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1996-04-10 第136回国会 衆議院 規制緩和に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月十日(水曜日)     午後一時開議 出席委員   委員長 石破  茂君    理事 岸本 光造君 理事 橘 康太郎君    理事 松下 忠洋君 理事 西川太一郎君    理事 野田 佳彦君 理事 永井 哲男君    理事 枝野 幸男君       安倍 晋三君    栗本慎一郎君       小杉  隆君    福田 康夫君       宮路 和明君    森  英介君       渡瀬 憲明君    伊藤 達也君       上田 清司君    岡田 克也君       河合 正智君    武山百合子君       秋葉 忠利君    輿石  東君       吉井 英勝君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総務庁長官) 中西 績介君  出席政府委員         行政改革委員会         事務局長    田中 一昭君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         総務庁行政監察         局長      大橋 豊彦君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局官房庶務         課長      伊東 章二君         公正取引委員会         事務局経済部企         業課長     舟橋 和幸君         公正取引委員会         事務局取引部取         引課長     鈴木 恭蔵君         大蔵省証券局証         券市場課長   後藤 敬三君         厚生省生活衛生         局乳肉衛生課長 森田 邦雄君         農林水産省構造         改善局農政部農          政課長     石原 一郎君         農林水産省農産         園芸局果樹花き          課長      清家 金嗣君         農林水産省畜産         局衛生課長   青沼 明徳君         郵政省郵務局企         画課長     伊藤 高夫君         労働省職業安定         局雇用政策課長 青木  功君         労働省職業安定         局民間需給調整          事業室長    森山  寛君         特別委員会第三         調査室長    金山 博泰君     ————————————— 本日の会議に付した案件  規制緩和に関する件(規制緩和推進計画改定  等)      ————◇—————
  2. 石破茂

    石破委員長 これより会議を開きます。  規制緩和に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岸本光造君。
  3. 岸本光造

    岸本委員 自由民主党の岸本光造でございます。規制緩和に関する諸問題についてお伺いをしてまいりたいと存じます。  この間から、計画改定があったわけでございますが、総務庁長官行革委の皆さんには大変な御労苦であったと敬意をささげる次第でございます。さきに、四月三日に総務庁長官発言をされました要旨、この要旨についての基本的な考え方あるいは理念、この改定に当たってどういう考えでやったのか、これをまず冒頭にお伺いをしたいと思います。
  4. 中西績介

    中西国務大臣 規制緩和につきましては、我が国経済社会の抜本的な構造を変えるということがまず主要な課題でありまして、国際的に開かれ、自己責任原則市場原理に立った自由な経済社会、こうした体制をどうつくり上げていくかということが最大の課題になっておりますので、私たち規制緩和というものの重要性をこのように認識をいたしておるわけであります。したがって、政府といたしましては、規制緩和を国政上の最重要課題として位置づけまして、その計画的な推進を図ってまいりまして、三月二十九日には、規制緩和推進計画をより充実した内容として改定をいたしたところであります。  今回の改定に当たって、各省庁において、行政改革委員会意見最大限に尊重するとともに、内外の御意見も十分踏まえまして、その上に立って積極的に既定計画を見直すことや、新たな規制緩和方策を積極的に盛り込んで、既定計画に計上された方策についても実施時期の前倒しあるいは実施内容具体化を図るように努めてまいったところであります。
  5. 岸本光造

    岸本委員 確かに、長官が今答弁のとおり、自己責任原則市場原則に立つ自由な経済社会、すばらしいスローガンでございまして、このとおりいけばいいな、私はこう思うのですが、国民の中には、規制緩和に対して、進めていこうというものと残しておいてもらわなくちゃ困るというものといろいろな意見が相半ばしているように私は思うわけでございます。ところが、行革委は積極的な推進派だけで構成されているように伺っております。  この間、当委員会参考人として大宅映子さんほか二人の方をお招きしていろいろ意見を伺ったわけでございます。この中で、大宅映子さんの意見では、競争社会であるから競争していくのは当然である、努力をして負けていくものはこれは仕方がないというような、そういう発言があった、これが私はとても印象に残っておるのですが、そうなりますと、日本のような中小企業が多い社会の中では、失業者がたくさん出てくることになるのではないか、そういう危険性というものを感じるわけです。  特に、日本西洋型の社会とでは違います。日本というのは農耕民族ですから、共同作業でいろいろなものをつくっていく情のある社会であったわけでありますし、片や西洋の場合は狩猟社会でございまして、最後の一匹までしとめる、殺していく、殺りくしていく、そういう厳しさのある社会でございます。  そういうことを考えると、ちょっと一律全部何もかも規制緩和していくということに、私は物すごく抵抗感を個人的には持っておるわけですが、その中で、同じく当日参考人にお見えになった田中直毅さんが、行革委推進派オンリーであるが、慎重な意見については国会民主的手続の上に最終判断すべきだ、こういうふうに申されたわけでございます。しかし一方では、行革委意見最大限尊重すると閣議決定をされております。  そういう中で、どのように判断されていくのか、また、長官国会に対してこの問題についてどのようなことを期待されておるのか、それをお伺いしたい、こう思います。
  6. 中西績介

    中西国務大臣 お答えします。  行政改革委員会の五名の委員の場合は、内閣総理大臣が任命いたしまして、国会の承認をいただいておる、こういう経過がございます。委員会のもとに置かれておる専門的な調査検討を行う規制緩和小委員会の参与につきましては、委員五人による合意の上での委員長指名によって委嘱をしております。したがって、各界から幅広く、規制緩和推進についてすぐれた御意見あるいは御見識をお持ちの方々だと私たちは思っておるわけであります。こういう方々に参画をしていただいておる委員会であります。  小委員会の構成につきましては、今後の日本構造改革を果たすために総合的に講ずべき施策の一環として規制緩和を積極的に推進すべきであるという認識をお持ちの方ばかりでありますけれども国民の痛みを顧みず、ただ規制緩和が進めばいいという経済効率あるいは規制緩和万能論者は一人もいないと私は思っております。  昨年十二月にちょうだいいたしました御意見につきまして、規制維持に賛成の方々や、所管省庁を初めといたしまして、関係方面、よく議論をして取りまとめていただきましてこのようにまとめていったと認識をいたしておるわけであります。したがって、御意見は、多様な考え方を十分反映したものであると考えております。改定計画のような、プロセスを経て作成された行政改革委意見最大限に尊重したものであって、計画に基づく措置につきましては、私はぜひとも御理解をいただければと思っています。
  7. 岸本光造

    岸本委員 三月二十九日の改定計画閣議決定評価でありますけれども、このときに、実施困難と雷われたものから約六十項目計画に盛り込んだ、これは大いに評価されることだと私は思うのです。それから、建築基準法性能規定に改める、あるいは外為管理制度の抜本的な改革、あるいはみりんや塩の販売自由化、あるいは千三十円以下の化粧品再販指定廃止、あるいは医療機関広告規制緩和などなど、国民生活にかなり密着したところで規制緩和が進んで、いいなということを感じるわけですが、しかし、これは国民一顧実感をしていないと私は思うのです。これは、ちょっとPRが不足しているのではないか。新聞を一面つぶして、あなたの生活はこれからこういうふうに変わりますよというぐらいのことを、この規制緩和によって得られる国民のメリットを、新聞一面でもいいですよ、何かパンフレットを出していると聞きますけれども、そんなパンフレットはみんな見ませんから、新聞だったら見ますから、テレビのコマーシャルで流してやるとか、そういうことをしないと、一顧評価実感が出てきていない。  例えば、それを扱った新聞、「規制緩和の公約を忘れるな」「大胆な方策を欠いた。」「辛うじて一歩だけ先へ進んだ」「構造転換の意欲に欠ける」「項目数こそ多いものの、踏み込んだ目ざましい措置は、まことに少ない。」これは各紙の社説、主張ですよ。こんなことが書かれているのですよ。こういうことを新聞が書いておるのですが、今私は幾つか項目を挙げましたが、無差別に挙げたのですが、非常にいい部分が出てきているわけですから、そういうふうなものをやはりPRすることが大事である、こう思います。  そこで、新聞がえらい辛口の論調を書いておるのですが、ちょっと話が変わるのですが、私聞きたいのです。PRの問題についてはまた答弁いただくことにいたしますが、ついででありますので、もう一つ伺いします。  大宅映子さんが参考人で来たときに、この問題については聖域はない、こう言われたのです。あらゆるものが対象になる、こうなったのです。そうしますと、著作物再販制度見直しは、これは聖域になっているのですよ。継続検討課題になっていますね。それで平成九年か十年ごろに意見をまとめるのだというようなことになっていますね。これがいいとか悪いとか私は言いません、日本の文化だと言う人もおりますから、これは一概に、いろいろ問題があるから賛否は言いませんが、なぜこれは聖域にしているのか。それで、その聖域にされておる新聞がこんな論調で書いておるということはけしからぬ。これだけいろいろなことを努力しているにもかかわらず、書かれています。  だから、この聖域の問題とPRの問題について、二点まとめてお答えいただきたいと思います。
  8. 陶山晧

    陶山政府委員 まず最初のPRの問題でございますが、ただいま先生から御叱正をいただいたというふうに理解をいたします。  私どもとしてもできるだけの努力はしているつもりでございますが、規制緩和推進していくに当たって、国民一般方々の御理解、御協力をいただくことが極めて重要でございます。そのために昨年初めて規制緩和白書の作成をいたしましたが、これを初めといたしまして、今後引き続きさまざまな機会に方法について知恵を絞って、できるだけ一般にわかりやすい形でのPRの仕方、広報の仕方を考え、それを積極的に進めていきたいと考えております。  二番目の点でございますが、公正取引委員会から御答弁があるかと思いますけれども、ただいま先生聖域というお言葉をお使いになったわけですが、私ども政府立場としては、規制緩和について聖域を設けているということはございません。  ただいま具体的に御指摘のありました事項については、御案内のように政府与党の中でも与党三党の行革プロジェクトチームという場があり、そこで規制緩和について個別具体的ないろいろな議論が行われたわけでございますが、そういう場を通じ、また政府部内、いろいろな各立場において、現段階で必ずしも一定結論方向が見出せないという状況にございます。そういう意味において、引き続き政府としても検討するということになっておりますが、なお行政改革委員会におきましても、この問題について具体的な結論の御提言はございませんで、引き続き委員会として検討を続けていくという内容になっているところでございます。
  9. 鈴木恭蔵

    鈴木説明員 著作物再販についてでございます。  先生案内のとおり、再販制度一定の条件のもとで例外的に独禁法適用を除外する制度でございまして、昭和二十八年に導入されたものでございます。ただ、今日消費者利益の確保とか公正自由な競争という観点から、私ども公正取引委員会は、規制緩和独禁法適用除外制度見直し一環といたしまして、著作物再販制度につきましても目下見直しを行っているところでございます。政府におきましても、この三月の規制緩和推進計画におきましても、再販適用除外が認められる著作物については、平成十年三月末までにその範囲の限定、明確化を図るとしております。  本問題についてでございますが、昨年七月に私ども学識経験者から成ります再販問題検討小委員会中間報告を出させていただきました。現在、私ども公正取引委員会関係業界消費者団体等方面から意見要望等を聞くとともに、引き続いて国民各層の多様な御意見を把握するとともに、あわせまして、諸外国再販制度運用状況あるいは各業界の諸制度、諸慣行、こういったものを検討しまして、平成十年三月末までに本問題について結論を出すということにしております。
  10. 岸本光造

    岸本委員 なぜそんなに長い時間がかかるのですか。
  11. 鈴木恭蔵

    鈴木説明員 ただいまお答えしましたとおり、現在、国民皆様方の御意見等いろいろ実態を把握する必要があるということ、それから諸外国再販制度運用状況、これにつきましてまず把握するということ、それから諸制度、諸慣行、こういったものでございます。
  12. 岸本光造

    岸本委員 そうしたら、ほかのことも皆そういうふうにすればいいやということになりますよ。ほかのことも、諸外国のことも調べて、国民の中にはいろいろな対立がありますから、長い時間をかけて一遍研究しいやということになりますよ、今の論理だったら、あなた。——いや、時間がありませんからもう答弁は要りません。  次にお伺いしますが、この間の長官発言要旨をいただいているのですが、その冒頭一行目に「我が国経済社会の抜本的な構造改革を図り、」こうあるのです。これが、前になかったのですが、今度の改定計画の中に「抜本的な構造改革を図 り、」という言葉が入ってまいりました。これはどういうことを目的として掲げられたのか、この意図をお伺いしたいと思います。
  13. 陶山晧

    陶山政府委員 ただいま先生の御指摘がございました冒頭部分でございますが、我が国経済構造改革我が国経済の将来の展望を切り開くためには急務である、こういう認識橋本総理大臣施政方針演説等におきましても明らかにされているところでございます。  規制緩和推進構造改革を進めていく上での一つの試練であるという意味において、規制緩和目的として、構造改革方向性をいわば改めて明らかにしたというふうに御理解をいただきたいと存じます。
  14. 岸本光造

    岸本委員 総務庁計画全体を千七百九十七事項、そのうち新規事項として五百六十九事項盛り込んだと説明をされておるわけです。この盛り込んだ項目の中に、極めてささいなものからあるいは計画外措置であったものなどを入れてきた。それで数だけふやした。数をふやさなければいかぬということでふやしたというようなことはないのですか。  規制緩和というのは数よりも質の問題だと私は思います。例えばNTTの問題、あるいは持ち株会社の解禁の問題、大店法の問題、これは物すごい大きな問題であると思うのです。ところが、諸手続、いろいろな役所の手続がありますね、これを合理化していく、これも一件にカウントしているわけです。そうなりますと、国の経済構造を転換していくようなものにかかわるものもカウントで一、何その手続、紙一枚不要になったというようなことでもカウント一ということになって、数だけふやしておる。だから、千何ぼにもなったとかいって、数はふえるけれども、中身の質が変わってない。こんなことでは困るだろうと思うし、カウントの仕方がおかしいのではないか、こう思うわけです。量より質だと思いますので、その辺のことをちょっとお伺いしたい。
  15. 陶山晧

    陶山政府委員 数よりは質ではないかといっただいまの先生の御指摘は基本的に全く私も同感でございます。件数とか事項数というものを私ども説明いたしておることは事実でございますが、マスコミ等の求めに応じまして便宜カウントをしているということでございまして、措置事項の数をもってこの改定計画内容を論ずるという考えはございません。そこはぜひ御理解をいただきたいと存じます。  規制緩和におきましてあくまでも重要なことは、個々の措置それぞれの重要性、いわば質的な問題であるということであろうと思います。そういう意味において先生と全く同じ考えを持っておりますが、今後とも質的により充実した規制緩和方策を引き続き計画に盛り込むことができるように政府全体として努力をしていかなければならないと考えております。
  16. 岸本光造

    岸本委員 時間がありませんので次へ行きますが、今度の規制緩和の中に「輸入手続の一層の簡素化迅速化推進する。」というのが入っております。自由化をして豊かにしてくれるのは非常に結構なことでありますけれども、イギリス産の牛肉、これは農水省が一切入っていないと言ったのですが、四月五日付の日経新聞、「英国牛肉百九十トン輸入」、ことしの一月から三月まで、こういう記事が載っております。  それで、大阪なんかではこれが出ていたのです。私たまたま大阪駅を通ったら、大阪新聞ですが、これはちょっと大臣に見てほしいのですけれども、こんなものを売っているわけです。パニックですよ。二十万とも四十万とも、この新聞は出ているのですね。「英国肉 大阪上陸」と書いてある。厚生省追跡調査をして、まだ売られてないのだったらこれは自粛しようと。私見ていたら、えっと言って、皆買いに走っていました。駅頭でこれを皆買っていましたよ。農林省は入ってないと言うのに、突然こうしてこんなものが出てきたのです。一月から三月、入っているのですよ。今、世紀末ですから、いろいろな変な病気、わけのわからぬのがはやるのでしょう、エイズにしても狂牛病にしても。こんなものが自由化して、規制緩和してどんどん入ってきたらこれは困る、こう思うのですが、農林省厚生省と、これの対応、どうなっているか。みんなかからなきゃいいですよ、日本人が。でも、農林省厚生省縦割り行政の中で、どこかで菌が間違って人間に入った——くしくもこの日、フランスで青年が狂牛病で死んだという報道があったですよ。だから、人間にうつるかどうかの因果関係というのはよくわかりませんけれども、この辺やはりきっちりしてもらわないと私は困る。  時間がないですから、答弁、簡潔にやってください。
  17. 青沼明徳

    青沼説明員 御説明申し上げます。  一部新聞紙上で伝えられております輸入された牛肉は、いわゆる牛肉ではない、牛肉ではなくアイルランド産の牛の胃袋及びその他のものと考えられております。本年一月から三月までの牛の胃袋輸入量は、厚生省調べでは八十八トン、動物検疫所調べでは百二トンとなっております。この胃袋につきましても、去る三月二十七日から輸入禁止措置を講じたところでございます。その他のものにつきましては、千度Cで三時間処理をされましたカルシウム等でございまして、これは動物検疫対象品でございまして、当省としてはその輸入数量は把握していないところでございます。  我が国におきましては、英国本島からの牛肉、牛の臓器につきましては、昭和五十一年以来輸入を禁止しておりまして、さらに今回、これまでの輸入禁止品目に加えまして、英国から輸入される可能性のある牛肉加工品等につきましても、三月二十七日の船積み分より当分の間輸入を禁止し、防疫の万全を期することにしたところでございます。
  18. 森田邦雄

    森田説明員 御説明いたします。  ただいま農林水産省から御説明あったとおり、牛肉ではなくて、胃袋ですとか骨とかそういうものが入ってきたというわけでありまして、現在国内で流通しております肉については、全くこれとは関係ないということでございます。  ただ、この問題、狂牛病と人の関係がありますので、既に輸入されたものについて、胃袋ですとかそういうものにつきましては追跡調査を行っております。追跡して、わかり次第、販売を自粛するような措置を講じていきたいと思っております。
  19. 岸本光造

    岸本委員 胃袋狂牛病関係ないという因果関係、あなたわかっておるのですか。あるいは、骨は脊髄に関係あるのに、これは狂牛病関係ないという医療的証明はできるのですか。こんなこと、まだできてないでしょう。できてないのに百九十トン入ったということはそれはやはり重大な問題ですから、農水、厚生両省がやはり責任を持って国民にこういう恐怖心、それから感染するという危険を取り除くように手だてをしていただかなければ困る、こう思います。  それから、最後一つカルテル制度見直しについて、果樹農業振興法の、果振法というのですが、独禁法適用除外制度を十年までに廃止をする、こういうふうに言われております。これは、果実農家とそれから中小零細ジュースミカン加工農家との間の原料のやりとりを決めてきたものですが、これは四十一年から今日まで続いております。今回廃止になるということになりますと、農家経営、それから中小企業缶詰ジュースなどの経営者に影響を与えないかどうか、その辺をお伺いをしたいと思います。
  20. 清家金嗣

    清家説明員 御説明申し上げます。  今先生指摘制度につきましては、加工原料用果実取引安定化を通じ我が国農業果実加工業の健全な発展に資するということをねらいといたしまして、昭和四十一年の法改正のときに導入したものでございます。本制度が創設されました四十年代前半におきましては、非常に零細な加工業者が多数操業していたこと等から、一部の缶詰用温州ミカン取引に本制度が活用されておりました。  ただ、昭和四十六年以降は本制度活用実績はございません。これは、温州ミカン中心果実需給緩和基調で推移してきたことに加えまして、昭和四十七年度から加工原料用果実価格安定対策事業を開始しまして取引安定化を図ってきたこと、また二つ目には、ミカン缶詰加工業者中心果実加工業者数が大幅に減少していること等から、本制度活用必要性が薄れてきたためだと考えております。  このような情勢のもとで、規制緩和推進計画において個別法に規定しております独占禁止法適用除外カルテル制度廃止等措置が行われることになったわけでございますが、本制度につきましては、廃止をしたといたしましても今後の加工原料用果実安定取引に支障を来すことはないものと考えております。  ただ、先生の御質問の趣旨を十分に体しまして、私どもといたしましては、今後とも加工原料用果実安定的取引が行われますように努力をやってまいりたいと思っております。
  21. 岸本光造

    岸本委員 ありがとうございました。終わります。
  22. 石破茂

  23. 輿石東

    輿石委員 社会民主党の輿石ですけれども、私も規制緩和推進中心質問をさせていただきたいと思います。  ただいま岸本委員から、今回の規制緩和理念要旨等について長官にお尋ねがありました。私も、政府がこの三月二十九日に見直し閣議決定をし、昨年の三月の閣議決定で一千九十一項目ですか、スタートをしてから初めての見直しを行ったわけでありますが、この一年間の取り組みを長官自身どのように評価をされているのか。新たに五百六十九項目、全体で千七百九十七項目検討をしていくということですけれども、二年目を迎えるこの推進計画課題をどのように認識されて、さらに、この課題に向かってどのような決意を持たれているのか、まず冒頭にお尋ねをしたいというふうに思います。
  24. 中西績介

    中西国務大臣 規制緩和を国政上の重要課題として位置づけてまいりました。その計画推進するに当たりまして、今言われましたように、昨年三月閣議決定いたしましたこの規制緩和推進計画、計上されました規制緩和方策のうち、三分の二については昨年度中に措置されたところでありますけれども、三月二十九日にはこの計画改定いたしまして、より充実したものに内容的に高めていこう、こういう考え方でおるわけであります。今後とも、引き続いて平成九年度までの間にこの実現を図るように着実にこの推進をさせていきたい、こう考えております。  ただ、社会情勢の変化等もあるわけでありますから、これに対応してさらに見直しを続け、内外の意見あるいは要望等、さらにまた行革委員会の監視結果なども踏まえまして、平成八年度末までに計画を再改定していこう、このように考えております。
  25. 輿石東

    輿石委員 今長官から、今までの評価と、それからこれから八年度末に向けての決意もお話をいただいたわけであります。  大変な御苦労をいただくわけですけれども長官も四月三日の本委員会におきまして、長官発言として、規制緩和推進計画見直し改定に当たっては、各省庁において、内外の要望、意見、そして行政改革委員会意見を踏まえてと、そして今も、行政改革委員会の監視結果を踏まえて取り組んでいくというふうにお答えをいただいたわけであります。  そこで、この行政改革委員会の監視結果を踏まえるという場合に、とりわけこの行政改革委員会の役割とその任務というものが大変重要になってくるだろう、私はこう思うわけであります。したがいまして、行政改革委員会の任務なり位置づけを改めて明確にしておかなければならないと思いますので、そのことについてお伺いをしたいと思います。
  26. 田中一昭

    田中(一)政府委員 事務局長田中でございます。お答えいたします。  行政改革委員会は、その設置法に基づきまして、政府規制緩和実施状況を監視するという役割を担っております。  具体的に申し上げますと、昨年四月に、規制の改善について専門的に検討してもらいますために、委員会のもとに規制緩和小委員会を発足させました。小委員会におきましては、緩和すべき課題として取り上げた規制についての論点公開を行い、あるいはまた審議に当たりまして公開ディスカッションを行うなどによりまして、専門的な調査検討を行ったところでございます。  行革委員会は、小委員会から報告をしてもらいまして、昨年十二月十四日に「規制緩和推進に関する意見」、第一次意見でございますが、これを内閣総理大臣に提出したところでございます。昨年定められた政府規制緩和推進計画、本年度の改定版でもそうでございますが、改定に際しましては当委員会の監視結果を踏まえることとされております。また、昨年十二月二十五日の閣議決定、さらに本年一月二十二日には、橋本総理大臣の施政方針演説におきまして、行政改革委員会意見最大限に尊重するということにされているところでございます。去る三月二十九日に閣議決定されました計画改定におきましては、私ども委員会意見が大幅に盛り込まれたと理解しております。  しかしながら、一部事項につきましては、その直後の委員会の見解でも述べておりますが、「当委員会意見の反映状況が明文では必ずしも明らかでない」などなどの問題もございますし、行政改革委員会で、これらの事項を含めまして、規制緩和推進に向けて今後とも厳しく監視していくということにしております。
  27. 輿石東

    輿石委員 行政改革委員会ではその監視をしていく、そして小委員会でも論点公開も既にしてある、こういうお話をいただいたわけですけれども、先ほどの岸本委員のお話にもありましたが、どうも省庁任せ、官僚主導では、この規制緩和推進も限界があるのではないか、こういう御批判もたまたま聞くわけであります。  さらにまた、この行政改革委員会と、昨年のスタート時には行政改革推進本部、規制緩和検討委員会というのも設置をされていたように思うわけですけれども、その規制緩和検討委員会行政改革委員会、小委員会との関連についてはどのようになっておりますか。
  28. 陶山晧

    陶山政府委員 ただいま御指摘のございました行政改革本部の中に置かれました規制緩和検討委員会は、民間の有識者の方々の御意見を取り入れながら、行政改革本部として方針決定に生かそうという趣旨で設置をされたものでございます。大変御熱心な御議論を受けて、それを行政改革本部において政府方針として決定したという経緯がございます。  片や、その後行政改革委員会が発足をいたしまして、その委員会の主要な任務の一つとして規制緩和推進に関する監視という機能が法律上明記されたところでございます。  この監視結果に基づく委員会意見内閣総理大臣に提出をされるわけですが、内閣総理大臣はこれを尊重しなければならないという義務が法律上置かれているところでございます。  と申します意味は、制度上、法律上、この規制緩和推進に関して明確な機能を位置づけられ、かつその尊重義務が制度的に担保されているという意味において、検討委員会との相違があるというふうに御理解をいただきたいと存じます。
  29. 輿石東

    輿石委員 そうしますと、検討委員会は今、言葉は悪いかもしれませんけれども、開店休業中ということになりますか。
  30. 陶山晧

    陶山政府委員 行政改革本部の規制緩和検討委員会は、開店休業と申しますよりは、意見をまとめられて本部に意見を提出された時点で、その後改めて委員の委嘱等は行われていないという意味においては、現在活動していないというふうに御理解をいただきたいと思います。  誤解をいただくと困りますので補足させていただきますが、行政改革委員会が発足をし、その委員会が本来の権限、機能として規制緩和推進に関して監視活動をしておられる、これが民間の意見政府のこの規制緩和推進の活動に反映させる制度的に大きな力を持つという意味合いにおいて、いわばそこに機能が代替したというふうに申し上げる方が正確であろうと思います。
  31. 輿石東

    輿石委員 制度上も法律上もその尊重義務を位置づけた、こう言われるわけであります。内閣総理大臣もそれに従って尊重しなければならない、そういうものだ。しかしながら、監視というのは限界もあろうかというふうに思うわけであります。  それはさておきまして、先ほども質問に出ておりましたけれども、この行革委員会のメンバー構成についていろいろな御意見があるわけであります。先ほどもありましたけれども推進論者だけで固めてあるのではないか。まあそのことを経済同友会の牛尾代表幹事あたりは、今まで土光臨調とかいろいろなこういう委員会等があったけれども、今回のこの行政改革委員会のメンバーは推進論者で構成をし、そこに官僚を呼び出して公開で討論をするという形で、今までの各種の審議会なりこの種の委員会よりは一歩前進をしている、こういうふうに評価をされている反面、経済評論家の内橋さんは、これは推進派だけで固めているので、そこには民間の代表という形で構成されている、一見そういう形になっているけれども、そこに中小企業や勤労者という身近な、その一番苦労する層の代表が入っていないのではないか、だからこの構成メンバーには問題がある、このように二分をしているわけですね。その点については、総務庁としてはどのようにお考えですか。
  32. 陶山晧

    陶山政府委員 行政改革委員会委員方々、あるいは規制緩和小委員会の構成員の方々について、先ほど大臣から御答弁を申し上げたとおりでございまして、各分野の専門的な学識をお持ちになった方々が専門的な級密な議論を詰められ、かつ、ただいま先生指摘のありましたような、必ずしもいわばワンサイドの議論だけではなくて、昨年公表されました論点整理におきましても、規制推進立場に立つ意見と、それに反対する立場意見、いわば公平に並列しながら、世の中に御議論をいただくためにあえて両方の意見を整理して公表されたというような経緯も、公平な議論をしようという委員会としてのお立場一つのあらわれではなかろうかというふうに思います。  なお、失業問題とか中小企業等々の問題についてお触れになりましたが、規制緩和推進に当たりましては、先ほど大臣からも御答弁がありましたように、個々の事情に即していろいろなきめ細かな配慮をしていく必要があるということは、一般論としては当然のことであろうと考えております。
  33. 輿石東

    輿石委員 規制緩和の本来の目的、前々回の本委員会参考人聴取の場所でもそんな御意見が出たわけですけれども、行政や官僚の圧倒的な優位性から、それを排除して、そして官から民への流れを巻き起こすことが規制緩和の本来の目的である、こんな確認もできたというふうに思うわけであります。  その官から民への流れ、そういう流れを巻き起こすという中に、やはり規制緩和をした場合にプラス・マイナス、メリット・デメリットがあるわけですから、そのデメリットを受けそうな層の声というのも今答弁がありましたように十分に聞き入れるという姿勢がないと、規制緩和も大変な状況になるだろうと思いますので、その辺は十分配慮していってほしいというふうに思います。  そのことを、先ほどの質疑にもありました、日本経済社会構造的に変えていくんだ、そのことはわかりながらも、食糧とか農業、それから人の健康にかかわるような問題は、イギリスの牛肉問題にも先ほど触れられましたけれども市場原理にゆだねるべき規制というものと、ゆだねてはいけない規制というものをきちんと峻別するということもまた大きな課題であり、必要なことだろうと思いますので、行政改革委員会での論議についても、総務庁や各省庁もその辺の注文もつけながら、また省益だけを守るという態度を改めていかなければならないというふうに私は思うわけであります。  例えば、持ち株会社の禁止の問題にしても、これは独禁法九条を根底から揺るがすものだという、賛否両論があっていまだ結論が見えない、この国会では法案提出はあきらめざるを得ないだろう、こういう問題も出てきているわけですから、どこを規制緩和するかという発想も必要でしょうけれども、どこから規制緩和をしていくかということも、その緊急性や重要性という物差しで考えていく必要もあると思いますけれども、その辺についての御見解を伺いたいと思います。
  34. 田中一昭

    田中(一)政府委員 輿石先生の今の初めの方の話からちょっと御説明したいと思いますが、まことに仰せのとおりでございまして、私どもも公開で討論を行う場合に、単に担当の役所だけではございませんで、一等初めに消費者団体をお呼びいたしまして御意見伺いました。もちろん、連合等労働団体からも御意見を伺っております。  それから、わずかな数と思えるかもわかりませんけれども、私ども、四十七項目にわたって、新聞では五十三分野と言っていますが、論点公開をし、意見をまとめたわけでございますが、それをどういうふうにまとめたか、どうしてそういう課題を取り上げたかということは、まさに今委員指摘の点を踏まえてのことでございます。言いかえますと、民間の方々、「一日行革委員会」などを開きまして、民間からの御意見の多いもの、あるいは団体等からいろいろ改革についての意見の多いもの、しかもやはりやって意味のあるものを優先順位をつけまして実施したものがあの結果でございます。  人によりますと、みりんの話とあるいは今お話しの持ち株会社と同じ一項目というのはおかしいじゃないかとかいうお話もございますが、国民要望等が多いものがそういうものでございますと、大小いろいろございますけれども、急ぐものからやっていかないと、私どもの体制の面もございますが、お話の点は十分に頭に置きながら第二年度の項目の選び方もやっていきたいと考えております。
  35. 輿石東

    輿石委員 先日の参考人の聴取のときに、行革委員会委員でもあります田中直毅さんは、徹底して消費者や利用者の立場に立って行革委員会の中で意見を闘わせているというお話もあったと思います。そしてさらに、規制というのは供給者が政治家や官僚と結託したときに成り立つんだ、こういう言い方もされておりました。さらに、しかし、供給者の不満や苦情は一切耳をかさない、そういう毅然たる態度でこれは進まないとまた規制緩和は進んでいかないというようなお話もあったと思います。しかしながら、その一番後の部分で、見直し評価について民間団体とか政治家が官庁を動かしてこの規制緩和について非常にごり押しをしたりエゴをむき出しにしてくる場合がある、このことは非常に我が国の意思決定過程の貧弱さを見る思いがするというようなお話もたびたび聞くわけであります。  特に、大蔵省の金融問題とか公取委の競争政策、労働省の雇用の問題、さらには大店法等の通産関係の問題については、田中さん自身が大きな不満を持っているというようなことも言われているわけですから、この辺について相当厳しい目で行政改革を進めていかなければならないというふうに思います。  私は、そうした点から、今国土庁等で五年ぶりに土地政策の見直しも行うというようなニュースも聞いているわけであります。さらに、五年連続して地価も下がってきた、今までの地価抑制から取引活性化へ向けての見直しを行うという方針も打ち出されているわけでありますけれども、そこで私は、ひとつ農地にまつわる規制緩和をめぐっての論議についての経過を若干お聞きしたいというふうに思うわけであります。  最初に、株式会社の農地取得という問題が行革委員会で相当論議されたやに聞いているわけですけれども、その点について、その論議の経過と現状等についてお話をいただければと思います。
  36. 石原一郎

    ○石原説明員 御説明申し上げます。  農地に関します規制緩和につきましては、行政改革委員会の方で、農地流動化という観点からの現行の農地制度、それと経営の効率化という観点からの株式会社の農地取得が論議されたところでございます。  前者の農地流動化という点につきましては、昭和五十五年の農用地利用増進法、また平成五年の農業経営基盤強化促進法の制定などによりまして、ほぼ体系的に整備されているという結論に至ったところでございます。  もう一つの株式会社の農地取得の件につきましては、両論ございまして、一つは、株式会社から資金や情報を受け入れ、大規模経営が可能になるじゃないか、またリスクも分散されるじゃないかというような意見、それから、技術開発力とかマーケティングのノウハウといったような経営資源を持つ企業の参入というのは農業の成長にとっても有益ではないかということで、株式会社に認めてはどうかという意見が出されました。  一方、株式会社に農地の取得を認めるということにつきましては、我が国の周密な土地利用状況等から見まして、過去にも例もあることでございますけれども、転用期待での投機的な農地の取得のおそれがあるのではないか、それからもう一つ、先ほど申し上げました農業経営基盤強化促進法に基づきまして担い手となるべき農業者に、認定農業者ですけれども、農地利用の集積と団地的な利用の確保を図っていくということで現在施策を進めておるわけですけれども、そういう方向となじみがたいところがあるのではないかという意見が出されたところでございます。  そういう両論という中にございまして、農業生産法人制度に関しまして、株式会社の農業経営のかかわり方ということについては、そういう利点なり問題点を踏まえて総合的に幅広い検討をするべきだという結論が出されたところでございます。  これを受けまして、今後検討してまいりたいというふうに考えております。
  37. 輿石東

    輿石委員 今お答えをいただいた中に、農業生産法人制度の最終的な結論というか、そういうものも指摘をされたわけですけれども、私も先日、前回の本委員会で、「規制緩和推進計画改定について」三月二十九日の閣議決定、その中の「規制緩和等の具体的措置」ということで、二百四十五ページにわたるあの分厚い資料をいただいたわけであります。  その六十ページだったと思いますが、農業生産法人制度等の問題について、株式会社の農業経営へのかかわり方、事業要件のあり方等についてまとめているわけですけれども、そこには、今お話がありましたように、「関係者からのヒアリングを行うなど幅広い検討を行う。」こういうふうに記されているわけですね。この場合の「関係者」というのはだれを指し、「幅広い検討」という範囲はどういうことを意味しているのか、もう一度お尋ねをしたいと思います。
  38. 石原一郎

    ○石原説明員 御説明申し上げます。  今後の検討の進め方での関係者等の範囲ということになろうかと思いますけれども、まず、どういう観点でという件でございますけれども、利点それから問題点という両方があるわけです。そういう意味で、我が国の周密な土地利用、それから食糧自給率が低いという中にあっての検討でございます。そういうことで、両論ある中で、農地の利用状況のもとでの両論というようなことになろうかと思いますけれども、そういう形での幅広い検討をしていきたいと思っております。  それで、「関係者からのヒアリング」ということでございますけれども、この論議の過程でいろいろございました、意見等が出たわけですけれども、そういう意味では、経済団体連合会なり、それからまた農業サイドから、全国農業会議所それから全国農協中央会、それと、実際に農業生産法人ということでやっておられる方があるわけですけれども、そういうところも含めて関係者に幅広く聞きたい、御意見を賜って検討してまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  39. 輿石東

    輿石委員 この結論を得るまでに、昨年の十月五日にこの問題は公開討論が行われ、十二月七日に、先ほどお話がありましたように規制緩和小委員会で先ほど申し上げましたような最終報告にまとまった、こう理解をしているわけです。  この意見について、この問題の発端ともいうべき問題で、前日経連の永野会長は次のような指摘をしているわけであります。農地法を改正すればぱっと目の前が開けるように事業の機会が出てくるのだ、そして、農地法改正こそ需要拡大の突破口になる、こういう言い方もしていますし、農地転用を制限している農地法を関東六県で撤廃し土地の用途を自由にする、そうすれば住宅関連を初めさまざまなニーズにこたえられるし、そういうものが見込める、こういう言い方を経済界を代表しての言葉としてしておりますし、経団連は、十月十二日に農業分野における規制緩和を求める意見を出している中にこの問題も取り上げている。一方、農業団体は、日本の農業を守るためにまさに経済的規制法と社会的規制法を同じ次元で論じることは大変危険ではないか、こういう指摘をしてある。それが両論だというふうにとらえるわけでありまして、今後この問題は大変日本の農業のあり方、根幹にかかわる問題として大きな論議を呼ぶだろう、こう思いますので注目をしていきたい、こう思います。  時間がなくなりましたので、最後に、こういう規制緩和をする上で、厚生省の薬害被害の問題やイギリスの狂牛病の肉の問題等、まず冒頭長官が自己責任の原則を、こういうことを主張されたわけであります。その自己責任の前提にはやはり私たち庶民の情報公開をきちんと保障していくということが前提でなければならないと思うわけであります。そしてもう一つ、負の影響としては、雇用とか労働者問題、失業問題、三・三%という完全失業率も出てきたという社会問題を受けて、この情報公開制度と失業対策とか弱い者への対策について、最後に、長官に、どのように決意を持たれているのか、お話を聞きたいというふうに思います。
  40. 中西績介

    中西国務大臣 行政情報の公開というのは公正で民主的な行政の運営を実現するためには何としても必要であります。その中から行政に対する国民の信頼をかち得ることになるわけでありますから、この取り組みというのは極めて重要であるということは認識をいたしておるところです。したがって、自己責任の原則を確立するためには国民がみずから判断できる正確で適切な情報というものがぜひ必要でありますから、公平に情報を入手できる環境をどうこれからつくるかがまた重要な課題でもあるわけであります。  そのように認識をしながら、情報公開法については行政改革委員会の行政情報公開部会におきまして精力的に専門的観点から論議をし、そして四月の二十四日に中間報告を行うようにしておるところであります。さらに、行政改革委員会から本年十二月までに意見具申をしていただくことになっておりまして、この意見を尊重してこれからも積極的に取り組んでいきたい、そういう気持ちが十分であります。  そこで、今出ました規制緩和による負の問題でございますけれども、この推進をしていきますと雇用問題などにいろいろ痛みが生ずるということは、行政改革委員会意見においても既に述べられておるところです。  したがって、政府といたしましても、規制緩和というのは、経済の構造変化に対応した政策努力などに十分配慮いたしまして、個々の事情に即して適切な対処を図って推進をしなくてはならないと考えております。したがって、規制緩和に伴い生ずるさまざまな課題につきましては、きめ細かい配慮を行いながら推進をしていく必要があるということも十分認識をしておるところであります。
  41. 輿石東

    輿石委員 ありがとうございました。  特に情報公開については四月二十四日には中間報告もと。期待をしたいと思います。大変な問題でしょうけれども長官中心に取り組んでいただきますことをお願い申し上げ、質問を終わります。ありがとうございました。
  42. 石破茂

  43. 西川太一郎

    ○西川委員 当委員会は、諸般の事情もこれあり、総務長官の所信の表明を承ってからかなりの時日を経過して、また、このたびは規制緩和推進計画改定とあわせての質疑ということであります。  不肖私は、新進党の立場から、以下順次総務長官中心にお尋ねをいたすわけでありますが、野党でありますので失礼に当たるようなお聞き苦しいこともお尋ねするかもしれませんが、冒頭お許しをいただいて、できるだけ実のある審議を進めたいと存じますので、お願いしたいと思います。  私はさきに本会議でお尋ねをさせていただきましたが、施政方針演説で内閣総理大臣橋本龍太郎先生は、我が国経済構造改革推進のため、また行政改革の断行という立場で、徹底的な規制緩和必要性を訴えられました。規制の抜本的見直し、消費者や企業の経済活動の基盤となる分野での重点的な規制緩和の断行とまで方針を述べておられます。また、橋本内閣の最重要課題であると規制緩和を位置づけておられるわけであります。しかし、私ども野党の立場から拝見をいたしますと、総理の御決意とはかけ離れて、現在の状況は極めて不十分なものであるというふうに私どもは受けとめるわけであります。  そこで、橋本内閣の主要閣僚であり行政改革推進本部の副本部長でもあられる中西総務庁長官のリーダーシップを発揮していただく場面というのは、この問題については極めて多いというふうに、これはもう与野党ともに、先ほどの御質疑を伺っても考えられるところでありますが、今回改定に当たって総務長官がどんな役割を果たされたのか、また、御自身、この取りまとめにどんな点で御苦労されたのか、お聞かせ願えればと思います。
  44. 中西績介

    中西国務大臣 お答えします。  先ほども申し上げましたけれども規制緩和は、我が国経済社会の抜本的な構造改革を図っていくということが主要な課題であると同時に、国際的にも開かれ、そして自己責任原則市場原理に立った自由な経済社会をつくり上げていくために不可欠な政策課題であるということは論をまつまでもありません。同時にまた、内閣の重要課題であるということも今指摘あったとおりでございます。  これを推進するに当たりましては、行政改革委員会意見最大限に尊重いたしまして、あわせて内外の御意見あるいは要望等を十分お聞きしながら三月二十九日に規制緩和推進計画改定を行った、このことはもう既に御承知のとおりであります。したがって、この中におきまして各種規制の徹底的な見直しを行ったということが一つ、そして新たな規制緩和方策を積極的に織り込んでいった、こうした観点に立ちまして今次の改定を取りまとめたということであります。  したがって、この中におきまして、私も随時事務当局の督励をすると同時に、三月二十七日には閣僚懇談会を開催いたしまして、私自身も関係閣僚あるいは与党行政改革プロジェクトチームとの間の最終的な調整を行いながら、改定計画がより充実したものになるよういろいろな面から努力をしていったと私自身は思っております。  以上です。
  45. 西川太一郎

    ○西川委員 私は、二十七日から二十九日までのわずかの期間でそんなに中身が充実するとは到底思えないし、私のお尋ねの基本は、総務庁は各省庁の出してきたものを単に整理をして積み重ねているだけではないかという批判も一部にある。そういう中で、常日ごろから総務長官が、行政改革もさることながら、規制緩和というものを、我が国経済の体質改善、成熟期を迎えた我が国経済をどういうふうによみがえらせ、国際競争力もついに世界で第四位に落ちてしまった現状をどう変えていくのかという基本的な理念、哲学というものがなかりせば——先ほど来、痛みを伴う分野、変えてはならない分野、そういうものもあると私は思います。私は規制緩和推進してほしいと願うものでありますけれども、しかし、難しいであろうという分野もあることを承知しながらここに立っているわけであります。  そういう立場人間からするならば、例えばさきの山口総務長官の時代に、通産大臣であられた橋本現総理と持ち株会社についての見解を全く異にする。私は、その当時この委員会で、閣内不一致ではないかということを総務長官にお尋ねをしました。その後、江藤隆美長官に同じ質問をしましたら、全く違う角度の御答弁があった。そして、先ほどから与党先生方の御質疑の中で、今国会持ち株会社の問題は間に合わないかもしれないというふうに与党先生からのお尋ねに至って、それを否定するお答えはなかった。私どもが聞いておりますのは、持ち株会社の問題については、五月ぐらいを目途に、四月の末を一つの締めくくりにして具体的にそういう方向に出るのだということを常々伺っていた。この国会は六月の下旬まであるわけでありますから、なぜ間に合わないのかということを疑問に思います。  それは後ほどお尋ねするとして、前置きが長くなりましたが、リーダーとして、どこにこの船を着けるのか、やはりそこの決意が決然としてなければ、私は、こういう困難な反対議論が山のようにある問題を進めていくことはなかなか難しいだろうというふうに思うのです。  失礼な言い方でありますけれども、長い間計画経済、指令経済、つまり市場経済原理とは理念を異にする一つ考え方の中で政治家として実績をお積みになってきた長官、それは今は橋本内閣の総務庁長官であらせられる。その理念というものは、一体この自由主義経済の中で日本の活力の回復ということについてはどんな哲学をお持ちなのか。私は、それによってこの規制緩和に対する覚悟というものが違うんじゃないかという気がしてただいまの御答弁を伺っていたわけであります。これはお尋ねする予定には入ってなかったわけでありますから、しかし、政治家としての哲学の問題でもありますから、今さら前もって用意をしてお尋ねをしなければならないという問題でもなかろうと存じますので、よろしければ御感懐をお漏らし願えればというふうに存じます。
  46. 中西績介

    中西国務大臣 先ほど短期間云々という御指摘がございましたけれども、ごらんのように、一月から二月にかけまして中間報告を求めまして、これを多くの皆さんに公開をする。その結果、いろいろな指摘がなされました。十分ではないか、全く前進をしていないじゃないかということを言われましたけれども、こうした中間報告を得ることによって、多くの皆さんの再度御意見なりあるいは要望なり、こういうものを十分お聞きをし、そして各省庁にそれらについてのまとめをさらに推進をしていただく、こういうことを重ねながら、できるだけ開かれた形でやっていこうということで今回の場合もやったわけであります。  そうした中で、今までなかった新しい分野における約五百七十項目にわたりましてのものをつけ加えながら出てきたということも、積極推進をするという基本的な私たちの態度をより多くの省庁の皆さんにも御理解をしていただいたし、さらにまた、内外の御意見をお聞きする機会もこの一回だけではありませんで、二回にわたってこうした時宜を得た会合を開いていただきましてまとめをしていったつもりであります。  そしてなお、今御指摘のございました後段の部分でございますけれども、私たちとしては、市場経済、このことを認めるという立場に転換をいたしましたので、その中でのあり方をどうするか。そのときに、現在の、戦後五十年にわたる経済活動なりなんなりを、長い間追いつき追い越せの体制の中でつくり上げてまいりました。確かに、これは大きな前進を果たしたし、先進国に伍して大変な経済大国を醸成いたしました。しかし今、世界の情勢の転換と同時に、国内におけるこうした経済活動のあり方についても、そしてそれを支える教育なり多くのそうした問題等についてもやはり考えを改めていかなくてはならぬ、こういう状況等も出てきておるわけでありますから、そうしたことをやはり総合的に勘案しながら、各省庁の総合的な調整を果たしながらこの体制をつくっていくことが大変重要だ、こういうように私たち考えてこれまで、就任をいたしまして、一月十一日ですから約三カ月になりますけれども、対処してきたつもりであります。  以上です。
  47. 西川太一郎

    ○西川委員 今総務長官から大変重要な御発言があったと思うのです。いわゆる追いつけ追い越せ、そして、言ってみれば右肩上がりを絶えず求めてきた成長追求型の拡大主義的な経済に対して、それを改めるべきときに来ているという趣旨の御発言がありました。  では具体的に、今の我が国経済がどういう状況にあって、どうそれを改めたらいいのか、そしてその目指すところはどこなのか、それに対して規制緩和はどういう役割を果たすのか、これはとても大事なことでありますから、長官理念、哲学をぜひ伺いたいと思います。
  48. 中西績介

    中西国務大臣 今までの日本経済の大きな発展に当たっては、特に重厚長大型の生産を中心にする経済が大きく発展をし、そしてその間にはいろいろな問題も出てきましたけれども、例えば環境問題等含めてありましたけれども、これを克服しながらこのように経済大国になってきた。  問題は、これから後、ではどうするかという問題であります。日本の場合には、こうした体制を改めて、先進国としての役割をどのように果たしていくかということになってまいりますと、基礎的な研究を含め高度技術、これをどのように発展させ、そして日本の経済の構造をどのように変えていくかということが今問われておるわけでありますから、そうした体制をつくると同時に、世界的にもそうした面で貢献のできる体制をやはりつくっていかなくてはならぬというのが今の状況ではないだろうか、こう私たち考えております。したがって、今まで多くの皆さんの大変な、財界の皆さんを初めとする、あるいはその中で貢献してきた国民の皆さんのそうした体制をさらに高めていくための手段としては、世界に伍してやはり研究成果をどしどし発表できる体制なりなんなりをつくり上げていき、高度の経済体制をつくっていくということが今問われておるのではないか。  そうしたことで、この規制ということが余りにも多くあり過ぎるために、諸外国からの指摘もあり、そして孤立化するという状況等があるわけでありますから、開かれた経済体制というものをどのようにこれからまたつくっていくのか、その中における規制緩和というものがどういう位置づけになっているかということを十分私たちは追求し、そしてこの体制をさらに強めていくことが日本の進路そのものを大きく決定づけていくんではないか、こういうことを考えながら、規制緩和問題あるいはその他の行政改革問題を含めて今取り組んでおる、こういうように考えておるところであります。
  49. 西川太一郎

    ○西川委員 ただいまの長官のお考えはまことに結構だ、私はそう思います。さすれば、規制緩和はやはりどんどん進めなきゃいけない。というのは、私はさっきから申しましたとおり、ソフトランディングが必要な分野もあるし、社会的な規制と経済的な規制の区分しがたい分野もあってなかなか難しい面もあるだろうということを承知の上で、それでもなおかつ我が国が置かれている現状にかんがみて、規制緩和は猛スピードで進めなきゃいけないというふうに思っている一人であります。  そういう立場からいたしますと、先ほど数の問題が出てまいりましたけれども、それは、このたび新規に五百六十九事項をつけ加えて千七百九十七事項になった。しかし、我が国には、一般に言われている一万一千に近い規制があるということを考えますと、また、現在置かれている状況から見て、経済構造改革という大きな命題につながる、それを促進させるという形でこのたびの改定がどれだけアクセラレーティブな効果があったのかということを私はどうも評価できない、弱いんじゃないか、そう思うのでございます。  実は本会議長官にお尋ねをしまして御答弁をいただいたのですが、あれはあれで長官の御答弁なんでございましょうが、私はここで改めてお尋ねするわけでありますけれども、いわゆる経済構造改革につながるほど目に見える形での規制緩和が進んでいない、私はそう思う。そういうふうに、期待どおりに規制緩和が進んでいるというふうに長官はさっきの御答弁で答えられないのじゃないかと私は想像します。もっとやらなければいけない、こういうことだろうと思うのです。  だとしたら、進まない理由というのは一体どこにあるのか、これはとても大事なことであります。進まないという要因はどこにあるのか、これをお尋ねしたわけなのでありますが、きょうばいい機会でありますから、ぜひひとつ御答弁をいただきたいと思うのであります。
  50. 中西績介

    中西国務大臣 お答えします。  昨年の三月三十一日に閣議決定いたしました規制緩和推進計画、これを先月末改定するなどいたしまして規制緩和計画推進を今まで図ってきたつもりであります。私たちといたしましては、その結果、成果は上がっておるというふうに理解をいたしております。  今回の改定計画におきましては、政府におきましてこの期間の中におきましてぎりぎりの調整を行った結果の現時点におきまして出てきた内容でありますから、行革委員会あるいは経団連などの皆さんからも一定評価を受けておると私は思っております。規制緩和の取り組みがこれですべてだということは私は申し上げません。引き続いて積極的に取り組んでいくつもりであります。  それで、問題の困難な点でありますけれども、いずれの制度につきましても、そのときそのときに、特に基本的な制度であればあるほど、これを維持すべきであるという立場の人、あるいはそれぞれの行政に当たっておる人、ところが逆に緩和すべきであるという立場の、それぞれ双方の利害が対立をしておる面が相当あるわけでありまして、この点が昨年七月に行政改革委員会において整理されまして、先ほど答弁もあっておりましたけれども、論点整理からもうかがえるところであります。  したがって、規制緩和必要性につきましては、十分関係方面の御理解をいただきながら、これに伴うさまざまな影響についてきめ細かに私たちは分析をし、そして十分御納得のいくように具体的にこれから詰めをしていかなくてはならぬだろう、こう思っております。したがって、五年計画を三年に短縮し、そして第一回目の改定を行いましたので、また来年の改定に向けまして引き続いて努力をしていく覚悟であります。
  51. 西川太一郎

    ○西川委員 失礼でございますけれども、十分なお答えとは私は伺えないわけであります。それは、立場が違う、長官改定計画も含めて規制緩和推進は十分とは言えないかもしらぬがかなり進捗している、こういうお立場、私はそうじゃないという立場ですから、これはかみ合わないのかもしれません。  それならば、角度を変えて長官にお尋ねするわけでありますが、橋本総理は、施政方針演説で次のように公約をされております。経済の活性化を推進するため、住宅・土地、情報・通信、流通・運輸、金融・証券、雇用・労働など、消費者や企業の経済活動の基盤となる分野で重点的な規制緩和を断行する、こういうふうにおっしゃっている、断行するとおっしゃっている。今回の改定において、本会議で総理御自身に、御自身自負をされる点は何かとお尋ねをしたところ、住宅建設コストの削減のための規制緩和措置というものを一先に挙げられた。  しからば、総務長官にお尋ねするわけでありますが、推進しているというふうに胸を張られるならば、経済の活性化、景気の回復、構造改革推進につながる具体的な規制緩和措置が、このたびどのように、具体的なものがどれだけ何が決定されておるのか、お示しを願いたい。
  52. 中西績介

    中西国務大臣 今回の規制緩和推進計画におきまして、さまざまな分野におきまして我が国の高コスト構造をまずやはり是正することが大変重要だというようなことも含めまして、経済の活性化を図るための措置を盛り込んだつもりであります。今指摘のございました住宅建設コストの低減のための規制緩和措置、あるいは通信分野における新規事業の創出だとかあるいは新規参入を促進するための規制緩和措置、さらにまた運輸分野における物流コストの削減等に資する措置、その他の分野におきまして、市場機能を一層発揮することによって市場の活性化を図るための規制緩和を挙げることができるのではないだろうかと思っています。  今回の計画改定で十分とは考えておるわけではありませんし、今後とも行政改革委員会の御意見などを踏まえながら、あるいは内外の意見等も含めまして引き続き規制緩和推進努力してまいりたいと思っています。  細かい分野につきましては、また事務の方から答弁をさせたいと思います。
  53. 陶山晧

    陶山政府委員 ただいま大臣から一般的な御答弁をされたとおりでございますが、多数の項目の中で逐一具体的な例を申し上げるのは差し控えますけれども、私どもといたしましては、例えば住宅・土地の関係について、海外資材の輸入促進を図るためのいろいろな規制の緩和、それによって住宅建設コストの低減につながるという内容のものとして、いわゆる仕様基準から性能基準への転換を中心とする建築基準の基本的な制度の枠組みの変更でございますとか、あるいは住宅の構造方法に関する技術基準の性能規定化の問題でありますとか、いろいろと今回の計画の中で新たに盛り込んだところでございます。  また、情報・通信関係につきましても、新規産業の創出とか新規参入促進という観点での過剰設備防止条項等の法律からの削除といったような内容、あるいはNTTの地域通信網に係る相互接続の基本的なルールの具体的な内容決定とか、等々の事項があろうと考えております。  なお、基準・認証・輸入等の関係につきましても、国内の基準、規格あるいは検査、検定等について、国際的な基準への整合化、調和という観点で、事項の数としてはかなり多くのものが今回の計画の中に入っているところでございます。  運輸関係につきましても、先ほど大臣の御答弁にありましたように、物流コストの削減とか旅客サービスの向上という観点から、タクシー事業の最低保有車両規制の緩和とか、運賃・料金設定方式の見直し等々の事項も新たに今回の計画に入っておるところでございます。
  54. 西川太一郎

    ○西川委員 私は、質問の中で住宅建設コストの削減のための措置ほかと聞いたので、それが目玉で、先頭にこうずらずら出てきて、その後いわゆる通信分野、運輸分野で言われたことは、もう前から問題になっていることがやっと煮詰まってきたというだけの話であって、少なくとも、規制緩和推進するという世の中の、世界の、我が国経済の置かれている、国際競争力がついにシンガポール、香港、アメリカにも抜かれているという現状にかんがみて、何とかしなければならぬという危機感が全く見られないというふうに断ぜざるを得ない残念な姿勢であると私は野党としては思うわけであります。それだけは申し上げておきたいと思います。  そこで、もう少し観点を変えてお尋ねしたいのでありますが、先ほど規制緩和に伴う痛みということについて与党委員からもお尋ねがございました。このことは大変重要でありまして、行政改革委員会意見報告は、市場原理自己責任原則の徹底を求め、社会的弱者や雇用の問題といった痛みについては別途措置を講じる、こうなっているわけであります。  そこで、規制緩和によって生じるおそれのある倒産ですとか失業、労働条件の低下、こういうような負の影響について具体的に国民に明らかにして、また、一体どういう所得層、階層が規制緩和によってマイナスの痛みを一番受けやすいのか、こういうようなこともできれば示して、そして財政措置等の諸対策を講ずる。しかも、それを時間差なく、タイムラグなく速やかに行うことが痛みを軽減するために必要な対策であるというふうに考えられるわけでありますが、総務長官の御所見を伺うものであります。
  55. 中西績介

    中西国務大臣 規制緩和推進するに当たりまして、今指摘のございましたように、雇用問題などいろいろ問題が生じてくるということは、先ほども答弁いたしましたように、行政改革委員会におきましても意見が出されておるところであります。  したがって、規制緩和というのは、経済の構造変化に対応した政策努力や配慮、あるいは個々の事情に即して適切な対処を図りつつ推進していくべきであると考えております。  規制緩和によって生ずるさまざまな課題につきましては、細かな配慮を行ってやらなくてはなりませんけれども、そうした意味におきまして、先ほど申し上げましたように行政委員会においてもそういう指摘もございますので、他の政策課題とのかかわり等についても考えていかなくてはならぬだろう。  例えば、中小企業対策、雇用対策、消費者への情報提供あるいは救済措置、さらに独占禁止法の的確な運用、競争政策の積極的な展開、いろいろ挙げてまいりますとたくさんあるわけでありますけれども、こうした点を私たち、ただ規制緩和ということだけでなしに、調整機能をできるだけ発揮するためにも、各省庁にお願いをするなりあるいは要請をするなりということ等も含めて、これから積極的にやっていかなくてはならぬのじゃないか、このように考えております。
  56. 西川太一郎

    ○西川委員 次に、私は、規制緩和推進計画改定について、行政改革委員会意見報告を最大限に尊重したものと言えるのかどうかということを先ほど来間接的に承ってきたわけでありますが、どうも御意見としては、経済界からも賛辞を送られている、また、いわゆる行政改革委員会からも大変よくやってくれたということだ、こうおっしゃるのでありますけれども、私も一言言及せざるを得ないのは、先般ここにおいでをいただいた参考人方々の御意向は、到底そういうふうには受けとめられなかった。率直に言って進み方は不十分である、こんなことをしていたら日本が沈没してしまう、間に合わないよ、こういう意見だった。それは私がさっきまで聞いてきたこととある意味では軌を一にするのでありますが、こういう意見について重ねて長官の御所見を承りたいと思います。
  57. 中西績介

    中西国務大臣 今指摘のございました点でありますけれども、「与党において精力的な調整が行われ、政府部内でも調整が進み、さらには、橋本内閣総理大臣自らの強い指導により、今回の計画改定に当委員会意見が大幅に盛り込まれたことをまずもって率直に評価するとともに、関係者のご努力に敬意を表したいと思います。」という、規制緩和推進計画改定についての見解がこの前示されておりますように、私たちとしては、今申し上げましたように、行政改革委員会からのお言葉なり、あるいは経団連の皆さんのいろいろな発言の中にもそうしたことが認められますので、先ほど申し上げたわけであります。
  58. 西川太一郎

    ○西川委員 私のお尋ねする順番が変わったから、ちょっと答弁が合わなくなってしまっているのじゃないかと思うけれども、今お尋ねしたのは結構です。今の答弁でいいことにして進みます。  それでは長官、先ほど少し議論を先走って触れてしまいまして、またそれに戻って恐縮でありますけれども、例えば緩和方策として千七百九十七事項新規事項としては五百六十九事項、その中に、個人的な意見は私はあるのですが、それはきょうはちょっと言いませんけれども、NTTの経営形態のあり方、それから持ち株会社の解禁の問題、大店法のさらなる規制緩和の問題、こういう重要課題がすべて先送りされた。さっき、後ほど伺いますからと言って答弁を保留していただきましたので、私は持ち株会社に限ってお尋ねをいたします。  この問題について、先ほど与党委員の今国会中には間に合わないであろうという御発言を否定されなかった、そこから伺いたいのでありますが、間に合わないのでしょうか。
  59. 中西績介

    中西国務大臣 この問題につきましては、与党の問題検討プロジェクトチームにおきましても意思統一をしておりますように、持ち株会社解禁のための独占禁止法の改正については、なお検討を要する問題点があり、関係者の意見を十分聴取しつつ、五月連休前を目途に結論を得るべく引き続き検討を進めるということで、今鋭意進めておりますので、今国会中にそうした問題等についてもできるだけ結論を得たいと思っております。
  60. 西川太一郎

    ○西川委員 私は、個々の議員の発言について、しかも与党の方の発言についてそれを深追いする気はありませんが、与党の方が今国会に間に合わないのではないかという感想を漏らして質問をされた。それに対して総務庁長官が否定しなかった。今の御答弁は連休前を目途に極力努力をする、こういうことでありますが、六月の会期末までに間に合わないんですか。
  61. 中西績介

    中西国務大臣 この点につきましては、まだその結論的なものが我々見えておりませんので、この点を期日を固定をして御回答申し上げることは今はできません。
  62. 西川太一郎

    ○西川委員 これは重大なことなんですよ。それは私どもが、インフォーマルにせよ、フォーマルにせよ、政府当局の意見をただす、その際に持ち株会社については、この国会に間に合うような感じのニュアンスのお答えをいただいている。もし今の長官の、期日を明確にできない、六月の国会終末までにこれを上程できない、そういうことになりますと、結局、まことにお聞き苦しい表現になって、先におわびをしておきますが、理念や哲学を異にする連立与党三党のそれぞれのお立場の違いが、今焦眉の急であるいわゆるニュービジネスを起こして、ベンチャービジネスを、特にベンチャーキャピタルの観点で助けていかなければならない、これは与党先生方もそのように御質疑の中でおっしゃっているベテランもいらっしゃるわけでありますから、私は否定されないと思いますが、そういうふうに国民的コンセンサスになっているその一番特効薬とも言えるような、持ち株会社が旧態依然とした財閥観や何か一部の古い観念でそれがいまだに規制を解かれないでいるということになると、ここに私はこのたびの規制緩和、かけ声ばかりであって実態的には何も進んでいないじゃないか。軌を一にする、理念を等しくするという行政改革委員会のメンバーですらこの場に来て、もっともっと早くやらなきゃだめだと言っている。  ところが、長官はそれに対して、一生懸命やっているつもりだとか、やらなきゃいけないと思っているとか、そういう趣旨の御答弁はあるけれども、こういう重大問題については明言を避けられる。具体的にいつまでにやる気があるんだということが長官にあれば、例えば今国会に間に合うように努力しますという答弁だってできるんじゃないでしょうか。それが明言できないということは、長官御自身リーダーシップの放棄じゃないでしょうか。私がるる伺ってきた我が国経済をどうするかという理念長官理念と外れることじゃないでしょうかと私は思うんでございますが、いかがでございましょうか。
  63. 中西績介

    中西国務大臣 先ほど申し上げましたように、五月連休前までに結論を得べく今努力をいたしておりますので、それが六月の何日だということまで指定できないと私は申し上げたつもりであります。したがって、今国会中にこの問題については提案できるように努力をしていかなければならぬということはもう十分承知の上でありますから、そうした気持ちを申し上げたわけであります。
  64. 西川太一郎

    ○西川委員 それで食い逃げされちゃうと私が質問した意味はない。長官、恐縮ですが、今国会に間に合うように努力するとおっしゃっていただけないでしょうか。
  65. 中西績介

    中西国務大臣 今国会中に提案できるように努力をしていきたいと思います。
  66. 西川太一郎

    ○西川委員 ありがとうございます。これはもう大変立派な御答弁だというふうに思います。  そこで次に、先ほど陶山行管局長からもう既に御答弁をいただいてしまっておりますから、実は第一種電気通信分野とか運輸分野についてお尋ねするつもりでしたが、これを省略をして、次の質問に入りたいと思います。  規制緩和推進のためには、社会的規制の側面がどうしても強調されて、私もそれはなかなか分けにくい分野があるということをさっき申し上げましたけれども、経済規制は原則撤廃もしくは自由、例外を規制にする、かつ社会的規制は必要最小限、こういうルールというかそういう一つの物差しがあるために、結局、よく言われる、総論は賛成するけれども、各論になると社会的規制、例えば地場産業とかいろいろな問題が出てきてこれがなかなか思うに任せない、こういうことがあります。そこで、結局、個々具体的な規制についてその必要性の有無というものを検討していく段階にもう入ったんじゃないか。  実は、一橋大学の中谷巌教授はことしのお正月の十一日の日本経済新聞の「経済教室」で、最近の政府による規制緩和への取り組みは九三年の平岩研究会、経済的規制は原則廃止という提言からはほど遠い状況にある、こういう指摘をしているんであります。  私も、これは与党、野党を問わず政党的立場ではなくて、国会議員一人一人が、自分の選挙区の実情であるとか、属人的ないろいろな所属をする社会、そういうものの背景というものを考えたときに、いわゆる経済原則はすべて撤廃をして、経済的規制はすべて撤廃をし、社会的規制は、これはいろいろと考慮していこうという、最小限にしていこうという物差しだけでは到底おさまらない、処理できない、こう思うんでございますが、長官、いかがでございましょう。
  67. 中西績介

    中西国務大臣 今指摘がありました経済的な規制と社会的規制の両側面分けて考えるということにつきましては、この規制緩和を論議するに当たっての整理していく上に有効な考え方だと思います。  ただ、問題は、経済的行為に関する規制でありましても社会的規制の面があると主張されまして、今指摘がございましたように、いろいろな障害になるとかあるいは結論が出ないとか、こういうことにつながるわけでありますけれども、先般の行政改革委員会意見におきましてもそうした問題指摘をされておりますけれども規制緩和推進計画におきましては、社会的規制であっても本来の政策目的に沿って必要最小限のものとすることを基本として見直しをしていく必要があるだろう、こう考えております。
  68. 西川太一郎

    ○西川委員 実は、今御紹介をしましたこの日本経済新聞には、中谷巌教授は、規制緩和政府に頼るから進まないんだ。行政改革委員会といえども、これは人選からまた予算面から、これはすべて政府の所管であります。そこで中谷教授は、オーストラリアの産業委員会、インダストリーコミッション、こういうものを紹介していまして、これは中立的調査機関なのですね。例えば計量経済学者がいたり、また競争政策の専門家がいたり、こういう多くの専門家が中立的立場から計量的に分析をしてその結果を公表して、そして政府はこの結果をベースとして規制緩和を実行することを義務づけられているのだそうであります、オーストラリアでは。  そういう仕組みを、言ってみれば行司役のような、しかも科学的にきちっと根拠を示して、これは情緒的にもう否定をすることはできない、そういうような客観的なものをつくっていくということも大事なのではないかという気がいたしますが、いかがでございましょうか。
  69. 中西績介

    中西国務大臣 今御指摘ございましたオーストラリアの産業委員会と称するものであるようでありますけれども、いろいろな、内容的に、率直に申し上げて私自身はまだ十分この内容について勉強いたしておりません。したがって、このことを直ちに今というわけにはまいりませんけれども、ただ、今まで私たち推進してまいりました過程の中におきましては、行政改革委員会というのは中立的な機関だというように規定いたしましてやってきたつもりであります。したがって、皆さんの御意見最大限に尊重するというのも、そうしたところから専門的あるいは客観的な評価が行われているものと私たち認識をいたしております。  ただ、この規制緩和の影響を計量的に分析をするとか、あるいはそうしたものを具体化するに当たりましても、なかなか困難な面もあるようでありますから、いずれにしましても、諸外国の経験なども参考にしながら、今後とも規制緩和のための有効な推進方策をどうするかについても検討しなくてはならぬだろう、こう思います。
  70. 西川太一郎

    ○西川委員 私は、ちょっと時間をはしょる意味説明不足だったのですけれども、このオーストラリアのインダストリーコミッションというのは独自の調査機関を持っているのですよ。そこに重みがあるのですね。我が国の行革委員会調査機関を持っていませんから、結局各省庁のデータ、業界のデータに依拠して一つの審議をするということになりますから、どうしても歯切れが悪くなるということを中谷教授は指摘されているということを、この際ちょっとつけ加えておきたいと思います。  そこで、もう時間もありませんから、最後に一、二点伺って質問を終わりますが、一点は、具体的、個別の分野でありますが、労働問題について伺いたいと思います。  完全失業率が三・三%、失業者数も二百二十四万人に達している。これは二月の労働力調査の結果でありますが、経企庁は景気は緩やかに回復基調にある、こういうふうに言うものの、雇用面では楽観できない深刻な状況です。この春学校を卒業して、新卒イコール新失業者になっている諸君も依然として大勢いる。女子学生においてはもう何をか言わんやという状況でございます。また一方で、長期の不況の中でリストラの対象になる、ちょうど私ぐらいの年の、中高年というのはしゃくですけれどもそういう年ですから、そういう年代の者については殊のほか厳しい風が吹いている。  こういうときには、政府は新規産業の創出によって労働マーケットを拡大する、そして雇用の流動化に対応していくということが必要だろうと思います。現実の労働環境を見ると、経済のソフト化、サービス化に伴う労働実態の変化、またただいま申し上げたような中高年齢労働者や女性労働者の増加による労働者増の変化、労働市場、労働関係の法的規制にも変化が求められております。  雇用・労働関係の諸規制の緩和については、推進計画において、労働者の福祉や雇用の安定を図りつつ、経済の活性化や国際的調和を推進する観点から進めるとされておりますけれども、この労働者の福祉、雇用の安定、そして職業紹介等の労働力需給調整システムの自由化による経済の活性化をどのような形で整合させていくとお考えなのか、これが質問の一点。  また、推進計画改定においては、いわゆる有料職業紹介事業の自由化方向も打ち出されたのでありますけれども、今後の公共職業安定所と民間事業部門の相互関係のあり方について伺いたい。  そして、この問題がかかわってくるいわゆるILO九十六号条約第三部を批准している我が国としては、これはかつて、人身売買等の非常に悲しい、労働とも言えない、そういう分野をなくして労働者の権利を守るために、たしか一九四六年か七年でございましたか、設定された条約ですね。これを我が国は批准をしているわけですが、そうなりますと、このILO九十六号条約というものを見直さなければならないということにもつながってくる、こう思いますが、労働省の御見解を伺いたいと思います。
  71. 青木功

    ○青木説明員 ただいまの西川先生からのお話の最初の点について御説明申し上げます。  雇用は、今先生が御指摘のように非常に厳しい状況にあります。その中で雇用対策としては、二つの観点からのアプローチが必要であろうかと思います。  一つは、先生が先ほどお触れになりました痛みという中で、雇用の問題はソフトランディングが必要なものに入るのではなかろうかと私どもは思います。こういう厳しい中で、中高年齢者の方々とか女性の皆さんが失業をするということは再就職に非常に厳しい状況でございます。そういう中で、できるだけ失業しないで新しい産業に移っていけるような対策を、中小企業の活力を生かした雇用機会の創出やあるいは公共職業安定機関、事業主団体等と力を合わせた失業なき労働移動の支援といったことに当面対応しておるところでございます。  ILO条約ほかにつきましては、担当室長の方から御説明申し上げます。
  72. 森山寛

    ○森山説明員 現在、民営の職業紹介につきましては推進計画に基づきまして鋭意見直しを進めているところでございますが、先生おっしゃいましたように、労使の福祉の問題、こういう問題に十分配慮しながら見直しを進めているところでございます。  それからまた、公共職業安定所、この関係につきましても、行政改革委員会意見にも述べられていますように、その充実強化ということも行い、双方相まってこの有効な、効果的な需給調整システムということを考えていきたいというふうに思っております。  それからまた、今おっしゃいましたILO九十六号条約、これも先生案内のように第三部を批准しているわけでございますが、この条約も見直しが進められております。こういうものを見ながら、今後検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
  73. 西川太一郎

    ○西川委員 私は、三時二分過ぎまでということでありますから、最後のお尋ねを長官に申し上げて質疑を終わりたいと思います。  長官、先ほど来、規制緩和推進をされている分野の具体的、個別的な御紹介を陶山局長からしていただいた中のものは、率直に言ってほとんど外圧によるアクセラレーティブな要素が加わって推進が進んだというふうに言われている分野であるということは率直に認めていただけるものと思いますが、外圧がなくても我が国を救うために規制緩和推進しなければならないというのが本旨なのですね。外圧というのは、ある意味では外国の国家利益やその人たちの利益のために我々が要求をされて受け身でやることなのでありますから、そうではなくて、もっと積極的に我が国から進んでこの国の経済を、景気回復を本格的なものにし、長期的に構造の体質の改革をしていくという意味規制緩和推進するということが大事なことであることはもう言うまでもありません。  釈迦に説法を承知で長官に申し上げるわけでありますが、ひとつそういう分野も含めて積極的に規制緩和に取り組む、リーダーシップを強力に総務庁長官として発揮するという御覚悟を御披瀝いただきたい、こう思うのであります。これが最後質問であります。
  74. 中西績介

    中西国務大臣 昨年来、規制緩和問題については多くの分野におきまして検討され、そして先ほども申し上げましたように、開かれた形の中で論議をし、透明度の高いものでということを期待をしながら今まで進めてきたつもりであります。したがって、これから後も、来年の同じ時期になるわけでありますから、改定時期に向けましてさらに今までより以上にそうした問題等について、各省庁における御論議も含め、私たち担当省庁として全力を挙げて取り組んでまいりたい、こう考えております。
  75. 西川太一郎

    ○西川委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。
  76. 石破茂

    石破委員長 野田佳彦君。
  77. 野田佳彦

    ○野田(佳)委員 新進党の野田佳彦でございます。  ただいまの西川委員質問に引き続きまして、 冒頭、初めの部分総務庁長官の行革や規制緩和等に取り組む基本姿勢をお尋ねする部分でございますので、若干西川委員質問と重複をするかもしれません。その後、二つ目の大きな項目として、私は、今回の規制緩和推進計画改定の際に盛り込まれなかった、措置困難として却下された項目一つでございますが、郵便局の信書配達の独占の見直しの問題、これを具体的に取り上げていきたいと思います。またもう一つ、時間がありましたら店頭登録基準の見直しの問題、これらを中心に、五十分のお時間をちょうだいしておりますので、質問をさせていただきたいと思います。  まずはでありますけれども総務庁長官の基本的な姿勢あるいは理念、哲学にかかわる部分を若干視点を変えて質問をしたいと思いますけれども、戦後日本人は、多少政治が汚くても、多少政治がだらしなくても、優秀な官僚がいればこの国は大丈夫であるという安心感というものを心のどこかに持っていたように思いますけれども、最近、この官僚に対する信頼感、官庁に対する信頼感、大きく揺らいでいるように思います。  その発端となりましたのが、昨年のあの「もんじゅ」のナトリウム漏れの事故でありました。そして、それに対する動燃や科学技術庁のまさに情報隠ぺい工作。さらには、ことしに入っても薬害エイズ問題において、長い間見つからなかった資料が、厚生大臣がかわって調査班を設けるとすぐにその資料が、一九八三年当時のあの資料が次々と見つかったり、あるいは住専問題における大蔵省の姿勢においても、国民の知る権利よりも公務員の守秘義務を優先する、まさにこうした体質が目立ちました。このような一連の官庁の情報隠ぺい体質、あるいは省益あって国益なしともいえるような官僚主義の弊害というものが最近つとに目立っているように思いますけれども、行政改革や情報公開を推進する責任ある立場総務庁長官は、これらの一連の出来事に対してどのような御見解を持っているか、まずはお尋ねをしたいと思います。
  78. 中西績介

    中西国務大臣 行政改革、この基本的な目標というのは、もう何回か出てきたと思いますけれども、簡素で効率的な政府の実現、あるいは国民からの信頼をかち得る行政を実現するということが基本的な理念であろうと思います。  そうした中における情報公開の問題でございますが、昨年三月十七日に発足いたしました行政情報公開部会におきまして鋭意煮詰めていただいておるところです。もうその回数は、部会の数にいたしましても三十回をはるかに超え、さらにまた小委員会を今継続をしていただいています。こういう専門的観点からの論議を積み重ねておりますけれども、四月二十四日の日に中間報告を行うようにいたしております。さらに本年十二月には意見具申を行政改革委員会からいただくようにいたしておるわけでありまして、この委員会意見等を十分尊重いたしまして積極的に取り組んでいく、そうした決意を申し上げたいと思います。
  79. 野田佳彦

    ○野田(佳)委員 私がお尋ねをしましたのは、情報公開等の動きがさまざまな部会や委員会でどういう動きになっているかというよりも、まさに総務庁長官の先輩政治家としての御見解をお尋ねしたつもりでありました。と申しますのは、先般の当委員会における所信の表明、あるいは本会議における規制緩和推進計画改定についての趣旨の説明とそれに対する答弁、いずれにしても、官僚の壁を突き破っていくべきまさに政治家が奮起しなければならないときに、政治家の言葉ではなくて官僚的な表現が目立っていたことが大変残念に思っておりました。今そういう意味でお尋ねをしたテーマでありました。  同じような視点で今度またお尋ねをしたいと思いますけれども、大蔵省の解体、分割等の議論が今行われています。これは連立与党においてもそうでしょうし、私ども新進党においてもこうした検討が行われていますが、これは単に一省庁、大蔵省だけの問題として片づけるべきではないというふうに思います。中央省庁の再編成をどういう枠組みで行っていくかという、まさにあるべき行政の姿を頭に描いて、念頭に置いて考えるべきだろうと思います。こうした視点で行革を推進する立場として、総務庁長官の御見解をお尋ねしたいと思います。
  80. 中西績介

    中西国務大臣 行政組織の問題でございますが、変化への対応、これがまたどう行われるかによって行政のあり方というのが随分変わってくるわけでありますから、こうした点を十分認識をしながら、総合的に総務庁といたしましては整合性が確保されるように、そして行政そのものが効率的になるようにということでこれから取り組んでまいらなくてはならぬということを、その基本に立ちまして、中央省庁の組織編成のあり方も行政改革検討課題一つであろうとは思います。中央省庁の場合には、国の行政機構の最も根幹をなす組織でございますので、改編の影響というのは大きなものがあるということもまた事実であります。したがって、このデメリットあるいはメリットについても十分慎重に対応していかなくてはならぬだろうと思っております。  そこで問題は、行政改革の一端としていろいろ今進められております情報公開の問題にいたしましても、それから地方分権の問題にいたしましても、規制緩和の問題にいたしましても、これらの問題がやはり具体的に推進されて、行政組織がその中でいかにあるべきかということを考えますと、今指摘のありますこの行政官庁のあり方、中央官庁のあり方というのがそこからまた生まれてくると思います。  したがって、先に何々ありきで今直ちにそのことについて申し上げるわけにはまいりませんけれども、ここ数年かけて、こうした諸問題を、しかも行政のあり方を中央から地方にという、こうしたものも含めまして論議をいたしておるところでありますから、こうしたことを積み重ねた中で進展させるべき課題ではないかと思い、これからもこれらの問題についていち早い結論的なものを導き出していくべきだろう、こう考えております。
  81. 野田佳彦

    ○野田(佳)委員 基本的な姿勢の部分では私も若干異なる意見があるのですが、余りイントロの部分で時間を食ってはいけないので、まずはこの規制緩和、行政改革に絡んでの質問にこれから入っていきたいと思います。  この行革、規制緩和の具体的な進め方でありますけれども、橋本総理は、行政改革委員会、経済審議会、国会等の移転調査会、それから地方分権推進委員会、これらの四つの審議機関の代表者を呼んで、最近二度にわたって懇談会を開かれています。相互にそごが出ないように有機的な連携をとることが目的であろうという肯定的な見方もある一方で、私自身は、内閣の重要課題と位置づけながらもどのような形で行革や規制緩和具体化をしていくかという道筋がまだ描き切れていないという、そんな現象のように見えております。  そういう懸念を持っておりますけれども行政改革委員会意見を尊重する立場総務庁長官は、先ほど申し上げました三つの審議機関との調整の必要性をどう認識をされているのか、お尋ねをしたいと思います。
  82. 中西績介

    中西国務大臣 総理の方が、今御指摘のございましたように、懇談会を持つように要請をされ、規制緩和あるいは地方分権あるいは中央省庁のあり方だとかあるいは首都機能移転等につきまして連携を保ちつつ推進をしていくということが大変重要だろうということで我々にも御相談がございまして、そのことを十分認識をいたしまして、やはり調整をし、そして一体的に推し進めることが今一番肝要ではないか、こういうことを考えまして、行政改革委員会あるいは経済審議会、地方分権推進委員会国会等移転調査会の各委員長あるいは会長の皆さんに集まっていただきまして御論議をいただいておるというのが実情であります。  そこで、問題意識でありますけれども、この懇談につきまして、諸課題が一方的に推進されるということになって、その調整等が、逆に今度は一定の期間を過ぎましてからまたもとに返って論議をし直すなどということになりますと、今指摘がされておりますように、できるだけ短期間にということでございますので、一緒にこのようにしてやっていくことがよりよい結果を生むのではないか、こういうことを考え合わせて御議論をいただいておるところでございます。  したがって、問題は、戦後五十年、まさに日本の行政のあり方が、先ほどから指摘されておりますように、情報公開一つをとりましても御指摘のあるような問題が幾つも出てきておりますし、あるいは行政機構そのものについても今いろいろ御指摘があっておりますときだけに、これらをより民主的に、いわゆる国民の生命あるいは健康、こうしたことをさらに私たちが守り得る体制というのは果たしてどのようにすればということで、特に総務庁で今論議いたしておりますのが、高齢化社会の問題だとかあるいは青少年育成の問題、あるいは交通安全の問題等を含めましても幾つもそうした問題があるわけでありますから、すべてこれはやはり今までの行政のあり方をできるだけ民主的に、人間の命それから人権そして環境等を含めましていかにすればということで我々は今監察し、勧告をしたり、いろいろな形態で行っておるわけでありますけれども、こうした諸問題をやはり一元的に推し進めるということになってまいりますと、できるだけ今あるそれぞれの機関等を含めまして一体的に取り組める条件というものをつくり出していくことが大変重要ではないか、こう考えておるところであります。
  83. 野田佳彦

    ○野田(佳)委員 私は、四つの審議機関が横並びで同着ゴールを目指すようなやり方だと、恐らく行革、規制緩和は停滞をしてしまうだろうという懸念を持っておりまして、特に行政改革委員会は、先ほどの議論にも出ておりましたけれども、アクセルを踏む立場の人が多いものですから、この構成についてはいろいろな御意見があるでしょうけれども、逆にその人たちのブレーキになるような、そんな動きにならないことをぜひ期待をしたいというふうに思っております。  それから、規制緩和推進計画改定についての質問をさせていただきますけれども、新規にこのたび五百六十九項目でございますか、加わりました。項目の多さは目立つけれども、先ほどの西川委員の御指摘のとおり、抜本的な経済構造改革につながるようないわゆる目玉というものは残念ながら乏しいというふうに私自身は評価をしています。一々申し上げませんけれども、大店法や先ほど来出てきた持ち株会社の問題とか、残念なことにこうした大テーマが先送りになっているというのが実情であろうと思います。  だからといって、これはそのほかの、例えばみりんが酒屋さんじゃなくて食料品店でも買えるようになったというようなことでもこれは確かに国民にとっては便利なことで、やらないよりはましたと思うのですが、規制緩和の今の前進のぐあいというのは、決してエンストが起こってとまっているとまでは言いませんけれども、やっとローギアが入ったぐらいであって、辛うじて少し動いている。これからもっとセカンド、サード、トップギアに入れて、本当に時代が変わる、経済構造が変わる、動いているということを早く私は国民に見ていただけるような、そんな動きをしなければいけないというふうに思っていますが、中西長官は今回の改定についてどのような評価をされていますでしょうか。
  84. 中西績介

    中西国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、利害が対立する関係者の皆さん、そういう方々にやはり御納得いただいてやっていくということが行政の立場としては必要でありますので、指摘されますように、短期間のうちに多くの問題が処理されていないというこの実情というのは私も否定はいたしません。  ただ、数の問題を私たちは余り言いたくはありませんけれども、しかし、報道関係だとかいろいろな方々はやはり数によって一般にそうしたものをお知らせするということがわかりやすいものですから、そうしたことの要求等が相当出てくるわけですね。したがって、私たちは、先ほど局長答弁いたしましたけれども、数よりも質ということをどうこれから考え措置をしていくかということが大変重要だということも十分認識をいたしておるつもりであります。  したがって、私たちとしては、これらの問題について、先ほどから申し上げておりますように、五年であったものを昨年度三年に繰り上げまして、その三年の間ということでようやくその一年がたって、そして改定すべきものは改定をしていかなくてはならぬということで論議をいたしまして、最初、中間報告をしたときには大変な批判をいただきましたけれども、それ以外にも約五百七十項目に近いものを追加し、そしてこれらを含めて、これから何としても当初の目標の年度内には三分の二を達成すると同時に、これからさらにそれを改革を進めていこうということで、今鋭意取り組んでおる最中でございますので、いろいろ御指摘をいただきながらまたやっていきたいと思っておるところであります。いずれにいたしましても、新たな規制緩和方策をできるだけ積極的に盛り込みながら、これからも鋭意努力をしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
  85. 野田佳彦

    ○野田(佳)委員 この後、政治家のリーダーシップで改定にどのような効果があったのかというお尋ねをするつもりであったのですが、これは先ほどの同僚議員の質問と完全に重複をいたしますので、この点については割愛をさせていただきたいというふうに思います。  ただ、私の印象としては、橋本総理においては輸入住宅ぐらいしか余り指導力を発揮されていなかったし、総務庁長官におかれましても、先ほどの御答弁がございましたけれども、私はやはりまだまだ物足りないなという印象を持っております。これについては質問はいたしません。次に、持ち株会社解禁あるいはNTTの分離分割、有料職業紹介、労働者派遣事業の原則自由化、これらが本当に期待をされていた目玉項目でありましたけれども、結局先送りになった原因というのは、総務庁長官の所属をされている社会民主党の慎重な姿勢というものがあって連立与党の調整ができなかったということが大きな原因であろうというふうに思います。また、それぞれを担当する郵政大臣あるいは労働大臣、それぞれ社会民主党御出身の方でありまして、大変失礼な言い方でありますけれども規制緩和推進は橋本内閣の重要課題といいながらも、社会民主党という政党においては極めて後ろ向きの姿勢であったという印象を私は持ちました。それについて、長官はどのような御見解をお持ちでしょうか。
  86. 中西績介

    中西国務大臣 御指摘ございましたけれども、決してそうではないと私は思います。  ただ、問題は、やはり労働者問題等におきましては、今まで戦後の労働行政なりなんなりがどのようにされてきたのか、そして各企業、大きな企業、中小企業等を含めまして、たくさんのそういうものがございますけれども、依然として週休二日制がまだとれないという、法律までできております、あるいは女性の雇用問題だって、そのようにできておりますけれども、まだまだ十分な体制になっておらないという条件の中でのこうした労働、雇用の問題等を含めまして考えるときに、どうであったかということではないかなと私は思っております。  したがって、これは全く阻止をしたり措置をしないという中身ではありませんで、十分なそうした条件なりあるいは環境なりを整えるというそうしたことがやはりあった上でやるべきではないだろうかという意見等もあるわけでございますから、そうしたものはやはりいち早く、民主的な体制というものをいち早くっくり上げていくことが——ですから、外国の場合なんかと比べますと、そうした基礎的なものが大きな違いがあるということもございますので、そうしたことになったのではないかと私は思っています。  したがって、そのような問題について私たちが全く無関心であったり、むしろ措置しないという体制ではないということを特に申し上げて答弁にさせていただきます。
  87. 野田佳彦

    ○野田(佳)委員 もちろん、私自身も、無関心であったとか阻止していたとか、そんな失礼な見方はしておりませんで、慎重な姿勢であったという御指摘をしたつもりでありますけれども、慎重な姿勢、もちろんそれは大切な姿勢かもしれませんが、一方においては規制緩和推進がやはり求められている、断行しなければいけないときに、雇用、労働の問題、その流動化の問題というのは同時にやはり決着をつけないとこれはいけない問題だと思いますので、そうした迅速さというものもあわせて求められているという点をやはり念頭に置かなければいけないだろうというふうに私自身は思っております。  それでは次に、内外から要望のあった約千九百項目の約四割は各省庁措置困難と却下されております。既に措置済みの項目であるとか措置予定の項目は、これはある意味では各省庁の許容範囲の規制緩和である。そうではなくて、措置困難とされたものについては、もちろん誤解によるものもあるでしょうけれども、本当は真に規制緩和が求められているお宝の山みたいなところもあるのではないのかなという気がしております。長官はこれについてはどのようにお考えでしょうか。
  88. 中西績介

    中西国務大臣 今回の計画改定に当たりまして、今御指摘ございましたように、千九百事項に及ぶ問題でございますけれども意見だとかあるいは要望が、先ほども申し上げましたように、中間公表のときにはいろいろ指摘をされてまいりましたけれども、そのときには六百六十くらい措置困難なものがあったと思っておりますが、その後、関係省庁の大変な御努力をいただきまして、行政改革推進本部における検討あるいは関係閣僚懇談会の開催あるいは内閣を挙げて積極的に取り組んだ結果によりまして、措置困難とされていた事項、これも極力今回の改定計画に盛り込む等々、現時点におきましては私たちは相当努力を積み重ねた結果だと思っております。  盛り込めなかった点につきましては、意見あるいは要望等まだまだあるわけでありますから、その理由、できなかったという理由について公表をこれからしていこうと思っています。そして、そのことをまた公開されて後に、皆さんの御意見なりいろいろな点をいただきながら、規制緩和そのものをより充実したものにしていくべきではないだろうか、こう考えております。  したがって、今後とも積極的に取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。
  89. 野田佳彦

    ○野田(佳)委員 今の御答弁については大変納得をさせていただきます。もう一度その措置困難とされた部分についての再検討もやっていただいた上で、その理由というものをなるべく早く明示をしていただくような御努力をぜひお願いをしたいというふうに思います。  続いて、今度具体の問題に入っていきたいというふうに思いますが、その措置困難と却下された項目の中で私がきょう取り上げたいのは、郵便局による信書配達の独占の見直しの問題であります。  これから郵政省の方にお尋ねをしたいと思いますけれども、まず第一に、日本チェーンストア協会などが要望していたこの郵便局による信書配達の独占の見直し、なぜ措置困難として見送られたのか、その理由をわかりやすく御説明をいただきたいというふうに思います。
  90. 伊藤高夫

    伊藤説明員 郵政省の企画課長伊藤です。お答えをしたいと思います。  まず、郵便事業の基本的な性格なんですけれども、これにつきましては、どんな山間辺地の不採算な地域においても、またどんな不採算なサービスであっても、だれでもどこでも全国均一の料金で、利用者にとって簡単で便利な郵便ポストへの投函、そういったことを通じまして、あまねく公平なサービスを独立採算制で、税金の補助を受けることなく提供することにあるというふうに私の方では考えております。  しかしながら、信書の独占を緩和するということになりますと、そういうことをやりまして採算性の高い地域あるいは採算性の高いサービスへの参入を認めますと、不採算な地域それから不採算なサービス、これをあわせて一体として実施をしております郵便ネットワーク、これが壊されまして、結果として利用者の利便が損なわれてくるおそれがあるのではないかというふうに考えております。  そういうことから、国民の利用者の皆様になるべく低廉な料金であまねく公平に、そして安定的に郵便サービスを提供していくというためには、現在の制度が適当ではないかというふうに考えているところであります。  これが措置困難のお答えなんですけれども、以上です。
  91. 野田佳彦

    ○野田(佳)委員 小包郵便物はもう既に約二十年前から民間業者が参入をし、今ではその取扱量も小包郵便物を上回る宅配便の量になっております。また、第三種、いわゆる雑誌などの定期刊行物についても民間業者が進出をし、着実に成果を上げております。それぞれほぼ全国カバーをしているわけでありますので、第一種の封書、第二種のはがき、御指摘の信書についても、国が独占をしなくても十分民間業者で対応できるものと私自身は思っておりますが、どうでしょうか。
  92. 伊藤高夫

    伊藤説明員 お答えをいたします。  先生おっしゃるとおり、民間の方でも立派に一生懸命やっておられると思うのですけれども、小包であるとかあるいは刊行物、こういった信書以外の郵便物につきましては、昔からもともと独占ということではありませんで、これまでも民間の方と一緒に切磋琢磨をしましてサービスの提供を行ってきておりまして、それによって国民利用者の利便の向上に貢献しているのではないかというふうに思います。  一方、手紙、はがきであるとか、そういった信書の基本的なサービスということについては、やはり国民の暮らしに不可欠な基礎的な通信手段であるということで全国津々浦々、山間、辺地、離島まで全国均一制ということと、それから簡便なポスト投函といったシステムを通じまして、なるべく安い料金で安定的にあまねく公平なサービスを提供したいということで、その必要があるというふうに考えております。  手紙、はがきの一通一通を、年間で二百四十億ぐらい超えておるのですけれども、そういった手紙、はがきの一通一通を毎日毎日全国津々浦々の各家庭まで提供していくということで、郵便局二万四千のネットワークがございますけれども、全国ネットワークというもの、これについては、民間が今提供されております物品であるとかあるいはカタログ、そういったものの輸送の配達網とは異なるのではないかなということで、申し上げましたこの郵便の全国ネットワークを今後とも維持していくというためには、今の郵便料金で支出を賄っておるという独立採算制、このもとで、税金の補助、補てん、これは一切ないのですけれども、そういうことなしにやっていくということが一番ふさわしいのではないかなというふうに考えておるところです。  ですから、そういったことから手紙であるとかあるいははがきなど、そういった基本的なサービスに限っては郵便局だけが提供することとされているのではないかなというふうに考えておるところですけれども。  以上です。
  93. 野田佳彦

    ○野田(佳)委員 最初の御答弁の中で、措置困難の理由として、山間、辺地あるいは離島等、不採算地域へのサービス提供ができなくなる、あまねくサービスができなくなるというおそれを指摘をされておりましたけれども、全国均一料金を民間参入の条件とするとか不採算地域のみを公共サービスで行うというような措置で、いろいろそれは方法はあると思います、解消できる工夫というのは十分できるような気がしておりますけれども、その辺はどうお考えでしょうか。
  94. 伊藤高夫

    伊藤説明員 お答えをします。  若干繰り返しになるのですけれども、郵便というものが国民生活といいますか、暮らしに深く根づいているというふうなことで、非常にプリミティブな、基礎的な通信手段だということで、本当にくまなく全国均一で簡便なポスト投函システム、そしてできるだけ安い料金であまねくサービスを提供する必要があるということで、これはいわばユニバーサルサービスということで考えております。  ですから、そういったネットワークを、サービスを提供するそのネットワークを今後とも維持していくということでは、繰り返しになりますけれども、現在の独立採算のもと、税金の補助を受けることなく行っていくことが一番いいのではないか。  御指摘のありました、不採算な地域など国の方でやるというお話がちょっとうかがえたのですけれども、そういうことになりますと、郵便局がそういった部分をやってそのほかが民間ということになりますと、財政的にきちっとしたことをやっていくことは非常に不可能になってくるわけで、その結果としては、今の独立採算というものを放棄しまして補助金に依存するというふうな、補助金なのかどうかあれなんですが、そういったことにならざるを得ないのじゃないか。そういう補助金に依存する事業ということになれば、現実の財政事情等を考えてみましても非常に困難でありますし、実施主体の自主性も失われるし、あるいはインセンティブもそがれるのではないかということで、適切ではないのではないかというふうに考えておるところでございます。  以上です。
  95. 野田佳彦

    ○野田(佳)委員 手紙、はがき、基礎的な通信手段ということで、そういう形で郵便局で引き続きというお話でありますけれども、郵政省は最近、クレジットカードを信書に当たるとして、その宅配を行おうとしている民間業者と今信書論争を行っているかと思いますけれども、信書というのは特定の人にあてた通信文を記載したもの、一方で言う民間業者の指摘では、クレジットカードというのはあくまで信用付与のための単なる道具である、その配達は貨物の配送である、全くこれは見解が異なっているわけでありますが、私自身は、これは無理して郵政省がこうした主張をして厳しく対応することはないのではないかという気がしておりますが、御見解をお伺いしたいと思います。
  96. 伊藤高夫

    伊藤説明員 お答えをします。  クレジットカードというものについては、いろいろなものがあるかもしれませんけれども一般的に個々の利用者の氏名であるとかあるいは有効期間、取り扱い上の注意、そういったものが記載されております。それで、特定の人にあてました通信文を記載したものということになるわけで、判例等によって確立されておるのですけれども、郵便法上の信書に該当するのではないか、そういうふうに考えております。  本件につきましては、クレジットカードそのものというよりも、クレジットカードそのほかを入れました封書、手紙なんですけれども、その封書が信書に該当するのかどうかということで、私の方は信書に該当するということで郵政省はそういう判断をいたしたわけですけれども、それに対して民間の宅配業者の方から疑問を投げかけられたということで、まあ私の方としては法解釈の問題というふうに認識をしております。そして、郵便法を所管する郵政省としまして、そういうことであるのでクレジットカードの運送を受託することがないようにいろいろと理解を求めておるところなんですけれども、今後とも誠意を持って説明、説得を続けさせていただきたい、そういうふうにしてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  97. 野田佳彦

    ○野田(佳)委員 クレジットカードを信書と考えるかどうかという意味の解釈論争、私自身は、果たして信書に入れるかどうか疑問に思っているという意味で疑問を呈したと同時に、あくまで信書については独占形態は見直すべきであるという立場で、二重の意味で疑問を持っていたわけであります。  郵便局による信書配達の独占、ヨーロッパ等においては、例えばドイツ、オランダ、あるいはレターの国と言われているイギリスにおいても、郵便事業の民営化等の国際的な潮流が出てきているように思いますので、まさにこれは、今の日本の体制は時代に逆行しているのではないのかというふうに指摘をしたいと思いますが、この点についての御見解をお伺いしたいと思います。
  98. 伊藤高夫

    伊藤説明員 お答えをいたします。  レターといいますか信書の配達の独占の国際潮流ということですけれども、私の方では、手紙、はがき、そういった基本的なサービスというものについては、これはやはり国民の暮らしに深く根づいた基礎的な通信手段だということで、日本に限らず欧米先進国を初めとしまして、国際的に見ても郵便局のみがサービスを提供しているというふうに承知をしているところでございます。  以上です。
  99. 野田佳彦

    ○野田(佳)委員 最近ですけれども、高い国内の郵便料金を嫌って海外からDM等を発送する、いわゆるリメーリングというのでしょうか、これが大変ふえてきているということであります。それは当然、今も引き続き景気低迷から脱却されない中で、少しでもコスト削減をしようとする企業にとっては、こうした手段も、万国郵便条約に抵触をするということがあったとしてもやらざるを得ない状況なのだろうというふうに思います。  そうした意味から、特にこれは香港あたりから、現象としては非常にふえているということでありますけれども、これを厳しく断ずるというよりも、郵便料金の低減のために改めて申し上げたいと思いますけれども、むしろ民間参入の道を開くべきではないのか。経営効率を高めて競争原理を働かせて、コスト削減に、郵便料金も、その他の公共料金も全般的に高目でありますけれども、少しでも低減をするように努力をすべきであるということを主張したいと思いますけれども、その点についての御見解をお伺いしたいと思います。
  100. 伊藤高夫

    伊藤説明員 お答えします。  手紙、はがきというものについては、何度も申し上げてあれなんですけれども、ユニバーサルサービスということで、やはり均一料金で、ポスト投函を通じてなるべく安くそういったものを提供していくという基盤を確保するために、郵便局だけにさせていただいている部分があるというふうに考えております。  ですから、仮にそういった郵便事業に民間の参入を認めた場合に、クリームスキミングといいますかいいところ取りみたいなもの、そういったものが発生いたしまして、ユニバーサルサービスを提供する財政基盤、それが破壊されるおそれがあるというふうなことで、かえってそれは全体として郵便料金の値上げであるとか、あるいは地方における郵便局の廃止、あるいはサービスの切り捨て、そういったものが発生して、結果としては、国民、利用者の利便が損なわれるおそれがあるのではないかというふうに考えております。ですから、そういったことは適切ではないというふうに考えておるわけです。  なお、郵便事業としましても、これまでサービス改善、いろいろなことをやってまいりました。料金面の改善であるとかあるいは新規サービスの提供、それから配達サービスの改善、集荷サービスを強化したり、夜間再配達をしたり、そういった各種のサービスを行っているわけです。先月にも国際郵便料金の値下げを行いました。  そういったことで、郵便事業としても、時代の変化、非常に急速になっておりますけれども、そういった変化、それからお客様のニーズ、郵便事業の基本は利用者の利便ということで、基軸だと思っておりますけれども、そういったことに対応するために、郵便サービスのより一層の改善を図って、今後とも一生懸命利用者の利便に努めていきたい、あわせて、効率化努力も一生懸命やって節減を図っている、そういうところでございますので、御理解をいただければと思います。
  101. 野田佳彦

    ○野田(佳)委員 ずっと見解の相違が続いてしまっているわけでありますけれども、基本的には、先ほど国際郵便料金の値下げが行われたとはいいながらも、依然としてこれは、途上国との比較のみならず先進国と比べてもまだまだ割高であるということを私は指摘をしたいと思いますし、これまでの努力によって、それは多少の改善はあるのかもしれませんけれども、郵便料金は、全般的に国内においてはずっと値上げが続いてきたわけでありますので、これはやはり基本的には民間参入の道を開いて、競争原理を働かすという主張を私はこれからもしていきたいというふうに思います。これについては質問を終わりたいと思います。  次に、昨年の規制緩和推進計画のうちに、全部または一部が実施された項目というのは約三分の二の七百六項目ということでありますけれども、その中に、大きな期待があったけれども残念ながらまだまだ効果が上がっていない、そういう意味では、さらに規制緩和の実効性が上がるための工夫をすべき問題、項目というものがたくさんあるというふうに思います。  その中の一つとして取り上げたいのが、店頭登録株式の登録基準の見直しの問題であります。これについて若干質問をしたいと思います。  当初、第二店頭市場と言われている、いわゆる店頭特則市場が昨年の七月に開設をされたときには、将来性あるベンチャー企業等がどんどん参入してくるであろうという期待というものがあったというふうに思います。そして、あの没落の大国アメリカが、一九八〇年代、没落の大国と言われていたけれどもはい上がってきた、世界の競争力の一位に返り咲いた、その背景には、多くのベンチャー企業が生まれて、インテルやマイクロソフト、こうした企業がどんどんと育った、その背景にNASDAQという店頭市場がございました。まさにこれに類する期待というものを、店頭登録株式の登録基準の見直し、特則市場の開設ということで、我々も期待を持ったわけでありますけれども、福井県の福井市でございますか、環境関連機材メーカー、バイオマテリアルという会社が、昨年の七月の店頭特則市場の開設以来初めて、株式公開の動きが出てきた。ただ、これはまだ決定していないという状況であります。残念ながら、そのほかにはまだ全然、そのほかの会社の動きは見られないという状況で、思ったより難航している、難産になっている、低迷をしているというふうな印象を持っておりますが、これはなぜなのか、お尋ねをしたいと思います。
  102. 後藤敬三

    ○後藤説明員 お答えを申し上げます。  店頭特則市場につきましては、先生指摘のとおり、二十一世紀に向けました、我が国経済の一層の発展に資するという観点から、ベンチャー企業等の株式公開による資金調達の円滑を図るために、登録基準を大幅に緩和して、昨年七月に開設させていただいたところでございます。  御指摘のように、現段階では登録企業はまだございませんが、この点につきましては、市場創設からまだ日が浅いということも踏まえまして、店頭市場への登録を目指す企業とされましても、公開等に向けて、体制整備等、所要の準備期間を要するといった事情があろうかと存じております。  店頭特則市場の円滑なスタートを可能とするために、私どもといたしましては、店頭登録の引受審査に当たりまして、決算にかかわる審査報告書についての経過措置を講じますとか、さらに今般、店頭特則市場の対象企業につきまして、研究開発型事業を新規事業に改めるとともに、サービス業も含まれることを登録基準上明確化することとしたところでございます。  私どもといたしましては、店頭特則市場が、従来の株式公開が困難であった立ち上がり段階の企業の皆様におかれまして、資金調達の場として、今後積極的に活用されることを期待しておる次第でございます。
  103. 野田佳彦

    ○野田(佳)委員 ちょっと今の御答弁の中でも触れられておりましたけれども、今回の規制緩和推進計画改定の中で、店頭特則市場の対象企業を、売上高に対する研究開発費の割合が三%以上という既定の研究開発型事業から新規事業に改められました。  この理由というものをもう一度確認をしたいと思いますけれども、これはなぜこういうことになったのか。余りにも研究開発型事業ということで固定化してしまったことの弊害を認めた結果だったのか、それがやはり新規参入の際のハードルを高くしていたという認識だったのか。そして、新規事業に改めることになったということですが、この新規事業の基準というものをお尋ねをしたいというふうに思います。
  104. 後藤敬三

    ○後藤説明員 お答えを申し上げます。  店頭特則市場につきましての、研究開発型事業から新規事業に改めるという理由についてのお尋ねでございます。  先ほども申しました、昨年七月に店頭特則市場が開設をいたしました。これに対しまして、サービス業を含めまして幅広い業種のニュービジネスの資金調達の場として店頭特則市場が活用されるべきであるという御要望がございまして、それを踏まえまして、今般対象事業につきまして研究開発型事業から新規事業に改めるとともに、サービス業も対象に含まれることを登録基準上明確化するため、今月中に日本証券業協会規則について所要の改正を行うことといたした次第でございます。
  105. 野田佳彦

    ○野田(佳)委員 店頭市場をより活性化させていくという視点からすると、当初の登録基準の見直しという言ってみれば入り口の規制緩和部分、これももちろん当然どんどんとやっていかなければいけないと思いますが、これだけにとどまらずに、一たん公開をした後の店頭株の売買が活発になるように流通性を高める必要というものがあると考えられます。  そのための店頭市場改革というものをやはり早急に行わなければならないと思いますが、大蔵省は今年度どのような方法で店頭市場における円滑な取引の促進のための方策検討するのかをお尋ねしたいというふうに思います。本来ならば、取引所の補完的な役割という位置づけの見直しの問題であるとか値づけ制度の問題とか公開価格決定のあり方とか、いろいろ具体論でお尋ねをしていきたいところでありますけれども、まずは、ことしの基本方針をお尋ねする形で意気込みをお聞かせいただければと思います。
  106. 後藤敬三

    ○後藤説明員 お答えを申し上げます。  店頭市場の流通市場としての整備ということについてのお尋ねでございますが、御案内のように、我が国の店頭市場は登録企業数は着実に増加しておりますが、流通市場の状況を見ますと、多くの銘柄につきまして、株式公開の後におきまして売買高が著しく減少するなどの傾向が見られているという問題点が指摘されてございます。店頭市場の活性化を図るためには、こういった円滑な取引を促進することが課題となっておると存じます。  このため、現在、日本証券業協会に設けられておりますワーキンググループにおきまして、流通市場の活性化のための方策につきまして幅広く検討がなされておるところでございまして、その結果を踏まえまして所要の措置を講じてまいりたいと存じます。  以上でございます。
  107. 野田佳彦

    ○野田(佳)委員 私の質問時間はもう本当は終わっているのでありますけれども、次の質問者が来るまで若干の質問を引き続き行いたいというふうに思います。  その際、今のお答えについてでありますけれども日本証券業協会ですかの答申を待ってから対応ということでありますけれども、大蔵省から能動的に店頭市場改革に向けて何か省内で検討するということはないのでしょうか、お尋ねをします。
  108. 後藤敬三

    ○後藤説明員 お答えを申し上げます。  まさに、店頭市場の今後の発展につきましては、私どもといたしましても一生懸命勉強をさせていただいておるところでございまして、これからも一生懸命取り組んでまいりたいと思っております。
  109. 野田佳彦

    ○野田(佳)委員 日本の場合、企業を創業してから公開に至るまでというのが大変時間がかかるというふうに言われています。ある説だと平均して二十九年ぐらいかかると言われています。一方で、アメリカ等においては創業から五、六年で公開が可能であるというお話でありますが、なぜこれほど日本は企業の設立から公開まで時間がかかるのか、大蔵省としてはどのような御認識を持っているのか、お尋ねをしたいと思います。
  110. 後藤敬三

    ○後藤説明員 お答えを申し上げます。  創業いたしましてから店頭公開までに相当の年数がかかるという御指摘がありますことは承知してございます。  原因についてのお尋ねでございますが、創業から公開までの平均年数が長いということは、公開につきましての各企業のお考え方といった点が一つ考えられるのではないかと存じております。  すなわち、平成六年一年間に店頭公開企業が百六社ございましたが、その百六社を対象に分析をいたしました結果、企業の設立から、つまり企業が誕生されてから公開までの期間は平均で約三十年でございます。企業が店頭公開の決意をされてから公開までの期間といいますのは三ないし五年ということでございまして、約六分の一ないし十分の一の長さとなってございます。この背景には、企業設立当初から公開が意識されているという場合がありますが、それではなく、設立後相当年数を経まして企業が発展をされた段階で一層の成長を目指されて、そういった等の目的で公開を考えられるというケースも多いのではないか、そういうことが一因ではないかと考えておる次第でございます。創業後五年程度で公開を果たされている企業もございまして、設立当初から公開を意識されているものではないかと見られておる次第でございます。  以上でございます。
  111. 野田佳彦

    ○野田(佳)委員 よく我が国の店頭市場、NASDAQを目指してという動きがありますけれども、そこまで行くにはまだ質、量ともに相当な大きな差があると思います。せめてフランスのヌーボー・マルシェ、ブリュッセルのEASDAQ、こうした新規の店頭市場に負けないように、魅力ある市場づくりをぜひお願いしたいというふうに思いまして、次なる質問者の息も整ったと思いますので、これで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  112. 石破茂

    石破委員長 吉井英勝君。
  113. 吉井英勝

    ○吉井委員 私は、せんだって予算委員会の方で住専と独禁法の問題を質問もいたしましたので、それできょうは、最初にそちらの方から質問に入りたいと思います。  大臣は、我が国経済社会の抜本的な構造改革を図り、国際的に開かれ、自己責任原則市場原理に立つ自由な経済社会としていくための不可欠の政策課題であり、内閣の最重要課題一つというふうに、この間もあいさつをされました。改定計画の方では、「我が国経済における公正かつ自由な競争を一層促進することにより、我が国市場をより競争的かつ開かれたものとするとの観点から、規制緩和とともに競争政策の積極的展開を図る」として、それで金融分野における独禁政策について触れているわけでありますが、きょうは時間もあれですので、持ち株会社までやっておりますととても時間がありませんので、この独禁法にかかわる問題として、住専の兼任役員の問題について少し伺いたいと思います。  四月四日の予算委員会でこれを取り上げまして、それで総役員の三分の一が母体行の兼任役員、その全員に当たる、ことしの二月現在四十四名なんですが、四十四名の兼任役員が全く届け出ていない、届け出義務違反であったというふうに明らかになりました。  そこで、最初に細かいことを先にちょっと伺っておきたいのですが、毎年の届け出件数というのはどれだけですか。
  114. 舟橋和幸

    ○舟橋説明員 御説明を申し上げます。  役員兼任届け出、年度によってかなり変動はございますが、直近の平成七年度で申し上げますと五千八百九十七件の届け出がございましたし、もう少しさかのぼって過去五年程度を見ましても、大体五千件、六千件内外、こういう状況でございます。
  115. 吉井英勝

    ○吉井委員 ですから、大体五千件から六千件という兼務役員についての届け出もされているのですね。ところが、問題の住専の場合には、母体行は設立以来二十五年間にわたって全く届け出をしていなかった。  それで、この届け出については、実は二百万円の罰金刑が科されているのですね。過去においてこの罰金刑は何件、実際には科された例があるのですか。
  116. 舟橋和幸

    ○舟橋説明員 御説明申し上げます。  ただいま先生指摘のとおり、独禁法は、第十三条三項で役員兼任届け出の義務を課しておるわけですが、この提出をしなかったとか虚偽の記載をした、そういう者に対しまして二百万円以下の罰金という規定が九十一条の二にございますが、この義務違反者に対して罰則を適用した事例はこれまでにございません。
  117. 吉井英勝

    ○吉井委員 適用していないことがどうかという議論は後でまた時間があれば少しやりたいと思いますが、問題は、今回、二十五年間にもわたって、しかも極めて住専に対する強力な支配力を持っていた、行使した母体行の方の兼務役員について、届け出義務違反という明白な事実が明らかになりながらなぜ適用しないのか、ここのところも伺っておきたいと思います。
  118. 舟橋和幸

    ○舟橋説明員 御説明申し上げます。  公正取引委員会としましては、独禁法違反行為の未然防止を図ることが非常に肝要である、そういうふうに考えておりまして、この役員兼任届け出書の提出などの場合のように、指導によりまして違反行為を容易に是正できるものは、まずは指導により迅速に違反行為を是正させる、こういう方針でございます。ただ、指導に従わないとか、いろいろ悪質な届け出義務者に対しては、九十一条の二に規定されております罰則の適用を含め厳正に対処する、そういう考えでございます。
  119. 吉井英勝

    ○吉井委員 ただ、今回の問題というのは、これは大蔵省が、四十四人の兼務役員のうちの四分の三に当たる三十三人を国会に提出した資料からも隠してきたという問題など、これも問題ですし、そういう中で、これだけ今問題になっている重大な問題についてなぜ公取の対応が甘いのか。今のお話を聞いておっても非常に甘いわけです。それを非常に不思議に思ったのです。  それで、これにかかわって少し聞いておきたいのですが、そこには公取委と大蔵省の関係にやはり考えなければならぬ点があるのではないかと私は思っているのです。過去の公取委員長及び委員の出身省庁別の人数がどれだけなのか、これも伺いたいと思います。
  120. 伊東章二

    ○伊東説明員 公正取引委員会の歴代の委員長委員の出身別人数ということでございます。  まず委員長についてでございますが、昭和二十二年に公正取引委員会が設置されて以来、委員長には現在の委員長を含めまして十四名が就任しております。そのうち民間企業出身者が一名、日本銀行出身者が二名、裁判官経験者が一名、他の十名が行政官経験者ということで、採用省庁という観点から見ますと大蔵省ということになってございます。  次に、委員につきまして、これは昭和五十二年以降ということにさせていただきますと、十九名が就任しておりますが、全員が行政官経験者ということで、同じく、採用省庁という観点から見ますと、公正取引委員会事務局採用者四名、法務省、検事でございますが五名、通産省四名、大蔵省四名、外務省二名ということになってございます。
  121. 吉井英勝

    ○吉井委員 そこで大臣、今お聞きいただきましたように、公取委十四名中十二名が日銀、大蔵出身なんですね。そして、今度の住専の問題の、まさに銀行問題ですね、その母体行が、兼務役員を二十五年間にわたって独禁法を全く無視して届け出もしなかった。それに対する指導もなければ、見つかったからといって届け出義務違反ということで——実はこれは両罰規定のかかった非常に重いものなんですよ。これは大変重視している話なんですよ。こういうあいまいなところが生まれているというのは、やはり公取と大蔵の関係で、今これは考え直さなければならないときじゃないかと私は思うわけです。  総務庁については、設置法第四条十号に基づいて、「各行政機関の機構の新設、改正及び廃止並びに定員の設置、増減及び廃止に関する審査を行うこと。」というふうにあります。そういう官庁という立場からしても、また橋本内閣の閣僚としても、私は、こうした公取委の人事のあり方そのものがこれでいいのだろうか、やはり大臣としてはそのあり方について少し考えてもらわなければいけないのじゃないかと思うのですが、大臣の見解を伺っておきたいと思うのです。
  122. 中西績介

    中西国務大臣 公正取引委員会委員長あるいは委員につきまして、独占禁止法目的を達成するため法律または経済に関する学識経験を有する方々が、まず国会の同意を得て、総理の任命によって委員長並びに委員に選任をされておるわけであります。したがって、今言われました総務庁の任務なりからいたしましても、一応こうした経緯を経ておりますので、この点について、所管外である個別人事等について、総務庁としてはお答えすることを差し控えたい、こう思っています。
  123. 吉井英勝

    ○吉井委員 ただ、これは内閣として、こういう大事について提案をしてこられるわけですから、内閣の閣僚の一員として、今後、こういう人事のあり方についてやはりきっちり、総務庁としてはこういう行政委員会等のあり方については物を申すところでもあるわけですから、そこはきちっと物を言われるということは大事だと私は思うのです。ですから、他省庁のことだ云々で済ますのではなくて、これは、閣僚の一員として自分はこういうことだけは少なくとも押さえておきたいとか、その辺はあってしかるべきだと思うのですが、どうでしょう。
  124. 中西績介

    中西国務大臣 閣僚の一員として個人的な見解を持ち合わせておったといたしましても、今正式のこの場でいろいろ直接申し上げることは、差し控えたいと思っています。
  125. 吉井英勝

    ○吉井委員 次に、私は、今度の改定計画について質問をしたいと思います。  これでは、行政改革委員会の論議の進め方と計画策定のあり方そのもの、きょうのトップバッターの方からも提起がありましたが、ここのところは本当に、国会としては党派を超えて非常に大事な点だと私は思っているのですよ。  出てきた、例えば「光り輝く国をめざして」について、中身をどう評価するかは各人いろいろでしょうけれども、しかし、私はこれを見ておりまして、この中には、このメンバーの人たちの物の考え方なり思想といいますか、随所によく反映しているのですね。痛みやあつれきを生じることは予想されるが、苦しみを乗り越えていかなければいけないのだ、苦しみは仕方がないのだという発想なんです。しかし現実には、そういう苦しみを現に受けている側はどうなのか、苦しみを与える側の論理だけでは、やはり世の中は成り立たないと思うわけです。  そういう点では、私は本当に驚いたのですが、行政改革委員会委員長談話というのが昨年十二月十四日に発表されております。その中で、「今回の規制緩和に関する意見のとりまとめに当たり、我々は、」として、ずっとあるのですが、「通常であれば、利害調整を行うため、規制維持派の代弁者たることを期待された人にも参画していただくところであろうが、今回は猪突猛進、ひたすら規制緩和に邁進していただくことがこの国のためになると考え、敢えて緩和派のみの構成とした。」これはちょっとひど過ぎると思うのですよ。そういう猪突猛進派ばかりの方が適当に人の意見も聞くからいいじゃないかということで、こういう委員会というのはそれで済むものじゃないと思うのですよ。だって、そういう立場の人だったら、自分の意に沿わない人が何ぼ意見を言ったって聞き入れないわけですから。  それで、この行革委の取りまとめたものが、先ほど来議論があったように、行政改革委員会設置法で、内閣総理大臣意見を受けたときは尊重しなければならないという尊重義務があるわけです。ですから、こういう最初のメンバーの任命から、その人たちが小委員会を、任命するにしても何にしても、やはりそのあり方から根本的に問い直す、そこをやらないと、この規制緩和の話というのは簡単にいかないのではないかと私は思います。  この間、通産大臣が出席された日本商工会議所や中小企業四団体の人たちとの懇談の中でも、「まず日商の稲葉会頭が「大店法の規制は現状維持を」と口火を切った。ほかの団体の代表も口をそろえて緩和の反対を強調。」というふうに、やはり痛みを受ける側の声がそういうふうに噴き出しているわけです。  現実に、例えば大臣の地元の、福岡県でしたか、飯塚のジャスコ。あれは、郊外店の穂波ジャスコ店が出店すると、飯塚のジャスコ自身がもう、この間私行ったら閉店セールをやっていますね、もうつぶしてしまうと。しかし、飯塚のジャスコが出たときにそこの商店街は随分打撃を受けたのですよ。しかし、残った人たちがとにもかくにも飯塚のジャスコとともにその地域づくりをやってきたけれども、それも郊外店に人がとられると、町そのものが本当にだめになる。かつての炭鉱で栄えた町がそういう事態になっているのです。  その痛みをそんなふうに感じる人たちが全国にたくさんいる。中小小売商店でいえば十三万八千軒が、大店法の規制緩和が進んだ中でそういうことがこのまま続いていいのだろうか。私はやはりいろいろな立場から物を論ずるということが、これは何も国会だけの仕事じゃなくて、こういう委員会でもそれは論ぜられて、それが反映された行革委のまとめであってこそ尊重に値するものも出てくるかもしれないと思うのです。  そこで大臣、私は、前の江藤隆美総務庁長官も私の大店法を挙げた質問のときに、最後に時間をとらないでそこだけ紹介しておきたいと思いますが、こういうことをおっしゃったのです。地域社会が崩壊し、弱い者を切り捨てていいとはならない、これ以上の緩和廃止がいいかどうか、立法の原点に立ち返って考えるべきだ、江藤長官もこの大店法の規制緩和問題についてはそういうお話でした。  私は、きょうは時間がないから一例この大店法だけ挙げましたけれども、やはり、規制緩和万能論といいますか、規制緩和には、当然廃止すべきものもあれば残すべきものも、さらに強化すべきものも緩和すべきものも、いろいろなものがあると思うのですよ。しかし、そこを本当にきちっと議論できるような、そういう委員会が必要だと思います。  そういう点で、最後にこの問題についての大臣のお考えを伺っておきたいと思うのです。
  126. 中西績介

    中西国務大臣 先ほどもお答えをいたしましたけれども、この行政改革委員会五名の選任については、総理大臣から任命に当たって国会で承認を得るという一つ措置をとっての決定であります。したがって、小委員会等におきまして論議いたしますけれども、小委員会におきましても、この五名の皆さんの一致した意見の中で選任いたしまして決定をし、そこで論議されてきておるわけであります。したがって、今議会制度の中でこうした措置をされてきておるという状況がございますので、これを今改めて私たちが変更するとかいろいろなことは大変難しい問題であります。  したがって、今言われました痛みの問題でありますけれども、こうした問題については、政策的な問題にどう対応していくかという問題が一つあろうと思っています。したがって、今申された大店法等の問題等につきましても、中小企業に対してこれから後政策的にどのように、大店舗の進出によって流通過程が大きく変更されること等がありまして困難になってくるということであれば、その状況を十分把握した上で、地域おこしあるいは町おこし等含めまして、やるとすれば、それに対する行政としての措置をどうするかということ等含めまして本来ならば論議していかなければならぬ問題だと思います。  したがって、今言われましたこの問題については、たくさんの中小企業の皆さんが実際に困っておられるということでありますだけに、長い時間かけておりますけれども、さらにまだ検討すべき時間が必要だということで決定されておらないというのが現状ではないかと思っています。したがって、そうした意見等も含めましてこれから検討させていただきたいと思います。
  127. 吉井英勝

    ○吉井委員 終わります。
  128. 石破茂

    石破委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十七分散会