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1996-03-27 第136回国会 衆議院 科学技術委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月二十七日(水曜日)     午後一時五十二分開議 出席委員   委員長 井上 喜一君    理事 小野 晋也君 理事 原田昇左右君    理事 村上誠一郎君 理事 上田 晃弘君    理事 笹木 竜三君 理事 鮫島 宗明君    理事 今村  修君 理事 渡海紀三朗君       小渕 恵三君    古賀  誠君       萩山 教嚴君    林  義郎君       平沼 赳夫君    松永  光君       上田 清司君    近江巳記夫君       斉藤 鉄夫君    藤村  修君       大畠 章宏君    吉井 英勝君       後藤  茂君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      中川 秀直君  出席政府委員         科学技術庁科学         技術政策局長  工藤 尚武君         科学技術庁科学         技術政策局長  落合 俊雄君         科学技術庁科学         技術振興局長  沖村 憲樹君  委員外出席者         科学技術庁長官         官房審議官   池田  要君         科学技術委員会         調査室長    吉村 晴光君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十三日  辞任         補欠選任   吉井 英勝君     志位 和夫君 同日  辞任         補欠選任   志位 和夫君     吉井 英勝君 同月二十八日  辞任         補欠選任   斉藤 鉄夫君     太田 昭宏君 同日  辞任         補欠選任   太田 昭宏君     斉藤 鉄夫君 三月十九日  辞任         補欠選任   萩山 教嚴君     浜野  剛君 同日  辞任         補欠選任   浜野  剛君     萩山 教嚴君 同月二十五日  辞任         補欠選任   萩山 教嚴君     田中眞紀子君   斉藤 鉄夫君     東  順治君   藤村  修君     青山  丘君 同日  辞任         補欠選任   田中眞紀子君     萩山 教嚴君   青山  丘君     藤村  修君   東  順治君     斉藤 鉄夫君     ――――――――――――― 三月二十六日  科学技術振興事業団法案内閣提出第三一号) 二月二十七日  原子力発電等に関する請願(塚原俊平君紹介)  (第六六号)  同(保利耕輔君紹介)(第六七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月五日  高速増殖炉もんじゅ事故原因徹底究明と事  故再発防止に関する陳情書外一件  (第一五二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  科学技術振興事業団法案内閣提出第三一号)      ――――◇―――――
  2. 井上喜一

    井上委員長 これより会議を開きます。  内閣提出科学技術振興事業団法案を議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。中川国務大臣。     ―――――――――――――  科学技術振興事業団法案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 中川秀直

    中川国務大臣 科学技術振興事業団法案について、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  昨年十二月二十五日に閣議決定されました「当面の行政改革推進方策について」におきまして、新技術事業団及び日本科学技術情報センターの二法人平成八年度において統合することが決定されたところであります。  これまで、日本科学技術情報センターにおいては科学技術情報流通に関する業務新技術事業団においては研究交流促進基礎的研究及び新技術開発等に関する業務を行うことにより、我が国科学技術振興のために重要な役割を担ってきたところであります。  しかしながら、近時の研究開発高度化複雑化対応して、科学技術振興のための基盤整備を図るとともに、先端的、独創的な研究開発をより効率的に実施することが極めて重要となっており、このため、両法人がこれまでそれぞれ担ってきた業務を一体的、総合的に行うことが求められる状況にあります。  また、昨年制定された科学技術基本法においては、科学技術振興我が国の最重要政策課題一つとして位置づけ、科学技術創造立国を目指して科学技術振興施策の総合的、計画的、積極的な展開を図ることが求められております。  本法律案は、このような状況にかんがみ、行政改革に積極的に対応するとともに、科学技術振興のための基盤整備を図るとの観点から、日本科学技術情報センター新技術事業団とを統合し、科学技術振興事業団を設立するものであり、その設立に当たっては、行政改革趣旨を踏まえ所要合理化を行うとともに、科学技術基本法に定められている諸施策の重要な担い手として積極的な事業展開を図ることとしております。  次に、本法律案要旨を御説明いたします。  第一に、科学技術振興事業団は、科学技術情報流通研究交流促進に関する業務等を行うことにより科学技術振興のための基盤整備を図るとともに、新技術創製に資すると認められる基礎的研究及び新技術開発等を行い、もって科学技術振興に寄与することを目的とすることであります。  第二に、同事業団役員として、理事長一人、専務理事二人、理事七人以内及び監事一人を置くことであります。  第三に、同事業団は、科学技術情報の収集、分類、整理、保管、提供及び閲覧に関する業務研究者交流共同研究あっせん等研究交流促進に関する業務科学技術に関する試験研究を行う者に対し試験研究を効果的かつ効率的に行うために必要な人的・技術的援助及び資材・設備の提供を行う業務科学技術に関する知識の普及並び国民の関心及び理解の増進を図る業務、新技術創製に資することとなる基礎的研究及びその成果普及を行う業務企業化が著しく困難な新技術について委託開発及びその成果普及並びに新技術開発あっせんを行う業務等を行うことであります。  第四に、同事業団は、内閣総理大臣が監督することであります。  第五に、日本科学技術情報センター及び新技術事業団から同事業団への権利及び義務の承継に係る規定、両法人の解散に係る規定等経過規定のほか、日本科学技術情報センター法及び新技術事業団法廃止関係法律改正等所要規定整備を行うことであります。  以上が、この法律案提案理由及び要旨であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  4. 井上喜一

    井上委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 井上喜一

    井上委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原田昇左右君。
  6. 原田昇左右

    原田(昇)委員 ただいま大臣から提案理由の御説明がございましたが、その説明にもありましたように、この法案行政改革一環として、新技術事業団日本科学技術情報センター統合しようとするものでありますが、単なる統合とこれに伴う合理化にとどまらず、昨年議員立法によって成立しました科学技術基本法に定められた諸施策の重要な担い手としての積極的な展開を図ろうとするものだと理解いたします。  科学技術基本法成立に尽力いたしました一人といたしまして政府対応を多とするものでありますが、この法案は、いろいろな準備の都合もあり、また外部研究者に対しても、一日も早い成立によって安心させることが必要ではないかと考えております。  この意味から、私は、この間の新進党のピケ戦術で非常に心配をいたしておったわけでありますが、今回この法案日切れ法案に準じた扱いになり、本日、審議の運びになりましたことは大変喜ばしいことだと存じます。  本法案には賛成でございますが、今後の運用のことも視点に入れまして、以下若干の質問をさせていただきたいと思います。  まず第一は、本案は行政改革一環として提案されたものでありますけれども、その点の説明が必ずしも十分でないという印象をぬぐえません。  例えば、これは一月十日に出た新聞記事ですが、「道のり遠い特殊法人改革」こうあって、「向こう四年間で統合する十六特殊法人のうち、九六年度予算を削り込んだのはわずか六法人に過ぎない。」こう書いてある。  そして、「今年十月に日本科学技術情報センター統合する予定の新技術事業団。ここが九六年度に国から受け取る補助金出資金などの合計額は九五年度当初に比べて倍増した。政府予算編成の目玉とした研究開発重点路線に沿い、なりふり構わず予算額を積み上げた結果だ。」こう悪口が書いてある。  それでさらに、「予算には統合に伴って法人名が変わるため看板の書き換えに必要な一億八千万円の経費も盛り込まれている。これは統合に伴う管理部門人件費節約分をほぼ相殺する。」ものだ、こういうようなひどい記事があるわけでありますが、この記事内容は事実であるかどうか、この記事についてどう思われるか、しかと説明をしてください。
  7. 沖村憲樹

    沖村政府委員 事実を御説明申し上げたいと思います。  御指摘のとおりの内容では全くございませんで、二点御指摘があったと思うのでございます。一つは、予算がふえているという点でございますが、この両法人統合によりまして約百七十億円の予算がふえております。これにつきましては、一番大きな原因でございますが、それは戦略基礎研究、百五十億円をふやさせていただいております。それからポスドク一万人計画につきまして十二億円、そのほか若者の科学技術離れ対応のための科学館充実強化、それから国立試験研究機関に対する研究支援者の派遣といった、新しくこの法人につけ加えさせていただきました諸事業に伴います予算増加がございまして、こういうことで百七十億円の増加ということになりましたが、これらはいずれもいろいろ先生方の御指導もいただきながら予算化していただきましたものでございまして、科学技術振興上不可欠な予算であるというふうに考えておるわけでございます。  もう一点、看板の書きかえに約一億八千万円の経費がかかるというふうに御指摘をいただいたわけでございますが、これは全くの間違いでございます。日経新聞の方にも御連絡をしたわけでございますけれども、これは約六百万円、看板の書きかえに確かにかかっておるわけでございます。一一億八千万という数字は全くの間違いでございます。  いずれにしましても、今後とも十分にこの統合趣旨の御説明関係方面にさせていただきたいというふうに思っております。よろしくお願い申し上げます。
  8. 原田昇左右

    原田(昇)委員 こういうちゃんとした大新聞が書いておるから、これでは大変国民は誤解を受けますので、しっかりと今の点をPRしていただきたいと思います。  それから、法人統合を考える前に、今までの業務についての評価とかあるいは既存業務廃止とか民間移管可能性、こういったものについて当然検討されたと思いますが、いかがですか、それについては。
  9. 沖村憲樹

    沖村政府委員 先生の御指摘のとおり、法人統合に当たりまして、両法人事業を詳細に洗いまして、民間に委託できるかどうか、あるいは統合できるかどうかということを検討させていただきました。  その結果、幾つかの点を統合整備しておりまして、一つは、新しく戦略基礎研究というのをスタートさせていただきましたので、従来やっておりました独創的研究育成事業をこの戦略基礎研究の中に吸収させていただきました。また、両法人幾つか類似のデータベースを持っておったりしておりますので、そういうものは統合させていただいております。また、新技術事業団科学技術情報センターでネットワークをそれぞれ持っておりますが、それにつきましても今後統一していくということでやらせていただきたいというふうに思っております。また、事業体制役職員合理化、そういうものを含めまして大体二十七億円ぐらいの予算統合ができたのじゃないかというふうに私ども思っておりますが、今後ともこういうことに気をつけて新法人を指導してまいりたいというふうに考えております。
  10. 原田昇左右

    原田(昇)委員 当然ながら、重複部分については削ることができるわけですね。ただ、やはり統合に伴う職員の処遇とか、あるいは場所が変わるので非常に不便になるとか、いろいろあると思うのですね。そういう点のきめ細かい配慮もあわせておやりになっておられると思いますが、いかがでしょうか。
  11. 沖村憲樹

    沖村政府委員 役職員整理合理化でございますが、まず役員につきましては、従来十五人おりました役員を十一人に四人削減いたしております。それから、常勤役員につきましては、十人から七人ということで三人を削減いたしております。  また、職員につきましては、管理部門中心にいろいろな既存事業部門につきまして職員合理化を行いまして、全体二十五人の職員を削減いたしまして、先ほど御説明いたしましたような新しい事業部門に振り向けまして、職員全体はプラス・マイナス・ゼロで大きな事業を吸収してやっていくということでやらせていただいております。  また、組織につきましても、三部室二課というものを削減いたしまして、この一部を新しい事業 に振り向けるということをやらせていただいております。  今先生の御指摘のありましたとおり、管理部門約三十人が川口の方に移るということがございます。それから、職員につきまして統合に伴いましていろいろな問題が生じますが、その点につきまして、この法案成立させていただきました暁に労使でいろいろ話し合っていくことになると思いますけれども、職員の利益にそぐわないようなことのないようにいろいろ指導してまいりたいというふうに考えております。
  12. 原田昇左右

    原田(昇)委員 次に、業務内容について御質問したいと思います。  いわゆる新技術開発の条項は、すなわち三十条第一項第六号にありますが、「企業化が著しく困難な新技術について企業等に委託して開発実施し、その成果普及する」ことということがありますが、これは現在の新技術事業団が昭和三十六年に発足したときからの事業だと伺っておりますが、これまでどのような成果を上げてこられたか、具体例をお聞かせいただけませんか。
  13. 沖村憲樹

    沖村政府委員 御指摘のように、この委託開発事業新技術事業団の最初からの業務でございまして、これまで個々の事業をやってまいったわけでございますが、具体的な成果といたしましては、例えばダイオードの事業化でございますとか、肝炎に使いますインターフェロンの事業化でございますとか、いろいろな成果を上げてきております。そういう意味では、私どもとしましては、大学国立試験研究機関のいろいろな成果企業化という面で大きな役割を果たしてきたのじゃないかというふうに思っております。  また、これは新技術事業団が融資を行うという形で危険負担をしまして行ったものでございますけれども、一方、あっせんという形ででもいろいろな企業化も図っておりまして、こういう面でもいろいろな成果を上げてきたというふうに考えておるところでございます。
  14. 原田昇左右

    原田(昇)委員 新技術開発リスク事業団が負担するという制度というのは、民間企業の力が弱くて、大企業も含め新技術開発に伴うリスク負担に耐えられないという場合には大変な成果が上がるわけでありますが、これは、三十五年前と比べまして、現在では企業の力は、非常に大きい企業についてはかなりの力ができてきておると思うのですね。したがいまして、私はむしろこれは中小企業中心インキュベーター事業というか、ニュービジネスの、ベンチャービジネス育成という意味で活用されたら非常な効果があるのではないかなと思うのですが、最近これは、例えば委託先を大企業中小企業別に分けてみると、一九七五年、八五年、九五年、十年ごとでいいですが、どんなふうになっているのでしょうか、ウエートは。
  15. 沖村憲樹

    沖村政府委員 中小企業比率でございますが、一九七五年では委託企業十一企業中、中堅中小企業が六企業でございます。八五年は十六企業中十一企業、九五年が十二企業中八企業ということで、徐々に中堅中小企業比率が上がっているという現状でございます。
  16. 原田昇左右

    原田(昇)委員 まあ上がっていることはよくわかりました。しかしながら、なお、今やベンチャービジネスを大いに育成強化しようというニーズが非常に高い時代になってきたわけであります。  これは、今発掘するのにも何か大学研究開発だけを対象にしておるようですが、まず第一に、中小企業からアイデアを公募したらどうだ。そして、その中でいいものをどんどん開発助成していったらどうだ。得手不得手もあるでしょうけれども、大企業に必ずしもウエートを置くことはないんじゃないか。もう中小企業に絞って、インキュベーター事業のようにどんどんベンチャーを育てるということに徹したらどうだろうか。私はこう思いますが、大臣いかがですか。
  17. 中川秀直

    中川国務大臣 委員指摘の、中小企業、特に研究開発型の中小企業を重視して新しい産業創造に資したらいかがかという御意見には、私も全く同意見でございます。  いろいろ生活関連の新しい技術開発というものにも、いろいろな委託事業重点化を絞りつつあるようですが、一層そっちの面でも力を入れながら、また逆に、こういう分野でどうだろうかというようなことも、公募という形がとれればそんなことも考えながら、新しいそういう産業分野我が国中小企業中堅企業が大いに進路を開拓できるようにまた考えてまいりたいと思っております。
  18. 原田昇左右

    原田(昇)委員 大臣のお考えを聞いて、大変評価したいと思います。  今まで、せっかくいいことをやっているにもかかわらずどうも余り国民に知られていない、もっと積極的に公募して中小企業に窓口を開くということが特に大事ではないかな、こう思います。ぜひその点を配慮していただきたい。いいですか、答弁。
  19. 沖村憲樹

    沖村政府委員 今大臣も申し上げましたとおりの方針で、公募というやり方もいろいろ勉強しながらやっていきたいというふうに思います。
  20. 原田昇左右

    原田(昇)委員 それから次に、研究成果について、部内の評価だけではなくて外部からの評価が大変重要だと思うのですね。  理化学研究所で聞いた話ですが、外部学識者を招いて定期的に研究評価をやって、まずいのは方向転換させるとか、やめて新しいのをやるとかいうことを、この前理化学研究所を見にいったときに所長さんからそういう話を聞いて大変感銘を受けたわけです。  我が国大学等も、これは悪口になって恐縮なんですが、教授になってしまうと一生一つの講座をずっと持って、よくても悪くても、勉強しようがしなかろうが終身なんですね。終身ということは、長い意味基礎研究をやるには非常にいいことではあるけれども、いかに何でもそれで固定してしまって、研究開発の面で今や弊害の方が大変多いのじゃないかと私は思うのです。  アメリカ等教授大学先生なんかでもみんな任期制をとっていますね。それで、評価は学生なり外部の人からみんな評価してもらっておるのですね。この評価というのは非常に大事だと思うのですが、基礎研究についてどういう評価制度をあなたは持とうとしておるのですか。
  21. 池田要

    池田説明員 御説明申し上げます。  ただいま基礎研究につきましてどういう評価制度を持とうとしているかというお尋ねでございますが、今回新規に発足させるべくお願いしております新事業団につきまして、どういうことを考えておるかということを御紹介申し上げたいと思います。  基礎研究を推進いたします場合にも、その研究評価につきましては、投資に見合った研究が行われているかどうか、それからまた、研究水準を高める上でも非常に重要だとまず認識してございます。  この新技術事業団におきましては、この基礎研究の代表的なシステムとしましては、創造科学技術推進事業というのがございますし、また国際共同研究事業というものを行っております。それぞれの事業におきましては、これまで、シンポジウム開催でございますとか、それから、論文発表等積極的に外部成果を発表いたしまして外部評価を受けるようにしてございます。また、研究状況につきましても、外部学識経験者で構成いたします新技術審議会に報告をすることにしているところでございます。  それから、平成七年度から新しく発足してございます戦略的基礎研究推進事業におきましても、外国人研究者が参加するような仕組みを考えまして、ワークショップでございますとかシンポジウム開催、それから、積極的に論文を出すこと等によって研究成果が公表される、これによって外部評価研究分野ごとに置かれます研究統括が取りまとめ、研究運営に反映させるような仕組みを考えてございます。
  22. 原田昇左右

    原田(昇)委員 新技術事業団法を見ますと、基礎研究実施方法について重要な注意事項規定 しているわけです。  すなわち、いつまでもだらだらやるのでなく主題ごとに期間を設定して行うこと、総括責任者を指定して研究の指揮に当たらせること、研究者の雇用に当たっては総括責任者意見を尊重すること、あるいは研究施設は持たないように配慮することなどと新技術事業団基礎研究を特徴づける規定があったわけです。  この考え方は私は非常にいい考え方だと思うのですけれども、今度の統合法案ではこの規定がなくなっていますね。考え方は変わったのですか。その点はどういうふうに……。
  23. 沖村憲樹

    沖村政府委員 今先生に御指摘いただきました条文は、旧新技術事業団法の三十条の二というところで御指摘のような基礎研究の具体的なやり方について規定をいたしておりました。この規定につきましては、新技術事業団創造科学技術推進事業を始めるときにこういう形式でやっていこうということで法定をさせていただいたものでございます。  ただ、研究実施方法をどうやるかということにつきまして、一般的には法律事項ではございませんで、いろいろ実施主体に任されているところなのでございますが、この新技術事業団につきましては、こういうユニークなやり方をとっていこうということで法定をしていたところでございます。  ただ、今回、創造科学事業の後、さきがけ研究でございますとか、また、今度戦略基礎研究をやらせていただくわけでございますけれども、この両事業につきましても当面はこのやり方でやっていくということにいたしておりますが、今後また基礎研究につきましていろいろなニーズが出た場合に柔軟にやっていきたいということでこの規定を落とさせていただきました。  ただ、このやり方を、この精神を酌み取って引き続きやっていこうということで、実は法人に対しては業務方法書の認可というところがあるのでございますけれども、その中でこの中身はきちんと決めて、役所がそのやり方をウォッチしてまいりたいというふうに思っております。
  24. 原田昇左右

    原田(昇)委員 了解しました。  基礎研究実施に当たって、総括責任者に任せて、新技術事業団は金は出すけれども口は出さないということが非常に大事だと思うのですね。そのかわり評価は厳しくやるということが大事だと思うのですが、この方式は研究者にも非常に歓迎されておると私は聞いておりますが、どうでしょうか、成果は上がりましたか。
  25. 池田要

    池田説明員 御説明申し上げます。  ただいま新技術事業団が、従来行っております基礎的研究代表例でございます創造科学事業におきまして、これは卓越した研究リーダーのもとに産学官それから海外の優秀な研究者組織の壁を超えて一定期間組織し、かつその当該リーダーの判断のもとで研究の進捗により計画を随時変更できるといった柔軟なシステムを特徴としているところでございます。  こうしたユニークな研究システムにつきましては、これまでこの成果といたしまして、一千件を超える特許出願、それから五千三百件余り研究発表が行われているところでございますし、この成果につきましては、世界的にも評価の高い科学誌でございますネーチャーにも八件ほど、それから米国の科学誌のサイエンスといった雑誌にも七件ほどの論文が掲載されてございます。このような研究システムそのものにつきましても、こうした科学誌等によりまして非常に高く評価をしていただいておるところでございます。  また、アメリカの全米科学財団もこのシステヘにつきましてこれまで二度にわたって調査に訪れるなど、海外でもそれだけの注目を浴びているというふうに考えているところでございます。  このような例を御紹介申し上げましたけれども、こういったシステムは大きな成功をおさめていると私どもでは認識しているところでございまして、今後ともこのような柔軟性、こういう長所を最大限に生かして我が国基礎研究の推進に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  26. 原田昇左右

    原田(昇)委員 私もけさ、さきがけ何とかというプロジェクトがありましたね。さきがけ研究21か、さきがけに似たような名前ですが、そこの研究者の一人にお会いして話を聞かせていただきましたが、非常にやる気十分で、なかなかこの制度いいということを言っておりましたので、申し添えておきます。  さて、研究者の資質を上げてその能力を一〇〇%発揮させるには、世界的な競争の場に置くことが大事だと思うのですね。そのため、外国の研究者を呼んで日本の研究所で研究をさせる、あるいは日本の研究者を外国へ派遣して他流試合をやらせるというようなことが非常に大事だと思います。新技術事業団は国際的な交流事業実施しておるわけですが、具体的にどのような業務を行ってきたか、どのような成果が上がったか、御説明いただきたいと思います。
  27. 池田要

    池田説明員 御説明申し上げます。  新技術事業団におきます国際研究交流の具体的な事業内容についてのお尋ねでございます。  まず、国立試験研究機関等を対象にいたしました外国の研究者の受け入れ、科学技術庁ではフェローシップ制度と言っておりますけれども、これの運営を行っております。八年度の政府原案では新規に二百四十名ほど、具体的な数字を申し上げますと長くなりますけれども、そういった事業を進めております。  それから、こういった外国の研究者のための宿舎の運営、これは筑波の学園都市にはそのための特別の宿舎も運営をしているところでございます。  それから、外国の研究者が来られた場合の生活支援事業、日本語の研修でございますとか英語による生活相談でございますとか、こういった事業展開しているところでございます。  それから、アジア太平洋諸国、こういった国に対します研究協力者の派遣、こういう事業も行わさせていただいております。  それから、内外の国際研究交流に関するニーズにこたえましての情報提供。  それから、研究交流施設の整備といたしまして、現在筑波の研究学園都市におきましては、茨城県と共同で、会議室等を有します知的触発国際プラザという施設の建設を進めているところでございます。  こういった事業をさらに拡充強化をいたしてまいりたいと思っております。  もう一つ先生からは成果についていかがかというお尋ねでございます。  それぞれの国際研究交流事業につきましては、比較的まだ歴史が浅うございます。ただ、一つ例を申し上げますと、国際共同研究事業につきましては、これは現在までのところ、平成七年度発足いたしましたものまで含めますと八件ほど、これは欧米の国との間で協力を進めてきてございますが、中に平成元年にイギリスとの間で行った研究テーマ、これは英国のケンブリッジ大学及びロンドン大学との間で新素材の原子配列を設計制御しようというような計画でございますけれども、これは終了してございます。  この例を申し上げますと、この研究に従事いたしました研究者数は、日本側では十九名ほど、英国側では二十八名ほど。この成果といたしまして、外部に発表いたしました論文の数で一例を申し上げますと、二百二十件余りが発表されております。また特許につきましても、日本で三件、英国で一件、こういった具体的な例も出てきておるところでございます。
  28. 原田昇左右

    原田(昇)委員 行政改革一環として公務員の定員削減が進められているわけでありますが、国立研究所では、定員削減が結局補助員とか技能者を削減してしまうというようなことになってきておりまして、その結果研究者が、本来研究補助員がやるような仕事、いわば雑用に近いもの、あるいは機械の準備、修理、そういったものまでやらざるを得ないということで、本来の研究が非常に おろそかになる。  欧米なんかで見ておりますと、語学の差もあるかもしれませんけれども、ともかく女性の秘書が先生の言うことを、全部さっとたちどころに論文になって出てくるわけですね。そういう研究補助員という制度がうまく運用するかしないかによって研究の能率が物すごく違うというように思うわけです。この前我々も理研に行ったときに、所長さんからその点を何とかしてほしいということを頼まれました。今のようにシーリング制度でやっていくと、もうだんだん補助員が削減されてしまうというようなことであります。  そこで、今度研究支援者を雇用して、国立研究所のそれぞれの研究所に支援者チームを派遣するという制度を今度の統合事業団でやろう。新技術事業団でやっておったんだな。それを今度統合でさらに拡大していこう、こういうようになったことは大変喜ばしいことだと思います。  どうも聞いてみますと、平成七年度はわずか六十六人、平成八年度が百三十人の予定だというように聞いております。国立研究所の研究者の総数は九千人おるわけでありまして、それに比べると大変微々たるもので、せっかくいい制度があるのだけれども、これでは余り効果が上がらぬのではないかなということを恐れるわけであります。  一種の人材派遣業ですが、定年退職で熟練技能者が退職される場合もあるでしょうから、少しこれを広げていただいて各研究所に派遣していただくということは非常に大事なことだと思いますので、もっと大幅に拡充すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  29. 池田要

    池田説明員 御説明申し上げます。  ただいま先生から御指摘の、平成七年度から発足しました事業でございますけれども、これは、科学技術振興調整費を使わせていただきまして重点研究支援協力員制度というものを私ども発足させております。今回新法人が発足をいたしますと、この法人にこの事業を拡大を図りながら実施をさせようということを考えておるところでございます。  確かに平成七年におきましては六十六名でございますが、平成八年度政府原案におきましてはこれを倍増したいと思っております。御指摘のように、国立研究所におきます研究者の総数に比べますと、大変まだ少のうございます。  欧米等の例を見ましても、私ども知り得る限りでは、欧米等におきましては研究者一人当たりこういう支援者が一人ほどついておるということにつきまして、私どもの現状、国内の状況は一人当たり〇・一三名ほどということでもございますから、これは、そういう例等をにらみまして積極的に拡充を図っていく必要があろうかと考えておるところでございます。
  30. 原田昇左右

    原田(昇)委員 しっかりやってください。我々も応援したいと思います。  そこで、最後に、時間でもございますので、新しく科学技術理解増進事業というのをやろうというわけで、統合法人では、若者の科学技術離れ対策としてこういう事業を取り上げるということでございますけれども、これは、受験の詰め込み教育といったようなものとも極めて密接に関連して根が深い問題だと思うのですね。  これは、科学館を子供らに親しみやすい、体験学習ができるような体験センターにというようなものも非常にいい構想だとは思います。しかし、それを充実することだとか、出前レクチャーをしてやるとか、そんなことだけでおさまる問題ではないだろう。国を挙げて取り組む問題ではないかと思います。  これについては、科学技術庁が中心になって、文部省を初め関係各省庁とひとつ協力して国全体の戦略をつくっていただいて、その一環として、科学技術振興事業団業務を分担させて的確に遂行させるということが大事ではないかと思いますが、いかがでしょうか。これは、大臣からぜひ聞かせていただきたい。
  31. 中川秀直

    中川国務大臣 ただいま委員指摘の点に関しましては、大変お世話になりました科学技術基本法の第五章第十九条にも、「青少年をはじめ広く国民があらゆる機会を通じて科学技術に対する理解と関心を深めることができるよう、学校教育及び社会教育における科学技術に関する学習の振興」こういうような「施策を講ずる」というふうにうたわれているところでございます。  この基本法に基づきます基本計画を、政府の全体の計画でございますので、ただいま当庁が中心になって各省庁と協議をして、六月ごろをめどに基本計画をつくっている最中でございます。その中におきまして、委員指摘のような点について、特に文部省とでございますけれども、鋭意議論を今しておるようでございます。  私の認識といたしましても、ゆとりある教育ということで学校五日制等々になりまして、初等教育、中等教育でもこの五年間で二百時間近く理科系教育の授業時間数が減っておる。また先生方も、実は教育学部系の先生が多くなられまして自然科学系の先生方が減っておる、こういう問題もございます。  そんなわけで、先日、大変異例でございましたけれども、たまたま教育白書がかかった閣議の後の閣僚懇談会で、文部大臣にこの点について御協力、また御配慮をお願いを申し上げた次第でございます。そんな気持ちで、これから御指摘のとおりの方向で基本計画を練り上げていけるように頑張ってまいりたい、このように考えております。  ただ、科学館の充実等々も、先日もある場所で青少年のための科学の祭典というのを、たまたま私の郷里でございましたが、広島市において二日間にわたって行いました。豪雨の中にもかかわらず、二日間で一万人ぐらいの小中高校生が参加をしてくれております。  やはりこういうことも、単に建物というのではなくて、それを通じて理科クラブだとかその関連の先生方だとか、そういうソフトを充実させながら不断にそういった活動を続けていただくということも重く考えて、重視していかなければならぬことであろう、こう考えております。よろしく御理解のほどを賜りたいと存じます。
  32. 原田昇左右

    原田(昇)委員 どうもありがとうございました。時間でございますので、これで終わります。
  33. 井上喜一

  34. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 新進党の斉藤鉄夫でございます。科学技術振興事業団法についてちょっと御質問させていただきます。  一昨年末、特殊法人の見直しについて、当時の科学技術庁官房長が当時の科学技術庁長官に進言をした、その内容が非常に消極的であったということで、それが大臣のげきりんに触れたのかどうかはわかりませんけれども、官房長がおやめになる、こういうことがございました。外から見ておりまして、今の体制のままでいきたい、こういう科学技術庁の事務方と、行政改革やるべしという世論を受けた政治家、この二つの意見がぶつかった一つの事例として記憶に新しいわけでございます。  そして、そういう経過を踏まえて、今回の法案新技術事業団日本科学技術情報センター一つにまとめて科学技術振興事業団をつくるというものが出てきたわけでございます。二つあった特殊法人一つになる。二人いた理事長が一人になる。役員定数も、二つのときは合わせて十五人だったのが十一人になる。職員数は変わっていないわけですけれども、給料が高くて余り実務をしない役員の数が四人減るから行革だ、こういうふうに見えるわけでございます。  外から見ておりますと、大変失礼な言い方になるかもしれませんけれども、とにかく特殊法人見直しという世論、そしてそういう政治の方向性に対して、事務方が何とか体裁を整えた、お茶を濁した、こういうふうに見えるわけでございます。そういう見方をする論調も現にございます。  それから、そういうふうにお茶を濁したというふうに見えるもう一つの理由は、この二つの法人新技術事業団科学技術情報センター業務内容が明らかに異なるものであるということが言えると思うのです。つまり、二つの法人一つ にして業務の効率を上げようという場合、その二つの法人が似通った仕事をしている、もしくは業務内容に重複がある、こういう場合は、その類似した仕事を一緒にする、もしくは重複になっているところを一つにするということで合理化ができるということは、これはよくわかるわけでございます。  与党の行政改革。プロジェクトチームが平成六年九月に出した「行政改革を進めるに当たっての基本方針」というものの中にも、二つの事業法人統合する場合の原則として、「類似した事業実施し、非効率的な法人統合し、合理化する。」こういう原則が書かれているわけです。  ところが今回の場合、新技術事業団というのは基本的には研究をやる、もしくは研究交流それから成果普及ということをやってきたわけでございます。科学技術情報センターというのはJOISなどの文献検索サービスが主な仕事でございまして、業務内容は全く違う。したがいまして、類似性も重複もない。  その二つの法人を一緒にしたからといってどこが合理化につながるのか、役員の数がちょっと減るだけ、こういうことになります。だから、今回の合理化は、行政改革をやっているのだという姿勢を国民に見せる、お茶を濁すための行革案ではないかという疑心暗鬼が現にあるわけでございます。  中川大臣、この疑念に対するお答えと、それから今回この二つの法人統合しなければならなかった必要性、これについてお答えをいただきたいと思います。
  35. 中川秀直

    中川国務大臣 今委員の御指摘一つの見方というのは、決して委員お一人だけの御意見でなくて、そういう御指摘をする御意見もあるということも承知をいたしております。  二つございますけれども、第一点のお尋ねに関しましては、これまた二つありますが、前内閣、また前々内閣もそうだったと思いますけれども、行政改革の推進というのはいずれも内閣の最重要課題でありました。そして、特殊法人を見直すということもその中の柱として位置づけられてきたところでございます。そういう要請にこたえていくということは、これは、前々大臣のときのことでございますけれども、いきさつは存じませんが、やはり政治家としてあるいは内閣として一つの公約でもあると存じます。  そういう要請と、それから他方、科学技術創造立国を目指して昨年基本法をおつくりいただいた、そういう我が国科学技術振興。欧米のように政府の関与、関与と言うとちょっとおかしいですが、負担ということでしょうか、政府研究開発投資、そういうものももっとふやしながら相応の役割を果たしていかないと、これが人類に対する貢献であり、また二十一世紀に対する政治の責任という要請と二つ実は同時にあったのだろうと存じます。  したがいまして、御指摘のとおり、これは第二点にも係るお答えになりますけれども、今までの新技術事業団また日本科学技術情報センター、一見業務は確かに異なっておるかもしれませんが、その目的においては、いずれも研究者及び技術者、また我が国全体の研究開発を効果的にそしてまた効率的に進めていくという目的では同じであろうと思います。  それからまた、そういう大目的の前には、人と資金そして情報というものがいずれも必要でございます。それをばらばらでやっておるよりも、一体的、総合的にやっていく、データベースなども一緒にしていく、そういうことがやはり基本法の精神にかなうのではないか、私はそう受けとめておる次第でございます。  加えまして、今回新たに国民の理解増進業務、あるいはまた、九千名に対して数百人という国立研究機関の支援者の実態でございますが、そういう支援業務の推進も新たな業務として加えさせていただく。  したがって、理事が減って、理事長が一人になって、何か形はそう見えますけれども、結果もそうなっておるのでありましょうが、そんな受けとめ方でなくて、この新しい二法人を一本にしてやることは、このスタートに当たりましては、そんな後ろ向きの統合ではなくて、新たな科学技術創造立国をつくっていくための縁の下の力持ち役あるいはまた中枢の担い役を必ずやるのだ。  そのために、今までの大目的の前では類似したものを、人、金、物、情報を一本化してやっていくのだ。そして、本来ならば、基本法の附帯決議にもございますような、政府予算も倍増しろという、そうなると人も相当ふえていく。それがそうではなくて、この行革の要請にもこたえ得る一本化の中でそういう事業も相当の役割を果たしていくのだ、こう前向きにとらえてスタートさせていかなければいけないのではないか、こんなふうに考えております。
  36. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 私も同感でございまして、大臣、後ろ向きの統合ではだめなんだ、前向きに、そういうお言葉をお使いになりましたけれども、世の中の一般にある批判、つまり、重複したものの合理化、類似したものを一本化するということだけでは確かに後ろ向きの統合ということになると思うのです。  前向きの統合、つまり、二つのものを一つにする。一見似通った業務はしてないけれども、一つにすることによって、一足す一が二ではなくて三にも四にもなる。そういう新しい有機的な、今まであった二つの事業団の中の人、知識、設備、そういうものが有機的に結び合わされて、相乗効果で全く新しい価値を生み出してくる。  そういうことが大臣のおっしゃった前向きの統合ということの意味ではないかと思うのですが、新たにつけ加えられる業務というのは、それにしてはちょっとまだみすばらしいのではないか。やはり統合することによって全く新たな第三の価値を生み出すということを図っていかなければ国民の方の理解は得られない。  先ほど私が申し上げましたような誤解、お役人の方の行革をやったという口実づくりのための今回の統合というふうに誤解をされかねないわけでございますので、新たな価値をどうやって生み出すか、一足す一をどうやって三、四にするか、この点についてはいかがでございましょうか。
  37. 沖村憲樹

    沖村政府委員 ただいま先生の御指摘をいただいたとおりでございまして、そういう新しく統合することによりましていろいろなプラスアルファの効果が出てくるのじゃないかと考えております。  具体的に申し上げますと、例えば新技術事業団では、これまで、設立以来企業に委託をいたしましていろいろな研究開発をやってまいりました。企業技術開発に関する情報をかなり持っているわけでございます。また、創造科学技術をやらせていただきましたし、さきがけ研究21という研究をやらせていただいています。また本年度から戦略基礎研究をやらせていただきますが、こういうことによりまして、全国の大学あるいは国研の基礎研究をやっていらっしゃる先生方と緊密な関係がございまして、そういう生の情報もかなり膨大な情報があるわけでございます。  一方、情報センターにおきましては、世界から大体年間七十万件、今まで累積二千七百万件の情報が情報センターに累積しておりますけれども、こういう情報を相互に利用し合うことによりまして非常にプラスの効果があらわれてくるのじゃないか。新技術事業団の使いましたいろいろな情報を情報センターのデータベースに乗せていく、あるいは情報センターの持っておりますいろいろなデータベースの情報を新技術事業団が旧来やっておりました事業にいろいろ利用していくというようなことで、非常な効果があるのじゃないかと考えております。  また、今回、新しく国民の理解増進業務あるいは研究支援業務をつけ加えさせていただきました。こういう事業をやる上におきましても、従来両法人が持っておりましたいろいろな情報をもとに、ノウハウをもとに運営させていただくということで、効果的な、効率的な新しい事業ができて いくことになるというふうに考えております。よろしく御支援をお願いしたいというふうに思っております。
  38. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 まさにそのとおりだと思うのですが、一般にはそういう認識がまだまだないわけでございます。  今回の統合のポイントは、科学技術情報センターが、新技術事業団という、知識と人をよく知ったところに情報部門が入るという、そこがポイントでございまして、その入り方、活用の仕方によっては十倍、百倍にも今までの資源が生かされるというところが今回の統合のポイントだと思うわけでございます。  今までJICSTは比較的縁の下の力持ちといいましょうか、研究者の文献サービスをやっている裏方というイメージだったのですけれども、今度は前面に躍り出ていただいて、今、インターネットとか、そういうデータベースの交換が瞬時に世界じゅうで動くようになりましたので、その本当の意味での有機的なつながりでもって科学技術振興の推進役になってもらいたいと思うわけです。  その点のPRが甚だ足らないと先ほど原田先生もおっしゃっておりましたけれども、その点をどうかもう一度御努力をいただきたい、このように思います。  今までは行政改革という観点から見た二法人統合をいろいろ質問させてもらったのですが、今度は科学技術振興という観点から質問させていただきたいと思います。  昨年、科学技術基本法ができました。私は、科学技術振興というのがこれからの日本の重要な国是になった、その法律だと思っております。今回の新しい事業団がこの科学技術基本法の実質的な担い手、中核になるんだ、こういうことでございますけれども、具体的にはどういう役割をされるのか、また、この統合によってその役割の実行がより一層やりやすくなるという点につきまして御説明をいただきたいと思います。
  39. 沖村憲樹

    沖村政府委員 ただいま御指摘いただきました基本法におきまして、我が国科学技術振興上重要な施策として、具体的に条文で御指摘をいただいております。  例えば、研究者の人材の確保でございますとか研究施設の設備の高度化研究材料の円滑な供給体制の充実、研究開発に係る情報化の促進などの研究環境の充実、研究交流促進、それから科学技術に関する啓発及び知識の普及といったようなこと、全般にわたりまして重要な施策の御指摘をいただいておるところでございます。  科学技術振興事業団につきましては、従来両法人の持っておりました法律上の業務に加えまして、足らなかった部分、具体的には先ほど来御説明申し上げております支援事業あるいは国民の理解普及といった点でございますが、この点を所掌上可能ということに法律上していただいておりまして、総合的に日本の科学技術振興基盤の充実ということを基本法の枠組みのもとで実施し得る機関というふうにこの法律で位置づけさせていただいておるところでございます。  具体的に、こういうことで今後これを充実していくということは今後の課題なのでございますが、私ども、中心的にやっていきたいというふうに申し上げておりますのは、特にこれらの事業がこの法人のための事業ではございませんで、あらゆる事業が、大学でございますとか、国立試験研究機関でございますとか、民間でございますとか、いろいろな面で関係があるということで、そういう意味で、国全体の科学技術振興施策中心的な役割を果たさせていただきたいということでございます。  具体的に申し上げますと、繰り返しになって恐縮でございますが、創造等の基礎研究の面では大学、国研と非常に深い関係にございますし、今度新しくやらせていただきます理解増進では小中学校の子供あるいは教育関係の方々とも関係を持っていくわけでございます。  また、従来やっておりました新技術開発では、民間企業等とも密接にやっていくということで、あらゆる面でこういう我が国科学技術に関係するいろいろな方々と接触をしながら中心的な役割を果たしてやっていきたいということでございますので、また引き続き御支援をよろしくお願いしたいと思っております。
  40. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 この新事業団が成功するかしないかは日本の科学技術の発展にとって非常に大きなポイントになると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  それでは時間ですので、最後に、大臣にちょっと行政改革ということについてお伺いして終わりたいと思いますが、行政改革国民からの要望である。それと科学技術振興、これについては予算をふやして大いに優秀な研究者もふやし、拡充していかなければいけない。一見、二律背反するテーマだと思うのですが、科学技術庁としては、そのことについて今後どういうふうに進めていかれるか。  それから、一時、科学技術庁の所轄する事業団といいましょうか、特殊法人の中で、例えば原研と動燃の一体化とか、そういうことも話題になっておりましたけれども、大臣御自身はその点についてどういうふうにお考えになっているか。その二点をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  41. 中川秀直

    中川国務大臣 委員指摘のとおり、科学技術基本法を受けまして抜本的に強化していこう、これはもう国家戦略と言っていい、そんな位置づけを国会でも賜ったのだろうと存じておりますし、私も全く同意見でございます。  そういう国全体の限られた資源をどういう分野に投入していくか、こういう観点で議論をまたいただき、我々もしていかなければならぬ。一省庁の予算制度もそうでございますし、行政改革、定員の問題もそうでございますが、縦割りの中だけの手法というのは、私はいささか限界があるのではないか。もっと総体の議論というものがやはりなされなければ、なかなか、基本法の言う趣旨を実現していくことは、ある一定の限界があるような気もいたします。そういう点において私どももお願いも申し上げていかなければならぬ、こういうふうに考えておりますのが一点。  それから、さはさりながら、もちろん科学技術庁所管の分野においても、何をどう時代の要請に合わせてリストラクチャリングをやっていくかという議論は、常に、不断に行われていかなければいかぬ、このように思います。  リエンジニァリングという言葉もございますが、いずれにしても、有用なところに、さらに効果あらしめる人やお金や資源というものを再配置していくということがどうしても必要であろうと存じますので、そういう国全体のことと、今、当庁の中の動燃、原研のお話もございましたが、そういう議論も今は即答を、どう思うかということは、私も即断、申し上げられるところまで考え切っておりませんので申し上げられませんが、しかし、不断にそういう議論をしていって、そしてそれが国民の理解を得られる、そしてまた将来につながる、こういう考え方で合意も形成していかなければいかぬ、こういうふうに考えております。
  42. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 終わります。ありがとうございました。
  43. 井上喜一

    井上委員長 鮫島宗明君。
  44. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 新しくできます科学技術振興事業団法案に関連する質問をさせていただきたいと思います。  既に何人かの委員の方々がかなり関連の御質問をされていますので、一部重複することがあるかもしれませんけれども、お許しをいただきたいと思います。  新しい事業団が発足することによって、これまでそれぞれの事業団ではできなかった分野ができるようになりました。その二つの分野として、科学技術の理解増進の事業、それから研究機関等に対する支援事業ができるようになりましたという御紹介をいただきましたけれども、この研究支援 事業について、先ほど少し話題になった重点研究支援協力員事業以外にどういう内容の支援事業が予定されているのかをお答えいただきたい。
  45. 沖村憲樹

    沖村政府委員 もう一点、来年度考えておりますのは、国立試験研究機関におきましてデータベースづくりを支援する事業を考えております。  具体的には、国立試験研究機関ではいろいろな研究開発が行われておりまして、研究機関の先生方は論文を書くわけでございますけれども、それをデータベースにして利用するという点につきましてなかなか手が回らないという点がございます。この点につきまして、新しい事業団から職員を派遣をいたしましてデータベースづくりをお手伝いいたします。そのできましたデータベースを全国の研究者に利用していただくようにしていきたいというふうに考えております。
  46. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 既に論文として公表されているもののデータベースは世界規模のものが既にできておりますので、むしろ今おっしゃったのは、そういう意味では、まだ公表された論文の形になっていないような中間的な成果なり、あるいは論文にするにはやや不十分といったようなデータが別の形でデータベース化されれば、それは大いに意義があることだろうというふうに思います。  ただ、データベースの構築事業はある程度の規模に達しませんと意味が出てこないということがありますので、なかなかしんどい作業だとは思いますけれども、ぜひその充実に御努力いただきたいというふうに思います。  ただ、こういう支援事業を考えるときに、先ほど原田委員からの質問もありましたけれども、一つは、そういう定員削減の影響等で支援部分の実員が非常に減っているとか、あるいは科学技術の国際化に伴って、文書で発表するあるいは口頭で発表する場合もほとんど英語を使わなければ正当な評価を受けられなくなってきているというようなことがあって、研究の現場ではいろいろな支援を必要としていると思いますけれども、こういう支援事業を考えるときに何を根拠に支援事業を考えるのか。  別の言い方をすれば、例えば国公立の研究機関には約九千人の公務員の研究職がいると思いますけれども、定量的に、アンケート調査等で本当に現場の人たちがどういう支援を必要としているのかを調査した上で決めておられるのかどうか、これを決めるときにどういう議論で決めておられるのかをちょっと御紹介いただきたいと思います。
  47. 沖村憲樹

    沖村政府委員 ただいまの、現在、振興調整費で実施しております支援事業の方法でございますが、各省の研究機関から重要な支援を必要とする研究テーマにつきまして応募をいただきまして、その内容を審査をいたしまして、その研究事業に必要な研究支援者を送らせていただいているのが現状でございます。  これにつきまして、発足したばかりでございますのでそういうやり方をやっておりますが、先生指摘のように、支援の形というのはいろいろな形があると思いますので、いろいろな方の、いろいろな方面の御意見も聴取しながら、今後やり方をも考えてまいりたいというふうに考えております。
  48. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 ちょっと、何となく質問と答えがぴったり合わなかったような気がしますけれども。  私も、長年、筑波の研究現場にいましたけれども、実際の現場的な意見としては、私の聞いている範囲では、やはり一番支援を必要としているのは、先ほども言った英語化の一層の進捗によって翻訳的な機能を非常に強く必要としている。  ずっとこう研究をしていて、いざまとまったところで論文を書く。日本人ですからまず日本語で組み立てて、それをまたさらに英語にしなくちゃいけない。先ほどの原田委員の話では、横に有能な秘書がいて、ほとんどしゃべっていればそれがペーパーになるというようなアメリカの一般的な形に比べると、二重にも三重にも知的労力がかかるという意味では、私は翻訳についての要請は大変強いのではないかと思います。  それから、海外の研究機関なんかに行ってうらやましく思うのが、プレゼンテーションをするための支援機能。国際会議等々でいろいろみんな発表するわけですけれども、いかにわかりやすく印象的に発表するか。それはカラースライドのつくり方一つ含めて全体のプレゼンテーションの組み立てというのが非常に重要なんですけれども、そういうときにイラストレーターも含めてプレゼンテーションを支援するような機能を海外の研究機関は割合備えているところが多くて、そういうラボが日本の研究所にもあったらいいなというのは、多分、海外に行った研究者たちがひとしくうらやましく思う点ではないかと思います。  それからもう一つ、これはヨーロッパでは一般的だと思いますけれども、研究所に必ず、日本も昔はありましたけれども、金工、木工、ガラス細工のやはりラボがありまして、そこに行けば職人さんたちと相談しながら非常に特殊な装置がつくれる。一昔前は日本の研究機関にもあるいは大学にもそういう部分はあったと思いますけれども、定員削減で一番先に失われていったのが日本でいえばその分野です。  これは、どんなに立派な電子顕微鏡ができようが、すぐれた分析機器ができようが、末端の測定機器とかセンサーとかいろいろな部分ではどうしても手づくり的なことが必要になってきて、やはり新しい発見は新しい実験装置の開発からというのがよく言われますけれども、こういう部分の力が落ちていくというのが、ある意味では見えないところで研究の足を引っ張る一つの要素ではないかと思いますので、支援を考えるときにはそういうことも視野に入れながらお考えいただきたい。  またさらに、これだけ世界が一つになって知的所有権についてセンシティブになってきますと、なるべく特許にできるものは早く特許にしておかないと、ぼやっと国際会議で発表したりすると、そのまま向こうでアイデアだけとられて特許化されてしまうというようなことがあります。研究の現場の人たちは論文は書きますけれども、特許のための出願の様式とか類似特許がどう出ているとか自分で調べろと言っても、これはなかなか難しい面がありまして、ぜひこういう特許の出願支援というような分野も視野に入れていただければありがたいと思います。  いずれにせよ、なるべく現場のニーズにちゃんと対応した支援が組まれることが基本だと思いますので、そこはよく御配慮いただきたいというふうに思います。  次に、科学技術基本法絡みの質問に移らせていただきます。  先ほど大臣は、提案理由の中でも、科学技術基本法で提案された意義といいますか、あるいはその基本法に含まれている理念を具現化するためにもこの事業団というものの存在意義があるのだという御説明でした。  ちょっとそもそも論に入りますと、科学技術という言葉はいつもたくさん使われていますし、科学技術庁という役所もそういう名前になっていますけれども、基本法についての論議の中で、科学技術という一つの単語、あるいはその科学技術という言葉があらわす一つの世界というのがあるのですか、それとも、科学技術庁も英語で言えばサイエンス・アンド・テクノロジー・エージェンシーとなっていますけれども、科学と技術というお考えなのか、その点をもう一度確認しておきたいと思うのです。
  49. 落合俊雄

    ○落合政府委員 科学技術基本法で、定義ではございませんが、第一条「目的」の欄に「この法律は、科学技術(人文科学のみに係るものを除く。以下同じ。)」云々という表現がございます。私ども、この科学技術基本法で言う科学技術は、今委員指摘科学技術というワンワードでとらえて考えております。
  50. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 ちょっと私、議事録を確認してみないとわかりませんけれども、あのときの議論では、科学と技術ということで、ワンワードの科学技術といいますと科学的成果の利用体系ということで、これは、ある意味では非常に目的意識的な 研究というふうに枠を狭める考えなのでやや問題があるのではないかという議論だったのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  51. 落合俊雄

    ○落合政府委員 ただいまちょっと私言葉が足りませんで、ワンワードと申し上げましたが、ワンワードの中身として科学と技術、テクノロジー・アンド・サイエンスという趣旨で御答弁申し上げたつもりでございますので、訂正させていただきたいと思います。
  52. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 実は、どうしてそういうところへこだわるかといいますと、例えば先ほどの提案理由の中にも、二ページ目の真ん中に「新技術創製に資すると認められる基礎的研究」というような表現ですね。これは、ただの基礎的研究じゃなくて、「新技術創製に資すると認められる基礎的研究」という縛りがかかっている。  それで、基礎研究じゃなくて基礎的研究というふうに、これも何かある意味を持たせているのだろうと思いますし、新しい事業内容にしても、いわゆる基礎研究が裸で認知されている部分は余りなくて、戦略的基礎研究とか創造科学技術とか、ある種の目的意識なり戦略志向を持ってやってくださいという縛りが、これはどのくらい強いかどうかわかりませんけれども、やはりどうしても縛りがかかっているのかなという印象がぬぐえないものですから、多少用語にこだわらせていただいているのです。  先ほど斉藤委員からもちょっと指摘がありましたけれども、私は、この科学技術基本法が昨年日本で認められたというのは、日本の科学技術の政策がある意味では開発途上国的な段階から本格的な先進国的な段階に入っていく、言葉をかえれば、日本の近代社会の中でサイエンスが初めて市民権を認められたというのが法律のもう一つ趣旨ではないかと思います。  少し言葉を整理して言いますと、開発途上国段階では科学技術政策の目標はやはり自国の技術力の強化ということにその目的が集中しますし、それを超えて先進国的なレベルになった場合の科学技術政策の目標は、人類共通の知的資産をふやし知的フロンティアを拡大する、自国の技術力の評価だけではなくて人類全体の福祉に役立つような研究ということが概念として入ってくるのだろうと思います。  そういう意味では、余り「新技術創製に資すると認められる基礎的研究」とか、戦略的基礎研究とか縛りをかけないで、やはりもう少し自然認識を深める、あるいは自然の節理を明らかにする、サイエンスそのものの重要性を認識することが大事なのではないかと思います。  今、科学技術基本法に基づいて科学技術基本計画をつくることになっていると思いますけれども、この基本計画の進捗状況はどうなっておられるのか、それから、今私がるる説明した自然認識を深めるピュアサイエンスという部分がどのくらい重要度がその基本計画の中でも認識されているのかどうか、その二点についてお伺いしたいのです。
  53. 落合俊雄

    ○落合政府委員 科学技術基本計画の策定状況でございますが、昨年十一月十五日に公布、施行されまして、十一月二十九日に科学技術会議に対しまして内閣総理大臣から諮問が出されております。それ以降、科学技術会議におかれましては、総合計画部会を二回、基本問題分科会を九回開催して御審議をいただいておりますが、あわせまして、私どもといたしましては、関係省庁と密接な連携をとりまして鋭意検討を進めているという状況でございます。  基本計画の性格といたしましては、昨年の十月三十一日、当委員会での附帯決議にありますとおり、今後十年程度を見通した五年間の計画として、講ずべき施策、規模等を含めてできるだけ具体的なものとしたいということで、その際に、科学技術系人材、研究開発システムに関する制度改善、研究開発基盤民間支援方策、研究開発資金の確保等の重要なポイントを絞り込んだ計画にすることを考えております。  私どもといたしましては、できるだけ早く科学技術会議における御審議をいただきまして、先ほど大臣から六月というお話がございましたが、六月ぐらいをめどにいたしまして基本計画を策定したいということで考えているところでございます。  二点目の、ただいま御質問ございましたピュアサイエンスでございますが、現在私ども政策の基本としております平成四年四月に閣議決定されました科学技術政策大綱の中で、この基本方針といたしまして、地球と調和した人類の共存、知的ストックの拡大、安心して暮らせる潤いのある社会の構築という三つの基本方針を示しておるところでございまして、委員指摘のピュアサイエンスの部分につきましては、知的ストックの拡大ということで、「人類全体の利用に供されるよう、基礎研究成果をはじめとする質の高い科学技術の知識をバランスよく蓄積する。」ということが基本方針として取り上げられております。  今回策定作業を進めております基本計画におきましても、基本的にはこのような考え方を引き継がさせていただくものになるというふうに考えているところでございます。
  54. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 ありがとうございました。  この基本計画の中で、基本法にも強くうたわれていますけれども、やはり研究者の流動化といいますか、先ほど原田先生の方からも、一たん大学教授のポストを得るとそのまま終生そのポストに平和にいられるということが問題ではないかという話がありましたけれども、これはそれぞれのセクター、国の研究機関は国の研究機関でなかなか流動化しにくい状況がありますし、大学も流動化しにくい。  そういう中で、今後産官学の間でセクター間での研究者の流動化を図るということがうたわれておりますけれども、この基本計画の中でもこのような点がどのように留意されておられるかを御紹介いただきたいのです。
  55. 落合俊雄

    ○落合政府委員 先ほど、今回の計画につきましてできるだけ重要なポイントを絞ったものにしたいということを申し上げました。その中で、科学技術系人材について触れておりますが、特に大学院の量的、質的な充実でございますとか、ポストドクターの支援制度の充実、それから研究支援人材の養成確保というような研究者等の養成確保方策というのは一つの重要な柱になっていると思います。  その際に、委員指摘の流動性の確保という点は、特に国立研究所の研究員におきまして、国家公務員という身分もあることもあるかと思いますが、種々の制度的な制約もございますので、そういうような制度的な制約をできるだけ緩和することによって流動性を確保していくというような手段をこの計画の中で織り込みたいと考えているところでございます。
  56. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 もう時間ですので、あと一問だけにしますけれども、日経サイエンスの中に「センター・オブ・エクセレンスの構築」という論文を東大の名誉教授の猪瀬先生が書いておりますけれども、「今日までの日本に対する国際的な評価は、経済大国でありながら、いまだかつて世界人類の思想、科学、芸術、宗教などといった基本的な文化的価値の充実に、なにひとつ重要な貢献もしていない、第二級市民の集まりに過ぎない」というような、やや偏見に満ちた指摘もあるということをこの「センター・オブ・エクセレンスの構築」という中で指摘しております。  先ほど申し上げましたように、やはり人類共通の知的資産をふやし知的フロンティアを拡大するという意味では、自国の技術力の強化に資するという観点ではなくて、やはり知的創造力を開放して知的好奇心の自由な発露を保障するということが大変大事ではないかと思いますけれども、大臣基礎研究の重要性についての御認識を最後に御披露いただければありがたいと思います。
  57. 中川秀直

    中川国務大臣 基本法の提案者の一人でもある委員の御指摘でございますが、先ほど来御論議を伺っておりましたけれども、事業団法の法案の目的は、今まで両法人のやってきたこと、そこから 基本法を受けてさらに発展させていくという、多少のそういうニュアンスがあろうかと思います。  しかし、基本法に基づく基本計画は、平成四年の科学技術政策大綱等々も踏まえながら、基礎科学の振興ということも当然配慮に入っておるわけでございますけれども、他方、国民の皆さんから理解と御協力、合意が得られる、そういう努力ももっとしなければいかぬ、こういうこともございまして、新しい産業の創出ということについても相当力を入れなければいけないということでいろいろ今検討しているさなかでございます。  かつて委員がいらっしゃった農林水産技術会議傘下の研究所でも地道な研究をたくさんやっておられる。しかし、その中からも、バイオテクノロジーによる三倍体資源の研究とか、あるいはまた生分解性の、プラスチックにかわる資材の研究とか、有用な、また国民の理解が得られるようないろいろな成果も生まれてきております。そういうものも、基本にはやはり地道ないろいろな研究が積み重なってきたものだと信じますので、委員の御指摘も十分踏まえながら、なおまた国民の要請にこたえる、そういう計画にしてまいりたい、こう考えております。
  58. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 どうもありがとうございました。
  59. 井上喜一

    井上委員長 今村修君。
  60. 今村修

    ○今村委員 社民党の今村であります。  私どもも、今回提案をされております科学技術振興事業団法案については賛成という立場であります。その立場に立ちながら、幾つかの点についてお伺いをさせていただきたいと思います。  今回のこの事業団法案、これは特殊法人の見直しという課題とともに、科学技術基本法成立科学技術立国を目指すという課題を抱える中で、性格の本来異なる新技術事業団日本科学技術情報センターとを統合して新事業団を発足をさせる、こういうことになったわけであります。大臣の提案の中でも触れられておるわけでありますけれども、いわばこうした複雑な状況を受けてどのような効果を期待をしているのか、またその設立の意義をどう考えているのか、まず大臣にお伺いをしたい、こう思います。
  61. 中川秀直

    中川国務大臣 両法人ともこれまでも我が国科学技術振興に貢献を、一定の役割を果たしてきた存在であろうと存じますが、今委員指摘のとおり、新しい時代に向けての一層の要請を受けてこれを統合し、極めて重要な科学技術振興のための基盤整備、並びに先端的、独創的な研究開発の推進、これを効率的に行うための縁の下の力持ち役を果たしていく、これが統合の意義また期待されている効果であろう、こう考えております。  いずれにしても、基本法に位置づけられた施策、これからつくります基本計画施策、そういうもので、全部とは申しませんが、相当な役割を果たしていく事業団に、常にいろいろな議論をいただきながら、また仕上げていくべきではないか、こう考えております。科学技術創造立国、それを目指した施策の積極的な展開を図る上でそういう重要な役割を果たす法人にしてまいりたい、こう考えております。
  62. 今村修

    ○今村委員 ぜひとも、発足の際に願ってきた期待にこたえられる、そんなことで新事業団がいろいろと事業を進めていただくことを心から期待をしたいと思います。  ただ、昭和三十六年に設立をされた新技術事業団と昭和三十二年に設立をされた日本科学技術情報センター、この二つは仕事の内容もまた職員の数でもそれぞれ違っているわけであります。今回の二つの法人統合というのは、どちらかといえば、上から統合しなさいという形で進んだような気がするわけです。  そういう点では、この統合の意義を十分理解をして、二つの法人が納得をして統合をしていくということが必要だと思うわけでありますけれども、この辺の努力なり対応というのはどう進められてきたのか、この点について明らかにしていただきたいと思っています。現状についても御報告いだだければありがたいと思います。
  63. 沖村憲樹

    沖村政府委員 先生指摘いただきましたように、両法人とも非常に歴史が古い法人でございまして、それぞれ重要な役割を担ってきたわけでございますけれども、科学技術政策の目から見ますと、一部分の仕事だったと思うのでございます。  今回、この両法人統合によりまして科学技術振興事業団というふうにしていただくことによりまして、科学技術基本法を受けた科学技術政策の中で最も重要な科学技術振興のための基盤整備という、あるいは基礎研究の推進といったところを担わせていただくということで、法人そのものが非常に重要性を増して、変わっていくというふうに考えておるわけでございます。  両法人職員ともこの点はよく認識をしておりまして、今後は科学技術基本法に位置づけられた非常に重要な、中枢的な役割を担っていく法人職員になるんだということで、鋭意その準備作業にも取り組んでもらっているというふうに聞いております。  この法案内容あるいは統合趣旨等につきましては、両法人職員にるる説明をいたしまして、私どもとしては十分な努力をして、説明をして御理解をしていただいているというふうに認識をいたしております。一刻も早く、この法案を通していただきますと正式にこの統合の準備にかかるということで、両法人役職員等も準備をいたしているところでございます。よろしくお願い申し上げます。
  64. 今村修

    ○今村委員 ぜひとも、その二つのこれまでの法人の皆さん方が統合することによってそごを来す、こういう状況がないように、その点については十二分に配慮して対応していただきたい、そのことを心からお願いを申し上げたいと思います。  新しく今度新事業団が発足をしていくその平成八年度の予算を見ると、当初の予算統合前に比べると約百七十億円予算がふえることになるわけであります。この主な要因は、大学や国立研究所を対象にした百五十億円規模の戦略的基礎研究推進事業、このことによって予算が大きく伸びる、こういうことになっているようであります。  特に、その全体の予算の五百七十一億円のうちの約二六%をこの戦略的基礎研究推進事業費が占めるという内容になっています。平成七年十二月二十五日現在の各国立大学やあるいは国立研究所のいろいろなところからこの基礎研究に応募した内容を見ると千三百五十四件、こういう大きな数になっているわけであります。平成八年度、この内容をどういう格好で、どういう予想をしているのか、この事業内容について若干御報告をしていただきたいと思います。
  65. 池田要

    池田説明員 御説明申し上げます。  先生指摘戦略的基礎研究推進事業でございますけれども、七年度におきましては、「戦略目標」といたしまして「未知への挑戦」及び「環境にやさしい社会の実現」という目標を掲げまして、その下に「研究領域」といたしまして「生命現象」「極微細領域の現象」「極限状態における現象」それから「環境低負荷型の社会システム」ということで四つの領域を設定しまして、この領域につきまして、去る七年の十一月二十日から十二月二十日までと非常に短い期間でございましたけれども、公募をいたしました。  これにつきまして、先生今御指摘ございましたように、千三百五十件ほどの応募をいただいたわけでございます。ちょうど、この中から五十四件を課題として選択をいたしまして、昨日これにつきまして発表をさせていただいたところでございます。  八年度につきましては、七年度採択した課題につきまして、これを引き続き進める必要がございます。予算的には、七年度につきましては、百五十億円を政府原案で要求させていただいておりますけれども、この七年度に選択しました課題の継続という内容が相当経費的には大きなものを占めます。ですから、八年度につきましては、新たに課題として採択できますのは約四十件ほどかと考えてございます。  この領域等につきましては、ことしまだ始めた ばかりでございますし、大幅な変更はまだ必要ないかと思っておりますけれども、今回の経験にかんがみまして、必要な改善につきましても考えていきたいと考えているところでございます。
  66. 今村修

    ○今村委員 応募の件数を見ると、相当期待しているという内容になっているわけですね。ただ、採択したのが五十四件というのはちょっと数が少ないなという感じがするわけですけれども、ぜひとも八年度、一層期待にこたえられる、そういう点で努力をしていただくことを心からお願いをしたいと思います。  新技術事業団日本科学技術情報センター統合することによって役職員の数はどうなるかというのは、先ほど原田委員の質問に答えられたわけであります。ただ、俗に言われる、官公庁からの役員の天下りという話があるわけです。従来の内容を見ますと、役員のうちの約七割程度はやはり役所から行った方々に占められる、こういう内容になっているようであります。  新しい事業団の中では、顧問制度を設置をする、あるいは二十五人の委員による新技術審議会を設置をする、こういう形で充実をさせよう、こういう内容にもなっているわけであります。ただ、従来言われるような、天下りという形でまた役員が占められるということについては若干どうなんだろうな、こういう気もするわけでありますので、この点に対する御見解がもしあったら、お伺いをしておきたいと思います。
  67. 沖村憲樹

    沖村政府委員 役員につきましては、先ほど御説明申し上げましたとおり、法定定数で十五人から十一人に四人削減、常勤役員につきましては十人から七人に三人削減をすることといたしております。  この削減をいたしました役員にどういう方に就任していただくかということにつきましては、基本的には適材適所というごとで従来からもやらせていただいておるわけでございますが、先生指摘の天下りを禁止すべきではないかという御意見、従来からずっと歴史のある話でございまして、この点につきましては内閣の方で統一していろいろな閣議決定等もございまして、そういう趣旨等も踏まえて、広く各界から有能な方を登用していただけるものというふうに考えておるところでございます。
  68. 今村修

    ○今村委員 こういう性格の法人ですから、行くのが天下りという指摘がいいのかどうかというのはあるでしょうけれども、ただ役所出身の人たちだけで占められるということになると、やはりこの法人が持つ役割というのですか、それを十分発揮できないという感じも出てくると思うので、この点については十二分に配慮していただきたい、そのことを強くお願いをしておきたいと思います。  最後になりますけれども、いろいろな経過をたどって二つの法人が今一つになる。一番具体的に問題となるのは、そこに働いている職員の人たちの労働条件というのが一番具体的な形でいろいろとそごを来す一つ原因になってくると思うわけであります。統合によって職員の労働条件が悪化しない、こういう対策というのは当然必要だと思います。  そういう点では、二つのそれぞれの法人には職員組合などがあるようでありますので、ぜひとも十二分に話し合いをして、その点についてはお互いの了解の上で進めていただく、そのことをひとつお願いをしたいと思います。この点について、もし御意見があればお伺いをしておきたいと思います。
  69. 中川秀直

    中川国務大臣 両法人には従来の経緯がございまして、委員指摘のとおり、給与体系ほか何項目か労働条件に差異があるわけでございます。これにつきましては、当然法律が成立してからということになりますが、労使間で十二分に話し合って適切な解決を図っていくべきであろう。  ただ、監督官庁としましても、この話し合い、また決定に当たりまして、統合によって職員に不利益を生じないように、必要に応じて適切に指導してまいる、こういう方針でおります。
  70. 今村修

    ○今村委員 ぜひともその点は配慮していただきたい。特に、今回新しく提案されている法律の第四十四条に、給与及び退職手当の支給基準というのがあって、内閣総理大臣の承認を受けなければならぬ、こういう形になっている。このことに対して、お互い話し合いで解決するというものをまた内閣総理大臣に承認を受けなければならぬということは一体どうなんだ、こういう御指摘もありますけれども、この点についてはどうですか。
  71. 沖村憲樹

    沖村政府委員 給与基準につきまして内閣総理大臣の承認が必要となっているわけでございますけれども、この点につきまして、現状ではほとんどの特殊法人がこうなっていると思うのでございますけれども、やはり国家公務員に準じた特殊法人でございますので、適正な給与が支払われるように、この点を国としても十分見ながらこの承認をしていきたいというふうに考えております。そういう趣旨でこの規定を入れさせていただいております。
  72. 今村修

    ○今村委員 最後に、これはそれぞれの法人から職員一つになるわけですね。当然職員交流を図らなければならぬ、こういうことになっていくと思います。それがこの法人の目的をより達成する早道の一つにもなる、こう思っているわけであります。  この職員交流させていくという大変な課題これに対する考え方を最後にお伺いをしておきたいと思います。
  73. 沖村憲樹

    沖村政府委員 両法人ともいろいろ歴史のある法人でございまして、それぞれ職員は今までの業務ということでやってきておるわけでございますけれども、新法人になった暁には、今までの業務交流いたしまして、いろいろな経験をお互いに生かし合うという形で人事が行われるように、法人の方にも指導してまいりたいというふうに考えております。
  74. 今村修

    ○今村委員 二つの法人の出身職員が早目に融合し、一体になり、業務を進める、これは大変重要な課題だと思います。無理をしてもだめだろうし、その辺をどうやるかというのは、これは新しく役員になられる方の一番頭を悩める課題だと思いますけれども、ぜひともここを波風の立たぬような形で配慮しながら、なおかつ早目にそういう状況がつくれるように努力されることをお願いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  75. 井上喜一

  76. 吉井英勝

    吉井委員 法案の第一条で、新技術創製に資する基礎的研究というのをうたっておりますが、応用研究、そしてもっと直接の開発を考える場合でも、大学とか国公立の試験研究機関の基礎的分野を、すそ野を広く厚くしてこそうまくいくというふうに思うわけです。  この点で、大学、国立研究所の経常研究費というのを見てみますと、実は先日も京大工学部の附属研究所へ行ってびっくりしたのですが、工学部の一講座当たり積算校費が七百九十九万四千円、理学部の教授一人当たり積算校費が二百七万六千円、理学部の学生一人当たりの積算校費が五万七千三百円、それから理学部の教授研究旅費、一人当たり十二万四千九百七十円。湯川秀樹博士が活躍された京大理学部の実態なのです。  国立研究所理工系人当研究費を見てみますと、これは百五十七万円、今年度は一・四%ぐらいでしたか、少しふやして、九六年度予算で百五十九万五千円ということですが、ここから経常的に支払わねばならない諸経費などを引いていったら一体幾らの研究費になるかという点で、本当に今深刻な事態に直面しております。  企業の寄附に頼るというやり方では、これは今問題になっております、例えばミドリ十字などから研究費の寄附等を受けていらっしゃった方が、エイズの問題で社会的な糾弾を受けたりすることになっているように、やはりいろいろ問題が生じてくるわけですね。  一方、この金の出どころが国や事業団であっても、いわばプロジェクト研究費でつるという言い方をすると語弊があるかもしれませんが、そうい うやり方になると、やはり科学技術の正常な発展をゆがめることにもなりかねない。だから私は、経常研究費で研究は十分保障されて、その上でのプロジェクト研究費というものでないと、やはりこれはうまくないと思うのです。  そこで、経常研究費の実態は、今私が少しお示ししましたような深刻な状態にあるというふうに認識していらっしゃるかどうか、まずこの点を伺っておきたいと思います。
  77. 沖村憲樹

    沖村政府委員 先生指摘をいただきましたとおり、経常研究費は国立試験研究機関で自由に研究をするときの資金でございまして、基礎研究推進という面から重要な経費だというように考えております。  それで、これにつきましては、この増額につきまして鋭意努力してまいったわけでございますけれども、現在のところ、平成八年度の予算では、実験系I、これは理工系でございますが、百五十九万五千円、実験系Ⅱ、これは農学系、薬学系でございますが、百三十七万五千円、非実験系では九十九万四千円というふうに、今先生京都大学の例をお示しいただきましたけれども、大分低い数字となっておるのが事実でございます。  こういうことから、当庁としましても、各省と協議をしながらこの経費の増額を図ってきたわけでございますが、一方、科学技術振興調整費をもちまして、重点基礎研究という項目でございますが、振興調整費の一部をこの経常研究費の趣旨に当たるような使い方をいたしまして、平成八年度で二十一億円をこれに充てさせていただいて、いろいろ努力をいたしておるところでございます。
  78. 吉井英勝

    吉井委員 プロジェクトであれ、重点であれ、経常研究費ですそ野を広く厚く、ここを充実させて、その上でやはり考えていくべきものだという、そこが非常に大事なところだと私は思うのです。  定員削減の面で見ますと、研究部門で見ても、例えば工業技術院の研究者が、一九六七年の二千六百九十人が、九〇年で二千五百二十五人へと、ちょっと数字は古いですが、百六十五人減少し、技術系の研究支援者が三百七十二人が六十三人へと、これはもう激減という状態になっております。試験研究装置の運転管理から補修まで、研究者が全部自分でしなければならなくなってきているというところが非常に多いわけですね。それは研究に非常に支障を来しておりますし、そこへ学生諸君を受け入れて指導しようとなると、パンクしてしまう。  つまり、研究と後継者の育成が矛盾なく進まないと、日本の研究開発を考えても本当は大変なのですが、しかし、サポーティングスタッフが切り縮められて、現実にこういうことになっている。これも深刻な問題だというふうに私は思っているのですが、この点でも少し認識を伺っておきたいと思います。
  79. 沖村憲樹

    沖村政府委員 長年にわたります定員削減によりまして、国立試験研究機関職員が削減をされておりまして、今先生、通産省の例を御指摘になりましたが、国全体、研究機関が削減されてきておるところでございます。  ただ、本年度、平成八年度は、新しい定員削減計画が始まるわけでございますが、五年前から現在までの定員削減計画では、若干ふえているという数字もあるわけでございますが、これは各省によっていろいろ事情が違うと思うのですね。この点につきましては、いろいろ私ども今調査をいたしておりまして、この定員削減計画がどういうふうに影響が出てくるかということもいろいろ勉強させていただいているところでございます。  ただ、今御指摘ございましたように、研究支援者、ここのところが激減しておりますので、この新しい法人で、支援者の事業というのを本年度から始めさせていただき、また、新事業団でこれを拡充させていただくということも、先生指摘趣旨を踏まえた施策一環でございます。よろしくお願い申し上げます。
  80. 吉井英勝

    吉井委員 それで、経常研究費にしてもサポーティングスタッフにしても、本当に深刻な事態にこの間なってきました。昨年成立した科学技術基本法が生きるも死ぬも、まさにここに本気で力を入れるかどうかというところに一つはかかっていると思うわけです。  科学技術振興費がふえているのはよく知っておりますが、やはり今のこの経常研究費と研究支援者の思い切った拡充が必要なときだと思いますので、これは大臣に一言、決意だけ伺っておきたいと思うのです。
  81. 中川秀直

    中川国務大臣 先ほど局長からも答弁がございましたが、新しい基本計画においても、御指摘の人当研究費また研究支援者の確保、充実ということは、かなり重要な優先課題として位置づけられていくのではないかと思います。  前段につきましては、財政当局と大変な折衝をずっと続けて、新予算においても、二十一億円という調整費も、これは一人当たり二十万円増額される、そういうことで努力をいたしているところでございますし、また、研究支援者についても倍増ということで努力しております。いずれにしても、欧米と比しましても研究支援者の数等々でも十分の一というような状態でございますので、この御要請にこたえるべく、全力を挙げて、今は小さな規模でも、基本計画を基本法の精神を体したものにして、具体化を図りながら努力を続けていく所存であります。
  82. 吉井英勝

    吉井委員 最後に私も伺っておきたいのは、二つの特殊法人統合するときの職員の身分、待遇に関することですね。これは、現行の新技術事業団法三十九条にあって情報センター法にないものもあったりして、法律上の違いもあります。  それが一つになるわけですから、政府関係特殊法人といえども職員には団結権、団交権、団体行動権の労働基本権が保障されているわけですし、したがって、賃金、退職金、労働時間などの労働条件が労使の交渉によってもちろん決定されるべきものであります。これまでの労使協定とか労使間合意を守って、これがうまくいくように科学技術庁としても指導されると思うのですが、この点だけ伺っておきたいと思います。
  83. 沖村憲樹

    沖村政府委員 御指摘のとおり、情報センター法においては規定されていなかった給与基準につきまして科学技術振興事業団法に規定をいたしまして、先ほど御質問がございましたが、そういう規定を入れさせていただいております。  これの趣旨につきましては、先ほどの繰り返しになりますが、特殊法人は国に準ずる機関でございまして、その給与、退職金等の給与につきまして、その公共的な性格に照らしまして、適切な水準である必要があるということで、これは承認事項に係らしていただいております。ただ、そうではございますが、この点につきまして労使で交渉するということを禁じているわけではございませんので、この点につきまして労使交渉が行われるというふうに考えております。  また、ただいま御指摘がございました、職員が不利にならないようにというお話でございますが、この点につきましては、私ども、十分意識といいますか、注意をいたしておりまして、両法人統合いたしました際に理不尽な不利益が生じないように十分注意してまいりたいというふうに考えております。
  84. 吉井英勝

    吉井委員 終わります。
  85. 井上喜一

    井上委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
  86. 井上喜一

    井上委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  科学技術振興事業団法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  87. 井上喜一

    井上委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
  88. 井上喜一

    井上委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、原田昇左右君外四名より、附帯決議を付 すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨説明を求めます。笹木竜三君。
  89. 笹木竜三

    ○笹木委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけ及び市民リーグ・民改連を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     科学技術振興事業団法案に対する附帯決議(案)   行政の減量化と新たな時代の要請に応えるという特殊法人整理合理化趣旨に鑑み、また、科学技術基本法の精神を活かす上から、新たに設立される「科学技術振興事業団」においては、今後とも、必要な改革を着実に実施していくものとする。また、二法人統合にあたり、移行期における職員の待遇等の諸課題の解決について十分な配慮を講ずるものとする。 以上です。  各事項の内容趣旨につきましては、十分御理解いただけるものと存じますので、詳細の説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  90. 井上喜一

    井上委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  原田昇左右君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  91. 井上喜一

    井上委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、中川国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中川国務大臣
  92. 中川秀直

    中川国務大臣 ただいま御決議いただきました附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重しまして、適切に実施してまいりますように努めてまいります。  ありがとうございました。(拍手)     ―――――――――――――
  93. 井上喜一

    井上委員長 お諮りいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 井上喜一

    井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  95. 井上喜一

    井上委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十六分散会      ――――◇―――――