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1996-05-17 第136回国会 衆議院 外務委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月十七日(金曜日)    午前九時開議  出席委員   委員長 関谷 勝嗣君    理事 小杉  隆君 理事 田中 直紀君    理事 玉沢徳一郎君 理事 赤羽 一嘉君    理事 東  祥三君 理事 松沢 成文君    理事 井上 一成君       安倍 晋三君    斎藤 文昭君       櫻内 義雄君    鈴木 宗男君       原田昇左右君    伊藤 英成君       岡田 克也君    笹山 登生君       若松 謙維君    秋葉 忠利君       伊藤  茂君    佐藤 泰介君       園田 博之君    寺前  巌君       吉岡 賢治君  出席国務大臣        外 務 大 臣  池田 行彦君  出席政府委員        外務政務次官   小川  元君        外務大臣官房審        議官       谷内正太郎君        外務大臣官房審        議官       西田 芳弘君        外務省総合外交        政策局長     川島  裕君        外務省アジア局        長        加藤 良三君        外務省北米局長  折田 正樹君        外務省条約局長  林   暘君        水産庁長官    東  久雄君  委員外出席者        資源エネルギー        庁石油部開発課        長        勝野 龍平君        海上保安庁警備        救難部参事官   鈴木 光男君        外務委員会調査        室長       野村 忠清君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十七日 辞任       補欠選任   古堅 実吉君     寺前  巖君 同日 辞任       補欠選任   寺前  巖君     古堅 実吉君     ――――――――――――― 五月十七日  千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協  定の譲許表第三十八表(日本国譲許表)の修  正及び訂正に関する確認書締結について承認  を求めるの件(条約第一号)(参議院送付)  インド洋まぐろ類委員会の設置に関する協定の  締結について承認を求めるの件(条約第二号)  (参議院送付) 同日  インドネシアヘの原発輸出に対するODA使用  反対に関する請願(穀田恵二紹介)(第二四  一一号)  同(寺前巖紹介)(第二四一二号)  同(東中光雄紹介)(第二四五九号)  同(矢島恒夫紹介)(第二四七九号)  同(岩佐恵美紹介)(第二五〇二号)  同(岡崎宏美紹介)(第二五〇三号)  同(佐々木陸海紹介)(第二五〇四号)  同(不破哲三紹介)(第二五〇五号)  同(藤田スミ紹介)(第二五〇六号)  同(正森成二君紹介)(第二五〇七号)  同(山原健二郎紹介)(第二五〇八号)  同(吉井英勝紹介)(第二五〇九号)  同(岡崎トミ子紹介)(第二五六八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  海洋法に関する国際連合条約及び千九百八十二  年十二月十日の海洋法に関する国際連合条約第  十一部の実施に関する協定締結について承認  を求めるの件一条約第三号)      ――――◇―――――
  2. 関谷勝嗣

    関谷委員長 これより会議を開きます。  海洋法に関する国際連合条約及び千九百八十二年十二月十日の海洋法に関する国際連合条約第十一部の実施に関する協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松沢成文君。
  3. 松沢成文

    松沢委員 おはようございます。新進党松沢成文でございます。  海洋法関連いたしまして、私は、先週の金曜日に新進党を代表して代表質問に立たせていただきました。またそれに関連をして、外務大臣並びに外務省の方々に御質問をさせていただきたいと思います。  まず初めは、中国との領土並びに海洋法関連の問題について伺います。  代表質問でも指摘させていただきましたけれども、中国は、尖閣列島周辺地域において昨年五月から六月まで資源調査を行っています。そして、去年の十二月からことしの二月にかけては石油試掘調査も行っております。そしてまた、ゴールデンウイークの最中にも記事になっていましたけれども、四月から五月初旬には調査船日中中間線の内側で調査を行うなど、こういう調査を活発に行って、いわゆるこの領域に対する管轄権既成事実化する環境づくりを着々と進めているというふうに思います。  これに対して、我が国政府が同海域においていわゆる海洋調査を行ったという事実は私は全く聞いたことがないのでありますけれども、我が国は同海域における海洋調査を行ったことがあるのか、また、あるとしたらその実情についてまず伺いたいと思います。
  4. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 我が国の場合、海上保安庁昭和五十五年、五十六年、五十七年に大陸棚調査を行っておりますが、日中間のその海域において、例えば昭和五十九年、一九八四年から昭和六十一年、一九八六年にかけてやはり海上保安庁測量船を用いて大陸棚調査を行いまして、その結果についても対外発表を行っております。
  5. 松沢成文

    松沢委員 その海洋調査というのはどんな調査なんでしょうか。埋蔵資源を調べたり、あるいは海底の形を調べたりいろんな調査があると思うんですが、その辺はわかりますか。
  6. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 私もこの言葉の詳しい意味はわかりませんけれども、「拓洋」による精密調査というものを海上保安庁が例えば一九八六年に実施して、沖縄トラフ海底は拡大していないという結論を得る、こういう調査実施したケースがございます。
  7. 松沢成文

    松沢委員 産経新聞の報道によりますと、中間線の東側では日本による試掘だとかあるいは調査は進んでいないという報道がなされているわけですけれども、関係者は、企業石油公団の協力を求めると、危険地域へは資金提供できないという政府見解に阻まれる、これは新聞情報なんですが、こういうことを指摘しているわけなんです。こういう状況を続けてきた日本政府は、私はちょっと国家利益を守るための戦略が欠けているのではないかと思わざるを得ないわけであります。  簡単に言えば、中国を刺激しないために、日本政府は、こういう海洋調査を極めて問題になっている水域でやるということには非常に腰が引けているというふうに思えてならないわけでありますけれども、今後もこういう状況が続くのか、それとも、これは外務省じゃなくて通産省の方かもしれませんが、民間企業がこの海域調査を申請したら政府の方としては認めるのか、政府対応についてお聞かせいただきたいと思います。
  8. 勝野龍平

    勝野説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生の方から御指摘いただきました東海、この水域は、エカフェ、国連アジア極東経済委員会で報告がございますように、石油等資源賦存が極めて高いという海域でございまして、我が国資源政策を遂行する上でも非常に重要な海域というふうに認識しておりまして、我々としても早期の開発ということを期待している次第でございます。しかしながら、一方で、同海域につきましては日中間での大陸棚の範囲に関する双方主張がふくそうをしているということも事実でございまして、大陸棚画定について困難な問題が存在するという状況でございます。  我が国企業先生指摘いただきましたけれども、物理探査等の必要な情報収集を行っております。しかしながら、試掘等のさらなる活動につきましては、日中両国関係等を総合的に判断しつつ行う必要があるというふうに考えておりまして、外交当局を初めといたしまして、関係省庁とも相談しつつこれまで対応を行ってきているということでございます。  いずれにしましても、石油開発具体化のためには、まず大陸棚境界画定、この問題の解決が我々としても一番肝要というふうに認識しているわけでございまして、海洋法条約締結を踏まえまして、今後も境界画定に関する意見交換を進める等、外務省等関係省庁とも相談しつつ適切に対応させていただきたいというふうに考えている次第でございます。
  9. 松沢成文

    松沢委員 通産省の方としては、こういう外交上の問題もあるので外務省とも相談をしながらやるという御答弁だったと思うんですけれども、この中国のやり方は、こういう境界線双方主張があるわけですが、それはあるのは承知の上でどんどんこの地域試掘調査等を行って、それを既成事実化して、これを有利な条件として今後の中間線画定の問題に挑もうとしているわけでありまして、日本の方が中国遠慮をして、外交問題に発展しては困るということでこの辺遠慮を続けていたら、海洋法条約に伴って境界線を引くという、この交渉自体が不利になってしまうという大きな危惧を私は持っているわけであります。  では、外務省の方に伺いますけれども、今後日本企業等がここで埋蔵資源石油等試掘調査をしたいという申し出があった場合に、それを通産省から相談を受けた場合、外務省としては、やはり外交上の理由で慎重な態度をとるのか、それとも、それは構わないとおっしゃるのか、この辺はいかがでしょうか。
  10. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 日中間大陸棚資源開発ということについて通産省からの答弁もございましたけれども、大陸棚境界画定などの困難な問題があって、現時点では、探鉱などの具体的な活動というのは実は難しい状況にある、こういうふうに認識いたしております。  ただ、日中間大陸棚資源開発問題につきましては、今後日中両国国連海洋法条約締結するということを踏まえまして、それから、もちろん日中の両国関係というものを総合的に判断しながらでございますが、これは適切に対処してまいりたいと思います。  四月九日には既に中国との間で海洋法条約締結に伴う実務者協議の第一回が行われておりまして、これからこのような協議の場を通じて意見交換をし、必要に応じ御指摘のような問題についての対応というものをきちんととってまいりたい、こういうふうに考えております。
  11. 松沢成文

    松沢委員 余り答えにはなっていなかったのですけれども、ちょっと話を進めていきたいと思うんです。  四月の下官から行われていた東シナ海に教が国が設定している日中の中間線日本側における中国フランスの、多分合同の、海洋調査船の無許可活動に対して、海上保安庁は中止の要請を行ったそうであります。これに従ってフランス調査船は直ちに撤退したけれども、中国調査船は当初無視して航行を続けていて、最近の情報では、それは中間線向こう側に戻ったということでありますけれども、同海域における外国資源探査については、国際慣習上、許可は必要というふうに日本政府はしていると思うのですけれども、両国に対してこの国際慣習の遵守を求めたのは至極当然のことであると思うのです。  そこで、中国フランス海洋調査目的は、新聞報道等によると明確になっていないわけでありますけれども、この中仏の海洋調査目的は何だと外務省は把握しているのか、政府はこれらの両国の動きをどのように分析をされているのか、お伺いしたいと思います。
  12. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 委員指摘のとおり、四月二十四日以降、沖縄西方海域、すなわち日中中間線より日本側の、基本的に公海上でございますけれども、この海域において五隻の中国船と一隻のフランス海洋調査船活動していたことが確認されております。  フランス船につきましては、フランス側に対して外交ルート活動目的を照会したところ、科学的調査、すなわち堆積物調査磁気調査地震学的調査などでございますけれども、こういう科学的調査であるという回答がございました。これを踏まえまして、私たちの方から、同意なくして大陸棚科学的調査を行うことは認められないという我が方の立場を申し入れたところ、四月三十日に、調査を中断するということをフランス側から連絡してまいりまして、さらに五月十日、フランス側から、問題となっている水域では調査を行わないこととなったという連絡があった経緯がございます。  それから、中国船についても、海洋調査船と見られる船がジクサク航行などを行っていたことが確認されております。中国側に対して、外交ルートで直ちに事実関係調査を行いまして、また我が方の立場というものを申し入れたわけでございますが、中国からは、これまでのところ我が方の照会に対する回答が参っておりません。我が方としては、引き続きこの回答を求めている段階にございます。
  13. 松沢成文

    松沢委員 中国は、昨年の十二月から今年二月にかけても同様な行動をとっているわけです。そのときに外務省は、我が国の主権が侵害されることのないよう申し入れたとされておりますけれども、中国側はそれに対して、中間線同意したことはなく、同海域公海上というふうに主張しているわけです。  政府は、これは参議院国会答弁で、公海上の調査には、我が国管轄権が及ばないことはあるという答弁をしているのです。中国公海上というのを理由に即時撤退しなかったのは、私はこの政府国会答弁見解が逆に利用された可能性もあるとも見られると思うのです。この中国公海上との主張に変更がない以上、同様の行動が引き続き行われることが危惧されるわけでありまして、何度もこういうことが繰り返されて、公海上だからいいじゃないか、当然じゃないかということになると思うのです。もちろん、海上保安庁による一層の警備の強化、またそれに対して、日本政府中国に対して物を申すことは必要だと思いますけれども、こういう状況では根本的な解決になり得ないと私は思うのです。  こうした一連中国行動に対して、政府はどう考えていて、続発する可能性もあると思うのですが、今後はどのように対応されていかれると考えているのか、外務大臣お答えいただきたいと思います。
  14. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど来政府委員から御答弁申し上げておりますが、いずれにいたしましても、外国船我が国大陸棚大陸棚に関する調査を行うに際しましては我が国同意を得るということが必要である、こういうことになっているところでございますけれども、中国船を含めまして、外国船がそういった我が国同意を得ることなく大陸棚に関する調査を行っている可能性があると認められるときには、従来から外交ルートを通じ申し入れを行うなど、しかるべく対処をしてまいった次第でございますけれども、今後とも、そのような、どういいましょうか、大陸棚に対する我が国の主権的な権利が侵害されることのないよう、適切に対処してまいりたい、こう考えている次第でございます。
  15. 松沢成文

    松沢委員 中国のこの一連海底調査試掘に対して、我が国海洋法による日中の中間線より日本側ということで抗議をしているわけですけれども、これに対して中国側は、中間線という考えはない、認識の違いだと、動じる様子を見せていないわけであります。今後とも中国は、中国の自国の国家戦略、国益に基づいて、大陸棚がある場合には大陸側の国が権利を有するという主張、すなわち大陸棚自然延長論、この主張を変える見込みはないと私は思うのです。  ところが、中国沿岸から延びた大陸棚は、これは沖縄トラフのところまで、米軍基地が集中する沖縄のすぐ西まで延びているわけでありまして、この中国側主張を認めてしまえば、日米安保体制に対してまで影響が及ぶという懸念もあると私は思うのですけれども、外務大臣、この私の懸念に対する考え方、あるいは政府見解等があったらお教えいただきたいのです。
  16. 池田行彦

    池田国務大臣 我が国といたしましては、日中間大陸棚境界はいわゆる中間線原則によるべきだ、こういう立場でございますので、我が国としては、そういう基本的な立場をしっかり踏まえながら対応していく、こういうことに尽きるかと思います。
  17. 松沢成文

    松沢委員 排他的経済水域の線引きに当たって、中国は、日本側に違う意見があることも承知しているが、友好的な協議解決をしたいと発言していると伝えられておりますけれども、中国側の言う違う意見というのは、尖閣列島領有権を指していることは間違いないと思うのです。現在のところ政府は、尖閣列島について、我が国固有領土であり実効支配を行っている、こう言っているわけです。この実効支配現状について、何をもって政府実効支配と言っているのか、この実効支配現状と、また何をもって実効支配ということを言っているのか、その定義、こういうことがあるから実効支配なんだ、その見解を伺いたいと思います。
  18. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 実効支配ということでございますが、歴史的にも国際法上も、尖閣諸島日本国有領土であることは疑いのないところでございます。  そして、我が国政府は、尖閣諸島において領域標示及び地籍標示標柱というものを建柱いたしましたほかに、学術調査とか測量などを実施いたしております。  例えば、領域標示板につきましては、昭和四十五年の琉球政府が魚釣島それから北小島南小島、久場島、大正島にこれを建立しておりますし、地籍標示標柱につきましては、昭和四十四年に石垣市が今申し上げました五つの島にこれを建てているという事実がございます。
  19. 松沢成文

    松沢委員 竹島の問題とちょっと比較をさせていただきたいのですけれども、竹島の場合は、韓国の独島ですね、韓国実効支配をしているという主張をしています。後でも触れますけれども、韓国はそこに港湾施設までつくろうとしている、あるいは人を常駐させている、こういう状況であれば、確かに実効支配といって、なるほどそのとおりだと私たちは納得できるのですが、今の御説明では、単なる標識、標示、そこにくいを打っているというのか、こういう状況なわけですよね。果たしてこれで実効支配していると言われるのかなというのが率直な感想でありまして、例えば沖縄漁民漁船の避難港をつくってほしいということがかつてあったらしいですね。あるいは運輸省が認めるような灯台を置くとか、あるいは何か国防上の施設をそこにつくるとか、こういうことをやっていけば初めて、尖閣列島我が国固有領土であり実効支配をしていると言えると思うのですけれども、今の実態ではとても実効支配と言われるような状況にないと思うのですが、政府はその辺いかが考えているのか、御見解を伺いたいと思います。
  20. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 先ほど申し上げました措置に加えまして、学術調査測量それから視察といったようなものを日本として行っているわけでございます。国際法考え方といたしましても、何が実効的な占有と言えるかどうかということは、その土地状況その他によって決まることであって、一般的にはなかなか言えないのだけれども、必ずしもそこに統治機構を設けたり定住したりしていなければ実効的な占有が成立しないということではないのであって、例えば定住の困難な土地なんかの場合には、定期的に巡視するというようなことも実効的支配の一つの例になるのだということも言われていると思います。  いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたとおり、物理的なものの建設に加えて、我が方として尖閣諸島について学術調査測量などの形でいろいろな措置実施しているということがございます。
  21. 松沢成文

    松沢委員 これは仮定質問ですけれども、もし中国側尖閣列島韓国のやっているような何か施設をつくるという強硬手段に出た場合、政府はどう対応されるのでしょうか。
  22. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 尖閣諸島日本固有領土であるということは、これは歴史的にも国際法上も疑いのないところでございます。そういう前提のもとで、ここに対して今おっしゃられたような仮定ケースを想像していろいろお答えを申し上げることは必ずしも適当とは思いません。  ただ、尖閣諸島日本国有領土であること、これが歴史的にも国際法上も疑いないという立場に立って、日本としてきちんとした対応をすることは当然のことだと思います。
  23. 松沢成文

    松沢委員 中国という国をどう見るかというのはそれぞれあると思うのですけれども、例えば、南沙諸島領有権問題、これは数カ国でもめているわけですが、この諸島に対する中国の行った行動というのを見ておりますと、私は、日本も安閑としていられないという危惧を持つ一人であります。これ以上お答えはいただけないと思うので、今後、外務省としても、中国国家戦略あるいは中国海洋権益に対する国家戦略、こういうものをしっかりと分析をされて、対応ができるようなことを考えておく必要もあると思いますので、これは意見として申し上げさせていただきます。  次の質問に参ります。  昭和五十三年の四月に、大量の中国漁船尖閣列島に押し寄せて、領海を侵犯したという事実ももう既にあるわけなのですね。パトロールしていた海上自衛隊のP2J哨戒機というのがこれを発見して大騒ぎになって、中国漁民は上陸せずに引き揚げたという事実があります。これについては、同年十月に来日した当時の鄧小平副首相が尖閣列島棚上げということを主張して、当時の我が国園田外務大臣は、事を荒立てるのは得策ではないとしたために、一般にこの棚上げ論を了承したものと理解をされていると思うのです。  そこで大臣にお尋ねしたいのですが、日本政府はこの棚上げ論を受け入れたと考えていいのか、受け入れたとすれば、この領土問題棚上げ論となってしまっているのは現在でも有効なのか、これをお聞かせいただきたいと思います。
  24. 池田行彦

    池田国務大臣 尖閣列島我が国固有領土である、こういうことは明確なところでございまして、これまで我が国政府として、御指摘のような棚上げ論、そういったものにくみしたとか、あるいはそういったものを容認したとか、そういったことはございません。
  25. 松沢成文

    松沢委員 では、園田大臣の発言は、これは棚上げ論ではないという御判断だと思います。  そこで、これは最近の記事でありますけれども、中国全人代常務委員会が今月の十五日に国連海洋法条約批准を決定しました、これを受けて中国政府は、領海基準線に関する声明というのを出しております。この声明では、中国領海法では領土とされている東シナ海尖閣列島南沙諸島領海には言及していないけれども、その他の領海は改めて発表するという文言が入っております。  東シナ海排他的経済水域設定に当たって、日本政府日中間解決すべき領土問題は存在しないとの立場をとっている、大臣のおっしゃるとおりだと思うのですけれども、この中国の今回の声明によって尖閣列島領有権問題が浮上してくることは、私は確実になったと思うのです。それで政府は、今後どのような認識のもとに中国との交渉に挑むのか、こういう全人代声明も受けて日本政府としてどのように臨むのか、その辺の方向をお知らせいただきたいと思います。
  26. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 ただいま委員指摘のとおり、この十五日に中国全人代常務委員会国連海洋法条約批准を発表いたしました。同時に、中国政府領海基線の一部についても公表したわけでございます。公表された領海基線は、大陸本土の一部及び西沙諸島のものでございまして、その他の領海基線については将来公表する、こういうふうにしていることも御指摘になったとおりでございます。  私どもといたしましては、尖閣諸島に関する我が国立場というのは一貫したものでございまして、その一貫した立場を踏まえて中国との協議に臨み、対処していくという方針はもちろん変わらないわけでございます。
  27. 松沢成文

    松沢委員 それでは、次に竹島領有権問題等について数点伺いたいと思うのです。  これも、先ごろ韓国政府は、海洋法条約に基づいて同国沿岸から二百海里の排他的経済水域を設定する法案というのを韓国の官報を通じて告示したそうでありますけれども、同法案の概要及びこの中で竹島の取り扱いについてはどうなっているのか、まず御説明いただきたいと思います。
  28. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 韓国法案についてでございますが、まず、その名前は排他的経済水域法でございます。そして、国連海洋法条約に従い排他的経済水域を設定するということがまず一つのポイントでございます。  その次のポイントは、排他的経済水域の範囲は、国連海洋法条約に従い、基線からその外側の二百海里の線に至る水域とし、相対国または隣接国の排他的経済水域と重複する水域においては、国際法を基礎とし、関係国との合意に従いその境界画定するとしております。  それから、次のポイントでございますが、排他的経済水域における韓国権利としては、天然資源の探査、開発、保存、管理を目的とする主権的権利などがあるということであり、その次のポイントは、排他的経済水域での外国または外国人の権利義務としては、航行、上空飛行の自由、海底電線、光線付設の自由及びこのような自由と関連したものとして、それ以外の国際的に適法な海洋利用の自由を共有するということが定められております。  最後に、関係国と別途の合意がなされていない場合には、韓国関係国の中間線の外側の水域では排他的経済水域における韓国権利を行使しないということを言っているようでございます。  そういう次第でございまして、竹島のような特定の地点をいかに扱っているかということについては、直ちに明らかではないという法案でございます。
  29. 松沢成文

    松沢委員 わかりました。  韓国の鬱陵島の警察によりますと、竹島において、四月二十九日から接岸施設建設のための本格的な工事が始まった。韓国実効支配がどんどん進んでいるわけですね。  竹島には、四月二十八日、工事を請け負っている三協開発という会社の工事用設備や作業員約三十名が到着して接岸工事に必要なしゅんせつ作業に入ったという報道がなされております。韓国の港湾庁は竹島に五百トン級の船舶が使用できる約八十メートルの接岸施設などを建設することを予定しているということでありますけれども、この工事の進捗状況政府はどのように把握しているのか、まず御説明をいただきたいと思います。
  30. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 御指摘竹島の接岸施設につきましては、二月に韓国の外務部がこの施設の工事を実施する旨の論評を発出いたしました後、四月になりまして右工事に着工したという報道がございましたが、韓国側に事実関係を照会いたしましたところ、この工事は行われておるという回答がございました。
  31. 松沢成文

    松沢委員 工事はどんどん進んでいるようでありますけれども。これも報道によれば、接岸工事を行っているとされている建設会社は来年末までには完成させることを決めているというふうにされています。このまま放置しておけば、来年じゅうにはさらに韓国の言うところの実効支配というのが強化されて、実効支配が決定的になるとも言えると思うのですね。これに対して我が国は、外務省幹部の発言として、政府として工事をやめるよう抗議をしており、申し入れにもかかわらず進めているとすればまことに遺憾なことだというふうに言っております。  ただ、日本が幾らこう言っても、韓国が工事を着々と進めているわけでありますから、この日本の抗議というのは全く無視されていると言ってもいいと思うのですね。一度こういう大型の接岸施設、土木施設が建設されてしまうと、もうそれをもとに戻すというのは全く私は不可能だと思いますし、完全な既成事実、実効支配既成事実が進んでしまうわけですね。  政府は現在まで具体的にどのようなレベルでどういう対応をしてきたのか。また、抗議はしている抗議はしていると言うだけで、実効は全然上がっていないわけですね。韓国実効支配がどんどん進んでしまっているわけなんです。こういう状況について外務大臣はいかがお考えなのか、見解を伺いたいと思います。
  32. 池田行彦

    池田国務大臣 竹島領有権に関する我が国立場は一貫したものでございますので、韓国側に対しましてはいろいろなレベルにおきまして適当な機会をとらえては繰り返し我が方の立場を申し入れしてきております。御指摘の接岸工事につきましても、そのような対処をしてきております。  その中で一つだけ具体的なことを申しますと、私自身が、こういったことがございました直後に、南アフリカで孔魯明外務長官と会談を持ちましたが、その際にも、私の方から我が方の立場を改めて先方に伝えまして、本件についての慎重な対応が重要だ、こういうことを述べたところでございます。  そういうことでございますので、このようないわゆる接岸施設の建設というものがございましても、韓国の同島に対する実効的な支配が確立するということはない、少なくともいわゆる国際法的な意味での実効的支配というものはそういったことによって確立するものではない、こう考える次第でございます。
  33. 松沢成文

    松沢委員 国際法上の実効支配というのがどういう定義なのか、私ちょっとよくわからないのですけれども、実効支配されているというのは、実効支配されている実態をもって実効支配と言うのであると私は思うのですね。北方領土もやはり今ロシアの実効支配であると思うのです。それは、もうロシアの方が住んでいて、ロシアの施設があって、ロシアの主権が及んでいるからでありますね。  やはり韓国において、日本領土だと日本主張していても、こういう形で大きな土木施設がどんどん韓国政府の命令のもとにつくられていく、これはもう実効支配が進んでいるとしか私たちには見えないのですけれども、こういう状況でもまだ大臣実効支配が進んでいるとは言えないとおっしゃるのでしょうか。
  34. 池田行彦

    池田国務大臣 国際法的には、仮にそういったことがございましても実効的支配が確立したというふうには解さない、みなさないというのが各国共通の認識である、こう考えております。
  35. 松沢成文

    松沢委員 本当に僭越ですが、大臣、ちょっと苦言を呈させていただきますけれども、私はやはり外交交渉というのは、幾ら韓国との関係が重要だといっても、日本の国益を守るためにはかなり厳しい戦術と戦略に基づいて行うべきだと思うのですね。その中で、やはり今の竹島問題における日本対応を見てみますと、とにかく外務省を通じて抗議はしているんだ、遺憾だと思う、これを繰り返すのみであって、どんどん韓国側のペースで進んでいるわけですね。私は、これは具体的な例は申せませんけれども、それこそ外交交渉ですから、あめとむちを使って、言い方は悪いですが、ほかの問題で取引するぐらいの覚悟で日本の国益を守つていかないと、どんどん日本領土問題というのは、諸外国、近隣諸国のペースで既成事実化されて日本が不利な立場に追い込まれる、こういう流れに今あると思いますので、ぜひとも外務大臣外務省の皆さんはその辺のところを心して今後の外交交渉に、領有権問題には当たっていただきたいということを提案させていただきます。  もう一点竹島関係して伺いますけれども、三月には韓国政府竹島を観光客に開放する方針を発表した。その際に、外務省の橋本宏外務報道官は三月八日の記者会見において、我が国の国民が参加すると韓国の事実上の支配のもとで竹島に入域することになり、我が国立場と相入れないと述べています。日本人観光客のツアー参加に自粛を求める考えを示したわけであります。また同時に、同報道官は、我が国立場は一貫しており、国民に理解していただけることを期待しているとも述べております。この発言は、事前にこの韓国の旅行会社が行っている観光ツアーに参加することが判明した場合には外務省として何らかの措置をとるということを明らかにしたものだと思うのですね。  それで、まず伺いたいのは、参加した場合に外務省はどのような措置をとるのか、日本人の観光客が韓国に行って韓国の旅行社がやっている竹島観光ツアーに参加した場合に、日本政府が何か措置をとるという発言に受け取れますけれども、その辺はいかがでしょうか。
  36. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 まず、事実関係でございますけれども、御指摘竹島観光ツアーを行う企画を韓国側が発表したことを受けまして、外務報道官が、三月八日、確かに記者会見において発言をいたしました。その発言は、我が国竹島の問題に関する立場は一貫しており、このような状況下で、もしも観光ツアーといったものが実現し、また我が国の国民が参加するということになると、それは韓国の事実上の支配のもとで竹島に入域するということになり、我が方の立場とは相入れないと思うというものでございました。したがいまして、参加した場合に何らかの措置をとるということを、この報道官の談話と申しますか、報道官の発言の中で述べてはいないというのが事実でございます。  もちろん、竹島領有権に係る我が国立場が一貫したものであって、韓国の事実上の支配のもとで竹島に入域することがこの立場と相入れないということについては、国民の方々の御理解を得られることではないかと私たちは考えております。  委員が御指摘のように、このようなことが続いた場合にどうなるかということにつきましては、これはケース・バイ・ケースの対処ということになるのだろうと思いますが、今一般的に述べることは差し控えさせていただきたいと思います。いずれにせよ、事実関係は今申し上げたとおりでございます。
  37. 松沢成文

    松沢委員 事実関係はわかりました。  具体的に伺います。そうしますと、日本の観光客が韓国に行って韓国の旅行社のツアーで竹島見学ツアーに参加してもいいわけですね、当たり前の話ですけれども……。
  38. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 先ほど委員の御質問にありましたように、実効的支配が何たるかという問題もあろうかと思います。ただ、事実上の占拠を行っているということだけでは実効的な支配ということには必ずしもならない。やはり、国家が平穏かつ継続的にこれを支配しているという状況が必要であって、そこに抗議とか一貫した反対の意向というものがほかの政府から寄せられる、ほかの国から寄せられるということであれば、それは実効的支配の確立につながらないということなのだろうと思います。  私たちは、竹島についての韓国の事実上の支配というものが物理的な意味で強まっているという状況も一方にあることは認めておりますけれども、これは実効的な支配ということではない。日本の一貫した立場というものを常に韓国に向かって伝達していく必要があると考えておるわけでございます。こういう方針をとっておりますときに、その方針に背馳するような、方針とそぐわないような行動を国民にとっていただきたくない、そういう観点で御説明を申し上げることによって、国民各位からの御理解というものが得られるのではないかと期待している次第でございます。
  39. 松沢成文

    松沢委員 国民に対してそういう自粛的な行動をとることを期待しているというお言葉だったと思うのですけれども、ただ、国民にとっては旅行する自由の権利もありますし、多分日本のメディアの皆さんも韓国実効支配竹島実効支配がどのように進んでいるかというのを情報として仕入れたい、取材したい、これはメディアの皆さんの当然の権利だと思います。逆に、日本のメディアの方々は、今は韓国の旅行社のツアーしか竹島を見られる機会はないわけですから、そこでテレビカメラを持って参加する、取材をするということがあっても、外務省はそれをとめる権利はないと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  40. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほどアジア局長から御答弁を申し上げましたように、それから私も先ほどちょっと申しましたけれども、我が国の一貫している立場を適当な機会をとらえつつ重ねて明らかにしておく、こういうことが国際法上いわゆる実効的な支配が確立することを阻止している、こういうことがあるわけでございます。  もし、そういった我が国立場と背馳するような行動をメディアの方々がおとりになるということになりますと、そういった我が国立場に対して好ましからざる影響を与えるということは否定できないわけでございますので、そこのところはメディアの方々も当然、委員指摘になりますような、我が国としての国益というものを十分御勘案いただき、行動していただけるものと考える次第でございます。
  41. 松沢成文

    松沢委員 お言葉でございますが、これも大変僭越をお許しいただきたいのですが、政府竹島領有権の国益を死に物狂いで守ろうとしないで、国民に、国益を考えて、旅行の自由を制限してまで自粛せよというのは、私は極めて矛盾した考えであるというふうに思います。  今、竹島に国民が近寄ろうとすれば、日本領土だと主張している竹島にパスポートを持ってしか入れない。こういう異常な状況が続いているわけでありまして、やはりこの竹島の問題をめぐるこの辺のいきさつというのは、私はかなり日本にとって厳しいものであるというふうに判断をせざるを得ないわけであります。その辺のところをしんしゃくしていただいて、今後の外交交渉に努めていただきたいというふうに思います。  いずれにせよ、政府はこの領土問題と漁業問題を切り離して、漁業協定の改定交渉だけを進めるという一面抑制的で自粛した態度、これは日中、日韓関係の重要性を考慮して、経済面の実利を優先したものというふうに判断されますけれども、逆に私は、今まで言ってきたように、将来の安全保障面での影響まで十分に考慮したものとは言いがたいと言わざるを得ないわけであります。このような対応は、とりわけ竹島の領有問題をさらにあいまいにして、韓国実効支配を追認して、そして中国尖閣諸島に対する野心を増幅させるという大変大きなリスクをはらんだ面も含んでいると思われます。  我が国としても、漁業一環境面からだけではなくて、領有権というものを十分に主張する必要がある。自国の領土や権益を守るのは、洋の東西を問わず、寸土の侵犯も許されないという国家の強い姿勢であるわけでありまして、不快感の表明だとか、ただ抗議すればいいというものではないと私は思うのです。  最後に、大臣に伺います。  今の私の意見を受けて、漁業協定の改定交渉排他的経済水域境界画定交渉に挑む大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。
  42. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもは経済面のみならず安全保障の面その他あらゆる面から総合的に判断いたしまして、我が国の国益をきちんと守っていく、それと同時に近隣の諸国との善隣友好の関係も大切にしていく、そういった総合的見地から外交政策を展開しているところでございまして、今回の漁業協定をめぐる交渉についても、そういったスタンスで臨むところでございます。
  43. 松沢成文

    松沢委員 大臣は次の予定があると思いますので、私は大臣質問は結構ですから、もしあれだったら、御退席ください。  次に、この国連海洋法条約の問題の一つであります深海底の問題について外務省見解を伺いたいと思うのです。  国連海洋法条約では、深海底については、「「深海底」とは、国の管轄権の及ぶ区域の境界の外の海底及びその下」をいい、「深海底及びその資源は、人類の共同の財産である。」というふうに定義されております。深海底における活動を組織し管理する機関として国際海底機構というのを設立して、深海底における活動を直接行い、かつ深海底から採取された鉱物の輸送、製錬及び販売を行う機構の機関として事業体を設置するということになっておりまして、日本も持っているわけであります。  他方、国連海洋法会議では、海洋法条約が発効して、深海底鉱物資源の商業的生産に入る前に探査その他の先行活動が速やかに開始される必要があって、そのための投資の保護の制度が作成されているわけであります。そして、この先行投資保護の制度というのは、条約発効前の措置として、国際海底機構及び国際海洋法裁判所のための準備委員会というのですが、この準備委員会による国際的な承認に基づいて、割り当て鉱区についての探査の権利の排他性を署各国間相互で保障し合うものとなっておって、条約の発効後は機構が発給する生産許可においても、他の申請者との関係で優先順位を与えられるというふうになっていると思います、大変複雑なのですけれども。  他方、米国、アメリカ等の条約の非署各国は国内の法律を持っておりまして、国内立法による開発方式というのを整えて、企業体に開発許可を与えているそうであります。二つの企業体に米国は許可を与えているということです。  そこで、お伺いしたいのですが、これら、米国のように国内法により開発許可を得た企業体というのは、国際海底機構が発給する生産許可の優先順位等において、先行投資者として承認された事業体とこれは同等に扱われるのかどうか、その辺はどういう関係になるのか、御説明をいただきたいと思います。
  44. 谷内正太郎

    ○谷内政府委員 ただいま御指摘ございました点でございますけれども、登録された先行投資者は、条約が効力を生じてから三十六カ月以内、具体的には平成九年十一月十五日までは、その探査のための業務計画は承認の要請をすれば承認されたものとみなされるという点で優遇されておるわけでございます。  他方、アメリカの企業を含むそれ以外のものにつきましては、その探査のための業務計画の承認に当たりましては国連海洋法条約が定める基準等によるいろいろ複雑な審査を受けなければならないわけでございまして、その点では、承認の要請をすれば承認されたものとみなされるという登録された先行投資者に比べまして同列には扱われていない、こういうことでございます。
  45. 松沢成文

    松沢委員 わかりました。  条約の第十一部の実施協定というものについて伺いたいのですが、海洋法条約の改定手続を踏まずに条約第十一部を実質的に改正して条約と一体となして、かつこれに優位するものとして解釈、適用することになっていると思うのです。  その内容は、特に先進国の主張に沿って、国際海底機構は当面は深海底資源の探査だけを組織し管理することとし、その内部機関を簡素化する、再検討会議、技術強制移転、生産制限に関する規定を適用しないこと等を定めております。  条約第十一部の実施協定の規定ぶりは、先ほど述べました深海底及びその資源は人類共同の財産であるとの概念にそぐわないものを感じるのですが、外務省はどうお考えでしょうか。
  46. 谷内正太郎

    ○谷内政府委員 この十一部の実施協定ができました経緯、背景、先生が既に御指摘のとおりでございますけれども、深海底資源開発につきましては、まだ商業的生産が開始される見通しが立っていない、そして、今後深海底資源の実用化に至るまでにはなお相当額の投資を要するものと見込まれておるのが現状でございます。  したがいまして、条約第十一部の規定にそのまま従って生産者が種々の義務を課されることとなりますと、商業的生産を行う意欲が阻害されまして、結果といたしまして、人類の共同の財産からの利益を人類全体のために活用すること自体が実現不可能なものになってしまうおそれが強いわけでございます。  こういう意味におきまして、実施協定開発途上国側がかかる現実的な認識に立って条約に規定する深海底制度を効果的に機能させるために作成されたものでございまして、実施協定のもとでの深海底制度は基本的には人類の共同の財産というコンセプトにそぐわないものではないというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  47. 松沢成文

    松沢委員 先ほどの登録された先行投資者として資格が認められるのは四カ国、これはフランス、インド、日本、旧ソ連に属するそれぞれ一つずつの事業体、日本は深海資源開発株式会社というのですか、それと四つの国際コンソーシアム、または発展途上国に属する事業体となっているン思うのですけれども、先行投資者としての投資を認められる条件、並びに四つの国際コンソーシアムまたは開発途上国に属する事業体というのはどういうものであるか、御説明をいただければと思います。
  48. 谷内正太郎

    ○谷内政府委員 この深海底開発に関しましては決議というのがございまして、決議の日には、先行投資者の制度につきまして、一九八三年一月一日以前に先行活動、すなわちマンガン団塊の試験的な採取等のために少なくとも三千万ドルを支出いたしました日本、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、インド、イタリア、オランダ、イギリス、アメリカ及びソ連の事業主体、及び同じく一九八五年一月一日以前に同様の支出を行った開発途上国の事業主体を先行投資者とする旨が規定されておるわけでございます。  このうち、今先生質問の四つの企業体、コンソーシアムと申しますのは、我が国、それからベルギー、カナダ、ドイツ、イタリア、オランダ、イギリス、アメリカの企業がそれぞれ出資して設立された国際企業体のことを申しておりまして、具体的にはインコ・グループ、USスチール・グループ、ケネコツト・グループ、ロッキード・グループの四つの企業体のことを申すわけでございます。
  49. 松沢成文

    松沢委員 我が国において登録された先行投資者としての資格を認められている事業体というのは昭和五十七年九月に設立された深海資源開発株式会社というものであると思うのですが、この会社の設立から今日に至るまでの調査活動状況、並びに同社がハワイ東南沖で権利を有する鉱区に招いてどの程度の資源賦存量が見込まれているのか、その辺のところについてお聞かせいただきかいと思います。
  50. 勝野龍平

    勝野説明員 ただいま御質問いただきました深海資源開発株式会社の活動状況でございます。  昭和五十八年以降、ハワイ南東沖の通称マンガン銀座におきまして調査活動を行っております。マンガン団塊の探査、開発に必要な基礎的な調査活動を行っているということでございまして、さらに、昭和六十二年十一月には海洋法条約の附帯決議に基づきまして七・五万平方キロメートルのマンガン団塊の有望鉱区の割り当てを行われ、同鉱区におきまして調査活動を行ってきているわけでございます。  調査の内容でございますけれども、基本的には、鉱区内の海底地形、マンガン団塊の分布状況、マンガン団塊に含まれております有用金属の品位等に関するデータを各種調査機器を用いて取得し、所要の解析評価を行っているという状況でございまして、これまでの調査によりますれば、鉱区のほぼ全域にわたりまして、等高線間隔二十メートルの海底地形図、約十キロ間隔のサンプリング調査によりましてマンガン団塊の分布密度図あるいは品位分布図等を取得しております。  具体的にどのぐらいの埋蔵量が見込まれているのか、なかなか難しい推計でございますけれども、これまで行われました調査を推計いたしますと、このハワイ南東沖合で権利を有する鉱区には約六億四千三百万トンのマンガン団塊の賦存が推定されております。マンガン団塊でございまして、さまざまな金属を含有しているわけでございます。具体的に申し上げますと、マンガンが約一億二千六百万トン、ニッケルが約六百万トン、コバルトが約百万トン、銅は約四百七十万トンというような推定値がございます。
  51. 松沢成文

    松沢委員 最後に一つ伺いたいのですけれども、この賦存量の中でこれだけ今マンガン、ニッケル、コバルト、銅が含まれていて、これが販売をして商業ベースに乗っているような形になっているのでしょうか。
  52. 勝野龍平

    勝野説明員 商業ベースということになりますと当然採算性の確保ということが大前提になるわけでございますけれども、残念ながら、現在のレアメタルの価格、為替レート等を考えますと商業化ということはなかなか難しい環境下にあろうかと思っております。
  53. 松沢成文

    松沢委員 質問を終わります。ありがとうございました。
  54. 関谷勝嗣

    関谷委員長 安倍晋三君。
  55. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 それでは、国連海洋法条約について質問をさせていただきたいと思います。  来世紀に入りますと世界の人口は急激に増加をするわけでありまして、当然それに伴って食糧の不足ということが考えられるわけでありますが、そういう中にありまして、海洋の環境を守り、かつまた漁業を重要なたんぱく資源確保のための重要な産業であるという位置づけをするということが私は海洋法条約の大きな意義の一つである、こんなように考えているわけであります。当然、そういう意味において、二百海里の全面設定、全面適用をして管理をしていくということが大きな前提になっていくべきである、私はこんなように思うわけであります。  しかしながら我が国におきましては、日中、日韓において別途漁業協定があるという状況であります。そういう中にあって、日韓と日中の漁業協定を早急に締結をして適用していくということが緊急の課題である、私はこんなように考えているわけであります。そういう中にありまして、日中漁業交渉あるいは日韓漁業交渉が既に非公式にスタートしているということでございますが、その状況についてお伺いをさせていただきたいと思います。
  56. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 中国及び韓国との関係につきましては、中国の場合は四月九日、十日、韓国の場合には五月九日、十日、それぞれ実務者レベルにおける非公式の協議というものが、この海洋法条約締結に伴う動きとして行われたわけでございます。  それに臨む私たち立場でございますけれども、中国及び韓国との漁業関係に即して申し上げれば、二月二十日の閣議了解において政府としての基本的な考え方が示されたとおり、両国との協議によって、沿岸国が生物資源の維持に係る適切な措置をとるという海洋法条約の趣旨が十分に踏まえられた新たな漁業協定が早急に締結されることとなるよう、鋭意努めてまいる所存でございます。
  57. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 この漁業協定が新たに締結をされなければ、西日本にとっては事実上海洋法条約がなきに等しい状況にあるわけであります。そういう意味においては、この漁業協定を一日も早く締結をさせなければ海洋法条約が真の意味で発効したとは言えない、このように私は思っているわけであります。  当然漁業者の方からも、一日も早い締結をという大きな要求もあるわけでありますが、その中で一年以内という、これは上限を区切って交渉をするべきであると。そうしないと、現在の協定は旗国主義になっているわけでありまして、現在の操業の実態を見てみますと、当然韓国中国にとっては現状協定の方が有利なわけでありますから、これをなるべく先延ばしをしたいというのが私は中国韓国側の意図ではないかと、これはある意味では勘ぐっているわけでありますが、また恐らくそうであろうということを漁民は大変心配をしているわけであります。  ですから、最悪の状態というのはだらだら先に延びていくということでありますから、これはやはり強い意思を持って一年間に区切ると、そして一年間区切ったところでもし締結しないのであれば、これは一年前に破棄を通告をしなければいけないわけでありますから、そこで破棄を通告をすると。そして、二年後からこれを全面適用していくということをあらかじめ決めて臨むべきことではないかと私は思っておるわけでありますが、どのように外務省は考えておられるでしょうか。
  58. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 さきの与党の政策調整会議において、国連海洋法条約締結に伴う日中及び日韓漁業協定の取り扱いについての与党三党の申し合わせが行われたわけでございますが、これに示されましたこの問題についての考え方政府としては体しまして、早急にそして精力的に中国及び韓国との間の協議を進めてまいりたいと考えておるわけでございます。私どもといたしましても、中国韓国との漁業関係について、ただいたずらに長い期間妥結の見通しもないまま交渉を続けていくべきではないと考えております。  基本的には、その両国との間で十分に話し合って円満な形で解決を図っていくことが重要であるというふうに思いますので、現段階、すなわち中国については四月、韓国については五月、とにかく協議が緒についたというこの段階で、これから先の交渉がまとまらない場合のことを仮定してその対応について申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、繰り返しになりますが、与党三党によって示された本件についての考え方を体して、早急にかつ精力的に中国及び韓国との間の協議を進めてまいりたいと考えます。
  59. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 当然外交当局としては、今の私の質問に対してそのとおりということで答えるわけにもいかないと思います。しかしながら、交渉をするに当たって、与党の中にはそういう議論がある、むしろそれが大体大きな主流をなす考え方であるということは先方には十分に、これは外交当局としてではなくて、私は与党にそういう考えがあるということは伝えていただきたいと思うわけでありますし、一年経過してだらだらいくということはなかなか政治状況的には難しい状況にあるということもこれはちゃんと説明をしていただきたい、こんなように要望するわけであります。  現在、我が国近海における中国あるいは韓国船の操業の実態がどうなっているかということを若干紹介をさせていただきたいと思うわけであります。  二十年来、長崎、福岡、山口、島根県等の周辺の漁場でいろいろな自主規制違反が行われているわけであります。操業禁止ラインの侵犯というのはもうしょっちゅうあるわけでありますが、操業禁止ラインの侵犯どころではなくて、夜間になりますと領海そのものを侵犯をしているということもこれはあるわけであります。また、その際には、これは中国船韓国船もそういうことに対してだんだんなれてきたわけでありまして、漁船の番号とかあるいは船名をグリースで塗りつぶしてわからなくするという隠ぺい工作を行って、十二海里を侵犯して我が国領海内に入ってくる。そこで違反操業を行った後、自分の方の国に帰っていってグリースを落とすということによって、旗国主義によっての取り締まりをすり抜けているというのが現状でございます。  また、山口県の萩市には見島という島がございまして、ここの漁港にはあらし等のそういう状況になったとき、しけのときには避難をしていいということになっているわけでありますが、全くそういう状況でないときにもかかわらず、二十隻、三十隻の船が勝手に入港をして網の修繕や何かを行っておる。夜間になりますと、その乗組員が上陸をして、島の上に上がって酒を飲んで暴れるということも何回もあったわけでありますし、現在も行われているということであります。こういうことが行われているというのは本当に我が国の国権に対しての重大な侵害ではないか、私はこんなようにも思っているわけであります。  それのみならず、日本のイカ釣り船が集魚したものを韓国中国のまき網あるいは底びき網船が横どりをしていくということ、それぐらい無謀なことを、かつ、これは非常に危険なことなんですが、そんなことも行われているわけであります。  現象としては、韓国船のそうした違反操業はだんだん減ってきていると同時に、中国船の方がそういう操業がふえてきているというようなことが漁民の方から報告をされているわけでありますが、それも当然のことでありまして、昨今中国の漁獲量もふえてきているわけであります。これは当然、人口増加あるいは穀物資源がだんだんと減少していることにも比例をしているのではないかと思うわけでありますが、我が国の全盛時の漁獲量は千二百万トンであったわけでありまして、現在は八百万トンでありますが、中国は現在二千五百三十五万トンということであります。ただ、内水面が一千万トンでございますから、海からとるのは千五百万トンということでありますが、それだけでも大変な数量ではないか、私はこんなように思っているところでございます。  そういう中にあって、やはりこのTACをこれから実行していく、海の資源を世界で管理をしていくという大きな理念もこの条約にはあるわけでありますが、我が国が一方的にこれを守っても、隣国にこれをしっかりと守っていただかなくては日本海の漁場を管理することができないわけであります。そういう意味においては、これはTACと日中、日韓の両交渉の進展あるいは妥結というのは私はぜひともリンクさせるべきである、こんなように考えているわけであります。日中、日韓が妥結をしない限りTACを我が国国内においては実施することはできない、こう思っているわけでありますが、このことについて、これは水産庁の答弁をいただきたいと思います。
  60. 東祥三

    ○東政府委員 先生の前半のところでの問題でございますが、私どもも中国、あれは東海、黄海で去年初めて二カ月禁漁したということがあって、日本海側に急激に中国船が出てきた、それが自主規制がございません。したがいまして、去年いろいろ問題を起こしました。これからの中国の進出というのが、資源問題としては一番大変だろうと思います。それでもう一つは韓国の方の違反操業でございまして、先はどのようないろいろな事例がございまして、これをやはりこちら側の取り締まり権に置くということが、二つの大きな問題点だろうというふうに考えております。  それからもう一つ、最後の点での御質問でございますが、TACの件でございます。TACにつきましては、私どもの方で今法律を出させていただいておりますが、日韓、日中の漁業協定ができるまでの間は、TACの中の強制規定、ちょっとややこしいことを言いましたが、TACは数字を決めて漁業別に配ります、しかし、それを実行するために最終的には採捕禁止をかけることになりますが、そのいわゆる強制規定のところは、日韓、日中漁業協定が結ばれるまでの間はこれは適用しないということにいたしております。数量はというのは、これは御存じのとおり、サンマ漁なんかで、みずから協定の中でそういう数字を協定していきたいという問題がございます。これは協定制度を持っておりますので、そこまでは、数字のところまではやらせていただくという構えでおります。
  61. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 当然その取り締まりの方もしっかりとやっていただきたいと思うわけでありますが、現在の状況でもこんな状況なわけでありまして、二百海里をちゃんと管理をしなければいけないというのは、それなりの管理体制をとって、取り締まり体制をとっていかなければいけないと思うわけでありますが、予算措置等々も含めて、海上保安庁海洋法締結に向けての体制はどうなっているのでしょうか。
  62. 鈴木光男

    鈴木説明員 お答え申し上げます。  先生今御指摘いただきました排他的経済水域の設定に伴います監視、取り締まり対象海域の拡大という問題に加えまして、最近では、集団的な密航事犯の増加でありますとか、けん銃とか薬物の密輸入の深刻化ということもございまして、海上の取り締まり、今後ますます重要になってくるというふうに私ども認識いたしております。  このような状況に的確に対応していくためには、近代的な装備を有します高性能な巡視船艇あるいは航空機などを計画的に整備をしてまいることによりまして、海上保安庁の業務執行体制をさらに充実してまいることが必要だというふうに私ども認識をいたしております。  なお、体制整備の具体的な内容につきましては、現在検討を行っておるところでございまして、今後、予算編成の過程におきまして、関係の省庁の御理解を得ながら、その実現を図るべく最大限努力をしてまいりたい、かように思っております。
  63. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 当然我々与党も財政当局等については予算措置においてしっかりとした対応をとっていくよう求めていきたい、このように思っておりますが、特に航空機等の体制を整えてもらいたいというのが大きな要望てありますから、十分に留意をしていただきたい、こんなように思います。  この海洋法によりましてほとんどの漁業者はある意味では恩恵をこうむるわけでありますが、その中において唯一損害をこうむるのがいわゆる遠洋のまき網業者でございます。東海、黄海を大体一年じゅう漁場としているこの業界は、漁場において五五%、金額においては五〇%の損害をこうむるわけであります。  ですから、当然私は、かつてURに際して農業者に対して行った補償と同じような補償を、国際約束の中で彼らはこういう損害をこうむるわけでありますから、しかし、損害をこうむるといっても、自分たちのエゴを通すわけではなくて、漁業者全体の利益のためにあえて自分たち意見を抑えて協力をして、オールジャパンということで日本の声を統一をさせているということにも留意をしながら、しっかりとした補償をしていくべきではないか、私はこんなように思うわけであります。  当然、TACも行っていかなければいけないわけでありますが、その中において、これは業界のリストラ、縮小も考えてもいかなければいけないという中において、当然これは減船をしていかなければいけないということでありますが、減船を行う中において、これは国際減船と同等の助成措置を私はとるべきではないかと思うわけでありますし、また、大きな投資をするのがこの業界でございます。そういう意味において、負債が固定化してにつちもさっちもいかなくならないように、そういう負債については長期の低利の融資等々で助けていくということも考えていただきたいと思うわけでありますが、どのように考えているか、教えていただきたいと思います。
  64. 東祥三

    ○東政府委員 先生御承知のとおり、国連海洋法条約の中で、この経済水域の漁業に関してその国民が伝統的にやっている漁業、それについて経済的混乱を最小のものにとどめる必要性等を考慮してやるということになっております。したがいまして、我々はまず第一に、今の日本側から韓国中国水域に入っている漁業というものをきちっと、やはり相手方もその点を要求してくると思いますので、それをよく話し合って、そこに影響のないように努めていくということがまず第一だと思いますが、その交渉結果に仮に何か影響が出るということであれば、リストラを含めてその対応というものを考えなければならぬというふうに考えております。
  65. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 また、TAC設定に当たって、TACの中身についてもこの業界に対してのいろいろな配慮をしていただきたいと思うわけであります。  例えば今までの、東海、黄海においてもこれは操業を行っていたわけでありますが、今までのそうしたトータルの漁獲量等も勘案をしていただきたいと思うわけでありますし、またその業態によっていろいろな魚が混在をしてしまうということも十分に勘案して弾力的な対応を行っていただきたいと思いますし、またTAC対象魚種間の交換比率の設定等も十分に考えていただきたい。このような意味では弾力的な運用ということが私は強く望まれていると思うわけでありますし、そしてまた自主的な管理を行わさせてもらいたいという強い要望もあるわけでありますが、その点に関して、これは事前には通告していなかったのですが、もし答えられれば答えていただきたいと思います。
  66. 東祥三

    ○東政府委員 TACそのものにつきましても、社会的、経済的な事情ということを考慮してやれるという形にしてありまして、それは研究会等で漁業者の方から、漁業者の意見をよくよく聞いてやってくれということでございまして、そのようなシステムをとって、ある意味での弾力性を持たせながら運用していく、それで最終的な目標へ向かっていくという運用になると思います。  それから、自主性のところにつきましては、今回初めて協定制度というものをつくりまして、自主的にその管理をその漁業の中で、漁業種類の中でやっていくシステムをつくり込んでおるという状況でございまして、それらを活用しながら、今先生のお話のあった点を十分生かしていきたいというふうに考えております。
  67. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 まず、この海洋法というのは冒頭にも述べましたように、漁業を人類にとって重要なたんぱく資源を獲得する手段であるというふうに位置づけているわけであります。その中にあって、この国際取り決めの中で損害をこうむる人たちに対しては、ウルグアイ・ラウンドと同様の国を挙げての十分な対応をしていただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  68. 関谷勝嗣

    関谷委員長 佐藤泰介君。
  69. 佐藤泰介

    ○佐藤(泰)委員 よろしくお願いします。  本日は、先日の当委員会のフォローアップの意味を含めて質問をさせていただきたいと思います。  我が国が従来から主張していた、核兵器搭載艦の我が国領海航行は無害通航に当たらないとする政府見解は現在も変わっていないかとの私の先回の質問に対して、総理は明確に、非核三原則を堅持する立場から、変更はないと答弁されました。そこで、本条約二十一条では無害通航に係る沿岸国の法令について規定し、その四項では、領海において無害通航権を行使する外国船舶は、沿岸国が規定するすべての法令及び国際的な規則を遵守するとしていることから、非核三原則が法制化されていない現在、我が国の国会決議は本条約で言うところの法令に当たるのかと質問したところ、答弁がありませんでした。  そこで改めて伺うわけですけれども、我が国の国会決議は本条約で言うところの法令に当たるのかどうか、大臣がお見えになりませんので、政務次官にお伺いしたいと思います。
  70. 谷内正太郎

    ○谷内政府委員 国連海洋法条約第二十一条に申します法令でございますけれども、我が国につきましては、これは法律、政令等がこれに該当するというふうに考えておるわけでございまして、国会における決議は国連海洋法条約第二十一条に言う法令には該当しないというふうに解しております。
  71. 佐藤泰介

    ○佐藤(泰)委員 総理の答弁を受けての質問ですので、できましたら政務次官、お答え願えればありがたいですが、次に移ります。  今、国会決議が本条約で言うところの法令に当たらないという答弁でしたが、我が国は本条約の適用上、何をもって核兵器搭載艦の領海航行を拒否できることになるのか、疑問が出てくると私は思います。  我が国には非核三原則に関する法令がないことから、条約の適用上、諸外国に対抗するためには、核兵器搭載艦に関し、本条約三百十条で保障されている宣言または声明を行う必要について先回も質問したところ、橋本総理は、歴代のあらゆる総理が施政方針演説で、また、国際的には国連総会を通じた場で非核三原則を堅持する我が国立場を表明してきており、国際的に認知されているので改めて宣言する必要はない、さらに、宣言することによってむしろ誤解を生ずるおそれがある旨の答弁をされました。  総理が述べられたように、我が国立場が国際的に認知されているのであれば、宣言するメリットこそ見出せるが、デメリットはないのではないかと私は考えます。そうであれば、あらゆる場で我が国主張を公表する従来の方針どおり、本条約においても我が国立場を表明するために、また本条約の適用上も宣言すべきであると考えるものでありますが、この点について政務次官の見解を伺いたいと思います。  また、宣言することによってむしろ誤解を生ずるおそれがあるとの総理の答弁は、いかなることを想定した上でのことと考えられるのか、あわせて見解をお伺いしたいと思います。
  72. 小川元

    ○小川(元)政府委員 お答え申し上げます。非核三原則を堅持することにつきましては、これまで歴代の内閣総理大臣の施政方針演説等におきまして繰り返し表明をされているところで、既に内外に十分に徹底されております。  政府といたしましては、今後ともこれを堅持する方針でございまして、したがって、御指摘のような宣言を改めて行う必要はないと考えております。
  73. 佐藤泰介

    ○佐藤(泰)委員 だからこそ宣言、声明しても、その方がより私はメリットがあるのだろうというふうに思うのですけれども、従来やってきて、そしてここへ来て、もう従来やっているからこの条約で宣言、声明をしなくてもいいというよりは、むしろ、さらに宣言をして声明をしておいた方がよりメリットがあるというふうに私は思いますので、これは私の意見として申し上げて、次に移ります。  我が国では内水や領海の利用に関して、例えば、都道府県知事は我が国の沿岸漁民に対して漁業権の免許を与える権限を有している等、地方自治体に管理権限が認められていることが少なくない。我が国の内水の範囲の画定については問題は生じておらず、本条約のもとでは、我が国の内水に主権が及ぶことはいわば自明の法則として扱われています。  もっとも、内水の中でも港湾の管理に対して、神戸港の場合ユニークな管理方法がとられています。一九七五年三月十八日の神戸市議会において、核兵器搭載艦艇の神戸港入港拒否に関する決議が採択され、これに基づいて、核兵器を搭載していないという証明を提出しない軍艦には神戸港への入港を認めないという方式がとられています。この決議は、六七年に非核三原則が政府によって表明されたことを受け、地方自治体のレベルにおいて同原則を実施することを意図して採択されたものでした。神戸市行政当局はそれ以来、この決議に基づいて、神戸港に入港を申し出外国軍艦に対しては非核証明の提出を求めています。八四年三月の参議院予算委員会でこの神戸方式が取り上げられ、当時の中曽根総理は次のように答弁されてみえます。「神戸方式は地方自治の本旨に基づいて神戸の市長及び市議会がとっておる一つのやり方であり、それはそれとして我々はよく理解できるところである」「国は国の政策、地方自治体は地方自治の本旨に基づいて、またみずからいろいろな政策を実行している、独立にある程度やっている。それは当然のことで、国は国、地方自治体は固有の自治権に基づいて地方自治体の行為を行う、そういう次元が違うものであるというふうに御理解願いたいと思う」、これが中曽根総理の答弁であります。  この答弁に示されているのは、神戸方式は地方自治体の本旨に基づくものであって、神戸市の自治権に基づく施策として是認し得るとの見方でした。神戸方式の実施後、それに対して抗議を申し入れた外国はなく、また国内でも、それを直接批判する公式の統一見解が公表されたり、神戸市に届けられたりしたことはない模様だと私は思っております。神戸方式に対して外務当局としてはどのような見解を持ってみえるのか、お伺いしたいと思います。
  74. 小川元

    ○小川(元)政府委員 国と地方自治体は、相互に異なる次元におきましてそれぞれの所管業務を処理するものでございまして、外国軍艦の本邦寄港については、その具体的な実施上の調整については、港湾管理者たる地方公共団体もかかわることになります。しかしながら、寄港自体は、外交関係の処理につき責任を有する立場から国が処理するものであり、国として責任を有する外交事務の処理が地方公共団体によって妨げられるようなことがあってはならないと考えております。  安保条約地位協定に基づきまして、我が国の港への出入りを認められている米軍軍艦の我が国への寄港は支障なく実施されるべきものと考えておりまして、御指摘の、神戸市議会の決議に基づいて神戸市が非核証明書の提出を求め、もしその結果として、国として同意を与えた米軍艦隊の我が国への寄港が実際上妨げられることになるようなことがあってはならないと考えております。  いずれにいたしましても、安保条約及びその関連取り決め上、いかなる核の持ち込みも事前協議の対象でございまして、核の持ち込みについての事前協議が行われました場合には、政府としてはこれを常に拒否する所存でございますので、非核三原則を堅持する等の我が国立場は確保されていると考えております。
  75. 佐藤泰介

    ○佐藤(泰)委員 日米安保条約の地位協定三条に基づき、合衆国は、我が国国内の米軍基地となる施設及び区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置をとることができる。在日米軍は、同条を初めとする諸規定に基づき、我が国での基地の設置や使用について数多くの特権を有し、優遇されていることは承知をしております。施設及び区域内以外の一般の港への入港についてはどうかというと、同協定五条には、「合衆国及び合衆国以外の国の船舶及び航空機で、合衆国によって、合衆国のために又は合衆国の管理の下に公の目的で運航されるものは、入港料又は着陸料を課されないで日本国の港又は飛行場に出入することができる。」と規定されています。この意味において、他の外国の軍艦に与えられていない有利な地位を保持していると認められます。  米国軍艦は、こうして神戸港への入港も認められているのですから、非核証明書の提出を求め、その証明のない船舶には入港を認めないとする神戸方式は、我が国の国際約束にももとるのではないかというような意味を含めての、今の政務次官の答弁だったと思います。しかし、それが直ちに神戸方式が地位協定に違反するとは、簡単には肯定できないのではないかと私は考えるのですけれども、申しわけありませんが、再度重ねてこのあたりの見解をお伺いしたいと思います。
  76. 小川元

    ○小川(元)政府委員 米国艦船は、日米安全保障条約及びその関連取り決めに基づきまして、我が国への、港の出入りを認められております。我が国としては、かかる米国の権利が円滑に行使されるように確保する条約上の義務を負っております。したがって、日米安保条約及びその関連取り決めに基づく米艦隊の本邦寄港は支障なしに実施されるべきものであり、地方公共団体が非核証明書の提出を求めまして、その結果として米軍艦船の寄港が妨げられることになる場合には、かかる条約上の米国の権利を侵害するものとして、条約上の義務に反するということになると考えております。
  77. 佐藤泰介

    ○佐藤(泰)委員 では次に、大陸棚について質問をさせていただきます。  大陸棚境界画定に関して海洋法条約は、衡平な解決を達成するために、国際法に基づいて合意により行い、関係国は、その合意が得られるまでは、最終的な境界画定に影響を及ぼさない条件で、実質的な性質を有する暫定的な取り決めを締結するためにあらゆる努力を払うと規定しています。この規定は、境界画定に関して指標となり得る特別の基準を定めず、今後の具体的な国家実行を通じて国際法が既存の画定基準を確認するか、または新しい基準を発展させることを意味するものです。我が国に関しては、大陸棚を接する中国韓国と具体的な交渉を通じてその境界画定されていくことを意味していると思います。  特に中国が領有を主張している尖閣諸島周辺の東シナ海は、先ほども話に出ておりましたように、有望な海底油田が望まれる地域であります。中国が、経済成長及び内陸の油田の枯渇等により、本格的な海底油田の開発を行う蓋然性が強く、早急な境界画定交渉を開始する必要があると考えます。  この点に関し、まず我が国として、海底資源について排他的主権を行使できる大陸棚境界画定交渉にいかなる方針で臨もうとするのか、政府の基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
  78. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 排他的経済水域及び大陸棚に関する法律案におきましては、相対国との間の基線間の距離が四百海里未満である海域においては、相対国との間で合意した中間線にかわる特段の線がない限り、中間線までが我が国が沿岸国としての権利を行使する大陸棚であるということが明記されておる次第でございます。  私どもといたしましては、日中間大陸棚のように、相対する国の間における大陸棚境界画定中間線原則によるべきであると考えております。したがいまして、日中間大陸棚境界画定ということにつきましては、中間線原則を基本としながら、日中両国間の話し合いによって決めるべきものと考えておりまして、また、そうした協議をできるだけ早く取り進めたいと考えております。
  79. 佐藤泰介

    ○佐藤(泰)委員 中間線交渉に当たるという答弁だったと思いますけれども、その根拠は、沖縄を含めた一枚の大陸棚との認識からだと私は考えますが、中国は自然延長を主張し、交渉はかなり難航するのではないかということが予想されると思います。  このような場合、または交渉が不調に終わる場合などには、大陸棚境界画定に関して、関係国の主張が重複する部分については共同の管理、利用、開発の方法を定める、いわゆる共同開発方式をとることも一つの方法として考えられるのではないかと思います。実際、一九七四年の日韓大陸棚南部開発協定において、各当事国は、開発権者の契約により指定した単一の操業管理者が、全当事者のために共通鉱区を一元的に開発し、その利益を開発権者に配分する協力方式がとられました。  中国との大陸棚境界画定交渉を進める際には、このような共同開発方式も検討に値するものと考えますが、政府としてはこの点はどのように考えられるのか、また、この共同開発方式に対して、中国が現在どんな反応を示しているのか、そのあたりがわかりましたら、あわせてお伺いをしたいと思います。
  80. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 かつて七〇年代の末ごろから、日中間大陸棚を共同開発するという考え方について中国側から提案があったという事実はございます。しかし、その後、中国側からその詳細な説明がなされているというわけでもなく、また、日中間で具体的内容についてその協議が行われたということはないわけでございます。  いずれにいたしましても、日中間大陸棚資源開発につきましては、今委員が御指摘になられました、双方大陸棚に関する立場の違いといったものを含めて、困難な問題があるというふうに私たち認識いたしております。  日中間大陸棚境界画定ということですけれども、日中両国国連海洋法条約締結するという、この事実を踏まえまして、日中の両国関係を総合的に判断しつつ、適切に対処していくということになるのだろうと思いますが、先ほど申し上げましたように、四月九日、十日に海洋法締結に伴う日中間の非公式な実務者協議がまだ始まったばかりの段階でございます。これから先、中国の出方その他、いろいろなものを勘案しながら対応していくということになろうと考えます。
  81. 佐藤泰介

    ○佐藤(泰)委員 基本的な姿勢としては了解をしますので、何とか中間線境界が引かれるような、今の政府の方針を堅持して交渉に当たっていただきたいというふうに思います。今私が言ったのは、につちもさっちもならなくなったらそういう方法もという意味でございまして、それを私が望んでいるわけではございませんので、中間線で何とか努力をしていただきたいと思います。  それでは次に、大陸棚制度においては、経済水域と異なり、沿岸国は国際法上、大陸棚の探査、開発活動に対して外国人の参入を認めるべき義務もなく、その条件も定められていない。一方、大陸棚に関して、沿岸国の許可を得て探査、開発または海洋構築物の建設、運用に従事する外国人に対しては、沿岸国の国内法令がすべて適用されると解されると思います。そうすると、我が国の現行の鉱業法を前提とする限り、鉱業権者の資格を日本人または日本法人に限定し、外国人を排除している鉱業法十七条を適用せざるを得ないことになると思います。しかし、今後、日本周辺の大陸棚開発について国際協力とか日本企業の参入を認める外国との相互主義を適用する可能性を考えると、外国人に参入の機会を一切認めない現在の法制は問題があるのではないかと考えますが、政府としてはこの点どのように考えてみえるのか、お伺いをしたいと思います。
  82. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 ただいま委員指摘の鉱業法第十七条の規定というのは、「日本国民又は日本国法人でなければ、鉱業権者となることができない。但し、条約に別段の定があるときは、この限りでない。」というものであると承知いたしております。それから、日韓大陸棚南部共同開発については、現行鉱業法の特別法として、日韓大陸棚南部共同開発協定特別措置法が制定されている次第でございます。  こういう経緯はございますけれども、今度、日中間大陸棚資源開発につきましては、先ほど申し上げましたとおり、日中双方大陸棚に関する立場に違いがあることから困難な問題があるというふうに認識しております。今後、中国側との協議を進めていくことになりますけれども、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、中間線原則というものを基本としながら両国間の話し合いによって画定作業を進める、こういうことにいたしたいと考えておる次第でございます。
  83. 佐藤泰介

    ○佐藤(泰)委員 時間が来ましたので終わりますが、最後に言われたところをぜひ実現できるように強力に交渉に当たっていただきたいということを要望して、質問を終わります。ありがとうございました。
  84. 関谷勝嗣

    関谷委員長 赤羽一嘉君。
  85. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 新進党の赤羽一嘉でございます。  私も今週の十四日に四十五分間質問をさせていただきまして、重ねてになりますが、そのフォローアップの形できょうも一時間質問をさせていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。  前回の質疑におきましては、状況もわかるのでございますが、若干はっきりしない御答弁もあったようでございますので、また国会の場で深く、幅広く議論を進めていくことも大事だと思いますので、どうかいま一歩踏み込んだ御答弁のほどをよろしくお願いいたします。  まず、日本韓国間での排他的経済水域の設定問題に関して質問をいたします。  先日、五月十四日の外務委員会におきまして、私から、竹島が存在しないこととして日本側の隠岐と韓国側のウルルン島の中間に境界線を引くというアイデアについて、日韓交渉の場で今後取り上げられる可能性につき外務大臣質問をさせていただきました。これは、上智大学の山本草二先生がおっしゃっておられますように、島の領有権争いで二国が主張する経済水域や漁業水域が一たん重なることはこれまでも多々あった、この解決法については、第一にということで、問題となっている島は存在しないものとみなしそれぞれ中間線を引くということ、第二として、国際司法裁判所に付託するなど何らかの形で領土問題に決着をつけた後に線引きをする、この二つが考えられるといったことから、まず提案というかお伺いをしたところでございます。  これにつきまして外務大臣の御答弁は、そのアイデアは岩論というものですね、排他的経済水域を持ち得るような島であるかどうか、そういうものではない、岩だという考え方、これはまさしく岩論ですねというお話がありまして、しかし、どの程度の規模のものが島と言え、そうでないのか、島と言えないのかということについては、国際的に定まったものがあるわけではございません、そしてまた、この考え方そのものが国際的にも一般的に認められているというまでには至っていないという旨の御答弁がございまして、ストレートな返答はなされなかったわけでございます。  しかし、まず私はここでちょっと確認をしたいのですが、この考え方ですね。形状的に、どの程度の規模が島であるとか、どの程度の規模が岩であるとかということが問題なのか。私自身は、領土問題が絡んでくるときに、その棚上げをするために、その島自体は、岩でも何でもいいのですが、ないものとみなす、そこから話を進めるという意味では、これは具体的な選択肢の一つ、その辺については私は反対なんですが、選択肢の一つに考えられるのではないかと思うのです。外務大臣、今いらっしゃいませんけれども、外務大臣が言われた答弁の、どの程度の規模のものが島と言え、そうでないのかということについて国際的に定まった定めがあるわけではないということについて、まず御見解を伺いたいと思います。
  86. 谷内正太郎

    ○谷内政府委員 ただいま先生御自身が既に御指摘されましたけれども、島か岩かという点につきましては、これは、条約上岩の定義がございません。百二十一条三項というのがございまして、「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩は、排他的経済水域又は大陸棚を有しない。」こういうふうに言っているわけですけれども、そもそも岩は何かということは、定義がないのみならず、その内容について明確な各国のコンセンサスもない、また各国の国家実行等を見ましても、現時点において、どういう地形のものであり、どれだけのサイズのものであれば排他的経済水域、または大陸棚を有しないと考えるのか、その根拠は残念ながらまだ私ども確信を持って言える段階にはないわけでございます。  したがいまして、竹島を岩か島かというところについては、そういう意味ではっきりした国際的な考え方はないと言わざるを得ないと思いますけれども、私どもは、あの竹島は島として排他的経済水域及び大陸棚を持てるものである、こういうふうに、みずからの領土としてそういうふうに判断しておるというわけでございます。  先生の本来の御質問の趣旨でございます、そもそも竹島は岩か島かという問題は別にして、それを無視して鬱陵島と隠岐島との間での中間線という考え方はあり得るのではないかという御質問でございますけれども、この点につきましては、もちろんそういう議論というものは理論的にはあり得るだろうというふうに考えます。  ただ、従来から私ども繰り返し申し上げておりますように、今韓国との間では境界画定交渉というものにもまだ入ってない段階でございまして、何とか早く話し合いをしたいと思っておる段階でございますから、今理論的な可能性、今のこの竹島を無視するラインも含めて、こういうことでありますということを申し上げて交渉に臨むというのはいかがなものであろうかということでございますので、そこのところの外交的な配慮があるところはぜひ先生にも御理解いただきたいと存じます。
  87. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 まず、今の御答弁で、この竹島排他的経済水域を持ち得るような島であるというふうに政府認識しておるということをまず確認させていただきました。  それで、今その竹島が存在しないということにして中間線を引くというアイデア、最初の質問で言わせていただいたのですが、しかし、この前の質問のときにも触れましたが、このような線引きというのは竹島韓国排他的経済水域の中に飛び地のような形で入るということで、幾ら我が国立場としては領土問題を切り離して処理するということでも、結果論とすれば韓国による竹島実効的支配をますます強めることにつながることになると私は危惧しておりまして、したがって、我が国の国益を守るべき政府としてこの方法はとれないということをぜひおっしゃっていただきたいし、日韓交渉でこの方法が韓国側から提起された場合には、我が国政府としてそれを拒否するという立場をここで明確にすることはできないものかどうか。政務次官、よろしくお願いいたします。
  88. 小川元

    ○小川(元)政府委員 本件につきましては、交渉が開始されましてからどのような対処をしていくべきかということについては、委員指摘の件も含めまして多々考えられると思いますが、何分相手のあることでございまして、現時点で申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  89. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 ガードはかたいなという感じてすが、原則論は決まっているのかどうか。交渉前だから披瀝できないという話なのか、その原則論もまだ決めていなくてもう交渉が始まっているのか、これについてどうなんですか。
  90. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 三月の日韓首脳会談において、竹島領有権に係る問題とは切り離しつつ日韓間の排他的経済水域境界画定の問題について協議していくということについて合意がなされたということでございますけれども、これはもちろん日本領土問題というものを、まあ棚上げにするという言葉は私どもはちょっと使っておらないわけですけれども、領土問題をないがしろにするということでは全くないわけでございます。むしろ、一方において、領土問題というものについては、日本のこれまでの一貫した立場に基づきまして粘り強く対応を続けていく。他方において、排他的経済水域境界画定については、国連海洋法条約において、衡平な解決を達成するために国際法に基づいて合意によりこれを行うとされているところを踏まえて韓国との間の交渉を進めていこうということでございます。  そして、そういう中においていかなる対応韓国との間でとるのかということになりますと、まだ漁業についての実務者協議が五月の九、十と行われたというところで、これからその本格的な協議に入るところでございますので、今の段階において日本が個々に、具体的にどのような対応をするかということを申し上げるのは適当でないということを述べてまいったつもりでございます。
  91. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 具体的に申し上げてくれとお願いしているわけではなくて、原則論としての政府としての考え方、ガイドラインといったものがあるのかないのかということも言えませんか。
  92. 林暘

    ○林(暘)政府委員 従来より御答弁申し上げておりますとおり、竹島についての我が国立場は一貫しておるわけでございまして、かつ、バンコクで総理と金泳三大統領と話されたときにも、竹島に対するそれぞれの立場に影響を及ぼすものでないということを前提条件にして境界画定交渉を早りましようということを言っておるわけでございます。  韓国との間で衡平な解決を達成するために今後交渉をしなければいけないわけでございますけれども、それの前提条件としては、我々としては、我々の竹島に対する領有権問題というものに対して影響を及ぼすものでないというもの、それを基本的な考え方としてやりたいというふうに思っております。
  93. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 その基本的な考え方というのはよくわかりました。  それで、例えば、ちょっと具体的な話でまた恐縮なんですが、お互いに自国の領土として境界線主張して重複、重なり合った場合、この場合は、その重なった地域で漁業の共同管理を行うということ、これは可能なんですか、一般論として。
  94. 東祥三

    ○東政府委員 一般論として申し上げますと、あそこの海域竹島海域だけ申しますと、あそこにはいろいろな魚群がありまして、あの海域だけ、両方から引き合って重なるところだけというふうに取り上げるのはなかなか難しいと思います。ちょっと適当かどうか、例えばロシアとの関係で見ましても、これはロシアの海域全体、その中にあそこの重なる部分があるという形でやっておりまして、その部分だけを取り上げてというのはなかなか難しいだろうと思います。  共同管理というのがどういうことなのか。要するに、取り締まりだとかその辺。共同管理というのはいろいろな形態がございます。それによっていろいろなやり方があり得るかもしれませんが、完全な形で漁獲を決めてお互いに入るというような形をその海域だけでやるというのはなかなか難しいのではないかというふうに思います。
  95. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 あの海域に限って共同管理を行うことは難しいという御説明がありましたけれども、ということは、そういった方策は選択し得ないということにつながるのですか。
  96. 東祥三

    ○東政府委員 済みません。共同管理というシステムがどういうふうなことなのか。安全なというふうに私は申し上げました。要するに、この海域の中で何の魚を幾らどっち側がとるというような形での完全な形は難しいだろうと思っております。  ただ、共同管理というのがどういうふうな意味合いを持つのか。いろいろな形があり得ると思います。そういう中で、これはまだこれからの話し合いの中になると思いますけれども、そういう意味での、完全な形というふうにちょっと御理解をいただきたいと思います。
  97. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 ちょっと今の水産庁長官の御答弁はよくわからないのですが、そういった状況の中で、外務省の方に聞きたいのですが、この選択肢というのは、今回の交渉ではなくて、一般論として、選択肢たり得るのかどうか。
  98. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 若干繰り返しになって恐縮でございますけれども、三月二日、バンコクの日韓首脳会談において総理が述べられたことの中に、「竹島問題についての日本政府立場は一骨している。」そして、「日韓両国が新たな海洋秩序を構築する国連海洋法条約の締約国となることによって、両国関係が悪化するようなことがあってはならない。したがって、日韓両国国連海洋法条約批准に伴ってとる措置が、竹島に関するそれぞれの立場に影響を及ぼすものではないことを前提条件としたい。これにより、国連海洋法条約批准の問題が日韓関係に否定的影響を及ぼすことを回避したい。その上で両国間で排他的経済水域境界画定につき協議を行うこととしたい。」ということを述べられたわけでございます。このやりとりについては総理みずから先般の委員会で率言されたとおりでございます。  私たち考え方というものは、先ほど申し上げましたように、このような境界画定協議というものを両国竹島に関する立場というものから切り離してこれを進めていくということでございます。これが基本原則でございます。  したがって、その枠内において一体どういう考え方、アイデアがあり得るであろうか。これはやはり、今私たちの方でこれが入る、入らないというような個々の問題についてのいわば評価を下す前に、韓国との間の協議というのがこれからまさに始まるわけでございますから、先方の出方というようなものを見ながらできるだけ我が方にとって有利な解決に持っていくというふうに努力すべきものだと思っているわけで、そういうことでございますので、今現在において、この具体的な考え方というのはあり得る、あり得ないというようなコメントを差し控えさせていただきたい、こう申し上げている次第でございます。
  99. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 ちょっと重ねて聞くようで恐縮なのですが、水産庁の御説明があったような状況の中で、その重なったところの共同管理が極めて難しい状況にある中で、そういった解決法の一つとしてこの選択肢というのはあるのですか、ないのですかということを局長に伺いたいのですが。
  100. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 まことに恐縮でございますけれども、先ほど申し上げましたその枠内において外務省としてはあらゆる可能なその解決のための手だてというものを探ってまいりたいとは思いますけれども、今具体的に、かくかくしかじかの考え方がその枠内であり、またあるいはその枠外であるといったような判断を下すことは適当でないと考えておる次第でございます。
  101. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 まあ頭のいい方たちが多いですから、恐らくいろいろな知恵があるのでしょうけれども、山本草二先生のこういう著書なんかを見ていましても従来からそれほど多くの選択肢があるとはいえない中で、具体的な話として詰まっていなければおかしいのではないかというふうに私は思いました。  そして、先ほどバンコクでの日韓首脳会談のお話、るるございましたが、私は、領土問題と漁業問題を切り離し、そして両国関係に配慮しながら交渉を進め、我が国にとって国益を損なわないように最大限の努力をしていくということはおっしゃるとおりだと思いますが、先ほど引用があった部分に対して、橋本総理のそういう発言の後に、これは総理自身から御答弁いただいたところでございますが、金泳三大統領からは、「日本側が、日本の独島領有権主張しているのは我が国としては容認できないし、非常に遺憾に思う。韓日両国関係の発展のためには、領土の尊重が原則的かつ重要な問題であるから、これに対して明確な認識が必要であると思う。」というこれだけを読んでみますと極めて厳しい御答弁があったわけでございます。ここに対する総理の答弁というのはあったのかないのか、いただいてないのですが、金泳三大統領は、この領土問題、領土問題と向こうは認定しないかもしれませんが、この竹島についての問題に関しては非常に厳しい認識でいられる。  しかし、我々は、先ほどからの御答弁を聞いておりましても、一貫して竹島我が国領土だ。しかし、現実的には、先ほど同僚の松沢議員からも質問がありましたけれども、不法占拠が進んでいる、どんどん実効支配実施されていくような状況にある中で、この点について、ちょっと先ほどの松沢さんの質問と重なりますが、接岸施設を建設しているといったことに対して、厳しいクレームというか、を立てないで、とめることをしないで、我が国領土でそういうことが不法に行われていることに対して何もアクションを起こさずに、それの問題とは切り離して排他的経済水域境界画定問題は話し合いを進めていきましょうなんというのは、余りにものんきなというか、ちょっとこの感覚というのは信じがたいように思うのですが、この点、政務次官どうでしょうか。
  102. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 事実関係に関する部分が多くございますし、委員長の御指名も得ましたので、ちょっと私から御説明させていただきたいと思います。  まず第一に、総理の御発言でございますけれども、先ほど委員が述べられた金泳三大統領のその発言に続いて、金泳三大統領はさらに、「総理が言われたEEZの設定問題はこれが領土問題とは関係ないという前提の下で、両国外交当局問で協議していくのがよいと思う。」こう言われました。それで、橋本総理から「大統領の言われた通り、排他的経済水域境界策定作業については、早急に協議を始めたい。日韓漁業協定交渉については、まずは水産当局者間において協議を行うべく調整中であるが、本件は早急に結論を得ることにつき国内より強い圧力がある。可能な限り双方が満足できる結論を早急に得るためには、精力的に交渉を進めていく必要があるので、韓国側の協力をお願いしたい。」これに対して、金泳三大統領が「そういう方向で対処していきましょう。」これがやりとりでございます。以上はいずれも一連のやりとりとして行われたものでございます。  ここに言われておりますいわゆる切り離しという考え方でございますけれども、これはまさに、領土問題については、一方において日本が一貫してとってきている立場に立って粘り強く対処し、対応していくということ、他方において経済水域画定作業については今申し上げましたような考え方に基づいてこれを進めていきましようということであります。すなわち、領土問題というものについての日本立場は従来から申し上げておりますとおり極めて一貫したものでございまして、この一貫した立場に背馳するような事態が起こったときには政府として適時適切に対応を行ってまいっているつもりでございます。  実効的支配というものにつきましては、これはいろいろな要件があるのだろうと思います。例えば、国家が平穏かつ継続的にこれを占有しているという状況がそこには必要だということでございまして、その平穏ということの中には、相手国、関係国から抗議がきちんとなされているというような場合にはその平穏の要件を満たさないということになるわけでございまして、韓国が事実上の支配というものを強めていることは、これは遺憾ながら事実である面がございますけれども、それがすなわち実効的支配の強化につながっているということではないと思います。  私どもといたしましては、この接岸工事の問題等について私どもとして適時に申し入れを行うなどしてまいっているというつもりでございますし、まさに切り離しということは、そういう意味で、領土問題については領土問題の文脈で日本が一貫した立場に基づいて対応してまいる、こういうことを意味するものだと考えております。
  103. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 ちょっと話はあれですけれども、昭和五十三年十月十三日の外務委員会において、井上一成議員の質問に対し、当時の条約局長が、これは尖閣諸島に関してのことだと思いますが、有効支配、これは実効支配と同義で使われているのだと思うのですが、有効支配については、国家の主権がある領土に対しその主権が有効に行使されている状態をいうと。そして、これは別のところで言われて、アジア局長が本に書かれているというような、井上議員の質問の中の引用ですが、一般論として不法操業があったり不法入国があればそれを処分、処罰するのだ、侵略があれば自衛行使をするのだということを当時のアジア局長は言われているということがありました。  これを見ますと、いかにもこの竹島、先ほどの接岸施設をつくられているとかいうことに関しまして、現実に本当に実効的な支配を進められていて、それに対して我が国領土であると一貫した態度をとってきている我が国として何も行動を起こさないということに、何となく今の一連の御答弁は納得いかないものがあるのですが、いかがでありましょうか。
  104. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 具体的に実効的支配というものを示すために日本がとり得る措置行動というものについては、それは個々の状況に応じていろいろなバリエーションがあり得るだろうと思います。  ただ、いずれにいたしましても、竹島につきましては、先ほど申し上げましたように、事実上韓国側がその占有を強めるというような措置をとっていること、すなわちその実効的支配の確立ということを意味するものではないということを私は申し上げているわけでございまして、いろいろな考え方はございましょうけれども、実効的支配というにはそれなりの要件が要る、その中の一つに平穏な占有ということがある中で、関係国から一貫して継続的あるいは適時に抗議がなされている、申し入れがなされている、いわば時効の中断に相当するようなものがあるという状況のもとでは、必ずしも実効的支配というものが確立されたということにはならないという考え方があるわけでございます。  私どもといたしましては、先ほど委員が御指摘になられました接岸施設の工事ということにつきましても、大臣レベル、その他私どものレベルにおいて、そのときそのときに応じて適時に申し入れを行ってまいっているということがございまして、これを座視して何もしないでいるということではございません。
  105. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 局長、私は、竹島は不法に実効的支配韓国がしているというような認識でおるのですけれども、それは違いますでしょうか。また、何というか、不法入国があるとかいう認識ではないのですか、竹島にそういう人が住んでいるとかいうことに関してですね。
  106. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 私どもは、韓国竹島を実効的に支配しているという立場はとっていないわけでございます。  言葉の問題という側面はあろうかもしれませんけれども、その実効的支配というときには、そこにある種の政治的なものも含めた正当性がちょっとニュアンスとして込められるように思います。しかし、私どもが現に見ておりますのは、韓国が事実上の占有、実行上の占有というものを維持し、あるいは強めているという姿でございまして、それは実効的な韓国の支配の根拠が強まっているということではないというふうに考えているわけでございます。
  107. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 そうしますと、先ほど松沢議員の方から質問があったのですが、尖閣諸島のことにつきまして、我が国領土としながらも、例えば、この近くの海域で操業する漁業者から避難港の建設を求められているが何もできないでいるというような状況下でも、今の、論理的には整合性があるのかもしれませんが、何も具体的にはできないけれども、そこには厳然と主権が確立されているので、実効支配はされているという御認識でしょうか。
  108. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 尖閣諸島の場合につきましては、そこに標識の施設の建設その他を含めた措置をとっている一方、その視察とか調査というものを行うことによって、具体的な意味においても日本実効的支配というのが確立されているというのが私たち考え方でございます。  それから、今おっしゃられたことでございますが、そういうことで何々のことができないということを私たち申し上げているつもりはございません。
  109. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 この尖閣のことに絡むんだと思うんですが、そのバンコクでの三月の日中首脳会談で、李鵬総理から、日中間には東海に未解決の問題があるが、海洋法条約の原則を踏まえ、友好的話し合いによる解決を求めていきたいという旨のお話があったということがこの前の局長からの御答弁にもありまして、私ちょっと、「東海」というのがよく聞き取れなかったのであれなんですが、この「東海に未解決の問題があるが、」ということについて、日本政府としてはどういう問題だという認識であったのでしょうか。
  110. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 これは、今委員がおっしゃられたような非常に一般的な表現でなされた発言であり、またそのことについて、それはどういう意味ですか云々というやりとりがその後続いたわけでもございません。したがって、推測ということの域を出ないわけでございますけれども、大陸棚の問題というものなどを指称するものではないかと考えております。  ちなみに、「東海」という云々で、発言が聞き取れなかったとおっしゃられた点につきましては、これは日本中国の間の大陸棚という意味で申し上げた次第てございます。
  111. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 そうすると、ここの、「東海に未解決の問題」ということに対しましては、この尖閣諸島のことというのは含まれないという御認識だったのですか。これは外務大臣の方がいいかもしれませんが、どうなんでしょう。
  112. 池田行彦

    池田国務大臣 ただいまの部分は、これは中国側の発言にかかわる問題でございまして、その意味するところは特に突き詰めて問いただしたわけではございませんけれども、先ほど政府委員から御答弁申し上げましたように、我が国としては、その間にある大陸棚をめぐっての立場の問題はあるなということは認識しているわけでございます。
  113. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 そうしますと、これは平成四年の四月二十二日の当委員会での質疑の中で、当時の政府委員の方が、「日中間におきましては、まずは先ほど来御指摘尖閣諸島領有権の問題というのが中国側から提起されているという状況もございますので、今のところすぐ大陸棚境界画定交渉を行うという状況にはちょっとないのではないかというふうに考えております。」という御答弁があったんですが、このときには、だから尖閣諸島領有権の問題というのを認識され、かつ大陸棚交渉は難しい、今のままでは難しいんじゃないかという御答弁があったんですが、まずその二つ。尖閣諸島領有権の問題というのは、今の御答弁ですと、東海の未解決の問題の中に入ってないような御認識もありますが、それはどうなのかという確認と、もう一つは、大陸棚の中での中間線の、引く、引かないという質問がずっと続いておりましたけれども、この御答弁ですね。領有権の問題云々が提起されている状況の中ではなかなか交渉が難しいんじゃないかというのは、状況として変わったのかどうか。二点について。
  114. 池田行彦

    池田国務大臣 いずれにいたしましても、私どもは、中国との間に領有権をめぐる問題はない、存在しない、こういう立場でございます。  それから、大陸棚の問題につきましては、我が国としては、いわゆる中間線理論、こういう立場にあるわけでございます。そして、中国との間では、漁業協定等をめぐる問題等についてこれから交渉をさらに続けていくわけでございますが、そういった中で、いわゆるその大陸棚の問題についての何らかの話し合いが必要ということになれば、我が方としては我が方のこれまでの立場を踏まえてそれの対応をする、こういうことでございます。
  115. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 我が国として中国との領有権の問題はないという御説明はよくわかっているんですけれども、それはもう前回の質問で、ないという立場ながら、しかし中国側からそういった問題が提起されているということは認識しているということに対しての答弁外務大臣からあったと思うんです。  ですから、ちょっと確認なんですけれども、しかし、そういう問題はありながらも、この大陸棚境界線の問題についての交渉には何ら障害とならない、差しさわりがないということでよろしいんですか。今すぐ交渉に入れるということでよろしいのでしょうか。
  116. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもが御答弁申し上げておりますのは、大陸棚の問題をめぐって、中間線理論というのを我々は、日本としてはとっておるわけでございますけれども、中国がそうではない、いわゆる自然延長論ということを考えているということは認識はしております。ただ、まだ交渉の場でそういうことのぶつかり合いややりとりがあるという状態ではない、こういうことでございます。  領有権の問題については、これは、我が国立場は、先ほど申しましたように、存在しない、こういうことでございます。
  117. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 大臣、済みません。ちょっと僕の質問がはっきりしなかったかもしれませんが、領有権については、日本立場はよくわかるし、私も問題ないと思っているんですが、それに対して、中国側からは異見があるというような状況であるということは御認識いただいたと思うんですね、前回の委員会で。そういう状況の中で、平成四年のこの委員会での政府委員の方の答弁では、こういった状況の中では大陸棚の線引きについては交渉に入るのは難しいのではないかという御答弁があったんだけれども、現状はそういう状況は変わっているんですね、領有権について中国側が異見を言っているような状況でも今回はこの画定の線引きの交渉には入ることはできるんですねということを確認したんです、平成四年の部分でそれは難しいというような御答弁もあったものですから。繰り返しになって恐縮ですが。
  118. 池田行彦

    池田国務大臣 中国側が異なる立場を持っているということは、それは認識しているというか承知はしておりますけれども、そういったことを我が国として容認するとかなんとかということでは毛頭ない、こういうことでございます。  それから、海洋法条約締結に伴いいろいろ話をしていかなくてはいけない。そういうことになれば、それは海洋法条約の趣旨を十分踏まえながら、そして両国間で妥当な、また円満な解決の方途を見出していく、これは当然だと思います。  そういったことで、まず漁業協定をめぐる問題につきまして予備的な接触が始まっているわけでございますが、これからいろいろ話し合いをしていく中で調整をする必要が出てくる問題が出てくれば、それは話し合い、解決する方途を見出していく、こういうことかと思います。
  119. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 この問題について最後に質問させていただきますが、先ほど局長の答弁で、尖閣諸島については標識ですか、標識なりなんなりがあるんで、それはどうでもいいんですけれども、実効支配できているんだ、当然我が国領土として間違いない事実があるということで。それはそれで置いておきまして、繰り返しになりますけれども、この近くの海域で操業する我が国の漁業者から、避難港の建設をしてくれというような求めに対して、実現をする方向に向かってのプロセスを政府として考えられているのかどうかということの御見解を伺いたいと思います。
  120. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 前段のところでございますけれども、日本政府としては、尖閣諸島日本国有領土であることは歴史的にも国際法上も疑いないところで、現に我が国はこれを有効に支配しているという立場で一貫してあるわけでございます。  我が国政府は、尖閣諸島において、領域標示及び地籍標示標柱を建柱したほかに、学術調査測量などを実施する、こういうことによって実効的支配が裏づけられているということをさきの答弁で申し上げたつもりでございます。  今御指摘の避難港云々の点につきましては、地元の中にそうした声があるということも伺っておりますけれども、いずれにいたしましても、今申し上げました尖閣諸島に関する基本的な立場を踏まえまして、外務省のみならず関係省庁において、その緊要性などいろいろな角度から検討されていくべき問題であると一般的には考えております。
  121. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 それでは水産庁の方に質問いたしますが、先日の委員会で、自国の排他的経済水域内の生物資源の漁獲可能量を決定し、その生物資源が適正に維持されていることを確保する措置をとる権限を沿岸国にゆだねられている条約規定に関しまして、このような条約規定では、沿岸国がその排他的経済水域内の生物資源の管理措置を行うに当たり、必ずしも水産学上のデータに基づくのではなくて、経済政策なんかの絡みで恣意的な決定を行うことを防ぎ得ないのではないかという質問を私は行いました。これに対しまして水産庁長官は、本条約は、沿岸国が科学的根拠に基づいて自国の排他的経済水域内の生物資源の保存管理措置を行うよう要請している旨答弁がありましたけれども、この条約第六十一条の規定では、沿岸国のとるべき管理措置については、自国が入手することのできる最良の科学的証拠を、これは、基づいてじゃなくて、考慮することが求められている。同時に、経済上の関連要因を勘案することも許されているということでありまして、沿岸国は、一応この科学的根拠に考慮さえ払えば、それだけに縛られるのではなくて、その国の経済的利益を最優先した措置もとり得るし、さらに、考慮したふりというのは言葉は悪いですけれども、他国はこれに文句をつけようがない規定であるというふうに憂慮しているわけでございますが、このような問題を未然に防ぐために、前回も御提案させていただきましたが、沿岸国の排他的経済水域内における生物資源の管理のあり方を科学的知見から監視するような国際機関の設立が必要であるというふうに思うわけでございます。再びで恐縮でございますが、水産庁長官認識をお伺いしたいと思います。
  122. 東祥三

    ○東政府委員 ちょっと説明が長くなるかもしれませんが、一つは、国連海洋法条約で、先生指摘のとおりで、しかもその「科学的証拠を考慮して、」というところの後ろに、「このため、適当な場合には、」とは書いてございますけれども、国際機関がある場合にはその国際機関に協力してというふうなこともあります。それからもう一つは、六十二条の第三項の中に、「その国民が」、要するに漁業を既にやっている、既得権というようなことになりましょうか、「その国民が伝統的に当該排他的経済水域で漁獲を行ってきた国」に対しては、「経済的混乱を最小のものにとどめる必要性等の関連要因を考慮する。」というのがございます。  したがいまして、いわゆる漁獲可能量ということか相手国への割り当てということをやる場合に、やはり私たちの経験としては、日ソの地先のことがあるんでございますが、こちらの状況も話し、向こうの状況を話を聞き、十分話し合っていく。それで、どうしても納得が得られないときには個々の国連海洋法条約、細かくは申し上げませんが、海洋法裁判所だとか調停の手続等もございます。そういう形で、話し合いということが一つ大事なんだろうと思います。  それから、資源の科学的な監視をするための機関というお話でございました。我々は、社会的、経済的な考慮をしながらTACを決めていくという場合に、例えばこの国連海洋法条約は、最適に資源が利用できるようにしなさいということをうたっておりまして、そこを最終目標にいたしますが、今実際には、日本海沿岸等につきましては、その最適利用を超えた利用が行われております。しかし、そこの資源がそれよりも下がらないというラインもございまして、それらをやはり勘案して、できるだけ最適利用へ時間をかけてでも持っていくという措置になると思います。そういう意味での社会的、経済的な配慮が求められるというふうに考えております。  それから、国際的な監視というものは、我々の経験からいたしますと、将来の問題としてはあり得ると思いますけれども、なかなか難しいと思います。  一つの例を申し上げますと、昨年一年間かけて、韓国側からの提案により共同資源調査をやりました。ところが、我が方は、我が方の船に乗せてやったわけでございます。我が方は二十年間の資料を集めておりますが、向こうは十年間の資料しかない。それから我が方は、我が国漁船の資料を集めておりますが、向こうは、向こうの漁船の資料であるというようなことがございまして、なかなか意見の調整というのが難しゅうございます。そういう意見交換、資料交換ということからまず最初はやっていって、その機運の醸成の状況でやっていくことになるのかもしれないと思いますが、急にやるということはなかなか現実的ではないようでございます。  それから、一つの例を申し上げますと、EUでございますが、EUはああいうふうな形で、漁業はEU委員会そのものが管理することになっておるのでございますが、そのために各国が共同いたしまして研究所をつくって科学的な資源量の調査をやっております。それを、科学的にはこうだというのをEU委員会へ出して、EU委員会がそれに社会的、経済的な配慮をして漁獲量を決めるという形をとる、これが世界で唯一の方式でございます。それは、EUの特殊性からある程度可能だったのだと思いますけれども、利害が錯綜する問題もございましてなかなか難しいので、当面はちょっと無理があるのではないか、ただ、遠い将来としての可能性というものはあり得るというふうに考えます。
  123. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 ありがとうございました。  それではちょっと具体的に、要するに、東シナ海に面したところの排他的経済水域は全面設定をするという方針が前回の委員会でも確認されたわけでございますから、その線引きができますと、これ大原農水大臣答弁をいただいたのですが、当然その内側において我が国の漁業主権が確立される、したがって、そこにおける資源の動向、さらに、我が国漁業者の漁獲の現在までの実態等を基礎としながら、外国人による現在までの漁業の状況やその周辺水域における漁業の実態等を総合的に考慮して漁業主権の確立を図っていかなければいけない、その上で、総量規制を行い、中国――恐らくこの「外国人」というのは中国韓国ということ、まずここだけ確認したいのですが、中国韓国ということでよろしいのですか。
  124. 東祥三

    ○東政府委員 今、日ソの漁業協定がございまして、ソ連の入漁もあると思います。
  125. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 それは、東シナ海の一面ですね。それで、線を引いたら中国韓国と、ソ連もあるならソ連でもいいのですけれども、我が国水域内の漁獲可能量というのは算定なんかできるのでしょうか。聞くところによりますと、これは各魚種別の漁獲可能量も出す。漁獲可能量を算定できるのかどうかということで、まず聞きたいのですけれども、我が国水域内で、中国韓国に限って言っていただければ構いませんが、中国韓国の実際の漁獲量はどのようなものなのか、数字として挙げられれば、お願いいたします。
  126. 東祥三

    ○東政府委員 実は、二百海里を適用しておりませんので正確なところがなかなか把握しにくい、したがって、大臣も、ちょっとそこの辺は十分そういう前提のもとで、いろいろな前提を置いてちょっと試算しておりますがということだったと思いますが、私の方の試算では、韓国側の漁獲は十五から二十万トンの間で、ちょっと年によって変動があるのじゃないかなというふうに試算はいたしております。日本の二百海里内で韓国側がとっている量がそれぐらいかなというふうに試算をしております。  ただし、日本海側の地域では、約十万トンだと思います。北海道水域でその残りのものをとっておる、先ほど十五から二十と言いました、その残りのものを北海道水域でとっておる、日本海では十万トンぐらい。  それから、中国漁船日本の沿岸でとっておるのは、ちょっと先ほども御答弁申し上げましたが、最近、中国船が急激に日本近海へ出てきておりますのでその辺の問題がございますけれども、非常にそういう意味で年次変動がございますが、二万トンから六万トンぐらいとっておるというふうに推計いたしております。  しかし、いずれにしろ日ソというのは、いまだに日ソ地先漁業協定となっておりますから日ソと申し上げますが、日ソ漁業協定交渉でも、何万トンずっとらせ合うかということが一つの交渉事項になるわけでございまして、やはり向こう側のデータ等も出し合って議論をしなければならない点であることは御理解をいただいておきたいと思います。
  127. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 ちょっと今の御答弁に若干触れるかもしれませんが、日本の漁業者は、韓国、近年の中国のいわゆる乱獲状態に苦慮して困っておると。それで、実際の実績で決めなければいけないわけですね。その辺は、やはり乱獲の部分は、お気持ちとしてというか政府の基本的な方針としては、除いた数を割り当てるということなのでしょうか。ただ、私はそこでちょっと懸念するのは、同時に、中国側日本側水域の中でも日本に対する割り当ても決められるわけでありまして、余りドラスチックなことはできないのかなというような状況の中で、これはどう考えていくのか、御答弁いただけますか。  それと、まずトータルの、パイの、数量というのですか、漁獲可能量ですか、トータルのパイといってもこれは明らかでないと思うのですが、どのように見ていらっしゃるのかもあわせて御答弁ください。
  128. 東祥三

    ○東政府委員 まず、乱獲というとちょっとあれでございますが、私ども大変苦慮するのは、これからの中国の人口の海岸地帯への移動、ここのところでの中国の異常とも思える漁船建造ブーム、それに中国船日本近海への進出、今まだ能力は船が小さいものですから出は少ないわけでございますが、せいぜい日本海しか出てこられないというような状態でございます。しかし、これから先の中国の動きというのは最大の問題だと思いまして、今もう既に漁獲の最適量を少し漁獲量が超えているのではないか。  沿岸漁業は最近はほとんど生産量は横ばいでございまして、そう大きな変化はございません。沖合漁業の漁獲高が極端に減っております。これらがやはり最大の問題だと思っておりまして、まず最初はその減りをストップさせることから始めて、どこまでかけてそれを回復するかという過程をとっていくことになると思います。  したがいまして、これから、やはり先生指摘のとおり、日本側からとっている部分もございます。その船がこちら側でとるというわけにもいかない部分がございまして、季節的な動きとかそういうのがございまして、ある程度お互いに入るということを検討しなければならない点がございまして、その点は交渉事項だと思っております。  なお、日本近海全体で、日本全体で八百万トンばかりの漁獲量を上げておりますが、カツオ、マグロのように遠洋のものもございますので、近海では沖合と沿岸とをまぜまして三百万トン強ぐらいのところをとっているのだと思います。  漁獲の資源状況につきましては、今資源量を各研究所の方で出しておりまして、それらについての検討をこれから開始するところでございます。大体今とっているのが沿岸と沖合、これは日中、日韓との関係ではほとんどがその漁業でございますが、そういう状況でございます。
  129. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 多分中国は、水産品ですか、漁獲したものを輸出している。国内消費も物すごく上がっているのでしょうけれども、輸出ドライブも相当かかっていて、かなりここの部分の交渉というのは難航するのではないかというふうに思うのです。その我が国水域内のトータルのパイと向こうの水域内のトータルのパイ、この辺のすり合わせをうまくしないと、日本国内の水域内で資源の保全ということを考え、妥当な数字を出し、妥当な数字を配分したとしても、極めて僕は、恣意的にというか、中国としてはもう背に腹はかえられないような部分が当然あると思うのです。  経済政策上のところからかなりパイを大きくして捕獲高が物すごく乱獲に近いような状況になりますと、恐らく狭い海ですから、こちらは自制をしていても同じ海でつながっているわけでありまして、当たり前ですけれども、海底の中に別に水域の線なんかないわけですから、魚は移動すると僕は思いますし、下関だ、プサンだ、これは韓国ですけれども、あの辺のフグなんかは同じようなところで同じような種類のフグが泳いでいると思うので、日本側が自制をしても、相手国側が自制できないような状況であったりすると、何のための交渉であるかわからないというふうに私は思っておりますので、やはり私自身は、先ほど長官の方からEU委員会の御説明をいただきましたけれども、ああいったものが日中そして日韓の中で確立されることは大事だというふうに僕は思っておるということを表明しておきたいと思います。  最後に、今のところでもう一問だけお願いしたいのですが、台湾の漁獲高というのは、先ほど中国は二万トンから六万トンとありましたけれども、台湾というのはどうなのですか。これは無視していいような数字なのか。そうした場合、実際数字としてあった場合は、水域を設定した場合、オミットするのかどうか。そこについて。
  130. 東祥三

    ○東政府委員 台湾の日本近海での漁獲、結論的に端的に申し上げますと、ほとんどございません。それは、先日先生の方から日中漁業協定の中に入るのじゃないかというお話がございましたけれども、要するに、中国は日中漁業協定というのは漁業の規制の部分があってそれは及ぼせないということで、台湾船はその範囲外だというふうに認識しておるようでございます。この間も、ある被害が台湾船によって引き起こされたとき中国側に話をしたら、それはうちの船ではないうちのコントロールはきかないというようなことを言っておりました。  そんなことから、今の排他的経済水域についても、台湾船については入らない、入れない形でございまして、退去を要求しているというのが現状で、ほとんど生産はございません。  ただ、どうしても台湾からのお話があるということであれば、それは外交上の問題はどうかということを我々ちょっと判断しかねる点がございますが、現在の法律、排他的経済水域の漁業に関する法律の中では、基準のところで「国際約束その他の措置により的確に」ということがございまして、例えば北朝鮮の水域日本側が入ったときに民間協定で入っているという事例がございまして、それはこれから先の問題で、いろいろなそういう事例を勘案しながらやっていくのだろうというふうに考えております。
  131. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 ちょっと時間ももうなくなったのですが、最後に一点、公海の自由原則に関連した問題で、この前初村委員から御質問がありましたが、中国の台湾周辺海域での軍事演習についてちょっと質問をさせていただきたいと思うのです。  このときには総理の御答弁でもあったと思うのですが、公海における軍事訓練を公海の自由から排除してはいないんだ、公海上のことは軍事訓練といえども公海の自由からは排除していないというお話がございました。その中で、先ほどの山本草二先生の著書からの引用なんですが、公海使用に係る他国の利益をある程度害する結果になったとしても、例えば計画の事前通報、協議、合理的な期間と範囲にわたる危険水域の設定、公示などの侵害防止措置、実績のある事業活動に対する損失補償等々、いわゆる妥当な考慮を払ってさえいれば、適法な公海使用の自由と認められ免責されるということを書かれた箇所があるのです。  私は、今回の中国の軍事演習に対して、これは二つの種類があるのですが、まず一つは、政府として、今回の中国の軍事演習に対する認識は、中国がいかなる妥当な考慮を払って、かつ我が国の権益を侵さなかったというふうに政府がお考えになったのか、その所見を聞かせていただきたいと思います。
  132. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 日本といたしましては、中国の行為が他国の利益に妥当な考慮または合理的な考慮を払ったものかどうかという点を含めて、中国の軍事演習について注視してきたところでございます。妥当な考慮とか合理的な考慮というもののその内容は、事例によって異なり得ると思います。したがって、一概に申し上げることはできないと思いますが、一般的に軍事演習についていえば、危険水域の設定や演習計画の公知のための措置をとるということ、それから、実際の演習時に安全確認を行うべきことなどが含まれるものと思います。  こういう観点を踏まえて、今回の中国の軍事演習を見ますと、これが国際法に違反するものと直ちに断定することは困難であるというのが私たち考え方でございます。  ただ、いずれにいたしましても、政府としては、台湾海峡における緊張が高まるということは東アジアの平和と安定にとって好ましくない、そういう観点がございますので、この観点からも中国に対して自制ある対応を求めてまいったという経緯がございます。
  133. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 この問題に関して、若干台湾の軍事訓練についても質問したいと思いますが、また次回の質問の場に譲らさせていただきまして、きょうは終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  134. 関谷勝嗣

  135. 寺前巖

    寺前委員 二つの問題をお聞きしたいと思います。  一つは、今度の海洋法をめぐって漁業上の問題はどういうことになるだろうか。もう一つの問題は、非核三原則を国是とする日本として、国際化させていく立場からこの問題をどう見るのだろうか。二つの点で、限られた時間ですが、お聞きをしたいと思います。  まず第一点。この間、漁業の関係団体の皆さんとお話をしておりましたら、日本の国が中国韓国その他へ随分乗り込んでいって迷惑をかけているのかなという認識、それは甘いですよ、今では日本の方に非常に大量に入り込んできているんだという立場からお話がございました。日本の漁業団体の方々に言わせると、二百海里の早期設定を強く求める背景には、日本周辺での違反や無謀な操業が後を絶たないんだ。日韓あるいは日中間には漁業協定があるけれども、どちらも相手国側の水域での漁業規制や日本周辺では一部を除いて規制はあるけれども、今日では不平等な内容になっているんだ。だから、私どもは被害を受けている。こういうことをおっしゃいます。  そこでお聞きしますけれども、この日韓、日中の両協定の枠組みは、今日の二百海里経済水域とするという海洋法に関する条約の枠組みとは全く違ったものだ、そういう立場で見ておられるのかどうかということをまずお聞きしたいと思います。
  136. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 日韓及び日中の漁業協定は、漁船の取り締まりを旗国が行うことを定めて、それで一定の共同規制水域または休漁区、保護区を設定して、当該水域内における日韓のあるいは日中の双方漁船の出漁隻数等を制限する仕組みになっておるわけでございます。  御指摘のとおり、これらの水域は相手国周辺に設定されているわけでございますが、これは協定締結当時の双方の漁業の実態にかんがみて、資源管理上の必要性という観点から両国の合意によって設定されたものでございます。  国連海洋法条約は、排他的経済水域について具体的にどのような対応で漁業規制を行うかという点につきましては、生物資源の維持を図るという目的が達成される限りその沿岸国に裁量を認めているというふうに思われます。韓国及び中国国民に対しては、両国との新たな漁業秩序が構築されるまでの間、外国人の漁業に関する規定を適用しないことになりますが、このことをもって必ずしも国連海洋法条約に違反するものではないというふうに考えております。  いずれにせよ、政府として韓国及び中国との漁業関係については、両国との協議により、沿岸国が生物資源の維持に係る適切な措置をとるという国連海洋法条約の趣旨、これを十分に踏まえた新たな漁業協定が早期に締結されるよう努めてまいりたいと考えております。
  137. 寺前巖

    寺前委員 大臣にお聞きしますけれども、今日結ばれている日中、日韓の漁業協定というのは、今度の海洋法の性質から見て違った立場協定の結び方になっているから、それを廃棄すべき性格のものなのだというふうに位置づけてよろしゅうございますな。大臣、御答弁いただきます。
  138. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほどアジア局長から御答弁しましたようなことで日韓並びに日中漁業協定ができているわけでございますが、一方、今回の海洋法条約におきましては、生物資源の維持ということが一つの大きな目的になっておりますけれども、その目的が達成される限り、具体的にどのような対応で漁業の規制を行っていくか、これはその沿岸国の裁量を認めているところでございますので、現在の中国あるいは韓国との間に結んでおります協定が必ずしもこの海洋法条約と背馳するものとは我々認識しておりません。  しかし、いずれにいたしましても、政府といたしましては、今後両国協議を進めまして、沿岸国が資源にかかわる適切な措置をとるという条約の趣旨を十分に踏まえた新たな協定を早期に締結 するよう努めてまいりたい、こういう姿勢でございます。
  139. 寺前巖

    寺前委員 いろいろおっしゃるけれども、要するに、国際的に海洋法という国際秩序を確立するという点で画期的なものだ。その立場から、日韓、日中の従来の漁業協定とは違うよ。違う以上は違ったものを確立しなければならないのは当然じゃないか。したがって、従来の立場のものは廃棄するという基本的態度は御確認いただけますな。違う立場のものであってそれはやめる、国際海洋の秩序の問題だから。よろしいな。
  140. 池田行彦

    池田国務大臣 国際海洋法条約と現在の日韓あるいは日中の協定とのかかわりについては、先ほど御答弁申し上げたとおりでございますが、この条約におきましても、資源の維持を図るという目的を大切にしながら関係国の間で話し合いによって妥当な方途を講じていくということは、そういった道も規定されているところでございます。
  141. 寺前巖

    寺前委員 漁業関係者の間では、両国との新協定交渉が長引くことも大いにあり得るということを見ておられます。その間も現行の日韓、日中漁業協定が効力を持ち続けることになる。それは今日では不平等であるから、したがってその間は我々犠牲を受けなければならないという立場になるのだ。無謀な操業も現実に行われる。新しい枠組みの協定でないから、したがって、指をくわえて見なければならないということになるじゃないか。だから、この交渉の行方というのを非常に注目をしているわけです。  そこで、三月二十二日に、自由民主党、社会民主党、新党さきがけ、山崎さん、伊藤さん、渡海さんがそれぞれ改定交渉に当たる方針について政府に対する態度を表明しておられます。そこには三つのことが書かれています。「日韓漁業協定については、本年中に改定方針の合意を得ることを基本とし、一年以内を目途に交渉を進めるものとすること。」第二番目に、「積極的に協議せるも、その改定方針の合意が得られないと見通される場合には、「排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利の行使等に関する法律」及び「海洋生物資源の保存及び管理に関する法律」の関係規定が、その一年後には全面的に適用されることとなるよう対処するものとすること。」三つ、「日中漁業協定についても、上記と同様の趣旨の下に対処するものとすること。」  与党三党が政府に基本的な方針として提起された以上は、一年たったならば新しい枠組みの方向に完全に行くものと期待を持っています。この期待に背かないようにするという態度をおとりになるのかどうか、いかがなものですか、大臣
  142. 池田行彦

    池田国務大臣 政府におきましては、閣議で了解いたしました基本方針に基づきまして、新たな協定が合理的期間内に締結できるように最善の努力をしていく、こういう方針でございます。  御指摘のございました、御党ではなかったと思いますが、与党三党の御見解というものは私ども十分承知しておりまして、その趣旨も体しながらこれから交渉対応していく、そういった方針でございます。
  143. 寺前巖

    寺前委員 何か最後の方がよく聞こえなかったのですけれども、必ず、漁民はそのことを期待しているけれども、ちゃんと年限を区切って、一年以内を目途に交渉せいよ。きちっと区切っています。それから一年後には全面的に適用されるように対処せよ。ちゃんと区切られているこの年限という問題に対して、責任ある対処をおとりになりますな。あいまいにするということはしませんな。これを僕は、漁民が非常に今日重視しておられる内容であるだけに、あえて聞きたいと思う。それは資源の管理の面からも、あるいは不当な漁獲の面からも、あるいはまたいろいろな事故を起こしているという、現実的なこれからの取り締まりという立場からも、国際的な秩序の新しい協定を結ぶのだ、その気迫を政府として持っているのだということを漁民に語っていただきたいという立場から、あえて、よろしいですな。私の提起した問題について、オーケーかどうかだけの話です。
  144. 池田行彦

    池田国務大臣 いろいろな各界の御要望もよく承知しております。そういったことも念頭に置きながら、また与党のお考えも体しながら、早期の妥結に向かって鋭意努力をしていく、そういう方針であると申し上げたところでございます。
  145. 寺前巖

    寺前委員 鋭意努力するということはそういうものとして私は理解をしますけれども、今の期待をしておられる内容をしかと指摘しておきたいと思います。  次に、非核三原則の国際化の問題についてお聞きをしたいと思います。  まず最初に、局長さんに聞きたいのですけれども、私はよく知らないので、この間も運輸委員会で聞いたけれどもよくわからなかったので、わかりやすく御説明をいただきたいと思うのです。  公海は自由通航だ。その次です。領海外国船の通航については、我が国として、核兵器を持って通過させるということはさせないのだという立場をとるのだということはよろしいですか。
  146. 谷内正太郎

    ○谷内政府委員 領海につきましては、核搭載艦の通航というものは無害な通航とは認められないというのが我が方の立場でございます。
  147. 寺前巖

    寺前委員 核兵器という言葉をあえて言っているのに、それにお答えにならないというのは、いわくがあるのですか。いわくがなければ、そのとおりですと何で答えられないのだろう。私がわからないというのはそういうことなんだよ。無害だ。無害とは、一体だれが無害だと言っておるんだ。核兵器は無害と言うのか言えないというのか、はっきりせい、こう言いたくなりますがな。非核三原則をとっている我が国として、無害通航なんて嫌らしいことを言うな、核兵器を持つ船や飛行機はいけませんとはっきり言えるのかと聞いているのです。
  148. 谷内正太郎

    ○谷内政府委員 国連海洋法条約との関連での御質問だと思いましたので、条文は申しませんでしたけれども、第十九条の一項の無害通航、これにつきましては、「通航は、沿岸国の平和、秩序又は安全を害しない限り、無害とされる。」というふうに規定しておりまして、我が方にこれを根拠にいたしまして、核搭載艦は無害な通航とは認められない、こういう立場をとっておると申し上げたわけでございます。
  149. 寺前巖

    寺前委員 その次に、国際海峡は核兵器を持った船は通れるのか通れないのか。国際海峡の通過通航ということをよく言うけれども、これは、持っている船はいいのか悪いのか、はっきりお答えいただきたい。どう解釈をしておられるのか。
  150. 谷内正太郎

    ○谷内政府委員 この通過通航制度という新しい制度は、国連海洋法条約に基づいて新しく創設されるものでございます。現在までのところ、通過通航についての国家実行の集積が十分ではないために、今の核搭載艦の問題につきましても確定的な結論を述べることは困難でございます。
  151. 寺前巖

    寺前委員 それでは、国際会議の席上で、我が国は、国際海峡の通過通航の問題について、沿岸国として日本の面前にある国際海峡については核兵器を持って走ることはまかりなりませんよと反対を表明されたのかどうか、そこはいかがなものですか。
  152. 谷内正太郎

    ○谷内政府委員 通過通航制度について会議におきまして議論いたしました際、これは、国家実行の集積が十分でないということから、この通過通航制度について、そもそも内容的に核搭載艦の問題について確定的に述べることは困難であるという事情があったことは今申し上げたわけでございます。  いずれにいたしましても、政府としては、我が国の基本政策でございます非核三原則を踏まえまして国連海洋法会議における審議に対処したことは当然のことでございます。我が国としては、非核三原則を国連海洋法条約の規定との関係で維持できなくなってしまうようなことがないように十分な注意を払って会議に臨んだ次第でございます。
  153. 寺前巖

    寺前委員 私の聞いているのは、臨む態度の話じゃない。あかんとはっきり言ったのかというんだ。それが受け入れられないのだったら、反対だと言ったのか。言ったのか言わなかったのかということを聞いているのです。黙っていたら、意思は持っていますのやといったって、表明は外には何らされないことになる。私が知っている外国の諸君から聞いたら、日本は何の発言もなかったよ、こう言うから、私は気になるからあえて聞いたんだ。  大臣、御存じですか、その問題について。御存じだったら大臣から御答弁をいただきたい。御存じなかったら審議官でよろしい。
  154. 池田行彦

    池田国務大臣 我が国は非核三原則を堅持しております。そのことは国際的にも十分に認識されているところでございまして、今回の条約海洋法におきましても、そういった状況、そうして我が国立場を踏まえて対応したところでございます。
  155. 寺前巖

    寺前委員 発言をされたのですか、したがって、それがはっきりしなければ反対されたのですか、私の聞いているのはそこを聞いているのです。そこがはっきりしないんだ、ちょっとも。  それで、私が聞いている外国の諸君は、日本はその態度はなかったよ、こう言うのだから、だから、堅持していますのや、そんなのはあなた、ひとり弁慶でやっているというだけの話や。そこははっきりしないのでしょう。
  156. 池田行彦

    池田国務大臣 会議の詳細な経過については、あれこれ明らかにするのは必ずしも適切でない場合が本件以外にもいろいろあると思いますけれども、はっきりしておることは、先ほどから申しましたように、我が国は非核三原則を堅持しておる、そういう立場であらゆる場面に対応することは事実でございます。先ほど申しましたように、その我が国立場は国際的にも十分認識されておりますので、そのことを殊さらに大きな声で申しましていろいろと言うことが必要かどうかということがございます。  また、そういった国際会議の場でございますので、いろいろな観点からのいろいろな考慮というものがそれぞれの国お互いの間でも必要になるわけでございまして、そういったことで今回の条約をまとめる会議には対応していたわけでございます。何度も申し上げておりますが、はっきりしておることは、我が国は非核三原則を堅持していくという立場を踏まえて対応した、こういうことでございます。
  157. 寺前巖

    寺前委員 それでは、対応したというだけであって、そのことを声を大にして叫ばなかったということは事実のようです。  そこで、それでは、国際海峡については、不安定な様相をまだ国際的に持っているというのだったら、何で三海里の領海を十二海里というふうにはっきりと位置づけをやらないのだろうか。領海だったら、非常に明確に非核三原則の、国是として取り扱ってきたものを、しないのは不思議でかなわないということを一点感ずるのですよ。  感じだけではなくして、それでは次に、最近、十二月に東南アジア非核地帯条約というのが結ばれています。この条約によると、領土大陸棚、それと経済水域を非核地帯とすることが決められている。日本政府は、非核三原則の立場からこれを見るならば、これは当然支持することができる内容だとおっしゃるのかどうか。いかがなものでしょう。
  158. 川島裕

    ○川島政府委員 お答え申し上げます。  非核三原則の堅持につきましては、先ほどから申し上げているところでございます。そこで、御質問の東南アジア非核兵器地帯条約についてでございますけれども、まず一般論といたしまして、こういう非核地帯の枠組みと申しますか条約につきましては、これがすべての関係国が受け入れるところとなって成立いたしますれば、核不拡散、核拡散の防止に資するものであるということで意味のあるものであるという考え方をとっております。  問題の東南アジア非核地帯条約につきましては、これはASEANが中心になって努力を進めてきた作業でございまして、東南アジア地域の平和と安定に向けてのこの地域の諸国の一つの努力のあらわれであろうと受けとめておる次第でございますけれども、ただ、まだその条約をめぐって関係国において対応ぶりの検討が行われておりますので、目下のところはその帰趨、動向、その辺を注視している、こういう状況でございます。
  159. 寺前巖

    寺前委員 関係国の間の話だから見ていますという態度であろうと思うのですが、唯一の被爆国である日本が、非核三原則という立場から見たときに、この二百海里経済水域も非核化しようという提案が出たときに、よろしいそれはというぐらいの声をなぜ発することができないのだろうか。  新聞を読んでいたら、去年の暮れにアメリカがこういうことを言っています。公海の自由通航、領海の無害通航、国際海峡の通過通航を阻害しないようにと。要するに、中身を読んでみると、どういうことかというと、自由に通航させろよ、それだったらいいけれども、そういう条約でないようなものだったら困るというような発言に聞こえます。  私はこの際に、さっきも申し上げましたけれども、領海を三海里のままに国際海峡がされていたり、それから国際海峡で、核兵器の問題に対する堂々たる発言と、それに対する我が国のとる態度が不明確なままではなくして、領海を何で拡大しなかったのだろうか。この不安というのは、本当に非核三原則を持っている立場の国の態度だろうか。あるいはまた、今の東南アジア非核地帯の中で二百海里を入れるという問題について、そういう態度がきちっと言えないということは非常に不安を感ずる。大臣の所見をお聞きして、終わりたいと思います。
  160. 池田行彦

    池田国務大臣 東南アジアの非核のその条約につきましては、関係国のその話し合いがまだ継続しておると承知しております。そういった関係国の話し合いの結果、話し合いが進んで合意が得られて、そういった条約がその後締結されるということになればそれは意義のあることだと思いますけれども、現在は、関係国間の協議を見守るという立場でございます。  なお、我が国が非核三原則を堅持していくということは、繰り返し御答弁を申し上げているとおりでございます。
  161. 寺前巖

    寺前委員 終わります。
  162. 関谷勝嗣

    関谷委員長 次回は、来る二十四日金曜日午前八時十分理事会、午後零時十分委員会を開会することといたします。  なお、連合審査会につきましては、関係委員長協議の結果、同じく二十四日午前八時二十分から開会することといたしましたので、さよう御了承願います。  本日は、これにて散会いたします。     午後零時十三分散会