○池田国務
大臣 御承知のとおり、このKEDOと申しますのは、もともとが、
北朝鮮で
核兵器開発の問題が非常に、内外の関心といいましょうか、
懸念を呼んだということがございました。何としてもこの問題を解消いたしまして
安全保障上の
懸念を少しでも軽減したい、こういうことで
米朝間の話し合いがあった。また、それを踏まえまして、日米韓、三国の間でKEDOという仕組みをつくったわけでございます。
それは、基本的には
北朝鮮が
開発しておりました黒鉛炉による原子力発電、これを断念させまして、そのかわりに軽水炉を提供しよう、そして、それが完成いたしますまでの間、
北朝鮮が必要とするエネルギーとして重油を年間五十万トンぐらい供与しよう、これがKEDOの仕組みになっておるわけでございます。
そういった中で、
我が国としてはそういったKEDO全体の計画、それに要する資金あるいは財政面の中で応分の負担をしていこうということでございました。また一方において、軽水炉につきましては、
韓国が一番大きな負担をしていこう、そしてまた、
日本も何となく、それはかなりのもの、応分のものが
期待されているという
情勢だった。一方、いわばつなぎの重油につきましては、まず米国が主たる責任を持ち、そしてまた
関係各国の協力を得て、こういうことで進めてきたわけでございます。
ところが、今年度分と申しましょうか、当面の重油の調達資金につきまして、米国も懸命の
努力をしておるわけでございますけれども、十分それが、目標というか、所要資金を賄うに足らない。まず、米国自体が千九百万ドルの予算を計上したわけでございますけれども、御承知のような議会との
対立てなかなか予算が成立しなかった。先般ようやく成立いたしましたが、
北朝鮮に対してそのような
措置をします場合は、また大統領府と議会との間での手続が要りまして、どうしても四月のかなりの時期にならないとこれが使えるに至らない、こういう
事情がございます。
また、EUその他の国からも拠出してもらうように、米国あるいは
我が国と
韓国も協力しながら、慫慂してあるいは要請しておりますけれども、これもある程度の反応は来ておりますけれども、まだ早急に使えるような姿にならない、あるいはしかるべき額にならないということでございまして、目下そういう
努力はしているのだけれども、流動性の
危機と申しましょうか、当面の資金繰りがうまく回らない、こういう
状況になっておる。
そういったことでございまして、KEDOの事務
局長、ボスワースと申しますけれども、これも私のところへも参りました。そこからも、何とかこの当面の流動性
危機をしのぐために
日本が何とかしてくれないか、こういう要請がありました。また米国からも、
自分たちも懸命に
努力はするんだが
日本も協力してくれないか、こんな要請があったところでございます。
そういった
事情をいろいろ
考えまして、私どもも、やはり
北朝鮮の
核兵器の
開発問題をきちんと断念させる、このことの
安全保障上の
重要性というものを
考え、またKEDOを通ずる日米韓三国の間の協調
関係を大切にする、こういう観点も踏まえまして、当面この流動性
危機に
対応できるような
措置に協力しよう、こういうことに決めたわけでございます。
具体的には、今回だけではなくて、これからもKEDOの事業を進めるに当たっていろいろそういった一時的な流動性の
危機は生じてくるだろう、そういったときに
対応できるように特別の基金を設ける、その基金に対して千九百万ドルを平成七年度の予算から拠出しようということを決めさせていただきまして、実は本日の閣議でもそのような話をしたところでございます。
この間
国民への
説明が十分でなかったという御
指摘でございます。その点は私どもも今後とも心してまいりたいと思いますが、事柄が、今申しましたような非常に際どいというか、当面何としてもこれはやらなければいけないという話、一方では、これまでいろいろ進めてきた話との
関係をどうするかということもございまして、必ずしも十分でなかったということは反省いたしますけれども、事柄の
重要性にかんがみましてひとつ御
理解を賜れればとお願い申し上げる次第でございます。