけまして、御指摘のとおり、労働時間の短縮を含めます労働条件の改善並びに経営収支の悪化を防ぐという目的で申請がございまして、同年の五月から九月にかけまして逐次認可をいたしたところでございます。その際、特に労働条件に関しましては、週四十四時間から四十二時間へ時短をするということが前提となっておりまして、これは労使のお話し合いの中でそのような形でやりましょうという合意の中で、そうした時短原資、これを運賃改定の要素としまして織り込みまして、あわせて、賃金に所定のベースアップ、これも含めて査定原価に織り込んだところでございます。その際、先生指摘のように、九州運輸局長から各事業者に対しまして指導通達を発しまして、これら当初の所定の労働条件の改善あるいは利用者サービスの改善等につきまして指導をいたしたところでございます。
  91. 吉井英勝

    ○吉井委員 ところが、せんだって、二月二十九日付になりますが、毎日新聞で、値上げ許可をやって増収があった、しかし賃金の引き上げ等がやられていないとか、それから、事故防止に万全を期すとの指導もやってきたんだが実効が上がっていないということで、そこで九州運輸局の方が二十二社を指導監査をやったというふうにも報道されておりますが、どういうふうなことをされたのか、簡潔で結構ですから、伺っておきたいと思います。
  92. 藤井章治

    ○藤井説明員 先ほども申し上げましたように、福岡地区を初めとしますタクシーの運賃改定におきまして、改定による増収効果が着実に労働条件の改善に充当されますように、一定期間を経過した後に調査データ等を求めておったところでございます。  その中で、私どもとしては、労働条件の改善等が当初の申請に比べて不十分な事業者に対しては、個別に事情聴取するということも指導してきたところでございます。  その中で、九州運輸局では、ことしの二月から三月にかけまして、御指摘のような二十二事業者につきまして、一般監査にあわせまして労働条件の改善等を調査し、必要な指導も行ったところでございまして、こうした措置は今後とも引き続き行っていきたいというふうに考えております。
  93. 吉井英勝

    ○吉井委員 これはタクシーの、働いている皆さんからも伺った話なのです。要するに、時短それから賃金を引き上げる、それを運輸局の方は許可条件にして運賃値上げを認めたのに、増収があってもそれに使われなかったら、いわば詐欺みたいなものじゃないかと。許可した側もそこを厳正に 指導される必要があると思うし、まあそんなことでやっていらっしゃるわけではないのはよくわかっていますが、いわば詐欺行為の共犯みたいなことを言われるようなことがあっては不本意な話になりますから、ぜひこれは厳正にやっていただきたいというふうに思うわけです。  そこで実は、三月二十四日に西日本新聞の方でも、これは御存じかもしれませんが、さらにいろいろ紹介されているのです。  私もこれを見て驚いたのですが、福岡の場合、非番の日はアルバイトをやらないとやっていけない。月十二日乗務で五十万円の運賃収入を上げても月給二十万円強だ。だから何をやっているかというと、午前四時に二十四時間近いタクシー乗務を終えてわずかの仮眠をとった後、福岡市東部の埠頭岸壁で荷揚げ作業車の運転をやるようなアルバイトとか、随分あると。  ある運転手の証言として紹介されているのですが、会社がバイト社員は就業規則違反で解雇しようとしたが、みんな生活が苦しいものだから、半分がバイトをやっておって該当してしまう、だから解雇だ何だという話も吹き飛んでしまったというのですね。そういうことで実は、ノルマに焦り、長時間労働、非番のアルバイト、勢い交通事故がふえてくるという状態に置かれているのだということが西日本新聞でも紹介されております。  そこで、九四年十二月九日付で、この点で福岡労働基準局長からも福岡県乗用自動車協会長あてに、福岡のタクシー業界では労働基準違反と改善基準違反が多いとした上で、四十時間労働制実現に努力すること、恒常的な長時間労働につながる賃金制度を導入しないこと、累進歩合給制度を廃止することなど、労働条件の改善をされたいと指導していると思うのですが、この点はどうでしょうか。  また、一年半たってまだ、新聞で紹介されるように、事態が改善されずにおるわけですが、労働省としては、このままでいいとは思っていらっしゃらないと思うのですが、どういうふうにされるのか、この点を伺っておきたいと思います。
  94. 福島康志

    福島説明員 お答え申し上げます。  タクシーの労働時間が長いというのは御指摘のとおりでございまして、労働省としましても、タクシー、トラック、それからバス、そういった自動車の運転者の改善基準というものを設けまして、これを遵守をお願いするというような指導をしているところでございます。  福岡局におきましても昨年の五月に、運賃改定に伴いまして、事業主団体に対してそういう趣旨の要請を行ったということは御指摘のとおりでございます。その際に事業主団体から基準局の方に報告がございまして、もちろん全社が労働条件を改定したわけではございませんけれども、多数の事業主が改定をしたという報告を受けているところでございます。
  95. 吉井英勝

    ○吉井委員 次に、総務庁の方で行っておられる行政監察の結果報告、これも読ませていただきましたが、特に安全対策についての勧告というのもあります。  ここでは「タクシー事業については、旅客を運送するものであり、その事故の発生は人命や身体の安全に直接影響を及ぼすことから、これを未然に防止するための方策を確立するとともに、その徹底を図ることが必要である。」こういうふうに指摘がなされております。  そして実は、この報告書を読んでいると、タクシーの運行の安全確保のために運転者の適正な労働環境を確保し疲労乗務を防止することが必要だとして、運輸規則第二十一条により「過労の防止を十分考慮した運転者の勤務時間及び乗務時間を定めること」「疲労等により安全運転ができない運転者を乗務させてはならない」等々の点、また「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」という労働省告示、そして運輸省地域交通局長通達の「自動車運転者の労働時間短縮について」などを踏まえて、それで現状はどうなっているのかということを調査をした結果、タクシーでは七一・〇%の違反があるというふうに指摘しているように私は読み取ったのですが、簡潔で結構ですから、行政監察の結果について伺いたいと思います。
  96. 大橋豊彦

    ○大橋政府委員 今、委員が御指摘になりましたように、昨年の十二月に旅客自動車運送事業に関する行政監察結果をまとめまして、関係省庁に勧告いたしたわけでございます。  内容は、各種規制緩和あるいは輸送サービス対策、それから今、委員が御指摘になりました安全運行対策という、三点について指摘をしております。  安全対策については二つの事項について勧告しておりまして、一つは、事故報告、事故があった場合に運輸局などに報告がされますが、その際に事故の再発防止対策まで含めて報告させる措置を講じていただきたいということ。それから二番目に、今、委員がお話しになりましたように、保有車両数に対応した運転者が確保されていない事業者がございました、そういう事業者につきましては、運転者の確保あるいは休車または減車を指導するなど適切な措置を講じていただきたいという勧告をいたしているところでございます。
  97. 吉井英勝

    ○吉井委員 大臣にいろいろ聞いていただいたわけですが、私の話を聞くまでもなく、地元のことですからよく御存じのことと思いますが、これがタクシーの交通事故の要因となっているのですね。  実は、ことしの三月二十六日付の西日本新聞でも、二十四日付に引き続いてまた紹介しております。供給過剰そして賃金の引き下げ、長時間労働やスピード違反走行、これが交通事故につながり、旅客の安全に支障を来したり、公共交通機関としての役割の上からも非常に問題が出ているといったことがずっと指摘されているわけです。  今の総務庁のお話にも、だからこういう改善をという話があったわけですが、供給過剰のひどいのが福岡なんですね。タクシーの交通事故というのを福岡の場合、調べてみますと、昨年一千四百六件、百台当たりの件数が十二・七七件で、神奈川県に次いで二番目、全国ワースト二位が七年連続している。本当にひどい事態が北九州、福岡で特にずっと続いているのですね。  私は、こういう点で総務庁長官に、監察結果に基づいて、まあ運輸省も労働省もいろいろ頑張ってもらっているときなんですが、やはり賃上げとか時短とか、それから減車を働きかけて——この減車についても、実は九四年十二月に九州運輸局自動車部長名で、タクシー減車の必要性について、福岡の場合はこうだという話もしておられるわけです。やはりそういったことを、運輸省、労働省、総務庁指導調査が本当に生きてくるように、この点では、地元であるとともに労働運動にも経験のある大臣として、ぜひ働きかけて、こういう点の改善に努めていただきたいと思いますが、この点は大臣の方から伺っておきたいと思います。
  98. 中西績介

    ○中西国務大臣 今指摘のございました旅客自動車運送事業に関する行政監察、これを行うことによって、それぞれ省庁に対して要請をしておるところでありますけれども、この部分につきましては、勧告に沿って改善措置を講ずる旨の回答を運輸省等からいただいておることは事実であります。これが徹底されるように、従来に増して関心を強め、そして継続してこれらの推移を見守っていきたいと思っております。
  99. 吉井英勝

    ○吉井委員 特に、総務庁の話にもありましたが、需給調整とか減車の問題なんかについても一つ気になる動きがあるのです。それは、独禁法違反だとか規制緩和に逆行するんだという、それで責め立てるわけですね。だから、運輸省や労働省の方が萎縮してしまう。事態がこういうひどいことになっているのだから改善しようとせっかく取り組んでいるのに、一方で萎縮させてしまうようなやり方が大きな矛盾を生み出しているという実態にもなっているのです。  もともと独禁法というのは、戦後つくられたときには戦前の旧財閥の支配、余りにも異常に強大な事業支配力を持って市場支配を行っていく、自 由競争や公正な取引が阻害される、それを排除するということで生まれているわけですが、タクシーの場合、大体保有台数百台以下の中小業者が九六%という状態ですね。だから、旧財閥の支配しているような社会と全然違うわけです。ここで減車等の調整をしないで野放しにするとどうなるか。少数の力ある事業者のみ生き残って寡占状態へ進んでいって、その後に高い運賃が押しつけられる。またそれが交通事故の危険をひどくしたり、あるいは不法駐車その他のさまざまな問題を一層ひどくするというのが実態です。  実はこれは、私が勝手なことをひとり言っているのじゃないのです。私この点で、橋本総理の「政権奪回論」というのをこの間読みました。この中で、橋本総理もやはりタクシーの例を挙げて私と同じ指摘をやっていらっしゃるのです。二百ページのところからあるのですけれども、関係した部分だけちょっと御紹介しますと、「規制緩和はすべて国民生活にプラスに働くと決めつけることは、非常に危険な発想だ。規制緩和によって競争原理が生じ、新規参入を促すとともに競争による価格低下が期待できることは否定しない。しかし、ある意味では野放し状態を容認するという危険性も必ずつきまとう。」規制を「全廃したあとのことを冷静に考えれば、規制緩和がすべて正しいなどとはいえないはずだ。」と主張しています。  その前のページでは、「ここで留意していただきたいのは、「規制=悪、規制緩和=善」という単純な図式であり、また、そういった風潮に対してである。」ということを総理も指摘しているわけですが、最近、オウムの麻原のマインドコントロールにかかったみたいに規制緩和万能論を賛美する風潮がある中で、やはりヘッドギアを外して、この規制緩和の中で、緩和すべきもの、維持すべきもの、逆に強化すべきもの、そこをそれぞれの分野できちっと仕分けをしてさめた目で見ていくということをやらなかったら、これは誤ってしまうと思うのですよ。私はそういう点で、総理のこの部分というのは一つの見識を示したものだなと思って読ませていただきました。  大臣、時間も終わりに近づいてまいりましたので、タクシー事業のような公共交通機関は、何といっても安全確保第一。異常に長い労働時間や供給過剰で水揚げを上げるのに無理をし過ぎるような環境、そういうものは事故のもとになるわけですから、これはやはり規制緩和万能論じゃなくて、安全運行を第一とする。またその条件整備に全力を尽くす。総務庁長官としても、また内閣としても、こういう分野についてはそういう立場で、運輸省、労働省、総務庁長官も一体となって取り組んでいただきたい。先ほどの質問と若干重なりますが、重ねてこの点での大臣の決意というものを伺って、私の質問を終わりにしたいと思います。
  100. 中西績介

    ○中西国務大臣 先ほどもお答えいたしましたけれども、所管の省庁の皆さんと十分な連携をとりながら、今言われましたように、命というものを十分頭に入れてこれからの行政というのはなすべきであるし、産業の活性化などということで無理を強いることによってまた逆に引き戻されるという規制緩和等があるわけでありますから、そうならないように、十分そうした点を確認し合いながらこれから推し進めていく必要があるだろう、こう思っております。
  101. 吉井英勝

    ○吉井委員 終わります。     —————————————
  102. 石破茂

    石破委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 石破茂

    石破委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十六分散会