○高木(義)
委員 新進党の高木義明でございます。
ただいま上程をされております
外国船舶製造事業者による
船舶の
不当廉価建造契約の
防止に関する
法律案について、お尋ねをしてまいりたいと思っております。
この
法律案につきましては、各業界やあるいは労働諸団体等におきましても、長い間
議論を重ねてこられたところでございます。
平成六年、一九九四年の十二月二十一日に、パリのOECDにおきまして、
日本、米国、欧州共同体、韓国、ノルウェーにより、商業的
造船事業における正常な
競争条件に関する
協定、いわゆるOECD
造船協定が、五年間に及ぶ長い
協議の中で採択をされたわけでございます。そして、翌年の
平成七年、一九九五年十二月十一日、欧州共同体、韓国、ノルウェーが承認書を寄託しておりますし、本年の六月十五日をめどに、残る我が
日本、米国において批准書を寄託する作業が進められております。三十日後の七月十五日までには
協定が発効する見通しであろう、こういう
状況でございます。
協定の内容につきましては、御案内のとおり、国による
造船業への助成
措置の原則禁止、それと
加害的廉売防止の二本柱で成り立っておりまして、
本法案は後者の
加害的廉売防止に係る
国内法整備でございます。
私どもは、この
造船協定並びに法案については、基本的に賛成の立場を表明するものであります。すなわち、
世界における単一の市場であります主要
造船国間の正常な
競争条件が
規定をされるというこの
造船協定は、まさに評価されるものでございます。
ただ、懸念がなしとも言われないわけでありまして、例えば提訴権の乱用の問題がございます。通常の
造船経営をいたずらに阻害するような事態が生じるという危惧もされておりまして、この件につきましては事前に十分な政府間
協議を行うなど、適切な対応策を政府当局にまず要望しなければならぬと思っております。
また、いわゆる新興国といえども、東欧諸国あるいは中国、台湾等、実際にかなりの
建造能力を有する国に
造船協定への参加を呼びかけていくことが、私はこの
協定ないしは
法律を実り豊かにするものではないかな、このように
考えておるわけでございます。
そこで、まず第一に、この
造船協定の経緯と
国内法の
整備について基本的な認識をお伺いするわけでありますが、
外務省もきょうは来ておられますので、まず冒頭にお尋ねをしておきたいと思っております。
いわゆる冷戦構造が終結をしました。そして、アメリカにおきましては軍事予算の削減が国の内政の最重要課題として出ておりまして、この軍事予算の削減に伴って民需への転換、商船部門への再参入を目指す米国の
造船業界が、一九八九年、
平成元年でありますが、六月に、
日本と韓国、ノルウェー、西ドイツが行う政府助成は米国の通商法三〇一条、不公正な貿易慣行に当たるとして、米国通商代表部に提訴するという事件が起こったわけであります。これに端を発しまして、同年十月よりOECD
造船部会に米国を迎えての
協議へと発展したわけであります。
この中で、政府による補助金を廃止するための
協議が
開始されました。今回の
協定の締結に至るまでになったわけでありますが、いわゆる
加害的廉売防止の内容がこの政府助成に付加された、この経緯について一体どうなのか、そしてまたその
理由は何なのか、この点についてお伺いをしておきます。