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1996-02-23 第136回国会 衆議院 環境委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年二月二十三日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 杉山 憲夫君    理事 小杉  隆君 理事 七条  明君    理事 福永 信彦君 理事 大野由利子君    理事 斉藤 鉄夫君 理事 長浜 博行君    理事 竹内  猛君 理事 鳩山由紀夫君       逢沢 一郎君    斉藤斗志二君       桜井  新君    谷津 義男君       坂本 剛二君    田端 正広君       松沢 成文君    岡崎トミ子君       山元  勉君    宇佐美 登君       岩佐 恵美君    小泉 晨一君       中村  力君  出席国務大臣         国 務 大 臣 岩垂寿喜男君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       田中 健次君         環境庁企画調整         局長      大西 孝夫君         環境庁企画調整         局環境保険部長 野村  瞭君         環境庁自然保護         局長      澤村  宏君         環境庁大気保全         局長      大澤  進君         環境庁水質保全         局長      嶌田 道夫君  委員外出席者         環境庁企画調整         局地球環境部長 浜中 裕徳君         外務省経済協力         局政策課長   堀江 正彦君         農林水産大臣官         房企画室長   田原 文夫君         農林水産省構造         改善局建設部開         発課長     山村 宗仁君         林野庁指導部基         盤整備課長   萩原  宏君         通商産業省機械         情報産業局自動         車課長     大井  篤君         建設省都市局下         水道部下水道企         画課長     内藤  勇君         建設省河川局河         川環境課長   白波瀬正道君         建設省河川局開         発課長     竹村公太郎君         建設省道路局道         路環境課長   大石 久和君         環境委員会調査         室長      工藤 桂司君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十二日  辞任         補欠選任   逢沢 一郎君     金田 英行君   高見 裕一君     簗瀬  進君 同日  辞任         補欠選任   金田 英行君     逢沢 一郎君   簗瀬  進君     高見 裕一君 同月二十三日  辞任         補欠選任   高見 裕一君     宇佐美 登君 同日  辞任         補欠選任   宇佐美 登君     高見 裕一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  環境保全基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 杉山憲夫

    杉山委員長 これより会議を開きます。  環境保全基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福永信彦君。
  3. 福永信彦

    福永委員 私は、自民党福永信彦と申します。おはようございます。また、岩垂大臣には、御就任を心からまずお喜びを申し上げる次第であります。どうぞよろしくお願いいたします。  さき所信表明がございました。そのことについて幾つか御質問をさせていただきたいと思うわけであります。あらかじめお許しをいただきたいのは、質問要項を六つか七つ環境庁の方にお示しをしておいたのですが、順序が狂ったりあるいは時間で多少減ったりしますことをまずお許しをいただきたいと存じます。  さて、阪神大震災があってから既に一年一カ月余がたつわけでありますが、その直後、ちょうど私は一年ぐらい前に環境庁に、いろいろなそのときの大震災に対する質問をさせていただいたのです。そう言ってはいけませんが、私も言いっ放しあるいは、まあ役所が聞きっ放しということはあり得ないのですけれども、そうしたことで一年たって、その後いろいろな質問を申し上げたことにどんなふうに役所が対処していただいたか。私どもいつもそう思うのですけれども、我々は要望といいますかそういうものは常に無限と申しますか、幾らでも際限がないのであります。それに対してこたえていただけるというのは、当たり前ですが、それぞれある制限があったりいろいろ、すべてというわけにはまいりませんが、ともあれ、そんなことで調整機関としてこの一年間どんなふうに各方面にお働きをいただいたか、またその成果があったか、あるいはこれからどんなふうにそうしたことについて対処していただけるのかをまずお伺いをしたいと思います。
  4. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 お手やわらかによろしくお願いをいたします。  阪神淡路震災復興計画、実はきょう第三次の国土利用計画全国計画でございますけれども閣議決定ということになりました。それらの方針の中に、今先生が御指摘のとおりに、都市オープンスペースの確保について環境庁としては意見を述べてまいりました。それらの意見が反映をされたものになっていくことをまず御報告申し上げておきたいと思います。  今後とも各省庁と連携をとりながら進めていかなければいけないと思っておりますけれども、この間も、例えば下水道だとか都市公園だとか、予算の枠組みが閣議了解になりました。そのときに私、特別に発言を求めまして、これだけの大変なお金を使って公共事業を進めていくのだけれども、その公共事業の中で環境に対する配慮というものを各省庁ごとにしっかり受けとめてほしいということを申し上げました。たまたま閣議が終わりまして、総理執務室へ私が招かれまして、いいタイミングで言っていただいた、だから各省庁とも環境問題に対する配慮というものをこれからできるだけしていくように環境庁も頑張ってほしいというお言葉をいただきましたが、これらはひとえに先生方のそうした御発言あるいは御努力にまつところが非常に大きいというふうに思います。言いっ放し答えっ放してはなくて、そういう実が上がるように努力をしていかなくてはならぬと思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  5. 福永信彦

    福永委員 大変今御努力をいただいているということを承って、ありがたく感ずる次第であります。  そのとき宮下大臣にお示しをした、戦前のあるいは終戦直後等のいろいろな復興計画ですとか、緑がどれだけ大事か、緑地がどれだけ大事かという計画図が実はここにございまして、前に宮下大臣にもお渡しをしたのですが、もちろん今と大正あるいは終戦直後とはかなり状況が違っているわけですが、いま一度大臣にお渡しを申し上げて、後で渡しますので、参考にしていただければと思う次第であります。ありがとうございました。  次に、水俣病について承りたいのでありますが、私ども、昨年一年間、三党合意ということで大変いろいろ努力をさせていただいて、この問題に本当に真剣に取り組ませていただいたわけです。三党で野合だの何だのといまだに言う方もいらっしゃいますけれども、私は、この三党の最も大きな成果一つであるというふうに今さらながら確信をするわけですが、あのときいろいろ私は私なりに考えてやらせていただいた。ちょうど去年は戦後五十年という極めて意義深い年でありました。また私ども、まあ私自身ではございませんが、政党でいいますと私ども自民党が戦後一貫してとってきた政策は間違ってなかったと私は思うのですね。  あの敗戦のとき、あしたどころでない、きょうの米すらなかったあの時代から、何とか欧米のような立派な国になりたいということで、もちろん党の政策、あるいは国民皆さん方が血のにじむような思いをして頑張ってきた、これはこれである程度達成したというふうに考えるわけであります。同時に、公害であるとか緑の自然破壊であるとか、いろいろなことの矛盾も抱えてきたことも、これはそのとおりであるというふうに思うわけであります。つまり、戦後五十年の不戦決議、これはこれで重大な意味を持ったし、大事なことである。しかし、それだけで戦後五十年というのは終わらないのではないか。こうした水俣を初めとするいろいろな矛盾もきちっと解決をして、そして新たな道へ進んでいかなければならないというふうに私ども考えて、努力をさせていただいたわけでありますが、それはそれなりに成果があったということであります。  大臣所信表明にも、このことについていろいろお触れになっていただいているわけですけれども、例えば判定検討会等が今進められている。始めたばかりですけれども、すべてということではございませんが、どのくらいの方が今お受けになって、これからどう対処していくのか、あるいは地域のいろいろな活性、再生のために、もやい直しセンター等を初めとして、どんな振興施策を進めていっていただけるのかを具体的に教えていただければありがたいと思います。
  6. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 水俣病問題は、今先生が御指摘のとおりに、戦後の日本の経済社会が残した未解決の問題の一つでございまして、この解決のために、村山前内閣において、その発足の当時から、何とかしなければいかぬということで、重要課題一つとして取り上げてまいりました。その中で、福永先生を初め三党の皆さん与党皆さん、これはしかし与党だけではなくて、野党の皆さんにも直接間接の御理解そして御協力をいただきながら、解決のために努力をしてきたわけであります。そして見方によっては、本当に重い歴史を背負いながらも苦渋の決断をされた各団体皆さんにも私はこの機会をかりてお礼を申し上げながら、そうした御努力に対して敬意を表したいというふうに思います。  政府としましても、昨年の十二月に閣議了解をいたしまして、それに基づいて、本年一月九日にチッソ支援及び地域再生に係る財政措置を決定いたしまして、この一月二十二日から、熊本、鹿児島、新潟の三県で水俣病総合対策医療事業申請受け付けが再開されましたところ、その中で今まで、数字は後ほど正確に事務当局から先生お話をいたしますが、もう動いているものですから、二月の二十日現在で申請者数が七千三百四十八人と、順調に申請がふえてきているというふうに申し上げて差し支えないと思います。  判定検討会もこれから逐次開催をされていくことになるだろうと思いますし、それから、御心配をいただきました例のもやい直しセンター水俣芦北地区再生あるいは振興に関する地域住民のきずなの修復を図るための施設でございますけれども、取り組みが地元として進められているものと承知をいたしております。  今後とも、閣議了解に基づく施策を誠実かつ着実に実行をいたしてまいりたいと思いますので、ぜひ御協力を引き続いてお願いを申し上げたいと思います。
  7. 福永信彦

    福永委員 この水俣問題が、これは四十年間ということですが、とりわけちょうど一年ぐらい前に、宮下前々長官がこれを何とかやっていくんだという決断のもとに始まったわけであります。そのとき宮下長官がおっしゃったのは、今これほど環境行政に対して多くの国民皆さん方が御期待をしていただいているのだ、そこにこうした問題をいつまでも積み残していくことが果たしてどうだろうというのが最大の進んでいく決断であったと思うわけでありますが、大蔵当局初め各省に御理解をいただいて、その後、大島長官がまさに大いなる決断をもって今日が来たわけです。  昨年、こうしたいろいろなことが解決をして政府としての最終決断に至ったときに、私はその場にちょうど居合わせたのでありますが、大島長官から、今日まで環境庁職員の方々に何十年にわたってどんなにか御労苦をいただいたことにまず敬意を表するというごあいさつがありました。私はそれを聞いて本当に涙の出るような思いがしたわけでありまして、今日まで次官初め役所職員皆さん方が本当に御苦労いただいたことに重ねて感謝を申し上げたいと思うと同時に、今御決意をいただいたわけでありますが、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。  そこで、次の問題に移らしていただきたいと存じますが、まず環境影響評価制度見直しについてお伺いを申し上げます。  これについては「法制化も含め所要見直しを行って」いくと、さき大臣所信表明にもありましたが、今後どのような日程で法制化等に向けての作業を進めていく予定でいらっしゃるのか。また、ことし、平成八年夏までにこれまで行ってきた調査研究の結果を取りまとめるということでありますが、さらにそれ以後の予定について、大体で結構でありますので、まずここから教えていただきたいと存じます。
  8. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 実は、アセス法制化の問題につきましては、平成五年の五月なんですが、環境基本法が成立をする直前に宮沢総理大臣に御出席を煩わせまして、そして最後に私がこの委員会でやりとりをいたしました。そのときに総理から初めて、法制化を含めて検討しましょう、そして内外の知見を、できるだけ各省庁が一緒になって、そしてもちろん学者や専門家皆さんにも御協力をいただきながら検討していきたいということで、環境影響評価制度総合研究会というものが設けられました。実は、この調査研究というのは、本年の夏を目途に取りまとめるということにお願いをしているわけでございます。  まあ率直に申し上げて、いろいろな役所があるわけですからみんなで認識を共有するということが出発点だろうという意味で、今まで三年ほど勉強をなさってきたことは本当によかったことだと思っています。いよいよ、いわばその研究成果がまとまるということでございますから、内外制度実施状況などを含めて総合的な調査研究というものを各省庁一体になって結論を導いていく、こういうことを期待したいものだと思っております。  そして、夏ですから、夏といっても幅が広いわけですけれども、できるだけ前倒しにお願いができればということで、精力的に取り組んでいただいているところであります。そして、答申というかその結果が出ますれば、必要に応じて中央環境審議会、中環審の御論議をいただくということもあり得るだろうというふうに考えています。その点を含めて法制化へのプロセスを考えてみたいというふうに思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  9. 福永信彦

    福永委員 現在、これまでの調査結果を取りまとめる作業最終段階にあるというのは今大臣お話のとおりでありますが、大体どのような調査結果が出てきているのか、大体で結構ですが、わかる範囲内でお聞かせをいただきたいと思う次第であります。そして、その調査結果をどのように我が国環境影響評価見直しに生かしていくのか、まずどんなことをお考えになっているのかということをお聞きしたいわけであります。  法制化を目指すことはもちろん当然として、内容的に、例えば最近アメリカやドイツなどで、海外で盛んにミティゲーション措置という、生態的補償制度とでも申し上げるのでしょうか、そうしたことをとっているわけです。つまり、事業予定地の変更や、あるいは事業によって失われたビオトープを別の場所に、同価値のビオトープを新たにつくっていく、こういうことだそうであります。アメリカなんかでは、例えばすぐそばにそうした適切な土地場所がなかった場合、お金環境省の方に出したり、そういうものをプールしていくというようなことも聞いております。そうした措置我が国の導入について、私は将来大変有効になっていくのではないかと思われますが、長官のお考えをそうしたことでお聞きをさせていただければと思います。
  10. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 研究会経過というものは局長からお話をいただければいいのですが、こんな機会ですから私からちょっと簡単に申し上げますと、今まで関係省庁地方公共団体からヒアリングをいただいてまいりました。そして、諸外国における実施状況などを調査して、そのいわば成果を踏まえつつ、アセス対象事業手続の流れ、そして住民関与などについて横断的、総合的に分析整理を行ってきたというふうに申し上げておきたいと思っています。  実は、それとあわせて技術専門部会というものをつくりまして、その中で環境影響評価技術手法にかかわる現状と課題についてレビューを行っているわけであります。小委員会、そして技術専門部会で行ってきた調査研究を踏まえて、本年夏ということで総合的な検討を急いでいるということだけを申し上げたいと思います。  それから、先生指摘ミティゲーション措置については、これは一般的に言えば影響緩和措置とでもいいましょうか、そういうふうに呼ぶものだそうでございますけれども、そのうち、埋め立てや土地の改変の際に干潟や海浜やあるいは野生生物生息地などを人工的に整備して、事業によって失われる自然を埋め合わせるという措置、この措置はどちらかというと代償的措置というふうに言うことが多いわけでございますけれども、最近は、この開発事業に関してそうした代償的措置と言われるものが実際の例として応用されるようになってきています。我が国環境影響評価などについても、事業者によって検討されている環境保全対策の中にはこの代償的措置というのが取り入れられつつあることは先生御案内のとおりでございます。  だから、失われる自然と比べてどのような評価代償的措置が保つことができるのか、あるいは環境影響評価制度において代償的措置の具体的な取り扱いをどうするか、これは、今先生指摘のような諸外国の例を今委員会の中でも議論をして整理分析をしていただいているわけでございますので、その結果を踏まえて適切に対応してまいりたい、こんなふうに思いますので、御理解をいただきたいと思います。
  11. 大西孝夫

    大西政府委員 先ほど大臣からほぼ回答していただきましたが、検討事項をもう少し詳しく申し上げますと、一つには比較的早い時期から環境配慮なりをするということについての考え方、あるいは対象事業をどうするか、あるいは評価対象をどうするか、評価をだれが実施するか、あるいは住民関与をどうするか、評価の審査をどうするか、あるいは許認可等にはどう反映していくか、評価後の手続はどうか、国と地方関係はどうなのかなこといった、非常に各般にわたる事項について調査研究をいただいております。
  12. 福永信彦

    福永委員 環境問題は、環境基本法に明確に述べられているとおり、行政事業者国民、それぞれの前向きの努力がなくして解決することができない大変な大切な問題であります。また、環境は、今生きている我々人間だけのものではなく、将来世代への貴重な財産でもあるわけであります。  そうした意味からも、アセス法制化へ向けて邁進されることを今前提にしてお話を申し上げているわけですが、その法案の作成過程で、環境基本法のときと同じように、経済界といった事業者サイドからの意見は当然お聞きになるものと思います。同時に、広く一般の国民の皆様からも意見をあわせて聴取していただいて、その声を内容に反映させていく手続も必要かと存じます。その点はいかがか、大臣にお聞きしたいと思います。
  13. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 大事なことは、研究会でどういう結論が出されるのか、まだ私から物を申し上げる段階ではございませんけれども法制化を含めて所要見直しを行う、これがこの研究会が設けられた背景でもございますから、そこいらについて、ぜひこの研究会成果を期待したいと思います。  御指摘のように、国民各層の御理解協力がないとこの制度はなかなか大変でございます。そこで、先生御存じのように、環境基本法のときも、それから環境基本計画議論のときも、国民各層各界からのヒアリング審議会において行ってまいりました。時には郵送やらファクシミリやらという手段を含めて国民意見を求めてきた経過がございます。私は、恐らくこのアセスというのは、今までのそれと同じように、国民各層意見を本当に十分に承るという努力が結果的にこの制度の運用を担保していくことになるだろうというふうに思いますので、御指摘のとおりに、精いっぱい国民各層の御意見を承って、それを生かすように努力をいたしてまいりたいと思います。
  14. 福永信彦

    福永委員 環境影響評価制度見直しということは、計画アセスメント、つまり事業構想立案段階においてアセス調査を行うという仕組み我が国に導入するか否かと行政内部では検討されているのか。これは役所の方で結構ですが、お答えください。
  15. 大西孝夫

    大西政府委員 まず、現行の仕組みでございますが、閣議決定要綱等に基づいて環境影響評価制度が行われておるわけでございますが、通常、具体的な事業概要が決まっていない段階では環境影響予測等には限界がありまして、事業概要がおおむね固まった段階環境影響評価手続を行う仕組みになっておるわけでございます。  しかしながら、先ほどもちょっと申し上げましたが、環境影響を及ぼすおそれのある事業実施に当たって、できるだけ早い段階から環境配慮を行うということは非常に重要でございまして、そういう認識環境基本計画におきましても、国の施策の策定、実施に当たって、また公共事業計画段階から、そういう環境保全上の検討を行って環境保全配慮するという記述がなされております。そういうことを踏まえまして、総合研究会におきましても分析整理されておるところでございまして、その結果等を踏まえながら所要見直しに当たってまいりたいと思っておるわけでございます。
  16. 福永信彦

    福永委員 平成五年の十月にこの委員会で私も質問させていただいたのですが、当時の長官広中議員計画アセスについて質問させていただいた際、当時の広中長官は、計画段階の「環境影響評価に対応するに当たって、従来から事業者によって自主的に適切に行われるよう努力がなされてきたものというふうに私どもとしては理解している」、こういう御答弁をいただいたのであります。しかし、私にはどうしても、立地選定段階野生生物生息地、いわゆるビオトープ保護という次世代への社会資本を守るという考えがそれだけではまだまだ不十分であろうと思われるわけであります。  全国レベル県レベルでも、現在もなおレッドデータに記載されるべき野生生物の数が増加し続けている原因の一つは、事業地選定段階でのアセスがやはりしっかりしていないのではないか、しっかり行われていないという点にあるのではないかと思われるわけであります。  環境影響評価における最大の問題は、立地適否の問題です。現在、国の要綱に基づいて実施されているアセスメント事業計画段階でのアセスメントであり、この段階まで来てしまうと、たとえレッドデータブックに記載されるほど絶滅の危機にある生物事業予定地内に生息していることがわかっても、十分な保護措置を講ずることが大変難しくなるのではないかと思われるわけであります。  既に地方自治体レベルでは、こうした理由から計画アセス的なものを取り入れている先進的な自治体が幾つか出ているわけでありまして、例えば長官地元であります川崎市では、環境基本条例の中に環境調査制度を創設し、環境に係る市の主要な施策または方針立案に際して、計画アセスに近いチェックを行うことができるシステムを既につくっていらっしゃる。また、私ども地元である埼玉県、土屋知事さんは環境庁の大先輩でありますが、その埼玉県でも、一昨年制定された環境影響評価条例において調査計画書制度を創設して、事業計画の早い段階で、その事業適否環境の観点から判断する仕組みがつくられているわけであります。  事業地を決定する前に環境アセスメント実施する必要性に関して、長官の大局的なお考えをお聞かせいただきたいと存じます。
  17. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 環境影響評価というのは、環境破壊を未然に防止するというところにねらいがあるわけでありまして、もし破壊をされてしまえば、それは二度と取り返すことのできないものだと思っております。  したがって、そういう立場からいいますと、私の選挙区なんですが、今御指摘の川崎だとか、先生の方の埼玉県の事例のように事前の手続を設けて検討する方法、あるいは川崎の場合には特に公共事業などについてその点を強調しているわけでございますけれども、そういう取り組みが必要だなということをしみじみ感じています。  間接的に承るところによれば、今研究会でも諸外国のそうした例あるいは先進的な地方自治体の例、それらをいろいろな角度で勉強をしていらっしゃるそうでございまして、そういうことが大切だという認識は徐々に広がってきているように承っております。したがって、答申がそのことを満たしていただけるように期待をしたいものだというふうに思っております。
  18. 福永信彦

    福永委員 ぜひ、答申が出てきたら、役所の方としても実施をしていただきたいと思います。  次に、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律についてお伺いをしたいのであります。  この法律は、施行が平成五年四月一日からですから、もう既に三年になろうとしているわけですが、国内の希少野生動植物種に指定されている生物は五十種であります。生息地保護区に至っては、この三年間に指定されたのはたった二カ所ということであります。種の保存法それ自体はもちろん大変立派な法律でありますが、種指定や生息地保護区の指定状況を見る限りでは、これでは法律そのものが果たしてどれほど生きているか心配になるわけであります。  レッドデータブックによると、日本の野生植物五千三百種のうち三十五種が既に絶滅をしている、現在ほかの八百六十種も絶滅の赤信号が点滅している、こう言われておりまして、そういうことでいいますならば、日本の植物の六種に一種が絶滅のおそれが出ているという計算になるわけであります。それなのに、国内希少野生動植物種に指定されている植物はたった三種しかない。哺乳類も、三種に一種の割合で現在絶滅の危機に瀕しているという惨たんたる状況にもかかわらず、国内希少野生動植物種に指定されているのはわずか二種であります。そのほか、鳥類、爬虫類、両生類、淡水魚類についても全く同じような状況ということであります。  大臣所信表明の中に、絶滅のおそれのある野生動植物の保護増殖等の拠点となるセンター等の整備あるいは生物相豊かな里地環境の保全整備を進めるというお話があったわけであります。里地環境の保全整備については、本当に御理解をいただいて、まことにありがたいことだなというふうに思われるわけでありますが、さらにこうしたことを一歩進めていくには、絶滅のおそれのある野生生物保護は、生息地での保護がまず何よりも優先され、保護増殖センターというのは、言うならば最後の最後のとりでであっていいはずであります。生息地保護区の指定が困難であるからといってこれを避ける、避けているわけでは当然ないでしょうけれども、そうしたことにも受け取られかねないこの所信表明には、若干の不安を抱くものであります。  生態学的観点からいえば、国内希少野生動植物種の指定、生息地保護区の指定を現在の何倍も行う必要が早急にあるのではないかと思われます。長官として、言うならば絶滅法は伝家の宝刀みたいなものでありますが、運用実態についてどのような感想をお持ちであるのか、お聞きをしたいわけであります。  次に、もう一つありますが、絶滅法による種指定がなぜ進んでいないのか。生息地保護区の指定がなぜ今日に至っても、先ほどのお話のとおり、二カ所であるのか。何が絶滅法の運用を困難にしているのか。地権者に対する損失補償に莫大な補償費が必要であるのか、あるいは絶滅法対応の環境庁スタッフが足りないからそうなっているのか、それとも地権者や地域の開発志向が強く、野生生物保護ということに対する理解国民地方公共団体から得られないのか。率直なところ、どんなことで進んでいないか、お聞きをしたいと思われるわけであります。  さらに、絶滅法を活性化するために、それを妨げている問題の解決のために、どのようなことをこれからやっていく必要があるかということをお聞かせをいただきたいと思います。
  19. 澤村宏

    ○澤村政府委員 ただいま先生からいろいろ御指摘のありました点につきまして、三点ほど私の方から御答弁をさせていただきたいと思います。  まず初めに、生息地保護よりも保護増殖等のセンターの整備を優先させているのは問題ではないかという御指摘がございました。  御指摘にありました野生生物保護センターは、単に人工環境下での飼育繁殖を行うということだけではなしに、生息地等の保護管理や環境改善のための調査研究保護増殖活動を行う拠点施設として整備を進めてきているものでございます。また、野生生物保護センターにおきましては、普及啓発活動を行うことによりまして地域住民理解を増進することによりまして、当該地域野生生物保護に資する、そのような機能も持っているということを申し上げたいと思います。  先生指摘のとおり、絶滅のおそれのある種の保存のためには、捕獲等の規制とともに、生息地等の保護を行うことが何よりも重要でございます。そうした中で、国内希少種や生息地等の保護区の指定はそのための重要な柱である、そういう認識は私どもも十分にしているつもりでございます。今後とも着実に取り組んでまいりたいと考えております。  そして今、あと一つ、そうした種の指定あるいは生息地保護区を大幅にふやしたらどうか、そういう御指摘もございました。  まず、国内希少種につきまして申し上げますと、生息状況等を調査いたしまして、種の保存法制定後、これまで三年間に五十一種を指定したところでございます。今後は、特に植物につきましてレッドデータブック作成を急ぐとともに、国内希少種の指定に向けて努力をしてまいりたいと考えております。  また、生息地等の保護区の指定に際しましては、生息地等の状況調査それから地元関係者への説明を行ってきているところでございますが、特に地権者の理解協力というものが不可欠な問題となっております。今後とも、生息地保護区の円滑な指定のために、鋭意これらの関係者の理解が得られるように努力してまいりたいと考えております。  それから、国内種の指定、生息地保護区の指定が、そうはいっても進んでいない、その原因を述べなさい、そういうお尋ねでございますが、国内希少野生動植物種の指定に当たりましては、対象種ごとに生息状況あるいは生息数を把握するために、専門的かつ詳細な調査を行う必要がございます。その上で指定の適否を判断しているわけでございます。しかしながら、これらの調査を行う専門家というものが必ずしも今のところ十分でないというような状況がありまして、指定のための調査を直ちに拡大することはいろいろ困難も伴っております。しかしながら、専門家の発掘あるいは育成、そういうことを今後とも一生懸命努力して努めてまいりたい、そのように考えております。  また、生息地等の保護区につきましては、今も申し上げましたが、関係地方公共団体意見聴取あるいは関係行政機関との協議等の手続がまず必要でございます。そして、特に、今申し上げましたように、地権者を初めといたします地元関係者の理解協力を得ることが不可欠でございます。地元におきます説明会の開催などを通じて理解を得ながら、鋭意作業を今後とも進めていきたい、そのように考えております。  また、環境庁におきましても、国立公園管理事務所を国立公園・野生生物事務所というふうに改組いたしまして、種の保存法の施行にかかわりますいわば現地の体制、それの強化ということも今一生懸命やっているところでございます。今後とも、野生生物専門家あるいは地方自治体などの御協力を得ながら、先生指摘の線に沿うように一生懸命努力したいと思います。よろしくお願いいたします。
  20. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 種の保存法というのは、我が国の絶滅のおそれのある種の保存というのが一つと、もう一つは、ワシントン条約等に基づいて国際的に協力して保存を図っていくという種の国内取引のいわば規制、この二つの面があるわけです。  忘れもしないのですが、十数年前ですけれども、私、ワシントン条約の早期批准、こう言いましたら、同僚からワシントン条約とは軍縮条約のことかというようなことを言われたことがあるほど、率直に言って、まだやはり国民のレベルで十分な認識理解は得られていない。  そういう点でいうと、今までも、例えば希少野生動植物種の指定、それから生息地等の保護区の指定、それから保護増殖事業計画の策定、実施などについて努めてきたわけでございますが、今申し上げましたように新しい制度なものですから、なかなか展開には時間がかかっているというのが正直なところだと思います。  それから、先生指摘になりましたように、専門家の不足、今局長からもお話があったんだが、地権者の協力、自治体の体制、いろいろなことを含めて、これから本当に本格的に取り組んでいかなきゃいけない問題の一つだろうというふうに思っていますので、今後とも関係者の御協力をいただきながら一歩一歩進めてまいりたいと思います。特に、専門家の幅広いネットワークというのがどうしても必要なような感じがしますので、先生方にもぜひお力添えをいただきたいと思います。     〔委員長退席、大野一由)委員長代理着席〕
  21. 福永信彦

    福永委員 今、役所からも大臣からも大変丁寧な回答をいただいたところでありますが、言うならば、日本の環境という大きな立場から考えれば、最大で最高の環境の集団が環境庁であります。したがって、大いに国民皆さん方が期待をしているところでありますが、それでも今専門家の人が少ないということでありますから、どうかひとつ早急にそうしたスタッフをそろえていただいて、さらに頑張っていただきたいと思う次第であります。  今、御答弁の中にあったのですけれども、国立公園あるいは国定公園について、次にお聞きをしたいわけであります。  所信表明の中で、緑のダイヤモンド計画について言及がございましたが、緑のダイヤモンド計画は、国立公園、国定公園の核心地域において、良好な自然環境を守りながら、なおかつこれを生かした自然との触れ合いの場づくりの事業を拡充、推進するということで、かねがね私はこの計画に多少矛盾があるのではないかという感じがしております。  緑のダイヤモンド計画は、おおよそ、生物の多様性がまだ比較的高く保全措置が必要とされる地域、また、相当数の利用者が訪れ、もしくは今後訪れる可能性がある地域野生生物の観察や原生的な自然体験が期待できる地域ということになるわけでありますが、しかし、どんどん利用者がふえること自体大変な矛盾があるのではないかというふうに思われるわけであります。  自然公園については、国立公園であろうと国定公園であろうと、日本の自然公園地域生物の多様性に関して実はかなり低下してしまっているのではないかというのが実態であり、そういう認識を持っている者から言わせていただければ、自然公園については利用よりも保全回復にウエートを今後かなりかけていっていただきたいと思うわけであります。また、そうしたことを始めて我々は自然との、大臣がおっしゃっているようにいわゆる共生のラインに達していくのではないかというふうに思われるわけでありまして、今後、私たちは自然環境をかなりの規模復元して初めて共生ラインに達することができるというイメージを私は持っているわけであります。  保全回復もうたわれてはおりますが、緑のダイヤモンド計画によって、いわゆる利用者がそれ以上に進み、自然の質が一層低下するようなことが断じてあってはならないと思われるわけでありますが、大臣の所見をお伺いをしたいと思います。     〔大野(由)委員長代理退席、委員長着席〕
  22. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 先生御案内のように、最初の国立公園の指定から大体六十年たっています。その間に、それぞれの地域の特性や時代を反映して、例えば自然性や利用性の面から多様な性格の公園が指定をされてまいりました。その中で、御指摘のように少し過剰利用ではないかと思われるようなところがないわけではありません。しかし、おおむね、我が国の公園の利用というのはまあまあいいところまでいっているのじゃないかという感じがいたします。  これから、今御指摘のようなことについて配慮しなければなりませんが、昨年の七月に自然環境保全審議会から「自然公園等における自然とのふれあいの確保の方策」という提案が出されまして、我が国を代表する自然環境の保全の徹底と、そのすぐれた自然に触れ合い、学ぶという自然公園にふさわしい利用の推進を図っていく必要があるという御答申をいただきました。実は、これらのことを背景にしてダイヤモンド計画というものができ上がったわけであります。  その意味で、我が国の国立・国定公園についての今御指摘の過剰利用の解消ということも一つのテーマだと思います。そして、劣化した自然環境の修復、これも先生指摘のとおりであります。それから、自然学習というか自然体験など自然公園にふさわしい利用の実現を図るための総合的な手だてとして保全整備を行っていくということも大事なことだというふうに思っていますので、この計画を推進することによって、今御指摘のような国立、国定両公園の整備、そして復元、そして利用ということについて全力を挙げて取り組んでまいりたいと思いますので、ぜひ御注目をいただきたいと思います。
  23. 福永信彦

    福永委員 やはり同様の懸念のことでありますが、緑のダイヤモンド計画の国庫補助に関して、施設整備計画に基づき都道府県が行う事業のうち、自然公園法施行令二十二条、これは第三章雑則というところにあるのですが、その二十二条に掲げられているのは道路であるとか広場、駐車場等、専ら利用者に関するものばかりと言ってもこれは言い過ぎでないのではないか。  そこで、確認しておきたいのでありますが、自然を守りながら正しい自然体験ができるというような整備を行う、そうしたことでは結局は自然は守っていけないのではないだろうか。日本の生態系が今崩壊しようとしているさなかに、まだ利用の増加を見込んでいるということでは、なかなか自然公園行政を進めることには、そうしたことでは問題があるのではないかなというふうに思われるわけであります。例えば、既に一部の地域で行っているように、人の利用に制限を加えることを前提とした自然公園行政というのももっともっと今後検討すべきであろうと思われるわけであります。  当面、緑のダイヤモンド計画を資金等の面で保全復元にウエートを置いたものへと見直す必要があるのではないかと思われますが、いかがお考えか。これは役所の方で結構ですが。
  24. 澤村宏

    ○澤村政府委員 ただいま御指摘がありました自然公園法施行令第二十二条に基づく補助事業につきましては、自然公園にふさわしい利用を推進するために、利用施設のうち、ビジターセンター、自然探勝路等の自然との触れ合いのための施設を中心といたしまして、自然環境に十分配慮しつつ、必要な整備を進めているということでございます。  また、緑のダイヤモンド計画は、公園の保護、それから先生ただいま御指摘の点を含めましたような利用上のいろいろな諸問題、諸課題に対応いたしまして、風格ある国立公園を実現するための総合的な事業を計画的に進めようとするものでございます。そうした趣旨からいたしましても、自然環境の保全修復事業につきましては重点的な実施を図ることができるように、今後とも所要措置を講じてまいりたいと思います。
  25. 福永信彦

    福永委員 やはり自然公園の問題についてさらにお聞きをしたいのでありますが、地種区分の問題についてお伺いをいたします。  自然公園法によって指定される特別保護地区を除く特別地域の地種区分のあり方に問題があるのではないかというのは前から指摘をされているところでありますが、例えば知床の国立公園の場合、ハイマツを主体とした山の高いところや、もともと商業用の伐採に適した樹木のないところが特別保護地区と第一種特別地域に指定されています。そして、高級家具用材のミズナラの大木が多く、商業用の伐採に適した、つまり開発に適した場所は、開発できるようにと言っては言い過ぎかもしれませんけれども、第二種特別地域と第三種特別地域にしか指定されておらず、これが前に問題になったところでありますが、普通地域は言うに及ばず、第三種特別地域も、特別地域といっても皆伐採が可能な地域とされているというふうに聞いております。  これと若干問題が変わるわけでありますが、ごく最近も小笠原の兄島への空港建設問題で、環境庁として積極的にこうしたことを御指導いただいている。これ自体は大変ありがたい話で、敬意を表する次第でありますが、この問題も、兄島の空港の建設予定地が、小笠原諸島の中でも国立公園の特別地域でない、唯一の普通地域にしか地種区分がされていないというところが争点になっている、こう言われております。  二月二日付の東京新聞、二月二日付に限らずあちこち新聞が出ておりますが、環境庁は、国立公園の中でも最も規制が緩い普通地域としてきた空港建設予定地が、絶滅危惧種にランクされている昆虫のオガサワラハンミョウや、やはり絶滅危惧種にランクされている、植物でありますが、アサヒエビネが生息するなど、その後の調査で、最も規制が厳しい特別保護地区に匹敵する価値があると指摘をしたとおりであります。  開発圧力が小さく、指定が行いやすい場所を特別保護地区やあるいは第一種特別地域に指定し、生態系や生物の多様性を保全する上で最も重要な場所であるにもかかわらず、開発圧力との関係で第三種特別地域や普通地域にしか指定されていないという事例があってはならないと私は思うわけでありまして、種の保存法や環境基本法が制定され、昨年暮れには生物多様性国家戦略も策定されるなど、生物多様性確保に向けての法的整備が着実になされているわけでありますが、その実効性を確保する第一歩として、生態学的と客観的な根拠に基づいて自然公園の地種区分をこの機にいろいろ見直すということをそろそろやってもよいのではないか、あるいは行っていく必要があるのではないかというふうに思われますが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  26. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 御指摘のとおりでございまして、公園計画における地種の区分については、自然公園法において財産権や他の公益との調整が必要とされていることや、それから、その計画が策定された後の自然的あるいは社会的な状況の変化あるいは科学的知見の蓄積などによって、自然環境の現状と現行の公園計画が整合していないという指摘があることは十分に承知しています。私自身も、そのことは指摘したことがございます。  最近、自然保護行政において生物多様性の保全や希少野生動植物の保護などの分野への新たな取り組みを進めていく上で、国立・国定公園の公園計画については順次見直し実施しております。その際には、先生指摘のとおりのことを念頭に置きながら考えてまいりたいと思いますので、御理解をいただきたいと思います。  なお、小笠原の飛行場の問題は、もちろん運輸省との関係もございますが、環境庁もそれなりに誠意を持って、東京都の考え方に対しても親切に対応していきたい、そして私たちの気持ちを生かしていきたい、こんなふうにも思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  27. 福永信彦

    福永委員 次に、別な問題をお聞きしたいと思います。  現在、国土庁を中心に次期全国総合開発計画の策定が進められておりますが、昨年十二月に公表された国土審議会の計画部会報告書を拝見しますと、「人と自然との望ましい関わりの再編成」と題して、「生物の多様性の確保の視点を踏まえつつ、良好な状態に維持されてきた自然を適正に保全すること、開発地の再自然化を含め自然を積極的に回復・創出すること、また、これらをネットワーク化することにより、国土の自然の生態系としての安定、強化を図っていくこと等が必要となっている。」と書かれております。  次期全総の基本的な考え方を示した文書に、まことに立派な部分があるということを私も感じておるわけでありますが、国土全体の自然環境をエコロジカルにネットワークさせようという考えは、既にヨーロッパでは一九九二年あたりにかなり浸透しているものでありました。  昨年の十月にブルガリアで開催された国際会議で、ヨーロッパレベルでのエコロジカルネットワークの形成についての戦略的文書がヨーロッパ五十五カ国の環境大臣によって採択されております。ここにそのオランダの図があるわけでありますが、後でごらんいただきますが、こうしたことを日本でも全国レベルでひとつやっていただきたいというふうに思うわけであります。  環境庁として、次期全国総合開発計画の策定に関して、先はどのような部分もある計画部会報告書を踏まえて、どのようにこれから働きかけをしていく予定でいるのか、具体的にどう提案を行っていくかをお聞きしたいと思うわけであります。  長官にもお聞きをしたいのですが、大臣所信表明にも、多様な生態系の健全性を維持回復の重要性が述べられておりますが、道路や鉄道建設等、開発関係の代表的全国計画である全総計画において、現在、西日本国土軸あるいは北東国土軸、日本海国土軸、太平洋国土軸等、国土構造のイメージ図が描かれております。環境庁として、さきにお示ししましたオランダのエコロジカルネットワーク図のように、生物多様性回復の切り札とヨーロッパで言われているこの計画を日本でも策定し、環境面から見たあるべき国土構造を国民の前に示していくことは極めて意義深いと思われるわけでありますが、どうお考えか。  さらに、所信表明において、地球環境問題、アジア太平洋地域における環境政策の連携の必要性について触れております。こうしたことにいろいろ積極的に取り組んでいく必要があろうかと存じます。  もう時間でありますので、質問途中ですが、最後に長官に、こうしたエコロジカルネットワークについてお聞きをしたいと思います。
  28. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 御指摘をいただきましたエコロジカルネットワークという呼び方がどうかということは別として、今先生の御指摘になりました精神あるいは行政の上での配慮、それは御案内のとおりに、生物多様性国家戦略の長期目標の中に先生のお言葉と同じような言葉が述べられています。したがって、そうした長期目標の実現のために、環境庁として全力を挙げて努力をしていかなければいけないなというふうに思っているところでございます。これはもう先生も十分御勉強の上で御指摘いただいているわけでございますから、今さらその概要について説明をいたしませんが、御指摘の文章がきちんと表現されていること、それがこれからの行政の中で生かされることを担保していかなければいけないなというふうに思っております。  それから、アジア太平洋地域のエコロジカルネットワークの視点というのは、これは例えば渡り鳥条約の、渡来地の環境保全というものについて国境を越えた配慮をしょうじゃないかというふうな認識を持ちまして、アジア太平洋地域の水鳥保全戦略の策定について環境庁としてもかねてから深くかかわってきているところでございます。そうした意味では、渡り鳥だけではなくて、いろいろな問題についてアジア地域のネットワーク、これはバイの場合とマルチの場合とありますけれども、国際関係を一層重視しながら取り組んでまいりたい。いろいろな会議機会もございますので、先生の御協力をいただきながら、できるだけ党派を超えてこうした問題について取り組んでいきたいという決意を表明しておきたいと思います。ありがとうございました。
  29. 福永信彦

    福永委員 これで終わります。どうもありがとうございました。
  30. 杉山憲夫

    杉山委員長 七条明君。
  31. 七条明

    ○七条委員 それでは、私の方からも、二番手でありますけれども、自由民主党の七条でございます。  きょうは、大臣所信に対する質疑ということでございますから、できればほとんど大臣にお答えをいただきたいのでありますが、大臣、この間、これを私いただきまして、大臣所信表明のこの演説内容、三回から四回ぐらい読ませていただきました。非常に感心すると同時に、多岐にわたりまして随分と小まめにお書きをいただいていることは敬意を表するわけでありますけれども、読めば読むほど、積極的に一生懸命やらなければならない、特に平成七年度を環境基本計画実施の元年と位置づけられて、さあやるんだという意気込みは非常によくわかったのでありますが、そこでこの内容を読んでいまして、一つ二つ疑問が出てきたのですね。  一つは、本当にこれはやっていけばいくほどやはり行き詰まる部分があるのではないだろうか、難しい部分があるのではないかということと、もう一つは、予算面や国際的な地球規模の環境の中で、何に一番力点を置いて大臣がこの所信を書かれたのかなという二つの疑問なんですね。だから、地球的な感覚で物を考えていくならば、私は一つはやはり地球の温暖化という問題に力点を置くべきだろうな、こう思っておりますし、国内においては、これを政府が一体として、各省庁にまたがっていますから、縦割りの今の行政の中で本当にこのことが全部やれるんだろうかなという疑問を感じながら、質問してみたいと思うのです。  よくこれを読ませていただいてみて感じますのは、環境庁としては平成七年度を、先ほども言いましたけれども環境基本計画実施元年と位置づけた。特に、平成七年から地方公共団体国民事業所と一緒になって政府が一体としてやります、こう書いてあるんですね。昨年の十月には生物多様性国家戦略も策定をされたり、いわゆる循環、共生、参加それから国際的な取り組みということを積極的にやっていく、この四本柱でやるんだ、こうお書きになっておられる。  そして、環境への負荷の少ない循環型社会の構築ということを基本的にはやっていきます、いわゆる世界的なものあるいは地球規模のもの、国内的なものをやっていきますと書いてあるんですけれども、実は一番最後のところで、大臣がこう書かれているんですね。「環境庁施策の充実はもとより、その企画調整機能を十分発揮し、政府一体となって環境行政を総合的、計画的に推進することに全力を傾けてまいりたいと考えております。」この「政府一体」という表現が一番ひっかかってまいりまして、では今の縦割りの行政をやっておられる、いわゆる各省庁がやっているけれども環境庁というのは、企画調整能力というよりも、それを総合的にやっていく中で、市町村や都道府県レベルまでやっていくものと、あるいは地球規模でやっていくもので、本当にできるんだろうかなという疑問がわいてきたんですね。ですから、その意味政府一体の行政が本当にできるのかどうか、大臣の気持ちを述べていただきたい。
  32. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 調整機能というものを環境庁が持たなければいかぬ、そういう役所というか、そういう任務を持っていることは御案内のとおりです。したがって、環境問題について積極的な発言をすることを通して各省庁に御協力をいただく、このことは当たり前のことだろうと思うのです。  それにしても、実はこの間、環境庁から御説明をいただきました予算を見ますと、環境庁本省の予算よりも各省庁にまたがった、例えば下水道とか公園とかはもう何十倍、何百倍という予算でございまして、私は、こういうところで申し上げていいかどうかわかりませんけれども、去年暮れに厚生省の与党政策調整会議の座長をやっていまして、そのときの金額と環境庁へ来ましての金額の、何といいましょうか、額に改めてびっくりさせられているわけであります。  問題は、だから、トータルとしては環境についていろいろな予算が使われているわけですから、その予算についても、やはり環境庁がしかるべき判断とかかわりを持っていくということが大事だな、つまり予算の面でも一定の発言力を持っていくことが必要だ、それが調整機能であったりリーダーシップであったりというところに関係を持ってくるものではないかな、こんなふうにまず思います。  そして、今先生から御指摘をいただきましたように、本当に今まではどっちかというと身の回りの環境問題、私なんかもそうでした、そこのところを一生懸命で取り組んできたんだけれども、実際はそれだけではなくて、地球環境自身が大変危ない状況にある。私自身の子供や孫の時代を保障することができない、生命や健康を。というところまで来ているということであるとすれば、文字どおりシンク・グローパリー、アクト・ローカリーという一体になった取り組みが私どもにとって必要だということをみんなで認識し合うことが必要だなというふうに思います。  その意味で、環境庁は気持ちを新たにしながら考えていかなければならぬけれども、いわゆる大量生産・大量消費型の現代文明のあり方を問い直すというようなことを言ってみても、それじゃどうするんだよというような議論になってしまうものですから、着実に身の回りのことから取り組んでいきたい。それにはアセスという問題が重要だな、そういう問題意識が一つです。  それからもう一つは、シンク・グローバリーということであれば、COP3を日本に誘致することによって、日本自身の責任も自覚しながら、そして国際的な協調をそこでつくっていくという形での国際貢献、これはもう先輩がそういうことを提案をしてきていますから、ことしはそのことを閣議決定をして問題提起をし、実現に向かって努力をしなければいけないと思っています。  もう一つとても大事なことは、今までともすると、私なんかもそういう面があったのですが、何か文句があると環境庁へけちつけて、おまえたち何やつてんだ、こういうことをやってきた経過がなかったかといえば、率直に言って、私自身も考えることはないわけではありません。問題は、政府とか自治体とか企業とか市民とか、そういうものが一体になって取り組んでいかなければいけないという認識に立って環境基本計画と言われるものがつくられたわけでございますので、だとすれば、その運用について環境庁がやはり積極的に、市民とのあるいは消費者との関係というものをもう少し相互理解が持てるような、そして御協力をいただけるような、そういうきめの細かいといいましょうか、親切にといいましょうか、そういう努力をしていかなければならぬだろうというふうに思っています。  ささやかな第一歩ですけれども、国の率先実行計画というものを閣議で決定をさせていただきました。それらも隗より始めよということだと思いますけれども、そういう一歩一歩を踏み出していかなければいけない、そういうトータルなものが環境庁のリーダーシップではないだろうかと思いますので、どうぞ先生方の御理解をいただきたいと思います。
  33. 七条明

    ○七条委員 今、大臣から非常に懇切丁寧な御説明をいただきました。確かに、地方公共団体でやらなきゃならない環境行政の問題と、それから国がリーダーシップをとってやらなきゃならない、非常に政治的な判断をとってやらなきゃならない地球規模の問題との兼ね合わせだとか、非常にこれは難しい問題がたくさんあるのですね。  さっき循環、共生、参加あるいは国際的な取り組みという表現で申し上げたように、最終的にはこれは循環型の経済社会システムを実現するという表現になってくるのです。ところが、その環境への負荷の少ない循環型の構築ということをやっていきましたら、日本の場合の今までの企業や事業体というのは、どちらかというと環境保全型というのは経済成長がしにくいという形になって、案外環境型には協力しにくい。はっきり言いまして、国が言われるものだけはやっていくけれども余りやりたくないという感覚なんですね。ですから、これからの一つの国内的な問題の中でどう規制をかけていくか、どういうふうにやっていくかというのが一番難しい問題だと私は思います。  しかしながら、きょうはもう一度、もっと大きなレベルで、いわゆる大臣の政治手腕の一端もちょっとお聞きしてみたいと思うのでありますけれども、その意味で一番聞きたいのは地球温暖化の話です。さっきCOP3の話が出てきましたから、これを平成九年に日本へ誘致したいという話も後でお聞きいたしますけれども、いわゆる地球温暖化の話がこれからの環境問題の中で環境庁が一番リーダーシップをとってやっていかなきゃいけないメーンになっていくのじゃないかな、私はそう大臣所信を聞いていました。  ところが、この所信の中には地球温暖化の話は、総花的にたくさん書いていただいておりますけれども、たった六行しかないのですね。これはちょっとしんどいなというふうに思いましたし、地球の温暖化のCOP3をやりたいという意思はわかりましたが、では、何でどういうふうにリーダーシップをとっていくかという話が見えてこないのです、これには。  ですから、そこでちょっとお聞きしたいのは、温暖化対策をこれからしていくについて、日本が、ではどんな形で今地球の温暖化に対して取り組もうとしておるのだろうか。いわゆる地球の温度、気温を観測する記録ができたのを調べてみますと、大体十九世紀末からそろそろはかり始めて、今百年目を迎えた。百年たってみると、大体地上の温度が〇・三度から〇・六度ぐらい上昇した。大体百年で〇・三から〇・六度ぐらい上昇するようですね。ところが、地球で人類が温室効果ガスの排出を抑制しないで今のままで続けていくと、今度は二〇二五年には〇・三とか〇・六度じゃなくて一度は上がってしまう、そして、百年後の二一〇〇年には約三度上がってしまうという結果が出てきている。こういう報告が、実は環境庁からいただいた温暖化の話のこの本だとかあるいは環境基本計画の中にも出てきていますよね。  このことを考えていきますと、気温が三度も上がる、あるいは二〇二五年に一度上がってしまうことのないようにするための日本としての役割、いわゆる日本がCOP3でやろうとする、その中でどんなリーダーシップをとっていくのだろうかという疑問が一つ出てきまずから、では、COP3についてどんなやり方をして平成九年に誘致するんだ、どういう形でやりたいんだということを先に聞いてみましょうか。
  34. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 御案内のように、この問題についての利害関係は大変複雑であります。そして、一律に論ずることができない面もございます。しかし、何とか紀元二〇〇〇年に一九九〇年代のレベルを維持するという方向について大枠のコンセンサスが見られたわけでありまして、それに向かってそれぞれの国が努力をしているわけです。  さて、じゃ二〇〇〇年から後はどうなっているんだ、御案内のように決まっていません。これを決めるということのチャンスだというふうに思います。しかし、そうはいいながら、これは大変複雑で、また同時に利害が対立する要素があることはもう私から申し上げるまでもございません。しかし、今までの日本の経験なりあるいは会議における日本の役割の実績を踏まえて何とか成功させることが二十一世紀へ、いわば扉の前に立って我々が未来を切り開いていく英知の結集の場所であってほしいと思っています。それにはある程度日本の考え方もまとめていかなきゃならぬと思うのです、ある程度。ただ、それを今いきなりぽんと出して、日本はこれでいきますということを言ったところで、これはとりわけ途上国の皆さんの御協力もなかなか難しい面もあるわけでして、これ以上は申しませんけれども、そうした皆さんの御理解と御協力をいただくことが私はポイントだと思いますから、それらについて全力を挙げて取り組んでいきたいな。  では、一体何があるのだ。やはりエネルギー転換もあるでしょう。それから技術の開発もあるでしょう。それから、それには金も要るでしょう。そういうことを含めた議論というものをフランクにやる機会としてCOP3が位置づけられればなというふうに思うのです。今ここで、何といいましょうか、これでいくんだといって力んでみても、これから誘致の運動を始めるところでございますので、いろいろ慎重に、しかし、我々としても開く以上は先生がおっしゃったような腹づもりはきちんと持たなければいけないな、それにはまず政府部内の意見の一致をいただかないとどうにもならぬなというふうに思いますので、これから粘り強く各省庁の御了解もいただくために努力をしたいものだというふうに思っております。
  35. 七条明

    ○七条委員 順番を変更して、さっきのCOP3。いわゆるCOP3というのはどういうことかといってみれば、聞いておられる方はわからない方がおるかもわかりませんから申し上げますと、気候変動枠組み条約第三回の締結国会議、これがCOP3ということのようでありますけれども、これを平成九年に日本に誘致をしてやりたいということで、所信を今大臣から述べていただきました。  では、このCOP3の中で、先ほど、二〇〇〇年までは何とかクリアできるかもしれないけれども二〇〇〇年以降が難しいんだという大臣お話がありましたよね。ところが、二〇〇〇年までのCOP3の中で話が出てきております問題はいわゆる二酸化炭素、このときに言います問題でいえば効果ガスですよね、二酸化炭素の排出量の抑制をしましょう。二〇〇〇年までに日本がやらなきゃならない目標は、先進国の場合、一九九〇年の段階の水準にまでちゃんと戻しておけよということなんですね。     〔委員長退席、斉藤(鉄)委員長代理着席〕  ところが、今一九九六年になって、あと四年で二〇〇〇年になりますが、もし二〇〇〇年になっていわゆる二酸化炭素、CO2の排出状況がこのままいくと、日本の場合は約三%ぐらい増加してしまう。カナダの場合は約一〇%増加するし、米国の場合も三%から五%ぐらい増加をして、先進国の場合、二〇〇〇年までにクリアするどころか、とてもじゃないけれどもそのノルマが果たせないという結果がここへ出てきているのです。二〇〇〇年までのCOP3でやろうとするこの会議で、実際に日本がリーダーシップをとるどころか、日本が一番、このCO2から考えていくとむしろおくれているのじゃないだろうか。いわゆる温暖化の中で、協力して、さあリーダーシップをとってやりたいぞと言ってみたって、二〇〇〇年の段階で日本が一番、アメリカとカナダと日本が一番おくれている。あとのデンマークやオランダや英国、ドイツなんかは一生懸命努力しているんですよ。ところが、おくれているという結果がはっきり出てきていますから、それならこれは本当にリーダーシップをとってやれるのだろうかという素朴な疑問に変わってくるのです。  ですから、COP3、本当にリーダーシップをとれるんでしょうね、誘致するのですけれども、日本は恥をかかないんでしょうねということが聞きたいのです。どうなんですか。
  36. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 非常に厳しいものもあります。ただ、それではできません、したがってというふうなところまで言うにはまだ早いという感じがいたします。  やはりぎりぎりまで最善を尽くすということが今大事なところではないかと私は思いますので、私の口からそれはできませんと言うわけにはいきませんし、その目標に向かって全力を挙げる、これしかお答えのしようがございませんので、その点は賢明なる諸先生にどうか御理解をいただきたいと思います。
  37. 七条明

    ○七条委員 きょうは環境庁の方からもこの地球環境の問題でお越しになっておられると思いますから、これ以上大臣にお聞きするというよりも……。  では、この温室効果ガスの排出抑制について、国際的な協調が不可欠であることはもうさっきも大臣が言われたとおりでありますし、先進国と途上国との間で事情が違う。ですから、それは先進国は先進国のやり方でやらないと、途上国に押しつけてもしようがないですから、先進国と途上国の事情、利害関係もあるでしょうから、そこらについての調整をいわゆるCOP3までに日本がどうやっていくつもりなのか、あるいは国連に対してどういう発言をしていくべきなのか、あるいは経済協力の面においてもどんな配慮をしているかということを、これはわかれば、わかる範囲で環境庁の方で答えられますか。
  38. 大西孝夫

    大西政府委員 お答え申し上げます。  一つは、まず世界の国による事情の違いというのを簡単に申し上げますと、二酸化炭素排出量について見ましても、先進国、これは旧東欧・ソ連も含みますが、それが大体世界の三分の二、途上国が三分の一という状況でありますが、その途上国からの排出量が近年急速にふえているという事情がございます。  そういう状況で、先進国は、温暖化対策を進めるには途上国の協力も必要、排出抑制の必要がある、こういう主張を当然いたしますし、一方の途上国の方からいいますと、途上国の一人当たりの二酸化炭素排出量は低い、今まで温室効果ガスを多量に排出してきた先進国こそが厳しい排出抑制対策をとるべきだ。そういう意味で、正面からぶつかる主張になっているわけでございます。  一九九二年の地球サミットでは、そういう主張の違いを調整といいましょうか、地球環境問題への対応について、「共通だが差異のある責任」という原則的考え方について国際的な合意ができたということでございます。これを平たく言えば、途上国にも対策をやってもらうけれども、先進国には率先した重い努力義務を課す、こういうことでありまして、また途上国が温暖化防止等の努力をやるときには先進国がこれを支援しよう、そういう支援する責務を持つ、こういう考え方であります。国連の例の気候変動枠組み条約につきましてもそういう考え方を踏まえたものでございます。  もちろん、この調整については今後第三回の会議に向けて、第二回が近くまたジュネーブでありまして、それに向けてベルリン・マンデートでの事務レベルでの協議等を通じてそういった利害調整についても事務的な話は進めておりますが、第三回を開催するに当たっては、そういう現在の動きを十分念頭に置きながら、ホスト国として十分国際的な責任が果たせるような展開に持っていくべく努力をしなければいかぬと思っております。何分関係する国が多いわけでございますし、なかなか難しい問題だと思いますが、我々は十分努力をしなければいかぬというふうには思っております。
  39. 七条明

    ○七条委員 今、COP3のお話を含めて、地球の温暖化の具体的な話を聞きましたけれども、この気候変動枠組み条約以外にも、いわゆる生物多様性条約だとか砂漠化防止条約だとか海洋汚染防止条約とかいう形で、環境庁の所管の条約の中で地球規模でやらなければならないいろいろな問題があります。だから、COP3の中でもこういう話をするのでしょうが、基本はやはりさっき言った、COP3の中では変動枠組み条約で、いわゆる地球の温暖化だという話になってくると僕は思うのです。  ですから、さっきからこのことばかりを聞いておりますが、日本がやらなければならないし、もしこのまま置いておいたら、さっき言いましたように二〇〇〇年の段階で一九九〇年のときのようにならない。三%増になってくるということを推測したままでずっと来ますと、日本は大変なことになるのです。  環境は自分で守る、自分でやるというのがごみの原点ですね。ごみ処理なんかも有料化をしてきて、地方では、自分で出したものは自分で処理しましょうという原点に立って考えなければならないというのがやられている。それを環境庁は位置づけてくるような指導をしてきたはずです。ところが、今度は排出ガス、いわゆる効果ガスが出てきた問題を、日本の中で守るということができてないのが今の行政で、地方には全部できても、環境行政の中では日本がそのノルマを果たしていない。二〇〇〇年までにはっきりと結果が出てくるのです。  ですから、日本がこの問題に対して積極的に、環境庁が本当に一元化して、政府一体となって取り組まなければできない問題がいっぱいあります。そのまま温暖化をして、気温が上昇する二〇二五年のことをもし一度考えてみましたら、日本の場合には、農業問題ではジャポニカがもうとれなくてインディカの米にしなければならないとか、それから夏のエネルギーが非常に増加してきて石油が物すごくたくさん要るとか、東京の江東区あたり、墨田や何とかのあたりは、水温が高くなることで南極の氷が解けて、いわゆるゼロメーター地帯が全部水につかってしまうとかいう話がいっぱい出てきているのです。そんなの想定したら切りがないし、怖い話ですよ。そんなことは日本人、日本の国で想定はしていましても、そんなことにならないだろうと簡単に思い込んでやってない。  ですから、次の問題としてお聞きしたいのは、我が国環境ODAの取り組み。日本国内だけでなくて、ODAで国際協力をやっている国の環境ODAの問題が出てくるのです。  日本は全世界の中で一番の木材の輸入国、世界一ですね。よその国から木材を買ってくる。買ってきたものを、ではその分だけでもよその国へ植林をすればいいのですが、その植林をしないで、よその国を全部いわゆる環境破壊をして、地球の温暖化防止に逆行するやり方をやっているという結果が出てきている。これはもうはっきりしたことですね。  では、この中で環境ODAの取り組み、外務省の経済協力局の方でやっておられることだと思いますが、この問題の中でいろいろ調べてみますと、ODAでやっているのは、開発途上国に援助していますが、それらの問題は居住環境の問題ばかりをやっている。ごみの処理だとか下水道や上水道の問題だとか公共のものをやっているけれども、実際に自然保護だとか森林の保全の方にはほとんどODAでやっているものは使われてないのです。材木をどんどん入れて、環境のことをやつていますと言ってみても、やはり森林の保全の方、いわゆる温暖化に一番関係のある問題の方はやってないという現象がはっきり出てきているのです。  COP3の話の中にもいろいろ出てきておりますけれども、そのCOP3の中でコミットメント、約束があるのですね。約束の中で、各国共通でやらなければならないのは、自分の国でやる問題はいろいろあります、ただし世界的にやらなければならないのは、温室効果ガス排出の抑制は当然でありますけれども、森林等の吸収源の保護ということを先進国は特にやりなさいと書いてあるのです。  ところが、さっき言いましたように、この吸収源の保護、はっきり言えば森林の保護ですね、それが今、日本のODAでやっているのは全くと言っていいほどほとんどが住環境の方ばかり。道路をつくるとかいわゆる公共事業ばかりを環境の方のODAでやってしまって、実際にはできてないのです。これはもう環境行政の中で環境庁がリーダーシップをとり、COP3の中ではっきり位置づけてやっていかなければいけない問題です。  ですから、次にお聞きしたいのは、途上国の造林に対する援助。いわゆる温暖化防止効果のみならず、緑の保全とか野生動物の保護とかいうことに関して、そういう対象国への事前の調査や技術協力とかいうことを、外務省の中で相手国の森林保全という立場に立ってやっているかどうか、本一当にやってきたかどうか、一遍聞いてみたいな。
  40. 堀江正彦

    ○堀江説明員 途上国に対します造林、森林等について経済協力でどういうことをやっているかということにつきましては、森林の保全、造成、こういうものに関しまして我が国の持つすぐれた技術を生かしまして開発途上国への援助を実施してきております。  森林の成長には相当の時間を要するということに加えまして、地域により、あるいは樹種により森林技術というのは全く異なりますことから、試験的植林というものが成功するまでには相当の期間を要することになります。先生指摘のとおり、植林後の相手国による森林保全の努力、こういったものも必要でございますし、総合的かつ息の長い取り組みというものが求められておるわけでございます。  近年、我が国といたしましても円借款によります大規模造林というものに対する協力実施してきております。その状況といたしましては、例えば九四年度には、インドの西南部のラジャスタン州における森林資源の減少に対処するため、地域住民の参加によって植林を行うというラジャスタン州植林開発計画、これに対する協力を行いました。また、森林保全、造成を目的とした技術協力協力例といたしましては、中国北西部、寧夏というところがありますけれども、寧夏地域において防護林の森林虫害を防ぐための森林保護研究計画に対する協力。それから、パナマの首都近郊におきます森林減少に対処するために森林保全体制をつくるということで、パナマの森林保全技術開発計画。それから、ネパールの山間部の森林の保全を行いますネパール村落振興・森林保全計画といったようなものがございます。  我が国といたしましては、今後とも、環境に対する政策対話のための調査団、それからプロジェクトを形成していくための調査団、こういったものの派遣を通じまして、造林、森林保全分野の案件の発掘に努めますとともに、相手国の森林保全のための自助努力というものを促しつつ、こういった分野の援助を引き続き行っていきたいと考えております。
  41. 七条明

    ○七条委員 いろいろやっておられる、インドでもやっているということでわかるのですよ。  要は、さっきも言いましたように、日本は世界一の木材の輸入国なんです。ですから、当然開発途上国に対しても、輸入をしている相手の側の国に対しても、森林の保全とか、いわゆる二酸化炭素の吸収源となるその保護というものを、世界で一番の木材の輸入国ならODAも一番積極的にやらなければならないというのは当然の話なんです。  ところが、「我が国環境ODAの取り組み」というのを、ことしの一月にいただいたものを読んでみましたら、環境ODAの内容については、従来、居住環境改善、特に上下水道やごみ処理等、防災等のシェアが大きい。今後は右のような分野だけではだめだから、いわゆる森林の保全や自然保護、省エネルギーについても積極的にやりたいと、こう書いてあるのですね。はっきり言ってできていなかったよということの証拠ですよ。  ですから、こんな状況でできてなかったということをはっきり僕は言うべきだと思うし、そこらがいわゆる縦割りの行政の中で、外務省は外務省だけで条約の関係でやっていますよ、厚生省は厚生省だけでやっていますよ、通産省は通産省だけでフロンガスの問題をやっていますよというのでおかしくなって、いわゆる環境庁政府一体になってやらなきゃならない、これが基本なんですよね。ですから、こういう問題を外務省だけだとか、農林省だけだとか、あるいは各省庁だけに任すのではなくて、これのリーダーシップを環境庁がとらなきゃならないのですね。  そこで、一番聞きたいのは、できてないのが当たり前であるので、こういうODAの問題までやはり環境庁長官が本当に決意のほどを示していただければ幸いですけれども、どうですか。
  42. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 たしか平成四年だと思いましたけれども、ブラジルで地球サミットがありました。そのときに初めて、まあ初めてというよりも画期的に、ODAの中から環境にかかわる協力あるいは援助というものに取り組まなければいかぬということで方針が明らかになりまして、政府開発援助大綱の中にそれが記述されました。その後、環境基本法も整備をされてきたわけであります。そういう意味でいうと、少し七条先生におしかりを受けるかもしれませんけれども、おくればせながら国として環境配慮していくという努力をしなければいかぬというふうに政策も変わってきました。  ただ、実は私は先生と同じような質問を何回かしたことがございまして、そのときに私自身が知り得たことなのですが、御案内のように申請主義なのですね。すると、書類がいつの間にか、どちらかというと環境の方が下の方に置かれたまま積み上げられて、上の方から援助、こうなっていく、下の方はいつも、というようなことになりかねない今までの傾向がありました、率直に申し上げて。その意味では、途上国の皆さんとその対処能力について本当に真剣にお話をしていく必要があるように思います。  だから、申請主義という問題点も含めて、お互いに援助、協力をし合う関係の中で、今先生が御指摘をいただいたような地球環境の中で優先順位を、こういうことの面でもできるだけ配慮願いたいということは言い続けなければいけないなという感じがいたします。そのためにも、及ばずながら、いろいろな機会がございますので、そんな国際会議機会に、エコ・アジアを初めとする機会の中で申し上げていきたいものだと思っております。
  43. 七条明

    ○七条委員 外務省が来られていますから、外務大臣にもよく言っておいてくださいよ。今大臣にあそこまで言っていただいたのだから、外務省も環境庁協力する部分はODAもやっていく。特に、さっき言いましたように、森林の保全、いわゆる吸収源の方ですね。そういうことをやっていくというのは、これはよく言っておいて、申し添えておきたいと思います。また次に聞きますよ。  その次にお伺いさせていただきたいのは、今度は国内の問題で、ごみの問題になってきます。ごみの軽量化だとか、あるいは出す量を減らすために有料化をしていくとかいう話が出てきています。私は、いろいろ地方公共団体がやっておられるけれども、最終的にはごみというのはいわゆる有料化をしないと軽減してこないのではないだろうかな、こう思っている一人であります。  実は、二月十九日の朝日新聞に出ておったのでありますけれども、家庭のごみを減らすために有料化に踏み切ったという自治体があるのですね。それを見てみますと、島根県の出雲市で有料化に踏み切ってみますと、初年度は前年に比べて二四%減りました、あるいは北海道の伊達市では、初年度に比べて有料化をすることによって三七%も減りました、こう書いてあるのです。  有料化ということを考えていかなければ、これからはやはりごみは量が減ってこないのではないだろうか。自分で出したものは自分で処理をする、自己負担でやらなければいけない原則というのはさっき言ったところであります。  このごみの有料化というものに対して、環境庁としてはこれに賛成か反対か、どんな立場になるのかなということを一番実は私は聞きたいのであります。その意味質問を続けていきたいのでありますが、そんなことに対してちょっとお聞かせをいただければ幸いでありますが、どうですか。
  44. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 諸外国の例はもう先生に御説明を申し上げるまでもないと思うのですが、例えば、デンマークで廃棄物税、あるいはイタリアではプラスチック製の買い物袋に対して二〇〇%の課税をするというような、そういう税の上で、あるいは負担金の上で改善の努力をしているところがありますし、地方自治体は、御案内のように伊達市と出雲市がございます。OECD諸国において、経済的手法によるところの廃棄物の処理というようなことに対する制度の導入状況についても、いろいろな指摘がございます。  率直に言って、朝日新聞よくここまで書いたなという感じが、正直言って私は、朝、見まして感じました。今すぐ、例えば税制ということで、税制改革ということでいけるかなということになると、ややいろいろな問題点、ネガティブな要素があると思います。しかし、考えてみれば、そこらのところがこれからの時代に対応する手だてかな、別にペナルティーという意味ではなくて、そういうことが必要かなという感じを最近私も持ちつつあります。  幸いにして、環境庁で現在、学識経験者による研究会を設けて、そうした経済的手法の活用に向けた検討を深めておりまして、もうぼつぼつそのまとめをつくろうというふうになさっていらっしゃるので、その方針を中心にして、ちょっと国民的な論議を、取られるとか取るとかという議論でなくて、我々は近い将来、そういうふうな具体的な環境問題について一体どう取り組んでいくんだという、いわばあり方を、国民的な、まさに熱のこもった議論の俎上にのせることができればなというふうに思います。  だから、今の学識経験者の報告というもの、研究会の報告、レポートがまとまれば、それをかなり大胆に呼びかけながら、そしていろいろな方法で国民的な討論を広げていきたいな。今すぐ右から左へ取りますよと言ったら、これは国民の方が心の準備ができてないとすれば、何だこれはという議論になってしまって、やや感情的な反対、受けとめ方になりやすいと思いますから、その点の社会的な意味、そこらのところを本当に皆さんと一緒になって議論をする機会を、この機会に呼びかけたい、呼びかけることができればな、そんな気持ちでございます。
  45. 七条明

    ○七条委員 さっきここの環境委員会理事会でも、委員長以下、もうたばこを吸うのをやめようよ、理事会のときにはたばこを吸うのをやめようよという話に至ったのですね。先ほど皆さん申し合わせて、向こうではやめました。これはやはり、温暖化の一つであったり、環境保全という感覚の中でいいことだと思うし、この委員会でも、吸っておられる方、おられるかどうかわかりませんけれども、吸わない方向でいこうという、まあ本当に小さい、地球規模で言えば小さい問題かもしれませんけれども、ごみの軽減も同じようなものですし、それも一つの政治に対する、いわゆる前向きのあらわれの中で、僕はいいことだと思っておる一人であります。  ですから、先ほどから地球の温暖化の対象の中で申し上げてきたことと、それから今の家庭のごみを軽量化する問題の中で、これは国民的な、一般のいわゆる課題として、これからこれをやはり学校教育だとか社会教育の場でも啓発活動をどんどんしていかなければならないのです。ですから、やはり最終的には有料化しなければできないかもしれませんが、啓発活動をしていくということを、この環境委員会からそういう申し合わせをしたと同じようなことをやっていただきたいのですね。これについてはどうですか。大臣でなくても結構ですけれども、どうなんだろう。
  46. 大西孝夫

    大西政府委員 私どもも、地球温暖化問題初め環境問題の解決に、やはり環境保全に関する国民の意識を高めていただくということが、例えばごみの減量などについても、そういう具体的な行動につながっていくという意味で非常に重要だと考えておりまして、環境基本計画でも、情報の提供とか環境教育、環境学習等の推進ということの重要性を指摘しておりまして、それをすべての主体の参加の実現という大きな柱に位置づけているわけでございます。  私どもも、これまでそういう環境教育、環境学習等を進める手だてとしましては、文部省ともいろいろ連携させていただきまして、小・中・高等学校で使われる教育の材料、環境教育指導資料といいましょうか、そういうものをつくっておりますし、テレビ番組をつくったり、あるいはパンフレットを配布したり、さらには、環境の日にはエコライフ・フェアといったいろいろな行事をやっております。そのほかまた、「まんがでみる環境白書」とか「音で聴く環境白書」等々、いろいろな最近のメディアの手段も使った形でそういう教育啓発に努めるということもしております。データベースの整備もするというように、いろいろな各般の努力をしております。  それからまた、昨年から、子供のうちからぜひ環境問題に関心を持ってもらうのがいいのではないかということで、こどもエコクラブ事業というのを始めさせていただいておりまして、まだ現時点では二千五百クラブ弱、三万六千人ほどでございますが、来年度はぜひこれを一万五千クラブ、三十万人というふうに広げていって、そういうふうに子供のうちから環境学習していただくという体制づくりに努力したいと思っております。  それから、今後さらにそういう施策の充実の観点からは、政府やあるいは地方公共団体が持っております環境情報というものを、パソコン通信を使いましていつでも国民に御利用いただけるというような環境情報提供システムというものを本年三月から実は運用開始したいと思っております。  また、平成八年度予算案では、そういう消費者とか子供さんそれから事業者等、国民の各界各層の人々が環境に関した行動を展開するというための、言うならば交流の拠点といいましょうか、そういうものとして、渋谷の国連大学の構内をお借りしまして、環境パートナーシッププラザというものをつくって、そこをいろいろなそういう各界各層の方々の環境行動の交流の場あるいは連絡の場というような形で使っていきたいなと思っております。  そういうようないろいろな体制の中で、国民がいろいろの立場で環境問題に関心を持っていただき、それを踏まえた行動に移してもらえるような体制をまず一歩一歩整備していきたい、このように考えております。     〔斉藤(鉄)委員長代理退席、委員長着席〕
  47. 七条明

    ○七条委員 今、委員長がお帰りになられましたけれども、さっき委員長のこともお話ししていたのですよ。今、学校の教育現場あるいは社会教育の現場だとか全部の、いわゆる市町村まで含めて、いわば環境に対する啓発活動をやろう。特に、きょうから委員長はたばこを吸うのをやめましたとさっき理事会で言っておられましたから、たばこを吸うのをやめるぐらいまで環境委員長におなりになられたら啓発活動の一環としてやろうということですから、これは大変なことだと、御努力していただけるのだと思うのですよ。ただ、それが政治のここだけで終わったら意味ないですから、この場以外でもその啓発運動がどんどん進んでいくようにならなければならないために、今言われたことを本当にやっていただきたい。  それは、協力できることは私たちも協力していきますし、大臣が率先してやると言われた、政府一体となってやりますよと言った所信の中にも書いてありますから、当然おやりになっていただきたいと思うのです。最終的には、ごみの問題も含めて、自己負担でやるとなれば有料化をしないと企業も個人もなかなかできない。この有料化しか私はないと思いますから、有料化が一つの方法だ、それがごみの軽減してきた自治体が出てきた証拠だと思います。  最後にもう一つだけ聞きたいのですけれども地方の公共団体に対したり、いわゆる縦割りの各省庁に対して、産業公害だとか自然破壊に対しては、いわゆる有害物質の排出を法律で規制すれば、これは何とかさっき言った環境面で、温暖化で二〇〇〇年までに日本のノルマが果たせると思うのです。ところが、地球の温暖化の一番問題になりますのは、効果ガスの方ですね。これの方は規制をしてもなかなか規制ができる問題ではないのですね。ですから、こういう問題まで含めてやるとなれば、いわゆる炭素税あるいは環境税というような有料化をして、最終的にそこへ持ってこなければ、やはり日本がいわゆるトップスリーの中でやっていくことはできないのではないだろうか。私は、環境税あるいは二酸化炭素だけを言うならば炭素税というもので抑制をしていくような法体制にする、そのリーダーシップを環境庁がとっていただきたい。そのことについてお聞かせをいただいて終わりたいと思います。
  48. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 先生の御意見を貴重な御見解として受けとめておきたいというふうに思います。  ただ、今学識経験者を中心として議論をしている大詰めの段階でございますので、環境庁長官としてあるいは環境庁の側として、この学識経験者の研究あるいは勉強についてあらかじめいろいろな意見を述べてしまうことはいかがかと思います。恐らくそこに集まっている先生方の問題意識も、もう申し上げませんけれども先生方と共通のものがあると思いますから、余り時間が長くかかるものとは思いませんので、それらの答申を待ちながら、国民的な討論のところへ広げていく、そんな媒体として位置づけたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
  49. 七条明

    ○七条委員 終わります。
  50. 杉山憲夫

    杉山委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  51. 杉山憲夫

    杉山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。長浜博行君。
  52. 長浜博行

    ○長浜委員 新進党の長浜博行でございます。  きょうの午前中に自民党の二人の委員の質疑を拝聴していて、環境問題というのは党派を超えて考えられなければいけない重要な問題を含んでいるなというのを改めて実感をした次第であります。  特に、先日の予算委員会において、小杉先生が三十分間、住専の問題の審議が随分進んでいる予算委員会の中において、地球環境の問題で忘れてはいけない重要な問題があるということで提起をされて、実は私も、後ほどビデオをお借りをしまして拝見をさせていただいた一人であります。  今の政治状況の中において、確かにある部分においては与野党の対立の中において結論を出さなければいけない問題が存在をしておりますが、与野党の、あるいは今申し上げたように党派にかかわりなく、この地球環境問題を初めとするいわゆる環境問題に対する取り組みの姿勢、こういったものを、新人議員ではありますけれども、今改めて考えているわけであります。  そしてまた、私自身、党の方にお願いをして環境委員会に所属をさせていただいている。後ほど御質問も申し上げることにも関連をいたしますが、身近に、二十一年間という長期にわたって、CODといいますか、いわゆる水質の著しく悪い、二十一年間もそのワーストワンというホルダーを維持しているわけでありますが、こういう地域が、この国会議事堂から電車で一本で、かつ四十分から五十分のところに存在をし続ける。どうしてこういう悲劇が起こり得ているのか、こういった問題に関しても御質問をさせていただければというふうに思います。  そしてまた、やはり七条委員質問にも関連をしてまいりますが、実は私自身は、これから御質問を申し上げますことに関しても、当たり前でありますが、基本的に環境庁の応援団でありますし、環境庁のより積極的な、すべての政策を統合する中においての主導権に期待をする議員の一人でありますが、そういった立場においても問題を抱えているということを、私自身の問題も含めてお話ができればなというふうに思っております。  昨日も、私の質問をするに当たりまして、各省庁の方々が質問とりということで来られました。私とすれば、環境庁からお答えをいただければ別に問題はないというふうに最初はお答えをしたのでありますけれども、いや、その部分に関しては外務省の担当でございます、いや、この部分に関しては建設省でなければ答えられませんというような状況が提示をされたわけであります。以前予算委員会に所属をしておりましたので、予算委員会の質疑の中においてそういうことが行われることには、正直言って余り違和感を感じなかったのですが、環境委員会に所属をして環境の問題で質問をするときに、直接環境庁ではなくて、やはり担当といいますか所轄官庁にお尋ねをしなければいけないというこの現実に直面をしたときに、先ほど長官お話の中にありましたように、私もそういう観点から以前質問をしたことがあるというふうにおっしゃいましたけれども、どのようにすればこの縦割り行政の弊害が環境という一つの特定の分野において解決ができるのかどうか、こういったことで、基本的な、しかし抽象的ではありますけれども常に抱えている一番問題意識の中で、環境庁及びいわゆる環境行政のあり方というものについて、だれかが見直していく活動をしなければいけないのかなというふうに思っております。  その具体的な形として、いつも環境庁長官に就任をされたときの所信に私たちは注目をしているわけであります。今回の所信の中においても長官は、「企画調整機能を十分発揮し、」という、環境庁の企画調整機能ということをおっしゃられましたし、記憶に間違いがなければ、たしか前の長官もその前の長官もいわゆる環境庁の調整機能ということを強調されたわけでありますが、私はもっと、受け身の調整機能ではなくて、問題点が想起されるのであるならば、事前にそれを掌握をして各官庁に指示を出すということが必要になってくるのではないかなというふうに思います。  こういった時代背景の中においては、いわゆる地球環境の大切さを言うのであれば、大変極端な議論でありますが、内閣総理大臣環境庁長官というような位置づけでもされない限りなかなか、調整官庁というような状態の中で、問題が発生したときに対応するための調整役ということだけでは限界が来るのではないかな。ですから、内閣総理大臣環境庁長官というような形での強いリーダーシップが早晩実現をすることを、余談でありますが、祈っている一人であります。  そういったことからしますと、具体的には今、環境影響評価制度について、この夏をめどに関係省庁一体となって御苦労されているというようなお話を伺っておりますし、現に長官もされております。ですから、関係省庁の中において環境影響評価制度について、環境庁が当然リーダーシップを発揮をされておると思いますが、現在抱えている問題がもしあるとすればお教えをいただきたいし、問題がないとすれば、この夏どういつだ形で、途中経過でありますが、報告をされるのか、おわかりになる範囲で御答弁を願えればと思います。
  53. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 先生から今御指摘をいただきましたように、各省庁の縄張りというものが現実にございます。そのことを否定することはできません。その点で環境庁の役割が、少し影が薄いのではないかという御指摘も無理からぬところがあると思います。  役所のいわば歴史といいましょうか、環境庁がそれなりの理由、社会的な、政治的な理由によって生まれてきた背景ということを考えてみますと、発足のときには、例えば人材の面でも各省庁から御協力をいただかなければいけないし、それから仕事の面でも、一挙に法制度を整備して環境庁プロパーでやっていくということもできないという時間的な経過もございました。しかし、環境庁がここまで、いろいろな蓄積、仕事の面での蓄積、市民に対する信頼という点からの蓄積を含めて、来た以上は、やはり胸を張って、環境庁はもっと元気を出してやっていかなければいけない、そういう御指摘あるいは激励だというふうに受けとめたいと思います。したがって、できるだけそういう方向で、及ばずながら精いっぱい頑張っていくことをまずお誓いを申し上げたいというふうに思います。  それから、環境影響評価制度というのは、実を申しますと、先生御案内だと思いますけれども、一遍挫折の歴史を持っているのです。それは、やはり市民的な要望がある、何とかしなければいかぬ、では、それに対してこたえなければいかぬということで環境庁として法律を準備しました。しかし、それは大方の御協力をいただきながらも、最終的には挫折せざるを得ませんでした。そこで教訓をいろいろな形で学ぶことになるわけでございますけれども環境庁だけで走って何か案をまとめた、さあ皆さんどうぞよろしくということだけでは十分でないな、若干の時間的なタームを置きながら、その中で各省庁認識の共有、そこから出発をしていかないと制度自身もなかなかうまくいかないのではないか。  実は、先ほども申し上げましたけれども、私がこの委員会で宮沢総理環境基本法の最後の場面で質問をいたしました。そのまくら言葉は、その年サミットがあったのです。サミットの中で、先進国ですから、アセスを持っていない国というのは日本しかなかったのです。閣議了解方式でやってきたわけでしょう、法律ではないのです。だから、法制化を含めて、この際少し時間をかけて、みんなで学問的にもあるいは各省庁の御協力も全部いただきながら頑張っていこうということで、おおむね今日カキの実が熟するように時期を迎えた、こういうふうに申し上げることができると思うのです。  ただし、それには確かにいろいろな面で痛みを伴うことがございます。それはここで改めて申し上げるつもりはありません。しかし、公共事業と言われる部分まで含めて、それでは一体そういうことで計画がスムーズにいくのかよと言われれば、そこはアセスでありますのでということで、ストップをしてもらったり迂回をしてもらったり、あるいは別の提案をしてもらう、対案を準備していただく、こんなことも必要だと思います。  だから、そういうためにはもう少し国民的なコンセンサスというか理解というものも必要だなという感じもいたしますが、もうここまで来ているわけでございますので、できるだけ研究会調査の結果を、ことしの夏をめどということでございますけれども、夏というのも幅があるわけでございますから、できるだけ早い時期にそういう案をまとめていただいて、まとめていただければ、審議の経過や、それからそれが国際的にどういう位置を占めているかとか、その手法をどうするとか、対象をどうするとかというふうな御議論も出てくると思いますから、どうか委員会などで積極的に討論をいただく。やはり環境庁が十分なリーダーシップを発揮してそのまとめのための努力をしていかなければ、そうはいってもそう簡単にはいかないという感じがいたしますので、決して楽観はいたしておりません。先生方の党派を超えた御理解と御協力を心からお願いを申し上げたいというふうに思います。
  54. 長浜博行

    ○長浜委員 新進党の環境部会においても、このアセスの法案に関してさまざまな観点からの議論をしておりますし、大変環境問題に熱心な先生方が所属をしておりますので、形が見えてきた段階でまた議論をさせていただければというふうに思います。  次に、若干の具体例に入りまして、いわゆる環境行政の中において、今申し上げました部分で、環境庁として関与をするといいますか十分注意を払っていかなければいけない部分、現在の段階でも生じているのが、例えばODAによるところの対外援助。対外援助によってできた箱物といいますか、そのハードが現地の方々にもちろん産業化の進展の中においての経済的効用を極大化していることは、否定はできない部分あるいは当然のことでありますが、それによってマイナス効果の面が出てきていることも事実ではないかなというふうに思います。  国内におきましては、これは予算委員会で広中環境庁長官のときに御質問をいたしましたが、また今長官の御答弁の中にもありましたように、いわゆる公共事業。これも、経済対策あるいは景気を上向かせるために公共事業予算というのが昨今の経済状況下の中で行われているわけであります。それに対する環境のチェックというのは、やはり実施機関が建設省あるいは地方自治体であっても環境庁がウォッチをしていかなければいけない部分があるように思いますし、今申し上げましたように、それでは現実の作業主体あるいは地方自治の現場において環境行政が機能しているかどうかというものも、国の役所である環境庁がチェックをしなければならない、こういった部分が大きく影響してくるように思います。  そこで、まずODAの関連でありますが、日本の酸性雨の問題。  昨年ですか、私も中国沿海部というのを拝見する機会がございました。日本の援助によって、いわゆる化石燃料によるところの石炭の火力発電所、こういうものが随分できている。しかし、ここがまた教えていただきたい部分でもあるのですが、いわゆる化石燃料を燃やしたときに当然生ずるところの硫黄酸化物、SOxや窒素酸化物、NOxに関してでありますが、特に硫黄を取り去るところの脱硫装置、こういったものに関して明確な答えがいただけなかった。つまり、そういうものがついているのか、ついていないのか。ついていないわけはないのじゃないかなというふうに単純に思って、そのときはそれで終わってしまったわけでありますが、昨今の、黄砂の影響で日本じゅうが黄色くなってしまったなどということでも、風の影響でもわかりますように、中国における大気汚染が中国国内の問題だけではなくて、日本にもその風に乗って当然物質が渡ってきて雨が降る、こういうことも考えられる状況の中において、今申し上げましたODAといわゆる環境行政の問題について御意見を賜りたいというふうに思います。  ある機会のときに、たしかまだ十分な調査が行われていない、あるいは調査の途中であるというようなお話を、私の質問ではありませんが、どこかの委員会で聞いた記憶もあるのですが、昔、フィンランドでは、近隣の英国や西ドイツの産業化の中において、今私が問題としているような、同じような化石燃料を燃やしたときに生ずるところの硫黄酸化物の問題、そのときに、いわゆる内政干渉とは違うレベルの問題において、当然自国の主張し得る権利として、環境権としてこの問題を対処していったやに聞いていることもございますので、あわせて、もしおわかりの範囲で御答弁を願えればというふうに思います。
  55. 堀江正彦

    ○堀江説明員 中国に対します我が国の経済協力の現状というその中で、石炭火力発電所の現状についてお答え申し上げたいと思います。  我が国といたしましては、中国に対しまして現在までに五件の火力発電所に対して円借款を供与しております。その五件のうち、現在までに稼働中のものは一件でございますけれども、そのほかは今建設中でございます。  これらの五件を供与するに際しましては、やはり環境の観点からいろいろ配慮していただかなければいけないということで、中国側との間で幾つかの取り決めをいたしました。その幾つかの措置につきましては、例えば一つ目といたしましては、酸性雨対策といたしまして低硫黄炭の使用、それから、ばいじん対策といたしまして高効率の電気集じん機を採用すること、三つ目に、窒素酸化物対策といたしまして低NOxバーナーを採用することという格好で中国側と約束いたしました。  脱硫装置ということにつきましては、これらの五件の火力発電、いずれも脱硫装置はつけておりません。その理由は、低硫黄炭を使用するということを向こう側に、中国側に約束させておりまして、この硫黄酸化物、SO2の排出濃度というものは、中国の基準のみならず、それよりも厳しい我が国の基準にも適合するものでございます。こういうことから、脱硫装置を現在はつけておりませんけれども、将来にわたって低硫黄炭というものが使えるかどうかわからないということもございますので、そういうものが使えなくなったときのことも考慮いたしまして、それぞれの火力発電所には脱硫装置というもののスペースを予定しております。  それから、以上のように、これまでに供与いたしました円借款による火力発電所建設というものについては、十分な環境対策というものが図られるように中国側と合意してきておりますこともありまして脱硫装置をつけておりませんけれども、九四年末、日中間で合意されました第四次対中円借款というものの中には二件の火力発電所が含まれております。  この二件の発電所のうち一件、陜西韓城というところにございます火力発電所につきましては、脱硫装置を設置する方向で検討しております。それからあと一件、山西三曲火力発電所という方につきましては、脱硫装置は設置することになっておりませんけれども、これにつきましても、低硫黄炭の利用を義務づけるとともに、硫黄酸化物、窒素酸化物、これこれについては、中国のみならず日本の環境基準も満たすように計画されるようにしております。  いずれにいたしましても、今後とも我が国が中国に対する円借款というものを活用して、脱硫装置の設置というものを行うような方向で大気汚染、酸性雨対策に積極的に取り組んでもらうように働きかけてまいりたいと思っております。
  56. 長浜博行

    ○長浜委員 まず一点は、低硫黄炭の使用ということでありますが、現実に低硫黄炭の使用が確認できているのかどうか。取り決めはわかりましたが、高硫黄炭を使用しているというような事実はないのかどうか、現実に確認ができているのかどうか。それから、低硫黄炭使用の状況の中においても、今御答弁がいただけませんでしたが、いわゆる季節風あるいは風によるところの日本における酸性雨への影響、この二点について御答弁を願います。
  57. 堀江正彦

    ○堀江説明員 今までに協力しております火力発電所のうち、現在稼働中のもの一件、あるいは今後の火力発電所につきまして低硫黄炭が使われているのかどうかということにつきましては、我が方といたしましては使われていると信じておりますけれども、追って確認の上、御連絡いたしたいと思います。
  58. 大澤進

    ○大澤政府委員 風の影響によって、風の流れによって日本の方への影響がどうかという御質問だと思うのですが、環境庁では、既に昭和五十八年度から五年区切りで酸性雨の全国調査実施しておりまして、五十八年から六十二年、それから六十三年から平成四年、この二回、既に終わっているところでございます。  この結果によりますと、日本海側において降水中の硫酸イオン濃度が秋から冬にかけて高くなるところがある、こういうことがこの二回の調査によってデータとして出ております。これは酸性雨原因物質が季節風に乗って運ばれてきている可能性を示唆するものではないかというふうに考えておりますが、地域的というか地理的には、非常に画然とどこどこという地域を特定するにはまだ至らないわけでございますけれども、広い範囲で考えた場合に、そういう影響があるのじゃないかと見ております。  しかし、さらに今後、そういう点も含めて実態を明らかにし、モニタリングするという必要性から、平成五年度からさらに第三次の酸性雨対策調査ということを引き続き行っているところでございます。
  59. 長浜博行

    ○長浜委員 きょうは余り時間がありませんので、個別な事例としてはさまざまこういった問題がございますが、ぜひ、外務省そして環境庁の連絡を密にしながら、こういった問題は、いわゆる今までの外交上の内政干渉とは違った次元の問題であるというふうに理解をいたしておりますので、十分に情報を公開しながら、こういった問題について国民にも知らせていっていただきたい、そのように思っております。  関連で恐縮でございますが、午前中の質疑にもありましたけれども、いわゆるODAに占める環境関連予算ですか、こういった形の分類で特に意識していることがあれば御発言をいただければと思います。
  60. 堀江正彦

    ○堀江説明員 我が国は、九二年六月、国連環境開発会議におきまして、当時の総理より、九二年度から五年間で環境分野の援助を九千億円から一兆円をめどとして大幅に拡充強化するということを発表いたしました。  その後、環境分野に関する援助の実績といたしましては、九二年度、三年度、四年度の三年間で上記目標額の七割以上を達成して、七千四十一億円になっております。今後とも、環境分野の援助につきましては積極的に取り組んでいきたいと思っております。  二国間援助につきましては、有償資金協力、無償資金協力、技術協力、それぞれの予算の枠内で環境分野の援助を引き続き重視していくということで、平成八年度予算におきましても、優良な環境関連プロジェクトの発掘、形成、実施ということに一層努めるための各種の予算措置お願いしております。  多国間援助につきましても、環境分野の国際機関として中心的な役割を果たしております国連環境計画、これへの拠出増。それから、林業研究強化ということで国際農業研究協議グループ、これに対します拠出の増。それから、東南アジアにおける水産資源環境調査というものを実施するための東南アジア漁業開発センター、こういうものへの拠出。こういう形でも、多国間援助等あわせてやってきております。  今後とも、環境分野につきましては、国連環境開発会議における我が方の方針というものにも従いまして、一層の努力をしていきたいと思っております。
  61. 長浜博行

    ○長浜委員 我が国が戦後焦土化した国土から経済発展を遂げて現在に至る、こういった生の教訓が特に環境行政の中には蓄積をされているわけでありますから、まず第一は、当然経済原則、効率性にのっとって、いわゆる今日本で言われているところの生産者の論理、これが第一義に入ってくることは否定できない事実でありますが、日本が歩んだ道ということで、金額には換算ができない部分における協力、そして、指導といえばおこがましくなりますけれども、諸外国、特に発展途上国に対しての御指導をぜひお願いしたいと思っております。  それから、公共事業に関して言えば、これは質問しようと思いましたけれども、例えば、今盛んに言われていることがダム建設。これは長期の期間が要りますし、計画から周辺住民の説得、着工、完成まで時間がかかる。長良川河口堰がその典型的な例だったのかもしれません。これはダムというより河口堰の問題ですが。  これに端を発して、全国で、計画中のものが見直しというようなことが進んでいるように聞いております。これは答弁は結構でありますから、こういったことも、いわゆる治水、利水の観点からだけではなくて、年代を経た期間の中において、当初の目的をもう既に達成してしまった、あるいは不要になったということがあるはずでございますので、こういったいわゆる建設行政に関しても、ぜひ環境庁の視点からの意見を述べていただきたい、そのように思っております。  それから、地方自治の現場で私自身気がついたことがあるのですが、いわゆる汚泥の問題。河川や湖沼や何かで生ずるさまざまな汚泥の問題が、ごみとは違う意味において厄介者になっている。ところが、ある市町村などにおいては、これを新商品として売り出すような技術が進んでいる。しかし、建築基準法というのですか、あとは規格を通らなければいけないいろいろな問題があるのだけれども、実験的に使っているんだ、ですから、むしろ汚泥は厄介者じゃありませんよという指摘を受けたこともあるのです。  その汚泥処理、あるいは再資源化、現実に商品化までいっているというようなことで、御存じの点がありましたら教えていただければと思います。
  62. 内藤勇

    ○内藤説明員 お答え申し上げます。  平成五年度におきまして、全国の下水道の終末処理場から発生いたします下水汚泥の総量は約二百三十万立方メートルございまして、そのうち約二五%が現在有効利用されています。その主な用途といたしましては、そのほとんどが堆肥化、いわゆるコンポスト化された汚泥の緑農地利用が主たるものでございます。  さらには、先生指摘がございましたが、その他の利用といたしましては、汚泥を焼却あるいは溶融いたしまして、れんがあるいはタイルあるいは路盤材、こういった建設資材といたしましても利用されているのが現状でございます。それぞれの関係自治体におきまして、例えば東京都でございますと、メトロレンガというような愛称をつけまして、その普及拡大を図っているところでございます。その他の自治体につきましても、それぞれの実績を上げているのが実情でございます。
  63. 長浜博行

    ○長浜委員 それでは、オゾンホール関連の質問に移らせていただきます。  このオゾンホール、午前中の審議の中においても地球温暖化、CO2の問題が出ましたが、私自身がちょっと違う観点から興味を持ったのは、例えば日本製の中古の自動車あるいは日本製の中古の冷蔵庫、この中に当然冷却触媒としてのフロンが入っているわけであります。あえて中古と申し上げましたのは、車においても昨年度からこういったものの改善といいますか、仕様を変えてやっておりますので、現状の中においては、あるとすれば新車ではなくて中古になってくると思いますので、この問題。しかし、例えば三年前に輸出された、当時新車の自動車が走っているとすれば、輸出時点では新車でありますが、それが、特に発展途上国の中において最終処理の状況まで日本のメーカーが責任を持っているのかどうか、あるいは輸出業者といったらいいのですか、そういう問題について関心を持ったわけであります。  お役所の方ともちょっと議論をしましたが、例えば極端な例でありますけれども、いわゆる有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約というものの中において、商品として輸出したのですが、その現地において何らかの理由があって使用が全く不可能になった、しかもその廃棄の処理方法が決まらないまま、仮にスクラップというような状態にした場合に、当然大気中にフロンは拡散をされるわけです。これは輸出の時点では間違いなく商品ですが、使えないで、現地に着いてそれを処分をするとしたら、向こうから見ると有害廃棄物の移転になるのではないか。しかし、そのフロンというのは有害廃棄物の規定の中に含まれていなくて、むしろそれはモントリオール議定書の中で規定をされていることだということも議論の中でわかってまいりました。  こういった、いわゆる故意、あるいは故意でなくても、とにかく民間の企業の中においては売れるものは売るのだというところで商行為によって成り立ったことが、しかし相手国の環境を阻害している、間違いなくそのメーカーは日本であるというようなことが、具体的な事例ではなくてお聞きをするので大変恐縮でありますが、こういう問題についてこれからも起こり得るという状況の中において、オゾンホールのことに関心を持ったわけであります。あるいは、ひょっとしてこういう問題で既にクレームなりトラブルが発生しているのかどうか、そういったことを含めておわかりになる範囲で御答弁をいただければと思います。
  64. 大澤進

    ○大澤政府委員 オゾン層保護対策につきましては、基本的認識として、フロンなどのオゾン層破壊物質の生産とか消費を着実に削減、全廃するということが最も重要だということで、国際的にもモントリオール議定書に基づいて、この生産及び消費の削減に取り組んでいるということでございまして、途上国においても、今お話がありましたように、中古の冷蔵庫あるいは中古車等が輸出され、使用されているという実情がございます。やはりこれはいわゆる地球環境問題でございますので、先進国、途上国を問わず、削減に取り組むということは当然重要だと考えております。  ところが、途上国においては、必ずしもこの取り組みというのが十分ではない。そういうことから、中古の冷蔵庫や自動車等からはフロンの放出問題が出ているわけでございまして、私どもとしてはこうした問題に対応するため、途上国におけるオゾン層保護対策の積極支援策として、一つは途上国におけるオゾン層保護対策のセミナーを開催しまして、これは平成二年度からやったわけでございますが、途上国に出かけていきまして、そういう対策に取り組んでおられる皆さん方に私どもが持っているいろいろなノウハウを提供したり、具体的な策についてのセミナーを開催し、またさらに、日本国において、途上国からこちらに来ていただいて、このオゾン層保護対策についての研修会といいますか、そういうものも同時に開催しているところでございます。  また、国際的には、今申し上げたような趣旨から、先進国自身が多数国間基金というものをオゾン層保護対策の観点から設置しておりまして、この基金によって資金協力とか技術協力を行っておりまして、我が国も一九九一年から九五年までの間に約八千万ドル弱を拠出して、途上国に対する技術協力というか貢献をしてきているところでございます。  私どもとしては、この冷蔵庫等の廃棄の際に、使用済みフロンを回収して、適切に破壊するということは、日本国においても既に取り組んでいるところでございますので、こうした取り組みを通じた技術といいますか、ノウハウというものも蓄積されつつありますので、これらのノウハウを途上国に対していろいろ、今申し上げましたような研修会とかセミナー等を通して技術移転をしていくということにさらに着実に取り組んでいかなければならない、このように考えております。
  65. 長浜博行

    ○長浜委員 先ほどの質問とも関連をしますが、いわゆる国境を越えて財が動いて、売買で言えば商工・通商政策であっても、基本的に日本でつくられたもの、あるいは日本の企業がつくられたものが諸外国に及ぼす影響、こういうものも考えていかなければならないというふうに思います。  昨日の毎日新聞の夕刊に、ちょっと偶然読みましたら、ドイツで、ただで廃車を引き取りますという記事が載っておりました。「ドイツで自動車メーカーが廃車を無料で引き取る自主回収制度を年内にも発足させることが二十一日、自動車業界団体のドイツ自動車工業会と連邦環境省の合意で決まった。ごみ処理面で深刻な廃車問題の解決と、環境面からのリサイクル促進を狙っている。ということで、これはドイツでつくっているメーカーだけではなくて、メーカー、輸入業者などは今後二年以内に廃車の解体工場などの回収システムを整備、各社が責任を持って自社製品を回収、リサイクルする、こういうような形の方向性が、ヨーロッパ、ドイツでありますが、出てきているわけであります。  逆に言えば、こういったシステムが整ってなければ車を売ることができないというか、ドイツでは存在をし得ないというような方向になっていくのだろうと思います。もちろん、これは先進的な例でありますから、こういった形で報じられるわけでありますが、間違いなく、日本もいずれはそういうような形になっていく。  そういった中において、日本の国では、環境問題に対する認識は深まって、いわゆる生活者保護の視点からこういう問題が進んでいきますが、その同じ日本でつくられた製品あるいは日本企業でつくられたものが売られている海外の各国においてもこういった問題も考えていかなければならないということを、ぜひ環境庁の視点から、通産省とか企業、メーカーという視点ではなくて、環境庁の視点でお考えになっていただきたい。くどいようで大変恐縮でありますが、こういった視点について御理解をいただければ、そのように思っております。  そして、今の企業活動について一つ触れさせていただくならば、いわゆるるISO14000ということが今言われているわけで、これはまだ邦訳もされていないし、日本の中においては、これから多分環境庁もその一つの構成員として関係機関と議論をされていくということでありますが、いわゆる商品とか物に対する、環境上優しいとか、あるいは環境に優しい商品を売りましょうなどという段階はもう時代おくれになっていて、企業の運営管理システム自体が環境に対してどう配慮をするのかというのがもう当たり前の状態に組み込まれているというような時代に移りつつあるというふうに思っておりますので、このISO、9000の段階かもしれませんが、14000に向かっての流れの中で、今お考えになっていることをお聞かせいただければと思います。
  66. 大西孝夫

    大西政府委員 お答え申し上げます。  環境管理システムは、事業者みずからが環境保全に関する方針等を作成しまして体制を整備して、取り組み状況の監査を行うというものでございまして、先生の御指摘のとおり、環境保全に自主的、積極的に取り組んでいくという上で非常に重要な手法として私ども考えておりまして、そういうものを導入しようというのは、今国際的な動きになってきております。  ISO、国際標準化機構においては、ことしの夏ごろに環境管理・監査の国際的規格を制定する、こういう状況でございます。また日本の企業におきましても、これまで、平成三年の経団連地球環境憲章等にもあらわれておりますように、自主的な環境管理に積極的に取り組むという動きが見られております。  私ども環境庁におきましても、環境にやさしい企業行動調査というものを毎年行っておりまして、企業の動向を調査しておりますが、その結果によりますと、回答した上場企業の三割以上が自主的な環境行動計画を作成しているなど、だんだんそういう取り組みが広がってきておる状況でございます。  政府としまして、こういう内外状況を踏まえて、環境基本計画の中で、あらゆる主体の環境保全活動への参加を促進するための施策の重要な柱という意味で自主的な環境管理の促進を位置づけておりまして、環境管理の実施及びそのシステムの認証を国が促進、支援する、そういう方策を検討して推進したいと思っております。環境庁といたしましては、関係省庁協力しまして、ISOの国際規格に沿った環境管理システムの普及促進に努めていきたいと思っております。  また、これとは別に、特に環境管理システムの構築に取り組むことが難しい事業者、例えば中小企業等、あるいは特に環境管理システムの構築を考えていない事業者というような人々についても、やはりみずからの企業活動と環境との関係に気づいていただいて、環境保全に関する具体的な行動にできるところから取り組んでもらいたい、そういうことを促進することも必要だと思っております。そういう意味で、来年度予算で、環境パートナーシッププラザの事業一つということでございますが、幅広く各事業者に参加していただけるような環境活動評価プログラムというものを実施する、そういう経費も計上させていただいているところでございます。
  67. 長浜博行

    ○長浜委員 特に今の最後の部分なんですが、基本的にこういう分野というのは異常に関心が高い。少数の企業がそういう活動をすることに注目をされている部分がありますが、基本的には産業構造というのは、すそ野の広い分野の中においての中小企業、それが現実に言えば私たちの身近な環境に十分リンクをしている部分もありますものですから、中小企業対策ということも含めて今の問題、特に最後の部分でありますが、お忘れなきようにお願いをしたいというふうに思います。  それでは、水質汚濁ワーストワンという不名誉な記録を二十一年間続けている湖沼の問題について御質問をいたします。  こういう湖沼の存在について、長官はいかがお考えになりますですか。
  68. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 長いこと環境委員会に所属をしてきたものですから、率直に申し上げて、手賀沼の問題というのは私も大変心を痛めてきました。何とかならないのかというふうに考えながらも、依然としてワーストワンという記録を更新しているわけであります。  六十年に湖沼水質保全特別措置法の指定湖沼に指定された。それから、六十二年に千葉県において、同法に基づいて昭和六十一年から平成二年度にわたる第一期の湖沼水質保全計画ができた。それから、第二期ということで平成三年から七年までの計画も今終わろうとしている。にもかかわらず、CODに加えて窒素、燐の削減対策というものは、強化はしてきたと思うのですけれども、十分な成果を上げていないという感じが率直に言っていたします。  具体的に言いますと、それは全国そうなんですけれども、ここまで来ると、排出規制あるいは千葉県や地元の市町村と環境庁関係省庁が連携しつつ進めてきた下水道及び合併処理浄化槽の整備、あるいは底の泥のしゅんせつ事業あるいは利根川からの導水事業あるいは市民の皆さんに対する普及啓発の運動など、総合的、計画的に進めてきているわけですが、どうも必ずしも十分な成果を上げていないということで、申しわけないというふうに思っています。  しかし、これはほったらかすわけにいきませんから、今までの計画をより点検をしながら、そして特に、どうもやはり家庭排水のところにポイントが絞られてくるように私は思います。それらのことを含めて、今度、合併浄化槽の設置についても、さまざまな厚生省サイドの法律の改正の措置もあるわけでございますが、これがそのまま当てはまるかどうかは別として、そういうさまざまな総合的な手法を講じていかなければいけないな、こんなふうに思っています。  先生、選挙区だそうでございまして、余計そのことは心を痛めていらっしゃることだと思うのですけれども、手賀沼がきれいになれば日本の湖沼は全部きれいになるくらいな気持ちで、ぜひひとつお互いに頑張っていこうじゃございませんか。どうぞよろしくお願いをいたします。
  69. 長浜博行

    ○長浜委員 今長官からお話がありましたように、個別の選挙区といいますか、余り自分のことを取り上げるのはどうかなと思いましたのですが、何しろ半端じゃないというか、二十一年間の不名誉なタイトルホルダー、そして周辺に住んでいる方々は単純に、素朴に疑問を持っておられます。私は当選一回の新米議員でありますけれども、長浜さん、あなたは知らないかもしれないけれども、とにかくいつまでたってもきれいにならないのよ、だから、あなたがどんなに頑張ってもなかなか一筋縄ではいかない大物環境悪化地域だけれども環境に興味があるというならば、何とかまず足元の問題を――別に日本一汚いのが日本二番になったからうれしいとかそういうレベルの問題ではありませんが、この歴史的考察を含めて、御関係者がいたら教えていただきたいのです。  基本的には生活雑排水なわけですね、人間が暮らす中において生じてくる。今長官もおっしゃられましたように、下水道が整備されない、浄化槽も整備されない、そういう中において、食生活の変化で油っこいものを食べるようになって、合成洗剤が使われるようになって、それが川に流れて、しかも一級河川が二本通っていまして、それに注ぎ込まれて手賀沼というところに流れていく。  この湖沼の問題は、これから御質問されます竹内先生が御専門でありますけれども解決を見出せない状態のまま進んでいる中において、ただ一つ、北千葉導水事業というのに今地元が注目をして、計画によるともうそろそろ実行に移されるというような話も伺っておるのですが、北千葉導水事業について教えていただければというふうに思います。
  70. 竹村公太郎

    ○竹村説明員 それでは、北千葉導水事業について御説明させていただきます。  今御指摘のとおり、水質悪化の大変激しい手賀沼そして坂川へ利根川から最大約十トンを導水いたしまして、手賀沼の水の回転率をよくして水質改善をしようという目的だとか、あと、我孫子市を初めとします手賀沼流域、そして松戸市を初めとする坂川流域、大変都市化が進んでおりまして、浸水被害も大変多うございます。この浸水被害をなくすための内水排除のための事業、そして都市用水の開発という多目的事業でございます。  当事業につきましては、昭和四十七年に事業着手いたしましてから全体で約二十九キロの導水路、三カ所のポンプ場の整備等鋭意やっておりますが、現在の進捗状況は約八三%程度でございまして、着実に事業は進んでおります。ただし、残工事といたしまして、手賀沼と利根川を結ぶ一部導水路と管理施設等がございますので、鋭意進捗させている状況でございます。  なぜこんなに昭和四十七年からかかったのかなという御質問、御疑念があるかと思いますが、御承知のように、柏、松戸、我孫子等、大変都市化の進んでいる地域でございまして、そこで用地買収等で所要の時間がかかったということと、導水路というのは地下を通すシールドでやっております用地質等の関係所要の技術的な時間が必要だったということでございます。  私ども建設省としましては、北千葉導水の完成が手賀沼や坂川の水質改善に大きく寄与すると考えております。その効果を一日も早く実現するよう頑張っていきますが、なお利根川の利水関係者、関係機関と十分合意を得て、試験通水をして、各種データを積み重ねて、万全の態勢で本格運用に入るべく対処してまいりたいと考えております。
  71. 長浜博行

    ○長浜委員 今お話しになりました我孫子市というところに手賀沼が一番近くあるわけですが、我孫子市は北の鎌倉と昔は呼ばれて、私も余り文学は得意ではないのですが、白樺派の文人の武者小路実篤さんとかバーナード・リーチとかが住んだと言われているところでありますけれども、今は残念ながら、申し上げたような形での手賀沼の環境であります。そして流域の川から流れ込んでくるものですから、我孫子市においては下水道整備率も、優秀と言ってはおかしいのですが、周辺の流域からすればよい成績をおさめておりまして、むしろほかから流れてくるもので汚れてしまっている地域というような形であります。  今御答弁の中になかったのですが、この工事遅延の影響と、それからこの通水というのは大体いつごろになるのか、そういったことを教えていただければと思います。
  72. 竹村公太郎

    ○竹村説明員 工事の状況はただいまのお話で御説明させていただきましたが、残った一部導水路関係の工事と管理施設が終わりますのは平成八年、平成九年、あと二カ年くらいかかるのかな、これも相手が野外の工事でございますので断定はできませんが。  そしてその後、私ども、通水ができる状態になったら直ちに利根川の関係者また関係機関と協議をいたしまして、試験通水のための了解を得て、試験通水を着実に行ってデータをとっていきたい。そして、利根川を含む広域なデータを総合的に判断して、本格的な運用はいつからするのかというのは、その試験通水の結果を待って先生方に御報告申し上げたいと考えております。
  73. 長浜博行

    ○長浜委員 そうしますと、試験通水をしたその結果から本通水に至るまではある程度またタイムラグが生ずる可能性もあると理解をしてよろしいのかということと、それから、当初の計画どおりCODの数値が半減をするというような形の、いわゆる結果予想においては変更がないのか、この二点についてお答えをいただければと思います。
  74. 竹村公太郎

    ○竹村説明員 水質問題と申しますのは、流域におきまして上流の方々、中流に住んでいる方々、そして下流部に住んでいる方々、さまざまな方々が流域に生活しております。そして都市生活者、農業の方々、そして漁業関係者と、その地域以外にも職種によって非常にさまざまな形で、いろいろな方々がその川に関係しております。私どもは、手賀沼の水質を改善したいという思いはいっぱいでございますが、それによって大きな悪影響を逆に利根川筋に与えてはいけない、利根川筋の方々にも納得していただけるようなきちんとした形で、中流域、下流域の皆さんが合意した上で、地域全体を水質を改善していきたいと思っております。  今先生の御質問の中で、試験通水の後、本格運用まで一体どのくらいかかるのかという御質問でございましたが、私ども、試験通水を万全にデータを積み重ねて、それらの皆様方にきちんと公表して、御理解を得た上でやっていくというお答えに現在とどめさせていただきたいと考えております。  なお、シミュレーションのことにつきましては、私ども、昭和五十六年から平成二年の十カ年の川の流れのデータから水質シミュレーションをやっております。現在、千葉県のさまざまやっている下水道等による負荷の削減を全く考慮しないで、一つの試算といたしましてこの北千葉導水事業の水質浄化の効果を表現すれば、今先生がおっしゃったようなことかなと思っておりますが、水質シミュレーションの手法はこれから、まだ未解明な部分がございます、さらに精度高く、皆様方にわかりやすい水質浄化のシミュレーションを私ども開発していきたいと考えております。
  75. 長浜博行

    ○長浜委員 長官、本当に今の部分でありまして、ハードとしての北千葉導水、つまり水を通すことによって汚い部分を移す、しかし移された側はたまったものではないというような形での運動が、水を浄化する過程の中において現実に生じてくるわけです。それを今表現をされたんだと思います。つまり、これができたら試験通水まではできますが、本通水をしようとすると、そこの地域でない周辺住民の方との交渉も生じてくるということが十分危惧をされるわけです。  ですから、厚生行政環境行政に大変御精通されている長官で、しかも最初のお話にありましたように、手賀沼の問題はもちろん私などより十分御認識が深いと存じ上げますが、歴代の長官の中においても手賀沼を御視察される方もいらっしゃいます。ぜひ長官の御視察をお願いをしたいと思いますが、その点についていかがでございますか。
  76. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 私も、長いいろいろな環境行政にかかわってきた関係からいいますと、本当に各省庁が力を合わせて、それこそ手賀沼大作戦を繰り広げなきゃいけないなと思ってきたのですが、ようやくだんだんその雰囲気と条件が整備されつつあるように思います。ですから、こんな機会に本当に総力を挙げなければ、環境庁だけやったって空回りでございますし、そうかといって、住畠の協力も得なければなりませんし、もちろん建設省を初め関係省庁が全力を挙げてもらわなければならぬわけでございますので、そういう総力を挙げてやっていくというような、そういうきっかけのためにも環境庁は幾らかでもお役に立てればというふうに思っておりますので、その点を御理解をいただきたいと思います。  それから視察の件ですが、これは琵琶湖に来いとか長良川に来いとか、あっちこっちありまして、私も今事務局からいろいろ状況を聞きながら、どういう形かで現地の視察、現場主義が私の考え方でございますので、その中の一つとして考えさせていただきたいというふうに思っております。よろしくどうぞ御理解をいただきたいと思います。
  77. 長浜博行

    ○長浜委員 ありがとうございます。ぜひ前向きに御検討をいただければというふうに思います。  水問題は、チグリス・ユーフラテス文明じゃありませんが、基本的には水と人間と文化ということで、エコロジーの問題が水に通ずるというふうにも思います。個人的に私は田中正造という政治家を尊敬をしておりましたが、水は自然なり、知者はこれを利す、患者はこれを損すと。しかし、現実にだれが患者であったかは別としまして、そういう状況の中から立ち直らせようという努力、これも、失われた自然を取り戻すのは大変だとよく言われてしまいますが、現実には各全国地域の中においてこういう努力を、たゆまざる努力を続けていかなければならない。たまたまとあえて申し上げていいのかどうかわかりませんが、そういった地域に生活をしている人間の一人として、この問題に真剣に取り組んでまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いします。  質問を終わります。ありがとうございました。
  78. 杉山憲夫

    杉山委員長 斉藤鉄夫君。
  79. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 新進党の斉藤鉄夫でございます。  午前中、七条委員の方から地球温暖化のことについて御質問がございましたが、私は、その地球温暖化の中の問題として、二酸化炭素の排出量抑制、この問題に焦点を絞って御質問をさせていただきたいと思います。また、その後、旧軍の毒ガス遺棄によります環境汚染、この問題についても御質問をさせていただきたいと思います。どうかよろしくお願いします。  地球温暖化、そしてそれに二酸化炭素が寄与するということは、もう確立された科学的知見としてございまして、気候変動枠組み条約によりましても、この二酸化炭素の排出量を抑制していこうということが決められております。  それで、この条約の中で、二〇〇〇年までに一九九〇年レベルの二酸化炭素排出量で安定化させるということが決められておりますが、一九九四年に「「気候変動に関する国際連合枠組条約」に基づく日本国報告書」というものが出ておりまして、その報告書を読みますと、日本の「二〇〇〇年度における二酸化炭素排出総量は、約三億三千石炭素換算トンとなる見通しである。」こう書いてございます。そしてその後に、「一方、一九九〇年度における二酸化炭素排出総量は三億二千石炭素換算トンであったので、排出総量においては増加する見通しである」、こういうふうに書いてございます。  ということは、枠組み条約で決められた約束を守れないという報告書になっているわけでございますが、これは二年前に出された報告書でございますし、この報告書の中を読みますと、経済成長率は三・五%を仮定しているというふうなこともございました。ところが、実際は三・五%も成長しておりませんので、この二年前に出された報告書の状況から変わっているのか、現在環境庁考えていらっしゃる見通しについてまずお聞かせ願いたいと思います。
  80. 浜中裕徳

    ○浜中説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、国連の方に提出をいたしました我が国の報告書によりますと、現在私ども各般の施策を鋭意実施してはおりますけれども、一九九〇年実績と比べまして若干の増加をするものと予測をされているところでございまして、私どもといたしましては、この条約に掲げられました目標の達成のために今後なお一層の対策が必要だということを基本的な認識として持っているところでございます。  これまでのところ、地球温暖化防止行動計画に基づきまして、我が国といたしましてはこの五年間、都市地域構造あるいは交通体系、エネルギー供給構造、ライフスタイルなど、非常に幅広い分野におきまして、各省庁挙げて対策を実施してきているところでございますけれども、二〇〇〇年までに残された期間がもう五年弱ということで、限られてきております。私どもといたしましては、この行動計画に盛り込まれた広範な対策をなお一層充実強化をして目標の達成に努めてまいりたい、このように考えているところでございます。
  81. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 ちょっとよくわかりませんでしたけれども、三億三千万トンという見通しについてはどうなんでしょうか。
  82. 浜中裕徳

    ○浜中説明員 三億三千万トンという見通しにつきまして、これは国連に報告を提出したわけでございますが、現時点におきましても、私ども、なお現在の努力ではそのような、若干九〇年の水準をオーバーしてしまう、このような見通しであるというふうに考えているところでございます。  このため、約一千万トンの差がございますので、これをどのようにして削減をしていくか、このような点について具体的な検討を重ねているところでございます。
  83. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 ふえるという、達成できないということでございますね。  それで、この日本国報告書について、昨年、条約の事務局の技術者の方々が日本に来て、この報告書について詳細に検討した、またいろいろ日本の努力について現地を見て歩かれた、こういうふうに聞いておりますけれども、その事務局の方々の評価はいかがだったのでしょうか。
  84. 浜中裕徳

    ○浜中説明員 先生指摘の詳細審査につきましては、昨年七月に我が国でその会合が開かれたわけでございます。実は、現在その報告の案が条約事務局から送られてきているところでございますけれども、報告の案の内容につきましては、条約事務局の要請がございまして、現時点では非公表にしてほしい、こういうことでございますが、昨年我が国を訪れ、審査をされましたときの主な指摘事項につきましては、若干かいつまんで申し上げますと、我が国から提出をいたしました報告書はおおむね国際的なガイドラインに沿ってつくられておりまして、日本は気候変動問題を重要視して政策を推進しているという全般的な御評価をいただいたところでございます。  ただ、今後改善が望まれる点といたしまして、例えば、現在実施しておりますいろいろな気候変動防止のための政策措置、これらの定量的な二酸化炭素などの排出抑制効果、こういうものにつきまして、またその政策措置の進捗状況を明らかにしていくべきだというような御指摘をいただいたところでございまして、今後、それらの内容を詳細に盛り込んだ報告書案につきまして我が国といたしましても検討させていただきたい。その上で、条約の下部機構の会合にその報告が提出されるもの、このように考えているところでございます。
  85. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 まだ内容については公表できないというところは、概略を教えていただいてありがとうございました。  そのときの事務局の方の評価、一千万トンオーバーするということについてはどういう評価だったでしょうか、もしよろしければ。仕方ないという感じだったのか、これは条約違反だから何とかしろ、こういう雰囲気だったのか。
  86. 浜中裕徳

    ○浜中説明員 実は条約上は、締約国に対して義務づけられておりますのは、気候変動防止のための政策措置を講ずる、そのための国家計画をつくるべきであるということと、それから、そうした努力につきまして国連に、条約事務局に対しまして報告書を提出すべきである、こういうことを義務づけているわけでございまして、その際に、先ほど先生がお触れになられました、二〇〇〇年までにといいますか、一九九〇年代末までに一九九〇年の水準に戻すことを目指してということで、これはいわば努力目標といいますか、そういうような形で条約上は触れられているところでございます。  したがいまして、昨年の審査におきましても、ただいま御指摘の、一千万トン超過をしそうだ、こういうことについての是非について御指摘が特にあったわけではございませんで、むしろ、我が国が提出をいたしました三億三千万トンになるという見積もりの仕方が適切な方法論でなされているのかどうか、条約事務局でガイドラインを出しておりますけれども、そうした国連のガイドラインに沿ってきちんと説明ができるやり方でなされているのかどうか、こういった点を中心に審査がなされたわけでございますので、先ほど申し上げましたようなとりあえずのコメントをいただいたところでございます。     〔委員長退席、大野(由)委員長代理着席〕
  87. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 昨年四月にベルリンで第一回の締約国会議が開かれまして、宮下環境庁長官が、一九九〇年レベルで安定化させる、そのための最大限の努力をするというふうに演説をされました。そして、いわゆる第三回の締約国会議、午前中も七条委員の方からも御質問ありましてダブりますけれども、この第三回の締約国会議というのは非常に重要な会議でございまして、条約では二〇〇〇年までのことについては決めてある、しかし、二〇〇〇年以降については決めていないわけで、その二〇〇〇年以降について態度を決めるという第三回締約国会議、COP3でございますが、それをぜひ日本に誘致したい、こういうふうに宮下環境庁長官がおっしゃったわけでございます。  我が国に誘致が実現するといたしますと主催国になるわけで、主催国こそが率先垂範をして条約を守っていかなければいけないわけです。そういう意味では、一九九〇年レベルの排出量に二〇〇〇年までに何としてでも達成するという岩垂環境庁長官のリーダーシップが必要だと思いますし、また、二〇〇〇年以降も九〇年レベルで保っていくということを決める会議になると思われますので長官の強いリーダーシップが必要かど思いますが、その点につきまして長官の御感想をお願いいたします。
  88. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 先生御案内のとおりに、気候変動枠組み条約の約束事というのは、先進締約国は自主的に、ここが非常にポイントなんですが、自主的に政策措置を行い、二酸化炭素など温室効果ガスの排出量を二〇〇〇年までに一九九〇年レベルに戻すことを目指して、排出量やその見通し、特に政策措置の効果などについて国際的に明らかにすることということでございますので、宮下長官会議の席上で指摘をしたこともその意味でございます。やはり日本のそういう演説の重さというものは大事に受けとめなければなりませんし、まだ若干の時間がありますので、今からだめだというのではなくて、それこそ最善の努力をしていかなければいけない課題だろうというふうに思います。  成長率の問題をさっき斉藤先生が御指摘でございましたけれども、それだけではなくていろんな手法の、例えば太陽光の導入だとかいろんな方法の組み合わせを含めてもう一踏ん張り頑張っていきたい、いかなければいけない、こんなふうに思いますので、ちょっと先ほど七条先生からもおしかりを受けましたけれども、お手上げたという状態ではなくて、ぎりぎりまで努力をしていく、このことをぜひ御理解をいただきたいと思います。  それから、おっしゃるとおりでございまして、日本に招致する以上はやはり日本としての立派か成果を上げなければならないと思っています。この会議を招致するということになれば文字どおり日本がホスト国になるわけでありまして、この会議を成功させるということは、国際的な合意にたどり着く、そのことがなければ会議の成功というのは保証されるわけではございませんので、その努力をまずしなければなりません。特に、その中で我が国がどんな役割を果たすのかということについてもそれなりの方針を提起しなければならないのかもしれません。また、我々の過去の経験というものも、途上国の皆さんにとってみれば非常に重要なノウハウになり得る。そんな意味でも、日本が各国から信頼をいただく、そして日本がそういう分野での国際貢献を進めていくということのために精いっぱい頑張っていきたいなというふうに思っています。  まだ若干時間があるわけでございますから、本当に諸先生の御協力もいただきながら、これはもう一党一派とか与党、野党の問題じゃございません。国民的な協力をいただかないことにはどうにもなりません。そんな意味で、私ども皆さん意見を、そして御希望をしっかり受けとめながら頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いをしたいというふうに思います。
  89. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 その第三回締約国会議、日本へ誘致できる可能性はどのぐらいでしょうか。ほぼ実現可能なのか、お聞かせ願えればと思います。
  90. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 まだこのことを申し上げる段階ではございませんが、この間、締約国会議の事務局長にお越しをいただきまして、私のところへも来てくれました。そして、日本での成功を非常に期待してくれています。それから、同時に開かれた仙台でのアジア太平洋地域の気候変動枠組み条約のアジアのセミナーでも、各国から、ぜひ日本で引き受けていただきたいし、そこで何とかひとつこの会議を成功させようというお話もいただいているやに承っておりますので、国際的な機運はやや盛り上がりつつある。  ただ、これは何分にもかなり大きな会議になります。NGOまで含めますと、ちょっと数は言うませんけれども、千、二千とかそんなオーダーになる。政府関係だけでなしに、NGOが随分参加をしていただくことにもなるだろうと思うのです。それだけに、かなり大きな国際会議になります。だから、予算上、資金上もありますが、やはり国民的にこの会議を成功させるために、まさにウエルカムな環境をつくらなければいけないというふうに思いますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  91. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 そのウエルカムな環境をつくるために、先ほど地球環境部長さん、さまざまな努力をしていくというふうにおっしゃったわけですが、そのさまざまな努力、簡潔にわかりやすく教えていただけますでしょうか。
  92. 浜中裕徳

    ○浜中説明員 現在私どもといたしましては、地球温暖化防止行動計画というものをつくっておりますので、当面、この目標の達成に向けて最大限の努力をしているところでございます。  先ほどもちょっと触れましたけれども、行動計画策定以来五年を経過しておりまして、この間、非常に広範な分野、例えば都市地域構造をいかに温室効果ガスの排出の少ないものに変えていくか、交通体系についても同様でございますし、エネルギーの供給構造も同様の観点から見直してまいりたい、国民のライフスタイルについても、やはり二酸化炭素などの排出の少ないものに変えていっていただく必要がある、こういうことで、毎年度各省庁がどのような対策をどの程度やっていただいているか、予算はどの程度であるか、こういったようなことについても毎年把握をしておろところでございます。現在国会で御審議をお願いしております平成八年度政府予算案におきましても、地球温暖化対策関連予算、各省庁合計で四千六百五億円というような極めて広範なものになつているところでございます。  このような努力をしておるところでございますが、先ほど来御指摘のとおり、私どもの現在の見通しでは、なお二〇〇〇年におきましては一九九〇年の水準を一千万トンほど上回ってしまう、こういうことでございますので、私ども環境庁といたしましては、行動計画に盛り込まれた対策の相在の実施状況や効果も踏まえまして、その目標の達成のためにさらに対策を強化していく必要が薪る、このように考えているところでございます。  具体的に幾つか例を申し上げますと、先ほどライフスタイルの問題も触れましたけれども、やはりこの問題につきましては、国民の皆様方、幅広くこの問題の御理解と、そしてライフスタイルの改善といいますか、そういうことに向けて御理解をいただかなければいけませんので、そういう意味での幅広い普及啓発を強めていきたい、このようにまず第一に考えております。  それから、やはり過去の公害対策などにおきましても、我が国地方公共団体が大変大きな役割を果たしたわけでございます。同様に地球温暖化対策につきましても、その対策を地域で強力に推進していっていただくために、計画の策定などに対する支援を行ってきたところでございますが、これを一層強化していきたい、このように考えております。  また、政府みずから昨年六月には率先実行行動計画を閣議決定をしていただいたわけでございまして、国みずから率先して省電力型機器の積極的使用でありますとかあるいは低公害車の導入など、行政事務に伴って排出される二酸化炭素を抑制するための取り組みを積極的に進めてまいりたい、このように考えております。  また、さらに新たな対策を立案するために、地球温暖化防止に資する技術の現状の評価とその普及方策の検討でございますとか、あるいは経済的な措置、さらには二酸化炭素排出の少ないライフスタイルを形成していくための社会システムをいかに形成していくか、こういった点についての検討も積極的に進めているところでございます。
  93. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 ライフスタイルという言葉が何度か出てきまして、ソフトの面からのアプローチ、これは非常に重要だと思います。ハードの面から迫りますと、二酸化炭素を排出する一番の源はやはりエネルギーそれから車だと思うのです。  このエネルギーと車ということにちょっとまた的を絞って議論を進めていきたいと思いますが、まずエネルギーですけれども、主なエネルギーといいますと、水力は五%程度ですから、これをネグりますと、火力か原子力ということになってまいります。火力は、基本的にエネルギー源をCプラスO2でCO2になる、そのときの発熱ということで得ているわけですから、CO2が生まれるのは、これは本質的なものでございます。そういう意味で、このCO2の排出量を抑えなきゃいけないとなりますと、どうしても原子力というものをどう考えるかという、また原子力を導入していかなきゃいけない、しかし原子力には放射性廃棄物という問題がある、この地球環境という問題とその原子力という問題をどう考えるかというところに行き着く、こう思うわけでございます。  私自身の考えを言いますと、非常に遠い将来、非常にという言葉がいいかどうかわかりませんが、例えば百年とか二百年というオーダーの先は、非常にクリーンなエネルギー、例えば放射性廃棄物を出さない核融合と太陽光、こういうものがエネルギーの主体になっているべきであろう。それが確立されれば、資源としては無尽蔵ですし、非常にクリーンであるということなんですけれども、そこに至るまで、CO2の排出を抑制しながら、かつその核融合とか太陽光を生み出す富を一方では蓄積していかなくてはいけない。そうすると私は、もう必然的に原子力、これは避けて通れないだろう、こういうふうに考えております。極端な言い方をすれば、放射性廃棄物を出しますので、これは必要悪というふうに言い切ってもいいかもしれませんが、悪だけれども必要だ、こういうふうに私自身は考えておりますが、岩垂長官はどのようにお考えでしょうか。
  94. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 今御指摘をいただきましたが、地球環境の保全だとか、特に温暖化対策の観点から見ると、エネルギーの効率的な利用を図ること、そしてそのエネルギー使用量を抑制すること、そして二酸化炭素排出量の少ないあるいは排出のないエネルギー源の導入、普及を図ることが重要であるということが大前提だと思います。しかし、原子力についても、地球温暖化防止行動計画や閣議決定した環境基本計画においても、放射性廃棄物対策や安全性が確保されることを前提としてその利用を進めることが位置づけられている。私としても、この原子力の利用に当たっての安全性の確保というのは大前提だというふうに思っています。  そして、社会党も、これは先生御存じのように大会で、この原子力発電についても、安全性を重視しつつ、高レベル放射性廃棄物やその処理などの研究とクリーンエネルギー、代替エネルギーの開発研究を促進し、将来の脱原発社会を目指して取り組む、そのために科学者や研究者の自主的に自立した研究を保障して、あらゆる分野で創造的、独創的な人材育成に努めるという方針を決めております。そういう意味でいうと、恐らく先生のおっしゃっている気持ちとあるいは共通なのかもしれません。ただし、できるだけ、その安全性がどういう形で担保されていくのか、それからそれまでに至る期限が本当にエンドレスのような長さなのか、もっと近くなるのか、近くなるために我々は努力をしなければいけない、そういうことに尽きると思います。  以上です。
  95. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 先日の社民党の第六十四回定期全国大会の質疑の中に、「原子力発電の問題については、稼働中の原発は認めた上で、代替エネルギーが確立されるまでは過渡的エネルギーと認めるというのが私たちの立場です。」ということがございます。つまり、稼働中の原発は認めるけれども、書いてありませんけれども、文脈として、新設は認めがたい、こういうことかなと思うのです。  一方で、二酸化炭素の増加を防ぐには、例えばここに、民間ですけれども、エネルギー問題の民間研究機関、日本エネルギー経済研究所が出した報告書でございますが、その二酸化炭素の排出量を一九九〇年のレベルに抑えるためには原子力発電所を現在の三倍近く建設しなくてはならない、一億キロワット。現在は三千万キロワットですか、ですから三倍近くの一億キロワットが必要だ、こういうレポートもございます。  気候変動枠組み条約で決められているCO2の排出量をこのレベルまで抑えようということを達成するためには、現実問題としてやはり原子力発電所の増設を進めなくてはならない。しかし、基本的に、長官が所属されている社民党の政策としては新設の原発については認められない、こういうことだと思うのですけれども、そこのところは矛盾しないでしょうか。
  96. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 かつて認めないという議論がございました。それについて、その後いろいろ議論をして、認めないとは言っていません。したがって、それは最小限に抑えるという、温度差はあるでしょう、しかし全く認めないというスタンスでないことだけは、これは今私が申し上げた社会党の時代の政策、そして今度の社民党の政策の中でお受けとめをいただけるのではないだろうか、こんなふうに思っています。  ただ、二酸化炭素排出量削減のためには、先生今おっしゃったように、エネルギーの供給の面では、例えばコージェネレーションなどによる発電等の効率の向上、あるいは太陽電池その他の新しいエネルギー源の導入が必要であることは言うまでもありませんし、それから、率直に申し上げて、需要の面でいいますと、一層の省エネ対策というものが必要ではないか。そしてそれは、やり方によって、国民協力を得られればやれる、かなりな効果を上げることができる。だから、省エネというところに非常に力を入れていく必要があるのではないかということを感ずるのです。  この間も、ある人と話したのですけれども、私たちは、いい年なものですから申し上げますが、寝るときは全部電気消しますよ。今の子供は電気はほとんどつけっ放しですよね。それが当たり前になっているわけです。そうすると、これが当たり前で、わしらが古いのかなという感じなんですが、古くても、やはりその方が私は生活をしていく上で大事だな。つまり、そういう意味では家庭内の教育など含めて、しつけといいましょうか、その部分でも物すごい省エネ効果みたいなものが期待できる。そういうことをやらないで、一方的に使う方だけ、だからこれだけ要るんだ、だからこれだけ要るんだと言ってしまったら、まさに際限なくなってしまうと思いますので、私は、そういう意味のさまざまなことを考えていいのではないか。  これは全く私見ですけれども、兵庫県で例の自動車のアイドリング、あれをとめていただくという条例をつくりましたよね。あれは省エネだけでなくて、やはり大気汚染の面でも二重のあれがあるわけですよ。だから、それを一概にすぐいきなりといったってしょうがないと思うのですけれども、法律にするといったってしょうがないと思うが、せめてそういう経験を国のレベルでやっていったらどうか。ヨーロッパは、御案内のように、ゴー、ストップでとまっているときにまでアイドリングをやめさせなければいかぬというような、そんな厳しいところもあるわけです。それだけ省エネなりあるいは大気汚染に対する対策などを進めているわけですから。  すぐそれができるとは私は思いません。しかし、私見でございますけれども、そういうことについての国民運動をみんなで起こしていくというようなことをやったら、今の大気汚染の面だけではなくて省エネの面でもかなり大きな意味を占めるだろうと思いますので、まさに私見でございますけれども皆さんで知恵を絞ってそんな国民運動を、法律でいきなり規制をしていくというのではなくて、考えていったらどうだろうか、そんなことを申し上げておきたいと思います。
  97. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 その点につきましては私も全く同感でございまして、地球環境部長さんの御答弁で、これからの活動の中にライフスタイルという言葉がたくさん出てきましたが、ライフスタイルの中に省エネというものをすり込んでいくということが一番大事だと思いますけれども、それをしてもなおかつ二酸化炭素排出量を抑えるためには、どうしても二酸化炭素を出さないエネルギー源というものを考えていかなきゃいけないというところがあるわけでございまして、その点について議論をさせていただきました。  では、原子力につきましてはこれで終わりまして、昨年十二月のIPCCで、いわゆる変動枠組み条約による努力がされてきた。しかし、この努力は、いわゆるノンリブレットポリシーといいましょうか、将来地球温暖化が起こらなかった、だから今までの努力は水の泡だ、そうなってもリブレットしない、後悔しない、そういうポリシーのもとの政策だったそうですが、このIPCCでは、もう確実に温暖化は起こると、具体的な数字を挙げていろいろな地球温暖効果が指摘され、本当に今の対策では全く足らないというふうなことが指摘されております。  そういう意味で、長官、こういうIPCCの厳しい指摘を受けて、もっと強力に計画を立て直してでもやるべきだという意見もございますが、その点についてはいかがお考えでしょうか。
  98. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 IPCCの第二次評価報告書によって、もっと思い切った政策の導入が必要だということは全くそのとおりだと思います。これは待ったなしなんですね。ちょっとやってみるというわけでも、そんな甘いものでもないわけで、そういう意味では本格的に、真剣に考えなければならないというふうに思っています。やはり、温室効果ガスの排出量を将来的に世界全体で一九九〇年を下回るレベルまで削減する必要があるという指摘は、余りおどかしでもなければ、差し迫ったものだということを世界じゅうの人が受けとめるために、警鐘を乱打したんだというふうに思います。  一方、排出削減対策の可能性について見ると、これも先生一番御存じのように、この二十年から三十年間の排出を一〇%から三〇%減らすようなエネルギーの効率化は、ほとんど費用を要せずに実現されるとの見通しを示しているとはいいながら、そう簡単ではない感じもするわけでして、削減の可能性をさらに強めていく。特に先進国で、二〇年ないし三〇年の長期間に排出量を二〇%削減するコストを無視できるか、あるいは逆に利益が得られる程度との研究も入っているわけですから。  ひところ私は自動車の排ガスで随分厳しいことを本委員会で言って、自動車メーカーの皆さんから、岩垂さん、そんなことを言ったら私のところの会社はつぶれてしまうよと、随分厳しい反対というか抵抗を受けました。しかし、日本の自動車メーカーはそれらの指摘を受けて、国民的な世論もございまして、いわば低公害車の開発に全力を注ぎました。技術的にも第一義的な優先順位をつけて研究をしてくれました。見事にクリアしました。それはマスキー法を乗り越えて立派な成果を上げたわけであります。その結果として、日本の自動車産業は世界に冠たる位置を占めました。つまり、日本の車はまさに低公害車であり、しかも安全性に強い、燃料は食わない。そういう試練というものにやはり耐えてきたわけです。  その意味でいうと、やはり日本もこれから温暖化に対するさまざまな施策の面で、技術の面でも、あるいは技術に対する投資の面でも、研究開発の投資の面でも、全力を挙げていくことが大事ではないかな。それがやはり日本の経済の発展というか、新しい分野での技術の開発、新しい分野での国際貢献というものに大きな成果を上げることができると思いますので、これもまたみんなで力を合わせて、例えば税制の面やあるいは政府関係研究開発費の傾斜配分の問題や何かを含めて、全力を挙げて技術立国としての対応を進めていくきっかけにしなければならないなと思っております。
  99. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 長官の御答弁の中にありました低公害車でございますが、これも二酸化炭素排出抑制の非常に大きな柱であろう、こう思うわけです。  よく低公害車の話をしますと、電気自動車それから水素自動車、いろいろあるわけですけれども、電気自動車は、確かにガスは出さないけれども、電気を起こすために二酸化炭素を出す。発電所を建設するためにセメントを生産する、そのセメント生産のために多大な二酸化炭素が出されているということで、トータル、グロスで考えてみなければ本当に低公害車になっているかどうかわからないではないかという議論があるのです。  その点に対して、電気自動車、水素自動車、全く問題がないのかどうか。その点の御質問一つと、現在の国内メーカーで電気自動車一水素自動車の開発がどのような状況になっているのか、また国としてそれを助けようという施策をされているのか、その二点についてお伺いをします。
  100. 大澤進

    ○大澤政府委員 御質問の、まず現状がどうかを先に御説明したいと思います。  低公害車の現状でございますが、現在、環境庁は毎年関係団体を通して調査を行っているのですが、それによりますと、昨年、七年の三月末で電気自動車二千三百台、天然ガス自動車四百二十一台、メタノール自動車三百九台、それからハイブリッド自動車百二十八台、合計で三千百五十八台の低公害車が現在使われている。  ただ、お話しの水素自動車については、試験的に今公道を走っているのは承知しておりますけれども、具体的な形で使われているという段階に至っていない、こんな状況にあります。  今後の見通しでございますけれども、これらの自動車についてはいろいろ利点とか欠点がございまして、性能の向上のためにはいろいろな技術的な問題がある。例えば電気自動車であればバッテリーがやはり基本でございますから、それについてもっと性能のいいものが必要であるとか、あるいは重量のもっと軽いものが必要だとか、あるいは天然ガスにつきましては充てんするガスタンクの材質といいますか強度の問題、強度というよりも、逆に非常に強いものを使うとやはりこれも重くなるとか、こういう問題もございまして、技術上の問題で解決すべき点が多々あるかと思います。  それから、二点目といいますか、低公害車を評価するときにはやはり総合的に見るべきではないかということで、私どももこれまで幾つかの資料を踏まえて比較しておりますが、一昨年の三月に低公害車普及方策調査報告書というものを公表しておるのですが、そこで、発電時やあるいは燃料製造時、これも考慮して、総合的にこれら低公害車の排ガスの状況はどうかというものを調べてみました。  それによりますと、小型バンの大きさでございますが、ガソリン自動車を一〇〇とした場合に、NOxの排出量というのは、電気自動車では三六%、それからメタノールでは七四%。それからCO2の排出量につきましては、電気自動車が四二%、それからメタノール自動車では三七%。先ほどの水素自動車については、まだ走行試験の段階、公道上ですが、試験段階ということで、これらに関するデータは私どもの手元に得られておりませんので、今後十分フォローしていきたいと思います。  以上でございます。     〔大野(由)委員長代理退席、委員長着席〕
  101. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 燃料生産施設を含めたトータルな面で見ても低公害車はやはり低公害車である、CO2排出抑制に役立つ、こういうことが確認できました。ありがとうございました。  通産省の自動車課長さんに来ていただいておりますので、この低公害車の民間企業における開発状況についてお伺いします。
  102. 大井篤

    ○大井説明員 先ほど御指摘ありました電気自動車、水素自動車でございますけれども、現在、日本の自動車メーカーにおきましても、どのように低公害化を図っていくかということは大変重要な研究開発課題になっておりまして、各社とも積極的に取り組んでいるところでございます。  特に電気自動車に関しましては、国とも協力をしながら、電池をどのように高性能化していくか、それからまた車両の軽量化をどのように図っていくか、こういった面につきまして既に各社とも相当の努力を積み重ねておりまして、数社から自動車が市販をされている。ただ、残念ながら値段の面でまだ相当格差がございますので、これを普及をしていく上には、その値段をどのように取得しやすいレベルにしていくのか、こういうことが重要でございます。その点につきまして、私ども通産省も含めました関係省庁の方で、普及につきまして平成八年度の予算の方にも所要の手当てをしている、こういうことでございます。  それから水素自動車でございますが、一部のメーカーで取り組んでいるわけでございますけれども、運輸大臣から認定を受けて試験走行をする車もございます。ただ、試験研究段階でございます。問題といたしましては、水素の貯蔵の問題をどうやっていくのかということが大変大きな問題でございます。大変な圧力でボンベに入れるのか、それとも水素吸蔵合金というようなものを使って化学反応的に水素を取り込むような方法がないだろうかとか研究しておるわけですが、例えば水素吸蔵合金でやる場合においては少し重量がかさむ、通常一・二トンぐらいの車で水素吸蔵合金を積み込みますと一・八トンぐらいになってしまう、こんなような問題がございます。したがいまして、いかに軽量でかつ安全に水素を供給をしていくのかということも大変重要な技術課題ではないかなということで、私ども研究開発予算等も使いながら、そこら辺ブレークスルーを図っていきたいというふうに思っております。
  103. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 どうか環境庁と通産省、よく連携をとりながら、この低公害車が発展しますようによろしくお願いいたします。  これで、いわゆる二酸化炭素排出抑制に関しての質問を終わります。  次に、旧日本軍の投棄した毒ガスの問題について、これは前回もこの環境委員会で問題にさせていただきましたが、これをお伺いしたいと思います。  昭和四十八年、二十三年前ですけれども環境庁が、旧当時代、昭和二十年以前に大久野島で生産された毒ガス、これが全国各地に投棄をされております。陸地として十八カ所、海中投棄された箇所が八カ所、この昭和四十八年の調査によってこういうことがわかった、遺棄された場所がわかった、こういう調査結果が報告されておりますけれども、これで十分であった、このようにお考えでしょうか。
  104. 田中健次

    ○田中(健)政府委員 環境庁が承知をいたします限りにおきましては、昭和四十八年の調査、これは環境庁が独自で調査したものではございませんで、四十八年当時におきまして既に戦後二十年余りをたっておる、そうした中で、防衛庁あるいは厚生省等の関係省庁が残存をいたします資料あるいは関係者の証言等を可能な限り収集をいたしまして調査したものを、当時の内閣審議室とそれから環境庁が主宰をいたしました大久野島毒ガス問題関係省庁連絡会議が取りまとめたものと聞いております。そのために、当時からまた二十年余りを経た今日でありまして、改めて追加情報を収集しても当時以上の情報の入手はなかなか実務的には難しいというふうに考えております。
  105. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 昨年、これは新聞報道でも大きく取り扱われましたけれども、北海道の屈斜路湖でこの毒ガスが投棄されていたということがわかりました。いわゆるイペリットルイサイト、致死性の高い、大久野島でつくられたものでございます。  この屈斜路湖、環境庁が昭和四十八年に調査されて発表された結果の中には入っておりませんけれども、投棄場所としてその報告では報告されておりませんけれども、この点はどういうふうにお考えでしょうか。
  106. 田中健次

    ○田中(健)政府委員 これは四十八年の調査のフォローと言えるかどうかは別にいたしまして、環境庁といたしましては、外務省と共同いたしまして都道府県の環境担当部局に対しまして、いわゆる化学兵器の禁止条約の締結作業の一環として、各都道府県の区域内におきます化学兵器の存在あるいはその処理状況を、条約発効後に条約上の義務となる申告等の基礎資料を得ることを目的として、四十八年以降新たに判明をした事実に留意しつつ情報提供をいただくように照会をしたところでございます。
  107. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 ちょっとよくわかりませんが、私は、昭和四十八年に環境庁が発表されたその陸十八カ所、海八カ所以外にもこういうふうに毒ガスが遺棄された場所がたくさんある、このように思うわけでございます。中国に遺棄された毒ガス問題については、その化学兵器禁止条約に基づいて一生懸命これから処置するということでございますが、国内に遺棄されたものについてはその条約が適用されないということでございますので、これは国内問題としてもう一度、全国に、いろいろなところに、環境庁が一度発表されたところ以外にも、この屈斜路湖のように毒ガスが埋もれたままになっている、捨てられたままになっている、そして近くに人間が住んでいるんだけれどもその危険性に気づかない、これは非常に恐ろしいことでございますので、この際、もう一つの戦後五十年問題、戦後処理として全国総点検を提案したい、このように思いますが、いかがでしょうか。  大臣、もしお答えいただければ……。
  108. 田中健次

    ○田中(健)政府委員 ただいま申し上げましたように、この化学兵器の禁止条約締結作業の一環として各自治体を通じて調査をいたしておりまして、現在のところ、調査を依頼した四十七都道府県のうち四十四の都道府県から回答を得ておりまして、大部分の県からは化学兵器等に関する情報を有しない旨の回答を得ているところでございます。  まだ回答の未着の県等もございまして、これも終了いたしておりませんが、そういうことで調査をいたしておりますので、私どもとしてはこういうことでいいのではないかというふうに考えております。
  109. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 自治体に聞きましても、特別な調査をしない限り知りませんというところがほとんどだと思うのです。  ところが、私、広島県ですけれども、広島県でいろいろ呼びかけてみますと、今まで黙っていたけれども、実はおれは宮島の沖に毒ガスを捨てたんだ、こちらが呼びかけますとそういう証言者がどんどん出てくる。この屈斜路湖の場合もそうです。オウム真理教のあの毒ガス事件を見て、やはりこれは言わなければいけない、死ぬまで黙っていようと思ったけれどもやはり言わなければいけないということで、そういう方が出てこられて、この屈斜路湖のイペリットルイサイト、湖の底に沈んでいるのがわかったわけです。  そういう形で、この際、毒ガス問題も決着をつけるということで、ぜひ環境庁として徹底した調査をされるべきだ。これは非常に大きな環境問題だと思うのです。環境庁長官、いかがでございましょうか。
  110. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 大久野島については、率直に申し上げて、昭和四十五年の関係機関の協力を得ての調査を行って毒性がないということを確認をした上で、専門家意見を聞いてコンクリートに封入処理をしておって、適切な措置がなされたと考えていますが、御案内のように国立公園です。それからまた国民休暇村の施設もあるわけですから、必要があれば同島の土壌調査など、安全の確保に万全を期することは必要だというふうに思っています。  ただへそれで全国的にということになると、これは環境庁だけの判断でできるものでもございませんので、それらは環境庁内部で検討させていただきたいというふうに思います。
  111. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 その全国的な調査、ぜひ、もう一つ残っている戦後処理ということで前向きに検討していただきたいと思います。やはり環境庁がイニシアチブをとらないとどこもやろうとしない。防衛庁に聞きますと、それは旧軍がやったことだという話ですし、厚生省に聞きましても、それは環境問題だから環境庁だということで、もうたらい回しもいいところでございます。ぜひ環境庁主導でやっていただくようにお願い申し上げます。  それでは、先ほど大臣おっしゃった大久野島の問題なのですが、私もこの間大久野島へ行ってまいりました。あそこに毒ガス資料館というのがございまして、その館長さん、村上さんという方、毒ガス製造で働いた経験を、そして毒ガスの後遺症で苦しまれたという経験をお持ちの方でございます。その方からお聞きしたのですが、島の中に十九カ所の防空ごうがあった、その防空ごうにくしゃみ性ガスを終戦後捨てた、いわゆるさらし粉に海水をぶっかけて無毒化したということらしいのです。ところが、よく聞きますと、十九カ所の防空ごうに捨てたんだけれども十六カ所しか判明しない、あとの三カ所は一体どこだったんだか今もってよくわからない、こういうことでございます。  それで私も、わかっている十六カ所の防空ごうを見ましたけれども、コンクリートで封印しているとはいえ、入り口の上の方にはもうすき間がある、こういう状態でございまして、本当に安全かどうかわからない。それから、先ほど無毒化ということがございましたが、この村上館長にお聞きしますと、いわゆるくしゃみ性ガス、致死性は少ないのですけれども毒ガスです。それは原料の状態でさらし粉と混入されたのではない、鉄製の砲弾に入ったものが捨てられている。ですから、鉄でくるまれているわけですから、さらし粉と一緒に海水をぶっかけても、中身については無毒化されてないわけでございます。  ですから、そういう意味も含めて、この大久野島は国立公園、国民休暇村、環境庁の所轄でございますので、私は少なくとも、全国的な調査を始めるスタートとして、この毒ガスの島、大久野島に今なお捨てられている毒ガス、十九カ所ある、十六カ所わかっている、それをもう一度安全性をチェックする。土壌、水質が汚染されていないだろうか、そういうチェックをする。そして、あと見つかっていない三カ所についてもこれを捜す、そういうことが必要であろうと思うのです。これは今国民休暇村で、国民宿舎があります。子供たちが修学旅行で来ております。そういうところに、そのすぐ近くに毒ガスが埋められて、それがどういう状況になるかわからない。  四十八年の調査で、これは無毒化されたということがわかったとおっしゃいますが、証言者によると、先ほど申し上げましたように、筒に入ったままなので無毒化されているというのはちょっとおかしい、こういう証言もございます。その点についてはいかがでございましょうか。
  112. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 先ほど御答弁を申し上げましたように、実はこれはまだ十分な検討をしない形で、御指摘を受けたことに対して私なりに答弁をしたわけでございまして、環境庁としては、今後とも必要に応じて同島の土壌調査を行うなど安全の確保に万全を期してまいりたいという、その答弁に尽きるわけであります。  そこから問題がどんなことになっていくか、それは調査の結果に基づいていろいろな形があり得るというふうに思っておりますが、本日の答弁はその言葉に尽きさせていただきたいと思います。
  113. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 前回この委員会でも同じ指摘をさせていただきまして、宮下環境庁長官から、「これは調査をどういう形でやるかはともかくとして、そういう状況を把握することも環境行政上やはりこれは必要なことではないかと思いますから、ちょっと工夫をさせていただいて、」「そういうものがあるかないか、照会等をある程度行ってみたいなという感じを持っております。」という御答弁をいただいております。そういう意味で、戦後処理につきましては大変御熱心な岩垂長官でございますので、ぜひ積極的な施策お願いしたい、このように思います。  もしこれが、もう一度調査して全く問題ないんだ、安全なんだということであれば、それはそれなりにいいかと思います。しかし安全であれば、例えばそれを一部出してこの毒ガス資料館に陳列するとか、そういうことをしても、要するに毒ガスの問題、決して五十年前に終わったわけじゃないんだということを示す一つの資料として貴重ではないか、このように思うわけでございます。  時間が来ました。きょうはそういうことで、二酸化炭素の排出抑制、それから全然関係ないのですが、毒ガスの問題を質問させていただきまして、環境のエキスパートと言われました岩垂長官の、非常に積極的な二酸化炭素排出抑制への御決意、また原子力に対する考え方、それも決して原子力を否定するものではない、二酸化炭素排出抑制に一定の役割を持っているんだという御認識、それからこの毒ガスの問題について、戦後処理問題としてきちっと対処をしていただくという御答弁をいただきまして、私にとっては大変有意義な質問でございました。ありがとうございました。  終わります。
  114. 杉山憲夫

    杉山委員長 竹内猛君。
  115. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は社会民主党・護憲連合の竹内であります。  このたび、岩垂長官が就任をされましたことは、まことにおめでたいことです。この前の長官も長野県であったし、今度も長野県で、同期に当選をして、彼は労働運動で総評で一生懸命やったし、僕は農民の方へ入っていって、同じ政治の道を歩んできてまたここで一緒になるということはなかなか奇妙なことだと思っているのです。社会党の中にもいろいろな流れがあったけれども、二十何年間か同じ流れで来たというのは大変楽しい話でして、顧みればおもしろいことばかりだった。  そういう中で、特に村山総理が誕生して、環境委員会で一番問題になった水俣病の問題についてひとまず方向性が決まって、まだあと残ってはいるけれども、これは大変成果があったと思いますし、先ほどの岩垂長官所信表明幾つかの項目、これはまことに結構だと思うのです。それを一つ一つこれから聞くのは時間がないから、私は主として、ガット・ウルグアイ・ラウンドの体制のもとでの農業と環境という問題について、まず最初に尋ねたいと思うのです。  このガットの問題については、二つの問題があります。その一つは関税で自由化をする、もう一つ保護を取ってしまう、こういう二つの問題がある。それは国際的にも国内的にも問題なんですね。そういうことを言っていながら、先にこれをつくったEUにしてもあるいはアメリカにしても、自分の国の農業なりなんなりについてはまだ保護を続けている。奨励金も出しているし、不足払いもするし、多くの保護をしているにもかかわらず、日本は先般食管法を改正して新食糧法に変わっていった。そして今度、新しい農政をつくるという方向で今進めているわけですね。  ガットを受けたときには、ちょうど私は農林水産委員長の席にあって、当時、細川総理それから羽田外務大臣、今では野党でいろいろ言っているけれども、当時は与党としてこれを受け取ったわけなんです。断崖から落ちる思いであるとか断腸の思いであるとか、大分そういうふうに言ったけれども、それじゃどうするんだということでこれの対応をしたときには、既に我々が今度は与党になっておりました。  そこで私どもは、与党二百十三名が一緒になって、美しいみどり、きれいな水・安全な食糧を守る議員連盟というものをつくりました。私がその座長を務めて、桜井新さんが座長代理という形で、それで、大変評判が悪かった大蔵省のあの中島主計局次長をかなり苦しめて、いじめて、そして六兆百億と一兆二千億のガット対応の財政を裏づけするという形で、とりあえず進めてきた。  そういう中で、なおそれだけでは済みませんで、これからどうするか、議員だけでは仕事ができないということで、この議員連盟が今度は四十四団体に話をして、四十四団体というのは、農協から農業会議から、学者あるいは技術者、消費者団体、たくさんの団体が入っておりますが、去年の七月の参議院選挙の前に今度はみどり運動連絡会というものをつくって、これが運動をする。  その前に、緑の募金を従来は自由にしてやったものを今度は法制化しようということで、これは全党の皆さんにも相談をして、去年の四月二十七日に議員立法で緑の羽根の募金に関する法制化をして、そしてそれはことしの四月一日から行動に入る、こういうような仕組みになっている。  そのねらいは、都市と農村、山村と都市というものを理解してもらい、水も緑も、ただ単にほっておけば流れるものでもないし、伸びるものでもないのだ、やはりそれには膨大な金がかかるのだということをお互いに理解してもらわなければいけない。現在、人口は三分の一が首都圏に集中し、そして中京圏あるいは阪神圏、北九州、それから都府県においても県庁の所在地、第二都市というところに集まっていて、農山村が空っぽになっている。大体その比率は三対七であるということを考えてみると、この農山村と都市との乖離を解くためにはどうしても運動が必要だというように我々は考えて、そういうことを進めてきたわけであります。  そこで、これから質問ですが、農林水産省が最近、ガットのもとでの日本の農業の展望というものについて長期計画を立てている。その中でまず聞きたいことは、食糧の自給率というものを何%ぐらいに考えているのかということ、これが一つのポイントですね。  その次は、農地は一体どうするのか。現在五百二十万、あるいはもっといっているかもしれませんが、それを四百八十万ヘクタールぐらいに減らすという方向もある。それから、農家の所得というものを、専業と言わないで、今度は主業、副業というような形で総合所得になっているけれども、これは大体農業でどれぐらいのものを見込んでいるのか、こういう関係ですね。  その次には、農村の生産形態というものは、これは環境とも関係があるけれども、従来は、上の方から補助金で指示をしてそれを聞けないのはけ飛ばしてしまう、こういう方針をとったけれども、そういう農政は今余り受け入れられない。やはり農家から出発をしてそれを制度化していくという、運動と行政とそれから制度の結びつきがなければいけない。日本には今十四万の集落がある。その十四万の集落というものが基礎にならなければいけない。ところが、まだそこまでいっていない。この前私は環境委員会で、長野県の小平権一さんの話をここへ持ち出して、そういうことをやれということを言ったけれども、まだそこまで進んでいない。怠慢とは言わないけれども、非常に不十分ですね。  これは前に、ガットを受け入れるときに、私は予算委員会で四時間質問をして宮沢総理にも言ったのだけれども、農業の生産形態と、天気や水やあるいは土地条件やそういうところを相手にしてつくるものと、それから天気や水やそういうようなものとは関係なしに、土地と工場と技術と資源があれば生産ができる工業と同じような取り扱いをすることは間違いである、それを分離すべきだ。工業製品は自由貿易で十分にこれは競争ができるにしても、農畜産物というものは、農林水産物というものはそういうことではないじゃないか。これが我々のみどりの議連の方式でもあるし、それから学者の意見でもある。ここで農業基本法が破綻をして、新しい農業基本法にかわるべき方向をつくろうとしているときに、農林水産省としてはどういう考え方を持つのか。当時の宮沢総理は、私の考え方にちゃんと、それはそのとおりでございます、現在の加藤自民党幹事長は、この間の選挙のときの公約は、今言ったように、農業生産の方式と工業生産の方式は違う、こういうふうに言っているわけだが、ここらに対する農林水産省の意見をまず聞いて、その後で岩垂長官からお答えをしてもらいたい。
  116. 田原文夫

    ○田原説明員 ただいまの先生の御質問でございますけれども、まず数字的な点につきましていろいろとございましたのでお答えを申し上げたいと思います。  昨年十二月に策定いたしました「農産物の需要と生産の長期見通し」、これは平成十七年度を目標年次としておりますけれども、この中におきましては、農産物の自給率をまず四六%程度というふうなことで目標を立てさせてもらっております。すなわち、平成六年度の実績は四六ということでございますので、現状以上には自給率が低下しないように全力を挙げて取り組みたいという姿勢を示したものでございます。  なお、その中におきます必要な農地面積ということでは、一応これから単収等も上がっていくというふうなことで、現在の農地面積、大体五百四万ヘクタール程度でございますけれども平成十七年度におきましては、そうした生産を上げるためには四百八十ないし四百九十万ヘクタール程度の農地が必要であるという前提をとっているわけでございます。  また、農家所得と申しますのは、これはそうした長期見通しとは直接は関係はございませんですけれども平成四年に策定いたしましたいわゆる新政策、この中におきましては、農業に従事される方々がいわば他産業に従事される方と生涯所得において均衡をし得るような所得を上げられるようにというふうなことで、生涯ずっと働いていただきますと二億円とか二億五千万という他産業並みの所得が確保できるように、新しい政策というものの中においては実現していきたい、こういったものにしているわけでございます。  そういった状況でございますけれども先生のただいまの御質問でございます農業の他産業と比べました特殊性等々につきましては、農業は、もうこれは私から申すまでもなく、自然を相手にする産業でございまして、いろいろな影響を受けてまいるというようなことでございまして、非常に他産業と比べますと不安定な要因等々あるわけでございます。  そうしたこと等々も十分踏まえながら、また他方、国民の生活にとって不可欠である食糧を生産するという面もございますので、私どもとしましては、日本の農業が将来にわたって永続していくようにいろいろな施策を展開していきたいということで対応しているところでございますし、またいろいろな国際会議の場におきましては、そうした農業の特殊性というものが幅広く理解されるようにというふうなことで、いろいろな機会をとらえながら我が方の主張、そういった実態等々につきましては主張を申し上げている、こういう状況でございます。  以上でございます。
  117. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 先輩である竹内さんにお答えをするのはおこがましゅうございますけれども、御質問でございますから答弁をさせていただきたいと思います。  農業は自然環境に基礎を置く産業であることは申すまでもございません。食糧の安全供給という重要な役割、そして国土・自然環境の保全などという多面的な役割を果たしているということを十分承知をいたしております。  また、熱帯林の減少や砂漠化の進行などの地球的規模の環境破壊の根底には、人口の急増、食糧不足等の問題があることも指摘されており、日本の農業を考えるに当たっても、御指摘のように、地球的な幅広い観点から考えていく必要があると考えております。  環境庁といたしましても、こうした考え方のもと、関係省庁と連携を図りながら、持続可能な開発に向けた取り組みを一層推進してまいりたいというふうに思っております。  私も実は農村の生まれでございまして、自然豊かな農地や里山などは、農業生産の場であるとともに、我が国の多様な自然環境を構成する重要な要素であり、環境保全行政と密接な関係にあるということをしっかりと受けとめています。  具体的に申しますと、農業の生産の場である農地については、美しい田園景観の形成など、農山村地域における自然環境の重要な要素であると同時に、例えばトンボであるとかあるいは水生生物など、水田を中心とする豊かな生態系の形成などの面で大きな役割を担っていることもよく承知をいたしております。  このような背景のもと、実は環境基本計画においても、自然と人間との共生の確保という観点から、森林、農地、水辺地等における自然環境の維持形成を基本的な方向として位置づけていることは御案内のとおりでございます。環境庁として、こうした農地などの自然環境保全機能が維持されるように、関係省庁施策協力して努力を尽くしてまいりたいと思いますので、よろしく御指導をいただきたいと思います。
  118. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 今、長官及び農水省からのお答えがありましたが、これはほとんど私も一致をしていることであって、何も言うことはありません、そのとおりですから。  これから農業問題、農林水産業というものを農林水産省の独占物にしないで、むしろ政府としては、環境の問題であり、乱開発などは余り許さないように建設省も注意してひとつ仕事をしてもらいたいし、自治省も地域で物を集合して仕事をするようにしていかなければ、建物ばかり建てても農村はよくはならない。  そういう点で、農業、農村、食糧、それから人口、環境、資源、エネルギーの循環、これは持続可能な農業の生産形態という、この形態は工業はちょっと無理なんで、やはり農業でなければできないことであって、特に日本の農業は、西欧と違うのは水田農業ですから、水田農業の持っている公益的な価値、水の保有率、棚田の持っている仕事、景観の保持、あるいは文化と伝統、それから国土の保全、こういうようなものを考えると、それを買えば、あるいは人を雇ってやれば大変なことになる。だから、これを守るためには税金を取れとか入場料を取れとか、ごみを捨てる者に対しては、あるところではごみを集めるための金を取ってやっている。  朝日新聞の二月十九日の論説には、北海道の伊達市ともう一カ所ある町の例を出して、環境税というものをこの際つくれということを勇敢に言っているわけですね。要するに、個人の自覚と環境の保全というものは、これは分離してはいけない。だが、すぐそれをつくれと言っても無理ですが、先ほども七条さんが提案をされましたが、周じ気持ちを私も持っておるものですから、すぐとは言わないが、それを運動として、議論として考えていく必要があるだろうと思う。これは長官、どうですか。
  119. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 午前中もお話を申し上げましたけれども環境基本計画にも記載をしてございますが、通常の事業活動や日常生活に起因するところが大きい今日の環境問題の解決には、従来型の規制的手法に加えて、市場メカニズムを通じた経済的手法を適切に活用することが有効だというふうに、諸外国の例だけではなくて、今御指摘になりました伊達市のごみ処理を有料化したという実績、そしてその成果にも指摘されているとおりでございます。  環境庁は、現在、学識経験者による研究会を設けて、内外研究成果政策の実際を参考にして、環境保全上の効果そして国民経済に与える影響等の論点を中心に検討を進めておりまして、近々その報告ができる運びになるだろうというふうに思います。  ただ、全般的な税制改革ということを考えた場合には、いろいろな制度がございまして、いきなりそれをぶつけて、さあこれで協力をしろというわけにはいきません。その意味では、炭素税その他を含めた経済的な手法についても、国民的なコンセンサスを得るための努力をしていかなければならないと考えております。それは、ごみ処理に金がかかるからということだけではなくて、お互いがお金を出し合うことによってごみを出すことを減らしていく。そういう努力と相まって、ある種の国民運動的な要素が加わることが一番望ましいだろう。それがまさにインセンティブの役割になるのではないだろうかというふうに思いますので、そんなことを含めて、環境庁としても、各省庁と連絡をとりながらその研究の具体化のためにいろいろ勉強してまいりたい、こんなふうに思っております。
  120. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 世界湖沼会議の問題について質問をしたいと思います。  今から十二年前、滋賀県の琵琶湖から出発した世界湖沼会議は、二年に二遍ずつの会議をやつて、ハンガリーに行ったりイタリーに行ったり中国に行ったりアメリカに行ったり、そうして今度は我が霞ヶ浦で去年やりました。入った人は八千五百人を超えて、百六十ぐらいの団体が参加をした。大変盛大であったと思いますが、そこへ参加した人たちが言うのは、集まっただけでは非常に物足りない、こう言うのです。やはり会合があったら一つや二つは何か問題を残して、それが持続できるようにしなければいけない。役人というのは、二、三年いればやめたりどこかへ行ってしまう、しかし地域の人は、いつまでも、どこに行くわけにもいかないのだから、地域の人を主体にした浄化運動になるようなものを残してもらいたい。こういうのが中心なんだ。これが一つなんだ。  それから二つ目は、霞ヶ浦の宣言と琵琶湖の官言との内容が違う。琵琶湖の宣言は、水質をきれいにするために、流出する汚染源というものを尋ねながら環境アセスメントをやる。これをどのようにしたら征伐できるかということに対する方向を探ってきた。ところが霞ヶ浦の宣言は、これは人間のいろいろな圧力があって、そしてそれ序もう既に汚しているのだからということと、七つの宣言の中に、開発を中心として、その枠の中で浄化をする、きれいにするということで、開発中心ではないのか、それでは後退ではないか、こういう声があります。  これについて、関係のあれはどうですか。
  121. 嶌田道夫

    ○嶌田政府委員 今先生おっしゃいましたように、昨年の十月、大勢の国から大勢の人が集まりまして世界湖沼会議が開催されまして、今先生言われましたように、霞ヶ浦宣言というのが採択されております。  人口と生物多様性の問題でありますとか、開発計画が環境に与える影響、湖沼問題についての知識と技術の移転、それから行政、産業界、学会、住民などのパートナーシップというようなことをいろいろ書かれておりまして、これ全体を見てみますと、必ずしも開発ということに重点を置かれたものではございません。現実に即して、なおかつ現在の霞ヶ浦の水質を少しでもよくしていこうという観点から取り上げられた宣言であろうと思っておりますし、またこの宣言自身は、これからの世界の湖沼の水質改善をどのような方向へ持つていくかということを踏まえた宣言であろうと思っております。  環境庁といたしましては、このような宣言を十分踏まえまして、霞ヶ浦につきましては、今度第三期の湖沼水質保全計画をつくることになっておりますので、その中で先生のおっしゃいましたような趣旨を十分踏まえまして、水質保全につきまして努力していきたいというふうに考えております。
  122. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 きのうの茨城新聞を見ると、閉会をして、解散をしたのですね。県の予算の中に、環境問題に対して応分の、霞ヶ浦だけじゃない、特別の措置をしようということになっているから、これは県を督励して、県も逃げないで、これは建設省に頼みたいのだけれども、建設省はこれを指導してもらいたい。これは環境庁も一緒にやってもらいたいのです。これは後でまとめて答弁をしてもらいますけれども、これが一つ。  それから次は、渡良瀬遊水池の問題です。  渡良瀬遊水池については、これはもう岩垂長官も一緒に現地を見たし、嫌というほどわかっている。そこは、第一期工事をやって、二期か三期の工事をしようとしている。ところが地元が、それは工事をして臭い水を飲むよりも、あの大平原を首都圏の憩いの場として自然のまま残しておいてもらいたい、国定公園にしてくれという強い要求がある。これをどういうぐあいにこれから考えるのかということについては、これは今かなり現地にまた運動が再現をしております。  それからもう一つの問題は、これは私の生まれたところで、茅野市の問題で恐縮ですが、公害の防止の関係の、これが今度切れちゃう。松本と茅野がそれに入っているわけで、もう四回やったけれども、それでもまだ温泉の排水など基準以上の排水が諏訪湖に流れ込んでいく。それがどうも余りよろしくなくて、目的のCODに達しない。継続してほしいという要求がある。  この点について、それぞれの関係者からお答えをいただきます。
  123. 白波瀬正道

    ○白波瀬説明員 霞ヶ浦の浄化につきまして、建設省としても県をいろいろ指導してはどうかという御指摘でございました。  霞ヶ浦は、治水利水上非常に重要な湖でございますが、あわせまして水質保全上も大変重要な課題を負った湖でございます。そういった認識を我々は持っておりまして、その霞ヶ浦の水質浄化につきましては、当然湖に流入いたしますところの水質汚濁の源となるものの対策が必要でありますことから、従来から県と密接な連絡等をとって対応してきたところでございます。  もちろん河川の事業におきましても、そういった密接な連絡をとりながら、県ともども対応してきたところでございます。例えば河川事業といたしましては、栄養塩の多い土浦沖あるいは高崎沖等の底泥のしゅんせつであるとか、あるいは流入河川におきますヨシの浄化機能を用いましたところの浄化施設の設置等々、事業を鋭意推進しております。  そういったことからいたしまして、今後とも県と十分な連絡をとりながら、そういった霞ヶ浦の浄化に向けての事業を推進してまいりたいというふうに考えております。
  124. 竹村公太郎

    ○竹村説明員 先生の御質問の渡良瀬遊水池総合開発事業について御説明させていただきます。  渡良瀬遊水池は、利根川と渡良瀬川が合流する地点にございまして、利根川が大洪水のとき、渡良瀬川の洪水を遊水池に導入いたしまして、そこで水を遊ばせて利根川の堤防の負担を軽くすることによって利根川沿川の茨城県、栃木県の方々の水源を守ろうという目的と、首都圏の水道用水を提供しようという目的の事業でございます。  御指摘のように、第一調整池につきましては平成元年に完成しております。私ども、渡良瀬遊水池が首都圏の貴重な環境空間であるということを認識しまして、第二貯水池事業につきましては、昭和六十三年から水質、動物、植物等の環境調査を重点的にやってございます。  この第二貯水池事業につきましては、先生指摘のように、地域の方々の意見を十分聞こうということで、私ども現在実施しておりますダム等事業審議委員会対象事業にいたしまして、幅広く一都五県の二十三名の学識経験者を初めとします委員会によって審議をしていただいております。そして、本年一月二十一日には「広く意見を聞く会」ということで、地元に住んでいる市民団体の方々、一般の方々の御意見を聞いて、この第二貯水池事業の進め方について、私ども、それらの意見を十分尊重しながら今後進めていきたいと考えておりますので、よろしく御理解のほどお願いいたします。
  125. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 竹内さんにお願いをしたいのですが、第六回世界湖沼会議、イベントみたいな形になってしまっているのではないかという御指摘があるわけですが、一面そういうことも必要だということは御理解をいただきたいと思うのです。というのは、その会議を通して地域住民が、そんな会議があったのだな、それではみんなで取り組んでいこうじゃないかという意味ではイベントということも必要だ、大勢参加することにも意味があるということを御理解いただきたいと思います。なぜかというと、私、第一回の湖沼会議から出席をいたしておりますものですから、そんなことを身びいきで申し上げるのではなくて、御理解をいただきたいなというふうに思っています。  それから第二点の、竹内さん、霞ケ浦と渡良瀬遊水池のことを国定公園というふうにおっしゃいましたけれども、国定公園は、県が申請をして、それを国がどう受けとめるかということでございますから、県の方の条件が整わないとそれはそう簡単にはいかないわけでございますが、恐らく問題になっておりますラムサール条約の登録湿地のこともあるだろうというふうに思うのです。  これについては、環境庁、全国で十カ所指定していますけれども、条件がございます。湿地の登録に当たっては、一つは水鳥類の生息する国際的に重要な湿地であること、それから地元の同意が得られること、そして政府として責任を持って当該湿地の自然環境を保全していく担保措置があること、この三つの条件があるわけでございます。残念ながら現時点において、霞ケ浦と渡良瀬遊水池についていえば、その三つの条件を満たしているというわけにはいきません。したがって、今後とも当該地方公共団体含めて地元との対応が求められなければいけない、相談をしていかなければいかぬ、こんなふうに思っていますので、御理解をいただきたいと思います。  それでも、私も現地に行ってお願いをしたことがございますが、渡良瀬は、わざわざ建設省がコンクリートをはがしまして、そこヘヨシやアシをかなり広い面積で植えまして、自然浄化というものが進んでいることも事実であります。まだいろいろ問題があるようでございますけれども、学識経験者などのいわば研究会あるいはそういう検討会みたいなものを通して、その改善のために努力をしていただくことを期待したいと思います。  いろいろな自治体が計画を持っていて、それがふくそうしております。それはもう竹内先生御存じのとおりでございますから、それ以上のことを申し上げるつもりはございません。  最後に、茅野市、これは松本・諏訪地域を含めての公害防止計画の延長の問題でございますが、これは今四次にわたって計画が策定されまして、本年度がその最終年度になっております。したがって、公害防止計画の見直しについては、長野県と十分な連携を図りながら、その判断の基準となるデータの収集を今進めている段階でございますので、その結果を見て適正に判断をさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  126. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これで終わりますけれども、常にこの農業というものと環境と人間の健康というものが非常に大事なことだから、それだけは強調をしておきます。  きょうはどうも。
  127. 杉山憲夫

  128. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 岩垂長官環境庁長官御就任おめでとうございます。  さて、環境基本法が成立いたしましてから二年たちました。岩垂長官が当時委員会の中でこの環境基本法の成立に大きく力を尽くされましたこと、そしてまた私もその審議に加えさせていただきました。当時のその審議の中で大きく取り上げられましたものの一つとして、環境権の問題がございます。  環境権については、第一条で「現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とする。」と述べられ、さらに第三条でも「人類の存続の基盤である限りある環境が、人間の活動による環境への負荷によって損なわれるおそれが生じてきている」、このように述べられておりますことから、私たちは、憲法第二十五条に裏づけされました基本的人権の一つとして明確に位置づけられるべきである、このように主張いたしました。しかし、残念ながらこの主張は実現されませんでした。  環境を守ること、美しい森や清らかな水を後世まで残すことは、私たちの義務であると同時に権利であると考えます。そして、このことを明確にすることは極めて大切であると考えております。岩垂長官は当時このような考えを推し進められた方でございます。環境問題に造詣の深い政治家として、私たちはいつも教えていただき、また公害問題を初めさまざまな住民運動のその先頭に立たれた長官を私は大変御尊敬申し上げているわけでございますけれども、岩垂長官はこの環境権ということについて明確にするというお考えがあるか、政治家としてどうお考えになり、今後どう行動されるのか、お伺いしたいと思います。
  129. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 環境基本法の制定に当たって、社会党が対案を準備いたしました。岡崎先生皆さんと一緒に、私も一緒にその成案のために努力をいたしました。そのときに、政府とやりとりをいたしました。それは、環境権という権利は基本的人権として認めるか認めないかという議論でありました。  率直に申し上げて、環境権という主張に対して、法的な権利としての性格についていまだに定説が十分でない、とりわけ判例などにおいてその結果が積み重ねられていないということをもつて、具体的な権利内容が不明確だから、これを法律上の権利として位置づけることは難しいというやりとりで、平行線で来たことは御理解のとおりです。  そこで私は、当時法制局長官やあるいは宮沢総理大臣とやりとりをした中で、そうは言うけれども、それでは二十五条の健康で文化的な生活を営む権利と言われることの中には、当然のことながら、環境権といって悪ければ、環境によって得られる恵沢というものを我々が主張することは正しいと思うかということに対して、当時の総理を初め、そう言われてみると、それはそういういわゆる基本的な人権ということの中に含まれるのではないか。そういうやりとりを経て、基本法の中では、御承知のとおりに、環境の保全についての基本理念として、健全で恵み豊かな環境が人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであること、そして現益及び将来の世代が健全で望み豊かな環境の恵沢を享受できるようにすべきことが明記されました。いわゆる環境権の趣旨とするところについての位置づけを、ややあいまいでございますけれども、位置づけたという経過がございます。  私は、この理念を実現することこそが、そしてそういう判例の蓄積やあるいは解釈に対する学界などの定説としての努力を積み重ねていくことが、やがて環境権を内外に認めさせていく、権利として確立をしていく道筋に通ずるだろう。つまり、この場合、学説あるいは判例が法律の権利を定着させていく上で非常に大きな要素だということを念頭に置いて努力をしていかなければいけない課題だ、そういう点で受けとめております。
  130. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 ありがとうございます。そのお考えを推し進めていただきたいというふうに思っております。  この環境権を国民の権利として考え、これを支えていく具体的な手段の一つとして環境影響評価制度があります。かつて政府は法案を国会に提出しましたが、足かけ三年たなざらしの末に廃案となりまして、その後、閣議決定による要綱のまま今日に至っております。  そこでまず、現行制度において対象事業ごとの総件数、環境庁に協議のあった件数、長官意見を求められた事業の数と種類、またどのような意見があったのか、御報告をいただきたいと思います。
  131. 大西孝夫

    大西政府委員 事務的な面がありますので、私の方から答弁をさせていただきます。  お尋ねの現行環境影響評価実施要綱に基づきますこれまでの環境影響評価の件数は、平成六年度末までで二百七十九件でございます。その内訳につきましては、百八十八件、約七割が高速道路等の道路事業、次に土地区画整理事業が約一割強の三十六件となっているところでございます。それから、この実施要綱に基づく環境庁長官意見でございますが、対象事業のうちで、規模が大きく、その実施によって環境に及ぼす影響につき特に配慮する必要があると判断して主務大臣環境庁長官意見を求めた場合に、その意見を出しているわけでございますが、六年度末までの実績は、東京湾横断道路、都市高速道路中央環状新宿線、第二東名・名神自動車道等、計十六件について長官意見を求められ、意見を出しているところでございます。  環境庁長官意見の内容としては、主なものは、例えば、道路供用後の大気汚染防止、騒音随止に関する事項、工事中に伴う騒音、濁水等の随止対策に関する事項、発生する残土の適切な処理に関する事項、工事中、供用後の環境監視の実施等についての事項などとなっているところでございます。
  132. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 それら全部含めますと、道路やダムや放水路や廃棄物の最終処分場や土地区画や大気汚染や騒音や濁水事項や自然環境の保全や、大変広い範囲にわたっていると思います。  長官は、就任直後テレビのインタビューに答えまして、法制化を目指し、現行アセス制度見直しを行うという大変頼もしい発言をなさいまして、大変評価をしておりますが、さらにこれを一歩でも二歩でも早期に進めていただきたいと思います。大臣の御決意のほどを伺いまして、制度検討をしております環境影響評価制度総合研究会の開催状況と見通しについて御説明をお願いしたいと思います。
  133. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 これは恐らく岡崎さんも御記憶だろうと思うのですが、平成五年の五月十八日に、環境基本法の成立に当たって内閣総理大臣をお招きをして、最終的な質問を党を代表して私がさせていただきました。そのときに宮沢さんにお願いをしたのは、やはりアセス法制化を求めまして、そしてそのための検討を、つまり見直し検討お願いをしたいということをかなり詰めて質問をいたしました。私が最後に、「総理がやはりイニシアチブをとっていただきたい。そして、具体的に委員会なら委員会を設けて審議を始めていく、国民の目に見えるようなそういう動きを総理がイニシアチブをとってしていただきたいということをお願いをしたいと思いますが、いかがでございましょうか。」宮沢総理大臣が、「それは当然私に与えられました責務と考えております。」というやりとりがありまして、そして、御案内のとおりに平成六年に学識経験者によるところの環境影響評価制度総合研究会が設置されたわけであります。  かなり大詰めに来ています。諸外国の例を含めて、さまざまな対象事業手続などを含めて議論が行われているやに承っております。したがって、夏までの間、夏も遅い夏ではなくて早い夏もあるわけでございますので、そこで答申をいただきたいなというふうに思っています。  今までのそれとは違いまして、各省庁皆さんも一緒になって、例えば建設省や通産省やそういう皆さんも御一緒いただいて、そして共通の認識の上に立ってこれをどうしたらいいかという議論を続けてこられましたので、いわゆる学者、文化人だけではなくて、その人たちと行政当局者が一緒になって、もちろん技術専門委員会は別建てでございますが、それらを含めてトータルな形で、法制化を含めての制度改正、制度見直しというところに努力をしておりますので、そのことを期待をしてまいりたいと思っております。  その報告を受けて、ぜひ私は、委員会でいろいろな角度から皆さんに、それこそ与党、野党関係なしに議論をしていただいて、一歩でも二歩でもいいものにしていく、そんな御努力をみんなでしていきたいものだ、それがやはり日本の環境行政の新しい第一歩になり得るだろう、またしなければいけない、こんなふうに思っております。
  134. 大西孝夫

    大西政府委員 ただいま大臣から大まかにお話をさせていただきましたが、開催状況について少し補足をさせていただきます。  環境影響評価制度総合研究会は、平成六年七月に設置されておりますが、研究会としては四回開催されております。研究会内で調査委員会技術専門部会というのも設けておりまして、この調査委員会平成六年七月以来、大体月一同程度でこれまで十三回開催しております。そのうち六回を、関係省庁とか地方公共団体からのヒアリングをやったり現地調査を行っております。検討対象事項は、先ほど大臣からも申しましたように、対象事業でありますとか評価の手法、手続の流れ、住民関与などにわたっております。  それから、技術専門部会の方は、平成六年十一月から九回開催して、これは環境影響評価技術手法についての現状と問題点等のレビューを行っているところでございます。
  135. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 この研究会ですが、今まで私たちは女性の政治参加を進める立場から、女性の委員審議会委員をできるだけふやしていただくようにお願いをしてまいりました。広中和歌子元長官からは、国連の女性の地位向上委員会の一九九五年までに三〇%を達成するとの勧告に対して、できるだけ努力するとのお答えをいただいております。あれから二年以上たっておりますが、現在何人の女性が含まれているでしょうか。
  136. 大西孝夫

    大西政府委員 環境影響評価制度総合研究会、これは環境影響評価に関します法学、工学、大気、騒音・振動、自然環境地方行政等々いろいろな分野からの学識経験者十七名から構成されておりますが、女性委員は含まれておりません。
  137. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 私は、このことを大変残念に思っております。  昨年北京で行われました第四回世界女性会議におきましても、女性のエンパワーメントが世界で共通のスローガンになりました。このエンパワーメントは、よりよい社会を築くために責任を持った変革となる力をつけること、このように理解をいたしておりますが、三百六十以上の行動綱領の中でも女性と環境をテーマにした項目は十二に及んでおりまして、この中で、女性は消費者及び生産者として、家族の世話人として、また教育者として、持続可能な開発と、現在と未来の世代の人々に生活の持続性を推進するために重要である。各国政府は、アジェンダ21の二十四章にあるように、世代内と世代間で環境の持続可能性と、ジェンダーの平等性と正当性を統合する新しい開発のパラダイムをつくり出すとの決意を表明している。また、あらゆるレベルの政府機関の環境プロジェクトに関する計画立案から管理、実施評価に至るまで、先住民を含む女性たちがそれぞれの政策決定へ参加する機会を保障するとございます。  政府の男女共同参画室でも積極的に進めている政策でもあるわけです。三〇%どころか政府の目標の一五%にも達しておりませんし、一人もいないというのは全くどういうことなんでしょうか。この原因はどこにあるとお考えになっていらっしゃるでしょうか。
  138. 大西孝夫

    大西政府委員 ただいまも申しましたように、研究会のメンバーとしましては、環境影響評価に関します法学、工学、大気、騒音・振動、自然環境地方行政等のいろいろな分野の学識経験者について幅広く適任者を探したということでございますが、別に女性委員を除こうということでやったのではございませんが、結果として女性委員が含まれなかったということでございます。  しかし、それがやはり配慮が足りないのではないかという御指摘は正面から受けとめさせていただきまして、今後、この種研究会等の委員の登用につきましても、女性委員の積極的な登用に努めるようにいたしたいと思います。
  139. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 これからはきちんとした計画のもとに、必ず政府の目標を達成して、さらにふやしていくために強い御指導をしていただかなければならないと思います。長官、はっきりとした御返事をいただきたいと思います。
  140. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 本当に一人もいないというのはちょっと申しわけないと思います。ただ、言いわけをするわけではございませんけれども、この種の委員会というのは、とかく専門性みたいなものが強調される点があるものですから、恐らく専門の方もいらっしゃらないわけではない、有能な方がいらっしゃると思うのですが、たまたまそういう人にお目にかかることができなかったという意味でおわびをしておきたいと思います。  ただ、これから追加という話になりますとなかなか難しい面もあることも御承知おきいただきたいと思うのです。というのは、例えばことしの六月とかなんとかに答申ということになりますと、形だけ責任を負わされるみたいな議論にもなりかねない。そういう点で、努力はしてみますけれども、その点について大きな期待を寄せていただいてはちょっと裏切ることになるのではないかという心配をあらかじめ申し上げておきます。  ただ、この際ですから申し上げておきますけれども環境庁としては、例えば中央環境審議会、中環審を初めとする所管の審議会については女性委員の積極的な登用に配慮いたしまして、昨年十二月末現在で全体で一六%の女性の参画をいただいているということだけは申し上げておきたいというふうに思います。  しかし、それでは一六%で、これでオーケーだということは考えておりません。そういう点で、クオータ制度などの前例を見習いながら、できるだけそういうことを考えていく。私は、環境問題のキーポイントというのは女性が握っているというふうに言ってもちっとも過言ではない、そのぐらいの気持ちでさまざまな委員会というか審議会などに対する御協力お願いする場面を、可能な限り努力をしていきたいというふうに思いますので、御理解をいただきたいと思います。
  141. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 やはり、今回の研究会に全く女性がいなかったということを重く受けとめていただきたいと思います。  そして、今長官がおっしゃいましたように、環境を守る主体は市民であることを踏まえていただく、女性や、環境問題に取り組むNGOに、市民に意見を求める、そして、具体的な施策に移す前に幅広い合意を目指すべきだというふうに考えておりますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
  142. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 余談ですけれども、例えば、先ほど企画調整局長からも御指摘がございましたが、地球温暖化防止のためのライフスタイル検討会というのがありまして、これは平成七年九月に、ライフスタイルに係る二酸化炭素排出削減手法について検討をするための企画調整局長の私的懇談会なのですが、これには十人のメンバーのうち女性委員は四割、四人参加をいただいているという、多少もっともらしいところもございますので、そのもっともらしさをもっと充実させるために努力をさせていただきたいと思います。
  143. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 さて、現行のアセスメント制度はいわゆる事業アセスですが、これでは環境を守っていくことは困難です。道路やダムなどの公共事業は長期にわたりますし、そして徐々に事業化されるものですから、計画段階でのチェックが必要です。もちろん長期計画には環境配慮が盛り込まれていると思いますが、各種の計画が重複する場合の複合アセス、あるいは長期にわたった場合の評価見直し、完成後の環境への影響が予想どおりかどうかをチェックする、これは事後アセス、こういうことが保証されて初めて効果が期待できるものだと思います。アセスの技術向上のためにも制度の中に含めていただくように私はお願いしたいと思いますが、長官のお考えはいかがでしょうか。
  144. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 この点は岡崎先生の持論だということも承知の上でお答えをいたしますが、事業実施に当たって、できるだけ早い段階から環境配慮を行うという計画アセス、それから、予期し得なかった影響について必要に応じて対策を行う事後調査を初めとするさまざまな点については、これまでも各方面から御意見をいただいているところでございまして、今審議をしている研究会のメンバーもそのことをかなり積極的に受けとめていらっしゃるだろうというふうに思います。  いずれにしても、このような御指摘を踏まえて、総合研究会において各課題ごとに分析整理を今行っております。したがって、その結果を踏まえて所要手続を私どもとしてはとってまいりたいというふうに思っています。例えば地方自治体の経験、外国の経験などを含めて、総合研究会で勉強していただいていますから、どこまでそれが踏み込めるか、私どもが云々すべきことではございませんけれども、できればそれらの答えが出てから、場合によってはさらに中環審などの手続も経たいと思っております。そこらのところでも委員会での審議を煩わす機会が随分あると思いますので、よろしく御協力をいただきたいと思います。
  145. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 次に、長良川河口堰の環境問題についてお伺いします。  きのうはこの問題で陳情申し上げて、環境庁長官として真剣に耳を傾けていただきましたことに感謝を申し上げます。  堰は、建設省が環境に深刻な影響がないと判断して本格運用されたわけなんですが、その後さまざまな環境の悪化が心配されて、きのうも住民や学者の深刻な訴えがございました。いわば事後のチェックの必要な典型的な事例と言えますが、これについて環境庁はどのように把握されたのでしょうか。項目を簡単におっしゃっていただきたいと思います。
  146. 嶌田道夫

    ○嶌田政府委員 河口堰の運用後、環境への影響を把握しますために、防災、水質、底質、生態の専門家から成りますモニタリング委員会が設けられておりまして、建設省などが行います調査が科学的かつ客観的に行われますように指導助言しているわけでございます。  このモニタリング委員会の報告書によりますと、八月四日から十日までの間の一時的な底層溶存酸素の低下、それから八月二十九日から九月三日までの数日間、よどみでのアオコの発生、それから魚介類などにつきましては、堰上流域においてヤマトシジミなどの汽水性からマシジミなどの淡水性に移行している傾向があるということなどが明らかになっておるわけでございます。  これらにつきましては、モニタリング委員会の指導を受けまして適切な対応はとられているということも、この委員会の報告書で述べられているところでございます。  環境庁といたしましては、モニタリング委員会の結果を注視しながら、環境保全上の支障が生じていると認められる場合におきましては、建設省に対しまして改善を求めていきたいというふうに考えております。
  147. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 今報告がございました以外にも、ヘドロが出ているとか、ホタテアオイが定着しているとか、ユスリカの大量発生が予想されるとか、ヨシ原が減少しているとか、サツキマス、これも本当に激減している。そのほか、ヤマトシジミの激減、今ありましたね、それからテナガエビの激減、いろいろとあるわけで、これらの減少や被害は想像以上に深刻だというふうにとらえているわけなんです。  このことについて、環境庁は現地を調査されていないというふうに私は思います。報告や資料では話にならないというふうに思うのです。すぐにでも現地に行って調査をしていただきたいと思います。その報告を受けて、長官もぜひ現地に出向いていただきたい。そして、環境保全の立場から現地を視察されて、地元漁師、研究者、住民から話を聞いて今後の政策判断をしていただきたいと思います。きのうは視察に行かれるという即答は避けられましたけれども長官、ぜひ環境を守り命を守る視点から御英断を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
  148. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 きのうも申し上げましたけれども、実はこの問題で本当に命がけで頑張っていらっしゃった方々がいるわけでございます。そういう皆さんが例えばハンストなどを実行されたケースで、そうはいいながら、やはり体を大事にしてほしい、それで私どもが及ばずながらだけれども皆さんの気持ちを生かすために政治家として努力をするということで、二回にわたって、私は一回は長良川まで出向きましたし、一回は建設省の座り込みなどについて、天野さんの行動などについて相談に応じてきました。  どちらかといえば、建設大臣決断をなさったということについて、私は私なりの考えを持っておりますが、しかし、決断をしてしまったことについて、その上でなおかつなすべきことがあるのではないかということで、いろいろやりとりをしてきた経過がございます。それは岡崎さんも恐らく御記憶のところだろうと思います。  余り大勢人がいたわけではないのですが、ぎりぎり、率直に言ってモニタリングをきちんとしなさい、環境問題に対する配慮というものはしっかり担保されなければいけないよということで、建設大臣を初め建設省にそのことを強く申し上げてきました。私どもが言ったからということではありません。やはりそれは国民の運動が、天野さんたちのそうした努力皆さん方の御支援やそういう国民世論があって、建設省もそれなりに、例えば新しくつくっていくダム計画あるいは今着工しているダムについて、きちんとしたモニタリングをやろうということを決意をしてくれました。それから、ついせんだっては、今度は、もう既にできている全国のダムについても総点検をしようということで、各地建を通して取り組みを始めようとしておられます。  私は、行政が、そういう意味で少しでも、まさに一歩でも二歩でも動いてくる姿というものを尊重したいと思います。それに対する評価はいろいろあります。例えば、お手盛りではないかとか、あるいは都合の悪いところは目をつぶっているのではないかとか、いろいろあるけれども、何にもしなかった時代と比べればはるかに前進であります。そういう一歩一歩の努力国民世論の中で積み重ねていく、その中から河川行政に対する国民の信頼をかち取っていく、そんなことを私は建設省にもぜひ要求をしたいという立場なんです。だから、提案をしてそれが実現した。  モニタリング委員会は、何も推進派だけではなくて、これは建設省の任命ではございませんから、一応都道府県知事が任命という形になっているんでしょう。そうだとすれば、慎重派とか言われる人あるいは積極派と言われる人、いろんな人がおられるわけです。科学的な知見に二つがあるわけではないけれども、学問の分野でいえば、やはりそれぞれ専門の、それから経験の違いがあります。その中で、大体まあこんなところではないかと言われれば、いや、それはおかしいぞ、おまえといって私が素人の立場で出ていくというのもいかがなものかというふうに思いますので、私としては、いましばらく建設省のそういうモニタリング委員会、建設省のというのはちょっと言葉が正確でないんですが、長良川に関するモニタリング委員会の報告なり結果なりというものを見詰めたいな。  私はもともと、まあこういう格好になつちゃったものですからなんですけれども、かねてから一遍見に行きたいな、現場に行きたいなと思っていましたから、その気持ちは変わりがございませんから、それは皆さんとも十分相談をしながら、どういう形で調査をするかということなどについて、また皆さんにも御相談をしていきたいというふうに思いますので、御理解をいただきたいと思います。
  149. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 私は、今長官の言葉の中に、私のような素人がというふうにおっしゃったんですが、長官でいらっしゃいますし、このことに長くかかわっていらして、視察にもいらしているという立場から、それはないだろうというふうに言わせていただきたいと思いますし、環境庁独自で行くことがすごく大事なのだというふうに思います。  川は、水が流れているだけではなくて、本当に陸と海を結ぶ物質輸送の大動脈である、川の生物は正確にそのことに反応しているということも含めて、今後とも環境庁としては、独自にそういう構えでいっていただきたいというふうに思うわけです。  最後に、今、住専問題で情報が明らかになっていないという世論の批判が日に日に大きくなっておりましたり、おとといは新聞で、日の出町処分場の汚水漏れのデータの開示を命じる地裁の判決が出ましたり、またエイズ薬害問題では、隠されていた厚生省の資料が明るみに出るということで、明らかに時代は変わってきているというふうに考えておりまして、市民の知る権利が保障されることによって民主主義も一歩一歩進み、環境を守る原動力になるというふうに思うわけです。  最後に、長官に、環境庁として、あるいは長官としても、行政情報公開部会への発言を強めて、市民にはできるだけ環境の問題は情報を公開していくという御決意を伺いたいと思います。
  150. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 この問題は、御案内のように、地方自治体がかなり先駆的な役割を果たしてくれています。それから政府の対応も、できるだけ早い機会に情報公開に関する方針をまとめて世の中に明らかにしたい、こういう態度をとっております。  これはかねてから、村山内閣の時代から、私自身が政府に対して何回か言ってきたことでもございますし、そういう政府の対応も伺っておりますので、できるだけ政府が、橋本内閣のもとで、情報公開に対する方針を明らかにしながら政策化していくこと、法案化していくこと、このことを期待したいと思っていますし、及ばずながら努力をさせていただきたいと思っております。
  151. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 長官の応援団として、これからも私も頑張ってまいりたいと思いますので、一層御尽力くださいますように、よろしくお願いをいたします。ありがとうございました。
  152. 杉山憲夫

  153. 宇佐美登

    宇佐美委員 新党さきがけの宇佐美登でございます。  先ほど、岡崎先輩の方から長良川河口堰等の質問がございました。私、きょうは、温暖化対策の問題、長良川河口堰の問題、宍道湖の問題、さらには、先ほど情報公開の点について長官が触れられておりましたので、質問についてまだ御通告していなかったのですが、答えられる範囲で、環境庁の持っている審議会の、どこまで公開をしているのかということについて質問をさせていただきたいと思います。  まず第一に、温暖化対策、IPCCの評価ということについてお尋ねをさせていただきたいと思います。  既に、さき委員の方から幾つ質問があったかと思いますけれども、地球環境問題を考える際に、昨年の十二月にまとめられたIPCCの第二次レポート、大変重要だと私個人としても認識しております。このレポートの内容について、環境庁として、どこを特に重要視しているのかという点、さらに、その中で、どうやってそれに具体的な方策、政策として対応していくつもりなのかという点について、まずお答えいただきたいと思います。
  154. 浜中裕徳

    ○浜中説明員 IPCCの第二次評価報告書に関しまして、注目される点についてのお尋ねをまずいただいたわけでございますけれども、私どもといたしましては、まず何よりも、過去百年間に実際に観測されました地球の表面の平均気温の上昇、〇・三度から〇・六度Cの上昇があったということでございますけれども、そうした気温の上昇というものに人間の活動の影響が認められるという点について明確な評価を下した、この点が最も重要な点ではないかというふうに考えておる次第でございます。  もちろん、このほかにも、この地球の温暖化の進行に伴いまして、地球の生態系あるいは気候の変動にどのような影響を生ずるか、植生、水資源、食糧の生産、洪水や高潮の関係、あるいはマラリアなどの健康への影響、こういったいろいろな面におきまして改めて科学的な知見を集約をして、非常に大きな影響が出るということを明らかにした、この点も第二次報告書の大きな一つの意義であろうかというふうに考えておる次第でございます。  また、このような気候変動の防止をするために、現在、既にある程度実用化が進んだ技術によりまして、それだけでも相当の、省エネルギーなどの改善を図ることができるということも明らかにされたわけでありますし、また、OECD諸国など先進国がこれから地球温暖化対策を進めていく、そして二〇%、三〇%といった形で排出量の削減を行っていく場合においても、数十年間におけるその対策の進展によって経済にそれほど悪影響はないということでございまして、そうした科学的知見を集約いたしますれば、従来言われておりました「後悔しない対策」という範囲を超えた対策を進めることを根拠づけるものだ、このようなことを明らかにしている。  こういった点に私どもとしては大変注目をしているわけでございまして、この明らかにされました知見を私どもとして真剣に受けとめまして、一層の地球温暖化防止対策の推進に取り組んでまいりたい、このように考えている次第でございます。     〔委員長退席、大野(由)委員長代理着席〕
  155. 宇佐美登

    宇佐美委員 政府として、また環境庁として、それらに対してのこれまでの対応というもの、考え方というものを御報告いだだいていたところでございますので、その筋を御説明いただいたのかなと思っておりますが、私は、環境問題についてこの環境委員会に属する皆様は同じ気持ちで、環境こそこれからの日本の政治、経済開発の中のキーターム、キーポイントになるんだというふうな理解があるかと思います。  そう考えたときに、今教えていただきましたIPCCのようないわゆる環境科学の分野におきまして日本の貢献が十分であるのかどうかというところ、まだまだ不十分ではないかというふうに私は理解をしているわけであります。私ももともと科学者として、専門というわけではないですけれども研究をさせていただいた者として、日本の科学者の貢献や日本政府の貢献、どのように環境庁として評価をしているのかが一点。  第二点目に、その裏づけというのですか、近年の国連への出資額やODA援助額、いずれも世界でトップと言われているわけですけれども、このような、数値的に比較してどのように考えておられるのか。  総論部分は長官、各論の第二問については浜中部長にお答えいただければと思います。
  156. 浜中裕徳

    ○浜中説明員 それでは、各論の方から先にお答えを申し上げます。  このIPCC第二次報告書の取りまとめに当たりましては、全部で五十章ございますけれども、そのうちの十六章に日本人の科学者が、執筆者チームの幹事という形でありますとかあるいは執筆者チームの一員という形で参加をしております。また、約百名の日本の科学者が、作成された報告書の原稿に対しましてコメントを求められ、そのコメントを出すということで報告書の改良に貢献をしてまいりました。  私ども環境庁といたしましても、こうした我が国の科学者が会議に参加をし、執筆などの活動をされるのを積極的に支援をしてきておりますし、また、報告書の内容につきましても、私ども環境庁に計上されております地球環境研究総合推進費というものによる研究成果も一部引用されているところでございまして、このように積極的な支援をしてきているところでございます。また、第二次報告書を完成するに至るまでの過程で、執筆者チームによる会議でございますとかあるいは国際ワークショップなどを五回にわたり日本で開催をしてまいったところでございます。  このようなことを全体の割合で申しますと、先生指摘のように国連に対する拠出金の割合等に比較いたしますと、今回、第二次報告書では、日本人研究者によります引用された論文の数で申しますと、これは全体のまだ一・八%でございます。それでも、一九九〇年に取りまとめたIPCCの最初の報告書、第一次報告書では、引用された論文数でまいりますと、日本人の研究成果は全体の一%以下であったわけでございまして、それに比べまして増加はしているということは言えるかと思いますが、なお九〇%以上は欧米の科学者の研究成果によるものでございます。その意味で、まだまだ私どもの貢献は足りないと考えております。  二〇〇〇年までにIPCCは第三次の報告書の取りまとめをすることとしておりますけれども、私どもといたしましては、日本人科学者が一層貢献できるようにできるだけの支援を重ねてまいりたい、また研究の推進を図ってまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  157. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 日本の役割というのは決して十分だとは思っていません。  ただ、例えば平成八年度の政府予算案に盛り詠まれた地球温暖化対策に対する予算の総額というのは四千六百五億円という金額であります。決してそれほど多くはなくても、それほど少なくはないだろうと私は思います。そして、それらを含めて、まだこれは来年度予算になりますけれども、第三回の締約国会議の誘致ということになればかなりな金額になると思いますが、これはお金の大きさ、小ささではかるものではないと思います。  技術的な貢献については、今浜中部長が指摘をされましたように、これは全国で千人を超える学者や専門家がこの作業にかかわっているわけですが、その中の百人という形で、決してこれも私はそれほど少なくはないというふうに思っています。  問題は、資金的にも技術的にもそういう協力をしながら、第三回の会議の議定書をどう取りまとめていくかということについて日本は積極的な役割を果たさなければならぬだろう。そういう意味からいうと、文字どおり足元から進めなければならない二酸化炭素の排出抑制に対する具体的な手だてをもう一歩進めなけりゃいけないな、あらゆる意味で知恵を絞らなきゃいけないなという感じがいたします。  それは単にリサイクルとか省エネとかそういう問題だけではなくて、教育の分野まで含めて、ある種の人間の心と言われる部分も含めて、二十一世紀の世代が、私たちが子供や孫に対して責任が持てる世代であり続けるためには、ここで生活スタイルを含めて方向を考えていかなければいけないな、そういう意味思い切った政策的な改革が求められている、転換が求められている、こんな感じがいたします。  突然の質問ですので総論的なものにはなっていませんけれども、当面の最大の政治課題として取り組みたいものだと思っています。
  158. 宇佐美登

    宇佐美委員 御存じのとおり、我々さきがけ結党当時、環境問題というものをその基本政策、基本理念の最重要課題として取り上げまして、積極的に取り組む日本の役割というものを重要視させていただいております。今教えていただきましたように、科学技術分野での人的貢献、ノウハウの提供、プラス、やはり何をするにもお金がかかります。資金的なものにとどまらないわけですけれども、ぜひそれらの点についてもこれからも御努力いただきたいと思いますし、我々も全力を挙げて応援をさせていただきたいと思っております。  さて、ODAの話が出たところでございますけれども、途上国経済を持続可能なものとして開発を転換していくためには、ODAにおける環境配慮の徹底、環境ODAの拡充、さらには、民間の海外直接投資における環境配慮の強化が必要だと考えております。これらの点について岩垂長官、前々から同様な御意見をお持ちですし、事あるごとにおっしゃっていただいていたわけです。  二年前、私はこの環境委員会で、当時広中長官の時代でございます。ODAにおける環境配慮についてどういう形で考えてやっているのかということを質問させていただいたわけでございます。  例えば、ODA四省庁と言われるものがあるわけですけれども、ODAが決定される際にそれが環境に対してどんな影響を与えるのかどうか。それは、ODA四省庁がそのプロジェクトを選択する際に、必要だと思った際に環境庁に聞くんだというようなお答えをいただいたわけであります。その際にも私は申し上げたのですけれども環境庁の例えばアドバイスが必要かどうかを判断するその基準はどこなのかというところであります。それが、専門に環境をやっていらっしゃる方が考えるならばまだ理解できるわけですけれども、いわゆるODA四省庁、というよりも環境庁がその専門であるわけですから、その四省庁が専門的な知識を環境庁と同様に持っていたら環境庁の存在意義すら問われるわけでありますから、そのODAの決定される際に、幾つもある、山ほどあるプロジェクトの中からどれを選ぶのかといったと素にも環境庁の参加が必要になってくるのだということを再三申し上げているわけであります。  実際に、この二年間と言わず、これらの環境問題が注目視される中で、ODAにおける環境配慮というものの取り組みはどのようになっているのか。長官、お答えいただければと思います。
  159. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、ブラジルのサミットで、日本がODAなどについても環境問題を重視していくという政策転換が行われまして、金額にしても大変な金額を目標として位置づけました。そのとおりに進んでいるように思いますが、それにしても、これから私ども考えなきゃならぬ問題がたくさんあると思います。それは、途上国における環境保全と調和した開発を支援していく、そのためには、やはりODAの実施に際して現地の環境保全配慮することが重要だということであります。  この点から考えますと、環境基本法に基づいて平成六年の十二月に作成された環境基本計画においても、国際協力実施するに当たって「適切かつ効果的な環境配慮実施する。」ということを基本計画の中に位置づけたことは先生御案内のとおりであります。  そのような中で、ODAの実施機関である例えばJICAあるいは海外経済協力基金、OECFなどが環境配慮のガイドラインを策定するとともに、その実施のための組織体制の強化を進めているところであります。これはもう先生の御案内のとおりですから、それ以上の説明はいたしません。特に、昨年の八月に環境配慮のためのOECFのガイドラインが改定されまして、環境への影響が大きい大規模プロジェクトについて環境アセスメント報告書の提出を借入国に義務づけるたど、環境配慮に関して一層の充実強化が図られたことは御案内のとおりであります。  これは、実はナルマダなんかの経験もあるのがろうと思うのですが、去年の八月のガイドラインの改正のポイントというのは、環境への影響が士きい大規模プロジェクトについて環境アセスメント報告書の提出を借入国に義務づけることとしたこと、二つ目は、移転住民数が必要最小限となるような代替案の検討などを求めたこと、これは五ょっと大きなことだと思うのです。ナルマダの教訓だというふうに思います。それから三番目は、プロジェクトは借入国の指定した自然保護地区以外で実施されなければならないこととしたこと、これは今先生指摘になりましたけれどもアセス以前なのですね。  つまり、このガイドラインをクリアしないと協力はありませんよということなのですから、四省庁以前の問題として一つのハードルを設けたものだというふうに御理解をいただきたいと思うのです。それも、先生があるいは先生方が御指摘をいただいて、特に諸外国住民、開発をされて立ち去らなければいけない、農業を放棄しなければいけない、そういう人たちに対して、我々がODAと言いながらそういうことを手助けしてはいけない、その人たちの生活を守る立場に立たなければいけない、そういうことのガイドラインだというふうに御理解をいただいて、それなりに御指摘をいただいたことは一歩一歩前進していると自信を持っていただきたいと思います。
  160. 宇佐美登

    宇佐美委員 力強いお言葉なのですけれども、実際の予算等を見て考えたときに、まだまだだなというのがこれまでずっと環境問題をやってきた者としての気持ちだということも御認識をいただきたいと思います。  もう一つ、具体的に言うと、環境税のことをお尋ねというかお願いをさせていただきたいと思っております。  地球環境問題の取り組みに当たって、やはり大事なのは現実性の議論であります。環境基本計画において、先ほど長官からお話もあったように、具体的な措置について研究を行っている環境税というものがございます。言い回しは非常にわかりにくいものと言ってもいいのだと思いますけれども調査、進捗状況がどうなっているのかということが非常に気がかりでございます。技術的な研究は各国及び関係各業界の利害が複雑に絡み合いという感じで、堂々めぐりを繰り返しているように思えるわけでございます。実際に、具体的な環境税の仕組みやその使い方、あわせて行う減税措置などについて、案を一刻も早くつくっていただいて、国民皆さん議論をしていただきたい。議論をするような素案をつくっていただくよう要望をさせていただきたいと思います。  これまで消費税の問題が本会議でも議論をされております。介護保険というものも、消費税が上がらない分じゃないかというような意見まで出てくるわけでありますけれども環境税というものは、もう長官はよく御認識いただいているように、経済開発の中で環境を壊されたときに、そのためにいわば目的税として取られるものであって、環境を壊さないといった面から考えれば、経済効率性、大きく見た、長い目で見たときの経済効率としては上がるものだというふうに認識をしておりますので、ぜひ具体的な議論を活発にやっていただくよう御要望を申し上げたいと思います。  さて、地球環境規模のお話をさせていただいてきましたけれども、国内に目を転じると、どうでしょうか。環境が十二分に考えられているのかというような疑問にぶち当たるわけでございます。  長良川河口堰をめぐる一連の動きは、国民皆さんに新しい価値観の転回を感じていただく大きな出来事になるはずであったわけであります。残念ながら、運用の決定が昨年されたわけであります。その際には、当時の建設大臣行政に過ちはないといったような、全く行革を考えられないような発言まで出てきて、私は不愉快というよりも怒りそのものを覚え、一刻も早くこの人は大臣をやめてほしい、この人は議員の価値もないというふうに思ったわけであります。と同時に、今岩垂長官環境庁長官に就任なさっているということは、HIVで菅直人議員が厚生大臣に就任したのと同じかそれ以上に大きな期待をさせていただいているわけであります。そういうような認識のもと、ぜひお答えいただきたいと思います。  先ほど岡崎議員の質問の中にもありました長良川、運用を始めたらアオコが発生したり魚たちがいなくなるというのですか、遡上できなくなったりしているわけであります。この認識いかんというものが、これからの環境行政環境がやはり日本の政治の中で大事なんだということを国民にも、海外の皆さんからも御理解いただける大きなポイントになるかと思っております。  先ほど長官の視察の点について、気持ちはあるとおっしゃっているわけです。気持ちがあればあとは足があればすぐ行けますから、また、スケジュール的に難しいというならば、環境委員会理事皆さんお願いして環境委員会の時間を減らしてでも、ぜひ視察に行っていただきたいと思います。また、長官が行けないとおっしゃるならば、長官以外の方、政務次官でも結構でございます、ぜひ視察に行っていただきたいと思っております。この辺についてのお答えをお願いします。     〔大野(由)委員長代理退席、委員長着席〕
  161. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 先ほどから、いや、正確に言えば昨日からいろいろな意味で御答弁を申し上げてまいりました。その立場を私は今変えておりません。ただ、皆さんの気持ちは私なりにしっかりと受けとめています。  そして、堰が運用になりまして、環境への影響を把握するために、それこそいろいろな方を交えた専門家から成るモニタリング委員会が設けられたわけです。建設省及び水資源開発公団が行う調査が科学的で客観的に行われるよう、私どもとしては指導助言をしていく立場だろう、こういうふうに思っております。  そして、環境庁としては、このモニタリング委員会の結果を注目しつつ、環境保全上の支障が生じていると認められる場合は、やはり建設省に対して改善を求めていくという立場は変わりありません。その立場は私どものいわば職掌である、仕事であるというふうに思っていますので、そういう点で御理解をいただきたいし、ずっと関心を持ち続けたい、こんなふうに思います。
  162. 宇佐美登

    宇佐美委員 質問に全部お答えいただけていないかと思います。行くのか、行かないのか、はっきり言うのも政治の決断でありますので、ぜひ行くというお答えをいただければと思っております。  建設省の方にもお越しいただいているので少し端的にお答えいただきたいのですけれども、昨年の、先ほど申し上げたような被害が出ていること、当時の野坂建設大臣が、何かあった場合には運用の是非も考えるといったような趣旨のお言葉があったかと思います。建設省として、モニタリング委員会にかかっているわけでございますけれども、何かあったというような認識をしているのか、していないのか。また、その被害の原因を端的に教えていただきたいと思います。
  163. 竹村公太郎

    ○竹村説明員 御説明させていただきます。  昨年の五月から私ども本格操作をいたしております。そのために、塩水が河口堰からとまったために安心して現在しゅんせつをし、なおかつその上流の真水を地域の方が飲んでいる、地域の方々は大変喜んでいるという状況をまず御報告させていただきます。  さて、御質問環境の生態系の変化についてでございますが、もう何度もお話出ましたように、学者、専門家のモニタリング委員会の指導によって私ども調査をやっております。その調査のやり方をすべて公表しております。データもすべて公開しております。私どもは、このような形ですべての国民の方にこの私ども調査の結果を共有していただき、この私どものやっている調査を見ていただく、そして評価していただくという体制になっております。  建設省のこのモニタリングの調査評価いかんということでございますが、私どもはさまざまなデータが入手できております。魚道の機能、水質、アユ、サツキマス、底質、シジミ等のさまざまな、膨大な、私個人としては前例を知らないほど大規模な、万全な体制のフォローアップの調査が、現在どんどんデータが蓄積されております。その評価は、あくまでも私どもではなくて専門家の、学識経験者のモニタリング委員会先生方にお任せしてございます。  そのモニタリング委員会先生方評価を、時間の関係で、ここで一々全部御紹介するわけにいきませんが、今までやった三回の委員会の後ですべて、先生方は記者会見をし、内容の評価についてはブリーフィングという形で、メモで提出されております。その結果によりますと、簡単に言わせていただくと、魚道機能は順調に発揮されている、記録的な猛暑の中で、平成七年に一時的にアオコは一部に出たけれども水質は良好に推移している等々のさまざまな評価がされてございます。  私どもは、これらのようにさまざまなデータ、知見が得られている中で、生態系というのはさまざまな項目が複雑に絡み合っている総合的な、ましてや長期的なテーマであるということを強く認識しておりまして、今後とも長良川の生態系のモニタリングを万全の体制で実施し、その成果国民の皆様方と共有していきたいと考えております。
  164. 宇佐美登

    宇佐美委員 竹村さんには、現地にいらっしゃるときから議論をさせていただいております。二年前にも私、二回現地に赴きまして、竹村課長ともお話をさせていただいておりますので、大枠のところ、下地のところの竹村課長が言いたいことはよく理解をしております。理解しているからといって、それが正しいと思っているわけではありません。  猛暑、渇水といった事情があると言っておりますけれども、それでは、どれぐらいに一度の割合で前回の猛暑、渇水というのはあるというふうに考えていらっしゃいますか。
  165. 竹村公太郎

    ○竹村説明員 数字のことでございますので、間違ってはいけませんので、資料を出させていただきます。  平成六年の猛暑と申しますのは記録的な猛暑でございまして、三十五度以上の日が続いた、名古屋気象台の観測史上百一年の中でナンバーワンでございます。  それと八月の雨、これは月間七十ミリしか降らなかったわけですけれども、やはり名古屋気象台では百一年間のデータの中でナンバースリーでございます。  今度は八月の川の流量、これは私ども建設省の内務省以来のデータでございますが、八月の平均流量は二十九トンと、大河川においては極めて少ない流量でございまして、五十三年間のデータがございます、そのうちのナンバースリーでございます。  そういう意味で、私ども、記録的な厳しい条件だったということは、このようなところから表明させていただいております。
  166. 宇佐美登

    宇佐美委員 例えば、今最後のところの流量、五十三年でナンバースリーということで、それを一概に全部の数字だというふうには認識しませんけれども、例えば二十年に一度くらいの可能性、もしくは三十年なのか。水がきれいかどうかということでいえば、やはり流量が大事になってきます。  全部の原因にはなりませんけれども、やはり流量が大事だといったときに、もともと長良川河口堰をつくるときにおっしゃっていたのは、百年に一度の大水に耐えられるようにつくっていこうと言っていたわけですけれども、二十年から三十年――先ほど確かに高温については百一年で初めてだと言いますから、千年に一度かもしれないという予測はできるかもしれません。それでも流量についていえば、この五十三年間の中でワーストスリーだというようなお答えのわけであります。百年の大水、本当に百年に一度起こるかどうかもわからない現在の気象状況の中、この百年間で大幅に世界の気候というもの、気象というものは変わっている。日本もこの数十年間の開発の中で、雨の量がふえたり減ったり、局所的なものとかいう形で気候が変動しているわけであります。そのために今環境庁さんが、気候変動枠組み条約の中でも議論をしているわけであります。それでは、これから数十年間に一回起こる渇水というもの、そのたびに汚い水ができてくるのかというところであります。  喜んで地域の方々が真水を飲んでいると言われるわけですけれども、本当に喜んでいるのかどうかというところは定かではないと言っていいと思います。水が少しぐらい臭くても、ないよりはあつた方がいい、それをもって喜んでいると評するのかどうか。一つのデータによりますと、その地域では水が大きく売れたと言われております。リッター二百円とか三百円の水が大きく売れたというのも、本当に長良川の水を飲んで幸せだと感じている人が多いのかどうかというところ、疑問点がまだまだ残るわけであります。  これからもやはり長良川河口堰の問題、環境庁長官にお尋ねしたいのですけれども、先ほどの見解、示していただいたわけですけれども、厚生省、今回HIVのものも、これまで訴訟が起こって以来七年間ないと言っていた資料、八三年からの十三年間なかったと言われている資料が見つかったわけであります。ないと言っていた資料が見つかるような状況の中で、今回も、調査班を設置して三日で出てきました。  今回の資料等、モニタリング委員会、先ほど竹村課長言われたように、以前に比べて本当に大きな資料、情報を出していただいている、これは事実であります。それは建設省の努力として非常に認めるべきところだと思いますが、環境庁としても独自に調査をする、それでなければ、その存在意義まで、時に問われても仕方がないと私は思っております。  環境庁長官として、例えば先ほど言っておりましたように、調査班の設置等、資料のさらなる調査、もしくは現地に行って調査をするということを考えていただきたいと思います。御意見お願いします。
  167. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 午前中の議論にございましたように、環境庁は調整機能を持っておりまして、各省庁のいろいろな仕事について調整の役割を担わなければなりません。  私は、そのこととは別に、今度の問題、つまり長良川の問題について、本格運用あるいはそれ以前もそうだったのですが、建設省に対してきちんと、それこそ使用前、使用後ということを含めたモニタリングをやるべきだ、そのことは国民の前に公表すべきだと。それは要するに、自分の好きな人たちだけを集めて委員会を開くというのではなくて、批判的な人も含めて、言ってしまえば世論を代表することができるような委員会構成でやってほしいということを求めてきました。それで、求めてきた延長線上にモニタリング委員会が設置されたわけであります。そして、それが一宇の調査をしてきているわけであります。  それはもちろんいろいろな方々がいらっしゃいますから、見解がおのずから異なる場合もあります。おれは安全だと言う人と、いやおれはやばいぞと、いろいろな意見があると思うのです。しかし、そのモニタリング委員会一つ結論が得られたとすれば、それについて一定の信用、信頼というものを持たざるを得ないだろう。それに環境庁が、おいちょっと待て、おまえさんたちゃっているのはちょっとおかしいんじゃないかと言うのは、ちょっとやはり、今の私どものスタンスから見て問題があるなと。  しかし、率直に言って、じゃ全部任せてしまつていいのかと言えば、そうはいかぬと思いますから、その辺はいろいろな工夫をしながら、私どもとして、一体実態はどうなのか、真実は一つですから、一体どうなのかということについての努力は今後とも見詰めていきたいというふうに御理解をいただきたい。
  168. 宇佐美登

    宇佐美委員 もっと前向きな言葉を期待したわけですけれども、昨日も申し上げましたが、私の専門の自動制御の中で考えれば、フイードフォワードコントロール、フィードバックコントロール。フィードフォワードというのは、こうなるんじゃないかという予想のもとでセンサー等を使って実際のデータを入れて研究する、シミュレーションをする。フィードバックコントロールというのは、実際に起こったものから予想と違う結果が出てくる、その差分をまたコントロールのもとに戻してやるという、フィードバックの基本であります。  今回の話で言えば、そのフィードバックの出てきたデータ、できる限り多い、そしてさまざまな種類の情報があることによって、オートマチックコントロールというのが働いてくるわけであります。これはいわゆる政策決定の中でも、そういうようなオートマチックコントロール、フィードバックコントロールというものが議論をされている、科学的な議論がされている中で、ぜひとも、建設省さん一生懸命やっていらっしゃいます、モニタリング委員会もやっている、それプラス、みずからも足を運んでやっていくというわけであります。  別に横から口を挟めと言っているのではなくて、見に行ってください、見て、どうなのかと。百聞は一見にしかずと言われる言葉、もう昔々から皆さんが言われている、人々のこれまでの知恵なのであります。ぜひその知恵に耳を傾けていただいて、現地に行って、見る、ここから始めていただきたい。その際には、建設省の方と一緒に行っていいですよ、別に。事実は何なのか、自分の目で、体で、皮膚で感じていただきたいと思っております。ぜひとも御期待申し上げております。  最後に、宍道湖の、中海の問題について御質問をさせていただきたいと思います。  これは、昭和二十九年六月「島根県が中海・宍道湖の淡水化計画を発表」でございます。昭和二十九年というわけですから、今からもう四十二年前のことであります。昭和三十八年「国営中海干拓事業スタート」という中で、昭和五十年代、地元の反対運動等が高まる中、昭和六十三年二月「竹下首相が」、まさに地元の島根県なのでありますけれども、「「干拓事業は着工当時と状況が変わった」と国会答弁」、それを受けて五月に「島根、鳥取の両県知事が淡水化試行を当分の間、延期すると決め、農水省に回答」をしていただいているわけであります。その後、本庄工区の土地利用検討委員会議論をしておりました。それが、昨年の十一月の二十四日ですか、「工事が中断されている中海干拓・本庄工区の取り扱いについて島根県の澄田知事は「全面干陸の方向で詰めを急いでいる」」と発表なさったわけであります。それを受けて、十二月四日の県議会定例の施政方針演説で、中海干拓はまたやりますよと言い出したわけであります。  その中で、どうしても疑問というか、いろいろと勉強している中で私が不思議だなと思っていることは、今中海の本庄工区千四百ヘクタールの干拓をしようとしているわけでありますけれども、この干拓、農地として全面的に使おうと言っているわけであります。県の資料によりますと、一九八四年から九四年の十年間で、農地として五万一千六百ヘクタールあったものが四万五千八百ヘクタールになっている。つまり、十年間のうちに五千八百ヘクタールが農地ではないほかの利用になっているわけであります。島根県の別の資料によれば、その一つ前の十年間で六千百ヘクタール失われたというようなものが島根県から発表されているわけであります。この五年間をとると、農地が三千百ヘクタール減っている。農家数でいいますと、平成七年二月一日現在、五年前と比較しまして五千二十三人の方が農家から離れざるを得ないと言ってもいいのでしょう、離れているわけであります。その中でもさらに農地をつくっていこうと言っている島根県の論理的根拠というのが、私からは全く見えないわけであります。  この点について、農水省、今県が話しているので答えられる限界もあるかと思いますけれども、農水省としてどういう理解をしているのか、お答えいただきたいと思います。
  169. 山村宗仁

    ○山村説明員 御説明いたします。  中海干拓の本庄工区の取り扱いでございますが、今先生指摘のとおり、干陸工事を延期するということで協議をいたしまして、現在島根県で検討しているところでございます。  これによりますと、中四国農政局長は、島根県地議の検討結果を踏まえて今後の事業の進め方について協議するというふうになっておりまして、農水省といたしましては、この趣旨を尊重しまして、島根県の結論が正式に出された段階で、その内容を十分検討した上で判断するというふうにいたしております。
  170. 宇佐美登

    宇佐美委員 その県議会、二月でもう始まっております。三月十五日が県議会の最終日と聞いております。県としては、その日をめどにこの中海干拓事業そのものを再開するのかどうかという結論を外に発表するというように言われているわけであります。それまでに、やはりこの環境委員会委員として、この点が環境から見てどう考えてもおかしいというのと同時に、先ほど申し上げましたように、使われない可能性の高い農地をこれからもつくっていこうという県の方針、それが全く理解できないわけであります。  それ以前に四つの干拓地があります。その干拓地の農地としての利用状況はどうなっているのか、農水省からお答えいただきたいと思います。
  171. 山村宗仁

    ○山村説明員 御説明いたします。  中海干拓の五工区のうち、本庄工区を除きまして、島根県の揖屋、安来工区、それから鳥取県の弓浜工区につきましては昭和六十三年度に、また、鳥取県の彦名工区につきましては平成三年度に、それぞれ農地整備を行いまして工事を完了し、両県農業公社を通じまして、周辺農家の規模拡大に資するということで売り渡しがなされております。  売り渡された干拓地につきましては、弓浜工区では地域の特産物であります白ネギを中心に、大根、里芋、彦名工区ではたばこ、白ネギ、ニンジンなど、また揖屋、安来ではキャベツ、タマネギなどが作付されているということで県から聞き取っております。
  172. 宇佐美登

    宇佐美委員 もう一つ、その干拓された地域は一〇〇%農地として使われておりますか。一〇〇%でない場合は、その割合を教えてください。
  173. 山村宗仁

    ○山村説明員 御説明をいたします。  国の方から県の農業公社に対しての売り渡しはすべてもう済んでおります。県の農業公社が周辺の農家にいわゆる売り渡しをやっているわけでございますが、揖屋工区につきましては、二百二ヘクタールのうち三十二ヘクタールがまだ売り渡されていないという状況、安来、弓浜、彦名等々にも若干ございます。  ただし、売り渡していない農地につきましても、農業公社の方から周辺の農家に貸し付けておりまして、一反当たり、十アール当たり年八千円から一万円の利用料でございますけれども、そこで営農がなされております。
  174. 宇佐美登

    宇佐美委員 ほぼ時間が終了しております。  この事業費、六十三年度までで三百六十八億円使われております。国費として二百六十八億円、地方負担金百億円。この際、建設利息が百四十億円地方の方についておりますので、県として合わせて二百四十億円を返さなければならない状況が続いているわけであります。それに対して県の今の財政状況、非常に厳しいわけでありますけれども、二百四十億円のうちの百二十億円強に関しまして、今毎年十億ですか、年利六・五%のものを償還期間二十二年間で国に対して返済をしているわけであります。  今回この開発が再開されることによってさらに県民の負担というものは大きくなるでしょうし、また、その土地が本当に利用されるかどうかというものが何よりも重要であります。農地として今全面干拓をしようとしていることが本当に正しいのかどうか。きょう私の質問をお聞きいただいた方、全くこれは正しい方向に進んでいないのだということを御理解いただけたかと思っております。  最後に、環境庁長官、今の話を聞いた上で、この中海干拓、どういうふうに考えているのかということを一つ。  また、本当にきゅうきゅうの時間で恐縮なんですけれども、五つある審議会の公開がどのような形で進んでいるのか。それらについて議事録の公開、発言者は無記名で結構であります、議事録の公開がされているのかどうかということを、長官もしくは政府委員の方からお答えいただければと思います。
  175. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 今宇佐美委員が御指摘をされましたように、竹下さんがおやめになった仕事であります。それをまたひっくり返すというのですから、これは竹下さんにも申しわけないのじゃないかというふうにさえ思います。それはそれとして、朝令暮改という言葉がありますけれども、一遍やめておいて、何かの理由でまたひっくり返すというのは余りよくないという感じがいたします。  ただ、実はここは公有水面埋立法による所要手続が終わっていまして、環境庁がそれについてどうのこうのという立場ではございませんが、しかし、環境庁としてもこの件については十分に関心を持っていかなければいかぬというふうに思っているところです。  だから、今事務当局に対して、島根県から、この事業によるところの水質の影響調査結果を聴取するように指示をいたしております。環境庁としても事実関係の把握に努めてまいりたい、このことを申し上げておきたいというふうに思います。既にそのことについて着手をしつつあるというふうに申し上げたいと思います。
  176. 田中健次

    ○田中(健)政府委員 環境庁所管の審議会等の公開の問題でございますが、五つ審議会がございますが、公開の対象になるのは三つでございます。そのうちの中央環境審議会と自然環境保全審議会、これにつきましては、昨年十二月に審議会が開かれましたので、そこで公開のための審議会の規定の整備を行ったところでございます。それから、残る瀬戸内海環境保全審議会につきましても、これは審議会の開催スケジュールに合わせて対応する予定でございます。  中身でございますけれども、原則、議事要旨を作成してこれを公開する、こういうことにしておりますし、あと、公正中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがない場合等には会議の公開等についても対応するという方向で動いております。
  177. 宇佐美登

    宇佐美委員 時間が終了しました。  先ほどの中海の調査に関しましては、今、調査を県でされておりますのが、飲料利用のための調査項目が中心であります。影響を受けることが予想される周辺漁業のための、漁業目的の生態系調査もぜひ環境庁として指示を出していただきたいと思います。  審議会の公開に関しましては、昨年の九月末の閣議決定で原則公開というものが念押しをされている状態であります。審議会が、会議そのものが一般の方々が参加できる。なぜなら、国民の税金を使って政府政策は行われるわけでありますから、国民の納税者の権利として、審議会がどういうように行われているのか、覆面審査でも結構でございます。だれが発言しているのかというのが非常に危険だとおっしゃるならば、それがわからないような形でも公開をされること、議事録の要旨ではなくて、できれば第三者によるテープ起こしというものが行われた中で、第三者が議事録というものを作成する、そのようなものが望まれる公開、公平公正から見た公開性というものだと思っております。  長良川について、また宍道湖・中海について等質問させていただきましたけれども、再三申し上げます。環境庁長官に大きな期待をさせていただいておりますので、ぜひとも頑張っていただくようお願いを申し上げます。  どうもありがとうございました。
  178. 杉山憲夫

    杉山委員長 岩佐恵美さん。
  179. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 私は、昨年の環境委員会で日光連山の立ち枯れ問題について伺いましたけれども、引き続いて、きょうは丹沢大山国定公園内の立ち枯れ問題について伺いたいと思います。  丹沢のブナの現状は、明らかに枯れ死が進行しています。蛭ヶ岳、檜洞丸ではハリモミ、ブナ林が白骨化し、無残に倒れ、被害地の表土が激しぐ流出をしています。表土が流出すると植物の再生の道が閉ざされます。枯れ死は、丹沢の主稜線上、塔ヶ岳から丹沢山、蛭ヶ岳、檜洞丸までの千五百メートルから千六百メートルの高所から始まつて、今千二百メートルから千四百メートルの鍋割山の稜線まで被害が広がっています。さらに、大室山、加入道山の山頂部にも立ち枯れが目立つようになり、中でも檜洞丸の枯れ死の拡大は深刻な状況です。  環境庁は、丹沢について、第二次酸性雨対策調査で酸性降下物による土壌・植生影響緊急実態把握調査を行って、九四年に生態系地域測定所を整備をしています。  一方、神奈川県は、九六年度までの四年間にわたって丹沢大山自然環境総合調査を進め、中間報告では、樹林の老齢化や大気汚染による生育環境の悪化などが内因的あるいは外因的阻害作用が総合的に作用した結果としてブナが枯れ死したと判定されたと結論づけています。  私も鍋割山に登ってまいりましたけれども、本当に被害が大変な実態であります。環境庁は、県の調査結果も踏まえて、一日も早く立ち枯れの深刻なブナ林の保全対策を検討すべきだと思います。特に、鍋割山から塔ヶ岳にかけての丹沢の奇跡と呼ばれている鍋割山稜ブナ林、これはもう緊急に保護保全すべきだと思います。  丹沢のブナというのは、長官御存じかどうか知りませんけれども、ちょっと変わった形をしているのですね。すっと伸びているのではなくて、割と枝が張って、なかなかユーモラスというか見ごたえのある変わったブナだと思いました。  そういうことで、長官のまずお考え伺いたいと思います。
  180. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 岩佐先生から、私の選挙区ではございましたけれども、神奈川の国定公園のブナの問題について御調査をいただき、御発言をいただくことに敬意を表したいというふうに思います。  このブナ林というのは、実は私も多少関心を縛っておりまして、太平洋側ブナ林を代表する存在でございます。丹沢大山国定公園の代表的な自然景観として重要だということは、もう私から申し上げるまでもございません。  これまでの調査研究では、その原因をまだ特定するに至っていない、ここが正確なところだろうと思うのです。ただ、酸性雨であるとか大気汚染物質などとの関連が必ずしも否定できない状況だということを、この際だから申し上げておかなければなりません。したがって、できるだけ早急にその原因究明を図る必要があるというふうに認識をいたしております。  これは私、県に対しても、これはちょっとひどいからやはり少し調査をしてほしいものだということを、個人的にもかねてお願いをしてきた経過があることも申し添えておきたいと思います。
  181. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 次に、丹沢大山国定公園内の水無堀山林道建設問題です。  今、水無堀山林道は五千二百六十メートルにわたって建設工事が進められています。この林道建設について地元の林業者は、急峻な丹沢の地形にはケーブルが最も適している、枝打ち、間伐、下草刈りにはもちろん作業道も必要だけれども、林業者にとって使いやすい林道というのは、一つに山を壊さない、二つに他の一般車が侵入しない、三つに林道ののり面が高過ぎず、どこからでも山に入れるということだそうです。水無堀山林道のような林道と林道をネットワークする、最終的に丹沢を取り巻く、そういうようないわば観光道路のような道路は決して必要ないと言っています。  丹沢山塊南麓では、大山山麓リサーチパーク槽想などの開発計画がメジロ押しです。一体この六無堀山林道建設というのはどういう目的を持つものなのか、林野庁から簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  182. 萩原宏

    ○萩原説明員 お答えいたします。  林道は、効率的な森林施業の実施や森林の適声な維持管理にとって必要な基幹的施設でございます。さらに、地域の活性化や森林空間の総合的知用などについても大きな役割を果たすものでございます。  先生の御指摘にございました水無堀山林道につきましても、そのような役割を果たすことを目的として現在開設を進めているところでございます。
  183. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 今説明がありましたように、これは県もそう言っているのですが、この林道というのは、森林振興と同時に、森林空間利用という言葉を使われましたけれども、いわゆるレクリェーションエリアのアクセス道路としての機能を持つ、県はこういう説明をしています。つまり、今の林業の実態からいうと、この割合がどういうことになるのか、結局は観光道路になるのじゃないかというような懸念が強いわけであります。  丹沢の稜線部のブナの立ち枯れがますます深刻化をしている現状で、都市部の大気汚染だけではなくて、丹沢の林道による自動車排ガスで一層この現象が悪化をさせられるということはもうはっきりしていると思います。とりわけ、鍋割山から塔ヶ岳にかけての鍋割山稜ブナ林の真下に水無堀山林道を開設するということは、結局稜線のブナを一気に枯れ死させてしまうというおそれがあります。  しかも、この道路の開設は、神奈川県が計画し進めているいわゆるやまなみ五湖ネットワーク林道に接続することによって、表丹沢山麓を東西に結ぶことになります。さらに、裏丹沢とも結んで、丹沢を一周する接続道路となります。まさにこれは丹沢を自動車観光道路化するものであります。現在建設予定の第二東名高速道路からの車を受け入れるいわゆる自動車観光道路になるということです。  このような丹沢山塊の一層の衰退を招くような自動車観光道路の建設、これは本当に見直していかなければならないというふうに思いますが、大臣のお考え伺いたいと思います。
  184. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 丹沢地域において第二東名自動車道路の事業が計画されていることは承知をいたしております。これらの事業実施に当たって、地域の自然環境の保全に配慮がされるべきだということについての認識も共通いたしております。  そこで、岩佐さん御指摘の第二東名自動車道については、環境影響評価実施要綱に基づいて建設大臣から意見照会を受けておりますので、現在環境影響評価書の内容について審査を実施いたしております。審査に当たっては、地域の自然環境状況はもとより、大気汚染や騒音等の状況を十分に踏まえて、公害の防止及び自然環境の保全の立場から、環境庁として必要な意見を申し上げていきたいというふうに思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  185. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 今お話がありました第二東名、それから厚木秦野道路建設問題について建設省に伺いたいのです。  この道路計画は、神奈川県で唯一の盆地秦野に、北側を丹沢の山ろくを縫うように第二東名を、南側を渋沢丘陵をえぐるように厚木秦野道路を建設するというものです。地図がここにあるのですが、長官の手元にもあるみたいですね。そういう道路であります。  秦野盆地では、現状でも高濃度の大気汚染に悩まされているわけです。その上に、第二東名だけで一日五万台から六万六千台の交通量がプラスされるわけですから、大気汚染が一層悪化されるのは火を見るよりも明らかです。ところが、神奈川県が作成した環境影響評価書案は、秦野の盆地地形を全く無視をしています。あるいは、計画道路からの寄与濃度はもうわずかだということで、著しい影響はないというふうに言っているのです。  ところが、この地域には接地逆転層が見られます。あるいは、自動車排ガスが秦野盆地の底にたまる。こういうような地元皆さんの、もう日常生活の中でのいろいろな体験的な検査結果があるわけです。県の環境アセスでは、この接地逆転層について全く調査、予測をしていないのですけれども、この点について建設省は、新たにこれを足した、そういう接地逆転層などの調査を改めてやったというふうなことになっているのかどうか。事実関係だけ簡単にお答えをいただきたいと思います。
  186. 大石久和

    ○大石説明員 御説明申し上げます。  逆転層は、その発生を具体的に予測することは現状ではなかなか困難な状況でございますから、今回の第二東名等のアセスメントにおける大気汚染につきましては、一つに、道路による影響につきまして逆転層の発生しやすいとされている無風時も含めた予測を実施していること、二つには、地域のバックグラウンドや地形からの影響について地域状況を反映した実測値を用いていることから、地域、地形の特性と逆転層の影響も見込んだアセスメントになっているものというように考えております。
  187. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 要するに、接地逆転層についてはやり直しをしていないということになるわけですね。審査会の答申では、「計画路線は、相模低地、秦野盆地、丹沢山地、足柄山地など多様な地形のところを通過するため、地形性の気温逆転層や複雑な地形内における気流の変化など局地的な気象条件が大気汚染物質の高濃度出現に影響を持つことが考えられる」、そういう指摘をしているわけですけれども、その点について、接地逆転層はなかなか観測が難しいということでやっていないということであります。  次に、県の環境アセスでは、動物生態系について、改変する面積が少ない、大部分をトンネルで通す、だから影響は少ない、それから生息環境は保全されるというふうな結論を出しているわけです。同時に、その環境アセス書案には、オオワシとかイヌワシなど、この地域では全く生息していない種を載せるなど、極めてずさんな調査になっています。一方、種の保存法で国内希少野生動物種に指定されているオオタカについては全く記述していないのです。  地元の自然保護団体は、昨年、第二東名建設ルート周辺でオオタカの繁殖を確認しました。営巣地は、計画ルートから一キロと一・五キロメートルの二地点にあります。オオタカの実態調査を行って、保護策を具体的に検討すべきだと思います。また、オオタカ保護のための計画路線の変更、見直しを早急に行わなければならないというふうに思います。改めてその点についても県を指導すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  188. 大西孝夫

    大西政府委員 先ほど長官の方から、建設大臣より意見を求められておるというふうに申しました。現在、その環境影響評価書の内容について審査実施中でございまして、私どもとしても、オオタカの生息に与える環境影響についても慎重に審査をしていきたいと思っております。
  189. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 そのオオタカの問題ですけれども、オオタカについての学識経験者等も含めた検討、詳細な調査実施、生息環境への配慮、これを県が行っているかどうか。その点はつかんでいるのでしょうか。
  190. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 岩佐さん御存じのように、神奈川県が実施している調査というのは、ワシタカ類特定鳥獣等保護調査でございまして、平成七年五月から平成八年三月まで。その中には、調査内容、方法として、オオタカ、サシバ、ノスリなどについて現地調査、そして既存資料を活用し、県内における分布状況を把握する、調査で発見された営巣地については保護対策を検討する。神奈川県が実施主体で、委託先は日本野鳥の会という形で今現実にやっていますし、環境庁としても実は分科会で調査マニュアルを作成するための配慮指針を今つくっている最中でございまして、そういう意味では別にオオタカを外してという議論ではございませんし、そういう努力をしているというふうに私は伺っておりますので、また後ほど先生が御指摘いただければお答えをさせていただきたいというふうに思っております。
  191. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 今の点については、県がオオタカの調査をちゃんとマニュアルどおりといいますか、現地の秦野市もちゃんと指導しながら調査を行っていくということにならないと、オオタカをけ散らすようなというか、あるいは不心得な人たちがオオタカをねらうというような、そういうようなことにもなってしまいかねない。つまり、自然保護団体の人たちが気になるような調査をやってもらっては困るわけですね。きちっとした調査をやってもらわなければいけない。  そういう意味でも、県がちゃんと現地をつかんでいるかどうか。そういうことについて環境庁としてどうなのですかということを伺って、去年の暮れでしたか、県の方から報告に来た、あれは一月の末でしたか、ちょっとその辺、正確なところを答弁していただきたいと思います。
  192. 大西孝夫

    大西政府委員 私の所管のところでは、建設省から意見照会を求められて、これは二月に入っていただいておりますが、今その審査に入ったばかりでございます。  先生今お尋ねの件は、自然保護局の方に、いわゆるアセスとは別の形で御相談があった件かと思います。
  193. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 きちんと対応していっていただきたい。  この道路計画の地域には、かなり里地ですから、オオタカの生息が見られるということなんですね。オオタカ保護ネットワークの調査によりますと、全国各地で地域の開発とオオタカ保護の問題が起こっているのは、これまで議論をしてきた秦野市や八王子市など十八地域以上に上っています。環境庁として、野生生物保護対策検討会猛禽類保護方策分科会、この報告も踏まえながら、先ほどちょっと長官言われましたけれども、オオタカの生息状況の把握を急いで、そして当面オオタカの生息地は鳥獣保護区として設定をするというような方向で進めていただきたい。そして、早急に種の保存法に基づいて生息地保護区の指定もするべきではないかというふうに思います。  九六年度環境庁予算で新たに、先ほどからも議論がありますが、里地の希少野生生物保護モデル事業が盛り込まれました。ここでは、九六年度にはミヤコタナゴを検討しておられるようですけれども、今後このような事業を拡大して、丹沢及び周辺の里山に住んでいるオオタカなどを事業に盛り込むというようなことを検討すべきではないかというふうに思うのですけれども、その点どうでしょうか。
  194. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 御指摘のように、里地の希少野生生物保護するということで予算はとったわけですが、何分にも金額が大変少のうございまして、恐らく一カ所ぐらいやれれば精いっぱいという感じでございますが、これからできるだけ予算をふやして、したがって、その対象箇所もふやしていかなければならないと思っています。  ただ、だからそこでオオタカを、丹沢地区のということでストレートにいけるかどうかはこれからの課題でございますけれども、何分にも予算額二千万円でございまして、二千万円ではこれは一カ所やって精いっぱいという感じでございますが、これからもその予算をふやしていくことと同時に、地方公共団体の御協力もいただきながら、何とか里地の希少野生生物保護のモデル事業を広げていきたいというふうに思いますので、御寛容を賜りたいと思います。
  195. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 オオタカなどの希少野生動物種を保護するためには、生息地の里地全体の保全を進めていかなければならないのです。これは別にお金をかけなくても、指定をしていけばできるという場合もあるわけですね。例えば八王子の、私がいつも言っているリサーチパーク計画の地域などは、住都公団が持っているものなのですけれども、そういう場合に、計画予定地のど真ん中にそのオオタカの営巣地があるということで、これについては東京都かどこか買い上げなければいけないとかということで、多少はお金が要るかも、多少というかお金が要るかもしれませんが、そうでないところもあるはずなのですね。ですから、そういう点では、積極的に生息地の里地全体の保全ということで考えていっていただきたいと思います。  今回のこの丹沢のふもとの道路計画というのは、まさに現在の東名や将来的に通るであろう圏央道あるいは各市の大規模な開発、そういうものを本当に見事につないでいくものなのですね。県が説明している交通混雑の緩和だとか生活環境の向上どころか、秦野盆地の環境破壊を引き起こすおそれの方がずっと強いわけです。  いずれにしても、この神奈川県の計画道路については、やがて建設大臣認可に際して環境庁長官意見を求められるということになるわけですけれども長官所信表明の中で「生物相豊かな里地環境の保全整備を進めてまいります。」と述べておられるわけですね。計画道路の見直しを県に積極的に指導する、そして、里地環境の典型とも言える秦野地域を保全すべきだ、積極的にちゃんとそういうことをやりなさいということで、意見を述べていただきたいというふうに思うのです。  私は、鍋割山に登る中途からずっとこの秦野盆地の地域を見ましたし、また八王子側から道路を使ってその現地に入りましたものですから、中途からこの地域を見たのですけれども、あるいは現地でも、本当に豊かな里山が残っているすばらしい地域なんです。それにそのやまなみ五湖ネットワークだとか第二東名だとか二四六だとか、そしてその林道計画だとか、本当に心が痛む道路計画がメジロ押しなんですね。それは住民の生活をよくするとか、何もそういう道路ではないのですね。産業優先という道路で、やはりこれは今の時代にそぐわない、そういう道路計画だと私は思います。もっともっと今のこの秦野盆地のすばらしい環境を守り、人間の生活を大事にする、あるいは動植物の生息地を守る、そういう立場にしっかり立って、長官にうんと頑張っていただきたいというふうに思うのですけれども、その点いかがでしょうか。
  196. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 率直に申し上げまして、やまなみ五湖の林道というのは、長洲さんの時代からかなり観光という立場を中心にして、特にあそこに宮ケ瀬ダムなんかができたものですから、それとの関連を含めて、それをつなげるという形で県政の中で割と力を入れてきた政策になっているわけですね。ところが、御案内のように、オオタカがいるぞ、あるいは自然環境が壊れるぞ、それから道路が本当に密集しているぞという指摘が現実に今日強く出されています。だから、それらとの調和のために、やはり県の方としても御努力、御配慮をいただかなければならぬなというふうに私は思っています。たまたま幸いにして岡崎さんが知事でもございますから、そんなことを含めてお話をする機会があろうかなと思っております。  ただ、今までそういう意味でいうと計画がやや確定をしてきている。そういう経過があることを御承知の上で、にもかかわらずオオタカの生息というものに影響を及ぼさないような手だてを最大限しなければいけないなという意味で、ついせんだってもある人からそんなことの御相談を受けまして、県の方に対応してもらうために話をしようかなと思っていたやさきでございます。  それから、先ほどの第二東名の問題については、建設大臣から意見照会を受けておりますので、これについては環境庁の立場から、その立場を十分にわきまえた審査を実施してまいりたい、こんなふうに思いますので、御理解をいただきたいと思います。
  197. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 最後に、国定公園の公園計画の再検討及び適正な保護管理、この問題について伺いたいと思います。  国定公園は、再検討終了後おおむね五年ごとに点検を実施することになっています。ところが、九六年一月現在、五十五の国定公園の中で十九の国定公園で二土地区が公園指定以来再検討をされていません。点検も六地区しか終了していません。  丹沢大山国定公園の場合、八五年に再検討が行われ、現在点検一の作業を行っている。首都圏に最も近い丹沢大山が著しく衰退している現在、神奈川県の丹沢の総合調査も踏まえ、管理計画の第定やあるいは各種開発事業に対する適正な保護管理を基本方針に盛り込んでほしいというふうに思っているところです。  この国定公園問題というのは、前にも鳥海山の自然破壊について当委員会で質疑をしたことがありますけれども、国定公園だということで、国立公園とはまた違って、その自然破壊の危機というのがひどい状況になっているわけですね。そういう全国全体の大きな問題と、それからこの丹沢の今現実に迫っている問題、その二つの問題にしっかりと対処していただきたいというふうに思います。
  198. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 先生御案内のように、国定公園の公園計画を変更する場合には、制度の上で、まず都道府県から申し出があることが必要であります。したがって、丹沢大山国定公園についても、神奈川県知事から変更の申し出があれば、国定公園の適切な保護及び利用の観点からこれを検討し、適切に対処してまいりたいというふうに思っています。  なお、この国定公園の管理計画については、かねてから先生も御指摘、御主張をなさっていらっしゃるわけですが、その策定について全国一律のものもありますが、都道府県で地域ごとにつくっている、全国一律ともう一つのあれがあるわけでして、それらについて都道府県を指導してきているところであります。神奈川県においては、その策定のための検討に着手したということを伺っております。今後とも国定公園の管理、保護が適正に行われるように都道府県を適切に指導してまいりたいと思っています。  ここで一つだけちょっと、実は私から皆さん検討してほしいと思っていることがあります。それは、規制緩和に関連をいたしまして、国定公園というのはもう国から外して県の方でやったらどうだという意見も実はメンバーの中から出ているのです。  私は、規制緩和は必要だと思います。しかし、そこの中で規制をやはり強めていかなければならない部分もある。あるいは、守っていかなければならぬ点もある。何が何でも緩和してしまって自由でよろしいというわけにはなかなかいかぬ点があるのではないだろうかということを考えております。  したがって、国定公園の問題も、ターゲットになっているかどうかは知りませんけれども、そういう点もあるやに間接的に承っておりますので、その点についてはぜひ、今御指摘のことは皆さんもみんな共通のことだろうと思いますから、関心を持っていただきたいということを私から陳情を申し上げておきたいと思います。
  199. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 今の問題に関してですけれども、緑というのはつながりで残していかなければいけないわけですね。ですから、この丹沢の問題も、道路でずたずたに分断されると動物の逃げ場も生息することもできなくなるわけですね。だから、この地域をトータルで緑としてどう残すのかということを本当に考えていかなければいけない。だから、市に任せるとかということじゃなくて、県がどうするかということもある。それは同じで、国が列島全体をどう残していくかということでやはり考えていかなければいけない問題でもあると思います。  だから、それは私たちは積極的に受けとめて、国がきちんとこの環境を守るということではしっかりと頑張っていただきたいということで、そのことをお願いを申し上げ、私たちもそういう立場で頑張りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  200. 杉山憲夫

    杉山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十三分散会