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1996-04-05 第136回国会 衆議院 外務委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月五日(金曜日)     午前九時五十分開議  出席委員   委員長 関谷 勝嗣君    理事 小杉  隆君 理事 田中 直紀君    理事 玉沢徳一郎君 理事 赤羽 一嘉君    理事 東  祥三君 理事 松沢 成文君    理事 井上 一成君 理事 前原 誠司君       安倍 晋三君    斎藤 文昭君       坂本三十次君    櫻内 義雄君       鈴木 宗男君    二階堂 進君       原田昇左右君    伊藤 英成君       岡田 克也君    古賀 一成君       中野 寛成君    羽田  孜君       若松 謙維君    秋葉 忠利君       伊藤  茂君    佐藤 泰介君       濱田 健一君    園田 博之君       古堅 実吉君    牧野 聖修君  出席国務大臣         外 務 大 臣 池田 行彦君  出席政府委員         外務大臣官房長 原口 幸市君         外務省総合外交         政策局長    川島  裕君         外務省総合外交         政策局軍備管         理・科学審議官         事務代理    稲川 照芳君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省欧亜局長 浦部 和好君         外務省中近東ア         フリカ局長   法眼 健作君         外務省経済協力         局長      畠中  篤君         外務省条約局長 林   暘君 委員外出席者         防衛庁長官官房         防衛審議官   石附  弘君         防衛施設庁総務         部総務課長   野津 研二君         防衛施設庁施設         部施設企画課長 地引 良幸君         外務委員会調査         室長      野村 忠清君     ――――――――――――― 委員の異動 三月二十五日  辞任         補欠選任   小坂 憲次君     吉田  治君 同日  辞任         補欠選任   吉田  治君     小坂 憲次君 四月四日  辞任         補欠選任   安倍 晋三君     佐藤 信二君   斎藤 文昭君     森  喜朗君   鈴木 宗男君     加藤 紘一君   原田昇左右君     小澤  潔君 同日  辞任         補欠選任   小澤  潔君     原田昇左右君   加藤 紘一君     鈴木 宗男君   佐藤 信二君     安倍 晋三君   森  喜朗君     斎藤 文昭君 同月五日  辞任         補欠選任   小坂 憲次君     古賀 一成君   伊藤  茂君     濱田 健一君   吉岡 賢治君     牧野 聖修君 同日  辞任         補欠選任   古賀 一成君     小坂 憲次君   濱田 健一君     伊藤  茂君   牧野 聖修君     吉岡 賢治君     ――――――――――――― 四月二日  外務公務員法の一部を改正する法律案内閣提  出第七四号) 三月二十九日  日米地位協定の抜本的見直しに関する請願(古  堅実吉君紹介)(第一一七五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  外務公務員法の一部を改正する法律案内閣提  出第七四号)      ――――◇―――――
  2. 関谷勝嗣

    関谷委員長 これより会議を開きます。  外務公務員法の一部を改正する法律案議題といたします。  政府より提案理由説明を聴取いたします。外務大臣池田行彦君。     ―――――――――――――  外務公務員法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 池田行彦

    池田国務大臣 ただいま議題となりました外務公務員法の一部を改正する法律案について御説明いたします。  この法案は、近年の国際社会緊密化我が国国際化等にかんがみ、外務公務員配偶者国籍についての規定を削除し、国籍を有しないまたは外国国籍を有する者を配偶者とする者が外務公務員となることができるよう、外務公務員法第七条を改正するものです。  以上が、この法律案提案理由及び概要であります。できる限り速やかな法律改正をお願いいたしたく、何とぞ、よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  4. 関谷勝嗣

    関谷委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 関谷勝嗣

    関谷委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小杉隆君。
  6. 小杉隆

    小杉委員 それでは、外務公務員法の一部改正案について、まず一点だけお伺いしておきたいと思います。  この法律は、サンフランシスコ講和条約日本が独立を回復した直後の昭和二十七年、一九五二年に、当時の朝鮮戦争などの国際情勢を踏まえて、国家機密の流出を防ぐために制定されたと聞いております。その後、冷戦構造の中でずっと来たわけでありますが、今や冷戦も終結をし、さらに国際結婚がふえて、既に外務省には百六十名もの該当者がいると聞いております。  この改正には基本的に賛成ですが、例えば外務公務員赴任先配偶者の国であった場合に、配偶者当該国民としての義務、例えば兵役とか納税とか、そういう義務が生じることになります。そのような場合に、外交特権との関連など、我が国政府としてどのように扱うことになるのか、大臣の見解を伺っておきたいと思います。
  7. 池田行彦

    池田国務大臣 委員指摘のとおり、我が国は、戦後国際社会に復帰いたしましてから今日まで、こういうことで国籍条項を維持してきたわけでございますけれども先ほど提案理由説明で申し上げましたように、国際的ないろいろな動向 等にかんがみまして、今回、主要諸外国の例も参考にいたしまして改正をしようとするものでございます。  しかし、こういった改正をいたしますと、一方におきまして、例えば外務公務員配偶者当該外務公務員の任国の国籍を有する、そういったケースなどの場合には、いわゆる外交官の家族としての特権・免除を有しない、こんなことになります。そして、その国の国民としての権利義務は当然有する、あるいは負わなくちゃいけないわけでございますので、納税、場合によっては兵役義務などということもあり得るわけでございます。しかし、そういうことはございましても、諸外国の例などを見てまいりましても、そのことが外交官の職務の遂行に支障を来すということは、これは余り心配しなくてもいいのじゃないか、こういうふうに考えるところでございます。  いずれにいたしましても、そういったいろいろな要素を比較考量の上、総合的見地から検討いたしましてこのような措置をとろうとしているところでございますので、ひとつ御理解のほどをちょうだいしたいと考える次第でございます。  また、当然のことでございますが、配偶者が自国の国民としての権利義務を負うということから、法の面でいろいろな、欠けてくるということが出てくるのじゃないか、こういうことはあってはならないし、その点には十分配意していくつもりでございます。
  8. 小杉隆

    小杉委員 こういう改正の後、そのようなケースが起こった場合に、外務公務員としての活動支障がないように、ケース・バイ・ケースで誠実に、誠意を持って相手国政府とも交渉をし、支障のないようにやっていただきたい。  それでは次の質問ですけれども、けさの新聞に、米軍が沖縄の遺跡を破壊した、これは気象用レーダー建設のためだということですが、この遺跡が、約三千年前と言われる平敷屋原遺跡が、修復不可能なまでに破壊されているということであります。  米軍に提供しているからにはアメリカ側にその土地を自由に使う権利があると言われればそれまでですけれども、しかし、それであっても、例えば私の経験では、東京都に属する三宅島でNLP、夜間離発着訓練場建設する計画が持ち上がったときに、私はワシントンへ行きまして、アメリカは自分の国の中では国立公園の中に軍事基地をつくらないということを決めているのに、日本国立公園なら構わないということかということで抗議をしました。そのときにアメリカ側は、それは正論だということで大変な理解を示してくれたわけなんですね。  ですから、こうした事例の場合は、やはりお互いにこれから本音で話し合って、我が国自然環境とか文化財を保護するという立場でひとつ外務大臣、やっていただきたいと思うのですが、所見を伺いたいと思います。
  9. 池田行彦

    池田国務大臣 ただいま御指摘報道は私も承知しておりますが、ただ、事実関係がどうであったか、その点については、まだ今の段階でその報告に接しておりません。したがいまして、一般論になることをお許しいただきたいと思うのでございますけれども、それは委員も御指摘のように、米軍施設であろうと、文化財であるとかあるいはそういった環境面に対する配慮、これは当然しなくちゃならない、こういうものだと思っております。  なお、御承知のとおり、我が国の安全のためには、安全保障の上では、米軍と並んで自衛隊が大きな役割を果たしているわけでございますが、自衛隊施設、現にあの市ケ谷で今大きな計画を進めておりますが、あそこでも文化財との関係でいろいろな配慮を払いながら進めていることは御高承のとおりだということでございます。
  10. 小杉隆

    小杉委員 大臣としての善処を要望しておきます。  それでは、外務公務員法ということに関連をして、在外邦人に対する緊急時の安全対策について伺いたいと思います。  つい先日の台湾海峡での軍事演習のときに、約二万人とも言われる台湾在留邦人の間に不安が広がりまして、日本大使館に当たる交流協会とか新聞社には、帰国の臨時便は出るのかとか食糧の備蓄の必要性はあるのかというような問い合わせが相次いだというふうに言われております。  私が調べたところでは、現地治安情勢を踏まえた緊急事態対処マニュアルというのを作成しているのは、百八十公館中六十八公館にすぎない。こういう海外における緊急事態が発生した場合に、やはり一番頼りにするのは在外公館でありますので、その役割が大きいと思います。そういうことに対しまして、どのように対処するつもりか、大臣所見を伺いたいと思います。
  11. 池田行彦

    池田国務大臣 御指摘のとおり、緊急事態に対してどういうふうに在留邦人あるいは旅行者等の安全を確保していくか、これは外交活動の中でも非常に大切な課題である、このように考えている次第でございます。先般の台湾海峡をめぐる緊張が高まった時点におきましても’私どもとしましても、その点は非常に配意したところでございます。  もとより、御承知のとおり、台湾との関係では政府ベース関係はございません。しかしながら、交流協会というものもあるわけでございますので、交流協会においては早い段階から、余り動揺しないように、またいろいろな情報、知っている限りの情報在留邦人の方々にも知らしめていく、そういった措置はとられた、こういうふうに承知しておりますけれども、いずれにいたしましても、そういった緊急事態における対策というものの充実には、今後とも力を尽くしてまいりたいと存じます。  なお、公館における具体的な体制整備状況等について、もし必要でございましたら、政府委員から答弁させます。
  12. 原口幸市

    原口政府委員 今、先生から、在外公館緊急事態におけるマニュアルの件がございましたが、確かに御指摘のとおり、平成七年一月の段階で六十八公館マニュアルができているということで、これはやはり不足だと我々は思っておりますので、事あるごとに、公館長が新しく行く場合なんかも含めて、早急に在留邦人社会とも相談しながら、実効的なマニュアルをつくるようにと指示しておりますので、今後できるだけ早く、もっと大幅にそういうものが整備されるように努力していきたい、そのように考えております。
  13. 小杉隆

    小杉委員 来週十六日ですか、クリントン大統領来日をされます。そこで、日米首脳会談について伺いたいと思うのですが、首脳会談の際に共同文書を発表して、その中で日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドライン見直しを盛り込むことで一応両国政府合意したというふうに伝えられております。  今のガイドラインというのは一九七八年につぐられたものでありますが、これの第Ⅰ項目、第Ⅱ項目は、日本が直接脅威にさらされたときということで、かなりそこに焦点が当たっております。しかし、第Ⅲ項目の「日本以外の極東における事態日本の安全に重要な影響を与える場合の日米間の協力」については、まだ十分詰まっていないように思うのですね。  それで、私どもの党の中でもこの辺の詰めの作業を始めているわけですけれども政府として、今後、このガイドラインの修正、あるいは、大体いつごろをめどにそのような対応をしていくのか、今後のスケジュール等について外務大臣のお考えを聞きたいと思うのですが。
  14. 折田正樹

    折田政府委員 お答え申し上げます。  今、日米首脳会談のときの文書の中でガイドラインの問題について合意がなされたという新聞報道のことを言われましたが、今、文書についてはまさしく交渉している最中でございまして、何らかの合意ができたという事実はございません。他方、日米安全保障上の協力というのは非常に重要な問題でございますから、我々はそういうことを考えながら交渉しているわけでございます。  それで、日米防衛協力ガイドライン、確か に、Ⅲ項のところの研究につきましては、五十三年に日米防衛協力のための指針ができたわけでございますけれども、さらに五十七年一月に日米安全保障協議委員会研究を開始するという合意があったわけですが、そこでの研究というのはまだ結論を見ていないという状況でございます。この点は非常に重要な問題であるというふうに我々も受けとめておりますし、去年、新しい防衛計画の大綱ができた中で、ここの部分にかかわる文書が新しく加わったということもございます。私どもはそれを踏まえまして、それから、来るべき日米首脳会談お話等を踏まえまして話を進めていきたいと思いますが、今、具体的にスケジュールをどうするかというところまでは話は至っていないというのが実情でございます。
  15. 小杉隆

    小杉委員 外務大臣に伺いますが、極東有事の際の日米共同対処という必要性は認められるわけですね。それで、作業は、外務省並びに政府の方でやっているというふうに理解してよろしいのでしょうか。
  16. 折田正樹

    折田政府委員 共同対処という意味によろうかと思いますが、第五条に基づく、日本が攻撃を受けた場合はまさしく日米共同対処でございますが、六条の場合は、我々の行います検討、研究というのはあくまでも憲法の範囲内で行うわけでございますので、ガイドラインのもとでの六条の研究というのは、極東有事における米軍に対する便宜供与、どういうものが適当であり、何ができるかという、そういう研究でございます。
  17. 小杉隆

    小杉委員 それでは次に、日ロ関係について伺いたいのですが、時間がないので、三点続けてやります。  先般、池田外務大臣ロシアを訪問して、プリマコフ外務大臣との定期外相協議とか、初めて開催された日ロ貿易経済委員会に出席したり、エリツィン大統領表敬訪問を通じて日ロ信頼醸成に努めたことは、非常にタイミングもよくて評価しておりますけれどもプリマコフ大臣は以前から北方領土返還反対論者でありまして、外務大臣就任直後も、次世代に先送りするというようなことを述べたと伝えられております。私は、外務大臣プリマコフ大臣と会った際に、この領土問題について東京宣言の受け入れを確認したと思うのですが、その協議内容について御説明いただきたい。第二点は、これは防衛庁なんですけれども、やはり池田外務大臣から、防衛庁ロシア国防省との交流を提起して歓迎をされたというふうに聞いておりますが、この点、具体的にどのように交流を進めるのか、考えを聞きたいと思います。  三点、ロシアの核問題でございます。先般の会議で、ロシア核廃棄物処理について、九七年には放射性廃棄物海洋投棄全面禁止を受け入れるということを、来月ロシアで開催される原子力安全サミットで表明するという発表がありましたけれども、今、日本政府は相当多額のお金を出して核廃棄物処理施設支援を行っておりますけれども、そのような方針を確認されたと思うのですが、いかがでしょうか。  それともう一点。済みません、そうすると四つになるのかな。  CTBTに対するロシア対応について伺いたいと思うのですが、ガリさんが今来ておりまして、十二月、東京CTBT署名式をやる、こういうふうに聞いております。ロシアが、この包括的核実験禁止条約CTBTについてどういう対応をするのだろうか、そのスタンスを伺いたいと思うのですが、外務大臣の感触を伺っておきたいと思います。  以上、お願いいたします。
  18. 池田行彦

    池田国務大臣 四点御質問がございました。  まず第一点でございますが、プリマコフ外務大臣がその就任直後において、領土問題の解決は次世代に先送りする、こういった発言をされました。その点につきましては、その発言のありました後、直ちに在モスクワ我が国大使館からロシアに対しまして、そのような発言は受け入れられるものではないということを厳重に申し入れたところでございます。そうして私との会談におきましては、まず、そのプリマコフ外務大臣との会談に先立ちましてエリツィン大統領会談いたしましたが、そこで、領土問題について明確に規定をされている東京宣言について、その原則内容を維持するのはもちろんであろうが、さらにその上に立って両国関係の発展を図っていき、平和条約の締結を目指していこう、こういうことで合意に達したわけでございます。そして、それを踏まえまして、外相会談の中でも、プリマコフ外相とその旨を明確に確認したところでございまして、この問題は、そういった意味では解決した、こう考えております。  第二点目の、防衛庁長官ロシア国防大臣との会談の件でございますが、先般のプリマコフ外相と私との会談では、それを行うということを、原則を、基本を確認したわけでございまして、それを具体的にどういうふうに進めていくかは、これから防衛庁、そちらの方から御答弁をいただければと思います。  それから、放射性廃棄物の問題でございますが、これにつきましては、プリマコフ外相との会談におきまして、私の方から、今月四月に原子力安全サミットモスクワで行われる、こういうことでもあるんだから、ロシアもきちんとそこのところを、態度をさらに明確にすべきじゃないか。具体的には、放射性廃棄物海洋投棄を禁止するということを内容とします条約がございます。いわゆるロンドン条約附属議定書でございますが、その改正ロシアが早急に受諾するように、こういうふうにプリマコフさんに申し上げました。  それに対しましてプリマコフ外相の方から、その点についての改正を早急にします、受諾しますという返答はなかったわけでございますけれども、今も委員の方から御指摘がございました、我が国が、極東ロシアにおける廃棄物処理について、いろいろそこを支援していること、資金の拠出をしたわけでございますが、それに対する感謝の意の表明があり、さらに、その施設契約が締結されておりますけれどもプリマコフ外相は、その契約に基づいて本件施設建設をできる限り早期に実現したい、このようなことを表明されたところでございます。  それから最後に、CTBTとの関係でございますが、これにつきましてもロシア基本的な姿勢というのは積極的に参加していくということでございましたが、外相会談におきまして私の方からこのCTBTの本年秋までの署名の実現につきましてさらに協力を要請したところでございます。それに対しまして向こうも、そのような姿勢で臨む、こういうことでございました。
  19. 小杉隆

    小杉委員 もう質問時間が切れましたので防衛庁の方は結構です。  それで、最後にボスニア・ヘルツェゴビナの復興支援上級代表のビルトさんが来週来日をされます。それについて私、幾つか質問があったのですけれども、この問題については、時間がありませんから、要望というか、私の考えを述べておきたいと思います。  この間日本政府調査団が行きましたけれどもボスニア連邦の方の意見はかなり聞いたと思うのですが、セルビア人共和国の方の話は余り聞いてないように私は伺っております。やはり日本スタンスとしては両方の意見を中立あるいは客観的に聞くということで対処していただきたいということと、それから、私、前回の質問のときにも人的貢献についていろいろ具体的なことを申し上げましたが、これについてもぜひ考えていただきたい。  それから、アメリカブラウン商務長官が大変不幸なことに飛行機が墜落をして亡くなったという情報がありますけれども、あの際に経済界の人が大分行っているわけですね。私は、やはり政府代表団だけではなくて、経済界使節団を早急にボスニア地域、旧ユーゴスラビア地域に派遣をして、日本としても、やはり民間でも支援するような、そういう体制をつくるべきだと思うのです が、一言だけで結構ですから外務大臣のお考えを聞かせてください。
  20. 池田行彦

    池田国務大臣 基本的に、双方の事情をよく調べて双方支援をすべきである、私どもそう考えております。先般の調査団現地のいろいろな状況がございまして一方に入れなかったということでございますが、基本姿勢双方に反映いたします。  それからまた、人的ないろいろな支援の問題、また政府だけでなくて民間の方もという御提言も真摯に受けとめさせていただきたいと存じます。
  21. 小杉隆

    小杉委員 ありがとうございました。
  22. 関谷勝嗣

  23. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 まず、外務公務員法の一部を改正する法律案について伺います。  東西冷戦構造が一九九〇年の東欧諸国、ソ連邦の崩壊により終結し、これまでの緊張状況は緩和され、人の交流も多くなり、我が国においても国民海外渡航数の増加、企業の海外進出、諸外国との文化交流等、さまざまな面で国際化が進んできました。このように我が国を取り巻く国際環境は大きく変化し、また変化し続けようとしています。  本法は東西冷戦構造下で存在した例外法とも言えるものだと私は考えますが、今回の法改正理由からしても、これらのことを考えればもっと速やかに改正されるべきではなかったかとも思われますが、何ゆえに今になっての改正なのか、何か理由があるのか、その真意をまずお伺いしたいと思います。
  24. 原口幸市

    原口政府委員 お答え申し上げます。  具体的な時期につきましては、いろいろな国際情勢を勘案しながら、もはや今までのような七条を維持していく特段の理由がなくなったということで今回決断をしたわけでございますが、そういう決断をするに当たっては、主要各国対応等もいろいろ念頭に置いて対応したわけでございます。  先ほども触れましたけれども国際社会緊密化とか日本国際化が進んでいるとか、また、そういう中で外交官一般国際結婚等も非常にふえているというようなことを踏まえて決断した次第でございまして、事実関係を述べれば、主要先進国の中では若干おくれてはおりますけれども、それほど大幅なおくれではないし、慎重を期したということで御了解いただきたいと思います。
  25. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 それでは続いて、今回の法改正により、今後外務公務員国際結婚した場合どのような手続が必要になるのか、また、配偶者外国籍を離脱し日本国籍を有している場合、この配偶者が希望すればもとの国籍に復帰できるのかどうか、あわせてお伺いをしたいと思います。
  26. 原口幸市

    原口政府委員 まず第一の御質問でございますが、現在外務省内部規則によりまして、外務公務員が結婚をしようとする場合には、配偶者国籍いかんにかかわりませず、当該婚姻につきまして事前の届け出あるいは事後の報告を行うこととされております。したがいまして、国際結婚外務公務員がする場合には、国際結婚でない他の結婚の場合と同様に右規則に基づいて報告を外務大臣にしていただければ、それで手続的には完了するということでございます。  それから、二番目の御質問でございますが、もちろん御希望になれば国内の手続に従ってもとの国籍を取ることも可能になるというふうに理解しております。
  27. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 では、公務員法については最後質問ですが、これまで外務公務員外国配偶者日本に帰化しても、配偶者ロシアや旧東欧諸国、中国などの出身者の場合、その国には当該外務公務員を赴任させないということがあるやに聞いております。東西冷戦時代の対策として理解できないこともないのですけれども、今後は、今回の改正で、外国人と結婚した外務公務員について、配偶者国籍によって任地等の面で不利益を、こうむることはないのかどうか、この点についてお伺いします。
  28. 原口幸市

    原口政府委員 一つ明らかにしておきたいのは、これまでも配偶者国籍に応じてある特定の国に行かせないという規則があったわけではないのでありまして、基本的には人事管理上の観点、ケース・バイ・ケース考えて、当該外務公務員が効果的な仕事ができるかどうかという基準で物を考えていたということでございます。  したがいまして、今回この法律改正が認められました場合につきましても、もちろん基本的にはケース・バイ・ケースで物事を考えていくという面は残ります。  以上でございます。
  29. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 いずれにしても、これだけ複雑になってきた国際環境の中で十分に成果が上がるような人事的な配慮をお願いしながら、公務員法についてはこの程度にさせていただいて、沖縄問題について若干お伺いをしたいと思います。  今月十六日からクリントン大統領が国賓として来日されます。首脳会談では、フィルム、半導体、保険等の経済問題や、中台問題、朝鮮問題等が話し合われること、そしてこの間の日米間の最大の問題である日米安保の再認識について話し合われることになると思います。これが今国民が最も注目していることでもあると思います。  これは日米両国にとって不幸なことではありますが、昨年九月の沖縄での痛ましい事件を契機に、沖縄では米軍駐留に対する批判の声が高まり、大田知事の代理署名の拒否から息詰まるような経過をたどりながら、現在、楚辺通信所用地が国によるいわば不法占拠状態となっています。政府は、国による権原を失ったことを認めながら、四月以降も米軍の管理に基づき、地主の立ち入り拒否を続けています。三月二十六日から那覇防衛施設局は、混乱を避けるためとして当通信所をフェンスで囲い込む作業を開始し、四月以降の用地借料を支払おうとしました。また、きょうの報道によりますと、特別法の制定が検討されているということも報じられています。これらの行為は、私は、地主を初め沖縄県民の心を逆なでするもの以外の何物でもないと考えますが、外務大臣及び防衛施設庁の見解をお伺いしたいと思います。  また、あわせて、当該用地を返還しないことは、法治国家である我が国として、合法的行為であるとされるについて、結論を早急に得なければならない重要な問題であると考えます。四月二日の予算委員会で、内閣法制局長官は、当面、当該用地を返還しない状態を続けることができる、最終的に適法あるいは合法と言えるような状態になるには、現在努力している駐留軍特措法所定の手続により使用の権原を得ることが必要であるということを否定しているものではないと答弁しています。すなわち、今の状態は、当面であれば合法であると言いかえることが可能だと思いますが、しからば、当面とはいつまでのことを指すのか。最終的には適法あるいは合法と言えるような状態になるまでであるのか。また、それまでの間、地主の立ち入りについて、政府は昨日、米側と協議し検討すると述べていますが、この結論についていつごろをめどにその話し合いが進められるのか。橋本内閣の重要閣僚である外務大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  30. 地引良幸

    ○地引説明員 お答えさせていただきます。  まず、楚辺通信所につきまして、地主の方の立ち入り拒否、それから通信所を囲むフェンスを設置したこと、また、借料相当額の全員を毎日現在提供しているわけでございますけれども、これについて、まず私の方から御説明させていただきます。  楚辺通信所につきましては、在日米軍活動する上で重要な通信機能でございます。その機能を常に安定して使用できる状態に維持することが必要だというふうに考えておりまして、今般、契約による使用期限切れに伴いまして、一部に不穏な動きが予測され、不測の事態が生ずるおそれがあったことから、米軍と調整の上、保安さくを設置するとともに、やむを得ず地主の方の立ち入りを拒否したものでございます。これらの措置につきましては、契約によります 期限切れに伴い生起することが予想されます混乱状態に、地主の方を初め地元住民の方が巻き込まれ、万一の事態が生ずるということがあってはならないということで、これらを防止するのに寄与するというふうに考慮しているところでございます。  また、土地使用者との間では、円満に土地使用を開始することが最良であると考えているわけでございますけれども、現在国として本件土地を占有していることから、土地使用者に損害を生じさせない措置といたしまして、日々誠意を持って借料相当の全員を持参いたしまして提供することが、やはり所有者との円満な解決につながるというふうに考えているわけでございます。  以上申し上げました三点につきまして、当庁といたしましては、地主の方を初め沖縄県民の方々の心を逆なでするという考えは毛頭ないということについては御理解を賜りたいと思います。
  31. 野津研二

    ○野津説明員 法的側面につきまして私の方から若干御説明をさせていただきます。  問題の楚辺通信所の当該土地でございますけれども、これにつきましては、三月三十一日まで土地所有者と国との間で賃貸借契約がございまして、これが終了した後、本年度の四月一日以降、その占有につき権原がない状態になっておるということは御指摘のとおりでございますが、政府考え方といたしましては、いろいろ四点ほどの事情を踏まえまして、当該土地が土地所有者に返還されていない状態につきまして、直ちに違法であるというには当たらないというふうに考えているということでございまして、これはいろいろな機会に申し上げているところでございます。  そこで、今先生の方から法制局長官の御答弁についての言及がございましたけれども、これは、去る四月二日の予算委員会であるかと思います。そこで法制局長官の御答弁としまして、「直ちに違法であるというには当たらないのではないかという言葉は、当面、当該土地を返還しない状態を続けることができるという意味であるというふうに御理解いただきたいと思います。」と、こういう御答弁がございます。  この「当面」というのはどういう意味かという御質問であろうかと思うわけでございますけれども、私ども、当該土地につきましては三月二十九日に、沖縄県の土地収用委員会の方に駐留軍用地特措法に定めますところの手続をとっておりまして、緊急使用の許可というものも申請してございますが、ただいま現在、まだその結論が得られていないという状況でございます。この「当面」ということは、そのように駐留軍用地特措法に定めますところの手続を現に進めておるという状態を踏まえました上で、残念ながらきょう現在、占有につき権原がない状態にある、そういうことで「当面」という言葉をお使いになったのであろうかというふうに私ども考えておるわけでございますけれども、もちろん、これは法制局長官の御答弁でございますので、私ども、法制局長官の御答弁そのものを解説する立場にないわけでございまして、私ども理解しているところはということでお聞きいただきたいと思います。  いずれにしましても、私どもとしては、権原のある使用状態が回復されるということが重要であるということで、緊急使用の許可あるいは本来の使用裁決という、今収用委員会にお願いしていますことが早急に結論が得られる、そういうことを期待している次第でございます。  以上でございます。
  32. 池田行彦

    池田国務大臣 事実関係並びに法律関係については防衛施設庁から御答弁申し上げたとおりでございますが、いずれにいたしましても、私どもといたしましてはなるべく早期に、しかも、できるならば極力円満なうちにこの係争状態の解決を図りたいと思っております。そしてまた、その間における不測の事態の生起を避けるために極力努力してまいりたいと思います。また、委員指摘のように、県民の方々のお気持ちというものを十二分にそんたくしていかなくてはいけない、これが問題の基本でございますので、政府といたしましては、この件は不幸にして係争状態にございますが、この件の処理に当たっても、対応に当たっても、そういった基本姿勢を踏まえてやってまいりたい、これが橋本総理を初め政府の一貫した姿勢でございます。どうか御理解のほどをお願いします。
  33. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 ちょっと時間が来てしまったのでもう終わりますけれども、今大臣がお答えになられましたように、今沖縄の置かれている状況から考えると、やはり沖縄の県民の立場、地主の立場、あるいは沖縄の心を逆なでするようなことなくして解決に努力をしていただきたいというふうに思います。  かえって、県民の心を逆なですることによって、この問題がさらにこじれるというような状況も予想されますので、今大臣の答弁の趣旨に沿って、戦後置かれてきた沖縄の状況、沖縄の県民の心、このものに立場を置いて、これからこの問題の解決に当たっていただきたいという要望を申し上げて、時間が参りました。これで質問を終わります。ありがとうございました。
  34. 関谷勝嗣

    関谷委員長 前原誠司君。
  35. 前原誠司

    ○前原委員 外務公務員法の一部改正案について御質問いたします。  今回の法改正によりまして、外務公務員配偶者についての国籍規定が削除をされ、外国配偶者日本への帰化という問題も生じなくなります。しかしながら、配偶者外国国籍を有するということで、外務公務員が諸外国に赴任する際に、何か不都合を生じることはないのかどうかという心配がございます。例えば、外交官赴任先配偶者国籍である国であった場合、配偶者に対して、国籍を持つことでの義務としての兵役とかあるいは納税の問題というものが生じることになるケースがあります。例えば、イスラエル、スイスなどがそういった国に当たるわけでありますけれども、このような場合には不都合が生じるようなことにならないかどうかということについて、見解をお伺いしたいと思います。
  36. 原口幸市

    原口政府委員 確かに、そういう事態ということはあり得るわけでございますが、しかしながら当該配偶者特権・免除を享受しないこと、あるいは当該国籍国の国民としての義務を負うことが、直ちに外務公務員その人の赴任先での職務の遂行に大きな妨げになるというような性格のものではないというふうに我々は考えております。  ちなみに、万一非常な不都合が生じるというようなことになった場合には、それはケース・バイ・ケースで対処していかなければならないと思いますし、先ほど佐藤先生のところでお答えいたしましたけれども、いずれにせよ外国籍配偶者を有する外務公務員を在外に赴任せしめる際には、赴任先として当該配偶者国籍国が適当か否かというようなことについても一定の配慮を今後とも払っていかなければならない、そのように考えております。
  37. 前原誠司

    ○前原委員 では次に、中東の問題について御質問させていただきたいと思います。  もし今全世界で一番どこが重要かというような質問がされたならば、いろいろなお考えがあるでしょうけれども、私はとにかく中東だということを思っております。世界の火薬庫と言われる地域でございますし、今の和平というものが、確固たる足取りで進んでいっているかといえば決してそうではなくて、非常に綱渡り的なものでこの中東和平というものが進んでいるように私は思っております。指導者がかわればどうなるかわからないというような状態が、今の中東和平のもろい構図ではないかと思います。  五月の二十九日に、イスラエルにおいて総選挙が行われます。現政権、労働党の政権、ラビンさんからペレスさんにかわりましたけれども、中東和平というものを模索していくということで、いわゆるアラブとの穏健路線というものを歩んでいるわけでございますけれども、もしこれが強硬路線に変わるようなことがあれば、中東和平の構図が一変する危険性がある、可能性があるということで、石油の問題、あるいはそういう戦闘状態に 再び逆戻りをするということになった場合に、これは日本としても、世界平和あるいは我が国の国益を考えた場合にも大きな問題になるのではないかと思うわけであります。  そういう前提で幾つか御質問させていただきたいと思いますけれども、選挙が行われる前のこの時期に、私は日本のメッセージがイスラエルに届くことによって、その周りのアラブの国々というものが日本の意図あるいは日本の意思というものを再確認できるいいチャンスではないかと思うわけであります。  そういう意味で、私は、このゴールデンウイークという期間にぜひとも橋本総理に中東に行っていただきたいと思っております。四月三十、一、二と平日でございまして、参議院という問題がございまして、これはもちろん国会の問題になります。我々も努力をしなくてはいけない部分がございますけれども、ぜひとも、外務省におかれましては、橋本総理をこのゴールデンウイークの時期に、イスラエルを初め周辺諸国に行っていただくというようなことで御尽力をいただけないものかどうか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  38. 池田行彦

    池田国務大臣 前原委員指摘のとおり、世界の安定を図る上で、中東の和平プロセスをいかに確固たるものにしていくか、これはもう最大の問題であると言っても過言ではない、このように考えます。そうしてまた、今の時期が非常に大切な時期であるというのもそのとおりであると認識しております。  そういった観点から、我が国としましても、先般の平和創設サミット等におきましても、本来橋本総理に御出席願いたかったのでございますけれども、国内の国会情勢その他いろいろな関係でそれはかないませんでしたが、私はその名代として出させていただきまして、それなりの効果、役割は果たし得たかと思っております。  そういった観点から申しますと、ただいま委員指摘のように、橋本総理御自身が中東の地を御訪問になって、我が国のこの地域に対する、この中東問題解決に寄せる深い関心、そうしてまた寄与というものを考えていくというのは大切なことかと存じます。  ただ、中東の情勢がどうなっているか、あるいは中東の和平プロセスをしっかりするために、いろいろな会議その他もこれからも考えられていくと思いますので、そういったことも念頭に入れなければいけない。それからいま一つは、もう委員も御指摘になりましたけれども、国会におきまして今、予算案を初めといたしまして、また重要法案も審議の大切な時期にかかっている、こんなこともございますので、さあどういうふうに対応できますか、御提言も十分念頭に入れながら、今後考えてまいりたいと存じます。
  39. 前原誠司

    ○前原委員 パレスチナの暫定自治、西岸それからガザ地区、こういったところで徐々に自治が拡大をされていっているわけでありますけれども、それに逆行する活動、テロというものがございます。先般外務大臣もテロ・サミットに行かれて、日本の立場というものを明らかにし、唯一具体的なお土産を持っていかれたということに対しては、敬意を表する次第であります。  このテロというものについては、確かに、何千年と続くユダヤそしてイスラムという宗教的なもの、あるいは人種的なもの等々もあるわけでありますけれども、非常に現実的に考えてみますならば、一つの大きな要因として、平和の配当というものをパレスチナの人たちが享受できているのかどうか。つまり、イスラエルと和平路線をとることによって我々の生活が豊かになるのだというようなことが実感できれば、こういった活動に共鳴をする一般大衆というものの数は減っていって、そして本当に原理主義的な活動をする人たちが先細りをしていくということもあり得るのではないかと思います。  そういった意味で、パレスチナに対する新たな支援というのは必要だと思いますし、雇用を創出をする、あるいは貧困からの脱却がテロの抑止になるように努力をしていくといういろいろな側面が必要だと思いますし、今までも、日本として、パレスチナに対しては、国ではないけれども、国に匹敵するような援助はしてきているところでありますけれども、私は、さらに大がかりな援助というものがパレスチナに対して必要だと思いますが、今後の検討も含めて、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  40. 池田行彦

    池田国務大臣 委員指摘ございましたが、パレスチナの人々に平和の配当が本当に行くんだろうかというお話がございましたが、今その前の段階として、あそこでまたテロが激化するということになりますと、例えばガザ地区あるいはウエストバンクからイスラエルヘの往来が非常に難しくなっていく、そして、むしろこれまであった雇用、働き場所も奪われる、そういう状態になる。まずそういった状態を解消しながら、そしてさらに、おっしゃいますような平和の配当がずっと広まっていくような道を探っていかなくちゃいけない、こう考えております。  そういった観点から、日本といたしましては、国交は御指摘のとおりございませんけれども、国際機関等を通じましてパレスチナに対する支援もしておるわけでございまして、現在までに既に一億八千万ドル相当ぐらいの支援を実行しております。  それからまた、先般の平和創設サミットに私が出席いたしましたときに、さらにそれに追加して一千万ドルを拠出する、しかも、その趣旨は、まさしく委員指摘になりましたように、パレスチナ人の間に雇用の場をつくっていく、そうしてその生活の安定を図っていく、そのことが和平を支持する勢力を広めていくんだ、こういう観点から出しまして、そのことも表明いたしました。そのことを踏まえて、あの会議における議長声明におきましても、もともと主催国では用意していなかった、民生を安定していくことが大切だという条項が入った、こんなこともございます。  将来に向かいましても、今後におきましても、これまての支援で事足れりとするわけてはなくて、さらに必要ならば追加支援を行っていくということで、いろいろ検討も進めておるところでございます。
  41. 前原誠司

    ○前原委員 無償援助も、確かに今大臣が決意を述べられましたように、さらなる拠出というものの必要性は認めるわけでありますけれども、円借款とか、あるいは今つくられる途上にございます中東アフリカ開発銀行、あるいはほかのそういう公的な金融機関を通じての融資というものも含めて、何とか、キーはイスラエル、パレスチナの問題だと思いますので、その問題が安定化をするように、最大限日本も努力を引き続きしていただきたいということを要望させていただきます。  周辺諸国の問題について次にお伺いをいたしますけれども、ハマスのテロのお話をいたしましたけれども、もう一つ、ジハードとかあるいはレバノンの南部でありますヒズボラ、これは中東で今唯一戦闘状況になっている地域でありますけれども、こういったテロ組織というもののバックアップというものを、例えばイランあるいはシリア、そういった国が行っているのではないかという懸念がございます。  先日、ある新聞に載っておりますものを読ませていただきますと、「「ヒズボラ」党首のナスララ師は最近の会見で、「我々は財政的、政治的支援をイランから受けている」」というような表明をしておりますし、また「シリアからの財政支援はないが「武器調達の便宜を図ってくれている」」こういうことで、確かに、この間はイスラエルがレバノン南部に対して誤射をしたというような、イスラエル自身も責められる部分がないわけではないわけでありますけれども、しかしながら、こういったテロ組織に対してイランなりあるいはシリアという国がバックアップをしているということは一つのゆゆしき問題ではないかと思います。  イランに対しては、今ODAは控えている部分がございますけれども、実際、シリアに対しては円借款の供与をしている国であります。ただ、こ ういうことだから、じゃ、シリアに対して円借款すべきかどうかというようなことでは単純にはないのかなという気もいたします。  北風の議論それから太陽の議論というのがございますけれども、こういった複雑な構図の中でシリアに対する支援というものは私、当面必要だと思いますし、これをやめたからといって、じゃヒズボラに対する支援がなくなるかといえば、そうではなかろう。逆に強化される可能性もあるわけでありまして、そこら辺難しい問題がありますけれども、こういったシリア、あるいはイランまで幅を広げてもいいわけでありますけれども日本のODAに対する姿勢の問題についてお伺いしたいのが一点。  それからもう一つは、いわゆるイスラエル、パレスチナという問題が一つのキーでありまして、和平の協定を結んでいるエジプトそれからヨルダン、またアラブで非常に力を有している、これは湾岸諸国でありますけれどもサウジ、こういった国々の安定というものが和平の路線というものを定着させていく上で非常に重要であるわけでありますけれども、これはどっちになびくかわからない、まだまだ非常に不安定な状況でありますけれども、こういった国々に対する支援も含めて、日本の今後の姿勢というものについてお話をいただければと思います。
  42. 池田行彦

    池田国務大臣 御指摘のとおり、中東の和平プロセスを確固たるものにするためには、イスラエルあるいはパレスチナにどう対応するかだけではなくて、その周りの国々に対する対応の仕方というものも非常に重要である、このように考えております。そういった観点から我が国の経済協力等々のやり方も考えてまいるわけでございます。  そして、今具体的にお話がございましたイランあるいはシリア等の話でございますけれども、このあたりはおっしゃるようにハマス、ヒズボラと通じているのじゃないかというような指摘もなされているところでございますが、また一方で当該国は否定している、こんなこともあるわけでございます。そういったところで非常に我が国としては判断に難しいところがあるわけでございますけれども基本的にはやはりそういったところの安定を図りながら和平に資するような方向へその姿勢を誘導していく、そういうことができないか、そんなことで対応してまいりたいな。  そういったことで、今御指摘のございました、例えばシリアに対する円借等につきましては、そういったシリアの安定あるいは発展につながるように、そうしてそれが和平にも資するようにというような観点から進めておるところでございます。  それからまた、エジプト、ジョルダン等につきましては、これは当然のことといたしまして重要な国々でございます。そういったところが社会面でも経済面でも安定していくことは中東全域の安定化に大きく資するものだと考えておりますので、いろいろな形態の支援をあるいは協力を進めてまいりたい、こう思っております。サウジについても同様でございます。
  43. 前原誠司

    ○前原委員 時間が参りましたので、これで終わらせていただきますけれども、ODAについてはODA大綱という原則がございます。もちろんこの原則を逸脱しない範囲内で、そしてまたその使われ方がよくわかる中でいろいろ知恵を絞っていただいて、中東和平というものの大切さを十分認識をされておると思いますけれども、何とかそれが定着してさらに進んでいくようにこれからも御努力いただきたいということを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。
  44. 関谷勝嗣

    関谷委員長 東祥三君。
  45. 東祥三

    ○東(祥)委員 新進党の東祥三です。  池田外務大臣におかれましては、大臣就任後初めて質問させていただきます。楽しみにいたしておりました。  防衛庁長官も務められ、日本の国論がまだ統一されておりません安全保障の問題についてもだれよりも精通されており、そこで直面する問題に関してもなかなか言えないことも多々あるだろう、そういうことも踏まえ、さらにこのたび外務大臣就任され、また外交の難しさも、またそこから来る種々の問題等についても精通されている大臣である、そういう視点から、まだ僕は政治家としてベビーでございますが、胸をかりるつもりで質問させていただきたい。  ただ、きょうは外務公務員法でございますので、数点まず外務公務員法関連して質問させていただき、その後、三月三十一日から銭其シン中国外相が来られ、そこでの会談内容、あるいは日中関係について現在どういうふうに認識されているのか。それからまた、四月中旬に来られますクリントン米大統領、とりわけ日米安保体制について外務大臣みずからどのようにお考えになっていて、どのようにこれからされていこうとするのか、こういう点について本日時間の許される限り質問させていただきたいと思います。  まず、外務公務員法でございますが、基本的に私どもはこの法案に対して賛成でございます。ただ、幾つか確かめなければならない点もあるのも事実でございます。先ほど小杉議員の方から、そもそもなぜこの外務公務員法の第七条において外務公務員配偶者国籍条項が設定されたのか、そういう御報告がありました。本質は、国家の機密漏えいを未然に防ぐ。昭和二十七年にできましたが、ちょうど私は一歳で、また冷戦構造が極めて顕在化してきた、そういう時代背景があったんだろうと思いますが、その前においては外務公務員配偶者に関して、その国籍条項というのは、前の時代にさかのぼりますと、これはあったんでしょうか、なかったんでしょうか。
  46. 原口幸市

    原口政府委員 それ以前におきましては国籍条項というものは存在していなかったというふうに承知しております。
  47. 東祥三

    ○東(祥)委員 そうしますと、今回この国籍条項を廃止する、削除するという結論に達した理由は何なのか。  もちろんわかるわけです。外務公務員の方々が当然外国に行かれまして、外国の方を配偶者に選ばれる、その数もだんだん増してきたんだろう。どれぐらいの今カップルがいるのかわかりませんけれども、またその数もどんどんふえていくんだろう。それで、当初設定されておりました国家機密の漏えいを未然に防ぐという問題は、冷戦構造が崩壊した後、基本的に何らかの形でこの問題についても考える必要がなくなったからその国籍条項を排除するということであるならば、理由とそして結果が明快なわけですけれども、今までの説明を聞いている限りこの点についての言及はほとんどないと言っても過言ではない。御説明願いたいと思います。
  48. 原口幸市

    原口政府委員 お答え申し上げます。  今回この改正をお願いしております理由は、外務公務員の職務と責任の特殊性にかんがみまして、外務公務員配偶者が無国籍または外国籍であることはその職務の遂行に対し種々の支障があると考えられるためにお願いしているわけでございまして、具体的には、外務公務員が、その配偶者が有する国籍の国と例えば対立関係あるいは外交上微妙な関係にある国に勤務する場合に問題が生じ得ることがあるといったようなことが考えられるのでお願いしているわけでございます。  今回の外務公務員法の一部改正との関係では、外務公務員配偶者外国籍を有すること自体によって直ちに外交機密の漏えいの危険性が増すという性格の問題ではないというふうに我々は考えております。したがいまして、機密保持の重要性を理由として現行外務公務員法を維持しなければならないということではないというふうに考えております。  他方、外交機密の保持ということは、当然のことながら極めて重要な問題でございまして、現在もその重要性に変わりはございません。そこで、今後も外務省といたしましては、機密保持の重要性につきましては最大限の配慮を払い、最大限の努力を払っていくつもりでございます。
  49. 東祥三

    ○東(祥)委員 わかりました。じゃ、その配偶者は、外国籍配偶者は、帰化する必要はなくなつ たわけですね、今回の外務公務員法改正によって。  次の質問ですけれども、そうしますと、外務公務員外国の大使館に派遣される、当然奥様あるいは御主人が一緒についていく、大半がそういうケースなんだろうと推察します。その場合、配偶者に対し外交旅券が与えられるのか、さらにまた外交ビザが与えられることになるのか。そうではなくて、そもそも自分の所属するその国籍の外交旅券なのか、あるいはまた普通のビザなのか、この点についていかがですか。
  50. 原口幸市

    原口政府委員 外務公務員配偶者である外国籍の人に対しましては、その所有する旅券が有効であれば、在留資格「日本人の配偶者等」という査証を発給することになります。
  51. 東祥三

    ○東(祥)委員 そうしますと、外交官が、外務公務員外国に行った場合種々の外交特権が与えられるわけですが、自分の所属する国籍のパスポートで配偶者が行かれた場合、その外交特権というのは同じように付与されるようになるんでしょうか。
  52. 原口幸市

    原口政府委員 先ほど大臣からお答えしたケースはあろうかと思いますけれども配偶者の母国に行った場合には特権・免除はないのでございますけれども、それ以外の任地であれば特権は与えられるわけでございます。(東(祥)委員「与えられる」と呼ぶ一はい。これはウィーン条約上認められております。
  53. 東祥三

    ○東(祥)委員 そうしますと、例えば二月二十四日の朝日新聞夕刊によりますと、シドニーの総領事が、外交ビザを持たない家族、この御家族は外交旅券を持っておる、ビザはワーキングホリデービザを持っていた。外交ビザを持たないその家族に免税の領事ナンバーの車を日常的に使用させていたことに関して、オーストラリア外務貿易省が、外交ビザを所持していない家族が日常的に使用することは特権乱用に当たると指摘しております。  つまり、外国籍を持つ外務公務員配偶者が、外交旅券を持たないで、時として外交ビザを受けられないとした場合、今回の報道内容みたいなことが頻繁に起こってくるんじゃないのかと私は危惧するんですけれども、今官房長のお話によりますと、それは、その外交ビザが、自分自身の所属する母国でない限り与えられるということなんですか。
  54. 原口幸市

    原口政府委員 ちょっと私のお答えが少し不明確だったと思いますが、ビザが与えられるということじゃなくて、特権が与えられるということで、どういうビザを与えるかは任国の、ある意味では専管事項ということになろうかと思いますけれども、当然もちろん国際的な慣例を念頭に置いてビザの種類も決めると思います。
  55. 東祥三

    ○東(祥)委員 そうすると、接受国において状況が変わってくるかもわからない。そうすると、今私が申し上げたような事例というのが、今回の改正によりまして頻繁に起こってくる危惧をますます払拭できなくなってきたのですが、いかがですか。
  56. 原口幸市

    原口政府委員 実は、外務公務員というか外交官配偶者国籍条項を維持している先進国というのは今やほとんどなくなりつつあるわけでございまして、先例を見ても、それによって今先生が表明されましたような御懸念の事態というのが頻発しているということはございませんので、問題はないと思います。
  57. 東祥三

    ○東(祥)委員 また、今回の法改正によりまして、国籍を有しない者を配偶者とする者も外務公務員になることができるようになった。それで、この国籍を有しない配偶者というのはにわかにイメージとして理解するのが難しいのですが、例えばその国籍に関して、父親の出身国が生地主義、生地血統主義をとり、母親の出身国が父系血統主義をとる両親の間に生まれた者は国籍を有しない配偶者となる可能性がある。この配偶者に対して旅券の発給はどのように行われるのか、説明していただきたい。
  58. 原口幸市

    原口政府委員 その場合には、日本の旅券は当然のことながら出ません。したがって、その人が外国に行く場合には再入国許可というものをとって出てまいります。
  59. 東祥三

    ○東(祥)委員 それは手続上そうならざるを得ないのですか。では、結婚する前に、その旨を外務省員の方々に事前にちゃんと言っておいてあげないといけないことになりますね。いけないということはないのだろうと思うのですが、その点についてはどうですか。
  60. 原口幸市

    原口政府委員 無国籍の者が外務公務員と結婚して外国に行くときには、再入国許可証を持っていく必要があるということは徹底させたいと思います。
  61. 東祥三

    ○東(祥)委員 次に、外務省に頭の痛いことをちょっと申し上げたいと思います。  私は、外交の仕事というのは九九%、本当に地味な仕事なのだろう、普通言われているほど派手なものではなくて、本当に大変な作業なのだな、九九・九九%大変な仕事だ、このようにいつも思っているわけでございますが、ことしに入ってから、その外交官に関する記事が新聞を大変にぎわしていると言っても過言ではございません。幾つか例があるわけでございますが、新聞で一方的に報道されておりますので、その真偽もよくわからない、その真偽がどうなのかという視点から幾つかの例を出させていただきたいと思うのです。  一つは、駐ニュージーランド大使が、昨年末、駐車中の車に追突して、そのまま現場を去ろうとした上、外交官特権理由に警察による飲酒運転のアルコール検査を拒否した。ことしの一月十日、朝日新聞。  もう一つは、駐シドニー総領事が、オーストラリアで就労できない観光ビザしか所持していない日本人調理師を公邸の料理人として雇い、約四カ月間不法に就労させていた。二月二十二日付の報道です。  そして三つ目は、駐サンクトペテルブルク総領事館員が無許可で骨とう品をロシア国外に持ち出そうとして、ロシアの税関当局に差し押さえられた。二月十六日、日経新聞の夕刊にこのように報道されておりました。  まず、これが事実なのかどうなのかということについてお聞きしたい。そしてまた、もし間違いがあるとするならば、これらの方々の名誉回復をやってあげなくてはいけないわけですから、そういう視点からどうぞ。
  62. 原口幸市

    原口政府委員 三件につきましてそれぞれ事実関係をお話しさせていただきたいと思います。  まず第一に、これはもう既に帰ってきておりますが、前在ニュージーランド大使の交通事故についてでございますけれども、同大使は、昨年末、ウェリントン市内のレストランで会食の後、私用車を運転していたときに、駐車中の車両に衝突する事故を起こしたことは事実でございます。それに関しまして、一部の現地紙等は本件事故について、当て逃げあるいは飲酒テスト拒否といった報道をいたしたわけでございます。  事実であるとすればこれは重大な問題なので、我々も、調査に当たったニュージーランドの警察にも当たりまして独自に調査を行いましたが、結果としては、こうした報道は事実誤認であるということが判明いたしました。  いずれにせよ、事故を起こしたのは大使がそもそも適切な注意を欠いていたことによることでもございますので、そういう意味では遺憾だと考えておりまして、一月十日に口頭にて私から大使に注意をした次第でございます。  それから、二番目の在シドニー総領事による公邸料理人の不法就労の件でございますが、同総領事が平成七年の一月から約一年間、正規の就労ビザを有していない公邸料理人を雇用していたことは事実でございました。公邸料理人は外交活動上極めて重要な存在でございまして、急速現地採用せざるを得なかった事情はあったわけでございますが、不法就労の状態が一定期間継続していたということは不適当と言わざるを得ず、極めて遺憾であるので、二月二十七日に厳重注意の処分を行ったところでございます。  なお、この総領事は、その段階では既に正規の就労ビザを有する料理人を雇用しておりまして、不正常な状態は解消されております。  それから、三番目のサンクトペテルブルク総領事館員の所持品差し押さえの件でございますけれども、二月十一日に同館員がロシアから出国しようとした際に、所持品の一部がロシアにおいて国外への持ち出しが制限されている古い美術品に当たる可能性があるとの疑いでロシアの税関当局に差し押さえられたことも事実でございます。  我が方からは、外交ルートを通じまして、差し押さえられた所持品のロシア当局による鑑定結果を早急に承知したい旨申し入れておりますが、現在に至るまでロシア側からの正式な回答は承っていないというのが現状でございます。
  63. 東祥三

    ○東(祥)委員 僕は、外務省の仕事というのは、ますますふえてくるのだろう、ふえこそすれ全く減っていかないのだろうと。しかしながら、おかしなもので、いつも横並びで定員も抑えられてしまっている。念願の、二年来の課題の一つなのだろうというふうに思うのですが、そういう仕事の量、さらにまた人数が限られてしまっている中で、これからまたますますいろいろなことが起こってくるのじゃないのか。  外務大臣自身も、本会議における外交演説で、外交の根本にあるものは各国との相互理解と相互信頼のきずなであると。外交官我が国を代表するメンバーでありますから、そういう意味におきましては、今申し上げたようなこと、ニュアンスの違いがあると思います、報道だけではなかなかわからない部分があることが今の御説明で若干わかったような気がしますが、しかし、そうであったとしても、これからこういう点についてもますます厳しくしていかなくてはいけないのだろうと思うのです。  外務省を統括する外務大臣として、この点についての御所見を伺っておきたいと思います。
  64. 池田行彦

    池田国務大臣 御指摘のとおり外交活動はますます重要性を増しておりまして、多くの国々で、また大勢の外交官が駐在し活動するような状態になっております。任国により国柄も、また法律制度その他もいろいろでございます。そういった意味で、職務を遂行していく上において外交官の皆さんの御苦労も大変多いわけでございますが、それにいたしましても、基本的に公務員として綱紀を厳正に維持しなくてはいけないのは当然でございます。ましてや、国の使いとして各国との友好関係を増進しなくてはいけない、そういう役割を帯びている外交官であれば一層のこと、みずからの身を律する、そうして不適切な行動をとらないようにそれぞれ注意していかなくてはいけないのは申すまでもないことでございます。  御指摘のございました個々のケースについては、先ほど政府委員から説明しましたように、いろいろな事情その他はあったようでございますけれども、しかし、基本的に、外務省といたしまして、綱紀の厳正な維持についてさらに一段の努力をしてまいりますとともに、外交官一人一人にありましても、従来以上にそういった面について十二分な配慮をして、適切な行動をしていくようにしてまいりたい、こう思います。
  65. 東祥三

    ○東(祥)委員 よろしくお願いします。  次の質問に移ります。  去る三月三十一日から四日間、銭外相が訪日されておりました。池田外相とも濃密な会談をしたと承っております。  まず、この会談内容に入ります前に、大臣は、今の日中関係をどういうふうに認識されておられますか。本当に日本が言いたいことを言えるような状況にありますか。まず、日中関係の現状について、外交の責任者としてのお立場から御発言願いたいと思います。
  66. 池田行彦

    池田国務大臣 二十四年前に日中共同声明が結ばれ国交が結ばれまして以来、官民、またありとあらゆるレベル、分野での両国間の交流が深まってまいりました。また、国際社会のいろいろな場におきましても、世界の安定あるいは繁栄のために両国の協力が行われてきたところでございます。そういったことで、全体として見まするならば、日中関係は順調に発展を遂げている、こう考えております。  しかしながら、一方におきまして、それぞれの国の持つ国際社会における役割というものが大きくなってまいりました。そうするといろいろ、利害とまでは申しませんけれども考え方が必ずしも常にぴたっと一致するというわけでもない、そういう面もございます。  それからいま一つは、二十四年間たったということは、一方で、その当時ございました熱気と申しましょうか、いろいろな問題はあるけれども、ともかくこの日中関係を大切にしなくてはいけないといった両国の国民の間での意識、意欲といったもの、そういったものが若干冷めたと言ってはなんでございますけれども、いわばそれが常識化したから、それを大切だ、大切だというふうに一々考えるといった気持ちが若干薄らいだということは否定できないと思います。また、両国の指導的な地位にある者もやはり世代交代も進み、あの当時のいろいろな真摯な交渉、その他の経験というものがやはり自分のものではない、いわば伝聞形になっている、こんなこともあります。  そういったこともございまして、いっときのいわば友好一色といった状態からすれば、いろいろ相互に、ここはおかしいじゃないかといった思いを持つ、そういう状況があるというのが現在の状況だと思います。  しかしながら、そういった意見の違い、考え方の違いというものを率直にお互いにぶちまけて話し合いができる、そういった環境にあるかと言われますと、これも率直に申しまして、まだそこまでの相互の揺るぎない信頼関係は、政府の間だけではなくて国民レベルにおいても必ずしも築かれていないのかな、いわば何でも言い合える、そういった関係をつくり上げていく過渡的な時期であるのじゃないかな、そんな認識でございます。
  67. 東祥三

    ○東(祥)委員 率直に語れる段階にはまだ達していない、国民レベルにおいてはそういうふうに――それは当たり前ですよ、国民は余り頻繁に直接接触がありませんから。頻繁に接触があるのは、やはり政府であり、外務省ですから。そこで率直な会話ができることであるならば、これはすばらしいことだなと思うのですが、ちょっと僕の聞き間違えかもわかりませんけれども、これはいかがですか。
  68. 池田行彦

    池田国務大臣 私は、政府でも、また国民レベルでもと申し上げたつもりでございましたが、先ほど、その前にも申しましたように、国民レベルでもいろいろな交流があるわけでございます。経済上の交流もございます。そこでもそんなにぴたっといっているかなということもございますし、また政府間の間柄におきましても、それは随分忌揮のない意見の交換はできるようにはなってまいったとは思いますけれども、それでは、文字どおり琴瑟相和する夫婦の間の対話のように本当に、場合によってはどなり合っても、それは基本はしっかりしているし、またすぐに仲直りできる、そこまでの状況になっているかなというと、忌憚のない意見を吐くことがあるいは誤解を招き、両国関係にひょっとすると好ましからざる影響を及ぼすかもしれないという懸念もあって、それも注意をしなくてはいけない。この関係を大切に大切にして、いわば夫婦の関係をさらにかたいものにしなくてはいけない、そんな時期かなと思っております。
  69. 東祥三

    ○東(祥)委員 外務大臣、率直に語っていただきまして、ありがとうございます。  ただ、今御指摘がありましたとおり、まだ率直な議論を闘わせる段階に達していない。そうであるとすれば、率直な議論ができるようにするためには、今何が欠けているのでしょうか。
  70. 池田行彦

    池田国務大臣 基本は、やはりいろいろございましても、両国関係がそれぞれの国にとってかけがえのない大切なものだ、こういう認識、そうしてまた、それが両国だけではなくて、国際社会全体のためにも極めて重要なものだ、こういった認識というものを本当に共有している、そういった 共有しているという認識があるということがまず大切だと思います。  それから後は、これは少しテクニカルな観点になるかもしれませんけれども、本当にいろいろな交渉の衝に当たる者が、相互のパーソナルな人間関係も築き、いろいろ話を胸襟を開いてできるような関係を持つということではないかと思います。  先般、外相会談におきまして、十分に時間をとりまして、いろいろお話しいたしましたのも、銭其シン外相とタイで二回会っておりましたけれども、やはり一時間ぐらいの会合でございますと、これはどうしても通訳も入りますし、それから、あの国がと言ってはいけませんけれども、やはり原理原則をまずきちんとやって、その上で具体論についてどういうふうにやるかという、そういう話の進め方がどうしても日中間では多いということもございますので、そうなるとやはり、十分に時間をとって話し合うということが、誤解も避けながら相互の理解を進め、さらに信頼関係を築いていくために必要だ、こういうことで、私の方から、日曜も働こうよ、時間をとろうよ、こういう提案をして、銭其シン外相もそれに同意していただいたわけでございます。  先般の会合も、これで私は十分だとは思っておりません。さらにいろいろそういう場を私自身もこさえたいと思いますし、外交の衝にある者すべてがそういう気持ちで進んでまいりたいと思っております。
  71. 東祥三

    ○東(祥)委員 会談内容について、二点質問させていただきます。  中国の核実験に関しまして、池田大臣が、小規模爆発を容認する意見国際社会にはないという趣旨の発言を行ったのに対して、銭外相は、CTBT交渉への積極的参加、今年じゅうの調印を希望していると回答するだけでなく、我が国が経済協力関連づける主張に反対すると述べた。つまり、中国側から円借款見直し論を牽制する発言と受け取られる発言をされておられます。どうして、何ゆえこういう発言が出てきたと大臣は思われますか。大臣はもう何らかの形で、中国側に核実験と円借款問題をリンクされた発言なり、そういうものをされていたんですか。
  72. 池田行彦

    池田国務大臣 核実験の関係につきましては、私の方から、まず中国がこれ以上核実験をしないこと、このことを求めました。それからまた、CTBTにつきまして、中国が平和的小規模爆発は例外にするように、こう主張しておりますけれども、それについては、国際社会、ほかの国々に私ども当たってみましてもそれに同調する意見はないぞということを率直に伝えたところでございます。それに対しまして、銭其シン外相の方から、核実験の実施については日本が非常にその問題について敏感なことはよくわかるといいながら、これをやめるという発言はございませんでした。  それから、CTBTにつきましては、これもいわゆるゼロ・イールドについての直接の言及ではなくて、中国側の基本的な考え方、つまり核保有国の中で中国だけが先制使用は絶対にしないということを言っているんだ、むしろほかの保有国の方がというこれまでの原則的な立場をいろいろ主張をした。しかしながら、基本的に日本が敏感な立場であるということはわかる、こういうことでございました。  それから、その関連で、我が国からの経済協力云々ということがなぜ出てきたのかということでございますけれども、これはブリーファーもそこまで明らかにしなかったので、私も今お答えするかどうかちょっとちゅうちょしておるのでございますが、まあ申し上げましょう。今もあれがございましたように、それも私の方から申しておるわけでございます。  例えば、円借をどうするんだということは申しておりませんですよ。しかし、要するに、日中関係がかつてのように非常に密接関係にはないと、先ほど申しましたような趣旨のことをいろいろ説明しました。そして、とりわけ近年のいろいろな中国の行動、人権絡みもありますし、あるいは核の問題もあります。それから、最近においては台湾海峡緊張の高まりについての中国の行動、そういうことも指摘しながら、そういったことが日本の国内での中国に対するいろいろな批判を招いている。そういったことの中で、実は昨年、無償については原則的にこれを中国に対して供与しないということをとっておりますけれども、さらにそういった面について、経済協力のあり方についてさらに考えるべきではないかという強い意見もあるんだということも私も指摘いたしました。  そういったこともございまして、銭其シンさんの方は、しかしその問題をこれとリンクさせるのはおかしいというお話があったわけでございます。ただ、私はそういった日本の中にそういった声があるということは紹介いたしましたけれども外務省としてどうこうという方針を申したわけではございません。  政府といたしましては、いろいろ問題がございますけれども、やはり中国との関係を良好に保っていくこと、そうして、今中国が進めております改革・開放路線、これで中国が経済的にも発展し、そうして安定して、さらに我々が望ましいと思うような姿になっていくことを期待しておるわけでございますので、我々がいろいろ疑問を持つようないろいろな中国の対応が自重、自制される中で、我が国からのいろんな協力関係も維持していかれる、さらには増進されるような、そういった環境ができてくることを期待いたしますし、政府としてもそのような方向で努力をしたい、こう思っております。
  73. 東祥三

    ○東(祥)委員 ありがとうございます。  また、中国の軍事演習について、外務大臣が疑問を呈さざるを得ないという表現を用いて日本考えを率直に伝えられた。これに対して銭外相は、中台関係は内政問題、従来の主張を繰り返した。それで、基本的に内政問題だ、私も思います。その上で銭外相は、日米安保が日中関係の健全な進展に矛盾しないよう希望する。これに対して池田外務大臣は、日中関係の進展に矛盾しない、こういうふうに応じている。矛盾という言葉がキーワードになっているんですね。  中国の銭外相が使われているこの矛盾しないように希望するというのは、何を言われようとしたと外務大臣理解していますか。
  74. 池田行彦

    池田国務大臣 まず、今回の中国の大規模な軍事演習につきましては、もう繰り返しませんが、余り詳細には申しませんが、私の方からやはり疑問を呈せざるを得ないということを申し上げ、そしてさらに、もし中国の意図するところが台湾に対して影響を与えようとすることであるならば、それはむしろ逆効果ではなかったか、台湾の人々に与えた影響からしても、あるいは国際社会に与えた影響からしてもということも指摘したわけでございます。  それから、内政問題であるという点につきましては、私はこういう申し方をしました。やはりここしばらく中台問題、あるいはあの地域が非常に安定的に推移してきつつある。両当事者のいわば非常に適切な大人の対応によって安定的に推移してきた。そのことがアジア太平洋地域全体の安定にいい効果を持ったと思う。それを裏返して言えば、あそこの緊張が高まってくるということは、やはり我が国を含む周辺諸国にもいろいろ影響を与えるんだから、だからそこはやはり国際的な関心を持たざるを得ないんだよという表現で、表から内政問題であるということを否定はいたしませんけれども、しかし、だからといって我々がそのものに無関心でいられないということは、明確に申し上げておいたところでございます。  それから、日米関係での銭外相の発言の矛盾という言葉の意味するところでございますが、それは銭外相のおっしゃった意図を余り私がそんたくして御答弁申し上げるのはいかがかと思いますけれども、やはり今のいろんな情勢を踏まえて世間でもいろいろな御意見があり、またいろいろな報道もなされております。そういったことは、当然中国側の目にもとまるわけでございまして、そういうものを踏まえて、あるいはそういった今回 の日米安保の再定義、再確認ということ、これがそういった日中友好関係と何か矛盾するということも、あるいは場合によっては必ずしも相入れない側面が出てくるということもあり得るんじゃないか、そんなことがあってはいけないがなという御趣旨ではなかったかと思います。  そして、私の方からは、これは当然のことでございますが、我が国としても、あるいは米国も基本的にはそうでございますが、やはり中国が、この国際社会、とりわけアジア太平洋地域における建設的なパートナーとしての役割を果たしてくれることを期待しているわけでございますから、そういう日米間の話し合いの中で、御懸念のようなことになることはない、こういうことを申し上げた次第でございます。
  75. 東祥三

    ○東(祥)委員 日米安保体制について質問します。  日米安保体制、軍事同盟という位置づけで私はとらえております、一つは。もちろん、日米安保体制はそれのみならず、まさに日米関係という、政治、経済、社会、また人間の交流、そういう面においても全く欠かすことのできない最重要な関係のパートナーがアメリカだというふうにとらえております。  ただ、同盟に関しては、外務大臣御存じのとおり、いろいろな同盟のパターンというのはあるかわかりません。例えば米国とそれからイギリスあるいはフランスの関係、これはある意味で全部核兵器を持っている国です。そういう意味においては、本来的な、すべてお互いができるという、そういう状況のもとに、する、しないという、そういう関係ができ上がっているのだろうと思うのです。また、ドイツとアメリカのNATOにおける関係も、ある程度一定な制約がありますけれども、NATO地域における今の問題に関しては、完全にイコール。パートナーという形でなっている。それで、もう一つの類型がある意味日本なのだろう。  ところが、そのすべてに共通する同盟の意識というのは、これはやはりお互い完全に信頼し合って、そして有事の際、ある意味で兵士を、命をささげるという、そういう極めて冷徹な関係ができていない限り、同盟というのは僕はうまくいかないのだろう、こういうふうに理解しますが、外務大臣はいかがお考えですか。
  76. 池田行彦

    池田国務大臣 御指摘のとおり、日米安保条約というのは、政治、経済、その他広範な日米関係の基礎になるものでございますが、やはりその中心に、我が国の安全を確保していく、また極東地域の平和と安定を守っていく、こういうことがあるわけでございますので、安全保障の側面、それは軍事と言ってもよろしゅうございましょう、そういった関係を大切な要素とする同盟関係である、私はそのように認識しております。  さて、しかしながら、我が国は憲法上の制約もございます。でございますから、おっしゃるように、全くアメリカと同じような行動をしながらそういった安全保障面での同盟関係を維持し、その役割を果たしていくことができるかといえば、そこは違いがあるのだと思います。しかしそれは、今も御指摘がございましたが、ドイツにおいても、程度の差こそあれ、似たようなところはあるのだと思います。  しかし、そういった制約の中ではございますけれども、例えば我が国を防衛する場合には、これは文字どおり日米が力を合わせ、共同で対処していくわけでございますし、それからまた、極東地域の安全を守っていく面において米軍がいろいろ行動していく場合にも、我が国としても必要な対応はしていかなくてはいけない、こういうことになっておると思います。そして、そういったことを支える基盤として、両国が、そして両国民がこれをきっちりと、そういった共同、あるいは力を合わせていくということの重要性を認識していなくてはいけないということはお説のとおりである、こう考えております。
  77. 東祥三

    ○東(祥)委員 あと七分ぐらいしかありませんので、また別の機会にじっくりこの点について議論させていただきたいと思っているのですけれども基本的には、まさに日米安保体制の強化、あるいはある意味日米安保体制をつくる時点に戻って、この日米安保体制というものをどういうふうに想定していたのか。それと、冷戦構造が崩壊した後、ある意味でこの安全保障論議というものを正面から議論できる状況ができているのじゃないのか。ところが、まだ安全保障論議に関して国論が統一されていない、そういう状況にあることも事実です。  そういう意味におきまして、まさに今、安全保障というのは国の安危にかかわる問題ですから、最重要事項の問題だと私自身とらえておりますし、また、それに対して外務大臣は積極的にお話ししてくださる方である、こういうふうに僕は認識するのですが、その点で、まさに外務大臣のお父様の師匠であった吉田元総理が、ある意味でこの日米安保体制の生みの親でございます、当時何を言っていたのか、確認しておきたいと思います。  吉田元総理は、安全保障に関して、私の念頭を強く離れなかったことは、日米共同防衛の体制を打ち立てる場合に、日米両国は対等の協力者として立ちたいということであった。しかし、強大な武力を擁する米国と軍備を剥奪された日本とがそのまま対等ということはあり得ない。また日本は専ら安全を保障されるだけで、逆に米国の安全を保障する力は何一つないと言ってよい。それでも、米国はその武力と経済力をもって、我が国日本に許されるあらゆる方法をもって、相協力していわゆる国際的安全保障の一環としての日本安全保障に貢献する。それが両国の利益に合致し、ひいては自由世界の利益に沿うことになる。しかもそうした協力関係において、日本と米国は互いに独立国として対等の立場に立つ。私が安全保障条約において日米対等の立場を確保せんとしたことは、以上のごとき意味においてであった。  もう既に、こういうことを言われているときは、憲法はできているわけです。憲法ができていて、今でも多くの方々が憲法、憲法ということを言います憲法の本質的な部分をついていったときに、その対等な形をいかにしてつくり上げていくのか、そういうことをやはり時の政治家は模索しているわけですね。  そういう意味から考えますと、日米安保体制の強化のために最も重要なことは、日米双方が対等な立場から、この同盟が双方の利益になっていることを理解し合い、また負担を分かち合っているということが僕は底流になければいけないんだろうというふうに思います。  そういう意味におきましては、安保ただ乗り論、僕はこれに対しても自分自身の批判する論を持っております。さらにまた、日本の国内におきます、日米安保体制に対してこれはアメリカの世界戦略云々、そういう意見に対しても批判する論理を持っていると思っておりますが、核はまさに、日米安保体制の生みの親であるあの吉田茂元総理が何を考えていたのか、これは実に参考に値する意見なんだろう、このように私は思います。  さらにまた、時間がないので一方的にお話しして、最後大臣の御所見を伺いたいと思うのですけれども日米安保体制に対する、日米安保条約に対する日本の態度をアメリカ人がどういうふうに見てきたかということについて、若干言及しておきたいと思います。  それは、代表的な見解として、沖縄返還交渉を担当したジョンソン駐日米国大使の見解があります。二十年前です。大使は何を言われていたかといいますと、日本の態度は未熟であり、日本の長期的利益に反し、明らかに健全な日米関係の維持にも反している。社会党も、今ありませんけれども、社会党も自民党も、公的にはベトナムも朝鮮も日本とは無関係であり、米軍基地は日本にとって無益であるかのように振る舞っている。アジア情勢の悪化はひとえにアメリカに責任があり、アメリカの軍事的プレゼンスに対する日本世論の反発の責任さえもひとえにアメリカにあるという態度である。日本人は、アメリカの軍事的庇護をこ うむりながら、自分ではそれを望んでいることを自覚していない。そして、これに伴う責任を引き受けようともしない。日本人は、東アジアの安全保障に対してどのような役割を果たしたいのか、アメリカに対してどのような役割を果たしてほしいと思っているのか、はっきりした結論を出し、そのための責任を負う時期に来ている。しかし日本人がどのような結論を出すにせよ、みずから結論を出してほしい。それこそが自尊心ある国家の基本であり、そうでなくては他国と対等の立場で国際交渉を行うことなどできはしない。  二十年前に言われているわけです。まさに、冷戦構造が崩壊した今私たちが直面している問題と全く同じなんだろう、このように思います。  時間が来ましたので終わらせていただきますけれども日米安保体制日米安保条約、また別の機会に言及させていただきますが、憲法ができているときに、吉田茂それからアチソン国務長官との交換文書があります。朝鮮動乱が勃発しているときに、国連部隊が出ているときに、日本の総理が明確に、ありとあらゆることを、この極東地域に起こっている限り全面的な支援をするということも明確に申し上げております。それは憲法ができた後に言っていることです。それがこの冷戦構造の中でどうもシュリンクしてきちゃっている。  さあそれは一体何なのかということを憲法から本格的に論じていかなければならない、そういう絶好の機会が来たんだろう、不幸な、安全保障に関して国論が分裂しているのをもう統一させる必要があるんだろう、僕はこういうふうに思いますけれども池田外務大臣の御所見を聞いて終わりにさせていただきます。
  78. 池田行彦

    池田国務大臣 時間の制約がございますので簡潔に申し上げたいと思いますが、吉田元総理が、我が国をめぐる国際環境が現在と比べましてはるかに厳しい困難な状況の中にあって、また我が国の国力も、また国際社会における地位も現在とは比べ物にならないような難しい状況の中にあって、今委員指摘になりましたような独立国の指導者としての抱負と経輪、識見の上に立って堂々たる主張を出され、またそういったことに即して我が国の安全を図るための政策展開をされたということを我々は忘れることなく、我々としては現在の国際環境の中で我が国の安全と繁栄をどういうふうに守っていくか、誤りなき対応をしていかなくちゃならない、こう考える次第でございます。それから、ジョンソン元駐日大使の御発言がございました。確かに二十年前を顧みてみますと、あのころはまだ冷戦構造が非常に強固なものであったということもございます。そして、我が国の政治の状況もいろいろ違っておりましたので、安全保障の問題については、いわゆる神学論争と言われるようないわば不毛な議論に、少なくとも表面的には、表の舞台では終始したような感があったと思います。  しかし、現在は状況は随分変わってきたと思います。その当時、絶対にこういった問題についてはともかく反対だと言っておられた政治勢力の方も、世界の現実を見ながら日本安全保障はいかにあるべきかを真剣にお考えになるようになってこられましたし、また、その当時私どもの自由民主党は永久政権ということも言われるような、ずっと政権の座にあったわけでございます。そして、いわばいろんな議論の場でも、専守防衛というようなことで、表面上はいろいろそういった神学論争におつき合いしながら、しかし実際やることはちゃんとやっていたと思うのでございます。  そういったことでございますから、今、幸いにしていろいろオープンな議論ができる環境は確実にでき上がりつつあると思います。これからも政治の世界を中心として国民の中で、日本の安全はいかにあるべきか、議論を深め、誤りのない対応をしていく、こういうことにぜひしたいな、こう考える次第でございます。
  79. 東祥三

    ○東(祥)委員 どうもありがとうございました。
  80. 関谷勝嗣

  81. 古堅実吉

    ○古堅委員 外務公務員法についてお伺いする予定にしておった点、他委員からの御質問がありましたので、私は、ただ一点だけお尋ねします。  一九五二年当時、この法律が制定されたときでありますけれども、他外国日本と同じように外交官国際結婚についての規制をしておったのかどうか、その一点。
  82. 原口幸市

    原口政府委員 昭和二十七年当時、各国がどのような制度を有していたかについては、残念ながら記録が残っておりませんので不分明でございます。ただ、例えば中国は、かねてより現在に至るまで、現行外務公務員法と同様に、外国籍配偶者を有する者が外交官となることを禁じていると承知しております。また、主要先進国のうち、英国、米国は一九七〇年代の後半まで、またフランスは一九八〇年代の半ばまで、外交官配偶者について国籍取得義務を課していた、そのように承知しております。
  83. 古堅実吉

    ○古堅委員 次に、沖縄県与那国町近海における台湾と中国の軍事演習の問題についてお伺いします。これは、台湾、中国の演習をやめさせるよう求めるものでありますけれども、ここでは時間の制約もありますので、影響が比較的大きい台湾の演習問題についてお伺いしたいと思います。  一昨年から、与那国町の北西約六十キロほどの近海で台湾が頻繁に軍事演習を続け、先月は、ほぼ同じ近海でありますけれども、言われている台湾の演習のところから三十キロばかり離れたところだそうでありますが、中国のミサイル演習も実施されております。  海上保安庁からもらった資料によりますと、台湾の同海域での演習は、昨年四月からことし三月までの一年間で四十七回、日数にして百七十一日に及んでいます。与那国町漁民にとってはマチやアラなどの高級魚のとれる好漁場だと言われております。この演習のために思い切った操業ができないような状況に至っておる、深刻な事態を迎えているのであります。沖縄県からの説明によりますと、漁獲高が二〇%も減少しております。これまでに、沖縄県当局や県議会、与那国町の議会、与那国町当局、それらが繰り返し政府や国会に対して、演習をやめさせるよう強い要望をしてまいっております。外務省として台湾当局に演習をやめるよう求めてこられたのかどうか、その点についてお伺いします。
  84. 池田行彦

    池田国務大臣 中国並びに台湾軍事演習、それがあの地域の緊張を高めるという点で、我々としても重大な関心を持たざるを得ない、そういった観点からいろいろな対応をしてきたのは御承知のとおりでございますが、それと同時に、また今おっしゃいますような我が国国民のいろいろな活動に対する影響、そういった観点からも、政府として重大な関心を持ち続けてきたところでございます。  そういった観点から、中国の今回の演習に際しましても、航空機あるいは船舶の運航への支障あるいは漁業活動に対するあり得べき影響等につきましても、指摘をしながら申し入れしたところでございますが、今御指摘台湾軍事演習につきましても、それは同じ立場でございます。そして、一昨年以来、与那国島と台湾の間の公海上で台湾の訓練が行われたことは事実でございまして、そのために漁業活動に影響があった、そういったことを十分承知しております。  そういったことを踏まえまして、いわゆる交流協会それから亜東協会との間の関係がございますので、そこを通じまして、台湾側に対しまして射撃の訓練を取りやめるとか、あるいは訓練の海域の変更等はできないかという要請をずっと続けてきてもらいました。これに対しまして台湾側は、訓練に対しましては安全を確保するために十分配慮する、そういったことでいろいろな関連する情報を当方に公開する等の措置をとってきましたけれども、中止あるいは区域の変更というものはなかなか難しい、そういったことがこれまでの対応であったわけでございます。  いずれにいたしましても、今後とも、交流協会というものを通じまして、漁業等に対するあしき影響が極力避けられるように粘り強く対応してま いりたい、こう思います。
  85. 古堅実吉

    ○古堅委員 それなりのルートを通じての話し合いは進めてこられたということでありますけれども、ただ申し入れをした、話し合いを進めてきましたというだけでは済まないものですから、繰り返し繰り返しの要請となっておるのですね。ついこの間も沖縄県議会が全会一致の決議をして、政府、国会への要請がなされてきたことは御存じのとおりです。  先ほど漁獲高は二〇%の減少と申し上げましたが、金額で申せば、演習のなかった九三年度の一億一千八百万円に対して、九五年度は六千九百万円で、実に四千九百万円の落ち込みとなっておるという報告がございます。四一%の減少で、まさに大変だという事態なんです。  外交ルートはないということは、まあこれは申すまでもないことなんですけれども交流協会どもありますし、日本政府が、沖縄県民、日本国民の漁場にかかわる他外国の演習でこんなにも深刻に影響を受けているということにかかわる問題なので、もっと本格的に話し合いをして実際にやめさせるような、そういう話にしていただきたいと思うのですが、もう一度、大臣
  86. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほども申しましたように、交流協会のルートを通じまして粘り強く対応してまいりたい、こう思います。
  87. 古堅実吉

    ○古堅委員 何か大変冷たい感じを受けます。つれない感じですよね。現地の与那国町の漁民、漁協からしますというと、まさに深刻そのものなんですよ。  高級魚であるマチ類が豊富な漁場は、現在、台湾との間の公海に三カ所あるというふうに聞いております。ところが、一九九四年七月以降、台湾軍が演習を始めた。この演習を始めたところが、この三つの好漁場を全部おっかぶせてしまうような、こういう地域なのです。ひどい状況です。  一カ月に十六日から二十日の演習日数というのが一年間で九カ月も数えるのです。これじゃ、実際上、もう漁業が成り立たぬ事態に見舞われているなということは、こういう数字だけでも御理解いただけると思いますよ。  台湾が公海と言うのであれば、日本、沖縄県民にとってもそこは公海ですよ。政府は、国民の安全にかかわる問題、漁業という大事な操業にかかわる面で、一方的に向こうが公海だなどという、そういう言い分に言い負かされてはならぬですね。そういうことを許してはならぬというふうに思います。  そういう立場で、今のような冷たい御返事じゃなしに真剣に取り上げられる、そういう立場を踏まえて、与那国町民の切実な要請に何としてもこたえて、やめさせる方向に頑張るということについての大臣の御決意を承りたい。
  88. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもも、与那国島の方々の漁業活動の面でこうむっておられます大きな影響あるいは損害というものを何とか回避できないものかということで、国交関係のない中でできる限りの手を尽くしておるということは現地の方々にも御理解をちょうだいできるのじゃないかとも思います。  今後、将来に向かっても粘り強くその努力を続けてまいるということは先ほども御答弁申し上げた次第でございます。
  89. 古堅実吉

    ○古堅委員 国交がないからといって、実際にそういう公海上で乱暴なことが続けられていることに対して日本政府が余り物が言えないようなそういう雰囲気を感ずるのですよね。これじゃたまったものじゃないのですよ。何としても、国交がない間にあっても、実際にそういうことをやめさせて、自国の国民の漁業という大事な問題についてその願いにこたえて解決する、そういう方向でやってもらわなければならぬというふうに考えます。  実際に演習の日程を設定すると明確にされたそのときができないということは言うまでもありませんが、設定されて通告されているものを急に変更してやるなどということもあるらしいのです。こういうことになるというと、一層事は重大と申さねばなりません。これは安全という面からも、こういう危なっかしいところは通告がないときでもなかなか行けなくなるなというふうな、そういうことにならざるを得ないという関係からもこれは重大問題なんですよ。  大臣、外交ルートがあるなどというふうな尋常な状態じゃないのだけれども、そうでなくてもそれなりの努力はきちっとやるということについて、もう一度御決意をしかと承りたい。
  90. 池田行彦

    池田国務大臣 国交関係のない中でいろいろ手を尽くしながら、また、工夫もしながら最大限の努力をしてまいった、また、これからもしてまいる、こういうことを繰り返し繰り返し御答弁申し上げているところでございます。
  91. 古堅実吉

    ○古堅委員 こんな答弁ではだれも納得しませんよ。きちっとした、本当に主権国家らしい立場を踏まえて、この問題についてしっかりした、国民の要望にこたえる立場でやるべきことはやってほしい、厳しく指摘して終わります。
  92. 関谷勝嗣

    関谷委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  93. 関谷勝嗣

    関谷委員長 これより本案に対する討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  94. 関谷勝嗣

    関谷委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 関谷勝嗣

    関谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  96. 関谷勝嗣

    関谷委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十七分散会      ――――◇―――――