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1996-02-21 第136回国会 衆議院 外務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年二月二十一日(水曜日)     午前十時開議  出席委員   委員長 関谷 勝嗣君    理事 小杉  隆君 理事 田中 直紀君    理事 玉沢徳一郎君 理事 赤羽 一嘉君    理事 東  祥三君 理事 松沢 成文君    理事 井上 一成君 理事 前原 誠司君       安倍 晋三君    斎藤 文昭君       坂本三十次君    櫻内 義雄君       鈴木 宗男君    二階堂 進君       原田昇左右君    伊藤 英成君       岡田 克也君    小坂 憲次君       笹山 登生君    中野 寛成君       若松 謙維君    秋葉 忠利君       伊藤  茂君    佐藤 泰介君       園田 博之君    古堅 実吉君       吉岡 賢治君  出席国務大臣         外 務 大 臣 池田 行彦君 出席政府委員         外務大臣官房長 原口 幸市君         外務省総合外交         政策局長    川島  裕君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    朝海 和夫君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省欧亜局長 浦部 和好君         外務省中近東ア         フリカ局長   法眼 健作君         外務省経済協力 畠中  篤君         局長         外務省条約局長 林   暘君  委員外出席者         文部省初等中等         教育局中学校課         長       加茂川幸夫君         文部省学術国際         局国際企画課長 井上 正幸君         通商産業省通商         政策局欧州アフ         リカ中東課ロシ         ア東欧室長   東郷 洋一君         外務委員会調査         室長      野村 忠清君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件      ————◇—————
  2. 関谷勝嗣

    関谷委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小杉隆君。
  3. 小杉隆

    小杉委員 昨日、政府は二百海里の排他的水域を設定するというようなことを盛り込んだ国連海洋法条約及び海洋法整備について、これを閣議了解をしました。これを受けて韓国も直ちに排他的経済水域を設定する方針を打ち出しました。この韓国側対応について外務大臣はどう受けとめておられるか。また、今後中国韓国と領土問題、あるいは新漁業協定等交渉が始まるわけですけれども、その領土問題と新しい漁業協定との関連について外務大臣の所信を承りたいと思います。
  4. 池田行彦

    池田国務大臣 ただいま小杉委員指摘のとおり、昨日、政府といたしましては、国連海洋法条約並びにそれの関連法案につきましての基本的な方針閣議で了解したところでございます。今後、この基本方針にのっとりまして、政府なりまた関係方面協議いたしまして、早急に新しい体制を整備してまいりたいと思っております。  そして、韓国におきましては、もう既に条約そのもの批准手続を了しておるわけでございますが、昨日、孔外務部長官が声明を発出されまして、我が国と同様に排他的経済水域を設定する、こういう方針を発表しました。その際、周辺国排他的経済水域と重なり合う水域においては、関連国際法のルールに従って、関係国との合意によりその境界線が画定されるもの、このように韓国がしているところでございます。  我が国といたしましては、この条約の締結に伴いまして漁業等にかかわるいろいろな問題が生じてくる、こういう可能性がございますが、そういった関係につきましては日韓両国の間で、その両国間の友好協力関係、これは申し上げるまでもございませんが、極めて大切なものでございます。これを大切にしながら、冷静に、また話し合いによって漁業にかかわる問題等については適切な解決を図ってまいりたい、このように考えておるところでございます。  もとより、韓国だけではなくて中国との間におきましても、やはり漁業等にかかわる問題については、その条約の趣旨を十分に踏まえながら、また友好関係を大切にしながら、話し合いによって新たな漁業協定を早急に締結できるように鋭意努力をしてまいりたい、このような方針で臨みたいと思います。
  5. 小杉隆

    小杉委員 現在の韓国の沸騰した世論から考えますと、私は韓国外務大臣あるいはこちらの大使対応ぶりは極めて、何といいますか、自制的であるというふうに受けとめております。今大臣からも御答弁のとおり、冷静な話し合いによって解決をしたい、そういう姿勢で、領土問題は領土問題、しかし一番切実な漁業協定漁業協定、これは一刻も早くやらなきゃいけないという問題ですが、この漁業協定交渉についてはいつごろから交渉を始められるおつもりか、お話しいただきたい。
  6. 池田行彦

    池田国務大臣 我が国といたしまして、昨日あのような基本方針を決めたところでございますし、韓国におきましても条約が既に締結され、また、きのうあのような基本方針も出されました。そういうことも踏まえまして、このお話し合いはできるだけ早く始めていきたい、こう思っております。  ただ一方において、韓国との間では、いろいろ調査の話をこれまた共同して進めておりますので、そういったことを踏まえながら、なるべく早目にその交渉を始めたいな、こういうふうに考えている次第でございます。
  7. 小杉隆

    小杉委員 次に、日米関係基地問題について申し上げたいと思います。  沖縄県が目に見える形での解決ということを求めているわけです。今までこの議論については予算委員会等でもかなり行われておりますから私は端的に申しますが、この目に見える解決というのは、私は、単に何平方メートル減らしたとか整理縮小したとかということではなくて、そういう員数合わせとか数合わせじゃなくて、実質的に沖縄県民にとって最も切実な、どんなに狭くてもいいから一番要望の強い、例えば普天間飛行場であるとか那覇軍港であるとかあるいは読谷飛行場、こういうもののうち一番焦点というか関心の高い、そういうものをできるだけ早く話し合いをつけるということが大事だと思うのです。  総理も二十三日、もうあさってから訪米するわけですけれども、その前に池田外務大臣訪米をしてクリントン大統領、ゴア副大統領その他閣僚とお会いになって相当地ならしをしてこられたわけですし、また、総理も明後日から出かける。その間にいろいろな政府の高官が行き来しておりますから、アメリカも相当真剣に今度は対応されると思いますけれども、この問題についてはやはり総理の勇断というか、それが非常に求められていると思うのですね。そういう点でひとつ、四月にクリントンが来日をして、私は本当の意味で目に見える形での前進というものを期待しているわけですが、外務大臣の見解を伺いたいと思います。
  8. 池田行彦

    池田国務大臣 沖縄基地整理統合縮小につきましては、今委員指摘のように、本当に実質的に沖縄県民の方々の耐え忍んでいただいております御負担を軽減していくということで何とか具体的な成果を上げたい、こういうことで、現在日米双方とも本当に真剣に作業に取り組んでおるところでございます。  今御指摘のございました私自身の訪米、あるいは今週末に総理クリントン大統領とお会いになる、そういったいろいろなことがございますが、基地問題についてはむしろ具体的に昨年の秋に特別行動委員会、いわゆるSACOOというものをつくりまして、ここで非常に真剣に精力的な作業を進めておるところでございます。この作業は、ことしの秋を目途に具体的な成果を上げる、こういう目標でやっておりますが、その前にやはり大統領訪日ということは一つの大きな節目でございますので、それまでに精力的に作業を進めてまいりまして、それまでの作業を踏まえて、その際の共同文書にも沖縄基地の問題についてしかるべく何らかの言及をするようにしたい、このように考えている次第でございます。  ただ、具体的にここの基地とかこの事案という御指摘がございましたけれども、これはただいま申し上げましたような精力的な作業の結果として一体何ができるかということでございますので、今の段階であそこ、ここということは申し上げるのは控えさせていただきたいと思いますが、我が国総理以下全員、本当に真剣に取り組んでおりますし、米側においても同じような姿勢であるということを御理解いただきたいと思います。
  9. 小杉隆

    小杉委員 ぜひ、四月初旬のクリントン訪日のときに、一つでも具体的な何かそういう点についての言及期待したい、そのように努力をしていただきたいと思います。特に私は、今、日米特別行動委員会でいろいろ協議しております中で、演習に伴う環境問題、騒音問題、これはやはり、私もドイツとかイギリスなどヨーロッパに駐留している米軍演習実態なんかも聞いておりますけれども、そういうヨーロッパと同じような配慮をもっと強く米軍に求めるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  10. 池田行彦

    池田国務大臣 基地統合あるいは縮小につきましては先ほど申し上げたとおりでございますけれども、今御指摘騒音問題等基地の存在あるいは米軍の駐留に伴う諸問題につきましても、これは本当に実質的に軽減を図っていかなければいけないということで、いろいろな協議会、これも新設された沖縄県と国との協議の場でございますが、そこでもいろいろ意見が出されております。そういったものも頭に入れながら、特別行動委員会におきまして、もう既に何度か検討をし、またさらにはその中において個別の問題についてワーキングパーティーみたいなものをつくったりしたケースもございます。そうして、本当にこういったものにつきましては、できるものから着実に実効のあるように対処してまいる、こういう姿勢で臨んでおるところでございます。
  11. 小杉隆

    小杉委員 次に、旧ユーゴ問題について申し上げたいと思います。  私は、この旧ユーゴ地域には一昨年も昨年も訪問してまいりましたが、今回和平が成立をして、昨年の暮れにロンドンで和平履行会議が開かれまして、我が国としても支援を約束をしたわけであります。つい数日前に日本政府調査団が帰国をされたわけでありますが、今後復興に必要な金額は、世界銀行の試算によると約五十一億ドルというふうに言われております。日本はそのうちどのぐらいの負担をするつもりなのか。現在の国の財政状況を見ますと余り過大な分担金負担というのは国民が納得しないというふうに思いますので、私は、むしろ金額、お金だけの貢献ではなくて、人的な貢献、例えば六月から九月に選挙が行われるわけですが、その選挙監視団派遣とかあるいは経済復興のための技術協力とか人材の育成とか、そういう面での協力が必要だと思うのですが、外務大臣のお考えを伺いたいと思います。
  12. 池田行彦

    池田国務大臣 旧ユーゴに対する支援につきましては、我が国運営委員会一員となりまして積極的に取り組んでまいりたい、こういう姿勢でおるところでございます。また、委員指摘のとおり、サラエボに派遣いたしました経済協力関係調査団が十八日に帰ってまいりました。この報告もよく聞きましてこれからの方針を進めてまいりたい、こう思っておりますが、御承知のとおり、基本的に、やはり欧州諸国がこの地域のことについては第一義的なと申しましょうか、主たる責任を負うべきものであると思っております。しかしながら、我が国としても、国際社会における我が国の果たすべき役割という観点から、これは適切かつ応分の支援策を講じてまいりたいと思っております。  五十一億ドルと世銀が推定しております復興援助の中でどの程度のものをというのは、これからの検討の結果を待たなければならぬわけでございますが、御指摘にもございましたように、やはり我が国国民負担という観点考えなければなりません。そういった観点考えるならば、人的な面での寄与、貢献というものを大切にしなくちゃいけないということで、既に今具体的に進めておりますのは、民生面支援の調整に当たっておりますビルト上級代表というのがおりますが、そこの事務所に我が国から専門家派遣しようということもやっておりますし、また今御指摘のございました選挙監視団あるいは技術協力面での人的貢献というものも積極的に取り組み、進めてまいりたい、こう考えております。
  13. 小杉隆

    小杉委員 五十一億ドルのうち、日本が今国連分担金がたしか一三%か一四%だと思うのですが、その率でいきますと、七億ドル以上になってしまうわけですね。だから、今大臣が言われたように、この地域としてはやはり欧州が第一義的に責任を負うべきだと考えますので、国連分担金並み負担割合では、日本としてはいかがなものかと私は思いますので、その点は、財政支援のみならず、今言われたような人的な貢献という面も重要視して対処していただきたい。  私は、旧ユーゴ地域に行って、日本に対する期待感というのが非常に強いことを肌で感じてきました。あの紛争中であっても、ヨーロッパ民間企業はどんどんひそかに入り込んで、もし和平になったらどういうふうなビジネスをやろうかというようなことを盛んにやっておりまして、さすが早いなと思ったわけです。私は、やはり民間レベル復興支援について乗り出すべきであると思いますし、通産省としても対応考えていかなければいかぬと思うのですが、どう対応しようとしているか、聞かせてください。
  14. 東郷洋一

    東郷説明員 お答えいたします。  御指摘のとおり、当該地域との経済関係活性化を図るためには、我が国民間企業が現状を十分把握しまして、貿易投資を真剣に検討することが重要と我々も思っております。  日本には、民間レベル当該地域との経済関係活性化を図る組織としまして日本アドリア経済委員会が設立されておりまして、ロシア東欧貿易会がその事務局を務めております。この経済委員会が、先般の和平合意を受けまして旧ユーゴ地域へのミッション派遣を現在検討しておりまして、通産省としても積極的に協力していきたいと考えております。
  15. 小杉隆

    小杉委員 それから、難民支援を初め、NGO世界各国から相当いろいろ入って協力をしている実態を私も見てまいりましたけれども、日本としてもNGOレベルでの協力を推進すべきだと思うのですが、外務大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  16. 池田行彦

    池田国務大臣 政府としての援助活動はもとよりでございますけれども、NGO援助活動というものが非常に広範に最近展開されておりますし、特にグラスルーツ草の根段階にまで浸透する、そういった意味で、これは政府援助にはない特色を非常に持っているということで、この活動に積極的に支援を行わなくちゃいかぬと思っております。  旧ユーゴ地域においても、もう既に幾つかの団体がいろいろ活動をしておられます。そういったことで、我々としても支援をしたいと思っておりまして、もう既にたしか三団体、十二事業につきまして八千万円強の支援を行っているところでございますが、今後ともNGOの自主的な活動を見ながら、一層の支援に努めてまいりたい、このように考えているところでございます。
  17. 小杉隆

    小杉委員 同じ難民に対しても結構差別があるのですね。セルビア人難民にはちょっと薄くというような風潮が、特に欧米諸国の、国の支援の場合ですけれども、多いのです。そういう人道支援は民族によって差別をしない、公平なものでなければいけないと私は思いますが、その辺はひとつ心してやっていただきたいと思います。  それでは、次にASEMについて伺いたいと思います。  今度、三月の一、二日にバンコクで第一回アジア欧州首脳会議ASEMが開かれるわけです。これは、アジア及びASEAN地域ヨーロッパ協力体制を構築する大変重要な意味を持っていると私は思います。従来、ASEANEUあるいは韓国EU、もちろん日本EUというふうな個別の二国地域間の対話はありましたけれども、今回新たにそういう、アジア地域をもう少し広く包含をした、ASEANプラス日韓中、これにヨーロッパの十五カ国を加えた二十五カ国で構成するわけですが、これをつくる意義及びそれに対する日本スタンスについて、外務大臣の所見を伺いたいと思います。
  18. 池田行彦

    池田国務大臣 これから二十一世紀に向かっての世界というものを展望いたしました場合に、やはりヨーロッパ、そして北米地域、そしてアジア、この三つが大きな力を持ち、そして地球世界全体の安定とさらなる発展を支えていく大きな力になるんだと思います。それだけに、そういった三つの、いわばセンターの間のつながりというものが大切であるわけでございますが、これまで、その中でもヨーロッパアジアとの間のつながりというのが、どちらかというと、ほかのところに比べまして相対的に希薄な面があったということは否定できないと思います。  もとより、今御指摘のように個別の、例えば日欧等つながりはあるわけでございますが、それを今回アジア側十か国、ASEAN七カ国に日中韓、それから先方EU諸国、さらにEC委員会含めてこういった場ができるということは、いわばその両地域間の対話協力を強化するための包括的なパートナーシップが構築される、こういうことで大変な意義があるんだ、このように考えております。  今回は初回の会合でございますので、まず両地域首脳レベルで、政治から安全保障から経済、さらには文化等々、広範な面にわたって共通認識を構築していくということを目的として、自由なディスカッションをしていただこうかなとか、こういうふうに考えておるところでございます。  そういったものを踏まえながら、さらに第二回等々ございますとまた具体的なアジェンダなどもつくって取り組んでいくことになろうかと思いますが、今回はまずそういった共通の場を構築する、そして共通認識をつくっていく、こういうふうな考えでおりまして、先般二月の初めに外相レベルアジア側のいろいろな打ち合わせをいたしましたが、私といたしましてもそういった日本考え方をお話ししまして理解を得たところでございます。三月の会合におきましてもそのように取り組んでまいりたいと思います。
  19. 小杉隆

    小杉委員 日本としてどういうスタンスで臨むかということは、私は大変難しいと思うのです。あるときはヨーロッパと一緒になってASEAN諸国に対処するというケースもあるでしょうし、またアジア一員としてASEAN諸国協力してEUに対処する、こういう側面等あると思うのですね。この点は、やはり日本がどういうスタンスASEMというものに対応していくか、これは今後ともよく我々の意見も聞きながら進めていただきたいなということを要望しておきます。  それでは、国際緊急援助隊について質問をしたいと思います。  二月十七日の十五時ごろ、つまり今から四日前に、インドネシアのイリアンジャヤ、ビアク島沖合でマグニチュード七から八という大地震が発生をして、インドネシア政府の発表によると、死者四十二名、行方不明者三十四名、重傷者三十九名、倒壊家屋二千二百九十五棟と伝えられております。けさのテレビ報道なんかを見ましても、なかなかその復旧がはかばかしくいかないという状況のようです。総理からスハルト大統領池田外務大臣からアラタス外務大臣にお見舞いの電報を発したところですけれども、先方からの救援の要請はなかったということです。  しかし、国際緊急援助隊は八七年に設立されて、警察官や、消防署あるいは自衛隊、お医者さん、看護婦さん、約三千五百人が登録されて待機をしている。過去三十二回出動経験があって、日本としても目に見える世界への貢献ということで期待をされてきたわけですけれども、最近どうも出番がなくて開店休業だというようなことが言われています。最近では九二、九三年が三件ずつ、九四年が一件、昨年は北朝鮮の洪水や中国雲南省地震がありましたけれども、ついに出動に至らず、こういうことでありまして、今回のインドネシア地震も、もう数日がたっているわけです。  私は、緊急援助隊の構想はよかったのですけれども、実際にこれが出動ができないという、そこに何か問題があるんじゃないかというふうに思うのです。私も担当者からいろいろ悩みを聞きましたけれども、外国に打診してもすぐ答えが返ってこない、要請がない、こういうことで行けないということなんですが、私は、官と官ですとなかなか、ちょっと融通がきかないというか、時間がかかるというか、そういうところがありますので、新たにこれは提案なんですけれども、民間ネットワークをもう少し活用できないかということを考えたいわけです。今、海外青年協力隊とか、あるいは全世界でもNGOがいろいろなところで活躍をしているわけですね。そういう人たちとのネットワークを活用すれば、私はもうちょっと機動的な素早い行動ができるのではないかというふうに思うわけです。  最近、外務省もいろいろ草の根無償とかNGOに対する補助も出しておりますし、郵便貯金でもシルバーボランティアとか、あるいは環境事業団もやっております。そういうことで、もう少し新しい、政府政府だけでなくて、民間NGOを含めた一つネットワークというものをやっていませんと、なかなか実際に出動はできないのではないかということ。この民民協力体制づくりにぜひ取り組んでもらいたいと思うのですが、外務大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  20. 池田行彦

    池田国務大臣 御指摘のとおり、緊急援助隊派遣要請が近年減少傾向にあるところは、私どもも何とか対策を講じなければと思っておるところでございます。今回も、インドネシア災害、その前の中国災害に際しましても、我が国はいち早く支援の準備があるぞということを申し入れたわけでございますけれども、残念ながら要請がない。むしろ物資とか資金の面での要請ということであったわけでございます。これは一応、要請主義に立っていることでございますし、やはり緊急援助隊となるとなかなか受け入れ国側でも、人手がかかるのではないか、こういうふうな思いがございまして最近要請が減っているのではないかと思います。  しかし、我が国緊急援助隊は、被災国には御負担をかけない、こういうことを原則としておりますので、このあたりをよく説明し各国理解を深めていくということも、ひとつやらなければいけないと思います。  それと同時に、今御指摘のございましたNGO活動でございますが、これは機動的に動けるということで、政府のものにはない特性もございますので、そういうことをよく考えながら、これまでもいわゆるNGOに対する補助金等を交付しておりますが、それを単に金額を増額するというのではなくて、やり方についても創意工夫を凝らしてまいりたい、こう思っております。
  21. 小杉隆

    小杉委員 よろしくお願いします。ありがとうございました。
  22. 関谷勝嗣

    関谷委員長 次に、秋葉忠利君。
  23. 秋葉忠利

    秋葉委員 本日は、主に人権関連の問題を何点か伺いたいと思います。  まず最初に沖縄ですけれども、これは人権の視点からということになるかどうかちょっとわかりませんが、非常に深い関連のあるところだと思いますので、伺いたいと思います。  これは、昨年九月のアメリカ兵による少女暴行事件、これが端緒になって沖縄関心が集まったわけですけれども、これは河野大臣にも伺いましたけれども、その件に関してクリントン大統領あるいはモンデール大使から謝罪といいますか、申しわけなかったという意思表示があったわけですが、外務省としては、この意思表示被害者少女あるいはその家族に対してどのような形で伝えたのか。あるいは、ただ単にこれはマスコミの報道だけに任せておいて、いわば日本国民代表として外務省外国政府なり大使なりからそれを聞いたということは被害者本人には直接伝えていないのか。その点について、改めて確認をしたいと思います。
  24. 池田行彦

    池田国務大臣 委員指摘のとおり、大変残念な忌まわしい事件が起こりまして、その後、米側におきましては、この事件に関して繰り返し遺憾の意を表明するとともに、陳謝してきたところでございます。特にクリントン大統領は、昨年十一月十七日の米国内におけるインタビューにおきまして、米国民代表して、我々が日本国民と同じ怒りと痛みを分かち合っていることを日本の方々にわかってもらいたい、私個人からも遺憾の意及び憤りを感じていることを被害者の御家族、若い女性、そして沖縄の人々に対して表明したいといったことを大統領が述べておられます。  そして、このことを被害者御自身及び御家族に外務省としてお届けしたのか、こういう御質問でございますが、本件につきましては、被害者御本人の個人のプライバシーにかかわる問題でございまして、本人のお名前、住所等は一切公表されていない、こういうふうな事情にございます。そういったことでございますので、その御本人あるいはその御家族に外務省から直接お伝えするということはいたしておりません。  他方、事件発生後、モンデール駐日大使から大田県知事に対しまして直接陳謝の意を表明しておりますし、また海兵隊の副司令官も金武町の町長さんに対して同様のことをしておる、こういうふうに承知しておるところでございます。
  25. 秋葉忠利

    秋葉委員 アメリカ側の陳謝の意向を本人あるいは家族に届けることと、御本人あるいは家族の名前とか住所を公表することとは全く別問題だと思います。公表しないと届けられないのですか。
  26. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど申しましたように、米側からのたび重なる遺憾の意の表明並びに陳謝という点につきましては、我が国において米国を代表いたします特命全権大使であるモンデール大使から直接大田県知事にも表明されておるということ、あるいは米軍責任者からもそういうことがされているということがございます。そうしてまた、米大統領の遺憾の意の表明というのは、先ほど御答弁申し上げましたとおり、インタビューという公開の場を通じてなされたものでございまして、そのことはそういった形で沖縄の方々、また当事者の方々にも広く伝わっているものだと思いますので、先ほど申しましたようなプライバシーの観点から申しまして、外務省として、直接、そのインタビューにおいて表明された大統領の意思というものを、既に伝わっているものを、改めて外務省から申し上げるということはどうなのかな、こう考える次第でございます。
  27. 秋葉忠利

    秋葉委員 ほかの問題に移りたいのでこれ以上申し上げませんけれども、伝わっているだろうから何も言わないでいいというのは、いわばアジア的な礼儀というところから考えても、やはり非常に大きな問題があるのではないかと思います。今までそういっ.たことをしてこなかったというのは、前回私が伺ったときの質問でも今回でも非常にはっきりしていますけれども、この種の問題、やはり被害を受けた方々あるいは家族といった人たちの気持ちを考えたときに、やはり新聞辞令で事が済んだというふうに考えるのは全く十分な対応ではないというふうに私は思います。外務省としても、今後このような問題が起こらないことがもちろん望ましいわけですけれども、何らかの形での外国の正式な意思の表明、謝罪その他、いろいろな形があると思いますが、それを、プライバシーを侵さない形で迅速、かつ丁寧な形で当事者に伝えるということをぜひ検討をしていただきたい。そのくらいのことをするのにそれほど時間はかからないと思います。  しかしながら、その効果というのは、日米関係あるいは今後起こるであろういろいろな国との関係において、やはり非常に大きな意味があるというふうに私は考えますので、その誠意をきちんと伝える方法というのを日本国内においてもぜひ考えていただきたいと思います。  人権の問題で、先ほどはプライバシー、人権といった観点からこれはやっていないんだという説明がありましたけれども、それがただ単に言いわけではなくて、本当に人権に対する考慮をしていらっしゃるという前提で伺いますけれども、アジアにおいて人権の問題が大きな問題の一つであるということは皆さん御存じのとおりだと思いますけれども、中でも、中国において魏京生さんの問題というのがこのところ大きく取り上げられております。  改めて申し上げるまでもないと思いますけれども、民主の壁運動の先頭に立った、中国の民主化運動のリーダーの一人ですけれども、言論の自由、それから民主主義といったことを掲げてさまざまな活動をしてきた人です。  一九七九年の三月に懲役十五年、これは反革命罪というのでしょうか、そういったもので刑を受けて、一九九三年に仮釈放されましたけれども、九四年に再び拘束され、そして九五年の十一月二十一日に逮捕され、さらには昨年十二月十三日、北京の中級人民法院で懲役十四年の刑を受けて、その後服役という形です。  その判決文も読みましたし、マスコミの報道を通して魏京生さんの活動を追ってきたつもりですけれども、例えば、民主化運動を行うためにお金を集めなくてはいけないという努力をした、あるいは文書をつくるためにパソコンでいろいろなものをつくりそれをコピーして送った、あるいは現代美術展を開こうというようなことをした、そういったことが罪状に挙げられているわけですけれども、こういったことを考えても、少なくとも日本の常識では、これが例えば国家転覆の罪に相当するとはとても考えられない状況です。世界的にもかなり多くの国そして人がこの魏京生さんの処遇について批判を行っていますし、中国政府に対してその旨表明をいたしております。  まずこの問題について、日本政府としてはどういうふうに現状を認識しておられるのか、その点をまず伺いたいと思います。
  28. 池田行彦

    池田国務大臣 我が国といたしましては、人権という問題は国際社会の普遍的な価値である、そうして、いずれの国におきましても、人権状態がよりよい方向へ改善されていくための努力をしていくことが大変大切である、このように考えております。  中国に対しましても、さまざまな機会をとらえてそのような我が国考え方を伝えておるところでございまして、昨年、当時の村山総理中国を訪れられましたときにも、そういった我が国の立場を表明したところでございます。そして、こうした分野で、人権の分野におきましても、中国が積極的な対応をとっていくということが、その中国の国際的な関係の一層の発展にも寄与する、こういうことを申し上げているところでございます。
  29. 秋葉忠利

    秋葉委員 現在服役中とされている魏京生氏の状態ですけれども、例えば、その刑務所の中には、少なくとも彼の周りには暖房施設がない、以前はあったものが取り除かれてしまって、健康上にも非常に大きな問題があるといった報道もなされておりますけれども、魏京生氏の問題について、特に中国政府に対してこういった、最低限健康上の改善を行うとか、あるいはもっと踏み込んで、これは人権じゅうりんではないかといった疑問を呈する、最低限そのくらいのことはできると思いますけれども、そういったことをされたのかどうか、あるいは魏京生氏問題についての何らかの発言があったのかどうか、これからするつもりなのかどうか、伺いたいと思います。
  30. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 魏京生氏の件については、我々としても中国側にさまざまな対話の機会をとらえてこれを提起しているという経緯がございます。  今までどういう措置をとり、またこれからどういうふうに対応していくかという件についてでございますけれども、人権の問題で中国に働きかけていくには、幾つかそれはアプローチというものがあろうかと思います。国によりそのアプローチに若干の差があることもあろうかと思います。  いずれにいたしましても、私たちとしての基本は、中国みずからが人権の重要性ということをみずからの認識として持つ、中国が改革・開放政策というのを進めていく上にはそれを担保するための一定の国際環境が必要とされるわけでありますから、そういう側面からも人権の問題の重要性を中国として認識するということが重要だと実は思っているわけでございまして、具体的ケースについて、例えば中国に何らかの形で提起した場合にただ反発を呼ぶということにならないように、今申し上げましたような考え方に基づくアプローチというものを考案する余地があるのではないか。また、そういう考え方に従ってこれまで中国対話を行ってきているという経緯もある。こういうことでございます。
  31. 秋葉忠利

    秋葉委員 それに関連して、実はASEMでもこの人権の問題が話題になっております。ヨーロッパ側は、人権宣言なり人権についての態度表明といいますか、そういったものを議長声明に盛り込むように要求したという報道がなされております。最終的には個別の問題については触れないということだと思いますけれども、今おっしゃったように、例えば中国に対しても、あるいはアジア全体と考えてもいいかもしれませんけれども、特にアジアにおいてはヨーロッパ人権に対する考え方が違うのだということを主張するのであれば、例えばこのASEMといったような場において日本が、それは議長声明に盛り込むことはしないでもいいという態度を表明してもいいと思いますけれども、同時に、世界に対して、それではアジアにおける人権意識というのはどういうものなのか、それをわかりやすく、しかも内容は違っているけれども納得ができるといったような形で、まとめてこれを整理して、きちんと説明をする義務があるのではないかと思います。  特に、先ほどの小杉議員の質問にもありましたように、日本は、そういう意味で、ヨーロッパアジアとの間の仲介といいますか、ちょうど真ん中に位置しているような認識がありますから、そういった形で、例えばこのASEMにおいてアジア人権意識、アジアにおける人権観とはどういうものか、それをアジアにおいてまとめて、そしてヨーロッパの国々にきちんと説明ができるような、そういう、例えば全く別の人権フォーラムでもいいですし人権グループでもいいのですけれども、何かそういったものを設定して、日本がリーダーになってまとめるといったような方向での提案をする、そういうことも考えられると思いますけれども、外務省はこのASEMにおける日本人権の場における役割をどういうふうに認識されているのか、簡単に伺いたいと思います。
  32. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 ASEMでございますが、既に大臣からも申されましたように、第一回の会合アジア欧州地域の二十六名の首脳が一堂に会して、その両地域間の対話協力の強化のための新しい包括的なパートナーシップの構築を目指す、そういう基本的な目的があるのだろうと思います。したがいまして、初回の会合において求められているものは、まず両地域首脳レベル共通認識の確立に努めることではなかろうかと思うわけで、そういう枠組みのもとにおいていろいろな問題というものが均衡のとれた形で提起されるということが望ましい、こういうことなのだろうと思うのです。参加各国の首脳が人権問題について言及をすることは、それぞれの首脳の判断にゆだねられるべき問題であると思っております。  他方、アジア欧州会合というものの、特に第一回の会合が今のような目的を持つものであるといたしますと、特定の人権問題について、これを均衡を欠いた形で取り上げるということになりますと、会合全体の趣旨に何らかの悪影響を及ぼすおそれもあるのではないか、その点については注意深い対応が必要であるということなのではなかろうかと思うのでございます。二月の初旬にタイで開催されたアジア側の外相会合においても、人権問題に関するこうした取り上げ方についてアジア側ではおおむね意見が一致したという事実があったと理解いたしております。
  33. 秋葉忠利

    秋葉委員 今おっしゃったことはもう既に報道もされていますし、わかっていることだったから聞かなかったのですが、聞かないことに答えられても話が全然違うので、時間がありませんから後できちんと申し上げますけれども、具体的な提案をしたのですから、それは検討をして、前向きに取り計らってください。  人権問題について各国出席者の発言にゆだねるということですから、日本側の出席者としては先ほど申し上げたような人権フォーラムみたいなものをつくるということを提案したらどうか、それを申し上げているので、その前のところをくどくど言われても全く答えにはなりません。  時間がありませんので、あと一つ、二つ、問題提起をしたいので、次の問題に移りたいと思います。  東ティモールですけれども、これは河野前外務大臣が昨年、国連事務総長の介入といったような形で平和的に早期に解決することが望ましいという発言をされています。それを受けて、東ティモール問題を考える議員懇談会というのがあるのですが、私たちのグループで、まず一つは、オーストラリアあるいはスウェーデンの政府が行ったように、国連事務総長が仲介をするに当たってやはり資金が問題になりますから、資金的な援助をしたらどうか。それから第二番目として、この問題について、例えばカンボジア和平会議のように、日本でこの東ティモール問題に関連のあるさまざまなグループが集って会合をする、そこで解決策を模索するといったような形の会議を東京で開催する、そういった音頭をとったらどうかということを昨年提案いたしました。その後、明石さんが東ティモール問題についての特別顧問になられるという報道もありましたので、なお日本の立場、国連を支えるという日本の立場が強くなったのではないかと思いますけれども、こういった具体的な提案について、あるいは明石さんとの連携プレーを行うことによって東ティモール問題を平和的にしかも迅速に解決するために一体どういうことができると外務省考えているのか、どういったことをしたいというふうに考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  34. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 まず冒頭私から申し上げまして、次いで社会協力部長からも補足させたいと思います。  日本は、御承知のとおり国連事務総長の仲介努力というのを支持しております。東ティモールの包括対話についても、その促進のためにどういう協力が可能か引き続き検討していきたいと思っております。今春、国連による人権分野での東ティモール問題についての協力活動が行われることとなりました場合には、国連人権センターに対する拠出等を通じて我が国としての支援というものを行ってまいりたいと考えております。
  35. 朝海和夫

    ○朝海政府委員 国連との関係では、御指摘のガリ事務総長の動きもございますし、御承知かと思いますが、昨年十二月に国連人権センターのアヤラ・ラッソ高等弁務官がインドネシアを訪問してインドネシア側と話し合っておられます。  したがいまして、現在のところ、例えばこのアヤラ・ラッソ高等弁務官の話を通じて具体的にどういうことになるのか私ども注目しておりまして、必ずしもまだ今現在は具体化しておりませんけれども、何らかの作業が具体化した場合においては国連人権センターに対する私どもの拠出を通じて支援してまいりたいと考えております。
  36. 秋葉忠利

    秋葉委員 ありがとうございました。  時間が来てしまいましたので、実はもう一つ、子どもの権利条約について質問したかったのですが、大変申しわけありません、文部省の方にもせっかく来ていただいて。別の機会に子どもの権利条約については質問したいと思います。  これで質問を終わります。
  37. 関谷勝嗣

    関谷委員長 前原誠司君。
  38. 前原誠司

    ○前原委員 まず北朝鮮の情勢認識について御質問させていただきたいと思います。  御承知のように、北朝鮮は構造的な問題での食糧不足、また、それに水害が加わりまして非常に深刻な状況であるということが、国連の機関からも、あるいは現地に入った方々からも漏れ伝わっております。また、燃料の不足といったこともありまして、北朝鮮の国民生活においては、大変苦しい思いを国民の方々がされている状況ではないかということが推測をされています。また、定期的に軍の集結が三十八度線近くにあるということでありますけれども、それが、訓練等々が終わっても通例のようには下がらないというふうな、いつもと違った情報もあります。また、先日はピョンヤンで、しかも北朝鮮の中枢部で亡命騒ぎがありまして、射殺事件等々が起きるという、内政も不安を抱えるような話が漏れ伝わってきております。  そこで、お伺いをいたしますけれども、今の北朝鮮の食糧問題についての情勢認識、また、金正日体制というものが確固とした基盤を固めているのかどうなのかということについて、大臣の御所見をまずお伺いしたいと思います。
  39. 池田行彦

    池田国務大臣 前原委員指摘のとおり、北朝鮮における食糧の不足という問題は、昨年の大変な異常気象に基づく水害という要因もございましたけれども、それ以前に構造的なものがあるのではないかという推測は多くの方面からなされているところでございます。そしてまた、燃料その他の面でも、国民生活を支える基本的な物資等の不足も顕著なようでございます。私どもはそのように見ておりますけれども、ただ、一方におきまして、最近、国際機関に対する食糧の援助の要請を取り下げる、こんな動きもありますので、一体それがどの程度のものかという点についてはなかなか確たる情報が得られないというのがこの地域状況だ、こう考えている次第でございます。  そういったことに加えまして、先ほど委員指摘になりましたようないろいろな、亡命あるいは軍の動き等いろいろございますので、そういった北朝鮮の動きにつきましてはこれからも極めて注意深く見守ってまいらなくちゃいけない、このように考えております。  それからもう一点、政権の基盤はどうか、これもまだ内実はよくわからないところなんでございますけれども、すぐれて政治的なといいましょうか、いわば狭い意味での政治の世界でどうかといいますと、今の政権が近いうちにどうこうということはなかなか言えないのじゃないのかな。狭い政治の世界の中ではそれなりの基盤を持っているのではないかという見方が一般的ではないかと存じます。  しかしながら、先ほど申しましたような経済的なあるいは社会的な情勢全般を考えますと、やはり北朝鮮の政治の体制がこれからどういうふうに展開していくか、この点も注意深く見守らなくちゃいかぬ、こういうふうに考えておるところでございます。
  40. 前原誠司

    ○前原委員 大臣が今御答弁されましたように、狭い意味での政治的な基盤はできているかもしれませんけれども、全体で見れば、食糧の問題あるいは全般の経済的な問題等々で不安定な要素が多いという判断をされました。  そこで、じゃ一体、日本方針として、対北朝鮮政策をどのように進めていくかという大方針がなければいけないのではないかと思います。  先般、我が党の堂本暁子議員が訪朝をいたしまして、水害の現場等々、あるいは全容淳氏との会談を通じまして、いろいろ北朝鮮の情勢分析をして帰ってこられました。その中でおっしゃっていたのが、食糧不足それから燃料等の不足といったことで市民生活というものは非常に低レベルにあるのではないか。しかも、対外的な活路として万が一南進という軍事的な行動をとった場合に、客観的に見れば北朝鮮に分があるとは私には全く思えませんけれども、かつての日本がそうであったように、少しの確率でもあれば内政の問題というものを対外的に求めるという可能性もこれはないわけではないわけでありまして、そういった意味で、近隣諸国であるがゆえに北朝鮮の動向に非常に警戒心を持って、日本方針というものを確固として持たなくてはいけないと私は思います。そこからすべての、例えば食糧援助とか、あるいは韓国アメリカとの連動とか、そういうものが生まれてくるのではないかと思います。  そういった意味で御質問したいわけでありますけれども、大臣として、北朝鮮がどうあってほしいのか。つまり、金正日体制というものを支えていこうとするのか、あるいは今の閉鎖的な社会ではなくて、ある程度我々に対して情報を公開して、そしてまた交流等々も行われていくような、開かれた社会になるように日本としては求めていきたいのか、その点について御答弁をいただきたいと思います。
  41. 池田行彦

    池田国務大臣 委員指摘のとおり、北朝鮮がこれからどうなっていくか、このことは我が国にとりましても非常に大きな関心事でございます。しかし、朝鮮半島の将来をどうするかという問題は、まず第一に当事者である南北の対話を通じて平和裏に解決を図られるというのが基本だ、こう考えております。  そして、我々が望む体制といいましょうか、その姿としては、御指摘にもございましたけれども、現在のような極めて閉鎖的な社会ではなくて、何といいましょうか、国際社会に開かれた姿に持っていく、これが理想だと思いますけれども、それを進めていく一番の道は南北対話であると思います。日本といたしましても、そういった南北対話を通ずる平和的な解決ができるような環境を、あるいは条件を整えていくためにいろいろな努力はしてまいらなくちゃいかぬ、こういうふうに考えております。  それといま一つ我が国としては、国交が今不正常な関係にございますので、国交関係がございませんから、日朝の国交関係正常化の努力はしていかなくちゃならぬ、こういう立場もあるわけでございます。
  42. 前原誠司

    ○前原委員 確かに、南北統一という大きなテーマになりますならば、大臣がおっしゃるように当事者間での話し合いというものになろうかと思います。ただ、現状認識においては、北朝鮮は、日米韓でいいますと、まずアメリカ、そして日本、そして最後に韓国というような優先順位での話し合いを進めているように私には思えます。そういった情勢を考えて、突発事故やあるいは不測の事態が起こらないために日本としては何ができるのかということは、今大臣おっしゃったように、より開かれた社会へ北朝鮮が変わるように日本としては努力をしたい、そういう方針を持っておられるということでありまして、その点については賛成であります。  そういう前提で、次は、日朝国交正常化交渉へ臨む姿勢というものについて御質問したいと思います。  昨年の三月の終わりに、亡くなられました渡辺美智雄先生を団長とする与党三党の訪朝団が行きまして、国交正常化交渉を開始しようというふうな話し合いをされてこられました。しかし、それからもう一年近くたっておりますけれども、今は実際的な糸口すらつかめていないような状況であります。北朝鮮の腰が引けているのか、あるいは日本側の腰が引けているのか。もちろん一義的には判断のできない問題でありますけれども、いろいろと私は情勢を判断しておりますと、日朝正常化交渉についてはむしろ日本の方が腰が引けているというふうに思います。  その一つの大きな原因は、やはり対韓国の問題にあるのではないかと思います。日朝正常化交渉については韓国と歩調を合わせてほしいということは確かに言われます。米の支援の問題についてもぎくしゃくしたことは、これは御承知のとおりであります。しかし、外交というものは、国の大方針を決めた場合に、先ほど大臣がおっしゃったように、北朝鮮をいかに開かれた、そしてより安心感の持てる社会へと、変えていくと言ったら語弊のある言い方でありますけれども、そういうふうに持っていく努力日本もしていくかということになれば、今、現に北朝鮮側がアメリカあるいは日本というところを窓口といいますか。パートナーとして交渉をしたがっている、韓国とはまだそういう機運が盛り上がっていない状況にあれば、余り韓国の動向に気をとられ過ぎてこちらが腰が引ける、客観的に見ればそういうふうな形になっていること自体は、私は日本外交として一貫性に欠けるんではないか、きつい言い方でありますけれども、そういうふうに思えるわけであります。  そこで、与党が昨年三月の終わりに行って、なお日朝交渉が始まらない原因はどこにあるのか、そしてこれからどうされようとしているのかということについて御質問させていただきたいと思います。
  43. 池田行彦

    池田国務大臣 北朝鮮を、先ほど申しましたように、より開かれた体制に持っていく、できれば国際社会になるべくソフトな形でランディングさせるという努力は、我が国だけじゃなくて、関心を有する各国がそのような方向にいざなっていかなくちゃいけないんだと思います。そして、その中心的な役割を果たすのは、それはやはり韓国であるべきだと思います。南北対話を通じてやるのが本当だと思います。  そういった意味で、先ほど委員が御指摘になりましたが、北朝鮮においてむしろ米日との接触を優先してということがあるとするならば、それは北朝鮮の側にも、やはり半島問題を解決する一番の大きな道は南北対話なんであろうということを理解させるような努力を我々もしなくちゃいかぬのじゃないか、このように考える次第でございます。そういった意味で、私どもとしまして、日本としての北朝鮮に対するいろいろな対策、政策の展開に当たっては、やはり韓国と緊密な連携をとりながら進めていかなくちゃならないという、このことを私どもは大切にしなくちゃいけない、こう考えております。  しかしながら、日朝の国交正常化交渉ということになりますと、これは交渉そのものが、あれこれ前提を置くんじゃなくて、これは進めていかなくちゃならない。もう既に政府交渉も八回にわたって行われたわけでございます。残念ながらここしばらく中断しております。そういったときに、今お話もございました渡辺美智雄先生を団長とする与党の御努力もあったわけでございます。また、そのほかいろいろな方々が心配をしておられるわけでございます。そういったことも踏まえながら、外務省といたしましても、正常化交渉そのものの再開というものは、これはしなくちゃいけないな。  ただ、交渉が始まって、具体的な内容によってどうするかというのは、当然我が国としての立場もございますしまた、先ほど申しましたような観点から、韓国等との連携というものもあり得るんだと思いますけれども、この交渉そのものの再開は早くしなくちゃいけない、こう思っております。  ただ、それがさっばり見えないじゃないかと言われますが、昔、アヒルの水かきなんという言葉がございましたけれども、これは水かきが見えちゃいけませんので、水かきをしているとは申しません。しかし、水かきをする準備といいましょうか、そういった心構えというものは常に持っていなくちゃいけないんだ、こういうふうに考えている次第でございます。
  44. 前原誠司

    ○前原委員 まあ、南北対話が基本であるということは私も十分認識をしていることであります。しかし現状では北朝鮮がなかなかそれに応じようとしない、それで我が国は接触というものがなくて、北朝鮮が食糧の問題あるいは燃料の問題、また別のいろんな社会の問題などでどんどん孤立化をしていく、そして危機に陥っていくということは、いたずらに時間が過ぎていってそういう状況になっていくということは、やはり現実対応として私は原則論に偏り過ぎているんではないかと思います。そういった意味で、国と国が小さなきっかけでも常にパイプを持ち続けて、そして北朝鮮を国際社会へそれこそ引き戻すとか、あるいは国際社会との関係を持ち続けるために日本が大きな役割を果たさなくてはいけないと思います。そういった意味で最後に再度御質問したいのは、日朝正常化交渉について、我が党の堂本議員が行かれたときには、向こう側からもアプローチはありました。そして、新聞報道によりますと、社民党の深田氏が行かれて、北朝鮮側も積極的な姿勢を示されているということがありました。日本としては、ではそれを受けて、いつどのような形で、そしてまずその前提として意欲はあるのか、その点について再度お伺いしたいと思います。
  45. 池田行彦

    池田国務大臣 堂本議員が訪朝されましていろいろなお話があったということは、堂本議員御自身からも私が直接お伺いしたところでございます。また、深田前議員の訪朝というお話も、間接でございますが、伺っております。  そういったことでございますが、まず日本としてもいろいろな努力をしなくちゃいかぬということで、お米あるいはエネルギーの関係をちょっとおっしゃいましたけれども、こういった関係については、御承知のとおり、昨年極めて異例な、人道的観点に立つ特例的なものでもあるけれどもということで、二次にわたり、有償無償含めまして五十万トンの米の支援をしたのは御承知のとおりでございます。ただ、現在の時点におきましては、北朝鮮自身が要請をしているということではないわけでございますし、また我が方にその、昨年のような、いわば余剰の米の在庫があるという状態ではなくなっている、こういうこともございますので考えていない、こういうことでございます。  それから一方、エネルギーの関係につきましては、御承知のとおり、北朝鮮における核の開発が進んじゃいけないということで、例の黒鉛炉による原子力発電所を断念させる、そのかわりにそのエネルギーの、軽水炉を含めてこれをやっていこう、それからつなぎの重油についても措置をしようということが米朝合意、その後のいわゆるKEDOの取り決めによって決まったわけで、その仕組みの中では我が国も役割を果たしていこう、こういうことになっているのは御承知のとおりでございます。  さてそれで、そういったいろいろな努力があるんだけれども、本当に外務省が正常化交渉するかどうかということでございますけれども、それは先ほども申しましたように、心構え、気持ちといたしましては、不正常な関係は正さなくちゃいけない。既に八回の政府間の交渉もやったところでございますので、今後正常化交渉の再開はしょうという心構えは外務省政府としても持っているわけでございますし、それをどういうふうに具体化していくか。先ほど申しましたようなアヒルの水かきの準備行動、準備行動と言っちゃいけないのかな、準備態勢、そういうものがないわけではない。  それからまた、北朝鮮側の姿勢につきましても、堂本議員がおいでになったときにこういうお話があったというような、いろいろな話もございますが、そのほかを含めましても、正常化交渉ができるような環境あるいは雰囲気になったかというと、そこまでは言えないかもしれませんけれども、その雰囲気の前兆めいたものはうかがわれないこともないというぐあいに見ておる次第でございます。
  46. 前原誠司

    ○前原委員 終わります。
  47. 関谷勝嗣

    関谷委員長 中野寛成君。
  48. 中野寛成

    ○中野委員 外務委員会での初質問でございますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。同時に、若干基本的なことから入らせていただきたいと思います。  まず、先般来、総理初め各閣僚の施政方針等をお聞きいたしておりますと、橋本内閣の外交の基本方針は自立外交ということのようでございますが、この自立外交、何からの自立なのか、その自立の基本となる思想は何なのか、まずここからお教えいただきたいと思います。
  49. 池田行彦

    池田国務大臣 橋本総理が自立的な外交ということを打ち出しておられるわけでございますが、これは、我が国がこれからの国際社会に対処していくに当たっての、その理念、姿勢を示しておられるわけでございますが、御承知のとおり、今国家間の相互依存関係が非常に深まっておる、こういう状況でございます。そういった中で、我が国の安全と繁栄の道を確保しながら、さらに国際的な役割も担っていこう、そういった意味我が国のみずからのイニシアチブで行動し、新しい国際秩序の構築に向けて積極的、創造的な役割を果たしていこう、こういうことが自立外交と言っておられることの概念的な意味での内容だ、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  50. 中野寛成

    ○中野委員 自立というのは気負い過ぎると孤立につながりまして、また逆に、皮肉な言い方ですが、今日までの村山政権の外交は自立してなかったのか、こういう感じも受けるわけでございますね。しかし、外交というのは当然、行政すべてそうですが、継続性というものが必要なわけでございますから、そう極端に変わったとは思いませんが、そのニュアンスの違い、個性の違い、どういうところに置いておられるのですか。社会党流が自民党流になったということですか。
  51. 池田行彦

    池田国務大臣 まず、自立が孤立になってはならない、御指摘のとおりだと思います。そういった意味で、先ほども申しましたけれども、各国間の相互依存関係が非常に強まった国際社会の中で、自立と申し上げましたのは、孤立にならないように、きちっとそういったところに心配りをしながら対応していくというふうに御理解いただきたいと存じます。  それから、村山前内閣との関係でございますけれども、もとより御承知のとおり、今回の橋本内閣も、村山内閣の基盤でございました三党の枠組みというものを基礎にして成立したものでございますし、内閣発足に当たりまして、新たにその三党の間で合意をいたして、その中で、基本的に村山内閣における諸政策を継承し、さらに発展していくということを確認したわけでございます。とりわけ外交ということになりますと、これは継続性というものが他の行政あるいは政治の分野にも増して大切である、こういうことは委員御承知のとおりでございますが、そういった意味で、橋本内閣の外交も村山内閣の外交を継承していくものでございます。村山内閣時代に展開されました外交の成果というものをきちっと継承し、さらにそれを発展させていく、こういうふうに考えておるところでございます。
  52. 中野寛成

    ○中野委員 連立政権というのは、我々も経験があるのですけれども、井戸のつるべみたいなところがあって、一方がやろうとするともう一方がちょっと慎重に、一方がやろうとするともう一方が慎重に、間に我が党が滑車の役割を果たしますというと、滑車がさびついて割れたり、なかなか連立というのは難しい。そういう中で、結果的には、新しいことはやらないでおこう、今日までの実態を実際の姿として認めるところから始めよう。そこから進歩するといいのですが、実を言うとそこで停滞してしまうのですね。やはりここはその任に当たる人が、積極的に、いかなることをやろうとするのかということを明確に打ち出して、そして国民にそれを問いかけながら、よく言われるリーダーシップを発揮するしかないと思うのですね。そういう意味では、自立外交というのは何かありそうだなと一見思うのでありますが、まだその実像が見えてこないのですね。  それで、よく日米関係を基軸として、また近隣アジア諸国と仲よくしてと、これは決まり文句でよく使いますね、お互いに。しかしながら、同時に、福田総理でしたか、全方位外交という言葉をお使いになられたことを、私もあのころに初当選したのでいまだに記憶に新しいのでありますが、国連外交というのが極めて重要な意味を持つようになった今日、いかにして世界の国々の支持を得るかということが、これからの日本外交の極めて重要な要素になると思うのですね。  そういたしますと、これは選挙運動ではないけれども、あのワールドカップの誘致運動でもそうでありますが、結局日本が何か大きな役割を果たそうとするときに、世界の国々から支持されるということが必要ですね。また、国連の何かに立候補したときにも、やはり日本に投票してもらうということが大事なわけですね。そうすると、例えば、遠い国ではあるのだけれども、それだけに日本に対して愛着を持ったりあこがれを持ったり、非常に親しみを感じたりしている国々というのがかなりあると思うのです。中南米であったり東欧諸国であったり、そしてまたアフリカであったり。私がよく言いますが、国連というのは、今いろいろな確執がありますけれども、少数の大国と多数の小国との間の葛藤というものもあるのですね。日本はその中間に立って、一体どっちにするの、日本は我々の味方か敵かという目で見られることも多いわけです。  ですから、それらのことをどういうふうにしていくのかということを日本はやはりはっきり明示して、そして、それに対して各国々が支持してくださる。人脈という言葉で置きかえると国脈ですね、国脈を大いに世界じゅうに張りめぐらせていかなければいけない。自己主張が明確であるということ。というのは、国際社会では遠慮というのは通じないのですね。謙虚も通じないのですね。意思表示が明確であるかなしか、それが筋が通っているかどうか、そして、それがそれぞれの国々にとって、また世界の平和にとってメリットになるかどうか、そのことが判断基準になるのですね。ですから、それらについて日本姿勢というものを明確にしていただきたいというふうに思うのでありますが、どうお考えですか。
  53. 池田行彦

    池田国務大臣 前半の方で、委員、連立政権の難しさ、ほうっておけば新しいことをやるのはやめておこうということになりがちだし、なかなか合意をつくりにくいというお話がございました。それは、確かにそういう面は委員御自身も大変御苦労なさったなと思います。しかしながら、日本でも何回かの連立の政権がございまして、その中でいろいろな、皆が苦労をし、そして、連立の中での合意の形成、政策の推進についてもだんだん新しい創意工夫が凝らされてきたのではないか、こう思っております。そういった意味で、今の橋本内閣では、お互いによく話をしながら、これまでの立場に固執するのではなくて、話し合いを通ずる中で、基本的な認識においても、それをもとにした政策の展開においても、新しいものを生み出していく、そういった体制は十分つくり得るし、その方向に向かっていると考えている次第でございます。  さて、後半の方でお話がございました、日米基軸あるいはアジアの国も大切にするということはもとよりだけれども、しかし、多くの国々との関係、特に国連の場での努力が必要ではないか。そのとおりに考えております。現実に今、選挙運動をやっておりまして、安保理事会の常任理事国の話もございますが、当面、ことし非常任理事国に立候補しているわけでございまして、多数の国の御支持を取りつけるために、今大変な努力をしているところでございます。  おっしゃるとおりでございまして、遠い国だからということは考えてはいけないと思います。距離的にもこれだけ地球が狭くなったことでございますし、我々は地球上のあらゆる地域関心を持たなければいけない、いや、我々の生存自身が、地球上のあらゆる国々といいましょうか、人の営みのネットワークの上に立って初めて成り立っているのだ、こういう認識の上に立ってやらなければいけないと思います。  私も外務大臣になってまだ日は浅うございますけれども、今御指摘のございましたような、中南米あるいは東欧、さらにはアフリカの方々がお越しになりまして、いろいろお目にかかっておりまして、私どもが考えている以上に、日本に対する関心、そして日本に対する期待が強いということをひしひしと感じておるところでございます。我々としてもそれにこたえなければならないと思っております。  その際に、おっしゃるとおり、単に我々が幾ら経済協力をする、もちろん経済協力も必要でございますが、経済協力するからどうだこうだという話ではなくて、本当にそういった国々がこれからどういうふうに自分たちの国の安定と繁栄を図っていくかということをしておられる、そういったときに、日本としては、いろいろな経験に基づぐノウハウをお教えしたり、あるいはそういっか国々が努力を進めていく上で必要な国際的な秩序だとか枠組みというものを整えていくという面での日本の役割を求めておるのだと思います。  そして、先ほども申しましたように、自主外歩という点でございますけれども、日米はもとより大切であるけれども、これは世界のかつてのパックス・アメリカーナと言われた時代とは違います。それがいわゆるパックス・コンソーシアに至るのかどうか、いろいろございますけれども、やはり経済的には大きな国ではあるけれどもほかの大国とはちょっと違った持ち味もある日本が、そういった持ち味を生かしながらこれからの国際秩序をつくっていく上での役割が果たせるのじゃないか、そういった面でのリーダーにはなれるのじゃないかということで考えていきたいと思います。  姿勢は謙虚でなければいけませんけれども、沈黙は金ではないということは肝に銘じながら日本の外交を進めてまいりたい、こう思っております。
  54. 中野寛成

    ○中野委員 頑張っていただきたいと思います。  それでは、そろそろ各論に入っていきたいと思います。  日米関係は一言うまでもなく冷戦後のいわゆる同盟関係ですね、日米の同盟関係というのがだんだん土台としてぐらついてきているな、こういうふうに危惧をしているわけであります。昨年秋の沖縄米兵事件以来、日米当局は日米安保体制の信頼性を取り戻すべく努力をしているわけでありますけれども、まだ現下の状況は極めて懸念されるものがある。このままではクリントン大統領訪日も、四月に予定されておりますが、実現できるのかなというふうに危ぶむ声さえある。  しかも、一方アメリカという国、アメリカといいますか、アメリカ合衆国という国はどでかい国ですから、考え方もいろいろありますね。そのアメリカの国のどのお役所が、どの人が、どういう世界が、どう考えているかというのは、かなり分けて分析しないと、一くくりにしてアメリカと言うわけにはいかない。  そこで、見ておりますと、この沖縄米軍基地の問題についても、国務省と国防総省と意見が一致しているのかというと、必ずしもそうは思えない節がある。要するに、沖縄米軍基地について、沖縄県民から見て目に見える前向きな前進と受けとめられるような基地の返還、縮小というものが必要であり、そうでなければ日米安保体制の信頼性を確保できないという考え方を比較的強く考えているのは、モンデール大使初めアメリカの国務省に代表される意見ではないかと思うのですね。そこだけを見ておりますと、何か大変沖縄県民感情に沿った前向きの検討がなされるのか、こういう印象を持つかもしれませんけれども、一方、例えば沖縄普天間飛行場を返還いたしますと、それはすなわち在日米軍の海兵隊の撤退を意味するのですね。アメリカアジア太平洋における作戦活動の重要な根拠基地を失うということになりかねない。だから慎重にというのが国防総省や太平洋軍司令部、そしてまた在日米軍司令部の考えではないかというふうに思われるわけです。  ある意味では、こういう考え方に代表される米国内の意見の不一致を調整をするためにも、ひとつクリントン大統領しっかり頑張ってくださいということをサンタモニカで橋本総理が言おうとしておられるのかなという気もいたしますが、この辺は、いずれにいたしましても、実際はなかなか難しい話。これを、うまく調整がつきませんと、クリントン大統領訪日が延期されるということになりはしないのか。いや、そうではなくて、まず訪日していただいて、そこから話がスタートなのよ、言うならば、四月の日米首脳会談が結論ではなくてスタートだと考えれば、これはまた別のやり方というものが生まれてくる。このあたりについて外務大臣はどういうふうに判断しておられるのでしょうか。
  55. 池田行彦

    池田国務大臣 まず最初に、端的に申しますけれども、四月のクリントン大統領訪日は必ず実現いたします。そのことをまず申し上げたいと思います。  さて、それで日米の安保条約意義という点については具体的御質問がございませんでしたから簡単に申し上げますけれども、世界情勢、とりわけ我が国の周辺をめぐる情勢は大きく変化いたしましたけれども、そういった新しい国際情勢を前提にいたしましても、やはり日本の国の安全を守るという面で、あるいは周辺地域の安定を図って平和を維持していくという面で、日米安保体制の重要性というものはこれは何ら変わらない、こういうふうに考えているところでございます。そのことを改めて確認をし内外に宣明するという意味も今回の大統領訪日には込められているわけでございます。それは御承知のとおりでございます。  そして、これからも日米安保体制が有効に機能していく、こういったことを確保するためには、やはり沖縄基地問題等についても真剣に我々も対応し、対処しなくちゃいけない、こう考えております。とりわけ、昨年あのような残念な、また忌まわしい事件があっただけに、ここで改めて沖縄県民の方々が長年にわたり耐え忍んでこられた大きな御負担、その間抱き続けてこられた憤りや悲しみ、そういった思いに我々はできる限りの配慮をいたしまして、あとう限りの御負担の軽減というものに努力していかなければいけない、こう考えて、今、日米間で真剣に作業を進めておるところでございます。  さて、その作業において、米国の中でも、特に国務省系統と国防総省系統で意見の、見解の相違があるのではないか、こういう御指摘でございます。これは、私自身もいろいろ会ってまいりましたけれども、今回については少なくとも、ほかのケースについてのことは申しませんが、そういった御懸念は御無用かと存ずる次第でございます。  私も、就任一週間後にワシントンに参りまして、クリストファー国務長官とも、そうしてまたぺリー国防長官とも本当にいろいろ話を申し上げました。そうしてまた、その後も次官あるいは次官補といったような方々、あるいは日本においでになりますモンデール大使、あるいは米軍の方ともいろいろお話を聞く、そういう機会もございますけれども、今回の米側対応については、国務、国防両省の系統ですね、気持ちも合わせ、力も合わせて取り組んでいるというふうに御理解いただきたいと思います。一つは、日米安保体制というものは、どうしてもこれは堅持しなければいけないということは両省ともございます。それと同時に、それが有効に機能するためには、やはり沖縄基地の問題について真剣に検討して負担の軽減を具体的にやらなければいけない、こういうふうな気持ちで一致しているというふうに御理解いただきたいと思います。
  56. 中野寛成

    ○中野委員 そのときに、私は、日米安保条約の果たす歴史的な役割、これが変わるとかその必要性が少なくなるとかという考え方は全く間違っていて、これまで果たしてきた日米安保条約の役割というものを新しい時代に向けてどう発展させていくか、常に歴史というのは発展させていくものでなければいけないと思うのですね。ですから、そういう意味で今言われた日米安保条約意義について、一つもその意義は損なわれるものではない、減少するものでもないということは一致しておると思うのでございます。  ただ、ソ連の脅威が、比較的というかほとんどというか、なくなった今日、安保条約意義というのは改めて国民にしっかりとわかっていただく必要がある。もうソ連の脅威はなくなったのだよ、東西の冷戦構造はなくなったのだよ、だから日米安保条約基地も要らないよという短絡的な発想というのは、私は極めて危険だと思うのですね。ですから、そういう意味では、この時点において日米安保条約の果たす役割、意義、そしてこれからどうそれをベースにして発展させていくかということを国民にきちっと説明する必要がある。そして、それは同時に、アジア地域の平和と安定に寄与するという、そのこともきちっと織り込んで説明がなされなければいけないと思うのです。  ちょっと極論を申し上げますが、北海道に展開しておった基地というのは、ある意味では仮想敵国、これは公式に外務省でそのとおりですとは言わないでしょうけれども、こっちが勝手に言いますが、言うなら、ソ連を仮想敵国とした配備というのは、これは紛れもない事実であったと思うのです。しかしながら、今日その必要性がなくなってくる。これから日本を取り巻く国際環境で注意しなければいけないのは、朝鮮半島でしょう、台湾海峡でしょう。そしてまた、シーレーンであり、南沙諸島の問題などなど、日本の生命線をどう守るか。また、日本の近隣の地域の紛争をどのように食いとめ、そして、それがひいては日本に悪影響を及ぼさないように、日本もまた、しっかりと見詰めながら外交的な役割を果たすと同時に、日本国民の安全と生命を守る、財産を守る備えをしておかなければいけない。とすると、実は沖縄基地の役割というのは大きくなっているということは言えても、減少しているとは言いにくいのですね。  しかしながら、この前のような事件が起こります。そしてまた、基地というのはもともとハードな存在ですから、周辺の住民の皆さんには大変大きな犠牲を強いるということになります。この相矛盾するジレンマをどう克服するか。それは、いかにいろいろな形で住民の皆さんに協力していただける方途を講じるかということでしょう。今、その二つの相矛盾するように見えるテーマを同時に解決しなければいけない、そして、それは日本アメリカ協力してやらなければいけないというテーマだと思うのですね。ですから、単に、もう基地は要りませんよ、要らなくなったのですよ、軍縮ですよ、縮小ですよ、だから、はい、アメリカさん帰ってちょうだいでは、この問題は解決しない。  一方、アメリカの方は、これからますます財政危機。恐らくクリントン大統領が再選されようと、共和党の大統領が誕生じようと、これから先、アメリカの財政事情から考えれば、むしろアメリカ自身が軍縮の方へいかざるを得ないでしょう。またはその部分を、日本を初め、どこかへ肩がわりを要請してくるということになる。  それらのことを考えると、日本としては、調子よく、アメリカさん帰ってちょうだい、基地縮小をしてちょうだいと言ってのうのうとしていられるという状況でもまた一方ではないのですね。そのことをしっかりと踏まえた交渉というものが必要だと思うのですが、どういうふうにお考えになり、どういう折衝が今行われているのでしょうか。
  57. 池田行彦

    池田国務大臣 私は、日米安保体制の重要性は新しい国際情勢のもとでも変わらないということを申し上げました。しかしながら、それは重要性が変わらないということを申し上げたわけでございまして、それが重要であるという根拠なり、どういう前提かという点については、それは変わっていないということは言えないのだと思います。  御指摘のように、この日米安保体制が構築されました当時の世界情勢なり、日本安全保障環境というものを考えてみますと、これは東西冷戦構造の中でございまして、我が国としては、国の安全を守るためには、やはり米国との間の緊密な同盟関係に立って対応するしかないということでございましたし、米国としても、当時は、自分自身の国益はもとよりのこと、やはり自由世界のいわばリーダーとしてきちんと自由世界を守っていく。それを極東アジアの面では、日米関係、日米の安保体制は大切だ、そういったいわば考えが合致したところにこういう体制ができたのだと思います。そして、その当時、脅威というか、あるいは潜在的脅威というか、いろいろな議論はあったところでございますけれども、それは、当時のソ連というものが、そういった冷戦構造の中で一方の中心になっておったのだし、いわゆる自由陣営では、そういったものを常に念頭に置きながら考えておったというのはそのとおりでございます。  しかし、そういった一つの構造は完全に壊れ、新しい姿になっております。新しい姿というのが、今、特にこのアジア太平洋地域におきましては、ヨーロッパのように非常にかちっとした姿になっていない、まだ非常に流動的な要素があると思います。御承知のとおり、政治体制においても、まだ古い体制を持った、そういったところもあるわけでございますし、それから経済、社会の発展段階もいろいろ違う、そういった基礎的な要因もございます。  それからさらに、その上にあらわれた具体的なあれで申しますと、御指摘にもありましたように、朝鮮半島の情勢がどうなのかということもございましょう。そのほか、いろいろな地域における利害の対立といいましょうか、不一致がどういうふうなことになるか、必ずしも安定した状況にないというところもございます。さらに、現在でも、核を含むかなりの軍事力が存在するということも事実でございます。それから、さらに申しますと、経済的な発展の成果というものを、軍事力の近代化という名のもとで、そちらの方に注いでいるという国も複数、一つじゃございませんよ、幾つかあるというのも御承知のとおりでございます。  そういったいろいろな情勢を考えますと、やはり日本自体の安全を維持していくためには、日米安保体制というものを堅持していかなければならないな、こう思います。それから、それと同時に、その日米安保体制がきちんとしておって、この日本が少なくとも安定した状態にあるということ、それからさらには、日米安保体制関心を持っております地域についても、これが安定化の力を持って、安定性を維持する力を持っているのだ、こういうことがあるということがアジア太平洋全域に、いわばあそこは大丈夫だよと信頼感をもたらすということで、安定化の効果を持っているということが御理解いただけると思います。  そういった意味で、現在では、日米だけではなくて、中国も含めてアジアの諸国も、日米安保体制の存続というものがこの地域の安定のためにも効果があるのだ、望ましいのだという見方をしている、こういうふうに私どもは考えておるところでございます。そういった意味では、確かに日米安保体制は、重要性は変わらぬと言いながら、その重要性のよってもって来るところは変わっておるのだ、このように認識しております。  それから、我々としては、簡単にもう、時代の流れなんだからとか、冷戦は終わったんだからもういいじゃないかということを言ってはいけないという御指摘はそのとおりでございます。しかし、そういった体制の、条約の有効性を維持していくためには、何といっても、今基地が非常に集中しております沖縄県民の方々の御負担を極力軽減する努力をしながら、なおかつ基地の存続はお願いしなければいけないわけでございますので、そこに御理解をいただけるように、本当にもう、まず日本政府として、そして日米協力して最大の努力を傾注しなければいけない、このように考えておるような次第でございます。  それから、アメリカの方で、財政事情も苦しいし、向こうの方からだんだん、こういう肩がわりとか、あるいはやめようとか、そういう話があるかという御心配もございましたけれども、そこのところは、今のアメリカの政権、またその対立する、民主党だけではなくて共和党の方でも、やはり基本的に、新しい情勢下でも日米安保体制は非常に大切であるということ、そしてまたアジア太平洋地域に十万人の米軍のプレゼンスを置くということは、アメリカの国益、アメリカのナショナルインタレストも含めた観点からいって必要である、こういうふうな政策をとっておるし、我々はそれを評価しておる、こういうことでございます。
  58. 中野寛成

    ○中野委員 先ほどのお答えでもそうでしたが、我々と、外務大臣のお考え、分析とちょっと違うところがあると思うのは、国務省と国防総省とが一体となってと言われる部分等については、これは大臣というお立場からするとそうなのかな、そう言わざるを得ないのかなと思うのですが、我々は我々なりの人脈からいろいろ聞いてみると、決して一枚岩ではないですよね。これはやはり考え方は違うのですよ。しかし、そのことをむしろ逆に承知して日本外交を展開しなければいけないのですよ。彼らの本音を知った上で、どういう対策を講じるか、どういう交渉に持っていくかということが必要なのですよ。だから、向こうは意見は一致していますよというふうに、立場上そう言わざるを得ないというのでおっしゃっているのなら、それはそれでしょうがない、理解せざるを得ませんが、しかし、さっきのアヒルの水かきではないけれども、実態はちゃんと承知してやっていただきたいということが一つ。  それから、今の、アメリカがそう簡単にこのアジアにおけるプレゼンスを削減するなんてことは考えられないとおっしゃるが、これだって、いや実際はもうアメリカで議論が始まっているし、そして、やはりこれは縮小していこうという考え方が日を追って大きくなっていることは事実ですよ。だから、建前としての、または政府の現段階における方針がこうだということを外務大臣がおっしゃるのは、それはそれとして、お立場上これまた理解せざるを得ないかもしれませんが、実態はやはり踏まえていただきたいと思うのですね。  今住専の問題が言われておりますが、あれは総量規制をやるときに、地価を下げようと思って総量規制をやったのですね、貸し出しの。それでは地価が下がったらどうなるかということをそのときにはセットで考えなければいけないのです。ところが、地価が下がったときの対策は全然手を打たれてないわけですよ。だから今日こういうふうになってしまったのですよ。それは逆に言えば手抜かりなのか、総量規制をやったって、少々政府が対策を講じたって地価は下がらないと最初からあきらめていて、ポーズだけでやっていたのか、どっちかなのですよ。  そういうふうに、今我々が外交問題でも取り組むときに、常に、一つの方向性を持って動けばそれに対してフォローが必ず必要になってくる。その両面性をきちっと考えなければいけないと思うのですね。  ですから、後でお伺いもしようかと思ったのでありますが、まとめてお聞きしますが、今沖縄は、大田知事を初めとして、普天間飛行場の返還を最優先させております。この問題を大統領訪日の前に決着をつけなければ、日米首脳会談も評価されないという事態が生じてくるでしょう。また、その間に沖縄において、あってはならないことですが、第二、第三の事故や事件が起こりますと、これはもういよいよ深刻ということになってしまいます。と同時にまた、幾らかの基地が例えば移転をする、沖縄縮小されるというときに、沖縄の雇用問題というのは必ず次に起こってくることであります。そのときに、例えば、なお残る基地の絡み等もありますけれども、ちょっと我が党の中で、まあ実現性は乏しいかもしれませんけれども、一つのアイデアとして、例え話としてありますのが、沖縄の電力料金を思い切って半分にしたらどうだい、そうすると結局、沖縄に電力多消費型の工場が移転していって、そこで新しい雇用が生まれるだろうというようなアイデアを言う人もいるのであります。言うならば、常にそういうことをセットで考えていかなければいけない。  また、基地の問題も、例えば佐世保と岩国というのはセットですよね。これがなければ、その二つの基地協力しなければ、航空母艦は動かないわけです。太平洋艦隊は役割を果たさないわけです。横須賀と厚木というのはセットですよね。これは一方だけでは役割を果たせない。そういうふうなことを考えますときに、沖縄基地をどう考えるかというのは、決して一つの部分の基地を削減するとかということで済む問題ではないのですね。相互に関連をする全体の防衛体制というものを考えなければいけないわけです。これらのことを、ある意味では防衛庁長官にお聞きしなければいけない部門かもしれないけれども、折衝の窓口でもある外務大臣として、どういうふうにその関係考えているのかということをお聞かせいただきたい。
  59. 池田行彦

    池田国務大臣 まず最初に、国防、国務両省の考えが一致していると簡単に見ていいのかというところ、それからさらに、アメリカにもいろいろな考えがあるではないかという点でございますが、ちょっとその点についても補足させていただきます。  先ほど私が申しました国防、国務両省の考えが一致しているというのは、もともとスタートの時点から全く同じであった、こう申しているわけではございません。それはやはり、現実に軍を駐留させていろいろその運用を考えている国防省のサイドからいえば、とりわけ在日米軍の立場からいえば、なるべく基地の問題などはこれまでどおりにといいましょうか、使いやすいようにしてほしいなという気持ちはあったでしょう。しかしながら、沖縄の事情、あるいは一方でどうしても日米安保体制は維持しなくてはいかぬという観点からいうと、そこのところは全部見直して一緒に検討していくことが一番いいのだ、ベストなのだということで今一致してきた、こういうふうに御理解いただきたいと思います。  それから、アメリカにもいろいろな考えがあるのは私も承知しております。現に、今行われておりますニューハンプシャーのプライマリーでも、中間的にいろいろな数が出ているようでございますけれども、そういった米国内におけるいろいろな動きというものは、注視していかなくてはいけないと思っております。しかしながら、今アメリカの政権が、そしてまた大きなところが、やはり日米の協力関係、そのコアになる安保体制を堅持しなくてはならぬ、こういう気持ちを持っていただいているということを大切にしなくてはいけない、こういうふうに申し上げたところでございます。  さて、今具体的な御質問の中で、例えばということでございましたけれども、普天間の問題を解決しなくては大統領訪日もというお話がございました。私どもは、今どこの基地が、あるいはどのケースがどうこうということはまだ申し上げられるような段階ではございません。常々申し上げているところでございますけれども、基地整理統合縮小につきましては、昨年秋発足いたしましたSACOO、特別行動委員会の場を中心といたしまして日米間で本当に精力的に作業を進めていく、そしてこの秋には具体的な成果を必ずつくり上げていく、こういう方針でやっているわけでございまして、時間的な意味で申しますと、その過程において大統領の四月訪日があるわけでございます。これは大きな節目でございますから、そこへ向かって作業を一段と精力的に進めてまいりまして、その作業のそれまでの段階における進捗度合いを踏まえて、先ほども申しましたけれども、共同文書に何らかの言及をしたい、こう考えております。それは私は、明確な方向性を出すという表現をしたこともございますし、また言い方としては、これはそれまでの作業を踏まえてそれを反映させる、こういうふうにお考えいただきたいと思います。  それから、もとより第二、第三の不幸な事件があってはならない、これはおっしゃるとおりでございますので、私どもとしても細心の注意をしておりますし、米軍においても綱紀の粛正を、あるいは隊員の教育を含めて格段の改善措置を講じておるというふうに考えておる次第でございます。  それから、沖縄において基地の移転ということになれば、すぐに雇用問題が起きてくるのではないかというお話、そのとおりだと思います。それでなくても、現状でも、沖縄県民所得等々のいろいろな指標を見てみますと、日本全体と比べまして、あるいは本土と比べて随分な格差のあるところでございますし、また将来的な基地統合縮小ということを考えるならば、当然そういった経済面、生活面での配慮をしていかなくてはいけない。これは政府全体として取り組むべき課題だと思っております。また沖縄県におかれましても、いろいろ長期的な展望を持ちながら考えておられるということも承知しております。先ほど、例えば電力料金についてという御示唆もちょうだいいたしました。そのことについて今どうこうというお答えをする立場にはございませんけれども、ありとあらゆる知恵を働かせながら、真剣に沖縄県民生活の発展の素地を、土台を固めていくということは、我が国の政治にとって大変大きな課題だと思っております。  それから、最後にもう一つございました、基地も個々の基地として考えるべきときじゃない、いろいろセットになっているし、広い意味では全体を見なくちゃいけない、それは御指摘のとおりでございます。したがいまして、今考えております、これからの基地のあり方に関するいろいろな日本アメリカとの間の相談においても、当然そういった安保条約に従って駐留米軍が果たしていかなくちゃいけない役割、それをどのような具体的な運用のもとにやっていくか、そのときそれぞれの基地がどうなっていくか、そういったこともいろいろ考えながら協議しておるということでございます。それが、いわばこれまでのいわゆる日米間の協議と違ったところだと思います。  具体的なそういった運用にも携わる、いわばユニフォームなんかの考えなんというものも十分酌み取りながら相談していく、そういったことを通じて、先ほど申しました具体的な成果を必ず生み出していきたい、このように取り組んでおるところでございます。
  60. 中野寛成

    ○中野委員 何かまだ先の話で、今何か素地をならしている、地盤をならしているという感じなのかなと、大臣の答弁をお聞きすると。  今、最後の方に具体的な成果をとおっしゃるのだけれども、さっきから……(池田国務大臣「あれは経済のことなんですから、今のは」と呼ぶ)ええ、それは僕は言葉の引用を今したわけじゃないのですが、もう間もなく橋本総理訪米されるわけでしょう。それとまたクリントン訪日との関係があるのかないのか。下ごしらえなのか、単なるあいさつなのか、顔合わせなのか、もうちょっと具体的に。普天間飛行場をどうするのかとか、具体的に今回の準備を、どういう項目でどういう作業をしてどういう準備をしているのですか、その辺をもう少し私に説明していただかないと、何のためにこの橋本訪米があるのか、クリントン訪日があるのか、さっぱりわからないですね。沖縄であんな不幸な事件が起こったからその後のフォローかなという感じではこれは困るわけでありまして、この機会に日米関係や日米安保体制や、そういうものをやはり災い転じて福となす、充実させるという具体性がなければいけないわけですね。そのことについてお尋ねしているわけです。
  61. 池田行彦

    池田国務大臣 訪米意義につきましては、委員も先ほどからおっしゃっていますように、新しい世界情勢、国際情勢の中での日米関係の重要性、とりわけ日米安保体制の持つ意義というものをきちんとこの段階でお互いに確認をし、そのことを内外に表明していく、こういうことがその大きな意義である、このように考えております。  それから、今週末の橋本総理訪米、そしてクリントン大統領との会談につきましては、これは両国の首脳の間での個人的な信頼関係を構築する、こういうことを第一の目的にしておりまして、ここで具体的な案件についていろいろ協議をするとか、そういうふうには考えていないところでございます。もとより、首脳同士お会いになるわけでございます。しかも、信頼関係を構築するのが基本でございますから、どういうお話が出るかというのは、これはもうお二人にお任せするしかないわけでございますけれども、基本的にそのような信頼関係の構築と考えておるわけでございます。  それから、何かまだ地ならしみたいな話をするじゃないかとおっしゃいましたけれども、先ほど地盤を構築すると申し上げましたのは、これからの沖縄県民生活を支えていくような、そして経済の発展を図っていくような、そういった作業を進めていく、その条件、環境をきちんとしなくちゃいけないということで申し上げたわけでございます。基地の問題についてはそのような、地ならしということを申し上げているわけじゃございませんで、現に真剣にその作業をしておりまして、具体的な成果を秋には出すんだ、そしてその前の節目である大統領訪日の際にも、それまでの精力的な作業を踏まえて、あるいはそれを反映をした形で何らかの言及をするようにしたい、こう思っております。  ただ、そうはいっても、具体的にどのケースについてどうか、それを言えないのは、ないんじゃないかとおっしゃいますけれども、ここのところは私どもは、ともかく結論として具体的な成果が出るということが大切である、こういうふうに考えまして、本当にこれまでは俎上にも上げなかったようなケースにつきましても、こうしたらどうなる、ああしたらどうなるというふうに日米間で具体的な詰めを行っているわけでございますので、いわば両者合作でしっかりしたものをつくろうとしている。だから、いわばどちら側からこれだけの希望が出て、それをいい悪いという話じゃない。両方で、日米合作で成果を上げようとしている次第でございますので、どうかもう少し作業を見守っていただきたい。そして、成果を期して待っていただきたい、こうお願い申し上げる次第でございます。
  62. 中野寛成

    ○中野委員 もう沖縄県の方からは項目を決めて具体的な要請が来ているわけですね。それにどれだけこたえられるかということによってこの評価が定まってくるわけでしょう。しかし、沖縄県の言うとおりにしていたら、これは日米安保体制とかいろいろな問題にやはり重大な影響を与えますよ。その兼ね合わせを、バランスをとるのは大変難しいことですが、もうそろそろ焦点が定まってていいころなんじゃないですか。普天間飛行場の返還はもう決まっているのですか。最優先させろと言っているけれども、これはどうするのですか。そのかわりはどうするのですか。こういうようなことについての方向性ぐらいはもう少し明らかにされてもいいのではないでしょうか。何か期待して待っておれと言われたって、何を期待したらいいのか、さっぱりわからぬですね。  日本側はどういう主張をされるのですか。合作だとおっしゃるけれども、あうんの呼吸でやるのじゃないと思うのですよ。日本側から提言し、要求をし、そしてアメリカがそれをのむかどうか、またアメリカが提言をし、日本がそれに応じられるかどうか、日本側のスタンスは今どうなっているのですか。
  63. 池田行彦

    池田国務大臣 まず、沖縄からも要望が出ておるじゃないかというお話でございます。これは過般提出されました県としてのアクションプログラムを指しておられるのだと思います。これには、現在沖縄にございます四十の基地につきまして、これを三段階に分けて返還といいましょうか、そうするというようなスケジュールが入っておるわけでございます。  しかしながら、このアクションプログラムの性格というものを聞いてみましたら、これは沖縄県側におきましてもまだ素案であり暫定的なものであって、地元においてもいろいろこれから調整を要するものだ、こういうふうに言っておられる。私どももそのようなものとして今受け取っているということでございます。しかしながら、沖縄県がいろいろなところにどういうふうな御関心をお持ちか、どういうふうに考えておられるかということは、もとより我々も十分頭に入れながら作業も進めなくちゃいかぬと思っております。  それから、日米合作と申しましたのはどういうことかとおっしゃいましたけれども、これは先ほど申しましたようにそれを査定するなんということではないと申しましたのは、具体的な場所ももう限られているわけです、数は四十でございますから。これまでは三事案だ、十三事案だ、二十三事案だといろいろございましたけれども、そういったことも念頭に置きながら、一方ではそういったものに入っていないものも含めまして、具体的にこの問題についてはこういうことになったらどういうふうなことが考えられるかということを、日米双方でいろいろディスカッションしながらそれをきちんと固めていく、こういうことでございます。  ですから、申しわけないのでございますけれども、具体的な基地の名前については、この段階だと言われましても、私どもは成果を上げることが一番大切だと思っておりまして、まだこれをどうこうということを、結論を個別に出すような段階には至っていない。しかし、この秋が目標時期であるということは十分承知しておりますし、その前の大きな節目が四月の大統領訪日時期だということは十分考えながら、それを踏まえて作業をしているということで御理解をいただきたいと思います。
  64. 中野寛成

    ○中野委員 十二時から休憩時間だそうですから、ここで一たん中断をいたします。  それから、先ほどから、周囲から、向こう全然座ってないなと御指摘がありまして、これ、途中で質問をやめるかという話がありましたが、これはやはりひとつ御注意をいただきたい。
  65. 関谷勝嗣

    関谷委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     正午休憩      ————◇—————     午後一時七分開議
  66. 関谷勝嗣

    関谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中野寛成君。
  67. 中野寛成

    ○中野委員 次に、日米関係、そしてまた沖縄の置かれた位置づけから考えますときに、もう一つ綱渡りの外交を余儀なくされるといいますか、逆に言えばそれだけ日本は腰を据えてしっかりとした考え方を持っておかなければいけない問題が、中国、台湾の問題、いわゆる台湾海峡の問題と言っても過言ではないと思うのであります。  最近、中国は軍事力増強を図りまして、台湾近辺での大規模軍事訓練を計画をしていると聞きます。もちろんこれは、台湾における総統選挙をにらんでの牽制ということもあるでしょう。また、私なりの勉強では、中国が台湾に対して直接軍事行動に出るという可能性は少ないと思います。また、その能力もあるとは思えません。しかしながら、やはり一触即発の状況が生まれる危険性というのは常に内包されているわけでありまして、このことは我が国にとって決して無関係ではない。まして無関心ではあり得ない問題だというふうに思うわけであります。今後の中台関係はまさに北東アジア全体を巻き込む重大な問題なんだという認識を我々は常に持っておく必要がある、こう思います。  そこで考えなければいけないのは、中国の内政上の安定がどこまで続くのか。中国の内政上の安定感というのは、本当に安定しているというふうに言えるかどうかというのは、これは大変疑問であります。もう一寸先はわからないということがあり得ます。  それから、台湾における動き、総統選挙の結果も重要な意味があります。また、ここにおいて米国の関与がどういう決意と能力を持って発揮されるかということも注目しなければなりません。  そこで、これは我が国との関係からいきますと、沖縄における在日米軍基地の重要性というものが非常に意味を持ってくる。これもまた、はっきりと露骨には言いにくい性格も持っている分野であります。しかし、いざというときに瞬間的に決断を迫られるということがあり得るわけでありまして、例えば中台関係が緊迫をして、米国から、安保条約第四条に基づいて在日米軍基地からの作戦活動をするという事前協議を受けた場合、どういうふうにするんだということは、これはそのときになって延々と検討を繰り返したのではしようがないわけでありまして、あらゆる場面を想定して日本はその対応考えておかなければいけないということではないか、こう思うわけであります。  ちなみに、この台湾海峡が緊迫した場合に、日本の、実際は沖縄から、また佐世保から、米軍の航空母艦が出て台湾海峡を行ったり来たりしているということによって、ある意味では紛争を未然防止する牽制の意味もありましょう。しかし、そういう実態というものを我々日本国及び国民が知り、かつ認識して、理解を持っていないといけない、またはそのことの重要性を認識していなければいけないというふうにも思うわけであります。しかしながら、一方で、沖縄基地はますます使いにくくなっているということも事実でありますから、これはもう政府が毅然とした姿勢をもって国民理解をしてもらう努力をやはり不断にしておくことが重要だというふうに思うわけでありますが、この情勢認識政府の決意をまずお聞きしたいと思います。
  68. 池田行彦

    池田国務大臣 台湾海峡をめぐるいろいろな情勢についてのまず認識でございますけれども、御承知のとおり、今この地域に緊張が高まるということは、その地域にとってはもとよりのこと、我が国も含めまして、北東アジアにとって非常に心配されるところでございます。そういった意味におきまして、今御指摘のございましたようないろいろな事情も関係してでございましょう、緊張感が高まったというふうな見方がございますけれども、それを少しでも和らげるような方に、それはまず当事者の御努力でございますけれども、国際社会全体としても考えていかなければいけない、こういうふうに考えております。  それで、委員も御指摘になりましたように、今直ちにこれが軍事行動につながっていくというような、そういった差し迫った危険はない、このように考えておりますけれども、しかし極力緊張の緩和のために努力しなければいけない、こう思います。  それで、そういった観点から、まず基本的には、これは両当事者の間の平和裏の話し合いでその解決を図っていくというのが長期的な目標でございますし、当面の問題としても両当事者の抑制した姿勢というものが望まれるところでございまして、御指摘のございました米国においても、いろいろな機会をとらえてそのようなことを助言と申しましょうか話をしているようでございます。  そうして、我が国といたしましても、心配はしているけれども拱手傍観しているというわけじゃ決してございません。例えば、私が先般タイにおいて中国の銭其シン外相とお会いいたしましたときも、我が国としてのただいま申しましたような考え方あるいは姿勢というものをお伝えして、このようなところの緊張が余り高まらないように窓通したと申しましょうか、そういった期待感を、希望を表明したところでございます。  それからまた、中台間が緊迫してきたときに、こんなことはすぐあるとは思わないけれども可能性考えなければいけない、日米安保条約との関係でも一体どうするんだ、例えば事前協議というお話がございましたけれども、これは事柄の性格上、また委員御自身もそういう可能性がそんなに高いとは思わないとおっしゃるような状況でございますので、仮定の上に立った御質問にはお答えすることは差し控えたいと思います。  ただしかし、答弁をしないからそういったことは全く念頭にないのかと言われますと、それは政治というものはありとあらゆる可能性について常に考えていなければいけない、こう思います。考えてはいるけれども、そういったものはこういった情勢の中では深く蔵して虚なるがごとしということでお許しいただけるか、こう存ずる次第でございます。  また、委員がおっしゃいましたように、日米安保体制がきちんとここで堅持されている、そのこと自体がこの地域も含めてアジア太平洋地域全体の安定に好ましい影響をもたらしているということは、そのとおりだと考えております。
  69. 中野寛成

    ○中野委員 たとえ可能性が少なくても、一%でも可能性があれば、その場面を想定して日本はどういう態度をとるかということは、常に事前に検討をし、そして一つスタンスを持っておかなければいけないと思うのですね。日米安保条約という条約があればそれで一つの平和への牽制効があるというのではなくて、それが機能するという裏づけがなければこの条約意味がないわけであります。言うならば日本の煮え切らない態度というものがむしろ日米関係を悪くするということが私はあると思いますし、信頼性を損なうとも思うわけであります。  ちなみに、台湾の方から中国本土に対して武力攻勢をかける、これは考えられませんね。実際あり得ない。そうすると、あり得るとすれば、台湾の独立運動とかそういうことが活発化したときに中国がどういうふうに牽制をするか、または実際行動をとるかということが前提となるでしょう。そのときにアメリカ中国側の味方をするということは考えられませんね。まず武力行使をとどめるという行動に出るということになるでしょう。中国日本に対して、台湾の味方をするのか中国の味方をするのかということに態度を迫ることがあるかもしれない。日本は、将来の経済のことを考えれば台湾より中国を大事にしたいなと思うかもしれません。しかしながら、平和という問題や国際世論ということを考え、またそのよって興る民主主義との関係等を考えれば、武力行使をした国に日本が味方をするというわけにはいきませんね。これらのことを我々としてはきちっとスタンスとして定めておかなければ、いざというときに慌てる、間に合わない、国際世論のひんしゅくを買う、こういうことだと思うのですね。  これらについて、大臣は仮定の話で言いにくいとおっしゃったが、しかし、これは検討をし、そしてきちっと日本政府としての態度を固めておくことが極めて重要なんです。その問題意識をお持ちかどうか、お聞きします。
  70. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほども申しましたように、極めて可能性が低い情勢の中での仮定の問題につきましてあれこれ政府考え方を申し上げるのは、これは基本的に差し控えるべきかなと思いますけれども、だからといって、そういったことを考えることもしなくていいということではない、これは常にあらゆるケースについて対応できるような、少なくとも考えはめぐらしていなければならない、こう考える次第でございます。  そうしてまた、今おっしゃった点でございますけれども、まず中台間が何か危機的な状態になった場合に、米国はどうするんだ、あるいは日本がどうするんだ、こういうことを考える前に、まず中台両国がどうお考えになったのか、これがございます。それで、私は、先ほども申しましたように、ここの関係はまず両当事者で平和裏に考え解決していただくというのがとるべき道だと思っておりますし、また、現在の情勢にかんがみましても、今緊張が高まっているという言われ方をしますけれども、一方において、例えば経済面での交流というものはかなり広がっているという現実もございます。そしてまた、いろいろな有力者あるいは指導者の発言等も見ましても、やはり抑制しようという姿勢がうかがわれる発言もあるわけでございますね。そういったところをよく見守っていきたいし、さらにそれを、そういった抑制した態度というものをエンカレッジしていくということを考えなくてはいけないと思います。  それから、米国においてもそういうことで、まず台湾も控え目に、また中国に対してもという、そういう努力をしているところでございましょうし、それから日本としても、先ほど申し上げたようなことでございます。それからなお、日本としての立場は、むしろ御承知のとおり、日中国交回復のときの共同宣言できちんとしておるわけでございます。
  71. 中野寛成

    ○中野委員 有事にならないようにあらゆる努力を積み重ねる、これはもう大臣お答えのとおりでありまして、我々としてもなお一層お互いに協力努力しなければいけないというふうに思います。と同時に、今仮定の話を質問しているのですから確かにお答えいただきにくい問題であることは承知いたしますが、十分にあらゆる場面を想定をして日本としてのとるべき行動についてやはり考えておくということは、万々怠りなくお願いをいたしたいと思います。  さて、次に、朝鮮半島問題についてお尋ねをしたいと思います。  北朝鮮は、金正日体制が相変わらず甚だ不透明である。昨秋以来北朝鮮軍の動きが盛んであることに加えて、食糧やエネルギーの欠乏といった諸問題に直面をし、最近は亡命者や海外逃亡者がふえております。  連立与党が、従来から日朝関係を改善しようとして訪朝団の派遣や食糧援助など行っておる、また計画をしている。ところが、これがやはり日韓関係に大変憂慮すべき影響を与えているということも、一方事実だと思います。  独自外交も結構ですが、しかし朝鮮半島の問題は、これは南北問題であります。また、日本と国交のある、開かれた国としての韓国の戦略、戦術といいますか、そういうものを日本としてはやはり重視しなければいけない。日本が北朝鮮に対してとった態度が韓国が切ろうとしているカードの邪魔をするということがあっては、かえって南北問題をより深刻にすることになってしまう。いわゆる日本の思惑、直接北朝鮮と、できるだけ韓国の了解のもとに仲よくしましょうといってやっても、そのことが逆に事態の進展を阻害することもあり得る。善意必ずしも有効とは限らないということをやはり我々としては常に認識しておかなければいけないと思います。  また、韓国の方もこの四月に国会議員の選挙を控えております。また、来年秋には大統領選挙も控えております。韓国の政局は、ある意味ではまだ民主政治が成熟するまでにいっていない、その途上であるといってもいいかもしれません。そのときに、大統領がかわることによって前大統領、前々大統領が逮捕されている。そして、そこで韓国で明らかにされているとされる内容は、これはまた随分と深刻な問題であります。平たくいえば、金泳三大統領も、大統領をやめた後また彼の運命はどうなるかということさえもうわさされるわけであります。こういうことを常に我々は見越しながら朝鮮半島政策というものをやっていかなければいけない。  ところが、ここ一年ぐらい、日本韓国の間の外交も実は冷え込んでいる、また国会議員同士の交流も大変希薄になっている。最近では一番最悪の事態の中で、今回の海洋法条約批准に伴う経済水域設定等々の作業が来たわけであります。日韓関係がもっと友好裏に進んでいるときであれば、竹島問題も含めて冷静に話し合いましょうねということですんなり共通のテーブルに着くことができるでしょう。しかし、最近は日韓関係が大変冷え込んでいる環境のもとにこういう問題が起こってきたということが、私は大変不幸だと思うのであります。やはり環境整備を急がなければなりません。  その前提に立って私どもは韓国にも冷静な対応をお願いしたいと思いますが、このためには、やはり日本側から韓国に対して、日本考え方、日本のシステム、そういうものをきちっとより一層説明する必要があろうかと思います。  実はきのうも、立ち話でしたけれども、韓国大使にお会いをいたしました。竹島のあの警備隊に対して金泳三大統領が、おい、頑張れよと言って激励の電話をしたとか、また竹島周辺で軍事演習が計画されているとか、何かそういうことを韓国政府がやることによって、いかにも日本が竹島を取り戻すために軍事行動を起こすかのごとく韓国国民に錯覚させはしないか。日本の憲法や国民感情や今の日本のシステムからいえばあり得ないことですね。しかし、それらの誤解がまた次の誤解を生み、ますます両国関係を悪くするということが起こり得る。とするならば、これは一つ一つを、事例をしっかりと踏まえて、日本韓国に対しても、また我が国国民に対してもこれらのあるべき姿をきちっと説明する必要があるというふうに思うのですが、まずその前提条件についてお伺いいたします。
  72. 池田行彦

    池田国務大臣 朝鮮半島をめぐる情勢認識、そしてその中での我が国の北朝鮮との関係、そして韓国との関係についての御認識なり御見解、委員からお話しございましたけれども、私も多くの点についてその認識、見解をともにするものでございます。  私どもといたしましては、何と申しましても、長年の友好、交流の関係を維持してまいりました。そしてまた、価値観も共有いたします韓国との関係を、どうしてもこれは良好な関係に保たなくてはならない、さらに発展させなくてはいけない、こう考えております。  そしてまた、そういった観点から、北朝鮮との関係、これは国交正常化の問題なんかもございますから、それはそれとしてしなくてはなりませんけれども、そういったときにも、半島の情勢を決めていくのは基本的には南北間の対話を通じて進めていくべきだと思いますし、日本としてはそういったことを基本に考えながら、我が国としてそういった環境がよくなるように、南北対話に資するようにという観点考えてまいらなくてはいけない、こう考えている次第でございます。  そしてまた、日韓の関係につきましては、お話がございましたいろいろな事情も重なりまして、今いろいろ国民の皆様方にも御心配をおかけするようなことになっておりますけれども、私どもといたしましては、極力冷静な態度を持しまして、そして先ほど申しました両国友好関係を大切にするということの基本に立ちながら、誠心誠意韓国との間の話し合いを進めてまいりたい、このように考えております。具体論である海洋法条約締結に伴う漁業等の問題につきましてもそういった姿勢で臨みたい、こう考えておる次第でございます。
  73. 中野寛成

    ○中野委員 そこで、日韓関係、なぜここ半年一年冷え込んだかというと、実はやはり一連の不用意な発言。歴史観の違いはやむを得ませんけれども、しかし、そのことを、とりわけ政府・与党幹部や閣僚が不用意な発言をすることなどが積み重なって、実は余計な冷却期間ができてしまうということがあったことは、これは否めない事実であります。このことについては、これはもうとりわけみんなで注意をするしかない、また注意をしてもらうしかない、こう思うのであります。  もう一つ、やはりこの関係は、具体的な行動面において日本が出しゃばってもいけないし、おくれてもいけないですね。ところが、時々、やはり自立外交のせいかどうか知りませんが、ちょっと出しゃばりぎみでないかと思うときもあるのですね。  ちょっとお聞きしたいのですが、北朝鮮のお米はどれだけ国民を養うために必要なのですか、そして自給率はどの程度と掌握されているのでしょうか。
  74. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 ただいま正確な数字というのを手元に持ち合わせておりませんのであれでございますが、大体総生産量が五百万トンレベルでございましょうか。現在時点において不足分と国連の機関などによって認定されている量は百九十万トン、二百万トンぐらいであったというふうに承知いたしております。
  75. 中野寛成

    ○中野委員 ですから、結局自給率というのは五〇%以下なんですよね。
  76. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 自給率が五〇%切るかどうか、ちょっと正確に判定しがたいところもございますけれども、いずれにいたしましても二百万トン、百九十万トンクラスの不足があるということであると承知いたしております。
  77. 中野寛成

    ○中野委員 確かにわかりにくい国なんですよ。どれだけ出したらいいか、向こうが言ってくるトン数でいくのかどうかとか、いろいろありますけれども、これは人道援助でしょう。そうすると、当然そこには一つの限界、良識の線というのがあるのですよ。日本の米支援というのは五十万トンのうち無償が十五万トン、これは韓国が十五万トン無償供与したのですね、だから韓国よりも超えないという意味で、私はこれは量を合わせたと思いますね。それで、その前に、アメリカの方は何か随分派手に、アメリカが率先してやっているようにイメージではつくられているのだけれども、わずか四千トンなんですね。  結局、この前アジア外相会合のときに、孔魯明韓国外務部長官が、政府による食糧援助であっても、小規模かつ国際機関経由であれば、直接本格的な二国間の支援とは異なる、日本も恐らくこの方法を使えるのではないか、こう言ったという。これはいわゆる韓国国民感情や、そしてまたいろいろな戦略、戦術ということをきちっと考え日本行動しなければいけない。ところが、日本は延べ払いでその後三十五万トン、これはまだ全部送ったわけではないとは思いますけれども、これだけのことをやっている。そして洪水被害に対して別途五十万ドルを国連諸機関に拠出済み、こういうことですね。これは外務省の資料だから間違いないと思いますが。これらを韓国の了解を得てやりました、話し合いを経てやりました、こういう御説明、御答弁が返ってくるのだけれども、しかしながら韓国は決しておもしろくないという気持ちを持っていることも一方事実なんです。  例えば、ジュネーブにおいてKEDOに至るまでのあの米朝交渉、このときにもやはりアメリカの担当の政府高官はもう毎日のように、またはその米朝交渉をやっている会議の席を中座してでも韓国代表部に電話を入れて報告をした、こういうふうに言われております。これは実を言うと、おととし秋に訪韓したときに金泳三大統領から直接聞いた話です。やはりアメリカといえどもそれほど気を使いながら連係プレーをとっている。これまでの歴史的経緯から考えますと、日本がこのことに携わるときにはやはりそれ以上の神経を使って、そして南北間の交渉に資するように、平和的統一に資するように努力していかなければいけないと思うのでございます。これらについてはどのような経緯とどのようなお考えをお持ちでしょうか。
  78. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 昨年の六月に北朝鮮側から与党経由で米の供与についての要請が参りましてから、その六月の時点で三十万トン、これは委員が御指摘になられましたとおり、うち十五万トンが無償、残り十五万トンが延べ払いでございます。それに、あと十月になりまして、今度二十万トンの米の供与ということが決定されたわけでございます。合計五十万トンでございます。そしてその前半、第一次の三十万トン、これは全部北朝鮮に送付されたということを確認済みでございます。それから残余の二十万トンについては、ほぼ船積み、送付が終わりかけている状況ではございますけれども、まだ二万トンかそこらぐらい残っているものがあるかもしれません。今現在はそういう状況でございます。  そして、これらのものが、無償のものについては朝鮮赤十字を通じて配付され、残りの分、有償の分についてはこれは直接的な接触ということを通じて北朝鮮に送付されたということで今日に至っているわけでございます。  米の供与そのものについての経過は大要以上のようなことだと思います。
  79. 池田行彦

    池田国務大臣 米供与についての事実的な関係について今政府委員から御答弁したとおりでございますが、その際も我が国としては、やはり昨年、北朝鮮が異常気象等に基づく大変な飢餓状態にあった、構造的な食糧不足の上にさらに落ち込んだ、そういう情勢も踏まえながら、あくまで特例的、それもまた人道的見地に資するものとして供与することを決めたわけでございますし、その決定の過程においては、委員御心配になっております韓国との連携といいましょうか連絡、これは密にしながら進めたというふうに承知しております。  ただ、その後、韓国におかれても、人道的見地に立って十五万トンの供与をされたわけでございますが、それがその後御承知のような経緯がございまして、せっかくの気持ちといいましょうか、韓国政府あるいは韓国国民の好意、誠意というものが必ずしも十分に受け入れられなかったということで、そういった問題に対する韓国国民のお気持ちが非常に消極的になってきた、こういう事情があるということでございます。  そういうこともございますので、先ほど御指摘がございましたタイにおける孔魯明外務部長官と私の会談においても米のお話は出ましたけれども、孔長官の方から、そのような韓国国民の気持ちがあって、これからこれ以上の追加的な支援については極めて否定的な状況だよというお話が確かにございました。  それで、私どもの方といたしましては、現に今、日本に対しましては追加的な支援要請があるわけじゃございません。それからまた、昨年行われました支援というのは、先ほど申しましたような特例的、そして人道的援助に資するものであるし、さらに言えば、去年は余剰米の在庫がかなりある、こういった事情もあったわけでございますが、今はそういったことはございません。そういったことでございますので、今追加的なものを考えてはいないということも当方から申し上げた次第でございます。  いずれにしても、こういった問題も含めまして、北朝鮮と我が国とのかかわり方については、韓国との間で連携を保ちながら今後とも進めていきたい、こう考えております。
  80. 中野寛成

    ○中野委員 今後のことを聞いているわけではありませんが、今日までの経緯を見ますと、私は、日本は自立外交と言われるが、自発的にこのくらいはしようか、これだけは必要だろうとか、十分計算したように思えないのですね。最初に北朝鮮の米の自給率はとお聞きしましたけれども、本当にどれだけ足りないのか。例えば全体の量の半分ほどが自給、そのうちの何%かが水害等で言うならば減産になったのですよ、ということになると、トータルからすると知れているという計算をする人もいるのです。そうすると、本当に五十万トン必要だったのかいということにもなりかねないわけでして、結局、それらのことをやはり日本としてはきちっと裏づけをして、こういう協力をするときにはそれがきちっと相手の国民理解され、そしてまた喜ばれるということでなければ意味がないというふうに思うわけであります。  そうしませんと、いや、日本は米不足のときに外国からたくさん輸入して、それが余っていたので、倉庫料を浮かすために厄介払いをしたんだなどといううわさまで一時期出ましたね。私は、大変悲しいうわさであったと思います。それがうわさだけであることを望みたいと思いますけれども、しかし、そこには裏折衝が、政治家が絡んで何かあったようなことまで一時期言われました。そういうようになってくるんだ。裏づけがきちっとなければ、そうなってくるのですよ。こういうことは大変微妙な問題で、かつ重要な問題であります。そして、それはお互いの外交関係に影響を与えるわけでありますから、そこはやはり十分御注意をいただきたいというふうに思うわけであります。  さてそこで、経済水域と竹島の問題であります。  竹島が日本国有の領土であることは、これはもうひとしく日本国民はそう思っているわけでありますし、まあ中には、大体韓国に実効支配されていることがそもそもけしからぬ、日本の軟弱外交を示すところだなんといって我々はおしかりを受けることもある。しかし、これらの問題は、実際上実効支配している国は国境問題はないんだと言うものですよ。そして、逆に支配されておる方の国は、あれはまさに国境問題だ、領有権の問題があるんだと主張するわけですね。ですから、結局竹島の問題については、韓国側は、問題は残っていない、これは紛争の対象ではないと言うし、日本は、いや日本の固有の領土だ、こういうことになるわけであります。  これは、日本の現在の国是からして、当然のことながら武力行使をするわけにはいきません。ですから、一時期国際司法裁判所へ訴え出たらという話もあって、しかしこれは両方がオーケーしなければ訴訟提起になりませんから、残念ながら向こうが拒否したのでとんざしてしまっておりますけれども、やはり提起し続けるべきだと私は思うのですね。日本は常にそういう両国間の交渉及び平和的な手段によってのみこの領土問題を考えるんだというスタンスを常に示し続けておくことが大事だと思うのです。もちろん、韓国韓国選挙対策もあるかもしれませんし、国内事情もあるかもしれません。そのために、竹島近辺で日本が軍事行動をするはずもないのに、向こうで軍事演習をしてみたり。これらのことは日本側の責任ではありませんけれども、日ごろからやはり国民感情を考えていろいろな友好的姿勢というものを示しておくことが大切だと思うのです。このことについてはいかがお考えでしょうか。
  81. 池田行彦

    池田国務大臣 竹島の領有権をめぐる我が国の立場は、今委員も御指摘になりましたとおりでございまして、これまでずっと一貫してきたところでございます。そして、今回の我が国対応も、これまでの我が国のそうした変わらぬ姿勢、立場に基づくものでございまして、それ以上でもなければ以下でもなかったわけでございます。そしてまた、この問題については韓国側においては、そもそも領土問題は存在しないんだ、こういうふうな立場をとっておられることもおっしゃるとおりでございます。  しかし、私どもとしては、基本的にこの問題についての立場の違いというものが両国友好関係全般に好ましからざる影響があってはならないということで、そのことを大切にしながら、先ほども申しましたように、諸般の関係について冷静に対応しながら、今少し揺らぎました関係を固め、さらに高めてまいりたい、こう思っている次第でございます。  そして、この問題を解決する日本の態度としましては、あくまで平和裏に、友好裏に、話し合いを通じてという姿勢で一貫しておりますし、また、御指摘のございましたように、かつて国際司法裁判所への提訴ということを考えたことがございます。ただ、これも御指摘にございましたけれども、国際司法裁判所の仕組みというものは、両当事者がそこで、この裁判所において問題の解決を図るということにまず合意して初めてその手続が動き出す、こういう仕組みになっておりますので、韓国合意がなくてはそもそも動かないということになっております。それで、この前にそういうことを考えましたときには、韓国側にお話を申し上げましたけれども、先はどのような、領土問題は存在しないのだという立場でありますから、司法裁判所でやろうという合意ができなかったという経過がございます。  そういったことでございますので、これからどうするかということでございますけれども、なかなか難しいところがございますけれども、いずれにしても平和裏に、友好裏に問題の解決を図っていくということで、粘り強くあらゆる可能性を視野に入れながら対応してまいりたい、こう思っております。
  82. 中野寛成

    ○中野委員 排他的経済水域、これについては、今度は全面設定だということを前提にして基本方針をお決めになりました。これは、中国韓国協議を重ねていかなければいけないのでしょうけれども、これはあくまでも、まずは竹島が日本の領土であるという前提で交渉を始めるということですか。
  83. 池田行彦

    池田国務大臣 国連海洋法条約につきましては、昨日閣議で、我が国としての臨む基本的な方針を決定して、了解したところでございます。これを踏まえて、これから政府部内において、また関係各方面と協議しながら、早急に条約並びに関係法案をこの国会に提出し、御審議をちょうだいしたい、こう考えているところでございます。  そして、その際に、この条約の締結に伴って漁業等の施策の関係をどういうふうに考えていくか、こういう点でございますけれども、この問題につきましては、私どもといたしましては、海洋法条約の趣旨に沿いながら、資源の保護、管理も大切にしていくという観点で新しい秩序をつくってまいりたい、こう考えております。  具体的に申しますと、韓国中国との間もそうでございますが、これまでも漁業協定がございましていろいろやってまいりました。しかし、今日これからは新しい海洋法条約のもとの世界になるわけでございまして、韓国ももう既に批准しておられる、中国も近々されるのではないかと言われております。そういった新しい枠組みの中で、新たな協定をつくるという観点話し合いをしてまいりたい、こういうふうに考える次第でございます。これにつきましては、いわゆる領有権の問題の解決をどうするかということとは切り離しまして、別個のものとして、現実的、かつ適切な解決の方途を見出していきたい、このように考えております。
  84. 中野寛成

    ○中野委員 伝え聞くところによりますと、韓国側も大体同じようなスタンスで臨んでくるようでございますから、かなり世論といいますか、マスコミも含めまして韓国サイドも冷静な判断をされるようになったのかな、こう思っておりますが、これは、日本関係漁民の皆さんもやはり落ちついて漁業をやりたいし、また、言うならば中国から韓国の西海岸に魚をとりに来る、韓国サイドはかりかりくる、また韓国から日本海の方へ来る、北海道へも来る、そうすると日本の方もかりかりくる、韓国は両方の立場を持っているわけでありますけれども、これらのことについては、ひとつぜひ精力的な話し合いをされて、そしてこの機会に、そういう今まで数年間以上続いてきた現場におけるトラブルを、また漁民の皆さんの心配を解消するきっかけにしていただきたい。また、それが目的で今度おやりになるわけだから、そういう努力をせっかくお願いをしたいと思います。  最後に、ちょっと先ほど来のところでお聞きしょうと思って聞き忘れたことでありますが、この北朝鮮に対する重油の供給は、米国政府が議会との関係で全額を賄うことができずに、他方韓国は重油の供給が内政上不可能だということで、日本がこれの肩がわりをするという形で、KEDOを通じて行うことになっているということのようでございますが、この重油供給、政府国民に対してどういう説明をするのでしょうか。
  85. 池田行彦

    池田国務大臣 KEDOにつきましては、御承知のとおり北朝鮮における核開発の疑惑を解消するという観点から、黒鉛炉を考えておった原子力発電所計画を放棄させる、そのかわりに軽水炉の供与を考えていく、そしてそれが完成するまでの間のつなぎのエネルギー源として重油を供給する、こういう仕組みになっているわけでございますが、その中で、我が国としましては、プロセス全体の姿が見えてきた中で、そしてその応分の財政的な寄与をしていこう、こういう立場でございました。そして、今御指摘もございましたが、つなぎの重油につきましては、これは主として米国の責任において対応するんだ、こういう基本的な了解といいましょうか、認識があって進められてきておるところでございます。  そして、大体年間五十万トンですか、大体五千万ドル相当の重油が必要であるということでございますけれども、これは米国が第一義的な責任を持つということで、議会へその予算の要求をしておったわけでございますが、米国の議会、予算も御承知のような事情でございまして、大分おくれました。ようやく予算は通りましたけれども、それを現実に北朝鮮関係に使うためには、まだ議会との関係でいろいろな手順が必要でございますので、具体的な支出ができるのは四月にずれ込む、そういう事情にあるようでございます。  それから、それと同時に、米国の手当て額だけでは十分対応できませんので、EUあるいはASEANあるいは湾岸諸国等々のところからも拠出をお願いするということで、今、日米韓三国で努力しておりますけれども、まだそれも必ずしも目標額に達していないし、あるいは使えるタイミングは、今年度であっても大分遅い時期、ことしてあっても後半にならざるを得ないのじゃないか。そういうこともございまして、重油につきましても、全体として足りるか足りないかという問題の前に、当面、今必要な重油代の支払いに問題が生じている、いわば流動性の問題でございます。  これにどう対応するかということで、今、日米韓三国はKEDOの事務局を中心にして相談しているわけでございますが、我が国としては、基本的にやはりこの北朝鮮の核の問題を解消しなくちゃいかぬ、これは本当に大切な話だと思います。そのために、KEDOの仕組みはきちんとワークさせなくちゃいけない。また、重油の問題については、先はどのように基本的には米国が主たる責任を持つのであるけれども、流動性の危機だということになれば、これは我が国韓国も一緒に考えなくちゃならぬじゃないか、こんなことで、今どういうふうなことができるか本当に鋭意検討を進めておるところでございます。
  86. 中野寛成

    ○中野委員 国民が納得し、かつそれぞれの関係国が納得をするということが極めて重要だと思います。まあ言うならば、あちら立てればこちらが立たずと思うものもありますし、それからまあ言うならば、危ない橋を渡っているような気持ちになる場面もあると思います。  しかしながら、これからは二国間交渉だけではなくて、むしろ多国間外交が極めて重要な意味を持つ時代に入りました。それが、ひいては国連外交の重要性につながっていくわけでありまして、現在の外務大臣のポストにあるということは、これは大変なことでございますけれども、しかし、それだけやりがいがある時代でもあろうと思います。せっかくの御健闘を御期待を申し上げたいと思います。  なお、国連改革について御質問しようと思って予定をいたしておりましたけれども、ちょっとそこまで行く時間がございませんでしたので、これは関係者の皆さんにはおわびを申し上げまして、きょうは割愛をさせていただき、次の機会にさせていただきたいと思います。  以上、終わります。
  87. 関谷勝嗣

    関谷委員長 岡田克也君。
  88. 岡田克也

    ○岡田委員 新進党の岡田克也でございます。ちょっと時間が変則で途中で切れてしまいますので大変残念でございますが、私は、きょうは日米安保条約の再定義、再確認の問題を中心に御質問したい、こういうふうに思っております。  先ほども話が出ておりましたけれども、本年四月に予定されておりますクリントン大統領訪日では、日米安保条約の再定義、政府は再確認という言葉をお使いのようでありますけれども、再定義が行われるわけでございます。この安保の再定義という言葉は、ひとり歩きしているようにも思うわけでございますが、一つは、その意味するところが国民にまだ十分理解されていないのではないか、こういう気がいたします。単に安保が大事ですよということだけではない、もっと深い意味を秘めていると思いますが、そのことが十分理解をされていない。それから第二は、これは私の憶測かもしれませんけれども、日米両政府間でこの再定義について本当に見解が一致しているのかどうか。私は、村山政権を見ていた限りではかなりギャップがあるように思っておりましたけれども、政権がかわってその辺のギャップが埋められたのかどうか。こういった点を中心にきょうは聞いていきたい、こういうふうに思っております。  いずれにいたしましても、残すところあとニカ月でございます。十分な国民理解を得てこの再定義というものがなされなければ意味がないわけであります。それだけの重要な問題でございますので、そういう問題意識で質問していきたい、こういうふうに思っております。  まず、本題に入る前に、恐縮ですが日米安保条約意義につきまして、先ほども少し出ておりましたが、政治的な意義、そして軍事的な意義、分けて簡単に御説明をいただきたいと思います。
  89. 池田行彦

    池田国務大臣 日米安保条約意義ということでございますけれども、まず軍事的というお話がございましたけれども、我が国の安全を守っていく、あるいは防衛という観点から申しますと、何といいましても我が国自身を侵略から守っていく、この我が国自身の安定、安全、そして平和を守っていくという意義がございます。それと同時に、それとの関連におきまして、我が国周辺にございます極東地域の安定にもその役割を果たしていくという、そういう意義があるわけでございます。  それから、政治的な意義というお話がございましたけれども、御承知のとおり日米関係は、経済、政治、文化、非常に広範な分野にわたりまして幅広い、また深い関係があるわけでございますけれども、やはり日米安保条約というものはそういった幅広い両国関係の政治的な基盤をなしている、このように考えている次第でございます。
  90. 岡田克也

    ○岡田委員 軍事的といいますか防衛的といいますか、その意義の中で今大臣がお話しになったところの中で、私はもう既に恐らくアメリカの日米安保条約に対する意義づけと少し差が出ているような、そういう気がするわけでございます。これは後ほど触れたいと思います。  それから、これは前政権、村山政権時代のことでありますが、村山さんはたびたび、東西対立が終了した、いわゆる冷戦が終わった、このことによって安保条約というものを堅持するということを合理化したわけですね。東西対立が終わったということで安保条約というものが必要になった、こういう論理を展開されたと思いますが、この点について、橋本内閣の外務大臣としてどういうコメントをされるでしょうか。
  91. 池田行彦

    池田国務大臣 日米安保条約の持つ基本的な意味は先ほど御答弁申し上げたとおりでございますけれども、そういった目的がどういう国際情勢の中で、また日本の置かれた状況の中で大切であるか、意味を持っているかという点については、それは安保条約締結の時点、またその後の時代の変遷、そして状況の変化によって随分変わってきているなと思っております。  かつては、東西冷戦構造の中において我が国を守る、こう考えました場合には、それは先ほどの午前中の御審議でも質問が出ておりましたけれども、やはり念頭にありますのは、自由陣営の中にある日本、そして、その自由陣営のいわばリーダーである米国との間の緊密な連携、同盟関係の上に立って、対峙します東の陣営、具体的にはその中心でございますかつてのソ連、これが潜在的脅威かどうかということでいろいろ話題にもなったことがございますが、そういったものに対して、どういうふうに対応していくかという観点から考えておったんだと思います。また、そのことが、その時代にあっては日本の安全と平和を守る上で基本であったと思います。  今、国際情勢は大きく変わりました。旧ソ連はもうございません。冷戦も終えんしてもう数年たちました。しかしながら、それでは我が国の周辺の状況は全く安心していい状況かといったら、そうは申せません。まだ、朝鮮半島の状況、その他いろいろ不安定な要因も内包しているわけでございますし、また、あちらこちらに核を含むかなりの軍事力の存在というものもございます。さらに、近代化という名前ではございますが、現実にそれを強化するような動きが複数の国において行われているということも、そういう現実もあるわけでございます。  そういった状況の中で我が国が安全を保つためには、やはり、みずから守っていくという自衛隊の存在と同時に、日米安保体制というものを堅持いたしまして、ここのところは力の空白ではないんだ、この地域はきちんと守っていくんだということを内外に示すということが安全につながってくると思いますし、また、そういった日米安保体制が厳然としてあるということが、我が国の安全のみではなくて、アジア太平洋全域の安定にも好ましい影響といいましょうか、そういった役割も果たしておるんだ、このように考えます。それは、いわば効果という意味でございます。
  92. 岡田克也

    ○岡田委員 今の大臣の御認識、私も共有するわけでありますが、もうなくなった政権のことを言っても仕方がないのかもしれませんが、村山総理は、東西冷戦が終わって、自衛隊も認められるようになったし、安保条約も堅持をすることが必要になったと、こういう説明を聞いて、いつもよくわからないな、こう思っておりましたので、外務大臣も同じ連立与党の枠組みを崩さずにやっておられるわけでございますので、念のために聞いてみたわけでございます。今のお答えで、大臣の真意はよく理解したつもりでございます。  さて、村山総理は昨年一月十一日の日米首脳会談におきまして、アジア太平洋の安定と秩序維持のためには日米安保条約が大事である、こういうふうに述べられたと報道されております。またその後も、国会においても同趣旨の発言が続いてきたというふうに認識をしております。そのこと自身が、日米安保条約の適用範囲をめぐって政府を激しく追及してきた社会党の国会における姿勢を多少なりとも知る私にとりまして、非常に驚きであったわけでありますが、こういった、日米安保条約アジア太平洋の平和と安定のために重要であるという認識は現政権においてもそのまま維持されている、こういうふうに認識してよろしいのでしょうか。
  93. 池田行彦

    池田国務大臣 現橋本内閣におきましても、村山前首相が示されました認識、日米安保体制アジア太平洋地域の安定のために重要であるという、その考え方は、何ら変わりはございません。
  94. 岡田克也

    ○岡田委員 それでは、ここで言うアジア太平洋という言葉、これは具体的にどこまでを含んだ概念なんでしょうか。
  95. 池田行彦

    池田国務大臣 地域の話というのは、往々にして必ずしも画然とした線が引かれていないというケースが多いわけでございますけれども、アジア太平洋地域というのも、そういった意味におきましては一義的な定義があるわけではないと思います。しかし、先ほど私の答弁でちょっと申しましたけれども、日米の安保条約があるということがアジア太平洋地域の安定のために好ましい影響を及ぼす、あるいは役割を果たす、こういう言い方をいたしましたけれども、そういうふうに考えているような次第でございます。  だから、これは決して適用がどうだこうだという話ではございませんで、日米の安保体制があるということが、我々の周辺でございます極東アジアはもとよりでございますが、東南アジアあるいはさらにオセアニアの方にも若干入りましょうか、そういった地域にも影響を及ぼすであろう、こういうことでございます。
  96. 岡田克也

    ○岡田委員 この問題を議論するときに、いろいろな地域の概念がございまして、非常に議論が混乱をするわけであります。  日米安保条約は、極東という言葉を使っております。極東周辺地域というものについて一定の政府解釈がある。ところが、最近、アジア太平洋という言葉が出てまいりました。  今、大臣は、アジア太平洋の平和と安定のために安保条約が大事であるという認識は引き続き持っているというふうにおっしゃいましたが、最初の私の質問に対しましてお答えになったのは、日米安保条約意義として極東地域の安定に役割を果たすという言い方で、そこでは極東地域という言葉を今お使いになったわけでございます。非常に言葉が混乱しているように思います。  加えて、私が非常に困惑しておりますのは、最近、我が国周辺地域という言葉が使われ出したわけであります。例えば、十一月二十八日に閣議決定されました防衛計画の大綱におきましては、日米安保条約に関する記述のところで、我が国周辺地域という概念を使っております。この辺は、一体どういうふうに整理すればよろしいのでしょうか。
  97. 池田行彦

    池田国務大臣 言葉の定義の問題になりますので、必要があれば詳しくは政府委員から答弁させますけれども、極東地域と申しますときには、これは日米安保条約に使われている言葉でございまして、これは日米安保条約の目的とします平和なり安定なりを守っていく地域が要するに五条の日本我が国と、六条の極東地域、ここにあるということは御承知のとおりでございます。そして、私がアジア太平洋という言い方をいたしましたのは、日米安保条約が直接その目的として平和、安定を維持していく、そういう対象には必ずしもしていないけれども、日米安保体制がきちんと機能しているということが広く周辺の地域も含めまして安心感を与えるといいましょうか、信頼感を持つということ、及ぼす、そういったことで、その影響をもたらす、あるいは効果を持つ、こう言ってもいいかと思いますけれども、そういった意味では、極東地域というよりははるかに広い地域を対象にしていると思います。  それから、防衛計画の大綱でございますが、新大綱で使っております。辺地域というのは——大綱の中で使われている言葉も、必ずしも一つの定義で説明できない、文脈によっていろいろ変わっているようなこともございますので、その点について私の立場で御答弁を申し上げるのは、ちょっと控えさせていただきたいと思います。
  98. 川島裕

    ○川島政府委員 お答え申し上げます。  大綱におきましては、いろいろな形で、御指摘のとおり、周辺地域という言葉が出ているわけでございます。ただ、これは、具体的にどこまでが周辺地域で、どこの国がどうこうということで使っているのではなくて、我が国の安全に重大な影響を与える事態が起こりそうな地域というくくり方でむしろ使っているように考える次第でございます。  したがいまして、この国は入っているのかとか、この国は内側かということではなくて、あくまでも我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態との関連でとらまえるということでございまして、ただ、そうはいっても若干の、新大綱の、防衛大綱の中においては幾つかの地域言及されておりますけれども、この国とかこの地域とかいうことを念頭に置いて使った概念ではないということでございます。
  99. 岡田克也

    ○岡田委員 これは、外務省に聞くのはやや適切でないかもしれませんが、この大綱の中の、まさしく日米安保体制について述べたところで、我が国周辺地域における平和と安定を確保し、より安定した安全保障環境構築のために日米安保条約は引き続き重要である、こういう記述をしているわけであります。本来の、村山総理の、アジア太平洋の平和と安定のために重要である、こういう発言からくれば、当然ここは、我が国周辺地域というよりは、アジア太平洋の平和と安定のためという、そういう言葉が使われてもよかったのではないか、こういうふうに思うわけでありますが、それが注意深く避けられた。そして同じ日に、当時の野坂官房長官は、談話におきまして、我が国周辺地域という表現は、日米安保条約に言う極東の範囲の解釈を変更するものではないということをわざわざ述べているわけであります。  こういった一連の流れを見ておりますと、状況に応じてうまく使い分けているような感じもいたしますし、あるいは政府の中が混乱しているようにも思うわけでございます。この点について、もし何か補足的に局長の方で御答弁ありましたら。
  100. 折田正樹

    ○折田政府委員 御指摘の野坂前官房長官談話は、昨年十一月二十八日に政府が大綱を発表した際のものでございますが、この大綱が、日米安保体制は、今先生御指摘のように、我が国周辺地域における平和と安定を確保するためにも引き続き重要な役割を果たしていくものと考えるという認識をしているわけでございます。日米安全保障体制に基づきます米軍の存在、それから米軍の関与が我が国周辺地域の安定要因となっている、それから日米安全保障体制を基調とする日米両国間の安全保障、それから政治、経済、いろいろな各般の分野におきます幅広く緊密な協力関係我が国周辺地域の平和と安定に貢献しているという趣旨であろうかというふうに思います。これは、官房長官談話で言われました「我が国周辺地域における平和と安定を確保し、」との表現によって日米安全保障条約に言う条約上の極東の範囲の解釈に関する政府統一見解を変更したものではないという認識を示されたものというふうに考えております。
  101. 岡田克也

    ○岡田委員 今北米局長の方から事実関係の御説明があったと思うのですが、そういったいろいろな言葉が出てくること自身が政府の方で考え方がうまく統一されていない、そんな気がするわけでありますし、これは後で触れますが、この日米安保条約の再定義の問題にも響いてきているように私は思っております。これは後で触れたいと思います。  それでは、昨年の二月の二十七日に米国防総省の東アジア太平洋地域に関する米国の安全保障戦略、略称東アジア戦略報告が出ておりますけれども、ここにおきまして、米国のアジア太平洋地域における国益とは何かということについて、いろいろ記述をしております。アジア太平洋地域というのは世界で最もダイナミックな地域であり、アジアの繁栄と安定は米国経済の健全性にとって死活的に重要である。そしてまた、米国の同地域における国益は、一つは平和と安全を確保することであり、第二は商業上のアクセスである。第三は航海の自由であり、第四が覇権主義勢力の勃興阻止である、こういうふうに明確に述べております。  そこで大臣に御質問でありますが、じゃ、日本のこのアジア太平洋地域における国益というのは一体何か、どういうふうにお考えでございましょうか。
  102. 池田行彦

    池田国務大臣 日本アジア太平洋地域における国益という御質問でございますが、まず、日本は、我が国我が国自身がアジア太平洋の真ん中にある、存在する国でございます。したがいまして、我が国のあらゆる面での、それはもう経済から文化から政治から、あらゆる面でのその利害というものは、すべてこのアジア太平洋地域とのかかわり、アジア太平洋地域との関係にかかわっておるというのは当然だと思います。  なお、今御指摘ございましたけれども、アメリカのいわゆるESRというレポートの中でも、米国自身がアジア太平洋との関係において自分たちの国益がかかっておるということを明らかにしたという点は、私もそのレポートが出ましたときに非常に注目し、また評価しているところでございますけれども、これは、米国は太平洋と大西洋の両方に面した国でございますので、全体として見れば、必ずしも太平洋地域の国家であるという認識はこれまでなかったのじゃないのかな、あるいは、ましてやアジアの一部ということではない、こういうことがあったのだと思います。  しかし、先ほどもお話がございましたけれども、アメリカ経済的な面あるいは文化的な面、政治的な面でのいろいろなかかわりということからいいますと、今どんどん成長しておりますアジアとの関係は、従来より以上にどんどん強まっている、そういうことを認識して、自分たちもアジアと太平洋のいわば一部である、あるいは深い国益があるのだということを鮮明にしたということで、非常に意義があるのだと思います。  我が国の場合には、そもそもがアジア太平洋の中にある存在でございますから、そのことを改めて認識するまでもない、全存在がかかわっておる、こう思っております。
  103. 岡田克也

    ○岡田委員 日本にとってはアジア太平洋地域の平和と安定はあらゆる利害にかかわる、当然のことである、そういう御答弁だったと思います。  それでは、この米国の東アジア戦略報告の中に一貫して流れる見方で、アジア太平洋地域における米軍の前方プレゼンスは、アジア太平洋の安全保障と米国の全世界的な軍事体制にとって不可欠である、こういう考え方があると思います。またそういう表現も出てくるわけであります。この点について大臣は、認識を同じくされますでしょうか。
  104. 池田行彦

    池田国務大臣 御承知のとおり、冷戦が終結いたしましてから、世界安全保障環境がずっと大きく変わってまいりました。そういった中で、例えばヨーロッパにおきましては、格段の軍事力のレベルの低下があったと思います。そして、NATOとの関係欧州に駐留しておりました米軍の兵力水準もぐっと下がった、このように考えております。それに対してアジアの方はどうかということでございますが、アジアの方は、先ほどの答弁でも若干申し上げましたけれども、依然として非常に不安定な要因を内包しているということがございますし、それから経済あるいは社会の発展段階から申しましても、なかなか、いわゆる統合だとか、きちんとしたかたい形での多国間のつながりというのはできにくい情勢にあろうかと思います。  ましてや安全保障観点から申しますと、ヨーロッパにおきましては、いろいろな信頼醸成のための多国間の組織はもとよりのこと、実力を備えた、いわば集団的安全保障という言い方がございますけれども、多数の国が一緒になってそういった仕組みをつくるというのも現に存在するわけでございます、NATOのように。  ところがアジアの場合には、安全保障関係では、信頼醸成の枠組みであるとか対話の仕組みというのは、ASEAN地域フォーラムを初めとしてようやくできつつはございますけれども、力を備えたそういうものがない、こんなこともございます。どうしても、アジア地域の安定、平和を守っていくという仕組みは、これまでございましたアメリカを一方の当事者とします二国間の同盟関係、日米とか日韓とかいろいろございますけれども、そういったものをきちんと前提にしながら各国努力していく、こういうことじゃないかと思います。  そうして、米国は、冷戦が終わったからもういわゆる世界のお巡りさんだという立場は持つわけではないけれども、先ほども御指摘ございましたように、アジア太平洋地域にみずからも重大な、ハイタルな利害を有するという立場から、この地域の平和、安定に寄与していく、その役割を果たしていくという観点からいろいろ考えてまいりまして、十万人のプレゼンスが現在の情勢のもとでは必要である、こういうふうに考えておるというふうに理解しておりますし、そのことを我が国としても、米国のそういったこの地域の安定に寄与しようというコミットメントについては評価しておるところでございます。
  105. 関谷勝嗣

    関谷委員長 午後三時十分から再開することとし、この際、休憩に入ります。     午後二時二十二分休憩      ————◇—————     午後三時十一分開議
  106. 関谷勝嗣

    関谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。岡田克也君。
  107. 岡田克也

    ○岡田委員 先ほどの米国防総省の東アジア戦略報告の表現でございますが、もう一つこういう表現があるのです。アジア太平洋の米国の安全保障政策は、日本米軍基地へのアクセスと米軍行動に対する日本支援に依存している、こういう表現がございます。  この点について、大臣は同じような考え方に立たれますでしょうか。
  108. 折田正樹

    ○折田政府委員 今委員指摘のような表現がナイ・リポートの中に書かれているというのは、そのとおりでございます。  私どもは、アメリカ安全保障政策が、日本が日米安保条約に従って、米国に対して施設‘区域を提供しているわけでございますけれども、そういう施設・区域に例えば第七艦隊が寄港する、そういうこととか、例えばホスト・ネーション・サポート、この前国会で御審議いただいて御承認をいただいた、ああいうことを通じて日本が支えていることがアメリカ安全保障政策に大きく役立っているというふうに思っておりまして、それを、アメリカ側から見た表現として今のような表現がなされているものであるというふうに考えるところでございます。
  109. 岡田克也

    ○岡田委員 確かに、アジア太平洋地域における十万の米軍のうちの約半分近くが日本にあるわけでありますし、こういう表現になるのはある意味では当然のことかと思いますが、先ほど休憩前に大臣の方からお答えをいただいたわけでありますけれども、米軍の前方プレゼンス、この意味するところは私もよくわかりません。わかりませんが、前方プレゼンスがアジア太平洋の安全保障にとって非常に重要であるということをアメリカが言っている。大臣も、その点については評価している、こうおつしゃいました。そして、米軍の前方展開能力と言った方がいいかもしれませんが、それの具体的な運用に当たっては、日本基地あるいは日本のサポート、そういうものが非常に重要な役割を果たしている、続けますとこういうことになるわけであります。  ということは、アジア太平洋の平和と安定のために、日米安保条約に基づく日本基地あるいは日本のサポートというものが非常に重要である、こういうふうに考えるのが素直だと思いますが、この点について、大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
  110. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほどのお話にもございましたように、米国がアジア太平洋地域の平和と安定を維持するために確固たるコミットメントをしていく、しかも、それは自分自身の国益にもかかわることだ、こういったお立場でコミットメントを維持していくということは、私どもとしても評価するところでございます。  さてそうして、そういった中で、我が国としては、日米間で安全保障条約を締結しておりまして、そして、その安全保障条約で米国が果たすべき責務、役割というものをきちんと果たしていく。そのために必要なものとして、我が方として区域また施設を提供していくという責務を果たしていく、こういうことになっておるわけでございます。
  111. 岡田克也

    ○岡田委員 私の一番最初の質問、つまり日米安保条約意義というところで、大臣は、我が国自身の安全を確保するために安保条約が重要である、それから、極東地域の安定に役割を果たしている、こういうふうに言われましたが、今の国防総省のレポートを読みながら考えてみますと、要するに安保条約について、そういう我が国日本、あるいはその周辺極東地域ということだけではなくて、アジア太平洋全体の平和と安定のために安保条約というものが非常に役に立っている、このことはもう何回も言われているわけですけれども、そのことの意味というのは、もっと具体的に言えば、日米安保条約に基づくいざというときの基地の使用、あるいはそのときの日本のサポート、こういうものについて当然アメリカ期待をしている。そのことが、アジア太平洋の平和と安定のために日米安保条約は重要であるということの意味なんだ、こういうふうに理解できるわけでございますが、大臣の御見解を聞きたいと思います。
  112. 池田行彦

    池田国務大臣 私は、日米安保条約安全保障面における、軍事面における意義というのは、先ほども申しましたように、まず我が国の安全を守るということが第一義であり、そして、極東地域の安定のためにも役割を果たしていくということだと思います。そして、我が国の区域・施設の提供というのは、そういった目的を果たしていく上で米軍が担っていくべき役割を可能たらしめるような、そういったものとして提供しているものだ、このように考えております。  ただ、そのような役割を持っている日米安保体制というものが十分に機能するということは、これはさらに広く、アジア太平洋全域の安定に好ましい影響を持っている、こういうふうに御答弁申し上げたと思っております。
  113. 岡田克也

    ○岡田委員 なかなか説明が難しいところなんですが、もし大臣のおっしゃるようなことだといたしますと、日米安保条約アジア太平洋の安定のために必要だ、しかし、アジア太平洋全体でなくて、あくまで安保条約は極東及びその周辺である、これは条約上当然そうなっているわけですけれども、そこに乖離が出てきているのじゃないか。アメリカの方は、少なくとも私が読む限りでは、アジア太平洋全体の平和と安定のために安保条約が必要である、重要である、こう言っていて、そこに、極東及びその周辺地域と、それ以外のアジア太平洋というのを分けて考えていない、こういうふうに読めるわけでございます。  そして、安保の再定義、再確認の作業というのは、そういった安保条約が、日本そのもの、あるいは極東地域の平和と安定だけじゃなくて、アジア太平洋全域に適用されるということについて、まあその適用の意味はなかなか難しいところでありますが、そこに安保再定義の本質があるのじゃないか、こういうふうに私は思うわけでございますけれども、いかがでしょうか。
  114. 池田行彦

    池田国務大臣 日米安保条約の解釈、そうしてその果たすべき役割については、日米間に意見の相違はございません。私が先ほど申し上げたようなことでございます。  ただ、見方を変えますと、同じことを二つの言い方があるだろうと思います。私が申しましたのは、日米安保体制の役割というのは、まず日本、そして極東地域、この地域の平和、安定を守るということが目的である、しかし、そのことがさらに広い地域の安定に好ましい影響、効果を持つよ、こういうことを申し上げたわけでございます。  逆の見方をしますと、この非常に広範なアジア太平洋地域の安定が大切でございますよ、そういった外周から話を始めまして、そうして、さあその中に、この地域の安定を守る役割を担うものとして、この日本を守るということで日米安保体制がありますよ、あるいは、極東地域を視野に入れながら日米安保体制がございますよ、これがちゃんと役割を果たします、これが全体としての安定にも役割を果たしていますよ、そういう言い方だと思いますね。  中心からずっと外へ向かって説明をしていくか、全体の安定ということをまず最初に置きまして、そして、それを担っていくいろいろな要素について言及していくか、物の見方というか、その説明の仕方の違いで、本質は全く同じだと思います。
  115. 岡田克也

    ○岡田委員 ただ単に、米軍がいるということ、もちろんそれも平和と安定に役に立つわけですが、有事の際に現実にそれが展開される、あるいは使用される、米軍戦力が使用されるということを除いては、やはりこれは実際の担保がないわけですね。そういう意味で、私は、アメリカのこの国防総省のレポートを読む限りは、別に極東周辺に限らずに、アジア全体のことについて同じように見ているんじゃないか、こういう気がするわけであります。それは見方の違いかもしれませんが。  それでは、仮に極東地域あるいはその周辺地域以外のアジア太平洋地域で何か有事が発生したときの在日米軍の役割というものはどういうものが考えられるんでしょうか。
  116. 池田行彦

    池田国務大臣 まず、前半の部分で、委員、有事のときでなくては余り意味がないという御趣旨に聞こえましたけれども、私は、そうではなくて、やはりこういったプレゼンスがあるということ自体が、不安定な情勢を招く、緊張を招くということを回避する、あるいは抑止といってもよろしゅうございましょうか、そういった効果もあるんだ、このように考えております。  そうして、さて、有事の際に駐留米軍がどういうふうに行動するかという点につきましては、これまでもいろいろその議論があったところでございます。あくまで、私が申しましたように、日米安保体制、安保条約の目的とするところは日本とそして極東地域の安定でございますけれども、しかしながら、その他の地域においていろいろ起こりました問題がやはり我が国あるいは極東地域の安全にもいろいろな影響を与えるということはあり得ることでございますし、またそういったことは別にいたしましても、いわば我が国に駐留いたします米軍というものが移動いたしまして、そして、その後別の地域での何らかの任務につくということは従来もあったところでございますし、それは何ら日米安保条約あるいは我が国の法令に、法秩序に反するものではないということは、もうこれは確実なところであると思っております。
  117. 岡田克也

    ○岡田委員 私が申し上げましたのは、有事でなければ意味がないということではなくて、いざ有事のときにそれが使われる可能性があるということがなければ、それを全く頭から否定してしまったんでは、これは張り子のトラになってしまう、そういう意味で申し上げたところであります。  さて、今大臣の方から移動という考え方が示されたわけでありますが、私は、基本的にこの移動という考え方は極めて妥協的な考え方で、ある意味じゃ日本責任というものの所在が不明確になってしまう、こういうふうに思っているところであります。  それと同時に、この移動という考え方で説明できない場合が出てまいります。例えば、日本から直接に戦闘作戦行動に出る。出る先は極東ではなくて、あるいはその周辺地域ではなくて、その他のアジア太平洋地域である。こういう場合には、これは日本としてはどういう対応になるんでしょうか。
  118. 林暘

    ○林(暘)政府委員 前々から御答弁申し上げているとおり、我が国が提供いたしております施設・区域を使用していわゆる戦闘作戦行動に出る場合は事前協議の対象になっておりますが、日本の施設・区域を使用するという使用目的が、第六条に書いてありますように、あくまで極東の平和と安全の維持ということでございますので、今御指摘アジア太平洋地域における出来事というのは、具体的にどういうことか想定しないで一般論を申し上げるのは非常に難しいわけでございますけれども、極東の平和と安全の維持ということに関係のない目的のために戦闘作戦行動基地として日本の施設・区域を使用するということは、安保条約が想定しておらないことですし、安保条約が認めるところではございません。
  119. 岡田克也

    ○岡田委員 一方で、アメリカは極東ということではなく、広くアジア太平洋地域の平和と安定のためということを言っているわけでありますから、具体的にはそういうことが場面としてあり得るわけですね。極東以外のアジア太平洋地域で何か紛争が発生した、在日米軍を使いたい、こういうことは論理的にあり得ることであります。そのときには、恐らく超法規的な措置といいますか、条約では読めませんから、条約の根拠なくアメリカ日本に対して基地の使用について承認を求める、こういうことにならざるを得ないような気がするわけであります。リビアを攻撃したときのアメリカ米軍がイタリアの基地を使ったときも同じような場面であったというふうに聞いておりますが、論理的にはそういうふうに考えてよろしいんでしょうか。
  120. 池田行彦

    池田国務大臣 我が国も米国も、高度に発達した民主主義国家であり、また法治国家でございます。そして、その両国の憲法その他の法令の体系、そしてその条約関係も、これはいかなる場合であってもきちんと遵守していくべきものであるし、そういうことでまいったと思います。そして、現在のそういった国内法並びに国際法の体系の中で、私どもは、いろいろな事態に対して対応するそういった備えをしてまいるということでございます。
  121. 岡田克也

    ○岡田委員 御趣旨は必ずしもよくわからなかったんですが、そういった超法規的な場合には、これは認めない、こういう御見解だというふうに理解してよろしいでしょうか。
  122. 池田行彦

    池田国務大臣 まず、何といっても一番大切なのは、いかにして平和なまた平穏な状況を維持していくか、そういった良好な安全保障環境を維持していくか、その面で努力をしていくということでございましょう。しかし、そういった努力にもかかわらず、何らかの対応をしなくちゃいけない事態が出てまいりました場合に、どうやって対応するかということは、安保条約それからそれぞれの国内法制があるわけでございますけれども、そういった中で我々は対応していかなくちゃならないし、対応していける、こう考えているところでございます。また、そのような役割を果たせるような条件というものを整備していくというのが我々の務めであろうと思っております。
  123. 岡田克也

    ○岡田委員 なかなかお答えしにくい問題であることはわかりますが、明確なお答えはいただけなかったように思います。いずれにいたしましても、そういった極東以外のアジア太平洋、これの平和と安定は大事だとアメリカは言っている。そして、極東以外のアジア太平洋で何か紛争が起こる、有事になった場合には、一つは移動の考え方で処理をする。もう一つは、直接的な戦闘作戦行動というのは、これは基本的には条約外だからだめだ、こういうことになりますと、安保条約というのはアジア太平洋の平和と安定のために重要であると言いながら、実は極東以外の地域については、安保条約の外の話に皆なってしまっているわけですね。これは、安保をわざわざ再定義することの意義を全く空洞化していることになるんじゃないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
  124. 池田行彦

    池田国務大臣 休憩前の御質問にお答えしたところだと思いますけれども、安保条約の持つ意味というものをここで再確認していくということは、何といいましょうか、国際情勢は大きべ変わったけれども、そういった国際情勢の激変した中にあってもやはり我が国を守るために、またその極東地域の安定を維持するために、安保条約が不可欠であるということをまず言うわけでございます。それと同時に、そのような体制が確固として存在するということが、広くアジア太平洋地域の安定にも資するんだ、役割を果たしていくんだということでございます。それはもうるる御説明したところでございますので、繰り返しません。
  125. 岡田克也

    ○岡田委員 お話を聞いておりますと、安保条約が存在すること自身がアジア太平洋の平和と安定のために役に立つということは、何か瓶のふた論というのを思い出すわけでありまして、安保条約日本をくくっていることが、抑えていることがアジア太平洋のために役に立つというふうにも聞こえるわけでございます。  いずれにしましても、今の移動の議論、そして直接戦闘作戦行動はできない、こういうことになりますと、私は実害もあると思うのですね。実害というのは、移動の場合は事前協議の対象じゃないわけですね。我が国としては、アジア太平洋地域において米軍が出ていく、しかしそれは移動という考え方だから日本関係ないよ、こういうことになりますと、本当にクリティカルな場面で日本アメリカの利害が一致しない、そういう場合もあるかもしれない、あるいは、日本としても何か意見を言いたい、条件をつけたいということがあるかもしれない、そのときに全くそういうことができずに、ただ単にアメリカの船舶が日本の港を出ていくのを見ているだけだ。これは、私は日本にとって責任ある態度とは言えないのじゃないか、こういう気がするわけでございますが、大臣の御感想を聞きたいと思います。
  126. 池田行彦

    池田国務大臣 まず、私どもはそういった事態を避けるためにあらゆる努力をしなくてはいけない、こう思っております。  それから、先ほどから御答弁申し上げております私の答弁も、あるいは条約局長の答弁も含めまして、答弁いたしておりますところは、極東の地域以外の地域で起きました事態に対して、我が国にございます基地から直接作戦行動に出ることはできないということを言っているわけでございますけれども、それも条約局長が申しましたように、極東の地域に大きな影響を与えない事態であるにもかかわらず直接作戦行動に出ることはできない、こういうふうに従来から政府としては申し上げているところでございます。  そうして、また移動という概念はいろいろございますけれども、軍の運用におきましては、通常におきましてもいろいろな軍の移動というものが当然日常的にあるわけでございます。そういうものも含めてのことなのでございますから、我が国に駐在します米軍というものが我が国基地から出ましてそして日米安保条約の対象としております地域を外れた地域でまた別途の行動をするということは、それは従来もありましたし、これは決して条約が禁ずるところでもございませんし、憲法以下の我が国の法律に触れるところでもないと考えております。
  127. 岡田克也

    ○岡田委員 なかなか議論がかみ合わないわけでありますが、従来は、安保条約というものは基本的に米軍日本を守ってくれる、そのかわり米軍には日本基地を使わせてあげるよ、こういう考え方だったと思うのですね。それが私は次第に変わってきているのだと思います。  ということは、もちろん日本を守ってもらうことは当然でありますが、米軍アジア太平洋地域における行動というものについて、日本も憲法の枠の中で許される範囲の中で協力をしていく、そういう大きな流れの中で安保条約そのもの意味というものが変わってきているのだ、そういうふうに思うわけでございます。  そして、今回の橋本・クリントン会談というのは、そういう意味で安保の再定義ということを言っている。アメリカは、防衛庁長官との記者発表の中で、これは前防衛庁長官でありますが、歴史的な意義を持つという表現を使っているのですね。もし、従来の考え方をそのまま踏襲していくのなら、そんな表現は使わないはずであります。  そういう意味で、私はその大きな流れの変化というものを十分に踏まえ、理解した上で日本対応していかなければいけない、あるいは、対応するに当たっては、国民にそのこともきちんと説明しなければいけない、こういうふうに思うわけでございます。今のままでは、何か安保再定義といっていろいろ言う割にはよくわからないというのが今の国民の受けとめ方でありますし、私どもも含めてそういうふうな感触を持っているわけでありますが、ぜひそういったことも含めてわかりやすく国民にお話をいただければ大変ありがたいことだ、こういうふうに思っております。もし大臣の方で何か御発言がありましたら。
  128. 池田行彦

    池田国務大臣 私は、日米安全保障条約の持つ意味ということでございますけれども、その解釈が変わらなくても、また現行憲法その他の解釈が変わらなくても、国際情勢の変化に応じまして、そういった解釈の中でなし得る行動というものがアジア太平洋の地域の平和と安定を維持する上において果たす役割、あるいは及ぼし得る好ましい影響力というものが当然変化しているのだ、このように考えております。
  129. 岡田克也

    ○岡田委員 昔からの条文をそのまま維持をしながら、その解釈を多少変え、あるいは移動という概念を使いながら対応していく。いわば守りの姿勢だと思うのですね。それで果たして日米間で、本当に日米安保条約の重要性、必要性についてきちんとした理解がされるのだろうか、支持がされるのだろうかということを非常に心配するわけであります。  むしろ、日本として、ここまではやります、場合によっては安保条約の適用範囲についての改正もいといませんね、そして日本支援というものはここまでやります、こういう提案が橋本総理からクリントン大統領に対してなされる、そのぐらいの心意気でこれをやっていただきたいな、またそうしないと、この安保条約を単に守っているだけではもたないのじゃないか、こんな気が私はしているわけでございます。ぜひまたお考えいただければありがたいと思います。  時間もございませんので、次に進みたいと思いますが、集団的自衛権の問題でございます。  簡単に触れたいと思いますが、最近マスコミ等でも、集団的自衛権というのは認めるべきだ、こういう議論がふえてきているように思います。私は基本的に、日米安保条約に基づいて米軍活動するときに、日本がそれに憲法の枠の中で可能な限り協力すべきだという考え方に立っておりますけれども、しかし集団的自衛権を認めてしまうということについては否定的でございます。  いろいろなことが言われるわけですが、例えば、集団的自衛権というものを認めたとしても、その具体的内容というのは政策選択の問題だから実害はないのだ、こういう議論があります。これに対して、大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
  130. 池田行彦

    池田国務大臣 申しわけございません。ちょっと最後の、こういう議論があるがというところを、ちょっとよく聞こえませんでしたので。恐れ入ります。
  131. 岡田克也

    ○岡田委員 集団的自衛権というものを憲法上認めたとしても、具体的にどこまで集団的自衛権を実現していくかというものは、これは政策選択の問題、立法政策選択の問題と言ってもいいかもしれませんが、であるから、そんなに心配しなくてもいい、例えば集団的自衛権を認めたからといって、アメリカ本土の攻撃に対して、日本の自衛隊が行ってそれを守らなければいけないというような議論にはならないから心配しなくていいんだ、こういう議論があるわけでございますが、この議論について、大臣の御感想を聞きたいと思います。
  132. 池田行彦

    池田国務大臣 御承知のとおり、我が国も含めましてあらゆる国が、国際法上は個別的自衛権と同時に集団的自衛権も有しているところでございます。しかしながら、我が国の場合には、現行憲法の規定からして、集団的自衛権は有してはいるけれどもその行使は憲法上認められるところではない、これがこれまでの我が国がずっと一貫して持してきた態度である、立場である、このように考えております。  そういった観点から申しますと、そもそも我が国の場合は集団的自衛権の行使というものは憲法上認められないのであるので、認めたとしてもどうかという議論は成り立たないと思いますけれども、我が国ではなくて、国一般の話として申し上げますならば、それは、集団的自衛権があったからといってそれをどこまで行使するかというのは、これはその国その国の政策上の判断に係るところだと思います。それは個別的自衛権についても同じことがあり得るのかと思います。
  133. 岡田克也

    ○岡田委員 私は、ちょっと今の大臣のお答えと趣旨は違うかもしれませんが、立法政策でいかようにもなるので心配する必要がないという議論に対しては、やはり憲法というものは重いわけでありまして、憲法のたがを一回外してしまって、そして立法政策で国会で多数決で決めればどうにでもなる、こういうのはそこで質的に変わるのだと思うのですね。加えて、憲法九条というものの存在価値ですが、個別的自衛権は発動を認める、集団的自衛権の発動も認める、こういうことになりますと、残るのは集団的安全保障かそういった概念ぐらいのことでありまして、九条は完全に空洞化するのではないか、こんな考え方に立っているところでございます。  したがって、集団的自衛権というものを憲法上認めても実害がないのだという議論はちょっととれないのではないか、こういうふうに考えているところでございます。この点について、大臣のお考えがありましたら聞かせていただきたいと思います。
  134. 池田行彦

    池田国務大臣 委員の御見解は御見解として承らせていただきましたけれども、政府といたしましては、集団的自衛権の問題については先ほど申し上げましたような姿勢で、立場で一貫してきたところでございます。御議論は御議論として承らせていただきます。
  135. 岡田克也

    ○岡田委員 有事の際の米軍に対する我が国支援活動、そういう観点で集団的自衛権の問題が議論されていると思いますが、私は、もしそういう場合について議論するのであれば、むしろそれは武力行使との一体性の議論で処理できることではないか、こういうふうに思っております。ぎょうはもう時間もございませんので、余り中身には触れませんが、もちろん武力行使の一体性というものについて、内閣法制局の見解は極めて抽象的でありまして、基準として果たして適当かどうかという問題はありますけれども、そういう問題として、より明確な基準を置くことでかなりのことができるだろう、こういうふうに思っております。相手国の領土、領海、領空に至らない範囲であれば、かなりの範囲で支援活動というものが憲法上認められるのではないか、こういうふうに思っているところでございます。  最後に、先般、パレスチナの選挙監視に私も参加をさせていただきまして、大変勉強になりました。ありがとうございました。日本の総員七十七名ですか八名ですか、世界で一番多くの数でありまして、それぞれのお立場で大変活躍をされたわけでありますが、その中で、一般のボランティアの方と話をしていて若干なるほどと思ったことがございます。  それは、せっかくこういった選挙監視活動に参加をしても、その後のフォローアップ体制がきちんとしていなければ、せっかくパレスチナまで来て活動したのに、その後パレスチナの和平問題がどういうふうに変わっていくのか、もちろん新聞その他ではわかりますけれども、外務省からきちんとしたそういったことについてのフォローアップが欲しい、こういうお話がございました。この点について、外務省としてどういうふうにお考えか、最後にお聞かせいただきたいと思います。
  136. 池田行彦

    池田国務大臣 先般、パレスチナの選挙監視団に岡田委員御自身も参加されまして、大変難しい環境の中で大きな活動をなされました。外務省といたしまして、また政府といたしまして心から感謝を申し上げるとともに、評価させていただく次第でございます。  この監視団、御指摘のように、衆参両院からも大勢参加していただきましたし、全体で七十七名と、最大の規模で大変大きな役割を、選挙監視という名目でも果たしましたし、またあの地域の諸国からの日本に対する評価を格段に高めたのではないか、このように考えている次第でございます。  そして、ただいま御指摘のございました、ボランティアで参加された方へのフォローアップが大切ではないかという御指摘、おっしゃるとおりだと思います。委員御自身の経験を踏まえての大変大切な御指摘と承らせていただきまして、外務省としても適切に対応してまいりたい、このように考えます。
  137. 岡田克也

    ○岡田委員 ありがとうございました。終わります。
  138. 関谷勝嗣

    関谷委員長 古堅実吉君。
  139. 古堅実吉

    ○古堅委員 今国会、引き続き沖縄問題が重要な論議の焦点となります。本委員会でも何回かにわたって取り上げていきたいというふうに考えておりますが、最初に、外務大臣沖縄問題についての基本的な認識について伺いたいと思います。  昨年十二月に、日本共産党沖縄調査団が一週間にわたって二十人という大きな規模の調査を実施いたしました。昨年十月二十一日に開かれた県民大会で集約をされた、米軍基地の早急な整理縮小の問題などを含む四つの項目というのがいかに県民にとって切実な問題であるかということを調査団はひとしく痛感してまいりました。  戦後五十年が過ぎ、二十一世紀も目前であります。しかるに、いまだに米軍専用基地の七五%が沖縄に集中し、県民を犠牲にするという諸悪の根源となって横暴を振る舞っています。県民は、この五十年にわたる長かった苦難の歴史と犠牲を顧みながら、二十一世紀にわたって同じようなことが続けられるということではとても我慢ができぬぞ、こういう立場で対処しようとしております。こういう県民の、二十一世紀にわたる政府の仕打ちといいますか、我慢ができないというふうに立ち上がった切実な気持ち、沖縄側からの要求、それについて大臣の立場からも、もっともなことだ、当然のことではないかというふうなお気持ちになってもらえるのではないか、こう考えますが、それについての御所見を伺いたい。
  140. 池田行彦

    池田国務大臣 沖縄県民の皆様方には、戦中戦後を通じまして多大の犠牲、そしてまた御負担、御苦労をおかけしてきた、このことは十分承知しております。特に、戦後におきましても長期にわたって米国の施政下にあり、また本土復帰後も米軍の施設・区域が集中しているということが県民生活のさまざまな面に大きな影響を与え、大変な御負担を与えてきた、このように認識しておりまして、このようなことからまいります沖縄県民の皆様方のお気持ちというものには十二分に配意いたしまして、私どももこれから沖縄における施設・区域の整理統合縮小、あるいはこれに関連する諸問題について真剣に対応をしていこうとしているところでございます。  しかし、もとより、先ほど来委員会の審議でもお話ししておりますように、政府といたしましては、日米の安全保障条約はこれからの我が国の平和のためにも不可欠だと考えております。そういった意味で、安保条約の目的との調和を図りながら、先ほど申しましたような沖縄県民の皆様方の御負担を軽減するように最大限の努力を払っているところでございます。
  141. 古堅実吉

    ○古堅委員 普天間飛行場は宜野湾市のど真ん中にあります。その飛行場を囲むような形で住民の居住地域と市街地が展開されております。その普天間基地を抱える宜野湾の桃原市長は、この異常な状況について、人間でいえば心臓と胃をえぐられたようなものだ、人間なら生きていけない、都市なら活力は出ないということだと説明しています。これは米軍基地のもとで沖縄の置かれている実態を示す代表例の一つにすぎませんけれども、このような状況が五十年も、あるいはそれ以上も続くということは、大臣から見ても異常のことだというふうに受けとめられるのではないかと思いますが、いかがですか。
  142. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほども申しましたように、私どもは日米安保条約の目的との調和を図りながら基地の問題に対応してまいりたい、こういうことでございますが、基地の約七五%がいまだに沖縄に存在するということ、そして、沖縄県民の方々に大変な御苦労、御負担をおかけしているということは、先ほど申しましたように、よく認識しているところでございます。したがいまして、私どもも現在、特別行動委員会というものを設置いたしまして、米国とも協力いたしまして真剣に、どのような整理統合縮小ができるか、これを検討しているところでございますし、また、この基地の存在に伴う騒音その他の問題につきましても、できることから着実に一つ一つ解決しようと努力しておるところでございます。
  143. 古堅実吉

    ○古堅委員 先ほど来まともに御答弁はいただけないのですけれども、日米安保条約があるとはいえ、沖縄のこういう現状が五十年も続いて、これからも続けられようとしているものについて、安保を持ってくれば当たり前だという考えなのか、幾ら安保とはいえ、沖縄の例を、今宜野湾市について申し上げましたが、こういう事態というのはやはり異常だ、沖縄県民がこういう事態をいつまでも続けさせてはならぬというふうに叫んで立ち上がるのは当然ではないか、理解できる、こういう受けとめであられるのかという、外務大臣、担当大臣の基本的な認識をお伺いしたいがために質問を繰り返しているのです。いかがですか。
  144. 池田行彦

    池田国務大臣 沖縄県民の方々が大変大きな御負担をしておられる、その御負担を何とか軽減したいということで努力している、こういうふうに御答弁申し上げておる次第でございます。そして、先ほども申しましたように、ただいま我が国政府といたしましても、そしてまた米国といたしましても、これは真剣に作業に取り組んでおります。そして、そのときには当然、沖縄県民の方々がその御負担からくるいろいろなお気持ちをお持ちになっている、また生活の面で大変な御不自由をされておるということを十分踏まえながら、真剣に取り組んでおるということを御理解いただきたいと思います。  それと同時に、この問題を具体的に達成していく、こういうことになりますと、どうしても政府と、国と米国だけの関係ではなくて沖縄の方々の、県のあるいは市町村のいろいろな御協力というものも大切かと存じますので、そういったところも十分考えながら現実的に対処してまいりたい、そして区域、地域、そしてまた施設の目に見えた整理統合縮小の面での成果というものも実現してまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  145. 古堅実吉

    ○古堅委員 沖縄県は沖縄の国際都市形成構想のもとに基地返還アクションプログラムをつくり、一月三十日に政府に提示しましたので、大臣も御存じだと思います。これは米軍基地の異常な集中による我慢のできない重圧から解放されるためのもので、二〇一五年を目途に、米軍基地を二〇〇一年、二〇一〇年、二〇一五年の三段階に区分して、計画的かつ段階的な返還を求めたものであります。大臣はこの計画を県民の二十一世紀に向けた切実な願いが集約されたものというふうに受けとめておられますか。
  146. 池田行彦

    池田国務大臣 ただいまお話がございました沖縄県の基地返還アクションプログラムは、一月三十日に開かれました基地問題の協議会の幹事会で沖縄県側から政府としても御説明を承ったところでございます。  その際の御説明によりますと、このアクションプログラムは現時点で県がおまとめになったものでございまして、地主の方々の同意取りつけあるいは従来のいろいろな返還要望事案との整合性等につきまして、なお地元において調整をしていかなければならないというものである、そういう意味で素案と書いておられる、こういうふうに承知いたしております。  しかしながら、私どもといたしましては、沖縄の方々が、また沖縄県がこれからの沖縄のあり方について真剣にお考えになっておる、そういった中で基地の問題につきましてのいろいろなお考え、御要望が出てきておるということを十分認識しておるということは先ほど申し上げたとおりでございます。
  147. 古堅実吉

    ○古堅委員 真剣に考えて、その要求実現の立場からまとめて持ってきたものだというふうな受けとめであられるというふうに理解いたします。  けさ以来、沖縄問題について何回か御答弁がございましたが、これまでも外務大臣は、他の場所においても同じようなことを言っておられます。県民の声に真剣に耳を傾ける、負担を軽減したい、そういうお言葉が本当であれば、この沖縄から持ってきたところの、基地がこのままじゃもう救われぬぞ、二十一世紀に向けてこうしたいという沖縄側からのアクションプログラムの提示、それに対してもまじめに検討をされるべきだというふうに考えますが、大臣としてどういう扱いをされるお考えか、お聞きしたい。
  148. 池田行彦

    池田国務大臣 アクションプログラムの性格については、先ほども御答弁申し上げましたように、県側におかれまして、なお調整を要するものだとおっしゃっておる、こういう性格のものでございます。したがいまして、その要望に応じてどうこうということではございません。  しかしながら、私どもは、沖縄が今置かれた状況の中でこれだけ基地整理統合縮小についていろいろ御要望されておられる、その他の関連する問題についてもいろいろ御要望されるということは十分承知しておりますので、そういったことを真剣に踏まえながら、先ほど来申しますように、日米間で今せっかく相談しておりまして、この秋をめどに具体的な成果を上げてまいりたい、こう考え、真剣に取り組んでおるところでございます。
  149. 古堅実吉

    ○古堅委員 確かに部分的な調整はありましょうが、大きな構想については沖縄全県の五十三市町村、その大方の了解のもとで県は政府責任を持って提示したわけで、それについて政府沖縄側の要望にこたえる立場で真剣に検討されるよう強く求めておきます。  日米行動委員会において沖縄米軍基地整理統合縮小検討を進め、十一月ごろまでには結論を出すと言われている問題についてですけれども、これまでに既に明らかにされた事案の範囲内のものについてのことか、それとも新しい事案が加えられることも考えておられるのか、そこを明らかにしてほしい。
  150. 池田行彦

    池田国務大臣 今おっしゃいましたのは、合同委員会とおっしゃいましたけれども、具体的には特別行動委員会、SACOOにおける協議のお話と存じます。  基地の問題につきましては、これまでも三事案、十三事案あるいは二十三事案というようにいろいろございました。そういったことも全部視野に入れながら、どういうことができるか、今真剣に鋭意相談をして協議をしているところでございまして、現在の段階でどの事案がどうか、あるいは新規の事案がどうかということは、御答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  151. 古堅実吉

    ○古堅委員 はっきりは言えないのだが新しい事案が加わることも考えられるということをおっしゃれますか。
  152. 池田行彦

    池田国務大臣 現在沖縄に存在します基地の数は四十であると承知しておりますけれども、そういった沖縄に存在する基地につきまして、一体どういうことが可能か、従来にない密度でもって、また従来にない、何といいましょうか、特別の場もつくりながら、真剣に取り組んでおる、こういうことでございます。
  153. 古堅実吉

    ○古堅委員 最後に一点だけ。  まだはっきりしません。それでは、今まで明らかにされた事案の範囲は超えるものではないというふうなことですか。
  154. 池田行彦

    池田国務大臣 そのようには答弁申し上げておりません。
  155. 古堅実吉

    ○古堅委員 終わります。
  156. 関谷勝嗣

    関谷委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時一分散会