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1996-05-23 第136回国会 衆議院 運輸委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月二十三日(木曜日)     午後二時六分開議 出席委員   委員長 辻  一彦君    理事 武部  勤君 理事 細田 博之君    理事 村田 吉隆君 理事 久保 哲司君    理事 古賀 敬章君 理事 高木 義明君    理事 赤松 広隆君 理事 高見 裕一君       衛藤 晟一君    高村 正彦君       佐藤 静雄君    橘 康太郎君       蓮実  進君    林  幹雄君       堀内 光雄君    村岡 兼造君       茂木 敏充君    横内 正明君       江崎 鐵磨君    北橋 健治君       工藤堅太郎君    実川 幸夫君      柴野たいぞう君    田名部匡省君       土田 龍司君    東  順治君       緒方 克陽君    左近 正男君       寺前  巌君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 亀井 善之君  出席政府委員         運輸省海上交通         局長      岩田 貞男君         運輸省港湾局長 栢原 英郎君  委員外出席者         環境庁水質保全         局水質規制課瀬         戸内海環境保全         室長      田部 和博君         運輸委員会調査         室長      小立  諦君     ————————————— 委員の異動 五月二十三日  辞任         補欠選任   橘 康太郎君     蓮実  進君   二階 俊博君     土田 龍司君   米田 建三君     北橋 健治君 同日   辞任        補欠選任    蓮実  進君     橘 康太郎君    北橋 健治君     米田 建三君    土田 龍司君     二階 俊博君     ————————————— 本日の会議に付した案件  港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第七一号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 辻一彦

    辻委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村田吉隆君。
  3. 村田吉隆

    村田(吉)委員 港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案につきまして、自由民主党を代表しまして、質問をさせていただきたいと思います。  港湾整備事業に関しましては、私は、最近二つぐらいのショックがあったのじゃないかという太うに思います。  一つは、平成五年十一月に財政制度審議会から「公共事業の配分のあり方に関する報告」が出まして、その中で、港湾生活関連ではないということで、Cランクというふうにランクをされました。そういった関係もあって、平成年度の当初予算伸びは非常に絞られまして、一般公共事業の対前年比伸び率が四・一%ぐらいになる中で〇・七%に抑えられるということで、我々もそわこそ大変ショックを受けたわけであります。  それが一つ港湾整備事業に関するショックだというふうに私は思うのです。運輸省もそういった事態を踏まえて改めて、今まではちょっと眠っていたかな、過去の惰性の中で、引き続き港湾は大事なんだから今後もいくだろうというふうに思っていたところがあったと思うのですが、そこで一つショックがあった。逆風ですよね。  しかし、平成七年になりまして、そういう逆風の中で、これはいいことではもちろんないわけですけれども、今度は港湾整備重要性というのが反対に見直されるショックが一月十七日に起こる、こういうことになりました。  この二つ事態を踏まえまして、運輸省でも、これからの港湾整備というものについて前よりも真剣な態度が見えたというふうに私は思いまして、私自身大変歓迎しているわけであります。そういう事態二つショック、マイナス・プラスを踏まえまして今度五カ年計画整備する、それに先立ちまして緊急措置法の一部を改正するという形になったわけであります。  昨年から、五カ年計画を踏まえていろいろなレポートが出てまいりました。平成七年六月には、何か長い名前で私もあれですが、「大交流時代を支える港湾」とかいうビジョンが出されました。それに引き続きまして、港湾審議会で「中期的な港湾整備あり方」についてのレポートが出てくる、そういうことであります。  それを前にして、これからの港湾整備五カ年についての内容が盛られていくということになるわけでありますが、簡単にこの二つレポートについての御説明を、どういうことを目指しているのだということを、まず第一に御説明を賜りたいと思います。
  4. 栢原英郎

    栢原政府委員 平成七年六月に、私ども、今鼻生指摘の大交流時代を支えるというタイトルの港湾長期ビジョンを策定いたしました。  これは、これから二十一世紀に向けて、我が国ボーダーレス時代と言われる時代の中にあって、世界経済の中に組み込まれている我が国経済を円滑に支えていく、さらに、地域的に見れば、近隣諸国との物のやりとりあるいは商品のやりとりの中で豊かな国民生活を支えていく、そういう頻繁な交流が起こる時代に備えて、島国である我が国が取り残されることがないように、我が国の基幹的な港と、それからそれぞれの地域のゲートウエーというものをきちっと整備をしていこうということを明らかにした政策でございます。  さらに、港湾審議会で「中期的な港湾整備あり方」について審議をしていただき、御答申をいただきましたが、これはこの長期政策を踏まえまして、当面五カ年間に何をすべきかということの優先順位をむしろ議論をしていただいたという性格のものでございます。ここでは特に、我が国の最近の港湾で明らかになっております港湾国際競争力の低下、これを回復するための政策重点を置くこと、さらに、阪神淡路大震災の教訓を踏まえ、地域安全性向上させるためにも港湾地帯耐震性強化を図ることなどの重要事項について順位をつけていただいた、そういうことでございます。
  5. 村田吉隆

    村田(吉)委員 冒頭私が、これまで八次にわたっての港湾整備計画なんですが、その中で惰性的にやってきた部分がありはしないかという御批判を申し上げたのは、国際的な交流が非常に緊密化したというのも今ではないですし、貿易が北常に盛んだった今からもうかれこれ二十年ぐらい前からも、非常に交流が活発になっているといろ事態がありました。最近では特にもうボーダーレスという時代になって、本当に前とは比べ物にだらないほど、輸出入の両方面において経済あるい はいろいろな意味での交流が高まってきたというふうに思うのですよね。  だけれども、本当は、阪神淡路大震災が起こって、あの神戸港という日本一の港湾がつぶれることによって、仕事というか、我々の港湾への寄港がほかへ行ってしまう、香港へ行ったりシンガポールへ行ったり、そういう事態で初めて目が覚めたような気がするのですよね。  そういう意味で私は、本当に今回の法律改正はかつてと違っていろいろな内容が盛られておりますけれども、今から考えますと、やはりこれまで何かこう港湾整備というのはちょっとめり張りをきかせなさ過ぎたようなところがあったのではないかなというふうに思うわけなんですね。しかるがゆえに、今度の法律の目玉となっております投資重点化ということ、それから新たにつけ加えられました港湾の周囲の生活環境保全に資するように港湾整備もやるんだよというこの中身、これは本当にこれからの港のあり方ということを考えて大いにやってもらいたいというふうに思うわけなんです。  その点で、ひとつお答えといいますか、御所見を賜りたいというふうに思います。
  6. 栢原英郎

    栢原政府委員 今回で港湾整備五カ年計画は第九次になるわけでありますが、昭和三十六年に港湾整備緊急措置法が制定されまして以来、五年ごとに五カ年計画改定のために、途中年次で変えたところもございますが、五カ年計画年度の変更をしていただいてまいりました。今回は、単に年度を変更するだけではなくて、目的規定、さらに計画を策定するときの配慮事項についても改正をさせていただきたいということで、御審議お願いしているところでございます。  まず、目的につきましては、この緊急措置法が制定されました昭和三十六年には、港湾予算の約五割を工業港づくりに注ぐなど、極めて生産色の強い時代でありましたので、目的規定は、「経済基盤強化を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与する」と規定されておりました。しかし、最近は、港湾予算の二割を良好な港湾環境形成によって豊かな国民生活を支える機能の整備に充てるような状況にもなっておりますし、また、扱っている貨物工業原材料から人々の生活を支えるようなものに大きく変わってきております。このことを受けまして、今回、目的に、良好な港湾環境形成を通じて周辺生活環境保全に資すること並びに国民生活向上に寄与することの二つ追加をさせていただくことにいたしました。  さらに、計画策定に当たっての留意事項につきましては、財政状況の厳しい中で港湾に求められております多様な要請に対応するために重点的投資を行っていくことが必要であるというふうに考えまして、五カ年計画の実施の目標と量を定めるに当たって、投資重点化を図ることができるように留意しなければならないというようなことを追加をさせていただいたものであります。
  7. 村田吉隆

    村田(吉)委員 だから私が、これまではちょっと眠っていた分野がありはしないか、こういうふうに申し上げたわけで、もう既に、皆さん方事業をやりながら、今までの産業基盤整備という方から、生活関連といいますか、生活環境整備というところに港湾整備事業も食い込んできた。  それから、港の出入についても、やはり港がなければ本当に食料品とかエネルギー外国から入ってこない、そういう状況で、まさにこれこそが生活基盤の充実といいますか、それと直結している、あるいは国民生活向上につながっているということであったわけで、それを見逃していたというのは、私は返す返すも、平成五年にさかのぼりますと、残念であったなというふうに思うわけでありまして、一言感想を申し述べさせていただいたわけであります。  とはいえ、投資重点化も図っていただかなければいけない。これは、運輸省関連公共事業、飛行場なんかも含めまして、あらゆることがそうなんだろうと思うのですね。もう財政はそんなに豊かではない。その前に、本当にやはり投資重点化ということを図っていかなければいけない。  私も選挙区でいろいろな集会をやりますけれども、例えば道路なんかですら、もうここら辺の道路は、改良はやるけれども改善はできないよ、そうでもしないと国はもたないし、我々の子供たちが重税にあえぐような社会を我々は看過できないとすれば、投資スローダウンをするか重点化を図るか、どちらかしかなくなってきている、そういうことを皆さん方にも御理解をいただきたいと言うと、もう国民もそんなにかつてのようにわからず屋ではなくて、うん、わかったと言うようになってきていますね。  だから、本当にことしから財政が大変厳しくなる局面を迎えるわけでありますし、また消費税の引き上げということを来庫に控えているわけですけれども、やはり投資スローダウンをするのか、あるいは重点化をしてめり張りをつけていくのかということを、もうちょっと本当に役所側にも真剣にやってもらわなければいけないということなんだろうと思います。  我々は、税金を上げるということになりますと大変な苦しみでありますから、どうかひとつ今回の法律、せっかく投資重点化を図るという内容も新たに盛られたわけでございますから、一層港湾整備においても投資重点化、大事に使ってほしい、こういうことをやってもらいたいというふうに思うわけです。  一言御見解をいただきたいと思います。
  8. 栢原英郎

    栢原政府委員 第三条において、投資重点化を図るというふうに規定追加をさせていただきましたが、この具体的な対応といたしましては三つの側面から進めていきたいというふうに考えています。  まず第一は、何に重点的な投資をするかという主要な施策を絞ることであります。すなわち、国際コンテナ港湾競争力強化といったような緊急性を要する施策を絞り込んでいきたいというのが第一であります。  次に、その中でどこに投資重点化するかという、施設の効率的な配置という面で重点化を進める。  さらに、そのプロジェクトの中で、緊急性による重点化といいますか、いつ投資をするのかという投資順位をはっきりさせるというようなことで具体的に港湾整備重点化を進めていきたいというふうに考えています。
  9. 村田吉隆

    村田(吉)委員 今三点にまとめられまして、重点化を図る、何というかメルクマールの御表明がありましたけれども、これは総論的に言うのは簡単でございますが、これから計画を実施していく段階で、本当に重点化が図られたなという形で明らかに具体化していってもらいたいということを要請しておきたいというふうに思います。  その中で、第一に施策面重点化という中で、やはりコンテナ基地といいますか、その整備がおくれている。だけれども、今までずっとやってきて、コンテナの取り扱いがふえて、また大型コンテナがだんだんふえてきたから日本の港でなかなかそういうものに対応できてないということなんですが、一方において、ほかのアジア近隣シンガポールとかそういうところでは、ある程度そういった貨物動き方の変化に対応してきているわけでしょう。何で日本がこんなにおくれちゃったのかというふうに思うのですよねつだから、外国を見ておれば、施策重点をそっちにとうに移すべきということがわかったのじゃないかというふうに思うのです。  私の地元でも玉島港というのを今整備しておるのですが、まだコンテナ化されておりまぜん。新居浜の方にできたようでございますけれども。県の港湾局担当者が本当に嘆きまして、もちろんもうちょっと早く整備しておけば、あの阪神淡路のときに、岡山は隣ですから、あのときに役割を十分果たすことができたのに本当にしまったことをしたというので、悔しがっておるのですよね。  だから私は、運輸省施策の中にも、あるいは 外国との対比との関係でもコンテナ化といいますか、あるいは大型コンテナ化世界の趨勢に対してやはり見逃していたところがありはしないかというふうに思いますが、どうしてこんなにおくれたのでしょうかね、御質問をさせていただきたいと思います。
  10. 栢原英郎

    栢原政府委員 コンテナ船大型化していくという傾向につきましては、一九八五年時点ごろから既にいろいろなところで言われておりました。私どもも、その傾向を踏まえて、一九八五年に改定をされました神戸港の港湾計画において初めて水深十四メータ{ないし十五メーターのコンテナターミナル計画しておりますごとく、計画段階では既に取り入れていたということでございます。ただ、その時点で、一九七〇年代に整備をいたしましたコンテナ埠頭十分貨物量に対応していたために、新たな整備要請といいますか、直ちに事業に着手する要請がなかったということで計画のままに置かれておりました。  しかし、一九八五年のプラザ合意以降、アジア域内コンテナ貨物量が急増いたしまして、特に後発のメリットもありまして、シンガポールとかあるいは香港大型ターミナルを急速に整備するという状況になってまいりました。このことがさらに大型船の就航を促進をするということになって、今日のような我が国のおくれを来しているというふうに私ども反省をしているところであります。
  11. 村田吉隆

    村田(吉)委員 そういう意味では、もう十年たっております。ひとつ今後とも、こうした大水深コンテナターミナルの建設については、とにかく一生懸命やって、おくれをとらないようにしていただきたいということを申し上げたいというふうに思います。  ちょうど私も運輸委員会におりまして、阪神大震災が起こる直前に皆さん神戸港のコンテナターミナル視察をいたしました。視察をして、随分立派なものができたね、いろいろな冷凍施設もあるし、そう思っていたら、ああいうことで本当にぶつ壊れまして、あれだけ立派なのが建っていたのに、キリンという起重機が全部首をもたげたり横倒しになっていて、本当にびっくりしたわけでありますが、ああした災害の中からみんないろいろなことを学んだというふうに思うのであります。だから、どうかひとつ、今後ともめり張りをつけつつ、投資重点をはっきりさせつつ諸外国におくれないように一生懸命整備を進めていただきたいというふうに思います。  ただ、その点で一つ気になりますのは、かつて埠頭公団行政改革で公社化されたといいますか、そこがそうした問題に実は影響があったのじゃないかなと思うところもあるのですが、それは一体どうなんでしょうかね。やはり資金量とかそういう意味で、本当にそういう大きなプロジェクトをやるときにあの行政改革というものが果たしてよかったのかどうかという反省もあるのですが、もしお答えになることができましたら御意見を伺いたいというふうに思います。
  12. 栢原英郎

    栢原政府委員 昭和四十年代の初めに我が国港湾に初めてコンテナ船が登場いたしました段階で、コンテナ貨物を扱うためには船会社専用利用させるということが最も効率的であるということになりました。ただ、現在の港湾法では公共岸壁で特定の企業に専用利用させることができないという規定になっておりますので、この専用利用を可能とするために、京浜と阪神二つ外貿埠頭公団をつくってコンテナターミナル整備を進めてきたわけであります。  しかし、その後、ある程度コンテナ埠頭整備が進んだ段階で、これほどまでコンテナ貨物伸びるという見通しがなかったために、その外貿埠頭公団の使命は終了したということで、後は承継をした財産を管理するそれぞれの埠頭公社四つ分割をされ、今日に至っているという状況にございます。  先生指摘のように、四つ分割をされたために非常に資金力等で弱くなってきているということは否めないと思いますが、現在、その埠頭公社コンテナターミナル競争力をつけるために、国と港湾管理者からそれぞれ二割ずつ四割の無利子貸し付けを行っておりますし、特に大型コンテナ埠頭の不足という事態に急速対処するために、平成年度からこの貸付比率をそれぞれ三割ずつに引き上げて、資金負担を少しでも楽にするように支援措置を講じているところでございます。
  13. 村田吉隆

    村田(吉)委員 大臣にお伺いしますけれども、今るる局長から御説明がありましたように、本当に予想を上回るコンテナ化が進み、かつまた大型化が進んできたわけでありまして、そういう意味で、取扱量を見ても、シンガポールでも香港でも、我が国神戸を上回るような規模にほかのアジア諸国の港がなってきているわけでありまして、我が国がそうしたおくれを取り戻すためにどうやって一生懸命これからやっていくか、そうした大臣の御決意を賜りたいというふうに思います。
  14. 亀井善之

    亀井国務大臣 今先生からいろいろ御指摘いただきました。何としても、国際港湾、またこの水深十五メートルのコンテナターミナル整備を今回のこの五カ年計画、この中で最重点課題として積極的に推進をしていかなければならない。  たまたま昨年八月、私シンガポールに参りまして、大きなコンテナターミナルの設備を見てまいりまして大変驚いたようなわけでありまして、このターミナル整備とあわせて、港湾利用料金の低減、あるいは港湾における情報化推進港湾道路との連携の強化、こういうものを通じて、複合的な取り組みによりまして港湾国際競争力強化のために努めてまいりたい、このように考えております。
  15. 村田吉隆

    村田(吉)委員 以上、港湾整備について重点化をしてほしいということを申し述べてまいりましたし、また、運輸省の方もそのつもりでやっていくということでありました。  とはいえ、離島を初めとして、本当に生活に密着したそういう港もあるわけでありまして、そうした重点化の中でも、離島を初めとする、本当に港だけが玄関になっているような、そういう港の整備につきましては、防波堤の整備、あるいは岸壁整備、あるいは深度の問題等々を含めまして、今後とも御配慮を改めてお願いをしたいというふうに思います。  最後に一点だけ、海岸事業の方も御質問をさせてもらいたいと思います。  海岸事業、私のところもやってもらいました。見違えるように海岸がきれいになったり、海水浴客もふえたりなんかしまして、大変結構でございます。しかし他方、よく言われますが、だんだん自然海岸が減っていってしまうというのも、それは防波というか、波に侵食されるということももちろんあるわけですが、そういう意味で、我が国の自然の海岸がだんだん減ってしまうというのも私どもとしましては大変残念な気もするわけでありまして、そこら辺にも御配慮の上、海岸事業も進めていただきたいというふうにお願いをいたしたいと思います。  以上をもちまして私の質問を終わりますが、これから秋にかけまして計画が策定されていくと思いますが、どうかひとつ、今回はせっかく法律に従来とは違った規定も付加したわけでありますから、そうした方向に向かって、今度こそは本当に五カ年計画の中で、これは達成されたのだ、前よりも本当にここのところに投資が向いたということを次の五年が始まるときには振り返ってみられるような第九次港湾整備五カ年計画というふうにしていただきたい、これをお願いをいたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  16. 辻一彦

    辻委員長 以上で村田吉隆君の質疑は終了しました。  柴野たいぞう君。
  17. 柴野たいぞう

    柴野委員 新進党の柴野たいぞうでございます。  申すまでもなく、我が国は四万を海に囲まれておりますし、エネルギーの九割以上、食糧も六割 近く海外に依存しておりまして、港湾整備というのは非常に重要なわけでございます。そういった中で、今回、この港湾整備緊急措置法改正案が出てまいりました。  本来であれば、今までどおり日切れ法ということで年月のところだけ修正してやってきたわけでございますが、一条の目的を変えるということでございまして、これは憲法でいえば前文を変えてしまうぐらいの大きなことでございまして、一体全体どういつだ背景がございましてこの目的を変えるということに至ったのか、その点をまず御説明いただきたいと思うのです。
  18. 栢原英郎

    栢原政府委員 最近の港湾整備事業中身産業基盤あるいは生活基盤あるいは流通基盤というような形で分けてまいりますと、かつて高度成長期は五割近いものが生産基盤づくりに向けられておりましたけれども、今日では、流通基盤が三分の一、生活関連的な、例えば港湾の緑地でありますとか、あるいは廃棄物を受け入れる廃棄物埋立護岸整備といったようなものが三分の一、そして国土保全的なものがさらに加わり、生産基盤的なものというのは一割強、二割弱のシェアまで落ちてきております。にもかかわらず、港湾整備緊急措置法目的のところは経済基盤強化するということが主眼になっておりまして、現在の港湾事業中身と著しく乖離をしているのではないかというふうなことが第一点でございます。  また同時に、先ほども議論がございましたけれども財政制度審議会の方から、港湾産業基盤であってその役割は既に終えたというような答申が出され、港湾予算が厳しく抑えられたことを受けまして、港湾実態を正しく認識をしていただくためにも、昭和三十六年の目的規定のままではふさわしくないというふうに考え、今回、その実態に合うように、良好な港湾環境形成を通じて周辺生活環境保全に資することと、国民生活向上に寄与するという国民生活とのつながりを明らかにさせていただいたということでございます。
  19. 柴野たいぞう

    柴野委員 確かに、昭和三十六年当時に比べて、生活物資ですか、そういったものであるとか、港湾の付近、一帯というものも大分変化をしてきたわけでございますが、そういうふうに国民生活向上に寄与することとか、あるいは良好な港湾環境形成を通じて周辺生活環境保全に資するということが目的に書いてあるわけでございますので、結果として、港湾の付随的守備範囲がこの目的変更に伴いまして面的な拡大をするのじゃないかということが考えられるわけなんですが、その辺はいかがでございましょう。
  20. 栢原英郎

    栢原政府委員 昭和四十年代の中期に、環境問題が非常に問題として各地で取り上げられるようになりました。特に港湾においては、水質の悪化でありますとか、あるいは港湾の荷役活動に伴って起こる騒音、さらには粉じんの公害、また港と背後の幹線道路を結ぶ道路周辺の振動や排気ガスの問題、さまざまな環境問題が起こってまいりまして、ほとんどの港が都市の前面にありますために、港湾整備が思うようにいかなくなるという事態が生じました。  そこで、昭和四十年代の後半から、私ども港湾整備事業の中に、港湾が都市と共存できるように、港湾緑地をつくる、あるいは特に港湾貨物流動を背後の幹線道路に市街地を経由することなく流すことのできる幹線臨港道路整備等、港湾と市街地が共生できるような施策をいろいろ講じてきたわけであります。  また、各地で発生いたします生活廃棄物を最終的に処分するために、港湾内の水面を埋め立てて、そこで処分をする。その土地は将来は港湾的な土地利用として活用するわけでありますので、この周辺護岸を廃棄物埋立護岸として補助事業の対象に加えるなどしてまいりました。こういう事業が、私ども国民生活向上に寄与する事業あるいは周辺生活環境保全に資する事業というふうに認識しております。  これらの事業は、すべて港湾区域の中あるいは臨港地区を中心として行われている事業でありまして、新しく目的改正することにより事業範囲が面的に広がるということはないというふうに考えております。
  21. 柴野たいぞう

    柴野委員 面的には広がらないということでございますが、もう一つ、本法律改正案の目玉と申しましょうか、それは三条三項にあります投資重点化という問題だと思います。こういった時代でございますし、経済的にも停滞しておりますので、緊縮予算の中でいかに重点化を図っていくかということは、今非常に要請されている課題だと思います。  そういった中で、三大港ですとか北部九州を拠点にして効率的な国際海上輸送網、または国内海上輸送網の拠点となるべき港湾の適切な配置を行うということでございまして、国際コンテナターミナルですとか国内コンテナターミナルをつくっていくわけでございますが、そういったことをこれからやる場合、一つは、まさにシンガポールだとか諸外国のものが、全部我が国より若干先んじて国際化を果たしているし、そういった中で、我が国国際競争力を持つためにもそういった整備が急がれているわけでございます。  しかし、そういった整備推進していくということは非常に重要でございますが、港湾の使用料といいますか、それに伴う料金でございますが、運輸委員会の調査室の資料によりますと、港湾料金の国際比較があるわけでございますが、非常に日本は高いわけでございます。コンテナー個当たり日本は三百五十ドル、台湾の高雄は百九十ドル、釜山は百七十ドル、シンガポールに至っては百四十ドルという数字でございまして、例えば六百個のコンテナを一回載せたとかおろしたとかという作業を想定した場合、シンガポールと比較しますと我が国は十二万六千ドル高いわけでございまして、現在の為替レートで計算すれば一千三百三十五万六千円、これだけ価格差があって、日本はコストが高いわけでございます。私が民間の船会社の社長であれば、これは年間を通して何回か積みおろししたということを想定したら、なるべくなら日本を素通りしたいな、本当に日本でしかおろせないもの以外はなるべくなら近隣のところでやりたいなというのが、率直な心情だと思うわけでございます。  それで、一体、どういう原因あるいは理由をもってこんなに高い港湾料金になっているのか、ちょっと御説明をいただきたいのでございます。
  22. 岩田貞男

    ○岩田政府委員 今御比較していただきましたように、港湾の荷役料金が高いということは事実でございます。ただ、港湾料金と一概に申し上げましても、ターミナル使用料と荷役料が含まれてそれが一体として徴収されているものですから、なかなかそれを分解して国際的に比較するのは難しい事情もあります。  ただ、一つ確実に申し上げることができることは、港湾荷役は労働集約型の事業でありまして、港湾荷役の中に占める人件費のコストは大体七〇%、特に五大港になりますと七四%ということで、大半が人件費でございます。今先生からお話がございましたアジア諸国との荷役料の格差につきましても、人件費の違いが大きな要因になっている、このように理解をしております。
  23. 柴野たいぞう

    柴野委員 確かに人件費が多くの面を占めるということも理解できるわけでございますが、一部伺ったところでは、大型コンテナバースが埠頭公社方式でやられているということがある種一つの原因ではないかというような指摘もあるわけですが、その点はいかがでございましょう。
  24. 栢原英郎

    栢原政府委員 埠頭公社は、先ほども御答弁申し上げましたように、外貿コンテナターミナルを特定の利用者に専用貸しをするために、その整備及び管理に要する費用は借り受け者からの利用料金で償還をしていくこととなっております。このように、整備及び管理の費用を最終的に利用者負担で賄う制度のもとで、埠頭公社の利用料金につきましては、最近における急激な円高や人件費あるいは土地代を初めとする諸費用の増加等の影響を受けている面があることは事実でございます。  埠頭公社コンテナターミナル重要性にかん がみまして、これまでも国及び港湾管理者による無利子貸付金あるいは財投などの支援措置を講じてきたところでございます。  さらに、管理費の増加を防ぐために、税制に係る優遇措置につきましては、平成年度税制改正において継続をするということにしていただきました。これらのことをさらに継続することによって、利用料金の高騰を何とか避けていきたいというふうに考えています。
  25. 柴野たいぞう

    柴野委員 公社方式、なかなか効率化という面でいろいろ問題があるのではないかなと思うわけでございます。とにかく大半を占める人件費の問題でございますが、それとあと稼働日数ですね。諸外国は通年フルタイム制を採用しているところが多くて、とにかく二十四時間休みなしでやっておるというわけでございまして、我が国阪神淡路大震災以降、一部土曜日や日曜日もやるところが出てきたと伺っておりますが、その実態、今我が国の主要港ではどんな稼働日数なのか、あるいは同時に、ゲートの開門時間ですか、閉門時間でそこで仕事ができなくなるという問題もございまして、これらを含めまして実態をちょっとお聞かせいただきたいのです。
  26. 岩田貞男

    ○岩田政府委員 お答え申し上げます。  まず、稼働日数の件でございますが、今先生からお話がございましたように、神戸大震災を契機に日曜荷役が再開されております。去年の六月十一日から再開されておりまして、いわゆる五大港では三百隻をちょっと上回る、具体的には三百一隻でございますが、日曜日に荷役をされているという状況でございます。まだ一年もたちませんけれども、そのようにかなりの利用状況があるということでございます。  それからもう一つ、今お話がございましたゲートの問題でございます。  確かに、港湾の秩序維持とか保税地域もありますので、そうだれでも入れるというわけにはいかないものですから、港湾の一定地域にはゲートというものを設けておりまして、そこに入るトラックを一つずつチェックをしているということでございます。  しかしながら、そういうことで少し自動車が港湾の外にたまったりなんかすることはございますが、実は、実際を見ますと、例えば標準月でございます平成七年の十一月の実績を見ますと、荷役の約五割が夜間荷役になっております。夜間といっても十八時以降とかあるいは二十一時三十分以降とかいろいろございますが、半分ぐらいが夜間荷役でさばかれているということでございます。  利用者の需要に対応しまして、今後とも荷役サービスの確保が図られるよう、運輸省としても適切に対処していきたいと思っております。
  27. 柴野たいぞう

    柴野委員 日本の競争相手の国が二十四時間フルタイム、一年じゅう休みなしでやっているわけでございまして、なかなか人を、日本の場合週休二日制というのがございますし、すべて実施されているわけではないのでございますが、何とか交代出勤といいましょうか、病院なども三交代とかいろいろございますけれども、そういった知恵を出していかないと、どんどん日本の港が国際的に地盤沈下をするということになってくるのじゃないかと懸念をするわけでございます。  確かに、人件費が高くなれば、製造業であれば製造拠点を人件費の安いところに移せばいいわけでございますね。実際今の日本の民間企業は一生懸命やっていらっしゃいます。しかし、人件費が高いからといって港を移すということはできないわけでございまして、本当に深刻な問題だなと思っているわけでございます。こんな状態が続けば、まさに世界船会社日本に寄りつかなくなる、そして国際海洋上の地位が日本が著しく低下する、こういった懸念もあるわけでございます。  ここでちょっと大臣に伺いたいのですが、これまでの慣例だとかそういうものにしがみついているのではなくて、本当に大胆な突っ込んだ改革をやるとか、あるいは規制緩和をやるとか、先ほど私がお話ししましたように、資源やエネルギーをすべて海外に依存する国でございますし、原材料を輸入して加工して輸出して成り立っている国でございまして、港湾重要性というのは本当に世界の中でも屈指の重要さを占める国でございますので、場合によっては何らかの国費を投入してでもその体制の整備を図っていかなければいけないのじゃないかなと私は思うわけでございますが、大臣いかがでしょうか。
  28. 亀井善之

    亀井国務大臣 今先生からいろいろ御指摘をいただき、またそのとおりと私も考えるわけであります。特に、人件費、土地代、こういう中で諸経費が割高であるということは、また円高の問題もあろうかと思いますが、港湾関係料金の価格が大変高い、こういうことが国際競争力の低下の一因にもなっている、このように認識をいたしております。  そのような観点に立ちまして、今回の第九次の港湾整備五カ年計画の最重要課題、それは国際競争力の確保、こういう視点から、港湾料金の問題やターミナル情報化の問題であるとか国際競争力の確保のために引き続き取り組んでまいりたい。現実、なかなか長い歴史もございますし、いろいろ努力をしておるところであります。規制緩和の問題もまたその中で考えていかなければならないわけでありますが、引き続き御指摘のような点、特に国際競争力の問題が重要な点でもございますので、さらに努力をしてまいりたい、このように考えております。
  29. 柴野たいぞう

    柴野委員 大臣、本当に頑張っていただきたいと思うわけでございます。  次に、昨年阪神淡路大震災という大きな災害がございまして、私も震災後の神戸港に行ってまいりましたけれども、目を覆うばかりの惨状でございました。  今回、第九次港湾整備五カ年計画の中で、港湾整備あり方という項目がございまして、その中で、全国主要港湾における耐震強化岸壁整備、人口集積状況等に対応した防災拠点の整備コンテナターミナルの耐震強化、内貿ターミナルの耐震強化ということが個別に挙げられているわけでございます。阪神大震災で、幸いなことに耐震強化をされていた岸壁、バースが三つ残ったという大変な教訓があるわけでございまして、あれだけの災害のときにも救援物資だとかさまざまなことで貢献されたわけでございます。  そういった意味で、港湾の耐震化を図るということは非常に重要だと思うわけでございますが、今後この耐震化に向けての計画の概要、何年間で幾つつくるとか幾つ耐震化するとか、そういった概要をお知らせいただきたいと思います。
  30. 栢原英郎

    栢原政府委員 第九次港湾整備五カ年計画における地震対策の特徴は二つございます。  一つは、耐震強化をいたしました岸壁整備に関連をいたしまして、従来は緊急物資の輸送を想定した一般の岸壁における整備だけを対象にしておりましたが、今回の阪神淡路大震災の教訓にかんがみまして、震災時の幹線物流を確保するために、現在物流の中心を担っておりますコンテナ岸壁あるいはフェリーターミナルなどについても耐震強化の対象として加えていこうというのが第一でございます。  これにつきましては、現在の私どものもくろみでありますけれども、緊急物資輸送用の通常の岸壁は一九九五年に八十カ所で整備が終わっております。このうち三つが神戸港にあったということでございますが、この緊急物資輸送用の岸壁を五カ年間にほぼ倍増をしたい、七十五の緊急物資輸送用の岸壁を新たに整備をしたい、さらに国際海上コンテナターミナルにつきましては二十、内貿のフェリーターミナルなどにつきましては十、耐震強化をしていきたいということを心づもりにして現在作業を進めているところでございます。  もう一つの地震の耐震性についての特徴は、単に岸壁強化することだけではなくて、背後に港湾緑地など広場を整備をいたしまして、震災時に緊急避難をする人々の場所にしたり、あるいは緊急物資を揚げたりする場所という意味で防災拠点を臨海部に整備をしていきたいということでござ いまして、これにつきましては四十五港、五十カ所程度を五カ年間で整備をしたいというふうに考えております。
  31. 柴野たいぞう

    柴野委員 五カ年計画で少しずつ耐震化を図っていくということでございますが、実は私は東京選出でございまして、港区、まさに港のあることで港区というわけですが、東京港が選挙区でございまして、調べてみますと、東京港で耐震化をされているバースというのは全体の約五%なわけでございます。  阪神淡路大震災の教訓を得て、これは何とかしなきやならぬという気持ちもあるわけでございますが、関東大震災から六十年周期説だとか、江戸時代にさかのぼって大きな地震がほぼ六十年でやってくるというふうな時期のただ中でございますし、いつ何どき大災害が起こるかもしれないということが想定されるわけでございます。  特に東京港というのは、大臣も神奈川県にお住まいですからおわかりのように、品川区から多摩川を渡ればすぐ川崎ということでございまして、すぐ横浜ということで、東京港と横浜港の端と端をやりますと、約二十二キロしか離れていないわけですね。そのぐらい、かなり近いところでございまして、もし大きな地震が起きた場合、場合によっては東京港も横浜港も相当やられるということが想定されるわけでございます。  そういたしますと、東京港、横浜港のコンテナ貨物のシェアでいきますと、全国の約四割。輸出だ、輸入だ、それから国内貨物を考えますと大変なシェアを誇っておりまして、それに一般貨物を入れますともっと大変なことでございますし、同時に京浜工業地帯というのを擁しておりまして、原材料を輸入して、加工して製品化して出しているというわけでございます。その東京港がわずか五%だということでございます。  私は、一港湾というレベルではなくて、東京港の背後には、千葉県だ、埼玉県だ、東京都だ、神奈川県だと、三千五百万の生活者がおりまして、その生活物資の供給の拠点でもあるわけでございます。そういったことを考えますと、そういった災害が起きれば、もちろん緊急物資云々というのもありましょう、しかし産業総体が、もうほとんど機能不全と申しましょうか、材料が来ないものですから工場も操業できない、ありとあらゆる、経済的にも大打撃、しかも復興までの一 年なり二年なり三年なり、長期にわたって打撃を受けるわけでございます。  ですから、私が申し上げたいのは、今回の改正案の三条三項に重点化ということが書かれてあるわけでございます。確かに、離島や、あるいはまた地域港湾でございますか、そういった整備も本当に大事だと思います。しかしながら、あの阪神大震災という未曾有の体験を踏まえて、もしあれだけのものがこの関東地域で起こったならば、我が国経済の半分がパアになるという、大変なことになるということが想定されるわけであります。ですから、港湾の耐震化のピッチを非常に優先度を高めてやっていただけないか、こういった私の希望でございますが、いかがでしょうか。
  32. 栢原英郎

    栢原政府委員 新しい五カ年計画重要事項一つは、先ほど来議論になっておりますように、港湾国際競争力強化でございます。さらにもう一つは、港湾地帯の耐震性の強化ということもこの五カ年間に特に力を入れるべき課題として取り組みたいというふうに考えております。  五カ年計画の中で、どれだけの投資額をこの防災性の向上のために割くかということはこれから秋に向けて内容を固めていくもので、現段階でははっきりはしておりませんが、しかし、御参考までに、平成年度の防災機能の拡充に投資をしております量は、全体の伸び率が五%程度に対しまして三〇%の伸びということで、八年度予算に象徴されますごとく、今後五カ年間ではこの防災性の向上のために大きく力を入れていきたいというふうに考えているところであります。
  33. 柴野たいぞう

    柴野委員 阪神淡路大震災で耐震強化をされた神戸のバースが三つ残ったというのは大変貴重な教訓でございまして、あれだけの地震でも残ったというわけでございます。  ですから、まさに日本の中心でもございますし、局長もたしか東京都出身と伺っておりますが、そういった意味で、一極集中ということで御批判もあって、首都の移転などという議論も出ておりますが、そういうことを言っているやさきにそういった非常な災害が起こったときに大変な事態になるということがございまして、実はその耐震構造にするには一バース約百億円かかるというわけでございます。これまで半分国が予算補助をしておったわけでございますが、これを平成八年から三分の二にするというふうな方向で御検討いただいているそうでございますが、まずそれは事実なんでございましょうか、それをちょっと。
  34. 栢原英郎

    栢原政府委員 通常の岸壁に比べまして、特にその地域を襲った過去最大の地震にも耐えられるような設計をいたしますと、岸壁の構造形式にもよりますけれども、また岸壁水深にもよりますけれども、建造費が二割ないし三割高くなるという状況にございます。このためになかなか耐震強化岸壁整備が進まないということにはなっておりますが、これを促進をするために、特に急ぎます国際海上コンテナターミナルにつきましては、平成年度から、外貿コンテナの耐震強化に要する費用に係る国の負担率を現行の二分の一から三分の二に拡充をし、これを推進をしていきたい、促進をしていきたいということにしたところでございます。
  35. 柴野たいぞう

    柴野委員 とにかく三分の二になったということでございますが、投資重点化ということでございますので、国全体のことを考えたときに、いかに今港湾を、どこの港湾をあれしていくかという優先度をやると思うのですが、大災害を踏まえて、ひとつ私が今まで申し上げたことを踏まえまして御検討いただければと思う次第でございます。  大分時間も迫ってまいりましたので、もう一点だけ御質問させていただきます。  大水深という底の深い港を整備していかなけれはいけないということでございまして、さまざまな事業が行われているわけでございますが、実は年表のグラフを見てみますと、七〇年代のころは世界の大勢が三万トンということで、これは七〇年代から八〇年代が三万トン、八〇年代から九〇年代になりますと四万トンということになりまして、これが水深十四メートル級ですか、それが八八年以降からオーバーパナマックス型というのが出てまいりまして、これが五万トン級ということで、十五メートル必要だということになるわけですね。このほぼ十年ぐらいの足でだんだん大型化をされているわけでございます。  そうしますと、今から十年後を想定しますと、六万トン型、そしてもっと、もう五年たつと七万トン型というのも出てくるということが想定されるのじゃないかと思うのですね、やはり市場経済、競争原理の中でいかにコストを安く、輸送費を安くするかということで船会社が考えているわけでございますので。その辺の船の大型化の見通しについて、もしおわかりであればお答えいただきたいと思うのです。
  36. 栢原英郎

    栢原政府委員 一般の貨物を運びますいわゆる在来の貨物船あるいはコンテナ船などにつきましては、これまでは、パナマ運河のドックの大きさが一つの制約要因になってまいりました。しかし、最近では、パナマ運河を経由せずに二地点間をピストン輸送するといったような運航形態の方が効率的であるということになって以来、今先生指摘のごとく、コンテナ船大型化が急速に進んでいるという状況にございます。  現在、世界の主要港では、大水深岸壁としてシンガポール、ロッテルダムなど一部の港湾において十六メーターの水深を持つ岸壁整備されている、あるいは既に供用をされているということでございます。しかし、船の方を見てみますと、現在建造が予定されている大型コンテナ船の喫水もほぼ十四メーター台にとどまっておりますので、余裕水深を含めましても、十五メーターの岸壁を中心に当面整備、供用をして問題がないというふ うに考えて、今回の五カ年計画では十五メーター水深コンテナターミナル整備に力を入れているところであります。  しかし、今後の動向は、確かに今御指摘のありましたようになかなか見きわめがたいところがありますので、この十五メーター岸壁整備に当たりましては、さらに大型化した場合にも改造、全面のしゅんせつなどで対応が可能となるように、構造あるいはその整備の位置などを港の中で配慮していくことが必要であるというふうに考えています。
  37. 柴野たいぞう

    柴野委員 今局長が最後に言われたことに尽きると思うのですが、とにかくどんどん大型化をしているわけでございまして、この五カ年計画、そして次の五カ年計画でやっと十五メーター級が整備されたころにはもう時代におくれてしまって、そのころにはまた十七メートル級だなんて話になりまして、また五カ年計画なんという、二度工事をやる、非常にそのロスがかかるわけでございます。もちろん掘っていくというのは大変なお金がかかるわけでございまして、そういう将来に対するしっかりとした見通しを持ってやっていただけたらと思うわけでございます。  それから、最後になりましたが、先ほど本改正案の一条に、港湾の中に、廃棄物処理場とかそういったものが近隣にあるんだ、海面処理場とかという話もございました。私は東京選出でございますが、実は東京都、ごみの処理の問題というのは大変な問題でございます。特に内陸の方に入りますと、建物は密集している、人口は密集しているということでございまして、なかなかごみの処理場をつくるというのは大変なことでございます。そういった中で、東京都は海面処理場をやっておるわけでございますが、私も東京都の関係者とお話ししますと、とにかくごれは物すごくお金がかかって大変なんだということでございます。大阪湾でもやっていますし、あるいは川崎でもやっているやに聞いておりますが、自治体にとって大変な負担になっているわけでございます。  現状では四分の一国が補助をしているというふうなことでございます。廃棄物埋立護岸事業ということで四分の一の補助が出ているわけでございますが、確かに国の財政も厳しいわけでございますが、東京都や地方自治体もより一層厳しい実態でもあるわけでございまして、その辺、ひとつ御配慮をしていただくというふうなことができるかどうか、ちょっとお答えいただきたいと思うのです。
  38. 栢原英郎

    栢原政府委員 廃棄物を受け入れます海面処分場の周辺護岸につきましては、港湾法規定に基づきまして十分の二・五以内の補助をするという定めがございまして、この定めに従って、予算の範囲内で補助を行っているということでございます。この補助率は、いわゆる廃掃法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づき整備する施設であって、これと同様の機能を有するごみ処理施設と同率になっております。  なお、廃棄物によってでき上がりました土地は、港湾関連用地あるいは都市再開発用地などとして有効活用できるということで港湾の補助事業としているわけでありますが、通常の土地造成事業でありますと、周辺護岸も含めまして、全部、一〇〇%起債で港湾管理者が実施しているということと比較いたしますと、一方的に港湾管理者の負担でこの廃棄物埋立護岸整備しているということにはならないのではないかというふうに考えています。
  39. 柴野たいぞう

    柴野委員 時間が来ましたので、終わらせていただきます。
  40. 辻一彦

    辻委員長 以上で柴野たいぞう君の質疑は終了しました。  東順治君。
  41. 東順治

    ○東(順)委員 それではまず最初に、今回の五カ年計画の中に国際競争力を有する物流ネットワークの形成、こうございますけれども、これにおける重点課題、そしてまた具体的施策という点から伺っておきたいと思います。
  42. 栢原英郎

    栢原政府委員 今回の五カ年計画におきます物流ネットワークの形成における重要課題といたしましては、まず第一に、主要港湾における国際コンテナターミナル整備を掲げております。第二といたしましては、複合一貫輸送、トラックと船とを一貫して輸送するといったような複合一貫輸送に対応しました内貿ターミナル、フェリーターミナルでありますとか、あるいはロールオン・ロールオフ船のターミナル計画整備を考えております。  具体的には、第一の国際コンテナターミナルにつきましては、大水深コンテナターミナル等の基盤整備によりまして、コンテナの輸出入に係ります陸上輸送コストを一割削減をしたいというふうに考えております。また、モーダルシフトを推進するための海上輸送の受け皿となる内貿ターミナルにつきましては、これを整備することによって、陸上輸送の半日往復圏の割合というものを目標にしております。つまり、港湾から半日で往復できる範囲を拡大をしていきたいというふうに考えておりますが、この割合を、現在の七割のカバー率から約八割のカバー率まで引き上げたいということを具体的な目標として、計画内容を詰めているところでございます。
  43. 東順治

    ○東(順)委員 それで、今最初に挙げられましたコンテナターミナルということでございますけれども、ここで大臣に、我が国の今後、基本的な方向をもう一度確認をしておきたいのですが、アジアのメーンポートというものを目指すのか、あるいは、先ほどからいろいろ議論があっておりますけれども、さまざまな厳しい状況の中で押し込まれつつもフィーダーポートというものを目指していこうとするのか、この辺の基本的なところを再確認をしておきたいと思います。
  44. 亀井善之

    亀井国務大臣 国際経済のボーダーレス化等の進展の中で、我が国の産業活動や日常生活に密着した物資の輸入が年々増加しておりますことは御承知のとおりでございまして、そのほとんどが海上貨物、いわゆる海上コンテナ貨物として港湾を経由しておるわけであります。また、世界第二位の経済力を有する我が国経済、この継続的な発展、あるいはまた、一億二千五百万の国民の豊かな生活を安定的に支えていかなければならないわけでありまして、そのような観点から、先ほど来いろいろ御審議をいただいておりますが、大型船、そして大水深の中で寄港できるようなメーンポート、このことを目指していくことが必要なことではなかろうか、このように思います。
  45. 東順治

    ○東(順)委員 アジアの中のメーンポートを目指す、私もそのとおりであろうというふうに思います。  現実的な問題として、これからちょっと具体的に幾つか述べさせていただきたいと思いますけれども世界コンテナ物流量の五〇%程度がアジア発着の貨物であるという、こういう現実ですね。そういう中で、世界コンテナ取扱量の港のベストテン、これは一九九一年調べということでございますけれども、この中に、香港シンガポール、高雄、釜山、基隆、日本を除くアジアのさまざまな港が五つ入っておる。そういう中で、この一九九一年時点日本からは神戸一つの港のみである。こういうことが物の本に書かれておりましたけれども、現在、世界のベストテンにアジアで何港入っておるか、日本はどうかという、この辺のことはおわかりになりますか。
  46. 栢原英郎

    栢原政府委員 一九九五年の速報値がございますけれども、この中で、一位が香港、二位シンガポール、三位高雄、四位に初めてロッテルダムが出てまいりまして、五位は釜山、それから六位がハンブルク、そしてロングビーチ、横浜、ロサンゼルス、アントワープというふうに続きます。日本では唯一横浜が第八位に入り、アジア以外の港というのは、この十港のうち後半に五つ並んでいるという状況にございます。
  47. 東順治

    ○東(順)委員 そういう状況で、やはりアジアのメーンポートを目指すという割にはなかなか現実的にはシビアな状況があろうか、こういうように思います。また、九三年の速報値で日本全体のコ ンテナ取扱量というものが、日本全体としても既に香港あるいはシンガポールにおくれをとっている、こういう状況で、しかも日本初の北米向けの貨物というものが二五%ぐらいダウンをしてきている、あるいは欧州向けが二〇%ぐらいダウンをしてきているというような現実があるようでございます。  こういうことからして、かつては日本アジア物流の中心であったのだけれども、ASEANとかNIESの発展に伴って日本アジアの物流の中心から外れてきている。この傾向が引き続く円高というものを背景に今後も加速していくと考えられるかどうか、これはどのように思われますか。
  48. 栢原英郎

    栢原政府委員 ただいま申し上げましたような、シンガポールあるいは香港といったような世界の一、二を争うコンテナポート、コンテナの扱い量は、自国から発生する貨物だけではなくて、むしろ周辺諸国の貨物を集めて、それを大陸間といいますか、太平洋あるいはインド洋等を横断をして、北米あるいは欧州に運ぶという航路を経由をしているためであるというふうに考えております。  ただ、経済力を比較をいたしますと、シンガポール経済力は我が国の八十分の一という非常に小さなものであります。逆に言えば、世界第二位の経済力を持つ我が国が必要とする貨物を効率的に運ぶためには、引き続き我が国大型船が寄るだけの意味があるといいますか、それだけの貨物我が国から発生し、また我が国を目指してくるというふうに考えておりますので、これらの貨物を、周辺諸国の貨物を扱うかどうかは別にいたしましても、効率的に運んでいくことが今後の重要な課題ではないかというふうに考えているところであります。
  49. 東順治

    ○東(順)委員 局長、要するに、このように日本が押し込まれている、そして、かってのアジアの物流の中心であったのが、今やアジアの中の、周辺のいろいろな港湾に取ってかわられてきている。こういう傾向が今後も加速されるか、あるいはどこかでこれをとどめて引き戻すことができるかどうか、この辺のお考えをちょっと伺っているわけです。どういうふうに考えていらっしゃいますか。
  50. 栢原英郎

    栢原政府委員 ただいまも申し上げましたように、我が国経済力あるいは人口規模を考えますと、我が国を出発地あるいは到着地とする貨物は今後ともかなりの量になっていくだろうというふうに考えています。したがいまして、これを効率的に運ぶことができれば、引き続き我が国を中心とした海運ネットワークが形成されていくのではないか。  ただ、その場合に、大型船が自由に入港できないというような物理的な制約、あるいは十分なサービスが受けられない、あるいはそのサービスが非常に高いといったようなソフト面の制約が今後も改善されないとすれば、非常に割高な輸送を我が国が、我が国国民あるいは経済が負担をしなければいけないということではないかというふうに考えているところであります。
  51. 東順治

    ○東(順)委員 ハード面、ソフト面、この辺の手が的確に打たれればアジアの物流の中心というところを再び取り戻すことができる、こういうお考えであるというふうに今伺いましたけれども、そこで、今回の五カ年計画の国際海上コンテナターミナルの大水深の問題でございます。  水深十四メーター以上、この比率が現状一八%を二〇〇〇年時点に四五%まで持ってこよう、こういう計画であるようでございますけれども、私は、素朴に考えて、二〇〇〇年時点で四五%に持ってきてやっと国際平均水準並み、水深十五メーターのコンテナバース、つまり東京、横浜、大阪、神戸、十三供用するようになって、これでやっと国際平均水準並み、こういうことでございます。しかし、世界は動いているわけで、二〇〇〇年になれば今の水準がもっと上がってしまうのではないか。そうすると、二〇〇〇年後に今の国際水準並みに日本が追いついたとしても、二〇〇〇年に至ったときにはまたそこで差が開いているのではないか、つまり後追いになるのではないか、こういうことが極めて素朴に危惧されるわけです。  ちなみに二〇〇〇年で、シンガポール水深十五メーターのものを現在の六バースから十三バースにふやされる、あるいは香港は四バースから十六バースにふやされる、こういうふうに聞いているわけで、そうすると、シンガポールが現在の二倍に拡大されるわけですね。香港に至っては四倍以上、こうなるわけです。そうなったときに我が国が現状の一八%から四五%に進んだとしても、二〇〇〇年時点でまた大きく水が開いているのではなかろうか。  そうすると、今の物流の形態がそのまま継続されたような形になって、とてもメーンポートの座というものを奪還していくというようなことにはならないのではないか。つまり、この第九次五カ年計画で考えられるものは後追いになってしまうのではないかということを危惧するのですが、この辺はいかがでしょうか。
  52. 栢原英郎

    栢原政府委員 現在の五カ年計画の素案では、今御指摘のございましたように、二〇〇〇年時点日本の四大港を中心に十三の水深十五メーター対応のコンテナターミナル整備することにしております。  これは、現在想定されておりますコンテナ貨物量が、特に中枢国際港湾と言われていますいわゆるハブ港湾で扱います貨物量が一億三千万トンから、二〇一〇年、少し先になりますが、二億六千万トン、ちょうど倍増するという想定のもとに二〇〇〇年のコンテナ貨物量を推計をいたしまして、この貨物量を十分に扱い得る量として十三の大型コンテナターミナルを中心とする施設計画をしているものでありまして、少なくとも我が国が必要とする大型岸壁はこれで足りるというふうに考えております。
  53. 東順治

    ○東(順)委員 先々のことですから、これはやはりそこになってみないとわからないという部分が相当あると思いますけれども、待ったなし、土俵際まで来ているということは事実でありましょうから、やはりその辺の先見性に狂いなく、きっちりと対応できるように、有効なそういう手というものを今からきちっと打っていただきたい、このように思うわけでございます。  ここで、例えば、水深十五メーターで北部九州というのは含まれていませんよね、この計画の中に。ところが、私は素朴に考えて、下関とか北九州だとかあるいは博多というのは、これは東アジアの玄関口にこれからどんどんなっていくのだろうと思います。世界もどんどん大きく変わってくるだろう。そうすると、東アジアの玄関口に位置する北部九州みたいなところに水深十五メーターというぐらいのものがなければならないのではないだろうか。五年先になったときに、また、しまったというようなことになってしまうのではないかというふうに素朴に思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
  54. 栢原英郎

    栢原政府委員 昨年六月に発表いたしました長期政策の中では、我が国港湾国際競争力強化するという観点から、複数の大型コンテナターミナルが並んでいるようないわゆるハブ港湾的なものは三大湾プラス北部九州に整備をし、さらにこれを補完するものとして、日本海中部等八地域港湾整備をしていきたいというふうに打ち出したところでございます。  北部九州につきましては、先ほど申し上げましたように、二〇〇〇年までに十三つくります十五メーター対応のコンテナターミナルは現在のところ計画をされておりませんけれども、現地でいろいろ関係者が集まりまして、委員会をつくり、早急にその他の利を生かした計画をつくるというふうに聞いておりますので、五カ年計画の中で対応をしていきたい、地元の検討結果を踏まえて対応をしていきたいというふうに考えています。
  55. 東順治

    ○東(順)委員 そうすると、検討の結果、水深十五メーターということも可能性としてはあるというふうに受けとめてよろしいのですか。
  56. 栢原英郎

    栢原政府委員 計画が策定され、貨物量等の裏づけが十分あり、なおかつ五カ年計画中に着工する必要性が十分あるというふうに判断されれば、計画の部分的な変更をしていくことは可能だというふうに考えています。
  57. 東順治

    ○東(順)委員 わかりました。それから、当然メーンポートを目指す、こういう方向性とその決意と、そういう手を打っていくわけですけれども、何分国際社会の中の日本ですから、また、急速に伸びアジアの中の日本ですから、これはもう本当に、不幸にも我が国港湾がフィーダーポートということにもなりかねないという可能性だって十分にあるわけでございまして、もしかフィーダーポートとなった場合の問題点というのは、どのように考えておられますでしょうか。
  58. 栢原英郎

    栢原政府委員 我が国の主要な港湾近隣諸国からの二次輸送にすべて依存をしてしまうということはまず考えられないとは思いますけれども、もしフィーダーポート、つまりハブ港からの二次輸送でサービスを受けるというようなことになりますと、次のような問題が起こるというふうに考えています。  一つは、現在、荷主の求める輸送の質が非常に高くなっておりまして、在庫をできるだけ少なくして操業するというジャスト・イン・タイムといったようなサービスが輸送面では基本になっていますけれども、これが、ハブ港を経由して輸送されるということによってジャスト・イン・タイムのサービス等への対応が困難になるということが第一でございます。  それから第二に、港で何度か積みかえることによりまして、輸送時間やコストが増大をするということがございます。  さらに、ハブ港を失うことによりまして、そこで大量の荷物を扱い、それに伴って多くの労働者が働くわけでありまして、こういったビジネスチャンスといいますか、雇用の機会も失われるということが問題として出てまいります。  また、物流とともに、物流だけではなくて、それに付随して情報とか金融あるいは保険の分野でも、国際企業のアジアの拠点が日本から逃げ出してしまうということが予想されまして、我が国が国際経済の中枢から脱落する危険があります。  以上の影響は、単に港湾問題だけではなくて、我が国全体の問題となるということが懸念されておりますので、我が国の港が他国の主要港に依存する、我が国の海上輸送が他国の主要港に依存するといったような事態は何とか避けていかなければいけないというふうに考えているところでございます。
  59. 東順治

    ○東(順)委員 これは本当に絶対避けないと大変なことになるのだろう、そういうふうに思います。  今おっしゃいましたジャスト・イン・タイム、あるいはこの港湾の問題だけではなくて、もう日本全体の経済そのものが危なくなってしまう。私もそのとおりだろうと思います。  もともと物流の基本というのは、安くて、早くて、安全で、確実でということで、特に我が国は食糧とか生活物資というのは海外に依存しているわけで、これが全部、フィーダーポートになることによって支障を来すということは、国民生活の維持そのものが大変厳しいものになる、そして、あわせて日本経済国際競争力が一気にダウンをするということになるわけでございますから、これは、日本からの発着貨物というのは日本で取り扱うということを大原則にして何としてもやっていかなきゃいけないし、そういうことから考えたら、次の五カ年計画というのは、私は非常に重要な計画であろうというふうに思います。  これは日本全体がかかっている問題で、いわば日本経済を背中に背負ってこれから五カ年計画というものに入っていくわけで、そういうことから考えますと、何としてもフィーダーポートになる道だけは絶対に避けていただきたい。あくまでもメトンポートというものを目指していただきたい。  そういうことから考えますと、繰り返しになりますが、先ほどの北部九州のこの水深十五メーターなども、地元が本当に港湾管理者などを中心に検討してきて、ぜひということになれば、これはもう柔軟にそのことに対応して、しかるべき施策としてきっちり対応していただきたい、このように重ねて要望しておきたいと思います。  それから、今、大水深コンテナターミナル整備という問題が出ましたけれども、このハードの施設ということとあわせて、やはりソフト面ですね、使いやすい港。先ほどからもいろいろ議論が出ておりましたけれども大臣、このソフト面のさまざまな対応というのは、これまた非常に重要であろうと思います。まず、この辺の御見解をお願いします。
  60. 亀井善之

    亀井国務大臣 先ほど来、委員いろいろ御指摘をいただきまして、まさにアジアの諸国と激しい競争にさらされている我が国港湾国際競争力向上、さらには、効率的なかつ経済的な輸送体系の構築、このことは不可欠のことである、このように考えております。  また、その中で、港湾をハードとソフトの面が両面一体となった形で効率的に稼働させるということが必要なわけでありまして、私ども運輸省といたしましても、今後、ハード面では、先ほど来お話し申し上げておりますとおり、水深十五メートル級の大水深コンテナターミナル整備を今後五カ年間で香港やあるいはシンガポール並みにすることをどうしてもなし遂げてまいりたい。また、あわせてソフト面におきましては、港湾の運営面における改善、あるいは利用料金の低減、港湾情報システムの構築、こういう面でまだまだいろいろやらなければならないところがございますので、早急にこのソフト面に取り組んでまいりたい、このように考えております。
  61. 東順治

    ○東(順)委員 幾らいい港ができても、使いにくかったらこれは船は来ないわけでございまして、そういう意味からすれば、当然ハードとソフト両面がきちっと整備をされるということが大事だろうと思います。  そこで、今大臣からお話が出ました具体的な個々の問題につきましてお伺いしたいと思いますけれども日本国有の問題といいますか独特の問題、こういったところをやはりクリアをしていかないと、私は、アジアのほかの港と比べて互角の勝負はできないんだろうというふうに思います。  そこで、先ほど来からお話が出ておりましたけれども、日曜荷役業務の問題でございますけれども、先ほどの答弁で、再開された状況が三百一隻と、こうおつしゃいましたね。昨年六月十一日以降ですね。この状況はわかるんですけれども、この日曜荷役を再開するのにやはりいろいろな条件があったというふうに承知しております。  一つは外航フルコンテナ船を対象とする、あるいは船の積み込み岸壁への荷揚げ業務に限る、あるいは代休を確保する、出勤は一人当たり月二回というような条件つきでこの日曜荷役再開というふうに承知しておりますけれども、条件なしでフルオープン化というところまでこの日曜荷役は考えておられるのか。もし考えておられるならば、そのフルオープン化への予定というのはいつごろというふうに考えておられるのか。この辺のところをお願いいたします。
  62. 岩田貞男

    ○岩田政府委員 昨年の六月の日曜荷役、いわゆる五大港での再開に際しまして、今先生からお話があったようにいろいろ条件が交渉され、それに基づいてやっていることは事実でございます。その期限が一年でございますので、六月十日に切れるわけでございます。労使とも日曜荷役の重要性については十分認識をしておりまして、日曜荷役の継続に向けて協議の調整が図られているところでございます。  ただ、六月十日でございますので、余りそう日にちが残されておりません。そこで、六月十日が来ても、その後少なくとも三カ月間はさらに延ばそうということで暫定的な合意ができております。これから協議の中でそういったいろいろな労働条件等につきまして真剣なお話し合いがされ て、望ましい解決が図られるように私ども期待をしておるところでございまして、また、そうお願いしたいと思っております。
  63. 東順治

    ○東(順)委員 六月十日というのは、つまり来月の十日という意味ですね。それで期限切れになると。  そうすると、運輸当局としては、十日で切れて、三カ月間またさらに引き延ばして、そして検討期間を置くというふうに今おっしゃいましたが、どういう方向性を考えておられるんですか。こういう方向が日曜荷役については望ましいということをお聞かせいただければ、お願いします。
  64. 岩田貞男

    ○岩田政府委員 一言で申し上げれば、私どもの立場から申し上げれば、やはり需要があるところに荷役サービスをしてもらえるということが一番大切だと思います。  そういうことで労使の方々にお願いをしているわけでございますが、ただ、そこには、結局人の問題、労働条件の問題、人繰りの問題、それからもう一つは、人繰りによりまして、労働条件によりましてまたコストの問題、港湾運送事業者からするとコストの問題、コストがはね返ればまた利用者への負荷になるということがございまして、大変そこら辺が複雑な問題が絡んでおるところでございます。  私どもとしては、冒頭申し上げましたように、やはり需要のあるところにはサービスが受けられるようにということで双方にお願いしているということでございます。
  65. 東順治

    ○東(順)委員 いろいろと複雑な問題が絡んでのことだろうと思いますから、どうかその辺のところ、慎重にかつそしてまた大胆に、先広に広がってまいりますように慎重な対応をお願いしたいというふうに思います。  それからもう一つ、事前協議制度というのが以前ちょっと問題になりましたですね。港湾労働者の保護という本来の目的とは無関係に、港湾事業者間での権益調整というものにこれが用いられているのではないか。私は新聞報道なんかでこれをちょっと読みましたけれども、昨年十一月、運輸省がこのことについてヒアリング調査をなさった。この結果と、その後の状況というものを教えていただきたいと思います。
  66. 岩田貞男

    ○岩田政府委員 事前協議制は、ただいま先生からお話がございましたように、基本的には、労働者の、港湾で働く方々の労働条件が著しく変更しないようにということでございまして、労働条件が悪くならないようにということでございます。そういう意味で、原則として、もちろん労働者側も、あるいは港湾運送事業者側も、船社側もその必要性について異議を挟んでいるわけではございません。私どもいろいろ聞いておりまして、お話のような事情聴取といいますか、実情をお伺いをしたわけでございますが、ややもすると少し制度が複雑になっているということでございます。  そういうこともございまして、基本的にはこれは労使の問題、あるいは船社と港運会社との問題ということで、民間ベースの問題ではございますが、より望ましい港湾荷役における効率化とかいろいろな手続の簡素化ということが必要な観点から、もう少しお話をされたらどうだと申し上げておるところでございまして、今、船社と日本港運協会との間で簡素化に向けた話し合いが行われております。  私どもとしましては、今後具体案が得られ、より合理的な、あるいは簡素化に向けたそういった制度がなされるように期待しておりますし、また、その関係の方々にお願いをしているところでございます。
  67. 東順治

    ○東(順)委員 次に、港の利用料の問題です。  先ほどからも出ておりましたけれども、やはり非常に高い。外国船舶協会が平成六年の八月に実態調査をしたそうでございますけれども、それによりますと、シンガポール、韓国、台湾、香港、この二倍から三倍の高さが日本ではないかというふうに言われております。この外国船舶協会のメンバーと申しますか、現在何社がこの中に外船社が所属しているんでしょうか。——用意していませんか。ちょっと古い資料しかないんで……。六十五社から五十三社に昨年の段階で減ったというふうに私は物の本で読んだんですけれども、現時点でどのぐらいの数になっているのかちょっと知りたかったのですが、いかがですか。
  68. 岩田貞男

    ○岩田政府委員 私ちょっと今手元に資料がございません。少しお時間をいただきまして、調べた後で御報告させていただきたいと思います。
  69. 東順治

    ○東(順)委員 それでは後で教えていただきたいと思います。  それと、コンテナ一個当たりの港湾料がロサンゼルスで日本の七割、シンガポール、釜山が日本の半分以下、あるいはまた、これは運輸省の調査ということで、トランシップ比率、貨物の積みかえの比率、これが、昭和五十二年のコンテナ取扱量が四八・二%だったのが、平成四年で実に二六・七%にダウンをしておる。これは神戸港ですね。それから大阪港に至っては、昭和五十四年が四五%のトランシップ比率だったのが、平成四年で三%だ。ところが、シンガポールは七〇%、台湾の高雄は四〇%、これはすごい数字的なものが出ているわけでございます。  これらが、先ほどから話が出ています、日本港湾の利用料は非常に高い、高いからやはりできればもう避けたいという、そういう大きな流れになっているわけで、先ほどの御答弁で、港湾荷役の人件費が七〇%から七五%を占めているんだとか、いろいろなお話がございましたけれども、しかし、これをこのまま手をこまねいていると、岸壁、港は、ハードの面はきっちりなったけれども、肝心かなめの利用料が高過ぎちゃって、これはもうとても日本には寄れないというこの動き、流れはとめようがないのではなかろうかなというふうに思います。  したがって、これはどうなんでしょうか。国費を投入するというようなことも踏まえて、ここらで抜本的な検討を加えていかなければ取り返しのつかないことになるのではないかというふうに私は思いますが、これは大臣、お伺いしてよろしいですか。この辺のところ、いかがでしょうか。どうお考えになりますか。
  70. 亀井善之

    亀井国務大臣 港湾利用料金の問題等につきましては、現在までもいろいろ、国が、あるいは地方公共団体も無利子貸付の比率を高めるなど、管理費等々につきましても税制上の優遇措置を設けるなど、いろいろ努力をしておるところでもございます。やはりこういう視点に立ちまして、いろいろまた努力をしなければならないのではなかろうか、このように考えております。
  71. 東順治

    ○東(順)委員 これは本当に大臣、深刻ですよ。この問題は、やはり全精力をかけて本気になって取り組まなければいけない重大な問題だろうと私は思います。今のような御答弁ではちょっとという感じがいたします。  どうか強い決意で、ここら辺は大蔵当局とかいろいろなところとの折衝になるわけで、この物の考え方をきちっと決めて、利用料を下げるためにはどうするか、こうすべきだ、そのためには国費はこう要るぞ、こういう強い決意で当たっていただきたい、このように思います。どうぞよろしくお願いします。  時間が来てしまったようでございますけれども、最後に、我が国のこの港湾事業というものが輸出型港湾から輸入型港湾へ大きく変化してきているという実態があるようでございます。これに伴って、要するに出す側から受け入れる側へ実態が変わるわけでございます。これに伴って、その対応策というものをどのように考えておられるか、最後に伺いたいと思います。よろしくお願いします。
  72. 栢原英郎

    栢原政府委員 我が国の外貿コンテナ貨物量は、一九九四年に輸入コンテナ貨物量が輸出を上回るという状況になっておりまして、以後も輸入の方が伸び率が高いという状況が続いております。輸入も輸出も同じコンテナという箱に入れられて運ばれるわけでございますけれども、このコンテナの動きが著しく異なっております。  一つだけ例を申し上げますと、輸出コンテナは 船のスケジュールに合わせて工場等から港に運び込まれてまいりますので、平均滞留日数が二、三日でありますが、輸入コンテナの場合には、船のスケジュールと荷主が必要とするスケジュールが違ったり、あるいは港頭地区で通関等の手続をするために、港での滞留日数が四日から六日という、ほぼ倍増をしております。このために、非常に広いヤードを用意して、そこで滞留している貨物を保管するとか、あるいは港頭地区で流通のための手続をするなどのことが必要になる。  前五カ年計画でも輸入対応の岸壁整備に力を入れてまいりましたけれども、今次の五カ年計画でも輸入対応ターミナル整備に積極的に当たっていきたいというふうに考えています。
  73. 東順治

    ○東(順)委員 時間が参りましたので、これで終わります。
  74. 辻一彦

    辻委員長 以上で東順治君の質疑は終わりました。  北橋健治君。
  75. 北橋健治

    北橋委員 港湾整備緊急措置法の一部改正につきまして、限られた時間でございますが、質問をいたします。  まず第一に、第三条第三項関係で、私は非常に注目しております改正がございます。それは、今後の港湾整備事業に当たって「投資重点化を図ることができるように留意しなければならない。」こうありますが、具体的にはどのようなことをお考えでしょうか。
  76. 栢原英郎

    栢原政府委員 第九次港湾整備五カ年計画投資重点化を図るべき項目としましては、ただいまいろいろ御議論のございました港湾国際競争力を高めるための施策、それから第二に、港湾地帯安全性を高めるための耐震強化策の実施、第三に、良好な生活環境整備するための廃棄物埋立護岸等の整備など、現在各地で喫緊の課題となっていることを主な柱として重点化をしていきたいというふうに考えています。
  77. 北橋健治

    北橋委員 具体的な項目を挙げられたわけでございますが、基本的に「投資重点化を図る」という文言があるときには、やはり今後、財政が非常に厳しい中で、限られた中で、それはお金が幾らでもあれば全国、港湾離島、すべて十分な手当てをしたいところだと思いますけれども、やはりそれぞれの港湾の機能というものがある、それをまず明確化をして、そして拠点化を図っていく、総花的ではなくて拠点化を図っていく、その中で、国際競争力が問われている時代でございますから、緊急性の高いプロジェクト重点的な投資を行っていく、これが私は法改正一つの大きな主眼ではないかと思っているのですが、そう理解してよろしゅうございますか。
  78. 栢原英郎

    栢原政府委員 そのとおりでございます。
  79. 北橋健治

    北橋委員 今後拠点化を図っていく、そこに重点的に緊急性の高いものからどしどし投資をしていく、そのように運輸省は今後取り組まれる、このように理解をしておきたいと思います。  既に同僚委員の方から、港湾の行政全般につきましてるる質問があったところでございます。それを聞いておりまして、今後、十五メーター水深、大水深コンテナターミナル日本も急いで整備していかないと今後大変なことになるという危機感が、御答弁の中からにじみ出ておりました。全く同感でございます。  既にアジア各国におきましては大水深の港が整備されまして、神戸一つとりましても、世界神戸から今は六番目ぐらいになっている、こういうお話でございますが、我が国でこのような大水深の港の施設が立ちおくれたという理由はどこにあるのでしょうか。
  80. 栢原英郎

    栢原政府委員 大水深コンテナターミナルが立ちおくれました第一の理由は、先ほども少し申し述べさせていただきましたけれども、一九七〇年代に整備をいたしましたコンテナターミナルで、一九八〇年代に伸びておりましたコンテナ貨物を十分に取り扱うことができるという状況が続いていたため、新たにコンテナターミナル整備する必要性がその時点で薄かったことが一つの原因であるというふうに考えています。
  81. 北橋健治

    北橋委員 私は、運輸省当局が見通しを誤ったとか、そういうことを申し上げるつもりは全くありませんが、私もふだん労働委員会に所属をしておりまして、産業の空洞化というテーマには、大変心配しながらるる質疑をさせていただいておる一人でございます。  そういった意味では、今後、五年先、十年先、我が日本の産業がどうなるか。既に、ことしに入りまして、海外に拠点が移ったところの生産の比率が二〇%を超えた。この二〇%を超えたというのは、大変大きな歴史的な転換期に当たっている象徴だと私は思っておりまして、そういった意味では、今後、もし将来の見通しを誤るならば、我が国日本の産業全体が大変な困ったことになって、そこに働く勤労者がそのしわ寄せを受けるということになりかねない。そういった意味では、今日の時点において、シンガポールあるいはその他の地域に大変おくれをとっているわけでございます。  今後、大水深コンテナターミナルにつきましても決して日本がおくれをとらないように、万全を期して頑張っていただきたいと思います。その点はもう与党も野党もないわけでございまして、肝心かなめの大蔵省主計局との折衝に当たっては全面的に私ども応援をさせていただきますので、ぜひ御留意をいただきたい、こう思っております。  今までの議論を通じて、国際競争力の観点から港湾のもろもろの行政全般を考えるときに、幾つかの論点がございました。例えば、タグの費用だとか水先案内の費用、あるいは岸壁使用料だとか、いろいろな項目がありまして、それが外国に比べて二倍も三倍も高い、こういう議論でございます。もちろん円高もありますし、人件費が高いということはありますが、これは私は、基本的には国会での議論には余り理由にならないと思うのですね。  それはなぜかといいますと、自動車でも電機でも鉄鋼でも、生き延びるために死に物狂いで、労使がリストラに血のにじむような努力をしているわけでございまして、皆、円高あるいは労務コストという問題にぶち当たっている。その中で、何とか行政と一体となってそれを打開していく、乗り越えていくという知恵を出し合っている段階でございますから、円高であるとか労務コストが高いというのはさておいた方がいいと思います。  そうすると、残された分野におきまして、国際競争力を考えたときに、日本港湾あるいは大水深コンテナターミナル、こういったものが国際競争力を回復してくるためにどういう施策をお考えでしょうか。改めてお伺いしたいと思います。
  82. 栢原英郎

    栢原政府委員 料金の高さ、あるいは使い勝手の悪さなどのほかに、我が国が諸外国の先進港湾と比較をいたしまして著しくおくれているものに、書類等の処理の情報化の立ちおくれというのがございます。  一つのフォームで一カ所に入力をすれば必要な手続がすべて済んでしまうといったようなシステムが今先進港ではとられているわけでありますけれども我が国港湾の方ではまだそういう状態になっておりませんので、やや遅きに失したというおしかりをこうむるかもしれませんけれども平成年度から港湾情報化について精力的に調査をしていきたいということで、今取り組み始めているところでございます。
  83. 北橋健治

    北橋委員 具体的な施策について、情報化という観点からお話がございました。ぜひ頑張っていただきたいと思っております。  雑誌のインタビューで栢原さんがこういうことをおっしゃっておられます。これは、ハード面、ソフト面で日本としてもこれから大いに改善をすべき問題があるということで、国際競争力が落ちている幾つかの理由を挙げておられますけれども、その中で「岸壁の使用料とか水先案内人の費用、荷役の費用、そういうものを全部含めた港湾料金が日本は高くて、釜山の二倍、シンガポールの三倍ぐらいかかります。そういうコスト面での障害が大きいのですね。」と述べておられます。 この委員会でもそういうふうにおっしゃっておられると思います。  続いて局長は、稼働時間や利用料金を見直したり、経費ができるだけ安くなるように情報化や自動化を進めたりするなどの努力をしていかなければならない、このようにおっしゃっておられますが、私も全く同感でございます。  稼働時間、利用料金の見直しということについて、今後、具体的にお考えになっていることがあればおっしゃっていただきたいと思います。
  84. 栢原英郎

    栢原政府委員 港湾施設だけをつくっても十分競争力を持たないということにつきましては、港湾関係者がこの一年間、強く認識をしたところでございます。現在、港湾管理者あるいは港運関係の団体等がその解決に向けて協議を進めているというところでございますので、その結果に期待をしていきたいというふうに思っています。
  85. 北橋健治

    北橋委員 ぜひその方面の御努力を引き続きお願いしたいと思っておりますが、ここで私、一つだけ政府の方針を改めて確認したいと思うのです。  稼働時間の問題、これは経営側あるいは行政側の判断だけではできません。労働者、労働組合の合意というものが必要でございます。私も、この分野において決して専門家ではありませんけれども、大変に港湾関係者、運輸省も含めて御苦労されている問題だと思います。既に同僚委員の間から、日曜荷役の問題なり、今後の二十四時間体制に向けての踏み込んだ対応を求める意見が相次いだわけでございます。これについては、労使間の話し合いを見守るといいますか、運輸省としてもその点について非常に深い関心をお持ちになって考えていらっしゃる姿勢は、これまでの答弁でよくわかったわけであります。  ただ、私、聞いておりまして、政府と労使の話し合いの間には大きな垣根があると思っております。政府がおぜん立てをして、そこに労使を呼んでお話をまとめていくということはなかなか難しいかもしれない。しかし、これまでの御答弁で、やはり二十四時間体制、あるいは場合によっては三百六十五日体制、そういったものをもう念頭に置かないと、日本港湾そのものが外国からどんどんおくれをとって廃れてしまうのではないか。そのことは、日曜荷役についても慎重であった労働組合、あるいはそこに働く労働者の皆さん方生活にも響いてくるわけであります。  そういった意味では、運輸省が今後国際競争力強化を目指す、今回の法改正でもそれを強調されているわけでございますが、当局としてもこれは大変重大な問題である、緊要の課題であるという認識はお持ちだと拝察をいたします。  そこでお伺いをしたいのでございますが、今後、労使のそういった稼働時間の問題につきまして、世界の海はこう変わっていくんだ、世界コンテナターミナルもこう変わっていくんだということで、運輸省としても積極的に世界の情勢を労使にお話をし、円滑な方向に合意形成できるように一肌も二肌も脱がれてはどうかと思うのですが、いかがでしょうか。
  86. 岩田貞男

    ○岩田政府委員 港湾の間でも世界的な競争があります。今までのお話にございましたように、それはハードの面だけではなくてソフトの面も大変重要であるということもよく認識しておるところでございます。  そのような立場に立ちまして、労働者の方々あるいは港湾運送事業者の方々に、そういう世界の動きあるいは輸送荷役のニーズに合ったサービスの提供をするようにということでお願いをしているところでございます。その結果ではないのですが、夜間荷役につきましても約五割が夕刻までやっているとか、少しずつ改善はされているところでございます。そういった問題と、もう一つは荷役の効率化、合理化ということで、荷役機械の近代化という面もまた重要な課題ではあると思っております。  そういうことを踏まえまして、今の先生の御指摘をいただきまして、関係者間におきましてさらなる発展、効率化がなされるよう、私ども努力していきたいと思っております。
  87. 北橋健治

    北橋委員 大臣、御就任されて大変毎日超多忙な日々だと思いますが、関係の労働組合の皆さん方ともいろいろと懇談する機会があると思います。ぜひともそういう機会で——全港湾初め労働組合のお立場も非常によくわかります。わかるのですけれども、労使、知恵を出し合って、これから汗をかいて頑張っていかないと、これから大変な時代を迎えかねないということで、大臣もぜひこの点については、労使の話し合いを待つことではございますけれども、この問題についての労使の円滑な合意形成のためにぜひとも精力的に御尽力をいただければと思っております。
  88. 亀井善之

    亀井国務大臣 先ほど来御指摘をいただいておりますようなこと、十分承知をし、その対応に努力をしてまいりたい、このように考えております。
  89. 北橋健治

    北橋委員 国際競争力を確保する見地から、港湾の利用料金をどのように低減していくかということについては、これまで同僚委員からも質問が出たところでございます。港にはそれぞれ慣例があったり、そしてまた規制が何もすべて悪いわけではありませんで、特に港湾の場合は安全性の確保という大事な大義名分もございます。そういった意味では、いたずらに規制を緩和するとか慣例そのものを全部見直すということだけですべて解決するとは思いませんが、きょうは時間が限られておりますので、これについては改めて別の機会に譲りたいと思います。  いずれにしましても、今後ハード面で施設整備するということは極めて重要でございますが、そういった利用料金を低減していくということについても、今後大いに御活躍、御指導いただきたいと思っております。  残された時間、私は、このたびの第九次五カ年計画の中で非常に注目をしておりますビジョンについて、政府の今後の対処方針をお伺いしたいと思うのでございます。  それは、国際的な中枢港湾整備する、大水深十五メーター級、五万トンクラスのコンテナ船日本に着けるように整備を図るということで、東京、伊勢湾、大阪湾そして北部九州、四カ所を具体的に挙げられまして今後整備を図っていくという計画が出ました。私も九州の一人といたしまして大変心強く感じております。  といいますのは、西暦二〇〇〇年におきまして、運輸省の資料にもございますが、釜山も、あるいは光陽というところにも大水深港湾整備をされているということでございまして、そのときの日本状況を考えますと、かなりその方に持っていかれるのではないか、産業の空洞化という現象がはっきりとコンテナ貿易に出てくるのではないかと非常に不安に思っているだけに、北部九州を含めた四地域重点的に投資をするという今回の政府の御提言には全面的に賛同でございます。  ただ、私は、やはりこれはある面で時間との競争だということを感じております。例えば北部九州でいいますと、すぐ目と鼻の先に釜山があり、そしてまた今光陽で大変大きな港湾整備中でございます。そういった意味では、時間的な観点を考えましても、先ほど投資重点化を図るという具体的な意味についてお尋ねいたしましたけれども、極めて緊急性の高い重要なプロジェクトであると認識しておりますが、北部九州について今後どのように具体的に対処されるのでしょうか。まず基本方針をお伺いしたいと思います。
  90. 栢原英郎

    栢原政府委員 北部九州は、我が国における位置を考えてみますと、関門海峡を通過せずにアジア地域と直接結ばれる位置にある、あるいは我が国日本海側地域と非常に近い位置にある、さらに自然条件を考えますと、水深が深く地盤がいいといったようなこと、あるいは広大な未利用の埋立地があるといったようなことがございまして、今後この地点を大水深コンテナターミナルとして整備していく上では非常に有利な条件を持っているというふうに考えています。  地元での話し合いの結果を踏まえながら、ここ での大水深ターミナル整備について協議をさせていただきたいというふうに思っているところであります。
  91. 北橋健治

    北橋委員 西暦二〇〇〇年時点において釜山港は十五メーター水深港湾四つできるわけですね、ターミナル四つ。そして光陽でも四つできる。目と鼻の先に八つの港湾施設ができるわけでありまして、これは大変な脅威であります。サッカーのワールドカップの誘致ではありませんけれども、こういうことをやりとりするということは余り気が進みませんが、日本の海上輸送力という国の経済の根幹にかかわる問題でございますので、私はやはり、これは大変脅威になることではないか、そういった意味では、これは相当に急いで重点投資をぜひやっていただきたいと思っております。  ここでお伺いしておきたいことは、今度「投資重点化を図る」という文言が法改正で入っておりますけれども、やはりそれぞれの地域にみんなそれぞれ関係者がいて、ぜひ我が地域にということはあります。ですから、それは私も政治家の一人としてよくわかるわけでございますが、限られた財源の中で、しかも国際的なそういった港湾の変化をめぐる情勢をにらみながらいくときに大事なことは、やはり建設コストが安いかどうかということであります。  その点、例えば北部九州でも、私が子供と一緒にいつも釣り糸を垂れる響灘というところがありますが、ここは水深が十三メーターぐらいある。ですから、大水深をつくるのに一番建設コストが小さくて済むわけであります。しかも海流が非常に穏やかでございますので、水先案内、タグ、それに要する経費というものが相当低減できるだろう。そしてまた、自民党、新進党、共産党を挙げてすべての会派が一致するということはなかなかそうないわけでございまして、いかにこれが重要なこととして市民的コンセンサスを得ているかということもございます。  しかも、もう一つ重要なことだと思いますけれども、先ほど日曜荷役の問題を取り上げましたが、東南アジアあるいは目と鼻の先にある韓国、黄海に面する経済圏を特に考えたときに、やはりこれから三百六十五日、二十四時間の体制にいけるかどうか。その点、私も鉄鋼労連の顧問をいたしておりますが、三交代、正月も日曜日も出勤するということはだれも好まない。しかし、労働条件が労使の間で確保されたら、やはりおれたちの職場を守るんだ、仕事があるんだということで働く人たちもまたたくさんいるわけでございまして、北九州市も、このたびまとめたビジョンの中で、三百六十五日、二十四時間体制、これをぜひとも目指そうじゃないかということで、地元で関係者を集めて具体的にコンセンサスを得ているわけでございます。これは、日本港湾のいろいろな状況を見てまいりますと、本当に歴史的、画期的な一つの試みではないか、私はこう思っております。  しかも背後地は二千ヘクタールの遊休地がございまして、世界的に見てもこのポテンシャルエネルギーは絶大でございます。  そういったことを考えますと、北部九州の拠点化、そしてこれは、今後アジアの情勢の中で日本国際競争力を持つコンテナターミナル港を日本整備するという段階にありまして、響灘というのは決定的に重要な意味を持つ。それは単に地元だから申し上げるのではなく、それは国益にかなったことだと思うのであります。  最後に運輸大臣、この北部九州の響灘を中心とするこの地域について今後どのように臨んでいかれるか、決意の一端をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  92. 亀井善之

    亀井国務大臣 響灘の地区が関門海峡の西側、アジアと直接結ばれる地域に位置している、水深が深く地盤がよい、こういうことにつきましてはいろいろ承知をいたしておるところでもございます。また、第四港湾建設局におきましても、地元で北部九州港湾連絡調整会議を設置いたしまして、いろいろ努力をしておるところでもございます。  今先生からも御指摘のように、この響灘地区が水深十五メートルの大水深コンテナターミナルを先行して整備すること等をそこで議論しておるということも承知をいたしておりますので、また地元の皆さん方の御協力をちょうだいし、貨物量の増大に即した北部九州地域コンテナターミナル整備をぜひ積極的に支援をしてまいりたい、このように考えております。
  93. 北橋健治

    北橋委員 終わります。ありがとうございました。
  94. 辻一彦

    辻委員長 以上で北橋健治君の質疑は終了しました。  寺前巖君。
  95. 寺前巖

    ○寺前委員 私、この間、和歌山県の住友金属が埋め立てをやり、港湾整備している姿を見てきました。こんなやり方で計画的にこういう法案を審議させられるんだけれども、よっぽどきちんとしておいてもらわなければ困るなということを感じましたので、まずその点から聞きたいと思います。  一九七八年の八月に住友金属が和歌山製鉄所の敷地の沖合に約百七十六・五ヘクタールの埋め立ての申請をやり、八〇年の六月に免許がおりる。工事は三工区に分け、第一工区は八三年十一月、第二工区は九二年八月に竣功、今第三工区をやって、ことしの八月に竣功しようとしている。  七八年八月一日に知事に出された同社の公有水面埋立免許願書によると、埋め立ての目的は鉄鋼業用地と書かれている。住友金属が行っている埋め立ての用途は今も鉄鋼業用地だ、そういうふうに確認させていただいてよろしゅうございますか。
  96. 栢原英郎

    栢原政府委員 現在も鉄鋼業用地ということで間違いございません。
  97. 寺前巖

    ○寺前委員 環境庁に聞きます。  七四年五月九日の瀬戸内海環境保全審議会の答申「瀬戸内海環境保全臨時措置法第十三条第一項の埋立てについての規定の運用に関する基本方針について」、そこにこう書いてあります。瀬戸内海における埋め立ては厳に抑制すべきであると考えており、やむを得ず認める場合においても、この観点に立って別紙の基本方針が運用されるべきであると考えていることをこの際、特に強調しておきたい、こう書いてある。  さてそれでは、この瀬戸内海にある住金の和歌山製鉄所の埋め立てをするに当たって、環境庁としてはどういう立場で認めたのですか。
  98. 田部和博

    ○田部説明員 今先生指摘のとおり、瀬戸内海の埋め立てにつきましては、瀬戸内海環境保全特別措置法第士二条によりまして、瀬戸内海の特殊性に十分配慮されなければならないとされております。また、その運用につきましては、瀬戸内海環境保全審議会の答申、いわゆる埋め立ての基本方針に沿って行ってきているところでございます。  この埋め立ての基本方針では、埋め立ては厳に抑制すべきであり、やむを得ず認める場合にも、環境への配慮事項等に適合することが求められておりますけれども、当該埋め立てにつきましては、五十ヘクタールを超える埋め立てということで、昭和五十五年の埋立免許の手続におきまして、主務大臣から環境庁長官に意見が求められておるところでございます。  その際、当庁といたしましては、本埋め立てが廃棄物による埋め立てによって工場施設を移転、再編することにより周辺地域の公害問題の軽減、解消に資する計画であることなどから、埋め立て基本方針に適合していると判断したものでございます。
  99. 寺前巖

    ○寺前委員 ところが、九一年の六月に、住金和歌山製鉄所は突如として「西防埋立地の利用計画見直しについて」という文書を関係者の間に配付しています。それを見ると、「環境改善目標値の遵守と鉄鋼生産の維持を現敷地内で両立させることが可能であるとの確実な見通しが得られましたので、埋立地のより高度な利用を図ってまいりますため、利用計画見直しを行なう方針を固めた次 第であります」、こういうことが書かれているのです。  九一年六月というのは第二工区の埋立工事の途中であります。住金ないし免許庁である和歌山から、この事実で、この用途変更について相談があったのだろうか。それとも、変更の許可を認めたのだろうか。関係者にこういう文書が出ている以上は、いかがなものですか。
  100. 栢原英郎

    栢原政府委員 本件の公表につきましては、住友金属工業株式会社が同社の希望を表明したものと承知をしております。公表に当たりまして、運輸省として、同社から特に相談を受けたということは承知をしておりません。
  101. 寺前巖

    ○寺前委員 そうすると、埋立地は原則として抑制すべきだという立場を環境庁はとっている。そこにわざわざ埋立地を鉄鋼業用地として認めた。鉄鋼業用地として認めたのにもかかわらず、もうそんなことはしなくてもいいようになりましたといったら、この計画はもとに撤回させて当たり前じゃないですか。  ところが、五年たっている今日も次々とやっているだけではありません。和歌山市の九一年六月十五日号の「市報 わかやま」というのを見ますと、こういうことが書いてある。「LNG火力発電所か物流基地に」、こういうのが市民の間に広報で流れているわけです。片っ方は全然違う形で認可をおろしているのにかかわらず、新しい公害の問題にもなるLNGの火力発電所だ。こんなことが市から出されている。  ところが、出されているだけじゃないのです。現に、埋め立てのこの地に対して、関西電力が通産省の電源立地環境調査補助金をもらって直接、埋立地の用途変更もしないままで、権利も譲渡されていないのにLNG火力発電所用のボーリングや活断層の探査をやっているのです。  これはおかしな話じゃないか。許認可権を持っているところが知らない間に、事が違うところで進んでいる。こういうことになったら、監督官庁としてこんなばかにされた話はないじゃないか、私はそういうふうに思いました。  そこで、環境庁にお聞きいたします。  瀬戸内海環境保全特別措置法では、原則埋め立てを禁止している。この原則を例外として認めたのは、住金の公害工場の沖出しだ、移転を前提にしたものではなかったのか。そうすると、LNG火力発電所設置では認可の前提条件が違ってくるということになると思うのですが、環境庁としてはこの件に関してはどう見ますか。
  102. 田部和博

    ○田部説明員 埋立地の計画の見直しが行われているということでございますけれども、当庁といたしましては、当初の埋立計画の経緯を踏まえまして、その趣旨に沿った適切な対応が行われるべきと考えております。  すなわち、土地利用の変更が行われるとすれば、当初計画と同等以上の公害問題の軽減、防止が図られることが前提でなければならない、そのように考え、また和歌山県にも申し伝えているところでございます。
  103. 寺前巖

    ○寺前委員 ということはどういうことですか。鉄鋼業用地としての認可のままにありながら、違う方向で通産省のお金までもらってやっているということについて、環境庁としては黙認をしていくという態度ですか。
  104. 田部和博

    ○田部説明員 用途の変更につきまして、公有水面埋立法の関係におきまして当庁としては意見を求められる、あるいはかかわる余地が今のところないわけでございますけれども、もし用途の変更等が行われ、港湾計画の変更というようなことになってまいりますと、また当庁も港湾審議会において意見を述べる等の立場になります。そういった段階で環境保全上の観点から適切に対処してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  105. 寺前巖

    ○寺前委員 かけられた段階で動くんだという発言では私は納得できない。  直接の所管庁であるところの運輸省に聞きたいと思うのです。  公害対策用の鉄鋼業用地として公有水面埋立法に基づいた認可を与えた。埋め立て目的が変わってくる。そうしたら、その点について、変えますという問題提起を受けて初めて事が進むのじゃないでしょうか。それを通産省から金をもらって勝手なことをやられておった日には、運輸省としても、一しかるべきときに申し出がなかったならば黙って見ています、そういう態度ですか。いかがですか、これ。
  106. 栢原英郎

    栢原政府委員 公有水面埋立法につきましては用途変更の手続が定められておりまして、竣功認可前については、法十三条ノ二の規定によりまして県知事の許可を受けなければならないというふうになっております。また一方、竣功認可後の用途変更については、法第二十九条の規定により県知事の許可を受けなければならないという規定になっているところでございます。
  107. 寺前巖

    ○寺前委員 解釈ばかりされておって、どうするかという態度をとらないというのは異常ではありませんか。会社が関係者の間に配ったのはまだ第二工区の完成前ですよ。完成前に関係方面に出したのだったら、ちょっと待て、話が違うじゃないかと怒る気迫がない者が、計画的に港湾を建設していくなんという偉そうなことが言えますかいな。はっきりしないかぬですよ。これはあなた、運輸省の権威にかけてもはっきりしないかぬ。  環境庁は環境庁で、私のところは原則埋め立て禁止を言っておるのに、全然目的の違うところで何の相談もなしに事を始めるとは何事かと怒ることができない。運輸省も環境庁も怒ることができないという問題について、私は一体何事だろうかと思って腹が立っている。大臣どうですか。この件に関して調べてみますか。いいかげんなことをやられておった日にはたまらぬ。はっきりしてください。
  108. 亀井善之

    亀井国務大臣 運輸省といたしましては、当初の用途と異なって利用することとすれば、公有水面埋立法の用途変更を行う必要があるわけでありまして、本件につきましては、用途変更を行うには港湾計画との整合を図る必要があるため、港湾計画の変更手続が必要になる、このように思われます。港湾計画の変更が行われる際には、運輸省において適切な審査を行うつもりであります。  いずれにしても、現在地元において新たな利用計画の検討中の段階、このように考えまして、まずその検討を見守るべきではなかろうか、このように考えております。
  109. 寺前巖

    ○寺前委員 竣功前と竣功後では手続が変わる。竣功前にビラが出ている、関係者に連絡が始まった、市長は市長でそれを一般市民に知らせている。竣功前にこういう事態が起こっているときに、ちょっと待てと何で声をかけないんだ。それは認可をするのは大臣の権限なんだ、おれの権限を奪って知事の間で事を済まそうというのか。私は怒って当たり前だと思うのです。  事実関係をきちっと調べていただいて、私は、瀬戸内海を大事にするのだったら、環境庁が言うように、埋め立ての目的がなくなってしまったらそれはもうやめることだとはっきり言われるのが筋だと思う。筋を通さないような官庁であるならば、だれのための官庁だと言わなければならぬことになる。大臣、よろしいですか。調べてくれますか。——あなたは責任持てるのですか。大臣の権限の話として私は聞いているのです。
  110. 栢原英郎

    栢原政府委員 まず、手続の方を説明させていただきます。  冒頭に申し上げましたように、この埋め立ての目的は鉄鋼業用地として行われておりまして、この変更手続が現在まだとられていないという状況では、私どもは、その目的のために埋め立てが継続されているというふうに判断せざるを得ないというふうに考えております。  第二に、先ほども申し上げましたように、この土地を別の目的に使いたいと言っておりますのは、住友金属工業株式会社の希望を表明したものととらざるを得ない状況にございます。さらに、それに対して県等が調査委員会を設けて、今後の望ましい土地利用を検討している。その結果を 待って変更の手続がなされるものと考えておりますので、現在の状況では、今後のこの埋立地の望ましい土地利用の方向を検討するための作業が続いておりますので、その検討結果を待って、認可申請をしてきた者が、埋立権者が次の行動をとるというふうに理解しているところでございます。
  111. 寺前巖

    ○寺前委員 私は何回もやかましく言いますけれども、通産省が金まで出して、そして目的が鉄鋼業の指定地域になっているのに違うことをやり始めたならば、ちょっと待ってくれということを言って当然だ。だから、その事実関係について、はっきりと大臣として私は調査をやってほしい。そのことを要求しているんです。大臣、どうですか。
  112. 亀井善之

    亀井国務大臣 事実関係につきまして調査をすることはやぶさかでございません。
  113. 寺前巖

    ○寺前委員 そこで、第九次港湾整備計画についてお聞きをしたいんです。  先ほどからお話がありましたけれども、この整備五カ年計画を見ておりますと、国際競争力で打ちかたなかったらえらいことになると皆さんおっしゃっていた。概算要求の段階のこの本を見ておりましたら、第九次港湾整備五カ年計画では水深十五メートル対応のコンテナターミナル等の整備のために二兆七千億円を費やして行うもので、同五カ年計画の総整備費八兆三千億円の約三割強に相当する巨額を費やすのだということがこの中心になっている。  事実、平成年度予算を見ますと、総事業費六千九百九十六億円、拠点整備として千六百二十六億円が書かれており、国際競争力の物流ネットワークとして三千百九十六億円という半分近い事業予算というのがずっと出てくる。ここが私は今度の五カ年計画の新しい一つの重要な点だろう。国際競争力国際競争力で金をどんどん使っていくんだけれども、さてここでお聞きしたいのです。  私は、この間神戸へ行ってきました。神戸へ行ったら、専用埠頭が実はあいて、こちらの十四、十五メートルの新しい埠頭に専用埠頭がかわってきました。あいた埠頭はどうするのや、それを神戸市で買わなければならぬことになります。これはえらい負担になってくるものだ。国際競争力国際競争力で目がそっちへいったら、その間に今度は残ったものはどうしていくのだ。大変なことになってくる。  それで、私はここでお聞きしたいんです。そういうふうにして移動した後は自治体で面倒を見ろよという方針をとるのか、国として何らかの措置をするのか、そこが一つ。第二点、今度は新しい施設にしていく場合に、公共埠頭の岸壁のところは二分の一負担でいくけれども、あとの分野についてはどういう負担になってくるのだろう。国として一体どれだけのお金を持ってくれることになるのだろう。お答えいただきたいと思う。
  114. 栢原英郎

    栢原政府委員 船型の大型化によりましてあいたバースにつきましては、港湾管理者が無目的に買い上げるといったようなことは起こり得ないわけでありまして、コンテナ船以外の在来船等に利用転換されるものというふうに考えております。それらの施設を買い上げて利用するかあるいは新設をするかというのは、コスト比較をした上で決定をしていきたいというふうに思います。
  115. 寺前巖

    ○寺前委員 私がこの間行って聞いてみたら、大体岸壁などを含めて、国が助成してくれるのは大深度のコンテナターミナルの二六%ぐらいにしかならないのだという話でした。あとが自治体の負担になってくるんです。既設のところがあいていって、しかも新しいところへ向かっていったら、また自治体が金を持たなければならぬ。こんなことになったらえらいことになるな。私は、今度の計画の中で、自治体との関係でいったらそれが大きな問題だなということを感じました。  そこへもってきてこういう整備をやってきたら、今度はもっと便利にしょうということで、今度はだんだん無人化というのか、そういう方向に合理化されていくことになるだろう。  そこで、私は聞いてみたら、現在コンテナ荷役料金については、認可料金だけれども少しも明らかにされないんだ。私は、認可料金である以上はそれを公表するのが当たり前だと思うのですが、それは一体どういうふうに考えておられるのだろうか、お聞きしたいと思います。
  116. 岩田貞男

    ○岩田政府委員 極めて技術的な部分がございますから少し答弁が長くなりますので、お許し願いたいと思います。  不特定多数の利用者を対象にいたしました一般の荷役というのは、申請に基づき、役所が認可をして公表しております。  それとは別に、実は特殊な荷役のもの、例えばサイロの荷役ですとかロールオン・ロールオフ船ですとか、特殊なものがあるわけでございます。そうしたものにつきましては、利用者、船会社であり、あるいは荷主さんであるかもしれませんが、そうした方々から、特殊な仕様、こういうように荷役をするのだという仕様の要求がございます。それを港湾運送事業者がつくる場合も、あるいは船会社サイドがつくる場合もありますが、そういったものについては、今までのそういう目的が効率化を図るためにやっているわけですから、原価が一般の荷役のものとは個々に違う、かなり違うわけでございます。したがいまして、そういったものについては、個々に原価計算をして、船会社等のユーザーと荷役業者が話し合った料金がなされるわけでございます。  こういったいろいろ荷役の中のノウハウがございまして、そういったものをベースにした認可申請が来るわけでございまして、コンテナにつきましても、コンテナ荷役と一概に申し上げましてもいろいろなやり方がございます。そういったことで少しずつ違っておるものでございまして、そういったものについては、一般の荷役と違った個々の取り扱いをしているということでございます。  そういった認可申請につきましても、きちんと審査をさせていただきまして認可をしているところでございますが、実はそういったものについては荷主さん等のユーザーと荷役業者との間の個々の契約でございますので、私どもとしましては進んで公表するということはいたしておりません。仮に私どもがやろうとしても、その両者間の御同意というものが要るのではないかと思っております。
  117. 寺前巖

    ○寺前委員 時間が参りましたので、残念ですが、これで終わりますけれども、私は、新しい事態に対応するに当たって地方自治体なりに負担が大きくかかっていく、この事態を放置したままこういう計画をやっていくということは無謀だということを言わざるを得ないと思い、ここに反対します。  以上です。
  118. 辻一彦

    辻委員長 以上で寺前巖君の質疑は終わりました。  これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  119. 辻一彦

    辻委員長 本案につきましては、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  120. 辻一彦

    辻委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 辻一彦

    辻委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  122. 辻一彦

    辻委員長 次回は、明二十四日金曜日午後零時十分理事会、午後零時二十分委員会を開会するこ とといたします。  なお、外務委員会農林水産委員運輸委員会科学技術委員会連合審査会は、同日午前八時三十分から開会の予定であります。  本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十四分散会