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1996-02-23 第136回国会 衆議院 安全保障委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年二月二十三日(金曜日)     午後一時四分開議 出席委員   委員長 吹田  愰君    理事 瓦   力君 理事 浜田 靖一君    理事 町村 信孝君 理事 佐藤 茂樹君    理事 平田 米男君 理事 田口 健二君    理事 前原 誠司君       大野 功統君    中谷  元君       中山 利生君    中山 正暉君       野田 聖子君    平泉  渉君       森  喜朗君    渡瀬 憲明君       石井  一君    河合 正智君       神田  厚君    月原 茂皓君       大出  俊君    五島 正規君       早川  勝君    東中 光雄君       山花 貞夫君  出席国務大臣        外 務 大 臣  池田 行彦君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  臼井日出男君  出席政府委員         防衛庁参事官  小池 寛治君         防衛庁参事官  藤島 正之君         防衛庁長官官房         長       江間 清二君         防衛庁防衛局長 秋山 昌廣君         防衛庁教育訓練         局長      粟  威之君         防衛庁人事局長 大越 康弘君         防衛庁経理局長 佐藤  謙君         防衛庁装備局長 荒井 寿光君         防衛施設庁長官 諸冨 増夫君         防衛施設庁施設         部長      小澤  毅君         外務省総合外交         政策局長    川島  裕君         外務省総合外交         政策局軍備管  河村 武和君         理・科学審議官         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省条約局長 林   暘君  委員外出席者         通商産業省貿易         局輸出課長   大道 正夫君         安全保障委員会         調査室長    下尾 晃正君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十三日  辞任         補欠選任   東中 光雄君     不破 哲三君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国の安全保障に関する件      ――――◇―――――
  2. 吹田愰

    吹田委員長 これより会議を開きます。  国の安全保障に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。町村信孝君。
  3. 町村信孝

    町村委員 自由民主党の町村でございます。  きょうは両大臣おそろいで御出席をいただきました。御就任を心からお祝いを申し上げますとともに、非常に難しい時期でございます、両大臣の御活躍を心よりお祈り申し上げる次第であります。  昨日の所信表明及び新しい大綱、それから中期防に対して御質問をさせていただきたいと思っておりますが、その前に一、二点、ちょっと私なりの考えを申し述べさせていただきたいと思っております。  一つは、防衛というのはやはり人で支えられているということの重要性であります。すなわち、国民であると同時に、自衛隊皆さん方が、我が国の平和と独立を守るために何ができるだろうかということだと私は思います。  戦後五十年たちまして、非常に平和な状態日本があったものですから、ややもすると、自分の国は自分の手で守るという、その当然の気持ちがほとんど感じられなくなってしまっているのではないかという事態を、私は大変憂えております。我が国を取り巻く情勢は決して安定した状態にはないということでありますので、今改めて、国民の意識の高揚、この問題の重要性、このことを深く皆さん方にも考えていただき、我々政治家もこの事態の克服に努力をする必要があるだろう、こう思っております。  また、自衛隊皆さん方第一線で日夜を分かたず大変な勤務に励んでおられ、そして、そのことによって我が国の平和と独立が保たれているんだという厳粛なる事実を我々は率直に認めた上で、こうした第一線で働いておられる自衛隊皆さん方努力、その高いモラールを支えるに十分な環境整備等々をやっていかなければならない、こんなふうに思っております。  それからもう一点は、危機管理ということについて、昨年来、大震災があり、あるいはつい先般、豊浜のトンネルの大崩落事故というのがありましたけれども、国家にとって最大の危機というのは、何といってもこれは一たん有事のときのこと以上に危機はない、こう思います。  したがって、今橋本内閣も挙げて危機管理のためにいろいろやろうというその姿勢は高く評価をいたしますが、より根本的な危機であります有事における法制のあり方でありますとか、あるいはきょう一部の新聞にも集団的自衛権あり方について政府部内で検討をしているという、事実かどうかわかりませんが、私は、むしろこういう検討を政党も政治家も、そして政府の中においてもやることがやはり責任を果たすことになるんだろう、こう思います。  かつてであれば、検討することすらまかりならぬという時代もありましたが、そういう時代は変わったと私は思いますので、ひとつ真剣にこの危機管理、最も国家にとって深刻な危機管理という事態考えた上での政府でのお取り組み、両大臣のリーダーシップの発揮をお願いをするところであります。  さて、昨日の所信表明、両大臣から国際的な軍事情勢についてもお触れがございましたので、若干国ごと地域ごとに伺ってみたいと思っております。特に、約二十年前、昭和五十一年に旧大綱ができたときとの比較において、現在をどう認識したらいいのかなというような観点で伺いたいと思います。  確かに冷戦は終了いたしましたけれども、逆に、アジアは不安定な地域になってきたのではないのかな、それぞれの国を見るとむしろアジア軍拡時代に入った、こう言っても過言ではないと私は思っております。  例えば北朝鮮朝鮮半島では南北の国が対立をする中で、非常に国内的な不安、食糧不足とか、あるいは軍事面で見れば核開発疑惑、とまっているのかどうかすらもよくわからない、さらにミサイルの長射程化というものも進んでいる。これは二十年前にはなかった、やはり我が国にとりましては新たな脅威ではなかろうか、こう思っておりますけれども、かかる事態を、まず北朝鮮についてどのような認識を持っておられるのか、政府のお考えを伺いたいと思います。
  4. 臼井日出男

    臼井国務大臣 初めに、ただいまは自衛隊に対して温かい御激励の言葉をいただき、ありがとうございました。  委員質問の二十年前との比較でございますが、朝鮮半島におきましては、韓国北朝鮮が非武装地帯を挟んで厳しく対峙をいたしております。このような軍事的対峙状況は、前大綱策定時と基本的には変わりはございません。  このような状態の中で、北朝鮮は、深刻な経済困難に直面をしているにもかかわらず、一貫して軍事面にその国力を重点的に配分をいたしております。例えば、陸上兵力は約四十三万人から約百万人に増強されているところでございます。また、北朝鮮核兵器開発疑惑弾道ミサイルの長射程化のための研究開発動きは、我が国周辺のみならず、国際社会に不安定をもたらす要因として強く懸念をされているところでございます。  他方北朝鮮核兵器開発疑惑解決に向けた米朝間枠組み合意などに見られるように、朝鮮半島安定化に向けたさまざまな動きが見られているところでもございます。  いずれにいたしましても、朝鮮半島の平和と安定は、我が国を含む東アジア全域の平和と安定にとって重要であり、今後とも細心の注意を払っていく必要があると考えております。
  5. 町村信孝

    町村委員 次に、中国状況でありますが、大変な経済成長を遂げる中で、軍備費国防費も大変な急成長を遂げております。毎年二割を超える勢いだということでありまして、中国流に言えばそれは近代化であって別に軍拡ではないのだ、こういう言い方かもしれませんけれども、再三にわたる我が国の抗議にもかかわらず核実験を強行している、すなわち核兵器開発を一生懸命やっている状況です。  実際これをミサイルに載せてどこをねらうのか私はわかりませんが、当然その射程の中には日本が入っているのは事実だろうと思いますし、また、海軍力の思い切った増強、これは日本領土である尖閣列島に対して、あるいは南沙諸島に対して、あるいは日本のシーレーンに対する脅威である、新しい脅威としてこれから大きくなる可能性があるのではないだろうか、こんなふうに考えます。  さらに、最近報道されているように、台湾海峡での大規模軍事演習といったような事態台湾中国本土の距離は百四十キロですけれども、台湾日本の与那国島との間は八十キロということで、むしろ近いわけですね。そういう意味ではこれも二十年前に似たような状況、確かに本土台湾対立というのはありましたけれども、中国軍拡によってまた新しい脅威というものが生まれているのではないだろうか、あるいは潜在的な脅威として認識すべき事態が生じているのではなかろうか、私はこう思っておりますが、長官の御見解を承ります。
  6. 臼井日出男

    臼井国務大臣 現在、中国は、軍事力の量から質への転換を図りつつございます。近年、特に国防費の大幅な増額を図るとともに、核兵力あるいは海・空軍力近代化に努めております。  例えば、核戦力につきましては、新型IRBM中距離弾道ミサイルでございますが、この配置やSLBM、潜水艦発射弾道ミサイルでございますが、これらの開発海軍につきましては、ヘリコプター搭載可能な駆逐艦及びフリゲート艦の建造配備空軍につきましては、ロシアからSU27戦闘機導入等が行われているわけでございます。  しかしながら、中国は、経済の建設を当面の最重要課題といたしております。また、インフレ基調財政赤字という困難にも直面をいたしておりまして、このことから、国防力近代化は漸進的に進むと見られております。  また、中国は、先ほどお話をいただきましたとおり、南沙諸島を初め海洋における活動範囲の拡大の動きを見せております。中国のこのような動きが、中長期的に見ましてアジア軍事バランスにどのような影響を与えるか十分に注目をしていかなければならない、このように思っております。  台湾海峡周辺での中国軍演習意図につきましては、防衛庁といたしましては確定的な判断をいたしているわけではございませんが、台湾李登輝総統が昨年六月に訪米いたしました。その翌月の七月から、中国台湾周辺演習を連続して実施をしていること等から、台湾国際的地位向上を図る動きに対する牽制の意図を有するものと考えております。
  7. 町村信孝

    町村委員 今度は、極東ロシア軍動きも、これまた目を離せないと思います。確かに、今のロシアの国情ではそう大規模軍拡ということにはならないのかもしれませんが、過去十年以上にわたって近代化を続けてきたその蓄積というものは相当あると私は思っておりますし、オホーツク海にある弾道ミサイル搭載原子力艦隊というのは、これはもう世界に冠たるものでありますので、そういう意味では、確かに今のロシアを見ていると脅威はなくなったという見方もできるかもしれませんが、非常にナショナリズムの強い国でありますから、これもいつ何どき危険な状態にまた戻らないとも限らない。  そんなことを考えましたときに、私は、今度の大綱というものはいかなる脅威というものを認識前提に置いてつくったのかということを、もう一度改めて総括的に承っておきたいと思います。
  8. 臼井日出男

    臼井国務大臣 先ほど中台関係北朝鮮朝鮮半島のことについてはお話をいたしました。  ただいま委員指摘ロシアにつきましても、近年、量的には縮小の傾向が見られますけれども、依然として大規模戦力蓄積をされている、こういう状況は散見をされるわけでございます。しかも、ヨーロッパ方面から新型装備移転等もございます。ペースは緩やかになっているけれども依然として近代化が続いている、このように考えておるわけでございます。  さらに、ロシア軍動向につきましては、ロシア国内政治の不安定な状況、それによりまして軍事面でも不透明である、こういうふうに考えておりまして、今後の極東ロシア軍動向も不確実なものとなっております。  今申し述べたように、このような極東ロシア軍存在というものは、依然として我が国周辺の安全に対する不安定要因になっていると考えられるわけでございます。  さらに、前大綱が作成されました二十年前と比べて、具体的な戦力は、例えば前大綱策定時、一九七六年の極東ソ連軍戦力は、現在の極東ロシア軍戦力比較した場合、量的には減少はいたしておりますけれども新型装備等配置により近代化が進んでいる、こういうように考えられるわけでございます。  私どもといたしましては、これらの極東存在する不安定な要素をにらみながら、今後とも、我が国の安全のために一層の努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
  9. 町村信孝

    町村委員 今長官が言われたように、確かによくなった面もあるけれども、むしろ一層厳しさを増した面もある。私は、二十年前よりも、ちょうどあのころはデタントと言われている時代でありましたからそれでもむしろ楽観的な部分があったと思いますが、むしろ現状は不安定性が増したのではないか、そういう認識の上に立ってこの大綱構築されている、このように理解をいたしております。  大綱特色を伺う前に、一点だけ、ちょうど今国会では新しい国連海洋法の批准の問題、そして日韓における竹島あるいは日中間尖閣列島、こういう問題があるのです。実は我が党の中でも、例えば日本航空自衛隊防空識別圏というのがありまして、尖閣列島防空識別圏の中に入っているのだけれども、竹島は入っていない、これはもう日本としては事実上、竹島我が国領土であるということを放棄したに等しいのではないか、こういう議論があるのでありますけれども、領土領空という問題とこの防空識別圏というのはどういう関係に立つのか、必ずしも国民皆さんによく理解をされていない面があると思いますので、ひとつわかりやすい説明をしていただきたいと思うのです。
  10. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 防空識別圏についての御質問でございますが、この防空識別圏というものは、国際法上確立した概念ではございませんで、一般に各国が自国の安全を図るために国内措置として設定している空域でございまして、これによって領空ないし領土の限界あるいは範囲を定めるという性格のものではございません。我が国防空識別圏につきましては、この圏内を飛行する自衛隊機飛行容量を定める、そういうことによりまして、我が国周辺を飛行する航空機の識別を容易にし、対領空侵犯措置を有効に実施することを目的といたしまして、防衛庁内の部内規則において定めているものでございます。  御指摘のとおり、竹島につきましては防空識別圏外としておりますが、これは、同島におきましては現在我が国施政が事実上妨げられていることや、同島に関する問題は外交上の経路を通じまして平和的に解決していくべきものであることなどの事情から、防衛庁といたしましては、今申し上げました防空識別圏設定目的にかんがみまして、同島防空識別圏内としていないものでございます。  他方尖閣諸島につきましては、現実我が国が実効的に支配している、すなわち同領域には我が国施政が及んでいることから、同領域防空識別圏内に含めているところでございまして、当該領域に対する領空侵犯が生じた場合には、自衛隊として必要な対領空侵犯措置実施しているところでございます。
  11. 町村信孝

    町村委員 ちょっと今の答弁だと、現実にそれを支配しているか、あるいは施政が及んでいるかいないかで区別がついているのだというような御説明だと、それはまた大変大きな議論を呼ぶのではないかと私は思うのですよ。  私が今まで関係者から聞いた話では、これはアメリカがかつて空を全部コントロールしていて、今でもそういう面があるのでしょうけれども、アメリカ日本韓国の間に、まあ適当に線を引いたといったらそれは言い過ぎなのでしょうけれども、かなりアメリカの便宜によって現在の防空識別圏を、これは韓国防空識別圏ですよ、これは日本防空識別圏ですよといって引いたものをそのまま日本韓国が受け継いだのだ、だから、たまたま竹島は向こうの防空識別圏に入っているというだけのことであって、施政権が及ぶの及ばないのということとは関係なく決まっているのだ、こう私は聞いたのでありますが、違いますか。
  12. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 航空自衛隊領空侵犯措置をとるためにこの防空識別圏を設定したのは、ちょっと今資料が見当たりませんが、昭和四十四年であったかと記憶します。そのときに米国が既にしいていた防空識別圏をほぼ踏襲をしたというのは、御指摘のとおりでございます。しかし、そのときに我が国がそれを踏襲する、防衛庁として部内規則で決めるというときの考え方といたしましては、尖閣諸島と違いまして、竹島に対しては実効的な施政権が及んでいないということを考慮したものでございます。
  13. 町村信孝

    町村委員 ここのところは、結論は両国間で平和裏解決をすべき問題ということでいいのでありますけれども、今のような御答弁であるならば、今の防空識別圏あり方につきましても、平和裏に話し合いの一項目として、それならばこのあり方についても、政府としてはこの一項目を当然日韓間の協議の中で加えていただきたい、このことを私は要望しておきたいと思います。  次に移りますけれども、新しい大綱特色、これは旧大綱と相当変わったところもあれば同じところもある、このように思っております。変わらざるところ、変わってはいけないところ、先ほど私が申し上げましたような、国を守る気概を前提としてとか日米安保存在とか専守防衛とか非核三原則とか、幾つかあるのだろうと思いますが、変わった点ほどこで、あるいは変わらなかった点ほどこだ、このようにちょっと整理をして防衛庁認識をお示しいただきたいと思います。
  14. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 いろいろあろうかと思いますけれども、主要な点についてということで御答弁させていただきたいと思います。  まず、変わらなかったことといいますか、前の大綱から新しい大綱に引き継がれた大きなポイントは、前大綱において基本的な考え方としておりました基盤的防衛力構想、これは直接脅威に対抗するというよりも、みずからが力の空白となって我が国周辺地域における不安定要因とならないよう、独立国としての必要最小限防衛力を保有する、基盤的な防衛力を保有する、こういう考え方でございますが、これを新しい防衛大綱におきましても基本的に踏襲していくということを明示しているところでございます。これは、国際情勢の趨勢ですとかあるいは日米安保体制意義役割といったものについて、当時の状況と今日の状況とを比較考量した結果、これは基本的に引き継いでいこう、こういうことを明示したところでございます。  それから、新大綱において従来の大綱に比べまして新しい点というものを三つほどお示ししたいと思いますが、第一点は日米安保体制の点でございます。  新防衛大綱におきましては、前大綱と異なりまして、冷戦後の国際社会において、日米安保体制地域の平和と安定及びより安定した安全保障環境構築の面で果たす役割について再認識されるようになってきている、そういう認識のもとで、これまでの日米防衛協力の成果を再確認しつつ、将来に向けての日米安保体制意義、それからその信頼性向上を図り、これを有効に機能させていくための具体的な取り組みの重要性について整理して明示しているところでございます。  それから第二点目は、我が国防衛というものにつきまして、当然のことながら、自衛隊の主たる任務である我が国自身に対する間接直接の侵略からの防衛というものに加えまして、阪神・淡路大震災地下鉄サリン事件を契機として、大規模災害等事態における自衛隊活動について期待が高まっていること、また、近年自衛隊による国際平和協力業務実施が相次ぎ、その実績が高く評価されていることなどを踏まえまして、新たに、「大規模災害等各種事態への対応」というものと「より安定した安全保障環境構築への貢献」というものを、「防衛力役割」として柱立てしたという点でございます。  最後に、もう一点御指摘させていただきたい点は、今後の防衛力の内容についてでございます。  新しい防衛大綱は、現行の防衛力規模及び機能について見直しを行い、その合理化効率化コンパクト化を一層進めますとともに、必要な機能充実防衛力の質的な向上を図ることにより、多様な事態に対して有効に対応し得る防衛力整備することとしております。こういう考え方に基づきまして、陸・海・空自衛隊あるいは統合幕僚会議あり方について大綱で明示しているところでございます。
  15. 町村信孝

    町村委員 安保のことはこの後ちょっと伺いますけれども、確かに、災害への対応とか国際的な信頼醸成措置充実していこう、これはいいと思うのですが、国民の中には、効率化コンパクト化というのが非常に強調されておりまして、何となく世の中、軍縮というのはいいことだなという漠たる気持ちや、あるいは意図的に防衛を軽視しようとする人たち軍縮ということを言っているわけでありますが、もともと日本自衛隊というのは極めてコンパクトだったのですね。もう諸外国と比べても圧倒的にコンパクトにでき上がっていたのを、さらにコンパクト化するということになると、本当に大丈夫なのかねと。  アメリカロシア中国のように膨大な軍事力を持っていた国が軍縮をやるというのは、それはわかるのですけれども、日本みたいにかなり切り詰めて切り詰めてやってきた国が、コンパクト化効率化をするというと、本当に防衛上の本来の任務に支障が生じないのだろうかということについて、むしろ逆の懸念が生じていると思うのですが、この点、もう一度見解を伺いたいと思います。
  16. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 今回の新しい防衛大綱一つの論点といいますかポイントとして、今御説明したように、新たな防衛力の構成といいますか、陸・海・空自衛隊あり方について明示したところでございますが、その背景となっている要素といたしまして、国際情勢の変化、それから自衛隊に対するその役割期待の高まりというもののほかに、近年における科学技術の進歩ですとか若年人口減少傾向、それから格段に厳しさを増している経済財政事情といったようなものに配慮いたしているところでございます。  さらに、前防衛大綱におきましては、どちらかといいますと、前大綱における防衛力水準に早く達しようということで主として正面を中心とした防衛力整備に力を入れてきたわけでございますけれども、今回の新しい防衛大綱におきましては、その水準に達したという認識のもと、むしろそのオペレーションですとか、ある水準に達した防衛力運用面での問題というところにも力を充てた。  そこで、規模ですとか組織ですとか、あるいは正面装備につきまして、合理化効率化コンパクト化、これは従来からやっているわけでございますけれども、それを新たに一つ要素として示す。と同時に、他方で質的な向上を図る、あるいは必要な機能充実を図るといったようなこと、さらには、多様な事態に対して有効に対応し得る防衛力整備する、弾力性の確保といったような要素も織り込んで、新しい防衛力構想を示したということでございます。
  17. 町村信孝

    町村委員 率直に言うと一抹の不安は私はあるのでありますが、これで我が国防衛をしっかりやっていけるというのであれば、それは大筋結構なんだろうと思います。  外務大臣にお伺いいたしますけれども、安保条約の意義につきまして先般の所信表明でも述べておられました。ややもすると、冷戦が終わったのだから、即、もう安保は要らないのではないかという議論も一部にあります。もっとも、日本安保不要論を言っている人は、冷戦時代安保不要論、反対論の人たちですから何をか言わんやでありまして、別にそういう意見は大して気を配る必要もないのかなと思いますが、まじめな人たちも結構そういう議論を国内でも、あるいは海外のシンクタンク等々からも出ているのであります。  私は、大臣所信表明で言われたように、日本防衛にとっても必要だし、あるいは日米関係の言うなら基礎として重要だし、さらにはアジア太平洋の平和のためにも必要だ、この三点の意味というのは、逆にこの冷戦終了後改めてクローズアップされてしかるべきことだろう、こう思います。  しかも、これは、日本の利益ばかりではなくて、当然アメリカの利益にもまた合致するのだ。この膨大な、大きなマーケットが伸びているアジア、そこでアメリカのプレゼンス、アメリカ経済的なあるいはその他もろもろの意味を含めてのアメリカの利益というものも当然そこには含まれているからこそ、この安保というものについて、ナイ・レポートにもあるようにアメリカもしっかり認識をしている、私はこう思います。  所信表明の中で大臣は、四月のクリントン大統領訪日の際に共同文書を発出して再確認をしたいんだと言われました。その内容はこれからの議論なんでしょうけれども、どこに特にポイントを置いてこの共同文書というものをお考えになっていくのか、その基本的なお考えについて承りたいのと、やはり私は、アジア諸国の日米安保の評価というものが大分昔とは変わってきたのではないのだろうか、こう思っておりますので、その辺、関係アジア諸国の日米安保に対する評価というものについて、幅広く情報をお持ちでしょうから、御披露いただければ、こう思っております。
  18. 池田行彦

    ○池田国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま町村委員もお述べになりましたけれども、私ども、これだけ激変した国際情勢、またアジア太平洋情勢の中にあっても日米安保体制というものは大変重要である、こう思っております。その重要性には変わりない、しかし、その重要性のよってもってくるゆえんというのは、これはかつてとは違った面があると思います、情勢がこれだけ変化したわけでございますから。  それで、現在どういうふうに考えておるか、そしてまた、それを共同文書にどういうふうに盛り込もうとしているのか、さらにアジア諸国の見方、反応いかんという点でございますけれども、やはり先ほどからお話ございますように、アジア太平洋の情勢は非常に、安定に向かうような趨勢もございますけれども、一方でいろいろな不確定要因も内包しているというのは御承知のとおりでございます。  そういった中で、どうやって安定を守っていくか。いろいろな考え方がございますけれども、ヨーロッパのように多国間の、いわば地域的な、リージョナルな安全保障をしていくための枠組みというのがきちんとできている地域も、世界の中ではございます。これは、対話とか信頼醸成といったものだけではなくて、実力を備えた、NATOみたいなものも含めてですね。ところが、アジア太平洋を見ました場合には、信頼醸成の仕組みとしてはASEAN地域フォーラムを初めとしていろいろあるわけでございますが、実力を備えたそういった多国間の仕組みというのはないし、そう簡単にできそうな情勢でもございません。  そうなると、一体どういうふうにこの地域の安定を確保していくのか。  我が国の立場からいえば、やはり基本的に精強な自衛隊、そして日米安保体制といった二本柱をきちんとやっていくということがあるわけでございますが、我が国以外のアジア太平洋に利害を有する国の立場から申しますと、やはりそれぞれの国がそれなりに、例えば空白をつくらないようにしながらきちんとそれなりの備えをしていくということと同時に、やはりアメリカという国が従来この地域の安定を守るために示しておりましたコミットメントというものを新しい情勢のもとでもきちんと維持していく、これが非常に大きな要素になってくると思います。そして、日米安保体制は、そういったアメリカのコミットメントの中の非常に大きな、重要な部分になっているんだ、このように考えるわけでございます。  そしてまた、先ほど委員も御指摘になりましたけれども、米国の方でも、米国自身の国益と申しますか利害からしてもこれが必要なんだ、こういう見方をナイ・イニシアチブではやっております。えてして、もう冷戦は終わったのだからアメリカも世界の警察官だといった役割なんか持たなくてもいいんだという意見が、米国の中でも一部はございますけれども、いや、そうじゃないんだ、今おっしゃいました経済的な、政治的なあるいは社会的ないろいろなアジア太平洋地域などとのアメリカの交流、あるいはそういったものについてのイシューの存在というものを含めて、米国の国益の観点からもそういうものが必要だということでコミットしておる。  そういったことも含めながら、アジアの諸国も、やはりそういった米国のコミットメント、そしてその重要な一翼を担うものとしての日米安保体制というものを、この地域の安定を支える大きな力として基本的に評価しておる、このように認識しております。
  19. 町村信孝

    町村委員 クリントン訪日の際の両国の確たる意思、コミットメントというものを明確にしていただきたいと強く要請をしておきます。  この安保は、ほっといてもうまくいくわけじゃありませんから、いろいろな機能させるための諸施策というのがありますし、現にいろいろやってきております。相当の国費を使ってホスト・ネーション・サポートをしたり、共同訓練をしたり、いろいろあるわけでありますが、特にこの関係で二点伺いたいのであります。  一つは、「日米防衛協力のための指針」いわゆるガイドラインというものが昭和五十三年にできているわけでありますが、これは、五十一年十月の大綱の直前に、そういうものをつくろうということで作業が始まって、二年ぐらいかかってこのガイドラインができたというふうに承知をしているわけであります。今度新しい大綱ができたのだから、このガイドライン自身も見直す必要があるのではないかという議論政府部内にあるやに聞いております。  特にこの中身、一項目から三項目まであるわけでして、侵略を未然に防止するための態勢が第一項目、第二項目は、日本に対して武力攻撃があった場合の対処行動、この辺はかなりしっかりと書いてあると思いますが、第三項目めの、極東における事態日本の安全に影響を与える場合の日米間の協力という点は、随時協議をするという程度で、ほとんど何も中身がないのですね。こうした第三項目めの充実を含めて、新しい大綱ができたので、新しい日米間のガイドラインをつくるべきではないかというふうに私は考えるのでありますけれども、この点について、それぞれのお話し合いはされるおつもりがあるのか、あるいは話し合いが始まっているのか、お伺いをいたします。
  20. 臼井日出男

    臼井国務大臣 今委員お話をいただきましたとおり、御指摘昭和五十二年「日米防衛協力のための指針」は、昭和五十一年の前大綱考え方を踏まえ、「侵略を未然に防止するための態勢」、「日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等」、「日本以外の極東における事態日本の安全に重要な影響を与える場合の日米間の協力」の三点にわたりまして、日米防衛協力あり方につき研究を行うための指針をお示ししたものでございます。この指針に基づき、これまで共同作戦等の研究が進められてまいったところでございます。  今般、新防衛大綱、計画が決定されることに伴いまして、前大綱前提としていた指針、これも新防衛大綱の内容に合わせて調整を行うことが必要になる、こう考えております。いずれにいたしましても、慎重に検討いたしてまいりたいと思います。  あとの細かい点につきましては、政府委員の方から御報告をさせます。
  21. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 ただいま大臣から御答弁申し上げたとおりでございまして、第一項、第二項につきましてはある程度研究が進んでおりまして、一つのステップまで行っております。先生も御案内かと思いますけれども、第三項の点につきましては、これは実はまだ余り研究が進んでいない、あるいはほとんど進んでいないといったような状況でございます。  そこで、その第三項についてどうするのかという問題は、今回の新しい防衛大綱で、我が国周辺地域における我が国の安全に重要な事態が発生した場合の適切な対応といったような方向も示されていることもございますし、また、我が国を守る考え方につきまして、前防衛大綱と若干、例えば共同計画を立てる場合に必要となる要素が変化しておりますので、その辺で新しいガイドラインをつくる必要があろうかと思っておりますけれども、共同計画でございますし、米側との協議も必要とするわけでございますので、少し時間をいただいて、慎重に検討してまいりたいと考えております。
  22. 町村信孝

    町村委員 新大綱のもとで必要になるという認識長官がお示しになられましたから、それは確かに相手のあることですから慎重に作業はしていかなければならないと思いますが、ぜひこの点はやっていただきたい。  そして、その関連で当然、日本の法制にこれでやっていけるのかという問題だって出てくると思うのです。そういう問題はやはり政府の中においても議論をしていただき、また、我々国会の方でもやはりその問題は積極的に議論をしていかないといけない問題だ、こう考えておりますので、ひとつ、鋭意真剣なるお取り組みをお願いをいたします。  安保に関連して、もう一点は、沖縄の米軍基地の問題であります。  既にいろいろな議論が行われておりますし、また、現在は収用手続で裁判も行われている最中というようなことでもあります。私は、本当に忌まわしい昨年九月の暴行事件、本当に不愉快な事件であった、こう思っております。そしてもう一つ、長い間の沖縄の歴史、占領という歴史、また、米軍基地が圧倒的に沖縄に存在をしている、四万人を超える、五万人近い米国兵があそこに駐留をしているという事実を考えたときに、私どもも沖縄県の皆さん方に過大な負担をおかけし続けてきたな、こういう思いはあります。  したがって、私は、本州で引き受けられるものは、沖縄県ばかりではなくて、四十六都道府県で受けられるものはできる限り受けるという姿勢でやはり臨んでいかなければいけないと思います。ただ、だからといって安保条約の円滑なる運用に悪影響が出たのでは、やはりこれは元も子もない、こう思います。したがいまして、沖縄における基地の整理統合・縮小という基本方針はあるわけですが、これの作業を余り拙速に過ぎてはいけないのではないか、こう思っております。  外務大臣所信表明の中にも、四月のクリントン訪日に一定の方向性を明確にできるようにしたいというお話がありましたが、それは、方向を明確にするということであって具体的にどうこうということではないと私は思うので、そこは間違いはないと思っておりますけれども、クリントンさんがお見えになるということで、何かお互いにお土産を出し合うような感覚でやってはいけない、こう思います。あくまでも慎重に、しかし一定の期間内にはという姿勢で、ぜひ外務大臣には臨んでいただきたい。この一定の方向を明確にというのは、どんな意味、内容をお考えなのか、現時点でお述べになれる範囲でお答えをいただければと思います。
  23. 池田行彦

    ○池田国務大臣 委員指摘のとおり、日米安保体制はきちんと堅持していかなくてはいけないという要請が一方にございます。そうして、他方でまた、委員指摘になりましたように、沖縄の県民の皆様方が本当に長い間非常に大きな御負担を強いられておられた、そしてまた、現に我が国にございます基地の約七五%が集中しているという中で、昨年起こりました、まことに遺憾な、痛ましい事件、またそのほかにも、生活の面その他で大変な御不自由を強いておるわけでございます。そういった沖縄の県民の皆様方のお気持ちというものを深く考えまして、できる限りのことをやっていかなくてはいけない、これも、我々日本政治の世界として真剣に考えなくてはいけない点でございます。この両方の要請を調和をいかに図っていくかということでございます。  そういったことで、昨年の秋に特別行動委員会という枠組みをつくりまして、今、日米協力して、真剣に沖縄の基地の整理統合・縮小並びにそれにかかわる諸問題について検討を進めておるわけでございます。  拙速はいけないとおっしゃいました。私もそう思います。問題は、いかに具体的な成果を上げていくか、こういうことでございまして、これは、安保信頼性を確保するという観点からも、やはり沖縄の県民の皆様方の御理解を得るということがそういうものにもつながるわけでございますから、それでなくてはいけないと思うのでございます。そうして、SACO、特別行動委員会は、この秋を一応のめどとして、そこまでにその成果を上げることにしておりますので、そういうことで、我々は着実に、しかも精力的に作業を進めておるわけでございます。  ただ、その間で、四月にクリントン大統領がおいでになるというのは、これはやはり大きな節目でございますし、日米安保体制意義を内外にきちんと声明する場でございますから、当然沖縄の問題についても、やはりこの一つの節目というものを念頭に置いて我々は作業を進めなくてはいけないという意味で、今精力的に進めております。  方向性を明確にするということを言っておりますけれども、そういったことでございますので、今の段階であれやこれやということはちょっと申し上げにくいのでございますが、ともかく、今精力的に進めている作業のそれまでの成果というものを踏まえてと申しましょうか、あるいはそれを反映してと申しましょうか、何らかの言及を、その際発出する予定になっております共同文書の中でもいたしたい、こう考えております。  ただ、具体的なことをあれこれと言うのは――おっしゃるように成果を上げるのが肝心なのでございますから、そのときのためにだけ何かを急速にまとめ上げるということはとらざるところでございます。
  24. 町村信孝

    町村委員 ぜひそういうことでしっかりとお取り組みをいただきたいと思います。  なお、これの関連でいろいろな、沖縄県以外の地域で反応がありまして、例えば、北海道だけでも二つの大演習場があるのです。私も地元に帰りますと、非常に誤った情報やら意図的に偏った情報やらが流布しておりまして、非常に疑心暗鬼になり、その結果として、市議会の決議等々も出たりしているのであります。私は防衛庁に強く申し上げておきたいのですけれども、とにかく正しい情報は、しかも公開できる情報は、迅速的確に積極的に自治体の首長さんやらあるいは議会の方に流して、正しい情報をもとにして、その多分受け入れるであろう地域皆さん方があらぬ誤解の積み重ねであらぬ行動に出ないように、そういう配慮は十分していただきたい。  これは本当に、何かアメリカ軍の演習だと、例えば大砲の音やら破壊力やら、同じ口径でも日本の何倍も大きいのだとか、そんなあり得ないようなことがまことしやかに地元を流布しておりまして、大変なのですよ。でありますから、ぜひそういった情報提供を的確にやるように、私は再三申し上げておりますけれども、心がけていただきたい。お願いをいたします。  それから次に、大綱あるいは中期防の幾つかの内容についてお伺いをいたします。  先ほど防衛局長からのお話にあったように、弾力性という中、あるいは若年人口が減るというようなこともあるのでしょうか、即応予備自衛官というのが一つの大きな自衛隊の定員の柱になっていると思います。一万五千人、この中期防の期間には五千人、こういうことでありますけれども、現在の予備自衛官、これは五日間の訓練をやるということで、現実には二、三日で済ませているケースも実態はあるようであります。  しかも、例えばアメリカは実際どうやるかというと、ファントムにも乗れるぐらいの正面のパイロットさんも、年間二十日程度の訓練でちゃんと使えるようにする。それに対して日本は、一応五日だ。雇用主に対する補償、日本はありませんけれどもアメリカはちゃんとあるとか、あるいは有給休暇、日本は、なかなか今の雇用情勢もあるのでしょうか、とりづらい。最近は大分有給休暇をとる方はふえていますが、それでも訓練だといって有給休暇をとるとなると、なかなかとりづらい面がある。アメリカではちゃんととれる。  こういったことなどを考えると、相当思い切った環境整備、必要な立法措置もやらないと、この即応予備自衛官五千人あるいは最終的に一万五千人というのは、絵そらごとに終わってしまうおそれが非常にあるのではないかな、こう懸念をするのでありますが、今相当御検討されているやに伺いますが、どういう準備検討状況なのか、そのことを伺っておきたいと思います。
  25. 臼井日出男

    臼井国務大臣 今委員お話しいただきました即応予備自衛官につきましては、新防衛大綱のもと、平成八年度から一定の師団及び旅団の一部の部隊を即応予備自衛官を主体として編成をする、こういうふうにされているわけでございます。防衛庁といたしましては、部隊編成にあわせて、平成九年度以降でき得る限り早期の導入を図りたい、こう考えている次第でございます。  新中期防におきましては、第一線部隊に充当できるだけの練度、即応性を有する即応予備自衛官を、円滑にかつ実効性をもって導入をしたい、こういうふうに考えておりまして、所要の施策を講ずることとしております。  そして、その即応予備自衛官をどのように確保していくのか、教育訓練をどのように実施をしていくのか、訓練出頭しやすい環境整備をするためにどのような措置が必要なのか、今委員が申されましたそういった点も含めて、具体的な施策について現在検討をしているところでございまして、その実現に向けて鋭意努力をいたしてまいりたい、こう考えております。
  26. 町村信孝

    町村委員 たしか、前伺ったときは、来年の通常国会には必要な法律改正をしたいというお話があったと思いますが、それは今でも変わりありませんか。
  27. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 ただいま大臣から答弁がありましたように、九年度から即応性の強い自衛官の制度を導入したいということを考えておりますので、ことしじゅう、それも早い時期になるべく案を固めまして、これは、いろいろ関係する省庁なりあるいは組織なりあるいはいろいろな分野がございますので、そういった調整を踏まえた上で、我々としては、次の、来年の通常国会に出したいという希望を持っております。
  28. 町村信孝

    町村委員 次に、正面装備の中では、新しい支援戦闘機F2の整備導入というのが決まりまして、大綱期間中百三十機、中期防期間中四十七機ですか、こういうことで、私はこれは一つの大きな決断であり、前進であったと思っております。  確かに、価格が当初想定したものよりは五割近く高くなっております。この理由はどのようなところにあるのかお伺いをしたいのであります。やはり一定割合を国産にしなければいけないとか、本当は輸出ができれば量産できて単価も相当安くなるのでしょうけれども、そうはできないということで、やむを得ない面もあると思いますが、それにしても、たしか当初一機五十四億円程度のものが今八十億円程度に上がってきているというのは、相当大きな金額ですから、この理由を簡単に言っていただきたい。  この関連で、部品をアメリカに出してそれをまた戻してくる、この限りでは、今のF15のエンジンと同じケースかな、こう思うのでありますが、まかり間違っても武器輸出三原則に抵触しない、私はこう解釈しておりますが、それが誤りないかどうか、確認の意味を込めて質問をさせていただきます。
  29. 大道正夫

    ○大道説明員 F2と武器輸出三原則の関係についてお答え申し上げます。  F2の量産につきましては、まだ日米で交渉途上でございますけれども、現時点における私どもの考え方ということで申し上げますと、我が国のみによって使用される武器の生産の過程におきまして、部品などが加工、組み立てのために一時的に他国に輸出される、仮にそうなったといたしましても、最終的に我が国に積み戻される、こういうようなケースにつきましては、その武器の生産のみにその部品等が使われるわけでございますので、国際紛争等を助長することを回避するという、武器輸出三原則等のよって立つ平和国家としての基本理念は確保されるというふうに考えております。
  30. 荒井寿光

    ○荒井政府委員 価格についてのお尋ねがございましたので、その関係を御説明させていただきます。  まず、一般的にF2の価格が諸外国の戦闘機比較しますと少し割高になっておりますが、これは、我が国のみが調達して生産機数が少ない、それから、一体成形複合材技術やアクティブ・フェーズドアレー・レーダーなど新しい最新技術を入れる、こういうことによるものでございますが、もう一点、当初、昭和六十二年ごろ想定したころに比べて今回価格が上昇したのではないかという点につきましては、前回想定いたしましたときに比べまして、日本アメリカでの分担する方式が変わったということ、それから、年産機数の下方修正に伴うこと、あるいは物価上昇があったこと、その他経費の増、こういうことによりまして、当初想定したよりも少し価格が上がったということでございます。
  31. 町村信孝

    町村委員 少しというのはちょっと不適切であって、かなり高くなったと私は思いますが、いずれにしても、やむを得ない事情なのだろうと思いますが、できるだけ可能な範囲で、それはもうぎりぎりのコストでできるように御努力をいただきたいと思います。  時間がなくなってまいりましたので、若干はしょらざるを得ないのでありますが、PKOについてであります。  カンボジアとかモザンビーク、ルワンダ、そして最近はゴラン高原、私は、国民の一人としても誇りに思えるような非常に立派な活動自衛隊皆さんはやってこられた、こう思っております。ただ、やはり経験に照らして幾つか反省材料もあるのだろうと思います。特にどういう点を反省をし、教訓として得ておられるか。  この関係でいいますと、やはりPKFの凍結問題と多分切っても切り離せない問題がその中にあるのだろう、特に武器使用の問題などにつきましては。私は、自民党内でもまだ議論が固まったわけではありませんが、大勢はPKFは凍結解除すべき、こういう意見だと思っております。政府部内でどのような御検討をされ、現時点でどういう見解をお持ちか承りたいのと同時に、私は、これはもう本来任務として自衛隊法の三条に規定すべき内容を持っているのではなかろうか、こう思いますが、その点どうお考えか。  さらには、新進党の党首は自衛隊別組織論を盛んに言われました。びっくりいたしまして、我が耳を疑ってリーフレットを取り寄せたら、ちゃんと別組織と書いてありました。この問題につきまして、我が党は自衛隊別組織論には反対でございますが、防衛庁見解を伺いたいと思います。  ちょっと幾つも質問しましたが……。
  32. 臼井日出男

    臼井国務大臣 大変たくさん御質問をちょうだいいたしました。  これまでPKOの活動を通じまして得られました教訓、反省事項につきましては、防衛庁自衛隊という組織を挙げての対応が不可欠であったという点、派遣先国、国連との良好な関係が不可欠だったという点、武器使用について、ただいまお話ございましたとおり、隊員の心理的負担が大変大きかったということ、教育訓練を今後さらに充実させる必要がある、こういう点が挙げられているわけでございます。  また、PKOの本体業務の凍結解除のお話もございました。現在のところ、与党三党の確認事項にもございますけれども、本体業務は凍結をいたしているところでございます。この点につきましては、今後、議会の御審議等も十分賜りまして検討いたしてまいりたい、このように考えている次第でございます。  それから、PKOの別組織というお話がございました。国連平和維持活動の適切かつ迅速な実施に協力するためには、自衛隊が長年培ってまいりました、蓄積をしてまいりました技能、経験、組織的な機能、こういうものを活用することが不可欠でございます。このことは、カンボジア等の実績を勘案すれば明らかでございます。また仮に、新たな組織を設け、これに自衛隊と同様の機能を付与する場合には、膨大な経費と時間を要することは明らかでございます。これらのことから、自衛隊とは別個の組織を設ける必要はない、こう考えております。  以上でございます。
  33. 町村信孝

    町村委員 時間がもう限られてまいりました。最後に一点だけ。  平成八年度の予算は、厳しい財政の中でありましたけれども、平成三年以降ずっと伸び率が下がってきておりましたが、久しぶりに反転、上昇したし、一般歳出の伸びよりも防衛予算の伸びがこの四年間ずっと下回っていましたが、久しぶりにこれを上回ることができたという、数字的に見ても一定の成果があったのかなと思っておりますし、内容的にも、F2の導入を初めとして、情報本部の設置等々、改善があると思います。  ただ、財政の制約もあったから、やはりまだまだ不満な点も正直言ってあります。先ほど申し上げた自衛隊の隊員の施策、隊舎とか宿舎の建設のペースが、建てかえのペースが非常に遅いとか、あるいは訓練も、七年度に中止したものを一部復活したりとかいうのはありますけれども、しかし、これとてもまだまだ不十分だろうな、こう思っております。  こうした問題などにつきまして、あるいは基地周辺対策も、必ずしも地元の自治体の皆さん方の御要望を十分満足させるものにはなっていないような気もいたします。こうした問題に、また引き続き我々も一生懸命取り組んでいきたいと思いますから、防衛庁あるいは外務省の皆さん方にもひとつ御努力をいただきたいと思います。  質疑時間が終了いたしましたので、以上で終えさせていただきます。どうもありがとうございました。
  34. 吹田愰

    吹田委員長 次に、佐藤茂樹君。
  35. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 新進党の佐藤茂樹でございます。この委員会は、与野党ともに非常に大物と言われる大先輩方が多いわけでして、我が党にも多いわけですが、その大先輩方の御了解を得て、まず党の最初に質問をさせていただきたいと思います。  まず、両大臣、御就任まことにおめでとうございます。我が国を取り巻く状況というものも非常に多難な折に、両大臣就任されたわけでございますけれども、どうか全力を挙げて安全保障政策遂行の任に当たっていただきますよう、まず冒頭お願いをしておきたいと思います。  最初にお断りしたいのですが、きのう、質問通告のときに大体三十項目近く通告をしたわけですが、私の下手な演説は避けて、なるべく政府の御見解をお聞きすることを中心にしたいのですが、時間が間に合わない場合は御了承いただきたいな、そのように思っております。  まず最初に、北朝鮮に絡んで、きょうの新聞報道によりますと、北朝鮮への重油供給費用として十九億円を政府が肩がわりする、そういう報道がなされているわけでございます。この件につきましてまずお聞きしたいのですが、一つの問題は、これは発端は大体二月の初めぐらいからあった話だと思うのですけれども、その間を通じて国民への十分な説明のないまま、今回、橋本総理がまるでクリントン大統領へのお土産のように持っていかれることに対して、やはりひとつきちっとした政府の御見解というものが要るのではないかな、そのように思うわけですね。大体、KEDO合意の範囲外であるはずだった今回の肩がわりのつなぎ資金だと思うのですけれども、その辺につきまして、外務大臣の方から、国民にわかりやすい御説明をまず最初にお願いしたいと思います。
  36. 池田行彦

    ○池田国務大臣 御承知のとおり、このKEDOと申しますのは、もともとが、北朝鮮核兵器開発の問題が非常に、内外の関心といいましょうか、懸念を呼んだということがございました。何としてもこの問題を解消いたしまして安全保障上の懸念を少しでも軽減したい、こういうことで米朝間の話し合いがあった。また、それを踏まえまして、日米韓、三国の間でKEDOという仕組みをつくったわけでございます。  それは、基本的には北朝鮮開発しておりました黒鉛炉による原子力発電、これを断念させまして、そのかわりに軽水炉を提供しよう、そして、それが完成いたしますまでの間、北朝鮮が必要とするエネルギーとして重油を年間五十万トンぐらい供与しよう、これがKEDOの仕組みになっておるわけでございます。  そういった中で、我が国としてはそういったKEDO全体の計画、それに要する資金あるいは財政面の中で応分の負担をしていこうということでございました。また一方において、軽水炉につきましては、韓国が一番大きな負担をしていこう、そしてまた、日本も何となく、それはかなりのもの、応分のものが期待されているという情勢だった。一方、いわばつなぎの重油につきましては、まず米国が主たる責任を持ち、そしてまた関係各国の協力を得て、こういうことで進めてきたわけでございます。  ところが、今年度分と申しましょうか、当面の重油の調達資金につきまして、米国も懸命の努力をしておるわけでございますけれども、十分それが、目標というか、所要資金を賄うに足らない。まず、米国自体が千九百万ドルの予算を計上したわけでございますけれども、御承知のような議会との対立てなかなか予算が成立しなかった。先般ようやく成立いたしましたが、北朝鮮に対してそのような措置をします場合は、また大統領府と議会との間での手続が要りまして、どうしても四月のかなりの時期にならないとこれが使えるに至らない、こういう事情がございます。  また、EUその他の国からも拠出してもらうように、米国あるいは我が国韓国も協力しながら、慫慂してあるいは要請しておりますけれども、これもある程度の反応は来ておりますけれども、まだ早急に使えるような姿にならない、あるいはしかるべき額にならないということでございまして、目下そういう努力はしているのだけれども、流動性の危機と申しましょうか、当面の資金繰りがうまく回らない、こういう状況になっておる。  そういったことでございまして、KEDOの事務局長、ボスワースと申しますけれども、これも私のところへも参りました。そこからも、何とかこの当面の流動性危機をしのぐために日本が何とかしてくれないか、こういう要請がありました。また米国からも、自分たちも懸命に努力はするんだが日本も協力してくれないか、こんな要請があったところでございます。  そういった事情をいろいろ考えまして、私どもも、やはり北朝鮮核兵器開発問題をきちんと断念させる、このことの安全保障上の重要性というものを考え、またKEDOを通ずる日米韓三国の間の協調関係を大切にする、こういう観点も踏まえまして、当面この流動性危機対応できるような措置に協力しよう、こういうことに決めたわけでございます。  具体的には、今回だけではなくて、これからもKEDOの事業を進めるに当たっていろいろそういった一時的な流動性の危機は生じてくるだろう、そういったときに対応できるように特別の基金を設ける、その基金に対して千九百万ドルを平成七年度の予算から拠出しようということを決めさせていただきまして、実は本日の閣議でもそのような話をしたところでございます。  この間国民への説明が十分でなかったという御指摘でございます。その点は私どもも今後とも心してまいりたいと思いますが、事柄が、今申しましたような非常に際どいというか、当面何としてもこれはやらなければいけないという話、一方では、これまでいろいろ進めてきた話との関係をどうするかということもございまして、必ずしも十分でなかったということは反省いたしますけれども、事柄の重要性にかんがみましてひとつ御理解を賜れればとお願い申し上げる次第でございます。
  37. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 今外務大臣、丁寧に時間をかけて御説明いただいたのですが、もともとがこの五十万トンの負担の部分については、アメリカがそのうちの二千二百万ドルを負担して、残りは欧州を初めとした関係国が調達することになっていた、そういうところで、日本はそこにある意味で言えば直接に絡んでいなかったはずなのですね。  今回、先ほど外務大臣の御説明のとおりなんですけれども、そういう枠組みをしたにもかかわらず、もう余りこのことをくどくど聞きたくはないのですが、本当にアメリカでこれからやろうとしているこの枠組みの中における重油供給に充てる予算が果たして十分に確保されているのかどうか、その辺が非常に明らかでない点というのが今回はっきりしたのではないかな。  政府側が一応了承しても、結局、ある報道によりますと、二千二百万ドルを新年度予算に計上したけれども、議会の反発で現段階において三分の一しか調達できない、そういうことになっていきますと、アメリカ政府がこういう形で次々になし崩し的に、また足りなくなったときに、資金の負担についてまたいずれかの段階で日本が同じように肩がわりをさせられるのじゃないか、そういう懸念があるわけですけれども、外務省として、今回限りというような、そういう約束をされているのかどうか、その辺についてもう一度答弁をいただきたいと思います。
  38. 池田行彦

    ○池田国務大臣 私どもは今回の措置を肩がわりとは考えておりません。これまでのKEDO全体の枠組みと、その中での所要資金の負担につきましては、これはかちっとした取り決めといいましょうか、約束があったわけじゃございません。先ほど申しましたように、軽水炉部分については主として韓国、そうして日本も相当の、それからつなぎの重油については米国が中心になり各国のということでございましたけれども、これは決してかちっと決まったものでございませんし、日本としても全体の中で応分の負担をするということで、完全に重油の部分はエクスクルードしておったわけじゃない、あるいは逆に言いますと、米国分についても軽水炉部分を完全に排除しておるものじゃない、そういうことなのでございます。  そういった中で、重油については、いろいろ努力をしてまいりましたけれども今のところまだめどが立っていないというので、とりあえずつなぎの措置として出した。しかもそれは、先ほども申しましたように、基金を設けてそういう流動性危機対応するものにしておりますので、直接にこれを重油に充てるというわけじゃございません。  それは、簡単に言いますと、その基金をもとにして、それをいわば担保のような形にして資金を調達し、それで重油資金は対応する、そうしてその後、米国あるいはそのほかのところから重油の代金が調達できるならば、その基金を担保にして調達しました資金は返済して、基金は全くいわば無担保の状態になる、それでまた将来、いろいろな活動でまたそういった流動性の危機があれば同じような対応をしていこう、こういうことでございます。  なお、米国の分が二千二百万ドルであったのが千九百万ドルというお話がございました。これはちょっと私の説明も不十分でございました。今回成立しました予算で、二千二百万ドル議会は承認しております。ただ、そのうち三百万ドル相当分は、これはいわばKEDOの事務局経費として拠出する予定になっておりますので、重油に充当できるのは千九百万ドル、そういうことでございます。  それからなお、次の会計年度以降、御承知のとおりアメリカの会計年度は日本とちょっとずれがございまして秋から始まりますけれども、そこにおいてはさらに米国としても大きな負担をすべきではないかということは、私どもの方から申し上げておりまして、アメリカもそれは検討すると言っております。ただ、議会の関係がございますので何とも申せませんけれどもね。それから、ECあるいは湾岸あるいはASEANの国々に対する努力も、さらに米国は推進するよう要請しておりますし、そういった努力もしております。  また、現に私どもも、私自身も、各国の関係者と会いますときには、EUだとか、それからこの間、ASEANの会合などでも、この点について多くの国からの拠出を求めておるところでございます。
  39. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 いずれにしましても、今回の橋本総理初めての訪米で急浮上した話題になるかと思います。ニュース等を通じて、日本国民も、この件は一体どうなっているのだ、そういう形になるかと思うのですけれども、ぜひ外務省もしっかり努力していただいて、当然これは今年度の予算から急遽出されることになるかと思うのですけれども、やはり国民理解を得るような努力を明確にしていただきたいな、そのことを申し上げまして、この件についてはもう質問をしないことにいたします。  もう一点、三月中にも出されようとしております国連海洋法条約の批准に伴う関連法案の件なんですけれども、二月の二十日に閣議了解をされて二百海里の排他的経済水域を全面設定する方針を決められたわけですけれども、すかさず韓国も、孔外相ですか、通じて同じように設定する方針を表明されて、そのときに、韓国側として配慮をされたことだと思うのですが、竹島領有権問題というのはその表明のときには棚上げをされていたわけです。  この問題については外務大臣が発端の当初から非常にかかわっておられて、またここまで御努力をされてきたわけですけれども、ようやく同じテーブルに着けるような環境とか条件が整いつつあるのかな、しかしながら、このまますんなりいくかというと、非常に難題も抱えている問題ではないかな、このように思うわけですね。  この件につきましては、これから、そういう境界線の画定とか、また漁業の管轄権とか、いろいろな問題がその話し合いの中で出てくる。また、韓国の中で非常に強い反日感情、こういうものも絡んできて、ともすればうまく交渉がいかない可能性も十分出てくるのではないかなと思うのですけれども、これから本当にこの課題に韓国また中国との間で取り組んでいかなければいかぬ大変重要なお立場にあるかと思うのですけれども、その辺につきましての外務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  40. 池田行彦

    ○池田国務大臣 御指摘のとおり、先般、国連海洋法条約の締結に伴う我が国としての基本方針を閣議で了解させていただいた次第でございます。それを踏まえまして、私どもといたしましては、韓国中国等の関係国と漁業関係等につきまして話し合いを進めて、海洋法条約の趣旨を十分踏まえた新たな漁業協定を締結してまいりたいと思います。その過程におきまして、いわゆる領有権の問題をめぐる双方の当事者間の立場の違いというものがこれに影響を与えることは避けたい。したがいまして、その問題の解決とは切り離して対応してまいりたい、こう思っております。  それで、韓国あるいは中国の方もいろいろなことがございますけれども、漁業問題等につきましては、やはりこれは話し合いを通じて、合理的な、現実的な解決を見出そうという基本的な姿勢はある、このように考えておりますので、私ども、冷静にかつ真剣に対応いたしまして、極力早く話し合いに、協議に入ってまいりたい、こういうことを今考えている次第でございます。
  41. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 基本方針の中でも早期に交渉に入るということを確認されていますし、ぜひお願いしたいと思うのですが、もう一つ、その基本方針の中で「合理的期間内に結論を得る」、そういう形になっておりまして、この件に関しまして、与党の大変重要な立場におられます山崎政調会長が一年以内こといりお話を記者団こされたというようなお話も聞いておるのですが、この件に関しまして外務省としてどのようにお考えになっておるのか、御所見をお伺いいたします。
  42. 池田行彦

    ○池田国務大臣 この件につきましては、与党であるいは与党以外の政党でもいろいろなお考えがございましたり、あるいは漁業関係者関係方面でもいろいろなお気持ちがある、そういったことは私どもも承知しております。  そういったことで、私どもも極力早くまず協議に入り、そうしてなるべく早く新しい協定の締結に至りたい、こう考えてはおりますけれども、まだ現に協議そのものに入っていない今の段階では、合理的期間が一体どれだけなのかということを申し上げるのほかえってミスリードするおそれもあると思いますので、私どももそういったいろいろな関係方面のお気持ちやお立場というものも踏まえながら真剣に取り組んでまいりたい、こういうお答えをさせていただきたいと思います。
  43. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 もう一つは、きょうの報道によりますと、韓国側もまた日本側も、三月一日にタイのバンコクで行われますアジア欧州首脳会議にそれぞれ総理または大統領が出席をされるのですけれども、どうもこの問題があるので、今回に限って首脳会談の開催を特に日本側からは要請しない、そういう方針を決められたというような報道が流れているのですけれども、私は逆に、確かにやり方によってはいろいろな感情的な問題が出てくる、そういうこともあるかもわかりませんけれども、やはりそれぞれ首脳同士が忌憚なく、また、橋本総理は就任されて初めての韓国の大統領との会談でもありますし、忌憚なく信頼関係をつくられることも一つの大事な要素ではないかなと思うのですけれども、その件に関しまして外務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  44. 池田行彦

    ○池田国務大臣 私どもは、韓国との関係は極めて大切な関係だと思います。これだけ長い交流の歴史があり、また、いろいろな面での利害もともにする国でございます。したがいまして、この韓国との友好関係我が国外交にとりましても最重要課題一つ、こう考えている次第でございまして、今回の領有権をめぐる立場の違いというものがそういった友好関係に好ましからざる影響を与えることは極力避けてまいりたい、こういったことを基本にして考えております。今お話しの会談につきましても、私どもは、基本的に常に冷静に、そうして先ほど申しましたような日韓関係に関する基本的な考えを踏まえて対応してまいりたい、こう考えている次第でございます。  ただ、三月の初めに、一日、二日に開かれますASEMの首脳会談につきましては、私どもはまだ、国会の方のお許しをいただいた上でぜひ参加したい、こう考えている段階でございますので、いずれの国との関係につきましても、まだどの会談をするしないということを決められる立場にございませんので、国会の方の御理解をちょうだいしながら、いろいろ先はどのような姿勢で進めてまいりたい、こう思います。
  45. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 先ほど大臣が言われましたし、これはもう今まででもいろいろなところで言われているのですが、漁業問題と領有権の問題を切り離して、冷静に、また現実的に話し合いによる平和的解決を目指していただくのはもう絶対に基本だと思うのです。  しかし、どうしてもこの話し合いがうまくいかなかった、その場合においては、例えば今回の国連海洋法条約では、国際海洋法裁判所なんかもきちっと紛争解決の手段として設置されるということも入っておりますし、また、今現に国際司法裁判所なんかもあるわけですけれども、そういうところにまで提訴するというような、そういう視野お持ちなのかどうか、そのあたりについて外務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  46. 池田行彦

    ○池田国務大臣 国連海洋法条約の締結に伴う漁業その他の資源をめぐるいろいろな問題につきましては、それは確かに難しい問題もございます。これは、領有権との絡みを切り離しましても、漁業問題それ自身についてもいろいろな問題があるのは事実でございますが、しかし、そこのところは、関係国との真剣な、真摯な話し合いを通じて何とか合理的な解決の道を見出していかなくてはならない、こう思っておりますし、私は、それはできない話ではない、こう考えている次第でございます。
  47. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 この件に関してはもう一問だけ付随してお聞きしたいのですが、領海の見直しの問題で、領海法の改正の準備を政府内で進められているというようにお聞きしておるわけです。  日本には、津軽海峡とか宗谷海峡とか、そういういわゆる五海峡と言われる国際海峡に準じた、特定海域と指定されている海峡があるわけです。今国会で何とか領海法改正案を提出予定というように聞いておるのですけれども、今回、安全保障上の面から見て公海の部分をどういうようにきちっと設定していくのかというのが非常に大きな焦点となっているというように聞いているのです。報道によりますと、何と外務省は現状維持でいい、しかし防衛庁は何とか変えたい、そういうところでなかなか意見が合わないというようなお話も聞いているのですけれども、その辺につきまして、どのような方針をそれぞれ両大臣は持たれているのか、現段階の御所見をお伺いしたいと思います。
  48. 池田行彦

    ○池田国務大臣 海洋法条約を締結いたしますと、いろいろ関連の法案も整備いたしまして、条約とあわせて御審議をちょうだいすることになろうかと思います。  そういった中でいろいろな問題がございまして、ただいま委員指摘の問題につきましても、現在政府部内で慎重に検討しているところでございます。基本方針を決めたばかりでございまして、まだ今どういう方針であるか、これを申し上げるまでに至りませんけれども、このとおり、大臣同士仲よく座っているようなあれでございますし、相寄る魂で何とか結論は得ることができるもの、こう考えております。
  49. 臼井日出男

    臼井国務大臣 委員指摘の領海の範囲の見直しに係る検討につきましては、我が国安全保障上の観点からも大変重要な問題であるということは御指摘のとおりでございます。防衛庁といたしましても、今後とも十分な検討を行っていく必要がある、こういうふうに考えております。また、領海の範囲の取り扱いを含めまして、海洋法条約の締結に係る政府部内の検討に積極的に参加をいたしているところでございます。  今外務大臣からもお話ございましたが、現在の政府部内の検討の詳細については、コメントを差し控えさせていただきます。
  50. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 ぜひ、ちまたで言われているような、そういうつまらないところでそれぞれの省のメンツを立てるというようなことは避けて、日本の国防また安全保障上本当にどちらが大事になってくるのかというような観点できちっと決めていただきたいな、このように思うわけでございます。  大体今まで外務大臣中心にお伺いしたのですが、これから防衛庁長官中心にお伺いしたいのです。  まず、防衛計画の大綱について何点かお聞きしたいのですが、最初に、なぜ昨年の十一月にこの大綱が設定されたのかということにつきまして明確に御答弁をいただきたいのです。もともとあの時期というのはクリントン大統領の訪日が予定されておりましたけれども、それが延期されて、先ほど町村先生の答弁の中に、共同文書等も何とかつくりたいというような話も、全部、今度の四月に延期されているわけですね。一番今回の大綱の中でも一つの大きなポイントを占めております日米安全保障条約また安全保障体制というものが再定義、橋本総理は再確認と言われておりますが、そういうものが双方にあってこういうものだということがきちっと明確にならない段階で、なぜ昨年の十一月に大綱というものを決定されたのか。まず、そのあたりにつきまして、明確な御答弁をお伺いしたいと思います。
  51. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 平成二年に前中期防、前といいますか、現在まだ生きている、この七年度に終了する中期防衛力整備計画が閣議決定されました。当時、平成元年にベルリンの壁が落ち、そして平成二年には東西のドイツが統合するといったような、まさに冷戦終えん後という大きな変革期であったわけでございます。  この平成二年に閣議決定された中期防におきまして、「自衛官定数を含む防衛力の在り方について検討を行い、本計画期間中に結論を得る。」つまり、この七年度中に結論を得るということが示され、かつ、この中期防はその二年後に修正をされましたけれども、その時点でも、東西冷戦の終結等の国際情勢の変化等を受けて、防衛力あり方について引き続き検討、今年度中に結論を出す、こういう一応政府の方針が閣議で決定されていたわけでございます。  そこで、政府といたしまして、一昨年の二月には総理のもとに防衛問題懇談会というものを発足させまして、半年間ぐらいでレポートを出し、そして昨年の六月からは、政府の中で正式に安全保障会議を開いて本件を議論を始めた。別途、防衛庁の中でも防衛力の在り方検討会議というものをかなり長い期間、この七年度中に終了ということを念頭に置いてやってきたわけでございます。そして、七年度中ということでございますが、八年度以降の予算とか八年度以降の防衛力あり方を示すということを考えてみますと、当然のことながら、八年度の予算編成の前にこの新しい防衛大綱を決める必要があったという作業手順であったわけでございます。  なお、日米両国に関する冷戦後の安保あり方について、実は日米間でもそれ以前、一年ないし一年数カ月前からかなり議論をしておりました。昨年十一月に新防衛大綱を決定するに当たりましては、我が国防衛という観点からこの冷戦終えん後の日米安保について付言をしたものでございます。
  52. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 今の御説明も、局長はそこまでしか言えないと思いますが、中期防期間中にそういう、中期防よりもっと、ある意味では中期防の基盤になるような防衛計画の大綱を変えてしまうというところ、中期防の期間中に決めたからというようなところがちょっとよくわからなかったのです。  それと、国際情勢の変化というのはもう今に始まったことではなくて、冷戦の終結というのはもう大分前にありまして、防衛白書なんかでも、今の外務大臣防衛庁長官で、平成三年版の大臣の写真のある、最初の巻頭のところで、冷戦は終結しということを言われていますし、また、平成四年の防衛白書なんかには、もう「冷戦の終結」という一項目を設けて出されているわけですね。その段階でそういう取っかかりがあったのならわかりますが、なぜ今の、一昨年ぐらいですか、そのあたりになったのか。そのあたりについて、簡単で結構ですから、もう一度補足で御説明をいただきたいと思います。
  53. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 七年度に終了いたします中期防衛力整備計画は、確かにこの七年度を最終年度とする五年間の防衛力整備計画であることは御指摘のとおりでございます。  ただ、この五年間の防衛力整備計画を決定するその時点というものが平成二年、一九九〇年ということでございまして、そのことを考えてみますと、実はかなり国際情勢も変化している、あるいは、これは今の中期防にも書いてございますけれども、「人的資源の制約の増大」といったようなこともある。そういうことで、この五年間のうちに、つまり今七年度に終了する中期防衛力整備計画というこの計画が終了する期間内に、国際情勢その他の要素を織り込んで防衛力あり方について検討をして結論を得るということを閣議で方針を決定したということを我々は重く受けとめまして、常識的に昨年じゅうにそれを決定しなければならないということで、安全保障会議でも、総理からの諮問をいただいて決定をした。  その日本防衛力役割あるいは防衛力あり方に関連いたしまして、もちろんのこと日米安保体制というものは非常に重要なことでありますから、別途御指摘のような日米首脳会談というものもにらみながら作業はしておりましたが、防衛大綱の作業が先に実は終了したということでございます。
  54. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 その辺で、やはり内容から見ましても、結果論といえば結果論かもわかりませんけれども、安全保障体制というのが前大綱では言葉として二回しか出てこないのです。ところが、今回の大綱では十三回、言葉の数だけじゃないのですけれども、それだけ見ても、日米安全保障体制というものを非常に重要視している、そういう大綱になっているわけです。その辺が、日本側が一方的にとらえている認識だけじゃなくて、やはり共同の認識に基づいた大綱というものを、これから長期間にわたるそういう大綱というものを構築されるなら、きちっとやった方がいいのではないかなという、そういう苦言をまず呈しておきたいと思います。  これ以上やっていますと進みませんので……。  それで、今回の大綱で、先ほどの御説明では、町村委員質問に対しては違いとしてなかったのですが、大きな思想的転換をされていると思うのですね。前大綱の中にありました限定的小規模侵略独力対処というものをすぱっと削除されているわけですけれども、なぜこの考え方を削除されたのか、そのあたりにつきまして御説明をいただきたいと思います。
  55. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 先ほどの町村委員質問に対してもお答えいたしましたけれども、今回の新しい防衛大綱では、前防衛大綱の基本的な考え方でございました基盤的防衛力構想というものを基本的に引き継いでおります。これは、特定の脅威を見積もりまして、それに直接対抗するといったような防衛力構想ではないということは先ほど申し上げたとおりでございますが、実は前防衛大綱では、この基盤的防衛力構想というものの中に、限定小規模侵略独力対処というものがある意味で色濃くつながっていたということはもう先生御指摘のとおりでございます。  しかし、今回、新しい防衛大綱におきまして、基盤的防衛力構想というものを基本的に引き継ぎながら、この限定小規模侵略独力対処という表現、記述を避けましたのは、幾つか理由がございます。  一つは、限定小規模侵略の蓋然性が何か非常に高いといったような誤解を招く向きが実はこれまでございましたので、そういうことも懸念として持ちました。  それから、第二点目として、限定小規模侵略までの事態とそれ以外の事態で日米協力を含め防衛力の運用のあり方が大きく異なるような誤解、またあるいは、現実問題として武力をもって我が国に対して侵略があった場合に、果たして、それが限定小規模だから独力対処しよう、そうでなければ日米共同しよう、そういうオペレーションはちょっと考えにくいといったようなこと。  それから、前大綱策定後、これは昭和五十一年に策定されたわけでございますが、先ほどの質問にもありましたように、昭和五十三年に日米防衛協力のガイドラインというものができまして、日米防衛協力のいろいろな形での進展、これが進んだわけでございます。  そういう状況を踏まえますと、今回の新しい防衛大綱でこの限定小規模侵略独力対処といったような表現あるいは記述を残すということは適当でないのではないか、しかし、申し上げましたように、前防衛大綱の基本でございます基盤的防衛力整備という考え方は基本的に踏襲するということを決定したわけでございます。
  56. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 まだ今のではちょっと納得できないのです。限定小規模侵略独力対処抜きの基盤的防衛力だけというのはどういうものなのか、そのことが今の御答弁では全然わからないのですね。  要するに、周囲の脅威水準関係なく、例えば日本という国、これだけの広さの国土、またこれだけの国民生活と産業基盤を守るためには、一定の定数として脅威関係なくこれだけの防衛力が必要ですというのが基盤的防衛力という考え方なんですか。局長、ちょっとその辺詳しくお答えいただきたいと思います。
  57. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 若干経緯的なものを御説明しなければならないかと思いますけれども、昭和五十一年に防衛大綱が作成されるまでの間、四次防ですとか三次防ですとか、五カ年計画がございました。これらの計画は、今で申し上げますとまさに防衛大綱とそれから中期防衛力整備計画を合わせたような計画が、五年ごとに示されていたわけでございます。そして、四次防、三次防、二次防というその五カ年計画で示された中身は、通常兵力による局地戦以下の侵略に対する我が国防衛力ということで防衛力整備をしてきたわけでございますが、その時点での議論を見てみますと、通常兵力による局地戦以下という防衛力水準まで幾ら防衛力整備をやってもなかなか達しないといったような状況がございました。  そういう状況、背景の中で、昭和五十一年に基盤的防衛力整備という考え方で新しい防衛大綱ができ、そして、その「別表」で、整備すべき防衛力水準が示された。  当時は、デタントという思考がございましたけれども、東西冷戦下にあった。東西冷戦下において一つ考えられる、やや理論的なというと妙でございますけれども、限定的小規模侵略というものを概念として考えまして、それに対して我が国が独力で対処し得る防衛力水準ということで基盤的防衛力というものを実は考えたというのが背景にございます。  しかしながら、その基盤的防衛力という、当時の大綱も同じ考え方でございますが、これは、我が国に対する軍事的脅威を見積もりましてそれに直接対抗するという考え方ではなくて、みずからが力の空白となって我が国周辺地域における不安定要因とならないよう、独立国としての必要最小限の基盤的な防衛力を保有するという考え方でございまして、そういう意味におきましては、前防衛大綱と現在の新しい防衛大綱の基本的考え方は変わりがないということでございます。
  58. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 長く説明していただいたのですけれども、その中にキーワードがあったと思うのですね。要するに、五十一年のときにはそういう考え方防衛力整備一つの目安であった、そういうことだと思うのですけれども、今回いみじくもそういう抽象的な基盤的防衛力という言葉だけにしたがゆえに、防衛力をどの程度持ったらいいのかという、その辺の基準というのが非常にあいまいになったのではないかな。  基盤的防衛力の目標だった米軍支援までの、アメリカ軍支援まで、これだけ持ちこたえたらいいんだ、そのための目安だったものが今回抜けて、新大綱では「多様な事態に対して有効に対応し得る防衛力」という、まさに抽象的なそういう表現に変わってきております。そういう、ある意味でいったらここまで耐えられるだけの防衛力なんだという具体的な防衛力の見積もりから、非常にぼけた防衛力の論理的根拠、説明になってしまうのではないかな。その辺を非常に懸念しておるわけですけれども、そのあたりにつきまして、もう一度御答弁いただけますでしょうか。
  59. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 防衛大綱がもし文章だけで終わっていれば、まさにそういう御指摘、我々もそうだろうというふうに言わざるを得ないわけでございますが、前回の防衛大綱もそうでございましたけれども、今回も、こういう考え方に基づいて「別表」に具体的に防衛力水準を示しているわけでございます。その「別表」に示した防衛力水準考え方がこういうことでございますということを、文章で示しているわけでございます。  実は、前防衛大綱において、限定的かつ小規模の侵略に対して独力で対処するといったような水準ということを申し上げましたが、いわば基盤的防衛力防衛力水準につきまして検証をしてみた結果、限定小規模侵略に独力で対処できるといったような両面からの作業をした結果、前回ああいう言葉を使ったわけでございますけれども、今回、先ほど申し上げましたような理由からそういう表現を落としましたが、繰り返すようで恐縮でございますけれども、考え方は基本的に同じ考え方をとり、それをベースにして「別表」に防衛力水準を示したということでございます。
  60. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 この考え方のそういう理屈の話はやめまして、では、あとこの件に関して一点だけ御確認したいのです。  前大綱では、四の中の「直接侵略事態に対処する態勢」というところで、次のように書いてあるのですね。「直接侵略事態が発生した場合には、その侵略の態様に応じて即応して行動し、限定的かつ小規模な侵略については、原則として独力でこれを排除し、また、独力での排除が困難な場合にも有効な抵抗を継続して米国からの協力をまってこれを排除し得ること。」こうなっていまして、今回の大綱ではこうなっています。「直接侵略事態が発生した場合には、これに即応して行動しつつ、米国との適切な協力の下、防衛力の総合的・有機的な運用を図ることによって、極力早期にこれを排除することとする。」  ここの考え方、表現にも、表現だけじゃないと言われましたけれども、私の考え方が間違っているならきちっと答えてもらいたいのですが、先ほども言いましたけれども、前大綱においては、やはり米軍が来るまで本当にそういう小規模侵略に対して独力で対処するんだ、そういう構えがあったわけですね。ところが、今回はふらっと、「これに即応して行動しつつ、」その後もういきなり「米国との適切な協力の下、」という、アメリカとの日米安保の体制で切り抜けるという形になっているのですね。  このあたりについて、全く考え方は変わってないんだとおっしゃるのか、やはり前大綱よりも日米安保重要性というものをさらに今回の大綱というのはこの一つの直接侵略事態が発生した場合においても想定されているのか、そのあたりについて明確な御答弁をお願いしたいと思います。
  61. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 防衛力整備という面では、先ほど申し上げましたように、基盤的防衛力構想ということで、基本的に前の防衛大綱を踏襲しているということを申し上げました。今御指摘になった点は「我が国防衛」の中の直接侵略のところで、その中身でございますけれども、ここは、実際に侵略があったときにどう対応するのかといったような考え方を示したものでございまして、防衛力整備水準そのものと少し切り離して考えていただきたいと思うわけでございます。そういう面で見ますと、ここの表現のみならず、考え方が変わったというふうに御理解いただいて結構だと思います。  ただ、例えば着上陸侵攻といったような侵略があった場合に、当然のことながら、これに即応して行動するというのは、率直に言って陸上自衛隊等、我が陸・海・空自衛隊になるわけだと思います。しかし、先ほど申し上げましたように、実際に我が国に対して直接武力で侵攻があった場合に、それがどの程度のものか、本当に部分的に起こったものであったとしても、武力で侵略があった場合に、現在の日米安全保障条約のもとで、早い段階から日米で協力して我が国を守るといったようなオペレーションが自然なのではないかというふうに考えております。  ただ、御指摘になりました点を読んでいただきますと、「これに即応して行動しつつ、」ということでございますので、当然、最初は日本の陸・海・空自衛隊対応をするということになろうかと思います。
  62. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 今、直接的侵略事態に対しての考え方が変わったのだ、そういうふうに局長はおっしゃったのです。その時点においての対処の仕方で、日米安保を非常に重要視する、そういうお考えに変わったのだというようにとらえていいかと思うのですけれども、ただしかし、そうなってきますと、今の日米安保体制のもとでの運用強化ということが非常に、そういう意味では早急にきちっと明確にされなければいけないし、また強化されなければいけない、そのように思うわけです。そのあたりについて、防衛庁として考えておられることがありましたら、お答え願いたいと思います。
  63. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 今回の新しい防衛大綱におきましては、ポスト冷戦下における日米安全保障体制についての意義なり役割なり、前の防衛大綱に比べても、明らかにかなり詳しく具体的に記しているところでございます。そこで、この日米安保体制への信頼性向上というものを図っていくためにこういうことをやっていくべきではないかということで、防衛大綱の中に示しております。  四点ほどございますけれども、第一点が、情報交換あるいは政策協議等の充実でございます。それから、共同研究並びに共同演習あるいは共同訓練、そしてこれらに関する相互協力の充実、これはACSAなんかの問題が入るわけでございますけれども、こういったものを含む運用面における効果的な協力態勢の構築。そして三点目に、装備、技術面での幅広い相互交流の充実。そして四点目として、在日米軍の駐留を円滑かつ効果的にするための各種施策の実施、これは、ホスト・ネーション・サポートもございますが、現在大きな課題になっております沖縄における米軍の施設・区域の整理統合・縮小といったような問題、つまり、在日米軍の駐留を円滑かつ効果的にするためのいろいろな条件整備環境整備、そういったもの。  こういうものを明示しているところでございまして、これらに対応して、我々も具体的な作業を今後進めていきたいと考えております。
  64. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 今お話の中にありました運用強化の面で例を出されましたACSAに関して、せっかくですのでちょっとお聞きしますけれども、まず一つは、今国会にこの協定を提出されるのかどうかということが一点。  もう一つは、そのときのその内容。適用範囲として、一つは日米共同訓練、二つ目に国連平和維持活動、いわゆるPKOですね、ここまでにとどめられるおつもりなのか、それともあわせてアメリカ軍の単独訓練までこのACSAの適用範囲の中に入れられるおつもりなのか、あわせてお聞きしたいと思います。
  65. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 ACSAと申しておりますものは、物品役務相互融通協定ということでございます。もうかなり前から実は日米の間で議論が続けられてきたものでございまして、我々としては、これは、特に外務省との関係が一番大きいわけでございますけれども、政府部内で調整をした上で、そして、これは協定でございます、また関連法案もございます、でき得る限りこの通常国会に出したいという方向で、今作業を早急に進めているというところでございます。  なお、協定及びそれに伴う法的側面の検討につきまして、現在関係方面と調整を了していない段階でございまして、御指摘のございましたように日米共同訓練といったものが中心になりますけれども、それ以外にどういったものを対象として入れるべきか。また、物品役務融通の、何といいましょうか、そのサービスの対象ですね、それをどういったものにするか。まさに現在その詰めた討議をしている段階でございますので、この時点で具体的にお答えいたしかねる状況でございます。
  66. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 それと、大綱の問題に戻りまして、今回の大綱の中で、それぞれ政府・与党内でいろいろな御議論があり、御苦労があったと思うのですが、ただ、防衛技術の発展とか産業基盤の維持という観点からも非常に大事になってくる武器輸出三原則について、なぜ大綱の中で盛り込まなかったのか。また、盛り込むことについて、何が問題でああいう官房長官談話のような形になったのか。そのあたりについて御説明をいただきたいと思います。
  67. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 防衛計画の大綱というものは、防衛力整備、維持及び運用に関する基本的な指針というものであろうかと思います。自衛隊の管理運営の重要な準拠の一つとなるものでございまして、そのような性格上、情勢認識防衛力役割ないし構想、保持すべき防衛力の内容、そういったものがその中身になるということが適当であると考えているところでございます。一方、武器輸出三原則等は、平和国家としての我が国の立場から、武器の輸出によって国際紛争などを助長することを避けるために我が国がとっておりますところの輸出管理政策でございます。したがいまして、武器輸出三原則等を新防衛大綱に盛り込むことは性格的になじまないと判断されたところでございます。  他方、この武器輸出三原則等につきましては、連立与党におきまして、新防衛大綱をめぐる論議の中でその基本理念を継承することが合意されたことなどを踏まえまして、新防衛大綱決定時の官房長官談話において言及することとされたものでございます。
  68. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 時間も限られてきましたので、あと多くあるのですけれども、限られた範囲内でちょっと大綱の中身についてお聞きしたいのです。  「国際情勢」と、あと同じような関連で、「防衛力役割」の(2)の「大規模災害等各種事態への対応」というところに同じような事態が表現されております。それは何かといいますと、「我が国周辺地域において我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態が発生した場合」ということ、また、そういうことが「発生する可能性は否定できない。」という国際情勢の分析が出ているわけですけれども、この「重要な影響を与えるような事態」というのは一体どういう事態防衛庁として想定されているのか、まず御答弁いただきたいと思います。
  69. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 まさにその防衛大綱に書いてございますように、これは一応、一般論として書いてあるわけでございますが、御質問でございますので、あえて今どんなことが念頭に浮かぶかという観点で申し上げれば、例示でございますけれども、例えば大量の難民が到来するといったようなこと、あるいは在外邦人等の緊急避難のための我が国への輸送が必要となるといったようなこと、あるいは機雷が我が国周辺海域に敷設される、あるいは流れてくるといったようなこと、そういった現象が起こるような事態、こういったものが概念的に考えられるかと思います。それ以外にいろいろな、もちろんまさに有事といいましょうか、そういったようなことも想定としてはあり得るわけでございます。
  70. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 そういう場合に、「日米安全保障体制の円滑かつ効果的な運用を図ること等により適切に対応する。」そういうことに大綱としてなっておるのですけれども、この日米の共同行動の場合の役割分担について今具体的に進めていかれているのかどうか、そのあたりにつきまして御答弁いただきたいと思います。
  71. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 防衛大綱では、こういった場合にこういったようなことによって適切に対応するという、これは方針が書いてあるわけでございまして、率直に申し上げますと、具体的に起こる事象に対してどのような手続でどういう役割分担でどう対応するのかというのは、まさに我々としては早急に詰めていかなければならない事柄であろうと思っております。  しかしながら、そうはいっても何か急に起こってしまったらどうかという点について、もちろんそういう点も含めて、こうだったらこう、ああいうふうだったらああといったような検討は現在進めております。
  72. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 今の御検討の中には、危機管理に対処する法整備も含めて検討されているのかどうか、確認をさせていただきたいと思います。
  73. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 防衛大綱にも書いてありますように、「憲法及び関係法令に従い、」云々「適切に対応する。」ということになっております。憲法あるいは憲法の解釈の範囲内で、そして関係法令に従い、ということでございますので、とりあえず我々念頭に置いておりますのは、現行法令を前提にどういうことができるかという頭の整理をしているところでございます。また、現行法令の運用面でも、一体それが憲法上の解釈との関連でどうかといったような、そういう議論もしなければならないと思っております。そして、最終的に、新しい法律も必要だ、あるいは法律改正が必要だということであれば、そういうことも検討いたしたいと考えております。
  74. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 最後になりますけれども、防衛庁長官、済みません、また今度時間が許されるならしっかりと御質問させていただきたいのですけれども、一つだけ防衛庁長官の御見解をお聞きしたいのです。  先ほども言いましたけれども、新大綱では、今回十三回も日米安全保障体制というのが出てくるのですね、数えたら。非常にこの日米安全保障体制というものを重要視している。防衛庁長官の御所見として、冷戦時における日米安全保障体制と、今回のこの大綱にもあらわれておりますが、冷戦後の日米安全保障体制の意義というものはどのように変わったというように御認識されているか、最後にお聞きしたいと思います。
  75. 臼井日出男

    臼井国務大臣 冷戦終結後、先ほど来お話に出ておりましたとおり、大規模戦闘、そういったものの危険性は去っておりますけれども、依然として民族間の紛争あるいは宗教上の紛争等、各地で頻発をいたしております。  そうした中で、我が日本周辺におきましても、先ほど来お話が出ておりますとおり、対中関係あるいは朝鮮半島、それからロシアの軍備的な潜在力、こういったもの、いわゆる我が国周辺についても依然として不安定要素というものが存在をしているという認識は変わらない、こういうふうに私どもは考えております。  したがいまして、私どもは、日米安全保障条約、まさにこれは我が国防衛ということだけではなくて、日米安保の基礎でもあり、また私ども日本が諸外国と外交を展開をする上での基本ともなるべきものでございます。これをさらに発展をさせていく必要がある、このような認識を持っている次第でございます。
  76. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  77. 吹田愰

    吹田委員長 次に、田口健二君。
  78. 田口健二

    ○田口委員 社会民主党の田口健二でございます。  まずは、両大臣の御就任を心からお祝いを申し上げます。  三十分という大変限られた時間でございますから、私は、沖縄問題に絞って、若干私の見解も申し上げながら両大臣見解を承りたい、このように思っております。  私は、去る二月の六日から二月の十四日まで九日間、本委員会所属の大野委員あるいは前原委員とともどもに、沖縄に関する与党の安全保障調査団の一員として訪米をしてまいりました。  アメリカでは、ペリー国防長官、タルボット国務長官代行、また軍関係者としては海軍次官、空軍次官、海兵隊副司令官、さらに太平洋軍総司令官などの軍関係者ともお会いをし、お話をさせていただきました。また、議会関係者も、ダニエル・イノウエ上院議員を初め何名かの方とお会いをいたしまして、意見の交換も行わせていただきましたし、また、シンクタンクと言われるブルッキングス研究所、CSISと言われております国際戦略研究所の皆さんとも意見を交換をする機会を得ることができました。大変この調査団では参考になったというふうに思っております。  特に私どもが一連のアメリカ側との会談において強調しましたことは、この沖縄の基地の問題というのは、他の基地の問題とは違って、あの太平洋戦争の末期に、沖縄は我が国で唯一の地上戦闘が行われた地域でありまして、その結果、十万人を超える非戦闘員であります沖縄県民が犠牲になられ、そしてアメリカの占領によってあのような広大な軍事基地が建設をされました。その後五十年間、今日に至るまでそれが継続をされています。  そして、昨年のあの少女暴行事件という不幸な事件を契機にしまして、まさに沖縄県民の怒りが頂点に達した。あの八万五千人の大集会というのは、私も参加をしてまいりましたが、本当に予想もすることができないほど多くの沖縄県民の怒りの場になったというふうに思っていますし、これはただ単に沖縄県民だけの問題ではなくて、今日、日本の多くの国民がこの沖縄の問題に対して非常に大きな関心を持っておることも否めない事実であるというふうに思っております。これらのことを、一連の会談の中で絶えず私どもは訴えてまいりました。  一連のこの話し合いが終わった中で、私、率直に感じたことが二つございます。  それは、予想以上にアメリカ側が沖縄問題に対する真剣な取り組みといいますか、真摯な態度で対応していただいたということがすべてについて言えるんではないかと思います。特にそれはペリー国防長官の発言の中にもあらわれておりますが、四月の日米首脳会談の前にも自分が訪日をしてこの問題に取り組んでいきたい、そして意味のある積極的な変化が発表できることを期待をしています、このようにペリー国防長官は発言をいたしております。そのことでも象徴されるように、アメリカ側の対応というものは極めて真摯なものであったというふうな印象を持って私は帰ってまいりました。  第二の問題は、私どもは一連の会談を通じてさまざまな問題について具体的に言及をしてまいりました、一々中身は申し上げませんけれども。それに対してアメリカ側は、日本政府は具体的なさまざまな要求を提起すべきである、そして日米双方間で率直に話をすることによって問題が解決していくのだ、こう言っています。当たり前のことなのですけれども、私はそう言われて、今まではそうではなかったのかなと、逆にそんな感じすら実は持ったわけであります。  この二つが、率直に言って今回の訪米に際しまして特に私が印象的に感じたことなのであります。  いよいよペリー国防長官も三月には来日をされると思いますし、日米間の交渉がこれから始まっていくわけでありますから、そういう意味で、これからの日米間の交渉についてどういう基本的なお立場で臨まれようとされておるのか、その姿勢についてまず両大臣の御見解を承りたいと思っています。
  79. 池田行彦

    ○池田国務大臣 田口委員、先般与党の調査団の一員として米国を初め各国をお回りになり、沖縄の抱えている問題をいかに解決していくか、本当に真剣な取り組みをされましたことに心から敬意を表しますとともに、政府としても感謝を申し上げる次第でございます。  ただいまお話がございましたように、沖縄の県民の皆様方が、戦中戦後、そして今日に至るまで大変な苦しみ、そしてまた御負担に耐えておられること、またそのことに起因する悲しみ、苦しみ、またお怒りの心情、こういったものには、我々は本当にそれをみずからの心、気持ちとして、御負担の軽減に全力で取り組まなければいけない、こう考えている次第でございます。  と同時に、先ほど来この委員会でも審議されておりますように、我が国の安全のためには日米安保体制を堅持しなくてはならない、これも強い要請でございます。その間で、その二つの要請を踏まえながら沖縄の基地問題についての実のある成果を上げてまいりたい、こう考えております。  そして、ただいま委員指摘のございましたように、米側の極めて真摯な対応に本当に心を打たれたというお話ございましたが、私自身も、ペリー長官と先般お会いし、また、そのほかのいろいろな接触を通じまして、米側も今回沖縄の県民の負担の軽減のために本当に真剣に取り組んでいる、そういったことを切実に感じておるところでございます。  そういったことで特別行動委員会、この秋を目途に真剣に作業を進めておりますが、ここで日米間が本当に一体になって真剣に、共同作業で目に見えた変化を、意味のある積極的変化ということをペリー長官、おっしゃったわけでございますけれども、私どもといたしましても、本当に具体的な成果を上げてまいりたい、こう思っております。  それで、四月のクリントン大統領のおいでになる節、これはやはりその過程における大きな節目でございますから、それまでに精力的に作業を日米間で進めてまいりまして、それを踏まえて、あるいはその作業を反映してと申しましょうか、共同文書におきましてもその点についてきちんとした言及をしたいと思っております。今の段階でどういうふうな記述になるか、これは文字どおりこれからの真剣な作業を踏まえてのことでございますが、しかし、そのような姿勢で取り組むつもりでございます。
  80. 臼井日出男

    臼井国務大臣 沖縄に米軍の施設・区域が集中をしている、このことによりまして長年にわたりまして沖縄県民に大変御苦労、また御負担をおかけしているということを、私どもは十分承知をいたしております。また、米軍の施設・区域の返還についての強い県民の御意思があるということも承知をいたしているわけでございます。  従来とも、私どもは、この施設・区域の整理統合・縮小に向けて努力をいたしてきたところでございます。  米側におきましても、本問題につきましては、特別行動委員会等を通じまして真摯に取り組んでいただいております。米側の要人が私のところにおいでいただきましても、例えばモンデール大使あるいはマイヤーズ米軍司令官、あるいは日本においでをいただきましたレイク大統領補佐官、それぞれお話をお聞きいたしますと、今お話しのように、米側が大変心を込めて対応しようとして努力をしているということを感じさせていただいている次第でございます。  防衛庁といたしましては、こうした米側の姿勢を多としつつ、その協力を得ながら、本問題につき引き続き特別行動委員会等の場において、日米安全保障条約の目的達成との調和を図りつつ、現実的に、かつ誠意を持って対応いたしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。私も、できるだけ早くペリー国防長官とお会いする機会を持って、本問題の解決に向けて努力をいたしてまいりたい、こう思っております。
  81. 田口健二

    ○田口委員 今それぞれ両大臣からお話がありましたように、これから日米間の沖縄基地問題に対する話し合いは、恐らく十一月をめどに特別行動委員会で結論が出てくるというふうに思うのでありますが、何といっても四月にはクリントン大統領が訪日をするわけでありますから、恐らくそこで日米共同宣言なり共同文書というものが発表されるのだろうというふうに思います。  これは何といっても一つの大きな山でありますが、その際、最大の眼目は何かといえば、やはり私は普天間基地の返還の問題だというふうに思っています。  これは、先ほど沖縄県が発表しましたアクションプログラムの中でも、いわゆる二〇〇一年までの第一期の間の最大の課題は、普天間基地の返還ということが入っています。私も、帰国しましてから沖縄県の責任者と話をしたのでありますが、やはりこの普天間だけは何とかしてください、ぜひクリントン大統領訪日の際にはこの問題に一定のめどをつけてくださいというのが、率直に言って沖縄県民の今の最大の願望であります。したがって、このクリントン大統領訪日あるいはその前のペリー国防長官の来日の折に日本政府としてはこのことを一体どう扱っていこうとされておるのか、ひとつ見解をお聞きしたいと思っています。
  82. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 お答えいたします。  ただいま先生から御指摘のございました普天間飛行場につきまして、沖縄県知事の方から先般のアクションプログラムにおいて返還要望が出されておるということはもうそのとおりでございますが、一方では、現在米軍の、運用といいますか、配置考えました場合、極めて重要な施設であるというような認識もございます。また今度は、返還についての地元の地主さん方の方の御意見もいろいろございまして、一部ではまだ返還には反対だというようなお考えもあるようでございます。  いずれにいたしましても、私どもとしては、先ほど来両大臣からお話がございました、特別行動委員会とか沖縄との協議会の場において鋭意検討しておるところでございまして、現段階におきまして個別的、具体的な事案についてまだ申し上げるような段階にはないということで、今後とも検討をさせていただきたいというような状況でございます。
  83. 田口健二

    ○田口委員 今施設庁長官の方から御答弁がありましたけれども、確かに、難しい問題をたくさん内包していることはわかっているのですよ。だから、今日までなかなか解決がつかなかったことも事実であります。  しかし、率直に言って、私は、今回のアメリカ側との一連の会談の中で、我々が思っておるほどにかたくなな態度ではない、そのことを率直な感じとして受けました。ですから、これはもうある意味では絶対的なものだとか、これはもう聖域だから手がつけられないとかいうことではなくて、今度のクリントン大統領訪日の折に、この普天間飛行場の問題について何らかのものを出す気持ちがあるのかどうか、まずそこを、できれば両大臣の方からお聞きをしたいと思うのです。
  84. 臼井日出男

    臼井国務大臣 今、委員お話をいただきましたが、私も、先般沖縄に参りまして、空から普天間基地も拝見をさせていただいたり、また現場にも伺ってまいりました。  委員御説のとおり、私どもは、特別行動委員会を中心といたしまして、沖縄県民の皆様方のお気持ちも体しながらできる限り努力をしたい、こう考えているところでございます。現在、SACOを初めその下の作業委員会におきまして、鋭意問題解決のために諸点にわたって詰めているさなかでございます。今後とも、委員お話も受けながら、さらに沖縄基地の整理統合・縮小に向けて努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
  85. 池田行彦

    ○池田国務大臣 田口委員指摘のように、米側の姿勢は決してかたくなではない、また極めて真剣である、私もそのように受けとめております。そして、基地の返還について聖域を設けることなくという話がございました。私も、そのように虚心坦懐に見直してみなければいけない、それが我々の務めであり、SACOの作業もそういう観点からされるのだと思っております。  ただ、先ほどもお話のございました沖縄県から要望が出されましたアクションプログラムでございますが、これは、県側におかれましても、まだこれから地主との関係、あるいは従来、三事案、十三事案等々いろいろございましたけれども、そういったものとの関係をどういうように考えるか、調整も要る、こういうふうにおっしゃっているわけでございますので、そういったことも念頭に置きながらこれから考えてまいりたい。いずれにいたしましても、私どもは、沖縄県側のいろいろな御要望というものをよく念頭に入れながら真剣に作業をしてまいりたいと思います。  ただ、現在の段階で、個別にどこがどうであろうかということは、先ほども申しましたように、本当に成果を生み出すのが一番肝心なのでございますから、現在の段階では差し控えさせていただけないだろうか。本当に、真剣に日米ともやってまいります、それと同時に、また沖縄県におきましても、どうしても地元の関係の調整も随分必要でございますので、そういったところでもどうか御協力をお願いしたい、こう考えている次第でございます。
  86. 田口健二

    ○田口委員 確かに外務大臣のおっしゃっているように、今作業中といいますか、検討が今も続行しておるだろうし、またこれから新たな検討課題もあるわけでしょうから、なかなか個々に具体的には申し上げにくいというお話はわかります。  しかし、何回も繰り返すようでありますが、冒頭申し上げましたペリー国防長官も、積極的な意味のある内容の発表をやりたいという熱意でもって取り組んでいきたいということでもありますし、また、もう繰り返すまでもなく、沖縄県民は本当にそういう願いでもって今この経過というのを見詰めておるわけですから、私は、何としても普天間基地の問題は、この日米会談における重要な一つのテーマとして何らかの解決ができる道を今後とも政府はとっていただきたいというふうに思っています。  余り時間がありませんが、どうでしょう。SACOの状況というのは、例えばけさの新聞でも、私はどこから出たニュースかわかりませんが、ある程度具体的な問題が出ておりましたね。今、SACOではそのあたりまで率直に言って議論が煮詰まってきておるのかどうか、その辺ちょっと教えてください。
  87. 折田正樹

    ○折田政府委員 各紙報道でいろいろ報ぜられておりますが、正直申し上げまして、SACOの作業部会、いろいろな意見交換はしておりますけれども、あのような形で具体的な案件を取り上げて詰めているという事実はございません。
  88. 田口健二

    ○田口委員 それから、もうこれは最後になると思うのでありますが、かつて私ども与党の中で、在日米軍の規模の問題などについて議論をした経過がございます。そのときの政府側の考え方から見れば、この問題というのはある程度、もうさわることはできない聖域のような話もちょっと聞いたこともあります。  しかし、私は今回行って、一連の軍関係者、国防総省の関係者とも話をしてみました。かつてナイ・レポートというのを発表された当時の国防次官補ですが、今ハーバード大学に戻っておられまして、ちょうど私どもが参りましたときにわざわざボストンからワシントンに来られまして、一緒にいろいろな意見交換をする場があったのであります。いろいろ話をしてみますと、例えば在日米軍四万七千人というのは、これは絶対的なものではありませんと。これはもちろん情勢の変化ということもあるのでしょうけれども、やはりこれらは日米両方の政府の中で話し合って決めていく問題です、こういうことを一連のアメリカ関係者も言っているのですよ。  ですから、私は、これは特にお聞きをしておきたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、クリントン大統領が来られまして、いろいろ会談の結果、一連の共同宣言なり共同文書というのが発表されるというふうに思います。この中で、例えばいわゆる在日米軍の数字などというのは明記をしてはいけないと思っているのです。それは、先ほども申しました理由から、これは今後の話し合いの結果によっては動くという可能性もあるし、また、ここで在日米軍の数をきちんと明記することによって沖縄の基地の整理縮小に影響が出てくるとも私は思うのです。これは、相互に関連をしておる問題だと思うのです。そのことはやはり明らかにすべきではないというのが一つです。  それからもう一点は、今、国内的には政府の方針の中にもはっきり基地の整理縮小という言葉が出てきておりますけれども、やはり日米共同文書の中にも、沖縄の基地の整理縮小というのは明記をすべきだと思います。そうしないと、沖縄県民は本当に納得しないだろうというふうに思いますので、その辺についてはどうでしょうか、御見解があればいただきたい。
  89. 池田行彦

    ○池田国務大臣 田口委員指摘されましたが、四万七千人という在日米軍の水準でございますが、これが絶対的なものでないというのは、私もそう考えております。  御承知のとおり、日本における四万七千人のプレゼンスにしろ、あるいはアジア太平洋地域における十万人のプレゼンスにしろ、これは現在のこの地域安全保障環境前提としての話でございまして、その情勢の変化、あるいはいろいろな技術面での変化ということによってそれは変わってくるのだ、これは従来から日米双方の関係者がしばしば認めておったところではないか、このように私は考えております。  ただ、現在の情勢、あるいはそういった技術その他のレベルから申しまして、アメリカアジア太平洋地域においてその安定に役割を果たしていこうという、そのコミットメントを実現するために十万人のプレゼンスが必要だと言っておる、また、アメリカ日米安保条約上担っていかなくちゃいけない役割、あるいは義務と言ってもよろしゅうございますが、それを果たしていく上において四万七千人の水準が必要であると言っている、これは、私はそういうことであろうと考えておりますが、将来にわたってこれが絶対的なものであるというふうには私は考えておりません。  さてそれで、先生、二点おっしゃいました。クリントン大統領がおいでになるときの文書の中で、その水準を明記すべきではないという点、それからいま一つは、沖縄における基地の整理縮小・統合について、これは明記すべし、こういう御提言でございました。  今私どもが考えておりますのは、やはりこの文書では、新しい現在の状況国際情勢、この日本のいる状況を踏まえて、安保体制というものが大切なんだ、重要なんだ、このことを中心に文書を作成してまいりたい、また将来に向かってもそのことを内外に宣明したい、こう思っております。  しかし、先ほど私調べまして、それ以外の具体的な記述がどうなるかは、まだこれから作業をするところでございまして、今何とも申せないわけでございます。  ただ、先ほども他の委員への御答弁でも触れましたけれども、沖縄の基地の問題につきましては、これから精力的に作業を進めてまいります。そして、大統領がおいでになるまでにもずっとその作業を進めるわけでございますから、その段階で、それまでの作業を踏まえながら何らかの言及はしてまいりたいと思っておりますが、これについても、具体的にどういうふうな文言になるかはこれからというふうに御理解いただきたいと思います。
  90. 田口健二

    ○田口委員 時間がまいりましたのでこれで終わらせていただきますが、何遍も重ねて言うようでありますが、私は、今回の日米交渉といいますか、会談の最大のテーマはやはり普天間基地の問題だというふうに思っておりますから、また沖縄県民の願いも、率直に言ってそこに集中していると思います。ぜひこの問題を、ペリー国防長官あるいはクリントン大統領の訪日に際しての一連の会談の中で取り上げていただきたい、このことを要望として申し上げ、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  91. 吹田愰

    吹田委員長 次に、東中光雄君。
  92. 東中光雄

    東中委員 池田外務大臣は、きのうの外務大臣所信で、日米安保体制の堅持、四月には日米安保共同文書を発出する、それから、沖縄県民の米軍基地の重い負担の御苦労に思いをいたす、こういう趣旨のことを言われました。沖縄米軍基地問題については、外務大臣は、四月のクリントン大統領の訪日は、この問題についても一つの大きな節目であり、解決に向けた一定の方向性が明確にされることが重要であると考えており、この点については、先月の外相自身の米国訪問の際、ペリー国防長官を初め米側との間で認識の一致を見た、こういう趣旨の発言をされました。  また、一月の訪米の際の発表文書によりますと、安保共同文書は、基本を維持しつつ、SACO、特別行動委員会の進展なども踏まえ、かつ橋本総理の考えも反映させたい旨説明をしたという趣旨のことが言われています。  外務大臣が訪米の際に言われた橋本総理の考えというのは一体何なのか。ここで言われておる、共同文書で解決に向けた一定の方向性を明確にされることが重要だ。解決に向けての一定の方向、それから橋本総理の考え、これは、文脈からいうと沖縄の基地縮小という趣旨にしか読めないんですけれども、沖縄の基地縮小ということを、そういう表現かどうかは別に、そのことをこの共同文書に載せることが必要だ、そんなものは載せないということなんですか、そこをちょっとお聞きしたいんです。
  93. 池田行彦

    ○池田国務大臣 日米首脳会談の際に発出することを考えております安保に関する文書でどういう記述内容にするかという点につきましては、繰り返し申し上げているところでございますが、日米関係、その中でも日米安保関係が、両国にとってはもとよりのこと、アジア太平洋の安定のためにも重要であるということを内外に明らかにするということでございます。  ただ、そういう大もと、基本は踏まえながら、それを具体的にどういうふうな記述にするかということにつきましては、これから首脳会談までの、これからといいましょうか、その私が申しました時点から首脳会談までのいろいろな事態の進展を踏まえて考えていく、こういうことを申したわけでございます。  とりわけ沖縄の基地の問題につきましては、先ほどから申し上げておりますように、本年の秋をめどに具体的な成果を上げていくということで精力的に作業を進めているわけでございますが、その過程において、クリントン大統領がおいでになるというのは非常に大きな節目でございますから、そこへ向かって日米間で本当に真剣に作業を進めていこう、先ほど来申し上げておるとおりでございます。そうして、その作業を見ながらそれを反映させていく、こういうことを今考えているわけでございます。それを、その時点で申し上げました言葉で言いますならば、首脳会談の時点において方向性を明確に示していくことが必要である、こういう表現をした、こういうことでございます。
  94. 東中光雄

    東中委員 そうすると、結局、その機会に解決に向けた一定の方向性を明確にすることが重要であるという、その一定の方向性というのはまだないんですな、詰めておるというだけのことで。  しかし、特別委員会で目に見える具体的な成果を上げるということは何回も言われているんですね。そしたら、目に見えるような具体的な成果を上げようと思えば、日本側は、この委員会でもう何回かやっているわけですから、具体的成果を上げるような具体的提案というのはしているんですか、全然してないんですか。
  95. 池田行彦

    ○池田国務大臣 方向性はまだないんですなとおっしゃいましたけれども、どういうことでしょうか。私どもは真剣に考え、また作業をしております。そういった中で次第次第に形成しているわけでございますので、言ってみれば、完成品はございませんけれども、しかかり品はあるといえばあるんだ、こういうふうに御理解いただけるかと思います。  そうして、例えば特別行動委員会の場で日本側が何か提案して、そしてどうなのかというお話でございますけれども、私は、この特別行動委員会の性格というのは、例えば日本側が何かを、こういうものを求め、それに対して米側が、いやこれはいい、これはだめだという、いわば予算の査定のような話をするんじゃございませんで、両者が本当に真剣に、沖縄の県民の皆様方の負担を軽減するためにどうやったら基地の整理統合・縮小が進むか、これをずっと考えていく、それと同時に、安保条約の目的も達成できる、そういったことで、共同作業で両者が物事を生み出していく、そういう場というふうに心得ております。  そして、もとより、そういったときに沖縄県民の方々のいろいろな形の要望というものを十分考えながら共同作業を進めていくのは当然のことでございます。
  96. 東中光雄

    東中委員 要するに、目に見える具体的な米軍基地縮小についての日本側の提案なり、そういうものは出していないということとお聞きいたしました。米側と一緒になっていろいろどうしたらいいかということを相談するというふうに聞きました。  それから、ついでにもう一つ聞きたいんですが、安保共同文書のもう一つの問題は、先ほども論議がありましたが、米軍のアジア太平洋地域十万、在日米軍四万七千人体制の維持という問題、それを文書の中へ載せるか載せないかということが一つの問題になっておりますが、この十万、四万七千人体制の米軍規模の維持ということをこの文書に載せるのか載せないのかということがまず一つです。まずそれをお聞きしましょう。
  97. 池田行彦

    ○池田国務大臣 その点につきましては、先ほど田口委員の御質問にお答えしたところでございますけれども、私は、在日米軍の水準というのは、これからの、将来における情勢の変化等によってこれは変化し得るものだと思っております。現に、過去においてもそのレベルは変化してまいりました。しかしながら、現在の時点での我が国をめぐる安全保障環境等々を考えますと、私は、アメリカ安保条約上の責務を遂行していく上でこれだけの水準が必要だと考えておられるということは、それはそのとおりだと考えているところでございます。  さて、しかしながら、大統領がおいでになる際の文書の中にどうするかという点でございますが、この表現についてはまだこれから詰めていくところでございますから、今の段階で何とも申し上げようがない、こういうことでございます。
  98. 東中光雄

    東中委員 載ることもあるし、載らないことになるかもしれぬ。そのどっちかしかないのですからね。どっちとも言えないというふうにお伺いしました。  正直申しまして、在日米軍というのは殴り込み部隊と一般に言われておる海兵隊の遠征軍ですね。それから、空母機動部隊がいる。米国国外では、この海兵遠征軍にしてもあるいは空母機動部隊にしましても、日本以外にはないわけですね。そういう部隊が日本におる。しかも、基地被害が起こっておる一番元凶というのは、海兵隊であります。そういう状態で、日本になぜアメリカの海兵隊が必要なのか。なぜ、一般的に殴り込み部隊と言われる空母機動部隊が必要なのか。  外務大臣として、日本外務大臣としてですよ、これはやはり必要なんだというふうに――日本防衛、それから極東の平和と安全という安保条約上の二つの目的、その範囲でなぜインディペンデンスを中心にした機動部隊が必要なのか、ベローウッドを含めて海兵隊の殴り込み部隊がなぜ要るんだ。要るんだというふうに、外務大臣自身思っていらっしゃるのか。本当のところ、私はどうしてそういうことを思われるのか、わけがわからぬのです。どうですか。
  99. 池田行彦

    ○池田国務大臣 米国は、日米安全保障条約に基づきまして我が国の安全を守っていく、そうしてまた極東地域の平和、それを維持していく、そういった目的に沿った役割、責務を負っているわけでございます。その米国が担わなくてはならない役割を果たすために、いろいろな体制を整え、いろいろなことをするわけでございますが、その中に、我が国における駐留米軍というものも存在するわけでございます。その駐留米軍の果たす役割というものは、そういったアメリカの全体としての、この安保条約上の目的を達成するために必要だという、そういった中にあるわけでございまして、駐留米軍全体としてその役割を果たすのだ、私はこう考えております。  したがいまして、その中を因数分解いたしまして、ここはどう、これは要るか、これは不要だとか、そういうふうなことにつきましては言及すべきではない、私はこう思っております。
  100. 東中光雄

    東中委員 海兵隊の遠征軍は沖縄を中心にいます。アジア太平洋地域、それからアフリカの東海岸まで、こういうふうにアメリカ側では言っていますが、それは、極東の平和と安全という名目で日本におる。これは別に、アメリカが必要だと言っているんだから必要なんだ、これではどうも日本外務大臣としてはいかがなものかなと、私は正直、思っています。  いずれにしましても、基地の縮小ということが問題になっているのですから、沖縄の米軍基地の運用の実態や、それから戦略上の必要性、個別の在日米軍基地の必要性あるいは戦略的位置づけ、トータルして百四十と言われる施設・区域があるわけですから、そういうものについて個別にそういう検討まされているのですか、あるいは米側に要請をされているのですか。
  101. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 新聞に一部そういったような報道がございましたのを私も承知をしておりますけれども、防衛庁といたしましては、日米安保条約堅持という基本方針のもとで、この日米安保条約の目的達成との調和を図りつつ、今問題になっております沖縄県における米軍の施設・区域の整理統合・縮小という問題あるいはそこから発生してくる諸問題につきまして、外務省ともども、米側と協議している段階でございます。  我々としては、現実的に成果を出したいと思いますし、また誠意を持って対応したいと思って鋭意努力しておりますけれども、現在、外務大臣からも答弁がございましたけれども、米側と一緒になって協議をしている段階でございまして、その内容につきましてその一つ一つを明らかにするということは、事柄の性質上差し控えさせていただきたいと思います。
  102. 東中光雄

    東中委員 在日米軍基地の運用の実態を個々に日本側としてはアメリカ側に聞くなり、聞かぬでも十分わかっておるという状態になっておるのか。実は私、読谷の補助飛行場のところに、去年の十月ですか、行って見てみて、これは基地だと言うのですよ。ところが、子供の遊び場になっておるのですよ、中の方は馬なんか置いてあって。これは何やねんと地元の人に聞いたら、これ基地ですなんて。米軍の広いところですよ。こんななっておるのですよ。これが基地かというようになっているのですね。ああなるほどと地元の人は言いましたよ、外から来るとそう思いますかと言って。これはもうほんまにひどいものですね、今の三事案のうちの一つのところですけれども。  そういう基地の実態あるいはその機能、それから必要性、役割、米側はどう言っているのか。実際そうなっているのか。もう向こうが言ってくるだけ全部渡しておけということになっているのか。私は、そういうことについて内容を今ここで明らかにせいと言っているのじゃないのです。そういうことについてただしているのか、ただしていないのかということを聞きたいんだ。どうです。
  103. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 現在日米間で協議をしている中で、やや先行して協議の進んでいる問題がございます。それは、沖縄に所在する米軍基地の諸活動から発生している騒音の問題ですとか、あるいは安全性の問題ですとか、その他の問題、報道もされておりますような問題について、やや先行的に議論はされております。その限りにおいて、今御質問の点について日米間で協議しているということは、それはそのとおりでございますが、さらに、今大きな課題になっております米軍の施設・区域の整理統合そして縮小という問題につきまして、もちろんその整理統合・縮小と絡む諸問題について、まさに今日米間で協議をしている状況でございます。
  104. 東中光雄

    東中委員 基地の運用実態やらあるいは戦略上の必要性がどうなんだという、要するに、米軍基地やといって米軍が思うようにやっておったらそれでいいのだというわけじゃないわけですよ。日本の、特に沖縄本島の場合は二割までもが基地になっているのでしょう。そういう実態についても、特別にこっちがアメリカ側にただすわけでも何でもない。  金武の連山への実弾射撃の問題でも、不発弾をいっぱいそのまま置いてある。何遍も火事が出てくる。こんなやり方をやっているところはアメリカでもないし、日本の本州での自衛隊の基地でも、アメリカの基地でやっておるときでも、そんなばかなことしていないのです。これがそのままになっておる。そういう実態やら何やら、何にもそういうことについてただしもしない、調査もしない。それで環境への騒音の影響なんかを聞いておる。これじゃお話になりませんね。その点を、ひどい状態だということだけ申し上げておきたい。  それから、外務大臣にもう一つお聞きしたいのですが、沖縄県が出してきた基地返還アクションプログラムですが、これについて、外務大臣「あれに「素案」と書いてあるから確定したものではない」と言うが、そんな性質のものではないでしょう。どう思っていらっしゃいますか。
  105. 池田行彦

    ○池田国務大臣 沖縄県から御要望を受けましたアクションプログラムでございますけれども、これはもう、沖縄県として本当に真剣にお考えになり、また沖縄県の将来も考えながらおつくりになりました、真剣な、また沖縄県としても大変大切に考えておられるものだ、私はそのように認識しております。  私が申しましたのは、そういうものではあるけれども、沖縄県としてこれは、地主の方々との関係であるとかあるいは従来返還について要望してこられましたいろいろな事案がございましたが、そういった問題との関係をどういうふうに考えるかということについて、自分たちの方でもまだこれから調整を要するものだ、そういうふうにおっしゃっているということを申し上げているわけでございます。  それと同時に、私が申し上げましたのは、しかし、そういうものではあるけれども、沖縄県のそういったアクションプログラムあるいはそのほかのいろいろな御要望についても、我々は真剣に、それは念頭に置きまして作業をしてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  106. 東中光雄

    東中委員 最後に、このアクションプログラムの中で、「返還される米軍基地の跡地の利用に際して、県及び市町村において地主の意向を踏まえながら計画的かつ適切な利用計画の策定ができるよう、国において「基地返還アクションプログラム」の作成がなされることが重要である。」してほしい、こう言っているわけですが、これについて、どうですか、そんなことをつくるような気はさらさらありませんか。
  107. 池田行彦

    ○池田国務大臣 ただいまの、返還された基地を沖縄の県民生活の向上のために利用していくために国としてもいろいろ配慮をしなくちゃいけない、そういうことを求めておられる、その点に対してどういうふうに国として対応をしていくかという点でございます。これは、外務省あるいは防衛庁の所管というよりも、いろいろ広範に影響するところがあると思いますけれども、日本の制度全体といたしましても、沖縄と、その県民の皆様方の将来についていろいろなことを考えてまいらなくちゃいけない、私はこう考えております。  ただ、そういったような将来計画を進めていく上におきましては、何と申しましても、地元の県民の方々のお気持ちといいましょうか、お立場や事情を、お気持ちを含めて一番よくわかっており、そしてまたそういったものを酌みながら将来計画をつくっていくのは、沖縄県であり、あるいは沖縄県にございます市町村でございますから、そういった地元の地方公共団体におかれましても、基地の返還といいましょうか、基地の整理統合・縮小の進展のためにも、そうしてまた跡地の活用のためにも、どうぞ真剣にお考えいただきたいと思います。  それを前提にしながら、国としても果たすべき役割は真剣に果たさなければいけない。とりわけ沖縄の県民の方々が、これだけ長きにわたりあれだけの御負担に耐えられたわけでございますから、国としても格別の配慮をしてまいらなくちゃいかぬ、こう思っております。
  108. 東中光雄

    東中委員 目に見える具体的成果を上げるように。しかし、具体的な目に見えるような案は何にもできていない。これは、実態がどのようになっておるのかという調査についても、米軍の機能についても、そんなもの一々調べていない。また、それを求めることさえしていない。  それから、アクションプログラムにしても、それはつくるようにしてと言っても、現に国としてつくってくれなければどうにもならぬ、市町村はやりようがないということを言っているわけですから。これは、「整理統合・縮小」と、今度は外相の所信演説も縮小がつきました。それはついただけですがな。あと、具体的に縮小することについて、具体的なことは何にもないです。向こうと協議をしているというだけになってしまっている。これは、沖縄県民としては承知できぬということになるのじゃないかと思います。もっと具体的に詰めるべきだ。こんな異常な、戦後五十年もたって、日本の歴史にもこんなのはないですよ。  しかも、こんなとんでもない、世界じゅうを駆けめぐるような米軍部隊がおるということは、独立国家として、しっかりしてもらわなければ何とも困るということを私は思う次第であります。  それでもう一つ、ちょっと具体的に聞きたいのですが、今、駐留軍用地特別措置法の関係での裁判が起こっています。その中で、裁判の対象になっている中で、読谷の楚辺通信所の一部の、象のおりの中の知花さんの土地、これの使用期限は三月三十一日だということですね。だから、あともう四十日ないという状態ですが、今の時点でいえば、駐留軍用地特別措置法による土地収用手続の開始をするのも、ほとんどというか、もう不可能だと思いますね。少なくとも、土地収用手続が終了するということはもう絶対にない。三月三十一日までに収用手続が終了しないということだけは、これはもう明白だと思うのです。  そうすると、三月三十一日過ぎると権限なしの占有ということになるわけですが、そうなれば、国の行動ですから、当然返還すべきだというふうに思うのですが、そういう点についてどういうふうに処置されておりますか。
  109. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 裁判の状況についてちょっと御説明いたしますと、今先生御指摘のように、私ども、県知事を被告とした手続といいますか、訴訟を提起していわゆる駐留軍用地特措法に基づく手続を今とっておるところでございます。私どもは、現在の状況では、先生おっしゃるように、残された期間わずか四十日ぐらいとおっしゃいましたが、今後も迅速かつ適正な裁判が行われるということを期待しておりまして、何とか日米安保条約に基づきます義務の履行といいますか、施設・区域の提供が滞りなく行われるように念願しているところでございます。  現段階で裁判の予測をするわけにはまいりませんが、最大の努力をいたしまして三月三十一日までには何とか使用権原を取得したいということで、今努力をしておる最中でございます。
  110. 東中光雄

    東中委員 県土地収用委員会に収用手続を申請していますか。
  111. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 これは手続的にちょっと御説明いたしますと……(東中委員説明してもらわぬでいいですよ、申請しているかどうか」と呼ぶ)申請は、判決をいただいた後、知事が署名いただきますと、その時点で裁決申請をするわけでございます。あるいは、知事さんが判決に従って御署名いただけない場合は、総理大臣が代行署名をいたしまして、その後収用委員会に手続をとる、こういう手続になっております。
  112. 東中光雄

    東中委員 そんなことわかっているんだよ。  だから、今裁決申請はしていないんでしょう。していないんでしょう。まだ裁決申請をしていないのに手続が終結するはずがないのだから、だから絶対に三月三十一日までに収用手続は終結しない、まだ裁決申請もしていないのだから。してから、収用委員会です。私も収用委員会の審議なんか何回かやってきましたから、よく知っていますよ。そんなもの一日や二日でできるものじゃないということは、もう明白ですがな。そういう点でいえば、三月三十一日期限切れなのに、まだ申請していないのだから。  裁判は、きょうが口頭弁論第三回目ですね。三月十一日にあるんでしょう。そしてその裁判が、結論がいつまでに出るかというのはまだわかりませんよ。私は弁護士をこれで四十五年やっていますが、この経験からいえば、普通はそんなに早く出るものじゃないです、これがむちゃくちゃに早く出るとしたって。それから裁決申請を出すんでしょう、収用委員会に。それから出して、そしてさらに、その審議があるわけですよ。普通にいったら、だれが考えても一年ぐらいかかるんですよ。三月三十一日までに終わるわけがないです。  だから、三月三十一日で、あなたは「ケンバラ」と発言しましたけれども、権原がなくなるでしょうがな。なくなったときにどうするんだと聞いているのですよ。どうするのですか。
  113. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 判決をいただきまして、それで収用委員会に裁決を申請いたします。それと同時に、緊急使用という手続が別途ございます。したがいまして、土地収用委員会の方で、判決後、私どもは裁決申請と同時に、緊急使用の手続をとらさせていただきます。  したがいまして、緊急使用の手続を法律に基づいて、そういう緊急使用をさせていただきたいということが法律に明記されておりますので、判決が月内に出れば、私どもとしてはこういう手続を同時にとる、こういうことになろうかと思います。
  114. 東中光雄

    東中委員 裁決申請もしていないのに、緊急使用の申し立てをするわけにいかぬでしょうがな。裁決申請はまだしていないのでしょう。いつになったらできるのか、三月三十一日までにできるのか、そういう保証は何にもないでしょう。保証が何もないのだから、切れるときはどのようにするのかと聞いているのですよ。  そのときに申請を出せる状態になっておれば、それは申請を出して、そのときには緊急使用の申し立てをする。しかし六カ月だけで、改めてそれを更新することはできないというふうにちゃんと土地収用法に規定がありますね。そうしたら、明らかに、三月三十一日になったらもう後はあきますよ。権原はなくなりますよ。  そのときにどうするのかということを聞いているので、それについては、とにかくこういうふうにやりますと言っているだけで、やりたいと思ってもやれない、今やれていないのだから。事実上、前のときに、六日間空白があいて、しましたね。今度の場合はどうするんだということを聞いているのだ。  あのときは、米軍の扱い方もいろいろありましたよ。今度はどうするつもりなんだ、それについては何も言わないで、とにかく引き続いて使用できるようにするつもりだということだけ施設庁長官が言っているのですね。これではもうだめです。  だから、そういう事態、本来権原がなくなったら国は、県民の、国民の権利の問題ですから、憲法二十九条の所有権の問題なんだから、適正な手続上やれていなかったら、返すのは当たり前ですよ。それをすると言わないところが非常に問題だということを私は言いたいのです、もう時間がないからやむを得ませんが。だから、事実上そういうことで占拠をしていくということになれば、法治国家が泣きますよということであります。  終わります。
  115. 吹田愰

    吹田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時六分散会