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1996-03-13 第136回国会 衆議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月十三日(水曜日)     午前十時八分開議 出席委員   委員長 辻  一彦君    理事 武部  勤君 理事 細田 博之君    理事 村田 吉隆君 理事 赤松 広隆君       衛藤 晟一君    小里 貞利君       高村 正彦君    佐藤 静雄君       橘 康太郎君    林  幹雄君       堀内 光雄君    村岡 兼造君       茂木 敏充君    横内 正明君       緒方 克陽君    左近 正男君       田中 昭一君    田中  甲君       寺前  巖君  出席国務大臣        運 輸 大 臣  亀井 善之君  出席政府委員        運輸大臣官房総        務審議官     相原  力君        運輸省鉄道局長  梅崎  壽君        運輸省自動車交        通局長      山下 邦勝君        運輸省海上交通        局長       岩田 貞男君        運輸省航空局長  黒野 匡彦君  委員外出席者        参  考  人        (日本国有鉄道        清算事業団理        事)       鈴木 三也君        運輸委員会調査        室長       小立  諦君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十八日  辞任         補欠選任   衛藤 晟一君     武藤 嘉文君 同日  辞任         補欠選任   武藤 嘉文君     衛藤 晟一君 三月十三日  辞任         補欠選任   左近 正男君     田中 昭一君   高見 裕一君     田中  甲君   志位 和夫君     寺前  巖君 同日  辞任         補欠選任   田中 昭一君     左近 正男君   田中  甲君     高見 裕一君   寺前  巖君     志位 和夫君     ――――――――――――― 二月二十七日  信越線存続に関する請願佐藤守良紹介)(  第二四号)  外航海運存続支援政策全面実施に関する請願  (桜井新紹介)(第一三八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月五日  四国への新幹線鉄道の導入に関する陳情書  (第一四一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  陸運に関する件  海運に関する件  航空に関する件      ――――◇―――――
  2. 辻一彦

    辻委員長 これより会議を開きます。  新進党所属委員出席がありませんので、この際、理事をして出席要請をいたします。しばらくお待ちください。  速記をとめてください。     〔速記中止
  3. 辻一彦

    辻委員長 速記を始めてください。  新進党所属委員出席要請いたしましたが、出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。  陸運海運及び航空に関する件等について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りをいたします。  陸運に関する件について、本日、参考人として日本国有鉄道清算事業団理事鈴木三也君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 辻一彦

    辻委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————
  5. 辻一彦

    辻委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村田吉隆君。
  6. 村田吉隆

    村田(吉)委員 自由民主党の村田吉隆でございます。  今、私はこの場に立ちまして、国会の異常な事態が続いてもうかれこれ二週間たとうとしているわけであります。大変残念な気持ちでただいまから質疑を始めたいと思っております。予算委員会がストップしておりますが、運輸委員会におきましてはまた格別重要な問題があるわけでございまして、私たちにそうした機会を与えていただきましたことに対しまして、心から感謝を申し上げたいというふうに思います。  さて、まず第一でございますけれども台湾中国情勢が、台湾総統選挙を前に大変緊迫化してまいりまして、去る八日にはミサイルが撃ち込まれる、そして昨日から、今度は実弾による射撃訓練が行われるようになってきているということでございます。そうした中で、日本台湾、あるいは日本香港等をめぐります航空路が大きな影響を受けているやに聞いているわけであります。そうした事情につきまして、運輸省旅客の安全を確保するためにどうした措置をとっているのかということについて、御説明を賜りたい。まず初めに、この間、八日からの事態につきまして、どうした事態を把握しているのか、そしてどうした措置をとっているかについて御説明を賜りたいと思います。
  7. 黒野匡彦

    黒野政府委員 今回の件につきまして私どもは大変重大に認識しておりまして、今回の訓練空域といいますのは、東南アジアへ向かいます航空機の主要な路線でございます。日本航空機が一日に約五十便、外国が八十便、合わせて百三十便余がその周辺を飛んでいるわけでございまして、ここでミサイル訓練が行われる、あるいは引き続き実弾演習が行われるという情報に接しまして、直ちに所要の行動を起こしております。  具体的に申し上げますと、まず、これは先生も御案内のとおりでございましょうが、世界の空というのは、各国がそれぞれ分割いたしまして安全上の責任を負うことになっておりまして、FIR専門用語で呼んでおります。このミサイル訓練を行います地区は、台北FIR空域でございます。そこで、台北FIRから三月五日に、ノータムといいまして、航空情報、こういう情報があるからこの空域は進入はだめですよというノータムが出ておりまして、私どもはそれを入手いたしまして、これは直接エアラインの方にも行っておりますが、私どもが念のため、各エアラインに入手していることを再確認いたしております。  そのノータムの結果、この航空路にもろにひっかかるのは一つだけでございまして、この航空路は週に六便飛ぶという比較的マイナーな航空路でございます。これは、このノータムに従いまして、別の航空路の方に迂回措置をとっております。それから、メーンの航空路の方はこの危険空域には入っておりませんが、この航空路がちょうど中国の本土とこの着弾地点の間を通る航空路でございます。もちろん安全上は問題がないわけでございますが、念には念を入れまして、機長の判断ということで、一部の航空機はさらに東側といいましょうか、南側といいましょうか、航空路を変更いたす措置をとっているところでございます。  一方、福建省の沖での実弾演習につきましては、ここはFIR関係で申しますと、台北香港、この両方FIRにかかるところでございまして、両航空当局からノータムがそれぞれ出ております。これにつきましても、航空路そのものには直接ひっかからないわけでございますが、この演習空域航空路がかなり近づいておりますものですから、両航空当局、要するに台湾香港から、航空路を少し南側に変えるというノータムが出ております。それに従いまして、当方といたしましても各エアライン指示をいたしたところでございます。  なお、私どもがこれからエアラインとこの問題についてどういう対応をするかということでございますが、やり方は大きく分けまして二つほどございます。一つは、個々の航空機フライトプランが出されますから、そのときにきちんと把握し、指導するということでございます。それからあとは、必要に応じましてそれぞれのラインを通じまして注意喚起するということでございます。  したがいまして、今の事態は大変残念ではございますが、少なくとも航空の安全という面につきましては、私どもは万全の措置をとっているつもりでございます。
  8. 村田吉隆

    村田(吉)委員 安全であるというお話がありましたけれども、ちょっとちなみにお伺いをしたいのですが、そのノータムというのは台湾から日本の方に知らせてくるわけですよね。たまたま今度の場合、台湾というあれがあって、あらかじめ知り得る余地があったということなのですけれども、三年前ですか、九三年には北朝鮮のミサイルが突然発射されるというようなことがありましたね。そういうときには、いかなる当局がそうした事態を知らせてきて、そうした航空の安全を図るかということについて、乗客は本当に心配していると思うので、どうかひとつ、今回の事態の発生においても、運輸省を含めて万全の態勢をとっているということをしっかり我々国民に知らせるような措置をとっていただきたいというふうに心からお願いをしておきます。  それから、時間がないものですから、次へ進みます。  日米航空協定、私もかねてよりこの問題について関心を持ってまいりました。関心を持ってきたというのは、もちろん航空協定という事柄もしかりでございますけれども日米のこうした条約の中での不平等性について、大変私は問題にしてきたという気持ちがあるわけなのです。  聞くところによると、今月の二十五日には、五回目の日米航空貨物にかかわる交渉が東京で開かれるようでございます。大分時間もたちますし、そろそろ現状を、交渉の最中でございますから詳しいことは明らかにしてもらえないかもしれませんけれども、一方においてダイは、平等化という意味で、私が考えるのに、タイの目的を果たす航空協定を新しく結ばれた、それから一方においてドイツも、こちらの方は自由化という前提に立って協定を新しく結ばれたというふうに聞いておりますが、航空世界において、平等化というのとそれから自由化という主張と、いろいろ難しい兼ね合いが今日あると思うのですよね。  しかしながら、日本にとっては、まず平等化というか機会均等ということでやられてきたと思うし、まず自由化を実現する前に平等ということをアメリカ認識させなければいけない、これが大前提であるということで交渉されていると思うのですが、最近の情勢、もし我々に御開示できるところがあればお知らせをいただきたいと思います。
  9. 黒野匡彦

    黒野政府委員 先生の御指摘のとおりでございまして、私ども、従来より平等化というか機会均等を訴えているところでございます。  ただ、その背後には、やはり日米間の拡大しつつある航空需要にどうやって対応していったらいいかという、より本質的な問題があるわけでございまして、平等化と同時に我々は、やはり拡大していく、規制の緩和をしていく、長期的には自由化するという方向も視野に入れております。  したがって、私どもは、何も平等化できなければ一切動かないということではなくて、平等プラス自由という両方を旗印にしているというポジションでございます。それに対しまして、米側は、現在彼らが持っている既得権といいましょうか有利なポジション、これを放棄することは一切ノー、その前提自由化に持っていきたいということでありまして、そこのところが大変大きく隔たっているところでございます。  具体的に日米貨物協議でございますが、前回の場でアメリカ側が、これは交渉上の一プロセスの問題でしょうけれども、従来の日米間の信頼関係から見ると、やや疑念を呈せざるを得ない提案をしました。それはむしろ日米間の格差を広げるような提案をしました。それにつきまして、私どもは非常に強硬に抗議をいたしました。その結果、アメリカ側もこの提案を取り下げ、日本側提案を、一部修正いたしましたが、これをベースに五回目は真剣に討議しようということになってきておりますから、我が国のかなり強い立場というのをアメリカ側も理解をしつつあるのではないか、こう思っているところでございます。  なお、今先生指摘にございましたドイツでございますが、これは確かに自由化オープンスカイを目指した新しい協定に合意をしたわけでございますが、実はこの前の段階で、一九九一年から、ドイツアメリカに対しまして、不平等の解消のかなり粘り強い交渉をしたわけであります。そのプロセスで、時のコール首相がみずからクリントン大統領に対しまして、協定を破棄することもありますよというかなり強硬なレターを出されたりして、国を挙げてアメリカに当たったわけであります。その結果、一九九四年にかなり平等化した協定がまずできました。その経緯を経て今回のより自由なものになったということでございまして、ドイツポジションと今の私どもポジションとは若干違うと思っております。  したがって、私どもも、将来的に自由化というのを決して否定するわけではございませんが、いわば現在大きく格差を持ったまま、今これで、はい自由化しましょうというのでは余りにもフェアではないではないかというポジションで、少しでも平等化を実現しながら、それを見ながらまた自由化をやっていくという方針で臨みたいと思っております。  貨物につきましては、できるだけこの三月末で決着を図りたいと思いますし、また旅客につきましても、引き続きアメリカにテーブルに着くように要請をしていきたいと思っております。
  10. 村田吉隆

    村田(吉)委員 貨物が済むと旅客に移ってもらいたいというふうに思っておるのですけれども太平洋路線便数でいったら、アメリカ日本格差というのは七対三、それから以遠権ではほとんど百対一ぐらいの差があるという状況ですよね。アメリカにとって、日本からのほかのアジア諸国への以遠権というのは、積み取り比率を見ても非常に効率のいい運航をしているわけで、彼らにとって本当に捨てがたい妙味が、実益があるのだろうというふうに思いますけれども、どうかひとつ、自由化はもちろんでございますが、その前に二国間の航空協定の本質的な平等あるいは機会均等化を実現しなければいけない、そういう不退転の決意でもって二十五日に臨んでいただきたい、大臣にもそのことをお願いして、私の質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  11. 辻一彦

    辻委員長 以上で村田吉隆君の質疑は終わりました。  続いて、細田博之君。
  12. 細田博之

    細田委員 先ほど村田委員から、中台間の海洋上での中国による演習の問題に関連いたしまして、航空関係への影響についての質問があったわけでございますが、我が国海運に及ぼしている影響について御説明を願いたいと思います。
  13. 岩田貞男

    岩田政府委員 お答えを申し上げます。  中国によるミサイル訓練海域あるいは実弾訓練海域我が国船社運航する船舶への通報でございますが、これは事前に、それぞれ海上保安庁によりまして、複数の手段で航行警報が発出されております。  さて、お尋ねの我が国海運への影響でございますが、一つ旅客船関係でございます。  これは定期航路がございまして、三月八日那覇発石垣経由で三月十日に基隆に寄港する外航フェリーが、運航を取りやめております。ちょうど航行区域ミサイル訓練区域に接するもので、そういうことで取りやめておるわけでございます。  それから、貨物関係でございますが、これは日本船社運航する船舶のうち、例えばタンカーなどの不定期船については、大半が台湾太平洋側運航するために特に影響はありませんが、日本から香港へ向かう、あるいはまた香港を経由してヨーロッパに行く船舶につきましては、通常であれば、今回中国が設定した実弾海域を通過すると考えられております。したがいまして、これらの船舶については当該海域を迂回することが必要になっております。現在のところ、いろいろ情報の把握に努めておりますが、これらの船舶のうち運航を見合わせたという報告はございません。引き続き慎重に情報の聴取に努めていきたいと思っております。
  14. 細田博之

    細田委員 既にいろいろな影響が出ていることがわかったわけでございますが、そもそも国なり政府というものはどこまで責任があるのかという点が、よくわからないわけでございます。  先ほど局長からのお話では、海上保安庁等を通じていろいろ連絡をとるというようなことを言われているわけでございますが、例えば必ず、そこの中台に限らずでございますが、どこかの海峡で大きな問題が発生したぞ、そしてまず日本企業で船を運航しているもの、あるいはこれから出ようとするものに対しては何らかの通知をするとか、外国の船であるけれども日本に向かっているものはどうかとか、あるいは日本指示で動いている船はどうかというようなときに、一体国というのはどこまでそういった通告、通知義務があるのか。先ほど言われたようなことは親切でやっておられるのか、あるいは企業間では親会社から、あるいは関係会社から電話等でどんどん運航中の船に連絡できるような体制になっているから問題がないのかどうか、その辺の実態についてさらに詳しく御説明願います。
  15. 岩田貞男

    岩田政府委員 お答えを申し上げます。  本来、担当海上保安庁でございますので、私はその危険を回避する側の立場ということで少しずれるかもしれませんが、海上保安庁がそれぞれ諸外国のそういう担当機関と連携を組みまして、おおむねのカバーを、どこの海域をどこの国がカバーするかということを決めておるようでございます。その海域につきましては、当然海上保安庁我が国船社運航する船舶についてそういう通報をするわけでございますが、その海域にありますほかの船舶についても、そういう情報が受けられるようなお話し合いになっていると伺っております。
  16. 細田博之

    細田委員 その点、日本に来る船、あるいは日本から出る船、あるいは貨物等について、被害が起きないように十分体制整備していただきたいと思います。  次に、空港整備のことについてお伺いいたします。  第七次空港整備計画でございますけれども、いよいよ煮詰まって、予算的にも平成八年度いろいろ盛り込まれておるわけでございますけれども、基本的な考え方、そして具体化のための今後のスケジュール、そして特に、日本空港が大変いわゆる国際的なハブ空港化という流れにおくれていて、その整備が必要であると言われておるわけでございますが、第七次空港整備計画の策定におきまして、この点をどのように配慮しているのかということについてお尋ねします。
  17. 黒野匡彦

    黒野政府委員 第七次の空港整備五カ年計画平成八年度から始まります。先ごろ閣議了解という形で総枠を三兆六千億という御了解をいただいているところでございまして、これからこの中身を具体的に詰めさせていただく、例えば、一般空港でどの空港整備するかということをその中にどう盛り込むか、いろいろ御意見を伺いながら決めていきたいと思っておりまして、この十月もしくは十一月ごろ閣議決定という形で中身を決定させていただきたい、かように思っておるわけでございます。  ただ、この基本計画、五カ年計画の基本的な考え方は、既に昨年の八月の航空審議会中間取りまとめの中で大筋を示していただいておりますし、私どもそれに従ってまとめているところでございますが、概略申し上げますと、一つの大きな柱はやはり拠点空港整備ということでございます。さらにこの拠点空港二つに分かれまして、いわゆる国際ハブ空港整備、それから二番目は国内拠点空港整備、この二つでございます。  一方、それ以外の空港一般空港につきましては、ネットワークの整備という観点からはほぼ概成しているという認識のもとに、今ある空港をより使いやすくするにはどうしたらいいか、そういう方に資金を集中的に投下しようではないかという考え方を持っております。ただ無論、需要との関係でございますから、それ以外でも需要があり、緊急性のある空港については個別にまた整備をしていく、こういう考え方を持っているところでございます。  その中で、特に問題は国際ハブ空港でございまして、東南アジア等でかなり大規模空港整備が進められておりますし、また国際的な航空需要見込みでは、これからはアジア時代であるということで、特にこの太平洋路線需要が大変伸びるであろう、むしろ大西洋を凌駕するであろうという見込みでございます。そういう需要日本として十分受け入れるだけの空港をつくらなければいけないという強い問題意識危機意識を持って対応したいと思っておりまして、この七次の計画の中におきましても、国際的なハブ空港整備の方にかなり重点的な資金投下をさせていただきたい、かように思っているところでございます。
  18. 細田博之

    細田委員 ハブ空港について、シンガポールとか中国韓国等で非常に大規模空港整備されている、それに対して日本がおくれているではないかということがよく指摘されるわけなんですね。  しかし、私もいろいろ海外へ出かけたり、あるいは国内でも移動したりするときに、考えてみますと、航空旅客が、旅客中心に考えてみますときに、わざわざ方々に寄って、あの飛行機の乗りかえというものは極めて面倒であり、荷物がちゃんと届くかどうかもわからないような世界的現状でございますので、そういった中で、どこかでワンクッション、ツークッション置いて飛んで回るというようなことが本当に言われているほど起こるのかなということが一つ。  それは、あくまでも国内ネックがあって、大規模空港が外にあるからということではなくて、やはり日本国内に非常に大きな旅客の量に対するネックが生じて、それでやむを得ず、だんだんほかへにじみ出していくというようなものではないかと私なりには考えるわけでございますが、どうも世の中の認識は、そんなことはない、やはり巨大なハブ空港近隣諸国にできると、どんどんストロー効果のように吸収されていくという認識が出回っておるわけでございますが、本当にそうかどうか、どうお考えか、御説明願います。
  19. 黒野匡彦

    黒野政府委員 先生の御指摘、私どもも同じ問題意識を持っておりまして、今世界は、需要のあるところはなるべく直行便を飛ばそう、こういう時代でございます。貨物は自分で文句を言いませんから、これはいいのですが、お客さんの場合には、一回おりますと何時間かそこで時間ロスがあるわけでございまして、サービスという意味におきましては大幅に低下するわけでございます。したがって、需要の塊があれば直行便で飛ばすというのが世界的な動向でございますし、アジア各国もそれを目指しているということでございます。  ただ、需要の少ないところはやはりどこかで乗りかえ機能が出てくるであろう。そのときに一体どの空港を利用するかということがどうしても問題として出てくるわけでございまして、日本のようにそもそもの直行需要が多いところに路線が集まれば、おのずからその乗りかえのための便数も集中すると思っております。一したがって、そういう意味におけるハブ機能というのは、日本国際空港でも必要だと思っておりますし、そのような需要も含めて十分対応できるだけの空港をつくらなければいけないと思っております。ただ、やみくもに東南アジア各国と競争してつくるというのではなくて、今申し上げた需要も含め、日本に発着する需要には十分対応する、これが我々の目標でございます。
  20. 細田博之

    細田委員 大臣にお伺いいたしますけれども、今局長がおっしゃったような基本姿勢というのはあるのだと思いますけれども、やはり成田でさえなかなかできないわけですし、羽田の沖合あるいは関空第二期工事、その他中部だ、九州だというときに、なかなか日本空港整備、大規模空港整備の環境というのは、これまでも障害が大きく、非常に厳しい面もあったわけでございますが、この空港整備についての御決意のほどを承りたいと思います。
  21. 亀井善之

    亀井国務大臣 今委員いろいろ御指摘をいただきました。また国際的にも東南アジア、いろいろ整備をされておるわけであります。第七次空港整備五カ年計画、これらの計画を着実に実行し、我が国対応をしっかり図ってまいりたい、このように考えております。
  22. 細田博之

    細田委員 新しい料金制度のもとで航空各社が出してきた料金、さまざまな問題点があり、一たん出してからまた変更したというようなこともあるようでございますが、全般的所感について運輸省の方から伺いたいと思います。
  23. 黒野匡彦

    黒野政府委員 今回、幅運賃制度を導入させていただきました。それにつきまして各地からさまざまな御意見のあることは、私どもも十分承知をいたしているところでございます。  今回の導入につきまして、実は問題を二つに分けて私どもは理解をしております。一つは、今までの制度からこの新しい制度へ乗り移る、そのプロセスにおけるいろいろな問題点、それから、そもそもこの幅運賃制度そのものに内在している問題点といいましょうか、特色といいましょうか、その二つに分けて考える必要があると思っております。  そこで、最初の乗り移り、これに伴いまして、運賃が上がるところ、あるいは下がるところ、割引制度が変わるところ、いろいろございまして、これは、上がるところがらは当然御批判がございますし、下がるところは褒められるのではなくて黙っている、こういうことでございまして、私ども、ここはやはり、前から申し上げておりますが、初値という理解でございまして、この制度をこれからしばらく続けさせていただいた上で評価をいただきたいと思っておるところでございます。  それから、この制度そのものが持っている特色でございますが、これは、例えば同じ路線でも複数の運賃があり得るという形、しかも幅の中で各エアラインの判断で運賃設定できるという弾力性が与えられるわけでございますから、そこにおのずから競争意識が導入されるわけでありまして、方向といたしましては、コスト削減努力をおのずから窓通するといいましょうか、促す、そういう制度でございますから、最終的には利用者にとっても十分メリットのある制度だと思っております。
  24. 細田博之

    細田委員 新しい運賃制度が発足したばかりでありますから、もうちょっと様子は見る必要があるとは思いますけれども我が国の着陸料も高く、海外の諸国に比べて日本航空運賃がまだまだ高いということが言われておるわけでございます。平成八年度予算でも着陸料を引き下げてはどうかというような強い要望もあったわけでございますけれども、予算で認められましたのは、離島の着陸料の引き下げというごく一部にとどまったわけでございますし、これは本当に小さな影響にとどまるわけでございます。  我が国の観光旅客というものは海外に比べれば非常に圧迫をされておる、そして外国人観光客に対しても非常に高いコストになって、外国人観光客が日本を訪れにくい、そして日本人は安い海外へどんどん飛行機を使って観光に出かけていってしまう、こういう実態にあるわけでございますが、着陸料等の問題を含め、我が国航空運賃のより合理的なあり方についての検討をぜひともお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
  25. 辻一彦

    辻委員長 以上で細田君の質問は終わりました。  緒方克陽君。
  26. 緒方克陽

    ○緒方委員 社会民主党の緒方でございますが、質問をさせていただきたいと思います。  今度の国会、大変異常な事態が続いておりますが、予算委員会では百三十数時間に及ぶ審議がされて、分科会なども入れれば百八十時間に及ぶ審議がされているにもかかわらず、マスコミの報道、いろいろな誘導もあろうかと思うのですが、審議が不十分だと、対案も出ていないというような中で異常な状態が続いていることについて、非常に遺憾に思うわけでございます。国会は、国民の皆さんの負託にこたえるためにも、審議をきっちりやっていかなければいけないというふうに私は考えておるわけでございます。  そこで、きょうは三点について御質問をさせていただきます。  細田先生には大変申しわけないのですが、細田先生の地元から私どもの組織を通じて陳情がございましたので、その点について、恐縮ですが、質問をさせていただきたいと思います。  山陰線というのは日本海側の主要な鉄道というふうに私は認識をしておりますし、これが大きな役割を果たしているし、これからもまた役割を果たしていかなければいけない、乗客の利便あるいは地域の交通の重要な役割を果たしていかなければいけないというふうに思うのです。  JR西日本の会社の管内でございますが、平成六年十二月三日からJR西日本の新ダイヤがスタートをしたわけでございますが、実は大変問題が起きておりまして、新型車両一二〇系にトイレが設置をされていないということで、たくさんの人たちがトイレに行けないということでいろいろな事件が発生しまして、地元の新聞では社説にも取り上げられる、たくさんの投書も出る、署名運動もされるということで問題が起きているわけでございます。  この問題については、鉄道の旅客サービスの向上という観点からも、これは非常に問題ではないか。出物はれもの所構わずということでございますが、お年寄りやら子供を含めて、非常に問題があるということでございましくこの新型車両にトイレなどの設備をぜひ設置していただきたいという要望が出ております。運輸省としては、JR西日本に対してしかるべき話もされているやには聞いておりますが、この点についてお尋ねをしたいと思います。
  27. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 ただいま御指摘の点でございますけれども、まず基本的な考え方といたしまして、JR各社におきましては、長距離の旅客輸送を目的とした優等列車に対しましては、乗客の乗車時間が長いということ、それから停車駅の間隔が長いということ、こういうことから列車へのトイレの設置は不可欠なものとして、トイレを設置しております。  御指摘の山陰線でございますが、快速列車の一部にトイレのない列車がございました。これにつきましては、今月の十六日のダイヤ改正に合わせまして、JR西日本におきましてはトイレのある車両に置きかえるということにいたしております。すなわち、快速列車の方は、このたびのダイヤ改正に合わせて措置をするということでございます。  一方、各駅停車の列車のうち、新型車両を使用した列車には御指摘のとおりトイレがございません。これにつきましては、車両にトイレを設置するための改造というのがなかなか技術的に難しいという問題がございますけれども、地元の要望が強いということから、なお改造の技術的な可能性や地元自治体との協力の可能性などにつきまして、JR西日本と地元自治体との間で現在検討しているところであります。
  28. 緒方克陽

    ○緒方委員 現在検討されているということでございますので、よろしくお願いしたいと思います。  同時に、それが全部整備されれば問題はないわけでございますが、どうしても難しいという場合には駅を使ってくれという会社の宣伝、対応もあるようでございますが、その駅にもトイレがないということになりまして、いろいろ問題が起きております。県議会とかその他でも取り上げられて、県知事の答弁としては、地域の活性化事業といいますか、いろいろなことを考えて、何とかそういうお客の利便のために自治体としてもお金を出したい、補助をしたいという考えもあるようです。  これについては、自治省としては幾つかの壁があるということで問題もあるようですが、やはり利便ということを考え、しかも自治体がそういうふうに補助金を出してもいいというふうに言っていることについては、検討しながら、前向きにいろいろ自治省などとも話をして、これが実現できるように努力をしていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  29. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 御指摘の駅のトイレの問題でございますが、島根県内の山陰線におきましては、四駅につきましてトイレが設置されておりません。これにつきましては、ただいま先生指摘のとおり、地元からの協力の打診もございまして、トイレの設置につきまして、JR西日本と地元自治体の間で検討中でございます。私どもとしましては、この検討を見守っているところでございます。
  30. 緒方克陽

    ○緒方委員 検討を見守るということでございますが、見守るんじゃなくて、ぜひ自治省の方にも話をしていただきたいというふうに希望しておきたいと思います。  それでは次に、鉄道共済年金と厚生年金の統合の問題についてお尋ねをいたします。  この問題、鉄道共済年金、それからNTT、JTの年金の統合の問題というのは長い懸案でありましたが、いろいろ懇談会などの議論もありまして、法案として提出をされたということになりまして、いろいろ議論がこれからされていくわけでございます。鉄道年金をもらっている人にとっては、百十分の百ということで約一〇%のカットがされたり、財政再計算で、一昨年ですか、十月だったと思いますが、六年間放置をされていた三・六%の財政再計算がようやく回復したということもございますが、まだ財政再計算の三・四%とか、あるいは百十分の百という一割カットの問題が残っている。  他方、厚生年金とかあるいは公務員年金とか、いろいろなところがら援助を受けながら鉄道共済年金が運営をされてきたという経緯からすれば、なかなか無理も言えないという側面もありますけれども、年金受給者、働いてきた人はそれなりに一生懸命働いてきたのに、何で自分たちだけこういう不遇な目に遭うかという声が、我々に率直に上がってくるわけでございます。  いよいよ統合されるということになっていくわけでございますが、この問題については、ぜひ安定的な年金の給付というものができるようにしていかなければいけないというふうに思うわけでございます。この点について大臣の所感をお聞きしたいと思います。
  31. 亀井善之

    亀井国務大臣 今委員からいろいろお話しいただきまして、まさにそのとおりと考えております。  去る八日の日に、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案が政府において閣議決定をされまして、国会に提出されたところであります。この法律案は、長年の懸案でありました日本鉄道共済年金の厚生年金への統合を平成九年四月一日から実施しようとするものでありまして、これにより、四十万人を超える鉄道共済の年金受給者にとっては年金給付が将来的に安定する、こういうことになりますので、大変喜ばしいことではないか、このように考えております。
  32. 緒方克陽

    ○緒方委員 まだまだこれからいろいろ審議をされていくわけでございましょうが、直接の法律の所管は厚生省で、厚生委員会ということになろうかと思いますが、しかし、運輸省も職員をたくさん抱えていた経緯もあるわけでございますので、二点だけお尋ねをしたいと思います。  この統合に当たっては、世間一般では持参金とか言っておりますが、法律的には鉄道共済の移換積立金という言葉が使われているようでございますが、これは、清算事業団からの積立金を厚生年金へ持っていくということと、それからJR各社の負担ということになると思いますが、二十年で分割するんだというお話もございますし、いや、一括して払うんだという話もございますが、現在の検討状況はどういうことになっているのか、お尋ねしたいと思います。
  33. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 まず、移換積立金の負担割合の問題でございます。  今回の厚生年金保険法等の一部を改正する法律案におきまして、鉄道共済組合が厚生年金保険に移換することとされている積立金につきましては、鉄道共済の現有積立金を充ててもなお不足する額について、事業主が負担をするというような考え方でございます。  この場合、鉄道共済につきましては、国鉄の分割・民営化の前後の期間におきまして、事業主としての責任が分かれますので、これに応じまして、積立金の不足額について、民営化前の期間にかかわる分につきましては旧国鉄の事業主としての地位を引き継ぎました清算事業団が、民営化後につきましては鉄道共済に加入いたしておりますJR各社などが負担するということになっております。  この具体的な移換すべき積立金でございますが、約一兆二千百億円と見込まれておりますけれども、現段階におきます粗い試算におきましては、現有積立金で充当できる額が約二千億円程度と考えられておりまして、残りの約一兆円につきまして、事業団が約八割、JR各社等が約二割を負担することになると見込まれております。  それから、移換金の具体的な支払い方法でございますけれども、これにつきましては、今後関係者間で調整を図ることになりますが、現在、政府部内におきましては、最長二十年の分割払いを可能にする方向で検討中でありますが、鉄道共済にかかわる支払い条件などを含む具体的な内容につきましては、関係者間で今後とも調整を図っていくということにいたしております。
  34. 緒方克陽

    ○緒方委員 それでは、次に進みたいと思います。  例えば鉄道の場合には、分割・民営その他もありまして、五十歳ぐらいでやめるという人がたくさんいたわけで、現在でも五十二、三でやめる。ということになりますと、年金がないから生活できないということで、働きながら厚生年金をもらう、いわゆる併給という人がほとんどという状況でございます。今度厚生年金に移行する場合にはその水準に合わせられるのではないかという不安がありましたが、いろいろな形での今日までのやりとりの中で、併給の場合には従前額保障ということをするんだということが言われておりますが、従前額保障ということは具体的にはどういうことなのかなということでの質問がございますので、それは一体具体的にはどういうことなのかということについてお尋ねをいたします。
  35. 鈴木三也

    鈴木参考人 お答え申し上げます。  従前額保障、必ずしも法律上の言葉でございませんものですから、ぼやけたところがございますが、一番はっきりしておりますのは、既に退職をされまして年金をもらっていらっしゃる方のいわば既得権としての年金の額を保障する、これが一番具体的な意味かと考えております。
  36. 緒方克陽

    ○緒方委員 年金の額を保障するという答弁でございますので、一応それをお聞きしておきたいと思います。  まあしかし、それにしてもいろいろな問題がこれからまだあるであろうというふうに思いますし、公共企業体職員共済組合の発足の中でもたくさんいろいろ不遇な目を見た人がおりまして、個人的にも随分相談をして実現できたものもありますが、不幸にして、本人はどうしても権利があるんだけれどもということで、いまだに解決せずに、たくさんの陳情の手紙を受けている例もあるわけでございます。そういう問題が起きないように、せっかく制度間でいく場合には、やはり納得できるような、そういう十分な、個々の例まで含めた手だてをして、そして移換していくということが必要だというふうに思いますが、この問題について清算事業団としてはどのように取り組んでいかれるおつもりなのか、お尋ねをいたします。
  37. 鈴木三也

    鈴木参考人 日本鉄道共済組合といたしましては、今回の統合に伴う適用制度の変更に際しまして、既に年金を受給している方の既得権に対して、年金額が低下したりすることがないように、必要な配慮を各方面にお願いをしてきたところでございます。  おかげさまをもちまして、今回の法案におきまして、政府がおとりになっております具体的な措置の中におきましては、この受給者の既得権につきまして必要な配慮をしていただいていると考えております。
  38. 緒方克陽

    ○緒方委員 そのような御答弁いただきましたので、これからもぜひ経緯を踏まえて努力をしていただきたいというふうに思います。  次に、ちょっと地元の問題なんですが、物流ネットワークシティー構想の進捗状況についてお尋ねをいたします。  実は、物流ネットワークシティー構想というのは、平成元年に運輸省がモデル事業として構想を決めて、ずっと調査をしながら、基本計画をつくったりいろいろされているわけでございますが、できるところは、例えば高速道路のインターチェンジのそばであるとか、いろいろな条件があるようでございますが、平成元年からスタートしましたけれども、今日までの進捗状況、全国的には一体どうなっているのかということについてお尋ねいたします。
  39. 相原力

    ○相原政府委員 お尋ねの物流ネットワークシティー構想でございますが、今先生から御指摘ございましたように、運輸省といたしまして、平成元年度に全国十五地区で、モデル事業ということで物流ネットワークシティー構想調査を実施いたしました。  この構想自体は、物流ニーズが非常に広域化している、あるいは高度化しているということに対応いたしまして、集約的な物流拠点を地方都市あるいは大都市周辺部の都市に整備いたしまして、地域のニーズに応じて商業機能などの充実にも資するように拠点づくりを促進しよう、そういう観点で進めたものでございます。  全体的な進捗状況でございますが、全国十五のモデル事業地区のうち、現在までに三地区におきまして既に事業の完成を見ているところでございます。また、その他の地区におきましては、地域の実情により若干の進度の違いがございますが、基本計画の策定あるいは地元地権者との調整などの事業の実施に向けた取り組みを進めているところでございます。
  40. 緒方克陽

    ○緒方委員 参考のためにお尋ねしますが、三地区というのはどことどことどこでしょうか。
  41. 相原力

    ○相原政府委員 既に用地分譲開始あるいは営業開始をしているところでございますが、三地区は、会津若松、それから諏訪、それから山口の下松、この三カ所でございます。
  42. 緒方克陽

    ○緒方委員 十五のうち三つはスタートしたということでございますが、佐賀県の鳥栖も、高速道路のインターチェンジ、九州のちょうど中心のインターチェンジがあるわけでございますが、その近くに設定をされているわけでございますけれども、その鳥栖の現状についてはどのような状況でしょうか。
  43. 相原力

    ○相原政府委員 鳥栖物流ネットワークシティーでございますが、お話しのように鳥栖のインターチェンジの付近に計画がなされているものでございまして、平成元年度の運輸省調査の後、佐賀県の鳥栖市が主体となりまして、事業の具体化を図るべく、まず平成二年度に基本計画を策定いたしております。また、平成四年度には実施計画を策定いたしております。また、その後平成五年には、流通業務市街地の整備に関する法律、いわゆる流市法でございますが、この改正を受けまして、この流市法の定めるスキームに基づきまして、流通業務施設の整備を進める方向で検討がなされております。  このため、この流市法に基づく基本方針の策定というのが必要になってくるわけでございますが、その基本方針の策定に向けまして、佐賀県あるいは民間事業者との間で連絡協議会を設けまして、これは昨年の七月に連絡協議会を設けまして、事業手法、あるいは資金計画、あるいは企業立地の見通しなどにつきまして調整を行っている段階でございます。
  44. 緒方克陽

    ○緒方委員 スタートをして当初からいろいろな問題もあって、さっき言われた流市法でやろうということになっているようでございますが、かなりのお金もかかる、四百億とか、用地の買収その他を含めていろいろ問題もある、果たしてこれができるかどうかということで、卵が先か鶏が先かというような議論がいろいろあるやに聞いておるわけでございますが、それをやっていれば結局結論が出ないということにもなるわけでございますので、運輸省としては、せっかく平成元年にそういう構想を出して全国で十五を指定したわけでございますので、私は、お金の問題があるということになれば、関西空港の二期工事じゃありませんけれども、段階的実施といいますか、基本的な道路とかその他はいろいろ整備をしながら、地域を分けてやるということも必要ではないかというふうに思いますが、そういう方法についても、ぜひ運輸省としては地元とも協議しながら取り組んでいただきたいというふうに思いますが、そういう点についてはどうでしょうか。
  45. 相原力

    ○相原政府委員 鳥栖物流ネットワークシティー構想の計画自体は、今先生からもお話がございましたように相当規模も大きいものでございまして、基盤整備あるいは公共事業等で約四百億円、それから面積では約百ヘクタールという規模計画がなされているわけでございますが、先ほど御説明いたしましたように、現在、連絡協議会の場におきまして、具体的な事業手法、そして、大きな問題でございます資金計画などについて検討が進められているところでございます。  その中におきまして、鳥栖市におきましては、事業の具体化を進める中で、必要があれば、ただいま先生から御指摘がありましたような段階的実施につきましても検討を行っていく意向であるというふうに聞いております。運輸省といたしましても、佐賀県あるいは鳥栖市の意向を踏まえまして、事業の具体化に応じて必要な支援等で対応してまいりたいというふうに考えております。
  46. 緒方克陽

    ○緒方委員 総額四百億ということでございますが、鳥栖市の予算は百数十億という状況のようでございますので、なかなか財政問題もいろいろありますので、ぜひ段階的実施といいますか、せっかくの構想を運輸省が発表してやってきたわけですから、いろいろな意味で成功するようにぜひ指導を、取り組みをお願いいたしまして、私の質問を終わらしていただきます。  ありがとうございました。
  47. 辻一彦

    辻委員長 以上で緒方君の質疑は終わりました。  寺前巖君。
  48. 寺前巖

    寺前委員 質疑に入る前に、一言委員長に申し上げたいと思います。  今、国会は、住専問題など国家予算をめぐって空転するという異常な事態が起こっています。その中で、私ももちろん、多くの方々が一日も早く正常な運営がされるように努力をしておられます。その大事な中心点として強引な運営を反省することを求めていることは、きのうの日本共産党と与党三党の幹事長・書記局長会談の中でも明確にされているところです。そういうときに、当委員会がきょうという時点で強引に委員会を設定されたことは、私は極めて遺憾で、だから反対もしてきたのです。運輸行政全般について審議をしなければならないことは山積しておりますから、私は、審議をしょうということを否定しているのではありません。あえてきょうの時点で全党の合意もないままに運営されるということに対して、批判を申し上げているわけです。こういう状態を改めるように委員長にさきの理事会でも申し上げましたけれども、今後二度とこういうことをなさらないように要望申し上げて、質問に入りたいと思います。  そこで私は、きょうは、昨年の春にも質問をしたところですが、タクシーの問題です。特に、一九九五年、昨年の三月十八日、東京地区のタクシー運賃改定が、タクシー事業者からタクシー運転手の労働条件改善のために必要であるとして申請したものであり、その認可に当たっては、物価問題に関する閣僚会議において、労働条件の改善を図り、良質な労働力の確保に努めることが指導され、運輸省関東運輸局は、今回の改定が、一、賃金水準を上昇させることを目的とするもので確実に運転者に還元すること、二、労働時間短縮が運賃の原資に含まれているとして、行われました。その認可条件を守るために当時の運輸大臣は、「具体的に各企業ごとにその経営内容等をしっかりと見て、これが運輸省の値上げについての方針どおりの処置をしておるかどうかということをきっちりと目を光らしてということを、委員の御指摘をまつまでもなくやっておることを申し上げたいと思います。」と私に委員会で答弁されました。  その後、各地で運賃改定が行われているようですが、その現状についてどういうことになっているのか、御説明をいただきたいと思います。
  49. 山下邦勝

    ○山下政府委員 タクシーの運賃改定につきましては、改定をいたしました後、すぐにはなかなか、いろいろ労働条件の交渉その他もありますでしょうから、一定の期間を経ました時点で実態調査を実施いたしまして、改定前と比較してどういうふうになったかということを調査、公表いたしておるところでございます。  委員お尋ねの昨年の東京地区の改定につきましては、三カ月後の報告によりますと、約五%のプラスということになっておるわけでございます。こういうことで一定の改善がなされておるところでございます。  また、労働省の調査によりますと、労働時間につきましても、平成二年で二百十三時間でありましたものが、六年では二百六時間ということになっております。これについてはまだ詳細なデータは出ておりませんけれども、四十四時間から四十二時間という自主的な目標を掲げて改定をいたしておりますので、こういったことについてもさらに調査を進めてまいりたいと思っております。
  50. 寺前巖

    寺前委員 現実は、賃下げなしの時間短縮が守られていないのではないだろうか。大手の国際自動車では、九三年の末に賃金体系をA型からAB型に移行して、一カ月六万から七万の賃下げになった。九四年春には、日本交通では一時金カットで五十五万円減収になったなどなど言われています。  労働条件改善のための運賃改定が過去三回実施されて、運賃は三〇%引き上げられたのに、労働者の年収は、一九九四年度、四百三十万円で、一九八九年の水準まで低くなってしまったということが言われています。この年収は、他産業に比べても百八十万円の格差となって下がってきている。  「ハンドルおおさか」という自交総連の大阪地連が出しておる機関紙を見ますと、その機関紙には、運賃は三回値上げ、「賃金は三年間で二〇%ダウン 六年前の水準に逆もどり」、そんな見出しもついています。こういう現場の労働者の姿を見たときに、このような現状では運賃改定の認可条件が満たされているというふうに言うことはできないのじゃないだろうか、すべて認可条件が無視されているということになってきているのではないだろうかという気がして仕方がないのですけれども、いかがなものですか。
  51. 山下邦勝

    ○山下政府委員 確かに、傾向的には今おっしゃったような実態にございます。  しかしながら、非常にタクシーがつかまりにくいバブル期の状況では、そういうことを前提に収入を得た者と比較すると、そこの問題はどうしても出てくることかと思いますけれども、そういう中で、少しでも労働条件の改善がなされるようにという条件をつけて運賃改定に臨んでおるわけでございまして、その目的は、完全ではないにしてもある程度達成されつつあると認識をいたしております。
  52. 寺前巖

    寺前委員 私がこの前聞いたときにも、運賃改定が生きていない場合に、それぞれの支局が業者を呼んで、そして個別的にも指導していくとおっしゃっておったのだけれども、こうやって見てくると、三回の運賃改定が必ずしもそういうことになっていない。しかも、きちんと労使の同意のもとに申請がなされているのだから、そうするならば、社会的にも公約をしているのですから、その公約を守らせるように、支局ごとに個々の企業に対して改めて指導を具体化させていただきたいということを私は要望しておきまずけれども、私の提起、間違っていますか。
  53. 山下邦勝

    ○山下政府委員 今委員おっしゃいましたように、運賃改定に伴います労使の問題というのは、労使の関係自体は、これは明らかに自主的に御判断いただく話でございますけれども、こういったことを理由として申請をし、それを政府として認め、今おっしゃいましたような物価安定推進会議等でもそういうことをちゃんとやりなさいという社会的なお約束なわけでございますから、それについて政府としてきちんとした対応をすべきということは、全くおっしゃるとおりでございます。
  54. 寺前巖

    寺前委員 三回の運賃改定に当たって経企庁は、今までの運賃改定が守られていないとの認識のもとでこう言っています。これは自交総連が陳情したときの話ですが、前々回、前回では認可条件が守られていないが、今回は運輸省もフォローアップすると言っているし、当省も確実に実施されるよう注視しているというふうにあえて言っているわけですから、特別に実効のある措置具体化していただくことを希望しておきたいと思います。  次に、運賃改定の条件を守らない業者の姿勢について一言言いたいと思うのです。  運輸省の指導に対して、例えば「労政研かわら版」を見ますと、経営者自身がこう言っています。当局の一部の幹部が応援をしたとはいえ、経営責任は経営者にあるという認識が不足している、こういう批判をやっています。あるいは、守らない業者を運輸省が個別指導して名前等も公表するというのなら、どうぞ公表してくれ、こういうことを公言している経営者もおります。改善を指導する運輸省の役人は頭がおかしいなどとも言っています。これは交渉の席上で経営者の側から出る話なんですけれども、こういうように、業者が現実的には約束を守っていないという姿を見たときに、この業者に対して一体これまでどういうような指導をやってこられたのか、これからどうされるのか、お聞きしたいと思います。
  55. 山下邦勝

    ○山下政府委員 今おっしゃいましたものの内容はちょっと私は承知をいたしておりませんが、労働条件については、経済企画庁もおっしゃっているように、これがきちんと守れるように注視をしておるところでございます。こういったことについて問題があるという、その可能性があるということでありますれば、個々にその理由をただした り、そういったことはやっておるわけでございます。  我々として、もしそういったことがいかがなものであろうかという事業者につきましては、今後、それぞれ言い分はあるのだろうと思いますから、こういう改定をしておるということであるならば、例えばその理由をきちんとつけて公表するというようなことも考えざるを得ないのではないかと思っております。
  56. 寺前巖

    寺前委員 運賃改定条件の受け入れ状況は、昨年、自交総連のアンケートによると、東京都内の約二百四十社のうち、条件を受け入れると回答してきたのは六社しかなかった。これはまた異常だと思うのです。このような状況では、運賃改定の条件を受け入れた業者は損をして、そうでない業者は得をするということになりますから、悪貨が良貨を駆逐するという話にもなるから、これは私はきちんとした指導を重ねてお願いをしておきたいと思います。  ところで、タクシー運転手の労働条件の改善のためには、運賃改定を労働条件改善にきちんと振り向けさせるということは極めて重要な内容になりますが、そのときに、今問題になってきているのは、供給過剰という問題なんです。  そこでお聞きしたいのですけれども、一体、全車両数が何ぼあるのだろうか。そのうちで、バブルの後どんどんこういう事態が生まれてきたのだけれども、減車はどのぐらいしたのだろうか。その結果、実車率というのはどういう状況になっているのだろうか。果たしてそれが適正な実車率になっているのかどうか。お示しをいただきたいと思うのです。
  57. 山下邦勝

    ○山下政府委員 今お尋ねの件につきましては、確かに私ども、一定の指標のもとに、ここの地域はタクシーが多過ぎるというような地域につきましては供給過剰地域という公示をいたしまして、そこについては、例えば一定の減車を促すような措置をとってきておるところでございます。  平成七年の秋の時点で調べましたところでは、こういった措置に従って、千六百二十四事業者、四千九百五十二両がこういった措置をとっておるというふうに聞いております。
  58. 寺前巖

    寺前委員 私がちょっと調べてみましたところでは、全車両数が二十五万八千だ、それで、今おっしゃった数字を減車をしたんだと。そして実車率はどうじゃと聞いたら、五〇%を割っている、こういう話だ。私はよう知りませんよ、実車率というのはどういうことか、一定の基準があって言われる専門用語のようです。だけれども関係者の話を聞くと、有効というのか、あるいは適正実車率というのか、どういう数字になるんじゃと聞くと、五六%前後でしょう、こう話をされる。  そうすると、依然として減車という問題は、客観的に見てもやはりやるというのが、バブルがはじけた後の今日の事態の中における重要な問題なんじゃないだろうか。私の見解に誤りがあったら御指摘をいただくことにして……。  総供給を減らす方向で生産性を上げるために、土日祝日休車を行い、その休車分を平日に振りかえる、輸送効率向上のための車両導入を実施して、業界が自主的に対応することになっていたけれども、その実効が上がらないところがら、関東運輸局においても、先月十五日に討論集会でこういうことを言っておられた。なかなか実現しないならば、われわれが力を行使するしかない、こういうふうなことを運輸局の方がおっしゃっておられたようですけれども、具体策を検討しておられるのでしょうか。
  59. 山下邦勝

    ○山下政府委員 最初に実車率のお話でございますが、実は五六%というのはバブルの最盛期でございまして、タクシーがつかまらないということで非常な非難を受けたときのレベルがそれでございます。  その下がどの辺が適正かということについては、実はいろいろ見方はございます。ある程度つかまりやすい方がいいんじゃないか、今はそういうことではお客様からは比較的評価を受けておるところでございますが、確かに経営者や運転者にとって、もう少しという希望がある方もいらっしゃるかと思います。そこらあたり我々が、例えば何%を切ったらもう一切だめとか、そういうことを言うのはいかがかという感じはいたします。ただ、全体としてやはりおかしなことにならないような形で見守って、必要なときの措置については十分考えていきたいと思っておるところでございます。  関東運輸局の検討状況については、完全には私も把握をいたしておりませんが、いろいろな、これも昨年の物価安定推進会議でございますとか、関東運輸局からの指導文書に、例えば曜日間や季節間の波動に応じて効率的な運用を検討するということが書かれておりまして、これに従っていろいろ検討を促しておるというところでございます。  この内容が具体化されますよう、我々としても十分運輸局の指導をしていきたいと思っておるところでございますが、恐らく近々その内容、これで全部やるということであるかどうかは知りませんが、一定の方向性は示すというふうに聞いております。
  60. 寺前巖

    寺前委員 タクシーは公共交通機関であります。需給調整を前提にして免許制というのがつくられているというふうに理解します。そうすると、供給過剰の場合に、需給調整というのを考えなければならぬことになります。  運輸省は、供給過剰対策として預かり減車制度というのを活用するんだということを業界に呼びかけているようですけれども、その現状はどういうことになっているでしょうか。非常に効果のあることになっているでしょうか。
  61. 山下邦勝

    ○山下政府委員 先ほどちょっとお示ししましたような、全国的に五千両ばかりの減車がなされると申し上げたのは、その数字でございます。  これで十分かとおっしゃられますと、私どもとしては、これで例えばいろいろな指標がぐっと上向いてきたというところまではまだいっていないと評価しております。
  62. 寺前巖

    寺前委員 公正取引委員会が、タクシーの減車申し入れに対して、独占禁止法に抵触するとの見解を示した。これに対してタクシー業者間では、道路運送法の決めた運輸協定で減車の申し合わせを締結する案を検討されているように聞いているのですが、運輸省はどういう見解をお持ちでしょうか。
  63. 山下邦勝

    ○山下政府委員 事業者団体が運賃や供給量を実質的に差配するということになりますと、これは確かに独禁法の問題が生じるわけでございます。これを、業界の自主的な形もしくは私どもの法的ないろいろな措置を使って、どういうふうにすればこういう問題がクリアにできるか、現在検討をいたしておるところでございます。
  64. 寺前巖

    寺前委員 来年四月一日から、タクシー運転者の労働時間は週四十時間ということに移行することになっていきます。現在タクシー業界では週四十二時間の就業規則の改定が行われていますが、現況では、週労働時間四十二時間の就業規則の改定が実施されているのは六〇%ぐらいではないかというふうに思っています。このような現況のもとで、来年四月から賃下げなしの週労働時間四十時間を確保するために、運輸省としてはどうしておられるのでしょうか。
  65. 山下邦勝

    ○山下政府委員 四十四時間から四十二時間の完全な実数は把握をいたしておりませんが、四十四時間から四十時間ということでは急激過ぎるということで、まず四十二時間という途中のステップを置いたわけでございます。これをさらに四十時間に来年実現していかなければならないわけでございますけれども、このためには、先ほどもちょっと申し上げましたが、例えば曜日の波動とかいったことに合わせてできるだけ生産性を上げるような形での時短を実施いたしませんと、結局運収、運輸収入の減少また賃金の引き下げということにつながりかねないわけでございますから、こういったことを早急にきちんと検討するようにということもございまして、先ほど関東運輸局の例がございましたけれども、そういった措置をとって おるところでございます。
  66. 寺前巖

    寺前委員 時間があと五分という連絡が来ましたので、最後に、せっかく大臣がお見えなのに、黙って座っておってもらっても値打ちがないかと思いますので、あえて最後に——今総理大臣の橋本龍太郎さんが「政権奪回論」というのをお出しになりました。この本を読んでおりましたら、この本の出された時期は細川内閣のときなんでしょう、細川内閣の問題についていろいろ触れておられますので、御見解を聞きたいと思います。  ちょっと紹介をいたします。長い本ですから全部紹介するわけにいきませんが、「規制緩和の本来の目的」という項のところをちょっと読ませていただきます。  先日、私は友人の一人からおもしろい体験を聞かされた。個人タクシーに乗った際、運転手さんに細川内閣の印象を尋ねたというのだ。  「すごく頼もしいじゃないですか。自民党と違って柔軟なところがいい。とくに規制緩和がすばらしい。どんどんやってほしいものです」  運転手さんは、こう答えたという。そこで私の友人は、規制が緩和されたらどうなるかということを、細かく説明したという。  つまり——個人タクシーの免許も規制の一つなのだ。その規制がなくなったら、誰でも自由に個人タクシーを走らせることができるようになる。またタクシーの料金も規制の対象だ。この規制がなくなれば、料金は自由に設定できるようになる。そうなると、乗客はより安いタクシーを選ぶようになるから、今と同じ料金設定では乗客がなかなかつかまらなくなるだろう。今と同じだけの収入を得るためには、料金をもっと下げて、今以上にたくさん働かなければならなくなるかもしれない——。  これを聞かされて、その運転手さんはたちまち規制緩和反対になったというが、”規制緩和”という言葉が浸透しているわりには、具体的な中身や緩和後の状況といった情報は意外に一般には伝わっていない。  タクシーに関していえば免許や料金だけでなく、車両台数を地域ごとに適正な数に制限する規制もある。これらの規制がなければ、資金力を持った大手のタクシー会社がどんどん増車し、徹底的に料金を下げ、他のタクシーをすべて駆逐してしまう可能性さえある。その結果、最後に残ったタクシー会社一社が、市場独占の利を生かして大幅な料金値上げをすることも考えられないことではない。そうなったら、いちばん苦しい思いをするのはタクシーを利用する一般国民ということになる。  規制緩和はすべて国民生活にプラスに働くと決めつけることは、非常に危険な発想だ。規制緩和によって競争原理が生じ、新規参入を促すとともに競争による価格低下が期待できることは否定しない。しかし、ある意味では野放し状態を容認するという危険性も必ずつきまとう。  タクシーにならって運輸の関係で例を挙げれば、離島への船便や過疎地のバスなどだ。規制緩和による新規参入の自由は、同時に撤退の自由も保障することになる。離島への船便や過疎地のバスが、多くがそうであるように一社だけで運行されている場合、利益率が悪いからという理由で撤退してしまったらどうなるか。また、利益率を上げるために料金を大幅に値上げしたらどうなるか。いずれの場合も、困るのはそれを利用せざるを得ない地域住民自身なのである。  以上のようなことをすべて考慮に入れて、それでも細川首相が、すべて自由競争が好ましいと判断し、国民もまたそれを支持するのであれば、規制全廃もいいのかもしれない。しかし、全廃したあとのことを冷静に考えれば、規制緩和がすべて正しいなどとはいえないはずだ。 ということで、「細川政権は、規制緩和といった改革の”手段”を示しているだけで、」、改革を唱えれば国民が支持するなんと思っておったら大きな間違いで、「将来の経済運営のあり方、日本の姿というものを考えない”改革”には、我々はとても賛成などできない」、こういう話。  今、政権がかわってしまった。橋本さんが政権の座に着かれた。細川内閣の時代にとられている方針に対するこういう批判までされた。さて、あれを踏襲するのか。洗い直しをして臨んでいかれるのか。亀井運輸大臣はいかなる態度をおとりになるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  67. 亀井善之

    亀井国務大臣 今、橋本総理の御本を朗読いただいたわけであります。  規制緩和につきましては、それぞれ時代要請に基づいて進めてまいらなければならないことは事実であります。しかし、社会的な問題、安全の問題、環境の問題、こういうものも十分考慮して考えていかなければならないわけでありまして、経済的な面での規制は、許される範囲のものであればいろいろ緩和をして進めていくことが必要ではなかろうか。政府におきましても、それぞれいろいろ審議会等々の意見を尊重し、今、規制緩和推進計画、これにのっとって適切に対応するような努力をしておるところでもございます。  特にタクシー事業の規制緩和については、タクシー事業の特殊性というものも十分踏まえて、利用者の利便、このことを配慮して実施していくことが必要ではなかろうか、このように考えております。
  68. 寺前巖

    寺前委員 時間が来ましたので、終わります。
  69. 辻一彦

    辻委員長 以上で寺前巖君の質疑は終了しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時三十九分散会