○竹内(猛)
委員 私は社会民主党・護憲連合の竹内であります。
このたび、岩垂
長官が就任をされましたことは、まことにおめでたいことです。この前の
長官も長野県であったし、今度も長野県で、同期に当選をして、彼は労働運動で総評で一生懸命やったし、僕は農民の方へ入っていって、同じ政治の道を歩んできてまたここで一緒になるということはなかなか奇妙なことだと思っているのです。社会党の中にもいろいろな流れがあったけれ
ども、二十何年間か同じ流れで来たというのは大変楽しい話でして、顧みればおもしろいことばかりだった。
そういう中で、特に村山
総理が誕生して、
環境委員会で一番問題になった
水俣病の問題についてひとまず方向性が決まって、まだあと残ってはいるけれ
ども、これは大変
成果があったと
思いますし、先ほどの岩垂
長官の
所信表明の
幾つかの項目、これはまことに結構だと思うのです。それを
一つ一つこれから聞くのは時間がないから、私は主として、ガット・ウルグアイ・ラウンドの体制のもとでの農業と
環境という問題について、まず最初に尋ねたいと思うのです。
このガットの問題については、二つの問題があります。その
一つは関税で自由化をする、もう
一つは
保護を取ってしまう、こういう二つの問題がある。それは国際的にも国内的にも問題なんですね。そういうことを言っていながら、先にこれをつくったEUにしてもあるいは
アメリカにしても、自分の国の農業なりなんなりについてはまだ
保護を続けている。奨励金も出しているし、不足払いもするし、多くの
保護をしているにもかかわらず、日本は先般食管法を改正して新食糧法に変わっていった。そして今度、新しい農政をつくるという方向で今進めているわけですね。
ガットを受けたときには、ちょうど私は農林水産
委員長の席にあって、当時、細川
総理それから羽田外務
大臣、今では野党でいろいろ言っているけれ
ども、当時は
与党としてこれを受け取ったわけなんです。断崖から落ちる
思いであるとか断腸の
思いであるとか、大分そういうふうに言ったけれ
ども、それじゃどうするんだということでこれの対応をしたときには、既に我々が今度は
与党になっておりました。
そこで私
どもは、
与党二百十三名が一緒になって、美しいみどり、きれいな水・安全な食糧を守る議員連盟というものをつくりました。私がその座長を務めて、桜井新さんが座長代理という形で、それで、大変評判が悪かった大蔵省のあの中島主計局次長をかなり苦しめて、いじめて、そして六兆百億と一兆二千億のガット対応の財政を裏づけするという形で、とりあえず進めてきた。
そういう中で、なおそれだけでは済みませんで、これからどうするか、議員だけでは仕事ができないということで、この議員連盟が今度は四十四
団体に話をして、四十四
団体というのは、農協から農業
会議から、学者あるいは技術者、消費者
団体、たくさんの
団体が入っておりますが、去年の七月の参議院選挙の前に今度はみどり運動連絡会というものをつくって、これが運動をする。
その前に、緑の募金を従来は自由にしてやったものを今度は
法制化しようということで、これは全党の
皆さんにも相談をして、去年の四月二十七日に議員立法で緑の羽根の募金に関する
法制化をして、そしてそれはことしの四月一日から行動に入る、こういうような
仕組みになっている。
そのねらいは、
都市と農村、山村と
都市というものを
理解してもらい、水も緑も、ただ単にほっておけば流れるものでもないし、伸びるものでもないのだ、やはりそれには膨大な金がかかるのだということをお互いに
理解してもらわなければいけない。現在、人口は三分の一が首都圏に集中し、そして中京圏あるいは
阪神圏、北九州、それから都府県においても県庁の所在地、第二
都市というところに集まっていて、農山村が空っぽになっている。大体その比率は三対七であるということを
考えてみると、この農山村と
都市との乖離を解くためにはどうしても運動が必要だというように我々は
考えて、そういうことを進めてきたわけであります。
そこで、これから
質問ですが、農林水産省が最近、ガットのもとでの日本の農業の展望というものについて長期計画を立てている。その中でまず聞きたいことは、食糧の自給率というものを何%ぐらいに
考えているのかということ、これが
一つのポイントですね。
その次は、農地は一体どうするのか。現在五百二十万、あるいはもっといっているかもしれませんが、それを四百八十万ヘクタールぐらいに減らすという方向もある。それから、農家の所得というものを、専業と言わないで、今度は主業、副業というような形で総合所得になっているけれ
ども、これは大体農業でどれぐらいのものを見込んでいるのか、こういう
関係ですね。
その次には、農村の生産形態というものは、これは
環境とも
関係があるけれ
ども、従来は、上の方から補助金で指示をしてそれを聞けないのはけ飛ばしてしまう、こういう
方針をとったけれ
ども、そういう農政は今余り受け入れられない。やはり農家から出発をしてそれを
制度化していくという、運動と
行政とそれから
制度の結びつきがなければいけない。日本には今十四万の集落がある。その十四万の集落というものが基礎にならなければいけない。ところが、まだそこまでいっていない。この前私は
環境委員会で、長野県の小平権一さんの話をここへ持ち出して、そういうことをやれということを言ったけれ
ども、まだそこまで進んでいない。怠慢とは言わないけれ
ども、非常に不十分ですね。
これは前に、ガットを受け入れるときに、私は予算
委員会で四時間
質問をして宮沢
総理にも言ったのだけれ
ども、農業の生産形態と、天気や水やあるいは
土地条件やそういうところを相手にしてつくるものと、それから天気や水やそういうようなものとは
関係なしに、
土地と工場と技術と資源があれば生産ができる工業と同じような取り扱いをすることは間違いである、それを分離すべきだ。工業製品は自由貿易で十分にこれは競争ができるにしても、農畜産物というものは、農林水産物というものはそういうことではないじゃないか。これが我々のみどりの議連の方式でもあるし、それから学者の
意見でもある。ここで農業基本法が破綻をして、新しい農業基本法にかわるべき方向をつくろうとしているときに、農林水産省としてはどういう
考え方を持つのか。当時の宮沢
総理は、私の
考え方にちゃんと、それはそのとおりでございます、現在の加藤
自民党幹事長は、この間の選挙のときの公約は、今言ったように、農業生産の方式と工業生産の方式は違う、こういうふうに言っているわけだが、ここらに対する農林水産省の
意見をまず聞いて、その後で岩垂
長官からお答えをしてもらいたい。