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1996-04-17 第136回国会 衆議院 環境委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月十七日(水曜日)     午前十時十分開議 出席委員   委員長 杉山 憲夫君    理事 小杉  隆君 理事 七条  明君    理事 福永 信彦君 理事 大野由利子君    理事 斉藤 鉄夫君 理事 長浜 博行君    理事 竹内  猛君 理事 鳩山由紀夫君       逢沢 一郎君    栗原 博久君       佐田玄一郎君    斉藤斗志二君       与謝野 馨君    青山 二三君       田端 正広君    松沢 成文君       岡崎トミ子君    山元  勉君       高見 裕一君    岩佐 恵美君       小泉 晨一君    中村  力君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 岩垂寿喜男君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       田中 健次君         環境庁企画調整         局環境保険部長 野村  瞭君         環境庁大気保全         局長      大澤  進君  委員外出席者         環境庁企画調整         局地球環境部長 浜中 裕徳君         厚生省保険医療         局疾病対策課長 清水  博君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課長   三本木 徹君         林野庁指導部研         究普及課長   大山  剛君         通商産業省基礎         産業局科学品安         全課対策室長  上田  孝君         運輸省自動車交         通局技術安全部         整備課長    中島 恒夫君         運輸省自動車交         通局技術安全部         保安・環境課長 三宅 哲志君         労働省労働基準         局安全衛生部環         境改善室長   木村 嘉勝君         建設省住宅局建         築指導課長   那珂  正君         環境委員会調査         室長      工藤 桂司君     ――――――――――――― 委員の異動 四月十七日  辞任         補欠選任   斉藤斗志二君     佐田玄一郎君   桜井  新君     栗原 博久君   坂本 剛二君     青山 二三君 同日 辞任          補欠選任   栗原 博久君     桜井  新君   佐田玄一郎君     斉藤斗志二君   青山 二三君     坂本 剛二君     ――――――――――――― 四月十二日  琵琶湖の総合的な保全を図るための新たな特別  の仕組みの確立に関する陳情書  (第二一八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  大気汚染防止法の一部を改正する法律案内閣  提出第七三号)      ――――◇―――――
  2. 杉山憲夫

    杉山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出大気汚染防止法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大野由利子さん。
  3. 大野由利子

    大野(由)委員 今回の大気汚染防止法改正案では、未規制有害大気汚染化学物質事業者の責任で自主的に排出抑制していこう、そういうような内容になっているわけでございますが、この有害大気汚染化学物質について若干質問をさせていただきたい、このように思っております。  環境庁長官は、この有害大気汚染物質のうち政令で定めるもの、つまり指定物質排出する施設ごと指定物質抑制基準を定めて、これを公表するものとする、このように附則に出ているわけでございますが、指定物質とはどのようなものを想定し、どのような基準を定めることを考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  4. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 先生専門ですから、もう御存じで御質問なさっていらっしゃると思いますが、環境庁としてはベンゼントリクロロエチレンテトラクロロエチレンの三物質を当面考えております。これらの物質排出抑制基準環境庁長官が定めるということにされていることは御案内のとおりであります。  そこで、具体的に申し上げますと、法案成立後、速やかに中央環境審議会でこの問題を議論していただきまして、結論を得次第、速やかに告示をしてまいりたい、このように考えておりますので、御理解を賜りたいと思います。
  5. 大野由利子

    大野(由)委員 今御答弁のありましたベンゼンとかトリクロロエチレンテトラクロロエチレンというのはWHOでも発がん性が確認されている物質分類をされておりまして、当国会におきましても随分前からいろいろと問題になってまいりました。非常に低濃度であっても長期暴露によって発がん性が確認される。そういった意味で、排出規制値というか排出抑制基準を設けて、さらにそれに違反した者は罰則も必要、これぐらいにしないと効果がないのではないか、このように思うわけです。  実は、平成五年四月九日に「トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンによる大気汚染防止について」ということで環境庁大気保全局長通達を出していらっしゃいます。ここで大気環境指針を出していらっしゃるわけですが、ちょうど三年たちましたが、一向に改善されていないという状況でございます。今回局長通達から法律に格上げされるわけですけれども、三年たって全然改善されていない、それが今回の法律でどこまで実効性があるのか。施行日は、この法案成立をして公示の日から一年以内に施行する、このような内容になっておりますし、また、施行されて三年をめどに内容がこれでいいのかどうかということの見直し検討をする、こういう内容になっているわけですが、こういうのんびりした法案でいいのかどうか。岩垂環境庁長官も長年環境委員として非常に頑張ってこられたわけでございますが、このことを長官、どのように思っていらっしゃるか、伺いたいと思います。
  6. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 私自身も国会で何回かこの問題について指摘をしてきたことがございます。ただ、これらの有害大気汚染物質健康影響にかかわる知見だとか、あるいは大気環境濃度とか発生源条件などについて、必ずしもこれまで十分な情報データが整っているとは言いがたい問題もございます。したがって、かなりいろいろ議論がございました。しかし、この辺で踏み切らないと、そのまま時間がたつのを過ごすことはできないだろうという判断に立ったわけであります。  今までの法律健康影響が顕在化してから取り組むというケースが多かったわけですけれども、それでは手おくれになってしまうという意味では、科学的知見の充実を図りながら健康影響未然防止ということについて対策を講じていく必要があるのではないか。これは実は同じ時期に出された水質についても同じことを指摘していると思うのでありますけれども、そういう意味で、今までの状況を、そのまま待っているのではなくて、法律的な措置一つのけじめをつけたい、こういうことにしたわけであります。  先生案内のように、この中で大気汚染状況から見て早急な排出抑制の取り組みが必要と認められる物質については、附則において、排出抑制基準の設定、勧告報告聴取による排出抑制対策を講じていくということになっているわけであります。三年間じっと待っているというわけではございません。  ただ、一応改正案の中の附則においては、施行後三年を目途として制度のあり方について検討を加える、その結果に基づいて所要の措置を講ずるということを規定したわけでありまして、国民の健康影響未然防止という立場に立って鋭意その状況というものを研究し、そして、その知見を蓄積しながら具体的に三年後に見直すということも担保しているわけでございますので、決して十分だとは申し上げませんけれども、今の知見レベルなどから見るとこういうことしかないのかなという感じでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  7. 大野由利子

    大野(由)委員 環境庁平成七年十二月十五日に出されました速報版の「有害物質大気汚染調査結果」、八物質調査結果を出されていまして、非常に高濃度有害物質が、大気汚染が行われているという実態が出ているわけですが、これは一体どの県のどの地域のどの事業所からどういう状況排出をされていたのかについて伺いたいと思います。
  8. 大澤進

    大澤政府委員 今御指摘大気環境濃度につきましては、まず、その地点を三種類分類してはかっているわけでございます。一つは、住民が居住している地域または居住が可能な地域のうち、測定対象物質製造使用している工場事業場が近くに存在している地点につきましては周辺環境という区分けにしておりまして、それ以外の地点一般環境にしている。それからさらに、測定対象物質製造使用している工場事業場そのもの敷地境界ですね、それについては敷地境界。今申し上げた周辺環境それから一般環境敷地境界、こういうぐあいに分けておりまして、この分類に従って測定データを、範囲を明らかにしております。  今御指摘の具体的な調査地点とか工場名等につきましては、私ども、これから規制しようあるいは対応しようという案件でございますので、今回の調査というものは、今提案されているような有害大気汚染物質対策にかかわるいろいろな情報を把握する目的で、個別地点に関する情報を公開しないという前提で工場等の任意の協力を得て行ったものでありますので、これを公表することはできない、差し控えたい、このように考えております。
  9. 大野由利子

    大野(由)委員 公表できないということでございますので、周辺住民注意をしようと思っても注意のしようもない、改善をしようと思っても改善しようがない、こういう実態に今はあるのではないか、このように思います。  労働省の方、来ていただいておりますので伺いますが、労働安全衛生法という法律がございます。労働者の健康を守るための、環境を守ろうということで、作業環境評価基準というのが、この労働安全衛生法に基づいて基準値が設けられておるわけですけれども、この環境庁大気汚染調査結果をごらんになって非常に驚かれたのではないか、このように思っておりますが、環境庁にこのことで問い合わせをしたり、また何らかの対応をされたかどうか。私は、当然何らかの対応をされるべきだ、このように思っておりますが、質問をしたいと思います。
  10. 木村嘉勝

    木村説明員 先生御存じのように、労働安全衛生法では、ベンゼンテトラクロロエチレントリクロロエチレン等有害物質を取り扱う屋内作業場におきましては、作業環境測定をいたしまして、そして必要な場合は改善を行う、その基準としまして管理濃度というのを労働大臣告示で定めているわけでございます。これらの物質につきましては、その管理濃度でいいか悪いか判定して改善をするということでございます。  環境庁数値そのものを見ておりますが、我々は、ACGIH、米国労働衛生専門官会議日本産業衛生学会等の医学的なデータ等専門家会議検討していただきまして管理濃度を定めておるわけでございます。環境庁の方は、環境行政のいろいろな、二十四時間暴露だとか、それから特異体質の方もおられるかもわかりませんが、そういうことでは数字が違っているのだろうというように思っております。今後、これにつきましては参考にしていただきまして、そういう専門家知見を踏まえながらも検討課題としたいと思っております。
  11. 大野由利子

    大野(由)委員 今の御答弁を聞いておりますと、環境庁環境庁労働省労働省それぞれで、こういう印象を受けたわけでございまして、本当に縦割り行政の弊害がここにも出ているな、こういう実感がいたします。  今、労働省の方の御答弁を聞いておりますと、労働者作業環境評価基準屋内のいろいろ基準値を出しているんだ、そういうことでございますけれども、労働者というのは屋内だけで仕事をしているわけじゃございませんで、屋外も、当然そこで生活もし、そこで一日のかなりの時間を暮らす、そういう状況でございます。  それで、排出ガス排出口から外へ噴き出たときに、大体百倍から千倍に薄まるようでございます。百倍から千倍に薄まるようですけれども、今回の環境庁調査は、工場なり事業場敷地隣接地データ、またその他の周辺環境データを発表された、それが非常に高濃度である。WHOの指標に比べましても大変高い濃度が出ているわけでございます。  労働省としても、屋内基準だけじゃなくて、また屋外につきましても労働者作業環境を守るという視点で何らかの対応をされるべきではないか。今後どういう対応をされるのか、伺いたいと思います。
  12. 木村嘉勝

    木村説明員 先生指摘のとおり、健康障害になるかどうかにつきましては、屋内屋外を問わずどれだけの量が身体の中に吸収されたか、暴露されたかということで決まるわけでございます。  現在の労働安全衛生法におきましては、設備措置の義務づけはございませんけれども、屋外でありましても、有害物製造しまたは取り扱う作業場には呼吸用保護具等を備えつけることとしておりまして、必要な場合は関係労働者にこれを使用するということで、有害物質暴露を防ぐための措置を講ずることとしているわけでございます。
  13. 大野由利子

    大野(由)委員 総務庁から出されました大気保全対策に関する行政監察結果に基づく勧告、これによりましても、もう本当に、トリクロロエチレンテトラクロロエチレン排出している作業場というのは全国で何千カ所、非常にたくさんあるわけですね。  こういうことを考えましたときに、先ほど長官答弁もございましたけれども、一年以内に施行する、さらに三年後、今からいうと四年後に見直すというのじゃなくて、施行も少しでも前倒しすべきだと思いますし、見直しも、三年後なんていいますと大気保全局長の最初の勧告からいたしますと七年後になってしまうわけです。これも少しでも早く前倒しして積極的に取り組んでいただき たい、このように思いますが、長官の御決意を伺いたいと思います。
  14. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 三年も待っていてそれまでは何もしないということでは済まされない事態だというふうに思っています。したがって、できるだけその排出抑制手だてというものを進めていくように、三年を待たずしてそういう具体的な施策について検討をしてまいりたいというふうに思いますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  15. 大野由利子

    大野(由)委員 今回の改正案の中で、自動車排ガス規制対象となっていなかった排気量百二十五cc以下のバイクを規制対象に加えられたわけですが、特殊自動車は今回も未規制のままになっております。環境庁平成七年の十月に出されました未規制自動車からの排出実態調査報告書によりますと、特殊自動車というのは、窒素酸化物自動車全体の二八%、炭化水素は二六%、一酸化炭素は一七%と非常に高いわけですが、今回特殊自動車規制対象にならなかった理由と、今後どうされるつもりか、伺いたいと思います。
  16. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 先生指摘のとおりに、建設機械などの特殊自動車、これは一般建設作業現場などの特殊な条件下で使用されているということや、それから搭載エンジン走行、運搬それから掘削などの多用途に用いられているなどの点で一般自動車とは異なっているものですから、その窒素酸化物排出抑制技術実用化などになお一層の努力が必要だというふうに思っています。つまり、技術的なレベルでまだそういうところまで到達をしていませんので、これらの点について一層の研究を進めていかなければならぬというふうに思っています。  しかし、御指摘のとおり、窒素酸化物によるところの大気汚染防止を図る上で、特殊自動車について排出抑制対策を進めることは、率直に言って極めて重要だというふうに思っています。  先生指摘のとおりの数字で、車種によるところの寄与割合というのは非常に高いわけでございまして、そのために環境庁としては、今後、使用実態把握などを行った上で、排出ガス低減に係る技術的な調査研究に加えて、先生指摘規制を含めて、最適な排出抑制対策などについて検討を行いまして、できるだけ早期に有効な対策を実施してまいりたいというふうに思っています。一つは技術的な面、一つ自動車対応。  しかし、そうはいってもその寄与率が非常に高いということを考えまして、抑制を含めた手だてを積極的に進めてまいりたい、このように思っております。
  17. 大野由利子

    大野(由)委員 自動車NOx法に関連して伺いたい、このように思っております。  特定地域全国で六カ所、NOx規制が最重要であるということで、東京、神奈川、千葉、埼玉、それから大阪、兵庫の一部、これが六つ特定地域に指定されているわけですけれども、この六つ指定地域においては、平成五年十二月以降車種規制が行われております。しばらくの間猶予期間が設けられているわけですが、この特定地域内の適用猶予車というのは大体どれぐらい、何万台ぐらいあるでしょうか、伺いたいと思います。
  18. 大澤進

    大澤政府委員 車検制度に基づいた登録車両データによりますと、平成六年末現在で、首都圏等六都府県のNOx法特定地域内には、特定自動車排出基準適用対象車両が約二百六十八万台あります。特にそのうち重い方については、五トン以上については約四分の一の六十三万台くらい、このようになっております。
  19. 大野由利子

    大野(由)委員 排出基準を満たす新車を購入できれば、これは言うことないかもしれません。非常に経済成長が著しいときはそういうことも大いに可能だったと思うのですが、今大型トラック一台買うのに一千万円以上するわけです。この業者、大手の企業は大丈夫でしょうけれども、中小零細企業にとっては、購入して九年そこそこで買いかえるなどということはとても無理、もっともっと長い間使わなければいけない、そういう事情があるわけです。若干そういう人のための、新車に全部買いかえるのではなくて、NOx低減機器をつけて検査に合格すれば新車でなくていい、そういうユーザーのための道が残されているわけですけれども、この試験施設全国で何カ所あるか、またどれくらい待てばこの検査を受けられるのか、伺いたいと思います。
  20. 三宅哲志

    三宅説明員 お答えいたします。  NOx低減装置を装着しました車両排出ガス検査を受けられる公的試験機関としましては、財団法人日本自動車輸送技術協会財団法人日本車両検査協会、それから財団法人日本自動車研究所がございます。日本自動車輸送技術協会につきましては昭島市と京都市にございます。それから、日本車両検査協会につきましては東久留米市と東京都北区、堺市にございます。それから、日本自動車研究所につきましてはつくば市にございます。  それから、車種によっていろいろと試験能力が違うわけでございますが、ディーゼル車は四トンから二十トンくらいまでいろいろと試験能力が違うところがございます。  それから、先生お尋ね待ち時間につきましては、ガソリン車はほとんど待ち時間はございませんが、ディーゼル車につきましては、四カ月から、長いところですと四、五年待ちになってございます。
  21. 大野由利子

    大野(由)委員 今、長いものは四、五年とおっしゃったのですね。この八トン以上の大型車両検査できるのは一カ所しかないのですよ。今三カ所ですか、あるとおっしゃいましたけれども、八トン以上の本当の大型トラック検査できるのはつくばにしかないということで、しかも問い合わせてみますと、ことしの三月に検査を申し込んで、実施されるのが五年後の平成十三年四月以降だというのですね。この間に車検が切れてしまうともうその車は廃車にしなければいけない、こういう状況なのです。これは、私は運輸省環境庁長官にも伺いたいと思うのですけれども、法律をつくればその法律をいかに運用できるかという、やはりそのことをしっかり考えてやらなければいけない、このように思うのです。  ところが、新車を購入できない人は、もう廃車になって廃業しなければいけないか、先日、何日か前にも新聞に出ておりましたけれども、結局、廃車して営業をやめるわけにはいかないから、車庫飛ばしというのですか、特定地域内に営業の本拠地を置くと許可がおりない、車検がおりないものですから、その車庫特定地域外に置く、名前だけの車庫を置く、そして実際には特定地域内で仕事をしていらっしゃるというような車庫飛ばしの実例がある。こういうのは私はちょっと、余りにも行政として怠慢というか、本当に非常に困っていらっしゃる中小企業零細企業の人に対する切り捨てではないか、このように思うのですが、御見解を伺いたい。運輸省環境庁長官から伺いたいと思います。
  22. 三宅哲志

    三宅説明員 お答えいたします。  先ほどの待ち時間低減につきましては、運輸省としまして公的試験機関に働きかけておりまして、来月からは残業を行いまして、さらなる稼働率の向上を図るように働きかけを行っております。  それから、そもそもこのNOx法そのものは、今の排ガス対策をそのまま実行していけば到底環境基準が達成できないということで、強力な措置をということで代替措置を行うようになったわけでございます。その中で、走行距離が非常に短いものを何とか救えないかということでこういう試験制度を設けたわけでございます。その辺を御理解いただきたいというふうに思います。
  23. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 定員をふやすというようなことが非常に困難な条件の中で運輸省も頑張ってくれていると思うのですが、今御指摘のように、労働条件影響を及ぼしますけれども、残業までして対応していくという決意を表明されておられます。実は私もこの問題、ちょっと陳情を受けたことがございまして、同じ気持ちでおります。したがって、とにかく、何年か待つというようなことはちょっと常識から考えてもどうかと思いますの で、運輸省とも十分相談をしてまいりたいと思います。ただ、そのために定員をふやして云々ということについて言えば、かなりしんどい思いをしていると思いますから、それらも含めて運輸省相談をしてまいりたいというふうに思いますので、御理解をいただきたいと思います。
  24. 大野由利子

    大野(由)委員 定員をふやすというのは難しいし、また、うんと残業してやりなさいというのも酷だと思うのですね。そうじゃなくて私は、どうしてもっと民間車検所なり、民間車検所でやるには設備投資が必要だから無理だというなら、少なくとも公共車検所で、全国で一カ所というのじゃなくて、公共車検所でこの検査ができるようにしないのか。それぐらいは当然やれるようにすべきじゃないか、そして検査がもっとスムーズにいくようにすべきじゃないか、このように思いますが、運輸省の御答弁お願いします。
  25. 三宅哲志

    三宅説明員 先ほどお答えいたしましたように、そもそもNOxのこの低減装置というのはいろいろな装置がございまして、本当にすばらしい装置もございますが、中にはユーザー使用に任せるといいますか、それにお願いするといいますか、特別な液を注入しながら走らなければ到底試験に合格できないというようなものもございます。そういう点で、公的試験機関で受けていただくようにお願いをしているところでございます。そういうNOx法の趣旨からしまして、このような装置を大々的に認めていいのかどうかという点もございまして、私どもの方では精いっぱい公的試験機関の方でやるようにお願いをしているところでございます。
  26. 大野由利子

    大野(由)委員 確かに今おっしゃったようにNOx低減装置、大変粗雑なものもあるのはあるようです。何か七十種類ぐらい今出ているとかいうことで、でも、やはりきちっとして非常に効果があるものもあるようなんですね。  ですから、一千万以上するようなトラック新車に全部買いかえなさいといったって、それはやはり無理な人がいっぱいいるわけです。低減装置をつけて検査を受けるのに数十万かかるのほかかるようですけれども、ぜひ運輸省の方もこんなに四年も五年も待たないでいいように、これはもう行政としてはこの対応は当然ではないか、このように私は思います。  公共車検所検査することも今考え中だということだそうですが、何カ所そういう場所ができるのか、ぜひこれは、今でなくても結構でございますが、また教えていただきたい。こういうところで検査を受けられるということをぜひ皆さんに、ユーザーにPRをしてあげないと大変ではないか。大阪、兵庫の方から、わざわざつくばトラックに乗って検査を受けに来ているという実情もございますので、ぜひこの辺はお願いをしたい、このように思います。  済みません、もうちょっといろいろ聞きたかったのですが、時間もありません。最後の一問だけ伺いたいと思うのですが、ダイオキシンの問題でございます。このダイオキシンも非常に問題になっております。  きょう、厚生省から来ていただいておりますが、このダイオキシンというのは、ごみの廃棄物処理施設もしくはパルプ工場の漂白過程などで大体誕生する。都市ごみ焼却施設で大体七割から八割方ダイオキシンが生まれるということなんですが、済みません、答弁をいただくことは省略いたしますけれども、全国のごみ焼却施設で、何カ所でこのダイオキシンの排出量を調べて、そして公表して、そしてやっているところがあるかどうかというのを伺いたかったわけです。  また、小中学校で、その施設内でごみを焼却していますね。あれも非常に、小中学校のまだ発育盛りの子供たちがダイオキシンをいっぱい吸収する、そういう状況がございます。  こういったことも含めて、環境庁長官、このダイオキシンが今回の大防法の規制の中に入っていないのですね。このダイオキシンについてどう取り組まれるかを、厚生省も含めて代表で御答弁いただいて終わりたいと思います。
  27. 野村瞭

    ○野村政府委員 ダイオキシンについて御指摘をいただきましたが、環境庁といたしましては、ダイオキシンによる環境汚染の防止対策が非常に重要な課題というふうに認識をしておりまして、これまでも発生源調査でありますとか環境汚染の状況等の調査検討を行ってきたところでございます。また、関係省庁と連絡をとりながら、発生源対策につきまして事業者の指導等も行ってきたところでございます。  現在は、特にダイオキシン類の毒性に関しての知見の整理と評価作業を進めておりまして、速やかにその取りまとめを行いたいと考えております。それで、これらの検討結果も踏まえまして、関係省庁と十分連絡をとりながら、排出抑制対策も含めまして必要な対策を講じてまいりたいと考えております。
  28. 大野由利子

    大野(由)委員 以上で終わります。
  29. 杉山憲夫

    杉山委員長 斉藤鉄夫君。
  30. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 中間答申案が審議されました中央環境審議会大気部会におきまして、C分類の取り扱いについて大激論があったと聞いております。このC分類は、ベンゼン、トリ・テトラクロロエチレン等、その長期暴露によって健康被害が生じることがほぼ明らかになった、学問的にも明らかになった、そういう物質でございますけれども、このC分類の取り扱いについて激論があった。中間答申の最後に、参考資料としてその両論が載っております。  「C物質排出抑制するための対策のあり方についての二つの考え方」、「考え方一」、「考え方二」と載っておりまして、「考え方一」が主に産業界からあった。「考え方二」は学者系の委員の方からあった。健康被害が明らかであっても、まだそれを抑制する具体的な方法というのもわからないから、とにかく業者の自主的取り組みに任してほしいというのが「考え方一」。「考え方二」は、健康被害があるのはもうわかっているのだから、これまで規制をしているNOZやSOxと同じように規制をかけるべきだという考え方。  ところが、今回のこの法律案、改正附則第九項にこのC物質についての取り扱いが載っているのですけれども、これは一〇〇%この「考え方一」、つまり産業界側の意見が成文化されているように思えるわけでございまして、つまり学者系の意見がほとんど無視されている。これは、この審議会におきまして産業界側、通産側に押されっ放しで、環境側が完敗したのではないか、環境行政の後退だ、こういう声があるのですが、これについてはいかがでしょうか。
  31. 大澤進

    大澤政府委員 今回の中間答申の二つの考え方については、御承知かと思いますが、これはあくまでも中環審議会の審議過程に供された議論のたたき台でございまして、そのほかに多くの幅広い意見あるいは議論等があったわけでありまして、その議論を経て、中環審全体として、中央環境審議会全体として中間的な答申を取りまとめていただいたわけでございます。  今回の改正の趣旨というのは、そういう中環審、専門家の御意見等を踏まえて、将来にわたって健康影響を未然に防止するという見地から実施可能な対策から着手する’こういう考えに基づきまして、多種多様な有害大気汚染物質を幅広く対象とし、事業者排出抑制の責務を課すとともに、行政サイドにおいては、事業者排出抑制の取り組みを促進するための措置を講ずるということとしておりますし、先ほども御説明、お話がありましたように、ベンゼン等の早急に排出抑制対策をとるべき物質につきましては、排出抑制基準の設定あるいは勧告等によって対策を講ずることとしておるわけでございます。  このように、本法案というのは、中央環境審議会で議論された二つの考えを踏まえまして、最終的に、この中間答申にも書いてありますが、その主たる趣旨は、「自主的取組を活用しつつ公平で信頼度の高い制度」であること、また「透明性の高い」仕組みであるという考えが集約されているわけでございまして、私どもとしては、それらに基づいて、今回本法案を実施可能な制度として構築 したところでございますので、御理解をいただきたいと存じます。
  32. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 ちょっと納得できないところもございますが、環境側の意見をもう少し取り込んだ答申にしてほしかったし、答申は行政側は関係ないですけれども、そういう環境側の意見を取り込んだ法案にしてほしかった、このように思います。  事業者の自主的取り組みに任せるということですけれども、これは各業界ごとに排出抑制計画などの策定を求めるのでしょうか。そのときにどの物質対象にし、その物質をどの程度までに抑えなさいという具体的な目標なしに、そういう目安もなしに実質的な成果が上がるものなんでしょうか。
  33. 大澤進

    大澤政府委員 本法案では事業者に対して排出抑制の責務を課しているわけでございますが、御指摘のように、業界ごとに事業者が自主的にこの排出抑制計画等を策定するということは、この取り組みを推進する上で非常に有効な方法の一つではあると考えております。環境庁としては、このような自主的な取り組みが促進されるよう関係省庁とも協力して努力していきたいと思いますし、また、これらの事業者による自主的な取り組みを行う場合には、やはり何らかの具体的目標を設定するということも非常に有効だと考えておりますので、この点についても関係省庁とも連携して今後検討してまいりたいと思っております。  なお、環境庁としては、この取り組みを推進するためにも、現状の知見に基づいて有害大気汚染物質に該当する物質が何であるかを明らかにするとともに、特に健康リスクの高いものについては順次環境基準等の設定も行ってまいりたい、このように考えております。     〔委員長退席、大野(由)委員長代理着席〕
  34. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 今後情報を収集し、評価し、検討し、最終的に具体策を決めるということですけれども、この過程において一番大事なのは、情報公開、また国民の理解を得ながら透明的にその規制基準を定めていくことではないかと私は思います。こういう透明性のある基準の決め方、一部の産業系の委員の発言力が強くてその方向に決まってしまうということではなくて、国民の理解を得ながら評価し、基準を決めていくことが大事ではないかと思いますが、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  35. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 斉藤先生指摘のように、情報公開が非常に重要であるということは論をまつまでもありません。  低濃度長期暴露による健康影響未然防止という、従来とは異なる新しい観点に立つ有害大気汚染物質対策効果的に進めていくに当たって、各種の知見情報を国民や事業者に提供していくということ、そして各方面の理解と協力を得ながら取り組みを進めていくこと、これは、有害大気汚染物質にとどまらずに、環境行政全体がやはり今問われている課題だろうというふうに思います。  したがって、御指摘の方向について、環境庁といたしましても、この法案に基づいて有害大気汚染物質種類健康影響に関する知見、大気中の濃度、それから発生源における排出抑制対策技術などに関する幅広い情報を取りまとめまして、国民や事業者に対してわかりやすい形で情報の提供、知識の普及に取り組んで、各方面の理解を得て積極的な取り組みが幅広く進められるよう努力してまいりたいというふうに思います。  このときに大事なことは、やはり私は、もはや環境の問題を抜きにして企業活動ということを考えることはできないというふうに皆さんもお考えいただいていると思いますから、できるだけ自主的な取り組みを含めて、環境庁としてそれを援助していく、そんなことのためにも努力をいたしてまいりたいと思っております。
  36. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 どうか環境行政のリーダーシップを発揮していただいて、よろしくお願いしたいと思います。  次に、この法案の中に入っております建築物の解体現場等からのアスベストの飛散防止について一つ質問いたします。  アスベストの除去、これはお金がかなりかかるそうでございます。普通、解体の場合、床面積一平米当たり五千円から一万円という単価だそうですが、アスベストが吹きつけてある鉄骨がある部分、これについては大体平米三万円ぐらいかかるそうでございます。非常に高い。  官庁工事の場合は、その建物がアスベストを使ってあるという情報がきちんとわかっておって、その解体工事をする場合は、新築工事と解体工事は分離発注になっておりますので、その分離発注のところできちんとアスベスト対策費用が盛り込まれる。だから、ほぼ問題ない。  問題は、民間工事です。普通、古い建物を壊して新しいビルを建てるという場合は、これは解体工事は分離発注にならない、新築する業者さんが解体をする。そのときに、解体にはできるだけお金をかけないというのが基本的な考え方で、アスベストがあったとしても、役所側にアスベストがあるという情報は行ってないわけですから、アスベストがない工法ですべてを処理してしまうということが多い。  そういう現状の中でこういう法律ができても、アスベスト取扱単価が非常に高い以上、現実問題としてこういうことは行われないのじゃないか、これがいわゆる現場の第一線の声なんですけれども、民間工事でアスベストがある建物の解体工事にきちんと対策を立てさせるにはどうするのか、これについてはどういうふうにお考えでしょうか。
  37. 大澤進

    大澤政府委員 御懸念の点でございますが、今回の改正案には、解体工事等の発注者に対して、施工者が作業基準を遵守する上で妨げとなるような条件を付さないように配慮すべきことも責務として規定しております。そういうことで、アスベストの事前除去を行う施工者に金銭面でのしわ寄せがいくことのないよう、都道府県あるいは関係省庁を通じた適切な指導をしてまいりたいと考えております。  また、環境庁としては、制度の円滑な運営のために、法改正後の政令あるいは府令の整備に並行して、今後、事業者において適切なアドバイス対策が講じられるよう各種のマニュアルの作成、配付をし、地方公共団体とも連携しながら法の趣旨の徹底に努めてまいりたい、そういうことによって今御懸念の点もできるだけないようにしてまいりたいと考えております。
  38. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 この点については、建設省とも連携をとりながら、ぜひ有効な具体的施策を進めていただきたいと思います。  次に、花粉症のことについて質問させていただきます。  花粉症というのは、花粉だけでは発症しないそうでございます。大気中の有害汚染物質、特にディーゼル車から排出される浮遊粒子状物質の存在が大きく寄与している、こう言われてきましたけれども、最近、動物実験でこれが学問的に確かめられたと聞いております。その意味で、まさに花粉症は、大気汚染が引き起こす病気である、環境庁が大いに関心を持たなければいけない病気である、こういうふうに思うわけでございます。  従来、我が国の公衆衛生、保健というのは、感染症に対しての予防対策を主に行ってきておりますが、大気汚染、花粉のような発症要因への対策が全く確立されていないという声もございます。花粉症の原因物質であるディーゼル排出粒子、花粉の濃度、飛散数、観測、予報等は、現在一部の研究者やボランティアに任されている現状でございます。東京都など一部地方自治体としてやっているところもございますが、発症者が全国で何百万人にもなるというこの花粉症の場合、環境庁など国が積極的に調査データの集積を行うべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  39. 野村瞭

    ○野村政府委員 花粉症の問題でございますが、御指摘もございましたけれども、花粉症につきましてはいまだ解明されていない部分が大変多くございます。したがいまして、調査研究等を推進い たしましてデータの蓄積を図るべきだという御趣旨については、私ども、十分に認識をいたしておるところでございます。  環境庁といたしましても、花粉情報を利用した予防方法の研究でありますとか、ただいま御指摘もございましたけれども、ディーゼルエンジン排出ガスとの関連が指摘をされておりますので、動物実験によりましてその発症のメカニズムの研究等も行っているところでございます。そういう知見に基づきまして、関係省庁とも連携をいたしまして、最近でございますけれども、花粉症に関するパンフレットも作成をいたしたところでございます。  花粉症対策につきましては、花粉そのものの研究でありますとか、それから花粉の飛散状況研究、また、特に環境要因との関係も言われておりますし、それから具体的な治療法の確立等もございます。関係省庁は、厚生省初め林野庁、気象庁等があるわけでございますが、これらの関係省庁とも十分な連携を図りながら、今後、積極的にこの問題に取り組んでまいりたいと思っております。     〔大野(由)委員長代理退席、委員長着席〕
  40. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 よろしくお願いします。環境庁がリーダーシップをとってお願いしたいと思います。昨日も関係四省庁の若手の方と話をしたのですが、各省庁が連絡しておりますと、いやこの問題はうちではございません、そちらでしょうといったらい回し、たらい回しと言ったら失礼ですが、そういう傾向がありますので、ぜひこれは、大気汚染が引き起こしているという観点から、環境庁がリーダーシップをとってほしいと私は思います。  きょう、林野庁の方に来ていただいておりますので、この原因となっている杉、ヒノキの植林、枝打ちその他、林業関係者の協力も得なければならないと思うのですが、林野庁としては、この問題をどう認識し、どう対策を打とうとされているのか、お伺いします。
  41. 大山剛

    ○大山説明員 林業の面、いわゆる林野庁におきます杉花粉症対策ということでございますけれども、まず森林施業の実施、いわゆる山の手入れ作業を行うに当たりましては、民有林、国有林ありますけれども、こういうものを通じましていろいろの点に配慮あるいは留意いたしまして実施するよう林野庁としても指導をしているところでございます。  例えば間伐を行う場合には、いわゆる花粉の入れ物となっております雄花の着生量の多い木をできるだけ選んで間伐するように配慮するよう指導するとともに、枝打ちを行う場合にも雄花の多い枝葉の除去に極力努めるよう指導しているところでございます。  また、これらの対策とあわせまして、調査研究などのソフト面での対策といたしまして、一つには、間伐や複層林施業などのいわゆる森林施業面から花粉を抑制する手法の確立のための調査研究、あるいは花粉の少ない遺伝特性を持つ杉の品種を選び出すための調査に取り組んでいるとともに、そういう一方で、早急に花粉の少ない杉の苗木の実用的な供給、これを図るための苗木の育成やら増殖に係る技術の開発あるいはその供給体制づくりを推進しているところでございます。  今後とも、これらの施策の推進を通じまして、森林・林業面からの杉などの花粉症問題に林野庁としても鋭意取り組んでまいりたい、そういうふうに考えてございます。  以上でございます。
  42. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 御努力よろしくお願いいたします。  最近のアレルギー学会や臨床免疫学会の研究報告を通覧しましても、花粉症の疫学的調査はごく少数でございます。発症のメカニズム、またそれにかかわる物質のスクリーニング、また大気汚染物質のかかわり方等、その研究が膨大過ぎて、一般研究者がボランティア的発想で行う研究の域を超えております。花粉症の発症に至る原因とメカニズム、実際に発症の予防を目的とした基礎的、臨床的研究を国としてここら辺でスタートさせるべきではないか、そういう予算もつけていくべきではないか、こういうふうに考えますが、厚生省はどういうふうにお考えでしょうか。
  43. 清水博

    ○清水説明員 厚生省におきましては、平成四年度からアレルギー総合研究事業を開始いたしまして、平成七年度からは、糖尿病と他の慢性疾患の研究事業等を統合いたしまして、長期慢性疾患総合研究事業を創設いたしまして、その中でアレルギー疾患研究を行っております。花粉症につきましては、この研究事業の中で、患者数、発生率等の疫学的な調査、それから原因、病態の解明、それから予防法、治療法等の開発、これらの研究を行っているところでございます。  平成八年度予算案におきましても、花粉症につきましては、長期慢性疾患総合研究事業の一環といたしまして、この研究を継続して行いますとともに、新たに花粉症及びその背景となります免疫現象の本態解明のための研究等を行います新興感染花粉症等影響研究を開始することが盛り込まれておりまして、厚生省といたしましても、今後とも花粉症とアレルギー疾患の総合的な調査研究の推進に努めてまいりたいと考えております。
  44. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 花粉症という名前から、花粉に主に原因があるというふうに考えられがちなんですが、現実には、花粉がたくさんある田舎の人はほとんど花粉症ではなくて、大気汚染との混合によって、複合的効果によって起きているということで、今後環境庁としても各関係省庁と連携をとりながら、リーダーシップをとっていただきたいということを最後にお願いして、質問を終わります。
  45. 杉山憲夫

  46. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 本案には、リスクアセスメントの考え方を取り入れて新しい分野に一歩踏み込んだという重要な意味があると評価をしております。しかし、事業者の自主的取り組みに大きく依存したこの制度で、本当に大気からの低濃度長期暴露による発がん性などの危険性が解消されるのか、大変不安でございます。  まず、自動車排ガスについて伺います。  特殊自動車についてですが、環境庁は未規制自動車排出実態について調査をされました。建設機械から排出されます大気汚染は深刻だと思いますが、どうなっておりますでしょうか。
  47. 大澤進

    大澤政府委員 平成七年十月にまとめました未規制自動車からの排出実態調査によりますと、自動車からの大気汚染物質排出量全体に占める建設機械からの排出割合は、一酸化炭素が一%、炭化水素が三%、窒素酸化物が一五%となっております。特に窒素酸化物につきましては、固定発生源も含めた全排出量に占める割合で見ても、全国で六・三%、大都市地域で一一・三%、このようになっております。
  48. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 次に、運輸省に伺います。  ホイールクレーン車と普通自動車であるトラッククレーン車との不平等な扱いについて、我が党の、社会民主党の緒方克陽議員が運輸委員会質疑を行いました。その際の要求に従い実施した使用実態調査の結果と保有車両数の推移を述べていただきたいと思います。
  49. 三宅哲志

    三宅説明員 お答えいたします。  トラッククレーンにつきましては、保有実態でございますが、昭和四十八年には三万一千九百三十三両ございました。その後増加しまして、昭和五十七年には四万四千二十六両、それから平成七年三月末でございますが、三万四千百三十両でございます。それから、ホイールクレーンにつきましては、昭和四十八年に七百五十二両でございましたが、その後増加しまして、平成七年三月末時点で二万八千八百八十八両になってございます。  トラッククレーンにつきましては、そもそもトラックにクレーンを載せたものでございます。それから、ホイールクレーンは作業を主体につくられた車でございまして、それに移動手段をつけたというようなものでございます。
  50. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 ありがとうございます。  ホイールクレーン車は、走行実態から見まして、普通自動車でありますトラッククレーン車と変わ りがないんですね。このような車には早期に排ガス規制をかけまして、また、特殊自動車のみならず作業機械そのものも問題ではないかというふうに思います。こうした建設機械については、できるだけ早い調査対策が望まれますが、環境庁は、この問題についてどのように検討をしておられますでしょうか。
  51. 大澤進

    大澤政府委員 こういう特殊自動車を含む建設機械全般からの排ガス抑制対策を進めるということは大変重要な課題であるわけでございますが、これらの機械といいますか、機種につきましては、一般建設作業現場等の特殊な条件下で使用されるということ、あるいは搭載されているエンジンが道路を走行する、あるいは運搬用に使われる、あるいは掘削等と非常に多用途に用いられるなど、これまでの一般自動車と異なっている点が多々あるわけでございまして、こういう機種につきまして、有効な排出ガス低減技術を十分に開発して実用化していくという必要がございますが、今後一層の調査研究が必要でございます。  また、窒素酸化物排出というのは、道路走行時も若干出ないわけじゃないのですが、むしろ作業現場でほとんど排出されるというようなことから、公道走行時の排出規制である現行の自動車排出ガス規制のみでは十分の対応が図れないということから、今後これらの使用実態等をきちんと把握して、排出ガス低減に係る技術的な調査研究、及び現行の自動車排ガス規制のような使用者に対する規制に加えまして、製造者に対する規制、それから建設工事等を発注する者に対する規制等についても検討を行って、できるだけ早期にこの使用実態を踏まえた最適の排出抑制対策を実施できるよう全力を挙げて努めてまいりたいと思います。
  52. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 よろしくお願いします。  ダイオキシン対策についてお聞きいたします。  ダイオキシンは、大気、水質、土壌などの環境のほか、魚介類などの食品や母乳の汚染を通して人間の体に入ってきます。その毒性や発がん性から見まして、将来の世代にまで及ぶ脅威だと思います。この問題で、日弁連が現行法による可能な対策について緊急提言を出しましてから二年たちました。この間も、古い廃棄物焼却炉あるいは小型の焼却炉からの汚染と健康不安を訴える各地の住民の声が相次いでおります。環境調査健康影響について環境庁はどのように実態を把握し、それを踏まえなどのような対策を考えているかを伺います。  あわせて厚生省に伺います。この問題についての自治体の指導と今後の方向性を示していただきたいと思います。
  53. 大澤進

    大澤政府委員 ダイオキシンの問題は大変重要な課題であるわけでございますが、環境庁としても、これまでダイオキシン類の発生源それから大気環境濃度状況というのを調査を行ってきているわけでございますが、現在、健康影響に関しての知見の整理とか評価作業も進めているところでございまして、できるだけ早くこの取りまとめを行いたいと思っております。  これら調査というのは今後とも継続していく必要があると考えて実施することとしておりますし、各種の知見データの蓄積に引き続き努めて、各種の調査の成果を踏まえて、排出抑制対策の徹底も含め、大気保全のために必要な具体的な対策というものをできるだけ早くに講じてまいりたい、かように考えております。
  54. 三本木徹

    ○三本木説明員 ごみ焼却施設等から発生いたしますダイオキシンの低減をしていかなければならないという認識のもとで、平成二年十二月に、焼却施設の構造あるいは維持管理の方法につきまして、ダイオキシン類発生防止等ガイドラインを策定してございます。このガイドラインに基づきまして、燃焼管理を徹底させるとか、あるいはそのほか必要な施設の改造をするとか、そういったことにつきまして市町村に対して指導を行ってきております。  このガイドラインでは、ダイオキシン低減対策で最も重要だと言われておりますのは、完全燃焼の徹底でございます。それからもう一つは、幾ら完全燃焼いたしましても超微量のダイオキシンは発生するという結果になっておりますので、発生したものについてはできるだけバグフィルター等の高度な集じん施設で除去していく、こういうことでございます。さらにもう一つ大事なことは、バグフィルターなどの集じん機の入り口での排ガス温度、これをできるだけ低温化していくというような、こういうことを定めております。  厚生省としましては、新しい施設の建設に当たりましてはこのガイドラインに合致するかどうかを審査をしております。審査をした上で、適切に行われるという判断があったものは施設の建設を認め、それに対して国庫補助を行っていく、こういうことをやっております。  もう一つの御指摘の既設の焼却施設についてでございますけれども、現在までのところはこのダイオキシン防止のガイドラインの中で、施設の一部改良、あるいは完全燃焼のための例えばリテンションタイム、排ガスをある一定の時間帯で高温下でさらすというりテンションタイムをしっかりとるとか、そういったような燃焼管理をしっかりしていただく、そういったことを指導しております。  なお、現在知見の集積に私ども努めておりますけれども、今後このごみ焼却施設等のガイドラインについては見直し検討していきたいと考えておりまして、また一方でダイオキシン低減化のためのごみ焼却施設のさらに、いわば次世代型の焼却施設の開発研究、こういったことも必要ではないかと考えております。  少し長くなりまして恐縮ですが、もう一つ大事な、最も大事だと私ども考えておりますのは、燃やすごみの量をできるだけ減らしていくということもあわせて対策をとっていかなければならないと考えております。これにつきましては、昨年の六月に容器包装リサイクル法の制定をしていただきまして、これらのものについてはすべてリサイクルをさせていく、こういうような考え方で法律ができておりますので、そういった対策もあわせて講じていくということで現在対応したいと思っております。
  55. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 今、環境庁、厚生省からそれぞれ現状と今後の対策について前向きのお答えをいただきました。  しかし、ダイオキシンが問題になりましてから余りにも時間がかかり過ぎていると思います。この際、思い切って十分な予算を確保して、一日でも早く汚染の実態を解明して、環境基準や、今お話のありました排出抑制対策排出基準の設定を行っていただき、その対策を講じなければならないと思います。  長官の御決意を伺いたいと思います。
  56. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 ダイオキシンの問題については、これまで私自身も実は国会質問をしたことがございますし、これまで厚生省、環境庁が具体的な調査に取り組んでまいりました。そして、今その問題に対する対策を、特にごみの焼却の現場を、今三本木君から答弁がありましたけれども、それなりの努力をしているわけであります。  しかし、それだけでは決して十分ではございませんので、一層の調査知見の集積が必要だろう、そして対策が必要だろう、こんなふうに思っております。人間の生命とそれから健康にかかわる問題でございますから、予算的な措置も含め、それから技術の面での研究を含めて、積極的に取り組んでいきたいというふうに思っています。  当然のことながら、これも関係省庁が総合的な力を発揮しないとできません。これまでの調査も、例えば環境庁、例えば厚生省、いろいろなところで、水産庁まで含めて調査研究をしてきていただいておりますから、そういうものをできるだけ集約して、そして対策を講じてまいりたいと思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  57. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 よろしくお願いします。  本改正案の第十八条の二十四について伺います。  ここでは国民の努力が求められております。その国民の努力の大前提としては、市民の権利であります情報公開が十分に保障されなければならないと思います。その上で初めて住民の努力を期待することができ、またそれが環境保全に生かされると思います。したがって、事業者の自主的取り組みに頼るこの法案実効性は、自治体が地域住民の皆さんを信頼して情報公開をして協力できるかどうかにかかっているというふうに思いますが、環境庁のお考えを伺います。
  58. 大澤進

    大澤政府委員 御指摘のように、自主的な取り組みとか国民の努力というものの実効性をどういうふうにして上げられるかということでございますが、この大気汚染物質というのは、非常に種類が多いとか、発生源そのもの、あるいはその排出形態とかさまざまでございますので、この法案では事業者等の自主的な排出抑制策の取り組みを推進するという形にしておるわけでございますが、国あるいは地方公共団体においても、これらにかかわる各種の知見の収集とかを整理し、さらにこれを事業者とか国民にも幅広く提供していく、こういうことによってこの改正案の趣旨も実効が上がっていくのではないかと考えているところでございます。  今後とも、この改正案を踏まえまして、関係自治体あるいは事業者とも十分連携をとって、しかも国民にも幅広く理解を求めるということに一層の努力をしてまいりたいと考えております。
  59. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 どうぞよろしくお願いをいたします。  ところで、本案の附則第三項に「検討」という項がございます。この法律施行後三年を目途として、有害大気汚染物質が人の健康に及ぼす影響に関する科学的知見の充実の程度、環境基本法の規定によります大気の汚染に係る環境上の条件についての基準の確保の状況その他の大気の汚染の状況工場または事業場からの有害大気汚染物質排出または飛散の状況有害大気汚染物質排出または飛散の抑制のための技術開発の状況その他の事情をいろいろと総合的に勘案しまして、対策の推進に関する制度について検討を加える、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとするということで、問題点が述べられております。  これについては、ぜひ排出規制を盛り込む方向でお考えいただきたいと考えております。あわせて、有害大気汚染物質環境基準をできるだけ早く設定して、その達成に向けてすべての施策の整合性を図っていただきたいと考えております。  三年後をめどとした見直しについても含めて、長官のお考え、そして展望をお伺いします。
  60. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 この法律施行後三年後を目途として制度のあり方について改めて検討を行うというふうにした意味は、申すまでもありませんけれども、施行後の最新の状況を踏まえて、より的確な対策を講じていくことが必要だ、こういう認識に基づいて、今先生指摘のように改正の中身において、一つ事業者排出抑制のための取り組みを求めること、それから国や地方自治体に対し、事業者の取り組みを推進するために排出や飛散の抑制に関する情報の収集や成果の普及を図っていくこと、それから大気汚染状況健康影響にかかわる知見の充実などに努めることを求めていることは御案内のとおりであります。私は、これらの取り組みを進めていく中で、一定の実態の把握と同時に排出抑制に対するそれぞれの取り組みも進んでいくだろうということを率直に言って期待をしております。  しかし、そうは言いながら、三年後の検討の際には当然、これらのいろいろな主体が取り組んだ、そして一定の成果が得られるか、あるいはなかなかそうはいかないか、そういう結果が出てまいりますので、それを総合的に評価した上で、制度のあり方あるいは問題点を含めて、健康影響未然防止の立場に立って先生指摘のことなども含めて検討をしてまいりたいと思いますので、御理解を賜りたいと思います。
  61. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 本当に汚染のない清潔な大気、私たちが毎日吸っておりますこの大気は、お金のかからないもの、安心して吸えるもの、小さいお子さんから病気を抱えている人、お年寄りまで本当に安心して吸えるものと考えておりますけれども、国民の健康で文化的な生活の確保を図る上で重要な課題であろうと思っております。  環境庁長官は、これまでも大気汚染防止法に力を尽くされて、ただいまの御決意の中にもありましたように、あるいは展望も含めてお答えくださいましたその中身にもおっしゃっておりましたように、大変力を入れておられまして、重大な責務の一つというふうにお考えのことと思っております。本当にすべての生きとし生けるものがすばらしい空気の中で生活できるように、ぜひとも長官のこれからの御活躍を心からお願い申し上げまして、心から要望いたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  62. 杉山憲夫

    杉山委員長 高見裕一君。
  63. 高見裕一

    ○高見委員 本日は大気汚染防止法改正案に対する審議ということでございますが、大気の問題は化学物質に限らず温暖化やオゾン層破壊など多岐にわたっております。その意味で、今回は全般的な問題とりわけフロンの問題も含めて質問をさせていただきたく思います。  まず、この法案の一番話題になっているダイオキシン対策についてでございますが、とりわけ最近、猛毒物質のダイオキシンの発生源の一つがごみ焼却施設であるというところから、自治体のごみ焼却場の周辺住民の間でダイオキシンに関する問題意識が高まっております。  日本はごみ処分場も限られておりますし、ごみを燃やして減量化してから処分をしております。その妥当性はともかくとして、燃やすのであれば、温度管理をしっかりし、バグフィルターを設置するなど、できる限りダイオキシンを出さないような方策をとらなければならないというのは当然のことであろうと考えます。ところが、実際には財政上の問題でバグフィルターを設置していない焼却場も多く、温度管理も十分になされていないところも散見し得る状態であると思います。特に、古い焼却場に対しては厚生省としても十分な監督と指導を行うべきであると考えますが、どのような対応を今後展開される予定なのか一具体的に御意見をお伺いしたく存じます。
  64. 三本木徹

    ○三本木説明員 ただいま先生指摘のごみ焼却施設のダイオキシン対策の今後でございますが、平成二年に作成いたしましたガイドラインの見直しを現在の知見に即してやっていきたいと考えております。また一方で、現在のごみ焼却施設、およそ千八百六十カ所余りあったかと思いますが、そのうちで、このガイドライン後につくられた施設がおよそ二百カ所強であったかと思います。そういったことで、まだまだそういう意味ではこのガイドラインに則してつくられた焼却炉は極めてわずかなところでございます。  厚生省といたしまして、こういうガイドラインの見直しとともに、一方で、既設の焼却施設の改造工事に対する国庫補助を行っていくとか、あるいは新しい施設をつくる際にはもう少し、例えばガイドラインを見直した後、レベルの高いやり方の施設に持っていくとか、そのための国庫補助をしていくとか、そういったような対応策をとっていきたいと考えております。  なお、ダイオキシン対策につきまして、このガイドラインを平成二年に出しておりますけれども、昨年の十二月に、私ども幾つかの市町村といいましょうか、そこに尋ねてみました。その結果は、約百九十九の施設の回答があったわけでございます。これをガイドライン前の施設と後の施設で比較いたしたところ、明らかにダイオキシンの発生濃度排出濃度というものは減っております。施設の方式によりましては、十分の一以下あるいは三十分の一以下ぐらいになっておるものもございます。  ただ、いずれにいたしましても、全体としてまだまだ新しい施設というものはわずかでございますので、建てかえを急がせるとか、あるいはもう少しきめ細かな改良工事をやっていただくとか、そういったことを指導していきたいと考えており ます。
  65. 高見裕一

    ○高見委員 なるほど、十分の一から三十分の一というのは非常に着目するべき数字だろうと思いますし、当然建てかえ、改良工事の対策を進めていただけるものと確信しております。  有害大気汚染物質のうち、遺伝毒性のある発がん性物質は、ある暴露量以下では影響が起こらないとされる量が存在しないことから、ごく微量であっても健康影響を発生させる可能性を否定できないというふうにされております。諸外国ではリスクレベルを設定するなどして対策を講じているところでありますが、環境庁としては、今後このような物質、特にダイオキシンについての対策をどのように進めていくおつもりなのかをお教えください。
  66. 野村瞭

    ○野村政府委員 ダイオキシン問題の基本的な取り組みにつきましては、先ほど長官の方からも申し上げたわけでございますが、現在、私どもにとって当面急がなければならないのは毒性の評価でございます。これにつきましては学問的にいろいろ議論のあるところでございます。また、国際的な基準も幅があるやに聞いておるところでございます。ただ、そうだからといって放置するわけにはいかないということで、先ほども申し上げましたけれども、できるだけ早く各種の知見を集めまして、速やかに基準作成に取り組みたい。  今御指摘の遺伝毒性のある発がん物質については閾値がないということでございます。リスク評価なりリスク管理というのは、閾値のある物質とは違った取り組みをしなければならない。そういうことも含めまして、このダイオキシン問題に、特に基準づくりに急がなければならないわけでございますが、それに基づきまして各種の施策を実施していかなければならないと考えておるところでございます。
  67. 高見裕一

    ○高見委員 それでは続いて、フロンの問題について質問をさせていただきます。  先般の総務庁の行政監察結果でも明らかなように、オゾン層の破壊物質であるフロンを回収する取り組みはいまだ十分であるとは言えない、端的に、不十分であるという状況であろうかと思います。回収を促進するためにも実態把握が重要であることは論をまたないところでありますが、そのあたりを中心にお尋ねを申し上げたく思います。  まず、運輸省に対してですが、自動車のカーエアコンに使用されているフロンは、特定フロンの利用状況からしても、回収の可能な冷媒の約六五%を占めるというふうに言われております。回収への取り組みが期待されるところでありますが、ところで、カーエアコン用の特定フロンの使用削減、放出防止については、運輸省においては平成二年と四年の二回にわたって地域交通局長名で通達が出されております。運輸省としても、特定フロンの回収については何らかの実情把握をしていると思いますが、運輸省が所管している自動車整備工場などでのフロンの回収実態がどのようになっているのか、具体的に報告を受けている回収量と、これから回収できるであろう、推定される回収量というのを明らかにしていただきたく存じます。
  68. 中島恒夫

    ○中島説明員 運輸省といたしましては、先生指摘ございましたように、従来より自動車の整備事業者に対しまして、カーエアコンの整備に際してフロンの回収装置の導入促進と、その装置を用いましたフロンの再利用を行うよう指導してきたところでございます。  この結果によりまして、現在、カーエアコンの整備を行いまする自動車の整備事業者とか、カーエアコンを専門に扱いまする電装品の整備業者におきましては、フロンの回収装置がほぼ一〇〇%設置されておるという状況になってございます。  しかしながら、最近フロンの市況が軟化しているということもございまして、電装品の整備業者における調査によりますると、フロンの回収率というものは現在は四〇%であるというふうに聞いてございます。
  69. 高見裕一

    ○高見委員 フロンの回収率四〇%、その裏づけはまた後でもう少し詳しく教えていただきたく思いますが、建設省の方にあわせてお尋ねをいたします。  ビル用の空調機器について同様の質問をさせていただくとすれば、ビル用の空調機器は一カ所で大量のフロンを使用しており、回収した場合の効果も大きいというふうに考えられます。建設省としても代替フロンヘの転換を進めているところだとは存じますが、その際に特定フロンが放出されてしまっては転換の意味がないとも考えられます。建てかえや設備更新の際のフロンの回収は実態としてどの程度なされているのか、具体的に報告を受けている回収量と、推定されておられる回収量というものをつまびらかにしていただきたく存じます。
  70. 那珂正

    ○那珂説明員 お答えいたします。  特定フロンを用いましたビル用空調機器の設置数についてでございますが、十分な建築統計調査が行われておらず、正確な数については把握してございません。  空調機器の業界団体では、特定フロンを用いました代表的な機器であるターボ冷凍機の設置数を、現在一万三千台から一万六千台ぐらいあるというふうに推計しております。このうち、建築物の建てかえとかあるいは空調機器の更新・改修時における特定フロンの回収の実態についても、まことに申しわけございませんが、正確な数字は把握しておりません。  また、業界団体では、この十年間に約二千台程度のターボ冷凍機の更新がなされたと推計しておりますが、その中で大半が特定フロンはリサイクルに回されている、こういうふうに聞いております。  また、建設省所管の官庁営繕工事についてでございますが、特定フロン対策のための対象施設は百強、百八施設ございまして、ほぼ更新・改修を完了しております。
  71. 高見裕一

    ○高見委員 長官もお聞きいただいたかと思いますが、現時点で十分な調査は行われていないということを確認させていただきたいと思います。  オゾン層破壊の問題が明らかになり、かなりの時間が経過しております。関心も高まっているはずでございますが、なかなかフロンの回収促進が進みません。先ほど運輸省答弁にもありましたが、現場レベルでは、正直なかなか、いま一歩という甘い表現でいいのかどうかというところもあることはもう御承知のとおりでございます。そういう意味では、実際に管理監督をする運輸省や建設省などの責任は非常に重いのではないかなというふうに思いますし、引き続き、より充実した対策を立ててそれを実施していただけるよう、切に希望するものでございます。  また、昨年の末に特定フロンCFCは生産が中止となっておりますが、生産されたCFCは市場に出回り、機器に充てんされるなどして使用されることになります。地球環境問題を考えるときには、今充てんされているCFCをなるべく外に出さないようにすることが重要であると考えますが、実際に冷媒のCFCについてはどのくらい外に漏れずに残っていると認識をされているのか、通産省にお答えをいただきたく存じます。  あわせて、代替フロンであるHFCはオゾン層の破壊係数がゼロで、オゾン層保護という問題とは直接には関係しないものの、地球温暖化物質であり、温暖化係数も一〇〇〇以上あることから考えて、やはりなるべく放出しないような方策が必要であろうと考えます。  さらに、PFCについても、オゾン破壊係数はゼロではあるものの、温暖化係数は六〇〇〇以上とかなり高く、しかも物質の寿命は、PFC14に至っては五万年という寿命であり、大気への蓄積による影響が大きく懸念されるところであります。そのようなオゾン層を破壊しない代替物質についても何らかの対応が必要であると考えますが、ここは環境庁としてどのような取り組みをされるおつもりなのか、お聞かせいただきたい。  端的に言って、PFC14に至っては五万年間変質しない。大気にほうり出されたら、そのまま五万年間、温暖化を促進する物質。しかも、二酸化炭 素の何と六千七百倍というおびただしい温暖化に対するパワーを発揮する物質としてそこに存在をするわけでございまして、これが日々規制なく増加をしているということで、大変危惧を感じておる次第でございます。  先ほどの一番目の通産省の方に対する質問とあわせて、環境庁に続けてお答えいただければと思います。
  72. 上田孝

    ○上田説明員 御質問の点でございますけれども、カーエアコン、業務用の冷凍・空調機器、そして家庭用電気冷蔵庫につきましては、平成五年ころから、オゾン層を破壊しないHFCという化学物質を冷媒に用いました機器が販売されているところでございますけれども、それ以前の機器につきましてはCFC、いわゆる特定フロンというものが冷媒として使用されているところでございます。  現存するCFC使用型の機器の台数等から推定いたしますと、我が国全体では三万から四万トン程度の冷媒用のCFCがストックされているというように推定されております。
  73. 浜中裕徳

    ○浜中説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のハイドロフルオロカーボンそれからパーフルオロカーボンにつきましては、私どもといたしましても、オゾン層は破壊しないものの温室効果が非常に高いということで、地球温暖化防止の観点から取り組みを進めていく必要がある、このように考えているところでございます。  このため、私ども環境庁におきましては、現在、ハイドロフルオロカーボン及びパーフルオロカーボンの使用実態あるいは環境中への排出実態の把握に努めておりますとともに、今後いかなる対応方策をとるべきかといった点についても、専門家のいろいろな御助言をいただきながら検討を進めているところでございます。  こうした中では、いわゆるCFC、クロロフルオロカーボン対策でいろいろな経験をしておりますので、そういったことも大いに参考にしながら、具体的には、不必要な用途への使用抑制といったことでありますとか、あるいは使用されておりますものの回収・リサイクルあるいは回収・破壊といった排出抑制についての対策に極力早い段階から取り組めるように積極的に検討してまいりたい、このように考えているところでございます。
  74. 高見裕一

    ○高見委員 極めてもっともな御回答であろうかと思いますが、結局は中身がどのように具体的に伴うのかというところがポイントかと存じます。  さて、フロンの破壊技術に関してもお尋ねをいたします。  今後のフロンの回収を促進するためにも、フロンの破壊技術の確立は必須の条件であろうと存じます。現在でも、通産省はプラズマ法で、環境庁はセメント炉や焼却炉での破壊の実験を行っておられるようでありますが、なかなか回収したフロン全量を破壊するに至っていないとも聞き及んでおります。なるべく輸送費用や破壊のための費用が少なく、量的にもかなり破壊ができる設備、施設というものを実際に稼働させることが緊急の課題であるというふうに考えますが、現状はどのようになっているのか、環境庁と通産省にお答えをいただきたく思います。端的で結構です。
  75. 大澤進

    大澤政府委員 フロン破壊技術の問題でございますが、環境庁では平成六年度からさまざまな破壊技術について、一つはフロンの効率的な破壊処理の可能性がどうであるかということ、二点目としては、燃焼に伴って発生する二次生成物質による環境上の安全性に問題があるかどうかということを確認するため、数日間程度のフロン破壊の短期実験を行ったところでございまして、その実験では実用化について専門家による技術評価も得たところでございます。この結果を踏まえまして、今後は、先ほどお話がありましたような回転式の焼却炉や、それからセメントの焼成用の回転炉、これらを用いて長期の破壊実験をやろうというぐあいに考えております。  これまでのところ、この二つの炉につきましては、一つは、産業廃棄物処理施設とか既存の施設が利用できる、したがって新たな施設の建設等に係る費用や時間が不要である、それから技術の普及が迅速かつ容易に行えるといういい点もあります。また、これらの施設というのは全国に多数存在していることから、全国各地で実用化することが可能でございます。したがって、フロンの回収なり破壊処理の社会システムというのを確立しやすいというような有利な面があることからも、今後、これらの方式について実際に運転する場合を想定して、さらに数カ月にわたる長期間の実証実験が必要なんですが、これを今行おうとしているところでございます。  こういうことを行う中で、なおどういう運転上の留意あるいは操作上の注意すべき点があるかどうかを確認して、できるだけ早くにフロン破壊処理技術を確立し、処理体制を整備して回収に努めてまいりたい、かように考えております。
  76. 上田孝

    ○上田説明員 通産省といたしましては、平成五年度より、高周波プラズマ法というもので破壊技術の実証実験を行ってきているところでございます。既に、このプラズマ法につきましては破壊効率九九・九九%というような、CFCを効率よく破壊できるということが確認されるなど、一定の成果を上げてきているところでございます。  現在、引き続き長時間の運転試験を実施するということにしておりまして、その耐久性ですとか安全性について引き続き実用化に向けて研究を深めてまいりたいと考えているところでございます。  いずれにいたしましても、特定フロン等の破壊技術の早期確立のために鋭意努力してまいりたいと考えております。
  77. 高見裕一

    ○高見委員 お互いが切磋琢磨するのは大変すばらしいことでございますが、どうぞ省庁間の縦割りの弊害がそんなところに出ないようにひとつ御留意をいただきつつ、研究を進めていただきたい。これは、本当に国家国民を超えて人類のためであろうかと思います。  今回の法案は三年をめどに見直しを行うということでございますが、環境基本法や環境基本計画というものがしつかりできつつある今、本当にトータルな、環境全体を見渡した組織や政策づくりというものが必要であろうかと思います。環境庁自身の組織についても、また政策のパラダイムについてもそのような変革を遂げる時期に来ているのではないかと思います。岩垂環境庁長官の特段のリーダーシップを心から期待をして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  78. 杉山憲夫

    杉山委員長 岩佐恵美さん。
  79. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 今回の法改正では、本来なら汚染物質排出量を大幅にとらえていく、あるいは排出規制を強化をしていく、そういうことが求められていると思います。  ですけれども、実際、先ほどから伺っておりますと、環境庁が健康被害の可能性があるとして選定した二百八十四物質のうち、基準を定めることになっているのは三物質にしかすぎません。しかも、工場事業場境界地でかなり高い濃度で検出されている発がん性物質のアクリロニトリル、塩ビモノマー、ニッケルなど多数の物質対象外となっています。九三年十二月に改正された水質汚濁防止法で十五物質が追加をされましたけれども、そのうちのジクロロメタンあるいは四塩化炭素など八物質については、発がん性を考えて基準値の設定を行っています。  もっと多くの物質について早急な大気環境基準の設定あるいは排出規制措置をとるべきだと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。時間が限られておりますので、短目に答弁お願いします。
  80. 大澤進

    大澤政府委員 附則で定める指定物質対象物質にかかわらず幅広く対象として設定すべきということでございますけれども、私どもとしては今、物質の有害性に関する知見や我が国の大気環境における検出状況から健康リスクが高いと評価される物質について早急な評価をし、基準を定めていこうと考えているところですから、こういう観点から今お話があったような三物質について環境基準等を定めることとしていますが、それ以外につ きましても当然、これに係る科学的な知見の収集とかモニタリング等も行って、必要な基準等の設定についてもできるだけ早期に取り組んでまいりたい、かように考えております。
  81. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 聞くところによると、九物質とかなんとかという話があるわけですけれども、それでは到底間に合わないというふうに思いますので、早急に作業していただきたいと思います。  発がん性物質については、健康への影響を未然に防止するという観点から規制措置をとるべきです。とりわけ、ごみ焼却などで排出するダイオキシン類については、九五年十一月の国連環境計画、UNEPの陸上活動に伴う汚染から海洋環境を守るための政府間会合で、規制のための国際条約の制定を目指す行動計画が採択されています。ヨーロッパでは〇・〇一ナノグラムという規制値を決めていますけれども、日本もヨーロッパ並みの規制値に強化するなど、ガイドラインの抜本的な見直しが行われるべきだと思います。その点について一点伺いたいと思います。  もう一つ、九二年の摂南大学のごみ焼却現場の調査では、排煙一立米当たりダイオキシンが平均七・九ナノグラム、ジベンゾフランが二十・九ナノグラム、コプラナPCBが一・四六ナノグラムと、これら有害物質の合計が三十・二六ナノグラムにもなっています。九三年の東京都清掃局の「清掃工場から排出されるダイオキシンの実態調査結果について」でも、大田第二清掃工場が五十ナノグラム、多摩川清掃工場が二十二ナノグラムと、〇・〇一ナノグラムのヨーロッパ基準をはるかに超える高濃度となっています。  大気汚染防止法でダイオキシン類を対象に取り込むことが不可欠だと思います。清掃工場などでのダイオキシンの排出基準の設定の検討を初め、他省庁とも、特に厚生省ですが、相談しながら、早急に今回の指定物質に取り込んで基準設定を検討すべきだと思います。  この二点について伺いたいと思います。
  82. 大澤進

    大澤政府委員 ダイオキシンの問題でございますが、ごみ焼却施設に係るガイドライン等については厚生省において取り組んでいると聞いておるところでございます。  環境庁大気汚染防止法のサイドでどういう規制をすべきかということでございますが、健康影響未然防止の徹底を図る観点から、現在、ダイオキシン類につきましては大気環境のモニタリングを行っておりますし、またダイオキシン類に関する健康影響知見の整理とか評価もし、さらに排出源あるいは排出抑制技術等に関する情報の収集とか分析を行っておりまして、ダイオキシン対策のあり方について総合的に鋭意検討を進めているところでございます。  今後、これらの検討結果を踏まえ、排出抑制対策の徹底を含め、ダイオキシン類による大気汚染防止のために必要な対策を講じていく所存でございます。
  83. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 もう何回も何回もこの委員会で取り上げられている問題ですので、しっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。  川崎市の九四年度の大気汚染測定結果によりますと、二酸化硫黄が七九年度以来十六年ぶりに環境基準の〇・一ppmを上回りました。これは、日本鋼管などの工場がある田島地区で二酸化硫黄の一時間値の最高値が〇・一一五ppmとなりました。九五年八月にも二回、二酸化硫黄が環境基準を超えまして、〇・一三九ppm、〇・一八四ppmと、緊急時の環境基準〇・二ppmに限りなく近い高濃度となりました。  川崎市当局は原因が不明というふうに言っていますけれども、それでは済まないと思います。田島地区六工場あるいは全市十六工場があるわけですが、そういうところのテレデータを公表させる、あるいは原因企業を特定して削減を求めるなど、原因の究明と対策が必要だと思います。その点について、環境庁の考えを伺いたいと思います。
  84. 大澤進

    大澤政府委員 川崎地区の二酸化硫黄の問題でございますが、一時的にしろかなり高いレベルが出たというのは私どもも承知しているのですが、川崎市はこの問題について、今お話がありましたように、周辺工場への立ち入り等を含めて、その原因究明のためのかなり詳細な調査を実施しているところでございます。  それで、各工場ともその装置の稼働状況等については、これまでの調査では必ずしも異常は認められないということで、はっきりとした施設なり原因の特定というものはされておりません。川崎市としては引き続きこの原因究明に努めていくこととしておりまして、私どもも川崎市を十分フォローするように指導なり助言を行っていきたい、かように考えております。
  85. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 この件については必ずしも工場じゃないかもしれないという可能性があるわけですね。港の近くであれば船の問題もあるかもしれない。船は確かにC重油をたいているわけですから、硫黄酸化物が非常に出るということは可能性があるわけで、そういうところにも着目をしながら、この原因究明をきちんとやっていただきたいと思うのですね。港の近くということになりますと川崎だけではありません。横浜も東京も、港を持っているところは大きな影響を受けるということになるわけですね。その点、きちんと取り組んでいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  86. 大澤進

    大澤政府委員 川崎市自体は、これまでの調査、それから、御承知かと思いますけれども、発生源テレメーターシステムをつくっておりまして、工場の、主要工場についてですが、不断にその排出状況等が入るようになっております。それから、大気汚染防止法の規定に基づいて、各工場からのばい煙の排出状況というものも必要に応じて報告を求めるというようなことで、引き続き原因究明をしているところでございますが、工場以外のいろいろな原因についても、私どもも、これは必ずしもはっきり断定なり特定されているわけではない、先生指摘のような原因とか要因も想定されるというような話も聞いております。そういうことで、川崎市としては総合的な原因究明なり対策というものが必要だと考えておりますので、私どもも一緒になって考えていきたい、このように思っております。
  87. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 川崎市の例では、一時間値が〇・二ppm以上の大気の汚染状態が三時間継続をするという緊急時の環境基準には達しませんでした。しかし、依然として高い濃度の硫黄酸化物の排出であるわけです。  今回の改正案では、硫黄酸化物に係るばい煙減少計画の届け出義務の廃止、勧告の削除を行うとしているわけです。そうなると、使用制限の措置命令ができるのは、一時間値〇・五ppm以上の大気の汚染状態が三時間継続するというごく限られた高濃度の状態になってしまうわけです。ですから、実際の大気汚染規制の役に立たないということにもなりかねません。依然として硫黄酸化物が高い濃度で大気を汚染しているわけですから、今回の規制措置の削除ということが大気汚染防止の後退になる、そういう危険があるのではないかというふうに危惧をされます。その点はどうでしょうか。
  88. 大澤進

    大澤政府委員 いわゆる緊急時の措置の件でございますが、それについては、昭和四十年代当時、硫黄酸化物等が甚大な汚染をしておった、こういう背景があって現行の制度があるわけでございます。  しかしながら、近年硫黄酸化物による大気汚染状況というものが、それぞれのところの大変な努力によりまして相当削減されているわけでございまして、大気環境も大幅に改善しております。現行制度が予定する二酸化硫黄による緊急時に該当する大気汚染状況というのは、昭和五十年代以降は認められてはおりません。また、過去十年を塩り返ってみても、本制度による勧告というものは実績がございません。  このような状況から、引き続き事業者にばい価減少計画の事前届け出を形式的に要求するということは必ずしも適当ではないのではないか、また事務の簡素化の観点からも、本制度の廃止をした ところでございます。  しかし、御指摘のような御懸念もあるところでございますし、今回の措置というのは、あくまでもその計画の事前届け出を省略したというものでございまして、緊急時の措置として、この二十三条の第一項及び第四項というのが残ってあるわけでございますから、都道府県知事によるばい煙排出者に対する緊急措置命令等の規定は存続しておりますし、万一、硫黄酸化物を含めて大気汚染の緊急事態が生ずるおそれのある場合にはこの規定を適用して十分対応できるもの、かように考えております。
  89. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 環境問題というのは何が起こるかわからないわけですから、事業者の負担を軽減するということで規制緩和を安易に行うべきではないというふうに私は思っております。この点での後退がないようにきちんと対応していただきたいと思います。  次に、大気汚染で一層深刻になっているのがNOxとSPMの問題です。  九四年度、二酸化窒素の環境基準を超えた自排局は三二・六%になります。浮遊粒子状物質は六一七二%と、依然として高い状況になっています。東京都内の国及び都条例措置の公害認定患者数ですが、九四年十月には七万人を超えました。うち国の認定患者数は、公健法を改悪した八八年当時四万四千五百八十四人おられたのが九四年十一月には三万一千二百九人と、一万三千三百七十五人、三〇%も減りました。激減しました。ところが東京都の認定患者数は、八八年当時の一万八千八百二十二人が九四年十一月には三万九千四百十二人と、二倍以上に急増しています。  東京の公害患者の皆さんを中心に、近々、国や自動車メーカーの責任を問うということで東京大気汚染公害裁判を東京地裁に起こすということになっています。この裁判は、ひどくなる一方の大気汚染のもとで、公害患者の要求を聞かない、あるいは自動車の排ガスと健康被害の因果関係を認めない、そうした国やメーカーの責任を問うということで、公害患者がやむにやまれず裁判に訴えるものです。このような深刻な自動車排ガス被害について、大臣はどう考えられますか。その点について伺いたいと思います。
  90. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 裁判の訴状をまだ拝見しておりませんので、的確にお答えをすることはできません。その点はおわびをしておきたいというふうに思います。  ただ、率直に申し上げて、公健法の例の第一種地域の指定解除のときに、先生も大変御苦労いただいたわけでございますけれども、当時の、つまり昭和六十一年の中公審答申、現在の大気汚染はぜんそく等の疾病の主たる原因をなすものと考えられないというふうにされているわけであります。今日の大気汚染状況というのはそのときの状況と基本的には変わりがないという評価がございます。そういう点で、指定解除当時の考え方と変わっていないというスタンスが私どもの立場だということを御理解いただきたいというふうに思うのです。  ただ、そうはいっても、今御指摘のように、大気汚染防止対策を積極的に進めてまいりませんと、自動車はどんどんふえるわけですから、その意味では、自動車個々の排ガスに対する改善措置が見られたとしても、総体的に大気汚染は進むというふうに考えなければなりません。それが健康被害ということに関連がないとは言い切れないわけでございますから、大気汚染防止対策を進めるとともに、特に環境保健サーベイランスや健康被害予防事業などを積極的に実施する、あわせてたゆまない調査研究などを通して環境保健施策を推進して、大気汚染によるところの健康被害の予防について積極的な対策を講じていかなければいけない、こんなふうに思っておりますので、いろいろな意味で被害に遭っている方々について、いろいろ私も考えないわけではないのですけれども、今日の状況はそのような立場だということを御理解いただきたいと思います。
  91. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 大臣もよく御存じだと思いますけれども、結局、今大都市地域で一番問題になっているのは移動発生源による被害なんですね。それはNOxであり、それから浮遊粒子状物質なんですね。  私も住んでいるところが結構交差点に近いところです。毎朝洗濯物を干して国会に出かけてくるわけですけれども、それが私の仕事ですが、さおをふきます。さおが真っ黒なんです。それはもうまさに排ガスによる黒さですね。こういうものを毎日私たちは吸わされているのじゃたまらないという思いでいっぱいです。  そういう点で、このNOxと健康被害の関係、これはもう本当にはっきりさせて、それに焦点を当てて減らしていく、あるいは粒子状物質についてもきちんと対応していくということが今新しく求められているというふうに私は思います。  最後に、しつこいようですけれども、大臣にこの点に着目をして対応していただきたい、そのことを再度確認させていただきたいと思います。
  92. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 もう先生も御案内のように、私自身、自動車排ガスの問題についてはずっと取り組んできたつもりでございます。そして、沿道調査など、環境庁がそれに積極的に取り組んできたこと、自治体もそれに対応してきたことも御存じのとおりでございますけれども、決して十分だとは言えません。  したがって、御指摘のように、自動車排ガスと健康被害との関係をできるだけ明らかにするために努力をしながら、特に予防対策、これはもうなってしまってはしようがないのですから、予防対策を含めて万全を尽くしてまいりたいというふうに思いますので、御理解を賜りたいと思います。
  93. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 終わります。
  94. 杉山憲夫

    杉山委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  95. 杉山憲夫

    杉山委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出大気汚染防止法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  96. 杉山憲夫

    杉山委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  97. 杉山憲夫

    杉山委員長 次に、ただいま議決いたしました本案に対し、小杉隆君、大野由利子さん、竹内猛君、鳩山由紀夫君及び岩佐恵美さんから、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者から趣旨の説明を聴取いたします。大野由利子さん。
  98. 大野由利子

    大野(由)委員 私は、ただいま議決されました大気汚染防止法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につき、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけ及び日本共産党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文を朗読して、説明にかえさせていただきます。     大気汚染防止法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。  一 本法の施行期日については、本法律案成立後、所要の政府令等を整備し、その周知徹底に努めた上で、可及的速やかに施行するよう努めること。  二 大都市地域における窒素酸化物等に係る大気汚染改善が大幅に遅れ、依然として深刻な状況にあることにかんがみ、大気汚染による健康影響防止するため、既存の法律実効性を高めるとともに、未規制車種である特殊自動車排出ガス抑制対策に努める等、実効性のある方策を講ずること。  三 ダイオキシン等の有害大気汚染物質が人の健康に影響を及ぼすおそれのあることにかんがみ、科学的知見の充実に努めるとともに、有害大気汚染物質に係る環境基準の設定及びモニタリング調査の充実を含め、健康への影響評価を早急に進めて、実効ある対策を早期に図ること。  四 低公害車が自動車に起因する大気汚染等の根本的解決に寄与することにかんがみ、低公害車の大量普及に向けて一層有効な手段を講ずるよう努めること。  五 地球規模での大気環境保全の重要性にかんがみ、地球温暖化防止行動計画の目標達成に向け、太陽光の活用等を含め我が国の温室効果ガスの排出抑制対策を一層拡充・強化するとともに、国際連合気候変動枠組条約第三回締約国会議の我が国への招致に努力すること。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
  99. 杉山憲夫

    杉山委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  100. 杉山憲夫

    杉山委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。岩垂環境庁長官
  101. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたして努力をいたす所存でございます。ありがとうございました。     ―――――――――――――
  102. 杉山憲夫

    杉山委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 杉山憲夫

    杉山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  104. 杉山憲夫

    杉山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十一分散会