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1996-06-13 第136回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年六月十三日(木曜日)     午後一時三十分開議 出席委員   委員長 宮里 松正君    理事 佐藤 静雄君 理事 鈴木 宗男君    理事 高橋 辰夫君 理事 長内 順一君    理事 仲村 正治君 理事 矢上 雅義君    理事 池田 隆一君 理事 荒井  聰君       武部  勤君    二田 孝治君       町村 信孝君    松下 忠洋君       鴨下 一郎君   柴野たいぞう君       平田 米男君    広野ただし君       森本 晃司君    池端 清一君       上原 康助君    古堅 実吉君  出席国務大臣         外 務 大 臣 池田 行彦君         国 務 大 臣          (総務庁長官) 中西 績介君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 臼井日出男君         国 務 大 臣         (沖縄開発庁長         官)      岡部 三郎君  出席政府委員         防衛施設庁長官 諸冨 増夫君         防衛施設庁総務         部長      大野 琢也君         防衛施設庁施設         部長      小澤  毅君         防衛施設庁労務         部長      早矢仕哲夫君         沖縄開発庁総務         局長      嘉手川 勇君         沖縄開発庁振興         局長      瀧川 哲男君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省欧亜局長 浦部 和好君         外務省経済協力         局長      畠中  篤君         外務省条約局長 林   暘君  委員外出席者         特別委員会第一         調査室長    田村 勝美君     ――――――――――――― 三月二十二日  北方領土問題の解決促進に関する請願羽田孜  君紹介)(第九一五号) 六月五日  北方領土返還促進に関する請願鈴木宗男君外  四名紹介)(第二八三一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月十二日  自由貿易地域制度拡充強化に関する陳情書  (第二二三号)  沖縄県民要求支援に関する陳情書  (第二二四号) 同月二十六日  沖縄県民要求等に対する支援・支持に関する  陳情書  (第二五八号) 六月十日  沖縄米軍基地返還跡地整備事業等への財政支  援に関する陳情書  (第三九八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  北方地域漁業権者等に対する特別措置に関す  る法律の一部を改正する法律案起草の件  沖縄及び北方問題に関する件      ――――◇―――――
  2. 宮里松正

    宮里委員長 これより会議を開きます。  沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。  北方地域漁業権者等に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、先般来理事会等において御協議いただきました結果、お手元に配付いたしましたとおりの起草案を得ました。  その起草案趣旨及び内容について、委員長から御説明申し上げます。  北方地域漁業権者及び居住者については、さきの大戦の終結に伴い、我が国固有の領土である歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島から強制的に移住させられ、北方地域復帰することはもとより、その周辺水域漁業を営むこともできない状況に置かれている特殊な地位に配慮し、昭和三十六年、北方地域漁業権者等に対する特別措置に関する法律を制定し、当時、北方協会、現在の北方領土問題対策協会がこれら北方地域漁業権者等に、漁業その他の事業及び生活に必要な資金を低利で融資する措置を講じております。  しかし、戦後五十年が経過した今日、北方地域漁業権者等高齢化が進行し、その生活基盤も次世代の子や孫に依存せざるを得ない状況にあります。  本起草案は、こうした現状にかんがみ、北方地域漁業権者等に限り行っている融資制度を、引き揚げ後の生活において苦労をともにしたその子や孫が利用できるよう所要の改正を行おうとするもので、その主な内容は次のとおりであります。  第一点は、北方地域漁業権者等がその主たる生計を維持している子または孫のうちから一人を指定した場合に、指定を受けた者が本人にかわって本融資制度を利用できるようにすることであります。  第二点は、指定を受けた子または孫が旧漁業権者等より先に死亡したときには、旧漁業権者等が再び本融資制度を利用できるようにすることといたしております。  以上が、本起草案趣旨及び内容であります。     ————————————— 北方地域漁業権者等に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案    〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 宮里松正

    宮里委員長 お諮りいたします。  北方地域漁業権者等に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付いたしております起草案委員会の成案とし、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  4. 宮里松正

    宮里委員長 起立総員。よって、そのとおり決しました。  なお、本法律案提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 宮里松正

    宮里委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。      ————◇—————
  6. 宮里松正

    宮里委員長 引き続き沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めることとし、池田外務大臣中西総務庁長官及び岡部沖縄開発庁長官の所信に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。仲村正治君。
  7. 仲村正治

    仲村委員 第三次沖縄振興開発計画前期総括点検後期課題について、岡部沖縄開発庁長官お尋ねをいたします。  三次振計は、いよいよ前期五カ年目であります。ここで前期総括点検後期課題検討し、その検討結果を次年度以降の予算措置をすることによってより効率の高い振興開発成果の実を上げていかねばなりません。そのような視点に立って、ことしの折り返し地点前期総括点検をすることは極めて重要であります。  そこでお尋ねいたしますが、三次振計の前期実績をどのように評価しておられますか。まずは人口予想実績、あるいは県民所得の対全国比予定とその実績、あるいは労働人口就労人口に対応する雇用創出実績はどうなっているかということであります。相変わらず慢性的な高失業率状態が続いているとは思いますが、それを少しでも改善できたのかどうか、その全国対比についてもお聞きしたいと思います。
  8. 岡部三郎

    岡部国務大臣 沖縄の三次振計につきましては、御指摘のとおりに本年をもって前半を終了いたすわけでございますので、今、前半五年間の実績等についていろいろと検討をし、そして後半の五年間に何をやるべきかということについて真剣な議論をいたしておるところでございます。  その内容につきまして、今政府委員の方から説明をさせますので、よろしくお願いいたします。
  9. 嘉手川勇

    嘉手川政府委員 ただいまお尋ねのございました第三次沖縄振興開発計画フレームの重要な部分についてのお尋ねでございます。  まず人口でございますが、御案内のとおり、基準年平成二年でございます。平成二年時点で百二十二万。目標年次平成十三年ということで、その目標年次における目標人口は百三十万人を超える、こういうような想定がなされております。  それからまた、県民所得の方でございますが、基準年次で一人当たり二百万、それから目標年次における平成年度価格で三百十万を予定いたしております。  その他労働人口でございますとか、就労人口でございますとか、あるいは失業率問題県内生産目標等、いろいろと重要なフレーム項目がございます。  総体として申し上げますと、三次振計の人口及びただいま申し上げましたような経済社会フレームは、計画目標達成のために実施される諸施策及び民間部門努力成果などを前提といたしまして、計画策定時点において目標年次展望をしたものでございます。  現今の沖縄経済状況を見ますと、県内生産、一人当たり県民所得等伸び悩みを見せております。このままで推移すれば、目標年次における人口以外の項目におけるフレーム達成は極めて厳しい状況にあると認識いたしております。  これはいろいろと理由はあるかと存じますけれども、我が国全体の景気の問題、国内産業、特に製造業における空洞化の問題あるいは雇用調整問題等ございまして、これがまた沖縄にも影響がございました。また、沖縄内部におきましても、民間部門経済の停滞などの影響もございまして、沖縄経済社会が総じて厳しい状況にあることを反映したものと受けとめております。  沖縄開発庁といたしましては、第三次沖縄振興開発計画の後半に向けて、引き続きこの計画に示されました諸施策を着実に実施していくことによりまして、その目標年次である二〇〇一年度には、人口及び経済社会フレームに示されているような人口あるいは経済社会実現されるように最大努力を払ってまいりたいと考えております。  また一方において、このような経済社会実現のためには、政府努力ももちろんでございますけれども、県及び市町村民間創意工夫努力が不可欠であるものと考えておるわけでございまして、地元経済界あるいは関係者の取り組みに期待するところ大なるものがあると考えておる次第でございます。
  10. 仲村正治

    仲村委員 今御説明がありましたとおり、ことしは五年目、折り返し地点でありますので、今の時点での実績からすると必ずしも当初の計画どおりはいっていないというお話でございますので、早急に前半実績総括点検をして、次年度以降の予算措置でこれのフレーム達成をしていくということが非常に大事であります。早急に総括点検、そして後期課題が何であるかということについても、ひとつ御検討をいただきたい、このように思っているわけであります。  三次振計との関連で、道路交通網整備状況についてお尋ねをいたしたいと思います。  復帰二十四年間で国、県、市町村道整備は着実に進んでまいりました。しかし、その道路整備交通量の増加には追いつけず、那覇市を中心とした中南部地域交通渋滞は一向に解消されず、主要交差点の朝夕の交通渋滞はますます厳しくなるばかりであります。三次振計の後期課題としても、交通渋滞解消としての道路交通網整備事業は最重点課題ではなかろうかと思っております。  そのことに関連して、次の道路事業についてお尋ねをいたしたいと思います。  まず、那覇空港自動車道完成予定の時期と現在の進捗状況はどうなっているのかということ。もしその進捗状況がおくれているような状況であれば、予算かさ上げも必要ではないか。そして、完成を早めるということも、やはり三次振計の目標達成のためにも必要ではないかということであります。  二点目に、那覇東バイパス明治橋から一日橋間の完成はいつの予定か。一部供用開始をされておりますが、まだ片側の道路を利用している、こういう状況であります。そして、一番問題になりますのは、このバイパスを接続したために、既存の道路との交差点交通渋滞を引き起こしている。これが豊見城高校前とか真玉橋交差点あるいは津嘉山交差点とか一日橋交差点真地交差点、こういう場所で今までにない新たな交通渋滞を引き起こしているわけであります。  したがいまして、このバイパスの機能を高めていくためにも、これらの主要交差点立体交差にする必要がある、こういうふうに思いますけれども、この点についてどのような考え方をお持ちか、お答えをいただきたいと思います。
  11. 瀧川哲男

    瀧川政府委員 御案内のとおり、沖縄におきまする陸上交通は専ら道路に依存しているという状況にありまして、道路整備県民生活あるいは産業活動に与える影響というのは大変大きなものがあるわけでございます。三次振計におきましても、「那覇空港自動車道整備を始め、高規格幹線道路と有機的に連結し地域振興開発に資する基幹的な幹線道路整備を進める」ということになっております。  今先生指摘那覇空港自動車道は、那覇市の那覇空港から豊見城村、それから南風原町を経まして西原町で沖縄自動車道と結ぶという延長約二十キロメートルのいわゆる高規格幹線道路でございます。  このうち交通量等の事情を勘案しまして、緊要性の高い方、つまり二十キロメートルのうちの東の方から重点的に整備を始めております。つまり、南風原道路と一般的に言っておりますけれども、それは、西原自動車道から国道五百七号のいわゆる南風原山川というところまで、これは五・九キロほどありますけれども、これにつきまして早急に供用すべく、既に計画された事業費の七割以上を全区間にわたって投入いたしまして、鋭意工事を施行しておるところでございます。  そこで、いつごろ供用かというお話でございますけれども、実は、一部に用地の未買収地がまだ出ておりまして、予定しておりましたよりも若干おくれぎみでありまして心配しております。したがって、確定的なことは申し上げる状況にないのですけれども、今後、地元の御協力を得ながら、平成年度から十年度の間には事業を完了してまいりたい、かように考えておるわけでございます。  その次に、今申し上げました南風原山川から西の方へ行きまして豊見城村の名嘉地、この間約六・二キロで、これは豊見城東道路と一般的に呼ばれておりますけれども、これにつきましては、平成年度から事業に着手しておりまして、現在本格的な用地買収に入っているという段階でございます。  もう一つの御質問那覇東バイパス道路でございますけれども、これは国道三百二十九号の慢性的な交通渋滞解消目的計画されまして、約四・七キロメートルのバイパスでございます。おっしゃるとおり、八年の三月二十二日に暫定二車線による全線供用を開始したわけでございます。私ども、現在、平成年度を目途にこれを全線四車線化するように用地買収工事を進めておるところでございます。  なお、その過程での交通渋滞お話でございます。実は、主要交差点立体化につきましては、もう既に全体計画として都市計画決定されております。今後の交通状況でありますとか、あるいは南風原道路関連道路整備状況南風原道路もその交通の流れに影響いたしますが、そういうものも考慮しながら、交通関係機関で構成する沖縄地方渋滞対策推進協議会というのがもう既にできておりますけれども、その中で十分に相談しながら、できるだけ早く進めてまいりたい、かように思っております。
  12. 仲村正治

    仲村委員 交通渋滞問題で、国道五十八号線の旭橋交差点から牧港まで、これは交通渋滞というよりも恒常的な交通麻痺状態なんですね。これを何とかバイパスをもって解消を図っていかなければなりませんけれども、那覇新港からコンベンションセンター前までずっと計画は入っておりますが、いろいろな阻害要因があって部分的に局地的にとまっているところがある。  その最大場所が、浦添市の兵たん基地海岸に五十メーター制限水域があって、これは浦添市の埋立計画とも関連するわけでありますが、軍がなかなかオーケーしない。これについて、埋立事業は別としましても、やはり道路を先行する、バイパス事業を先行するという意味からも、米軍に対して海岸制限水域解除を強く迫っていくべきだ、こういうように思います。この点について外務大臣お答えをいただきたいと思います。開発庁からもお答えいただきたいと思います。
  13. 瀧川哲男

    瀧川政府委員 五十八号線の混雑につきましてまず一つだけ御報告したいのですけれども、牧港立体交差点、これは平成年度中に完成すると思いますので、五十八号線の混雑緩和にかなり寄与できると自負いたしております。  それから、今の制限海域の問題につきましては、おっしゃっていることはよくわかりますけれども、これは全体的な軍港の話、軍港の移転とかそういうものに絡んでおります。したがって、できるだけ早くそういった問題が解決することを期待しておりますし、またそういったことが早く決まれば、早く道路決定をいたしまして、できるだけ早く工事を進めてまいりたい、かように考えております。
  14. 小澤毅

    小澤政府委員 お答え申し上げます。  先ほど先生からお話がございました制限水域の問題でございます。これにつきましては、平成七年五月十一日の合同委員会におきまして、那覇港湾施設移設関連で触れてございます。そこによりますと、那覇港湾施設の全部及び牧港補給地区の隣接する五十メートルの制限水域の全部の返還をする、これが結局現在の那覇港の浦添埠頭への移設の条件ということになっております。  我々といたしましては、さきのSACOにおきましても、那覇港湾移設につきましてはこれの促進方に努めるというふうなことが日米間で合意されておりますので、これの早期の解決というものを図ってまいりたいと思っております。
  15. 仲村正治

    仲村委員 開発庁長官、今お聞きだと思いますが、この制限水域をなぜアメリカがオーケーしないかというと、これは那覇軍港移設との関係で、駆け引きでこれを握っておるわけですよ。だから、それは今お話がありますように、そういう作業を進めておりますが、これはいつできるかわからないわけですよ。それでは、それまで国道五十八号線のバイパス事業をとめていいのかということになりますので、ぜひあれとは切り離して、国道バイパス事業を進めるという意味で、開発庁としてこの制限水域解除を強く求めていくべきだと思います。
  16. 嘉手川勇

    嘉手川政府委員 ただいま先生から、制限水域の撤廃を沖縄開発庁として強く求めていくべきではないか、こういうようなお尋ねでございます。  私ども、先ほど振興局長から御答弁申し上げましたように、道路整備については責任を持っているわけでございますけれども、この制限水域についての所管官庁ではございませんが、しかしながら、一日も早くそういうような制限水域がなくなって、私どもの計画する道路完成することを希望している次第でございます。
  17. 仲村正治

    仲村委員 これは基地返還問題との関連防衛庁外務省所管というふうなことをおっしゃらないで、開発庁としてこの道路をつくるためにこれは必要なんだ、こういう姿勢で強く各省庁間の調整をしてアメリカの理解を得るように頑張っていただきたい、こういうふうに思います。  それから、三次振計の後期事業として、当初全く予想だにしなかった米軍基地返還整理縮小による返還跡地利用開発事業予想されます。それは、規模の大小によって市町村や県あるいは国営事業等と区分されると思います。例えば普天間基地のような返還地の再開発事業等は、国でないと対応できないはずであります。このような課題が必ず起こると思うが、岡部開発庁長官に、この三次振計の中でこれらの問題にどう対処していくかということについての御見解をお聞きしたいと思います。
  18. 岡部三郎

    岡部国務大臣 普天間飛行場を初め十一施設返還ということは、これは沖縄振興にとってまことに重大な問題でありまして、これをどのように経済の発展につなげていくかというのが我々の大きな課題であると考えております。  今、三次振計の後期展望については、いろいろと作業を進めております。ただ、この返還跡地問題につきましては、もちろんその中でも十分な検討をしていくということになっておりますが、今はまだその返還の方針が決まっただけで、これが具体化するという段階ではございませんので、具体的な事例についてはまだ中にのせておらないということでありますが、これが決まり次第実現できるような処置を十分とってまいりたいと考えております。
  19. 仲村正治

    仲村委員 私は、これは先ほど申し上げたように、今まで三次振計を策定する段階で全くそういうのは念頭になかった課題であると思いますけれども、この前の日米首脳会談では五年から七年の間にこれを返還するということになりますと、その準備作業というのは三次振計の段階から必ず起こってくるというふうなことを考えておりますので、十分そのことについて念頭に置いていただきたい、こういうことを御希望を申し上げておきたいと思います。  沖縄振興開発計画は、第一次から第三次まで、その意義と目的は、沖縄の戦後処理と本土との格差是正、そして経済自立基盤整備であったわけです。もちろん、この問題が完了したわけではないのでありますので、今後とも継続をしていかなければならない。  しかし、戦後五十年間、米軍の占領当時のまま沖縄だけに押しつけてきた米軍基地が、戦後五十年にしてようやく日米政府が本気で沖縄米軍基地整理縮小を考えるようになったわけであります。したがって、戦後五十年、沖縄県民に犠牲と損害を与え続けてきた米軍基地返還という一番大きな戦後処理が今から始まるわけであります。したがって、沖縄復帰時に制定された沖縄振興開発特別措置法の果たすべき役割も、むしろこれからが正念場だというふうな感じを持っておるわけであります。  今、このことについて開発庁長官から御意見をお聞きしたわけでありますが、今申し上げた視点から私が申し上げたいのは、政府ポスト三次振計、いわゆる第四次振計の必要性検討に入るべきだというふうに感じております。この点について、いかがお考えでしょうか。
  20. 岡部三郎

    岡部国務大臣 先ほども申しましたように、今、三次振計の後期展望ということで努力をいたしておる最中でございます。本年度中にこれを完全なものにしまして、来年からその実現に向けて努力をいたしてまいらなければならない。その過程において、当然、ポスト三次振計はどうあるべきかという議論はなされなければならないものと思っております。  したがいまして、今ポスト三次振計の検討はいたしておりませんけれども、来年以降しかるべき時期に必ずポスト三次振計についても真剣な御論議をいただくことに相なることだと思っております。
  21. 仲村正治

    仲村委員 一点目の質問で申し上げましたように、後期課題の中でこれらの問題は必然的につきまとってくる、こういうふうに思います。  まさにこれだけの広大な米軍基地整理縮小されていきますと、この跡地利用という事業最大の戦後処理事業として起こってくるわけでありますので、これは今までの振興開発計画を継続していくような形でないとこれだけの大型の事業を推進することはできない、いわゆるこれだけの大がかりな戦後処理を片づけることはできない、こういうふうに思っておりますので、ポスト三次振計ということについて、後期課題検討の中で並行してこの問題についてはぜひ御検討いただきたい、こういうふうに思っております。よろしゅうございますか。
  22. 岡部三郎

    岡部国務大臣 私も先生と全く考え方は同じで、米軍用地の二〇%にも及ぶという返還跡地利用というものは、これは戦後最大沖縄振興開発上の問題であるというふうに考えておるわけでありまして、これが具体化する時期を見ながら、それをどういうふうに進めるかということは真剣に考えてまいりたいと考えております。
  23. 仲村正治

    仲村委員 先ほどは、普天間基地返還について日米首脳会談で合意に達した、しかしそれは本決定は十一月ということでありますが、しかし、五年から七年と期限も切られておりますので、この課題はいや応なしにやってくるわけであります。  したがって、沖縄開発庁としても、このような大がかりな基地返還跡地利用開発事業に対処するために特別作業班を設置したというようなことが新聞で報じられておりましたが、そのことについて、どのような規模で、どういう任務を予定してのものであるのか、御説明をいただきたいと思います。
  24. 岡部三郎

    岡部国務大臣 御指摘のとおり、六月三日付で沖縄開発庁本庁内に総務局長を本部長とする普天間飛行場等の返還跡地利用問題対策本部を設置をいたしました。同本部は、四月十六日の沖縄県における米軍施設・区域に関連する問題の解決促進についての閣議決定を踏まえまして、普天間飛行場等の返還跡地利用問題に関し、庁内の連絡調整等を図ることを目的としたものでございます。  沖縄総合事務局におきましても、同じ六月三日に普天間飛行場等の返還に係る沖縄総合事務局連絡協議会を設置いたしました。  今後、内閣に設けられました作業部会、いわゆるタスクフォースの検討状況に応じまして適時適切にこれらの会合を開催いたしまして、返還後の跡地利用について全庁挙げて精力的に取り組んでまいる所存でございます。
  25. 仲村正治

    仲村委員 ぜひ準備万端整えて、いざ返ってきたときの対応が的確にできるようにひとつ御準備をいただきたいと思っております。  次に、普天間基地などの返還問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  去る四月十六日から十八日までの日米首脳会談で、普天間基地等を含む十一施設、四千五百ヘクタールの返還が合意されました。その中の目玉は、何といっても普天間基地返還を五年から七年以内にやるということであります。しかし、その内容は、その施設機能の大半を沖縄県内の他の基地移設をするという条件がつけられているので、これは手放しでよかったよかったと喜べる内容ではありません。  私は、去る五月十日の本会議で、この普天間基地返還合意は二十年前に移設条件つきで返還合意された那覇軍港と極めて似たようなものじゃないかということを申し上げましたが、那覇軍港は、御承知のように、二十年たっても引き受け手がいないためにいまだ居座り続けている状況であります。  政府普天間基地を五年から七年以内に全面返還するという日米間の合意をした以上、これは責任は極めて重いと思います。その合意の背景と実現できる根拠といいましょうか、可能性について、どのような形でこの五年から七年の間に全面返還するという期間設定をなされたのか、外務大臣お尋ねをしたいと思います。
  26. 池田行彦

    池田国務大臣 普天間の返還につきましては、日米首脳会談に先立ちましていろいろ日米間で沖縄における基地の整理統合・縮小について協議をしてきたわけでございますが、その過程におきまして、沖縄県からいろいろな御要望が寄せられておりました。その中でも普天間基地返還というものが大変強い御要望である、こういうことだったわけでございます。  そのことを踏まえまして、この問題につきましては、橋本総理御自身の大変な強い指導力の発揮、そしてまた、それにこたえた米側の真剣な検討、こういうようなこともございまして、ただいま委員御指摘のように、五年ないし七年という時期的なめども含めまして、その返還の合意がなされたわけでございます。  しかし、その合意の中には、これも御指摘のございましたように、現在、普天間基地で果たしている機能をどのようにしていくか、そういった条件の整備をしていかなくちゃならないということも含まれておるわけでございます。  この問題につきましては、これから政府として全力を尽くして努力をしていくのは当然でございますけれども、同時に、これは沖縄県を初め地元の御理解、御協力というものも大切なわけでございまして、今後、沖縄県ともよく御相談をしながらこの合意を実現に持っていきたい、こう考えておる次第でございます。
  27. 仲村正治

    仲村委員 この五年から七年という期間設定について、それなりの根拠、自信があってのことだと私たちは理解をしているわけでありますので、これは沖縄県民が返せと言ったからということでなしに、何としてもこれの実現をするためにはその移設作業というものの手順をきちっと示していく責任があるわけでありますので、その点についてはきちっとそれができるように責任を持ってやっていただきたい。ただ返すと決めたじゃないかということじゃ終わらない話だ、こういうように私は思っておりますので、その点、十分努力をしていただきたい、こういうふうに思います。  それから、普天間基地にある施設機能の移転費用は日米のどの国が負担するのか。その移転費はどのぐらいかかるのか。そして、もし日本政府負担ということになれば、今のGNP対比一%以内の防衛費の範囲でこれができるのかどうか。だとすると、五年から七年というのは大変な問題が起こってくるのじゃないかというふうに思いますが、日本が負担するのかアメリカが負担するのか、また移転費は幾らかかるのか、日本が負担する場合のGNP対比の予算の範囲でできるのか、その点について明確に御答弁いただきたいと思います。
  28. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 お答えいたします。  移転費用の御質問でございますが、現在日米間でSACOの中間報告で普天間の返還というのは合意が見られておりますが、現時点でどういう内容のいわゆる要求といいますか、機能を移すのか、そういう点はまだ作業グループの中で検討中でございまして、明確な積算に基づいたものはまだ存在しておりません。  したがいまして、今後の日米間の合意の過程において、ある程度要求内容が煮詰まってまいりました段階で私どもある程度の積算はして、それに基づきまして実現のいろいろなプランをつくっていくというような過程でございまして、まだ現段階でどのぐらいの金額がかかるのか、そういうことについて計算をしたものは一切ございません。
  29. 仲村正治

    仲村委員 日本が負担するのかアメリカが負担するのか、その辺は、先ほど外務大臣お尋ねをいたしました五年から七年の期間設定というものと非常に重要な関連を持つ話であります。全面返還というからには全部移すわけです。なくしていいということじゃないわけです。機能をどこかに移してくれという条件で返還をするということですから、これについて五年から七年の間に今の防衛費の範囲で本当にできるのか、そういうことを今お聞きしているわけでありますから、これから計算をするということでは、これは話にならぬわけであります。
  30. 池田行彦

    池田国務大臣 日米安保条約に基づきまして、我が国は米国に対しまして施設・区域の提供をしているわけでございますので、今回、その普天間を含めまして、沖縄における施設・区域の移転ということがございますならば、基本的にはその費用は我が国において負担すべきものだと思っております。もちろん、米軍プロパーのいろいろな経費というのは、米軍で持つものはございましょうけれども。  そして、その経費が一体どの程度かかるものかという点につきましては、先ほど防衛施設庁長官の方からも話がございましたように、今の段階で明確になっているわけでもございませんけれども、確かに相当な額になるということは予想されるわけでございます。  それで、それにどう対応するかという点でございます。  それにつきまして、先ほど委員からは防衛費のGNP一%との関係というお話もございましたけれども、現在、事実問題として、防衛費はGNPに比較いたしまして一%に入っておりますけれども、このGNPとの関連で防衛費を云々するという方針は、かつてとったことはございますが、現在はそういうことはないというのは委員も御承知のとおりでございます。  そして、防衛費につきましては、これは基本的には毎年度予算折衝で決まるものでもございます、そして国会でも承認を得て決まるものでございますけれども、中期防ということで五カ年間にわたっての防衛費の一応のめどというものがございます。  そういうものがございますけれども、今回、沖縄における基地基地と申しますか施設・区域の返還に伴っていろいろ所要の経費がかかるということになりますならば、そこのところは、これは何としても実現しなくちゃいけない話でございますから、経費の面の制約からこの返還がおくれる、他の条件は成就されるのに経費の面からその返還がおくれるなどということはあってはならないと思いますので、そのあたりは政府としても全体としてそのようなことにならないように努めてまいらなくちゃいけない、このように認識している次第でございます。
  31. 仲村正治

    仲村委員 今外務大臣は、防衛費のGNP対比一%以内ということはないというお話であります。年度年度の防衛費は確かに最近では〇・何%以内になっていますので、それはないにしても、いずれにしても、基準は、前年度の防衛費から幾ら伸ばすのか、これは暗黙の了解としてやはりGNPを勘案しての話だと思います。  それじゃ、これは全くそういう枠を超えて、普天間基地返還だからやらぬといかぬということで防衛費が計上できるのか、確保できるのか、私は非常に疑問に思っております。  そういう意味で、幾ら必要なのか、その予算をどうするのか、これは期限は五年から七年だということで、やはり何としても早くはっきりしていただかないと、単なるうたい文句になってはならないという立場で、私はきょうはこれを確かめようと思ってお尋ねをしているわけであります。どうぞひとつ、何かありましたら。
  32. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 ただいまの経費の御質問でございますが、ちょっと経緯を申し上げます。  平成八年四月十六日に、SACOの中間報告を得まして閣議決定がしてございます。その中で、その部分をちょっと読ませていただきますと、   政府としては、こうした検討を一層促進するとともに、特別行動委員会で  とりまとめられる具体的措置の的確かつ迅速な実施を確保するための方策について、法制面及び経費面を含め総合的な観点から早急に検討を行い、十分かつ適切な措置を講ずることとする。というのが四月十六日の閣議で決定されておるところでございます。  私ども、こういう決定を受けまして、現在普天間の問題につきましては、先ほど質問に出ておりましたタスクフォースを設けまして、その中で普天間に関する種々の問題の解決について、今、努力といいますか、県も含めて検討をしておる最中でございます。
  33. 仲村正治

    仲村委員 前もってそのことをおっしゃれば私はそれは言いませんよ。ただ五年から七年の間に返還をするというふうに決めたが、今の段階でその予算がどうなるのかということがわからないとおっしゃるものですから、本当にその五年から七年ということについての実現性の根拠というものは、きちっとそういった予算の面で示していただかなければならないということであります。  そこで、この普天間基地施設機能の移設地を発表されましたよね。その予定市町村が、いち早くだめだ、これ以上の基地の重圧は耐えられないということで、嘉手納町、読谷村、県民、村民総立ち上がりでこれは反対しているわけであります。果たしてこのように政府計画どおり移設作業というものができるのかなという懸念を持っております。この件について、外務大臣からひとつ決意のほどをお聞きしたいと思います。
  34. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたように、普天間の返還につきましては、普天間が現在果たしている機能の移転というものも一緒になりまして一つの合意になっているわけでございます。そして、そのことを合意がなされる前に橋本総理から大田沖縄県知事にも申し上げまして、知事もそのことを十分御承知の上でその合意がなされたわけでございます。  そして、先ほども御答弁申し上げましたが、普天間の返還というものを実現するためには、その機能の移転というものを何としてでも行わなくてはその条件は整わないわけでございますので、もとより政府としては全力を尽くしてまいりますけれども、これは沖縄県を初め地元の御理解と御協力が欠くことができないわけでございますので、その点につきましては、先生におかれましても、どうか普天間の全面返還が成就するようにいろいろお力その他影響力をおかしいただきたいと存ずる次第でございます。
  35. 仲村正治

    仲村委員 その点につきましては、ぜひ移設予定の町村に対して誠意を持って皆さんからも十分説明をして、理解を得られるように頑張っていただきたい、こういうふうに思います。  今回、五年から七年以内の全面返還合意発表は、立場によって必ずしも評価が一様、一致しているわけではありません。政府はやっと重い腰を上げたという喜びもあれば、一体我が暮らしはどうなるんだという不安に陥った人たちも少なくないのであります。  それは、普天間基地内で働く日本人従業員と、戦後五十年間、米軍に無理やり土地を取り上げられ、その賃貸料で生活をしているいわゆる軍用地主二千八百名がいるわけでありますが、この人たちの立場を考えずに、返せと言うから返したんだということで片づけられる問題ではないと私は思っております。  このように、米軍に土地を取り上げられた人たちは、いわゆる日米間の戦争という国家行為によってその土地を取り上げられ、そしてその使用料で生活を余儀なくされているという立場からいたしますと、返せと言うから返したんじゃないかというように簡単に片づけられる問題ではない。したがって、この人たちの補償ということについても十分対応していかなければならない課題である、こういうふうに思います。  その問題に関連して、まず、普天間基地内で働く日本人従業員、いわゆる軍雇用員の配置転換や離職者対策についてどのようなお考えを持っておられるのか。  二点目に、戦後五十年間、好むと好まざるとにかかわらず、基地依存の暮らしに置かれた関係地主にとって、基地返還されて使用料が途絶えることはまさに死活問題であり、返還跡地の再開発が完了して、その土地の使用収益が発生するまでの生活の不安ははかり知れないものがあります。したがって、政府は、昨年五月に議員立法で制定した軍転特措法の返還後の補償期間を、これら普天間基地などのような地主に対しては、少なくとも十年間は従来どおりの地料相当額の補償をするというようなことでなければ、これは非常に問題が起こる、こういうふうに思っておりますが、この点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
  36. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 最初に、駐留軍労務者関係の御質問でございますが、これは普天間飛行場返還が五ないし七年ということで、現段階でまだいつの時点に従業員の雇用に影響が出るかというのが明確ではございません。将来、五ないし七年後に実現された段階においては、その問題が現実の問題として出てくるわけでございます。  私どもとしては、従来から防衛施設庁長官がいわゆる雇用主でございますので、この駐留軍従業員、在日米軍の従業員の雇用の安定につきましては、今後とも米側と緊密に連絡をとりながら、あるいは沖縄県等とも連携を図りながら、何とか雇用の安定確保に最大限努めてまいりたい、このように考えておるところでございます。  それから、二つ目の御質問でございますいわゆる地主さん方に対します今後の補償等の問題は、先生先ほどもお触れいただきましたように、昨年の五月に成立しております沖縄県における駐留軍用地返還に伴う特別措置に関する法律がございまして、これによって、平成年度返還される提供施設に対しまして平成年度に初めて予算化が認められております。したがいまして、昨年の十一月三十日付で返還になりました恩納通信所等がまず最初に適用になってまいりますが、私どもとりあえず現段階で、これの適用につきまして種々の検討をし、地元の地主さん方を含めて御相談をさせていただいているところでございます。  この法律の施行に当たりましては、今後適正に執行していくことが一番大切だと考えておりまして、今後の問題として、今御指摘になりましたような三年の期間についての延長問題等いろいろな御要望あるいは御意見等があることは私ども承知しておりますが、現在のところ、私ども政府としましては、現行の法律の適正な執行にとりあえず努めさせていただきたい、このように考えておるところでございます。
  37. 仲村正治

    仲村委員 これは地主の立場からしますと、まさに死活問題です。今まで返還用地跡地利用事業をやっておるわけですが、平均して十四年かかっているのです。今の那覇の副都心は、一回目に返したのはもう二十何年になりますよ。その期間は全く使用料が入らない、収益が入らない、地主はとうとう背に腹はかえられずに土地を売ってしまう、こういう状態が起きているわけです。  だから、この普天間基地についてもぜひそういうことのないように、もちろんそれは跡地利用事業を早くやることです。一日も早く使用収益が入るようにしてあげることが大事です。しかし、これは私は幾ら急いでも十年かかると見ている、十四、五年かかると見ています。  したがいまして、軍転特措法の今の補償期間では十分地主の要望にこたえられる状態ではない、こういうふうに思っておりますので、これについてぜひ検討していただきたい、こういうふうに思います。  次に、駐留軍用地への土地の賃貸を拒否している地主の強制使用問題についてお尋ねをいたします。  沖縄県内では、米軍に土地を接収された地主は約三万一千人で、うち二万八千人は日本政府と賃貸契約をして、政府米軍基地用地の提供をしているわけであります。残り三千人は、そのうち約二千八百人ぐらいは沖縄県民以外のいわゆる一坪反戦地主だと言われておりますが、この三千人が賃貸契約を拒否しているわけであります。その三千人の中に、去る三月三十一日に契約期限が切れた、読谷村の楚辺の象のおりと言われている通信施設内に土地を持つ知花さんという地主がいるわけであります。  そこで、この知花さんの二百三十六平米の土地は、政府との賃貸契約期限がことしの三月三十一日に切れた後も、政府はその土地を米軍に提供しているわけですから、これはまさに政府による違法占拠状態が二カ月以上も続いている、こういうことであります。  これは法治国家として全く情けない話だ、恥ずべき違法行為を政府みずから行っていることだ、私は強くこの点を指摘したいと思います。  我が国政府はもはや法律をもって国民を統治する資格を失ってしまったと言っても決して過言ではないのではないかと思うほど、この問題は非常に重大であります。政府は、このような国による違法占拠状態についてどのように考えているのか、お答えをいただきたいと思います。
  38. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 現在、楚辺通信所の一部土地につきましては、先生指摘のような状況で、使用権原がない状態で私ども在日米軍の方に条約上の義務ということで土地を提供していることにつきましては、まことに憂慮すべきことだと考えておるところでございます。  私ども、本件土地につきましては、一昨年、平成六年六月から地主の方に対して二十数回にわたって何とか交渉に応じて承諾していただきたいという旨のいろいろな折衝をしたわけでございますが、どうしても承諾が得られないというような事情がございました。  それで、やむを得ず昨年三月からいわゆる駐留軍特措法に基づきます使用権原の取得手続に入ったわけでございますが、昨年、不幸な事件等が発生いたしまして、訴訟等を経て、三月二十九日に私ども最終的に裁決申請といいますか、そういうのを出して、三月三十一日を迎えても県の収用委員会から緊急使用許可が得られないというような経緯がございまして、現在非常に憂慮すべき事態にあるということは、私ども十分認識しておるところでございます。  現段階で、沖縄県収用委員会は私どもの裁決申請を受けまして、公告縦覧の手続に入っておるところでございます。  市町村長の、この場合は読谷村でございますが、読谷村長さんの拒否がございまして、その後沖縄県知事の方に現在代行の要請をしておりますが、何とか早急に県知事の方に代行をしていただきたいというふうに思っておるところでございます。現段階で、私ども、昨日、地方自治法の百五十条に基づきます指揮監督という督促をお願いして、何とか一日も早く代行をお願いしたいという手続をとったばかりでございます。  いずれにいたしましても、私どもとしては、こういう手続に基づいて一日も早く使用権原が得られるように現在最大限の努力をしておるところでございまして、何とか関係者の御協力を心からお願いする、こういうふうに考えているところでございます。
  39. 仲村正治

    仲村委員 この知花さんは親から贈与を受けたわけでありますが、政府に対して、平成六年六月には既に契約はしませんよという意思表明をしているわけですね。あれからもう二カ年たつわけですが、契約をしないということであれば、これは強制収用しかなかったわけですね。ですから、そういう長期間に皆さんがその対応ができずに違法占拠状態になったということについては、これは重大な責任があると思います。  今まで防衛施設庁の説明では、強制接収の手続によってこの土地の米軍への提供を可能にするには最低六カ月、どうしても契約をしないということであれば、強制収用するためには六カ月の期間が必要である、かつて私たちはこういう話を聞いておったわけです。しかし、これがあなた、何と十二月二十一日に始めたわけでしょう。だから、ある人は頭が悪いとか言ったとか言わなかったとか言っていますけれども、これを考えると、頭が悪かったのかなという感じもするわけですよ。  こんなことで、皆さんがかつて少なくとも六カ月の期間が必要であるというふうにおっしゃったことと、実際に仕事を始めたのは十二月二十一日ということについて、この責任は一体だれが負うべきか、本当に国が法治国家としてこんな違法占拠状態を続けていいのかということからして、私  はきちっとその責任の所在を明確にすべきである、こういうふうに思いますが、どうですか。
  40. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 お答えします。  昨年の暴行事件等がございまして、それ以降、県知事さんの署名に応じられないというような動きがございまして、当時の内閣といいますか、政府を挙げていろいろ県当局と折衝した経過は御承知のとおりだと思います。  その結果、どうしても応じていただけないということで、私ども政府が訴訟手続といいますか、一連の収用手続、勧告・命令という手続がございますが、そういう勧告・命令に応じていただけないということで、最終的に昨年の十二月に裁判所の方に訴訟提起をして、それから裁判が行われて、三月二十五日に判決が出たという過去の経緯がございます。  そういういろいろ当初予測できなかった事態によって、きょう現在憂慮すべき事態が惹起したということは、まさに先生指摘のとおりでございますが、当時の担当者といいますか、私どもを含めまして、それなりにいろいろな努力をした結果、やむを得ず本日の事態に至ったというふうに私ども考えておりまして、その時々の担当者としては、それなりに最大努力を払ったというふうに理解しておるところでございます。
  41. 仲村正治

    仲村委員 これは重大な問題でありますので、法治国家としてもこういうゆゆしき事態を引き起こした責任をきちっとやっていかなければならない、こういう点を強く指摘しておきたいと思います。  来年の平成九年五月十四日には、約三千人の契約拒否地主の土地を強制収用しなければならないわけであります。政府は、先日、そのための手続を始めた、こういうふうに報じられております。しかし、今回の知花さんのような事態になることを恐れて、政府は現行の地方自治体への機関委任事務でこれが対応できるのかなと自信を失ってかどうか知らないけれども、賃貸契約拒否地主の土地を米軍に提供する手続の迅速化のための新規立法をするという報道がなされておるわけでありますが、この事実関係についてお聞きしたいと思います。
  42. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 先週、先生指摘のような報道がされましたことは、私ども承知しております。即日、この旨は事実と全く違うということで新聞社等にも一応私ども抗議をしておりまして、あるいは別の委員会等でも私は明確にこの点は否定しておるところでございます。現在、私ども、現行法に基づきまして手続をとっているところでございます。  今御指摘の三千件につきましても、六月六日に県の収用委員会の方は私どもの裁決申請を受理しておりまして、現在、この点について関係市町村の方に公告縦覧をするようにという県の収用委員会からの通知が行っておるような状況でございまして、私ども、与えられた来年の五月十四日という期間までに何とかこういう使用権原が得られるように最大努力をしておるところでございます。  したがいまして、御指摘の報道にございますような特別立法等についての検討政府としてやっておるわけでもなく、現在そういう指示を受けておるわけでもございません。
  43. 仲村正治

    仲村委員 報道が事実と反するということであればいいわけでありますが、私はこの新聞報道を見て、マスコミのインタビューを受けたときに、楚辺通信施設の知花さんの土地の違法占拠ということは法治国家としてあるまじきことだと私は思っております、この重大な過ちの責任は政府にあるのであって、それが起こったから次の問題についても予防措置をとらなくちゃならぬという考え方かどうか知らぬけれども、それがなされるということであれば、これは中立公平の立場の土地収用委員会を頭から否定することじゃないかということで、このようなことがあってはならない、政府はちゃんと、もう一年あるわけですから、粛々と現行の法律によって手続をとるべきであるということを私は記者に言ったわけですが、ぜひそのようなことで対処していた、だきたい。  私は、どちらかというと、安保条約は必要であります、日本の平和のために。そして、憲法九十八条に基づいて条約を遵守する義務があります。したがって、政府においては現行の法律に基づいてこの基地の提供の作業を進めるべきであって、それができないからより強制的な法律を制定するということはあってはならないことだ、こういうように思っておりますので、万が一にもそのような事態にならないようにぜひ気をつけていただきたい、こういうことを申し上げて私の質問を終わらせていた、だきます。  ありがとうございました。
  44. 宮里松正

  45. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 防衛庁長官が日程の都合で十五分しかいられないというものですから、外務大臣、済みませんが、防衛庁長官から先にやらせていただきます。  今仲村議員からもお話がありましたけれども、きのう首相名の代行督促文書が沖縄県知事側に渡ったということなんです。今ちらちら特別立法の話が出てくるのでありますけれども、今の答弁を聞いておっても何かちょっとわかりづらいのですが、一部には説明があったと言っておきながら、ないという今の施設庁長官の答弁。しからば、何で明確にないならないということをマスコミ当局に言わないのでしょうか。この点、大臣は現時点でどういうふうに考えておるのか、あるいは今後どういう姿勢でいくのか、明らかにしていただきたいと思います。
  46. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 お答えします。  私、あの報道が出ました翌日、ちょうど定例記者会見がございまして、その定例記者会見の際にその旨をきちっと御説明してございます。また、別の委員会等でも先ほどと同じような答弁をしております。それで、私の答弁内容について、そういうことについて施設庁長官が明確に否定したという旨の新聞記事が一部ございます。ただ、それ以外についてはそういうことはございませんが、私どもとしては、一応マスコミあるいは国会の先生方に対してもその旨をきちっと表明しております。  なお、現行制度の問題点等につきましては、いろいろ国会の先生方から与野党を含めて御質問がございます。その際、私どもの職員が御説明にお伺いいたしまして、現行制度について、こういうところがこういうふうな制度になっていて、こういう部分に非常に時間がかかったとか、こういう旨の御説明はいろいろしておるところでございます。
  47. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 施設庁長官、しからば、あなたは今のままでいいと思っているんですか。日米安保条約だとか日米関係を考える場合、何がしかの手を打たなければやっていけないんじゃないですか。しからば、何がしかの勉強をしているというのは当たり前じゃないでしょうか。  あなたの今の話だと、勉強すら否定している話だけれども、それは素人に対する話ですよ。じゃ、勉強もしてないということなら結構なんですか、この点を明確にしてください。
  48. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 現行制度につきまして、私ども一般論として幅広く勉強しておりまして、現在の制度についてどういう点に問題があるのか、そういう点は私ども法律を執行する立場として当然ふだんから勉強して、いろいろな形の改善、検討を常に心がけておる、こういうことでございます。
  49. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 長官、私はここであなたと神学論争している時間がないからこれでやめるけれども、率直に、このままいったらこうなんだから、ついては日本としてはこうしていかなくてはいけないということをきちっと明確にしていくことが責任ある政治だと私は思いますよ。今、言葉の遊びをしている時期じゃないと思いますよ。  相手が明確に確信犯として受け入れないとするならば、しからば、日本国の国益を守るためには考えなくてはいけないじゃありませんか。しからば、万般、施設庁なら施設庁として、あるいは防衛庁として、国益というものを考えながら、検討するものは検討している、勉強するものは勉強していると明確に言うのがあなたの立場じゃないですか。もう一回それを答えてください。
  50. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 先生指摘のように、安保条約に基づきます提供義務等がございまして、それに基づいて現在の法律制度がつくられておるわけでございます。したがいまして、私どもはもちろんこういう点についての勉強はふだんからしております。  しかし、現段階で、報道にございますような特別の指示を受けて検討しておる、そういうことは一切ないということを申し上げておるわけでございます。
  51. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 長官、特別の指示を受けてではなくて、あなた方自身が政府の一員として、いろいろ検討したり勉強するのが当たり前じゃないですか。今のあなたの答弁は、だれから指示を受けてやっているわけじゃないと言っている話ですけれども、それで通りますか。あなた方の立場として、いろいろなシミュレーションを想定しながら検討したり勉強するのは当たり前ですが、それすらもまじめにやるのは否定するのですか、そこをはっきりしてください。
  52. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 現行制度につきましてのいろいろな問題点は、先生指摘のように、私どもふだんから勉強しておるところでございますが、私ども一方では、現在の法律に基づきます、制度に基づきます実行といいますか、実施担当責任者でございます。したがいまして、現在、私どもは、駐留軍特措法の現行法に基づきまして、県の収用委員会の方に手続をお願いしている立場でございます。現行制度に基づいて一日も早く県の収用委員会の方の裁決をいただきたいということをお願いしている立場でございます。  ただ、現在制度的にいろいろな問題がある、ほかの法律、制度に比べてもいろいろな問題がある、こういう点は常々勉強するのは当然の責務でございますので、私どもとしてもいろいろな観点からの勉強はさせていただいておる、こういうことでございます。
  53. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 長官、あなたは収用委員会の結論に一縷の望みはかけているということなんですか。お願いはしているのはわかりますよ。  成田空港の問題での収用委員会もありますよ。あのときは知事の任命した収用委員ですよ。今回だって同じく知事の任命した収用委員で、知事の姿勢も明確ですよ。収用委員会が知事の判断と違うような結論を出しますか、長官。あなた、もしそのぐらい甘く考えているとするならば、逆に私は笑い物だと思いますよ。さっきの仲村さんの質問じゃないけれども、ばかな人云々の話があったけれども、その上前をはねるような話になりますよ。そこら辺をはっきりしてください。  そういういいかげんな話ならば、逆に私はいろいろな意味防衛庁に対してアクションを起こすことがあると思いますよ。国会の場ですから、言葉でやりとりするのではなくて、明確なスタンスというものできちっとやってもらいたい。少なくともこっちは与党だ、議院内閣制で与党と政府というのは一体のはずですよ。
  54. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 お答えします。  私どもが、この土地が必要だという使用認定については、総理府の長たる総理大臣からの認定をいただきまして、現在、県の収用委員会の方に出しております裁決申請の中身は、金額あるいはその期間、収用期間といいますか使用期間をどのぐらいにするかとか、そういう点についての御判断をお願いしておるということでございます。  この駐留軍特措法に基づきますいわゆる土地の収用、使用でございますが、これにつきましては過去三回実例がございまして、今回とっておるのは四回目の手続でございます。  したがいまして、私どもは、この県の収用委員会の判断といいますか、裁決の時期を一日も早くお願いしたいということをお願いしている段階でございまして、否決されるとか却下されるというのは、過去三回そういう例はございません。今回も何とか一日も早く裁決をお願いしたいということを、今、県の収用委員会の方には申し上げているところでございます。
  55. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 長官の立場もありますから、このぐらいの話にしておきますけれども、少なくとも、長官、やはりタイミングというものがありますから、そこら辺は前もって明確な意思表示をしていった方がむだなエネルギーはかからぬと私は思います。今までは後手後手にいって失敗している嫌いがありますから、この点だけはきちっと対応してもらいたいな、私はこう思うのです。  そこで、防衛庁長官、私は、沖縄の皆さん方の立場を考えるとき、沖縄の皆さん方のつらさ、苦しみ、痛みというのは本土も受けなければいけないと思っているのです。しからば、まずできることからやってあげることが大事ではないかと思っているのです。  去年の一月十一日ですか、村山・クリントン会談でいわゆる三事案の移設が決まりました。そして、去年の九月二十七日ですか、県道一〇四号越えの実弾射撃訓練は本土へ分散、移設ということで、これは合意を見ているわけですよ。四月にクリントンさんが日本に来てくれた、その前にはペリーさんが来て防衛首脳会議もやった、少なくともそのときぐらいまでには、まず、この県道一〇四号越えについては、日本のここで受けますというぐらいのことを言ってやることによって、日米の信頼関係がより強固なものになったり、さらにまた、沖縄の皆さん方も、ああ、本土の人たちも考えてくれているな、心配しているんだなということで理解が得られると私は思っているのです。  去年、私はこの委員会で、沖縄県における駐留軍用地返還に伴う特別措置に関する法律、いわゆる地主補償の議員立法をやりました。これも、私は今日の沖縄のことを少しでも考えてやったつもりなんです。また、それなりに沖縄の人が評価もし、喜んでくれたと思っているのですよ。  そういった意味で、防衛庁長官お尋ねしたいのですけれども、この県道一〇四号越えの本土移設、分散について、今どんな状況なのか、これをお知らせいただきたいと思います。
  56. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 委員の沖縄に対するお気持ちは大変ありがたい、こういうふうに思っております。ただいま委員お話しの県道一〇四号越え実弾射撃訓練の分散、移転につきましては、日米合同委員会の下にございます特別作業班におきまして、本土の複数の演習場に分散実施をする、こういうことに方向が決まっておりまして、現在、専門的、技術的な検討を進めているところでございます。  現時点では、具体的に移転先や移転訓練の方法等を決定しているわけではございません。まだその段階には至っておりませんが、現在、米軍の運用上の要請、移転先における自衛隊の訓練等との調和、そういったものに十分留意しつつ今後検討を行っていくということにいたしているわけでございまして、現在のところは本年半ばごろを目途に日米間で結論を得たい、こういうふうに考えております。  当庁といたしましては、基地問題の解決は、今先生お話しのとおり、長い間御苦労されました沖縄県民の御苦労にこたえる意味からも、また、こうした日本の安全保障というものは国全体、国民全体として分担すべきである、こうした立場からも、今後、やがて決まるであろう移転先の皆様方にもぜひとも御理解をいただきたいというふうに考えているわけでございます。  御指摘の県道一〇四号線越えの実弾射撃訓練の移転につきましては、今後、手続の進みを見まして、現場における調査等が終わった段階で、地元の皆様方にも十分御説明をし、御理解が得られますように誠心誠意努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
  57. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 大臣、私の知っている範囲ですと、今、米側で日本が提示した九カ所、あれは五キロ以上の射程の演習場が必要だということで、日本には九カ所しかないということで、その九カ所を先週ぐらいから担当者が回っているというふうに聞いております。そして、その調査が終わり次第、アメリカ側から日本に例えばこことここを使いたいというふうに言ってくると思うのですね。その結論が出るのが、今大臣言ったのは九月ということですか。
  58. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 現在、委員お話しのとおり、演習地を視察をいたしております。その結論が出ますのが、大体六月いっぱいにその結論が出るだろう。そうした中で、私どもに米側の要件等についてお話があった際には、我々の自衛隊側の要件等々、あわせて絞り込んだものを地元にも御説明をし、最終的には日米合同委員会決定をいたす、こういう手順になっております。
  59. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 ですから、具体的にアメリカ側から希望を言ってきますね。そして、日本の自衛隊の演習の都合なんかもありますから、それの整合性を踏まえて、日本側としてはこことここで受け入れると決めるのはいつですかということなんです。
  60. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 最終的にはっきり公表いたすのは、いずれにいたしましても日米合同委員会で正式に決まった時点ということになるわけでございますが、六月いっぱいぐらいで大体その米側の調査を終えて、その時点で私どもに御報告があってからなるべく早い期間に結論を私どもは出したいということでございまして、七月中にはそれらの結論というものが当然のことながら出ると考えております。
  61. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 七月中にその場所のある程度の特定がされなければいけない、私は当然だと思うのですよ。それは来年の予算措置にも絡んでくる話だからなんです。いわゆる受け入れ地の環境整備等をやらないといかぬわけですから。  そこで、大臣、私の選挙区に矢臼別大演習場といいまして、日本一の演習場があるのです。これは東富士、北富士を合わせたより大きい演習場です。例えばもしアメリカがこの矢臼別を使いたいというならば、地元はみんな反対していますけれども、私は政治家として責任を持って説得の努力をしたいと思っているのですよ。汗をかいていきたいと思っている。それが私は政治家の使命だと思っているのです。  ついては、例えばこの日本一の大演習場で、年間三百日使うのですけれども、もう五年も六年も前から地元で言っているのは、日本一の酪農地帯ですから、牛が砲弾に驚いて暴れるので、バラ線を何とかパイプに直してくださいと言っているのです。さらには、防音住宅にしてもらいたい、その付近の一番音のうるさいところを。さらには、実射訓練するすぐそばに十五戸ぐらいうちがあるわけですが、それなんかも移転をしてくださいと六年前から言っているのです。これはアメリカの演習の話があるなしにかかわらず、日本の自衛隊の演習でも言われている話なんです。こういったことをきちっとやってやれば、地元もそれなりにまた考え方を持ってくれると私は思っているのです。  しからば、これは予算措置に絡む話でありますけれども、防音住宅の話だとか、あるいは牧場のバラ線を何とかパイプにするだとか、とりあえず緊急には十五戸の住宅の移転だとかというのが問題としてあるのですけれども、もしアメリカが言ってきた場合、しからば矢臼別が受け入れるとするならば、この三点が大きなニーズをまとめる重要な点になると私は思うのですけれども、こういった面に対する予算だとか何かは責任を負ってくれますか。
  62. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 初めに、委員の一〇四号線越えに対する御意思は大変ありがたいものと受けとめさせていた、だきます。  具体的な御質問でございますが、一〇四号線越えの本土移転につきましては、新たに御負担をおかけする関係自治体の御理解と御支援が何よりも必要である、こう私は認識をいたしております。現在、移転先となる演習場はまだ決定しているという段階ではございませんので、個々の演習場からの御要望について具体的に言及するというわけにはまいりません。  しかしながら、一般論として申し上げるならば、今後、一〇四号線越えの射撃訓練の地元調整に当たって、各演習場周辺の自治体等からさまざまな御要望があると思うわけでございますが、こうしたものに対しては誠意を持って対応していくことが肝要であると考えております。  先生の御要望も踏まえまして、誠意を持って対応いたしてまいりたいと思います。
  63. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 防衛庁長官、誤解があったら困りますけれども、今の話は、米軍が来る来ないにかかわらず、地元としては何年も前から要望している件でありますから、そこで誠意を持って対応するというのは、いつもの今までのフレーズなんですよ。しかし、今度はそれでは通らぬと私は思います。  三百六十五日のうち三百日使っているのです。しかも、ここは大演習場ですから、射程二十キロ撃てる日本で唯一の演習場でありますから、どこの自衛隊もここを使いたいのです。ですから、付近の住民はえらい迷惑をこうむっていることも事実なんです。しからば、今言った防音住宅、バラ線のパイプ化、さらには民家をすぐ移すということは、これは米軍が来る来ないにかかわらず、ぜひとも速やかにやってほしいということを私は言っているのです。  ですから、誠心誠意というのは今まで何回も言われて聞き飽きておりますから、もう一歩踏み込んでの答弁をぜひともお願いしたい。やるのならやる、やらないのならやらない、それによってまた私は考えていきたい、こう思っているのです。
  64. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 委員お話しの件は、この一〇四号線問題以前からおありになる、こういうことでございました。その件につきましては、演習地それぞれいろいろな問題を現在抱えております。  そうした中で、私どもも、特に大型の射撃訓練等における音、そういったものによる被害、そういうものもさらに深く検討していく必要もあろうかと思っております。それにつきましても、今お話を伺いましたが、さらに誠意を持って検討させていた、だきたいと思っております。  また、一〇四号線関係のことにつきましても、ぜひとも御理解を得るように最大限の努力をしていかなければならない、こういうふうに思います。
  65. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 多くの人が日米安保は大事だとか、あるいは沖縄の痛みは分かち合わんと言いながらも、例えばさき沖縄の県議選挙でも、だれしもが本土で受け入れるなんという人はいませんでした。  しかし、私は県議選でも言ってきました。もしアメリカが北海道に、わけても矢臼別と言うならば、私は責任を持って地元の説得に当たりたい、これが責任ある政治だ、私はこういうことを言ってきたのです。私は、どんなことがあってもこの姿勢はきちっと貫いていきたい。同時に、そこにはまた行政との信頼関係が必要でありますから、特に、今防衛庁長官の誠心誠意な答弁も聞きましたし、また施設庁長官も聞いておりますから、この点はぜひとも守っていただきたいと思います。  長官、次の日程のことを聞いておりますから、どうぞ結構です。  外務大臣、私は、五月二十五日から二十七日まで、ビザなし渡航で国後島に行ってまいりました。昨年の五月と十月には色丹島に行きまして、戦後五十年、日本の国会議員として初めて私は北方四島に足を踏み入れたのであります。  四島の皆さん方も、おととしの十月の北海道東方沖地震での人道支援には極めて感謝をされておりました。特に、色丹島におけるプレハブの医療施設なんかは、国後の皆さん方も、あれはすばらしいものだ、ぜひとも国後へもなどという要望があるぐらい評価がされているものだったと思っているのです。  同時に、私は今回行って驚いたのは、国後島に外国の企業関係者がたくさん来ているのです。オーストリアの技術者が来て、地ビールの工場をつくっていました。鈴木さん、八月になったら地ビールを飲ませますから、また来てくださいなんというありがたい話も受けました。だれが経営するかといったら、ドイツの人が経営するという話なんです。そのぐらい外国企業は四島に入ってきております。  今まで外務省は、日本の固有の領土であるから外国の企業が来るのはけしからぬと言って抗議をしたり、反対の意思表示はしてきたと思うのですけれども、私は、もうそんな次元ではないと思っているのです。やはり四島、特にこの戦後五十年というものを踏まえて、あのロシアも、ニエットのロシアから今や市場経済、自由と民主のロシア共和国連邦になったわけでありますから、私はここら辺で日本側も新たな発想なり新たな対応が必要ではないかと思うのですけれども、大臣、いかがでしょうか。
  66. 池田行彦

    池田国務大臣 鈴木委員御指摘のとおり、ロシアは、ソ連の崩壊から体制も、また我が国を含めた国際社会に対する対応の仕方も随分変わってきたと思います。当然、そういったロシアの変化というものも十分考えながら、我々としても両国関係の友好親善を進めていく、そういう観点は大切にしなくてはならないと存じます。  しかしながら、一方におきまして、北方領土の問題につきましては、これは我が国固有の領土である、この基本的な立場を大切にしまして、東京宣言にのっとり、この問題の解決に向けて努力をしていかなくちゃならない、これも大切であると考えております。  そして、先般、委員わざわざあちらまでおいでになりまして、いろいろ現地の事情も御視察になった、心から敬意を表する次第でございますが、そういった中で、ただいまお話がございました先年の地震に際しての人道的な見地からする援助というものが、先方においても住民の方々にも高い評価を得られているということでございます。  そういったことをやっておるだけではなくて、また両国関係が、領土問題解決のためには環境の整備をしていかなくちゃいけない。そういった観点から申しますと、北方四島との関係では、今申しましたような緊急人道援助も大切でございますが、そのほかにも、先生御承知のとおり、四島の交流であるとか墓参であるとか、そういうことも行っておるわけでございます。また、それに加えまして、四島周辺水域における日本漁民の操業のためのいわゆる枠組み交渉も、御承知のとおり実施されておるわけでございます。こういったものもいろいろ進めていきまして、環境整備を進めなくちゃいけないと思います。  また、ただいま委員御指摘の、第三国の企業があちらの方でいろいろ活動している、こういう問題も承知しております。そういったものも含めまして、これから北方領土問題に関しましては、先ほど申しましたような基本的な立場は踏まえつつ、なおこれまでの緊急人道的な見地から、現地で行っている四島の支援とか四島の交流などのさまざまな措置の今後における拡充を含め、あらゆる観点から何ができるか、これも検討をさらに進めてまいりたいと考えているところでございます。
  67. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 大臣、私が言いたいのは、北方四島は日本のものだ、固有の領土だ、このことを踏まえるならば、何とか領土を日本に返してもらいたいと思って、今人道支援もしているし、またさまざまな要求にもこたえていくべきだと私は思っているのです。  そこで、このままほうっておいたら、外国企業がますます入ってくる、いざ返還になったとき日本人が手のつけようもなかったとなったら、何の領土返還かもわからなくなってしまう。  しからば、むしろ我が国の領土であるということを頭に入れて、そこで四島交流だとか住民支援だとかインフラ整備、こういったことをきちっとやっていくのがいいのではないか、また同時に経済関係なんかも強化していった方が戦略、戦術としていいのではないかと私は言っているのです。私はその姿勢を尋ねているのです。
  68. 池田行彦

    池田国務大臣 領土の返還実現する、この基本的立場を大切にしなければいけない、委員と私どもも共通の認識だと思います。そして、私どももそういったことが実現するための環境を整備していく、これも大切にしたい、先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。  そういった観点から、現在の四島の交流であるとかあるいは墓参、さらには人道緊急援助等も行っているわけでございますが、そういったもののさらなる拡充ということも考えてまいりたい、こう申した次第でございます。  もとより、私どもも、不法占拠を助長してそれが固定化するようなことは、そういった可能性があるような無原則な交流をどんどん広げるということは不適当だと思いますけれども、委員御指摘のように、むしろ領土問題の解決に資するような環境整備につながるような交流はやっていくということは、私どもも大切だと思っております。  例えば人道的な観点からの措置を拡充するために何ができるかと先ほど申しましたけれども、例えて言いますならば、人道的観点からの施設整備といったようなものがあり得るか、そういったことで何かできるかということも含めまして、北方四島との交流の発展について具体的に検討を進めてまいりたい、このように考えます。
  69. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 今大臣から人道的観点から施設整備等何ができるか考えたいという話がありましたけれども、それは、インフラも含めて、あるいは経済的行為というか経済協力といいますか、そういったものも含めての話だ、そう私は理解したいのですけれども、よろしいですか。
  70. 池田行彦

    池田国務大臣 北方四島についての基本的な立場ということを踏まえます。それを害さないということが大前提でございます。むしろ領土問題の解決に資するような環境整備、条件整備ということを考えてということでございます。  したがいまして、いわゆる一般に言われるような通常の意味における経済協力とか、そういうことにとらえられますとあるいは誤解を招くおそれがあるかと思いますけれども、先ほど私が申しましたのは、人道的見地ということも踏まえながら、あえて施設整備も含めて具体的に何ができるかを検討したい、こう申したわけでございますので、委員のお考えになっている基本的な認識は異ならないものだ、こういうふうに申し上げられると思います。
  71. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 今まで人道支援のみという姿の中で北方四島との対応があった。今大臣は日本の基本的立場を害さない範囲の中で施設整備まで考える、これは一歩前進で、評価していいと私は思っているのです。  同時に、向こうのポキージン地区長なりオスチンニコフ第一副地区長から道庁なり総務庁を通じていろいろ注文もあるはずでありますから、そのニーズも聞きながら、同時にまた日本とロシアとのさらなる信頼醸成あるいは友好関係を結ぶという上に立って、ぜひとも施設整備等に取り組んでいただきたい、私はこう思うのですけれども、そういった解釈でよろしいですか。
  72. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど申しましたような基本的立場を踏まえながら、そして、それが領土問題の解決にも資するような環境整備になるという観点は大切にしながら、先ほども申しました人道的な観点からの施設整備も含めて具体的に何ができるか検討してまいりたい、こういうことでございます。
  73. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 この対ロ関係につきましては、まずは政経不可分でスタートして、そして拡大均衡に移って、これから今度はまさに新思考関係といいますか、ロシアとは新しい発想でやっていかなくてはいけないと私は思っているのですね。そういった意味では、今の大臣の施設整備のようなものを含め何ができるか検討したいというのは、私はまさに第一歩だと思っておりますので、ぜひともその点は頭に入れて今後とも対応していっていただきたい、こう思います。  続いて、大臣、私はこの委員会にしろあるいは外務委員会でもよく言ってきましたのは、サハリンに総領事館または出張駐在官事務所を設置してはいかがか、もう総領事館ぐらい置くべきではないかということを私は強く言ってきまして、よく検討したい検討したいというこれまた同じフレーズでここ二年ぐらいきているのですけれども、相当検討してくれたと私は思っているのです。  欧亜局長も来ておりますけれども、ついては、大臣に。私は今の日ロ関係を見るとき、あの四島は南クリル地区です、その南クリル地区はサハリン州の一部でありますから、サハリン行政府の理解を得なくてはこれまた進む話ではないという感じもいたします。同時に、これからは、今のロシアを見ていますと地方の発言力が強くなってきておりますから、そういった意味で、ぜひともこのサハリンに、わけてもユジノサハリンスクに実館を置くべきだ、私はこう思っているのですけれども、いかがでしょうか。
  74. 池田行彦

    池田国務大臣 北方四島につきましては、私どもは我が国の固有の領土と考えておりますから、その地域に対するロシアの行政的な管轄権その他についてこれを認めるということはできませんけれども、今委員御指摘のサハリンにつきまして、これは人的、経済的な交流も大分高まってきております。  そんなことも踏まえながら、委員かねてからただいまお述べになりましたような御主張をなさっていることはよく承知しております。それで、外務省も何度も検討しますと申し上げたということでございますが、決して検討検討だけで推移しておったわけではございませんで、検討を踏まえながらいろいろなこともやってきたつもりでございます。  二、三具体的に申し上げさせていただきますと、昨年の十月でございますけれども、駐ロの渡辺大使が日本の大使として初めてこのサハリンに参りました。また、そのほかに、ロシアにございます公館の職員あるいは外務省の本省の職員が、現地への出張につきましては、なるべく頻繁に現地に入りまして、いろいろな状況を視察したり情報を収集したり、あるいは我が国考え方説明するというような努力も積み重ねてきた、むしろ促進しているというところでございます。  それからさらに、これからのことでございますが、御主張の領事館あるいは事務所というお話でございますけれども、まず、私どもといたしましては、当面この夏にもハバロフスクにございます総領事館の館員をサハリンに定期的に出張させる、これまでは随時でございましたけれども、これを定期的に出張させて、在留の邦人のいろいろな関係の、広報その他の仕事であるとか、また地元住民の査証取得などにつきまして便宜を図っていきたい。したがいまして、まだ事務所の設置にはなりませんけれども、現実に事務所が機能を果たせるようなことをこの夏からもやってまいりたい、こう考えている次第でございます。
  75. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 大臣、去年十月の渡辺大使のサハリン訪問も私は大きな出来事だと思っています。それで、今お話があった夏からの長期出張、しかもこれは地元住民に対するビザの取得に対しても便宜を図るということですが、これは極めて重い一歩だと思っているのですね。  そこで、大臣、そこまで来たのならば、来月、再来月で概算要求です、概算要求にはやはり要求しなくてはこれは話は進みませんから、今そこまで進んでいるならば、ユジノサハリンスクにぜひとも総領事館を予算要求してもらいたいと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  76. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもとしては、先ほども御答弁申し上げましたように、まずこの夏からも機能の面で十分そういったことが果たせるような体制をとっていくということを申し上げたわけでございますが、さらに一歩を進めて事務所をという話でございます。  これまでも委員たびたびおっしゃっていただいておりますし、ただいまの御主張でございますので、私どももその御提言を真剣に受けとめまして、ただいま御指摘のございましたタイミングも十分に念頭に置きながら、真剣に前向きに検討してまいります。
  77. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 総領事館にしろ駐在官事務所になるかは別にして、大臣、わかりやすく言いますと、今の大臣の答弁は、来年その実館に向けてとにかく予算要求、概算要求するんだ、外務省というのはそういう腹づもりだという理解でよろしいですね。
  78. 池田行彦

    池田国務大臣 ただいまの委員の御指摘を受けまして、そのラインで真剣に前向きに検討というか作業を進めてまいりたいと思います。
  79. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 ありがとうございます。  今、サハリンと北海道、あるいはまた東京との貿易関係、人の交流が間違いなく多くなっておりますから、特にことしから函館−ユジノサハリンスクはプロペラからジェットになりまして倍の輸送力です。さらに、青森からもチャーター便が飛ぶようにもなりましたから、まさに人的交流を加速させるものだし、お互い理解し合う意味でもいいと思いますので、外務省予算要求するということを私は極めて多としながら、また予算獲得に向けても私なりの協力はしてまいりたい、応援はしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。  時間がありませんから、大臣、ことしは十月十九日で日ロ両国の国交回復四十周年ですね。まさに節目の年であります。そして四月には橋本総理も行かれ、また三月には外務大臣みずからも先遣役として訪ロされております。私は、この十月十九日の国交回復四十周年に向けて、日本も新たなアクションを起こすべきだと思っているのです。同時にまた、そのアクションはこの十六日に行われるロシアの大統領選挙抜きにしては語れるものではないと思っておるのです。同時に、一回で決まるのか、また二回目の決選投票があるのかも踏まえなくてはいけません。  しかし、いずれにしろ、ロシアは大国であり日本の隣国でありますから、だれが大統領になってもつき合わざるを得ない国であります。同時に、だれが大統領になっても、これまた誠心誠意日本からアプローチしていかなければ両国の関係は進むものではないのですね。  ついては、この四十周年という節目の年に、大臣として、どういつだ領土問題の解決、さらには日ロのさらなる友好関係の増進についてお考えであるかどうか、その点お尋ねしたいと思います。
  80. 池田行彦

    池田国務大臣 御指摘のとおり、ことしは国交回復四十周年という大きな節目の年でございます。そうして、先ほど来御指摘のように、ロシアの情勢も随分変わってまいりました。そして、ことしはまた大統領選挙も行われる年でございます。そんなことを考えながら、日ロ関係の発展に取り組んでいかなければいけないと考えております。  そういったことで、まず、ただいま御指摘のございました三月の私自身の訪ロ、そして原子力安全サミットの際における橋本総理とエリツィン大統領との首脳会談におきましても確認されたところでございますけれども、東京宣言を基礎といたしまして両国関係をさらに発展させていく、こういうことが確認されておるわけでございます。そういったことで、外務大臣レベルの平和条約交渉を再活性化させる、こういうことを合意しました。それに向かって、大統領選挙が終わりましたならば、まず次官級の平和条約作業部会を再開することも合意されたわけでございます。そういったことで、精力的に領土問題も解決し、平和条約の締結に向かうように全力を挙げてまいりたいと思います。  それからまた、四十周年ということも大切でございますので、これにつきましてはこれからロシア側といろいろ具体的に詰めてまいりますけれども、例えば両国首脳間のメッセージの交換を行うとか、民間でも今いろいろ記念行事的なものの準備が進められております。そういったものにつきましても、政府としてもきちんとできる限りの協力を行ってまいりたいと考えている次第でございます。
  81. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 外務大臣、大統領選挙が終わったら、まず大臣はモスクワへ飛んでその当選の祝意をあらわすと同時に、日本の何がしかのきちっとした考えだとかメッセージを送るべきだと私は思うのです。  大臣はこれからサミットに行かれますね。そして、決選投票になった場合は、遅くとも七月の十四日ぐらいまでには行われるのですか。この日ロ関係は選挙が終わっての三カ月間がある意味では勝負の時期だと私は思っているのです。ここできちっとした日本の姿勢あるいはメッセージを送ることによって、またこの日ロ関係は動くと思っているのですけれども、大統領選挙が終わった後すぐ大臣が訪ロする。私がロシアなんかとっき合っているときは、えいや、ぐらいの気持ちを持ってつき合わぬとなかなか進む話でない面がありますので、ぜひとも大臣は行くべきだと私は思うのですが、大臣はどう思いますか。
  82. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたように、ことしは日ロ関係にとって非常に大切な年だと思いますし、平和条約の締結に向けて私としても全力で取り組んでまいりたいと考えております。  そして、具体的にどうするかという話でございますけれども、私もエリツィン大統領とはエジプトで行われました平和創造者サミットの際にもお目にかかりましていろいろお話しさせていただきましたし、先般、訪ロの際にも私自身も大統領ともいろいろお話しした次第でございます。そしてまた、プリマコフ外務大臣とも会いました。そうして、外相間の会合で再活性化しようということも合意されていることでございますから、それは精力的に取り組んでまいりたい。  それをどの場所でというのは、それは、向こうが飛んでくると言うかもしれませんし、いずれにしても、ただいま申しましたような決意でもって当たってまいりたいと思います。
  83. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 大臣、ぜひともダイナミックな展開を私は期待したいと思います。  同時に、日ロ関係ではできることからやっていく、これが一番だと私は思うのです。そういった意味では、今土俵に上がっているのは、四島周辺の資源保護のための安全操業問題であります。  これも六回を迎えたわけでありますけれども、大臣、大統領選挙が終わってからまた七回目の交渉かと私は思いますので、この進展に向けて早く外交ルートで日程もセットしながら、この国会で私がこの問題を提起してからことしの九月でちょうど丸三年ですから、何とかことしじゅうにぜひともまとめていただきたい。これは本当に祈る気持ちで大臣に要請しておきたいと私は思っています。  大臣、最後に中国の核実験の問題です。  これは、今国会でもう外務委員会が開かれないものですから、この委員会で大臣に出てもらえるというものですからお尋ねするのですけれども、きのうの一部報道で中国は複数の核爆発をやったというふうに流れていますけれども、今外務省が把握しているといいますか、大臣が知っている中国の六月八日の実験について、どんなものであったかお知らせをいただきたいと思います。
  84. 池田行彦

    池田国務大臣 詳細はあるいは政府委員から御答弁申し上げますけれども、私ども承知しておりますのは、去る八日、中国が核実験を行ったということでございまして、そのことは中国も認めているところでございます。  ただ、核実験において、単数の核爆弾だったのか複数の核爆弾だったのかという点につきましては、今委員が御指摘になりましたような情報が飛び交っているということはよく承知しておりますけれども、我々として、そこのところは確認はしていないところでございます。
  85. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 とにかく中国が核実験を行う、しかも、事前通告して核実験をやるなんというのは、私は極めて横着な姿勢だと思っているのです。今回については前もってやるぞと言ってきたわけでありますから、それを聞く方も聞く方だなと私は思っているのです。  そこで、大臣、この核実験が行われた直後、政府高官の話として、無償は従来どおり凍結です、しかし円借は、中国の近代化の上で、あるいは民主化の上で、あるいは国際社会に引き入れる上で大事なものだから、円借はとめないという話がありました。私は極めて不見識な話だと思っているのです。  今の中国の姿勢に対して、これは日本が何ぼやめろと言ってもやめない国です。しからば、日本は中国に対してどんなカードを切れるかといったら、円借をどうするか、しかも円借は国民の税金でありますから、大事に扱うべきだと私は思っているのです。そういった意味では、大臣、中国は九月までにもう一回やると言っているのです。もちろん、やると言った以上は、円借、無償援助はとめなければいけないと私は思っています。同時に、九月までにやるならば、私は、九月までは絶対この円借款についての政府ミッションなんかは出すべきでないと考えていますけれども、いかがですか。
  86. 池田行彦

    池田国務大臣 八日に中国が核実験を行いました際に、政府としての考え方は官房長官談話を発出いたしましたし、また私自身が、中国の在京の臨時代理大使、大使がちょうど帰国中でございますので、臨時代理大使を外務省に呼びまして、厳重な申し入れをいたしました。  その申し入れのポイントは、今回核実験を行ったことに対して、これは極めて遺憾であるという点、それから二つ目には、今後一切核実験をしないということを決めて明らかにしろということ、それから第三点は、CTBT、いわゆる包括的核実験禁止条約でございますが、この締結に向かって中国も積極的に努力をしろ、これまで日本を初めとする国際社会の考え方とは若干違う主張をしておりますので、そういうところを改めながらということを申しました。  それからさらに、経済協力関係につきましては、核実験をもうやらないということを明らかにしない以上、現在行っております無償援助の原則的な停止という措置は続けざるを得ないということも申したわけでございます。  そして、円借款の問題につきましては、改革・開放政策を中国はとっておりますが、これに対する支援を通じて安定的な二国間関係を築いていく、またそのことがアジア太平洋地域全体の安定につながるという観点から、非常に大切なものだという位置づけを従来からしてきたということは、先生も御承知のとおりだと思います。  しかし、そういうことではございますが、我が方といたしましては、ともかく今は、九月にやるという実験をやってはいけない、これはたまたま私がその臨時代理大使を呼んで会談している最中にファクスで新華社電が流れまして、そこでこの九月という話が出てきたものですから、それで私は重ねて、いわばかぶせて、この九月に一回やってそれでやめるという主張だけれども、こんなものは認められない、だから九月にやるという実験もやめるように言っているところでございますので、今はそういう姿勢でぐっとやってまいります。  それから、なお申しますと、私、その申し入れの際に、我が国から中国への経済協力も、これは日本の国民の理解と支持がなくては進められない話なんだ、だから中国もそのことをよく考えて、日本の国民の理解を損なうようなことはやめなくてはいけないんだ、その観点からも核実験を今後一切やらない、それは早急に決定しろ、こう申し入れているところでございます。
  87. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 大臣、抗議をしているし、日本の明確な意思表示もわかりますけれども、向こうは九月までにもう一回やると言うわけですよ。ですから、九月までにもう一回やると言う以上は、円借なんかの政府ミッションは当然出すべきではないと私は思っています。  ですから、中国には核実験をやってはいけませんよと日本は言っているわけですから、これ以上やってもらっては困りますよと日本政府は明確に言っているわけですから、それを乗り越えても向こうはやる可能性があるかもしれませんね、今の中国の姿勢ならば。  しからば、向こうは核実験をやると言っているが、少なくともこの帰趨を見きわめて政府ミッションについての対応をすべきだ。だから、九月までは政府ミッションは出すべきではないというのが私の考えなんですよ。これはまた大臣の考えと差はないと思いますけれども、どうでしょう。
  88. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど申しましたように、申し入れの際にも、私は、まず、九月にやるという実験もやっては困る、それも再考して、もう今後一切やらないということを決定し、それを明らかにしろと言っているわけでございます。また、もう一つ先ほども申しましたけれども、経済協力についても日本国民の理解と支持が必要なんだ、こういうことも申しておるわけでございます。  そういうことでございますので、したがいまして、そういったことを踏まえてこれからいろいろ総合的に判断しながら対応してまいりたいと存じます。
  89. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 だから、九月までは政府ミッションは出さぬということでいいのですね、大臣。
  90. 池田行彦

    池田国務大臣 委員は非常に外交にも精通しておられる方でございますので御理解いただけると思いますけれども、外交の場合は、先ほどカードをというお話もございましたけれども、一定の問題についてどういうふうな具体的な対応をするかという点については、若干アンビギュアスにしておいた方が、いわばカードとして有効に作用するというケースもございます。  そういったことも踏まえながら、先ほど申しましたような考えでございますので、ただいまも委員の御主張のありましたような強い御意見もあるということも十分念頭に踏まえながら、今後考えてまいりたいと思います。
  91. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 大臣、ODA四原則の中に、明確に「途上国の軍事支出、大量破壊兵器・ミサイルの開発・製造、武器の輸出入等の動向に十分注意を払う。」とある。これは三番目に入っているわけですよ。中国の台湾でのミサイル実験だとか、あるいはこの核実験というのは、間違いなくここに該当するわけですよ。このODA大綱の四原則の空洞化というのは許されるものではない。  同時に、今大臣言ったように、国民の税金を使うわけでありますから、少なくとも日本が核実験をやってはいけませんよと言っている限りは、向こうがそれでもやると言う場合、今大臣が総合的な判断でこの円借も考えたいと言ったけれども、私は、九月までは、これはどう考えても調査だとかプライオリティーの検討だとかなんというのはあってはならぬことだと思っているのです。私はこの議論はだれにも理解される議論だと思いますよ。  それからまたさらに、外交としてのトータルの判断が出てくると思うのですけれども、私が大臣にお願いしたいのは、そう抗議した、今までも核実験をやっては困りますよと言っていたけれども、向こうはそれを無視してやってきたわけですから、少なくとも九月までにもう一回やりますと言うならば、このCTBTの成り行きも見ながら、そして九月までの中国の動きをきちっとこちらも見ながら、それまでは、ことしはこの円借は初年度ですから、これは何も慌てて出すことはないのです。同時に、これから向こうは何を要望し、日本は何ができるかを調査していくわけですから、慌てる必要のない話です。去年の場合は最終年度だから、出さなければ逆に日本側がマイナスになる面もありましたから、これはやらざるを得なかったけれども、ことしは初年度ですから、そういった意味では何ら慌てる必要のないことだ。しからば、九月までは中国の動向を見て、その政府ミッションは出すべきでない、こう思う私の考えに何か間違いがありますか、大臣。
  92. 池田行彦

    池田国務大臣 これまでの御答弁に尽きるわけでございますけれども、何しろ今政府としては、ともかく九月にやるという実験も思いとどまれ、再考してやめてくれ、こういうことを強く言っているわけでございます。(鈴木(宗)委員「ミッションを出すか出さぬかを聞いているのです」と呼ぶ)そして、我が国経済協力を進めるのも国民の理解が必要だということも言っておるわけでございます。そしてまた、今委員が主張されるようなお考えも、委員お一人ではなくて国民の中にも少なくないということも十分認識しながら、今後いろいろな事態の推移も見ながら誤りのないように対応してまいります。(鈴木(宗)委員「慎重に対応していくということでよろしいですね」と呼ぶ)  当然のことでございますが、これは慎重に考えて対応してまいります。
  93. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 時間が来ましたからやめますけれども、きょう大臣からは極めて前向きな答弁、さらには円借に関しても慎重なお話がありましたから私は多としますけれども、どうか大臣、今外交は大事な時期ですし、また、まさに日本は外交で世界の信頼を得なくてはいけない時期でありますから、ぜひともこれからのサミット等の外交は頑張っていただきたい、このことを申し上げて、終わります。
  94. 宮里松正

    宮里委員長 上原康助君。
  95. 上原康助

    ○上原委員 最初に、沖縄基地問題についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  いろいろお尋ねしたいことがあるのですが、そうもいきませんので、若干私の意見というか提言も交えてお尋ねするわけですが、まず、SACO中間報告が去る四月十五日に出されたのですが、これをよく読んでみますと、非常に問題が多いのですね。問題だらけと言っていい。ある意味では、集中審議ぐらいしてその内容をただしながら、これからの日米間の作業あるいは沖縄県とのいろいろな協議などをやらなければいけないことだと思うのです。  そこで、端的にお尋ねしますが、問題の普天間飛行場の件ですが、このSACOの中間報告の中身で、「普天間飛行場返還する。」という中に、   今後五−七年以内に、十分な代替施設完成した後、普天間飛行場返還する。となっているわけですね。  十分な代替施設完成した後、普天間飛行場返還する。施設移設を通じて、同飛行場の極めて重要な軍事上の機能及び能力は維持される。このためには、沖縄県における他の米軍施設及び区域におけるヘリポートの建設、嘉手納飛行場における追加的な施設整備、KC−130航空機の岩国飛行場への移駐(騒音軽減イニシアティブの実施を参照。)及び危機に際しての施設の緊急使用についての日米共同の研究が必要となる。これは非常に短絡されたというか、凝縮した文章ではあるのだが、中身は濃いですよね。  そこで、それを前提にしてお尋ねするわけですが、普天間飛行場返還日米間の合意というのは、これは電撃的になされたし、私はそれなりに橋本総理や関係者の皆さんに、もちろん米国を含めて敬意を表しますけれども、今沖縄側が条件つき移設はだめですよ、しかも、先ほど来ありますように、那覇軍港はもう二十二年たっても返還めどさえ立たない、こういう沖縄の現状認識について、政府というのは非常に甘いというのか、あるいは、また何とかなるよというような姿勢ではないとは思うけれども、そこらについては両大臣はどのようにお考えになっているのか、ひとつ所感というのか、今私が指摘したことを含めてお考えを聞かせていただきたいと思います。
  96. 池田行彦

    池田国務大臣 私は、沖縄の県民の方々は基地が存在することによって大変な御負担を強いられておる、そういった現実を少しでも改めてまいりたい、御負担をできる限り軽減したい、このように考えております。  しかし、一方におきまして、我が国の安全を考えますと、沖縄にございますものも含めまして、米軍に提供している基地というものもまた大切なものでございます。  ただ、そういった両方の要請を考えながらどうやっていくかということで、できる限りの努力をしてまいったつもりでございますし、これからもしなくてはならないと考えております。  そして、普天間の問題を委員取り上げられましたけれども、これは沖縄県民の方々の中でも、基地返還についていろいろの御要望がございます。そして、それは全面返還が望ましいんだけれどもとおっしゃる方も、そうは言っても現実にそれは難しいかもしれないということで、県がまとめられましたアクションプログラムの中でも段階的にということで考えておられる。そういった中で、最優先されるべきグループの中に、中にというよりも、その中心にと申しましょうか、そのトップにと申しましょうか、普天間が位置づけられているものと承知しております。  それで、極めて強い御要望であるということを踏まえまして、日米間の作業におきましても、あらゆる角度からその返還の可能性について検討しておったわけでございますが、正直申しまして大変難しい事情がございました。  しかし、それを承知の上で何とかできないのか、県民の方々の強い御要望を踏まえ、それを体して、橋本総理御自身が非常に強い指導力を発揮して事に当たられた。そして、米側もそれにこたえて真剣な、また、誠心誠意の検討作業を経まして出されてまいりましたのが、現在普天間基地が持っております機能の移転ということも含めて、それと合体したものとしての五ないし七年での返還ということであったわけでございます。  これにつきましても、地元におきまして、これでは不十分だという御認識、御意見、お気持ちがいろいろあるということは我々も十分承知しておりますけれども、しかし、何といっても普天間の全面返還を何とか実現するんだ、そのためにということで真剣な作業をやってようやく到達した結論でございます。  そのことは、SACOにおける合意が形成される前に、事前に橋本総理から大田知事にも御連絡申し上げ、これはこういったいわば条件がついているんだがということもはっきり知事にもお話し申し上げた。そして、その大田知事も、もちろんこれで一〇〇%いいというお気持ちではなかったとは思いますけれども、いろいろな置かれた状況というものを考えるならば、あのような形での合意というものは受け入れるべきかというお気持ちであったと思います。  ただ、合意ができたからすんなりと作業が進むとは思っておりません。これからも真剣に政府として努力するのは当然でございます。また、県を初め地元の御協力もお願いしながら、何とか普天間の返還が合意どおり実現するように全力を傾注してまいる所存でございます。
  97. 上原康助

    ○上原委員 簡単に長官の御意向も聞いておきたいと思います。
  98. 岡部三郎

    岡部国務大臣 沖縄振興開発という見地に立ちましても、この米軍施設・区域の存在が一つの大きな制約要因になっているということは言うまでもないわけでありまして、したがって、第三次振計においても米軍施設・区域の整理縮小ということがはっきり明記されておるわけであります。  しかしながら、今外務大臣が言われたように、日米安保条約の義務遂行との兼ね合いを考えますと、やはり今回の措置はやむを得ない措置であったのではないかと私は考えております。
  99. 上原康助

    ○上原委員 外務大臣、そういう心情的な理解というのはわかるのです。しかし、もうそれでは解決しないわけなんです、基地問題というのは。今私が申し上げたでしょう、十分な代替施設完成した後返還されるのですよ。それができない場合はどうするかということなんだ。  僕は、最近ようやく沖縄開発庁沖縄基地問題に言及するようになった姿勢というのは、一歩か半歩ぐらい前進だなと思う。今まで全然知らぬ顔だったでしょう、きつい言葉で言えば。だから、押捺・公告縦覧問題を含めて、さっきも指摘がありましたが、政府の認識というのは甘いのです。沖縄県民がなぜこれだけ基地返還に対して不満を持っているかというその認識がない限り、これは解決しませんよ。  どこにあのヘリポートを、普天間基地に現存するヘリポート機能を、嘉手納弾薬庫の一部だろうがあるいはキャンプ・ハンセンだろうが、あるいはそのほかかもしれませんが、そこに移してやれるという状況ではない、沖縄県内状況というのは。  その認識をアメリカに対して皆さんがこれからよく説明をして、合意はこうであるけれども、中身については沖縄側が理解し協力できるというか、理解し得るような、協力はいろいろ個人差がありますからなかなか一般的には言えませんけれども、少なくともまあまあやむを得ないというぐらいの中身にしてくれないと、私はこの普天間返還問題というのは実現不可能だと今の段階で思うのです。その点、外務大臣はどのようにこれからやっていこうとするのですか。
  100. 池田行彦

    池田国務大臣 中間報告に盛られました合意の内容をさらに具体化し、細部にわたって詰めていくという作業はこれからございます。しかしながら、中間報告に明記されました、先ほど委員も指摘されました基本的な点は、これは先ほども申しましたようないろいろなあらゆる角度からの検討を経まして、この条件はどうしても必要であるということで一体のものとして合意されたものでございますので、その合意の基本部分を変更しろと言われますと、これはそもそもの合意がおかしくなるの、だと思います。  それであればこそ、先ほども申しましたが、橋本総理も事前に大田知事に御連絡を申し上げたのだと思います。それで、大田知事は、大変難しい御判断であったかもしれませんけれども、いろいろな条件をお考えになりながらも、あるいは次善の策かもしれない、頼むということであのような合意を了とされたのだ、こう考えております。  今の段階でもまだそれが非常に難しいということは、委員御指摘のとおりであるということは、承知しておりますけれども、政府も全力を尽くしまして、また、沖縄県初め地元の皆様方の御理解と御協力を何とか得られるように努めながら合意の実現を図ってまいりたい、こう考える次第でございます。
  101. 上原康助

    ○上原委員 これは申し上げるまでもありませんけれども、県内での移設条件づき返還ということには限界があるということです。皆さんがその基本認識を改めない限り前進しませんよ。  それと、これは私はたびたび言うのですが、今与党という立場もありますので、安保の必要性云々については言及しませんけれども、しかし、沖縄に安保体制の負担と犠牲を押しつけておくということは、絶対これ以上容認できない。だから、その面と日米安全保障条約の目的達成とを調和させつつ沖縄基地を縮小、返還、統合するというこの概念も理念も無理があるということを指摘しておきます。そこいらの基本認識を皆さんが改めない限りできないということです。  そこで、私は前々から申し上げていることなんだが、基地返還というのは、沖縄の狭い地域で条件をつけて、よく言う玉突きであるとかたらい回しであるという厳しい御指摘があることは御存じだと思います。そういう意味で、日本本土、さらにグアムとかハワイとか、アメリカ本土を含めて、基地の再編、統合、縮小というものをどうやっていくかということを広くというか、その立場からこれからのSACOの作業も進めていかないといけないと私は思うのですが、その点はいかがですか。
  102. 池田行彦

    池田国務大臣 私も、我が国の安全を守るためにいろいろな負担が必要になりますけれども、その負担を担うべきは、これは全国民の務めであると考えております。  もとより負担の仕方はいろいろございます。基地の存在だけではなくて、いろいろなことがあるわけでございます。それからまた、いわゆる基地という観点から申しましても、米軍だけではなくて、自衛隊の基地の存在というものもそういうことでございましょう。そういったことから考えますと、沖縄以外の地域の方々もそれなりに日本の安全を守るための負担をしておられるとは思うのでございます。  しかし、それにいたしましても、沖縄の方々がこれまで担ってこられた御負担というものは非常に大きかったというのは事実でございます。そういったことで、でき得る限りの御負担の軽減を図りたい、こういうことで努力を傾注しているところでございますが、今回、合意が達成されるならば面積にいたしまして二〇%を超える縮小が実現するということになっておりますけれども、それにいたしましても、なお、いろいろな観点からの検討が今後必要であるということは否定できないと思っております。  その際に、本土その他への移転ということも言われました。今回もそれほど大きなものではございませんけれども、先ほど議論になりました一〇四号線沿いの射撃訓練の役割を沖縄県以外に移転するというようなこと、あるいは岩国基地への一部の部隊の移駐というようなことも含まれているわけでございますが、我々は、まず今回の合意を実現することが大前提でございますけれども、将来にわたりましては、なお委員御指摘のようなことも十分踏まえながら取り組んでいかなくてはならないと考える次第でございます。
  103. 上原康助

    ○上原委員 僕は申し上げておきたいのですが、外務大臣、やはり少し御認識が甘いですね。大田知事に連絡をなさったというのは外交的に当たり前の話で、恐らくさっき言ったような内容までは総理も言わなかったでしょう。それは、そういう形でやろうとしたって決してそう簡単にいくものじゃない。二〇%減らすと言うけれども、丸々それが実現したときにそれだけ減るというだけなんだ。しかも、これは五年あるいは七年、十年かかるのですよ。その間、まだ耐えろと言うのですか。  それで、私は端的に聞きますが、この間ペリー国防長官とお会いしたときも、在日米軍基地の四万七千人体制、北東アジアの十万人体制への削減がないと質、量ともの返還は成らぬ、それはやるべきだといって単刀直入に僕は言った。もう一つは、グアムやハワイやアメリカ本土にも持っていけと。こういうことに対しては、むしろ米側がある程度好意的なヒントを与えていますよ。その点についてはSACOにおいて検討されているのか、あるいは外務大臣としてそういう認識でなさろうとするのか。これは、ぜひそのぐらいの積極的な姿勢は持ってもらわぬと沖縄県民の不満はなくなりませんよ。そう簡単じゃないよ、あなた。どうですか。
  104. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもといたしましては、先般SACOで取りまとめました中間報告をさらに秋に向かって具体化していき、何とかそれをまとめて合意を実現していきたい、これには全力を傾注していきます。しかし、それをもって事足れりとするものではございません。先ほども申し上げましたけれども、将来に向かっても御負担の軽減が図れるかどうか、真剣に取り組まなければいけないと思っております。  そして、今四万七千人あるいは十万人のレベルの話がございましたけれども、これについても従来から他の委員会で何度か御答弁をしたことがございますけれども、私どももこれは将来にわたってずっと固定されるものとは考えておりません。  現在の我が国あるいはこの地域の安全保障関係を初めとするいろいろな情勢を前提とするならば、現在はこのレベルが必要であるということは、先般の首脳会談のときにも、四万七千人については、数は明言されておりませんけれども、現在におけるような米軍の存在というものが必要だということは言っておりますけれども、将来この安全保障環境等が大きく変化するならば、当然、在日米軍あるいはこの地域における米軍のレベルや構成にも変化はあるのだと思います。  また、それがないとしましても、そういった現在のレベルを前提としても、ただいま委員御指摘のようないろいろな負担軽減のための努力をしなければいけないというのは、それはそのとおりだ、先ほども御答弁申し上げたとおりでございます。米側ともよく相談してまいります。
  105. 上原康助

    ○上原委員 ちょっと御答弁が抽象論で納得しがたいのですが、外務大臣のお考えがそういうことならしようがないでしょう。  そこで、これは大臣でなくてもいいのだが、施設庁でも北米局長でもいいのだが、SACOとか日米作業部会で在沖米軍のグアム移転ということについても何らかの話があるのかないのか。あるならある、ないならない、簡潔に答えてくださ
  106. 折田正樹

    ○折田政府委員 SACOの場でさまざまな可能性を検討しております。どこについて検討し、どこについて検討していないということは、ちょっとここで申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、沖縄の負担を少しでも軽減するためにさまざまな観点から検討しているわけでございます。
  107. 上原康助

    ○上原委員 その点は私もこれ以上は深追いしませんけれども、私もこれについてはかなり情報を持っている。また、実際にペリー長官と会ったときにもそれらしいヒントを得た。  したがって、沖縄の在日米軍を含めて質、量ともに減らす、あるいはバランスをとるという意味でも、もう少し積極的な政府の姿勢を見せてもらわないと、私は、基地問題というのはそう簡単に政府が今お考えになっているような方向に進むとは思いませんし、沖縄県民の不満や政府に対する不信感というものが残念ながらなくなるとは思っていませんので、特にその点、意を体してやっていただきたいと思います。  そこで、もう一つ、時間がありませんので、主に開発庁お尋ねをしておきたいのですが、これはやむを得ない面があると思うのです。  沖縄基地問題に追われて、産業、経済あるいは県民福祉、各般の行政とか政策課題というものが、県知事なり県首脳が考えておられるようになかなかうまく進められない物理的な制約があると思うのです。これも大事なことで、政府がもっと、ただ沖縄側から要求があればやるとかちょっと様子を見るということではいけないと思うのですね。  そういう面で、きょうは時間がありませんから問題指摘をしておきますが、例えばなぜ沖縄の皆さんが米軍基地問題について非常に不満を持つかというと、復帰直前に返された旧上本部飛行場というのは実に見るも無残なのですよ。跡地利用もできない。あの当時、六億二千万、六億前後の補償要求をしたら、わずかにあの当時の八百万しか米軍は補償していないのです。それっきりで終わりなのですよ。  だから、沖縄開発庁施設庁も軍転法の準用というものをそういうことにも考えてみる。復帰前だったからほっておけということじゃなくて、もう少し実態を見て、心のある行政、政治をやってもらいたいと思うのです。そういうことが積もり積もっているのですよ。それをひとつ考えていただきたい。  もう一つは、産業構造の問題です。この間、岡部開発庁長官にお会いしたときにお話しした自由貿易地域の活性化ということについて、これは外務大臣にもお願いしたい、WTOとのかかわりもいろいろ法律上あるようですから。  本当に沖縄基地に対して、この基地問題であれだけ犠牲にしている、負担をかけていると言うなら、単なる金太郎あめみたいに、全国北海道から沖縄まで同じ制度、同じ法律、その範囲内でしか物事ができないということではなくて、一つぐらい抜本的なことをこの際政府としてやってみたらどうですか。その一つは、私は自由貿易地域だと思うのですよ。これを、那覇地域を拡大して、また沖縄市の東部海浜の整備関連づけて十一ヘクタールぐらいやるということではなくて、法律面、制度面でやはり変えないと、だめなんですよ、大臣おわかりのように。  この点について私は注文をつけておいて、我々も今勉強していますので、ここらを総合的に考えて、ポスト三次振計をどうするかということとあわせて、沖縄総合開発、経済開発、本当に格差というもの、失業というもの、県民の不満というものをなくして、雇用創出を図るようないろいろな産業、経済を創造していかないとできない。これはやはり政府としても責任があるわけですから、やってみていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  108. 岡部三郎

    岡部国務大臣 本部飛行場の跡地利用につきましては、また地元からもよく事情をお聞きしまして対処してまいりたいと思っております。  それから、自由貿易地域の振興策についてでございますが、先生も十分御承知のように、自由貿易地域は保税制度というのが中心になっていることは言うまでもありませんが、今関税の率が非常に低くなっている状況で、これをなくしても余りメリットがないということは御案内のとおりです。  ただ、自由貿易地域というのは、それだけではなくて、例えば国税の面だとか地方税の面でもいろいろな優遇措置が講ぜられておるわけでありますし、また、国庫補助とか金融の面でもいろいろな措置が講ぜられているのですが、ただ、現状は今入っておられる企業の方が非常に規模が小さいものだから、こういういろいろな恩典を十分利用できるまでになっていないという状況にあるわけです。  したがって、何とかこの制度自体を本当に活用できるような形に持っていかなければいかぬ。そのためには一体何が必要か、この前先生から御指摘のありましたああいうことも非常に大事なことだと思っておりますし、きめの細かい配慮をして、この制度自体が本当に生きるように、我々も今後大いに考えてまいりたいと考えております。
  109. 上原康助

    ○上原委員 これは今大臣がおっしゃったように、沖縄開発庁として現行制度の範囲で何ができるかということを御検討なさる、まず当面それをやらなければいかぬでしょう。私はそれだけでは不十分だと思うので、もっと二段構えで、沖縄開発庁として他省庁とも連絡を取り合ってやるという理解でいいですね。そういう決意ですね、大臣。
  110. 岡部三郎

    岡部国務大臣 まず、今申しましたようなことで大いに検討させていただいて、そして、なおかつ必要があれば、さらなる手段を考えていかなければいかぬと思っております。
  111. 上原康助

    ○上原委員 これは長年沖振法第四章にあるにもかかわらず、自由貿易地域ではないんだ。全く不自由貿易ですよ。これは、池田大臣は大蔵にも詳しいのですが、沖縄開発庁協力しますね。
  112. 池田行彦

    池田国務大臣 ただいまの御論議は、沖縄の将来を考える上で最も大切な課題であると考えております。そういったことでございますので、外務省としてなすべき役割は当然果たしてまいりますし、それだけではなくて、内閣の一員として、沖縄開発庁長官ともよく連携協力をしながら、これは政府一丸となって取り組まなければならぬ課題であると考えております。
  113. 上原康助

    ○上原委員 初めて沖縄開発庁からいい答弁が出た。ありがとうございます。ぜひ頑張ってください。私らも今いろいろ勉強していますので、いろいろな面でそれに協力しますよ。  もうそろそろ時間だと思います。きょうは守りたいので。  さっき大臣の方から、上本部飛行場の跡地をああいう状態でほっておくというのは、僕は政治をやる者や行政をやる者の、本当にあれこそまさに戦後処理なのです。これは開発庁協力し合って、防衛施設庁もあんなP3C基地を今からつくると言わずに、もう少し総合的に向こうの跡地利用をどうするかということを検討していただけますね、施設庁。
  114. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 私ども、現在、本部町にP3C用のいわゆるASWOCと言っておりますが、送信所用の敷地の手配を進めておりまして、何とか地元の御了解を得てこういう送信所の建設をお願いしておるところでございます。  現段階用地の大体九六%の取得を終わっておりますが、一部なかなか御了解をいただけないところがございましてその後進展しておりませんが、何とか私ども現地の地元の皆さんの御了解を得ながら、ここの送信所の開設をぜひ一刻も早くお願いしたい、このように考えておるところでございます。
  115. 上原康助

    ○上原委員 それは話が違うのです。僕が言っているのは、あそこの跡地利用をどうするかということを一体として考えなさいということであって、それはもう不可能ですよ。きょう防衛庁長官もいらっしゃるかと思うが、沖縄米軍基地であろうが自衛隊基地であろうが新たにつくるというのはもう無理ですよ。また、それはつくってはいかぬ。  今現在あるものをどう減らすかということが重要であって、そこを皆さんがきちっとすり合わせてやるなら県民の協力ももっと得ることができると思う。しかし、何か強権でもって新たなものをつくるということでは、これは到底理解も協力も得られませんので、そこいらはしかと踏まえていただいて、開発庁長官がそういう御認識のようですから期待をしますので、ぜひお考えになっていただきたいということを申し上げて、わずかの時間ですから、きょうはこれで終わります。  ありがとうございました。
  116. 宮里松正

    宮里委員長 荒井聰君。
  117. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 私は、戦後五十年の問題では、さまざまな問題が解決に向かって、あるいは処理に向かって努力がなされていたというふうに思うのですね。特に沖縄の問題については、昨年の軍転法、そして、ことしになって、橋本総理が大英断を下して普天間の返還問題にも一歩も二歩も歩み出した。  こういう状況の中で、残念ながら、私は、戦後五十年の最大の問題である北方四島の返還問題というのはほとんど何も進んでいない、何にもやっていない、一体どうなっているのだという思いを非常に強くしています。  現在、島から帰ってきた元居住民というのは、五十年前は一万七千人ぐらいいたと思うのですけれども、もう既に一万人を切るぐらいしか生存をしていません。あと十年ぐらいたつと、この人たちも本当に数が少なくなってきてしまうと思うのです。  今北方四島の返還運動の中心になっている人たちは、かつての居住者の人たちです。この居住者の人たちがいなくなってしまえば、北方四島問題というのは風化してしまう、北方四島というのは一体どこにあるのだろうなんというような議論我が国でも出てきかねない。戦後五十年の問題の中で、一体北方四島問題というのはどういうふうに位置づけて、政府はどういう努力をしていったのか。私は非常に残念に思うし、また、その努力に疑いさえ持っております。  そこで、外務大臣総務庁長官お尋ねしたいのですけれども、この北方領土の返還運動、返還の方針、あるいはこれの今後の方針といったものについてそれぞれ両大臣からお聞かせ願いたいと思っております。
  118. 池田行彦

    池田国務大臣 北方領土の問題がまだ戦後解決されていない最大の問題である、そして最大課題であるという委員の御主張は、私どももそのように認識しております。そして、これまでも、この北方領土の問題を解決しない限り本当の意味での戦後は終わらないのだ、そういった気持ちで外務省としても外交交渉に当たってきたわけでございます。  その間、この問題についての起伏といいましょうか、いろいろございました。御承知のとおり、相手側の方は、それこそソ連が崩壊してロシアという国になるというような大きな変化もあったわけでございます。そして、現時点においてまだ具体的にそのめどが立っていないというのは、残念なことでございます。  それで、これからどう取り進めていくかということでございますけれども、先般、橋本総理とエリツィン大統領の間で行われました首脳会談におきまして、確認され、また合意されたところでございますが、一九九三年に行われた東京宣言というのがございますが、そこでは四島の名前を明記して、そういう問題があるのだということを明確にされておるわけでございますが、この宣言を確認いたしまして、その上に立って平和条約の締結に向かって努力していこうということが合意されたところでございます。  そして、そういった努力を進めていく具体的な方途として、外務大臣レベルの交渉、平和条約交渉というものを再活性化しようということが確認されました。それで、その前段階として、間もなく行われますロシアの大統領選挙が終われば、まず次官級の作業部会というものを開いていこう、こういう段取りになっておるわけでございます。  この問題はまだまだ極めて難しいということは承知はしておりますけれども、先ほど申しましたような認識に立ち、そして、ただいま申し上げましたようなスケジュールにのっとりまして精力的に取り組んでまいり、何とかこの国民の悲願を実現してまいりたい、こう考える次第でございます。
  119. 中西績介

    中西国務大臣 外交上の問題については今外務大臣お答えになったとおりでありますけれども、総務庁としては、戦後五十年を経ました今日におきまして、返還要求運動に携わっておる者については、今御指摘のとおり高齢化しておるということは事実でございますし、いろいろこの問題点が出ていることも事実です。  したがって、こうした状況の中でありますから、どう粘り強く進めていくかということでありますが、今後、返還要求運動を担う青少年に対する啓蒙が大変重要ではないかということを認識をしながら、これから取り組みをしていきたいと思っています。  特に、各種広報媒体を利用してわかりやすく領土問題の重要性を認識させる。さらにまた、青少年あるいは教育指導者に対する研修の拡充等を含めましてこれから努めていかなくてはならぬだろう。さらにまた、ビザなし交流が続けられておりますけれども、青少年の認識の向上を図る観点からいたしましても、昨年度より青少年相互の交流事業を行っておるところです。  こうした点等を充実拡大しながら、これからさらにこの運動が、今御指摘のございましたように、霧散しないように、何としても継続発展をさせていかなくてはならぬ、このように考えておるところです。
  120. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 返還運動の中核になっていた人がどんどんいなくなっているという実態は、総務庁はよく知っていたと思うのですね。それにもかかわらず、この二世対策、三世対策というのは、北対協を中心に大変強い運動があって、多くの人たちがこの二世、三世対策を何とかしなければいけないという思いを非常に強くしていたわけですけれども、総務庁としては何も今まで対応できなかったというのが実態ではないかと思うのです。  今回、初めて国会議員の議員立法で委員長が提案していただいた、融資対策を二世、三世に拡大するという非常に画期的な法案改正を通していただいたわけですけれども、二世、三世対策というのは、今後の北方領土返還運動の核になる部分ですので、そこの部分についてしっかりとした方針と対策の考え方、理念というものを持たないと、北方領土の返還運動というのは風化していくものだ、私はそういうふうに思いますので、総務庁、そのあたりをぜひしっかり御認識していただきたいと思います。  ところで、今、ビザなし交流の話が出ました。私は、この五十年間で北方領土問題における最大の外交的成果というのは、このビザなし交流だと思っております。このビザなし交流は、ことしでたしか五年目を迎えたのではないかと思いますけれども、島の方たちの相当な部分がビザなし交流でやってきたわけでございまして、そのあたり、ちょうど五年目で一つの転機を迎えつつあるのではないかな。  そこで、ビザなし交流について、外務大臣としてどのような見解をお持ちなのか。さらには、今後どのような方針でビザなし交流というものを実施していくおつもりなのか。そのあたり、御見解がございましたら、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
  121. 池田行彦

    池田国務大臣 御指摘のとおり、四島との交流、いわゆるビザなし交流と申しましょうか、ことしで五年目を迎えるわけでございます。その間、いろいろ交流を通じまして、お互いにいろいろな事情、認識の合致まではいかないかもしれませんけれども、認識が深まってきた、こういう事情がございます。  それで、そのこと自体が直ちにこの北方領土問題の解決につながるとまでは申せませんけれども、この問題の解決に向かっての環境の整備としては大変意義の深いものだ、こういうふうに考えております。  そうして、ことしはちょうど国交回復五十周年ということでもございますので、そういった五十周年という節目ということを考えていろいろな記念行事もしたいと思いますし、また、その四島の交流につきましても、従来の措置をさらに拡充するというようなことも具体的に検討してまいりたいと考えている次第でございます。
  122. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 私は、ビザなし渡航というのも一段落、一巡したのではないかと思うのですね。それで、新しいフェーズに進むべきなのではないか。  一つは、これは非常に不便なんですけれども、渡航の手段がまだまだ整備されていない。ここはもう四島との間の定期便を用意するぐらいのそこまで踏み切った手段を考えるべき時期に来たのではないかということが第一点。  第二点は、四島が我が国の領土でないということのために、大変不便な事態がたくさん現出しております。例えば、この間、ビザなし交流でたくさんの方が北海道から行ったのですけれども、そのときに桜の苗木をたくさん持っていったのですね。ところが、その苗木が検疫にひっかかってしまった。  検疫業務というのは国としてのある種の権利であるということで、それを執行するかどうかということが、突き詰めていくと領土がどうかという話につながっていったと思うのですね。そのために、結果的には桜の木を植えることができなかったといったような事例が報告されているのですけれども、この四島に関して何らかの特別立法をもうそろそろ考えたらどうなのか。投資が自由にできるようにするとか、あるいはインフラの整備ができるようにするといったようなことを大胆に考えていく、そういう時期に来ているのではないかと思うのですけれども、外務大臣、いかがでしょうか。
  123. 池田行彦

    池田国務大臣 私は、四島交流はさらに進めていかなければいけない、そして、委員御指摘のように、従来の交流をさらに進める、あるいは、新しい局面に入ったから新しい対応も考えるべきではないかという御意見は、私も真剣に受けとめてまいる所存でございます。  しかしながら、一方におきまして、北方四島が我が国固有の領土であるというこの基本的な立場は、これは何がなんでも大切にし、守っていかなければいけないわけでございます。その基本的立場との関係で、一体どういうことが可能かということでいろいろ考えてまいりたいと存じます。それで、先ほど具体的におっしゃいました話につきましても、そういった観点から検討すべきものかと思います。  なお、現在の枠組みの中でも、少し前広にいろいろ相談をしながらやっていくならば、基本的な立場を守りながら現実的な対応は可能だと思いますので、御指摘になりましたような先般の交流に当たっての問題につきましても、決してこれは対応が不可能な問題ではなかったと思います。  そういった意味では、こういった四島交流を進めるときでも、関係省庁あるいは北海道等、それから関係の団体の方々との間の十分な連絡、連携というものを大切にしてまいりたいと思います。
  124. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 もちろん、固有の領土であります。固有の領土であるのですけれども、その固有の領土であるという論理に拘泥されていますと、本来、交流で両国の関係を深めながら返還の機運を盛り上げていこうというそこのところがむしろマイナスに作用することもある。むしろ固有の領土であるというその論理は論理としてしっかりつかまえながら、四島の人たちの気持ちをどうやってほぐしていくのか、あるいは日本というものを理解してもらえるのか、あるいは彼らが一番困っていることは何なのか、それに対してこちら側から手を差し伸べていくということが、私は北方四島の返還運動の一番大きな原動力になるのではないかというふうに思っております。  私は、ビザなし交流の実現のために、サハリンに五年前に飛びました。そこで初めて、日本の役人としては恐らく初めてだと思いますけれども、そのときに四島の人と公式に議論をした人間の一人であります。  そのとき、彼らが最初に口を切って言ったのは、日本人にもこんな保守的じゃない人間がいるのか、そういう言い方をいたしました。保守的という言葉は、彼らの言葉では共産党員のことを指していました。政府の党員のことを保守的と言っている。私は政府から一あのときは北海道庁に勤務していたのですけれども、そんな話をして、保守という言葉も国によって随分違うのだなという思いを持ったのです。  そういう議論をしていく、あるいは交流をしていく、あるいは一緒に仕事をする、一緒に遊ぶ、そういうことによってどんどん気持ちというものが開けてくるし、一緒に住もうじゃないか、一緒にここで生産活動しようじゃないかという雰囲気が醸成されていくんだろうと私は思うのです。そのときに、今、日本にいる、かつて島に住んでいた人たちと、今現在ロシア人として島に住んでいる人たちとの心の交流というのは、非常にスムーズにいくんです。  したがって、総務庁は、今進められている一世の方たちの返還運動、根強い返還運動というのを島の返還あるいは島の交流に上手に結びつけていく、そういう運動を大胆にかつ細心に進めていただきたいと思います。  以上で私の質問を終わらせてもらいます。どうもありがとうございました。
  125. 宮里松正

    宮里委員長 古堅実吉君。
  126. 古堅実吉

    ○古堅委員 わずか十五分の短い時間ですから、御答弁は簡潔にお願いしたいと思います。  去る六月九日に沖縄で県会議員選挙が行われました。この選挙は、大田革新県政が進める米軍基地返還アクションプログラムや、昨年来の一連の米軍基地問題に対する態度が中心的に問われた選挙だったのであります。  その結果は、大田革新県政と鋭く対決する立場から県政の奪還を訴えた県政野党の自民党が大敗したことなどにより、これまでの二十一対二十五という野党過半数の勢力分野が逆転し、二十五対二十三へと大田県政与党が過半数を制することとなったのであります。  政府は、沖縄県民のこの重大な審判の結果を真蟄に受けとめて、沖縄米軍基地問題などの施策に生かさなければならないと考えますが、外務大臣、御所見を伺いたい。
  127. 池田行彦

    池田国務大臣 先般の沖縄の県議選の結果についてどう評価するかということを外務大臣の立場でコメントするのは妥当かどうか、疑問を持つところでございますけれども、御質問でございますから、あえて政治家の立場で申し上げるとするならば、少なくとも沖縄におけるいわゆる基地の整理統合・縮小を進めなくてはいけない、こういう点につきましてはすべての政党が一致しておるのだ、こう思いますので、そのことが争点になった、あるいは今回の結果がそういったことに対する評価とか審判であるという御意見は必ずしも当たらないのではないかと思います。  いずれにいたしましても、政府といたしましては、日米安保条約の目的との調和を図りつつではございますけれども、沖縄の県民の方々が基地の存在によって負担しておられます。その御負担というものをでき得る限り軽減していくために、これからも全力を尽くしてまいる所存でございます。
  128. 古堅実吉

    ○古堅委員 県民の審判に対して素直に認めにくい、そういう立場はよくわかります。しかし、それを素直に認めるという真摯な立場からでないと、沖縄の問題に対する誠実な対応は生まれないということも確かです。厳しくその問題を指摘しておきましょう。  次に、米軍基地の思い切った縮小、返還を求めている沖縄では、普天間飛行場那覇軍港などの移設条件つき返還という基地のたらい回しに強い批判が広がっております。それに怒りを込めた反対も強まっております。  中都市町村会は、四月三十日、このように抗議を表明いたしました。   四月十五日、日米特別行動委員会の中間報告で発表された内容返還する在沖米軍基地の機能を損なうことなく、主として県内の他の基地移設、統合、新設するものである。戦後五十年、基地重圧の下で生きてきた県民にとって耐え難い苦痛の長期化を強いる。基地返還を求める県民世論に反し、血のにじむような訴えを全く無視したものだ。   県民の忍従の限度をはるかに超える米軍基地の実態と、返還に伴う機能移設、統合、新設を計る日米政府に厳重に抗議する。この声明の冒頭にそういうことを明確に表明しています。  選挙の結果を素直に受けとめて尊重するという立場に立つのであれば、政府は、県の基地返還アクションプログラムに沿って、那覇軍港普天間飛行場などの移設条件つきでない真の返還など、米軍基地の思い切った縮小、返還実現に向けて県民の切実な要求にこたえるべきではないか、こう考えます。これは外務大臣としてまともに答えなければならない問題ではないですか、どうぞ。
  129. 池田行彦

    池田国務大臣 私どもといたしましては、安保条約の目的との調和を図りつつ、沖縄県民の皆様方の御負担をでき得る限り軽減いたしたい、こういうことで真摯に努力を傾注してまいりました。  そういった作業の中間的な結果として、先般、SACOの中間報告ということで取りまとめたわけでございます。そういった中で、現在沖縄にございます米軍基地のうち、面積で申しますと二〇%を超える基地をいろいろな工夫をしながら返還していこうという合意に達したわけでございます。  私どもといたしましては、今後この合意が実現するように沖縄県初め地元の方々の御理解、御協力を得ながら、政府は一丸となって努力をしてまいる所存でございます。
  130. 古堅実吉

    ○古堅委員 那覇軍港が、二十年余にわたっても移設条件つきなだけにその返還実現されていません。普天間飛行場移設条件つきもそういう問題にならざるを得ない要素を多分に持っておるだけに、先ほど質問者からも指摘されているわけです。  このように移設条件つきで、あたかも返還できるかのように大宣伝をしながら、その移設という条件が整わなければ返還はしませんというふうないいかげんなことになりかねない要素を多分に持っておるだけに、また移設というのが、もうこれまでも耐えられないぐらいの基地の重圧を受けて、これ以上我慢ができないというところにさらに押しつけようというものであるだけに、怒りがおさまらないことは当然ですよ。  ところで、そういう状況のもとで、米軍基地の強制使用に対する手続だけは着実に進めよう、そういう強引な態度があります。その問題について伺います。  米軍用地の強制使用手続で、三千一件の土地に係る公告縦覧代行問題が生じておりますが、さきの代理署名の場合には、署名の拒否をした市村の首長が三人でしがなかったのに、今回の代行拒否の構えの市町村長は八人に増加しています。楚辺通信所の一部土地については、読谷村の山内村長が代行拒否を既に表明し、大田知事も代行拒否の方向だと見られています。沖縄の自民党県連も、知事の判断を拘束しないと、県の方針を是認する意向を伝えたというふうに新聞が報じています。  これらは、昨年来の沖縄の闘いの中で、過ぎし五十年余の苦痛の歴史を振り返りながら、二十一世紀までも米軍基地を押しつけられるのは断じて我慢ができないとの県民の態度が広がっていることを如実に示すものであります。  大臣は、この事態を重大な問題として受けとめているのか、その認識があれば代行の強制手続をやめるべきではないか、御所見を伺いたい。
  131. 池田行彦

    池田国務大臣 政府といたしましては、沖縄の県民の方々の御負担をでき得る限り軽減してまいる、そういった努力を続けていく。と同時に、日米安保条約にのっとりまして提供していく必要のある施設・区域につきまして、それが提供できるように手続面その他で努力をしてまいる所存でございます。
  132. 古堅実吉

    ○古堅委員 関連して、使用期限の切れた楚辺通信所の知花氏の土地について言えば、政府は、憲法の保障する財産権を、全く何らの法的根拠もなく不法占拠を続け、侵害することができるとでも考えておられるのか。政府が法治国家の立場を放棄しない限り、このような無法者の論理は断じて許されません。政府が即座にやるべきことは、その土地は地主の知花氏に直ちに返還することです。それ以外選択の道はない。大臣、いかがですか。
  133. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほど申しましたように、日米安保条約によって我が国が果たさなくてはならない役割を果たすために必要な努力をしていくと同時に、その中で国内法上の権原が失われている状態というものは遺憾でございますので、そういった状況解消されるようにできる限りの努力を傾注してまいりたいと思います。
  134. 古堅実吉

    ○古堅委員 法治国家たるものが何の権限もなく、何ら法的根拠もなく憲法が保障している財産権を侵害してその不法占拠を続ける、そういうことが許されるのですか。もう一度お答えくださ
  135. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたように、安保条約上の日本国政府としての責任は果たしてまいらなくちゃいけません。また一方におきまして、権原を取得するための努力も続けてまいる所存でございます。
  136. 古堅実吉

    ○古堅委員 みずから法治国家としての立場を放棄したに等しい、答弁もできないような事態、これは政府のとるべき態度でないことは申すまでもありません。時間がないので先に進みます。  先ほどから特別立法の動きについて繰り返し質疑がありました。施設庁長官は、特別立法の検討をしているのではなく、またその指示を受けているのでもないと否定されました。  ところで、マスコミの報道によりますと、特別立法を考えている内容の問題として、国が強制使用裁決を行うため、都道府県の土地収用委員会を関与させないで、新たに設置する行政委員会決定する、あるいは機関委任事務を廃止して、極めて短い期間で手続がとれるようにするようなものだというふうに伝えております。  外務大臣の御所見を伺いたいのですが、大臣はそのような特別立法が必要だと考えておられるか、そういう立法はすべきでないというふうにお考えか、いかがですか。
  137. 池田行彦

    池田国務大臣 ただいま御指摘の問題は、外務省所管するところではございませんから、私が具体的にどうこうするということを御答弁するのは差し控えたいと存じますけれども、一般論として申しますならば、行政府といたしましては、それぞれその責任とする行政分野につきましては、現に行われている法制その他の枠内の中で最善の努力をしていくと同時に、また、現行の仕組みにどういう問題点があるか等につきましては常に検討するということはあり得るのだと思います。
  138. 古堅実吉

    ○古堅委員 一般的なということでありながら、勉強、検討という含みのあるような言い分をおっしゃっておられますが、そういうことを含めて憲法に照らして絶対許されてはならぬ、そういう立場を踏まえてもう一度強調しておきたいと思います。  沖縄米軍基地というのは、沖縄占領直後に、国際法にも反して、米軍が勝手気ままに欲しいだけ確保するということでまずもって基本的に取り上げられたものであります。その上に、一九五〇年代に、布告、布令などを出して、土地の取り上げに反対する関係者には銃とブルドーザーをもって強制接収していってつくり上げてきた。これが米軍基地の姿であります。  仮に、政府が今回特別立法をもって臨むとすれば、この米軍が占領下にやった野蛮な土地取り上げと本質的には何ら変わらないことを、国会が通す法律をもってやろうとしているということにすぎない。かかる憲法政治への重大な挑戦というものは、断固として許されてはならない。  沖縄県民に、土地は必要だということで、今の法制度ではいろいろと支障もあるという形で、憲法にもとるような特別立法まで考えるなど、こういう仕打ちをもって押しつけるなどということは絶対にあってはならぬ。そういう立場で大臣も認識をともにされるかどうか、もう一度念を押してお聞きしたい。
  139. 池田行彦

    池田国務大臣 我が国の憲法にのっとり、また、憲法のもとでの諸法令にのっとって行政事務は進めております。
  140. 古堅実吉

    ○古堅委員 時間が来ましたので終わりますが、憲法に反する政府の行為が無効であると同時に、憲法に反する法令も無効だ。憲法が第二次世界大戦の痛苦の教訓の中から二度と再び同じ過ちを犯してはいかぬということで定めた平和原則、さらに個人に対する財産権の重大な侵害をしてはならぬという規定ということなどを含めて、憲法に挑戦するようなことを政府は絶対にやってはいかぬ、そういうことを厳しく指摘して、終わります。
  141. 宮里松正

    宮里委員長 本日の質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十七分散会      ————◇—————